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1957-03-06 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月六日(水曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 川村善八郎君 理事 志賀健次郎君    理事 薄田 美朝君 理事 松田 鐵藏君    理事 竹谷源太郎君       愛知 揆一君    伊藤 郷一君       田中 正巳君    林  唯義君       井谷 正吉君    北山 愛郎君       中島  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      中山 榮一君         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉村 眞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道開発公庫法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六五号)  国土総合開発に関する件     —————————————
  2. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより会議を聞きます。  北海道開発公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。林唯義君。
  3. 林唯義

    ○林(唯)委員 開発庁関係の方にお伺いいたした、のですが、北海道開発庁を特に必要といたしましたる理由、とれを存置せしめるところの理由、並びに将来これを実施官庁として扱うかいなかという点に対する御所見を、まず先に伺いたいと思います。
  4. 中山榮一

    中山政府委員 お答えいたします。北海道は、御承知のごとく面積が非常に広いところでございまして、なおかつ地下資源等埋蔵量も非常に多いのでございます。しかも人口も、本土に比べると五分の一の稀薄さでございますので、この地下資源その他の開発をいたしまして、あすこの産業の隆盛をはかるとともに、人口本土の方からも移し植える、こういう重大な関係がただいまございますので、特に開発庁を設けまして、未開発北海道開発をはかるのが主たる目的でございます。
  5. 林唯義

    ○林(唯)委員 なお、将来にわたってこれを実施官庁とすることが、北海道開発のためにきわめて必要であるという意見が非常に多いのであります。それに対する御所見をお伺いいたします。
  6. 中山榮一

    中山政府委員 これは目下のところは、そこまでは考えておりません。
  7. 林唯義

    ○林(唯)委員 目下のところはお考えにならぬが、将来にわたってかような形態がいいか悪いかについては、御研究になっておるはずだと思うのであります。これについて……。
  8. 中山榮一

    中山政府委員 私ども考えを申し上げますならば、これは実施官庁にしていくことが、北海道開発仕事に最もふさわしい、将来のことを申せとおっしゃるならば、そういう考えを持っております。
  9. 林唯義

    ○林(唯)委員 ただいま政務次官のお話によりますれば、北海道開発庁のできたるゆえんは、北海道特殊事情を勘案しての結果である。加えて、なお北海道開発庁を将来実施官庁とするととが望ましい、という御意見のように了承いたしたのであります。しからば、北海道開発庁行政機構の上で特に設けなければならぬような特殊事情北海道にある。そういうことに相なりますと、北海道開発に関する予算というものは、いわゆる内地の諸県の予算とは違って、との特殊の事情を十分に前提といたして、予算が組まれておるべきはずだと思うのであります。ことに戦前北海道には、拓殖費という別個の項目を設けて、この予算実施に当って参りました。今日においてもさような伝統、習慣を引き継いで、北海道開発には特殊の事情を認めて、北海道限りにおけるそれぞれの所見を盛って予算が編成されてきておるものと私は考えるのでありますが、それに相違はございませんか。
  10. 吉村眞一

    吉村説明員 お答え申し上げます。北海道開発関係事業費実態につきましては、実は私、北海道開発庁事務予算だけをやっておりまして、答えるのには適当でないかと思いますが、事業費−大体公共事業費だと思いますが、そういった点、その他の事業費につきましては、北海道特色を認識して予算を編成しておるように私は伺っておるのでありますけれども、その点のはっきりしたお答えは、私にはできないのであります。
  11. 林唯義

    ○林(唯)委員 はっきりしたお答えではないでありましょうけれども、しかし大体において、それが私は常識だと思うのであります。しからば、もう一つお伺いいたしたいのは、北海道に対する財政支出において、さような特殊の取り計らいをされておる。そこで、この北海道開発公庫法というものは、政府財政支出において、北海道を特殊化するならば、特殊的に見るならば、金融面においても、背後の基盤は、同じ経済基盤とするのでありまするから、これは当然北海道特殊事情というものを十分お考えになるべきだと思うのであります。かつ、ただいままでの北海道開発公庫というものは、さような北海道金融面におけるところの特殊事情を勘案してできたものなりと私ども考えるのでありますが、御所見はどうでございましょうか。
  12. 吉村眞一

    吉村説明員 金融面につきましても、確かに北海道特殊事情にかんがみまして、現在の北海道開発公庫ができておりますし、そのために特別の財政支出をいたしておるというのは、お説の通りであると思います。
  13. 林唯義

    ○林(唯)委員 なお別の例をお伺いいたしたいと思いますが、日本開発銀行はどのようなことを営業目的とし、かつその監督官庁はいかように相なっておりましょうか。
  14. 吉村眞一

    吉村説明員 お答え申し上げます。開発銀行は、地域的には、北海道開発公庫のように北海道だけに限定されるものでなく、日本全国でありますが、業務につきましては、私、開発銀行の係ではございませんですから、わからないのでございますけれども北海道開発公庫開発銀行業務実質面については、若干の差異があるように聞いておるのでございます。しかし開発銀行自体業務内容を詳しく存じませんので、はっきりしたことは申し上げかねます。
  15. 林唯義

    ○林(唯)委員 開発銀行業務内容はおわかりにならぬにしても、大体において、北海道開発公庫と相当重複するところの業務内容を持っておることは明らかであります。そこで伺いたいのでありますが、日本開発銀行監督官庁はいかような形になっておりましょうか。
  16. 吉村眞一

    吉村説明員 大蔵省監督しております。
  17. 林唯義

    ○林(唯)委員 大蔵省ただ一省だけでありますか。
  18. 吉村眞一

    吉村説明員 大蔵省だけでございます。
  19. 林唯義

    ○林(唯)委員 私もさように了承しておるのであります。なお御出席の方でお答え願えるかどうか——東北開発に不可分の関係にある東北興業会社は、何省の所管になっておるか、それを一つ。私の考えでは、建設省一省のみと了承しておるが……。
  20. 植田俊雄

    植田政府委員 経済企画庁の方からお答え申し上げます。東北興業株式会社は、建設省一省の所管でございます。
  21. 林唯義

    ○林(唯)委員 開発庁関係の方にお伺いいたしたいのでありますが、この改正を意図されておるところの北海道開発公庫法は、監督官庁関係はいかように相なっておりますか。
  22. 田上辰雄

    田上政府委員 北海道開発公庫は、公庫法の規定に従いまして、主務大臣総理大臣大蔵大臣とになっております。従って、総理大臣と申しますの一は、現在北海道開発庁長官総理大臣監督権限を補佐しておるのでありまして、言葉をかえて申しますならば、北海道開発庁長官大蔵大臣とが共管をいたしておるということになるのであります。
  23. 林唯義

    ○林(唯)委員 それはただいままでの公庫はさようであったでありましょうが、これが改正に相なった暁あなた方の意図されておるところの、この法で東北金融を含むということになれば、この関係はいかように相なりますか。
  24. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま提案になっております北海道東北開発公庫の場合におきましては、法文上は総理大臣大蔵大臣の両監督下にあるということ一になりはしないかと思いますが、実質的には、新たに経済企画庁長官が、東北地方関係する所掌事務についてだけ監督をいたすということになるのであります。御承知通り経済企画庁総理府に属しておるのであります。との場合におきましても、総理大臣監督権限を 東北の部分についてのみ補佐をいたすということになるのであります。従って、今回の東北を加えました北海道東北開発公庫監督は、北海道開発庁長官 それから企画庁長官及び大蔵大臣、その三者の共管ということになるのでございます。  なお付言して申し上げますと、監督官庁が非常に多くなりまして、公庫監督事務上非常に煩瑣を来たすことを避けたいために、関係各省におきまして協議をいたしました結果、経済企画庁監督につきましては北海道開発庁窓口を一本にする、そして北海道開発庁経済企画庁十分協議をし、連絡を密にいたしまして、東北地方にかかわる所掌事務についてのみ内面的に、北海道開発庁窓口を通じて、経済企画庁監督の補足をやっていく、こういうことに申し合せをいたしておる次第でございます。
  25. 林唯義

