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1957-06-11 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月十一日(火曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    徳田與吉郎君       古井 喜實君    渡邊 良夫君       赤松  勇君    今村  等君       大矢 省三君    加賀田 進君       春日 一幸君    北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 田中伊三次君  委員外出席者         自治政務次官  加藤 精三君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         総理庁事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         厚生技官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚生技官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 五月十八日  委員福井順一君、山本粂吉君、茜ケ久保重光君、  伊瀬幸太郎君及び田原春次辞任につき、その  補欠として菅野和太郎君、纐纈彌三君、淡谷悠  藏君、淺沼稲次郎君及び伊藤卯四郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員渡邊良夫辞任につき、その補欠として大  倉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として渡  邊良夫君が議長指名委員に選任された。 六月十一日  委員淺沼稻次郎君及び上林與市郎辞任につき、  その補欠として赤松勇君及び春日一幸君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  一、地方自治に関する件  二、地方財政に関する件  三、警察に関する件  四、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  まず最初に、参考人を招致いたしますことについてのお諮りをいたしたいと思います。警察行政に関する件につきまして、明十二日、警視総監でございます川合壽人君を参考人として出席をしていただきますことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 門司亮

    門司委員長 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 門司亮

    門司委員長 次に地方自治及び地方財政について調査を進めることといたします。質疑の通告がございますので、これを許します。赤松勇君。
  5. 赤松勇

    赤松委員 この際いわゆる環境衛生適正化に関する法律実施に関しまして、若干質問をしておきたいと思います。  まず第一に、いわゆる指定都市の問題でございます。これは厚生当局も御承知のように、自民党より議員立法をされまして、社会労働委員会に付託をされました。そこで自民社会両党より小委員をあげましていろいろ検討したわけでございます。その際、当然地方自治法の十六項目の委譲に伴いまして、指定都市におきましては、都道府県知事権限と同じように、五大市市長にそれを与えるべきであるという強い意見が出たのであります。それに関しましては、いろいろな審議の結果、とにかく一、二年実施をして、そのあとで当然地方自治法を尊重して五大市長権限を与えるべきである、そういう法の改正をやるという前提の上に立ちまして、五大市のあるところにおきましては、都道府県知事は、次に申し上げるような諸点について必ず協議をしなければならぬ、こういうことになったわけでございます。むろんこれは法律の上には出ておりませんけれども厚生省政令を作る場合にこれを明確に入れるということになっておるのでございます。すなわち社会労働委員会におきまして、五島虎雄君からこの問題につきまして次のような点が強調されました。すなわち「次に六十一条の問題に関連いたしまして、今回厚生大臣がこの法の運営をすることになっておるわけですけれども、必要な場合は政令の定めるところによって都道府県知事委任するという委任事項があるわけです。問題はこれに関連いたしまして両党ともにいろいろ意見が出たわけです。そうしてこの問題に非常に意見も集中したように私は考えておるわけです。この問題に関連してなぜ意見が集中したかということは、これは国会の歴史的な問題もあり、そうしてまた前国会においても非常な問題が派生いたしたわけであります。そうして五大市に十六項目が委譲されたわけであります。そこで今回組合府県一本のものに作り、そうして審議会等々も府県に作るというような問題は非常に議論された問題であります。これがなぜ議論されたかということは私がここで長時間を要して論ずるまでもなく、厚生省当局も十分御承知通りであると思うわけです。そこでこの小委員会等々で論じられたことは、厚生大臣政令をもって都道府県知事委任することができる、そうしてこの場合都道府県知事指定都市長との関係について次の通り政令規定するよう政府勧告することを決定したというようになっておるわけであります。そこでこの政府勧告する事項というのはもうすでに御承知通り厚生大臣権限知事委任する場合には法第九条、第十一条、第二十四条、第五十七条及び第六十一条の事項については知事処分五大市長意見を聞かなければならない、前項の場合に知事五大市長意見と異なる処分をしようとするときはあらかじめ厚生大臣の承認を受けなければならない、」こういうふうになっておるのであります。そうして自民社会両党はこれを必ず政令の中に織り込む、ただしこれは一、二年、長くとも二年、当面まず法の実施をやって、そうしてその過程において五大市長に当然渡すべき権限をば渡すような法の改正をやろうということが前提になりまして話し合いが行われました。そこで私はお尋ねしたいのでございますが、この場合楠本政府委員は、「ただいま御指摘のございました点はきわめて重要な問題でもございます。またただいまお話しのございましたような勧告の御趣旨まことに同感でございます。そこで私どもといたしましては、その通り勧告の御趣旨を忠実に政令規定いたす所存でございます。」こういうように答弁をされておるわけでございます。ただ問題は御承知のように五大府県におきましては府県側とそれから市側とに従来感情的ないきさつもありましょう。あるいは広くは憲法上の問題として地方自治体の本体は何であるかというような点から出発をいたしまして、今日地方自治体が持つべき権限等について五大市側意見都道府県知事意見とが往々衝突することがあるわけでございます。しかし地方自治法の本委員会における適切な改正によりまして、当然この場合は五大市長にこの権限が与えらるべきである。しかしながら以上申し上げましたような事情で、当面まず長くて二年、短かくて一年以内に法の改正をやろうということを前提条件といたしまして、自民社会両党で話し合いの結果、このようになったのでございます。意見を聞かなければならぬという場合に、都道府県知事がこの法九条、十一条、二十四条、五十七条、六十一条等の問題について意見を形式的に開いたかのごとく見せかけて、実際には五大市長意見をば無視する場合が往々あるのでございます。従って意見を聞かなければならぬということは、これは都道府県知事をも拘束するような形において委員会では取りきめたのでございまして、当然政令の中にはその精神が生かされなければならぬ、すなわち協議をする場合には当然その協議事項について双方同意する旨の何らかの意思表示が行われなければならぬ、こういうように考えておりまするが、その政令を作るに当りまして厚生当局の御意思をこの際お聞きしたいと思います。
  6. 山口正義

    山口説明員 ただいま赤松先生から御質問になりました環境衛生関係営業運営適正化に関する法律運営の問題についてでございますが、御承知のようにこの法律は六月三日に公布になりまして、九月三日から施行ということになっているわけでございます。その間におきまして私どもこの法律に基いて政令、省令を定めていかなければならないのでございますが、ただいま御指摘指定市の権限の問題でございますが、これは先ほども先生が御指摘になりましたように本法の第六十四条に「この法律規定する厚生大臣権限の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事委任することができる。」その委任の仕方を政令に定めるわけでございますが、その際に先ほど御指摘になりましたように、第二十六国会本法案が御審議になりました際の経過速記録等も私よく承知しておるわけでございます。政令を定めます際にはただいま御心配のように、単に五大府県知事が形式的に五大市長意見を聞くというようなことでなしに、その際五大市長意見が十分反映するような扱いができますように政令を定めて参りたい。政令内容、文句につきましては厚生省の原案もまだ十分できておりませんが、一応国会審議中に前環境衛生部長楠本君がお答え申し上げましたように、厚生省とも下打ち合せをいろいろいたしておったわけでおります。そういう点は政令ではっきりすることができるというふうに厚生省の方も意見を持っておりますので、ただいま御指摘の点は十分心配のないように、私ども政令を定める段階においてやって参りたい、そういうふうに考えております。
  7. 赤松勇

    赤松委員 もう一度繰り返しお尋ねしておきますが、厚生大臣権限知事委任する場合には法第九条、十一条、二十四条、五十七条、六十一条の事項についてというふうに、私どもはまず政令内容に立ち至って、こういうように小委員会におきましては申し合せができておるのでございます。従いましてこの点についても小委員会の申し合せ通りおやりになる意思があるかどうかということをまず第一にお尋ねしたい。  第二には五大市長の場合にやはり同意書をば添えなければならぬというような、そういう手続をちゃんとお考えになっておるかどうか、手続内容等について厚生省の構想をお聞きしたいと思います。
  8. 山口正義

    山口説明員 政令内容、どの権限を委譲するかということにつきましては、小委員会で御審議がございまして御意見もございますので、その点十分尊重して参りたいと存じております。  それから政令内容は、先ほど申しましたようにまだ具体的にはっきりきめておりませんけれども、たとえばただいま御指摘同意書を取るというような、かなり具体的に書き上げて間違いのないようにして参りたいと考えております。
  9. 赤松勇

