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1957-04-09 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月九日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       井上 良二君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       竹谷源太郎君    横山 利秋君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      中尾 博之君         大蔵事務官         (管財局長)  正示啓次郎君         食糧庁長官   小倉 武一君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  天野 四郎君         専  門  員 権木 文也君     ――――――――――――― 四月五日  委員伊瀬幸太郎君辞任につき、その補欠として  横路節雄君が議長の指名で、委員に選任され  た。     ――――――――――――― 四月八日  石炭及び寒冷地手当の免税に関する陳情書  (第七一四号)  揮発油税引上げ反対に関する陳情書  (第七二  八号)  中小企業資産評価実施に関する陳情書  (第七三四号)  印紙税率引下げに関する陳情書  (第七四八号)  在外資産の補償に関する陳情書  (第七五七号)  国民金融公庫金沢支所に対する配分額拡大に関  する陳情書(第七  五八号)  積雪寒冷地帯行政税改正に関する陳情書  (第七六七号)  中小企業に対する資産評価税減免に関する陳  情書(第七七一  号)  旧債利子引下げ等に関する陳情書  (第七九八号)  補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法  律の改正に関する陳情書  (第八〇二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇号)  国有財産特殊整理資金特別会計法案内閣提出  第六〇号)  国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案  (内閣提出第六四号)  国有財産法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一二号)(予)  国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一三号)(予)     ―――――――――――――
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  国有財産特殊整理資金特別会計法案、国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案国有財魔法の一部を改正する法律案及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題として質疑に入ります、質問を求められておりますから、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 国有財産に関する基本的な問題を議論すべき一番いい機会でございますから、多少整理はされておりませんけれども、この際この法案に関連して、国有財産について質問をいたしたいと思います。今回国有財産白書が出ました。それによりますと、要約すれば、三十年度末に一兆九千二百五十三億円かある、この処分強化のために、大蔵大臣の行う国有財産総括権限を強める。それから管理処分機構充実のために、国有財産審議会強化する。第三番目に、普通財産管理処分をはかるために、五年程度処理計画を立てるというようなことが柱になっておるようであります。この答申を見て、また今日までとかく世間から疑惑を打たれておりました国有財産を、これからどうするという点について、私がばくとして考えますことは、大問題になって審議会を作って、そうして答申をされた結果というものは、何か大山鳴動ネズミ一匹という感じを免れがたいと思うのです。これは一体私個人の気持であるか、それとも審議を通じてこういう結果にならざるを得なかったのか、この点はよくわかりませんが、これでは国有財産実態は明らかになったけれども、しかし、それをどうするかということについて、何か一つ強いてこが足らぬのではないか、こういう感じがしてなりません。この法案を立案されたのは管財局ではありましょうけれども、一体大蔵省は、大蔵省全体として、この国有財産をかくすべきであるという裏打ちほんとうにされておるかどうか、たとえば、これだけの財産管理処分し、そうして保全をする上において、今日の管財職責の員数が一体妥当であろうかどうか、またそれに要する予算というものは、果して裏打ちがされたものであろうかどうか。そういう数々の疑問を持っておるのでありますが、特にお伺いしたいことは、私が言った、これだけ日時をかけ、世間に衝動を与えた国有財産の結末を本議会に提案されるに当って、これではまだ海のものとも山のものともはっきりせぬではないか。今まであった審議会を立法化いたします、そしてきちんとしておきます、そうして管理については大蔵大臣権限を強めます、それから計画を立てて処分を行いますということでは、まだ絵にかいただけで、これからこうするという基本的な柱もてこも何にもないではないか、一体何を今までしておったのか。審議会答申の内容を読んでみますと、きわめて適切な示唆を与えておる点が少からずあります。ところが、今われわれが審議をする材料というものは、法案となって出ておりますものは、まさに大山鳥動ネズミ一匹ではないか、なぜもう一歩を進めて、かくすべしという議論が展開できないのか、なぜそれが提案できないのか。非常に抽象的ではありますが、これは根本でありますから、率直に一つその間の事情を、説明を願いたい。
  4. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私からお答え申し上げます。ただいま横山委員の御指摘になりました国有財産管理処分につきまして、昨年の四月以降、国有財産審議会を設けましていろいろ御審議を願いまして、先般その答中が一応まとまりまして出されたのでありまするが、その答申に基きます立法措置として、今国会国有財産法を初めといたしまして、三つ立法措置をお願いいたしております、これらの点が非常に大山鳴動ネズミ一匹の感があるというような御指摘でございます。しかし私は、実はさようには存じ上げておりません。この点は、非常にお言葉を返すようでございますが、審議会におきます審議、また当委員会を初めとしまして、国会においても国有財産管理処分について、非常にたびたびいろいろ御意見を伺っておるのでありますが、これらの点に対しまして、とにかく昭和三十二年度におきましては、予算において、また法律案におきまして相当のお答えを用意いたしておるというように実は考えておるのであります。まず、ただいま三つの柱というふうなお話でございましたが、たとえば総括権強化審議会法制化、あるいは今後五年間程度にわたりましての処分計画化、これはまさにお話しの通り、われわれの意図しております事柄の非常に重要な部分でございます。しかしながら、もっと私どもとしては、これは非常に地道でございますが、やはり終戦後十有余年経過いたしまして、今日まで国有財産につきましていろいろの問題点の一番の根底をなしておりましたのは、何と申しましても、非常に膨大な、ある人はこれをマンモス的と形容いたしたのでありますが、さような膨大な財産に関して、ある部分実態が不明である、こういうことを言われておった点が、一群の大きな問題点かと思っておるのであります。そこで、まずもってこれらの実態不明部分、これは白書にも示されておりましたように、全体の数字から申しますと比較的軽少なものでございますが、まあせいぜい今おあげになりました二兆億程度のうち、わずか数百億くらいのものが未利用で、しかもそのうちの実態不明部分と申しますと、なおその限られた部分になるのでございますが、しかしいやしくも国民全体が非常に利害関係を持つところの財産について、さような実態不明のものがあるということは、これは放置できない。これは当然のことと思うのでありますが、遺憾ながら今日までこれにつきまして、組織的計画的な究明の措置が講ぜられなかったのであります。これが、今回初めて審議会審議の経過、また当委員会等における御意見等にかんがみまして、昭和三十二年度予算におきましては、非常にそういう方面経費は強い斧鉞を加えられておるのでありますが、なお一億一千余万円というものが初めて初年度として計上せられておるのであります。これは、私はまことに画期的であり、また財産管理第一歩は、さような方向からやはりステディに踏み出されるべきものという判断をいたしておりますので、この点は、われわれ関係者としては非常に感謝をいたしておるような次第であります。御質問の中にございましたように、今後この膨大なる林産の管理処分の重責を果していきます上におきまして、管財職員が、今日二千余人でございますが、これで十分であるかどうかという点につきましては、われわれとしてもこれで十分とは考えておりません。しかしながら今申し上げたように、まず管理処分の基本を正す、いかようにはなばなしい計画を立てましょうとも、それはしっかりした基礎の上に立っておらなければならぬかと思うのでありますが、今申し上げたような実態不明の部面を持っておるというこの弱点を別快いたしまして、さような点を明らかにすることによりまして、国有財産全体に対して従来持っておられました疑点、疑念を払拭いたし、管財職員全体がほんとう国民全体から信頼されて、適切な管理処分計画を立て、これを合理的に推進していく態勢を固める、こういう意味におきまして、今までの審議会なり国会の御意見というものを具現いたすために、まずわれわれとしては、三十二年度においては非常に重要な第一歩が踏み出されておるのではないか、かようにある意味におきましては考えまして、今後いろいろの点につきまして、なおわれわれとしても積極的に研究を進めていきたいと考えておるような次第でございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 おっしゃるように、これだけの財産管理し、それから適正な処分をする上においては、いかにその計画を立てても、それを実行し得るような方途が裏打ちされていなければならぬ。ところで、それではその裏打ち部面をお聞きいたしますけれども、一体現在管理処分一般国民にサービスをもって行われておるかどうかについては、先般私がここでその一端を指摘いたしましたように、たとえば物納財産を買うについても、管財局財務局出張所は直接にこれを扱わないことになっておる。必ずそのまん中にある何とかいう団体を通じてでなければこれを買わぬ、売らぬということになっておるのでありますしそういうことはきわめて不穏当なことだと私は思うので、何もそれだけが理由ではありませんが、少くともこの膨大な計画を実行するためには、人員増加が必要ではないか、また予算裏打ちが必要ではないか、こう言っておるのであります。去年と比べて人員はどのくらいふえたのか、予算はどのくらいふえたのか、そのふえた予算でどれだけの仕事ができるのか、この一年何をしようとしておるのか、それを伺いたいと思います。
  6. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。予算といたしましては、昨年に比べまして形式的には約五億円近い増加になっておりますが、これはいろいろの経費が入っておりますので、ただいま御質問に相なりました管理処分、こういう実際の国民皆様方に対するわれわれの当然のサービス的な業務と申しますか、そういう面におきまする予算といたしましては、さほど大した増加ではございません、しかし一番大切な実態調査経費が、先ほど申し上げたように一億一千万円というものが思い切って組まれたことは、非常に意味があるというように考えております。  次に人員のことでございますが、人員は、実は総体としては去年と比較いたしまして純増はありません。一応予算の上では純増にはなっておりません。ただ御承知のように、例年ある程度自然退職等があることは申し上げるまでもないのでありますが、そのほかに、私の方では御承知のように施政を売り払いますると、その施設監視、いわば番人的な仕事をしておられる監視というものが相当あるのでございますが、これらは、ある程度施設について転職をされるような場合も相当ございます。これらの補充ということをやっておったのでございますが、今回はそういう監視の振りかえと申しますか、監視のような方が施設について転職をされました場合に、これを新しい定員に振りかえる、さらにその上にアルバイト、臨時雇いの形でございますが、アルバイト職員というものが相当数認められまして、これらを大いに活用することによりまして、ただいま申し上げました実態調査の面を充実していくということを第一に考えておるのであります。  またお話の中にございました、物納財算処分の面につきましては、かねがねいろいろ御注意を受けておりまして、いわゆる仲介的な民間会社を活用するという点についでいろいろ御意見も受けました。またわれわれとしても、率直にこの点については反省いたしております。そこで今回は、この実態調査を大規模にやります機会において、まず物納財産の中で、ほんとうにはっきりと実態を把握して、大体どういうふうな処分をするのが妥当であるかということを、役所の方で自信を持ってやれるようなものは、これは機械的な事務が残ってわるだけでございますので、さようなものは、民間会社に機械的な事務を委任することを認めておりますが、そうではないようなもの、すなわち実態になお多少調査を要するようなもの、坪数がどうなっておるか、権利関係がどうなっておるかというようなことで、責任を持った調査を必要とするようなものにつきましては、これは民間への委任はとりやめまして、まずもって国の方で直接にその実態を究明する、そうしまして、複雑な権利関係その他につきましても一応事態をはっきりいたしまして、経緯を究明いたしました上で、責任を持った処理案を作るというふうな考え方で、三十二年度以降は物納財産処理をやっていきたい、こういうことをただいま考えております。つきましては、従来御承知のように、とかく予算が不足するということをもちまして、現実に財産処分するような場合に、その評価の面、あるいは測量面等におきまして、買手の方の負担でいろいろ測量をやってみたり、あるいはまた重量等の秤量というようなことまでやっておったような事例があって、とかく皆様方から不審の念を持って見られたような点もあったかと思うのでありますが、これらは、今後一切官がやるべきことは十分予算的な裏づけをお願いいたしまして、信頼される管財行政をやっていきたいということで、予算的な措置を講じておるような次第でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 いわゆる自然退職や、施設を売り払えば番人が少くなるので、それで埋める、こういうようなお話でございますが、そういうことであるならば、今ですら人間が足らぬのでありますから、こういう計画を出さぬでも、そのくらいは必要である。こういう膨大な白書を発表して、そうしてこれから国有財産管理処分を、より民衆の要請にこたえ、国会審議にこたえて油圧にいたします、そうして一兆九千億の膨大な国有財産を何とか適正な範囲にとどめるようにいたしますという裏打ちとしては、私はまことにお粗末千万な話だと思うのであります。それで、私がこれから質問をいたします過程においてもそういう問題が出てくるのでありますが、私は、どうもこの国有財産管理処分について、今なお大蔵省が全般の重要な問題として考えておらないような気がしてならない。何か傷口がふいた、うみが出たから、汚職があったから、一つ審議会を設けて、格好をつけてやろうというふうな結果になった、最初は何とかいう気持が旺盛にあったと思うのでありますが、結果として見れば、大山鳴動してネズミ一匹ではないか、こういう感じがしてならないのです。これをもしやろうとするならば、これに対する新しい一般会計からの財源の投入と人員増加を持って適正に行われる、こうなるのが当然の話でありますが、一人もふやさずして今日の不適当な管理の状況を直そうというのは、まさにこれは裏打ちのないのもはなはだしいと思うのであります。  また別な角度でお伺いしたいことは、今回この国有財産特殊整理資金特別会計法案というものが出てきました。本来こういう特別会計を設定するということは、大蔵省が今日までいろいろな角度で最も反対しておったものではありませんか。その反対をしておったものをここで設定するというゆえんのものは何であろうか、これは、国有財産というものがとかくの問題もあるから、この際一つ収支を明らかにして、そうして世間疑惑をなくそうというのでありましょう。ところが、こういうものだけは作っておいて、それに裏打ちされるものがないということは、結果論から論ずるならば、大蔵省が一番いやだいやだと言って、よその省に対しては特別会計を作ってはならぬと言っておりながら、自分のところの問題については、まあこれは主として主計局関係になると思うのでありますけれども、どういう相談があったか知りませんが、特別会計だけは作り、人員裏打ちしない、予算裏打ちしない、その中で適当に家を売っ払って、そうして官庁スペースコントロールをはかれ、権限は強めるという、何か大蔵省の悪いところばかりが私は出ておるような気がしてならぬのであります。特別会計法自体を作ることについては、私は必ずしもこの問題に関する限りはとやかく言おうとはしないけれども、しかし大蔵省が今日まで特別会計を作ってはならぬという基本的な立場を持っておって、そうして今、自分のところを一番最後に出してきて、しかもそれに対する確実な国有財産管理処分に対するほんとう意味裏打ちをしておらぬ。法律案にしたところで、官庁スペースコントロールをはかるんだとか、あるいは大蔵大臣権限を強めるんだとか言っておりますが、悪い見方をすれば、この機会大蔵省がよその省に対する権限を強める、こういう結果になったと言われても仕方がないと私は思うのです。建設省と大蔵省との間に、スペースコントロールの問題で、どちらがイニシアチブをとるんだといってけんかがあったそうでありますけれども、そういうことでは、これまた国民に対する奉仕のためにこの国有財産の諸法案が出てきたのか、この機会大蔵省権限を強めるために出てきたのか、どちらかと言われても返す言集がないのではないかという感じがしてならぬ。このところを一つ明確にしていただきたいと思います。
  8. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 今回国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案を提出いたすにつきまして、これに基いて、この法律の運用上出て参りまする官庁庁舎立体化計画等に関連をいたしまして、国有財産特殊整理資金特別会計が一方新設されることになりましたので、この法律案の御審議を願っておるわけであります。これにつきまして、ただいまいろいろ疑点をおあげになったのでありますが、実は今回の国会に、特別会計がたしか三つほど提案されておるのでありますが、そのうちで、今お願いいたしております国有財産特殊整理資金特別会計、これは今いろいろおあげになりましたような意味をもちまして、事務的にも相当前から研究を進めておったのであります。その一つの例証といたしましては、御承知のように、大正年間国有財産整理資企特別会計というものが現にございまして、これが相当の事績を上げておるということがございます。さらにまたおあげになりました国有財産審議会でありますとか、また国会の当委員会でも、たしか国有財産整理を進めめていく上において、やはり一段と積極内な、何か特別会計的な構想ということでいろいろお話があったことも、私はっきり記憶いたしておるのであります。さような意味の線に沿いまして、とにかく今回の官庁庁舎立体化し、あるいは集約化いたしますために、場合によりますとこれによって生ずる不用行政財産財源といたしまして、一方立体化集約化を積極的に推進していく、こういう構想から特別会計が設置されることに相なったのであります。もとよりその考え方につきましては、人によりまして、もう少し広い範囲特別会計を作るべきではないかというお考え方もあろうと存じますし、あるいはまた、もう少し国有財産特別会計としては事業会計的な性格を持たしたらどうかというような、いろいろな議論はあり得るかと思うのであります。しかし、その際にやはりわれわれとしては、先ほど申し上げましたように、財産管理処分というのは、はっきり申し上げますときわめてじみちな仕事でございます。あまりはなばなしい飛躍ということがあり得ないのでございまして、スロー・バット・ステディと申しますか、きわめて極限された範囲でありますが、今回お願いをいたしておりますような特別会計は、いわば官庁庁舎立体化し、それによって官庁執務能率化一般公衆の方々の利便の増進、それからさらに一歩進めまして、よって生じた土地を住宅方面等に転用するというふうないろいろの利益を考慮に入れまして、特別会計をなかなか認めていただけないような一般的な情勢でございましたが、先ほど申し上げたような既往におけるいろいろな御議論、また先例その他をも考慮に入れまして、今回のような極限された範囲ではございますが、一応特別会計をお認め願う。これは、従来は特別会計財産処分というものは、非常に消極的な意味しか待たなかったのでございますし、またそういうふうな感じがございましたので、横山委員のお言葉にもありましたように、管財職員の士気まことに上らなかったような面もあったかと思うのであります。今回の措置は、いわば財産の積極的な処分、活用ということをはっきりと制度としてお認めいただく第一歩でありますので、われわれこの仕事に携わる者といたしましては、まことに一つの大きな転機というふうな感じもいたしまして、ぜひともこの線に沿いまして、将来一そう管財の面におきまして、人員予算等においても充実をはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  9. 横山利秋

