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1957-03-06 第26回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月六日(水曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       阿左美廣治君    菅  太郎君       佐々木秀世君    齋藤 憲三君       篠田 弘作君    島村 一郎君       首藤 新八君    鈴木周次郎君       田中 角榮君    中村庸一郎君       福井 順一君    前田 正男君       松岡 松平君    南  好雄君       村上  勇君    横井 太郎君       井手 以誠君    佐々木良作君       田中 利勝君    多賀谷真稔君       中崎  敏君    永井勝次郎君       帆足  計君    水谷長三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  水田三喜男君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         通商産業政務次         官       長谷川四郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 松尾 金藏君         通商産業事務官         (軽工業局長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君         通商産業事務官         (石炭局長)  讃岐 喜八君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新沢  寧君         通商産業技官         (軽工業局アル         コール管理官) 本多 紀元君         通商産業事務官         (石炭局鉱害課         長)      佐藤 京二君         日本国有鉄道常         務理事     小林 重国君         日本国有鉄道参         事         (総裁室法務課         長)      鵜沢 勝義君         日本国有鉄道参         与         (資材局長)  石井 英一君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月六日  委員川野芳滿君辞任につき、その補欠として松  岡松平君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月五日  公益灯料金免除に関する請願山下榮二君紹  介)(第一七二三号)  中小企業団体法制定に関する請願川島正次郎  君紹介)(第一七二八号)  同(粟山博紹介)(第一七二九号)  同(山口好一紹介)(第一七三〇号)  同外三件(神田博君外三名紹介)(第一七七〇  号)  同外三件(宇都宮徳馬紹介)(第一七七一  号)  同(江崎真澄紹介)(第一七七二号)  同(大高康紹介)(第一七七三号)  同(外二件加藤鐐五郎紹介)(第一七七四  号)  同(川野芳滿君外一名紹介)(第一七七五号)  同(小平久雄紹介)(第一七七六号)  同(木村文男紹介)(第一七七七号)  同(草野一郎平紹介)(第一七七八号)  同(薩摩雄次紹介)(第一七七九号)  同(田村元紹介)(第一七八〇号)  同(田中伊三次君紹介)(第一七八一号)  同(田中彰治紹介)(第一七八二号)  同(竹山祐太郎紹介)(第一七八三号)  同外五件(渡海元三郎紹介)(第一七八四  号)  同(徳田與吉郎紹介)(第一七八五号)  同(並木芳雄紹介)(第一七八六号)  同外一件(橋本龍伍紹介)(第一七八七号)  同外二十五件(濱野清吾紹介)(第一七八八  号)  同外二件(廣川弘禪君紹介)(第一七八九号)  同外三件(米田吉盛紹介)(第一七九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二四号)  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四二号)  石炭鉱業に関する件     —————————————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案一括議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 昨日の、特別鉱害法施行後における残工事の問題について、政府の再度の見解をお願いいたしたいと思います。
  4. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 本問題につきましては、昨日も本委員会におきましていろいろと論議のあったところでございます。従いまして二百六十町歩農地をすみやかに復旧するために、やむを得ず六十八町歩のクリークが生じたわけでありまして、特別鉱害として認定された農地法律有効期間内に復旧できないことははなはだ残念でございますので、政府といたしましては、現地の関係者意見等も尊重をいたしまして、可及的すみやかに善処しようと最大の努力を払う所存でございます。さよう御了承をお願い申し上げます。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 政府答弁に期待いたしまして、法の精神にのっとり、残工事につきましてはすみやかに処置あらんことをお願いしておきます。  次に、昨日質問しておりました志免炭鉱特別鉱害関係についてお聞かせ願いたいと思います。
  6. 小林重国

    小林説明員 昨日御質問がございましたのですが、資料を準備しておりませんで満足なお答えができませんでしたことははなはだ遺憾な次第でございます。御承知通り特別鉱害復旧臨時措置法施行になりましたのは二十五年の五月でございますが、もう六、七年前のことでございまして、その当時の書類等も探してみましたが、その点見当りませんのではっきりしたことは申し上げかねるのであります。その当時の担当者等に聞いてみますと、この特別鉱害の指定の申請をしなかった理由といたしまして、志免はもちろん戦争中に相当採掘をやったわけでございますが、他の炭鉱に比較いたしまして、そうはなはだしい乱掘もしなかった。そういった関係もございまして、特別鉱害認定を受けますと、御承知通り出炭トン当り二十円の納付金を納めなければならぬ。この納付金は全体といたしましてプールされまして、特別鉱害復旧工事に充てられるわけでございますが、志免につきましては、自己負担鉱害復旧をやった方がいいんじゃないかというような考え方から、実は申請しなかったというふうに聞いております。  なお志免鉱害につきましては、まだ上層、下層とも稼働中でございまして、鉱害がまだ安定しない関係で、鉱害復旧工事がほかに比べましておくれておるのは、事実でございます。しかしながら臨時鉱害復旧法もございますので、その法律に従いまして、できるだけ復旧工事を行なって参りたいと存じます。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも今の答弁では納得いかないのです。第一によその炭鉱に比して乱掘しなかった、こういうことなんですが、これは事実とかなり相違するのではなかろうか。これは海軍所有炭鉱ですから、常識的に考えても、海軍所有鉱炭が、乱掘までして掘らないけれども、よその炭鉱に命令して乱掘させておる、こういうことも考えられませんし、志免だけが乱掘しなかった、こういうことは、私はもしそれが事実ならはなはだけしからぬ陸海軍であるといわざるを得ないのです。このことはどうも当らない。それでどうもはっきりわかりませんけれども、トン当りの二十円が惜しかった、こういうことも私はきわめて不穏当な考え方ではなかろうかと思うのです。あるいはそれが真意であるかもしれません、しかしトン二十円が惜しいといいましても、これは一般会計からの補助を願うのですから、自己負担で全部掘るという方がトン二十円よりも多くかかるということが常識です。ですからこの問題につきましては今お話のことだけではどうも納得がいきません。復旧事業に一年間どのくらい費用を出されておるか、それはトン当りどのくらいになっておるか、こういうことをお聞かせ願いたい。
  8. 小林重国

    小林説明員 ここに持って参りましたのは二十六年以降の数字でございますが、復旧工事といたしまして、二十六年一千百六十一万五千円、二十七年九百四十一万円、二十八年千四百六十六万円、二十九年千四百十一万円、三十年三千百二十八万円、三十一年の見込みといたしまして二千八百九十五万円になっております。これ以外に田畑等の減収によります補償をいたしておりますが、その補償の方は大体各年度とも二千万円から二千五百万円程度の額になっております。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 トン当りは……。
  10. 小林重国

    小林説明員 これはちょっと今計算いたしておりませんが、二十六年頃でございますから出炭量は三十万トン程度だったと思います。それから最近の三十年、三十一年は五十万程度出炭になっております。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 価格にいたしましてどのくらいになりますか。
  12. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 大体六十円ぐらいです。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 標準炭価は幾らぐらいだったですか。
  14. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 六十三円です。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は私の方もデータを持っていないのですが、これは粕屋炭田とかあるいは三菱の勝田とかあるいは高田炭田に比較して、少くともトン当り賠償費だけを見ましても非常に少いと思うのです。いやしくも政府に準ずる機関企業賠償に対して被害者に非常に不快な感じを与え、促進をしてないという非常に不安な感じを与えておるということは、これは政府機関として許すべからざることであろうと思うのです。しかも先ほど特鉱に入っていない理由を申されましたけれども、これは全く理由にならないので、一つずつあげてみましてもどうも解せない、かように考えるわけです。この問題につきましては後に、本法案が一応可決された後でもけっこうですから十分資料を持ってきていただいて、われわれ審議してみたいと思うのです。いやしくも政府機関鉱害補償を十分やっていないというような印象を与え、そういうことが事実であるとするならば、これはゆゆしき問題だと考えます。それからまたあなたの方は特別会計ですから、一般予算の方からの補助金のある場合はやはりそういう関連において一般補助金を受けて支出されることが適当ではないか、かように考えるわけです。本日は十分な資料がありませんのでこの程度にいたしまして、後刻資料を持ってきていただきたい、かように考えます。  そこで次に鉱害認否につきまして、この前滝井君から具体的な例によって質問がありましたけれども、現在比較的に暴力事件等が起って非常な紛争を見ておるという事件が多い。何か突然偶発的な事件によってそういう行為が行われたということは間々ありますけれども、原因は常に一定である。しかも暴力的な行為がよく行われる。こういうことは私は何か制度考えなければならない問題があるのじゃなかろうか、こういうように考えるわけです。これについて局長はどういうふうにお考えであるのかお聞かせ願いたいと思います。
  16. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 鉱害紛争の問題につきましては、昨日もいろいろ議論がございました。なお以前におきましても昨年の商工委員会におきまして、この紛争解決のために特別の考慮をするようにとの決議もせられたわけでございます。その後われわれ事務当局として研究いたしまするに、鉱害紛争の問題は、主として鉱害認否の問題である。そこで鉱害認否につきまして技術的な非常にむずかしい問題、当事者間の話し合いによりまして円満にいく問題と二つに分れるだろうと思います。技術の問題につきましては、昨日も申し上げました通り鉱山保安局協力いたし、工業技術院協力も得まして、なお大学先生方協力も得ましていろいろ鉱害の理論を研究しておるわけでございます。これは世界的にもドイツ等の例もございまして、まだ確立するところまではなっていないのじゃないかというのが原因と思いますが、そういう研究の面は大いに進めて参りたいと存じます。一方鉱害認否がなぜ起ってくるかということになって参りますと、測量等が今日非常に完備いたしておりませんで、実際にそのデータをあげて議論することもできなかった。そこでこれも商工委員会決議にございましたが、測量制度を画期的に拡充いたしたい、こういうことで測量予算を一千万円計上した次第でございます。なおさようにいたしまして将来の紛争解決のために、技術的にも、それから資料といたしましても確実なものを準備して参るという一方、現に起っております鉱害紛争につきましては、鉱業法規定にございます和解仲介制度というものをもう一ぺん見直してみまして、今までにそれほどの効果を上げなかったのはいかなる原因に基いておったかということも検討いたしましたが、まず第一に和解仲介制度について予算の用意がなかった、こういうことで、和解仲介委員の方々の活動をお願いすることも無理であったということを反省いたしまして、わずかではございますが、四十数万円の予算を計上いたしますと同時に、この和解仲介委員を委嘱するにあたりましても、地方の公共団体等十分連絡をとりまして、りっぱな人を得まして今後活動を十分にやっていただく、こういうことで当面の問題を処理するという方針に決定いたしまして、ただいま御審議をお願いしておるような次第でございます。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実はわれわれのところにも幾つも相談を受けるのですが、通商産業局長に対して紡争に対する申し立てをしております。ところが通産局長からは、これは鉱害ではありませんと、ぽんと一枚の書類が本人の手元にきて、どうにもならない。事実は家が傾き非常に困っておる。それで関係炭鉱に対しましてはさらに折衝して、鉱害ではないけれども、実際に被害が起っておるから何とか見てやろうといって一部復旧をしておる、こういう例が非常に多いのです。これは非常な不信の念を与えておると私は思うのです。官庁に申請したけれども、官庁の方は鉱害でないといってきておる。事実は被害がある。そして鉱業権者も直してくれたということなんです。その例がかなり見受けられるのです。あるいは紛争中に、まだ事実関係をはっきり認定しない間に鉱業権者の方で直すというのならば別ですけれども、書類がきてこれは鉱害でないという認定をしてから、鉱業権者の方で直してやっておるということになりますと、鉱業権者の方では温情的にしたと言うかもしれませんけれども、被害者の方からは、鉱業権者に対する関係よりも官庁に対する不信の念が非常にわいてくる。こういうことはきわめて遺憾であると思うのです。それから衆力的なことが再三行われるというについては、やはり制度的な解決をする必要があるのじゃなかろうかと考えるのです。結局ふんまんが爆発してああいう事件になるのです、会社なんかでも、鉱害課職員がいく場合非常にきらうのです。これは危ないというのです。鉱害課職員危険手当をくれと言っておる。これが現実なんです。そういう現実はやはり制度的に解決してやる必要があると私は考えるのです。鉱業権者が悪いとか被害者が悪いというのじゃなくて、制度的に政府として考えてみる必要がある、そういう紛争をなるべく緩和する方向を早急にとらなければならぬのじゃないかと考えるのですが、その点について測量制度ということもございましたけれども、それ以外に何らか考えられてはいないか、その点についてお聞かせ願いたい。
  18. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 この問題につきましては、先ほど申し上げました通り、昨年の商工委員会でも御決議になったことでもありますし、それは以前からも熱心に研究はいたしておるわけでございます。今後も研究は続けていくはずでございますが、ともかく和解仲介制度というものをできるだけ活動できるようにやってみたい。これは今も申し上げたことでございますが、従来予算の裏づけもなしにやっておった仕事でございますが、予算をつけましてりっぱな人物を得られれば、相当効果を上げるのじゃないかということで、本年度はそういうことに考えておるわけでございます。なお今後この和解仲介制度を運用してみまして、どうしても不満足な場合がございますれば、またその節制度の問題について、その実現についてもう少し研究を進めたいと存ずる次第でございます。本年度の問題といたしましては、予算が本年度からついたわけでございますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この仲介の場合には認否も含みますか。紛争の場合に鉱害補償とか復旧ということでなくて、それ以前の鉱害認否についても仲介人は動くのですか。
  20. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 厳密な法律論をいたしますとどういうことになるか、ちょっと私も自信がないのでございますが、しかし紛争が起るのはおおむね認否に関しているわけでございます。従いまして和解仲介員を委嘱する場合も、大学先生とか専門の方をお願いしておるわけでございまして、問題の処理としては認否に触れて、紛争解決のあっせんに当っているはずでございます。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ぜひ一つ認否を含んで、鉱害紛争全般ですからできるだけ推進していただきたい。それから当面予算をつけて推進するということでありますが、この制度もなかなか実効を上げ得ないという場合にはなお研究していただきたいと考えます。  続いてボ夕山の関係についてお聞かせ願いたいのですが、実は臨時鉱害復旧法案には家屋その他いろいろ被害物件についてあるのですが、ボ夕山そのもの崩壊防止の施設については何ら復旧計画に載っていないように考えられるわけです。これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思うのです、と申しますのは、ボ夕山が一鉱業権者のボ夕山であるということが明確である場合は比較的起らない。これは自分みずからやるのでしょうから起らない。ところが古い地区に参りますと、鉱業権者不明のボタ山というのがありましてそれが崩壊をしつつある。家屋の近くにそれが迫っておる。家屋が危ない、あるいは家屋がそれによって損害を受けたという場合には、これは復旧の対象になると思います。そうでなくてボタ山それ自体の崩壊危険防止をする、こういう措置は臨鉱法からはどうも見受けられないのです。なるほど鉱業法には書いてありますけれども、所在不明とかあるいは権利関係がはっきりしないという場合に、どうもそれを防止する方法がないように見受けられらるのですが、この点についてお聞かせ願いたい。
  22. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 ボ夕山のくずれることを防ぐ仕事は、鉱害防止に関することでありまして、復旧に関することではないという一応の線を引くべきであると存じます。そこで鉱業権者が健在の場合は、起りました被害につきまして被害そのもの復旧する。同時に将来の鉱害の発生を予防する意味におきまして防止措置をとらなければならぬ。その場合には鉱業権者負担になるべきものと考えます。そこで鉱業権者が不明でどうにもならぬというときにどうするかということでございますが、これは一つの盲点というふうな形でございまして非常に困ったものでございますが、現在こういうようなものにつきましては、私が申し上げるよりも鉱山保安局長から説明していただいた方がいいかと思いますが、緑化運動等防止考えておるわけでございます。
  23. 小岩井康朔

