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1957-05-17 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十七日(金曜日)     午後四時十二分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 志賀健次郎君 理事 鈴木周次郎君    理事 薄田 美朝君 理事 松澤 雄藏君    理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君       田中 正巳君    本名  武君       井谷 正吉君    北山 愛郎君       小平  忠君    永井勝次郎君       芳賀  貢君  出席国務大臣         国 務 大 臣 鹿島守之助君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      中山 榮一君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁開         発部参事官)  淺田 重恭君     ――――――――――――― 五月十七日  委員石田宥全君川俣清音君、中居英太郎君、  西村力弥君及び日野吉夫君辞任につき、その補  欠として井谷正吉君、中島巖君、芳賀貢君、永  井勝次郎君及び岡田春夫君が議長指名委員  に選任にされた。 同日  鈴木周次郎君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 四月三十日  一ツ瀬総合開発促進に関する請願川野芳滿  君紹介)(第二九七九号)  南九州総合開発特定地域小林西諸県地区  を指定請願小山長規紹介)(第二九八〇  号) 五月十一日  南九州特定地域総合開発計画中の肝付川改修に  関する請願二階堂進紹介)(第三一四五  号) 同月十四日  南九州総合開発特定地域小林西諸県地区  を指定請願伊東岩男紹介)(第三二一〇  号) の審査を本委員会に付託された。 五月十一日  東北開発基本法制定に関する陳情書  (第九八〇号)  東北開発促進法等成立に関する陳情書  (第一〇三二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事互選  閉会審査に関する件  委員派遣承認申請に関する件  小委員及び小委員長選任の件  国土総合開発に関する件  請 願  一 東北総合開発に関する請願粟山博君紹    介)(第二〇一号)  二 同(鈴木善幸紹介)(第二九六号)  三 東北地方開発促進法制定に関する請願(愛    知揆一君紹介)(第五〇四号)  四 東北開発促進法制定に関する請願鈴木善    幸君紹介)(第二七六一号)  五 国土総合開発事業促進に関する請願鈴木    善幸紹介)(第二九五号)  六 北奥羽調査指定地域総合開発特定地域指    定に関する請願鈴木善幸紹介)(第二    九二号)  七 只見特定地域総合開発に関する請願八田    貞義君紹介)(第一二一号)  八 同(助川良平紹介)(第五六八号)  九 同(鈴木直人紹介)(第五六九号) 一〇 同(粟山博紹介)(第五七〇号) 一一 同(山下春江紹介)(第六八〇号) 一二 大倉、ダム建設事業に関する請願愛知揆    一君紹介)(第六二号) 一三 阿武隈山系総合開発に関する請願八田貞    義君紹介)(第一二〇号) 一四 同(鈴木直人紹介)(第四一五号) 一五 同(粟山博紹介)(第五一四号) 一六 同(鈴木直人紹介)(第五一五号) 一七 同(助川良平紹介)(第五六七号) 一八 同(山下春江紹介)(第六七八号) 一九 サロベツ川切替工事実施に関する請願(芳    賀貢紹介)(第一一一九号) 二〇 稚咲内より豊富、日曹を経て浜頓別に至る    産業道路新設等に関する請願芳賀貢君紹    介)(第一一五三号) 二一 亥の子泊、小谷石間の海岸道路開さくに関    する請願田中正巳君外二名紹介)(第二    二一六号) 二二 中信地区総合開発促進に関する請願(松平    忠久君紹介)(第二〇〇号) 二三 同(原茂紹介)(第七八七号) 二四 同(下平正一紹介)(第一九三一号) 二五 方谷ダム建設促進に関する請願亀山孝一    君紹介)(第四一三号) 二六 一ツ瀬総合開発促進に関する請願川野    芳滿紹介)(第二九七九号) 二七 南九州総合開発特定地域小林西諸県郡    地区指定請願小山長規紹介)(第    二九八〇号) 二八 同(伊東岩男紹介)(第三二一〇号) 二九 南九州特定地域総合開発計画中の肝付川改    修に関する請願二階堂進紹介)(第三    一四五号)     ―――――――――――――
