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1957-04-10 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十日(水曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 川村善八郎君 理事 志賀健次郎君    理事 薄田 美朝君 理事 松田 鐵藏君    理事 竹谷源太郎君       愛知 揆一君    伊藤 郷一君       椎名悦三郎君    田中 正巳君       本名  武君    北山 愛郎君       小平  忠君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         林野庁長官   石谷 憲男君  委員外出席者         農林事務官         (振興局振興課         長)      庵原 文二君         建 設 技 官         (地理調査所         長)      武藤 勝彦君     ――――――――――――― 四月八日  東北開発基本法制定に関する陳情書  (第七八  四号)  青函トンネル着工促進に関する陳情書  (第七八五号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国土調査法の一部を改正する法律案内閣提出  第五四号)     ―――――――――――――
  2. 川村善八郎

    川村(善)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、私が委員長の職務を行いますので、御了承を願います  国土調査法の一部を改正する法律中を議題とし、質疑に入ります。竹谷源太郎君。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 昭和二十六年に国土調本法という法律が制定せられまして、「国土開発及び保全並びにその利用支度化に資するため、国土の実態を科学的且つ総合的に調査することを目的」として、逐次その調査が行われてきたことと思うのであります。この調査基本調査については、まず基準点測量をするということになっているようでございまするが、この基準点なるものは、三十七万平方キロのわが国土に一体どれほど設置する必要があるかどうか、それをお尋ねしたいのであります。
  4. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま御質問の点でございますが、現在基準点は、三等三角点までは、五万分の一の地図を作るために必要なものとしまして、地理調査所の方の予算で設置を願っております。国土調査、特に地籍調査の必要に合わせますために、経済企画庁予算を計上いたしまして、これを地理調査所に委任支出いたしましたものが、現在四等三角点でございますが、これにつきましては、昭和三十二年度までの目途といたしまして、約四万点の四等三角点をお願いしておるわけでございます。実績といたしましては三十一年度までに一万五千点、三十二年度で工百九十点を予定いたしております。この四等三角点は、単に地籍調査のために必要なばかりでなく、その他の各種開発事業にも必要なわけでございます。現在のところ、そういった国土調査と関係のない分までの予算経済企画庁に計上しておりませんが、ただいまの御質問の要点は、全国の三十七万方キロについて、こういった基準点の網を作るためにどれだけの点数が要るかという問題でございますので、その点は地理調査所の方からお答え願うことにいたします。
  5. 武藤勝彦

    武藤説明員 全国の山の地帯を全部ひっくるめてやりますと、こまかい計算は今やっておりませんので、見当でございますが、十五万点ぐらいになるのじゃないかと思います。
  6. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この十五万点は、日本国土の約七〇%ぐらいがいわゆる山林林野ということになっておるのでありまして、その大部分国有林野でございますが、その国有林野の分までも、経済企画庁としては地理調査所基準点をやってもらうのか、それとも、国有林野につきましては、林野庁でやってもらう、こういうことになっておるのか、そういうことをお尋ねしたい。
  7. 植田俊雄

    植田政府委員 経済企画庁といたしましては、国土調査の、特にその中の地籍調査につきましては、三十七万方キロ全部をただいまのところ目標にいたしておりませんで、国有林野の大団地になっておりますところにおきましては、これは国有林野の方で調査願いまして、それと一般の民有地地籍調査との関連をまずつけて参りたいと考えております。そういう現在の建前から申しまして、経済企画庁予算を細みまして、地理調査所に委託して基準点を設定してもらう計画の中におきましては、国有林野は大体において含まれてないというふうにお考え願っていいかと思います。
  8. 竹谷源太郎

    竹谷委員 林野庁に伺いますが、林野庁ではそういう基準点などをすでにやっておられるかどうか、現状はどうなっておるか、お尋ねします。
  9. 石谷憲男

    石谷政府委員 林野庁所管国有林野におきましては、大体年間一億ほどの予算をもちまして、境界確定測定事業をやっておるわけであります。この事業関連いたしまして、図根点を必要な個所に設けまして実施しておるという状況でございます。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今の金額、二億円と聞いたのだが、そうであるかどうか。もう一つは、今の境界確定というお話がありましたが、国有林野国土調査については、企画庁としてもあまり関心を持っておらないような答弁であったけれども、これは企画庁としてはどういう考えであるか、国有林野国土調査はどういうふうにやる方針であるか、それをまず伺いたい。林野庁の方には、国有林野測量規程という明治三十三年の規程がある。その第一条に「測量ハ森林施業上要急ノ箇所ヨリ之ヲ施行スヘシ」と書いてある。林野庁としては、国土調査法調査ということはやらない、国有林野測量規程に基く森林施業上要急の場所だけをやっておるのかどうか、それとも国土調査法に基く国土調査として、国の機関が行う基本調査、あるいは土地分類調査というようなことでやっておるのがどうか。この二点をそれぞれ企画庁並び林野庁お尋ねします。
  11. 植田俊雄

    植田政府委員 国土調査法建前からいたしまして、これは民有地だけ調査するという趣旨では決してございません。しかしながら、三十七万方キロのこの広い面積の中におきまして、特に国土開発上必要な地点から調査をしていくということになりますと、もちろん山林資源でございますが、各種開発事業が行われておるという観点からいたしますと、農耕地帯等が中心に相なって参るわけでございまして、三十七万方キロのうちで、そういうふうな地籍調査国土調査を要する地域としまして約十万方キロを考えておるわけでございます。この十万方キロというものを目標にして、これから国土調査の長期の計画を立てていくわけでございますので、そういう観点からいたしますと、国有林野の分は、経済企画庁相当予算を計上して実施いたします計画からは、はずれるということに相なるわけでございます。そこで、今回の改正案におきましても、林野庁で御調査願いまして、すなわち、国土調査法以外で調査されます調査との関連につきまして、二十三条の二におきまして調査等に対する勧告に関する規定を置いた次第でございます。
  12. 石谷憲男

    石谷政府委員 近年毎年支出しております国有林野事業測量の経費は、大体二億円でございます。ただいま経済企画庁の方から御説明のありましたように、私ども国有林野事業につきましては、管理経営上の必要からいたしまして、すでに明治三十何年来、測量事業を毎年継続実施いたしておるわけであります。あくまでも国土調査法に規定しておる調査趣旨にのっとりまして、これらとの間に相互に成果の交換をし得るという態勢のもとにやって参りたい、かように考えておるわけであります。
  13. 竹谷源太郎

    竹谷委員 林野庁ではそうすると、国土調査法趣旨、なおこの国有林野測量規程、この二つに基いて、そして予算は独自の農林省の予算で、二億円をもって施行してきた。この測量は、今国有林野の総面積は何ぼありますか、その何パーセントそれができましたか、お尋ねいたします。
  14. 石谷憲男

    石谷政府委員 大体現在の国有林野面積はラウンド・ナンバーでございますが、八百万町歩でございます。すでに一通り測量事業というものは終っておるわけでございますが、非常に精度の低いところがあるわけでございます。実は昭和二十七年、二十八年の両年度にわたりまして、北海道地内の三百五十町歩国有林野境界測量というものが非常に精度が低いということから、これを再測をするということで、二十七、二十八とやったのでございますが、その後内地におきましても、東北関東方面国有林野境界測量は、従来の精度をもってはなかなか満足できないということから、実は二十九年度以降十カ年計画をもちまして、現在手直しの境界測量をやっておる。こういう状況でございます。
  15. 竹谷源太郎

    竹谷委員 続いて林野庁お尋ねしますが、大体八百万町歩について測量を終っておる。その測量は、国土調査法の要求する分類調査とか、あるいは地籍調査とか、これに該当するものまでもやっておるのか、それとも単なる境界なり面積なり、そういう程度のものであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  16. 石谷憲男

    石谷政府委員 林野庁でやっております測量は、いわゆる民有地との間の境界測量、それから経営上必要な森林内部区画測量、こういうところに主体を置いてやっておるわけであります。
  17. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうすると、国土調査法土地分類調査というものの内容は、地形調査表層地質調査、それから土壌調査というようなものがあるのでありまして、これらは森林経営上必要だと思うのですが、これらをなされておるのかどうか、そこまでは届いていないのかどうか。
  18. 石谷憲男

    石谷政府委員 地形調査につきましては、経営集約度の非常に高い部分につきましては、最近ぼつぼつ始めておるという状況でございます。それから土壌調査につきましては、これはこの測定事業ではございませんが、別の調査項目として取り上げて実施をいたしております。地質につきましては、総合的な、しかも計画的な調査は参まだ実施いたしておりません。
  19. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それから、全部国有だから、一々民有地のように一筆ずつのこまかい分類はないでしょうけれども、ある囲いか何かで、土地を一個々々に分け得るような状況になっておると思うのです。いわば地籍調査に該当するようなものができ、それに基いて地籍図までもできていると思うのですが、その点お伺いしたい。
  20. 石谷憲男