    横山委員 この国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法におきまして、特定庁舎等処分による収入使途限定をされておるわけであります。ところが、私よくわからないのでありますが、使途は、特定庁舎等取得に要する経費財源に充てなければならないと書いてある。この提案理由説明を見ますと、「特定庁舎等にかかわる建築物立体化して耐火構造高層建築物とし、または主として住宅敷地を提供するためその位置を移転し、」とありますが、住宅敷地に提供をすることによって得た収人は、特定庁舎等取得に要する経費財源に充てるのかということであります。といいますのは、この問題が起りましたときに本委員会であなたに質問したときには、たしかこれによって得た収入によって宿舎を増強する、あるいは住宅建設をする、こちらの方への積極的な部面があったように思いますが、これは敷地を売っ払うということだけに限定をされたような気がするのですが、それはいかなる理由であるか、お伺いをいたします。
  10. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 特定庁舎等範囲が、今御指摘のように、今回の法律案によりましてはっきりと限定されまして、第二条の四項でございますか、「庁舎等のうち特別会計に属するもの以外のもの」ということになっておりまして、この庁舎等というものは、御承知のように、別に官公庁施設建設等に関する法律その他によってはっきり規定されておるわけであります。そこでこれには公務員宿舎というものは実は入っておらないのであります。かねがね特別会計を作る場合の一つ考え方といたしまして、不要の財産処分をしてこれで必要なる庁舎あるいは宿舎を増設するというお話を申し上げたことは、確かにその通りであったかと思うのであります。それがどういうわけで宿舎が入らなかったかということが第一の御疑問のようでございますが、この点につきましては、やはり今日庁舎等で非常に平面的な非効率的な土地の使用の形態になっているのが相当ございます。これは、国有財産白書の中にも書いてある通りでございまして、高層の程度からいいますと、平均二階建以下のような程度に実はなっておるような次第でございます。そこで私どもとしましては、やはり庁舎立体化集約化が先決であるという判断をいたしたのでございます。そこで、ただいま申し上げましたように、特定庁合等の範囲には、今の公務員宿舎というようなものは入っていないのでありまして、大体の考えといたしましては、まず庁舎等立体化集約化することによりまして、先ほど申し上げましたように、公衆の利便また執務能率の向上ということをねらいにしております。そうしまして公務員宿舎等につきましては、やはりことしも、実は前年度予算十億円に対しまして五億円を一挙に増額いたして、十五億円を計上しておるのでございますが、これは、一般財源で当分整備をはかっていく、こういう考え方をとっておるのであります。その一つ理由といたしまして、公務員宿舎を、今日の住宅事情のもとにおきまして、公務員として国の方で施設をしていただいて、大へんこれはありがたい施設でございますが、国有財産処分して、公務員だけがどんどん宿舎を建てていただくということもいかがであろうかという、われわれとしては一種の自粛的な考え方もございます。また一方公務員の宿舎は、御承知のように適正なる使用料をとっておるわけでございます。この使用料は、これは当然一般会計財源になっていることでもございますので、やはり公務員宿舎というふうなものは、この特定庁舎等の中に入れることなく、先ほど申し上げましたように、一般財源をもってできる限りめんどうを見ていただく、こういう考え方で、大体一般の公衆の住宅政策と歩調を合せて宿舎の整備をはかっていただくことが大体穏当ではないか、こういう配慮から、公務員宿舎はこの対象には入っておらないのでございます。次に土地を、たとえば一般の宿舎用地といたしまして処分をしたものもこの財源に入れるのかというような御質問でございましたが、これは、特定庁舎等特殊整備計画として行政財産処分した場合でございますれば、その目的が住宅用地であろうと、あるいは一般に会社その他の工場用地として払い下げられたものでありましょうとも、これは特別会計財源になることは申し上げるまでもございません。
  11. 横山利秋

