運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-10-04 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月四日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    加藤 高藏君       川野 芳滿君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    中山 榮一君       古川 丈吉君    有馬 輝武君       石村 英雄君    大西 正道君       春日 一幸君    神田 大作君       久保田鶴松君    横路 節雄君  委員外出席者         日本専売公社副         総裁      舟山 正吉君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         日本専売公社塩         脳部塩業課長  守田 富吉君         参  考  人         (塩業組合中央         会会長)    平野 亮平君         参  考  人         (旭化成工業株         式会社常務取締         役)      宮崎  輝君         参  考  人         (全日本塩業労         働組合総連合会         長、山口県塩業         労働組合連合会         会長)     小山 武次君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 九月二十七日  委員内藤友明君及び井上良二辞任につき、そ  の補欠として大石武一君及び石田宥全君一が議  長の指名委員に選任された。 同月二十八日  委員大石武一辞任につき、その補欠として内  藤友明君が議長指名委員に選任された。 十月二日  委員石野久男辞任につき、その補欠として井  手以誠心議長指名委員に選任された。 同日四日  委員石田宥全君及び竹谷源太郎辞任につき、  その補欠として井上良二君及び大西正道君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  専売事業に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  議事に入ります前に御了承を求めたいのですが、御承知通り、先般古川委員より、本委員会におきまして白雲閣の買い戻し申請についての問題がございました。そこで、その後の経過を尋ねたいので、本日の委員会に、大蔵省の会計課長補佐滑川事務官出席を要求せられておりますが、本日は参考人方々においで願って、塩に関する問題の調査を進めますので、時間的な余裕もございません。従って、後日あらためて古川君の御要望に沿いたいと思っておりますので、その旨御了承を願いたいと思います。  それでは、専売事業に関する件について調査を進めます。本日はまず塩業問題について御出席をいただきました参考人方々の御意見を求めることにいたしたいと存じます。  参考人の各位におかれましては、御多忙中のところ御出席いただきまして、大へんありがとうございました。それではまず御出席参考人方々より本問題についての一通りの御意見をお聞きしまして、その後に質疑に入りたいと存じますので、そう御了承いただきたいと思います。参考人としてまず塩業組合中央会会長平野亮平さんの御意見を伺いたいと思います。
  3. 平野亮平

    平野参考人 塩業の当面の問題、また将来の問題について何か意見を述べろ、こういうお話でございますから、私から大体簡単に申し上げることにいたします。  御承知通り国内塩業は、これまであまり生産が伸びなかったのでありますが、その理由としましては、長い間入浜式塩田法による方法によっておったのでありまして、この方法によりますと、海水塩田の砂に含ませて、それをさらにかき集めて、その上に海水を注いで鹹水をとり、それを工場に持っていって煎熬するというような方法によっておったのでありますから、労銀も非常に多くかかりまするし、また生産量も従来あまり伸びなかった。ところが、終戦前後の非常な塩飢饉ということにこりて、当局の方でももちろんでありますが、塩業者も非常に製塩改良ということに努力いたしまして、昭和二十七年からこの塩田法によるところの製塩法を改めて、流下式による製塩方法というものに移ったのであります。流下式と申しますのは、皆さん承知のように、塩田に軽い傾斜をつけまして、その上を海水を二、三回流しまして、さらに相当に濃くなった塩水を、校条架と申しまして、高いやぐらのようなものがありまして、それに竹の枝をからめてありますが、その枝条架の上をさらに海水を流しておる間に、風力、それから光線等関係から海水がだんだん濃くなりまして、その濃くなったものを工場で煮詰めるというのが、流下式製塩方法であります、この流下式製塩法をとるに至りまして、がぜん生産が増加するに至ったのであります。と申しましても、昭和二十九年までは、国内生産量というものは大体四十五万トン前後であったのであります。流下式を始めましたのは、本式に取り入れたのは二十七年でありますが、二十年以来たびたび台風等の被害がありましたので、本式に流下式の活動が出てこなかったために、二十九年までは四十五万トン程度の生産しかなかったのであります。御承知通り、今日内地塩田は、四千五、六百町歩あるのでありますが、それから四十五、六万トンの生産しかなかったのであります。しかるに三十年度になりましてそれがふえまして、三十年度は五十九万何千トン、約六十万トンにそれが上ったのであります。三十一年度はさらに増加いたしまして、六十七万八千トンというような数字になって参りまして、非常に急速に製塩が増加したのであります。今年もだんだんその流下式製塩の効果が現われて参りましたのと、台風等も幸いありませんので、非常に見込みが旺盛でありまして、三十二年度の予算におきましては、八十五万トンを政府は組んでおりますけれども見込みとしては、九十万トン以上に達するという盛況になっておるのであります。この勢いをもって進んで参りますと、専売公社が一応の計画の期限として三十六年度を予定しておりまして、三十六年度に専売公社食料塩全量を達成するというような御計画があったのでありますが、それが早まりましてもう三十四年度には百十万トンにも達する。三十六年度になったらば三十万トンないし三十五万トンぐらいの食料塩の過剰ができる、こういう情勢になったのであります。そういう情勢でありますので、専売公社においても、これをどうかしなければならぬということは、先ごろ来御心配になっておったようでありまして、いろいろの案があったのであります。私どもは、その情勢を割合に現地の人が早く気がつきまして、昨年の五月に長崎県で塩業者大会を開きまして、こういう勢いで進んでいくと、在来の塩田のみで食料塩の百十万トンは優に達成することができる、であるから、これから先はあまり新規製塩というものを許可しないでもらいたい、こういうことを申し合せまして専売公社にその旨を要望したのであります。と申しますのは、その当時は、非常に民間各地から新しい製塩をやりたいという希望が続出するように聞いておるのでありまして、そういう新しい製塩をどんどん許可するというような情勢においては、塩が余ってきて、早晩塩田整理をするとか、生産制限をするとかいうことが必ずくるに違いないから、ぜひこの点は一つ考えてもらいたいということを申し入れたのであります。当時当局は、いやそういうことはない、これからは新しい製塩を許さぬ、今まで出ているものはいたし方がないけれども、これからは新規製塩というものは許さないということでありまして塩業者も、それならばまず安心であるというので皆帰ったようなことがあるのでございます。  かように生産が急に伸びたのでありまして先般専売公社の方から、これは、どうしてもこのままに放置するということになると、塩専売会計が年々赤字になって、先にいきますと非常に大きな財政上の負担になるから、何とかしなければならぬ、皆さんの方にも考えがあったら何か考えておけ、公社の方でも大いに練るからというようなお話がありましたが、なかなかこれが重大な問題でありまして、ついこれまでは増産々々で、増産は国のためであるということで、非常に内地塩生産を奨励されたのでありまして、業者も、これをなすためには非常に多大な借金をいたしましてそうして流下式転換をやり遂げて、まさにそのゴールに入らんとする手前において生産制限というようなことをされては非常に困るということで、先般塩業者大会を東京に開きまして、われわれは、生産制限というものはいかなる方法によってもやってもらっては困る、ぜひこれは自由にやらしてもらいたいということの決議と、それから生産制限するために、一方の方で収納価格政府買い上げ価格をだんだん引き下げるというようなお考えもあるようであるけれども政府収納価格というものは、生産費を土台として決定されるのが当然のことであって、財政上の赤字ということは非常に大問題でありますけれども、これは財政上の問題であって、直接塩業者の問題でありませんから、収納価格決定については、生産コストを十分にお調べになって、それによってやってもらいたいということを申し入れておるのであります。御承知通り、塩の収納価格は、現在一万三千円であります。普通塩が一万三千円でありまして、上質塩は一万四千円ということになっております。これは、昨年の四月に、これまで一万三千六百円でありましたものを、政府は六百円の引き下げをして、そうして一万三千円になって今日に及んでおるのであります。しかるに今日の状態は、その当時よりも石炭も上っており、人件費も上っておる関係から、先ごろの塩業者大会におきましては、ぜひ収納価格を上げてもらいたい、政府は、生産が増加したのであるから、だんだん生産コストが下るのは当りまえではないかというような見地と、それから塩専売会計に年々赤字がふえるから、どうしても下げていかなければならぬ、それに多大の国庫の補助金もやっておるではないか、ごもっともなんでありますが、業者の側といたしましては、物価も上っておる、大体流下式転換改良途中に価段を下げるというようなことは、はなはだ時を得たものでないということを考えまして昨年以来六百円下げるときにも、改良が完成した後に価格問題に手を触れたらどうですかということを、たびたび私が申し上げたのでありますが、とにかく六百円くらい下げて、これからだんだん下げていくのだ、のみならず、先ごろの情勢では、急テンポに値段を下げるというようなことが非常に伝わりましたので、塩業者は非常に心配をいたしまして、われわれが非常に苦心をして、多大の借金をしょって今日——話が飛ぶかもしれませんが、今日塩業者借金は、百八十億の借金をしておるのであります。これは、みな流下式転換に要したところの費用であります。もちろん政府の方の補助金は、あまりたくさんでありませんが、年々御承知通り、二億二千万円くらいの予算がありましたのが、本年は一億四千万円くらいに減っておりますが、補助金はたくさんありませんが、農林資金のあっせんとかいう点において、政府が非常にめんどうをみておる国費を使っておるから、とにかくどうしても下げなければならぬ、こういうお話、それもごもっともと思いますけれども業者立場になっては、物価もだんだん上ってきておる、しかるにただ下げろ下げろと言われては非常に困るということを申し上げて、今年の業者大会でも強く要望しておったのであります。しかるに最近になりまして、たしか八月の下旬でありますが、公社から各地連合会長及び私も招かれまして、大体将来の日本塩業の問題についてのあり方について、腹蔵なき意見を言ってみろ、こういうお話がありましてまかり出たのでありますが、そのときに、公社の案としてお示しになった案があるのであります。これは、つまり今日問題に当面して片づけなければならぬ生産制限の問題と、収納価格の問題がおもなことになっておりますが、その公社のお示しになったところによりますと、従来日本の塩は、食料塩自給するということに二十五年の閣議の決定できまっておるのだが、こうどうもだんだん出てきては、よそに持っていくことができない。持っていくとすれば、ソーダ工業に使うより方法がないから、二十五年の方針を拡張して、食料塩自給はもちろんのこと、その一部はソーダ工業の方にも国内の塩を持っていく、こういうことにすることが第一条項に掲げられてあるのであります。  それからその次には、今まで塩田によるところの生産は自由にできたけれども、これをこのままに放置しておくと、さきに申し述べたように、三十六年度になって三十万トンも三十五万トンも塩が余るから、どうしても制限をする必要がある。それには、塩田の一町歩当り二百トンを限度として、それだけは食料塩としてこれを買ってやる。それ以上に超過する数量は、工業塩に振り向けることにしたらどうか、こういうことが第二の条項であります。  それからいろいろこまかい問題もありますが、海水直煮式の問題等については、出荷高制限するというようなお話がありました。そしてその次には、今日専売当局がおいでになっておるから、その方から詳しくお述べになった方がいいと思いますけれども、お尋ねがありますから大体のことを申し上げますが、大体食料塩は、将来一万円ということを目標にして下げていく、それから工業塩は五千円、こういうことに目標をきめて順次下げていく、こういう条項が入っておるのであります。それから弱小生産者と申しますか、非常に能率の悪いものとか、あるいは非常にコストがかかって困るというような塩業者があるのでありますが、そういうものを統合をしたらどうか、それから非能率企業は、希望によって整理したらどうかというようなこと、それから二面において、ソーダ工業にそれを持っていくについては、ソーダ工業は、塩でなくても、塩を一たん溶かして、その溶かした塩をソーダ工業に使うのであるから、塩を作らずして、鹹水によってソーダ工業に供給する方法を講じたらどうか、それについても至急研究を進めるというようなこともあります。  その次には、収納価格の問題でありますが、収納価格は、今年はどうしても引き下げなければならぬ、これはトン当り、たしか公社お話では六百五十円引き下げる、こういうお話がありました。これは、前に申しました塩業者大会において、上げてもらいたいということを非常に塩業者は強調してお願いしておるのであるが、それを下げることははなはだ困る。なるほど生産数量はだんだん増加しておるには違いありませんけれども、前に申しまするごとく、金利償却に非常にかかりまして、三十一年度、三十二年度の金利償却は、トン当り一万三千円のうちで三千九百何十円、四千円も金利償却にかかるという。かように高い金利償却をやっておるときであるから、せめて流下式転換が完成するまで待ってもらいたい、われわれはいつまでも塩価を高くしてくれとか、あるいは下げるのは困るというようなことを言っておるわけではない。将来の目標としても、塩価はどうしても下げなければならぬということは当然のことでありますので、われわれは決して無理を言っておるのではなくして、せめてこの際は、私ども前に生産費を調べましたときには、三十二年と三十三年の両年にわたってはぜひ据え置きにしてもらいたい、それから先は下げてもいいというふうに申し上げておるのでありますけれども、諸般の情勢考えまして、今年は値上げをしてもらいたいけれども、自粛して、せめて今年だけは収納価格据え置きにしてもらいたいということを、この間公社に申し入れてありますが、さような生産制限をするということと価格を下げるということが、生産関係では一番重大な問題でありまして、このことについて、公社当局お話ししておる最中であります。  大体将来の問題といたしまして、ソーダ工業塩まで拡張していくというようなことは、非常に賛成のことでありまするし、またある程度の整理というようなことも必要であり、中には、塩業者のうちに整理希望するものもありまするから、そういうようなものは取り上げて整理してやらないと、なかなか需給の調節がうまくいかないと思うのであります。  大体大筋のことはそんなことでございまして、漏れたことがありましたら、あとから補足して申し上げます。
  4. 山本幸一

