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1957-03-29 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)     午後零時二十九分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    奧村又十郎君       川島正次郎君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山村新治郎君    山木 勝市君       有馬 輝武君    井上 良二君       石野 久男君    石村 英雄君       井手 以誠君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       横山 利秋君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 神田  博君         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      山下 武利君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月二十八日  塩専売法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一二六号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  とん税法案内閣提出第一五号)  特別とん税法案内閣提出第一六号)  特定多目的ダム建設工事特別会計法案内閣提  出第七四号)  税制に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 それではこれより会議を開きます。  とん税法案及び特別とん税法案の両法律案一括議題として、質疑を続行いたします。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 昨日とん税及び特別とん税についていろいろと質問いたしたわけでありますが、なお問題が解決をいたしませんので、あらためて質問をいたしたいと存じます。  きのう申し上げましたように、本件は、そもそもさかのぼれば造船利子補給の打ち切りから始まっておるように思うわけでありますが、それを今特に言うつもりはございません。しかし、少くとも今日港湾発展のために努力いたしております地方自治体や、あるいは港湾管理者のために、この法案を策定するに当って十分な配慮がされなかったことは、きわめて遺憾にたえないと存ずるわけです。少くとも国税を五円を八円にすることが国税自体としての目的でなくして、特別とん税と合せて総額十八円にするために、国税を五円を八円にするというのでありますから、こういう不必要なことをなさる必要はない。従って、きのうから言っておりますように、せめて国税は百歩−を譲って現行通り五円にして、そうして余る三円は、今日開港市の市町村に少いながら分けて、それを市町村財源にするように措置したらどうかという点については、私は今なお譲る意思がないのであります。政府側としても、その点についていろいろと審議をされたと思いますから、その経緯及び結果について御説明をお願いいたしたいと思います。
  4. 足立篤郎

    足立政府委員 横山委員主張の御説につきましては、ごもっともの点が多いのでありますが、本件は何分運輸省地方自治庁その他関係機関が多いのでございますので、政府部内におきまして十分に検討を遂げまして、御説のごとく減収となります地方自治体に対する補てん等措置及び港湾発展のための予算的措置等につきましては、できるだけその目的を達しますように、今後政府といたしまして善処をいたしたいと考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 政務次官の御答弁は二点でありますが、第一点の減収となるべき地域は、外航船舶固定資産税と内航船舶固定資産税と二つに分けて、外航船舶の方はまずとんとんになるから、これをかりに了とするといたしましても、内航船舶固定費権税による軽減三億五千七百万円についていかように措置をされるか、お伺いをいたしたいと思います。
  6. 鎌田要人

    鎌田説明員 内航船舶に対しまする国定資産税軽減に伴いまして、ただいまおっしゃいました三億五千七百万円の減収を生ずるわけでありますが、その市町村につきましては、個々の実情を十分に調査いたしまして、税収の激減を生ずる市町村につきましては、特別交付税をもって経過的な措置をいたしたい、こういうふうに考えております。
  7. 横山利秋

    横山委員 市町村税課長さん、あなたは政務次官の御答弁のもとで行われるのでございますから、政務次官の御答弁のワクをはずさないように御答弁をしていただきたい。減収にならないように措置するとおっしゃったのですが、あなたの答弁は、激減を生ずるところにはというのですが、これではいけません。少くとも三億五千七百万円は、地方自治体全体の収入からいえば少いのでありますけれども、受ける市町村にとっては、これはかなり多い金額であります。三億五千七百万円というものが、次官のおっしゃるように減収とならないよう措置をされるつもりであるかどうか、重ねてお伺いいたします。
  8. 足立篤郎

    足立政府委員 私が先ほど政府の見解をまとめて御答弁申し上げました点と、ただいまの答弁との間の食い違いについて、重ねての御質問でございますから、誤解をなくしますために私から御答弁申し上げますが、昨日の横山委員の御質問に対して、奥野税務部長からもただいまの答弁と同様の答弁がございました。その後の理事会等のお話し合いによりまして、政府側といたしましても一応まとめた所見として、ただいま私が御答弁申し上げたのでございますが、従来の特別交付税建前からいたしますれば、ただいま市町村税課長が御答弁申し上げました通り建前はさようになっておりますので、ただいまの段階におきまして横山委員から追及をされましても、自治庁としては、公式通りの御答弁を申し上げる以外にないわけでございます。そこで私が今まとめて、今後善処したい、今後自治庁運輸省、大蔵省その他が中心になりまして協議をいたしまして、御趣旨をなるべく生かすように善処いたしたいという答弁を申し上げておるわけでありますから、この段階におきましては、私が申し上げた答弁趣旨で御了承を願いたいと存じております。
  9. 横山利秋

    横山委員 大へん率直でけっこうでございます。第一点については了承いたします。第二点の港湾発展のために——何という答弁でしたか、予算措置をするように努力する、こういう点であります。私がその点についてかねてから申し上げておるのは、特別とん税十円をもらって、一応そろばん勘定はとんとんになるようではあるけれども、しかしこれらの六十何港の港湾所在市町村というものは、港湾発展のために非常にお金がかかる。従って、この際国税をふやさないで、その国税をふやす分、私はそれを一円削って四円はやれと言っておったわけでありますけれども、百歩譲っても、国税現状通りにして、特別とん税十円を原案は十四円、譲って十三円くらいやったらどうか、それは三、六、十八でありますから、せいぜい一億八千万円くらいのところである。国としては大したことはないが、開港所在地としては非常に大きなものであるから、これはできないものか、こう言っておるのです。それにお答えになるのに、何とか予算措置をするとおっしゃいますが、この予算措置の中には、開港地が非常に主張をいたしております入港手数料等の問題もお含めになってお考えがされるものであるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 足立篤郎