  2. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより会議を開きます。  国土総合開発に関する件を議題とし、議事を進めます。  この際鹿島国務大臣より発言を求められております。これを許します。鹿島国務大臣
  3. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 このたびはからずも北海道開発庁長官に任命されまして、日本に残されたただ一つ開発のホープである北海道開発に挺身できますことは、私の至上の喜びといたしているところであります。私は、北海道事情につきましてはいまだ十分の知識がございませんが、国土開発にはかねてより深い関心を寄せて参りまして、多少の知識経験もございますので、委員各位の絶大なる御協力と御指導をいただきまして、今後北海道開発推進最善努力を尽して参りたい所存でございます。どうかよろしく御指導のほどをお願いいたします。  北海道開発は、戦後領土の四割五分を失い、過剰人口に悩むわが国としては、国民経済上必然の要請でありまして、政府も常に国の重要施策としてこの問題を取り上げ、多年その達成に努めて参ったのでありますが、広大な北海道にありましては、いまだ多くの未開発地域を残し、さらに近代的産業開発は近年ようやくその緒についたばかりでありますので、これが総合開発達成には、なお遠大な構想のもとに、幾多の努力と歳月とをかけて開発推進していく必要があると考えます。  私は、かつてヨーロッパに勤務していた時代、東ドイツや南部イタリア開発計画に非常に興味を持ち、その実態を調査研究したことがございます。また、その後土木工業協会電力建設協力会関係しておりましたので、現代の総合開発革命的成果とも申すべきアメリカTVA総合開発や、フランスのローヌ川総合開発や、またアメリカアジア開発計画、すなわちポイント・フォアや、イギリスのコロンボ計画等に非常な関心を持っておりました。また最近まで関係しておりました鹿島建設では、ビルマの総合開発の一環をなすバルーチャン発電工事技術援助を与えておりましたので、北海道総合開発を世界的な視野から再検討し、何らか裨益するところがあれば幸甚と存じます。さらにまた、北海道開発歴史的考察も必要であります。黒田開拓使時代開発計画、すなわちケプロン・プランも再検討の要があります。またクラークによって創造せられた開拓者精神も十分考慮して、これを生かす必要があろうかと存じます。かくして、世界的視野から見、また歴史的考察に立脚する真に科学的、総合的基礎に立ち、しかも現実的な北海道総合開発計画を樹立いたしたいと考えております。  今や北海道においては、産業開発の原動力となる電源を開発すること、開発の重要な基礎施設中、特に先行せらるべき道路港湾河川等整備拡充すること、食糧を増産すること、地域別基本調査及び地下資源開発調査をすることの四項目を重点とする第一次五カ年計画は一応済み、本年四月から第二次五カ年計画実施に当っております。これは国の経済自立五カ年計画に即応し、また第一次五カ年計画実績を十分に検討考慮し、かつその後の変化した諸情勢を考慮して計画が立てられておりますが、その基本方針は、第一次五カ年計画に引き続いて、産業振興の基盤である河川道路港湾電力等、諸施設整備強化をはかること、新たに各種産業飛躍的振興をはかること、あわせて開発に関連する文化、厚生、労働施設整備を行うこと等であります。さらに昨年六月に創立せられた北海道開発公庫の効率的な運用を通して、産業開発飛躍的発展をはかる所存であります。  このほか、当面の問題としては、昨年こうむりました大冷害にかんがみ、この際寒地農業を確立し、適地適作による農業振興をはかるとともに、近年の凶漁対策を講ずることも緊要であると考えております。これらにつきましては、今後十分に研究いたし、施策の強力な推進を期して参る所存であります。  しかしながら、前にも申しました通り、私はいまだ就任早々のことでもあり、北海道の実情もいまだ的確に把握しておりませんので、今後皆様の貴重な御教示、御鞭撻を得まして、一日も早く事情に精通し、北海道開発に十分の実績を上げて参りたいと考えている次第であります。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)  なお総合開発構想につきましては、これは四年ほど前に私が出したものでありますが、「急げ国土総合開発」という。パンフレット最後の九ページの結びに——これは今も私は変らぬ考えでございますが、「之を要するに総合開発こそは、二十世紀の人類が選んだ生存への唯一の道であり、人類数千年来の夢の実現である。