    横山委員 この特別措置法は、国の庁舎等についての問題でありますが、この立体化の必要性をもし議論するならば、国に限定することだけでなく、地方自治体とあわせて立体化する必要がありはしないか。つまりこの例に出しております売り払いの八億ですか、八億にしましても、先般話がありました丸の内界隈にいたしましても、こういう大都市においては国の庁舎だけで立体化が可能でありますが、一般の中都市、小都市になりますと、この法律案の趣旨というものは、なかなか実現が困難でなかろうかと思うのであります。もしこれをほんとうにやる気になって、国費あるいは地方自治体の費用の節約をはからんとするならば、これは国及び地方自治体を総合一貫した使用調整をはかることが最も必要ではないかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  12. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 その点は、私どもも現実の問題としてはお言葉の通りであろうと思います。国の庁舎だけが地方公共団体等の庁舎あるいは施設と切り離して位置を定め、あるいは立体化集約化のことを独走するわけには参らぬのでありまして、たとえば府県庁の所在地におきましては、府県庁の役所と国の出先機関との位置の関係、また建物の高層化の状態というふうなものは、大体において相伴って整備されていくということは、お話しの通りと考えております。ただ法律の関係といたしましては、国の庁舎等に一応限定をいたしましてこういうふうにお願いをいたしておるわけでございますが、この法律の運用に当りましては、庁舎等の整備審議会に地方公共団体の適当な方を審議会委員というふうな形において御参加を願う、あるいは先ほどお話しのありました、国有財産審議会にやはり地方公共団体の首長等に御参加願っておることは御承知の通りでございます。そういう審議会において、常に中央、地方の官庁考え方というものを運用上よく合せていくことは、もとより当然と考えております。さらにまたこの点については、まさに建設省における都市計画等の関係、これには国の機関も地方の機関もそれぞれ参加いたしておることでございまするから、それらの都市計画の関係で、官の計画あるいは民間の方のお入りになった審議会の御意見というふうなことを総合的に考えまして、常に国と地方と両々相待って庁舎等の合理的な配置、整備を進めていかなければならぬというふうに考えておる次第であります。
  13. 横山利秋