    赤松委員 次にやはりこの委員会におきまして同僚滝井君から次のような質問が行われまして、厚生当局は次のような答弁をされております。「工場や事業場等で行われておる特殊の空活協同組合のようなものあるいは地域で行われておるような生活協同組合とか農業協同組合等のもの、こういうようなものは当然適正化規程適用を受けないものになるのだろうと思うのですが、さよう了承をして差しつかえないか。」これに対して楠本政府委員の方から、「一応の考え方といたしましては、生協に対してもちろん員外利用を活発に行うというようなことになりますればこれはもう問題外でございますが、たとい員外利用等を行わない本来の生協活動範囲内にあったといたしましても、この場合市価主義を採用するということは私どもは行き過ぎではないか、かように考えております。さような含みでこの適正化規程運営をしなければならぬものと存じます。ただし営業方法あるいは衛生基準というようなものにつきましては、これは二道あろうはずがございません。従ってこれらの点につきましては他の営業同様適正化規程適用を当然受けるべきものと私ども考えておる次第でございます。」こういう答弁をされておりますが、小委員会におきましてはむろん衛生基準等につきましては、すなわち公衆衛生を高めていくという社会的使命を果すためには当然法の適用を受けなければならぬということは、生協であろうと福利施設であろうとこれは免れることはできない、またこのことは消費者利益とちっとも背馳しない、むしろこのことは消費者利益と合致する、こういうように考えております。ただ問題は福利施設あるいは生協等の特殊な職域の施設等につきましてあるいは営業等につきまして、その場合やはり問題になりますることは業者の方で強く希望しておりまするすなわち料金の問題が非常に問題になってくると思うであります。しかし環境衛生適正化に関する法律の本来の精神というものは、料金を上げるということがこの法案精神ではないわけであります。それはいうまでもなく公衆衛生を高めて、そうして社会全体の衛生サービスをば高めていくということが法の精神であって、ただたまたまその場合、極度に不当な競争等でそういう施設が十分できないという場合にのみ、これが料金適正化について問題になる。その場合においても消費者業者利益バランスというものは十分考えなければならぬと思います。それゆえにこの法律の中でわれわれは厳重に、公正取引委員会協議を経なければならぬとか、あるいは審議会の議を経なければならぬとかいうような幾つかのチェックをしたわけでございますけれども、この点について、さらに私、念を押しておきたいと思うのですけれども、この料金等の問題については、すなわち同業組合が三分の二以上で組織をされる。そして個々に自主的な協定料金というものができる。この同業者以外のものが不当な常業行為をやった場合には、それに対する、たとえば営業施設を著しく破壊するとか、あるいは適正料金を乱すとかというような場合は、当然この法によりますと、アウトサイダーに対する規制が行われる。その場合、生協その他のものにこれが適用されるということになれば大へんだから、従って料金の問題については、福利施設生協等は、当然はずすべきであるということは、自民社会両党の意見一致を見まして、そしてこれを何らかの形ではずすということで、その措置厚生省にまかしたわけでございます。それにつきましては、もちろん厚生省の方では、委員会意見を尊重されまして、その適当な措置を講ぜられると思うのでございますが、その際に、どういうようなことを考えておられるかということを聞いておきたいと思うのでございます。
  10. 山口正義

    山口説明員 この法律精神は、ただいま赤松先生指摘になりました通りでございます。ある程度いろいろな経済関係の問題が入ってきてはおりますけれども、やはり公衆衛生立法でございまして、ただ過度競争によりまして、公衆衛生の水準を維持することができないというようなときに、いろいろ規制を加えるということになるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘になりました生協、農協というような特殊なものにつきましては、公衆衛生という立場から、一応全部網はかけるというつもりでおります。ただ、その際に、料金あるいは販売価格の制限というようなことにつきましては、特例を認めていきたいというふうに考えているわけでございます。その認め方につきましては、私ども現在考えておりますのは、適正化規程を認可いたします場合には、そういう点を考慮してやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  11. 赤松勇

    赤松委員 次に、もう一つ念を押しておきたいと思いますが、やはり同僚議員滝井君から、公正取引委員会に対しまして、質問が出ております。「今の公取の御説明を聞いてある程度安心をしたのですが、できるだけ一つ過当競争消費者利益を不当に害するという、こういう両極の間の線の引き方については科学的な検討を加えて、そして業者なり消費者が納得をする形で、日常生活に密接な関係のある七つの業種が適正化規程を作るような場合には一つ御指導をお願いしたいと思います。」これに対して坂根政府委員は「ただいまの御質問は、私どもも一応問題としてはそういう工合に消費者利益が不当に害されるのではないか、こう考えております。しかしこの法律規定によりますと、この適正化規程と申しますか調整規程主務官庁が認可される場合には、われわれの協議になっております。この協議中小企業安定法あるいは今度の団体法においては実は同意になっておりますが、この協議同意を同じような精神運営していただきまして、大いに独占禁止法実施官庁である公取意見を尊重していただいて運営していただくならば、その点はやっていけるのではないか。第二点のアウトサイダー命令が出た場合の権利侵害の問題は、これも一応問題として考えられますが、このアウトサイダー規定の書き方が従来の適正化規程の内答を参酌して政府が積極的に発動していくという建前をとっておりますから、その点は政府がそういうアウトサイダー命令を公共の利益に立ちながら発動していく、しかも従来の適正化規程内容を参酌していくという点において救われるのではないかと考えております。」こういうふうに答弁をされておるのであります。法十三条で規定しておりますように、この際の公正取引委員会との協議というのは、ここで公取答弁しておりますように、中小企業安定法等でいうところの同意という意味に解釈をいたしまして、私ども委員会では満場一致その解釈の統一をやっておるのでございます。その際、内閣法制局あるいは衆議院法制局見解を聞きました。その協議が整わない場合には、どうなるか。協議が整わない場合におきましては、適正化規程を申請する、その申請されました適正化規程は、結局公取協議が整わない場合には、その効力は発生しないのだ、こういうような見解でございまして、委員会もこういう考え方一致しておるのでございますが、この点につきまして、なお厚生当局に念を押しておきたいと思います。
  12. 山口正義

    山口説明員 本法の第十三条にございますように、規程公正取引委員会協議しなければならない、ただいま赤松先生指摘通りになっておるのでございますが、二十六国会における御審議経過から見ましても、この「協議」という文字は、精神としては同意を得るというのと同じような扱いにしろというような御意見が非常に強かったのでございまして、参議院においては一応そういうふうな修正も行われたのでございます。しかし最終的には、現在規定にございますように、協議という形になったのでございます。従いまして私どもは、この法律を運用して参ります場合に、厚生大臣適正化規程を認可いたしますという場合には、公正取引委員会協議して、その協議が整わないというような場合に、あくまで無理押しをするというような考えは持っておりません。協議が成立した場合に、初めてこれを実行に移したい、そういうふうな扱いをして参りたいと考えております。
  13. 赤松勇

    赤松委員 次に、五十八条の審議会の問題につきまして、これも厚生当局見解を聞いておきたいと思います。審議会構成でございますけれども、その内容につきまして、やはり委員会は、次のように意見一致しております。当時厚生省試案として出されましたのは、審議会構成メンバーは三十五人、そのうち消費者代表が十名、それから業者代表が十名、残る十五名は関係官庁及び学識経験者等構成をされる、その際、楠本政府委員から、もし何でしたら、委員の数をもっとふやしてもよろしいと、小委員会において実は発言がございました。しかし、やはり委員会構成としましては、それは少しおかしいのじゃないか、つまり消費者及び業者双方十名ずつ同数にして、むしろ公正な意見を持ち、消費者立場に立っておられます学識経験者の方を多く入れる方がいいのじゃないか、そういうことになりまして、大体厚生省が提示いたしました試案を承認したわけでございます。その際やはり委員会意見一致いたしましたのは、消費者代表の、いわゆる消費者の概念でございますけれども、これはやはり消費者として組織された消費者代表、すなわち労働組合生活協同組合、あるいは中央におきましては主婦連地方におきましては地婦連というような、つまり労働者あるいは婦人、または農村地帯におきましては農民というように、こういう組織された消費者代表というよりも、はっきり申し上げまして、労働組合生協、それから主婦連代表、こういうものをもって構成すべきであるということで、意見一致を見ておりますが、政令お作りになる場合、この委員会意見をむろん尊重していただきたいと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  14. 山口正義

    山口説明員 環境衛生適正化審議会組織運営につきましては、本法の五十九条で政令で定めるということになっております。その構成試案は、ただいま赤松先生が御指摘になりましたように、国会での御審議中に一応私ども考えも申し上げたわけでございますが、現在私ども考えておりますのは、利用者代表業者代表学識経験者それから関係行政機関代表者というふうに考えておりまして、人数につきましてもバランスのとれるように考えて参りたいと存じております。利用者代表としましては、ただいま御質問のございましたように、生協代表者あるいは労働組合代表者主婦連代表者あるいは地域婦人団体連合会代表者、そういう方々に委員をお願いして、そして利用者と申しますか、消費者意見を反映させていただくようにいたしたいと考えております。
  15. 赤松勇

