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1957-02-19 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       淺香 忠雄君    大平 正芳君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       内藤 友明君    古川 丈吉君       坊  秀男君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    横路 節雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      中尾 博之君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      武田 誠三君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 二月十六日  坊秀男辞任につき、その補欠として太  田正孝君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員太田正孝辞任につき、その補欠として坊  秀男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十八日  資金運用部預託金利率特例に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第二二号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  税関支署設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出承認第三号)(予) 同月十五日  囲碁用具に対する物品税引下げ請願唐澤俊  樹君紹介)(第八九六号)  ビール税額引下げに関する請願中島茂喜君紹  介)(第八九号)  同(平岡忠次郎紹介)(第八九八号)  同(神田大作紹介)(第九三一号)  同(高村坂彦君紹介)(第九三二号)  揮発油税率引上げ反対に関する請願外十一件(  田中利勝紹介)(第八九九号)  公共事業国庫補助金単価引上げに関する請願(  徳田與吉郎紹介)(第九六六号) 同月十六日  元満鉄社員の会社に対する債権国家補償に関  する請願井手以誠君紹介)(第九七九号)  同(菊地養輔君紹介)(第九八〇号)  同外一件(佐々木更三君紹介)(第九八一号)  同(田原春次紹介)(第九八二号)  同(愛知揆一君紹介)(第一〇一六号)  同(白浜仁吉紹介)(第一〇四七号)  同(米田吉盛紹介)(第一〇四八号)  貸金業金利引下げに関する請願森三樹二君  紹介)(第九八三号)  揮発油税率引き上げ反対に関する請願小澤佐  重喜紹介)(第九八四号)  同外二件(石山權作君紹介)(第一〇一七号)  同(石山權作君紹介)(第一〇四五号)  抑発油税及び地方道路税引上げ反対に関する  占顧小澤佐重喜紹介)(第九八五号)  ビール税率引き下げに間する請願薄田美朝君  外二名紹介)(第九九二号)  同(丹羽兵助君外一名紹介)(第九九三号)  同(芳賀貢君外一名紹介)(第一〇一九号)  寒冷地帯農家所得税特別控除に関する請願(  山本猛夫紹介)(第一〇一五号)  揮発油税及び軽油引取税引上げ反対に関する請  願(石山權作君紹介)(第一〇一八号)  災害地における指定防火帯耐火建築に対する  登録税免除請願櫻井奎夫君紹介)(第一〇  四九品号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年  度における国債整理基金に充てるべき資金の繰  入の特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第五号)  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第六号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内罰提出第一〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一一号)  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二号)  資金運用部預託金利率特例に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第二二号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  税関支署設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出承認第三号)(予)     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  昨十八日当委員会審査を付託されました、内閣提出にかかる資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案及び同日参議院に提出され、予備審査のため本院に送付されて当委員会予備付託となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し国会承認を求めるの件の両案を一括議題として審査に入ります。  まず政府側より順次提出理由説明を聴取いたします。足立大蔵政務次官
  3. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま議題となりました資金運用部預託金利率特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  郵便貯金特別会計の収支の不均衡を緩和するために、昭和二十七年四月資金運用部預託金利率特例に関する法律が施行されまして、同年度以降当分の間の措置として、郵便貯金特別会計から資金運用部に預託された資金約定期間が五年以上のものに対しては、資金運用部資金法規定する年五分五厘の利子のほかに、年一分以下の範囲で毎年度逓減するような特別利子を付することとし、その特別利子利率は政令で定めることといたしました。この特別利子利率は、二十七年度は一分、二十八年度は九厘、二十九年度は八厘、三十年度は七厘、三十一年度は大厘とし、毎年度一厘ずつ逓減させて参りましたが、この間昭和三十年八月資金運用部資金法の改正により、新たに約定期間七年以上のものが設けられ、これに対し年六分の利子を付すこととなりましたので、これに伴いまして特別利子の定め方を改め、約定期間七年以上のものに対しては、三十年度以降一年二厘以下の範囲で毎年度逓減するような特別の利率により利子を付することとし、三十年度は二厘、三十一年度は一厘といたしました。従って三十一年度約定期間五年以上七年未満のものに対しては、資金運用部資金法に定める年五分五厘のほか、六厘の特別利率により利子を付し、約定期間七年以上のものに対しては資金運用部資金法に定める年六分のほか、一厘の特別利率により利子を付し、ともに六分一厘の利子を支払っております。来年度以降の特別の利子につきましては、毎年度一厘ずつ逓減させて参りました従来の例によりまして、約定期間五年以上七年未満のものにつきましては、資金運用部資金法規定する年五分五厘の利子のほか、年五厘以下の範囲で毎年度逓減するような特別の利率による利子を付することといたしますが、約定期間七年以上のものにつきましては、これに対する特別の利子は付さないことといたしたわけであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署設置に関し国会承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。  今回税関支署としようとする神戸税関今治税関支署松山出張所外三十張所において取り扱う最近の貿易実績は、いずれも港湾設備及び背域産業等立地条件に恵まれ、飛躍的な増加を示すとともに、将来の伸展が大いに期待されているところでありまして、これらを税関支署として独立性を賦与し、関税法規定に基く税関長の権限を委任すれば、現地における税関業務をさらに迅速かつ、円滑に処理することができ、税関行政遂行官民ともに大いに便益を受け得ることになりますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして本件を提案した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 山本幸一

    山本委員長 これにて提案理由説明は終りました。  両案件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 山本幸一

    山本委員長 次に、昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  この際お諮りをいたします。質疑及び討論を省略して、直ちに採決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  6. 山本幸一

    山本委員長 なければさよう決します。  これより本法律案について採決をいたします。お諮りをいたします。本法律案原案通り可決するに御異議ありませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山本幸一

    山本委員長 異議ないものと認めます。よって本法律案全会一致をもって原案通り可決をいたしました。  この際お諮りをいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によって委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山本幸一

    山本委員長 異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  9. 山本幸一

    山本委員長 次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び産業投収資特別会計法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題として質疑に入ります。横錢重吉君。
  10. 横錢重吉

    横錢委員 補助金等臨時特例に関しては、昨年も一年間の延長を行なったわけです。昨年の場合においても、われわれとしては、この特例を出して押えることは地方行政に対して影響するところが大である、従ってこの延長は行うべきでない、こういうふうな意味から、本委員会においてもこれに応対いたしたわけでありますが、さらにまたこれを一年間延長しよう。その一部には国立公園法と、一点だけ除かれたものもありますが、これをさらにまた延長しようというのは、一体どういうふうなところに理由があるのか、この点一つお答えをいただきたい思います。
  11. 宮川新一郎

    宮川政府委員 お答えいたします。  補助金特例法といたしまして、毎年暫定法として、一年ずつ延長いたしまして御審議を願っておりますことは、私どもといたしましてもまことに恐縮に存じております。補助金につきましては、いろいろ御承知のように、社会経済事情の変化に対応いたしまして当初作られました補助金趣旨からさらに再検討を要するような問題もございますし、あるいは非常に零細でございましてかえって行政費がその金額に比例して相当大きくかかる、その補助効果も非常に乏しいというようなものも多々ございまして、大蔵省といたしましては、補助金整理について格好のよいものにいたしたいと思いまして、毎年検討を加えておるのでございますが、恒久的な立法というものを考えるまでに、非常に多くの補助金がございまして、なかなか構想がまとまりませんので、はなはだ残念でございますが、毎年少しずつ改善を加えて御審議を願うというようなことになっておりまして、今年度も昨年度同様、もう一年特例法の御審議を願いまして、時をかしていただきたい、かように存じて御提案申し上げた次第でございます。
  12. 横錢重吉

    横錢委員 今日の財政は、国家財政地方財政とが、補助金とか、あるいは分担金とか、あるいはまたいろいろな交付税とか、こういうふうな関係によって、不可分、一体化されておると思うのです。従って、一方的に政府の方が押えるとか、あるいはまた地方の方でやらないとかいうふうなことがもし行われたならば、穏当を欠くことになるであろう、こういうふうに考え、るわけですが、この特例を出す場合においては、地方の方と十分に話し合ったのか、あるいはまた地方の方から要望があって、これを取り上げてもよいというふうなことが行われているのか、この点を伺いたいと思います。
  13. 宮川新一郎