    横山委員 もしそういう考え方があなたに、ないしは法律の裏にあるとするならば、なぜそれをこの法律の中に、地方公共団体と協議するとかなんとかというふうに具体的に明記なさらなかったのでありましょうか。税務署と県税事務所が同じ建物の中におることによって、国民は非常な利便を受けることでありましょう。また官庁にいたしましても、国の建物と県、市町村、それらが立体化された一つの建物の中に入っておれば、費用の節約は非常に私は大きいと思うのであります。今国だけが庁舎等の使用調整をやれば、これによって受ける利便というもの、また大蔵省の受ける利便というものは相当なものがあると思うのでありますが、それをやるならば、地方自治体も含めて協議ができる、あるいは相談ができるというふうにしなければ、私は、実際問題としてはあまり効果がないのではないかと思います。東京のことばかり考え、大都市のことばかり考えたら、あるいはこの使用調整ということができるかもしれません。しかし全国的に国の庁舎等の使用調整を考えたならば、実際問題としては、そう大きく期待することができないのではないか、そこへ地方自治体を含んでの使用調整、立体化を考えるならば、大きな節約なり何なりができようかと思うのであります。単にこれが審議会議論をする等々ということでなくて、この法律案審議の過程においてそれが出てこなかったものか、それを承わりたいと思うのであります。
  14. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答えをするのは、先ほどちょっと横山委員からも御指摘がありました、この法律案を作ります上において、建設省の関係といわば調整を要する点があったわけでありますが、お話のように、国及び地方公共団体の庁舎等をどういう位置に、どういうふうにやっていくかという問題を直接扱っている役所ということになりますと、やはり建設省がその立場に立っておるわけでございます。で、御承知のようにかねて国会で議員立法でございますか、によりまして昭和三十一年度に法律が——官公庁施設建設等に関する法律、従前これは官庁営繕法といっておったのでありますが、これを官公庁、官庁、公庁、公けの庁という字が入るわけでありますが、その建設等に関する法律ということで御制定を見たのであります。その中に今お話しのような、官公庁の位置を定める問題、あるいは官公庁の建築的な、どういうふうな建築をやるべきかという建築技術的なことにつきましていろいろ規定されておるわけであります。大体やはりこういう官公庁施設建設等に関する法律考え方から、私は今のような点については、一応の考え方法律としてできておると申し上げて差しつかえないかと思います。ただわれわれの方は、どこまでも国有財産管理処分する、こういう見地からの法律でございますので、この法律におきまして地方公共団体の役所をどうするということは、多少筋が違っておるわけでございますので、このわれわれの方の法律の運用に当りましては、先ほど申し上げたような、それぞれ直接の関係の向きと運用上常に緊密に連絡をとっていくことはもとより、また建設省の関係におきまする官公庁施設建設等に関する法律の運用とも、常に表裏一体的な関係におきまして運用をしていかなければならぬと心得ておるのであります。その関係の規定が本法の中にも、いろいろと建設大臣と大蔵大臣との権限の調整につきまして規定があることは御承知の通りでございます。そこで、こういうふうに両方の法律のねらいとするところを総合的に考えまして、ただいまお話しのございましたように、国と地方公共団体の庁舎等につきましても、その立地計画、あるいは集約化立体化の点等をあわせ考えていくような努力をいたしますれば、大体においてお話しのような目的は達成できるもの、かように考えておる次第であります。
  15. 横山利秋

    横山委員 あなたの言葉は少し違いますよ。特定庁舎等特殊整備計画大蔵大臣が立てる、そうしてその計画により建築すべき建物等の位置、規模、構造等については、建設大臣が作るというのでありますから、これはもし私のような意見構想に入れるとするならば——この提案理由によるとするならば、大蔵省が最初の特定庁舎等特殊整備計画を作って、その中に織り込まなければならぬのであります。そうでなくして、私の言うように、地方自治体の建物もこの立体化の中へ含めるとしたならば、最初の特定庁舎等特殊整備計画というものは、建設大臣が作らなければ、あなたのような言い分でいきますと意味がない。ここのところが、お話を伺って、大蔵省と建設省との議論のニュアンスがわかるような気がするのでありますけれども、ほんとうにあなたのおっしゃるように、地方自治体の建物も含んで国費の節約、地方自治体の費用の節約をはからんとするならば、大蔵省も最初の特定庁舎等特殊整備計画の中へこの構想を織り込まぬと実現ができないと私は考えるのでありますから、老婆心ながら御注意を申し上げておきます。  それから大蔵省が持っております普通財産管理処分において、白書を見ますと、出資財産が三千六十七億、有価証券が百七十九億、共有船舶の国の持ち分が九十一億、提供財産、日米安全保障条約の三条によるものが千百八億、貸付財産が六百三十二億円、未利用財産が四百八十八億、実に膨大な数であります。この中でいろいろお伺いしたいことがあるのでありますけれども、たとえば、例をあげてみましょう。提供財産、日米安全保障条約第三条によって、行政協定によって、わが国からアメリカに対して三十年度末現在で千百八億提供されておる。もちろんこの中から国際連合軍の撤退によるもの、その分は減少するといっておるのでありますが、この千百八億というものは、具体的に、確実に大蔵省で把握し、議論の余地がないようにはっきりいたしておるものかどうか、まずそれをお伺いをいたしたい。
  16. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。提供財産は、今日のところ、御承知のように国連軍は大部分撤退をいたしましたので、もっぱらアメリカ軍の駐留軍のために提供いたしておるものであります。この提供財産実態は、大蔵省において十分把握しておるかという御質問でございますが、これは、たしか昭和二十八年ころと記憶いたしますが、提供財産につきまして実態調査予算をお認めいただきまして、提供財産につきましては特に実態調査いたしたのであります。もとよりその具体的な問題について、あるいはどの程度にということは御質問によってお答え申し上げますが、私の大体承知いたしておりますところにおきましては、普通財産のうちで、提供財産だけは測量、図面その他の資料も一番よく整っておりまして、私としてはまずまず把握の状態は完全なものと、かように考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 まずまずというふうに言葉が入っておりますが、提供財産千百八億を先へ持っていかれて、あとで調査して、そうしてまずまず間違いないということは、まずまずおかしな答弁だと思います。私が考えますに、この千百八億になんなんとするアメリカに提供した財産というものは、先に持っていかれた可能性があるので、非常にその辺がはっきりいたしてないのではないかという疑念が多いのであります。私の知っている例が二、三ございますが、たとえば、機械がある。これは先般も委員会で、中小企業関係の交換用として大いに議論をされたところでありますが、その機械類というものが、米軍に一体どのくらい取られておるのかという点が私は聞きたいのであります。行政協定によって施設及び区域を提供することになっておるのだが、機械は一体行政協定の範囲内にあるのかないのかについて、大きに議論があろうかと思う。聞きますれば、相当の国の機械がアメリカ軍に取られてしまっておるというのでありますが、そんなことは、行政協定にはきめていないのではないか。取られっぱなしで、そうしてただで使われて、そのままになっておるのであります。これらのような問題は、ほかの動産、不動産等につきましても、数多く問題があろうかと思うのでありますが、その実情をお伺いをいたします。
  18. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの点は、まことにお詳しい横山委員からの御指摘でありまして、この機械器具を駐留軍に提供いたしました経緯は、御承知の通りでございます。つきましては、これは行政協定の範囲に含まれるということであるならば、これについて所要のアメリカ側の確認行為が必要であるわけでありますが、その点につきまして今日まで折衝を進めておりますが、いまだ委員会において最終的な結論に到達いたしておりません。この点は、われわれ非常に遺憾でありますが、しかしながら一方われわれとしては、どの程度のものをアメリカ駐留軍に提供しておるかという資料は、ほとんど整備いたしまして、機会あるごとに先方に対しましてその確認方を求め、なお必要でないものにつきましては、これが順次返還を求めておる次第であります。御承知のように、当初二十数方台の機械が、今日スクラップ化、あるいは中小企業との交換等によりまして、すでに大体七、八万台ということになっております。機械は、国内的な整理相当進んだのでございますが、なお一部駐留軍に対して提供中のものにつきましては、さような懸案が残っております。これにつきましては、引き続きわれわれとしては努力をいたし、一日も早く返還すべきものは返還をさせ、どうしても先方が必要とするものにつきましては、不動産と同じような、はっきりと提供という行為を行うべきものと心得まして、さような手続を進めておる次第であります。
  19. 横山利秋

