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1957-10-05 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月五日(土曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 局見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    川野 芳満君       吉川 久衛君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       大西 正道君    春日 一幸君       神田 大作君    横路 節雄君       横山 利秋君  委員外出席者         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (管財局長)  北島 武雄君         農林事務官         (畜産局酪農課         長)      松田 壽郎君         日本専売公社副         総裁      舟山 正吉君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 十月五日  委員井手以誠君及び大西正道君辞任につき、そ  の補欠として石野久男君及び竹谷源太郎君が議  長の指名で委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産に関する件  専売事業に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。税制に関する件、金融に関する件及び国有財産に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。横錢重吉君。
  3. 横錢重吉

    横錢委員 管財局長閉鎖機関関係の問題で若干質問したいのですが、まとめて質問しますから、答弁もまとめて一つお答えを願いたいと思います。  第二十六国会の当委員会で行なった東拓ビル返還に関する私の質問に対して、正示前管財局長答弁は、速急に調査をする、こちらの要望の点をよく体して、さらに調査するとの答弁であった。しかるに六カ月を経た今日において、いまだに何らの報告もない。  さらに正示局長は、東拓ドル大蔵省への買い上げは、適法に行われたものだと答え、法律的な通常の場合に対する特例閉鎖機関令にあると述べ、私と見解を異にするという答えであったわけです。  御出席後任局長は、前局長から引き継ぎもあったことと考えるので、ここで再びこれを質問してみたいと思うわけです。  まず、東拓ビル大蔵省に買い上げられたのは、昭和二十一年十二月四日であります。しかるに閉鎖機関令は、昭和二十二年三月十日勅令第七十四号として公布せられた。まだ公布せられていない閉鎖機関令によって、民法百八条の規定特例が一体設けられるものなのかどうか、これにお答え願いたい。  正示局長は、この場合、閉鎖機関令にある特殊清算人については、民法百八条を適用しないという条文を連想したからであろうが、かりにこの民法百八条の適用除外規定が存在したところで、東拓ビル売買契約は、国の代表者たる大蔵大臣東拓代表者である閉鎖機関保管人委員会委員長とが契約を結んでいるのだから、委員長契約当事者双方代理人を一身に兼ねていないから、いずれにしても、この見解は誤まりであると考えるが、どうお考えになられるか。  東拓ビル売買契約は、前に述べたように、買主である大蔵大臣と、売主である閉鎖機関保管人委員会委員長との間で締結されている。この東拓を代表してこの契約を締結した委員長は、大蔵大臣から選任せられている。委員長は、大蔵大臣監督下にあって、指示を受け、認可を受けて、その業務財産処分を行うのである。だから、この東拓ビルの国への売却についても、大蔵大臣指示認可を仰いでおり、その認可を受けている。さらに大蔵大臣は、契約の一方の当事者である委員長を、必要ありと認めるときは解任することもできる。こういう関係にある当事者双方によって締結せられた契約が無効であり不当であると主張するのである。これは法律的にもちゃんと根拠がある。  すなわち、昭和七年六月六日の大審院第一民事部判決にこういうことがある。「按スルニ法律行為当事者ハ代理人ヲシテ其行為ヲ為サシムルコトヲ得ヘク代理人選任ハ必スシモ自ラ之ヲ為スコトヲ要セスシテ他人ニ委任シテ之ヲ為サシムルコトヲ得ヘキヲ以テ契約当事者ノ一方ハ相手方ニモ其選任委任スルコトヲ得ルモノノ如クナレトモニ形式的ニ契約証書ノミ作成スルカ如キ委任者カ予メ代理セシムヘキ事項諒解セル場合ニ於テハ格別ナルモ代理人ヲシテ相手方ト交渉シテ契約事項商議協定セシムルカ如キ場合ニ於テ相手方ニ其選任委任スルトキハ相手方ハ他ノ一方ノ当事者ト反対利害関係ヲ有スル為之ニ不利益ナル者代理人ニ選任スルコトナキニ非ス又其ノ選任セラレタル者モ誠意正心ヲ以テ本人タル他ノ一方ノ為ニ任務ヲ尽スヤ否ニ付疑アルノミナラス往々相下方ト通謀シテラニ本人不利益図ルコトナキニ非ス然ルトキハ相手方カ他ノ一方ノ当事者代理人トシテ法律行為ヲ為スト結果ニ於テ大差ナキヲ以テ民法第百八条ノ趣旨ニ準拠シテ斯ル委任ハ無効ニシテ其選任セラレタル者ハ代理権ヲ有セス従テ其者カ代理人トシテシタル契約ハ本人追認アルニ非サレハ之ニ対シテ其効力ヲ生セサルモノト解スルヲ相当トス」とあるのでありまして、この売買契約に対して株主反対であり、東拓ビルの真の所有者である株主は、この契約を追認しておらぬのだから、効力がないわけである。政府は、この点、どうお考えになっておられるか。  およそ、契約というものは、利害の相対立する者の間になされるものである。その契約の一方の当事者、すなわち大蔵大臣が、他方の当事者、すなわち委員長意思を支配し得る状態、すなわち選任権解任権監督権を有する場合に、双方の間で締結された契約内容が公正であることを保証するものが全くなく、契約の一方の当事者が全く不当にその利害を害されるおそれがある。事実勧銀の評価四千五百万円が何らの理由も明示されず、一千万円を下回る三千五百万円で買い上げられているのも、その一例であります。  一方の当事者が自由に相手方代理人、すなわち委員長選任された場合に行われたこの契約の無効であることは、この判例がはっきりと断定しておるのであります。  この売買契約は、株主権を剥奪して、株主総会すら開かせない状態のもとで、株主意思は全く顧みられていないのであるから、この売買契約を有効としようとしても、実はやりようがはいわけであります。閉鎖機関財産管理処分をなす権限は、全く株主の手を離れて直接間接に大蔵大臣の手中に帰しているのであります。東拓ビルを国が買い取ったということは、大蔵大臣が実質上処分権限を持っている財産を国で買ったというとなのであり、どこに所有者意思を尊重し、その契約内容を公正ならしめる保証があるであろうか。これは明らかに民法第百八条に違背していると考えるわけであります。  そこで、これら株主人々陳情によるならば、これを買取価格で戻してくれというのである。しごく当然な要求だと思うわけであります。しかも東拓株主には、本社家屋を売り払ったこの三千五百万円の金が一銭も手に入っておらないのであります。この金は何に使われたか。これは全部清算費に使われてしまっているのである。  さらに驚くべきことには、未払込株式株金一株につき、二十五円を昭和二十四年に強制徴収されているという事実があります。この未払込株金徴収についても、大蔵大臣は、清算人やり方認可を与えているわけであります。この二つの行為は、一方において株主権利を剥奪し、一方において株主義務履行を迫るという全く矛盾する見解のもとに行われているのであります。当時大蔵大臣のとった行為には、かくのごとく一定の筋道が立っていないのであります。在外活動閉鎖機関職員のごときは、全くその会社関係のない人々によってやられております。この人たちは、ちゃんと会社清算費から退職金すら十分にもらっているのである。これでは、株主や旧職員は怒るのも無理がなかろうというものであります。しかも未払込株金徴収に際しては、現在では考えることもできないひどいことが行われておる。払い込まねば沖縄に送るとまで脅迫している事実がある。払い込みを怠った三重県のある株主に対しては、父祖伝来庭石までも差し押えて、この庭石はさらに競売されておる。このように東拓株主を戦犯扱いして徴収した金の大半は、何のことはない、差し押えの出張旅費、差し押えの費用競売費用に使われているのであります。自分の首を絞めるのに金を出させられて、それを人に頼んで、国家権力の名のもとに苦しめられたという、こういうことが、今日において想像できるであろうか。いかに占領軍時代の天下りとはいえ、あまりにも常識を無視した行動が当時行われたわけであります。これを是正しなかったならば、占領政策の行き過ぎにして是正するものはまずないことだろうと思われます。さらに東拓のごときも、その清算事務費を分担している在外機関閉鎖機関では、某課長に自動車を提供して使用させていたという疑いがある。強制徴収、差し押え、競売までして作った金を、このようにして費消している清算やり方を、局長はどう考えているか。  以上述べたところで、私の要望したいところは、東拓株主陳情にもあるように、この東拓ビル返還によって、株主、旧職員、旧役員打って一丸となって、第二会社を設立したい希望を持っていると聞くわけであります。株主もあわれであるが、事業体を失った役職員もまたみじめなものであって、今日に至るもまだ十分な生活をしているものはほとんどいない。唯一の望みを来掛ビル返還にかけ、これをもととして第二会社を設立しようとしているのであるが、この念願にこたえてやるのが、誤まりを正すもとである、こういうふうに考えるが、この辺、局長見解はどうであるか。  私有財産が、その所有者意思にかかわりなく国に買い上げられるのは、公共のために用いられる場合であって、かつ正当な補償がある場合に限られている。これは憲法上の要請である。これに基いて、土地収用法等が存在するのである。ところが東拓ビル売買のごときものが、憲法下において許容されるべきものであるならば、憲法規定は空文となり、土地収用法等は全く不必要となるのであります。すなわち国は、一定の者の財産について、その所有者管理処分権を剥奪し、国すなわち大蔵大臣の選定する代理人にその管理処分権を付与し、その代理人が国の監督に従う限り免責されるような権限を与えておいた上で、国がその選任した代理人との任意契約、すなわち随意契約として、その当該物件を買い上げれば足りるのであります。この形式をとる限り、当該物件公共の用に供せられるのであるかどうか、その対価は正当であるかは、任意契約であるとのゆえに全く問題にされないことになる。かくのごときことを許容することは、明らかに憲法において保障された私有財産権に対する保護を無に帰せしめることになると考えるが、この辺のところをどういうふうに考えておるか。大蔵省示局長答弁によれば、憲法疑義があるというふうなお話でございますが、私どもは、遺憾ながら実は見解を異にいたしまして、適法に行われたものという考えを持っているという答弁が、正示局長からあったわけでありますが、あなたも同じように考えておられるかどうか。考えておられるとするならば、その適法の法的な根拠をお示し願いたい。今申し上げた大審院判決をくつがえすような特例は、一体どこにあるのか、これについてもお答えを願いたい。  以上、この問題に対する質問をいたします。
  4. 北島武雄

    北島説明員 旧東拓ビル処分につきましてご質問があったのでありますが、この旧東拓ビル売買は、昭和二十一年の十月一日付、当時の閉鎖機関保管人委員会大蔵大臣との間で行われたものでございます。まずこの契約民法第百八条に反しないかという問題でございます。民法第百八条の趣旨は、債務の弁済の場合を除きまして、何人といえども同一法律行為について相手方代理人となったり、または当事者双方代理人となることができない、こういう趣旨でございまして、たとえばAがBの代理人となりまして、自己すなわちAとの間に契約を締結したり、あるいはCという人が、A、B両方当事者代理人としてA、B間の法律行為をすることができない、こういう趣旨でございまして、この趣旨は、同一人がこのような代理を行うことによりまして本人の利益が、不当に侵害せられることを防止する趣旨でございますが、本件の場合におきましては、契約当事者は、閉鎖機関保管人委員会大蔵大臣でございまして、この間には、何ら民法第百八条の規定に抵触することはないと私ども考えております。ただいまお話の中に、閉鎖機関保管人は、当時大蔵大臣外務大臣選任しておりましたが、政府がとにかく選任して、その監督のもとに業務を行なっていたのではないか、その被監督者との間に行なった法律行為は、民法第八条に抵触するのではないか、こういう御趣旨のようでございます。まず、ただいま申しましたように、明らかにこれは、閉鎖機関保管人委員会大蔵大臣という別々の法人格の異なる主体の間に行われたので、形式的にもちろん抵触することはないのであります。それからまたただいまの、政府選任したものとの間に行われるのはどうかというお話でございますが、これは、たとえば会社の例をとりましても、法人代表者、これは株主選任するわけでありますが、法人代表者法人株主との間に、すなわち会社株主との間に契約が行われることは、これは何ら民法百八条で禁止しているわけではないのであります。本件契約については、百八条に違反ということはないと私ども考えます。適法に行われているものと考えております。それでは、事実上政府監督している被監督下にある主体との間に契約するのはどうかというお話でございますが、これは、契約内容いかんによることでございますし、現在政府任命あるいは選任いたしております特殊会社総裁等、数々あるわけであります。こういう場合におきまして、政府とその特殊会社との間に契約が行われてはならぬという根拠はないと思います。ただ、その内容が果して適正であるかどうかという点に、やはり主眼が置かるべきではなかろうかと存じます。また当時閉鎖機関保管人委員会業務内容を見ますと、当時はポツダム省令によりまして、大蔵外務司法共同省令によって、閉鎖機関保管人委員会というのができたのでありまして、この規定によりまして、大蔵大臣外務大臣がその保管人委員選任し、また委員長委員は、両大臣監督を受けることになっておったのでありますが、当時の取扱いといたしましては、閉鎖機関保管人委員会は、業務やり方におきましても、予算、人事その他につきまして全面的に総司令部監督下に置かれておりまして、ちょうど総司令部直属機関のような観を呈しておりました。これは、閉鎖機関整理委員会が発行いたしております「閉鎖機関とその特殊清算」という文書に明らかになっております。実際的にも、民法百八条の規定に反するような事態は、起り得る余地はなかったのであります。また本件契約につきましては、大蔵大臣はこれを許可したことはございません。当時大蔵大臣は、閉鎖機関財産管理処分に関しまして、ほとんど何らの許可等を与える権限を持っていなかったのであります。このことは、この省令におきまして「閉鎖機関業務及財産管理処分ヲ為ス権限ハ委員長ニ専属ス」とありまして、実際個々行為につきましては、総司令部認可を受けまして閉鎖機関が行なっておったのであります。  しからば、この売却価格が果して適正であったかどうかという問題でございますが、当時閉鎖機関保管人委員会東京建物株式会社三井信託鑑定を依頼いたしております。東京比物鑑定価格は三千二百七十九万二千八百六十八円となっております。それから三井付託鑑定価格は三千五百五十七万二千二百四十八円となっておりまして、これを参考といたしまして、司令部の承認を経まして三千五百万円と定めたものでありまして、この金額は、当時においては妥当なものだったろうと考えるのであります。  旧東洋拓殖会社株式は終戦当時未払い込みがございまして、この未払込株式につきましては、東洋拓殖会社国内財産国内負債に比しまして少額でございましたために「閉鎖機関未払込株金等の払込に関する命令」の規定によりまして、昭和二十三年十一月以降、株主に対し未払込株金の催告を行いまして、徴収して参ったのでありますが、しかもなお払い込みに応じなかった株式が約四十九万五千株ございまして、これは、昨年の十二月七日に競売に付しまして、一株一円十銭で落札されたのであります。この一円十銭で株式を取得された方々が、その後大蔵省に見えまして旧東拓ビル返還してもらいたいというように陳情して参ったのでございますが、どうも私ども、事柄の趣旨から申しましても、当時の法令規定によりましても適法なものでございましたし、またこれは、現在大蔵省行政財産として使用いたしておるのでありまして、これは、国として不必要なものでもございませんので、これを用途を廃止して、普通財産として払い下げるということは考えておらないのでございます。  以上、一応御答弁申し上げまして、さらに御質問によりまして、お答え申し上げすす。
  5. 横錢重吉

    横錢委員 民法の百八条の双方代理の禁止に関する考え方に対して触れるとは考えていないという見解が今出されたわけで、これは、前正示局長の述べたものとげ考え方が違うようであります。正示局長の場合においては、閉鎖機関特例によって差しつかえないのだ、こういうような解釈のように承わっておる。そして、今また、百八条の趣旨にも触れないというような考え方で出てきた。これは、法律的な論争になるならば 裁判を経なければ明らかにならない、こういうふうな趣旨のものでもあろう。その点は、なかなか微妙な問題点もあると思うのです。ただ一点の疑義がないというわけには、当局としてもいかないだろう。これは大蔵大臣という立場、これに対して、また任命権監督権指揮権、いろいろなものを持っておる立場のものとの間の契約というものが、他の特殊な団体、あるいは特殊な会社、特殊な立場、そういうふうなものの代表者との間に結んだものとこれを同一考えるわけには、この場合、財産処分をするという立場に立っておるのだからできないのじゃないか、こういうように考えるわけで、今の御答弁を承わっておると 全然一点の疑義がないという見解だけれども、これは疑義がないというわけにはいかない。これは、なるほど旧株主、あるいは日役員の申し立てている中にも、一応も二応も理屈があるというふうに考えて至当ではないかというふうに思うのです。  それから売却価格の点については、今安い点だけを出されたが、このほかにも値段をつけたところがあるはずであって、それを、一番安いのだけを出して適当であるというふうに御答弁をされたのではないかと思うのですが、当時評価したのは、これだけなのか。  それから、今の株主要請ということが、競売したものの非常に低い価格のものを集めて、これによるものが要請してきたのだからして不当である、こういうふうに言われておったが、私の今申し上げた中にも、これは、株主要求ということもやはり一つのものであるが、そうではなくて、そのほかに旧役員、あるいは旧職員というものが、東洋援護会というものを作って、前々から運動しておる。その運動の仕方というものは、株主の線が一つと旧役員の線が一つと、もう一つは、旧職員の線が一つというふうに、二本も三本もになって返還ということを行なっていたと聞いておるわけなんです。従って、それらがだんだんと運動を統一して、今日においては一体となって第二会社を作ろう、それには、個々権利を言っておったのでは始まらぬからして、株主役職員も一致をして運動を展開をしていこう、こういうふうな運動に変ってきておるというふうに聞いておるわけであります。それからまた、今までの過程においては、たとえば小笠原大蔵大臣のときにおける折衝においては、これはしごくもっともだからして、庁舎のあとの方のめどがつくならば、何とか希望に応じてやろうというふうな交渉過程におけるあれが出ておる。しかも、それが急遽内閣総辞職というようなことによって、実現を見ておらない。あるいはまた前の参議院の財政及び金融委員長であった黒田さんでしたか、この人を通じてのときにも、十分考慮をしようというような答弁当局から得ておるというように、私は話を聞いておるわけであります。これは、こういうふうないろいろな長い間の経過があって、そういう経過の中からだんだんと今日は統一をしてきて、ともかく財産を払い下げるということだけでなしに、財産を払い下げたならば、それによって第二会社をどう作るか、第二会社によって、旧役職員というものにいかに仕事を与えていくか、こういうふうな点まで統一してきておるのです。従って、今の局長答弁では、四十九万の未払込株式を買い受けた者が来たので、それではまじめになって応じられない、こういうような趣旨のものであったが、この点は少しく御判断が違っておるのではないか、これはもっと根の深いもので、旧東拓に働いておった人々が中心になってこの問題を起しておる、そういう人もまた一口乗ってきた、こういうふうに考えるべきであって、本筋というものは、やはり前からの長い関係のある人々運動を起しておる、こういうふうに見るのである。従って、この点は少しく誤解をされておるのではないか、こういうふうに考えるわけです。
  6. 北島武雄

