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滝井委員 新しい酒は新しい皮袋に盛らなければならぬといいますが、幸い
神田厚生大臣、非常にフレッシュな
考え方をお持ちです。今
大臣の言われたように、やはり新しい姿を出す時期が来ている、当然もう
考えなければならぬ。今までの
大臣は就任の初めはみんなそうおっしゃる。ところがだんだんしておると、新しい酒は新しい皮袋に入れるという気持がなくなつちゃって、
厚生省のお役人さんの古い
考えにずうっといっちまうんです。
一つ大臣はこういうことを就任の初めにやらなければだめです。だんだんやっておると、やはり習い性となって、
厚生省の
考えに引きずられる。新しいうちに客観的にものを見る
考え方でやっていく方がいい、一番先に手がけるものはやはり
国民皆
保険と
医療費体系をやられたらそれでいいと思うのです。あまり何もかもやろうとしても、五年も六年も続いた
厚生大臣はないのですから、どうせ一年かそこらですから、そのうちにやるには重点主義です。やれるものは、
一つか二つしかないと思う。だから、
一つぜひ皆
保険の政策一筋の道を示すということをやる。そのくらいのことで私はけっこうだと思うのです。今聞くところによりますと、この
医療費体系を作る専門
委員会を作っている。ところがその中央社会
保険医療協議会の部会に専門
委員がおります。これは学者なんですが、
予算がなくて、出てきた日当やなんかももらえぬらしい。調べてみますと、なるほど
昭和三十一年には社会
保険中業の総合企画
運営に必要なる経費、多分これがその経費になると思いますが、二百万四千円です。三十二年には二百二万九千円で、ずいぶん
医療費体系はもみにもんでおるのです。そうしますと、二百万四千円くらいはもう使って金がないじゃないかと思う。そのために学者が来てもおそらく何にもやらずにただ働きをさしておるんじゃないかと思う。そうしますと、経済学者なんかやってこない。そういう形でもし
医療費体系を
厚生省がやっているとすればこれは大問題だと思う。少くとも
日本の総
医療費は約三十億になる。そうなりますと、二千億、
国民所得の三%ないし四%を決定する問題です。それをわずか二百万やそこらの金で、しかもこれは社会
保険審議会と中央社会
保険医療協議会の
運営費用だということでは
医療保障の基盤は断じてできません。少くともここに二千万円くらいの金を注ぎ込んで
調査費、研究費を出さなければできません。これは
大臣答弁は要りません。
一つ帰ってよく
局長にお聞きになって実態がどうなっているかお調べ願いたい。私はおそらく金がなくてただ働きをさせられておるんじゃないかと思う。
それから次に、
神田厚生大臣は今まで通産の
委員長をされておりました。そこで通産に
関係のある、いわば
大臣が今まで専門的にやっておられたことを
一つお聞きしたいのです。それは二十四
国会の当時に当
委員会で小林
厚生大臣のかわりに——山下さんここにおられますが、山下政務次官から御言明をいただいたいわゆる公害防止
法案です。化学工業から流れる悪水、豆炭あるいはシャモットの煙、セメント、電力会社から出る煙害、あるいは銅山なんかもありますが、そういういわゆる公害です。その公害の防止
法案というものを今
国会に提出をするという御言明を得ております。これは再々にわたって
質問をして御言明を得ているのですが、何かうわさに聞くところによると、通産省その他から横やりが出てなかなかできない情勢だということでございます。現在各都道府県は条例によってこの公害を防止する方策を講じております。ところが各県も条例を出すと、わんさ陳情がやってくるけれども、
法律の根拠がないためにこれはどうにもしようがないという情勢に追い込まれている。そこで今回いわゆる炭鉱の方の鉱業法が
改正をされまして、無過失賠償の責任ということで今までは
政府は補助金を出しませんでしたが、鉱工業事業に
関係するものについては補助金を出すということは、
大臣通産
委員長のとき非常にお骨折りになっておるので御存じだと思いますが、現在大阪を初めその他の大都市におきまして化学工業が地下水をくみ上げる、脱水現象等のために地盤の沈下が起っております。これは地盤の沈下につきましても工業用水については補助金が出るという形が出ているわけです。ところが、ひとりわれわれとうとい人間に害を与えるところのその公害、もちろん化学工業から出る汚水というものは、水産業その他農業にも非常に大きな公害を与えますが、問題を一応われわれ人間だけにしぼっても人間に与えるこの公害というものの防止について何らの法的な
措置がない。いわゆる無過失賠償の責任というものに対する保護規定というものがない。これは私は片手落ちだと思う。そこで、
厚生省としては、二十四
国会のときに、次の通常
国会には必ず提出しますというお約束を得ておるのですが、通産
行政にも御造詣の深かった
大臣、どうですか。今度お出しいただけますか。