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1957-10-09 第26回国会 衆議院 建設委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月九日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 薩摩 雄次君    理事 大島 秀一君 理事 荻野 豊平君    理事 久野 忠治君 理事 三鍋 義三君       池田 清志君    堀川 恭平君       井谷 正吉君    小川 豊明君       小牧 次生君    島上善五郎君       鈴木 義男君    中島  巖君       山下 榮二君    渡辺 惣蔵君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         総理府事務官  小野寺 昇君         建設政務次官  堀内 一雄君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     加納 久朗君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澁江 操一君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     吉田安三郎君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 九月十一日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補欠として日  野吉夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員日野吉夫辞任につき、その補欠として稲  富稜人君が議長指名委員に選任された。 十月四日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  帆足計君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員稲富稜人君帆足計君、足鹿覺君及び前田  榮之助君辞任につき、その補欠として小牧次生  君、田中幾三郎君、小川豊明君及び渡辺惣蔵君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件河川道路住宅及  び都市計画に関する件  日本住宅公団住宅固定資産税の問題に関する  件     —————————————
  2. 薩摩雄次

    薩摩委員長 これより建設委員会を開きます。  河川道路及び住宅に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますから、これをお許しいたします。池田清志委員
  3. 池田清志

    池田(清)委員 当委員会におきまして局地的な問題で御質問を申し上げますることは恐縮に存じますが、先刻、鹿児島宮崎両県を代表いたしまして地元の熱烈なる陳情のありました事柄につきまして、数項にわたりお尋ねを申し上げることをお許しいただきます。  川内川は御承知のように霧島山に源を発しまして、宮崎県の北西部を流れ、鹿児島県の北大半部分を貫流いたしまして海に注いでおる川であり、その流さは百三十八キロメーターというものであり、その流域は一千六百三十六平方キロメーターということに相なっております。この間に包蔵いたしまする水田といたしまして一万七千町歩、畑九千町歩、合計いたしまして二万六千町歩、これから生産いたします農業粗収入七十五億円、こういう地域を流域といたしております大きな川でありまして、南九州におきましては重要なる河川一つであるわけであります。宮崎県、鹿児島県におきます産業経済上重要なる部位を占めておりますことは、すでに御承知通りであります。ところが、南九州年々歳々災害の多いところであります。台風の常襲する地帯でありますこともおわかりの通りであります。残念ながら川内川そのもの改修が十分にできておりません今日におきまして、度重なりますところの台風によって、得らるべき収入の見込みが失なわれますこと十七億円というようなことにも相なっておるわけであります。まことに残念な実情でございます。ことに今年の七月二十七日の豪雨は、川内川流域においては、四十年来の大豪雨であるということが言われておるわけであります。その水系内におきます降雨量を二、三拾い上げてみまするに、真幸におきまして二百九十八ミリ、吉松におきまして三百十八ミリ、栗野におきまして三百四十九ミリ、菱刈におきまして四百十六ミリ、宮之城三百六十二ミリ、川内三百八十六ミリと、こういう状態でありまして、これが川内川水系内にあるところから、下流に位する川内市におきましては、これまたほんとうに危険な状態になったわけであります。川内川川内市における平常水位は〇・六七メートルであるにかかわりませず、七月の二十七、八両日において、この豪雨の最も増水したときにおきましては六・三〇メートルと、こういうことに相なっております。川内川改修におきまする計画洪水量は三千五百立方メートルというのでありまするが、先ほど申し上げた一番増水したときにおきましては三千四百立方メートル、こういうようなことに相なっておりまして、先刻地元陳情がありましたように、川内川を囲っておりまする堤防そのもの決壊寸前にあったという実情であります。こういうような状態からして、川内市、東郷町、栗野町の市街地がみんな水浸しになったのを初めとして、吉松平野栗野平野伊佐平野及び川内川下流の各所において田畑が冠水したことはすでにおわかりの通りであります。こういうような状態でありましては、鹿児島宮崎としてはまことに残念な実情でありまするから、この際川内川について重点を置いていただきまして、その改修を急いでいただきたい、こういうことに陳情の要点があったと思うのであります。  川内川直轄河川として、下流上流とに区分されております。その直轄河川進行状態は、昭和六年から着工いたしまして、約四十二億円というものでもって改修するという計画があるように伺っておりますが、現在までのところ六億五千万円しか放出をされておりません。三十二年度においては七千二百万円というもので改修をしていただいております。こういう状況でありますと、その計画だけ実行するにしても、あと五十年かかるというのです。こういうことでは、地元としては何としても納得ができないことであります。でありますから、少くとも今後十年間でやるということにいたしましても、年々三億五千万円の予算川内川にお願いしなければならない、こういう状態であります。こういうことからいたしまして、建設当局においては河川関係重点を置いて進んでいただいておりますが、この際私は、河川費用について来年度以降における予算編成方針及び右申し上げまする川内川について予算処置上どういうふうに重点を置いていただくかをお尋ね申し上げます。
  4. 山本三郎

    山本説明員 お答えいたします。川内川につきましては、先ほど質問にもありましたように、下流部改修昭和六年に着工いたしました。その後上流改修を終戦後に至って着手したわけでございますが、その重要性については建設省としても、それを最重点に認めておるわけでございます。従いまして国直轄事業として施行しておるわけでございますが、その進捗の度合いとしては、ただいまお話のごとく、まだ完全の状況には非常にほど遠いわけでございます。従いまして、これを早急に完成したいという目途のもとに、来年度予算においても、ただいまお話のごとく三億五千万という数字を来年度から見ますことはなかなかむずかしいかもしれませんが、できるだけこれを増額して、早急に解決いたしたいというふうに考えておるわけでございます。本年の災害におきましては、私も災害直後お伺いいたしまして、その危険の状況は目のあたり見て参ったわけでございますので、個所別等の問題についても十分承知しておるわけでございますので、それらの点も考えまして、できるだけ予算を増額いたしましてこれを遂行していきたいというふうに考えております。
  5. 池田清志

    池田(清)委員 ただいま河川局長の御答弁によりまして、川内川について重点を置いていただき、相当の予算の増額を御用意していただいておるということでございましてぜひこの実現方をお願い申し上げます。  川内川水系内において、右申し上げましたのは本川でありますが、その支川が至るところ自然河川状態であります。今回の豪雨によりましても高城川、平佐川、隈城川、樋渡川、樋脇川、羽月川というような自然河川状態のところがはんらんをいたしまして、市街地及び田畑がつかったわけでございます。でありますから川内川を治めまするのには、本川ばかりでなく、支川及び派川、あわせてこれを治水してもらわなければならないということが提唱されるわけであります。この点につきましても御承知いただいておると思うのでありますが、地元といたしましては本川支川、派川をあわせて、一括して川内川を治めるようにしていただきたい。その主として望みまするところは、国の費用でこれらの諸川を改修していただきたいというところにあるのであります。そういたしますると、いわゆる河川認定変更という問題が取り上げられなければならないと思うのでありますが、この点について当局はいかがお考えでございますか。
  6. 山本三郎

    山本説明員 お話のごとく本川だけを改修いたしましても、これらに関係ある支川等を処置しなければ、せっかく本川改修ができましても、支流からはんらんいたしまして、九仭の功を一簣に欠くということを考えるわけでございます。今回の出水にしましても、川内市等のはんらんは主として支流はんらんによって起ったということを私も現地においてよく認識して参ったわけでございます。従いまして、これらの支川改修本川と相応じてするということが絶対必要でございまして、私どもといたしまして、河川を全体といたしまして計画を立案し、それを並行して改修して参るということがわれわれとして努力しなければならぬことでありますし、またそういう観点によって進んで参っておるわけでございます。またこれらの河川をどういうふうな形、国でやるかあるいは地方でやるかという問題でございますが、これは今後において国でやる河川部分をふやすというふうなことも考えられますけれども、いずれ県と国と分担して、できるだけ早く目的を達するのが主眼であると思います。従いまして、分担という点についても今後考えなければならぬと思いますけれども、できるだけ水系全般として完全な姿に直すということが主眼ではないかと思いますので、県ともよく連絡して、御趣旨に沿うように努力したいというふうに考えます。
  7. 池田清志

    池田(清)委員 ただいまの御答弁で、川内川本川支川を一括して川内川の水を治めて下さる、こういう御方針を伺いまして、ぜひこれまた御実現をお願い申し上げます。  次には、先ほど陳情にもありましたように、ダム建設の問題であります。川内川の全流域中流どころに鶴田村という所がありまして、これが地勢的にも大へんよろしいダム建設予定地ということに相なっており、すでに建設省においては一昨年からその地質調査並びに流量調査を進めていただいておるわけです。関係の者としては、ぜひこれが建設をお願いしたいということを強くお願い申し上げたわけです。このダム建設していただきますと、鶴田ダムから下流に当りますところの東郷町、川内市等の洪水が防がれることに相なります。なおまたこのダム建設していただきますことは、上流改修を促進する一つ方法であるわけであります。上流改修をどしどしやって参りますと、多量の水が一斉に下流に流れまして、下流洪水を起すおそれがあります点から、上流改修が進んでおりません。吉松平野においても栗野平野におきましても伊佐平野におきましても、改修が中途半端で、自然遊水池状態に置かれてあるのが今日の状態です。これは上流としてもまことに困るところでありますから、その改修はどうしても促進していただかなければなりません。それがためには中流に位しますこのダム建設をしていただくということが上流改修一つ方法である、こういうふうに考えるわけでございます。鶴田ダム建設予定地といたしましては、御承知のように国有林のあるところであります。その間に立ちのきを要しまする人家がわずかに四軒、従いまして国家補償の問題につきましては、軽微なもので済むことであります。そしてまたこのダム建設していただきますと、右に申し上げますような洪水調節及び発電——現在発電をやっておる部位でありますが、発電も行われることになりまするし、農業用水工業用水等のいろいろなる目的を有しまする、いわゆる多目的ダムの典型的なものであると考えるわけであります。どうしてもこれは建設をしていただきたいと思うものであります。建設省は一昨年以来手をつけていただいておりますが、その御調査状態並びに今後における進行の御方針、これをお示しをいただきまして、ぜひこれが建設するようにお進めをお願い申し上げます。
  8. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの中流ダムの問題でございますが、御説のように川内川の全体を治める計画といたしましては、上流改修いたしまして、従来遊水しておりましたものを全部遊水をなくなすように改修いたしますると、当然下流に対する流量がふえて参ります。従いまして下流川内市方面の流量は多くなるということが想定されるわけでございまして、川内川治水を完全にいたすためには、現在の計画におきましては、やはりどうしましても中流洪水を調節するダムが必要でございます。その見地に立ちまして、ただいまお話にありましたように、ダムの好適地を選びまして建設省調査をして参っておるわけでございます。ダムにつきましては、何せ地勢もありますけれども地質の問題が非常に重要な問題でございます。この点につきまして確信を得られるということがまず第一の要件でございますが、本年度中におきましても地勢の概略につきまして可能性を十分確かめまして、来年度におきましては、それができるならば、一つもっと全般的の調査をしたいというふうに考えているわけでございまして、それらが済みますれば、その上に立ちまして早急に計画をいたしまして実現に持っていきたいというのが私ども考えておるところでございます。
  9. 池田清志

    池田(清)委員 鶴田ダム建設につきましても、必ずこれが実現するようにとの御方針をお持ちになっていただいておるようでございまして、まことに感謝をいたしておりますが、ぜひその方針でどしどしお進めいただきまするようにお願い申し上げます。  災害復旧制度といたしましては三・五・二という、三年にわたりまして完成するということに相なっております。しかしながら実際問題といたしまして、昭和二十六年度災害もまだ残っておる、二十七年度以後もたくさん残っておる、こういう状態でありまして、災害復旧せられていないところが所々方々に見受けられるわけであります。ことに貧乏県と言われておりまする鹿児島県、宮崎県のごときは、川内川関係におきましてもこれを見るのであります。そこで、ここで私お尋ねを申し上げますのは、来年度以降の災害復旧の御予定によりまして、一体どういう程度災害復旧が行われていくか、つまり災害が残ることが少くなっていくかというところの御計画見通しお尋ね申し上げます。
  10. 山本三郎

    山本説明員 災害を早期に復旧いたしまして、続く災害を少くするということはもちろん必要なことでございまして今までもこの点について努力して参ったのでございますが、お説のように二十六年度災害につきましても、まだ若干残っておるというような現状でございます。まことに遺憾な状況でございますので、来年度におきましては三十年災害以前のものは一つ全部片づけたい、それからその後に引き続くものにつきましては、ただいまお話もございましたように、緊要なものにつきましては三カ年復旧ということで進めて参りたいということで、ただいま予算折衝しておるところでございます。
  11. 池田清志

    池田(清)委員 小災害対策の問題があります。市町村を単位にとりますと、十万円未満の小災害につきましては国の助成がないという状態でございまして、そういう小災害をたくさんかかえ込んでおります市町村財政当局といたしましては、非常に困っておる実情にあるわけであります。これまた鹿児島県、宮崎県の各市町村のごとき、それに困っておることがはなはだしいのであります。これについて政府といたしましては、特別交付金の増配をしようとか、あるいはその小災害を合計したものに対して国庫補助の道を開こうとかいうお話は伺っておりますが、次の国会も間近に迫っておる今日におきまして、その準備がいかように進んでおりますか、お示しを願います。
  12. 山本三郎

    山本説明員 小災害の問題につきましては、お説の通り公共土木施設災害復旧事業国庫負担対象にならないわけでございまして、これの救済措置につきましては、特別交付税でこれをできるだけ考えようということに相なっておるわけでございます。私の方も自治庁とよく連絡をいたしまして交付税実情に即するようにこれを処置したいということで自治庁も進んでおります。その方針に基きまして自治庁はすでに現地調査に参りますし、それからまた詳しい資料の提出を求めまして、それによりまして審査を進めておるわけでございます。それの作業につきましては、建設省も協力をいたしまして、実情に即するように持っていきたいというふうに考えております。
  13. 池田清志

    池田(清)委員 災害復旧の問題につきまして、改良をあわせ行うということが一つの問題となっており、当局におきましてはその方針で進むということの御発言も伺っておるのでございますが、これまた国会も差し迫っておりますので、立法措置等準備はいかように相なっておりますか、お伺いします。
  14. 山本三郎

    山本説明員 災害復旧の問題につきましては、災害関連事業というもの、あるいはそのうちには災害助成事業というようなものも含まれておりますが、その制度を活用いたしまして従来もやって参ったのでございます。今後におきましてはその制度をもっと活用いたしまして御趣旨に沿うように努力しようということでございまして、それに伴う立法措置も目下研究いたしております。
  15. 池田清志

    池田(清)委員 起債最低限度の問題でお尋ねを申し上げます。起債は、当該年度事業費百万円以上でないと、その対象にならないということに相なっておるのであります。そういたしますと、たとえば河川災害を受けたといたしまして、三百万円の事業費を要する、三・五・二の三年間に完成するということになりますと、第一年度目は九十万円という事業費になりますから起債対象にならない、第二年度目は百五十万円でありますから起債対象にしていただく、第三年度目は六十万円でありますから、これまた起債対象にならない、こういうようなわけでございまして、こういう災害をかかえ込んでおります市町村といたしましては大へん困っておる実情にあるわけです。このことにつきまして鹿児県島の町村会及び鹿児島県の町村議会は議決をもちまして政府当局に、その限度災害に限り三十万円に引き下げてほしい、こういう陳情をいたしておるのでありますが、御当局ではどういうお考えでありますか、お示し願います。
  16. 山本三郎

