○横山
委員 私のお伺いしているのは、今の問題ではありません。
池田さんの税に対する
考え方をお伺いしておるのでございます。私は、あなたの以前の
大蔵大臣当時の記録をずっと見てみました。そしてあなたが税に対してどういう
考え方を持っておられるかということも、いささか
検討したつもりであります。当時においても、あなたは今の主張を重ねておられるのであります。たとえば、これは
昭和二十五年の三月、あなたが
大臣として租
税制度について言うておられるわけでありますが、「直接税と間接税の比率の問題は、租
税制度の根本をなす重要な問題であるのであります。従いまして、従来この点につきまして
相当検討を重ねまして戦時中におきましては、国税におきまして、直接税が六十四、五パーセントになったときもあるかと記憶いたしております。今回は大体直接税が国税におきまして、五五%、間接税が専売益金を入れまして四四%に相なっておると記憶いたしておるのでありますが、租
税制度の本来の姿といたしましては、私はやはり直接税
中心主義が租
税制度としてはいいと思います。ただお話のように、所得税の把握が非常にむずかしいときにおきましては、えてして間接税の方に重点が行くのであります。私は敗戦後の一、二年、二、三年のところは、ああいう状態でありますので、間接税に
相当重みを持たしてもいいと思っておったのであります。今後はやはり直接税
中心主義で行くのが、理想的なやり方ではないかと
考えております。直接税と間接税以外に、いわゆる流通税のごときものを入れるという
税制の
考え方もあるのであります。しかし流通税は、取引高税以外におきまして、あまり収入の期待ができません。取引高税は、一面にはいいところはありまするが、施行してみますると、御
承知の
通りに非常に悪い面が出ましたので、やめたのであります。しからば、今後間接税のどこに力を入れるかということになりますと、御
承知の
通りたばこの益金も
相当高いし、酒も外国にその例を見ないほど高いのでございまして、もうほかに間接税に持って行く手はないと思うのであります。今後の問題といたしましては、私は直接税を下げると同時に、間接税につきましても、引当下げなければいけない。大体比率といたしましては、流通税を除外いたしました場合におきましては、五十五か六十、間接税が四十
程度ぐらいがまあいいところではないかと
考えております。地方税を加えますると、五十五の直接税が六十余りになって来ると思うのでありますが、これはやはり租
税制度としては、先ほど来申し上げましたように直接税
中心主義で行き、そうして間接税は消費の面からこれを補って行くという
考え方がいいだろうと思います。従って直接税
中心主義で行くとすれば、所得の把握について十分の努力をしなければならぬということは御説の
通りであります。大体
経済も常道に乗って来つつありますので、中央地方を通じまして、所得の把握につきましては今後とも十分力を入れて、課税の適切公平を期して行きたいと思っております。」このお
考え方は、今あなたがおっしゃった
考え方とそう違いはございません。大筋としては一致いたしております。しかりといたしましたならば、あなたが今後
大蔵大臣として、
税制改正を
ほんとうにあなたの手でおやりになるときに、やはりこの所信をお持ち続けになるであろうと思うのであります。ただ私どもが心配をいたしますゆえんのものは、この答申の根幹を流れておるのは、どうしても間接税に重みがかかっておるわけであります。これは、一つには
税制の問題から議論さるべきでありましょう。もう一つは、いわゆる
経済の秩序から論ずべきでもありましょう。しかしシャウプ勧告のときと今日のところとは、
経済情勢も違っております。なおかつあなたは、直接税
中心主義を堅持せられる。答申は、間接税移行主義を想定して唱えておるのであります。そこで、私が最後にお伺いをいたしたいのは、今日
国民一般は、いまなお売上税について心配が絶えておりません。物品税については、時限爆弾だと思っておるわけです。そのほか流通税、あるいはその他の間接税についても、必ずこれが再燃することを心配をしておるわけであります。ですから、ここで私がお伺いしたいのは、あなたはシャウプ勧告のときの理論及び今日おっしゃったあなたの理論を、今後とも
池田主義として貫いてお行きになるものであるかどうか、その点をお伺いをいたしたい。