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1957-03-22 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       淺香 忠雄君    大平 正芳君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       吉川 久衛君    杉浦 武雄君       竹内 俊吉君    内藤 友明君       坊  秀男君    前田房之助君       森山 欽司君    山本 勝市君       有馬 輝武君    井上 良二君       石野 久男君    石村 英雄君       春日 一幸君    久保田鶴松君       横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  河野 通一君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  普君         建 設 技 官         (道路局道路企         画課長)    高野  務君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月二十日  百円硬貨鋳造企画中止等に関する請願(小枝一  雄君紹介)(第二三〇六号)  姫路港開港指定に関する請願外一件(堀川恭平  君紹介)(第二三三六号)  元満鉄社員の会社に対する債権国家補償に関  する請願永山忠則紹介)(第二三七〇号)  どぶろく密造防止対策に関する請願八田貞義  君紹介)(第二三七一号)  同(中田ヒデ紹介)(第二三九一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  とん税法案内閣提出第一五号)  特別とん税法案内閣提出第一六号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号)  トランプ類税法案内閣提出第四五号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第五六号)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五七号)  揮発油税法案内閣提出第七二号)  地方道路税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七三号)  中小企業資産評価特例に関する法律案(  内閣提出第七六号)  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第九  八号)(予)     ―――――――――――――
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  とん税法案税関係法律案一括議題として質疑を続行いたします。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私は、その際、中小企業資産評価特例に関する法律案について質問をいたしたいと存じます。  まず最初にお伺いいたしたいことは、一体政府は、この法律によってどの程度資産評価税の収入を見込んでおるか。いうならば、この法律を利用する中小企業者はどの程度のものであると考えておるか。それから、この資産評価を行うことによって、法人税あるいは個人所得税減収をどの程度見込んでおるのであるか、まずこの点を明らかにしていただきたい。
  4. 原純夫

    原政府委員 第四回のこの再評価によります再評価税の収入見込み、これは、実際どの程度にやるかにかかる問題ですから、一応の見込みでありますが、法人個人を通じて、再評価税額として総体で四億六千万円程度というふうに見込んでおります。それが二年で納められることになりますから、初めの年はその半分二億三千万、三十二年度においては、また年度がずれますから、それらの関係から、三十二年度分として入りますのは、七千八百万程度というふうに見ております。反面法人税所得税の方で減収が立つわけでありますが、法人税の方の減収は、平年度において六億近く、五億八千万程度と見込んでおります。初年度は、年度関係で一億七千四百万という数字を見込んでおります。個人の方は、それよりもはるかに小さい額で、それの一割から一割五分程度というふうに見当をつけております。
  5. 春日一幸

    春日委員 ちょっと聞き漏らしましたが、再評価税総額が四億六千万、初年度が三億三千万、それから次年度は……。
  6. 原純夫

    原政府委員 総額が四億六千万でありまして、それを二年で納めるというふうに法案において規定いたしております。つまり一年目が二億三千万、この一年目といいますのは、再評価した人の一年目であります。個人の場合は、来年の三月十五日までに再評価税の一回目のを納めなければならぬわけですから、半分がまるまる入ってくる。ところが法人の方は、この一月一日以後開始する事業年度末でありますから、一年分が全部入ってこない。年度がずれるのが相当あります。法人でも、中小法人は来年の三月三十一日までに最初の納期のこない分がだいぶ多いというようなことから、半分にすれば三億三千万ございますが、三十二年度内に入るものは、法人の分は六千万足らずというふうに見ております。それに個人が二千万ばかり入るので、年度内では七千八百万、こういうふうに見ております。
  7. 春日一幸

    春日委員 まずこの法律を審議するに当って、特に理解を明らかにしておかなければならぬと思うのでありますが、資産評価の方針は、一体どういう事柄を目的としておるものであるか、理財局長並びに主税局長からこの法律目的をこの際明確にしていただきたい。
  8. 河野通一

    河野政府委員 資産評価自体は、中小企業あるいは大企業に限らず、全体を通じましてその目的といたしますところは、企業減価償却を適正にしていく、それによってその企業資本の充実と申しますか、健全化をはかっていく、ごく簡単に申し上げれば、こういうことに意味が集約できると考えております。この点は、中小企業におきましても、大企業におきましても、その原則自体は共通した問題であろうというふうに考えております。
  9. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、資産償却を適正に行うことによって企業資本を充足していくことがねらいであるとすれば、なぜこれに税金をかけたのか、これに税金をかけた理由について伺いたい。
  10. 原純夫

    原政府委員 税のことでありますから、私からお答え申し上げます。税をかけます理由は、一つには公平論であります。それからもう一つには、実際論であります。公平論というのは何かといいますと、御案内通り昭和二十五年から一次、二次、三次と、今度で四次目ということになりまするが、何回か再評価を実施いたしてきております。その間、再評価にはみな原則としては六%、三次の場合は強制が入りましたので、若干軽減あるいは免除の部分がありますが、再評価税をずっと取ってきております。今回の再評価――中小企業のためにこういうことは何度もやることでないのでありますが、中小企業は、まだそこまで十分経理の態度も進んでおらなかったであろう、かたがた最近力も大分出てきたということでやらすのでありますが、そういう際に、一連の再評価の一環として、税の負担を再評価するもの相互の間にバランスをとるということは、何としても忘れてはならないという意味で、その公平を保つという意味がございます。この見地におきましても、二%というのは従来のなにから比べまして、一番優遇になっているのでありまして、特に中小企業であるからということで、できる限り低率でというふうに考えております。さらに公平論の第二段として、突っ込んで申しますれば、それは単に再評価をやっているもの相互の間の公平論だけでなくて、その総体を含めて、再評価税をかけるのに公平論というのがあるわけであります。それは、前からの財産を持っておりました人が戦時戦後を通じてどうなっているかということを考えますると、一番損をしたといいますか、インフレーションによって損をした金銭債権者というようなものがあります。そういうものについては、別段の手当はできない。実物資本を持っておったもの、その中で企業を営んでいるというものについては、やはり企業資本維持というような必要も考えて再評価をさせるわけでありますが、そういう他の財産との権衡金銭財産との権衡をまた考えるというような見地がその底にあるわけであります。税の面におきましても、再評価の始まりますまでは、御存じ通り譲渡所得税というものがかかっておりました。その譲渡所得税は、再評価制度ができます前には、通貨価値の下落による非常に大きな差が、そのまま譲渡所得としてかけられるというような事態が二十四年まではあったわけです。それらの間の公平感考えて、再評価税というものがかけられるのは、公平論がそういうふうに二段になっております。  次に実際論でありますが、再評価というのは、企業資産の額をふやすということになりますから、そしてふえた額は、御案内通り自後何年かで償却させるということになります。そういたしますと、実際問題として、再評価をやります場合に一番税の方で苦労いたしますのは、適正な限度評価をしてくれませんと非常に不当な脱税が起るということであります。無制限にやって、幾らでも再評価しなさいということにすれば、資産額をめちゃくちゃにふくらまして、そして、これだけになったのだから、自後毎年償却をこれだけやるということになりますと、税はどこかにすっ飛んでしまうということに相なります。そこで再評価限度額というものを法律上きめ、かつ今までの再評価では、かりに限度額以下であっても、資産がもう陳腐化してそんなに値打がないというようなものは、その値打のある程度にとどめるという建前でやってきておるわけでありますが、そういうような意味で言いますと、税をある程度払うということは、公平感のほかに、やはり評価の度合いを適正にするという意味において、つまり簡単に言いますと、過大評価を防止するという見地においても欠くことのできない方法だと思っております。そういう両様の考慮から税をとる。そしてとる程度としては、今までのとバランスをとりますと、実は三%とか四%とかいうような数字になるわけでありますけれども、今回は特に中小企業資産評価だというので、極力勉強して、二%というふうな数字に落ちつけた次第でございます。
  11. 春日一幸

    春日委員 これは、一つ主税局長にお伺いをいたしたいのでありますが、今、今度の資産評価に際して税を課するの理由としまして、一つ均衡論、これは二十五年前の資産とその後の資産との関係における均衡論、それから一つは、この水増し評価を防止するための必要の措置としてこれを講じた、こういうことでありますが、端的に言うならば、その二つの必要なる措置、そのうちでいずれが重きをなしているのであるか、両方であるとは言われておりますけれども、現実の問題として、これは水増し評価を防止するための行政措置としてこういうような方途を講じられたのではないか、もう一回御答弁願います。
  12. 原純夫

    原政府委員 これは、せっかくのお尋ねでございますが、どっちを重しとするとも申しかねると思います。両方やはり相当強い理由であって、両方考えたというふうに申し上げるのが正しいのではないかと思います。
  13. 春日一幸

    春日委員 まだ再評価の別表を見ておりませんが、それでは、二十五年以降取得した資産には再評価は適用されないのですか。
  14. 原純夫

    原政府委員 二十八年の一月一日までに取得したものについては、再評価ができる、つまり基準日というのは、二十八年の一月一日になっておりますから、そのとき現在において持っておる資産について再評価ができるということになっておりますから、二十五年以後の分についても、若干できるものもあります。もちろん、それはもう倍率がごく低くなっておるような次第であります。
  15. 春日一幸

    春日委員 そういたしますと、この資産評価に際しての課税措置を必要とするその理由の中の、前に述べられたもの、すなわち第一次資産評価法律が施行された以前の企業資産と自後の資産との間の均衡をはかる、このために課税をする必要があったと、こういう理論は、二十五年以後取得した資産に対しては、この均衡論は全然その根拠がなくなるではありませんか、この点はいかがでありますか。
  16. 原純夫

    原政府委員 それは、やはりあると思います。先ほど申し述べました公平論は、単に譲渡所得税がかかったかからないというだけでなくて、一般に戦前から持っております財産、それにはいろいろな資産があるが、その一番端的な不利になった代表者金銭債権であります。金銭債権は、昔の一万円といえば、今だったら相当なものなんですが、それがそのまま名目額が満足をしなければいかぬ、中には、それがなお切り捨てられるというようなものもあったわけですが、そういうものに比べて、実物資本を持っておる人がどうなるかというような見地公平論、これはあえて二十五年の前後を問わずあると思います。二十五年前後の譲渡所得関係は、若干違って参りまするが、まあ二十五年以後は、あえてそれを取り立てておっしゃる程度のことでもなかろうではないかというふうに思います。再評価倍率もごく低いわけでありまするし、それでその公平論が飛んでしまうということではないと思います。
  17. 春日一幸

    春日委員 これは私、ずいぶんおかしいと思うのです。と申しますのは、戦争中のインフレーション以前と、インフレーション以後との物件で、やはり評価が違っておるから、それに対して何がしかの負担をしてもいいだろうというようなばく然とした議論を述べられておるようでありますけれども、これは、いろいろな物の価値というものについては、それぞれ別個の性格を持つものであり、従って、それぞれ別個の取扱いを受けて参っておるのであります。たとえば固定資産に対しては、これは地方税でありますけれども、やはり固定資産税というものをかけられておる。あるいは金銭的な資産に対しては、そういう負担もかけられてはいない、こういうような意味合いにおいて、ただ純粋に、戦争を免れた資産、免れなかった資産ということによってそういうような断定を下すことはけしからぬと思いまするし、さらに、そういう考え方に立つといたしましても、戦禍を受けました昭和十九年の八月から、二十五年のこの資産評価が第一次に施行されたときまでの間において、いろいろと移動した資産もあるでありましょうし、これは全然その議論が変ってくると思います。そういう意味で、私はこの資産評価税というものは、その均衡論というのは、いうならば、そういうような譲渡所得関係というものではなくして、これは純粋に水増し評価が行われて、後日再び評価論等のことをやってくる、そういうカンニングなものを防止するというところにその目的があったのではないか。私は課税を必要とするその理由は、この一点に集約されてしかるべきものではないかと思うが、この点はいかがでありますか。
  18. 原純夫

    原政府委員 前のお答えに、もう少し補足して申し上げます。公平論として第一段に申しました各段階、第一次、第二次、第三次の再評価との公平論考えますれば、一次、二次はもちろん、三次においても相当の税をとっております。そうして三次は、ただいまお話しの二十五年ではなくて、二十八年、九年にやったわけでありますから、その時分の再評価をやった人と二十五年以後の取得の者については、すでにそういう時期にかかっておるということとの公平論がございます。それから譲渡所得論についていいましても、これはこまかくなるから略しましたが、はっきり申しますれば、二十五年以後の取得の分でありましても、この三次の再評価のときまでは、前のベースまでしか再評価ができない、それも、前に機会があったときにやらなければできなかった。で、やらなかった人がその後取得した資産については、やはり譲渡による取得は再評価前のベースでかかっている、それを再評価で洗って若干の評価がえを認める、今回もそのベースに合わすということでありますから、そこの公平論はぴったりと合うわけで、これはせっかくの重ねてのお尋ねでございますが、どちらを重しとも言いかねる、両方相当重要な理由だということを重ねて申し上げたいと思います。
  19. 春日一幸

    春日委員 それでは、その譲渡なるものの公平論はさらに検討してお伺いすることといたしまして、ここで後者の方の公平論ですね、前に再評価を行なったものが税金を納めておる、従って今回やはり再評価を行う場合は、適正な課税を必要とするという、その公平論についてお伺いをいたしたいのでありますが、われわれが調査したところによりますと、これは、あなたの方も十分調査されておると思うのでありますが、大法人実効税率は、三十年度の実績についてみますと、法人税、これは都市銀行では平均二・二八%、貿易商社では一九・二%、鉄鋼は一七・六、電力関係では一〇・四、保険では一六・〇、こういう形に相なっておるわけであります。これは租税特別措置法が別途あまねく講じられておって、なおかつこれらの大企業資産評価を行なって、減価償却が十分に行われておるからである。ところが中小企業の大部分のものは、資産評価を行なっていないのみならず、租税特別措置法というものを利用できない、たとえば百万円の現実価値のある資産事業の用に供して、それでもって台帳は大体二万円とか二万円とかいうような形になっておるから、結局利益というものが膨大に出てきておる、従って今まで資産評価をしている者としていない者とでは、ここに大きな不均衡を生じてきておる。これが、現在このような法人税における実効税率の大きな断層となって現われて参っておると思うわけであります。従いまして、今までの中小企業法人法人税、あるいは個人事業所得税、こういうものは、いうなれば再評価をしていないのだから、これらの所得はほとんど仮装所得、架空の所得である、要するに現実に必要とする減価償却を行なっていないところから生ずる仮装所得に税を課しておった、こういうことになると思うのでありますが、この点いかがお考えになりますか。
  20. 原純夫

    原政府委員 再評価をしておらない資産については、おっしゃる通りそういうことになっております。まあ仮装所得というか、取得価額を昔の取得価額で計算したものになっております。しかし中小法人個人でも相当程度はやっておるわけであります。それに税務の実際を言いますれば、年数の短かい資産で、特に中小のものでありますと、一々取得の時期を見て、かつ実際上もう通貨価値が大体安定してから七、八年にもなりますし、その辺の関係の違いというものは、よほど古い資産に限られる、そういうものについては、再評価しているものが割合多いのではなかろうかという考えを持っております。いずれにしましても、再評価をやらない資産についてはおっしゃる通りでありますが、これは、やはりはっきり再評価をしていただかなければ、実質どうだからというようなことで、そのときどき処理するのではとてもめんどうなことでもございまするし、またはっきりした処置もできないということでありまするので、一次、二次、三次、四次と、今回は四回目の再評価のチャンスも与えるわけですから、極力それに乗って再評価をされるようにということを私ども要望しているわけでございます。
  21. 春日一幸

    春日委員 私は、こういう考え方を持っておるのです。資産評価をしたからといって、その所有に何ら移動があるわけではありません。しかも、ただいま主税局長譲渡所得の場合に均衡論を言われましたけれども、譲渡はみずからの所有を第三者に移す、所有権移動が行われるわけであります。ところがこの所有権というものは移動しないのです、本人が持っておる、そうしてやはり同一目的に使用するわけであります。すなわち当該企業営利目的の用に供するわけでありまして、評価額が高まったからといって、本人所得が増大するわけではないのです。もとよりこれは所得税ではありません、特別の税でありますから、また批判は別ではありましょうけれども、事業体に対して固定資産税というものがあって、固定資産に対する税の負担というものは、別途講ぜられておるのだから、この評価がえによって所得というものはどこにも発生しないのですよ。全然発生しないところにこういう税金をかけるという均衡論は、私は変ではないかと思うのです。大体最初税金をかけたという目的は、あくまで水増し評価過大評価というようなものを防止するの措置なので、戦前財産、戦後財産とか、譲渡したものとしからざるものとかいうような均衡論は全然その基礎が違う。譲渡することによって所有権移動がないということと、使用目的に変化がないということでありますから、私は当然前に設けられておりましたところの六%という再評価税ですね、これは明らかに資産水増し、再評価過大に行われて、カンニングな人が評価がえをやったり何かすることを防止するというところに極限されておったものだと思うが、この点はいかがでありますか。
  22. 原純夫

    原政府委員 たびたびのお尋ねでありますが、結論はやはり先ほど来申しておりますように両方です。これは数次の改正の御説明の際にも、またそれに関する記録でもはっきりしております。特にこの再評価一連のものでありますから、二十五年当時におきましては、日本の経済も戦時戦後を通じてのインフレーションがやっと収束したというところで、そういう考慮相当当時はだれにもわかったということであります。その後通貨価値が安定して、だいぶ年がたちますので、おっしゃるような感じが強くなるかもしれませんが、やはり全般としてこれが一連のものでありまするし、かつ戦前からのもろもろの財産のたどってきた関係を見ますならば、そこに公平論相当働かなくてはいかぬということは、私ども現在も考えております。どうしても実務上の理由だけでということで割り切るべきではなかろうと考える次第でございます。
  23. 春日一幸

    春日委員 今回二%の税をかけることの均衡論は、これは第一次、第二次、第三次の評価に際して課税がかけられておったから、今回もかけなければやはり均衡を失する、この理論はある意味においてわかると思うのです。けれども、その第一次の資産評価のときに、戦前財産との均衡をはかるというのは、一体、どういう意味でありますか、これがどうしてもわからないのです。所得が増大すれば、その当時財産税もかかっておるわけでありましょうし、それから所有移動すれば、それぞれ譲渡所得、いろいろな税金、公課、がかかっておると思うのです。それを、戦前財産均衡を持たしむるために、二十五年を契機として、その後の財産にある程度の税をかけるという、これは意味が私は全然わからないんだが、もう少しわかるように御説明を願いたい。
  24. 原純夫

