○
加藤参考人 それでは、私から
商工中金の最近の
状況並びに
資金計画、またこれに伴いますいろいろのお願いを申し上げたいと存じます。
今回の
金融引き締め影響につきましては、すでに両
公庫さんからもいろいろお話がございまして、われわれの方にも同じような
影響が現われておるわけでございますが、
商工中金に対します
影響といたしまして考えられる点は、大きく分けますと二つございます。その
一つは、この
金融引き締めによりますしわが
中小企業に寄りまして、それが
商工中金に対する膨大な
資金需要として現われておるという点が
一つございましてもう
一つは、この
金融引き締めの結果、
商工中金の
債券の
消化いうことにいろいろ困難が伴って参りまして、
予定通りの
消化がなかなかむずかしいという、この二つの事柄が現われておるのでございます。
まず第一の、
金融の
引き締めによる
資金需要の
増加の点でございますが、この点につきましては、いろいろ窓口を通じて見ておりますと、この
引き締めによります
影響が
中小企業に現われてくるその経路についていろいろあるようでございますが、まずその一番大きな
影響と申しますのは、
金融機関の
選別の
強化によります
影響のようでございます。従来認められておった
手形が非常に
選別が
強化されまして、それが通らなくなるというようなことで、間接的にその
資金のワクが縮小されてくるというようなこと、あるいは従来
預金の三倍まで
貸し出しをしたというのが、二倍
程度しか認められなくなったというような話も聞くのでありまして、大体新規の
取引、あるいは
貸し増しというようなことは、ほとんど不可能だというようなことを言って訴えて参りました。そんなことで、
金融機関の
選別強化によります
影響で
資金が借りられなくなって
中金にかけ込んでくるというのが相当あるのでございます。
第二は、
商社関係からいろいろ今まで前渡金を
めんどうを見てもらう、あるいは
生産資金を
めんどうを見てもらうというのが多いのでございます。こういうのが、
商社金融が強く締められました結果、
商社の
めんどうを見てもらえないという、いわゆる
間屋金融というような
意味での
金融の
めんどうを見てもらえなくなったというような
事情もあるようでございます。
それから第三は、
下請関係でございますが、やはり
中小企業のメーカーは、
下請関係が非常に多うございまして、従来
下請関係の
支払い条件が、好景気とともにだんだん改善されておったのでございますけれ
ども、
引き締め後におきまして、やはりまたこれが逆戻りいたしまして、従来
現金でくれたものが
手形になる、また
手形の期間がだんだん長くなるというような
傾向が現われておるようでございます。こんなふうに、
中小企業は
一般に
手形の
手持ち量が多くなって参ったわけでございますが、一方
金融の
引き締めというような
事情にございますので、
手形をかかえて、それが
資金化できないというような羽目に陥っておるのであります。それで、この
手形の
不渡りというようなこともだんだんふえておるようでございまして、ちょうど昨年の六月とことしの六月を、私の方の
営業部だけの
計数でございますが、それを見ましても、
金額におきましては、昨年の六月ごろは五千七百万円
程度でございましたものが、ことしの六月ごろでは、七千六百万円というようなことになって、
金額もふえておりますが、これは、
取引量がふえれば
金額も多くなるのは当りまえでありますが、その
交換所に持ち出しました
手形の総数に対する
不渡りの比率が
増加しておるのが、はなはだ心配なのであります。前年の六月は一・一四%という
状況でございましたが、本年の六月は一・五%というふうに、
不渡りの率が上昇して参っておるという
事情にあるのでございます。こんなことで、
商工中金に対しまする
資金の
需要は、先ほど申しましたようないろいろの
事情から
金融がつかなくなって、
中金にかけ込んでくる。
中金のお得意様は、大体
商工中金を
主力銀行としてお
使いになるところもございますけれ
ども、普通の
銀行を
主力銀行としてお
使いになって、さらに足らぬところを
中金に
資金を仰ぐという方が比較的多いのでございますが、そういう方々が、
一般銀行等から締め出しを受けて、
中金にその足らぬ
部分を持ってくる。その
部分は、全く限界ぎりぎりの線でありましてそういうものが
資金化できるかできないかによって、倒れるか倒れないかというきわどい
事情に追い込まれて来る方が非常に多いのであります。それで、
商工中金といたしまして、
一般の
金融機関の締めたのを、
中金がそれをべたに拾い上げるというようなことでは、
金融引き締めの効果がはなはだ薄くなるじゃないかというような御批判も受けるのでありますが、もちろん
商工中金といたしましてそれだけの力もございませんが、さればといって、あまりこれを厳格に締めますると、倒れてしまうというような実情にございますので、何とかこれを、できるだけの範囲において
金融をしたいというふうに考えておるわけでございます。そういたしますと、
資金の
需要が非常に膨大になりますが、なかなか
中金の
資金繰りから申しますと、そういう多額の
資金を現在持っておりません。あとに詳しく
資金計画を申し上げるつもりでございますが、そんな
状況でございまして
商工中金といたしましては、大体昨年
あたりから見ますと、
資金需要が三割
程度増加しておるという最近の
事情でございます。それがさらに七月、八月となってくると、もっとその
需要の
増加が現われてくるのではないかというふうに考えられるのでございます。
それからもう
一つ、先ほど
債券の
消化について
影響があると申しましたが、
商工中金の三十二
年度の
債券の
発行計画といたしましては、その
