運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-09-10 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十日(火曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 淺香 忠雄君 理事 有馬 英治君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    奥村又十郎君       加藤 高藏君    川野 芳満君       内藤 友明君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       久保田鶴松君    横路 節雄君       横山 利秋君  委員外出席者         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         食糧庁長官   小倉 武一君         日本専売公社副         総裁      舟山 正吉君         日本専売公社理         事         (塩脳部長)  三井 武夫君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 九月四日  委員石野久男辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同月六日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として石  野久男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  税制に関する件  金融に関する件  専売事業に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  参考人の招致の件についてまずお諮りを申し上げます。専売事業に関する小委員会におきまして、来たる十月三日たばこ耕作組合法案について、参考人出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よってさように決しました。  なお参考人人選等につきましては、委員長及び小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。     —————————————
  5. 山本幸一

    山本委員長 次に、税制に関する件、金融に関する件及び専売事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がございますので、これを許します。石村英雄君。
  6. 石村英雄

    石村委員 専売公社大蔵省側お尋ねいたしますが、現在塩の問題について、公社側が今後の方針なり何なりを業者にお示しになって、いろいろ折衝を続けられておるようでございます。また与党内部でも、小委員会を作って、いろいろ検討されておるようですが、現在塩の問題は、私よく存じませんが、めくらのかきのぞき式に見ると、どうも公社だけで解決のつかない大問題に逢着しておるのではないかというふうにも考えられるのですが、そういう根本的な論議は別といたしまして、まず第一にお尋ねいたしますのは、三十二年度国内塩生産見込量及びそれに対する塩田面積、また食料塩需要額というものを一応どのように組んでいらっしゃるか、お示し願いたいと思います。
  7. 三井武夫

    三井説明員 石村先生の御質問にお答えいたします。今年度国内塩生産につきましては、予算では大体八十五万トンの生産予定いたしております。実は、予算を編成いたします前に地方局から見込みをとりました際の集計では、九十万トンをこえているような報告がございましたが、一応予算では、八十五万トンということにいたしてございます。しかし、その後の状況を見ますと、この目標に対して多少上回るというような情勢になっております。七月までの確定した数字で申しますると、予定に対して一〇二%の実績ということになっております。これに対しまして、本年度の食塩の需要状況は、大体昨年度と大差のない状況予定いたし、食料用塩としては、大体百五万トン程度という予定で、ただいま遂行いたしております。この百五万トンの需要に対しまして、国内塩をもって充てますものは大体七十五万トン、それから輸入塩をもって充てますものを大体三十万トン予定いたしておりまして、ただいま大体計画通り実行いたしております。  塩田面積は、大体四千六百町歩であります。
  8. 石村英雄

    石村委員 この予定の八十五万トン、あるいは実績が九十万トンをこえるという数字、これは例の海水直煮とかいうものを含めての数字ですね。——いろいろ漏れ聞くところによりますと、三十二年度収納価格を、従来の一万三千円から六百五十円引き下げる、それを九月から実施したい、こういう御意向を持っていらっしゃるということですが、その通りですか。
  9. 三井武夫

    三井説明員 国内塩収納価格につきましては、御承知のように、塩田改良その他の増産方策につきまして、公社としては多年相当援助をいたしております。このために、多額の補助金を使い、あるいは国家資金をちょうだいいたしまして、これを援助して参ったのでございます。その目的は、国内塩増産をはかりまして、食料用塩国産塩でもって自給するようにいたしたい。そして、その増産に伴いまして、生産費が下って参りますので、その生産費の低下に応じまして、収納価格もできるだけ引き下げるようにいたしたいということで、従来やって参っておるのでございます。御承知のように、昨年度も四月一日から六百円の収納価格引き下げを行いまして、現在塩の価格は、白塩につきましてはトン当り一万三千円ということになっておりますが、その後の情況を見ますと、昨年度におきましても非常な増産が実現されたのでございますし、本年度は、ただいま申します通り、さらに生産の増強を期待できるというような状況でございまして、その後の生産費実情に応じまして、収納価格も、できますれば引き下げたいということで、今塩業者とその点の折衝をいたしております。
  10. 石村英雄

    石村委員 折衝をしていらっしゃるでしょうが、公社としての腹案業者示していらっしゃるんじゃないですか。あるいは交渉の余地を残されて、控え目に価格をお出しになったのかどうか知りませんが、一応の公社として妥当だとお考えになる収納価格というものを、お示しになっていらっしゃるんじゃないかと思うのです。お示しになっていたとすれば、その価格幾らであるか、明らかにしていただきたいと思います。
  11. 三井武夫

    三井説明員 塩業者示しました原案は、先生のおっしゃいました通り、一トンにつきまして六百五十円の引き下げをいたしまして、現在の白塩につきましては、一万三千円のものを、一万二千三百五十円にしたい、かようなものを示し折衝いたしております。
  12. 石村英雄

    石村委員 ただいま増産によって生産費が下る、そういうことから、収納価格を下げていくお考えで、そうして今度は一万二千三百五十円という腹案示しておるということですが、生産費幾らに抑えられて、この一万二千三百五十円という線が出たわけなんですか。
  13. 三井武夫

    三井説明員 本年度収納価格のただいま申しました引き下げ案の根拠といたしましたのは、三十一年度生産費実情公社で調べました結果に基きまして、それから本年度生産費を推定いたしたものでございます。その推定の数字によりますると、本年度生産費といたしまして、一万二千三百三十九円という数字を算出いたしまして、その端数を切り上げまして一万二千三百五十円、かように原案示したのでございます。
  14. 石村英雄

    石村委員 この生産費は、実際の塩田生産者の立場から見ると、この生産費以上のものもあり以下のものもいろいろあると思うのですが、この一万二千三百二十九円という生産費と同額、あるいはそれ以下のもの、そうしたものの業者生産量幾らに押えられていらっしゃるわけですか。つまりこの生産費でとんとんになるか、あるいは余剰が生まれるか、そういうところ塩業者の作る生産量、これは幾らに見ていらっしゃるわけですか。
  15. 三井武夫

    三井説明員 収納価格基準にいたします生産費の見方は、従来から専売公社といたしましては、いわゆるバルクライン方式をとっておりますので、全国真空式、あるいは蒸気利用式、その他の生産費実情を調べまして、その七五%のところバルクラインを引きまして、そのバルクラインにございます生産費実情もとにいたしまして、この一万二千三百五十円という数字をはじき出しました次第でございます。これは従来と同じやり方で、本年もこれをもとにして算定をいたしたわけでございます。
  16. 石村英雄

    石村委員 バルクライン七五%という線でこれをお引きになったのではありましょうが、しかし現実に塩を作るということになりますと、この生産費以上に生産費がかかるものは、一応赤字でできない、常識的に考えれば、一応赤字のものはやめるということも予想しなければならぬ。実際問題として、資本を投下しておるから、簡単にやめるわけにもいかぬこともあるかもしれませんが、理屈の上では、この生産的をオーバーするところは、一応やめることがあり得る、こう考えなければならぬと思う。そうすると、この生産費で償うところ生産量幾らあるかということは、公社とすれば、ただ七五%でいきさえすればいいというわけではなくて、この生産費十分生産ができるというところ生産量幾らあるかというくらいなことは御算定にならないと、塩の需給関係の責任を持っていらっしゃる公社としては、できないことじゃないかと思う。そんなことはおかまいなしに、とにかく七五%という線で引いて、出てきた結果はどうでもいい、塩ができようができまいが、そんなことはどっちでもいいというようなお考えではまさかないと思う。従って、この生産費以内で生産のできる生産量が三十二年度——これは見込みですから、あるいは狂いがあるかもしれませんが、一応公社としてのお見込み生産量というものは、立てられているのではないかと思うのです。そこで、その生産量幾らと見ていらっしゃるか、お伺いしたい。
  17. 三井武夫

    三井説明員 三十一年度生産量で申しますと、真空式生産高が五十万九千トンあるわけでございます。この五十万九千トンのうちで、ただいま申しましたバルクライン七五%ということにいたしますと、大体三十七万トン程度ところまでがこのバルクラインになる、こういう状況になっております。これを三十二年度に引き直しまして、計算の基礎といたしました。
  18. 石村英雄

    石村委員 三十二年度のこの生産費内での生産量は三十七万トン、こう見ていらっしゃるという御説明なんですか。
  19. 三井武夫

    三井説明員 今申しましたように、三十二年度に引き直してございますので、三十二年度計算いたしますと、三十二年度真空式製塩生産高は、大体六十八万四千トンになりますので、これに五十分の三十七をかけますと、大体四十六、七万トン程度になるわけであります。
  20. 石村英雄

    石村委員 そうすると、さっきの塩の需給量の御説明で、国内塩で七十五万トン、こういうことでしたが、この七十五万トンから四十六万トンを引いた約二十九万トンというものは——海水直煮の問題もあるかもしれませんが、大まかに言って、二十九万トンは、この生産費をこえるところ塩田からの生産量を見ていらっしゃる、こういうことになるわけです。つまり赤字で作れ、こう公社がお考えになるのが二十九万トンある、こういう計算になると思うのですが、そうなんですか。
  21. 三井武夫

    三井説明員 六十八万トンのうち、今申しました四十数万トン以外のものは、もちろんバルクライン線以下でございます。これは実際上赤字ということになるわけであります。それ以外の、お話しになりました機械製塩、あるいは平がまの内容が非常に雑多でございまして、個々の実情をとりますと、このバルクライン線内に入っているものもありますし、線外に出ているものもあるということで、これは非常にばらばらの状況であります。平がまのような非常に原始的な方法でやっているものでも、生産費は非常に安くできているというところもあるわけでります。
  22. 石村英雄

    石村委員 専門家ですから、詳しい御説明がある、こう私は期待しているのですが、一応流下式にしてうんと生産量がふえてくる、そこで生産費も下ってくる、こういうような御説明を従来から聞いているわけですが、この一万二千三百三十九円という生産費ででき上っている塩田流下式でかまいませんが、そういうところ生産量は、一ヘクタール当りどのくらいの数字示しておりますか。この生産費というものは、一つ塩田から塩がたくさんとれるかとれぬかで変ってくるのだと思います。もちろん反対に、経費がべらぼうにふえれば別ですが、一応流下式の効果があるというのは、経費よりも、それによっての塩の収納がよけいあるということから、生産費が下るということだと思うのです。そこで、一万二千三百三十九円という生産費の、つまり流下式塩田における限界点生産量ヘクタール当り幾らということが逆算して出てこなければならぬと思うのですが、それはお調べになっていらっしゃるのですか。なっていらっしゃるとすれば、そういうバルクライン線上の限界点における生産量は、一ヘクタール当り幾らか、お示し願いたいと思います。
  23. 三井武夫

