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1957-03-25 第26回国会 衆議院 大蔵委員会地方行政・運輸・建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十五日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 山本 幸一君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       遠藤 三郎君    大平 正芳君       奥村又十郎君    杉浦 武雄君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       竹谷源太郎君    横路 節雄君       横山 利秋君   地方行政委員会    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 山中 貞則君    理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    小澤佐重喜君       川崎末五郎君    木崎 茂男君       纐纈 彌三君    櫻内 義雄君       徳田與吉郎君    渡邊 良夫君       伊藤卯四郎君    今村  等君       北山 愛郎君   運輸委員会    委員長 淵上房太郎君    理事 今松 治郎君 理事 松山 義雄君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       伊藤 郷一君    關谷 勝利君       永山 忠則君    濱野 清吾君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君       小山  亮君    下平 正一君       松原喜之次君    森本  靖君   建設委員会    理事 大島 秀一君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       生田 宏一君    伊東 隆治君       久野 忠治君    憾安 實藏君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       山口 好一君    井谷 正吉君       田中幾三郎君    中島  巖君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         通商産業大臣  水田三喜男君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君         建 設 大 臣 南條 徳男君  出席政府委員         自治政務次官  加藤 精三君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         通商産業政務次         官       長谷川四郎君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君         運輸政務次官  福永 一臣君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         建設政務次官  小澤久太郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     岩崎  清君         地方行政委員会         専門員     円地与四松君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         運輸委員会専門         員       志鎌 一之君         建設委員会専門         員       山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  揮発油税法案内閣提出第七二号)     —————————————   〔山本大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 山本幸一

    山本委員長 それでは、これより大蔵委員会地方行政委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  私が、この連合審査会委員長の職務を行いますから、御了承いただきたいと存じます。  揮発油税法案議題といたします。     —————————————     —————————————
  3. 山本幸一

    山本委員長 質疑を許します。  なおこの際私からお願いを申し上げたいのですが、先ほど委員長の申し合せをいたしました結果、質疑者の申し出が非常に多数でございますので、はなはだ恐縮でありますけれども、一応一人三十分を目途質疑を行なっていただきたいと思います。なお御承知通りに、ただいま大蔵大臣並びに運輸大臣は、参議院予算委員会及び運輸委員会等関係もございまして、後刻の出席も危ぶまれておるという事情でありますので、この際質疑をなさる方々は、できるだけ出席大蔵大臣運輸大臣集中質疑を行なっていただきまするよう、前もってお願いを申し上げます。  それでは、質疑通告順にこれを許します。松原喜之次君。
  4. 松原喜之次

    松原委員 現在の日本陸運状況、なかんずく道路の実態というものが、文化国としてはむしろ恥かしいくらいであり、この際急速に整備を要するということは天下の世論であって、私どもももちろんその点につきましては、双手をあげて賛成をするものでありまするけれども、しかしながら、ただいま議題となっておりまするところの揮発油税道路整備財源をもっぱらよろうとしておられる政府態度については、大きな問題があると思うのであります。そこで、私はこの揮発油税関連をいたしまして、地方税であるところの軽油引取税についてもほぼ同じような問題があると思うのでありますけれども、この際は、議題となっておりまする揮発油税にしぼって御質問を申し上げ、ほぼ同様の問題が軽油引取税についてもあるということを御了解の上で、御答弁お願いいたしたいと思うのであります。  まず私は、運輸大臣並びに大蔵大臣に承わりたいのでありますが、国会常任委員会における決議に対して、一体大蔵大臣運輸大臣等国務大臣はどういうふうなお考えを持っておられるかという点でございます。すなわち昭和三十一年の十二月の三日、当院の運輸委員会において、翌十二月の四日参議院運輸委員会におきまして、ほぼ同様の決議が行われておるのであります。その一部を御披露いたしますと、「今回政府において揮発油税増徴計画あるやに聞くが、この上の増徴税負担の均衡を失し、自動車運送事業その他に甚大なる影響を及ぼすものと認め、揮発油税増徴に対し絶対反対する。」かような決議が行われておるのであります。申すまでもなく、この決議は与党の委員をも含めて全委員会一致決議された決議であるのであります。これに対して、われわれから見ると、どうもこの決議なんかはどうでもいい、そんなことは問題にしていないというような独走的な態度をもって今回の揮発油税が原案として出てきたように思われるのでありまするが、この委員会軽視、すなわち国会軽視態度というものは、政府として大いに反省をしてもらわなければならないと思うのであります。この委員会決議と、そうして今回の揮発油税法案を提出されたその関係についていかなる感想を持っておられるか、一つ大蔵大臣運輸大臣から御答弁をいただきたいと思うのであります。
  5. 池田勇人

    池田国務大臣 委員会におきまして、揮発油税増徴は今後行わないようにという決議のあったことも聞き及んでおります。しかし片一方では、松原委員のおっしゃる通りに、日本として全体的に考えて、いかにも道路が悪過ぎる、これを何とかよくしなければならぬという強い要請もあるのであります。こういう二つの点を考えまして、できるだけガソリン税の値上げをせずにいこうと考えたのでございますが、そのためには、一般会計から相当の負担をしなければならぬ、それにいたしましても、それは微々たるものでございますので、私はこの際従来よりも多く一般会計より出すことにいたし、また片一方では、そういう決議もあったのでございますが、まあこの際ガソリン税の引き上げを願って、急速に道路をよくすることが運輸そのもののためにもいいものと考えまして、御審議願っておるような案をこしらえた次第であります。
  6. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 お答えいたします。昨年末衆参両院における運輸委員会の御決議の点は、十分尊重しなければならないと思っておるのであります。しかし明年度予算編成に当りまして、日本経済が昨年からの拡大の線に沿って、将来運輸交通の上、ことに自動車道という、トラック及びバスを初めとして、道路の面におきましては御承知通り何とかしなければならない、そこで十年計画というものを建設省において立てられまして、この線でその財源をどこに求むべきか、この点において、両院における委員会の御決議ももとより十分尊重してこれを考慮に入れなければならぬのでありますが、財政全体の建前からいって、まず政府の資金を投入することも、それぞれ限度があるわけでありまして、ただいま大蔵大臣から御答弁申し上げました通りガソリン税道路建設については重要な使命を一つ果していただきたい。ただ今日実情におきましては、業者方々からも非常な御意見がありまして、結局今日においては、増税した部分消費者には転嫁できないので、業者だけにおいてこれを負担しなければならないが、それは耐え得ないことである。政府目途としておりますところは、道路整備によってガソリン消費量も減る、自動車の破損も少くなる、結局においては、増徴した分は業者並びに消費有に戻って、結果においては増徴にならない、こういうことでありますが、そこには時日の問題、年月の問題がありますけれども、日本経済の飛躍的に大きくなっていくこの線を推し進める意味において、各業界において、各事業においてこれを負担していっていただきたいというような点で、こういう計画にせざるを得ない次第であって、どうかあしからず御了承願います。
  7. 松原喜之次

    松原委員 大蔵大臣のお言葉のように、私が冒頭に申し上げもした通り道路整備の急務なることはわれわれも否定するものではありません。道路整備しようとすれば、これに対して財源の必要なことはもとより言を待たない。しかしながら、その財源をどこに求めるかという点が問題であるのであります。その点については、運輸大臣大蔵大臣もともに、財政全体の立場からこれを見て、そうしてガソリン税にほとんどもっぱら依存するような結果になった、こういう答弁でございます。大蔵大臣は、一般会計からも出したとおっしゃるけれども、五百四億中わずかに四十四億では、出したといって大きな声で言えるほどの金高でもない。いわんやガソリン税目的税たる性質から申しましても、出してはならないような他の費目に百二十九億という莫大な金額が出ておることとにらみ合せて考えたら、わずか四十四億を一般財源から出したというお言葉は、ちょっといただきかねるお言葉であるのであります。  しかし質問を先に進めますが、大蔵大臣も御承知通り、この道路整備五カ年計画策定の当初であったと思いますが、昭和二十九年五月二十日の閣議決定がございます。その内容といたしましては、結局事業費が二千六百億円、そのうちで揮発油税に依存すべき部分を千四百億円ときめ——すなわちこれは全額に対して五四%に当るのであります。従って、残余の四六%というものは一般会計からこれを支出するという基本方針がその際きまっておるのであります。こういう数字の出てきた根拠は、やはりたとえば産業計画会議、この委員長松永安左衛門氏であります、また道路利用者会議、この会長は自民党の本多市郎君であります、こういう民間の各団体、識者というふうな人たちが、この日本道路整備の急務を考えて、これに対する財源としては、大体この揮発油税から五〇%、それから一般財源から五〇%というような支出を行うことが最も適当なやり方であろうという考えを持っておって、これがいわば民間の大きな世論となっており、かつこれは常識的な結論と考えられております。その意見もまた影響を及ぼしましたのか、先ほど申した二十九年五月二十日の閣議決定では、五四%対四六%でもって 揮発油税一般財源との負担割り振りをするのが適当であるという決定をいたしておるのであります。しかるに、御承知通り建設省出版の「国土建設の現況」というパンフレットを見ますると、そこに、過去三年間において、事業では四三・九%、予算額では四三・一%という進捗率にしかなっておらないということでもって、非常に遺憾の意を表しておるわけであります。ところがその三年間に、揮発油税収入は八百九億円あるのであります。一般財源からはわずかに十九億円を支出されておるのにすぎません。すなわち揮発油税の年々の自然増収というものを考えますと、揮発油税の方はほぼ予定通り収入し、これを道路財源に充てておるのであるけれども、一般財源が少いがゆえに、この五カ年計画が予定通り進行しなかったという結果になっておるのであります。従いまして、今日この道路整備がおくれておるという責任は、当初計画された所要の財源一般会計から振り当てなかったという結果から来ておるのでありまして、この点については、歴代の大蔵大臣は、この道路整備に関して大きな責任を感ぜられなければならないと私は思うのでありまするが、池田大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和二十九年の閣議決定について、とやかく申したくはございません。私はその閣議決定を見ておりませんが、松原さんのおっしゃるように、そういう決定をいたしたのでございましょう。  ただ私が思うに、昭和二十九年ごろにおきまして、今日のようにガソリンが消費せられ、ガソリン税収入があることを計算に入れておったかどうかということは問題だと思います。これが一般会計揮発油税の割合に相当な影響を持ってくることと思います。われわれは最近におけるガソリン消費量前提といたしまして、そうして一般会計状況等を勘案いたしまして、御審議を願っているような案にいたしているのでございます。  しこうして、まだ道路改良補修が十分でないという、こういうお話でございますが、この問題につきましては、私は今御審議願っております案でいくならば、二、三年のうちに相当進捗することと考えております。
  9. 松原喜之次

    松原委員 私は、何も整備計画そのものに文句をつけているわけではないのでありまして、おそらく大蔵大臣のおっしゃるように、この計画を実行すれば、相当進捗することは明らかであります。しかしながら、この閣議決定の当初において、ガソリン税の今日のような飛躍的な増収というものは予期せなかったであろうということをもって、現在の考えと非常に違う根拠にしておられますけれども、これはおかしい。なぜかといえば、この当初においてすでに千四百何十億の予定をしているのであります。そうして今日この飛躍的な増収を加えて、その当時のこの決定額とほぼ同様になるのでありますから、これはそのとき先見の明があって、今日の増収をちゃんと織り込んできめられたものであるに違いない。こういう明らかな数字、結果が出ているのでありますから、その当時の予想と違ったという点が今日この閣議決定をくつがえすところの理由になったということは、これは全く理由にならないと思うのでありますが、大蔵大臣、どうお思いになりますか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 私は閣議決定並びに道路計画数字を見ておりませんので、はっきりした答弁ができないのでございますが、昨年の委員会決議並びに道路必要性にかんがみまして、大蔵大臣としては、従来よりも多額の金額一般会計から出しているということは御了承願いたいと思います。
  11. 松原喜之次

    松原委員 四十四億で大いに努力したいという苦衷を述べられている。私は、それでも大蔵大臣苦衷を了としますけれども、いかんせん数字の方がこれを許さない、心持は了としますけれども、数字の方がこれを許さないのであります。おいおいそういう点については、さらに突っ込んでお伺いしたいと思いますが、次に問題を移します。  実は大蔵大臣も御承知通り大蔵省は、由来目的税というものに対して非常な反対を唱えてきておられるのであります。このガソリン税は、もとより形式的には純然たる目的税ではないけれども、その実質においては目的税であるということは、これは大蔵省の方でも認めておられますし、だれしもさよう考えているわけでありますから、かりにこれを目的税と言うても一向差しつかえないと思うのでありますが、この目的税に対しては、大蔵省は、先ほども申します通り由来反対態度をとってきておられます。それは歳入歳出一体原則及びその弾力性が、目的税になれば弾力性に乏しいという点から——この点は特に私はつけ加えて申し上げておきますけれども、目的税にすれば弾力性が少いということは、むやみやたらによけいとれないということなんです。もとより少くすることも弾力性ですけれども、主として多くとるという弾力性に乏しいという点が、第二の重要な大蔵省反対論拠になっているわけであります。ここが問題なんです。つまり目的税だからというて、その目的たる道路整備が必要ならば、ガソリン税は幾らでも上げてもよろしいと言わぬばかりの態度政府の今日の態度でありますけれども、政府の理論的な、基本態度というものはそうでなくして、目的税というものは弾力性に乏しいということを認めておられる。それを無理に弾力性をつけようというところに、今回の揮発油税の増税の問題があるのでありますが、いずれにいたしましても、この歳入歳出一体原則と、それから弾力性に乏しいという特質を持っているという点から、目的税に対しては由来反対してこられたのであります。私は、おそらく今日もこの原則は変らないのでありますから、同じお考えだと思うのであります。この間原主税局長は、この点についてはまことに苦しい答弁をしておられましたけれども、大蔵大臣は、一体この目的税に対してはどういうお考えでありますか、この際承わっておきたいのであります。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 目的税につきまして弾力性があるかないかという問題は、第二の問題といたしまして、実はこのガソリン税目的税といいますか、今の制度のような目的税的のものにするかどうかということにつきましては、昭和二十七年の十月か十一月ごろでございましたか、十一月でございましょう、私が通産大臣を専任いたしておりますときの閣議で、向井大蔵大臣はかなりこれに反対せられたのであります。私は今後のガソリン税の伸び、あるいはどうしても特に道路に力を入れなければいかぬというので、反対する向井大蔵大臣を押えてとは申しませんが、当時の建設大臣佐藤榮作君を支持いたしまして、そして今のようなことにいたしたのであります。大蔵省はどう申しますかわかりませんが、私は、あの制度はいいと考えておるのであります。従いまして、それでは目的税ということで道路をやれば、それ自体でまかなうのが本来目的税性質でございます。しかし、これは道路財源の全部に充てるとも書いてない、一部に充てるというような気持でありますから、その後において、一般会計から相当出さなければいかぬという建設委員会決議も私は聞いております。従いまして、ちっぽけだといってしかられるかもしれませんが、今回は昨年の四億に比べまして十一倍になったのも、こういう関係からいたしておるのであります。それは、金額の多い少いについての議論もありますが、大蔵省としての考え方も、私は御了承願えると思うのであります。
  13. 松原喜之次

    松原委員 その目的税にしたときのいきさつは、お言葉によって、池田大蔵大臣がよく御承知になっているはずであります。その当時建設委員会等議論は、道路整備に大きな財源が急に必要だ、一方においてガソリン税というものがある、このガソリン税が、考えてみれば他に流用されている、そのガソリン税額より道路整備費の方が多い、だからせめてこのガソリン税道路整備で専用してしまったら、道路整備は急速に進むだろう、もとよりその前提といたしましては、閣議でも決定してあります通り、少くとも半額に近いものは一般財源から支出することができる、あるいは支出させたい、こういう立場で、建設委員会の方でもこれを目的税にされたのであるし、その当時のいきさつはそうであって、もっぱら揮発油税によって道路整備を行うのだというその後の実際的な経過とは、初めの目的は違ったものであったと私は思うのでありますが、その当時のいきさつはどうですか。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 その当時のいきさつでは、これは閣議決定の場合におきましても各人各様で、とにかくガソリン税財源として道路を拡充強化しよう、そうしてこれが全部か、あるいは半分か、あるいは一部かというところまでは、私はみんなの思想統一ができていなかったと思います。とにかくガソリン税を上げて、少くともそれだけは道路に向けようということがそのときの趣旨だったと思います。
  15. 松原喜之次

