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1957-05-07 第26回国会 衆議院 社会労働委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月七日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 藤本 捨助君    理事 大坪 保雄君 理事 大橋 武夫君    理事 亀山 孝一君 理事 野澤 清人君    理事 吉川 兼光君       植村 武一君    小川 半次君       草野一郎平君    小島 徹三君       田中 正巳君    高瀬  傳君       八田 貞義君    古川 丈吉君       山下 春江君    岡本 隆一君       五島 虎雄君    下平 正一君       滝井 義高君    中原 健次君       山花 秀雄君    横山 利秋君  出席国務大臣         労 働 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         労働事務官         (労政局長)  中西  實君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部水道課         長)      田邊  弘君     ――――――――――――― 四月二十七日  委員植村武一君、田中正巳君及び亘四郎辞任  につき、その補欠として三浦一雄君、前田正男  君及び橋本龍伍君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員橋本龍伍君、前田正男君及び三浦一雄君辞  任につき、その補欠として亘四郎君、田中正巳  君及び植村武一君が議長指名委員選任さ  れた。 五月七日  委員井堀繁雄君、大西正道君及び山口シヅエ君  辞任につき、その補欠として横山利秋君、山花  秀雄君及び下平正一君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 四月三十日  公衆浴場入浴料金適正化に関する請願植原悦二郎紹介)(第二九〇六号)  同(松平忠久紹介)(第二九三〇号)  同(吉川久衛紹介)(第二九五七号)  同(原茂紹介)(第二九八九号)  高齢者養老年金法制定に関する請願吉川久衛紹介)(第二九一一号)  養老年金制度制定に関する請願外二件(田子一民紹介)(第二九一二号)  結核在宅療養者社会保障に関する請願帆足計紹介)(第二九一三号)  生活保護法最低化活基準額引上げ請願帆足計紹介)(第二九一四号)  盲人の生活保護に関する請願帆足計紹介)(第二九一五号)  有野町及び道場町の温泉掘さくに伴う泉害に関する請願石山權作君紹介)(第二九三四号)  同(五島虎雄紹介)(第二九三五号)  回(八木一男紹介)(第二九三六号)  同(山口丈太郎紹介)(第二九三七号)  労働科学研究所の助成に関する請願橋本龍伍紹介)(第二九九二号) の審査を本委員会に付託された。 五月六日  巣鴨拘禁者引揚者給付金等支給法適用に関する陳情書(第八三一号)  児童福祉法の一部改正に関する陳情書外二件(第八四六号)  環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律制定に関する陳情書外八十五件(第八四七号)  世帯更生貸金等国庫補助に関する陳情書外八件(第八四八号)  原水爆被災者援護に関する法律制定陳情書外一件(第八四九号)  同外三件(第八九八号)  引揚者給付金等支給法案の改訂に関する陳情書外一件(第八五〇号)  失業対策事業従事者に対する有給休暇制度化に関する陳情書(第八七二号)  失対労務者に対する冬季加給金国庫負担に関する陳情書(第八七三号)  米機空襲による犠牲者補償に関する陳情書(第八七五号)  民生委員報酬及び費用弁償等国庫負担に関する陳情書(第八七七号)  最低賃金法制定に関する陳情書外五件(第八七九号)  国民健康保険療養給付費三割国庫負担に関する陳情書(第八九七号)  国民健康保険事業財源確保に関する陳情書(第八九九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  水道法案内閣提出第一一七号)  労使関係に関する件     ―――――――――――――
  2. 藤本捨助

    藤本委員長 これより会議を開きます。  まず小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、診療報酬及び薬価に関する小委員に二名の欠員を生じておりますが、その補欠選任に関しましては委員長に御一任願ってございますので、再び委員選任されました田中正巳君及び亘四郎君を小委員指名いたします。
  3. 藤本捨助

    藤本委員長 次に、水道法案を議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。八田君。
  4. 八田貞義

    八田委員 大臣がお見えになりませんから、大臣が来られましてから総括的な質問をしますが、その前に事務当局の方に質問いたしたいと思います。  今回の水道法制定によりまして、ここ半世紀余り日本水道を規律した水道条例も、その使命をここに終るわけであります、六十年の生命を持ち続けたということは、よき法律一つであった、こういうふうにも考えられます、もちろんその間におきまして改正が幾たびか叫び続けられて参りましたけれども、六十年の生命を持ち続けたということは、よき法律一つの証左であろうとこう考えるのでありまして、この条例制定に当った明治の先覚者に対して深き敬意を表するものであります。  ところで今度提案されました水道法案を見ますると、大ざっぱにいって二つの性格が織り込まれております。一つ公益事業規制法としての面、もう一つ衛生警察法としての面でございます。二つの面の規範法規としましては、かなり行き届いた用意がうかがわれます。それだけにこの面ではほとんど申し上げることもないという完璧な状態になっているわけであります。ただ問題は、この法律が施行されれば水道事業というものは安泰であり得るかどうか、あるいはまた進展し得るかどうかということにつきましては、いろいろと検討しなければならぬ問題を残しているようであります。  まずその第一点といたしましては、事業保護育成を、第一条の目的のうちにははっきりとうたわれておりますが、これを裏づける用意はきわめて少いということが、この法案を見て感じられるのでございます。わずかに簡易水道に対する補助規正が存するばかりでありまして、水道事業保護育成という面におきましてははなはだその裏づけをする用意が少いように考えられます。というのは、現行条例では、規定にこそありませんでしたが、水道条例制定以来連綿として続けられました一般水道に対するところ補助が打ち切られております。また現行条例にありました国有財産無償使用規定が今度はございません。また水道用地に対する非課税の規定も影をひそめてしまったようであります。こういった、ただいま申し上げました三つの点について、目的の中にははっきりと水道事業保護育成ということがいわれておりまするけれども、当初の法規にさえ見られた保護育成規定というものは影をひそめてしまったということについて一体どのようにお考えになっておるか、この点について御説明願いたいと思うのであります。
  5. 楠本正康

    楠本政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の水道法案におきましては、その一つの重要な中心水道事業としてこれを育成していこうということにございます。ただいま御指摘のございました点に触れます前に、一応今回の水道事業保護育成、そうしてどういう点を考慮しておるかと申しますと、まず第一に独占企業として資本の重複を避けた点でございます。一方この合理化をはかることによりまして経費節約等をはかった次第でございます。第三には国が大幅な融資のあっせんあるいは一部国庫補助の支出を規定した点でございます。ところがただいまもお話がございましたように、国の補助規定については一般水道はもっぱら融資対象として補助対象から除外し、補助は五千人以下の簡易水道だけに限った次第でございます。これらの点につきましては、もちろん地方実情から申しまして、一般水道についても特殊な場合には一定の国庫補助をすることが必要かとも存じますが、国の財政的な事情等もございまして、一応融資だけに依存をいたすこととしたわけでございます。なお官有地払い下げ規定あるいは税金その他公課免除規定につきましては、現在すでに公課免除等についてはそれぞれ地方税法において規定がございます。一方官有地払い下げ等規定につきましては国有財産法等規定がございますので、特に水道法において重復して規定することを避けただけでございまして、この点は従来の水道条例と何ら趣旨は変っておりません。
  6. 八田貞義

    八田委員 今の御説明をお聞きしたのですが、だいぶ苦しいお答えであるわけです。というのは、もちろん法体系を作っていく場合に、実質上今申し上げた三点は失効しているわけであります。たとえば税金問題は税法解決していける、あるいは国有財産の問題は国有財産法規定してあるからそれに従えばいいのだ、こういうような御答弁のように了解されるのでありまするが、今の御答弁を了承するにいたしましても、保護育成に対するところの積極的な意欲がほとんど感得されない、こういうように私は考えるのであります。もちろんこの水道法をお作りになるまでのいろいろな御苦心を了察いたしますと、いたし方がないというような感じもいたすのでありますけれども、しかしほんとうの意味水道事業保護育成に当っていく場合には、現行法規からむしろ一歩後退したものではないかというふうに感得せざるを得ないわけであります。  次いで、この法律制定に際して最も大きな期待をかけておったのは、何といっても水源保護規定でございました。ところがわずかに訓示規定として修飾的な姿にとどまっておるという点でございます。この点についてはやむを得ないいろいろな諸般の事情があったと思いますが、こういった水源保護規定に関しまして、わずかに訓示規定として修飾的な姿にとどまった以上は、別途水質汚濁防止法河川の治水、利水調整法など有効に水源保護を期待し得られるような立法処置税法その他における保護育成規定成立に関しまして厚生省当局としては万全を期する用意が必要であるというふうに考えられますが、一体このような点について今後どのようなお考えを持って対処していこうと考えられておるか、一つお示し願いたいと思う。
  7. 楠本正康

    楠本政府委員 まことにごもっともな御指摘でございまして、私どもも当初立案の過程においては、現在各地で問題になっております水道水源汚濁の問題を解決いたしたいと念願いたした次第でございます。ところが実際問題となりますと、既存法律、たとえば河川法森林法鉱山保安法あるいは鉱業法土地改良法その他でそれぞれ水質汚濁の問題に触れておりまして、これらの各省調整をはかることがきわめて困難な事情にございます。しかも一方これら既存法律におきまして水質汚濁に触れてはおるもののすべてが、基準もなければあるいはきわめてばく然たる規定でございまして、何ら実効のあがらない規定でございます。そこでこれらの問題を総合的に解決することが必要ということになりますが、この場合水道だけからこの問題を解決しようといたしますと、まず第一に矛盾いたしますのは現在の憲法の建前では、ある施設が水を汚染した場合に、これをチェックいたしました場合には補償を要するのでございます。これに相当膨大な経費がかかって参ります。しかもその結果は単に利益を受けるものは水道だけではなく、その水の汚染を防止した影響者すべてに利益がかかって参ります。かような観点からいたしますと、これは総合的に検討をしなければならぬ段階だ、かように考えた次第でございます。従いまして私どもといたしましては、きわめて緊急必要なことではございますが、これら河川その他水質汚染問題は今後政府といたしましてもこれを総合的に、一元的に解決しなければならない、かように考えた次第でございます。なおこれまで経済安定本部等におきましても水質汚染の問題は研究を進めておりまして、現在すでに経済企画庁におきましてもこの問題を取り上げております。厚生省におきましても、また公衆衛生あるいは観光地等立場からこの水質汚染問題を取り上げていろいろ検討を進めておりますが、何分にも関係各省がきわめて多く、また影響するところが甚大であるという点からなお解決を見ない次第でございます。今後私どもといたしましては、いろいろな問題が惹起されております実情にかんがみまして、できるだけすみやかにこれらの水質汚染問題を総合的に解決すべく、この場合当然国民生活なりあるいは環境衛生なりという観点からわれわれが中心となってこの解決をはかりたく、その結果は総合的な、水質汚濁をどう処理するかという立法行為に触れていかなければならぬと覚悟をいたしておる次第でございます。さような経過からいたしまして、今回まことに残念ではございますが、水源保護の見地からする水質汚染問題に触れ得なかった次第でございます。しかしこの点は、ただいまお答えを申し上げておりますように今後各省調整をはかって、紹介的な観点から強力にこの問題を推し進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 八田貞義

