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1957-02-08 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月八日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       遠藤 三郎君    大平 正芳君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       川島正次郎君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    内藤 友明君       古川 丈吉君    前田房之助君       山手 滿男君    山村新治郎君       山本 勝市君    有馬 輝武君       井上 良二君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       久保田鶴松君    田万 廣文君       横路 節雄君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     谷村  裕君         専  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 一月三十一日  委員中山榮一君、西村直己君、保利茂君及び石  山權作君辞任につき、その補欠として山手滿男  君、高碕達之助君、一萬田尚登君及び山本幸一  君が議長指名委員選任された。 二月二日  委員木原津與志君及び松原喜之次辞任につき、  その補欠として久保田鶴松君及び神田大作君が  議長指名委員選任された。 一月三十一日  委員長松原喜之次辞任につき、その補欠とし  て山本幸一君が議院において委員長選任され  た。 二月八日  理事石村英雄君及び春日一幸理事辞任につき、  その補欠として平岡忠次郎君及び横錢重吉君が  理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和三十一年十二月二十日  物品税法を廃止する法律案春日一幸君外十二  名提出、第二十四回国会衆法第一五号)  酒税法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出、第二十四回国会衆法第一六号)  外資に関する法律の一部を改正する法律案(春  日一幸君外十二名提出、第二十四回国会衆法第  一七号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  十二名提出、第二十四回国会衆法第一八号)  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外二十六名提出、  第二十四回国会衆法第五六号)  北海道における国有魚田開発施設等譲与等  に関する法律案佐々木秀世君外一名提出、第  二十四回国会衆法第五九号)  昭和三十一年の年末の賞与等に対する所得税の  臨時特例に関する法律案石村英雄君外十二名  提出、第二十五回国会衆法第五号)  接収貴金属等の処理に関する法律案内閣提出、  第二十四回国会閣法第一四八号)  財政法の一部を改正する法律案内閣提出、第  二十四回国会閣法第一五八号)  国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出、第二十四回国  会閣法第一五九号)  会計法の一部を改正する法律案内閣提出、第  二十四回国会閣法第一六九号、第二十四回国会  参議院送付)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出、第二十五回国会閣法第八号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出、第二十五回国会閣法第九号) 昭和三十二年一月三十日  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第一号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第二号) 二月四日  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四号)  昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年  度における国債整理基金に充てるべき資金の繰  入の特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第五号)  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第六号) の審査を本委員会に付託された。  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律石田宥全君外二十六名提出、  第二十四回国会衆法第五六号)は去る昭和三十  一年十二月二十日本委員会に付託されたが昭和  三十二年二月八日撤回された。 同月一日  ビール税率引下げに関する請願(小金義照君紹  介)(第一四号)  同(福田赳夫紹介)(第八七号)  こと及び三弦に対する物品税軽減請願池田  清志紹介)(第一五号)  鹿児島県の国民金融公庫資金増額に関する請願  (池田清志紹介)(第一六号)  揮発油税率引上げ反対に関する請願外一件(池  田清志紹介)(第一七号)  同(石山權作君紹介)(第八五号)  同外一件(簡牛凡夫君紹介)(第八六号)  国立たばこ試験場設置に関する請願八田貞義  君紹介)(第八二号)  燐寸に対する物品税撤廃に関する請願(阿部  五郎君紹介)(第八三号)  機械漉和紙物品税課税反対請願外五件(石  山權作君紹介)(第八四号) 同月四日  元満鉄社員会社に対する債権国家補償に関  する請願外五件(床次徳二紹介)(第一五一  号)  同(竹谷源太郎紹介)(第一五二号)  同(齋藤憲三紹介)(第一五三号)  引揚者の在外財産補償に関する請願松平忠久  君紹介)(第一七〇号)  生糸課税反対に関する請願松平忠久紹介)  (第一七一号)  原糸課税及び繊維一般課税に関する請願(田中  彰治君紹介)(第一七二号)  揮発油税及び地方道路税引上げ反対に関する  請願山本猛夫紹介)(第一七三号)  機械漉和紙物品税課税反対請願西村直己  君紹介)(第一七四号) 同月五日  薪炭手当免税措置に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第二三六号)  元満鉄社員会社に対する債権国家補償に関  する請願大高康紹介)(第二三七号)  同(池田清志紹介)(第二三八号)  揮発油税及び地方道路税引上げ反対に関する  請願笹本一雄紹介)(第二三九号) 同月七日  国家公務員等の旅費に関する法律の一部改正に  関する請願田子一民紹介)(第三〇一号)  同(小澤佐重喜紹介)(第三〇二号)  天然果汁に対する物品税免除請願關谷勝利  君紹介)(第三四七号)  元満鉄社員会社に対する債権国家補償に関  する請願中馬辰猪紹介)(第三四八号)  揮発油税及び地方道路税引上げ反対に関する  請願外五件(長谷川四郎紹介)(第三四九  号)  同(福井盛太紹介)(第三五〇号)  同(藤枝泉介紹介)(第三五一号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  地方道路譲与税率引上げに関する陳情書  (第四号)  在外資産補償に関する陳情書  (第一一号)  税制改正に関する陳情書  (第二一号)  揮発油税率引上げ反対に関する陳情書  (第二二号)  楽器物品税わく拡大反対に関する陳情書  (第二三号)  乳製品用砂糖消費税免税措置存続に関する陳  情書  (第二  四号)  金融機関金利引下げに関する陳情書  (第二五号)  みつまた使用量増加促進に関する陳情書  (第二六号)  果実缶詰物品税課税反対に関する陳情書  (第二八  号)  板紙物品税課税反対に関する陳情書  (第  二九号)  機械漉和紙物品税課税反対に関する陳情書  (第三〇号)  原糸課税反対に関する陳情書  (第三一号)  燐寸に対する物品税撤廃に関する陳情書  (第三二号)  自動車用発電ランプに対する物品税課税反対に  関する陳情書  (第三四  号)  銅合金製品に対する物品税法の一部改正に関す  る陳情書外一件(第  三五号)  自動車諸税簡素合理化等に関する陳情書  (第三六号)  農業所得税標準率基準合理化に関する陳情書  (第六一  号)  航空工業育成強化のための課税の減免に関す  る陳情書  (第六五号)  機械漉和紙物品税課税反対に関する陳情書  (第九一号)  国民金融公庫資金増額に関する陳情書  (第九二号)  税制改正に関する陳情書  (第九三号)  揮発油税率引上げ反対に関する陳情書外一件  (第九四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求にに関する件  小委員会設置に関する件  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外二十六名提出、  第二十四回国会衆法第五六号)  昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第一号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二号)  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三号)  船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四号)  昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年  度における国債整理基金に充てるべき資金の繰  入の特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第五号)  日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限の  延期に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第六号)  金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 山本幸一

    山本委員長 それでは、これより会議を開きます。  この際、一言あいさつを申し上げたいと存じます。私は、今回はからずも大蔵委員長に選ばれまして、その重責を汚すことになりました。何分にも当委員会に課せられました任務は、きわめて重大なものがありますので、浅学非才の私は、その任ではないと存じております。しかし委員長重責をになうことになりました以上、その微力にむち打って、誠心誠意職務の遂行を期する決意でございます。何とぞ皆さんの御支援を心からお願いを申し上げまして、簡単でございますが、委員長就任あいさつにかえる次第であります。(拍手)  この際申し上げますが、諸君の議席は、必要ある場合は委員長において適宜変更することとし、ただいま諸君の御着席になっておられる通り指定いたします。  次に、理事辞任についてお諮りいたします。理事であります石村英雄君及び春日一幸君より、理事辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。  引き続いて、理事補欠選任を行いたいと存じます。その方法は、先例によりまして委員長において御指名いたすことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないと認めます。よってさように決しました。  それでは委員長におきましては、平岡忠次郎君及び横磯重吉君をそれぞれ理事に御指名いたします。
  5. 山本幸一

    山本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。御承知通り常任委員会は、会期中に限り、議長承認を得て、所管事項について国政に関する調査をすることができることになっております。当委員会におきましても、調査する事項を、税制に関する事項金融に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項造幣事業に関する事項補助金等にかかわる予算の執行の適正化に関する事項といたしまして議長に対しその承認方を要求いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお議長提出する国政調査承認亜求書の作成、提出等の手続につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  8. 山本幸一