    北島説明員 閉鎖機関令の第十条の二には「特殊清算人については、民法第百八条の規定は、これを適用しない。」とございますが、これは、特殊清算人は、幾つかの閉鎖機関役員を兼ねておる場合が多うございますので、その場合に、民法の百八条の規定を排除いたしませんと、閉鎖機関同士の間の取引ができないので、適用しないということになっておるわけでございますが、本件の場合は、この問題ではございませんで、当事者がもともと異なるものでございます。片や閉鎖機関保管人委員会、片や大蔵大臣ということでございまして、直接民法百八条のこの除外規定によって適用になったという問題ではないと考えております。  それから東拓清算につきましては、進行して現在まで至っておりますが、目下のところ負債超過でございまして、従って旧役職員方々、あるいは株主方々が、何とか資産超過にいたしまして、それについて何らかの財産権を獲得したい、こういうお気持は、私ども非常によくわかるのでございますが、と申しましても、この法律行為は、当時として適当に行われ、当時としては——ただいまそう考えますれば安い値段でありますが、当時の値段といたしましては、適正な時価であったと考えますし、また現に行政財産として、大藏省大臣官房会計課において管理いたして、現実の行政財産として必要なものでございますから、東拓の旧役職員方々株主方々のお気持はわかりますが、今ここで用途を廃止いたしまして売り払うということは、これはちょっと無理ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 横錢重吉

    横錢委員 今いろいろな点で申し上げたわけですが、この問題は、ここで論争しておっても、そう簡単に解決の出る問題ではないと思います。従って、今問題点だけは明らかにしておいて、しかもこの問題点について、なお当局としてお考えを願いたい。  そこで、価格の点についても、もとより問題はあるだろう。それからまた法律上の解釈についても、いろいろな問題があるだろう。そういうふうないろんな点を考えて、それからまた現実に、この旧閉鎖機関のいろいろな人々が戦犯扱いを受けて、これは内国勤務をした者と外国勤務をした者とが同じような仕事に携わっておりながら、時の施政によって生活その他を奪われたというこの苦境、この問題については、やはり十分に考えておいていいものがあるんだろうと思う、従って、旧役職員、あるいは旧株主方々が熱心に運動しているという事実も、また根拠のないことではないので、ありまして、これらについてなお一そう研究をして、できるものならば応じられるように、あるいはまた省の中において、この建物を失うならば他の建物によるとか、とにかく何らかの便法を講じて考えることができないものかどうか、いろいろな点について、一つ御考慮をわずらわしたい、この点を申し上げて、この問題に関する質疑は打ち切りたいと思います。  次に、主税局長に伺います。不動産銀行の株式に対して財産税を徴収するという件に関して、主税局長は、これをどういう角度から行おうとしておるのか、見解を承わりたいと思います。この不動産銀行の前身は、御承知のように朝鮮銀行ある。朝鮮銀行の第二会社として、不動産銀行が、いろいろな紆余曲折を経て設立された。この設立をする場合に、閉鎖機関令の一部を改正して、特別納付金というものを残金財産から政府に納めさしている。この額は、約二十七億円と聞いておる。この処置は、明らかに便宜的に法律を改正して没収するものだ、特別納付金というものは憲法違反の疑いがあるということは、われわれか当委員会で質疑を行なっている次第でありますが、しかるに、財産税法第三十四条の規定によって、さらにまた財産税を徴収しよう——これはあまりにも二重、三重の徴税の苛酷な措置ではないか、こういうふうに考えるわけであります。財産税は、昭和二十一年三月三日午前零時を時点として申告をさしておる。その後十二年経た今日、その時期にゼロであったものを、清算の結果が出たので、大蔵省の命令でその価格を三百円と定めて、その五分の一、六十円を徴収しようとしておるわけであります。今日不動産銀行の株は、一体幾らしておるのか。大体三百円程度ではないかと聞いておるのですが、株式というものを、そのときの値段の最高のものをつかまえてこれだけの税価値というふうに判断するのは、そもそも間違いではないか。これは、大体動産価値として判断する場合にも、あるいはまた金融などの担保の場合において、よく見て七掛、普通六掛程度にしかその価値を見ないわけです。三百円としても、七掛で二百十円、六掛で百八十円——二百円見当にしか児ないのが財産に対する評価である。これが常識であると考えておるんだが、こういうふうな点についても、価格の定め方もまた高いのではないか。鮮銀は他の会社と違って、会社として特別納付金のほかに、さらにまた清算税も約二十億円納めておる。特別納付金も清算税も、これは株主の中から納めたものであることは間違いないのである。こういうふうに、閉鎖機関に関する処置は、相当苛酷に物を判断する風習がついおるのではないか。どうも納得のできない今度の措置である、こういうふうに考えるのでありますが、これらの点について、一つ答弁を承わりたい。
  8. 原純夫

    ○原説明員 今回この朝銀、台銀の株主に返りますものにつきまして財産税をかけるといいますのは、財産税法——大へん古い法律でありますが、その三十四条で調査時期——これは課税のもととなる事実をつかむ時期でありますが、「調査時期においてこの法律の施行地外にあった財産その他命令で定める財産の価額及び命令で定める債務の金額については、諸般の状況を勘案し、その算定をなすことができることとなった際に、命令でその算定方法を定める。」ということになっております。調査時期というのは、昭和二十一年三月三日でありますが、当時の鮮銀、台銀の株というものは、幾らか値打はあるだろうと思えても、それがきわめて確定的な状態でないために、その種のものについては、この条文によりまして、そのときに評価しない。そして算定をなすことがでざることとなった際に、算定方法を定めるということにいたしておりますので、今回返る、しかも返りますについて、気配相場も立つというようなことになってきておりますので、ここで算定方法を定め、追加の申告ないし修正申告をしていただくということになったわけであります。特別納付金、また法人税というようなものと幾つも並んでかかるじゃないかということにつきましては、特別納付金の方は、御案内の通り両銀行が発券銀行でありましたための特別納付をさせるという分でありまして、そういう特殊な発券銀行としての地位に基く課徴と申しますか、取り上げる金であります。それを払いました上で、両銀行が清算に際して清算所得が出ますれば、清算所得に対する法人税がかかる。これは当然のことで、法人税法に規定があるわけであります。今回の財産税の課税は、株主の持っておりました財産について財産税——二十一年当時ではすっかり処理がつかなかったのを、今回処理をしようというわけで、やはり三つがそれぞれある意味があるのだろうと考えるわけであります。  それから、株式の評価につきまして、三百円という気配相場をとっておるということであります。割引をするのが例だというようなお話がございますが、これは、いろいろな場合に、株式の評価は、上場株でありますれば、その最近の相場をとる。気配相場があれば、その気配相場をとるというのが通例であります。富裕税の場合にも、同様のことをいたしたと記憶いたしておりますし、別段それを割引するということはいたしてないように思います。なお五分の一にいたしますのは、これは、当時と近年の物価差等を考えまして、これで妥当になり得るというような気持でやっておるわけであります、
  9. 横錢重吉

    横錢委員 今の局長答弁を承わっていると、あまり大した根拠がないように受け取れるわけなんです。これは、財産税法の三十四条では「調査時期においてこの法律の施行地外にあった財産その他命令で定める財産の価額及び命令で定める債務の金額については、諸般の状況を勘案し、その算定をなすことができることとなった際に、命令でその算定方法を定める。」こういうふうなわけなので、命令で定めたのだろう。その場合には「諸般の状況を勘案し、」ということがあるわけです。従ってこれを定める場合に、どういうふうな諸般の状況を勘案したのか。これは、当時において申告したくとも価値が未確定である ゼロなんだか、あるいはどの程度するのだか未確定であって、当時鈍ったままのゼロに近い価額であったから申告ができなかった、こういうことだろうと思う。そういうものは他にもずいぶんあるだろう。その場合に、何らの措置をとっていないものと措置をとっていたものとがあるはずだと思う。この場合に、特別納付金とか、あるいは清算税とか、いろいろな形で財産税に相当するものを払っている。従ってそういうふうなものは、諸般の状況を考慮の中に入ってきてしかるべきではないか、それらが全然どういうふうに勘案されたのかわからないということは、どうもふに落ちない。  それからまた、今の三百円の大体の時価評価ということも、これは、そのまま判断するということは、今日の常識からいって、株式値段が上場されていたものが今日三百円だとしても、あすは一体幾らになるのか、上るのか下るのか見当かつかないわけです。従ってこの株式の価額というものは、私がさき言ったように、通常どこで相手にしても六、七割にしか価額として見ない。しかも、これが税金を取ろうという場合に、その価額最高を一ぱいに見るということは、常識を越えた考え方であって、妥当性を欠くのではないかと思うのですが、この点、さらに伺いたい。
  10. 原純夫

    ○原説明員 お話しの第三十四条の「諸般の状況を勘案し、」ということは、財産税をやりました当時、御記憶の通り、非常にインフレーションが高進しつつあったという問題があるわけです。大体それが一番大きなことでありまして、当時の財産で返されたものに公平にかけるというのが、本体の考え方です。この五分の一というのをきめましたのは、二十八年でありますが、それは二十八年のころ、在外財産の処理がずっとはかどって参りまして、こういうケースが始まり出したものでございますから、命令を出したわけであります。その際、ただいま申したインフレの影響、これを十分状況を勘案して五分の一ときめたわけです。勘案のやり方に、いろいろなやり方があると思います。たとえていいますれば、最近になって財産がはっきり返る、遮ります場合に、単純な金銭債権でありますれば、一万円のものは一万円のままでありますが、株式というようなものについては、実物の裏づけがあるというわけで、値段が上るということがあるだろう、従って最近の時価で見て、それを二十一年の財産税の課税価額の上に乗っけてかけるというのはひどいじゃないか、だから、物価の上っただけ戻してやろうということになります。ところが、また戻して出た税額を納めるということを考えますと、本来二十二年が申告納期でありますが、二十二年当時に納めるべきであった税額を、十年あとの現在、非常に減価した貨幣価値の貨幣で納めるというわけでありますから、その辺を考慮しなければなりませんが、それらを考慮いたして五分の一ということをきめたわけであります。  なお納付金を差し引いてといいますか、考えなければならぬというようなお話でございますが、これは、要するにそういうものが両銀行にかかるというか、そういうものを納付しなければならない、そういう条件を入れて、かつ株主に返しまするものが、旧一株について何株になる、そうして、その一株の値段の相場がこう立っているということであれば、その時価をもとにして、ただいま申した五分の一ということをいたしますれば、それは納付金の影響が入った時価でありますから、お話の御趣旨のようなことになっておるというふうに申してよろしいと思います。ちなみに三百円というと、五十円株から考えると高いように思われるかもしれませんか、これは もう御承知だと思いますが、速記に残す意味で申し上げれば、五百円株でありますので、決して五十円がふくらんだという形ではなくて、五百円が三百円に評価されてあるということ、蛇足かもしれませんが、つけ加えます。
  11. 横錢重吉

    横錢委員 もう一つ。今の五百円が三百円だということは、これは承知しておるわけです。ただ、五百円払い込みでも、銀行が設立をされてまだ黒字にならない間は、それだけの価格にしか通用しないということも、また御承知の通りなのです。従って、上場株の最高の価格で押えるということは、これはもう売買の相手にならぬのです。これは、相当程度下げた価格でなかったら通用しないのが常識なのです。従って、これを五分の一というようなあれがあるからがまんしろという意味なんだと思うのですが、これはそうではなしに、主体として押える場合に、上場株価の三百円の評価額、それをそのまま押えるということ自体が、税の対象として無理ではないか、私はこう言の辺の価値だろう、こういうような判定の基準があるはずなのです。それを三百円で押えたのは、今日の最高の評価額を押えてきている、それは不当だ、こういうわけです。  それから、今の銀行が設立をされて、これらの価値というものが一応出てきたのだ、こういうふうな解釈なんだが、当時どこの株を持っておったかということは、いろいろその人の状況によって、これは国内の株を持っておるか、あるいは国外を対象とした会社の株を持っておるかということは、その人の自由な立場にあったと思うので、それが人為的に抑えられて十年間も不当に空白な時代があったわけです。空白な時代があって、ようやく何とかなるというところにきたときに、その価値をまたさらに今の最高の評価額、そういうふうなもので見るという見方、それは少しく苛酷ではないか、こう思うのであります。この点については、何らかやはり考慮されてしかるべきではないか、こういうふうに思うわけで、この点、一つ当局の善処をわずらわしたい、こういうふうに要望して、以上打ち切ります。
  12. 山本幸一

    山本委員長 横山利秋君。
  13. 横山利秋

    ○横山委員 あとに春日さんが待っていますから、管財局長に簡単に要点を質問しますから、簡単でけっこうでございます。  最近駐留軍の地上軍が約三万撤退するについて、国有財産が相当膨大に日本へ返還をされる、こういう状況が出て参りました。国有財産白書を見ますと、普通財産で駐留年か使っていますのは、約一千百八億の膨大な国有財産、そのほかに特別会計で使っておるものを合せましたら、駐留軍が使っております国の財産は、実に膨大なものになると思います。これからこれが返還をされてくるについて、もうすでに各所で相当の問題が起っておるようです。それに関連してお伺いしたい第一番の問題は、返還されてくる駐留軍が使っておった国有財産を、これからどういうふうに措置をしようとするのか、問題を明らかにして質問しますが、第一に聞きたいことは、自衛隊が全面的にそれを使用したいという希望を出しておる。それからもう一つは、地方産業やあるいは駐留軍労務者、あるいは地方自治体がそれを利用して、地方産業の興隆に充てたいと思っている。大蔵省としては、このどちらを主にして話をしようとしておるのか、これはきまっていなかったらきめて、一つの確固たる方針をもって進めなければいかぬ、こういうふうに考えるわけですが、第一にそれをお伺いをしたいのです。   〔委員長退席、横錢委員代理着席〕
  14. 北島武雄

    北島説明員 現在米駐留軍に提供しております施設が、駐留軍撤退によりまして、今後相当大量的に返還になることは、予想されるところであります。このうちの国有財産処分は、非常に慎重を要する問題であろうかと私どもは考えております。ただいままでの国有財産の処理の方針といたしましては、このような返還財産がありました場合に、まず国においてぜひとも必要とするものはどういう施設であるかという点につきまして、まず私ども検討するわけであります。これにつきましては、自衛隊その他の各官庁がございますが、一応国としてぜひとも確保しなければならぬのはどういうものか、こういうものにつきまして、私ども慎重に検討いたして参りましてしかもその結果、どうしても国として確保する必要があるものはまず確保する、こういう方針でただいままで参っております。これは、もちろん御承知のように、従来終戦直後旧軍用財産が大量的に処分されましたが、その後数年ならずして、再び自衛隊その他国において必要とする事態が各所に起りまして、そのために、再び昔の土地を国が買い戻すという事態があちこちに生じたのでございます。このようになりますのは、国家的に考えても不経済でございます。よけいの経費もかかるわけでございます。また地元とのトラブルも、買い戻しのために非常に起るわけでございます。このような弊害をなくすために、まず当面国においてぜひとも必要とするものは、一応計画を十分聴取いたしまして、必要な最小限度のものは国で確保したい、そういうふうに考えております。今後の返還財産につきましても、同様に考えております。今後の返還財産につきまして、自衛隊がこれを全面的に使用したいという希望は持っておりません。これは、まだどういう施設が返るかわかりませんのであれですが、一応自衛隊の意向もずっと徴していますが、決して全面的に使用したいということではございません。私ども先日まで防衛庁におりまして、自衛隊の内容もよく存じておりますので、今後自衛隊が使用したいという場合において、果してそれが適切なものであるかということについては、十分判断ができると思いますが、必要な限度におきましては、やはり国として確保する方がよかろうかと考えております。これは、あに自衛隊に限ったことではありません。国一般として、国有財産として確保する必要のあるものについてぜひとも確保する。それで、あとの財産につきましては、当面問題になっております駐留軍労務者の就労問題等もございますので、できるだけこれを産業施設の方に転換いたすのが、効果的でなかろうかと考えております。原則といたしましては、地元の希望も十分伺ってからのことでございますが、相当な大規模の企業が返還施設を確保いたしますれば、そこに、職を失いました元駐留軍労務者の方々の就労の道もおのずから開けるわけでございます。こういう点につきましては、特需等対策連絡会議におきましても、私どもぜひそういうように考えたいというように申しております。その他地元におきましても、あるいは学校施設として利用したい、公共施設として利用したいというような御希望も、個々の施設におきましてもいろいろあろうかと存じますが、これらにつきましては、適正な調整を経ました上、国有財産地方審議会において十分民間の方々の御意見も伺って、そのしで適正に決定いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 横山利秋

    ○横山委員 これは、今あなたの御説明によれば、第一に、国として確保するものは確保したい。第二番目に、言い回しは妙でありますが、自衛隊が全面的にとはいっていない、ということは、自衛隊が相当やはりあると私は思われるわけであります。第三に、地方産業とかいろいろ話が出ましたが、そうしてみますと 国として確保したいといものは別といたしましても、自余の問題について、地方産業の発展に資するためにこれを利用するか、それとも自衛隊の必要度に対して考慮するか、どちらかについては少し御答弁がぼやけているようでありますから、もう一度、どちらを主にしてなさるか、一つ考えを承わりたい。
  16. 北島武雄