    宮川政府委員 横錢委員の御指摘のように、国の補助金は、国家財政並びに地方財政に非常に密接な関連があります。自治庁を通じましての地方要望といたしましては、あまり零細な補助金中央からひもつきで回されるさことは、かえって地方財政の健全な運営を害するから、補助金をやめまして、交付税に回していただきたいというような要望は見えるのでございます。とこるが、一方中央行政官庁といたしましては、特定国家行政目的を達成いたしますためには、やはりひもつき補助金として存置しなければならぬという要請もございまして、この国家的要請地方行政要請を調整いたしましてやる必要がございます。従いましてある程度補助金整理いたしまして、これを交付税に回しまして、あるいはまたこまかな補助金の細分をやめまして、大きくまとめまして、その運用地方行政庁にまかすというようなやり方を逐次とっている面もございまして、その辺につきましては、関係中央機関におきまして十分協議いたしましてやっておる次第でございます。
  14. 横錢重吉

    横錢委員 今補助金に対する考え方を聞いておると、あまりこまかい補助金は、地方の方でもかえって赤字を出す理由にもなるというふうな見解を自治庁は持っておるというのであるけれども、しかしそれならば、そういうこまかい補助金なんかをきめる一番の根源というものは、一体だれがやっておるのか。これは、おそらく政府の方でこれを行なって新しく作るこの法律に基いて、国の補助金を何分の一にするとか、こういうふうなことをきめて、これを地方の方にやらせていく、こういうふうな関係になっていると思うのです。地方の方から望んでこれを法律化してくれ、これに対して何分の一くれ、こういうふりなことを言うてくるのはごくまれで、大部分のものというのは、ここで特例で押えられたものも、そのほとんどの内容というものは、もともとは国会の方で立法化が行われ、これに基いて、地方の方に対してその行政事務というものが強制された、こういうふうにわれわれは考えておる。従って、それをやらせておいて、あとから、これは政府の方の都合で渡すわけにはいかぬ、こういうふうな考え方というものは、きわめて穏当を欠くと思う。独善的なものの考え方ではないか、こういうふうに思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  15. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘のように、むしろ中央行政庁においてこういう補助金を出したい、そうしてまた、所要法律を作るというのが多うございます。しかし、中央行政官庁がそういう補助金を出すものには、やはり地方からの要請に基いてやっておりますものも相当ございますわけでありまして、一応作った補助金整理する、それを整理しっぱなしにするということになりますれば、いろいろ問題がございましょうけれども整理いたしました場合も、そういう行政目的を達するために必要であると思われますものにつきましては、やはりその分に相当するものは、地方財政計画におきまして所要の見積りをいたしまして、これの補てんのためには、交付税をもって充てるという財政計画上の算定に十分織り込んでおりますので、かりに補助金整理いたしましても、政府が独善的に一方的にこれをやめまして、それによって、地方において今でやってきた仕事ができなくなるというようなことはないように取り計らっております。
  16. 横錢重吉

    横錢委員 この特例によって押しえられるものの内容を見れば、これは公立学校定時制課程の職員の国庫補助の金を押えるとか、あるいは社会教育法に基く公民館関係であるとか、あるいは産業教育振興であるとか、こういうような補助金の額は小さいというけれども、これを実施するところにとっては、国の方からの補助があるということが理由で、今日まで仕事を始めておる。従って府県の方においても、なかなか財政が困難で支出しにくかったにもかかわらず、こういうふうなことを進めてきて、今日の段階においてこれを切るということは、とりもなおさず、こういうふうな関係法律が生きておる、あるいはまたこういうふうな職務が生きておる、現在に行われている段階について、国の方が支出を怠ったならば、これによってこれらの行政というものは、末端において麻痺をしてしまう。その麻痺をさせるというか、わずか十九億という少い金額によって大きな影響を全国的に与える、こういうふうに考えるわけであります。従って、そういうふうな面から見た場合には、十九億を出さないということが、国としての節約だというふうな考え方をされておることは、国だけを考えて、国家全体の国・地方行政を貫くところの問題を考えていないやり方ではないか、こういうふうに考えておる。従って、この点は大いに当局として反省すべき点があるのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点いかがですか。
  17. 宮川新一郎

    宮川政府委員 御指摘の点ございますが、補助金整理は、単に政府としては、財政的見地からのみ与えておるのではございませんで、冒頭御答弁申し上げましたように、補助金というものの効率的な運用ということを考え、また地方財政との関連をも十分考えておる次第でございまして、特定補助金をやめましても、それに対応いたしまして、地方財政計画上にはそれを織り込みまして、財源計画とにらみ合せまして交付税金額を算定しているわけでございます。中には、一県ごと金額、あるいは一市町村ごと金額をとってみますと、きわめて零細であって、それくらいのものは、当然地方団体負担においてやってもいいようなものも相当ございます。そういうようなことを勘案いたしまして、補助金整理をやっておるわけでございまして、単に国の財政的な立場から補助金を減らそうという考えのみから、これを律しておる次第でないことを御了承願いたいと思います。
  18. 横錢重吉

    横錢委員 この補助金を出すときには、先ほども言ったように、初め国の方から、これこれの仕事を行うならば、これだけの補助金を出す、こういうふうなことで、地方に対してこれを流していると思うのです。そういうような契約の上に立って、いろいろな仕事ができてきている。それをあとから、今度国の方の都合でこの補助金を出すことはできない。特例法という法律を出したのだから、これは公けの考え方だ、こういうようなことを言うけれども、しかしながら、これを行なってきた経過、法律精神、そういうふうなものから見たならば、出すということを約束の上で行なって、あとになってこれを出さない、あるいはまた、ここではそうではないけれども、全般的に行われているのは、二分の一の補助であったものを三分の一にしてしまう、あるいは三分の一を四分の一に減らしてしまう、こういうふうなことを、国の方の都合でどんどんやられているわけです。こういうふうなことは、大きく見たならば、これは契約違反契約不履行である、そういうふうなことが行われたならば、重大な問題だと思う。こういうふうなことが、もしも国の方で契約不履行をしてそれで通るのであったならば、今度国の方がこれこれの仕事をやれ、補助金はこれだけ出すということをやったとしても、府県の方はこれを受けないというふうな態度に出た場合には、国と地方を貫く行政というものは麻痺してしまうだろう、どこかで行われなくなってしまう、こういうふうなことを憂えるのであって、これに関して相当責任があるのではないか。
  19. 中尾博之