    山本委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りをいたします。今会期におきましても、税制に関する小欠員会金融に関する小委員会国有出産に関する小委員会専売事業に関する小委員会の四小委員会を設置し、おのおの十名の小委員選任して調査を進めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないと認めます。よってさように決しました。  なお小委員会の小委員及び小委員長選任につきましては、先例によりまして、委員長より御指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。それでは委員長におきましては、追って公報をもって各小委員及び小委員長を御指名いたします。  なおこの際お諮りいたしたいと存じますが、委員辞任等によりまして小委員及び小委員長欠員が生じました際の小委員及び小委員長補欠選任につきましては、適宜委員長より御指名をすることに御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決します。     —————————————
  12. 山本幸一

    山本委員長 この際御報告を申し上げます。御承知の去る五日の常任委員長会議において申し合せをいたしました事項についてお知らせをいたしたいと存じます。私から読み上げます。     申合せ   国会審議委員会が中心であるので、その正常化については、まず、委員会審議の能率を高めるために、各委員長は、左記事項は特に励行すること。  一、ニュース・カメラの撮影は、原則として開会の前後にこれを許可すること。  二、傍聴人整理を図って、その議事が妨害されることのないようにすること。  三、理事会は、これを非公開とすること。  以上の通りでございますので、御報告いたします。     —————————————
  13. 山本幸一

    山本委員長 この際、大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵政務次官足立篤郎君。
  14. 足立篤郎

    足立政府委員 お許しをいただきまして一言あいさつを申し上げさしていただきます。  今回はからずも大蔵政務次官を拝命いたした次第でございます。もとより浅学非才、その任にあらざるものでございます。ことに大蔵関係につきましては、私全くしろうとでございまして、委員皆様方に何かと御指導を賜わり、あるいは御迷惑をおかけする面が多いのではないかということを心中おそれておる次第でございます。しかしながら、自分といたしましては精一ぱい努力をいたしまして、御期待に沿いたい決意でございますが、今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどを切にお願い申し上げる次第でございます。一言あいさつを申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 山本幸一

    山本委員長 次に、去る一月三十日当委員会審査を付託されました内閣提出にかかる昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の二法律案、並びに去る四日付託されました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案船員保険特別会計法の一部を改正する法律案昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案、及び日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案の四法律案の合計六法律案一括議題として審議に入ります。  まず政府側より順次提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。大蔵政務次官足立篤郎君。     —————————————
  16. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま議題となりました昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案外五法律案について提案理由説明いたします。  まず昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案について申し上げます。  政府は、昭和三十二年度税制改正につきましては、追って関係法律案提出し、御審議を願うこととしているのでありますが、差しあたり緊急を要する事項について、昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案外一法律案提出し、御審議を願うこととしたのであります。  この法律案は、昭和三十一年産米穀について昭和三十年産米穀と同様に、政府に対し、事前売り渡し申し込みに基いて米穀売り渡した場合に、同年分の所得税について、その売り渡しの時期の区分に応じ玄米一石当り平均千四百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、新築住宅所有権保存等登記登録税軽減措置昭和三十三年末まで延長しようとするものであります。  すなわち、昭和二十七年四月一日から昭和三十一年十二月三十一日までに新築した家屋については、住宅建築促進の見地から同日まで、所有権保存登記登録税、千分の六を千分の一に軽減する等の措置を講じていたのでありますが、今後なお住宅建築促進をはかる必要があると考えられますので、本年一月一日から昭和三十三年末までに新築した家屋について、従前と同様の軽減税率を適用することとしようとするものであります。  第三に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  政府におきましては、第二十二回国会において、政府管掌健康保険給付費の異常な増高等に伴う支払い財源不足を埋めるため、昭和三十年度以後七カ年度間、毎年度一般会計から十億円を限度として厚生保険特別会計健康勘定繰り入れることができる措置を講じたのであります。しかして、昭和三十一年度におきましては、この特別会計借入金返済昭和三十二年度以後に繰り延べることといたしましたことに伴い、昭和三十一年度以後の一般会計からの繰り入れ昭和三十二年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして前国会厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案提出し、引き続き御審議を願っているのでありますが、昭和三十二年度におきましても、借入金返済昭和三十三年度以後に繰り延べることといたしましたことに伴い、一般会計からの繰り入れを、さらに、昭和三十三年度以後に繰り延べることといたしたいと存じましてこの法律案提出した次第であります。  第四に、船員保険特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府におきましては、第二十二回国会において、船員保険事業のうち、療養給付等の部門における給付費の異常な増高等に伴い、その財源の一部に充てるため、昭和三十年度以後六カ年度間、毎年度一般会計から二千五百万円を限度として船員保険特別会計繰り入れることができる措置を講じたのであります。しかして、昭和三十一年度におきましては、健康保険の例に準じ、昭和三十一年度以後の一般会計からの繰り入れを、昭和三十二年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、前国会船員保険特別会計法の一部を改正する法律案提出し、引き続き御審議を願っているのでありますが、昭和三十二年度におきましても、健康保険におけると同様、一般会計からの繰り入れをさらに、昭和三十三年度以後に繰り延べることといたしたいと存じまして、この法律案提出した次第であります。  第五に、昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度におきましては、国債償還等に充てるための資金繰り入れ特例といたしまして、国債元金償還に充てるため一般会計から国債整理基金特別会計繰り入れるべき最低金額は、財政法第六条の規定による前々年度剰余金の二分の一相当額にとどめ、国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定による前年度度における国債総額の一万分の百十六の三分の一相当額繰り入れ基準は、これを適用しないこととするとともに、日本国有鉄道または日本電信電話公社が、日本国有鉄道法施行法第九条または日本電信電話公社法施行法第八条の規定により一般会計に対して負う法定債務償還元利金については、直接国債整理基金特別会計繰り入れ、この繰入額に相当する金額について一般会計から国債整理基金特別会計繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられてきたのでありますが、昭和三十二年度におきましても、国債償還費状況にかんがみ、かつ、経理の簡素化をはかるため、前年度と同様の措置を講じようとするものであります。  最後に、日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます  昭和二十四年度におきまして、政府日本国有鉄道に対しその歳入の不足を補てんするために貸し付けました貸付金三十億五千二百三十六万三千円の償還期限は、当初、昭和二十八年三月一日と約定されていましたが、日本国有鉄道財政状況にかんがみ、これを延期する必要がありましたので、二可にわたり所要の法的措置を講じ償還期限延期して参りました。その結果、その償還期限は本年の四月三十日に到来することとなっております。  一方、日本国有鉄道につきましては、昭和三十二年度におきまして運賃改訂を実施することとし、別途国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提出して御審議を願うこととなっております。しかしながら、この運賃改訂が実施されましても、日本国有鉄道としては、輸送力の増強をはかるため、諸施設拡張改良を要する等の関係もありますので、予定通り政府貸付金金額を償還することは困難な事情にあります。よって今回の運賃改訂を機としてまた今後における日本国有鉄道弁済能力を考えまして右の貸付金昭和三十二年度より昭和三十六年度までの五年間に分割して償還させることとするため、償還期限改訂を行おうとするものであります。  以上、昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案外五法律案につきましてその提案理由を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  17. 山本幸一

    山本委員長 これにて提案理由説明は終りました。ただいまの六法律案のうち、昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両法律案以外の四法律案に対する質議は、後日に譲ることといたしたいと思います。     —————————————
  18. 山本幸一

    山本委員長 次に、去る二十四回国会より継続審議となっております、石田宥全君外二十六名提出昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案議題といたします。  お諮りをいたします。本法律案については提出者全部より撤回いたしたいとの申出がございますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって撤回を許可するに決しました。     —————————————
  20. 山本幸一

    山本委員長 次に、先ほど提案理由説明を聴取いたしました昭和三十一年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両法律案一括議題として質疑に入ります。横山利秋君。
  21. 横山利秋