    三井説明員 お尋ねバルクライン線上にある実際の何々組合生産量というのは、ちょっとここへ持ってきておりませんのですが、全体の平均をとってみますと、流下式昭和三十一年度全国平均生産量は、大体公社計算で、塩田一ヘクタール当り二百十トンほどになります。しかし、もちろん成績のいい塩田は三百トンをこえているようなところも、中にはあるというようなことであります。
  24. 石村英雄

    石村委員 私の聞いているのは、この一万二千三百三十九円という生産費にぴったり合う生産量、これを聞いているのですが、もちろん三百十トンもとれるというようなところは、出産費は一万二千三百十九円もかからない、一万円でできるかもしれない、そういう安いところだと思うのです。そういうように私想像しているのですが、塩のことは、よく実際のことを知りませんから、見当違い質問かと思うのですが、一応生産費というものを考えれば、そこの塩田生産量幾らであるというようなことから、生産費は同時に出てくるのだと思うのです。一方の経費ということももちろんありますが、一応の想定される生産量、かりにそれを百五十トンとすれば、百六十トンとれるところは、生産費はそれよりも安いというような常識的な考え方で聞いているわけですが、そんなことは全然ないのだ、このバルクライン一万二千三百十九円というところでどのくらいの生産量があるか、そんなものはわからぬ、とにかくただ七五%という線を引いて出てきた一万二千三百十九円にすぎないのだ、公社とすれば、この生産費で償う塩田における生産量、一ヘクタール当り幾らかというようなことは全然考えもしなければ、何もしていないのだ、ただ七五%というので、これを引いただけだということならまた別ですが、この点、明らかにしていただきたいと思います。
  25. 三井武夫

    三井説明員 生産費算定には、バルクライン線上の組合が一ヘクタール当り何トン生産しておるということは、直接の算定要素になっておりませんのでお尋ねに対して、的確な数字をお答えできないのでありますが、大体先ほど申しました全国塩田平均生産量二百十トン程度数量のものは、十分償っておるものと考えてよろしいと思います。
  26. 石村英雄

    石村委員 そういう御答弁の意味は、二百十トンできておるところは、この一万二千三百三十九円で十分もうかっておる、こういう意味で、ぎりぎりのところは、もうかりも損もしないというところは、二百十トンじゃなしに、百八十トンか、百五十トンか、そんなことは公社には全然わからないんだ、そういうことは検討してみたこともない、こういう御趣旨なんですか。
  27. 三井武夫

    三井説明員 それはお尋ねバルクライン線上にあります具体的な何々組合成績を調べれば、何トンという数字は出ておるのであります。実は、それを、先ほど申しましたように、ここに持ってきておりませんので、的確なお答えをいたしかねるのでありますが、必要があれば、その数字はお出しいたしたいと思います。
  28. 石村英雄

    石村委員 それは、いずれ出していただきたいのです。  そこでお尋ねするのですが、この一万二千三百三十九円は、七五%というバルクラインを引いて出た数字だというのですが、それ以上の生産費のかかるところは、とにかく赤字だ、こういうことになるわけなんですね。そういうところは、公社とすれば、どういいお考えなんですか、赤字を続けても生産することを期待するというわけにいかない、そんなところはやめてしまえというお考えか、それとも、ことしは赤字だが、来年からは生産量ももっとふえるだろう、流下式ですか、この枝条架もたくさん作るとかなんとかということによって、——現在もやっておると思うのですが、それがさらに増設されて、生産量がふえることによって、そういう現在赤字ところ赤字でなくなる、こういうお考えなんですか。やめてしまえというお考えか、それとも、来年からは黒字になるわけだから、引き続き生産を続けろというお考えか、どっちか。これは業者とすれば相当重大な問題だと思うのです。毎年赤字が続くものなら、早くやめた方が気がきいておる、来年からはもうかるんだということなら、やってみようかというところもあるでしょう。慈善事業でやっておるわけでもないし、借金をかかえてやっておるわけですから、この点をはっきりさせてもらわぬと、業者は、増産にいそしむというわけにいかぬので、一つ根本的なお考えをお示し願いたい。
  29. 三井武夫

    三井説明員 バルクライン方式と申しますものは、もうすでに先生承知通りで、たとえば塩の場合でありますと、七五%のところバルクラインを引きまして、それによりまして価格をきめるわけでありますが、現状におきましては、それより下の二五%のものは、赤字が出ざるを得ないというわけであります。しかしそれに対しまして、公社としては、従来から塩田改良を行い、あるいは煎熬方式改良に対して援助するということで、極力成績の向上、能率的な経営の可能であるような経営形態への転換も奨励しておるわけであります。現在その二五%のバルクライン以下の赤字のものに対して、いつまでも赤字であってほしくないわけであります。それを何とかして引き上げよう、バルクラインの上に引き上げようということで、努力をしておるわけであります。ただ、それじゃ、来年になればどうなるかと申しますと、来年は、やはり生産費実情が変って、毎年生産状況が変って参りましたところで新しく判定して、また七五%のバルクラインを引かなければならぬということになるわけでございまするが、ただその全体の生産費の上限と下限との幅は、今申しました経営合理化改良によりまして、非常に縮まって参るわけでございます。かりに生産費実情バルクラインの下にいくといたしましても、従来のようなひどい下でなしに、バルク・ランイにごく近いところへやってこられるということになって参るわけであります。生産費バルクライン方式というのは、大体そういうふうにならざるを得ないものと承知しております。その幅をできるだけ狭くするというところに、私ども努力目標があるのであります。
  30. 石村英雄

    石村委員 そうすると、公社とすれば、バルクラインというものが絶対なものであって、塩の生産がどうなろうと、バルクライン業者がそれによって生産的が償おうが償うまいが、とにかくいつまでも七五%という線を引かなければならぬ、バルクライン絶対主義だとお考えになっていらっしゃるのですか。バルクラインというものを私はよく知りませんが、これは、やはりいろいろ需給関係考え、そしてそれによる生産費を定め、そして価格を決定するという一つ手段にすぎないのじゃないか。その手段の方が根本であって、あとのことは、その手段に従属せよということは、ちょっとおかしいと思うのです。大体私は、塩のようなものにバルクラインを引いて価格をきめるということが妥当かどうか、相当問題だと思うのです。米なんかのように、もうかろうが、もうかるまいが、飯米農家というものがあって、米の価格が安くても、とにかく自分が食べるだけだから作る、商品化しないというようなことで作るというときには、バルクラインをどの程度に抑えて米の価格をきめるということも、一つ考え方だと思うのですが、塩では、そういうことはちょっと無理ではないかと思うのです。そんなことは、無理でないにしても、バルクラインが絶対で、毎年々々七五%の線を引いていかなければならぬというのは、どうかと思うのです。これはバルクラインというものの理解が私十分でありませんで、見当違いなことを聞いておるのかもしれませんが、一つこれは副総裁の方から、こういう収納価格を決定する生産費について、バルクライン七五%をいつまでたっても続けなければならぬものかどうかということを、御答弁いただきたい。
  31. 舟山正吉

    舟山説明員 バルクライン方式をとっておりますのは、この塩におきますように、一種の公定価格をいかなる方式できめるか、いろいろ考えられると思いますけれども、こういった場合には、このバルクライン方式によりまして、ある線以上の能率を上げておる生産費というものを基準にするということが必要かと考えます。このバルクライン以下と申しますか、それにはずれておりますものにつきましては、あるいは経営合理化されておらぬとか、あるいは生産費が非常に高くなっておるとかということでございまして、これを基準にして価格を、決定いたしますと、高能率を上げておるものにつきましては、不当な利益を与えることになる。そこで、公定価格をきめます場合には、バルクラインというものがしばしば使われておる。これもその一つの例であると考えております。  それから塩の収納価格を次から次へと毎年下げていくのかどうかという問題につきましては、私ども国際価格等も勘案し、この国内塩業の安定を得ますためには、四、五年のうちには一万円程度ところ引き下げていくことが必要であり、またこれが可能であるという見通しをとっております。この目標の線に沿いまして、バルクライン方式を採用いたしまして、ここ四、五年の間は、年々価格を下げていくということはやむを得ないことかと考えておる次第でございます。
  32. 石村英雄

    石村委員 そのバルクライン線内の生産量幾らあるかということを聞いたのですが、それによって、線外のものは一応やめるということも考えなければならぬ。そうすると、その線内で塩の需給が十分まかなえるという確信を公社としては立てて、そのバルクライン七五%をお作りになる、こう考えなければならぬと思います。お前のところは、バルクラインで引いた線から見ると赤字になるが、しかし塩が必要だから、赤字でも作れということにはいかぬと思う。だから、公社生産費バルクライン七五%をちゃんと向う五カ年間に固守せられて、毎年変っていくと思いますが、だんだん生産量がふえれば、同時にバルクライン七五%を引いていくとずっと上っていく。価格を決定されるところ生産費は下っていくことになると思いますが、そのうちで、需給が完全にまかなえる数量を押えていかれるのが当然ではないかと思いますから、先ほどから三井さんにバルクライン線内の生産量幾らかということを聞いたのですが、どうもはっきりしたことを見定めていらっしゃらないようです。そこで、五年間に一万円に下げるという目標は、下るということはけっこうなことですが、年々生産費を下げられて、それがバルクライン七五%を毎年やっていかれると、来年になればうまくそのうちに入れるものはいいが、だんだん下げられるわけですから、やはりいつまでも下のものはいるはずです。そういうものは、この際思い切ってやめてしまえということを公社はお考えになっていらっしゃるといわざるを得ないと思いますが、そうなんですか。もう見込みのないものはやめろというのですか。年々七五%で線を引くと下っていくから、とにかく赤字のものは、向う五年間も赤字が続くものがどこか出てくるはずであります。そういうものは、思い切って廃業しろというお考えを持っていらっしゃるわけですか。
  33. 三井武夫

