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1957-08-12 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月十二日(月曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 黒金 泰美君 理事 高見 三郎君    理事 藤技 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       足立 篤郎君    大平 正芳君       奧村又十郎君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       古川 丈吉君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       北山 愛郎君    久保田鶴松君       横路 節雄君    横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君  委員外出席者         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵政務次官  白井  勇君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大事事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  酒井 俊彦君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 七月十五日  委員神田大作辞任につき、その補欠として楯  兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員藤枝泉介辞任につき、その補欠として佐  藤榮作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐藤榮作辞任につき、その補欠として藤  枝泉介君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員小山長規君、田中角榮君、坊秀男君及び八  木一郎辞任につき、その補欠として足立篤郎  君、中山榮一君、川野芳満君及び久野忠治君が  議長指名委員に選任された。 八月十二日  委員久野忠治君、杉浦武雄君、内藤友明君、古  川丈吉君、竹谷源太郎君及び楯兼次郎辞任に  つき、その補欠として森清君、小笠原九郎君、  濱地文平君、佐藤榮作君、北山愛郎君及び神田  大作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小笠原九郎君、佐藤榮作君及び濱地文平  君辞任につき、その補欠として杉浦武雄君、古  川丈吉君及び内藤友明君が議長指名委員に  選任された。 同日  理事奧村又十郎君、内藤友明君、石村英雄君及  び井上良二辞任につき、その補欠として高見  三郎君、黒金泰美君、平岡忠次郎君及び横銭重  吉君が理事に当選した。 同日  理事藤枝泉介君去る七月十七日委員辞任につき、  その補欠として同君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  税制に関する件  金融に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についてお諮り申し上げます。理事であります内藤友明君、奧村又十郎君、石村英雄君及び井上良二君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。——異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました。なおまた理事でありました藤枝泉介君が去る七月十七日委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっておりました。  よって、計五名の理事補欠選挙を行いたいと存じますが、これは、先例によりまして委員長より指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり
  4. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。  それでは委員長において    黒金 泰美君  高見 三郎君    藤枝 泉介君  平岡忠次郎君    横錢 重吉君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  5. 山本幸一

    山本委員長 この際、大蔵大臣及び政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。一萬田大蔵大臣
  6. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一言ごあいさついたします。  私、今回はからずも大蔵大臣に任命されまして、誠心誠意職責を果したいと覚悟いたしております。何分にも、目下経済情勢も非常に困難に当面いたしております。つきましては、とりわけ皆さん方の御支援と御協力を得たいと思う次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  7. 山本幸一

  8. 坊秀男

    坊説明員 先般はからずも大蔵政務次官を拝命いたしましたが、この重責を果すためには、どうしても本委員会皆様方の御指導と御鞭撻に待たなければならないと痛感いたしております。長い間本委員会におきまして、同じかまの飯ではない、同じ法案を審議さしていただきましたよしみに免ぜられまして、今後多々あるであろうとおそれております不行き届きの点は、幾重にも一つ御寛大なるお取りはからいをお願いいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  9. 山本幸一

  10. 白井勇

    白井説明員 私、白井であります。今回大蔵政務次官を拝命いたしまして、まことに微力でありまするが、一生懸命やるつもりでありますので、どうか、一つ坊政務次官同様に御援助御指導を特にお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 山本幸一

    山本委員長 これより金融に関する件及び税制に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、これを許します。内藤友明君。  ちょっと発言の前に、内藤さんばかりではなしに、委員全体の方にお願いいたしますが、主として大蔵大臣を中心に集中質問していただきたいと思います。時間の関係もありますから、よろしくお願いいたします。
  12. 内藤友明

    内藤委員 私は、一萬田大蔵大臣にこの委員会で初めてお目にかかるのでありますが、二つのことだけお伺いしたいと思いますので、率直にお答えいただきたいと思います。  一つは、金融の問題でございまして、当委員会は、金詰まりの問題をずっと前から取り上げまして、前の池田さんのときもいろいろ御相談申し上げ、いろいろ御配慮をいただいたのであります。池田さんは、大蔵委員会にお約束なされた通り実行されたようでありますが、ところが、その後の金融状態はだんだん悪くなってきておるのであります。先般私北海道へ参りましたが、サケ、マスの漁師が、漁期はもうきようでおしまいかと思うのでありますが、引き揚げて参っておりますが、その鮭鱒漁業者が、さっそく魚を会社に納めたけれども、金が出てこないというので、大ぜいの漁師が、この金の出てこないために、今北海道に滞在いたしておるのであります。それが、いつまで滞在せにゃならぬか、実はわからない、じっと金の来るのを待っておる。こういうことで、この金詰まりの現象がいろいろなところに、いろいろな形で現われてきておるのであります。先般大蔵大臣は、関西の方へお出ましになられて、いろいろお話しなさったようでありまするが、しかし事態は相当深刻なものになっておるような感じがいたすのでありまして、この際どういう手を大蔵大臣はお打ちなさるつもりなのか。私は、金融のことはこれだけでもうやめまするが、それを率直に一つお述べいただきたいと思うのであります。それによりまして、当委員会もこれからこの問題と取っ組んで、いろいろと具体的なことを考えてみたいと思うのでありまして当初それを一つお述べいただきたいと思うのであります。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私から申し上げるまでもなく、今日の金融引き締めは、投資の行き過ぎ、これを是正するということに基本を置いておるのであります。従いましてこの対象になるのは、私は主として大企業にある、かよう考えておりまして、この大企業投資意欲を押え、あるいはまた過当な設備計画等を繰り延べる、あるいはまたやめる、こういうふうなことをやって、そして事が大企業でありますから、このしわが他の方に及ばないように、それぞれの責任において銀行と相談をして これを解決すべきだ、これが基本方針であるのであります。従いまして、そういうふうな態勢をまず作り出すために、相当強い金融引締め政策をとっておることも事実でありますが、今後におきましては、そういうふうな態勢下において、具体的にどういうふうな影響を各方面に実際現わしつつあるか、あるいは現われつつあるかということをよく検討を加えまして、これに関しまして適当な処置をとっていこう、かよう考えておるわけであります。
  14. 内藤友明

    内藤委員 私、これでやめようと思ったのですけれども、その適当の処置というのがどういうことなのか、それを、輪郭だけでもはっきりとこの委員会一つ述べていただきたいと思うのであります。
  15. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 具体的にどう処置をとるかは、これはやはり具体的に事柄によっても異なりましょうし、またその事柄措置いかんが、今日金融引締めで何を達成しようとしておるか、その目的を阻害するということがあってはむろんいけないのでありまして、そういうことを阻害しない限りにおきまして具体的な事柄——何が具体的か、この具体的なことがどういうふうな事柄であるかを明らかにしまして、それに対応する措置をとる、かよう考えておるわけであります。従いまして、具体的な事柄について、具体的にそれぞれの関係者と今後話し合いをしていく、こういうことになると思います。   〔「わからないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  16. 内藤友明

    内藤委員 わかりました。わからぬことがわかったのでありますが、(笑声)それはむしろ他の委員の方からお尋ねいただくことにいたしまして次にお尋ねいたしたいのは、この前の国会の折に、税制改革のいろいろな法律案が出て参りました。一千億減税のいろいろなことを審議したのでありますが、そのときに、大蔵委員会満場一致で取りきめしたことが一つあるのであります。それは何であるかと申しますると、直接国税については配慮したのだが、今度は間接税について、ぜひ次の国会までに具体的成案を得て出してもらいたい、こういうのがこの大蔵委員会全会一致決議になり、それが附帯決議となって出て参ったのであります。間接税、特に酒税と物品税でありまするが、私どもは、そろそろ大蔵事務当局でこの問題に取っ組んでおられるのではないかと思っておったのでありますが、そのやさきに大臣がおかわりになった、新しい大臣は、このことに対してどういうふうに御処置なさるのか。そうこうしておりまする間にもう通常国会が始まることでありまするから、今それに対する御所見を伺っておく方が、大蔵委員会としてもこれからいろいろと研究を進めていくのに好都合じゃないかと思いますので、この間接税についてどうなさるのか、さきの金融のことのように抽象的なことでなしに、これだけでも一つ具体的に、よしそれはやるのだ、あるいはやらないのだ、そこを一つ何か御返事を得たいものだと思うのであります。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 税制のことについては、私御承知ように休んでおりましたので、ただいま事務当局からいろいろとその後の経過を聞いておる過程にありまして、今ここで税制についてどうするかということは、何も申し上げる段階に達しておりません。
  18. 内藤友明

    内藤委員 この前大蔵委員会決議いたしましたときは、多分一萬田さんも大蔵委員会委員でございました。人間には裏表があるわけでもないのだから、そこらあたりを考えてやらなければなるまいが、ここで御答弁なさらぬでも、腹の中でそういうふうに一つ思っておっていただくことを、この際希望申しておきます。
  19. 山本幸一