    小岩井政府委員 全般のボ夕山の崩壊防止につきましては省略さしていただきまして、ただ鉱業権者所在不明のボ夕山の崩壊防止につきましては、鉱業権者がはっきりしておりませんから私の方では手をつけられないのでございます。これは鉱業権に基いたものだけしか扱われないことになっておりますので、鉱業権者がはっきりわからないボ夕山は、私の方では表面手をつけるわけにはいかないのでございます。ただ古い山で崩壊が川のふちまで参りまして川を埋めるというようなものにつきましては、特別に各県から河川法関係で間接的にやっていただいているような状態であります。その点はなはだ遺憾でありますけれどもそこまで手が回りかねる。また表面法規上から鉱業権者がわからないものについては私の方では手が触れられないことになっております。
  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも鉱業権者採掘による被害、こういうことが鉱業法全般に流れている思想で、昨日滝井君も質問しておりましたが、盗掘の例は、権利に基く採掘の結果ではないから鉱害ではない、まさしくその通りですが、鉱害という観念、そういう鉱業法上の鉱業権者のいわゆる権利の上に行われた採掘権に基く被害だけでなくて、別個に概念を変えたらどうですかね、その鉱害という概念を。そして要するに石炭採掘その他によって、盗掘であろうと何であろうと行われるものは鉱害認定する。それが所在不明である、あるいは鉱業権者によるものと盗掘によるものとを問わず、被害者の立場からいいますと、いわば同じもので、被害者立法ですから、その点私は観念を少し変えたらどうかと思うのです。これは立法論になりますが、そして鉱害というものを、鉱業法に基いて採掘されたもの以外でも、何らかここに救済をする方法を講ずべきだ、かように考えるのですが、局長に何か名案があったらお聞かせ願いたいと思います。
  25. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 名案はほとんどございませんとお答えするほかないと思うのでございますが、鉱業法では、民法なりそういう一般法原則の外に、地下にございます鉱物採掘するために特別の権利関係規定されたわけでございまして、鉱業法規定によりまして鉱業をできる者は、権利を持つと同時に義務を持つ、つまり鉱物採掘する権利を持つと同時に鉱害賠償についても特別の義務を負わされておる、こういうことでございまして、その他のことは民法なりその他の法律でもって規定されるのである、さような趣旨から、昨日の御質問不法行為に基く被害についてどうしたらいいかという場合におきましては、民法不法行為原則を適用するほかない、こういうことでございます。将来の問題といたしましては、われわれ、石炭鉱業というものは他の金属関係あるいはその他の鉱業関係相当の違いもございますので、何とか特別にうまく仕組んだ法律はできないものか、これは研究でございますが、さようなことも研究はしておるわけでございます。今ここでどのような方向考えるということを申し上げるところまで参っておりません。これは将来の問題として研究さしていただきたいと考える次第でございます。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 旧鉱業法では、鉱物は国の所有とする、こういう言葉を使っておりましたが、新鉱業法では採掘権能を与える、こういう言葉に変ってきたわけです。そこで鉱業法による鉱業権者採掘以外の、何といいますか、国がある権能を持ったもので鉱業権者に渡ってないものの採掘における被害というものは、どこに責任があるかといえば、それは一次的には掘った者に責任があるのですが、二次的には国というものがここに介在しておるのです。全然無主物というようなものと違うと私は思うのですよ、その鉱物採掘するというのですから。ここに国が介入しておるし、国という要素が入ってきておる。ですから、一次的にはなるほど盗掘をした者あるいは所在不明であるけれどもどこかにおる人にあるでしょうけれども、しかし二次的にはやはり国というものが責任を負うべきではなかろうかと私は思います。そこで一次的な責任追及ができない場合は二次的な責任追及ができる、こういう法律的な構成が考えられるのではなかろうかと考えるわけです。そこで鉱害という観念を、むしろ鉱業権者による採掘のほかに拡大をして、鉱業権者がおる場合には鉱業権者責任追及という形に出てもいいと思いますが、鉱業権者のいない場合は、被害者の立場からいえば盗掘されておるのかどうか明確でないのですし、やはりこれは国が何らかの権能を持っているのですから、国が責任を負うという形にすべきではなかろうか、こういう考えだけを申し上げて、一つこれはぜひ研究していただきたい、かように考えます。それから今のボタ山ですが、これはせっかく臨鉱法も充実して参ってきているのですから、もう残る問題というのはほとんどないと思います。そこで鉱業権者が不明のボ夕山について、その防止方法について復旧計画を立てる、こういうことを今度の立法処置その他についてぜひお考えおきを願いたい、かように希望しておく次第です。  それから最近の汚濁水の問題ですが、最近御存じのように炭鉱ブームで水洗業者が非常に多く出て参りまして、また遠賀川その他が非常によごれて参りました。増産の関係でもよごれてきているのですが、これについてどういうようにお考えであるかお聞かせ願いたい。
  27. 小岩井康朔

    小岩井政府委員 洗炭排水によりましての河川の汚濁防止につきましては、今のお話のようにむしろ水洗業者のよごす方が多いのではないかというふうに考えております。ただいまお話しのように、水洗業は鉱業権なくしてやっているもので、私の方の対象外になっております。これは各県の方で許可しておりますので、私の方ではその実情について詳しく御説明できないのであります。ただ一般の炭鉱の汚濁水の防止につきましては、主要な炭鉱ではすべて循環方式をとらしておりますので、水を流すことはほとんどない。なお沈澱池から微粉をとるようにしておりますので、沈澱微粉をそのまま放流するようなことはほとんどございません。中小の一部では、沈澱池は作っておりますが、一部流出する機会がございますので、多少よごしておりますが、従前よりも改善されつつあるという状態でございます。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 水洗についてはあなたの方に監督権がない、こういうことですが、どうも今の実情に合わない。鉱業法をたてにとってそういうお話をなさっているけれども、私はもう少し政策的に論議をされ、何とか救う道を考えていただきたいと思うのです。それで水洗につきましても、今から十年、二十年前なら水洗というのはほんとうに珍しい職業であったのですが、今は御存じのように水洗というのはかなり多くの業者がいるのです。これが汚濁水を流して御存じのような状態になっている。そしてこれを取り締る法規が国にない。しかも石炭を扱うのはやはり国が扱う。売るのは自由企業であるといえば別ですけれども、何かこの水洗業に認可というような法律制度をやはり国で考えるべきではなかろうかと思う。御存じのように砂利採取でもやはり法律ができている。私は砂利採取もいろいろ公共の福祉に関係があると思いますけれども、水洗だって私は、いろいろ被害その他の面からずいぶん関係があると思う。ですから通産省といたしましては、この水洗業者の関係法案をやはり準備される必要がある、かように考えて、これにつきましても、ぜひ処置を講じていただきたいということを希望いたしまして質問を終ります。
  29. 福田篤泰

    福田委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  30. 福田篤泰

    福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を継続いたします。井手以誠君。
  31. 井手以誠

    ○井手委員 両法律案について簡単に四、五点お伺いいたしたいと存じます。  すでに同僚議員から、本筋については御質問があったろうかと存じますし、重複を避けたいとは存じますが、関連する問題を初めに一点だけお伺いをいたします。この臨鉱法の一部改正案によりますると、地盤の復旧費が主体になっておるようでありますが、地盤の復旧を要せなくて家屋の補修を要する場合——お話もあったかと存じますが、ずいぶん家が傾いたり建具類が合わなかったりするのがひどいのがありますが、盛り土をしなくても済むような場合に、どういうふうに復旧がなされるのか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  32. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 問題の点は、地下の採掘によりまして地盤は陥没したが、その陥没を復旧する必要はなくて、家だけを復旧する必要がある、こういうことかと存じますが、例外としてそういう場合はあり得るかと思います。私どもの考えておるところでは、家屋被害を生ずるという場合には必ず地盤の陥没があるだろう、こういうことで、地盤の陥没のない家屋被害というものが考えられないことから、それは地盤の復旧と同時に家屋復旧をいたしたい、かように考えるわけでございます。
  33. 井手以誠

    ○井手委員 私が申しましたのは、多くの被害家屋がありますので、国の財政も考えあるいは鉱業権者の立場も考えて、なるべく最小限度で補修したい、復旧したいという向きに対して、家屋だけ復旧しても当分は住めるという家屋については、必ずしも盛り土をしなくても、地盤の復旧をしなくてもいい場合があると思う。それでは、どうしても地盤の復旧をしなくてはならぬということになるわけですか。
  34. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 実際上の問題としましては、そういう場合におては地盤等の復旧に要する経費はきわめて少いだろうということは予想されますが、しかしその地盤等の復旧費のきわめて少いのと、それに伴って必要となる家屋の補修をやればよろしいのじゃないか、かように考える次第でございまして、おっしゃるような、なるべく経費を少くして復旧効果を上げるということの望ましいことは、私どももさように考えている次第でございます。
  35. 井手以誠