    三井説明員 実は、従来の公社考え方は、何とかして非能率塩田に対してましては、能率の向上のためにあらゆる施策を講じまして、その成績の増進することを援助する方策で参っております。能率の悪い塩田に対しまして、積極的に整理するというようなことは、公社考えて参らなかったのであります。ところが、先ごろの全国塩業者が東京に集まって大会を開催いたしましたときに、いろいろの事項につきまして決議がなされまして、公社にもそれを提出して参ったのでありますが、その一項目に、業者の方から、非能率塩田の整理をやってもらいたいという要望が出て参ったのであります。これは、公社の従来の考え方からいたしますれば、全く予期しなかったわけでありますが、業者の間にそういう声が出て参ったということで、それ以来、この問題につきまして、公社としてもいろいろ検討をいたしております。将来一そうこの生産費合理化をはかりまして、収納価格引き下げをいたさなければならぬ。また一方では、御承知のように、内地塩の生産が最近非常に増加いたして参りまして、食用塩の必要量以上の生産がごく近年のうちに出て参るというような情勢にともなって参りましたので、そういう状況でありますれば、従来のように、塩田を少しでも減らさないようにして、できるだけ全体にわたって生産を増強するという方策につきましては、相当検討の余地が出て参ってきたと考えていいのではないかということで、非能率塩田の将来の対策ということにつきまして、いろいろと相談をいたしております。現在塩業者といろいろ相談をいたしておりまする問題の一つといたしまして、やはり非能率塩田をどうするかという問題が出ておるのでありまして、あるいは業者の間で、いわば従来持っておりました非能率塩田の許可数量というものを、何らかの形で数量を譲り受けまして、それを自分の方の能率のいい塩田に統合いたしまして、そして能率のいい塩田をさらに能率化するというような方法も考えられるのではないか。あるいは積極的に何らかの補償をして、非能率塩田の整理をするというようなことも考えられるのでありますが、どういう方法でこの非能率塩田整理の問題を考えたらいいかということは、ただいま塩業者の意見も十分に聴取いたしまして、その上で方針をきめたいというふうに現在は考えておるのであります。
  34. 石村英雄

    石村委員 どうも三井さんの御説明は、責任を業者に転嫁されたような御説明であります。従来公社とすれば、塩田の整理なんということは考えずに、どんどん塩田の施設を改良して増産に励め、こういう方針でやっておったのだが、業者が今度大会を開いて、非能率はやめましょう、何とか整理しましょう、こう言い出してきたのだ、こういう御説明ですが、業者の方は、中には全然見込みのないという塩田もあるでしょうが、みんな従来公社の方針に従って、また公社も援助せられて、農林中金から金を借りるとか、あるいは市中銀行から金を借りるとかして、いろいろ大金を投じて改良してきた。ところ公社の方で、毎年々々七五%のバルクラインというものをお引きになっていくと、終生赤字だというものが生まれてくる、こういうことになるわけです。そこで、業者もあきらめて、何とかしなければならぬということになって、そんなことを言い出したのじゃないかと思うのです。公社の方針はそうじゃなかった、全部塩田改良して、生産量を上げようと考えておった。ところが、業者の方でさじを投げてそんなことを言ってきたから、渡りに船でそういうことをしようという御答弁のように聞くのですが、責任回避で、はなはだおかしな答弁だと思うのです。副総裁も、やはりそういうお考えなんですか。従来の公社の方針を踏襲していく方針であったが、たまたま業者の方から塩田整理ということを言うから、今業者と相談しておる。業者とすれば、おそらくごく一部のものは、もうあきらめておるかもしれません。しかし多くの、現在このバルクライン七五%を引かれて赤字になるところも、大へん多くの金をかけておるのだと思う。自分の金ならまだいいが、農林中金やその他の金を借りてきてかけておる。流下式がいい、真空式がいいというので、じゃんじゃんやった。ところが、これは生産条件その他で、全部やって、同時に同じ三百トンになるというわけではなくて、百八十トンもあろうし、二百五十トンもあろうし、二百トンもある。その少いところは、これはいつまでたってもバルクライン七五%のにしきの御旗で赤字にならざるを得ぬ。そこで業者は、こいつは困ったことになったというのが実態じゃないか。公社は、今までのそうした指導に対する責任というものをどのように考えていらっしゃるか。公社の本意じゃないが、業者がそう言ったからやるんだというお考えですか。従来の公社の方針が、流下式生産量に対するはっきりした見通しを持たずに大いに増産された。まあ私の邪推かもしれませんが、今年の百五万トンの食料塩需要量に対して、七十五万トンは国内塩でやる、三十万トンは輸入塩でやるということは、おそらく、これは私の間違った考えかもしれませんが、七十五万トンの方は、現在は一万三千円、輸入塩の方は、安い、そこでプールして公社は何とかやっておる。ところが、七十五万トンと思っておった生産量がうんとふえてきた。勢い輸入塩によって安い価格の塩を食料塩にかえるという分がなくなった。公社のもうけが出る出場が狭くなった、あるいはゼロになった。そこで、これは下げようということになったんじゃないかというように考えられる。まあバルクラインというにしきの御旗もあって、どうしても下げていかなければならぬのかもしれませんが、どうもその点、公社の従来の指導方針その他から考えると、矛盾したことがやられておる。そうして、それをすべて業者の責任だという形で処理しようとなさっていらっしゃるんじゃないか、このようにとれるのです。これじゃ、おそらく、農林漁業金融公庫なんかも相当不満じゃないかと思う。そんなことをされたら、金を返してもらえるかもらえぬかわからぬということになってくる。おかしなことになりはしないかと思うのですが、どうなんですか。
  35. 舟山正吉

    舟山説明員 塩脳部長が申し上げましたことは、決して塩業者塩田整理というようなことを押しつけるというのじゃございませんので、たまたま塩業者の大会におきましてそういう話題が出たということを、御披露申し上げたのでございます。塩の生産につきましては、ごく最近まで、公社といたしまして増産奨励に努めてきたことは事実でございます。これはいまさら申し上げるまでもなく、終戦後塩田も荒廃いたしまして、国内の塩の生産量も非常に減りましたので、これは何とかして復旧しなければならぬということでやって参ったのでございまするが、最近におきまして、製塩技術の向上と申しましょうか、御承知流下式とか、あるいは煎熬方法の改善というようなことによりまして、非常に増産の実があがって参ったのでございます。そこで、これ以上増産をそのままにしておきますことは、公社の塩会計の将来に非常な負担をかけることにもなりますので、ここで政策の転換が、真にやむを得ない事態に立ち至った次第でございます。こういうような事情につきまして、公社といたしましては、塩業者だけに責任を負わすというつもりはございませんので、最近業者に内示いたしました、今後の塩業対策というものにつきましても、公社は、今後数年にわたって、相当の赤字も負担することをあえて引き受ける、こういったような案になっておる次第でございます。決して御指摘のように、塩業者だけに責任を転嫁するという、あるいは損失を負担せしめる、こういう気持でやっておらないことを御了承願いたいと存じます。
  36. 三井武夫

    三井説明員 私の御答弁が責任を回避したというふうにとられましたのは、非常に残念でありますが、従来専売公社が、塩田の整理ということについて非常に消極的であったということは、石村先生よく御承知通りだろうと思うのです。前に塩田を他の用途に転換するという問題が起りましたときにも、専売公社は、各方面の御要望にそむいて、敢然として塩田を守るということで、ついにその公社の希望が実現したことは、よく御承知通りでございます。従来公社が、塩田の反別が減るということについて非常に神経質であった、消極的であったということは、これは私が申し上げるまでもないところであります。私自身も、この従来の方針を踏襲いたしまして、塩田の整理ということにつきましては、最も消極的な考えを持っておったのでありますが、最近におきまする塩業者大会の要望に押しやられまして、公社の責任において、初めてこの問題を取り上げたということを申し上げたいのであります。どうぞ一つ御了承願いたいと思います。
  37. 石村英雄

    石村委員 そういう事実を知っているから、私は言うのです。あなたの方で塩田の整理をしないで、とにかく、一つ塩業者しっかりやれといって鼓舞激励して、補助金を出し、金の心配をしておやりになった、まことに善意をもっておやりになった。ところが、その結果はこういうことになった。なさったことは善意であったかもしれない。今度でき上ったことは、どうも情があだになって、どうにもならなくなった。どうにもならなくなったから、私をして勝手なことを言わしていただくと、あっさり整理するとかなんとかいうようなことは言わずに、価格の方で真綿で首を締めて、業者の方が自発的にやめることを決意するように、バルクライン七五%とかなんとかいって、孫子の代まで赤字が続くような方式を続けるということになって、業者自体が、もうこれは何とかやめるかどうかしなければならぬということになるのを期待されたかどうか知りませんが、そういうように仕向けられて、そうして今度いろいろなことを言い出されたということは、善意であったから過去の責任を問うなといわれれば、別問題ですが、やはり公社としての責任は、過去のことが善意であったにしても、考えなければならぬ問題じゃないか。そうして、私はこのことが二十五年の閣議ですが、国内塩の自給態勢を確立するというようなことがあって、食用塩だけは今後も必ず国内で作るという大方針をくずさずにやっていかんとする以上は、従来のやり方が悪かったとは言えないと思う。見通しを誤まったということは言えますよ。そういう閣議の方針にも従っておやりになったのだと思う。ところが今度こうなった跡始末ということです。跡始末については、これは実は公社でやろうとしても、私は無理じゃないかと思う。公社が、この整理について相当考えるということですが、どれだけの金を投げ出す余裕が公社にあるか私は存じません。二十億、三十億、あるいは五十億になるか知りませんが、まあそれだけの今まで投資したものを側とかけりをつけるということは、公社では私は簡単にいかぬのじゃないかと思う。塩の問題は、せんだっても大蔵委員会で香川県及び山口県に行きまして、山口県では、例の徳山曹達でやっておるところのイオン交換樹脂による鹹水をとる方法、あるいは通産省の工業試験所がやっておる冷凍法というようなものを見て参りました。通産省の研究は、まだもっと企業的な検討を加えなければならぬのではないかと思うのですが、イオン交換樹脂の方は、ほぼ一応技術的には完成しておるのではないか。今後の改良ということはもちろんあるでしょうが、一応技術的には完成しておるということも考えられる。こうすると、今後の塩業問題はどうするかということにも、私は逢着してくると思う。単に流下式による増産という形だけでなしに、ああいう新しい方法による製塩、そうして生産費の低下ということも予想されるわけなんです。そうすると、大きな問題になってきて、この際私は、公社とすれば政府に打ちあけて、公社で処理をしようなんという、まあ無理もない考え方と思いますが、とうていそれはできないことじゃないかと思うわけなんです。あっさり政府と今後の虚業の行き方について打ちあけて、御相談をなさってやらるべきじゃないか。今度一応出された生産対策というものも、もっと突っ込んで検討しなければなりませんが、おそらく姑息な案にすぎないということに落ちつくのじゃないかと思う。この点、副総裁はどうお考えなんですか。やはり公社の立場で大体処理できていく状態だとお考えなんですか。
  38. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの段階では、公社といたしましては、塩業者と十分に協議いたしまして、今後の行き方について何かいい方法はないかと相談している段階でありますが、何の方策を立てるにいたしましても、結局公社の会計は国の会計とつながっているのでございまして、終局におきまして、政府に何らかの御相談を持っていかなければならない関係になっているわけでございます。
  39. 石村英雄