    山本委員長 次に横錢重吉君。
  20. 横錢重吉

    横錢委員 今内藤委員からきわめて重要な点について御質問があったが、今日の金融事情について、どういうふうに変化するのか、あるいはまたこの引き締めがいつまで続くのか、いつの時期になったならば好転するのか、こういうようなことに対して、きわめて真剣に考えておるのです。従って、きよう大蔵委員会が開かれた機会に、今のような雲をつかむような御答弁では、委員会もわからなければ、国民自体も今後の金融事情についてわかることができない。従って、もう少し詳しく御答弁をいただきたいと思います。公定歩合引き上げのときにも、われわれは相当な変化が起るだろうということをあの当時申し上げておいた。それについての大きな変化は、たとえば一つには、各金融機関金利引き上げとなって現われてきた。日銀公定歩合引き上げをするならば、必ず金融機関引き上げをするだろう、こういうように言うた。このときあなたは大臣ではなかったけれども、金融機関引き上げはしない、こういうような御答弁ように聞いておった。ところが、最近においては一斉に皆上げている。金利についても、日本金利は世界的に高い。この高い金利がさらに高金利になっていく。今の金融機関金利引き上げは、金融引き締めの間の一時的現象としてこれを許すのか、あるいはこれを百長期的に認めていくのか、この点についても大臣見解を承わりたい。それから日銀券の動きについても、引き締めの結果がどの程度現われてきたのか、その辺の事情、並びに日銀貸し出しの抑制をどんどんやっておるようだけれども、この額はさらに大きくなっていく。これはまた新聞等によって見るならば、相当憂慮すべきほどの貸出超過をしておるようですが、この辺等見解も詳しく承わりたい。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。まず金利の点でありますが、金利はいわゆる高金利を続けていくかというような御質問であります。高金利を続けていくというわけではありません。しかしながら、金利はやはり下るべき客観的な条件が整わなくてはならぬのでありまして、日本の場合において金利が下るのは、どうしても輸出超過ということによって国民所得がふえる、それが貯蓄になる、こういうふうな形において金利が下っていくと思う。またそういうふうに志向しなくてはならぬと考えております。従いまして今後国際収支改善されまして、輸出超過がふえるという段階になりますれば、金利は下りますし、また当然下げるべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。  それから日本銀行貸し出しについてのお話でありますが、今日日本銀行貸し出しは、私今正確に覚えておりませんが、おそらく五千百億をこえておるだろうと考えております。五千百億をこえておるということは、概算に申し上げましても、財政の引き揚げ、いわゆる外為の輸入超過を含めて財政の引き揚げをカバーして、なおかつそれ以上あると思っておるのでありまして、ただむやみに日本銀行貸し出しを締めておるということは当らないと思う。ただ問題は、それにかかわらず、なぜ金融が締まっておるかということは、要するに、日本経済が今日非常な大きな膨張をしておる。またそれに対応するいろいろな物資を抱えておるというところに、今日のこの金融の引き締まりの状況があると思うのであります。従いまして、この点について調整を加えるというのが今の目的であるのであります。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 そうすると、金利引き下げということについては、国際収支が正常な状態になったならば、やはり手を打って引き下げをする、こういうふうに承わったのですが、そういうふうに了承しておいてよいかどうか。
  23. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましては、もう少し詳しく申し上げておいた方がいいと思います。国際収支改善と申し上げますれば、たとえば輸出入為替の設定がとんとんになったから、もうこれでいいのだという意味ではありません。今日まず国際収支改善をはかるためには、とりあえず為替面からこの輸出入バランスをとることは、やむを得ないのでありますが、根本は、日本経済自体が均衡を得て、そうしてその結果国際収支バランスをとる、こういうところに持っていかなくてはならぬと思うのでありますが、同時にまた、そのバランスをとったから、それならそれで日本経済はもう安心していいかといえば、そうでないのでありまして、そのときにおける日本国際収支というものは、巨額の債務が残る、これをむろん返済しなくてはならない。なおその上に、相当な外貨の手持ちというものを形成しないと、日本経済健全性とか、あるいは国際信用の上から、どうしてもそこまでは持っていかなくてはならぬ、さようになるのであります。従いまして、すぐに形において国際収支とんとんになったから、金融というものがいわゆる緩和に向うかといえば、さようにはなりがたいのでありまして、むろんそのときの情勢にもよりますが、原則的には、やはり相当金融引き締めといいますか、このタイト・マネーの政策が続くというふうにお考え下さった方が適当であろうかと思うのであります。むろん先ほど申しましたように、そういう結果から輸出が増大してきます。輸出が増大してきますれば、その限りにおいて金融がゆるむことは当然でありまして、そういう形をだんだん大きく拡大してそうして金融が緩和し、金利も下るというふうに持っていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 今の答弁を聞いておると、きわめて早い時期に高金利を下げるように聞いておったのですが、あらためての答弁を聞いておると、これは非常な長期的なものだ、とてもあなたの任期中には下りそうもないような御答弁ように承わったのです。そうすると、これは国際収支好転見込みを先ほども質問したのですが、いつごろになったならば好転するという見込みを立てておるのか、またある程度の見込みなしには、これほど苛酷な金融引き締めということは行うべきでないだろうと考えておるのです。ただやむを得ずに、ある程度の短期なものでその期間やるのだというならば、いつになったならば好転するのか、この秋にくるのか、冬にくるのか、いつ好転の時期がくるという目途を持っておるのか、その点についてさらに明確に御答弁を願いたい。
  25. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えを率直に申し上げますならば、好転という言葉が非常に問題の言葉でありまして、この好転という言葉を非常に楽観的な、もうこれでよいのだというよう意味にとると、これは非常に問題があるのであります。しかし情勢が徐々によくなるという意味好転でしたら、これはまたとりようがいろいろとあるのであります。私は楽観をしてよいというよう意味でなくて、日本国際収支が、大体いろいろな手を打ってその結果一応とんとんといいますか、収支が一致するというような、そういう目標を一応年内に置いておるということを申し上げてよいかと思います。むろんこれは目標であります。特に国際収支のことでありますから、国際情勢のいろいろな変化があります。今日世界各国為替事情は、非常な変化をしておることは御承知の通りでありまして、国際情勢からくるいろいろな影響というものを、今後に保留しなければなりませんが、努力目標としては、私はさようにいたしておるわけであります。
  26. 横錢重吉

    横錢委員 年内目標を置いておられるのですが、今度の目的は、金融引き締めということが目的ではなくて、やはり輸出入改善外貨の保有を多くするということ、これが目的であろうと思うのです。そうしますと内閣政策として、金融引き締めと同時に行なった輸出入改善のための措置、これは一体どういうふうな手を打たれたか、輸出振興に対するところ政策、あるいはまた不急不要の品物に対する輸入制限、そういうふうなものに対して何らかの手を打たれたのかどうか、この点をあわせて一つ明確に願いたい。
  27. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 輸出を増大させます手段としては、いろいろとまた考えられましょう。また客観的な情勢変化に対応しても、適切に考えなくてはならぬと考えますが、基本は、やはりどうしても物価の安定ということにあると思うのであります。しかし、そういうふうな根本的な点はしばらくおきまして、それはそれとして努力するといたしまして、とりあえずとります措置としましては、先般いわゆる輸出所得に対する税法上の優遇、それから保険につきまして税率を引き下げるという措置を一応決定いたしております。なおその他におきまして、弊害がなくして、しかも適切に輸出を伸ばし得るという方策がありますれば、皆さんのお知恵も拝借いたしまして、私は善処いたしたいと考えておるわけであります。
  28. 横錢重吉

    横錢委員 これは、私の方で知恵を貸すのでなしに、今まですでに行なったかどうかということを聞いておるのです。大臣の今の答弁では、金融引締め政策だけを苛酷に出して、最も大事な目的であるところ輸出入改善という本筋の問題に対しては、策らしい策をさっぱり打っていない。そして、それをただ金融機関にだけ強い引き締めをもって臨むということは、策として当を得たものではないのではないか。それは、むしろ輸出振興策をとる、不急不要なものに対するところ輸入制限方策をとる、こういうふうなのが私は本筋だろうと思う。輸出振興策に対して何らかとったのか、むしろ今の大臣答弁では、何ら出てこない。たまたま先日の新聞等を見ておれば、これは、岸首相が東南アジアや、あるいは台湾等においていわれたところ言葉中共を刺激して、日本商社が八月中に全部——全部とはいわないまでも、ほとんど引き揚げざるを得ない。あるいはまたこの次の協定が結べない、非常な輸出上の危機に立っていると思う。今金融引き締め輸出入改善という最大の問題がありながら、日本の大きなウエートを占める中共貿易がこういうふうな危機に立っておる。この危機に対しては、一体どういうふうに改善ようとしておるのか。もしこの改善の手を何ら打たないならば、金融引き締めとか輸出入改善とかいうことと全く相反する政策が、同じ内閣の中から出ておるということになる。これは、金融引き締めの苛酷な条件に侵されて、あるところでは赤字倒産、あるところでは黒字倒産、こういう二十五年以上のデフレに見舞われている国民としては、耐えがたい問題だろうと思う。従って、こういう問題に対してどういう見解をとっておるのか、承わりたい。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この金融引き締めがいかにも輸出を阻害しておるかのような印象を私は受けたのでありますが、決してそうではないのであります。金融引き締めは、輸出入のいわゆる国際収支改善する、これは結果的にそうなりますが、本来ならば、やはり日本経済が伸び過ぎる、これをこのままにしておきますと、どうしてもこれに対しまして物資の需要が非常に喚起される、輸入力が十分な場合は、輸入をもってこれをカバーできても、輸入力がなくなった後においては、それをそのままにしておくと物価騰貴になる、物価騰貴になれば、輸出がどうしてもむずかしくなってくる、そうすると、日本経済はいかなくなる、こういうことなんでありまして、今日金融引き締めをやっておるのは、ほかの言葉で言えば、将来において一そう輸出を増大させようというところにねらいがあると申してもいいんであります。そういう意図をもって今金融引き締め考えておるのであります。  同時に、しかしそれだからといって、何でもかんでもしぼればいいというわけではないのでありまして、そういう態勢下において、また先ほどおわかりにくいというお話もありましたが、個々の問題については、これはまた考えていこう、こういうふうに私は申しておる次第であります従いまして、輸出について、さらにこれを増大するいろいろな施策については、惜しみなくやってみよう、従いまして金融についても、たとえば輸出金融について、これを別ワクにしろ——これは本来別ワクになっておるのです。これは、日本銀行に手形を早く持っていって融資を受ければ、日本銀行は特別な金利で割引するのでありますから、当然別ワクになるわけです。ただこういうものは、借手の方から見ると、いつでも担保になる、いつでも借れるものですから、これをとっておいてほかのものでまず金を借りてそれを使っておいてあとで持っていこうとするから、資金量調整の上では、それをそのまま認めると、いわゆる資金量が多過ぎるという結果を生ずる。そういうことがありますから、私の考えでは、輸出金融別ワクでいいんですが、それは別ワクという意味で、まず輸出金融をつけるということ、そして国内的な金融は、別個のワク考えていくというふうにすれば、それはそれでもいいんじゃないか、そういうふうにして、輸出金融については格段の配慮を加えておるわけです。  それから先ほど輸出増進についての施策を何も言わぬじゃないかと言われましたが、私どもとしては、あらゆる意味におきまして税法上の措置も講じておる、それから保険料等においても引き下げておることは申し上げた通りでありまして、その他についてもやり得ることがあれば、事務当局その他関係者をも一応動員してやりたい、かよう考えておるわけであります。
  30. 横錢重吉

    横錢委員 私の聞いたことに対する答弁はなかったのですが、相手が総理大臣だから、少し答弁しにくい点もあるのだろうと思いますが、この点は、また他の委員から御質問があろうかと思いますので、私はさらに一、二点だけお伺いします。  金融引き締めによって電力や石炭等の資金の需要にも相当の削減が行われている、こういうふうに聞いております。この金融引き締めは一時的の現象であって、これに対して電力、特にダム開発等の資金というものは、数年、数十年年を要する長期的な計画の一環の中に入っていると思うんです。従ってそれが突然の引き締め等でがたっと動いて、その何分の一も遂行できないという事情では、日本のエネルギーを確保する上に非常に大きな影響がある。従って、この中小企業に対する対策をどうするかという問題と、基幹産業に対しては、金融引き締めがあっても、これを遂行できるだけの最低量の確保ということ、そういうことに対しては、当然一定の見解が打ち出されていなければならぬと思うので、そういう見解をお持ちになっておるかどうか、この点もあわせてお伺いしたい。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この基幹産業、特に日本経済の発展のために必要であるが隘路になっている、そういう産業について特別な配慮を講ずべきであるということは、これはその通りであります。その通りでありますが、ただそれにもかかわらず、今日石炭の方は手をつけておりませんが、たとえば電力とか、あるいは鉄鋼とか、あるいは化学工業、こういうものについても、事業の若干の繰り延べを要請しておるゆえんのものは、日本経済が何分にも全体として相当な病人です。ですから、そういうより分けをしておれないというふうに解釈下されば、よくおわかりになると思う。一時それを繰り延べて、しばらく待って、からだが健康になったら、まずそういうものから取り上げていこう、それには、今後基幹産業において適切な計画を立てて、それを実行していく、これを今後優先的に取り上げる、かように御了解を願いたいと思う。
  32. 山本幸一