    中尾政府委員 ごもっともな御質問と思います。制度でございますから、中央地方を通じましてこれが安定した姿でもって行われていくことがもちろん必要なことでございます。それらの点につきましては、私どもも十分考えておりまして、決して事を怪々に運ぶというつもりでやっておるわけではございません。なお、ここで御審議をお願いしております分につきましても、決してそういうようなことからおろそかに考えておったわけでもございませんし、また国の財政都合によりまして、地方に渡すべき金を節約するということを考えましてやった趣旨でもございませんことは、今宮川次長からお答え申し上げました通りでございます。それから補助金にもいろいろございます。従いまして、この補助金整理合理化という仕事が非常に大事業でございまして、一朝一夕に解決いたしません。徐々に進めていかなければならぬという事晴にあるわけでありますが、何分にもいろいろな補助金がございます。しかしながら全体を通じまして、いわば奨励的な補助金というものにつきましては、一定の年限がたちまして、これはもちろん地方公共業務に関するものでございます。これが地方公共団体におきまして通常の業務として慣熟いたしました場合には、その補助金という制度は要らなくなるわけであります。そのかわり、本来の地方財源といたしましてこれが提供されるということが好ましいことだと存じます。そういうふうな大きな理由目標を立てまして、これらの目標によりま十分につきまして、補助金を徐々に地方国有財源に切りかえて参るというような考え方でやっておるのでございます。なお国といたしましては、やはりその財力の許す限り、常に地方行政の向上ということを考えなければならぬということはもちろんでありまして、その意味におきまして、公民館あたりにつきましても、よくその実情を調べまして、現在におきましては、ほとんど大部分地方でお出しになっております。ごく名目的な三万とか五万というような金が、補助金として一定の煩瑣な手続を経まして出されておるという実情でございますので、これらの点は、おおむね地方の経常的な業務としてすでに慣熟に近くなったものと考えます。ただし、新規にこれを建てるというものにつきましては、これは新しい出費でございます。将来に対するいろいろな負担もございます。これらにつきましては、地方におきましても、なかなか踏み切りがつかないというような点がなお感ぜられるわけでございます。従いまして、この法律におきましても、従来は事実上の措置でやっておりました設置初度費的な補助につきましては、関係補助を逆に高めておりまして、本年度あたりにおきましても、公民館あたりは、そういうような見地々々から、むしろそれらの措置予算をふやしておるのでございます。もちろん予算をふやしまして、あとの経営ができないというようなことでは、これは地方財政として破綻でございます。それらの点につきましては、地方財政需要の面におきまして、十分にその財源は考えておる次第でございます。御質問の点は一々ごもっともと存じます。この法律に盛られておる分につきましては、それらの点をよくかみ合せまして処理いたすつもりでございます。御了承をお願いいたします。
  20. 横錢重吉

    横錢委員 契約不履行の点について。
  21. 中尾博之

    中尾政府委員 今の契約不履行という点でございますが、これは、御趣旨の点を実はちょっと取り違えまして、失礼しました。今の奨励的な意味補助金を出しておるものでございますから、習熟いたしました暁には、本来の財源、これを充実いたしまして、これももちろん国の措置として充実いたすわけであります。それに持っていくということで、だんだんに転換して参るという精神から、これは許されるものと存じております。なお、これはおそらく御質問趣旨でないと存じますが、契約という面で申し上げまするならば、補助金は、これを交付決定という一定措置がございます。その際に交付決定をいたしますると、そこで初めて国の債務が発生いたします。地方はこれを債権として持つことに相なります。それらの交付決定をいたしまして、すでに地方債権、国の債務になっております分をこの法律でもってこわすというようなことは、決していたしておりませんので、今後交付決定をいたします分の適用を見る法律であります。従いまして、形式式的なそういう狭い意味契約違反とこいう関係は全然出て参りません。また実際におきましても、長く見ましても決して契約違反的な、話が途中で違う、それでは地方としてもどうにもこうにもならぬではないかというような事態になるようなことにはいたしておりません。御了承を願います。
  22. 横錢重吉

    横錢委員 契約違反の義務観念について、非常に欠除をしておると思うのです。今のあなたの意見を聞いておるというと、交付決定をしたならば義務が発生する、しない場合には出ないのだ、従ってこれでこの法律を通すならば、出さなくてもいいのだから契約不履行にならぬ、こういうふうな論皆の上に立っておると思うのですが、問題はそうじゃないと思う。そうじゃなくて、これこれの仕事をやるのにはこの補助金を出すということを、一番初めには話をしておるわけです。それに基いて、府県でどんどん公民館もやる、産業教育もやる、ここにあるようなものをどしどしやらせるわけです。地方の方では、今度地方の当局の中で予算をとる、あるいはまた地方の議会を通す、その場合には、この仕事をやるならば、これには国の方から何分の一の補助金があるのだから、従って実施したいというので、補助金理由として大体通しておる。この場合には、一年なり二年なり補助金を通していくというと、これは毎年出るということが、当然の国と地方との約束というか、そういうことになってくると思う。そこへきて、三年なり五年なりたったときに、これは奨励的なものだから打ち切る、これは、国の手というものを離れて独自でやらなければならないのだ。それならば、これは初めから本法におきまして、そういうふうな考え方を持つか、そうでなければ、これをやらせるときに何年間の期限付とか、初めからそういうような約束の上に立って仕事をさせるべきだ。それを無期限に補助を出すような格好をしていながら、途中になってから切る。この迷惑というものは、府県の方から見て非常なものです。特に切られるものが各省、各府県の各部において強いものならば、これをどこからでも穴埋めすることができるのだ。しかしながら、国の方でも、切る場合には、おそらく一番末端行政のような小さなものを切る。従って、府県の方においても、こういうふうなものはやはり勢力が弱い。従って、国の方から切られたものは、これらの費用はとるところがなくなってしまう。こういうふうな関係から、今の国のとっておる、こういうような途中になって臨時特例を出して制限をしてしまう、その制限したことが予算の節約である、また補助金の額があまりに零細に過ぎるというようなこと、零細に過ぎるならば、これはよけい出してもよい、あまり少くて仕事にならぬということが、今あなたの述べられた中に出てきておりますが、あまり額が少いなら、この額をもう少し上げたらいい、そういうふうな逆の考え方の方が、今日の情勢の中では私は要求されておると思うのです。従って、今のあなたの答弁の中では、国の方がこの法律に基いて仕事をさせてきて、これに対するところの義務観念というものがはなはだ欠けているのじゃないか。この点を根本的に直さなければ、今日の国家財政地方財政との一体化、これによるところの緊密な行政効果を上げるということがむずかしいではないか、こういうふうに考えます。
  23. 中尾博之

    中尾政府委員 御質問趣旨は、私も全体としてまさにそうあるべきであるということで、了承いたすことができると存じます。中央地方とが緊密な連係をもちまして、安定した制度でもって仕事が行われていきますならば、これはもちろん一番いいことであります。しかし、本来が地方の公共事務でありまして、地方公共団体地方公共事務を実施していくべき建前があるのでございましてそれに対して財源というものは、その自分たちが裁量的財源によりまして自分たちの納得で、地方議会の議決を経まして、住民の批判を受けながらこれを運営していくという姿に持っていくことが理想でございます。そこべ順々に持っていくということがおそらく制度の本質であろうと思いますが、その途中におきまして補助金をやめた、一般財源に振りかえたことによりまして、当該行政が萎縮するということでは、これは行き過ぎでございます。それらの事情はよく考えまして、実情をながめまして、この法律を立案いたしてございます。従って、これらの法律の各条項にございます補助金につきましても、それらの措置を講じましたものにつきましては、随時この実情をたがめまして、これによってかえって行き過ぎにならぬかどうかという点は、調べておる次第でございます。補助金法律も、これは施行いたしまして数年になりますけれども、その間におきまして、今御指摘がございましたような御懸念の点はまだ認められませんので、その点につきましては御心配はない、こういうふうに考えております。何分にも補助金整理合理化と申しますのは、先ほどもお話がございましたように、決して国の支出を節約するという趣旨からのみ出ておるものではございません。地方負担すべきものは地方負担する、地方の民主的なそういう批判を経ましてできていく体制を作ろうということであります。そういうことをやって参りますには、なお相当時間もかかるわけであります。その間におきまして、なおこれらの措置を進めていきます。なお、補助金のいろいろな合理化措置は進めて参りますが、それらの場合におきましては、御指摘のような点について十分に考慮いたしまして、行き過ぎのないように努めたいと実は念願しておる次第でございます。御了承をお願いいたします。
  24. 横錢重吉

