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1957-04-05 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月五日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       淺香 忠雄君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    古川 丈吉君       坊  秀男君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       田万 廣文君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (管財局長)  正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局外国財         産課長)    田中 弘一君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 四月二日  委員鈴木周次郎君辞任につき、その補欠として  山手満男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月一日  国の特定支払金に係る返還金債権管理の特  例等に関する法律案内閣提出第一二九号)(  予) 同月三日  準備預金制度に関する法律案内閣提出第一二  四号)  預金等に係る不当契約の取締に関する法律案(  内閣提出第一二五号) 同月一日  前原町の旧鉄道連隊用地払下げに関する請願(  臼井荘一紹介)(第二五四七号)  国民金融公庫法による事業資金貸付在日朝鮮  人に適用等に関する請願藤枝泉介紹介)(  第二五八七号)  物品税撤廃に関する請願小山長規君外三名紹  介)(第二六二八号)  所得税法改正に関する請願原健三郎君紹  介)(第二六五〇号)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部改正に  関する請願外一件(八木一郎紹介)(第二六  五三号)  酒、たばこ及び砂糖の二重価格制実施に関する  請願原健三郎紹介)  (第二六五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  塩専売法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一二六号)(予)  国の特定支払金に係る返還金債権管理の特  例等に関する法律案内閣提出第一二九号)(  予)  国有財産に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  去る三月二十八日当委員会予備付託となりました内閣提出にかかわる塩専売法等の一部を改正する法律案、及び去る一日に予備付託となりました国の特定支払金に係る返還金債権管理特例等に関する法律案の両法律案一括議題として審査に入ります。  まず政府側より順次提案理由説明を聴取いたします。足立政務次官。     —————————————
  3. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま議題となりました塩専売法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案は、塩専売法及びしよう脳専売法改正いたしまして、塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油収納価格決定を公正妥当なものとするために、日本専売公社塩収納価格審議会及びしよう脳収納価格審議会を設置しようとするものであります。  塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油収納価格決定いかんは、専売事業の経営にとっても、また塩製造業者並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油製造業者にとっても重要な事柄でありますので、従来から日本専売公社においては慎重に取り扱ってきたわけでありますが、今回、法律上の制度といたしまして、日本専売公社総裁諮問機関として、塩収納価格審議会及びしよう脳収納価格審議会を設置することといたしております。その内容といたしましては、両審議会は、それぞれ学識または経験のある者十人以内で組織することとし、総裁諮問に応じ、それぞれ塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油収納価格決定について調査審議し必要と認める事項を総裁に建議するものとすること、公社が塩並びに粗製ショウノウ及びショウノウ原油収納価格を定めようとするときは、あらかじめそれぞれの審議会に諮り、その意見を聞かなければならないものとすること等両審議会の設置、組織、権限等について所要の規定を設けようとするものであります。  次に、国の特定支払金に係る返還債権管理特例等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  郵政官署におきましては、法令の規定により他の入省各庁から資金交付を受けまして、その各省各庁の所掌に属する特定支払金支払いに関する事務を行なっているのであります。この支払い事務処理上生じた過誤払い返還金債権管理につきましては、本来、国の債権管理等に関する法律適用を受けるのでありますが、郵政官署における現業事務特殊性に適応せしめるよう短期間に処理できますものについて同法律に対する必要な特例を設けることができることといたしますとともに、この返還金債権の円滑な回収をはかるために翌期以降の支払金返還金債権に充当できることとする等の必要がありますので、この法律案を提出することといたしたものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、この返還金債権管理につきましては、発生の日から三カ月を経過する日までの間は、政令で定めるところにより国の債権管理等に関する法律特例を設けることができることとし、郵政官署事務処理に適応した債権管理手続を定め、円滑かつ簡便に回収できる措置を講ずることとしているのであります。  第二に、郵政官署において返還金債権返還義務者に対して支払うべき支払金があるときは、その支払金金額返還金債権金額に充当することができることとし、また、返還義務者が国から給与を受け、または恩給にかかる返還金債権返還義務者都道府県から給与を受けるときは、国または都道府県給与支払い機関は、債権管理官の請求に基いて返還義務者に支払うべき給与の額から返還金債権金額を控除して国庫に払い込むものといたしまして、返還金債権の円滑な回収をはかることといたしているのであります。  第三に、返還金債権回収に伴う収納金整理方法といたしまして、過誤払いをした年度内に収納された金額は、これをその支払った資金に戻し入れることといたしますとともに、利息、延滞金または過誤払いをした年度の翌年度以後に収納された返還金債権金額は、資金交付を受けた郵政官署出納官吏をして各省各庁の歳入に払い込ませることといたしているのであります。  以上が、塩専売法等の一部を改正する法律案及び国の特定支払金に係る返還金債権管理特例等に関する法律案提案いたしました理由及びその概要でございます。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願いいたします。
  4. 山本幸一

    山本委員長 以上をもちまして政府提案理由説明を終りました。質疑等は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 山本幸一