    赤松委員 二点希望しておきます。第一点は、委員会におきましては、厚生省政令を作る場合には、この環境衛生適正化に関する法律審議する小委員会を設けました。自民社会両党で作りましたこの小委員会に必ずその試案を提示して、よく協議の上で政令をば作ってもらいたい、こういうことになっておりますから、政令お作りになる場合にはぜひ小委員会にその案を提示して、小委員会意見一つ求めてもらいたい、これは植村委員長にも一昨日すでに同意を得まして、植村君もこれを確認しておられますし、きのうも野澤委員にも会いまして、またこの点も確認されておりますので、小委員会の決定通りやっていただきたいということが一つ。  もう一点は、厚生省は一方には環境衛生関係業者団体をかかえ、他方においては生協等のいわゆる消費者団体をかかえている。いわば厚生省両極にわたる二つの団体の中に立っております。従ってその利益をどのように調和していくかということは、非常に重要だと思います。ただわれわれはここではっきり申し上げておきたいことは、私ども主婦連のような態度はとりません。すなわち主婦連の諸君の主張は、これは公衆衛生とかサービスということよりも、むしろ何でもいいから安くなればいいという態度であって、もしこのような態度が承認されますならば、今日農民の米価の値上げの問題なども、結局消費者立場から全部反対しなければならぬ。そうしますと、消費者のエゴになって、この経済生活は実際にはできなくなると思うのです。やはり中小企業には中小企業立場があり、労働者には労働者立場がある。たとえば今日私ども最低賃金制実施を要求している。あるいは労働基準法完全実施を要求している。ところが過度不当競争によって年中無休というようなことで、当然与えられるべき休日も与えられない。あるいは八時間労働を破って十三時間も十四時間も働かされる。しかも三千円か二千円の小づかいでもって徒弟制度の中でこき使われている。そういうことは困るのであって、やはり労働者に対しては適当な休養を与えなければならぬ。また適正な貸金を与えなければならぬ。従って中小企業生産コストの中にはこのようなことが当然含まれていかなければならぬと思います。私は公正取引委員会厚生省との間にそういう協議が行われたかどうか知りませんけれども、今日公正取引委員会といえども生産コストを無視し、あるいは労働者労働条件を無視して、ただ一方的に消費者利益ということだけを考えられないと思うのです。従ってこの点については私ども労働者立場中小企業立場、広くは消費者立場、そういうものを社会的にどこで調和していくかということを考えております。そういう意味で厚生省は二つの両極をかかえながら仕事をしていくのでございますから、非常にむずかしいと思いますけれども、どうぞ業者のエゴイズムに引きずられないように、消費者利益を十二分に守っていただきたい。たとえば今八十円の床屋さんが——この八十円というのは適正な価格であるかどうかということが一つ問題になったとする。ところが一方においては百五十円に上げろという、これはまあ五段階ぐらいに分れて基準が作られると思うのでございますけれども、その場合百五十円が適正か、八十円が適正かという問題は相当むずかしいと思うのです。そういう場合にむろん厚生省の方で百五十円が適当だというようなことを言うと、これは行き過ぎだと思う。ただ原価計算をして、こういう勘定になるんだというような資料をいろいろ提示するということは必要だと思いますけれども、価格まで提示してこれでいけというような行政指導はむろんおやりにならぬと思っております。この法の精神は、あくまでも同業組合の中で業者みずからが民主的に、自主的に、いわゆるボス幹部を排除して、そして民主的に選出された指導者のもとで消費者利益を不当に害さないように、かつまた従業員の利益をも考慮しながら適正な価格を設定していくというところに法の精神があると思うのです。従ってアウトサイダーに対する規制というような国家権力の発動は下の下であって、むしろこういうことが行われないことが望ましいのである。当局の指導がよろしきを得て、同業組合がほんとうに民主化され、社会的に高い視野の上に立って問題を考えていくならば、国家権力の発動、アウトサイダーに対する規制というものは起きてこないということを私は確信しております。そういう意味で厚生省の方では誤まりのない指導をやっていただきたい。何と申しましても、民主的な同業組合を作るということが一番大切です。ただ同業組合を作る場合に、旅館の例をとりましても、上は帝国ホテルから下は簡易宿泊所まであるのですから、非常にむずかしいと思う。従ってこれを縦に一本にするということは、なかなかむずかしいのであって、やはり横の線も考えてもらわなければならぬ。同じ喫茶と申しましても、季節的な喫茶もあれば、あるいは恒常的な喫茶もあるのであって、こういうものはやっぱり業界の現実的ないろいろな姿を的確に分析してもらって、それに合った対策を講じてもらわぬと、都道府県一本、三分の二以上、こういうふうに法に書いてあるからということで、これを機械的に解釈されておやりになりますと、同業組合は事実上ほんのわずかしかできないのであって、この法の運営はとうてい期せられないというような結果も招来してくると思いますので、その点について特に御注意をお願いしておきたいと思います。これについての厚生省のお考えをこの際聞いておきたいと思います。
  16. 山口正義

    山口説明員 本法を施行して参りますのに政令を定めなければなりませんが、その政令を定めますのに、この法律の性格から考えまして、非常にデリケートな問題をたくさん含んでおりますので、私ども慎重にやって参りたいと考えますが、政令の案ができました際には、ただいま御注意の点を十分尊重して参りたいと存じております。  それから、御指摘のように、本法を運用して参ります場合には、業者消費者利益バランスを十分考えて運用していかなければならないと考えております。もともと環境衛生関係につきましては、食品衛生法なり、公衆浴場法なり、旅館業法なり、それぞれ母法があるわけでございまして、これは行政的に上からいろいろ措置していくわけでありますが、本法によりまして自主的に公衆衛生の水準が高められていくようになることを私どもは期待しているわけでございます。その点自主的な運営に待つという御注意は全く御同感でございますので、そういうふうにして参りたいと思います。  それから同業組合の結成につきましては、これは本法の第三条で「政令で定める業種ごと」というふうになっておりますので、第二条に規定してございます営業につきましても、さらに実情によってただいま御指摘のような点もございますので、細分しなければならぬかというふうに考えておりますが、それらの業種を政令で定める際にも十分注意をしてやって参りたい、こういうふうに考えます。
  17. 赤松勇

    赤松委員 よくわかりました。ぜひ一つそういうふうにしていただきたいと思います。  なお厚生当局にお願いしておきたいことは、厚生省の内部のことはよくわかりませんけれども政令を作るなり、あるいは基準を作る場合におきましても、一つ社会局の力の御意見を十分聞いて、そこに意見の食い違いがないと思いますけれども、これはたまたま政府提案ならば、おそらく十分な討議が政府部内においても行われたと思います。ところが議員立法なものでありますから、当局としましてはやりにくかった点があったと思います。これは十分察することができるわけでございますが、われわれも議員立法をする場合にはもっともっと慎重な態度が必要ではないかということも十分考えております。ただ法の実施に当りましては、同じ厚生省の中の社会局の意見一つ十分聞いてやっていただきたいということが第一点。  第二点は、問題は違いますけれども、この間名古屋市会の諸君が陳情に参りまして、木曽川の水が最近工場誘致によって非常に汚濁する、その防止の立法化についてはしばしば今まで陳情があったわけでございますけれども、聞くところによれば、この二十六回国会では漁族保存というような意味から、農林省からこれに関連する法案が出るのではないかということも言われておったようでありますけれども、まだ顔を出しておりません。そこで厚生省は農林省とは違った立場、都市の公衆衛生を守るという立場に立ってこの立法化についてどのようにお考えになっておるか、この際聞いておきたいと思います。
  18. 山口正義

    山口説明員 第一点の本法運用についての厚生省内の連絡調整といいますか、そういう点は十分注意して参りたいと思います。  それから御質問の第二点のいわゆる汚染と申しますか、水質の汚濁防止という点につきましては、過去数年来非常に大きな問題になってきているのでございまして、産業の発達特に各種の化学工業の発達に伴いまして、従来正常であった河川その他の水が非常に汚染される、それを私ども立場で申しますれば飲用水、水道の水源に使っているという場合に非常に問題になるわけでございます。ほかの面から考えますれば、農林省の漁業の問題あるいは農産物の問題にも関係してくるわけでございまして、私ども水通水の水源保護という立場から、何とかこれを法的に規制できないものかということで、ここ数年来いろいろ検討して参っているのでございますが、まだ法的これをどうするかという結論まで達していないのでございます。しかしながらこれは一方には私ども国民の公衆衛生という立場から、また他方には先ほど申し上げましたように、農林省関係、水産あるいは農産物の関係もございます。また一方には通産省関係として工業の発展と申しますか、発達、そういう点とも関係がございます。現在政府部内の各省でこれが関係がございますので、現在のところでは総理府の経済企画庁に水質汚濁防止に関する委員会を設けてもらいまして、それに関係各省から意見を出して、そうして水質汚濁防止についての立法措置等について検討するということになっているわけでございます。厚生省立場だけで立法するということでなしに、関係各省が寄り合って十分話し合って一つ法律を作り上げようというような態度で進んでいるわけでございます。
  19. 門司亮

  20. 春日一幸

    春日委員 私は公営等の住宅に関する固定資産税の問題について大臣にお伺いいたしたいのであります。たしか先月のこの地方行政の委員会でありましたか、わが党の北山委員質問に答えられて、大臣は公営住宅に対する固定資産税の徴収方について、特別の行政措置によってその操作をはかっていきたい、こういう趣旨の御答弁がなされておったと存ずるのでございます。国営、県営、市営住宅に対する固定資産税は現在どういう取り扱いに相なっておりますか、この際まずもってその点についてお伺いをいたしたいと存ずるわけであります。
  21. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 事務的なことでもございますから、事務の方から説明を先に申し上げます。
  22. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまお尋ねのございました公営住宅の点につきましては、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というものが昨年の国会できめられました。それで昭和三十一年度におきましては、すでに法律通りましたのが年度開始後でございまして、家賃をとっておるという状況もございました。かたがたこの公営住宅の家賃につきましては御存じの通り終戦直後にできましたものと最近できておりますものとの間には、著しい不均衡があることも事実でございます。そういう不均衡がございますところにこの交付金相当額を課すということになりますと、いよいよ不均衡となるということが憂えられましたので、三十一年度におきましては市町村に対しまして都道府県は交付金相当額を出す。そしてその都道府県に対しては別途特別交付税で、その減収分と申しますか、入居者に転嫁できませんので、それだけの分は補てんする、こういう取り扱いをしたのであります。三十二年度におきましても依然として公営住宅相互間の家賃の不均衡が解消されておらない状況であります。関係当局におかれましては公営住宅相互間の家賃の不均衡是正という問題について最近において強力に指導する、こういうような様子でございますので、三十二年度におきましても三十一年度と同様に市町村に対して都道府県は交付金相当額を支出するけれども、それに相当する額は特別交付税で別途補てんするという措置をいたしておる次第であります。
  23. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、公営住宅に対する固定資産税は三十一年度が宥恕されておったと同様に、本三十二年度においても宥恕されておる、このように理解して差しつかえありませんか。
  24. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 けっこうでございます。
  25. 春日一幸

    春日委員 ただいま事務当局の御答弁によりますと、各公共団体に対して家賃の不均衡を是正するための指導を行なっておるというお話でありますが、それはいかなる方向に対してこの不均衡を調整せんとするものであるか、低いものを高めるのか、高いものを低めるのか、その方針はいかがですか。
  26. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これは率直に申しまして、自治庁の所管ではございませんで、建設省の住宅局の所管になっております。ただ問題といたしましては今年度におきましては昨年度と同様な措置をとるかどうかという点を政府部内で話し合ったわけであります。そのときに私ども建設省の住宅当局とこの問題について協議をいたしたわけであります。その協議をいたします過程におきまして、建設省の方でそういう指導もするというお話でございましたので、それとにらみ合せていたすということになっておりますので、具体的な措置の点につきましては、ちょっと私どもといたしましてはわかりかねる次第でございます。
  27. 春日一幸