これらの総合開発を一貫して流れる一つ考え方は、計画に当って常に大自然との一体性を重視し、それは又、単に国や地方団体の力だけで押進められているのではなく、あく迄も民衆の利益の為に計画され、民衆の正しい理解の上に、更に民衆積極的協力を得て行われているのである。このことがその成功への道であり、ここにその真価を認めることが出来るのである。この点について、T・V・Aの理事長リリエンタールはその著「T・V・A」に於て次のように記している。この記事はちょっと朗読を省略いたしますが、その最後のところにこう書いてございます。「この葉は正しい。現下我が国緊急課題である国土総合開発は、単に政府地方団体計画努力ばかりでなく、我が国民大衆の正しい理解と盛り上る力とによってのみ完遂されるのであり、それによってのみ日本の輝く未来への希望も期待し得られるのである。私は各位と共に之が完遂に全力を捧げたい念願である。お互に協力して美しく且つ豊かな国土建設に挺身致しましょう。」こういう考えでありますが、今度北海道を担当するにつきましては、これは北海道開発庁長官や、またわれわれの関係者だけで達成し得られる問題ではございません。これはもう皆様協力によりまして初めて達成し得られる仕事でございますから、どうか一つ超党派的に御支援のほどを切にお願いいたす次第であります。(拍手)     —————————————
  4. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に、理事互選についてお諮りいたします。理事鈴木周次郎君が先日委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。この際その補欠選任を行わなければなりませんが、これは先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、鈴木周次郎君を理事指名いたします。
  6. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に、閉会審査案件申し出の件についてお諮りいたします。本会期も明日をもって終了することになっておりますので、ただいま本委員会付付託になっておりますところの北海道開発庁設置法案、同施行法案北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に対する所得税の特例に関する法律案及び国土総合開発に関する件につきましては、前国会通り国会法第四十七条第二項により、閉会中も継続して審査をするために、その旨を議長申し出ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————
  8. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に、ただいまの閉会審査申し出の件に基き案件が付託され、その実地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし、調査実施いたしたいと思いますが、派遣委員の人選その他手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  10. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 なお閉会審査をなすために、閉会審査小委員会を設けたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお、同小委員会の小委員の員数及び小委員並びに小委員長指名につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なければ、志賀健次郎君、薄田美朝君、川村善八郎君、鈴木周次郎君、竹谷源太郎君、渡辺惣蔵君、小平忠君、  それに私、以上八名の諸君を指名いたします。  なお、小委員長の職務は不肖私が行います。  なお、今後委員異動等により小委員補欠選任をいたす必要が生じた場合の処置につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  14. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に請願審査に入ります。本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  この際お諮りいたします。