    横山委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案についてまず質問申し上げたいと思います。御就任なさった政務次官は、非常に温厚な方だそうでありまして、しかも本法案についての責任をあなたに追及するのは、ややお門違いでありましょう。本来ならば、この法案は昨年の十二月三十一日以前に提案さるべきものであったのであります。しかもわが社会党は、かねがねこのことについて警告を発しまして前政務次官にも話をし、主税局長もこれを了として臨時国会中にできるならば提出いたしたいと約束をされておったものであります。前政務次官は非常に熱意のある方でありましたが、このことはやや画龍点睛を欠くと申しましょうか、まことに残念なことであります。本来これらの法案につきましては、これらの関係者の圧倒的な陳情があるときには、割合うまくいくものであります。これはあまりよくないことでありますが、これらの関係者は全国に散在し、しかも組織を持っておりませんために、たまたまあちらこちらから小さい声になっている、そういう声に対して、非常に熱意のない取扱い方をされて、ここに今ごろになって提案になったことは、まことに時期遅れの観がございます。しかも一月一日から今日までこれらの登録税を納入をいたした者に対して、本法案は還付の請求をすることができると規定はしております。が、一体そういう損害をかけた人々に対して、いかにして還付を完全に行わしめるかという点について、まずお伺いしたいと思います。
  22. 原純夫

    ○原政府委員 御指摘の点は私ども大へん申しわけなく思っております。還付につきましては、できるだけすみやかに措置をするということで、関係の省の間に相談をいたしております。また申請も早く出していただくということで、なるべく早くこの仕事を片づけたい。御存じの通り、還付には、還付加算金がわずかでありますが、つくことになっております。
  23. 横山利秋

    横山委員 ある地方の話を聞きますと、登録税を納めてその登記をした書き付けをもらわなければ、金融機関が何か金を貸さないということになって、それでは困るということで、トラブルが起っておるそうであります。そのために金融措置を行えなかった人々は、多少の還付金がつきましても、取り返しのつかない損害を受けるわけであります。こういう点については、あなた方も迅速に措置しなければなりません。しかも今のお話を承わりますと、還付の請求を待ってとこうおっしゃるのですけれども、一体政府は、善意なる還付のやり方をするために、登録税を納めた人に対して——法律というものは公報に載り、官報に載るだけで、一般の国民にはなかなか周知する方法はないのであります。登録税を納めた人に対して、政府は率先して周知する善意をお持ちであるかどうか、お伺いしたい。
  24. 原純夫

    ○原政府委員 本件につきましては、暮れに、実は首班指名のあったときに上げていただきたいと思ってお願いしたわけですが、それができなかった。私どもとしては次善の策として、関係の行政の筋で指示を流してもらいまして登録登記に見える方に、これはいずれ安くなるからということを申し上げてある。従って、そういう方々は、いずれ返してもらえるということがわかっております。そういう意味では、いわばすべてのケースにそれがわかっておる。同時にこれができましたら、おっしゃるような周知徹低は、おっかけて極力やるということにいたしたいと思います。もう登記のときに、そういうふうにお話ししてありますから、十分その徹底は期し得るだろうと思っております。関係各省と打ち合せて、できるだけの措置をいたします。
  25. 横山利秋

    横山委員 あなたの言葉を信頼しますが、とかく税務署は、取るときはきびしくて返すときは非常におそいというもっぱらの評判でありますから、特にその点について善意な措置をとられんことを要望したい。  第二番目にお伺いしたいことは、この登録税については、とかく下部の方で疑義が生じておるわけであります。本来租税特別措置法の九条の二でありますと、住宅の用に供する目的をもって新築した家屋で、命令で定めるものとなっています。住宅の用に供するといいまして、住宅といっても千差万別であります。最近のように、政府もそれから与党野党こぞって国策として住宅を建設しようとして本腰になっておりますときに、単なる住宅、しかも大蔵省令においては、もっぱら住宅というふうに、かえってこれをきびしく制限をし、しかもなおかつ坪数などの制限をいたしておるということは、本来この立法の趣旨からはずれておるのではないかと私は考えております。このような大蔵省の措置によって、地方においては、ある住宅についてはこの登録税の恩恵を受けない、ある住宅については受けるというふうな偏向をされるという、これが紛争の的になっておるので、たとえば店舗付住宅がそうでありましょう。下が店舗である、上が住宅である、これをしゃくし四面に解釈をする人は、もっぱらというのは、その上の住宅のことであると称しておるのであります。ところがその住宅公団は、住宅政策の発展に応じて、もつぱらそれこそ店舗付住宅に重点を置いてやっております。ことに新潟とか、あるいは秋田とか、あるいは北海道の大火に際しては、今後は普通の住宅よりも店舗付住宅に対して主力をそそぐべきだというふうに、都市の改造もいたしておるわけであります。こういう中でもっぱら、もっぱらというようなことで、上だけしかいかぬ、いや上だけといえども店舗と住宅とくっついているのはもっぱらの住宅ではないというがごとき解釈をされるに至っては、その国策としての与野党を通ずる精神というものを没却するものではないかと思うのです。もちろんある地方においては、われらの精神を了として、もっぱらそれは住宅だと一般的にみなして、登録税軽減の通牒を適用しているところもあるやに見受けるのでありますが、もし今日まで、私の聞いておりますような事実が生じているといたしますならば、この機会に、それらの解釈について格段の措置をとるべきではないか。そして全般的に登録税軽減の方針を、それらに一般的に適用すべきではないかと思うのですが、この点いかがでありますか。
  26. 原純夫

    ○原政府委員 まず住宅政策が大事であるということから、こういう措置法の条文ができているわけでありますが、同時に、その裏を返しまして店舗の建築、あるいは倉庫の建築、あるいはその他の建築についても、登録税を軽減するのは、負担力との照合から見ていかがかと思います。従いまして、住宅の用に供するということがもっぱらというか、あるいは主としてというか知りませんが、それをあまりにはずれるようなものが入ってくるという場合には、何らか別な調整が要るというふうに思います。従いまして、この措置法の現在の規定で軽減いたしますためには、やはり住宅がもっぱら、または主たる部分でなければならないだろうと思います。その場合にどの程度がもっぱらか、どの程度が主たる部分かという解釈の問題は、おっしゃる通り起りますが、これはやむを得ない。それをいかぬとなると、何といいますか、完全に住宅であるというようなことでないとしきりがつかない。あるいは何割といいましても、その何割のところでささえがつかない。なかなかむずかしいのですが、こういう行政では、やはりやむを得ないことではないかと思います。ただし店舗付住宅とおっしゃいますもののうち、木造の下が店舗で二階が住宅というようなものは、私どもはもっぱら住宅、あるいは主として住宅でない、その場合は、これだけの軽減を全般についてするのはどうかというふうに思いますが、住宅政策の中で、近ごろ主として都会地の密集地帯に、げたばき住宅ということで、下は店舗にするが上は住宅にする、そしてなるべくそれを貸家にしろというようなことを公団、公庫等があっせんし指導しておりますが、この型のものは、住宅政策で相当重要なもののようであるというようなことから、そういう面については、私どもも所管の建設省からのお話を十分伺って、できるだけのことはしたいなというつもりは持っております。大体店舗付の関係についてはそんな気持でおります。  なおここでちょっと言わさしていただきたいと思いますのは、先般暮れにお話のありましたときにも申し上げましたように、ただいま省令で坪数の制限をつけておりませんが、七十坪、百坪という大きな邸宅が建つという場合にまでこれを軽減する必要があるかどうかという考えから、坪数制限はしたいと思っております。その点をちょっとつけ加えて申し上げます。
  27. 横山利秋

    横山委員 私もあなたのおっしゃるように、どんな大きな家であってもという気持はございませんけれども、しかし一般的に庶民、あるいは小企業関係のものについては、これは坪数制限を設けるべきではないと考えているわけであります。  最初に私の質問をいたしたのは、法律をもって「住宅の用に供する目的」というふうにきめられておりますのを、省令をもって「もっぱら」という文字をつけること自体が問題となるというのであります。法律では一般的に住宅といっておりますものを、省令なり大蔵省の通達をもってこれを縮小するということは、住宅政策の上から適当ではないではないか。これは、それより以上にと私はことさら言うつもりはございませんが、少くとも法律の精神を、しかも特に政府においても、うそかほんとか知りませんけれども、五十万戸といっておるときに、政令でこれを縮小すること自体が行政措置としては不適当なやり方である、私はこう言っておるわけです。  それから今のあなたのお話の中の点について少し私は伺いたいのですが、あなたの言うげたばき住宅と店舗付住宅との違いを、もう少し明確に言っていただきたい。
  28. 原純夫