    石村委員 そこで、今の弱小業者の統合について、業者と話し合っている、あるいは非能率企業についての整理ということも考えているということなんですが、これに対する公社の具体的な腹案はどうなっているのですか。もちろん業者折衝せられるということですから、最後の案がきまったというわけでもないでしょうが、そういう折衝に臨まれる公社腹案はどうなんですか。
  40. 舟山正吉

    舟山説明員 公社が今後の塩業政策につきまして、塩業者に内示いたしまして相談いたしております案におきましては、今後いかに経営改善をいたしましても成り立っていかぬような塩業者等につきましては、他の塩業者にその実績を、俗な言葉で申しまして買い取ってもらうというような方式はいかがか、言いかえれば、まず業者間で利害の調節を第一段階としてやってもらうことはどうか、こういう案になっております。
  41. 石村英雄

    石村委員 業者が製塩権を買い上げる、そうしてそれに見合うだけの塩の収納価格は一方で公社考える、一口に言えばこういうことなんですが、買い上げてみたところで、別に変ったことはない。従来同様の何ということになったのでは、買う人も買わないと思う。やはりその点、価格面で考慮するということがあるわけなんですか。
  42. 三井武夫

    三井説明員 実は、それにつきましては、先ほど申しましたように、現在の国内塩生産状況は、食料塩の全量をまかなってなお余剰が出てくるというような時期が、間もなくやって参るというように考えられます。そうなりますと、食料塩としては要らない、余った塩をどうするかということで、これはやはり工業塩に振り向けるよりいたし方がなかろうというように考えております。その場合に問題になりますのは、工業塩に振り向けるといたしますれば、やはり相当その塩は安く供給して、現在輸入塩を使っておりますソーダ工業等で大体輸入塩を使うのと差異がないような価格で引き渡さなければならぬということを前提にいたしまして、将来の収納価格を、食料用塩としてはあるところまでは買い上げますけれども、それをこえて生産いたしました分につきましては、食料用塩価格とは別に、安い工業用塩の収納価格を設定いたしまして、それによりまて収納いたす、こういう考えを持っております。その食料用塩の買い入れの限度をどこら辺にするかということが、今実は非常にむずかしい問題になっておるわけでございますが、その限度を一定のところに定めておきまして、そして、それをこえまするものは、一応工業用塩になるのでありまするが、現在たとえば自分のところのすでに持っております能力がその一定の限度をこえている、それをいきなり工業用塩の安い値段で買われたのではなかなか困るので、何とか食料用塩の値段で買ってもらえる限度をふやしてもらいたいという業者がありました場合に、その業者が他のいわば能率の悪い塩田を持っておりまする業者の権利を買って参りました場合に、従来その能率の悪い塩田生産量の幾分というものを食料塩の限度に加えてやるということになりますれば、その買いました業者は、明らかに工業用地の安い値段と食料用塩として買ってもらえる値段との差額の分だけは利得するわけであります。そこから相当のそろばん勘定が出て参ります。一定の範囲内であれば権利を買ってこられるのではないか、権利を買ってきてもその方が得ではないかというそろばんが取れて参ります。   〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕  そういうふうな方法で業者間の権利の売買を認めまして、これは、権利の売買と申しますると多少誤弊がありまするけれども、実質は権利の譲渡を認めまして、譲渡を受けました業者には、この分だけ食料用塩として買ってやる範囲を広くする、そういう考え方で今相談をいたしております。
  43. 石村英雄

    石村委員 ただいまの御説明についても、いろいろ問題があるように考えるのですが、時間も相当たちましたので、他の質問者があるようですから、私はきょうはこの程度にとどめたいと思います。  そこで委員長にお願いしておくのですが、この問題はもっと業者か、あるいは塩業労働者なり何なり参考人を呼んで、十分実情を聞き、論議をしなければならぬ問題だと思う。根本政策にこれは逢着してきた。ただ今までのような、毎年々々の価格をどうするかというだけの問題ではない、大問題になってきたのだと思います。従って、そういう参考人を呼んでいただいて、国会でもこの問題を真剣に考え公社にまかせないという意味じゃありませんが、われわれも一つ塩業政策について根本的な対策を考えなければならぬ時期に到達しておると思いますので、そういう参考人を招致して、御意見を聞くという機会をお作り下さらんことを委員長にお願いいたしまして、私のきょうの質問はこの程度にとどめます。
  44. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 今石村さんからお申し出の件につきましては、明日の理市会に諮りまして、参考人人選等もきめていただくし、その御趣旨に沿うような取り計らいをいたしたいと思います。  井上良二君。
  45. 井上良二

    ○井上委員 ただいま石村君が質問をしております塩業対策及び内地塩の価格問題に関連して、確かめておきたいのですが、この問題は、私が先般本委員会で、工業塩の野放しの問題について意見を聞いたことがあります。当時、工業塩を従来政府が一手に輸入して、これをソーダ会社その他工業塩の需要者に払い下げをいたしておりましたのを、本年これを各需要者の直接扱いに切りかえて、単に政府は、その手数料の一部をもらっておるにすぎない形に改めておりますが、最近聞くところによると、内地塩の流下式製塩が非常に発展をして参りまして、食料塩としては、これ以上生産されては塩の専売経費がますます赤字になる、よってもうこれ以上増産してはいかぬ、増産を今まで奨励してきた専売局は、反対に、最近は生産を縮小してもらいたい、単に縮小を業者に要求するのみならず、一定量以上の生産をされた者に対しては、これからもう六百五十円ですか、四百五十円ですか、よく覚えていませんが、そこらぐらい価格を下げて、多分内地塩は一万三千円くらいで買い上げているのじゃないかと思いますが、それを下げていく、こういうことが最近専売局の意見として発表されておるということから、全国の製塩業者は、非常にこれは重大な問題であるとしまして、当局にもそれぞれ代表者が上京して陳情しているのでないかと思いますが、一体政府がさしあたり生産をいたしております現在の食料塩の余分、もうこれは要らぬ、これ以上できたら工業塩に切り落さなければならぬと予想する量はどのくらいですか。それから、それのおよその年間価格はどのくらいになりますか、それを明らかにしてもらいたい。
  46. 三井武夫

    三井説明員 お尋ね食料用塩としての需要量は、大体百十万トンという計算をいたしております。これに対しまして、現在の虚業をそのまま何らの手を加えないで、従来のようにいわば増産に対する措置を継続して参りました場合には、大体昭和三十六年になりますると、百五十万トン程度生産が出て参る予定でございます。そういたしますと、四十万トンが余ってしまうという結果になりまするので、今後の生産の増強ということにつきまして、多少従来と手段を変えまして、現在の計画では、一応それを百三十万トン程度にしていって、余りまする二十万トン程度のものを、何とかソーダ工業用に振り向けたい、こういうふうに考えております。それで、お尋ねの金額ですが、もしもかりに現在の一万三千円の収納価格を一万円に下げたとして、そしてソーダ工業に売ります価格を大体五千円といたしますると その五千円と二十万トン、あるいはもうちょっと落ちた場合には四十万トンを掛けました金額が公社の損失にならざるを得ない、こういうことになります。
  47. 井上良二

    ○井上委員 三十六年度になれば、大体内地塩の食料塩は百五十万トンの生産が見込まれるというその生産見込み生産施設ですが、生産施設は流下式に全塩田がなるという一つの見通しで、こういう数字が出ておりますか、それとも入浜式塩田がそのまま三十六年も残っていきまして、それでそういう数字が出ておりますか、そこらはどうなっておりますか。入浜式塩田はまだ相当全国改良されずにあろうと思いますが、これら零細塩業田は、一番大きな被害をこうむるのではないかと思うが、そういうものは将来流下式——従来専売局が奨励しておりましたように、生産施設資金を援助いたしまして、流下式に全体を改良さす、その結果が百五十万トンできる、こういうのですか。もう流下式の製塩方法については奨励しない、資金もその他の援助対策も打ち切るという見通しにおいてこういうことになりますか、そこらはどうなっておりますか。
  48. 三井武夫

    三井説明員 初めに申しました百五十万トンという予想は、全国塩田で、現在入浜式のもので流下式に転換し得るものはすべて転換させる。そうして、地形その他の関係から流下式にどうしても転換できない、つまり入浜式のままで残るものは約三百町歩、そのほかに機械製塩を現在許可しているものは全部やらせる、あるいは岡山県の新しい塩田干拓工事なるものは全部予定通りやらせる、こういうふうに計算をいたしました場合に百五十万トン、百三十万トンと申しましたのは、これからの生産増強につきまして、現在塩業者折衝を重ねておりまする二段価格方式というものを実行いたしました場合、塩業者もそろばんをはじきまして、従来のような生産増強は多少勢いが弱まりまして、その結果、大体現在一定の基準以上に、つまり食料塩として買ってもらえる以上に能力を持っておりますところは、その能力をフルに使いまして生産を継続する、そして基準量に達しないところは、やはり基準量に達するまで今後多少の改良をして、基準量は確保するというような計算をいたしました場合に、大体百三十万トン程度生産ということで計算をいたしております。
  49. 井上良二

    ○井上委員 問題は、しぼってしまえば、大体政府は二十万トンくらい三十六年度になれば余るという見通しが立つから、今のうちからそのような余剰製塩をさせないように対策を講じよう、こういう遠大な計画を立てられているようであります。そうしますと、工業塩はほとんど輸入をいたしておりますが、これは、この前もここで私議論をいたしましたように、現在ソーダ工業その他は、新聞を見ましても、相当の配当をやっている。株価もなかなか強い。そういう巨大資本に対しては、きわめて手厚い塩業対策をおとりになる専売当局が、わずか数反の塩田経営して、ただできた塩は専売局が一手に買うてくれるということだけを唯一の望みで営々と製塩をしておる零細塩業者の頭をたたく、こういう塩業対策というものはなっていないのです。少くとも外塩を輸入いたしとまして、従来一手にこれを持っておった専売当局が、従来のように一手に輸入して、そうして事実ソーダ工業その他が経営が成り立たぬというのならば、これはまたそれによる製品の輸出その他に影響して参りますから、これは、国策として、その企業の援護対策も考えなければなりませんけれども、現実に一割以上の配当を続け、株価も他の工業株価に比べれば相当堅実な株価を示しておる場合において、何ゆえにこの方だけ手厚い塩業対策をとらなければならないか。これをもし一手に政府が握りますならば、片一方の国内製塩の問題は、簡単に解決するじゃありませんか。わずかトン当り三百五十円か四百円ぐらいの頭打ちをしなくても、片一方で十分その補いがつくじゃありませんか。どういうわけでさようなことをいたすのでありますか、これは政務次官及び副総裁から伺いたい。
  50. 舟山正吉