    横山委員 機械及びその他アメリカ軍との論争になっています国有財産は、どのくらいございますか。
  20. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これはちょっと数字を今持ち合せませんので、資料として提出いたします。
  21. 横山利秋

    横山委員 戦後十数年にもなるのに、まだ国の財産が明確になっていないという点については、大いに考えなければなりませんが、特にアメリカ軍との問題については、慎重を要することは当然ではありましょうけれども、十数年たって、行政協定の適用もないのに取られっぱなしの機械がたくさんあって、それが今なお紛争を続けておるということは、私はまことに遺憾千万であると思うわけであります。聞き伝えるところによりますと、これはアメリカ軍がどうにも承知をしないので、何とか別の方途で解決しようというような意向が若干あるように漏れ聞いておるわけでありますが、こういうことがあってはならないと思います。主張すべきところは主張し、協定にあらざる点については、断固として大蔵省としてはアメリカ軍に対して折衝をして、当然の損害賠償に至るまで貫徹をしなければ、単に国民に対する国有財産管理適正化をはかるといっても、国民が一番今問題にいたしておりますアメリカ軍に対しては適当なことをやっておるということでは、断じて国有財産管理というものは国民が納得しないということを申し上げて、適切、迅速な措置を願いたいと思うのであります。  次は、貸付財産でありますが、地方自治体や、民間等に六百三十二億円の貸付財産があるというのであります。今日、地方公共団体に対する無償貸付については、国民一般の利益になっておるのでありますが、民間に対して貸付財産をすること自体に、私は根本的な問題があると思うのであります。これももちろん、おそらくは敗戦直後のいろいろな事情によって、貸付財産ということが行われたと思うのでありますけれども、貸付財産をこの際整理をする必要がありはしないか、こういうことをお伺いいたします。
  22. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 貸付財産に対する御質問でございますが、これはまことにわれわれの思っております通りのことを御指摘になったのでありまして、終戦後に膨大なる財産を貸し付けまして、その後逐次貸付林産を売り払いに移行して参るような努力をいたしてきたのでありますが、今日なおお話しのように六百数十億のものが貸付中になっております。これはいわば国有財産管理運用としては、一種の変態的なものでありまして、現に国有財産法においては、貸付というのは管理の一形態であるという考え方で規定されておるのであります。従いまして、こういうような形で長い期間にわたってやって参ること自体がまことに変則である、こういうふうにわれわれも率直に考えております。また貸付という形をとりますと、とにかく民間の一般慣行、すなわち借家権、借地権というふうな関係も非常にございまして、今、国のやっております国有財産の貸付方式というものは、一種の例外的な措置と申し上げる以外にないと思うのであります。ただ御承知のような経済情勢がずっと長く続きまして、最近になってやや経済正常化というようなことから、貸付を早く売り払うようないろいろの条件も整備してきたと思うのでありますが、なかなか一挙に参りません。しかし今後ともわれわれとしては、今申し上げたように、貸付というのは一つの変態的な財産運用の形でありますので、どこまでも不要なものは売り払うという本来の姿に戻すという考え方処理を進めていくようにいたしたい、こういうことをはっきり申し上げる次第でございます。特にいわゆる無償貸付ということは、国有財産管理の方法としても非常に変則中の変則でございまして、無償貸付をいたしておるような場合には、一体だれがその管理責任者であるかというようなこごも、非常に不明確になってくる次第でございます。建物等を使っております場合には、当然火災等のことも考えまして、火災保険にかけるとか、あるいは風水害等に備えて最小限度の補修を行うということが管理の常識かと思うのでございますが、さようなことも、間々怠りがちでございます。特に無償というふうなことになりますと、所有権だけが国にあって、ただで使っているのだという観念がございますので、ますます管理責任を怠るようなことになりがちでございます。そこでわれわれとしては、どこまでも、今お話しのように、やむを得ざる地方公共団体への貸付というふうな場合を別にいたしまして、無償貸付というふうな変則的なものは極力避け、またそういうことのないようにいたしまして、国有財産管理に遺憾なきを期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 あなたは、これから注意をするというのですけれども、今まである貸付財産は、地方公共団体は別として、民間団体に対して貸してあるものを買えといっても、そう簡単に買うものじゃないと私は思うのであります。買うようにしかけなければ買わない。それは、貸付料を払っておれば、また滞納しておれば、多少の利息はつくかもしれぬけれども、安い貸付料でうまいことをやっておればそれで済んでしまうのでありまして、そういうところにあなたの方の調査も行き届いておらないようです、督促も行き届いておらないようです。だから、今のままでいくならば、百年河清を待つですから。これは売るならば、買うようにしかけなければいかぬのであります。私はこの問題について、特定個人の特定的なものについては、こういう議論というものはあまり好ましいものではありませんが、不特定多数の一般的に引用できる問題については、この際買った方が得だというふうなやり方をしないと、これは買わぬのであります。また、そうすることによって、国としては問題を全般的に整理し得る道が開けてくるのであって、ただ買え買えといったところで、その財産にしたって、機械にしたって、いろいろな物にしたって買うはずがないと私は思います。従って特別な、特定個人に類する問題、それだけにとどめる問題はさておくといたしましても、一般的な議論のできるもの、一般的不特定多数の貸付財産というものについては、この際、この機会に買った方が得だというしかけをあなたの方でお考えにならなければ、これは全然言うはやすく、行いはかたいのであります。その点はいかがでありますか。
  24. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お話しの通りと考えます。つきましては、従来の貸付方式というものに根本的な検討を加えたいということで、先般の国有財産審議会におきましても相当議論されまして、審議会審議の経過においては、いろいろ議論が出たのであります。その一つといたしましては、先ほど申し上げた権利金の関係、権利金を徴せずして事実上土地建物を貸して、それが借地法、借家法の保護を受けるというふうなことに相なったのでは、いわば一種の不当の利得をするような形にもなっておりますので、この点について法制的に大いに研究を要するような意見も出されておるのであります。遺憾ながらこの国会には、関係方面の意向がまた一致を見ておらないようでございまして、借地権あるいは借家権というふうなものを法制化して、それに対する正当なる対価を要求するという形になっていないことを私は非常に遺憾に思います。本来国有財産法で、長期の貸付を認めるということが規定の上にはあるわけでございます。たとえば建物の堅固なもので、三十年というふうな長期の貸付を認めることがあるのでございますから、さような場合には当然民間の慣行等を考慮して、それに相当する権利金を徴するということをいたしますれば、ほとんど実質的に売り払いと変らないようなことになりまして、おのずから貸付ということの正しい姿が実現できると考えますが、そういう法制がいまだ不備でございますので、この点は今後の研究に符たなければならぬと思っております。しかし、さしずめ現在の法令のもとにおきまして、ただいま横山委員から御指摘のように、そのまま借りておるということ、いわば権利の上に眠るような姿で放置しておいてはならないということを考えまして、昭和三十二年度の指導方針といたしましては、とにかく買って下さい、買ってくれないということであれは、われわれとしては貸付料について相当の再検討をお願いせざるを得ない、こういう態度で出ることに、今研究を進めております。もとより法令その他の制約というものを無視するわけには参りませんが、一般の方針といたしましては、一部の方々に不当の利益を与えるような、また権利の上に眠るようなことを許してはいけないということは、国有財産管理の建前からいって当然と心得ておりますので、さような指導方針をもちまして、とにかく金融その他も相当正常化するときでございますので、貸付につきまして、ぜひともこの際売り払いを奨励していきたい。特に物納財産等につきましては、多年居住しておるような方でございますので、ある場合には既応の借料が滞納になっておるようなものもございまして、そのような場合におきましては、既応の滞納になった借料と今後の売り払い代金とを、毎月一定額をいわゆる月賦式に徴収すること、これは相当の手数がかかるのでございますが、私の方ではさような方式も考えまして、一定の年限、一定の金額を月賦でお払いになりますと、その家に所有権が買手方に移る一種の月賦売り払い式の構想を取り入れまして、貸付財産整理ということを考えております。また工場等につきましては、幸いにして私どもの管財行政の第一線は財務局においてやっておりますが、財務局は御承知のように金融方面仕事もやっておりますので、金融との連携をとりながら、やはりこの財産の売り払いということを促進していきたいということを考えております。この点については、御承知のように、幸い財産の所有権が移りませんと金融を受けます場合の抵当物件、あるいは担保という形において財産を清川する道がございませんので、一部の産業におきましては、この際一挙に払い下げを受けまして、より一そう効率的な事業の整備をはかりたいという機運が相当出ております。私はこの機運に乗じまして、今申し上げたようなことをお願いをいたしまして、できる限り貸付を促進して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 さっきの在日米軍等に提供中に機械器具は、この答申を見ますと、機械器具は四万七千個、その価額は二十億一千六百万円と明記されておるのであります。やっぱりこれは、行政協定によって向うに提供する義務のないものが四万七千個、二十億一千六百万円でありますか。
  26. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどの御質問に対しまして、私数字を保留したのでありますが、これは実は最近も、米軍に提供中の機械その他の器具等で返還を相当求めております。その資料は、昨年三月三十一日現在かと思うのでありますが、そういう意味で実は保留を申し上げたのでありまして、横山委員特にお詳しいのでありますが、機械器具につきましては、最近おかげさまで整地が進んで参りまして、米軍からのもの、あるいは旧国連軍の使用されたもの等で相当のものをやはり返還を受けまして、これを国内的に処分を進めるように考えております。しかしその価額は、幸いに今おあげになりましたものからそう著しい減少は今ないと思っておりますが、少くとも私どもとしてそういう努力をいたしておりますので、最近の数字をそろえましてお答えしたい、こういう気持で一応保留したのであります。将来、今米軍の使っておるものにつきまして、どうしても向うが要るというものにつきまして、これは当然やはり向うにその提供であることを確認させる。また従来の賠償等の問題につきましての処理は、先ほどもお話しのように、なお折衝を続けたいと考えております。
  27. 横山利秋

