○
笹本委員 私は
わが国の
産業経済の発展にとって最も基本的な重要な四つの部分に関しまして、大臣並びに
事務当局に対して質問をいたしたいと思うのであります。その四つの部門と申しまするのは、すなわち石炭、電気、石油及び鉄鋼でございます。この順序によりまして質問をいたしたいと思うのでありまするが、長い時間を食う関係上一問一答の形式を避けまして、
総括質問の形で進みたいと思うのであります。どうか
十分メモをとられまして、落ちなく明快なる御答弁をお願いいたします。
まず第一に石炭問題でありますが、政府は最近上高しつつありまするところの
経済事情を考慮して、三十二年度の
石炭計画としては、石炭の換算六千五百カロリー換算で、
必要燃料動力を一億三百七十二万六千トンを算出されまして、そのうち
国内炭の生産を五千三百万トン程度を見込んで、この
出炭態勢を着々整えておられるようでありますが、この
出炭計画は果して可能なのでありましようか、これに対して政府の
計画基礎の
具体的説明と、不測の事態に応ずる対策とをお伺いしたいのであります。なぜならば、申すまでもないことでありますが、
石炭鉱業なるものは他の
一般産業と異なって、生産の調節ということは非常に困難な
地下資源開発産業でありますが、それと同時に
基幹産業として、他
産業一般に及ぼす影響がすこぶる大きいものがありますだけに、正確な需要を測定して
生産量を指示することが、非常に重要なことであると同時に、たとえば将来ストその他の障害の発生が絶無とは断じられないので、
国内炭生産に支障を生じた場合の対策をも、十分に立てられておらねばならぬと思うのであります。次に問題といたしたいのは、
基幹産業としての
石炭鉱業はどうしても
長期安定操業がはかられなければならぬということは、消費増による石炭の飛躍的な
増産目標の達成ということとともに、需要に対応して
生産コストの安定ということから強く要請されるのであります。この
石炭鉱業の長期安定という
時代的課題に対して、政府はいかなる見解と対策を持っておられるのか、以下これに対する具体的問題について逐一御伺いしたいのであります。
現存する炭鉱の
合理化方策であります。縦坑、
深部区域の開発、
機械化と新
技術導入、
低能率炭鉱の集約整備問題と、それに伴う労働問題については、どういうお考えを持っておられるか。また新鉱の開発の問題でありますが、
現有炭鉱の
出炭能力は、ほぼ十年か十五年で
頭打ちとなり、能率の面でも現在の三割程度の向上が一応の限界だといわれております。これに対して、新鉱の開発をどのように進めていかれるか、これに対する
お答えを願いたいのであります。
次に資金と税制の問題でありますが、石炭の
増産費・新鉱の開発には多額の資金が必要でありますが、この場合、増資と借入金、すなわち
外部資金に依存せざるを得ないが、これに対してどのような措置をとられますか。また
内部資金の充実を期するためにはどのように措置するか。
追加投資引当会制度、あるいは
鉱害引当金制度など、
税負担の面をどうするか、特に
追加投資引当金の問題でありますが、これは
石炭価格を下げる上において最も重大なことでありまして、これは大臣が特に
大蔵大臣と御相談の上、この処置は急速に運んでいただきたいことを希望するものであります。
次に
輸送関係でありますが、
石炭貨車、港湾の
積み込み施設などの対策も伺いたいのであります。たとえば、三十二年度石炭積み出し見込みに対して、すでに各主要港の現能力は不足も来たしている。またたとえば苅田や唐津などのように、ほとんど積出港としての形をなしていけないものがあるのであります。各港に必要な施設が増強されねば、せっかく出炭された石炭が、
産業界に出てこないことになる。これらをどうするのか。以上、石炭問題に関する質問を申しあげました。なお石炭については、
火力用炭の問題がありますが、これは次の電気問題の中に包含してお伺いしたいと思います。
続いて電気の問題について
お尋ねを申し上げたいと思うのであります。
わが国の
産業発展上の三大降路の一つが、この電気問題であることは今や世間の常識でありますが、この電気に関する問題点をしぼって、私は次の五点すなわち料金問題、資金問題、資材の問題、つまり石炭、石油という
燃料源の問題、
需用供給の問題、九電力と電発の問題といたしたいと思います。
まず第一に料金問題でありますが、