    ○林(唯)委員 大蔵省関係の方に伺いたいのでありますが、元来これは、御存じのように北海道には北海道開発公庫を設ける、東北にも別個に独立した公庫を設けるというわれわれの構想が先になっておったのであります。ところが、先ほどあなたの御説明によると、経済基盤を全く異にしておるところの二つのもの、特に開発業務と表裏一体の関係にあるこの公庫の性質を考えるならば、当然東北は独立すべきものでなければならぬ。しかるにこれがどうして東北北海道開発公庫の一ただいま次長説明によりますると、窓口を一本にして北海道関係はこれをやる、そういうところへどういうわけで持っていかれたのですか、その点を伺いたい。
  26. 吉村眞一

    吉村説明員 地域的な特別の開発ということのための特別な金融という面におきまして、北海道及び東北は、特別の地方として金融を見ようということでございますから、その面におきまして一つ金融機関で扱う、そういう考えでございます。
  27. 林唯義

    ○林(唯)委員 北海道開発公庫は、そもそも最初から北海道地域的に限定され、北海道特殊事情前提といたしておるのであります。先ほどあなたの御説明にもあったように、日本開発銀行全国産業に向ってそれぞれの施策を行うように相なっておる。従って、私どもしろうとから見れば、わざわざここにある北海道開発公庫をいじらなくても、開発銀行の中に窓口を設けておやりになるということが、きわめて必要だと思う。この疑点が私どもにあるのであります。なぜそれをおやりにならなかったか。
  28. 吉村眞一

    吉村説明員 確かに、開発銀行の特殊な部門といたしまして東北金融を扱わせるという考えも、構想としてはあったのでございますが、その後のいろいろな交渉の結果、東北北海道と一別々に公庫がほしいという要望の折衷として、一つになったように私は聞いておるのでございます。
  29. 林唯義

    ○林(唯)委員 どういう事情でさように相なったのか、一つあなたの聞いておられる事情を承わりたい。
  30. 吉村眞一

    吉村説明員 先ほど私が申し上げましたように、地域金融を扱う機関として一つ公庫でやる、そういうことが、いろいろ事務費の面とか、そのほかにおきまして、より経済的ではなかろうか、地域開発を総合的な目で見るというのが経済的な基盤は確かに違うかもしれませんが、地域的な開発を統一的に見るという面で、同じ公庫でも目的が達せられるのではなかろうかということで一緒になったように聞いております。
  31. 林唯義

    ○林(唯)委員 どうも合点がいかぬのですが、地域的な区別というものが前提に相なれば、これをセパレートして考える方が常識なんです。北海道特殊事情東北特殊事情は全く異なっておる。それから第二点の、あなたの言う事務費その他の点を考慮するというのなら、開発銀行にやらせても、事務費の点は同じなんです。しかも北海道開発公庫というものは、ただいままで東北融資をしたような経験を何ら持っておらぬ。一方開発銀行は、東北に対しては融資をいたしておるところの経験をお持ちになっておる。経験、なれというものは、事務費を減らす大きな原因に相なるのであります。従って、あなたの今の御説明を聞くと、何もあなたをとがめるわけではないが、地域という点を前提にするならば、むしろ独立した別個の法人を作るべきである。それから今言った、なれとか事務費というのならば、開発銀行にやらすべきである。そういう点から何か話がすっきりしないのですが、そこのところをもう少しはっきり御説明願いたい。
  32. 吉村眞一

    吉村説明員 説明がまずいかもしれませんが、地域的な金融という面で、特別の公庫がほしいという御要望が非一常に強かったわけでございまして、その点は同じ公庫で扱った方がより経済的であるという点で、一つにしたということではないかと思っております。
  33. 林唯義

    ○林(唯)委員 これは同僚諸君にもう一度御判断願わなければならぬが、地域的に条件を全く別にし、いまだかつて融資経験のないものにやらした方が、経費が安上りで、円滑にいく、なれている開発銀行にやらせる方が、北海道開発公庫の中に含めるよりも条件が悪い、これはどう見ても私にはわからないのであります。その点もっと納得のいくように御説明を願いたい。もし所管関係であなたに説明しにくい点がありますれば、あらためて関係の人をお呼び出し願って御説明を願いたい。そこでこの点は保留いたしましょう。  第二に伺いたいのは、先ほど主計に御関係のあるあなたの口から、北海道開発については財政上特殊な措置を払っておる、特殊事情を勘案してやっておる、ということを聞いて、まことに愉快に思うのでありますけれども、同じ経済基盤で、一方において、こういうように財政では特殊な事情を勘案するが、金融面ではこれを一本にするということにすると、かような財政経済上の基礎観念が、財政の理念に影響を及ぼして、今後北海道特殊扱いにする必要はないのじゃないか、以前に北海道と一まとめにした例もあるじゃないかということで、今までの北海道の何十年来の財政的な伝統というものに、混濁を来たすところの憂いを私は痛感しておりますが、この点、主計を担任されるあなたの御意見を伺いたい。
  34. 吉村眞一

    吉村説明員 先ほど冒頭に申し上げましたように、私こちらにお呼び出しを受けておりますが、先ほどの御質問に答えるのにはあまり適当でないかとも考えますので、しかるべき適任者お答えさせていただいた方がよろしかろうと思います。
  35. 林唯義

    ○林(唯)委員 そこでもう一つ、これは開発庁の方にお聞きしますが、私ども主張としては、今日東北開発のきわめて緊要なことを考え財政上の立場、それからいろいろの点も考えて、必ずしもこれに異論を申すものじゃないんですけれども、先ほど指摘したように、それぞれ地域的な特殊事情があるとするならば、将来にわたっては、やはり本来の東北東北北海道北海道という別個の独立した姿に返したいというのが、われわれの偽わらざる念願なのであります。そこで、将来それをいかようにお計らいになるか、一つ責任者お答えを願いたいと思います。
  36. 田上辰雄

    田上政府委員 林委員のたびたびのお話にありました通り北海道特殊性は国家的に認められて参ったのであります。戦後特に北海道開発が国策として大きく取り上げられたのも、まさに北海道特色によるものと考えております。この北海道開発公庫も、北海道開発上の特殊性から、長い間の北海道関係者一同主張によって研究しました結果、昨年やっと設立になったものでございましてただいまお話のありました通りに、北海道開発公庫は、北海道開発公庫特殊性を阻害されず、このまま伸ばしていきたいと考えますのは、開発庁としても強い希望を持って参ったのであります。今回、東北が同じような開発公庫を必要といたします理由につきましては、−私どもも理解をいたし得るのでありますが、できることならば、東北開発上必要な公庫は、東北開発公庫として別途に作っていただき、北海道開発公庫は、せっかく順調な運営を見て参ったのでありますから、今後このままの姿で、ますます発展を期待していきたいと思って参ったのであります。しかしながら、政府部内の意見といたしまして、特に大蔵省関係に強い要請もありまして、また与党とのいろいろな折衝も経ました結果、政府といたしましても、この際は北海道及び東北を一体にした北海道東北開発公庫を作りまして、北海道開発公庫の使命を拡大すると同時に、東北要請にも応じていくという、一つの妥協的なものができ上ったわけでございます。政府の方針としまして、すでにそうきまったものでございますので、ただいま提案をいたしておりますような内容によってこの公庫のすみやかな発足をみたい、今日こう考えている次第であります。
  37. 林唯義

