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1957-09-16 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十六日(月曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君       青木  正君    秋田 大助君       加藤 精三君    川崎末五郎君       渡海元三郎君    平野 三郎君       古川 丈吉君    粟山  博君       今村  等君    受田 新吉君       加賀田 進君    北山 愛郎君       八木  昇君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  委員外出席者         総理府事務官        (内閣総理大臣官         房公務員制度調         査室長)    増子 正宏君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政局         財政課長)   柴田  護君         総理府事務官         (自治庁税務局         市町村税課長) 鎌田 要人君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 八月二十一日  委員楯兼次郎君辞任につき、その補欠として小  山亮君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員青木正辞任につき、その補欠として村松  久義君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員村松久義辞任につき、その補欠として青  木正君が議長指名委員に選任された。 九月十六日  委員青木正君、小澤佐重喜君、加藤精三君、渡  海元三郎君、田中利勝君、小山亮君及び三宅正  一君辞任につき、その補欠として、粟山博君、  古川丈吉君、平野三郎君、秋田大助君、伊藤卯  四郎君、八木昇君及び受田新吉君が議長指名  で委員に選任された。 同 日  委員秋田大助君、平野三郎君及び粟山博辞任  につき、その補欠として渡海元三郎君、加藤精  三君及び青木正君が議長指名委員に選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  本日は、地方自治地方財政及び警察に関する件につきまして、調査を進めたいと思います。質問の御通告がございますので、これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 地方財政に関連して、政府はさきに国家公務員に対する給与制度を改める法案を出され、これが通過しておるのでございますが、地方公務員に対する給与は、地方財政影響を受ける関係上、特に国家公務員に準じた取扱いをされるとはいいながら、各地方団体ごと特殊事情で、それぞれ特色のある条例が発せられるということを聞いております。現在のところ、地方財政影響を受けて国の公務員給与を下回るような給与準則条例を作った府県はないか。あるいはまた、一方において非常に大幅な中央公務員よりは高い基準適用をしている府県はないか。こういうところにつきまして、地方公務員給与準則条例実施状況を、現在のところにおいて御説明願いたいと思います。
  4. 小林與三次

    小林説明員 今手元に詳しい資料はございませんが、大体記憶にあるところを申し上げてみます。給与条例の問題は、今までやったところもございますが、大体九月以降の県議会においてやろうというので、それぞれ地方において準備中であるのが大半だろうと存じております。われわれといたしましては、国家公務員につきましての給与法規定基準にいたしまして、府県におきましては、それに準じて条例制定措置を講ずることを期待いたしておるのでございまして、今までのところ国家公務員給与法より下回るものを府県において規定したものは私はまずない、こういうふうに考えております。われわれといたしましても、給与条例は国の給与法と同じ趣旨のものを作ることを期待いたしておるのでございます。ただ国家公務員よりも上回っているものを作っておるところがないかというお話でございますが、これは私は率直に申し上げまして、多少あるように開いております。これも県によって多少の度合いが違っておりますが、現にきめたところにおきましても、多少は上回っておるのじゃないかと思われるものがあるようでございます。ただ、これにつきましては、自治庁が一応自治庁の次官の名前で通知を出しております。その通知によりますと、一般行政職につきましては、県庁は、建前中央官庁と全然一緒にするのは無理だろう、やっぱり地方庁だという色彩が中心でありますので、自治庁が一応の準則といたしまして国の公務員建前にしながら、地方庁前提にした準則を作ることをすすめまして、ただその場合に、地方庁も全部中央機関同様にやるということはとうてい無理なところがありますので、そこである程度の調整をしてよろしいということを申したのでございます。その調整というのは、もっぱら国家公務員中央官庁規定が当てはまった場合のワク内における調整を期待いたしておるのでございます。そういう意味におきまして、大体国家公務員というものが頭に置かれて行われておりますが、それよりさらに上回っておるというものも、多少あるように聞いております。
  5. 受田新吉

    受田委員 私はここで特に問題として指摘したいことは、最近における地方公務員給与支給状況は、ことに昨年後半期に及んでは、各都道府県において一斉に昇給延伸とか昇給停止とかいう措置をとっているところを多く見受けているわけです。そういう立場から考えますと、地方公務員給与実態というものは、三十年一月十日現在の政府のなされた実態調査以後において、国の公務員と比較して相当の足踏みをしていると見られる向きがある。そこで地方公務員国家公務員よりも給与が高いのだという昨年の人事院勧告の内容についても、今日においては相当是正されなければならぬ情勢にあると私は思うのでございますが、政府としてはどういうお考えを持っておられますか。
  6. 小林與三次

    小林説明員 その点につきましては、今おっしゃいました通り、われわれとして考えております。一部の団体はなお相当高いものがございますが、一般の県におきましてはもう国家公務員と大差がない、こういうふうにわれわれとしても考えております。
  7. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、今回の措置に当りまして、国の公務員と比較して高い団体があるという立場から申し上げまして、なるべく地方公務員給与引き上げを抑えようという傾向がもしありとするならば、これは私は許されないことだと思うのですが、結果的に見て、こういう事態が起っております。それは三月三十一日までに昇給延伸昇給停止をやっているところを、復元をして、その上に給与の切りかえをしようと用意している府県相当ある。それに対して自治庁は、さようなことは許されないなどと言って、停止延伸に対する復元を許さない厳重な方針を、地方公共団体に示しておられると聞いておりますが、間違いございませんですか。
  8. 小林與三次

    小林説明員 その点については多少誤解があるように考えております。この給与の問題につきましては、今おっしゃいました通り復元と申しますか、給与実施上、従来昇給延伸等をやっておったものをどうするかという問題が一つ、それから給与条例をどうきめるかという、こういう問題が二つあるのであります。われわれといたしましては、給与条例は、これはもう給与基本制度だから、従来の建前通り国家公務員並みのものを作ってもらいたい、国家公務員より以上のものを作るということは適当じゃない、こういう基本的な考え方を持っております。しかし個々団体につきましては、それはもちろん自主的にきめることでございますから、そこのきめる条例について一々とやかく言っておるわけではございませんが、少くとも再建団体等におきまして、われわれのところへ再建計画変更を持ってくる場合には、少くとも国家公務員並みのもので作るべし、こういう基本原則だけは強く申しておるのは事実でございます。  それから今お話のものはそうでなしに、条例条例として、従来条例適用昇給延伸等いろいろな形で昇給ストップしておるものがある、それを復元するかしないか、こういう問題でございます。これにつきましては自治庁といたしましては、今度の給与法改訂に伴う切りかえだけは、現実給与相当高いにしろ低いにしろ、ともかくも百パーセント全部やる。これは理屈なしで、金が多少足る足らぬという問題を問わず、切りかえは必ずやらなければいかぬ。それを前提にいたしまして、しからばその切りかえをやった上でなおかつ、今申されましたような個々給与に対する問題をこの際どうするか、こういう問題でございます。これにつきましてはむしろ一般の問題は、主として再建団体の問題だろうと思いますが、再建団体における再建計画変更の問題といたしまして、給与を不当に下げておったものもあるかもしれません。そういうものはあまりないかと思いますけれども、そういうものもあるかもしれぬ。ある仕事を無理に押えつけておったものもあるかもしれぬのでありまして、自然増収等が多少あった場合におきまして、そういう多少な無理はゆとり範囲内において是正することは考えていい問題でございまして、そういう意味給与に無理があり、しかも財政計画そのものに全体として無理がないのならば、合理的な範囲内において考えることは差しつかえない、そういうことは申しておるのでございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 実際問題として、昇給延伸停止されたものを一応復元の形にして、しかる上に切りかえをしている団体がある。しかしながらその場合に過去の延伸分停止分給与はごめんこうむりたいという形で、とにかく切りかえだけ切りかえて復元措置はしておくという団体もあると聞いておるのでございますが、自治庁いかがごらんになっておりますか。
  10. 小林與三次

    小林説明員 これは従来給与切り下げというようなことは語弊がありますが、そういうことが行われるのはいろいろな形がありまして、県によっては初めから発令と申しますか、発令自体を従来の扱い方よりもおくらかすというものが一つある。それからそうではなしに発令はするが、もとのままの給与をさしあたりやる。そういうことを条例できめておるところもあります。そうかと思いますと、これは非常に異例でありますが、一応職員組合との話し合いで発令はするが、その月分のものを国に寄付する妙な形でございますが、こういうようないろいろな形が実は行われております。それで今度の給与切りかえに際しましては、ともかくも三月三十一日現在の給与額、これはもちろん正式に発令された名目的な給与額で、当然切りかえるべきだという原則で出ておるわけでございます。それでございますから事実上給与を払わぬとか何とかいう場合にも名目額で切りかえをやれという建前をとっておるのでございます。そこでその際に今までの昇給延伸、いろいろな形がありますが、それをどうするかという問題がございます。これは切りかえの問題とは別であって、その団体における給与ベースそのものをどうするか、その団体における財政運営をどうするかという総合的な判断の問題で検討されなくちゃいかぬ。切りかえだけは国の財政措置から当然やるものとして財源措置を組んである。これは問題ないが、そうでなくいわゆる復元の問題は、そもそも給与ベースをさらに上げるか上げぬかという、それぞれの団体給与問題並びに財政運営の総合問題であるから、そういう問題として検討をすべきである、こういう意味で二つの問題を切り離して扱わなければ問題がごっちゃになるということだけは、自治庁といたしましてははっきり申しておるのでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 自治庁指導力とかあるいは指示力もしくは認可権を発動するところの権力行使、こういういろいろな場合があると思うのでありますが、再建団体におきましては、財政再建計画というものについては、常に自治庁法的根拠をもってこれにタッチしておられる関係上非常にきびしい基準を要求されている。そうして普通の交付団体とかあるいは不交付団体は非常にゆるやかに大目に見られるということになりますと、再建団体と非再建団体、もしくは不交付団体、これらの団体間に給与アンバランスが一そう激しくなるという結果が起ると思うのでありますが、局長いかがお考えでございましょうか。
  12. 小林與三次