    ○原政府委員 私が申しましたげたばき住宅というのは、住宅金融公庫が貸します場合に、つまり人口の多いところですから、なるべく三層、四層の中層建築にしたい、そして上に二階か三階つくわけです。その部分は貸住宅にしなさい、そうすれば下の店舗の部分は、これは住宅ではないのだけれども、住宅公庫が貸しましょう、こういう足貸しという制度がございます。こういうことで、都会地の宅地難を同時に解決しながら、住宅建築を不燃建築で進めていくという線が、一つの住宅政策の線になっております。そういう場合は、住宅政策的な見地から非常に強い要求というか、考慮の必要があるのじゃなかろうかということを申し上げたわけです。ただ、通常の木造の家屋で、下が店舗で二階が住宅だというような場合まで全部住宅と言えるかどうかということになりますと、これはもう少し考えさせていただかなければならぬということを申し上げたわけでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 それでは、あとの方の問題なんですけれども、あなたは、下が店舗で上が住宅のように、独立家屋の場合を言っていらっしゃるのですか。——そうしますと、市が作りますような住宅で、やはり密集地帯で、どうしても店舗が要るということで独立した建物を作る。そのうちは、上はその店舗の人が住まわなければならぬ、あるいは自分が住まうのには金がないから、人に住まわせるという場合も生じてくるのです。また一般的に、都市の中心でも、もったいないということで、上を作って他人に貸すという場合もあり得るのです。あなたのお話の雰囲気では、全部が全部いいとは言わぬけれども、多少のリミットを設けなければいかぬというような雰囲気のようであります。重ねて聞きますが、そういう独立家屋はどういう範疇に入れられるのですか全然いかぬとおっしゃるわけですか。
  30. 原純夫

    ○原政府委員 ただいまの気持では、要するに下は店舗で、階段を上ると二階に住んでいるというのが住宅だとして、この法律規定で軽減するというのはいかがであろうかというように私は考えております。やはり主として——政令には「もっぱら」と書いてございますが、大部分が住宅でなければ、店舗部分などというのは、負担力を特に配意して軽減する必要はないわけでありますから、店舗と住宅とパーパーだというようなものまで全部大幅の軽減をするのは行き過ぎではなかろうか、私はそう考えております。
  31. 横山利秋

    横山委員 少しその点は、私としては不満なのであります。あなたのおっしゃるような場合には、大蔵省令を変える必要があると私は思うのです。そうでなければ、ほんとうの趣旨は表われないと思うのです。その場合に、百尺竿頭一歩を進めて、あなたが、多少問題があるようだが、今はそう思っておるという問題についても、あらためて検討してもらいたいと私は思うのです。重ね重ね言いますけれども、今日の住宅事情というものは、まるっきり住宅だけ建てて、そうしてそれを用に供する、あるいは都市の発展、中小企業の政策上、特に国家の政策とあわせて考えるべき点があるのではないかと思います。  私は、きょうはあまり時間をとろうとは思いませんが、重ねて慎重に大蔵省令を変えることとして、変える場合に、今あなたが疑念を持っておられる点についても御検討を要望いたしたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
  32. 原純夫

    ○原政府委員 御要望の趣旨は十分了承いたします。そういう要望を含めてじっくりと研究をいたします。
  33. 横山利秋

    横山委員 それではもう一つ。三十一年産米穀についての所得税臨時特例について簡単に質問をいたしたい。  わが党は、先ほど本委員会で了承を受けたように、昨年二十四国会において提案いたしました法律案を撤回をいたしました。しかし撤回をいたしましたゆえんのものは、いろいろな事情があるのでありますが、少くともわが党としては、今日の事情において提案をいたしました趣旨は、決してこれをよろしいと考えておるのではないことだけは申し上げておかなければなりません。少くともこのような問題が起りますゆえんのものは、本来的に申しますと、米価が安いというところから基因するものであると私どもは考えておるわけであります。従いまして大蔵委員会を今日通過いたしますこのような法律が、かりに通ったといたしましても、将来の米価決定の場合においては、根本的な立場を考慮して政府がこれらの趣旨を慎重に検討されんことを要望いたしたいと思いますが、この点について、政務次官の気持のあるところを伺っておきたいと思います。
  34. 足立篤郎

    足立政府委員 米価の問題につきましては、今回の予算編成をめぐりましても非常に大きな問題になりましたことは、御承知通りでございますが、事重大でございますので、御承知通り内閣に近く調査会を設けまして食糧管理特別会計全般にわたりまして慎重な研究をしてもらいまして、その答申に憂いて善処をいたしたいという考えでございます。せんだって来問題になりましたのは、単に消費者米価の問題だけでございましたが、今回は、この内閣に設けられます調査会におきまして単に消費者米価の問題だけではなくて、食糧管理全般につきまして深く掘り下げて研究をしてもらうということになっておりますので、ただいま御質問の点につきましても、当然総合的に研究をされまして、食糧管理の特別会計の健全化についてりっぱな答申が出されるものと期待をいたしておりますので、これに基いて御期待に沿うよう政府としても善処いたしたいと考えておる次第であります。
  35. 奧村又十郎

    ○奧村委員 租税特別指貫法の一部を改正する法律案について、法律のきめ方がはなはだ異例なきめ方で、私はちょっと判断がつかぬのですが、今後またこういうことが起ると非常に因ると思うので、そういう意味からお尋ねいたします。  そこで、この法律が施行になるまでは現行法でいくとすれば、現在は千分の六で登録税をすでに納めておるわけです。この法律はいつ施行になるかもしれぬが、施行すれば、一月一日にさかのぼってこの法律が有効になる。そうすると、この一月から二月のいつか、あるいは三月になるかしらぬが、施行までの二カ月間ほどというものは、すでに千分の六で納めておる、すでに現行法で執行されたことを、この法律でくつがえすのですか。還付の規定はありますけれども、これは還付してもらいたい者はしろ、しなければそのままです。現実に現行法で執行してしまった、それをこの法律で二カ月間さかのぼって否定するのですか。その点、今後もしこういうことが前例になってできるとすれば大へんなことですから、その点を一つ明らかにしておきたいと思います。
  36. 原純夫

    ○原政府委員 いろんな行き違いでおくれまして、従いまして、その間普通の税率で納められております。それが、この法律が施行になりますと、一月一日にさかのぼって、それまでに登記した人は還付の請求ができるということになります。それがこの改正法案の附則の二項に書いてございます。
  37. 奧村又十郎

    ○奧村委員 厳密に法律としての規定の効力をお尋ねしておるのです。この附則の二項で、この法律に基いてすでに納めた者で、還付の請求をする者には還付する、しかしこの法律を知らずに納めてしまって請求をしない、まためんどくさくて請求の意思がない、あるいはすでに納めて死んでしまった、それをさかのぼってこの法律規定を適用のしょうがないはずです。私は、これは少くとも昭和三十三年の三月一日から執行するということに改めて、過去の二カ月間にすでに納めた分について還付の請求ができるということなら、法律の体裁上整いますけれども、もしそうでないとすれば、それでは千分の六で納めて請求もしないという方々は、一体どの法律に基いて納めたことになるのですか。この法律では、現行法を一月一日にさかのぼって否定しておるのですから、そうすると、この法律でいけば、それは法律違反になる。そういうことは実際には起らぬかもしれぬが、税法というものは、そういう軽率なきめ方というものは今後の例にもなるから……(「改正したから還付できる」と呼ぶ者あり)だから、還付するのはいいが、すでに納めたものをさかのぼる、こういう規定が無理だ、だから、これは少くとも昭和三十三年の三月一日からというふうに書き改めた方が筋が立つと思うのですが、どうですか。
  38. 原純夫