    山本委員長 春日一幸君。
  33. 春日一幸

    ○春日委員 一萬田大蔵大臣は、このたび八カ月ぶりにこの大蔵大臣の席に復されました。わが国の海外収支の逆調を克服することのために、さきの池田大蔵大臣が非常な決意でもってこの金融引き締めの総合対策を講じておりましたそのさなかに、この大臣の更迭を見たということは、われわれの政治常識をもってすれば、これははなはだ奇妙なことと考えているわけであります。しかしながら、貴下が今回この席を得られたということの功罪は、一に今後の貴下の政策のいかんにかかっていると思う。従いまして、私たちは冷厳な気持でもって、貴下を鞭撻しなければならないときは鞭撻し、もし誤まったことがあれば、限りなくこれを打擲して、そうしてわが国の健全なる経済の発展のためにともに協力したいと考えている次第であります。しかしながら、今内藤君や横銭君の御質問に対してお答えしているところをもってすれば、これはことごとく何となくひょうたんなまず式というか、抽象論議の域を出ていない、理論的な御意見を述べおられる。演説会や座談会なら大体この程度までお答えになるかもしれないけれども、本委員会は、国民に対して当面している具体的な政策、特にまた金融梗塞の非常に深刻悪化しているこのときに、適切な手を打ってもらうことのために大きな期待もしておりますし、それだけの責任を負うている。従いまして、久濶に開かれたこの委員会においては、あなたの今までなされた答弁の範囲内をもってしては、これはとうてい満足すべきものではなく、われわれもまたその職責が果しがたいと思うのであります。  こういう意味から、さらに一つ具体的に、特に当面している大きな問題は金融の問題であり、これはかってのあなたのホーム・グランドの問題であるし、さきにあなたは、二年有余にわたって大蔵大臣としてこの問題を取り扱われているから、就任早々とはいえ、あなたに抱負経綸のないはずはない。従いまして、私はこれからあなたに御質問する事柄について、具体的にかつ的確に御答弁をお願いしたいと存ずるのであります。  そこで質問の中に入りますが、いわゆる外貨危機を克服することのための総合対策、これが一応効果を現わし始めつつあるのではないかと思われているわけであります。すなわち経済企画庁の調査によりますと、本年最高の卸売物価水準は、四月であったが、これに比較すると、今日においては物価も大体六・七%、これはかって予想した以上の値下りである。それから鉱工業の生産水準も次第に下ってきている。それから企業家間における投資意欲というものもだんだんと控え目の傾向が現われてきた。さらにまた重要なことは、先ほども横錢君の質問に答えられたが、この輸入信用状の設定が大体二億一千万ドルとなって、輸出のものとほぼとんとんになってきておる。これはもとよりとんとんをもって最終目標とするものではないけれども、これは期待した効果が次第に現われてきておることの実証です。それからこういうよう情勢をもってすれば、大体この十一月ごろには、対外収支輸出輸入ともにとんとんになってきて、それを契機として、だんだんと好調の方向へ向っていくのではないかと思われてきておる。すなわち金融引き締めの施策は、だんだんとその効果を示しつつあって、その目的はやや達し得たのではないかと考えられるのであります。しかるところ、一方経済界の実情はどうであるか。これは大臣も詳細にお調べ願っておるであろうが、この金融引き締めの結果、その影響が次第に各方面に浸透してきた。特に会社の金繰りは惨たんたるものであって、この七月末においては特にひどい。不渡り手形は、七月中には六万六百十三枚、これはわが国における手形交換所開設以来の最悪のレコードです。そうしてその倒産が、さきには繊維商社の倒産に一番顕著にその徴候が現われておったが、やはり、景気の消長が繊維から漸次他の業種に及んできて、今日食品業界、薬品業界、その他ゴム製品等にずっと倒産が現われてきておる。特に黒字倒産というような、異常な金繰りから来るところの不自然な倒産もあちらこちらに現われてきておる。しかも五月、六月ごろのあり方は、もっぱら中小企業にその倒産がはなはだしかったのでありますが、今日では二千万円ないし五千万円のキャピタルの、いわゆる中堅事業体においてもそういう倒産が続出しておることは、大臣もよく御承知の通りであります。こういうような新しい情勢に対処しては、すなわち集約して申しますれば、金融引き締めの効果は逐次現われつつある。その結果経済界においては、さような現象というものは、そのままほうっておくならば、いわゆる横錢君の御指摘のように、わが国の経済におそるべき破綻のときが襲来しないとは断じがたい。こういうようなときには、やはりこの状況に即したところの、きめのこまかい、ケース・バイ・ケースと申しましょうか、一律の金融引き締めの方針ではなくして、さらに一歩進んで、専門的な、デリケートな一つ金融施策というものが、専門的に技術的に講じられなければならない段階に到達しておると思うが、これらの事態に対して、一萬田さんはどういうようなお考えをお持ちになっておるか。やはり講じなければならないとするならば、あなたが講ぜんとするところの具体的な施策は何であるか。現実に、申し上げました通り、一方においては経済界が混乱しておりて、手形の不渡りが続出して、中堅事業家に対しても、そういうよう黒字倒産の問題が現実に現われてきておる。何らかの手を打たなければならぬ、打たんとする手は何であるか、これを一つ答弁を願いたいと思います。
  34. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの春日さんのお話、私も大体同じような見方であります。一応金融引き締めを中心とする国際収支改善の総合施策が効果を奏し始めている、そのきざしを見せつつあるということについては、私も異存はありません。従って大体順調にいっている、かよう考えておるのでありますが、しかしただ申し上げたいのは、それだからといって、今安心し得る状況では決してないということであります。私は、今の御意見に何も反駁申す意思はありません。ただこういう事柄でありますから、御一緒に一つ研究して参りたいという意味で申し上げるのでありますが、物価がこういうときに下るということは、これはもういつのときでもそうである。またそうでなくては、これは、やはりふくれ過ぎているので金融引き締めてやるのですから、少くとも一時物価が下る、こういうことで、物価がある程度下っております。それから投資意欲の点でありますが、この点は一番問題であります。今日経済が膨脹した最も主因か巨大な産業にあるので、従ってこれはなかなか力も強いのであります。しかし、これはどうしてもある程度スロー・ダウンしないと、この事態はおさまらない従いまして、ある程度時間がかかる。今もう全部態勢を整えて、そうしてそれに順応して実行しているとは、私は申し上げかねる。今後それを一そう推進しなくてはならぬという段階で、非常に私は今大事な時期にあるのだろう、こういうよう考えておるわけであります。  それから信用状が、一応設定が輸出輸入見合っておるじゃないかということ、これも幸いそういう状況がありますが、これは、しかし今日輸入を特に押えているというところにあるのでありまして、先ほどもしばしば申し上げますように、経済の膨脹が調整されて均衡を得た、そういう物資の需給関係から来ているのではまだないのでありまして、そういう方向に今後持っていかなければならぬ困難な問題を残しております。そういうことを考えつつ、今のところ総合対策の効果が出始めているというふうにお考え下さっていることは、まことにありがたく思うのでありますが、しかし他方、お前はそういう金融引き締めをしているのに、一方において非常に困難な人が多いじゃないか。これも、私はむろんそうでないと申しません。しかし、こういうような国の経済を居本的に立て直すといいますか、大きく立て直していくために、どうしてもある程度の摩擦といいますか、それが出始めておる。私どもは、できるだけそれを少くして所期の目的を達したいというのが念願で、非常な努力と工夫をいたしておるのであります。しかし今のところお話しのように、そういう大きな摩擦はまだ出ているわけではありません。今後においてもできるだけそれを防ぎたい。しかし、やはり大筋と日本経済立て直しというその線は、こわしてはならぬ、かよう考えておるのであります。いま一つ例が出まして、黒字の倒産ということがいわれております。そういうことは私はあり得ないと思う。言いかえれば、経営も堅実であり、資産状況もよろしい、ただ一時の金の収支関係、一時支払い手形が来る、すぐ受け取り手形が来る、それでも倒産するか、そういうことは私はあり得ないことでありますし、またそういうことがないよう金融界にも話しているわけで、黒字倒産ということは、そういう声を大きくされないようにお願いをいたしたい。そういうことは出ないようにあらゆる努力を払うつもりであります。従って、今、お前はきめのこまかいことを考えなければいかんじゃないかということでありますが、このきめのこまかいという言葉は、非常に誤解を招きやすいので、きめのこまかいということは、何か政府においていろいろと手を出して、そうして金融を緩和する、少しでも金融を楽にするというような印象を国民が受ければ、これは私は賛成しません。そういう意味のきめのこまかさは持ちません。持ちませんが、金融を緩和すると、今言うたよう黒字倒産、経営もいい、ただ一時金融というものが困ることから倒産、そういうものはさせないという、そういう考え、そういうことに手を打つ、そういうことは私は考えておるわけであります。そういう、金融を緩和する意味のきめのこまかさではなくて、資金量は同じでも、もう少しきめのこまかさをやる方法もあるのでありますから、そういう意味一つ御了解を得たいと思います。
  35. 春日一幸

    ○春日委員 それは、やはりまだ抽象議論の限界を出ていないと思うのです。本委員会は、少くとも財政金融の問題については、ことごとく委員はベテランである。従って、その専門家同志の話し合いということで、あなたももう一歩進んだ、すなわち心の中で考えていること、頭の中に浮んでいること、これを一つ述べてもらって、そういう方向へこの金融財政政策を持っていかなければ、委員会を開いた意味をなさぬ。あなたは八カ月間野に下っておられて、幾らか勉強しておられたと思うが、国務大臣として一向前進がないということは、はなはだ遺憾である。そこで私があなたに申し上げるのは、金融引き締めの基調を今こわすべき段階にきておると私は申し上げておるのではない、効果は現われてきておる、けれども、これを一つのオペレーションにたとえるならば、やはり大きな治療を行うときには出血するでしょう、だから、その出血をとどめなければ、その手術は完全に終ったとしても、その人間それ自体が死んでしまっては何にもならぬ、たとえば胃ガンをとるとか、あるいはさらに肺結核の大手術をしたときに、出血多量のためにその人間が手術が終ったときに死んでしまっておっては、治療の意味は何にもなさぬ。だから、私たちはこの六月の大蔵委員会において、さきの大蔵大臣池田勇人氏と本委員会とが一日懇談会を開いて、出血が多量である、中小企業の倒産まことに目をおおうべきものがある、この対策いかんというので、当時の池田大蔵大臣も本委員会の指摘した事実を率直に認めて、その施策の必要なることをこれまた認めて、当時中小企業金融公庫、国民金融公庫、それから商工組合中央金庫、このすでに予算の中に定められておるものの中の総引き揚げ中止、その他政府が市中銀行の手持ちの公債を買い上げる等、よってもって中小企業者の出血多量を止血するための措置、実に三百五十億の金融措置を講ずることによってとにもかくにも中小企業へのそういうしわが一応延ばされたのではないかと考えられるのだが、それは、言うなればきめのこまかい措置の中の一つである。それで私が今申し上げるのは、あなたは、そんなに大したことはないと言っておられるが、現実に六万何千通というような一カ月における手形の不渡りというような事態、これがそんなに悪化した事態でないというような感覚を持っておられるならば、今後あなたの施策はまことにおそるべきものではないか、実に警戒を要すると思う。現実にこの八十五社の繊維業者が倒産して、その資産総額が五十七億、さらに連鎖反応がずっと及んできておる。こういうときには、私は、本委員会と前大臣との間でとったあの三百五十億の中小企業に対する応急資金の支出というような具体的な施策が、第二段の段階において今講ぜられなければならぬのではないか、かくのごとくに考えるのだが、大臣はそういう必要をお認めになっていないか。この際中堅商社にもそういう破産の累が及んで、その下にある中小企業、零細企業関係労働者に大きな被害が及びつつあるというこの事態を全然お認めになっていないか、この点についてお伺いをいたします。
  36. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 中小企業について、こういうふうな施策の実行の結果及ぼすであろういろいろな支障について、政府としてあらゆる金融上の措置をとるということは、これは初めから政府は申し上げ、それについて具体的な措置をとりましたことは今お話しの通りであります。なお今後においても、実情に応じて適切な措置をとっていきたい、かよう考えております。私が今申し上げたいことは、先ほどから繰り返して申しますように、いろいろありますが、今度の設備の拡大、投資の拡大は、やはり大きな事業にある、それで、この大きな事業がやはり責任を持って自分で事業の繰り延べをする、そうして金融もそこで始末をつける、そうして自分のことはほかの人にしりを持っていかない、たとえば、その結果中小企業あるいは商社にしりを持っていって、自分自身はあんまり事業の縮小は本気にならぬ、こういうことはありませんが、そういうことがあってはならぬということを中心に考えて、なるべく中小企業等に波紋を持っていかないように、今あらゆる努力を払っておる。大企業も、そういう点はよく理解なさって、協力をして下さりつつありますから、私は漸次そういうふうな方面からくる悪い影響は是正されていくであろう、またいきたいと思っております。しかし、それにもかかわらず、中小企業は、しばしば申し上げますように、社会関係において力が弱い、その結果不当にしわが寄るということも常に考えておかなければなりませんので、政府としては、あらゆるそういう悪い場合の中小企業に対処する施策について、遺憾のないよう考えておるわけであります。これだけ申し上げておきます。
  37. 春日一幸