    春日委員 政府部内の話し合いでありますから、当然一半の責任は自治庁においても負われておると思うのであります。私は公営住宅に対して、固定資産税を将来において取るかあるいは取るべからざるか、この問題の全国的な処理として考えられておることは、今あなたが御指摘になりました、要するに固定資産税を安きに政策的に地ならしをしていくか、あるいは経済ベースに重きをとってこれを高く地ならしをしていくか、そういう点にこの同定資産税のかけるかけざるという問題も関連をもって参ると思うのであります。大臣はこれに対してどういう方針でおいでになっておるか、その御見解をお示し願いたいと思います。
  28. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 公営住宅の固定資産税の問題は、原則としてこれを取る、こういう方針であるとお答えを申し上げるより仕方がないと思います。ただ極力軽減の方法も考えなければならぬと考えますし、この固定資産税相当額の取り方が、地区によってまちまちである、こういうことも不合理なことでございますので、一定の基準を設けまして、地区によってまちまちな課税を行わないようにすることが一つ。  それからもう一つは、建築後三年間は課税の対象となるべきものの評価を二分の一にするということで、負担の軽減を極力はかりながらこれには課税をしていく、こういう方針が大体の方針でございます。
  29. 春日一幸

    春日委員 私はこの際特に大臣の深甚なる御考慮をわずらわしたいと思うのでありますが、当然地方財政の建前からする財政政策、地方財政政策もありましょうし、徴税行政としての本来の徴税政策も、これはオリジナルなものとして別個に存在すると思うのであります。けれどもここに住宅政策というもの、それから社会政策というもの、これはまた高度の政策目的をもって、大いにそれぞれの関係政策を通じて、これを敷衍して助長していただかなければならぬと存ずるわけであります。御承知通り戦後建てられましたこれらの公営住宅、そこに居住しております諸君というものの世帯別の収入というものについても、おおむねこれは御調査に相なっておると思うのでありますが、当然これは勤労者階級であって、低額所得者がおおむねその大部分を占めておるのであります。ここにもってきて固定資産税がかけられていく、そうしてそれがさらに居住者に転嫁されていく、こういうようなことに相なりますれば、これは結局それらの生活負担を加えて参ることになりまして、これは住宅政策といたしましても、さらにはまた社会政策といたしましても、当を得たものではないと考えるわけであります。さればこそこの問題については、政府部内においては、昨年度においても本年度においても、容易に結論が出し得なかったところではなかろうかと存ずるわけであります。従いまして、今大臣はここに唐突に、昨年度本年度において出し得なかったその結論を、将来は原則として——もっとも原則としてという前置きはございましたが、とにかく課税する方向で研究しておるという御答弁でありましたけれども、これは相ねがわくは課税せざる方向、すなわち一般庶民大衆の生活費を、政策的にできるだけこれを軽減せしめるということは、これは政策の本来の目的でもありましょうし、また住宅を建てましたことも、できるだけ低家賃で住宅をまかなっていこうという本来の趣旨から考えますれば、ますます高くしていくというようなことが、その住宅政策に逆行するものであることは論を待たないところであります。  私が申し上げたいことは、この固定資産税の問題が、本年度においても、昨年度においても、言うならば、こんな小さな問題と言っては語弊がありますが、地方財政から申しますれば、そんな巨大なものではない。そういうふうなものが、両年度にまたがって容易に結論が出し得ないという、そういう点から考えられて、一ついろいろ大臣にも御方針等があるでありましょうが、さらにより深き角度からこの問題については深甚なる御検討をわずらわしたいと存ずるのであります。  そこで公営住宅に対する固定資産税の問題は、本昭和三十二年度においてはかけられていない、免除されておる、そういう現状にあるわけであります。この問題は政府のお考えでもあり、あるいは一般国民の世論でもある次第であります。次期国会においていかなる形をもって法制化されていくかということは、将来の問題でありますが、現段階においては少くともペンディングの問題として、免除されておることは現実の問題であります。  そこで別に公団住宅というものがあるわけでありますが、これも公団の文字の示す通り、その公的性格については、公営住宅と何ら異なるものではないと考えます。この公団住宅に対する本昭和三十二年度の、固定資産税のお取扱いは、いかが相なっておりましょうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
  30. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 事務的に私から御説明申し上げたいと思います。公団住宅の問題につきましては、公営住宅の問題と一概に同じくは考えられないという面を持っておると思うのであります。まず日本住宅公団法ができました当時、固定資産税が課税されるということは、一応その当時関係当局の間で意見一致しまして、国会を通っておるわけであります。従いまして固定資産税を課税するという前提のもとに、公団住宅の入居者との間に締結されております賃貸借書においても、固定資産税相当分を入居者が負担するという契約の条項があるわけでありますが、そういう問題が第一点。  第二点は、公営住宅の場合においては、先ほど申し上げましたように、古いものは終戦直後から相当長期間にわたって住宅というものが建設されておりまして、その相互間に相当家賃の不均衡という問題がございます。公団住宅の方は、実はこの一月一日現在に建設されましたところに所在しております者から、課税の対象になって参るわけであります。そういった意味合いにおきまして、公営住宅の問題とは著しく問題のベースが違っておるのじゃないか、こういうように考えるのが第二点。  第三点といたしましては、公団住宅の問題につきましては、家賃が非常に高い。家賃が高いからその上に固定資産税相当分を上積みされるのは因る。こういう御趣旨のように私どもいろいろ拝聴いたしておるのでありますが、この家賃自体が高いという問題は別個に検討されるべき問題でありまして、家賃が高いから同定資産税をかけるな、こういう議論になりますと、非常に極端な議論を申し上げて恐縮でありますが、国の住宅政策というものを、市町村の固定資産税の免税ということで解決しよう、こういうことは窮迫しておる市町村の財政の現状から見ていかがであろう、こういうふうに考えるのであります。しかしながらそう申しましても、公団住宅の入居者の負担というものは、そう他に比べて同じようであったり、あるいは高いということはないのでありまして、第一には新築住宅につきまして、先ほど大臣からもちょっと申し上げましたように、三、四年間の固定資産税につきましては、負担が二分の一になる行政措置が講ぜられております。それから公団住宅の評価につきまして、市町村間に相当区々になっておるところがございます。そういった点もございますので、公団のように統一した設計で、全国的に集中的に、いわば一種のマス・プロで建築しておるといったようなところにつきましては、私どもの方で統一的な評価の基準を示しまして、それに基いて市町村をして評価をさせるように、現在行政指導をいたしておるのであります。そういった点をあれこれ考えてみますというと、公団住宅に対する政府の面で考えられる措置というものは、私どもといたしましては可能な限りの措置をとっておる、こういうように考えておる次第でございます。
  31. 春日一幸

    春日委員 お伺いをいたしますが、今の公営住宅と公団住宅とでは、固定資産税の関係に多少の相違があるということで、その根拠は公団法に固定資産税は入居者が払うものとするということがあるので、そのことがだんだんとここに関連を持ってくるというようなニュアンスがあるという御答弁でありました。そこで私がお伺いいたしたいのは、わが国の徴税行政は、国税と地方税たるとを問わず、すべからくこれは租税法定主義と申しまして、法律の定めるところによってこれを徴収されなければならぬと存ずるわけであります。私は国税のことについてはいささか承知いたしておりますが、地方税については私は全くしろうとでございまして、お教えをいただかなければならぬのでありますが、この固定資産税の本来の法律規定は、いかが相なっておりますか。固定資産税は、その財産の所有者が支払うべきものか、あるいはそういうものを居住者に転嫁することもでき得るものか、まずこの点をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  32. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと私の先ほどの説明が不十分でございまして、誤解を与えたような結果に相なっておるようでありますが、固定資産税の課税の関係は、おっしゃる通り、所有者に課税をするという建前でございます。先ほど申し上げようと思いましたのは、地方税法の三百四十八条の規定でありまして、三百四十八条の規定と申しますのは、固定資産税の非課税の範囲を規定したものでありますが、ここに住宅公団が載っかっておらない。従いまして、住宅公団は固定資産税の納税義務者であるということを実は申し上げたかった、わけなんであります。
  33. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、法律に違反する一切の政令並びにそれに準ずるものは無効であります。現在公団法がどういう建前になっておるか知りませんけれども、この公団法がその定めの中において固定資産税を居住者から取るということは、これは地方税法違反でありましょうか。固定資産税が独立の法律でありますならば、それは固定資産税の法律に照らしまして、これが違反の事柄を規定いたしておるわけであります。何と申しましても租税法定主義は——私は十九国会以来ずっと大蔵委員をやっておりまして、少くとも徴税行政の基本については誤まりなき理解を持っておると思うのでありますが、法律に違反するところの執行はもとより、法律に違反するところの特別立法は許されません。特に固定資産税は地方税法の適用を排除するとか、何らかの規定がありません限り、公団法ではそういう地方税法の基本的な規定に抵触するような、また本来の取りきめを圧殺するような事柄を規定いたしておりますことは、これは基本的の立法の効果をむなしくするものでありまして、これは大いに研究をすべき事柄であろうと存ずるわけであります。そういうわけでありますから、私は、当然公団法が定められたときに、建設委員会においてこの問題も、地方税法の本来のあり方、基本的な問題とよく照合して、この点についての検討がなさるべきであったと考えるわけでありまするが、ただいま居住者諸君がこの立場に立って、固定資産物件の所有者でない私たちが、その固定資産税を払うということは、とにかく法律の定めの中にどこにもない、こういう意味で、支払い義務を有せざるものとして、その支払いをとにかく拒否しておることは、私は相当の理由があると存ずるのであります。この点について大臣はいかに理解されておりますか。地方税法の適用の排除の何らの規定なくして、他の法律がそういうような勝手な解釈をしても、それで地方税法というものは、もし後刻さまざまな特別立法がかくのごとき方式に立法されたら、あなたは地方行政、地方財政運営に支障を来たさないとお考えでありますか。
  34. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 固定資産税は固定資産の所有権者が支払う建前であるということは、お説の通り地方税法の規定するところでございます。そこで公団住宅の人居者がこれを支払うということになる場合に、この地方税法の精神に反するものになるのじゃなかろうかということは、一応ごもっともであります。ごもっともでありますけれども、法的な解釈としましては、その所有者の支払うべき固定資産税に相当する金額を人居者が支払うという契約を結ぶことによりまして、契約自由の原則でございますから、これに相当する金額を入居者が支払うのだ、こういう契約を結んで、この契約に基いて支払うということは、これはいささかも差しつかえはないわけであります。契約がないのに、また入居者が何らの契約をしておらないのにかかわらず固定資産税を払わすという場合におきましては、お説の通り地方税法の支払いの義務者でない者が支払っておるではないかというお言葉が出てきても当然のことであります。契約があれば、契約は自由である、こういう原則から申しまして、すべて民事契約が優先する、民事契約によってあらためて支払いをする義務を負担するということは当然のことであろうと存じます。しかし今あなたの仰せになっております問題は、そういうこまかしい法律の理論をここで展開するにあるのではなしに、いやしくも公団住宅といえども、公営住宅と立場を同じくするものではないか。建築年次が異なり、また入居者の支払うところの家賃の高低ということにはむらはあるけれども、何にしても広い、大きな意味において、住宅対策としては低家賃で入居をさすというところに眼目があるわけだから、従って公団住宅についても同様に措置をする道が何かなかろうかという、同情的な御見解にお立ちになっての御議論であって、私の方もこれを排聴いたしまして考えますことは、住宅公団ができた当初から、規定もあることであるし契約自由の原則によって、契約書に判をついて入っておることであるから、払うのは当然ではないかという議論をここでしたくないのであります。そういう理屈のほかに、お説のような事情があるなら、低家賃政策というものの考え方に立ちましてこれを一つ考えてみたい、こう考えるわけでございますが、自治庁だけでここで直ちに判断するということもできない事情にもございますので、主として建設省住宅局でございますが、建設省との間にも密接なる連絡をとりまして、広い高い見地に立って、法律規定はこうあっても、また契約の上で内容がいかがなっておりましょうとも、この話は一応別論といたしまして、これを御意向に沿うような方向に向って一つ検討してみたい、こう考える次第であります。
  35. 春日一幸