    原政府委員 戦前から財産を持っておりました人が、いろいろな形で財産を持っておった、くどいようですが、金銭債権だったら、戦前百万円のものは、今だったら大へんなものでありましょう。そういうものも返してもらうのは百万円だ、それも戦後のいろいろな打ち切り措置というようなことで、なお虐待を受けるというようなことがあったのは御存じ通りです。それに対しては、片一方の極に実物資産がある。実物資産は、実物資産を持っておるというだけで、もうそういう意味では非常に差がある。その間にいろいろな証券、特に株式というものが位置することになるだろうと思います。そういう意味での公平論は、やはりはっきりあると思います。  それからまた税の面でいいましても、先ほど譲渡所得だけ申し上げましたが、譲渡所得が一番はっきりいたします。二十四年までに譲渡した人は、再評価ということがありませんから、えらい昔に比べて値段は高くなっているけれども、実質はそうでないというような場合においても、それは全額を名目額譲渡所得を計算されている、そして譲渡所得税を納める。同様のことは企業資産についても、二十四年までの年次においては、その償却については古い取得価格ベース償却を認めてきた。継続して持っているという場合には、ちょっとなんでございますが、やはりそういう意味で、時期的な権衡論というふうなものもあるわけでございます。  財産税が取られたというお話でありますが、財産税別個見地で取っておるものであって、なお言いますれば、財産税の調査時期である二十一年の三月という時期は、まだ再評価後のベースになっているということも言えないというような事情もございますので、ましてや譲渡所得税を取られたものといいますか、譲渡があったものは、その譲渡のときの価格で取得したということになっておりますから、その辺もだいぶ違って参ります。かれこれやはり公平論というのは、一連の再評価措置において、非常に強い再評価税を取る理由一つになっておるということを重ねて申し上げておきます。
  25. 春日一幸

    春日委員 価格が大幅にインフレートしたから、従ってこういう負担を課することによって均衡をはかるという理論は、これは、私は今の御説明の範囲内ではなお納得しない、のみならず何人も納得できないと思うのです。それでは書画骨董ほどうなりますか。あるいは個人が私生活の中において、たとえば事業の用に供しないところのいろいろな資産において、その価値が暴騰しておるものが幾つも幾つもありましょう。こういうようなものとの均衡はいかにはかられますか、その点をお答えを願いたい。
  26. 原純夫

    原政府委員 それらのものにつきましては、前から持っておったものを売るという場合には、譲渡所得税がかかります。その譲渡所得税を計算いたします場合に、昔千円で買ったものというと相当なものがあったと思いますが、そういうものを取得価格千円だ、今それが十万円に売れた、差引九万九千円は譲渡所得だとやる、非常に酷なことになるわけです。そこで、そういう場合には、所得税法及び資産評価法に――われわれはみなす再評価と申しておりますが、譲渡のときに再評価をして、そして評価を調整して、再評価した額と今の十万円との差額を譲渡所得とするということになっております。ただし再評価した額と取得価格との差額、つまり再評価の差額につきましては、六%の再評価税を納めていただくということになっております。その辺は今回の関係とはバランスがとれる、それ過ぎるということに相なると思います。そういう手当をしておる次第でございます。
  27. 春日一幸

    春日委員 この問題は、私は非常に深遠な内容を含んでおると思うのです。と申しますのは、とにかく事業目的に供しておりますこの資産というものは、譲渡を前提としていないのです。当該個人が常時保有しておる、しかも、同時にこれはやがて老朽していくものだ、こういうことが一つの基本になっておるのであって、譲渡することによってどうこうという問題ではない。また法律目的自体も、それをやはり食いつぶしていく、再度取得する場合において、それが時価において再取得のできる措置としてこれが講ぜられているわけです。従いまして、物件をどこかへ売るということは、今おっしゃったようないろいろな既存の法律で、書画骨董がそのフェーバーを受けられる、またそういう負担をこうむる、こういう立場においてこれは処理ができる、ただ企業資産については、法人たると個人たるとを問わず、それをやがて食いつぶしてしまうのだ。そこの中の極端な例を言うならば、九九・九%までは譲渡しないものである、こういうことが前提となっておるのでありますから、財産を移譲することによって生ずる受益というようなものを考えなくてもいいではありませんか。すなわちそれぞれの物件を譲渡することによって生ずるところの受益の立場から均衡をはかるという必要は全然ないじゃありませんか。本人がずっと最後まで、その資産そのものをつぶしてしまうまで、本人所有に属しておるという前提に立つならば、ただいまあなたが言われたところの前段の均衡論、すなわち他の資産との均衡論というようなものは何ら必要ないと思う。いかがでありますか。
  28. 原純夫

    原政府委員 その点は、私はこういうふうに考えております。事業資産は、なるほどおっしゃる通り譲渡目的とするもの――事業用でも商品は別でありますが、事業用の固定資産は、譲渡目的とするものではないでございましょう。しかしながらそういうものについては、税の上では、減価償却費にこれが響いてくるわけであります。取得価格が昔の安いものであれば、そのままにしておけば減価償却費が安い、再評価すれば高いということになります。これは譲渡とは別だといえば別でございますが、本質的に経済的には同じことであります。  機械を据え付ける、そして二十年なら二十年かかって、減価償却で税の上で回収させる、税の上で回収させるということは、反面から言いますると、それだけの値打が毎年々々生産物に入っていって売れる、だから機械が分け売りされているわけです。それで最後にスクラップになる。スクラップになるまでの差額の分は、製品の値打に入って売れるわけなんです。ですから、一度で譲渡ということではありませんけれども、償却の制度を通じて毎年毎年その価値が回収される、そして裏でいえば、その価値が売られていくということになります。従いまして、本質的には譲渡の場合と同様なものが入ってくるというようなことから、全般を統一的に考えてよろしいというふうに私どもは考えております。
  29. 春日一幸

    春日委員 私は、そんなばかな事業はないと思う。たとえば営利事業というものは、その営利目的に利用しておるところの資産を耐用年数に応じて分割販売するんだ、こういうような理論は、私は詭弁もはなはだしいと思うのです。そういうようなことではなく、やはり本質論で、ありのままにこれを判断していかなければならぬ。その当時の法律審議が、二十五年当時はどういう工合になっておったか、私も速記録を読んでよく検討してみなければわかりませんけれども、おそらく六%の税率を特に適正と認めた理由は、そんなところにないと私は思う。要するに価値がはなはだしくインフレーションの過渡期において変動したから、従ってその価格調整の意味とかなんとかいう意味で六%が適正であるというようなものではなく、この六%そのものも、これはしょせん腰だめ的なものではあろうけれども、六%という税率を特に課せようとしたことは、インフレーション倍率から算出された数字ではなくして、これは、私はあくまでもその水増し評価を抑制する必要から、ブレーキとしてこの六%というものが出たのではないかと思う。私が申し上げたいことは、この事業資産というものは、最終的にその事業のために食いつぶされてしまうものである、再取得を可能とせしめることのための償却措置がいろいろと講じられておって、これがインフレーションというものの一つの関所をくぐったのだから、それに見合うところの法的措置を講じようというのがこの法律の趣旨であって、その法律に便乗をして、たまたまこの六%という税率が賦課されておることの理由を、その必要性を、他の財産との均衡論をそこに挿入するかごときはあくまで捏造された議論であって、当初の速記録その他を研究してみればよくわかると思いますけれども、そういうような必要によってこの税率が定められたものではないと思うが、河野さん、あなたは何かこの点について御記憶はありませんか。私の議論について、その当時この法律が施行された経緯、これについて、何か私の所論について御記憶になることがありましたら、一つ参考のために理財局長に伺ってみたいと思います。御見解をお示し願いたい。
  30. 河野通一

    河野政府委員 昭和二十五年当時、私理財局の仕事をしておりませんので、なお勉強も実は不足いたしておりますから、はっきりしたことは申し上げられませんが、今主税局長から申しましたようなことであったというふうに、私は係の者から聞いております。それ以上のことは、私ちょっと勉強不足でお答えできません。
  31. 春日一幸

    春日委員 そこは記録のあることでありますから、当時の委員会の審議の模様をさらに検討いたしまして、私の所論をさらに整理してみたいと考えます。  そこで、一つ均衡論を、今度は後段の均衡論にもっていきたいと思うのでありますが、すなわち今回の中小企業に対しても課税しなければならないかどうか、それを前三回の再評価課税されておるから、今回課税をしないということが不均衡である、こういうお考えについての私の見解を述べて、御答弁願いたいと思うのであります。これは、ただいまも申し上げました通り、今までこれらの法人は、言うなれば二十五年から五、六、七、八、九、十、十一、十二、さらに来年度がありますから、かれこれ九カ年すでに再評価をしてしまって、そうしてただいま述べたような実効税率で、現実にその大減税がこの資産評価を完了した企業体については行われておるわけであります。ところが本日ここにいまだなされてはいないところの企業は、再評価が行われてはいないから、従って減価償却の特典をこうむることがで計ない、従って、極端な表現かもしれませんけれども、仮装的な利益、すなわち自分自体の資産を無為に食いつぶして、不当に食いつぶして、そうして言うならばこれらの資産評価をしておるところの企業体に比べて、これははなはだ高度の実効税率、すなわち余分の税金を納めてきた、こういう意味でありますから、本日ここに再評価を行うとするならば、過去八カ年の実績、九カ年の累積というものは膨大なものである。今主税局長の御答弁によりますと、これによって、資産評価税金というものが全部で四億六千万とか言っておられましたけれども、これは大したものではない、四億六千万円くらいものじゃないと思う。今日再評価を行なっていないところの零細法人たちが、過去八カ年間にわたってその特典を行使することなく、自分のすり減っていく機械をそのまま何らの特典を受けないで、そうして税金として納めてきておる、この税金を返すということはできないことでありましょうけれども、現実にそういう特典を受けていないという均衡論からするならば、今日ここで何も二%くらいの課税をする必要はない、均衡論をもしも主張するならば、この際資産評価を行うことがわが国の産業経済の政策目的のために必要欠くべからざることであるならば、この目的を達成することのために障害となるところの二%課税なるものは、この際無税にしても、均衡論上何ら均衡を破るものではない、この八カ年間の実績は、そろばんではじいてみればすぐ出てくると思う。だから、この際これを無税にしても均衡を失するというそしりは私はごうまつも受けないと思う。主税局長、いかに考えられますか。
  32. 原純夫

    原政府委員 今まで再評価してないところは、何度も機会があったわけでありますから、再評価しようと思えば、簡単にいえばいつでもできた。そうしてこういうことは、はっきりと再評価をやる時期にやるならやるということにしておきませんと、税務の実際としてはとても扱いにくい問題であります。外国の例をとりましても、再評価をしている国は、御承知のように非常に少い、やりましても、何度もやっておるという国はほとんどございません。日本では一次、二次、三次とやって、今度は四度目をやろうというわけで、こういうところは、やるときにはっきりと取得価格その他を申告して、税務のチェックも受けてやっていただくということにいたしませんと、性質上非常に乱に流れ、またそれが不確実なものになってしまうと思います。おっしゃるように、再評価をやってない企業は、おそらくいろいろな帳簿の記載等が不十分で、そこまで経理的にもお考えになっていないというようなものであろうと思います。私どもとしては、そういうものが早く経理がきちんとしていきますように、御案内通り、青色申告という制度も設けて、だんだん私どもとしての努力はいたしておるわけでありますが、経理をきちんとしてやって、帳簿類も備わっておりますれば、再評価を今までやってないのはおかしいというくらいのものであります。そういうところでは、非常に率直に申しますれば、税全般についての調査、所得の計算にもいろいろ困難があるのではないか。今度は、幸いにこういうことでできるのだからやってほしい。やはりこういうものは、やったらそのあとから償却を認めるというのが当然であって、昔からやったとすればというふうに申されましても、それは、かえって再評価というものを時期を画してそろってやるという意味からいっておかしいのではないかというふうに思います。そういうような意味で、私どもとしては、やはりさかのぼってという御議論にはどうもついて参れないような感じがいたします。
  33. 春日一幸

    春日委員 この税収は大したことはないのです。全く九千四百六十億というような尨大な総収入予算に比ぶれば、その措置によって期待されておる税収が四億六千万という話だが、こんなものはほとんどあってもなくてもいいようなものです。だとすれば、この政策目的の重点がどこにあるかということをよく理解をされて、そうしてこれに付属する措置としての税という問題を考えなければ、枝葉の問題に重点を画いて、そうして根幹の問題がゆがめられてしまっては問題であろうと思う。  そこで、河野さんにお伺いをいたしたいのでありますが、ただいま原さんがお答えになったように、今日まで幾たびか再評価をし得る機会があった、それをしなかったのだから、すなわち特権をみずから放棄しておったのだから、この際税金をかけたって仕方がないじゃないか、権利を放棄した者については云々という意地の悪い御答弁もあったのですが、一体今日までたびたび再評価をし得る機会があったにもかかわらず、中小企業者がこのことをあえてなさなかった理由、別に言うならば、中小企業資産評価が今日まではばまれておった理由というものがあるであろう、この恩典として与えられた特権をみずから大部分の君が行使しない、しないからとそ今回新たに法律の制定を必要とするのだから、そのはばまれておった理由というものがなければならぬのだが、その理由を一体どのように考えておられるか、原因は何であったか、こういうような特典を一度、二度、三度と重ねて、中小企業者のために権利を行使するチャンスを与えたのに、彼らみずからがその、権利を放棄して、このことをなさなかった理由は何であろうか、中小企業もいろいろな立場があるでありましょうが、これをどういうふうに理解されておりますか、御答弁を願いたいと思います。
  34. 河野通一

    河野政府委員 中小企業がたびたび再評価のチャンスを与えられておりながら、大部分のものがその再評価をいたさなかった理由、原因と申します点は、春日さんの方がこれはよく御承知であるので、私から申し上げることもないと思いますが、いろいろ理由はあると思います。その理由は、まず収益の状況等から考えて、なかなか資産の再評価をするだけの余裕がなかったといったようなこともありましょう。また一方でごく技術的な問題として、帳簿の組織その他が十分整ってない、従ってそのために資産というものを正確に把握することが非常に困難であった。要するに経理がよく整理できていないといったようなこと、いろいろ理由があったでありましょう、その他もろもろの理由があったと思いますが、それを今主税局長が申し上げましたのは、そのチャンスを利用しなかったのは利用しないのが悪いのだという意味で申したのではないと思いますし、私どももそういうふうに考えていない。それにはそれ相当理由があったであろうし、その理由がだんだんほどけていくに応じて、大企業については与える必要のない再評価のチャンスを、中小企業に限ってはもう一度与えることが、全体の政策として適当ではないか。いわば中小企業というものが、そういったいろいろな点で出おくれておりますから、大企業に比べて出おくれた者に対してもう一度チャンスを与えてやる、こういう見地からできておると思います。再評価をしなかったやつはけしからぬのだからほっておけというのだったら、こういう法案は出さないのでありまして、先刻主税局長が申し上げましたのは、そういう意味で申し上げているのでありまして、御了承いただきたいと思います。
  35. 春日一幸

    春日委員 それは河野さん、久しぶりで国会へいらしたけれども、答弁になりませんよ。私がお伺いしたのは、一度、二度、三度のチャンスが与えられておった、しかもそれは大きな特典であった、アリに砂糖を与えても、なおかつアリが砂糖にたかってこないということについては、よほどの理由がなければならぬ、その理由は一体何であったか、これをお伺いしておるのです。砂糖にアリがたがらなかったのは、その理由にいろいろな要素があろうと思うのだ、砂糖の中に青酸カリがまぜてある場合もありましょう、その場合は、アリが神通力で、これを食ったら死ぬと思ってたからなかったわけであります。だから、その理由は何であったと理解されておるか、一度、二度、三度やって、四度やることも自由でありますが、これもだめで、五度、六度やる、従って、今回は一切のアリが砂糖にたかってくるように、その砂糖の中にある不純物を除去して法律を出さなければ、あらためてここに法律を提出することが意味をなさぬのだ。だから、その砂糖にたがらないアリの心理、一体これは、砂糖の中にいろいろな來雑物があるのであろうか、それは何であると理解分析をされておるか、これをお伺いいたしたいのであります。御答弁願いたい。
  36. 河野通一

    河野政府委員 たとえのお話で、お答えが非常にむずかしいと思います。中小企業が再評価をしやすくするためには、もちろん再評価税をかけないにこしたことはない、これは明らかなことであります。中小企業が再評価できるように、他の要素をすべて捨ててしまうということがいいか悪いかの問題は、やはり政策的に判断をすべきであろうと思う。従って、今度は、先ほど主税局長が申しましたように・税率についても、できるだけの低い税率ということで、配慮はいたしてあると思います。従いまして、今春日さんのお尋ねのように、できるだけ中小企業が再評価をしやすくするために、どの程度まで全体の仕組みなり、あるいは税率なりというものを配慮するかという、非常に言葉が悪くて恐縮でありますが、やはり程度の問題ということになると思います。大蔵省といたしましては、できるだけそういったことを配慮しながら、他との権衡、著しくバランスを失することなくして、できるだけ中小企業が再評価をやりやすくするように、今度の法案ではわれわれとしては考慮をしたつもりでおります。
  37. 春日一幸

    春日委員 それではお伺いいたしますが、この法律が対象といたしております再評価の差額というものは、大体総額どのくらいに見ておられますか。
  38. 河野通一

    河野政府委員 正確なことはなかなかつかめませんが、大体法人で三百億、個人で五十億程度ではないかと見ております。ただこの数字は、見込みでございますから、はなはだ正確を失する点があるかもしれませんので、その点は御了承をいただきたい。
  39. 春日一幸