    ○井手委員 それでは、理想とまではいかなくとも、根本的に復旧するための地盤の復旧費と家屋の補修費との比率には関係なくして、地盤を復旧して家屋を補修すれば復旧の対象になる、かように了解してよろしゅうございますか。
  36. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 さようでございます。
  37. 井手以誠

    ○井手委員 それでは、復旧の標準はどの程度以上でございましょうか。復旧費の最低限度でございます。
  38. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 最低とか最高とか、そういう目標はまだ決定いたしておりません。ただし地盤を復旧するに要する費用は、これは必要なだけはやむを得ないことであります。それに伴って要する補修費も、必要あればやむを得ないことでございますが、われわれとしましては、そのものの復旧につきましては、具体的にそのものについて判断さしていただきたいと思います。昨日来御説明したのは、予算の計上の都合もございまして、過去の実績からとった平均単価を申し上げている次第であります。
  39. 井手以誠

    ○井手委員 平均単価はすでに承知しておりますが、十万円以下は、これは対象外であるとか、五万円以下は別だとかいうことになりますと困ります。家は傾いて非常に住みにくくなっているけれども、さほど補修費や復旧費に多額を要しないというもの、これに対しましては、かりに二万円であっても五万円であっても、申請すれば復旧の対象になるわけでございますか。
  40. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 たとい少くとも原状に、もとの効用を回復するために復旧いたしたいと考えております。
  41. 井手以誠

    ○井手委員 それでわかりました。そこで、この点はすでに御質問があったかと思いますが、特別鉱害復旧についてお尋ねいたします。特別鉱害復旧法は延長になるようでございますが、これに漏れたものもこの法律によって救済される御用意があるかどうか。
  42. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 昨日滝井先生にお答えした問題と同じだと思いますが、特別鉱害として指定されなかったもので実際鉱害を受けているものにつきましても、臨鉱法で一般鉱害として復旧して参りたいと考えております。
  43. 井手以誠

    ○井手委員 それでは、私は今から鉱害復旧に関連して数点お尋ねいたしたいと存じます。炭田の沈澱バッグの不完備、あるいはこれを取りかえないために微粉炭がどんどん川に流れ込んでおる。そして河川の川底がうんと高くなり、井せきにおいても水が流れないという被害がきわめて多いのであります。この現状についてはどういう処置をとっておられるのか。とっておられぬからこういうことになるのだと思いますが、今後どのようにして地方の河川あるいは農地に対する被害を食いとめようとなさるおつもりでございますか。この問題は何回申し上げてもなかなか実行せられないのでお伺いいたします。
  44. 小岩井康朔

    小岩井政府委員 もちろん私の方では、まず施業案で取り締っております。洗炭、排水の点について、どの程度の沈澱池でどういうふうに流すかということについては私の方で認可しておるわけでございます。従いまして、その認可の方法に誤まりがなければもちろんそれでよろしいのでありますが、認可したからそのままほっておくというわけではございませんで、常に二百名に余る鉱務監督官に、現地に参ります都度見せております。容量の足らない場合には増設を命じますし、できる限りの措置をとっておりますが、非常にむずかしい問題でございまして、沈澱池に故障が起るとか、十分に微粉がとれないでつかえるような場合があり、間々流すような場合は十分認めております。従来十分な手が打てなかった点についてはまことに遺憾と存じておりますが、沈澱の方法、特に泥等の分離については助成金もいただいて鋭意研究しておりまして、微粉の回収については十分技術的に解決し得る方向に進めておるつもりでございます。なお、主要な炭鉱につきましてはなるべく微紛を沈澱させて、オーバー・フローの上水は、循環して洗炭機で使うような方法を指導しておりますので、従前から見れば非常に改善の方向に向っておると考えております。
  45. 井手以誠

    ○井手委員 従前に比べれば非常に改善されたとおっしゃいましたけれども、私どもには一向改善された跡が見られないわけであります。私も九州でございます。ずっと炭坑を回っておりますが、地元から何回か相談に参りまして相当な日にちがたちましても、二つある沈澱バッグをなかなかかえないのであります。もう下の方には微紛炭がたまってしまって、上の微粉炭を含んだものが川に流れております。これでは沈澱バッグの用はなさないのであります。間々あるとおっしゃいましたけれども、間々どころか、毎日それをやっている。これは私も何回か商工委員会で申し上げましたし、また当局には直接御相談いたしておりますが、一向改善された跡が見られません。長谷川政務次官に私は特にお願いしたいのです。実際川なんか、せっかく鉱害復旧で改修いたしましても、また元のようにたまって河床が高くなり、島のようになっております。そのために井せきの用をなさない、農地に水が来ない、またあの悪水が水田に入って参りまして、苗代もできないような状態であります。これは地方の炭鉱を持っている農村地帯の悩みの種であります。努力をするとおっしゃいましても、改善されません。どんなふうにかあなたの手でやれる方法はないですか。議運で示される手腕をもってやって下さい。
  46. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 ただいま局長からお答え申し上げた通り、その点については回って歩いて十分注意を促しており、その予防措置をとっているというのでございますが、井出さん最初に御指摘の通り、非常に採炭量が多くなって参りましたのに、それに伴った方針がとられていないという点も認めなければならないと思います。従って、本年はこの点につきまして、御満足を与えるだけの予算ではないけれども、幾分増加いたしまして、それらに支障のないように、今後増加しないような方針をもって臨む考えであり、特に河川の問題等もからむ大きな問題でございますので、私といたしましては特に注意をし、さらにできる限りこの面について努力をさせる考えでございます。
  47. 井手以誠

    ○井手委員 多くは申し上げません、実情が実情ですから。もう少し監督を厳重にしてやって下さい。施業案と申しますか何と申しますか、私詳しい専門用語は知りません。しろうとでございますけれども。現実にそういう被害が相次いで起っております。私は佐賀県の相知という炭坑地帯でございますが、今町政の一番のガンはこの鉱害です。今さら申し上げるまでもなく、洗い炭の被害でございます。何回炭鉱に相談しても馬耳東風であります。どうぞ現地の監督機関を督励されて、地元からそういう不平や非難がないように格段の御努力を願いたいと存じます。  次いでただいま申し上げました洗い炭のことでお伺いをいたします。また各地に洗い炭が始まりまして、そのボタが河川に捨てられておる。この洗い炭は運搬費が要らないところにもうけがあるそうでございますから、なかなかこれは直りそうもございません。地元からいかに文句を申しましても、役場から交渉いたしましても全然受け付けてくれません。私の住んでおります近くにも十幾つかの洗い炭設備がごく最近できました。それは松浦川という川のそばにできておりまして、余ったものは全部そこへこずんでおります。あるいは夜門捨てるものもあるそうであります。一たび大水が出て参りますと、これが河川に流れ込んで、せき止められて直ちにはんらんすることは、火を見るよりも明らかでございます。付近住民は毎日のように役場に行って相談をいたしておりますけれども、業者はがんとしてこれには応じないようであります。そこで、河川局にお伺いをいたしますが、何でも河川法の取締りでは効果がないように私は承わっております。過料の千円でも積んでおけばどんなことでもできる模様であります。業者はなかなか当局のような紳士じゃございません。どんな法律の違反だって犯しておるのが今までの実態であります。河川局長、あるいはほかの方でもけっこうでございますが、河川法によって何とかこれを取り締る方法はないのか。現行法でできないとすれば、河川法を改正して効果ある取締りを行う御用意があるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  48. 山本三郎

    ○山本政府委員 お答えいたします。ただいまの問題につきましては、河川法十九条に規定がございまして、流水の方向や清潔等に影響を及ぼすおそれある工事、営業その他の行為は地方行政庁の許可を受けしむることを得ということになっておりまして、それに基きまして、河川法の適用部分、それから準用部分につきましては、河川管理者でありまする知事が河川取締り規則というものを作りまして、取締りを行なっております。そのある一つの例を申しますと、これは福岡県の例でありますが、河川取締規則の第四条におきまして、「河川において次に掲げる行為をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。」という条項がございまして、その次の行為という中に、第一号といたしまして、「河川またはこれに流入する水流、若しくは水面に汚濁水を放流しようとすること。」それから第四号に、「河川の浚渫その他流水の方向、流量、幅員、堤防高または深浅等河川敷地の現状に影響を及ぼすおそれがある行為をすること。」こういうような条項につきましては、知事の許可を受けなけれればならないというふうに規則を制定しております。それから河川法の適用あるいい準用外の普通河川がございますが、それにつきましては、たとえば佐賀県におきましては、「佐賀県公有土地水面使用取締及び産物処分条例」というものを制定いたしておりまして、先ほど申し上げました規則に掲げてあるような行為につきましては、知事の許可を、受けてやらなければならぬということになっておりまして、その許可を与えるに際しましては、知事は、ただいまお話にありましたような点を十分顧慮いたしまして、処分しておると考えております。
  49. 井手以誠

    ○井手委員 その点は私もよく承知しております。そんな法律とか規則なんか、業者は何とも思っておりません。それを無視してやった場合にどういう効果ある取締りができるのか。許可を受けぬでもどんどんやっておりますよ。むずかしい条件がついておったって、そんなものはへいちゃらですよ。これは農地局もお見えになっておりますから、一緒に聞いていただきたいと思うのですが、そんなに条件がついておっても、それを犯してやる場合にはどうなるのですか。許可を受けない、あるいは許可を受けても条件通りやらない場合、やかましく言ってもどんどん事業をやる場合にはどうなりますか。
  50. 山本三郎

    ○山本政府委員 条例におきましては、大体において罰則がついておりまして、どうしてもきかない場合はその罰則を適用するわけでございますが、私どもといたしましてはそういうことがないように、原因者に対しまして処置をしたりあるいはそういうふうな行為をしないように、できるだけ河川管理者として取締りをするように、しばしば会議等で指令をいたしておる次第でございます。
  51. 井手以誠

    ○井手委員 これはもうその方はよく承知しております。この問題ではおそらくあなたの方もお手上げだろうと思う。どうにもならぬと思っております。罰金の条件がありましても、あるいは過料の問題がありましても、罰金の千円とかあるいは一万円とかいうものは積んでやるのですからそんなものはへいちゃらですよ この鉱害のためにどれほど河川局がお困りになっておるか、私が申し上げるまでもないと思う。せっかくあなた方が苦労して大蔵省と交渉して改修した河川が、次々に埋まってしまう。この効果ある取締りはどうすればいいのか、これを私はお尋ねしておるわけでございます。防災課長は御存じですから打ち合せてからお返事願いたい。
  52. 山本三郎

    ○山本政府委員 私どもといたしましては先ほども申し上げましたように、条例なり規則を完全に実施するようにするのが一番正当な道である、こういうふうに考えております。
  53. 井手以誠

    ○井手委員 どんな規則を作ってもだめなんですよ。もちろん今行われている法律では何のきき目もございません。現にやっているのです。どんどん川へ流しておる。一雨降ればどっと流してしまって、川が埋まってしまっておる。これはやはり警察権の発動とか、懲役刑というような——これはしてはならないかもしれませんけれども、やはりそこまでいかなくちゃならないと思う。一万や二万積んだって平気ですよ。運搬賃でかせぐのですから、運搬せぬで川へどんどん捨ててしまえばそれが一番得ですよ。それをどうして効果ある取締りができるかということを私はお尋ねしておるわけでございます。通産省の方では方法はございませんか。
  54. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 ただいま河川局長のお話を聞いた通りであり、私の考え方といたしましては、二日間にわたってこの問題が慎重に国会において審議されて、どうしてもこの問題の解決を早急にしなければならぬのであるということについて、地方庁に向って一応の通知を通告するということにしたいと考えております。
  55. 井手以誠