    山本委員長 次に、横錢重吉君から国有財産に関する件について質疑を求めておりますので、これを許します。横錢重吉君。
  6. 横錢重吉

    横錢委員 元連合国人の持っておった財産返還に関して、先日当局に対して質問をいたしましたが、当該局長も出ておらないで確たる返答等も得られなかったわけであります。本日また重ねて一つ質問いたしたいと思います。  この問題に関しては、すでに長い間の懸案でありますし、かつまた相当熱烈な返還をめぐっての運動が起されておりまして、それが容易に解決がつかないというところから、最近では払い下げ財産促進会、あるいは期成会とか称するものができて、当局に対してこの問題の早期解決を要望しておるというように開いておるのであります。この問題の内容を見まするに、当局は、今月までのところ国民をして納得させるだけの説明あるいは態度をとっておらないのではないか、こういうように見られるのであります。  そもそもこの問題は、考えてみるならば三つの間違いがあった。第一は、敵産を政府が勝手に処分をしたということ問題が発生しておる。これは、当然ここでは処分をすべきものではなかったにもかかわらず、その当時の勝ちにおごった日本政府として、敵国人財産は勝手に処分できる、こういうふうな判断を下して処分をしたというところに、この間違いの第一点が発生しておる、こう見るのであります。その次には、今度は終戦となって連合国から返還を求められたときに、これを強制買い上げをして連合国に返すべきものであったのを、そういうような手続を行わずに、あわてて個人に対して直接返還命令を出し、所有権の否定、憲法無視態度をとったというところに第二の間違いがある、こう見るのであります。第三に、そのときの政令においては、払い下げに伴う価格のみでなく、時価によるところの補償をするという旨の法律を作るという規定をしておきながら、今日に至ってもいまだこの法律制定をしない。そこで、当然この法律制定をして、払い下げ財産関係者に対してすみやかに補償をすべきものであったのを、当局は何ゆえかこの責任を怠って、じんぜん今日まで十年の間日月を費したいというところに、この問題の第三点がある。この問題を考えてみるときには、こういうように、初めから当局やり方というものは、間違いと誤算の上に立ってこの問題を処理したのではないか、こう見られるのであります。従って、この問題は、この前私が質問いたしましたし、またすでにこの問題については相当考えておられるであろうと思うので、この際この問題に対する総括的な一つ考えをお聞きいたしたいと思います。
  7. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま横錢委員からの御質問につきまして——前会の委員会に私よんどころない差しつかえで欠席いたし、まことに申しわけない次第でございます。当時におきましても、ある程度質疑応答があったわけでありますが、ただいま三つの点をおあげになりまして、連合国財産の今までの処理と申しますか、やり方に問題がある、こういう問題があるが、これに対する当局考えはどうかという御質問でございます。  まず第一の敵産処分やり方、これは戦争中にいわゆる敵産管理法という法律を作りまして、敵産の処分をいたしたのでありまするが、これが問題ではないかという点が第一点でございますが、これは戦争中のいろいろの問題につきまして、今日新しい日本考え方というものでいろいろ反省すべき点はあろうかと存じます。しかしながら、いやしくも敵産の管理につきましては、実は私から当時のことを弁護するような形になってまことに変なんでありますが、少くとも客観的な事実といたしまして、これは日本だけの制度ではございません。諸外国にも同様の制度があったことは、横錢委員も御承知通りでございます。たとえば第一次大戦におきまするドイツ、これはやはり敵産管理法と大同小異の制度を設けまして、当時連合国軍財産につきまして、ドイツはやはり処置をいたしております。また第二次大戦におきましては、イタリアにおいて、これまた同様の制度があったことは御承知通りであります。これらの諸外国立法例につきましても、大体法律学者あるいは裁判所の見解というものが示されておるのでございまして、大体これらが国内法として有効であるということについては、私は異議がなかったというふうに存じております。あるいは反対の事実があったのかも存じませんが私寡聞にしてその点は承知いたしておりません。問題は、これの国際的効果、国際的にしからば有効であったか無効であったかという点については、実は多少の問題があるのでありまして、この点については、第一次大戦の際におけるドイツの例は、御承知ヴェルサイユ条約において、国際的にも有効であったということになっております。これに反しまして、第二次大戦の際におけるイタリアの問題につきましては、むしろ逆の結論が出ておるように承知をいたしております。日本の這般の戦争における場合の敵産の管理がどうであったかということについて、実はサンフランシスコ平和条約におきましては、この点についてははっきり何にも言っておりません。言っておりませんので、いわば国際的な効力は、いずれとも断定はしておらないのが実情でございます。しかし、少くとも終戦後に、連合国占領という事態のもとにおきまして、ただいまいろいろおあげになりましたような、連合国財産返還、あるいは譲渡、あるいは株式回復というふうな、いわゆる連合国司令官の指令に基く諸般措置が講じられておるのでございまするから、このことをもってすれば、一応戦争中の諸般手続というものを効果認めまして、その前提の上にこの善後処理が進められた、こう考えるのが論理的ではないかというふうに一応考えられる次第でございます。これが果して妥当なものであったか、あるいはもっとほかにやり方があったのではないかという点は、これは一つ政治論として、まさに横錢委員の御指摘通りでございますが、私のお答え申上しげましたのは、むしろ法律的に、しかも国内法国際法の両面におきましての大体の考え方お答えをいたした次第でございます。  次に第二の、しからば終戦後に、今申し上げたように、連合国占領下におきまして、連合国財産返還あるいは譲渡株式回復というふうな措置をとられたのでありますが、その際に、いわゆる強制買い上げ的な、従ってまた憲法第二十九条でございますか、公共の必要のために所有権財産権を国が必要とする場合には、これに対して当然相当の補償をするという考え方をどうしてとらなかったのかという点でございますが、これまたいわば占領下におきましての措置でございまして、いわゆる超憲法的な力を背景にいたしましての措置でございましたので、これにつきましても、立法論として、あるいは政治論としての批評は私は可能かと存じますが、当時の実情のもとにおきましては、いわばやむを得ざる措置としてこういうことが行われたのである、この点についても、批判はできるかと思うのでありますが、一応の事実としては、まことにやむを得ない措置であったと申し上げる次第でございます。しかしながらそれらの政令は、平和条約の発効に伴いまして、政令という名前になっておりますが、実は今日は、新しく国会の議決に基きまして、すべて法律としての効力を持っておるわけでございますが、その法律としての効力を持っておりまするところの政令の中に、それぞれ損失の処理については法律をもって別に定める、あるいは法律の定めるところによって補償をするというふうな規定があるにかかわらず、十年余りもじんぜんとして何らの措置を講じなかったというのは、当局の怠慢ではないかという点が第三の御指摘であったのでございますが、これにつきましては、前会の質疑応答でもたしかるる申し上げておると存じます。何しろ戦後十年よりなりますが、戦争に伴いまするいろいろのいわゆる戦時処理、あるいは戦後の処理問題というものは、在外財産の問題を初めといたしまして、まことに多岐にわたっておったことは申し上げるまでもございませんが、それらの関連におきまして、この問題は、いわば影響するところきわめて広範でございまして、今日までのところ、これに対して適当な解決策がまだできていないのはまことに遺憾でございますが、わが国の財政その他諸般実情から申し上げまして、今日までのところはやむを得なかったのではないか。つきましては、われわれといたしまして、今後この問題につきましては、一そう積極的に研究を進める態度はこれはもう申し上げるまでもないわけでありまして、できる限りすみやかに適当な結論を得まして、政府としての考え方をお示ししたいと考えておる次第であります。
  8. 横錢重吉