    横錢委員 地方公共団体の固有の行政だということを言われるけれども、これはきわめてむずかしい問題だと思うのです。どこまでが国独自の仕事、どこまでが地方独自の仕事ということは、多少の程度の差というものはあるけれども、独立しているものはほとんどない。もしほんとうにこれは国独自のものだ、地方公共団体独自のものだというならば、今日の財政支出の考え方というもの、あるいはまた歳入の考え方というものは、根本問題から入っていかなければならぬと思う。なぜならば、今ここに千葉県の三十二年度予算案がある。この千葉県の予算の中を見ましても、約百二十億の予算の中で、各款にわたって国庫支出、あるいは補助金分担金、こういうふうなものと関係のない事業は一つとしてないのです。全項目にわたって、財源には全部国のひもがついているか、国との関係があるか、その事業々々にわたってこまかに、たとい交付税できたとしても、その内容は全部査定をされておる。こういうふうなわけであります。これは国独自のものだというふうなことは、なかなか言いがたい。そこで、国が七で府県が三だとか、国が八で府県が二だとか、いろいろ程度の差はあるけれども、国と地方との今日の関係は、ほとんど一体化しておる。私はここに問題があると思うのです。従って、こういうふうな関係でなかったならば、こういう臨時特例を出すこともけっこうであるけれども、こういうふうな今日の仕組みをしておいてこれを出すことは、これは大企業と中小企業との関係のようなもので、大企業が危なくなってくると、中小企業に出すものを切って自己だけが生き延びようとしておる。国は国だけの財政を健全にしておいて苦しくなってくると、府県に出すものを切っていく、こういう独善的な考え方が、わずか十九億であるけれども、この中にやっぱりひそんでいる。従って、この点を根本的に直さなければいけないのではないか、こういうふうにわれわれは感じるわけです。
  25. 宮川新一郎

    宮川政府委員 横錢委員の御指摘のように、地方行政中央行政とは非常に密接でございまして、どこまでが国の行政分野であり、どこまでが地方行政分野であるか、なかなか截然とわかちがたい点が多々ございます。そこで、先ほど来るる御答弁申し上げましたように、地方行政のあり方、国の行政のあり方から見まして補助金という制度をどういうふうに持っていくかということを恒久立法化して、安定した基礎の上に立って、地方の方も安心をして仕事をする、国の方もそれだけの財源補助金のために支出するという制度を恒久化することが、私は最も望ましいことだと思うわけでございます。しかしながら、一方すでに奨励的な目的も完遂いたしまして、またこまかく一々ひもつき地方補助金として回したのでは、地方の弾力的な財政運営、行政運営がいたしがたいという面も随時出て参っておるような現状でございましてそういう点も勘案して、特例法という異例な規定の仕方でございますけれども、一年間さらに延長して、もう少し時をかしていただいて、補助金としてのあり方をいかに持っていくかということを恒久化する、かような念願から提案いたしておる次第でございますから、その点御了承願いたいと思います。
  26. 横錢重吉

    横錢委員 まだ質問が残っておりますが、残余の点は、大臣が見えられましたので、大臣に対する質問者がありまするから、これで一応打ち切っておきます。
  27. 山本幸一

    山本委員長 引き続いて質問の通告がございます。神田大作君。  なお神田君にお願い申し上げますが、大臣は参議院の方で一時から要求があるそうであります。従って、なるべく質問は大臣中心におやりいただきたいことを希望いたします。
  28. 神田大作

    神田(大)委員 食糧管理特別会計法の一部改正に関する法律案に関しまして、大臣に二、三御質問を申し上げます。  まず第一に、食管会計の問題につきましては、いろいろと議論がされたのでありますけれども、食管会計そのものがまことに漠然としておりまして、われわれも非常に理解しにくいのでございますけれども、こういう漠然としている食管会計を明るみに出して、国民に納得をしてもらうためにどういう方法をとろうとしているか、お尋ね申し上げます。
  29. 池田勇人

    ○池田国務大臣 事業の特別会計は、現品その他ございまして、非常にむずかしいのでございます。ことに最近のように、食管会計におきましては、価格安定法の規定に基きまする措置もいたしておりまするし、また主食の方におきましても、外米、外麦の輸入がございます。また外米の方でも、一時騒がれました黄変米もまだ相当残っているわけでございまするし、なかなかわかりにくい点が多いのでございますが、こういう点を考慮いたしまして政府におきましては、先般食管会計の合理化をはかるために特別調査会を設置いたしまして、再検討し、わかりいいように内容を十分洗ってみて、今後の措置をとりたいという考えで進んでおります。
  30. 神田大作

    神田(大)委員 食管会計の特別調査会を作って、食管会計について御調査をするような話でありますけれども、私は、調査会を作ること自体はけっこうなことであろうと思うのです。しかしながら、聞くところによりますと、この調査会は、政府が一応学識経験者というような者を任命して、内閣の諮問機関として設置するというようなことでございますけれども、これでは、ときの政府の意向に従って調査することになりはしないかということを危惧するのでございますけれども、そういう点はどうお考えになりますか。
  31. 池田勇人

    ○池田国務大臣 学識経験者で適当な人をお選びして、政府の方針をきめまするもとを作っていただきたい。こういう考えでございます。政府が押しつけるというようなことはないと思います。
  32. 神田大作

    神田(大)委員 政党関係、あるいは衆参両議員の中には、食管会計について相当の常識を持っている方もたくさんあると思うのでございますけれども、そういう方をこの調査会に入れることは必要と思いますけれども、いかがでございましょう。
  33. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいまのところは、国会議員の方はお入れしない方針と聞いております。政府の方で、一応学識経験者を選んで検討していただく。そして、国会国会の方で別個の立場から御検討なさることと思うのであります。
  34. 神田大作

    神田(大)委員 国会議員を入れないというようなことでございますけれども、そうなりますと、大臣とか食糧庁の官僚という人たちの影響が非常に多くて、複雑な食管会計にほんとうにメスを下して明るみに出すという仕事が、妨げられるおそれがあるのではなかろうかと思うのでございますけれども、そういう危惧はありませんか。
  35. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう点は、いずれ国会で御審議願うことでございますから、私は一応学識経験者の方でやってけっこうじゃないかと思います。聞くところによりますと、自由民主党の方では、また別個に作っておやりになるということを聞いております。
  36. 神田大作

    神田(大)委員 聞くところによりますと、この調査会の議事を秘密会にして、公表しないでやるということを聞いておりますけれども、そういう意図がありますか。
  37. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はそういうことを聞き及んでおりません。
  38. 神田大作

    神田(大)委員 大臣は、これを公開にして国民に公表する意思を持っておりますか。
  39. 池田勇人

    ○池田国務大臣 結末につきまして公表することが望ましいのでございます。これは、もちろん公表することになると思います。
  40. 神田大作

    神田(大)委員 調査会の結果を待つまでもなく、食管会計に対しましては、食糧庁において多数の人たちがそれに従事しており、あるいは大蔵省等におきましても、これを監督しておるのでございますから、調査会においては、食管会計の制度そのものをどうするとか、あるいは赤字をどうするとかいうような問題は問題になるだろうけれども、数字そのものについて、あるいは複雑さそのものについての数字的な根拠というものは、現在おわかりだと思うのでございますけれども、こういう問題について白書というようなものを出して、赤字の原因を発表してもらいたいと思うのでございますけれども、そういう意思がありますか。
  41. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは調査会の職務でございまして、今大蔵大臣として、とやこう申し上げる段階ではないと思います。しかしいずれにいたしましても、食管の合理化検討でございますから、いろいろな点が論議せられまして、そうして、これは発表した方がいいということをお考えになれば、そういうふうになると私は想像いたしております。
  42. 井上良二