  5. 宮崎輝

    宮崎参考人 私、宮崎でございます。私は、本日は塩業者の代表という立場意見を述べるのではありませんで、一企業者としての立場から意見を述べさしていただきたいと思います。  私の会社旭化成自体は、製塩をいたしておりませんが、私の子会社の新日本化学という会社が、福島県の小名浜製塩をいたしております。これは食料塩として民間企業として初めて企業化したものでありますが、その意味におきまして、私はその親会社立場として、非常に製塩の問題に関係がありますので、本日は、その立場から意見を述べさしていただきたいと思います。  もちろん私ども会社製塩を始めましたのは、単に食料塩をやりたいというのではなしに、むしろ私の方は、電解ソーダ工業を経営しておりますので、その原料塩の問題をどうしても解決したいというための第一の手段として着手したのであります。皆様御存じのように、日本四面海に囲まれて、あたかも塩づけになったようなものであるにかかわらず、世界一の塩の輸入国であります。それで工業塩は、大体二百万トンの需要がありますが、将来はもっとふえると思いますが、これは、全部今輸入塩に仰いでおるわけであります。ですから、われわれ化学工業を経営するものとしては、どうしても工業塩の問題を解決したいという考え方から、まず直煮式をやってみたのでありますが、直煮式をやる当時においては、すでに新しい塩の製造法研究に着手しておりまして、大体将来の見通しがついておりました。それで、将来はさらに新しい技術をもって製塩をやるというので、まず手始めに小名浜食料塩をやったのであります。もちろんそのほかに、御存じ通りに、海水にはいろいろな資源がございますので、たとえばマゲネシア・クリンカーというようなものは、現在製鉄用耐火れんがに使われておりますが、相当量を中共またはアメリカから輸入いたしております。こういうものも、少し努力をいたしますと解決するのでありますから、この問題の研究を今いたしております。それからマグネシウム自体を解決することも多年研究いたしまして、ほとんどその技術を完成しております。こういう意味におきまして、海水総合利用工業をやりたいという意味もありまして私ども製塩をいたしたのであります。そういう意味におきまして、われわれは単なる食料塩のほかに、いろいろな目的を持ってこの事業に着手したのでございます。もちろんただいまもお話しがありましたように、現在の塩に対しては、るる説明がありましたから重複する部分は申し上げませんが、結局食料塩対策は非常にうまくいきまして、量的にはすでに充足せられるのも間近であるという段階になっておるのでありますから、今回の公社の案も、食料塩全量自給と、一部のソーダ工業塩自給ということになっております。私は考えますに、食料塩対策というものの根本は量的に充足せられるようになった現在、将来の問題としては、いかにしてこの価格国際競争価格まで下げ得るかどうかということが、政策の要点ではないかと思います。  それについては、先ほどお話がございましたように、いかにしてコストを下げることを考えるか、また第二は、その結果引き合わない企業の整備をいかにしてやるか。この二つが、私は日本の政治としてお考えいただきたい。ポイントじゃないかと考えております。その一つの点を中心に御研究をいただきたいと思います。  しかしながら、次に非常に重大なことは、先ほども申しましたように、二百万トンという大量の工業塩を輸入しておるのでありますから、この問題をいかにして解決するかということになりますと、どうしてもまず第一の問題は、技術の点でございます。これは、われわれのやっております機械製塩の直煮式でも、現存法では工業塩に向うには無理だと私は考えております。と申しますのは、食料塩値段は、将来下りましても一万円であります。しかしながら工業塩は、昨年の実績で五千三百円であります。半値であります。ですから、いかに工業が進歩するといえども、いきなり値段を半額にするような企業というものはなかなかできません。それで、機械製塩がいろいろ努力いたしましても、五千三百円にいくという可能性は、私は非常にないと思っております。その意味におきまして、先ほどもちょっと触れましたように、私どもが長年研究しておりますのは、イオン交換膜による電気透析濃縮法というのでございます。このほかに、冷凍法等研究されております。このイオン交換樹脂による方法は実に長年、もうすでに七、八年に及ぶ長い間の研究をいたしまして、ようやく完成いたしました。それは、もちろん皆様の中でも御存じの方もいらっしゃいましょうが、要するに特殊な膜を作りまして、交互にその膜を並べ、海水を流すことによって、陽イオン及び陰イオンのみを通す膜が両方交互に移動いたしまして、その作用によって、一つおき濃縮鹹水ができるという方法でございます。もちろんこの方法で問題になりますのは、その膜の製造費がどうであるかという問題、膜の寿命がどうであるかという問題、膜の効率がどうであるかというこの三つの問題がございます。特に膜の効率におきましては、陽イオンNaイオンClイオンのみを通すと同時に、水を通しましては濃度が薄くなりますから目的を達しませんので、水をなるべく通さないということが必要でございます。ですから膜自体性質として、ただいま申しましたような性質を持つと同時に、操作の機械的な処理として、水の浸入を防止するというメカニズムもまた必要でございます。こういうことを完成いたしまして、現存相当規模パイロットを実行しております。ですから、私どもは、こういうような新しい方法によることによって、ようやく将来工業塩の問題を解決し得る確信を持つに至ったわけであります。しかしながら、この方法によるといたしましても、企業の本質といたしまして、いきなり大量のものにいくことは不可能でございます。もちろん新しい方法であると同時に、第二には相当の大規模でございませんと、五千三百円、五千円以下という公社の案にありますように、値段を下げることはできません。私ども考えておりますのは、大体三十万トン・ユニットであります。そういたしますと、三十万トン・ユニットをいきなり作るということは非常に危険でございまして、まずわれわれとしては、このパイロット・プラントから三十万トンにいく中間設備を作ってみたいのであります。しかしその価格は、五千円ではどうしても引き合いません。それで私どもといたしましては、現在のパイロットを、三十万トンの工業塩にいく過程において、一つ段階を認めていただきたい。その政策をどうか政府としてはぜひ採択していただきたい、もちろんこういうような政策をおとりになります場合には、種々の弊害を生じますので、あとう限り弊害の発生しない方法をとっていただきたい、それには、重要物産の免税の場合にもおとりになりますように、製造法をはっきり明定していただきたい、そうして、その新技術によって輸入塩と対抗し得る可能性があるということを、私はやはり確認していただきたい、これが必要だと思います。そういうものについては、工業塩自給育成策として、しばらくの間期間を切りまして、また量も適当に決定することによって、その収納価格を、工業塩食料塩の中間価格で収納することを考えていただきたいと思います。もちろん、ですから、かりに食糧塩の値段が一万円になります場合には、二万円と工業塩の五千円の中間価格をとって、しばらくの間収納していただきたい、こういうことを希望したいのであります。幸いにしてこういうような施策が採択されますならば、われわれは、次には、ほんとうに大量のコストの安いものを作りまして、まず工業塩自給の第一歩を踏み出したい。それには、もちろん遠海塩と近海塩の間には相当の値開きがありますから、まず遠海塩にかわるものを作り、次に近海塩にかわるものに入っていくということによって、結局長い目で見て工業塩問題の解決に資したい、こういうように考えておるのであります。そういうことでございますから、どうか塩の問題について今後対策を立てられる場合には、食料塩に対する対策が同時に工業塩の問題に向いますので、むしろこの際は、大きく工業塩対策を打ち出していただきたい、こう思いまして、本日お願いにあがった次第であります。
  6. 山本幸一