    横錢委員 今局長から答弁をいただいたわけですが、第一の、敵産の処分に対して合法的であったという点に関しては、これはなるほど敵国人の持っておった、あるいは敵国の持っておった政治的なもの、軍事的なもの、こういうものに対しては、管理の上没収をされるということが通常かと思う。しかしながら私有財産に対しては、戦敗国といえども補償されているというのが、大体国際法上の通念となっておる。従って、これは戦勝国ならば補償される、戦敗国の場合には無理に没収されてもやむを得ないのだ、こういうようなことは、今日の国際社会には通じていない。おおむね私有財産というのは補償されている、こういうようにわれわれは了承しておる。ただ問題は、私が尋ねたいと思うのは、第一点の問題ではなく、第二、第三の点の問題なので、この点は深く追及をせずに、第二、第三の点について尋ねていきたいと思います。  命令によったことも、当時の超憲法的な存在、いわゆる連合国命令であったからやむを得なかったのだ、こういうような趣旨での答弁なのでありますが、これはそれほどのせっぱ詰まったもの、それほどの強権をもって臨んできたものとは私は考えないのであります。これは、日本政府に対して、早く返還をしろということの要求は当然あった。そこで、法律にかわるところのポ勅を作って、これによって返還の基礎を作った、こういうようには承知しておるのですが、だからといって、これを個人に対して直接返還命令を出すというのは、これは処置を誤まったものである。問題は、返還をすればよいのでありまして、返還に至るまでの日本政府日本国民との間のやり取りというものは、これを命令の形でやり取りをするか、あるいはまた命令というものを背後に控えながら、強制買い上げ方法でやるかということは、これは当然そのときの当局として行うべき職務のやり方の幅であった、こういうふうに思うのです。当然これは強制買い上げをして何ら差しつかえがない。強制買い上げをして、その場において時価をもって買い上げ返還をしておったならば、あとに問題を引くことはなかった。それを当局が、これは占領軍命令である、これはポ勅である、もうこれは絶対性でもってわれわれはどうにもならぬのだ、そういうような安易な便乗によって、鬼面人を驚かすような命令書を突きつけて、返還をしてしまったというところに、そもそもこの問題解決についての当局失敗がある。この失敗当局は直そうとしなければ、——反省したような今の答弁でもありまするが、実際は大して反省したような顔もしておらぬ。これは、この辺の考え方を根本的に直さなかったら、この問題の解決がつかない。超憲法的の存在だなんということは、そもそも答弁としての逃げ口上である。そうじゃないので、実際は日本の内部的な問題で解決ができた。なぜそれを率直に、当時のやり方としては間違いであったと言わないのか。
  9. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどは概括的に、批判はできる、反省の余地があるというふうにお答え申し上げたのでありますが、それでは、今度は率直に、終戦直後のあの事態のもとにおきまして、いわゆる返還を命じ、あるいは譲渡を命じ、回復を命じた、このやり方がどうであったかという点についての所見を申し上げることをお許し願いたいと思うのであります。これは実態的に見ましても、私は一応妥当な措置であったと思うし、それでありましたがゆえにこそ、結局におきまして、それらの関係政令は、国会のお認めになった法律として、今日ここに有効に運用されておるのであります。こういうふうにお答え申し上げざるを得ないのであります。しからば、何ゆえそれが妥当であったかということでございますが、これは、私からあらためて申し上げるまでもなく、終戦後の御承知のような事態のもとにおきまして、戦争中に敵産を買った、こういう人たちにだけこれをフルにお払いするというふうな財政的、社会的、また経済的な諸条件というものは、とうてい具備されておらなかったのでございまして、当時といたしましては、いわば全くやむを得さる措置といたしまして、とりあえず戦争中に連合国財産を取得したもの、あるいは株式を取得したものは、これをもとの所有者返還をすべきである、株式回復を行うべきであるということのこの要請にこたえるのが、精一ぱいでございまして、今横錢委員が言われたように、いわば十分なる補償といいますか、対価を支払って買い上げるというふうなことは、ほかのいろいろの戦争中の犠牲、あるいは終戦後のいろいろ各方面に与えられた強制的な負担という点から考えまして、これだけを切り離して、今お述べのような百パーセントに対価を支払うというふうな措置を講ずることは、とうていできなかったのである。かような客観的情勢背景にいたしましてとられました措置というものは、まことにやむを得なかったものであるというふうに、実は所感を求められれば私としても申し上げざるを得ない次第でありまして、かかるゆえにこそ、この諸般手続というものは、その後におきまして、国会法律としてお認めになっておるのである、こういうふうに私としては考えておる次第であります。
  10. 横錢重吉

    横錢委員 これは当局の方としては、国会認め政令であるというところがよりどころであろうと思います。しかし憲法は、法律ではこれを踏みにじることはできない。憲法において私有財産所有権の不可侵という大原則を出しておいて、それを他の政令とか法律で被るなどということはできるものではない、このことはあらためて問答するまでもない問題であります。だから、当局の方で、これは国会認め政令であるというふうな考え方答弁として出してくるのは、そもそもおかしい。そのおかしい答弁をしなければならぬというところに、この問題の間違いが根本的にあるわけです。しかも今の答弁では、戦争中敵産を買ったからというけれども、では一体売ったのはだれか。これは、もしもその辺にあるものをやたらにとってきた、不当に収奪したというものならば、これは当然命令によって返還をされてもやむを得ない。しかしながら、大蔵大臣が正式な機関を通じて払い下げた、そういう正当なものを、それを買ったからといって、それが敵産を戦時中買ったのだから多少の被害を受けてもやむを得ないのだ、ある程度ほかの問題とも関連があるのだ、こういうような意見はいただけないと思う、これは関係のないものを無理に関係をつけて、これも関係があるのだ、これも関係があるのだ、そういうふうに言って、これをこの解決をおくらせる理由にしてきた、これはそうだとしか思えない。これは、その当時において持つておった連合国人政府との間には、いわゆる敵産管理委員会、あるいは敵国人財産である、そういうような問題はあるけれども、これを丁だび大蔵大臣がとって国民に対して払い下げ行為というものは、これは純然たる商業上の行為である、民法上の行為である。それが、今度は一たび戦争が終ってみたならば、敵国人財産をとったのだから被害を受けてもやむを得ない、こういうふうな考え方は全く不当な見解だと私は思う。そういうふうな考え方でこういう問題を処理されては困る。そうではなくて、この問題は大蔵大臣が正当に払い下げた、この正当に払い下げたという点に、局長はやはり認識を求めなければいかぬと思う。この正当に払い下げた問題がこういうようにまだ補償もされずに、強制返還をされたままになっておる、こう考えたならば、これは、一日も早くこの問題の処理をつけなければならぬ。この問題は国内において起った問題であって、在外財産やその他の戦争被害の問題とは関係が違う。そういう区別をして問題を考えなければいかぬと思う。しかも、これはこれだけを切り離せぬ、占領中のいろいろな問題と関連がある、客観的な条件、こういうふうな考え方でありますが、しかしその反面に、占領軍が出てきて、新しく日本人の持っておった建物等を相当当時借り上げた。このものに対しては、借り上げ中においても、順次インフレの進むにつれて価格訂正を行なっておる、価格訂正を行なったのみならず、不要になったならば全部返す、その間において、いろいろな施設というものが相当程度改良されておる、そのものに対してもみな有利な条件で返しておる、問題は解決がついておる、だから、占領中に伴った問題が解決がつかないのだ、他との関係があるのだというふうな考え方は当らない、その当時のこういうふうなものに対しては、当然いい条件解決がついておる、ところが、これはまだ解決がついておらぬ、そこに問題があるのであって、しかもこの命令書の形式は、一体どういうわけでこういうふうに区々まちまちの命令を出したのか、これは、あるものは大蔵省の管理局長の名前で命令書を出し、あるものは総理大臣吉田茂の名前で出しておる。こういう命令書を二度にわたってさまざまの形で出したというのは、一体どういうわけですか。
  11. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 命令書の形式が区々にわたっておるということにつきましては、これはその当時におきまする行政の手続といたしまして、決して最良の策ではなかった、できるだけ統一をとるべきであると存じますが、当時の混乱したようないろいろの情勢のもとにおいて、まことにやむを得なかったことである、この点は、私としても率直に、そういう無用の疑問を持つような結果を招いたことについては、今日この処理のあと始末をやる者といたしまして、遺憾に存じておる次第でございます。今重ねての御質問でございますが、私も、何も補償いたしませんということをここで今結論的に申し上げておるわけではないのでありまして、国会のお定めになりました法律効力を持つところの政令、その中には先ほど来たびたび申し上げましたように、損失の処理については別に法律を定める、あるいは別の法律で定めるところによって補償するというような表現があります。そういう条文がありますがゆえに、いわば今いろいろ御質問の点につきましても、一応この政令というものが、国会におきましてもお認めいただいたものというふうに考えておるのであります。結局今までじんぜんとしてそういうことをやらなかったということが、非常に怠慢ではないか、こういうことに最終的には御叱責をいただいておるわけでございますが、この点につきましては、これは国内に起った事態であるとか、あるいは外国における事態であるとかいって区別をするということはなかなかむずかしいのでございます。いわゆる戦争犠牲者の補償の問題というものは、これは私から申し上げるまでもなく、一波は万波を呼ぶ問題でありまして、すでに在外財産の問題につきましても、そういう意味で国会においても慎重に御審議を願っておるような次第でございます。つきましては、われわれといたしましても、何もこれを故意に引き延ばすような不心得な気持を持っておるわけではございませんが、諸般の情勢、またこれとの関連のございまするいろいろの問題と相総合的に研究を積みまして、一日も早く結論を出したい、こういう気持でおりますことは、先ほど申し上げた通りでございます。
  12. 横錢重吉