    ○林(唯)委員 私は、ただいまあなたがおっしゃったこの際とは、どの際か、どういうことなのかということを大蔵省関係に伺って、返答が得られなかったので、保留したのです。ただいまの田上次長の御答弁は、その点では蛇足です。さような経過は保留して、後刻聞くが、私があなたに聞こうとするのは、先ほど大蔵省の方が申されたように、両者に特殊事情があるとするならば、これを独立させるのが当りまえなんだ、よってもし政府がさように出ても、私どもは必ずしも賛意を表しかねる場合には賛意を表しませんけれども、かりに百歩を譲って、あなた方の御希望通り一本にするにしても、もしそうした場合に、そのままそれで通されるのか、それともまた、きわめて近い将来、可能な限り近い将来に、元の形に復元されることをあなた方は考えておられるのか、そこを聞きたいのです。この際がどの際かということは、別個のことなんです。
  38. 田上辰雄

    田上政府委員 先ほど申し上げましたように、北海道開発だけの見地から言いますならば、北海道開発公庫が現在の姿で発展していくことが望ましいと考えております。ただ東北の必要とされている開発公庫を別途に作ることができないとするならば、そして北海道開発仕事と兼ねて−東北地方北海道とほぼ同様な条件を持っておるということもいわれるので、そういう意味合いから、一緒にしてやっていくということならば、一応現在提案をいたしておりますような内容で進めて参るほかないと考えるのであります。将来の問題につきましては、なおいろいろな観点から研究を進めていきたいと考えております。
  39. 林唯義

    ○林(唯)委員 およそ、ものの常識の上で、現在は将来につながり、また将来を考えつつ現在を考えぬわけにはいかないのであります。政府は万般の施策を立てる場合に、将来のことはいずれ研究はいたすが、今日はとりあえずこれできめていこうというような、さような無責任なことはないと思う。ことに開発のごとき大業は、その場限り、今日限りの話ではいかぬ。私は別にあなたを責めるのではないが、次長も御遠慮になって言われていると思うのですけれども、率直にそこは一つ腹を割ってお話を願いたい。あなたは明敏な官吏なんだから、将来を考えて、今日を考えないはずはないと思いますので、その点、腹をお漏らし願いたい。
  40. 田上辰雄

    田上政府委員 林委員の重ねての御質問でございますが、ただいまお答えいたしましたことを繰り返して申し上げたいと思うのであります。
  41. 林唯義

    ○林(唯)委員 次長にそれをお伺いするのは無理なようですから、委員長政府を代表しておられる大臣の御答弁を伺いたいと思いますので、さようお取り計らいを願いたい。それも保留いたしておきたいと思います。まず手続上開発庁長官出席してもらって、その結果、必要あれば、大蔵大臣の御出席を願いたいと思います。
  42. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 ちょっと申し上げますが、大臣は病気のため出席できないようであります。回復次第……。
  43. 林唯義

    ○林(唯)委員 それじゃ一週間後でもけっこうです。
  44. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 わかりました。
  45. 林唯義

    ○林(唯)委員 そこで、なぜそういうことを特に聞くかということを、大臣を補佐される次長のお立場の参考のためにあらかじめ申し上げますが、私は何も分離の言質をここで得ようというのではない、ただ議論を進めるためには、分離をするということが前提でなければならない。そこはたんかいにお答え願いたい。私は何も意地の悪い質問をしようというのではない。というのは、今後これで債券発行いたすのです。そうすると、これが将来にわたって、もし北海道東北とが分離をいたしたような場合には、その債券の取扱いをいかように分離されるのか。それから現在そうでなくても、社債その他の発行に非常に困難なときに、将来どこへ持っていかれるかわからない債券というものは、なかなか消化上困難であります。現に今朝債券業者に確かめてみたら、それをあとでだれが払うかわからないということになると、発行条件が非常に不利だということを、責任ある債券業者が私に言っている。そういうような分離される意思がないならば、ないでもって、将来にわたってもこれ一本でいって、決して北海道東北と離さない、北海道特殊事情は永久に隠忍自重させるのだ、こいうことならば、私ども別個立場から考える。いろいろな事情を腹蔵なく考えられて、分離されるという点にあなた方の希望も一致されるとするならば、私は今言った将来をおもんぱかって、債券の点を非常に心配する、その点はいかようにお考えになっておるか、ちょっと伺いたいと思います。
  46. 田上辰雄

    田上政府委員 将来分離することを前提としてのお話でございますが、この点につきましては、分離するのだということを前提としてお答えをいたすわけにはいかないと思います。従って、また私ども事務当局といたしましても、分離する場合の債券発行がどうなるかというふうな点につきましても、深い研究をいたしておるわけではございません。ただ、せっかくのお尋ねでもございますので、私として考えるところを申し上げますと、債券発行いたします場合には、むろんいろいろな条件が必要なのでありまして、その主体が動くというふうなことは、ただいま林委員お話のごとく、証券業者にいたしましても、一般応募者にいたしましても、非常な不満を感じることはお話通りだと思います。従って、そういう実態のもとに、仮定的なものを発行することは、実際上相当考慮を要するところであろうと思います。具体的に申し上げますと、最近でも公庫は六億円の債券を募集しておりますが、これは幸いにして、銀行初め各界がこれを完全に消化いたしておるようでございます。今後この法案が通りまして、北海道東北開発公庫となります際には、これは新たにできた主体がそのまま受け継ぐわけでございます。これにつきましては、内容が少しも変更になるわけではなくて、事業の範囲が広がり、規模が大きくなるということだけだと考えられるのでありまして、すべての諸条件は同一でございますので、問題はございません。しかしながら、これをかりに分離することを考えますると、そこにいろいろな問題が考えられると思います。たとえば資本の分け方をどうするか、かりに大蔵省内示によりますると、今日この案によりまする二十五億円のうち、五億円は東北分ということになっておるのでありますから、かりに分れるとすれば、内示内容によりまして、資本は比較的簡単に分け得ることかと考えます。しかしながら、人の問題とか機構の問題とか、いろいろ問題は残るであろうと思います。また一番問題になりますのは債券の問題であろうかと思います。これの分け方も、いずれそのときになりまして、法律によって決定しなければならぬということが考えられます。法律に決定すれば、極端に申しますと、法律によってどうでも決定できると考えられますが、その基礎には合理性がなければならないと考えます。従って、その債券をどう分けるかというような問題については、いろいろな要素から、これを合理的に分けるように問題を研究していかなければならぬというふうに考えられるのであります。また経営主体につきましても、経営上のいろいろな経費の問題については問題が起ると思います。まことに抽象的ではございますが、一応考えられますような問題点だけを申し上げて、答弁にかえたいと思います。
  47. 林唯義

    ○林(唯)委員 ちょっとよくわからなかったのですが、つまりかりに分離するという話があるとしても、分離した場合の債券の分け方というものは、実は前例がないのです。その場合には、非常に困難な、めんどうな要素がいろいろあるが、法的に何とかそのときに片をつける、しかし法的に無理な片のつけ方でなしに、合理的に片づけたいと思っておる、こうおっしゃったように私は思います。しかしながら、その場合に、こういう前例がないことから見ても、なかなか困難であることはわかると思う。これを議論をすると非常に御迷惑のようなんで、あとでゆるゆる触れさせてもらうことにして、先ほどあなたは将来分離することについて、非常に憶病に御返事になっておる。また何かはっきりしたものにお触れにならぬように思っておるが、われわれの党の政務調査会では——党のことを申し上げて恐縮ですが、累次この研究を重ねて参った。その席上にあなたはおられてその空気を知られておるのではないか。この委員会も 簡単に無条件で、このままこの案が通る空気でないことは、あなた十分御存じなんです。またそれを御存じなしには、大臣を政治的に補佐することはできないわけです。そこで、これは次長でなしに、政務次官にお伺いしたいのですが、そういう事情、特に政務次官は御存じなんだが、そこのところは、もう一度議論を進める上にも、それがはっきりせぬことには議論が進められません。また、この問題が未解決の間は、審議をこのまま進めるわけにいかなくなる。その辺の事情を御参酌に相なって、一つもう一度、大臣欠席中にで一も、ものがすなおに進むように、とっくり腹を据えて、腹をぶちあけてお話を願えれば、けっこうだと思います。
  48. 中山榮一