    山本委員長 最後に、全日本塩業労働組合総連合会長小山武次氏の意見を求めます。小山参考人
  7. 小山武次

    ○小山参考人 私は、全日本塩業総連の小山でございます。最近の塩業の対策の問題につきまして意見を述べさせていただく前に、専売行政と塩業者、労働者との関係がどういうものであるかという点について、一言申し上げたいと思います。  御承知のように、塩業労働者は、その雇用関係、それから個々具体的な労働条件というふうな点の取りきめにつきましては、各雇い主と対でやっておるのであります。そこで、面接的に専売行政なり塩業政策なりが、右から左へすぐに響くという関係にはないのでありますが、しかし間接と申しましても、その間接の度合いというのは、ほとんど直接的といって差しつかえないような状態に非常に重要な関係を持っておるわけであります。たとえば、先年来実施いたしました流下式転換によりまして、全国の塩業労働者の約五分の四に相当する一万数千名の従業員が失業したのであります。これは、やはり塩業政策がそのような方向に進められました結果として、そういう労働者の失業というふうな非常に重要な問題がそこに起ってきたわけであります。なお塩の収納価格をどういうふうにするかというようなことは、やはりわれわれの日常の賃金、またはその他の労働条件に非常に敏感に響いてくるのであります。そこでわれわれといたしましては、一般産業における労働者、そしてその上にしかれる政策なり、または官庁の指導とかいうふうなものとは、専売企業下の塩業においては全然その性格が違うのでありまして、塩業企業体は、全然自主的な経営とか企業運営というものは、これは塩業企業体じゃないのでありまして、その自主性は相当に専売行政、専売政策によって拘束を受けておるという特珠な条件下にあるので、従ってわれわれ塩業労働者は、塩業政策または塩業行政、これに非常に深い密接な関連を持っておるという立場にあることをまず申し上げたいと思います。  そこで、今般のような、国内塩業対策に重要な画期的な改革を何か公社の方ではお考えのようでありますが、この重要な改革を実際に行おうというようなことになりますれば、やはりわれわれの大部分、または何人かというふうに、その相当数の人が、塩田が整理されるということになりますれば、失業という問題がそこに起ってくる、さらに塩価がどういうふうに具体的に決定されるかという方法につきましては、それが直ちにわれわれの賃金に影響してくるというふうな非常に重要な問題でありますので、こういう問題について、非常に密接な関連があるのでありますから、単に塩業者のみでなしに、専売当局とされましては、こういうふうな大きな転換を必要とするような重要政策の決定につきましては、われわれ塩業労働者にも何とか意見を求めて、そしてその意見をも参酌しておやりになるというふうな配慮があってしかるべきではないかというふうに私は考えます。この点、今般の大きな転換に際しましても、正式には、われわれにはこういうふうなことはもちろん通知をしていただけませんし、また御相談にもあずかっておりません。いわゆるわれわれとしては、漏れ聞きうかがい知ったというふうなことで、事の重大に驚いて、公社に真相をただしに行ったというふうな状態でありまして、この点、非常に遺憾にたえないのであります。将来そういうふうな点について、もし公社塩業労働者の立場を十分認識されまして、政策と行政、要するに塩に対する政策と行政がわれわれとどういう深い関連があるかという点を省察されまして、将来、われわれの意見を政策行政の上に反映していただくような方向をとっていただくならば、非常にいいと考えるのであります。  それから最近公社の塩の生産が非常に上昇いたしましてその結果、国内食料塩自給する以上の塩ができ、なおかつ販売価格据え置きというふうな関係から、今まで安い外国塩をある程度のパーセンテージ混和しましてそしてそれのプールの価格構成で売っておったが、その価格を据え置いて、その大部分を割高な国内塩でまかなうということによって非常に大きな赤字ができて、そこでその赤字処理の方策といたしまして、生産対策というふうなものを打ち出しておられるようであります。  われわれがこの公社の今般の生産対策を塩業関係の一員として見まして、どういうふうに考えておるかという点について申し上げますと、国内塩業流下式転換によりまして非常に増産されてきた、そして当初の目標であります食料塩自給というものを完全に達成する見込みがついてきたということ、このこと自体は、非常に歓迎されなければならないことじゃないかと考えます。しかし一面、国際市場価格との比較において、著しく内地塩が割高であるということも事実であります。従いまして、専売制度のもとに、国の保護助成にある程度の依存をいたしまして国内塩業を今やっておるこの現状においては、やはりこれを手放しで進めていって下さいというわけには参らないと思うのでありまして、やはりそこに生産コスト、あるいは生産計画というようなものを中心に、将来の塩業政策をどういうふうにするかということを再検討する必要が生じてきたということは、当然の成り行きとしてわれわれも異存はないのであります。しかし、今般公社がお考えになっておりますその案は、手段と方法において、どうも私ら関係者といたしまして納得しかねる点があるのであります。と申しますのは、今般の大改革を余儀なくされ、また必要とされるような結果をもたらしたその経緯並びに原因等を掘り下げて考えてみますと、そこに専売行政の不手際と申しますか、過去における場当り的なものが積り積ってここに大切開手術を必要とするような事態になったのだということを、われわれは強調せざるを得ないのであります。その具体的な例といたしましては、流下式転換をお始めになるときでも、これを一つの希望によってやるというふうなことを当時から盛んにおっしゃっておったのですが、しかし希望によってやっていく、こういうふうなもので出発したものが、結果においては、これを強制するような傾向になっておるのです。といいますのは、流下式に転換をしなければ将来結局塩業から脱落していかなければならぬというふうな施策をとっておるのですから、これは希望といいましても、ほんとの希望ではなしに、そこにはその方向にどうでも行きなさい、行かなければいけないというふうな条件を備えておいて、その上に希望だ希望だというようなことをおっしゃっておるのですから、これは非常に工合の悪いことである。その結果といたしまして、流下式転換の度合いというようなものが不揃いになりまして、各企業間の企業状態のバランスがとれなくなるというふうな状態が随所に現われてくる。それから当時流下式転換をいたしまして、その後さらに海水直煮とか、錦海湾の開発とかいうふうなことを逐次おやりになったのですが、この当時われわれといたしましては、将来そういうふうなことをやって塩が非常に余ってくるという状態が必ずあるでしょう、そういうふうな場合に、過去においてありましたような収納停止とか、または塩田の整理とかいうようなことがその結果として現われたのでは非常に因るのです。そこで、こういうふうな点についてはどういうふうにお考えかというふうな点を、ここ二、三年来私らとしてはやったわけです。ところが当時公社の最高責任者でございます三井部長は、それにつきましては、絶対に収納停止とか、または塩田の整理とかいうふうなことは考えないというようなことをはっきり明言されておる。ところが最近になれば、そういうふうなことはどうもあまりあてにならないような状態になってきた。それで、そういうふうな流下式転換を進めるに当りましても、需給計画を立てる上にも、公社としては、もう少し流下式というふうな大転換をやるのですから、さらに各種各様な状態において流下式の試験を徹底的に、試験機関があるのですからこれをおやりになって、それを民間に普及して、そういうふうな結果に基いて需給の計画をお立てになれば、今般みたいなこともなかった。ところが、私は山口県におりますので、三田尻試験場の付近にはしょっちゅう行くのでありますが、公社の機関といたしまして大々的に経営して、そういうふうなものを真剣にお取り上げになったようなあとを私はあまり見ないのであります。坂出等の分場でおやりになったということは聞いておりますが、しかし、それも期間的には、そう長期にわたったものでもなし、要するにその点の検討が足らなかったことが、結局結果として非常な手違いを生じたのではないか、こういうふうな経緯によって、今般の塩業政策の転換を余儀なくされるような状態になったのでありますから、公社といたしましては、やはり積極的にみずからそういう過去の手違い、または誤謬というふうなものを十分お考えになって、今般のように、何か塩業者またはその労働者というふうな関係者の犠牲によってその場を切り抜けようというようなお考えだけでなく——そういうものが大部分で、今度の対策をお考えになっておるようでありますが、われわれとしては、それに非常に不満なのであります。  そこで、公社が今度の生産対策として出されておりますものの最大のねらいは、先ほどから申し上げます通り塩専売会計の赤字解消でありまして、その具体的な手段として、一般的な生産の抑制と弱小非能率企業の整理——結局塩田整理をお考えになっておる。公社はこの生産対策の第五項に、「弱小生産業者の優良企業者への統合を奨励する」というようなことを書いてありますが、このこと自体、われわれは関係者の一員でありますが、何をどういうふうにされるか、具体的なことは全然わからないような表現になっております。あとで御説明を聞いてみますと、結局公社案の第五項というのは、生産量を一ヘクタール当り二百トンに制限してあるのでありますが、弱小企業体が、私のところはどうも引き合わないからやめたいという場合に、その製造権の売買を事業者同士において一めるということらしいのです。そして、その売買によって得た代償によって弱小企業は整理をし、それから企業の廃業をして下さい、買った方は、工業塩と金川塩との価格差において権利売買に要した経費をまかないなさいというお考えのようです。このことは、結局食用塩を二百トンに制限すること、それから企業別の生産コストの著しい格差を無視いたしまして、七五%のバルク・ライン方式によって一本建の方式を強行することによりまして、弱小企業はどうしても手を上げなければならないような条件をここに作り上げる。そして工業塩と食料用塩の用途別の価格差を大幅にする。そういうことによって、ここにそういう塩製造権売買の条件を売手と買手の双方から作り上げる。そして、しかもこれは将来収納価格引き下げの度合いをどういうふうにしていくか。それから食料用、工業用の塩の価格差をどう操作するかというふうなことによりまして、企業の整理を、公社の貧打と犠牲なしに、民間同士の取引において自由に操作できるという実に巧妙きわまる名案と私は考えるのであります。そこで、もちろん将来に対する塩の需給見通し、それから国内塩業に対する将来の生産コストの引き下げの強い要請というふうな、こういう一連の行政のもとにおいては、塩業としてすでにバルク・ライン方式のもとに赤字経営を余儀なくされております弱小企業、これはやはりジリ貧的に自滅を待っていくというふうなむごたらしい方法よりも、まだ幾らか余力の残っておるときに積極的に整理をして、そうして次の生きる対策を考えていただくということの方が実際上親切である。ジリ貧的にバルク・ライン方式の価格政策一本で押えていって、優勝劣敗を求めていくというふうな考え方については、われわれとしてはどうしても同意はできないのであります。従って、そういうふうなことになりますれば、弱小企業体におります労働者はいつも戦々きょうきょうとして、いつ企業が崩壊するかわからないというふうな不安定な状態——塩業者ももちろんそうだと思いますが、われわれの一番重大な問題である失業という問題がここにはついて回るのでありまして、われわれとしては、非常にこの点を重視せざるを得ないのであります。  その次に公社でお考えになっておるのは、一応塩田整理を、対象塩田の面積を六百ヘクタールというふうにお考えになっておるようなんですが、そのうち入浜塩田は約半分くらいと考えております。そうすると、あとの三百ヘクタールくらいは、その大部分が流下式というふうなことになるのですが、もしこの流下式ということでありますれば、これは非常に多額の国家資金を中心とする大きな投資をしているわけです。そして流下式転換に伴いまして、われわれの仲間である塩業労働者が、五人のうち四人の割合で大量に失業しているわけです。そういう大きな犠牲を払って、そうしてせっかく転換したのです。そのしたものが、完成すると同時に、今度はもう整理を必要とする。そして、それがしかも公社の積極的な塩業行政の指導のもとにおいて行われた結果であるというふうなことは、これは何としても割り切れないことなんです。  それから現在収納価格決定方式として、七五%のバルク・ライン方式というものを御採用になっておるようなんですが、これがずっと継続され、さらに将来塩の製造権の売買というふうなものが認められるというふうなことになりますれば、これはもう塩業も一般の産業と同じような、いわゆる自由競争の自然淘汰というところに追い込まれるわけでありますが、このことは、結局過去には塩田の廃止または用途の変更というふうなことを厳重に制限をし、また流下式転換に、希望とはおっしゃっておりますが、実際は半ば強制的なような積極的な奨励をしてきた、そうしたいわば官製事業が、一夜のうちに一般的な優勝劣敗の場面に追い込まれるということは、これは非常に官の横暴といいますか、無責任きわまることじゃないかという、ふうにわれわれは考えるのであります。さらに公社案は、塩田整理に当り希望によってというふうにおっしゃっておるのですが、過去の専売行政をずっと見て参りますれば、公社はどうしてもそういうふうにする以外に道がないような方法、こういう方向に専売行政を仕向けていって、塩業者の不本意な希望の表明を待ちまして、その表明された仕方なしの希望を、結局自由な任意の希望というふうにすりかえるというふうなことが、過去においてなされたわけなんです。今般の対策にあげてあります希望という点についても、こういうふうな考え方の希望ということは、これは非常に行政上工合の悪いことだというふうに私らは考えるのであります。結局この生産対策自体は、公社の現在までの場当り的な塩業政策、そして将来に対する需給計画上の大きな見通しの誤まりとかいうふうなもの、いわゆる公社の行政責任に帰せらるべきような原因によって今度のような一大改革を余儀なくされる、その事態収拾、そのほとんどを民間同士の間でもって、その犠牲によって収拾しようというものであるというふうに断言してはばからないのであります。  次に、公社収納価格引き下げ案について見ますと、合理化に伴う生産コストの低下に従いまして、逐次収納価格の引き下げを進めるということは、こういう塩価政策の原則からいって、われわれとしても全然異論はないのであります。しかし現在の収納価格の決定方式、七五%バルク・ライン方式では、結局各企業別の生産条件の格差が非常に著しいのであります。たとえば原始的な揚げ浜、入浜塩田と平かま、そうかと思いますと、近代化された真空式煎熬と流下式塩田、あるいは海水直煮というふうな、生産様式におきましても非常に原子的なものから近代化されたもの、それからこれに伴いまして、生産の量にいたしましても、ヘクタール当り百トン未満から二百七、八十トン、企業によりましては三百トンというふうなものをとっておるのです。こういう大きな上限と下限のある、企業別格差の非常に著しい、こういう状況のもとにおいて一律的なバルク・ライン方式でもって価格決定をするということでは、結局弱小企業と優秀企業というふうなものの企業格差をますます拡大していく、そして結局は、拡大された企業格差の結果、専売行政はますます多くの矛盾をはらんだ行政しかできなくなってしまうというふうな結果が、次から次に起ってくるのじゃないかというふうに考えます。