電気料金の値上げ問題は、その影響するところきわめて大きいので、これを極力避けねばならないことは申すまでもありませんが、私はこの料金問題を次の二つに細分してお伺いしたいのであります。その一つは、いわゆる三割の
頭打ち制度の問題であります。昭和二十九年、
電気料金値上げが実施される際、これを三割に頭を押えた制度が、二度の継続で今日に至っているのでありますが、その際政府は税や金利の面で
業者負担の軽減をはかる一方、業者はまた業者で自己の会社の
合理化その他に努め、両々相待って値下げの方向を作ることになっていながら、その後実際には政府は金利の軽減という面には何らの手も打たず、ただ税の面のみを、すなわち
租税特別措置法を改正して
法人税免税措置をとったのみであります。ところでそもそもこの三割
頭打ち制度というものはまことに不合理なものであって、七燈以下という
零細需用者たる大衆には何ら恩典が及んでおらず、料亭とか待合とか会社とかいう、
負担力が十分ある向きのみが恵まれるというものなのであるから、よしんばこれを廃止して
料金値上げとなっても、実質的には
大衆生活に何らの影響もないのであって、この意味から申せば、この制度は当然廃止されてよいのでありますが、ただ問題は
電気料金値上げという事実が世人に与える
心理的影響であり、ましてや
国鉄運賃値上げという事実や、その他をもしんしゃく勘案して、政治的には慎重を期さなければならぬという性質のものなのであります。ところが他方、
法人税における業者への免税には、
増資免税と
重要物産免税とがあって、これを三十二年度に存続すると、
両者合計で約十五億円となるのであります。かりにこの存続を廃止するとしても、一方、三割
頭打ちをさらに続けようとは政府としても言い得ないところだろうと私はそんたくするのでありますが、ただいま問題になっております
電気料金値上げについて政府はどう措置されるのか、これをお伺いする意味で私は次の点を質問するのでありますが、この三割
頭打ちをある期間、一年なり半年なり延長し、それとともに、業者に対する
免税措置を存続するというと、これは
電力コストにどう響くのか。つまり、この二方策の併用は
電気料金値上げを誘発するのかしないのかという
根本点について、当局の御見解を伺いたいのであります。その次は、東北、北陸両
電力会社の値上げ問題であります。最近電力の需用が急増して電力が不足のため、来たる四月から東京、関西、中部より九億キロワット時の
電力融通措置を受けることになっているこの両
電力会社の
値上げ申請に対して、政府はどう措置されるのか。料金問題について、右の二点をお伺いいたします。
さらに第二の資金問題でありますが、昨年末策定された電力新五カ年計画によれば
水火力合計七百万キロワットが開発されることになり、すでに、着々実施されてもいるようでありますが、これを完遂するためには、昭和三十二年度以降は年々二千億ないし二千六百億の資金を確保しなければならない。ところが、最近の
金融事情の逼迫や三十二年度
財政投融資計画などから考えても、この
資金確保はきわめて至難であると思われるのでありますが、これに対して政府はどう措置をされるのか。開銀の融資額、社債の発行、増資等々に関して、政府の対策を具体的に御説明願いたいと思う次第であります。昨日の
佐々木委員の質問に対しまして、この点に触れて大臣の一応の説明がありましたようですが、重ねて御説明を願いたいのであります。
第三は、資材の問題であります。
電力用炭としては、三十一年度は九百万トンだったのが来年度は千三百万トンを見込んでおられるようでありますが、果してこの数量が確保されるものかどうかについて、私は深い危具を抱くのであります。なぜならば、三十二年夏の
石炭採掘五千三百万トンであるから、これは実にその二割に当ることであり、電気のみに二割を充てるということは、ほとんど極限であるといわれているのであります。しかるに三十五年度にはこれがまた千五百万トンと
増大見込みをされているのでありますが、この
電力用炭について
通産当局は果して自信がおありなのかどうか、どういうまかないをされる
おつもりなのか、お伺いしたいのであります。なお
不足分に対しては
外国炭を輸入される
おつもりであろうと思いますが、アメリカは炭価が高く、
中共炭は安価ではあっても、政治的な面もあってなかなか大量に、かつ安く輸入できないように思われる。こう見てくると、