    春日委員 政府がどういう資料でそういう数字を出されておるか存じませんが、これは、いうならばあまりに荒っぽいメソッ、だと思うのです。私は経済学者といたしまして、いろいろ調査をしてみたのだが、それは、あなた方の推定額とはあまりに多く隔ち過ぎます。今日再評価漏れの企業資産というのは、私はどんなに少く見積っても、現実には一千億をこえると思うのです。あなたは理財局長といたしまして、そういう企業資産というものについては、大きな責任をお持ちになっておると思うのです。そういうあなたの推計でも、かれこれ四、五百億になると思うのだが、私たちは、その倍額くらいはあると思っておるのでありますけれども、そういうものが、現在の経済の実態に即して再評価されなければならない、これは、企業を不健全な状態にほっておくということは国家の重大問題です。この大政策を効果あらしめるための法律なんですよ。だとするならば、それが四億や四億五千万の税収の事柄に関係をして、その法律の効果が上らぬとするならば、これはあなたとしても重大な決意を持って臨まなければならぬ問題だと思う。今あなたが御答弁になりましたように、今日まで三回にわたるところのチャンスがあったにかかわらず、中小企業者があえてそのことをなさなかった理由は、これはあなたが今述べられたように、要するに償却前の利益というものが中小企業では少な過ぎるということ、あるいはまた全然ないということ、従って再評価してもしなくても、税の面において受けるフェーバーは大して期待できない、こういう点も一つあるのですね。同時にやはり固定資産税との関係もある。すなわち地方税法の四百十四条には、その標準は、課税対象たる資産償却の基礎となる価額を下回ってはならないとある。そういたしますと、今回再評価いたしますれば、今までの固定資産税よりも再評価しただけ余分に固定資産税を払わなければならないような、さらに重い負担をこの中小企業に加えてくるような心配等もある。すなわち、これは今申し上げましたように、この砂糖をアリが食うならば、これはやはり自分の命に関係する、自分のからだをそこねてくる、こういうことからあえて食わないのです。だから、今回企業資本を充実して、企業健全化をはかり、わけて今回の措置は、中小企業の保護育成ということに政策の目的がありとするならば、これは、やはり中小企業者が百パーセント資産評価がなし得るような、そういう態勢を整えてこの法律を出さなければいけないのではありませんか。こういう立場から、私はこの際主税局長にお伺いいたしたいのすが、今回の中小企業のための資産評価法律の中に、二十九年に講ぜられた第三次資産評価のあらゆる特典が今度は全然講ぜられていないというのは、一体どういう理由でありますか。大企業、大資本に対しては、固定資産税に対する特免措置、あるいは長期にわたる税金の延納措置、いろいろなフェーバーを強いものに対してあまねく講じておいて、今度は弱いものに対して資産評価を行おうとするときには、これらのいろいろな特典を剥奪しておいて、直ちに税金をかけるというようなばかげた法律を作ったところで、中小企業者はおいそれと乗ってこない、乗ってこなければ何もならない。ただ中小企業者のためにはもう一ぺんチャンスを与えるのだといって、食べもしない、食べれば固定資産税として大へんな税金が加わってくる、こういうような青酸カリをまぜておるような砂糖をアリの習性につけこんでばらまくなんて、あまりに陰険、悪らつ、侫奸、邪知ではないか、これは、どういう意味で今まで与えた特典を中小企業者のためにあえて与えないのであるか、その理由伺いたい。
  40. 原純夫

    原政府委員 その点は十分考えておるつもりであります。まずお話しの延納その他の問題は、もうそういうめんどうな計算をしないで、税率もうんと安くしてあるのだから、二年で納めて下さいということにしてありま、が、これは非常に複雑な計算を要する。つまり再評価によって償却がふえ、償却がふえたので税金が減るが、税金が減る額よりもよけいに再評価税を納めるので、それを納めますその納期については、その差額だけ延ばすというのが延納の措置でありますけれども、今回は中小企業ということであるからすべてを簡単にしたいということと、一方で税率を非常に安くしてありますから、まあよほどの場合でないと、大ていの場合は、再評価をして再評価税は払うが、所得税法人税はかなり負かる方が多いのであります。これはほとんど全部の場合といってよいと思います。そういうようなことも考え、今一一申したような計算をしてこまかい額を延納することは、しない方がよいだろうということにいたしたわけであります。やはり一番優遇しておるのは、税率を二%にしておるということであります。これは第一次、第二次におきましては、御案内通り六%をとったわけです。第三次におきましても、強制ベース以外のものは六%をとっております。それから強制の場合ないし強制に準ずる場合、つまり再評価限度額の八割以上再評価をするという場合には、下から六五%までのところにある再評価差額については半分の三%をとり、それをこえるものについてゼロにするという優遇でありますが、それを全部一次から加重平均してみますと、個人ではたしか再評価税の税率が四・七%、法人でも三・三、四%になっておったと思います。そのうち、三次分だけだったらもっと下りますが、それにしても、それらに比較して、二%という税率はかなり安い税率であります。その点で、税の面で相当大きく優遇してあるということは申せると思います。その他再評価の実施についてのいろいろなやり方を、あまりめんどうなことにせずに、簡易にやれるようにというような、配慮を全般に払ってあるということであって、決してこれが今までの再評価に比べて酷であるということではなくて、非常にけっこうな再評価ではなかろうか、簡単に計算してみましても、耐用年数十五年のものと見ましても、法人でしたら、定率法でやれば年に一五%くらいの償却はできるわけですから、再評価で百万円資産の価格がふえるということになりますと、初めの年度には十五万円償却がふえて所得が減る。十五万円減りますと、かりに四割の税率ですと、六万円税が負かる。三割五分でも五万何千円という税が負かるわけであります。一方納める税は、百万円に対して全部で二万円ですから、それも、初めの年度は半分の一万円納めればよろしいということでありますから、先ほど申した延納の必要も実際上ない、そうして、それこそが今回の目的でありますが、償却は非常に実態に即したものになれるというように考えておりますので、だいぶ様子の悪いようなたとえが多いのですが、これはけっこうおほめいただけるのではないかと思って実はやっておるのであります。
  41. 春日一幸

    春日委員 特にこの問題については、わが国の産業経済を健全に発達せしめていくためには、企業資産を再評価せしめなければならないという大前提を忘れていてはいかぬと思います。この目的を達成するために法律を作って、それが税法上のちょっとした違いで四億、五億というようなことは大したことはないと思います。それをあなたがかたくなに固執するために、この資産評価の大目的がはばまれるとするならば、これは天下国家の高い政治的な立場において大いに考慮を要する事柄であろうと思います。とにかく一千億以上の資産評価を行なって、そのことによって中小企業というものがさらに健全な次への段階に発展していくために、中小企業のためのいろいろな政策が総合的に考えられておるのだけれども、これが必要欠くべからざる事柄として今回単独立法で行われようとしておるのですから、この際、やはり法律効果を減殺するようなこの二%の課税という問題は、大いに考えていただかなければならぬ。特に能力のある企業体は、すでに資産評価をおおむね完了しておるということです。それから完了したから、法人税法上あらゆる特典をすでに受けておるということ、中小企業者がそれを受けていないのだから、従って、この際最初から比べれば、四、五年おくれてその特典を彼らにとにかく与えていこうという、言うならば彼らは赤子だから、食べたくないような食べものでも無理に食べさせるような態勢、口をこじあけても流し込んでいって栄養をとらせる、そういうような親心というものがなければなりません。均衡論という問題は、今主税局長は、前は六%だったが、今は二%で十分見てあるというのだけれども、これは一均衡論という、ただ六%と二%といっただけで見るべきではありません。私は今正確な数字は忘れましたが、昭和二十五年から三十年度に至る五カ年間に各種の租税特別減免措置によって減免されておるもの、留保されております税の総額が、確かに四千六百何十億の大きに達しておると思うのです。中小企業者はそういう恩典を受けていないのです。だから、この際税金というようなことは全然考えないで、別に企業資本を充実していかなければ合理的経常を達し得ない、こういう目的でやるならば、その障害になるようないろいろな税法上の措置は、しかも、それが国の収入に対して大きな欠陥を生ずるというのならば別でありまして、これは財政的見地からいって別の検討が必要でありましょうけれども、わずか四億五千万や六千万ばかりの小さな金額のことで、再びこの第四次の資産評価も実際的な効果が上らないようなことがあるとするならば、この際やはり本筋を通して、枝葉の問題にこだわらないで、全面的な二十九年の事務的な再評価でも私はかまわぬと思う、とにかく新しい負担の加わらないような考慮をそこに示して、そうしてことごとくの資産評価を行なっていない中小企業資本が簡易の措置によって、かつ何らの負担増を見ないで、そういう資産評価がなし得る措置を講ずべきと考えるが、原さんいかがでありますか。
  42. 原純夫

    原政府委員 確かにそういう御議論がございます。そしてわれわれこの法案をお願いいたします経過においても、そういう御議論がいろいろとございました。もちろん私どもそれは承知いたしておりますが、それらをくるめて私ども考えまして、いろいろ相談もした結果、そういう見地も入れて、それだから二%という考え方で、二%というものは考えたわけでございます。お話の御趣旨は、考え方として確かにあると思いますし、私どもそれは承知せぬわけではない。また承知して、それらを含めて、それに先ほど来申しました公平論だの、あるいは実際論というようなものを加えてこの結論に達したような次第でございまして、その結果、先ほどちょっと簡単に数字でも申しましたが、再評価をするということは相当な利益になることが明らかでありますので、この程度の税が再評価をはばんでしまうということは絶対にないと思います。私どもとしては、さらにそれ以上、今回は中小企業のための再評価でありますから、通常ではなかなかそういう面に気持が動かないと申しますか、経理的に頭が走らない人たちも多いことでありますから、実行上できるだけ努力して周知徹底をはかり、なるべくこれが行われるようにという努力はいたしたいと思いますが、制度として再評価を、毒がありそうだからやめるというようなものでは全くないと思いますので、その辺は一つ御了解をいただいて、今後の私どもの努力を見ていただきたいというふうに思います。
  43. 春日一幸

    春日委員 これは、私は中小企業の租税公課の全体的立場における検討が十分尽されていないのではないかとすら思われます。と申しますのは、この二十九年の第三次再評価に当っては、特に特例が設けられてある、それは、延納の措置と同時に、並行的に地方税法四百十四条で、ただいま申しました通り、すなわちその標準は、課税対象たる資産償却の基礎となる価額を下回ってはならないという、この規定の例外措置が応じてあるのです。ところが、今回は中小企業に対してこれが講じてないのです。だから資産評価が行われれば、固定資産というものはもっと大きくなります。それに対して固定資産税をばんとかけてくる、これは固定資産税がもっとふえる、ところが、一方でこの中小企業法人、あるいは中小企業は収益率が少い、これはあなたもよく御承知の通りであります。収益率が少いから償却前利益というものが少いのです。だから、この法律によって受ける特典というものは、大企業の場合に比べて少い、軽微なものである、すなわち所得税法、あるいは法人税法によって受ける利益ははなはだ少くして、一方固定資産税をぽんとかけられてくる、こういう形になって、なおかつここに二%の税金をかけるということになると、これはおためごかしにおびき寄せて討ち取るということになるのではないか、これは私がひどい内容を含んでおると申し上げたけれども、それは言い過ぎではありません。特に第三次資産評価のときに延納の特典を与え、それから固定費産税の上において特別の措置を講じて、そしてそういう被害を防除した、ところが今回はこれが野放しだ、固定資産税はどんどん地方税で取られて、そして償却前の資産が少いところからくるところの所得関係税金というものから受ける税は、これはきわめて少い、プラス二%のこの再評価税、こういう形になってくれば、中小企業のためには何ら福音ではない、これは大へんな重荷を新しくここに付加する形になってくる、一体なぜ、この前はこういう特別の減免措置を講じて、今回は中小企業者だけにそういう特権を剥奪したのか、そのわけを御答弁願いたい。
  44. 原純夫

    原政府委員 固定資産評価につきまして、第三次再評価の際にいろいろな特例の規定があるということは、お話しの通りでありますが、これにつきましては、三十三年は、御案内通り固定資産税の対象になります固定資産評価評価がえする時期です。そのときには新しいベースでやるということに相なっております。いわばちょうど今回のでベースがそろうということにも相なると思います。なお重ねて、もうからないからというお話でありますが、実際に今回四次の再評価を認めます大きな原動力になりましたのは、中小企業が前回の二十八年、九年という時期はあまりよくなかった、だんだんその後景気がよくなってだいぶ利益も出てきたので、この際やりたいというような気分があるようでございます。やはり経済がこれだけ拡大し順調に発展しておりますので、これは法人税あたりの統計を見ましても、中小企業の面も相当伸びてきております。おっしゃる通り、もう償却すべき利益もないというならこういうことは問題にならないわけですが、これには相当人気が出てきてる、そして再評価しますれば、先ほど申しました通り、通常の場合でしたら、通常というか、ほとんど全部の場合に、もう初年度から再評価税を納めても、まあ再評価をした分の七、八割は得になるということが概括的に言えると思います。そういう意味で、若干の税をとりましても、これが再評価を全体として食べられないものにするというようなことに決してならないのではないか。一方で、先般来申し上げましたような公平論あり、また水増し評価を防ぐ意味の実際論あり、すべてを勘案して、この程度のところは妥当なところではなかろうかというふうに思うのであります。重ねて恐縮でありますが、そういうふうな考えでおる次第でございます。
  45. 春日一幸

    春日委員 中小企業においても、二十八年、九年は不況であり、本年度あたりは好況だというこの一律の概念が、私は根底において大きな誤まりをなしておると思うのです。これは、私が何も資料なく申し上げるのではありません。なるほど大企業、大財閥においては、十カ年にわたるところの資本家擁護一辺倒の政策で、企業利潤は増大してきました。それは、一兆円内外の財政資金をもって大企業のための政策が累積されてきたのだから、今日大企業が繁栄することは当然のことだ。ところがこの大企業の傾向を類推して、中小企業も非常に景気がいいという、こういう判断は、いろいろな政策を立案されるに当ってきわめて大きな危険をもたらす心配があると思う。これは、私が中小企業問題の総括質問のときに、東京手形交換所について調べた資料、これは本会議で申し述べましたので御記憶があるかもしれませんけれども、昭和三十年の十月、十一月、十二月の不渡り手形件数と、昨年度昭和三十一年の十、十二、十二の三カ月の不渡り手形の件数をそれぞれ調べてみました。そういたしますと、大体において一割二、三分不渡り件数がふえておる、しかもその手形自体が少額の手形であるところから判断をして、これは中小企業の発行手形であるということは、評論家もみなこれを結論づけておるところであります。そうしますと、手形の不渡りということは、中小企業にとって自殺行為なんです。不渡り手形を出せば、自然その企業の信用が失墜し、取引はすべて現金取引に局限される、取引が小さくなる、これはほとんど自殺行為で、あらゆる手を尽したあとで、最後に音をあげて出すのがこの手形の不渡りなのです。だとすれば、なるほど世をあげて神武景気だと言っておるけれども、こんなにも不渡り手形が、三十一年は三十年よりも多いのだから、これは、逆に神武景気は中小企業には無関係である、無関係であるというよりも、さらにその窮迫の度が深められている実証である。こういうようなときに、収益率が多いから中小企業資産評価をみずから望んでいるとかいうあなたの考え方は、私は必ずしも正しい理論ではないかと思う。もとより中小企業者は、だれしも資産の再評価をしたいですよ、けれども、それに伴っていろいろな負担が加わってくれば、税率が今回は三分の一に下ったということはわかるけども、そんな三分の一や三分の二の問題じゃない。これは、結局の話が、そういうことをすることによって地方税が加わってくれば、そうしてその二%の税金を短期間に納めなければならぬ、こういうところから、現実にはやっていけないわけです。あなたのところに来る中小企業者は、どうせひどく困った人は来ないので、割合に景気の恩典を受けておるような人たちが来るのであろうから、従ってあなたの判断というものは、片寄った資料によって言っておるというふうに私には想像されるのだが、どうか一つ、そういう科学的資料を――もちろん私は、東京手形交換所だけについて言っておるので、これは大阪もよろしい、名古屋もよろしい、九州その他をずっと手形交換所において、中小企業者が発行している手形の不渡り件数が減っておるかふえておるかを調べて、そのことを十分に御判断を願いたい。税務署が調べた所得額というものはだめです、これは苛斂誅求というか、おどしをかけたり何かしためちゃくちゃなものだから、そんなものはだめです。だから、平常の何ら拘束を受けないところの経済上の現象として現われた数字を把握して、これは流動する経済のあらゆる要素の錯綜する中において、手形が不渡りになってくるということ自体が、景気不景気の一番いいバロメーターなのです。私たち経済学者は、これを資料として大体とっておる。そういうわけでありますから、私が申し上げるのは、中小企業というものは、今景気がいいと一律には断じがたい、中にいいものもあるけれども、大部分はこういう工合で悪い傾向をたどっておる、こういう立場から、資産評価の問題をよく検討願わなければならぬと思う。それで、私が特に非難したいことは、大企業に対してはいろいろ特典を与えておるが、彼らは担税力があるのです、そうして収益率はうんと大きいのだ、こういう連中に対しては、いろいろの恩典を与えておる、たしか三十六年度までだったかと記憶しておるが、延納の特典を与えた、かつ地方税についても、特別の恩典を与えている、それと同様のことがどうして中小企業にできません、まあ実子とまま子との関係があるかもしれないけれども、池田さんがこういうことを考えられたとするならば、これは重大問題だ。大企業、大財閥のためには特典を施した、中小企業者のためには、その与えてあるところの前例を今度は特に剥奪してしまう、これは、本来両方子供だと思ったら、まま子いじめというか、全くひどい仕打というものは、世論の許すところではないと思う。どうかこの点を十分御検討を願わなければならぬと考えます。なるほど今度は、六%が三分の一に減っておるからというけれども、昭和二十五年から三十二年、三年までの時間的ずれを考えて下さい、片方は、この特典を行使し得て十分減税が行われており、資本の蓄積も十分に行われておる、片方は、いろいろな意味合いで、本日までその特典を行使することができなかった、従って、それだけ今まで実際的な正味の利得ではないものを、自分の資本を食いつぶして税金を納めてきておる、この現実は正視していただきたいと思うのです。だとすれば、この二%というものを全然減免して、さらに再評価による特典をあわせて行使しても、私は理論に何らの撞着がないと思う、いかがでありますか。
  46. 原純夫

    原政府委員 前回この延納を認めたのに、今度延納を認めないという点を特に御非難のようでありますが、もうそういうことをやらないでも大丈夫だということを申し上げたいと思います。先ほど例に引きましたように、再評価して百万円資産の価額がふえる、そうしますと、二%の再評価税を払う、二万円であります、これを二年で払って下さい、ですから一万円、一万円ということになります。さて、そこで再評価して償却がふえる、その償却に対して、法人の場合、かりに簡単にするために四割で計算しますれば、一万円法人税が減ればそれでとんとんなわけです。延納の必要がないわけです。一万円法人税が減るためには、償却が幾らふえたらいいか、四割で計算しますと、二万五千円償却がふえればいいわけです。百万円資産価額がふえて、二万五千円しか償却額がふえないというのは、よほどまれな場合です。耐用年数表で見えますと、定率法で読みますと、耐用年数九十年の資産でないとそういうことにならない、九十年より短かい資産は、みんなそれよりも償却額が多いのです。ですから、九十年の資産というのは、ほとんど日本じゅうにも幾らもないというようなもので、税表には全然ない、みんな負かってくる、法人税の方が、納めなければならぬ再評価税よりも多いという場合が全然だと申してよろしいと思います。そういうようなことで、この点は御非難に当らないんじやないか。一方で、中小企業のための再評価でありますから、簡単にやりたいということを考えますと、ただいまの点は簡単にということを抜きでも御説明できるところで、その他万般に簡単に、そして都合のいいようにというように考えておりますので、その点をとらえて御非難いただきますのは、大へん私どもいかがであろうかと思うのでございます。
  47. 春日一幸