しかもこういう各企業の、たとえば弱小企業の場面におきましても、この企業が現在弱小といわれるそのことは、各企業者のみの責任でなしに、やはり立地条件、それから天災、過去における専売行政のいろいろの経過というふうなものが結集されてこういうふうになっておるのでありまして、結局収納価格の決定は、単純なその場面における生産コストということだけでは決定できない非常に複雑な要素があるのじゃないか。そこで、それらのいろいろな要素を収納価格の中で調整していくか、あるいは別途に措置をしていくかというふうなことは、手段は別でありますが、しかし収納価格の決定に当りましては、やはりこういう事情を総合的に考慮して決定されなければならぬというふうに私らは考えるのであります。  それから収納価格の決定は、この算定あるいは推定に当りましての要件をどう考えるかということによりまして、結論として出てきます数字が非常に違ってくるのでありますが、この点、たとえば現状といたしまして社会水準に比較したら非常に大きな隔たりのある塩業の労働条件——今われわれの塩業労働者の労働条件は、私のところの組織の調査によりますと、職員、それから煎熬工場、流下式というふうなところの全従業員を含めまして、平均約一万四千円でございます。この一万四千円といいますのは、どういうふうな条件のもとに一万四千円かと申しますと、大体月に平均二十九日稼働し、月のうちに時間外労働を約十八時間から十九時間いたしております。そして労働者の平均年令は三十四才、平均扶養家族数は二・七人、そういう条件のもとにおいて一万四千だ。しかしわれわれの令国塩業労連の傘下にまだ入っておらない、内海地方以外の地域に散布いたします小規模企業におきましては、とうていこの水準にないことは明らかでありまして、ずっと悪い条件にあると思います。  そこで、こういう低い労働条件の現状を、これでもってもういいというふうにお考えになるか、少くとも公益専売と銘打たれました、国民の生活上必須の物資であるところの塩を作る労働者が、世間並みの待遇もしてもらえなくて、一生そこでそういう待遇にくぎづけされるような運命に縦かれるということは、何かわれわれの非常な犠牲によって公益が成り立っておるということになるわけでありまして、結局公益専売の本旨ではないと思うのであります。少くともここで直接生産に携わる労働者に対して、世間並み以上ということは申しませんが、世間並みの労働条件が十分与えられるような、そういう要件のもとに塩価を算定していただきたい。  なおそれは、結局企業利潤の問題でもあると思いますが、やはり企業利潤が上らないということでありましたら、われわれの条件も従ってそれに付随するわけでありまして、これは塩業労働条件、企業利潤、両方の問題であります。  なおわれわれの現在の労働条件が、一般に比較して非常に大きな懸隔を持っているということも一つですが、さらにほかの原因は、資本の効率というものが、塩業は資本の回転がほかに比べて非常に低いのでありまして、そういう低い資本の効率、かつ他に転用のならないような施設投資といいますか、塩業の施設だけは、ほかに持っていってもだれも買手もないというような投資でございまして、こういうふうなものに対して非常に莫大な投資をされているのです。しかも一方、先ほどお話しがありましたように、イオン交換樹脂とか、冷凍製塩とか、その他斬新な製法が次から次に出てくるということになりますと、さらにこの上の大革命的な変革があるのではないかと非常に懸念されるのであります。これらに対応するために、塩業者が早く現在の投下資本を回収して、そうして次の時代に即応できるような態勢を作りたいと考えることは、無理からぬ話だと思う。われわれもそういうことを考えていただいて、そうして収納価格をきめていただかないと、結局そのしわ寄せは、われわれの上にくるということになりますので、その点は、決してわれわれに無関係の問題でないというふうに考えます。  なお塩業は、御承知のように全部が海岸線でございます。しかも台風の比較的多い地方にたくさん塩業がありますので、台風災害というふうなものが何年に一回かほとんど統計的にくるというふうな状態にある。ところがこれらに対する企業負担というものが、収納価格の中でもってほんとうにどういうふうに認められているか、これらも、やはり一回台風災害を受けると、当分の間はその企業はよう立ち直らない。その結果は、われわれの労働条件というふうなものにしわ寄せされざるを得ない、これが普通なんです。そこで、こういうふうなことも十分お考えになっていただきたいと思います。  こういうふうな点につきまして、納得のいく要件を一応検討していただきましてそうしてこれを総合する——結局、それじゃ納得のいく塩価はどうしてきめるかということになりますれば、やはり収納価格の決定のルールを民主的にする、これ以外にいろいろありましても、やはり結局それが民主的な方法によって決定されるのだというルールが確立されれば、それで解決される、その結果は、最上の結果だというふうに認めざるを得ないのでありまして、結局塩価に対する問題の帰結は、塩価決定ルールの民主化で、民主的な塩価決定ルールを早くおとりいただきたいというふうに考える。それで、専売公社も、この点につきましては、前国会に収納価格審議会の法案を提出したのでございますが、不幸にして審議未了に終った。そこで、今度の国会においてこれが成立を期しているというふうに承わっておりますので、今般の収納価格の決定に当りましても、精神においては、もうそういうことは公社はお考えになっているのですから、この法案提出の内容の趣旨に従って、その手続をこの際とっていただく、そうして現在出しておられる公社の原案というものにこだわらずに、新しい観点から、一つ納得のいく塩価の再検討をしていただきたいというふうに考えます。  それから、以上のような公社の案をいろいろ——これはわれわれが僭越な試案を出しておりますが、しかし、これは、われわれ決して公社のお考えになっていることを批判するだけをもって能事終れりとするのではなくて、結局今まで非常に不安定でありまして、また近い将来にこういうふうな大改革をもう一回余儀なくされるというようなことが起っては困りますので、この際抜本的な対策を立てていただく、そのためには、塩業関係者はこぞってお互いに意見を謙虚に聞き合う、そういう真剣な態度でもって、将来の塩業政策をはっきりしたものにしていただきたいという考え方が、われわれをしてこういうふうな専売公社の案につきまして批判をいたさせているわけであります。この点を御了承願いたいと思います。  次に、それではわれわれ塩業関係の一員といたしまして、どういう塩業対策をこの際打ち立てていくことを希望しているのかというふうな点について、ちょっと申し上げたいと思います。まずその第一は、塩業政策を確立していただきたいということでございます。これは、去る昭和二十五年の三月に閣議決定を見ております国内塩業対策というものがありますが、その内容は、食料用塩の自給度を向上する、当時における達成目標が七十五万トンというようなことでありまして、結局当時は四、五十万トンしかとれてなかったので、さらに自給度の向上、増産しろということであります。そこで、その線に沿いまして政策が進められまして、最近に至って、流下式転換を中心といたします大転換で、この数年後には食料用塩の完全自給というそれ以上のものができるというようになって参ったのであります。この限りにおいては、結局増産し、絶対量を確保していくという面につきましては、塩業行政は非常に大きな成果を上げたというふうに考えて差しつかえないと思います。しかし一方最近におきましては、国際情勢がやや安定いたしまして、なお国際間の貿易が活発化するとともに、国際市場価格との対比における内地塩関係というものが、一般の関心と批判を仰ぐようになったわけでありますが、その結果といたしまして、内地塩は非常に高い、従ってそういう高い不経済なものを作る必要はない、外国から買えばいいじゃないか、内地塩業はやる必要はないのだというような御議論も公然と論ぜられるというような状態でありまして、このために専売公社を初めといたし、塩業関係者は、一応政府の閣議において確立されました政策に基きまして、国民生活上の必須の重要物資を作って、そしてその生産に従事しているわけであります。しかしその生産を続けることは、悪いことでもしているというふうに卑屈な態度に陥らざるを得ないというのが、偽わらざる塩業関係者全部の心境ではないかと思います。そこで、このことは非常に心外でありまして、この際そういう状況にありますので、あらためて国内塩業対策を再検討していただきまして国際市場価格との対比におけるただ単純経済の立場のみにおいて国内塩業を否定していくのかどうか、あるいは現状としてはある程度の割高、それに伴う必要な保護と助成ということはある程度認めることを前掛といたしましても、やはり国策として国内塩業は維持をし、その発展をはかっていかなければならぬというふうにするか、この場合に、国内塩業生産の限度をどこに置くかというようなことについて専売公社の案を見ますと、その点につきましては、全量自給及びソーダ工業の一部自給という計画を立てておられますが、これがさらにはっきりした国の政策として、りっぱに再確立されることを希望するものであります。  そこで生産対策といたしましては、国内生産目標を当面食料用塩の確保、国内資源の活用、国内産業の育成というような見地に立ちまして、食料用塩の全量を国内塩業でまかなうということに国内塩の生産目標を置くことが必要ではないかというふうに考えます。現状といたしまして、国内塩をソーダ工業用の原料に振り向けることが、価格とか品質の面において無理が伴いますので、ソーダ工業用原料としての国内塩の供給は、一般の塩業政策と国内塩業政策と分離いたしまして、将来海水総合利用工業に対する研究を促進して、その発展に応じて別途に考慮していくというふうにやることが、一番適切ではないかと考えます。  なお、非能率企業あるいは過剰設備につきましては、この際塩業政策の将来づけの方向と、それから将来の需給見通しというふうなものを慎重に勘案いたしまして、必要の限度において一定の基準を設け、公社の責任において適正な補償措置を前提として、この際積極的に整理を行う。整理を行うということは、われわれとしても望ましくないのでございます。しかし、現在のようにすでに非常に中腰の姿勢であって、しかもこのままの現状で進みますならば、やがてジリ貧的な自滅以外にはないという条件下に置かれておる企業にとりましては、またそこに働いておりますわれわれの友だち、仲間にとりましては、やはりジリ貧的に自滅するのを待つのではなしに、将来にもう望みがないということでありますれば、何とかここで転換をはかりたい、またはかれるようにしむけていただきたいというふうに考えます。そこで、必要な限度における整理ということは、好ましくはありませんが、しかし、これはやむを得ないと考えます。なお昭和三十二年度中に生産開始に至らない新規製塩の設備は、もう現在の設備で過剰だといわれておりますので、この際一切を吸収いたしまして、その善後の措置については公社の責任によってやっていただきたいと思います。  なお、これに関連をいたしまして、錦海湾の塩田は、まだようやく堤防の基礎をやっておる状況のように聞いております。しかも、あの錦海湾塩田が一般の塩業と比較して、全然別途な斬新な、将来飛躍的な発展性を期待できる新規の設備でありましたならば、これをどんどん進める意義は大きいのでありますが、すでに現在ある塩田そのものを今から新らしく作り出そうということは、何かおかしなことではないかというふうにも考えます。しかし海水総合利用工業ということにつきましては、工業用の原料塩を将来自給していくという観点からも、これは大いに研究を進めなければならないと考えますので、この際錦海湾塩田は食料用塩のワクの外といたしまして、海水利用工業または鹹水によるソーダ工業のモデル・ケースというふうな格好としてこれを利用する、このことを公社において特別に措置していただきたい、こういうふうにしていくことがよいのではないかとわれわれは考えております。  なお、塩田のヘクタール当りの生産をどう規制するかということにつきましては、この前に申し上げました非能率企業の整理とか、または錦海湾の措置とかいうふうなものと関連をいたしまして、あらためてその上で毎検討していくべきではないかというふうに考えます。なお、平がま蒸気利用式、要するに旧式な煎熬方式による製塩の品質、規格の向上を公社はお考えのようでありますが、この点は、非能率企業の整理ということをこの際考えておりますので、それと関連をいたしまして、当分の間現状維持というふうにすることが望ましいのではないかというように考えます。  次に、塩価収納価格の対策でありますが、本年度は、現行価格を据置にしていただきたい。明年度以降新たに設置されます収納価格審議会においてあらためて検討していただき、合理化の促進とそれに従うコストの低下というものに応じまして、収納価格の引き下げを逐次進めるということは原則としていいのでありますが、しかし現況は、まだ合理化の過程にあるというようなことが言えると思うのです。それと、各企業間の流下式の推進の度合いが不斉一である。なおそれに関連して、弱小企業と優良大企業との生産コストの較差が非常に大きい、また一般に比較をいたしまして、まだ塩業労働者の労働条件というものは、非常に社会水準からかけ離れている、これらが将来改善をされなければならないという情勢のもとにおきましては、公社がお考えになっている今般の引き下げ案を強行されますことは、弱小企業または合理化途上にある企業に与える影響が非常に大きいのであります。もちろんバルク・ライン方式をとっております関係上、相当の幅の利潤を見ておる企業もあることは認めなければならないと思いますが、これは一応方式のしからしむるところでありまして、やむを得ないと思うわけであります。そこで、そういうふうな観点から、本年は一応価格据え置きにしていただきたい。それで、明年度からの分につきましては、民主的な塩価審議機関において辞儀をしていく、そしてきめていただきたいというふうに考えます。  次に、将来に対する塩価の対策についてでございますが、この点につきましては、収納価格の決定は、塩業行政上の中心的な、一番重要な課題というふうに考えております。しかして、これを適正に、妥当に決定するということが、現実の問題としてはなかなかむずかしい問題なんです。そこで、困難性が一体どこに原因をするかということになりますが、やはり各企業別の生産コストの較差、それをもたらすところの企業条件の不斉一ということに基因すると思います。従って、各企業間の不均衡を是正して、たとえば極端な非能率企業の能率化に対する指導、あるいは助成、あるいは地域的な特殊事情、たとえば過去における災害負担が非常に累積して、重荷をしょっている企業も全国にはたくさんあるのでありますが、そういうふうなところは、結局もうからないから施設をようしない、従って生産が上らないということで、いわゆる悪循環に追い込まれているというような企業も往々あるわけです。そこで、結局企業状態の較差の非常に大きい、上限と下限との幅が大き過ぎることが塩価政策を実行する上において一番大きな困難な問題になっておるのでありまして、この点を、収納価格と表裏一体の関係でもって検討して、その決定機関といたしましては、先ほども申し上げました、民主的な塩価審議会において審議を経て決定をしていかなければならない。従って、公社案の昭和三十六年度における一万円という塩価は、一応努力目標といたしましてはわれわれとしても異論はありませんが、具体的な将来の塩価の決定は、やはりそのつどそのときの情勢に即しまして決定さるべきものでありまして、あらかじめその年次計画を立てて価格を機械的に操作していくというふうなことは、実情に即応しないというふうに考えるものであります。  以上私の意見を申し述べました。
  8. 山本幸一

