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1957-08-02 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月二日(金曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 吉田 重延君       青木  正君    加藤 精三君       菅野和太郎君    小泉 純也君       中垣 國男君    橋本 龍伍君       花村 四郎君    早川  崇君       渡邊 良夫君    伊藤卯四郎君       今村  等君    北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 郡  祐一君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁事務次         官)      鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         理財課長)   山野 幸吉君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         厚生事務官         (大臣官房長) 太宰 博邦君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      甲賀 春一君         建設政務次官  堀内 一雄君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設技官         (計画局都市建         設課長)    奥田 教朝君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局国道課         長)      河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         専  門  員 圓地與四松君     ――――――――――――― 七月二十六日  委員春日一幸君及び加藤精三辞任につき、そ  の補欠として平田ヒデ君及び千葉三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員平田ヒデ君及び千葉三郎辞任につき、そ  の補欠として春日一幸君及び加藤精三君が議長  の指名委員に選任された。 同月三十一日  委員加藤精三辞任につき、その補欠として水  田三喜男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員水田三喜男辞任につき、その補欠として  加藤精三君が議長指名委員に選任された。 八月二日  委員川崎五郎君、櫻内義雄君、平野三郎君及  び古井喜實辞任につき、その補欠として橋本  龍伍君、花村四郎君、小泉純也君及び中垣國男  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小泉純也君中垣國男君、橋本龍伍君及び  花村四郎辞任につき、その補欠として小澤佐  重喜君、古井喜實君、川崎五郎君及び櫻内義  雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  九州地方豪雨による災害に関する件     ―――――――――――――
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政について調査を進めることといたしたいと思います。本日は、先般の九州地方における豪雨による災害被害状況について、関係当局より説明を求めることといたします。まず建設省河川局長山本三郎君。
  3. 山本三郎

    山本説明員 お手元に差し上げました「西九州豪雨による災害被害状況及び対策について」という資料がございますが、これによりまして建設省関係災害状況を御説明申し上げます。  まず第一番目といたしまして、今回の降雨状況を御説明申し上げます。これは主として、十五日から二十七日までの降雨状況でございますが、このうち鹿児島県の分につきましてはちょっとおくれまして、二十七日から二十八日までの降雨状況でございます。  雨は、長崎県、佐賀県、福岡県、大分川、熊本県、鹿児島県の六県の範囲内に降ったのでございますが、表で見ていただくとわかりますように、長崎県の大村において七百八十六ミリそれから一番最後島原が八百七十八ミリの記録をしております。  次は佐賀県でございますが、長崎寄り佐賀部内がひどいわけでありまして、佐賀が二百五十二ミリ、鹿島というところが三百ミリであります。  次は福岡県でございますが、久留米において二百九ミリ、福岡が百九十六ミリに相なっております。  次は大分県でございますが、大分が百六ミリ、日田が二百四十一ミリであります。  それから熊本県におきましては、熊本が五百三十二ミリ、小国という筑後川上流地点において四百六十八ミリ、阿蘇が二百五十七ミリ、八代が百五十四ミリ、山鹿というところが三百十三ミりと相なっております。  次は鹿児島県でありますが、川内市において三百九ミリ、栗野という川内川上流に当ります地点において三百二十七ミリ、真幸というところが二百九十ミりの記録を示しております。  注に書いてありますように、大村におきまする七百八十六ミり及び島原におきまする八百七十八ミリというのは、従来にない記録的な豪雨でありまして、特に大村においては七百八十六ミリ降ったのでございますが、そのうちの一時間のうちに降った雨が――二十五日の夜の九時から十時の間でございますが、百二十九ミリという記録に相なっておりまして、これはわが国における時間雨量といたしましては、現在までの記録にありまする分におきましては一番あるいは二番に該当する記録的なものでございます。  それから特にここで申し上げたい点は、大村島原あるいは熊本等におきましては記録的な雨でございましたが、山間部におきまして、たとえば熊本のところを流れております白川上流阿蘇というところにおきましては、二百五十七ミリでございまして、昭和二十八年の大災害の起りましたときに比べますと、上流山地部におきましては比較的雨量が少かった、しかし低い山及び海岸寄りの地帯におきまして記録的な豪雨があったというのが実情でございます。  次は直轄でやっておるような大きな河川出水状況を、第二番目といたしまして報告いたしたいと思います。ただいま申し上げましたように、雨は非常に多かっのでございますが、山間部に比較的雨が少かったために、大河川におきましては比較的出水が小さかったのでございます。その中でも割合多かったのは、ここにあげてあります菊池川最後にあります鹿児島県の川内川でございまして、菊池川警戒水位を約三十センチないし五十センチ突破いたしております。川内川におきましては警戒水位を約一・七〇メートルを突破いたしまして、注に書いてありますように、計画高水位に約五十六センチのところまで出水が参っております。筑後川白川等におきましては大体警戒水位程度出水でございまして、比較的出水が小さくて、被害もこれらの河川につきましては少かった次第でございます。  次は第三番目といたしまして、「公共土木施設被害状況」と書いてありますが、これには被害の多かった地方及び河川道路等のおもなる被害を受けたものと、それからそれによりまして起った公共土木施設被害の現在までに報告を受けましてわかりました数字を掲げてございます。  第一番目が熊本県でございまして、被害中心地熊本市の周辺と五名、山鹿菊池等市町村周辺でございます。おもなる被害河川及び道路といたしましては、河川では白川水系の坪井川、片芹川等の、熊本の市といたしましては北の方のところを流れる準用河川、小さい河川でありますが、この河川被害が発生しております。緑川水系、これは熊本市の南でございますが、緑川水系浜戸川というのがございますが、この川に被害が発生しております。次に菊池川水系菊池川本線、合志川、繁根本川、内田川等被害が発生しております。道路といたしましては、二級国道熊本-佐賀線というのがございますが、この国道におきまして、熊本部内はほとんど全滅的にやられた状況でございます。以上のおもなる被害個所におきましての被害合計額は、土木災害にいたしまして、公共団体が受け持つ分の被害額が十二億八百万円と報告されております。そのほかに直轄河川といたしまして、菊池川に七千万円の被害報告されております。そのほかに山くずれ等によりまして緊急対策の砂防を必要とする事業費が四億三千百万円と報告されております。  次は最も被害の多かった長崎県でございますが、被害諌早大村市の周辺、それから佐世保、島原市の周辺に発生しております。河川といたしましては本明川鈴田川、内田川、大上戸川、郡川、境川、川棚川、佐々川、志佐川、水無川、西郷川、千々石川等が甚大な被害を受けております。道路といたしましては、一級国道大村-諫早の間が一番ひどい被害を受けておりますし、県道といたしまして世知原-佐世保線長崎-瀬戸線長崎-口之津-諌早線と、それからおもなる橋梁といたしましては、諌早市の中の四面橋諫早橋等が大きな被害を受けておりまして、土木災害の被額が四十五億円と報告せられております。  次は佐賀照でございますが、佐賀県におきましては長崎寄り鹿島市、武雄市、伊万里市周辺におきまして被害が起きておりまして、おもなる河川鹿島川、中川、浜川、石木津川、六角川、汐見川、伊万里川、有田川等でございます。道路は二級国道佐賀-棟早緑県道鹿島-嬉野線でございまして、土木被害額は五千万円と報告されております。  次は福岡県でございますが、福岡県の西南部被害地でございまして、おもなる河川筑後川楠田川遠賀川等におきまして発生しておりまして、被害額は四千三百九十一万一千円と報告せられております。  次は鹿児島県でございますが、主とし、て川内川の流域でございまして、川内市の周辺、東郷町、宮之城町の周辺、六日市、亜野町の周辺でございます。河川といたしましては、川内川水系川内川本線、隈之城川、高城川、平佐川、それから田海川、樋渡川、樋脇川、口じく羽月川等におきまして被害が発生しております。公共土木施設被害額は、公共団体分といたしまして二億二千百五十八万三千円、直轄河川災害といたしまして川内川に五千八百万円と報告せられておりまして、以上を合計いたしますと公共土木施設建設省関係被害額は六十一億五千百六十六万六千円に相なっております。  第四番目は、すでに御承知のことと思いますが、県別のおもなる人的被害、建物、耕作、道路橋梁、堤防、山くずれ、船舶の被害罹災者罹災世帯数等の合計でございまして、今回の特徴は、区域は比較的狭かったのでございますが、死者質傷者行方不明等方々が多かったことでございます。  以上が主として建設省関係被害の御説明でございます。
  4. 門司亮

    門司委員長 次に、自治庁鈴木俊一君に御説明を願います。
  5. 鈴木俊一

    鈴木説明員 自治庁といたしましては、ただいま建設省から御説明のございました今回の災害に対しまする対策として、政府全体の対策の一環として措置をとっておるわけでございます。自治庁といたしましては、まず地方交付税交付を繰り上げて概算交付をする、こういう措置をとったのでございます。これは先般新聞紙上にも発表いたしましたように、大体十億を目途といたしまして、今回災害を受けました府県及び六月、七月の豪雨災害を受けました地方団体に対しまして繰り上げ交付を行なったのでございます。なお地方財政全体といたしまして、ちょうど八月という月は旧盆に当りますし、また一月おくれの盆にも当りますので、地方財政上いろいろ資金を必要とする時期でもございますし、また寒冷地手当石炭手当薪炭手当というような各種の手当の支払いをする時期でございますので、そのような地方財政需要がございますことも一面勘案いたしまして、約三百八億でございますが、今の十億の災害に対する特別の繰り上げ交付分を含めまして本日資金地方交付することにいたしておるのでございます。その結果といたしまして、たとえば長崎県、佐賀県のようなこところには三億ないし二億近い金が参りまして、一般の繰り上げ分と合せますと長崎県、熊本県とも八億程度の金がこの機会に参るので、当面の資金需要に対しまして十分措置ができるのではないかというふうに考えておるのでございます。なおいま一点は地方税減免の問題でございますが、これは二十八年の大水害のときに自治庁から地方に対しまして道府県市町村の税の減免に関する通達を出しまして、地方団体が条例によって減免をいたします場合の基準を示しておるわけであります。これは道府県につきましては道府県民税とか事業税市町村につきましては市町村民税固定資産税というようなものでございますが、土地あるいは家庭あるいは個人の死亡その他の被害程度に応じまして、最高全免に至りますまでの基準を示しております。これは一定の基準によりまして特別交付税においてこれを穴埋めをする考えでありますが、これは二十八年の例によっておるわけでございます。この趣旨を念のために今週の初めにさらに地方通達をいたした次第でございます。  なお、自治庁といたしましては、政府全体として先般総理が現地を視察に参りました際に随行をいたしましたほかに、ただいま政務次官現地に参りまして財政関係の随員を従えまして実際の調査に当っておる次第でございます。自治庁といたしましてはただいままでに特にとりました措置は大体以上のような点でございます。  なお、建設省農林省等公共災害農地災害等査定が具体的に明らかになって参りますればこれに対応いたしますところの地方債を当然これに対して認めなければならぬわけでございます。地方債の問題としましては、なお、そのほかにいわゆる公共災害になりません単独災害の分もあるわけでございますが、これらに対する起債も自治省としては当然これを見て参りたい、かように考えておるわけであります。起債の全体の災害に対しまするワクといたしましては、本年度は百二十億でございますが、そのうち七十五億は過年度災害に充てておるのでございます。なお十億は過去の実績等を参照いたしまして、負債に充てることにいたしておりますので、残りの三十五億、これが現年災害に対する起債ワクでございます。そのうち二十億を公共災害に対しまする地方負担分起債額として用意いたしております。単独災害に対しまする起債ワクといたしましては、従って十五億ということになるわけでございます。先ほど建設省から公共災害被害額が大体六十五億というようなお話がございましたが、建設省関係が約六十億程度農林省関係も私どもの方で農林省から伺っておりまするところでは約四十億程度でございまするので、全体の事業費が百億程度でございまするならば、なお港湾など若干ございまするが、地方負担分で本年度いわゆる三、五、二の比率によりまして地方負担事業費の三に対しましてさらに地方負担分は約三分の一でございますから、そういうふうな計算をして参りますと、別途起債をもってこの百億程度査定災害事業に対して負担しなければならないものは約十億程度、ちょっと十億を出るかと思いますが、その程度でございまして、査定の額に大きな変更がございませんならば大体今のワクでまかない得るものと考えておるのでございます。  なお、今度の災害の特色といたしましては、単独災害に該当いたしますものが相当多いようでございまして、この点も建設省等と御相談を申し上げまして、ただいま鋭意数字等を当っておる段階でございまするが、今申し上げました十五億のワクにおいてまずまかなっていけるのではないかというふうに考えております。御承知のように、大体従来の経験上は公共災害に対しまして一五・六%というのが単独災害ワクでございましたが、若干これを上回るのではないかと思われますけれども、どうやら単独災害事業としましては四、六で二年間にこれを仕上げていくという従来の計算方式によって参りまするとまかない得るものというふうに、私ども考えておる次第でございます。  なお、そのほかに自治庁といたしましては、長崎県、佐賀県いずれもこれは御承知のごとく財政再建団体でございまして、いわゆる再建計画との関係があるわけであります。この再建計画との関係におきましてどういうことになっておるかと申しますると、これはすでに御案内の通り、災害その他緊急やむを得ない応急措置費用といたしましては、再建計画変更をあらかじめ行わないで、事後の承認を得るということで応急費用再建計画とかかわりなしに出し得るようになっておるわけでございまして、その点は特別な必要はないものと考えておるのであります。  なお現実に災害復旧事業費でございますが、これは再建計画の際に問題になりますところのいわゆる指定事業からは除かれているわけでございまして、この関係災害復旧が御承知のように元利償還につきまして基準財政需要額におきましてその九五%を見込んでいる額でございますし、災害復旧関係起債は、ほとんど全額がその償還を見ている、こう申していいわけでございますので、指定事業からもはずれているわけでございまして、公共災害に関する限りは再建計画の中にこれを組み入れるわけではございますが、再建団体としてその財源の上に特に困るということはないと思います。また災害復旧事業あるいは災害関連事業で必要なるものは、これは再建計画の上で当然にこれを取り入れていかなければならないというふうに考えている次第でございます。  大体自治庁関係災害に関しまする対策といたしましては以上申し上げましたようなことが当面の問題でございまして、それぞれ措置を進めておる次第でございます。
  6. 門司亮