    松原委員 まあその点は、いわばこの目的税にしたときの建設委員会等期待権というものは——期待権というかどうか知らぬが、期待というものは、ガソリン税ももちろん道路整備費に全部入れてもらう、それ以外に一般財源から従来通り入れてもらう、こういう立場であったということは明らかであると思うのであります。さて、それは八〇%でも九〇%でも、今までのように九〇数%でも揮発油税によることができて、そこに無理がなければ、大蔵大臣、これは私は必ずしも反対すべきではないと思うのであります。しかしながら、その道路整備計画を立てて、その整備計画の大部分をこの揮発油税によろうといたしまする際に、先ほども申し上げました弾力性が乏しいというその特質が現われて参りまして、そこに非常な無理がいくことになるのであります。これが問題であります。そんな無理言ったところで  先ほど運輸大臣もおっしゃいましたけれども、これは回り回って自動車を運行する者にその利益が返ってくるんであるから、だから時間的なずれはあるにしても、結局収支得になるんだからいいじゃないか、こういういわゆる受益論があるのであります。これは、主税局長も常にこれを唱えられておるのでありますけれども、これは大きな間違いだと思うのであります。これは、率直に間違いだと思うのであります。たとえば揮発油税の大きな部分負担しておる者はだれかといえば、東京とか大阪とか、その他大都会における営業用乗用自動車、いわゆるタクシーハイヤーでありますが、タクシーハイヤーガソリン税の大きな部分負担しておるのであります。ところが御承知のように、東京大阪ハイヤータクシー業者というものは、この道路整備計画によってほとんど——全然利益を受けないと申しても過言ではない程度の関係にあるわけであります。すなわち揮発油税負担する者と受益する者との間に全く大きなずれがあって、まるで関連のないものになってしまうという実情は、これを否定することができないと思うのであります。  さらにその改良ないし舗装された道路を利用する自動車、にいたしましても、結局五カ年計画が完全にできても、二級道路以上の二七%くらいしか改良できないし、舗装に至っては、九%くらいしかできないということは明らかに示しておられるところであり、十年計画が遂行されたにしても、その舗装パーセンテージとか、あるいは改良済みのパ一センテージ——改良済みパーセンテージなんというものは当てになるものじゃありません。二カ月か三カ月で、改良済み道路はすぐに悪くなりますから、ほとんど問題にならないが、それにしても、そのパーセンテージはさほど多いものでありません。従って舗装した道路ばかり往復するような勘定にして、舗装する場合には、一キロ当り八円ないし十七円ですか、それくらいの利益がはね返ってくるんだから、大丈夫だというようなことが大蔵省の発表しておる文書には書いてありますけれども、この数字は、実にべらぼうな数字でありますが、さらに今申したように、そこばかり走っておる自動車なんてないのであります。従って全走行キロ程に対する利益のはね返りというものは、もう問題にならない金高であることは明らかでございます。まず一番重要な問題は、揮発油税の大きな部分負担する者に道路整備関係がない、利益がはね返ってこないということであり、はね返りの利益大蔵省数字なんか、ほとんど問題にならないごく一部分をとって、そうして全体にこれを及ぼすという理論構成になっておるのでありまするが、この受益するからかけてもいいんだという先ほど運輸大臣意見については、運輸大臣どうです、考え直されますかどうか。
  16. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 なるほど現状においては、ただいまの松原さんがおっしゃることはごもっともだと思います。(松原委員「完成後も」と呼ぶ)完成をいたしますと、今道路が悪いからタクシーその他も外で走れませんけれども、この小さな日本において道路が完成してくれば、これは広く使われていかなければ自動車の役にも立たない。従って今日のありさまと道路整備されたときとでは、都内における消費者も広くこれを利用するようにだんだん広がっていくということは、予想されると思います。
  17. 松原喜之次

    松原委員 名答弁でございまして、驚き入ったわけでありまするけれども、これはむちゃです。十カ年計画が完成されても、舗装パーセンテージというものは、全国においては知れたものなんです。改良部分パーセンテージは大したものじゃないのです。それが予定通りりっぱに完成されて、それぐらいです。いわんや日本国中が舗装されてりっぱな道路になるなどというようなことは、五十年先のことか、百年先のことか知りませんが、それを予想したような議論では問題にならないのであります。大蔵大臣大蔵省事務当局がこの受益論をやりますけれども、これは全くおかしいのであります。大阪東京の大都会のハイヤータクシーがうんとガソリン税負担する。ところが、この整備計画は、大体いなかの道路なんです。これに何の関連があるかということの方が正しいと思うのですが、どうですか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 およそ税の性質というものは、私はやはり国全体を見ていくべきじゃないかと思います。たとえば所得税や法人税は、東京大阪でほとんど上るのでございます。だから東京大阪で上った税は、ここにおる人が納めたのだから、北海道や九州では使わないようにしたらいいじゃないかというような考え方は、いかがかと思います。やはり政府といたしましては、東京も北沿道も同じ目で——それはどっちを先にやるかという順序はございます。車の多く通るところを先にやって、だんだん及ぼしていくというのがほんとうだと思う。私は政治というものはそうあるべきだと思います。たとえば、これは運輸大臣の領域になりまするが、国鉄でも、ほんとうに利益の上るのは幹線だけでございます。支線はほとんど赤字でございます。青森から鹿児島までの幹線は利益が上っておるが、ほかの方は利益が上らないから、鉄道をやめてしまえというわけにはいかない。国全体を見ていきます場合には、効率的には車の多いところからだんだんやっていかなければならぬが、私は政治をする上において、そういう考え方はどうかと思います。
  19. 松原喜之次

    松原委員 大蔵大臣答弁は、その限度において私も賛成です。けれども問題は、そこにあるのではありません。大蔵省当局は、常に道路整備さえすればはね返るのだから、この負担は甘んじて受けなさいという理論構成をやっておられるわけです。ところがそれを聞く業者になってみたら、おれらにちっとも利益を与えぬではないか、何を言ってやがるんだ、こういうことになるのです。一体どっちが正しいかということをあなたにお聞きしているのです。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 道路を直せば、そこを走る自動車については利益が出ることは、大蔵省の言う通りでございます。しかしすでに直ったところを走るものは、あまり利益がないという業者の言うことも、一理ございましょう。これは両方から言えることだと思います。しかし、それだからといって、この道路は直っておるのだから、そこを通る自動車にはガソリンを安くしましょう。それから今度の予算で直したところは急に高くしようというわけには、これは政治としていかぬわけです。ですから、そこは今申し上げましたように、国全体として広く見ていかなければならない。
  21. 松原喜之次

    松原委員 大蔵大臣言葉の遊戯で上手な答弁をすることはやめられて、実質的な質疑応答にしてもらいたいのであります。すなわち大蔵省は、納税者に向って、このガソリン税が正しいのだと言うために、あるいはもっと意地悪いことを言えば、去年開かれておりました臨時税制調査会をしてガソリン税に賛成せしめるために、しろうとをつかまえて、これだけの利益が上るのだから、税負担者は甘んじてやってもいいのだ、何もこれは苦しいことはないのだ、回り回ってかえって利益になるのだ、こういう理論構成で税制調査会にも賛成させてきたと思うのであります。そういう理論は、ここへ持ってくる理論ではない。もとより所得税やその他の税金と、この目的税たるガソリン税、ことに特殊な税目でありまして 一方は収益から上るのです。一方は原価に加わるのです。こういういろいろの特質があるのですから、一がいに一律に議論をするわけには参りません。そういう議論をしておったらだんだん長くなりますが、少くともそういう受益論をもって税制調査会をしてそういう答申をせしめ、今日なお納税者に向って納得させようというそのやり方は、まことに間違っておる、それは思い違いだ。大蔵省は、その点では考え直してもらわなければならぬ、こういうことを申しておるのですが、大所高所より大蔵大臣、どうお考えになりますか。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 これは、私は大蔵省の言い分にも一理あると思います。それから業者の方の、もうわれわれは、今後これ以上に受益することはないじゃないか、こういうのも個人経済的には言えると思います。しかしいずれの国を見ましても、私はやはり大蔵省のような考え方で道路整備をやっておると思います。日本ガソリン税が各国に比べましてある程度安いのは、立ちおくれたためでございます。私の聞くところによりますると、昨年でございましたか、アメリカ合衆国でガソリン税の引き上げのときに、道路ガソリン税でやるべきだということを国会決議いたしました。こちらで申しまする一般会計負担よりも、ほとんど全部を原則としてガソリン税の引き上げでやる、これは、やはりアメリカでもよく走ります道路と、いなかの走らない道路とは違うわけでございます。ただ関連的に、やはり税金でやる場合におきましては、ことに道路のようなものにつきましては、私は国全般を考えてやらなければいかぬ、今後受益を加えぬところはガソリン税を上げない、加えるところは上げるという考え方はいかがなものかと思います。
  23. 松原喜之次

    松原委員 どうも大蔵大臣は、ものの本質をほかの話の方に持っていって、はぐらかされるようなきらいがあるのであります。たとえば、それならアメリカのガソリン使用者というものはどんな者かと聞いてみたら、ほとんど自家用車でしょう、それが多いでしょう。国民全体がほとんど自動車を走らせておるでしょう。従って、ガソリン税でやるということは、何も一部の負担ではなくして、アメリカ国民全体の負担なんです。日本ではそうではないのですよ。ことに今日の実情においては、業者がその負担の苦しさの大部分を負わなければならないというような実情にあるのであって、こういう点は、一律に比較することはできない。さらにまた東京なんかでは、先に道路整備されておる、おれらはもうこれ以上は利益を受けるところはないんだから、だからよう払わぬ、こういうようなことはどうもおかしいというような議論でありましたけれども、東京道路整備は、単に自動車のためにしたのではないのです。自動車が走りますから、とめるわけにいきません、だから走りましょう、ほっといたら、歩いている人から店から泥だらけになってしまうじゃないですか。従って、居住者にも歩行者にも利益を与えるために、かつまた世界の第一流の大都市として、これは一般的に見て舗装しなければならないというところで舗装したのであって、自動車業者利益を与えるためにやったものでも何でもない。逆に私から言えば、この議論日本全体に及ぼすのが当りまえだというのです。これはお考え願いたいのであります。しかし、どうもそういう点についての大蔵大臣の御答弁は、だいぶ本質をはぐらかしておられるように思うのでありますけれども、私の質疑をお聞きになって、なるほどそれはどうも松原の言う方が正しいなと多分お思いだろうと思うから、この点についてはもうこれ以上申しません。  次に、今までの問題はどうであっても、もし自動車の営業ないし自動車の運行をやっておる連中にその負担の余力がある際には、これはいわゆる担税力の問題でありますから、担税力があればある程度増税してもいいのであります。ところが担税力がなかなかない。それは消費税だから、営業用自動車であれば、一つ荷主あるいは乗客にこれをかけたらいいじゃないか、従って運賃値上げはやむを得ない、これは予算委員会大蔵大臣が御答弁なさったところでありますけれども、いかんせん、日本実情はそうではないのです。たとえばトラックのごときは、もうすでに企業のうちに赤字経営が相当にあります。年来非常に苦しい営業を続けてきております。この「法人企業統計年報」を見ますと、三十年度の業態を見ると、バスの収支率が九四・七八です。それからハイヤータクシーが九三・六八、トラックが九八・二二、これは平均ですから、平均九八・二二であれば、一〇〇をこしておるところの収支率というものは必ず相当にあるわけでございます。しかも悲しいかな、これは日本の中小企業全体の傾向でありますけれども、過当競争がございまして、そうして中小企業は常に大企業の圧力に屈しておる。あるいは過当競争のために、不要の値下げをやってみずから苦しんでおる。こういうことは、全中小企業に共通のことでありますけれども、トラックにおいては、その点、やはり名目運賃を相当に著しく上げたって何にもならないのです。ダンピングをやるのです。あるいは自家用と称するものがその間に介在して、どんどん競争していく。これはある程度税金抜きです。法人税抜きですから、これは楽です。こういうふうなことをやって参りますから、大蔵大臣のおっしゃるように、そうたやすく運賃値上げというものは実効がない。従っい、それは慎重を期さなければならない、こういうことなんです。これは、一方においては非常に望ましいことで——このガソリン税によって運賃値上げになる、その運賃の値上げは国鉄の値上げと競合して、それからそれへと悪循環していく。こんな平面的な算術計算で、運賃が一三%上るが、それは製品原価に含んでおる運賃のパーセンテージが少くて、それのさらに一三%だから少いというようなことは、これは運輸省でもよく説明されますし、大蔵省でも説明されておるようでありまするけれども、生きた経済というものは、そんなばかなものじゃない。ちょっと運賃が上ったというと、じきに五分、一割上げていく、上らぬ先から上げておる、現に、スエズ問題でタンカー運賃が上ったというたら、千五百円くらい上ったら、一ぺんに七千円くらい揮発油の価格が上っておる、これがまあ生きた経済です。いいことじゃありません。この点はあとから通産大臣に承わりたいと思っておるのですが、いいことじゃありませんけれども、しかしある程度これは免れないことであります。従って、運賃を上げられないというのは、全経済政策から見ればもっけの幸いなんです。しかしながら、そのもっけの幸いは、業者にとっては死活問題となって参るのであります。先ほどあげたのは「法人企業統計年報」でありまするから、うそでもないと思うのであります。こういう数字をとってみますると、もし六千五百円の揮発油税の引き上げがあったら、トラックの方は平均して一〇〇・六七になりまして、全く赤字経営ということになるわけであります。ハイヤータクシー及びバスといえども利益率は少い。大蔵事務当局の方では、この「現行主要間接税の検討」という中で、揮発油税を一万円上げたところで、業者に及ぼす影響は四%ないし六%程度であってわずかである、こういうておられるのです。これもやはり税制調査会へ出された資料で、これはわずかであるというておいて、税制調査会がああいう答申をした。わずかじゃないのです。なるほど数は四とか六とか、これを六千五百円に直したら二・七とかあるいは二・五とか二・四とかいうことになるのでありまするけれども、その二・四が大へんなんですね。企業が赤字になるかあるいは黒字になるかというボーダー・ラインです。非常な大きな影響がある。だからこそ、その業者にとってはこれは死活問題だ、うそじゃないのです。死活問題だということは、もう数字的にきちっと証拠立てることができるのであります。従いまして、最後に大蔵大臣、この揮発油税の六千五百円引き上げということは、これはもはや限界を通り越した増税である、こういうふうにわれわれは考えるのでありますが、大蔵大臣、大蔵事務当局は、この税制調査会へ出したもののように、これはわずかである、大したことはないのだ、こういうふうに思っておられるかどうか、この点について一つお考えを承わっておきたいのであります。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 最近におきまする自動車運送業の収益状況は、われわれの見るところでは、他の一般の企業の収益状況よりもよほどいいと見ております。これはわれわれの税務計算で、もしあれでございましたら申し上げますが、法人企業統計による営業収入に対する当期営業利益、これは三十年の上下別々になっておりますが、三十年を平均いたしまして、全企業は三・七六でございますが、自動車業は六・四三になっております。三十一年の上期は、全企業は三・九〇でございますが、自動車業は七・二〇、出どころその他は主税局長より答弁いたさせます。  そこで担税力があるかないかの問題でございますが、われわれの判断いたしましたのは、こういうことも一つの材料になるのでございます。それから松原さんは、鉄道運賃、あるいはこれを上げれば直ちに物価、その他に影響がある、こういうふうなお話でございましたが、昭和二十七年に鉄道運賃は三割あるいは一割と、貨物、旅客ともに上げておりますが、そのときには、物価には影響ございません。なお揮発油税を引き上げましたときの物価の状況を見ましても、あまり影響が、過去四、五年の間ではないのでございます。私は、自由経済になって参りましたならば、全然影響がないとは申しませんが、相当の部分は企業の合理化によって吸収し得る、そういうことを考えて、なおかつ輸送を円滑に迅速にすることが経済の根本であるというのでやったわけでございます。
  25. 松原喜之次