    ○原政府委員 還付の請求をすることができるというのは、別段他意はないので、登記の効力、それから登記に際して登録税法に基いて税を納めるという関係は、もう完全にできておるわけですが、この法律では、軽減税率を続けてやることになるから、還付の請求ができるということにしたわけであって、そういう基礎的な法律関係は、全然そこなわれずに残るということでございます。請求ができるというだけではよくないじゃないかというお考えもあるかもしれませんが、先ほど申し上げました通り、すでに登記所の系統、また公団、公庫の系統に通じていただいて、こういうことになるから、いずれ返してもらいますよということにしてもちろんこれがきまればさらに周知徹底をはかりますが、やはりそれにしても請求をしていただくということは、他の税でも、納め過ぎがあったような場合、役所側は、もちろん納め過ぎだということを通知しなければならぬ。同時に、また請求はしていただくようにしていただかないとやはりまずいというようなことで書いてあるわけでございます。別段これで悪い慣習ができるというような御心配はないと思っております。
  39. 奧村又十郎

    ○奧村委員 重ねて恐縮ですが、私のお尋ねした焦点に対しての御答弁がないように思います。法律に基いて税を納める、その法律をさかのぼって現行法を否定する法律を今出そうとする、そこに解釈の困る点があるのです。たとえて言えば、一月に登録した、そのときは現行法に基いて千分の六を納めた、ところがこの法律で、いや千分の一だといって現行法を否定するのです。そうすると、そういう人々は、もし今後裁判でも起った場合に、一体どの法律で納めたことになるのですか。千分の六の規定法律で納めたのですが、この法律が施行になりますと、いや、それは違う、千分の一なんだという規定をさかのぼって今度は施行する。そうすると、すでに千分の六納めてしまった人は、一体どっちの法律に基いて納めたことになるのですか。現行法ですか、これから作ろうとする法律に基いて納めることになるのですか。
  40. 原純夫

    ○原政府委員 附則の第一項に「この法律は、公布の日から施行する。」とありますから、この改正法律による軽減税率の適用は、公布の日からでございます。一月一日以降公布の日前までは、この特別措置で一応はずれておりますから、本法による千分の六なり千分の六・五という税率で納めたのがちゃんとした納税であるわけです。そこで、この法律は二項においてそれが間違いだったというのではない、公布の日以後新しい軽減税率になるが、その間のものについては返す請求権を与えるというだけにしておるわけです。ですから、基本の納税の関係をどうこうということではございません。
  41. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでよくわかりました。そういたしますと、この法律の施行の口までは、現行法で、つまり千分の六の規定によって納めることが正しい。そしてもうすでに納めたものは、この法律を施行してから還付するぞということになる。しかし還付を申し込んだものは、それを戻してもらえますけれども、この法律を知らずに納め済みの者、あるいは納めて、死んでしまった者、あるいは納めて外国へ行ってしまった者は、現行法が生きておるわけです。従いまして、今の主税局長の御答弁の通りとすれば、これは、やはり公布の日を予想しまして法律の書き方を改めたらいかがですか。第九条の二第一項中の、昭和三十一年十二月三十一日にさかのぼるというような書き方をせずに、施工の日を予想して、その予想日から昭和三十三年一二月三十一日までこの法律を施行する、こうすべきものなんであって、すでに現行法で納めた者に対して、さかのぼってこの法律を適用するなんというような無理な書き方は、今後弊害を残すのじゃないか。これは裁判所でいろんな争いの種になると思うので、この規定は少しおかしいと思うのですが、その点はどうですか。
  42. 原純夫

    ○原政府委員 私は弊害は残さないと思います。昨年暮れにお話があって実は首班指名のあとでも、年内にお通し願いたいということをお願いしたのですがそれがどうもむずかしい。そり場合どうするか。まあ保存登記が主でありますから、どうせ一カ月かそこらでお願いできれば、その間登記をしばらくお待ちになったらどうですかというような指導をしたらというお話も出たのです。しかし先ほどもちょっとお話が出ましたが、それでは全部がカバーされまいというので、あとで返すという決心をいたしたわけでございます。実体的には、軽減税率を時間的な切れ目なしに続けてやろうということでありまして、そういう意味で、そう私は将来に弊害を残すことはないと思っております。
  43. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ千分の六をすでに納めたという人に対して、この法律規定はどういう意味になりますか。この一月に千分の六を納めてしまった者、これがこの法律規定を読むと、十分の一という規定が今度は公布される。すると、現行法で納めた者は一体どういう意味になるのですか。つまり現行法がうそであるか、この法律がうそになるのか。法律が二本今度は生きてくるのですか。
  44. 原純夫

    ○原政府委員 一月に登記した人は、千分の六で納めたわけです。そのときはそれでよかったわけです。この法律が施行になりますと——公布の日から施行になりますが、本文にありますように、税率自体は三十三年十二月三十一日まで軽減税率が適用になるということになりますから、その差の分は過納になるということになって、それを請求して返してもらうということであります。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それは、すでに千分の六納めてしまった者に対して、戻してもらいたい者は申告しろ、しかしその意思のない者は納めっきりでしょう。その納めっきりになった者は、一体現行法で納めたことになるのか、あるいは改正法で納めたことになるのか、どっちかということです。
  46. 原純夫

    ○原政府委員 納め過ぎになった分は、納税義務がないのに納めたということになるのです。ですから還付の請求があれば返す。ないと、この還付の請求の時効が完成するまで——時効といいますか、ここでは終期をつけております。この三カ月まではその債権がある、それを過ぎるとないということになります。
  47. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、税法というものは不遡及の原則というものをはっきり打ち出していかなければいかぬと思うのです。法律に基いてすでに納めてしまったものを、あとから遡及して、あれは間違いだったという法律を作るということは、これは非常に不謹慎なやり方なんで、つまり現行法で納めてしまって死んでしまう、よそへ行ってしまう、またいろいろな情勢が変る。それをさかのぼって、その法律を否定する法律を今度は作るのでしょう。そんなことは法制上どうですか。私は、そんなら一ぺん法制局の意見を聞いてみようと思うのです。それじゃ、この一月一日からこれの公布までは法律が二本あるわけでしょう。現行法とこの法律と、一体どちらが正しいのですか。しかし法律なら現行法によって納税するのでしょう。その現行法で納税した者に対して、今度はあとから法律を出して、それを否定する。(「納税者に利益だから」と呼ぶ者あり)納税者の利益であっても——納税者の利益にはならぬ。それは一部利益になりますけれども、しかし納税者というものは、あとから出る法律を一々全部目を通すことはできぬ。納めてしまってから、あとから実はそんな法律が出た。——しかし登録税を納めるまでは、登録税法を調べてやはり登録する場合には千分の六納めねばならぬということを知って納税者はあきらめて納める。しかし納めてあとまでも、そんな一たん納めた税金が戻してもらえるような法律が出ようと思って毎日気をつけて新聞を見たり法律を探してはおらぬ。そうすると、それに気のつかぬ納税者は恩典にあずからぬ。よほど特別の人でなければ、こんな恩典にあずかれません。そうすると、正直に納めた者は納め損ということになる。法律についてそんなさかのぼってやるということについては、よほど慎重にやってもらわなければならぬ。しかし私は、今そのことを言うのではないのです。法律の体裁として、そうすると、現行法というものは、今確かに生きておるのでしょう。それからもう二月も先へいって、現行法を否定する法律を作るということになると、どっちの法律が有効なのか、正しいか、その点法律上の解釈をこの際明らにしておかぬと、私はこの法律審議できぬと思う。
  48. 横山利秋

    横山委員 議事進行について。ただいま奥村委員の質問をされておる点について、私は先ほど質問を多少いたしたつもりであります。本来きょうは初めての大蔵委員会でありますし、午後の予定もありますから、なるべく時間を短かくしてくれるようにというお話が与党の理事からございましたので、簡にして要を得た質問をいたしたのであります。ところが私の質問が終ってから、蒸し返しとは言いませんけれども、私の質問を含んだ条項について、しかも修正提案を含むがごとき質問を与党内からせられておるということは、私はまことに遺憾であります。この際暫時休憩して、与党の意見を取りまとめられるように、私は動議を提出いたします。     〔「休憩したらどうだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  49. 山本幸一