先ほどの理事会において協議の結果、本日の請願日程中第六ないし第二十九、以上二十四件の請願は、その趣旨は適切妥当なものと認め、議院の会議に付することを必要とするものとし、採択の上、内閣に送付すべきものと決しましたが、この理事会決定通り委員会としても決するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお、本請願に関する報告書作成等につきましては、前例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  17. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 なおこの際御報告申し上げます。本委員会に参考送付されました陳情書は、ただいまお手元に配付いたしてあります通り、十一件でありますので、御了承を願います。     —————————————
  18. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に、先ほどの鹿島国務大臣発言に対し、渡邊委員より質疑申し出があります。これを許します。渡辺惣蔵君。
  19. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 きょうは決算委員長の解任問題にからんで、わが党は一切の委員会開会を反対して、停止の指令が出ているのでありますが、実はきょう鹿島大臣が午後五時から大臣就任のごあいさつを催されるそうでありますので、その前に、特に、せっかく就任されたのでありますから、あらかじめ順序としても、所信表明があるべきだと思います。従いまして、その所信表明に対しまして、一、二の点につきましてその見解、御決意のほどをお伺いしておきたい、こう考える次第であります。時間がありませんので、ごく、要約いたしまして、簡潔に申し述べたいと思います。  実はこの国会は、北海道開発に関する問題、国土開発全体の問題につきまして非常に重要な論議がされた、かつてない重要な論議国会として行われたわけであります。しかるに、この国会開会中に、実は大臣がかわられること三度であります。率直に申しますと、一人は大臣代理ということであますけれども、川村北海道長官が本委員会にたった一ぺん出て病気になられました以降というものは、一切の国会審議責任を負われましたのは、長官代理としての石井光次郎国務大臣であったわけでありますから、実質上この一国会石井さんがしょわれたわけであります。従いまして、この国会中に三人目に登場されました鹿島さんは、不幸にして国会審議がほとんど全部と申していいほど終了した後に登場されましたので、鹿島大臣のもっていらっしゃる抱負その他を十分お伺いする機会を逸したわけであります。大臣も、せっかく大臣になられてこういう状態では、多分手持ちぶさたで遺憾しごく、脾肉し嘆にたえないところがあるだろうとお察申上げるわけであります。  それで、私どもも実は非常に心配をいたしておりますのは、あなたで、私の計算によると、北海道開発長官が十四代目になるわけであります。この間も岸総理にも申し上げたのでありますが、一番短かい人は二十七日間でやめた大臣もあるわけです。最もはなはだしいのは、今国会における三人交代したという事例などは、国会開会中であるだけに、最も問題が残されてくると思うわけであります。こういう点につきまして、岸さんはやがて五月二十日に外遊されて、東南アジアからアメリカを回って七月一日に帰国する、七月十五日前後に内閣改造をやる、こういうことが報道されておりますので、その時期にまた鹿島大臣が交代されるというようなことになりますと、これは大へんなことでありますから、鹿島さんも出られた以上は、一つ十分ふんどしを締められて、改造後の内閣におきましても、責任を持って大臣として執行される決意と、たくましい政治力を発揮していただきたいと思うわけであります。  そこで、今新大臣が登場されまして、この国会の終了後次の国会に至るまでのあなたの最大の問題は、決定された予算の執行その他によって、北海道開発事業がどういうように正しく推進されるかという問題であります。これは行政長官としての当然の責務でありますが、それ以外に、一番特にあなたに課せられた、十四代目のあなたに果していただかなければならぬもう一つの大きな課題があるわけであります。それは、私はこまかなことは申しません。すでに長い間、岸総理石井総理池田蔵相宇田国務大臣、その他の人にも十分話してあるわけでありますから、ここで蒸し返す気持はありませんけれども、問題の中心としては、何と申しましても、昭和二十七年に策定された第一次五カ年計画が本年の三月三十一日に終った、そして第二次五カ年計画国策として確立される以前に、すでに第二次五カ年計画の初年度の予算が組まれ、通過をして、第二次五カ年計画にすべり込んでおる、こういう一つの特殊な事情があるわけであります。