    春日委員 固定資産税はどうですか。
  48. 原純夫

    原政府委員 固定資産税の方は、本来公平に固定資産税をとるというのが建前でありますから、やはりそのときの公平な評価によってやるので、再評価さえしなければ安いのでとられるというのは、やはり建前としておかしかろうと思います。再評価の場合に特例を設けますのは、一時的に急激な変化を避けるというようなことであって、やはり公平に評価をしてとるというのが、固定資産税の本来の趣旨でございましょうから、激変を避けるという措置は要るにしても、激変を避けるというのは、先ほど申しましたように、前回の分が三十三年の一月一日で再評価といいますか、評価がえをされる、それに合うというようなことにもなりまするので、それらを合せて、全般が公平になるというふうにお考えいただいてよろしいのではなかろうかと思います。
  49. 春日一幸

    春日委員 形式論、実態論、いろいろありましょうけれども、中小企業が来年度かりに評価がえが行われたといたしましても、これは慣例上、一つ一つの機械、物件についてそれぞれ地方公共団体から評価するわけでありませんから、これは、大体その帳簿記載価額がその評価額になるのです。ところが資産評価をすれば、これが今度は明確に変ってくるのですから、地方税負担がそれだけ増大することは歴然たる事実です。来年の一月にこれが評価がえの機会がくるから、それによって全面的な均衡をはかれるだろうというようなことは、現実には即さないのです。なるほど物件の一つ一つについて、旋盤一台からその工場生産設備の一つ一つについて、何か民主的な委員会一つ一つ点検して評価するという形になれば、それは公正なる評価額についての課税ということになりましょうけれども、実態はそういうわけではありません。何回か申し上げるように、税務署と違って、重箱のすみをようじでつつくような、そんなえげつないことを地方公共団体はやらないのでよ。ですから、現実負担が大へん変ってくるというこの事柄は、現実論としてあなたは認めなければいけない。だから、徴税理論としては、あなたの言われることは一つ理論ではありましょうけれども、この法律と関連して、われわれは中小企業の経営の基礎を確立する、そして企業資本を充実する必要がある、だから、この法律を作るのだ、こういう立場からいうと、これは逆の効果しかないのです。だから、本末を転倒してはいけない、よって派生する事柄がその本流をせきとめてはいけないのです。その点はよくお考え願いたい。私の申し上げんとするところは、この再評価のことに魅力を持たして、そうしてこの際全面再評価の効率を確保せよということにあるのです。だから、私は本日の質疑応答を通じて、大体問題点は頭を出したと思う。なお私は、この二十五年の速記録をよく検討いたしまして、その当時審議に携わったいろいろな人たちの御意見等も聞いてこういうものに課税をしなければならないというその財産上の均衡論というものが、果してその当時あったのかどうか、この点もさらに私は十分検討いたしまして、なお与党諸君の御理解も得て、適正な結論を得たいと考えまして、本日はこの程度で、質疑を留保いたします。  どうか一つお願いをいたしておきたいことは、今日中小企業者がちっともよくないということ、それから、こういうような機会にあらゆる施策を通じて、中小企業こそはその経営の基礎を確立しなければならぬのだから、この大目的に反するようなことがあり、しかもそれが枝葉末節であるならば、あまりこだわらないで、さらっとした気持でそれらの要請にこたえて、そうして本筋を生かして枝葉にこだわるな、このことを強く申し述べまして、私の質問を次会に譲ります。
  50. 山本幸一

    山本委員長 続いて有馬君の質疑を続けます。道路局長は今参議院の予算委員会関係でおくれておりますが、いずれ来ると思います。道路企画課長が見えております 有馬輝武君。
  51. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私は、今回の揮発油税の増徴に関連いたしまして、若干の点をただしたいと存じます。最初に、道路局長が見えていないそうでありますから、関係課長からお伺いいたしたいと存じま、が、ワトキンスの調査団の勧告に基いて、道路整備五カ年計画が立てられて、それに従って現在まで道路整備が行われてきたはずであります。わが国の一般予算に対する公共事業費の比率というものは、年々非常に高くなってきておりまして、現在でも一五、六%のところを低迷いたしておるはずであります。昭和二十九年度までで大体九千億くらいの金が戦後使われたと思うのでありますが、今度この五カ年計画を変更されて、新たに十カ年計画を作られたということであります。なぜこの五カ年計画を変更しなければならなくなったのか、この当初の五カ年計画と実際の進捗状況はどうなっておるのか、この点をまず第一にお伺いいたしたいと存じます。   〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕
  52. 高野務

    ○高野説明員 道路整備につきましては、昭和二十九年度から道路整備五カ年計画を実施いたしております。昭和三十二年度に五カ年計画に対して七二%進捗いたしますので、五カ年計画に対しては予定通りにいっているということは申し上げられます。
  53. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 あなたも御承知のように、公共事業費の中に占める災害復旧費の予算は、約半分にも及んでおると思いますが、今の進捗状況と災害との関連はどのようになっておりますか。
  54. 高野務

    ○高野説明員 実は、災害復旧の関係は所管外でございまして、よく承知しないのでございますが、災害復旧は、過年度については大体片づきつつあるのではないかと思っております。
  55. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 知らないから今みたいな答弁をされるのだろうと思いますが、あなたが言うように、災害復旧はちっとも片づいておりませんよ。問題は、なぜこの五カ年計画を変更せざるを得なくなったか、この理由について明らかにしてほしいと思います。
  56. 高野務

    ○高野説明員 二十九年度からやっております五カ年計画は、ただいま御説明申し上げましたように、大体予定通り進んでおるわけでございます。しかし、わが国の道路の現状からいたしまして、五カ年計画の程度では、道路の整備が交通需要に対してとうてい応じ切れないということがいえるわけでございまして、三十三年度あたりから、五カ年計画よりさらに大きい規模で、新しい十カ年計画を始めたいと思っておりまして、現在作業を検討中でございます。
  57. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 わずか五年の間に、この五カ年計画では応じ切れないというような計画を立てられて、それで建設省としては膨大な国の予算を使う、国民に対して、それで申しわけ立つと思いますか、その点、どうなんです。
  58. 高野務

    ○高野説明員 まことにごもっともなことで、遺憾にたえないと思います。しかし二十九年度に五カ年計画を作りまして、当時の交通量の推定をいたしましたが、これに対して、その後私どもの見積り以上に交通量がふえているということが言えるのじゃないかと思います。
  59. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 この前の租税三法の討論のときにも私申し上げましたが、徴税の総本元である大蔵省でも、昭和三十年度の税収見込みについて、約百億も見込まれないということを言いながら、実際には一千億もあったということであるが、大蔵省自体がそういうことをやっておるから、建設省あたりがそういった見込み違いをするのも、またやむを得ぬかもしれぬけれども、問題は、今度の十カ年計画が、先ほど立てられた五カ年計画と同様に、簡単に変えられる、しかも国の膨大な予算がそれに使われていくということであっては、これは国民に対して申しわけがないので、今度の十カ年計画の概要についてお聞かせを願いたい。その十カ年計画で、どれほどの予算を必要とするのか。これは、今度の揮発油税の増徴と非常に大きな関連が出てくるので、その費目についての財源をどのように見込んでおるのか、この点を大蔵省と両方から御説明願いたいと思います。
  60. 高野務

    ○高野説明員 十カ年計画につきましては、ただいま申し上げました通り、現在検討中でございます。これを立てますのには、経済企画庁で現在やっております作業――総生産の伸びの見方、あるいはこれによりまして生ずる交通需要の関係を十分検討しておりまして、目下作業中でございます。しかし、これは私どもの素案として持ちました数字一つございます。その素案として持ちました十カ年計画の費用は、約一兆七千億であります。しかし、これはまだ大蔵省の方とも話がついておるわけじゃございませんが、この程度事業をやりますと、日本の道路が交通量に応ずるだけの整備ができるのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、財源等につきましては、まだ大蔵省の方と話し合いがついておらない状況でございます。
  61. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうすると、昭和三十二年度から始める十カ年計画についても、具体案ができてない、それで、ガソリン税だけは前もっていただいておこうというわけですか。
  62. 高野務

    ○高野説明員 ただいま私の言っております道路整備計画は、昭和二十八年度にいただきました、道路整備費の財源等に関する臨時措置法によって仕事をやらしてもらっております。
  63. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうも答弁がおかしい。道路局長伺います。今課長の御説明によると道路整備計画の十カ年計画はできておらぬけれども、揮発油税はいただきましょうということなんですが、この財源の関係はどうなっておりますか。
  64. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 ただいま実施いたしております道路整備計画は、二十九年から立てられました道路整備五カ年計画に基いております。本年度の予算で、この五カ年計画は、大よそ計画通りいけるだけの予算がつけられたわけであります。ただこの五カ年計画につきましては、最近の道路交通からいきまして、道路の整備が従来の規模あるいは構想では不十分でありますので、新しい構想で、規模も増大して実施する必要が出て参りました。そこで新たな十カ年計画というようなものを、ただいま検討いたしておるわけでございますが、三十二年度の実施は、従来の五カ年計画を計画通り実施するという予算でございまして、内容につきましては、さらに検討いたすことにいたしております。
  65. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 漏れ伝わるところによると、あなたの方では、一級国道を五千九百キロくらい、二級国道を五千八十キロくらい、その他主要な地方道路を、合せまして、二万八千キロくらいを十カ年でやりたいというような御計画らしい、それには一兆何千億の予算を考えておられるらしいけれども、今お尋ねしたのですが、五カ年計画を十カ年計画に変更せざるを得なかった根本的な理由はどこら辺にあるのか、当初の五カ年計画というものはそれほどずさんなものであったのかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  66. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 十カ年計画を考えておりますが、五カ年計画の残りは、その十カ年計画に組み入れて実施いたしたい考えであります。三十二年度の予算で、従来立てました五カ年計画は大よそ計画通り実施できるのでございますが、ただ内容につきましては、たとえば鉱工業地帯の道路の整備、あるいは首都圏内の道路の整備、あるいは東北開発のための道路整備というようなことで、地域的にも重点の置き方を変えなければならぬ点がございますし、また道路の種別に応じましても、重点の置き方を変えなければならぬ点がありますので、それらの点は、改正いたしまして実施する計画であります。
  67. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 一級国道は全部舗装する、あるいは永久橋を作る、この計画はもとよりわれわれとしても賛成であります。特に産業規模の拡大のためにも、ぜひこれはやらなければならない仕事でありますけれども、問題は、計画はあくまで綿密に立てていただきたいということと、それから少くともあの当初には、その財源としては、一般会計から五割、ガソリン税から五割というような計画が立てられておったはずであります。それと同時に、やはりこれは税法上の目的税じゃないけれども、その性格自体は全く目的税なんです。目的税というものは、予算の規模が拡大するにつれてどんどんふくれ上っていく、そうしてその負担が一部の者にしわ寄せさせられるので、増徴の際にはよく考えなければいかぬという論議は、建設委員会でも十分なされたはずであります。当初のこの論議がだん、だん変ってきておるそのゆえんはどこにあるのか、それでいいと思っておるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  68. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 五カ年計画が立てられましたときには、ガソリン税相当額とその他の一般財源を入れまして、これで計画されております。もっとも閣議決定されましたものは、五カ年計画で実施いたします事業の量だけでございますが、その裏に考えられましたものは、先ほど申し上げましたような考え方で、財源を考えておったわけでございます。そこで、十カ年計画というようなことに移るといたしますと、財源的にも非常にふくらむわけでございます。その中に、当然揮発油税相当額と一般財源とが考えられなければならぬと思うのでございますが、その率等につきましては、なかなか理論的に出るものでもございません。しかしこれらの道路整備といいますものは、ほとんど自動車のためにする整備であることは間違いないことと存じます。そういった点からこの率をきめるべしとするわけではございませんが、十カ年計画の実施は、一般財源とも合せてする必要があろうと、従来の経緯に徴しまして考えるわけでございます。
  69. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 別な角度から。今度十カ年計画の第一年度として大蔵省に建設省からの予算の要求は、どの程度提示されたのですか。
  70. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 建設省で立てました十カ年計画に基いて予算の要求をいたしたわけでございますが、これは約九百五十億であったのでございます。しかしこの十カ年計画は、まだ建設省だけのもので、固まったものではないわけでございますが、予算の要求といたしましては、その十カ年計画に基いて要求いたしたのでございます。
  71. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうすると、約半額くらいは削られたわけですが、十カ年計画を十カ年で完遂するためには、結局明年度以降にしわ寄せすることになると思いますし、また本年と同じように明年度もその予算を削られるということになると、どういうことになっていくのですか。
  72. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 前に申し上げましたように、十カ年計画はまだ試案の域を出ないわけであります。私どもといたしましては、三十三年度からはこの実施をいたしたい考えでございますが、その際には、十分財源の裏づけを考えて計画を立てる必要があろうと考えております。
  73. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうすると、その財源の裏づけには、これは大蔵省にお聞きすべきかもしれませんが、あなた方はどういった点を見込んでおられるのですか。
  74. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 ガソリン税相当額が見込まれておるのは当然でございますが、なおそのほかに、一般財源も入れて計画いたしたいと考えております。
  75. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 一兆七千億に及ぶ道路整備十カ年計画で、ガソリン税がもう目の前にぶら下って目が見えなくなっておるというのが、道路局長の実態じゃないかと思う。しかも今までの五カ年計画は、非常にずさんでございましたがといったようなことでは、なかなか国民諸君の納得をいただくわけには参るまいと思うのです。  私は、十カ年計画についてもいろいろお伺いしたいことがありますけれども、やはりそこら辺については、あなた方は大蔵省に対して予算を要求する立場にあるんだから、大蔵省が幾ら安易な道をとろうとして揮発油税だ、揮発油税だと言ったって、それを押えるだけの力を持ってほしいと思う。大蔵省と一緒になって安易な道を歩いておったんじゃ、一部の人たちの大きな不満を買うだけに終ると思いますので、富樫さんは道路に全生命を打ち込んでおられる方でありますから、ぜひこの点は、明年度以降の問題としても十分頭に入れておいていただきたいと思います。立てられた計画については、私たちも全面的に賛成でありますし、そういった点から、今私が申し上げましたことは十分頭に入れておいていただいて、さらにこの十カ年計画については、建設委員会でいろいろお伺いいたしたいと思います。  次に、原さんにお伺いいたしたいと存じますが、臨時税制調査会で取引高税を施行した方がよろしいという答申がなされたのでありますが、その中で、揮発油税だけを特に取り上げられた理由についてお伺いしたと思います。
  76. 原純夫

    原政府委員 おっしゃる通り、臨時税制調査会で売上税の問題をだいぶん検討されまして、ただ結論は、この問題はわが国の間接税体系を整える上に重要な問題であるけれども、なお今回は結論は出ない、慎重に研究すべきだという結論になっております。調査会の答申が、間接税体系全般につきまして、売上税も含めて検討された結果、物品税を中心として間接税体系のバランスを整える、そして直接税における減税の財源も生み出すという線であったわけでありますが、その中の揮発油税に関しまする部分は、単に税負担の増徴の見地よりも、やはり道路整備の必要性とからんでの線で御判断をされたような答申になっております。従いまして、調査会は、道路整備の必要性、もちろんそれは一般財源との関連も考え合せまして、適当なところできめるようにという答申であったわけであります。私ども間接税全般については、自然増収も相当多いというようなことから、例外的な、どうしてもこれはというものにとどめることにいたしましたが、揮発油税、道路税等につきましては、道路整備の必要がただいまお話しのように非常に大きいということ、そしてまた一般財源の方も、いろいろ省内で考えてみましたが、なかなか一般財源から十分につぎ込むことはできないというようなことになって参りましたので、揮発油税もやはりこの際よけい負担をしてもらおうじゃないか、それについては、先日も神田委員にいろいろお答え申し上げましたが、受益の関係、外国との負担の比較その他も考えまして、こういう結論にしてお願い申し上げておるような次第でございます。
  77. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 これは、与党の方々にも迷惑でありますから、私たちは、できるだけ重複した質問は避けようと努力いたしておるわけであります。にもかかわらず、あえて神田君の質問と同じ形で質問いたしておりますのは、今みたいな御答弁じゃ納得がいかないから質問いたしておりますので、その点を十分含んだ上で御答弁いただきたいと存じます。私も簡単に質問いたしますから、局長の方でもポイントをついた答弁をしていただきたいと存じます。この前もお話がありましたけれども、今の御答弁でも、揮発油税、だけを――いろいろ考えた末揮発油税にというような御答弁でありましたけれども、そのほかのものはどのようなものを考えられたのですか。
  78. 原純夫

    原政府委員 間接税の面で調査会の答申の中心になっておりましたのは、御承知の通り物品税系統でございます。その分野で、新しい品目を選んで課税ベースを広げるようにという御答申でありましたのが、これにつきましては、全般として、そういう御意見は私どもたしかに正しい意見と思うのでありますけれども、今回は自然増収も相当多額が出る、そして所得税の減税も、何とかそれと特別措置の整理でまかなえそうだというようなことになって参りましたので、物品税をそういうふうに拡充するというようなことは、この際としてはいたすべきではなかろうという結論になったわけであります。なお間接税の系統では、あと骨牌税、――トランプ類税というふうに言い改めるつもりでございますが、これの方では、若干税率としては軽減でありますが、その改正をする、これは調査会の答申というよりも、従来執行の面における非常な不満足と、税率における非常な過重というような点を直したい、あと率の面で、印紙税の方では手形に対する税を体系的に整理しょうということでお願いいたしておるのは御存じ通りであります。間接税の面におきましては、大体全般を申しますとそういうような考えで、それだけのことをお願いしておるわけでございます。
  79. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いしたいのは、御承知のように石油を動力源とする産業、特に自動車関係におきましては、ずいぶん税金、租税公課というものが重複いたしておると思うのであります。揮発油税を初めとしまして、地方道路税、それから道路損傷負担金、あるいは受益者負担金、道路改修協力費、それから取引税と、あげれば切りがないほど公租公課が重課になっておると思うのですが、この点について、ほかの産業と比較検討された結果がありますか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  80. 原純夫