    山本説明員 これは実は建設省の主管ではございませんで、自治庁の所管になるわけでございますが、災害につきましては特別のものでございますので、私どもといたしましてもただいまの御趣旨自治庁によく連絡いたしまして、御要望が聞き届けられるように処置いたしたいというふうに考えます。
  17. 薩摩雄次

    薩摩委員長 関連質問といたしまして、小牧次生君。
  18. 小牧次生

    小牧委員 池田議員の御質問に関連いたしまして、具体的に二、三点お伺いをいたしたいと思います。  先ほど地元陳情あるいはまた池田議員の御質問によりまして川内川改修がいかにおくれておるかということについては御了解を願ったものと考えるわけでありますが、現在、来年度予算大蔵省との折衝に入っておると聞いております。そこで問題は、先ほど池田議員からお話がありましたが、毎年七千万円程度予算では、あと三十年くらいかかる。しかも今日まですでに二十数年を経過いたしておるような段階におきまして、今のような予算の割合では少くとも三十年を要するという、まことに残念な状態にあるわけでありまして、地元側といたしましては、少しでも早く改修が完成をいたしまして、流域住民の不安がなくなるようにということを念願いたしておるわけでありまして、そのために、今までのような予算の割当ではとうてい満足できない、こういう意味で強く陳情いたしておるわけであります。私どもの知るところでは、九州地建の方から本省に対して出しました川内川改修の来年度予算本省においていろいろ検討の結果、現在大蔵省折衝中と聞いておりますが、その経過をまずお伺いいたしてみたいと思います。
  19. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの御質問でございますが、川内川の来年度要求につきまして、幾らしておるかという数字をあいにく今手元に持っておりませんけれども、全国の河川よりも川内川につきましては、その率をよくいたすように、私も現地を見て参りまして、課の方へ言いまして、ふやしておくように指示しておりますから、ほかの河川よりも優先してやるようにという処置をしております。しかし詳しい数字はただいま持ち合せておりませんので、その点に対するお答えはできませんが、そういうふうに処置してはおります。
  20. 小牧次生

    小牧委員 川内川のこの間の七月二十七、八日の災害に対しては、委員長初め各委員方々も、また局長も来ていただきまして、十分実情を御承知のところでございまして、われわれも感謝いたしておるわけでありますが、しかし今の局長の言われるように果してなっておるかどうか、これは私どもは非常に疑問に思っておるわけでございます。そこで、これはあと一つ調査願いたいと思うのでありますが、これに対して宮崎鹿児島県の流域住民は、少くとも地建の方から本省に出された、十分実情に基いて出された数字を何とか維持してもらいたいと念願しておるのであります。先ほど池田議員からお話がありましたが、三億円をかりに計上するといたしましても、あと十年はかかるという、非常にゆうちょうな見通しになるわけでありますから、一刻を争うこのような大きな改修については、できるだけ予算も考慮願わなければならないのでありますが、にもかかわらずそういう状態であるから、何とか一つ地建の方から出た数字本省の方では来年度予算編成に当っては維持していただきたい、こういう強い熱願をもって上京してきておられるわけであります。これについて局長がお答えできなければ、大臣の方からこれに対する来年度見通し一つ簡単にお答え願いたいと思います。
  21. 根本龍太郎

    根本国務大臣 治山治水に関しましては、特に当委員会の御要請もあり、また私も相当重点を入れまして、三十三年度予算編成に当りましては、現在のところ数字は個々の河川について私承知しておりませんが、あるいは特別会計によって、さらにはまた継続費制度を設けることによって、水系別に総合的にこれから実施していかなければならないというような意味において、強くその点を大蔵省要求しております。しかしこれは前からいろいろそういう運動もあったけれどもなかなか実現できないために、果して私の要求通りにいくかどうかは存じませんけれども、従来ややもすれば、河川改修に当りまして一年きりずつにやられるために計画が立たない、そのために事業執行も非常に困難を来たしておる。こういう関係から、ただいま申したように特別会計あるいはまた継続費制度、さらに場合によっては予算外国庫負担契約によって、土地の買収、その地区の特殊事情によってはそういう制度もやるべきだ、こういう観点から現在政治折衝に入っておるわけであります。そういうようにいたしまして、皆様方の御要望をできるだけ高く取り上げたいと思っておりまするが、今の川内川の来年度予算要求額がどの程度であるか、私も今資料を持っておりません。いずれその点については河川局長が事務的に取調べの上、御連絡いたさせるようにいたしたいと思います。
  22. 薩摩雄次

    薩摩委員長 大島秀一委員
  23. 大島秀一

    ○大島委員 新潟地区の地盤沈下対策につきましてお願い申し上げたいと思います。新潟市及びその周辺における地盤沈下の現象はきわめて顕著であり、ことに港湾地帯においては沈下の状態が一メートル八十にも及ぶ膨大な状態にありますので、これが地区内全般に相当の影響を与えつつある現状であるのであります。まことに憂慮にたえない次第であります。国土保全、民生安定ないしは産業経済の基盤確保の見地から、放置しがたい実情にあるのであります。これが現状の把握と対策の樹立とは焦眉の急務であることは申すまでもありません。これがために地盤沈下の現状並びにその原因を究明するには高度の科学的調査研究を行う必要上、新潟地区地盤沈下調査委員会を設けまして、これと並行いたしまして応急対策をすみやかに実施するために、また総合的恒久対策を促進するため、本県知事を会長といたしまして、官民合同の新潟地区地盤沈下対策促進協議会を設置する等、これが対策に非常な情熱をつぎ込んでおるような次第であります。関係当局においては、地盤沈下の国際的重要性と地方財政緊迫の現状をよく御考察の上に、昭和三十三年度以降所要の調査費並びに沈下対策費について全額国費支弁の特段の御措置を願いたいと思うのであります。これにつきましては、御承知のように新潟地区におきましては昨年大火等もありまして、なかなか財政困難で、従来も新潟県におきましても非常に財政困難な地区でもあったので、この問題は何といたしましても非常にむずかしい内容を持っているように考えられます。よほど高度の研究調査をしなければ目的達成が不可能ではないかとさえ考えられるのであります。このようなことにつきましてまだ具体的な資料も何も持ちませんので、御質問することもいかがかとは思いまするが、この際政府当局におかれまして、このような問題をどのように処置をするか、どのように考えておるかということにつきまして御意見を伺いたいと思います。
  24. 山本三郎

    山本説明員 新潟市周辺の地盤沈下の問題につきましては、新潟県及び新潟市から詳細な現状の説明をお伺いいたしました。その区域につきましては運輸省の港湾局の関与する部面も相当にありますし、また河川の部面もありますし、海岸の部面もあります。従いまして総合的にこれを調査し、計画を立案しなければならぬというのが実情であろうというふうに考えておりまして、とりあえず港湾局におきましても調査費を要求しよう、それから建設省におきましても分担をきめまして調査をいたそうという線で調査費を要求中でございます。今後におきましては、お説の通りどういう原因で沈下しておるのかという問題、それからまた地層等を十分調べまして、その原因を十分究明いたした上で対策を立案しないと、対策が画餅に帰すというふうな点が考えられますので、調査を十分いたしまして、その上に立ちまして恒久対策を立てる、それからそれと並行いたしまして、緊急やむを得ざるものは応急対策をとっていくというのが今後の進め方ではないかというふうに考えておる次第であります。
  25. 大島秀一

    ○大島委員 ただいまの河川局長の御説明で非常にありがたいことだと存ずるわけであります。ただこの問題は非常に急激に変化を来たすおそれもあるかのように考えられまするので、できますことならば当委員会といたしまして調査団を至急派遣するような方法に持っていっていただきたいという希望を持っておるわけでありまするが、それについて委員長はいかがお考えになりますか。
  26. 薩摩雄次

    薩摩委員長 お答えいたします。理事会に諮りましてよく相談して、できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと思います。ついては二十四日に建設大臣がこの地盤沈下のところを視察に行かれるということを聞いておりますので、委員長も同行いたしまして、現地で実地を見せていただいて詳しく御説明を承わり、それを建設委員会理事会に諮りまして、あらためて委員会から調査団を出すか出さぬかということを決定いたしたい、こう思っております。
  27. 大島秀一

    ○大島委員 大へん御親切な御説明で感謝いたす次第であります。どうぞ一つこれをほんとうにわれわれの心配のないように促進せられますよう、格段のお願いを申し上げます。
  28. 薩摩雄次

    薩摩委員長 ただいまの問題に対する関連質問として、三鍋義三君。
  29. 三鍋義三

    ○三鍋委員 先ほど新潟市の地盤沈下の陳情を承わりまして非常に驚いておるのであります。と申しますのは、この問題は今に始まったことではなく、相当な長い期間においてこういう変化が起きている、これに対して当局の対策がどのようになされていたかということに対する疑問が若干あるわけであります。最近急にこの世論がほうはいとして起ってきたのは、最近における沈下の急速なる状態に対する不安からだと思うのであります。御承知通りこの海岸の侵食の状況を見ますと、だいぶん古い話でありますが、明治二十年ころから見ると三百五十六メートルも侵食してきているのであります。これは何も新潟市及びその周辺だけの問題でありませんで、日本海全体の問題ではありますけれども、こういった砂丘が次から次へと侵食されてくずれてしまって、最後の一つの砂丘によってようやくたえ得るか得ないかというときになって、住民の声によってやっとこれに対する対策を講ずるといったやり方では、非常にまずいし、また費用が非常にかかると思うのであります。こういう点から、今度の陳情を機会に十分なる原因の調査が必要であります。原因の調査をしながら、満潮時にすぐぴしゃぴしゃと工場内あるいは住宅内に浸水してくるという危険な状態にあるのですから、これに対する応急処置が当然なされなければなりません。それにつきましては、先ほど大島委員からも御要望がありましたけれども、当委員会といたしましても実情を十分調査する必要があると思うのであります。これは何も新潟市だけの問題ではないのでありまして、東京都の江東地区における地盤沈下の大きな災害の問題も関連してあるのであります。こう考えますと、日本全体の地盤の変化ということも関連して考えられますので、これに対する対策というものは緊急になされなければならぬと私は考えるのであります。幸いにして三十三年度建設省関係重要施策におきましては、特別会計によるところの多目的ダム建設及び海岸保全施設の整備、地盤変動対策事業の促進、こういうところに重点を置かれるといっておられるのでありますから、これに対するところの御心配は十分なさっておるとは思いますけれども、もう少し具体的に、新潟市の地盤沈下の問題、江東地区の災害対策の問題に対しましてどのように対策を進められておるか、この点につきまして局長から一つ明確な御答弁を願いたい。
  30. 山本三郎

    山本説明員 新潟市の問題につきましては、先ほど答弁申し上げましたが、沈下の状況が現われたことは最近ではございませんで、沈下の状況が激しくなったのが最近であります。沈下が生じたのは、先ほどお話がございましたように数年前から現われておりました。従いまして、その沈下がどのくらい起ったかという点につきましては、地理調査所が水準点等の状況について調査をして参っておるわけでございます。それから沈下も、港湾地区が非常に影響が多かったものでありますから、運輸省におきましてもすでに去年あたりから具体的に調査をしておりまして、応急対策はある程度できておったように聞いております。  それから私どもの方といたしましては、港湾区域の上流の小さい河川がございまして、その沿岸が従来に比して高潮のとき非常に浸水が起るようになったという話をしばしば聞いておったわけでございまして、これらの点につきまして具体的に調査をしなければいかぬじゃないかという点につきまして、従来とも県といろいろお話をして参ったわけでございます。従いまして、これらの原因等を調査するには、相当の予算が要るわけでございまして、来年度からは一つ根本的な調査をやろうということでございます。従来におきましても、沈下の度合い、あるいは被害等の状況につきまして調査はして参ったわけでございますが、地質層等の問題、あるいは原因がガスを掘っておるという地帯もありますので、そういうものとの関連がどうなっておるかというふうな根本的な調査を、来年度におきましてはやろうというふうに考えております。  それから東京都の方面の調査につきましては、これの下り工合等につきましては、従来ずっと調査を続けております。それから、それらの原因と考えられます地下水のくみ上げ状況につきましても、どのくらいの量をくんでおって、それと沈下の状況との相関関係がどうなっておるかというような点につきましては、従来からずっと調査をして参っております。そういたしまして、それに応ずる高潮の対策の問題、あるいは川の方におきまして高潮洪水に対する対策というような点につきましては、数年来その計画を練っておるわけでございまして、すでにそのうちの緊急の事業は着手をしておる。たとえば今年度から隅田川の沿岸の工事等には着手しております。緊急やむを得ざるものにつきましては、調査の途中ではありますけれども仕事に着手しておるというのが実情でございます。
  31. 三鍋義三

    ○三鍋委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、この所管は各省に分れるわけですね。運輸省あるいは農林省、建設省といったところで、緊密な連絡をもって御調査なすっていることと思いますが、こういった問題は調査に非常に科学的技術を要することは言を待たないのでありまして、これを総合的に研究調査して最も効果的に推進する、何かこういったお考えをお持ちになっておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  32. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘の通り、地盤沈下の対策を実施すべき所管省が、一番大きなのが私の方、それから影響の大きいところは運輸省、それに農林省、こういうふうになっております。そういう意味から、従来は機構改革などで、国土省みたいなところで全部やったらいいがというような議論もありますけれども、今直ちにそういう問題を取り上げることが客観的に困難でございますので、結局各関係事務当局、これの横の連絡を緊密にいたしまして対策を、おのおの所管は別でありましても、本質的な原因の究明、さらにこれを工事実施する場合における総合的関連性、こういうものを重視してやるように指導している次第でございます。  なお、御質問はございませんでしたけれども、地盤沈下について若干申し上げますと、御指摘のように従来からこの問題が取り上げられておったのでありますが、ある意味におきましては局部的問題としてこれが取り上げられてきておりまして、国土保全の見地から、地盤沈下を一つの大きな政策として取り上げるという機運はありましたけれども、現実にその段階に至っていない。ところが最近になりますと、たとえば大阪方面でありますと、工業敷地の拡充とか、工場がたくさん出てきたために、工業用水が足りなくなって地下水を利用する、その結果、非常に急激に地盤沈下の問題が出てきておる。あるいはまた、従来農業関係の方におきましても、それほど土地改良並びに区画整理ができていないために、まあ天災としてやむを得ないという関係があったのでありますが、だんだん土地改良が進み区画整理が進んで参りますと、せっかくの施設をした耕地が地殻沈下のために再び手をつけなければならぬ、こういう問題が最近顕著に地元民によって認識されてきておる。そういう観点から、これはどうしても地盤沈下に対する政策を大きく取り上げなければならぬ、かように考える。また、私就任間もないところでございますが、今回四国の大ていの地区を回って参りました。そういたしますと、道路河川と関連して出てくるのは、海岸侵食とこの地盤沈下の問題でございます。そういう観点からいたしまして、三十三年度予算編成に当りまして、すでにわれわれが大蔵省要求しておる施策の一環として申し上げたように、地盤沈下については従来、建設省所管の方、あるいは委員の方は御承知になっておりますけれども、一般の世論がこれに対してまだ必ずしも十分な認識を持っていない、これはぜひとも国民世論として取り上げ、また国会におきましては、単に建設委員会のみならず、関係方面において重大なる関心を持っていただきたい、かような意味におきまして、政策の樹立とともに、各方面にその点を認識していただくように努力を続けている次第でございますが、何しろ、先ほど局長から申し上げたように、この地盤沈下に対する基礎的調査が、私から見るとどうも不十分である。原因はいろいろ複雑なようだ。これの対策についても、堤防を築くとかあるいは港湾を整備するというだけであって、これはもう少し総合的な施策が必要ではないか。工場地帯なんかにおきましては、工業用水の施設を作ることによってなるべく地下水を取らないようにするというような方法もあるでありましょう。あるいはまた、そういう河川関係改修とどういう関係があるか、たとえば地盤に相当水があることによって地盤沈下を防いでおったのに、放水路を作ったがために下るというようなことが、あるいはありはしないか、そういう点を十分に検討して、そうして総合的な施策をやりたい かように考えておる次第でございます。
  33. 三鍋義三