従いまして、この第二次五カ年計画というものを閣議に正式にかけるという一つ言明を得たいわけであります。これは必ず閣議決定として実施をする、しかもそれは早急に行うという決意表明であります。  石井国務大臣宇田国務大臣は、大体経済五カ年計画の修正と相待って、少くとも九月には北海道開発計画もそれとマッチして固まるから、その機会にかけると言明しておるのであります。にもかかわらず、特に私が鹿島大臣に重ねてこういうことを申しますのは、実は第一次五カ年計画閣議決定なしに計画されてしまったからであります。そこで、果してこれが国策としてほんとうに取り上げられたのかどうかという政治上の責任が非常に不明確になってきているわけであります。あなたも四月三十日に大臣就任されまして、非常に勉強なさったそうでありますが、もともと学者であられる鹿島さんのことでありますから、非常にお勉強なさって、いろいろ事情も理論的にはおわかりになっていると思いますけれども、最近の産業計画会議調査勧告書にいたしましても、公共事業特別調査委員行政管理長官に対する答申にいたしましても、ことごとく北海道開発第一次計画推進の度合い、効果の問題が論議されているわけであります。この中には、反対せんがための反対の意見ではない、よりいいものがございますから、一つ大臣もすなおな気持で、この点についてもう一ぺん目を開いて、十分検討を加えられますとともに、あなたが出られた以上は、  今の国土開発パンフレットのように、選挙向けに作られた。パンフレットを持ち込んできて、ここで宣伝なさるというような安易な気持でなしに、しっかりした気持で、この第二次五カ年計画は、必ず閣議において議決を求め、国策としてこれを策定するという大自信、大信念をもってぶち当っていただきたい。このことの言明を期待するわけであります。  最後に、一つだけ簡単に申し上げますが、それはあなた個人と大臣とにつながる問題であります。実は新大臣は、五月二十三日に北海道視察にお出かけになると承わっております。日程は、二十三日から二十六日まで四日間札幌におられ、三十七日は層雲峡、二十八日は登別、二十九日は洞爺、三十日は湯川、三十一日に離れて郷里の岩手に向われる、こういうスケジュールだそうであります。非常にけっこうであります。われわれも北海道を旅行いたしますと、適当なところに宿泊いたしますが、私は、別に、あなたの宿泊の個所が温泉地帯だなんというけちなことは決して言いません。なるべく楽しんで旅行された方がいいのでありますが、ただこのスケジュールを見ますと、天北原野であるとか、根川原野であるとかいう、問題の、北海道開発の上において二番困っておる地点が、この大臣の公式の初旅から除かれておって、非常に回りいいところだけを回られる。しかも四日間も札幌に時間をとられる。現地の視察で一番重要なところが取り除かれておる。新聞記者等の情報によると、このプランを組むには、開発庁等が非常に苦労した。なぜならば、鹿島組の支店の人たち関係人たちが、それぞれ大臣のこの北海道視察プランに口を入れて、これがきまるのに三日も四日もかかって、ようやくこれがまとまったということが、もっばらうわさになっておるわけであります。あなたはそんなことはみじんも御存じない、あなたは公明な政治家でありますから、すでにあなた自身そんなけちな考えみじんもないということは私確信いたしますが、えてして親の心子知らず周囲の者がひいきの引き倒しにばかなまねをして、せっかくのおやじの初旅を妨げて、公的な視察であるか、会社の宣伝であるか、接待であるか、わけのわからないような旅に出られますと、これは結果が重大なことになります。あなたのあずかり知るところではないと私は確信をいたしますけれども、えてして周囲というものは、ひいきの引き倒しで、親の心子知らずで、そういうことに陥りがちであります。特に今度の初旅につきましては、公的なものでありますから——いやしくも奥さんが重役であったり、令息や弟さんが重役であるという一族会社であるから、実際上あなたの指導、いう兼職をしておるとか、いないとかいう形式論ではなしに、事実上の指導力影響力を持っていらっしゃるのですから、こういう点につきましては、一つ会社側の方に十分言っていただきたいと思います。うちの会社北海道で年間二百億も二百五十億も工事をやっておるので、北海道開発庁よりもわしの方が大きいのだ、そういうようなことを会社の人が言ったとか、言わないとかいうことが漏れてきますと、これは日本における最高の地位を占められる鹿島組実権者でありますから、北海道等におきましての地元土建業界はふるえ上っておるわけであります。そういうことをあなた以外の者が放送いたしますから、やぼな話で、そういう点はこの際一つ……。私は、大臣就任中は、鹿島組北海道開発工事から一切手を引けというような、そういうむちゃくちゃなことをここで言おうとはいたしません。これはあなたの良識に待たなければなりませんけれども、あなたという聡明な、りっぱな方に、親の心子知らずで、そういう誤解がつきまといますと、せっかくあなたが堂々たる所見を述べられたり、りっぱな人格を持たれておりましても、その政治的効果が削限される危険が出て参りますから、この点につきましては、一つあなた自身良識をもちまして、十二分に誤解のないように、そうして北海道開発のために最善努力をしていただきたい、このことをお願いを申し上げまして、私の質疑を終るわけであります。