    原政府委員 業態別に税負担総体が幾らであるか、そしてもっと突っ込んでいけば、その業態のために支出されている国の財政支出が幾らかというようなことはなかなか重要な問題でありますが、計数がとれませんので、ぴったりお話の点に合うものは私どもまだできておりません。自動車の関係で、税が揮発油税以外を入れてどうなるか、これも自動車業者の所得税、あるいは法人税まで入れますればまた別になりますが、揮発油税のほか自動車に対する物品税、関税、あるいは地方の自動車税、それから軽油の引取税、こういうものをひっくるめて申しますると、総体で三十二年度ベースで八百四十九億というような数字になって参ります。一方道路関係事業費は、国、地方を通じて千億ちょっとこえるというようなバランスになっております。外国に比べますと、その関係が日本は今申しましたように、それらの税よりも事業費が若干、二割方多いということになっておりますが、アメリカ、西ドイツ、この辺は、それらの税と道路関係事業費がちょうど同じ程度、それから英、仏ですと、道路費はそういう税の四分の一くらいだというのが、道路だけで恐縮でありますが、私ども調べましたところの数字として持っておるものでございます。
  81. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点については、午後あとで詳しく数字でお伺いしたいと思いますが、午前中はあと一問にします。  昨年の十二月三日に衆議院の運輸委員会、それから参議院の運輸委員会で十二月の四日に決議をいたしておることは御承知の通りであります。とにかく道路整備については、国費をもって支弁すべきであって、これ以上揮発油税を増徴してはならぬということを衆参両院の運輸委員会で決議をいたしておるわけなんです。にもかかわらず今回増徴される、本会議で結論が出なければ、あるいは法律でなければ、各委員会の決議なんかを無視してもよろしいんだというような考え方に立ったのか、その根拠についてお伺いしたいと思います。
  82. 原純夫

    原政府委員 両委員会で御決議がありましたことは、私どもよく承知しております。先ほど来お話のありましたように、道路整備の必要なことはもう絶対必要で、これはだれも疑うものはございません。それの財源を何とかせにゃならない。一般財源から出せ、出したいという気持は私ども持っております。そこで、いろいろそういう面での検討もいたしましたが、御案内通り、一方で減税自体も道路整備にまさるとも劣らぬ政策でありますし、またその他の歳出の面においても御要望が多いということは、御存じ通りでありまして、そこがなかなか窮屈である。それではガソリン税というものがあるが、ガソリン税を増徴することの得失はどうかという議論を研究せざるを得ない建前になったわけでございます。その面で検討いたししてみますと、ガソリン税を百億円増徴して、それを道路の整備改良につぎ込みますと、道路の寿命を全部平均して十五年と見て、その間に自動車を走らせる人の受ける利益はどのくらいかと見ますと、自動車の台数がふえない、また輸送量、交通量もふえない、こういうことはあり得ない仮定でありますが、一応そういう仮定をとっても、百億の倍の二百億が利益になって返ってくるという数字が出て参りました。そういう増を見ますれば、おそらく四、五倍になるのではないかと思います。そういうようなことがございますし、最近には自動車が特に整備改良を要するというのは何のためかといいますと、自動車のための道路、道路は、いわば自動車の面では専用道路ということにもなっておる状態だから、それだけ利益も多いということであるならば、しばらくガソリンを使う人たち、結局それは最終消費者たる乗客なり貨物なりにある程度は転嫁されるということになるでありましょうが、間の運輸業者の利益がそれだけ大きいのならば、当初は全部吸収し得ないにしても、すぐに吸収し得るようになるであろう、終りの方になれば、むしろ輸送が合理化されて運賃が下ってくるということに、ただいまの数字はなるわけですから、そういうことであるならば、そこで負担していただく理屈の一つがありはしないか。翻って他国のガソリンの価格、それからその中における税のウエートというようなものを見ましても、世界において日本の価格なり税のウエートなりは、アメリカとかカナダとかいう少数の非常に豊富にガソリンを持っておる国と比べて若干高いだけで、一般の国よりもはるかに低いという数字もございますし、大へん憎らしく聞えて恐縮でございますが、一般の財源もなかなか苦しいので、この際、そういうようなことで全般くるめてやったらどうだろうというような結論になった次第でございます。
  83. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その受益者がだれであるか、また税率が安いか高いかということにつきましては、この前に神田君に対する答弁と同じような答弁ですが、それに問題があるので、私はきょう質問いたしておりますが、これはまた別な問題です。  私は、運輸委員会ではやはりいろいろな面を検討されて、そういうことが予想されたからあの決議案を出した、それを踏みにじられた大蔵省の憎たらしい気持に対して義憤を感じておりますので、そこら辺についてまずお伺いしたいと思うのです。この受益者の問題、それから税率の問題についてはあとからまたお伺いしますから、その点だけにポイントをしぼって答弁していただきたい。
  84. 原純夫

    原政府委員 御決議の通りにいかないというのは、大へん心苦しいわけでありますけれども、ただいま申し上げましたことがやはりお答えになると思います。道路整備が必要だ、何とかしたいという気持でやりましても、やはり一般財源にも限りがあることですから、そこはみんな力を持ち合い、相寄り相助けということで、受益の関係その他考えますと、そういうようなことも考えられるんじゃないかということなのです。そむいたからいけないと言われますと、それだけでアウトで、何とも申しわけない、相済みませんと申し上げるほかないのでありますが、気持を申し上げますとそういうことでございますので、一つ御了承願います。
  85. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 あとの問題については、午後質問いたします。
  86. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十分開議
  87. 山本幸一

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  とん税法法案外九法律案一括議題として質疑を続行いたします。有馬輝武君。
  88. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 道路局長にお伺いいたしたいのでありますが、午前中も、私、今度の道路整備十カ年計画並びに五カ年計画と、前の五カ年計画に関連いたしまして、災害復旧の問題についてお伺いいたしたのであります。戦前の公共事業費中に占める災害復旧費の割合は、一五%程度だったものが、戦後は五〇%にも及ぶような状況になってきております。この点については、いろいろそのよって来たる原因についても議論があろうかと存じますが、膨大な国の予算を使いまして、先ほども私が申し上げましたように、総予算に占める割合が一五、六%にもなっておる、この公共事業費の経済効果を最高度に発揮させるためにも、災害復旧に対する考え方、それに対する措置を十分に考慮に入れておかなければ、さいの川原と同じだという結論が出てくると思うのでございますが、この点について、道路局長のお考えをお伺いしたいと思うのであります。災害復旧費というのは、企業で言いますと減価償却費にも相当するもので、何も新しい価値を生まない、ですから、この問題をないがしろにいたしますと、やはり大きな問題が残ろうかと思いますので、この点について建設省としての考え方をお伺いしたいと思います。
  89. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 災害復旧は、道路の災害復旧でありましても、建設省におきましては河川局が所管いたしておりますが、災害に関する考え方は、まことに先生の言われる通りであろうと考えます。道路整備費の中には、災害関連事業費というものがございますが、この災害関連事業費は、災害復旧をするに当りまして、たとえば橋について申し上げますと、木橋を元のような木橋で復旧いたしましても、また再度災害を受けることになりますので、このような橋につきましては改良をいたしまして、永久橋にする必要がございます。そのために使う費用に災害関連事業費がございます。それで、災害を道路の面で考えますと、橋梁が最も災害を受けておるのでございますが、道路整備におきましても、木橋はできるだけ早く永久橋にかけかえるという趣旨で計画いたしておるわけでございます。
  90. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 木橋を永久橋にかえるとかいう簡単な答弁で逃げないで下さいよ。少くとも膨大な予算の半ばに及んでおる災害復旧費に対して、根本的な建設行政、道路行政というものが考えられなければならぬ。簡単に木橋を永久橋にかけかえるんだというようなことでは、十カ年計画の基本がどこに置かれるかということもわからないではありませんか、いま少し綿密な、長期にわたる計画の基本になるものをお示し願いたい。私はそういった意味で御質問申し上げておりますから……。
  91. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 先ほど申し上げましたように、災害復旧に関しましては、道路の災害復旧でも河川局が所管いたしておりますので、その点を申し上げたわけでございますが、しかし災害に対する道路局の考え方を、一般的に先ほど申し上げたわけでございます。その一例として、橋の場合を取り上げて御説明申し上げたわけでございますが、橋のみならず、海岸沿いの道路、あるいは川沿いの道路等につきましては、災害を受けないように新しい計画としては考えていくつもりでおります。
  92. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうも抽象的で話になりません。なお多岐にわたる点については、本委員会の限界を越えると思いますから、今の点はその程度にしたいと思いますが、やはり建設委員会等でもっと十カ年計画を立てられるなら立てられるらしく、災害復旧に対しても根本的な施策というものを、たとえば具体例として申し上げますが、国と地方財政との関連補助率はどの程度にすべきであるとか、いろいろそこら辺についても具体的な計画をもって御説明ありたいと思うのです。   〔委員長退席、横錢委員長代理着席〕 首をかしげておられますが、その点については、建設委員会でお伺いいたしますから、次に地方財政との関連についてお伺いいたしたいと思います。二月五日現在でも十八府県、五百五十五市町村というものが赤字団体で、いわば準禁治産者みたいなものです。これらの団体は、当然建設省で道路整備の計画を進めていかれる、十カ年計画を立てられるとすれば、それなりにそれに対応したところの事業を行なっていかなければならないと思うわけです。今でさえも、新規事業については押えられておるこれらの地方団体に対しまして、皆さん方がこの計画を進捗させる上について、どのような援助と申しますか、国の援助、これを考えておられるか、いわゆる地方団体がこれらの事業をどのようにしたならば、皆さんが考えるように行い得るのか、この点について富樫さんのお考えを伺っておきたいと存じます。
  93. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 道路事業に対しまして地方の負担する分が、三十二年におきましても七十五億ほど三十一年度に比べて増しておるわけでございます。この地方負担につきましては、道路の面に関しましては、地方道路税及び軽油引取税がございまして、この分が道路に当てられなければならぬわけでございます。三十二年度から地方道路税も、また軽油引取税も増すように伺っておるわけでございまするが、これらを考えますと、この道路事業費におきまして地方が負担する分につきましては、増額する分で大方まかなわれようかと考えられるわけでございます。もっとも地方道路税も軽油引取税も、この国の計画いたします分についてだけ当てられるわけではございません。県負担の分にも当てられるわけでございますから、直ちにこの計算で、これで地方の負担が十分であるとは申されないのでございますが、地方におきましては、年々県単独の事業も行なっておるわけであります。従いまして、本年度国の道路整備事業がふえるにつきまして、どの程度地方の負担がふえるかということになりますと、先ほど申し上げました地方道路税と軽油引取税の増加で大方まかなえそうでございます。なおこのほかに、地方交付税でございますが、その中でも、道路に基礎を置いている積算がございますし、また補助率等におきましては、道路事業におきましては、ほかの公共事業よりも高率の補助あるいは国の負担率を持っておるわけでございます。これらの点を考えますと、三十二年度におきまして増加いたします部分につきましては、大方地方負担におきましてもまかないがつくのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  94. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 赤字団体はどうなりますか。
  95. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 赤字団体につきましては、道路整備計画といたしましては、別に赤字団体を区別せずに計画いたしておるわけでございます。そこで赤字団体に対する地方負担の問題でございますが、これにつきましては、ただいま一応自治庁が大蔵省とも折衝されておると聞いておるわけであります。従来の指定事業のワクをふやす等の問題もあるように伺っておりますが、再建団体につきましても、特に考慮されておるように承知いたしております。
  96. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その再建団体について特に考慮されておるということですけれども、具体的にどのようなところまで進んでおるのですか、その点、ちょっとお聞かせおきを願いたいと思います。
  97. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 これは、建設省といたしましても、自治庁の方に打ち合せいたしておるわけでございますが、これは再建団体に対する補助率の引き上げ、あるいは指定事業費に対する制限のワクを引き上げるというようなことを考えられておるわけでございます。
  98. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 ただ考えるだけじゃなくして、これは原さんもよく覚えておいてほしいと思いますが、この自治庁との折衝については、富樫さん、今おっしゃったことを責任を持って実現しないと、地方団体はとんでもないことになりますから、その点は、今の御答弁をしっかり覚えておいていただきたいと思います。  もう一つ富樫きんにお伺いしておきたいことがあります。今度の十カ年計画で、まだ草案だそうでありますけれども、どの程度のものが舗装され、一応の道路――ワトキンス調査団から指摘されたような、あのひどいものから一応の体裁を整えた道路になるのですか。一級国道、二級国道についてだけでもけっこうですから、お聞かせ願います。
  99. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 一級国道、二級国道について申し上げますが、一級国道につきましては、三十二年の三月末、すなわち三十一年度末で舗装される延長は全体の三一%、二級国道では一二・三%であります。これをわれわれの素案であります十カ年計画において、その十カ年計画が実施されました後におきましては、一級国道が一〇〇%、二級国道が三三・九%、このように計画いたしております。
  100. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今のは、まさか前の五カ年計画みたいにならないでしょう
  101. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 五カ年計画は、前に申し上げましたように、本年度の予算で大体計画通りに進捗いたしておるわけでございます。
  102. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 先ほどは七二%ということだったんですよ。
  103. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 七二%で、もう一年残っておりますので、一〇〇%に持っていきたい考えでございます。十カ年計画につきましても、財源の裏づけ等を確立いたしまして、計画通りに実施いたしたい所存でございます。
  104. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、原さんにお伺いいたしたいと思います。先ほど臨時税制調査会の答申の中で、特に揮発油税だけを取り上げられた理由については、御答弁にならない答弁をされておりましたけれども、いま少し違った観点からお伺いしたいと思うのですが、間接税と直接税との割合については、やはりこの前池田大蔵大臣が横山君の質問に対して答弁されたような考え方を今後も持続されるのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと存じます。
  105. 原純夫

    原政府委員 間接税と直接税との租税収入中のウエートの問題についてのお尋ねでございますが、ちょうど今回の三十二年度の予算で、国税について申しますと、専売益金を、含めまして、両者がちょうど半々くらいということに相なっております。まあこの辺のところが大体いいバランスだということを、大臣も先日お話しになったのでありますが、この問題は、そのときそのときの税負担が全体としてどれだけ重いかという問題ともからむ問題だと思います。従いまして、財政需要が減って参って負担全般が減るという場合と逆に、ふえて参るというような場合でも、場合によってこの比率の問題は、やはり相当な影響が参ると思います。そういう点を別にいたしますれば、ただいままでのところで、やはり何といっても税全体で大きな問題は、直接税が重過ぎるということから、なかなか申告も十分に参らない、税務の執行の方も、直接税というのは各人各法人所得を調べるということで、これはなかなか困難な問題であります。一方で、重い税法というものがありましてかなり重いのに、実際上相当な不均衡――実際の税負担が抜けている人があり、フルにとられている人があるというような不均衡がかなりにあるというような問題から、やはりこの際直接税を大幅に軽減して、その辺を根本的に建て直したいというふうに考えたわけで、今回もこの直接税関係の軽減をいたさない場合には、直接税の比率が五割々々になるということであるわけでありますが、所得税における千二百億減税ということをいたすことが主たる事由になりまして、ただいま申しましたような五割々々というような線になってきておるわけです。なおこの改正が成立いたしますれば、直接税行政、また納税者の申告の方にも非常ないい影響があろうと思います。その辺、われわれ非常に期待をしておるわけでございますが、なおその辺の今後の推移を十分慎重に見守り、同時に先ほど申しましたような、今後財政需要の変遷に応じて、税負担全体として軽くして参りたい。同時に、軽くする中で、直接税と間接税のバランスというものを、総体としてバランスがとれ、いい負担になるようにというようなことでやって参りたい。それらをまとめて、さしあたりの感覚で言えば、五割五割というあたりのところがいいのではなかろうかという大臣の先日の御発言というふうに私ども理解いたしておる次第であります。
  106. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そこで、これは税制調査会の答申の中でも取り上げられておったと思うのでありますが、間接税の利点としては、事業に対する意欲を阻害しないこと、それから担税者に消費選択の余地を残すこと、それから感覚的な負担が軽いというようなことから、所得課税よりもすぐれておる、それはその通りだろうと思うのですけれども、問題はその負担感が軽いかどうか、こういった面で、ほんとうに事業に対する意欲を阻害しないような形で今度の揮発油税が考えられておるかどうかという点になると、これは大きな問題だろうと思うのであります。そこら辺について、この前から神田君の質問に対しても、いろいろ御答弁があったようでございますが、なかなか納得するような形で、私たちがああそうだと思うような御答弁がいまだないようでありまするから、ここであえて私は再度御質問いたします。今度の揮発油税の増徴というものは、むしろ私は経済的な誘因がそこなわれて、むしろ企業意欲を減退させるものではないか、そういうふうに考えるのでありますが、そこら辺についての原さんのお考えをお伺いしておきたいと存じます。
  107. 原純夫

    原政府委員 調査会で間接税を選ぶ理由としてあげたもののうち、負担の感覚、間接税の方が負担感が少いという点に関連して、今回の揮発油税の増徴がどういう感覚を与えるか、またひいて事業経営にどういう影響があるかというようなお話でございますが、一般論は別にしまして、今回相当な増徴を考えておりまするので、これの負担感、感覚というのは、やはり相当強いと思います。そして、けさほど申し上げました通り、改良、整備されました道路の価値が長年にわたって自動車業者にも反映して参る、その利益を全部計算いたしますれば、税によって払う犠牲の何倍かの利益になるということではありますが、さしあたり当面すぐに出てくることでないというようなことから、やはり運賃を動かさなけばれならぬというような問題が真剣に検討されなければならないと私ども思っております。長い目でみると、三倍、四倍、あるいはそれ以上の利益になるわけでありますから、なるべく運賃も上らない方がいいというふうには思いまするが、やはりさしあたりの問題としては、若干の影響はあろうかというふうに思います。ただ、私どもの計算では、どの程度運賃に影響があるかということを計算いたしますと、地方税を通じて六千五百円の増徴がありました場合に、それを全部運賃にかぶせるということにいたしましても、運賃の値上りは、バスとか、トラックとか、ものによって違いましょうが、大体三%前後ではなかろうかというふうに思っております。これが、ただいま申しました受益のことも考えて、ある程度ごがまん願えれば、若干影響があるとしても、そう顕著な問題ではないのではないかというように感じます。  そこで、そうだとすると、がまんしろというのなら、各業者の利益を食うことになるだろうということになりますが、これは、一部はそういう面も出て参るかもしれませんが、一方で、全体としては今回の増徴分のみならず、ガソリン税全部をつぎ込み、また地方道路税、軽油引取税はもちろん、一般財源も乏しいとはいわれますが、できるだけ何して参るというようなことでいたしておるわけでありますから、受益の度合いというのは、今回の増徴の分だけでなくて、全般に相当大きな道路の整備改良が、ただいま年々急速に進められているというようなわけでありますので、自動車業の収益というものの方にも、そう大きな影響はないのではなかろうか。私どもの調べでは、若干古い数字になりますが、三十一年だったと思います、法人企業統計の中の自動車業の収益は、たしか七%前後になっております。一般の収益の歩合よりもよろしい。もちろん、これは場所によって、また自動車業の中でもいろいろ違いがありますので、一律には申せませんが、法人企業統計で、三十一年の上期の数字でありますが、全企業の収益割合が三・九%、自動車業は七・二%というような数字を私ども承知しております。そういうようなことでもあり、何とかごがまん願える程度にいけるのじゃなかろうか。翻って考えますと、やはり道路を整備するということは、たびたび申すように絶対に必要だ、つまり、これはどうしてもやらなければならぬことだ、日本経済がほんとうに伸びていくためには当然のコストだ。そのコストをどういうふうにまかなっていくかということでありますが、結局は、やはり経済全体を通じて、しかも改良整備を要する道路というのは、それでは何のために必要かというと、自助車が通るためだということなのであります。そういうふうに見ますと、結局はそれが運賃のコストになるという必然的な因果関係もあることなので、ガソリン税、地方道路税が実質的に道路のための目的税のようになって、それが全部そそがれるという制度があり、そうして五年ぐらい前に比べて、道路の事業費は、本年でも三倍以上に伸びておりますし、今後も急速に伸びるだろうと思うのでありますが、そういうふうに道路をよくする、結局それは運送のためのコストだ、ガソリン税が実質上全部目的税になっているのだから、ある程度そういう面で負担をお願いするというようなことも十分考え得るのじゃないか、各国ともそういうようなことをやっておるのは御存じ通りであります。いろいろ申しましたが、やはりこれだけ道路が悪いというところからいろいろな方面でがまんをしながら、また力を出し合いながらやらなければならぬわけでありますが、この程度のことはやっていただいて、その結果、若干運賃にはね返って影響があるかもしれぬ、また収益に影響があるかもしれないけれども、一方では、それによってますます道路がよくなり、自動車輸送がふえるというようなことでありますので、自動車業界とされても、非常に末広がりの実態の上に立っておられるので、何とかこの際この程度負担はしてもやっていただきたいという考えでお願いしておるような次第でございます。
  108. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 原さんはえらく結論を急がれるようでありますが、その結論にいくまでには、いろいろ問題があります。まず第一に、今企業の収益を、一般が三・九%、自動車が七・二%というような御答弁でありましたが、それでは交通事業の営業収入に対して、営業費の占める割合をどういう工合に見ておられますか。収益の問題をあげられましたが……。
  109. 原純夫