    春日委員 ただいま大臣から非常に含蓄豊かな御答弁を伺いまして、私は強く善処方を御期待申し上げるものでありますが、なおこの際でありますから、特に問題点を明確にいたしまして、特に大臣が閣内においていろいろ御折衝を願う上におきましても一応便宜に供していただきたいと存ずるのでありますが、この公団法の中で、居住者に固定資産税を払わしめるという規定は、第何条にあって、かつその正確な条文はどういうことに相なっておりますか、事務当局からこの際ちょっと伺っておきたい。
  36. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 先ほど大臣から御答弁がございましたように、固定資産税相当額を入居者に負担させるかどうかということになりますと、これは公団と入居者との間の契約の問題になります……。(春日委員「それは伺っていない、根拠の条文を聞いておる」と呼ぶ)法律の根拠の条文は、公団法自体にはないと存じます。
  37. 春日一幸

    春日委員 それでは居住者に固定資産税を払わしめるというその条項は、いかなる法律、いかなる取りきめのどこにあるのか、そしてまたどういう文章でそれが規定されておるのか、それをお示し願いたい。
  38. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 失礼しました。日本住宅公団法施行規則というのがございますが、これの第九条第一項にその規定があるのでございます。それをちょっと読み上げてみます。「公団が賃貸する住宅の家賃は、賃貸住宅の建設に要する費用」次の括弧のところは抜かさしていただきますが、「を償却期間中利率年五分以下で毎年元利均等に償却するものとして算出した額に修繕費、管理事務費、地代相当額、損害保険料、貸倒れ及び空家による損失を補てんするための引当金並びに公租公課を加えたものの月割額を基準として、公団が定める。」こういう規定がございます。日本住宅公団法施行規則の第九条であります。
  39. 春日一幸

    春日委員 わかりました。いずれにいたしましても、その公租公課の対象となりますものは、固定資産税をさしておると思うわけであります。これは明らかに、その原価計算の中で、すなわち公団住宅の原価、コストが幾らになることが適正であるかという算出の当時に、そういうものを含めて計算するということであろうと思うわけでありますが、しかしながらそのことは、少くともその固定資産税とうい税課目を所有者でない者に負担せしめるという表現は、これは明らかに地方税法違反であろうと思うわけであります。これはどういう事情でありましょうとも、その所有者が払うべきものであって、所有者が負担すべきものであって、これを法律が定めていないところの第三者に転嫁せしめるというあり方は、しかもそういう表現でもって行うということはいけないと思います。私は、今大臣がお話しになりましたように、これは民事契約でなされておるということでありますけれども、しかし、入ります当時これらの諸君がかりそめにそういうような取りきめを行なっておったといたしましても、これは今大臣が御答弁になりましたような高度の政策的立場から考えましても、現に他の公的住宅の家賃は、国営の公務員住宅は五百円から千八百円というような低家賃であり、公営関係は千八百円から二千八百円、最高といえども二千八百円、そこにもってきて同じ住宅政策で生まれたところのこの公団住宅は、それは中身はりっぱでもありましょう、けれども、これは四千円から六千円という、すでに非常に高い家賃になっておるわけです。そこにもってきて、さらにプラス固定資産税という形で付加していくという形になりますと、これは何といっても大へんなことになってくるのです。こういう住宅政策が、果して鳩山内閣当時からずっと石橋さん、岸さんと続けて参りましたあなた方の党の国民に約束をされた住宅政策の中身であるか、こういう点を考えますると、これは政府としても慎重に御検討を要すべき事柄ではないかと存ずるわけであります。僕は特にこの際、大臣に御検討願いたいのでありますが、全国でこれを一万五千戸と考えまして、今各地方公共団体とそれぞれの居住者との間で、さらに公団当局もまじえて、その税額の交渉が行われておる様子でありますが、ある地方において妥結したところでは、大体三百円くらいで話がまとまっておるところもある様子であります。一戸当り三百円といたしますと、一万五千戸にしても年額約四千五百万円ではありませんか。全国の地方財政の中においてこれだけのものをとったところでとらなかったところで、言うならばこんなものは金魚のふんなんです。私は、地方財政の中に四千五百万円入ろうと入るまいとこれによって地方財政が破綻するとかこれによって健全化されるとかいうような要素たり得べきものではないと考えるわけであります。地方公共団体全部に対して四千五百万円は金魚のふんである、それが六千万円だって同じことなんです。ところが四千円から六千円払っておる一万五千戸の世帯は、これがかけられるかけられないということは、それこそ起死回生とでも申しましょうか、ほんとうに重大な影響力を持つ、実際的な影響力を持つ生活上の重大問題であるわけなんであります。でありますから私は、これら一万五千世帯の諸君が、すでに御承知通り大臣にも何回か陳情されておりまするし、過日近畿において、この関東において、福岡地方において、中部におきましてそれぞれの諸君がこの負担から軽減されたいというやむにやまれない生活上の負担から大会を持って、強く国会にも政府にも陳情しておるのでありますから、私はこの際大臣の英断をもって、特に公営住宅も本年度においては特別の宥恕をされておるのでありますから、同じ公的性格を有しておる、しかも彼らの家賃は高いのであるからこれ以上負担をかけないためにも政治的、政策的措置、こういう意味で、本年度宥恕されておるものがあるならば、これらの諸君に対しても本年度は特別に宥恕をしてやってもらいたいと思うのです。しかしながら今国会はすでに閉会でありまして法的措置を講ずることができ得ないでありましょう。しかしあなたは法学博士として法律の各関係においても非常にくろうとであられるし、特にこの地方行政の問題については格別の情熱を持って対処せられておるのでありますから、やり方はあなたの才慮をもってすれば、幾つも方法があるのではないかと私は考えるのであります。先般私はプライベートに意見を申し述べたのでありますが、たとえばこういうような固定資産税の徴収方を、関係地方公共団体が本年度に限って特に目をつぶって徴収せざる場合ありといえども、交付税関係においてはこれを問責事項としないとかなんとかいうような事柄で、各地方公共団体の良識ある措置によって現実的には居住者の要望がかなえられ、そして政策目的がそごに均衡がとれていくという、こういうような方法もとれるのではないかと考えるわけであります。この問題は全国の一万五千の諸君が真実に何べんも何べんも会合をして、考えてみればまことに気の毒な問題でありますから、すべてはこの際本委員会の権威と責任において実際的効果のあり得る措置をおとり願うための善処が願いたいのでありますが、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  40. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 全体としてはわずかなものではないかというお言葉でございますが、そういう観測もできる事柄でございましょう。しかし、同時にまた、他の関係との負担の均衡という点も考えてみなければならぬことであろうと存じます。やり方はいろいろございましょうが、現在の措置としましては、負担が二分の一になるごとくに行政指導を行なっておるということが、一つ措置でございます。もう一つは、そもそもの物件の評価そのものにおいて、金額が非常に有利に顧慮されてあるという点でも、一つ措置が現に行われておるわけであります。これは、これからやるのではない、今までにすでに行なっておるのでございます。その上に、しかしながらこれを公営住宅と比較してみるというと、契約があるということのゆえに負担をしていかなければならぬというような面もあるわけでございますから、先ほど御答弁を申し上げましたように、この問題については関係各省とよく相談をして、いかにすべきかについて検討を重ねてみたいと思いますが、今直ちにここでどうしたいということは言いかねるのでございます。法律があり施行規則があり、契約の条項には調印ができて現に入居しておる、こういう事情になっておる案件でございますから、将来の問題としまして慎重に検討をしていきたいということでございます。
  41. 春日一幸