    門司委員長 以上の御説明につきまして御質疑を行なっていただきたいと思いますが、本日お見えになっておりますのは、自治庁はまだ大臣見えになっておりませんが、いずれお見えになると思います。それから事務次官の鈴木俊一君と理財課長山野幸吉君、建設省関係官房長柴田達夫君と河田局長山本三郎君、住宅局長植田俊雄君、計画局都市建設課奥田教朝君、道路局国道課長河北正治君、大蔵省から主計官鹿野義夫君と高木文雄君が参られておりますので、この方々に対する御質疑をお願いいたしたいと思います。  質疑の通告がございますのでこれを許します。今村等君。
  7. 今村等

    今村委員 私は長崎県の地元でありますが、長崎県の関係について承わりたいと思います。  ただいまの報告その他では九州六県にわたっておるようでありますが、一番被害を多く受けたのは、長崎県である。この建設省報告書にも大村島原というのが中心のようになっておりますけれども、実際その被害を壊滅的に受けたのは諫早市である、諫早市がほとんど原爆にひとしいという程度にやられておる、こういうわけなのであります。それから建設省のただいまの報告の中に死亡それから行方不明等数字が出ておりましたが、私は三十一日の十七時現在の状況をちょっとお話を申し上げますと、死亡が六百二十六名ということになっております。これは県警察の大体調査でありますから間違いない。それで行方不明が四百六十七名、重傷が六百十二名、擬伍が二千九百三十八名ということになっております。ところがこれだけであるかと申しますと、まだまだ有明海その他にはみ上自衛隊が出て、盛んに死者を捜査しておる。私が来ます三十一日の午前に、長崎港に死者が三十何人かあげられた、こういう状態で、死亡、行方不明というものは、おそらくこれは私が見ただけのことを申し上げてもつまらぬと思いますけれども長崎県の諌早市は長崎県における交通の要衝でありますから、それで二十五、六、七日、私が参りますまではまだ汽車も開通していない。諫早長崎間はほとんど鉄道線が破壊されておる。それから平州線といいます有明海の内海を通って諫早から島原に出るあの線が、ほとんど見込みが立っていない。それから棟早から畠原市に行く里程で約十里の線が、鉄道道路もずたずたにやられてほとんど自動車などでまだ連絡がとれていない。そこで自転車で走って連結をとる、こういうような状況なのであります。ことに雲仙行きの小浜温泉行きなどというのは、ほとんど道路を破壊されて、現在につちもさっちもいかない、こういう状況です。大村鈴田川が大へんやられておりますけれども、本来諫早市本明川というのは、ほとんど川やらあるいは水田やらわからない。上砂は流れておるし、赤崎中心の苗はほとんど壊滅でありまして、ことに橋梁のごときはほとんど破壊されて、諫早市の重要な四面橋のこときは、あのりっぱな橋が半分折れて流れておる。こういう状態でありますから、問題は一番今復旧を急いでおるというのは棟早じゃないか。どこも必要でありますけれども、一番壊滅的な打撃を受けておるのは棟早ではないか。ことに有明海に面しておる小野というところは、まだ家が浸っておる。浸っておるために住民はほとんど屋根の上にしばらくおったというので、二十八日ごろに海上保安隊ゴム舟艇で救い上げた。それで今すでにこの方面の諫早市は赤痢が三百何十名か出た。厚生省関係でしょうが、こういうようなものも大へんでありまして、家の全壊しておるものが二千二百三十二戸であります。それから半壊状態に置かれておるものが六千九十三戸、一部破壊が四千六百七十九戸、それから床上浸水が一万二千二十戸、床下浸水、が二万八千五百八十戸という状況になっております。それから被害の額はそれぞれ見方によって違いもいたしましょうが、いやあるいはその他の関係でやってここに現われておりますものは、土木建設関係が百一億六千万円、こうなっております。それから学校関係が一億八千万円それから耕地関係が三十一億円、農産関係十六億七千万円、山林関係が三億九千万円、畜産関係が一億三千万円、開拓関係一億五千が門、水声関係は非常に少くて一億円、商工関係が二十七億六千万円、民生関係四十億、それに県営バスその他の関係は一億九千万円、電信電話その他の用出施設関係せざる損害が、総額合せて三百三十七億、ただしこれは県その他の見積りでありますから、こちらからそれぞれ関係官がおいでになってこの数字がどういうふうに決定されるかということは、私はここではっきり申し上げておりません。ただ、今建設省それから自治庁のいろいろの計画を承わって、まことに私ありがたいわけでありますが、しかし問題は非常に急を要するのではないか、こういうふうに考えておるのであります。そこで地方で一番要望しておりまするのは、普通の交付税の繰り上げ、これはさいぜん自治庁で決定されておるようでありますが、これをただいまの金額より以上にやっていただかなければならぬじゃないか、こういうふうに考えるのですか、どういうふうにお考えであるか。  それからまた税金の免税でありますが、これが財政収人の減は県だけ、一億七千万、諫早のごときは住民税が一億三千万円を予定しておるが、この一億三千万円という住民税がほとんど取れないであろう、税金は入らぬであろう、こういうことを市長などは言っております。このことを早く何とか政府の方で手を打ってもらいたい、こういうことでありますが、これに対して適当な方法その他の御意見、対策があれば、はっきり一つお示しを願いたいと思うのであります。  それと学校授業料その他も非常に減るのでありますから、こういう方に関係すること、それから長崎県は再建団体でありますけれども、さいぜん自治庁の方では、再建団体は今度の災害関係のない方法対策、方針を立てておると仰せになりましたからけっこうでありますが、これは起債を大幅に広げてもらうか何かせなければいかぬじゃないか、こういうふうに考えるわけなのであります。これに対して、実際現場を見ずしてこの報告だけ見ると、案外宅感が湧かない。われわれのように二十七日から諫早その他の県内を飛び回って見ますると、これは大へんなことだという感じも起りますが、ただいま参りまして、こちらに現われております報告書その他を読んでみると、案外にこれは気楽なものだなというふうな感じを持つにすぎないのでありますが、実際はもっと報告どころではなく、大へんなひどい。ことに諫早から品原の方面においては、ほとんど交通はいまだに杜絶しておる。この復旧はとても簡単にはいかぬのであるというくらいに異日同音に言われて、おそらく地方民というものは実際驚いてその復興に手もつかないという現状に置かれておることをよく認識していただいて、その上早く、その対策はただ単なる報告程度対策じゃなくして、実際早急に一つ上行に移ってもらいたいという希望が非常に強いのでもりますが、この問題についてどういうふうにお考えであるか、こういうところも聞かせていただきたいと思います。  それから雨量関係ですが、長崎県の測候所あたりの責任者が説明するところによりますと、大へんなもので世界一だという。長崎県の測候所が始まって七十九年になる。この七十九年中に一番最大の雨量というのは、一口に三百八十五ミリが最大である。ところが今度の雨量というものは、これは雨垂といいましても、雷雨を伴いました大へんな降雨があったのですが、これは十時間に約六百七十ミリ、それから一番ひどいときは諌早大村の上に八時間に八百ミリという大雨量であったから、その損害は推して知るべしでありましょう。長崎測候所において世界一であろう――世界一であるかどうか知りませんが、資料をもってしても世界一である。相当の大雨量である。しかも今までの大雨量というものは五時間か六時間で一応雨がやむけれども、今度の雨というものは梅雨前線が上空にあって二日間にわたってやったので、そのくらいの損害はくるべきでありましょうというくらいであります。まず一番ひどくやられているのは諌早であります。この報告書を見ると、大村島原となっているようでありますけれども、実際に大被害をこうむっているのは諌早で、諌早市はほとんど壊滅状態で、現在といえども普通の家はわずかしかないという状況であります。これに対するただいまの報告を聞いておりますと、きわめておざなりの対策でしかないじゃないか。この場合おざなりでなくして、もっと思い切って対策を立てられるお考えはないのか。総理大臣も二十八日に上空からビラをまいて盛んに見舞の言葉、力づけをやっておられました。建設大臣も二十九日かに見えております。その他の方もたくさん見えておるようでありますけれども、問題は今日この暑いのにあれだけの罹災者をどういうふうにするかというのが、地元においても非常に苦しんでいるような状態でありますから、これに対する方針をもっと思い切って、法的根拠のみによらずして政治的に何とか方法を立てられる意向はないか、大臣が来ておられないので、皆さんに申し上げるというとは無理かもしれませんけれども、これに対して単なる法的な、よそでこういうことやったのだから、これだけの交付金をやるというだけのことではなく、その被害状況が非常に深刻である。これに対してはそこに政治的な配慮をして、急速にこれを救済しなければならないという考えを持っていただきたい。またそういうお考えはないのか。それから農林の人は見えておりませんから別問題でありますけれども長崎県の水田はほとんど大半が破壊されておる。これに対して福岡県の方から水が引いたならばトラック五百台に新しい苗を持ってさらに植え直すということをやっておるようでありますけれども、そんなことをしても大して米の収穫はない。それよりも災害補償なんかで金をもらってほったらかした方が空しだというのが一般農民すべての考えのようであります。農林関係はきょうは見えておらないようでありますから、私がそういうことを申し上げる必要はありませんが、ただ今日税関係においては免税、いわゆる税金が減ること、これをどうするかということ、それから交付税を規定通りに早々と送るということよりも、次から次に何とか手を打ってもらわなければ、諫早ばかりではありません。これは島原市でもそうでありますが、島原市には普通では行かれない。現在では、自転車などで歩いて連絡をとっている。やや電報電話が最近通じたといういうことでありますから、損害はまだ十分わかってない。本省あたりではいずれ行っておるでしょうが、損害というものははっきりわからぬのじゃないか。私は地元に落ち着いておって東京からの情報をもってもはっきりしないということでありますから、本省にはいろいろな通信網を通じてその情報をとっておられましょうけれども、まだまだ十分じゃないのじゃないか。おそらく死亡のごときでも、もっともっと増加するのじゃないかというふうに私は考えますからして、一つそういう意味においてもっとはっきりした積極的なそしてもっと強い勢い衣持ってこの際対策の方針を早く示してもらうことが、地元にとって一つの安心感を与えるのではないかというふうに思いますが、これに対して建設省並びに自治庁方々の御意見を拝聴したいと思うのであります。
  8. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいまお話のございました自治庁関係のものにつきましてお答えを申し上げます。交付税を早期に繰り上げてやった方がいいか、さらにもっと繰り上げてやる必要はないかというお話でございますが、今回のこの繰り上げは大体普通交付税がごくまるい数字で申し上げますと、本年は千八百億という額でございますが、そのらち約九百億を四月、六月に交付しております。残りが約九百億でございまして、その半分の四百五十億、大体その程度の額が九月に普通交付税指定後に交付されることに法律上はなっているわけであります。その四百五十億の約七割を今回繰り上げて交付することにいたしたのであります。これは先ほど申し上げましたような地方財政需要も八月は需要が多い月ではございますけれども、五割程度、最近の金融情勢等とも見合いまして繰り上げをいたしたならばよろしいのではないかと思っておったのでございますけれども、今回のあのような長崎熊本方面の大水害の関係もございまして特に繰り上げの総額を七割にいたしたわけであります。そうしてその七割の中で、十億は特に長崎県、熊本県その他の災害団体に対して重点的にこれを交付したのでございまして、今回の災害はまことに深刻で五大でございますが、その地域といたしましては非常に局地的でございます。この局地的の災害に対して十億の額を災害のための特別なる豊川に充てるものとして特に繰り上げしたことは相当の額でございます。長崎県に対して三億、市町村が一億三千万円でございまして、四億三千万円、熊本県は、県に一億八千万円、市町村に八千万円でありますから、二億六千万円、これだけが今の局地に対する災害応急措置資金需要に対応するものとして参っているものでございまして、応急の防疫の費用でありますとか、水防団、消防団等の応急出動のための経費でございますとか、あるいは災害救助のための地方負担分、これはたしか五割以上九割くらいまでそれぞれ税収の段階に応じまして負担率がきまっているようでございますが、長崎熊本等はどのくらいになっておりますか、相当国の負担率が局いと思いますが、残りの二割とか三割とかいうものを府県あるいは市町村が負担するわけでありますが、そういう部分の資金需要にも充てられるわけでありまして、まず応急措置に対する費用といたしましては、私ども計算によりますとこれでやっていけるもの、かように考えておるのでございまして、さらに果して今後さらにその必要があるかどうか、これは今後さらに推移を見守ってみなければわかりませんが、しかし一月後の九月になりますと、さらに残りの分が普通交付税決定とともに九月早々に交付されることに相なりますので、これら両方の措置によりましてまずまず資金に関する限りは問題はないものと私ども思っております。一方この災害復旧事業その他の恒久的な経費支出に対応いたしますものといたしましては、先ほど申し上げましたような公共災害地方負担分等に対しましては百パーセント起債を見るわけでございますので、その辺のところは御心配はなかろうかと思いまするし、また起債の参りますまでの暫定的ないわゆるつなぎ融資の問題につきましては、大蔵省あるいは郵政省方面におきまして、それぞれ御心配を願っておりまするので、まずまずやっていけるものと考えておるのであります。  それからその次のお尋ねの点は、税の減免の問題でございますが、この点先ほど申し上げました通りでありまして、これは詳しい基準がございます。本人が死亡した場合には、市町村民税を全免いたしますとか、その他人税につきましても、そういう基準がございまするし、土地の作物の損害の程度あるいは家屋の損害の程度に応じまして、最古全部免除する、こういう基準のこまかい通達が出ておるのでございます。ここで申し上げるのもくどいから申し上げませんが、それぞれ現地におきましては、その辺のことが明らかにできるわけでございますが、なおその結果といたしまして生じました税の減免による減収につきましては、来年の二月の特別交付税交付の際におきまして、可能である限りその補てんを特別交付税において考慮したい、かように考えておる次第でございます。  それからなお再建団体関係。いろいろ御心配のようでございましたが、再建団体は内閣の再建計画によって事業ワクがしぼられておって、災害復旧事業もあるいは災害に関連いたしまする緊急不可欠の事業もやれないのではないか、こういう御心配があろうかと思いまするが、そういうようなことは全くないように私どもいたしたいと考えております。財源的には先ほど来申し上げましたような応急的な各種の措置につきましては、交付税におきまして、交付税の早期繰上げ交付等によりまして、措置ができると思いまするし、究極的には特別交付税におきまして、これを可能な限り見て参りたいと思っております。一方災害復旧事業災害関連事業等の地方負処分につきましては、起債において極力これを見て参りたい、かように考えておるわけでございまして、財源的には心配がないようにいたしたいと私ども考えておるのであります。  なお全体の災害対策につきまして、ぐずぐずしておったのでは何もならぬという御注意でございまして、まことにその通りでございます。私ども交付税交付その他極力早期に処置をいたしたいつもりで今日までやって参りましたし、今後もやって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 柴田達夫