    小林説明員 これは率直に申しまして、現在でも金のあるところとないところと相当現実給与ベースが違っております。一部の府県国家公務員に比較いたしましても数千円も高いところも現にございまして、私どもといたしましては実はあまり望ましくない、特に申しましてそういう感じがいたしております。現実個々給与の問題がそういうわけで、それぞれの団体が自主的に決定する仕組みになっておりますからやむを得ませんが、われわれといたしましては、常に国家公務員基準を確保するということを地方財政運営基本にいたしておりますので、ともかくもその線を中心に問題を考えてもらいたいというのが強い考え方でございます。  それで給与条例というようなものは、少くとも国家公務員並みにすべきであって、給与条例国家公務員よりよくしたりするのは、地方公務員給与考える上においていかがか、これが基本的な考え方でございます。それからそういうふうに条例があります以上は、現実給与国家公務員並みベースは確保するように実質的にやりたい、こういうのもわれわれの考え方でございまして、再建団体におきましてもこの線はできるだけ確保するようにいたしたい。ただ不幸にいたしまして従来財政が非常に苦しくて、にっちもさっちもいかなかったというようなところで、今申されましたような切り下げとかいろいろな措置が講ぜられております。この講ぜられておりますのも団体によりまして二種類あります。むしろ従来国家公務員に比して高過ぎた——それ自体として高いかいか、これは議論がありましょうが、少くとも国家公務員ベースに比して高過ぎたというところがあるのでありまして、そういうものが団体財政運営に非常に重圧になっておる。そこでそれを是正する必要があるという意味で、いろいろ延伸等措置が講ぜられておるものはあるのでございます。こういうものはむしろ合理化するためにそうなったのでありまして、合理化基本方針というものはむしろ今後もそうあるべきものである。率直に申しまして私はそういうふうに考えております。ただそうでなしに、それほど高くないのに金がないばっかりに無理に押しつけたというものもあると思います。そういうものにつきましては財政上のゆとりがあれば、実質的に国家公務員並みのものを確保されるように考えてやっていいのでありまして、そういうことは多少ゆとりがあった今日、全般の財政運営合理化する一環として考えることについては、われわれもやぶさかでないのでございます。そういう意味再建団体再建計画を全般的に変更する場合には考えることといたしたい。ただその場合におきましても、金があるからまず給料だという考え方を一途にとることにはやはり無理があるのでありまして、そういう団体はおそらくなすべき仕事もみんな押えつけて、いろいろな経費をまんべんなく押えつけておるのでありまして、そこらはやはり均衡をとって回復する給与改訂をやるとともに、仕事のバランスをとるべきものはとって、再び歳出の構成給与費だけがめちゃに上って困るという形にならぬような限度では考えなくちゃいけない、そういう基本線は持っておりますけれども、非常に低いところにつきまして調整をやることにつきましては、われわれとしてもこの際考えてよかろうという考え方で臨んでおるのでございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 本日現在で全国都道府県の新給与制度の切りかえ措置のとられた、すなわち条例の手続のとられている府県の数をお示し願いたいです。
  14. 小林與三次

    小林説明員 それが今ちょっと手元にございませんから、至急調べまして数は御報告申し上げたいと思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 その資料が出ましたら、それについて具体的にお尋ねする件がありますので、それはあと回しにさしていただいて、なおここで一つ指摘したいことは、地方公共団体の中には、はなはだ貧弱な財政状況から、特に市町村の中には三千円とか四千円とか、国の俸給表は五千三百円が最低でございますが、それよりもはるかに下回る給与を支給しているところがある。三年も四年も昇給をやったこともないというような地方公共団体があるのでございますが、これらに対する自治庁としての取扱い方はどうなっておるのでございましょうか。
  16. 小林與三次

    小林説明員 個々市町村におきましては、市は市でもやはり新市にはそういうものはあり得ると思いますが、町村には今仰せられましたようなものがある程度あろうと思います。これは再建団体もあれば非再建団体もありますが、常に国といたしましては国家公務員に準ずる財政措置は講じてありますので、その範囲内において職員は合理的に運用することを期待はいたしておるのでございます。ただこの団体について、お前どうこうしろというような趣旨の個別的な発言をすることはいたしておりません。しかし問題がありますのは再建団体でございまして、再建団体等におきましては、これは財政運営上支障がない、かつ町村給与が低いのは、多少はそういう市町村の役場の職員と、おそらく市町村内の給与水準と申しますか、市町村内の一般住民等とのレベルの問題、いろいろ市町村としての考えるべき問題はありましょうが、自治庁といたしましては、むしろある程度やるべき給与をやって、職員組織合理化をして、人もいい者を入れて働いた方が市町村能率が上る、われわれは基本的にそういう考え方を持っておるのでございます。そういう意味で、むしろいい人を入れてしかるべき給与を与えてやった方がいいのじゃないかという考え方を持っておりまして、そういうところにつきましては、再建計画等の場合におきましては、われわれは町村が是正すべきものについては勧告を惜しまない、こういう考え方でおります。ただその際でも、従来えらい低かったものを一挙に数千円上げるというような形になりますと、それは財政に急激な変動を与えてもいかがかという場合もありますので、そういう場合にはある程度経過的に調整をしていくということは考えざるを得ない場合があろう、こういうふうに存じております。
  17. 門司亮

    門司委員長 ちょっと受田君、ここで今内閣総理大臣官房公務員制度調査室長増子さんがおいでになっておりますので、御了承願っておきたいと思います。
  18. 受田新吉

    受田委員 私はここで自治庁長官にぜひ御回答願いたいことがあるのですが、地方公務員給与は、今局長の御答弁の中にあったごとく全国ばらばらだ。ひとしく国民全体の奉仕者として勤務している公務員に対して、その支給する給与が不均衡であるということは、原則的に見ましたならば感心したことではないわけであります。しかし地方自治自主性自律性を尊重する立場から、地方財政を十分尊重する立場から、地方独自の条例設置ということに対して一つの権限を付与しておるのが地方公務員法であり、地方自治法であると思うのでございまするが、その限界がどこにあるかということは非常に重大な問題であって、公務員公務員たる体面を保ち得ないほど低額な給与をもらっておるようなのをそのまま見のがすということは、これは国の政治の上においては重大な手落ちだと思うのですが、長官給与の著しく陥没しておる地方公共団体給与取扱いについて、いかなる指導指示をされる用意があるかをお答え願いたいと思います。
  19. 郡祐一

    郡国務大臣 受田さんのおっしゃいます通りに、私ども地方公共団体がよい公務員をもって仕事をするということが、ある意味では地方自治一つ基本だと考えております。御指摘の給与の点については、国家公務員給与というものを一つの標準にいたすべきものだと私は考えております。同時に今日の地方団体の模様から考え、ことに赤字団体再建団体のことを考えますると、その財政とのにらみ合せということは、多分にその団体仕事に専従していてくれます公務員としては考えてもらわなければならぬことであります。一方において国家公務員という一つ基準を持ち、一方においてその地方団体の実情を考えあとう限り公務員の利益をはかるようにして参りたいと思っております。
  20. 受田新吉