    石谷政府委員 いろいろ民有地との境のいわゆる境界線測量とあわせまして、いわゆる国有林内部測量をやっておるわけでありますが、おおむね内地国有林におきましては、六、七十町歩平均団地自然境界をもって一応区画する。北海道におきましては、それが現在約三百町歩平均くらいになっておりますが、これをすみやかな機会に三分割程度にいたしまして、林班と称しておりますが、一個林班平均面積町歩くらいな内部区画を実施いたしたいと考えております。
  21. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、主として境界測量しておるようですが、どの山はどんな木に適当な地質を持っておるかというような、いわゆる土壌地質、そういうものは森林施業上必要な限度ではなさっておるのか、それとも、そういうことは顧みないのか、それをお尋ねいたします。
  22. 石谷憲男

    石谷政府委員 林野庁におきましては、ただいま申し上げました測定事業成果といたしまして、いわゆる白図ができ上っているわけであります。それを五千分の一と二万分の一の両様の地図に作り上げておりまして、そうしてこの森林状態が異なりますごとに一々これを小さい小班に全部区画して、ただいま申し上げました白図の上にこれを図示しているというようなことで、一応森林現況というものが地図の上で明らかになりますような整備がしてあるわけであります、ただいまお話のありましたように、どういう地質のところが一体どういう木に適しているかということの判定につきましても、その地図に基きまして、一個小班ごと森林簿というものがございまして、それにそれらの計画を全部掲上する。これは国有林経営案調査といっておりますが、この経営案を編成いたします際に、そういった細部の点に至るまで簿表の上に掲上して計画を実施する、こういうようなことに相なっております。
  23. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこでもう一つ林野庁長官お尋ねしますが、国有林野にはえている木で、百年以上も斧鉞を加えない森林といいますか、そういう奥地林の未利用森林というものは、一体八百万町歩のうちどれくらいあるのか。またその材積石数は、国有林材積石数の何パーセントくらいを占めるのか、そこに材料を持っておったら、お尋ねしたいと思います。――今調べている間に地理調査所長お尋ねしますが、日本全国面積は三十六万八千平方キロメートルというようにいわれておりますが、これは国土調査をやっていくと、だんだん伸び上があってふえるとか、あるいはこれより少いんじゃないかということはないでしょうか。大体総面積は間違いがないものでしょうかどうか、お尋ねします。
  24. 武藤勝彦

    武藤説明員 実は全国的な面積調査がやってございませんので、ほんとうにしっかりしたことは申し上げかねる次第でございますが、ここへ出しましたのは、五万分の地図の上ではかった面積でございます。従って五万分の一の精度以上にはちょっと出られないわけでございますけれども、しかし大きな食い違いはないと考えております。ごく狭いところをとやかくいう場合には、いろいろありましょうが、全体的なものとしては、この程度でそう大きな間違いはないと思います。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷委員 五万分の一の地図ではかったということでございますが、そうしますと、田畑、山林、宅地、原野などの民有土地は、どうも公簿上の面積と実測とは食い違っているのが大部分で、合致しているのが少い。国有林野の方の八百万町歩というこの面積は、測量に基くものでありましょうから、間違いはないのでしょうが、そうした民有国有を合算した面積が、今の三十六万八千平方キロというものと当然合致しない、非常な食い違いがある、こう見てもよろしいのでしょうか。調査所の方でいろんな統計が出ておりますね、田は何ぼ、畑が何ぼ、草地が何ぼとか、牧野が何ぼとか、あるいは山林民有林が何ぼ、国有林が何ぼ、あるいは沼は何ぼとか、そういうものの統計の合算の面積と、この三十六万八千平方キロとが、今どれほど食い違っておりますか、もし材料があったら、お聞かせ願いたい。
  26. 武藤勝彦

    武藤説明員 今お尋ねになりましたような事項につきましては、林野庁調査部分林野庁の値でもって、それ以外のところは五万ではかったもので、両方を参照し、突き合せるというようなことは、実は今までやっていないのでございます。従って、その点につきましては、どれくらい食い違っているか、今後やってみないとわかりませんが、さっそく調べてみたいと思います。
  27. 石谷憲男

    石谷政府委員 先ほど国有林野の総面積約八百万町歩と申し上げたわけでありますが、この中で、今後永久に林地として利用して参りまする面積は、約六百九十五万町歩でございます。これは採草地牧草地その他の利用に供しておりますところは全部のけてあるわけてあります。そこに立っております森林立木蓄積は約三十一億五千万石でございます。その中で、現在までに開発済み面積は三百十六万町歩、その既開発地域の上に立っております森林が約十一億石、従いまして、この差引の三百七十九万町歩、その立木蓄積二十億四千万石、これがいわゆる未利用地域森林面積であり、立木蓄積である、こういうことに相なるわけでありますが、未利用と申しまする中に、もうすでに林道基幹線は開設をされておりまして、それからいわゆる枝葉線を出しさえすれば利用地域になるという状態にまで進んでおりますものが、面積にいたしまして約百八十四万町歩、その上に立っております立木蓄積が十億三千万石でございます。従いまして、今から林道を新規に開設して利用を促進しなければならぬという意味の未利用林は、面積にいたしまして約百九十五万町歩立木蓄積にいたしまして約十億一千万石、こういう状況でございます。
  28. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今のお話によりますと、材積石数の三分の一だけが開発せられ、三分の二が未利用、その三分の二のうち、半分は林道その他によって開発し得る状態になりつつあり、半分は完全に未利用である、こういうわけであり、現在最後まで残る面積が百九十五万町歩で、その材積石数は十億石をこえる、こういうのでございまするが、これらを伐採して植林をして、またいい森株を作るわけにはいかないものか、一ぺん切ったら、そこは風が強い、あるいは土壌条件が悪い、寒いというようなことで、もう植林してもだめなものであるかどうか、全部をとは言いませんが、大体論をお聞かせ願いたい。
  29. 石谷憲男

    石谷政府委員 現在国有林におきましては、すでに人間の手で植えられました造林地と申しますものが、昭和三十年度末現在で約百三万町歩でございます。従いまして、ただいま申し上げました約七百万町歩国有林の中で、わずかに百三万町歩造林地であって、残りは全部天然林である、こういう現況でございます。ただいまのお話のように天然生育のものでも、古い過熟なものは切って、その跡に造林をしたらいいのではないかということでございますが、われわれといたしましても、技術的に、あるいは経済的に、可能な範囲のものは、極力造林したいという方針で実はやっているわけでございますけれども、それにいたしましても、大体最高の目標は三百万町歩というところに目安を置いているわけでございまして、とりあえずの目標といたしましては、昭和三十五年度末までに現在の百三万町歩を百三十三万町歩にふやそうということで、実は努力いたしているわけであります。
  30. 竹谷源太郎

    竹谷委員 まだ未利用林野面積が非常に広いのですが、それらの奥地林を伐採しても、植林あるいは植林をしなくても、天然再生してくる、こういうことで、また森林として回復をするという土地が、今、未利用のうちどのくらいあるか。一ぺん切ったら、当分の間木の再生はむずかしい、こういうのとの割合はどんなものになりましょうか。その正確な資料がなければ、大体の概算だけでもお聞かせ願いたい。
  31. 石谷憲男

    石谷政府委員 先ほど御説明申し上げましたことにつきまして、とにもかくにも未利用という状態のところが、面積で百九十五万町歩蓄積で約十億  一千万石、こう申し上げたのでありますが、この中に、どうしても利用ができないと申しますか、従いまして、再生も困難だというような条件のところが、現在の調べによりますと、面積で約七十一万町歩蓄積で約三億石であります。
  32. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今までお聞きしたところては、八百万町歩に及ぶ国有林野のうち、利用ができない、あるいは切ってしまえば再生が困難だというのが、わずかに十分の一以下の七十一万町歩であり、またその材積石数は三億石にすぎない。これは全国有林野材積石数のこれまた一割以下であります。こうして見ますと、国有林野八百万町歩の九〇%以上は利用可能のものであるし、民有林はほとんど全部利用可能のものであろう。そうしますと、九五%かあるいはそれ以上のものが、日本山林として利用できるということになって、林野行政の立て方によっては、森林資源をもっと有効に使えるのではないかということに関する林野庁長官の御意見、もう一つは、これには非常に金がかかるごとでありましょうが、理想論として、八百万町歩のうち七十一万町歩を除いた利用可能の、また再生も可能のところを、年次計画でも立てて、五十年なり八十年なりに一ぺんずつ切っていって、毎年輪伐をして、順次植林をしていくということをすれば、国有林野から毎年何億石の森林資源を獲得できるかということをお尋ねしたい。  それからもう一点は、そういう奥地林を伐採して、これは一斉に同じところを全部切らないで、そこを五十年で輪伐するとすれば、五十分の一ずつずっと切っていくというような方式で森林の更新をやった場合、それは治山治水かえって有利であるか、有害であるか、その点をお伺いしたい。
  33. 石谷憲男