    ○井上委員 関連して。ただいまの御答弁で、非常に重要な問題でありますから伺っておきますが、大蔵大臣は、食管制度特別調査会を設置するに当って何か国会の方ではこの結果について御審議を願った方がいい、こういうお話でございます。ところで、調査会なるものは内閣設置する、そうして、これは何ら法的根拠のない総理大臣の諮問機関になるというものであります。その結果を国会審議すると申しましても、国会審議の対象になりますのは、それからさらに米価審議会にこの結論がかけられて、米価審議会がどういう結論を出すかということによって、初めて国会審議の対象になろうと思うのです。そこで、私はこの際大蔵大臣に伺っておきたいのですが、われわれは、少くとも年間の予算を対象にして審議いたします場合、この予算は、国民生活の基礎になります米価なり賃金なりというものはなんぼで一体押えられておるか、この米価、賃金は年間にどう動くか動かないのかということが、一つの重要な根拠になっておるのであります。その結果、物価はどう動くか、国際収支はどう動くかという一つの見通しを立てて、政府予算編成方針の方向というものが大体正しいか正しくないかという一つの結論を下すのであります。ところが本年の予算では、一応米価は上げないという前提に立って組まれておりますけれども、しかし先般来、予算委員会その他において政府の答弁を聞いておりますと、三十二年度消費者米価は特別調査会の結論を待ってきめる、こう言うのであります。そうなると、その特別調査会で、かりに消費者米価を上げた方が食管会計の運営上また採算上妥当であるという結論が出ました場合には、ただいまの予算というものに大きな影響をもたらしてくると私は見ておるわけです。それと同時に、どうも大蔵大臣なり政府考え方の中には、この特別調査会は、一つの米価値上げを合理化せんがための機関ではないかということを私ども強くて感ずるのであります。ただいま質問者の伺っておる点を聞きましても、一体その調査会の委員はどういうメンバーを予定しておるかということになりますと、おそらく政府の方では、学識経験者、広く有識者を集めるという抽象的な御答弁でございましょうけれども、私どもが想定するのには、おそらく食管会計を独立採算制でつじつまが合うすっきりした会計に立て直すことを念願する人々を集めるのじゃないか、こう私どもには考えられ得る。具体的に申しましてはなはだ失礼でありますけれども、たとえばすでに予定されておるところの東畑精一氏が、この特別調査会の会長になるということを井出農林大臣は発表している。東畑氏は、すでに食管会計の現実を検討されて、やはり独立採算制ではっきり消費者米価を上げるべきであるということを明確に発表されている。消費者米価を上げていいという人をその会の会長にして、それで特別調査会の結論を待ってみるという政府の言葉は、国会のうるさい論議さえ済めば、政府の思うつぼの米価値上げは行われるということを予想されているのではないかということを、私どもは感づかざるを得ないのです。一体さようなごまかしをやるべき筋合いじゃないじゃないですか。現に政府は、政府と気脈を通ずると言っては工合が悪いけれども政府の御用を務める学者、政府のお先棒をかつぐような有識者、経験者、たとえば農林中金の理事長、あるいは全国農業協同組合中央会の会長、これら一連の農業団体、生産者団体等の代表者を集めてきますならば、これらは全部政府から補助金をもらっている補助金団体である。補助金団体の代表者を集めて、それで一体政府に反対する正確な意見が出るとお思いですか。そんなことをやられたのではたまったものじゃありません。それだから、私どもは、政府は米価をはっきり上げようとしているなということは明確であります。そう結論がなっていくと私どもは見ておりますが、そう見るのははなはだ思い過ごしであると大蔵大臣はお思いになりますか。この点を明確にしていただきたい。
  43. 池田勇人

    ○池田国務大臣 問題が二つあると思います。まず特別調査会に国会議員を入れないという問題につきましては、先ほど申し上げました通り、ただいまのところ内閣では、国会議員でない学識経験者をお選びする方針で行っているようでございます。  第二の特別調査会の委員につきましては、私ただいま関係いたしておりません。新聞では、ちょっと見ることは見ました。東畑君が会長を引き受けたというふうに聞いておりますが、これは、私は東畑君がどんな考えをお持ちになっておるか存じません。しかし、特別調査会として慎重に審議して結論が出ることと思うのであります。今からどういう結論が出るということを申し上げるのは、少し早過ぎるんではないかと思っております。あくまでりっぱな結論が出ることを、われわれは望んでやまないのであります。
  44. 井上良二

    ○井上委員 予算編成の重要なポイントは、やはり米価なり賃金ベースなり物価指数なりというものが土台になって組まれておるのでございましょう。われわれもまた、予算審議する場合には、それを土台にして見通しを立てていかなければならぬと思うのです。完全に国会審議中には、米価は上げないという想定で予算が組まれておりますから、これを土台にしておりますが、国会が済みまするや、消費者米価は値上げをされるということになった場合、この予算というものは一体どうなりますか。それでも大蔵大臣はかまわぬとお思いになりますか。予算構成の土台がくずれてきますが、それでもいいとお考えになりますか。そこらはどうお考えになっていますか。
  45. 池田勇人

    ○池田国務大臣 米価が上るか上らぬかわかりません。万が一上るにしても、どの程度かわかりません。従いまして、ただいまのところは、お米が上らない、このままでいくものとして一応予算を組んでいます。もしその予定が変ったときにどうするかという問題は、そのときに考えればいいんじゃないか、こう私は思っておるのであります。
  46. 井上良二

    ○井上委員 なるほど、それは結果的にはあなたのお考えのようなことになるかもわかりません。しかし、私ども予算審議する者の立場から考えますと、やはりこの年間のバランスというものがどうなっていくか。またその国家予算地方財政等の年間の実施によって、これがわが国の産業、国民生活にどう影響していくか、国際収支にどう影響するかということを考えなければならない。そうなりますと、米価の値上げという大きな問題が未解決に置かれますということは、当然いろいろな形で、非常な影響をもたらしてくると私は見ている。それがどのくらい上るかわからぬから、そんなことを既定事実として織り込んで考えるわけにはいかないと言う。仮定理論の上で議論をしておられたんでは議論になりませんけれども、少くともわれわれが今日あらゆる角度から感づくところは、七月末までに特別調査会が結論を出すという前提で活動を始めるそうでありますが、そうなりますと、七月末に米価が上ってくる、さらにまた鉄道運賃なりガソリンが値上げをされてくる、これに相応呼して一般の物価が上昇してくる、そういうことになってきますと、あなた方が予想しております三十二年度の自然増の税収の上にも影響してくるということになって参りまして、予算全体の執行の上にいろいろ故障を生じてくる事態が起ってくる。そういうことが予想されますから、われわれはこの米価問題というものは、少くとも予算が成立するまでに上げるか上げないか——年度予算を組んでおるのでございますから、暫定予算ではないのでありますから。暫定予算ならば、これはあなたの議論でいいのですけれども、われわれは、少くとも年度予算を組んでおる以上は、それを審議しておる以上は、年度間の見通しというものが明確にせられなければなりません。その年度間において、国民生活やわが国の物価指数や国際収支に大きな影響をもたらし得るところの要素が動くか動かぬかということは、予算審議の上に重大な問題になってくる問題じゃないかと思うのです。そういう点で、どうも大蔵当局の答弁は、私ども予算審議をいたしております者としましては、非常に不安でかなわんです。だから大蔵大臣は、もし七月以降において米価が上げられ、あるいはまた運賃その他の値上りによって物価の上昇が起り、その後の経済情勢の変更が行われまする場合は、新しく補正予算その他を用意するつもりでありますか、その点はどうですか。
  47. 池田勇人

    ○池田国務大臣 三十二年度の経済界に非常な異変がございまして——私はそう思えませんが、もし突発的なことその他の事情によりまして予算執行に困るというふうなことがございますれば、これはそのときに考うべきことでございます。これは、予算委員会で申し上げましたごとく、国鉄の運賃が上りましても、これは合理化その他で吸収されて、物価には大して影響はないと考えておりますので、ただいまのところ補正予算その他のことは考えておりません。
  48. 井上良二