    春日委員 私が申し上げたいのは、現在四千円ないし六千円の家賃を払っておりますね。この居住者の所得のミニマムが二万五千円ということであります。ところがこの二万五千円から逆算して参りますると、大体平均家賃を五千円といたしまして二〇%に当る。そこへさらにこの固定資産税を加えて参るという形になりますると、これは二十数パーセントになるわけでございます。さきに建設省が発表いたしておりまするこの住宅政策に対する基本的な方針によりますと、少くとも建設省が住宅政策として立てていくところの家賃は、やはりその所得の一〇%内外にとどめる御方針のように基本的な方針を立てておるわけであります。これは一つ政府の方針でなければなりません。政府の方針が、住宅政策の基本として家賃は一〇%であるべきである、またそういう方針で住宅を建設しこれを国民に提供するのだ、こういうことを約束しておるのでありますから、やはりそういうような方針はあらゆる行財政の総合的な施策を通じて、その実現をはかっていただかなければ、足らざるところは補完措置を講じていただくのでなければ問題は解決し得ないのではないかと存ずるわけであります。そういうような点から考えましても、ただいま大臣も毎度この問題については閣内において検討したいというお言葉でありましたから、私は大臣の御努力に大いに期待をいたしておるものでありますが、どうか一つ、現実に家賃が高いということ、それから公営住宅、公団住宅といったって、これは一般会計からの支出と財政投融資の違いであって、そんなものは私は同じことだと思う。法的な性格について、その政策的な趣旨とその目的について何ら違ってはいない。一つは本年度においては徴収されていないんだし、一つは取られようとしておる、それを今大臣は半額に負けるとか、さらにこれを安くするための指導を行なっておるから、負担の軽減のための実際効果は上るんだというお話でありますが、彼ら居住者にしてみればこれはオール・オア・ナッシングなんです。公営住宅の諸君はそういう負担をしていないのに、われわれだけかけられるということはいやだ、納得できない、金額がどんなに安くなっても納得できないということで、現実には家賃を供託したり、あるいはそれぞれ公団の代表者と猛烈なる折衝、団体交渉をしたり、地方公共団体のところへこれらの諸君が参られて、市町村の理事者あるいはその議会の関係者たちのこれに応待をいたしております労力というものは、これは容易なことではないと思うのです。こういう実情を一つ考え願って、高度の政治的な角度から大臣の親裁によって、問題の解決方をおはかり願いたいと思うのです。四千五百万円が大したものでないという考え方もあるいは言い過ぎかもしれませんが、現実の問題といたしまして、ほんとうに個々の府県、市町村にいたしますれば、こんなものは名目さえつけばどうでも処理できるのです。だからこそそういう不可能なことを居住者の諸君は言っているわけじゃありません。現実に処理でき、市町村財政に大きな穴があくという問題でないから、ぜひ一つ公営住宅に居住している諸君と同じ取扱いをして下さい、こう言っているのであります。私も大体の事柄は申し述べたと思いますが、この六月から課税されるというのでありますから、この六月、七月とだいぶんもめておりまして、現実に家賃の徴収も行われていなかったり、行われているところでも供託騒ぎがあったり、市の議会も居住者も公団も、この問題をめぐって大へんな混乱を生じておりますから、相願わくば一つ早急に閣議において、この問題については特に、私は今私見ではありましたが一つのアイデアを申し述べたわけでありますから、一つ実際効果の上ります措置を講ぜられんことを強くここに要望いたしまして、私の質問を終ります。
  42. 門司亮

    門司委員長 この問題はちょっとデリケートな問題でありまして、大臣は法律家ですからよく御存じだと思いますが、政府はこれを使用者課税と認めているのですか、どうなんですか。
  43. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 使用者課税と考えておるわけではございません。
  44. 門司亮

    門司委員長 そうするとさっき大臣の言われた民法における契約の自由から来て払うことになっておるからという御答弁と食い違うことになるのですが、どうなんですか。
  45. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 私どもが使用者課税と理解しておりますのは所有者に対して課税はできない。所有者に対しまして課税ができます場合は、その資産を所有している者に対して課税する。前、固定資産税の初期にございました。それから地租、家屋税の初期にあったわけでありますが、そういう形と違いまして、税のプロパーの問題といたしまして、私どもと住宅公団の間だけの問題であります。でありますから、それから先はこれは税という問題ではございませんで、住宅公団と入居者の間で、税の相当部分を転嫁させるかさせないかという問題でございますから、使用者課税という問題ではございません。
  46. 門司亮

    門司委員長 もう一つ聞いておきたいと思いますことは、私はなぜそういうことを聞くかといいますと、御承知のように憲法の三十条で国民に納税の義務を規定している。そうするとこれは国民の義務事項なんです。それがただ一つの省の政令で曲げられ、使用者側が負担するようになる。あるいは民法の契約の自由からというような解釈をされると、憲法との抵触が出てくると思う。そういう政令をむやみに出すことはどうかと思うのです。これは内部の家賃を定める場合の一つの基準としてのものの見方としてはあるかもしれぬ。しかしそれがあるからといって、政令で直ちに転嫁されていいのだということになると、憲法の三十条との解釈はどうなりますか。
  47. 中井徳次郎

    ○中井委員 私からも関連をして。先ほどからいろいろとお話を伺っているわけでありますが、鎌田君の説明を聞きますと、それは公団法の施行規則で、その施行規則の中を読んでみると、家賃をきめる基準として、その基準が十も二十もありまして、そのうちの一つとして公課がある、こういうのであります。しかるに公団が居住者に対して言うておりますことは当然いくんだというふうな考え方で今説明をなされている、ここに私は大きな問題があるのじゃないかと思うのです。当然いくという考え方なら法律違反の問題が起る、基準としてきめるというのならばこれは許せると思うのです。一番最初の家賃をきめたときにはその基準でいったんでしょう。しかしその後の物価の変動その他を当然のものとしていくというならば、公団の運営はきわめて楽です。これはほうっておいたって絶対損しっこない。そういうような公団というものは私はあり得ないと思うのです。特にここ二、三年たちまして、各地にどんどん住宅が建っておりますから、その運営の幅も初期に比べるとずいぶん広くなっていると思う。ここに私は自治庁と建設省との折衝の大きな一つの点が残されているように思います。当然取るのであるという解釈をするということは大きな間違いであると思うのですが、いかがですか。
  48. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 所有権のある者が同時に納税の義務を負っておる、こういう建前が固定資産税の建前でございます。これは御説明申し上げるまでもないと思います。そこで、それにもかかわらず入居者は当然に支払いをする、こういうことになりますと、一体何をしておるのだというお言葉はその通りそこで出てくる。入居をいたしますときの契約で、一定の定めを持った固定資産税相当額を支払いをするのだというこの自由の原則によって契約が結ばれておるということになりますと、当然払うのだということにはならぬわけで、契約に基いて払っておることになりますから、現在の制度のもとにおいて固定資産税を支払っておることは、その意味においてはけしからぬではないか、無理があるのではないかということは出てこないのではなかろうか。問題はこういう性質の公団住宅というようなものについて、先ほどから言われておりますような低家賃政策をモットーとしなければならぬようなこういう種類の住宅について、契約自由の原則によって契約は自由だからといって、そういうものを負担させ、契約を印刷物によって結ばしているということが妥当であるかどうかという問題はあろうと思う。そういう問題について検討をする余地があるのではないかと思いますので、私は検討をしてみたい、こういうふうにお答えをしておるわけでございます。契約があるという場合においては、自動的に当然に何らの意思表示がなくして義務を負わすのだということにはならないわけでございます。そういう意味において、どうぞおくみ取りをいただきたいと思います。
  49. 中井徳次郎

    ○中井委員 今私が申し上げたことをあなたは誤解されているのではないかと思うのです。契約の内容そのものが当然に値上げになるようにはなっておらぬのです。今そこで説明をされた基準として計算をしますとこうなっておるだけです。その家賃をきめる要素は十ばかりずっとたくさんある。そのうちのごく一部、金額もきわめてささいである。従いまして、公団の経理内容その他によりましては、そんなことは問題にならない数字であるかもしれぬというところに問題があると私は申し上げたのです。今の説明を聞きますと当然になっておりません。その点でございます。
  50. 春日一幸