    足立政府委員 横山委員の今までの御質問の御趣旨から、ただいま御指摘のありましたような点が大きなねらいになっておるということにつきましては、私どももよく承知をいたしておるわけでございますから、その前提に立って今後の善処をお約束申し上げておるわけであります。果して法律的な措置が必要になるか、あるいは行政的措置でいけるかどうかというような点につきましても、おまかせを願って研究をさしていただきたいと考えております。
  11. 横山利秋

    横山委員 税関部長にお伺いをいたしますが、もし入港手数料を取るということになりますと、今ですらかね太鼓で船よ、船よといって、それぞれの開港地が一生懸命に誘致をいたしておるところに——今でも入港手数料は取れることになっておるわけですが、それが取れない原因というものは、かね太鼓で集めるということでありますから、現実問題としては、現行法上ではなかなかできないのであります。そこで、もしそれをやりますと、かなり強制的な措置をしなければなりません。さりとて今減税時代に、新しく地方自治体で、税金ではございませんが、手数料を強制的に取るということも非常に政治的な問題もあろうかと思うのです。そこで私が言いますのは、国税を今何も上げないでもいいのだから、これを下げて、そして本来ならば特別とん税に回したいのだけれども、あなたの言うように、もし特別とん税に回すと開港所在地だけであって、全部の港に適用しないからという意見があるならば、入港手数料に回す、こういうふうに三段論法になってくるわけです。従って、御検討なさるときには、かなり強制的でなければきちんといかないだろう、またそれをやる場合においては、国税のとん税を下げて、全般の均衡をとって納得をしてもらう、こういうふうにしなければならぬと思うのですが、御所見をお伺いいたしたい。
  12. 山下武利

    山下説明員 港湾法の第二十九条によりますと、港湾管理者港湾維持運営に要する経費自費自弁でまかなうという建前になっておるわけであります。その建前から申しますと、国が税をとってそれを港湾運営費として譲与するということはできないわけであります。従って今お説のように、港湾管理者が荷揚げのための経費が足りないということであれば、これは入港料をとり得るということになっておるわけでありますから、当然自主的に入港料をとっていくというのが筋であります。しかし実際問題といたしまして、今お話しのありましたように、各港におきましては、いろいろ船を誘致する関係等から入港料をとりにくいという実情にあることは、これも重々承知をいたしております。しかしながら、また一方法律でもって入港料というものを強制徴収するということが果して妥当であるかどうかということは、やはり今の港湾法建前からよほど慎重に検討してみなければならないわけであります。その点につきましては、少し研究の時間をかしていただきたいと思うわけでございます。なお、とん税があるために入港料がとりにくいという実情にあるかどうかということも、やはり現実の問題に即して研究してみたいと思っております。
  13. 横山利秋

    横山委員 なぜ私がかくまで申すか、一例を簡単に示してみたいと思いますが、たとえば名古屋港の改修について申しますと、三十一年一月に樹立された計画によって進められておるわけですが、資金計画で見ますと、総事業費は百七十六億円となっており、そのうち国費に期待する分は三十二億円余であり、十年計画だから、一カ年平均一億二千万円程度の国費の支出を仰がないとこの計画予定通りの進捗はできないわけだが、現実は、公共事業費は三十一年度が九千六百万円、三十二年度が一億二千七百万円という状況であって、実際問題としては予定通りはほとんどできない、こういう状況であります このことは単に名古屋港のみならず、全国の各港の実態であろうかと思います。従って、今度のとん税及び特別とん税の問題にいたしましても、かくも私かこの問題で執拗に——とん税及び特別とん税だけで質疑するのはいかがかと思いますが、港湾実情考えますと、少くともこのような問題の中でも、政府開港地及び港湾全体に対する思いやりというものがなくてはならぬ。この間もそういうお話をいたしましたら、あなたの方では、まあこの問題は一億何千万円で解決すべきでなくて、それは根本的な問題でしょうとおっしゃった。確かにその通りです。その通りですけれども、こんなちっぽけな問題ですら善意ある措置ができないで、どうして根本的な問題で予算措置ができようかと私は疑わざるを得ないのであります。従って将来といわず、今日ただいまにおいても、政務次官お答えになるような趣旨がもし政府部内に現存いたしておるといたしまするならば、この法案についてもすみやかに予算措置なり、立法措置なり、法律修正をすべきであろうと私は存ずるのでありますが、その点、政務次官の御意見を承わりたいと思います。
  14. 足立篤郎

    足立政府委員 事情につきましては、ただいままでに税関部長の方からるるお答え申し上げました通りでございまして、法律的な問題もからんでおりますので、研究の時間をいただきたいと思っています。横山委員指摘の御趣意につきましては、十分お伺いいたしまして、その意を体してできるだ善処いたします。
  15. 横山利秋

    横山委員 今御請求もありますので、私どもはこのとん税については、根本的な意見を持っておるのでありますが、政務次官の先ほどの答弁が、現実問題としてはどのように誠意を持っておられるかを将来見て参りたいと思います。  私の質問をこれで終ることにいたします。
  16. 山本幸一

    山本委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ、両法律案に対する質疑はこれをもって終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって両法律案に対する質疑は終了いたしました。  討論通告がございますので、これを許します。横山利秋君。
  18. 横山利秋