    ○井上委員 あなたは、そういうまことに楽観的な見通しの上に立っておるようでございますけれども、今国会に出しておりまする三十一年度の補正予算財源は、少くとも国税の自然増を一つのめどにして予算が組まれておるわけであります。この自然増が三十二年度どうなるか、これは、政府予算編成や実施の上に重大な影響をやはり持ってきます。私はあなたにお伺いをいたしますが、われわれ社会党の方から、この食管会計の赤字補てんについて、三十年度、三十一年度の赤字は、ぜひ三十一年度の補正予算で穴埋めをすべきである。しかるに、三十一年度の補正の財源になっておるものを、自然増を対象にして、それで三十一年度の赤字の補てんもせずに、三十二年度、三十三年度の産投特別会計にこれを繰り入れるというような予算の編成のやり方というものは、財務当局の、そろばんをはじいて正確な財政計画を立てるあなたとしては、はなはだ、どうも割り切れない予算の編成の仕方とお思いになりませんか。現実に三十年、三十一年度にそれぞれ赤字が出ておるのです。単に食管だけではありません。地方財政においてしかり、あるいはまた健康保険においてしかり、それぞれ赤字がそのまま残されておる。この赤字の始末を十分にせずに、それで、三十一年度に自然増が予想外にあるからということで、その一部を三十二年度、三十三年度の産投に繰り入れるというような処置が妥当な予算の編成のやり方とお思いになりますか。あなたみたような、きわめて予算編成のエキスパートといわれ、財政通といわれ、あなたの右に出る者はないといわれるほどのあなたに国民は大きな期待をかけておるのに、その特権を利用してとんでもない予算の編成をするというようなことは、何としてもわれわれとしては見のがすことはできませんが、一体、さようなやり方をしても一向差しつかえないとあなたはお考えになってますか、お伺いしたい。
  49. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、今の日本の経済財政の状態を見ましてとくと考慮の結果、御審議願っている予算案が一番いいと思っておるのでございます。従いまして、食管会計の赤字につきましては、三十年度の決算の確定いたしておる分は補正予算で御審議願いたい。しかし三十一年度の赤字につきましては、これは、従来その赤字を埋めた例も、あるいはそのままで繰り越した例もございます。しかし三十二年度におきまして、先ほど来お話しになっております特別調査会が設置せられ、食管会計につきまして根本的に合理化がなされる、そういう場合におきましては、ただいま百六十一億円といわれておりまする赤字も相当動くのではないか、動かないかもしれませんが、動くのではないかという要素を普通の年よりも別に持っているわけであります。だから、この際は三十一年度の決算確定を待ち、そしてその前に行われる特別調査会の結論を待って措置するのが適当であると考えたのであります。しこうして産業投資特別会計資金として三百億円入れましたゆえんのものは、御承知の通り、今年度は相当自然増収が出ますので、財政に弾力性を持たすという意味で、今年度法律を設けて、そして三十二年度からそれを使っていこう、こういう考えで進んでおるのであります。
  50. 井上良二

    ○井上委員 最後に一言大蔵大臣に伺っておきますが、私ども予算審議しておりますのは、三十一年度予算であり、清算の結果でありまして、三十二年度はどうなるかということは、食管会計においては、収支決算は国会には提出されておりません。三十一年度の三月三十一日までに、百六十一億円の赤字が三十一年度に見込まれるということを私ども審議の対象にしております。しかるに大蔵大臣は、三十二年度の分にまたがって、食管がどれだけの赤字を三十一年度に出してくるか、その清算をしてみないとわからぬ、こういう御議論を終始一貫繰り返されておるようでありますけれども、一体さような清算をしてからはっきり赤字を明確にし、あるいはまた黒字を明確にして、その年あるいは翌年度国会審議の対象にしたことがありますか。さようなことはあり得ないのです。七月の末にならなければ食管の清算ができ上らぬ。でき上らぬものを、五月の末に終りますところの国会に、七月末の清算を対象にどうして審議ができますか。こういうむちゃくちゃなことを言われたら、予算審議はできなくなります。われわれは、やはり四月一日から三月三十一日までの年度間の予算なり収支決算を対象にして審議をしているのです。それを飛び越えて、七月末までかからないと清算はわからないのだ、わかってからだ、あなたはそれでいいかしらないけれども、こっちの方はえらい迷惑や。だから、そういう異例を持ち出してきて、いかにもそれが正しいような議論をやられたのでは、国会審議の対象にはならぬのですよ。私ども国会審議の便にあなた方が供していただくような処置を講じていただきませんと——国会審議の便宜に供しておるのは、三月三十一日まで政府が出してきている年間の予算、そして前年度の収支決算の見込み額を出してきておりますから、それ以上にわたる分は、翌年度で清算をして一向差しつかえないのであって、翌年度で絶対やることはならぬということになっておりません。現に三十年度は、補正で一応帳じりを合わしましたけれども、なお三十四億円というものが出ましたから、本年これをさらにどうするかということで、いろいろ議論をして政府の方でも補正予算を組むということを言明しておりますように、やはり清算をしたものは絶対に国会は見ないのだということではない。その後に起りました赤字なり黒字は、その後の会計年度で収支を合わしていただけばけっこうであります。それを、何か非常に特別なもののようにお考えになって、私ども審議の対象からはずされるということは、私ども国民を代表して年間予算審議しておるものにとっては、大へん迷惑なことであります。そこまで大蔵大臣が正確さを期せなくてもいいではないか、こう私は考えておるのであります。
  51. 池田勇人

    ○池田国務大臣 三十一年度の赤字を補正で組むか組まないかにつきましては、いろいろ議論の存するところでございましょうが、先ほど来申し上げたような理由で、私は組まなかったのであります。従来の前例その他がございますから、その点は主計局長より御答弁することにいたします。
  52. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 昭和三十一年度予算の御審議をわずらわすに際しまして、三十一年度末の予定損益計算書を添付してあるわけでございますが、これは審議の御便官上添付してあるわけでございまして、三十一年度の決算は、これは決算を待ちました後にあらためて御審議を願うわけでございますので、その点をまず御了承いただきたいと思います。  そこで、現在決算見込み上損失見込みがある場合に、それをその年度経過中に補てんするか、あるいは決算確定を待って補てんするか、これは、補てんをするしないは、財政法上別に原則はございませんが、常例的に考えて、一般会計以外から補てんの場所はないだろうという前提に立って申し上げておるわけでございます。それにつきましては、二様の前例がございますが、三十年度につきましては、ただいまお話がございましたように、三十一年度以降についての問題が全然ございませんでしたので、年度経過中に補正予算を組みまして、六十五億補てんしたのでございますが、それにもかかわらず、なおかつ三十四億の赤字がふえたというような格好になっております。その前年度、二十九年度はどうかと申しますと——皮経過中にすでに三十億の赤字を生ずる見込みが予定されておりましたが、これはいろいろ問題がございましたので、年度経過中に何らの補てん措置をいたしませんで、決算確定後にこれを措置するという結果になったわけでございます。その前のいろいろな前例をひっくり返してみますと、両方ございます。財政法が施行されました直後に、二十三年度のごときも、やはり決算確定後これを補てんするという措置をとっております。なおまた輸入食糧補給金、これは年度中にというよりは、むしろ当初予算に計上しておりましたが、この輸入食糧補給金のごときは、わざわざ計上した補給金を翌年度に繰り越して、決算確定後に実際上の支出をやっておるという例もあるくらいでございまして、むしろ常例的に考えますれば、決算確定を待って、はっきりした金額に従って補てんするのがよろしいのじゃないか、私どもはそう考えておる次第でございます。
  53. 井上良二

    ○井上委員 主計局長は大へんなことを申されますが、財政法はあなたの言うようになっておらぬのです。財政法は、その年度予算以上の収支があります場合は、その年度にやはり処置をせよと規定してあるのです。あなたのおっしゃるように、その年度の決算は清算をしてからやれということにした方がほんとうはいいのです。二重の手間が省けてはっきりするでしょう。それならそれで、財政法をそういうように直したらいい。それならば私は文句を言いませんよ。
  54. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 財政法の規定を読んでみますと、一般会計につきましては、特定の費目以外のものの経費は、借入金でまかなってはいけないという規定があるわけでございます。それに対するいろいろな例外があるわけでございますが、特別会計につきましては、それに対する例外といたしまして、借入金で経費をまかなってもいいという規定がある例が非常に多いわけでございます。現にこの食糧管理特別会計におきましては、食糧証券を発行できる。その食糧証券の償還期限は、最高一年まで許されておるわけでございまして、食糧管理特別会計におきまして食糧を買い付ける資金として、最高一年までの食糧証券で米を買っておいても一向差しつかえないわけでございます。買った場合に、その評価をいたしました結果、若干の損失が出るということでございますが、その損失につきましては、実は規定がないわけでございまして、歳入歳出のつじつまをどう合せるかという面におきまして、食管会計につきましては、食糧証券を発行できるという規定があるわけでございます。従いまして、財政法云々のお話でございましたが、財政法の規定に触れておるということはないわけでありますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  55. 井上良二