    八田委員 ただいま水源保護の問題から水質汚濁防止の切迫した問題につきましてお尋ねして、これらの問題については共同態勢を作って善処していきたい、こういう御答弁があったのでありまするが、これは非常に切迫した問題です。そのためには技術的な基準とか地域指定など、各省たとえば厚生省とか通産省、建設省、こういった各省解決策を持ち寄って可能性を協議して、関係方面を説得し得るだけの共同無事を作る必要があると思うのであります。これにつきまして今ばく然とした御答弁があったのでありまするが、厚生省として水質汚濁防止という問題につきまして、たとえば、どのような共同態勢を作ってこの問題を処理していかれるのか。今の状態ですと、ただばく然と今後そういう問題について各省間の連絡をはかってやっていきたいのだということがあったのでありますもが、これははっきり申すならば公共水汚濁防止委員会というものを作ってやっていかなければ、水源保護の問題は重大な、とても切迫した問題でありますので、法的にこれは処置しなければならぬ問題でもあると考えるわけであります。これらにつきまして厚生省としてお考えになっている、今後はこういうような要綱によってこの問題は進めていきたいのだというような具体策がおありになるのじゃないかと思うのです。この際はっきりとこの委員会で見解の表明を願いたいと思います。
  9. 楠本正康

    楠本政府委員 この問題はきわめて重大な問題でございます。現に私どもの手元におきましても、関係各省の間で委員会を設けましていろいろ検討しておる次第でございます。今後どうするかという問題でございますが、私どもといたしましては、現在水の汚染のほかに空気汚染という問題がきわめて重大な問題でございます。特に放射能の問題等が出て参りましてから、煤煙問題等のほかにさらに空気汚染の問題が重大化いたしております。一方水の汚染の問題が、ただいまるる御指摘のある通りであります。そこで私どもといたしましては、今後は生活環境を立体的にながめまして、空気汚染並びに水の汚染ということを総合的に考えまして、この両者の間には相互関連がございますので、この生活環境汚染をいかにして防止するかという一元的な対策を講じまして、これによりてできれば総合的な立法措置を講じて、この問題を解決して参りたいと考えております。なお空気汚染と水の汚染とは技術的にも切り離せない面が多多ございますので、これらをやはり一元的に考えていくことが必要であろう、かように考えておる次第でございます。
  10. 藤本捨助

    藤本委員長 八田さん、労働大臣がお見えになりましたから、あなた御質問はあとに保留願えませんか。
  11. 八田貞義

    八田委員 保留します。     —————————————
  12. 藤本捨助

    藤本委員長 次に労使関係に関する件につきまして調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
  13. 滝井義高

    滝井委員 水道法審議中に緊急に労働大臣においでいただいて、非常に多事中恐縮に存じましたが、実は今月の三日に名古屋大臣談話を発表されました。その談話波紋が各外に相当大きな影響を与えておるようでございます。従ってその大臣談話の真意をこの際お聞きしておくことが必要ではないかというのが——まだ御存知のように仲裁裁定の問題は国会で審議中でもあるし、最終的な結論も出ておりません。従ってそういう中でいろいろ労使間に波紋を起こすような談話というものは、慎重にやられることが必要ではないかという考えもわれわれは持っておるわけですが、そういう点で特にいろいろの御意見をお聞きしたい、こういう考えでおいでを願ったわけです。  まず第一に大臣に私がお尋ねをいたしたいのは、名古屋のあの談話というものは労働大臣個人考えとして述べられたものなのか、それとも政府の基本的な、今回の三公社、五現業関係行為に対処する政府方針として述べられたのか、この点を一つお聞きしておきたいと思います。
  14. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 名古屋で三日の日に新聞記者会見が終ってから、懇意な新聞記者諸君と雑談をいたしました際に、私は情報個人意見として申し述べただけでありまして、政府決定事項というものを代行いたした考えは毛頭ありません。各種の情報個人意見としてそう思うというような意味で申し上げたのでありますが、新聞紙によっては決定事項のように出ておるのがありますけれども、それは当時立ち合いました新聞記者も出席しておりますから間違いはない。私は自分個人意見として情報を述べたにすぎないのであります。
  15. 滝井義高

    滝井委員 どうも今の大臣の御答弁では、政府方針ではない、松浦個人意見として述べたのだということでございました。実は今から数年前に西尾個人西尾書記長というようなむずかしいことが昭電事件でしたかに起って問題になったことがあるのです。現在あの問題は係争中のようでございます。労働大臣という肩書きを待たれた方が懇意な新聞記者と話し合った、その結果が堂々と松浦労働大臣言明として出るということになると、新聞天下公器でございますので、松浦個人意見としては労働大臣という冠詞が上についておるためになかなか大きな波紋を及ぼしておると思うのです。そうしますと、大臣はあれは政府方針ではない、全く個人考えだということを天下に御声明していただけるのですか。あれは天下公器労働大臣談話として載ったわけです。そうすると、労働大臣も少くとも岸内閣における国務大臣ですから、内閣に対しては責任を持たなければならぬということになるわけなんです。そこらあたりもう少し明白にしていただいておく必要があると思うのです。
  16. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公器でありますけれども、私の言った通りに出ておるのと出てないのとありますから、全部の責任は私は持てないのですけれども労働大臣在職中のことでありますから、それは政府決定事項ではないけれども、私はそういうふうに感じたものですから申し述べたのであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 政府決定事項ではないけれども労働大臣がそういう工合考えたということになれば、労働大臣公労法担当責任大臣であります。従ってあなたがこう考えたということは即そのまま岸内閣一つの大きな方針になる可能性もあるし、いわばオリエンティルング、指南力を発揮する要素にもなるわけです。従って単に親しい記者個人的にやったのであって、他意はなかったということにはならぬことになるわけです。ここらあたり国務大臣という公職にあられる方が、何か内閣方針と間違えられ、錯覚されるような言明をされるということについては非常に問題があると私は思うのです。そういう点これはそういうことをやったことは遺憾であるなら遺憾であるということを明白にする必要があろうと思うのです。そういう点大臣はおれの個人考えたことで内閣方針ではないので遺憾ではなかったとお考えになるのか、そこらあたりをもう少し明白にしていただきたい。
  18. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今申し上げましたように記者会見が終ってから、残った記者と話し合っておる際のことであって、いろいろな情報を話し合ったことが出たのですが、出た以上は、天下公器ですから責任を持てということでありますので、私は責任は持ちますが、あの事項全体は閣議決定事項でも何でもありません。私の個人考えであります。
  19. 滝井義高

    滝井委員 個人考えであるということが明白になりました。そうしますと個人考えをお述べになることは——われわれも述べるなと言うわけに参りません。しかしそのために、国鉄の監督の責任者である運輸大臣の方え、あるいは郵政関係担当大臣である郵政大臣との意見の食い違いと申しますか、そういうものがその一日か二日か後の新聞には明白に出てきているわけです。運輸大臣言明を見てもどうもあなたの考えと違うように思う。平井さんの考えを見てもやはり幾分違った感じがするのです。こうなると、何と申しますか、閣内が重要なこの公企業体である労組行為に対する対処の仕方が違ってきているいうことになるわけです。こういう点は公労法適当大臣としては、それぞれ担当大臣と十分打ち合せをして、慎重に、個人意見でも、やらなければならぬと思うのです。そういう点は運輸大臣なり郵政大臣ともある程度意見を交換されて、そうして個人意見として述べられたものなのかどうか。
  20. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は、先ほども申し上げましたように、個人意見として申し述べるについては、公労法を尊奉ずることが必要であると思います。公労法離反者があれば公労法によってこれを処理するということは必要なことでありますから、そういう意味において申し上げたのであります。あのときには、近所に運輸大臣郵政大臣もおられませんから相談する余裕はもちろんありません。また閣議の決定した事項でもありません。けれども責任は私は持つつもりであります。自分個人意見として述べましても、公労法を守る立場にいるのでありますから責任は持つつもりであります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 正しい労働慣行を作るために政府仲裁裁定を忠実に実施していくんだ、労働組合も違法な争議をやめよう、こういう建前を今までとってきたわけです。今回仲裁裁定についても、政府側にもこれの解釈については疑義があり、公社関係労組にもなお疑義があって、昨日かきょうの新聞にも出ているように、仲裁委員会に再度質問を発して回答をもらっているというような事態もあるわけです。こういう事態仲裁裁定政府が忠実に実施したかどうかということについて仲裁委員会委員長の藤林さんの意見を聞いてもきわめてあいまいもことしている。一方の労働組合も、仲裁裁定について政府の行なっている今回のものは完全なものではないという認識、特に第二次確定分に対する三分の一の差し引きなんというものは非常に問題があるところなんです。少くとも法治国家において公労法で調停なり仲裁制度をきめ、そして争議権を剥奪をしておる現段階においては、処分だけを一方的に強く打ち出して、政府が誠意をもってそれをやるという態度に、少くとも客観的に公平な第三者から見た場合に欠けるところがあるという状態の場合に、政府が一方的に労働組合だけを云々するということは、問題が出てくると思うのです。先日のこの委員会における仲裁裁定の問題に対する私の質問に対して大臣は、現在の公社というものはだらしがない。第一次ないし第二次と、世間のいうようなやみを作ったことは全く公社がだらしがない。第一次的には公社責任だ、第二次的には政府自身責任であるということを明白に御言明になった。そうしますと今の段階労働組合についてはこれこれの処分をするんだということをお出しになった。大臣は、個人考えでよろしいが、公社政府責任は一体どういう工合にとるか、これを一つ個人意見公器に発表されたのですから大臣の御所見たこの際まずお聞きしておきたいと思います。
  22. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 政府はしばしば申し上げますように、仲裁裁定はどこまでも誠意をもって尊重するという建前をとって参りまして、その裁定がはっきりいたしましたから、現段階では財源措置について衆参両院に提案をいたしておりますが、この内容は完全実施をしておると私は確信をいたしております。同時に与えるものは十分に与える、しかし法を誤まった者については身をもってその償いをしてもらいたいということが私の信念であります。
  23. 滝井義高

    滝井委員 今回の仲裁裁定は完全実施である、そう大臣が確信をされておる。与えるものは完全に与えるから従って違法のことをやった者は身をもってそれを償え、これは大臣個人的な御意見として名古屋でもそういう方針を御発表になったと思うのです。ところがあなたは先日のこの社会労働委員会で、とにかくそういうやみ給与や何かというものを出すような形になった第一次的な責任というものは、ぼやぼやしておる公社自身にあるということを御言明になった。しかも公社労働組合が約束したものについて、大蔵当局等の強い圧力があったか何か知りませんが、政府部内の関係で国鉄当局が二十三日に払うべきものを払わなかったという事態も起っておるわけであります。従って不当な混乱の起った原因は、大臣が明白に御証明になったように、国鉄当局にも、それからそういう事態を国鉄当局に起さしめた政府当局にも責任があったということです。従って法は万人に対して平等でなくてはならぬ。労働組合であろうと政府であろうと公社当局であろうと平等でなくてはならぬ。大臣個人が、国鉄なり電電なり郵政の処罰をやるのだという構想をお述べになったからには、そういう事態を起さしめるに至った公社なり政府責任というものは、公労法担当大臣として、神のような公平中正な立場にある松浦労働大臣としては、一体どういう工合方針をおとりになるのかということなんです。
  24. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 やみ給与という言葉を使ってはいけませんけれども、ああいうものが出たということの第一次責任はやはり経営者にあると思います。その経営者を監督する立場にある政府は、国民の代表として国民の財産を預かっているのですから、それに対する責任はあると思いますが、第一次責任公社であると私は思うのです。もちろん第二次責任公社を監督する政府にあるだろうと思うのです。そこで今お問いになった問題、そういうやみ給与というようなものを払うようにしたということの承諾を一体政府がどこで与えたかということは、私はわからないのです。あなたのお問いになろうとするところは十五日の日のことだと思うのです。十五日の日にそういうことを約束したのではないか、こう言うのだろうと思うのですが、私どもはそれを知らないのです。どういうことが国鉄当局と労働組合との間になされたか、私はそれを聞いておりません。
  25. 滝井義高