    石谷政府委員 第一点の問題でございまするが、確かにお話のように、日本森林においては、国有林におきましても約九割というのが現在並びに将来に向いまして再生可能であり、従いまして利用可能な森林地域である。民有林の場合はおそらくこの比率は高くなる、かように考えていただいて差しつかえないものと思うのでありますが、ただいまも奥地林に例をとって御説明申し上げましたように、いわゆる未利用林というものがまだ相当地域ある。この未利用林はおおむね天然成林でございまして、あるがままの姿で、非常に生産力の低いままに放置されておる、こういう状況にあるわけであります。従いまして、これらの森林地域をすみやかに極力全面開発いたしまして、全森林生産活動態勢の中に取り入れられるごとになりますると、相応に生産力を引き上げて参るということは可能であろうかと思っておりますが、それにいたしましても、やはりこれを生産性の高い人工造林地化することが、生産力を引き上げる上からいいますと、最も手近な、しかも確実な方法である、かように考えまして、先ほど国有林につきましては、将来の目標を三百万町歩と申し上げたわけでありますが、民有林を合せまして大体千百万町歩造林地の確保というところに実は目標を置いておるわけであります。先ほど国有林を百三万町歩と申し上げましたが、民有造林地昭和三十年末で四百三十五万町歩両方を合せて、わずかに五百三十八万町歩ということに相なるわけでございまするけれども、これを約倍化するところまでは技術的にも可能であり、また将来の木林の需給事情が非常に窮屈になるという前提に立ちます限りにおきましては、その辺の限界までは経済的にも成立する状況ではなかろうか、かように私ども考えておるのでございますが、実はそこまで生産力を引き上げる努力をいたしましても、なおかつ国内用材生産供給力と申しますか、用材生産の力は、素材に換算いたしまして二億一千万石程度にしかならないものではなかろうか、かように考えるわけてあります。それに対しまして、一応昭和三十年度用材消費量年間一億四千五百万石といわれておるわけでございまして、これが現在の経済自立五カ年計画最終年度になりますと、一億六千八百万石くらいになるのじゃないか、こういわれているわけであります。今申し上げましたのは素材の数字でございますが、そのほかに立木材積として年間約八千万石の薪炭消費があるわけでありまして、現在の森林生産力と現在の消費量との間には、非常に大きな較差があることは事実でございまするけれども、ただいま申し上げましたように進めて参りますと、相応に、現在の国内森林生産力の引き上げによりましては、需給度の向上が高められる、私どもかように考えておるわけであります。  そこで将来の推算に相なるわけでございまするが、今から造林地化して参りまするものが一応成林いたしまして、利用の時期に達するまでには、大体三十年ないし四十年かかるわけであります。そのような時期におきましては、国内用材需要量がどのくらいになるだろうかという推定を、いろいろな資料からいたし、参るわけでございますが、二億七、八千万石には相なるのじゃなかろうか、それに対しまして二億一千万石の生産しかないということになりますと、よほど森林資源につきましては、消費節約に努めることを第一義に取り上げませんと、なかなか国内消費量国内生産力で完全にまかなえるということはできない、というような結論が出て参るのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから次の問題でございまするが、国有林におきましては、お尋ねがありましたように、これはきわめて計画的な植伐の規制をいたしておるわけでございまして経営案と称します十年計画案に基きまして、その期間中に伐採いたしまする地域、その地域内の立木石数、そういうものを予定いたしますと同時に、それが伐採されました跡に、毎年どのようなものを、どれだけずつ植えるというようなこと、並びにこれらの植伐の事業を実施いたして参りますために必要な搬出施設、さらにはその他の治山事業等のものをこの十年計画案に織り込みまして伐採と植栽が並行して参るようにやっておるわけであります。  そこで現在の国有林生産力は、大体全体で立木石数で四千七、八百万石というふうにお考えいただいてけっこうかと思うわけでございますが、ただいま申し上げましたように、造林地化を進めて参る将来の目標といたしましては、伐期を次第に低下して参るという措置を行うことによりまして、毎年の生産量は大体倍化する、私どもこのような大見当を持っておるわけでございます。従来は、国有林は必要な長大材を生産するということを一つの任務の中に入れておりまして、長大材生産をいたします場合に、長伐期の採用というようなこと、があったわけでございますが、近年の木材需要の形からは、必ずしも長大材を必要とするという状況ではありません。極力単位面積当りの生産量を引き上げて参りますためには、ある一定の期間以降の伐期延長は必ずしも適当でないということを考えて参りますと、今申し上げましたような方法によって、極力造林地化を進めるかたわら、低伐期の作業をやって参りませんと、現在の四千七、八百万石を約倍化するというところまでは進められないのではないか、かように考えておるわけでございます。  それからお話のように、大体皆伐作業をとっておりまするところは、五十年輪伐の場合においては、五十分の一ずつの年伐面積を伐採いたしまして、その跡に植林するという方法をとっておるわけでございますが、このようなことによりまして小面積の区域皆伐でありますならば、決して治山治水上の心配はない、かように考えておりますけれども、奥山になりまして、そういうような作業すらなかなかとりかねるというようなものにつきましては、いわゆる択伐という抜き切りで実際の伐採を行なっておる、こういう状況でございます。
  34. 竹谷源太郎

    竹谷委員 奥山の開発も可能であり、利用すると成長石数も倍になる、こういう利点があって、治山治水上も弊害がないということになると、里山の伐採を相当厳重に押えて、奥地林開発して、日本材積石数の成長をふやし、またその木材の成長率を大きくし、またそれが治山治水にもなる、そういうふうな相当強い森林法でも作って、一つ林業政策の確立でもやったら、どんなものでありましょう。
  35. 石谷憲男

    石谷政府委員 現在の森林法におきましても、ある一定の年令限界に達するまでの幼早齢林につきましては、これらの伐採は全部許可制度をとっておるわけてございます。その年令に達しました以降といえども、伐採はニカ月前の届出制をとっておる。森林の樹木であります限りにおきましては、許可か、あるいは届出か、全部そういうような制度の中で仕事をしておるわけでございます。従来奥山がなぜ開発されなかったか、こういう問題は、いろいろ理由はあると思うのでございますが、奥山に残されておりまする天然成林は、いずれもいわゆる雑木でございます。日本の木林の消費構造をごらんいただきますと、用材につきましては八割ないし九割までは、いずれも針葉樹になっておりまして、開発いたしましても、それから出て参りますものは、なかなか使用の道はつかないというようなことでございます。近年闊葉樹の利用率が非常に伸びて参りまして、それによりまして開発の進度も相当程度に促進をされるというように私どもは期待をいたしておるわけでございますが、その跡地に極力生長の有利なものをもって造林いたして参るということになりますと、相当生産を引き上げるということは期待できる、かような考え方で進めております。
  36. 竹谷源太郎

    竹谷委員 もう一つお尋ねします。闊葉樹の、広葉樹といいますか、それの木材糖化をやるというのが、今回の東北開発一つ事業になっておるわけですが、ものの本に書いたのを見ると、ユーカリ樹とかアカシヤとか、そういう生長率のよい樹木で木材糖化をすると、一反歩当り年収三、四万円にもなる。すなわち水田一反当りと同じくらいの収入が得られるというようなことを書いたものがあるのですが、一体これはそんなものでございましょうかどうか。林業試験場等で研究した成果があれば、お伺い申し上げたい。
  37. 石谷憲男