    横山委員 私は日本社会党を代表して、両法案反対の意を表明するものであります。  先ほどいろいろと質疑の中で申し上げましたが、本来各開港地におきましては、入港手数料がとれることになっておるのであります。この入港手数料の歴史をさかのぼってみれば、非常に古いものでございまして、明治三十一年十二月十六日、とん税法案が第十三回帝国議会提出をされて、政府委員から説明があって以来の問題であります。しかるところ、政府においてとん税の設定によりまして、現実問題としては、開港地においてこれが徴収ができないような実情になりました。しかのみならず、開港地の、また港湾全体の非常な熱望にかかわらず、年々歳々この要望に相匹敵するような予算の増加が見られないままに、日本のそれぞれの港においては、非常な窮乏と財政的な負担がかかっておるわけであります。こういうような実情の中で、今回とん税法案及び特別とん税法案提出されて参りました。しかもこのとん税及び特別とん税法案が出て参りましたのは、それ自体目的があったのではございません。船舶固定資産税軽減をする、こういう理由から出て参ったのであります。  しからば、船舶固定資産税いかなる理由によって軽減をされるに至ったか。なるほど政府答弁を聞きますと、外国と比較して低いから高くするというのでありますが、実はその一枚裏をめくってみますと、造船利子補給をここで打ち切るために、船舶会社の損失を補てんをするというところに真の遠因があるような気がいたすのであります。造船疑獄が世間を震撼させまして以来、今なおなまなましい問題でありますが、国民の世論に押されて、三十一年度において三十一億円もの利子補給を打ち切ることになったのは慶賀すベきことではあろうと存じます。けれどもそれ自体の中にも問題があるのであります。十三次造船以降は打ち切るけれども、十二次造船以前の分については、きのう私が質問をいたしました通りに、利子補給はやることにはなっておる、船会社はもらうことにはなっておる、けれども辞退を期待するというのであります。一体辞退を期待するというのはどういうことでありましょう。政府船会社とが話し合って「お前の方はもう遠慮してくれるか。」「遠慮いたしましょう、そのかわり何かくれますか。」「何とかいたしましょう。」「何かありませんか。」「固定資産税でも負けてあげましょうか。」こういうやみ取引が裏面にあるような気がしてならないのであります。  私どもは、そういうようなことから始まって固定資産税軽減をし、固定資産税軽減したから市町村赤字が出る、赤字が出るから特別とん税を設定する、特別とん税を設定すれば、今度は開港地以外の港湾で、内航船舶固定資産税赤字が埋まらない、それをどうしたらいいかという問題にどんどん発展してくるのであります。こういう不明朗なこの法案に対しましては、私どもとしては、何としても承服することができません。百歩も千歩も譲ったといたしましても、かりに固定資産税軽減するための船会社に対して、新たにとん税及び特別とん税合計して十八円を取るとするならば、その中で、国税分のとん税五円を八円にしなければならぬという理由はないのであります。国税は来年度千九百億の自然増収が得られるそうでありますし、ある学者の話によりますと、それ以上二千数百億に上るというときに、取る必要もないとん税を五円から八円にして、そうして特別とん税を十円に押えるということは、まことにそろばんは合うようではありますけれども、それほど不合理な話はないと思うのであります。従って、どんなに話を譲って政府のお考えのベ−スに入ったといたしましても、少くとも国税現行通りでよろしい、私ども現行よりも一円を減らして、そうして四円というものを特別とん税の方へ回して、そうして開港地市町村財源に譲与するように、強く主張をして参ったのでありますが、それすらもあえて譲与しないということは、まことにあさはかな政府のお考えであると思わざるを得ないのであります。私はここに最終的な討論をするに当って、政務次官が、御趣旨はごもっともだから、一つその減収となる市町村については、何とか予算措置をしよう、また港湾発展のために努力をしておる各開港所在市町村、その他の港の市町村についても、行政上あるいは立法上の措置を各関係機関と相談して善処するというふうな言葉に幾ばくかの期待を持つものでありますが、しかしながら翻って考えてみますと、このようなことは、そもそも法案作成に当って当然考えられるべきであり、その考えがこの法案の中にもし盛られたといたしまするならば、当然わが日本社会党主張をいたしておりますこの主張に近づくことが、その通りになることが当然であろうと思います。従って、私どもはこの法案に対しては反対をいたし、そうして少くともとん税は四円に、特別とん税は十四円として、そうして当面の措置をはかり、将来におきましては、さらに予算並びに立法上の措置を新たなる角度をもってとるべきだ、こう確信をいたしまして、この政府案に対して反対をいたすものてあります。
  19. 山本幸一

    山本委員長 以上をもちまして討論は終局をいたしました。  これより採決に入ります。両法律案を一括して採決いたします 両法科案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  20. 山本幸一

    山本委員長 起立多数。よって両法律案原案通り可決いたしました。     —————————————
  21. 山本幸一

    山本委員長 次に、特定多目的ダム建設工事特別会計法議題といたします。  お諮りを申し上げます。本法律案につきましては、他に質疑もないようでありますから、これにて質疑を終了し、討論通告もございませんので、討論を省略して直ちに採決に入るに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決をたします。お諮りをいたします。本法律案原案通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案全会一致をもって原案通り可決をいたしました。  この際お諮りを申し上げますが、ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書作成提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  25. 山本幸一

    山本委員長 次に税制に関する件について、春日委員より発言を求められておりますので、この際これを許します。  なお春日君に前もって申し上げますが、ただいま出席大臣は、自治庁長官田中伊三次君、なお他の中村梅吉大臣神田博大臣は逐次入ってくると存じますので、その旨御了承の上、質疑を願いたいと存じます。春日一幸君。
  26. 春日一幸

