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1957-02-28 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月五日  五十嵐吉藏君が委員長に、川村善八郎君、志賀  健次郎君、薄田美朝君、本名武君、松田鐵藏君、  竹谷源太郎君及び渡辺惣蔵君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和三十二年二月二十八日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 志賀健次郎君 理事 鈴木周次郎君    理事 薄田 美朝君 理事 松田 鐵藏君    理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君       愛知 揆一君    伊藤 郷一君       田中 正巳君    川村 継義君       北山 愛郎君    小平  忠君       中島  巖君    芳賀  貢君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君         国 務 大 臣 川村 松助君  出席政府委員         北海道開発庁次         長       田上 辰雄君         経済企画政務次         官       井村 徳二君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   松永  勇君     ――――――――――――― 二月十五日  委員片島港君辞任につき、その補欠として川村  継義君が議長の指名委員に選任された。 同月二十八日  理事本名武辞任につき、その補欠として鈴木  周次郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月五日  北海道に在勤する者に支給される石炭手当等に対する所得税の特例に関する法律案横路節雄君外九名提出、第二十四回国会衆法第五四号)  北海道開発庁設置法案内閣提出、第二十四回国会閣法第一六八号)  北海道開発庁設置法施行法案内閣提出、第二十四回国会閣法第一七二号) 同日  東北総合開発に関する請願粟山博紹介)(第二〇一号)  同(鈴木善幸紹介)(第二九六号) 同月八日  東北地方開発促進法制定に関する請願愛知揆一君紹介)(第五〇四号) 同月二十一日  サロベツ川切替工事実施に関する請願芳賀貢紹介)(第一一一九号)  稚咲内より豊富、日曹を経て浜頓別に至る産業道路新設等に関する請願芳賀貢紹介)(第一一五三号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十六日  大倉ダム建設事業に関する請願愛知揆一君紹介)(第六二号)  阿武隈山系総合開発に関する請願八田貞義紹介)(第一二〇号)  只見特定地域総合開発に関する請願八田貞義紹介)(第一二一号)  中信地区総合開発促進に関する請願松平忠久紹介)(第二〇〇号)  北奥羽調査指定地域総合開発特定地域指定に関する請願鈴木善幸紹介)(第二九二号)  国土総合開発事業促進に関する請願鈴木善幸紹介)(第二九五号)  方谷ダム建設促進に関する請願亀山孝一紹介)(第四一三号)  阿武隈山系総合開発に関する請願鈴木直人紹介)(第四一五号)  同(粟山博紹介)(第五一四号)  同(鈴木直人紹介)(第五一五号)  阿武隈山系総合開発に関する請願助川良平紹介)(第五六七号)  只見特定地域総合開発に関する請願助川良平紹介)(第五六八号)  同(鈴木直人紹介)(第五六九号)  同(粟山博紹介)(第五七〇号)  阿武隈山系総合開発に関する請願山下春江紹介)(第六七八号)  只見特定地域総合開発に関する請願山下春江紹介)(第六八〇号)  中信地区総合開発促進に関する請願原茂紹介)(第七八七号)  右の各請願は去る二月一日より同月十三日までに商工委員会に付託されていたが、その審査を本委員会に付託された。 二月十一日  北奥羽地域総合開発特定地域指定に関する陳情書(第一五四号) 同月二十二日  東北地方開発促進に関する陳情書(第三四五号) 同月二十五日  東北開発促進に関する陳情書(第四三三号)  吉野川総合開発調査地域特定地域指定陳情書(第四三五号)  国土総合開発事業に関する行政機構一元化陳情書(第四三七号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事互選  国土総合開発に関する件     ―――――――――――――
  2. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより会議を開きます。  まず理事互選についてお諮りいたします。理事本名武君より理事辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任については、先例に従い委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、鈴木周次郎君を理一事指名いたします。(拍手)     —————————————
  4. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 この際、川村北海道開発庁長官より発言を求められております。これを許します。川村国務大臣
  5. 川村松助

    川村国務大臣 ただいま御指名をいただきました川村松助でございます。つきましては、この機会に私の考えておりまする点を簡単に一通り申し上げておきたいと思います。  ただいまの私が担当いたしておりまする北海道開発、この問題は、現在の状態を基盤にいたしました場合に、今後の五カ年計画をもってその完成を期待いたしております。その内容につきましては、現在の北海道人口は四百七十万、物資生産が四千数百億円となっておるのでありまするが、この面に対しまして五カ年計画を忠実に実行いたしまして、人口増加は五百五十万を期待いたしております。物資生産に対しましては六千八百億——現在は四千七百億になっておりますが、六千八百億を期待いたしております。これが五カ年計画の、いわゆる今後の計画に属するものでありますが、その詳細の数字は次長から御説明申し上げたいと思います。  はなはだ簡単でありますが、一応基本の点だけを申し上げておきます。     —————————————
  6. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次に国土総合開発に関する件について議事を進めます。まず北海道開発庁関係予算につきまして説明を聴取いたします。田上政府委員
  7. 田上辰雄