    山本委員長 社会党の諸君には気の毒ですけれども、ちょっとお待ち下さい。——それではただいまの奧村又十郎君の質疑に対しまして、足立大蔵政務次官から答弁をいたします。
  50. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま奥村委員より御指摘のございました点でございますが、本法の施行によりまして、本年一月一日から本法施行までの間において納税をいたしました者につきましては、登録という法律効果につきましては変りはございません。ただ御指摘の通り、問題になりますのは、本法によって税の軽減が遡及して行われるのでございますので、政府はいわば還付の義務を負うわけでございます。還付につきましては、請求に基くということにいたしておりますが、これは法律上の体裁でございますが、仰せの通り、もしも知らざるために漏れる者があるようなことがありますと、これは公平の原則をそこなうことになりまして、不測の損害を受けることになるのでございますので、その周知徹底方につきましては、この適用を受けます者について通知を発する等の親切な措置をとりまして仰せのようなおそれのないようにいたしたいと考えておる次第でございますので、御了承を願いたいと思います。
  51. 石村英雄

    石村委員 ただいま原主税局長の御答弁の中に、この法律案が二月に回ったことについて、国会をやらないかというような、国会の責任のような(笑声)御説明があったのですが、これは臨時国会の終りに私がこの問題を取り上げて、もし政府においてやろうとされるならば、年末の忙しいときでも国会はこれを通す用意があるんだがと言って質問したんですが、そして、それに対していろいろ御答弁があった。国会の方は、こんなものを一月にさかのぼってやらなければならぬような事態を起さない用意があるんだぞ、こう言っておるのに対して政府の怠慢で今日になったのを、きょうの説明では、国会の方の責任でこういう事態が起ったというような原主税局長の御説明は、まことに遺憾だと思う。あのときに、さかのぼって返すことになるかどうかということまでも質問しておいてその点については、原主税局長から、さかのぼって返すことになるだろうというような答弁があり、それに対して渡邊国税庁長官から、それは法制上簡単にはいかないのだというような横やりまでも出て法制関係は十分審議されてこの法律案は出されたものだと私は思っている。今日まで延びたことについては、少くとも国会の責任ではない。もう論議も済んでおると思うのです。だから早く採決してもらいたい。(笑声)
  52. 足立篤郎

    足立政府委員 先ほど原主税局長からお答えを申し上げました内容につきましてただいまおしかりをいただいたわけでありますが、原君は非常に正直にものを申したようでございまして、(「不正直だ」と呼ぶ者あり)それが誤解を生じたもとになったと思います。と申しますのは、おそらく原君の申し上げたのを、(発言する者多し)ちょっと静かにして下さい。与党との折衝の経過をあたかも与野党を含む国会全体の責任であるかのごとき発言にお聞き取りをいただいたために、今のようなおしかりのお言葉をいただいたのではないかと思います。と申しますのは、これは原君が申しております通り、首班指名選挙後におきましても国会を開いてという、大蔵省としては気持を持っておったのだけれども、その機会を得なかったということを申し上げたわけで、今申し上げたような事情でございますので、どうか一つその点はお許しをいただきたいと思います。
  53. 山本幸一

    山本委員長 それでは他に御質問がないようでありますから、これにて両法律案に対する質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よって、両法律案に対する質疑は終了いたしました。  なお討論の通告がございませんので、討論を省略して直ちに採決いたしたいと存じます。これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように決しました。  これより両法律案についての採決をいたします。お諮りをいたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よって両法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等については、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 山本幸一

    山本委員長 御異議ないものと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  58. 山本幸一

    山本委員長 次に、金融に関する件について質疑を許します。質疑の通告がございます。横山利秋君。
  59. 横山利秋

    横山委員 理財局長に御質問をいたします。最近伝うるところによりますと、政府は通貨の系列を変えて、一万円札、五千円札並びに百円硬貨を発行するような話が伝わっております。昨年本委員会において、石山權作委員が質問をいたしましたところ、たしか大蔵大臣並びにあなたもお答えになったと思うのでありますが、一万円札の発行は当分の間しない、こういうように言われたように記録で拝見をいたしておるわけであります。しかも、今日になってこれらの通貨系列を変えて、一万円、五千円並びに百円硬貨を発行するということは、少くとも今日与野党の間に、あるいは政府と野党の間に、本会議において、委員会において、インフレの危険性ありやなしやという痛烈なる論戦がなされております最中にこの話を聞くということは、私はまことにこれは重大な問題だと思うわけであります。まず第一に、そのような事実ありやなしや、発行の計画ありやなしやということをお伺いいたしたいと思います。
  60. 河野通一

    ○河野政府委員 一万円札、五千円札の問題と百円硬貨とは、一応切り離して御説明いたしたいと思います。高額銀行券の発行の問題は、これはもう実は数年前からの問題でありまして、政府といたしましては、昨年のたしか四月でありましたか、発行をいたす方向においてこの銀行券の製造に着手をいたしたのであります。現在これを印刷中でありますが、この印刷製造に着手いたしましたことは、後に申し上げますように、時期の問題は別として、いずれは発行する。こういう方針のもとに印刷製造に着手をいたしたわけであります。現在印刷製造のできておりますものが、一万円札約三百億円余り、五千円札が二月中で大体百二、三十億程度の刷り上りということになりやせんかと今予定いたしております。これをいつごろ具体的に発行いたすかという時期につきましては、まだきめておりません。しかし、これは非常に冗談のような言い方になりますが、五年も十年も先のことを考えて発行するということは考えていないことは、すでに製造に着手しているということでおわかりいただけると思います。そう遠くない時期に、経済の推移等をにらみ合せながら発行ということにして参りたい、具体的な時期は今後の経済の推移をさらに見きわめた上でやっていきたい、かように考えております。  それから百円硬貨の方は、これもすでに一年前から、政府としては大体発行いたしたいという希望でいろいろな措置をとって参ったのでありますが、諸般の事情から、これは今見送りということになっております。私ども事務的な気持から申し上げますと、できるだけ早く、事情の許す限り早く百円硬貨は発行いたしたいという気持でおりますが、いつから具体的にやるかという問題等につきましては、まだ決定を見ておりません。ことに百円硬貨につきましては、法律改正を要します関係もございまして、国会の御審議をわずらわさなければならない点もございます。もうしばらく慎重にこの問題についての結論を得るまでに検討を加えて参りたい、かように存じておる次第であります。
  61. 横山利秋

    横山委員 まことに驚いたことであります。すでに満々として一万円札が三百億、五千円札が百二十億ないし百三十億製造がされて、日の目を見るのを待っている、何と言おうと近くやるぞということは、まことに私は国会審議経過なりあなたの答弁を無視して進んでおることだと思っておるわけであります。さらに伝えるところによりますと、日銀と大蔵省は、この一万円札並びに五千円札の発行を二月中に相談をして、そして三月にはこれを出すというところまでいっておるという話を聞いておりますが、事実でありますか。
  62. 河野通一

    ○河野政府委員 時期につきましては、先ほど御答弁申し上げました通りまだきめておりません。このことは間違いございません。  それからちょっと前の御質問にお答えが漏れましたので、つけ加えておきたいと思いますが、去年の暮れに一萬田大蔵大臣が、たしか当委員会であったかと思います。私の同席の上で、一万円札の問題について御質疑を受けたときに、お答えいたしました。私もお答えいたしましたかと思いますが、一萬田大蔵大臣から答えられた趣旨は、方向としては一万円札の発行はいいと思う、しかし時期については、年内に、つまり旧年内に発行するというほど差し迫った問題ではない、旧年内には発行いたしません、その後の状況を見た上で発行することをきめたい、こういう御答弁であったように私は記憶いたしております。
  63. 横山利秋

    横山委員 発行をする時期ということをおっしゃるのだが、一体その時期を判断する要因は何だと思っていらっしゃるのです。どうもあなたの言葉を憶測すると、便利不便利というところにあるように思うのです。まさかそういうことではなかろうが、発行する条件というものをどういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  64. 河野通一