    ○三鍋委員 ただいまの大臣の御答弁によりまして、お気持はよくわかるのでありますが、各省に関係があるから、それぞれが横の連絡を密にしてこの調査、対策を研究していくということ、これは当然のことでありまして、またそうなされておるということは私も理解できるのでありますが、私の先ほど質問申し上げましたのは、それだけでは、ほんとうに一本化したところの、十分掘り下げた調査ができないのでないか、また予算の効率的な扱い方から考えましても、むだがあるのではないか、何かこの際、そういった一本化したところの調査機関あるいはこれに対する対策といったものを考える必要があるのではないか。これは新聞でちょっと拝見したと思うのでありますが、当委員会におきまして長い間懸案になっております河川法の改正なんかも、大臣がお考えになっておるようでありますが、そういうお考えとも関連いたしまして、この際こういった問題を総合的に調査研究するといった強力な機関が何かの形においてできないものか、こういう意味合いから御質問申し上げたのであります。ただいま御答弁をお聞きしたわけでありますが、私のこういった考えに対しまして、十分御研究下さいまして善処されますようにお願いする次第であります。
  34. 薩摩雄次

    薩摩委員長 中島委員
  35. 中島巖

    ○中島(巖)委員 前回の当委員会におきまして、政務次官より、建設省の「昭和三十三年度建設関係重要施策について」こういう題によりまして、明年度施行せんとするところの河川道路、都市計画住宅、官庁営繕の五部門にわたり御説明があったわけであります。私はこれらの問題、すなわち明年度の重要施策につきまして逐次要点だけに触れて政府のお考えをお聞きしたいと思います。  その前に大臣に対しましてお伺いいたしたいことは、先ほど三鍋委員からも触れましたが、三、四日前の東京の一流新聞に、河川法を改正して臨時国会に提案する予定であるというようなことが紙上をにぎわしておったのであります。これは非常にわれわれの関心を持つ重大な問題でありますので事務当局の方にお聞きいたしましたところ、まだその段階までに至っていないというようなお話でありますので、これらの細部にわたっての質問は本日は取りやめます。しかしながらこの河川法は、私が申し上げるまでもなく、たしか明治二十八、九年ころ制定いたしたものでありまして、すでに六十有余年を経過いたしておるのであります。ことに新憲法の制定というような大きな基本法の変化があり、さらにその当時におきましてはまだ水力電気もほとんど揺籃の時代でありまして、わずかしかなかったのであります。その後河川関係の大きな仕事といたしましての水力電気なんかも現在のような状況になっており、それに伴うところのいろいろな明暗両方面の問題がここに起ってきておるわけであります。もはや当然この河川法の改正はすべきで、ちゅうちょすべき時期ではないというように私も考えておるわけであります。ついては、こまかい法の内容についての説明は差し控えますけれども建設大臣にそういうようなお考えがあるかどうか。それから国会へ提出する時期等についてのお見通しはどうであるか。この二点についてお伺いいたしたい。
  36. 根本龍太郎

    根本国務大臣 河川法が非常に古く制定されまして、現状においてこれは大へん不便だ、改正しなければならぬという世論はだいぶ前からあったことは事実でございます。私もさように感じまして、今回河川審議会を設けました。河川審議会において十分御審議の上、各方面の御意見を聞いて原案を作成いたしたい、かように考えておる次第であります。従いまして臨時国会に出すという準備までにはとうてい至らないと思っております。通常国会までにはぜひ間に合せたいと思っておりますが、何しろこれはかなり権利制限等もございましょうし、さらにまた従来の河川行政に相当の変化も出てこなければなりません。御指摘の通り、制定当時におきましては河川管理の面におきましても、たとえば多目的ダムとか、あるいは電力とか、こういうものがなかった時代に作られたものでありますので、そういう点なんかも新しく考慮しなければならぬ。しかしながら同時に河川管理の問題についても地方自治体のいろいろな御意見もございますし、地方行政上にも関連があることでありますので、早急に実施しなければならぬと同時に、また慎重であらねばならぬ。こういう意味におきまして、先ほど申し上げたように河川審議会において十分御検討の上、さらにはまた当委員会などの御意見をも十分にお聞きした上で原案を作りたいと思っておる次第であります。
  37. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま大臣の説明によってよくわかりましたが、河川法は、私が申し上げるまでもありませんけれども、現在強力に建設省が推進しておりますところの総合開発の基本法ともいうべき法律でありまして非常に重要なもので、私どももこれに対して深い関心を払っておるわけであります。従いましてぜひこれを改正していただきたいのでありますけれども、当委員会の意見なんかも十分一つ政府の方から指示をいたしましてお聞き願って、原案を作成していただきたいということを希望いたしておきます。  もう一つの点を私どもで希望することは、河川法の改正は農林関係、ことに電力事業関係、通産関係など非常に影響するところが大きくありまして、他官庁との話し合いということも相当錯綜するものと思うのであります。そこで建設大臣要望することは、やはり相当の力のある者が建設大臣になったときでなくてはこの河川法の大幅の改正はできないと思っております。大へんお世辞みたいなことになるけれども、根本建設大臣河川法改正なんかの場合において最も適任者であると期待いたしておりまするので、在任中に、われわれの意向を十分聞いていただいて、ぜひこれを断行していただきたい、こういうことを希望いたしておきます。  そこで政府の重要施策について、河川道路と順次核心に触れて御質問いたしたいと思いますけれども、他の委員の方で道路関係について関連質問がおありというお話をお伺いいたしましたので、河川関係あとにいたしまして、道路関係について最初道路局長並びに建設大臣にお伺いいたしたいと考えるわけであります。  政府は従来の道路整備五カ年計画を発展的に解消いたしまして、昭和三十三年度より道路整備十カ年計画を樹立するという構想を発表されたわけであります。この政府の重要施策になる構想によりますと、十カ年計画において一兆九千億を要するということになっておるのであります。それで本年度予算につきましても千五百数十億を計上いたしておるわけでありますが、過去においてこの財源を見ますと、昨年の五百四十何億に対しましても、国会の与野党を問わず非常な反撃に出会って、ガソリン税がほとんど九十数パーセントの比率を占めている。一般会計からはわずか四十億しか出ておらないという現状であります。そこでこの十カ年計画を立てまして、本年度千五百二十億となっておりますけれども、これに要する財源、すなわち現在の一般予算からの増額はいたしましても、あまり額は望めませんし、昨年度のガソリン税増徴の関係から見ても、これ以上のガソリン税の増額は無理だろうと私考えておるのであります。そうするとしますれば、道路公債を発行するか、あるいは外資の導入かというような点に勢いしぼらざるを得ないのでありますが、この財源に対しまして大臣はいかようなお考えを持っておるか、また大蔵省と御折衝なさったと思いますけれども、これらに対するお見通しなどについてお伺いいたしたいと思うのであります。
  38. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。道路十カ年計画におきまして、総事業費二兆三千億、国費がそのうち一兆九千億、大体こういうふうに内定いたしておるのであります。しかもこれに十カ年平均でやるということが必ずしも適当でないと思いまして、そのうち前期五カ年、これが全体計画の四〇%、後期第二次五カ年計画が六〇%、また前期五カ年計画も、これはやはり財政並びに経済上の情勢を見てやらなければならないと思いますので、これも必ずしも均分でなくてよろしい、こういうふうに考えております。問題は財源の問題でございますが、建設大臣としてどの税を上げてどの税をとれということはなかなか問題が多いのでございますので、私の方といたしましては必要なる経費を、まず特別会計を設定いたしまして、御承知のようにガソリン税は相当大きな財源でありますので、これが将来にわたってずっととられるとするならば、これは一つの財源として、預金部資金から相当程度の資金を導入して、これを償還していくということも、これは決して困難ではない、さらにまた御指摘のように、一般会計から相当量これは導入すべきである、普通の場合であるならば、やはり一般会計から相当入れてよろしい、こういう観点からいたしまして、財源については特にどの税金を上げるとか、どの税金を財源にすべしということは私の方は申し上げておりません。これは大蔵省の方と今後現実に予算編成の過程において具体的に検討してみたいと思っております。われわれの方といたしましては現在のところ、ただいま申し上げたように、ガソリン税と、それから預金部資金繰り入れ、それから一般会計、この三本建で実は要求している次第でございます。  大蔵省との現在の折衝は、今のところはまだ説明の程度でございますので、向うの方もどの程度とかなんとかいうことは言っておりません。しかしながら幸い一般世論、それから当委員会の御支持等もありまして、漸次道路政策に相当程度の画期的増額をすべきだ、こういう空気は相当滲透して参ったものと私考えておる次第であります。今後皆さんの格別なる御声援によりましてぜひ目的を達成したい、かように考えておる次第でございます。
  39. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで今私のお聞きしたいと思いました点、一、二点が抜けておるのでありますが、その場合に、新しい構想として大臣から、預金部資金から支出いたしまして、つまりそれを将来のガソリン税で償還するような方法もとりたいというお話があったが、これは非常にいいと思います。なぜならば、今までもガソリンの消費量というものは年間三、四〇%ずつ上回っておって、非常に今後増額される見通しは十分あるのであるから、これは確実な償還財源になると思いますから、その方法はぜひ実行すべきだと思います。と同時に、一般財源からも相当量の注入が必要でありますし、それから有料道路なんかは十分な償還の計画が立ちますので、道路公債もしくは外資の導入、こういうことも償還計画が確実に見通しがついておるのでありますから、十分できると思いますが、これに対して大臣のお考えはどうであるか、お伺いしたいと思います。
  40. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように有料道路につきましては、これは原則として採算がとれるということを前提としてやっておりまするので、一般道路以上に償還が確実なものと思われます。そういう意味におきまして、すでに御決定願っておりまする高速度道路につきましても、先般大蔵大臣が渡米するに当りまして、七千八百万ドル、この外資の導入について協議をしていただいておる次第でございます。今直ちに入るか、いつどういうふうになるか、はっきり報告を聞いておりませんが、さらに高速度道路等、有料道路について構想が進みますれば、それ以上の導入も必要であろうと考えております。  それから一般国内における道路公債の発行の問題については、私もやっていいと思っております。ただこの問題について大蔵省と今必ずしも意見が一致しておりません。有料道路について直ちに一般公募の内債を出すか出さぬかということ、私はこれをやってもインフレにはならない、材料はほとんど日本の材料であり、かつまた有料道路等のように早急にこれが完成するものでありまするから、当然総工事費が節約になる、さらにまたこの工事が安くなるということでありますれば、これはむしろ産業開発並びに国際貿易における日本の商品のコスト・ダウンとなって貿易の振興になり、インフレになる危険はない、こういうことを実は大蔵当局と話し合いをいたしておる次第であります。この点については従来財界方面においても、あまり表面からこれをやるべきだという声が出てこなかったのでありまするが、最近一、二カ月間、私東京、大阪、神戸、京都というような方面で、財界の指導者の方々とも会ってその点をいろいろ話しましたら、やはりそれは私の構想の方がよろしいだろうというふうな気運にもなりましたので、漸次御指摘のような線に持って参りたいと考えておる次第でございます。
  41. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今大臣から、大臣の構想をお伺いしたのでありますが、私も大臣と全く同じ考えでありまして、道路費を大幅に支出して、果してそれがインフレになるかどうかということが問題点だと思います。道路に使う資材はセメントが主としたものであり、さらに鉄鋼であり、それから人夫でありまして、従って結局失業対策にもなり、鉄鋼といい、セメントといい、国内でできる品物で全部間に合うわけでありまして、従ってこれはインフレになるということは、ほかの支出と違ってありません。私旧来から大臣と同じ考えを持っておりますので、強力に御推進をお願いいたしたい、かように希望するわけであります。  それから昨年度建設省考えといたしましても、一級国道を国の直轄管理に付するということが言われましたのですが、どういう事情か本年度実現いたさなかったのでありまして、この重要施策からいきますと、来年度は直轄によって全面的の建設をしたい、こういうように述べられております。これに対しても私ども非常に賛成いたしておるのでありますが、大蔵省自治庁などの関係もあると思いますが、これに対するお見通しは現在どうなっておるか、お伺いいたしたいと思います。
  42. 根本龍太郎

    根本国務大臣 一級国道、これを簡単に言えば政府で直轄管理するということでありまするが、実際の内需は専用の許可とか、あるいはそういうふうな準行政的な問題については地方自治体に委任しても私はいいと思います。問題は補修維持の問題でございます。補修維持を直轄でやりたい。そうでなければ、すでに専門家の皆さん御存じのように、地図においては一級国道としてずっと縦貫しているはずでございますが、現実に歩いてみますと、一級国道それ自身があちこちで中断しておる状況で、これでは一級国道とは言えない実情であります。これは以前の旧憲法時代、内務省があり、知事が官選の時代においては、内務省の土木局の命令によっていろいろ一貫的にやったとは思われますけれども、現在地方自治体にまかしておりますと、それぞれみな熱心ではございますが、県の特殊事情もございまして、しかも自己財源を相当持っていてこれをやるということになりますと、地方財政のアンバランスからいたしまして、どうも一級国道でありながら非常なアンバランスがあり、しかも負担にた身得ないという状況がありますので、ぜひこの際は一級国道だけは国で直接維持管理をいたしたい、かように思っておるわけでございます。これに対しまして、一部知事の間におきまして、これは従来自分たちの地方自治体に委任されておる権限を侵害することだということで反対する向きもございますが、私が就任以来相当の地方を回って参りましたけれども、私が行ったときには正面から反対する人は割合に少うございます。しかし知事会議などでは、これは反対だという声が相当強く響いてきております。なおまた自治庁におきましても、私には直接まっこうから反対をまだ言ってきておりませんが、自治庁長官も、あの直轄管理の問題は非常にむずかしいから、あまり手きびしくやらない方がいいかもしれぬというふうな、ある意味における勧告と申しますか、ある意味においては反対ともとれるような意見があったことは事実でございます。しかしこれも十分御説明申し上げて納得していただきたいものと考えております。大蔵省は従来交付税その他において地方でやっているのを、今度は一轄して国で維持補修するということになりますれば、それだけ国家予算が直接道路の方に入ってくるという意味もありましょう、これは従来とも反対の声が強く、私にはまだ反対とは言っていませんが、非常に消極的であることは事実でございます。しかしながら各省のいろいろな事情もございましょうけれども、日本の現在の一級国道の状況のままで管理をしていくならば、やはり非常にアンバランスになりまして、せっかく建設した道路が数年ならずして非常な荒廃を来たす、あるいはまた維持が必ずしも均等にいってないということのために、国費のむだと申しますか、効率的な使用ができなくなる、また一般国民も非常に便益を受けることができないという状況になりますので、ぜひこの際は皆様の御支援によって実現したい、かように考えておる次第でございます。
  43. 久野忠治