    受田委員 こうした問題は人事交流の上においても非常な支障となっておる。各府県間で人事交流をやろうとするならば、非常に給与の低い県から高い県にかわるときに、どこに給与の格づけをするかという問題が起ってくる。また最近の自治庁のお役人やあるいは中央官庁のお役人が、いわば天下り的人事とでもいいまするか、地方派遣というような形で大量に地方にどんどん出ていかれる。そのときに国家公務員地方公務員給与アンバランスを、どういう考え方調整せられるかという問題もある。しかももう一つ地方公務員の中には、いわゆる係長以上という役づけを持っておる人はきわめてパーセンテージが低いので、二〇%以下という府県が非常に多いように伺っております。国家公務員は四〇%以上役づけ職員を持っておる官庁が非常に多い、こういうことになりますると、倍以上の役づけのある中央官庁と役づけのきわめて少い地方官庁と比較したときに、さなきだに役づけのポストの少いところへ中央から天下り的に大事なポストをみなとられたとしたならば、地方公務員は役づけになることは容易でない。そこでこれはすぐ給与の頭打ちになる。しかも地方公務員年令層はその大部分が国家公務員よりも年令構成において高いところにあり、係長課長年令差がきわめて接近しておる。非常に高年令層が役づけを待って今控えておるわけなんですが、そういうところが一々押えられる結果になるのでございますが、これは地方行政上非常に心していただかなければならない問題だと思うのです。そこで地方行政のリーダーシップをとっておられる自治庁とされては、各地方公共団体職員がせめて希望をもって、何年かしたら昇給も昇格もするのだ、係長にも課長にもなれるのだという希望を持たせるような、そういう張り合いのある生活をさせなければ、再建団体のごときはますます萎縮して——再建を計画して一そう萎縮さしたのでは、これは角をためんとして牛を殺すたぐいになると思うのです。そこで再建団体のように地方財政計画を異常に緊縮する、緊縮するときには人件費を緊縮するということになるので、公務員人件費を一そう緊縮すれば昇給延伸停止をやられた上に、さらに今回の措置においても非常に縛られるということになる。恵まれたる府県はどんどん上る、貧乏県は一そう低くなる。再建どころの騒ぎではない。前途に希望を失った公務員は一そう萎縮して、公務の能率は低下するということになって、地方公共団体士気にも非常な差等ができると思うのです。むしろ再建団体には、地方財政計画の緊縮の中において、人件費の方にはしわ寄せはなるべく狭くして、同じ率で緊縮させることをやめて、せめて公務員士気だけは高める意味において、一応国の公務員基準にまでは引き上げる。その措置をとらせるような努力を自治庁としてはされるべきじゃないでしょうか。これは一そう貧弱な県が再建団体に指定されて、今度は給与引き上げのときにも恵まれた県に比べて一そう懸隔を持ってくるということでは、私は大へんな不公平が発生すると思うのです。新鮮な感覚で地方行政に当っておられる自治庁長官として、郡さんの御所見を伺いたいと思うのです。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 国家公務員よりも低いという待遇は実際好ましいものではございません。国家公務員給与水準というものは、地方公務員についても維持していくべきものだと考えております。それから交流等のいろいろな支障は、私も受田さんがおっしゃるような意味合いで時々感じております。しかしながら今ちょうど再建ができ上っておる大事なときの再建団体でございます。それでこの人件費もある程度昇給延伸等で抑えられておりますけれども、事業も確かに抑えられております。何と申しますか、言葉はちょっと適当ではございませんが、未開発の地帯である再建団体なるがゆえに、必要な建設事業も他の地帯に比べて著しくおくれておる。これはどうしてもそのままにはほっておけないことであります。従いましてこうした地方団体に、これは一般財源をあとう限り必要な程度は付与して参るということが必要だと考えております。従いまして受田さんがおっしゃる意味はよくわかります。しかしながら人件費の方だけを事業費よりもよけいに見てやるというか、その方に割に力を入れるということは、これはちょっと無理なのではないだろうか、私どもはむしろそれよりも再建団体が早く全体として必要な水準まで上げて参る措置をとって参りたいと思っております。またそのために難きを忍んでいてくれまする地方公務員希望はおっしゃるようにいつも持てるだけの配慮はしていきたいと思っております。
  22. 受田新吉

    受田委員 私が特に問題としたいことは、貧弱団体再建団体適用を受けているこれらの団体において、昇給延伸とか昇給停止とかいうのを富裕団体の普通の交付団体よりはよけいきびしくやらされているわけです。従って今度の改正措置に当ってそういうきびしくやらされているところを、せめてある程度復元しようと用意しておったところへ、復元待ったということで復元の前に基準を置いて中央との調整措置をとろう、こういうところに自治庁指導されておるようでございますので、非常に低いところに置かれたその形のままで六・二%という国の公務員になろうた給与改訂がされようとしている結果になっている。それでありますから六・二%よりももっと高いところに、しかも俸給表も一号、二号、三号、四号、五号と各等級にわたって延長しているところもある。それにかかわらず貧弱団体は非常にきびしくされて将来に希望をもって非常に謙虚な気持で昇給延伸停止もがまんしておった。それが今度切りかえに当って、そのがまんしたのを基礎にしてちょっぴり六・二を上げるというのでございますから、がまんしなかった府県と比べると大へんな差ができるわけです。そこを一つ再建に対する意欲を高める上において、せめて公務員の待遇を私はそういう再建団体財政計画を、一般事業費と人件費において大きな差等をつけるという意味ではございませんが、せめて人件費は事業費ほど圧縮をしないで、それにある程度近寄りはしても人件費をある程度は考慮してやるという配慮が必要ではないか。そのことが士気を高めて、再建能率を倍加して、八年の計画が三年に、あるいは四年に完成するという公算もあるじゃありませんか。やはり私は公務員としては、再建団体府県に勤めている職員は非常に冷遇され、富裕県に勤めている人は非常に恵まれ、こういう大きな懸隔を持つようなことでは、民主主義の国家としての成長をこいねがう上においても、非常な支障が起ると思うのです。やはりここをじっとにらんでおる自治庁とされては、地方交付税の交付率の引き上げとか、あるいは入場譲与税あるいは道路譲与税等の配属で、富裕県と貧乏県財政上の均衡措置をとっておられるようでございますが、そういうものはもっと厳格にやる。あるいは国の財政の中からそういう再建団体に対して、せめてまじめに勤務している公務員に対して、著しく不当に低い給与で甘んじさせることをしないような何らかの財源措置をしていただく。補助金政策なんとかいうものを、あるいは一般財源という議論よりも、まず公務員現実いか希望あらしめるかという観点から財政上の措置をとられる必要がないかと思うのです。この際非常な勇断をふるってやらないと、萎縮した人間は一そう萎縮するから、せっかく自治庁が計画されている財政再建の見通しも前途ほど遠しということになると思うのです。長官一つそういうところに御配慮いただく決意はありませんか。
  23. 郡祐一

    郡国務大臣 お話のうちにありました著しく低いところというような点につきましては、それぞれの団体の実情を見てよく考えることにいたします。
  24. 受田新吉

    受田委員 それぞれの団体によって十分考えるというお言葉でございますので、これから自治庁が認可せられる立場にある府県におきましては希望を持てるわけでございまするが、一度自治庁措置をした府県等において、今後さらにこれの是正をする措置をとられる用意があるかどうか。中央におきましては、国家公務員の場合は人事院において等級別定数の格付け等において、十月にその手直しの是正措置をとられることになっております。七月三十一日で切りかえ措置をとり得なかったところもあるし、またその切りかえ措置において、非常に不遇なところも後ほど発見できた分を十月是正という点で、今準備しておられるようでございますが、自治庁においてもそういう是正方針をすでに認可済みの府県に対してもおとりいただける用意がありましょうか。
  25. 小林與三次

    小林説明員 今の是正の意味がいろいろあると思います。人事院等でやっておりますのは、個々職員の格付けかあるいはきめ方の問題でやるので、これは私もあり得ることで、一度すぽっとやってみてでも、これはそれぞれの団体職員間における運用の内容いかんということは、調整せられることはもちろん自由だと思います。もう一つの問題は、自治庁として認可済みということになれば、一度再建計画で一応認めたものについて給与が非常に低いところ等におきまして、給与費ベース・アップについて検討すべきか、こういう問題であると思います。私は今長官から申されました通り国家公務員並みのものはわれわれとしても確保してやるということは、これは基本原則です。機会があるたびに確保したいと思います。それでそれぞれの団体で従来不幸にしてそういうことがありますれば、相当自然増収等があって財政の計画を変更して支障なければその範囲内においてはできるだけそういう方向に協力いたしたい。これは基本的にそういう考え方を持っております。
  26. 受田新吉

    受田委員 自治庁の努力しようとする御意思を伺ってある程度希望が持てるのでございますが、先般三十一年度の地方財政実態を御発表になった中に総体で百十五億の黒字が出たという数字もお示しになっておられる。だんだん地方財政の赤字が減少しつつあるという好ましい傾向も自治庁は発表されておるのです。そういう段階におきまして、田の公務員地方公務員とのアンバランス是正という問題は、これは非常に大事な問題で、国、地方を通じて公務員がひとしく国民あるいは全体の奉仕者として、忠実にその職務に精励し得るような環境を作ってやらなければならぬと思うのです。そこでいま一つ関連してお尋ね申し上げたいのですけれども、この地方公務員の地位でございますが、これはもちろん地方公務員法によってきびしく制約を受けておりまするし、その身分、給与等についても制約を受けておるのでございますが、地方自治という原則から考えて、今長官も御指摘のような地方独自の自主自律性と、それから国の公務員としての比較、検討も、そういもののどちらに政府としては大体重きを置いて考えておられるのか。自主性尊重が第一義であるか、国の公務員給与等に準じた地方公務員の処遇をしたいということに第一義があるのか、第一義がどれ、第二義がどれということを、はっきり申していただきたい。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 公務員としての性格から考えますならば、制度としては国家公務員地方公務員とを常に関連して考えるべきものだと思います。そうした前提のもとに別な意味合いで地方自治の本旨に合った独自性というものがあるのだと思います。
  28. 受田新吉

    受田委員 第一義と第二義ははっきりしたのです。しかし給与条例の決定権は地方公共団体にあることが法律に規定されておるわけです。その地方公共団体条例を公布した場合に、これに対して制約を加えることができましょうか。
  29. 小林與三次

    小林説明員 これは法律論になりますから、私からお答えいたします。条例は自治団体が自主的に決定すべきものでございまして、条例の決定に際しましては違法とか何とかいろいろ議論がありましても、国といたしましては、現在のところ直ちに是正、強制するという手がございません。
  30. 受田新吉

    受田委員 地方公共団体の中には中央俸給表とは別の形の俸給表を作ってあるところがあることを御存じございませんか。
  31. 小林與三次

    小林説明員 あるところがあるのは承知いたしております。
  32. 受田新吉

    受田委員 そのあるところがあるものを——そういうところがどんどんたくさん出る先例になってきた場合に、自治庁地方自主性を尊上する立場からやむを得ないということで御了承されることになりますか。
  33. 小林與三次