    横錢委員 命令書というのは、こういう格好になっておる、管理局長の出したものは、詳細に大体つけてある、損害報告等についても出せ、こういうふうに一応形式と内容とが整っておる。しかし吉田茂の出したものはそうじゃない、命令書を読んでみると、「貴殿所有にかかる左の連合国財産は、昭和二十一年勅令第二九四号第二条第一項の規定により昭和二十五年八月三十一日までにアーネスト・プール・スロードにこれを返還することを命ずる。内閣総理大臣吉田茂」こういう非常に簡単なものであって、これを取り扱うのに、これまたずさんをきわめておる。これは当局の場合においてもそうだが、内閣総理大臣がやった場合において、大蔵省のこの命令権を執行するところの者は一人も行っていない、これを第三者の信託会社にまかせている、第三者の信託会社がこれをやるには、MPを連れていって、文句なしに脅迫下に動かす、当局は、これを執行するのがいやだから、自分は出ていかないで、信託会社にこれをまかせておる、従って、損害報告を出せといっても、損害報告に対する当時における現認というものを、当局が行なっていない、また損害報告書も、管理局長の場合には、一応これをまとめたかもしれないが、内閣総理大臣の場合には、これがついていないから、まとめていないのじゃないか。従って、今になってこの問題を処理していくときに、果してこの損害報告書が、被害の程度というものが正確にあなたの方に収集されておるかどうかということは非常に問題があると思う。この点、あなたの方の事務的な処理としても正確に行われておるのかどうか。
  13. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま具体的に返還命令書等のやり方についての御指摘でありますが、これは、先ほども申しました通り占領行政との関連におきまして、日本側のこれを受けた態勢というものがいろいろ変っておった、このことは、御指摘のように、われわれとしても非常に遺憾であったのでありますが、当時としてはやむを得なかったことと存ずる次第であります。ついては、私どもの方のいわゆる管理局、これは昔大蔵省にそういう局がございまして、本件をやっておったのでありますが、そこに参りまして、以来相当手続等も慎重にやっておることは御指摘通りでございます。しからば、最終的に損害等についてどの程度の調査がなされておるかということでございますが、これが、実は今後の非常な問題でございますが、少くとも私どもとしては、相当必要な資料は整備をいたしておるのであります。しかしながらそれが、いわゆる損害の処理ということに相なって参りますと、いろいろ技術的に問題がございます。まずこれ自体として、どういう時点において発生した損害と見るかということは、これは非常に大きな問題かと存じます。それから具体的に、これが処理について考えをいたします場合においては、先ほど申し上げたようないろいろな戦時中の犠牲との権衡、戦後いろいろ行われておりますところの事態処理案との権衡という問題も起って参るかと思います。いわばこの問題自体に内在するいろいろ技術的な問題及びこの問題と相関連するその他の問題との権衡の問題、これらの問題につきまして今後慎重に研究をいたしまして、適正なる考え方を出す必要がある、かように考えておるのであります。
  14. 横錢重吉

    横錢委員 損害の報告等が大体整理されておるというのならば、その当時の払い下げ価格においてどの程度のものが集まっておるか、あるいはまた物件数において何件これがあるのか、この点も承知をいたしたい。同時に、またいろいろな問題との関連、技術的なものについても研究をする、こういうふうに言われておるが、この点は一体いつごろ出すのか、この国会中に出せるのかどうか。今まで十年も引っぱってきて、なおまたあと半年も一年もかかるのだ、そういう間の抜けたような答弁をされては困るのであって、少くともこの国会中に解決されるという程度の誠意のある考え方を持って今の答弁をされておるのかどうか、この点、承わっておきたい。
  15. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 件数、金額等につきましては、正確を期する意味におきまして、資料として提出いたしたいと思いますので、お許し願いたいと存じます。  さて、今申し上げたようないろいろ困難な問題について研究をいたすことにしておるのでありますが、その結果が、どの時期においてできる見込みかという御質問でございますが、私、実はこれは相当やはり慎重に考えなければならぬ問題と思うのでございまして、今この国会では、はっきりと結論を申し上げられる段階ではない。そこで、それではどういう点が問題なのかという点について、いかにむずかしいかということについて一言申し上げたいと思うのであります。これは、先ほど申し上げたように、どういう時期をとらえて、どういう時点において損害がどの程度あったと認めるか、またその損害というものが、果して通常の財産の移転としての損害と考えるのか、それとも、先ほど申したような、この戦時中におきましてほとんど予想もしなかったような敗戦という事態に直面をいたしましてとられた措置、そういうことからの関連におきまして、この損失というものをどの程度に見るのが妥当であるのか、これらの点につきましては、私は非常に問題が多いと思うのであります。これは、この問題自体に内在する問題と申し上げたことの一斑でございます。つきましては、さような点についてやはり諸外国の事例等をも十分研究をいたすべく、われわれといたしましては、これらの点についても、ただいま資料をそれぞれ整備いたしております。  次に、これと類似の問題、あるいはこれと関連する問題との権衡ということを申し上げたのでございますが、この点につきましても、いろいろあろうかと思いますが、まず、目下国会において御審議中の在外財産の問題が、やはり一番関連が間近ではないかというふうな感じがいたします。御承知のように在外財産につきましては、法的に補償するということの前提ではございませんで、一種の給付金、あるいは援護的な措置ということで御審議を願っておるのでありますが、これとの関連において大きな研究の必要があろうかと存じます。  なおまた、いわゆる戦時補償特別措置、これは、終戦直後にとられた措置であることは御承知通りでありまして、先ほどは、戦後において連合国に接収された建物等についての問題をおあげになったのでありますが、戦争中においてわれわれの持っておりました家を焼かれた場合の火災保険というものが、戦時補償特別措置によって打ち切られておるというふうな事実、こういう問題との関連も、またわれわれとして十分今後研究を要する問題ではないか。そういうふうにいろいろの問題がございますので、これは、われわれとしては早く結論を出したいと思いますが、事柄の性質から申しまして、簡単にこれだけの結論を申し上げるわけにも参りませんので、どうかある程度の時日をおかし願いまして、妥当なる結論を出すことに努めたいと考えておるような次第であります。
  16. 横錢重吉