    柴田説明員 建設省関係について申しあげます。ただいまお話しがございましたように、今回の災害は局地的に非常に記録的な豪雨が降った。災害地といたしましてお話しの長崎県の諌早が最大の災害地であるということは、十分建設省といたしましては認識をいたしておる次第でございます。先ほど資料によりまして、被害状況数字的に申し上げましたので、実態的にその点が明らかになっておりません点がございましょうし、それから、死者、倒壊家屋、流失等の数字も三十一日の八時の警察の資料でございますので、すべてこの被害状況というものはまだつまびらかになっておらない点がございますので、これらの数字につきましては、今後だんだん明確になることであろうと存じます。そこで先ほど資料で被害状況だけ建設省関係を御報告いたしましたので、ただいまお話しもありましたので、建設省といたしましてとっておりまする応急措置対策についてこの際申し上げておきたいと存じます。資料に書いてございますので、資料の五から御説明を申し上げます。先ほど四まで被害状況の御説明をいたしたわけであります。そこで建設省といたしましては、建設大臣を本部長といたします西九州水害対策本部を直ちに設置いたしております。これによりまして、災害状況の把握、対策の樹立につきまして万遺憾なきように当っておるわけであります。  それから災害が起りますと、直ちに長崎方面と熊本方面に査定官、班を急派いたしまして、これは応急の現状の把握と指導に当らしておりますし、引き続きまして二十七日から技官の総大将である米田技監を長といたしまして災害調査連絡班を各局の課長または係官で編成いたしましてただいま現地におります。長崎の方に滞在いたしておりまして、調査連絡からいろいろの報告を受けております。  それからただいまお話しがございましたように、二十八日からは、建設大臣が総理大臣と同行いたしまして、空中視察を行いました後、さらに建設大臣は、政府を代表するという立場で、七月二十八日から八月一日、昨日まで災害地を熊本長崎福岡の順序で視察して参りまして災害地からいろいろと連絡をされておりますし、また現地におきましていろいろと総合的な対策の相談をされたのであります。昨日建設大臣がお帰りになりまして、ことに今お話しがございました長崎県の被害が大きい、ことに諌早におきましては、お話しのように非常な記録的な豪雨が降ったに、本明川がずたずたになっておる。現地におきましては、罹災の人たちが非常に今混乱の状態であって、上砂の堆積をのけるのに今手一ぱいであるということと、それから大村諌早間を中心とする道路の開通ということ、これが今の当座の問題であって、八月で大体大村諌早間は開通ということでございますが、全体といたしまして、建設省いたしましては、輸送路の確保ということにつきまして、まず全力をあげるようにいたしております。これができますと、被害状況がだんだん明らかになって参りましてそれでいろいろ対策が進められるというふうに考えております。こういう関係でございまして、私どもの方の出先機関の九州地方建設局からは、災害の指令を発しまして、長崎県からの要請に応じまして、最初技術者五名を派遣いたしまして、応急工事の指導に当らしておのます。ブルドーザーその他の土木機械も提供いたしまして、応急復旧工事の応援をいたしております。それから全体にわたりまして、山くずれ、地すべり等の問題がございましてこれにつきましても、特別な現地調査のための係官を派遣いたしております。  対策といたしましてはそういうことでありますので、まず輸送路を確保して被害状況を明らかにして、そうして復旧事業についての緊急査定を急ぎたいということを方針といたしております。この緊急査定を急ぐためには、やはり相当の大災害でございますので、県がなかなか手が足りないということがございますので、これは昨日手配をいたしたのでございますが、隣県の福岡大分、宮崎方面に建設省があっせんいたしまして、技術者在名を組とする十班五十名の技術者の応援を、地方建設局にあっせんをさせるように手配をいたしております。それから本明川とか重要な河川につきましての調査につきましても、九州地方建設局の方で長崎県の依頼によって調査をするというふうに、応援をし、かつ督励をいたしまして、緊急査定がすみやかに実施ができるように手配をすることが、まず最初の対策であろうかと考えております。こういうふうにいたしまして、八月中、今月中には緊急査定が完了するように進めることを目安にいたしてそれによりまして予備費を早期に支出してもらうというふうに進めたいと考えておりますし、予備費支出に至るまでのつなぎ資金につきましてのあっせんにつきましては、大蔵省とも相談をして準備を整えております。そのほか、地すべり、山くずれ等の対策がありますが、これにつきましては、災害復旧事業になるものは災害復旧でやりますけれども災害復旧の対象にならないものにつきましては、緊急砂防事業、これは予備費的な砂防事業の経費を建設省といたしまして持っておりますので、農林省の緊急治山対策と十分連携をいたしまして、緊急砂防事業でこの地すべり、山くずれの対策を実施していく、かように考えておる次第でございます。  そのほか住宅の復興対策といたしましてまず住宅金融公庫で災害復興住宅の建設資金、これは前回の国会における改正によりまして、こういう災害のために復興資金を簡易、敏速に貸す道が開かれております。たとえば住宅金融公庫の理事以下関係者が現地に参りまして、諌早を初め災害のひどいところに相談所を開設しておりますが、まだ罹災者の方はなかなかその段階までこないというような状況であるようでございますが、十分趣旨を徹底いたしまして、県とも協力いたしまして、応急の復興及び補修資金の貸付、これに遺憾なきを期したいと考えております。  そのほか、災害地の公営住宅の建設につきまして、滅失戸数の三割を限度といたしまして貸す方針をきめております。大体建設省といたしましては、こういうような方策をもちまして対策に十分遺憾のないように考慮いたしておる次第でございます。
  10. 鹿野義夫

    鹿野説明員 大蔵省の方から今回の災害に対しましてとりました対策の概略を申し上げます。今度の災害に対しましては、できるだけすみやかに緊急の措置をとるということは当然のことでございまして主計局の方から担当官を現地に派遣いたしまして、実情を調査せしめております。昨日婦って参りまして、本日いろいろ報告を聞いております。  なお、財政的な面でどういう措置をとっておるか、どういう対策考えているかということでございますが、緊急の状態に対する食糧の配付とか仮小屋の問題等につきましては、御存しの災害救助法が適用されますので、災害救助法に対する予算といたしましては厚生省所管に七千万の予算が組まれておりまして、おおむねこの予算によって災害救助の関係はどうにか行けるのではないか。なお若干足りぬのかもしれぬというようなお話も出ております。  それから当面の資金の問題につきましては、先ほど自治庁の方からお話がありましたように、地方交付金の繰り上げ支給の措置がとりあえずとられたわけでございますが、さらに災害査定が済んで、それに対するつなぎ資金の問題、その中に、さらに緊急を要する場合には、財政調整資金地方公共団体に対して用意されておるわけでございますが、現在北九州財務局の方にも約三億程度のものが一応その財政調整資金の対象として考えられております。なお、財政調整資金関係は、大体どの程度資金需要額があるかという目安がつき次第、実情に即応して出されていくように理財局の方を通して措置を講じております。  それから災害復旧に対するつなぎ資金の問題でございますが、御承知のように予備費が八十億ございましてそのうち約五十億が災害関係の予備費として大体予定されておるわけでございますが、今回の災害復旧に対しては、復旧事業費の当年度の支出分としては予備費で十分まかない得るかと考えております。その予備費支出までのつなぎといたしまして、現地へ、ただいま建設省の方からもお話がありましたように、建設技監が出ておられましてその配下の技官も現地調査をいたしておられますから、それに基きまして緊要を要するものにつきましては、ごく簡単な調査が本省の方に送られまして、それを審査いたしまして、それに基いてつなぎ資金を支給せられていくということになります。例年大体一カ月程度の期間を要するわけでございますが、その期間もできるだけ短縮いたしましてつなぎ資金を出していくようにいたしたいというふうに考えております。  なお、住宅その他につきましては、先ほど建設省の方からお話があった通りでございまして、中小並びに国民金融その他の関係から、中小企業の金融につきましても、できるだけ実情に応じて敏速な貸し出しができるように用意いたしておりますが、なお、各機関の理事者が現地に出ておりまして、近く帰って参るかと思いますが、帰りました、貸し出しワクの設定その他の管理を至急にいたすということになるかと思います。  なお、税の減免及び徴収猶予の関係につきましては、災害罹災者に対する租税の減免及び徴収猶予に関する法律というものがございましてそれが当然自動的に適用になります。これによって家財あるいは住宅等を半分以上失った者に対しましては、所得に応じてそれぞれ一定の基準で所得税の相当の軽減が行われます。またすでに徴収された源泉徴収額も一定の条件で還付されるということになると思います。あらまし申し上げますと、大体そのような状況でございます。
  11. 門司亮

    門司委員長 なおこの際申し上げておきますが、ただいま自治庁の長官、国務大臣郡さん、それから建設省の堀内政務次官、厚生省の官房長太宰博邦君、施設課長の甲賀春一君がお見えになっておりますので、御質問の方はさよう御了承願っておきたいと思います。
  12. 北山愛郎

    ○北山委員 今回の災害は、ただいまお話があったように非常にまれに見る、千名に上る死者、行方不明あるいは数千名の負傷者、非常な災害でございまして、罹災地区並びに住民に対してはほんとうにお気の毒にたえないのであります。そうであればこそ、総理は飛行機に乗って現地をお見舞に行ったことであろうと思うのですが、ただお見舞に行っただけで、実際の対策の方がおろそかになってはならないと思うのであります。部分的ないろいろな当、面の対策等はお伺いをいたしましたが、このような相当壊滅的な災害の場合には、何としても恒久的な事業施設、そういうものは別として応急措置のために相当な金が、要るわけなんです。早い話が市街地にたまってきた流木なり泥を掃除をする、消毒をする、あるいはたき出しをするというようなさしむきの事業というものは、数、え切れないほどたくさんあると思うのです。そのことを一々政府が、各種関係の役所を指図をしてやるというわけには、参りませんから、問題は県なりあるいは市町村が思い切ってそれをどんどん片づけてやっていくというように、やりやすいような格好にすることが、まず当面の対策だろうと思うのですが、その際に、今お話地方交付税を繰り上げたということは、これは一つのそのための手段だと思うのです。ただし、何しろ現有各府県市町村とも財政的には相当因っておる。しかも過大において、災害の際に必要な事業をどんどんやっていったところが、その事業の全部があとで査定の際に認められない。いわゆる仕越し工事ができてそれが地方団体の赤字の原因になったというような経験を、九州地方ではみな持っておるわけなんです。従って何をやっていいか。やるべきことはたくさんあっても、つい過去の苦い経験からして、政府が果して最後までめんどうを見てくれるかどうか。そういう点が心配なために、火は消極的になるというようなおそれがあると思うのです。そういうことを十分考えた上で、自治体が十分の活動をなし得るような財政措置を相当思い切ってやる必要がある。  そこで、ただいまの地方交付税の繰り上げですが、これにしても、あとで年度内にもらえるものをただ繰り上げたというだけでは、やはり心配は残るのです。今度の十億というこの繰り上げた地方交付税は、少くとも災害団体に対しては、本年度地方交付税の増額分としてあとでこれは見るのだという心がまえで交付されたと思うのですが、その点はどうでし、ようもちろん十億で足りなければ、特別交付税査定の場合にはそれ以上上回る場合もあるのだろうと思いますが、少くとも十億は、今度災害地の団体に対して地方交付税をふやすという御方針で繰り上げ交付をしたのだ、当然こう考えるべきだと思うのですが、どうでしょうか、その点
  13. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいまの災害団体に対する十億の繰り上げ交付でございますが、災害団体において特別に応急資金需要が多いだろうというので、これは十億、他の団体と違って特別にそれだけ交付をしたわけでございまして、ただその中には、応急措置としては国が補助をし、あるいは国が負担を下るようなものでございましても、補助なり負担が参りますのは結局あとでございますから、とにかく一応地方団体へ金を出しておく、そういうための経費が、大体その程度を今日交付したならばまかない得るだろう、こういうわけでございます。従って、将来その国の補助なり負担なりがそれに見合ってありますものは、これはもう当然いいわけでございますが、それ以外の、純粋に災害対策のために地方団体の負担に属するような分につきましては、これはただいまお話のように、特別交付税交付の際には十分見るように努力したいと考えております。
  14. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし交付税は――ほかのいろんな補助なりあるいは起債の裏づけのあるような事業はこれは別途なんで、それ以外の単独のいろんな事業、こういうものの資金が相当要るわけなんです。私どもは、この交付税というものは主としてそういうものに充てるために自治庁としては繰り上げたのではないか、こういうふうに了解するわけなのです。たとえば、具体的な場合を申し上げますと、市街にたまったこの多量の泥なり流木というものは、一体何の経費でどう措置するのか。これは厚生省にも関係あると思うのですが、罹災地のあとの掃除は何の経費でやらせようとするのか、どういうふうにやらせようとするのか。厚生省でもお考えになっておると思うのですが、その経費はどうするのか。どういう方針で各関係の団体にお示しになっておるか、どういうお考えであるか明らかにしてもらいたい。そういうものに交付税なんかは使うんじゃないか。泥の掃除に補助金を出しますか、出しませんでしょう。しかしそういうものはやらなければならぬ。どんどんやらなければならぬものなんです。どうなんですか。
  15. 鈴木俊一