    春日委員 政治的な立場からは大臣が善処して下さるということですから、それは非常に期待しているのですが、ただ、今委員長が尋ねられ、中井委員が尋ねられた問題は重大な問題だと思うのです。というのは、公課なるものが固定資産税そのものをさしておるということならば、これは明らかに法律違反です。法律違反をする政令とか、あるいは公団施行規則とかいうものは許されないのです。そのものをさしておるならば許されない。だからそのものをさしていないということで理解するよりしようがないですね。大臣そうじゃありませんか。公課というものは固定資産税をさすということならば、これは明らかに地方税法に違反をする。なぜかならば、所有者が支払うべきものを居住者に請求するということを施行規則としてそういうことをうたうことは許されない。公課になっておる。だからその公課は固定資産税そのものずばりをさしてはいない。さしておるならば法律違反である。所有者でない者に払わせるということになるから、この点は一つ明確でなければならぬ。それからそれに基いて居住者との間に民事契約が取りきめてあるから、それを徴収することはいかがであろうかということでありますが、これは大臣法律家でありますからわれわれしろうとが申し上げるまでもない。法律に違反する一切の取りきめは無効でありますから、そんな法律に違反する民事契約が結ばれておっても効力を持たない。でありますから後日固定資産税がかけられるということになれば、それは居住者に支払ってもらいますよといって、なるほど民事契約を取りつけてはありますけれども、しかしこれは形式的に言うならば、法律に違反する契約であるから無効である。しかしどんな難題がふっかけられても判を押さざるを得ない。入りたいし、結婚もせんければならぬ、住宅に困っておる。そこでそういうものを突きつけられれば、もっともっとむちゃくちゃなことが書いてあっても入りたいという一心から判を押してしまうのは人情です。だから法律論と実体論、特に人情の機微に触れてこの問題を御判断いただいて、一つ大臣大いに地方税法を守り、法律そのものを守るという立場から公団の主張に対しても、建設省に対しても一つ御検討を御要請願いたいと思うのです。その点蛇足ではありますが、一言申し加えて特にお願いを申し上げる次第であります。
  51. 北山愛郎

    ○北山委員 同じような趣旨なんですが、大臣が契約々々というので、自由な契約だからそれに基いてやったのだというお話なんですが、これは形においては自由な契約ですけれども、実際は入居者の方がのまざるを得ないような条件のもとに置かれておる。ちょうど汽車に乗る者は、やっぱり契約して乗るわけです。しかし一定の料金で、国鉄がきめた、政府がきめた条件でしか汽車に乗れないのです。いやならおよしということになるのですが、この契約の実体が、国の一つの政策として公団住宅というものが置かれておる以上は、形は契約だから向うも承知しておるのだ、だから法律論だけからは言えないというが、法律論としても私は問題があると思う。大臣は低家賃政策ということで、問題は建設省なりそっちの方に問題があるように言われますけれども、しかしこれは地方税法としても問題があると思うのです。今のように固定資産税をそのまま居住者が払う、使用者が払うという実態であるならば、やはり実態は使用者課税になってしまって、それが適当であるかどうか、これは地方税法の建前から適当かどうかというお考えがあろうと思うのです。現在のように固定資産税そのままを形を変えて家賃の中へ入れて計算されておる課税方式にしても、そっくりそのまま使用者が負担をするということについて、地方税法の建前からいいのかどうか。それを大臣としてはお考えにならなければならぬと思う。それが適当かどうかこの際伺っておいて、適当でないとするならば、税法の建前から直さなければならぬ、措置をしなければならぬ。そういう点を住宅政策の側と、それから税法の側から見ても問題があろうと思う。この前の国会では大臣はほかの公営住宅と同じように考慮しようというお話でしたが、やはり今の実態が使用者課税のような実態をしておる、これは適当でない。だからやはり公団の方で固定資産税を吸収するような、そうして使用者の負担を軽減するような措置考えるという意味で御答弁になったと思うのですが、具体的にはどうされるか、この席でもしもその点明確にできるならばはっきりしておいてもらいたいと思います。
  52. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 本日の質疑応答の問題でございますが、どうも税の問題と家賃の問題とが、——これは無関係なものではないわけですけれども、実際はこんがらかっておるのではないか。税の問題としましては問題はない、家賃の問題として問題がある、こういうふうに判断をしなければ理屈が立つまいと思います。家賃の問題として判断をするときに軽減されておるとしても固定資産税相当額を家賃の問題として義務を負わせておる。法律違反とか何とかいう問題はなかろうと思いますが、それが妥当であるかどうか、こういうことが問題の急所であろうと思います。それは何によって判断をすべきかと言えば、一体どういう政治の見方から公団住宅というものを建設しておるのかという考え方に立って、高いところから広くものを考えてみるという場合に、各省と折衝を重ねます上に若干のゆとりが出てくるのではなかろうかと思うわけであります。税と家賃の問題を混合して議論をいたしますと、これはいつまでたっても問題がわからなくなるわけでございますが、家賃の問題として考えてみて、そういう相当額を家賃の一部として徴収することが政策上よいか悪いか、こういう問題になろうかと思いますので、そういう観点に立って政府部内において検討を加えてみたい、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  53. 北山愛郎

    ○北山委員 地方税法の建前ではこれは問題じゃない、家賃の方の問題だということですが、私はそうじゃないと思うんですね。もしもそうであるならば、院現在の地方税法の中にもいわゆる発電施設とか電気事業のいろいろな施設に対して固定資産税を負けておるんですね、安くしておる。これは税の方としての問題じゃない、電気料金の問題なんですよ。なぜそれならば地方税法の固定資産税を発電施設について負けておるのですか、やはり税法の関連があるから、三分の一なり何なり負けておるんでしょう。これは電気料金のことだからそっちの方で解決しろ、税法は税法でもって普通の固定資産税を取るんだということになれば、大臣の言う通りなんです。しかしそういう場合には、税法の方でも電気料金について税法の軽減措置を講じておきながら、なぜ住宅政策については、これは家賃の問題は別個だ、税法の問題じゃない、こういうふうに言われるのか、これは理論的に矛盾しておると思うんです、どうなんです。
  54. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 僕はこの議論は朝から晩までやっておっても、同じことを何度も言うことなんで、私が申し上げるように税の問題じゃない、家賃の問題なんだ、家賃の問題なんだが税に相当する金額を家賃として徴収するということに問題があるのです、一口に言えば……。そこで、一方においては低家賃政策というものによって住宅そのものを公団で作るという建前なんですから、考える余地があろうと思うのです。そこで大いに検討してみたいということを言っておるので、よく話がわかっておるように思うのです。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 大臣は税の問題じゃないというけれども、それならば公営住宅についてなぜ特別の措置をとるんですか、こう言いたくなるんですよ。やはりこれは家賃ですから建設省の問題であるということでなく、地方税法の問題でもあるという気持で建設省と話し合いをする、政府部内の意見をまとめるということでなければならぬ。税のことはちゃんとやっておる、問題はないのだ、ほかの方で考えてもらうというようなことでは困るのです。
  56. 門司亮

    門司委員長 永田君。
  57. 永田亮一

    ○永田委員 時間がだいぶおそくなりましたので、ごく簡単に大臣に御質問申し上げたいと思います。  それはこのごろ新聞の地方版を見ておりますと、どの地方版も申し合せたように各県会なんかの議長の交代の問題、特に東京なんかで、東京都議会の議長の交代の問題で非常にもめておるという記事が出ております。それで、こういうことが毎年今ごろになると行われておる、そのために県会なら県政の審議がおろそかにされておる。私の力なんかでもそうでありますが、東京都議会などの様子を聞いてみましても、もうこの二、三カ月は都議会の議長の選挙のことばかりで議員が走り回って、毎晩いろいろそういう会合ばかりに追われておる、そのために都政の審議というようなことが非常に渋滞してきておるということであります。これはわれわれ自民党の方といたしましても、相当反省しなければならぬことがあるんじゃないかと思うのでありますが、こういう議長の任期というものは地方自治法の百三条でしたかを見ますると、議長や副議長の任期は議員の任期とするということが書いてある。議員の任期とするということになれば、四年間ということになるわけでありますが、これが四年間勤めた議長というものはない。どこの県会議長にしましても、大きな都市の市会議長なんかにしましても、大体申し合せのようなことを作っておって、一年交代のようなことをやっておる、そのために毎年今ごろになると、一年たったらまたその議長の選挙ということで大騒ぎをやって、そのために県会や都議会の行財政の審議が渋滞してしまう、こういうことを毎年繰り返しておるように思うのでありますが、こういう弊害が非常にこのごろは顕著に出てきておるように思うのです。それで、自治庁といたしましては、大臣も特にこういうことをお知りにならないことはないと思うので、こういういろいろの弊害が起きてきておるのについて何か御善処をされるお考えがないかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。
  58. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 法律の建前は議長、副議長の任期は議員の任期による、議員は四年、よって四年、これはその通りでございます。しかるに議長、副議長辞任をするという形式をとりまして交代を事実上やっておるということなんです。  これをどういうふうに指導をするかという問題でございますが、私の考え方を申し上げますと、そういうことでごたごたして本来の使命を全うすることのじゃまになるようなこともしばしばあるやに聞き及ぶのでありますが、これはやはり地方自治体における議員相互間の自主的な運び方に待つより道がないのではなかろうか、中途において交代をすることを許さない、死亡以外は四年やるべしという法律を作るわけにも参りますまいし、四年ときめておいて四年以内で交代することを得ということもわざわざ書く必要もなかろうと存じますし、どうもこの指導はややもすると自治体の自主的な任期の運営に容喙をするような形にもなりますので、法律の建前通り四年やれとも指導ができかね、約束があった以上は約束通り交代をせよとの指導もいたしかねるのではなかろうか、一に自治体における議員相互間の良識によって措置していただく以外にはこれは道がなかろうということが、ただいま考えておりますことでございます。
  59. 永田亮一

    ○永田委員 今の長官の御答弁通りに、自治体にまかせるより仕方がないと言われればそれまででありますが、たとえば、議長になっておって病気になったからやめるという辞表を出す、そういうことはあり得ると思うのです。ところが今の東京都議会の中西議長なんかのことをちょっと聞いたり新聞なんかで見てみますと、去年の六月四日に就任した、そうするとその就任した日に来年の六月四日付の辞表を出しておる、そして来年の六月四日に病気になるからやめる、(笑声)そういうことは地方自治法精神に照らしてみて——現実に病気になったときに病気になったと言うならわかりますけれども、来年の同じ日にやめるというような辞表を、一年前に出しておくというようなことはおかしくはないですか、ちょっとお伺いしたい。
  60. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 裏面においてあるいはそういうことがあるのではないかとも思えるのでございますが、自治庁の行政指導の方針といたしましては、具体的な行政指導のやり方がない、こういうふうにお答えを申し上げる以外に言葉がないわけであります。
  61. 永田亮一

