○
石谷政府委員 第一点の問題でございまするが、確かに
お話のように、
日本の
森林においては、
国有林におきましても約九割というのが現在並びに将来に向いまして
再生可能であり、従いまして
利用可能な
森林地域である。
民有林の場合はおそらくこの比率は高くなる、かように考えていただいて差しつかえないものと思うのでありますが、ただいまも
奥地林に例をとって御
説明申し上げましたように、いわゆる未
利用林というものがまだ相当
地域ある。この未
利用林はおおむね
天然成林でございまして、あるがままの姿で、非常に
生産力の低いままに放置されておる、こういう
状況にあるわけであります。従いまして、これらの
森林地域をすみやかに極力全面
開発いたしまして、全
森林が
生産活動の
態勢の中に取り入れられるごとになりますると、相応に
生産力を引き上げて参るということは可能であろうかと思っておりますが、それにいたしましても、やはりこれを
生産性の高い人工
造林地化することが、
生産力を引き上げる上からいいますと、最も手近な、しかも確実な方法である、かように考えまして、先ほど
国有林につきましては、将来の
目標を三百万
町歩と申し上げたわけでありますが、
民有林を合せまして大体千百万
町歩の
造林地の確保というところに実は
目標を置いておるわけであります。先ほど
国有林を百三万
町歩と申し上げましたが、
民有造林地は
昭和三十年末で四百三十五万
町歩、
両方を合せて、わずかに五百三十八万
町歩ということに相なるわけでございまするけれ
ども、これを約倍化するところまでは技術的にも可能であり、また将来の木林の
需給事情が非常に窮屈になるという前提に立ちます限りにおきましては、その辺の限界までは経済的にも成立する
状況ではなかろうか、かように私
ども考えておるのでございますが、実はそこまで
生産力を引き上げる努力をいたしましても、なおかつ
国内の
用材生産の
供給力と申しますか、
用材生産の力は、
素材に換算いたしまして二億一千万石
程度にしかならないものではなかろうか、かように考えるわけてあります。それに対しまして、一応
昭和三十
年度の
用材の
消費量は
年間一億四千五百万石といわれておるわけでございまして、これが現在の
経済自立五カ年
計画の
最終年度になりますと、一億六千八百万石くらいになるのじゃないか、こういわれているわけであります。今申し上げましたのは
素材の数字でございますが、そのほかに
立木の
材積として
年間約八千万石の
薪炭消費があるわけでありまして、現在の
森林生産力と現在の
消費量との間には、非常に大きな較差があることは事実でございまするけれ
ども、ただいま申し上げましたように進めて参りますと、相応に、現在の
国内の
森林生産力の引き上げによりましては、
需給度の向上が高められる、私
どもかように考えておるわけであります。
そこで将来の推算に相なるわけでございまするが、今から
造林地化して参りまするものが一応成林いたしまして、
利用の時期に達するまでには、大体三十年ないし四十年かかるわけであります。そのような時期におきましては、
国内の
用材の
需要量がどのくらいになるだろうかという推定を、いろいろな
資料からいたし、参るわけでございますが、二億七、八千万石には相なるのじゃなかろうか、それに対しまして二億一千万石の
生産しかないということになりますと、よほど
森林資源につきましては、
消費節約に努めることを第一義に取り上げませんと、なかなか
国内の
消費量を
国内の
生産力で完全にまかなえるということはできない、というような結論が出て参るのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
それから次の問題でございまするが、
国有林におきましては、
お尋ねがありましたように、これはきわめて
計画的な植伐の規制をいたしておるわけでございまして
経営案と称します十年
計画案に基きまして、その期間中に伐採いたしまする
地域、その
地域内の
立木石数、そういうものを予定いたしますと同時に、それが伐採されました跡に、毎年どのようなものを、どれだけずつ植えるというようなこと、並びにこれらの植伐の
事業を実施いたして参りますために必要な
搬出施設、さらにはその他の治山
事業等のものをこの十年
計画案に織り込みまして伐採と植栽が並行して参るようにやっておるわけであります。
そこで現在の
国有林の
生産力は、大体全体で
立木石数で四千七、八百万石というふうにお考えいただいてけっこうかと思うわけでございますが、ただいま申し上げましたように、
造林地化を進めて参る将来の
目標といたしましては、伐期を次第に低下して参るという措置を行うことによりまして、毎年の
生産量は大体倍化する、私
どもこのような大見当を持っておるわけでございます。従来は、
国有林は必要な長大材を
生産するということを
一つの任務の中に入れておりまして、長大材
生産をいたします場合に、長伐期の採用というようなこと、があったわけでございますが、近年の木材需要の形からは、必ずしも長大材を必要とするという
状況ではありません。極力単位
面積当りの
生産量を引き上げて参りますためには、ある一定の期間以降の伐期延長は必ずしも適当でないということを考えて参りますと、今申し上げましたような方法によって、極力
造林地化を進めるかたわら、低伐期の作業をやって参りませんと、現在の四千七、八百万石を約倍化するというところまでは進められないのではないか、かように考えておるわけでございます。
それから
お話のように、大体皆伐作業をとっておりまするところは、五十年輪伐の場合においては、五十分の一ずつの年伐
面積を伐採いたしまして、その跡に
植林するという方法をとっておるわけでございますが、このようなことによりまして小
面積の区域皆伐でありますならば、決して
治山治水上の心配はない、かように考えておりますけれ
ども、奥山になりまして、そういうような作業すらなかなかとりかねるというようなものにつきましては、いわゆる択伐という抜き切りで実際の伐採を行なっておる、こういう
状況でございます。