    鈴木説明員 先ほど私がお答え申し上げましたことは、応急資金需要に応じますために、この際災害関係を考慮して十億よけい出したわけでありまして、これは一応国の補助なり負担に属します事業でありましても、やはりこういう災害時におきましては、県なり市がとにかく自己の会計をもって処理せざるを得ないのであります。そういう意味で、そういう資金需要に応じますために出したわけでありまして、従って、たとえば災害の救助のための経費でございましても――これは先ほども申し上げましたように五割以上九割国から必ずくるわけでございますが、さしあたってはこれはもう全部市の負担においてやらなければならぬわけでありますしそういうような応急の金をほうっておきますと、これは利子を払わなければならぬ資金運用部の金を借りねはならぬということにもなりますので、そういうことはなるべく避けるようにして地方に負担をかけないようにしようという意味から、当面の資金需要に応じますために繰り上げ交付をしたわけであります。交付税そのものは、もちろんお話のごとくこれは一般財源でございますから、その補助金なり負拠金に対応いたしますものを見ておるわけではございませんが、今回繰り上げ交付いたしました処置は、そういう当面の資金需要に応ずるものというわけであります。それでございますから、将来とも、交付税をもって充てるべき、一般財源をもって負担すべき部分と、補助金なり負担金がいずれやってくるであろう部分と両方の資金でまかなっておるのであって、地方の純粋の負担に属します部分につきましては、先ほど来申し上げましたように、これは特別交付税の際におきまして、災害対策費用あるいは災害に伴います税の減免等の問題はできるだけこれをカバーして参りたい、こういうわけでございます。
  16. 北山愛郎

    ○北山委員 そういうことであれば、私が罹災地の団体なり住民であれば、まことに失望せざるを得ないのです。ただ当面金が要るだろうから一応手当をしたんだということであって、先ほど申し上げたように、最後までいって政府が十分罹災地のことはめんどうを見てくれるんだという前例があれば、これは信頼をしてどしどし仕事をやります。しかし、今までの例はそうじゃなかった。結局県なり市町村の負担になって赤字の原因になったようなはみ出し工事が相当できたので、だからその点は、金の融通をしてもらったんだ、ただつなぎ融資をしてもらったんだから、そういうことでは事業を真剣にやれるかどうか心配なんです。その心配をなくすということが必要じゃなかろうか。全面的に河川工事なり道路工事なりのワクを今から示せということは、言っても無理だろうと思う。しかし示し得るものは片っぱしから示していかなければならぬ。これはまず政治的考慮も必要だろうと思うのですが、罹災地というのは、仕事がもうふえることは明らかだし、また収入の方はもう激減する、それだけははっきりしておるのですから、それを早くめどをつけて、国の方で持ってやる財政援助のワクというものを早く明らかにするということが、積極的な現地の活動を促進するゆえんだと思うのですが、この点自治庁長官はどのようにお考えになりますか。
  17. 郡祐一

    ○郡国務大臣 お話の中にもございましたように、岸総理が直ちに現地に参り、また建設大臣が昨日戻って参りましたが、来週は早々に農林大臣が象る、それぞれ現地において必要な統制のある指揮をとることにいたしております。また地元の各公共団体もきわめて熱心に協力をいたしてくれておりますことは、御指摘の通りでございます。それで政府といたしましても、現在それぞれの場合に各般の法令に対出する措置が講ぜられております。たとえば山くずれのような事故が起ったときどうなるんだというような心配を軸元でいたしておったのでありますけれども、これに対してもそれぞれ措置を講ずることを建設大臣現地において言明いたして参っております。従いまして、今後のそれぞれの工事の促進にいたしましても、また農家に対します各般の手当にいたしましても、現に時期を失せずに政府は協力をいたしております。応急措置も着々進んでおるようでありますし、幸いにして伝染病等の心配もきわめて少い状況に和なっております。従いまして、各般の措置を各省和並行して進めて参りまするし、お言葉ではございましたが、やはり交付税を、かつて二十八年災害に比べますと、かなりに率を高く、このたびは繰り上げて交付をいたしております。将来特別交付税考える問題もあるのでありますが、ただいまのところ地元において何らの不安をなからしめますために、各省の所管しております仕事を現地の要望とあわせて進めまして、万全の措置をとっておる次第でございます。
  18. 北山愛郎

    ○北山委員 問題はきわめて具体的な事件なんですが、お答えは抽象的なんです。具体的にお伺いいたしますが、先ほど建設省の方で災害地の被害状況なんかを調査するために、まず輸送路というものを確保しなければならない。その輸送路の確保というのは一体だれがやるのか。建設省自身がやるのですか、地方団体がやるのですか、どの経費でやるのですか。輸送路を確保するといっても、それはどこかの事業体がやらなければならぬ。それを地方団体にやらせるとするならば、その金はみてやるとかなんとかしなければならぬでしょう。それができなければ罹災の状況もわからないというのですが、それを調べた上で対策考えるというのならずいぶん先の話なんですが、輸送路の確保というのは、どういう方法でどこがやって、いつそれが済むか、そういうふうな見通しを聞きたいと思います。具体的にお答え願いたい。
  19. 柴田達夫

    柴田説明員 応急現地において行いますところの輸送路の確保というものは、その道路の種類によりまして道路管理者の仕事でありますけれども、これが災害復旧ということになって参りますと、結局応急復旧事業としての助成事業の対象になって参ると思うのであります。
  20. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、建設省査定官なり係官が現地に行って、ここは応急復旧しろ、この橋は仮橋をかけろといって、どんどんきめていくというような、そうでもしないと、補助金かくるのかこないのか、地方団体は自分の力ではできないものだから、その災害の原型を保存するためにいつまでもほっておく。それではいつまでも輸送路の確保はできない。まず輸送路の確保が必要であるとするならば、それをいかに敏速に確保するかという具体的な方法がなければならぬはずで、道路管理者のあれに従ってやるということじゃ、これは災害対策じゃないんじゃないですか。道路管理者が県の場合には、県は自分の金でやれというのですか。
  21. 柴田達夫

    柴田説明員 主体はその管理者でございますが、災害復旧事業の場合に、応急に、今お話が出ておりますようなことにつきましては、被害の激甚なところについては災害復旧の助成の対象になるのでありまして、県側もそういうことは知っておりますし、現実にどこをやるかということは現地に参っております者と相談をいたしてやって参る、それがだんだん本式になって参りますれば緊急査定の問題になってくるわけであります。しかし緊急査定するまで何もできないというわけではございませんで、今お話のようなことをとりあえずやっておりますことは、あとにおいて助成の対象になるということは県の方も承知いたしております。わからずにやっているわけではないと思うのであります。
  22. 北山愛郎

    ○北山委員 わからずにやっていないことは当然ですが、今までわかっている範囲では先ほど申し上げたようなにがい経験もあることでありますから、おそらく自治体としては自分の財政資金が十分あれば、国の方はどうでもいいから、こういうことはまずやっておこうということになる。しかしそうではない地方財政の今の状態です。それが結局赤字になって残っても困るということで、一々本省なり中央政府査定なり指図を待つというふうな格好になるのではないかと思う。そうなると、その事業を推進するための措置というものは、やはり中央の態度なり作業というものがどんどん進むことだと思うのです。そうでなければつなぎ資金をもらっても実際には使えない。  それから緊急査定お話がありましたが、緊急査定はいつごろまでに終って事業を始めるような見通しか伺いたい。
  23. 山本三郎

    山本説明員 緊急査定は、一番ひどいのはやはり長崎県でございまして、これに対しましては先ほど官房長が御説明申し上げましたように、設計を早く作らなければいかぬという問題がありますので、九州各県から技術者の応援をさせ、それからまた建設省の出先であります九州地方建設局から応援をさせます。長崎県では今の自分の力だけでやりますと、緊急査定が九月にならなければできないと言っておりましたけれども、そういう措置を取りまして、八月の二十日ごろから緊急査定にかかるようにという目途で進めております。従いましてそういうふうな段取りで行きますると、大体九月の上旬には緊急査定が終るようにというつもりでおります。それからその他の県につきましては、八月の中旬には緊急査定が始められますから、もちろん八月中には終了できるというふうに考えております。
  24. 北山愛郎

    ○北山委員 公共補助事業はいいでしょうが、単独事業はどういうことになるのでしよう。単独事業というのは、むしろ個所数からいえば非常に多いし、またこれが財源的に見れば非常に不安定なんです。それが一体いつごろきまるのか、地方団体としては仕事はやりたいが、自分の力でどんどんやっていけるのかどうか、これについてはどうなのか、いわゆる事業的に見た単独事業の推進をどういうふうな順序、どういう見通しでやられるのかということです。それが先ほどの起債ワクの問題もあるでしょうし、そういうものとも関連をいたしますが、単独事業の方はどういうふうになるのか、それをお伺いします。
  25. 鈴木俊一

    鈴木説明員 先ほどもちょっと申し上げましたが、単独専業につきましては結局それぞれの関係地方団体の責任においてこれを処理しなければならぬわけでございますが、公共災害事業に対しまして従来の経験的な例では、大体一五・六%というものを単独事業ワクとして認めております。ところが、今回の災害状況は、先ほどいろいろ御説明がございましたように、道路の洗われたものや、河川関係や相当単独事業に属するものが多く、従来の一五・六という公共災害に対するワクの中で果してまかない切れるかどうか、若干私どもも疑問を持っておるのであります。従ってこの点は建設省の方もなかなか忙しいと思いますが、県の土木部等を督励をしていただいて、単独事業につきましても極力指導の徹底をしていただきたい。その上で一五・六を上回る措置が必要でございますならば、その点従来の割合を変えてもできるだけ実情に即するような単独災害復旧事業ワクを各団体ごとに定めまして、それに対しましては単独の起債は先ほど申し上げました十五億ほどあるわけでございますが、それで今のところはまかない得ると思っておりますが、万一それでも足らないというようなことが生じますならば、将来にはまた起債ワク考えなければならないと思います。なおまた起債元利償還につきましては、翌年度以降特別交付税の際に、従来は三割程度を目途としまして元利償還を見ておったのでございますが、その割合を極力一つ高めるように努力して参りたい、かように考えておるわけであります。なお時期はその単独災害事業査定ワクを定めます時期は今の河川局長から説明がございました公共災害事業費ワクがきまりましたならばそれに相応をしてきめるようにいたしたい、かように考えております。
  26. 北山愛郎

    ○北山委員 おそらく長崎県だけでも二百数十億の被害がありますから、十億やそこらの単独災害起債ワクでは足らなくなるのじゃないかと私は思うので、そういう点から見ても、私どもはすみやかに臨時国会を開き、所要の措置をすべきである、かように考えておりますが、従来の災害の際の起債については特別措置がとられておった。二十八年、九年もそうだと思うのですが、そういう措置は今回は必要がないのですか。自治庁長官、どうです。
  27. 郡祐一

    ○郡国務大臣 単独事業につきまして極力ただいま次官が申しましたように進めて参り、できる限り急速に消化をいたして参ります。それによりまして大体の必要は満たし得るのではないだろうか。これは前に説明申し上げた通り、現在の起債ワクで満たし得るものだと考えております。また措置といたしましても、このたびの災害、確かに局所的にきわめて深刻な災害ではございますが、ただいま特例法を必要とするものとは考えておりません。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 相当な単独事業をやる、公共災害では補助率も高いし、起債の自己負担分というようなものは少いでしょうが、単独事業というものは相当やらなければならない。単に建設関係だけではなしに、厚生関係あるいは学校関係その他にもたくさんあるはずなんです。そういうふうな事業をたくさんやらなければならぬときに、自治体の借金がふえるわけなんですが、今ですらも地方債の公債費、元利償還というものは非常にふえて参っておる。これは全国的に問題だと思う。特に累年災害を受けておる九州地方地方団体は、おそらく今回の災害等によってさらに財政負担がふえていくのではないか。従ってこれは当然今回の災害についても、その地方債に対して利子補給なり、何なり応援をしてやらなければいけないのじゃないか、こういう意味で私は申し上げたのですが、そういう必要がないというお話なんですか。
  29. 郡祐一

    ○郡国務大臣 ただいま申しましたように、現在極力仕事の方を進めております。さらに今後の措置についてはいろいろ考えるべき点があろうと思いますけれども、今日のところ、にわかに特例法を必要とする状況にはないという工合に判断をいたしております。
  30. 北山愛郎

    ○北山委員 従来の災害に対してとられたような措置は、利子補給だとか、そういうふうな特別の措置というものは、今回の災害の場合の起債には要らない、自治庁長官はそういうふうにお答えになっていいのですか。
  31. 郡祐一

    ○郡国務大臣 特例法については、今までの災害のときの経過をむしろよく御存じでいらっしゃることと思います。私はこの元利の償還につきましては翌年度以降の基準財政需要額の中で算入をいたすことでありますから、それによって私はただいまのところは十分地方団体の必要を満たし、地方団体の財政を危くせずにやっていけるように考えております。
  32. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは大臣としてお伺いするのですが、今回の罹災者の中には千名くらいの死者、お気の毒な方が出ておるわけですが、その他家屋の倒壊なり生活の根拠を奪われたような人がたくさんある。そこでこれは県なり市町村としても生活の一部でも助ける、あるいは見舞金、あるいは弔慰金を出すようなことになるのではないか、そういうふうに想像されるわけです。私、よくわかりませんが、政府としてはそういう見舞金とか弔慰金についてはどのようにお考えになっておるかお伺いいたしたい。
  33. 郡祐一

    ○郡国務大臣 多くのお気の直な方を出しましたことは確かにまことに御同情にたえないことでございます。ことに諌早のような場合に気になりますことは、ほとんど各戸に一人くらいの死傷者を出しておられる。しかも生活の資と申しますか、商売の元を根こそぎ持って行かれてしまっておるという状態に相なっております。これらに対しまして信用保証協会の形でいきますか、あるいは土地のおもだった人の連帯保証でいきますか、何らか早く仕事にかからなければ相ならないことと考えておりまするし、またそれぞれ自治体側でもお見舞の道は考えております。政府といたしまして直接のお見舞というような形につきましてはいまだ事柄をきめておりません。また必要に応じましてとくと相談をいたすことにいたします。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 この点大臣だけでおきめになるわけではないでしょうから、一つ政府部内でこの問題がありました場合、あるいは積極的に大臣の方からその点を実現できるように御努力を願いたいと思うわけなんです。なお中小企業の方々に対する生業資金といいますか、営業の資金、そういう融資とか、そういうお話もありましたが、この中小企業融資に対しては、これは大蔵省の関係と思うのですが、どういう手を打っておられるか、お伺いしたい。
  35. 鹿野義夫