    松原委員 大蔵大臣、全企業と自動車業とを簡単にお比べになりましたけれども、その数字は、私のあげた数字と大して違いません。ないが、ただ簡単に比べるところがおかしいのです。ということは、他の企業ですと、たとい三%の利益があっても、その三%の利益の中から法人税その他を払うわけです。ところがこの揮発油税は違うのです。かりに六%の利益があったところで、ここに大蔵省が言っておられますように、二・四とかあるいは三とかいうようなものがコストの中でぱんと引き上ってくるわけなんです。従ってせっかく他の企業より今平均すれば利益が多くとも、その利益が先取りでぽんと引かれるのと、上った利益に対して法人税をかけられるのとでは、全く計算が違うのであります。従って、揮発油税議論するときに、単にその企業の収益の統計だけの数字をもって比較されることは、大きな見当違いのように思うのです。一応はちょっと聞けるようなことだけれども、厳密に見ますると、非常に違うのです。そして運輸省が出しておられまする数字によりましても、六千五百円の値上げがあったら、トラック企業は平均して赤字になる、収支率に相当赤字が出てくる、そういう統計が運輸省で出ておるのであります。これは運輸省がまさかうそでだまかしておられるというわけではありません。従って、大蔵大臣先ほど言うたような比べ方がおかしいということと、それから運輸省の統計を見ても、少くともトラックは赤字だ、他の自動車の営業の収益率も非常に低いものになるということは、これは事実であります。従ってそう簡単に、収益率が多いから揮発油税に対して担税力があるのだという結論にはなりません。われわれはどう考えてみましても、運輸省も発表しておられますが、トラックが赤字になっておるように、企業はもはや限界に来ておる、この担税力の限界に来ておるということは、これは動かすことができない。だからこそ、その業者は、今日は減税の時代だ、池田大蔵大臣が二千億の自然増収を一千億減税に充てられた。そして一千億は積極施策に充てられた。もちろんわれわれは、そのやり方には相当の文句はありまするけれども、しかしこの減税は相当人気はいいのですよ。かなり問題のある減税だけれども、それでもいいのです。その際に、全国何百万かの関係業者はどう言うておるかというたら、芸者の花代の税金さえ半分にするのだ——これは出たり入ったりしましたけれども、いずれにしてもそう言うのですよ。芸者の花代を半分にするのに、われわれだけがどうしてこの減税の時代に大増税を受けねばならないんだ、一体これで税制の均衡が保たれるのか、一体これは公平なのか、われわれだけが目的税になったおかげで、大蔵省から、これでも食って目的税の思いを知れというような報復的なことをやられて、一体われわれはどうして立つんだ、それはもう非常に悲痛な叫びを上げておるのです。なぜかというたら、それは今申したような数字が説明するように、もはや担税力が限界に来ておるからです。そうなかなか簡単なものではありませんよ。だから、自民党の方でも、相当考えておられるはずであります。その際に、大蔵大臣としては、そんな大蔵事務当局が言うような気楽なものでないということをみずから認識してもらって、そうして、この点はあなたのあまりお好きにならぬことだけれども、大幅に妥協せられないと、これは自民党でもおさまるまいと私は考えておるのです。そういう情勢の出てくるところの理由は、担税力の問題なんです。どうか、この点はぜひ認識を改めていただきたいと思うのであります。税の均衡という点から、減税時代に、担税力にもまさるような増税をやるということは、これはあまりに無謀であるし、あまりに不当である。これは単なる利己的なものでなくして、真実を基礎とした叫びなんですから、ほんとうにこの点は考えてもらわなければならないと思うのです。この点について、行きがかりにとらわれない心境で率直に御答弁を願いたいと思うのであります。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申しました、全体の企業と自動車運送企業との収益率の差は、相当出ております。お話しの通りに、ガソリン税というものは必要経費に入るものでございます。これを上げますと、大体二%くらい利益率が下ると思います。それにいたしましても、三十年に比べて三十一年上期の利益率がずっと上ってきておりますから、相当の担税力はついてきつつあると私は考えておるのであります。増税によるための利益の減少、あるいは一時的な赤字というようなことは、これは数多い中でございますから、個々の業者についてはあるかもわかりませんが、今の場合は、道路を早くよくしようというやむにやまれぬ気持と申しますか、それで実はこういうふうにしてお考えを願っておるわけでございます。当初は一万円というようなお話もございましたが、松原さんなんかのようなお話で、だんだん下ってきたような状況であるのであります。それは、新聞その他で、ガソリン税をきめますまでに大蔵省考え方がだんだん変ってきたことで御了承願えることと思います。
  27. 山本幸一

    山本委員長 予定の時間をこえておりますから、なるべく結論を早く……。
  28. 松原喜之次

    松原委員 どうせあとで、事務当局の諸君にはもっとこまかい点を承わりたいと思っておるのでありますが、もう一、二点大蔵大臣に申し上げておきたいことは、この日本ガソリン税が世界各国に比べて低いというのは怪しいということ、私は、別に数字をもってあとで事務当局にその点はただしてみたいと思うのであります。それからもう一つは、大蔵当局で、重大な資料で抜けておる資料があるのです。それは何かといえば、運賃の問題なんです。御承知のように、ガソリン税はコストの中へ入るのです。コストを償うべきものは運賃でしょう。ところが運賃の比較がないのです。たとえばロンドン、パリ、ローマ等のハイヤータクシーだけについてみましても——これはバスでもトラックでも同じ傾向があるのでありますが、かりにハイヤータクシーだけとってみましても、ロンドンは東京に比べて一八〇、パリも同じく一八〇です。これは東京は七十円、八十円と見て。それからローマが二〇〇です。運賃の方で一八〇、二〇〇という約倍の運賃を取っておる。そうしてガソリン税は、イタリアでは二〇〇、この二〇〇は怪しいんですよ。怪しいけれども、大蔵省数字をとっても二〇〇、こういうふうなことに大体なっております。何かそういう数字——この数字はまだ検討を要しますが、運賃の方は一つも比べぬでおいて、単にガソリン一リットルに対する税金はこれこれだ、小売値はこれこれだと、小売値と税金と二つぐらいの方法で比べて、だから日本はきわめて安いんだ、こう書いてある。ところがきわめて安いか高いかは、税金の問題ですから、きわめて安いか高いかということは、ロンドンでガソリンを買うか東京ガソリンを買うか比べるためにやっておる比較じゃないのです。税金をとるための比較なんです。従って、担税力をはかる一助としてこういう数字が出ている限りは、単にガソリンの小売価格と税金額だけ比べるのではなくして、担税力の問題に思いをいたすならば、必ずそれは運賃の問題もここヘ出してこなければいかぬ。ところが、そんなものは一向出してきていない。それを出してきたら、今言うたようにかなり違う結論が出てくる。この間国民所得と運賃の問題で、原さんとそれから有馬さんとの間に質疑応答がありましたけれども、この際に、アメリカが十一倍の国民所得なら、ガソリンの価格も十一倍にしたら当りまえだというような、そんなことにはにわかになりませんというような、インチキな答弁をしておられましたけれども、これは、国民所得もやはり担税力に関係するのです。十一倍とは限りませんけれども、これは関係があります。しかし、それよりもさらに大きな担税力に対して関係があるのは、単位運賃の問題です。こういうふうな点も考えてないんです。従って、今まで税制調査会から新しい内閣に至るまで、いろいろこの問題については議論があったと思いまするけれども、その議論の中には、そういう欠けたところもあるということを、大蔵大臣は、一つこの際認識しておいていただきたいと思うのであります。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 一キロリットルのガソリンの値段が、各国幾らであるかという比較は、私はその比較をすることはいいと思います。ただ運賃が違うんだ、運賃が違うという場合におきまして、私は、一キロリットルで幾らという税金の比較は正しいと思います。小売値がどうかという場合に、日本業者よりも外国の業者の方が、小売、卸のマージンが多うございます。それで小売値段は高くなる。それと同じように、乗用自動車なんかの運賃の高いのは、ガソリンが高いんじゃなく、これは向うの税金と運転手その他の経費でございます。これが高い。それで運賃が高くなる。これは何でもそういうことから来ておるのでございまして、一応のガソリン税負担はどうかということになりますると、私は大蔵省の案でいいんじゃないか。それから国民所得に対してガソリン税のどうこう、あるいはガソリン自体が高いか安いかという問題は、これは酒なんかに比べましても、酒は日本はフランスやイタリアよりもうんと安くなければならぬ。しかし松原さん御承知通り日本の酒は非常に高い。だから、こういうことの議論はなかなかむずかしいのでございまして、私は、今後やはり酒もフランス、イタリアよりも非常に高い、しかも片一方道路を急速に直していかなければならぬというときに、ガソリン税がそれに比べて安いときには、一応負担していただかなければならぬ、こういう気持であるのであります。
  30. 松原喜之次

    松原委員 大蔵大臣、それはやはり人件費も、その他のコストを構成しているいろいろの費目も、ヨーロッパやアメリカの方が日本より高い。しかしそれだけで、ガソリンの方は関係がないというわけにはいかない。やはり運賃が高いから、ガソリンがコストとして相当高くとも、運賃の高さにある程度の関係があるから、これは耐えられる。こういうやはり担税力に関係してくるのです。さらに国民所得ですけれども、そういう運賃を払えるかどうかということも、一つの国民所得の問題に関連してくるわけですね。従って国民所得とこのガソリン税とは全然関係ないとは、これは言えないわけです。いずれにしても、ちょっと池田さんの理解は少し無理だと思います。もう一ペんこの点は考え直して——私の言うたことの方が正しいですよ。一つ考え直して、善処されるように願いたいと思います。  あとこまかい点は、後刻一つ事務当局にお伺いをしたいと思います。  次に通産大臣に……。
  31. 山本幸一