  20. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 この第二次五カ年計画閣議決定に持ち込むということは、私もそういうふうにいたしたいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。  それから今度の旅行のスケジュールにつきまして、私の前に関係していた会社の者がどうのこうのと言ったというのは誤解でございまして、札幌にあれだけ滞在をするのは、私が現地に行きまして——というのは、ここの開発庁の人が非常に少いのです。札幌には三千何市名もおられますので、一応課長以上から事情を聞きたいためであります。実は二日くらい各部門にわたりましてしさいに聞きたかったのでありますが、いろいろな都合で一日予定することになったのでありまして、そのほかの日程はみな事務局の者が組んだのであります。私が特に念願したのは、部下から事情を聞きたい点だけであります。それから、北の方はまだ雪がなかなか解けていないので、もう一回、岸総理大臣アメリカへ行かれた間を利用いたしまして行きたいと思っておりますから、何分一つ協力のほどをお願いいたしたいと思います。
  21. 薄田美朝

    薄田委員 関連して。私はきょう質問しないつもりでありましたが、今いろいろ渡邊委員からも御意見がありましたから、ちょっと大臣に要望しておきたいと思っております。  というのは、北海道開発庁長官が今まで十四回もかわっておったということが、北海道でも、またこの委員会でも、再々問題になったのであります。私は、政府が必要であれば、いつでもかえていいのでありますが、しかしながら、そう言われたために、大臣が非常にそれを気にして、そうしていろいろなことを一考えてはいかぬ、やはり十日でも二十日でもいい、思い切って北海道開発考えてもらうということが、私は非常に大事な問題だと思うのであります。どうかそういうふうな意味で、一方におきましては調査研究も十分にやりますが、北海道当面の問題は来年度予算の執行を忠実にやっていかなければならないのでありますから、十分一つその点で勇気を持って進んでもらうことを要望したいのであります。  それから、今渡邊君からお話がございましたが、大臣北海道関係ある鹿島組の社長だというので、北海道では、非常に開発について経験も持っておるから、いい大臣だろう——私もこの間北海道に二度ばかり行ってきましたが、そういうふうな批評があって、大臣を歓迎する空気も多いのであります。また一方においては、大臣はそういうふうな関係で、北海道開発大臣関係会社に持っていかれるのではないかというふうな不安もあるのであります。私はそういうふうな意味におきまして、大臣は勇気を持ってこの開発に当ってもらいたいというのであります。同時に、慎重なる態度をもって——大臣の一言一句なり、また一つの行為というものは非常に影響があるのでありますから、北海道に参りました場合でも、従来往々にして北海道に行った大臣が大ぶろしきを広げまして、われわれ住民が非常に迷惑したということもございますので、この点は非常に慎重にやっていただきたい。同時に、各般の点につきまして、今果してほんとうに公喜平であるかどうかということについてみな心配しておるのでありますから、大臣は一挙手一投足、人事その他の問題につきまして慎重にやって、大臣がそういうふうな公平な考えでやっているのだということを北海道住民が十分了得するように、慎重な態度をもってやってもらいたい、こう私から要望するのでございます。どうか一つ御遠慮なしに、十日でも二十日でもいいから、また総理が帰ってから内閣改造北海道開発庁長官がかわっても、これは政府の大きな点からいうと、仕方がないことですから、十日でも二十日でもしっかりやっていただきたいということを要望しておきます。