    小林説明員 これは現実にきめたものの法律上の効果がどうかという問題が一つ自治庁といたしましては、そういう制度を作るについての指導方針をどう考えるか。われわれといたしましては、あくまでも国家公務員に準ずるものを作ってもらいたい。これはもう不動の方針として申し上げたいと思うのでございます。地方に対してもそれを強く要請いたしております。特に再建団体につきましては、再建計画につきまして自治庁が責任を持っておりますから、再建計画か達成されるまでは、ともかくも国家公務員並みのものは確保してやるが、国家公務員よりもよい俸給表を作る等につきましては、厳重な反省を求めまして、そうしないように要請いたしたいと考えております。
  34. 受田新吉

    受田委員 今回示された国家公務員俸給表中央からこれを地方適用する場合にはかくあるべしという一応の基準として、五つの好ましい姿の俸給表指示された。また選択の俸給表指示された。ところが地方公共団体の中には、新しい俸給表とはかわって、昔の通し号俸の俸給表をそのままの形で用いておられるところがあるのを御承知でございましょうか。
  35. 小林與三次

    小林説明員 そういう趣旨のことを組合側が要求しているのは聞いたことがございますが、それで条令を作られたということは現在のところ聞いておりません。かりにそういうところがあるとすれば、今の地方公務員法なり教育公務員特例法なりの趣旨から見ると、私は給与表の基本方針から全く逸脱しておるものだと考えざるを得ないと思います。
  36. 受田新吉

    受田委員 しかしまだ中央で報告を受けておられないようでございますが、そうした従来の通し号俸の俸給表を、そのまますでに地方公共団体の機関で決定を見たところがあると聞いておるのですが、自治庁としてはまだお聞きにならぬのですか。
  37. 小林與三次

    小林説明員 私はまだ聞いておりません。まさか府県でそういう趣旨条例を作るところがあろうとは、私にはちょっと想像ができません。
  38. 受田新吉

    受田委員 府県でなしに、有力な大都市の場合はいかがですか。
  39. 小林與三次

    小林説明員 大都市につきましても、今日まだ聞いておりません。それは至急調べて——受田委員の方に情報が入っておればお聞かせ願いたいと思います。
  40. 受田新吉

    受田委員 私の方へ情報が入るのが筋じゃなくて、中央へ入るのが筋なんですが、あなたから私にお聞きになるということになれば、主客転倒なんでございますが、とにかく今度の国の公務員の新給与制度実施地方公務員の新給与制度実施におきましては、国の公務員に準ずるという立場をあまりきびしくやられると、貧弱団体で今申し上げたような昇給ストップや延伸をされた府県は、一そう悲惨な立場に置かれる。こういうことが考えられるし、また富裕府県におきましては、これまた野放図に財政の余力に応じてこれを認めるということになりますと、回そう懸隔がひどくなるということを私は憂えて、自治庁がせめても一番基準になる国家公務員基準まで達せざる府県には、この際再建団体といえども勇をふるって協力してあげるような措置をとってもらいたい。これはお二人で、ある程度希望の持てるような発言だと了解しておるのでございますが、国の公務員基準に達せざる府県においては、特にそれを大目に見ようとする御決意であるかどうか、もう一度確認をさしていただきたいと思います。
  41. 小林與三次

    小林説明員 私からはっきり申し上げますが、国家公務員と同じ程度のものの条例を作ることは当然に認めます。問題は国家公務員よりよくしよう、こういう問題でありまして、大てい議論になっております。よくするということはわれわれは避けるべし、やはり国家公務員基準は一本に行くべし、そういうことを強く要望いたしているのでございます。  それから一部の富裕団体におきましても、富裕団体で国の全然厄介にならぬのだから自由だということもありましょうが、やはり給与基本的な建前は、国の給与を基礎にして考えてもらいたい、そういうことでこの考え方だけは地方に対しても強く押したいというのが自治庁の気持でございます。
  42. 受田新吉

    受田委員 そのことでもう一つ関連するのですが、今あなたが国の公務員基準よりも高いものはいけないんだというお言葉であったのですが、昇給延伸やストップで著しく不当に低い地位に置かれている。そういう府県昇給延伸やストップを復元して昇給しようという、別に中央を困らせる意味じゃなくて、まじめな考え方公務員士気を鼓舞しようという、地方府県措置を私はお伺い申し上げているわけです。
  43. 小林與三次

    小林説明員 今の御趣旨よくわかりました。問題は給与条例そのものをどうするかという問題が一つと、それからその給与条例に基いて個々職員の月給をどうきめるか、こういう問題がありまして、従来も要するに国家公務員と同じ給与条例をやっておったのでありますが、それぞれの昇給発令延伸しておった、こういうう実例があるわけです。そこで条例といたしましては国家公務員並みのものを作るべし。それ以下のものを作らせるようなことは、こちらは全然考えておりません。そこで今度問題は、その国家公務員並み条例ができた上で、従来その団体において不幸にして昇給延伸等があったときに、これをもう一ぺんひっくり返す措置をやるかやらぬか、これは条例の運用の問題でございます。それにつきましては、先ほど長官も申しました通り、従来国家公務員よりも不当に圧縮されておった団体があれば、再建団体再建計画支障のない範囲内においては、国家公務員並みにまで実質上げるということにつきましては、自治庁は特にいかぬ、そういうことを申し上げているのではないのであります。計画上支障がなければ、バランスをとって、いわゆる行政水準の確保、回復という問題の一環として、給与表の問題も仕事の問題も当然総合的に考えていいじゃないか、そういうふうに考えているのでございます。
  44. 受田新吉

    受田委員 運用の面における配慮を特に考えたいということは、私も納得します。そういうところで、今後中央で十分地方自主性考えながら、一方で地方公務員の陥没を救ってやるという描出ごとってもらいたい。  そこでいま一つは、先ほど御指摘した国と地方あるいは地方相互の人事文流等について、最近は天下り人事というような印象を受ける人事がしばしば行われ、しかもそういう人事で出先へ行った人は非常に高い給与をもらっている。そうして今度もとへ戻ると、中央で同列にあった人よりも一歩上へ上っている、こういうふうに異動して栄進をかせぐような職員もおありであると承わっておりますが、その実態いかがでありますか。
  45. 小林與三次

    小林説明員 中央の各省と各府県並びに各府県間におきまして、相当人事交流があるのは事実でございます。これはわれわれは行政を円滑に運営するためにもそういう必要があろうと思います。しかしこれにつきましては中央が専権を持って人事発令ができるわけじゃございませんで、中央地方のそれぞれの任命権者が話し合いの上におきまして、その他待遇等につきましても協議の上で事を進めておるのでございます。  そこで、現在は異動の機会によってよけいに栄進をするというふうな問題でございますが、率直に申しますれば、先ほどの地方公務員給与が高くないのじゃないかという実例にもなるのですが、中央におるよりも、地方に行くと実質の収入が減る、こういう事例も現在相当出ております。それは中央にはいろいろ勤務地手当がついたり管理職手当があったりする。地方ではそれをろくすっぽ出しておらぬというような理由もありまして、実際の給与実態から申しますと、中央地方でどっちが得かということになりますと、今日においてはほんとうは区別がつかぬ、昔は地方へ行けばよくなったという話がありましたが、今日においては必ずしもそういう事態はありません。それからまた、そういう者が中央へ戻ってきましたら、地方で一ぺんうまくいったから中央でいいところへ行けるかというと、中央公務員につきましては、ちゃんと昇給昇格の基準がございまして、地方へ行ってきたからといって、そのワクからはみ出ようがないのでございます。これは人一院その他で調整をとっておられますから、来れば来たで国家公務員のそれぞれの筋へ入らざるを得ない、そういう形で給与その他が決定されておる、こういうふうに考えております。
  46. 受田新吉

    受田委員 中央から地方へ、地方から中央へ来るときに、要領よく昇給をやるわけです。従って、地方を一回りして帰ってきたときには、本省におった昔の同僚とは違う、こういうやり方が相当に行われておる。これは事実そういうことがあるのです。それは、特に試験採用などで優秀な立場にあった人人の場合もありますけれども、そういう形のやり方はやはり私は非常にまずいと思うのです。そこで、人事交流は大いにやるべきだ、従って、今ここに公務員制度調査室長もおられるから一言お答え願いたいのですが、中央地方、あるいは地力相互の間の人事交流によって、お互いの機関の理解を深めること、中央地方関係を密接にすること、仕事の理解を高め、いろいろな点で長所があるのですから、大いにやっていただいていい。同時に、そういうことを消火にやれるように、各公務員間、各機関ごとの給与もできるだけ均衡化する、これは国の大きな方針として大事なことだと思う。これについて、いま一歩進んだ立場で、国全体の感覚から、室長に御答弁願います。
  47. 増子正宏

    増子説明員 ただいま受田先生からのお話しの、中央地方との人事交流という問題、これは私どもも、公務員制度といいますか、行政の効果の向上をはかるという意味においても、非常に必要なことであるというふうに考えておるわけでございます。従いまして、公務員制度の今後のあり方という面におきましては、そういう点も十分重視して考えていきたい。なお、これに関連して、給与差の調整という問題も、御指摘のようにあるわけでございます。人事交流ということを具体的に考えます場合には、この給与その他の待遇土の差異をしかるべく調整するということも当然考えいかなければならないというふうに考えております。
  48. 受田新吉

    受田委員 自治庁長官地方公務員国家公務員の比較検討に関するお尋ねをするのですが、あなたは大量の職員を占める地方公務員たる教職員国家公務員たる身分に変えること、義務教育費の全額国庫負担というような問題、こういうものをすでに自民党政府としては、過去しばしば計画され、法案を出されたこともあるのでございますが、これに対する御所見はいかがでございますか。
  49. 郡祐一