    滝井委員 どうも大臣は少し私の質問を誤解をされておる。先般そういうやみ給与を作った第一の責任公社にあるのだ、ざるで水をすくうようなやり方をやったらこれはかなわぬ、こういう無能な公社はけしからぬということをここで御言明になって、第一次の責任公社にあるということをはっきり言われておる。ところがそういうものを公然とお出しになった公社がおるからこそ、労働組合は正当にもらったものだと心得ておった。それを今になってから正当じゃないやみだと言われるから、労働組合は立腹をする、立腹をする結果がやはり争議行為の類似のようなものになって現われてきておる、こういうことです。従ってまずもとを正さなければならぬ。労働組合について一方的に処罰をしなければならぬということを個人的な見解で言われたからには、きょうは一つこの委員会で公式な立場で、労働組合のことは、個人的な意見はよく新聞で発表されていましたから第一次の責任のある公社政府はどういう責任があるか、私の言いたいのは、公労法担当大臣として労働大臣はどういう要請をするかということです。大臣公社政府責任は何もありませんといってほおかぶりしていくことは許されません。ほおかぶりしても前とうしろはあいております。前とうしろは風が当る。その前とうしろの労働組合にだけ風を当てて、自分の両ほおだけ暖かいという気持では困るのです。ですからまずほおかぶりをぬいで、両ほおの状態一つお示し願いたい。こういうことです。顔というものはほおかぶりをとらなければほんとうのところはわからない。だから松浦労働大臣は正真正銘のところ公労法担当大臣として公社政府責任をどう要請されるのか、これを明白にしていただきたい。
  26. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 その問題は誤まっているか誤まっていないか、まださばいておりませんからわかりませんけれども政府と、第一次の経営者の公共企業体ですか、これの権限の内容については法的に調べてから答弁いたします。
  27. 滝井義高

    滝井委員 調べてから答弁をされるということでございました。それならば、大臣個人の言を新聞で読んだり、ラジオの話で聞くと間違いが起りますので、まずここで、あとの質問者との関係もありますから、大臣が三日に名古屋個人の見解としてお述べになったことの概要を一つ公式に御説明願いたいと思います。
  28. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私が述べたことは簡単なことを述べただけであって、あの新聞の全体を私は責任を持たない。
  29. 滝井義高

    滝井委員 大臣今になってそういうことを——これはさいぜん確信を持ってお述べになったということを御言明になっている。いいですか。少くとも与えるものは十分政府は与えたのだ、だから争議なんかやったものは身をもって責任を持たなければいかぬということを御言明になっているのですよ。個人のことは尋ねる必要はないと思うのですが、大臣の見解として、公労法担当責任者としての立場として、名古屋は一応よしにしてもけっこうだと思うのです。今第一次、第二次の責任については十分調べて後日答弁をするということでございました。そうすると、大臣は三公社、五現業関係労働組合のとった行為については一体どういう見解をお持ちになっているか、その処分方針と申しますか、公労法担当大臣としてこれは当然お持ちになっているはずですから、それを一つ明白にして下さい。
  30. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは各経営者といいますか、三公社、五現業の当事者が公労法というものさしに照らして一つ一つの犯罪について考えるだろうと思いますが、私はその担当大臣として誤まったものはないとは言えないと思いますから、ああいう事態が起ったのだから、その結論は出してもらいたいということを強く要望するものであります。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、労働大臣としては、運輸省や国鉄当局の処分についていろいろやること、あるいは郵政省のやることについては具体的にかれこれ申さない、そこで一つ自主的におやりなさい、自分は誤まったことをやったと思っているのだから、何か適当なことをやってもらいたいということが目的だ、こういうことなんですか。
  32. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公労法に違反した者をさばくということはその当事者において行われると思いますが、私としては違反しないということを言い切れないのです。でありますから相当なものがあの処罰規定に照らせば問題になるだろう、それはやはり早期解決すべきだと思うのです。いつまでもじりじりやっておくのは処罰される方も困るだろうし、国民の方も困るだろうと思いますから、早期解決は望ましい。けれどもその内容について、これは雑談にいろいろ話したのですけれども、それは何十人どうということは私どもにはわかりません。
  33. 滝井義高

    滝井委員 大臣がそういう軽い気持で言われておることと、世間に新聞で与えた影響とは非常に違っておるということだけは、大臣、御認識をしておいていただかぬといかぬのです。  そこで私、これで質問をやめますが、最近政府の労働政策というものの流れを私じっと見ていますと——私、労働問題はしろうとです、しろうとは案外ぴっとくるものなのです、しろうとの私が見て、まず政府の労働政策は非常に反動的になってきているという感じがするということです。私は率直に申し上げてみます。それはまず第一に国家公務員の給与の改訂を通じて職階制というものをぐっと打ち出す傾向が出てきたということです。しかも職階制を打ち出す過程の中で、国家公務員に対していわゆる争議権のかわりとして与えられた人事院を廃止しようとする動きをまず示したということです。これは今までの内閣がやらなかったことですよ。これはあるいは岸内閣が反動性が強まったと、そういうことから世間で言う人がおれば言えるかもしれないと思いますが、まずそういう争議権を剥奪しておった国家公務員に対して重要な給与の勧告権を有する人事院を廃止しようとする動きを一つ出したということ。いま一つは、いわゆる三公社現業関係労働組合、従業員に与えられておるいわゆる団体交渉権、公労法八条の団体交渉権を、いわゆる予算総則で剥奪しようとする傾向が出てきておるということですよ。これは基準内と基準外と分けて、そうしてわざわざそこに大蔵大臣を一枚加えて、そうして公社の自主性と申しますかそういうものを剥奪する傾向が出てきておるということ。この人事院の廃止の動きと、そして同時に予算総則における基準内、基準外の二つに分けて給与総額制というものを骨抜きにしておこうという傾向は、これは明らかに公労法における団体交渉権を体よく法律によらずして全く政府の一方的な行政的な措置でやろうとする傾向が出てきたということですよ。それからいま一つの現われは、佐賀県のああいう地方公務員の休暇スト、休暇戦術というものが、地方公務員法三十七条の争議に当るということで、これに警察なり検察権が入ってきておるということです。こういう政府の一連の動きを見ると、これはいわゆる争議権を剥奪されておる国家公務員なり地方公務員あるいは公社の従業員から大きく争議権というものをどけてしまおうという傾向ですよ。こういう傾向は明らかに、もし上に定冠詞をつけるならば、松浦労政というものが非常な反動的な傾向をたどっておるということを言えば言えるのです。しかもそういう反動性を帯びた労働大臣個人的な発言としてああいう談を名古屋で発表するので——水鳥の羽音で驚くということわざがございます。そういう非常に反動的な労政が行われようとしておるときに、ああいうものをやれば、羽音に驚くわけではないが、事態は重大だという考えをもってますます労使間のよき慣行にあなたが水をさすことになるのです。労働問題に対して一番日本で権威がある、しかもサービス的な官庁でなければならない労働省が何か労働争議を教唆扇動している省になっているのです。現実は鎮静する省ではない。こういう今後やはり労働大臣の発言あるいは行動については慎重にやっていただきたいと思うのです。それについて今言ったように岸内閣の労働政策はきわめて反動的な傾向をとっておるということ、しかも労働大臣の発言というものが慎重を欠いておるということ、こういう二点について、労働問題にしろうとの私はそういう感じがするのですが、その点について、大臣から一つ、そういうことがないならないということを明白に御言明を願って、今後の労働問題に対する松浦労政の推進の方向なりを、あわせて一つ鮮明にしていただきたいと思います。
  34. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いろいろ御批評は御自由でありますけれども、われわれはそういう反動的な行動をとったという考えは毛頭ございません。  もう一点は、あれだけの争議が行われて、国民にあれだけの迷惑がかかっておるものを責任者を出すなという運動も私はおかしいと思うのですよ。その内容の審査及び裁定についてはいろいろ批評もありましょうけれども、あれだけのことを国民の前に起して、しかもりっぱな法律の上に行動している人たちが、責任者を出すなというのはおかしいと思う。もう一つは総評がやるかやらぬかわかりませんけれども、もし多量に馘首及び行政措置をとるならば、これに対する反対ストを必ずやるということを声明するのもおかしいと思うのです。そうなってくると法律があるのだかないのだかわからなくなってしまう。法治国としては当然犯した罪はその人の身をもって償うべきである。これについて政府のことも御批評がございますが、私はその権限についていろいろ調べますけれども政府の部内でも法を犯した者があるならば、やはり法に照らして処分すべきだと思うのです。そうでなければどうもおれたちのやったことは政府が悪いからやったのだ、だからその争議行為に対する違反行為があっても、これは処罰してはならぬ、もしするならわれわれはもう一ぺんストライキをやるというようなことを天下に声明するごときは、政府のとっておるところの労働行政よりも、その方がむしろ国民を害し、国民の信託にそむく方向ではないかと思うのです。そういうこともやめてもらいたいのです。ほんとうにそういうことを指導し、扇動し、あの法を犯した人があったならば、これはやはりその身をもって責任を背負ってもらう。それをうんとやったらもう一ぺんストライキをやるということを堂々と世の中に言われること、それ自体が世を惑わし、それこそ反動ではないかと思うのです。私どもは堂々とそれに対しても闘っていかなければならない。今あなたのおっしゃるように政府が反動、政府が反動、何でも政府が悪いので、人民の方には全然悪いことはないという考え方はおかしいと思う。どっちにおいても法を誤まったものがあったならば、堂々と処罰していくことが法治国の任務だと思うのです。ということを私は言明しておきます。
  35. 滝井義高

    滝井委員 私もさいぜん第三者の立場で御質問したのです。従って名古屋談話のように個人的な談話であっても、そういう場合には労働組合のとった行動が、大臣個人的に見て違反であるという御認定をせられるならば、回持にそういう違反行為が起った原因についても探求してみて、公社なりあるいは政府にも責任があるならば、労働組合もこの点が悪い。同町に政府公社もこの点が悪いから、政府公社はこういう責任をとる。労働組合もこういう責任をとる、こういう工合にみな出さなければいかぬ。私はそこを言っておるのです。一方的に問題を出して言うから労働組合もそうなるのですよ。だから今大臣いいことを言われました。他を顧みて——人のふりはわかるけれども自分のふりはわからぬものなんですよ、だから一つ労働省もよく自分のふりを見て、そうして労働組合責任を追及する前にまず政府公社内部の責任者を血祭に上げてから労働組合にやいばを向けておいでなさい。こういうのが親心ですよ。しかも公労法担当大臣としての立場ですよ。ですから人民の方にやいばを向ける前に、まずみずからの内部を反省して脚下して、それから人民の側を見るということが労働大臣立場だと思うのです。だから労働組合のことばかり——労働省というものは労働組合を育成強化をしていくところ、サービス省です。労働組合にもよく言って聞かせます。だから政府の内部も十分反省をして両々反省をすればこういうことは起らないのです。そういう点を一つ私は要望して私の質問を終ります。
  36. 藤本捨助