    春日委員 まず委員長にお願いをいたしたいことがありますが、私がただいまからお伺いをしなければならない案件は、実は三大臣に対してもひとしく同様の内容に属する事柄であります。従いまして、一人々々の大臣に対して三回これを繰り返すか、あるいは三大臣がここへおそろいになりましてから一括して質問をいたしますか、これはいかがいたしましょうか。私の希望といたしましては、自治庁長官は、地方道路税関係いたしまして特に関係の深い大臣でありますから、別個に切り離してもさしつかえないのでありますけれども、しかしながら三大臣に対する責任をたださんとする立場におきまして、ことごとく同様の内容に属する事柄を三回繰り返して行うことについては、いかがお考えになりますか。あるいは三大臣がここにおそろいを願いますれば望ましいと考えますが、委員長においてそのようにお取り計らいを願いたいと存じます。
  27. 山本幸一

    山本委員長 春日君のお説ごもっともですし、先ほど理事会でも、三大臣に対する春日委員の御質問内容理事諸君の方はよくおわかりだと存じます。従って、お説のようにみな内容は同じものであります。だから私どもとしては、できる限りやはり三大臣にそろうてもらって、そこで質疑をしていただくことが一番好ましいと考えておりますか、御承知のように、参議院はただいま予算委員会分科会を開いておりまして、それぞれ大臣が差しつかえがある様子です。しかし、こちらから質疑があることはたびたび通告も、たしておりますし、出席を促しております。今報告によりますと、順次出席をする、こういう次第でもございましたので、この際審議を進める関係上、まず自治庁長官に対して質疑を行なっていただければ幸いだと存じますが、いかがでしょう。
  28. 春日一幸

    春日委員 これはやはり同じ問題でありますから、特に自治庁長官については、地方行政主管大臣として、その政治責任を明確にしていただいた後において質問をするのでなければ論議が明確になりません。従いまして、理事会においても三大臣おそろい願うことを要望いたしておりまするが、なお連絡によりますと、三大臣も次々と入場願える予定と承わっておりますから、こいねがわくば、三大臣がここにおそろいになりますまで、暫時休憩されたいという動議を提出いたします。問題は、三大臣に対する重大なる政治責任について、その所見をたださなければ相ならぬのであります。こういう問題を、三大臣ともそれぞれ区々に何回か繰り返してお伺いをすることは、議事を進行せしめる上におきましてもはなはだ重複することがあろうかと思いますから、どうか一つ、三大臣おそろいになりまするまで、暫時休憩をされたいことを重ねてお願いいたします。
  29. 山本幸一

    山本委員長 それでは春日君、今小山理事話し合いをした結果、小山理事の方から、至急に二大臣出席を要求することにいたしました。従って、二大臣が今直ちに入って来ようと存じますから、そのままの姿でしばらくお待ちを願います。  春日一幸君。大臣三人おそろいであります。
  30. 春日一幸

    春日委員 まず最初に、田中自治庁大臣伺います。あなたは、さきに揮発油税増徴反対実行委員会が、この揮発油税増徴に対して貴下の賛否の意見をただしたるに対し、あなたはその増徴反対するという文書に署名されておるのでありますが、そういう事実がありましたかどうか、まず最初にこのことについてお伺いいたしておきます。
  31. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 昨年の九月の終りか十月の初めであったかと記憶をいたしますが、選挙区のものが参りまして、ひどい増徴をするそうじゃないか、これは反対だから反対のサインをせよというお話がございました。私も当時在野時代のことでありまして、ちょうど私のザインをいたしますときの耳に入っておりました常識では、大体一キロ当り一万円程度を増徴すべしというような意見が相当強くあったときでございました。いやしくも一万円という増徴はひどい、こう私も腹から考えてもおったし、その際は増徴すべきものではなかろう、こういうふうに考えておりましたので、そういうひどい増徴に対しては同意すべきものではない、こう当時個人としては考えておったものでありますから、一代議士としてこれにサインをすることは差しつかえなかろうということで、その書類にサインをした記憶を持っております。
  32. 春日一幸

    春日委員 ついで沖田厚生大臣にお伺いいたしたいのでありますが、貴下もまた同様の書面に同様の反対署名をなされておるのであります。かくのごとき事実がありましたかどうか、この事実について明確なる御答弁をお願いいたします。   〔委員長退席、平岡委員長代理済席〕
  33. 神田博

    神田国務大臣 ただいま揮発油税増徴反対に署名をしておるようだが、事実かということでございましたが、私は実は署名した記憶がないのでございます。たまたまそういうことで大蔵委員会からお呼び出しがある、こういうことをお聞きいたしまして、どういうことであろうかと思って、ちょうど議会の方の秘書が参ったものですから、こういうことで大蔵委員会にお呼び出しがかかっておるのだが、何か記憶はないかと聞いたところが、それはだいぶ前のことであるが、たってのことでということで、選挙区からおいでになられて、私が一筆代書いたしました。こういう話でございまして、そういうことはときどきあることでございまして、どうも報告をしないのは因るねということを言うたようなわけでございまして、私は署名いたしませんが、署名のいきさつは今申し上げた事情であることを御了承願いたいと思います。
  34. 春日一幸

    春日委員 それではあなたは、秘書の行動に対しては全然責任を感じてはおられませんか。あるいはまた、これはただ単に秘書が署名したというのではなく、貴下の印鑑がこれに捺印してあります。少くとも揮発油税増徴反対実行委員会なる委員会は、揮発油税増徴関係を有するところの国民総連合とも申すべき、半ば公的な性格を持っておる機関であると考えるのであります。こういう機関が、少くとも一個の国会議員に対して、こういう重要政策について賛成であるか、反対であるかという意見を求めた場合、これに対して署名し、かつ判を押すからには、相当の重要な事柄でなければならぬと考えるのであります。こういう意味で、これはただ単に秘書が書いたのではなく、あなたの印がここに押してある。これに対して、あなたは一体どの程度政治的責任をお考えになっておるのであるか、まずその一点の御答弁を願いたい。
  35. 神田博