    石谷政府委員 木材糖化効果につきましては、私どもが聞いているところによりますと、まだまだ中間工業化試験の段階にある、かように考えておりますので、一体どのような採算関係にあるものか、まだよほど研究の余地がある、かように考えておるわけであります。  それから、ただいまお話のございました、たとえばユーカリでありますとか、アカシヤ林といったような、これはいずれも外国樹種でありますが、そういうものが古くから入っておりまして、場所によりましては非常に生長がよろしいということで、私どももその辺に着目をいたしまして、可能な限り、これらのものを農家収入の中に取り入れまして、短伐期作業を行なって参りたい、かように考えておるわけでありますが、これらのものを適用いたします森林の範囲というものが比較的狭いということで、限られた非常に条件のいいところにおきましては、目ざましいばかりの生長をいたすわけでふりますけれども、幾らかこれが傾斜地になり、あるいは北向きになるというような条件になりますと、なかなか期待するような生長を示さないといったようなことで、実はなかなか伸びていかないのが現況でございます。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員 話が少し変りますけれども東北――北海道も同様でございますが、開発上の一つの問題点として、この地帯は非常に国有林が多い。それで地方住民の利用すべき山林がなくて困るということで、国有林野の民間利用ということを相当強く考えなければならぬ。あるいは林野そのものを払い下げてもらいたいという要望も非常に強いようでございますが、これらにつきましては、今後林野庁も十分考慮をしてもらいたいと思います。  もう一つは、東北地方の開発を推し進める場合、農業もあり、水産業もあり、林業もあり、鉱工業もあるわけでありますが、何といっても東北は、比較的山が傾斜度も強くない、そして農業地帯である、農地として開拓をしなければならぬところが多いだろうと思う。これの問題に当りまして、林野庁の皆さんは目を大きく開いて、林野庁の専門家でありまするから、人間よりも木の方を大事にするくらいの気持はよくわかるのでありますが、しかし日本の農民に土地を与えるために、また食糧の自給度の向上のために、こういう問題については一つ強い御理解で対処せられんことを私は希望したい。私、北海道に四年ばかりおったことがあるのでありますが、北海道国有林政を担当する主管は、昔は北海道庁の課長  にすぎませんでしたけれども、それが全国有林を所管しておった。どうもこの人たちの考えは古いわけでございましょう。人間よりも山の方を大事にする、木を大事にするというような態度で、いろいろ批判もあるわけでございます。今、東北開発を進めるのに、東北には田畑いわゆる農地が九十四万町歩しかございません。それで日本における大農業地帯なのですが、この地帯にはおよそ何十万町歩という開墾可能の林野があり、それも国有林に多いと思うのでありますけどれも、一方において、できるだけ少い面積で、できるだけたくさんの林産資源を獲得するということに御勉強を願わなければなりませんが、同時にそれらはより農地として利用することが国家のためであるということについては、あまりこだわらないで仕事をしていただくように私希望しておきます。林野庁長官のお考えはどうか、ちょっと承わっておきたいと思います。
  39. 石谷憲男

    石谷政府委員 国有林野の整備臨時措置法によりまして、とにかく国有林を地元によこせという希望に対しましては、相当程度こたえたように思っているわけでございますが、現在も引き続き新市町村建設促進法によりまして、国有林野立木ごと地元市町村の財政のために売り渡すという仕事をやっておりますので、ある程度の御期待には沿い得るのじゃなかろうかと、かように考えておるわけであります。そのほか部分林の制度でございまするとか、あるいは委託林の制度でございまするとか、あるいは共用林の制度でございまするとか、そういうような制度の運用によりまして、極力国有林所在元町村の農民各位の希望に沿いまして、国有林利用をはかって参るということにつきましては、私どもも積極的に取り上げようといたしております。今後そのような方針で進みたい、かように考えておるわけであります。  それから農地として林野を渡す問題でございまするが、これが、要するにお渡しいたしました以降、いわゆる農地として高度に利用されるということでありまする場合におきましては、決して私ども森林のままでこれを維持したいというような考えは毛頭持っておりません。やはり今後の未墾地買収の問題は、東北北海道を中心にして進めて参るということに相なろうかと思いまするので、これらの問題の処理につきましては、ただいま申し上げましたような考え方で参りたいと思っております。
  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員 企画庁の方にお尋ねしますが、第一期の地籍調査では十万五千平方キロメートルをやる、こういう案のようであります。十万五千平方キロ緊急にやらなければならぬ、それが第一期計画であるという。これが先ほどの御答弁によると、その何十分の一の二四千八十平方キロメートルしか、昭和二十七年から六カ年かかってやれないという計算になるようでございますが、これでは将来早急にやらなければならぬ十万五千平方キロは一体何年かかってできることになるお見込みですか。
  41. 植田俊雄

    植田政府委員 この調査の進捗は、ただいまお話になりましたように、三十七万方キロのうちの十万五千方キロをとりましても、現在までの実績は御指摘のような数字でございまして、非常におくれておるわけでございます。それにはいろいろ阻害する理由もあったわけでございます。たとえば国の補助率の問題にいたしましても、この法律ができて地籍調査を始めたときにおきましては、四分の一でございました。その後三分の一、昭和三十一年度には二分の一の補助まで引き上げましたけれども、まだ国としての負担は低かったわけでございまして、その負担割合を今度高めることにいたしたわけでございます。その他土地台帳の問題、不動産登記の問題、その他のいろいろな困難な事情の起る問題を解決いたしまして、促進をはかりたいと考えておるわけでございます。  そこで、今回補助率を三分の二に引き上げるに当って、従来の、市町村がやりたいと思うところに国が補助金を出して実施させるというような任意方式を改めて、計画方式と言ってはあるいは強く言い過ぎるかもしれませんが、特定計画というものを全国的な計画として作りまして、それに基いて府県が府県計画を作る、そうして今後十年間なら十年間に、その府県内でどの町村から始めて逐次地籍調査を進めていく、こういう計画を立てることに相なっておるわけでございます。一方キロ地籍調査をするのに平均二十四万円程度が要るわけでございますが、現在特定計画として考えておるのは三万五千方キロでございます。三万五千方キロをするにしても、約九十億の金額が要るわけでございまして、その三分の二は国の負担ということになるわけでございます。現在までこの調査予算はそう大きく伸びなかったのでありますが、現在までの予算状況と、それから府県計画として計画を立てましても、市町村がうまくそれについてきてくれなければ困るわけでございますので、そういうことをにらみ合せると、十万方キロを全部初めから国で計画を立てて、府県ではっきりとした年次計画を立てるというところまで持っていくのは、あるいは行き過ぎではなかろうかということを考えまして、現在のところは経済企画庁としては四万八千方キロというものを一応の目標にして、これを十カ年計画で実行いたしたいと考えております。ところが、この四万八千方キロのうちにおいて、土地改良等に伴って土地改良の確定測量として実行されるのがございます。従来は土地改良の確定測量は、単に確定測量の目的のみに実行されておりまして、地籍調査としての基準に合致していなかったのでございます。今後というか、今年から農林省とも十分連絡して、土地改良の確定測量地籍調査と同じ基準で実施されるようにいたすわけでございまして、この確定調査成果は、国土調査法に基く調査と同様の価値があるものといたしまして、それに基いて土地台帳の修正もできる、こういうふうに持っていきたいと思っております。この一万三子方キロを引いて三万五千方キロ、これを十年計画をもって国土調査の特定計画として参りたい、かように考えておる次第でございます。
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今の三万五千方キロを府県を通じてやるということになると、これは費用の三分の二を国が地方へ補助をする、その残りの三分の一を都道府県で負担をすることになろうと思う。この費用負担額は約三十億になるわけでございますね。その財源の問題ですが、自治庁の税務部長にお伺いしますけれども、実は先ほど地理調査所長公簿面の田畑、宅地等の面積と、実際とはどのような程度食い違いがあるかということについてお尋ねしたのですが、まだその調査ができておらぬようでございますから、実際この地籍調査を正確にやった場合、私所有地の面積が現在の公簿面積よりどれだけふえる、従って固定資産の評価が増加し、それに基いて固定資産税がどれだけ増額になるか、正確な数字は出ないかと思うのですけれども、税務部長の方で何かそういうものの推算等がありましたら、一つ承わりたい。
  43. 植田俊雄

    植田政府委員 企画庁からちょっとお答えいたします。先ほどお話のございましたように、三分の二の補助をいたしまして、残りの三分の一は県と施行する市町村が半分ずつ持つわけで、市町村の負担としては六分の一でございます。従来この六分の一の負担に対して、特別交付税の方で三分の一くらいめんどうを見てもらっておりますので、その分だけまた市町村の負担が減るわけでございます。  なお現在の町村の地籍調査の実施状況を見ますと、年に大体三万キロから五万キロずつやるのが普通でございます。一方キロは百町歩でございますが、そういたしますと、年間事業費総額で七十万円から百四十万円ということになりまして、その市町村の負担分が六分の一、交付税が入りますと、九分の一ということになりますので、市町村としてはそう大きな負担にならないのではないか。しかも、従来は任意方式でございまして、あらかじめ自分の町村にいつやることになるかということの決定がなかったのでございますが、今後は計画的に、その市町村は今年はやらないでも、二年後あるいは三年後に、自分の方が順番としてやるということを、予定づけてもらうような計画にいたしたいと思っております。予定された年度には、その程度の自己財源を負担していただくのも、そう無理でないと考えておるのであります。  なお、なわ延びの問題でございます。私ども全国統一的なものもございませんで、ただ具体的な事例で、どういうものがあるかということを申し上げる程度でございますが、一例を申し上げますと、これは長野県下伊那郡の竜丘村で行なったなわ延びの例でございますけれども、田においては一八%の増、畑においては三五%の増、宅地においては三一%、山林においては七〇%の増。これは町村ごとに事情が異なっておりまして、必ずしもこういった比率でふえるわけではなく、場合によっては減る事例もごくわずかございますけれども、大体これに近いなわ延びがあることを予想していいのではなかろうかと考えております。そこで、この地籍調査成果は、そのまま土地台帳になるわけでございます。この土地台帳に基いて固定資産税が賦課されるわけでございます。ところが、このなわ延びが現われるということが、実は地籍調査の進捗を従来妨げておったのでございまして、税金がふえるということであれば、地籍調査はやりたくない、こういう気分がございまして、これは何とか解決せねばならぬと思ったのでございますが、一町村全部の地籍調査が終りまして、なわ延びが公平に現われるということでございますれば、これは一町村内の問題でございまして、場合によっては固定資産の税率をそのままにしておけば、共通に税負担がふえる、あるいはそれだけの税収が要らなということであれば、固定資産の税率を下げてもいいわけでございます。これは公平でございまして、一町村の一部だけしか地籍調査をやらないうちに、土地台帳に基いてそれを課税標準にして固定資産税がかかるということになりますと、これは問題でございますので、これは経済企画庁の行政指導におきまして、そういうことのないように、固定資産税の賦課は、一町村の全部が済んでから、不均衡の起らぬようにしてやるように、ということの指導をいたしておる次第でございます。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこで今の国土調査法建前では、強制的に何年度にはどこの県のどこそこ市町村をやれというような強制はできないように思われるのですが、それはできるのですか。できないとするならば、そういう点は国家的にどうしても必要なものであるから、財源処置は自治庁の方で考えつつ進めていくというふうにやったらどうかと思うのですが、その点どうでございましょう。
  45. 植田俊雄