    ○河野政府委員 率直に申し上げれば、特別の支障がない限りは、なるべく早く発行してよろしい、こういうことであります。通貨系列の立場からいいましても、貨幣価値の問題からいいましても、現在の各国の例から考えましても、一万円札が銀行券として発行されて決してバランスがとれないものでないことは、これはもう明らかであります。ただ現在の情勢においてどうしてもこれは発行しなければならぬ、そういう物理的な問題はないわけでありますから、何らかの支障があるならば、それを押してまで発行する必要はない。従って、私どもは、支障がなければなるべく早く発行したい。その支障という点は、おそらく今横山委員もおっしゃいましたように、インフレーションというようなことから、何かインフレ的に、一万円札の発行は悪い影響を及ぼすか及ぼさぬかという問題だと思います。私は率直に申し上げますが、そういう影響はないと考えております。まあいろいろな御意見もありますので、それらの点を十分伺った上で、その時期等をきめて参りたい、支障のない限りなるべく早く発行したいというのが、私の率直な気持であります。
  65. 横山利秋

    横山委員 事務屋としてのあなたへの御質問はそれまでにいたします。それでは政務次官にお伺いいたしますが、今理財局長がおっしゃるように、便宜上並びに通貨の系列上、あるいは各国との比較上、こういうことは政治から離れた問題であろうと私は思う。少くとも政治的に考えると、たとえば第一に経済に及ぼす影響、第二に物価に及ぼす影響、第三に国民心理に及ぼす影響、しかも先ほど申し上げたように、今日インフレになるかならぬかということで、どこの委員会でも論戦を戦わしておるときに、今一万円札が三百億準備してあってそして五千円札が百二十億か百三十億ある。今やおそしとばかりに発行を待ちかまえておる。政府はやる気だということを池田さんなんか大阪へ行って申しているところを見ると、こういうことが一体適切なことであるかどうか。政治上それについてあなたはどういうお考えでありましょうか。
  66. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま理財局長からお答え申し上げました通り、また横山委員からの御指摘にもありました通り、事務的な問題につきましては、私もこれは問題ないと思います。と申しますのは、貨幣系列あるいは便不便というような点から、諸外国の例等もとって考えますれば、たとえば平貨で今一ドル三百六十円であります。アメリカには三百六十万円の札もあるわけですから、これは問題がないと思うわけでございますが、問題は、今御指摘の通り、どっちかというと政治感覚の問題になるのじゃないかというので、私も、実は新任、日なお浅いので研究は不十分でございますが、まず最初にぶつかった政治問題として、実は各方面の御意見等もただいま伺っております。もちろん大臣のお考えもございますので、御指摘のような点を十分勘案いたしまして、万が一にも間違いのないように善処をいたさなければならぬというふうに考えております。  特に硬貨の問題もございましたが、これは、私も今まで長い間農林関係をやって参りまして、ミツマタ生産業者の立場に立って主張してきた一人でございますので、こういう点につきましても、これは十分安心のできるような裏づけ等がなければ、この処置は決定できないというふうに、自分としては考えておるような次第でございますので、御注意の点十分けんけん服膺いたしまして善処いたしたい、かように考えております。
  67. 横山利秋

    横山委員 あなたがミツマタ業者に対して深い理解があるということは、初めてお伺いいたしました。何か聞くところによれば、ミツマタ業者は、最近東京に押しかけるそうでありますが、さぞかしあなたは、けんけん服膺して善処されることと思うわけであります。それはそれといたしまして、先ほどあなたは、いかにも私が、事務上は納得したというような印象を持たれておるといたしましたならば、これは間違いでありますから、私から念のために申し上げておきます。便利であるか不便利であるかということは、やはり階層によって違うのであります。明らかに便利があるのは、銀行関係でありましょう。計算に便利でありましょう。しかし明らかに不便利でありますのは、庶民大衆であります。一万円のお札を出しておつりをくれといって惑わない者が今の庶民の中にだれがありましょうか。私は、給料袋の中に一万円札と百円札が二、三枚ちょろちょろと入っておる圧倒的な千数百万人の人をお考え願いたいと思うわけであります。  このような事務的な問題は、それくらいにいたしましても、政治的に各方面がそれに対してどういう反応を表わしておるかということであります。少くとも一般の各層の反響は、昨年秋以来、一万円札についてはやはり批判的であります。一番賛成だと患われる銀行関係がそうでありましょう。これは、理財局長はおそらく御承知だと思うのでありますが、昨年十一月十五日の銀行懇談会は何を言っているかというと、「経済の先行きに対し警戒論が出され、物価は上りぎみであり、スエズ問題をはじめ国際情勢も楽観を許さないとき、一万円札を出すことはインフレ人気をあおる。銀行窓口の手数がはぶけ合理化に役立つというが、逆に両替がひんぱんになり、かえって手間がかかる。為替管理は厳重であるにもかかわらず、ヤミ円が海外で流通しており、一万円札が出ると円の流出流入の危険が一層増す」と言っておる。こういうことを考えますと、一番賛成しそうな銀行関係が反対をしておるならば、あとは言うは愚かな話といわなければなりません。また読売の報道でありますが、勝田経済研究所長勝田貞次氏はこう言っておる。「今の日本の資力は一万円札をもらったとたんに百円札とか千円札に両替えする必要のある資力である。従って一万円札は一般大衆のうちに流通し、とけ込まない。大会社と銀行の間に流通する位のものであるから、一万円札は流通しないとみられる。スエズをめぐる戦乱からインフレになるようなら、一万円札の発行はインフレに拍車をかけるようなものにたるので、いま直ちに一万円札を出すのはどうかと思う。発券コストを引下げることも計算を簡易化することも、流通性のない通貨の場合はできない。」こう言っておるのであります。ひやかし半分に新聞の漫画でも、あるいは産業短信とかいうような妙なところでは、一斉に攻撃の声を上げて、一万円札の発行に対して非難しやゆし、そして冗談めいた言い方をして、政府のやり方について警告を発しておるわけであります。こういうような一般世論の動向というものは、池田さんが大阪で一万円札といったところで、それに対して変化を与えておらないのであります。にもかかわらず、どうしても一万円札を発行しなければならぬという理由がない。今理財局長は、支障がなければ——その支障が見つからぬと言ったのだが、私が言うのは、どうしても発行しなければならぬという理由というものは一体どこか。それはあなたの方から言わなければなりません。支障があるなら言ってくれという言い方じゃなくて、どうしても発行しなければならぬ理由というものを、あなたの方から説明なさる義務と責任があるわけです。そういう義務と責任から、その理由について一つ御説明を願いたいと思う。
  68. 河野通一

    ○河野政府委員 一万円札の発行について、その必要なる理由ということでありますが、私は、別に支障があるなら言ってもらいたいと申し上げたわけじゃないのでありまして、私どもは、一万円札を発行する必要があると考えておるから製造に着手いたしたのであります。これは、いろいろな観点から申し上げられるのでありますが、あまり数字を申し上げますとくどくどしくなりますから、できるだけ避けたいと思いますが、いつもいろいろな経済の問題について、戦前の基準年次ということがよくいわれます。それが大体昭和十年前後の数年をとるのでありますが、そのころの銀行券の最高の価格のものは、二百円であった。しかしその二百円はほとんど出ておりませんから、大体百円だと思います。それで物価指数から大体三百五十なり四百倍してみますと、当時の百円は三万五千円から四万円程度のものになる。それから第二に、その百円が総通貨発行高の中に占める金額のウエートは、その百円でさえもわずかに一六%にすぎなかった。現在の最高価格紙幣は千円でありますが、その千円が、総通貨の発行高に占める金額のウエートは八五%、こういう状態になっておる。こういう状態は、通貨の構成というといかにも理屈めきますが、その組み合せからいってはなはだしく不自然であることは、申すまでもないことであります。今お話がありまして、一万円札が使われるところは限られたところではないかということでありますが、私もその点は否定いたしておりません。一万円札が必要な部門に流通し、漸次それは普及はいたすのかもしれませんが、一万円札が流通し使われる範囲が、直ちに一般の国民大衆の末端まで行き渡るとは私は考えておりません。またそういうことも必要ともいたさないと私は考えておるのであります。非常に雑談的になりますが、私が役所に入りました当時、ちょうど昭和十年前後でありますが、たしか月給が百三十円じゃなかったかと思います。百円札が一枚ようやく入るくらいの月給であります。現在考えますと、実質的には、私は今の月給と当時の月給とあまり違わぬと思いますが、一万円札にしてみると、何枚か入る状態である。これは笑い話みたいですけれども、今お話の点から考えると、昭和十年前後における百円札というものよりも、現在における一万円札というものは、さっき申し上げました数字から言わなくても、感じといたしましても、決してそう大きいものであるということには私はならぬと思う。かたがた印刷能力等の限界の問題も非常にありますので、できるだけそういった通貨の組み合せというものを正常化していくという点から言いましても、決しておそくない。ただ早ければ早いほどいいのでありますが、先ほど来御指摘のありましたような、経済全体に対する影響がマイナスになるか、マイナスにならぬかという点については、これは御指摘のように慎重に考えなければならぬ、この点は私は否定をいたしておらぬのであります。その点については、先ほど政務次官からもお答えがありました通り、慎重に検討いたした上でその時期をきめて参りたい、こういうつもりでおるわけであります。
  69. 横山利秋