外国炭は百万トンの確保も容易ではないと思われるのであります。また電力のために重油を二百万キロ近く輸入する予定のようですが、これとても安心できないのであります。ここで私は声を大きくして申し上げたのは、
電力用炭のみについて申し上げましても、以上のようにきわめて
不安材料が多いのであります。当局はもっと真剣に
根本対策を考え、熱心にその樹立をはかるべきではないかと思うのであります。
輸入炭や重油を押えてばかりきたその行政の欠陥を私は指摘して、新大臣の御意見を伺いたいのであります。この不満は、
石炭対策ばかりでなく、
電気対策にも同様であります。行政のずれ、その場の
間に合せ政策だとの非難すら世にはあるのであります。たとえば、低
品位炭の回収や活用は電気の分野では使えもし、利用もできるのでありますが、これ増産よりも安上りであることに着目していただきたい、これはほんの一例であります。今や
エネルギー源の絶対
不足時代に突入しているのであります。
通産当局におかれては電気、石炭、
石油等について、最も合理的にして根本的な
エネルギー政策を真剣に考え、一日もすみやかに確立していただきたいことをつけ加えて、次の第四の
需要供給の問題に移りたいと思います。
新五カ年計画で
電源開発が進められ、毎年百二十万キロワットくらいの成果を期待されていますが、これは果して実現可能でありましょうか。万一にも計画にそごを来たせば、その
産業経済界に及ぼす影響はけだし巨大なるものがあるのであります。なぜならば、
電力メーカーはただいまフルに操業していて、全力を傾注しておりまして、その実情から見ましても、電力がものになるにはどうしても
水力電気のごときは三、四年はかかり、他の
一般産業は一年もあれば大体よろしいので、その計画のずれが
一般経済界に甚大な連鎖反応的な悪影響を及ぼすことは申すまでもありません。この意味から私は、電気のみでなく石炭、石油、鉄鋼及び輸送という
重要部門に行政の重点を置いて、他の部門は押えていく必要があるのではないかということを申し上げたいのであります。次は、現在すでに見られる各地域における
電力需給の過不足、つまり需給の不均衡という問題であります。ある地域では電力が豊富で供給も楽であるかと思えば、他の地域では電力が不足で、需用に応じられぬという実情であります。この
電力需給の不均衡をならして、もっと合理的に需給を調整する方策なきやということであります。これについては種々な利害の立場や事情や論点もあろうとは思いますが、問題はそういうことでなく、もっと大きく高い観点に立って、
わが国産業の伸びに貢献する方策、
電力会社相互の融通による相互扶助的な
調節方策、これが樹立されてよろしいのではないかという問題の提起であります。これらについて当局の御見解をお伺いいたします。最後に電発の運営及び司発と九電力との関係の問題でありますが、
通産当局は電発の運営をいかに持っていこうとする
おつもりなのか、また九電力との関係をどのように位置づけ、かつ関係づけられるお考えなのかについて、御説明をいただきたいのであります。なぜならば、電発と九
電力会社とは、いずれもともに
電気事業者として
協力融和の関係を保つべきであるにかかわらず、最近の
新聞等によりますと、とかく小
発電所の開発や送電線建設問題などで種々の論議が多いようであります。これは結局政府の
電力政策が明確になっていないことによって誘発される結果ではないかと思うのでありますが、ところで
電源開発会社の設立は、民間九
電力会社では容易に着手し得ない大
規模水力地点の開発を目的として、
国家資本を投入して作られたものであることは
世間周知のところでありますが、この意味においては九
電力会社による
電気供結体制を前提として、その
補完的役割を負っているものと解している向きが多いようであります。従って、電発が建設する
発電所が完成するに従い、これを九
電力会社に譲渡または貸し付けられるのが建前であると考えられていたのであります。私もまた、この電発の
設立趣意を以上のように理解しているのでありますが、最近ややもすると、
電気供給事業体制が変更されつつあるのではないかというように思われる点があります。たとえば、電発が小規模の
水力発電所を建設するとか、あるいは超
高圧送電線を全国的に建設して、みずから九
電力会社地域間の