    ○井上委員 私は、これ以上申し上げませんが、私ども常識的にものを考える場合は、政府みずから三十一年度の損益決算はこうなっておるというて私ども審議の対象の資料を出しておるのですよ。その審議の対象の資料には、百六十一億も赤字が出ておるわけです。この赤字は、もう一ぺん精算をしてみないとわからぬから、精算するまで待ってくれ、こんなことをいわれておったのでは、これは予算審議の対象にはなりません。事実上私はそうだと思っておる。あなたの方の都合のいいときには、精算をして明確な数字を出したがいいと言うし、都合の悪いときは暫定で、見込み額で補正をすると言う。まことにあなた方のそろばんのはじき工合、予算の組み方、そのときの政治情勢によって幾らでも変更されるようなことをされたのでは、これは大へんなことになると私ども考えている。まして米の値を上げるか上げぬかというような問題が目の前に控えておるときに、かりに三十一年度産米を三十二年度の会計年度において上げようという場合になってきますと、できるだけ持ち越した方が得ですから、配給操作その他において、できるだけ三十一年度に買い上げた米を値上げの時期までじっといろいろな操作をやって持ちこたえて、その値上げにそれを持ち込むということになれば大へんもうかりますから、ほんとうのことを言うと、そういうことをあなた方考えておりゃせぬかと私ども疑うてみるわけです。だから、私どもとしては、この際そういう国民からいろいろ痛い腹を探られるような変なことをせずに、三十一年度の赤字はこれこれということが損益決算書ではっきり出てきておりますから、それに基いて、その処置を本年度の自然増によって解決しておいたら一番いいじゃないか、こういうわけです。われわれは、国民に一番わかりやすいことを言うているわけです。それを、あなた方が回りくどいことを言うている。国民にそんなことを言うたってわかりゃせぬのです。要は、国民のための国会ですから、国民が納得してもらわぬとあきませんから、国民が納得するやり方を主計局としてもやはりやっていただかぬと、あなた方がごちゃごちゃ言うておるから大蔵大臣が迷惑するだけです。これはもう少しいい知恵を出して下さい。
  56. 池田勇人

    ○池田国務大臣 いるいろ御議論はございましょうが、先ほども主計局長より御答弁申し上げましたごとく、私といたしましては、特別調査会も設置せられることでございますので、今回は、従来も慣例がありますし、決算が確定してから処置することが適当と考えた次第でございます。
  57. 神田大作

    神田(大)委員 この特別調査会の設置は、自民党が米価の値上げを決定して党内から反対が起きて、それで米価問題を処理するためにやむを得す調査会を作ってそ、れに責任を転嫁しようとする便宜的なものであろうと私は思うのです。ほんとうに調査会を作ってこれを調査しなければ、伏魔殿的な食管会計を今まで何年もわからなかったというような話は、僕はとても聞いていられないと思う。これは、とっくの昔にかわっておる。食管会計の複雑さ、あるいはそれをどうすべきかということは、今さら調査会を作るまでもないことである。こういうことは、米価値上げを閣議決定したにもかかわらず、これを引きおろさなければならぬことに立ち至った政府のいわゆるせっぱ詰まった手段にすぎないのじゃなかろうかと思うのでございますけれども、その点は、どういう動機でこの調査会を作ることになりましたか、お伺いいたします。
  58. 池田勇人

    ○池田国務大臣 米価の問題は重要でございますから、各方面の意見を徴して、政府の責任において合理的なきめ方をしよう、こういう考えでございます。
  59. 神田大作

    神田(大)委員 それで、特別調査会を作らなければ明瞭にならぬというような理由は、もしそうだとすれば、これは今まで政府が非常に怠慢であったのだと私は思う。調査会を作らなければ食管会計の欠陥がわからないというような、そういうものじゃないと思う。これは、政府の責任のがれのために調査会を作ろうという一つの手段にすぎない。今井上さんも質問がありましたように、去年は、河野農林大臣は、食管会計の補正予算を、われわれの追究の手をのがれるうに、脱兎のごとく通過さしておる。ことしは、百六十一億円の食管の赤字についてはやらない、七月にならなくちゃわからないという、そういう便宜的なことをぬけぬけと言っておる。そういうことでは、国民は納得できない。一つ筋道を通してこの問題を考えてもらいたい。こういう去年の状態とことしの状態に対して、まことに相反する態度をとりました。この点については、主計局長はどうお考えになりますか。
  60. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 食糧管理特別会計にいるいろ問題がございまして、その処理につきましては、私は実三年くらい主計局長をいたしておりますので、私も非常に責任を感じておる一人でございますが、食糧管理特別会計の現状につきましては、この際こそもう一段と踏み込んだ根本的な検討を必要とする、そういう事態と存じまして、政府におきましても特別調査会を作ってこれを検討されることになったわけでございまして、その検討が早急に行われようとしておるこの際には、やはり本年度の赤字見込み——これはあくまでも見込みでございますが、見込みにつきましても、その結論は、決算確定後にこれをどう処理するかということをおきめいただいた方が今回の事態に適応すると考えておる次第でございまして、それらの点につきましては、先ほど来大臣からお答えがございました通りでございます。なお過去の前例その他につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、今回の措置は、何ら財政法に違反するようなものではないということを確信いたしております。
  61. 神田大作

    神田(大)委員 どうも、これは答弁になっておらぬと思う。私の言うのは、去年は、赤子の補てんを脱兎のごとくすみやかにやりましたが、ことしは、一つ決算がよくわかってからやりましょうというのは、筋道の立たぬ話じゃなかろうかということなんです。去年も、もちろん決算ができていなかったから、ことし三十四億円の赤字がまた出たわけです。三十四億円というような赤字が決算で出たから、これを補正しようということに対しまして、われわれも検討し、またこういうことに対しましては異議を申しておらない。だから、百六十一億円の赤字が掛るというようなことが大体明瞭であるならば、なぜこれを補正予算として、組まないか。去年とことしと一年しか違わないのに、そういうように主計局の態度が右したり左したりしたということは、一つの政治的な意図を持ってやっているとしか思われない。少くとも財政というようなものは、そういう政治的なものに左右されるべきものじゃないと思う。一つの筋を通してちゃんと処理すべきものだと私は思う。そういう点について、あなたは大臣と異なる一つの見解を持っていなければならぬと思うのでありますが、この点はどうでありますか。
  62. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 昨年は、三十一年度以降の予算上の問題がなかったわけでございますが、今度は、いろいろ根本的な問題がございまして、政府に特別調査会を設けて、食糧管理特別会計の根本問題を検討しようというわけでございます。その点が三十年度と根本的に違うわけでございまして、その違いに即して最も適正な処理をいたすことが必要であるとぞんじます。その意味で、昭和三十一年度のこの赤字見込みにつきましては、特別調査会の結論ないしは決算確定を待ちまして処理せられるのが至当である、さように考える次第でございます。
  63. 神田大作

    神田(大)委員 これはますますおかしくなる。ますます疑問が出る。というのは、今まで出た百六十一億円という赤字は元へ返らない。あなたは覆水盆に返ると思っておりますか。今から、消費者からよけいに金を取るとかなんとかして赤字が返ると思っていますか。こういう現実において出た百六十一億円の赤字を、あなた方は、食管会計を根本的に検討しなくちやならぬから、これを埋めることはできぬ、こういう理屈は立ちませんよ。もしその理屈を言うとするならば、政府は食種管理調査会に米価の値上げをすべきであるというような結論を出させて、その上に乗って、そういう口実を作って百六十一億円の三十一年長の赤字までも一緒にそこへ含ませようとする陰謀を持っておるから、この問題を第二次補正でもって補おうとしないのだろうと思うのでございますが、あなたの言う理屈ではどうにも筋が立たぬと思う。大臣はどう思いますか。
  64. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今のままでいったならば、一応見通しとして百六十一億円出ましょう。しかし先ほど来申し上げましたごとく、どうなるかわかりません。われわれには、米が上るか、あるいは上らないかわかりません。そういう重要な問題がありますので、財政当局といたしましては、従来も数多い例のあることでございますから、今回は決算が確定してから措置することが適当であると考えたわけでございます。
  65. 神田大作