    原政府委員 ただいま申しましたパーセンテージは、営業収入に対します利益の割合であります。従いまして、全企業では営業収入を一〇〇といたしますと、それに対する経費、支出が九六・一、ところが自動車業の場合は、一〇〇に対して経費が九二・八程度だというふうな計数を私ども承知いたしておるわけであります。これは法人企業統計によるものであります。
  110. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点につきましてはいろいろ統計のあり方によってその数字が違うかと思うのでありますが、私たちが承知いたしておりますのは、バスで九三・三、ハイヤーで九三・六、トラックになると九六・四というような数字があるわけでありまして、ここであえてこの数字議論をいたしたいとは思いませんけれども、できるだけ低い方、低い方をとるような数字の論議はやめにしていただきたいと思います。  引き続いて、税率の問題についてお伺いしたいと思うのであります。消費者価格に占める割合について、せんだっても神田君の質問に対して御答弁があったのですけれども、一般の酒なんかと同率であるというようなことでは、産業としてのあり方に対する皆さん方の考えを疑わざるを得ないのですが、やはりこれでも税率は諸外国に比べて安いんだということを強弁されるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  111. 原純夫

    原政府委員 おっしゃる通り、わが国の間接税の中で、小売価格に対する割合を考えてみますと、酒が四五%ぐらい、たばこは六四%かそこいらだと思います。砂糖が四三・四%ということになっておったと思います。揮発油は、小売価格がだいぶ動いておりますが、三十七円というものを小売価格としますと、三五%という数字であります。ほかの三つに比べますと、若干下でありますが、そのほか間接税では物品税というものがありまして、これが相当幅の広いものですが、物品税系統に比べると、確かにこれは、物品税の中の最高の税率のものの負担とほぼ近いような状態であります。今間接税の中での体系論といいますか、そういうバランス論、いろいろございますが、私どももそこにいろいろ問題があると思いますが、飜って各国との比較を見ますと、日本はただいま申しましたように三十七円の中で十三円、三五%という数字が出ておりますが、各国とも、絶対額においても、比率においても、それよりも高いのがほとんど大部分のようであります。アメリカ、カナダというようなところがそれより安くて、アメリカは三十円四十八銭、これは時期により違いますが、その中で税額が八円五十銭ばかり、二八%というような数字になっておりますが、イタリアあたりですと非常に高く、小売価格が七十三、四円、そのうち税が五十二円幾らということで、負担割合が七割というようなことになっております。イギリスが六十一円のうち三十八、九円で、六割三分、西独におきましては、五十七円のうち二十六円幾らというので、四六%というような数字になりまして、いずれも小売価格の絶対額が、わが国の五割増しから倍というようなところに並んでおります。負担割合も、わが国よりもやはり三割増しくらいから、倍くらいの割合に並んでいるというようなのが実情でございます。こういう場合に、どこが負担限度であるかというのは非常にむずかしいわけでありますが、それら外国との比較を考え、また何せ今日本が道路を必要とするという事情は、いわばもう道路の状態における革命的な事態であって、新しい自動車交通がこう盛んになったということについてのもう根本的な改修、改良でありますから、そういう際には、やはり相当思い切った手当をしなければならぬ。ガソリン税を目的税的にやっているということも、そういう意味で、非常にそういうことを考えた特殊な措置であるわけでありまして、アメリカなどでも、やはり経済の伸展が非常に急激になって、さすがのアメリカでも道路を根本的に考え直さなければならぬというようなことで、昨年の六月末法律を成立させて、ガソリン税を五割上げる、そうして十年計画でたしか三百億ドルだったと思います、こっちの金に直すと十兆円という金をそこからつぎ込んで、道路を根本的によくするというようなことを考えております。あれこれ考えまして、この程度の増徴ということはやむを得ないのではないかというふうに考えました次第でございます。
  112. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうも原さんたちは、時と所によっていろいろ所論を変えられるので、これはあなたのところの大臣官房調査課で出した「日本の財政」という資料によると、あなたとまるきり逆な立場から論じてある。念のために私読み上げますから、よく聞いておいて下さい。この国民所得に対する租税負担の割合をずっと書いてありまして、「この割合だけを見ると、わが国の租税負担は各国に比較して軽いように思われる。しかしわが国の国民所得の水準はアメリカやイギリスに比べると比較にならないほど低いのであるから、国民所得に対する租税負担の割合だけで簡単に税金が重いとか軽いとかいうのは誤りであり、わが国のように国民所得の低い国では、たとえその割合が小さくても実質的な租税負担はかえって重いものとなるのである。たとえば二十九年度について」云々というようなことで、ずっと説明してあります。問題は、国民所得を論外にして税負担の率を論ずることは誤まりであるということを、ちゃんとあなたの方の官房調査課でも書いてある。ただ今キロ当りがとうだ、こうだということをお話しありましたけれども、やはり国民所得に対してどの程度の割合になっているかということから論じていただかなければ、問題は解決しないと思うのです。わが国の所得を一〇〇とすると、英国は四三四、フランスは四一八、西ドイツは二二七、イタリアでさえも一六七、カナダが七八三で、米国のごときは一一二〇、こういう工合になっているわけです。その中でその税率の占める割合を考えていただくと、どういうことになりますか、やはり今の御議論を続けられるわけですか。
  113. 原純夫

    原政府委員 お話しのような角度からの見方ももちろんあると思います。ただそこで考えなければなりませんのは、そういう議論が特に妥当しますのは、直接税の場合と間接税の場合とでだいぶ違うということをお考え願わなければいかぬと思います。直接税の場合は、なるほど日本の税負担は何パーセントだ、アメリカ、イギリスは高い、これは事実そうであります。ところがそれは所得の大きさが違うだから、そんならアメリカのように高い一人当りの国民所得を与えてくれれば、二割五分でも三割でも負担しようというのが人情だろうと思います。ところが間接税になりますと、国民所得が低いから、間接税の負担が低くなくてはいかぬということに直ちになるかどうか、もちろんそういう面もございますけれども、国民所得に比例してそれが動かなければならぬというようなものではないと思います。かえって国際的に比較いたします場合は、やはり税をかけた結果の値段そのものがバランスがとれているかどうかということが、めどになりはせぬかというような感じがいたします。そこでございませんと、アメリカは日本の国民所得に対して十倍だから、ガソリンの値段も十倍でいい、あるいはガソリン税も十倍でいいというような議論をいたしますと、これはめちゃくちゃなことになるわけで、それで負担バランスがとれるというようなことでは、何といいますか、それじゃアメリカ経済は、ガソリンを使って国際競争をするという場合に、とても立ち行かないというようなことになってくるだろうと思います。やはり間接税では、税をかけた結果の価格が、特に国際的な競争の面にさらされるものにあっては、絶対額であるバランスがとれるというようなことをねらわなければいかぬということになると思います。この面では、国民所得に照らしてどうということをあまりに強くお考えになるのはどうか。先ほど申しましたような数字でいいましても、現在日本は、小売価格でも、西欧諸国に比べるとはるかに低い、それから税の絶対額においても、負担の割合においてもはるかに低いというようなことになっておりますので、今回増徴いたしましても、なおそれらのバランスは傾向としては変らない、日本の方がやはり安いということになります。安いが、国民所得が三分の一だから、値段は三分の一にならなければならぬというような御議論ではないと思います。そういう御議論ではなくて、まあ貧しいんだからなるべく低くというお気持はわかりますけれども、この程度の増徴をいたしましても、国際的なバランスが破れるということはないんじゃあるまいかと私どもは考えておる次第でございます。
  114. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の御答弁で、問題が二つあると思うのです。私が先ほど間接税と直接税との関連について御質問申し上げたのも、そこにあったわけなんです。御承知のように、高額所得者層と低額所得者層というものの開きがずっと出てきている。しかも戦前に比較しまして、納税者の率というものが非常に高くなっておるわけであります。しかも、御承知のように、アメリカなんかと違いまして、トラック運送その他が重要な比率を占めておるわが国においては、この所得が低いということが大きく影響してくると私は見ておるのですが、そういった影響はないとおっしゃるのですか。
  115. 原純夫

    原政府委員 私どもは、たとえばガソリン税の税負担を比較する場合に、日本はアメリカに対して国民所得が十分の一だから、ガソリン税負担は十分の一でなければならぬという方式はどうかと思います。結局そういうものについてその考えで徹底しますれば、アメリカのガソリンの十倍高くないとおかしい。そうなると、せっかくアメリカは三百六十円のレートで国際競争をやっておるわけですが、とてもそれはできないということになってしまうので、やはり間接税の負担、その負担がかかった後の価格というものは、そのものずばりで比較する方がより穏当ではなかろうかというような感じがいたしておる次第でございます。
  116. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その自動車の運送、特にトラックその他の占める割合を考慮した場合にも、やはり同じことをおっしゃるのですか。
  117. 原純夫

    原政府委員 それは同じでございます。なぜかといいますと、ガソリンの代価が運賃のコストの重要な部分になる。結局アメリカの場合に、ガソリンの値段が十倍するなれば、運賃もその部分は十倍高くなるということで、やはりそういうのはアメリカとしても好まぬでありましょうし、また、日本は低いからなんですが、日本よりも低い国と比べて、日本がその国よりも国民所得倍率だけガソリンを高くするというのはおかしいんじゃないかそれでは国際的な競争がその面でくずれてきて、その国の為替相場がくずれるというような力が働くことになるんじゃなかろうか。国民所得の比率によって、税負担の額をその比率で合せるという考え方には、私どもどうもついていけない感じがいたします。
  118. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 僕は、そういった論議をしているのじゃなくして、いわゆるバス、トラックの利用者の率が、アメリカの場合とは大きく違っていると思うのです。そして、これらの人たちが受ける値上げによる影響と、所得の面で低い層が受ける影響とは、同じ五円なら五円の受ける影響というものは、大きく違っているんじゃないか、こういう点をお尋ねいたしておるわけです。
  119. 原純夫

    原政府委員 その点は、確かにあると思います。あると思いますが、それは、むしろ直接税の方でそういうことがより緊切に言われることで、間接税の場合には、そういうことで議論されるよりも、絶対額での比較ということがおもなことになりはせぬかというふうに申し上げているわけであります。そういう御議論を徹底していきますと、すべて税は所得課税にしろ、そうすれば応能負担でいくということになりますが、さて日本の場合に、今回も理論的にいいはずの所得税を減らして、改正しなければ五五%になるのを五〇%にとどめようということにしておりますのは、直接税だけではやり切れないやり切れない事由が、日本の現在の場合であれば、重過ぎて、重過ぎる結果、実際上不公平になる面が多い、また生産意欲、あるいは勤労意欲の阻害になるというような面が多いというようなことが考えられるわけでありますから、そういうものをほどほどのところへとどめるかわりに、間接諸税を設けて全体として負担の妥当公平な線をねらうというのが、直接税、間接税が並立するゆえんなのでありますから、そういう場合に、おっしゃるような感覚は確かに必要と思いますけれども、その面にまでそういう議論を強く押し通されて結論を出すというのは、間接税が直接税を補完して相並んであるというものとちょっと違うんじゃなかろうかと思います。いわんや今回の揮発油税の場合におきましては、先ほど来申しておりますように、それによる負担は、結局何倍かのおつりがついて国民経済に返ってくるということでありますから、大きくガソリン税、地方道路税が目的税的になっているということもお考え合せいただいて、これは日本の国の道路をこの際飛躍的によくするための、国民経済のコストを直接に受益する人たちが一緒になって負担するんだというふうにお考えいただくことになりはせぬか。つまりこの場合は、さしあたりある程度は運賃に影響して負担増になるかもしれぬけれども、それは後年度におけるそれよりも大きい負担の減が約束されていることであるということをつけ加えて――そう言うと、非常な恩に着せがましくて大へん何ですが、事実私ども計算しましたところでは、そういうふうになっておりますので、そう考えますと、負担論も、長い将来を考えますれば、むしろおつりのくる負担軽減の要素を多分に持ったものだということまで含んで、本件はお考えいただきたい。大へんぶしつけで恐縮なんですが、そういう気がいたします。
  120. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の御答弁で問題が二つある。一つは、さっきから原さんは、アメリカの所得と日本の所得をそのまま云々ということは当らないということでありますけれども、先ほど私が申し上げました、あなたのところで作った資料によりましても、各国の一人当りの税引き後の国民所得の比較を見てみますと、日本は五万八千五百七十五円、フランスは二十一万六千四百九十六円、イギリスは二十二万二千七日六十八円、アメリカのごときは五十二万九千五百六十円というような工合になっておるわけです。このような所得から見て、たとえば今あなたがおっしゃった運賃値上げその他は、私が官員に申し上げましたように、租税公課が非常に重課されまして、負担の限界にきておると見ておるのですが、結局運賃の値上げを招来せざるを得ないというようなことからはね返ってくる場合に、その受ける影響というものは、所得の少いものほど率が高くなることは明らかなる事実です。そういったことを私は無視するわけには参るまいと思います。その点についてどうお考えですか。
  121. 原純夫

    原政府委員 一般に間接税は所得に応じて取るということには参りませんから、おっしゃる通り所得の低い人でもそれを消費すればかかる、所得の高い人でも、消費しただけの分しかかからないという意味から、いわば逆進的といいまするか、所得の低い人に割合としてはよけいかかるという短所を持っております。ただなるべくその短所が多くならないように、間接税の中でも、所得に応じて消費されるような対象がつかまえられれば一番よろしいし、またそうでなくても、比較的担税力に合うようなものを選んで取るのが間接税の建前で、まあ揮発油で車に乗るのは所得の多い人も少い人も乗る、多い人の方がおそらく絶対量はよけい乗るでしょう。が、これが所得に比例するかしないかという段になると、必ずしも比例しないということがあると思います。その点で御心配になることは、間接税一般についての御議論として、常に私どもも考えていかなければならぬところでありますから、十分承わっております場合に考えなければなりませんのは、そういう弊害があるにしても、他に間接税というのはいろいろな長所がある、これは、先ほど申しました直接税と間接税とが相互補って一体として税負担を見るというような意味からいって、間接税というものが考えられるわけで、揮発油税の場合には、奢侈的というよりも、特に現段階におきましては、道路の整備との関係と直接に結びついておるようなわけでありますから、そういう面で、負担の問題にいたしましても、やはりおっしゃる通りの面はございますが、道路の整備による利益というものと離しては考えられない。しかもその利益は、毎年こうやって六千五百円分の増徴のあるものは、もとの分も加えてつぎ込まれるわけでありますから、これが四年、五年とたちますれば、その利益というのは相当大きいと思います。これは、何も値を下げろとかなんとかいうきざな言い方でなくて、やはり条件がよくなれば、自然に自動車業界のコストが下るというのは、もう数年先に見えていることですので、この際増徴のとき、全然運賃にさわるなということは言えませんが、まあそう遠くない先に楽しみがもう目に見えておるということから、そして、それが日本の道路が非常によくなり、またそれを通して国民経済の動脈が非常な円滑に動くということになるわけでありますから、おっしゃるような面は確かにありますが、その面だけがアウトだとおっしゃっていただかないようにお願いしたいというふうに思うのでございます。
  122. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今度の揮発油税の増徴によって受益する分について、原さんはもう繰り返し繰り返し、ほかの質問をしたときにもこのことをつけ加えることを忘れないのですが、それでは、その受益についてお伺いいたしますけれども、パーセンテージで見るのは困難だろうと思いますが、大体どの程度のパーセンテージで利益を受けるのですか。たとえばほかの一般的な利益、荷作り梱包費の節約とか、道路短縮による運賃の節約とか、食料品の鮮度の低下の防止とか、いろいろ受益はあるだろうと思いますが、特に自動車業だけが受益するそのパーセンテージをどの程度に見ておられるのですか。
  123. 原純夫