    鹿野説明員 中小企業関係の融資は、特にお盆前のことで非常に苦しいときで、現在各中小企業金融関係理事者が現地に行って調査をいたしております。その調査をしてごく近く帰って来るということでございますから、それの報告を受けまして事務当局の方といたしましては、資金的な災害に対するワクの設定あるいはその他の措置を急速にとりたい。全体のあれとしましては第二・四半期に第三・四半期、第四・四半期から若干中小企業に対する資金を繰り上げてやっておりますので、現在のところは資金的には一応それによってまかなえるのではないか。具体的な災害に対するワクの設定その他は、現場に行かれておる理事者が帰られて至急相談したい、こういうふうになっております。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 これはまだこれから検討するようでありますが、おそらくは普通の従来やっておるような通常の中小企業対策資金ワクを設定するとか、そういうことでは足らないと思うのです。何しろ家が流されたり商品がなくなりたりしたような人が復興する資金ですから、そういう普通の今までの中小企業金融機関なりあるいは商業ベースの上に乗せてやろうというのは無理なんで、おそらくは自治体を通ずるような相当信用保証、保証した政治的な、政策的な金融をしなければならないと思うのです。こういう点についてもなおお伺いしたいのですが、自治庁としてもこれは御検討願いたいと思うのです。  それから、その他こまかい点いろいろお伺いしたいと思うのですが、それ以外に今後の問題として先ほど山くずれの多かったお話がありました。なるほど資料を拝見しますと、山くずれの個所は二千カ所以上に上っております。道路の損壊も千七百くらいの個所であって、この道路の損壊あるいは山くずれ、地すべりというようなものが非常に多いという一つの特徴があると思うのですが、これに対して恒久的な対策としては建設省はどのような対策考えておられますか。
  37. 山本三郎

    山本説明員 今回発生いたしました山くずれ、地すべりにつきましては、非常に従来の各地で起りましたのよりもひどいという報告を受けておりまして現在私の方の砂防課から長崎佐賀県に一班と、それから熊本県に一班派遣しておりまして、その実情をつぶさに県と一緒になりまして調査中でございます。従いましてそれをどういうふうに処置するかという具体案も出てきますし、それに要する経費等もその結果出てくると思います。それを持って帰りましているいろ検討の上、あるいは農林省ともしっかり打ち合せをいたしましてやるわけでございますが、それに対しましては砂防事業費の中に緊急対策砂防費という予備費的の金が保留してございます、それによりまして処置しようというふうに考えております。  それから恒久的の問題でございますが、それにつきましては今後十分調査をいたしまして今申し上げましたような方法と同様な方法で今後処置していきたいというふうに考えております。
  38. 北山愛郎

    ○北山委員 今まで若干お伺いした点から見ても、むしろまだ対策としては緒についたというか、これからという格好でありまして、おそらく現地の県なり市町村が待っておる要望とはちょっと開きがあるんじゃないかと思う。中央の方針なり中央の援助の方向なり、そういうものが早く示されるということが、唯一の現地における復旧活動の推進力じゃないか、こう思いますので、今触れた点以外にもこの対策については早急にきめていただきたい。  なお、災害復旧については最近予算も減っておりまして、建設白書などを拝見しましても二十七年災が八一・八%、二十八年災が六七・七%、二十九年災が六一%、三十年災が六二・四%、三十一年災は二九・四%というような復旧状況で、いまだに二十八年度災害も七割復旧にも及ばないというように、災害復旧事業が停滞しておるような状況なんです。そこへもってきて今度のような災害が出る、またおそらくあるいは次々と出るかもしれませんが、やはりこの災害復旧という問題については、建設省が一番頭を痛めておるんじゃないかと思うのですが、災害の問題、国土の保全の問題あるいは開発の問題というものを、もう少し積極的にやる必要があるんじゃないだろうか。最近問題になっておる経済危機なり金融の引き締め、こういうものを見てもその原因とするところは何のことはない、昨年あたりからのいわゆる産業の、それも大きな産業の設備投資というものに一兆円以上の金をどんどん使って、工場さえよくすればいいんだという政策がとられておる、公共事業といえば、どうも公共事業がふえるとむだに金を使うんだということで、国土保全なり開発に関する経費は削られていってそして工場さえ作って近代的な機械を備えつければ日本の経済は拡大するのだというような、非常なアンバランスが今までの政策の上にあったのではないかと思うので、そういう点も含めて建設省としては奮起してもらいたいと思うのです。それで、建設省にその決意をこの際承わっておきたいのです。
  39. 堀内一雄

    ○堀内説明員 政府の全面的政策に対しているいろ言うのは、私は遠慮いたしたいと存じます。ただ、ただいま北山さんからお話のありました治山治水そのほか建設の方面に対しまして、今後さらに根本的な計画を立てまして、その実現に努力していきたいと存じております。
  40. 北山愛郎

    ○北山委員 なおこの際、これは直接災害ではございませんが先ほど来地方交付税お話も出ておりますので、これに関連して自治庁百長官にお伺いしておきたいのです。  地方交付税の率は、御承知の通りにことしは国税三税の二六%になったわけです。その際に先般の国会でいろいろ論議がありまして、二六%では足りないということで、これは少くとも来年度から二七・五%にしようじゃないかという与野党一致した要望であったわけなんですが、ついに法案の修正ができなくていわゆる附帯決議ということで、政府はこれに対してその実現に善処するというはっきりとした答弁をされておる。しかも自由民主党としては党議で来年度から二七・五にするという決定をしておられる。だから公党として天下に向って交付税を来年度から二七・五に上げるんだということを約束しておると思うのですが、これは、それだけの裏づけがあれば当然もう私、あらためてここでお伺いする必要もないんじゃないかというくらいに思うのです。ことにこの前の国会でわれわれが法案修正というものをあくまで主張したのに対して、与党の方々はとにかく政権をとっておる絶対多数の与党が党の決定としてやったのだから、法律よりももっと強いものなんだというような頼もしいお言葉だったのです。ところが最近大蔵省側の構想を新聞放送なんかで見ますと、どうやら二七・五が危なくなってきた、三十一年度の繰り越しというか、それが百十八億円もあるのだから、交付税は上げなくてもことしのままでいいのだというようなことを放送されておるようですが、自治庁長官は来年度地方交付税の率を二七・五に引き上げることについてはどういう決意を持ってお臨みになるか、この点を確かめておきたいのです。
  41. 郡祐一

    ○郡国務大臣 地方財政の実情から申しましても、また国会の御決議の結論から見ましても、御決議の通り処置をして参りますのが当然のことと心得ております。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 当然だというだけではなしに、これはもう疑いもないところだと思うのですが、大臣は責任を持って来年度この党の決定を実行するという、もう少し強い決意を表明していただきたいと思うのです。
  43. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私、自分が主管しておりますことであり、従いまして強い決意を持っておることは当りまえでございます。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 自治庁長官は強い決意と言われるのですが、問題は大蔵省側なんで、大蔵省側の構想がこのごろ怪しくなってきたので、実は大蔵大臣に来てもらって、ここで今の強い決意を裏づけてもらいたいと思うのですが……。きょうはどうですか。
  45. 門司亮

    門司委員長 今、大蔵大臣は大阪においでになるそうでありますから、御出席できません。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 大阪から連れてくるわけにもいきませんから(笑声)いずれまた次の委員会の際にでも、この点は大蔵大臣からはっきりと言明を得ておきたいと思いますので、委員長そのようにおとりはからいを願います。
  47. 門司亮

    門司委員長 承知いたしました。加藤精主君。
  48. 加藤精三

    加藤(精)委員 建設省にお尋ねするのでありますが、今度の災害発生は大きな天然災害だと言うけれども、人工災害の面もあるのではないかという、朝日の鉄箒欄に何かなぞのようなことが書いてあるのですが、その朝日の鉄箒欄にあるような事実があったのかどうか。たとえば諌早市が河川の改修事業をやりたいと思って申請書を県を経て本省に出そうとしたところが、それをいつまでも県知事が進達しなかったという事実が一体あるのかないのか、ちょっと疑問の向きもありますので、その点を一つお尋ねしたいのでございます。これは単なる書類がどうのこうのという問題ではなしに、地方制度全般に対する大きな問題点の一つだと思いますので、そういう意味で事実をありのままにお知らせを願いたいと思います。
  49. 山本三郎

    山本説明員 諌早本明川の改修につきましては、たしか昭和二十四年だと思いましたが、それから県の事業としていたしまして、中小河川の改修事業としてやって参りました。これに対しまして建設省は補助をして参ったわけでございまして、昭和三十一年度までやって参りました。三十二年度事業に対しましての御質問だと思いますが、これは諌早市の申請に基くものではございません。県が申請して参りまして、建設省がそれに対しまして補助をいたすわけでありまして、今年度におきましても、県知事から申請が参りまして、それに対しまして補助金を交付したわけでございます。従ってそれに基いて五月から仕事は始めておったわけであります。その仕事の最中に今度の被害を受けたというのが実情でございます。
  50. 加藤精三

    加藤(精)委員 五月というのは、三十年の五月でございますか。
  51. 山本三郎

    山本説明員 三十二年の五月でございまして、予算の配賦決定をいたしたのが四月の初めでございますから、それに従いまして県で予算措置をいたしまして、着手したのが五月の二十日ごろだと報告を聞いております。
  52. 加藤精三

    加藤(精)委員 五月二十日に着手したのは何年度事業でございますか。
  53. 山本三郎

    山本説明員 三十二年度事業でございます。
  54. 加藤精三

    加藤(精)委員 三十一年度事業にそういうものはないのでございますか。施行が特別におくれたというような事情はないのですか。
  55. 山本三郎

    山本説明員 三十一年度事業は、県で計画した分は終っております。
  56. 加藤精三

    加藤(精)委員 私の聞いておるのは、この事業を早く地元で開始しよ一と思っても、何らかの事情でその事業が早く着手できなかったとか、進行できなかったとかいうような事情のあったことはないのですか。
  57. 山本三郎

    山本説明員 市と県の間におきましては、そういうふうないきさつもあったようには聞いておりますけれども、私どもとしては県を相手の仕事でございますから、県が申請して参りますればそれに対して補助金をつけるということでございまして、県は三十一年度計画いたしたものはやり終りまして、三十二年度事業につきましては五月から始めておるというのが実情でございます。
  58. 加藤精三

    加藤(精)委員 今の問題はもう少し詳しく承わりたいのでありますが、たまたま本日と明日は九州災害対策の調整で本委員会に顔を出せないほど忙しいという主計局長の言でありましたが、主計局長がお見えになっておられますので、主計局長にお尋ねいたしたいと思います。  第一点は今回の災害救済のタイミングの問題なんでございますが、現地に参られました建設大臣等のお話を承わりますと、諌早市等はほとんど全市ボ被害を受けまして、富める者も貧しい者もなくなったような状況である。住民が生業をすることができなくて、すた米穀通帳や貯金通帳をなくした者もあるし、それで非常に悲惨な状況であるということを言うております。ことに相当な商店等に対しても、将来の常業再開の見通しがいつになるかわからないので、地方銀行は金を貸さないから、これに対して何らかの措置を早くしなければならぬということのお話を建設大臣の談として承わっておりますけれども、こういうふうな場合に、地方金融を主管せられます大蔵省において――主計局長は所管が違うかもしれませんけれども、大蔵省を代表してお答え願いたいのでありますが、現存金融の担当官等が、あるいは公庫その他の担当者等が現地に出張しているから、出張から帰ってから対策を立てて何らかの措置を講じたいという今の鹿野主計官お話でございます。そういうふうな状況でございますと、市のほとんどの住民を生活保護の対象にでもしなければ、住民の生活そのものが安定しないような状況になるんじゃないかというふうに考えますが、何らかの方法でそうした住民に、ことに中小業者等に緊急に金融対策をつけることについて考えられないかというようなことをまず考える。同時に私が何より心配いたしておりますのは、この災害の直後に蔓延するおそれのある伝染病の発生とか、それとともに、現地のラジオ放送等によって承わりますと、膨大な面積の水出が浸水しましたあとこれがどうなるかということについて暗たんたる悩みを持っておる農民がいるのであります。これは水が引いたあとの消毒によって救われるような部分が相当あるだろうと思うのであります。浸水面積が三万町歩とか三万五千町歩とか、四万町歩とかいいますけれども、根本建設相のお話によりますと、交通法等の関係でまだまだ調査の未済の地域が広く残っているということであります。単に三万町歩ぐらいのところだから、今度は農薬の助成は必要ないというふうに簡単に考えられることは、今回の災一上口復旧の実情にマッチしないものじゃないか、しかも農薬を助成いたしますにしましても、二週間も三週間もかかった後にそれが決定せられます際においては、その効果が加速度的に減ってくることだろうと思うのであります。そうしたような関係から、今度の救済全体について大蔵省が査定されます際の心がまえを主計局長にまず承わってみたいと思うのであります。
  59. 石原周夫

    ○石原説明員 最初のお尋ねの中小企業に対する金融対策の問題でございますが、私、所管外ではございますが、大体大蔵省として考えていることを申し上げます。  御承知のように、中小企業金融の政府関係機関は三つございまして中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫というものがございますが、これらが第二・四半期に持っております金額のワクがございます。これは相当の額に上っておりまして、通産省あるいは金庫当局とも相談をいたしておるわけでありますが、何らかその既存のワクの中で処置をいたすことは可能ではなかろうか、相当額を見出すことは可能ではなかろうかと見当をつけておりますが、先ほど鹿町主計官から御説明申し上げましたように、いずれも、奥地に担当の理事が行っておりまして近く帰って参りますので、そこら辺の意見も聞きました上で、至急どの程度の額を出すかということを決定いたして実施いたしたいと考えております。  なお、本年度の予算におきまして、信用保証協会に対する貸付金が全体で十億円、これは御承知の通りでありますが、これに対する県別の割当を通産省においてやっておるわけであります。このうち災害関係の県につきましては貸付額の十倍程度というような大きな割合で融資が可能になりますので、災害関係県の割当を急速にきめまして、そういう面からの中小企業関係への融資の道ができるようにしたいと考えておるわけでおります。  次に、一般の農薬という一例をお示しになったのでございますが、災害対策としての経費の点でございますが、これにつきましてはここ二、三年いろいろ議論を重ね、いろいろ検討をねまして対策をやってきたわけであります。これは過去の場合における災害の深さ、大きさというようなものを一つの目安としてやってきておるわけでありますが、どういうような災害状況になっておるか、そこら辺を十分に見まして、従来との権衡を頭に置きまして処置をいたしたいと考えております。
  60. 加藤精三