    神田(大)委員 たとい米が上ろうが上るまいが、できました百六十一億円の赤字というものは、これは現実なんでございますから、これを補正するのに、食管の特別調査会でもって結果を出すまで待つというようなこと自体が間違っておるのじゃないですか。百六十一億円の赤字とこれとは何ら関係がない。それでは、もし食管の特別調査会でもって調査の結果、百六十一億円の赤字というものに対しまして、これを根本的に間違いであるといったら、これを補うという考えを持っておるのですか、そういうことは、実際問題としてできないことでございますから、この百六十一億円の現実の赤字というものは、食管の特別調査会の結論と切り離して処理すべきが筋の通った話であります。ところが、そういうものを関連しておるということになりますと、この食糧管理特別調査会というものが、まことにどうも政府のかいらい的な機関であるというように推察されてもやむを得ない、こういうように考えられるのでございまして、これを切り離すべきであると私は思うのでございますが、大臣はどう思うのですか。
  66. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げた通りでございまして、百六十一億円は一応見通しでございます。予定でございます。従いまして、特別調査会におきましてどういう結論が出ますか、もし消費者米価は今のままでずっといくのだということになりますれば、百六十一億円というのが一応見通しになりましょう。しかしそれにいたしましても、いろんな点で三月三十一日の輸入の麦の価格等によりましてある程度動くかもわかりません。そういうことで、いろんな点を考えて、今年は特に調査会の問題もございますので、決算確定後に措置すればいいのではないか、措置することが適当であるという結論に達したのであります。
  67. 神田大作

    神田(大)委員 まことにどうも筋の通らぬ話であると思うのでございますが、われわれは、百六十一億円を確定しておらなくとも、これはやむを得ないことだと思う。現に確定しなくてもちゃんと補正しておる。ところが、百六十一億円というような大金を現在補正しなくちゃならぬような立場になっておりながら、確定しないから補正はできないというような筋の通らないことを言って補正しないでおくというところに、何かどうも食管特別調査会にからんで、これを適当に処理しようとするような政府の意図が見られる。もし食管特別調査会でもって消費者米価の値上げを決定いたしましても、これは三十一年度の食糧には影響はないですよ。それとも、さかのぼって米の値上げをやるつもりでございますか、その点をお聞かせ願いたい。
  68. 池田勇人

    ○池田国務大臣 すでに食管会計から売り払ってしまったお米について、さかのぼって値上けをするというようなことは、できとっこないことであります。私が、百六十一億円というものは予定でございまして、実際は動く場合があると言うことは、もし万一特別調査会の方で消費者米価をあげたといたします、そうすると、七月三十一日の決算のときには、三月三十一日の在庫品につきましての評価をその値段でやるわけでございます。そういたしますと、今三月三十一日から持ち越した米を高く売るということになれば、在庫品がそれだけ値上りいたします。そうした場合においては、百六十一億円が動くのでございます。値上りせぬ場合におきましては、外麦その他のそのときの時価の評価でいきますから、その点が不安定要素になります。しかし、特に内地米につきましては、そういうことが起り行ますから、百六十一億というのは一応の見通しでありますと言っておるのであります。
  69. 神田大作

    神田(大)委員 食糧管理特別調査会に諮問した結果、消費者米価が上るというようなこと——あるいは下るかわからぬが、そういうことを予定して、そういう推定のもとに現実の予算措置をやらなくともいいというような、こういう理屈は、私はどうも立たぬと思うのです。あくまでも予算というものは、現実によってこれをやるんです。七月になって上るんだか下るんだか、そんなことはわからないでしょう。そういうわからないことを仮定して現在の予算審議をゆるがせにするということは、断じて許せません。その点はどう考えますか。
  70. 池田勇人

    ○池田国務大臣 その年度の赤字見込額をその年度の補正でやるかやらないかという問題につきましては、従来、主計局長が言っておりましたごとく、いるいろのやり方がある。埋める場合もありますし、埋めぬ場合もあります。しかし、そういうときには、一応次の年度におきまして、米価その他について変更はないという予定のもとのときでも、組んだり組まなかったりでございます。しかるに、先ほど来御説明申し上げまするがごとく、三十二年度において特別調査会を設け、食管会計の将来のあり方について再検討をする場合でございまするから、いつもの例より違っております。従って今回は組まない。組まなきゃならぬときまっているのではない、組まない場合も相当多い。そういう場合には、多い方の例によっても差しつかえない、こう考えたのであります。
  71. 神田大作

    神田(大)委員 これは、なるほど食管会計の問題についていろいろの変更があるでしょう。あるでしょうけれども、組まない場合と組む場合があると言いますが、これは組むべきが至当であって、組まないというようなことがもし前にあったといたしますれば、これは一つのあやまちでなかろうかと私は思う。現実において赤字があるにもかかわらず、それを補正しないでそのままやり過ごすというようなことは、これは財政的見地からしてもやるべきじゃないと私は思うのです。大臣は、だいぶ米の価格が変るというようなことをにおわしておりますが、私は、もう大臣は価格を上げるんだということを腹の中できめてかかっているのではないかと思うのですが、そういう点は、一つ正直に披露していただきたいと思います。
  72. 池田勇人

    ○池田国務大臣 米の値段につきましては、全然白紙でございます。
  73. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 今問題になっておりますのは、食管特別会計でございますが、少し他の特別会計の例をあげまして、従来の取扱いを御説明申し上げたいと存じます。一般会計と特別会計は、これはもう別個の会計でございまして、一般会計に赤字が出た場合には、そのときの事情でそれをどう処理したらいいかということを、そのときどきにおいて考えなくちゃならぬ、そういうことだと存じます。たとえば健康保険特別会計の例を申し上げますと、二十九年に四十三億の損失が出ております。この健康保険の赤字を一体一般会計が無条件に補填すべきかどうか、そこにはいろいろ問題がございました。そこで三十年度予算編成の際には、この二十九年度の赤字四十三億と三十年度に予想される赤字二十一億とを合せまして六十四億、この六十四億は一応借入金に依存する、つまり損失のままこれを置きまして、これを六カ年にわたって処理するというような方針を立てたわけでございます。その意味では、この健康保険特別会計の赤字はそのまま放置されておりまして、長期計画でこれを処理するというようなことにもなっておるわけでございます。このように、特別会計の赤字の処理につきましては、その会計の性質、あるいは赤字の性質その他いろいろな事情を考えて、そのときどきの事情で最も適正な処理をいたすべきかと存ずるわけでございます。三十一年度の食糧管理特別会計の予定損失につきましても、先ほど来大臣から御答弁がありますような事情で、決算確定後の処理にこれをゆだねておるわけでございまして、従来の取扱いその他から考えまして、何らそこには問題はないと私どもは考えておる次第でございます。
  74. 神田大作

    神田(大)委員 大臣は、参議院の方に行かなくちゃならぬから、私はこの問題についていろいろ質問がありますけれども、これを一応保留いたしまして、あとの機会にこれをやりたいと思います。ただ一つだけ言っておきますが、今主計局長が言ったよへうに、そのときどきでもってこの解釈を違わしておるようでございますが、ことしの場合のごときは、食管会計の特別調査会ができていろいろと問題があるからこそ、かえってこの百六一十一億円はことし埋めておいた方が、これは国民に疑惑を持たれなくても済むのではないか、私はあべこべにこれは埋めるべきであるというような筋をとっております。私は、その問題等につきましては、この次の機会に一つ大臣に質問いたしますから、一応本日の質問はこれで終ります。
  75. 山本幸一

    山本委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時三十分より開会することといたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時七分散会