    植田政府委員 国土調査法におきましては、強制的に地籍調査をやらせる権限は国として持っておりません。国の計画、府県の計画を通じまして、市町村の意見を聞いて計画年度を定める、こういう程度でございます。
  46. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいま企画庁の開発部長お話によりますと、いろいろあるが、一例として長野県のある町村の例を申されまして、何割か地籍がふえるというようなことのようですけれども、そうすると、固定資産税は今の率でいきますと、どのくらいふえますか。
  47. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 土地の固定資産税が総額で四百億から五百億円くらいございます。そのうち、大体宅地が半分、田畑その他が半分というふうになって参るわけでございます。山林の方は比較的評価が低いものですから、なわ延びの多いのは山林ではなかろうかと思っております。宅地につきましては、あまりないのではなかろうかと存じておりますので、そう大きな評価上の額が出てくるというほどの問題でもないのじゃないかというふうに考えております。こまかい計算は今のところはいたしておりませんので、正確にお答えいたしかねるわけでございます。
  48. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今企画庁がとっているような国土調査方針で、各市町村に調査をやらしていくということについては、地方団体が財政上耐え得るかどうか、自治庁の見解を承わりたい。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 毎年度国で計画いたしております方針に即応いたしまして、所要の財源が地方団体に得られますように、地方財政計画を定めまして運営いたしておりますので、経済企画庁計画も、地方財政の状況と即応して考えていただかなければならぬだろうと思っております。従いまして、また経済企画庁計画が大きくなって参ります場合には、地方団体の財源につきましても、所要の措置をあわせて講じていかなければならないというふうに存じております。
  50. 竹谷源太郎

    竹谷委員 国土調査法第二条第一項第二号には、調査を行うべきものとして、国それから都道府県、または市町村、そして土地改良区その他「政令で定める者」とある。政令で定まっているものを見ると、土地改良区、土地区画整理組合とか、農業協同組合あるいは漁業協同組合というように、ずっと十ばかり羅列してございますが、現実に国土調査をやっておる団体は、土地改良区のほかにございますかどうか。それについて承わりたい。
  51. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいま地籍調査をやっておりますのは市町村が主でございまして、その他に土地改良区があるだけでございまして、それ以外に政令で指定しましたものにはないと考えております。
  52. 竹谷源太郎

    竹谷委員 先ほど私参考にこの国土調査法関係の法令を見てみたのです。そうすると、政令として国土調査法の施行令、それから基準点の問題、基準点測量作業規程、あるいは細部の測量の問題、空中写真の撮影に関する作業規程地籍調査作業規程、あるいは水の調査に関する問題、降水量の調査土地分類調査地形調査表層地質調査土壌調査作業、あるいは地籍図の様式を定める総理府令、最後に国土調査事業補助金交付規則というふうに、なかなか法令としては完備しているのです。大へんな仕事をしているように見えるのでございますがやっているものは何%にも当らない仕事しかやっていない。せっかく基本法ができ、政令がうずだかくなるほどたくさんできておりながら、内容はまことにどうも貧弱であり、遅々として進まない。はなはだ遺憾なのでございますが、三十二年度には一体どんな予算をとられたのであるか、またことしとられなかったとすれば、三十三年度以降どういうふうにやるつもりであるか。一方において新しい第三次五カ年計画といいますか、長期経済計画を作ろうとしており、全国的な国土総合開発計画もそれに並行して作るといい、そしてそれを地方計画あるいは府県計画に持っていこうと、口の上では総理大臣以下政府は大げさに言っておりますが、中身を調べてみると、このように紙の上のプランだけである。これではどうにもならないので、きょうは大臣がいないから、これに対する事務当局の御見解、また将来の方針を承わっておきたいと思います。
  53. 植田俊雄

    植田政府委員 御質問の中にはなかったのでございますが、実は法令とか様式その他が多過ぎるという問題でございますけれども国土調査法というものは土地と水との調査の総合法でございまして、内閣総理大臣を中心といたしまして、関係各省で実施いたします各種調査の基準を内閣総理大臣がまとめて、一つの役所でやりました調査も他の役所でも間に合うようにという意味で、基準を作ることに重点を置いたために、各種の法規ができおりますので、その点を御了解願いたいと思います。それにいたしましても、国土調査法ができまして以来、この中心である仕事の地籍調査の伸び方が非常におくれておりますことは、私ども一番残念に思っておる点でございます。その点から申しますれば、ただいま御質問のございました国土調査予算がどの程度ふえたかということになりますと、ほとんどふえておらないのでございまして、たとえば地籍調査にいたしましても、三十一年度におきましては一億三千万円の予算でございましたが、三十二年度も同様の一億三千万円でございます。そういたしますと、補助率が二分の一から三分の二にふえただけ、それだけ事業量が減るのではないか、こういう質問が直ちに出るだろうと思いますが、まことにその通りでございます。事業量としては減って参ることに相なります。実はこの事業量で減って参ると申し上げましたけれども、実際三十一年度の一億三千万円の予算をこなせて、当初予定しました千二百方キロ事業が三十一年度でできたかと申しますと、まことに申しわけない話でございますが、その通りは実行できなかったのでございます。そういたしますと、大体事業量から見まするならば、三十一年度と三十二年度はほぼ近い事業量に相なるのではなかろうかと思っておるわけでございます。私どもこの予算を大蔵省に要求しますに当りましても、現在の地籍調査の仕事が非常に低調でございますし、また実施いたします市町村にいたしましても、割合希望の申し出が少かったということを非常に苦慮いたしまして、三十二年度におきましては、どうしても市町村が進んでこの仕事をやるような方向に制度を改正することが第一番の問題と考えまして、補助率の問題、土地台帳の問題、登記の問題、こういった問題で――従来は、たとえば登記の点をとって参りましても、地籍調査をいたしますと、土地台帳はその通りに表示が改まるわけでございますが、不動産登記簿の方は、土地台帳通りには自動的に変更されていかない。従って土地登記簿の記載事項を変更する、たとえば土地を売買する際には、土地台帳の変更された通りの表示に基きまして、持ち主が一々登記をしなければいけない、こういう手数がかかったわけでございますが、そういうところは職権登記で自動的に登記ができるようにする。それから税金の問題にいたしましても、地籍調査があれば、すぐそれが税金に響いてくるのではないか、こういう誤解もございますので、そういう点をなくすことに気をつけまして、三十二年度といたしましては、事業量としては大きく伸びませんけれども、三十二年度のうちに、先ほど申しました特定計画あるいは都道府県計画を決定し、一方におきましては地籍調査に対する世間の認識を改めて、地籍調査の重要性を熟知してもらうような措置を心がけたいと思っておるわけでございます。  それにつきましては、国の郷土青年対策、こういう予算のありますことは御承知のことだと思うのでありますが、これは農林省に四千八百万円の予算がございまして、その中で九百六十万円程度はこの土地調査の研修に充てていただく、こういう形におきまして、農村の青年に対する教育が徹底いたしますれば、その講習、研修を受けた青年を中心といたしまして、土地調査に対する機運も高まってくるのではないかと期待いたしておる次第でございます。なお御承知の農山漁村の新農村建設運動におきましても、地籍調査がその対象事業として適当であるということを認められまして、農林省においても大いに指導していただいておりますので、そういった事情を勘案いたしますならば、三十二年度中には相当各地方からの希望がまとまってくるのではないかと思うわけでございます。私ども大蔵省に予算を要求するにいたしましても、やはり相当程度地方からの希望が強いということでないと、なかなかがんばり切れない事情も従来はあったわけでございます。今後はただいま申しましたような制度の改正その他各般の態勢を整えることに専念いたしまして、その整った態勢を根拠にいたしまして、三十二年度以降は予算の増額に努めたいと思っております。また大蔵省においても、そのつもりでいるものと考えておる次第でございます。
  54. 竹谷源太郎