    ○春日委員 それでは一歩進んで、今ちまたで伝えられておる八月危機説というものと関連して、さらに大臣のこれに対する施策をお伺いをいたしたいのであります。すなわち現状をもってすれば、この金詰まりは八月ではさらに一そう深刻になるものと予想されておるのであります。まず第一番に、財政投融資の関係をもっていたしますれば、これは政府の揚超の傾向が依然として強いのであります。すなわち五月は揚超が九百三十六億、六月は千四十六億、七月は百四十億、この三カ月間で約二千億の引き揚げ超過になっておるが、八月にもまた九百億程度は揚超になってくるのではないか、これだけ財政資金が民間から吸い上げられて参りますれば、これはよってもってそのまま銀行の手持ち資金を窮屈にしてくる、その結果鉄行の貸し出しをさらに窮屈なものにしてくることは当然です。そういう情勢下において逆に民間資金の需要の情勢はどうであるかということを検討してみますと、すなわち当月の八月は、あの五月の十五日でありましたか、公定歩合引き上げが行われて、六月にさらにその金融の強硬な引き締め施策が日銀によって明らかにされた、その前後期に手形を発行いたしております、いわゆる設備関係その他材料関係等において発行された手形が、九十日の期限が来て、この八月末にはその支払い期限が到来するという、これも一つの大きな要素である。それからもう一つは、この四、五月ごろに異常に輸出信用状が発行された、これもまたその手形の決済期が当月八月にくる。それから売掛代金の回収というものが、この六、七、八には非常に悪い、特にこの七、八月は夏枯れで、入金は非常に減ってきておる。それからさらにまた八月は秋物、冬物の手当のために、一そうその手当資金の需要が増大してきておる。さらにもう一つは、ポンド・ユーザンス手形、これが一カ月間期間が短縮されております結果、これまた為替決済がこの八月に繰り延ばされておる面が相当多い。一方繊維市場も悪いし、鉄鋼市場というものは非常に悪くなってきておるから、滞貨が激増して、滞貨融資の必要も生じてきておる。こういうわけですが、大臣の言をもってすれば、この七月末はそう大したことはない、そんなひどいことはないと言われておるが、これが八月末になると、今申し上げました七つ八つの要素が相からんで、これまた異常な金融梗塞を現出しようといたしておるわけです。何らかの施策が講ぜらるべきだ。また大臣の手元で、これらの金融情勢経済の転換については、当然慎重なる御検討があったであろうが、これに対して何ら手を打つ必要はないと考えられるか、あるいは何らかの施策ありとすれば、その具体的なものは何か、この際御答弁を願いたい。
  38. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 八月は非常に金融的に困るだろうということが、一般的に申されておったのであります。八月に、今いろいろと具体的にお示しになりましたように、資金が集中して決済されるということはあると思います。そういうことから考えまして、今お話しのように、八月に九百億ばかり引き揚げ超過が財政であります。ところが九月には、数十億くらいはあるかもしれませんが、ほとんどない。そういう情勢下にありましたから、何も八月と九月をそういうふうに変動を与える必要はないのでありますから、九月に払うべきものを八月に繰り上げ、そうしてこれが三百十億近いものと思いますが、そういうものをこの八月に繰り上げて処置をいたしております。それからこの事業資金の量をどういうふうに持っていくのが日本経済に適切であるかということは、私も十分見ておりますが、何としてもこれは中央銀行の機能でもあります。ごく冷静に客観情勢等を見て、日本銀行できめております。日本銀行貸し出しも、先ほど申しましたように、やはり徐々に若干はふえる傾向をとっておりますので、今お話しのような点も十分考慮に入れて、日本銀行金融政策をとっておるだろうと私は信じておるわけでありまして、そうして財政の一般の引き揚げも、米の供出等の進捗等もありまして、思ったよりも財政引き上げも少うございます。むろんこういう時期でありますから、苦しさが減るとか、そういうことを申すのではありません。ほんとうにお苦しみになることは相済まぬと思っておるのでありますが、一般の声を大きくするほどではなくして経過する、こういう確信でおります。
  39. 春日一幸

    ○春日委員 多くの警戒すべき要素が財界においても、またそれぞれ専用家間においても指摘されておる。それぞれその対策のために、いろいろと苦心が払われておるのだが、大臣はこれに対して、わずか三百数十億の九月に支払うべきものを八月に支払う等の消極施策をもって、大体当面を糊塗できるというようなお考えであるが、ただ問題は当月の問題であり、大臣の見通しが果してその通りであるかどうか、これは来月の委員会ではっきりわかることだが、これは一つ経済の現実の問題なのであります。一つの抽象論をもってしては、これは許されない。来月になって、もし一つこれはあなたが見通しが誤まっておるということなら、当然あなたはしかるべき責任をとらなければならないが、いずれにしても問題を一つ慎重にお取り扱いをいただいて、とにもかくにも、時々刻々とこれらの起るところの諸現象に誤まりをなくしていただきしたい。この際念のために特にお願いしておきたいと思うのだが、すなわち六月の本委員会において、当時中小企業金融を、とにもかくにも応急的措置を講じよう、こういうことで、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金、それから市中銀行、地方銀行、こういうようなものに対して特別に三百五十億円の資金手当を行うということが決定された。これは大臣の言明によって国民にも知らされたが、その後日銀総裁、閣議等においても了承されて、これが決定事項である。六百、七月、八月を期して、まだ九月も残っておるけれども、この三百五十億は当時の大蔵委員会と政府との話し合いの通り実施されておるかどうか、その後の支出状況の実績、今後の見通しについて、この際大臣の御方針を伺ってみたいと思います。
  40. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。私は、今御指摘の事柄は、文字通りその通り通していきたい、またいくべきだと考えておりますが、数字でありますので、今具体的にどういふうになっておるか、これは銀行局長からでも後ほど書いて差し上げたいと思います。
  41. 酒井俊彦

    ○酒井説明員 中小企業金融公庫及び国民金融公庫に対する百三十億の繰り上げ融資でございますが、これは第二・四半期以降、主として第二・四半期を中心に第三・四半期に若干わたりますけれども、資金計画におきましてすでに出すことを決定いたしております。具体的に今まで幾らになりましたか、中小企業及び国民金融公庫の金繰りの問題でありまして、手元に資料を持っておりませんけれども、実行するようになっております。それから商工中金につきましては、二十億の利付社債を資金運用部で引き受けるという件につきましては、すでにそのうち五億は引き受けております。それからその後御要望のありました割引商工債券につきましても、これも資金運用部で引き受けるということで、八月から始めております。それから二百億の中小企業向けの金融債の買い上げと申しますか、信用保証協会を使っての二百億の融資につきましては、これは先月の中ごろ相談がまとまりまして、七月一日以降信用保証協会の保証によって貸し出されたものにつきましては、原則としてその翌月の二十五日、すなわち七月一日から始めましたから八月二十五日に貸し付け相当額を資金運用部において引き受けていただくということにして、すでに手続はとってございます。具体的な数出につきましては、今各金融機関の協会等におきまして整理をいたしております。おそらく二十日ごろに大蔵省に数字が届くと存じます。
  42. 春日一幸

    ○春日委員 今の局長の御答弁は不明確である。当時委員会大臣との間の話し合いは、これは繰り返し具体的の細目にわたって話しが協約されたのであるが、それは、今あなたは第三・四半期にわたると言ったが、そのようなことはない。これは六、七、八月という委員会側の指摘に対して、大蔵大臣は、九月にわたる面もあるが、それは了恕されたいというような細部にまたがってまでの議論の応酬まであって、これは明らかに六、七、八、九月間に実額三百五十億円、これは十分でないけれども、この額をもって一つ何らかの措置を講じようということになっておる。さらにこれが九月にまたがるということは、当時の委員会大臣との話し合いに反するものである。これは、すみやかにその実額をとにかく九月末日をもって完全に放出できる態勢において、それぞれの施策を講じていただくのでなければならないと存じます。  それからなお、本日あなたは資料がないので明確に御答弁ができないということであるから、それでは論議にならない。従いまして、幸い明日も継続して審議がありますので、どの公庫にどれだけの額が出て、この八月、九月どれだけの額が出るか、また市中銀行に対する公社債の政府の肩がわりの問題であるが、これは当時委員会でも問題になったのだが、特に十大銀行等では、そういうものは日銀へ持っていけば、すぐ全額買い上げてもらえるのだ、従ってこの信用保証協会とタイアップによるところの資金化ということについては、どうも効果が薄いのではないかという難色が示された。しかしながら、これも効果のある措置一つ大蔵省で研究してもらうということで、これまた研究事項になっておるはずである。要するに、特別措置によって中小企業への融資を銀行側に刺激を与えるような工合に措置が講ぜられなければ意味をなさない、そういう意味で、大蔵委員会と政府との門で協約ができておる。三百五十億の中小企業向け資金の放出、これはどういう工合にされておるか、開口の委員会において的確に御答弁を願えるように、あらためてお願いしたいと思います。  それからなおほかに質問者がありますので、私はこの際特に質問をいたしたいことがありますから、これは本日御調査を願って、明日御答弁を願いたい。それは、われわれ大蔵委員会が、今度中南米、ヨーロッパ、その他を回ってきたのであるが、その中で、わが国の為替政策と関連して特に重要な案件があるので、特にこれを御調査願って、明日の委員会で御答弁を願いたい。それは、本日ブラジルにおいては、クビチェック大統領が従来の農業政策から大転換をして、この国の施策を工業化するという方針に基いて、現在のブラジルに対しては、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、こういうような国が相こぞって無為替輸出による工場進出をはかっておる、わが国においても、ミナス製鉄関係を初めとして相当の大企業の進出が行われておるが、これは、ブラジル自体において外貨の手持ちがないために、当然無為替輸出の経路をとらざるを得ないと思います。ブラジル工業化に机呼応して、日本工業のブラジル進出をはかるための無為替輸出に対する政府の方針いかん、この問題を御答弁願いたい。  それからもう一つは、ミナスの製鉄に関するわが国の投資並びに融資関係、これは総資本が五百五十億で、日本側の分担はその五〇%に当りますから、かれこれ二百六、七十億ぐらいになると思いますが、これに対するわが国の為替管理の立場からするところの方針はどのように詮議が進められておるか、これについての御答弁も明日お伺いいたしたい。  それから先般あなたが就任早々関西へ行かれたときに、記者団会見において、明年度の予算編成方針について、あなたの大体の方針を述べられたやに新聞で拝見いたしました。やがて予算編成期に当って、この財政金融その他諸施策と関連をいたしまして、その予算編成方針はわれらもまた重大関心事である。従いまして、あなたが現在のわが国の経済を分析されてそうしていかに理解されておるかということを明らかにされて、その上に立って、どういう予算編成方針を持っておるか、これを明日の委員会で明らかになされたいと思います。  以上四点、これを明日御答弁を得ることに留保いたしまして、私の質問を終ります。
  43. 山本幸一