    ○久野委員 ただいま中島委員から道路整備の財源について御質疑があったのでございますが、関連して私は一点だけお尋ねをしてみたいと思うのであります。  道路政策の後進性につきましては、もう一般識者の間ではすでに認められているところでございますが、しかしながらこの道路整備を急速に進めるためには、財源措置さえしてやればできるわけでございます。国内の資材と労力によってこれは十分まかなえるわけでございますから、その財源措置いかんに私はかかっておると思う。そこでただいま大臣の御説明を聞きますと、財政資金を導入することによって特別会計を設定し、従来足らざる面をこれで補い、急速に道路整備を進めたい、かような御説明があったのであります。しかしながら私見を申し上げますならば、そのような無理をしなくても私は財源措置はできるのではなかろうかと考えます。なぜかと申し上げますならば、伝えられるところによると本年度予算においては一千億近くの歳入増があるやに伝えられております。さよういたしますならば、この十一月に予定されておる臨時国会予算についての補正を組みまして、そしてこの歳入増の余裕財源を道路費に充てることも可能ではないでしょうか。まだこれから数カ月、本年度内期間はあるのでありますから、この期間をもって財源措置さえしてやれば、十分その事業を推進することも私は可能であろうと思います。そういうことが政府部内において話し合われているかどうか、そのことをまず大臣お尋ねいたしたいと存じます。
  44. 根本龍太郎

    根本国務大臣 新聞紙上でいろいろと余裕財源あるいは明年度の歳入増の問題について議論されておりまするが、閣議におきましては三十三年度予算編成に当っての基本構想だけがきめられております。これには具体的にそういう問題には触れておりません。従って閣議において今久野委員が言われたごとき、本年度の余裕金あるいは明年度における自然増収をもって財源として道路整備に当てるという状況には現在至っていないのでございます。明年度予算編成に当りましては、すでに先般御説明申し上げましたごとくに、道路十カ年計画によって全面的に道路整備に対する予算の増強をはかるということについては、これは私が一方的に発言しておるわけでありまして、閣議で十カ年計画でよろしいと言っているわけでもございません。幸い先ほど申しましたように世論もこれを支持し、かつまた与党においても重安なる政策として確定されている以上、三十三年度予算においては十分これが実現され得るものと私は期待しているのでございます。  十一月に開かれる臨時国会において欄正予算を出すか出さぬか、これもまた閣議で決定いたしておりません。党におきましては、中小企業等、緊急の問題に対して補正予算を組むべきだと言っておりますが、きのう帰った一萬田大蔵大臣は補正予算は組まない方針だ、こういうふうに言っておりますので、現在の段階においては、臨時国会において補正予算を組むかどうかは、まだ閣議の議題になっていないという現状でございます。
  45. 久野忠治

    ○久野委員 政府部内における補正予算の取扱いについての御意見はただいまお聞きいたしましたが、大臣はこれについてどういうお考えを持ってみえるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  46. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。現在の段階におきまして道路整備につきましては、すでに御説明申し上げましたように、三十三年度を起点とする十カ年計画をやって参りたい。従って今直ちに政府に余裕財源があるという見通しで補正予算を組むというところまでは現在は決意していない次第であります。
  47. 久野忠治

    ○久野委員 もう一点だけお尋ねいたしたいのですが、補正予算も組まないということになれば、本年度の余裕財源約一千億、来年度の歳入増一千億、都合二千億の歳入増になるわけでございます。かりに本年度繰り越されるといたしますと二千億本年度よりも予算規模がふえることになると思います。さようにいたしますならば、無理をして財政資金から借り入れたりしなくても、一般会計の中から財源を捻出しようとすれば、私は幾らでもできると思う。特に先ほど大臣自身もおっしゃいましたように、インフレの要素とはならないということもはっきりいたしておる以上は、道路政策を進めることが日本の産業規模の拡大に伴う重要政策であるならば、思い切ってこの際政府はふんどしを締め直して、この財源措置なり予算措置を講ずべきであろうと私は思うのでありますが、そういうようなことについての大臣の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
  48. 根本龍太郎

    根本国務大臣 本年度果して一千億余裕金があるかどうか、これは相当疑問のようであります。大蔵大臣の説明によりますと、そういうふうな見通しはしていないのです。ただ、来年度におきまして、本年度の繰り越し、あるいは自然増からすれば、現在の状況における収入状況からするならば、相当の収入増があるであろう、こう言われておるのであります。そういう状況でありますので、私はまだ本年度における余裕金の見通しがはっきりとつかない限りにおいて、軽々に自分の所管の事項についてのみ補正予算要求することは困難であろうと思います。明年度における財源措置については、先ほど申し上げましたように、一般会計から繰り入れすべしということを要求しているのであります。ただし、これは御承知のように予算編成それ自身の問題になりますので、私の方から、一般会計だけであとはどうでもいいというわけにいきません。そこで従来の経験からいたしましても、建設委員会の皆さん方は、インフレにならない、金の出し方が足らない、もっと出すべきだと言っておりますけれども、実際上なかなかそういかない。そこで先ほど中島委員にお答え申し上げたごとくに、これはインフレにならず、しかも十分償還もでき得るから、大事をとりまして、一般会計からの繰り入れと財政投融資、この二本建によってわれわれの構想を十分に安全に実現できる方法要求いたしておるのでありまして、これが大蔵省におきまして、また政府全体として、あなたの言うがごとくに、これは全部一般会計でもってやろう、まことにけっこうなことであります。それは私も大いに賛成いたしたいところでございます。
  49. 久野忠治

    ○久野委員 建設大臣の政治力を期待いたしまして、私の関連質問は終りといたします。
  50. 中島巖

    ○中島(巖)委員 委員諸君、それから委員長にもお願いしておくのですが、この次の建設委員会には、大蔵大臣の出席を求めて、そしてこの道路整備がいかに緊急性があるかということ、そして道路整備に使う金がインフレにならぬというようなことを、質疑を通じてよく了解してもらうように一つお骨折り願いたい、こういうふうに委員長にお願いしておきます。  次に高速自動車国道の関係について申し上げますが、本年度の実施要綱によりますと、「昭和三十二年度に引続き用地買収、機械購入等を行い建設を促進する予定であります。」用地の買収、機械の購入だけを書いてあって、工事を促進するというようなことはここに何もないのであります。さらにもう一つお尋ねすることは、昨年度道路公団の全予算が百二十億程度であった。しかしながら現在の国土開発縦貫自動車道審議会に政府が提案いたしまして、吹田・小牧間、吹田・神戸間の高速自動車国道を建設する、この予算が、最近実施計画に移しまして、約一千億近いものになっておるということを聞いておるのでありますが、これを約三年間で実施するといたしますれば、昭和三十三年度におきましては相当予算規模も拡大せねばならないわけであります。また建設事業もせねばならない、こういうように私ども推測するのでありますけれども昭和三十三年度におけるところの公団予算はどんな規模の考えであるか、そして工事はどんなふうに行う考えであるかという二つの点を大ざっぱに、大臣でおわかりにならなければ局長でもよろしゅうございますので、御答弁要求するわけでございます。
  51. 根本龍太郎

    根本国務大臣 高速度自動車道路の問題について今御指摘になりましたが、その書類に、用地買収と機械の購入を促進するとあって、工事の促進が抜けているということでございますが、御承知のように現在用地買収の問題が非常に難関なんで、これができなければ工事が促進できないということと、それから今度は相当大規模の工事量になりますので、従来の日本の機械だけではなかなか進捗ができないということで、その機械整備を重点に置く、従ってそうなりますれば当然工事が促進されるという意味でございまして、工事そのものはどうでもいいということでありません。特に重点を指向したのでございますから、さように御承知を願います。  なおまた、御指摘の通り年度からの高速度自動車道路における予算が、従来五百億とか七百億といわれましたが、正確な数字は後ほど事務当局から御説明申し上げますが、一千億近くになるというふうに考えております。これについて大蔵省と今折衝中でございますが、まだ確定はいたしておりません。従いまして三十三年度におきましては、やはり従来に比べて相当程度の増額になりますので、これを円満に実施するということはなかなかむずかしい問題がたくさんございます。その意味において現在すでに各要所々々に調査事務所を設けまして調査と、同時に地元とのある程度の接触をいたしまして、用地の買収その他のいろいろの条件の要求がございますので、それらを聴取しまして、予算編成されたならばすみやかに工事ができるような準備態勢を現在命じている次第でございます。
  52. 富樫凱一

    ○富樫説明員 高速度国道の小牧・吹田間、吹田・神戸間につきましては、来年度二百八十七億を要求いたしております。これは全体の事業費が九百九十九億になるということで、三十三年度分を二百八十七億要求いたし、なお公団予算といたしましては、三十三年度事業といたしまして三百九十九億を要求いたしております。
  53. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大体道路関係について私の質問はこの程度で終ることにいたしますが、実はこのごろ竹谷源太郎君がイギリスなんかの道路政策の状況を見て参っての話なんですが、竹谷源太郎君の話によりますと、英国においては約二十九万キロにわたる舗装道路を持っておる。わが国は一万何千キロというような話でありました。そこで今イギリスが道路政策で一番大きな転換をせねばならないことは、結局イギリスがかつての道路改修、舗装というようなことに重点を置いてきました。しかるに現在の状況はいわゆる自動車専用道路というものを中心にして考えなければならぬ。従ってそういうふうな道路政策に切りかえて道路網を根本的に高速度自動車道を中心にした道路政策に切りかえねばならぬので、ここで大きな道路政策の転換をせざるを得ないところに差し迫っている、こういうふうな話を聞いたわけであります。そんな点にいきますと、ドイツなんかは例のアウトバーンを中心にして、それを幹線としての政策をとっているから、道路政策を切りかえる必要はない、こういうふうな話を聞いて、これは日本の基本的な道路政策を立てる上において非常に重要な課題ではないか、こういうように考えたわけであります。この点も一つ十分御調査を願って、今や画期的な道路政策を樹立せんとするときに当って、非常に重要な、基本的な問題ではないかと思いますので、お考えを願いたいと思うのであります。  それから、ただいまの御説明によりますと、道路整備十カ年計画は、現在建設省案でありましてまだ閣議の承認は経ておらぬ、こういうように了承してよろしいのでございますか。この点をお伺いしたいと思います。
  54. 根本龍太郎

    根本国務大臣 十カ年計画は、まだ閣議の了承は得ておりません。これは結局三十三年度予算編成に当りまして、われわれの方としてはまだ名前ははっきりしていませんが、いわば道路開発基本法とか、そういうような名前において、一応この十カ年計画を法律的な裏づけにしておかないと、ただ了承しただけではいけないと思いますので、私は何らかの形において法的な裏づけをいたしたい。これを提案することによって初めて、単なる閣議了解から、国策として法律的な裏づけをすることが必要ではなかろうか。これは現在検討中でございます。ただし幸いに与党におきましては、私の提案しておりまする道路十カ年計画については、政調会その他においても了承されておりまするので、近くこれがはっきりと党議として承認を受けるであろう、かように考えております。  それから、先ほどの竹谷さんが海外を回って参りましての御感想、全く私も同様に感じています。これは、私は行ってみないからよくわかりませんけれども、イギリスが特に最近そういうふうなところに重点を入れたということについては、うなづけると思います。従来西ドイツほどに道路政策に重点を入れていないために、御承知のようにかなり国際経済におけるおくれをとっている。これをどうしても、各会社の企業の合理化も限度に達しておるから、やはり国内輸送量を減らすということと、それからイギリスの各植民地がみな独立し、かつてのような経済支配ができなくなった今日となりますれば、国内の開発並びに総合利用ということが、そういうふうなものにきたんだろうと思います。日本といたしましても、御指摘のように今までの道路それ自体がどうにもならないのみならず、これを単に舗装、修繕するということは、時間的にも、かつまた経済的にも、相当困難な面があるわけです。しかしながら、これとてやらなければならない。しかも一面におきましては、長距離輸送のためのアウトバーン式の、いわゆる高速度自動車道路が必要になるというゆえんで、皆様のお力によってすでに縦貫道路法なり、あるいは高速度道路法ができたわけでありまして、これは主として採算のとれるということでありますから、先ほど御指摘のように外資なり、あるいは経済情勢の進展によりますれば、これは一般公募でよろしい。そうしますれば従来のおくれを国の経費でやるものと、それから民間の力と申しますか、それによって高速度道路を作るという二本建で進まなければ——よく日本の道路が三十年あるいは五十年おくれているといわれますけれども、私は百年おくれているのではないかと実は考えているわけであります。そういう意味におきまして、ぜひ中島さん御指摘のように、高速度道路と一般道路と二つを仕分けをして、しかもその間における関連性を十分計画的に実施いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 久野忠治

    ○久野委員 関連して。ただいま建設大臣うんちくを傾けての道路行政に対する御意見の発表がありました。私はまことに敬意を表するものでありますが、高速自動車道、いわゆる名古屋——神戸間の建設に関する外資導入の話が先ほど出たのでありますが、これは一萬田大蔵大臣がアメリカへたしか七千五百万ドルでありましたか、案を携行していかれたようでありますが、これについての話し合いがどういう結果になったか。そのことをお話し合いがありましたかどうか、ちょっとお伺いいたしたいのであります。
  56. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど中島さんの御質問に答えましたが、きのう帰ったばかりで、まだ結果は聞いておりません。それで、いずれは次の閣議において、閣議前に——これは閣議問題にするわけには参りませんから、閣議前にでも大蔵大臣にその経過を聞いてみたいと思っております。  立ちましたから、ついでに——私午後から失礼させていただきますので、ちょっと申し上げますが、一般的状況といたしましては、世界銀行も従前は道路についての外資は必ずしも好意的ではなかったようであります。しかし最近一、二年間になりましては、日本に対しては道路の整備が必要であるし、また十分採算がとれるという空気が出て参りました。それからさらにウォール街におけるいわゆる民間の金融界におきましても、これはかなり積極的でございます。そういうような状況でありますので、私としては、現在こそ高速度道路のごとき問題については、相当思い切って入れてもいいではないか、こういう意見を持っているのでありますが、大蔵当局は必ずしもこれに賛意を表していません。実は道路に対して外資を導入するという問題は、鳩山内閣の当時、高碕企画庁長官とわれわれとやったのであります。ところがその当時は外資が相当余裕がある、そのときに外資を入れるのは無意味だということで、これはだめになった。最近では、外貨事情が非常に窮迫しているから、道路に入れるのは工合が悪いではないか、いずれにしても外貨を入れるのは適当でないという変な議論になりますので、これは終始理論的におかしいではないかという冗談めいた抗議までいたしておるのでありまして、これは今後有料道路等、急速にやらなければならぬ問題については、ぜひ考えなければならぬものと考えておるところでございます。
  57. 薩摩雄次