    横錢委員 あなたの答弁を聞いておると、全く勝手なことを言う。あなたの方に債務があるのですよ。これは、飲んだ勘定を払うのに、おれの方に金が入ったら払いましょうの、どこから金が来たら払いましょうの、気分がよくなったら払いましょうなんて、そんな勝手なことが通用できますか。これは同じことなんです。あなたの方がくれてやる金とか、あるいは国の方から補助金として出す金とか、そういうような金の種類ではないのです。これは、あなたの方が当然払わなければならないものを、十年間もうっちゃっておいた金です。しかも、それをやいのやいのと催促をされても、国家権力というものを背景にしてあぐらをかいておる。これは、個人であったならばとっくに張り倒されておる。大蔵省だの国会だのというから張り倒すわけにもいかぬ。何とかこれは方法と順序とを尽して金を出させなくちゃいかぬということから、みんながまんしている。これは補助金をどうの、政府の方から何らかの支給を受けようの、こういうような——あなたの方に自主独立性のある問題ならば今の考え方でいい。そういうようなあぐらをかいた考え方でもってこの問題を見ておるから、いつになっても解決ができない。これは当然払うべきものなんだ、その考え方はまだあなたにできておらない。それだからして、この問題の処理がいつになってもおくれてしまう。これはまっ先にやらなければならないところの、あなたの方のしょっておる債務だ。すみやかにお払いなさい。少くもこれは相当の金額になるであろうし、予算措置も必要であるから、一定の順序というもの、あるいは法律を作る技術、いろいろな点もあるだろうけれども、少くとも順序として、この問題は今国会中に解決しようという考え方がないから、この処理ができない。今閉鎖機関の問題も、あなたの方の問題でしょう。戦後十何年たっても閉鎖機関の問題をかかえて、全然処理しない。もう大事にかかえ込んで、ちびりちびりと整理をして、これを楽しみにしておる。このまままかしておったら百年もかかる。そういうようなやり方をしておるから解決がつかない。もう少し考え方を変えて、なるほど、おれが債務をしょっておったんだからすぐに返さなければならなかったんだということに気がついた上に立っての答弁がほしい。
  17. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 終戦後のいろいろの問題の処理が非常におくれておりますことは、申しわけないと思いまして、接収貴金属の処理法案を継続御審議を願っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  今いろいろおしかりを受けましたが、この債務といいますか、国が一応措置を講じまして、これに伴う損失の処理という形におきまして、政令の中に——政令と申しましても法律でございますが、規定のありますことは御承知通りでありまして、従いまして、この処理をはからなければならぬことは当然でございますが、この処理が一波万波、各方面に関連があり、それ自体の中にもいろいろ問題があるという点も、先ほど申したわけであります。考え方といたしましては——これは問題点として申し上げるのでございますが、たとえば恩給一つをとってみましても、御承知のように恩給というものは、終戦後に一応既得権の形において、今日復活を見ております。しかし、まだその復活の程度において問題があるということをいわれております。また恩給には、御承知のように高額停止とか弱年停止といった規定もございまして、これらについても、やはり制限を持っておるような次第でございます。また戦時補償につきましては、特別措置法という法律によって、適正にこれが処理されておったことも申し上げるまでもないと思うのであります。それらの関連からいたしまして、この損失をどの程度において処理するか、これがやはり社会的な公平の観念、また国家の財政力というふうなものから一応の制約を受けるのでございます。これらの点を簡単に割り切って、一つの事柄だけ独走するというようなことはとうてい認められないのでありまして、全般のバランスとの関係におきまして適正に処理されるというときが、やはり具体案としてお出しできるときではないか、かように考えておるのでございます。
  18. 横錢重吉

    横錢委員 当局は、払い下げを受けた当時の金額を返すのに当って、この金額を賠償償還金という名前をつけて全を返した。この賠償償還金という名前をつけたのは、一体どういう理由なのか。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これは、賠償償還金という予算科目から支出をいたしております。この考え方といたしましては、返還を命ぜられまして返還をいたした。これに対しまして、一応当時のお払いになりました価額だけをお払いする。適正な意味における対価というふうな考え方にもちょっとなりかねるので、賠償償還という技術的な予算科目から支出をした、かように考えておるのであります。
  20. 横錢重吉