    ○永田委員 今まではそれでもよかったと思うのですが、このごろ全国的に非常に弊害が起きてきていると思うのです。私もいなかで見ておりまして、市会議長の選挙なんかでも毎年かえるものですから非常に運動が激しい。一年たってやっとなれて板についてきたときに取りかえるということは、地方自治体としても非常に損害だろうと思うのです。野球のピッチャーが初めフォアボールばかり投げていたのが、だいぶなれてきて、今度はストライクが入るようになったときに交代させるということは策を得たものではないと思う。こういう弊害が東京都議会から始まったのかどうか知りませんけれども、各府県議長それから市会議長、そういうところに波及してきて、今までは大臣の御答弁のようなことでよかったかと思うのですけれども、ことしあたりからはそろそろ何か対策を講じていただかないと、全国的に毎年初夏のころになると議事が沈滞してしまう、こういう傾向がありますから、何かお考えを願いたい、こういうことであります。  もう一つ考えられることは、たとえば東京都議会の議長になぜみんなが競争してなりたがるか。非常に待遇がいいわけですね。月給もいいし自動車もいいし、私ある府県の行政視察に行ったときに、議長の車に乗せてもらったら、一番新しいりっぱなキャデラックに乗っているわけです。自治庁の長官が乗っている車よりもずっといいわけです。これが赤字が二十億もあるというような府県の議会の議長が乗っておる車なんです。田中長官は五三年のビュイックの小さいやつに乗っている。こういうやり方は、自治体の自主にまかせるとおっしゃっても、こういう行き過ぎは私はもう少し強く長官の方から御意見を申されてしかるべきだと思うのでありますが、いかがですか。
  62. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 自治体の議会運営に関する最重要な事項であるとも考えますので、法律の建前から申しますと、自主的な自治にゆだねる以外に道がないわけでございますが、全く行政指導の余地のない問題であるとも言えないのかもしれぬと思います。しかし全国的にそういう議長の交代をめぐって本来の使命を全うすることに妨げとなるような傾向が全国的に起って参りましては、困った問題であると存じますので、何らかの行政指導を必要とするという場合においては、いかなる方法によって行政指導をやるかという行政措置の問題といたしまして、一つ慎重に検討してみることにいたします。早急に検討してみることにいたします。
  63. 中井徳次郎

    ○中井委員 私ちょっとほかの問題を伺いたいのですが、今の問題に関連しまして、地方議会はともすれば国会に右へならえというふうなことでありますが、議長問題だけは、国会もずいぶん批判があるが、私はどうも地方議会よりもずいぶんりっぱであろうと思うのであります。そういたしまして、最近は村会あたりまでその風潮が下へ流れまして、裏には相当な取引があるようにも思われます。特に地方によりましては地方政治団体のようなものがありまして、これがかけ引きの道具になって、県政を大局から見た判断とおよそかけ離れたことが行われておる。どうも照会で騒ぐのはいつもこれだけであるというので、全国民のひんしゅくを買っておると思うのです。従ってどうぞ自治庁におかれまして適当な行政指導をぜひやっていただきたい。これは自由民主党、社会党を問わずみな同じようなお考えではなかろうか、かように思いますので、その点を一つつけ加えて申し上げておきます。  それから本論に入りますが、国会閉会になりまして一月ぶりに開かれましたので、その間の自治庁の動きでありますが、いろいろ新聞などを拝見いたしまして、相当活発に活躍をなさっておるような記事を伺っておるわけでありますが、特に気にかかるのは、本委員会と直接関連はないかもしれませんが、閉会中でございますのでお尋ねするのでありますが、例の衆議院の選挙区の問題でございます。終戦後非常な人口の異同がありまして、すなわち大都市に人口が大へん集中いたしまして、その結果別表改正の問題が当然起ってくるであろうというふうに予期されておりますし、またそれに関連いたしまして、前々国会でありましたか、非常に問題になりました小選挙区の考え方などにつきましても、ときどき新聞ざたになっておるようであります。従いましてこういう問題に対しては自治庁といたしましても事務的に相当御研究が進んでおられるやに伺っておるのでありますが、現在どのような状況であるか、その点をちょっと大臣から伺っておきたいと思います。
  64. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 まず小選挙区制の問題でございますが、前々回のああいういきさつにかんがみまして、慎重に事務の方面においても操作をする必要があるということがその結論でございますが、すでに選挙制度調査会において一応の結論を得たものがあるわけであります。これに基いて国会で御審議を願った具体的の法案も一方においてあるわけであります。そこでこれをどうするかという問題でございますが、この問題を一口に申し上げますと、自治庁の考え方といたしましては、この小選挙区の法案を再び国会に提出いたします場合において、また重ねて似たような問題を引き起すようなことがあっては大へんだ、こう考えますので、自治庁の希望といたしましては、二大政党の存立の現状にもかんがみまして、何とかこの両党のトップ・レベルにおいて懇談を遂げていただきまして、その懇談の結論に基いて必要があれば提案の措置を講ずるということに考えを持ちますことが妥当ではなかろうかという考えで、この点については大へんに慎重でございます。ただ内部関係におきましての事務的な操作といたしましては、いわゆるゲリマンダー問題等もあることでありますので、社会党から出されました案件と自由民主党から出しました案件について適当なりやいなやという問題につきましては、慎重に調査を継続して重ねているわけであります。それで両党の間の結論が得られますならば、この結論に基きましてこれを提出するようなこともやぶさかではない、こういう消極的な態度であります。  それから、もう一つの人口の増に伴う別表の増減の問題でございますが、この問題もふえる方はよいといたしまして、具体的に二十九名がふえて二十九名が減少されるということになるわけであります。定員を増加しないという建前に立ちまする限りは、現行法に基いてはふえる数だけ減るところがあるという事情となりますので、減ります場合において、各府県のどの選挙区を減らすかという重要な問題があろうと存じまして、この意味においては行政に影響するところも甚大であります。こういう問題は必ずしも調査会に諮問をする必要はないのでありますけれども、こういう問題も政党の消長には重大な影響があることと考えますので、この点につきましても両党の間に懇談を遂げていただく機会を作りまして、そういう懇談の方針に基いてこれを取り扱うということが最善の道ではなかろうかと考えておるわけでございます。この両方の問題についていつごろに両党の間に懇談が行われるかという見通しでございますが、これは私の意見といたしましては、岸総理大臣がアメリカから帰朝をされた上で具体的な方法及び時期、場所等についてお考えを願うということにいたしまして、この両党の間の交渉を実現したい。できれば岸総理が帰朝された直後に両党の折衝を開始したい、こういう考え方でございます。こういう問題につきまして、私は岸総理がアメリカに御出発になります以前に大体の意向を申し上げまして、帰朝早々の時期をきめていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  65. 中井徳次郎

    ○中井委員 自治庁長官の大体のお気持はわかりました。すなわち第一の御答弁がありました小選挙区の問題につきましては、自治庁としてはやや消極的な態度である、そうしてその前に、事前に両党のトップ・レベルにおいて会談をする。会談をしてまとまればいいし、まとまらなければ工合が悪いというふうなお考えのように私は今承わったわけであります。第二の定員の問題につきましては、第一ほどではないが、事前にやはり二大政党の建前からいって社会党の方にも十分な話し合いをしていただく、こういうふうにこの二点了解してよろしいのでございますね。
  66. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 大事な点でございますから、重ねて明快に申し上げておきますが、あとの人口の増に伴う二十九名の増減の問題でございますが、この問題は両党の間の折衝がうまく成功をする、しないにかかわらず、法律の命令として、最近に調査されました——すなわち三十年十月一日付の国勢調査の結果に基いて、別表の改正をしなければならぬことに法律ができておる。従ってトップ・レベルの間において交渉ができればよし、できなければこのままにしておくという消極的態度ではないのであります。できることが望ましいが、できない場合においても、次期国会におきましては——臨時国会になりますか通常国会になりますかわかりませんが、次期国会におきましては、法律の命ずるところに従って、自治庁長官の法律上の責務としまして、これを提案せざるを得ない。しかしこいねがわくば両党の間の意見一致をいただくことができれば重畳ではなかろうか、こういう意味であります。  それから小選挙区制の問題でございますが、これは政治情勢がだんだんと変化してくるものと私は想像しているわけでありますが、今日のところでは両党の間のトップ・レベルにおいて慎重なる協議を遂げていただいて、その協議の成功を待つという気持でいるわけでございます。しからば両党の間の協議が整わなかった場合においては、絶対に小選挙区制を国会に提案をする意思がないのか、こう重ねてお尋ねをいただくものといたしますと、どうもこれに対しては、さよう考えておりますということは申し上げかねる。誠心誠意を傾けて両党の間でやっていただいて、やれない場合においては断じて私の方は出さないのだ、こういうふうな答弁にはならないわけであります。これは願わくばやっていただきたい、やっていただくことが望ましいということで、これは期待をしているわけでございます。従ってそういう具体的な交渉の時期及び両党の交渉メンバーというようなものについての懇談を遂げますために、今明日にも岸総理大臣と会談をいたしまして、大体の方針について見通しをつける考えでございます。
  67. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体自治庁長官の意見というものはわかりましたが、重ねて申し上げるようでありますが、定員の問題は大体御意見もわかります。小選挙区の問題につきましては、現状においては社会党としてはきわめて消極的であるということだけは、この際はっきりと申し上げておきたいと思うのであります。
  68. 門司亮

    門司委員長 よろしゅうございますか。——それでは本日の会議はこの程度にいたしまして、次会は明十二日午前十時三十分から開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後一時五分散会