    山本委員長 ちょっと銀行局長に申し上げますが、今春日君の発言の一番前段にありましたように、六月十一日に、公式の委員会では腹を打ちあけて具体的な打ち合せができないというので、赤公式に懇談会を持って、先ほど来お話があったように、三百五十億の緊急手当をすることにきまっておるわけです。しかも、それは原則は八月までということできまっております。従って、これは委員会全体の責任問題もありますし、当時新聞等にも具体的に発表しておりますから、責任上私どももその点を明らかにしていただきたい。明日は、ぜひ今日までどのような手当をされたのか、あるいはどのような決意で進めておられるのか、その点を一つ明確にしてもらいたいと思います。
  44. 酒井俊彦

    ○酒井説明員 お話のありました点は、ごもっともでございますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫につきましては、当時両方で百三十億という繰り上げになっておったのであります。その後の回収状況等を考えまして、貸付総額につきましては、両者合せまして百五十四、五億多少ふえております、そういう関係で、主として第二・四半期に集中してやるのでありますが、第三・四半期にも若干そういう回収繰り上げのようなものを含めて与えております。それからあとの二百億の信用保証協会を利用する問題でありますが、これは、その後いろいろ手続的に検討いたしたのでございますが、資金運用部におきまして法律がございまして、金融債の一銘柄について民間との間に六、四の比率を保つといいますか、それ以上持ってはいかぬという法律がございますので、その辺をどういうふうに整理をするかということで種種検討いたしました結果、結局各金融機関の協会において法律に違反しないように整理をしていただいた上で買い上げを実行するということしかないことになりましたので、結局一カ月分をまとめて次の月に買い上げを実行する、これは本年二百億のワクでございますから、ワクに達すればそれで終りでございますが、これは何月ごろワクに達するか、これは今後の各金融機関の保証協会を利用する貸出のいかんによります。そういうことで、八月中に三百億見当まで御要求がありますれば、もちろんそれは資金運用部で買い上げになるということでございます。
  45. 春日一幸

    ○春日委員 それは明日もっとよく調べて、もう少し系統的に御答弁願いたいが、今の御答弁はちょっと濁っておるので、警告をしておきますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫の資金需要は、これは窓口で調査されればよくわかるが、それはもう娘一人に婿八人というようなもので、とても資金需要に応じがたい。しかもその返済が多くなろうと少くなろうと、そんなことは関係ない。政府としてそれだけの手当を——百五十億円を第二・四半期に出すということが決定されたのだから、すなわち返済が多くなったからどうこうというようなことではなく、それだけの金をお出しになるということが必要なのだから、そういうことでお出しになることにして、それからどうもあとの問題も、だいぶぼやけておるけれども、これが九月、十月、十一月において資金需要がなおかつ供給を上回って、梗塞が緩和されぬということなら、その次はその次として、次の施策が講じられるべきである。われわれは当時の情勢において、第二・四半期においてかくかくの措置を講ずべし、よろしい、こういうことで天下に公約事項になっておる。少くとも閣議決定事項である、それは遅滞なく正確に約束された通り御実施を願いたい。その実施の経過はどういう状態であるか、実情を明日の委員会で御答弁願いたい。  以上であります。
  46. 山本幸一

    山本委員長 それでは明日また説明を願うことにいたしまして、次に移ります。横山利秋君。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 今銀行局長からちょっとお話があったのであるが、私は少し三公庫を例にとって、実情を私の品から話して、大臣にお伺いしたいと思うのであります。この委員会で、政府機関から三百五十億出ることはきまった。ところが先月暮でありましたか、名古屋で国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、それから銀行、ほかの用事もありまして全部回ったのです。たとえば中小企業金融公庫へ行きますと、直接貸付に七十件殺到しているわけです。それじゃ一体いつごろこれが完了できるのかといったら、今年一ぱいはどうしてもかかる、こういうわけです。何が原因かといったら、もちろん資金のワクもあるけれども、審査能力が全然足りません。七十件を何人でやっているのかといったら、六人でやっているという。それじゃてんで直接貸付は話にならない、それじゃ代理貸付はどうかといいましたら、代理貸付はワクが十億だ、それに対して二十五億きている。一体申し込みがあってから貸付されるまでどれくらいかかるか、まあ二カ月ぐらいかかるだろう。国民金融公庫へ行くと、個人ですと五十万、大体全国平均今十八から二十万くらいじゃありませんか、それで押すな押すなの状況であります。商工中金はどうだろうか、一、二月ごろは、商工中金の分は青空だといわれておった、このごろは断わるのに精一ぱいだといわれている。商工中金の宣伝も少ししたらどうかといいましたら、このごろは、あまり宣伝するとかえって困るので、宣伝は慎しんでおります、こういう話であります。そういうふうな状況では、今銀行局長お話しになったこととは全然話が違うわけです。聞いてみますと、三百五十億はとっくに出て、それぞれの公庫に回っていると信じ切っておったのでありますが、これは、どうも当委員会池田さんとの約束が全然履行されていないんじゃないか、こういう気がしてならぬ。ですから、それもあした一つ十分に追及いたしたいところでありますが、あわせてあした御説明願うときに、各公庫、特に中小企業金融公庫のいっておりますのは、審査能力が全然ゼロである、政府も緊急対策をやっているのであるから、何とか仕事のやり方も、緊急な作業措置でもきめて、そうしてやる方法はないか、そう言って話し合ったわけでありますが、人員不足で、直接貸付の方は、今頼んでも今年一ぱいは応ぜられない、こういう状況では、一体臨機応変という金融の効果をどう考えているのか、私は不思議でならぬ。この点も明日三公庫の実情、それから何か具体的に手続を簡素化する方法がないかどうか、もう一ぺん具体的な御答弁をお伺いしたい。  それから第二番目に、ここで御返事がいただきたいのは、先ほど大臣はこういうことをおっしゃいました、大企業がけしからぬ、大企業が銭払いが悪い、中小企業が現金でもらっていたものが、それによって手形になる、手形の決済が延長される、その中小企業に銭を貸したところで、結局大企業を助けることになる、だから大企業が悪いのだ、これは一つの見方だと思う。確かに実情を調べてみますと、そこに一つの大きな原因があると思う。それでは一体大臣は、関西やあるいは名古屋においでになって、大企業ばかり集めて、そうして中小企業の実情はどうも聞かれぬような気がするのですが、その大企業に、お前さん方はけしからぬぞ、こう言われたけれども、それじゃ大企業に何をやれとあなたは言うているのですか、どういう方法をそれによってとろうとしているのであるか、あなたは、わしは名医だけれども、この際カルテは書かないとおっしゃいました。世間の人は逆に、カルテを書かない名医というのはどういうものか、それじゃこじきのおかゆで、湯ばかりではないか、こういうことを言うておる人もあるのであります。(笑声)これは大臣考えてもらわなければいかぬ、やはり私はカルテを書いてもらわなければいかぬと思うのです。あなたは金融界の大立者で、一萬田さんが関西や中部を回っただけでも、何となく考えてくれるわいなという気がするのも事実であります。けれども、カルテは書かぬと宣言して、しばらくほったらかしにしておくということではいかぬ、いわんや当大蔵委員会でこれからどういうふうにするかという点についても、もう少し暫定的な今日の応急措置、それから将来にかけての応急措置というあの、輪郭は少くとも就任第一回の大蔵委員会でありまするから、明らかにされる必要があると思うのです、以上私の質問の第一番は、大企業の不払いによる中小企業金融逼迫、あなたは大企業がいかぬとおっしゃるのだが、それをどうしようとするのか、実際問題としてそれをどう措置ようとするのか、それからもう一つは、カルテを一つお示しになったらどうか、なぜカルテを書かぬとおっしゃるのか、この二つをお示し願いたい。
  48. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 第一の御質問で、中小企業金融機関の審査能力、貸出能力が非常に乏しい、それで非常に迷惑しておるぞというお話であります。これは、できるだけやってくれると思いますが、何さま今日時が異常な時でもありますので、十分にいかないとこるもあるかもしれません。十分調査いたしまして、お話ようでありますれば、できるだけこれが対策を講ずることにいたします。それからもう一つ、中小企業金融に関連しての考え方ですが、私は大ざっぱに申し上げますと、日本経済のこの情勢に対応するのには、何といっても荒々金融を引締めまして、そうしておいて、さらにこれを具体的に個々に見ていく、そういう意味において、今度の経済の困難なる最も大きな原因が、投資が過度になった、これは、結局せんじ詰めると、特に若干の大きな産業業種、並びに企業にあるのでありまするから、これは一つ金融——これは大銀行関係、それから大企業、数も知れておるのでありますが、それらの方々とよく話し合って、そうしてそれぞれの責任というものは十分感じておるのでありますから、それらの責任においてなるべく解決する、こういう方向に持っていくのが私は筋だと思っている。しかしそれだけでよいかというと、決してそれでいいとか、それでうまくいくだろうという、そういう甘い考えは持っておりません。そういうことにあらゆる努力を払うが、それにもかかわらず、やはり世の中が思うようにいきませんから、弱い人が苦しむようになるだろう、それで中小企業が非常に苦しむということになるだろうと私は考えますから、中小企業金融については、特に配慮を加えてやろう。私は大阪、名古屋等に行ったときに、大企業にばかりやっておるというのはいけませんと言ったのです。私は大企業に対して今度は中小企業の方にもたくさんの方と会いまして、私はおもに聞き役に回ったのでありますが、よく聞きまして、どういうところが困っておる、どういうところが苦しいかということがわかりましたので、それらについては、むしろ弊害をなくしてできるだけの対策を講ずる。かりに金融で困っているといえば、中小企業については、特に金融について考えてもいいと私は思う。それくらいに考えておりますので、大体の輪郭は、大きな線をどうしても通さざるを得ません。またどこに病根があるかということを今度は個別的に抑えて、そこで始末するようにして、なおかつ一般中小企業の弱いところ、弱いところに手をつけていく、かよう考えておる、これが私の大筋であります。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 その大筋は、もうあなたもずっと回られたし、就任以来相当になるのでありますから、どこに病根があるかということはわかっておられると思う、病根の一つが、大企業がやや便乗的に、支払いを現金から手形に、あるいは手形のサイトの延長というふうに現われていると思う。そういう点が非常に大きな問題で、あなたも指摘をされたところだと思う。そこで、あなたは大企業によく話し合ってとおっしゃるのだけれども、なかなかそうはいかぬ。そういうことをあなたは強調しておられるのだが、そういう場合にどうなさるのか、どういう用意があるのか、それを私はお伺いしておる。
  50. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点を先ほどからしばしば申し上げたわけでありまして、とりあえず中小企業金融に当っておる政府機関の資金量をふやしていく。先ほどから三百五十億——これは政府機関だけじゃございません。二百億の金融債の買い上げは、民間金融機関でありますが、要するにこういうふうに中小企業金融向けの資金量をとりあえずふやしても、貸出能力、審査能力で非常におくれるのじゃないかというお話もありますから、それについてもさっそく取り調べまして、できるだけの効果的な方策をとりたい、かよう考えておるわけであります。そして当面は金融の問題だと思いますので、金融面に十分力を入れたい、かよう考えております。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 方面を変えて少しお伺いしますが、先ほど内藤さんが、当委員会決議としての税金の問題を聞きまして、全然一萬田さんの御答弁は御答弁にならない御答弁でありましたから、もう一ぺん確かめますけれども、今あなたが、この金融の問題を一つ貯蓄の増強ということで裏打ちをしたいとおっしゃったが、こういう建前はわかるんだが、それなるがゆえに、税制というものを、政策的な立場においてそれのみをあなたがお取り上げになろうとしておるという感じがしてならないのであります。これは、税制がある場合において政策的な立場で公平というものを無視して行われる場合がないとは言えませんが、しかし一萬田さんの大蔵大臣のときには、えてしてそういうものが多過ぎるという感じを私は免れがたいと思うのであります。今あなたがお取り上げになっております問題は、住宅貯蓄減税ですか、それから二、三の問題を新聞で拝見いたしました。それはどういう立場でやろうとするのかということがお伺いしたい一つです。もう一つは、一体それじゃ税制改革の大筋は、一萬田さんはどういう構想を持っておられるのかということを、どうしてもこの際明らかにしてもらう必要があると思うのです。去年直接税の減税が行われた、内容的には大いに私ども社会党としては議論があるのでありますが、少くとも直接税の大筋がある程度改革をされたから、今度は一つ間接税をやろうじゃないかという点は、池田さんを含めて、当時の政府を含めて、保守も革新も一致した意見であり、万場一致きまっております。池田さんもそのあとで遊説の際、この間接税をやろう、相続税をやろうということを天下に公約されておるわけであります。今、あなたが就任をされてから、税に関してはこの大蔵委員会決議や前大臣のおっしゃったことに一言半句も触れようとしていない、そうして今にわかにこの貯蓄の増強に名をかりて、税の政策的な取扱いというものがクローズ・アップされてきたような気がするわけであります。ですから私の質問は、今度の金融に関連をしてどんな点を税制の改正をなさろうとしているのかという点が第一点。第二番目には、税制の根本的な改正、つまりわれわれが志向しておる間接税及び相続税等の改革の方向に対して、あなたはどういう措置をされようとしておるのか、その点をお伺いいたします。
  52. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 税制の問題につきましては、先ほど私お話し申し上げましたように、ただいま私どもは勉強最中でありまして、今ここでこういう考えを持っておるという段階までは来ておりません。いずれ近い機会に私の考えを申し上げましょうし、また御相談も申し上げたい、かように存じております。ただ今新聞等に出ております住宅貯蓄ですが、これについて税との関係が出ております。私は今そのことを何も考えてきめておるわけではあり・ません。今私は事務当局その他いろいろな方に、貯蓄の増強ということについて、いい案があるようであったら一つたくさん出してくれぬか、一ぺん陳列してみよう、そのうちでとるべきものがあればとろう、ただいまは税の方もそうですが、総じていろいろな人の知恵を拝借しまして、いろいろな問題について研究を願う、そうしてその研究を見た上で、総合的に一つ組み立ててみようというのが、今の私の段階であるのでありまして、いろいろな税についてこうだという時期にまだありませんことを御了承願いたいのです。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 これこそ、これはしたりという言葉がございますが、あなたはこの間私どもの選挙区へおいでになって、こういうことをおっしゃったわけです。たとえば住宅貯蓄などを検討さしている、今度の国会には法案を出すつもりだ、こう言い切ってしまっておられるわけであります。主税局長さんもいらっしゃるようでありますが、臨時税制調査会が機構が改組をされて、もう出発をしておるという話を私どもは漏れ聞いておるわけでありますが、一体大臣は、何をそこへ諮問をしていらっしやるのか、その委員会は何を今やっておるのでありましょうか。その委員会は、おそらく住宅貯蓄などのことは全然検討もしていないだろうと思うのでありますが、検討もしてないのに、大臣は今度の国会にはこの法案を出すと、もう約束をされてしまっておるのであります。汽車の中では風も吹くから自由な放談を、国会ではそうはいかぬ、こういうことでもなさそうでありますから、もう一ぺん現在の委員会の進行状況、それから大臣のお考えを詳しく一つ御説明を願いたいと思います。
  54. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま新聞のことが一つ出ましたが、これはそれがよかればという言葉が落ちておるかもしれません。そういう意味でありますから、さように御了承願いたいと思います。  それから税についてのいろいろなお話がございましたが、税制特別調査会で税制についてただいま検討されておると思います。しかしまだ私十分そういう点について——はなはだ済みませんですが、経過を詳しく聞いておりませんので、主税局長がおられますから、主税局長から申し上げた方が確かと思います。
  55. 原純夫