    薩摩委員長 大臣は午後用事がありますので、大臣に関する質問だけ、一つ残っておる方がありましたら、簡単にしていただいてそれから一時間休憩して質疑を続行したいと思います。
  58. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 中島君の道路十カ年計画に関連しまして、二点だけ質問をしたいと思います。  今大臣道路開発の総合性を主張されておってその見解は非常に正しいと思うのであります。しかし一般道路と高速道路の総合性ということを強調されましたが、道路網というやつは一般道、国道だけが整備されても、地方道がこれに関連しなければ、これは総合性が出てこない、そういう点について、今主張されております大臣は、どういうように地方道と国道、一般道との整備を並行し調整していくかということについて、はっきりした態度がうかがわれないわけであります。これは資料等によりますと、従来の道路整備五カ年計画から見ますと、今度の立案されております十カ年計画というものは、全く国道中心主義の考え方で、地方道については著しく後退してきているのではないかという感じがいたすわけであります。たとえば五カ年計画では、総事業費が国道の場合におきましては九、六%から一三・一%に上昇しておるのに、地方道では七・七%から逆に、四・四%に後退をしておる。これはまだ省議の程度であって閣議決定ではない、予算の裏づけも確定していない、従って今計画されていますそれぞれの問題は、絵にかいたぼたもちのようなもので、固まっておらぬので、まだこれから十分訂正し得る道があるというならばけっこうですが、そういう一つ考え方を明確にしていただきたいことと、現在策定中のそうしたものを十分検討を加えて是正する用意があるかということを、ここで明確にしておいていただきたいと思うのであります。大臣は最近岸総理と御一緒に各地を回られてそれぞれの地方でこの道路整備に関する、地方道に関する幾多の陳情を受けておられて、それにつきましては十分考えるという答弁をされておることが伝えられておるのでありますが、その点、事務当局大臣との間において完全なる了解がなされておるのかどうか。この際国道及び地方道との関連総合性につきまして、十カ年計画に対する明確な態度を承わっておきたいと思います。
  59. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路十カ年計画は国の道路、一級国道二級国道、それから地方主要道路も入れておるのでございます。道路は、至るところに道路ありでありまして、これを村道から農道に至るまで全部やるということになりますと、大へんな事業量でございまして、まんべんなくそういうふうにやると、結局効果が上らない。そこで現在当面しておる日本の問題は、国道でありながらほとんど用をなさない、そのために開発が困難である。さらにまたコスト・ダウンができない。そこでまず第一に国道並びに皆さんの御要請によって出ておるところの縦貫道路ができれば、その次の段階が地方道路じゃなかろうか。あらゆるものを全面的にやりたいことは当然でありますけれども、やはり政策の重点をどこに指向するかということになりますれば、そうならざるを得ないと思います。なおまた行政上の立場からいたしましても、県道以下市道あるいは町村道等は自治体の管理にあるのでございまして、政府といたしましては、地方財政の実情によって、地方道路の整備計画ができますれば、これに対するいろいろの補助、助成、御指導は申し上げますけれども、これを含めた道路整備計画になりますというと、現在ですら、われわれが立てておる計画が膨大過ぎて予算措置ができないなどと反撃されておるときに、いたずらに構想だけを大きくして実効の上らないよりも、現在におきましては今われわれが立てておるのが、一番現実件があるのじゃないかと考えておる次第であります。地引道路につきましても、先ほど申したように、主要地方道路については第二級国道並みにわれわれは扱っておるのであります。従って、これは掌質的には変りないほど重点を入れておるのでございます。しかし皆さんも御承知のように、県道と申しましても、ほとんどただ名ばかりのものもずいぶんたくさんあります。これまでも全部やるわけにいきませんので、まず主要地方道路から整備して参りたい、かように考えておる次第でございます。先ほど申したように、現在の十カ年計画はまだ閣議決定はしておりません。細部に至りますれば、これは現在でもどこの県のどの路線を計画にどういうふうに入れるかというところまではまだ確定しておりません。これは今後の実際の調査並びに地方庁の御要請によって、相当程度にこれが修正もできますし、そういう余地は十分ございます。しかしながら全体としての十カ年計画の構想は、今のところは変える意思を持っていない次第でございます。
  60. 渡辺惣蔵

    渡辺(惣)委員 時間がないので、ただいまの問題については他の場合でさらに大臣にしていただきたいと思います。  もう一点は、道路整備十カ年計画の中で、高速道路その他の国道整備の上に当って特に障害になっております国鉄その他との関連における踏み切り、立体交差の問題があるわけであります。これは私昨年六月三日に総理大臣質問書を出しまして、その答弁書も出ておりますし、その後委員会でも運輸省、国鉄当局及び建設省三者に質疑をいたしまして、この点を明確に要求したわけであります。答弁書によると、二カ月以内に建設省及び運輸省、国鉄の間で協定を結んで、これを実施をする、こういうことになってはっきり文書で回答がなされておるわけです。ところがそれが延びに延びて、十二月十八日に両者の協定が一応できたのですが、協定書の全文を一つ明確にしてもらいたいのが一点。それからその協定書の全文を明確にしてもらいたいと同時に、その協定文に、細目の協定は別途協議するということになっておるために、昨年十二月十八日の協定以降、細目は別途協議するという一項目にとらわれてその後何ら事態が発展していないために、全国で百八十幾つの立体交差、当面急を要する三十何カ所の問題、現に五年も六年も工事中で難航しておる問題が運輸省、建設省と国鉄の間で細目協定がないために、事態の進捗に障害を来たしておる。これは根本建設大声就任以前の問題で、質問することは御迷惑かもしれませんが、そういう工事の進行過程について幾多支障のある問題でありますので、建設省、運輸省と国鉄当局の協定の全貌を、文書でもけっこうですから、別途協議するという規定のその後の折衝はどうなっておるか、その点を明らかにしていただきたい。
  61. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在、御指摘の点は大へん重要な問題でございまして、まことに残念ながら、所管の立場の違いからいろいろと、それぞれの理由がありますにしても、こういう問題のために工事が促進できないということは残念でございます。御指摘の点は後ほど事務当局から文書をもって回答させます。なおまたここで一言申し上げたいのでありまするが、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、日本におきましては、従来鉄道が何よりも優先しておる。そうして鉄道ができたあとで、道路がそれについていくというような傾向があったのでございます。これは、あるいは軍事上の理由とか、あるいはまた、道路が長距離輸送がなくて短距離輸送であったという国情からきたところのやむを得ざる事実であったと思います。しかしながら現在におきましては、むしろ国内輸送におきまして、特に陸上輸送における自動車のウエートが非常に大きくなっておる、こういう状況になりますれば、おのずからそこに変った施策が行われなければならぬと思うのでございます。そういう観点からして、縦貫国道なり、あるいはまた主要道路は努めて、改良する場合においても、新設する場合においても、立体交差それ自身をなくする、鉄道はクロス路線はできるだけ避けるというのが第一原則であります。それからやむを得ない場合は当然これを立体交差にする、こういう前提でいきませんというと、非常に工費においても損であるのみならず、運営上困難でありますので、今渡邊委員の御指摘の点は十分研究いたしまして善処いたしたいと考えるのであります。     —————————————
  62. 薩摩雄次

    薩摩委員長 島上さん、はなはだお気の毒ですけれども大臣は用件がありますので、午後質疑を続行いたしますから、大臣関係する質問を、時間を制限して十分以内でお願いいたします。
  63. 島上善五郎

    ○島上委員 それではごく簡単に大臣に二、三御質問いたしますが、前回次官の御説明によりますと、来年度住宅五十三万戸を目標とした基本的な政策を立てる、これはまことにけっこうですが、同時に私は、今日政府が行なっております住宅政策の中でいろいろ矛盾がある、その矛盾を解決することに対してもやはりもっと積極的な努力がほしいと思う。今日住宅公団の一種の紛争が起っておりますのも、その矛盾の一つの現われだと思う。そこで私は、今日住宅公団の紛争が起っておりますのは、固定資産税を新たに課するという問題に端を発しておりまするが、その本質は家賃が高過ぎるというところにあると思う。もちろん一般の利益を目的として作っておる家屋に比べれば安いことは事実ですけれども、しかし今日の勤労者の収入と比較して考えますれば、高過ぎるということが言えると思うのです。私は何も古いことをとって特に追及しようとは思いませんけれども住宅公団ができます当時、二十二国会建設委員会における答弁を見ますと、当時の大臣は四千円以内にとめたい、できれば三千円台、こう言いたいところだが、三千円台には少し無理がある、うそを言ったといわれてはいけないから、四千円台ならば十分やっていける、こういう答弁をしております。ところが四千円台が今日五千円台になって、六千円台になっております。ごく最近のところは、六千円ちょっと頭が出たところがあります。このことにつきましては、前々回の委員会でも私が質問をしまして、大臣は、原資の問題等もありまするが、家賃のだんだん上っていくということに対しては、これを抑制したい、できればもっと下げるような検討をしたい、こういう意味答弁をされております。いよいよ来年度予算編成が具体的に進められつつある際ですから、この公団住宅の家賃の軽減措置について検討が進んでおるかどうか。進んでおりますならば、どの程度に進んでおるか、その構想を伺いたいと思うのです。
  64. 根本龍太郎

    根本国務大臣 住宅政策について矛盾があるというような御指摘でございまするが、御承知のように国民の現実の生活を見ますと、やはりそれぞれに所得階層が相当大きな幅があるわけであります。しかも日本の現状におきましては、相当程度の中産階級以上といわれる人でも住宅の困難を来たしておる、一番困っておるのは低額所得者である、そういう観点からいたしまして、非常にお困りの方々については特別なる措置として、公営住宅によってこれをやっておるのでありまして、明年度予算編成に当りましても、低額所得者について特に重点を入れるように私は指示をいたしております。特にこれは厚生省並びに労働省の御意見もいれましてそういう方面を重点にしておるわけです。問題の住宅公団の問題になりますれば、これはある程度まで生活が安定した、日本の現在の常識によりますれば、おそらくは中産階級と申しまするか、中等程度の所得者を相手としたものでございます。これは御指摘の通り、一般の民間の貸家あるいは民間のそれぞれで行われておる月賦によるところの住宅の提供業者に比べれば安いのでございまするが、しかしだれ人も家賃が安いことを望むのは当然でございます。その意味におきましては、できるだけ安く御提供申し上げたいと思っておるのでありまするが、公団それ自身が独立採算制の立場をとっておりまするので、これを割って提供するということまでもいけないところに、これは困難性があるのでございます。そのために原資の問題、あるいは特に最近の家賃が高くなる一番大きな原因は、用地の高くなるということ、敷地が年々高くなっておる、これが大きな原因をなしておりますので、これの入手については特別なる構想を考えた方がいいのではないか。たとえば将来相当年の——四、五年あるいはできれば十年くらいの見通しのもとに用地を取得しておきまして、そうして採算は十年でとるというような考えになりますれば、毎年々々土地の値上りによる負担を入居者に転嫁しなくてもいいではないか、そういう点を考慮するように、従って宅地造成もしくは宅地の入手のために特別勘定によってそういう運営ができるようにという構想で、大蔵省にも今折衝しておる段階でございます。しかし心島上さんが言われた、現実にどの程度まで合理化ができ、どの程度にこれをコスト・ダウンすることができるかについては、具体的にまだ申し上げかねますが、後ほど住宅局長において今日までの経緯あるいは今後の見通しについて、専門的な立場から御答弁させたいと存ずる次第でございます。
  65. 島上善五郎

    ○島上委員 それではあと住宅局長にこまかい点は伺うとしまして、私は住宅公団の家賃の軽減措置については、まだまだ十分検討する余地があると思うのです。今のままでいきますならば、六千円からさらに七千円になっていくのではないか、もう現実に二万五千円の入居基準が三万二千円に上げられ、ごく最近には三万五千円にすら上げられたところがあるそうです。土地などもずいぶん高い土地を求めておるという話も聞いております。横浜などは現に坪二万五千円のところを買い入れてそこへ建てる計画も立てておるということも聞くのです。そこで坪二万五千円の土地に建てますると、どうしても家賃が六千円から七千円になります。そういう点については十分あと住宅局長に伺いますが、何としても、今の四千円から五千円、六千円、七千円と上っていく公団の家賃についても、これを抑制するような措置を十分検討していただかなければならぬと思うのです。住宅公団法の精神からしまして、家賃がどんどん上っていくということはよくない、こう思いますから、これは十分御検討を願いたいと思う。  それからもう一つ伺いたいのは、固定資産税の軽減措置でありますが、これはたしか大臣が——新聞報道ですからどの程度まで確実であるかわかりませんが、公団の固定資産税の減免措置については検討しておる。全免ということではありませんが、減免——減じたり、免じたりする措置については検討しておる、こういうことを新聞で報道されたことがあります。減免措置について検討しておりますならば、その事実、またもう一つは、御承知のように現在の二分の一軽減措置は三年間で、三年後になりますれば全額課せられる、こういうことになるはずであります。そうしますと、新しい家よりも三年後の古くなった家の方が、まだ今のままでいきますと家賃が高くなる。その部分だけ高くなる。こういう結果になるかと思うのです。これもやはり一つの矛盾でございまして、私どもとしては、できるならば現在の二分の一軽減措置がそのまま継続されることを望んでおるわけでありますが、これに対する大臣のお考えを伺いたいと思います。
  66. 根本龍太郎

    根本国務大臣 固定資産税の問題は、これは私が新聞記者会見で申し上げたのは、公団住宅について申し上げたのではありません。全体の住宅政策のうちの問題として御承知のように、公営住宅につきましては、法律上はこれは当然課すことになっております。ただし現実の行政措置といたしまして、一年きりに、自治庁大蔵省との関連におきまして、これはとる方も課す方も地方自治体でございまするので、その点によって一時的な行政的な措置を講じておる。それが今の公団の入居者との間に非常に感情的というか、そこにいろいろの問題が出てくるから、この点は調整しなければならぬ。従ってこの点については、たとえば現在の国民の当然納むべき税金におきましても、低額所得者については一定限度において所得税の免除がある。これと同じような意味において固定資産税についても、公営住宅については、やはりもう少し明確にその点をした方がいいのではないか、必要があれば免除し減税もする、こういう一般原則を私は申し上げたのでありまして、この点は大蔵省並びに自治庁にも申し入れをしておる次第でございます。  それから公団の固定資産税につきましては、現在の状況においては現行通りにいただかなければならぬと思っておりますが、これについても、先ほど御指摘になりましたように、将来新しく入居する者と古くに入った者とのアンバランスの問題は研究しなければならぬと思っております。この問題についても、現在住宅局といたしまして一部折衝し、今後も折衝させようと思っておる次第でございまして、自治庁並びに大蔵省との関係において、どういうふうに合理化するかということも検討を命じておる次第でございます。まだそれについての事務当局案は私聞いておりませんし、具体的な御答弁を申し上げかねるのでございますが、固定資産税の問題については十分に研究をいたしまして、矛盾のないように取り計らいたいと考えておる次第でございます。
  67. 島上善五郎