    舟山説明員 ソーダ工業の外塩自己輸入の問題につきましては、これは戦前もやっておりました制度でありますが、それを昨年の四月から復活をいたしましたゆえんのものは、お話しのございましたように、これらいわば国際商品とでも申すべきものを扱う会社につきましては、国際競争その他の関係から、やはり安い塩を使う必要がある、こういうことでございます。反面国内の塩の価格というものは、長年いろいろの事情で、国際価格とは非常にかけ離れた高いものになっております。これをソーダ工業会社に使わすことは適当でないという趣旨に基いたものでございます。そこで公社といたしまして、国内の塩業というものは、それ自体は今後も育成して参りまして、食料塩に充てます以外の余剰分につきましては、ぜひとも工業塩に使用できるように、一方においては、技術的の研究もいたしますとともに特に問題の中心となりますのは価格でございますから、ソーダ工業会社に国際価格水準で売れるように、塩業界を指導していきたいと考えておる次第でございます。
  51. 井上良二

    ○井上委員 そんな説明を私は聞いておるのではない。これは、やはり国際収支の帳じりにも影響する問題です。さらに、食糧庁長官が隣におすわりでございますが、御承知通り、国内の米の生産費は、国際的には非常に高くついておる。しかし、それでもやはり生産をできるだけ増強して、国内自給態勢の向上をはかっておる。そうしてまた、その集荷には、異常な集荷費を使って集荷をしようとしておる。塩の場合には逆になっている。国内塩がどんどん生産されてくると、その価格をたたくとか、それ以上作ってはいかぬ、そういうものの考え方を根本的に改めなければならぬ。だから問題は、今申します工業塩を、ある程度国内塩の損害をカバーするためにつり上げたって差しつかえないのです。一定の国際競争に備え得る、あるいは国際競争に耐え得なくても、最小限度まで背伸びすればがまんできるという線までは、工業塩の方でも多少がまんをしてもらう。工業塩の方が非常な赤字でどうにもならぬというのなら、これは私は何とも申しません。今申します通りに、ソーダ工業その他関係の工業塩を使います会社は、それぞれ多額の利益配当をやっているのです。もうかっているんじゃないですか。だから、それをトン当り三百円、五百円上げたからというて、その会社の利益が大幅に下るとは、われわれ考えられない。だから、この際工業塩を多少、三百円なり五百円なり上げてもらう。それを内地塩のカバーに使う。将来内地塩の生産コストをできるだけ安くするために、その指導に必要な経費としてこれを見ていくということにいたしますなら、塩業政策としては最も合理的なやり方じゃありませんか。そういうやり方をおとりになる考えはありませんか。そこで、そのことを聞いているのです。
  52. 舟山正吉

    舟山説明員 ソーダ工業会社の入手いたします材料といたしましては、国際競争に対抗するため、その他ぜひともこれは安い塩が必要であろうと思うのであります。現存公社といたしましては、これは、ソーダ工業会社が自己の責任において、国際価格でこれを買うという制度にいたしたのであります。国内の製塩につきましては、これを食用塩以外、工業塩にも使えるように、問題の中心は価格でございますから、これをできるだけ安くできるように、こう持っていきたいと考えておるのであります。
  53. 井上良二

    ○井上委員 それは舟山さん、あなたはどうかしているよ。工業地は、御存じの通りソーダ会社が中心として使っているのです。その方はあんた、えらいお手厚い手当をいたしておるじゃろう。今まで握っておったやつを手放して、安いものを御自由にお買いなさいといって、今まであなた方でやっておったやつを放した 塩は専売ですよ。専売品を自由に扱わせること自身が問題なんです。これは、工業塩であろうと食塩であろうと——たばこを見てごらんなさい。どういう扱いをしているか。一つでも外国のたばこを売ったら、ひどいことになるんやぜ。それほど厳重な扱いをしておきながら、工業塩だけは野放しにしてそれでいいとお考えになっているのですか。そこに問題があるのです。それで、一方食用塩は、やいやい言うて、生産せよ生産せよといって扇動しておいて、やっと目標を達成したらもう要らない、これから先はただだ。そんなむちゃな話がありますかいな。片っ方はどんどんもうけほうだいにもうけさせておいて、片っ方は資金がないのにいろいろな工面をして、そうしてあなた方の方もいろいろなお手当をして、価格もできるだけ安くし、生産力もできるだけ高くするようにして骨折って、やっと最近でき上ってきた。この十年間どれほど苦しんだか。でき上ったら、それは要らぬという、一体そういう無慈悲な考え方がありますかい。そうでしょう。だから、工業塩と調整をとりなさい。工業塩は、専売品からはずしてしまうのですか。要らぬのですか。そうはいきますまい。やっぱりこれにもあなたの方がいろいろ手当を考えているのです。そうすれば、総合的にやっぱり対策を考えてやらぬといかぬ問題です。また将来増産されてくれば、あなたの方は、工業塩にでざるだけ使うようにしよう。このためには、いろいろ生産費を安くするようにしよう。対策も指導もしよう、こういうことになっているのでしょう。それで、その結果は外貨をできるだけ節約しよう、こういうことじゃないか。それなら、当分の間工業塩と抱き合せで応急対策を講じていくということが、そこへ到達するまでの一つの過程でなければならぬ、私はそう思うのです。それが最も親心のあるやり方である。そうしなければ、国内製塩業者はほかに仕事がないので、しようがないから、しょうことなしにこれをやっておるのです。そんなことをされたもんならたまったもんじゃない。流下式で、今塩田生産方式も違うし、コストもいろいろ変ってきている。それをあなた方は、合理的にやろうとしておるのかしれないけれども、そのしわは、結局入浜塩田の塩を煮つめておる、あの非常に原始的なやり方の方に多くしわが寄ってくることは、われわれ予想し得る。どうしても大資本で大経営をやっておる流下式の製塩業者の方には、そう大きなしわは来ない。ほんとに入浜塩田の家族労働を中心に働いておる方面に多くのしわがくる。それはあなたの方にも、塩を扱っておるいろいろの地方の事務所にも出張して陳情にも要請にもよう行かぬのです。行くだけの経費もなければ時間もないのです。それらの地方のおえら方を納得させ、得心さしていわゆるうまくやっているのは、地方の流下式なりその他の大きな資本を投下して動かしておる地方の大資本の塩業者です。それは、自分の方にあまり損が来ないように、あまり生産が制限されぬように対策を練るのは当然ですよ。そうすると結局農民と一緒や。一番零細な塩業者にそのしわが寄っていくのですよ。だから、この価格の切り下げの問題は、ぴんときているのです。だから、将来あなた方の方が、これら入浜塩田に対しても順次流下式の製塩方法に転換さして、少くともそう大きな差別のないように、生産施設に資金的にもあるいは税金の方でもすべて援助してやって、対等の発言できるような経済的基盤を与えてやる必要が現実に起ってきている。その過程にこういうことをやられるのですから、えらい問題です。そこらは、もう少しそうあわてぬで、いずれまた国会で、塩価対策審議会とか、何か法案も出ておったようですから、それらもいずれきめて、もっと広く将来あやまちのないように、塩業対策、塩価対策をきめてもらいたい。私の方には、旅出もなければ塩業者もありません。あり、ませんが、国の塩業政策としては、そういう片ちんばな、そういう一方的なやり方は、合理的な方法ではないと思う。私は、これ以上議論はいたしませんが、一つ専売当局で慎重に検討を願いたい、こういうことをお願いしておきます。
  54. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 横路委員
  55. 横路節雄

    ○横路委員 食糧庁の長官にお尋ねしますが、三十二年度の食管特別会計の赤字は、前の二十六国会では、ずいぶん論議をしたのですが、まだ不確定要素があるというので、きまっておらなかったのですが、それは、おそらく七月三十一日に農林大臣から大蔵大臣に出したはずです。昭和三十一年度の三月三十一日で終りました年度の食管の赤字は、どれだけに確定して、七月三十一日に、あなたの方から農林大臣の手を通して大蔵大臣に出されたか。今度は確定しているわけですから、その点を一つ明らかにしておいていただきたいと思います。
  56. 小倉武一

    ○小倉説明員 三十一年の決算の結果でございますが、赤字は百六十億であります。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 それから、当初見込み百四十億ですかから幾らふえたのですか。
  58. 小倉武一

    ○小倉説明員 当初見込みということで、これまでお話ししておりましたのは百六十一億であります。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、次にお尋ねしたいのは、ことしの三月三十一日の手持ちの米で翌年度に繰り越したもの、これが内地米についてどうなっているのか、オカボについてはどうなっているのか、外米についてはどうなっているのか、準内地米についてはどうなっているのか、まずこれをどれだけ繰り越したか、数字をお示しいただきたい。
  60. 小倉武一

    ○小倉説明員 本年の四月に持ち越しました米の量でございますが、内地米は、三十年産米が約三十九万トン、三十一年産米が約二十八万トン、準内地米が約三十六万トン、外米が二十七万トン足らずでございます。輸入米関係合せまして六十二万六千トンであります。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 オカボはどうですか。
  62. 小倉武一

    ○小倉説明員 その区別は、今ちょっと手持ちがありませんので、数字はわかりませんが、オカボはうるちともちと合せまして、約六万トン余りというふうに存じます。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 次に、ことしの新米穀年度で予約したのは、どれだけになっているのですか。それから新たに三十二年度になりましてから入れました外米、準内地米はどれだけの数量になりますか。
  64. 小倉武一

    ○小倉説明員 本年の内地米の予約数量は、二千九百五十万有余りであります。それから本年になりましてから輸入いたしました外米の量でございますが、四月になりましてからの正確な数字がありませんので、大よその見当で申し上げますが、外米は約十万トンがこれまでに輸入したという数量であります。それから準内地米につきましては、ただいま到着中のものといいますか、近く積み出すもので、十月前後に入る見込みのものを入れまして六、七万トンになろうかと存じております。
  65. 横路節雄

    ○横路委員 次に、いよいよ十月一日から政府の方では値上げをしたいという意向のようですが、新聞にはいろいろ発表になるけれども、議会の方へはさっぱりはっきり答弁されないのでは困るのですが、この点は、あなたの方でこういう考えであるということは、間違いないですか。新聞によると、今度配給米については、甲地域、六大都市は十キロ九百七十円、一升百二十四円、乙地域というのは、どんなのかわかりませんから、あとで聞きますが、これは十キロ八百四十五円、一升百二十円、丙地域は十キロ八百二十五円、一升に換算して百十八円、生産県は十キロ八百十円で一升百十五円、こういうように地域別格差をつけたい、こういう考えでいくのだということですが、これは間違いございませんか。
  66. 小倉武一

    ○小倉説明員 内地米の価格改訂につきましては、ただいま御質問のようなことで参りたい、こう考えております。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 今の政府の方針ですが、あなたの方で考えている乙地域と内地域というのは、どういう地域をいうのですか。甲地域は六大都市だ、こうなっておるのだからわかりますが、乙地域、丙地域というのはどういうのを、いうのですか。
  68. 小倉武一