    山本委員長 引き続いて質疑に移ります。質疑は通告順にこれを許します。石村英雄君。
  9. 石村英雄

    ○石村委員 まず中央会会長平野さんにお尋ねしますが、公社流下式皆さんにお勧めをした、こういうときに、皆さんとすれば、一応収納価格を前提としいろいろ計算せられて、見合うとか見合わぬとか、もうかるもうからぬをおきめになったと思うのですが、最初の皆さんのお見通しは、流下式を採用した場合に、一ヘクタール当りどのぐらいの生産量が上る、このようにお考えになってこの公社の勧めに応じられたものかどうか、皆さんのお見込みですね、おやりになった現実は違うかもしれませんが、お見込みはどの程度につけられてお始めになったのですか。
  10. 平野亮平

    平野参考人 流下式の転換を始めるについて、業者がどれだけの生産をしたらばいいかという見込みを立てたかどうか、こういうふうな御質問のように伺いますが、その当時、先ほど申しましたように、塩の生産が非常に少うございまして、四十五万トン、四十万トンという時代がずっと続いた、一方においては、二十五年度の閣議決定に基きまして、どうしても食料塩自給するという方針がきまっておるのでありますから、一トンでも多く作りたい、こういうことで、業者は非常に熱心にやりまして、初めからこの流下式転換をやるについて何トン作るという計画は、おそらくどこでも的確なるものはなかったろうと思いますが、ただ公社の方針としては、まず百八十トンぐらいを目標としまして三十六年度までに計画を立てて、三十六年度になれば、百十万トンという食糧塩を自給することができる、それには、流下式転換によって百八十トンという計画があることは私承知しております。しかし流下式転換というものが、生産コストが下るという点において、生産数量がふえる点において非常に有利でありますから、各社は競って流下式転換に変ったのでありまして、どの地方が二百トン作ったらいいとか、どのところは百五十トンとか百八十トンという的確な目標をつけたところもありましょうけれども、今お尋ねのような、しっかりした計画は持っておったかどうかということは即答できません。
  11. 石村英雄

    ○石村委員 しかし企業ですから、公社が勧めるから、これは自給するのが国策に沿うことだと、こうお考えになったのでありましょうけれども、一応そろばんは置かれたのじゃないか、従って、流下式に転換するに当って、従来五十トンぐらいだったものが百トンになるか二百トンになるか二百五十トンになるかぐらいの見当は立てて、これをやるならそろばんに乗るぞ、もちろんそのときの収納価格というものが前提にはなっておったものと思うのでありますが、当時の収納価格を前提にしても、このくらいできるからもうかる——と言っては語弊があるかもしれませんが、企業としてやっていけるという見通しぐらいは、企業者としてお立てになるのが当然だと思う。ただ公社が言われる、自給が国策だというだけでおやりになるとは考えないのです。そこで、大まかな目標がどのくらいであったかということをお尋ねしたわけです。何も正確なことでなくてもけっこうです。
  12. 平野亮平

    平野参考人 地方によっていろいろ違いますが、大体二百五十トン、三百トンを作らなければならぬ、こういう考えでやっていたわけです。
  13. 石村英雄

    ○石村委員 ところが公社は、三十一年七月ですか、専売からわれわれがもらったものは、やはり生産量を百八十トンと計算をしておる。公社見込み皆さん見込みと非常に狂っておったということになって、こういう事態を引き起したと思うのですが、それはそれとして、一つお尋ねします。流下式にいたしましても、そこの気候条件、あるいは海水の濃度ということも左右するとして、能率のいいところと能率の悪いところもできてくると思うのですが、大まかに見まして、流下式によった場合、もっとも枝条架をたくさん作るとか作らぬとかいう点も影響してくると思うのですが、一応公社考える程度の枝条架を作るとして、条件のいいところは大体一ヘクタール当りどのくらいできる、また条件の悪いところはどのくらいできる、これも簡単なお見込みでいいのですが、その点をおっしゃっていただきたい。
  14. 平野亮平

    平野参考人 条件の非常にいいところと、枝条架の増設の割合によってだいぶ違ってくると思いますが、非常に条件のいいところは、三百五十トンぐらいできます。それを目標として計画しておる業者もあります。条件の悪いところでも、少くとも二百四、五十トンはできるようになると思います。今日の現地の実際は、ところによりましては、そうまでいっておらぬところもあります。けれども、枝条架がだんだん普及して参りまして流下式によってやりますと、従来の生産数量の倍以上、二百五十トンぐらいは確かにできると思います。条件の悪いところでも、決して二百三十トンぐらいは下らないと思うのです。
  15. 石村英雄

    ○石村委員 それは、三百五十トンもできるところは、公社が一応枝条架を作るについて、はっきりこれ以上作っちゃいかぬとかなんとかいうことはしていないと思うのですが、国家資金の世話をするに当って、枝条架をどのくらい作るという標準を持っておるんじゃないかと思うのですが、その標準の枝条架を設備した場合には、条件のいいところで大体どのくらいできるか、おわかりでしたら……。
  16. 平野亮平

    平野参考人 枝条架にどのくらいの標準をおくということの公社の標準は、私詳しく存じておりませんが、大体一割程度くらいは作らしても差しつかえないというふうに公社は指導しておるように聞いております。しかしながら、公社の方におきましても、自己資金を出して枝条架を作って生産するのは、これはやむを得ぬじゃないかというようなふうにだんだん変って参りまして、それで現在においては、一割以上の枝条架を設置しておるところがあるように思っております。それがきちんときまって、流下式塩田をやるについては、枝条架はどこでもここでも一割とか、あるいは八分とかいうようなふうに指導方針が一定しておりますると非常に楽でありまするけれども、どうも実際においては、そういっておらぬようであります。ですから、ところによっては一割以上も作っておるところもありまするし、あるいはまたそれに及ばぬところもあります。それは、いろいろ流下式に転換するについての資金の関係もありまするし、いろいろな点から制約を受けてそういうふうに区々になっております。
  17. 石村英雄

    ○石村委員 それから価格に対する中央会のお考えをお聞きしたいのですが、そのような、枝条架をたくさん作る作らぬというような点もあるでしょうが、ある程度地方的な条件の差ということも考えられるわけです。中央会としては、この価格は、やはり全国単一の価格をお考えになっていらっしゃるのか、それとも、ある程度条件の悪いところは高くする、非常に能率のいいところは幾らか安くするとかいうような二重価格ですね、そういうことをお考えになっていらっしゃるのか。今の公社の二百トンという一つの線は、二百トンの線がいい悪いは別として、見ようによれば、一種のそういう考え方を導入しておるともとれるわけなんですが、中央会としては、どのような御意見を持っていらっしゃいますか。
  18. 平野亮平

    平野参考人 お答えいたします。中央会といたしましては、収納価格はやはり一本価格でやるべきものだと思っております。地域によって差を設けるということは、いろいろ研究をした結果、塩業政策を遂行する上において非常に不利益だ、こういうことを考えまして、やはりこれは、一本価格でやるべきものだと思っております。  それから流下式転換の完成について、地方による遅速があります。非常に塩田生産力が悪い方面から先に改良にかかりまして、その方に国家資金を、農林漁業資金をあっせんしてやるというようなことがありまして、だんだん悪い方からやりますので、それで、流下式転換の早く完成したところとおそくかかったところとがあるのでございます。けれども流下式転換が大体完成すれば、今までのような非常な高低はないにしましても、大体流下式転換を完成しますと、足並みがそろってくる、こういうことを私は確信しておるのであります。ですから、流下式転換の完成を待って価格の問題に手をつけることが当然であるということを、しばしば申しております。それに、気象条件とかいろいろな関係がありまして、多少の差はありますけれども、従来の入浜式塩田の時代のごとくに、一方では八十トンしかとれない、一方の方では百トンも百二十トンもとれるというような格段の較差はなくなってくると思っております。でありますから、中央会といたしましては、一木価格で進むべきものだ、こう思っております。
  19. 石村英雄

    ○石村委員 地域的な価格の差異という意味でなしに、公社の今度引いておる二百トンという線、ああいう考え方は二百トンでなくて、二百二十トンとか二百五十トン、あるいは反対に百五十トンというような線も考えられると思うのですが、そういう点について、中央会はどんなお考えを持っていらっしゃいますか。
  20. 平野亮平