    山本委員長 通産大臣は、今参議院の本会議へ請求があって参りました。後ほどまた参ると思います。
  32. 松原喜之次

    松原委員 それでは、通産大臣が来られるまで保留して、運輸大臣もおられることでありますから、一応他の質疑者にお譲りしたいと思います。
  33. 山本幸一

  34. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、ごく簡単に政府の所見を承わっておきたいと思います。  今までガソリン税の問題については、いろいろ議論があったわけでありますが、これは余談でありますけれども、けさのNHKのラジオ放送で、例の今問題になっておりますふろ銭の値上げがいいかどうかということで、東京都内の録音放送がありました。その録音放送は、もちろんふろ銭の値上げ反対論が非常に多かった。それはいろいろありましたが、その最後である婦人が立って、とにかくふろ銭の値上げは絶対反対だ、俸給を上げてもらうのは絶対賛成だ、こういう意見があって、大笑いで済んだのであります。それとこれとは関係のない別のことでありますけれども、世の中には往々にしてそういう議論が行われている。このガソリン税は、これは税金でありますから、安いのに越したことはありません。問題は、今ここで最後に御議論になりましたように、担税力があるかどうかということが問題になると思いますが、そこは、税金はできるだけ安い方がいいのでありますから、この委員会で検討された意見をよく尊重されて、大蔵当局でも御検討をお願いいたします。  そこで、日本道路はとてつもなく悪い。これは欧米各国、いわゆる先進国に比べますと、まあ世界で一番悪いということに常識的になっております。そういうことは、こまかく数字を申し上げなくとも、国会では十分それを認識しているし、また政府もこれを認識されて、私どもの立場からいうと、ことしの、いわゆる三十二年度の予算でも、決して満足とは申し上げないけれども、しかしながら、よくもまあしみったれな大蔵省があそこまでがんばって下さったと、その大英断に対しては敬意を表しております。そこで三十二年度の予算も、すでに衆議院を通過いたしました。近く参議院でも衆議院議決の通り決定されると見られるのでありますが、先ほど運輸委員会において値上げをしないという決議をしたのに、それを尊重しないのはけしからぬという意見がありましたのと同じように、国会において議決された予算案は、もちろん尊重されるものと思うが、その点について大蔵大臣の見解を承わりたい。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 国会において議決を願いました予算案につきましては、全部これによって執行していかなければならぬと思います。
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 当然なことを私は聞いておいたのであります。そこで、税金は低いのに越したことはないのでありますが、先ほど申し上げたように、道路整備日本の産業、経済、文化すべての面のガンになっておるから、これを解決しなければならないということは今国民の世論であります。前の国会でも、政府道路整備について格段の努力をすべしという参議院の御決議があった。先ほどガソリン税目的税かいなかの問題がありましたが、私どもは、先年この案を立てて決議をいたしました責任がございますから申し上げるのでございますけれども、これは決していわゆる目的税ではございません。当時大蔵事務当局においては、相当に御反対がありましたけれども、あえてかような決議をしたのは——道路整備に努めなければならない、しかしながら、国の予算編成において大蔵事務当局は、道路についての御認識が一向ないとは申し上げないけれども、薄いようであるから、この際道路整備計画がずさんにされないように、この計画に合った予算が確保されなければならない、そういう意味で揮発油税を一種の目的税に近いようなものにする制度を作ったのであります。しかしながら、このガソリン税の税収だけで日本のおくれた道路整備ができるとは全然考えておりません。従ってこれに見合うほどの一般会計の予算を足して十カ年か五カ年計画を立て、その計画に沿って道路整備をしなければならないというのが、当時あの法律を制定した趣旨であって、それが今日までずっと続いてきておるのであります。ところが、残念ながら一般会計の予算は、だんだん道路整備に回すことが少くなった。三十一年度はわずかに四億円、ことしは、先ほど大蔵大臣が十一倍でありますとおっしゃった通り、約四十億に近いものが昨年に比べて増加された。これはいい傾向でありますが、その一般会計の歳出が非常に少いというところに、ガソリン税の今度の増徴についての問題があるのです。予算が決定されましたからもうこれ以上申し上げませんが、将来はよくこういう関係をお考えなさらないと、毎年このガソリンの問題が起ってくるのじゃないかと思います。  そこで私は、この際一番議論になっておるのは、こういうところだろうと思うのです。先ほど来担税力の問題がありましたが、多くの場合は、そこに基因があるのであります。予算を国会の議決の通り執行すると申されたのは当然でありますが、われわれは、道路整備は何もガソリンの税金として取った金でする必要はない、いかなるものでもいいから、国民全体の協力によって財政をまかなって、それによって道路整備ができればいいという立場であります。幸い運輸大臣大蔵大臣がおられますので、失礼な話でありますけれども、政府はもう少しざっくばらんに物事を突き詰めて御研究なさって、そうしてなるほどというところで国民に税金をかけられる、こういう方法をとっていただきたいということを申し上げるのです。というのは、ここに運輸省の自動車局という名前がありますから、これは自動車局から出された資料であると思います。こまかい数字は長くなりますから省きますが、これによると、大蔵省は三十二年度の予算編成に当って、ガソリン消費量見込みを三百九十万キロリットルとしている、ところが、運輸省の見込みは四百二十一万キロリットル、そういうふうにして、消費量の見込みについての基礎数字が三十一万キロリットル違っておる、これは常に問題になるのです。ここにいらっしゃる方々でも、あるいは今日議論をされる方々でも、日本道路整備が必要でないとおっしゃる方は一人もおらない、全部日本道路整備は、この予算でもおくれておるという御議論を持っておられる方方ばかりであります。ところが、かように基礎数字に大いに食い違いがある。私どもほかの各委員の人と、あるいは他の委員会方々とお話をしてみると、道路整備はしなければならない、さきに衆議院において議決された道路予算は確保しなければならない、しかし、その確保をするについては、かくかくかようになっておる、こういうことをよく聞くのでありますが、今申し上げましたように、政府部内から出された資料においても、かように基礎数字が違っておる。もしこれがほんとうであるならば、もう少し税率を下げてもいいじゃないかという議論が当然出てくるはずであります。もし真に担税力があるというならば、この基礎数字を実際に使用される数字にかけて、なぜもう少しすみやかに道路整備を伸ばさないかという逆の議論も出てくるのであります。もう一つ、その間において節減とか非課税を引いてここに出されておりますが、大蔵省の計算では、課税引き取り数量というのが差引三百四十一万キロリットル、運輸省の計算では三百五十八万キロリットル、差額が十七万キロリットルということになっている。大蔵省は税金を取っておいて、どこかすみっこの方に隠しておく、こういうようなことをよくいわれるのであります。例の特別法によりまして、次の次の年度に道路経費として決算額を当然計上しなければなりませんけれども、かようにガソリン税が非常に重いという議論のありますときに、もし運輸省の数字がほんとうであれば、さようなことはなさらない方がいいんじゃないかという議論の起るのは当然であります。この数字について、運輸省と大蔵省両当局の見解を聞いておきたいと思います。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 昭和三十二年度におきまするガソリン消費量につきましては、本予算編成当時からいろいろ問題があったのでございます。できるだけ最近の正確な数字によるべきでございますので、われわれとしては、主管省でありまする通産省とよく打ち合せいたしまして、予算の基礎は三百九十万キロといたしておるのでございます。
  38. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 大蔵省数字は、予算編成当時において、過去の実績から見て三十二年度を予想したのでありますが、運輸省のは、その後の実情をさらに検討を加えた三十二年度に対する見込みであります。
  39. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 その点は、通産省の資料によって大蔵省がきめられた。今運輸大臣の御説明によりますと、私が先ほどあげた運輸省の見込みの数字は、それが最も新しい正確な数字だ、こういうふうなお話でございます。そこに大きなガソリン税の税率について問題があると思うのです。委員会において二つの数字が出るということになると、実に判断に苦しむのです。その点は、一つ政府部内において十分御考慮をお願いいたしたいと思います。  それからもう一つお伺いいたしておきたいのは、これは風聞でありますから、事実であるかどうかわかりません、しかしそういうことが国会内でも伝わっております。大蔵省方面から、時と場合によっては——この時と場合によってはという言葉は、私がつけ加えたのでありますけれども、時と場合によっては、今地方道路税まで加えて六千五百円のキロリッター当り増税ということでありますが、それを千円くらい下げて、五千五百円くらいでいいんじゃないかというような意見大蔵省方面からも出ておるということを私は聞いておりますが、私が当初に、衆議院において議決した予算を執行なさいますかという前提を聞いたのは、そういうためであります。税金を下げられるのはけっこうでありますが、もしそういう御意見があるとすれば、そうして予算を執行する、いわゆる五百四億のガソリン税収を確保する、こういうことになりますと、この基礎数字が変ってくるのじゃないかと思いますが、そこを一つ大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 私はただいま御審議願っておりますガソリン税率につきまして、変更する気持はございません。それから見積ります数字根拠は、所管省の通産省等とも再三再四いろいろ研究したことでございまして、通産省の方によるべきだと考えたのでございます。
  41. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 運輸大臣にもう一つ承わっておきますが、運輸大臣が最近の情勢を検討されて、少くとも課税対象の類において十七万キロリッター使用量がふえるということは、どういうところから来ておるのでしょうか。そうして、そういうことは政府部内で御相談なさったことがあるかどうか。
  42. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 予算編成当時において、大蔵省が各方面の資料を集めて三百九十万キロリッターを決定したのでありますが、その後において、運輸省の調べによると、昨年下半期の数字も相当に伸びて参っております。その伸びた状態から三十二年度を推しまして、運輸省としてはこういう数字を得たのであります。
  43. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 繰り返して申して失礼でありますが、税金はできるだけ安い方がいいんです。これはどなたもそうだと思います。しかも一面においては、大事業をしなければならない。こういうある程度矛盾した問題を研究いたしておるわけであります。もちろん国家の大事業として道路整備がいかに大事であるかということは、先ほど申し上げておきましたが、こういう大事業をする場合には、ある程度国民の協力をもちろん求めなくちやならない。犠牲とは言いませんけれども、相当の苦労をして日本道路整備をしなければならないということは当然であります。でありますから、こうやって増税の問題も起ってくるわけでありますが、今運輸大臣の御説明だといたしますれば、もし使用量がふえれば、問題になっておる税率は多少変更しても、道路整備事業には差しつかえない、こういうことになるのでありますが、運輸大臣、その点についてはどういうお考えを持っておられますか。
  44. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 道路整備の方面は、三十二年度の予算に組んである収益を得なければ、できていきません。それを目標として定められておる、さように考えます。
  45. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それで、先ほどお尋ねしておいたのでありますが、そういう仕事をするのに、税率をかけて徴税をする場合に、当初の見込みよりも課税対象となるガソリン消費量が多くなるということであれば、これほど問題になっておるガソリン税増徴をしなくとも、安い税率でも国家の大事業が遂行されるということになれば、これは私は善政じゃないかと思うのですが、これはどうお考えなさいますかということなんです。
  46. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 このたびのガソリン税増徴に当りまして、ただいままでお話しのありました通り、最も大きな打撃を受けるものはトラック業者で、トラック業者は、現在の協定率の料金さえもとれないで、その下で仕事をやっているという実情であります。その意味から、この増税が消費者、利用者に転嫁できないということも無理がないと思うのであります。この予算案並びに法律案がこの国会において最終的の決定を見ましたならば、私どもは何とかこの業者負担を軽減する方法を諸般の点から考慮していきたいと今苦慮しておるわけであります。従って、これは国会において御決定願うのでありますから、その決定に基いて私どもは諸般の施策をしていきたいと思います。
  47. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは、国会決定がなければ執行できないのは当然だと思いますが、通産大臣がお見えになりましたので、さっきの基礎になる使用数量の問題を確かめておきたいと思います。通産大臣先ほどお留守でありましたから、繰り返して申して失礼でありますが、私の手元にある三十二年度の見込み数量について、大蔵省の見込みは総計三百九十万キロリッダー、運輸省の見込みは四百二十一万キロリッター、それをいろいろ差し引きまして、課税対象の見込みを大蔵省は三百四十一万キロリッター、運輸省は三百五十八万キロリッター、こういうふうに課税対象の基礎数字が違っておるのであります。この御説明は、大蔵大臣予算編成の当時間違いない数字である、今運輸大臣のお答えでは、その後の情勢の推移を見て、今私があげました数字は、その見込みは間違いない、こういう御意見であります。時がずれますと、いろいろな数字が多少違ってくるということは、これは見込みでありますから、やむを得ないことでありますが、そこにガソリン税の税率の問題が非常に多くかかってくるわけなんです。そこで、ガソリンの輸入その他を直接担当しておられる通産省といいますか、通産大臣は、この数字についてどういう考えを持っておられるか、あるいは通産省はもっと違った数字を持っておられるか、この点を一つ確かめておきたいと思います。
  48. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私の方では、外貨予算というものを組まなければならぬ。そのためには、今年度のガソリンの需要量がどのくらいあるかという一応の算定をしなければなりませんが、この算定をするためには、やはり過去の需要の伸びがどうなっておるという実績を一応もとにしております。二十九年、三十年、それから三十一年と、ガソリンの需要量が順々に伸びてきた、この実績を見まして、この伸びの傾向というもので、本年度の伸びはどのくらいの傾向になるだろうという過去の傾向に合せた伸びを一応算定する。その算定の仕方は、むずかしいいろいろな技術的な問題がございますが、それによって計算しますと、大体三百八十何万キロリットルという数字だったと思いますが、これに石油化学の原料とか、いろいろなものを見まして、ことしの需要量は三百九十万キロリットルと見たら大体間違いないのじゃないかというので、外貨予算算定の基礎として、そういう計算をしておる、こういう状態であります。
  49. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは、重ねて同じことを繰り返して申しわけありませんが、ここが毎年争いのもとになりますし、特にことしは、御承知のように相当大幅な増税の問題がありますから、この争いはきわめて深刻であります。でありますから、重ねて聞くのでありますが、そういうふうに三百九十万キロリットルのお見込みをされたについては、今お話しのように、いろいろ従来の伸びや、あるいは科学的な御計算がなされた、これは当然であります。今同じ政府部内から、ここに三大臣おそろいでありますが、運輸大臣は、今日の状態では、あるいはおくれるかもしれませんけれども、四月一日から執行するのですから、できるだけ税金は正確に書くべきだ、まだ少し余裕がありますから、こういう議論をしておる。予算編成のときにきまった数字を動かせないということは、私はないと思う。いろいろ研究して、実際こうである、またその間に相当月日がたっておりますから、そこで、ざっくばらんに、これは何も運輸業者とか何かとけんかする必要も何もないのでありますから、道路整備は必要である、その必要な財源を確保したい、しかし使用量が多くなって、税率が下ってもそれだけの道路整備ができるということになれば、これは三方立つということになると思うので、この問題を私はお尋ねしておるのであります。先ほど申しましたように、今通産大臣からお答えがありましたが、運輸大臣の方では、課税対象において少くとも三百五十八万キロリットル、総量において四百二十一万キロリットルという計算を出されておるのですが、政府部内では、ずっとガソリン税の問題が長引いておるのですから、一体使用量はどうだ、どのくらいの課税対象があるか、どのくらいの税収があるかということは、予算編成後には全然御協議なさらないのですか、運輸大臣はそうおっしゃるのですが、やっぱり通産大臣が三百九十万キロリットルが一番正確——これは一番確かなところをやれば、ずっと低く見積った方が確かなんですけれども、しかしそればかりが能じゃないのですが、そういう点についてはいかがですか。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 二十九年度は、二十八年度よりガソリンの需要量が実績から見て一四%伸びたという計算になっております。今三十一年度ですが、二六%という最初の想像外の需要の伸びでございます。これは三十一年度の鉱工業生産指数から見ましても、二一%の伸びということになりますので、これに対応して石油の需要量もふえた。ことしは、全体の予算編成の基礎になっております数字から考えましても、相当規模が大きくなっておりますので、去年と同じような率ということは考えられません。生産の伸びも、昨年の二一%に対して一二%幾らというものを予想している状態でございますから、この三百九十万キロリットルという数字が、大体昨年に比べて二八%の伸びになるということになりますと、やはりその辺が、需要量の伸びとしてはけっこう多目に見た伸びではなかろうか。それ以上まだたくさんの需要量があるだろうというようなことで、外貨予算を組むということもできませんので、いろいろなところから勘案しまして、その辺の数字が私は一番適正ではなかろうかと考えております。
  51. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 政府部内で使用量の見方が違うということになると、非常に問題がこんがらかってくるわけなんですが、そうなりますと、大蔵大臣は、先ほどお答えがありましたが、通産大臣はこれが一番確かである、こういうお話でありますから、当初に伺っておりますように、予算確保はやはりこの使用量に対する課税率、今政府が出されておりますような、揮発油税について四千八百円、地方道路税については千七百円、こういう増徴をしなければならない、こういう見解を今も堅持しておられる、これでよろしゅうございますか。
  52. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私どもの考えとしましては、大体その数字を基礎に課税対象を決定してもらうのが正しいと思っております。
  53. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 くどいようでありますが、課税対象を基礎にするということは、先ほど申し上げましたように、国会において可決された予算を確保するということでありますから、そうすると、予算は今お話しになりました基礎数字を課税対象に打算して、それにこの改正案の税率を出しておるのですから、通産大臣のお考えでは、やはりこの税率を下げるわけにいかないという見解を持っておられるのかどうかということなんです。
  54. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 数量の基礎については、私どもの見解はそうでございますが、これに対して幾ら税金をかけるとかなんとかいうのは、通産行政とは別の問題でございますので、私の方は基礎について、これが大体適正であろうということを申し上げますが、そのほかは、私の方の政策とは関係がないのであります。
  55. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、非常に理屈がましくて申しわけありませんが、今のお答えにはちょっと承服しかねるのです。この揮発油税法の改正案ではありますが、一つの案でありますが、それからもう一つ地方道路税法、こういうものは、私は閣議決定されて政府提案として出されておるものだと思う。しかもガソリンについては、もちろん事務的には、運輸省、あるいは建設省、それから通産省が直接関係のあられる大臣であります。基礎数字は出したが、税率は幾らにするのか、そこは所管が違う。しかも予算においては、この基礎数字に今出されております税率をかけて予算案を出されて、予算案は可決されておる。それについて、ではその基礎数字は、こちらの所管だから責任を持つが、それに税率を幾らかけて、今の予算の可決された額がどうなるかということについては所管が違うという、そういうお答えのように聞いたのですが、そういうお考えですか。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 税率を幾らにすべきかというのは、通産政策に直接関係しないからということを申し上げたのですが、これに対して、今度国会に法案を出してあるような課税をしたいということについては、もちろん閣議で私どもも賛成したことですから、この税金をかけることは適当だろうと考えております。国会へ出す以上は、当然閣議で賛成しておりますから、これに反対しているとかなんとかいう問題では一切ございません。
  57. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 運輸大臣はいかがでございますか。
  58. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 この政府から提出いたしましたものは閣議決定を見、私どもももちろんその共同の責任を持っております。従って、この国会においての御審議は、私どもとしては政府の原案によって御審議を願いたい。ただ私どもから出した数字は、その後の情勢の変化によって見込みを出したのですから、これは皆さんの御審議の重要な御参考にと思って出したのです。
  59. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 重要な参考だと思いますから、この点をくどいように聞いておるのです。そこで、最初に申し上げましたように、これは大蔵大臣であるとか、通産大臣であるとか、あるいは運輸大臣であるとか、個々にお尋ねするのではなくて——政府部内で、もちろん時日の変化はありますけれども、かように使用数量のふえるということが確かでありますれば、予算額を確保するについては、税率を下げても確保できるのだという議論が出てくるのですが、その点についてどういうふうにお考えなさいますか。さっき申し上げたように、四月一日から施行しようというのですから、その前に変えて、しかも予算に計上された金額は確保されるということでありますれば、その道が正しいということになるのですが、運輸大臣は、そこはどうお考えになりますか。
  60. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 政府といたしましては、提出をした原案について御審議を願うのでございまして、それに対して、ただいま私から変更を加えるというようなことを申し上げるわけには参りません。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もうこれで終りますが、運輸大臣は、今私がたびたび申し上げた数字については、全責任を持って間違いないという御意見ですね、それだけ承わっておきます。
  62. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 これはあくまでも見込みでありますから、私どもの見込みはそう考えております。
  63. 山本幸一

    山本委員長 先ほど通産大臣が不在でございましたので、松原君の質問が一つ保留になっておりますから、松原君の質疑を許します。  なおこの際私から申し上げますが、各大臣は、先ほど申し上げたように、それぞれ参議院からの要求があれば出席するという約束でこちらに出席を願っておりますので、その点も十分お考えにとめていただいて、質疑を願いたいと思います。
  64. 關谷勝利

    ○關谷委員 五分か六分で済むので、ちょっと関連質問をやりたいと思います。これは、一番初めに通産大臣にお尋ねするのが適当かと思いますが、私は、いずれ機会をあらためまして、根本的な問題についてもお尋ねを申し上げたいのでありますが、ただいま通産大臣は、三百九十万キロリットルが今までの伸びから判断して、これが適当であろう、その基礎は外貨割当のための基礎である、こういうふうなことを言われたのであります。先般来、私たちはこの基礎数字がいろいろ問題になっておりますので、それについて検討を加えて参ったのでありますが、通産省でやられておるこの伸びは、いわゆる最小自乗法の直線方式によっておるのか、曲線方式によっておるのか、その点をお尋ね申し上げたいのであります。私は、そのような最高の数学というものはわかりませんので、先般工学博二、三人にこれを問い合せました。ところが、十年、十五年の長期にわたるものの場合には、直線方式、いわゆる第一次方式によるのが適当であるけれども、二年、三年というふうな短期のものに対しての見通しをやる場合の方式は、曲線方式であらねばならぬということを聞いておるのであります。いずれ、これについてはまた後に参考にそういう方々を呼んでもらってもよいのでありますが、それらの人々に計算をさせますと、運輸省当局が言っておるところの十七万キロばかりの差があります。この多い方の数字が適当である、こういうふうなことを言っておるのでありますが、その算定方式はどちらによっておるのであるか、この点御答弁を願いたいと思います。
  65. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は直線方式をとって計算したと聞いております。
  66. 關谷勝利

    ○關谷委員 その直線方式でやることは、数学的に、短期間の場合においては誤まりであるということをはっきりと言われておるのであります。これを正しい曲線方式に直すということになりますと、あの運輸省が言っておる数字がほんとうだというのであります。しかも運輸省が取り調べますと、その後におきますところの情勢あたりは、曲線方式に合った数字が出てきておるというのが今の状態であると、私たちは聞かされておるのであります。もし、そういうふうなことで、直線方式は誤まっており、曲線方式でなければならぬということになった場合に、曲線方式に変更される御意思がおありかどうか承わっておきたい。
  67. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 運輸省がどういう計算をされたか知りませんが、たまたま昨年は、経済全般の見方が、当初の見込みよりもみな範囲が大きかったというようなことでございますので、昨年の見方が、あるいはその方式から計算するとやや合っておったというようなことはあるかもしれませんが、従来の伸びの実績をずっと見ますと、直線方式で計算するのが一番実情に合っておるという結論が出たために、そういうことによって来年度の想定もするというふうになったという経過を私は最初に聞いておりますが、これは私自身計算したわけではありませんので……。
  68. 關谷勝利

    ○關谷委員 これは、基礎数学になりますので、この基礎によって将来の議論が分れて参りますから、私ここでお尋ねをいたしておるのでありましてただいま通産大臣が言われますのは、昨年の伸びが予想外であったというのであります。政府が意識してないときでさえそれだけの伸びがあるのであります。来年度の予算は、経済の拡大をねらっておるのでありまして、そういたしますと、一般の経済というものは、政府のこの計画よりももう一つ上回って財界人は考えますので、来年のこの見通しは、もう一つ政府の見当違いが出ると思います。そういうふうなことになって参りますと、おそらく曲線方式の方がほんとうではないか。昨年まででもあれだけ数字が狂ったのであって、来年はまたもう少し上回って狂ってくる。そうしてガソリンの需要量の見当がもう一つ大きく変ってくるのだ、こういうふうな考えを持ちますが、そのような気持がいたしませんか——これは気持でけっこうであります。私たちは、あなたにそれだけまでの計算までせいというのではありません。大体そういうふうな気がするというなら、また気がするなりに私たちは考えるのであります。
  69. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは非常にむずかしい問題で、過去二、三年来の日本の経済計画というものは、初当の見通しからことごとく狂っております。そのために、来年においても過去のそういう見通しの狂いを検討して、なるたけ狂いのないようにということから、一応の経済計画の想定を持ち、輸出輸入のいろいろな見通しも立てることになっておりますので、その基礎は、やはり生産がどのくらい伸びるか、生産の伸びというものは輸出の伸びに関係しておりますし、輸出を想定する場合には、海外市況といろものをどういうふうに想定するのが正しいかという、結局は海外市況についての認識ということになりますので、ここでいろいろな問題が出てくるでしょう、狂いが出てきましても、一応政府としては統一ある総合的な計画を立てなければなりませんので、ガソリンの需要につきましても、一般鉱工業生産指数の伸びと無関係の、これ一つを切り離した需要の想定をするというわけにはいきませんので、全体の調整をとった見方をしますと、三百九十万キロリッターぐらいが、全体の計画の伸びとか、ほかの重要物資の需要量の増大と大体つり合ったことになりますので、これ一つを一般関係から切り離して、もっと大きく出るのだろうということを想定するということは、やはり適当じゃなかろうと私は考えております。
  70. 關谷勝利

    ○關谷委員 私は、この数字がいろいろ通産省、大蔵省、運輸省で違ってくるというのも考え方の問題で、そう変ってくるのがほんとうだと思います。大蔵省は、主税局長あたりの考えることは、最低限これだけは必ずある、どんなに間違ってもあるというふうな数量を基礎にしたい、なおその出てきた数字さえも削りたいというふうな考え方でありますので、大蔵省の少いのは当然とも言えましょう。運輸省の関係といたしましては、業界の負担力等を考えますと、もっと伸びるのだからといって、実際の面について現実に立脚して考えても、これも私は当然だと思います。しかし、通産省の考え方というものは、私は通産行政にはしろうとでありますのでわかりませんが、外貨の見通しというものをつける場合には、大蔵省的な考え方で、なるべく少いことを基礎にして考えるのか、これだけは相当伸びるだろうからというので、余裕を持って決定するのか、その点、一つお知らせを願いたい。
  71. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 産業の基礎になる重要資材に関する外貨予算というものは、なるたけ余力を持たせるようにする、そして国内における値上りというものをなくしよう、外貨を、なるだけ、抑制して需給の逼迫による値上げはさせたくないという考えから、いろいろの基礎を作っておりますので、このガソリンの需要についても、需給の逼迫によってガソリンの値は上げないという立場で、私どもはやっておりますから、通産省の見方というものは、低めじゃなくて、むしろ少し余裕を持たせるという考えの方に計算の基礎を置いているということであります。
  72. 關谷勝利