    北島説明員 先ほどもちょっと御答弁申しましたように、国有財産としてどうしても確保しなければならぬものは、売り払いなどの措置を講じますと、あとでまた買い戻しというようなやっかいな事態を生じますので、こういうものを避けるため、国として国有財産の必要最小限度のものは確保したいと考えております。ただ国と申しましても、各省がそれぞれ勝手な希望を出しましても筋が通らぬわけでございまして、よく御計画の内容を承わって、国としてどうしても必要なものであると認めた場合には、地元の関係もございますが、やっぱりまず国有財産として存置するのが妥当な方法ではなかろうか、こういうふうに考えております。その範囲につきましては、もちろん十分検討の余地もございますし、地元の産業誘致に使いたいという御希望が非常に強くて、また必ずしもその土地でなくても、国が他の代替施設を使えるというような場合には、相互にその場合において円満に解決をはかるべきだろうと考えます。大体ただいまのところさように考えております。
  17. 横山利秋

    ○横山委員 北島さんは、局長におなりになって非常に慎重でありますが、国有財産の大道から言えば、その答弁は少し違うのです。国有財産については、御存じのように覚書が出、審議会ができ、国有財産についての基本的な考え方というものは、今国有財産が非常に膨大であるから、数カ年計画でこれを調査するとともに、その大削減をはかり、そうしてこれを産業の興隆なりいろんな方面に充てるというところが、基本方針になっている。それは、国会の審議を通じて明らかになっておるわけです。従って、駐留軍が返還して参ります普通財産だけでも千百億という膨大なものは、これを国として確保しなければならないということより、この機会に早くこれを産業の開発の方向に充てる、そうして国有財産をできる限り減少するということが、私は大蔵省の今日の任務だと考えておる。従って、あなたの答弁は、慎重ではありますけれども、これは、英断をもって産業の開発の方に充てる、そうして、国としてこの機会に国有財産の規模をもっと圧縮するというふうになければならぬと私は考えますが、いかがですか。
  18. 北島武雄

    北島説明員 御質問、まことにごもっともな点に触れておったのであります。ただできるだけ国有財産を圧縮と申しますのは、国として行政の用に供しない財産を膨大にかかえているのはよろしくないということで、こういう普通財産は、すみやかに処分するのが適当でございます。今度返還になりますのは、今までは普通財産となっておりましたが、それが国としてどうしても必要であれば、行政財産として確保する必要があるものになるわけでございまして、その他のものにつきましては、できるだけ急速に産業の発展その他を考えまして、最も有効に効率的に活用するのが、本筋であろうと考えるのでございます。
  19. 横山利秋

    ○横山委員 わかっていらっしゃると思うのですが、私は本筋の話をしているのです。どうしても必要なものは、国として確保するのは当りまえだ。当りまえだが、大筋として、この機会に国有財産を圧縮するというふうな基本的な考えでお進みにならぬと、めんどうくさがってあれもこれも一応持っておろうということでは、大道から離れる、逆行するということを意見として申し上げているのです。たとえば、この間私の地元で守山の問題がありました。今第二課長から聞きますと、正式に守山が司令部から返還をされたという話ですが、たとえばこれを考えてみますと、自衛隊はすでに要望を出しておる、守山の市長も要望を出している、地元も要望を出している。確かにあれは自衛隊もほしかろう。ところが、守山市のどまん中でありまして、これは、自衛隊が入れば、守山は致命的な問題になるわけです。一つのモデルだと私は思うのです。従って、今日返還をされる財産を、どういうふうにこれから使用していくかということは、この守山をモデルにして考えると、すぐに今後の方向がわかるような気がするわけです。これからの返還は、日米合同委員会の施設委員会などで、こちらが要求してようやく返還されるものではなくて、やにわに向うから返還されてくることが多かろうと思います。そうすると、どうしても従来から計画のある防衛庁の計画が先行し、地元としては、急遽それに対する対案を作る。こういうわけで、勝負は——やはり上から見ていらっしゃると、いきなり地元が案を作ってきたから、これはだめだというふうな感じが各所にあると思うのであります。従って、私が要望したい点、あなたから御返事をいただきたい点は、国有財産をこの機会に圧縮するごと、そして、圧縮するものについては、地方産業の開発に充てること、第三番目においては、今日もうすでに大蔵省の内部で検討されているようでありますが、駐留軍の労務者の失業対策といいますか、もっとこれが地方産業の開発と結びついた方式において運用をはかること、こうなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。
  20. 北島武雄

    北島説明員 膨大な国有財産を、いたずらにかかえておくのが能ではございませんので、私ども国として必要でない普通財産については、できるだけ急速に処分いたしたいと考えております。  その際の方針といたしましては、地元の御希望を十分承わるとともに、産業の発展に役立つようにできるだけこれを使うのが、適当であろうと考えております。先般の特需等対策連絡会議においても、そのようなことで私ども意見を述べまして、そういうふうにできるだけ官庁と地元との調整をはかりながら、産業誘致に役立つような施設にこれを活用するという方針になっております。何とぞ御了承願います。
  21. 横山利秋

    ○横山委員 そこで、今お話が出ました駐留軍労務者の問題でありますが、約六万人くらいの駐留軍労務者が、全国で本年度中には首を切られるという事態になって参りました。これは、首切りに反対をするということでは解決のつかない問題でありまして、まさにこれ日本の悲劇というようなものであります。その地方は、今日までアメリカがほとんどの地域を使用し、施設も土地も使用しておったものですから、急にこれを他に転用、転業することは、ほとんど不可能である。従って、この機会に、その施設を駐留軍労務者が個人なりあるいは企業組合を作って、それの転用をはかって、自分たちの生活の資にも充て、同時に地方の産業に貢献をしたいと考えている。政府もそれを了として、その措置に対して、何がしかの措置を考えておられるようでありますけれども、非常に不十分なような気がいたしますが、この機会に、国有財産関係としてはどういう措置をとろうとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  22. 北島武雄

    北島説明員 まず駐留軍の撤退におきまして、職を失われた方々の援護に少しでも役立つように、国有財産につきましては考えるべきだろうと考えております。そこで最初に申しましたように、一番好ましいのは、国として必要でない、処分すべき普通財産につきましては、これをできるだけ企業誘致に充てまして、その企業によりまして、就労の機会をできるだけ与えまして、吸収していくという方法が第一でございます。第二におきましては、職を失われた駐留軍の要員の方々が、企業組合等の団体を組織して今後新大地を開きたい、こういうことがやはり相当出て参ると存じますが、その場合におきましてもし必要とする国有財産がございますれば、できるだけ実情に即して、最も適宜な措置をとりたい、こういうふうに考えております。  第三の点につきましては、これは労働省で非常にお考えになっておることでございますが、今回の大量的な失業問題の解決のためしは、現地限りではなかなか解決ができない、広域職業紹介の方法をとりたい、たとえば東北で失業された方を京浜地区の産業方面に吸収したい、こういうことを考える場合に、住宅がきまっておりませんとなかなか就職の機会が与えられないというので、短期間に家を——たとえば東北の方々が京浜地区の工場に就職されるという場合に、差し当り入る家がないということになりますと、職を得る機会が少くなりますので、そういう場合におきましては、短期間にこれを固有財産に入居をせしめるような方法もできるだけ考えていきたい。この点は、今労働省等と研究をいたしておりますが、できるだけそういう工合に国有財産を活用いたしたいと考えております。
  23. 横山利秋

    ○横山委員 かりにあなたのおっしゃるような企業誘致をそこへする、あるいは企業組合を作った労働者に対して、国有財産を何とか好意的にする、あるいは広域職業紹介ですか、住宅を何とか国有財産を転用する、こういうことを考えたにいたしましても、現行法ではおのずからリミットがあるわけです。それは、一つには、駐留軍労務者なるがゆえに減額はされない、それから一つには、何がしかの金額以上はいけないという制限がある。そういうことですと、現行法では——あなたのおっしゃっておられることは、大したことではないような気がするわけですが、この機会に国有財産特別措置法を改正して、そうして駐留軍労務者の企業組合なり、駐留軍労務者なり、それらに対しては、国有財産返還された財産ばかりでなく、現在あります国有財産についても優先的な使用を認め、その使用料なり、あるいは払下げ価格特例を開き、あるいはその支払いについて、適当なワク内で支払いの方法を講ずるというようなことがなされなければ、現行法ではおのずから限界があると思うのです。その点、法律を改正される御検討が進められておる一かどうか、お伺いをしたい。
  24. 北島武雄

    北島説明員 この問題の対策につきまして、調達庁と労働省といろいろ集まって協議をいたしたのでございますが、全駐労の方々の御意見を承わりましても、元駐留軍労務者をもって組織することろの企業団体につきましては、優先的に一つ払い下げてもらいたいということが、まず第一にございます。これはいわゆる随意契約であります。予算決算及び会計令及びその臨時特例によりまして、随意契約がある程度開かれておりますから、現在におきましては、旧軍用財産につきましては、予定価格五十万円以下のものについては、これは随意契約ができることになっております。企業組合等の団体で御要望になる施設は、私はそう大きなものでなかろうかと考えておりますので、大体におきましてよ、この五十万円の範囲でまかなえるのではないかと思いますけれども、もし必要がありますれば、主計局の問題ではございますが、この範囲を拡大したらどうかということを、私ども管財局としては考えております。これを拡大することによりまして、他に旧軍用財産だけでなく、終戦処理費で取得しました財産、あるいは平和回復善後処理費で取得しました財産等につきましても、同様にある一定金額までは随意契約ができるという限度を開きまして、その活用によりまして御希望に沿えるのではないか、こういうふうに考えております。大体におきまして政令の改正、ただいま申しました予算決算及び会計令及びその臨時特例の改正等によりまして、現行法のワク内で処理ができるのではないかと考えております。もちろん減額してもらいたいという要望もございますが、それは、やはりいろいろな問題がございますので、それは、必ずしも御要望通りにちょっと取り計らいかねる点があるかと思いますが、さしあたり御要望の強い企業組合等の団体に対しては、優先的に払い下げてくれ、あるいは労働省が主張しておりますように、広域職業紹介を実効あらしめるために、短期間の宿泊設備に国有財産を提供してくれということについては、これは現行法のワク内において処理できるというふうに考えております。
  25. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど言ったように、駐留軍労務者の六万人の首切りは、単に駐留軍労務者だけではなくて、家族三人も含めて言えば、二十万の人が路頭に迷うのです。それなるがゆえに、政府も、格好だけでも委員会を作って、そうして政策としてこれをやっているのです。あなたのおっしゃるような事務的な立場に立って言うならば、これはいろいろ問題があるかもしれませんが、今おっしゃった予算決算及び会計令ですか、それは今日のこの問題でなくても、もう従来から当大蔵委員会で問題になっておって、これは改正さるべきだということは、大蔵委員会の一致した結論になっている。その会計令の改正はもちろんそうだけれども、二十万の人が路頭に迷うので、この際政策として、駐留軍労務者に対する、その企業組合に対する特別な法律改正が必要ではないかということで、あなたの方としてもお考えを進めてもらわなければ、あなたが言う企業の誘致なり、企業組合なり、あるいは住宅を提供しての誘致だって、靴を隔てて足をかくようなもので、決して実際効果はありません。もしあなたの方がそういう決心がつかなければ、私どもは自民党の皆さんとも相談しますが、その地域における数千人、数万人の人々が路頭に迷うということは社会問題であります。従って、一回私ども与野党ともに相談しますが、どうかあなたの方として、百尺竿頭一歩を進めて御検討をされることを要望したいと思います。時間がありませんから、この問題はそれだけにいたしますが、返還される国有財産の総合的な対策の問題、並びにさしあたり行われようとしている駐留軍労務者の企業対策に関連する国有財産の問題について、次回あらためてあなたの具体的な見解を承わりたいと思うのであります、、  それから最後に、やはりこれも従来からの関連問題でございます、国有工具の今回の交換、払い下げについて若干意見を述べて、あなたに善処をわずらわしたいと思いますが、従来の経緯もよく承知をいたしておりますから、今ここで質疑応答を繰り返そうとは思いません。ただ言い得られことは、機械の交換と相待って、今回約千八百点トンにも及ぶ工具が中小企業のために交換をされようとするならば、交換を受けた中小企業が、これをもって政策としてなされただけの値打があるものとするためには、どうしてもその価格というものが安くなければならぬ。安くして初めて政策の恩典が生まれるわけであります。それから第二番目には、工具商や工具メーカーの人々の御意見もさることながら、あたら膨大な工具のスクラップ化を優先的に行うというような傾向が、今なおほのかに見えることは、まことに遺憾千万だと思うのであります。私は、先般来選別をされております現場も二、三カ所拝見をいたしましたが、その現場においての多少の運用は許されてはおりますけれども、しかし根本的なものの考え方として、使えるものは役に立てるという気持が、あなたの方にきぜんとしてございませんといけないと思うのです。もう現在の段階としては、評価が最終的な段階にあり、あなたが判を押される段階になっておると聞いておりますが、この際、この評価を、中小企業がほんとうに喜んで政策として受けるという立場を作ることをあなたが中心的なものの考え方として頭に置かれること、それから、なお選別が進んでおります状況下ですから、使えるものはとにかく使う。こういう二つの立場をあなたがはっきり腹に入れて、国有財産というものがあたらくずになって、場合によってはそれが横流しされたりすることのないように、特に御注意を換起いたしまして、私の質問を終ります。
  26. 北島武雄

    北島説明員 機械工具の評価につきまして、毎度横山先生から御鞭撻いただきまして恐縮に存じます。申すまでもなく、機械工具の交換は、中小企業の設備改善に非常に役立つものでございまして、私どもこれに重点を置いておるのでございますが、目下のところ関東財務局におきまして、メーカー側、ユーザー側、それから第三者というふうに学識経験者十数名の方々に依頼いたしまして、いろいろ御意見を伺っております。それからまた関東財務局自体におきましても、適正な中古品相場はどれかということを調査いたしておりまして、これらにつきましては、管財局に先般報告があったのでございます。管財局といたしましては、横山先生の御趣旨もさらに含みまして、適正な価格でもってきめたいというふうに考えております。ただ、先般一週間か十日くらいでできるだろうというふうに簡単に申したのですが、実際見ますと、なかなか大へんな仕事でございまして、担当者も詳細なグラフを描きまして、しさいに全般の各委員のお感じ、あるいはユーザー側の御希望などを一覧でわかるように作っております。それについてまた検討を重ねました上に、先生の御趣旨も十分含みまして、中古品の時価を出したいと思っております。適正な中古品の時価に対して三割五分の減額をいたしますので、時価は適正なものを出したいと考えております。
  27. 横山利秋

    ○横山委員 局長、あなたは三べんも適正とおっしゃるのですが、適正とは何ぞやという議論なんです。私の言うのは、安くしろ、それが政策の趣旨である、それが特別排置法ができた趣旨である。これが国有財産の交換にあてる趣旨である、適正であるという意味ではない。あなたの言う適正というものは、市中における適正ということを言っていらっしゃるのですが、それでは話が違いますぞ。政策に合った適正な価格でなければいかぬ。こういうことですから、一つお間違えのないように。
  28. 北島武雄

    北島説明員 国有財産特別措置法におきまして、時価に対して三割五分の減額をするのでありますから、一応もととなる価格は適正な時価である、こういうふうに考えております。それに対しまして、国有財産特別措置法の減額が適用される。もとの価格を安くして、さらに三割五分というのは、これはちょっとどうかと思いますので、ただ適正な特価と申しましてもいろいろな言い方、考え方もありますし、御趣旨も頭に入れまして検討いたしたいと考えております。それから工具については、できるだけ活用できるものは活用したらいいじゃないか、こういう御趣旨はまことにごもっともでございまして、先般私どもできるだけ交換の方を優先する。交換の御希望を全部とりまして、その上で目鼻をつけた上にスクラップ化を考える、こういうような方針でいたしておりますので、何とぞ御了承願いたいと思います。
  29. 横錢重吉

    横錢委員代理 春日一幸君。
  30. 春日一幸

    ○春日委員 先般、大カン練乳の砂糖消費税の免税措置が廃止せられまして、このことから、乳製品業界には今や深酷なる恐慌が招来されんとしております。よってもって、このことがわが国酪農事業の将来の基礎を危うくせんとしております。これらの諸問題については、いずれ別の機会に論ずるといたしまして、なかんづく特に中小企業乳製品業者が、この措置によりましておそるべき金融難にさらされておるわけでございます。これらの問題をめぐりまして、この際あらためて政府の御所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。  まず第一番にお伺いいたしたいことは、これは、酪農政策の中でもなかんづく高等政策に属すると思う。従いまして、農林大臣はともかくといたしまして、少くとも畜産当局の責任ある答弁、それから今後における執行についての要望をいたしたいと考えて、昨日来畜産局長出席を求めているのだが、本日畜産局長は出ていない、これはどういう理由によるものであるか。委員長から後日畜産局長に御連結いただいて、出席し得ざる理由のてんまつ書を徴収されたい。こういうような状態では、今後職責を完全に果しがたいと思われますので、国政調査を十分に行うことができません。どういうわけで畜産局長がきょう出ないのか。昨日からの連絡にもかかわらず、けしからぬと思う。なぜ出ないのか。そのてんまつ理由書を取っておいていただきたいと思います。  そこで質問に入りますが、わが委員会は、過ぐる六月十日に、現行特例はわが国の国民の食生活の改善と酪農の振興をはかるためには、なお免税措置を存置することが適切であると理解をいたしまして、これを存置せよと決議をいたしました。しかしてこれをどうしても廃止しなければならないとするならば、当然これは、乳製品需給調整機構の確立を急ぐべきである。確立されるまでは、いたずらに業界に恐慌を来たして、このことがわが国の酪農事業の将来を危うくしてはならぬから、こういうことで決議を行なっているわけであります。にもかかわらず、政府は、国会が終了いたしまするや、わずか三カ月の中間的——というよりも申しわけ的な延期の措置を講じたのみで、結局この院議を無視して、免税措置を廃止してしまったのであります。私がこの際原主税局長にお伺いいたしたいことは、あなたは、結局この措置を廃止することによって、わが国の乳製品業界に何らの悪影響を与えるのおそれなしと断じ、またそのことがわが国の将来の酪農事業に対して何ら障害なしと断定したか。だとすれば、その理由は何であったか、この点をまずもってお伺いをいたしたいと思います。
  31. 原純夫