    横山委員 この辺で、次の機会にしてくれという希望が出ておりますから、簡単に質問しますが、今度は具体的な問題に移りまして、防衛庁にいっておる財産がこの参考資料の中に出ておらないので、どのくらいかわからないのでありますが、最近の地元でこういうことがありました。以前もここで議論があったのでありますが、鷹木工廠跡に混成第十旅団を置きたい、こういう希望が防衛庁からあり、地元として圧倒的の反対で、防衛庁も今年度の予算にはないので一年あきらめる、ことしはしない。そこで地元としては、工場誘致やら、あるいは名城大学が貸してもらいたいということで、いろいろ希望が出ておるのですが、どうも聞くところによると、防衛庁があそこに混成第十旅団を置きたいから、いろいろなものがきても断わってくれということを言い、それにあなたの方としては動かされてはいないらしいのだけれども、とにかくまあまあということで、いろいろな相談を保留をいたしておるような話でございます。こういうことは、単に鷹木工廠跡ばかりでなく、全国で——今回岸さんが渡米される、防衛増強計画というようなことで、至るところで鷹木工廠跡と同じ問題があろうかと思うのであります。それはまだしかしきまっていない。また国有財産として自治団体あるいは民間団体が払い下げを希望しておるものを、できるかどうか知らぬ青写真、岸さんのアメリカみやげの青写真を確実ならしめるために一切ストップさせるということはいかがなものでありましょうか。
  28. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 今具体的な事例をあげてのお話でございますが、そういうことを考えておりません。ただ財産処分は、まずもって政府部内の関係の向き向きに一応はかりまして、どうしても不要であるということになりまして、いろいろ処分をいたしております。むろん大蔵省は中心になっておるのでありますが、防衛庁から希望が表明されておるような場合には、一応その理由を聞きまして、理由のないときはまずお断わりして御納得いただくのでありますが、なかなか簡単に御納得いただけないので時間のかかるようなことはありますが、今お話しのようなことで、あちらこちらつばをつけておるという点は毛頭ございません。
  29. 横山利秋

    横山委員 この点はまた次の機会に伺うことにいたします。  もう一つ、国鉄で志免の鉱業所を売り払う売り払わないという議論が出て、新聞を飾っておるわけであります。考えますのに、国鉄とか電通とか専売というような公社に対しては、それぞれの法律があり、それぞれ所管大臣の許可を受けることによって、大蔵省の協議及び許可は必要としないことになっておると私は理解しておる。ただしかしながら、公社それぞれの自主性はもちろん尊重しなければならない、私もそういう議論を持っておるわけでありますが、公社といえども政府は出資をしておる、株主であります。その株主たる立場というものはどういうことになるのか、電車を一台売り払うとか、建物を一つ売り払うとかいうことと違って、志免鉱業所のように従業員を数千名かかえ、膨大な採炭施設を持っておるものが、運輸大臣の許可ということで、運輸大臣の自主的判断にまかせられるものであるかどうか、これは法律的な立場と政治的な立場と、両面にわたってお答えを願いたいと思います。
  30. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 政治的なお答えは政務次官にお願いいたしまして、一応法律的な関係だけを私からお答え申し上げます。御承知のように国有財産法は、国鉄、専売、電電という公社の財産は一切国有財産範囲から除外しております、ただ国鉄その他に対しまする出資だけが国有財産の中に入っております。しかしこの出資に基く権利というものは、別に全然規定がございません。一方国有鉄道につきましては、国有鉄道に関するいろいろな規定がございまして、たとえば予算の編成でございますとか、あるいは運輸大臣のいろいろな認可事項につきまして大蔵大臣が協議を受ける、項というものが、それぞれ法令によってきまっておるわけでございます。ただいまおあげになりました志免鉱業所の処分の問題は、法律的には一応大蔵省は少くとも出資者として協議を受ける立場にはなっておらないのであります。これが政治的に妥当であるかどうか、立法論としていろいろ御意見があろうと思いますが、この点は政務次官からお答えを願うことにいたしまして、私としては、根本の法制はさようになっておるという事実だけを一応お答え申し上げます。
  31. 足立篤郎