    横山委員 時間もおそくなりましたから、また後日この問題について百円硬貨の問題も法律案として出るでありましょうから、簡単に最後に、二、三点お伺いしたいのでありますが、先ほど政務次官もおっしゃったミツマタ業者に対する影響の問題であります。聞くところによりますと、昨秋銀貨の発行計画が発表されただけで、当時の市場価格が六千円が三千五百円まで下落したという話を聞いております。かてて加えて理財局長が、何かこんなことを言われたことがあるそうであります。試算の結果、ミツマタは減らないけれども、外国のお札はすでに合成繊維を使っておることでもあり、わが国でもいつまでも原始的なミツマタを使うということは保証できないということを、あなたがどこかで言われたそうでありまして、これはまた非常な心理的影響を与えておるようであります。上の方の一万円札と、下の百円硬貨との挾撃にあって、ミツマタ業者を非常な不安に陥れておることは事実であります。おそらく理財局長は、銭をたくさん発行することになるから、ミツマタ業者の生産に打撃を与えることはない、こうおっしゃるかもしれないのでありますが、なかなかどうして、そんなことで納得するはずはございませんし、数字上からも、何ぼ一兆円が一兆一千億になったところで、そう簡単に数字が合うはずはございません。こういう点について、第一にお伺いしたいのは、今の理財局長の計算なり腹勘定で、大筋からいって、ミツマタ業者にいかなる影響を与えるかということを、あなたは腹勘定に入れてのお話をなさっておるのか。  また第二点は、直接製造に関係しております造幣局の職員の皆さん、あるいはまた印刷局の職員の諸君、これらに対してどういう影響を具体的に与えようとするのか。本年度特別会計の印刷局の欄を見ますと、やはり定員が総ワクとしては変りはないようでありますが、印刷局では九十五人が減って、九カ月しか予算では見積っておらない。それから同じく造幣局では、二十五人が九カ月しか予算には見積っていないのであります。こういうところを見ますと、二十五人及び九十五人は、今後九カ月たったら予算がなくなってしまう。従って、これは発行計画と相関連をして、これだけが首切りになるのではないかという不安もまたあるわけであります。こういうような直接の業界、しかもその業界は政府の発行計画に一意順応して数十年来生産にしし営々として従事して参りましたものを、単なる発行計画によって甚大な影響を与えること、あるいはまた直接従事する職員に影響を与えることも考慮に入れなければならぬ点であります。この点についてどういう計画内容を持っておるか、御説明が願いたいと思います。
  70. 河野通一

    ○河野政府委員 ミツマタに対する影響等は、いずれお時間をいただければ詳しく数字について申し上げてみたいと思いますが、きょうはあまりお時間もございませんから、結論だけ申し上げさしていただきます。大体今私どもが考えております通貨の製造計画からいいますと、ここ数年は少くとも本年度、三十一年度あるいは三十年度にミツマタを所要いたしました額を下るようなミツマタの所要量にはならない。具体的に申し上げますと、三十一年度はたしか三十五万貫程度の所要量になるかと思いますが、そのミツマタの三十五万貫をここ当分の間は下ることは絶対にない、むしろパーセンテージにいたしますれば、あるいはそれが一〇〇%を相当程度上回を見込みであるというふうに思っております。その数字の根拠は、いずれ詳しく御説明申し上げることができると思いますが、きょうは時間もございませんので、その結論だけを申し上げておきます。  第二に、その問題に関連して近く銀行券の原料として合成繊維が使われることになりはしないかという問題が一つあります。これは、現在合成繊維を紙幣の原料として使っているところはございません。しかしこの研究をいたしておることは、各国とも研究いたしております。しかし日本においてそれがすぐここで問題になるようなことではございませんので、私がそういうことをもし印したとすれば、おそらくごく少人数の雑談のところで、各国では合成繊維を銀行券の原料に使えるかどうかということを研究しているところもあるということを、私はあるいは事実として申し上げたかと思いますが、日本の場合に、それがすぐどうということで申し上げたつもりはございません。  それから造幣局、印刷局の人員の問題でありますが、今私どもの考えておるような通貨の発行計画からいきますと、これも十年先のことは、事情がどうなるかなかなかわかりませんが、数年間の問題といたしましては、人員の整理をこのためにやらなければならぬということにはならない、あるいは超勤手当等について若干のでこぼこが出るかもしれませんけれども、こういう通貨の発行計画を作るために人員を整理しなければならぬということには相ならぬ、他の原因があればまた別だ、ということであります。なお今三十二年度の予算の上に印刷局、造幣局の減員ということが出ているというお話でありますが、これは事実のようであります。実は私、直接この点については担当いたしておりませんので、詳しいことはわかりませんが、ただこの点は、現在非常に大幅な欠員があるようでありますが、現実にこのために人の整理ということにはならないということを、私は部内の担当の者からはっきり聞いております。従いまして今御心配になられましたような人員との関係につきましては、当分の間このためにどうということはない見通しである、こういうことをはっきり申し上げられると思います。
  71. 横山利秋

    横山委員 では、時間もありませんから、今の点について、数字的な説明を一つ文書をもって出していただきたいと思います。  最後に一つだけ、百円銀貨を鋳造する計画の中で、接収貴金属の銀からこれを流用する計画があるのかどうか、またそれは、一体どういう根拠をもって今国会審議中の接収貴金属を流用するのかということを、簡単にお伺いしたいと思います。
  72. 河野通一

    ○河野政府委員 接収貴金属の中にあります銀は、この法律がどういうふうに整備されますかによりましてその措置が変ってくると思います。その点について、あらかじめ前提を置いてかれこれ申し上げるわけには参りません。しかし、今造幣局自体といたしましても、銀を相当持っておりますから、少くとも当分の間、一年なり二年なりの間は、この手持ちの銀でもって通貨の製造はやっていけるという見通しを持っております。私どもの希望といたしましてなるべくすみやかに接収貴金属の処理の問題が片づいてしかも通貨の原料として使えるようになることは希望はいたしますけれども、それがなくても、ここ当分の間は手持ちの銀で製造をやっていくことは差しつかえない、こういう見通しを持っております。
  73. 横山利秋

    横山委員 また機会を改めて、その書類が出てから質問を継続いたしたいと思います。
  74. 山本幸一

    山本委員長 それではこの程度で午前の質疑を打ち切りまして午前の会議はこの程度でとどめ、午後三時より再開することといたしまして暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時十五分開議
  75. 山本幸一

    山本委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  この際お諮りをいたします。御承知のように、今後政府より提出せられる予定の大蔵省所管の法律案につきまして説明を聴取いたしたいと存じております。そこで速記をとらないで、前例にならって懇談会の形で議事を進めたいと思っておりますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。それでは、ただいまより懇談会に入ります。     〔午後三時十六分懇談会に入る〕      ————◇—————     〔午後四時七分懇談会を終って散会〕