    中山政府委員 お答えいたします。ただいまの公庫の問題ですが、これはただいま田上政府委員からもるる話した通りでございまして現在の場合におきましては、やや事情の類似する特殊の地帯でございますので、北海道東北を合せて考えても、無理はないのじゃないかということでございます。ただ御指摘の通り北海道には北海道特殊事情がございます。また東北には東北の特殊の事情もございますので、理想を言いますと、二つの独立した公庫を立てるべきだと思いまするが、現在の段階におきましては、今度提案をいたしまして御審議を願うような形が、一番理想的な形じゃないか、かように考えておるような次第でございます。
  49. 林唯義

    ○林(唯)委員 現在の立場としてこれが理想的であるかどうかは、追って審議の上で、私ども意見は明白にいたします。ただ、あなたのお話の中で、まことにわが意を得たのでありますが、両者の地域特殊事情考えて、これを別個にすることが理想だとおっしゃった。政治でも行政でも、日一日、歩一歩、理想に近づけるということが、政治の責任であり、行政の責任であります。従って、そういう考えを持っておる以上は、理想に近づける行政上の責任があなた方におありになると思うが、その責任をいかようにお考えになりましょうか、お伺いいたします。
  50. 中山榮一

    中山政府委員 お答えいたします。理想ではございませんが、やはり現実ということも大いに考えなくてはなりませんので、ただいまの状態におきましては、提案をいたしましたような状態が一番適当な形ではなかろうか、さような考え方をしておるわけです。——これでは御質問と違いますか。
  51. 林唯義

    ○林(唯)委員 違います。今日理想であるかいなかは、われわれ疑点があるのですが、百歩譲って、かりにあなたの意見をいいとしても、将来これを分離することが理想であるとおっしゃるならば、あなたは政治家の責任として、かつ行政官庁の責任者として、さような理想の点に向って実現をはかっていくということがお互いの責任だ、こういう工合にお考えになりませんか、こういうことを申し上げておる。行政官庁を預かられて、おるあなたの、また自治庁のお気持としてさような理想は理想である、これは紙の上に書いたことなんで、おれの知ったことでないとおっしゃるならば、万やむを得ない。そうすると、これは別個の角度から、ものを申し上げるよりない。お互いに国政の一端に携わる者としては、政治なり行政なりの理想を具現するために努力することは当然です。一つそう四角ばらずに、ざっくばらんにおっしゃってもらいたい。
  52. 中山榮一

    中山政府委員 御趣旨ごもっともでありますが、ただいまの段階におきましては、一応これで発足をいたしまして現実にやってみる。そうした上で、どうもこれはやはり二つにした方がいいというような結論が出て参りますれば、そこで考えた方がよろしいと考えております。
  53. 林唯義

    ○林(唯)委員 どうも先ほどの大蔵省関係答弁が不十分であるのは、これは人をかえればまた話になるのでしょうが、仕事をやる上に、きょうやってみて、しくじれば、あしたやり直すというようなことは、これは無責任なやり方だと僕は思うのです。田上君は役人をずいぶん長いことやっておられるのだから、あなたの役人の経歴を通じて、そんな無責任なことはされないで、今日は明日へのステップということがお互いの行政の原則であり、かつ役人として禄をはむ者として、当然の良心なんです。きょうやってみて、しくじった、しくじったら、しくじったときのことさ、これでは、同僚の諸君も審議のしょうがないじゃないですか。われわれが北海道開発という問題の解決をはかる一環としてこの施策考える場合には、五十年、百年先の一北海道の将来というものを考えずしては、私どもは審議ができない。あなた方の、まあやってみて、しくじったら、そのときのことさという、その場つなぎの話では、審議のできようがないじゃないですか。私どもは好意を持ってこの案を審議しておるのだから、そこを一つ、将来にわたっていいことをやるならやるように努力します。こうおつしゃれば、しごく簡単に話はつくのです。やるように努力いたしますと、いうことを言わぬということは、あなた方役人としての良心に恥じることなんで、ここは率直に友人としても警告するのですが、一つさようにお答えになったらどうですか。
  54. 田上辰雄

    田上政府委員 御指名の御質問でありますので、お答えいたしますが、先ほど申しましたように、北海道特殊性から、北海道開発公庫を現在のまま  で伸ばしていきたいという考えをはっきり持っておりまして、そういう意味で、この法案ができる前におきまして、私どもとしましては全力を尽した  つもりであります。しかしながら、党の御意見もあり、また内閣といたしま−して政府が方針をきめたものに対しましては、私どもは、決定した政府の方針によりまして、その実現にあくまでも努力するのが当然であろうと思います。従いまして、ただいま政務次官からもお答え申しました通りに、この原案をどうか御審議いただきまして、この趣旨を通していただきたいということをお願いするのであります。なお、これが実現した暁において、いろいろ具体的な支障が生じて参りましたならば、その暁において、それを理由に、いろいろまた新しい検討がなされる、そういうこともあり得るということを私ども考えておるのであります。しかしながら、今日の段階におきましては、この原案をぜひ貫徹いたしたい、こう考えております。
  55. 中山榮一

    中山政府委員 先ほど私が申し上げました言葉に誤解があるといけませんので、一応執行して申し上げておきたいと思います。これは、この姿でやってみて、まずかったらどうという、そういう意味ではないのであります。一応この姿でステップを踏み出す、理想に近づこうとする意図で、さようなことを申し上げたわけでありますから、誤解のないようにお願いいたします。
  56. 林唯義

    ○林(唯)委員 だんだん私の注文のところに近づいたように思うのですが、分離するのが理想である。かつまた、今の次長の言葉の中に容易ならざる話があるので、党の関係政府関係で、意はなはだ満たなかったけれども、その事前には、ただいま私が指摘したような分離の原則の方がほんとうだと思って努力してみたが、うまくいかなかったというお話があった。役人は努力された、努力されたと言うのでありますが、どのような努力をされたか、またその努力をされたときの案はどのようなものであったか、それを御説明願いたい。これは審議上大事なことだから、次会に延ばすならば延ばすでいいが、輪郭だけ一応伺いたい。
  57. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいまお答えをいたしました限度で、御了解を願いたいと思います。
  58. 林唯義

    ○林(唯)委員 どうも了解いたしかねるが、分離ということで、さように考えておったと、私は私なりに判断いたしますよ。そうして、考えてやった、党内事情その他の関係で、そうはいかなかったが、かように考えておったということ、並びにそのための作業が進められておるということ、これはお認めになるのですね。そうすれば、その作業をお進めになる途上では、行政府ですから、いろいろの資料をお考えになっただろうが、その途上では、さっきの債券分離の場合にはどのように相なるかということは、当然お考えになっての事項であろうし、それを考えない行政というものはない。当時においては、この債券分離をいかようにお考えになったか、あまり前例のないことですから、特に参考のために伺っておきます。
  59. 田上辰雄