    郡国務大臣 私は、地方団体と申しますものは、その本来的な性格から申しまして、教育というようなことは、その重要な一つの機能だと考えております。従いまして、地方団体が教育についてその責任を負います制度というものは、これは確保すべきものだと考えております。
  50. 受田新吉

    受田委員 どうもはっきりしないのですが、そうすると、従来自民党政府が計画されたことに対しては、原則として共鳴されるわけですか。
  51. 郡祐一

    郡国務大臣 国家公務員にいたすというようなことについては、私は強い疑問を持っております。
  52. 受田新吉

    受田委員 やはり地方の自治を守ろうとする大臣らしいお言葉でありましてけっこうであります。ところが、今地方公務員の中で例をとりますれば、教職員には超過勤務手当がない。これはどういう理由であるか。  もう一つは、地域給を、昨年の地方自治法の改正では二百四条の二の制度その他の法律あるいはこれに基く条例によらずしては一切の給与を支給しない、というあの規定のために、地域給の差額分、すなわち合併し市町村などにおいて、新たに合併した地区の地域給の低い、あるいはないところの職員に対して、人事交流等の面から差額支給を出しておったものがとめられたわけです。それはその後どういうふうに処理されたか。この二つの問題をお答え願いたいのです。
  53. 小林與三次

    小林説明員 教育公務員につきましては、給与基準その他は、国家公務員の例によってやるべしという特に強い地方公務員特例法の規定がございまして、われわれもその方法でやるべきものだと思います。そこで国家公務員たる学校職員につきまして認められない給与その他の制度は、これは地方においても認められていないのでございまして、これにつきましては、今勤務地手当の問題がいろいろ議論になりましたが、われわれも現在の勤務地手当制度そのものにいろいろ疑問がある。問題は教育公務員について仰せられましたけれども、現在の建前は、御案内の通り、行政区画を単位にしておりません。市町村を単位にしていないものだから、市町村でいろいろ勤務地手当が違う。ここに根本的な問題があるのでございまして、われわれは、むしろその勤務地手当を早く一行政区画単位に直すべきだ、それを基礎にして、今は暫定手当になっておりますが、そうすることが必要であるというのが自治庁としての基本的な考え方であります。それを、ぜひやってもらいたいということを強く主張をいたしておるのでございます。  それから超勤の問題は、これは私よりも公務員室長さんの方が詳しいだろうと思いますが、教育職員については、教職員の勤務の実態とか、あるいは俸給のきめ方等の考え方で、一般職員と迷う扱いをする前提で国の制度ができておりますので、それに準じて地方もやっておるということでございます。一切がっさい、制度は国に準ずる。国に準ずるから国が認めないような新しい手当その他は、これは遠慮してもらう。こういうのが基本原則でございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 これで私は質問を終りますが、私は最後に長官にお尋ねしたいのですが、これははなはだ申しわけないお尋ねになるかと思うのでございますが、長官は、現在長官室においでですか、大臣室においでになるのですか。
  55. 郡祐一

    郡国務大臣 自治庁長官室におります。ただし標札は書きかえてありますのを特に私になってから看板を書きかえたことはありません。しかし自治庁長官でありまするから、そのおりますところは自治庁長官室とお考えいただきたいと思います。
  56. 受田新吉

    受田委員 長官は現在長官室においでになられる、看板だけは前の方のを踏襲してある。礼儀を重んじておる、こういうことでございます。私はそれ以上のことを追及は申し上げませんが、総理府の外局のそれぞれの長官の部屋がどういう形になっておるか、長官お調べになられたことがございましょうか。たとえば防衛庁、北海道開発庁あるいは行政管理庁、経済企画庁、こういうところの部屋は今長官のお言葉の通り長官室とあるべきものが大臣室となっていても、看板だけがそう変えられたのか、お調べになられたことがございましょうか。
  57. 郡祐一

    郡国務大臣 これは私一つも調べたことはございません。従いましてどうなっておるか全く存じません。
  58. 受田新吉

    受田委員 これでおきますが、私はこれは非常におもしろい問題にもなると思うのであります。総理府の外局の中にあるそれぞれの役所同士が看板がどうなっているか、あるいは実際は長官取扱いがどうなっているかという問題に、何か相互の連絡が欠けておる。同じ政府の中において、役所間の相互の名称の統一とか、話し合いによって結論を出す問題などについての努力がされてないということは非常に遺憾であると思うのですが、これは一つあなた十分新鮮な感覚を持って——あなたの今の御答弁は非常に名答弁でありますので、これ以上追及しないことにいたします。これはまた後の機会に譲って昼からでも資料が出ましたら、あらためてさっきの各府県取扱いの問題について局長でけっこうですからお伺いします。
  59. 門司亮

  60. 古川丈吉

    古川委員 公団住宅の同定資産税については、もう議論が尽されたような感がありますけれども、一言だけお伺いしたいと思います。公営住宅に比べまして、公団住宅の家賃は従来とも大体二倍くらいに高くなっておる。その差がはなはだしいので問題がありました。ところが今回さらに固定資産税が公団住宅に加算されるというので、一そう問題が大きくなったわけであります。もともと公営住宅の方には国の補助金があり片方にはないということが家賃の大きな差の原因でありますけれども、さらに公団住宅の資金の利子を引き下げるというような方法で家賃を下げるようなことも考えるべきでありましょう。これは建設省や大蔵省で考えてもらうべきことでありますが、ただ同定資産税の加算の問題は、公営住宅と比較均衡の上で、同じような考え方で解決できないものだろうか、すなわち公営住宅の場合には、所在の市町村に対して府県が固定資産税に相当する交付金を交付する、こういう建前でやっておられます。そしてこの交付金そのものは、国が府県に対して特別交付税の形でさらに補給をしておる、結局国が負担をしておる、こういうようなことでありますので、公団住宅につきましてもやはりこの考え方で行けばせぬか、こう私は考えるのであります。もちろん御承知のように一般の民家につきましては固定資産税もかかり、しかも資金も高い資金を使っておりますから、家賃というものは公団の住宅に比べてもなお一そう高いのでありますけれども、しかし公営住宅と公団住宅というものはその性質から行くと非常に似ておるから、同定資産税の問題は公団住宅のこの考え方で処理できないものか、これを一つ伺いたいのであります。
  61. 小林與三次

    小林説明員 ちょっと特別交付税の問題に関連しておるようでございますから、私より先に御答弁申し上げたいと思います。今のお話は、結局所在市町村に対する交付金は払うものは払う、その穴埋めをどうするか居住者に転嫁せずにどうするかという問題でございまして、県の公営住宅につきましては、現在暫定的に特別交付税をやっておるのは事実でございます。これは結局、府県市町村に対して払うべきものを払う、しかしながら府県がその払うべき財源の手当が今のところつきようがない、こういう前程で、これは地方財政の問題として府県財政に穴が出るわけでございますから、地方財政をあずかっておる自治庁としては、地方財政一般財源で暫定的に始末をしろ、こういうことで特別交付税を認めておるのでございます。しかし今度は問題は公団ということになりますと、公団にいわば穴があく。これは所在市町村に交付金を払いまして、それが家賃でとれぬということになれば、公団にいわば穴があくという問題でございまして、その公団に穴があくのを特別交付税か何かで見られぬか、こういう御趣旨になってくると思うのですが、これは自治庁として考えるべき問題じゃないと思います。公団そのものの財政運営の問題として、公団所管のそれぞれの役所においてこれをどうするか、こういうことになりまして、公団のしりを所在市町村一般財源である交付税でというわけには、ちょっと参らぬのじゃないかと思います。しかしながらそれをどう国として考えるべきかという問題は別途あり得ると思いますが、これはちょっとわれわれ自治庁として答弁すべき問題でないのじゃないか。ただ自治庁の交付税からいえばこういうことをやるのは筋がいかがなものか、こういうふうに感じております。
  62. 古川丈吉

    古川委員 公営住宅は府県を通じて自治庁関係系統でやっておられるから交付税でめんどう見るけれども、公団住宅はそうじゃないからということでありますが、しかしながらこれはやはり性質が同じで、固定資産税の問題が非常に問題になっているのでありますから、これは自治庁の問題でありますので、相談する相手はあるいは建設省と大蔵省かもしれませんけれども、建設省相手、大蔵省相手でもやはり公営住宅と同じような考え方でやることが、一般民家並みにするよりも公営住宅並みにする方が私はいいと思うのでありますが、その点をきょうすぐお答え願いたいと言っても無理かもしれませんから、一つ研究しておいていただきたいという希望を申し上げまして、私のこの点の質問は打ち切ります。  さらに町村合併の今後の方針について伺いたいのでありますが、知事勧告は本年三月に出ておりますが、総理大臣の合併勧告をお出しになるのか、またお出しになるとすればその時期はいつごろでございますか、一つお伺いしたい。
  63. 小林與三次

    小林説明員 これは行政局の所管でございまして、行政局長おりませんから私かわってお答え申し上げますが、そこで自治庁としてはまだ方針がきめてないのじゃないかと思います。
  64. 古川丈吉