    田上政府委員 お手元に印刷物を配付してございますので、それをごらんいただきたいと思います。  北海道開発事業につきましては、御承知通り昭和二十七年から出発して、第一次五カ年計画を三十一年度において終了いたしまして、ただいまごらんいただいております三十二年度の予算から、第二次五カ年計画によりまして三十六年度まで、これを第二次五カ年計画の期間といたしまして、計画を進めているのでございます。皆様方の格別の御理解と御支援によりまして、北海道開発もきわめて順調な経路をたどっておると存ずるのでございますが、この予算書をごらんいただきまして、三十二年度の予算概況を御説明申し上げたいと思います。  印刷物の縦に長い方の北海道開発予算額調というのがございますが、一番初めに各事項別がありまして、次の欄に前年度、三十一年度の予算額が列記してございます。その次に三十二年度の予算額といたしまして、総額直轄事業補助事業に分けて分類をしております。そして、そのあとに前年度予算に対比する比較増減の金額を載せておるのでございます。一番下の欄をごらんいただきますと、三十一年度の予算総額は百八十八億六千六百万円でございまして、それが今回の三十二年度予算におきましては、次の行にありますように、二百三十一億八千三百万円に相なったのでございます。これを前年度に比較いたしますと、一番しまいの欄にありますように、四十三億一千七百万円の増ということになっておるのでございます。内容につきまして一々申し上げることを省略いたしますが、比較増減の欄を一べつしていただなっておるのでございます。三段目ありまする幾春別川総合開発事業費の九億四千七百五十万円というのが減になっておりますが、これは三十一年庭をもって事業完了をいたしたのでございます。従いまして、実質的に減になっておりまするのは、まん中から少し下のところに開拓事業費というのがございまして、これが一千百万円の減になっております。しかしながら、これはその次の開拓実施費とも関連するのでございまして、実質的には減という数字ではないと考えております。しかしながら計画といたしましては、開拓につきましては、北海道において三十一年度におきまして新しい入植者の戸数を千八百戸と見ておりましたが、これが三十二年度におきましては、千四百戸ということに削減を見ておるのであります。これは従来のいろいろな実情にかんがみまして、新入植者をふやすよりも、むしろ既存の入植者が非常な悪条件のもとに不当に苦しい状態に置かれているという実情からしまして、新規入植者よりも、むしろ既入植者のこれらに対するアンバランスを是正し、実情から申しまして、いかにも深刻な気の毒な状態にありますので、これを救済するための各種の施策に向けるという方針に転換をいたしておるのでございます。そういう状態でございまして、全体といたしましては四十三億の増でございます。比率にしまして大体二三%の予算上の増額を見ておるのでございます。  その次に、もう一枚の印刷物を差し上げてございますが、これは昭和二十六年度以降の北海道開発事業費予算額の趨行を示す表でございまして、各自一着業別比率を出しております。二十一年度の最初予算を一〇〇といたしまして、北海道開発事業費としましては、一番しまいにありますように、一十二年度におきましては二九六%、約三倍に伸びてきておるという大体の傾向をお示ししたものでございます。北海道開発事業費をまずあげまして、その内訳を河川等事業費、それからずっと書いてございます。そうして次のページの下の方に人件事務費というのが、開発事業費の次にくるわけでございまして、これが大体二〇四%に伸びてきております。開発計画費は二八四%、そういうわけでございまして、全体合計して開発庁予算全部を比較してみますと、昭和二十六年度に対しまして二八九%の伸びを示しておるのでございます。  きわめて簡略でございますが、三十二年予算概況だけを以上申し上げた次第でございます。
  8. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 宇田国務大臣が間もなく出席をいたすことになっておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。  次に宇田経済企画庁長官より説明を聴取いたします。宇田国務大臣
  9. 宇田耕一

    宇田国務大臣 国土総合開発基本方針について申し上げたいと思います。  国土総合開発目標を端的に申し上げますと、国土総合開発法第一条に述べられております通りに、国土の総合的な利用開発、保全と産業立地適正化ということであります。わが国の狭隘な国土の上に約九千万の人口を収容いたしますためには、国土利用開発を第一に取り上げるべきは当然であります。昭和二十五年に国土総合開発法北海道開発法の二つの法律ができましたが、この意義を深く蔵しておるものと考えております。北海道開発は、北海道開発法の規定により、北海道開発庁所管をいたしておりますし、その他の地域については、経済企画庁所管しておるのでありますが、開発基本的な考え方は同一であります。  第一に申し上げたいと思いますことは、同土の開発は総合的なものでなければならないということであります。この総合性が、開発計画計画段階実施段階を通じてうまく保たれないときは、計画の総合的な効果を発揮することができなくなり、従って貴重な資金が十分に活用されないおそれが生ずるのであります。幸い、北海道につきましては、北海道開発庁事業予算が一括して計上せられておりますので、国費の支出に関する限り、総合開発の実効を上げるに支障のない態勢が整っていると申すことができます。これに反し、その他の地域におきましては、計画経済企画庁中心として立てるのでありますが、事業実施はそれぞれの所管省で行いますために、個々の事業進捗度に不均衡が生じ、総合効果の発揮に遺憾な点がありますことは御承知通りでありまして、昭和三十一年度予算国土総合開発調整費五億円を計上し、この点の調整をはかった次第でありますが、三十二年度予算におきましても引き続き同額を計上いたしております。  国土総合開発は、文字通り全国にわたっての計画であらねばならぬことは当然のことでありまして一地方計画でありましても、国民経済全般立場から見て検討せらるべきもので執ることは申すまでもありません。かしながら計画実施のタイミングの開題どの地方から手をつけるかということになりますと、未開発後進地域にまず重点を置くことが必要であると考えます。国土総合開発は、要するに人口問題の解決にあるのでありまして、未開発の資源が開発されることは、経済自立達成一つのかぎでありますとともに、その地方所得水準が向上し、人口収容力が増大することとなり、人口大都市集中の防止にも役立つものと考える次第であります。  現在特定地域として指定してあります十九地域の大部分は、こういった末開発後進地域であり、北海道はこの立場から見て最も大きな意義を持つ地域であると申すべきであります。さらに東北地域につきましても、政府は第二十四回国会における衆議院の御決議に基きまして、昭和三十三年度以降において、その開発促進のため、必要な各般の措置請じたい考えております。なお全国総合開発計画の策定につきましては、目下関係各省と連絡の上、鋭意作業中であります。  次に申上げておきたいことは、国土開発産業との調和のとれた発展についてであります。国土総合開発は、計画としては公共事業的なものが中心となっているのでありますが、産業との関連を常に考慮すべきであります。多くの場合、公共事業によって、たとえば道路ができ、港湾が整備され、灌漑用水工業用水等が解決されれば、自然と産業が盛んになるのでありますが、後進的な地域においては、産業を振興するため、公共事業的な事業とは別途に、何らかの方策をもあわせて考慮する必要があると考える次第であります。これがため、東北におきましては、その産業開発促進をはかるため、東北興業株式会社を改組拡充して、東北開発株式会社を設立し、これに対して財政投資を行い、また民間産業資金投融資を補完または奨励する機関として、北海道開発公庫を改組拡充して、北海道東北開発公庫を設立してこれに対し財政投融資を行う措置をとりたいと考えております。  どうかよろしく御審議をお願い申し上げます。
  10. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これにて説明聴取を終りました。  次に質疑に入ります。愛知揆一君
  11. 愛知揆一