    田上政府委員 率直に申し上げまして、分離のことは私は考えておりませんでした。従ってこの問題を具体的に研究はいたしておらなかったのであります。ただ、先ほど申し上げましたように、北海道開発公庫をそのまま拡充することに全力をいたしたのでありまして、その結果、東北北海道一つにした北海道東北開発公庫案というものができましたので、それがお手元に差し上げてありまする法案であります。
  60. 林唯義

    ○林(唯)委員 あなたはおっしゃりにくいようだから、川村さんが出られてから、あらためて聞きましょう。大臣大臣なりに大まかな決断のあるものだと思いますから、それまで保留しておきますが、直接経済とつながる債権債務の保証なしには、この法案というものは審議はできません。人の権利の問題ですから、この点は、あなた方責任を感ずる者としては、個人々々の権利の問題だということをお考えになって当然だと思う。将来にわたってのそういう構想が、すでに行政府の一角にあってまたわれわれの党における空気というものも、可能な範囲で、なるべく独立さしたいという空気のあることは、あなた方委員会の席上においてごらんになっているはずである。従って、あなた方としては、かような場合を考慮せずしてはものは考えられないはずで、しかも、事は債権債務に関する重大なことであるから、この一点を無視しては、この審議は進められない。従ってあなた方は、大臣を補佐されてこの点を明確に筋道を立てていただくように御努力を願いたい。  そこで、たくさん保留一になってしまったのでありますが、もう一つお伺いいたしますけれども、これを改名することによって事務上どういうことが  できますか。たとえば判こを変えるとか、文書を変えるとか、いろいろ繁雑なことが起るのじゃないですか。もしそういうことが起るとすれば、それらの経費は大体において幾らお見込みになっているか。およそ事業をやるものならば、会社を改名して、吸収合併した場合には幾らかかるかというコストを考えずには、事業はできないのであります。松田理事長がおいでになるが、政府の金だからといって、無見当にお出しになっているのではないでしょう。あらゆる場合のコストをお考えになってやっておられるのでしょう。従って、かような案を出すには、この改名によるところの公庫負担は幾らであるか。この公庫負担の背景をなすところのものは、いまだにそう債券発行されていないのだから、国民の血税なんだ。その点は、まさか御用意になっていないとはおっしゃられないでしょうから、それを一つ説明願いたい。
  61. 田上辰雄

    田上政府委員 お話通り北海道開発公庫北海道東北開発公庫になります場合において、名称が変りますから、看板も変えなければならないし、書類も変更をいたさなければならないということはございます。そのほか新設なるがゆえに、新しい事務所を置かなければならぬという費用もございます。人員も、そのために増員をいたします。これらの費用はございますが、今ここにまとまったものを用意しておりませんので、それにつきましては、後刻調査をいたしまして近い機会に提出をいたしたいと思います。
  62. 林唯義

    ○林(唯)委員 調査してあるというなら、近い機会ということではないでしょう。電話をおかけになったら、取れるじゃないですか。コストを考えずしてやれるわけはないんだから、ここへお取り寄せを願いたい。そのお取り寄せになるまでの間、質問を続行さしていただきます。  そこで所管の問題ですが、開発銀行大蔵省所管という、きわめて簡単な一本の所管なんです。ところが、この公庫は、右へ向けば、北海道開発庁のおじさんがおる。左へ向けば、経済企画庁のおじさんがおる。それから大蔵省のこわいおじさんがおる。こういう工合に、複雑な監督機関を持ったやり方というものは、金融事務のような生きているものを扱うには、どうも不適当だと思う。金融はその日その日の状況をつかんでやるのが当然で、生きものなんです。たくさんおじさんを控えたやり方というものは、いたずらに官僚の介入を招いて、非常によくない結果に相なる。これは今まで幾多の行政の例で、あなた方は痛感されておるのじゃないか。だからこそ、開発銀行は、貸付業務の中に、通産省の関係があり、また農林省の関係があるが、これを単一に大蔵省所管にした、まことにけっこうであります。ひとり北海道開発のみは——あなたは窓口を一本にしたとおっしゃるが、受付のポストは一本になるかどうか、そんなことはどうでもよい。書類を現実に預かって会議に臨んで、その審議はどの官庁がどのくらいやるか、これが実質の問題なんです。形式上ポストがあなたの役所の表にあろうが、左にあろうが、そのポストはどうでもい、ポストを通った書類に手を触れる者がだれなのか、ということが問題なんです。開発銀行のように、この公庫の資金の何十倍というものを運転するものが大蔵省一本で運営されておってそのわずか十分の一のものが、さようにたくさんのおじさんを持つということは、経済常識から考えても工合が悪い。また、かようなことは、なるべく介入の範囲を狭くして、即決してやるという機能がなければ、実際において経済の活発な動きはつかめない。開発銀行の例と比較して、あまりにどうも違い過ぎる。なお調べてみると、三つの官庁にわたって口を出したという金融機関はないそうですね。あとはやはり大蔵省一本、ひとりこれのみが三つの官庁にまたがっておるという合理的理由一つ説明願います。
  63. 田上辰雄

    田上政府委員 監督官庁をできるだけ少くして、事務の繁雑を来たさないようにすることが必要であるという、ただいまの林委員の御意見は、ごもっともでありまして、私どももできるだけそういうことをするべきだと考えます。ただこの公庫は、北海道開発計画と密接不可分のものであります。同時にまた東北におきましても、東北の計画に沿うた行き方でなければならないと考えます。大蔵省はもちろん金融上の監督を必要といたしますので、この三者が公庫と関連を密接にし、必要な監督をいたしていくというのは、これもまた当然であろうかと思うのであります。ただ、できるだけただいまお話のような線に沿いたい、事務的に監督を複雑にすべきでないという観点から、窓口をできるだけ簡素化するということで、各省間に協定をいたしまして、そうして大蔵省開発庁関係は従来通りでございますが、新たに監督に加わります経済企画庁監督につきましては、開発庁窓口を一本にして、そうして事務の監督の分野も、東北地方に関する分だけに限るというふうに協定をいたしまして、できるだけその繁雑さを避け、混淆を来たさないように留意をいたして参りたい、こう考えるのであります。
  64. 林唯義

    ○林(唯)委員 窓口ということはどういうことなんです。どういう仕事窓口なんです。
  65. 田上辰雄

    田上政府委員 公庫の一般的監督でございますが、これをいろいろ具体的に分けまして特に経済企画庁所管の事務につきまして具体的に申し上げますならば、従たる事務所を認可する場合、業務方法書の認可の場合、事業計画及び資金計画の認可、それから業務監督上必要な命令及び報告、あるいは立ち入り検査の諸事項がございます。こういうものにつきましては、東北振興にかかわる企画をいたしております企画庁が最小限度必要とする監督の事務でありますので、これらにつきましては企画庁の監督所掌事務にいたす、ただ、これらのものにつきましても、公庫といたしましては、北海道開発庁に書類を提出いたしますれば、特に経済企画庁に直接同種のものを出さなくとも、開発庁の審査を経まして、経済企画庁協議の意味で回すということで、事務的な簡素化をはかりたい、こう考えております。
  66. 林唯義

    ○林(唯)委員 どうも説明を伺うと、今の大きな事業計画、資金計画、監督上の必要な命令という重要な事項は、それぞれ三つの関係が介入をいたす仕組みになっておるようであります。日本の行政上で、官僚政治の煩瑣な機構を改善するということは、長い間の懸案です。あなたの説明を聞くと、書類を受け付けるところを一カ所作っておけばいいだろう、という意見と同じなんです。この三本に出す書類を、一本にして開発庁は受け付ける、開発庁は三人を集めて会議をする、その進行係をするだけで、事態の重要なことに対する介入を阻止することには、何にもなっておらぬ。これは少しおかしいではないですか。複雑なものを簡素化するために、窓口を一本にしたという言いわけは立たぬですよ。ただ進行係を設けたということだけで、複雑だという実態は少しもよくなっておらぬ。もう一度よくお考えになって御答弁願いたい。これはあとで厄介な問題になる。
  67. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま申しました各事項につきましては、実質的には経済企画庁が関与せざるを得ないのであります。従って簡素にいたしますというのは、事務的な書類を少くて済ませる。公庫があちらこちらに持って回らぬで済むという事務的な簡素化だけを一申しておるのであります。しかしながら、もう一つ申し上げなければならないのは、公庫に対する法人の一般的監督というのは、北海道開発庁だけで済ませるということが、実質的に簡素化した一つ機構でございます。
  68. 林唯義