    神田国務大臣 判が押してあるからというお話でございますが、実は私の秘書が神田でございまして、代書をしたら、一つ判を押してくれと言われまして、先生の判は預かっておらないからと言ったら、お前の方でもいいということで、同姓なものだから神田という判を押した、こう言っておりました。そこでそういうことになったのでございます。ただ私が申し上げたいことは、秘書がやったから私は知らぬという意味で申し上げたのではないのでございまして、書いたかとおっしゃるから、私は書きません。判を押してあるが、こういうことでございますから、それは、秘書が選挙区から参って押させられたと申し上げたわけであります。  これは、今も田中長官からのお答えがあったわけでありますが、事柄がだいぶ前のことになるわけでございます。ガソリン税の反対の声が盛んなころでございまして、一キロ当り一万円も上るというようなことは大へんなことだ、こういうことは、私の秘書でございますから、そういう政治感覚をもってやったんだろう。秘書の責任を私は免れようという意味で申し上げているわけではございませんが、大体秘書のやることは、あらかじめ私の承諾を得てやっているのでございますが、たまたまその節連絡がとれなかった、その後いろいろなことで忘れたので、申しわけなかったと言っておりますが、連絡をついしなかった、こういうことを言っているような事情でございます。
  36. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、貴下のその当時におきまする考え方は、当時としては揮発油税増徴に対しては反対であった。従って、秘書は貴下の意思を体して反対の署名捺印を行なったものである、かくのごとくに理解をしておいて差しつかえありませんか。
  37. 神田博

    神田国務大臣 そういうふうにお聞きになられると、少しお答えがむずかしくなるのでございますが、私の秘書のことでございますから、常識を持っておりまして、こんな一万円も上げるようなばかなことには、もちろん先生は承知なさらぬ、こういうことで書いたんだろうと思います。そういうことをまた言っておりました。そこで問題は、当時私も、そういう新聞や情報等を聞いたり見たりしておりまして、そういうべらぼうもない引き上げはいかがであろうか、これは、自分としては納得できないという意思を強く持っておりました。しかるがゆえに閣議におきましても、相当この減税に努力いたしまして、今日御提案になっているようなところまで下げた。当時私は、商工委員長もやっておりましたので、石油の原料課税というものについては、非常な関心を持っておりました。石油工業を育成しようという日本であり、またいろいろの輸送難の際等も勘案いたしまして、こうした税は、しかも一時に高額にとるべきものじゃないという考えを持っておりまして、その考えは、閣議においてもしばしば強く私は表明いたしまして、今日このようなところまで下げたことについては、私は努力して参った、こういうふうに考えております。
  38. 春日一幸

    春日委員 私は、もっと率直に御答弁を願わなければならぬと思います。少くとも政治家は、それがよかれあしかれ、みずからの行動に責任を持たなければなりません。この揮発油税増徴反対実行委員会趣旨に賛同してとあります。実行委員会趣旨なるものは、増税に対してば絶対反対である、あなたの今おっしゃるような、一万円案に対しては反対であるが、それが下回るものならば賛成していい、そういうようなことはございません。これは、あくまでその趣旨に賛同し、すなわち増徴に対しては反対である、こういうことになるのでありますから、この点は御明確に願わなければ相ならぬのであります。いずれこの問題については、後刻責任をただすことにいたします。  次いで、まことに恐縮でありますが、中村法務大臣、あなたは誠実な政治家として、私ども野党からも強く尊敬を集められておる人格高き政治家であると思います。そこでただいま両大臣にお伺いをいたしましたような署名が、貴下によってなされておるのでありますが、これまたこういう事実がありましたかどうか、その経過とてんまつについて、明確なる御答弁を述べられたいのであります。
  39. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は私就任以来、政府としての責任もありますから、陳情書、あるいは請願書等には署名をしないように秘書官等にもよく言いつけてございます。先刻、春日委員のこういう質問があるという趣旨を事前に同僚の議員から承わりましたので、自分としては署名した記憶も全然ございませんが、それとも秘書官あたりがやっておる事実があるかどうかと思いまして、さっそく秘書官を出先から探して確かめましたところが、大臣就任以来、そういう署名をした覚えが全然ない、こういうことでございました。さらに私は、議員秘書をしております男にも、この事実を確かめましたところが、ガソリン税値上げ反対に署名したのは、昨年の秋ごろそういうことがあったように思う、こういうことでございました。そこで私は、私の了解を得ないでそういう署名をするのはけしからぬではないかと言いましたところが、その当時私の耳に入れて、署名してよろしいということであったと思う、こういうことでございましたから、なるほど相当期間たっておりますし、私も明確な記憶がありませんでしたが、議員秘書をしている者がそう言うところを見ますれば、確かにそうだったと思います。当時の私どもといたしましては、単なる一議員でございましたし、大幅のガソリン税の増徴に対しましては、これをできるだけ阻止して緩和をしたい意向を個人としても持っておったわけであります。その後石橋内閣に入閣いたしまして以来、閣僚の席を汚すようになったのでありますが、このガソリン税増徴に関する原案政府として提案するようになりましたについては、今田中自治庁長官及び神田厚生大臣からお話がありましたように、われわれとしては相当緩和をいたしまして、この辺ならば他の政策とのつり合い上やむを得ないであろうというところでわれわれも同意をいたし、国会に提案することになりましたので、提案いたしました原案については、政府全体の責任としてわれわれもこれを支持して参ります考えは、他の閣僚と全く同様でございます。従いまして、今御質問のございました署名は、現在私の議員秘書をしております、そのころは議員秘書ではなくて、今の秘書官が議員秘書で、その補助をいたしておった人間が署名したようでございます。しかし、私の責任に属することでございますから、責任は負いますが、事情はさような次第でございます。昨年の十月ごろの一万円増徴案というのが相当緩和された今日でございますから、私どもといたしましては、現在の政府提案にかかる原案政府連帯の責任としてあくまで支持して参りたい、かように考えておる次第であります。
  40. 春日一幸