    ○關谷委員 そう言われておるのは、なるほど言葉ではそういうかもわかりませんが、そうすると、追加の外貨割当等は一切やらないというふうな方針をとってやっておられるわけですか。どうも私たち考えますと、大蔵省というものは、税を取る基礎になる数字は小さく小さく見たがるものであります。通産省が大きく見たものと、大蔵省の小さく見たものとが同じになるというふうな、その数字で統一ができるというふうなことが私はおかしな気がするのですが、その点、不思議に考えませんか。また追加の割当というのは絶対やらないのだという固い信念のもとに当初の外貨の割当というのはしておりますかどうか。その点、従来の実績と、これからの方針と、両方承わっておきたいと思います。
  73. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 過去の話をしますと、昭和二十八年前後は、なるたけ外貨を蓄積するという方針をとって、輸入を押えるという方向をとりましたが、それ以後は、日本の経済拡大がこういう状態になってきて、需給の逼迫という問題が出てきましたので、なるたけ抑制しない、必要な原材料は入れるという方針に変っておりますので、なるたけ余裕をつけるような外貨予算を組んでおりましたが、しかしさっき話しましたように、その見込みが、これで当初いけるだろうと思ったのが、実際には経済拡大の幅が非常に大きかったために、あとから追加輸入とか緊急輸入というものをやって事態に対処している、こういう状態になっておりますので、今後といえども、見込み違いであるとか、あるいは需給逼迫が起ったというようなときには、当初の予定を変更して、緊急輸入なり追加割当というものをやるつもりでおります。当初としては、これくらいで相当余裕があるのじゃないかという見込みを私どもの方は立てておる、こういうことでございます。
  74. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、今通産大臣のお話しによりますと、この三百九十万キロリッターというものは、余裕のあるものと見ておられるというふうに解釈ができますが、大蔵省は、その余裕があるものを基礎にして税金を取るというふうな例が今までありますか。あなたの気持を聞いたら、いやそれでやっておりますと言うことは間違いないのですが……。
  75. 原純夫

    ○原政府委員 歳入見込み一般に確実に見るという態度は、常に持っておりまするが、今回の場合、お聞きの通り主管省であります通産省の見込みました数字を基礎にしております。従来もそうでございます。そこで、内訳を申しますれば、おっしゃるように、この案を固めます経緯においては、だいぶ固めにというので、もう少し下の数字を見た段階もあるのでございますが、相当の増税をさしていただかなければならぬというようなことから、この見込みがただいま出ております三百九十万という主管省の数字に最後に落ちついたということでありまして、これは私どもとして、主管省の見込みがそうでありますれば、その見込みが適正な見込みであるというふうに考えてもろもろの案をお願いいたしておるつもりでございます。
  76. 關谷勝利

    ○關谷委員 私は、この基礎数字のことで、ここでこれ以上争おうとは思いませんが、私たちが調査をいたしました、いろいろな方面から出た資料によりますと、三百九十万じゃなくて四百二十一万というふうな数字が出てくる。そうして実際にやってみれば、その方がほんとうじゃないかというふうに私たちは考えておるのであります。これにつきましては、なお私たち一そうの検討を加えまして、あらためてまた御質問を申し上げますので、またそのときに、私たちは数字をあなた方に提示いたしまして、それについて一応検討していただきたいと思いますので、ここでは一応これだけで、保留しておきます。
  77. 山本幸一

  78. 松原喜之次

    松原委員 数字の問題が相当問題になっておりますし、またこれは税率をきめる重要な要素にもなりますので、私も数字について少々お伺いしたいと思います。この三百九十万キロリッターというものが出てきたのは、おそらく輸入原油の数量に対して一定の得率をかけて、精油の精製量を計算いたしまして、そうしてさらに輸送あるいは貯蔵中の欠減率をかけてこういう数字ができたと思うのですが、そうであるならば、その際に利用されたところの得率と、それから欠減率をお聞かせ願いたいのであります。
  79. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 詳しい計算がもし御必要でしたら、局長から説明させましょうか。
  80. 松原喜之次

    松原委員 どうぞ。
  81. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいま得率のお話が出ましたが、揮発油の需要量をきめる場合には、得率がどうであるかということは、直接には関係がないわけであります。原油の要輸入量を算出する場合、揮発油の需要量を基礎としまして、それを得率で割りまして、所要の原油輸入量が出てくるわけであります。従いまして、現在ここで問題になっておりまする揮発油の需要量が幾らであるかということと、得率を幾らと見たかということとは、一応関係のない問題であります。大体それで幾ら原油を輸入すべきかという数字を出す場合に、初めて得率が働く、そういうことになります。あるいは輸送上の欠減等の問題も出てくるわけであります。それで得率は、大体来年度の原油の要輸入里を出す場合に幾らのものを使ったかということを、正確にちょっと私記憶しておりませんが、大体従来の傾向によりますると、二五%ないし二六%ということで推進して参っていると思います。それから欠減の方は、これは現実の調査の仕方が非常にむずかしゅうございまして、生産者の側から消費者の側へ行くまでにいろいろな販売経路がありまするために、正確な調査が実はほとんど不可能な状態であります。それで、ただまあ欠減が三%ということを私たちは言っておりますが、これは、過去において石油の配給公団が全体の石油製品の配給をやっておった、そのころの実績の数字をとって三%ということにいたしておるのでございます。
  82. 松原喜之次

    松原委員 その得率とかあるいは欠減率というものは、課税の基礎となっておる三百九十万キロリットルとは一応無関係であるような御答弁でありますけれども、こういう点で関係してくるのです。すなわち三百九十万キロリットルのガソリンが需要される、従ってこれを供給せねばいかぬ、これを精製するのに幾らの原油が要る、従ってそれだけの為替を割り当てる、こういうことになることはわかっておるわけでありまするけれども、さてそれだけの原油を輸入して精製した結果がどうなるかといえば、これは欠減率ないし得率によって実際に出てくるガソリン量というものがきまってきて、その量の計算の数字を左右するものであります。その計算が左右されれば、今度はこの租税収入も従って変ってくる、こういう点で、密接不離の関係があるからお伺いしておるのであります。そこで、今鉱山局長は、二五ないし二六%と言うておられますが、三百九十万キロリットルの基礎となっておりまするその得率は二六%であり、それから欠減率が三%と言うておられまするけれども、三・七%であるとわれわれは承知をいたしておるのであります。そこで、先ほど言うたような税収との関係において、非常に関係して参るこの二つの数字でありまするが、まず第一番に欠減率は、何か販売業者の実績によって調べたという鉱山局長答弁でありますけれども、われわれの知っておる範囲内においては、業者は実績によってこれを調べた覚えはないと言うております。そしてわれわれが常識的に考えても、あるいは業者がもうほとんど周知の事実として知っておるという点から申しましても、欠減率の三・七%などというものはとんでもないことでありまして これはおそらく二%を相当切るというのがほんとうの欠減率であります。また得率にいたしましても、二十九年は二六・六%、三十年は二八・一六%、三十一年に至って二五・五%、こういうふうな傾向を示しておるのであります。ところが需要が大きくなりますると、この得率はふくれて、冬季では三〇%をこすというのが通例であります。従って三十一年には特殊事情があったはずです。その特殊事情を除きますと、この得率もまた二七とか八とか、事によれば二九とか、そういう数字に持っていって、それでもってガソリン量が出てくるということが正しいのではないか。それを逆に言えば、輸入量を減らせという議論にもなるし、またそれは、大蔵省の税収算定の基礎は、もっと大きいのじゃないかという議論にも——これは両刃の剣の議論でありますけれども、いやしくも主管省である通産省としては、この点は結果がいずれになりましょうとも、正しい数字を基礎とするということが、私はやはりとるべき態度であると思うのであります。従って、この点について水田通産大臣ば、もっとくろうと筋の意見も聞いて、一つ今後是正する意思がありますかどうか、この際明らかにしておいていただきたいのであります。
  83. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 原油の輸入数量の計算が一応そういう基礎で成り立っておったとして、それだけの輸入によって現実に出てくるガソリンの量はどれだけ違うかという問題は、これはあろうと思いますが、しかし私どもとしましては、一応大体確かだというところの得率に基いてこの計算をするよりほかございませんので、それから結果として若干の変化があろう、これはやむを得ないことと思っております。それでさっき局長が話しましたように、ほんとうの基礎というものを計算する方法はむずかしいものでございますから、大体の今までの統計によって私どもも処理しておる、これよりほかには仕方なかろうと思います。
  84. 松原喜之次

    松原委員 結局相当のゆとりを見るという原則に立って、通産省が計算される場合には得率も相当低く見るし、それから欠減率は、どうも税収と直接関係があるのじゃないかと思うので、これはあとでまた大蔵当局にお伺いしたいと思いますが、いずれにしても、それを少な目あるいは多目に見て、余裕をそこへ見出すというその態度は、これはやむを得ないと思いまするけれども、それがもら絶対至上の計数率である、こういうふうにお考えになることは、いささか早計だということだけ申し上げて、ここに大蔵の事務当局の方もおられますから、その点は一応注意を喚起いたしておきます。  それから次に、これは、どうも通産省としてはそういう権限があるのかないのか、私にはよくわかりませんけれども、先ほど大蔵大臣がお見えの際に申し上げたのですが、どうも物価というものは、単にコストがこれこれ上ったから、物価はそれと同じ金高だけ上るのだというようなものでないことは、これは通産大臣もよくお認めだろうと思うのであります。やはりその間に需給の問題、あるいは便乗して商売をうまくやって、何とかよけいもうけようというような意欲ののる問題、そういうところから、これは通産大臣は経済計画の上でよく考えていただきたいのですけれども、そんな、運賃が十円上ったから、それで製品もやはり十円しか上らないのだというような説明は、実際の経済の説明にならない、こういうことであります。これは大蔵事務当局も聞いておいていただきたい、そういうことにはならない。それはそれといたしまして、その点は認めますけれども、たとえば、石油価格の問題ですが、スエズ運河の問題で、運賃が相当上ったということはわれわれも認めるのですけれども、これを調べてみますと、三十一年の十月から三十二年の二月までの間に、問題の時点において上った運賃は、一キロリッターに直しますと、原油の輸送の運賃は五百五十一円しかしっていない、そこでガソリンの得率を利用して、一体ガソリンがそのうちで幾ら負担すれば公平かということを考えてみますと、大体二百二十円ガソリンにかかっていると見ていいわけです。二百二十円だけ実は運賃が上っておる。ところが上げも上げたり、ガソリンの価格の方は大体七千円上げておる。もうこれだったら、大かた今度の問題の揮発油税は、ここへ先に吸収してあるような数字なんです。こういうふうなことが許されて、そうして通産省としては手も足もこれに対して出ないのかどうか、貴重な外貨割当を受けてやっておる商売、しかもそういう値上げをしない昨年の九月期の石油会社の考課状を見てみますと、いずれもほとんど全部が二割以上の配当をやっておる、配当を二割しようとすれば、利益率がおそらく五割も七割もあったに違いない。こういう莫大な利益を上げておる石油会社が、さらに運賃値上りに籍口して、二百二十円の運賃値上りに対して七千円という膨大な値上げを行なっておる。そういうようなことを、通産省は何にも処理する権限がないのか、その手がないのか、その点についてお伺いしたいのであります。
  85. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ガソリンの値段は、大体昭和三十年の平均が約三万一千円でございました。日銀の統計で、一千円がちょっと切れるという程度でございましたが、それから業者間の非常な乱売競争が行われまして、値段はだんだんと下っていって、昨年七月から九月が一番の底値で、二万七千円前後に落ちてきていましたが、それからスエズ問題、こういうような問題が出ましてからだんだんに上って、現在ではちょうど昭和三十年の平均値段のところへ今ガソリンの値段がきた、こういうような状態になっていますので、これ以上ガソリンの値段を上げることは、私どもは問題であると考えまして、通産省は、権力に基いてやる方法は今ありませんが、一応行政指導として業者を全部呼んで、これ以上のガソリンの値段は一つ抑えてもらいたいというので、とりあえず一月から三月までは一切値上げをしないという協力を求めて、これは業者間の協力を得まして、今後は出荷価格をもし上げるというような事態が起ったら、必ず政府に通知して、その了解を得てからにしてもらいたい、こういう相談も今できております。私どもは、昭和三十年度の平均値段ぐらいをガソリンの値段として押えたい、これ以上なるだけ上げない、これ以下に下げたいといういろいろな行政指導をやっております。運賃の問題も、御承知のように、スエズ再開というような問題が見通されますので、船賃の上ることによってガソリンの値段が上ることはない、今後は大体下げられる方向ではないかと思っております。あとは需給の逼迫によって上げるか下げるかという問題が起りますので、需給は逼迫させないという措置をわれわれがとれば、大体ガソリンの値段はこの辺が峠で、今後少し下っていく方向にあるのではないか、こういうように考えております。
  86. 松原喜之次

    松原委員 三十年が三十一円、それから去年の底値が二十七円、こういうような通産大臣の統計によるお考えですけれども、しかし実際市場というものは、実はそうではないのです。おそらく底値は二十一円ぐらい、たとえば大阪交通局、あるいは防衛庁等で入札した入札価格をごらんになれば、それくらいのものもあるのです。大体平均して二十三円前後だと思います。それが今おっしゃるような値段になって、七円ないし八円上っているといいます。もちろん、これは重油あるいは灯油、軽油その他の製品の総合原価となりますから、ガソリンの値段だけではどうも何が適正であるかわからないというようなことで、結局は、鉱山局長もそこにおられますが、どうも通産省ではよくわからない。こういうようなことが今までのありきたりであったと思うのでありますけれども、これは、一番端的に総合的にわかるのは、その製油会社の実績です。おそらく今日の税制において、表へ出ている利益とほんとうの実質の利益とは相当に違うということは常識です。その考課状を見て、相当莫大な利益をあげている。その利益は、これはガソリンからあがったのではないと、ガソリンの値のときには言い、これは重油であがった利益ではないと重油の場合には言い、そうして全部ひっくるめて混迷に陥れて、わからないと言うのが手だと思うのであります。その他技術的にいろいろの説明はありましょう。またそれくらいのことは、鉱山局長ともあろう人がわからないことはないと思う。思うけれども、とにかく結論においてはわからないと、今までなっているわけです。大体考課状でそういう業績を上げているということ、それを一つの大きな柱として考えてもらったら、この貴重な外貨を使って そうして販売している——しかも、それは事実上のカルテルです、大きな独占資本です、それが中小企業の多数を相手にしている売買でありますから、ほとんど自由にメーカーの方で価格を左右できる、こういう点を考えて、三十一円がどうも適正であるというような甘い考えを持たれないで、水田さんはいろいろの数字の専門家あでりますから、一つ事務当局とも一緒に大いに研究なさって、今までこの点で相当に恨みを買っておる石油業者の実態を調べてもらって、そして幾ばくか揮発油税の増税があるにしても、その相当部分を石油精製業者が吸収するという態度こそ、最後の結論としてあなたが御努力下さるということが、業界何百万の人たちの非常に喜ぶところでありますから、一つこの際再検討していただきたいと思います。御答弁お願いします。
  87. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 仰せの通り努力したいと存じます。
  88. 濱野清吾

    ○濱野委員 関連して。通産大臣お願いいたしますが、先ほど課税対象になる石油の量の御議論が盛んにありました。そこで、全く善意に立ってこの問題を解決しなければならない。この課税対象になる数字がもし間違っておったとすれば、これは業者を死線に追い込むことにもなります。税ですから、問題は、課税対象の数字計算を誤まって苛斂誅求をし、必要以上の金を取り上げたというようなことでは、これは政府もその趣旨には合うまいと考えますので、鉱山局長もいらっしゃいますけれども、役所に帰りまして、数字の検討を一つお願いしたい。といいますのは、私どもは、本年の二月初旬からこの課税対象になるべき実態を把握するためにいろいろ研究しておったわけであります。名前は申し上げませんけれども、実は通産省の相当の責任者を招致して、そして三十一年度の計数並びに三十二年度に原油を幾ら輸入するか、この問題については的確なる数字を持っているわけであります。そしてわが国の原油生産も合せて見ますと、大蔵省の出した数字とわれわれが役所その他から集めた数字を検討してみて、相当大きな開きがあるわけなんです。ですから、結論として抽象的に申しますと、こういうことになります。これだけの税率をかけなくてもよろしいのだ、道路を改修し修築することは、だれも賛成なんであります。予算が通過した後の財源を得るために、この税率をかけなくても所要経費は当然に獲得できるんだという数字を、私どもはあなたの方の役所から得ておる。これは決して暴露するわけじゃありませんよ。これは、閣議やその他大臣の面子ということではなしに、いやしくも国民に税金を払わせることでありますから、平らかなる気持で、もう一度輸入原油の見込み、わが国の生産原油の見込み等も御研究下さいまして、さらにはっきりした数字をお示し下されば、こうした問題は長く議論しなくても済むのではないか。もちろんこの数字は、お宅の方で検討すればわかるのです。直線方程式、あるいは曲線方程式というものもありますけれども、この数字ははっきりしておるのでありますから、どうぞ省に帰りまして、この数字を親切に再検討されんことを希望いたします。
  89. 山本幸一