  37. 下平正一

    下平委員 正しい労使の慣行を打ち立てようという今までの政府の言い分等については、私どもも賛成であります。戦後組合運動が活発になって参りましていろいろの運動が展開されておりますけれども、まだまだほんとうに正しい意味労使の慣行ができていないと思うわけであります。そういう意味において、いろいろの問題が起るたびにそれを参考にして将来正しい慣行を立てていこう、こういうことについては私どもも大賛成であります。そこで私は、今の自由民主党の内閣の中でもきわめて進歩的だと言われる松浦さんが労働大臣になられましたので、実はそれとなく正しい慣行を立てるものと期待をいたしたわけでありまするが、今の質問にもありました通り、三日のあなたの名古屋における、個人的かどうか知りません、私は個人的だと思っておりませんけれども、この言明というものは、正しい労使の慣行を打ち立てるためにいいことではなかったと思うのです。その一つの理由は、まず第一に正しい慣行を立てるためには公労法上の仲裁裁定政府が実施するということが実現をされて、慣行の一つの助けになると思うのです。その仲裁裁定の予算案、政府が出しているこれが完全実施だという言その案について、いまだ仲裁委員会の言中においてもあるいは労働者の中においても、直接これを審議している国会においても結論が出ていない、完全実施ではない不完全だ、いや完全たという論争が行われている最中でありますので、それらの最中に事もあろうに労働者の一方的な首切りを何百人するというような発表をされたことは、これは松浦さんの真意がどこにあったか存じませんけれども、正しい慣行を打ち立てようとしてみんなが努力している最中の、特に担当大臣の発言としては私はきわめて遺憾ではなかったかと思うのですが、この点について大臣の御所見はいかがでありましょうか。
  38. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほども事情を申しましたように、一応発表は済んで雑談の中に言っておったことがついに出たの言ですが、それは何であろうと私が話したことですから責任を持ちます。それでそれはよくなかったと思い言ます。決定のときに出る方がいいと思ったのですが、結局そういう言ことになってしまったものですから責任は私は持ち言ますけれども、私個人でその場に考えたことであって、何も用意して言ったことではないのです。その軽率であったことについては責任を持ちます。
  39. 下平正一

    下平委員 大臣からこの三日の発表は軽率であった、遺憾であったという御所見の発表がありましたの言で、私はこれ以上意見を申し上げませんけれども、何といたしましてもこれだけ新聞に出まして非常にいろいろな方面に影響を与えているわけであります。  そこでもう少し大臣の所見を伺っておきたいと思うのですが、国鉄あるいは公社関係争議というものがなぜ一体このように深刻になってきているか、問題は、大臣は今回の仲裁裁定については政府政府の判断で完全実施という判断に基いて予算を提出してあるからこれでよろしいのだ、こういう見解をとっておられますけれども、百歩譲って今度出された裁定実施の予算案が完全だといたしましても、それだけで実は正しい労使の慣行はでき上っていかない。なぜかといいますと、この公共企業体関係の毎回の争議の中には、一番大きなものは不信行為が残っているのです。今回は百歩譲って実施していただいたけれども、従来はなかなか実施されてこなかったという過去の不信行為というものが非常に根強く残っているのです。この過去における不信行為を何らかの形でこれから払拭をしていかなければ、単に今回一同だけの実施で、これですべての慣行ができ上った、こういうわけには参らないと思うの言です。そういう点についての大臣の御所見を伺っておきたいと思い
  40. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 たしか二十二回仲裁が行われて完全実施をしたのは九回だと思い言ます。そのうちに半分とか三分の一とかいうような目安で行われた場合もあるようでありますが、私は、そのときそのときの財政上の問題であるとか予算及び資金の問題で、仲裁があったけれども国家の現状としてはいけなかったというようなことがあることも、これは国の財政経済を切り盛りする人と仲裁裁定をする人とが違っておりますから、そういう場合が起り得ると思うのです。今度は幸いにしてあれだけの大きな財源を見出すことができたのでありますが、これが逆に増収も何にもない、借入金をしなければ国の財政がやっていけないというような場合には、やはり裁定されてもそのままのめないようなことが起り得るかもしれないと思うのです。従来はできることを政府がやらなかったんだということを私は言うことはできないと思うのです。従来は二十二回のうちの九回が大体実施されておると思います。それで残りの完全実施できなかったのはやはりそれぞれの財政上の問題、資金上の問題があって、裁定はされたけれどもこれを行うことができなかった、意はあっても財政上できなかったということは私はあっただろうと思うのですが、今回は自然増収もああいうふうにありますし、また国鉄、電電、それぞれの企業体の中においても弾力性がある状況でありますから補正予算の御協賛を得た、こういうことであろうと思います。今まで悪かったと言えといっても、そのときの状況はそういう状況が災いしてやりたくてもできなかったのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。
  41. 下平正一

    下平委員 裁定が九回実施されたと言っていますが、それには時期の問題、いろいろの問題で完全実施されたというふうに私どもは理解しておりません。そのことは別といたしまして大臣に一瞬お尋ねしておきたいことは、労働組合と使用者の立場というものは第三者がいたずらにこれを拘束したりあるいは第三者がいたずらにこれらの結論について異議を言うというような形でなくて、労使の間というものは労使の間におけるいろいろの申し合せなり労使の間の慣行なりそういうものが十分に尊重されていく、ここに一番大きな慣行の重点があると思うのです。今回もそうでありますが、従来特に裁定実施の過程におきましても労使の間における慣行、労使の間における協約、協定、こういうものを政府は高い一方的な立場に立って、どうにでもおれの力でできるんだ、こういう考え方が支配的に出ておると思うのです。そういうところに今後の労使の慣行を打ち立てるための大きな問題点があると思います。たとえてみますると、先ほど滝井さんが処分の問題で言いましたけれども、今回の裁定の問題について五百二十円の三分の一を引くか引かないかというような問題、これなんかにも端的に政府考え方が現われておると思うのです。これはやみ給与ということをあなたは言いましたけれども、やみという表現はこれはまずいということでこの前の委員会言明されておりましたが、やみという表現はやめてもらいたいと思います。五百二十円を今回の裁定の予算に盛るについての政府の処置に明らかに出ておる。五百二十円その他の政府が関知しないというところの給与の実態も、これをせんじ詰めていけば、公労法なりあるいは日鉄法なりそれぞれの法律に基いて、運輸大臣の承認なり大蔵大臣の協議なりもろもろの所定の法的な手続がとられて承認されておる給与であります。言いかえれば、労使間においてきめられた協定というものが政府の承認によって実施をされておるお金なんです。これを今回そういうものは認めないというような態度には、端的に今言った労使間の話し合いの上に何か特権的な存在で政府があるんだというふうな考えが依然として残っておるような気がする。こういう考え方を払拭をしてほんとうに労使の間の協定、協約というものを尊重していくという考え方がなければ、依然として、裁定が実施をされても、今後に問題が残りますが、労使の間の協約、協定なり、あるいは慣行なりというものを十分尊重していくという考え方を明確にここでお答えをいただきたいと思います。
  42. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は、労使の団交は、それぞれの法律で許された権限なのでありますから、その権限範囲において決定せられた問題は、これはやはり尊重すべきだと思います。それでなければ、労使のよき慣行はできないと思います。けれども、それについて大蔵大臣なりあるいはその他の関係に承認を得なければならぬというような場合があるものは、やはり承認を得べきであると思います。しかし、そういう手続をとって決定しておるものは、債権が確定したのですから、確定した債権を政治的に動かすということはよくないと思います。
  43. 下平正一

    下平委員 それから、多少前の質問と重複するかもしれませんけれども、正しい慣行を打ち立てていく、あるいは公労法を守るという立場から、公労法に基いて今回の問題のもろもろの処置をしていく、こういう立場に立ちますと、当然に、先ほど申しましたように、公社あるいは政府責任という点も十分出てくるわけであります。先ほど労働大臣は、労働組合が間違ったことをやったとか、労働組合がいうことを聞かぬから労働組合処分をやるのだ、こういうことを言いましたけれども労働組合としては、松浦労働大臣あるいは岸内閣を相手にいろいろの仕事をしているわけじゃないわけであります。国鉄労働組合なり公労協の労働組合の諸君の直接の相手というものは、公社であります。もし公社労働組合の間において交渉されたり締結をされたり、そういったことがいけないということになるとするならば、まず第一に労働者を処分するという形をとるのでなくて、自分が監督をしていた責任のある公社立場というものをまず責めて、その後に労働組合に当っていくという形の方が、正しい行き方だと思うのです。大臣は、今回の問題については、公社にも十分責任がある、経営の第一線にある公社責任は当然だ、こうおっしゃっておられます。労働組合はその公社と交渉している。あなたと交渉しているわけじゃないのです。もし今回の問題で公社にも責任があるとするならば、まずその公社責任というものを究明をして、それ相当の処分なりあるいは改善の方法なりというものを出して、その後に労働組合に手をつけるという方が、これは公労法からいいましても、一般の労働法からいいましても、正しいあり方ではないですか、その点はどうなんでしょう。
  44. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公労法に照らしてみれば、いろいろなお説はありますけれども、先ほど申しましたように、あれだけの大きなストライキになったのですね。汽車がとまっちゃったのです。それでありますから、公労法はそういうことをしてはいかぬということになっておるから、だれかやっぱり責任者が出なければしょうがないと思うのです。しかしながら、労使の関係の協約があるじゃないか、その協約違反があるじゃないかという問題は、先ほども指摘がありましたから、十分調査いたしまして、どの点が法律違反になっておるか、どの点がどうかということを十分調査いたしまして、次の機会にそれを明らかにいたしたいと思います。
  45. 下平正一

    下平委員 私の考え方を言えば、そういう問題がまずまっ先にやらるべき問題だと思うのです。順序を誤まっていると思うのです。さっき大臣は、公労協が、処分が出ればまた反対闘争をやるということが非常にいけないと、こう言いましたけれども大臣の言っている内容を見ても、この処分そのものは、大体大臣が決定するものじゃないと思うのですね。公労法上国鉄総裁なり、あるいは政府といたしましても、担当運輸大臣、こういうもろもろの手続を経て、そうして処分なりというものが決定されるのですが、それらの人と何の連絡もなく、それらのことと全然関係なしに、大臣がこういった放言をするというところにも問題があると思うのです。問題の解決の糸口といいますか、慣行を作っていく順序というものが、多少狂っているような気がする。簡単にできる労働者の処分だけは発表してしまい、少し手の混んだ方あるいは責任がひょっとすると内閣の方へかぶってくる、政府の方へくるような責任の問題は、少しぼやかしておけという解決の方法では、ほんとうの正しい解決慣行は立てていけないと思います。私はまず公社責任公社がどこに欠陥があるかという問題を明確にして、その後に組合の処分なり労働者の処分という方向へいくという方が正しいと思うのですが、その点はどうですか。
  46. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 一審世の中で問題になったのは、二十三日のストライキであります。その原因を究明すると、何か約束しておった業績手当というものを、あるところではもう給料袋まで入れておったけれども、それを引っぱり出して入れないのだ——結果から見れば三時間くらい出すのがおくれたのですね。それだからストライキをやったのだ、皆さんのおっしゃるのはこういうことなんです。だからおれの力は間違ってないのだ、政府の方が動機を作ったからというが、しかしかりに一つの犯罪を犯す場合に、なぐるとかあるいは殺すとかいう場合に、こういう原因があったから殺したということでは、情状酌量にはなるけれども、その罪はなくならないと私は思うのですよ。だから犯した方もまずやったらいいじゃないですか。そこでその次は、おっしゃるようなことがあったならば、どこまで権限があるかわかりませんけれども、調べて、それで政府側の方に罪があるならば、その責任の地位に立っている人の責任をとらすべきだと私は思うのであります。今そっちを先にやれとおっしゃるけれども、これは二十三日の例をとるならば、政府が支払わなかった、だからやったんだ、だから政府が悪いんだと言われるけれども、よって起きた影響は国民全体が受けているのです。だから私はやはり、情状酌量にはなるが、罪は消えないと思います。でありますから、その順序を追ってやっていくべきだとこう思っております。
  47. 下平正一