    ○井手委員 そんなことを言ったって、百回通達を出したってだめなんですよ。一ぺんうちに来てごらん、それが一番早い。私は案内をしましょう。どうですか、通産省と建設省は、この公共施設に対する大きな被害に対して、毎日々々被害を加えつつある実態に対して、おそらく放任なさることはなかろうと存じますが、何か効果ある方法がございましょうか。もし河川法でこれの取締りができないとするならば改正すべきではございませんか。あるいは過料刑でいけないなら、行政罰でいけないならば、刑事罰もいいです。罰金をうんとふやすなり、あるいは懲役刑を課するなり、適切な方法をしなくては大ごとですよ。この点について両省からはっきりした腹がまえをお尋ねしたい。
  56. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 その問題につきましてはただいまの御答弁もおそらく満足はしないと思うのです。従って私の考え方といたしましては、これに関連する各省と早急に連絡会議をいたしまして、その結果を御通知申し上げたい、こう考えております。
  57. 井手以誠

    ○井手委員 そこまで御答弁になりましたからこれ以上申し上げませんが、今のような状態で通達を出すとか、あるいは厳重に取り締るというようなことでは、もう百年河清を待つこときものであります。毎日々々国費が何千万円か何億円か損害を与えておられる。専門家の多賀谷さんからも関連質問があるそうでございますが、一つ法律改正以前においても効果ある指導を早急にやってもらいたい。おそらく石炭局でも御研究になっておることとは存じます。また河川局でも研究されておるとは聞いておりますが、この問題がとかく通産省では業者本位になっておるということを私どもは聞いております。なかなか話し合いがうまくいかぬそうでございます。一つ政務次官は英断をふるって河川法の改正などについての措置を早急に進められますようにお願いをいたします。
  58. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 関連して……。今の水洗業者の許可の問題ですが、これは県条例か何かでやっておりますか。そういう条例違反あるいは河川法違反というような行為が行われた場合にその業者の許可を取り消す、こういう措置がとられておるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  59. 山本三郎

    ○山本政府委員 取締り規則なり条例に違反した場合は罰則がございますが、こうした石炭を掘ることをやめさすというような規定はございません。
  60. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは許可制になっているのですか。なっておるとすれば条例はどういう法律に基いてそういう行政行為を行うのか、この点がわかりましたらお聞かせ願いたい。
  61. 山本三郎

    ○山本政府委員 河川法の適用範囲及び準用区域につきましては河川法に基きまして河川管理者が取締り規則を制定しておるわけであります。
  62. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、水洗業者の職業の許可という意味ではないんですね。
  63. 山本三郎

    ○山本政府委員 職業の許可ではございませんで、行為の許可をいたします。
  64. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今井出さんからもお話がありましたように、これはもう放置できない問題だと思うのです。これは一つの社会問題を惹起しておると思います。そこで私は水洗業の問題は、やはり認可制にするなり何らかそこに法的処置が必要ではないかと思う。これは公共の利害関係に非常に影響のある業種なんですね。ことに環境衛生からいたしますと、この業種は今まで環境衛生その他に影響ある業種として認可その他のやられておる、いろいろの種類よりも、さらに一そうそれを適用すべき業種であると考えるのです。この点につきましては先ほどもこの汚濁水の防止、ことに水洗業者の防止については、鉱業法によるものでないから鉱山保安法の監督も受けない、こういうことを鉱山局長はお述べになっておるのですけれども、この問題については、やはり水洗業者に関する法律を作って、あるいは認可制にする、そしてそういう行為が行われた場合には許可の取り消しをするというような行為に出なければ、単に罰金をつけたりそういうことでは私はこれは取り締れないと思うのです。要するにその川に捨てるという行為、それが利潤を生んでおるのです。それがうまくいけば利潤になる。うまくいかなければ損になるのですよ。こういう業態になっておる、ですからこの点は政府におかれましてはすみやかに立法的な措置を講じていただきたい、かように考えるわけであります。
  65. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 現地の問題に関連していろいろお話を承わっておりましたし、ただいまの答弁でもおそらく御満足はいかないと思うのでございまして、これからよく連絡会議をし、とにかく今の点については、省としても考えなければならない問題だと思いますので、省令等において十分研究をいたさせまして、皆さんの御質問に御満足のいくような方法考えたいと思っております。
  66. 井手以誠

    ○井手委員 河川局にこの際一言しておきたいと思いますが、私の方ではおそらく今度の出水期には大きな被害を及ぼすだろうと考えております。河川の合流点のところで水洗を盛んにやっておる。何カ所もやっておる。その地帯はかって二十四年、二十三年には全町浸水をいたしまして、二十数名死んだ所であります。その地帯では今や戦々きょうきょうとしており、従って防災工事あるいは河川改修などについて別途格別のお計らいを願わなければならぬと思いますので、この際特に申し上げておきたい。  今多賀谷委員からお話のありました許可の問題、これは自由にやっております。そこで石炭局に伺いますが、おそらくお話はあったかと思いますが、石炭合理化法、これまで作っておきながら、洗い炭などがどんどん起ってくる。しかもただいままで申しましたようなことが相次いで起っておる、これらを考えますと、また将来のことを考えますと、この際やはり鉱業法に直接関係のない水洗業者あたりも、直接当局が掌握する許可制というものをお考えなさるべき段階ではないでしょうか、あなたのお考えを承わりたいと思います。
  67. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 ただいま政務次官から申し上げた通りでございますが、非常に問題が大きくなって参りまして、また将来の石炭業界と申しますか、水洗炭は業界に入るかどうか知りませんが、石炭界の動き等も考えまして、お話のように何とか処置をするときがきておるような感じがいたします。そこでただいま政務次官から申し上げましたように、各省と連絡を密にいたしまして、よく研究いたしまして、将来の問題としては何とか措置はできるように、御期待に沿い得るような方向一つ考えさせていただきたいと思います。
  68. 井手以誠

    ○井手委員 参考に承わりたいと思いますが、今全国で水洗炭の毎月の出炭量はどのくらいでございますか。
  69. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 これは私ども官庁で取り扱っております統計上の数字は、指定統計によった数字だけでありまして、水洗炭なり、あるいは雑炭という言葉がございますが、こういうものは直接には把握できておりません。お話の通り自由にやり、自由に売って自由にもうけ、自由に被害を与えておるということでありまして、把握いたしておりませんが、年間といたしましてそういう水洗炭やら雑炭を含みまして、二百数十万トンのものがあるであろうということを予想しておる次第であります。
  70. 井手以誠

    ○井手委員 それほど出炭量がありますれば、石炭の需給関係に大きな影響があると思うのです。早急に実態を掌握して対策を講じてもらいたい。あわせてこの際さらに政務次官にお願いをしておきますが、各省の話し合い——お役所のことでございますから、どんな場合でもなかなかすみやかにということはできませんけれども、こういう事態でございますので、今国会中にぜひ結論を得てもらいたい。これだけはあなたに確約してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  71. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 今国会中といわずに、なるべく早目にこれらの問題を解決つけていきたいと考えております。従って各省とも、予算等の問題がございますが、予算通過後にはこれらの諸問題を一応道を開かねばならないと考えております。
  72. 井手以誠

    ○井手委員 国警本部と農地局の方にお伺いをいたします。ただいままで鉱害問題でお尋ねをいたしておりました。刑事部長には直接御相談したこともございます。昨年の暮れかと存じますが、佐賀県の私の居住地あたりでは今なお勝手に人の山林に坑口を開いて石炭を採掘いたしておるのでございます。これは石炭局もお聞きを願いたい。おかげで地元の警察では盛んに活動してくれます。所有者の農民が文句を申しますと、手を差し出すのです。こういう状態です。これはもう幾ら所有者であっても、所有の権限を振り回すような力はございません。これはなすままに、勝手に人の財産を盗掘しておるのです。地元の警察の注意で、やや控え目ではあります。しかし先般取締りに行った時分には全部クモの子を散らすように逃げました。こういう実態なんです。ところが取締り官が帰ってしまうと、また出てきて掘っておる。夜間掘っておる。こういう実態です。こういう状態に対してもう一ぺん国警本部の断固たる御方針をお示しになってその処置を願いたいと存じますが、いかがでございますか。
  73. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 たしか昨年も井手委員からお話もございましたし、ことに石炭山付近等において盗掘が多いという実情にかんがみまして、石炭山を持っている地方、九州とか常磐地域等につきましては、特にこの注意を喚起いたしまして、——事案の内容はおおむね鉱業法七条違反の事件が多いのでございますが、その事件の捜査を続行させております。この際現在までの状況を申し上げてみたいと思いますが、昭和三十一年中におきまして石炭盗掘関係鉱業法違反だけが八十五件、二百二十五名の被疑者を警察は検挙いたしております。ことに今申した検挙いたしました事件のうちの比較的多いのは福岡県で、五十四件検挙しておる次第でございます。石炭山で違法に盗掘するということは明確な法律違反でございますので、こういう点につきましては関係の警察によろしく注意を喚起いたしまして、警戒を厳重にいたしておるのであります。今申しました検挙の事件も、自後におきまして、いろいろ聞き込みその他によりまして検挙した事件もございますけれども、現行犯として警察が逮捕した事件相当多いのでございます。こういう無秩序な採掘が、ことにそれが犯罪の形で行われるということはまことに法治国家としては許すことができない状態でございますので、警察といたしましては周密な視察のもとにこれを検挙して参るという考え方を明確に待っておるのでございます。すべての犯罪について同様なことが言えるわけでございますけれども、とかく警察が出張っておる間は、被疑者は犯罪を犯さない。しかし四六時中、四十八時間全部警察官がそこに立っているわけに参りませんので、そのすきに乗じて犯罪を敢行する人間が少くないのでございます。そういった点につきましては、われわれ警察といたしましても警ら活動といったことを機動的に行うとともに、他面警察官のみが発見する以外に、住民の御協力によりまして、犯罪があるということをどしどし御申告をお願いする。そして積極的に摘発するということに御協力を仰ぐ。ことに通産省の石炭局等と緊密なる連絡をとりまして、こういう事案がばっこせぬように、ことに犯罪が敢行されました場合におきましては、犯罪検挙をすみやかにやって参るという決意をもってやっておる次第でございます。警察といたしましては今申したような努力をやっておるのでありますが、それ以前に、神様の目から見ればもっと事件があるということは言えようかと思います。そういう事件は視察を徹底いたしまして、検挙に努力して参りたいと考えておる次第でございます。
  74. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま九十数件の摘発をお示しになりましたが、私の地元の町だけでも今なお二十件はかりある。このくらいのことだけでも当局はびっくりなさるだろうと思う。事ほどひどいのであります。そこで今御答弁にありましたものは鉱業法違反だけのようでありますが、勝手に他人の立木を伐採し他人の土地を掘っておるこの違反に対しまして、どんなふうにやっておりますか、また鉱業法違反もあわせてその処置の結果を御報告願いたい。
  75. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 問題が、何といいましても鉱業法七条の違反、権限のないにかかわらず不当の採掘をする、こういう事件が多いのでございますが、それ以外にたとえば臓物に関する犯罪、他人の立木等を窃取いたしますれば窃罪等が成立しようかと思います。そういった点も、石炭山だけの統計というのは持っておりませんけれども、すべて一般の犯罪の統計の中に入るわけでありますが、そういった点につきましても厳重にやって参りたいと思うわけでございます。ところが御指摘がございましたように警察が一生懸命やっておると申しながらまだやっておるではないか、こういう点は確かにあろうと思います。そういう点につきましてはわれわれ今後とも努力をいたすつもりでございます。今後とも注意を喚起いたしまして警察みずからも大いに視察を積極的にやるということを一つの対策にいたしたいと思います。あわせてお願いでございますけれども、やはり多数の目によってごらん願うということが犯罪を早く顕在化するということになりますので、関係行政当局はもちろんのこと、関係住民の方にもお願いいたしまして、そういう被害にかかられたとか、こういう面についてはどしどし警察の方に御申告願って、潜在化する犯罪が顕在化する、こういう点につきましてはわれわれ警察機関といたしましても、みずからの力によって大いに努力いたしますが、今後皆さんの御協力を得てだんだんこういった犯罪の抑圧に当って参りたいと思っているのでございます。
  76. 井手以誠