    竹谷委員 昭和二十六年に始まったこの国土調査事業というものは、三十一年度までで国の予算を使うことわずかに七億五千六百万円、三十二年度は一億七、八千万円にすぎない。総計いたしましても七カ年、三十二年度まで加えまして九億余りにすぎないのであります。このほかに、先ほど林野庁の御説明を承わりますと、年々二億円ずつ国土調査に類似のものに使われておる、農林省にこのほかに二つばかりこれに対する協力的な仕事と予算がある、こういうことでございますが、一体そのほかに水の調査地質、そういうことで、この国土調査成果となし得る事業が国の他の機関で相当あろうと思うのです。一々列挙するまでもありませんが、それはどういうものであるか、そういうものをあわせて考える必要があると思いますけれども、その点いかがですか。
  55. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど申しましたように、土地改良に伴う確定測量成果を、地籍調査成果と同等のレベルにいたすことは、すでに約束済みであります。大蔵省との予算折衝についてもその点は確定いたしておりますから、今年度どれだけの金額になっておるかということは、ただいま承知いたしませんけれども、先ほど申しました通り、国土調査と並行いたしまして、一万三千町歩はそういう調査ができるはずになっております。  それから水調査につきましても、各省におきましてはすでに実施をいたしておりますが、この各省の水調査は、それぞれの事業目的の調査でございます。それが地籍調査の水調査と同等の制度のもの、あるいは各目的共通のものに向くようにできておるかどうかにつきましては、ただいまのところまだ確認するまでに至っておりません。従って、それは地籍調査のワク内の調査にはなっておりませんけれども、いわゆる国土調査という広い意味におきましては、そういうような調査も相当な効果を持つものと考えておるわけであります。
  56. 竹谷源太郎

    竹谷委員 企画庁長官に対する質問は留保いたしまして、これで私の質問を終ります。
  57. 川村善八郎

    川村(善)委員長代理 北山愛郎君。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいままでの質疑を伺っておりましたが、この土地の実測につきましては、国有林の場合においては八百万町歩というものは一応実測が済んだのだから、今後さらに再測量をしても、その全面積については動かない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  59. 石谷憲男

    石谷政府委員 若干の動きはありますが、大きな動きはないように考えられます。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 民有林の方は、この前総理に質問したときにも指摘をいたしましたが、たしか林野庁統計では千二百四十万町歩だったと思います。それから台帳によったいわゆる固定資産税の対象になる民有林野の統計では七百万町歩ばかりになっておって、その間に非常な開きがあるわけでありますが、この民有林測量というものについて林野庁はどの程度にお進めになっておるか。この林野庁統計すらも、実測がどの程度であるのかその点が、はっきりしませんが、もしも民有林野の実測をまたさらにやったならば、林野庁統計そのものもまた動くのじゃないか、こういうふうに考えられるのでありますけれども、その点はどうですか。
  61. 石谷憲男

    石谷政府委員 民有林につきましては、先ほど国有林の御説明で、経営案の編成ということを言ったときに、申し上げたわけでありますが、これとほぼ同じ考え方によりまして、昭和十四年から民有林地域測量事業を、その当時民有林施業案と申しておりましたが、その施業案を編成いたしますための前段の調査といたしまして、始めたわけであります。大体これが昭和十八年まで続きまして、その後十九年と二十年は一時中絶いたしたのでございますが、二十一年から再開をいたしまして、昭和二十六年度で、ひとまず調査を終ったのでございます。その間におきまして、かなり急ぎましたことと、あわせて内部測量を実施したような関係から、精度のかなり低いものがありましたので、昭和二十六年の第十国会におきまして森林法の改正をいたしたのでございますが、この改正によりまして、従来のいわゆる施業案制度というものが森林計画の制度ということに改まりまして、この森林計画制度に基く再調査を実はいたしたわけであります。それが二十七年から始まりまして、三十一年までの五カ年計画で再測が終ったわけでございます。さらに三十二年度以降第三次の調査をいたしまして、同様の不備な点、手の至っておらぬ点の補足をいたす、こういうような状況で進行いたしておるわけでございますが、やむを得ず、一部空中写真測量成果利用するというようなことによりまして地図を作成いたしまして、机上で森林面積を一応概測するというようなことも併用いたしておりますので、今後実測が進みますと、そのつどある程度の動きが、当然民有林につきましては少し大きく出て参るのではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  62. 北山愛郎

    ○北山委員 その今まである程度やりました民有林調査というのは、地籍ごとに、筆ごとに面積は一応調べてある、こういうふうな格好で調べが進んでおるのでありましょうか。従来の実測というか、ある程度調査をした範囲では、少くとも台帳面とそういう林野庁測量とは食い違いが出ているのじゃないかと思うのですが、そういうふうに筆数ごとに地籍の調査をやったのかどうか。そうではなくて、ただ施業の関係上面積を調べたのか、それはどうなんです。
  63. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは必ずしも筆ごと調査ということになっておらぬわけでございまして、森林所有者の異なるごとに、それから森林に生育しております樹木の種類、年令の異なるごとにという区分で、調査をいたしておるわけでございます。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 これは調査の次の段階の問題でしょうが、先ほども質疑がありましたけれども土地利用の見地から、特に林野利用の見地から、林野庁としてはどういうふうにお考えになっているか。林野庁は、自分が受け持っておる林野というものを最も有効に利用すればいいという立場に立っておると思うのですが、しかし国土の大きな角度からの利用ということになれば、そういう立場を一応乗り越えて、日本国有林というものを見直さなければならぬじゃないか。また私有林についても同様であります。日本の場合は森林面積が六割以上ですか、耕地が一四・七%、原野が七・五%というような工合になっておりまして、大体七割近くのものが山林原野になっておる。ところが諸外国の場合においては、山林原野の比率が非常に低くて、広い意味での農用地の面積が非常に広くなっておる。山岳地帯条件の悪いところでも、相当に農用地の面積が広い。従ってそういうところの農業においては非常に家畜が多い。フランスあるいはドイツ等においても、面積日本と大して変らないと思うのですが、そういうところでも、牛その他の家畜の頭数からいえば、日本の十倍近くにもなっておるというような実態ですね。こういう点で、日本の農業を高度に発展させるという意味から、日本山林原野というものの利用度を高める。単にその森林としての見地からじゃなくて、そういう広い角度からの総合的な検討が、一体農林省としてはなされておるかどうか。こういう点についてどういうお考えを持っておるか。
  65. 石谷憲男

    石谷政府委員 私は、林野庁の立場からお答え申し上げるということになるかと思いますが、ただいま御質問のありましたような、総合的な見地から土地利用区分が的確に行われておるということには実は相なっておらぬのじゃないか、かように考えておるわけでございまして、私ども森林の現在面積を極力維持するというような考え方では毛頭ございません。さらに一そう高度な土地利用の方法に対しましては、森林の提供をして参るという考え方を一応持っておるわけでございます。たとえば放牧採草地利用などにいたしましても、すでに国有の放牧採草地を約四十万町歩ばかり利用者に開放いたしたのでございますが、これらの利用状況を見ますと、非常に粗放な利用のままにゆだねられておるような状況でございます。的確な土地利用区分とともに、それぞれの土地をできるだけ高度に、それぞれの目的に従って使って参るという措置が相伴わなければならないものではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 それらの問題は、どちらかというと、林野庁の持ち分以外の方の積極的な努力が必要だと思うのです。先ほど国有林開放の問題がありましたが、私どもも、町村合併に伴う新市町村の基本財産という意味での開放、そういうものには、ただ財産をそのままに配分をするというような形では、特に積極的な意味が少いんじゃないか、こう思うのですが、そうでなくて、先ほど申し上げましたように、少くとも土地利用をもう少し大きな角度から高めるという意味において、林野庁の積極的な考慮をお願いしたいと思うのです。その四十万町歩の採草放牧地を開放してみたが、大した効果が上らないというようなことも、これはやはりやり方が悪いのであって、開放したこと自体が悪いのじゃなかったのじゃないか。私ども外部から見ておりますと、農林省の内部で土地を争って――と言えば、おかしいのですが、林野庁林野庁、畜産局と農地局というふうに、農業、畜産、山林というふうに、何かしら土地を争っておるような感じもするものですから、そういうふうなものをもっと総合して、高い見地から一つ考慮してもらいたいと思うのです。  それから木材の節約の問題もありましたが、火災による森林の損耗ですね、これについては一体どういうふうなお考えを持っておるか。特に森林火災の一つの原因である火入れの問題ですね、火入れなんかについてはどういう考えを持っておりますか。私は火入れというものは禁止してもいいものじゃないかと思っておるのですが、従来の慣行では火入れをやっており、それが火災の一つの原因になっておる。これは直接国土調査とは関係ありませんが、ここでついでに伺っておきたい。
  67. 石谷憲男