    ○林(唯)委員 先ほどあなたの話によると、事督計画、資金計画とか、いろいろの監督上の必要なることは、書類をあなたの方の北海道開発のポストを通して、おのおのが共管になる。そうすると、今あなたのおっしゃった何とかだけは、北海道開発庁だけでやる、何か話が違うように思うが、どうですか。
  69. 田上辰雄

    田上政府委員 一般的法人監督権と申しますか、たとえば役員の任免なんかもその一つでございます。法人としての手続どいうこともいろいろございますが、そういう一般的な監督は、これは従来通り北海道開発庁大蔵省だけで済む、こういうことを申し上げております。
  70. 林唯義

    ○林(唯)委員 これは北海道開発庁次長のあなたにしては、奇怪国なことをおっしゃる。人事、もとより大事だから、開発庁が人事を主管する、いろいろの書類、命令はあなたがたが出す、これだけでいいものなら、あなたの方で予算に携わるという実態がなかったら、変なものです。あなたの方の北海道開発仕事を例にとりますけれども、人事を預かることのほかに、事業計画及びそれに関する資金計画をやるというのが、北海道開発庁を置く特に必要なる事由である。その中から、資金計画とかなんとかだけはほかの方との相談であります。私の方は人事でありまして、書類は私のポストを通ります。それで簡素化できます。これはちょっと変で、やはり根本は事業の資金計画というものを簡素にし、しかも有効に力強く運ぶということが大事なんです。北海道開発庁一つだけでやっておらぬ。相変らず一番大事な、かなめの点は、三省共管に相なることだけは間違いないですね。これは今までより見てよほど複雑なことになり一ませんか。金融の大原則というものは一本だと思うのです。つまり現在の、ことに開発銀行の性質から見て、産業開発のために必要だというその経済効用を考えてという大筋が一本。しかし東北には東北の利権があり、北海道には北海道の利権がある。これがおのおの一本の事業資金計画に盛られるということになれば、論戦も論難も戦わされよう。しかも、そこにたくさんの者が集まってやっていくということになれば、衆知を尽すから、時間もかかろう、煩瑣にもなろう、これは当りまえのことです。さらに頭を翻して、今までのいきさつを全部忘れて、これがたとえば経験のあるところの開発銀行、もしくは別に東北開発公庫を設けてやることになれば、これはまことに簡単に済む理屈なんです。再び繰り返して言うが、金融は生きものなんです。しかも開発施策というものは、地域々々で特殊の事情があるから、その特殊事情を勘案するとすれば、これは二本にしてやればまことに簡単に済む。一本にするために、今のような苦しい仕組みを考えなければならぬ。あなたも苦しい答弁をしなければならぬ。こういうことになるのです。だから、先ほどのところに返るが、さような点から考えても、将来はこれは何とか考えなければならぬということは、今日において予見されるのではないですか。その点どうでしょうか、伺います。
  71. 田上辰雄

    田上政府委員 林委員お話通り、現在まで北海道開発公庫監督しておりまする監督の程度と、今度新たに東北が加わることによって経済企画庁が入りましたために、監督上いろいろ複雑化を来たすという根本の問題については、お話通りであります。ただ私が申し上げましたのは、企画庁が入るにしましても、できるだけ事務の煩瑣を避ける、そうして最小限度の企画庁の所要事務に限定して、公庫にとりましても、事務的な煩瑣をできるだけ少くするような努力をして、ただいま申し上げましたような内容にしたということを申し上げておるのであります。これを開発銀行のワクとして東北考える・という考えのもとに比較したお話がございましたが、開発銀行一つのワクとして東北分を扱うということになりました場合と公庫を比較するならば、監督上の相当な煩瑣をこの法案の場合には見ておるということは、林委員のおっしゃるような結果になるかと思います。
  72. 林唯義

    ○林(唯)委員 先ほど来いろいろ話を聞いているが、どうも私の頭の悪いせいなんでしょうな。奇々怪々で、一つも筋の通ったお答えがなされない。それから、ここに特に一緒にしなければならぬ経過もわかわらず、政府の方針もわからず、ことに債権債務の関係も見通しがつかぬ。ただ、その場なりの仕事のような印象を受けるんです。これは今日この場は一応私の質問は打ち切って、その点は後日人を改めるか、もしくはもう一度この関係者の方々に御勉強を願うということにして、本日はこの程度にして、この次まで質問を留保しておきます。
  73. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 議事進行について……。今まで相当長時間にわたりまして、先日本委員会の審議に付せられました北海道開発公庫法の一部を改正する法律案に関する林委員からの質問に対しまして、中山政務次官並びに田上次長からるる御説明がありました。これを拝聴していますと、北海道東北の両地域に対する政府関係金融機関でありまする開発公庫は、理想としては別々に作った方がよろしい。しかしながら昨年北海道開発公庫というものができたのであり、これに便宜東北の方も入らせてもらってとりあえず一緒にやってくれ、どうしても工合が悪ければ、そのときは分離する、このようなふうに私は受け取ったのでありますが、そういうふうな御答弁であったかどうか、それを確かめたい、またこれに関する経済企画庁長官の御意見も拝聴したいと思います。
  74. 中山榮一