    平野参考人 生産制限を二百トンに切るということは、どうも非常に無理があると思うのでありまして、実は私ども考えとしては、先ほど申しましたように、生産制限せずして、自由に作ることにしてもらいたいということが全部の塩業者希望であります。しかしながら、そう無計画にどんどん作ってしまいましては、いかに何でも財政の問題も考えなければならぬということから、これは、どうしてもある一定の制限は、量的においてもしなければならぬ、こう考えましてそれについては公社の大案に沿うように——これは、なかなか地方によりましては、香川県とか、あるいは岡山県等の大産地におきましては、生産制限されては非常に困る、立ち行かない、だからどんどん作らして、それからただ百十万トンという一線は引いておいて、それを超過したものはやむを得ないから工業塩に売る、その工業塩食料塩との差額は、公社において財政を負担してもらいたいという意見もあるのでございます。けれども、そういうことは、幾ら赤字があってもかまわぬということは、ちょっと私どもとしても考えられぬと思いますので、まず大体公社が出した線に沿うように、その方に努めまして、そうしてわれわれは、二百トンを少くとも二百四十トンまで上げてもらいたい。と申しますのは、今日すでに三百トンも作っておる、三百トン以上、三百二十何トンというところもあり、それがために設備をどんどんやって、それが生産過剰のためにたちまち押えられるということは、非常に迷惑な話であります。しかも、その方針が急に変化するのであります。去年の九月までは、そう生産制限することはないというような情勢であったのでありますが、ことしになりますと、それを制限しなければならぬ。しかも二百トンに制限するということは、どうしても実情に沿わない無理がある。であるから、少くとも二百四十トンまではこれは上げてもらわなければならぬ、こういうことを公社の方へお願いしておるようなわけであります。  それからちょっとついでに申し上げますが、これは機械製塩の問題でありますけれども、実は、私どもの方の中央会は、塩田製塩が会員でありましたけれども機械製塩もまた会員に入ることになりまして——機械製塩食料塩を作る製塩であります。宮崎さんのような工業塩の問題でなく、食料塩を作る機械製塩、この機械製塩が五社あります。これは三菱系でありますが、長崎県の崎戸、それから井華塩業といいましてこれは北海道で住友がやっております。それから三井が大牟田でやっております。そのほか、私どもの会員になっておりますのは北陸製塩、それから新日本化学、この五社が私どもの会員になっておりますので、その機械製塩の人々からの要望をちょっと申し上げておきたいと思いまするが、機械製塩は、公社の案によりますと許可数荷で押える、今日大てい二万五千トンを標準として許可をしておりますが、機械製塩方々の申しますのには、だんだん公社の方では塩価を下げて、将来は一万円というところにまで持っていこう、こういう目標があるのでありますが、そういうふうにだんだん下げられては、とうてい二万五千トンの許可数量ではやっていけない。これは五万トンもしくはそれ以上に生産を拡充しなければ、それをやっていくことができない、こういう強い要望があるのであります。しかし、それがために、従来の塩田製塩を犠牲にしてやるつもりはないけれども、こういうこともあるから、その事情は、国会へ行ったならば、われわれが会員であるから、これはついでがあったらよく申し上げておいてくれ、こういうたびたびのお話がありましたので、これをつけ加えて申し上げます。
  21. 石村英雄

    ○石村委員 二百四十トンだとしますと、四千町歩として大体九十六万トン、これに機械製塩その他の分を含めると、大体日本国内食料塩というものはカバーされるわけですから、そうなった場合に、これは公社御存じのように、従来国内塩で足りないところを、安い外塩で、その差益で埋めておったわけですね。今度の皆さんのお考えだと、全部国内塩でやってしまう、こういうことになって公社の従来のもうけの出どころというものはなくなってしまうわけですね。これはあるいは二百四十トンに制限し、今後皆さんに対する収納価格を下げることによってそこは償うというお見込みかと思うのですが、大体何年くらい先になれば、公社赤字会計というものは、従来の安い外塩による差益の穴埋めができる程度に収納価格は下げられる、こうお考えでしょうか。
  22. 平野亮平

    平野参考人 どうも、これは公社の方に説明してもらう方がいいと思いますが、公社の大体の計画は、たしか三十六年を目標として、三十六年までの間にだんだん赤字を消していこう、たしか三十五年に赤字がなくなるようになっておったと思います。もっとも二百トンに制限しましても、一方において塩田整理をするとか、企業の統合をするとかいういろいろなことがありますけれども、そういうような計画のもとにおいて、三十五年に赤字が消える、こういうふうに私どもは聞いておりますが、私ども考えとしましては、二百四十トンに制限されますと、どうしても塩田整理をよけいしなければならない、それから一方においては、三十六年度ということを何も目標とする必要もないではないか、これを延ばして三十八年とかあるいは四十年とかいうふうに延ばせば、赤字はだんだん消えますから、せめて三十八年くらいまで、二年ぐらいは延ばしてもらいたい、そうしたならば、その赤字は消えるのではないか、こういうふうに考えております。これは、御承知通り、たしか法律にはまだなっておりませんけれども、塩の問題について審議会がございまして、塩専売会計は、公益専売ということを建前にしておる、それで、その塩の収納価格は、時によって赤字が出るということもあるけれども、一年の間に直ちにこれを決済するというようなことをせずして、それを二年、三年の少し長い期間見送って、その間に赤字を消すというような方法にしたらどうかというような政府への答申があります。それを、まだ国会の法律にはなっておりませんが、そういう関係もありまするから、ただ当面に赤字が十億出るとか、あるいはこれがだんだん累積して何億になるとかいうようなことは、その原因をきわめてみて、これは、流下式転換というような一つの画期的、革命的の仕手が出てきて、それがために生産が増加するというようなときでありますから、非常時であるから、この点は一つよほど公社の方もゆっくり考えていただきたい、そう急速に赤字を消すというようなことは、そこに無理の点がありはしないか、こう私は思っております。
  23. 石村英雄

    ○石村委員 それから、先ほど小山さんからもお話が出ましたが、錦海湾の製塩、これは皆さんの方で出資もされておると思うのですが、これに対する処理は、中央会とすればどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お伺いいたします。
  24. 平野亮平

    平野参考人 錦海湾のことにつきましては、実は私ども在来の塩業の方の立場からいたしまして、錦海湾は立地条件が非常にいい、けっこうなところであるということは承知しておりますけれども、とにかく在来の塩田流下式に転換をして生産を上げるということが一番急務であるから、まずもってその方をやってもらいたい、それをやるについては、年々農林漁業金融等を国会の御心配によりまして出していただいておるのでありますけれども、錦海湾をやるについては、農林漁業金融の方は、またそちらの方へ資金的に持っていかれるということになりますから、その点において私は非常に反対であります。それで、私は、錦海湾はあと回しにした方がいいのではないかということを、当時しきりに申したのでありますが、しかし調べてみますと、いかにも立地条件が非常にいいということで、錦海湾の塩田を開発するということになりますと、従来の塩田よりも生産コストが下る、こういう調べになったのであります。そういうところから、公社の方でも非常に慎重に御研究になりまして、これを塩業者全体の仕事としてやるならば、非常にいいことではないかというような結論に、塩業審議会の答申がなりまして、それで錦海湾が御許可になったことと思うのであります。しかしながら、今日こういうふうに塩が非常に増産されて、そうして従来の塩田生産制限される、こういうようなときになりますと、これは全く情勢が一変したわけでありまして、この錦海湾を御許可になったのは、昨年の九月でしたか、たしか大蔵省の方に御相談になって錦海湾を許可することになったのであります。一年たたぬうちに、こういうふうに情勢が変ってきたのでありますから、錦海湾をそのままにしておいて塩を作るということになると、十一万トンという非常に大きな数字が、三十個年からだんだん出てくる。三十四年には、その半分ぐらいですが、そういうことになりますと、市来の塩業者の負担が非常に重くなる、というのは、制限を受けることになるから、錦海湾塩田につきましては、何とかしてこれを食用塩を作ることをせずして、工業塩に向けるとか、あるいは他に方法を講じてもらいたいということを、大多数の塩業者希望しておるのであります。こういう状態であります。
  25. 石村英雄

    ○石村委員 それからこまかなことで恐縮ですが、塩をお作りになるとき、まず濃度の高い鹹水を作る、そうして真空式その他で塩にせられるわけですが、鹹水を作るまでの生産費と、それから今度は、それを真空式なら真空式でちゃんとした塩になさる経費、これもいろいろ条件の差はあると思うのですが、大体普通のところで、鹹水を作る生産費はどのくらいかかり、さらにその次の塩にする経費はどのくらいかかるか、御存じでしたらお教え願いたいと思います。
  26. 平野亮平

    平野参考人 これも、今お尋ねのように、ところによって非常に違うのでありますが、鹸水の生産費は、三十一年度で申しますと五千四百一円、それから、それを煮詰めまして塩にしますところの煎熬の経費が五千八百七十四円、それからその他管理費等がありまして、管理費の合計が二千六百六十六円、合計で一万三千九百四十一円という数字が出ておるのであります。これが三十一年度であります。その中で、先ほど申しました鹹水生産費は、五千四百一円になっております。
  27. 石村英雄

    ○石村委員 それから機械製塩のことですが、宮崎さんは、ただいまのお話を聞きますと、立場が違うように考えるのですが、平町さんが御存じならお伺いしたいのですが、機械製塩を始めるときは、生産費が非常に安くつくのだ、こういうふれ込みで始めた、こういう話ですが、大体当時は、機械製塩の場合は一トンどのくらいでできるという話だったのか。平野さんが御存じでしたら平野さんから、また宮崎さんから御存じでしたらお伺いしたいと思います。
  28. 平野亮平

    平野参考人 先ほど伺いますと、宮崎さんは、ソーダ工業の方のことをお話しするということでございますので、私が知っておることだけを申し上げますが、あるいは幾らか違っておるかもしれません。機械製塩を一番先に許したのは、たしか新日本化学であったかと思います。それから後財閥三社、すなわち三井、三菱、住友が許可になった。その三社の方につきましては、当時石炭が非常に安くなりまして、低品位炭の処理に非常に困った時代でありますし、一方において、内地塩田が年々台風に襲われまして、昭和二十年以来ほとんど年々台風に襲われておる。将来の塩業政策を立てるのに、塩田のみにたよっておることはできないというような空気もありまして、現に内閣の資源局でもお調べになって、資源局に大ぜいの人が集まって答申がありました。その当時は、国内塩田というものは七十万トンよりほかは伸びない。のみならず、在来の塩田は台風の危険等があって、それのみによることはできないから、機械製塩をやる必要がある、こういう資源局に対する答申があったのであります。それやこれやで、石炭が非常に下って、低品位炭の処理に因るというので、三井、三菱、住友三社は申請をされたように聞いております。そのときは、幾らでもいいというようなお話は私は聞いておりませんけれども、まず勉強し合ったならば、一万円見当でできるだろうというようなお話があったように聞いておりますが、私は当局者でありませんから、正確なことはわかりません。しかし、さっき申し上げましたごとく、それは二万五千トンという許可数量に対してそうであったと思います。これは、どうしても下げていくには、やはり、五万トンなり十万トンというものを作らなくてはいけない、そうすればコストはだんだん下っていく、こういうふうに聞いておりますが、あるいは誤まりがあるかもしれません。
  29. 石村英雄

    ○石村委員 宮崎さんにお尋ねしますが、宮崎さんの方は、ソーダ用の塩を将来の目的としておやりになっているようですが、先ほど、五千円くらいになし得るだろう、こういうことですが、例のイオン交換樹脂とかなんとかいうのは、鹹水を作るだけなのですね。それから先の真空式でおやりになるか、何でおやりになるか知りませんが、煎熬をなさる、こういうことになると、鹹水を作る費用及び煎熬の費用というものは、どの程度にお見積りになっていらっしゃいますか。
  30. 宮崎輝

    宮崎参考人 お答えします。御説の通り鹹水を作るときにイオン交換樹脂を使いますが、われわれのやっております機械製塩の経験によりますと、鹹水を作るのに非常に費用がかかるのです。それで、特に電力を使ってやっておりますから、電力の単価もだんだん上りますし、相当局くつきますが、この方法によりますと、電力が五百キロワット・アワーくらいでできると思います。現在は千七百、あるいは高いところは二千というところがありますが、大体千七、八百、それを五百キロワット・アワーくらいでいける、最後の濃縮及び結晶ができましてですよ。そういうことを考えまして、濃縮費が非常に安くなります。電力その他も安くなりますので、これは先ほど申しましたように、三十万トン単位というのを考えておりますが、そういう際には五千円でいける、五千円の販売価格で、利潤を上げていけるというふうに考えております。もちろん建設費が幾らかかるかということが問題でございますが、これは、大体現在建設費を予想しておりますが、上地やその他の値上りもあって、いろいろと移動がありますが、しかし大体の建設の見積りを立てまして、五千円でおそらくいけるのじゃないかということを考えております。
  31. 山本幸一