    原政府委員 六千五百円引き上げますと、三百九十万キロリットルの消費ベースで、平年度の増徴額が百七十四億円になります。増徴分はそれだけでございますが、これによって改良補修がどのくらいできるか、単価のとり方はいろいろありますが、九百キロ余りできるのではないか、このほかに二万三千円分の何も毎年あるわけでございますが、この増徴分だけに限ってみましても、九百キロ余りの整備、改良、補修が行われて、そこを自動車が通る。初めのうちは、九百キロではおれのところには回ってこないというような御不満がある向きがいろいろございますが、いずれこれはずっと回って参るわけで、当初から――やはり一番大事なところからやるのですから、おそらく初めはより効率がいいと思いますが、全国の道路を現在走っているような走り方で通る自動車がどれだけ受答をするか、受益ということは、結局タイヤなんかがいたむのが少くなる、それから何よりもスピードが早く行けますので、運転手さんの賃金の割掛がぐんと少くなる、それから償却費の割掛が少くなるというようなことが非常に大きいわけですが、私最後的な確かな数字がここにすぐ出て参りませんが、改良でたしか二割くらいコストが下る、それから舗装の場合には三割くらいコストが下るということであったと思います。つまり未改良の道を行くよりも、改良された道を行く場合には二割コストが下る、それから舗装の場合は三割下るとというようなことであったと思います。九百キロ余りの道を自動車が今走っている程度に走る、つまり先ほど申した、台数もふえず荷物もふえずという前提でやりまして、ただいま申した二割、三割の利益の額をずっと集計して参りますと、そうして道路が平均十五年間の寿命だというふうにやって参りますと、この百七十四億円に対して十五年間にコストの減るものを合計すると、これの倍の三百四、五十億になるというふうな計算をいたしております。そうして、これは先ほどお尋ねの梱包費が少くなる、あるいはその他いろいろな間接的な利益がございますが、そういうものを考えないで、早くなって人件費、償却費が楽になるという直接の利益だけで、しかも輸送量もふえないという前提でやっておりますので、輸送量もふえ、車両がふえますれば、利益の絶対額はさらにそれに何割増しか、また将来は、おそらく五年も十年もしますれば、この勢いでいけば、それだけでも倍になるというようなことになるだろうと思います。そういう数字でございまして、間接的な乗客の利益、あるいは荷主の利益というものまで入れましたら膨大なものになるというふうに計算いたしております。
  124. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 原さんの御説明を聞いていると、夢みたいな話なのですれけども、問題は、舗装される道路と全体との比率、一級国道なり二級国道なり地方道なり、それと今おっしゃった九百キロ、これとの比較をしてみた場合、これは、先ほど富樫さんに私御質問したことでもおわかりだろうと思うのですが、今の夢みたいなお話がどの程度に及ぶか、これは私がここで申し上げる必要もなかろうと思います。あえてこの議論は繰り返しませんけれども、原さんは、小さなことになかなかお口がうまいので、美辞麗句を並べて、まるで夢みたいに幻惑させるきらいがあるのですが、やはり本質論でお話をいただきたいと思うのであります。今の議論はもうよします。  先ほどのお話の中で、揮発油税の増徴によって運賃値上げを云々というようなことはあり得ないというようなお話でしたけれども、これは、運賃値上げをせざるを得ないような羽目に追い込まれているのではないですか、安易な御答弁を避けて、その点についてお伺いいたしておきたいと思います。
  125. 原純夫

    原政府委員 運賃につきましては、長い目で見れば、運賃はだんだん下ってくる。しかし、さしあたりこの道路ができましても、やはりそう全国の道路が一度によくなるわけじゃございませんから、受益もさしあたりは一年分一年分しかない。一方ガソリン税は上ってしまうというようなことから、長い目では運賃にも引き下げ要因だが、さしあたりはやっぱり若干は響くだろうと思っております。ただ金額運賃に転稼するといたしましても、平均して三%程度のものだろうと思いますが、それを受益のことも考え、また業界でもできる限り工夫していただくようにすれば、それよりも低い率で済みはせぬかと思います。運賃が上りますことは非常に望ましくないことでありますけれども、何と申しましても、先ほど来由しますように、日本の道路を革命的によくしようという非常な時期でありまして、そしてまた自動車がまさにその道路をほとんど専用道路で使うような実態でありますので、自動車が走る実際のコストでもあるというようなことから、これは業界にも、またそれを使用します国民一般にも、その辺をそういう角度で御理解を願って、しばらくがまんしていただく。それも、運賃値上げといいましても、この事由で上げなければならぬのはせいぜいが三%前後で、ちょっといろいろな関係を工夫していただけば一%か二%かの、言うに足らないというと言葉がいけませんが、そう問題にするほどのこともなしに済むのではないか。もちろんこれは自動車の営業の態様・種類によっても違いましょうが、大体そんなふうに考えてお願いをいたしておるわけでございます。
  126. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 運賃値上げの問題についても、またいろいろ議論のあるところですが、次に私がお伺いしたいのは、現在まで道路整備費がどのように使われていたかという問題であります。この点について、せんだって神田君の質問に対して、いわゆる臨時就労対策関係、それから特別失対関係と積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に伴う補助金、それから日本道路公団の補助金等をあげて、これはどうしても道路を直さなければならぬのだからぜひ必要だ、そういった御議論をされると、何でもくっつけられるわけなんです。前に建設委員会、あるいは運輸委員会で論議されたのは、そういった論議じゃなかったはずですが、この点について、いま一度御答弁いただきたいと思います。道路整備費以外に使われたものの使い方について、妥当なものだと思っていらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。
  127. 原純夫

    原政府委員 お話は、なるべくよけい一般財源から出せという含みでおっしゃっていることで、その点については、私どもできるだけそういたしたいと思っておりまするし、今回も、わずかではありまするが、前年度の一般財源からの支出四億円を四十四億円にふやしたというだけのことは、大蔵省としてもいたしておるつもりでございます。そうは言うても、ガソリン税を財源として使っている中に特別失対あり、臨時就労あり、あるいは公団の例の交付金あり、東北の分があるというようなおとがめであるのでございますが、私先日申しましたのは、失業者を道路に使うというために、ガソリン税が使われるのをけしからぬとお責めいただいては、これはちょっと財政もとてもつらくてやれなかろうということを申し上げたわけでございます。と申しますのは、ガソリン税を道路に使え、これは道路に使いましょう。そこで道路に使うのに、一方で失業者がいる、そうしたら失業者を救わなければならぬということは当然のことでありますが、それじゃガソリン税で出す金は、失業者には使わすなということを言われると、それは、そういうことを言われてはとても財政もやっていけないし、また公共事業の本質から言うて、そのときそのとき失業者がおれば、固定的な雇用人、労働者というものをふやして、そういう失業者を締め出しにするというのでなしに、やはり公共事業はその本来の性格から言うて、できるだけ失業者に仕事を与えるという面をあわせて考えてやってしかるべきじゃないかというようなこともあり、その辺は、一般財源をよけい出せという意味では理解するのですが、道路の事業費を使うのに、失業者にはこのガソリン税は使ってはならぬというふうにおっしやられると、これはどうも筋が違いはしないか。また財政上も、そう言われたんじゃとてもやり切れないということを申し上げたんですが、いけませんでしょうか。
  128. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 大蔵省は、当初こういった目的税については反対だという建前をとっておられたはずなんです。ところが今原さんがおっしゃるように、もう牽強付会、何とでもものは言いようでありまして、私たちあぜんとせざるを得ないのですが、とにかく先ほど来申し上げますように、税率が非常に高いということ、それから一般物価へのはね返りが大きいというようなこと、それから自動車事業だけに租税公課がかかってきておること、どれ一つ取り上げてみても、この問題については再考を願わなければならないと私たち思うわけです。今度基礎にされました、三百九十万キロの算定の基礎をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  129. 原純夫

    原政府委員 三百九十万キロと申しますのは、通産省が三十二年度の揮発油の消費量、需給の計画におきまして、それを計画の総ワクとして考えられた数字であります。私どもは、それをとってこの税収見積りの根拠にしたというわけでございます。
  130. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 通産省の三十二年度の計画は、検討されたことと思いますが、どうですか。
  131. 原純夫

    原政府委員 もちろんこの税収見込みの一番基本になる数字でございますから、私どもも十分検討いたしました。実はぶちまけて申しますれば、予算を組みます経緯では、どうも三百九十万キロというのは危ないという何があって、少し内輪目に見ておった段階がございますが、いろいろな経緯もあり、フルに三百九十万キロということを見ることにいたしたような次第であって、関係の当局とも十分打ち合せをして、こういう数字を出しておるわけであります。
  132. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私はまだもっと尋ねたいこともありますけれども、今こういった状況になりましたので、一応質問を保留いたしたいと思います。なお私は、ここで要望いたしておきたいと存じますが、午前中からの質問でも、水かけ論だといえば、それまでで押し切られるかもしれませんけれども、とても納得のいくような答弁は一つ一つについて得られません。ただ先般以来の神田君に対する答弁を繰り返しておられるだけであって、それ以上のものがありません。しかも及ぼす影響は大きいのでありますし、聞けば、与党の方もこの点について修正を用意されておるということでありますから、その修正案の内容等を検討いたしまして、再度私は御質問申し上げたい、このように考えます。  最後に一点だけお伺いしておきますが、このガソリン税の増徴と関連して、自動車用の外貨割当、ひもつきのものを考えておるとか、あるいは車両の増加による水揚率の増加を考えておるというようなこともあるようであります。この点については事実かどうか、ちょっとお伺いしておきます。
  133. 原純夫

    原政府委員 私、ただいまお尋ねの二点は聞いておりませんので、何とも申し上げようがないのでありますが、聞きまして、ありましたら御報告申し上げます。
  134. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点については、この次の機会までにはっきりしておいていただきたいと思います。  とにもかくにも、先ほどから私が申し上げておりますように、租税公課の重圧によって手をあげている業者は、今度は必然的に労働者の低賃金という形に押しつけてこざるを得なくなるのです。毎日見てごらんなさい、警視庁の前に、死亡二名、三名、負傷者何名と出ている、あなた方は、普通のハイヤーにあまり乗られぬだろうけれども、普通のハイヤーに乗っておると、両足を上げて走っておる、交通法規も何もありやしない、何も交通法規をみずから破ろうとしてやっているんじゃなくて、必然的に、水揚率を上げなければならないから、交通法規を守っておったんじゃそれに耐えられないということで、みずから労働過重、危険雇用を助長しているようなありさまです。生命の危険なくしては、今ハイヤーにも乗られないという状況になってきている。やはりここら辺についても十分考えられまして、先ほど私が質問申し上げております一点々々について、みんなを納得させるようなことを用意してから初めて揮発油税について検討してほしい。特に取引高税全般について、臨時税制調査会が答申いたしておりますように、全般的な御考慮があってその後に妥当な結論を出していただきたい、このことを要望いたしまして、私は本日の質問を終りたいと思います。
  135. 横錢重吉

    横錢委員長代理 次に石野君。
  136. 石野久男

    ○石野委員 原さんにお尋ねいたしますが、ただいままでお話を聞いていると、ガソリン税を設定して道路整備をすれば非常な効果がある、私どもも、道路を整備すれば効果があることはちっとも否定をしない、問題は、その道路整備をするために、ガソリン税をこういうふうな形で取り上げてやらなければいけないのか、そのほかに何か方法はないのかというところにあるのだと思います。問題になるのは、結局予算措置の中で、こういう目的税的な性格を持つガソリン税にたよらないで、ほかにそういうことをやることができないかどうかというところにあるのであります。そこで、政府の道路整備に対する今日の考え方の全貌が問題になってくると思う。皆さんは、大体今どういうような考え方をしているのか、そこを簡単にお聞かせ願います。
  137. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 日本の道路の悪いことは、すでに御承知の通りでございますが、国道だけで申しましても、改良が全体の四〇%に足らない状態でございます。これらの道路を整備いたしますために、昭和二十九年度以来五カ年計画を立てまして、それを実施いたしておりますが、この五カ年計画に対しましては、昭和三十二年度の予算でおよそ計画通り進行いたしておるわけでございます。ただ従来の五カ年計画でありますと、現在の道路交通の状況から申しまして、規模が小さ過ぎるということが言えるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、この際規模を拡大して、なるだけ早く日本の道路を整備いたしたいと考えておるのでございますが、そのために、ただいま十カ年計画というのを検討中でございます。  この十カ年計画は、われわれの試案でございますが、この計画で、一級国道を全部完了までに持っていきたい、舗装まで完了することにいたしたいという考えでございます。二級国道以下の道路があるわけでございますが、それぞれ交通の需要に応じまして整備を進めることにいたしたいと考えておりますが、何分にも全体の財源の問題がございます。このような十カ年計画のような規模では、まだ日本の道路を整備するには足らないという声もあるわけでございますが、まず財源の関係から言いまして、この程度の規模――これは大体十カ年計画で、予算として一兆円、ならして考えますと年平均千億の計画でございますが、この程度のものを現在考えておる次第でございます。
  138. 石野久男

    ○石野委員 その計画の中で、揮発油税にどれだけおぶさろうとしているのですか。
  139. 富樫凱一

    ○富樫政府委員 この計画で参りまして、現在予定されておりますガソリン税の増額があるといたしますと、およそ八割程度がガソリン税相当額になるのではなかろうかと考えております。
  140. 石野久男

    ○石野委員 問題はそこにあるのだと思うのです。とにかく道路整備はきわめて喫緊の問題として大事だと思う。それほどに政府考えている問題を、一兆円という十カ年計画の中で、八割から八割以上に当るものをガソリン税によってまかなうというところに、考え方のいろんな食い違いや、また意見の相違が出てくることになると思う。  そこで揮発油税を上げることが及ぼす影響に、先ほど有馬君からもいろいろ話しておりますように、その税率の問題からいっても、はね返りの問題からいっても、一般に及ぼす影響からいっても、非常に障害が出てくる。原さんが言われたように、道路整備をすれば、それはまた逆に、その人たちへのはね返りとしていいものが出てくるじゃないかということは、よくわかっているけれども、それをガソリン使用者だけに背負わさなければならないのか、もっと政府は思いやりを持って、特にこの道路の問題は、日本の産業構造の中でも非常に大きな問題であろうと思う。そういう重点をそこへ置くとするならば、それをなぜ一般財源の中から出さないのか、こういうところにあるだろうと思います。一般財源から出すほど、それほど重要でないとお考えになってこういう措置をしているのか、その点の考え方一つお聞かせ願いたい。
  141. 原純夫

    原政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、おっしゃる通り大事な事業であり、大事な政策であるのですから、一般財源からもできるだけ出さねばいかぬという考えで、大蔵省全体としていろいろ努力いたしたわけであります。今回は、前年度の一般財源からの支出四億円に対しまして、四十四億円にするということを言い出しているわけで、将来も、この問題はそういう線で強く考えていかなければならぬと思っておりますが、何分一方で、減税も大きな政策でございますし、また減税の財源の中で、いろんな向きに財政需要が非常に多い、これは石野さんも十分御存じ通りで、それらを各方面にがまんしていただいてもつじつまを合せるということにしておりますのが実情なのでございます。そういうようなことでございますし、一方で、たびたび申して恐縮ですが、受益の関係のこともあり、国際的な比較からいっても、ある程度は御負担願っていいのじゃないかというようなことから、理論的に絶対ここが正しい線だという線はなかなか出しにくい、やはりそのときそのときの全般の財政需要と財源というものをにらみ合せてせにゃならぬことでありますが、私どもとしては、政府部内関係者がそれらを総合的に考えて、一般財源もふやす、しかしガソリン税もこれだけ増徴するというような結論となったような次第でございます。
  142. 石野久男

    ○石野委員 道路を整備しなくちゃならぬということはきわめて大事なことであるし、またそれを整備すれば非常に成果が上るのだということはわかっておって、そのための計画を五カ年計画では足りないから十カ年計画だ、それでもまだ足りないだろうというほどの必要度を持っている。この道路整備の問題については、われわれはかりに一般財源から八割出しておって、あとガソリン税のようなもので二割出すというなら話はよくわかる。だけれども、そうではなくて、八割から八割以上のものをガソリン税というものに持っていくということにすると、極端な理論を言えば、もしガソリンを使わなかったら、この道路の計画というものば全然できないということなのです。ガソリン税というものが上ってこなかったら、この計画は全然できないということである。もっと端的に言えば、内閣の考え方政府考え方というものは、道路整備なんというのはちっとも考えていないということになってくる、そういうことなのですか。
  143. 原純夫

    原政府委員 ガソリン税が上ってこないものとしたら自動車が走らなくなるので、ですから、そのときには道路の需要、だいぶ違ってくるだろうと思うのです。やはり自動車がどんどんふえる、そしてそっちの方への荷物もふえるということで、道路はこの際抜本的によくしなければならぬ、そういうことを反映して、道路整備の財源にガソリン税を当てたいということを国会でおきめになったということで、やはりガソリン税と道路というのは不可分に結びついておるわけでございます。やはり相当そこには濃い縁がある。これは、現在日本の国会でおきめになった法律でもそうなっておるし、また各国でもそういう例が非常に多い。やはりその辺は、切っても切れない仲だということではございませんでしょうか。
  144. 石野久男

    ○石野委員 ガソリン税と道路とは切っても切れない仲だということで、ガソリン税が上らないときは、道路の整備もそんなに必要ないだろうという詭弁を弄しておるけれども、それは違う。ガソリンを使わなくても、幾らでも人は往来する。たとえばガソリンのかわりに別な燃料ができて、同じように車両が走る場合にも、何も出てこないじゃないか、木炭を使ったって、けっこう車は走るんですよ。そういう詭弁を弄して自分の場を守るという、そんなことは不誠意きわまるですよ、そういうことではないですよ。それでは、政府に道路整備に対する熱意がないということだ、むしろ自分たちにそれだけの熱意がないというよりも、政府には政策がない、政策はないのだけれども、必要やむを得ないものがあるからこのガソリン税というものを作ったわけだ、財源をほかにどうしてもとれないからということなんでしょう。ところが財源はとれないかというと、そうじゃない、われわれの考えではほかにもあるのだ、使い方の問題になってきている。  この問題については、いろいろ論議する場合があると思いますけれども、私は今のあなたの御答弁を開きますと、政府は、やはりどうもやらなくちゃならないのだけれども、自分にはそれだけ手ぎわよくやるだけの何がないから、使う者に背負わせようじゃないかということで、弱い者いじめをしているというのがこのガソリン税になっているのだと思います。もっともっと政府で真剣に考えてもらって――事実上日本の産業は、この道路の開発といいますか、改良、改善、あるいは拡張というものに負わされておる面がきわめて多いということがよくわかっておるだけに、真剣な態度でやはり予算措置を講じなくちやいけないだろうと思うのです。  ガソリン税自身が持っているところのよさと悪さというものは、われわれから見ますと、よさよりもむしろ悪さの方がよく出てくる。むしろやはりこういう問題は、一般財源の方で処置するのが建前だということをわれわれはここで強調しなければいかぬと思うのです。そういう点についての政府の誠意ある気持といいますか、御検討を願いたい。  それと同時に、やはりガソリン税に対しては、非常に苛酷な負担が大衆の中へくるし、のみならず、やはりこれが物価にもはね返ってくる。それでなくてさえインフレの危険があるというのに、かりにそれが三%であろうと物価にはね返るということになれば、それはやはりそれだけ日本の財界に対しても悪い影響を与える。そういうことを考えましたら、ガソリン税のよさというものだけを強調されている主税局長考え方というものは、自己を守るに急にして、全般を見る目を失っていると私は思うので、そういう点は、やはりもう少し誠意のある答弁を願いたいと思っております。これはあとで、政務次官の方からでもその考え方のはっきりしたものを聞かしておいてもらいたいと思います。
  145. 原純夫