    愛知委員 私は宇田国務大臣に対しまして、経済長期計画国土総合開発計画関連中心にして、若干の基本的な考え方について御意見を承わりたいと思うのであります。  まずその問題に入ります前に、二月の四日に宇田国務大臣経済演説を拝聴いたしたわけでありますが、この経済演説の基調として考えられました構想については、私はおおむね妥当と考えるのであります。ところが昨日の新聞で報道せられました、企画庁の本年一月の月例報告として報道せられたところを見ますると、特に国際収支あるいは金融情勢の面で、若干緊張の度合いが見受けられるということが報道せられておるわけでありますが、その中で、この際伺っておきたいと思いまするのは、国際収支関係でございます。これは長官の二月四日の演説では、三十二年度大体いわゆる収支とんとん、ほぼ均衡を維持する見込みであるということが表明せられておるのでありますが、季節的の関係もあるのではありましょうけれども、企画庁の昨日発表せられた数字で見ますると、最近の輸入が激増した結果、一月の外国為替収支は受け取りが二億八千五円万ドル、支払いが二億九千九百万ドルで、形式的に言えば千四百万ドルの赤字になっておる、ユーザンスを調整した実質収支では五千五百万ドルの赤字となって二十九年の凶作による紫色輸入以来の赤字になっておる、また通関の実績を前月に比べると、輸出は一三%しかふえていないのに、輸入は五〇%もふえておる、こういうことが指摘されておるのであります。こういったきわめて最近の実績に徴しまして、やはり三十二年度におきましては、国際収支はほぼ均衡を維持する見込みであるとお考えになっておりますか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  12. 宇田耕一

    宇田国務大臣 経済企画庁月例報告を発表いたしておりまして、それの内容は、ただいま申された通りであります。われわれは三十二年度年間を通じての見通しにつきましては、先般経済計画大綱予算編成のときに発表いたしました考え方を持っておるのでありますけれども、月間の動きにつきましては、一月の動きは、ただいま申されたようなことになっております。それで自分たちが当初考えておりましたより以上に、原材料輸入が活発であるということであります。ただ、その内容が、完全消費面にこれが向くというよりも、再生産基本条件になる輸入、特に鉄鋼でありますとか、その他の原材料輸入がふえて参っております。従って、輸出のための基本資本財輸入というものは、例年そういち傾向をとる時期的なものでありますから、これに対して、年間全部に関して非常に大きな影響を与える原因とは判断をいたしておりません。ただしかし輸入のパーセントが、ただいま仰せられたように五〇%という数字を示しておる、輸出は一三%にとどまっているという傾向は、これは非常に注意をして、小くとも国内の需結関係金融あるいは為替等に関する配慮は慎重を期さなければならぬ、何といたしましても、貯蓄と輸出の奨励は積極的な具体策を立てて推進しなければならぬ、こういうように思っております。
  13. 愛知揆一

    愛知委員 次にお伺いいたしたいのは、やはり経済演説を引用させていただきたいのでありますが、一昨年末の経済自立五カ年計画関連して、長官演説の中には、これが改訂を最近においては必要とするに至っておる、その原因としては、経済演説で指摘されておるところは、経済が当初予想した以上の著しい進展を見たためであるということが前提になっておりますが、ただいまも指摘いたしましたように、経済情勢は変動も相当激しいと思いますので、予想した以上の著しい進展の場合もありましょうし、また予期せざるような状況も見通さなければならぬと思いますけれども、いずれにしても、これが改訂を必要とするに至っておるので、政府においては、できるだけすみやかにその改訂を行うつもりであります。こう言われておるのでありますが、いつごろこの改訂が実現され、国会を通じて国民に御説明をなさることになるのでありますか、その点をお答え願いたいと思います。
  14. 宇田耕一

    宇田国務大臣 経済五カ年計画は、最初分配国民所得目標を五%として立案したものであります。ところが、昨年、一昨年の日本経済というものは、非常に伸びが激しくて、特に製造工業部門伸びは非常に伸び率が高かった関係で、五カ年計画で達成するはずであったものが、もう二年ないし二年半でもって所期の生産目標に達してしまった、こういうわけであります。そういたしますと、その部門に対するところの新しい計画を立てておかなくちゃならないということになってきたのであります。それで、昨年の分配国民所得伸びというものは世界で一番であって、一三%近くに数字はなって参っております。従って、そんなにひどく伸びを示しておるのに、一三に対して五の比率でもっていくということは適当でないから、これはやはり現在の日本経済の力からいくと、七ないし八のところに基準の伸び見通しを立てるのが適当である、そういたしました場合に、一番ねらいといたします雇用量拡大失業者のないようにするのには何年かかるかというと、まず十年ないし十二年たてば、七ないし八%の分配国民所得伸びからいきます。と、雇用量はわれわれの希望する線に達するだろう。そういう希望のもとに、作業やり直しをしようじゃないか、こういうわけであります。作業やり直しは、ただいま数字を整理中でありまして、四月から本格的に入りまして、来年度、昭和三十三年度の予算を勘案しなければならぬ時期までには、この作業見通しを必ず立てたい。こういうことに参っております。それで、理論的に申しますると、新しい五カ年計画を毎年立てていけ、こういう説もあります。また五カ年計画を一ぺん立てた以上は、残りの年だけを調節をして、初めの方はそのままでおけ、こういう御意見もあります。しかし経済企画庁の現在の方針といたしましては、昭和三十三年を第一年とする五カ年計画を、七ないし八%の分配国民所得伸びをもって目安として立て直しをしたいという、とりあえずの基本線に立っております。
  15. 愛知揆一