    ○原説明員 お答えは、それらの点について、私どももいろいろ考えもし、かつできる限りの措置を講ずるというかまえをいたしまして、その結果として、九月末で免税をやめるということに踏み切ってもよろしかろうと判断いたしたわけであります。事の次第は、六月末というのを三月延ばします際に、免税をやめるということは、御案内の通り二年余り前からいわば予定のところである。酪農関係は、御案内の通り、近年非常に伸びている事業でありますから、こういう竹馬の足をいつまでもはかないでもやれるだろうという根本的な認識はあったわけです。ところが、この六月における主管の省の見通し、また国会におけるいろいろな御議論で大へん御心配が出て参ったので、乳製品の需給対策につきまして、なおそれらのお気持にこたえて一段と思いを練ろうということで、以来部内、部外でいろいろ検討して参りました。特に農林省畜産局においては、ずいぶん御勉強になって、大蔵省もその御勉強に欣然御協力して考えを推めてきたわけであります。そして、先般政府部内において、その対策についての大きな筋目というものの腹をきめまして、これをやるならば、免税の制度をやめても何とかやっていけるというふうに判断いたしました。その筋目といいますのは、これも御案内と思いますが、飲用牛乳を学校給食に回して、牛乳のだぶつきます時期の需給を緩和するということ、それからこれは来年度でありますが、酪農振興基金を設けて、そして適正な牛乳の取引に強い支持と申しますか、支援を与えるということ、なおとりあえずは、乳製品の保管に関するいろいろな応援をするというようなことが筋目になっておるわけであります。そういうような次第で、今回免税の措置打ち切りということに考えたわけであります。
  32. 春日一幸

    ○春日委員 そもそもそういう一つの特別の措置が講ぜられるということには、それだけの理由があることなんです。すなわちその特別措置を講ずることなくしては、わが国の食生活の改善に支障あり、酪農事業の健全なる発展のために支障あり、こうせなければ発展できないのだという必要に基いての特別措置があったのです。これはあらゆる角度から批判、検討の結果、このことを行わなければならぬ、こういう結論によってこの措置が講ぜられた、そういう事態がいまだ解消されてはいないということを国会が理解したのですよ。しこうして院議は、このことの存続方を実はこの委員会で議決しておる。これに反対の議決が他に行われない限りは、この委員会における議決が国会の議決である。国会の議決は、国権の最高機関でありますから、国の意志なんです。国の意思に反して、あなた方がそういうような勝手な措置をいじくるというようなことは、許さるべきことではないと私は考える。越権行為であると思う。それはそれとして、今あなたの御答弁によると、これこれの措置を講ずれば、すなわちこの免税をやめても差しつかえあるまいと考えたと言われておる。その点について、私は農林省にお伺いするけれども、あなたの方の九月二十七日の牛乳、乳製品の需給調整対策に対する閣議了解を求めるための了解案、この理由書によると、このことは、酪農振興の上から必ずしも楽観を許さない情勢にある、こういうとをうたっておるのです。楽観を許さないというようなことは、その危険なことを予想するということなんです。危険なことが予想されるようなことをなぜ君は承認を与えたのか、農林省は、少くともこれを廃止するかしないかということについては、当然大蔵省から農林省に対して稟議があったであろう。少くとも閣議に対して、こういうような特別な措置を講じなければならぬ、それも非常にややこしいことだ。一から二から三から、各項目にわたって特別の措置をいろいろと講じなけれぱならぬ形になってきておる、こういうようなことを講ずることなくしては、その楽観を許さない危険な事態が予想される、予想されるとするならば、なぜ承認を与えたか。あなたの方は、今大蔵省が言われたように、これこれのことをやるからもうやめても心配はあるまいと考えた、そういうことから来ておる。あなたの方のこの統一した見解として、閣議了解案の中に示されておる文章によると、楽観を許さない情勢にあると言っておる、この点のいきさつはどうですか。農林省の御意見を伺っておきます。
  33. 松田壽郎

    ○松田説明員 本年の牛乳の生産状況及び消費の状況、ストックの滞貨累積状況は、この秋から来年の春にかけまして、この理由書に書きましたように、確かに楽観を許さない情勢にあるとわれわれも考えております。しかし、これに対しまして、この閣議了解の事項にありますような、酪農振興基金の準備をいたしまして、これをできるだけ早く設立する、その設立の前提としまして、それにつなぐべき融資を直ちに取りかかる、これによって滞貨商品の融資をはかっていく、またここには、一応来年の春一月から三月まで学童給食計画になっておりますが、これは一応一番手がたく、学校給食計画等も考えましてしたのでありますが、これもできるだけ早く、できれば年内からでも始めていきたい。あるいは大カン練乳を特に考えております。調整保管の費用の補助というふうなものが大体見通しがつきましたので、この見通しがあれば、この楽観を許さない情勢に対しても何とかやっていけるのではなかろうかということで、われわれも賛成をいたしたわけであります。
  34. 春日一幸

    ○春日委員 大体これを大蔵委員会が議決したのは、それらの事柄をも含めて、乳製品需給調整機構の確立を見るまでといっておるのですよ。このことは、だれが聞いたところで、確立をしてから、すなわち乳製品業界に対してもこの制度で受けられる、そうして、その結果酪農業界にも動揺を与えたない、こういう機構が確立をしてからやめるということなら、貴殿が答弁された通りの事柄であろうと思う。ところが、現在ここに出ているのは、これは案じゃないですか、一体酪農振興基金というのはいつできるのです。まずそれから伺いたい。現在できておるのか、すなわち現在の市場においては、農林大臣が談話によって発表しておる通りに、すなわち本年下半期においては牛乳、乳製品の需給不均衡が見通されておる。すでに見通されておる不均衡があれば、どういう事態を生ずるかというと、乳価の暴落、乳代の遅払い、それから酪農経済の不安定、こういう形が予想されておる。だから、私の言うことは、その基金法ができてしまって、そうして、こういう特別措置をやめることによっていろいろな障害が生じても、その基金によって保管のための融資ができるとか、保管に対する経費の助成が行えるとか、そういうことが行えるなら、私は文句は言いやしない。だから、私どもの大蔵委員会が言ったことは、そういうような機構が確立をして、そういうあらゆる憂慮すべき事態が起きたときには、それによって消化できて、問題の解決がはかり得るような態勢になるまでこれは残しておけ、永久にやめろというわけではない。にもかかわらず、あなたの方は、これを十月一日からやめて、本日まで基金法はできているか、できていないのか。できていないとすれば、いつからやるのか、この点をお伺いしたい。
  35. 松田壽郎

    ○松田説明員 基金はできるだけ早く作りたいと考えておりますが、立法等の必要もございまして、来年の二月ないし三月とわれわれは考えております。それで、基金ができますまでには、基金のできるということを前提にしましたつなぎの融資、その融資をまたできるだけ円滑にするための、本年度に限りまして調整保管の補助金を出して、保管料の全額と金利の一部の補助金を出していただく、こういうことでわれわれは考えたわけでございます。
  36. 春日一幸

    ○春日委員 そうすると、この閣議了解によるところの対策の中に書いてあるのは、酪農振興基金の業務開始までの間において、乳製品または乳業を行う農協が、政府の定めるところにより、大カン練乳等の乳製品を保管するときは、国はそのために必要な経費の一部を助成するものとすると書いてある。けれども、融資のあっせんはどこに書いてありますか、伺いたい。
  37. 松田壽郎

    ○松田説明員 これはこの文面には必ずしも明確ではございませんけれども、われわれ現在農林中金の資金についてのつなぎをやるために、下半期計画にそれを織り込むという線で目下やっております。大蔵省にも、その点について協力を得ております。
  38. 春日一幸

    ○春日委員 これは、別に申し上げたいと思うんだが、主税局長の責任でもあろうとは思うけれども、現在中小乳業者の困窮の度合いというものは、非常に深い。そのことは、ただいまの農林大臣の談話の中にも明確にされておるように、需給のアンバランスが、すなわち大カン練乳用砂糖消費税の免税措置撤廃の事情等がいろいろとからんで、現に大カン練乳の市価は三千四百円である、多少の違いはあるかもしれないけれども、業界が本委員会陳情しておるところによると三千四百円である、ところがこの原価計算によると、税金が新しく加わってくるので四千四百円になる、そうすると、市価と原価との間の差額が一カンについて一千円、これを本来消費者に転嫁されるベきものと期待されておったのだが、需給のアンバランスで転嫁できない形になってしまって、このことが結局業者の負担になってきておる。ところが中小業者たちは、みずから大カン練乳を取り扱うことによって事業を成り立たしめておる、従ってこれが全損になってきている。ことごとく中小業者の負担に背負い込まされている、こんな状態が二、三カ月も続くとすれば、中小企業関係の乳業者は、破産しなければならないということを泣いて訴えておる。このことについて、主税局長は、一体どう考えておられますか、すなわも、これは明らかに政府の見通しの誤まりではないか、政府は、こういう制度が廃止されれば、当然税金はそれだけ乳価に加えて、そうして値段が高くなって、業界には何ら圧迫を加えない、こういう想定をしたのでしょう。さればこそ、本委員会が存続すべきであると議決をしておるにもかかわらず、こういうような措置を強行した、それは見通しの誤まりであろうと思うが、この点、誤まりであるならば誤まりであると、明確に一つ主税局長から御答弁を願いたいと思います。
  39. 原純夫

    ○原説明員 まだ免税をやめて数日のところでありますので、現在市中に出ていますものは、免税時代のものであろうと思います。需給関係で売手が非常に強い状況でありますれば、そういうときにすぐに、たとい砂糖の税金がかかってないものを使ってあるものでも、ぽっと上げてしまうということはあると思いますが、この場合は、みなが心配しておりましたように、売手が弱い方だという時期でありますから、やはり課税の影響は、もう少したってこないと出てこないというふうに思います。もう少したってきますれば、その影響が出てくるのだろうというふうに考えております。そして、その場合に、幾ら出て幾ら原料値にはね返るかというような点は、もう少し推移を見て、実際を見ないとわからないと思いますが、一つ特に申し上げたいのは、今こういうふうに言うておりますけれども、やはり全体として酪農関係の伸びというものがきわめて顕著なものであるということは、もう御案内の通りで、これは非常にけっこうなことであるし、ますます顕著にいたしたいというつもりでおるのです。それですから、こういういかにも砂糖の消費として、一番税力のありそうな面にいく砂糖について、免税しておかなければ酪農が持たないということはない。そこの不公平は、やはりはっきりと解消するというつもりでやったことで、一方そういう基本的に条件のいい——やはり条件がいい酪農事業でありますから、若干心配はあっても、毎年どんどん伸びていく。そうしてこういう心配をする一方で、酪農については計画的に伸ばそうということもあるくらいでありますから、その中で、今回は乳製品のところにある程度しわが強く寄っているわけで、それについて、国会でもその他でもいろいろ御心配が出て、私どもも心配してやるわけでありますが、今回政府が腹をきめましたところは、やはり酪農政策にとっては相当大きな決心だと思います。これをやって参るということになりますれば、もともと強い条件の酪農が、ますますすくすく伸びていくのではないかと私ども考えますので、なるほど免税撤廃の際の一時のゆれというものはあると思いますが、基金が将来できるということになりますれば、かなり強いものにますます活気がついていくのではなかろうかというようなつもりで、私どももかねがね酪農振興について何らか基本的な調整対策というようなものが要るのだろう、これは私主税局ですが、前の主計局におった時分からいろいろと考えておったということもあり、これが契機にこういうことになったということを非常に喜んでおるので、一時若干のゆれがあるのはいた方ない。しかし大きくは、順調に伸びて参るというふうに確信いたしておる次第でございます。
  40. 春日一幸

    ○春日委員 これは、申し上げたいことは、何も特別の恩恵とか恩典とかいうことでこれが講じられておったのではない。こういう必要があるからこそ、そういう特別措置が政策的に容認されておったんですよ。だから、私たちが言いたいことは、特に農林大臣が指摘しておるように、下半期においては需給のアンバランスが予想される。そこで、そういうような事態には、乳価の遅払いだとか、あるいは市価の暴落だとか、そのことがよってもってこの酪農事業の将来に悪い影響を与える、そういうときに、過去ずっと何十年もやられてきて現存しておる制度を、大蔵委員会が議決をしておるにもかかわらず、それに反して、言うならば時を急いでやらなければならなかったかどうかというこの政治的見通し、私はその見通しが誤まっておると思う。さればこそ、今日こういう混乱を生じておる。さらに、臨時対策を講ずるといっても、今農林当局の御答弁によれば、来年の三月にこういう制度ができるかどうかわかったものじゃない。こういう制度ができてこそ、初めてそこから生じたところのいろいろな障害が救済される形になってくるのですよ。だから、私たちの言わんとするところは、そういうような機構を確立した後において、そうしてまたタイミングに、そういうようなアンバランスのないように、すなわち需給のバランスがはかられておって、そういうような経済情勢下においてこれを廃止するならば、私たちは文句はない。ところが、下半期の需給のアンバランスが予想される、そのときに、なおかつ何らの機構も事前的に確立することなく、これを唐突に断行した、そういうところに、あなた方が道義的に政治的に責任を感じなければならない点があると思う。この点は、大いに御反省を願わなければならぬ。時間がないから、私は必要なことに集約してお伺いいたしますが、それで、農林当局は、一体こういう基金法というものは、来年の三月にはできはしない。ところが中小企業者については、とにかく金融難というものがすでに焦眉の急として露呈しておる。今農林中金にあっせんしてその金が借りられるように話を進めておると言っておりますけれども、そうだとすれば、なぜこの閣議の了解事項の中にそのことを書かないのか。そのことを書いておきさえすれば、農林中金に対して、拘束力にはならぬにしても、相当の影響力があると思う。何も融資のことは書いてないじゃないか、書いてないからどうこうというわけのものではないが、大体具体的な現実の問題として、農林中金は、中小企業者が保管のためにするところの金融、これに対して応諾の見通しがありますか、そしてまた、どの程度話が進められておるか、この点の経過一つお示し願いたい。
  41. 松田壽郎

    ○松田説明員 御承知のように、農林中金の方は、上半期に大体ある程度の余裕金の見通しが、これは例年の季節的な問題もありますが、ございますので、われわれは、この対策といたしまして下半期の計画、現在それを折衝中でございますか、これに滞貨資金として、約三十億程度のワクについて計画を申し込んでおるわけであります。この計画は、この基金が設立されるということを前提としましての関連性がございますので、この基金の作業と並行しまして、この滞貨融資の実施をやっていかざるを得ないわけでございますが、そうしますと、われわれの見通しとしましても、今月あるいは来月一ぱいくらいのスピードになってくる、こういうことでは、必ずしも現在の中小企業の実態からしまして間に合わないのではないか。また業界からのお話もございまして、さらにわれわれとしまして、そのうち特に保管の補助金を出します大カン練乳を中心としまして、とりあえず緊急に必要な資金ワクについて、その折価中に特にこれを取り出して中金と一つ折衝していきたいということで、この十日くらいまでに中金と折衝します手配を、現在進めております。  このはかに、中小企業の中で一つの問題は、品物の売りくずしがある極のメンバーから出るということに問題がございますので、そのために、中小企業の方で、組合で共販をやっていきたいという計画が出ております。これについての共販の資金一億二千万円程度の要求に対して、現在これは、先月中から引き続き中金と折衝いたしております。
  42. 春日一幸

    ○春日委員 特に農林当局に申し上げておきますが、今月の十日には、大蔵委員会がもう一ぺん開かれることに決定されました。幸いにあなたの方が、今農林中金と強力に交渉中とのことでありますから、十日までに一つ結論の出るように——私が強調したいことは、これは、本来ならばそういう対策をあまねく事前に講じて、すなわち三カ月の余裕があったならば、こういう事態が予想されるから、この三カ月の延期期間中にあまねくその対策を確立した後において、これを実施すべきである。三カ月の見込みがつかざる場合は、六カ月も七カ月も二年も何年もやってきたことであるし、法律の施行からは何十年も歴史がある特別措置である、何もここ二、三カ月急がなければならなかった理由は、私はなかったものと思う。だから、これは農林、大蔵を含めて、政府に私は相当の責任があると思うから、その道義的な責任をも含めて、一つ農林中金とよく折衝されてすなわち来月の十日までに、彼らの要求するところの共販に要する資金とか、あるいは保管に要するところの必要なる資金、これはただいまの御答弁によると、三十億というお話であったけれども、当面の応急のつなぎ資金というものは、私は数億の限界にとどまるものと思う。だから、それだけのことは、一つ精力的にお話し合いを願って、そして、やがて手形の支払い期がくるから、売り急がなければ落ちない、手形の不渡りが出れば、結局破産倒産という形になってくる。商売をやめなければならぬ中小企業者の立場を十分理解されて、十日までにこの問題について一応の結論をとりつける用意かあるかどうか、農林当局としての大体の御見解をこの際何っておきます。
  43. 松田壽郎

    ○松田説明員 そういうことで現在やっておりまして各業界にも、それに必要な資料等を要求しております。この資料をまとめまして、十日までにはこれが中金と折衝に移りたい、こう考えて、おります。
  44. 春日一幸

    ○春日委員 十日までに折衝というのではなくして、資金繰りがつかないものだから、今あなたのおっしゃったように、みんなが売りくずしをしておるわけなんです。売りくずしをしておるからこそ、いよいよ大カン練乳の免税措置が廃止されたからといって、値段がそれだけ高まってこないのです。高まってこないからこそ、出血販売を行なっているわけなんです。だから、こういう事態を克服するための応急措置、すなわち、これは臨床医学でいうなら包帯を巻くようなものなんだ。血がずっと出ているから、包帯を巻かなければならぬ。包帯を巻くときに、あした包帯を巻くとか、あさって包帯を巻くとかいうことでは、結局これは出血で死んでしまうのです。だから、包帯を巻くときの心がまえで当ってもらわなければ困る。十日までに書類をそろえて、それから交渉に当るということでは、肝心の出血患者は死んでしまうのです。死んでしまってから包帯を巻いたところで、何も役に立ちませんぞ。その点を強調しておきます。  それから、この基金法によると、十億の予算——政府が五億円出して他は業界からといっているのだが、大企業なら出してもできようし、あるいは協同組合も資金を捻出する方途はあるであろうが、中小企業関係では、基金を醵出する資金源に事欠きはしないかと私は思う。出したとしても、少額になると思う。そうすると、出資額からくる役員選任役員の配分、これは、ともすれば中小企業者は、そういう役員選任から脱落するような心配が予想される。この基金を運営していくことのためには、相当の役員が必要であると思うが、中小企業関係の従業者もこれに加える意思があるかどうか、それをお伺いします。
  45. 松田壽郎