    加藤(精)委員 中小企業の融資に四種類あるということは私は知っておるのです。今さら御説明をいただかなくても大体わかつているはずなんですが、そんなことを聞いているのじゃないのですよ。生活物資が乏しいながらも生業を復活しようとしておるのに、中央金庫が金を貸さないので毎日々々困っておるという状況に対してどうしてくれるかというのです。地方の金融というのは、所管省は大蔵省であります。ですから大蔵省ではタイミングの合った救済をするのにどういう対策を持っているかということをお聞きしているのです。それに対して答て下さい。
  61. 石原周夫

    ○石原説明員 私がお答えを申し上げましたのは、まだその金額は確定をいたしておらないのでありますから、従ってその点まで申し上げなかったのでありますが、担当の理事が帰りましてから至急に金額をきめまして現地通達をいたします。従いましてそう時日がかかるとは考えておりません。今お尋ねのような事態に対しまして急速に対処し得るよう全力をあげてやって参りたいと思います。
  62. 加藤精三

    加藤(精)委員 今度の水害で私が特別に他の水害の場合によりもよけい深刻に考えておりますのは、特に私、九州地方関係府県に非常に長い間滞在して、行政官としておったような関係もあるのでありますが、いろいろな新聞、雑誌、その他の報道によって承わると、悲惨をきわめた、事情があるので、しかも局地的に非常に激甚な点があるので、民心安定ということが非常に必要だと思うのでございます。その民心安定に対する諸種の施策をできるだけ多くおとりになることを、政府に希望するのでございますが、その中におきまして特にこの数万町歩にわたる田畑の被害は、温度の非常に高くなってからの事件でございまして、田植えのやり直しというようなこともなかなか容易でない次第であります。農家の悲嘆というものは真に同情に値するものだと思うのであります。深刻の度、死傷者が非常に多いとか、自分の肉親を天災によってとられ、また自分らのたよりにしている土地が地すべり、その他よって破壊され、まことに寄るべない気持でいる農民の表情等をラジオ等によって私たち承わるのでありますが、こうしたものに対して反別だけをもりてこの施設の決定をするというような考えでなしに、もう少し民心安定、生活の安定を考えるというような特別の基準をもって考えることができないかという根本問題でございます。かって沖繩に大風害がございまして、沖繩の全島の家屋が倒れたような場合におきまして、当時大蔵省に在職せられておりました荒川事務官という非常な英明な事務官は、特別な諸種の措置をとられまして学校等も全額国費で作ってくれたような例があるのでございます。今回は学校被害は比較的少数にとどまっておりますが、ちょうど最も時期の悪いときに農業上の長大な被害を受けておるのでございます。それを農業を経営するところの地域の地理的な位置とか、季節の温度とか、そうしたいろいろな条件を加えまして、単に三万町歩以下になりそうだから助成する必要はなさそうだというようなことでなしに、もうちょっと行き届いた考えで御判定になる御用意がないかどうかを承わっておきたいと思います。
  63. 石原周夫

    ○石原説明員 従来からいろいろな措置をいたしますときの基準は論議をし、検討をいたしました結果、客観的な若干の目安があるので、いろいろな施策にはいろいろな目安がありますから、三万町歩だけが唯一の目安ではありません。しかしながら従来からとって参りましたけじめをつけるという意味の客観的な基準は筋を立って参りたいと思いますので、そこら辺はお話の点もありますから、私どもも従来の基準につきまして当ってみまして、十分な検討をいたしたいと思っております。目安をつけます客観的な基準というものは、ここ何年かやって参りましたものがございますので、やはりそれに従って参りたいと思いまます。
  64. 加藤精三

    加藤(精)委員 次に今回の災害に対しましての救助、その他災害に関する諸多の経費の支出につきましての財政管理といたしましては、自治庁が英断でもって迅速に処置をしてくれたことに対しては非常に感謝いたしております。また防衛庁の自衛隊の出動が非常に感謝されておりますとともに、これは私たちも感謝いたしておりますが、この自治庁の処置をつけ得るのは、北山委員からもお話がありましたように、これは経理上の困難の排除でございまして、現実に府県知事、市町村長になっております者の立場からいいますれば、新しく財源をもらうのでなければ、今回の災害に対してとった処置の財政的負担が後年度に残りまして、その自治体の財政の将来を危うくするのではないかということを非常に心配するのでございますから、財源の見通しを早くつけてもらわないと、ほんとうに重要な措置といえどもできかねるようなのが実態でございます。そういう意味におきましてお尋ねするのでございますが、今回緊急査定を八月の中旬から一斉に開始されて、しかも他府県及び地方建設当局等より応援してやられることは非常にけっこうでありますけれども、この緊急査定によって、大蔵省の主計官が立ち合いの上に査定されたものは将来は動かないのですか、動くのですか。なおその本査定が済んだ金額は、後年度で、三、五、二の割合とかいろいろ順序がございましょうが、後に至って動かないのかどうか。それから、俗に仕越し工事といいますか、これをやってしまった後に、これはすでにできたのだからそれに対して補助をする必要がない、補助の外になるのか、内計算にしてもらえるのか、その点憂悶がありますので、はっきりした責任のある答弁を主計局の方から伺いたいと思います。
  65. 石原周夫

    ○石原説明員 ただいまお尋ねの査定に対します再審査、これにつきましては二十九年以降大蔵省のものも立ち会いをいたしまして共同で査定をしております。従いまして、その共同査定できめましたところはこれで本ぎまりになる、それで動かない、こういうふうに御了承願いたいと思います。それからもう一つの方の問題でございますが、査定を受けましたものにつきまして仕越しが生じました場合、それが補助の内になるかどうか、これははっきり内になるわけでありまして、工事が前にやられたかあとにやられたかということと、補助の対象になるかならないかは別の問題です。
  66. 加藤精三

    加藤(精)委員 なおお尋ねしたいことがあるのでありますけれども、非常に繁激な仕事をしておられ時間がないそうでございますし、紳士協約の時間をはるかに超過いたしましたので、主計局長はこれで終ります。  続いて建設省にお尋ねいたします。先ほどのはちょっとあと回しにいたしまして、諌早の市内に鉄橋が二つある。それに上流からのいろいろな流出物がぶつかったために今回の被害を非常に大きくしたというふうに承わっておりますが、そういうような事実があったのでございますか。
  67. 山本三郎

    山本説明員 この点につきましては建設大臣もつぶさに見て参られまして、きのうそのお話をお伺いしました。諌早市内には九本の橋がある。そのうちには永久橋の眼鏡橋という古い橋がございます。そうして上流の木橋でやられたのが永久橋につかえたものでありまして、橋の部分が水を流す能力が非常に減殺されたために、橋のわきに水がいってしまつた。従いまして橋の上流と下流との間に非常に大きな水の高さの差ができまして、わきを通った水の勢いが非常に強くて、そのためにその付近の被害が増大した。家が流れたというのもそれが大きな原因であったというふうにお伺いしております。
  68. 加藤精三

    加藤(精)委員 時間がないようだからスピード・アップしてお尋ねしますが、そうした鉄橋は最近建設省の技術指導によって作ったものですか、昔からあったものですか。
  69. 山本三郎

    山本説明員 先ほどお話申し上げましたように、はっきりいつできたということは調べてみればわかるのでございますが、眼鏡橋のようなものは最近のものではございません。
  70. 加藤精三

    加藤(精)委員 木橋についてもそういうことが言えるのでありますが、私の知らんとするところは、そうした土木施設に技術上の誤まりがあったために――あるいは洪水量の計算とかそういうこともありましょうが、そうした技術上の誤まりがあった場合に、技術当局者というか関係当井者というか、それの責任問題が起ったことはないものでございましょうか。そういう前例があるかないかだけを承わりたい。
  71. 山本三郎

    山本説明員 むずかしい御質問でございますが、たとえば当然やるべきことをやらなくてそのために被害が赴きたというようなときには責任になると思います。背の話でございますが、出水も小さいにかかわらず堤防が切れた、あるいは水門がこわれたというような場合には、責任を負ってやめられた方があるように聞いております。
  72. 加藤精三

    加藤(精)委員 先の問題に戻りますが、三十一年度諫早地域の災害予防とかあるいはその他それに関連のある公共事業等で、地元がその工事の着工を非常に急いでおったのにかかわらず、県当局との岡の交渉に日をとって工事がおくれたという事例はありませんか。三十一年度建設省関係事業についてそういうものがあるかないかをお尋ねしたい。
  73. 山本三郎

    山本説明員 先ほども説明申し上げましたが、県の事業でございますので、私の方は県の申請に基きまして補助金を交付しているわけでございます。従いまして、三十一年度計画につきましても、県の申請して参りましたものにつきましては私の方で補助金をつけたわけでございます。その事業計画遮りにやっております。三十二年度におきましてもそういうつもりで、工事施行中でございます。
  74. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの問題につきまして、何か県と市の間にいきさつのあったことをお聞きになっておられませんか。
  75. 山本三郎

    山本説明員 はっきりした県と市の間の問題につきましては、私どもも憶測にすぎませんようなことでございますが、とにかく県から申請して参りましたのにつきまして私どもはその補助をいたすのでございますが、木明川につきましては、県の財政等の都合もございましたためかもしれませんが、事業費の決定につきましてはほかの河川より多少時期的なおくれがあったように記憶しております。
  76. 加藤精三

    加藤(精)委員 非常に遠慮して御答弁にならぬようでありますからこれ以上追及してもしようがございませんが、もし県当局に責任がある場合、他の府県にもそういうことが起るといけませんのでわれわれとしては十分調査いたしたいと考えております。なお建設省関係を二、三簡単にお尋ねいたしたいと思いますが、地すべり、山くずれの問題でございますが、これは大体砂防なのかどうか――砂防事業の定義からちょっと承わりたいのでありますが、かなり平坦なところにも地すべりがあるのでございまして、緊急治水とかそれから緊急砂防というふうなものじゃないように思いますが、それらが従来ことに九州全体にはシラスという地帯があるそうでございまして、私たちの生まれた東北におきましても地すべりということがあり、〈国的な現象でございますが、これの扱い方の技術上の問題でございますが、参考のために承わっておきたいと思います。
  77. 山本三郎

    山本説明員 砂防法による砂防事業と申しまするのは、治水上必要な砂防事業ということになっております。従いまして、地すべり、山くずれ等のうちには、治水上影響があるものにつきましては、砂防法に基きまして砂防を行うわけでございますが、それ以外に治水上影響はないけれども、公共的に見ればほかの面が非常に影響があるというようなものにつきましては、砂防法に基かないで、地すべり対策事業というようなものが行われております。従いまして砂防法に基かない事業もやっておるわけでございます。
  78. 加藤精三

    加藤(精)委員 地すべり対策事業費というのは予算が少いので、緊急治山とか緊急砂防の予算を流用するというわけでございますか。
  79. 山本三郎

    山本説明員 地すべりの予算の問題でございますが、地すべり対策事業というのは既定経費の中で、砂防事業費の中に便宜上入っておりまして、それは九千万円ばかりの補助金があります。それは経営的のものでございまして新しく本年度において発生いたしまして、それに何らかの手当をしなければならぬというような場合に、今お話のございました緊急砂防市夫費の中でそれを施行する、本年度起きたものに対する処置を緊急砂防事業費のうちでやっております。
  80. 加藤精三

    加藤(精)委員 それに関してでございますが、先ほど北山委員からも申しましたように、この個所数が非常な多数に上っておりますほかに、なおすでにできた地すべり個所でこのまま放置しておいては危ないというものがあるそうでございます。そうしたものを緊急に措置をしておきませんと、秋水や季節風の季節になりますとまた大惨害を起すおそれがあると思うのでございますが、そうしたようなものにつきまして十分に防災事業的な措置が講じられる見込みなんでございますか。その点承わっておきたいと思います。
  81. 山本三郎

    山本説明員 その点につきましては、建設大臣現地に参りました場合におきましてもそういう要望が非常に強かったわけでございまして、現地の機関、建設省はもちろんでございますが、農林省関係方々に対しましてもそれに対する指示を与えてこられたということでございますが、そのほか具体的には現在私の方からも先ほど御説明申し上げましたように、長崎佐賀県に一班、熊本県に一班現地調査に参っております。それからまた農林省の治山関係の方からも調査に参っておるように聞いております。従いまして、その調査並びに現地に対する指示の結果、調査がまとまりましたら農林省ともよく打ち合せの上、緊要なものにつきましては早急手当をするように大蔵省とも話し合いたいということで考えております。それに対しては、先ほど申し上げましたように、建設省には三億ほどのワクが確保されておるわけでございます。
  82. 加藤精三