    愛知委員 そこで、私は次にこういうことをお伺いしたいのでありますが、長官のお考えでは、今後の日本経済拡大繁栄させていくためには、均衡のとれた経済拡大、あるいは経済部門発展均衡あらしめるようなやり方でいかなければならない、こういうように承わっておるのでございまして、今後改訂されるべき長期経済計画においては、やはりこの考え方がその中心一つになるものと思うのであります。ところが、私の申し上げたいのは、均衡のとれた経済拡大ということは、きわめてけっこうな考え方ではあるけれども、今まで表明されておったところは非常に抽象的であって、一体どういう面に均衡をとるのか。その点をやや具体的にせられておりますのは、「経済部門発展均衡あらしめるために、」こうなっておるのでありますが、私は、この点はさらにもっと広範囲に、しかも具体的に考えることが必要であると考えます。と申しますのは、一言にしていえば、日本経済が予期以上に今日まで発展してきたということは、明白な事実であろうと思うのであります。しかし、これからさらに一段と拡大をし、充実をし、国際競争力充実していく。さらに生産年令人口の国内的の増加に対応して、近代的雇用の増大と所得水準の上昇をはかるということが中核でなければならない。ところが現在の日本経済状態から申しますと、私は、たとえばまず企業の問題でいっても、大企業面はいろいろの問題はありましょうが、相当に地固めができていて、りっぱに発展していくものと思いますけれども、反面、中小企業、零細な企業の面との較差が非常に大きくなるおそれがある。そこで、その面において、企業の規模においても均衡をはかる、アンバランスを是正するということが一つ中心課題として入らなければならない。それから国民階属別考えても、いわば谷間にあって日の目を見ない人たちがまだ相当に多い。これがまた今後広がるようではいかぬということで、完全雇用の線を考え、その他の方策考えられるのでありましょうが、ここにも大きなアンバランスの是正という命題があると思います。  それから、もう一つもっと本質的な問題は、地域的なアンバランス考えていただかなければならない。これは先ほどの御説明にもありまして、そのお考えは了承いたしますが、時に今回、昨年の衆議院全会一致決議による東北開発問題というものが、政府においても相当の熱意をもって取り上げられたことは、この意味においても非常に意味があると私は思うので、あります。こういう点について、今後長期経済計画の中において地域的な観点から見たアンバランスを是正しながら、国力の充実をはかるということが、どうしても国策の大本として取り上げられなければならないと考えますが、念のために、それらについての御所見を伺いたいと思います。
  16. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま申された点は、われわれ長期計画を立てる場合に、どうしても配慮しておかなければならない問題点と思います。特に大企業中小企業との較差が激しいということ、長期経済計画の中で、どういうふうにその較差の起らないように調整をはかるかということでありますが、もちろん金融の面において、潤沢なる金融が大企業並みに行い得るということを当然考えなければなりませんけれども、そのほかに、最近特に問題になっておりますのは、技術的な面で、中小企業者は新しい技術の導入が困難であるということが、特に目立ってきているように思われます。従って、中小商工業者に対しましては、技術特殊組合——技術を総合して、弱いものの集まった業種別に、特に新しい技術を獲得して導入するということの処置を、緊急にしなければならぬと思っております。それは科学技術庁におきまして、そういうふうな特殊な法律を作って、技術の導入について、大衆にすみやかに、希望の時期に希望の技術を伝達することができるような対策を講じたいと思っております。  その次に、階層別の非常な開きの起る傾向が見えます。特に中小企業関係の中に、これが目だって参ってきております。従って、賃金制度、支払い制度等につきましては、どうしても新しい角度から、労働省その他と一緒に、これは抜本的な対策を講じなければならぬ段階に迫りつつあるように思いますし、また厚生省関係の社会保障制度の拡充ということは、避けることのできない重要な社会政策というふうに思っております。雇用量の増大のためには、先ほどの伸び率を七、八に持っていく基本対策を立てて、労働省あるいは厚生省と一緒に、ただいま申し上げましたような配慮いたさなければならぬと思っております。  それからまた地域的な不均衡、特に人口配置上から見て非常な不均衡が起っておりますし、また、ただいまの国際貿易、国際競争力から申しますと、技術の導入ということが非常に問題だと思います。特に東北地方等のごとく、何といっても——先日もアメリカから専門の人が来て、三十年ばかり日本を研究したと申される人の話を聞いてみますと、東北の一番問題点は、交通の連絡が系統的に秩序立っていないことが、開発のおくれる原因であって、それに対しては、もう少し科学的に道路計画を立てなければならぬはずである、こういうことを注意されました。そのほかに、何といっても近代的な、科学的な技術をもっと組織的に、先ほどの中小企業に対する場合と同じように導入することによって、その土地の特殊な生産物を、もっと組織的に、立体的に、地元で最終加工までする計画を立てなければならぬ。それには、東北地方は昔から独特の歴史があって、その歴史に合うような機具を持ってこなければならぬ。それには、もう二年ばかり待ってくれたら研究が完成するのだと言って、注意してくれた方があります。そういういろいろな研究もありましようが、いずれにいたしましても、行政官庁といたしましては、一応のまとまった、統一された秩序ある制度をここに勘案をしまして、やはり重点的な配慮のできるように総合した一部門として、これを育てていくことが必要になってきたように思われます。これは一東北地方だけに限りません。北海道はもちろんであります。その他の地域におきましても、ただいま申し上げましたように、貿易を振興する、反面においては、やはり国内の資源を、われわれはうまく自立的に経済の面に開発して持って参るということでありますから、その点におきましては、ただいま申し上げましたように、地域的に非科学的な無秩序な現状を、行政官庁としては、すみやかに新しい機構のもとに、近代的な配慮のできるような方法にし直し、作り直しをすべきものであるというふうに考えております。
  17. 愛知揆一