    ○松田説明員 基金のそういう構成その他につきましては、これから設立の準備委員会というふうなものを作って、そして中小企業、もちろん大企業あるいは生産者というふうな各方面の将来の構成員になるベき人たちの準備委員会で、そういうものは決定していきたい、従って、おそらくそういう御心配の点はないものだと考えております。
  46. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、その準備委員会の中には、中小企業従業者もそれに入れますか。
  47. 松田壽郎

    ○松田説明員 そのつもりで、おります。
  48. 春日一幸

    ○春日委員 ちょっとお伺いしたいのですが、そうすると、この二のロの条項によると、これは、借り入れる場合の債務を保証するということになっておる。これは、あたかも保証協会のように、この基金が保証をするものについての保証を行うだけにとどまって、実際にはこの基金からの直接貸し出しはしないのでございますね。
  49. 松田壽郎

    ○松田説明員 貸し出しはやらないつもりでおります。
  50. 春日一幸

    ○春日委員 そうすると、この基金法に基いて基金が保証をするところの貸し出しは、その金融機関は、どのようなものが対象とされておるか、そうして、その対象とされる金融機関とこの基金との間に、基金が保証する分については貸し出しを行うものとするとか、あるいはまた、金融機関の自主的の裁量かどうか、基金で保証してもらおうともらうまいと、貸したければ貸す、貸したくなければ貸さないという裁量権が、現在の信用保証協会と同じような形で考えられておるのか、あるいはまた、農林中金もしくは特殊の金融機関との間で、基金が保証する限りにおいては、その限りについて貸さなければならないものとするとか、そういうような約款が取りつけられることが予想されておるかどうか、この点を伺います。
  51. 松田壽郎

    ○松田説明員 そこまで細部にわたってまだ決定をしておりませんが、取引金融機関につきましては、各業界のそれぞれの多年の取引関係がございますので、それを尊重して考えていきたいと思っております。この基金が債務保証をするから出せというところにつきましては、まだそこまでは考えておりません。
  52. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、ほとんど政策的な問題は次の十日の委員会でお伺いすることといたしまして、この際確認をしておきたいことは、この閣議了解事項三の乳製品の保管事項、この中に、政府の定めるところによって保管費の助成を行うということになっておるのだが、これは、大体どういう場合にその助成金を払うということは、すでに政府できまったか、まだか。
  53. 松田壽郎

    ○松田説明員 これは、大体業界の意見も伺いまして、ほぼ決定を見ております。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 どういう工合に決定しておりますか。
  55. 松田壽郎

    ○松田説明員 これは、われわれ乳製品緊急保管要綱としまして出しておりますので、相当いろいろな面を規定をいたしておりますが、その大体の考え方を申し上げますと、対象品目としては、まず大カン練乳を中心にやっていきたい。保管は、すべて中小企業者の団体、酪農業協同組合の団体及び乳製品業界を中心とします団体というものを相手として、その団体である程度自主的にやってもらいたい。保管は、ある程度需要期まで持って、その間に値くずしを防ぐという趣旨でございますので、自由にいつでも入れて、いつでも出すということでは趣旨にかないませんので、入れる時期、それから出す最も早い時期というものを大体規定しまして、入庫は本年中、出庫は来年の三月から実施するというふうな考え方でやっております。
  56. 春日一幸

    ○春日委員 そうしますと、結局は、こういうことに集約されると思う。いろいろな他の関連事項がたくさんありますけれども、これは、きょうはもう時間もないようでございますから、さらに十日に御出席をいただいて、深く意見の調整を行うといたしまして、とりあえず今中小企業者たちが値くずしで売っておる、金融がつかないから売らざるを得ない、彼らは在庫品を持っておるのだから、従って倉荷証券を得ることによって、ただいま申されたような保管要綱に合致しないところの保官方式でも、とにかく抵当権が設定できるわけですね。だから、そういうものを対象として、応急に今中小乳製品業者たちの金融難を解消することのための融資措置、それを一つ農林省の御方針によって、かつは、閣議了解の中に文字的に表現されてはいないけれども、含蓄としてそういうことが考えられておるとするならば、これは、農林中金と強力に、精力的に一つ交渉いただいて、応急のものは共販に要する資金と、中小企業者が個々に持っておるものの倉荷証券によるところの融資だから、私はその限度を出まいと思う。これを、ぜひとも一つ業者の要請にかなうような形にごあっせん、御努力をお願いをいたしたい。  それから主税局長にちょっと伺っておきますが、あなたの方の大蔵省が、六月二十五日に廃止に伴う対策として考えられた各項目の中で、この需要を新しく造成することのために、これを学校でうんと飲ませる、そのためには相当の補助金を交付する、一千万円で足りなくなった場合には予備費の支出を考慮する、こういうことがうたわれておるが、これは実施に移しておりますか、移しておるならば、現在どのような点まで進んでいるか、この点をお伺いしたい。
  57. 原純夫

    ○原説明員 簡単に申しますれば、この考え方が非常に大きく拡充されて、学校給食に回そうということになったというふうにお考えいただくべき筋合いと思います。と申しますのは、このときは必ずしも生乳ということでなくて、乳製品、粉乳、バターというようなものを、そう大きなスケールでないことは、ただいまお読み上げになった千万円という額を盛ってあることでもおわかりの通りで、ごく小さな規模ではかしていこうという程度に考えておったのですが、その後三月の間いろいろ農林省で御研究になりました結果、やはりもとを抑えて、生乳自体をだぶつくときに処理してしまおうというようなことになって、それをやれば、こういうこまかいスケールで乳製品等をやる必要はなかろうという意味で、むしろ精神は同じ精神でありますけれども、非常に幅の広いベースで、乳製品でなくて生乳でということになったというふうに御了解いただきたいと思います。
  58. 春日一幸

    ○春日委員 それじゃ脱脂粉乳、バターとか書いてあるので、これは変ったのでございますね。いずれにいたしましても、これは国会の意思に反していうならば、これらの問題は、大蔵官僚と農林官僚との独断専行によって、こういう、不当な措置を断行してしまった。そうして、かかる憂うべき状態を現出して、そのことのために、今一項目、二項目、三項目、四項目にわたるところの特別の措置を請ずるにあらざれば事態収拾が不可能に陥ってしまった、その責任は重大ですよ。そこで、結局の話が、こうなった以上は、現実に即してわれわれも事柄を弁じなければならぬ。そういう意味で、困っておる点からとにかく緊急に処置をしていただいて、特に大企業は、それぞれ背後のシンジケートもあるし、資力も大きいので、自力で処理の方法もあろうけれども、中小企業については、なかなかそういうふうにはいきません。でありますから、この閣議了解事項の中にも、明確にその資金融資の対策というものが何らうたわれてはいない、私は、これは重大な手落ちだろうと思う。けれども、精神はそのことを含んでおる、そして、現実に農林省が責任を感じて、その話し合いを進めておるとするならば、それを了として、問題が現実に解決されれば、われわれも深くはとがめません。でありますから、一つ次の十日までにその融資措置が実を結ぶように、それから他の恒久的措置については、その起案の完璧を期して、ともすれば犠牲になりがちの牛小企業者も、その基金法の中において十分発言できるように、そうして発言を通じて、この基金法による恩恵の受けられるように、諸策の立案と執行に当って万全を期せられんことを強く要望いたしまして、私の質問は次回に譲ります。     —————————————
  59. 横錢重吉

    横錢委員代理 この際お諮りいたしますが、先般来本委員会におきまして、国政調査のため各地に委員を派遣し、税制金融、その他について実情を調査いたして参りましたが、ただいまその報告書が委員長の手元に提出されております。これを会議録の末尾に参照として掲載いたしておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 横錢重吉

    横錢委員代理 御異議なしと認めます。よってさよう取り計らいます。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ————◇—————    午後二時二十四分開議
  61. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件及び専売事業に関する件について質疑を続けます。石村英雄君。
  62. 石村英雄

    ○石村委員 まず副総裁にお尋ねしますが、これは、私は大蔵大臣か総理大臣がいらっしゃった方がいいと思うのですが、一つ総裁も、政府の方針を御承知だという意味でお答え願いたい、こう考えておるのです。塩については、昭和二十五年ですか、食料塩については国内塩をもって自給するという方針が一応確立されたようですが、現在でもそういう自給の方針というものが、政府においても公社においても、やはり依然として認められておるかどうか、また将来もそういう方針でいかれる御予定であるかどうか、この点、御返事願いたい。
  63. 舟山正吉

    ○舟山説明員 食料塩につきましては、国内塩をもって自給するということを二十五年の閣議できめておりました。自来その方針に従ってやって参っておるのでございます。このたびその閣議決定に基きます食料塩の自給の目的に到達するのみならず、なお食料塩に充てる以上の生産が見込まれるに至りましたので、ここに対策を現在研究しておる次第でございます。
  64. 石村英雄

    ○石村委員 まあ食料塩についての自給という方針は変らないというように承知をいたしましたが、従って、食料塩が増産され、非常な御努力によって、流下式等の新しい方法によって大へんたくさん作られることになって、余ってきたわけですが、工業塩についても、余ったら工業塩に回すというお考えであるか、それとも、将来において工業塩もできるだけ自給したい、当面においては、その充足の程度を高めるということかもしれませんが、できるならば工業塩も自給の方へ持っていきたい、こう考えるのであるかどうか、これは公社としてのお考えもあると思いますが、同時に、その点について政府と折衝せられ、そういう方向についての何か意見の一致でもあったものかどうか、お答え願いたいと思います。
  65. 舟山正吉

    ○舟山説明員 現在の状態におきましては、工業に向けます塩は、外国塩を輸入いたしました方が技術的にも使いやすいのでありますし、また価格がはるかに低いのでございます。その意味で、あるいは業者は外国塩の使用を希望するかもしれません。しかし、一面におきまして、国内の塩業が非常に生産を上げております。単に食料塩を供給するだけでは、供給過剰になるのであります。そこで、これら国内の塩業者を、その業を保持さしていくという意味におきましても、この際食料塩を充足いたしました残りの塩は、これを工業方面に使えるようにしていくということが必要となって参った次第であります。従って、国内塩を工業に向けるということにつきましては、国内における塩業の維持ということに相当考慮が払われておるということになっておる次第でございます。
  66. 石村英雄

    ○石村委員 余った塩を工業塩に回すということは、現在の塩業を維持する上において必要なことだとは思いますが、しかし価格的に非常に開きがある。昨日も宮崎さんが御説明になったのですが、五千円前後、せんだって契約した中国塩は十ドルというようなことで、相当開きがある。もちろんこの開きも、公社の計画では、あるいは近い将来に五千円程度に下げるというお含みかと思うのですが、しかし六千円あるいは七千円という時代においても、塩専売という立場から、これを工業塩に必ず使用させるというお考えでいらっしゃるわけなんですか。つまりそれだけ外国塩の輸入を減らして、六千円、あるいは場合によっては最初は八千円くらいかもしれませんが、その程度の塩を使わせるという強硬な方針を持っていらっしゃるのかどうか。それとも、ソーダ会社に頭を下げて、一つ使ってくれと頼んで使わせるか、使わないと言っても、外塩の輸入を制限することによって使わせるという強硬な方針を持っていらっしゃるのかどうか、この点もお答え願いたいと思います。
  67. 舟山正吉

    ○舟山説明員 国内の余剰塩を工業方面に使ってもらいますことは、国内の塩業者対策としても必要なのでありますが、工業方面で使います塩は、一つには、技術的に使いやすい塩でなければならぬということのほかに、何と申しましても、その価格が輸入塩並みの価格でなければ、工業者としても喜んでこれを使うというところに参らないのでございます。従って、急に工業に振り向けます塩を輸入塩並みに下げるということは、あるいは困難かもしれませんけれども、少くともそこに目標を置いて価格を次第に下げていかなければならぬというふうに考えております。
  68. 石村英雄

    ○石村委員 私のお尋ねしているのは、もちろん将来においては五千円程度、大体外塩の高い分くらいな価格になさるという御方針でしょうが、少くとも、一、二年の間にはそんなにはならないと思います。それまでも、かりに食料塩が、一般用が余った場合に——余るということがすでに予想されるわけですが、その余ったものを、高くても工業用塩として使用させる、つまり外塩の輸入を押えれば使わざるを得ない、スエズ運河のような事件もあって、外塩も安いとは限らぬ、ときには高くなることもあるのですが、この際スエズ問題が起ったくらいの観念でこれを使うくらいの強い御方針がおありになるかどうか、お尋ねしているのです。五年先、六年先に、五千円くらいに下って、使いやすくなったら使わせるというのでなくて、それまでの過程において、ソーダ工業に対してそういう処置をおとりになるかどうか、これは、量にもよることだと私は思うのです。ソーダ工業も、ある程度その点を考えないわけじゃないんじゃないか、これは、私が聞いたわけじゃないのですが、量次第によっては、そのくらいのことは引き受けるというくらいの度量があるのじゃないかとも思うわけです。しかし、公社の方針がぐらついておっては、業者とすれば、またソーダという基礎原料という意味から言えば、できるだけ安いのがいいわけですから——ソーダの国際市価を見ましても、非常に日本は高い、従って、できるだけ原料が安いことは、工業としては望ましいことですから、公社のちゃんとした方針がなければ、なかなかそれにも乗ってこないのではないかと思うわけです。そこの公社の方針、同時に、それは政府の方針でもなければならぬと思うのですが、その点をお尋ねするわけです。
  69. 舟山正吉

    ○舟山説明員 公社のこのたび考えております案におきましては、塩業者から国内塩を収納いたしますについては、先ほど来申し上げておりますような目標に基きまして、漸次収納価格を引き下げていくのでありますけれども、工業者に対しましては、余剰塩を輸入塩並みの価格をもって売りまして、これが利用を促進していきたいと考えているのであります。従って、さしあたっての間におきましては、公社は赤字を負担することになるのであります。
  70. 石村英雄

    ○石村委員 ところで、当面の問題に返ってきますが、二十五年以降外塩をもって食料塩その他業務用塩にしろといって使った量は、私の推算では年々四、五十万トン、ときには三十万トン台もありますが、大体四、五十万トン、これが三十二年度の予算面では、十九万六千トン程度に下り、実際問題では十二万トンばかりに下る、このように考えられるわけです。従来四、五十万トンで、それだけ安い外塩を使われたわけですから、相当な利益が上ったと思うのです。この外塩関係で、年々大体どのくらいの利益を食料塩に向けることによって上げていらっしゃるのか、これは、三井さんでけっこうですから、おわかりならお答え願いたいと思います。
  71. 三井武夫

    三井説明員 御質問趣旨に、ちょっとわかりかねた点がございますが、従来のやり方は、御承知のようにソーダ工業用塩につきましては、原則としては輸入の平均価格でもって販売する、もちろん販売価格を、輸入価格の変動に従ってしばしば動かすということはできませんので、輸入平均価格と公社が販売しております価格との差額を、プラスの場合にもマイナスの場合にも計算上残しておきまして、それを次の売り値の改訂のときに調整するというやり方をしたわけでございます。大まかに申せば、ソーダ用塩の価格においては、収支とんとんになるように運営いたしました。そして、食料塩につきましては、国内の塩の収納価格と、それから輸入塩の輸入価格を平均いたしまして、それに基いて販売価格を作り、その販売価格によって収支がとんとんに参るというのが、塩会計の理想でございます。しかし、実際には、御承知のように、塩の輸入価格の変動が非常に大きいわけでございまして、その結果といたしまして、塩事業会計はときに利益を生じ、ときに損失を出すというような状況でございましたが、終戦後の状況を申しますと、大体昭和二十一年と二十二年は若干赤字が出ましたが、それ以後は、塩事業はずっと黒字を出して参りました。ただ昭和二十七年度だけに赤字が出まして、その後また冬年度黒字をずっと出して参りました。主十一年度に至りまして十億の赤字に転化した。実は、三十年度におきましても、実質は約四億五千万円ほどの赤字だったのでありますが、資産の、再評価をいたしましてその再評価益が出ましたために、一応決算上は六億円ほどの黒字になっております。その点を改算いたしますと、三十年度から赤字に転じた、これは、申すまでもなく国内の生産が急増いたしまして、輸入数量をそれだけ押えて参る必要が起りましたために、かような姿になったわけでございます。
  72. 石村英雄

    ○石村委員 私の聞きましたのは、おそらくソーダ用に向けられる分については、利益を積極的に見てはいらっしゃらなかっただろうと考えるのですが、しかし、国内用に向ける外塩によって差益が相当生まれたのではないか、それによってカバーをするということでしょうが、国内塩との関係のカバーをなさったということにはなると思いますが、しかし、外塩だけの食料塩に向けることによる利益、それが年々——私がさっき四、五十万トンと言ったのは、あなたの方からお出しになった需給表のうちで、一般用で何ぼ、一方国内塩の生産か幾らということがあるので、その差を出してみて、これは外塩で埋められたのだ、こう判断して、さっき申した四、五十万トンという数字を出した、これには相当差益があったはずだ、これで国内塩の食料塩のカバーをなさったのだ、こう考えて、外塩の利益がどのくらいになったのか、このことをお尋ねしたわけです。これは、計算していらっしゃらなければけっこうですが、もしおわかりになれば答えていただきたいが、たとえば、二十五年は、そういう計算方法をとると、約三十八万トン外塩をもって充足した、二十六年は四十三万七千トン充足した、それぞれの外塩の充足による利益というものが大体どの程度あったものか、こういうことをお尋ねしたわけです。
  73. 三井武夫

    三井説明員 手元に的確な資料を持っておりませんので、詳しいお答えはまた別に調査いたしました上でいたしたいと思いますが、たとえば一例をあげますと、昭和三十年度で申しますと、昭和三十年度におきまする輸入塩の平均価格は、四千二百十九円であった。それからその当時の国内塩の価格は、御承知の通り一万三千六百円であった。それで、この価格で一方では国内塩を収納し、一方では輸入塩を入れておったわけでありますが、三十年度の国内の生産は五十九万四千トン、それから輸入は二百十八万三千トンでありまして、そのうちソーダに回しました分が約百六十万トン分ございますので、食料用としての輸入は、大体五十万トン程度になっておると思います。この五十万トンにつきまして、四千二百十九円で入れましたものを、当時の原塩でありますと一万二千五百円、粉砕塩になりますと二万二千円というような価格で売っておったのでありますから、その分だけ一方では黒字が出ております。それから一万三千六百円で内地塩は収納いたしまして、それを当時売り渡し価格は一万三千五百円でありますので、むしろその面では、収納価格と販売価格を比較いたしましただけでも、百円の損失で売っておる。その上に専売経費がかかりまして、その分だけは赤字になるわけであります。その両方を平均いたしました結果、三十年度には、先ほど申しましたように、実質上におきましては約四億五千万円の赤字が出た、そういう状況になっております。
  74. 石村英雄