電力融通をはかろうとしているなどとと、憶測やそんたくが盛んに行われているのでありまして、
通産当局の
電力行政の真意について疑念を持つ者もある現在でありますから、あえてこの点についての政府の見解と方策を、つまり第一に、現在の
電気供給事業体制に変更を加える必要があると考えておられるのか、考えているとすればその理由、第二には、電発をどのように運営していかれるつもりなのか、その形態は電力の
融通会社としてか、または九
電力会社との関係づけをどう置くのか、これについて御説明願って
電力行政の方向をお示し願いたいのであります。
続いて第三の大きな部門、すなわち石油の問題に入ることにいたします。申すまでもなく、今後の
エネルギー源として
重要性を増すのは石油であります。この石油の
重要性の
比重増大は、
石油化学の
飛躍的増加もあって、将来の
エネルギー需給の
構成体系を変えるであろうといわれるくらいであります、しかしながらこの石油問題には、たとえば数量の確保にしても、価格の安定にしても種々複雑な問題が山積しておりますので、私はこれらをしぼって、次のように個条的に列挙してその対策を論じていくことにいたします。
石油類供給源の確保、すなわち現在
世界的傾向として
消費地精製主義であるから、石油の供給を安定させるためには、
わが国でも原油の確保に力を入れねばならない。ところが
輸入原油の八〇%は中東であり、この中東への依存度は今後ますます増大するものと思われるが、中東は政情が不安定である上に、また他面、国際的な大
石油会社に
石油供給の道は握られているので、問題はなかなか困難であります。従ってその対策としては、国内的には新油田の開発を進めるとともに、対外的には、
買付交渉地の政情および
経済事情に応じた適切な手段を講じ、また国際的な原油の
供給計画に積極的に参加するとか、
世界石油会議等の
国際機関との連絡を緊密にしていかなければならないと思うのであります。
重油については、技術の進歩によって重質油の需要が増しつつある
世界傾向であるから、重油が不足するとともに
揮発油の供給過剰を見ることになると思う。これに対処するために、当局はどんな対策を持っているか。各油種の
用途転換とか原油の
処理増加とか、
揮発油の
需要促進とかを考うべきでないかと思うのであります。これに対する
お答えを願いたい。
また次に
タンカーの確保でございます。
石油製品の原価は、その八〇%が
原油価格と
海上運賃だという。大いに
大型タンカーを造船して、
海上輸送に当らせたら、
原油輸送が安定するとともに、運賃、外貨の大きな節約となると思うのであります。それについては、
建造資金の調達が問題でありますが、政府はこれに対して必要な
援助対策を講ずべきだと思うが、それに対する御意見を伺いたい。
港湾施設の整備でありますが、これらの
海上輸送に伴い、港湾の
荷役設備の整備が必要であり、
立地条件によっては
パイプ輸送も考えねばならないと思う、これらに対してはどう考えられるか。
貯蔵タンクの増設でありますが、買付を合理的に行うために、つまり安いときに大工を買い付け得るように
貯蔵タンクを増設して、常に三、四ヵ月、半年
分程度の原油をストックしておくことによって、国内における需要の調節と価格の安定とを期待し得られるのでありますが、これから
石油化学もどんどん進むに従いまして、
スエズ運河の問題のごとき問題が起きまして、せっかく
重油発電にしましても、あるいはその他
石油化学にいたしましても、企業を興したものが、油が不足してストップするようなことがありましたら、これはまことに重大な問題でありますので、この
貯蔵タンクに対するところの大臣の御見解を承わりたいのであります。次に
精製設備の拡充と
近代化であります。
製品供給力を安定させるためには、設備の
適正増強や
近代化をはかって将来の
需要変化やそれに対応する
技術進歩に努める必要があると思うのであります。次に資金、税制の問題でありますが、以上種々の対策を講ずるとき、当然資金の確保が問題となるが、これの調達および租税の面において政府は十分援助して
必要措置を講ずべきだと思うのであります。
以上、石油という
わが国エネルギー源の
重要物資の数量の確保と価格の安定とは、
わが国の経済にとって必要だと信ずる余りに、私見を交えて論じ来ったのでありますが、この石油問題に関して大臣はいかにお考えになるか、いかなる方策をおとりになるつもりであるか、お聞かせいただきたいのであります。