    ○小倉説明員 お話しのように、甲地というのは六大府県、乙地は六大府県に準ずる県ないし米の需給の関係からいいまして県として若干足りない、そういう県を考えておるわけであります。具体的に申しますと、北海道、群馬、埼玉、山梨、岐阜、静岡、三重、奈良、和歌山、広島、山口、徳島、愛媛、高知、福岡、長崎、鹿児島であります。それから丙地となっておりますのは、生産展に属するものでありまして、茨城、栃木、千葉、新潟、富山、石川、福井、長野、滋賀、取鳥、島根、岡山、香川、佐賀、熊本、大分、宮崎、こういう県であります。その他の地域、丁地域といいますか、いわば特例の県でございますが、これは、東北六県というふうに考えております。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 こういうように、六大都市は一升百二十四円だ、その次の準ずるところは一升百二十円だ、丙地域は百十八円だ、生産県に特例を設けて、東北は全部百十五円、こういう考え方もとは何なんですか、どういう理由でこういうように差をつけるのか。
  70. 小倉武一

    ○小倉説明員 今回の価格改訂案といいますか、改訂の考え方といたしまして、地域価格を作る理由でございますが、率直に申しまして、食糧管理自体が全面統制とはいいながら、文字通りそのままの全面統制にはなっていないという事実に、根本的には、基くわけであります。従いまして、米の需給なり価格という問題は、政府が直接コントロールしておる米というだけでは論じられなくなっておるのが、実態でございます。従いまして、たとえば非常に違って参っております点は、配給量、特に希望配給について申しますと、希望配給にも、現在これに類する地域差がついておるのでありますけれども、それにもかかわらず、地域によって非常に受配率が違っておるのであります。もちろんその背後には、当該地域が非常に米の生産県であるとか、あるいは非常な消費県であるとか、あるいはまた消費県であっても、生産県に非常に近いかどうかというようなことも関係はいたすわけでありますが、違っておるのであります。さらにまたやみのことを申しますれば、やみ価格も地域的に非常に違っております。そういう実態を無視するというわけには参らなくなってきております。そのことは、すでに昨年のちょうど今ごろ、希望配給価格に地域差をつける必要があるということになって現われておるわけでありますが、今四は基本配給につきましても、そういうことを一つ適用するということにいたしたらどうかというのが根拠であります。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 そうするとやはりやみ価格というものも一つの標準になっておるわけですね。やみ価格は、六大都市及びあなたの発表した乙地域あるいは丙地域特例の生産県、それぞれ違うのだ。だから、大体これはやみ価格にさや寄せをした。あなたはこの前の大蔵委員会で、こういうように米を上げればやみ価格は上らぬと言った。五人家族の一月分の生計費にどのくらいはね返るかと言ったら、あなたは百円しかはね返らない。あとの二十一日についてはどうだと言ったら、やみ価格は上らぬのだ、だから、あなたの方で上げる米の値段しかはね返りがこないというのだから、これはやみ価格にさや寄せしたということになると思いますが、どうですか。
  72. 小倉武一

    ○小倉説明員 今回の価格改訂の考え方は、やみ価格にさや寄せをするということではございません。そういう考え方をとって価格の改訂をいたしておるのではありませんで、やみ価格が地域区分の設定の場合に一つの考慮要素になっておるということだけでございます。もちろん価格を、どの程度にきめるかということは、もう先刻御承知通り、家庭米価、あるいはコスト価格、いろいろ考え方がございますが、そういったものが基本でございまして、やみ価格が基本になっておるのではございません。地域区分の設定の仕方といたしとましても、まず生産県であるか消費県であるか、いわば米を百パーセント自給できる県であるか、できない県であるかということが最初の基準であります。それから、その自給できる県の中で、今度は希望配給についての受配率がどうなっておるかというのが、第二の基準というようなふうにいたしまして、地域区分をいたしておるわけであります。それから地域価格の聞き力も、従いましてやみ価格というものを参照したのではございませんで、むしろ小売物価、消費者物価のうち、特に米を除く食料品等の価格指数の地域的な開きといったようなものをしんしゃくして、こういう形にいたしたのであります。
  73. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、あなたの今のお話で、実際にはもう統制ではないのだ——今あなたは、全面統制ではないのだ、だから、現にそれぞれの地域によっていわゆる配給の日にちもきまるし、辞退しておるのも違うし、それからあなたの言われるように、いわゆる消費者物価、小売物価も違っている、やみ価格も違っている、だから、そういうように地域差をつけてもいいのだ、こういうことなのです。そうなると、もう根本的に、あなたの考えをだんだん進めていけば、やがてこれは無理に統制しなくてもいいのだ、そういう考えが基礎になっていますね。そうでしょう。小倉さんそうでしょう。あなたの今の話を聞いていると、無理に統制しなくてもいいのだ、だから、これはやがて自由販売にする一段階なのだ。これは階段を一つ上ったわけですね。そういうように解釈できるわけですね。あなたの考えもそうでしょう。これでもっていよいよことし十月一日からやっていく。ところが割合に、何といいますか、配給の日数が多くなってきた。だんだんはずしていく。だから、少くとも今までの統制よりは自由販売への方向に一歩前進したということだけは間違いないわけですね。小倉さん、どうですか。
  74. 小倉武一

    ○小倉説明員 地域的な価格を作るということによりましての食糧管理制度との関係といいますか、その及ぼす影響ということについての御意見でございまして、これは、私どもは必ずしもそういうことを考えておるわけではございません。むしろ食糧管理制度といったようなこととの関連において、地域区分の意味、それがどういうところにあるかということになりますと、むしろ逆の解釈といいますか、意味づけもできるわけだと思うのです。と申しますのは、もちろん価格水準いかんにもよりますけれども、政府が買う価格よりも売る価格をうんと安くするといったようなことであれば、これは問題はないかもしれませんけれども、そうでない限り、全国一本の価格でございますれば、どうしても特定の生産地域では相当量の配給辞退ということが起ってくるわけであります。配給辞退が大々的に起るということは、実際上配給制度がくずれるということであります。配給制度がくずれるということが、ひいて食糧管理制度に大きなひびを入らすというふうな見方もできるのでありまして、これは単に想像だけでなく、おそらく現実の事態も、そうなりかねないのではないかというふうに、実は危惧されるのでありまして、地域格差を作りましても、これは、その点について十分な対策にはなりませんけれども、そうでないよりは、むしろ配給制度を維持するということは都合がよろしいというのが常識的な見方であろう、こう存ずるのであります。
  75. 横路節雄

    ○横路委員 この甲地域、六大都市の十キロ八百七十円、一升百二十四円という価格は、生産者から買い上げる本年度の米の値段よりは高いでしょう。これはどうなんですか。
  76. 小倉武一

    ○小倉説明員 もちろん高うございます。
  77. 横路節雄

    ○横路委員 これは実に不思議なことですね。今まであなたたちの説明は、いわゆる二重米価を廃止するのだ、二重米価をとっておるから赤字になるのだ、だから一つ米の値を上げて、二重米価を廃止して、生産者米価に寄せて、そうして赤字を基本的になくするという考えなんだが、六大都市の方は、消費者米価が生産者米価よりも高いのだ、これはまたおかしな話ですな。そうすると、そういう制度は何というのですか。今までは消費者米価の方が安くて、生産者米価が高かったのだ。だから、そこでその赤字を全部解消するために、とにかく二重米価制度を廃止する。今度は逆ですね。生産者米価よりも、消費者米価を高くして売っている。逆現象の二重米価になるのですね。これはどうして甲地域にそういうことをするのですか。あなたの方は、甲地域は運搬賃が高いというわけですか。それとも、東京は一般の物価が高いから、米もそれに合せて高くしておけ、東京の人間は俸給が高いから、こういうお考えなんですか。これはどういう理由なんですか。とにかくあなたの方で二重米価をくずすというので、生産者米価と同じようにするというなら、これは一つ数字としてわかるが、六大都市だけは消費者米価を高くするというのは、どういう意味ですか。どういう理屈なんですか。それを説明して下さい。
  78. 小倉武一

    ○小倉説明員 生産者米価よりも消費者米価が安いといいますか、政府の買上価格よりは政府の売り渡す価格の方が安いということの方がよほどおかしいのでありまして、これを逆に、生産者価格の方が安くなければおかしいのだということが、私にはよくわかりません。  それからもう一つ、これまでとても、そういうことはなかったわけです。二重米価ということは、もちろん過去においてもありますし、現在でも、考え様によれば二重価格でありますが、戦争中なり終戦直後のよほど異常な事態でない限りは、政府が買う価格よりは売る価格の方が安いという事態は、過去の例から言いましても、むしろ例外的な措置であったというふうに考えるべきだと思います。また事実そうであったと思うのであります。そしてまた、今回の値上げをしない前、三十一年産米につきましても、早場奨励金がつくときは別にいたしまして、そうでないときは、逆さやという関係はないのであります。もちろん平均的にいいますれば、政府が売る価格の方が買う価格よりは一高かったのであります。ところが本年三十二年産米の価格が昨年よりは三百数十円上りますので、その点からいいますと、消費者価格を現在のまま据え置くと、少くとも基本配給については逆さやになるわけであります。政府経費は全然全部ただにいたしましても、基本配給については逆さやになるということで、ここでごく例外を除きますれば、この数年間の大方の形とは違った事態が、今年産米については、新しく出て参る、実はこういう事態がありますので、その点は、従いまして米価審議会が本年の六月末に開かれます前と後とでだいぶ事情が変って参っておるのであります。  それから甲地、乙地の開き方のことでありますが、むろん生産地と消費地とでは、政府経費の差異ということはございます。ございますが、そういう点を理由として開くというわけでは必ずしもございませんで、先ほど申しましたような実効価格なり、あるいは配給なり、あるいは生産県、消費県なりという実態から見て、この程度の開きを置くということが妥当であるというふうに考えたのであります。その数字的な根拠は、別に厳密なものはございませんけれども、先ほど申しましたように、小売物価の地域的な差異をとりまして、こういう開き方にいたしたのであります。それからもう一つ参考になりますのは、現在やっております希望配給価格の地域差ということもございます。そういうことを勘案して、こういう開きにいたしたのであります。
  79. 横路節雄