    ○石村委員 そういうことで、結局この三十二年度が、十万トン余りしか外塩をもって充て得ないということになれば、カバーが非常に困難になるということで、国内塩も下げなければならぬということに当然なってくるが、三十三年度になれば、全然その余地もないということになるのだろうと思うのです。ところで、今度の公社のお考えから見て、例のバルク・ライン七五%というお話ですが、これは、先般もお尋ねしたのですが、どうもはっきりのみ込めなかったのですが、バルク・ライン七五%だという線をお引きになって、収納価格の決定の生産費に使われる、こういうことになると、七五%のほかの二五%というものは、今年度において赤字が出てくる生産だということに即応上当然なるわけです。しかし来年度は、生産費が下れば七五%のバルク・ライン内になるから利益が生れるということも、あるいはいわれるかと思うのでありますが、いずれにしても、二五%に当るところの生産業者は赤字をいつも覚悟しなければならない。ことし悪いのが来年急激によくなるとも考えられぬのですが、いつでも七五%の線を引くということになれば、赤字の者はいつまでたっても浮ばれない、当然そういう製塩業者はやめろというお考えだということにならざるを得ないと思うのです。それは、来年は必ず生産性が上って非常によくなるということも、中にはあるでしょうが、しかし、毎年七五%というバルク・ラインを引いて生産費を決定せられる、それによって収納価格を決定されるということになると、毎年必ず二五%の連中は赤字になる、そうすると、そういう業者は成り立たない、こういうことに理屈はなるわけです。そういう公社の方針というものは、ことしだけのことであるか、来年からはそんなバルク・ラインということは考えない生産費によって、最高の生産費が償う程度にやるというのであるかどうか、やはり来年もバルク・ラインをしいて、七五%ということでおやりになる、再来年もそうだというお考えであるのかどうか、この点をはっきりお答え願いたいと思う。そうでないと、業者としては、今後どういう方針をとっていいのか、おそらくわからないと思うのであります。今までは、みな能率の悪いところも、流下式に変りさえすれば能率は大へんよくなる、公社の方も流下式をすすめる、その資金のあっせんもせられるということで、流下式になりさえすればこっちは浮ばれると考えてやってきたのが、流下式にしても、いろいろな条件の差で、生産費は必ずしもどこも全国均一というわけにいかないでしょう、必ずいい悪いがある、そうして七五%にならないところの二五%に当るものは、それは必ずいつも切り捨てられる、こういう運命を甘受しなければならぬ。そうすると、今までの公社の方針と今度は全く変っておると判断せざるを得ない、あるいは従来もそういう方針だったのかもしれませんが、業者はそのように考える。流下式にしさえすればおれたちは採算がとれるようになると考えて、せっせと流下式にしてやってみると、バルク・ライン七五%という大きな関門があって、それ以下のものはいつも赤字、毎年二五%に当る者は赤字を甘受しなければならぬ、こういうことになると、塩業を続けるということは不可能になる。もしそのようにお考えならば、はっきりと公社が、お前のところは見込みがないから、幾ら流下式にやって枝条架を作ってみたところで、従来の成績から見て、バルク・ライン七九%という線は動かされないのだ、お前のところは赤字だから、今のうちにやめろ、やめるならば転業資金もやる、従来の線も肩がわりしてやるというようなことで、はっきりお示しになればいいのですが、ただ生産費をきめるときは、七五%というバルク・ラインだということでは、これはどうにも納得がいかないということになると思う。大へんめんどうなことかもしれませんが、大事なことだと思うので、どうかはっきりとお答えを願いたいと思う。
  75. 舟山正吉

    ○舟山説明員 すでに御承知の通り、塩の国際価格と申しますか、わが国で塩を輸入しますときには、トンあたり四千円ないし五千円で買えるような状況でございます。しかるに国内の収納上価格は、現在のところ一万三千円ということでございます。そこで、自由交易ということを前提といたしますと、何も高い国内の塩を使わぬでも、外国から安い塩を買った力が国民経済のために有益ではないかという議論もあり得るのでございます。しかし、それはいろいろの事情によりまして、とらざるところでありますけれども、とにかく一万三千円と五千円というような大きな開きがありまして、国内塩業保護のために一万三千円というような高いレベルの価格を維持していくということは、誰が見ましても、長く続くものではないと思われるのでございます。そこで、これを流下式の採用その他によりまして、できるだけ多量生産をしまして、塩の原価というものを下げていきたいと考えておるのでありますが、この点につきましては、塩業者の方々も、流下式の採用というようなことによりまして、近いうちに一万円くらいには下げられるであろうということを考えておられるのであります。公社も、それらの事情も参酌いたしまして、近いうちに一万円までに持っていきたい。そのためには、業者の方々にできるだけ設備の改善もやっていただかなければなりませんし、また長い目で見まして、どうしてもその目標に達し得られないという業者がございますれば、これは、はなはだお気の毒ではありますけれども、日本において長く塩業をやっていかれる資格要件に欠けるもの、こう言わざるを得ないと思うのであります。そこで、公社といたしましては、収納価格の決定に当りましてバルク・ライン方式をとりまして、年々この合理化をできるだけやっていたたくということをやっていくのでございます。現在においても、バルク・ラインをはずれるというような業者におきましては、将来設備改良によりまして、バルク・ラインに入っていただくことを希望するのでありますけれども、どうしても採算がとれないということでありますならば、これは、長く塩業を続けていかれるにはあるいは不適当ではないかというふうに考える次第であります。こういうような意味で、バルク・ラインによる収納価格の決定ということをいたしておるのでありますが、さらに来年これをどうするかというような御質問につきましては、こういったような考え方に基いておりますので、一万円近くまで収納価格をもっていきますためには、どうしてもこういうような方式を——程度の差はいろいろ考えられるかもしれませんけれども、とっていかなければならないのじゃないかというふうに現在のところ考えております。
  76. 石村英雄

    ○石村委員 もちろん外塩が非常に安いのですから、これを入れてやればいいじゃないかという意見も、あるいはあるかもしれません。しかし、今の日本でそれをやったら、日本の塩田は全部つぶれます。全滅です。自給どころの話じゃない、全部やめなければならぬ。やれば、ただ外塩の再製塩をやるくらいなことで、国内であらためて塩を作るということはなくなる。自給という原則がくずれない以上は、外塩をもってやるとかなんとかいうことはないと思う。高くてもやらせなければならぬ。そこで、公社とすれば、できるだけ安くしようというお考えで、一万円くらいに持っていきたい。一万円でも、外塩と比較するとやはり倍以上ということになると思うんですが、そこで、バルク・ラインという線を依然として続けられるとすると、ことしも二五%の圏外にある、来年も圏外にある、再来年も圏外にある、その次も圏外にあるという業者が出てくるということを予想しなければならぬから、そういう方式でもって価格の算定をなさるのかということを聞いておるのです、できるだけ下げようと考えて一万円にもっていこうと考えていらっしゃるという方向はわかりますよ。今までから承知いたしておりますが、その手段です。必ずバルク・ラインの七五%というのを引いておやるになるのか、生産性が全体的に上れば、何も七五%という線を引かなくったって、一万円には大体においてなるんじゃないかと思うんです。なり得るんじゃないですか、少くとも流下式か何かにしさえすれば。しかし、流下式にしても、やはり生産費の計算は、バルク・ライン七五%という方針を堅持される以上、流下式の塩田におきましても、必ず赤字になるということが将来続いて発生するということに、理屈の上でなるはずだ、こう私は申し上げておるのです。来年からはバルク・ライン七五%ということはないのだ、生産性が上るから、最高の生産費を基礎にして買うんだ、あるいは限定して、流下式の塩田についてはどう考えるということならまだわかるのです。下げるためにバルク・ラインを依然として使っていく、七五%を継続されるか、あるいは先では八〇%にするのか、先では九〇%にする、あるいは一〇〇%にでもするというお考えかもしれませんが、そのバルク・ラインというものは、将来も考えていくということになれば、理屈の上では、私の申し上げるようなことになると思う。そこをはっきりお答えを願いたい。
  77. 三井武夫

    三井説明員 先ほど副総裁から御説明いたしましたように、目標は、一応一万円ということを考えているのでございます。従って、この目標の価格で十分経営ができるという塩業者が残りました場合に、その上にさらに今公社では、一案として、一ヘクタールから二百トンということを標準にするという、案を出してあるわけであります。かりに二百トンを取って申し上げますれば、二百トンの線で最低をそろえるということになりますれば、二百トン生産して一万円でやれるものだけが、理想の姿を申せば残るということになります。その目標に到達したあとの状況を考えますれば、もう七五%のバルク・ラインなどというものは意味がないのであります。つまり一〇〇%計算いたしましても、きっちり一万円にいくという姿になるわけであります。そこの目標に到達するまでの段階でございますけれども、今日まで流下式の転換が促進されましたのも、このバルク・ライン方式によりまする一本の収納価格という点が、非常に効果があったわけでございます。御承知のように、地域差を認め、あるいは戦後方式別を認めた非常に複雑な収納価格を算定しておりまして、いわば実際にかかった生産費用を賠償するというような考え方でやっておりましたときには、塩田の進歩というものはなかった。それがここまで塩田が急激に進歩して参りましたのは、やはりこの一本の収納価格によりまする刺激というものが非常に効果があった。そのバルク・ライン方式というものを今後も続けて参りまして、できるだけ早く一万円の目標に到達いたしたい、かように考えているわけでありますが、ただその過程において、どこまでも七五%のバルク・ライン方式を踏襲する必要があるかどうかということは、よほど検討いたさなければならない問題でありまして、一応その目標に完全到達する前におきましても、たとえば改良工事が一応完成いたしまして、いわば流下式の塩田が全部そろった。そうして、その流下式の塩田の成績というものは、従来ありましたような非常な地域的な差異がない、あるいは企業の間の差異がないというような状況になりました場合には、むしろバルク・ライン方式はやめまして、理想的な生産費を算定いたしまして、それに適正な利潤を加えたものを収納価格にするというような方式を採用するということも可能なのでありまして、それらの点は、今後の問題として、公社におきましても相当慎重に検討を要する問題だと考えております。
  78. 石村英雄

    ○石村委員 ただいまのお話を要約すると、結局目標が一万円だ。他の経済情勢の変動ということを考えないとすると、一万円になった暁においては、一応バルク・ラインということは考えなくてもいいと予想される、いろいろ小さな点には異論があるかと思うのですが、大体そういうことに話はなるんじゃないか。従って、この一万円はたしか昭和三十六年までの到達の目標で、一万になるまではバルク・ラインを続ける、こういうことになる。そこで問題ですが、大体流下式というものは、ここ一、二年で大体完了するんじゃないかと思うのです。間々、残るものもあるかもしれませんが、大部分はことしか来年かに終る。ところが、それをやっても、ことしが三十二年で、来年が三十三年です。そうすると もう三カ年間は、やはり流下式になったって、七五%というバルク・ラインがあるとすると、やはり赤字のものがある。三十六年度に一万円に到達した暁においては、赤字ということはないかもしれないが、それまでは赤字が続く、こういうことが考えられるわけです。そこで問題になってくるんじゃないか。それは、一年、半年なら何とかがまんできるということもあるかもしれませんが、三十六年まで赤字が続く。しかも大きな負債を背負ってやっていくということは、業者とすれば耐えられないんじゃないか。それまで楽に、少々の赤字は出たって三十六年までやっていける、そうして一万円でちゃんとペイして大いにもうかるというだけの余裕があれば、問題はないと思う。一応一万円ということが確約されるとすれば、問題はないと思うのですが、多くの塩業者の経理状態を調べてみますと、どうもそれだけの余裕はないように思うのです。現存非常に赤字を抱えておる、しかも赤字がある上に、償却もろくにできていない。私は、一々塩業組合なんかの資産表は読み上げませんが、私が見ますと、よくこんな状態で塩業を続けていく気になれるものだ、こう考えられるような状態を示している。長期負債というものは、大体改良工事あるいは災害復旧に使ったものだと思うのですが、一方償却は幾らしておるかというと、ほんのわずかしかやっていないという状況です。償却をそんなに少くしても、大きな赤字がやはり年々出ておる。それで、これは四年も五年も続けるだけの余裕は、業者にはおそらくないと思う。しゃれや冗談にやっている金持ちの道楽事業ならいいでしょうが、決してそうではないと思う、そこで問題になってくるのだと思うのです。バルク・ライン七五%というのを塩業者が問題にするのは、そこだと思うのです。理屈上確かに私は問題になってくると思う。公社がそういう方針なら、この際業者としても、おそらく転換策なり何なりを考えなければならぬだろうと思うのです。考えるについて、それなら公社がどうしてやる、今やめるんならこうしてやるぞという方針を一方で打ち出されていらっしゃるならば、それも一つの方法だと思うのです。そういう方針でも打ち出されていらっしゃるわけなんですか。
  79. 三井武夫

    三井説明員 ただいま公社の示しておりまする案は、先般御説明いたしましたように、一応公社の案といたしましては、ヘクタールあたり二百トンの生産を基準にいたしまして、二百トンの生産は確保したい。しかし一百トンの生産が確保できないような塩田は、この際むしろ能率の悪い塩田といたしまして、業者間の売買によりまして、優良の企業の方に統合をはかるなり、あるいは政府あるいは公社から積極的に補償金を出しまして整理を考えるなり、要するに能率の悪い企業は、この際ある程度積極的な整理統合を考えるべきであろう、かように考えまして、案を示しておるわけであります。その場合に、問題は、どの程度の補償金、あるいは業者間の売買の場合には、売買代金というものを払うべきかということで、これはなかなかむずかしい問題でございまして、それぞれ塩業組合の内容、資力、形態等も違いますし、今その基準をどういうふうに定めたらいいかということで、いろいろと検討をいたしておるのでありますが、公社といたしましては、現在塩業者が背負っております負債の償還に少くとも事欠くようなことはさせてはならない、それらを考慮に入れまして、適当な補償金あるいは売買の基準というものを考えなければならないだろうというふうに考えております。  それから、もう一つ念のために申し上げておきたいと思うのでありますが、今、先生から、塩業組合は非常に赤字を出しているというお話があったのでございます。もちろん七五%のバルク・ラインを引いておりますから、バルク・ライン以下の組合が赤字を出しておるということは、これは実情といたしましてその通りでございまして、その点、われわれも組合のためにはまことに同情にたえないのでありますが、ただ一般の塩業組合の収支の状況を見てみますと、塩業組合といたしましては、組合の計算におきましては、積極的に黒字を出す経営を実はいたしておらない組合が多いのでありまして、黒字が出せるような場合には、その分だけは鹹水代金でありますとか、あるいは地代でありますとか、あるいは管理でありますとか、いろいろな名目で分配をいたしまして、組合員の手には相当の金を返して、組合には全然金が残らない、資本蓄積もできないというような現状に実はなっておるのであります。こういうやり方が果して健全であるかどうかということも、非常に問題であるのでありますが、実際のところは、組合は貧乏しながら、組合員はある程度の金をふところに入れておる。場所によりますと、一町歩当り三十万円以上の配当がちゃんと確保され、分配されておるというような状況になっておるところが相当あるのであります。組合の成績というものは、必ずしもその組合を構成する塩業者のふところ工合を反映しておるというふうには、見られないものがあるのだと思います。
  80. 石村英雄

    ○石村委員 まだいろいろお尋ねしたい、特に大蔵省の方が見えたから、はっきりと大蔵省のお考えも聞きたいと思っておったのですが、もう時間がありませんから、これでやめますが、ただいま三井塩脳部長がおっしゃったような組合も、私はあると思うのです。三百トン以上取るところは、やはり相当利潤をあげているんじゃないかと考えるわけなんですが、二百トンという例の線をお引きになったこの考え方も、二百トンがいい悪いは別として、私は一つ考え方だとも思うわけなんです。それがいいとは必ずしも申しませんが、今日の解決策の一つにはなり得る問題だと思うわけです。さっきのバルク・ラインの方になると、二百トンになっても、バルク・ライン方式が続けられる、やはり二五%の赤字というものが出てくる——大体二百トン近く取っておるはずだと思うのです。流下式になったばかりでは取れもしないでしょうが、なったところは、条件が悪いといっても大体二百トン取っている。しかし、その二百トンを取り、あるいは二百十トンになっても、三十六年度の一万円になるまでは、バルク・ライン七五%というものが引かれるとすると、必ずしも二百トンのものが十分とは考えられない、こういうことを申し上げたいのですが、もう時間がありませんから、さらに後日に譲らせていただきます。
  81. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 次に大西君。
  82. 大西正道

    大西委員 公社の国内での需給対策というのを拝見したのですが、公社の考えておられる今回の塩の収納価格の引き下げ並びに生産の制限、こういう一連の政策の変更というのは、ここの対策の要綱に書いてあるように、従来輸入塩をもってまかなわなければ食料塩は確保できなかったのを、いろいろな助成等を講じて食料塩の自給態勢の確立、これの目標達成のためにいろいろな努力が今日まで払われてきた、こう思うのですが、この点は、これが第一の目標であるというふうに確認はしてよろしゅうございますか。
  83. 舟山正吉

    ○舟山説明員 二十五年の閣議決定に基きまして、食料塩の自給自足ということを目的にやってきたのでございます。
  84. 大西正道

    大西委員 そのために、業者に対しての公社のいろいろな指導があったわけなんですが、その目標に対する公社の指導というものに対して、今日現在の段階においては、誤まりがなかったとお考えでしょうか。
  85. 舟山正吉

    ○舟山説明員 この計画促進上におきます技術の画期的な進歩その他によりまして、当初予想しておりました以上の成果を上げたという百味におきましては、当初の計画と食い違ったところがあるわけであります。
  86. 大西正道