    山本委員長 続いて、大西正道君。
  32. 大西正道

    大西委員 平野さんにお伺いいたします。今のお話ですと、流下式によって値段がどんどん上る。それで、初めに予想した生産費よりもうんと上って、これ以上新規の営業は一つ許可しないでほしい、こういうお話をしたということでありますが、そういうふうな気持になられて申し入れをされたのは、大体いつごろなのですか。
  33. 平野亮平

    平野参考人 それは昨年の六月でございました。それと同時に公社の方でも、今まで出ているのは仕方がないけれども、今後新規製塩は許さぬ、こういう声明が総裁談として出たのです。
  34. 大西正道

    大西委員 これは、ごもっともなことだと思います。ところが、その後、今のお話ですと、錦海湾の許可が九月に出ている。公社の方は、そういう方針で許可をしたんでしょうが、この錦海湾に、あなたの方の業者は出資をして協力をされておりますね。一方においては新規の許可はやめてほしいと言われながら、一方においては経営が立ち行かぬと言いながら、莫大な投資をしておられるということは、私はどうもあなた方の態度としては矛盾があろと思うのですがこの点はいかがでしょう。
  35. 平野亮平

    平野参考人 おっしゃるような点は確かにあります。ありますけれども、錦海湾の問題は、許可になったのは九月と思います。その前からだんだん——昨年あたりからずっと錦海湾の問題はありました。それから、さっきも申しましたごとく、錦海湾の開発については、できるならば業者全体の力によって塩業全部の力によってやった方がいい、ただ一個人とか一部の人のために開発をやるということはよくないのじゃないかということを、塩業審議会が答申したのであります。そこで、塩業者もやむなく出資したような次第で、実際のことを申しますと、決して喜んでやったのではありません。しかし、その点においては、幾らやむなくでも喜んで、なくても、とにかく塩業者の方で出資をしたのじゃないか、一方において錦海湾に出資をしておいて、今日錦海湾がじゃまになるということは何事かという御質問も、ごもっともと思いますけれども、いかにも情勢の変化が急テンポになってきた。流下式の転換が急に進んできました。初めは、流下式の転換の完成は三十六年度以後だと思っていた、ところが急にふえてきた、と申しますのは、災害もなかったということが一つの原因でありますが、だんだん流下式の転換の効果が現われて、急テンポにそういうようになってきたという情勢の変化であります。
  36. 大西正道

    大西委員 私、あまりこれにからんで言おうと思いませんが、あなたのお話を聞くと、業者の代弁をしておられるような気がするのであります。喜んで出したのではない、やむなくやったんだと言われるのですけれども、しかし一方では、業者は積極的にこれに協力したと言われるのです。どうもあなた方の態度が非常に矛盾をし、前後の統一をしておらぬように思うのです。何かその辺のいきさつを、あるなれば率直に私はお伺いしたいと思うのです。業界の率直なお気持を一つ聞かして下さい。
  37. 平野亮平

    平野参考人 塩業者全部が参加しているわけではありません、一部の者であります。その点は、一つ了承願いたいと思います。全体の者が錦海湾の出資をしているわけではありません、塩業者のうちでも、錦海湾に対して自分は出資をしないと言っている者もあります。大体そういう方針でいったならばどうかということに塩業審議会の答申がなりましたので、公社もそれを採択して、なるべくなら、これを業者全体の仕事にしたらいいじゃないかということになったわけであります。その間に矛盾があるようなお話でありましたが、確かに理屈から言えば矛盾がありますけれども、別にどういう事情とかなんとかいうことはありません。
  38. 大西正道

    大西委員 あなた方が、自分で塩をめちゃくちゃにたくさん作って、そして塩の値段を引き下げる口実を公社に与えて、それに協力している、こういう結果しか私どもにはとれないのです。しかし、それだけのことしかないと言われるならば、それでよろしい。  それから公社収納価格を引き下げよう、こういう計画に対しまして、あなた方は、この塩の値段をどうしようというのですか。このごろは、石炭代も上っておりますし、鉄道運賃も上っておりますし、何もかも政府はみな引き上げているのですが、そういう中で、この際むしろ米の供出価格と同じように、あるいはまた硫安だって、下げるというのを据え置きになっているのだから、むしろ上げてくれというのか、あるいはどうなるのか、あなた方が主張される収納価格の科学的な計算による結果を、一つ聞きたいと思います。
  39. 平野亮平

    平野参考人 収納価格に対してどういう考えを持っておるかというお尋ねでございますが、これは、先刻も申しましたように、今年の収納価格の問題と、将来の問題と、二つに分けて考えられると思います。今年の収納価格の問題は、先ほどおいでにならなかったのかもしれないが、私申し上げたように思いますが、今塩田改良の途中でもありますし、それから非常な塩田についてたくさんの負債をいたしました。一ヘクタールに対して三百五十万円要するので、全体で百八十億の負債を持っております。その金利の負担に非常に困る。そのピークが三十二年、三十三年の二カ年だと私見ておるのであります。ですから、これは、借金の重圧があるから、どうしても下げるわけにいかない、待ってもらいたい。しかしながら、将来の問題としては、生産数量もだんだん多くなって参っておりますし、どうしても下げるのは当然です。ただし、それは物価、労銀の変化なき限りは当然であるから、将来はこれは下げていかなければならない。塩価の低廉ということは、塩専売法以来の問題でありまして、今日始まった問題ではありませんが、今日のことく、国家が内地塩生産に非常に力を尽して、多大の資金を投じておる際でありますから、業者の方でもそれと協力するのがあたりまえだ、専売制度ですから。私は、代弁をいたしておるつもりもありませんが、協力しておるつもりであります。協力して、将来は塩価を下げていかなければならない。その目標はどうかということになりますと、公社の方は、将来は一万円にしたいということは、方針としてはそれは私は大体賛成するのであります。けれども、将来物価の変動もありますし、かたがたいろいろなファクターも入って参りますから、将来のことはちょっと予言はできませんが、今日は、収納価格というものは下げるべきときではない。物価は確かに上っております。昨年の四月のときに収納価格をきめられたのでありますから、そのときの計算が正しければ、それから後に物価は上っておりますから、これは当然上げてもらうのが普通だと思います。しかし、その当時よりは生産数量はふえております。それらの点もありますから、いろいろの点を考慮して、業者は上げてもらいたいけれども、この際は諸般の関係を考慮して自粛的にことしは据え置きにしてもらいたい、こういうのが私ども考えであります。
  40. 大西正道

    大西委員 小山君にお伺いいたします。生産費調査ということをやっておりますが、その中には、労働者の賃金・というものはどの程度見込まれておるのですか。
  41. 小山武次

    ○小山参考人 過去において、公社生産費調査をやっておったのでございますが、このときには、大体塩業関係者というふうな労働代表ということではなかったと思いますが、調査要領というものがございましてその中で、各地方局長が傘下の塩業企業の中の特定な労働者に調査委員を委嘱いたしましてそうしてそれが調査に当ったというようなことがございます。それで、それは生産費調査でございますので、その際には、あくまで実績の数字をそのまま調査結果として載せるということでありましたが、今般この公社で出しております案の中に載っております労務費の数字をわれわれが検討いたしますと、現在実際に支払っている賃金よりも数段額の高いものがこれに計上されておることは事実であります。それで、もしあの現在の公社案にあります数字がそっくり完全に労務費に回し得、る条件ができますれば、われわれの希望するところの一般産業並みの労働力というようなものの確立は、大体見通しがつくというふうに考えております。
  42. 大西正道

    大西委員 そこで、平野さんにお伺いしますが、今の小山君の話では、公社案の中では、原価をきめる場合には、現実の労働者の給料上りも多少上回った、一般の産業労働者並みの労務費が計上されている、こういうことなのでありますが、もしこの公社案の線に従って実施された場合には、あなたの方の会といたしましては、もちろん企業は別々ですから、その間に労使の関係はありますけれども、あなた方の会としましては、この公社の案の中にあるところの労務費というものを誠意をもって実現するということを、会長として確約てきますか。
  43. 平野亮平

    平野参考人 お答えします。ちょっとしまいの方が、私耳が遠いのでわかりませんでしたが、公社の方の生産費の中に盛ってあるところの労務費が、実際よりも多く見積ってある、こういうのですか。
  44. 大西正道

    大西委員 現在のものよりも……。
  45. 平野亮平

    平野参考人 現在というと、現在支払っておるものですか。
  46. 大西正道

    大西委員 そうです。
  47. 平野亮平

    平野参考人 現在より多く見積っている。それは、公社の今の収納価格は、下げようといっているわけでしょう。
  48. 大西正道

    大西委員 公社案の……。
  49. 平野亮平

    平野参考人 現在の価格で申しますと、一万三千円というのが現行の収納価格です。ですから、その中に盛ってあるところの労銀が実際よりも多く見込んであるから、それに従って労務費を実際に支払うかどうか、こういうお尋ねですね。——それは、もう当然払わなければならぬと思います。それを、生産者ははっきりまだわかっておらぬでしょう。生産業者は、労務費をどれだけ見ておるということがわかっておりませんが、内示でもありますれば、その線に沿ってやるのはあたりまえです。公社がそれだけ見てやるという、それを製造業者が搾取するとか——言葉ははなはだ露骨ですけれども、そういうことは塩業者はいたしません。
  50. 石村英雄

    ○石村委員 関連して。先ほどお尋ねすることを落しましたので、一言だけ聞かせていただきます。  宮崎さんにお尋ねしますが、宮崎さんの五千円という工業塩価格というのは、あるいは一ユニット三十万トンという前提かと思うのですが、工業塩とすれば、五千円なら苛性ソーダとかソーダ灰とか、そんなものをお作りになるのにまず大体いい価格、また現存その通りのものであるか、これはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。これは、もっと下げなければできない、ソーダ工業は成り立たぬとお考えになるかどうか、この点、お示し願いたいと思います。
  51. 宮崎輝

    宮崎参考人 五千円と申しましたのは、二つの理由があるのですが、それは、昨三十一年度の輸入塩のシフ価格平均が五千三百円であったということが一つ。それから今回の専売公社の案の中にも、ソーダ工業塩を、これは一ヘクタール当り二百トンを超過しているものはだんだん値を下げていって、結局五千円を目標にするとなっておりますから、そういう二つから五千円ということを申し上げました。ですから、二十一年度では五千円で、日本の全体のソーダ工業者はそういう塩を使ったわけです。皆さん御存じのように、一応私どももその塩で採算をとっております。しかし、これは一応の目標でございまして、原料というものは安ければ安いほどいいのですから、特にことしは運賃が非常に下りましたので、昨年よりも塩の値段は下ると思います。しかし、また、たとえばスエズのような問題がちょっと紛糾しますと、すぐまた上ります。輸入塩値段というものは、非常にフレキシブルでありまして、しかも近海塩の中共塩とか、そういうものがよけいに入りますと、平均価格が下ります。これは貿易の問題でありまして、遠海塩も買わざるを得ないということになると、平均価格が上るわけです。ですから、塩の値段というものは、なかなかどの辺がいいかという目標は立てにくいのです。が、しかしかりに三十一年度の実績と公社がいっていらっしゃる一応の目標をとって、五千円そこらあたりまで一応いければ、先ほど私が申しましたように、まず高い遠海塩にかわり得るのではないか、やっているうちには技術の進歩もありますし、償却もするし、コストが下りますから、値段も下げられるということになるのではないか、こう思います。
  52. 石村英雄

    ○石村委員 私が聞きましたのは、つまり一ユニット三十万トン、こういうのですから、六工場か七工場作れば、日本工業塩は解決がつくわけですね、五千円でできれば。だから、五千円で三百万トンくらい作りたいというお考えを持っていらっしゃるのかという含みでお尋ねしたわけですが、やはりそういう含みを持っていらっしゃるのですか。
  53. 宮崎輝