    中山政府委員 お答えいたします。先ほど申し上げました通り北海道には北海道特殊事情があり、東北には東北特殊事情がございますから、理想を言いますと、別々に独立したものを持った方が適当だと思うのでございまするが、ただいまの段階におきましては、やはり北海道東北とを一緒にしたもので発足するのが適当だ、こういう意味でございましてやってみて悪かったら、という前提ではございません。つまり理想に持っていく一つのステップとしてそういう踏み出し方をするのが、ただいまの段階としては最も適当だ、こういう意味でございます。
  75. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 開発公庫は、やはり北海道東北地方との両方に分離しておくべきものであるというのが理想である、こういうふうに考えております。ただ、ただいま政務次官からも話がありましたように、経過の措置といたしまして今回はこういうふうな措置をとってある。こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  76. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 経済企画庁長官並びに中山政務次官のお話によりますると、やはり北海道東北は別々に開発公庫を設くべきである、そういう理想である。しかしながら、とりあえず一緒にしてやるのだ、こういう御回答でございますが、これはとんでもない話じゃないかと思う。理想として、初めから北海道東北はそれぞれ地域的な特殊性を持っておるから、別々にやった方がよろしい、こういう御見解であり、なおまた、先ほど林委員から、今一緒にやっても、そのうち分けなければならぬということになると、いろんな面で非常な困難性を伴ってくる、そういうめんどうが、はっきり今から予測せられるではないか、それをどう考えるかという突っ込んだ質問があり、これに対して明快な御答弁がありません。そのようなことでは、北海道並びに東北の今後の偉大な発展、そして日本に寄与すべき開発をなす、この前提となる政府関係の重大な金融機関に対しまして、機構において初めから疑問があり、理想とほど遠いものを、経過的に今一緒くたにしてやるのだということでは、初めから失敗することを予見してこの法案を出したように考えられる。しかも政府部内にも、これは別々にすべきだという相当な議論もあったようであり、また自民党の有力議員から、これに関しましてほとんど反対的な——北海道東北開発公庫というものには反対であり、初めから分離すべきであるという、そういう御意見に基くような質問に受け取れた。与党内部にそのような非常な異論があり、政府部内においても、初めから北海道東北は別々に開発公庫分離して作るべきであるという理想論を持ち、またそのような意見も強い、こういうときに当って、一応政府提案でありますから、内閣の閣議を経たものであろうかとは存じますが、このような、将来どうなるかわからぬ不確定の、自信のない、理想とほど遠いこの北海道東北開発公庫というような、一体としたものをここに法案として出しておりますけれども、このような政府部内において、あるいは与党との間に意見の調整も見ていない法案は、よろしく政府としては引っ込めまして、慎重考究の上出し直すべきである。そうして、理想としては、現実としてはというような、理想と現実を分けて、ばらばらにして、われわれ委員として、どういうふうにこの法案をとってよいか、これについて政府の確信のないような、こういう法案の審議はできないと思う。一つ撤回をして出し直したらいいのじゃないか、経済企画庁長官の御答弁を承わりたい。
  77. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 私は、この現在の資本金の程度、本年金融する大体のワクの限界においては、東北北海道を分ける必要はないと考えております。現在の資本金の程度、現在の金融の程度においては、本年度においてはこれを分離する必要はない。しかし将来、資本金を増し、また融資すべき金額は増大しなくてはならないものと思われますから、その節には、必ずやこれは分離すべき方向にいかなくてはならないものであろうと、こういうふうに考えております。本提案について、非常な不都合があるとは存じておりません。
  78. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今、大臣の御意見を伺いますと、一そうはっきりする。初めからこれは分離しなければならぬ、そうすべきものであり、北海道並びに東北開発のために、もっともっと資金を導入しなければならぬと思う。そうすれば、分離しなければならぬことは数年、あるいは明年度くらいになるか承しれぬ、三十三年度くらいになるかもしれぬ。そういうことで、目前に分離すべき情勢にあり、またそうしなければならぬと政府考えておりますならば、今小さいとはいいながら、北海道東北を合せると百数十億の資金上の大金融機関であります。今これをはっきり分離して、りっぱなスタートをする方がいいのじゃないか。先ほど林さんが非常に心配されたように、分離のときには非常に問題になる、また将来どうなるかわからぬこの北海道東北開発公庫が、一般の民間資金等を吸収する上においても非常に不安で、債券の応募に対して二の足を踏む、こういう情勢にあるというようなお話もありました通り、もうすでに小さいことではない、相当大きな、そして重要な目的仕事を持った開発公庫でありますので、今からそれを二つにしたらいいという御見解に当然なると思う。だから一つ考え直して出すべきである。今企画庁長官お話を承わると、これはもう当然そういう論理の帰結となると思う。これは三大臣所管にそれぞれ属するようであり、大蔵大臣なり、あるいは北海道開発庁長官の御意見も承わらなければなりませんが、一つ十分御検討を願いたい。これをお伺いして、もっと自信のある、そして一両年のうちにすぐ改正することが予見せられるような法案は、これは御遠慮を願いたい、こう思うのであります。
  79. 林唯義

    ○林(唯)委員 ちょっと竹谷委員の御質問に対して弁明さしていただきたいのであります。私が何かこれを頭から否定するような話であったが、私は審議上、さようなことが前提として考えられておるか、おらぬかということは、この審議の上で重要である。私はその審議の盲点を指摘したわけであります。そうして、私が否定的であるかどうかということは、さような前提と、その結果の判定、しかる後に私の腹はきまるので、決して否定的ではないということを竹谷委員は御了承を願いたい。ただ一点不思議に思うのは、今、企画庁長官がお見えになって、理想であり、またさようにいかねばならぬと思うというお話、先ほど政務次官は、大臣のおらぬときは、さようなことまで考えておりませんと言う。宇田さんは大へん頭の進んだ方で、そこまで考えておると言う。私に対するお答えが、経済企画庁長官開発庁と、意見の食い違いがあると思う。この点、どちらかはっきりしていただきたい。もしこの一点でさえさような食い違いがあるということなら、将来開発主体とする、あるいは対象とする数十年にわたる資金計画その他にも、これにいや増すところの論争が起る。これは議案を進行する上にきわめて重大なことですから、一つ両者の間に、その点どういうふうになるか、はっきりお答え願いたい。
  80. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 私の申し上げておりますことは、要するに現在の資本金、また現在の金融すべき金額のワク、そういうものは、将来必ずや東北及び北海道の現状にかんがみて、これは増額すべきものと、そういうふう・に考えます。従って、その節には現在の規模の人員、現在の規模の金融公庫機構で運営し切れる限界を越す時期がくるだろうと思っております。従って、現在の金融の規模、ただいまの持っておるわれわれの機構の限度におきましては、両方を一本にして扱わしめるのが、むしろ能率が上る、私はこういうふうに予想しまして、このような案にまとめたのであります。この東北北海道開発についての計画というのは、非常に規模が大きくなると思われますが、その規模につきましては、新しい五カ年計画の中で、われわれ十分検討いたさなければならない、こういうように思っております。そうして、それは日本の雇用政策、あるいは経済政策の伸びを七ないし八%の率に持っていきます場合、それが経済の成長率に伴って、必ず東北及び北海道に影響していくはずでありまして、その伸び方を見て、実際の経済に合せ、財政に合せて機構の運営をはかりたいと思っております。従って、われわれが部内で意見の相違があるというわけではありません。ただ経済の規模は大きくならなければならぬ、大きくなっていくに従って、一つ機関で扱うより、やはり二つの機構で持っていくようになるであろう、こういうように予想されるわけであります。
  81. 林唯義