    古川委員 合併勧告勧告通りに行われない原因を見ますると、勧告された町村の中に財政的に非常に差があって金持ちの町村勧告に応じない、これが一つの大きな例であります。そうして四つ、五つの町村が合併をしてあと一つ、二つが金持ちのために合併に応じない。片方は無条件で合併しようとしているにかかわらず、金持ちの方だけが合併に応じない。そういう具体的な場合に際して両方に合併の知事勧告が出ている、これはまことに不合理だと私は思う。さらにもう一つは、それに従って合併しようとしている四つ、五つの町村に対してもやはり未合併町村として虐待をしている。こういう事実がありますので、これはぜひともよく研究をされて府県知事に——私の意見に御賛成だと思うが、賛成なら一つ賛成のように府県知事に指示をしてもらって、表面上はいろんな理屈を言うておるけれども、ほんとうの腹は自分の村は、貧乏な村と一緒になるのはいやだということがはっきりしている。ところが片方の方は無条件で合併しようとしている。この無条件で合併しようとしている四つ、五つの地方に対してやはり合併勧告が出ておって起債の面やその他の面で虐待している。こういう事例が私の方にあります。こういう事態については一方の方には合併したと同じような待遇を与えてもらいたいのですが、この点局長の御意見を伺いたいと思います。
  65. 小林與三次

    小林説明員 今仰せられましたような事例は私もあり得ると思います。その場合には勧告は合併ですから両方処置せぬといかぬから両方に出さざるを得ないと思います。しかしながらもうすでに自分たちとして一応合併して、相手がどうしても言うことを聞かぬという場合には、普通の未合併町村並みに不利な扱いをするということは私は適当でないと思います。相手がどうしても言うことを開かぬというのですから、相手とどうしても仕事がからむような場合ならば、もちろん合併まで待つのがよろしいと思いますが、そうでないものにつきましては普通の合併町村並みに扱ってよろしかろう、当然そうすべきものだと思います。
  66. 古川丈吉

    古川委員 合併ができないいま一つの例としては、一町一村がまとまって——これはもちろん長い間一つの村、一つの町で来たのでありますから、まとまって一村一町がほかに合併するのが普通でありまするけれども、場合によっては部落ごとにだいぶ条件が違う。そんな場合にはやはり分村し、分町して合併するというような場合も認めていい場合があるのじゃないか原則としてはやはり一町一村でやるべきだけれども、例外的にはそういう場合もあり得る、こういうこと考えていいと思いますが、政府のお考えはどうでしょう。
  67. 小林與三次

    小林説明員 これは古川委員のおっしゃいました通り趣旨で、自治庁当局も考えているはずだと思います。
  68. 古川丈吉

    古川委員 さらに問題は、今日御質問申し上げることは適当でないかもしれませんけれども地方制度の改正の問題であります。明和府県制度を改めて、あるいは現在の府県よりも大きくしたり、あるいは道州制というような意見も出ておる、しかも地方自治制の中心市町村で行くというような考え方が、政府部内にもまた政府の諮問機関である調査会でも強いようでありますが、しかし県の統合とかあるいは府県を大きくするという問題は、府県相互に非常に財政的な差がある、これが一番大きな問題であったからであろうと思いますが、これがもし市町村中心として市町村に自治の大部分の行政をやらすということになれば、市町村財政的な不均衡というものは、現在の府県の不均衡よりもまだ大きいのじゃないか。一たん自治警とかあるいは教育委員会の問題も市町村単位にやったところが、かえって逆に府県に移した方がいいというような行き力もあり、また道路などの問題についてもあるいは市町村がやるよりも府県とかもっと大きな単位でやった方がいい、こういうような問題が行政上たくさんあろうと思います。その点については、市町村本位の改正というものは、その自治体の財政的な不均衡を従来よりも——貧乏なところは合併して合理化していいのだ、こういう御議論があるかもしれませんが、しかし合併しましても、農村は農村同士しか合併はならぬし、また都会地と農村あるいは漁村とが一緒になることは広い範囲ならばもちろんできますけれども、とかく大きく合併いたしましても一応都会地と農村、漁村とやはり市町村の区別ができるだろう。そうしますと、その市町村には従来の府県以上に財政的な不均衡ができるじゃないか、そういうことから考えますと、市町村中心の自治制の改革というものはどういうものか、この点につきまして自治庁のお考えを伺っておきたいと思います。
  69. 郡祐一

    郡国務大臣 考え方といたしましては、市町村基本的な自治体である、この点は私は動かないことだと思います。と申します意味は、住民がその自治体に持っておる観念、自治体の住民であるという観念は市町村で一番濃い。そのような意味合いで、市町村基本的な自治体と考えることは当然であり、また自治思想を高めます上に必要なことだと思います。しかしながらいかなる団体基本として制度の改革をいたすべきかということになりますと、これは非常に問題でございます。現に地方制度調査会もいろいろと検討をいたしております。私どももできる限り十分な資料でかつ慎重に研究をいたしたいという段階でございまして、いかなるものを土台にするかというようなことは、考え方、観念の上では今申しましたようなことでありますけれども、実際の問題としてはさらに考えを練りたいと思っております。
  70. 門司亮

    門司委員長 亀山君。
  71. 亀山孝一

    ○亀山委員 簡単に御質問を申し上げたいと思います。前国会において成立いたしました、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する問題であります。この法律の対象である交付金の配分方法あるいはその対象とする施設等につきましては、政令をもってこれをきめるということになっておりますが、聞くところによりますと、この政令の問題で自治庁と大蔵省との間ではなかなか難航している。関係市町村では早くこの政令がきまり、また国家交付金が早くいただけるように待望いたしておるのであります。そこで天体自治庁におかれてこの政令がいつごろ出る見込みか、そうしてその内容は、前国会の際に衆参両院で附帯決議とつけておりますが、その附帯決議に沿うように進んでおるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  72. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 便宜私からお答え申し上げたいと思います。  今お尋ねになられましたように、この政令案の施行が非常におくれております。おくれておりますおもな理由は二点ございまして、第一点は本助成交付金の交付の対象の施設でございますが、附帯決議の関係等もございまして、一応対象施設の範囲を限定するかどうか、こういう問題があるわけでございます。私どもは対象施設の範囲を限定いたしまして事務所施設とかあるいは港湾施設とか、そういったいわゆる準公用と申しますか、そういうものに充てられておりますものは除外して参る方が、将来交付金、納付金法との関連においても適当ではないか、こういう説に対しまして大蔵省なりあるいは調達庁なりの御意見は、全対象施設に広げるべきである、こういう点の論議が一つあったわけでございます。それからもう一点は、地方交付税算定上の不交付団体に対しては、ある程度減額交付をすべきではないか、こういう意見が、これまた主として大蔵省方面から提示せられまして、事務当局間において現在なお折衝を続けておる段階でございますが、大体対象施設の範囲におきましても、たとえば住宅施設なり兵舎施設というものと事務所施設というものが一緒になっておりまして区分がつけがたいといったよう 事実上の技術的な配分に当りましての問題もあることが漸次判明いたしておりますので、これらの二点につきまして大体歩み寄りまして、早急に政令を出す運びにして参りたい、こういうことで、はっきりした見通しはなおまだ現在の段階で申し上げられませんけれども、交付の時期は一般の交付金、納付金と同様に今年の十二月に交付をするという原則については全然異論がないわけでございますので、それに間に合いますように政令が近く交付の運びになる、こういう見通しを持っております。
  73. 亀山孝一

    ○亀山委員 御答弁で一応満足いたしますが、特にこの際私が要望いたしたいことは、あの付帯決議は今さら私が申し上げるまでもないのですが、「本法の助成交付金は、本来、当該資産に対する同定資産税に代るべき性格のものであることにかんがみ、本法の施行に必要なる政令の制定及びその運用に際しては、関係市町村財政の安定に寄与することを主眼とし、交付手続等の煩瑣にならないように考慮すること。」こういうことが第一項にうたってある。どうかこの趣旨を十分おくみ取り下さいまして、なるべくすみやかにしかも附帯決議に沿うように政令の制定及び交付金の交付をお願いしたい。  以上をもって私の質問を終ります。
  74. 門司亮

    門司委員長 北山委員
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 二、三の問題があるのですが、最初に公務員の問題です。これは内閣の方の公務員関係の人がもういなくなりましたが、最近聞くところによりますと、国家公務員については職員団体の活動の制限といいますか、従来慣行でやってきたようなことも、今度は取り締るというような通牒を出す、こういうように聞いておるわけなんですか、地方公務員については、たとえば職員団体の組合費の徴収については、従来慣行として徴収の便宜を認めておったが、これをやめてしまう、それは組合の方でやれ、こういうことにするということが放送されておるわけなのです。私どもから考えると、これは少しおかしいのではないか。もしそういう精神で、一応支給すべきものが本人の手に渡ってから、それから納めるべきものは納めろというのであれば、税金などの源泉徴収なんかはやめてしまって、そうして一応これは納税者の手に給与を渡して、本人の手から国税にしろ、地方税にしろ、これを納めるということが、同じ理由からあるべきじゃないか、組合費だけは徴収の便宜を与えないでは、国税の方はどんどん源泉徴収をする、あるいは地方税の住民税等はとるということであれば、これは理屈がおかしいのじゃないかと思うのですが、その点に対する大臣としてのお考えと、地方公務員については一体どういうふうにお考えになるか、このチェック・オフの問題ですが、お考えを聞いておきたい。
  76. 小林與三次