発行の純
増額を、
利付債券におきまして五十億、
割引債券において十億の
増加を
計画しておるのでございます。ところがこの
利付債券は、主として
金融機関の
消化に仰いでおるのでございまして
割引債券は
一般の
消化に仰いでおるのでございます。この
金融機関の方の
消化が、なかんずく
金融引き締めの結果、だんだん
消化が思わしくございませんで、
予定通りの五十億の
消化が困難で、大体三十五億
程度しか
消化できないのじゃないか、十五億ほど
年間において
消化が少くなるのじゃないかというような
見通しになっておるのでございます。それで、お
手元にさし上げてございまする「
昭和三十二
年度資金並びに
貸出計画」という半ビラの紙がございまするが、これを一応ごらんいただきたいと思うのでございます。これには、当初
計画といたしまして
年度初めに考えました
計画と、それから
改訂計画といたしまして最近の
事情を織り込んで修正いたしました
計画がございます。
まず
資金の
調達面を見ますると、第一に
出資金でございまするが、これは本年
財政投融資計画におきまして
政府の方から五十億円だけ新しく
出資をいただくことになりまして、まことにありがとうございました。その
金額がここに書いてございまする十六億円でございます。それに対しまして、
組合の方でも
増資をしようということで、三十二
年度中に五億円
増資を
計画してございまするので、これを合計いたしますると、二十億円の
出資の
増加ということになるのでございます。
それから
債券の
発行でございますが、純
増額が八十億――ちょっと申し上げますが、ここに書いてありまする
数字は、
年度中における純
増額の
数字でございまするから、念のため申し上げておきます。
債券は八十億の
純増ということを考えておったのでございまして、それに対して
利付債券は、
資金運用部が、
財政投融資計画において当初二十億円をお引き受けいただく、そうして差額の五十億円を
市中で
消化する、それから
割引商工債券は十億、こういうことで八十億を見たのでございます。それが先般の
総合対策といたしまして、
政府の方におかれまして、
利付債券の
資金運用部引き受けをさらに二十億円ふやしていただきましたので、合計いたしますると四十億円ということになったのでございまするが、一方当初、五十億円を予定いたしました
市中消化が、先ほ
ども申しあげましたように、だんだん鈍くなって参りまして、十五億円ほど減少するという
見通しでございますので、三十五億円というふうに
改訂いたしましたのでございます。
割引債券は変りありません。こういたしますと、結局
債券におきましての
純増は、合計いたしまして五億円ということになるのでございます。
それから
預金の方は二十四億円の
増加を見ましてこれはここに書いてありまするように、
改訂は特にございません。
それから
借入金でございますが、これは三十億円をお返しするという
計画にしてございます。これも
改訂はございません。この点について特に申し上げておかなければなりませんことは、昨三十一
年度の
貸し出しが非常に伸びまして、そのために、農林
中金から年末には六十億円を借り、
年度末には三十三億円の
借入金を打っておったのでございます。しかし、これは短期にお借りした金でございまして、永久にお借りできる金でもございませんので、この第一・
四半期においてお返ししたのでございますので、
借入金の減少が三十三億というふうに現われておるのでございます。その他の、これは
利益金とか、その他でございますが、そういうものが六億ございまして、合計いたしますると、当初の
計画では、
固有資金は百億円の
資金を調達する、それから
改訂計画におきましては、それが五億円ふえまして、百五億円ということになったのでございます。それからそのほかに、先ほど
中小企業金融公庫からのお話がございましたように、私の方は
中小企業金融公庫の
代理貸しをやっております。それは、当初の
計画においては二十五億円を
計画されておりましたが、今度の
総合対策の一環といたしまして、さらに十五億円を追加していただくということになりましたので、
改訂計画といたしましては、四十億円を計上いたしたのであります。それで、固有の
貸し出しと
中小企業金融公庫の
代理貸しとを合計いたしますると、当初の
計画におきましては百二十五億円でございましたものが、
改訂の結果百四十五億ということでございまして、結局二十億円の
増加ということに相なるのでございます。
はなはだ簡単でございまするが、大体以上が
資金計画としての最近の
事情でございます。
なお特にお願い申し上げたいのでございますが、この百四十五億円という
改訂計画でも、やはり
資金の
需要量から申しますと、これでは足らぬじゃないか。三十一
年度の
貸し出しは百三十五億円あったのでございます。それから見まして、百四十五億円ではどうしても足らぬというふうに考えられますので、われわれ
政府に対しまして現在お願い申し上げておりますることは、この
利付債券を、四十億というふうに現在
増加していただいておりますが、さらにこれを十億ほどふやしていただきたい。それから、そのほかに五十億円ほど、
割引商工債券を
一つ資金運用部においてお引き受けいただきたい。預託金という形でいただくということも非常にけっこうでございますが、大蔵省の方の御都合では、どうしても預託金というような形式では困るというようなお話もございまするので、できましたならは、
資金運用部の
割引債券の引き受けという形におきまして、五十億円ほどお引き受けいただきたいということをお願いしているのでございます。そういうふうにお願いできますと、非常にわれわれとしても仕合せだと考えておるのでございます。はなはだ簡単でございますが、以上で終ります。