    ○井手委員 暴力団のお礼参りと同じで、相手が相手でございますので、なかなか警察に届け出るというわけに参りません。しかも御報告にはなかったのでございますが、鉱業法違反程度では、おそらくその処分も軽微であろうと思う。そういうことを考えると、話としては協力しますと申し上げたいのですけれども、なかなか協力しにくい空気のもとにあるということもよくお考えを願いたい。私が特にあなたにお願いをしたいことは、鉱業法もさることながら、自分の山を勝手に切られる、文句を言ったらおどされる、こういう無警察状態のないように、早急にもっと効果ある取締りを願いたい。多くは申し上げませんが、特にお願いをしておきますから関係各府県に厳重に通達をお願い申し上げる次第であります。農地局の関係でも同様でございます。農地法によりますると、市町村の農地委員会、農業委員会、都道府県の農業会議でございますか、その許可を得なければならぬようでございますが、目的変更などはこれまたへいちゃらでございます。人の農地に勝手にそういう作業をしております。場合によっては金を幾らか積むかもしれません。そういう大事な農地を勝手につぶして、そういう被害を及ぼすような水洗業を強引にやっておる。この事実に対して農地法で取り締る方法はないのですか。農地法の許可を受けぬでやった場合どの程度の取締りができるのか。
  77. 立川宗保

    ○立川説明員 現在農地でありますものにつきまして、農地以外の用に供します、つまり農地の転用でございますが、さようなことを行います場合には、農地法の第四条並びに第五条によりましてそれぞれの行政機関の許可を要することになっております。許可を得ませんで無断で変えたというようなことをいたしますれば、それぞれの処罰があるわけでございます。ただいまお話しの点は、そういう法律規定があるにもかかわらず往々にして無断で農地の現状をこわすということがある点を御指摘と存じますが、そのような問題が往々にして各地方において起っておる場合もあるようでございますので、関係の農業委員会あるいは都道府県その他に十分注意をするようにいたしておりますが、場合によりますと目が届かないでさようなことがあるかもしれません。その点はさらに十分に指導徹底をいたしたい、かように存じます。
  78. 井手以誠

    ○井手委員 この点はあなたのいらっしゃらぬ前に河川法関係で建設省ともいろいろ話したのですが、現行法規は何の役にも立ちません。農地法ではあるいはと思って研究をして参りましたけれども、それも最後は結局何の役にも立たぬ、法律も何もないような業者に対しては何の役にも立たぬ。従って、警察権が及ばぬような農地法の違反に対しては法律の改正の御用意があるかどうか、これをお尋ねいたします。
  79. 立川宗保

    ○立川説明員 農地法の現状の規定につきまして、問題は、法律規定としては別でございますが、それが必ずしも百パーセント行われない場合がある、こういうことであろうかと思いますが、その問題といたしましては、取締りなり指導なり、そういう面の問題点だと思いますので、十分そういう注意をいたしまして、どうしても立法上問題にすべきことがあるということでございましたら、そういう点をさらに検討を加えたいと存じます。
  80. 井手以誠

    ○井手委員 私も用がございますので、これ以上は申し上げませんが、指導とか通達ではだめなんです。長谷川政務次官のお話では関係各省すみやかに集まって早い機会に効果のある対策を立てたいということでございますので、お話もありましょうからその際はどうぞ農地法によっても、無断で勝手に目的を変更したり用途を変更したりする場合には警察権の発動ができるような立法措置を講じてもらいたい、これを要望いたしておきます。  最後に自治庁にお伺いをいたします。この特別鉱害あるいは臨時鉱害復旧の事業は、再建団体ではどのようになっておりますか、何か制限がございますか、いわゆる指定事業というものの内であるか外であるか、それをお伺いいたします。
  81. 柴田護

    ○柴田説明員 特に指定事業として指定いたしておりません。従って指定事業からは一応部外になっております。ただ実際の事業は公共事業と一緒に行われているようでありますので、その部分については、ものによっては指定事業に指定されるものもあろうかと考えております。
  82. 井手以誠

    ○井手委員 あなたの方の御指針にあります実績の七五%しか行使ができないというあの指定でございます。そういう制限があるために、特別鉱害復旧事業においても、せっかく九割の補助があるのに地方では復旧ができない、こういう苦しい実情が各地に起っているのであります。少くとも鉱害復旧だけぐらいは、農民やあるいは農村が自分の責任でなくて被害を受けたのですから、この農地復旧、その他公共事業関係復旧については、やはり精一ぱい復旧ができるような方法はないものでしょうか。
  83. 柴田護

    ○柴田説明員 鉱害復旧事業だけを取り出して指定事業にしてくれという話はあるのです。この問題をどう扱うかということにつきましては、来年度の指定事業の問題ともからんでくるので、内部では検討いたしております。
  84. 井手以誠

    ○井手委員 御存じのように今回家屋等も復旧の対象になっているようでございまして、長い間の被害地の要望が、十分ではないのでありますけれども、若干かなえさしてもらえるわけであります。従ってこういう鉱害復旧についてはある程度のというよりも、少い予算の中から示されただけぐらいのものは執行できるように、あまり制限をつけてもらわないように、一つこの際課長から、こういうお話も出ましてたからやりましょうというような御答弁を願いたいと思います。
  85. 柴田護

    ○柴田説明員 指定事業の関係はちょっと私の所管外でございますけれども、指定事業の関係は、指定事業になっているものについては、それだけの実績の何パーセントということになれば補助率を上げるというだけの問題であります。別に実績にこだわる必要はない。三年間の平均の事業量がどううという問題は補助率の引き上げにかかる問題で、復旧事業自身としては、お言葉もございますし、従来失対事業等につきましては事柄の性質にかんがみて、たとい再建団体からそれを削ってくるような案が出て参りましても、それはいけないのではないかという忠告をむしろしているぐらいの状態でございまして、鉱害復旧につきましても、特にその鉱害復旧事業をうんと削って事業をどうこうしたということは実は私の手元ではあまり聞いておりませんが、御質問の趣旨等も考えましてその方向で善処したいと考えます。
  86. 井手以誠

    ○井手委員 御存じのように私は赤字団体の佐賀県でございまして、この点は因っておりますので、どうぞ一つ格別の御配慮をお願いいたしまして質問を終ります。
  87. 福田篤泰

    福田委員長 中崎君。
  88. 中崎敏

    ○中崎委員 石炭に関する重要な問題もありますので、通産大臣の出席をかねがね、要求しておりますが、これはどういうことになりますか。まだ出ておられないようであります。それによって私の質疑のこともあわせて考慮していきたいと思うのであります。一応委員長の方からその事情を一つお知らせ願いたい。
  89. 福田篤泰

    福田委員長 目下通産大臣は外国の使臣との会談中でございまして、大体三時ごろまでかかるようであります。
  90. 中崎敏

    ○中崎委員 そうすると三時ごろまで休憩してもらうわけにいきませんか。
  91. 福田篤泰

    福田委員長 これは理事会の前の決定をたびたび私の方で変えまして、質問者をおふやししているわけなんですが、それは取り計らいかねます。続行していだたきたいと思います。
  92. 中崎敏

    ○中崎委員 そうすると通産大臣に対する質問はどういうようにすればいいのですか。
  93. 福田篤泰

    福田委員長 質問終結後別個の機会にお取り上げ願いたいと思います。
  94. 中崎敏

    ○中崎委員 私の質問は、通産大臣に対する質問等いろいろありますので、必ずしも私の方は議事の進行を阻害するものではなく、申し合せの点もあるので、私どもも尊重して協力していきたいと思うのでありますけれども、やはり重要な問題については、別の機会に——この法案に関する問題をもあわせて審議する関係もあって、別の機会にということの問題は、きょうのこの審議の間において可及的に通産大臣の出席をお取り計らい願いたいと思うわけなんです。
  95. 福田篤泰

    福田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 福田篤泰

    福田委員長 速記始めて。
  97. 中崎敏

    ○中崎委員 いわゆる神武景気といわれておる経済好調のときにおいて、石炭は電力、輸送などとともに三大隘路といわれておるのでありますが、そうした重要な石炭が何らかの事情によって予定の出炭ができないというふうな場合においては、国の産業経済に、また国民生活に相当大きなる影響をもたらすものと思うのであります。最近における炭労の問題などを含めて、そうした点にいろいろ懸念をされるようなことは考えられるのでありますが、これはただ炭労のその問題に限らず、たとえば重油の問題とのにらみ合せなどにおいて、石炭の予定量の確保についてどういうふうな根本的な対策を持っておられるか、要点的でいいですから一つ説明願いたいと思います。
  98. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 問題は私からお答えするにはちょっと大き過ぎるかと思いますが、燃料の確保という面だけを私から申し上げます。現在石炭の需給状況が非常に逼迫いたしております。そのことはまた詳しく御説明申し上げていいのでございますが、そこでこの逼迫状態がなぜ起りましたかと申しますと、四千八百万トン出炭を計画いたしまして、四千七百五十万トンの需要と推定いたしておりましたものが、昨年十一月からの異常渇水によりまして、電力用炭の消費が増加いたしましたことと、それからもう一つ電力の制限に基きまして、各工場におきまする自家用発電機がその際一斉に活動し始めたということで、石炭の需要が非常に増大したわけでございます。さようでありますから、現在貯炭が非常にわずかになっておりまして、困った状態にあるわけであります。この事態に処するために、政府といたしましては、石炭面におきましてすでに四十万トンの輸入手配をいたしております。これは四十万トン全部輸入できるということではございませんが、ともかく外貨措置として四十万トンの輸入の手配をいたし、なお先般閣議決定がございまして、さらに来年度輸入する見込みの百万トンの中から緊急輸入をも努力する、こういうことになっております。なお重油の面におきましては、これは私が申し上げるよりも——実は私は十分存じませんので、重油の点は省かせていただきますが、重油の点におきましても相当量の緊急手配をいたしたわけでございます。そういたしまして、来年度の問題でございますが、来年度といたしましては、現在のところ需要が五千七百五十万トンくらいございますので、出炭を五千二百万トン、それから輸入を五百三十万トン計画いたしておる次第でございます。でございますから、合計五千七百三十万トンになります。そのうち四百三十万トンは原料炭及び無煙炭でございまして、一般炭といたしましてはさしあたり電力向けに百万トンの輸入を計画いたしておる次第でございます。
  99. 中崎敏

    ○中崎委員 出炭の問題はきわめて憂慮すべき状態に置かれております。われわれいろいろ経済の実情を見てみますと、いつでも政府の方では出たところ勝負のような形で、行き詰まってから非常にあわててものに対処していく、つい出おくれてしまうというふうな場合が非常に多いのでありまして、ことに石炭の今回の場合においてもそういう感が深いのであります。もう少し抜本塞源の考え方の上に立って、重油の問題などを含めて、さらに炭鉱労働行政に関する問題等を含めて、一つ責任のある答弁を実は伺いたいのでありますが、通産大臣も出てきていないので、こうしたような重要な問題、国民とともに非常に憂慮すべき昨今のこの実情においての問題を実はただしたいのでありますが、政務次官からその片りんでもいいから方針を一つお尋ねしたいと思うのであります。
  100. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 石炭の問題、重油の問題、特に石炭の問題等におきましては、昨年来鉱工業の生産が非常な活況を呈しておりまして、それとともに石炭の需要は激増してきているわけであります。加うるに昨年十一月以来の異常渇水があり、それに伴いまして電力用炭の消費も大幅に増加した次第であります。従って、ただいま局長からお話し申し上げました通り、現在の業者貯炭は約百四十万トンでございましたが、これは二月中旬現在の調査でございますので、その後百四十万トンが大体二十万トンくらい切れるのではないだろうか、こういうような状態になっておりますので、非常に私たちの憂慮しておるわけであります。従って御承知のごとく、昨日炭労、業者等にお願い申し上げまして、何とか早急に自主的にこれらの解決をしてもらいたいということを申し上げておったわけでございます。これとあわせまして重油の問題等におきましても、重油は大体四十万キロリットルの追加をしておりまして、さらにまたこれらの問題に支障を来たさないように、何とか重油をより以上極力輸入をしなければならないというふうに考えて、目下それらの手配をしているわけでございます。こういうような状態になっておりますので、争議という点も、一面においてはまたしかりであると思いますが、ぜひとも争議は早目に解決がつき、正常な姿に戻したいとわれわれは念願をしているわけでございます。申し上げるような次第でございますので、これらの問題に対しましては極力労使双方に対して大局的な見地に立って、自主的に最悪の事情を回避するよう最善の努力を払うように要請をしておる次第でございます。
  101. 中崎敏