    山本委員長 それでは午前中の質疑はこの程度にとどめます。  なおこの際政府側に私から要望いたしますが、御承知通り重要な連合審査でありますので、従って審議をスムーズにやる関係上、大臣以下政府関係者の御出席を強く要望いたします。  午後は二時十分より再開いたします。暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後三時十二分開議
  90. 山本幸一

    山本委員長 それでは、休憩前に引き続いて会議を開きます。  この際私から申し上げますが、大蔵、通産、運輸の各大臣は、ただいま参議院予算委員会出席をいたしておりますので、はなはだ恐縮でありますが、この大臣の出席は当分の間見込みがないと思っております。従って、その旨御了承の上で質疑をお続けいただきたいと思います。  それでは、午前中に引き続き質疑を続行いたします。井岡大治君。
  91. 井岡大治

    ○井岡委員 委員長の方から、大蔵、通産並びに運輸大臣は、参議院予算委員会に御出席をなさっておる、そこで当分の間どうもその出席がないようで、その上でと、こういうことですが、私は大蔵大臣運輸大臣に主としてお尋ねをし、なお通産大臣に、さいぜんの御答弁の中で、われわれ若干了解しがたいものがございますから、お尋ねをしたいと、こういうように考えておるわけです。従って、それを考慮して質問をしろと申されても、現実には質問のしようがないわけなんです。この点、こちらの方から十分考慮をしていただかなければ、私の方は質問を続けていくわけには参らないわけです。
  92. 山本幸一

    山本委員長 私からさらにお願いを申し上げたいのですが、今のお説はごもっともでありますので、直ちに事務局を通じて、予算委員会の都合等をさらに検討してもらい、本委員会出席できるように請求をいたすつもりです。従って、請求の結果、どのような返事がくるかわかりませんけれども、一応大臣以外の事項についてそれぞれ政府側に御質疑を続行していただきたいと思います。
  93. 井岡大治

    ○井岡委員 大臣以外の問題ということでございますが、今度のガソリン税の値上げの問題で、臨時就労費、あるいは特別失業対策費、あるいは道路公団に対する補助金、こういうようなものが主として行われている。しかも、この費用が百二十九億、増額分が百二十八億、こういうことになっているのです。従って、この問題を大臣以外の人に聞けと言っても、これは私聞くわけには参らない。ですから、特に委員長の方で御配慮を願いたいと思います。   〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
  94. 山本幸一

    山本委員長 井岡君にお尋ねしますが、建設大臣質問はありませんか。
  95. 井岡大治

    ○井岡委員 ありません。
  96. 山本幸一

    山本委員長 政府側の顔ぶれをごらん下すっても、大蔵政務次官、通産政務次官、運輸政務次官、三君の御出席はあるわけです。そこで場合によれば、政務次官に対して責任を持ってもらうことにして、御質疑願えませんか。
  97. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、こういうところで運輸委員会にあった問題を持ち出して、再び運輸政務次官責任を追及しようとはいたしておりません。考えも持っておりません。しかしこの問題をめぐって、過日運輸委員会で政務次官とのやりとりがあって、われわれとしては、政務次官の御答弁の中にかなり遺憾な点を認めて、今後改めてもらうようにしていただいたような次第であります。従って、これは委員長の御配慮でございますが、この点は私はお断わりをいたしたい。
  98. 山本幸一

    山本委員長 速記やめて下さい。   〔速記中止〕
  99. 山本幸一

    山本委員長 では速記を始めて下さい。  それでは委員長から申し上げますが、先ほど井岡君の発言を許したわけでありますけれども、お聞きの通りに、井岡君は基本的な問題で特に大蔵大臣出席を要求しておられ、大蔵大臣は、御承知通りに、本日参議院予算委員会で七人の質問に対しての答弁に当られることになっておるわけです。そこで、さらに参議院側と折衝いたしましたところ、今のところまだこちらに出席することの見通しは困難だ、こういう事態でございますので、この際井岡君の質問を後ほどに回しまして大臣以外の諸君に質疑をせられる永山君に順序を御交代願いたいと存じます。その点御了承いただきます。なお永山君の質問の間に、さらに参議院側と折衝いたしまして、できる限りの善処をするつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。永山忠則君。
  100. 永山忠則

    ○永山委員 大蔵大臣並びに運輸大臣通産大臣、労働大臣がおられなければ非常に遺憾に思うのでございまするが、議事運営に協力する意味で質問させていただきますので、各大臣へは、責任を持って各省の責任者から十分その意をお伝えをいただき、なお必要なものは大臣の答弁をいただくように、留保をいたすという行き方で質問させていただきたいと存じます。  建設関係責任者は……。
  101. 山本幸一

    山本委員長 道路局長が来ております。
  102. 永山忠則

    ○永山委員 大蔵関係責任者はどなたか……。
  103. 山本幸一

    山本委員長 主税局長が来ております。
  104. 永山忠則

    ○永山委員 政務次官でも——でもということは悪いですが……。
  105. 山本幸一

    山本委員長 政務次官はただいま請求しております。すぐ来ると存じます。
  106. 永山忠則

    ○永山委員 同時に労働関係の政務次官も、大臣が差しつかえれば……。労働基準法の問題でございますから…。  大体神武天皇以来の景気だといわれるのに、神武天皇以来の大増税を、一番経済的な弱い地位にある中小企業者に属しておる陸運自動車輸送業者にしわ寄せをするという点に対して、国民が非常に当局のやり方に対して、その真意が那辺にあるか全く遺憾に思うと同時に、業界一千万人の関係者が非常なる反撃を続けてきておるのでございますからして、ただこれは予算が通過したから、あるいは道路をよくするためであるというような、単なる答弁では許されぬものがあると思うのでございます。  まず第一に、政府は本年度は一千億円の増収をさらに上回って先般の当委員会べの説明では、一千一百億円以上になるだろうといわれておるのであります。国民は、さらにその増収は多くあるんだろうと考えておるのであります。また三十二年度は、実に二千億円の増収であると政府はいっておるのでございますが、その予算規模は、国民総所得が去年は一割二分も成長率を見ているにもかかわらず、予算面では七・五に押えているのでございますから、二千億円の増収は、より以上増収されるだろうことを国民は考えているのでございます。さらにまた一千億円の減税を主張いたし、これが近く具体化して、四月一日から行われようとしておるのであります。加うるにベース・アップもやるということになっておるのであります。このベース・アップの関係で、国家公務員、地方公務員、その他特別会計の関係、あるいは組織労働者等、これにより実に一千億円以上の引き上げがあるのであります。こういう時代に、陸運交通関係に対しまして、政府出資並びに政府資金が非常に少くて、そうして鉄道運賃の値上りを余儀なくせしめ、ガソリン税の値上りを余儀なくさせるというような矛盾したる政策が行われていることを、国民は非常に遺憾に思っておるのでございますが、元来政府は、それだけの減税と、さらに増収分を財政投融資等に向けまして、隘路産業の打開に力を入れるというので、電源開発並びに鉄鋼、あるいは貿易産業、あるいは住宅等に相当の政府出資をなしているのでございますけれども、この陸運交通関係への政府投資あるいは出資が非常に少い。少くして、そうして税の引き上げへ持っていく、あるいは鉄道運賃の引き上げへ持っていくというようにいわれているのでございますが、この陸運交通方面べの投資関係が、果して政府投資は妥当なものであるとお考えになっているかどうかをお聞きいたしたいのでございます。
  107. 足立篤郎

    ○足立政府委員 永山委員の御質問にお答えいたします。道路整備の緊急性にかんがみまして、いわゆる一般会計からの支出があまりに少いというおしかりにつきましては、けさほど来各委員からの御質問がありまして、大臣からもお答えを申し上げている通りでございます。私どもも、決して十分な予算を組んであるというふうには考えておりませんが、諸般の情勢から、御承知通り四十数億の予算を組んだわけでございまして、これで事足りるとは決して考えておりませんけれども、従来と比較いたしますれば、政府としても相当思い切って予算を組んだという結果になろうかと思います。御意見のある点は十分拝聴いたしまして、今後も道路整備の緊急性を忘れないように、予算編成におきましても善処いたしたいと考えております。
  108. 永山忠則

    ○永山委員 隘路産業の打開ということが、政府の大きな施策でありまして、拡大均衡財政確立の上に最も必要な点でございまして、その一番大きな問題は、何といっても輸送の隘路打開でございますが、これに対する政府の出資並びに政府資金の投資がきわめて少いという結果が、鉄道運貢の値上げ等によりまして非常に国民に不安を与え、さらに連鎖反応式に物価高へ拍車をかけるという結果に至ろうといたしておるのでございまして、すでにふろ屋しかりであります。あるいは電気料金の三割頭打ちの問題も、そのワクをはずさねばならぬ、あるいは水道、ガスというような各種の問題に火をつけておることは残念でございます。これらの点に対しては、別の機会に、大臣の方へよくお話しをいただくことにいたしまして、本日は、このガソリン税の値上げによりまして——自動車輸送方面に対する政府の出資がきわめて少い、そのことが極端なる値上りを来たしまして、そうしてさらにこれが物価騰貴への拍車をかける一つの大きな要因となろうとしておることを強く私は警戒しながら、当局の反省を求めたいと思うのであります。  元来政府は、道路整備に対しまして、揮発油税と国家の一般会計の支出とをどういう比率に持っていけば適正なる比率であると考えておるかという点をお伺いいたすのであります。私は、いわゆる隘路の陸運輸送に対する国家投資はどのくらいであらねばならぬかという根本論を突きたいのでありますが、それは別といたしまして、しぼりまして、道路整備関係に対して、揮発油税一般会計とはどういう率で持っていくことが一番妥当な率であるか、この点についてお考えを聞きたいのでございます。
  109. 足立篤郎

    ○足立政府委員 問題は、ガソリン税道路整備目的税にしたということに戻るのではないかと思うのでありますが、もちろん、これを目的税にしましたときの国会の御意思は、従来の一般会計からの道路整備の費用がきわめて少い、この道路整備の緊急性にかんがみてあまりにも経費が少いので、これを補うためにガソリン税目的税にいたしまして、大幅な整備をいたしたいというお気持であることは申すまでもございません。そこで、目的税になったからガソリン税によって道路整備すればいいんだ、一般会計からはめんどうを見なくてもいいのだというふうには、私ども絶対に考えておりません。これは、道路整備計画によるところの必要性に基いて予算を計上しなければならないのでございまして、ガソリン税でまかない切れないものは、一般会計からこれを補給して、十分道路整備ができるようにしなければ、御説の通り現在の輸送隘路を解決することはできないというふうに考えております。しかしながら、一般会計からの繰り入れの問題につきましては、申すまでもなく、一般会計財政上の都合ということにも左右されるわけでございまして、本年度の四十四億があまりに少いと御非難になります点につきましては、お気持はよくわかるのでございまして、先ほど申し上げました通り、今後につきましても、この道路整備の緊急性にかんがみまして、私どもも御意見のあるところを十分尊重していきたいと考えておる次第でございます。従いまして、どういう姿であるべきかということにつきましては、これは一定の法則というようなものはないと思うのでありまして、できるだけ全体の計画がうまくいくように、予算を全体としてうまく組むということに相なるのではないかと考えております。
  110. 永山忠則

    ○永山委員 大よそ揮発油税に比例しまして、一般国家財政をどのくらいな率に持っていくかというような基本的な方針を当局はやはりおきめをいただくことが、必要ではないかと考えるのであります。現在の一割に達しない程度では、一般会計よりの繰り入れば非常に少いんだ、将来はこれに対して国家財政の許す範囲、道路整備の緊急性等を勘案して十分考慮するというお考えも、一応は考えられるのでございますけれども、あまりにも一般会計よりの繰り入れが少いという結果は、極端なる増税へ持っていき、さらに税の均衡を非常に失する。政府は、今日減税、さらに税の均衡ということを二つの大看板として押し出されておるにかかからず、それに逆行しまして、増税、しかも不均衡という政府としては一番戒めねばならぬこの大きな重圧を自動車輸送業者へ加えておるところに、国民が当局の態度に非常に割り切れないものがあり、国民的反撃を受けておるのであると思うのであります。ちなみに道路整備五カ年計画の際の昭和二十九年五月二十日の閣議決定の点は、よく御存じでございますし、しばしば論ぜられておりますから詳細は申し上げませんけれども、揮発油税で充てるべきものが五四%、一般国費が四六%でいこうということが閣議決定をされたのでございます。われわれは、そういう比率ははっきり申し上げることはできませんけれども、少くとも揮発油税と同額以上のものが一般国費から支出されまして、最も緊急を要する道路整備に充当さるべきではないかということは、この閣議決定の事項から見ましても、大よそ妥当な率ではないかと考えるのでございますけれども、自来その閣議決定事項は全くじゅうりんされまして、昭和二十九年におきましては、国費の比率はわずかに八・二%となりまして、昭和三十年は二・五%、さらに昭和三十一年度は一・二%、昭和三十一年度の数字でこれを申し上げますれば、揮発油税の税収は三百四十三億二千百万円に対しまして、国費はわずか四億六百万円というような状態に比率を転落させてきておるのでございます。その結果、ついに道路の五カ年計画は、昭和三十一年度で計画の四四%しか実行できないという事態に立ち至っておるのでございます。このことは、まさに政府の公約の違反であり、さらに政府当局が閣議決定し、しかも議会に報告をなし、議会とともに相談してやったことを全然ほおかむりして無視するという結果になっておるのでございますが、これに対しての当局のお考えはいかがでございますか。
  111. 原純夫

    ○原政府委員 数字的なことでございますから、私から申し上げさせていただきます。ただいまの道路整備五カ年計画数字をおあげになっての御議論でございますが、なるほど二千六百億という中で 揮発油税の分は私どもの数字でたしか千五百億程度。ところがその残りは全部一般財源から出すということにはなっておりませんので、地方の負掛分がたしか八百億近くあったと思います。二千六百億から八百億を差し引きまして、千八百億くらいが国の財源で出す分ということになっておった。そのうちガソリン税が千五百億、差引一般財源によるものが三百億前後であったかと思います。もっとも、これは正式に数字までぴちっときめ切ったものではございませんが、そういう状況でございます。それにしましても、一般財源からの振り向け額が少いというお話は、たびたび伺いまするし、私どもも、ごもっともなお話と思ってできるだけ努力をいたしているのでありますが、その間二十九年度は、御記憶の一兆予算で非常にきりつめた時期でございました。その後においても、一兆ベースというものがなお続くようなことに相なっておりまして、結局いろいろな財政需要がたくさんあり、道路の方は、幸いにガソリン税が非常に伸びておるというようなことから、ほぼその額でごかんべん願うということで心ならずもやって参った。今般は、先ほども政務次官から申し上げましたように、わずかではありますが、四十四億という数字一般財源分をふやした。今後大蔵省としては、できるだけ御趣旨の点をくんでやって参りたいと思っておりますが、スタートの計画、それからその後の経緯に私どもの気持をあわせて申し上げた次第でございます。
  112. 永山忠則

    ○永山委員 これらの数字に対していろいろ言を左右にされましても、道路整備五カ年計画は、道路整備費財源等に関する臨時措置法、昭和二十八年法律第七十三号第二条百一項に規定する道路整備五カ年計画次の通りとするというので、閣議決定事項になっておるのでございます。この数字の点は第二といたしまして、五百四億の一割に足らない四十四億ではきわめて不均衡で、あとは重税へ持っていかれることになっておるのであります。一兆円予算の際には、政府は苦しいからというので、国費からの道路財源繰り入れを押えたのですが、実は業界は、一兆円の緊縮財政のときに破産をいたしておるのであります。全国の不渡り手形の一番多いのは、自動車輸送業者でありまして、続々と破産状態になっておりましても、国民の方からはこれをどこまでも取り上げていく、そうして財政が苦しいときに一般会計から出さないというような、血も涙もない政治をあえて断行し、しかも自粛することなくして本年のような大減税をなし、さらに隘路産業に一大投資をいたそう、ベース・アップもいたそうとし、神武天皇以来の大景気と称しておるのに、ここにわずか一割足らずの国費しか出さず、輸送の隘路打開という美名のもとに、業者に増税の重圧をかけて、税の均衡を失しているから、不満が爆発をいたしておるのであります。元来ガソリン税を取りながら、それを道路に使用しないということから、ガソリン税道路整備に当てるという目的で、道路整備費財源等に関する臨時措置法ができたのでありまして、揮発油税だけで道路整備するという考え方で法が立案されておるのではないのでございます。少くとも揮発油税の半分以上のものを国費で負担せなければ、税の均衡という政府の大きな目的に逆行するので、当局の反省を求めるために御質問申し上げているのでありますが、道路整備することによる一番の受益者はだれであるか、そうして自動車輸送業者の受益はどの程度とお考えになっているか、この研究なり計数をお出しになっておりますか、お聞きしたいのであります。
  113. 足立篤郎