    ○島上委員 大臣は用心深い答弁をしておりますが、十分に研究するということは、古くなった家の家賃が高くなるといという矛盾が起らないよう努力するというように、私は善意に解釈しておきます。  さて、最後にもう一つ伺います。実は私は一種の紛争だと思いますが、例の公団住宅の入居者と公団との間の問題は依然として解決しておらない。家賃の納入状況は依然としてよくない。これは先月、先々月、私ども質問して数字的に明らかになりましたが、今日といえどもほとんど五十歩、百歩です。そこで私どもは、こういう状態はなるべくすみやかに解決すべきものだ、根本的な解決、暫定的な解決という解決の仕方もあろうかと思いますが、根本的に解決するには多少時間がかかるにしましても、今日のような正常でない状態はすみやかに解決するようにすべきものだと考えております。入居者の間においても、公団の中にもそういう考えがあるようです。ところが実際には、話が解決のどたんばにいくと公団側がこわしておる。しかも公団側の理事者の間にはこの問題に対する思想統一がないといってもいいと思うのです。私は簡単に事実だけを申しまして、これを大臣の頭の中へ入れてもらって、紛争の解決を促進するように御指導なり御指示を願いたいと考えるわけです。  それはごく最近、九月十六日に、入居者の関東地区協議会の代表と公団の吉田理事との間に完全な当面の解決についての話し合いがついた。四項目で、簡単ですから読み上げますが、一、正常ならざる状態が三カ月余の長きにわたることは双方にとって好ましいことではない。二、公団は家賃等の負担軽減については誠意をもって努力する。ただし、これには日時を要する。三、前記二項を了承し、入居者側は公租公課相当額分を除き、従来の家賃と共益費をすみやかに(九月三十日を目途とする)支払うよう誠意をもって努力する。四、課税相当額等については妥結に至らないが、なお今後話し合いを続ける。この四項目の覚書を作成して当面の解決をするという話し合いがついたのです。そうして今言った話し合いのつかない課税相当額についてはどうするか。たとえばある程度負けるということになるか、分割払いということになるか、それはわかりませんけれども、そういうことについては、納めないということでなくて今後話し合いをする、円満解決のために双方で話し合いをする、こういう意味です。その覚書を交換して、さしあたっての解決をしようということになった。ところが翌日公団の理事会を開いて、とんでもないことである——私は内容まで知っております。これははっきり言ってもかまわぬと思いますが、加納総裁が、とんでもないことである、と一喝食わして、それでおしまいである。総裁は何かほかに解決の自信を持っているかどうか知りませんけれども、これは問題の全般な解決ではありませんけれども、さしあたっての解決としてはきわめて穏当な解決法ではなかろうかと思うのです。入居者側も、これでなお不満な人もあるけれども、まあ一つみんなを押えて足並みをそろえて払おう、そういうのですが、それを加納総裁が一喝のもとにこわしてしまった。吉田理事のごときは、私は職を賭してもこれならば解決すると言明しているのです。それが今言ったような事情でこわれました。しかし、こういうような考えが入居者側に出てきているということは、解決の方向に向って大きく前進しているのは事実だと思うのです。この通りであるかどうかは別としましても、こういったような線で一まずすみやかに解決する、未解決の問題は多少時間をかけて、頭を冷やして解決する、こういう二段方式でも考えてすみやかに解決する方が、公団側にとっても入居者側にとってもよいことではないかと思うのです。こういうふうな事実を大臣は頭に入れて解決の促進について適当な御指導を願いたい。これに対する大臣の所感を伺いたい。
  68. 根本龍太郎

    根本国務大臣 公団住宅固定資産税の問題の紛争については非常に心を痛めておりますが、実はこの問題について閣議に報告いたしております。政府といたしましては法規、これは厳守していただく、こういう観点からして、固定資産税を取ることの契約の手続について若干の誤解あるいはそれに対するいろいろのいきさつがあったにしても、これは当然納めていただく、こういうことが確認されたわけでございます。従いまして、公団の総裁としては、そういう妥協案なるものが一方的に出されたのか、あるいは理事が了承したか存じませんが、そういうものであっても——今お聞きしますと、一番肝心の税の問題についてはあと回わしにしておいてそうして今まで供託したり、あるいはまた納めていなかったものは納めるということだけなので、それでは解決にならないというのでその案が取り上げられなかったのではないかという感想を私は抱いたのであります。円満解決ということは、一方で当然納むべき、また納めるということを契約しておりながら、われわれは納めたくはないと言ったので、二で割ってものをきめるとか、あるいは顔を立てて、それでは下げる、こういうふうな工合にはならないと思うのでございます。やはり納むべきものは納めていただかないと、何事も相当の人数が集まって反対をすればまあ片方が折れるだろうというような風潮は——民主主義の社会においても、やはり民主主義になればなるほど筋道を立てて契約事項は互いに厳守するということが一番の根底でありますので、長年民主主義のために働かれた島上さんにおかれても、その点について十分御指導のほどをお願いしたいと思う次第でございます。この問題はぜひはっきりと、ここで納めるものは納めていただいて、それからいろいろの今後の問題についても話があると思いますが、私の立場としては公団のとっている措置を支持いたしておる次第でございます。
  69. 島上善五郎

    ○島上委員 もうこれで終りますが、大臣は最近のいきさつをよく御存じないのです。納むべきものは納めろといえば事はきわめて簡単のようです。しかし公団が一歩譲ったと申しますか、四月、五月は現に納めなくてもよろしいと免除しておる。それから六月以降についても、必ずしも地方自治体からくる全額ではないのです。最初の示した額から減額しております。そういう多少の融通性があるのです。ですから私は、今後もどうしろということをここで言っているわけではないのです。現にそうやっているのです。四月、五月のは別として、六月以降の額については最初示した額を減らしておりますのは、公団もそういう入居者の動きを見てとって、それとの一種の妥協の措置なんです。そういうことをやっておるのです。それから、これについては今言ったように吉田理事が、午後からお見えになるそうですから私は聞きますが、これならば妥当だ、私は職を賭してもこれで解決しますと、文案までちゃんと持って、最初の文章から、ここはこうしろ、ここはこうしろと、いろいろ訂正してこういうふうになった。あとの肝心な問題は最終的に解決すればけっこうです。そこまで解決すればけっこうですけれども、それには両者の間に意見の食い違いがあって多少時間がかかる。そういうことがあるから、それを後日——後日といっても、もちろん早急に解決する意味です。その意味の後日に譲って、一まず今の事態を解決しよう。催告書を出して法律的手段に訴えるとか何とか言っていますが、一体法律的手段に訴えて何年かかりますか。泥沼に入ってしまうようなものです。入居者の諸君も、内部にはずいぶん強硬な意見もあるのに、それを押えて解決しようとしているのですから、あとに残った問題はどういうふうに解決するかはわかりませんけれども、早急に解決することを前提にして話し合いをしようということなら、私はきわめて穏当な話ではないかと思うのです。よく最近の事情を御研究になって、早急に解決するように、私どもも犬馬の労をとる機会があればぜひいたしますけれども、早急に解決するということが双方にとって必要なことではないか。新聞で強硬な手段をとるということは三月も前に発表しておる。ところが最近に催告書を出したばかりだ。あんな催告書なんて、へみたいなものです。どうにもなりませんよ。納めなきゃ法律的手段をとる、こういっておりますが、かりにとってみたところで大へん長い時間がかかる。みんなに明け渡し要求、契約解除の訴訟を起すということになってごらんなさい。私は法律の専門家にも聞きましたけれども、どうしてもやるというならやろう、何年かかってもやろう、こういうことになったら、これはいたずらに紛争を大きくするばかりです。昔大家さんと店子は親子というたとえもあった通りで、政府住宅政策としてやっているこの住宅が悪家主よりもひどいなんて悪口を言われないように、昔の親子だというような美しい面があってしかるべきじゃないかと思う。私はそういう意味において早く解決するように、最近の事情をとくと御研究の上、大臣において指導していただきたいと思う。  これで終ります。
  70. 三鍋義三

    ○三鍋委員 先ほどから住宅問題が中心になって、特に固定資産税の問題が話題になっておりますが、私この際大臣一つ御進言、と言ったら大へん口幅ったいことになるのでありますが、賢明なる大臣はすでにお考えになっておると思いますが、最近アメリカの駐留軍が次々と引き揚げていく状況になっております。その結果として、当然敷地とかいろいろな施設があいてくると思います。これをのがさないようにして、早急に適当なる敷地、適当なる施設を入手される努力をしていただきたい。そして住宅問題をこういった方面からも解決していただくことが、戦争の犠牲によるところの国民に対する適切なる処置である、このように思います。大臣はすでにこういう点は目をつけて、いろいろと御対策を考えていられると思いますけれども、この上とも積極的にこの問題を取り上げていただきたい、これだけ要望しておきます。
  71. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまの三鍋さんの御注意、ありがとうございます。実は大阪方面におきましても、それから一部関西方面において、駐留軍の用地であったのが相当程度のものがありましたので、国有地についてはどんどん大蔵省折衝して住宅敷地に利用するようにいたしております。ただ駐留軍の施設には民間から相当供与したものがございますが、これはやはり長年使っておらないので、民間に返さなければならぬと思いますが、十分注意いたします。  先ほど島上さんのお話で、答弁要求されませんで、私も答弁はいたしませんが、法的手段をとるということは最後の手段であろうと思います。それをちらつかせて、どうこうということは好ましくないことは当然でございますが、しかしそれだからといって非常に抵抗して、どうせ何もやれないのだからというような形ではいけないのであって、昔の家主と店子というような関係も持ち出されてきましたが、それ以上に現在では平等な形において契約していることでありますから、両者が、片方だけ自分が勝手なことをやって、片方がそれに従わなければ悪家主だというような言い方も、これはちょっとどうかと思いますので、両方とも誠意と良識をもってやっていただくように、私も公団の方に要請しておきますから、機会がありましたらあなたの方からもぜひ一つ円満に話し合いをしていただくように、私からもお願いしておきます。
  72. 薩摩雄次

    薩摩委員長 午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時八分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分開議
  73. 薩摩雄次

    薩摩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。住宅に関する件につきまして、日本住宅公団総裁加納久朗君及び理事澁江操一君、吉田安三郎君の三名を参考人に指名し、本日の委員会に出頭を求め、意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 薩摩雄次

    薩摩委員長 御異議なしと認めます。  質疑を続けます。島上善五郎君。
  75. 島上善五郎

    ○島上委員 公団の家賃の問題についてまずお伺いいたしますが、公団が出発をいたしました当時の国会における質疑応答を見ますと、当時の建設大臣及び官房長官は、こういうふうに答えております。日本住宅公団のねらいは、勤労者住宅として産業労働者住宅と同じものを対象に置いて積極的に住を建設提供することにあり、五千円ないし六千円もの家賃ではないかというのは、分譲住宅等の月賦住宅と間違えていられるのであって、そんな高いものは考えていない。これは、五千円、六千円というような家賃になるのではないかという質問に対する答弁です。そして続いて、家賃は四千円程度以内におさめたい、できれば三千六百円、七百円くらいにしたい、こういうふうに答えておる。さらに次の質問に対して、家賃は四千円程度で十分やっていけるつもりだ、率直に言えぼ三千円台でできるつもりであるが、できなかったときにうそといわれても困るから、安全率を見て四千円と見ているのである、こういうふうに答えております。もちろんその後、地価とか建設費等が上っている事情もありましょうが、最近公団住宅の家賃は上る一方である。四千円台から五千円台、最近は六千円台に頭を出しているところもあるようであります。私はこのままでいくと、さらに七千円台になりはしないかということをすら心配しております。御承知のように固定資産税の二分の一減額措置は三年間であって、三年すると全額かけるということにもなっている。そういう問題等を考えますならば、上る一方である、こう私ども心配しておる。しかし、これについては私、前会及び午前中も建設大臣質問をしましたが、大臣は、この上る一方の家賃については何とか抑制する措置を検討したい、たとえば政府資金をもっと潤沢に提供するとか、宅地の造成ついて長期的な方法考えるとか、あるいは公団の経理について十分研究するとかいうふうな方法によって、この上る一方の家賃を抑制する方法を講じたいと言っております。それから、単に上る家賃を抑制するだけではなしに、現在の家賃も入居者の収入に対して高過ぎるということも言えるのではないか、今起っている紛争の根本的な問題はそこにひそんでおるのではないか、そこで現在の家賃についてももっと検討して、減額するという考えはないかということを私が質問したのに対しても、そういう点についても十分検討したいと言っております。そこで私は公団の総裁に伺いたいのですが、公団としては、この出発当時の国会の質疑応答にかんがみまして家賃の軽減について何か研究ないし検討をしておるかどうか、今のように上る一方の状態は、これは仕方がない、これしか手がないというふうにお考えになっているのかどうか、この点をまず最初にお伺いしたい。
  76. 加納久朗

    ○加納参考人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。公団が出発いたしましたときには、大体家賃を四千二、三百円程度でとどめたいということで努力をいたして参りました。そして現に三千九百円のところもございます。三千五百円のところもございますし、また単身住宅に至っては二千円程度のところもございます。そういうふうに、最初の出発はそうであったのでありますが、ここ三年の間の土地の値上りというものは非常に大きなものでありまして、幸いにして安く入手し得たところは、今申し上げたように家賃が安いのでありますけれども、高く出しましたところは、計算いたしまして、どうしても高くなるのであります。公団といたしましては、できるだけコストを下げたいということに努力いたしまして技術面におきましては、住宅の規格化、つまり窓の大きさをこういうふうに一致させて大量に生産をするようにする、あるいは、ドアでございますが、これはすべてスチール・ドアになっております。これも全部全国規格化いたしまして、コストを下げております。そういうふうに技術面において下げられるだけのことは下げましたために、土地の値上りと鉄の値上り以外のものは、そんなに材料として上っておらないのでありますけれども、いかんせん、この二つが非常に大きな原因をなしておりまして、値段が上ってきておるようなわけでございます。しかしこれもできるだけの努力をいたしまして、値を下げようとしておりまして、現に御承知のように昨年は鉄の値段が一トン九万円いたしたのでございますが、今日はこれが四万四、五千円のところに下っているというくらいに、鉄の値段の上り下りということは非常に大きいのであって、昨年の半ばごろから下半期にかけて作りました家のコストは、自然高くなっております。これも何とかしたいというふうに努力いたしまして、鉄鋼三社と交渉して、できるだけ建値で公団の方に売ってもらう分量をふやしてもらうということを話をいたしまして、その結果が、ただいまある程度まで建値で三社から毎月一定の量をもらうことにしております。ところが御承知のように、そういたしますと、今度は実際の市価が今建値より二、三千円安いのでございますけれども、この建値でもらうということは、国鉄、道路公団、その他がすべてやって安全をとっておるのであって、建値で五万何千ときめているために、市価が九万円になっても五万円でもらうというルールがありますから、今少し高いけれども建値でもらうということをがまんしてやっている。これは何とかして公団のコストというものを平均して常に安くしておこうという努力から来ておるわけであります。その他、できるだけのことをいたしたいつもりでございますから、これはどなたからでも私どもは御注意を承わって、こうしたらばコストが安くなるのじゃないかといことて、われわれどもの反省すべきことがあれば幾らでも反省して、これはお国のために安い家を作っていくということで努力していく考えでおります。
  77. 島上善五郎