    春日委員 あなたは、たしかその当時国会対策委員長であられました。従いまして、陣がさといっては語弊がありますが、一般議員に比較してより多い責任を持っておられるあなたが、特にまた国会における重要議案の中の最たるものとみなされております、こういう法律案に対して、とにもかくにもあなたの署名捺印が行われているということは、あなたがそういう意見をお持ちになっているものと了解をいたしているのであります。そういう意味合いにおきまして、これまた重大な政治責任があろうと考えますが、これはまた後刻お伺いをいたすことにいたします。  そこで重ねて恐縮でありますが、足立政務次官にお伺いをいたします。あなたの場合は自署捺印であります。これはたしか自治庁長官と同じように、あなたの御署名に実印が押されているのであります。あなたは特に所管省の政務次官といたしまして、こういうような文書に署名捺印された事実があるかどうか、この機会に率直に御答弁願いたい。
  41. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま三大臣からお答えになりましたような時期に、私もやはり地元の関係者の要請によりまして、署名をした記憶がございます。
  42. 春日一幸

    春日委員 そもそも政治の権威というものは、少くとも政治家が国民に公約したところをその通りに実行するかどうかにかかっていると思うのであります。政治の基礎は、政治家の節操の堅持にかかっていると思う。こういうような、たとえば国民がこれに対して賛成反対かというような意見をただしたに対して、あなた方は阿諛迎合するような反対という署名をしておいて、後日議員としての活動の場所である国会において、あるいは閣議において、こういうような相反する政治行動、すなわち揮発油税等を増徴する案に賛成をしたことについて、何らかの政治的責任をお考えになっているかどうか、まず自治庁長官の田中さんから御答弁を願いたいと思います。
  43. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 いやしくも国会議員の立場にあります者が、法案——私たちがサインをいたしました当時は、九月の終りごろと存じますが、まだ法案になっておらない、値上げがされるかもわからないという情勢のときに運動が行われたと思いますが、いやしくも将来法案となるおそれのあるような事案について、事前に党と相談をしないで国会議員たるものがサインをするということは、自分が無所属の一員でない限りは、政党政治をやっております者は慎しむべきものであると反省をするわけでございます。わが党にとっても迷惑、政府にとっても迷惑ということになるわけでございますから、これは反省をすべきものである。お説はしっかり伺っておくが、サインはごめんをこうむって、善処をしたい、この程度以上に私たちがサインをいたしたということは、国会議員の職責の立場から考えまして、ありのままの心境を申し上げますと、よろしくなかったものと考えるのであります。ただ、先ほど申し上げましたような事情によって、在野時代にサインをしたことは事実である、こういうことでございます。今後は、そういう考え方をとって、あやまちを犯さざるように努力をしたいと考える次第でございます。
  44. 春日一幸

    春日委員 そうでありますならば、私はこの際国会の慣行と申しましょうか、一つの前例について申し述べて、特に注意を喚起いたしたいと存ずるのであります。それは、昭和二十五年四月四日の参議院における懲罰委員会の取扱いであります。それは、昭和二十五年四月四日の本会議において、昭和二十五年度一般会計予算案外三案の審議に際して、委員会における表決及び本会議における討論が相反する行動をとったという理由のもとに、小川友三君は、当時懲罰事案としてこれが取り上げられ、四月七日には、懲罰委員会において除名の決定がされました。そうして同日の参議院本会議において、除名の事柄が決定をいたしておるのであります。すなわち、政治家的節操というものは、かくのごとく峻烈に取り扱われておるのであります。一つの重要議案に対して、一つ機関に対しては賛成をし、一つ機関に対しては反対する、相反する行動は断じて許されておりません。すなわち、議員の身分を喪失することほど重大な事柄であるのであります。従いまして、三大臣は、少くともこういうような重要案件に対しまして、国民を欺瞞したというか、とにもかくにも相反する行動をとったことに対して、この際政治的責任が追及されなければならぬと考えるのであります。少くとも自治庁長官足立政務次官は、自署捺印されておる立場におきまして、問題は明確であろうと考えるのであります。この際所管大蔵省の政務次官でありまする足立君の御見解はいかがでございましょうか、御答弁を願いたい。
  45. 足立篤郎

    足立政府委員 一般的には、春日委員のお説のごとく、われわれはやはり政治責任を感じなければならないし、また政治的な行動につきましては、お説のような注意をしなければならぬことは申すまでもございません、しかしながら、先ほど来三大臣からも事情の御説明のありました通り、これにはタイミングのズレがあるわけであります。同時にまた、当時は法律案として政府が案をきめておったわけではないのでございまして、いわゆる情勢観測から、一万円あるいはそれ以上の値上げがあるのじゃないかという声におびえて、業者が運動を展開した。私どもも、さような経済界あるいは運送界に大きな波紋を起すような引き上げは、何と考えても現在とるべきではないという考え方を持っておったわけでございますので、そのときの情勢においても、署名捺印については、議員としてそれだから今日直ちに責任をとれといわれることは、私は筋違いだと思うわけでありまして、今日の段階において私どもが同じような行動をとっておるというならば、これは責任を追及されてもやむを得ないと思いますが、タイミングのズレにつきてまして、あるいは当時の情勢の違っておったこと、またその後の変化というような点をよく勘案をして御判断をいただかなければならない。一般的には、御注意の点は私どもも十分けんけん服膺いたしたいと考えておるわけであります。
  46. 春日一幸