    原政府委員 税を上げなくて全部まるくおさまれば一番いいので、おっしゃる御趣旨はよくわかるのでございますけれども、ガソリン税のおい立ち、それから今まで考えますと、二十九年の前までは、ガソリン税は一般財源だったのです。最初は、一般財源の一つとしてやはり大事な税だったわけであります。一般の財源全体の中から道路の費用を出しておったわけであります。ところが二十八年ですかに、この国会の議員立法で、ガソリン税は一般財源からはずして、道路整備五カ年計画に全部充てるということをおきめになったわけであります。ですから、おっしゃる通り、もともと一般財源で全部やる態勢できたのが、全部目的税的になってきたということで、そこで強くガソリン税と道路費用との縁がついた。同時に、ちょうどその前後から、道路を走る自動中の数の増、貨物の増というようなことで、道路の整備が非常に急だということが認識されだしたわけであります。その後のテンポも非常に急だということになってきておるわけです。従いまして、やはり一方で、そういうふうに結びつけられましたガソリン税の税収も飛躍的にふえて参る。ここ四、五年の間にもう三倍くらいのふえ方になってきております。それがあげてつぎ込まれるということになっておりますので、ある見方で言えば、一般財源であればなかなかそうはいかなかったのが、あげて道路につぎ込まれるということにはなってきておるわけであります。その上に一般財源をという御議論はもちろんあり得るわけでありますが、そうしてわれわれもそういう気持は持っておるわけですが、その段になりますと、一方では、一般財源の中でそういう有力な財源がこっちに行ってしまっていますから――それだけじゃありません、やはり財政需要が非常に多いということが主ではありますけれども、なかなか財政全般のつじつまを合せるのがむずかしいというようなことから、一般財源の方はなかなかいかないというようなことになっておりますので、もうつべこべ申しましても、数字が貧弱でありますから御満足願えないと思いますけれども、そういうような経緯、またそういう気持を持ってやっておりますので、一つ御了承いただきたいと思うのでございます。
  146. 石野久男

    ○石野委員 国会がガソリン税を目的税的なものに一般財源から落したということの理由を、そういうふうに理解したんじゃ困るのです。道路整備はきわめて大事であるから、一般財源の中だけでやっておるのでは物足りないから、それはそれなりにやりなさい。しかしそのかわりに、ガソリン税を特別に落して、これだけは全部回す、言いかえれば、従来の政策の上にガソリン税をもっと加えて、もっと急速に道路整備をやろうというのが立法府の考え方なのです。そのことは、ガソリン税を作って、それは一〇〇%道路整備に使いさえすればいいということじゃないのであって、むしろ一般財源から八〇%出しなさい、そうしてガソリン税でできたものを二〇%くらいやる、そういうような計画を道路整備の中に充てなさいということが、立法府が一般財源からガソリン税を特別目的税として下げた理由になっている。そういうことの理解を、あなたがそういう勝手な理屈で、むしろ直接使っているからいいのだと言うが、ちっともよくはないじゃないか。むしろガソリン税は、その道路備整に八〇%、しかも今年だけじゃない、十カ年計画の中の八〇%というようなことを言っておるじゃないか。それじゃちっとも政策はないじゃないか、そこで、私は一つ次官からはっきり政府考え方を聞かしてもらいたい。
  147. 足立篤郎

    ○足立政府委員 石野委員のおっしゃいますことは、私も国会議員の一員としてよくわかるわけであります。目的税にいたしました当時の私どもは、おっしゃる通り、急速に道路を整備したい国民的な強い要望に基きまして、この意思を反映して、国会で目的税にしたということは、申すまでもございません。もちろん政府としても、財政の許す限り、一般会計におきましてもできるだけこれに金を支出いたしまして、より一そう急速に道路の整備ができるようにはからなければならないことは当然でございます。さりながら、今回の場合におきましては、主税局長から今まで詳しく説明を申し上げました通り、諸外国との比較その他、いろいろ負担力等も考え合せまして、一方において急速な道路整備の要請というものがございますので、これを彼此勘案いたしまして、この程度の引き上げはやむを得ないだろう。そうかといって、政府がなまけておっていいというわけには参りませんので、私どもも、今後の財政計画におきましては、ただいま御意見のありました点も十分くみまして善処いたしたいと考えておる次第であります。
  148. 石野久男

    ○石野委員 私はこの問題についていろいろ意見を持っておるのですが、途中で関連の質問をしておるので、あと横山君の質問がありますから、私はこの問題についてはここで切っておきます。なおこの問題はあとで質問さしてもらいます。  そこで別な問題で、今回の官公労のベース・アップの問題に関連しての質問ですが、国民金融公庫しか住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、あるいは中小企業金融公庫等、この公庫職員の給与の問題につきまして、一応簡単な質問をしたいと思います。今回の給与法の改正によりまして、国家公務員はそれぞれ給与の改訂が行われ、また地方公務員の諸君は、国家公務員に準拠してそれぞれ改訂が行われる。それから三公社五現業の諸君も、それぞれ調停案とか裁定案というようなものでそれが行われるのですが、先ほど申しました、これらの公庫職員の諸君については、給与の問題についての政府考え方というものは全然明確にされていませんが、これについて、政府は今どういうふうにお考えになっておられるか、その点ちょっとお聞かせ願いたい。
  149. 足立篤郎

    ○足立政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘の公庫の給与ベース・アップの問題でございますが、結論から先にお答えいたしますと、ただいまといたしましては、政府におきましては慎重に研究をさしていただきたいということになるのでございます。その理由といたしまして、二つばかりございますが、第一に、この給与ベースの変更によりまして、実はこれらの公庫の資金コストに大きく影響いたして参りますので、単に給与に関する予算だけの問題ではなくて、資金全体の運用につきましての計画も立て直しませんと、影響がさわめて大きいということで、慎重な検討を要するということが第一点であります。  第二点といたしましては、実はこれらの公庫の使命にかんがみまして、相当優秀な人材を集めるという趣旨もございまして、現在すでに一般公務員の給与と比較いたしますと、三割程度格差がついておるわけでございます。もちろんこれらの公庫におきましては、国の恩給制度もございませんし、国の共済制度もないわけでございます。そういう点も勘案し、総合的に検討をいたしまして比較をいたしませんと、ただ給与の差があるからといって直ちに安いとか高いとか言い切れないわけでございますので、現在の段階におきましては、ただいま申し上げた通り、結論としては慎重に研究をさしていただきたい、かように考えております。
  150. 石野久男

    ○石野委員 ではお尋ねいたしますが、国民金融公庫だとか住宅、農林漁業、あるいは中小企業、これらの公庫に働いておる職員の諸君が、政府機関の職員とどういうふうに性格上の違いがあり、またどういうふうにこれを見るべきかという点について、政府はどういうふうにお考えになっておりますか。
  151. 足立篤郎

    ○足立政府委員 具体的な問題でございますので、給与課長も参っておりますから、給与課長からお答えさしていただきます。
  152. 岸本普

    ○岸本説明員 公庫等の政府関係機関の職員の給与問題につきましては、やはりそのやります仕事の内容から見まして、一般の公務員とはある程度の差を考えなければならぬことは当然のことと思います。特に民間の金融機関と同じような仕事をやる、またそこから人の出入もあるというような問題もございますので、一般の公務員並のベースで律するのは問題だろうと思います。そういう意味で、大体、従来とも二、三割ぐらいはベースも高く、民間から人が迎えられるという建前で、給与はきめて参っておるわけでございます。
  153. 石野久男

    ○石野委員 そうすると、なんですか、公庫の職員は、一般公務員と同じにやれないから、若干ベースを上げておるということは、これは、公庫職員自体が持っておる質の問題としてあなたは考えておるわけですね。そういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  154. 岸本普

    ○岸本説明員 仕事の内容自体の比較、どちらが質が重いか軽いか、これはなかなか困難な問題だろうと思いますが、現実の人間需給関係、公務員からも参りますし、あるいは民間からもおいでになる。そういう点を考えまして、若干高目に給与ベース考えて参っておるということでございます。
  155. 石野久男

    ○石野委員 給与のベースに段階がついておるとかなんとかいうことを私は聞いているのじゃなくて、今、他の公務員とか三公社五現業の諸君のベース・アップが行われようとしておるときに、こういう機関に働いておる諸君に対する給与のベース・アップの問題が論議されないで、ほうりっぱなしにされておる理由は何か、またそれでいいのかという問題、これを一つはっきりお聞かせ願いたい。
  156. 岸本普

    ○岸本説明員 公務員のベース・アップの問題は、すでに予算で計上いたしまして、方針として決定いたしました問題でございますが、政府関係機関、公社、このグループについては、まだ未解決の問題でございますし、また、今後の仲裁委員会の裁定の結果を見なければならぬわけでございますが、政府が予算でそうした措置をいたしておりませんのは、やはり従来の政府関係機関、公庫を含めましての給与は、現実相当高くなっております。
  157. 石野久男

    ○石野委員 私の聞いているのは、高くなっておるとかなんとかいうことじゃなくて、片一方のベース・アッブが行われるときに、なぜこちらはやらないかということを聞いておる。
  158. 岸本普

    ○岸本説明員 ただいまの御質問の点でありますが、私どもといたしまして、従来公庫の給与は二、三割ぐらい高いとこう踏んで、予算を積算いたして参っておるのであります。いろいろ人件費のやりくりもございましょうが、現実の高さを見ますと、想定いたしておるものをある程度上回っている。その点が、今回公庫につきましての予算措置をいたさなかった理由でございます。
  159. 石野久男

    ○石野委員 問題をぼやかしてはいけない。上回っているというなら、どの程度上回っておるかということをはっきり言わなければならぬ。それで、これらの公庫職員の職務は、先ほど次官からお話があったように、退職金制度もありませんし、共済制度もないのです。しかもここに働いておる諸君は、ある程度程度の高い人々を集めて仕事をさしておるわけです。だから、現在給与がちょっと高いということは、むしろそれの既得権といいますか、その人の本質として持っておる職能的な立場からくるものであって、何もそのことは、特別に高いということでもなんでもない、そういうふうに考えるべきだと思うのです。私はほかのところでベース・アップが行われたときは、やはりこれらの企業と同じように、ベース・アップしてやらなければならぬように考えている。そういう意味から聞いているので、その点についてのあなたのお考え方では、私に対する答弁になっていないのです。これは、次官から一つその考え方をはっきりさせてもらいたい。  現在その調停とか裁定に入っている問題の中には、全然公庫職員のものが入っていないわけなんだから、ほうりっぱなしにしておくつもりなのかどうかについてお聞かせ願いたい。
  160. 岸本普

    ○岸本説明員 ただいまのお話の中に、ちょっと事実問題でございますので、説明員として申し上げさせていただきますが、恩給も共済もございませんが、別途年金制度としましては、厚生年金保険制度がございます。公務員よりは掛金率は低いわけでございます。これもありますし、あるいは健康保険法による、組合管掌によって健康保険を組織して仕事を営んでおるわけであります。そうした面での待遇差というものは、実質上ないと私たちは考えております。  給与ベースの問題につきまして、よそが上るのだからこちらを上げなければいけないのだ、これは、確かに人情論として、そう相なろうかと思うのでありますが、問題は、当初こうした公庫制度ができましたとき、どの程度の給与の差を考えておけば職能的に妥当であろうかという一つの想定もあるわけでございます。それを現実が上回っておりますと、やはりほかが上った際に、この際気持の上からはお気の毒でありますが、実質の問題から見れば、やはり御遠慮いただきたい、こういう考え方でございます。
  161. 石野久男

    ○石野委員 今説明員の話を聞きますと、公庫職員の諸君に対する給与の問題については、この際はほうりっぱなしにしておくという考え方なんですか。
  162. 岸本普

    ○岸本説明員 いずれにいたしましても、給与の本質論とか、あるいは昇給原資なんかも若干はよくなっておるのでございますが、給与自体の問題と、先ほど申し上げました資金コストヘの影響、こうした問題もございますので、現在は検討中であると申し上げておるわけであります。
  163. 石野久男

    ○石野委員 そこで、この一時恩給とかいろいろな問題があるからとかというようなことで話をぼやかされてしまうといけないのですが、先ほどの次官からの説明によりますと、この問題は、やはり資金コストにも影響してくるので考えなくちゃならないということを言われておりました。それからもう一つは、一般公務員と比較して云々ということを言われたわけです。やはり現在のところは何も考えていないけれども、しかしこの資金コストに影響するからそのことを考慮して、政府としては、これらの四公庫の職員に対する給与の問題を考えるという意思があるのか、それとも、それはもう現状として考え考えないは全然ないのだと言われるのか、まずそれから先にお聞きいたします。
  164. 足立篤郎

    ○足立政府委員 石野委員が御指摘の通り、こういった特殊の職能のものは、それぞれ特殊の高度な技能を持った者がこれに勤めておるということでございまして、本来給与ベースにおいて高いのが当然である、これはその通りだと思います。ただ、これらの公庫の現在員がすべてそれじゃ高い技能を持った者ばかりであるかというと、必ずしもそうではないわけでございます。でございますので、その間の平均をとるという場合には、非常にむずかしいわけでございます。そういう技術的な面もあるようでございます。なお事務当局といたしましては、本年度の予算を計上いたします際に、一応事務的な検討はいたしたようでございますが、ただいま給与課長からお答え申し上げました通りに、従来の経緯からかんがみまして、現在の段階においては、一般公務員の六・二%の給与アップは、むしろこういった不均衡を是正するために、一般公務員の給与をまず改めるということで政府としては踏み切ったようでございまして、事務的な検討においては、現段階において、四公庫の給与を直ちにこれに伴って同率、あるいはそれと権衡を失しないような率で引き上げなければならないという結論にはなっていないようでございます。しかしながら、本日この御質問をいただきまして、実は私も今までの事務的な検討の内存を詳しく聴取いたしておりませんので、この点はさらに研究いたしまして――ただいま給与課長から、なお私からも申し上げた通り、非常に偏の広い問題でございまして、検討を要する点が多々ございますので、こういう点を十分に研究をいたしまして、大蔵省部内としても再検討をいたしてみたいと考えておる次第でございます。
  165. 石野久男

    ○石野委員 大蔵省の方で、この問題を放置しないで再検討するということであれば、われわれとしても、それ以上のことは強く言わないで、むしろ大蔵省にその点を真剣に考えていただきたい。従来とも公庫の職員は、他の機関の三公社とか、あるいは五現業あたりがそれぞれベース・アップのありましたときには、同様に何がしかのベース・アップをしているわけです。今回に限ってそのことができないということになると、これは非常に悪い例を残すことになります。だから、私はそういうことにしないためにも、一つ真剣に考えてもらいたい。またそういうことに対する幅を持たさなければ困る。先ほどから給与課長が盛んに言われますが、非常に高いということの意味は、どこと比較してどういうように高いのか、たとえば、他の金融企業等に従事する者との比較などをとられるとどういうことになっているのか、それらについては、具体的にはどういう数字が出ているのですか、それをお聞かせ願いたい。
  166. 岸本普

    ○岸本説明員 国家公務員に比較しまして大体三割程度高い。市中の金融機関との比較は、公庫でございますから、比較の対象を大銀行をとるか、あるいはもう少し下のランクでとるのか、なかなかむずかしゅうございますが、平均的に見た場合は、大体民間の金融機関とバランスがとれていると確信いたします。
  167. 石野久男

    ○石野委員 今の点は、もっと数字を的確に出してもらいたい。勘で話されたのでは困るのです。あなたの方は勘で話をするかもしれぬけれども、実際公庫に働いて人にとっては生活の問題です。これらの諸君は、三公社五現業と大体同じような性格を持っているものだということは、あなたも知っていると思う。そういうような考え方で、この問題をもっと真剣に考えて、このままほうりっぱなしにしないでほしい。特にこの四公庫の問題については・ほうっておけばこのままほうりつぱなされるのです。この際今度の予算が成立すると同時に、また給与改訂の問題がはっきり具体的に成果を上げるときに、これらの職員の諸君に対しても、それに即応するような措置ができるような方策ができるかどうか、その点を一つ明確に政府の方から御意見を承わりたい。
  168. 足立篤郎

    ○足立政府委員 私が先ほど申し上げました通り、事務的な検討におきましては、給与課長からお答え申し上げておる通り、現在まではそういう結論になっておりますが、特に石野委員のお尋ねでもございますし、先ほど来申し上げておる通り、これは非常に検討をすべき要素が多いものですから、そういう点を総合的に再検討いたしまして、もし改める必要があれば改めるように態度をいたしますし、改める必要がない、昇給する必要がないというときには、その理由を資料を添付して委員に差し上げるように善処いたしたいと思っております。
  169. 井上良二

    ○井上委員 ちょっと、ただいま石野君の質問に関連してですが、金融公庫に働いている人の給与が他の金融機関の給与に比較して、ベースがほとんど違わぬという御解釈のようですが、それはどこの調査ですか。市中銀行のどこの銀行の給与水準をとってきておりますか、それを一つ参考資料に出してくれませんか。
  170. 足立篤郎

    ○足立政府委員 ただいま私申し上げました通り、大蔵省におきましてこの点は再検討いたしまして、必要な資料は必要により添付して皆様に差し上げたいと考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  171. 井上良二

    ○井上委員 それか農業協同組合、信用組合ですか、あるいは信用連合会ですか、そういうものやら、市中の非常に資本の小さい信用金庫、相互銀行、そういうものの給与の平均を出して、それとこれとを比べてはだめだ。やはり政府の管掌する一つの銀行ですから、少くともそれだけの職務上の責任と地位を国家内に保障している、そういう意味で、一般公務員よりは三割ないし三割高い俸給によって待遇を保障しているわけです。だから、それと対応するような市中銀行の相当いいところと肩をそろえるようにしてやらぬとだめだ。ですから、いいかげんなことで事を済ましてもいかぬから、一応調べて、もし非常に格差があるということになれば、この際仲裁裁定の出ました後においては、この問題もあわせてそれぞれの公庫のワク内で一つ操作をさして、取り残さぬように考えてやる、大蔵省はそのことにあまり文句を言わぬ、こういうことにしておかぬと、どうも予算折衝でやったけれども、あなたに怒りつけられてさっぱりものにならなんだという話がきておるのだから、そこのところは親心で円満に解決できるようにかわいがってやってもらいたい。それ以上私は突っ込みませんから、政治的に御解決を願います。     ―――――――――――――
  172. 横錢重吉

    横錢委員長代理 次に、連合審査会開会の件についてお諮りいたします。当委員会において審査中の揮発油税法案につきまして、地方行政委員会、運輸委員会及び建設委員会より、それぞれ連合審査会を開会いたしたいとの申し入れがありますので、これを受諾して開会するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 横錢重吉

    横錢委員長代理 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお連合審査会開会の日時につきましては、委員長間の協議により決定いたしますが、来たる二十五日午前十時より開会する予定でありますから、御了承願っておきます。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十五日午後一時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時十四分散会