    ○足立政府委員 ただいまの御質問は、法律的な問題につきましては、今管財局長からお答え申し上げた通りでございますが、政治的な面を申し上げますと、これは、やはり公共企業体がその経営計画を立てていきます上におきまして、そういう処分をすることが果して経営上健全であるかという観点に立っての、政府としての判断ということでは、政治的に関係する面があると思います。その程度の関連を打つというふうに御理解願いたいと思います。
  32. 横山利秋

    横山委員 大いに論議のあるところでございますが、時間もございません。きょう国有財産関係であがる法律案が一、二件あるようであります。この国有財産につきましては、全般的な角度から議論をされなければなりませんから、私はきょうおあげになることについては異論はございませんが、問題となります諸点については、引き続いて次の国有財産に関連する法律案の中で質問いたすことを留保いたしまして、本日の私の質問はこれで終りたいと思います。
  33. 山本幸一

    山本委員長 この際お諮りを申し上げますが、四法律案のうち、国有財産特殊整理資金府別会計法案及び国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案、この両法案につきましては、これ以上御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 山本幸一

    山本委員長 御質疑がないようでありますから、質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって両法律案に対する質疑は終了いたしました。  この際御報告を申し上げます。両法律案に対し、小山長規君外二十五名提出の両修正案がそれぞれ委員長の手元まで提出されておりますので、これを印刷して諸君の手元に配付いたしておきました。この際、提出者より趣旨の説明をお願いいたします。小山長規君。
  36. 小山長規

    ○小山(長)委員 両法律案とも、政府原案においては四月一日施行となっておりましたのを、四月一日を過ぎましたので、公布の日施行に改めたいというのがその趣旨であります。  全文を読みますと、    国有財産特殊整理資金特別会計法案に対する修正案   国有財産特殊整理資金特別会計法案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和三十二年四月一日」を「公布の日」に改める。国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案に対する修正案   国の庁舎等使用調整等に関する特別措置法案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和三十二年四月一日」を「公布の日」に改める。 こういうのであります。  趣旨の説明を終ります。
  37. 山本幸一

    山本委員長 以上をもって趣旨の説明は終りました。  お諮りをいたします。両法律案及び両修正案につきましては、討論の通告が別段ないようでありますが、この際討論を省略して直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。 よってさように決しました。  これより採決に入ります。まず国の庁舎使用調整等に関する特別措置法案について採決をいたします。初めに本法律案に対する小山長規君外二十五名提出の修正案について採決をいたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決をいたします。これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  次に、国有財産特殊整理資金特別会計法案について採決をいたします。初めに、本法律案に対する小山長規君外二十五名提出の修正案について採決をいたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決をいたします。これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  この際お諮りを申し上げますが、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会の報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  44. 山本幸一

    山本委員長 次に、食糧費管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。井上良二君。
  45. 井上良二

    ○井上委員 ただいま議題となりました法案に関係いたしまして、食管制度の問題について農林大臣、また大蔵大臣等に質問をいたしたいのですが、この食管制度の問題につきましては、先般来予算委員会において詳細に質疑が行われたのでありますが、その後政府が、御承知の臨時食糧管理調査会でこの食管制度のあり方についていろいろ検討を加えており、特にその食糧管理特別会計のあり方についていろいろな資料を提供いたしまして、審議を進めてもらっておるようでありますが、そういう部外のいわゆる学識経験者等の御意見を伺ってさらにいい運営を生み出すということは、きわめて必要なこととは存じますけれども、問題は、政府のものの考え方というものが基本的にはどうであるかということを、私ども一番重要に思いますので、特に政府が何か臨時食糧管理調査会の結論を待って、一切がっさいそこの結論にゆだねる、こういう態度をとっておることをはなはだ遺憾といたすのであります。そこで、食糧管理府別会計の内容をいろいろ見ておりますと、政府みずからがいろいろな欠陥をそれぞれ指摘をいたしまして、参考の必要な資料を提出いたしておるのでありますが、これらのいろいろな欠陥を是正するのに当りまして、われわれが第一に考えなければならぬ問題は、例の食管法と特別会計との関係であります。食管法は、農民が生産をいたしました米を、農民が必要とする保有米等を差引きまして、残余は全部政府が買い上げるということになっておる。また政府は、一方配給も全量を配給するという建前になっておる。ところが実際は、全量集荷全量配給ということは行われておりません。そうなりますと、食管法というものを、やはり全量配給全量集荷ができないこととなるならば、根本的に改正をする必要がある。食管法をあのままにして、実際扱うものは四割か五割しか扱つていないということになれば、食管法はあってなしのことになりますが、食管法は依然として改正せずにあのままにいくつもりでありますか、この点農林大臣はどうお考えです。
  46. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 食管法のあり方について御比判をいただきましたが、御指摘のように、全量をこの法律のもとに買い取り、しかもそれを配給をする、こういう点においては、今日若干ゆるんで参ったと申しましょうか、情勢の変化がございまして、十分に機能を果していない面もあろうかと存じます。しかしそうかと申しまして、この管理制度自体が持っておりまする使命というものは非常に重要性があるのでございまして、にわかにこれを改変しようというところまでは至っておらないのでございます。従いまして、その欠陥を是正するということのためにあらゆる努力を払って参りたいと思っておるのでありますが、われわれといたしましては、ただいま井上委員指摘のような面も一方においては十分に検討をいたしまして、誤まりなく対処をいたしたいと考えておるわけでございます。
  47. 井上良二

    ○井上委員 問題の中心がそこにあるのでありますから、この点は重要に聞いておかなければなりませんが、ご存じの通り、食管法では、農家の生産しました米は強制供出によって買い上げてきた。その強制供出の集荷の方法というものが、農家を取り巻く経済のいろいろな圧迫、あるいはまた拘束等がございまして、これではいかぬということからして、政府の方では強制供出から予約制度に切りかえた、予約制度に切りかえましたということは、完全に集荷をしないということになったわけであります。そうなりますと、当然食管法の持っております根本がそこで一つくずれてしまった、そのことからヤミ米というものが非常に大きくなってきた、消費者もまた自分の消費いたします主食の四割はヤミに依存しておる、四割もヤミに依然しなければ消費生活ができない、こういう状態に政府みずからしておるわけです。ですから、問題は、そういう状態をいつまでも続けていくということになりますならば、食管法を改正するということでなければならぬのです。それで、依然として農林大臣は、食糧の統制の重要性、今日のわが国の国民の食生活の安定の必要から、今食管法を改正する必要を認めてないというお考えでございますならば、やはり一応農業政策上、あるいは食糧政策上、現在の食管法が施行の上においていろいろ不行き届がある場合は、それを直すということにして、本法はまだ改正するところまで事態は行っていないという考え方に立ちますならば、一体食管法がきめておりますところの政府の農業政策なり、食糧政策なりという国の行政面の負担というものが、一体食糧管理特別会計の中でどう具体的に現われておるかということになってくると、そこは非常にぼけておるのです。国は食料の統制を必要とすることからやっておるのでありますから、それならば国の財政負担を相当すべきなのですが、財政負担をするどころじゃない、逆に食糧管理特別会計の中に農業政策上必要なものまでも背負い込ましておるのです。これはいつも食管に大きな負担をかけておる、赤字の大きな原因になっておるということが言い得られるわけであります。ですから、食管法を改正せずに現状のままの食糧統制を維持していこうといいますならば、農業政策上国が負担すべきところの財政負担、食糧政策上国が負担すべきところの財政負担、これは食管の狩別会計の中でどの程度一体認められていますか、その点は明確じゃないじゃありませんか、そこに問題がいつもあるのです。それを明らかにしていただきませんと、ここに今承認を求めようとするところの食糧証券の発行限度もやはり変ってくるのです。だから、その点はどういうように大臣はお考えになっていますか。
  48. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 価格体系の中において、農業政策上特別会計以外で負担すべき部分があろう、こういう御指摘でございますが、さような考え方も確かにあろうかと思います。そういう点に関しまして、ただいま臨時食糧管理調査会において慎重に御検討を願っておるのでありまして、われわれの方としましても、これにはでき得る限り詳細な資料を提供申し上げて調査をいただいておるのでございまして、調査会の結論を待ちました上で善処いたしたい、こう考えております。
  49. 井上良二