    春日委員 これは、はなはだけしからぬ御答弁であると考えます。と申しますのは、揮発油税増徴反対実行委員会趣旨なるものは、五千三百円とか、あるいは六千円ならば了承できるとかなんとかいうものではない。これは徹底的に、揮発油税増徴には断固として反対するという趣旨のものであります。これに対して、われわれは賛成であるから、よってこれに署名する、こういうことで、明確に署名捺印がされておるのであります。客観情勢がその後において推移したなどと言われておりますけれども、一体どこに客観情勢の推移がありますか、この輸送の関係におきましても、あるいはその他、これに関係をいたします事業者の中におきましても、その後において、いよいよその事業の運営というものは窮乏を告げておるけれども、情勢が好転するとか、あるいはこういうような増徴を意図するような大きな変動は、何ら見受けられません。すなわち、昨年の十一月と本日と、どこが違いますか。昨年の十一月においては絶対反対であるとあなた方が署名しておいて——しかもそれが実行委員会趣旨、すなわち要約するならば、揮発油税増徴絶対反対、これに対して明確にあなた方は署名しているのですよ。こういう立場で、今五千三百円ならいいんだというのは、遁辞にすぎない。政治家というものは、いいことはいい、悪いことは悪いと簡明直截に、やはり責任をとるの態度でなければ、一体政治道徳はどこにおいてつなぎとめることができますか。政治家がでたらめな行動をして、その言動に対して全然責任をとらぬというようなことであったならば、議院内閣というものの権威は崩壊してしまう。この点について、中村法務大臣、何と考えますか。あなたは当時におきます国会対策委員長ともいたしまして、この問題については、かたがた一貫せる責任をお持ちになっておると考えます。御答弁を願いたい。
  47. 中村梅吉

    中村国務大臣 できるだけ矛盾を起さないような注意を払うということにつきましては、われわれも将来とも十分注意をすべきであると思います。ただしかしながら、先刻御指摘になりましたように、委員会における賛否の態度と本会議における賛否の態度とが異なった場合とは、よほど趣きが違っておるということを御了承願っておきたいと思います。  次に、当該業者の方々がどう考えておるか、私どもわかりませんが、しかしながら、われわれ政治を取り扱うものといたしましては、あまりに大幅の増徴等を——時務当局案として当時流れました時代でありますから、これを阻止するために、それにやはりある程度の加勢をいたしまして、それが適当の段階で調節をされ、たとえば道路の整備であるとか、あるいは他の施策との均衡をはかりまして、適当のところで調節をするというのが、われわれ政治に関与するものの立場でなければならないと思います。私から差し出がましく申し上げるまでもなく、お互い議員の立場といたしましては、結論としては、手ごろのところで妥協をし、あるいは調整をすべきであると考えましても、出だしは相当強度に当らなければ、その調整の目的すら果し得ない場合がしばしばございますので、出方としては、最初の出発はそのくらいから出ていく必要の場合も往々ございますから、私どもといたしましては、当時、なるほど国会対策委員長の立場ではございましたが、大体そういうような将来を考えまして、先ほど申し上げましたようなことになりました次第でございます。しかしながら党といたしましては、議員立法として議案を提案いたしますとか、その他、党として統一行動をとるべき案件につきましては、すべて党の数人の中心になっております役員の同意がなければ、意見が一致しなければサインしないことになっておりますから、いよいよそれが国会の議題になるというような場合には、もちろん党内調整をいたしまして、一貫した行動をとらなければならぬと思いますが、先ほど話が出ましたように、タイミングの問題もございますし、いろいろそういうような事情を勘案いたしまして、この点は御了承をお願い申し上げたいと思います。
  48. 春日一幸

    春日委員 今法務大臣は、委員会における態度と本会議における態度とが違っておったような場合は政治的責任を問わるべきであろうが、こういうような場合は、それに該当しないということを申されております。私は、形式的にはあるいはそういう事柄も言い得るかもしれないと思いますけれども、しかしながら、実質的には、そういうような根性を持ってこの問題を糊塗することはできないと思います。と申しますのは、少くともこの揮発油税増徴関係を有する国民のあらゆる機関が、この反対のために、こういう増税案を阻止することのために、実行委員会機関として決定しておるのです。これは、すなわち民主的な手続をもって、そうしてあらゆる団体が結合した国民的総連合の、ある意味において半ば公的な性格を持っておる唯一の反対運動の団体——唯一とは申しませんが、集約されたところの代表的な団体であろうと思う。私はその公的性格の実質において、委員会とかその他というような法律的な裏づけがあろうとなかろうと、その実態において私はごうまつも変るところがないと考える。こういう意味において、こういう公的な機関に対して、あなた方が少くとも反対であると言ったからには、これは後刻この法律案審議に当りまして、さらに問題が明確に摘出されては参るでありましょうけれども、その反対理由があるんです、そうしてその反対理由というものは、今日までまだごうまつも除去されていない、そういう状態において、あなた方が反対されたからには、議員であるならば、少くとも政治家的信条とその権威において、自分と相反するところの党議が決定したならば、時と場合には党籍を離脱して自分の立場を明確にする、国民の前に、選挙民の前に、自分がその責任を負わなくて一体何としますか、議員の場合においてはそうです。そうして閣僚の場合においては、そのような閣議決定に対しては断じて反対だ、賛成することはできないのだという政治家的良心に基くならば、これまた国務大臣たるの辞表を提出して、その政治家の名誉というか、権威というか、とにかくその責任を重んずるの態度を行動をもって示すにあらざれば、どうしてこの議会の権威というものが保たれましょうか。参議院における小川友三君に対する懲罰の決定を私は最も重視して、そうしてその責任をとるの態度に出てもらわなければ、議会の権威を失墜すると思う。この点に対して、神田大臣、今あなたは何か私語をもって応酬されておりましたが、一体どういうお考えでそういうような態度をもって臨んでおられるのか、明確にあなたの考えておられるところをお述べ願いたいと思います。    〔平岡委員長代理退席、委員長着席〕
  49. 神田博