    ○横路委員 あなたの考え方は、今実際に、たとえば勤労者の給与はできるだけ全国平均化しようという考え方が強くて、その方向にいっているわけです。現に政府の方でも、政府みずから、御承知のように、たとえば主として六大都市は二〇%の地域給であったが、これを全部廃止をして暫定手当制度にして、それを五%落していく、やがてまた次に五%落す、こういうふうにしていくその根本の理由は、戦後におけるいろいろ食糧事情の一番ひどかった時代において、いわゆる主食というものが都市では非常に高い、それからずっと小都市にいけば、さらに町村にいけば非常に安かった。そういうようなことは今はないわけです。今はほとんど全国平均化してきている。ですから、そういう方向にだんだん向いてきている。あなたの方はそうではない。こういうように六大都市八百七十円、乙地域八百四十五円というような考え方でいくことは、たとえば俸給のうちで一番主要な部面を占めているのは、いわゆるエンゲル係数だ。これによってまた上ってくる、やれば上るのだから。そうすれば、また当然それに基いて賃金の引き上げをやってもらいたいというときに、これはまた甲地域についてはもっと格差を設ける、こういうことになってくる。これは政府の考えているやり方とは違うのですよ。この点は、あなたにこのことを言うてもしょうがないのですが、そういう意味では、あなたたちの考え方は、いわゆる俸給生活者の基盤をなすところの重要な要素を占めているこの主食の問題の傾向とは逆なんです。それで、あなたにお尋ねをしますが、あなたの方では、いや低額所得者については安くするのだ、安くするというよりは、悪い米を食べてもらいたい、これは安くします、こういうことなんだが、実際には、あなたの方で準内地米、台湾、韓国の分は、今までこれを平均十キロ七百五十円で売っていたものを、上のものは七百九十円に上げる、並のものは七百円に下げるということなんですが、十月一日から来年の三月三十一日まで、この準内地米を一体どれだけ国民に食べさせようとしているのか、総体の数量を石で言ってもらいたい。そのうち上にするものは何石、並にするものは何石なのか、これを明らかにしてもらいたい。あなたの方では、しきりに新聞を通じて安くするのだ、安くするのだ、そして安い米を低額所得者に食べてもらうなどと、うまいことをいっておるようだけれども、一体どれだけこれをやるのか。それから陸稲の方は、七百九十円で抑えているのですが、これは安くも何にもならない、安くなるというのは七百円のことなんだが、これは、一体数量幾らになるのですか。
  80. 小倉武一

    ○小倉説明員 ただいまのお話しの準内地米等についての価格の改訂の仕方、これはまだ成案を得ておりません。新聞等で伝わっておりますのも、われわれ内部で研究したことはございますが、実施をするということにきめておる確定的な案ではございません。従いまして、上下に分けるかどうかという点についても、なおいろいろ御意見を拝聴してきめたいと思っております。数量の点でございますが、準内地米の供給量、それから同じく据え置きないし引き下げるというものとして、陸稲からとれる精米、水稲の五等からとれる精米などが考えられますが、これらを合せますと、年間五十万トン以上のものが用意できはしないか。石に直しますと、三百五十万石以上でございますが、そういう程度数量考えております。もっとも、これは今度の価格改訂と関連いたしまして、価格据え置きないし引き下げ、こういう問題がございますので、一体どの程度需要があるか、あるいはこれまでの準内地米に対する需要と比較いたしまして、今後その需要がどう変化するかという見込みは、なかなか立ちにくいのであります。特に準内地米を上下に分けるということになりますと、その見込みが立ちにくいのでございますが、全体としては、今申しましたような数量でございます。
  81. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話ですと、まだ政府の方では、別に価格引き下げるということについては十分検討してない、ただ部内での一つの試案で、こういうような話なんですが、そこであなたにお尋ねしたいのは、こういうようなやり方で、一体配給日数はどれだけにするのですか。こないだあなたは八日ともいうし、また新聞等によると十四日ともいう。もちろんこういうふうにすれば、あなたの方では、配給の日数についてはふやすんでしょうね、大体どれくらいを考えておるか。しかもあなたの方では甲乙丙、それから生産県、特別県、これは、おそらく配給についてはまた同じように価格を違えて考えていると思うのですが、この点はどうなっていますか。そうでなければ、あなたの方では、一体来年の三月三十一日までで三十二年度の食管特別会計の赤字はどうなるのか、何ぼになるのかということが立たないんだから、当然地域格差をつけた価格と同様に、配給日数についても地域格差をつけていいはずです。その点どうなってますか。
  82. 小倉武一

    ○小倉説明員 配給日数でございますが、これは、現在の配給日数を大幅に変えるというつもりはございません。内地米で申しますと、基本配給が、消費県が八日、中間県が九日、生産県が十日、希望配給が、生産県が四日、中間県が五日、消費県が六日、あわせまして全国十四日ということに現在なっておりまして、それを変えるつもりはございません。ただ価格のきまり方によっては、もう一つは、今後の作柄の見込みということによっては、後ほど変えなければならぬような事態が起る、あるいは変えた方がよろしいという事態が起ると思いますが、さしあたりはそういうふうに考えております。それから準内地米については、現在やっております配給日数は六日になっております。大体五日ないし六日というような程度考えております。
  83. 横路節雄

    ○横路委員 こういうことでいきますと、昭和三十二年の食管の赤字は大体どの程度で済むのですか。十月一日から、今あなたの考えたような考え方でいくと、昭和三十二年の食管の赤字はどの程度になるかという見通しもありましょう。そうでなければ、値上げするという意味がないのだから、どの程度なのですか。
  84. 小倉武一

    ○小倉説明員 これは、米価審議会当時までの数字を基礎にいたしまして、あるいはもうすでにお聞きとり願っておる点もあろうかと存じますが、内地米の当初の損が百七十三億、これに一万円米価を一万三百二十二円五十銭にしたための損の増の八十七億というのが加わりまして、二百六十億でございますかになるのであります。これは、数量も消費者価格も現状のことを前提にしてであります。そうして、陸稲の値下げといったようなことを考えないで計算いたしますと、十月から、先ほど御説明いたしましたような内地米の価格にいたしますと、それで出てくる益が百四十四億ということになりまするから、二百六十億からそれを引いたものが、本年度の内地米の損ということになります。これには、なお修正すべき要素がすでに出て参っております。一つは、本年度の作柄がよろしいということで、二千七百万石集荷できる。予約は、先ほど申しましたように二千九百八十五万石になっておりますから、おそらくその程度集荷ができるのじゃないかという見通しもございます。そうしますれば、先ほどお話が出ましたような逆ざやの関係で、かえって損がふえるということになりまするし、また陸稲その他のものを若干値下げするということになりますれば、それで損がまたふえる。他方中間経費の節約等は、予算でもある程度織り込み済みでございますが、実行上も節減がある程度可能というふうに思われる点もございますので、そういう点の事情があることをつけ加えて申しておきます。
  85. 横路節雄

    ○横路委員 生産者から米を買い入れて、それからいろいろな中間経費を入れまして——中間経費のとり方もいろいろあると思うのです、人件費その他にしても、いろいろあると思うのですが、大体生産者の米価に見合う——もうけは別ですが、いわゆる中間経費を入れて大体一升幾らになりますか、十キロ当り幾らになりますか。これは、一番最初に聞いておくべきだったのですが、順序があとさきになりました。
  86. 小倉武一

    ○小倉説明員 コスト価格のことでごさいますか——これはなかなかむずかしい点でございますが、先ほどのような予算ベースの損益の状況を前提にして考えますと、内地米のいわゆる平均のコスト価格と称するものは、十キロ八百八十六円というふうに計算をいたしております。
  87. 横路節雄

    ○横路委員 それでは、この点について最後に主計局の次長にお尋ねしたいのですが、これも新聞によりますと、何か一般会計から半額だけを繰り入れする、こういうような記事もあるのですが、実際にこの食管の赤字について、大蔵省当局としては今どういう考え方でやろうとしているのですか。まず三十一年度の分、それから三十二年度予定されている分について、大蔵省としてはどういう考え方ですか。
  88. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。まず三十一年度赤字の処理でございますが、これは、すでに決算も確定いたすという段階でございますので、これにつきましては、いずれ一般会計において処理をするということになると思います。三十二年度については、まだ年度の途中でございまして、いろいろな様子や数字も変って参ります。ただいまのところ、やはり従来通り決算が確定いたしたところでもって処理するのが適当と思っております。ただいま新聞のお話の出ましたことは、私の方としてはまだ話を聞いておりません。
  89. 横路節雄

    ○横路委員 次に、長官に伺いますが、食糧管理特別会計のうちでテンサイ糖並びに澱粉の価格の問題があるのです。これも、農林省側の案としては、輸入砂糎の関税を現行の二倍くらいに上げる。そうすることによって大体テンサイ糖との間に同じような状態になるのではないか。ですから、政府は無理に買い上げをしなくても、関税を二倍にすることによって、とにかく輸入砂糖の方よりはテンサイ糖の価格がちょっと下るからという考えがあるように聞いておる。それからまた、輸入砂糖の関係を二倍にすることによって輸入をある種皮抑制すれば、いわゆる澱粉によって精製されたブドウ糖の需要もふえるのではないか。おそらくあなたの方でも、いよいよ十月三十一日までに澱粉の買い上げ価格をきめなければならぬ、買い上げ数量もきめなければならぬ。しかしあなたの方では相当の手持ちをしている。これを何とかいわゆる消流対策、さばくようにしなければ価格の安定もできない。そういう点であなたの方の食管の特別会計との関連があると思う。その点は、どういう考え方でいこうとしておるのか、この際お尋ねしておきたい。
  90. 小倉武一

    ○小倉説明員 ただいまのお話の点は、食糧管理特別会計で取り扱っておりまする麦にも問題がございますが、その他のものにつきましても、できるだけ改善をはかりたいということの一つの方策といたしまして、砂糖の関税、あるいは消費税との関係において、テンサイ糖の価格の安定がはかられるという方途もあるではないかということを研究いたしておる段階であります。まだ結論を得ているわけじゃございませんけれども、そういう関係の問題になりますれば、所管は大蔵省ということにもなりますから、その辺のことは今後の検討に待ちたい、こう存じておるものであります。
  91. 横路節雄

    ○横路委員 そこで最後に一つ、米の値段については、政府の方としては、一応今の段階では、消費者米価はこういう方向で行く、食管の赤字についてはこういうようにして減らしていくということを明らかにしたのだが、この間農林省では、畑作振興、畜産振興ということについて相当新聞に発表された。畑作の中で、バレイショとあわせて澱粉の価格なんですが、これは、去年はバレイショ澱粉の場合は、一袋二千二百五十円で十月二十七、八日にきめたが、ことしも大体それと同じような価格は維持できますね、その点はいかがですか。
  92. 小倉武一