    大西委員 それは、あなたの方の文書にもはっきりと出ておるのでありまして、このままでは、三十六年度においては百四十万トンもできて、国内の需要の見込みは百十万トン程度にすぎない。そうすると、三十万トンの余剰塩ができるのだ、こういうことになっておるのでありますが、これは指導の立場としましては、いろいろな枝条架や、戦後設備などの効率が非常によかったとはいいながら、あまりにも見込み違いと申しますか、計画が粗雑であったのではないか。粗雑といっていいか、あるいは別にやむにやまれぬ事情で、そういうことを予測しながら次々と新規の事業を許可したのかもしれないけれども、いずれにいたしましても、自給態勢の確立という面から見て、あまりにも公社の初めに予想されたものと、現在の見通しから見ると開きがある、こういうふうな反省はお持ちだろうと思うのですが、この点はいかがです。
  87. 舟山正吉

    ○舟山説明員 計画をこしらえました当時といたしましては、当時の技術上の知識をもちまして最善と考えます計画を立てた次第でございます。その後予期せざる技術の発達等によりまして、生産が計画より上回ったわけでございます。
  88. 大西正道

    大西委員 予期せざるというのは、あまりにも私は予期せざる結果であって、これは、公社の一つの塩業政策というものが権威を疑われても仕方がないと思うのです。しかも、その余剰塩ができたということが、結局その後の地価の引き下げという一つの理由にされておる、こういうふうな事態になりますと、何のことはない、業者にしてみれば、公社の指導が誤まったというか、計画的にこういうふうに予想より上回るところのいろいろな施設の改善等をやらしておきながら、そうしてそれが予想より上回るということが目に見えると、それを理由にして、今度は整理をやり、塩価の引き下げをやる、こういうふうな結果になっておる。これは、あなた方の書かれたものにも、その理由づけとして、はっきりと余剰塩が出てきたということを理由にあげられておるのでありますが、こういうふうなやり方は、業者にとっては、非常にむごい仕打ちであるというふうに考えられるのも当然であるし、あなた方といたしましても、こういうふうな自分らの計画を進めて、その結果をもって塩価の引き下げをやるということは、どうも理屈に合わぬ、こういうふうに思うのですが この点、いかかでしょう。
  89. 三井武夫

    三井説明員 公社の計画いたしました見通しが誤まりましたために、各方面に御迷惑をおかけしている、このことにつきましては、公社といたしましても、非常に反省いたしておりますし、また遺憾に存する次第でございますが、ただこの主たる点は、流下式塩田の効果がどこまで上るかという点の測定に相当の問題があったわけであります。流下式塩田の改良を始めました当時におきましては、きのうもいろいろ御質問があったようでありますけれども、私どもといたしましては、当時は、入浜塩田の全国の成績が大体平均百トン、これが五割増しまして百五十トンになれば非常な成功である、これは、公社だけでなしに、当時の塩業者がこぞって認めておったところであります。他の参議院の委員会で、ある塩業者の方が、やはり同じような説明をしておられるのでありますが、当時われわれ塩業者は、やはり百五十トンを目標にして流下式の転換を考えおった、つまり、当時のわれわれもそうでありますが、塩業者としても、五割の増産ができるような塩田の革命が行われるのだったら、これは、もう大へんなものであるという予想しか実はなかった、当時、まだ技術的ないろんな実験をいたしましても、塩田の状況によっては、それ以上にいく場合もあり得るけれども、全国平均して百五十トンとれるようになれば、これはもう大へんな成績であるということを認めておったのであります。しかし、それがその後におきましては、どうも百五十トンよりはもっととれそうだ、それで、昨年度計算いたしましたときには百八十トン、五割の増産を認めて、百五十トンに対して二割の余裕を見まして、全国平均して百八十トンというのが公社の計算の基礎になったのでありますが、当時は、やはり百八十トン以上の計算を立てるということは、非常な危険な問題で、公社として責任が負えるのは、やはりその辺だということを公社も考え、また一般の塩業者に意見を求めましても、的確なそれ以上の予想というものはなかった。その後わずか一年の間に、なぜこのような増産が行われたのかという点でありますが、もちろん昨年百八十トンということを公社が計算しておりましたときにも 地域によっては、もう二百トンとれておる、あるいは二百五十トンとれておるという塩田もございました。なるほど条件がいいところは、それくらいいき得るのであります。あるいはそれ以上のところがあるかもしれない、しかし、条件の悪いところは、果してどこまでいくのか、百八十トンまでいけたら、これは大へんなものじゃないかというのが、一年前の当時の状況であったのであります。これは、わずか一年の間にそんなに見通しが違うことはおかしいじゃないかとおっしゃいますけれども、実は、事実なんであります。この一年の間に、そのような非常に大きな状況の変化が起りましたもう一つの点は、流下式の塩田だけでないのでありまして、これに組み合せになります例の枝条架なんでありまして、枝条架の効力の認識というものは、この一年くらいの間に、非常に程度が高くなって参ったのであります。現在でも、公社が流下式塩田の改良に資金のあっせんをいたしますものは、塩川面積に対して五%しか枝条架は認めてないのです。しかし、これが非常に効果があるということで、この一年くらいの傾向は、塩業者の方は、公社から資金をあっせんしてもらえないでも、自己資金でも、市中銀行から金を借りてでも、どんどん枝条架をふやすというような状況になってきておるのであります。塩田によりましては二五%の、あるいは一三%の枝条架をもう現に備えているというような塩田も出てくる、これが、非常に増産に拍車をかけておるのでありまして、私どもが考え、あるいは指導している以上に、塩の増産が進んでいるというのがごく最近の状況であります。もちろん塩田の改良、あるいは枝条架の増設ということには、製塩の変更の許可が要るのでありまして、その許可は、公社がいたしているわけでありますけれども、公社の製塩に対する許可は、御承知のように、法律で拒否できる場合が限られているのであります。適格な条件を備えているものは、許可しなければならないことになっております。ことに、自己資金で枝条架をふやすというような最近の傾向に対して、公社として、これを拒否するとか、あるいは反対するという権限は、実はないのであります。最近におきましては、やはりこの枝条架が各塩業者の間で争ってふやされて、これが非常な増産の原因になっているのであります。私は、何も公社の責任を免れるということでそういうことを申し上げたのではないのでありまして、そういう見通しのできなかったということは、まさに私どもの見通しの貧弱であったことを告白するだけでありまして、その点はまことに申しわけないと思いますけれども、ここ一、二年の間に急激な変化が起っているということを、一つ御了承いただきたいと思います。
  90. 大西正道

    大西委員 なぜそうなったかという説明を、今こまごまと聞いたわけですが、そういうこともあり得ることだし、私も了解をいたします。予想以上に塩がとれるということは、まさにうれしい悲鳴です。しかし、私は、そのことが塩価の引き下げに影響がある、理由づけられるということを、業者の側に立って公社の責任を追及してみたい、こういう立場なんです。これは、おわかりだと思うのです。なるほどいろいろな事情はわかります。しかし、だからといって、そのために業者は塩価の引き下げが当然だというふうに、納得は私はできないと思うのです。この点について、塩価の引き下げは、やはり公社として、業者の一方的な犠牲ということでなくして、多少そこらにゆとりを持って考えていただくという配慮ができれば幸いだと思って、今のことを申し上げたのです。  それからあなた方の書かれております生産対策というものを見ました。この中に、弱小生産者の優良企業への統合を奨励するということがございますね。この場合、食料用塩生産基準については、若干の加算を考慮するということを言っておられるのでありますが、これは一体どういうことですか、詳しく聞かしてもらいたい。
  91. 三井武夫

    三井説明員 公社の案は、先ほどから申し上げましたように、一ヘクタール当り二百トンを限界にいたしまして、それをこえますものは、工業用塩の安い値段で買うという考えであります。一方全国の塩田の生産を認めますと、食料塩は、百十万トンをこえてしまいますので、二百トンの基準を認めますためにも、相当の塩田を整理しなければならぬ。また公社といたしましては、必ずしも二百トンでなくてはならないという基準ではないのでありまして、塩業者は、二百四十トンにしてもらいたいということを申し出ているわけでありますけれども、二百四十トンにすることも、私は別にそれだけとして異論があるわけではないのでありまして二百四十トンにする場合には、塩田の整理をする面積が非常に多くなり、それだけの塩田の整理が実行可能であり、塩業者として賞成していただけるかどうかということに関連した問題があるわけでありまして、その点を御相談しているのであります。一方で塩田の整理、あるいは統合を考えなければならぬ。一方公社の案によりますれば、二百トンという基準量は、確かに現在の成績のよい地方の塩田の基準としては、低過ぎるのであります。現に二百五十トン取っているところもあるし、あるいは三百トン取っているところもあるという状況であります。従って、そういうところの塩田は、二百トンで値段を切られて、それ以上は安くなるということでありますれば、これは非常につらい立場であります。そこで、二百トンまでは、目標価格で申しますれば、一万円で買ってもらえるのでありますが、二百トンをこえますものは、とたんに五千円になってしまう。かりに、それを二百五十トンまで一万円で買ってもらえば、その塩田としては、五十トン分についてだけは、五千円ずつ助かるわけでありますから、それを何年かに直せば、相当の利潤が出てくる、その利潤を振り向けまして、他の能率の悪い塩田を買うことも考えられるのであります。そういうことを考えたわけであります。その場合に、買われます塩…が、かりに一ヘクタール当り百トン取れた、同じ面積だとすれば、それを買ってきた場合に、二百トンの上に百トンプラスして三百トンにする、こういたしますれば、非常によいのでありますけれども、それでは、塩田の整理にならないわけであります。一方では、整理の効果を上げなければいけない、一方では、二百トンの確率が低過ぎる塩田の実情を救済してあげなくてはいけない、そこで、知恵をしぼりまして考えましたのが、半分だけプラスするのを認めることであります。つまり、買い値段を半分だけプラスするということを計算の基礎に置いて、幾らで買ってもおれのところはソロバンがとれるから、この塩田を買って来い、その方が得だ、そういう考慮の余地が出てくるではないか。そこで、半分のプラスということを認めたわけであります。
  92. 大西正道

    大西委員 これは、私はそう簡単には参らぬと思うのです。現実に整理ができるかどうかという問題と、もう一つは、法的にこういうことが許されてよいものかどうかという疑念を私は持つのであります、詳しいことは、まだ結論を得ておりませんけれども。そうしますと、こういうことになりますね。ここに弱小塩田がたくさんあって、これを一つの組織にして、合理化し生産を高めていくという場合は問題が簡単です。ところが、ごく小さい塩田が離れてある。これを大きな優良企業へ統合したという場合に、統合というのは名目上の統合であって、実際そこの塩の生産に対して、非常にこれは不便があるわけです。そういう場合には、もう塩田を廃止する、廃田にしてしまうということでもって、元の優良企業は、自分の元の塩田だけで企業をやるが、一応これを買い取ったということでもって、従来あなたの方の基準だった二百トン、これを三百トンまでのものを買ってもらえる、こういうことになるわけですね。そうなりますと、あなたの方は、塩田という施設以外の塩の製造権と申しましょうか、そういうものの売買をむしろ奨励している、こういうことになりますが、それでよろしゅうございますか。
  93. 三井武夫

    三井説明員 ただいまの問題は、実は非常に大きな問題であります。従来、御承知のように、製塩の許可は、それを権利として扱うというような考え方をして参りませんでしたし、また業者の間でも、それを権利として扱うというような考え方は排除して参ったのであります。それを、今回の場合に至って、一つ権利として売賀を認めるような行き方は、従来の考え方としては、非常に問題のあるところであります。かりに、そういう方法をとるといたしますれば、場合によりましては、それにつきまして特別の立法をしていただくということもお願いしなければならぬ。しかし、実例といたしまして、たとえば、お酒屋さんの統合の場合にとりましたような例もございますし、ほかの企業の整備にも、そういう措置をとったこともあるようでございますが、それらを参酌いたしまして、形の方では、一方の統合される企業は、製塩の廃止、それから統合する企業につきましては、適当な変更の製塩許可というような方法で参ることにするか、あるいは特別の立法をしていただき、それに基いて事実上の権利の譲渡を認めるということにしなければならない。そういうことは、まだ技術的に非常に研究を要する問題だと思っております。
  94. 大西正道

    大西委員 そうすると、あなたは、まだこの点は、法律的にも疑義がある、こういうことをお認めですね。あなたがお認めであれば、それ以上申し上げませんけれども、一般の会社の統合とか、そういうものと、塩田というこの特別の性格のものとを類推して同一考え方のもとに簡単に考えておられるということは、非常にこれは問題だと思う。問題だということを認めておるんだから、これ以上申し上げませんが、それならば、こういうまだ不確定な、はっきり法律的な根拠のないものを一つの対策として立てられるということは、私は控えられた方がよろしかろうと思います。問題によっては、これは大へんな問題を惹起するんじゃないかと思うのであります。きょうは、これ以上のことは追及いたしませんけれども、この次の機会までに、一つあなたも研究されて、確定のされない試みというものを、お出しにならぬ方がよかろうと私は思うのです。そういうことを研究されることもけっこうだけれども、私の願うところは、こういう弱小塩田というものを整理していくということは、否定することはできないと思う。ただ、それをこういう形でもって、公社並びに政府が何らの財政的な支出もしないで、業者間でこういうことをやっていこうというこの考え方自体が、訂正される必要があるのじゃないか。やはりこういうときには、国の施策の一環としてやるのでありまするから、はっきりと公社並びに国の方から、しかるべき費用を出して整理に充てる、こういうことが一番正しいやり方ではなかろうかと思うのです。そういう考えには、あなたも御賛成だろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 三井武夫

    三井説明員 もちろん今お話しのような行き方が、私は一番いい行き方だと思っております。先ほど申しました、塩業者の方から出ております二百四十トン案については、その二百四十トン案を認めてもらえれば、それ以上の、今問題の点だと言われました業者間の権利売買によるワクのプラスというものは、認めてもらわぬでよろしい、そういう一応の御意見でありまするので、かりに二百四十トンがいいか悪いかは別として、二百四十トンあるいは二百何十トンというところで、それ以上には全然ワクをふやさぬでよろしい、それをこえたものはすべて一律に工業塩でよろしいというような基準が設けられることになりますれば、その基準を前提にして、どの程度の塩田整理をしようとするかということを算定いたしまして、その塩田整理に要する資金というものは、政府あるいは公社から当然出さなければならぬ、こういう考えであります。
  96. 大西正道

    大西委員 そういう今の最後のお考えを推し進めるようにしてもらいたい。これは一つ大いに検討して、でき得べくんば、こういう方法でないようにしていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  それから、もう終りますけれども、この塩の収納価格を下げるということですけれども、この問題と関連して、ここではっきりしておかなければならぬ問題は、外塩の輸入の問題だと思うのです。これは、委員会でたびたび追及されたことだと思いますけれども、この自己輸入、これもいろいろと論議された結果であろうと思いますけれども、こういう自己輸入というのは、塩専売法第二条の大原則というものをくずしていくんじゃないかと思うのですが、もちろん二十二条によって、輸入の委託ということもいわれておりますけれども、しかし、こういうことはあくまでも特例であって、過去の歴史にも、そういう時代もあったように思いまするけれども、公社独自の考え方としては、こういうふうな方向を進んでとるべきでない、私は、こういう考えを公社自体は持つべきだと思う。国の政策全般から見て、この公社が、こういうことを容認せざるを得ないという立場に追い込まれた理由、いきさつもほぼ了承しておりますけれども、やはり公社としては、この外塩の輸入の問題については、自己輸入というようなものを認めるべきではない、こういうふうなことが原則であろうと思いますが、いかがでございますか。
  97. 三井武夫

    三井説明員 自己輸入制度が、別に現在の専売公社法、あるいは塩専売法に抵触しておるというような考えは全然ございません。これは、専売法に基いて、公社が委託をして輸入をさせる原則通りのことをいたしておるのでありまして、お話しのありましたように、戦前にももちろん行われておった制度でありまするし、別に公社法、あるいは塩専売法に違反しているということはございません。  外国塩を買います場合に、公社の一手で賢い付けていった方がよろしいのか、あるいは実費を申しますれば、公社とソーダ会社とが並んで買付をする方がいいのか、一体どちらの方が日本の国全体として有利な態勢ができるかということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、公社が買い付けると申しましても、実際上手先になって働くのは、たくさんの輸入商社でありまするし、またソーダ会社が買うといたしましても、実際には輸入商社にさらに委託をして塩の買付をやるのでありまして、その実費においては、ほとんど違いはないのであります。  ただ決定が、公社は一元的にできるかどうかという点だけの問題なのでありまして、この点は、議論といたしましては、私は両方の制度に利害得失それぞれ考えられると思います。それらの利害得失をいろいろ考えた結果、昨年から政府の方針として、自己輸入制度を復活することになったのでありまして、公社としては、その政府の方針に従っておるわけでありますが、公社としてどちらの制度を希望するかと申しますると、先ほど申しましたように、食料用塩の婦人というものは、今後ごく二、三年度で将来はなくなってしまうべきものである、全量国内塩でまかないがつく時代になりますれば、食料塩の輸入は、問題は起こらないのでありまして、むしろそうなりますれば、自分の事業の経営に必要な原料でである塩は、その事業をやっておるソーダ会社が自由に買い付けて、その価格の負担は、会社自身が背負うんだという、自己輸入制度についてかなり妙味と申しますか、長所が出て参るのではないか。この点、公社といたしまして、直ちにただいまの自己輸入制度を廃止して参りたいという考えは持っておりません。
  98. 大西正道