    ○原説明員 補充して申し上げます。税制特別調査会といいますのが先般六月にできまして、これがただいまのところ御案内の相続税制度改正につきまして研究を始めておられます。問題点は、すでにもう御存じの通りでありますが、何分相続税制を根本から直すかどうかという問題でありますので、なるべく早くということで、もうすでに六月、七月、両三回会議をやっておられます。自余の問題につきましては、なおいろいろな条件の推移を見まして、その推移に応じて諮問されるということになっております。ただいまのところは、相続税制度を中心に検討しておられるということでございます。
  56. 横山利秋

    ○横山委員 簡単に追加してお聞きしますけれども、自余の問題についてはという言葉ですが、これは各委員みな聞いておるわけでありますが、大蔵委員会決議を尊重をされる気持があるのかないのか、間接税を取り上げて政府は研究をするという誠意があるのかないのか、それをまずはっきり聞かしてもらいたい。  第二番目には、かねがね当委員会で各委員から要望されておるわけでありますが、この税の調査会なり、臨時税制調査会なり、特別委員会というものを、これほど重要な問題を立法化して、そうしてきちんとしたものにしてやる気持はないのか、この二つとも当委員会の総意といっても過言ではないのでありますが、その点について、かねがねの委員会決議、主張というものをどうお考えになっておるかということを大臣にお伺いしておきます。
  57. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵委員会のおきめになったことを尊重いたしますこと、それはもう申すまでもありません。なお、この調査会を法律化した方がいいんじゃないかというお説もごもっともでありますから、十分検討を加えることにいたしたいと思います。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 これは一萬田さん、もうずっと前からの懸案の問題でありまして、決議までされておることでありますから、御検討されるのはけっこうでありますが、すみやかにその実現を期待をいたしておきたいと思います。  最後に、金融の当面の措置もさることながら、あなたの言うところの将来の金融のあり方について、一萬田さんとしてはやはり相当のお考えを腹中に秘めておられると思うのでありますが、時間がございませんから、問題点だけあげますから、それについて率直にお答えを願いたいと思います。  銀行法の改正、日銀政策委員会の廃止問題等は、先般あなたに大蔵大臣当時お伺いをしたのでありますが、その後の心境の変化はあるのかないのか。政策委員会について、あなたは在野当時、日銀におられる当時、大蔵大臣当時、それぞれ多少ニアンスの変った御答弁をされているのでありますが、この政策委員会の廃止について、今日どういうよう見解を持っておられるか。  第二番目は、最近中小企業金融一つ系統立てるという意味において、二つ三つの意見が出ています。一つは商工中金と中小企業金融公庫をこの際一緒にしたらどうだ、こういう意見があるのであります。利害得失いろいるございましょう。ございましょうが、中小企業金融について飛躍的な強化をしなければならぬというのは、各方面の一致した意見であります。この問題についてどうお考えであるか、これが二番目であります。  それから第三番目には、私どもが前の国会から主張いたしておったわけでありますが、中小企業金融の今日の県や市でやっております保証協会等を、全国的に組織を一本にして、公社か何かの組織を設けて、政府がこれに出資をして裏づけをしたらどうかという、保証協会の全国一本化の問題、政府の中においても、金融制度調査会においても、すでに取り上げておられるようでありますが、これの実現についてどういうふうに一萬田さんはお考えであるか。  最後は、商工中金が先般金利を少し引き下げました。ところがその後の実情をいろいろ調査してみますと、どうも金利引き上げ関係もあり、やはり多少金利引き上げなければならぬのではないか、こういうお話がある模様であります。このことは、中小企業金融に対してきわめて重大な影響をもたらすと思っておりますが、この点について、今日どういう経過をたどっておるのか。  以上四点についてお伺いします。
  59. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。  一つは、日本銀行政策委員会の問題について、お前は考えが変らぬかというお話、変らぬといえば、これはやはり新しい事態のもとにおいて再検討をするという以上、私は何も言うたこともありませんし、大多数の考えですから、その考えは変りません。今度の金融制度調査会にかけて検討をしてもらう、私は廃止するとか、存置するとか、そういう結論は出しておりません。いわゆる情勢が違うんだから、新しい情勢下において何事も一ぺん見直すということはいいことですから、そういうふうに御了承願いたい。  それから商工組合中央金庫と中小企業金融公庫の合同ですか、これは私今何も考えておりませんが、このこと並びに中小企業金融の保証の制度の問題、これらは一切あげて金融制度調査会にかけて審議をしていただこう、かよう考えておりますので、その諮問の結果を待ちまして考えをまとめたい、かように存じております。  なお、商工組合中央金庫の金利の問題ですが、これは私まだ金利を上げるということも直接相談を受けておりません。これは全体の金利との関係、それから中小企業金融の特質等々を考えまして、十分資料も出てくるでありましょうから、その上で決定を与えたい、かよう考えております。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 相談を受けていないとおっしゃるのですが、局長はそういう話を聞いておりませんか。
  61. 酒井俊彦

    ○酒井説明員 商工中金におきましてそういう話が出ておったということは聞いております。しかしこれに対して私どもどう考えるかということは、まだきめておりません。
  62. 山本幸一

    山本委員長 次に、石村英雄君。
  63. 石村英雄

    石村委員 先ほどから各委員質問並びにそれに対する大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、終始各委員も追及せられましたように、ごく抽象的で、具体的な、今日国民がこの委員会から政府の対策を聞きたい、こう期待しておる——だからこうしてマイクなんかも持ち込んでおる、大蔵委員会には珍しい状態になっておるわけですが、それに対して大蔵大臣はごく抽象的なことばかり答弁していらっしゃって、何の役にも立たないと思うのです。冒頭に内藤委員がごく具体的な問題を聞きましたが、それに対しても、何もはっきりした御答弁がない。つまり北海道のサケの漁夫が、金がもらえないために郷里に帰れないで、北海道に現在なお滞在して、きよう金が出るかあす金が出るかと待っておるという具体的な例をあげて聞きましたが、これに対して、あなたはどういう措置をとるとも何ともお話がなかった。この例は、今度の金融引き締めの全般を語る具体的な例だと思いますから、あなたのこれに対する御処置をお伺いいたします。
  64. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 サケ、マス、これは非常に具体的な話が出ましたが、あまりまた具体的な話ばかりにいっておると、これはいろいろの商売にもまた関係してきますので、私としてもなかなか答弁がしにくいのであります。ただサケ、マスということは、要するにサケ、マス・カン詰と関連をして、カン詰めになれば、これは輸出になる、そういうものについて、お前は一体金融はどう考えるのかというふうな形において御答弁申し上げようかと今思っておるわけでありますが、必ず輸出になるという見通しがありますれば、私は民間金融がつくようになるべく努力をいたしたい、かように存じております。
  65. 石村英雄