    ○足立政府委員 御質問の第一点は、今回のような大幅な減税をする際に、なぜガソリン税を引き上げるか、ガソリン税の引き上げは、経営上非常に大きな影響を受ける業者の強い不満のあるところであるという意味のことでございますが、今回の大幅な減税は、申すまでもなく、三十一年度における経済の拡大、好況と同様のことが三十二年度におきましても相当程度予想され、約二千億近い自然増収が見込まれますので、その半分は積極政策、半分は減税という大きな方針を立ててやって参ったのでございますが、かような自然増収があるから、すべて減税でいくんだということではないのでございまして、財政が少し楽になったから、すべてが楽にいくというわけのものでは断じてございません。これは、ただいま御指摘のありました通り、一兆円予算のいわゆるデフレ予算を組みました当時のことをいえば、確かに全般としては楽になっているとば思いますけれども、永山委員も御承知通り政府でこの予算をまとめ上げる際には、それぞれ需要が多いので、これを生み出すには非常な苦しみをして、ようやく一兆一千三百七十四億というものを組んだのでございます。従いまして、この間において、税のあり方から見て調整すべきものはやはり思い切って調整すべきであるというので、単にガソリン税だけの引き上げではございませんので、たとえば印紙税とか、あるいは租税特別措置法における価格変動準備金のごとき、相当大幅な増税も内容に含まれておるのであります。租税特別措置法におきましては、御承知通り二百三十五億の増税を見込んでおるような次第でございまして、やはり税のあり方から調整し得るものはできるだけ調整して合理化をはかり、なお減税すべきものは減税いたしたいというのでやったのでございまして、こういう減税をするというやさきに、ガリソン税だけを目のかたきにして、しかもこれにすべておっかぶせて、道路整備はすべてこれにやらせようという考え方でやったのじゃないかという御質問でございますが、政府としてはさような考え方ではございません。  なお今回のガソリン税引き上げに関して、これが一般運送関係にどのような影響を及ぼすか、また研究したか、受益者はだれかという御質問であります。これは、実はけさほど来特に松原委員の御質問に対して、大蔵大臣がるる申し述べておった通りでございまして、数字的な根拠等御必要でありますれば、主税局長から数字的にお答えをさせたいと存じます。
  114. 永山忠則

    ○永山委員 私は、租税特別措置法等の関係については、担税力のあるものがむしろ不当に安かった、中小企業者は四〇%ないし五十万円以下三五%の法人税を受けながら、一般金融資本及び大産業だけが租税特別措置法で平均的には二二%くらいしか税金を納めてないというような不均衡是正の線から見て、まだ足らないくらいに思っておるのでございまして、このガソリン税に重税を加える点は、それとは別の非常に誤まった施策であるというように考えておるのでございます。その一般問題は別として、受益者は国家だ、これによって国家が、産業が興隆するのでございますから、拡大生産への隘路打開のために輸送関係に力を入れるべきは国家であって、ほとんど自動車業者が受益者であるから、これにすべて道路整備の費用は負担さすべきであるという考え方が、税の不均衡是正の意味から国民の反撃を買っておると思うのでございますが、私はここにどれだけ利益自動車業者に還元するかというその率を、政府に聞きたいのでございます。  おそらく政府は、そういうような計算はいたしておらぬのでありまして、これをまず一般論の方の受益関係から申し上げますが、これに対する基本的な調査というものはないのであります。政府もいたしておらぬ。ただ多少でも信を置けるものがありとすれば、鮎川道路調出会、会長は鮎川義介氏でございますが、この鮎川道路調査会の調査報告によりますと、道路整備十カ年後の経済効果の分析というのがございまして、自動車の走行経費の節減が三四・二%、国民一般的な利益が三二・三%、自動車の運行経済に関係がなくして、かつ自動車を通じての課税の対象となり得ない利益とされまして、沿道被害の軽減、あるいは商品在庫分の減少に伴う利子節約、資源開発による利益等等をあげて、それが二五・六%、自動車を通じて課税の対象となり得るかどうか直ちに判断しがたいもの、たとえば交通事故による物的損害の軽減というようなもの等を入れまして七・九%という調査をいたしておるのでございますが、日本における現在の調査といたしましては、最も多くの費用をかけ、最も信頼のある調査事項でございますが、これが、自動車業者道路整備利益がすべて還元するんだということで、道路整備のほとんど全部を揮発油税に持っていこうという当局の考え方に非常なる誤まりがあるのではないかと考えておるのでありますが、これに対する当局の意見を伺いたいのであります。
  115. 原純夫

    ○原政府委員 私どもも、ただいまお話しの鮎川さんを中心に検討されました調査は、拝見いたしましたし、その線でいろいろ私どもとしての見積りも作ってみました。お話しの総体の利益の中で、自動車業者の受ける分が三四%ということは、大体その辺だろうと思います。ただこの三四%と申しますのは、総体の利益の中の三四%なのでございまして、総体の利益自体が、鮎川調査会の数字においても総投資額、つまりこの場合それをガソリン税でやるといたしますれば、ガソリン税負担する額の三・九倍、約四倍ということになっております。従いまして、四倍の三四%でありますから、税を納める額の一・三倍ということに相なります。なおこの利益数字三・九倍と申しますのは、六年間投資を続けて、その利益が初めから十カ年に出る利益を累計されたものでありますが、私どもは、道路に投じた金の利益はもっと長くはね返ってくると見ております。ただいまの例では、最初の一年分はその後九カ年の利益を見ておられますが、最後の六年目の分は、わずかその後四カ年、初めの年を入れて五カ年間分しか見ておられないわけでありますが、私どもの調べでは、改良舗装平均して十五年くらいは見ていいのではないかと思います。そうすると、総体の受益額は非常に大きな額に上り、総投資額の十倍をこえる——私どもの数字では十一倍ということになっております。その三割、私どもの数字では三割六分になりますが、そういたしますと、総体の受益は四倍に近いといったような数字に相なって参っております。お話しのごとく、それにしても、それ以外の受益がある。それ以外の部分でも、旅客あるいは荷主、あるいは一般の受益がありますが、それがまた自動車業者にはね返ってくる部分が相当ございますので、その受益はさらに大きくなると思います。それにいたしましても、おっしゃる通り自動車業者だけが受益するのじゃないから、その方にも持たしたらという御意見はごもっともな御意見だと思いますが、ただ、いろいろな場合に、たとえば港湾を浚渫する、あるいは岸壁を作る——御案内だと思いますが、特定の工場の水先を浚渫するというような場合に、特別な負担金をとります。そういう浚渫の利益は、その工場だけの利益でないのだけれども、一応そういうものに負担させるというようなこともございます。一般に利益を受けます面までとるというあたりが、なかなか技術的にむずかしいということがございます。また半面、ガソリン税が上りますと、それを全部自動車業者負担してしまえばおっしゃる通りのことになりますけれども、ガソリン税は、御案内の通り間接税であり、消費税でありますので、原則としてはコストに加わり運賃に転嫁されるというふうな性質もございます。これは、運賃が上るということは望ましくないわけでありますが、若干はそういうこともあろうかと思います。そういたしますれば、その形において 一般に乗る旅客なり、あるいは荷物を運ぶ荷主なりがやはりこの税を負担するというようなことにもなりますので、その意味においては、御趣旨のほどに沿い得るというような面もあるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  116. 永山忠則

    ○永山委員 道路整備して、舗装道路を走る場合における自動車業者の受益というような問題は、これは別に考え質問するのでありますが、道路整備することによる一般の受益は、何といっても国家でございます。それはただいまお認めになりましたが、鮎川調査会の調査にありますように、一般的にいったならば三四・二%だということをいわれておるのでありますが、その数字が絶対とはわれわれは申し上げませんけれども、少くとも揮発油税の同額以上のものを国家が出すというこの原則によって、急速整備を要する道路改良に充てるべきであるということは、この調査報告を見てもはっきりわかるのであります。この点を誤まらぬように、事務当局は一つ十分に大臣に御報告願わねばならぬのでありまして、ただいま主税局長の言われる、道路整備利益が還元するということは、直接の利益関係の計算でございます。この点については、大蔵省が税制特別委員会に出された案をわれわれは承知いたしておるのでございますが、それによりますと、三百億円を投資したならば、増税したならば、すなわち当時一万円の案でございましたから、三百万キロリットルといたしまして、三百億円を投資をすれば、それによって三十九億五千万円の受益が業者にはね返ってくるという計算を出されておるのであります。その計算の資料の内容は、この鮎川調査報告の計数等をも引用をされておるのであります。その舗装することによって直接利益が還元するという問題と、道路整備することによっての受益は国家だという、この根本というものと混同をしてはならないのでございまして、道路整備することによって自動車輸送に利益還元をするというこの説自体をもって、道路整備の受益者は、国家ではなくして自動車輸送業者だというような工合に誤まるような考え方を大臣の方へでもお伝えをしておられることがあるとすれば、われわれは非常に憂慮をするものでありまして、組閣早々でございまして、各大臣全部新しい、各党の政調の機関は一切きまらぬというときに、しかも暫定予算はこれを避けるべきであるというにしきの御旗を持って、早急の間に大蔵官僚の考え方をそのまま大臣へのみ込ませて、強引に予算を作り上げていこうというところに、こういう欠陥が随所に起っておるのでございまして、私は、事務当局は大きなる国家的立場に立って、そうして大臣の補佐を誤まらぬようにするというように、きわめて良心的な行き方をしていただかなければ、ただ税を取るということだけ、しょせんは悪代官でしかないという悪評のあるところの、大蔵省のいわゆる金融資本独静的な考え方を、そのまま大臣にのんでいただくようなことに追い込んでいったならば、これは政府全体の非常なる不面目を来たし、議会は多数でこれを通過させましても、これを承知せざるものは国民である。国民は、あげて政府に反撃をいたしてくるというような結果に至ろうとするのでありまして、このことは、私は単なるガソリン税だけのことを申し上げるのではありません。あらゆる面において国民の総反撃を食おうとするところの現在の政府の施策に対して、率直なる反省をせなければならないと考えておるのでございますが、まず第一に、大蔵省が税制特別委員会に提出されました資料は、三百億円、いわゆるキロリットルで一万円増税する、それによって三百億円増収分がある、そうすれば三十九億五千万円の利益が還元するのであって、これを年六分に計算をしてみても、自動車業者は非常な利益になるのであるからして、業界の反対はいわゆる反対であって、自動車業者は真に心からこれに反対をいたしておるものではない、しかもなお自動車業界は非常に景気がいいのであって、負担能力は十分あるのであるといったような、この資料を税制特別委員会べ提出をされまして、強引に税制特別委員会の議を経て、そうして政府原案に追い込もうとしておるのでございますが、われわれはこの官僚が、特別委員会、調査会の名のもとに隠れて、これをバック・ボーンといたして、そして議会人はいかにも政治的なかけ引きが多い、あるいは業者の陳情者によってわれわれの正しい税制論を歪曲するのであるといったような考え方を政府並びに大臣に強く進言されまして、実情のわからない、新たに出たばかりの大臣、政府を、早急に予算を取りまとめようとするような考え方から誤まった結果へ陥らせようとしているのではないかということを心配するものでございますが、ます第一に、これによって自動車業界は、三百億円増税をして三十九億五千万円の利益が出るのだから、業界の方は利益が還元するのであるから、決して負担の増にもならず、心配ないという説明をされておるのであります。この調査会での説明等を私はそういうように聞いておる。また事実その関係者にも承わって、各税制調査委員を歩いて承知いたしておるのであります。これは大蔵省の調査報告に出ておるのでございますが、そういうように利益が還元するという考えでございますか。
  117. 原純夫

    ○原政府委員 そのとき計算いたしましたのは、こういう筋合いの計算でございます。おっしゃる通り、かりに一万円上げるとして三百億増収がある、三百億でどれだけ道路改良補修ができるかということを計算いたしました。たしか千五百キロ余りが改良、それから舗装ができるということであったと思います。そこで千五百キロの改良ないし舗装される道は、日本の国の方々に散らばるわけでありまするが、その改良され舗装された道路自動車がどのくらい走るであろうかということを推定いたしました。これはいろいろな種類の道路についての自動車の一日当りの走行の台数が推定がつくというところから計算をいたしました。そうすると、何台の自動車が年に何キロよくなった道を走るということに相なります。そこで、一台の自動車改良されない道を走る場合に比べて、改良された道を走る場合にはどれだけコストが安くなるか、同様に、舗装されない道の場合に比べて、舗装された道の場合はどれだけコストが安くなるか、運行費が安くなるかという、いわば一キロ一台当りの経費節約の額を調べました。こまかい数字を持っておりませんが、概略して、改良道路においては、未改良道路に比べて運行費が二割安くなったというふうに思います。これは、もちろん車の種類によっても違いまするが、大体そうであります。未舗装道路に比べて、舗装道路を走ります場合には、三割程度安くなるというのがわれわれの数字でございます。そこで、先ほど申しました千五百キロ余りの道路に何台の車が何キロ走るということから、その台キロに、一台キロ当りの節約額をかけますと、一年間の総経費節約額が出て参ります。これがただいまお話しのありました三十九億五千万円の数字でございます。そこで、道路ができますれば、相当長く持つわけであります。ですから、改良道路舗装道路、また舗装におきましても、舗装のしようによっても違いますが、関係の主管省あたりにいろいろ伺いまして、総平均十五年と見てよかろうと判断いたしました。そういたしますと、今の三十九億五千万円、約四十億でありますが、これが十五年間利益があると予想して、六百億近くの利益と申しますか、経費の節約になる。これは、つまり当初の税負担した三百億、それで道路ができた、その事業費三百億の倍であるというふうに計算いたしたわけであります。ただいまの計算は、道路を走る自動車の台数が現在通りで、十五年間全然伸びないという前提でやっておるのでございますけれども、実際には、どなたも御存じのように、非常な勢いで伸びておりますから、その伸びを計算して入れますと、この経費の節約額はさらに大きいものになろうというふうに考えます。もちろんその場合には、道路の損傷ということもありましょうけれども、それよりも経費の節約の増加の方がはるかに顕著に伸びるのではなかろうかというふうな考えをいたしております。それらをフルに伸ばしてみたものが鮎川さんの調査会の計数でありますが、それは、先ほど申しましたように、投資をした第一年目から十年間で切ってしまっておりますから、フルに利益が出ます分を見るには、もう少し長く見なければいけないのではないかというようなことで、先ほど来申し上げたような数字が出て参ったのでございます。
  118. 永山忠則

    ○永山委員 私は、この計数に対しても、非常な疑問があるのでございますが、まずそれより先にお問いしたいことは、この税制調査会において、運輸省の御意見をお聞きになりましたかどうかでございます。
  119. 原純夫

    ○原政府委員 聞いております。
  120. 永山忠則

    ○永山委員 どういう形でお聞きでございましたか。税制調査会の今の資料は、運輸省の意見を聞いてお立てになったのでございますか。また調査会には、運輸省の何人が列席いたしておりますか。
  121. 原純夫

    ○原政府委員 実は、私も昨年の七月に主税局長を拝命いたしましたので、その前に御出席があったかどうかというのは、今ちょっとわかりませんが、その後御出席になって意見を述べられたということはございません。ただ税制調査会をやっておりますので、各省、民間ももちろんですが、意見をお出し願ったわけでございます。その中に運輸省からの御意見が出ております。なおその後においても、運輸省はいろいろ意見をお出しになっておられます。もし必要であれば、私どもの承知するところを申し上げますが、経緯はそういうことでございます。
  122. 永山忠則