    愛知委員 ただいまのお話で大体の趣旨はわかるのでありますが、その近代的に、総合的に行政官庁としても取り上げてやるということについては、相当思い切った制度的な、あるいは組織的な、あるいは政策としての相当画期的なものが私は断然必要だろうと思うのであります。率直に申しまして、従来まで、あるいは現状においても、政府あるいは行政官庁においては、地域的なアンバラースの調整、また具体的に言えば、東北開発の必要性というようなことについて、もっともっと認識を新たにして、思い切った措置をとらるべきであるし、また先ほど申し上げましたような、今後経済計画改訂する場合においても、その中核の一つの命題として、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思うわけであります。ただいまもお話がございましたが、念のために考えてみましても、東北の面積は全国の二丁六%に当っておりますけれども、人口全国人口の一三・四%、人口の密度は百四十七人で、全国平均の六五%にすぎないわけであります。ところで、東北産業経済の水準が、全国的に見てきわめて後進状態にとどまっておる、これは、要するに第一次産業の比重が圧倒的に多いということでありまして、一人当りの東北国民所得の水準は、昭和二十七年の調べでは実に六〇%余りである、その後の調査によりましても、全国平均の七三%にすぎないというのでありますから、これは、たとえば東京その他の経済の繁栄しておる土地の平均の所得から見れば、おそらく半額程度だというような現状で、これがまた、今後において政策がうまくいきませんと、その較差がますます大きくなる結果になると思うのであります。その結果、東北人口収容力が低くて、人口東北に定着するその比率というものは、このままにすれば、きわめて低きにとどまると思うのでありまして、これを放置すれば、他の地域への一種の社会移動がこれからも引き続き続くであろうと思うのであります。この点は、現政府完全雇用というようなことを全体的に目ざしておられる点からいっても、大きくクローズ・アップされなければならない問題であると思います。しかもその東北の後進性ということが、資源も乏しいんだ、開発効果も薄いんだということに基因しておるのならば、また何をか言わんやでありますが、各種の潜在資源に恵まれていることは、いろいろの環境分折によっても明らかでありまして、ただいま長官のお話の通り北海道開発とともに今後わが国の経済自立の達成に寄与することは、きわめて大きいわけであります。他の国内の地方をながめてみますと、それは一局部の地点において特に疲弊しておる、あるいは未開発として大いに開発しなければならぬところもありましょうが、それは私の見るところでは、比較的小部分の、特定の局地的な問題である。東北のように、ただいま指摘いたしましたように、面積からいっても、人口から申しましても、相当に広い地域にわたって同一の条件にあるところは、非常に大きい特殊性でありますから、この点から申しましても、私は、さっき言いましたような抜本的な、画期的な施策が行われることを要望いたしたいのであります。  それにつきまして、もう一つ関連して申し上げ、かつ御意見を伺いたいと思いますのは、昨年の衆議院決議がございましてから、自由民主党としては、東北開発の特別委員会を設置いたしまして、自後一年近く、関係各省あるいはその他の民間団体の非常な協力を得て、鋭意具体的な検討をいたしておるわけでありますがわれわれのそういった研究の結果として、たとえば昭和三十二年度から相当な覚悟をもって諸般の政策を進める場合において、三十五年度までを前期とし、三十六年度から四十年度までを後期として、その前期においては、開発の基礎条件を整備することを中心にやって、後期において、諸産業が飛躍的発展をするようにという計画を実は作り上げておるわけであります。そのわれわれの研究によりますと、まず前期の末、すなわち昭和三十五年度においては、二、三の例を申し上げますならば、農業においては、米麦の増産量が三百五十万石、それから畜産についても、増産の量だけ申しましても、乳牛が十万頭、役肉牛が十五万頭、綿羊が二十万頭、林産については五百万石の増産、水産については二千五百万貫の増産、製造工業は、金額にして約七百十五億円、鉱業においては約十三万五千トンの増産量を期待し得るということになり、これによって人口収容力が約七十万人と測定されるわけでございます。そうなりますと、先ほど申しましたような人口の社会移動と申しますか、そういうことが防げるのみならず、東北地方人口の自然増加数を若干上回る程度の完全雇用が達成できる。こういう計画が一応の研究の成果として上っておるわけでありますが、こういった具体的な各産業にわたって何万石、何万頭というようなことについて、今直ちに企画庁の側において御論議をなさるだけの御用意はあるいはないかと思いますけれども、もし伺えますならば、こういったような、集約して東北地方だけで三十六年までに七十万人の労働人口収容力増加するというようなことは、今現に改訂計画されているところの長期経済計画の中で、どういうふうに考えておられるか、この辺のところの基本的な考え方ということが、具体的な措置を進める上の一つの大きなかぎであると私は思うのであります。御所見を伺いたいと思います。
  18. 宇田耕一

    宇田国務大臣 われわれの経済企画庁で、新しい五カ年計画を、四月から作業に入って、三十二年度の年度予算までに経済計画大綱基本計画を作りたい、こう考えております。その際には、当然北海道であるとか、あるいは東北であるとか、その他地区別にまとまって、どうしても役所としては新しい計画を勘案しなければならぬことが起るはずであります。ただいま申されたような点は、最も重要なそれぞれの点でありまして、収容力人口七十万そこで増すということになりますと、日本の現在持っておりますところの人口配分から見まして、これは非常に大きな問題点だと思われます。東北地方につきましては、何といっても経済関係では基本的な工業問題——道路とか、港湾の修築等が、当然考えられなければならないでありましょうが、そのほかに電源といたしましても、火力発電がようやくその緒について、十五万キロ余りの発電が現在できるようになりつつあります。従って、それに伴うところの特殊な資源の開発が行われなければならない。特にわれわれの所管事項であるところのウラン鉱につきましても、岩手県、宮城県の県境には、かなりな有望なものがあるというような報告が最近参りつつあります。従って、そういう点につきましては、特別に自分たちの技術陣を総動員をして早くその真相をつかみたい、真の実力を見たいと思っております。従って、東北地方においては、われわれの関心は、近代科学の点から見ても、なかなか容易なものではない、これは非常に価値の高い内容がある、こう思っております。それから鉄鉱関係でも、砂鉄だけでも非常な特殊な砂鉄の配分状態でありまして、砂鉄問題だけを考えてみても、将来の東北地方というものは、日本にとって非常に重要な特殊鋼——世界的にもう特殊鋼時代に入りつつありますから、電源と一緒に砂鉄の処理ということだけでも、この五カ年計画の日程の中でも、国全部の近代化のためには、非常に重要なもので、すみやかに世界的な水準の開発計画を立てなければならぬと思っております。各県のそれぞれの特色があることは伺っております。そういう点は長期計画で、もちろん考えますけれども、今年度の施策としても、実行に移さなければならぬやむを得ぬ重要な事柄が数件ありますから、いずれまた案がまとまりましたら、ごらん願いたいと思います。
  19. 愛知揆一

    愛知委員 大へんいいお話を伺いまして、大いに同感の意を表したいのでございます。  そこで政府でも、現在与党といろいろ協議されつつ、具体的な措置について若干の成案を得られつつあると承わっているわけでございます。私はこの際、その具体的な措置については、それらの関係法律案が提案されました場合に、法律案内容についてさらに質疑をいたしたいと思うのでありますが、ただ、やはり根本的な考え万として二、三の点を申し上げて、さらに政府の立案の参考にぜひ取り上げていただきたいと思う点を申し上げたいと思います。電力あるいは輸送の問題は、それぞれ電力会社あるいは国鉄その他の関係で処理されるものが大部分でございますから、これは一応別にいたしまして、これらと照応して、純粋の公共事業と純粋の民間事業との関連において、東北の特殊性からいって、ぜひ考えていただかなければならぬものがあると思うのであります。それは、たとえば従来東北興業株式会社というようなものがありましたが、これは多分に東北昭和初年の救済的な意義を含んで設立された経緯から申しまして、その働きは必ずしも十分ではなかった。むしろ非常に関係者の不満を買っておる点が多いわけです。ところが、問題の焦点はどこにあるかというと、工場誘致というようなことを教えるにしましても、工業の立地条件の整備ということがやられなかった。それから農林水産業関係でも、その基盤の育成に必要な、公共事業に準ずるような、あるいは公共事業に近いような点の解決がやられなかったために、従来のやり方は、かけ声だけに終って、何らの実効を上げることができなかったと思うのであります。そこで他の経済条件のいいところでは、たとえば民間の企業であってもやり得るであろうところの工業の立地条件の整備などは、自分の私見からいえば、特殊の公団的なものでこれを造成する、あるいは農業水産関係で申しましても、開田、開畑を初め、港湾その他の施設等にいたしましても、ほとんど公共事業に近いような仕事もやり得る、そういう機構が、公団的なものとしてここに設置されることが、 一つの柱として私はどうしても必要であると考えるわけでありますが、その点についてはどういうふうなお考えでございましょうか。
  20. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私は全くそういうふうに取り運ぶべきものと思います。ただ、国の財政その他の関係で、それがどういう形態で行き得るかということは、ここで申し上げるわけにはいかぬかもしれませんが、いずれにしても、そういうものがなければ、後進地域開発はむずかしいことであると思っております。
  21. 愛知揆一