    加藤(精)委員 これ一つですが、ちょっと――その地すべりのすでにできかかって危険なところは警察当局等とも連絡せられまして、また人命を失う等のことがないように、そういう自分の非常に愛着しているたんほのところで働きたいという気持はわかりますが、それにつきましては、警察当局と連絡して立ち入り禁止していただくとか、万全の措置を講じていただきたいのでございます。なお非常に小さな河川とかそうしたものが災害地に多いので、工事個所が十万円とか十五万円とか多数ありまして、補助の対象にならないものもある、こういうものも今回のような場合には、ある市町村ではそういう個所が非常に多くてそれの復旧費が年度の税の収入の五割とか八割とかを占めるというようなこともあるだろう、そういうような場合に、その復旧が容易じゃない場合に、建設省としては一律に十万円以下とか十五万円以下とかいうような基準でなしに、それに例外を設けて助成して地方の国土の復旧をはかるというようなことに、将来これは立法論としてお考え下さる御意思があるかどうか。他の府県の災害にも例があることでございますので、たとえば河川の堤防の決壊なんか、あれは十五万円以下でしたかは助成できないということになっておると記憶しておる。非常に小さな、底の掘れたような河川がずっと連続してあるようなところがある、それが一カ所でありますと直ちに補助の対象になるけれども、小さな個所に分れておる場合は補助の対象にならぬので大へん因る場合がありますので、それに対する立法論的な御見解を承わりたい。一〇山本説明員 御説のように、小災害につきましては補助の対象にいたしておりませんが、建設省といたしましては、査定の場合におきましては、隣接して、個所は離れてありますが、一つ一つに計算いたしまあすと十万円とか十五万円以下につきましても、それが二十メートル以内にある場合にはそういう計算をしないで合せたものにして計算して取るようにということでありますから、今先生のおっしゃるような少しずつ離れて連続してあるような場合につきましては相当荘度補助の対象にると思います。  それから財政の問題につきましては、先ほど自治庁の方からもお答えございましたように、私どももできるだけ市町村におきまして自治的にそれが復旧できるようにということで財政面でお考えいただくように私の方も一つお願いしよう、こういうふうに考えております。
  83. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま二十メートルということですけれども、二十メートルというと離れていないと同じです。そんなんじゃないので、相当広い市町村でありましても点々として百メートルとかあるいは数百メートル離れて工事個所がある場合がある。ことに山くずれというようなところが至るところにあるようでございまして、学校の敷地も山くずれでやられる、大学の寄宿舎も山くずれでやられるという事例も今回もある、そんなようなことでございます。私は今小さな河川の例をとったので誤解があったようでありますが、各種の公共事業の最低単位を若干切れたようなものが非常にたくさんあるような場合が現にあるのです。二十メートルくっつかなくてもたくさんあるのですから、そういう場合についてどういうふうにお考えになるかということでございますけれども、時間をあまりとりますから御四答も別に要りませんけれども、なお個人的によく御相談申し上げようと思っております。  私の質問はこれで終ります。
  84. 門司亮

    門司委員長 伊藤君。
  85. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 緊急の問題を二、三一点きわめて簡単にお尋ねしたいと思います。  先月の七月の初めですが、佐賀県下の伊万里市内に大きな地すべりが起っております。この被害は和光深刻なもので死者も七名も出しておるということです。従って現地の方からそれぞれ自治庁なり建設省なり農林省等報告書が来ていると思います。それに基いてどういうような応急の救助の処置、あるいは今後の対策等について御田を進められつつあるか、その報告とあわせて、その救助と復興の進行状態について御説明願いたい。
  86. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお話でございますが、お説の通り現地から資料を持って参りまして、各省寄りまして具体的にお話をいたしまして、その線によって至急対策をとろうというふうにしておるわけでございますが、具体的内容につきましては今町災課長が来ておりますので、便宜御説明させようと思います。
  87. 山内一郎

    ○山内説明員 今お話のございました伊万里市の地すべりは、七月の上旬に発生したものでありまして、私の方の関係といたしましては、河川として、佐代川というのが、地すべりのために、百メートルの区間全部埋塞しております。それからもう一つ市道の関係として市道が、ある延長、これは全部地すべりのためにすべっております。  これの対策といたしましては、佐代川の埋まったところを掘るか、あるいはそのかわりに新しい河川をつけかえるか、いずれかの方法をとるべきでありますが、埋まったのを掘るということは、非常に事業費もかかりますし、期間もかかるというので、緊急の対策としては、佐代川をつけかえて一応復旧しようという方針にしております。市道につきましては、埋まった土砂が安定したときに、もとの位置に市道を一復旧しよう、そういう方針で現在やっておりまする。  それから地すべりに対しましては、これは農林省の方で担当されまして、今後すべらないような対策をやるということを、農林省関係でやっております。
  88. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうもただいまの答弁は、全く何というか、現地を知らないで係百が答弁なされているのだから、非常にとんまな答弁をされるのはやむを得ないと思うのですが、大きな山が二つに割れて、山津波のようになってくずれてくるものを、地すべりしないように帽子するなんということは、ドン・キホーテでもできません。そんなことは夢物語です。  そこで私が伺おうとするのは、この地区はすでに四回にわたって大きな――地すべりと言うと、一般の人は山くずれか、がけくずれのような感じを持つのですが、私はこれは山津波と言った方が、一般の人に事実を率直に知ってもらうことができると思います。次から次に起ってくるところは、ちょうど長崎県と佐賀県の、北海岸の地帯にあるのですが、さきにも長崎県側に一回、そういう大きな山津波のようなくずれがあって、犠牲者をたくさん出した。それからさらに佐賀県側にくずれているのは、昭和二十六年に一回あります。このときは死者が五名、埋没家屋が十九戸、昭和二十八年には死者が二十六名、負傷者が七名、埋没家屋が七戸、このたびは、死者が一名、行方不名になっている人が六名、埋没家屋が十三戸。今度のこの山くずれ等によって、自衛隊が七日間くらい出動してやってくれたらしいけれども、いかんともすることができない。というのは、五十メートルくらい下に家屋が押しつぶされているので、そのつぶされた人々を掘り出すことも、どうすることもできない。それでもうそのままの形よりやむを得ないという悲惨な現状です。次から次にこういう山津波のようなものが起ってくるということは、あの地区の地質の関係からだと思う。現にすでにもう一カ所、それがきょう起るかあす起るかということで不安におののいているところがある。それがくずれてくれば二十数戸の家がこういう状態で全滅をするということになっているのです。従ってこれは事前の対策ということが大事なんです。今係官が言われたように、山が二つに津波のようになって割れてくるのを防止する方法はありません。だから事前対策として考えられるのは、その危険地区に住んでいる住民を安全地帯の方に移転をさして人命の危険を救助する、これよりほかに方法はございません。そこでそういう移転をさす場合に本人なりに移転をしろと言っても畑地の関係等もありますし、住みなれたところをなかなか移転をしようとしないのは人情でもあるし、また経済的な関係もあります。だからやはり移転させようとするなら、その移転費用をどういうふうにしてやるのか、たとえば国家がどの程度補償してやるのか、あるいは融資関係をどういうふうにしてやるのか、こういう点をやはり明らかにして、ある程度強制的にでも移転をさせしめるというようなやり方をしなければ、この危険から人命を救助することはできない。憲法等の関係もありますから、やはりそういうような対策は、これは繰り返し繰り返し行われて大きな犠牲を払いつつあるのであるから、当然講じられなければならぬと思うのですが、そういうことについて自治庁なり建設省なり関係省の間において、一体こういう人命救助の上に立った事前対策というものを、どういうふうにお立てになっているのか、それをお聞かせ願いたい。
  89. 堀内一雄

    ○堀内説明員 伊藤君の御質疑にお答えいたします。ただいま伊藤委員の方からお述べになりました状況につきましては、実は建設大臣現地へ参りましてつふさにその状況を見て参りました。躍災の方々に対しましてはほんとうに心から御同情申し上げているのでございますが、聞きますればすでにそこのとこるに対しては県の庁からも立ち入り禁止のことを指図したりいろいろしておったのだそうでございます。それで一応立ちのいておったのが、また雨の様子等でどうなっているだろうというようなことを見に帰ったというような時期においてそういうようなことが起ったというようなことを聞いております。  また自衛隊の非常な活動に対しまして、現地の人たちも、地下にまだ行方不明の方があるにかかわらず、もうこれ以上のことはしてもらわなくてもいいというようなお話もあって、自衛隊も引き揚げたというようなことで、この際における自衛隊の活動につきましては、現地方々はもちろんでありますが、建設大臣等も現地を見てきて非常に敬意を表している次第でございます。  そこでその根本問題につきましては、実はただいまお話のありましたように、九州一帯のあの付近が三紀層であるがために同じような状態が各所にある。そこでこの地すべり対策ということにつきましては、ただいまもお話のありましたように、技術的にも――科学的といいますか、いろいろな研究がまだ十分できていないというようなことであるのでございまして、従いまして、私どもは今度のこれを機会に徹底的な研究をいたして、そして将来にわたって、ただいま伊藤委員お話のありましたようなことを参考にいたしましてそして対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  90. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 非常になまぬるい話ですけれども、しかしこれから至急やろうとされるなら、幾らか生きた対策が立てられるということの希望がわかないでもありませんが、大体からいくと、さっき申し上げたように何回も何回も繰り速しておることだから、これは生きた政治をやる上からいけば、もっと早く対策を立てなければならない。何も突然くずれてくるのではなくて大きな山がだんだん割れて、もうひびが何尺もになってきてきょうかあすかというような危険状態が何カ月も続いておって、大雨などが降ったあとに山津波としてやってくるわけです。だから十分事前対策というものは、これは移転の問題などについてもできるのです。ただ長崎県やら、あるいは佐賀県等でそういうことを強制的なことを言われても、保障をするものがなければ、それは強制だけでやろうというのは憲法違反ですから、やはり経済的な関係で裏づけをして、そしてこの強制をしていくということでなければならぬのであって、これは佐賀県だけのことでなくて、長崎関係にもあるようだし、聞くところによれば長野県なり新潟県、そういう地区にもあるそうであります。従って一つこれは事前にそういう対策というものを立てる上について、やはり特別な立法措置でそれをするのか、あるいはそれについて強制移転などということについて予算の裏づけというか、そういうことの保障の問題をどういうふうにしてするのかということが伴わなければならぬのでありますが、今おっしゃった考えで行こうと言われるのは、こういう一つの緊急な災害の救助法、そういうものに適用していこうとされるのですか。特にこういう事件については特別立法を作ってその対策を立てていこうとお考えになっておるのですか、どっちですか。
  91. 堀内一雄

    ○堀内説明員 とりあえずといたしましては、現在砂防の方にありまする三億円を中心といたしまして、応急の処置をいたし、それから必要がありますれば、災害の一般の法律から処置をしていきたいと存じておりますが、何分にも問題が非常に複雑であるし、まだ方針もきまっておりませんような事情もありますので、この際すぐに特別立法にかかるというようなことでなく、根本的に研究していきたいというのが、私ども考え方であります。
  92. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうもその点水かけ論をやっておっても、らちがあきませんし、その点については先ほども申し上げるような実情のものであるから、一つ至急その対策等を立てられるよう強く私は要望いたしておきます。  それから現に起っておる被害者、こういう人々の救援というようなことについて、どういうことをお考えになっておるか。現に住まう家がない、耕地もないという現状であるが、この応急被害者の救助についてどういうような方向でやろうとせられておるか、その点をお伺いしたい。
  93. 堀内一雄

    ○堀内説明員 ただいまの起っておる問題につきましては、先ほど官房長からも御説明申し上げました今度の被害に対する対策のうちに、住宅問題、食糧の問題――食糧等はよその所管でありますが、住宅の問題なりそのほかにつきまして、建設省としては一応対策を先ほど申し上げた範囲でやっていくつもりでございますが、なお農地並びにそのほかの厚生問題等につきましては、関係の方面と連絡、大いに善処いたしたいと思います。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私も実はこの間現地を見舞をかねて調査に行って見てきたのですが、被害地の市長なりそれから被害者の人々とも親しくお会いして、いろいろ話を伺ってきたのですが、まだそういう応急のそれぞれの救助対策について何ら具体的に与えられてないということで、旱魃に雨を求めるような悲惨な気持で待っておるということですが、具体的なことをそれぞれおやりになっておるというのは、どういうことをおやりになっておるのか、それを一つ具体的にお示し願いたい。
  95. 堀内一雄

    ○堀内説明員 現地には建設大臣も参りまして、県半句の当事者も一緒にそこで落ち合いまして、応急の処置は県においてやっていただくように打ち合せてきたわけです。それで、それに対する援助といたしましては、九州地建そのほかから出ておりますこちらの技術官等で、できるだけの援助をするようにというふうなことで打ち合せて帰ってきておるということを承知しております。
  96. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今御答弁を伺っておって、結局まだ具体的な対策は立っておらぬという一語に尽きるような気がするのであります。建設大臣が行かれたところで、県が対策を立てると言ったところで、救助というものはやっぱり物質的なものでなければ解決はせないのであって、建設大臣がリュックサックにでも札束を背負って行かれれば別だが、それでない限りは幾ら話し合ってみたところで、具体的な救助の解決にはならぬと思うのだが、その程度のことであるならは――一月もたっておって、住む家もない。死者はたくさん出しておる。それで伊万里市は御存じのようにあそこは非常に貧弱なところである。どうすることもできない。佐賀県といえば御存じのように、これは自治庁が一番御存じだが、とにかく赤字の県で、再建整理をしておるというような、日本でも代表的な貧弱な借金県とされておる。ただ県に依存するといったところで、県といい市といい、そういうところです。そうすれば結局国の方でこの具体的な案をもって、予算というか金の裏づけのあるものをもって救助せなければ、救助の何らの価値はない。そういうことについてまだ全くそういう小田原談議で終っておるだけであるのか、少しは具体的な証拠があるのかどうか、大事な問題ですから、もうちょっとはっきり答弁して下さい。
  97. 太宰博邦

    ○太宰説明員 今のお話が、先般起った災害の救助対策というふうなお話のように伺いますので、厚生省で、ございますが二言申し上げます。御承知のように災害救助法に基きまして各地の災害が法律で定めました定の基準以上に達しますれば、府県知事が災害救助法を適用いたします。適用いたしますれば、当然そこに書いておりますようないろいろな、たとえばたき出しであるとかあるいは応急住宅を建てるとか、その他寝具の支給とかというようないろいろな措置をした場合におきまして、それがまた法律の基準によりましてその何出かを国印において後日負担する、こういう仕組みになっておるわけででございます。御指摘の伊万里の件につきましては私ちょっと資料を持ち合せませんので、あるいは記憶違いがあるか知れませんが、たしか適用があったかに存じております。もしあったといたしますれば、当然その県の知事が責任を持ちまして、災害救助法に定められました通りの救護措置を講じているはずでございます。一カ月間何ら対策がなかったということはないはずでございますが、なおその点は帰りまして、至急確かめてみたいと思います。
  98. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 災害救助法の適用を受けてやっておりますか。
  99. 太宰博邦