    ○永山委員 内閣の調査会でございまして、税制に関する問題でございますから、大蔵省が指導的地位に立たれることはわかりますけれども、その間において、運輸当局の関係者がやはり幹事になりまして、よく意見調整をいたして進めるべきであるのでありますが、運輸当局が出した案は、ただ目を通すというだけでございまして、運輸当局は、そういう利益還元が急速度にくるものではないということで、強く反撃しております。それらの点については目もくれずして、ただ大蔵省の独走した、独善的な案によって、善良なる調査会の人々を全く欺瞞いたしておるというような実情であります。私は、ここを大蔵当局に強く反省を促したいのでありまして、大臣に対しても、十分ほんとうの考え方を伝えることをせずして、ただ自分らの独善をのみこれを伝えて、そして監督官庁であって、自動車営業の指導的地位に当っておる一番大切なる運輸省の意見等は、これを大臣に伝えずして、そうしてこの独走案を強引に追い込んでいくということになることによって、大臣なりわが党を傷つける結果になろうとするのでございます。私は、この点を全く遺憾に存じておるのでございます。さらに大蔵省の三十九億五千万円の利益が一万円のガソリン税引き上げによって三百億円投資されてできるという案に対しまして、運輸省は、それより下回る数字を出しておるのでありまして、こういうような膨大なる受益還元を言われるということは、自動車業者の受益を全くオーバーしておる不当なる数字であるという反駁が手元へいっておると思うのであります。これらの点についても、私が十五人の委員を歩きましたときでも、たまげている。道路を直すのは業者利益になるのだから、業者負担——業者負担能力はあるのである、だからして、これは増税してもいいのだという大蔵省意見を率直に信じておりまして、いろいろ事情を説明いたしましたならば、そういう負担能力もないのである、その受益はすぐ来るのでなくして、後代の国民がその受益者であるからというような点に対して、全く調査委員はたまげるような状態でございます。一万円のガソリン税引き上げをするという答申を大蔵省が強引にさせようとあせったのでございますけれども、それに対しまして調査会の方は、道路整備するために、これが増税はまたやむを得ぬという、きわめて微温的なる答申書となってきたのであります。そのことは、いやしくも調査委員という権威のある地位につかれた方は、きわめて良識ある考え方において処置をしてもらわねびならぬという強い要望を持っていきまして、初めて調査委員が、その考え方の間違っておることに気づくというような結果であるのであります。大蔵当局は、特に広くいろいろの意見を取り入れられて、独走に走らないようにして、大臣補佐の責任を全うしてもらいたいと思うのであります。この三十九億が、かりに利益が還元するという計算を、大蔵省の言うままにするといたしましても、われわれは、舗装道路や修理したところだけを走るのではないのでありまして、舗装道路や修理したところ以外を走るパーセンテージの方がより以上大きいのでございます。ことに区域営業をいたしておるところのトラック、あるいはタクシーハイヤーというようなものは、舗装道路外を走る率が八〇%以上なのである。そういうような点から見ましても、全道路舗装されて受益が還元されるということは、まさに後代国民の受益であって、現在の営業者がすべてこの負担をしなければならぬというような、血も涙もない苛酷な増税案をあえて断行しようというその考え方に、非常なる不満を持つものでございます。かりに大蔵省が言う答申により利益率を計算をいたしましても、二百億円、三百億円ずつ毎年出すのでございますから、これを今年政府決定いたしました増税一キロリットル六千五百円に換算いたしますれば、一年目に二百億円投資いたしまして、年間節約分が二十五億六千万円になります。運輸省の方は、まだはっきりした数字を出しておりませんが、その当時調査会等に持ち寄りましたところの数字によりますと、運輸省も大幅にこれを認めまして、十九億になると思うのでありますが、この数字決定的なものではございません。私が運輸省のいろいろな数字から帰納いたしました数字でございますが、この大蔵省のいう三十九億五千万円が直ちに還元するといたしましても、毎年二百億ずつ投資するのでございますから、十五年目にその利益がパーとなって出てくるのであります。それが、運輸省のように十九億に見積ったならば、二十一年目にこれの利益が出てくる数字になってくるのでございまして、結局この舗装道路を全部走ることにいたしましても、十五年ないし二十年目でなければ利益が還元をして参りません。その間この力の弱い業者に先に税を負担せしめて、そうして利益をあとから還元せしめてやろうという結果になるのでございますから、今日神武以来の好景気に一番浴しているものは政府である、この力の強い政府が一番力の弱いものに先取りに税金をとって、十五年も二十年も使って、そうして利益が還元するというような行き方は、最もとるべからざるものであるというように考えるのでございますけれども、政府考え方を承わりたいのであります。
  123. 足立篤郎

    ○足立政府委員 事務当局が一方的に考えた案を大臣に押しつけたのではないか、大臣の補佐を誤まるなという御注意でございます、お言葉を返すようでまことに恐縮でございますが、大蔵省が、ただ税だけとればいいという考え方でかような案を作ったのではございません。申すまでもなく、永山委員自身も、先ほど来御質問の中に触れておられる通り道路整備の緊急性にかんがみまして、これは担税力の問題もございますが、この際大幅な事業の伸展をはかりたいという熱意が、結局このガソリン税の引き上げということにもなって参ったわけでございます。一方一般会計からの出資の足らざる点は、御指摘の通り、私どもも反省しなければならないと考えておるわけでございますが、御承知通り、これによりまして受益をするものは、ひとり運送業者だけではないということは、これまた事実でございますし、先ほど主税局長もお答え申し上げておる通りでございます。しかし私ども常識的に考えまして、やはり運送を営む者、あるいは運送に関係のある者が道路整備を一番渇望し、また一番利益を受けるということにつきましては、疑う余地がないと思うのでありまして、そういう意味合いからしますれば、今日の日本道路というものが、諸外国に比べましてはるかに立ちおくれておる、一日も早くこれを整備するという必要があることは、これは国民の一般的な声でございます。政府も、これにつきましては累年意を払って参ったのでありますが、なかなか事業が思うように伸びない。この際、思い切って計画的な道路整備をやる必要があるというので踏み切った結果といたしまして、御承知通り、今日御審議を願いました予算の内容を見ましても、道路関係の一般事業費で国が持ちますものでも、前年度三百四十七億が五百四十七億、約二百億円飛躍をいたしておりまして、約六割の増額になっておるわけであります。なお道路関係の総事業費は、地方自治体の負担しますものも含めますと、昨年度四十二億が千二十九億というふうに飛躍をいたしております。もちろん私どもは、道路整備の緊急性から考えますと、この程度で十分だとは思っておりません。もっともっと予算を計上し、大幅な道路整備を行うベきでありますが、総合的に考えまして、財政の規模もございまして、先ほど来申し上げている通り、この程度にとどまっているわけでございますが、私は、むしろ運送業者の方も、道路によって受益をいたします方々も、こぞって道路整備を渇望しているわけでございますから、むしろこの程度の負担はする、しかし政府ももっとふんばって 一般会計から金を出せというようなむしろ励ましの、勉励の声があってしかるべきじゃないかと考えているくらいでありまして、私どもは、もっともっと予算を計上し、道路整備をやらなければならぬというふうに考えているわけでございます。本年度四十四億にとどまったという事情につきましては、今朝来大臣もるる御答弁申し上げました。私どもも、この点はよく申し上げたのでございますが、これは何といいましても、受益をする者が、先ほど来申し上げている通り実情にございますので、こういう人々も一つ張り切って認識を新たにしていただいて、大いに御協力を願いたいというふうに考えている次第であります。  〔井上委員「与党の一人もいない連合審査会なんてあるか、けしからん、休憩々々」と呼ぶ〕。
  124. 山本幸一

    山本委員長 永山君、どうぞ発言を続けて下さい。
  125. 永山忠則

    ○永山委員 政府は、税制調査会へ提出いたしましたものに対しても、かりに年六分の複利で計算いたしても非常に利益を得るということをいわれておるのでございますが、その受益は、全く後代の国民であり、先の者でございますので、私は、この点から見ましても、政府一般会計、国費から出して、今日担税力のない者から先取りをするという考え方を是正をしなければならぬのでございます。特に、今政務次官の言われましたように、わが党の方におきましても特別委員会を設けまして、小笠原三九郎氏が特別委員長となり、政務調査会を経てわが党の党議できめましたものに対しても、ガソリン税を引き上げるならば、それに見合う同等以上の国費を繰り出さねばいかぬということを、一月の十一日並びに十二日に党としても決議をいたしておりまして、今政務次官の言われましたような気持でわが党も進んでおったのでございますが、遺憾なことには、予算のときに実施されていないというところに、私は——前の一萬田大蔵大臣は、運輸委員会に出てこられまして、この場合の増税は無理だという決議をいたしたときにも、大臣は出ておられたのであります。ところが大臣がかわられたのでございます。そこで、政務調査会ではそういう決議までして、小笠原特別委員長は特にこの点を強調されて、少くとも増税をする以上のものは一般会計から出さねば国民が承知せぬ、わが党はどうあっても、国民が承知しませんぞ、これができないなら、私は特別委員長をやめるのだというくらいまで強く進言をされておるにもかかわらず、それが実現ができていないということは、私は、やはり事務当局の補佐の責任を全うしていないのだということを申し上げておるのであります。   〔「事務当局の責任にしちゃいかぬ」と呼び、その他発言するものあり〕
  126. 山本幸一

    山本委員長 静粛に願います。
  127. 永山忠則

    ○永山委員 そこで、道路整備十カ年計画というものを政府は今発表されておるのでございますが、これに対する計画は、政府自体がまだコンクリートになっておりませんが、大体の構想は、一兆七千億円という事業量をもちまして、道路整備を十カ年に急速度に完成したいということでございます。その一兆七千億円という膨大なる金額をもっていたしましても、ここにございます道路整備十カ年計画の実施後においては、一級国道を一〇〇%、二級国道を三四%、主要地方道を一六・七%、都道府県道を五・五%、結局十年後の比率で、一級国道、二級国道、主要地方道、あるいは都道府県道、こういうものを一緒にいたしました場合においては、整備の実施されるパーセンテージは一六・七%であるということを発表されておるのごあります。ことにトラック区域営業者、あるいはタクシーハイヤー等は、この一級国道中心主義ではないのでありまして、この舗装せざる、整備せざる道路を運行するのが、現在でも八〇%以上になっておるのでございまして、この膨大なる計画をもってしても、受益が直ちに区域営業かトラック業者に還元するなんというのは、全くの机上の空論でございます。この点から見ましても、いわゆる自動車業者に百パーセントに近い道路整備の費用を負担をさしていくということは、全く考え方が誤まっておるといわなければならぬのであります。政府が今年度予算化いたしておりますものは五百四億でございまして、一兆七千億円を十カ年計画でいたしましても、千五、六百億円というものがやはり道路整備に当てられねば、この十年計画は実行できないのでございますが、今年度予算から見れば、この計画されている道路整備十カ年計画の三分の一くらいなものでございますから、この全道路の十六・七%が整備されるのは、現在の予算速度でいったならば、実に三十年後でございます。しかも三十年後において一六・七%である。これらの点から考えましたときにおいて、受益者は自動車業者であるからして、これがほとんど大部分税の負担をすることが正しいのだという観点の誤まりであることを指摘せねばならぬのでありまして、この場合政府当局は、ことに建設関係ともよく懇談をされまして、揮発油税の同等以上のものを一般国費から出すというこの原則を確立いたして、そうして予算規模等の関係から勘案されまして、漸次にその方途へ近づくように進まれるということができなければならぬと思うのでございますが、これらの点は、すべて大臣への質問でなければならぬのでございますが、よく一つ大臣とも御相談して御答弁願いたいのであります。
  128. 足立篤郎

    ○足立政府委員 ただいま仰せの十カ年道路整備計画は、建設省の原案でございまして、政府部内におきまして今後さらに調整をはかりまして、コンクリートなものにしなければならないと思っておるわけであります。もちろん将来の経済事情、あるいは財政計画との調整をはかりまして、計画を立てる以上は実現可能なものにし、なお道路整備の緊急性にかんがみまして、できるだけの計画を作らなければならぬと考えておるわけでございます。私の方も、先ほど来お答え申し上げております通り道路整備のほとんど九割近くのものをガソリン税におんぶをいたしまして、それで事足れりとは考えておらないわけでございまして、今御指摘になりました通り、一兆数千億円の膨大な予算を十カ年間に組むといたしましても、なおかつ十分な道路整備はできないという数字になっておるわけでございますので、よほど政府としても腹をきめてかからなければ、この大計画の遂行はできないと思うわけでございます。今後この道路整備の緊急性にかんがみまして、政府としてもこれに真剣に取っ組みまして、将来計画を着実なものを作って、これを実行するよりにいたさなければならないと思っておるわけでございます。同時に、先ほど来もお答えいたしました通り、今後一般財政の許す範囲において、できるだけの道路関係の費用も計上いたしまして、御期待に沿うように計画の実現をはからなければなたないと思っておるような次第でございます。なお御注意の点は、大臣にもよくお伝えをいたしなす。
  129. 山本幸一

    山本委員長 この際委員長からお諮りを申し上げますが、先ほど来大臣、特に大蔵大臣出席につきまして、たびたび参議院側と折衝をいたしたわけです。そこで、ただいま私の方へ参りました返事によりますと、参議院大蔵委員会へ今大臣は出席をいたしておりますが、大体その大蔵委員会の終了が五時三十分ごろであろうということです。これはまだ確定的ではありません。そこで、予算委員会は引き続き六時から開かれるので、六時までには必ず予算委員会に出るという約束であるそうです。この方面はやや確定的らしいです。さよういたしますと、かりに今未確定の五時三十分と見ましても、往復の時間等を入れると、五分や八分はかかりますから、かりにそういう仮定で考えましても、正味時間二十分しかないという事情であります。そういう事情の中で質疑が続行できるかどうかということは、委員長、自身まことに不安であります。御承知通りに、質疑者は、地方行政関係はまだ一人もやっておりません。従って、先ほど留保の井岡君外九名、合せて十名の質疑者がそのまま残っております。そのほか三、四名ございましたけれども、御遠慮願ってもなおかつ十名ございます。こういう事情等も考えますと、どうやら本日の審議は、これ以上行うことが不可能なように思えてなりません。もしこれを続けるとしますならば、皆さんから非常な委員長不信の声が起きようと思います。
  130. 井岡大治

    ○井岡委員 不信の声というよりは、現実に一つの例をとってみますと、道路公団の補助金ということで三十億を出しておるわけなのです。ところがこの日本道路公団の作った道路は、自動車が通るときにはお金を払うのです。自分で家を建てておいて、そして今度入ってからは家賃を払うことになるのです。こういうような悪法である限り、委員長不信任だけでは承知ができないのです。従って、私は明日も続開していただくことを希望いたします。
  131. 門司亮

    ○門司委員 これは、私から特に与党の方にも御了解を得たいと思うのですが、きょうの連合審査会は、御承知のように運輸と大蔵と地方行政であります。地方行政の関係におきましては、いろいろ発言者もございましたが、委員長、代理してやっておいてくれということで、かなり譲っております。私自身の発言も一つもしておりませんので、このまま終了されたのでは、結局連合審査会の意味をなさないということになります。従って、連合審査会を効力あらしめるためには、地方行政委員会意見を一応聞くことのできる機会をぜひ与えてもらいたい、これは、委員長の裁量にまかしておきます。そうして要求しておりますのは、御承知のように、やはり大蔵大臣に出てもらいまして、今日の地方財政道路関係の経費、その他の問題をよくただしておくということが、地方財政計画を立てる上に非常に必要かと思いますので、一つさようお取り計らいをぜひお願いしたい、こういうことです。
  132. 山本幸一

    山本委員長 お説ごもっともでありまして、御承知のように、きょうの連合審査会は、連合審査をやれば総合的な御意見も出、あるいは御質疑も出て委員会の審査がスムーズにいくであろうということで、皆さんの御協力をいただいたわけですが、先ほど申し上げましたように、どうも参議院の都合で、皆さんの意に沿わないような結果になっておるわけです。なお出席者もあまりたくさんございません様子でありますから、一応今御希望のございました、継続して連合審査を開けという御意見に対しましては、ここで私がそれについて言明することは責任上できませんので、手続もございましょう、従って、関係委員長とも至急に相談をいたしまして、なお明日大蔵委員会でも協議をいたしまして、その結果できるだけその御意見を尊重して善処するように努力をするつもりであります。さような意味で、本日はこの程度で散会をいたしたいと思いますが、一応皆さんに私は民主的にお諮りをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  133. 門司亮

    ○門司委員 今の委員長のお言葉、そのまま受け取るということに、多少の疑義といいますか、懸念がございます。それは、御承知のように、地方行政委員会がここの連合審査をぜひ一緒にしてもらいたいということは、一つは、道路譲与税の問題がこれと密接不可分の関係を持っております。もう一つは、軽油税の関係が、これも密接不可分の関係を持っております。大臣の説明書を読んでみますと、揮発油税が上るから、それに見合うためにこちらも上るのだということがちゃんと書いてある。こういう密接不可分の関係を持っておりまして、ここで私どもが審議をさせていただけば、大蔵大臣、建設、あるいは通産、さらに運輸、自治庁各大臣との間の取引と申しますか、質疑応答ができて、そして一日で実は片づくと思っておった。もしここで連合審査が行われないということになりますると、私の委員会におきましては、少くとも各省大臣に全部来てもらわなければ、地方税を上げるわけには参りません。そういう問題が関連性を持っておりますので、委員長立場としては、今のお話以外に出ないかと思いますが、その辺は一つ十分考慮していただきたいと思います。
  134. 井上良二

    ○井上委員 議事進行。ただいま委員長の発言を聞いておると、本日はこの程度にしておいて、明日からの日程は、もう一度大蔵委員会へ持ち帰って、そこで一応相談をして、さらにまた関係委員会意見も聞いて、その上でいつやるかをきめる、こういうことらしいですが、本日の連合審査は、ただいま門司君からも発言がありました通り、連合審査の意義を果してないのです、全部済んでないのです。しかも質問者がまだ十幾人残っておるのです。そうすると、大蔵委員会が連合審査をやることを決定した目的は果されてないのです。そうすると、これは、このままの形で継続しても一向差しつかえないのです。それをまた持って帰ってもう一ぺん相談する、その必要はないのです。委員長が連合審査の委員長として、現実に連合審査の実があがってないという事態を認められて、明日また再継続するということで、本日散会願わないというと、とてもやっかいな、ややこしいことになる。だめですから、私は、連合審査の委員長として、このままで散会して、またあとで一ぺん考え直す、そんなややこしい議事の進め方はないのですから、明日再び午前十時より開会、本日はこれにて散会、こう御決定願いたいと思いま  す。
  135. 山本幸一

    山本委員長 ちょっと速記をとめてもらって。   〔速記中止〕
  136. 山本幸一

    山本委員長 速記を始めて下さい。  それでは暫時休憩いたします。    午後五時二十五分休憩      ————◇—————   [休憩後は開会するに至らなかった]