    愛知委員 率直に申しまして、別なる政府出資あるいは資金造成上の元利保証の社債の発行というような点の恩典はあるにしても、東北開発株式会社という程度では、まだまだ所期の目的が十分に達せられないうらみがあるのではないかと思うのでありますが、現在考えられておる開発会社の法案等については、その点についてどういう配慮をされておるのでありましょうか、この点を重ねて伺いたい。
  22. 宇田耕一

    宇田国務大臣 やはり後進地区の開発には非常に膨大な資本が必要であるということは、わが国だけでなく諸外国の事例を見ても、そうであると思います。それで資本構成が、単に官だけの資本でこれを構成するということは困難でありましょうから、これに民間資本をどういうふうに導入するかということになってくると、今度これを運営するところの機構の内部における人事の問題に触れてこざるを得ないのではないかと思うのであります。やはり人材を得て、たとえば石灰工業、窒素工業などのエキスパートの、日本の代表的なブレーンがそこに行き得るような道がなければ、資本だけでは、それの運用は期しがたいと思います。先日も鈴木委員長が申されましたけれども、テンサイ糖一つの問題を見ましても、技術的にかなり実力のあるグループが長期開発をし得る体制を持たなければ、これはとてもいけないだろう、こういうふうに考えております。従って、従来の単純な資本と、そして株式会社制度のようなもので、果してこの開発が地についたものであるか、少くとも近代的、科学的な開発は容易にできるものではないように思っております。現在科学技術庁等で研究いたしておりますことは、もっともっと本質的な、科学的な処理のためのブレーンをどう集めて、これがどういうふうにこれに参加するかということが問題だと思います。研究導入と申しますか、そういうことをもう少し突っ込んで、この中に織り込んでいくべきではないか、こういうふうに考えます。
  23. 愛知揆一

    愛知委員 その点は全くわが意を得たと思います。たとえば今度開発会社ができる、あるいは民間企業に対しては、やはり資本の蓄積の非常に乏しい地方としての特色からいって、東北のためにも特殊の金融公庫ができるというようなことで、相当効果は上ると思いますが、要は人の問題であると言われることは、ごもっともでありまして、承わるところによりますと、従来の東北興業株式会社は、政府部内としては建設省の所管であった。昨日の閣議で、今後長期経済計画であり、さらに関係部門を総合し東北開発の育成の中枢の一つの機関であるし、関係各省も多いことであるからということで、経済企画庁所管になるようにほぼ内定したかに向っておるのでありますが、それが事実とすれば、この際従来の行きがかりとか、やり方を抜本的に改めて、最高首脳部の人事はもちろんでございますけれども、ただいま長官のお話のようなことが十分に成果を上げ得るように、人事においても思い切った措置一つとっていただきたいと思います。これは公団でなくても、特殊会社で、法律をもって設置されるものでありましょうから、当然その首脳人事は、政府の任命あるいは認可ということになると思いますので、最近における政府関係の重大な人事として、新たに所管の大臣として御担当になる宇田大臣におかれて、これは一つ思い切った、世間があっといい、また納得のできるような人事をぜひやっていただきたいと考えますが、いかがでございましょうか。
  24. 宇田耕一

    宇田国務大臣 組織をどういうふうに考えるか、公団にするか、あるいはその他の公共的性格を帯びたものにするかということにつきましては、なお十分政府も研究いたしまして、皆さんの御審議を得たいと思います。またその機構の運営に関する人事は非常に重、要なことでありまして、その点がうまく参りませんと、私は機能がうまく活動することは困難であろうと思いますから、その点、愛知委員の仰せられる通りで、われわれは全然同感であります。ただ私の所管関係で特に希望いたしておりますことは、科学技術的なもの特に東北地方の地下資源は、国にとって非常に重要度の高い資源が最近相次いで調査されて、報告をわれわれ受けております。たとえば原子力の問題についてウラン鉱がある。これは今、分析探究しておりますが、それだけを考えてみましても、東北興業のようなああいう公共的な性格に、これを移して参りますときには、そういう機関を通じて、国家的な重要資の開発は当然やるべきものでありますし、またその中には、日本で最高権威と思われる諸君が入っていってその機構の内容の近代的な充実をはかりたいものだ、こういうようにばく然と思っております。決してただいまどういう原案があって、どうこうということではありませんが、長期にわたって東北考えます。場合には、それをどうしても念頭に置きながら、皆さんと御相談しなければならぬと思っております。
  25. 愛知揆一

    愛知委員 だいぶ時間がたちましたから、あと二点だけ集約してお伺いいたしたいと思います。その一つは、先ほどもちょっとお触れになりましたが、やはりこういったふうに東北開発問題というものが、国家的にだんだんと焦点になってきて、まことにこれはけっこうなことであります。けれども、俗に言えば、これは一つ朝から晩まで東北開発ということをほんとうに一生懸命になって考える、あるいは推進してもらう機構が行政機構の中に私はどうしても必要だと思うのでありまして、その点においては、私どもは当初から東北開発庁というような一つ経済開発の総合的な行政機関を作っていただいて、その長官を国務大臣にし、北海道と相並んで、日本の後進特殊地帯の育成強化をはかる。これがすなわち先ほど申しましたが、日本経済に今後均衡ある開発を所期するということの、政府としての堂々たる意思表示にもなると思うのでありますが、その点についてどういうふうなお考えでおられますか、伺いたいと思います。
  26. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私の方の経済企画庁は、どういうふうにこの機構を行政機構として整えていくかということは、当然われわれは皆さんと相談をしなければならぬと思っております。それは予算等の関係がありまして、東北室を設ける、できましたら、内閣に別の、北海道開発と同じような機構を整えるべきものとは思われますけれども、時間的にも、また財政的にも、ただいまのところそこまで参りません事情がありますから、いずれにいたしましても、経済企画庁の中に東北室を設ける、これを基本にいたしておりまして、それをどういうふうに配置するかということは、部内の関係もありますから、もうしばらく時間をかしていただきたいと思っております。
  27. 愛知揆一