    石村委員 もちろんカン詰がどんどん輸出できておるのなら、おそらく金融はつくだろうと思うのです。しかし輸出すると、こういっても、日本が売りましょうと、こういって値段をかりに安くしたところで、イギリスにしてもいろいろ外貨事情があって、安くなったから必ず買うというわけでもないと思う。従って、現在カン詰会社にしても、相当な手持ちを持って、それが資金化しない、従って漁夫に対して金が払えないという事態が、現実に起っておるのではないかと思う。サケ、マスとこういえば、ごく具体的な個々の会社のようなことになって、あなたとしては答弁できないというような御発言ように受け取れましたが、一種の滞貨金融という形の問題になるかと思うのです。こういう具体的な場合に、滞貨金融といっても、いろいろケースが違ってくると思うのですが、それに対して一つの例として、このサケ、マスのカン詰会社との関係、漁夫との関係に対する具体的な金融措置というものを、どのようにこの場合におとりになるか、それを御答弁願いたい。売れてさえおれば、これは金融ということは簡単につくと思うのですが、なかなか売れない。売れないから、しょうがない、今は金融引き締めだから、漁夫も金をもらわぬであきらめて、ぽかんと北海道で涼んでおれというお考ですか、どうですか。まさかそんなこともないでしょうが、しかし現実には、帰るに帰れない、金がもらえない、その点、具体的に御答弁を願いたい。これは一つの例で、ほかの場合も同時に推し進められるケースだと思いますから、一つ答弁願いたいと思います。
  66. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいま御答弁申し上げたところで、大蔵大臣としては、あれ以上——私は民間金融がつくであろう、またつけるように私も努力してあげよう、こういうふうに思っております。それから先は、民間金融ですから、どうするこうするということを大蔵大臣が申し上げるのもまた行き過ぎでありますから、どうぞ御了解願いたい。
  67. 石村英雄

    石村委員 民間金融には間違いないと思うのですが、しかし民間金融だとかなんとかいったって、この金融引き締めというものは、民間の銀行が勝手にやった金融引き締めではありません、政府と日銀とが相談してやった結果が、こうして現われてきた。それに対して、民間金融だから大蔵大臣は存じませんというような、そんなめちゃな御答弁はないと思います。大蔵大臣がもうそれで手を上げて、きようにも辞職するならそれで済みますが、そうでない以上、もっと責任のある御答弁を願いたい。
  68. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それでは、サケ、マスがどういうふうにたくさんとれたのか、どういうふうな売れ行きであるのか、そういうこともよく聞いた上で、一つ考えます。
  69. 石村英雄

    石村委員 結局、これは答弁にならないことになって、これ以上追及してもしょうがないと思うのですが、先ほど大蔵大臣は、大企業が設備投資を控えないでおって、一方中小企業にしわ寄せをするということはよろしくないから、よく話して相談して、そういうことのないようにする、こういうことであったわけですが、しかし大企業といっても、これは金もうけが目的の会社ですから、こういう経済状態がおそらくいつまでも続くとは、資本家は考えていないと思う。資本主義に絶望していない、いずれ半年か一年か先には、中小企業や労働者の犠牲によって再び安定という形に持っていくだろう、そういうときには、今のうちに設備でもしっかりやっておかなければ、将来競争に負けるという考えで、大企業は当然そういう方針をとってくると思う。それを説教して、そんなことはよろしくない、中小企業が困るではありませんか、労働者が困るではありませんかとあなたが説教せられたところで、金もうけ本位の企業家は、聖人君子でない限り、そういうことはできないわけです。だから、そういうことをしない方策を政治家としてはとるべきだと思う。自然の状態にまかして、ただ修身の講義だけをしておればそれでいいというものではないと思う。先ほど横山委員がカルテをお示ししなさい、こう言ったのですが、一向何もお示しにならない。やはりあなたは、説教だけでこれは解決できる、こうお考えですか。
  70. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、やはり自由経済におきましても、大企業あるいは金融機関というようなものは、私は責任というものがあると思う、ここに自由経済の妙味というものがある。何でもかんでも、これは自分が力が強いからとか、あるいは利益があるからやるのだという意識は、もう時代おくれで、そういうことを考えておるのではいけない。やはり自由主義、資本主義も近代的になり、いわゆる修正といいますか、非常に進歩的な考え方にあるのでありますから、話し合いというといかにも何だか弱いようでありますが、私は、これがデモクラシーであるというように思っております。それで、こういうことがやはりうまくいかないと、資本主義、自由主義経済というものも考えなくてはならぬということにも相なろうかと私は思うのです。ですから、これはむろんそういうことだから、私が言うようにいくというのではありません、ありませんが、十分そういうふうにいき得るであろうというように、私は確信を持ってやるわけです。しかしそれでもいかぬかもしれない、そこで、そのときにはそのときに、二陣、三陣のかまえをして、中小企業等ができるだけ負担が小さくなるようにということをやりたい、これが私の考えです。
  71. 石村英雄

    石村委員 結局そういう精神論を大蔵大臣がわざわざ説かれるのでは、私は大蔵大臣としての資格はないと思う。そういう修身の講義のようなものをして、それで大蔵大臣の職責が勤まるのなら、一萬田さんがすわってなくとも、湯島の孔子の像でも大蔵省へ据えておけば、それで十分だと思う。  幾ら言っても、修身の講義しかなさいませんから、具体的な問題は一応押えまして、次の問題でお尋ねしますが、大蔵大臣はたとえ話が非常に上手で、いつかは富士山の八合目でミルクを飲ませるなんてことをおっしゃったのですが、今度は、日本経済は今腸カタルで、絶食療法が必要だというので、絶食療法をなさっていらっしゃる。この点は精神主義でもないようで、具体的な絶食療法をなさっていらっしゃるようですが、こういう腸カタルという日本の病状というものは、日本においては、これは先天的か後天的か知りませんが、一つ日本経済の本質的な問題として必ず二、三年置きには繰り返される不可抗力的なものだとあなたはお考えになっていらっしゃるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  72. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはいわゆる景気循環の問題でございまして、何も日本経済特有の問題ではありません。特に日本経済が国際経済に非常に依存をしておりますから、いわゆる世界経済の景気の循環の問題とお考え下されば私はいいのじゃないか。そうして今日の、あるいは今後の資本主義の動向から見ますれば、景気の起伏は相当避け得るだろう、そんなにきまってくるというふうにも考えておりません。
  73. 石村英雄

    石村委員 その点、一つの政治によって避け得ると、こうあなたはお考えになっていらっしゃるかどうか。国際経済との関係、こうおっしゃるのですが、確かにその点はあると思う。しかし、やはり政治というものがあり、大蔵大臣というものがすわっている以上、何らかの財政金融政策というものが、こうした問題に対してある程度の影響力を与え得るのじゃないか、与え得ると皆さんはやはり考えていらっしゃるのじゃないかと思うのです。これは、すべて国際経済の自然の動きで、またそれでそのままに漂うていくだけだというのでは、何のために政治をやっているのかわからない。大蔵大臣が今日絶食療法をするということは、一つの政治として絶食療法をなさったのだから、そういう腸カタルになる前に、一つの政治的な手を打つべきであったのではないか、こう考えるのですが、大蔵大臣は、そんな手なんか打ったってしょうがない、こうお考えだったのですか。
  74. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今私の申し上げましたのは、いわゆる景気循環論できたから、一応景気循環論を話したので、あとの御質問は、そういう景気循環と日本経済との関係はいかんという問題らしいのですが、それは、また別個な関係があるわけです。むろん世界の景気の漂うまにまに、何も日本経済はおらねばならぬということもありません、これは事実です。私が申し上げたいのは、そういうこまかいといいますか、今日経済はずっと大きく広域経済に、結局世界経済一つになるような方向に進むだろうというよう意味合いにおいて、景気循還というものが、そんなに振幅を小さくしてひんぱんにくるものではないだろうということを申し上げました。そういう考えのもとにおいて、日本経済は一体どうかということは考えられ得るでありましょう。むろんこれはいろいろ考え方があります。たとえば国の、またそのときの経済状態によってもいろいろと形が違う、一がいに言えませぬ。ですから、どういう場合にどうすればよかったのか、こういうことになろうかと思うので、そういうふうな見地に立って御意見がございますれば承わりますし、また御質問があればお答えしてもいいと思います。
  75. 石村英雄

    石村委員 そこでお尋ねしますが、今度絶食療法をなさったのですが、こういう絶食療法をしないで、最初から腸カタルにならぬような政治をすべきであったのではないか、こう考えるのです。去年一萬田さんが、当時の大蔵大臣だったわけですが、日本金融状況というものは、これは私よりあなたの方がよく御存じです。去年の六月から、すでに実際は引き締まってきておる、こんなような状況は、もう六月のときからその萌芽を現わしておったわけですが、それを政府は、あるいは与党は、やれ神武以来の景気だとかなんとかいって、盛んにあおっておいでになった。私たちが去年の夏地方に行きましても、地方の銀行家は大蔵委員だというので、何もかもみんな知っておると思って、いつでも聞くんだが、その聞く趣旨は、日本銀行金融情勢に対する判断と大蔵省の判断とが違うように思う、日本銀行は関根報告とかなんとかいう形で一つの警告を出しておったが、大蔵省は、依然として金融緩慢、金利引き下げる、去年の九月ですか十月ですか、社債なんかの利子を引き下げるとかなんとかいって、強硬におやりになった。こういう情勢に対する判断の誤まりというか、判断は持っていながらも、何らかの政治的意図でああいうことをなさったのか、これが今日のこうした極度の絶食療法を、資本主義体制のもとではとらざるを得ないということになった原因ではないかと思うのですが、大蔵大臣は、この点何か反省か何か御意見ありますか。
  76. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ここで私からくどくど申し上げるまでもありませんが、要するに日本経済輸出中心、経済の構成はまず輸出中心で、原動力は輸出にありますことは申すまでもありません。輸出がよくなって経済がよくなれば、その次にこれが投資景気に移行していくということは、経済の循環の原則であります。従いまして、去年の三十一年の初夏の候から徐々に投資景気に移行してきたことは、申すまでもありません。ただ問題は、投資景気がどういうふうな行き方をとるか、どの辺で抑え得るか、こういうことが問題であったと思うのです。それは私もさようだと思う。ただ、しかし日本ような国の場合においては、経済がいわゆる後進国でありますから、経済の合理化、近代化が非常に必要で、産業構造の変化を求めておるときでありますから、投資景気といいますか、投資というものが割合に強い力で行くということも私は恕さなければならぬ、こういうよう考えておるのであります。この投資景気の勢いをいつどこで押えるのがよかったかということに問題があろう、かように存ずる次第であります。
  77. 石村英雄