    大西委員 それは、考え方としては妙味もありましょうし、いろいろ考え方はあるのでありまするけれども、今あなたの方で、塩の値下げをやろうというのは、この赤字を解消するということがねらいなんです。その赤字を解消する場合に、従来は安い外塩でもってその中に多少の経費を入れて、それがある程度役立っておったんです。ですから、赤字を解消するためには、塩の収納価格を引き下げるという一つの手もありましょうし、あるいは小売り価格を上げるという手もありましょうし、あるいは外塩を輸入する場合に、若干そこに、昔とっておったように金を考えてみるということもあろうと思う。ところが、今のあなたのとっておる態度というものは、塩の収納価格だけをただ引き下げていく、いろいろな理由づけはしているけれども、もっぱら国内の製塩業者だけにその責任を転嫁しようとしておる。私は、そういう意味からいって、外塩の自己輸入も——それは妙味もありましょう、しかしこの赤字の解消をやるためには、少くともこの際トン当り、私どもの計算からいえば、五百円もつければ、あなたの言われる十億円くらいの金は浮いてくるのです。そこまで徹底的にやれるかどうかは別として、全然何も今四十円ですか、その程度のもので、直ちに——これは井上委員なんかがよく言っているように、ソーダ工業なんかは、今非常に高利潤を上げている、またその製品の中には、国内向けの消費物資もあるのです。そういうようなときにおいて、今のストレートで輸入するという方式に対して、検討を加えるべき必要があるのではないか。そういうことをして、なお国内の製塩業者にも、買い上げ価格を若干引き下げざるを得ないのだということになれば、業者も納得すると思うけれども、一方の方は、全くそこに何の操作もせずにやっておるということは、それは私は、ソーダ工業の会社の方と国内の製塩業者を天びんにかけて、明らかに今の政府並びに公社は、国内の製塩業者の犠牲において、今のソーダ工業の会社の利益をはからんとしておる、こういうことを言われても、私は何ら抗弁の余地はなかろうと思う。これは、私がここで申し上げればよくおわかりのように、この点は一つ考えてもらわなければならぬと思う。私は、公社が一本で輸入せずに、商社がおのおのストレートで取引するということについても、それは商売上いろいろな損があると思う。また得な点もあると思うけれども、そういうところはここでは触れません。けれども、この自己輸入の問題をこのままにしておいて、一方だけをしぼり上げるということは、確かに片手落ちの考え方であると思うのです。国の政策であるから、きまったら仕方がないというお考えもあろうけれども、公社自体としては、これに対して検討の余地が今後の問題としてあり得ると私は思うが、率直に一つ意見を聞かしてもらいたい。時間の関係で、これだけ聞いておきます。
  99. 三井武夫

    三井説明員 ただいまのお説は、公社といたしましても、まことにごもっともと存ずる点が非常に多いのであります。少くとも塩会計の収支が改善されるまでの間、そういうような方法で一部の負担をソーダ工業にもしてもらうというような方法がとれますれば、公社としても非常に願わしいことであります。公社としても、そういう意見を持っております。その点につきまして、すでに大蔵省その他関係の方面にも、いろいろと御相談いたしまして、研究をいたしております。今後とも検討を続けたいと思っております。
  100. 大西正道

    大西委員 ですから、私の言うのは、あなたの御真意はわかりましたから、国内の塩の収納価格の引き下げをやられるときに、同時に外塩の自己輸入制度の問題の検討を、私は並行的にやっていただきたい、このことお願いしておきます。
  101. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 次に、神田君。
  102. 神田大作

    ○神田(大)委員 大蔵省の政務次官に来ていただくようにお願いしておいたのですが、見えないのはどういうわけですか。
  103. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 政務次官は、先ほど結婚式のために、ちょっと時間をいただきたいということで、出られたということを聞いております。
  104. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、次の機会にお願いいたします。
  105. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 それでは、さように取り計らいます。
  106. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、時間もありませんから、簡単にお伺いいたしますが、現在農林省の食糧事務所の検査員が、超過勤務手当がないために、食糧の検査ができないというような緊急事態に立ち至っております。毎年早場米の出荷が殺到するときに、当然与えるべき超勤を与えないで、農民や検査員に非常な迷惑をかけておる点がありますので、その点について、大蔵省の給与関係の係官として、どのようにお考えになっておるか、お尋ねいたします。
  107. 岸本晋

    ○岸本説明員 超過勤務手当の予算の組み方といたしましては、年間を通じましてのその所管業務の繁閑というものを考慮いたしまして、年間この程度であれば十分仕事もやっていけるというめどで、それぞれ超勤を積算いたしておるわけであります。ただその実際の使用につきましては、もちろん各省庁によりまして仕事の内容が違います、春は比較的ひまだが、秋は忙しいというところがあります。地域的に、ある地域は非常に忙しいが、ほかはひまだというところもあるわけであります。そうした地域的、あるいは時期的、また職種によって、当初予定いたしましたよりも若干違う場合がある。そういうものを勘案いたしまして実際の運用、配分に留意していただけば、年間を通じては、おおむね予算計上額でまかなえる、かようなつもりで計算しておるわけであります。  ただいまの早場米の問題にいたしましても、これは主として東北、北陸の問題でございまして、西日本では、そうした問題はないわけであります。従いまして、予算の使い方といたしましても この忙しいときに、全国平均に超勤を使うということではなくて、東日本の方に集中的に使うという方法もあろうかと思います。また時期的に、端境期でありますとか 冬場になりますと、そう仕事がないわけでありますので、超勤をつける仕事はないわけであります。そういう時期を考えまして、忙しいときの超過勤務手当のリザーブをとっておくわけであります。そういう措置も、当局としては必要となるわけであります。  毎年と申しますか、昨今は特にうるさいのでありますが、予算の配分状況を見て、そうした注意が農林当局であるいは足りなかったのではないか、その点、私ども、若干農林当局の方で、早場米事務の予定としての特別な配分計画を考えておられたかったのではないかというような感じもいたすわけであります。この問題、今農林内部で、至急に全国的な調整の方法を考えているようでございます。一言申し上げておきます。
  108. 神田大作

    ○神田(大)委員 超過勤務手当が月二時間半しかない、一人用に二百二十円の超過勤務手当しか検査員にはない、それでもって一年を通じてやれというようなことでございますが、一カ月二時間半の超勤手当で、現地の検査員が検査業務が円滑にいくかどうかというような点を考慮されたかどうか。  それからまた早場米でもって、一時に食糧が出る時期は、二十九年度と三十年度は、これのために臨時手当として六千万円の予算を組んでおった、ところが三十一年度には、これを半額にして三千万円にした、三十二年度は、千七百五十万円に、またこれも半分にした。つまり二十九年度、三十年度の六千万円に対しまして、三十二年度は、臨時雇員の雇用の費用が千七百五十万円というように減額しておる。しかも、ここ三年間の米の豊作でもってその出荷数量が非常に増加しておる、こういうことで、検査員は、ただ働きを今までやっていたわけです。農民は、いわゆる九月十日に締め切りになって、これが、早場米奨励金が出るから殺到する、九月末にも殺到する、十月十五日にも殺到する、十月末にも殺到するというようにして、こういうように期境々々には何千俵という米を一人の検査員がやらなければならぬ。これをやらなければ、農民に大きな損害を与える。そのためには、どうしても臨時雇を雇い入れるか、超過勤務を夜通しやらなければならぬという場合に、一月を通じて二時間半の超過勤務手当で、これがやり通せるかどうかを、一つよく検討してもらいたい。あなたの今の答弁だと、手当はやっておるのだ、それは一年を通じてやれば十分だというような御答弁でございますけれども、十分であれば、これは何も全食糧が騒ぎ出さなかった。今まではずいぶんがまんをしながらやっていたのだけれども、どうしてもやり切れなくなったので、今度は、これを正当なる要求をしているわけです。これに対して、大蔵省がそういうような冷淡な態度では、どうにもならぬと思うのですが、この点、検討をいたしたことがありますか。
  109. 岸本晋

    ○岸本説明員 ただいま御指摘のいろいろの数字は、私、実は正確に確かめておりませんが、超勤時間が一月平均二・五時間以下という役所は、どこにもないはずでございます。それ以上のものが組んであるはずでございます。実際はその配分を、先ほど申し上げましたように、早い時期に何かの理由で使ってしまうか、あるいはある時期によそに回してしまう、そうすると、ある時期に因るということは、当りまえでございますが、二・五時間といったような非常識な数字は、大蔵省としては計上していないのであります。非常勤職員の数字につきましては、本年度は、臨時雇員の数を若干増加いたしておるわけでございます。
  110. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、私の方の数字が、あなたは間違っているといわれるのだが、私は確かな筋から調べたので、六千万円の手当が千七百五十万円になっているのは事実です。こういうように、非常な過重な労働に耐えかねておるのでございますから、これに対しまして、あなたはあくまでも正当だというような、大蔵省当局としては正当だというお考えであれば、私は、もっと政務次官なり主計局長を呼んで責任を明らかにしたいと思うのですが、あなたが担当官でありますならば、その正当であるという資料を、一つ十日の委員会までに提出してもらいたいと思う。
  111. 岸本晋

    ○岸本説明員 つまり二・五時間という数字は、大蔵省としては関知しない数字でございまして、それ以上の予算は組んであるはずだと申し上げたのであります。その点を証明する資料でよろしいわけでございますか。実際の予算としてはどのくらい入っておるか……。
  112. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 神田君、今あなたのは、時間だけの、二時間半ということはないという反証さえあげればいいのか、それと、もう一つは、六千万円を千七百五十万円に削ったという、この事実ですね、この両方を……。
  113. 神田大作

    ○神田(大)委員 両方です。
  114. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 関連して。今岸本さんは、一年間の分をやりくりやって農林省が予算の配分を適当に考え、また西の方には早場その他の問題はないのだから、やりくりすれば何とかやれるだけの予算をやってあるはずだというような御答弁でございました。大蔵省としては、特に予算節約というような立場から、経営経費については、大なたをふるわなければならないという立場も、私たちわかるわけですが、しかし、今岸木さんのおっしゃったような形で、一律にものを見てもらうということについては、若干疑問を持たざるを得ない。あなたもよく御存じでしょうが、私も地方の食糧事務所におって、検見から調査から何から何までやってきております。一年間を通じて繁閑があるはずだとおっしゃるけれども、これは、定員の問題とも関係して参りますが、食糧事務所なり、あるいは統計事務所の職員が、どういった毎日の事務をとっておるか、いま一応私は検討してもらいたいと思う。食糧事務所の職員なんか、買い入れから保管、確保、輸送、すべての業務とともに調査をやる、一筆ごとの調査をやってごらんなさい、どれだけ時間を食うか、普通の事務なんか、書類をかかえてうちへ帰ってやっておるという状況なんです。一般の役所の、いわゆる超過勤務の概念どころでは、とても片づけられないような事務を年から年中繰り返しておる、ひまな時というのは、ほとんどありませんよ。繁閑に応じて予算を配分するといっても、農林省当局の者であっても、やはりそこら辺については、ない頭をしぼって一生懸命やっておっても、どうにもならないから、今神田君から出たような問題が提起されるわけです、ですから、やはりあなた方も一ぺん全国を回っていただいて、実際に一年間どういった形になっておるのか、しかも、早場のときにはどうなっておるのか、実情を見ていただいた上で御検討いただきたい。このことを特に要望いたしておきます。私に対する答えは要りません。
  115. 神田大作

    ○神田(大)委員 私の言う一人月二百二十円というのは、検査官のことです。農林省、あるいは食糧庁の事務職員全部含めては、それはわかりません。現実において、検査をする人が、一月の超過勤務手当が二百二十円、一月二百二十円なのだから、これをうまくやれといっても、やりくりのしようがないだろうと思うのですが、これでやりくれというのは、ずいぶん酷だろうと思いますが、いかがでございますか。
  116. 岸本晋

    ○岸本説明員 具体的に食管の業務量の一環として、特に早場米の際にそれで処理できるかどうか、これは、私どもも実際の予算の査定の担当をいたしておるわけではございませんから、確信を持って申し上げかねますが、二・五時間というものをもって、年間平均これでやり通せるという役所は、あまりなかろうかと存じます。ただそれにいたしましても、超勤予算というものは、本来上から配付された、その中で仕事を片づけて、超勤命令を出すという仕組みのものでございます。そういう予算と業務の両方の一面から考えて、超勤命令を出すという仕組みになっておるわけでございます。その点は、二・五時間という農林当局内部でのこの時期においての配付が正しいかどうか、こういう問題じゃないかと思うわけです。
  117. 神田大作

    ○神田(大)委員 特に早場日米の出荷は、期日を区切って、一日違うと、農民は八百円なり六百円なり損をするわけです。だから、九月二十日なら二十日に出せば、八百円の早場米奨励金が出るということになりますれば、農家は、その日にどっと一度に出荷するわけです。こういう場合に、検査官は、その日にそれだけのものを処理しなくちゃならぬ。それを、農民に順々に出せと言ったところで、天気の関係やいろいろな関係で、そうはいかぬ。二十日なら二十日、十月三十日なら三十日、あるいは十月十五一日なら十五日というふうに、日にちが切ってあるわけです。そういう場合には、どうしても臨時雇員とか、あるいは超過勤務手当を出さなければ、どうにもならぬという特殊事情をよく御認識いただいて、農林省から大蔵省に対しまして、これらに要する超過勤務手当というようなものに対して要求が出ていると思う。だから、これらを一つすみやかに臨時予備費なり何かから出して、そうして早場米の検査を適正に処理していただかないと、農民に非常な迷惑もかかり、検査員も、非常な過労な現場において苦労するのでございますから、この点は、よく御認識いただいて、早くこの問題を解決してもらいたいという真意に基いて、きょう質問を申し上げるわけです。実は、この問題は、事務当局だけの判断では処理できないと思うから、特に政務次官をお呼びしたのでございますけれども、次官が見えませんから、私は、十日にこの問題の政治的な解決をはかってもらいたいと思います。事務当局といたしましては、これらの実情をよく御調査願いまして現地において不祥事の起きないように、一つすみやかに処理してもらいたいということを特に強く申し上げまして、きょうは時間もありませんから、私はこの程度にしたいと思います。一つ答弁を願います。
  118. 岸本晋

    ○岸本説明員 早場米の出荷の必要なことは、もちろん私ども存じておるわけでございます。ただ、過去の超勤予算の使い方とか、現在のこうした面になお手を打つ余地があるのかどうか、農林省内部において今検討中でございます。その結果を待ちまして、大蔵省としては判断いたしたい。現在事務的には、かようなことであります。なお御趣旨の点は、政務次官によく申し上げたいと思います。
  119. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 有馬君。
  120. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 岸本さんは、さっきから農林省内部の検討を待ってと言われますけれども、私は、今ごろまたこの問題が起ったかといって、かえってびっくりしておるくらいであります。私のおりますときから、超勤予算が足りなくて、大へんな問題だったのです。毎年、これは食糧庁としても要求しておるはずなんで、それが今もって、早場の時期になってから問題が起るというのであったら、これは、大蔵省がよほど強引で、幾ら農林省が要求しても それを東京のどまん中にいての一般的な概念でぶった切っておるとしか考えられないのです。頭をひねっておられますけれども、やはり根本的な原因は、そこら辺にあると思いますので、農林省に検討させるというのではなくて、岸本さんの方で、どうやって予算をふやすかということを、早目に検討してもらう方が僕は先だと思います。もしそうしなければ、今神田君からも出ましたように、不祥事が起きますよ。集荷は、現存の食糧管理の最も大きな部面じゃございませんか。それに支障を来たすようなことをいつまでも言っておられては、困りますよ。この点、よく御検討を願います。  次に、旅費の問題をお尋ねしますが、この前の新給与体系の切りかえにおいて、不利な面は全然出ないはずであるということは、前の松浦労働大臣の口ぐせであります。私どもいろいろな面、昇給の問題その他からこういうことが起り得るのじゃないかということで、いろいろ質問いたしましたところ、松浦さんは、頭を上げて、そう言いますけれどもといって、けんかを売ってくるくらいえらい自信を持って、新給与体系になれば、みんな有利になるのだということを強調された。私たちは、疑問を持っておりましたが、その疑問が、立ちどこに旅費の面にも現われてきております。そういうことがないように、前の国会では、ちゃんと附帯決議までついているのですが、実際には、この旅費面でも、非常に不利になっておる人たちが多い。今ちょうど神田君から食糧事務所の問題が出ましたので、食糧事務所を例にとって申し上げますが、二万四千八百二人の定員のうち、所長とか部長、課長、支所長、係長、出張所長といったような人たちは、前と同様二等旅費をもらっております。ところが、一般職員の一万六千四百八十七人のうち、一万百六名というものが、前は七級以上ということで、二等旅費をもらっておりましたが、それが二千三百九十五人しか、今度は二等旅費をもらえないことになって、八割近くのものが三等に落されております。これは、やはりほかの各省庁においても、同じような割ではないか、このように見ておるわけでありますが、この問題に対して次官会議等でも御検討になったということを聞いておりますが、大蔵省としては、どのような措置をもって不利になる人たち立場を擁護しようとしておられるか、この点について、簡明でけっこうですから、お答えいただきたいと存じます。
  121. 岸本晋

    ○岸本説明員 今度の給与の切りかえに伴いまして、従前の七級職のものが新しい法律の五等級以上、いわば役づき以上というところに入った場合には、二等になる、六等級以下になった場合は確かに三等になる、これは法律の建前でございます。もともと旅費の鉄道賃の等級をきめます場合に、一昨年本委員会で御審議いただいたわけでありますが、一般の慣行といたしましては、係長以上、その辺から二等である、それにならって公務員も一等にいたしたい。役づき以上といいますと、七級以上のところで考えておったわけで、そういうことで御審議願ったわけでありますが、今度の給与法では、役づきと申しますと、五等級以上ということに相なったわけでございます。五等級以上のものは二等である、それ以下三等、これは、社会の慣行に合わすという意味で、やむを得ないだろうと思うわけでございます。そういう意味で、建前といたしまして、七級で五等級になれなかったものは、三等になる、これは御本人立場は別といたしまして、建前上からやむを得ないのじゃないかという気がいたしておるわけであります。ただ、五等級になれなかった元七級の人でも、二等に乗れないということはないのでありまして、これは、大蔵省の旅費法に基きます運用方針通牒が出ておりますが、五等級になれなかった従前の七級の人でも、公務上どうしても二等に乗らなければ用が足せないという場合は、もちろん二等に乗っても差しつかえない、こういう通牒が出ておるわけであります。従いまして、従来七級で六等級になったから、二等を全然排除されておるわけではないと存じます。
  122. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 簡単に質問しますが、それでは、その用務に応じて、所属の長が二等の旅費を切ればいいということでございますね。
  123. 岸本晋

    ○岸本説明員 さようでございます。
  124. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 なお、これは昨年も問題になったのですが、この問題は、それでいいということになればいいのですけれども、それに応ずるだけの予算のワクがあるかどうかという問題になって参りますが、本年度旅費予算の配付において、そのような点が考慮されておるかどうか、その点をお伺いいたしておきます。
  125. 岸本晋

    ○岸本説明員 特にこの点を考慮して、旅費予算を計上しておるということはございませんが、本年度予算では、前年度予算と同じ基準で予算を積算いたしておるわけでございます。理論的にいえば、この方々も、一等に乗れる建前で一応予算はできておるということになろうかと思います。
  126. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 では、本日はこの程度にとどめまして、次会は来たる十日午前十時半より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時九分散会