    小林説明員 今のは行政局長の問題でありますがチェック・オフの問題につきましては、国の方において関係者で研究をしておるのは事実でございます。地方公務員につきましては、もし国の方で方針がきまれば、同じ方針によってやるように自治庁としては一応の連絡はせざるを得まい、そういうふうに考えております。  それから、そもそもそういうことは、今の源泉徴収などにからんでおかしいじゃないかという議論、これはあり得るかと思いますけれども、これはそれぞれ現在の法律上の建前に従って問題を扱う、こういう考え方で行われる問題でございまして、それは立法論として源泉徴収などやめてしまえという議論はあり得ることかと思いますけれども、今日の段階は、そういう問題ではなしに、それぞれある公務員法なり、あるいは税法なりの建前に従って、この問題を処置したいということで、関係省の方で検討が進められておるように聞いております。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 現在までもそういう組合費の徴収に便宜を与えてはならぬという法律があれば、これはいけないかもしれぬけれども、何もそういうこともないのであって、そううい便宜を与えるような慣行をやってきたわけなんです。それをわざわざやめなければならぬという以上は、そこには一定の理由があると思うのです。その団体の経費は団体でとれ、本人に一応渡してから、本人の自発的な意思によってとれという趣旨であるなら、立法論とかなんとかいうことじゃなくても、法律の裏にある一つの条理として税金についてもやはり同様じゃないか、源泉徴収の条理を認める限りは、やはり職員団体というものを育成する以上は、多少の便宜をはかったってかまわないのではないか。それを組合費についてはやってくれない、税金の方はどんどん国に都合のいいような方法で法律を作ってとるというのではおかしいじゃないか、条理上どうなんですか、長官はどう思いますか。
  78. 郡祐一

    郡国務大臣 これは北山さんの方がよく御存じのことでありますが、国家公務員については、国家公務員法に基いた人事院規則で、法律等に特例のある場合を除いては、そのまま支給しなければ相ならぬと書いておる。それに従いまして処置をいたすことは、これは税金とはちょっとわけが違うだろうと考えております。また地方公務員につきまして、国と根拠の法令を異にはいたしておりますが、それぞれ同じような方針で参りますることは先ほど受田さんにも申しましたように、公務員というものの立場から、これは当然だと考えております。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 法律をそのままの通りに断行する、こういうことですが、そうなれば、今までやっておったことはみんな違法だということになる。私はそれは積極的に徴収に便宜を与えてはいけないというような厳格な規定にはなっておらぬと思う。それをやっておったのをことさらにやめようというのは、やはり職員団体に便宜を与えまいという趣旨だと思う。その背後にある考え方は、職員個人の意思を尊重する意味で、個々に渡してから徴収すべきものは徴収するのだという趣旨であるならば、その理屈は税金の納付についても同じではないか、そう思うのです。法律がこうなっておるとかなんとかということは別として、法律の背後にある理屈としてはどうなんですか、税金の方は、給与所得者の税金まで住民税などはその職場で源泉徴収をするというようなことをやっておいて、職員団体の方は多少のそういう便宜も与えないということは、いやがらせ以外の何ものでもないと考えられるのですが、どうなんですか、その背後の考え方は、こういうやり方は適当かどうかということを伺いたい、大臣としては適当と思っておられるのか。
  80. 郡祐一

    郡国務大臣 これは法律並びにこれに基く規則に基きましていたすとすれば、当然適当なことだと考えております。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 もう一つ。これも停年制の問題ですが、聞くところによれば、国家公務員の方についても検討中だというようなお話もあるのですが、自治庁としては、長官はどうなんですか、国家公務員がやるのでなければ、もう地方公務員の停年制は自治庁としてはやる気がないのか、あるのか、この点を伺いたい。
  82. 郡祐一

    郡国務大臣 これはさきの国会で廃案に相なりましたが、地方団体の実情から与え、停年制は必要である考え方を今まで続けて持って参りました。国家公務員との関連の問題もございますが、しかし地方公務員についての停年制の問題は今までも考えておったことであります。ただし法律は一応廃案になっておりますから、これをどのように取り扱うかということは、ただいま検討をいたしておる段階であります。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 次に選挙法の問題ですが、地方府県会議員の選挙区の問題、これはことしの春にも自治庁ではたしか検討したはずなんですが、おそくとも通常国会にはぜひともこれは出さなければならぬと思うのです。今までは郡市の区域による、原則はそうなっているわけです。ところが町村合併等によって郡市の区域が非常に変動をして、非常に狭い郡ができたわけです。郡市単位で府県会議員の選挙をやるということになれば、非常に混乱になるわけです。これは次の通常国会には当然改正法をお出しになると思いますが、その際にどういうお考えでお出しになるか。というのは、ただ原則的なことをきめて、あと地方団体の議会できめろというようなやり方をなさるのか、あるいは相当具体的な線まで法律の中できめていくのがいいか、それらの点についてはどういうふうなお考えですか。
  84. 郡祐一

    郡国務大臣 検討いたしておりまするけれども、どういう形でやるか、おそらく相当の点を地方団体の判断にまかすべきことだとは思いますけれども、ただいままだ検討いたしておる段階でございます。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 検討いたしておるというのだし、また行政局の方が来ておりませんから、これ以上は伺いませんが、ただこれは非常に微妙な問題であって、ただ人口くらいの単位でやるとか、一般的な基準だけで、あと地方団体の中できめろということになれば、自分たちの選挙の問題でありますから、国会においても例の小選挙区法がああいうふうに混乱した、それ以上に非常にデリケートな問題がある。また地方団体では具体的になかなかきめかねるという問題がある。こういうふうな点が私はあるだろうと思います。ただ原則だけを示して、あとは各団体ごとに府県だけできめろというふうに投げてやるということは、これは適当でないのじゃないか。大体全然融通性がないように別表か何かできちっときめることはできないにしても、相当程度まで裁量の余地はあるとしても、もう原則相当具体的な程度に法律の中できめてやるという方がいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  86. 郡祐一

    郡国務大臣 検討中のことでもありまするし、よく御趣旨も体して考えることにいたしましょう。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 次は地方財政の問題でありますが、長官は、この前の委員会あるいは参議院の委員会等においても、来年の地方交付税の率を引き上げることについて、はっきりとした決意を示されて、それで進んでおられる、こういうふうに了解するのですが、特に最近政府が来年度の予算編成の基本的な方針というものをきめた。それによりますと、中央地方を通じて来年はどうも緊縮的な方向に行くんじゃないか、こういうふうな抽象的な内容になっておりますが、この問題と今の地方交付税の問題とを考えましたときに一まつの不安があるわけです。政府が三十三年度の予算編成について、いろいろ当面の経済情勢等をにらみ合せて考慮されるということは当然だと思うのですが、しかし最近のいわゆる経済危機、国際収支の問題、そういう問題の根本にあるものは、地方財政を含めて国民の消費部面の行き過ぎからきたのではない、消費面からきた国際収支の赤字じゃないので、これは明らかに政府の経済白書が出しておるように、一部主として大産業等の過大な設備投資というものが行き過ぎた、そういう結果として起った、いろいろな経済上の変調なんです。これに対する対策であるわけです。そうするならば、そのしわを地方財政だとか、あるいは一般の国民大衆の消費面に及ぼすということはできるだけ避けるべきじゃないか、こういうふうに考えて私は政府の予算編成方針というものを見たのですが、この点について、予算編成の基本方針というものの結果、地方財政にしわが寄ってきて、地方財政も来年度は引き細めだというようなことはあるべきではないと思うのですが、長官はこの辺どのようにお考えであるか、所見を聞きたいと思うのです。
  88. 郡祐一

    郡国務大臣 地方財政におきまして、この点国と同じような意味合いでありまするけれども、国の場合よりもさらに大きく、地方公務員国家公務員の倍近い数がおるというような点から、恩給五その他の義務費の増加が当然起って参ります。これは国においても同じであります。さらにそのほかに地方財政におきましては、一口に申さば筋が違っておる、たとえば教員の給料を市町村が負担をしておる、あるいは教材費をPTAが持っておる、消防等についても似たようなことが申せまするが、割当寄付というようなものはどうしても抑制しなければならない。国、地方を通じまして、経済の刺激的要因となりませんように、でき得る限り歳出の抑制をいたしますることは当然考えなければ相ならぬことだと思いまするけれども地方におきまして、義務費あるいは割当寄付等を筋に改めるというような点は、当然いたさなければならないことであり、またお触れになりました交付税率の引き上げは、すでに私はこれは既定の経費と申しまするか、既定の事実だと考えておるのでありまするが、北山さんよく御承知の通りベース・アップの財源を公債に求めましたり、失業対策だの義務教育の施設まで公債に求めましたために、これらのものについての公債費の最小限の措置をいたすために必要なこととしてきめられておる既定の事実でございます。従いまして、でき得る限り地方財政が堅実なものであるようにという意味合いの抑え方は考えなければなりませんけれども、ただいま申しましたような必要なもの、また今まで解決の時期をずらしておりました公債費対策は、三十三年度において当然いたすべきものと考えております。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 今のお話通りでありますと、たとえば教育費等のPTAの寄付であるとか、あるいは府県立の学校に対する市町村の負担であるとか、そういうものを来年度の地方財政計画においては所要経費として計上して、そしてこの問題を解決する、こういうお考えのように聞えるのです。たとえば義務教育だけについて見ましても、全体の教育費の約五%、百七十億くらいがPTAの父兄負担だと言われているわけです。この傾向というものは、地方財政の赤字問題が出てきてからいよいよひどくなってきておる。やみ教員といいますか、一方では地材の再建計画のために先生方の定数を減らしておる。ところがその他方ではやむを得ずやみの先生を雇っておる。それが全国で二万人もおるということであります。せんだって聞いたところでは私の方の岩手県では二百八十人もおるそうでありますが、そういうふうに、今までの財政の窮乏のために、基本的な義務教育について見ても、当然必要であるべき教員の数を無理に減らしたために、そのしわが父兄なりPTAの方に及んでおるという数字が相当あると思う。それから定時制高校あるいは一般の高等学校の問題についても、この委員会では再々取り上げられましたが、定時制高校についても赤字財政のために、数年来非常な苦しい目にあっておるわけです。これを整理統合しろというような話もあるわけなんですが、こういうふうな教育に関係した当然義務費、公費として見るべきものを、来年度はどのくらい自治庁としては予算の要求をなさるお考えであるか、それを承わってみたい。
  90. 小林與三次