    横錢委員 予算科目にこういうのがあって、そのうちから処理をしたというのだが、少くもこれを本人に渡すからには、その金額がどういう意味を持つものか、これが納得されなければならないと思う。ところが賠償償還金という名前は、いかにもこのものが個人としての賠償の責任があるんだ、いわゆる敵国財産を買ったものは戦犯扱いにされるのだ、こういうような文字から受けるところの印象を与えて、これによって不当に安い金額を押しつけても文旬を言えないようにしようとたくらんだ、これが当局考え方じゃないのか。そうでなかったならば、こういうようなこじつけとしか思われないような名称を持ってきて、これを見るのだということは納得することができない。いま少しく詳しく説明して下さい。
  21. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 賠償償還金という名前が適切であるかどうかということにつきましては、いろいろ予算の科目というものは、昔から一応の型がございまして、必ずしも新しい感覚等に合わないような場合もあろうかと思うのでございます。少くとも先ほどもちょっと申し述べましたように、対価相当額ということにもなりかねる。しかしながら、ともかく戦争中にお買いになってお支払いになった金額、これを国がそのまま持っておるということは、一種の不当利得というふうな形にもなりますものですから、いわゆる財産の売却価格に相当する金額、そういうものをとりあえず賠償償還金から支払っておく、こういう考え方で出したものというふうに考えるのであります。むろんそういうことで全体の問題が解決するということには相なりませんので、先ほど申し上げたような政令規定というものが設けられたもの、かように考えているのであります。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 それでは、これは売却相当額の意味である、こういうふうに了解して差しつかえないですか。
  23. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 さようでございます。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 先ほど、この問題を処理するのに当っては、在外財産補償とか、その他の戦時補償特別措置関係とか、こういうものと見合いをしなければならないというような考え方を述べられた。しかし、私が先ほどから申し上げておるのは、こういうような在外財産処理の問題と本件の処理問題とは根本的に質が違うのではないか、こういうように質問をしておる。在外財産補償というものは、国際法によらなければならないはずです。国際の慣例によらなければ解決のつかない問題であるし、あるいはまたそれだけでも解決がつかなくて、今日の日韓あるいは日中の問題のように、これは多分に外交問題として処理をしなければならないものである。しかも、日本憲法が向うの財産についてまではなかなか保障することができない、あるいはまた及ぶこ、ができない、こういうような見解もあって、在外財産補償という問題は、もっぱら日本の当面しておるところの政治問題であり外交問題であり、こういうような問題の中から解決をつけなければならないものだと私は承知をしておる。これが、今度の国会によって給付金という名前で解決がつけられようとしておる。給付金とは一体何ぞや、給付金とは、おそらくだれにもわからない名前であろうと思う。本来からいうならば、もしもこの在外財産というものが、日韓あるいは日中との関係において賠償の一部に使われるとしたならば、その金額は今度は国家が補償をしなければならない役目を持ってくると私は思う。この場合に、これは最終的に解決をつけなければならぬものなのだが、この問題は、国内法において解決をつける問題なんです。これはあくまで戦争のどさくさによって処理された問題ではなしに、戦争中の時代においてこの所有権移動が行われた、しかも大蔵大臣から物を買った人が二転三転して転売が行われておる、転売した者と直接払い下げをした者との間に、一体どれだけの関係があるのか、その被害というものは、最終的に売買を受けた者がこうむるという格好になるのであるか、その間に、直接払い下げを受けた者と二転三転して転売を受けた者との間には、私は何ら関係がないと思う。こういう問題についても、何ら掘り下げておらない、また掘り下げることも不可能であろう。こういうような問題から見た場合、この問題は明らかに違う。しかも給付金といっても、名前は社会保障的なものであって、お見舞い金の領域を出ないものだと思う。お見舞い金として出すのならば、これはどういうような事態に対して出しても差しつかえない。これは補償でもない、見舞いでもない、給付金という名前を言われたが、その内容というのはお見舞いです。しかも、それはいわゆる難民救済という考え方に立って、所得五十万以上の者に対してこれを及ぼさないというような考え方もあると聞いておる。従って、この考え方というものは、あくまで難民救済の考え方に立っておるのだ、この処理というものは、明らかに日本の政治問題としての解決方法をとっておる。この問題は政治問題ではない、明らかに戦時中という時代において、大蔵大臣関係者との間の民法上の行為なんです。所有権の移動なんです。あのとき大蔵大臣から、敵国人の持っておった財産でない、ほかの財産を買った者がたくさんおるはずです。そういうようなものを買った者に対しては、この問題は全然及ぼさないのに、これがたまたま原所有者がだれであったということだけで、その被害戦争中のものと一緒にされるのだ、こういうふうな考え方というものは、当を得ない処置である。あくまでも当局は、この支払い義務というものを怠るための何らかの気休めもしなくてはならぬものですから、これは在外財産とも関係がある、今は出ていないが、隠れている農地補償とも関係があるのだ、こういうような問題に火がついたならば大へんだから、この問題は小さくて、主張してきているところには正当性があるが、これを認めるとほかに飛び火したら大へんだ、こういうような考え方でこの問題を一円延ばしにごまかしてきた。もしそうだとするならば、この問題で当局のとっている態度というものは、早急に改めなければならぬ。従って、今の局長答弁の中からは、積極的に研究するというような——これは、実は政治家はだしの答弁をして逃げておるわけなんですが、積極的にこれを解決づけるとなぜ答弁できないのか。
  25. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま横錢委員の御指摘になったような問題、直接お買い取りになった方から一転し二転しておる、それが戦後において返還を命ぜられたというような形、こういう点は、まさにわれわれとしては研究を要する問題であるわけであります。それからその次に、在外財産とは違うじゃないか、これは、なるほど在外財産問題審議会におきましても、在外財産の問題に、法的に補償の要ありという結論を今出すことはできないということが述べられておりますように、またただいまもお話しのように、国際的ないろいろな関係があるという点においては、確かに違うのであります、が、私は、やはり同じような一つの共通点もあると思う。それは、引揚者の方々が今日国内にお帰りになっておられるのでありますが、これらの方々の国内における経済的な御境遇といいますか、御状況というものは、いろいろ違っておる。こういうものに対して、今回のような一応の特別措置というものが考えられておるわけでありますが、こういうことをお考えになるのも、いろいろ御苦心の末だというふうにわれわれは拝察いたしておるわけでありまして、そういう意味においてやはり関連する、また共通的な面もある。それがそのまま同じであるというふうには、決して申し上げておるわけではございません。なお今戦争中に民法上の一種の契約として、いわゆる公正平穏に買い取ったような財産ではないか、それは非常に意味が違うじゃないかという御指摘でございますが、そういうことになりますと、やはり戦時補償というふうなもの、またわれわれが保険会社に火災保険で入り、それが戦争で犠牲を受けた、こういうふうなものも、やはり一種の民法的、あるいは商法的な契約関係にあったことは申し上げるまでもないのでありますが、それらの請求権というふうなものが、戦時補償によって打ち切られておる、こういうことは、やはり国内における問題でございますが、ある意味におきましては、一種の共通的な面を持っておるのでありまして、そういう問題は相関連し、公正なる結論を出していくことが必要ではないか、こういう意味におきまして、先ほど来申し上げておるような次第でございます。
  26. 横錢重吉

    横錢委員 局長が引例する戦時中の火災保険、あるいは生命保険等、この契約が実行されなかった。あるいはまた価額等が何ら修正されなかった。こういうような被害の状況については、それが正当なものであるというような考え方で引例しておるのは、私は少しく趣旨が違うのじゃないかと思う。このことに対しても、国民自身はだれも納得していない。こういうことがあったがために、これは日本の行政として非常に不信をかった点ではないかと思っておる。そういうような不信をかった問題を取り上げてきて、これを絶好の引例として、こういうような悪い例もあるのだからして、この方面も多少悪くてもやむを得ないのではないか、こういうような悪い方面をどしどし押しつけてきて逃げ口上の答弁にしようという考え方は、これはまことに当を得ないと思います。そこはそうでなくて、実際には政令を作ったときにも、二十五条の中において、別に法律で定める、引き渡しを行なった結果生じた損失については、この法律に定めるもののほか別に法律で定める、こういうはっきりしたものを出しておる。あなたの方でこれを作ったとき、一応これを作っておけば気休めになるから、何とか言ってきてもこれがあれば大丈夫だ、こういうような気持で、逃げるつもりで作ったわけじゃないのでしょうが、どうなんですか。
  27. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 決して逃げ口上というふうなつもりで申し上げておるわけではございません。ただ悪い例として御指摘でございましたが、そういう一つの大きな事実がある。ききにやはり国会のおきめになりました措置としてとられておるような事実がある場合に、その一つの事実と無関係に、または全然これを考慮せずに、これだけを切り離した措置考えられませんので、そういういろいろの諸般関連を考慮して適正な結論を出したい、こういうことを申し上げたのでありまして、決してそれを理由に逃げ口上というつもりではございません。またこの政令の中に今おあげになりましたような条項の入っておりますのは、まさにお読みになりました通りでありまして、そういう趣旨で、どういう損害がかりにあったとしたならば、それをどういうふうに処理するかということについて別に法律案を用意いたすわけでございます。そういう法律案というものがいろいろとそれ自体においても問題があり、いろいろ関連するところが広いので、これらの点について早急に結論を出したい、こういう意味で申し上げているわけでございます。
  28. 横錢重吉