    愛知委員 その点は、私といたしましてはまことに不満でございまして、これは予算等の関係その他で、第一歩のスタートはそういうことでやむを得ないかもしれませんが、何とか今後機会あるごとに、この機構を充実し、あるいは開発審議会というようなものの強力な運営によってこれをバック・アップするというような点について宇田国務大臣の格別の一つ御努力をお願いいたしたいと思います。  最後に私は、これは自治庁長官及び大蔵大臣にお伺いしたい点でありますが、総合経済の企画官庁である宇田さんにおかれてもぜひ一つ念顔に置いておいていただきたいという意味で申し上げるのでありますけれども、実は今度でございますいろいろの機構のほかに、東北開発については政府側も相当努力されて、公共事業その他に、昨年度に比較すれば、相当思い切った予算の増額をしておるわけであります。この点は私は相当な進歩であると思うのです。ところが、御承知のように東北六県は、先ほど来るる申し上げておりまするような状況にあるものでありますから、県を初め地方公共団体の財政状態はまことに窮迫状態である。青森一県を除いてほとんど全部が地方再建整備の対象になっておるわけでございます。そうして最近私どもが各県に当って調べ、あるいは中央の行政府の方の調べを総合してみますると、非常にラフな計算ではございまするが、昭和三十一年度において、せっかく国費の予算がついておりながら、道路法、河川法その他の法律に規定されておるところの補助率、負担率というものが全国一律であるがために、地方の県、町村が負担ができないために、せっかくつけられた国の予算を六億六千万以上返上しておるわけです。まことにこれは残念なことであります。せっかく国がそこまで配慮してくれたものを、一律に地方の負担率がきまっておるために、涙をのんでこれを返上しなければならない。その一律できまっている負担金が払えないために、せっかくの親心がむだになってしまっておる。そこで三十二年度においては、重点施策というような公共事業関係でも、昨年度に比べて約五十億円以上の国の予算総額が計上されておりますが、これが三十一年度までのようなやり方で、あるいは政府の認識が東北に対して足りなければ、そのせっかくの配意というものがむだになるおそれがある。これはおそらく、東北開発の問題がこれだけ脚光を浴びて、政府部内でもかなりの認識を高揚されたのでありますから、よもや大蔵大臣を初めこの予算を決定された政・府において、返納をする、事業ができないというようなことを考えられておるとは私は断じて思いません。思いませんが、従来の考え方あるいは現在の制度がそうであるために、私どもとしてはその点非常な心配を持たざるを得ない。そこで、もしこれに対して政府が特定の立法を考えるか、あるいはそれを補完する行政的な措置を若干加えるような配意をされないのならば、国会側としても、その予算が適実に全額使用できて国民の要望にこたえ得るようにするために、私は議員立法もあえて辞せないというような気持でおるわけでございます。これは私見でございますが、その点について、経済企画庁長官としても十分にこの事態を御認識願って、関係大臣等に対しましても、一つ十分の御協議を願いたいと思います。この点は最後に切に要望を申し上げ、また私のたっての考え方を御披露いたしまして、御授助と、あわせてただいまのあなたの御所見を承わりたいと思います。
  28. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私の郷里も高知県でありまして、全然同じ境遇のところに私の県もあります。従って私個人としては、全く愛知委員の仰せられる通りに努力をしなければならないと、こう考えております。本年度の予算にも五十億以上のものはありましても、おそらく地方の負担能力からすると、昨年のような思わぬ、返上の事態を起し、ひいては、地方の労働状況等について十分配慮のできるような僻遠の、しかも大へん対策を講じなければならぬと経済計画の中でもわれわれのうたっているところに対する金が、出るべくして、地元がよう受けないという事態に陥るということはぜひ避けてもらいたい、そして雇用量地方における拡大人口問題に対する少しの役立ちでも、これを見捨てないようにしなければいけない。こういうふうに思っておりますから、それは関係各大臣に愛知委員の仰せられるように十分に連絡をして、御意見を伝えたいと思います。
  29. 愛知揆一

    愛知委員 以上で本日の私の質問を終ります。なお関係法律案が提案せられました場合、法案についての質疑を留保し、かつ、ただいま最後に申し上げました地方財政との関連におきまして、次の機会に大蔵、自治庁関係大臣に対して質疑をいたしたいと思いますので、この点を留保して、本日の質問はこれで終ります。
  30. 五十嵐吉藏