  22. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 この北海道工事の問題につきましては、私はもう会社関係ありませんので、直接には言えませんけれども、間接に支店長を呼んで、誤解を受けないように、ぜひともその点を注意してもらいたいということは、よく要望しております。それで、実は開発庁の仕事から一切手を引いたらどうだと言われるが、たとえば桂沢のダムなんか九五%くらい済んでいて、あと五%くらい残っている、今なら鹿島建設でやれば、残材だとか、いろいろな便宜があるから、安く上るけれども、鹿島建設で引き揚げることになると、開発庁が困りますよ、こういうように言っておる。そこで、さてどうしたものだか、それは現地に行って善処しよう。決して世の誤解を受けないように善処いたしますから、この点は一つ御了承願いたい。  それから、なお私の方の二百五十億というのは、鹿島建設といたしましては、北海道の方で模範的に——皆さんの誤解を受けるようなことはないにしても、会社としては生存していけます、そういうことを申しておりますので、決して世の疑惑を招くようなことはございません。一般のわれわれの仲間では、これは鹿島建設にとって大きな犠牲だろう、そういうふうにきれいにやらなければならぬから、大きな犠牲だけれども、まあ国家のために一つ善処してもらいたいということを、業界一般のわれわれの仲間が言っておりますから、どうか一つ御了承のほどをお願いいたします。
  23. 小平忠

    小平(忠)委員 この委員会も今国会最後のようでありますから、簡単に三点、大臣にお伺いいたします。  御承知のように、開発庁長官は十人をこえる多くの方々がかわりまして、国会でもいろいろ所信表明がありましたが、先刻鹿島大臣のいわゆる所信表明をお伺いしまして、大臣は非常にまじめで、また真剣に北海道開発を促進したい、同時に、その考え方もきわめて雄大な構想を持っておることは、非常にけっこうだと思うのです。そこで、私は北海道開発審議会の委員の末席を汚しておる一人といたしまして、実は第一次五カ年計画閣議決定すら見ないで終ってしまったので、第二次五カ年計画については、ぜひ閣議決定をもって国の重大な方針として推進させたい、これが審議会としての強い願望であります。この問題については、四月二日の本特別委員会で、岸総理も、必ず具体計画を立てて、それで、それとマッチするところの閣議決定を見たいということを言明されました。石井国務大臣もそのことを明言されたわけでありますが、国会が終ってしまいますと、そういう点について明確にお伺いする機会がないので、総理大臣も明確におっしゃっておりますし、速記録にも残っておりますから、一つ大臣はこの第二次五カ年計画についての所管大臣として、率直にこの問題についての推進を願いたいということが第一点。  第二点は、ただいまの所信表明の中にもありましたが、北海道の当面の処理は、寒地農業の確立、すなわち恒久対策が大きな問題であります。この点については、先般審議会におきましても、寒地農業確立に対しまする方針を決定いたしまして、実は政府に答申をいたしておるわけであります。この問題は、もちろん農林省とも十分な連絡をいたしまして、関連性のある問題でありますが、何といっても開発庁長官は、北海道寒地農業を確立するその担当大臣であります。従いまして、三十二年度の予算の中には、遺憾ながらそれを具体的に表わすことができなかったわけでありますが、三十三年度の予算の編成がもう始まるわけでありますから、このことは、当初から第一次五カ年計画の初年度とマッチして、具体的に三十三年度予算の中に入れてもらわないと、これは単に空論に帰するわけでありますので、この点については一つ御配慮いただきたい、こう患うわけであります。私はとりあえずこの二点について大臣の所見を承わっておきたいと思います。
  24. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 よく承知いたしました。できるだけ善処いたしますから、一つよろしくお願いいたします。
  25. 小平忠

    小平(忠)委員 この所信表明で、私は率直に申し上げて、今までの大臣の中で、あなたほど雄大な、広大な表明をされたのはあまりないのではないかと思う。だから、その表明は別としましても、その就任のあいさつ、所信表明が、実際に実現できるように私は御健闘を願いたいと思うわけです。  その次は、実は昨日でしたか、衆議院の本会議で青函隧道の決議案が上程されるということになっておったのが、御承知のように延びておりますけれども、これは今国会の会期中に自民党も社会党も共同提案で出すということにきまっておりますから、これは本院を通過するものと思います。従いまして、この青函隧道の実現は、これは単に北海道と青森をつなぐという問題だけではなくて、これは日本国策として非常に重要な問題であります。この点は、所管が運輸大臣であるとか、あるいは建設大臣関係するとかという点も若干ありましょうけれども、何といっても北海道の主管大臣という立場が、本案推進の私は中心的なものではなかろうか、こう思うわけです。この点についても、やはり大臣としては相当検討もされたと思うのですが、いかがでありましょう。