    横錢委員 今の局長答弁は、やはり無責任きわまる答弁だと思うのです。少くとも法律で、これは別に法律を定めて補償する、こういう明確なものをして、そして引き渡しの促進または引き渡しの実行、そういうことをさせておいて、しかもそのときの金額というものは、時価補償の算定というものがなかなかできないから、これを一応払い下げたときの価額というもの、昭和十七、八年当時のような金額で済ましておくが、当然これでは済まない金額だから、この金額の差というものはあとで法律を作って出すのだ、こういうふうにやれば、当然多くの者は了承して、事後措置でこれは解決づけてくれるだろう、こういうふうに考えておるのだ。そういうようなことをいいこととして、一体これを何年間あなたの方ではこういうことでもってやっておるか。まごまごしていると、この法律適用を受ける者は死んでしまいますよ。死んじゃってから墓場に持っていきますか。そうでなしに、問題は法律で定めるというようにして、これをできるだけ早く解決づけるのが当局の責任じゃないですか。さっきも言ったように、飲んだ勘定を払えと言われて、おれの方の都合で勘定を払うのだというようなことは、天下には通用しない。大蔵省では通用しても、天下には通用しない。これは、当然あなたの方に債務があるのだから、しかも、これは明確に法律を作って補償してやるというのだから、これをやりなさい。これをやらなかったならば、当然解決はつかない。それをあなたは、ナマズをつかまえたように、いつ作るのだか何だか、全然答弁に誠意がない。こんなことではなしに、少くも今後この国会中に解決をつけるくらいの誠意を見せて、この問題の能率的な処理をしたらどうですか。
  29. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま政令の条文をおあげになりまして、別に法律をもって補償するというような言い方をしておるからということでございましたが、これは御承知通りに、三つ政令のうちの一つでございまして、いわゆる譲渡政令の方はそういう表現になっておりますが、他の二つの政令の方は、処理については別に法律で定める、こういうふうな表現になっておることは、私は注目すべき点かと考えております。そこで、たびたびのおしかりでございまして、私もせっかちな方でございますから、なるべく早くけりをつけたいのでございますが、しかし先ほど来申し上げるように、いろいろと問題があるのでございまして、なかなか簡単に答案が出ないというようなことでございます。その一つ、二つの事実をもう一回申し上げることをお許し願いたいのでありますが、まず第一に、今おあげになりました補償するという方の政令、この方の適用を受けましたのがいわゆる譲渡政令でございまして、一番的確な例を申し上げますと、戦争中に連合国の土地をお買いになって、その上に建物をお作りになった、これに対しまして、お返ししたのは結局土地を買っただけの金しかお返ししておりません。従って建物は、譲渡を命ぜられてもそのままである、これは一番極端な場合でございます。これについては、法律で定めるところで補償するという表現になっておるのでございます。しかしながら、この事例は、実は金額的には非常に少いのでございまして、大部分のものは、むしろ返還政令あるいは株式回復等に関する政令適用を受ける方でありまして、これにつきましては、しかも法人と個人がございます。件数からいいますと、法人の方が少いのでございますが、金額的には、法人が相当多くの部分を占めております。それで、そういう法人というものは、最近は相当力もついて参りまして、これらの補償をもって今からそういう力のある法人にするということは、社会通念から言いましても、相当問題だと思うのであります。特に先ほど申し上げたような、戦時補償の特別措置というようなこととあわせ考えますと、そういう考え方というものは、私はなかなか簡単にお認めを願えないだろうというふうに考えておるのであります。それから今この国会中に準備しろとおっしゃいますが、実はおあげになったような補償問題というものは、ほかにもいろいろ問題がございますので、これだけ切り離しまして特にこの国会結論を出すということは、なかなかむずかしいのである、そのことは、るる申し上げた事情から御賢察を賜わることと思うのであります。
  30. 横錢重吉

    横錢委員 委員長に申し上げますが、この問題は、お聞きの通り政令の中に別に法律を作るということになっておりまして、早急にこの解決をつけなければならない問題であろうと思うのであります。従って、本件の処理は、後にまた理事会等において協議して解決されんことを委員長において取り計らっていただきたい。
  31. 山本幸一

    山本委員長 さよう善処いたします。
  32. 横錢重吉

    横錢委員 それだけの要望を申し上げまして、この件を打ち切ります。  次に、もう一つ閉鎖機関の整理の状況について、大体わかっている程度に局長から伺っておきたい。
  33. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 閉鎖機関の整理でございますが、これは御承知のように、前国会におきまして閉鎖機関令の御改正をお願いいたしまして、一番大きな問題でございました朝鮮銀行、台湾銀行、これは去る四月一日をもちまして一応第二の新会社、朝鮮銀行は御承知のように不動産銀行、台湾銀行が日本貿易信用会社という第二会社を設立いたしまして、もとよりこの清算の残務的なものは残っておりますが、大体前々国会において御審議いただきました、閉鎖機関令の主たる改正の目的は達成しておるわけであります。その他の閉鎖機関の整理につきましても、大体において順調に進んでおりまして、特に預貯金あるいは従業員債務等の支払いは、ほとんど大きなものは完了を見ておるようでございます。私どもの方としては、きわめて順調な推移をたどっておるものと確信をいたしております。
  34. 横錢重吉

    横錢委員 この問題も相当大きな問題であるし、しかも戦後なおまだこれらの問題が全部解決がついていないのはどうかと思う。しかもこれらの問題の中には、金融組合とか、南方開発金庫とか、あるいは満州中銀とか、まだ二十に余るところが解決がついていない状況だと思うのです。従って、これらをすみやかに解決をつけていくためには、当局としてはやはり分離清算をさせるべきではないか。これは、前回のときにやった朝鮮銀行あるいは殖産銀行、台湾銀行、これらは、この問題の発生とともに分離をして清算を急がせた結果、どんどんと解決がついておる。ところが今閉鎖機関で持っておるこれらのものは、すべて一括して扱っている、大体清算をしようとする段階にまで入っていないのじゃないか。従って、これらは逐次分離できるものからどんどん分離をして、もう戦争の跡始末として残っているこれらの問題は、少くとも今年中くらいに解決をつけて、すっきりと、大蔵省がかかえている荷を吐き出させるべきじゃないか、こういうふうに考えているが、当局のお考えを承わっておきたいと思います。
  35. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 この問題は、かねて当委員会においても御議論になった点でございまして、大体第二会社を設立できるような見込みのあるものにつきましては、いわゆる分離清算の形が適当であろうということは、かねがね当委員会において御意見を表明されました通りであります。われわれも大体その趣旨に従って処理を進めておるわけであります。前々国会において法律改正をお願いいたしまして以来、分離清算をいたしましたものは、朝鮮殖産銀行、東亜海運、この二つの分離清算をいたしたわけでございます。ただいま御指摘の朝鮮の金融組合連合会等につきましても、清算人の方でただいま研究をいたしておるようでございます。大体私どもといたしましては、清算事務を促進する見地から、先ほど申し上げたような、当委員会においてかねがね御表明になりました御趣旨に該当するような場合は、これはやはり判断をいたしまして適切な処置を講じたいと思っております。ただ御承知のように、金融組合連合会には多少技術的な問題がございまするので、この点は、目下私どもの手元におきましても、また清算人の方におかれましても、いろいろ研究をしておられるように承知をいたしておりまするので、なおその点につきまして、十分急いで検討を重ねていきたいと考えております。
  36. 横錢重吉