  31. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 企画庁長官にお尋ねするのでありますが、ただいま愛知委員からは基本的な問題の御質問があり、また御答弁がありました。あわせて東北の問題に対してもるる御意見があったのでございますが、私は先ほどの長官の御意見に基きまして、日本経済のあり方について、具体的な問題から入っていって、一つ一つ意見を承わってみたいと思うのであります。  今回国鉄運賃が一三%増額された。その理由は輸送力の増強ということになっておるのでございますが、今東北であろうと、また北海道であろうと、一番困難を来たしておるものは青函トンネルの問題でございます。運輸省におきましても、また国鉄におきましても、この点に対する調査は、もうほとんど行き届いておる。一方青函連絡というものは、もう満度に達しておる。これ以上の場合においては、新たなる港を作って増強しなければならないという段階になっておる。未開発北海道が、開発されるに従って増産がされていき、これが日本経済基本になっていく、こういう点からいきまして、一日も早く国鉄によって青函トンネルというものが着手されなければならない段階に達しておる。これに対して経済企画庁は、第二次五カ年計画を明年から新たに計画される段階になっておられるということを先ほども承わりましたが、こういう点に対しても、日本経済の均等をはかるという建前からいきましても、当然これが論議され、実行に移されなければならない段階になっておると私は考えておるが、大臣においてはどういう御意見を持っておられるか、この点を承わりたい。
  32. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまの日本経済の隘路は、輸送と鉄鋼と電力、こういうことになっております。その中でも、特に輸送は最も緊急に処置を講じなければならないものであります。従って、やむを得ず運賃の一三%引き上げを行う、こういうことにもなりました。そうして、ただいま九州については関門トンネルでつないでおりますが、それによるところの輸送能率というものは、非常に画期的な結果を見ておりまして、それは統計上よくわかっております。北海道は九州よりもそれ以上に重要な、これからわれわれが国民的関心を持って開発にかからなければならないので、所管の専任大臣もおられる。そういうわけでありますので、それをつなぐところのトンネルというものは、当然われわれは松田委員の仰せられるように処理すべきものと思っております。ただ鉄道関係の建設費というものが非常に限られた金額でありまして、五千億か六千億程度のもので、五カ年の間にただいまのところの応急対策を計上げていくということでありますから、トンネルに対するところの経費の計上の仕方、これの実行の時期をどういうふうに時間的に考えるかということは、夢でないように、具体的に案を持つべきではないか、こういうように思っております。
  33. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 よく御趣旨のほどはわかりますが、先ほどの大臣のお話と、ただいまの御答弁とは、だいぶ矛盾があるように私は考えるのであります。五千億、六千億の国鉄に対する改良なり輸送力の増強を考えておる、こういう事態になっておる。ところが、青函トンネルはわずかに六百億でいいのでございます。しかし六百億あるからといって、一時に六百億をここへ出してみたところで、とうてい一年間でできるものではない。最低の場合、金さえあったならば、どうしてやれるかという調査までしてみたところが、七年間でできるということでございますが、そう七で割って、できるものでもない。やはり初年度においては、いろいろな準備もあるだろうし、何もかにもあることであろうと思います。そう一ぺんにできるという問題でもない。たとえば十年でやったら、六十億ずつあればいいということになります。ところが、国鉄においては特殊な公社を作って、それをやろうなどという考え方を持っておる。国の輸送力を増強して、そうして内地と北海道との、一升どっくりのああいうようなところを除こうというのに、公社の必要があるということを実際問題として考えておるのでございます。公社をやりますと、国鉄の運賃が一本化されてこなければならないのに、また特定の運賃というものがそこに制定されるというようになっていったならば、そうでなくても、ただいまの愛知君の意見、また私どもが常に抱いておる北海道東北などの生活の負担が増し、しかも経済が脆弱である、こういう点に対しては、今の公社なり公団なりという考え方は、誤まりでないか。国民の鉄道であったならば、国鉄として一本化した政策によって、ああいうものを直ちに作っていかなければならないという考え方を、私どもは持つのでございます。実キロ百十三キロのところに、現在のところは四百五十キロの運賃を取っておる。今度の案だと三百キロの運賃でもって、まあまあ我慢しろということでございます。こういう点からいきますと、それだけ東北なり北海道なりの経済が非常に圧迫されることになるのでございます。こういう点からいって、真剣にこの問題を取り上げていっていただきたいと存じます。  第二点は、ただいまの私の申し述べたごとからいきましても、たとえば第二次五カ年計画というものにより明年から着手されたとしても、最小年限として七年間でありますが、この場合、七年の間の北海道東北の輸送量というものは現在はちょうど、ひょうたんか、一升どっくりの首のようになっておる。こういう問題をどう解決しなければならないかということは、鉄道当局ばかりでなく、大臣の所管であろうと私は考えるのでございます。運輸大臣ともともととこの問題について論議し合いまして、今までほっておいたのでありますが、今一生懸命になってそれを研究しようということになっておることは——輸送力はどのようにしても国鉄のかけ声のようにいかぬ。北海道では、鮮魚であろうと、また野草物であろうと、あらゆる物資が、一カ月くらいおくれて貨車が配給になることが、これは麻痺状態になっておって、当りまえだと思っておる。それだけ金融というものが逼迫する。こういうようなことからいって、補助航路を東の海と西の海につけなければならないという結論を、私どもは出しておるのでございます。運輸省においては今一生懸命やっておる。明年度予算に間に合わせるように、または補正の場合は補正予算で、または予備費からで云という考え方を持って今ようやく気がついて、熱心にやっておる。こういう点に対して、何といったところで企画庁長官の御決断がなかったならば、あの輸送量というものは、何ぼ運輸省だけやったって、大蔵省の頑迷な役人だけでは、とてもやり切れるものじゃない。あなたの力を借りなければならないのだが、こういう点に対してあなたはどういうお考えを持っておられるか、この点を承わりたいと思う。
  34. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまの第一点の海底トンネルは、国営で、国鉄の経営下に置くべきであるということは、これは原則として当然そうあらねばならないとは考えますが、資金計画その他につきましては、運輸省と十分話し合って、どういうふうな考えを持っておるか、なお現場の意見を聞いてみたいと考えます。  それから、五カ年計画の中で私たちが一番心配しておりましたことは、花海道の特に石炭の出炭能率が非常に上ってきておった。そしてその石炭の出炭能率が上がったということは、日本の燃料政策からいうと、非常に重要な問題でありまして、東京地方のガス、あるいは火力発電設備の拡充等におきましては、北海道に依存する度合いは非常に高いということがわかっております。ところが室蘭、函館の荷役設備を見てみると、昨年でも、私が十二月ごろに鳩山内閣のときに出た数字だけを見ても、一日三千トンばかりの埠頭滞貨があるのじゃないかというふうに見受けられたのであります。その後能率が上っておるはずでありますが、なお港湾施設というものは、生産に合っておらないと思っております。従って、これはその他の鮮魚とか野菜とかを合せますと、港の拡張、そうして新しい補助航路を作るということに問題が発展するのは、当然だろうと思われるのであります。しかし、そういうことも当然われわれは五カ年計画の中で速急に解決をはからなければならぬとは考えておりますが、そういうことにいくなら、海底トンネルで一挙に解決し、能率を上げる方法があるのじゃないか、特に貨車組みの面から見ますと、五カ年計画の中で二万四千車両というものは作るという計画であります。二万四千車両作った場合に、それが北海道に関する限りは、青森と函館で全然これが能率上有効に使えないという事態を引き起すということでありますから、東北のためにも、北海道開発のためにも、日本全体の経済計画のためにも、トンネルが第一に望ましいものだと考えております。
  35. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 大臣の御意思もよくわかりました。ところで、私の希望でございまするが、ただいま述べたような理由により、大臣の御答弁にもう一度拍車をかけて明年から海底トンネルを作るべきであるという結論を、経済企画庁は立てていただくことを私は要望するのと、その海底トンネルが完成するまでの間は、どうしても経済均衡をはかるために、補助航路をやらなければならないということを御認識あって、これを推進していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  36. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次回の会議は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会