    ○中崎委員 少し専門にわたって恐縮なんですが、鉱山局長が来ておればいいのですが、もし政務次官で御答弁できれば聞きたいのでありますが、ボイラー等の制限の法律ができて、重油の使用制限が行われておるのでありますが、あれによって実質的にどういうような効果が上ったかということ、大体一カ年間を通じてどの程度の制限を実際にやったかというふうな、ざっとした見当でもわかれば御答弁願いたい。
  102. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 重油の規制につきましては、当時の石炭の実情、国内エネルギー全般から見てやむを得ない処置であったと私は考えます。しかしその後急速に経済界が立て直ってきておる実情と照らし合せたときに、果してこれが最善の方法であったかどうかという点については、私自身も大きく疑いを持っておる次第であります。従ってその効果につきましては、その数字は持っておりませんけれども、重油そのものよりも石炭の保護政策という点については相当効果があったと私は考えます。重油の規制につきましてはただいまその数字は持っておりませんが、重油を規制したためにどのくらいの効果があったということはなかなか数字には現われておらないと思いますが、いずれ帰りまして調べてみて、後日その点にはお答え申し上げたいと思います。
  103. 中崎敏

    ○中崎委員 現在の石炭不足で国の産業に大きなる一つの穴があこうとするときに、重油の問題についていかに対処していくかということはきわめて重要な問題だと思うのです。石炭が掘っても売れない、あるいは重油に押されて石炭の価格が非常に安かったとき、ことに石炭業者の中で中小炭鉱のごときは相当悲惨な状態に追い込まれておって、これに働く炭鉱労働者も非常に苦しい状態に追い込まれておったというときには、今政務次官が言うようなことはやむを得ない措置であったかもしれぬのでありますが、現在は何よりも国の経済全般をいかに処置していくかという段階に入っておる。  しかもそれが石炭不足からきておるということが大きな原因であるとするならば、この重油問題とからみ合せて、このボイラーなどの制限に関する法律をいかに運用していくかということは、この際さらに大きく検討していなかければならない問題だと思うのであります。そこで現在すみやかな機会に、この重油が復活して石炭にかわって使用できるという情勢にあるならば、言いかえればボイラー等の設備が完全に取り払われないで相当まだ使えるものがあるという情勢にあるならば、何らかこれを緩和する措置を講じてはどうか。暫定的といいますかある過渡期において、ボイラーを使い重油を使ってもよいというような措置をすみやかに講ずる必要があるのではないかと思うのでありますが、この点いかがですか。
  104. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 重油の規制法につきましては、かねてよりただいま御指摘のような点が多々あります。従いましてこれらの規制法につきましても、規制法を作ったときの精神そのままで進んでおるわけではないのでございまして、石炭等ともにらみ合せてアジャストして進めていくように注意を促しております。その反面、それではこの規制法を今撤廃すればよいではないかという考え方もあると思うのでありますが、石炭の需要が急速に大きくなった現在におきまして、果して今後これが持続できるかどうかという大きな疑問も反面にあると思うのであります。これを撤廃するということが一つの刺激にもなると考えられますので、それはそのままにしておいて、そのときの精神を幾分緩和の方向に向けて進んで参りたい、こう考えておる次第でございます。
  105. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題は実は通産大臣にも経済企画庁長官にもお尋ねしたい問題なのでありますが、政府ではさらに新しくいわゆる経済五カ年計画を立てておられるのであります。言いかえますと、この大きく広がりつつあるところの日本の経済を、さらに今後五カ年にわたって今度こそ絵にかいたもちではなしに、一つの目標といっても、もう少し具体化した根拠のある一つの計画として進めて参りたいという考え方を通産大臣も言っておられる。ということは、重油や石炭の事情があるいはまた変るかもしれないというふうなあやふやな見通しの上に立って今後五カ年計画を立てておられるのじゃなしに、そういう事情もあわせて考えてみて、それで結局においては毎年々々こういうふうな状態になるのだというふうな、一つの確固たる目標を持ってやっておられるはずなんです。  そういう点から見て、この重油に関する問題もあわせて一つのエネルギー政策としては大きな問題であるのだから、もう少しこの問題についても検討を加えて、そして確固たる結論を通産省の方から出してもらうことを要望するのでありますが、この点いかがでございますか。
  106. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 石炭において五千三百万トン、さらに輸入炭をこれに加えていく考えであり、重油におきましては昨年の二〇%増、こういうふうな一応の計画を持って進んでおるわけでございます。
  107. 中崎敏

    ○中崎委員 そうしますと実際においては、たとえばコストの関係からいってもあるいはすぐに利用し得る便宜上の点からいっても、むしろ重油の方がいいのじゃないか。これは国内において石炭を一ぱい一ぱい産出されて使われることには文句はないのでありますが、外国から五百二十万トンの石炭を輸入するというような段階において、むしろ石炭は、無煙炭とかあるいは特に火足の長い開らん炭というふうな特別の燃料炭である場合はやむを得ないとしても、そのほかにおいて相当重油にかえ得るものもあると思うのであります。こういうふうなものこそ、むしろ重油にかえるような態勢に進み得るものであるかどうかをお尋ねしたいのであります。
  108. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 石炭と重油、すなわち国内の石油資源というものは非常に乏しいという点、反面石炭は国内産である、国内資源であるという点、こういう点についていろいろな議論もかもされておるのでございますが、御指摘のようになるほど重油を持ってくればその方が便利であることも明らかであり、もっと重油の方が生産コストからいってもあるいは安いかもしれないと私は考えます。しかし反面今申し上げたような国内資源の活用という点に重点を置かなければならない、こういうところに反面があるのでございまして、御指摘のお気持は十分私にはわかるのでございますが、その点も御了察を願いたいと考えております。
  109. 中崎敏

    ○中崎委員 どうもはっきりした答弁と思いませんが、大臣がこなければ一応この問題はこの程度にして、こまかい今の災害に関する問題、鉱害に関する問題などはずいぶん質疑をされておりますから、繰り返してこの問題をやらないのでありますが、ただ鉱害に関連じゃないけれども、類似というか、われわれの角度から言えばそのウエートにおいてあまり径庭のないような工業の害についての問題をお尋ねしたいのであります。  石炭鉱業の場合においては戦時中における苛斂誅求の復旧はもちろん、さらにその他の鉱害についてもこれが復旧のために特別の法律ができておって、そうして重要産業たるものの使命をすみやかに果していくという方向に進んでおると思うのであります。ところが工業の場合におきましても、相当な範囲において被害があるようであります。ことに近代的大規模の工業が進むについて、その被害の範囲もだんだんと大きくなってくるわけであります。たとえばパルプのごとき工業においては莫大な廃液が流されて、農地に対する相当被害があると同時に、ことに河川並びに沿岸漁業に重大な致命的な打撃を与えておって、全国至るところにこの問題が起っておるのであります。そこで水産庁としてはこうしたところの工害の被害について、至るところにこういうものがあるのでありますが、多数沿岸漁民の生活の基本に関するものであります。これによってほとんど魚がとれない、あるいは海草もとれないというふうなわけで、致命的な打撃を各地区において受けておるというのが現状だというふうにわれわれ見ておるのでありますが、これに対して一体今日までどういうふうな研究調査をしてきておられるか。どういうふうな対策を講じておられるかということをお尋ねしたいのであります。
  110. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいまお話にございました通り、だんだん工業化が進んで参りますに従いまして、その影響が水産業方面においても起って参っておりますことはお説の通りでございます。国の経済の発展に伴いまして、工業化というのはやむを得ない勢いでございますので、これを頭から、水産業の立場から単に抑制するばかりでもいけないと思うわけでございます。水産庁といたしましてはまず第一次的には工場建設の場所について、被害を及ぼさないような地点を選んでいただくということ、次には工場を建設いたしました場合におきましても、その廃水が川や海に流れ出まして、水産業に非常に大きな影響を及ぼすということのないように、その防止措置を講じてもらうということをお願いしているわけでございます。実際上の措置といたしましては、それぞれ工場が建設される場合に特に地元の県にごあっせん願っておるわけであります。県庁といたしましては水産業の面と工業の面と総合的に見ているわけでありますから、そういう意味において県庁が、工場を建てようとする場合、被害を免れない漁業者の間に立ちまして、それの防護措置と、さらに防護措置で及びません場合においては、最後の措置としては補償の問題にも及ぶのでありましょうが、そういう問題について極力あっせんをしていただきまして、相互に納得のいったところで工場の建設に入っていただくというようなことを今やっているわけでございます。なお確かに将来の問題としては、こういうような被害が広範に起ってくるということが予想されるわけであります。それらのことを予想いたしまして、実は水産関係といたしましては水産資産資源保護法というような法律もございまして、その法律のもとにおいての法的な規制ができるような形になってはおりますが、起きます事態というものが千差万別でありますし、また技術もいろいろ変って参ることでありますので、一律的に法律で基準を設けるということは困難かと考えておりまして、たとえば現在行われておりますような土地調整委員会が非常に有効な機能を発揮しておるわけでありますが、そういうようなものが工業関係につきましてもできまして、汚水、濁水の防止あるいはそれに伴います補償問題につきましての妥当な解決方途を求めるというようなことを考えなければならないだろうと考えておるわけでありますして、この問題につきましては水産庁ばかりでなくて、厚生省も関係がありますし、もちろん通産省もあり建設省もあるわけでありますので、先ごろ来から関係各省の間で御相談を進めておるわけであります。
  111. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの答弁によりますと、法的な措置としては水産資源保護法という法律があるというのでありますが、現実にパルプの廃液、これはパルプに限りませんが、工業の害は相当広範でありますが、たとえば一日に何千石というパルプ廃液、その他の汚水をどんどん川や海に流するのであります。従いまして相当広範な範囲にわたって汚濁した、しかも有害な水が海に流れる、あるいは川に流れる、従って魚族がそこには以後は繁殖しない、こういうのが実情で多数の沿岸漁民が生活を脅かされておる。もうほとんど瀕死の状態に追い込まれているところも相当あるのでありますが、一体水産資源保護法によって、パルプ廃液などによって現実にその生活を奪われるというような危害を受けているというような場合には、どういう保護の道が現実に講じられるのか、これをお尋ねしたい。
  112. 新沢寧

    ○新沢説明員 先ほど申し上げましたように、水産資源保護法によって、あるいは工場側に防護施設を作るように指定をするとかいうようなことができるような法律の形になっておりますけれども、実はそれに基きます省令を作って、そういうことをやっておるのでありますが、いろいろな技術的条件のむずかしさ、それから規制をする場合におきましても、一つの形をきめまして、省令で書くということも困難な事情にあります。実は現在は法律規定あるいはそれに基きます省令の規定によってどうこうしているわけではありませんので、先ほど言ったような、事実上の措置としまして、漁業者と工場側との間に立ちまして、防護措置をやることについての勧告、あるいは補償についてのあっせんをしているというのが現段階でございます。ただそれでは確かに不十分でありますので、もう一段階進めて措置しなければならないということで、先ほど申し上げたような、たとえば機関を作ることにつきまして、関係各省の間でお話し合いを今進めつつあるということでございます。
  113. 中崎敏

    ○中崎委員 たった一つ水産資源保護法という法律があるようでありますが、事実上これは死物化して何らその働きをなしていないというのが現実の状態のようであります。そこで今漁政部長は関係各省とも話し合いをして、そうして可及的すみやかに有効適切な強力な措置を講ずるというふうなお考えのようでありますが、問題といたしましてはそうした汚水、有害な水をある程度近代的な施設等によって緩和することはできるようでありますけれども、何しろあれだけの水がどんどん流れていくので、これをほんとうに十分に防ぐということは現在の段階においてはまだはるかに及ばないというのが実情ではないかと思うのでありますが、この点についてどういうお考えであるか聞きたいと思います。
  114. 新沢寧