    ○井上委員 私は調査会の結論を聞いておるんじゃないのです。国の食糧政策の責任肴として、国の農業政策の責任者としての農林大臣は、一体食糧統制の現状において、国が負担すべきところの財政負担はどの限度までは国の負担とすべきものであるか、そうでないと、食糧行政による国費の負担は全然見てない、ことごとくそれを食管会計の中に打ち込んで、そこで赤字がなんぼ出る、出たらそれが消費者負担の値上げになってくる、こういうことになりますから、国が食糧政策の必要性から法律によってやっております以上は、国費の負担ということが当然裏づけとして考えられなければならぬ、その限度はどの程度か、そういうことは全然農林省としては検討したこともなければ、大蔵省にそういう財政的な支出の交渉をしたこともないというのですか、それならそれでいいです。無責任もなははだしいと言わざるを得ない。その点は御検討されたことがないのですか、どうですか。
  50. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 もちろんわれわれの側におきましても、その検討はいたしております。ただ、どういうところへ線を引くか、こういった限界を明白ならしめるためには、やはり学識経験者の御意見等をも十分に伺いまして慎重を期してやって参りたい、このように考えておるわけであります。
  51. 井上良二

    ○井上委員 少くとも政府が八千億からの大きな世帯を切り回しております食管会計においていろいろの面からやむにやまれず赤字が出てくることは、これは当然考えなければなりませんけれども、国の食糧政策上、農業政策上当然負担すべきものを食管の中へ持ち込んで、それで食管の赤字がこれだけ出たから、だからやはり消費者米価を上げなければならぬというような結論を急いで出そうとする、そこに問題があるのです。だから少くとも政府は、食糧行政上国が負担すべきものはこれこれ、または農業政策上当然負担すべきものはこれこれという点に分けるべきであります。そうしなければ、ほんとうのコストによる赤字というものが明確になってきません。また当然食糧政策上相当国が——たとえば消費者米価の場合においても、二重負担をして一向差しつかえないという意見もあるわけでありますから、そういう点については、農林省としてはもう少しはっきりした線を打ち出して、意見として、やはり堂々と財政負担を要求する根拠を待つべきじゃないか、こう私は考えます。特に血管の会計の中にあります農産物等の関係の諸物資、それからテンサイ糖あるいはえさというようなものは、これを食管の中に持たすべき筋合いのものではありません。当然別に特別会計を持つなりして分離すべきであります。そうお考えになりませんか、いかがです。
  52. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 分離をいたしまして、別個の特別会計を作るということも一つの案であろうかと思うのであります。今そういう形をとるべきか、あるいは現状の食管の中において仕訳を明確にいたし渋して、そのよって占める位置を明らかにする、こういう行き方も考えられるかと思うのでございますが、それらは御趣旨の線に沿って、十分検討をいたしたいと考えております。
  53. 井上良二

    ○井上委員 それからもう一つ伺っておきたいのは、この食管特別会計というものは、金もうけをしていいことになっておりますか、それはどうですか。
  54. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 さような趣旨ではないと考えております。
  55. 井上良二

    ○井上委員 ところが、三十一年度の予定計算書を見ましても、外麦で百二十何億もうけておりますが、これはそういうことをしていいのですか。国民に安い食糧を供給して、食生活を安定して、わが国の産業経済を再建しようということでこれはやっているのでしょう。それを、外国から安い麦を買ってきて国民に高く売ってもうけるということが、一体許されておりますか、そんなことは許されぬでしょう。この会計は、金もうけの会計とは違うのです。食管の会計操作においてそういう利益を上げていいのですか。これはどうも工合が悪いと思うですが、どうですか。
  56. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この問題は、食糧全体としてお考えをいただきまするときには、一部は外麦等による利益はございまするが、しかし、これが同時に内地の米、内地の麦というものを補っているという点がございますので、全体としてごらんをいただきたいと思うのであります。
  57. 井上良二

    ○井上委員 そう言えば、それはいろいろ理屈はありますけれども、本会議も開かれるそうでありまして、時間がありませんから、特にこれ以上こまかいことにわたってまで質問をすることを私は遠慮いたしますが、ただ、申し上げておきたいのは、食管特別会計調査会の結論が出るということを何か非常に期待をしているようでありますけれども、少くとも私は、食管の赤字問題や、食糧証券が年々発行限度が引き上げられているということの裏は、やはりもう少しこの会計の立て方というものを根本的に検討する必要があるということではないかと思うが、この点については一つ真剣に御検討下さって、もっと筋道を明確にしていただきたい。そうして、ほんとうに財政負担をすべきものはどれどれかという点を明らかにしていただきたい。そうして最後に出たところの赤字に対して、一体国が負担すべきかすべきでないかということも、これは検討を要する問題ですが、とにかく国が必要として法律によって食糧政策をやり農業政策を進めておるのでありますから、その裏づけには当然財政負担は伴うべきでありますが、その財政負担の面が全然裏打ちがされずに、何でもかんでも赤字が出た赤字が出たということで責め立てられたのでは、消費者の方としてはたまったものじゃありません。この点を十分農林省としては御検討願って、調査会の結論がいかにありましょうとも、少くとも来年度予算編成までには筋道を明確にしてお出しを願うことを特に要求して、私の昼間はこの程度でおいておきます。
  58. 山本幸一

    山本委員長 他に御質疑はありませんか——なければ、本法律案に対する質疑はこれをもって終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案に対する質疑は終了いたしました。  この際御報告をいたします、本法律案に対し黒金泰美君外二十五名提出の修正案が委員長の手元まで提出されております。これを印刷してお手元に配付いたしておきましたが、この際提出者より修正案の趣旨の説明を聴扱いたします。黒金泰美君。     —————————————
  60. 黒金泰美

    ○黒金委員 ただいま提出いたしました修正案につきましては、お手元に配付してあります通りでありますが、もともとこの法律は、本年四月一日から施行いたすつもりで立案しておりましたところ、その時期も経過いたしましたので、その附則の中で、「四月一日」を「公布の日」に改めまして、事態に即応させたいと考える次第であります。
  61. 山本幸一

    山本委員長 以上をもちまして趣旨の説明は終りました。  お諮りを申し上げます。本法律案及び修正案につきましては、別段討論の通告がございませんので、討論を省略して直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よってさように決しました。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よって本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま議決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって修正議決いたしました。  この際お諮りを申し上げます。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よってさように決しました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十一分散会      ————◇—————