    石谷政府委員 森林火災の問題でございますが、御承知の通り、最近も非常に森林火災が発生いたしております。この森林火災の危険期は、本州西部におきましては四月、それが次第に北上いたしまして、北海道におきましては七月の上旬ぐらいまでということに、最近は相なっておるわけであります。そうして年々相当面積のものが火災で焼失しておりますることは大へん遺憾に存じておりますが、その原因小中でいろいろおもなものを拾ってみますと、たとえば近在においてたき火をした残火の跡始末が悪かった、あるいはタバコの吸いがらというものがあります反面におきまして、開墾のための火入れというものから延焼したというようなこと、それからただいまお話のありました、山に火入れをするという慣行がそのまま残っておる地域が相当ございまして、こういうのが火元になって延焼したとか、いろいろ原因はあるようでございます。現行森林法におきましても、火入れの問題につきましては、これはいずれも事前に許可序得てやるごとに相なっておるわけてございます。近年に至りまして、次第に火入れの習慣というものは後退しつつあるわけでありますが、地方によりましては、依然として新しい草はえを得ますためには、どうしても火入れをしなければいけないというようなことで、なかなか慣習的にこれも抜け切れないという状況のところもあるようでございますけれども、私どもといたしましては、極力火入れはそういうことのために適当な方法でないというようなことも言いまして、近年幾らかずつ減りつつある状況でございます。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 火入れそのものは再検討して、これをやめさせるようなところまでの積極的な考えはないのですか。一体火入れというものは、その土地のためにいいものか悪いものか、必ずしもよくはないのじゃないかと思うのであります。そういうふうな効果から見て、役に立つものではあるが、仕方がないというようなことじゃなくして、火入れそのものも土地のためにも悪い、しかも火災の原因にもなるというようなことであれば、積極的にこれをやめさせるような方向に進むべきじゃないかと思うのですが、そこまでは検討しておらないのですか。
  69. 石谷憲男

    石谷政府委員 火入れそのものは、原野に行われるような場合におきましては、確かに、草生と同時に出て参ります灌木類を根絶やしするというようなことのための手段として、使われておるということではあるようでありますが、地方維持の上から見ますと、決していいことではない、かように私どもは考えております。それからもう一つの火入れの場合は、いわゆる伐採をいたしました跡地に地ごしらえをして造林をするという場合に、いわゆる地ごしらえの物件を焼却いたしまして、造林しやすくする、こういうことでございますが、これらにつきましても、造林事業をしやすくするということもあるにはありますけれども、地方維持の点からいいましても、ただいまの火災の原因にもなるという点からいいましても、決してよくないということでありますので、お話のごとく今後はそれを禁止する方向で十分に研究いたしたい、かように考えております。
  70. 北山愛郎

    ○北山委員 これは私もいなかの町長をやっておって、実は火入れの許可をした、ところが、許可をするのにも迷うわけであります、相当な危険が伴うのでありますから。しかも天候の状況によって、これが安全だと思っても、風が吹いてくるとか、その結果、やはり往々にして火災になりかける。しかし一応申請してくれば、やむを得ないということでやっているので、やはりこの火入れについても、一定の基準といいますか、方向づける。ただ、今までやっておった慣習に従って、いいものとしてやっておるのですが、これはいろいろ疑問があると思いますから、さらに御検討いただきたいと思うのです。  それから、次に企画庁にお伺いするのですが、実は私は今度の国土調査法の改正というものは、一歩前進ではあるにしても、はなはだしく不満なのです。補助率を引き上げたり、特定地域における地籍調査というものを進めるということになりましたから、多少考慮されたわけですが、しかし今まで残されておる調査の膨大な量から見れば、ほんの少しばかり前進しただけである。ことに予算については、昨年高碕長官が、これは進めなければいかぬというように言われたのですが、相変らず補助金としては一億三千万で、少しも変らない、一歩も前進しておらぬ。ですから、その点非常に不満なのです。特に新たに特定地区の地籍調査というものを設けました、なお補助率も高めましたが、その特定地域でこれをやれという調査の場合には、国は負担金になるのですか。それから補助金と負担金で二色になっているのじゃないかと思うのですが、予算面では補助金一本になっているのですけれども、そこら辺がどうなっているのです。
  71. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど来説明いたしますときに、過去の年度との関連で補助金という言葉を使ったかと存じますけれども、三十二年度以降におきましては、負担金の予算が計上になっているわけであります。制度の上におきましては、従来の任意方式といいますか、施行主体である市町村その他から申し出ましたときに、二分の一の補助金を出して地籍調査を実施いたしますのを残しておりますけれども、今後におきましては特定計画を入れまして三分の二の負担金を国から出す。従いまして、この仕事は従来補助金という奨励的な金を国から支出しておったのでございますが、今後におきましては、国と地方との共同の事業であるという建前からいたしまして、負担金といたしました。また地方財政法の改正も並行して自治庁の方にお願いいたしまして、その点を明確にいたしておる次第でございます。
  72. 北山愛郎

    ○北山委員 予算の上では補助金になっているのじゃないのですか。予算の上では、たしか一億三千万の補助金に相変らずなっており、法律の上では負担金のようになっているので、補助金以外に負担金があるのか、予算の上で補助金となっておるものの中で負担金を出すのか、どうもその辺はっきりしないから、お伺いするのです。
  73. 植田俊雄

    植田政府委員 お答え申し上げるのが間違っておりました。予算書の上では補助金と書いておりますが、法律上は負担金の性格のものでございます。
  74. 北山愛郎

    ○北山委員 それて特定地域についての地籍調査というのですか、それは一体どういう地区を指定されているのか、大体の方針を承わりたい。
  75. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど申しましたように、十万五千の中の三万五千をとるわけでございます。従いまして、政府が特に急速に開発を実施したいというようなところを選びまして、それを計画的に順次施行される形式になるようにきめて参りたいと考えております。
  76. 北山愛郎

    ○北山委員 今まで開発計画があるところといいますと、北海道とか、あるいは特定地域がきまっておるところですね、そういうところが優先的にというか、大体そういう地域地籍調査をやる、こういうことですか。
  77. 植田俊雄

    植田政府委員 たとえば開発計画と申しましたのは、これも広い意味で申しましたごとく、広い意味の開発事業でございます。従いまして、特定地域開発計画あるいは東北地方の開発計画、こういうふうな開発計画という意味ではございません。土地改良あるいは道路、河川その他の各種開発事業が行われる可能性の高いところから、この地籍調査を実施して参りたいという意味でございます。
  78. 北山愛郎

    ○北山委員 抽象的にはそういうことになるのですけれども、現実に三万五千町歩というものを割り当てるときに、申請によらないで、一定の計画によって割り当てるという場合には、何かのもう少し具体的な基準がなければならぬと思います。その辺はまだ考えてないのでしょうか。
  79. 植田俊雄

    植田政府委員 法律上は国がきめる方式に相なっておりましても、これを国から県に押しつけ、県から市町村に押しつけるという性格のものでもございませんので、その点は十分県あるいは県から市町村等の意向を承わりまして、そして実施可能なところと、国の方針とが合致いたしますようなところで、三万五千町歩の特定計画をきめて参りたいと考えております。
  80. 北山愛郎

    ○北山委員 それをきめる場合に、市町村ごとということでは、やはり単位としては非常に小さいのじゃないか。やはり地籍調査をやって、しかもそれが開発関連するということであれば、ある程度の広さがなければならぬ。私どもからいえば、土地調査ですから、調査利用関連する一単位ということになる、ですから、その地形によって、ある程度の広さが必要じゃないかと思うのです。単なる行政区域としての市町村単位で、ぼつぼつやるというのでは、直接に開発関連するとも言いかねるのですが、一体それらの関係はどういうふうに考えておりますか。たとえば、ある団地のある地区の市町村を一括して指定していくというふうにやっていくのか、ぼつぼつやっていくのか。
  81. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまのお話になりました点が、従来のやり方でございますと、なかなか実行が困難なわけでございまして、先ほど申しました各種開発事業にいたしましても、一つの市町村単位ではございませんで、関係の市町村が連合してやってくれないといけないわけです。従来のままでございますと、関連の数ヵ町村の中の一町村だけ希望しましても、他の町村がやってくれませんと、効果がなかったわけでございます。国としては、先ほどお答え申し上げましたように、その他の町村まで強制してやらせる手はございませんけれども、これを計画的にやるという趣旨に基きまして、そういった町村にも勧奨いたしまして、そうしてその開発事業関連のある市町村が、同時、あるいは年度は違うかもしれませんが、できるだけ近い年度において完成しまして、地籍調査の効果が上るように、指導して参りたいと考えております。
  82. 北山愛郎