    石村委員 問題があろう、こういうようにごまかされて、一向責任は感じていらっしゃいませんようですが、今度のこういうひどい事態に立ち至った、その責任は、池田さんにみんなおっかぶせて、池田さんをやめさせてしまって、そうして涼しい顔で一萬田さんがおいでになったが、われわれの考えでは、これは単に池田さんの責任ではない、去年の大蔵大臣であった一萬田さんの責任である、また大蔵省が強行するので、それに追従した日銀政策委員の責任でもある、こう考えておるのですが、時間もありませんから、この程度にして、また明日でもお伺いすることにいたします。  いま一点聞いておきますが、今日、為替の問題でいろいろこういう事態も一つは起ってきた。金融状況を無視して信用状の設定をむやみにやり、通産省が輸入承認しておるからというので、遠慮なしにやったということも、こういう事態になってきた一つの理由だと思うのです。そこで為替の問題でお尋ねしますが、為替レートの切り下げということが一方で問題になっておる、またフランスはすでに実質的なレートの切り下げをやったわけです。これは国際通貨基金の方の関係もあると思うのですが、少くとも根本的な切り下げ問題は別として、国際通貨基金が認めておる一%の範囲内での自由化と申しますか、そういう程度のことは、今でも政府がやろうとすればできるのじゃないか。また先物に対しては、自由相場にまかせるということも可能ではないかと思うのですが、こういう点に対してどうお考えであるかをお伺いいたします。今日の日本経済というものは、統制的な面と自由主義的な面と両方が混合して、その間政府が適切な措置をとらないために、非常な混乱が起っておるということもいわれておると思うのですが、為替に対するある程度の自由化をお考えになっていらっしゃるのじゃないかと思うのですが、いかがでありますか。また聞けば、ポンドについては、そういうことを特に考えていらっしゃるとかいうようなことも伝え聞いたのですが、こういう点も、お考えがあればはっきりした御答弁を願いたい。
  78. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。全く考えておりません。
  79. 石村英雄

    石村委員 では、一%の範囲内での措置ということも、全然お考えになっていらっしゃらないのですか。
  80. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 考えておりません。
  81. 山本幸一

    山本委員長 それでは北山愛郎君。
  82. 北山愛郎

    北山委員 時間がないようですから、簡単に二、三点ばかりお伺いしますが、私は為替とか金融はしろうとですから、しろうとの立場で、わかりやすくお答えを願いたいと思うのです。それで、今度の財政金融総合対策、この原因をなしているのは、何といっても外貨が足りなくなった、国際収支が悪化したということだと思うのです。そこで日本の政府が持っておる、運用し得る外貨の実態というものについては、いろいろ発表がございますが、どうも私どもしろうとにはよくわからぬのです。そこで現在政府の、大蔵大臣の運用し得る外貨というものは、一体どのくらいあるのか。六月の末で八億七千万ある、それから七月は約一億ドルくらい減った、こういうふうに言われておるのですが、その中身をお示し願いたい。特にその中で、大蔵大臣国際収支上操作できる実質的な外貨というものはどのくらいあるのか、この点をはっきりしていただきたいと思うのです。
  83. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この七、八、九月で二億万千万ドル前後私は要るだろうと思います。大体約三億ドル近くなりましょう。それに今後充当するとすれば、あまり多く余裕は残らない、こういうふうにお考え下さっていいかと思います。
  84. 北山愛郎

    北山委員 私ども新聞等で拝見しますのは、焦げついておるいわゆるインドネシアとか韓国とかアルゼンチン、こういうものが二億六千万ドルくらいある、これはまあしょうがないのだ。それから日銀が持っているやつ、これは一時は五億ドルくらいあったが、現在どのくらいあるのですか、一億五千万ドルくらいあるのじゃないかというふうに聞いておるのですが、それは、政府の方で日銀から買ったのじゃないかと思うのですが、どの程度に最近買っておるのか、日銀にはどのくらいあるのか。それから為替銀行に対して預託しておる分が、一時は三億ドルくらいあったといわれておる。ところが、一説によれば、これはないのだ、実際には使ってしまったのだ、こういう話もあるのですが、その為替銀行に預託しておるものが実際はあったのか、空なのか使えるものなのか、そういう点。それから大蔵大臣の勘定として持って動かし得るのは、どのくらいあるのかという問題。それから八月、九月、十月というふうに毎月これからまだ相当の外貨が減ると思うのです。これはどういうふうな見込みなのか、これに対してはどういう対策でやっていこうとするのか。すでに政府は、国際通貨基金から七千五百万ドル借りて、これは七月で使ってしまったという話もある、あとの五千万ドルはいつ借りるのか、そういうふうな外貨の見通し、現況というものをやはりある程度はっきりしてもらわぬと困ります。そこに根源がある。
  85. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、先ほど少しあいまいに回りくどく申し上げましたが、ここで何億ドルと正確に覚えているわけでなく、ましてその内訳がどうということは覚えておりません。またこれは同時に対外信用との関係もありますので、どの程度公けにするのが適当か、これも考えてみなくてはならないことでもありますので、とくと考えまして、明日でも申し上げることにしましょう。
  86. 北山愛郎

    北山委員 それはあしたも委員会がありますから、できる範囲で、最近のやつを資料として出してもらいたいと思います。そういう点から、私は日本外貨が減っていく傾向と、それから物価との競争みたいなものじゃないかというような気がするのです。もしも外貨が枯渇をして、そしてそのために輸入を抑制をしなければならぬということになりますと、せっかく物価を下げようと思っても、物価が逆に上ってくるのではないかというおそれもあると思うのです。そこで来月になれば、下半期の外貨予算を組まなければならぬと思うのですが、一体下半期の外貨予算というものはどういうふうになるのか、どういう見通しなのか。これは上半期の方が例のたっぷり予算というわけで、非常に多く組んだわけです。これが一つのまた誤まりだと思うのですが、下半期はどうなるのか。それで、今の金融引き締めというものがねらっておるところは、物価引き下げだと思うのです。物価を下げて、そして輸出の促進をやろう、そこで内需を抑制しよう、こういうふうな一連の政策だろうと思うのですが、物価引き下げ目標を一体どこに置いておるのか。すでに卸売物価の方は、五%くらい下ったといわれておりますが、どの程度に下げようというのか。それを無制限に下げさえすればいいということであれば、出血ばかり多くなって、先ほど来お話があったような、いろいろな犠牲を中小企業その他に与えなければならぬ。下げさえすれば輸出が伸びる状況にあるのか、物価引き下げのめどというものを、大蔵大臣は一体どこに置いて考えておられるのか、これをお答え願いたいと思います。
  87. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 物価目標は、結局において国際物価水準、ここが目標であります。持続的にそういうふうなところ日本物価が安定する、こういうところにあるのであります。これが物価政策目標になると思います。
  88. 北山愛郎

    北山委員 今当面している問題をお伺いしているわけです。これは、経済企画庁長官が一〇%くらい下げると言って、これも問題を屈したのであります。しかしやはり一応のめどがないと、政府の総合対策としても困りはしないかという感じがするのです。そうでないと、輸出はその他のいろいろな条件によって無理があるし、物価だけをどんどん下げてしまおうというようなむだな犠牲をやらなければならぬというような問題も出てくるので、私はお伺いをするのですが、お答えがないから、具体的に一つだけお伺いします。少くとも物価は下げなければならぬという考え方だろうと思います。その際消費者米価はどうするのか、消費者米価を上げるというように政府が決定しておるように聞いておりますが、物価を下げるとするならば、やはり消費者米価をこの際上げるということは、もうやめてしまわなければならぬのじゃないかというふうに思うのですが、消費者米価の引き上げについては、やはりおやりになる考えなのか、そういうことになれば、物価引き下げの本策とは相矛盾することになるのじゃないか。どうなんですか、消費者米価の引き上げについては。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 消費者米価につきましては、それぞれの機関も通りまして、かつまた一応第一次岸内閣で閣議決定もしてあるようでありますので、私としてはこれを尊重していきたいというよう考えております。
  90. 春日一幸

    ○春日委員 議事進行について。今朝来の委員会の質疑応答を委員長もお聞きになって、印象を深められたと思うのだが、大臣は、われわれの質問に対して何ら具体的に的確に述べておらぬのです。何もかもあれに聞いてみるとか、これに聞いてみるとかいうようなことで、少くとも大臣たるものが、わが国における財政金融のことについて、責任を持って答弁されるような態度がない。私は、こういうよう答弁をもって今後も本委員会で終始されるということならば、われわれはとうていこういうような査問を続けることは意味をなさぬと思う。私は、この際委員長が後刻大臣と懇談されて、もう少し質問事項について責任を持って、よかれあしかれ責任を持って、もう少し見識を持って信念を持って答弁されればよし、さもなければ、われわれはかかる大臣を相手に質問することはできないと思う。後刻一つ厳重に委員長から御懇談の上、もう少し誠意を持った御答弁が願えるか、それとも今までのような抽象論議のよう答弁をもって終始せられるお考えであるか、委員長からお聞き願って、私どもは本日以降の委員会の態度をきめたいと思うので、一つ委員長から本件についてお話を願いたいと思います。  以上、議事進行のために委員長の善処をお願いしたいと思います。
  91. 山本幸一

    山本委員長 さよう承知いたしました。後刻大臣とよく懇談いたします。
  92. 北山愛郎

    北山委員 内閣政策というか、既定方針というものがあるそうでありますが、それは現在の金融引き締めなり、国際収支の悪化からくるいろんな総合政策、これが目標としているのは、やはり輸出というものを目標に置いて、そのためには物価をある程度下げなければならぬ、ここに焦点があると思うのです。それでなければ、今までのいろいろの政策というものはナンセンスである。物価引き下げようとする合場に、消費者米価を上げることがその政策と矛盾しないのかどうか、その点の御見解を聞きたいのです。大臣が今後どういうふうに処置せられるかは別個の問題として、物価引き下げ政策と米価引き上げ政策とは矛盾しないのかどうか、御見解を聞きたい。
  93. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、これはこういうふうに考えております。個々の物の値段、価格と、それから物価一般とはやはり区別していく。私たちが今輸出というようなものについての値段を言う場合は、物価を言っておると思います。日本物価が国際物価に比べてやはり高いということになると思います。言いかえれば、価格体系の中で個々の物の値段がどうあるべきものか、これはやはり均衡の関係考えなくてはならぬ。やはり個々にバランスがとれて、一つの価格体系というものがある、その価格体系というものが国際物価に比べて高くなる。こういうふうに考えていくべきじゃないかと思っておるわけでございます。
  94. 北山愛郎

    北山委員 大臣、これは石けんやポマードの値段と違うのですよ。米価というのは、国民生活の基盤になっている主食の値段なんですから、これは、国鉄なりその他の運賃の引き上げなんかについても、この前の国会でいろいろ指摘されたのです。ところが、指摘されたような事態が今日現れている。米価についても同じだと思う。もしも物価引き下げ輸出を増進したいというならば、これは決して、断じて米価は引き上げてはならないと私たちは考えるが、引き上げてもいいというならば、その見解をはっきりしてもらいたい。しかし時間もありませんし、また明日の委員会もあることでありますから、きょうは私はこの程度にいたしまして、明日に保留いたします。
  95. 山本幸一

    山本委員長 今の問題は、率直に委員長が承わっておりますと、大臣答弁は、その他の物価とのバランス等の関係もあるというような御答弁もありましたが、北山さんの御質問の中心は、米価の上下は、その他の物価にも重大な影響がある、国民生活に重大な影響がある、従って、その他の物価とのバランスの上に立って大臣はそれをどう考えておられるのか、上げるのか、現状維持なのか、それだけの御質問なんですが、大臣、その点の答弁ができれば、一つしてもらいたいと思います。
  96. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお話ような点は、それぞれの専門の機関もありまして、十分検討を加えていると思います。そうして、政府としてもそれについてはきめておるようでありまして、私もやはりこの結論は、尊重すべきであると存じておるわけであります。
  97. 山本幸一

    山本委員長 それでは、本日はこの程度にとどめまして、明日は午前十時から委員会を開きます。  これをもって散会いたします。    午後零時五十六分散会