    下平委員 筋道としてはその通りでありますが、それだけでは問題は解決しないと私は思います。私は二十三日の質問はしょうと思いませんでしたが、大臣がそういうことをおっしゃったので、二十三日の質問をしようと思いますが、私も現場に行っておりました。給料を支払うといって、庶務係が給料袋を持ってきた。その給料袋の中には業績手当も給料もみな入っておる。それが命令がきて払えないから、こういうことであります。そのときの労働者の実態はどうかといいますと、私はいなかの駅におりましたが、大体平均給与が一万二、三千円であります。いい給料の人が一万七、八千円、こういう人の生活の実態はどうかといいますと、給料日一週間前には現金というものは一銭もないのです。そうしてその間の生活費はどうやっているかといえば、かけ、借金ですね。二十三日には給料が入るからそれで払うということでやっている。給料はもらえると思ったところが、給料もくれないということです。それは手違いがあったでありましょうが、そこで必然的に、あの二十三日の争議行為といいますか、ああいう混乱というものは、中央闘争委員会が発令をするとかしないとか、そういうことでなくて、自然発生的に出てきてしまったのです。だからそういう自然発生的に出てきた現象を処分する、そうしてそのよってきた原因はあとで究明してやるという筋道も、筋は筋でありましょうけれども、ほんとうに問題を解決するには——労働組合の中央本部と国鉄当局の間では支払うという約束が取りかわされている。しかもその協約が当局の手配によって、給料も業績手当もみんな入っているものを、さあ手渡すというときになったら、ちょっと待った、政府の方でそれはいかぬというから支払わぬということになったわけでしょう。その支払いを受けて、あっちの借金もこっちの借金も返そうという労働者の立場になれば、自然発生的に出てくるのは当然だと思う。だからそういう画一的な、出たものを処分して、あとでやればいいじゃないかという、そういう問題の解決の方法だけでは、依然として問題点が残ってしまう。こう考えるわけでありますが、まあ大臣公社の方も責任があるというお話でありますから、その点はその程度にいたしまして、公社責任というものは一体どこに一番あるかといえば、これは公労法でもありましょう、日鉄法の問題もありましょう、いろいろな問題がありますけれども、実は国鉄の公労法上の経営者というものは禁治産者であります。それは経営のある程度の実権は握っておりましょう。事労働問題、特に給与、金銭、経理に関係することになって参りますと、完全な禁治産者であります。政府ないしは運輸大臣あるいは大蔵大臣の承認なりあるいは協議なりというものがなければ一切何もできないという形に追い込まれておるわけです。だから、特に労使という立場に立つならば、国鉄の経営者というものは無能力者だと私は思う。こういうふうに極言できる立場にあると思うのです。今回の予算総則の変更で基準外給与と基準内給与との流用を禁じたというような点からなお一そうこれは禁治産者になってきていると思うのです。そこで公社責任というものをだんだんせんじ詰めていくということになりますと、勢いこれは政府の意図、政府責任という点がどうしてもここに明確にされなければならぬ、こういうふうになってくると思うのですが、その間のいきさつといいますか、立場上の点は大臣は御了解願えるでしょうか。
  48. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いろいろ御指摘がありましたが、先ほども滝井さんからも御指摘がありましたし、それは十分調査いたしましてどの法律にどう彼らが違反しているか、また権限をどこまで逸脱してやったかというようなことを十分調査いたしまして、処罰するに価があるものであるならばこれはやはり公平に——先ほどもお話がありましたように法は万民に公平でなければなりませんから、その方の手続もとりましていろいろ善処したいと思っております。
  49. 下平正一

    下平委員 これは新聞に出ていることですから真意かどうかわかりませんのでお伺いしておきたいのですが、四日の毎日新聞処分問題がでかでかに出ておりまするが、処分対象は三月十一、十二両日の第三波実力行使を取り上げる、こういうふうになっておりまするが、この点は大臣の真意でありますか。
  50. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それはやはり公共企業体の経営者の考えところであろうと思いますが、やはり全般の争議行為というものを通じて公平に考えられるものであろうと思っております。
  51. 下平正一

    下平委員 そうするとこの新聞大臣の言っていることは間違いであるということなのですね。三月十一日、十二日の第三波の実力行使を取り上げる、三月二十三日の抜き打ちストは一応対象としない、こういう言明をされておりまするが、これは間違いというわけですか。
  52. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 やはり争議全体を通じて公平に法律のものさしに当ててみるべきである、かように思っております。
  53. 下平正一

    下平委員 最後に一点お伺いをしたいわけでありまするが、先ほどから申し上げております通り大臣答弁にもありましたが、労使の間のいろいろな問題、これは何も処分に限ったことではなくて一切の問題ですね。これは労使間におけるところのいろいろの慣行なり協定なり申し合せなり、こういうものを十分尊重していくという大臣の御答弁がありましたけれども、この処分の問題についても、私は、この処分問題をまず取りきめる、まずこれが行われるところ公社だと思うのです。そこで、大臣の発表を見ると公社とかいうものを飛び越えてこういう新聞発表をされているのですが、これはあくまでも個人的発表であって遺憾であった、こういうことでありまするので、今後予想されまするところのこの処分云々については、公社なり、まあ言えば国鉄総裁というものの意見、こういうもののところできまってきたいろいろの案というものを十分尊重していく、そうしてみだりに政府あるいは労働大臣というような立場からの干渉はしない、今までの御答弁の中からこういうように理解できるのですが、そう理解してよろしいですか。
  54. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公労法を尊奉していきたいと思っております。
  55. 下平正一

    下平委員 公労法を尊奉ずる、尊重という形から尊奉になったのですが、尊重とどういうふうに違うか私はわかりませんけれども、これは大臣、ほんとうに慣行を打ち立てるためには私どもも真剣なんです、実際。先日も石田官房長官と私ども行き合せたときも、基本的にそう慣行を打ち立てるための考え方の違いはないのです。それは私ども労働組合の諸君からつるし上げた食うこともたびたびあるのです。しかし何とかしていい慣行を立てていきたいという点では、立場は違っても私どもも努力しているつもりなんです。そこで、こういう席上では、答弁をうまく逃げるとかごまかしてやるとかという態度でなくて、ある程度腹を割って、正しい慣行を打ち立てるためには協力していくという態度をぜひ私は大臣にも出してもらいたいと思うのです。ですから、単に公労法を尊奉ずるというような形だけでなくて、その専奉の具体的な形は何か。それは明確に何人であるとかどうかというところまでは言えなくても、少くともこの処分問題等々については尊奉ずるという建前は、やはり直接責任者である総裁——総裁は、私たちの責任政府責任で任命して責任を持ってお預けした人ですから、第三者とか外国人なら別であります、政府が、われわれが責任を持っておまかせしてある人でありますので、それらの人の責任、それらの人の態度について、それらの人ももちろん法律を専有するという態度にごうも異存がないと思いますので、それらの人がきめてきたいろいろの事柄についてはほんとうに文字通り尊重する、こういうふうに一つ理解をし、大臣答弁をいただきたいと思うのですがどうでしょう。
  56. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 お説にありましたまかされておる権限範囲において御決定になったことは、尊重いたします。
  57. 藤本捨助

  58. 横山利秋

    横山委員 今お二人の質問とあなたの答弁を聞いていますと、だいぶ私は松浦さんがきょう何というか率直に言うていらっしゃらぬと思います。私は御存じのように選挙区は名古屋です。私の選挙区に来て、東京から新聞記者を連れていってそうしてお話なすって、しかも名古屋労働組合の幹部諸君にお会いになってあなたが率直におっしゃったことをどうして率直にあなたはおっしゃらないのです。少くとも今毎月新聞が話題に出ている、それから私は朝日新聞も見ているし読売新聞も見ております。質問をするのは三社共通の部面です。まだここにずっと並べることができますが、一流新聞が三社共通にあなたの談話として掲げておることをあなたはこの公けの場面では甘えない、こう言うのはおかしいじゃないですか。私は別にどうしても言えないことを言えとは言いませんが、しかし、少くとも三大新聞を通じてあなたが国民の前に明らかにしようとしたことだけは、この際率直に南にきぬを着せずして言わなければならぬ。新聞記者なら言う、国会なら言わぬ、こういうことはあなた卑怯です。私は今いろいろと質問の行われている中で二つ三つの議論をしたいと思うのですが、たとえば全体を通ずる思想ですね、あなたは、たとえば毎日新聞をごらんになったと思うのだけれども、松浦労相言明としてあります。この事実は、なんぼあなたは首を切るのは公社だといったって、松浦さんが腹をきめてやるといっているのだから、松浦個人の意思だなんてどこでも言われやしません。こちらは松浦労相言明です。こちらはあなたの写真を麗々しく掲げている。こちらは労相春闘処分態度語る、こう書いてある。これだけ堂堂とあなたは新聞記者を東京から連れていって発言しておいて、それは個人意思だ、あれは私の情報程度だ、それは少し無理な話なんです。ですから、この間のあなたの心境をまずお伺いをいたしたい。
  59. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほども申しましたように一応記者会見はあったのです。東京から行った連中と話しあってはおりました。私の申し上げた事柄が載っているのもあるし載っていないのもありますが、私は今日発表するといって言ったのじゃありません。けれども、お互いに話し合っている間にそういうことが出た。それが載ったわけですから、それは責任は持ちます。けれども名古屋に行く前に政府に相談していったものじゃありません。だから責任松浦労働大臣個人が持ちます。
  60. 横山利秋

    横山委員 それだけはっきりおっしゃればまず私はよろしい。それはあなたは責任をお持ちになるとおっしゃるのですが、今まず第一に質問をしたいのは、下平君が言ったように「抜き打ちストは対象にしない、処分対象は三月十一、十二両日の第三波実力行使をとりあげる。一審問題になった三月二十三日の抜打ちストは一応対象としない。これは政府、国鉄当局の責任が追及されては困るからである。」これは毎日新聞です。それから朝日も「同月二十三日の〃抜打ちスト〃は、政府、当局側にも労組との約束を守らなかったという弱味があるので処分の理由としては取上げないこととしている。」読売は「処分対象となる実力行使は主として三月十一、二日の第三波とするが(三月十六日の抜打ストは対象としない)」これは二十三日の抜打ストの誤まりだと思いますが、三社共通に言っていることに責任を持ちますか。
  61. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは争議全体を通じてやはり処罰をすべきであると思うのです。それで三月二十三日のみを対象にはしないということであって、私は争議全体を通じてやはり公平に処罰すべき内容を検討すべきであると考えております。
  62. 横山利秋