    ○島上委員 これは私があらためてあえて申し上げるまでもないことですが、住宅公団法に基いてやっておる仕事でございまして住宅公団法の精神は明らかに勤労者になるべく安い住宅を提供する、こういうことでございますから、ただいまの御答弁を私は好意的に解釈して、今後十分御努力願えるものと思っておりまするが、実は私どもも多少研究をしております。しかししろうとですからまだ早急に結論を出すには至りませんけれども、たとえば償却費の問題であるとか、修繕費のパーセンテージの問題であるとか、管理費であるとかいったようなものについても、私は十分御検討願いたいと思う。私はしろうとなりに考えてみますると、修繕費のパーセンテージのごときも少し高きに過ぎるのではないかというような気がいたします。今の公団でお建てになっておる割合によりますれば、七十年間の償却期間としますれば、修繕費が——これは私の計算で、間違っておるかどうか知りませんが、修繕費が六十七万円、利子を加えますと、優に一戸分以上になるような計算が出て参ります。計算が間違っておれば御指摘を願いたいのですが、この修繕費のごときも、もう少し低い率で実際に間に会うのではないかというような気もいたします。その他、もっともっと検討する余地があるのではないか。今起っております紛争も、公団がほんとうに誠意をもって努力するということによって円満な解決が促進されるという面もあろうかと思うのです。しかしこの点はただいまの御答弁を私は好意的に受け取って、十分誠意をもって努力されるものと期待しております。今私は単に一例をあげたにすぎませんが、こういう問題についても十分御検討を願いたい。それから共益費というものがございますが、これなども、わずかな金額ではありまするけれども、だんだん上っていく家賃の一部になっておるわけでありまして、果して、どうしてもこんなに要るものであるかどうか。もし要るものであるとするならば、どうしても要るものであるということを入居者の皆さんに内容を明らかにして、納得させるような措置を講じていただくことが必要ではないか。共益費の使途の内容を入居者の納得のできるようにしてほしいという要望がかねてからあったはずでございます。しかしいまだに明らかにしていないということを私は聞いておる。こういう問題に対しても十分入居者の納得のいくような措置を講ずるという誠意が必要だと思うのです。この点に対する総裁のお考えを承わりたい。
  78. 加納久朗

    ○加納参考人 入居者の方にいろいろ誤解を招いておるというのは、全く私の不徳のいたすところでありまして、私はできるだけ誠心誠意をもって入居者のために努力しておる次第でございます。今御指摘がございました修繕費、償還の年限、管理費等につきましては、常に研究を怠らずにおるわけでありますが、いかんせんまだ二年の経験でございまして、どういう結果が出てくるかということははっきりいたしません。それで、これはもちろん国家の重要な機関でございますので、不当な利益をおさめる必要はございません。できるだけ適正なところにこれを持っていかなければならないと努力しておりますので、ただいまの御指摘の点は私どもとしては十分反省いたしまして、研究することにいたします。  さらに第二点の共益費のことでございます。これはいわばお互いさまが住んでおる町内会の会費みたいなものでありまして、町にあかりをつけるとか、お掃除をするとかというようなことのための費用でございます。各団地団地別に何カ月置き、できれば一月置きでもよろしゅうございますが、それを入居者のために公表するという建前にはいたしておるのでございますけれども、あるいはある団地で、そういうことがまだ十分行われていないところがあるかもしれません。しかしこれはいただきました金を全部収入に立て、支払いましたお金を全部出して、入居者の方にごらんに入れて御納得のいくようにするつもりでおります。
  79. 島上善五郎

    ○島上委員 共益費の話が出たから、これに関連して一つだけ伺っておきますが、たとえば共益費の中から共同使用人というものを雇っている。これは今お話のように、いわば町内会費のようなものだ、まさにその通りだと思うのです。その中から共同使用人を雇うのですから、やかましく言えば任免権のようなものも両方で相談をする。もし入居者が、どうもあの人は困るという場合には、じゃやめさして、相談していい人を雇い入れようじゃないかというような態度がほしいと思うのです。ところが、どうも今までのところ、公団側で一方的に任免権があるもののようにお考えになって、入居者の意見を聞かない事実があるように私は聞いている。これはそういうやかましいことじゃなしに、その共益費の中から共同使用人の人権費を出すわけですから、もし入居者側から適当な人の推薦があったら、それも相談してみよう、またあの人は困るということがあったら、じゃ一つやめてもらおうかということについても、胸襟を開いて話し合うというような態度がほしいと思うのです。ところが今までそういう点において欠けておったように思うのです。
  80. 加納久朗

    ○加納参考人 まことにごもっともな御注意でありまして、使用人が大ぜいの人に非常に不評判であるものを無理やりに置いておくようなことは、公団の仕事の上からもまずいのですから、そういう場合には考えまして取りかえるようにいたしましょう。ただ、初めは公団としては、この人が一番正直で忠実によくやってくれるだろうと思って雇うのですから、それからあとで入った方々が大ぜいでもって、あれはもういかぬということなら、また取りかえるというようなことは、お話しすれば解決していく問題だと思っております。
  81. 島上善五郎

    ○島上委員 固定資産税のことについて伺いますが、まず私、固定資産税考え方について伺いたいと思います。固定資産税の納税義務者は申し上げるまでもなく固定資産を所有しておる者であります。つまり公団の場合には、住宅公団が固定資産税の納税義務者であります。従いまして、私の解釈によりますれば、今までの考えの中には、さながら公団は単に一種のトンネルのようなもので、地方からかかってきた固定資産税がそのトンネルを通過して、そのまま入居者にかかるのが当然である、このような解釈がされておったのではないかというような気がします。この公団のトンネルでかかってきたものは、自動的に、必然に入居者がそのまま負担すべきものである、さながら入居者が納税義務者であるかのごとき考えが——これは私の邪推かもしれませんが、一部に、あるいは公団にあったような気がします。私の解釈は、固定資産税をそのまま全額負担させるか、八割負担させるかどうするか、家賃の計算の中に入れるかどうかは別としまして、固定資産税そのものの納税義務者は所有権者であって、公団は単なるトンネルではない、こう解釈していますが、この解釈について総裁はどのようにお考えになりますか。
  82. 加納久朗

    ○加納参考人 普通の家主でありまして、数軒の家を持って、たな子を入れるんだというような家主であれば、商売で家を貸すのですから、固定資産税が千円でありましても千五百円くらいふっかけておこうとか、二千円くらいやっておこうかということで家賃を作りまして、入りたい人は入って下さいと言って入れるのだろうと思います。ところが御承知のように、公団の場合には九千万人の国民が家主でありまして、私どもはその差配でございます。それからその基礎といたしましては、家賃というものの構成はこういうふうにして構成するのだということをガラス張りにちゃんと出してございます。でありますから、当然公団の家賃と称するものは、固定資産税がかかればそれは中に入れるものだ、こういうことでやっておりますので、先ほども島上委員から御注意がありましたように、不当なことをやってはいけないという立場から、私の方はすべて計算をガラス張りにいたしまして、これだけは家賃の構成分子なんだから、当然家賃はそれだけは高くいただくのだ、こういうことにしておるわけでございます。そして公団ができましてから、この固定資産税を抜きにして初めに御契約を申し上げるときには、これは固定資産税がない家賃でありまして、固定資産税がきまったらばそれは加えていただきますよということが書いてございます。なぜそんなめんどうくさいことをしたのか、初めから千円くらいふっかけておいたらいいじゃないか。普通の家主ならそうですけれども、九百円から千円する固定資産税になるのですけれども、それは自治庁の方にもお願いいたし、また各市町村にもお願いして、こういうような性質のものだから、できるだけ固定資産税を安くして下さらないかということを交渉し続けつつありまして、それが幸いにして自治庁の御好意と各市町村の非常な好意をもって三百九十円ないし四百円ということに決定いたしたようなわけでございますので、公団といたしましては経営をガラス張りにするという点から考えまして、固定資産税は家賃の中に入るものなんだ、それだから固定資産税がきまったときにはそれは加えるのです。こういうことはきわめて明瞭に、御契約のときにお約束してあるわけでございます。
  83. 島上善五郎

    ○島上委員 その明瞭に御契約しているというのが、必ずしも明瞭でなかったようであります。それから今公団が入居者に請求しております固定資産税というのは、確定したいわゆる相当額ではなくて、確定した相当額のところもあるかもしれませんが、予想してかけているところもあるようであります。また中には確定した税額よりも低く請求しているところもあるのであります。そうした点でもまちまちのようです。これは一体確定した税相当額の負担を請求する建前なのか、そこのところは話し合いによって相当額を適当額にする余地があるのか、現在やっているところを見ますと、私が今指摘したように、確定した額そのまま請求しているところもあるし、確定した額よりも少し低く請求しているところもありますし、それからまだ確定しないが、予定した額で請求しているところもある。これはこの前の質問でも明らかになりましたが、予定した額よりももし最終決定が多くなった場合は、多い分はもらいません、もし少くなった場合には、少い部分はお返しします。こういう答弁をされております。そこのところのお考えを承わりたい。
  84. 澁江操一

    ○澁江参考人 この点は、この前、木月住吉でございましたか、新しい団地の家賃の構成内容ということで御質問がございまして、その点、固定資産税を先取りするようなことが考えられるんじゃないかという御質問がありましたときに、私からお答えしたと思います。前の御質問とも関連いたしますが、納税者はなるほど公団自体でございまして、それの家賃計算の中に入れる額は、性格としては納税引当金的な経費をその中で見込んでいただく、こういう考え方になっているという御説明を申したと思っております。従って、そういうことからいいまして、固定資産税が、かりに新しい団地の住居の場合でも、当初の入居のときから家賃計算の中に納税引当金として入れるという考え方は、その意味において家賃計算上必ずしも間違ってはいない、こういう趣旨を申し上げたと思います。と同様の意味合いにおきまして、現在考えられている各団地の固定資産税の額は、なるほどいろいろ事情は違っております。地元公共団体からの税額をそのままなまに、裸のまま家賃の中に計算する場合もございます。それから見込み額として計算する場合もございます。従って、これは納税引当金的な性格として計算するのでありますから、そういう見込み額を計算することによって多少の誤差が起きることはやむを得ないんじゃないかというふうに判断いたします。しかし相当額ということであります以上、それと大きく誤差が出る、あるいは開きが出るということは望ましくないのであって、そういう関係から、あらかじめ見込み額を立てる上において、大きな狂いがないという見込みを立てた上での額をそれぞれ家賃計算の中に入れる、こういう考え方できているわけであります。従いまして今島上委員の仰せになりました誤差があるじゃないか、これは誤差はやはり生ずるのであります。けれども考え方はそういう考え方できている、こういうわけでございます。
  85. 島上善五郎

    ○島上委員 考え方はわかりました。もう一ぺん確認しておきますが、誤差が生じた場合に、実際には五十円よけいきたから、もう五十円出してくれ、こういうようなことはないわけですね。それから、実際にきたのは見込み額よりも百円少かった、その場合には、百円納めた分からさかのぼってお返ししましよう、こういうふうになさるわけですね。
  86. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 この問題につきましては、たしか前にもお答えしたように思うのでありますが、重ねて申し上げます。先ほど総裁から申しました三百九十円程度が、一応公団住宅として三十年度に建てましたものの平均的なものに相なっておるわけでございますが、それにつきましていろいろ団地の方々と話し合いをしたときに、それより以上になった場合にはどうなるかというお話がございましたが、そういう場合には、でき得る限り皆様方の方に御迷惑をかけないように公団で処理いたします。さように申し上げております。なお平均額から相当下回って、関係市町村の方がなお減額で請求した場合にどうするか、こういう場合には、相当開きができました場合には、各団地ごとに団地の方々と十分話し合いをして、どうするかについては、納得のいくような話し合いをした上で処理していきましょう、かようになっております。
  87. 島上善五郎

    ○島上委員 私前会も、その前も御質問をしましたが、残念ながら固定資産税問題に関する紛争が今日なお解決の事態に至っていないというように承知しております。そこで私伺いますが、ただいま総裁のお答えの中にもありましたが、誤解があるようだ、こういうお話でしたが、あるいはそうかもしれません。しかし単に入居者側に誤解があるというものではなくて、公団の方にも誤解があったり、あるいは間違いがあったりする部分も、そういう問題も私はないとは言えないと思うのです。私はきょう、こまかいことを別につっつこうとも思いませんが、そういう材料も持っております。ですから、こういう問題については、そう一ぺんにというわけにも参りませんでしょうが、よく話し合いをして解決をするという、そういう根本的な態度が必要だと思う。ところが、私は先月の委員会でも指摘しましたが、ややまとまりかかると、それをこわすのは公団側である。今度もかなり話が具体的にまとまりかかってどうも公団側でそれをこわしてしまうというような事情を私は聞いておりますが、加納総裁は強気一点張りで、法律的な手段に訴えて押し切ってしまう、こういうお考えですかどうですか。これは国から貴重な財産を預かって仕事をしておられるのですから、それ以外に手段がないというときにはやむを得ないかもしれませんが、しかし十分尽すべき手を尽して話し合いをして、こういうことがまず大前提でなければならぬと思います。そういう点において、私は必ずしも十分に手段を尽しているとは思えない。むしろ公団側で、話がまとまりそうになるとこわしてしまうというような態度が見られる。これに対する総裁のお考えを伺いたい。
  88. 加納久朗

    ○加納参考人 話がまとまりそうになると公団の方からこわしてしまう、そういうことはございません。といいますのは、もう約束通りにやっていただきたいということ、それから契約はこうなっていますというような御説明、もう固定資産税の問題の説明は三カ月にわたって尽きているのです。それでずいぶん隠忍してその御説明を申し上げて三カ月たちました。そうして私はこの公団をお預かりしておる総裁といたしまして、これ以上に延ばすということは、私が国家に対する義務を完全に尽したということになりません。でございますから私は今月をもって、六、七、八月払っていただかないような方々に対しては催告を出しまして、やむを得なければこれは裁判でもって決定をするよりほかしようがない、こういうことを言ったわけでございまして、これは別に大家として特別なことをしたわけじゃなくて、公団の仕事をやっております以上は、固定資産税のごたごたがなくても、家賃を払わない人が三カ月も怠っておれば、法的の手段をとらなければならないのであります。もしそれをしなかったとすれば、私は国家に対して義務を尽していなかったということになるのでありますから、その点は特に御了承を願いたいと思います。そして、もし私がそういたしましたことが国家に対する義務を怠っていたということであるならば、それは政府が私を免職するだけのことであります。
  89. 島上善五郎