  26. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 この青函隧道につきましては、閣議の際に、ちょっとその前に時間があったものですから、宮澤運輸大臣にお願いしたところが、自分も大賛成だ、問題はお隣の池田大蔵大臣予算をつけてくれるかどうかの問題だというので、私と宮澤大臣とで池田さんにお願いしたところ、池田さんは何もおっしゃらなかったのですけれども、一回くらい頼んだって、なかなか大蔵省の快諾を得られるものではありませんから、これは幾回も今後繰り返し繰り返しお願いして実現したいと思っております。
  27. 小平忠

    小平(忠)委員 どうぞそのようにお願いいたします。  それから最後に私は、今渡邊君からも特に指摘されたのですが、大臣が二十三日から北海道に行かれて現地を見る、また実際に現地の開発局の担当の部課長にも会ってよくその実情を聴取する、けっこうだと思います。ところが、私もその大臣日程につきましてちょっと拝見しましたが、具体的な事例を申し上げますと——別にわれわれとしては、そういうことに干渉するとかなんということではなくて、真剣に大臣北海道に行かれて現地を見てこられるというのであれば、私はあの日程の中でまことに不満な点があるのです。何かといいますと、札幌で四日費されることは、これは必要上かりにやむを得ないとしましても、それから今度二十七日には、石狩平原のまん中を突っ走って旭川に行かれる。その場合、あの空知支庁というのは、北海道で一番大きな支庁です。その支庁の所在地の岩見沢に何分寄るかというと、三十分です。その次の美唄は二十分寄る。ニカ所。北海道の第一次五カ年計画でも、大体北海道開発費の——石狩川水系、大体空知を中心としたあの地域の開発予算に投じられた額というものは、今日まで、全体の額の約半分であります。半分はあの石狩川水系、石狩平原に費されておるわけです。そこへあなたが三十分くらいお寄りになって、何をされるのですか。同時にあそこの岩見沢には、北海道開発の最初に手をつけられた例の幾春別ダム、桂沢ダムがことし完成されております。これは大臣、あなたの会社がおやりになって、非常な成果を上げられて、湛水を始めたわけです。そういうところもありますし、さらに夕張ダムはことしからいよいよ予算がついて着工する。さらに金山ダムの関係で、美唄地区の広大な開発の問題がある。非常に問題は山積しておるところなのです。あそこに二十分か三十分ちょっと寄るというのは、これはあまりにも形式的であって、今までの開発庁長官が行かれた場合にもそういう例はないのです。ですから、かりに根釧、天北地方は次回にゆっくり見るのだ、そうおっしゃるならば、行くところだけでも、かりに十分に時間がとれなくても——二十分、三十分では、現地を見るとか、人の意見を聞くとかいうことにはならないので、できるならば、やはり現地においても大臣の来られるのを非常に期待しておりましょうし、また大臣の今後の活躍に十分に期待する点もあるわけでありますし、それからまた、現地の者も大臣にいろいろ聞いてもらいたいということもありましょうから、その点は一つぜひもう一ぺん御再考願われてはどうかと私は率直に考えるわけです。その点をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  28. 鹿島守之助

    鹿島国務大臣 一番最初の計画では、糠平ダムに行くことになっていて、それからまた、私たちの関係しておりましたずっと奥の足寄だとか、芽登だとか、あの奥に大きな、ダムがあります。そういうところがありましたのですが、どうも前に関係した会社のところに行くことは遠慮した方がいいと思いまして、やめた次第でございます。しかし、そこの岩見沢二十分とかなんとかいうのは、これは全然私の関知しないことであります。この点は、私のアシスタントのなにをそのまま受け入れた点でございまして、足らない点は、またこの次、この次と、機会もあることでありますわけでございまして、御趣旨を体しまして、善処いたしたいと思います。
  29. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 他に御質疑もないようですから、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十七分散会      ————◇—————