    宮崎参考人 私どもとしては、やり出すからには、塩の全量の将来の需給を考えたいのです。しかしながら、考えてみますと、アンモニア・ソーダの業者なんかは鹹水をそのまま使えるので、点詰める必要はないわけです。そうしますと、おそらくそういう業者は、海の近いところでありましたら、そのそばで、鹹水を使ってそのままやるということで非常に安くできるわけですね。ですから、煮詰めてやるのは、やはり電解ソーダの塩だけだと思うのです。そういうことだから、いきなり二百万トン鹹水で作るのではなくて、一部は鹹水、一部は煮詰める、こういうことになっております。
  54. 山本幸一

  55. 古川丈吉

    古川委員 塩の問題は、結局のところ、製造の方法が非常に進んできたので、従来の塩田における製造方法についても増産になる、また一方においては、機械製塩が発達してきたので、それよりも上回る生産ができるようになったから、生産制限すると同時に、工業用の塩はどうしても輸入しなければならぬ実情にあるが、価格が非常に安くなくちゃ引き合わぬ、こういうことが問題の焦点だと思うのでありますが、それに対して、公社の方で、従来の設備以上に新規に製塩をする企業をできるだけ近代化してやる、それと同時に、能率を上げるために企業の統合もやる、こういうような御方針の、ように思う。また党の方の委員会でも、大体それと似たような方法をとっておるようでありますが、公社の方にちょっと伺いたいのですが、機械製塩についても、やはり企業の統合をやられる御意思があるのですか。
  56. 三井武夫

    ○三井説明員 公社考えておりますところは、機械製塩につきましても、御承知のように、実はまだ計画が進行中のものもございます。あるいは非常に小さな規模のものでございますけれども、ごくわずかの小さな工場もございます。もしもこういったもが自発的に自分の手でできます場合には、やらせております。
  57. 山本幸一

    山本委員長 古川君、時間の関係もありますから、なるべく参考人の方に御質疑を願います。
  58. 古川丈吉

    古川委員 公社関係だから伺っておきたいのですが、これは、現行の許可高を基準とするということになっておるようでありますが、党の方の材料から見ますと、資本金も非常に違うようだし、また実績が非常に違うのに、許可高に非常にふつり合いがあるように思うのです。たとえば、党の方の資料の一番上に新日本化学工業が出ておって、製塩許可高が二万四千トン、資本金が四億七千万円、三十一年度の生産実績が二万一千八百四十七トンということになっております。ところが、一つ飛んで、その次の欄の井華塩業は、新日本よりも製塩許可高が一千トン多くて二万五千トン、資本金が八千万円、昨年度の生産実績が三千百四十六トンということになっております。製造制限をする場合には、ただ許可だけというのではなくて、実績というものがものを言うだろうし、今のお話のように、新規の設備をしないというなら——この資本金があとでどうなったか、それは知りませんけれども、当初からこういうような資本金であるならば、このふつり合いは、あなたの方で許可した分だけではなくて、その他の点も考慮しなければならぬのじゃないかと思う。  それからちょっと具体的に聞きたいのですが、初め申し上げました方が二万四千トンの許可で、あとは二万五千トンを許可されておるようですが、それ以外にもずっとそのようになっておるのか。たとえば紡績関係でも、古い設備に対しては、その設備全部製造を認める、新しい分に対しては、ある程度パーセンテージを低く見て、将来の製造を認めるというようなやり方をやっておりながら、専売公社だけは逆なような感じがしますが、その点はどうですか。
  59. 山本幸一

    山本委員長 古川君、時間の関係がありますから、参考人に先に御質問して下さい。さもないと、先に質疑せられた諸君から、公社への質問ならば、おれの方にもまだあるとおっしゃるから、不均衡を生じますので……。  それでは、三井塩脳部長に簡単にお願いいたします。
  60. 三井武夫

    ○三井説明員 昭和二十九年度以後に許可いたしましたものは、大体、二万五千トン前後になります。大体規模二万五千トン前後なら、これは会社の自由にまかせておく、従って資本金は幾らでもって作るか、借入金幾らにするかということは、、会社の自由にまかせる、別にその点の統制はいたしておりません。それから実績が非常に違っておりますのは、これは稼働して間もないことでありますので、お話の井華塩業のごときは、昨年の実績はまだ上っておりません。しかしことしは実績が上る予定であります。
  61. 古川丈吉

    古川委員 専売公社に関する質問は、また別の機会にいたしましょう。  それから工業塩価格について将来五千円程度まで引き下げるというようなお話宮崎参考人からあったようでありますが、その点も、すでにある程度ここで議論されたように思いますので、これは後日に念を押すことにいたしまして私の質問を打ち切ります。
  62. 山本幸一

    山本委員長 引き続いて川野君。
  63. 川野芳滿

    ○川野委員 時間も非常におくれて参りましたので、簡単に二言ばかり御質問申し上げてみたいと思います。今回塩の問題がいろいろ大きな問題となりました理由は、塩が非常にたくさんでき出した、こういうことが最大の原因でございます。塩があまりたくさんできたから値段も下げなちゃならぬ。こういうようなことになっておると存じますので、従って価格引き下げの問題の非常な参考になろうかと考えますから、先ほど石村委員から御質問があったのでありますが、重ねてお尋ね申し上げてみたいと存じます。専売公社業者にいろいろと指導を申し上げたとき、入浜式から流下式に変りました場合の生産品標が、実は参考書を見ますと、百八十トンとなっておるのであります。ところが先ほど平野参考人から、二百五十トンないし三百トン、こういうことを目標にしたというような発言がちょっとあとであったかと思いますので、この点を一つ重ねてお尋ね申し上げたいと存ずるわけであります。
  64. 平野亮平

    平野参考人 お答え申し上げます。公社計画は、百八十トンという計画を予定したのでありますが、前から百八十トンを目標として塩業者に対しては、流下転換でやれというような目標はなかったようであります。前に申しましたごとく、終戦以来塩が非常に足りませんでして、幾ら努力しても四十万トンか四十五万トンしかいかないから、これは大へんだというので——流下式の前に、戦争中の非常に塩の足りないときに、砂層貫流式というような方法がありまして、飛行場を借り受けてやったのでありますが、そのときには、コンクリートの地盤が、広い地面でありますから、砂層貫流式は成功しなかったのでのります。今日の流下式は、砂層貫流式のアイデアからきているのであります。塩田に軽い傾斜をつけて、粘土を張って、その上に小さい砂利をやって流す、そして枝条架を併置しますと、生産が多くなる。業者の方は、百八十トンが百標だから、百八十トンを目標として流下式転換をやるという考え業者は持っておらなかった。一トンでも多く作ればいい、国のために百八十トンはどうしても作らなければならぬというので、夢中になって増産をやっております。それは業者でありますから、そろばんはとっておりましょう、今年度は幾ら作るかということは、そろばんをとっておりましょうけれども業者は、百八十トンというものを目標にしてやったわけではありません。今日の実際から参りますと、それが二百八十トン、ところによりましては三百トン以上もできるということになったのは、全く塩を作ろうという一生懸命の努力の結果であって、従って業者は、よけい作ってもうけてやろうという考えから出たわけではありません。こう思います。
  65. 川野芳滿

    ○川野委員 私の質問の要旨は、もちろん努力の結果で今日の成績をおあげになったということはわかります。しかし、今日流下式で二百五十トンも、あるいは三百トン以上も塩ができたというこの事実に対しましては、専売公社はもとより、実は業界も驚いておることであろうと私は察するわけであります。そういたしますると、予想外に多量の塩ができた、こういう点から考えますと、反面ある程度の値下げはやむを得ないのではなかろうか、かようにも私は考えます。そういう点から考えますと、今日専売公社示しておりまする漸減式の賞入れ価格、こういう方式も、ある程度妥当ではなかろうかとも考えますので、従って、この点からお尋ね申し上げておるわけであります。もちろん努力の結果今日の成績をあげておるということは、わかりますが、業界におきましても、予想外の好成績である、こういうことはどうでございましょうか。
  66. 平野亮平

    平野参考人 お答えいたします。お話はごもっともの点でありまするが、これは、先ほど申し上げましたごとく、塩が非常に多くでき過ぎたから、従って値段も下げるのが当然じゃないか、一面からいって、そういうお話もごもっともと思います。しかしながら、三百トンなりあるいは二百五十トンというような予想外に多くできたということの裏には、非常な借金をしておりましてそれで今申し上げましたように、百八十億も業者借金をしておりまして、一組合当り一億円くらいになっております。一億何千万円になっております。多いところは九億九千万円、十億に近い借金をして、それでこういうことを努力したのでありますから、その金利償却というような点で圧力を受けて、非常に困っておるから、せめて流下式転換が完成するまで値下げするということはやめてもらいたい。一方において、生産が増加したということは確かでありますから、自由企業ならば、需給の関係から下るのは当然でございましょうが、そういう自由企業でもありませんから、とにかくこの改良業の完成するまでは、価格問題に手を触れてくれるなということをわれわれは要望しておるのでありますが、これは、主として赤字関係から始終おっしゃっておるのでありますから、赤字も大事なことであり・まして幾ら損をしても、いいということは、私どもは申しませんけれども、これは、こういう変転期に際して、大事なときですから、少しがまんをしていただいて、タイムリーに、私二年ということを申し上げておるのですが、その予想よりも幾らか早くなりましたが、せめてことしだけはセーブしてもらいたい。将来の問題としては、お話しの通りでございます。
  67. 川野芳滿

    ○川野委員 次に、宮崎参考人にお尋ねしたいと思いますが、先ほど工業塩を、五千円に引き下げる、こういうお話を承ったのでございます。そうして昭和三十六年度に五千円、こういうことにしてあります。そうしますと、この際一時に五千円に下げても、この五千円の工業塩をお作りになる見込みがありますか。あるいはまた今日のごとく、五千円に引き下げて工業塩を作る見込みがないとするならば、何年後に見込みがある計画でございますか。その点をお尋ねしてみたいと思います。
  68. 宮崎輝

    宮崎参考人 これは、先ほど申し上げましたように、われわれの一応の目安としては、三十万トンのリミットで五千円以下に下げるということにしておりますが、しかし現在の状況は、パイロット・プラントを作ってやっておる程度でありますので、そのパイロット・プラントからいきなり三十万トンにいくのは無理でございまして、それで、その中間的の措置として、五万トン以内のものを作ります。従ってそのコストは五千円ではペイしませんので、その措置として中間的に、食料塩工業塩の中間価格でしばらく収納価格を抑え置きにしてもらいたい、こういうことを日本塩業政策としてとり上げていただきたいということを話したわけであります。そうして実際そういう中間的な工業塩措置をやってみましても、いろいろ設備の手直しとか、技術上の直す点がわかりまして、初めてほんとうの工業塩として確信を持ち得るわけであります。そういうことは、ちょうど税の場合に三年を限るとか、五年を限るとかいうことで免税措置がとられておると同じような措置をとっていただけないかということであります。それでは、何年くらいでできるかということになりますと、中間設備を作って実際やってみて、初めて具体的な案ができると思います。これは、私ども小名浜食料塩をやりました場合に、やってみましたら、いろいろな問題が起りまして、一年半かかりました、そういうようないろいろなトラブルが起りますので、これは、パイロット・プラントを工業化する場合には、必ずそういう問題が起ると思います。ですから、何年でできるということは、そのパイロット・プラントを作った上でないと申し上げられないと思います。今の考えでは、その中間設備を乗り切ってやってみれば、一年か一年半かかるのでありましてそういうふうにはっきりと見通しがついて、次に三十万トンはいつやれるかということは、今直ちに何年ということは申し上げられないと思います。
  69. 山本幸一

    山本委員長 参考人の方には、大へん御苦労さまでございました。   それでは、午前の会議はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。     午後一件八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