    横山委員 もうすでに話が少し違ってきましたが、私は率直にあなたと一問一答したい。この三社が、あなたが争議全体を通じてということをおっしゃったならば必ず書きますよ。けれども三社の別々の人間があなたの話を聞いて、言葉の違いはありますよ、違うのは当りまえですが、三月二十三日の抜き打ちストは対象にしない、こういうふうにはっきり言明になったのは、あなたがそれは新聞記者の聞き違いだとおっしゃるなら、社会労働委員会新聞記者を召喚をいたしますが、いかがですか。
  63. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 三月二十三日のみを対象にしないというのであります。
  64. 横山利秋

    横山委員 三月二十三日は対象にしないと書いてあるのですが、これは新聞記者の誤まりでありますか。
  65. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私はそう言いません。
  66. 横山利秋

    横山委員 私はここであなたにきめつけた言い方を必ずしもしようとしてはいない。けれどもただあなたが個人松浦か、労働大臣松浦か、閣議にはからなかった松浦かは知りませんけれども新聞記者との懇談でいろいろなことをおっしゃった、そこに松浦さんの心境なり、ものの考え方がずばりと現われたような気がするわけです。こういう場所でお聞きすると、一応一格式ばって御答弁なさる、周到な用意とか、あとあとを考えて御答弁をなさっておるようでありますが、もう洋服を脱いで、ゆかたを着られたかどうかしらぬけれども、そういうときに話をなさったところに問題がある。しかもその問題は、国会の議事録というものはそう新附には載りません。けれどもあなたが新聞記者を東京から連れて行って語られたことは、新聞を通じて国民に語られたことだ。だからこそ新聞は社会労働委員会で言うことはそう載せぬけれども、あなたが語られたことはどっと一面に全部載せている。私はあなたが、何というか、この記事の問題について、不用意に語られたとは絶対に思いません。あなたが新聞を通じて国民に訴え、国民に語られた、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。それとも、何となしに雑談で語ったこととおっしゃるつもりですか。
  67. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私はそういうふうな大きく出るとは考えてないのです。ただいつものように、うちの新聞記者の方々ですから、座談のように話しておったのです。それがそういうふうに出たのですから、責任は持ちますとさっきから言っております。
  68. 横山利秋

    横山委員 ちょいと出の市会議員、といっては市会議員の人に失礼だけれども、そういう人ならともかく、長年政治に携わっておられ、大臣にもおなりになって、しかも天下の重要な問題の春闘の問題を、新聞記者がこれを書くとは思わないということであれば、わざわざ東京からあなたが新聞記者をお連れになるはずはありますまい。そうでしょう。それをおやりになるのですから、これは言葉に責任を持ってもらわなければいかぬ。私はそう思う。この問題については、あなたが率直に語られたように、先ほどもいろいろ話が出たように、政府、国鉄当局の責任が追及されては困るからである。こちらの新聞にもやはり同じようなことを言っておりますね。そういうことをあなた自身が腹の中でもう認めておいでになる。先ほどのこの問題に対しての質問については、あなたはそれではこの抜き打ちストの問題のみならず、格差の問題についても、政府及び公社責任があるかないかを一ぺん調べてみよう、こうおっしゃっている。調べて責任があるとするならば、これに対して処分をなさいますか。
  69. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 当然法律に照らして違法行為があるならば、処分せざるを得ないと思います。
  70. 横山利秋

    横山委員 そこでさっきの続きになるのですけれども、この格差、俗称やみ給与の問題と、抜き打ちストの問題と、二つ問題がある。抜き打ちストについては、新聞を通じて、政府、国鉄にも弱みがあるのでこれを追及されては困るからであるといって、あなたは本心を打ち明けなさった。格差の問題については、大蔵委員会においてもまた予算委員会においても、本委員会においても、政府すべてが言ったことは、このやみ給与なるものについては、労働者に責任を負わせるわけにはいかぬ、どこに一番問題があるかというと、これは団体交渉で話がついた、話がついた瞬間から労働者には債権が出、公社には債務が出た、この公社が債務の生じた協約、協定を日鉄法なり公社法によって大蔵省と協議をしたかしなかったか、そこに問題の焦点があるわけですね。この格差が出たことを法律上労働者に責任を負わせる、道義上も労働者に責任を負わせるという、二つのことができませんね。これはどうですか、できるという自信がありますか。
  71. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 その問題は、全額承認を求めたところに問題があると思うのです。一部は承認を得たでありましょうが……。でありますから、大蔵大臣の権限、川鉄総裁及び運輸大臣の権限等を調べてみなければ、私はここでどの点がいい、どの点が悪いということは、言い切れないものですから、調査して返事すると申し上げております。  それから五百二十円の問題は、これはきのうも委員会の方から連絡がありまして、書類をいただいたのでありますが、五百二十円の問題については、私どもはプラス・アルファ四百二十円をやったつもりになっております。あの判決から言うならば、そうだと思っております。
  72. 横山利秋

    横山委員 そういうことを言っているのではありません。私の聞いているのは、六百円なり五百二十円というものを、やみだ、格差だという議論があるけれども、そういうことが免じた責任法律上、道義上だれがとるべきかということです。組合と公社とが団体交渉してきまった、判こが押された。判こが押された瞬間に労働組合、労働者は債権が生じた、公社は債務が生じた。その生じた前ないしはあとに、公社は日鉄法なり専売公社法、電電公社法によって、ないしは予算総則によって大蔵大臣と協議をしなければならぬ。運輸大臣と相談しなければならぬ。それをやったかやらなかったかということが問題でしょう、やみだとか何だとかいうのは。私の言うことに間違いがありますか。
  73. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大体そうだと思います。団体交渉をして労使の間でまとまったのは債権が確定するにきまっている。きまっているが、十河さんなり小倉さんが政府から委託された権限の内容があると思うのです。そういう場合においては、大蔵大臣なり運輸大臣の承認を得なければならぬというその制限の範囲内においてしか私は団交できないものだと思うのです。あの人は国鉄全体のものをまかされていないわけです。だれでしたか、禁治産者だと、さっきお話があったが、その権限範囲内を越えてやっておれば、私はやみだと思うのですよ、そこのところをよく調査しなければ僕にはわからないと、さっきから言っているのです。
  74. 横山利秋

    横山委員 私の問題は二つあると思います。十河さんなり小倉さんが運輸大臣ないし大蔵大臣に相談したかしなかったか、そこが問題だとあなたもおっしゃる。しかしその問題があるからといって、この格差の起きた責任を労働者に負わせるわけにはいかないでしょうと、こう言っているのです。
  75. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは仲裁裁定の命ずるところによってわれわれはやっております。
  76. 横山利秋

    横山委員 私の言うのは起きた原因です。仲裁裁定以前の問題です。格差があったかなかったかといって議論しているのだけれども仲裁裁定以前に格差が起きた原因について、労働者に責任を負わせるわけにはいくまいと言うのです。
  77. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは組合に責任を負わしてはおりません。
  78. 横山利秋

    横山委員 わかりました。そうなりますと、組合にも労働者にも責任を負わしてはいない。あなたの言うのは、一にかかって公社当局だ。そうしますと、これだけ予算委員会と社会労働委員会なりほかの委員会でも議論をしたものを、今あなたがそのときの五百二十円なりあるいは六百円がどういう経緯で出ていって、どこで協議が行われたかということを今さら知らぬとは言わせませんよ。あなたほんとうにその経緯、協議が行われたかどうかということを今御存じないのですか。
  79. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 五百二十円の問題は、五百二十円の中で相当給与の改善を企図しているということを中心にしてわれわれは考えまして、それを四百二十円が相当工あると私は解釈いたしております。
  80. 横山利秋

    横山委員 そういうことを聞いておるのじゃないのです。私の言っておるのは、仲裁裁定が出る以前、格差が生じた原因について、これは労働者の責任ではない、公社ないしは政府の間における責任である、この責任をどうするのだという議論、そうすると、あなたは抜き打ちの問題をも含めてこれは一ぺん調査をして政府部内の責任の所在を明らかにすると、こうおっしゃっているんだが、率直に言えば、そんなこと今ごろよう言えたもんだ。これだけ国会で議論をしているのに、その責任がどこにあるか、当時のいきさつを今知りませんとは労働大臣言わせませんよというのです。
  81. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 仲裁の裁定はどこまでも尊重しておるのです。だから仲裁の裁定によって予算を提案しております。
  82. 横山利秋

    横山委員 あなたは全く見当違いです。私の言うことをよく聞いて下さい。私の言っているのは、あなたが政府内部の責任の所在を明らかにする、こうおっしゃっているんだが、今さら責任の所在を調査するもくそもないじゃないか。やみ給与が何でできたか、格差が何でできたか、六百円と五、百二十円がどうしてできたかについて、問題は労働者に責任を負わされない、従って政府ないし公社が悪いか、大蔵省が悪いか、運輸省が悪いか、そこのところを調べて、あなたは責任者が出れば処分をすると言っているけれども、そんなことを今ごろこれから調べなければわからぬのですか。これだけ国会で議論したんだから、どうして協議が行われなかったかということはわかっているじゃないですか。
  83. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は責任はないと思っておる。思っておるけれども、追及があるものだからもう一ぺん調べると言っておるのです。
  84. 横山利秋

    横山委員 責任はないんですか。
  85. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ない。
  86. 横山利秋

    横山委員 わかりました。そうすると、労働者にも責任がない、公社にも責任がない、政府にも責任がない、こういうことですか。
  87. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今僕が責任がないと言うのは、処罰をするだけの責任があるかどうかという問題です。多少の違法はあったかもしれないけれども、勤労者の方々があの汽車をとめてストライキをやって国民に迷惑をかけたほどに匹敵すべきものではなかろうということです。
  88. 横山利秋