    ○新沢説明員 お話のように現在の技術におきまして相当程度まで浄化することはできるようでありますが、その結果なお全く水産業に対して無害の程度までに完全に除去できるかという点に関しましては、お話の通りまだ及ばないところがあるように思います。
  115. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題につきましては、水産業をもって立っておる日本の、ことに零細な、影響するところは何十万をこえて、何百万の家族にも関係のあるような、こういう広範な地域にわたっての被害の実情であると思うのです。全国至るところに大きなパルプ工場があって、そうして至るところでその廃液を流して問題を起して、実際に漁民の生活が脅かされていることは事実です。現にたとえば島根県のごときは、あるパルプ会社が工場施設をしようとしておる。ところがもう前に別の地区にあったパルプ会社によって、いかにも漁民に対する被害が大きい現場をよく見ているから、こういう状態でまたおれたちが新しく生活を奪われては大へんだということで、自分の命を張ってこれの新設に猛烈な反対をするというようなことで、にっちもさっちもいかないというような現在の状態があるのでありますが、どうしても根本的にこの問題を通産省においても検討していただいて——なるほど国家的に一つのこういう事業を新しく拡張あるいは新設するというような必要のあることは認めるけれども、これがために大多数の人の生活を奪い、あるいは公共の福祉を害するというような、こういうことがこれ以上あってはたまらないという現実なのでありまして、そういう新しい事業の起るということのために、逆に被害を受けている、そういう公共の福祉に大きなる関係のあるところの問題は、国家がむしろ積極的に、その損害に対するところの賠償の問題はもちろん、事前に適切なるところの措置を講ずるとか、あるいは工場の設置についてもその指定について十分の監着をするとか、ただこれを県知事にまかすとかいうようなことでなしに、もう少し確固たる一つの方針と政策を立てまして、そうして多数の漁民の生活を保護すると同時に、肝心な漁族そのものの保護もあわせてやるというような、こういう高い見地に立ってこの問題と取っ組んでもらいたいと思うのでありますが、政務次官においてもこの問題をもう少し重要にお考え願って、そうして今後の態度をこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  116. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 ただいま御指摘のような点につきましては、昨今非常に問題が多くなってきていると私は考えております。従って地方庁にだけゆだねておいてはというただいまのお話があった通りだと私も考えます。この点は今後地方庁とも十分連絡を密にしましてその点を明らかにしていきたいと考えております。
  117. 中崎敏

    ○中崎委員 私の言いますのは、ただ行政事務的に打ち合せをするとか通達を出すとかいう問題でなしに、抜本塞源的に根本にさかのぼって、そうした公共の福祉に関係のあるような、害を多く流すような問題については、たとえば近代的な一つの工業によって影響するところの害が大きいというような場合には、その工場の建設について政府の方で適正な許可監督の権限を持つとか、さらにあるいはその害をできるだけ少くするように科学的な機械的設備等もあわせてやるとか、そのために関係地方民ともいろいろ建設について問題が起るのだが、その間における調節をどういう機構によってどう処理していくかというようなこと、かりに損害があった場合にはその損害を国家的にも責任を負う、建設する会社とともに十分その責任をしょって立つだけのそういう心構えを持っていくようなことを、この際政府において思い切って考えてもらいたい、こういうのが私の主張するところなのでありますから、この点を十分にのみ込んでいただき、関係大臣などにも話されて十分の打ち合せをされまして、すみやかにそうした方向に検討を進めるという考え方があるかどうかをお尋ねしたいのであります。
  118. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 今後の鉱工業というものにつきましては、御指摘の通りますます汚水というか毒水というかが多くなってくると考えられますので、これらの問題については十分の打ち合せをいたしまして、こういう工合に対処していきたいと考えております。
  119. 齋藤憲三

    齋藤委員 関連して。ただいまのパルプ工場の廃液問題でありますが、私の県にもパルプ工場がございまして、その廃液が多量に海の中に注ぎ込まれ、毎年のように漁獲物に対する賠償金を支払っているのであります。しかし私の常に考えておりますことは、何がゆえに非常な有機物を含んだところのパルプ廃液をそのまま支流しておるかということであります。このパルプ廃液からは御承知通り、アルコールもとれましょうし、その他いわゆる木材糖化の見地からいろいろな家畜飼料もとれましょうし、こういうものを採算がとれぬからそのまま海に流してもよろしいということは、私は一つの悪い考えだと思っております。ですから、あれだけの木材をつぶしてパルプを製造して廃液を流して、そうして漁獲物を荒して賠償を支払うというようなことであるならば、その経営工場といたしましては、この廃液について相当の施設をいたしまして、それから有能物質をとる、たといもうからなくても、とんとんにいっても、この廃液というものから国家的に有能な物質をとって、そうして公共の福祉に供するというようなところまでいってこそ、初めてあの大量の木材というものをつぶして営業成績を上げるところの社会的な根拠があるのじゃないかと思う。これはたびたびパルプ会社に行って忠告をいたしましたけれども、やはりこういうことは受け入れられないのであります。ですから、一つこれは当局といたしまして十分御考慮を願いまして、あれだけの数量の木材をつぶすのですから、あの木材の効率をさらにそれ以上に上げられるようなパルプ工場の営業方針というものについて一つ何らかお考えを願いたいと思いますが、こういう点に関しまして政務次官のお考えをお述べ願いたいと思うのであります。
  120. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 パルプ工場の廃液ということだそうでありますが、私はその点については非常に知識が乏しいのではっきりわかりませんが、会社の採算ばかりでなく、国全体の経済の上に立ってすベてが進められていかなければならないということは御指摘の通りでありまして、その点については今後何らかの機関をもちまして調査をさせて、御回答申し上げたいと考えております。
  121. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連して。ただいま廃液の問題が出ておりますが、廃液と同時に、製紙会社からは非常な悪臭を発散するのですが、これのおかげで、この大工場の付近の住民及び学校等は非常に能率を下げる、こういうことが私の地元でも問題になっておりますけれども、悪水と同時に悪臭の問題については、本省としてはどのようにお考えになり、どう御処置遊ばされていらっしゃいますか
  122. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 悪臭の問題等は厚生省の方の関係でございまして、私の方の所管でないのでその点ははっきりいたしません。従って、悪水の点についてもまたしかりであります。しかしその両面とも、それが直接人体ばかりでなく農耕地等に関連する点等があるとするならば、その点は十分検討しなければならないと考えております。
  123. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 パルプの廃液、それから悪水、悪臭、いろいろな問題が出ておりますが、これはただいま政務次官がお述べになったように厚生省の所管であることは間違いございません。環境衛生の部門に属するものであります。しがしながら、それらのよって発生するものは、ほとんどこれは通産省に関係のないものはないのであります。ただいま政務次官がおっしゃいましたが、そういう問題についてここ数年来非常にやかましくなって参りまして、厚生省の方では環境衛生の部面からその法律の原案ができておるかと私は記憶しておりますが、それらの点について、通産省との連絡がどの程度なされているか、その点局長からでもだれからでもけっこうですが、御答弁いただいきたと思います。
  124. 長谷川四郎