    ○小倉説明員 価格の点は、実はまだ検討いたしておりませんので、昨年の価格と比較した上での御説明は、まだできかねる段階でございます。ただ澱粉全体として、お話しのありましたような需要の開拓、あるいは特に、カンショの問題になりますと、カンショ自体の飼料化その他の問題もございますし、そういう方面に需要を喚起していく、特に澱粉につきましては、お話にございましたような精製ブドウ糖の関係からいたしますと、現在の澱粉の価格では、なかなか思うような開拓ができないのではないかというふうにも思われますので、もちろん政府といたしましても、手持ち澱粉の処理ということに対しましては、新規産業の育成という面を考慮していたさなければなりませんけれども、若干長期的に考えますれば、イモ、従って澱粉の価格は、現在の価格水準よりは相当程度引き下げて参るべきではないかというふうに考えております。むろんその反面と申しますか、その前提といたしましては、イモあるいは澱粉の生産、あるいは製糖につきまして生産性を高めるという措置も当然必要だと存じます。価格支持をいたす立場から申しますと、さようなことに考えております。   〔平岡委員長代理退席、横錢委員長代理着席〕  それから価格支持のもう一つの問題といたしましては、実は価格水準自体も問題ではございますが、時期を早めるということが、生産者、また関係者の多年の御要望でありまして、これまでそういう御要望に沿い得なかったのでありますが、今年は例年よりも早めに一つきめたい、こういうふうに存じております。
  93. 横路節雄

    ○横路委員 そこで、今の政府買い上げの澱粉の消化の問題、これは、あなたの方では、たとえば砂糖に澱粉から精製したブドウ糖を粉末にしたものを一割五分ないし二割混入することによって、いわゆる輸入砂糖をある程度抑制できる、そういうようなことについては検討したことがございますか。また将来その問題について検討しようとしておるか、その点、一つお尋ねしておきたい。
  94. 小倉武一

    ○小倉説明員 砂糖に精製ブドウ糖を混入するという御意見は相当あります。従いまして、私どもといたしましても、技術的に、あるいは経済的にと申しますか、その可否についてはある程度の検討はいたしておりますが、現在のところ、混入すると申しましても、精製ブドウ糖の生産量がはなはだ少い、まことにわずかでございます。それから砂糖のような、いわば基礎資財でございまして、いろいろな食品工業その他に使われますものに強制混入するということでは、非常に困る事態が起りはしないか。それからもう一つは、精製ブドウ糖の性質からいたしまして、いろいろ研究は進んでは参りましたけれども、なお吸湿性その他について問題がございまして、混入するということによって質を落すという問題が生じて参りますので、私どもといたしましては、砂糖にまぜて消費を促進するというよりも、精製ブドウ糖としての独自の需要——これはいろいろの面にあるようでございますが、そういう点に向って需要を促進していくということの方がよくはないかというふうに考えておるのでございます。
  95. 横路節雄

    ○横路委員 今の価格の問題は、これは早くきめないと農家は非常に不安定です。今長官が言われた点について、これを早くきめるということは望ましい。価格は、今政府買い上げの手持ち数量も多いという点もありましょうし、いろいろな点からか、あなたの方では、現在の価格についてはどうかという懸念ですが、これは、実際にも畑作振興ということを政府が昭和三十三年度の農林政策としてはやるんだ、こう言っている以上、去年よりもこの価格を落してしまうということは、これは私は逆だと思うので、その点は十分検討してみなければならない。  委員長、そこでこの問題は、あすの大蔵委員会——ども来月まで待てないわけです。これは、十月一日に今長官は上げると言っている。安い米については、必ずしも新聞に報道しているように、価格を下げるということは何もまだきまってないと言う。ところが、今までは、消費者米価は上げます、しかし低額所得者には、内容はどうかわかりませんが、安い米を食べてもらう。そこで、この問題は、明日の大蔵委員会で適当な時間に、ぜひ大蔵大臣、農林大臣、それから食糧庁長官に出てもらって、この点は何も長時間かけなくてもいいのですから、そこのところを明確に——どもは、消費者米価の値上げは絶対に反対です。それから先ほどのお話で十分われわれが感ぜられることは、これは、統制をはずして自由販売の方向へ明らかに一歩踏み出したものです。こういうことは、やはり大蔵大臣、農林大臣にもぜひ聞きたいので、明日は、一つ当大蔵委員会に大蔵大臣、農林大臣、あわせて食糧庁長官にも出ていただきまして、この点をさらに明確にしていただきたい、こう考えます。私は、明日大臣が出てきましたら、ほんのわずかの時間ですから、質問さしていただきたいと思います。  それからなお前の大蔵委員会で、六月十日に、いわゆる酪農振興のために、当委員会にかかっておりました大カン練乳の免税措置について決議をしております。ところが三カ月しかしていない。これはいよいよもって十月一日からとることになりますので、その問題を、明日は農林大臣、畜産局長にも出てもらって、あわせて質問さしていただきたい。きょうはこれでやめておきます。
  96. 小倉武一

    ○小倉説明員 ただいまお話しになりましたのは、御質問でございませんので何ですが、先ほど私の御説明の足りなかった点をちょっと補足さしていただきます。それは、いわゆる徳用米と申しますか、低廉米に関することですが、先ほど申しましたように、徳用米ないし低廉米といたしまして、一部の米を据え置きにする、ないし引き下げるということは、これは方寸としてきまっておることでありまして、それはそうするつもりであります。ただし、どれをどうするという具体的な案ということになりますと、まだここで申し上げるようには固まっていないというように御了解願いたいと思います。
  97. 横路節雄

    ○横路委員 具体的に、一体どの米をどれだけ下げるのか、その数量が全体でどうなのかということがはっきりしなければ、ほんのわずかくらい下げて、そうして、実際に食べさせられないような数量で下げた、下げたといっても何ですから、これは、明日ぜひ長官から部内の意見をまとめて、ここで具体的にきちんと——大体私たちに言う前に、どんどん新聞に都合のいいことだけは発表して、そちらの方は発表しないということはおかしいから、明日は、部内の意見をまとめてきちんとしてもらいたい。
  98. 横錢重吉

    横錢委員長代理 今の点、明日御期待に沿うように連絡いたしておきます。——井上君。
  99. 井上良二

    ○井上委員 ちょっと簡単に伺いますが、そこにいらっしゃる大蔵省の主計局次長の佐藤さん、あなは、ただいま昭和三十一年度食管赤字は一般会計から補てんする、こういう御答弁でありましたが、それに間違いありませんか。
  100. 佐藤一郎

    ○佐藤説明員 さようであります。
  101. 井上良二

    ○井上委員 そうしますと、ただいま問題になっております食管の赤字をどう解消するかということから、この春の国会でもずいぶんこれが問題になり、政府はこれの解消の一つ手段として、米価を上げる、こういうのが、そもそも食管特別調査会まで設けて国会の質問を切り抜けた結果であります。ところが、その肝心の重要な要素になっておった三十一年度赤字は、一般会計から今度は補てんするということになると、その問題は、一応そこで解消したことになる。そこで、問題は三十二年度赤字に対してどうするかということが予想されるので、それで値上げ問題を考えておるらしい。ところが三十二年度赤字については、特別会計の決算を見ないと、どうするかここでは明確に言えない、こういう御答弁です。  そうなりますと、食料庁及び農林省が、この十月一日から大幅に消費者米価を引き上げようという理由は、はなはだどうも政治的に考えて妥当でないのです。しかも、ただいま横路君から質問をされましたように、現実に同じ日本国民でありながら、四段階にも米価を分け隔てされて、橋一つ越えれば安い米が買える、配給を受けられるのに、行政区域が違うために高い米を買わなければならぬ。そんな一体米価政策がありますか。そんなむちゃな話があるかね。それは、あなた方も御説明された通り、その表にはいわゆる生産県及びそれに近い準生産県が、保有米あるいは早場米として、売っていいところの小づかい米を相当持っておる、それが配給を妨害しておる、配給辞退があまりに多い、この配給を円滑に受けてもらうためには、値段を安くしなければならぬ、そこへきているのではないか。あなたらの食糧政策のずさんきわまるしわが、そこへきておるということに気づきませんか、この問題は重大です。これは小倉さん、あなたみたいな経済学博士にもっとよく考えてもらわぬと因る、こんなむちゃなことはない。同じ国民でありながら、しかも値幅が一円や二円のことならともかく、九円も違うんですぞ。たとえば、岡山県で配給の米を買うてきて大阪へ持ってくれば、一升で九円ももうかる。現実にどうなんですか。地元でできる純内地米のぴかぴか光る米の方がうまいですから、それを買うて、そして配給米は一升九円もうかる。そんなことをしてどんどん売ったらどうなる。そういうことは、米屋同士やれぬことはありませんよ、平気でやれますよ。そういうことが現実に考えられるのに、こんなひどい格差をつけた消費者価格のきめ方はありませんよ。  これは、時間がきょうはありませんし、はなはだみなが迷惑しますので、いずれあした農林大臣が来ましょうから、農林大臣とあなたの方にゆっくり私は聞きたいと思っているんだ。これは、まだ最終的にきまってなければきまっていないで、もう一度やり直して下さい。  それから、これは春から議論をしておったが、赤字を解消する要素は、一つの大きな突っかい棒が大蔵省の御協力で、一般会計から補てんするということで、これは消えてしまった。しかも、ことしどのくらいの赤字が出るかということは、まだ集荷量が全体的に二千七百万石になるか、予約申し込み通り約三千万石になるか、これは未決定の問題だ。これからまた天候異変によってどう変るかわからない。そういう未決定の上において、配給日数も現状通りというけれども、希望配給は、二十日は配給しておりません。現状は、やみ米が高くなって、希望配給が多くなって、この六月から四日も五日もたたき落しております。そういう事実があります。だから、もう少し事態を見て、少くともこの十一月の食糧年度からでも、十分検討してみるということにお願いをしたい。  これは、また大蔵当局の方も、心やすくこんなものを見ておったら、この秋、秋季闘争がくるが、一升米を九円何ぼも上げたということになったら、賃上げ闘争が起ってくる。公務員の給与ベースの改訂が再び起ってくる。それへ右へならえで、他の物価が上ってくる。あなたの方は採算が合う、つじつまが合う均衡予算で、できるだけ緊縮予算で来年はいきたいということを大蔵大臣も言外に発表しておる。それと相反する結果がここから巻き起ってくるのですよ。これは、幸いに来年度予算にも多少余裕が出るというのですから、この際、変な間違った減税をやらずに、これで一つ穴埋めをしておけば行き得るんだから、そういう大きな意見の波を立てぬようにうまくやれませんか。これは、一つ大蔵政務次官としても慎重に御検討願って、この際何とかこれを切り抜ける方が——どうせ来年は選挙だ。いろいろ問題にもなろうから、この際、私は特に政府の反省を促して、いずれ明日大臣も見えることでしょうから、それまで質問を留保しておきます。
  102. 横錢重吉

    横錢委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時半より開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時二十三分散会