    ○太宰説明員 それは県知事がその罹災状況を調べまして、一定の基準に該当しておれば災害救助法の適用を許可することになっておりますので、その辺のことはちょっと今記憶がありませんけれども、これはもう客観的なものとして各県知事よく承知しておりますから、それに該当しておると認むべき場合において、うっかり、してないということはないはずでございます。
  100. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今あなたはそういうことを言われるが、私はそれをくつがえすような議論をここではいたしませんが、そういうことを政府自体が十分御存じがなくてあったのかないのか、知事がおそらく該当するということであればやるであろうということでなくて、政府自体があるいは自治庁なり厚十省なりその責任官庁が主体になってそういう点を明らかにして、緊急処置をとられるということが大事じゃないか。そういう点相当怠慢であるという気がいたします。しかしそういうことで今あなた方をとっちめてみたところで、罹災者が救われるわけではありませんから、これ以上追及はいたしませんか、やはり事急を要することです。さっきからも長崎の水害による悲惨な点などの対策を伺っておっても、どうも役所はなわ張り的な立場で、あれだこれだ小田原評議で、一本になつて非常な勢いで期待をされているような対策が立てられてないのがいつも日本の役所の状態です。従って長崎の方の今度の水害によってもやはり山くずれというか、山津波が長崎佐賀の伊刀里に起ったと回しようなこと等がありますが、この佐賀の山津波という地すべりは今度の水で起った水害、災害の救助法によって緊急処置をとり得るかどうか。あるいはこれではとられないから特別立法を必要とされるのか。しかしさっきお話があったように将来特別工法などを考えられるとしても、緊急な場合において、たとえばさっきから建設省が言われておる道路の問題、河川の問題というものになれば、相当あそこの田畑をつぶしてしまわなければならぬということにもなっておるようであります。そういうことで河川復旧されなければ、多くの田の上を山くずれの水がどんどん流れていくから、あそこにある田はほとんど全滅するということにおそらくこの間の雨でなっただろうと想像しておる。そういうこと等もありますから、この緊急の処置、復旧等については従来から災害の緊急救助法の適用によって緊急処置をおとりになるか、しかしながらそれはなかなか困難だから、やはり特別立法を得たなければならぬということになれば、これは次の臨時国会かあるいは次の通常国会かになる。こんなことになったらまた半年も一年も延びるということになる。それでは結局やれぬということになりますが、緊急のそういう処置は災害応急の救助法等でお扱いになるかどうか、その辺の見解を明らかにお聞かせ願いたい。
  101. 太宰博邦

    ○太宰説明員 先ほど私の申し上げましたのが誤解をいただいているようでありますが、児知事が災害救助法を適用いたしますれば、必ず本省の方に連絡して参りますから、中央が知らずにいるということは絶対にありません。私が先ほど申し上げましたのは、適用したかどうか、その報告があったかどうかということについて、ちょっと今記憶が明らかでなかったのでさように申し上げたのでありますが、ただいま報告を受けますと、伊万里の場合については適用に該当してないために災害救助法を適用してないということだそうであります。
  102. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それだからいかぬということをさっきから言っているのです。こういう点を私は責任官庁が怠慢であるということを言っているのです。知事がそういうことを行えないから行わないでいるのは仕方がないではないかということで、緊急救助の政治が行われると言えますか。そういうことを怠慢であると言っておる。さっきから論議していることを自治庁長官もお聞きになっておりますが、大体自治庁長官が中心になって、建設省なり農林省なり厚生省等の関係などについても、これらの緊急対策なり今後の対策等の問題についてもやらなければならぬと思っておるが、今お聞きの通りのようなことで、これで万全を期していると自治庁長官としてお考えになりますか。
  103. 郡祐一

    ○郡国務大臣 ただいまの伊万里の例がございましたが、おそらく伊藤さん御指摘のように非常に深刻な災害であり、同時にまた法律の建前として災害救助法を適用いたさなかったのではなかろかと私は考えます。しかしながら近ごろは災害救助法の発動にいたしましてもその他の措置にいたしましてもかなり敏速にいたしております。また相互間の連絡もはかっております。私はさらにさらに努力はいたしますけれども、ただいまの段階では十分な措置がとられているものと考えております。
  104. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 もう時間がありませんからこれ以上追及をいたしませんが、一つ自治庁長官、冷静にお考え願いたいと思います。あれだけの災害が起っておる。しかもさっきから申し上げるように繰り返し繰り返し起っていることなのであります。しかもこのたびの災害が起って一カ月もたつ。それに対しても何らの具体的な対策が立てられてない。しかもそれは県知事がやるであろう、市長がやるであろう、地元の人たちの情によって救われているであろうというようなことで、一体国の政治がやられていると言えますか。国民から税金をとってやっている政治が、それで万全を期していると言えますか。私はそういう点をはなはだ遺憾に考えます。もっとそういう緊急な問題に対して緊急な処置を講じてやることこそが、国民が政府あるいは役所に信頼と期待とを持つゆえんである。一カ月も投げられてある今の状態でいったら何カ月たつかわからない。この点は自治庁長官はお聞きになっているのであるから、長官が中心になって、至急この応急対策、さらに今後の復旧対策等についてあなたが中心になって関係各省との間において十分一つ話をまとめられてこの地元の被害者の期待に沿い得るよう最善を尽されるよう要望いたします。言えば切りがありませんから、以上で私は打ち切っておきます。
  105. 加藤精三

    加藤(精)委員 たった二つばかり自治庁長官に対して質問して、私の質問を終りたいと思うのでありますが、その一つは、もし静岡県とか、あるいは愛知県とかいうような非常な富裕な府県に災害が起った場合と、今回のような佐賀県とか鹿児島県とか長崎県とかいうような貧乏な県に起った場合との比較をかりに考えます。それで寺田寅彦先生が、災害は忘れたころに起るということを言われたのでございますが、われわれ地方の実情を見ますと、今回の災害の原因になりましたような中小河川というものは、これは土木事業としても実は重視されないようなところでありまして、河川局長はそんなことは決してないとおっしゃるかもしれませんが、われわれ地方に長くいた者から考えますと、実際の取り扱いが従になっておるのでございます。ことに中小河川上流の砂防なんというものは、非常に閑却されておるのでございまして建設省では特に砂防というものを虐待しておるのではないかとわれわれ疑っておるものであります。そんなようなことでございますがゆえに、なおのこと、この財政の困窮した県におきましては、県費負担をおそれまして、ごく地方的県の中でも一、二カ村にしかまたがらないような地域のそうした事業は、県費負担をおそれて県が予算に取り上げないことが多いのでございます。それで馬取県等におきましては、そういうものはおそらく予算に計上されてないか、また公共事業の場合に、それを返却するようなことをやっておられたと私は想像しているのであります。そんなことを考えまして、根本的な問題といたしまして、市町村は実力があるけれども、府県財政が貧乏なためにその巻き添えを食って、認められるものまで認められないということがかなりあると思う。そういう場合に、例外的に府県の分も国庫がある程度負担しまして、そして国と市町村においてそうしたような事業をやれるような制度があった方がいいじゃないかということを第、段に考えるのであります。  第二段には、現在の府県というものは、これは府県というからには富裕な府県も貧弱な府県も合せて府県と考えなければならぬと思う。地方財政の多様性というものを抜きにして大蔵省の方が物を考えるおそれが非常にあるのでございますけれども地方団体の行政の多様性ということから考えまして、その最も貧弱な方を土台にして考えないと、いい制度じゃないと思うのでありまして、そういう面からいいまして、現在三千数百の地方団体の財政調整というものは、うまくつくものでもないと思うのですから、今度の府県の経済白書で言ったように、日本の経済それ自体が二重構造だというのでございますから、そういう面から見ましてむしろ旧主保安、保全等に関する重要な土木事業のごときは、国と市町村でやらせるということがいいんじゃないかという気がしますが、私の考え方を突き詰めていうと、そういう方向に向っているのでありますが、これに対して地方行政に御造詣の深い新しい自治庁長官に御批判をしていただきたいと思うのであります。  第二に、先ほど伊藤さんからずいぶんいろいろな御質問がございまして拝聴しておったのでございますが、昔の内務省には国内行政を調整するような権限があったようでございますが、現在の自治庁にはそういう権限があるのかどうか。府県知事の施策よろしきを得なかったかどうかについては指導助言をすることができると思うのでありますが、ただいま伊藤さんからお話しになったような程度の監督はできないんじ、やないかと思いますので、これも地方行政にきわめて御造詣の深い新しい大臣に御質問しまして、制度上の関係を明らかにして教えていただきたいと考えます。
  106. 郡祐一

    ○郡国務大臣 第一段の方は、これはなかなかいろいろな問題が含まれておると思います。一体府県というもの、市町村というものをどんな工合に観念するかというようなことも起って参ると思います。このたびの被害を受けました公共団体が、たまたま財政再建団体がそのうちに比較的数が多かったということは、一つの私どもの気にしておる点でありますけれども加藤さんの言われますように、さらに根本に、国その他の団体がどういうものについてどういう負担をするかということは、これは、なかなか負担の区分、財源の調整から申しましても問題が多かろうと思います。これは一つ研究さしていただくことにいたします。  それから後段の点でありまするが、これは確かにかつての内務省の組織とはよにど事柄が変ってきております。また自治体自身も立場が変ってきております。ただ事実上の連絡といたしまして関係省が十分連絡をとりますこと、また伊藤さんが御指摘になったような感じは、私も似たような感じを持っておる点もあるのでありますが、今度の災害の模様を見ましても、府県なり市町村なりの職員の災等のときに動員する体制でございますね、こういう点が、近ごろの府県市町村に必ずしもよくできていないような気はいたします。府県市町村の職能が違うのでありまするから、警察や消防のような動員体制は必要だとは思いませんけれども、しかしながら、災害に対する動員体制というようなものは、これは各官庁同じでございましょうが、府県市町村には必要なことだと思いまするし、そんな点で、加藤さん御指摘のように、確かに制度は現在変ってはきておりまするけれども、なお心がけるべき点は十分心がけて参りたいと思います。
  107. 今村等

    今村委員 私は別段御質問はやらないつもりでおりましたが、ちょっと申し上げておきたいことは、これは別にあげ足をとるんじゃないのですが、自治庁長官は、伝染病はまだないから安心だというお話しのようであったが、伝染病はこれからじゃないかと思うのです。今まではまだ四、五日の間だから起らないの、ちょうど三十日ごろから三十人以上も赤痢患者が出るというようなこと。これは厚生省にも相当関係がある。もり一つは、諌早というところは壊滅状態にありますから、それで中小企業というのか、そういう関係の人々が八月の盆を当て込んでそれぞれの品物を相当量仕入れておって、それが一網打尽にやられてしまった。こういうところから、これらの人々の救済、たとえば金融の方法、これは大蔵省。しょうが、こういうことも相当考えてもらわなければいかぬ。  もう一つは、どうも各省に地元の一括された水害の情報が完全につかまれていない。つかまれていない今日どうするかああするかと幾ら、われわれが質問してみたところで事務的以上一歩も出られない。これはやはり政治的な配慮を要することであるから、政府それ自体が総合的にその方針を立てられなければ、ただ今までの立法から見たところで、こうするああすると言っても、とても問題にならない。こういうふうにわれわれは考えておる。  それから、たとえば、やや復興の緒についておると言われますけれども政府機関においての復興の緒といっても、まだそう大した復興の緒についていない。私の見た目においては、私は二十七日からあの一帯全部を三日間にわたって回っておりますが、私の見る目によりますると、県の報告と私の考えもあまりかわっていないようでありますが、二十五日の午後警察側が動員して大いに努力をしたけれども応急対策に手が足らずに、大村の自営隊にその出動方を要求した。ところが大村から諌早に来るその途中がやられてしまっておるから、自衛隊がやってこられない。幾ら騒いでもしようがないからというので、大村湾を船で二十六日の朝に上陸した。こういうような状態でありましてちょうど私が長崎を立ちまする前のとき、三十日から自衛隊約二万人を長崎県に導入する。そこで大村諌早間の通路がやや通れるようになりましたから、自衛隊がトラックをどんどん運んで、さらにいろいろな廃物を一掃するとか、道路の一時仮設をやるとか、あるいは坑木を持っていって橋をにわかにかけておるとか、こういう方法が非常に進められておる。そこで政府として考えてもらわなければならぬ問題は、要は金であります。たとえば罹災者は、諌早市はほとんど罹災者でありますから、ちょうど二十五、二十六日の朝ごろは、長崎市からパンを六万個送り、握り飯を送るという状態で、ほとんど食糧に欠乏を来たしている。それで諌早に参りますと、お見舞に酒を持ってくるよりか、水を持ってきてくれということで、水は長崎市から水道の水を運んでおる。しかし二十八日ごろから一部の水道が用をなしておる、ところが罹災者が、配給の米をもらう金がないために、配給所へは金を持っていかなければ工合が悪いし、配給所は卸屋から金を持ってこなければやらないと言われる、卸屋は食糧事務所に金をやらなければ法の示すところによってやらないという関係を続けておりますので、問題はそうした急を要する対策を、政府は早く手をおってもらいたいというのが現状なのであります。従って道路問題、農村の水田関係――いつも政府建設省がりっぱな道路を作り、河川をやっても、農林省が一つも進まないというのでは意味をなさない。農林省は幾らやっても、建設省事業を進めなければ意味をなさない。今のところ諌早あたりは川やら水田やらわからぬという状態でありますから、どんなりっぱな護岸工事ができておっても、あの水流においては意味をなさない。だれの責任でもない。これはすなわち天災だという一語に尽きると思う。これらの点を十分に考えられて、とにかく金の問題ではないか。今救済をするということは金がなくてはどうもならない。地方交付金を先にやるとか、あるいはワクを広げるとかいうことも必要でありますが、やるものは早くやっていただきたい。いつも政府の態度は新聞あたりでは直ちにやるということを発表するけれども、実際地元の身になってみますと、いつ来るかわからないというような不安がある。この際そういうことを一掃して、断固として早くそういう措置を一時でもとっていただきたいということを希望いたしまして、こまかいことについてはあすでも建設省あるいは自治庁にうって、具体的なお答えは承わりたいと思いますから、私の質問はこれで終りたいと思います。ただそういう要求、希望を申し上げて、早急に対策を実際的にとってもらいたいということを申し上げておきたいと思う次第であります。
  108. 門司亮

    門司委員長 他に御質問がないようでしたら、本日の会議はこの程度で散会いたします。    午後二時十五一分散会