    横山委員 それはおかしいですな。そうすると、なぜ汽車をとめたかという問題にもさかのぼっていかなければならぬですね。あなたは先ほど滝井さんだったか下平君の質問に答えて、どろぼうがおるからとにかくどろぼうをとらえるとおっしゃる。話は少し発展しますけれども、今度岸さんが汚職と貧乏と暴力の三悪追放を新政策の基本になさる。まさか総理大臣は、どろぼうが出たらぱっとつかまえる、極端な貧乏人にはさっとうまいものをやる、町へ暴力団が出たらきっとつかまえるというおまわりをふやすことや、それから極端な貧乏人に対する社会福祉委員をふやすことをお考えではなかろうと思うのです。私はさっきあなたの答弁を聞いておって、失礼な話だけれども、事務官僚の中西さんがおっしゃるならいざ知らず、大臣がおっしゃる答弁としては、一体なぜこういう問題が起るか、そのなぜという問題を解決しなければ世の中はよくならない、当然こういうふうに御答弁があるものだと思っておりました。岸さんの汚職と貧乏と暴力の追放も、おそらく汚職の出る原因を追放する、貧乏の原因を突きとめる、それから暴力の出る原因と温床というものを政治によって粛正する、こういうふうだろうと私は解釈するのです。そうでなければわれわれ政治家としての役割は勤まりませんよ。それと同じように、今回の問題でも、あなたが、汽車をとめたことについて、とにかく汽車をとめた人間を首を切ろうという観点にもし立っておるとするならば、これはちょっとお考えを直さなければいかぬと私は思う。政治家として一審大事なことは、目の前に起きた問題よりも、なぜそれが目の前へ現われたかということの方がより私は重大な問題だと思う。そんなことは事務官僚にやらせておけばいい、われわれが国会で議論する価値はありませんよ。従って今あなたがお話しになった目の前に現われたことだけでなくして、また現われた原因というものが公社政府の間における協議が行われたか、行われなかったか、行われて適法にしかもきちんとなっておったとすれば、今度の予算案があのような形にはならないでしよう。そこが問題じゃありませんか。それを今あなたはあらためて調査する——私が追及したら、いや責任はないと思うとおっしゃる。それじゃさっきの議論が巻き起るじゃありませんか。公社をどうする、政府内部の責任をどうするんですか。そこをあなたは確信と自信をもってもっとはっきり言ってもらわなければ困る。さっきあなたが答弁した印象は、あなたは勇断をもって政府部内も公社もよって起った原因を粛正するのだ、こういうふうにみんなとっておる。前に話したですね。国鉄もやろう、ほかの公社もやろう、そう言ったじゃありませんか。それを私が追及したら、いや責任はありません、ないけれども、そんなにおっしゃるならやりましょう、これじゃいけませんよ。
  89. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 あなたのおっしゃるように原因を直すことが政治の要諦であることは私はよくわかっております。だからといって現在起ったものを無視するということもできないと思います。でありますから、私は応急的な問題と恒久的な問題と並行していくべきである、同時に今度の三公社五現業のあり方についても、やはり朝野を問わず虚心たんかいに検討すべきでもると思うのです。今のような権限を与えられないで、そうしてやみ給与だ、やみ給与だというような場合もあるし、また経営の内容についても、あれだけの財産を保管し、これを運営して、しかも国家の公器としてやっておることの内容については、審議会でも作って相当検討して、その検討の結果、労使とともによい慣行のできるような方向に基本的にいくべきだと思う。今度のような大きな犠牲を民族は受けたのですから、この大きな民族の犠牲は、災いを転じて福となすような動機にすべきであるということについては私は同感です。基礎を直さないで、もとを直さないでどうして枝葉が茂るかという問題、それは同感です。しかしながら悪い部面が枝の一角にある場合に、やはりそのままにしておいたら、その病気が枝全体、木全体に及ぶから、少部分のばい菌を取ることはやはりやらなければなりません。しかし木が全体に繁栄するように、その基礎に肥料をやり、その管理を上手にして、木全体をよくするということについては並行していかなければならぬと思う。私はあなたのおっしゃるような基本的な問題を直すということについては同感です。しかしその一角に誤まったことがあるならばそれは直さなければならぬと私は思っております。  それからもう一点、先ほど経営者の方に失態はないということですけれども、いろいろお話があったからそう申し上げたのでありますが、これは私ども法律において処分し、犯罪者として取り扱われることはないと思う。しかしながら違法について、かりに責任をとって辞職させるととかなんとかいう程度のものがあるかないかということについては、十分調査するということを言っておるのであって、私は食言でも何でもないと思う。言葉を短かく言ったのでそういう誤解があると思うのです。公共企業体の指導者として誤まつようなことがあるとするならば、これはやめてもらうなり、あるいはもっと犯罪をしょってもらわなければならぬこともあると思いますが、そういうことはないじゃないか、こういうことを言ったのであって、大きな犯罪的なものはないじゃないか、こういう意味なんです。
  90. 横山利秋

    横山委員 何をもって少さい犯罪、何をもって大きな犯罪かということについては私は大いに議論があると思う。あなたが私の説に同調してもらって、月の前に廻ったものよりも、より根源をつくべきであるというふうに同調されるならば、もしも国鉄公社政府部内の格差に関する相談が円滑に行われておったならばかかることはなかった、もしも抜き打ちストについても、支払うべき約束の日に支払うということさえ返事をしておったならば、抜き打ちストはなかったんだ、これはもう常識的に言い得られることだ。払うべきときに払わなくて、そして労働者が怒ってやったことについてそれはいかぬ、このどちらを高く評価すべきかということです。私ども政治家が語る部面は、目の前に起ったことよりも、その起る原因を深く追及しなければ、私どもは将来に対して戒めにするわけにはいかぬと思う。そこのところが、あなたは語感としては根本問題だとおっしゃりながら、さてさあ手始めとなると、目の前のことに走りなさるのは、これはあなた、本心と手と少し離れてやせぬかと思います。  それから根本問題について、三公社のあり方をよくこれから相談しようということについては全然同感です。どちらの方を向いてお話なさるか知りませんけれども、これは同感です。けれども松浦さん、もしそういう議論があるならば、あなたが新聞にも出していらっしゃるように「この問題の跡始末としては国会終了後早急に公共企業体審議会を内閣につくり、公労法改正問題と並行して抜本的な対策をたてたい方針である。」こういうことであるが、もうとっくに審議会というものができて答申も出ているのです。あの答申を労働大臣としてもごらんになっているのです。政府としてはその答申をどうしようというのです。あの答申を全然かまわずに、もう一つ何か委員会とか審議会をお作りになってやろうとするつもりですか、それとこれとの関連はどうなります。
  91. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 従来のそういう資料がきておりますが、その上に、今度起った内容をも十分材料として取り入れて、総合的にやはり検討してよりよいものにすべきであると思っております。
  92. 横山利秋

    横山委員 そんなことをおっしゃるが、あの審議会としても、一応朝野の権威を集めて数カ月間かかって、しかも戦後十年の労働運動の歴史をもながめてかくあるべしと作ったものを、全然何もせずにほっておいて、これが起ったからまた一つこれを作ろうということは、私は不見識きわまると思う。労働大臣として、どうしても公共企業体審議会を内閣に作る決意ですか。
  93. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 そういう考えを持っておりますが、今まであったからいいじゃないかと言われるのもおかしいと思います。今度起った事態と前の審議され答申されているものの内容は——これは非常に明敏で起ることを予想して作られたかもしれませんけれども、かりにそうであっても、今度起った事態その他を相当な材料として内閣においてやはりやるべきであると確信しております。
  94. 横山利秋

    横山委員 重ねてお伺いしますが、松浦労働大臣は公共企業体審議会を作る決意ですか。
  95. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大体政府部内で相談してそうしたいと思っております。
  96. 横山利秋

    横山委員 どうもきちんと確かめると、あなたの言葉はあいまいになるのですが、これを結論的に申しますと——私は松浦さんの松浦労政というものについていささか苦言を呈したいと思います。  あなたは先ほどいろいろなことをおっしゃいましたね。枝葉の中で悪い木はどうしても切らなければならぬ、こうおっしゃいました。それから処分を実際やるのは公社であるとおっしゃいました。この二つにどうもやはり矛盾があるのです。あなたは、いろいろ突き詰めてお話を聞く場合には、私が首切るのじゃない、公社が首切るのだとおっしゃる。ところが旅先で語ることは、あたかも労働大臣が全力をふるってこの処分に当るという印象を国民の中へばらまいておられるわけです。理屈を申せば、あなたはおそらく自分が首切るのじゃない、公社が首切るのだ、こうおっしゃるであろうけれども、ざっくばらんにいって、あなたはこの処分についてどの程度の決意とどの程度の責任をお持ちになるつもりですか。
  97. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公労法違反については、やはり違反者がその責任を背負ってもらいたいということを強く思っております。でありますから、早く公労法が実行できるようにそれぞれの責任者に私は要望いたしたいのであります。
  98. 横山利秋

    横山委員 私の言いたいところは、松浦さんは労働大臣としていろいろ総評とも御相談になり、各組合とも御相談になる。そして春闘を通じて明確になってきましたことは、松浦さんは労働者のいわゆる審問に身をもってかまえる。労働省が公社当局を置いてきぼりにして、そうして先頭に立ってかまえる。処分はやるんだ、あるいは仲裁はこうだ、調停案はいけない、補正予算は出すんだ、こういうようにあなたが身をもってかまえておられることです。  もう一つ裏をひんめくって言うと、失礼な話だが、この間本委員会でも言ったように、労働省が目の前におるけれども、実質は労働者はおらない。大蔵省がそのうしろで実際の仕事をしておる、こういう印象というものは、今や歴然たるものですよ。そこでそのことを逆説的に言うならば、労働組合側から言うと、公社はあなたのおっしゃるように禁治産者、無能力者であるから、松浦さんなり大蔵省がそういうようにかまえるならば、これは政府を相手にせざるを得ない、こういう現象になっておるのです。あなたはそれを一体お考えになっておるのですか、お考えになっていないのですか、一ぺん私は意見を聞きたいと思っておった。もしも政府がまた労働省が中立的立場、サービス省としての立場を堅持しうるというのであるならば、このような方向にはなるまいと私は思う。けれども何をお考えになっておるのか、新聞にはこういうように堂々と出される。そうして調停の段階においても仲裁段階でも大手を振ってアドバルーンを上げられる、あるいはイエス・ノーを言われる、首切りをやるとおっしゃる。このことは松浦さんの労働政策として、公社と組合という団体交渉をあくまで名実ともに押し立てていく方向にいかれようとするのか、それとも公社がいろいろなことをやるから、この際公社は横におれ、労働政策についてはおれがやるというようにおやりになるのか、もうこの辺であなたははっきりしなければならぬときじゃないか、私はそう思うのです。もしそうでないとしたならば、仲裁裁定は完全実施するとあなたはおっしゃるけれども、しかしここにあなたは非常に傷を残されておる。これは五百二十円の問題です。銭金の問題ではなく、協約、協定、についてはここであなたの手によってじゅうりんされる歴史を作った。あなたは首を振っておられるけれども、謙虚に考えてみなさいよ。謙虚に考えたら、労働者が何を言っておるかということに耳を傾けられたら、あなたはそうでないと言っても労働者はみんなそう思っておる。仲裁裁定は実施されたとあなたはおっしゃるけれども、かりに百歩を譲って実施されたとしても、仲裁裁定の財源の三割五分は、自分のタコの足を食っておるわけです。それからその五百二十五円は三年間ずつでつぶされることになる。そこであなたの仲裁裁定の尊重という言葉のインチキ性というものを労働者は言っておるのですよ。そうしたところは解明しなければいけない。公労法の守り本尊としての立場を鮮明にしなければならぬ。しかしそれ以前に労働省が公社をそっちのけで、首切りの問題はお前にやらせるけれども、みんなおれの言うことを聞けというやり方をあなたがなさろうとしておることについて、一体松浦労政の本質は何かということを、私は一ぺん本質的な問題としてあなたにお伺いをしたい。
  99. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 サービス省として労使の間にほんとうの仲裁ができて、よい労働慣行が作られていくように努力しておりますが、どうもふつつかな者でありますから皆さんの御満足のいくようにいかないことを心からわびております。しかし気持ちはやろうということで一ぱいなんです。けれどもこのことは一日にしてできるものじゃない。また今お問いになっても、だれもできるとは答える者はないと思います。しかしながらこれは朝野が協力して、よい労働慣行を作るように協力していったならば、そう長い時間かからなくても現在のわだかまりは一掃することができるであろう、かように思っておりますが、今の私の心境としてはやりたいことは精一ぱいであります。しかし意はあっても至らざる者でございますから、御満足のいかないことは、はなはだ遺憾に思っておる次第であります。私の就任当時申し上げたことが、私のほんとうの真意なんです。それはやっぱり三位一体の境地です。協同友愛の行き方です。そうでなければ、闘争の中に真理のあるという考え方はいけないという考え方を私は持っております。従ってそれを行うためには、これは私は政府と相談したのではない、あるいは政務調査会と相談したのではありませんけれども、少くともエアハルトのやっているような政策はやらなければほんとうのものにならぬと思うのです。これは功労者が額に汗して働くことがこの民族の発展であると考えあるいは使用者も得たる利潤をひとりで独占するというような考え方は捨てて、労使がほんとうの協同友愛の気持になってこの利潤の分配あるいは生産の報奨制あるいは経営の参加というようなところまでいかなければほんとうにはならぬと思うのです。ただ、今のところはお互いに労使がいがみ合って力ずくでいこう、こういう行き方は私はほんとうじゃないと思うのです。けれども私は今そういったことを直ちにやることはできませんから、そういう気持の上に立って努力はしておるけれども、皆さんから見るならば何か大蔵大臣の小使のように見えるでしょう。しかしこの制度に立っている以上は今の態度に出る以外に私は道はないのです。諸君がいろいろ言われるのですけれども、私は諸君くらいの気持は持っているのです。けれども今このワクの中にはめられてどうすることもできない。でありますから、私は大蔵大臣の手先でもなければ、政府の手先でもない。一労働大臣として、日本の労使の慣行がよりよくなるように努力をしているのです。けれども皆さんから見るならば、まるで足らぬところだらけで、そして問題にならぬじゃないかとおしかりを受けても、私は精一ぱいやっているのです。  それから五百二十円の問題は、いろいろ御議論がありますが、私の今の観念から申し上げますならば、かりに利潤分配的な気持ちからもって見ても、あの仲裁裁定というものは私は公平に行なっていると思います。五百二十円を百七十円ずつ三年間にとって、そして俗にいうああいうやみ給与というようなものは残らぬように努力することが私はほんとうだと思うのです。私はこの点は自分の良心に恥じておりません。お前の言うことは言うこととやることと違っておるじゃないかという御指摘でありますけれども、私は、五百二十円の中から百七十円をとったことは当然のことである、あの第一条の条文から見ればこれはプラス・アルファになっておると私は思っておりますから、そのことはエアハルトのような考えをもってやっておる政治に比べましても、あの行き方については無理はない、かように思っております。
  100. 横山利秋