    長谷川政府委員 過去二年前くらいからそれに対しての動きはあるようでありますが、いまだその結論を見ていないような状態だそうであります。
  125. 福田篤泰

    福田委員長 これにて特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  126. 福田篤泰

    福田委員長 この際理事会の協議により、石炭鉱業に関する問題について調査を進めます。  質疑に入ります。松岡松平君。
  127. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 今春季闘争と称して、総評傘下で計画され、着々進展いたしておりまするゼネストの計画の様相を私どもうかがってみますると、事態容易ならざる様相を含んでいると思われるのであります。そこで具体的にこの計画の中に参加している人員の荒すじを拾ってみましても、炭労で少くとも二十万、私鉄で十三万四千近く、合化労連関係で九万七千、全鉱で約六万九千、その他八組合で三十七万、合計八十七万人、これに官公労として、国鉄、全逓、電通、専売など公共企業体の八組合が八十八万人、その他国家公務員、地方公務員の団体や日教組など合計して約二百二十万人、全部合計しますると約三百十万人という概算数が想定されるのであります。これが今度展開されておる春季闘争に参加しておる勤労者の数だといわなければならぬ。これだけの広範な勤労者大衆を動員して、しかも三月十一日を第一次的目標にして、われわれの仄聞するところによりますると、炭労では七十二時間のストを計画されておる。国鉄においては千二百カ所において職場大会と称して三時間職場から離脱することを計画されておる。私設鉄道大手十三社は全面二十四時間ストを計画されておる。官公労におきましては具体的な戦術は明瞭でありませんが、最高の実力を行使するといわれております。日教組においては一斉早退を計画されておる、いやしくも教育に従事する教職員が、教鞭を捨ててこのストに参加していく。全鉱でも、これは手段は明らかにされておりませんが、集中的な実力行使を計画されておる。電通においても可能な限りの実力行使を計画しておる。全逓においても最高の実力行使を計画しておる。自治労連におきましても十一日を目標に具体的な計画を進められておる、こう考えてきますと、三百万の勤労大衆が三月十一日を目標に一大ゼネストを決行する計画を持っていることは、もはや否定できない事実だと私どもは考えなければならない。そこで私どもは各部門別に検討する必要があると思うのであります。  まず重炭要産業の熱源であります石について、果して現状はどのような状態になっているのか。ストックの手持ちによっては、三時間の国鉄の職場大会一日によっても貨車の操車に影響するのでありまして、これがひいては産業に重大なる影響を及ぼすのであります。また私どもはいずれ総括的に大臣にお伺いする前に、当該の次官並びに局長からこの点について現在の石炭の貯炭の状況を大別一つおわかりの点をお答え願いたいと存じます。
  128. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。貯炭の状況はどうなっているか、こういうことでございます。一般に貯炭と申しますと、供給者側の全国貯炭でございます。これは山元貯炭と積み出し港の貯炭及び市場にありまする貯炭を合計して申すわけでございます。これが二月末現在で百四十万トンでございます。なお貯炭は消費者側にもございますわけでございますが、これは一月末現在で二百七十六万トンということになっております、これは統計上一カ月おくれになって参りますので、二月末の状態がはっきりつかめないわけでございますが、これを大体どのようになっているかと推定して申し上げますと、大体二百三十万見当になる見込みでございます。
  129. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 そうしますと今の二百七十万トン見当という消費者側の手元に持たれている石炭というものは、これが重大な因子をなしてくると思うのであります。ことにこのストライキが進行いたして参りますれば貨車が動かなくなる、鉱山はストライキに入る、私鉄が動かなくなれば結局手元にある石炭だけが使用可能の限界である。そうすると現在火力電気関係は一体どのくらい保有しておる状況でありますか。それからガスさらに国鉄、それからガラス、ソーダ、化学繊維、これらについてどのような状況でありますか、おわかりでしたらお答え願いたい。
  130. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 総括的に申しまして、電力、ガス等につきましては、相当多い方でございまして、むしろその他公益事業以外の貯炭量が少いとう状況になっております。ただいまお尋ねの点を具体的に維持日数でもって申し上げてみますと、ガスにつきましては貯炭五日分以下二工場、それから五日ないし十日しかないものが六工場ないし七工場、こういうことでございます。それから化繊につきましては、五日分以下が一工場、六日から十日までの間が二工場、二十日分というのが三工場でございます。それからセメントにつきましては五日分以下が八工場ないし九工場、五日から十日までのものが十一工場一ないし九工場、パルプに至りましては五日分以下が八工場、五日ないし十日分が十工場、ソーダにおきましては五日分以下が一工場ないし二工場で、十日分以下が六工場くらいでございます。国鉄について申し上げますと、国鉄は先ほど申し上げましたように比較的いい方でございますが、平均いたしまして十六・四日分ということになっておりますが、地域によりましては、たとえば九州におきましては六日分しかない。それから北海道におきましては八・七日しかないものがあるという状況でございまして、これは比較的大口需要について申し上げたのでございますが、小口のいわゆる中小企業に至りましては、もう一日分、あるいはほとんど工場もとまっているというのが非常に多いのでございます。
  131. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 大臣はお急ぎのようですから、それでは大臣の方に先にお尋ねいたします。大臣のおいでになる前に今伺いました点は、今度の春季闘争の総動員数約三百万、これによって参加しているものは炭労、私鉄、国鉄、全鉱、電通、官公労その他あるのですが、この十一日を目標に展開せられるゼネセトの遂行によっては、日本の産業が一大危機に逢着するのではなかろうかと思われる点が私どもも考えられるのであります。そこで今お伺いした点は、まず石炭について、これは産業の重大なる要素を持っておるので、石炭の貯炭量につきまして今伺いますと、電力、ガスについては多少の余裕があるけれども、ガラスや化学繊維、セメント、パルプ、ソーダ、小口、すなわち中小企業面に至っては実にひどい状態で一日分とか、あるいは二日分とかしか手持ちがない。このソーダ、パルプ、セメント、化学、ガラスにしても五日ないし十日、十日ないし二十日分というようなことになって参りますれば、ここに十一日に計画されておるストが決行されることになりますれば、日本の産業は非常な障害にぶつかってくる。この障害は一日にして終るべきものではなくして、長くそのあとを引いて、やがてはせっかく産業が好転しつつある際に一大逆転を告げてくるのではないか、そのためにこの経済の波の上に大きな響きがくるのではなかろうかと私どもは考えられるのでありまして、この点について通産大臣から忌憚のない、このゼネストの日本産業に及ぼす影響、やがては国民生活にもたらすその影響についての御見解、見通し、これに対する御所見を承わりたいと存ずるのであります。
  132. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ただいまおっしゃられました通りでございまして、ここで炭鉱労働者が数日あるいはそれ以上の全山ストというような事態を起されては、日本産業にとって非常に大きい問題が起るということを私どもは考えておりますので、御承知のように昨日労使代表を呼びまして、そうして労働大臣からも要請がございましたが、産業行政を預かっておる担当大臣としまして、私の方も今の石炭の実情を述べて、一朝争議というような手段に訴えられた場合には、国民生活の上に重大な問題を起すおそれがもうはっきりしておるので、何とかこれはストライキという手段によらないで解決してもらいたい。これは政府がすぐに介入すべき問題ではありませんので、政府はこの問題になるたけ不介入の方針をとる。しかしそのかわり労使双方が誠意をもって話し合いで解決すべきだということを昨日要請した次第でありますが、両方の代表者もきわめてその点を理解してくれまして、しばらく時をかしてくれ、自分たちは誠意をもって解決するつもりがあるんだということでございましたが、本日あたりの様子を見ますと、業者側もきのうあたりからいろいろな対策を講じている。争議団体の方も対策を講じて、きょうあたりから両者がいろいろ話し合いに入っているという状態も聞いておりますので、できるだけ無期限ストというような事態にならないように、私どもは極力対策を立てて阻止したいと考えております。
  133. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 最近の労働運動の傾向というものは、終戦以来ことごとにストライキという最悪の手段を用いる傾向がある。これは西ドイツにおきましても、もちろん進歩したアメリカあたりにおきましても、かような手段というものはよほどの行き詰まった状態でなければ用いられておらない。進歩した民主主義諸国におきまする労働者の賃金向上、待遇の改善に関する交渉というものは、主として団体交渉によって労使が誠意を尽して妥結ずるというのが、近来の傾向であります。しかるにわが国におきましては、終戦以来すぐストライキに訴えるという傾向がある。しかも最近のいわゆる春季闘争という名にかりて毎年行われる政治的ゼネストの様相というものは、経済闘争の範疇を脱してしまっておる。もちろん経済闘争の様相はないとは言いませんが、それにひっかけまして広範なる勤労大衆をいわゆる革命的な方向に訓練しているというふうにしか、われわれには受けとれない状況が出てきておるのであります。真に労働者の待遇を改善するために労働者が団結して企業者と交渉するということは、これは好ましいことであって、忌むべき現象ではございません。もちろん労働者の賃金はその業態によって算出されるものでありまして、労働者の当然受くべきところの配分というものは、その生産の度合いによってきまってくるわけなのであります。それを要求を掲げてはストライキをやる。何でもばかの一つ覚えのように、ストライキ、ストライキといってかり立てておるこの状況というものは、これは経済闘争ではない。まさにこれは政治的ストライキである。政治的ストライキというものは、一体日本の憲法によって保障されているものかどうかということについては多くの議論があります。憲法二十八条の規定するところの罷業権なるものは、経済闘争の範疇に限定せらるべきものであって、政治的闘争の範囲まで含むものではない。そこで政府当局におかれましても、今労使双方に対して話し合いによって誠意ある妥結に向うよう御努力せられておることを承わりましたが、これは政府といたしましても、すでに日時がもはや逼迫しておるのであります。私どもの考えからいたしますれば、日夜をいとわず、もっと積極的に政府自体がこの両者に対して真剣に団体交渉の実を上げることを要望せられると同時、国民にもアッピールせられる必要がある。ことに貯炭の状況などにつきましては、あらゆる報道機関を活用されて、国民全体にこの実相を明らかにすることが必要である。今中小企業がわだちのフナのような状態になって置かれておる。重要産業が石炭に困るという実情というものは、国民の大部分は知りません。この実情を国民に訴えられて、そうして業者の誠意と真剣なる努力を要望せられる。国民がこれに協力する。今やこれが逆行をしておるのであります。  春先になれば春季闘争と、まるで勤労者の行事が五月まで続くのであります。そこで国民はこれを何かお祭騒ぎのごとく喜んでおる人もある、実態を知らない結果からかようなものが生まれてくるのでありまして、政府当局におかれてはさらに一段の努力を要するものがあるのではなかろうか。総理大臣以下各大臣におかれましては一致結束せられまして、誠意をもって妥結するように企業者側にも労働者側にも話し合い、理由のある経済的要求に対しては、お互いにかけ引き算段をしないで、虚心たんかいにこの際話をするよう、全日本のあらゆる機構にアッピールせられて、これに協力することを求めらるべきはでなかろうかと思うのであります。もしこの対策を一朝誤まるときには、日本の経済のみならず、日本国家全体の機構の上に大きなひびが入ってきはしないかと私は憂うるものでございます。さらに大臣の御所見を承わりたいと思います。
  134. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ただいま石炭危機の実情を国民に訴えることが必要だという御意見でありまして、私どももそうは考えておりましたが、この問題について特にきのうからそういうことをやっております。それまでやらなかったかと申しますと、今度の場合は従来と若干違っておりまして、石炭業界が不景気なときの争議というのではございませんで、今石炭業界が最も好調のときで、しかも鉱山労働者が働かないのではなくて、ふだんよりも多く働いて出炭成績を上げている最中でございます。にもかかわらずこういう石炭危機を起したのはだれの責任かという問題も非常に論議されておりますが、責任をしいて求められれば、これは私ども政府であったかもしれないと思っております。と申しますのは、御承知のようにああいう急速な産業拡大が行われて、何人も予想しない需要量の増大に私どもはぶつかった。去年専門家が集まって作ったああいう見通しでも、鉄があれだけの需要を起そうとは思わぬし、同時に石炭もそう考えなかった。産業全体の拡大のために需要量が見込み以上にふえたというときにぶつかって、さらに昨年異常な渇水がございましたために、予定よりも石炭を余分に百万トンも使ってしまった、こういうようなところから需要の非常な逼迫を起したということでございまして、その原因がそういう日本産業発展のための一つの見込み違いであったという事情もございまして、炭鉱労働者は日夜増産のために働いて非常な出炭成績を示しておるときでございますので、この争議をすれば日本の経済が困るのだ、困る原因がいかにも炭鉱労働者の側にあるような印象を与えるということによっては、今度の問題はなかなか簡単に解決しないと私どもは考えまして国民に石炭事情は十分説明いたしますが、問題は炭鉱労働組合に対して、そういう責任は諸君にないのだ、しかし今争議という手段でやられたら、日本の産業はこういう危機に直面するのだから、この際資本家側も引くところは引く、そのかわり諸君も譲るところは譲って誠意をもって話し合ってくれぬか、われわれはこの争議に圧迫的な態度は一切とらないからといって、今組合に政府側も訴えて、その善処を促しておるというところでございますので、政府側のそういう誠意ある方針によって、何とかこの事態は避けたいと私どもは考えて、あまり石炭危機を強調するということをこの際やらずに来た次第でございます。あと二、三日重大な時期でございますから、私どもはそういう方法でこの問題の解決をはかるように、今後も極力骨を折りたいと思っております。
  135. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 それでは引き続き局長にお伺いいたしますが、国鉄が千二百カ所において職場大会を一日三時間やることによって、われわれが考えるところでは、貨車の操車はとまるにひとしいものでなかろうか、また客車の運行にも重大なる支障を及ぼしてくる。従って、これがあらゆる産業、経済の流通に著大なる影響を与えるものと考えられるのですが、当局においてはこの手段についてどのようにお考えになっておるのですか。つまり手段の経済的効果、価値というものについて伺いたいと思います。
  136. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 国鉄におきましてそういう事態が起りますれば、われわれの所管する石炭の輸送につきましても、非常に大きな影響があるであろうということは予想いたしておりまして、これについては非常な心配をいたしておりますが、そのストと申しますか、国鉄組合の行為によりましてどういう影響が現われるかということは、非常に専門的になりまして、私どもの知識でもっては判断しかねる次第でございます。影響としては相当大きいものがあるであろうということを考えておる次第でございます。
  137. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 国鉄の従業員は、公企業体として明らかに法律によってストライキを禁止されておる。千二百カ所において、一日三時間の職場大会に名をかりて、一斉に作業を拒否するということは、全くこれはストライキであります。こういう権利はないのでありまして、国民はかような手段を国鉄が用いることを決して受け入れてはおりません。法律はこれを許しません。これに対して、通産当局におかれては、産業の育成、助長、保護、大きくいえば、経済全体の歯車を動かしていくためのサービスをやっておられるところであります。あなた方自身はこのおそるべき手段に対して、大いに運輸省、国鉄方面とも折衝せられて、すみやかにかような手段に対しては適当なる施策を促すように御努力せらるべきではなかろうか、これは私の意見として局長に申し上げておく次第であります。  そこで私の申し上げたいことは、争議が起ってくる、起ると当局も乗り出してくる、これでは私はどろなわ式だと思う。やはり政府というものは、ことに通産省におきましては、産業に対するサービスをするところなのでありまして、こういう事態の起らないように常に問題を注視して、事前に御努力せられる点が足らないんじゃないか、日本の官吏は、大体太政官布告令時代からの悪い慣習で、事なかれ主義的傾向を持っております。やはり実態をよく把握せられて、積極的に飛び込んで双方のために努力するという努力が欠けているんじゃないか。つまり、資本家側に味方せよ、労働者側に味方せよと申し上げるのではない。あくまで官庁はサービスをするという立場において、中正な立場において、この努力に欠けているものがありはしないか、そういうことが、やすやすと三百万からの勤労大衆を春季ストの戦列に参加させていくという一つ原因をなしてくるのではなかろうと思う。私どもは常に国民とともに産業の健全なる発達に協力するとともに、監視をしなければならぬ。ちょうど羊飼いが羊が列から離れていくことを防がなければならぬ、その意味において、官庁自体もこういう際に、全官公に従事している人たちがこのストライキを阻止し、円満に妥結するように、話し合いが経済的に、合理的にちゃんとつくように努力すべきにかかわらず、官公労がこの争議の重大なる動員要素の中に入って、この争議に参加しているということは、一体どういうことを生むか。つまり阻止しなければならぬ主体性側の勤め人が、逆に争議を展開、拡大しているのだということは、全く国民はわからない、われわれもわかりません。了解に苦しむ点でありまして、私はまず、官庁の幹部機構がもう少しちゃんとしてもらわなければならぬのではないだろうかと思うのです。これについて、一つ局長の御所見がありましたらお伺いしておきたいと思う。
  138. 讃岐喜八

    讃岐政府委員 私を指定しての御質問でございましたが、問題が非常に大きいのでございまして、石炭を所管する建前から申しますと、個人的なお答えしかできない状態でございます。御承知のように、通産省全体といたしましては、産業を預かる立場でございまして、労働問題につきましては労働省がこれに当っているわけでございます。われわれ日ごろの心がけといたしましては、労働省と常に密接に連絡いたしまして、産業の労使の安定を期し、従いまして産業の発展並びに安定がはかれるように努力しておるつもりでございますが、なお御注意の点は今後ともけんけん服膺いたしまして、今後の行政の参考に資したいと思っております。
  139. 福田篤泰

    福田委員長 本日はこの程度にとどめます。  次会は来たる八日午前十時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。    午後三時三十九分散会