    神田国務大臣 私の場合は少し事情が違っておりまして、私が承知をしておらなかったということを申し上げておるわけでございます。ただいま春日先生のいろいろ申し述べられました御所見については、大いにこれはお聞きいたしておるわけでございまして、田中長官におきましても、これはどうもまずかったというような遺憾のことを述べておられるようでございます。これは中村法務大臣からも、いろいろ政治家の幅のあることも御考慮願いたい、こういうふうななかなか良識に富んだ御答弁もあったわけでございます。私といたしましても、両大臣の御答弁と同じ考えを持っている次第でございます。
  50. 春日一幸

    春日委員 私は、この法律案が国民生活に重大なる関係を有する、かかるガソリン税の値上げというものが物価高を来たすということについて、ただ単に関連業者のみならず、全国民の生活に重大な関係を有する法律案なればこそ、この問題に対するこういう署名事件というものは、私は相当重く政治的責任が追及されなければならない、こういう工合に考えておるものであります。なるほど武士の情ということもあるけれども、それを道徳的責任にとどめるか、あるいは政治的責任にまでこれを問責せなければならないか、これはこの法律案内容が重いか、軽いかに正比例すると私は考えます。こういうような意味合いにおきまして、ガソリン税の増徴法案こそは、ただいま申し上げましたように、輸送に関係するものであり、それから来るところの物価高、こういう重大な関係を有する事柄でありますので、ただいま三大臣からわずかに遺憾の意を表されただけでこれを了とすべき筋合いのものではないと思う。それにしてはあまりに問題が大き過ぎる。従いまして、私は、この際この取扱いをどうするかということは、本委員会におきましても重大な問題であろうと考えますので、私ども大臣責任を道徳的非難にとどめ、注意を喚起するにとどめるか、あるいはさらに小川友三君の前例にならって、政治的責任をとる形にするか。あるいはこの取扱いについては、問題の重大性にかんがみまして、暫時休憩の上、理事会において事後の取扱いについて慎重御決定の上で、本院の態度を明らかにされたい、かくのごとくに考えますので、一つ委員長にそのようにお取り計らいあらんことを強く要望いたします。いかがでありますか。
  51. 井上良二

    ○井上委員 関連して。私は一言質問申し上げたいのです。承わりますと、この揮発油税増徴に関して反対の署名をされたのは、石橋内閣が組閣以前だということでありますけれども、石橋内閣は、自民党を土台にしてできておるし、またその自民党の衆議院議員を中心として組閣をされております。従って自民党の政策、自民党議員の考え方というものが内閣の政策に現われてくるのは当然であります。そして自分が閣僚という重要な地位につき、政府委員という重要な地位につき、またこの法案審議します大蔵委員の地位についたという方々は、少くとも自分がそういうものに署名してあるということは、おそらく忘れてないと思う。忘れておらなければ、これは自分の意思と相反することになるのでありますから、当然署名をしました団体に対して、あるいは署名をした署名簿に対して、私の意思と違ったことになってきたから、あれは取り消すなら取り消す、撤回するなら撤回するという政治的責任を明らかにしておく必要があると思います。そうでないと、たとえばそこに足立大蔵政務次官がすわっておりますが、足立君も署名しているのです。これは実にもってのほかですよ。国会を侮蔑するもはなはだしいです。そこにおる政府の閣僚及び政府委員のもとに、この値上げ法案政府原案のままで行かれるならともかく、かなり与党側は政府原案を修正してきている。最初政府のガソリン税の増徴はたしかに一キロリッター当り八千円という原案であったものが、業界の反対やこの署名運動の効果によりまして、これが六千五百円に下った。それをまた今度千円方切り下げるという修正案が出されてきておる。こうなってきますと、全くこの法案を取り扱う大蔵委員会としては、非常に困難な政治的配慮を加えていかなければならぬ。ですから、その際にあなた方は、この署名したものに対して責任をお感じになるならば、この署名をそのままにしておいて相済みませんでしたということではいけません。だから、一応それば撤回するなら撤回するという態度に出るということにしておきませんと、これは参議院に回っていくことになりましょう。事はなかなかやっかいなことになる。それからまた、事実上本委員会の与党議員の中にも、賛成署名をしておって、この法案採決をこれからやることになると思うが、この修正案に賛成ということになると、とても国民から指弾を受けることになりはせぬかと思う。従って、国会議員、しかも大蔵委員として重要なわが国の経済、国民生活に関係のある税制審議しておりますから、国民の前にもう少し政治家として明確な立場をやはり明らかにした上で、これは当然正常な審議の方法に引き戻すことが、大蔵委員会の権威の上からも重要でないかと思いますから、署名を取り消すか取り消さないか、取り消さない人は、遺憾ながら、大蔵政務次官大蔵政務次官として、私ども委員会出席を拒否します。同時にまた委員の方も、それぞれ与党側にわれわれは話をいたしまして、さような人が委員としてここへ出席することを拒否します。これは当然であります。そういうことがとられますまで、暫時休憩を要求いたします。
  52. 山本幸一

    山本委員長 それでは暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会するに至らなかった〕      ————◇—————