    ○林(唯)委員 どうも言葉とがめをするのじゃないのですが、将来同じような紛淆が起きることを予想するから言うのです。あなたは、ただいまきわめて明快に、雇用の関係の見通しをもつけて、将来資本の増大が行われるであろう、行われるときには、分離されなければならぬ。これは政治家としても、行政官庁としても、そこまで見据えをつけるのは当然であります。先ほどの御答弁では、そこまでは見据えをつける、またそれに対応するような時期がくるとはただいまのところ考えておらぬ、こういう工合で、後ほど速記録を取り寄せて、両方の答弁の違いを指摘しますが、あなたとえらい違いがある。あなたは、そういう工合に、しかも計数まであげて見通して、増大した場合には分離されるときがあるだろうと言う。政治家としては、行政大臣としても、さようなことがあるであろうというときには、あらかじめ今日において、さようなときを見越して、今日の過程をそれにあまり矛盾せぬように運んでいくという行政的の責任がある。あなたのお答えは非常に明快でけっこうなんですが、先ほどの開発庁意見は、どうもそこまでちょっと伸びが足らぬように思う。よくそこのところをはっきり——これはきょうお答えを聞こうとは思いません。次会までによく両者話し合って、こんなことすら、こんな工合に違うんじゃ、あと、さっき言った所掌事務監督事務関係になると、混雑しますよ。一つ今度は出だしなんですから、出だしだけでも見本的に、よく頭を調整してお答えを願いたい。
  82. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今、林さんからも御指摘がありましたが、経済企画庁長官は、事業量が厖大になる、だから、二つに分けなければならなくなるであろう、だから理想としては別々がよろしい。また、企画庁長官が来られる前に、政務次官と田上次長からの答弁によると、資金量や事業量の問題ではなく、性質上別々の方がよろしい。この二つの公庫は、そういう意味で理想論として分離した方がいいんだ、こういう意見でありました。企画庁長官は、事業量が非常に多くなるから、分ける方が適当である、理想だとおっしゃるのですが、同時に北海道開発庁の人たちが申されるように、性質的にも分けた方がいいんだ、こういうふうにお考えにならないかどうか。ただ事業量だけで分離する方がいいとお考えになるのであるか、それも一つ伺っておきたい。
  83. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 性質というものの内容が、今突然伺ったものですから、どういうことであるか、よくわかりませんから、この点につきましては、言葉の意味を十分に打ち合せて、またあらためてその点お答えいたします。
  84. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 どうも今度は、北海道東北開発公庫の重要な監督官庁一つであります大臣が確信がない。これは先ほどから申し上げますように、このような案を撤回して、練り合せていただきたい。重ねて政府の善処を要望するものであります。
  85. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 本法案に対する残余の質疑は、次会に譲ることといたします。     —————————————
  86. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に、国土総合開発に関する件について議事を進めます。前会に引き続いて質疑を続行いたします。北山愛郎君。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 企画庁長官にお伺いしますが、この前建設大臣に伺ったところでは、東北興業株式会社ですね、あれが今度は開発株式会社ということになって、それが今度は経済企画庁長官所管の方へ移るんだと、こういうお話でありましたが、それに関係する法律改正、これは政府部内でまとまっておるかどうか、いつごろ出るかどうか。それからもう一つは、いわゆる東北開発の三法といわれておるうちのつの東北開発の促進法、これを企画では考えておられたはずでありますが、これはどうなっておるか、政府案として提案する見込みがあるかどうか、その見通しをお伺いしたい。   〔委員長退席、松田(鐵)委員長代理着席〕 これはいずれも予算関係があると用います。予算はすでにこの一両日中に衆議院を通過するようなぎりぎりの段階になってきておるのですから、その際になって、予算関係する法律がまだ姿も見せないということでは困るので、その見通しを一つお伺いしたい。
  88. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 東北開発株式会社の法律案は、閣議で決定いたしましたから、もう速急に御審議をわずらわすようになると思います。それから促進法につきましては、まだ検討中でありまして、これにつきましては申し上げかねます。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 促進法の方は、政府提案として出される見込みがあるかどうか。与党の方では、もし政府が出さなければ、与党の議員提案になるというような準備をされておるようでありますが、どうなんでしょう。
  90. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 政府は、促進法については、提出する意思はただいまのところないのであります。それまで準備が整っておらないのであります。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、促進法の方は、政府提案はないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  92. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 ただいまのところ、そういう提出の時期に至っていない、従って、ただいまのところ提出いたしません。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 開発会社法についても、いろいろ問題があると思うのですが、これはまあ提案を待って、またいろいろあとでお伺いをいたします。私の質問はこれで終ります。
  94. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員長代理 井谷委員からの発言を許します。
  95. 井谷正吉

    ○井谷委員 長官にお伺いしたいのでありますが、これまで総合開発と申しますと、大体北海道東北というような大ざっぱな観念をわれわれ抱かされているのであります。また今審議になっておるのも、北海道東北の問題であります。また委員諸君の顔ぶれを見ましても、関西の者はりょうりょうたるもので、私は愛媛県ですが、何だかほかのお手伝いをしておるような気がする。それで、やはり特定地域の総合開発の指定地域というものが、十二カ所ほどあると思うのですが、そういう面について、どういうお考えを持っておられるか。関東以西のものは、これは看板だけで、実際の仕事がこれに伴っていないような感を深くしておる。長官は高知県であろうと思いますが、愛媛県と高知県でも、両県の西南地区の総合開発というものは、かねてから問題になっておるので、御関心があろうと思います。長官になられた以上は、地方的なことに偏せられることは、これは絶対いかないけれども全国的に見て、関東以西の地域に対してどういうふうに考えられておるかということは、これは一応私ども承わっておかねばならぬと思うので、お問いする次第であります。
  96. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 経済企画庁で五カ年計画を立てて長期の経済開発構想を練っております。その計画を立てております中で、特に顕著な点は、従来の行政機構の大きさでは、総合的な、経済的な、国民経済の成長というものが非常に困難な面が生まれてきつつある。従って東北七県のように、総合的にこれを勘案をして、開発をしていくという対策をとる。特に東北地方のように、鉄道とか道路に恵まれない、輸送関係が悪いところは、一県単位でなく、総合して企画していかなければならない。しかも各県ばらばらにやらず一に、一挙にこれを解決しなければならぬというような問題もあります。そういう問題点につきましては、他の中国、四国、九州おのおの非常に似た条件を持っております。また、ただいまお話がありましたが、四国地方の所得の水準を見ましても、愛媛県の平均を見ますると、全国平均に対しまして六割七分というような低い水準にあるわけであります。そして人口の密度から見ますと、香川県のごときは全国でも非常に密度の高い、調節を必要とする地区にもなっておる。そういうふうなわけで、われわれといたしましては、新しい経済構造は、少くとも四国のようなものは、四国を一単位として考え開発計画を立てざるを得ないところにきておる、こういうふうに思っております。四国の西南地区の開発、あるいは愛媛県の例をとりますと、道前、道後の灌漑用水を中心とする開発等は、当然ただいま予算を組んで、これを開発の軌道に乗せなければならぬものと思って自分たちは関係各省と推進をはかっております。そのほか九州地方にも、そういう地区があります。それで、必ずしも東北とか北海道に限って、われわれがどうこうというわけではありませんけれども、ただ国会の運営上そういうふうになっておりますから、順を追ってまた考慮はいたしたい。しかし余裕のある限りは、できるだけ総合的に考える面、あるいは部分的に考える面、それぞれ環境に応じて、敏速な処置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  97. 井谷正吉

    ○井谷委員 お話はよくわかるのであります。北海道東北地域の人の経済状態、あるいは交通の状態、文化の程度、すべてわれわれも御同情申し上げておるのであります。しかし国土の総合開発という大きな点から見れば、やはりその地域々々に応じた施策が行われるのが当然でないかと思うのであります。  それと、いま一つ感じますことは、いわゆる総合開発という名前で、各省がばらばらの予算を組んで、一本化していないところに、大きな不徹底なところがあろうと思う。たとえばお話の道前、道後にしても、それは総合開発の観点からやるのだというのぼりが立てば、やはりこの地方でもやっていただいておるのだということがわかりますけれども、各省々々で、自分たちの省内の操作としてやったようなことが先に出て参りますから、その点ははっきりしていただきたいのであります。さらにまた五カ年計画によれば、その計画の中には、どういう点、どういうところが入るのだ、どういうふうにするのだという構想も明らかにしていただきませんと、私ども非常に困る点が多いから、この点をお伺いしておきます。
  98. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 私は御説の通りに取り運ばなくてはならぬと思います。それで、今持っております五カ年計画では、経済の伸びに間に合わない点がたくさんできましたから、新しい五カ年計画を作って、そうして国民経済の伸びを七ないし八%という率に見ていきたい、従来は五%でありました。そういうふうになりますと、開発計画が自然に変って参ります。ただいままで国  土総合開発法に基きまして、全国開発計画を立てなければならないことになっております。ところが、それの原案がまだ十分にできておりません。従って審議会にその審議を求めるところまでも至っておりません。これは国土総合開発の面から見ると、はなはだおもしろくない点でありますから、私の省といたしましては、緊急にそれを取り上げて皆さんに案を練っていただきたい、こういうように思っております。特に四国地方あたりにとっては、そういうことがないと、結局取り残されることが多いと思っておりますので、それはあなたと考えが全然同一でありますから、その方向に向って努力いたしたいと思います。
  99. 松田鐵藏

    ○松田(鐵)委員長代理 他に質疑もないようでありますから、本日はこの程度において散会することとし、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後三時三十六分散会