    ○北山委員 これはわれわれの理想といいますか、考え方からいえば、地籍調査をしたり、それから土地分類調査をして、そうしてそれに伴って開発事業が進んでいくということであれば、私は調査が進むんじゃないかと思うのです。単に地籍の調査をするのだということだけでは、あるいは税金が上るかもしれぬと思ったりして、しり込みをするので、むしろ調査というものが、その次の開発計画との関連においてなされるというような工夫が必要でないかと思うのです。従って、先ほど申し上げたような、ある一単位の地区を土地利用の単位として、そこに地籍なり、土地分類調査を進めていって、それに基いてその地区における土地利用計画というものを指導して作らせる、そうして事業もそれにつけていくということにすれば、私はこの土地調査というものは進むんじゃないかと思うのです。そういうふうな構想はないのですか。
  83. 植田俊雄

    植田政府委員 私どもこの仕事を始めましてから、この進捗度が以外に悪いことを知りまして、ただいま北山先生のお話になりましたようなことが、最も解決の近道であるということは、心得ております。しかしながら、国土調査というものは、次にそういう事業をやるからと、予約するするというふうな形でやることはいかがと思うわけでございまして、性質といたしましては、直接のそういう関連は持たしたくないわけでございます。現実の問題といたしましては、そういった事業を実施いたします農林省なり建設省と十分連絡いたしまして、間接的にそういった役所の方からも、こういう調査の必要性を強調し、勧奨してもらうように持って参りたいと心得まして、その点は関係省とも十分連絡をとって、これからやることにいたしております。
  84. 北山愛郎

    ○北山委員 それは性質上適当でないというのではなくて、私は従来こういう調査がおくれているということは、単に住民が無理解だというのではなしに、政府の各機関がどだい考えていないのです。林野庁ですらも、約一世紀も国有林を持っておりながら、まだその区域内の調査が十分行き届いていないというくらいです。しかも、それ以外の水の調査であるとか、あるいは地質調査などに至っては、組織的には何らなされていないのです。狭い国土を持て余しているような格好なんです。それは何によるかというと、やはり一定の目標がないからで、目標を与えれば、その地域の住民がやるばかりでなくて、政府の各機関というものが一定の目標に向って調査をしていく、調査すれば、そこに一定の事業というものが発展していく、そういうことがないから、私はこの調査が進まないんだと思うのです。従って、その元締めになるものは、これは企画庁なんですから、企画庁は、この程度の法の改正くらいでは、まことにこれはもの足らないので、もう少し大きな角度に立ってこの土地調査、特にこの地籍の調査と私は土地分類調査、これなんか並行してやらなければならぬと思うのです。こういうものを総合的に組み立てて、それと開発事業をマッチさせる、こういう工夫をしてもらいたいと思うのです。特に最近の総合開発といえば、大きなダムを作ったり、大きな面積の農業開発をするというのが、どうも一般にいわれているのです。しかし、私からいえば、国土開発ということは、日本国土はもうある程度開発をされている。毎年一定の方式で開発されておる。これからの開発というやつは、むしろ性質の違った角度からの再開発なんですから、従って特に土地の関係の開発については、もう今までの場所におっても、この土地の性質というもの、あるいは地質というもの、土壌というものを十分調査し直さなければならぬ。狭い単位でこの開発計画を作り直さなければならぬのですから、総合開発の中に、大きな単位のものと、狭い単位のものと、両方作って進めなければならぬ。そういう場合において、国土調査というものが重要だと思うのです。ですから、そういう構想で一つお立てになっていただきたい。  それから水の調査についても先ほどお話がありましたが、これは一体どの程度に進んでいるのでしょうか。大ざっぱにいって、日本の水資源というものは何千億トンある。そのうち灌漑用がどのくらいだ、発電用がどのくらいだということ、これなんかもやはり計画的に進めていただかないことには水の問題が各地に起っておるので、この国内のエネルギーというものを高度に利用するためには、場合によっては灌漑用の水というものを節約をして、そうして日本の農業というものも、それに沿うて変えていくという構想が必要だと思うのです。この段階にくれば……。だから、私は水の調査についても、一体どの政府の機関がどの程度調査をしているか、これを一つお伺いしたいと思います。
  85. 植田俊雄

    植田政府委員 前段におっしゃいましたことは、私ども同感でございまして、実はそこまで言いたいところでございますけれども、そこまで言いますと、地籍調査というような割合に大衆受けのしない仕事を、何か開発事業のえさをもってつるような印象になるものでございまして、実は私どもも言いにくかった点でございます。気持としましては、全く同様でございますので、関係各省と連絡して、そういうふうに持って参りたいと思います。  それから水の調査の問題でございますが、これは水の利用形態ごとの調査は相当進んでおるわけでございます。たとえば電気でございますと、発電地点の調査は相当進んでおる。これもどの程度の正確度であるかは存じません旧けれども、逓信省以来相当やっていることも御承知の通りでございます。農林省は農林省で、水利の立場から調査いたしておるでございましょうし、建設省は治水の立場から調査いたしております。これを総合いたしまして、一つ調査でどの目的にも間に合うような調査をするというのが国土調査法の目的でございます。ところが、まことに遺憾なことでございますけれども、水の調査につきましては、ただいまのところは基本調査の段階しかできていないのでございまして、二十八年度から現在まで最上川、北上川、鬼怒川、常願寺川、高梁川、太田川、筑後川及び大野川の八河川につきまして、基本調査を実施いたしておる程度であります。基本調査と申しますのは、具体的な水量を調査するものではなくて、どの地点を選んで、そこを測定地点にし、そこで定量的な観測をすれば、その河川としての実態を把握できるかという、測定地点をきめるための調査でございまして、その程度基本調査は実施いたしておりますが、三十二年度におきましては、この八河川のうちの一部につきましては、基本調査でなく、実地調査に入れる見込みでございまして、まことに微々たるもので、申しわけないわけであります。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 この国土調査という問題が、国土開発上非常に重大なものであることを、大いに企画庁は宣伝してもらいたいと思います。非常にじみなことで、あと回しでもいいことだなどと一般に考えられております。おそらく国民の中でも、国土面積がまだ実測もされていないとか、水の調査もできていないとか、あるいは地質調査もできていないということは知らない、できているものだと思っておるのです。知らないから、のんきにかまえておるのですが、しかし、これはあらゆる開発の基本なんですから、もう少し宣伝をして――宣伝するばかりではなくて、もう少し構想の大きな法案を作っていただきたい。そうすれば、国会はこれはどんどんのんでいくと思うのです。政府部内でごたごたしないで、むしろ国会の方に相談をかける方がよろしいと思う。ですから、もう少し思い切った国土調査に関する構想というものを打ち出してもらいたい。  それからなお最後に、先ほど今度の地籍調査について農村青年建設隊ですか、あれを利用するというお話でしたが、これは建設青年隊として、ある程度研修の済んだ者を測量に使うのか、研修の過程において測量をさせるのか、それから、その予算は農林省の方の予算でやるのか、こっちの予算でやるのか、それらの点をもう少し具体的にお話願いたい。
  87. 植田俊雄

    植田政府委員 農林省に三十二年度、郷土青年対策費という研修費が計上に相なっておりまして、研修でございます。この中で、先ほど申しました、――これは農林省の予算で、今後実行上どうお変えになるかわかりませんが、一応私ども承知しております範囲におきましては、九百六十万円程度土地調査の研修に充てられるということになっております。おそらくこの研修の際におきまして、測量でありますとか、地形調査、こういうようなものにつきまして、相当程度の知識を持っていただきまして、その人たちが出身の町村に帰りまして、今後この町村における地籍調査の仕事の中核になっていただく、こういう性格のものでございます。予算といたしましては、この分だけは経済企画庁に計上すればいいわけでございますが、少額の金額を経済企画庁で持つよりも、むしろ農林省の全体の計画の中の一部としてやっていただいた方が実行上都合がいいと思いましたので、農林省の予算に計上に相なっております。
  88. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、農林省の方で研修した者が、それぞれの地域において地籍調査に従う、こういうふうな構想になっておるわけですね。
  89. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまのお話の通りでございます。
  90. 北山愛郎

    ○北山委員 あと、企画庁の長官に大ざっぱなことをお伺いすることを保留しまして、一応私の質問はこれで終ります。
  91. 川村善八郎

    川村(善)委員長代理 次会は、明後十二日午前十時より開会することとし、本日はこの程度で散会いたします。     午後三時四十五分散会