    横山委員 具体的なことはともあれとして、今あなたがお話になったものの考え方については私もそう異なるものではありません。ただ松浦さん、あなたが労使が闘争しないで信義友愛ですか、そういう方向に行くの記を望む、こうおっしゃるのであるならば、今政府が全力を上げてアベック闘争だとかあるいはやみ給与で労使がどうのこうのとかいう点については、少し、感覚は違いますよ、違いますけれども、もう少し思い直されるところがあるのではないか、こう私は思うわけです。  それで、これからあなたは私どもが何と言っても首を切る、こうおっしゃるわけですね。首を切ると、総評初め各労働組合は、これは単に国鉄ばかりでなくて全労働者に加えられた反撃だというふうに理解をしてそうして反対闘争をやる。それに対してあなたはこういう言葉をまた名古屋で言っておられる。「公労協は処分発表の翌々日に報復ストを強行することを決めているが、もしこれをやれば、また断固たる処分をやる。岸首相も以上述べたような強硬方針に全面的に同意している。」これは一体どういうことなんでしょうか。これは政府が、あるいは公社が首を切る、それに対して労働者が黙っておれというつもりでありましょうか。労働者というものは、これは立場を変えての理解を願わなければならぬけれども、本質的に首切りが最後的な問題である。それに対して報復をやればあなたも報復をやる、またそれに対して報復をやる。それでは春闘は済んだように見えてもこれからという印象が非常に強く、これは国民諸君に対して非常に重大な問題を投げかけると思うのです。あなたが今大臣として、向うがやればこっちもやってやる、またやれば、こっちもまたやってやるというような言葉をお述べになるのはいかがであろうか、もう少し方法はないであろうか、かりに、どうしてもやらなければならぬにしても、事態を円満に持っていく方法を労働大臣としてはお考えになるべきではなかろうか。向うがやったらこっちもやってやる、さらにやったらまたやってやる、こういう繰り返しをあなたが刺激をなさるということはいかがなものであろうか、こう私は思う。そこであなたに聞きたいのは、あなたは一体この処分に関連して今後当面の春闘をどういうふうに円満に解決しようとなさるのか、私はもちろん処分をしなさんなという立場です。立場ですけれども、あなたがかりにやらなければならぬとしても、最後的にはどういうふうにその事態を円満に解決したいと思うのか。繰り返し繰り返し、いつまでもやっているうちはやってやる、まさかそういうことをあなたは本質とお考えになってはいなかろう、その辺の解決策を、本委員会を通じてあなたの所信を明らかにされたらどうだろうかと思うのです。
  101. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは総評の方が先に、処分をすればやる、一日置いてやるぞということを言っているものですから、こっちが言い出したのじゃないのですよ、向うがやらなければ別に何もする必要はない。でありますから、総評の方がそう言わなければわれわれも穏健にいきたいのです。ですけれども、法治国として多数の国民に迷惑をかけないようにすることは当然でありますから、向うがやるといえばこちらも黙ってそれではどうぞやって下さいといっているわけにいかないのです。やはり向うがやるといえばこちらの方もきぜんたる態度をとらざるを得ないのが私の立場であります。
  102. 横山利秋

    横山委員 それではあなた身もふたもない話じゃありませんか。子供のけんかと同じですよ。岸さんが鈴木委員長と会見をして、処分については慎重に考慮するということを言われた。その言葉の意味は、それはいろいろ取りようもあろうけれども、裁定は実施する、処分については位地に考慮する、それによって春闘の大波は一ぺんにさっとおさまったのですよ。これは私は偉大なることだと思う。少くとも岸総理の声望を高めたことだし、そばにおられたあなたの努力も評価に値すると思っているのですよ。その春闘の最終的なそのときにおける段階というものを、政府は今抜き打ちストにかけてやろうとしているわけですね。しかも抜き打ちストについては、あなたは旅先でいろいろと、新聞に対しても、処分はしない、これはその対象にしない、こういうことを言うておられる。それはあなたが今ここでいや全体だとおっしゃっても、私は旅先の新聞記者に語られたことがあなたの本心だと思うわけです。抜き打ちストは対象にしない、それ以前の問題については岸さんが慎重に考慮する、こう言ったんだから、その問題については政治的に理解しなければ相ならぬ。それを今何人だ、何人だということで、向うがやったらこっちもやってやるということをやられたのでは、ほかの人ならいざ知らず、松浦さんがこういうことを言うたのではまずいではないか。それは強硬なやり方も方法ではあろう、しかしあなたとしては、ここに春闘解決の方向を示唆すべきことがもう一つ必要ではないかと思うのです。しかし、それに対して先ほどの答弁をなさった通りだとおっしゃるならばあえて私はこれ以上言いません。いかがですか。
  103. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 鈴木先生と岸総理大臣がお会いになったときには、立ち会っておりましたが、給与に対しては誠意をもって三重するとはっきりおっしゃったけれども、今の処分の問題について、そういう希望はあったが、岸さんは何ともおっしゃらなかったのです。鈴木さんとそれから鈴木さんよりも浅沼さんが強く要望されましたけれども、それについては発言されておられません。これは私は立ち会ったのですから、そのことは申し上げておきます。従って私どもは鈴木さんとの間の会見がこの春闘問題を解決する大きな点になったことはもちろんわかります。けれどもそれだからといって全然処分をせずにおくということは、これは法治国として私はできぬと思うのです。それで私の心境は泣いて馬謖を切るというか、かわいい子だけれども道を踏み間違えておったならばやはりその責めは負うてもらうということを私が始終言っておるのは、私はサービス省としての責任からこれはやはり自分のかわいい子だけれども、間違っている時分にはその責めは背負ってもらう、こういう考えの上に立っております。
  104. 横山利秋

    横山委員 記時間もあまりないようでありますから、私はこの辺にしたいと思いますが、重ねて申しますけれども、向うがやったからこっちもやるということをあなたがおっしゃったことについて重要な意味がある。これが与えた影響というものは非常に強い。この点は大臣としてあらためて一つ考え直しを願いたい。  しかも最後に申し上げたいのは、あなたが何か今度外国にお行きになるというお話ですが、いつごろ行かれるつもりですか。何月何日ごろに外国にお行きになるのですか。
  105. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 予定は二十八日ごろにしております。
  106. 横山利秋

    横山委員 それは一体どういうおつもりなんですか。ILOの会議もまた重要ではありましょう。しかし春闘の跡始末が世間に与える重大な影響があることを百も承知をして大臣が外国にお行きになるということはいさきか私は当を得た問題ではないと思います。これはあなたの方の政府内部の問題でありますから、強くは言いませんけれども、本来あなたが全責任をもってこの問題に当られるということ、労働大臣として処分者については政府が政治的に介入しすぎる。この介入しすぎる結果になったことについては、お考え直しを願わなければならぬと固く信じておるわけですが、しかしそれはそれとして、政府自体の立場として、責任大臣として、春闘のあとの問題が大きくどうなるかわからないときに、外国にお行きになるのは私はいささか当を得たものではないと思います。結論的に申し上げると、新聞で御発表になったことが私はあなたの本心だと思うが、この本心というものは労働組合の政治闘争を逆に激昂させた結果になる。これがまずお考え願いたい第一点です。  こういう労働組合の傾向を刺激するということが本旨でないとするならば、処分についてはあくまで政府法律上も不介入の態度をとるべきである。今日新聞が盛んに国鉄総裁に聞くよりも労働大臣や官房長官や運輸大臣に首切りは何人だと言って聞きに行っている。こういう傾向というものは改めなければならぬ。もしその傾向が続くならば、労働者、労働組合公社を相手にせず、すべて政府を相手にするという傾向に好むと好まざるとにかかわらずなってしまう。それをあなたがここできぜんたる態度でとめるべきである。労働組合が経済闘争をするならば経済闘争の範囲でやれという日ごろの立場であるならば、それをこの際堅持すべきである。従って処分の問題については、あくまで公社の自主性にゆだねて、そうしてあなたたちがやることは、公社の格差の生じた問題、あるいは政府内部において相談を受けておって受けなかったといってしらを切る人たち、そういう人たちについて政府部内の問題を取り上げなければ、労働大臣としてのお役が勤まらぬのではないか、私はこう思うのです。  それから第三番目にあなたにお考え願いたいことは、仲裁裁定は実施したとおっしゃる。そうしてあなたは労働大臣としておれが初めてだとおっしゃる。おっしゃるけれども、この仲裁裁定実施の陰に隠れて今日までの労働協約と労働協定というものが三年間かかってじゅうりんされるという結果になる。これは本年九月初めごろから来年度の予算の中でも大きくあなたに考えてもらわなければならぬことだと思う。将来のこととして善処するというふうに言うておるのでありますから、この問題については、さらに予算編成のときに重大な問題になりますから、これは一つ十分にお考えを願わなければなりません。  以上の希望を申し上げまして、労働大臣の慎重なる善処を私は要望してやまないのであります。
  107. 藤本捨助

    藤本委員長 暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