次に続いて鉄鋼問題について
お尋ね、いたしますが、昨年は鉄鋼の需給が均衝を失い、そのために
鉄鋼価格が非常に高騰し、しかも異常な
鋼材不足という事態を示したのであります。たとえば、昨年四月ごろまでは五万円以下だった棒鋼が九月には九万八千円という
市中相場となり、それでもなお
現物不足で、そのために中小の
材料業者や
建築業者の
鋼材不足による苦心は非常に深刻であったことは、すでに御存じの通りであります、最近はこの
需給状況が昨年の秋ごろに比べて、幾らか緩和されつつあるやに思われるが、
市中価格は依然として高く、
鋼材需要者のみ悩みは解決されていないというのが実情であります。しかもなお、このような
鉄鍋不足が今後も相当長期にわたって続くものと思われるので、私は鉄鋼問題の基本的なものについて政府にお伺いしたいのであります。
ところで、鉄鋼の需給問題において最も重要な対策は、鉄源をどうするか
ということでなければならないのでありますが、この鉄源、すなわち
鉄鉱石や
スクラップに対する十分な対策がなければ、たとい
増産計画を口にしても、それは単なる
机上プランにとどまって、その所期の成果を上げ得ないことは自明の理であります。この
鉄鋼不足のために、
通産当局は一体どのような措置をとり、またこの需給の問題の
根本対策として、どのような方策をとっておられるか、これについて、御説明を願いたいのであります。
次に、鋼材を輸入して需給の
均衡回復をはかるということは、
わが国内の増産が
設備面で限度に来ていて、これ以上望めないという現段階にあっては、当然最も有効な措置であるとは思うのでありますが、この輸入に当って当局の適切な措置をぜひ願わなければならぬ面があるのであります。その一つは現在、鋼材には一五%の関税がかかっており、このために輸入される鋼材の価格が割高になっているが、一方、たとえば造船の面においては、
鋼材先方持ちの
外国発注のものには税がかからぬという不均衡があるのでありますが、これを全面的に無税とすれば、
わが国の
造船界に活気を与え、どしどし船が作り得ることになる。この船をもって貿易に従事させれば、船質みでも非常に助かり、わが通商にも大きなプラスとなると思うのであります。この
輸入鋼材の関税についてぜひ適切な措置を講ずべきだと思うのであります。
その二は、輸入のいわば
技術面のことであります。たとえば鉄源の一つである
スクラップの輸入に当って、
わが国の商社は各自が無用な競争をして、そのため米国の業界を異様に刺激し、その結果としていわゆる
太平洋相場という、
太平洋岸における
スクラップ価格の暴騰を来たしているのであります。これは放置しておかるべき問題ではないと私は思うのであります。同様なことが、
鉄鉱石についても言えるのであります。すなわちインドに対しても、中共に対しても、業者はそれぞれ勝手に
買付競争をしているために、結局先方に完全に牛耳られているというのが実情であります。これに対して、政府はどう処置されるつもりであるか、お伺いしたいのであります。私の意見としては、これらの輸入、買付に際しては、ヨーロッパにおけるシューマン計画とか、あるいは英国におけるビスコのように、長期計画の上に立った共同購入システムを
わが国においても確立すべきだと信ずるものであります。この体制が整うということはひとり
わが国の利益であるばかりでなく、相手国のためにも必要であり、ためになるのではないかと思うのであります。これらの鉄源についての、現状と将来の構想について政府当局の御説明を願いたいのであります。あわせて、私が提案しました輸入体制についての御見解も、お聞かせ願いたいと思います。
最後に、先般来の
鉄鋼価格の暴騰に伴って起って参りましたところの、建値と
市中価格とのはなはだしい差、従って言いかえると、この両者の開きによる膨大臣額な利益、これはことごとく中間業者のふところに入っているのでありますが、何ら労することもなく不当な利益をぬくぬくとふところにしたこれらの中間業者の収得に対しては、当然徴税の対象になし得るものではないかと思うのでありますが、これに対する措置をどうされる
おつもりなのか、お伺いする次第であります。
以上石炭、石油、電気、鉄鋼に対しまして総括的に質問を申し上げたのでありまするが、これに対しまして逐次大臣から御答弁を願いたいのであります。