    小林説明員 今仰せられましたような問題は、これは大臣も申します通り、われわれも前々から申します通り、来年度の財政計画改正の際にはぜひ是正したい問題でございます。今のところまだ正確な数字がございません。この前、町村会で調べた数字は御案内の通りでありますが、われわれの方といたしまして数字を正確なものに基礎づけてその措置を講じたい、今それを取り調べ中でございます。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、義務教育のもの、それから高等学校のものを犠牲にされると考えていいですか。
  92. 小林與三次

    小林説明員 まず基本的には、義務教育のPTAとか、あるいは消防関係の経費も当然考えなくちゃならぬと思います。要するに市町村が負担すべきものを住民に転嫁しておると見られるもの、それからもう一つ府県市町村の間において負担区分を乱しておるもの、その一番大きなものはむろん義務教育学校の教員の給与であろうと思います。これはぜひ筋を立てるようにいたしたい。そのほかにおっしゃいましたのは、定時制その他高等学校の経費の問題で、府県市町村が実はあいまいになっている。これも問題点の一つでございますが、これは実際問題はなかなかむずかしいので、設置したときの経緯、その他あるいは市町村から府県へ移管した経緯とか、そういうような問題がありまして、そうすぱりとうまく直ちに線が引き切れるかどうか、問題が多少あろうと思いますが、基本的にはそういう方向にやはり持っていくようにしたい、そういうふうに考えております。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 この前の委員会で調査を要求しました国民健康保険の財政状況、これは各府県の分が集まったと思うのです。一体どのくらいな実質的な赤字を持っておるか、詳細のものは印刷してもらうことにしまして、大体今までの調査の結果の概要を、どういう財政状況になっておるかを伺いたいと思います。
  94. 小林與三次

    小林説明員 実はこの調査は、県からは一応集まりまして、今調査課の方で集計中でございます。私も急がしておるのですが、まだ集計表は見ておりません。もうすぐできるはずでございます。ですから精細なことはわかりませんが、大体赤字は一般会計の繰り入れを入れて五十億、これは従来から大体そういう数字を出しておるわけですが、大体そういう数字だといっておりました。これは結果がわかり次第私の方では委員会に報告して、公表いたしたいと考えております。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 一般会計の繰り入れを入れて、というのは、繰り入れても五十億の赤字、こういう意味ですか。
  96. 小林與三次

    小林説明員 そうでございません。国保だけの計算上の赤字と、それから繰入金と両方ありまして、われわれといたしましては、町村からの繰り入れ自体も必要としないような独立的な会計を作りたい、こういう前提で、全体をひっくるめた数字でございます。
  97. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、国保の一般会計からの繰り入れというのは、一三%くらいは平均あるはずなんですが、国保財政の規模の一三%くらいは一般会計から入っているということになると、一般会計から補てんしない以外の赤字というのは、五十億くらいではほとんどなくなりはしませんか。
  98. 小林與三次

    小林説明員 一般会計からの繰り入れが、大体四十億くらいあるだろうと思います。ですから国保プロパーなら、大体十億内外じゃないかと思います。それも今の国の補助金がおくれたり何かしておるというような問題もありますので、そういう関係を精細に調べなくちゃ、ほんとうの実態がわからぬと思いますが、国保自体の赤字は、十億かそこらの見当だと思います。
  99. 北山愛郎

    ○北山委員 ちょっと私は納得しかねるのですが、その数字をもらってからいろいろ論議をしたいと思うのです。ただ問題は、地方団体の国保財政が非常に苦しいということで、団体によっては、一般会計よりも国保の問題の方が大きな問題がある。これを独立採算でやるというので一般会計の繰り入れも認めない、補助金はふえないというようなことになってくると、どんどん国民健康保険料を引き上げいかなければならぬ。これが住民に対する大きなしわ寄せになってきておるわけです。従って国保の調査をせっかくおやりになったのだから——やはり国保財政というものも、一般財政に準ずるものとして、これは独立採算といっても、事業は別として水道とかそういうものと違うのです。特殊な性格を持っておるもので、いわば市町村団体の保健衛生の一部、行政事務の一部と考えてもいいくらいなものです。従ってこれを特別会計にして、独立採算でやれということで、一般会計からの負担を認めないというような御方針は適当でないし、またそういうことをやったならば、現状ではとてもやっていけないいろいろな問題が出てくる。そこでまだ調査検討を要する問題ではありましょうけれども、やはり国保の今の実態というものをよく見つめていただいて、そうして一般会計から一〇%なら一〇%というような繰り入れ率というものは、大体財政計画上これを認めるということが必要じゃないか、私はこういうふうに思うのですが、その辺そういうことを御検討なさるようなお考えがあるかどうか。国保財政について長官御存じであるならば、大臣のお考えを聞きたい。
  100. 郡祐一

    郡国務大臣 私も今財政局長の申しましたことに特に加えることは持っておりません。
  101. 北山愛郎

    ○北山委員 もう少し国民健康保険というのを勉強していただきたいのですよ。この委員会でも数年来再々やったのですが、どうも国保の実態というものがわからぬで、そうして何とか数字上のつじつまが合っているというようなことで、いわばうやむやにしてきた。あるいはまた、これは厚生省の所管だから厚生省の問題だというようなことで、そうしてこちらとしてはそっちの方へ問題を持っていくというような格好になっていたんじゃないか。そういう点でまま子扱いになっておったのですが、実質上は市町村の重大な問題なんです。しかもほかの土木事業とか教育とかそういうこととは違って——そういう事業は予算があるだけ事業をすればいいのです。いわばどんな事態があっても、ことしは予算がありませんから翌年度にやりますといえばいいのですが、健康保険というものはそういうわけにいかない。予算があろうがなかろうが、予算がなしになっても、病気があった場合には払わなければならぬのです。そういう受動的な面を持っており、しかも病気というものは予算で規制するわけにいかない。ことしの予算はこれだけだから、病気をこれだけにしておいてもらいたい、こういうわけにいかない、そういうふうに受動的な上に、医療の内容というものがどんどん変化していって、毎年一〇%くらいずつ医療安というものが上るような傾向になっている。そういうような非常に内容のつかみにくい医療という問題の保険事業でありますから、そういう困難性と今市町村が取り組んでおる非常にむずかしい問題なんです。見ようによっては一番むずかしいといってもいいくらいです。だからこれが特別会計で独立採算だというような冷淡な考え方で、そうしておいて国民皆保険を論じても意味がないと思うのです。一つ府県から出てきておる資料というものをよく検討なさって、一般会計のいろいろな事業と同じように、国保の事業も市町村の保健衛生の重要な仕事として立ち行くような財政的な措置を十分お考えを願いたい。こういうことを要望しておくのですが、来年度の地方財政計画はまだこれからお作りになる段階だと思うのですが、この交付税の要求について、私は自治庁長官は内閣の中で特に強くこれを押してもらいたいと思うのです。最近去年以来の政府財政金融の方針なりあるいは経済界の状況を見ますと、金かないからというので、公共事業なんかもできるだけ占めて、たしか来年の公共事業は政府の予算が千六百億です。地方費を加えても二千五百億なんです。道路や河川工事や住宅やそういうものをひっくるめて二千五百億でもぜいたくだというような見方をしておったところが、昨年一年だけで産業が設備投資をしたのが一兆四千億といわれておるのです。それ以外の在庫投資を加えれば二兆円以上の金を主として大産業が使っておるのです。要するに日本の財界の人たちは、工場さえ作れば日本の産業は発展するのだというようなことで、基本的な資源の開発なり災害の復旧というようなこと、道路のこと、住宅のこと、そういうことは何だかむだなことをするような考え方で、公共事業費が多過ぎる、切れということで、たった二千億やそこらしか使ってない、そういうところにこういうアンバランスがあると思うのです。だから今度は財政金融の方針が変ったというので、またぞろ地が財政を圧縮しようというふうにやっていき、自分らがやってきた間違いのしわを、全然関係のない、責任のない、しかも非常に立ちおくれている部面に寄せてくるというようなおそれが私は多分にあると思うので、今後政府の部内において、地方交付税のみならず、地方財政一般について、長官は、そういうふうな現在の経済の情勢の原因が那辺にあるか、また地方の公共施設というものがいかにおくれておるかという認識の上に立って、十分努力をしてもらいたいということを一つ要望として申し上げて、きょうの質問は終ります。
  102. 門司亮

    門司委員長 私からも大臣にお聞きしたい。小林君でもけっこうですが、それはこの間町村会から発表された例の町村住民の税外負担の問題ですが、この統計を見てみますと、大体税負担の三分の一くらいのものが税外負担として取られておる数字が出て参ります。従って来年度の地方財政計画の中には、この数字を織り入れる考え方があるかどうかということです。この点一つだけ聞いておきたい。
  103. 小林與三次

    小林説明員 これは今北山委員からもお話がありましたが、われわれといたしましては、当然市町村の公表で負担すべき経費につきましては、財政計画に織り入れていきたい、こういうのが基本考え方でございます。
  104. 門司亮

    門司委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会