    横錢委員 そこで、さらに一点伺っておきますが、閉鎖機関の整理に当っては、株主の権限というものを全然抹殺しておるわけであります。大体株主の発言権というものは認めないというか、おそらく無視していろいろな清算をしてきていると思うのであります。あるいはまた清算等の順序の段階においても、あらゆるものが順序よく整理をされていっても、株主に対する配当、分け前、そういったふうなものは、一番最後になって何ら手取りはない、こういうような方法をやっていると思うのですが、ただ問題は、これを東拓の問題等について見るときには、東拓の株主に対しては、その株券を持っておった者に対しては、払い込みの義務を負わせたんですね、これはちょっと違っておる。単に株主の権限を停止する、株主に発言をさせないというだけならばわかるが、これは、それのみならず、株主に対しては残金の払い込みということをさせた、そして、その払い込みをさした金額であとの清算事務というものを進めております。もし株主の権限というものをそれだけ認めようとするならば、それでいいと思う。しかしながら、株主に対して、持っておるからというので、払い込みをさせて金をとっておって、清算をさして、今度重要な、たとえば東拓の本社であったところの東拓ビルの清算ということになると、今度は株主に対しては、全然発言も認めなければ相談もしないで、清算をしてしまう。そこで、これを従業員か理事か、それらのものと大蔵大臣との間に話をつけて、これを大蔵大臣が買い上げて政府のものにしてしまう。こういうふうな問題を見てくると、政府のやった態度としては非常に一貫性がない。株主を尊重するのか、株主に対して義務を与えるのかと思っておると、そうではなくて、義務だけは一ぱい負わしたが、権利の方は全然与えない。こういうふうなやり方は非常におかしなものを残していると思うのであります。当局としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  37. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 閉鎖機関の清算に当りまして、株主の利益を無視したやり方が多いじゃないかというふうな御質問でございますが、私どもは、決してさようなことはいたしておりません。たとえば分離清算ということが先ほどお話がありましたが、こういうことの申し立ては、やはり株主その他の関係者ということになっておりまして、やはり株主の意向によってそういうことをやっております。また第二会社を作るような場合におきましては、もっぱらこれは、むろん清算人は発起人にかわって事務を行うのでございますが、しかし一般商法の規定するところの株主総会等の手続を経まして、たとえば不動産銀行の設立につきましても、日本貿易信用会社につきましても、株主総会においてそれぞれ議決になっておりますことは、御承知通りでございます。ただ今おあげになりました東拓のような場合、これは閉鎖機関のむしろ資産、負債の状況、そういうものが機関によりましてそれぞれ非常に違っておることは、御承知通りであります。そこで、まず金融機関でございますと、預金を払い、あるいは従業員債務その他の債務を支払って、株主に帰属するものが残る場合と残らない場合があります。たとえば鮮銀、合銀と、殖産銀行は非常に事情が違うわけでございます。これは、商法によって清算をする場合も同じでございますが、非常に株主がお気の毒であるというふうな事例があるわけであります。しかしながら、そういう点につきましても、たとえば朝鮮殖産銀行の場合におきましては、できる限り債権者の方々にもいろいろ御協力を願いまして、何とか旧株主の——旧と申しますか、旧殖産銀行の株主の利益というふうなものにも、ある程度そういうような妥当な措置ができないものかという意味で、目下分離清算の段階において、清算人が中心になっていろいろ研究をしておるわけであります。  東拓につきましては、これは事態はだいぶ違っておるのでございます。この清算は、御承知のように非常に早く行われたのでありまして、そのために東拓ビルの払い下げも、むしろ国への買い上げが行われまして、それらの資金が充当され、一方株主からの払い込みを徴収されたような点もございまして、いろいろ株主の方々には御不満もあるようなことを拝承いたしておるのでありますが、これは、やはり先ほど申した東拓の資産、負債の内容というふうな点からいっておるような事情でございます。満鉄のような場合等、類似の場合があるのでありますが、まことにこれはお気の毒だと思っております。しかし、これは国内においても、それぞれ会社等において、いろいろの事情で起ってくる結果でございますので、ある程度はやむを得ないと思っておるのであります。ただ私どもとしては、法令の許す限りにおきまして、その運用上、今御指摘のような点については、できる限り各方面に御不満のないように配慮をいたすつもりでやっておる次第でございます。
  38. 横錢重吉

    横錢委員 殖産銀行等の整理に当って、株主にもある程度のものを分けてやるというような配慮をしつつあるということは、問題の円満な解決として、私は適当な処置だと思います。従って、できるだけそういうふうにしてほしいと思います。ただこの東拓の問題を見たときに、株主に対して払い込みをさせたのですね。しかも、この払い込みに応じなかった場合には沖縄に連れていくと、そのときものすごい圧力をかけた。そしてその金を巻き上げておいて、その金で整理をしておる、そこがおかしい。これは国内財産だけで整理をして一応やろうというのであるならば、もう配分がないから株主にはやらぬ、株主の発言権というものはないのだという閉鎖機関を貫いている考え方でやられたとしたなら、やむを得なかったと思うんですが、ほかにもう一件何かあったと思うのです。それと東拓の場合とは、株主に対して払い込みをさせた。従って株主の不満というものは、義務だけを負わしておいて一体何だという考え方が非常に強いわけです。同時に株主というものは、今日もなお生きておる、従って、それらが、やはりこの問題のいろんな処理というものに対して結果を見ておる。特に従業員の代表か、あるいは理事と話し合ったのか、この東拓の本社であったものを大蔵大臣が買い上げた。このことを法律的に見た場合、大蔵大臣が選任をしたところの清算人から大蔵大臣が買っておる、双方が同一人である。こういうような売買契約というものは法律上無効である、こういうような考え方の上に立って主張をしておるのです。これはどのような事情があったのかわからないが、株主の方から見たなら、こういうような大蔵大臣の任命したところの清算人を相手にして、自分が買った。そういうような相異なるところの——買う人と売る人との関係において、同一人がどっちも支配できる関係において売買をしたのは、今日までの判例においては無効だ、こういう結果が出ておるのです。従って、こういうようなことで東拓本社を買い上げた行為というものに対して、今日株主はなお満足をしていないわけです。従って、これに対して、当然この売買は無効であるから返還をしろという要求を出してきておる、これに対して、当局はどういうふうに考えておりますか。また今の考え方がまとまっておらぬとすれば、これは早速にいろいろと考えて善処してほしいと思います。
  39. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 東拓のビルディングの問題につきましては、今おあげになりましたような法律的な、通常の場合に対する特例が閉鎖機関令の中にございまして、ただそれが憲法上疑義があるというふうなお話でございますが、私どもは、遺憾ながら実は見解を異にいたしまして、東拓の大蔵省への買い上げという行為は、適法に行われたものという考え方をとっていることは、申し上げるまでもございません。ただ今御指摘になりましたような東拓の株式の払い込み徴収その他いろいろの点について、前の措置にいろいろ御不満の面もあるというようなことでございますから、その点はさらに調査をいたしまして、どういう事態になっているか、速急に調査をいたしたいと思います。それらの点につきましては、ただいまの御要望の点をよく体しまして、さらに調査をいたしたいと考えます。
  40. 横錢重吉

    横錢委員 閉鎖機関の問題については、なお相当膨大なものがあります。これは、国有財産処理間略書と関連して次会にやりたいと思うので、その際に詳しい問題は譲って、一応この程度にしておきたいと思うのです。  これは別の点ですが、先日の委員会で、産業投資特別会計から投融資を予定されている公団、公社、金融機関の事業計画書及び事業内容のわかる資料の提出を要求したはずですが、まだ出ていないから、月曜日までに出してほしい。この点を要望申し上げまして、一応本日の質問を打ち切ります。
  41. 山本幸一

    山本委員長 今御要望の全部は、私記憶がないですが、三、四件の資料は出ています。なお不足の分は出させるようにします。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる九日午前十時半から開会いたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十六分散会