    ○島上委員 私ども普通の民間における家屋問題の紛争の際には、六カ月理由なしに家賃を滞納した場合には法律的の手段に訴えるというのが常識であり、慣行であろうと思います。ところが公団の場合には三カ月きましたら——私は露骨に言いますが、一つ怒らぬで下さい。三カ月きたら、待っていましたとばかりに催告をするといったような感じがするのです。私は午前中、大臣にも引き合いに出しましたが、昔は大家さんとたな子のことを親子というふうにたとえている。それほど思いやりがあったものなんです。その半面には悪家主といって首つりの足を引っぱるような因業なことをする家主もありました。少くとも公団の場合にはあとの方じゃなくて、前の方でなければならぬと思うんです。それほどの思いやりのある関係でなければならぬ。三カ月たったら、待っていました——しかもこの三カ月も納めないというのじゃないのです。現にあなたの方では固定資産税、公租公課を除く部分については内払いとして受け取っている部分が相当あるはずです。公租公課を保留するというか何というか、除く部分の家賃については受け取っておる。今納めていない人たち、あるいは供託している人たちも、その公租公課の部分については納得のいく措置を話し合いの上でつけてもらいたい。それまでは公租公課を除く部分については納めようとする意思を持っておる。この今私が質問した問題と関係なしに、家賃を滞納している人が、あるいはあるかもしれません。その人のことを、私は今聞いておるのじゃないのです。今度の問題に関連した紛争については、公租公課についてはどうも納得がいかぬが——あるいはあなたの言う誤解かもしれませんが、その他の分については約束しているから納めようとする意思を持っておる。現に納めておる人が相当部分あるのです。ですからこの人たちに対しては、公租公課の部分についての理解がいくような話し合いをすると同時に、その他の部分については納めてもらおう、納めよう、こういう話し合いが私はできると思うんです。そういう人たちを相手にして、法律的な手段をとる、法律的な手段をとると言って、脅迫的に出ておるということは、どうも私は納得がいかぬ。もう少し親子のような思いやりのある措置が考えられるはずだと思う。私は事実をはっきりしますけれども、先月の十六日に、そこにいらっしゃる理事のうちの一人が立ち会った上で、この四項目で一つさしあたりの解決をしようという話し合いができておる。これは総裁が御存じですから読まぬでもいいと思いますが、御存じなければ読み上げます。ところが、あくる日の公団の理事会においては、こんなものはだめだといっておじゃんにしてしまったという話を私は聞いておるのです。もし事実がそうだとすれば、まとまりかかったものを公団側でこわしているということになりはしないか。たとえば形式とか文書の表現とか、そういうものについて、これじゃ工合が悪いというところがあったら、さらに話し合いを続けるというなら別ですよ。その後の話し合いについては言を左右にして話し合いをしようとしない。これじゃ私は公団として尽すべき手段を尽しているとは言えないと思うんです。いかがでしょう。
  90. 加納久朗

    ○加納参考人 お答えを三つに分けていたします。最初の梅悪家主に公団がなった、もっと温情を持っていくべきである、こういうことであります。これはやはり総裁の不徳のいたすところで、悪家主に見えるのでしょうね。それでなければ、そういうふうに考えるはずがありません。ずいぶん理を尽して一生懸命にやっておるのですから、これで悪家主に見えるのだったら、しょうがないと私は思います。ずいぶん手を尽し、親切にしておるつもりでございます。これはおそらく島上委員とは私との見解の違いということになるのではないかと思います。  それから普通の家主の場合には六カ月か一年か待つか、それは存じません。しかしながら普通の家主がかけている家賃というものの構成はどういうものであるかというと、ずいぶんえらい高い利息がかかっております。そこにえらい危険を負担するような家賃になっておりますから、それは六カ月でも一年でも待っても損がいかないでしょう。しかし公団の場合には明瞭に損が参りますから、そういうわけに参りません。そして温情々々とおっしゃいますけれども、それにはやはり限度がございまして国家の機関として公団を運営しておるのでありますから、三カ月間十分に理を尽して説明した上に、なお納得なされない、固定資産税は家賃の中に入るべきものではないというようなことでおっしゃっておるのですから、これはもう司法権によって、裁判でもって、公団が正しいか、入居者のおっしゃる方が正しいかを決定しなければならない段階になっております。  それから最後の点でございますが、妥協案を持って行ったのに総裁がけった、その通りであります。けりました。けりましたのはどういうわけかというと、あれは私の解釈では、まとまらないようになる解釈であって、まとまるようになる解釈ではない、こういうふうに私が解釈いたしましたのです。あれをやりますと、ますます時期が延びるだけであってそうしてこの問題が解決しない、こういう見地から、私は自分で、断然これは要求に応ずることはできないといってお断りをいたしました。それからもう一つは、団体交渉のような形で見えたのでありますけれども、もともと公団と入居者との約束は個々にお約束をしておりまして、あくまでも個々の方々お話をしていくつもりであります。でありますから、個々の方々が公団においでになりまして、自分の家庭の情勢で、病人があるからどうも前に滞っている分がよく払えないとか、あるいは家が特に貧困になるような事情になったとかいうようなことで、もし御相談のあった場合には、公租公課に関する部分はあるいは何カ月かに分けてお払いを願いたい——しかしながら負けるということはいたしません。公租公課全部、滞納利息全部を取り立てるということが私の義務なのですから、私はその義務を実行するよりほか、しょうがございません。
  91. 島上善五郎

    ○島上委員 契約したのは個々であることは承知しておりますけれども、個々に契約した人たちが、団地へ入ってから現に自治会というものを作っておる。そうして公団においてもその自治会を相手にして、団地の円満な運営と申しますか、そういうことを現にやっておる。ですから、この種の紛争があったときに、個々に契約したから個々に話し合いをするというようなことじゃなしに、現実に自治会というものがあり、あるいはその他の団体があって、その代表と今まで話をしてきたのですから——話をしてきた事実はあなたは否定なさらないと思うのです。話をしてきたのですから、そうしてあなたは、これはまとまらない妥協案だ、こう解釈しておりますけれども、しかし私は、少くともその妥協案を作った当事者は、まとまらないものだとは考えていないと思います。まとまるものと思うからこそ、やったのです。ただ一挙に一切がっさいを解決しようとすると、なかなか時間がかかるし、世間にもいつまでも紛争が続いており、拡大しておるように思われてもいかぬから、ひとまず当面の解決をしていく、やっかいな問題は少し時間をかけて解決しよう、こういう考え方ではないかと私は想像しておる。そういう解決の方法をとったってよろしいと思う。何も一挙に一切がっさい解決しなくたって、当面の問題を解決していき、あとこまかい、少しめんどうな問題は、これは二段方式とでもいうか、これでもって話し合うという解決方法だって、悪いことはないと思います。あなたは、もうまとまらない解釈だというふうに一人ぎめにしていらっしゃいますけれども、これは独断だと思うのです。この種の問題は、まとめずに、いつまでもけんかのしっぱなしというわけにはいかないと思う。公団でもそうでしょうし、入居者だってそうだと思う。ただ時をかせいで、ずるずる引っぱっていさえすればいいというように、入居者の側をあなたが解釈しているとすれば、私はあなたのさっき言った、大家の親子の美しい思いやりというものがない証拠だと思う。この際美しい思いやりがあったら、私は第三者ですけれども、もう少し善意に解釈することができると思う。ここをきっかけに一つの転機として次の解決へ大きく前進することができると思う。そういうふうに御解釈されたら——それは見解の相違だと言われれば、どんなふうにも解釈できるかもしれない。しかし公団側においてこの事態をなるべく早く解決したい、しかも円満に相互に理解し合って解決したいという誠意がおありならば、好意的に善意をもって解釈するというふうにされても、しかるべきではないかと思うのです。もう尽すべきところは全部尽してしまった、こうお考えになっているようですが、そう短気を起さぬで、こういう問題を解決するのですから、相互に理解し合って円満に解決しようとするのですから、一応気長にゆっくりおやりになったらよい。ただし今の、家賃を納めなかったり、共託しておったりといったようた事態は、公団にとっても早く解決した方が、国の大事な仕事を、さっきもおっしゃったように、おやりになっておるのですから、そういう事態をひとまず解決していくというような解釈が私はできると思う。一つそういうように御解釈願って、もっともっと話し合いをしよう、こういう解決方法が一番私は望ましいと思う。三カ月も話したんだと言いますけれども、それは話したかもしれませんが、ただ一方的に公団の解釈を押しつけようとするから、片方は納得しない。私は固定資産税の問題だけではないと思うのです。さっき関連して多少質問もしましたが、共益費の問題やら契約書の問題やらも、やはり直接間接に関連しておると思う。そういったような一切の問題についてよく話し合って、解決しようとする誠意がありさえすれば、そんなに解決の至難な問題ではなかろうと思う。裁判で白黒を争うとおっしゃいますけれども、それはおやりになるのは勝手でしょうけれども、泥沼に入るような結果になるおそれがあります。これをみんな裁判で解決しよう、三年も五年も十年もかかってまるで泥沼に足を突っ込んで動きがとれないというような事態になったら、それこそあなたの責任は大へんなことになりはしませんか。それより今言った方法で解決に大きく前進しようとするきっかけがあるんですから、私は九月十六日のあれに何もこだわってるわけではありませんが、そういうチャンスがあるのですから、またそういうチャンスを作るために話し合おうという気になれないですか、いかがでしようか。
  92. 加納久朗

    ○加納参考人 いろいろ島上委員からのお話を承わりました。参考として私は承わっておきます。しかし私は一たん決意いたしましたことを変える意思はございません。
  93. 島上善五郎

    ○島上委員 そうしますと、この問題を法的手段に訴える以外に解決の方法がない、こういうふうにお考えですか。今までおとりになったのは催告です。催告書をやっただけで、それ以上の手段はまだおとりになっていないようですが、催告書の反響はどういうことになるかわかりませんけれども、催告書をお出しになった結果入居者が、そのことをも含めてもう一ぺん話し合おう、代表をあげて話し合おう、こういう場合にあなたはそれをも拒否しますか。一切の話し合いを拒否して契約の解除、立ちのき請求、それ以外に何もない、こういうお考えですか。
  94. 加納久朗

    ○加納参考人 まさかそうは考えておりません。もし催告を受け取った方が見えて、すべてお金を払っていただけば、何も追い出す必要はありません。
  95. 島上善五郎

    ○島上委員 そんなことは当りまえですよ。そんなこと聞いてるんじゃない。ほかの方の質問もあるから、私一人で長い時間……。
  96. 薩摩雄次

    薩摩委員長 総裁は三時十分に出かけなければならないのです。
  97. 島上善五郎

    ○島上委員 それではお帰りになってもいいですが、私の聞いてる範囲では、入居者の諸君の中にはいろいろまちまちな意見があるようですが、しかし何とか話し合いによって解決をしたい、こういう希望が非常に強いようです。ですから私はあなたに希望しておきますが、あの催告書をやったからといって、別にあの催告書は何でもないですから、私は午前中にも言いましたが、入居者が相互理解による円満な解決をしようという見地から、なおそういう問題をも含めて話し合いをしたいという希望を持っております場合には、それに応じてもらってできることなら円満な話し合いをしてほしい。それがどういう内容で、どういう話し合いになるかは、私どもの直接関知したことではありませんけれども、そういう気持で、ただ強気一点張りで、三カ月したら一つ追い出してやれ。それは法廷闘争に持ち込んだって、そう簡単に解決する問題じゃないですから、問題は契約書全体に関連してくるということになると、契約書自体が——私は契約書の問題をお聞きしたかったけれども、契約書自体が法律的にちょっと問題になる点を含んでおりますよ。そういうことになると、ほんとうに泥沼に入るようなことになるおそれがあるから、これで一切が終りだというような短気を起さずに、もっともっと話し合いをするという広い、思いやりのある態度でこの事態の収拾解決をはかってもらいたいということを希望しておきまして、総裁に対してはこの程度にしておきます。
  98. 加納久朗

    ○加納参考人 今までいろいろ御注意がございましたので、せいぜい悪家主にならないように、個々の方々がおいでになりますれば、できるだけ御相談に応じまして、その御家庭の事情その他を伺って、お払いになりやすいようなことは考えたいと思います。     —————————————
  99. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それでは井谷委員河川局長と開発課長が来ておられます。
  100. 井谷正吉

    ○井谷委員 ダムの方ですが、これは地方の問題なんですが、たしか今までにそう例のないことだろうと思いまして、一つ御意見を伺いたいと思います。実は愛媛県の鹿野川ダム工事にからんだ問題ですが、御承知のようにあのダムのところはY字形になっております。Y字形の棒のところに小学校があるのです。河成小学校というのがあります。それでここを中心にして鉄橋が三つかかるのですが、この工事を始めますと、びょう打ち、その他の騒音で学校の授業ができなくなるだろうということをPTAその他がかなり心配をして、それで工事事務所と打ち合せをしたわけです。というのは、ちょうど夏の休みになりますから、そのやかましい間の作業を夏の休みの間にやっていただきたい、もしそれができぬようであるならば、おくれるようであったならば、夏の休みをずらしてやりたい、こういう話をしていたようであります。事務所の方では、それは夏の休みの間にできるのだということであったのが、作業の関係で非常にずれてきたわけです。この間、私たまたまこの地方に行ったのでございますが、そうすると、この学校は小学校ですが、生徒が二百四十幾名、約二百五十人、職員が七名です。それでちょうどこの学校の運動場の高さに埋め立てが行われる。それでこの春、作業をするのにも、その学校の授業をしておる窓の下にレールをしいて、トロッコで押す土方連中が女の先生をひやかすとか、教育上あまりよくない現象も起きている。この作業が始まりますと、暑いけれども、ガラス戸をされいに立てて授業をしても、先生の言うことが子供に聞えない、二カ月余りというものは完全な授業が行われていない。その証拠には、森田という女の教員がいますが、これが神経衰弱になって脳を侵されて、何でも脳の裏に水がたまり、まだ入院をしております。病気にならぬ人もかなりそういうふうな異常がある人があるらしいが、病気になったのはそれ一人です。そしてこの運動場そのものにいろいろな作業の機械類が置かれ、そしてまたここに岩板そのほかの石類が積まれて子供が運動場で遊べないから、晴天でも廊下で遊んでおる。現在でもそうですが、そういう状態です。秋、子供たちの一番の楽しみは運動会なんですが、もちろんその運動の練習もできません。このあと月の末から今月上旬にかけては、各学校とも運動会を盛んにやっているのだが、ここの子供だけは運動会ができないから、今度十三日にはよその学校に見せてもらうために見学に行くのだ。子供たちもそれが非常に情ないらしい状態であります。学校としては、やはりこうした公益事業のことだから、十分地元として協力をしなければならぬ、こういう建前で今までしんぼうしてきていたのですけれども、こういう状態になってくると、やはり周囲のいろいろな批判がPTAあたりにも集まってきて、これはどうも子供がかわいそうだ、運動会もできない。何かその他の土地であるとか建物であれば補償が行われたのだが、こういうような教育上の問題、あるいは精神的な問題に対する補償というようなことをきめるのは、なかなかむずかしい問題だと思いますけれども、これはこのままにほうるのは私はかわいそうだと思う。何とか一つ名案を考えていただきたいし、そうした幅がないものだろうかということを、これは御相談申し上げるので十が、それについてのお考えを承わりたい。
  101. 山本三郎

    山本説明員 ダムはもちろんのこと、そういう工事をやりますると、周囲に、騒音等はもちろんのこと、工事機械とか、あるいは工事中でいろいろと御迷惑をかけるということはどこにもある実情でございまして、先ほどお話がございましたように、そういうふうな仕事は迷惑をかけないような時期などを選んで、たとえば休み中にやるとか、あるいは夜やるとかいうようなことで、御迷惑をかけないようにするように私ども常に考えておるわけでございますが、工事の都合等によりまして、あのダムはできるだけ早く仕上げなければ工事費も非常にかさむというような関係から、やむを得ずそういうような処置になっておるのだと思います。付近に御迷惑をかけている点につきましては私どもといたしましても非常にお気の毒に考えているわけであります。さて、それにつきましてどういうふうなことを考えているかという問題でございますが、こういう問題につきましては、今までもそういう点につきましていろいろと御迷惑をかけたところもございますけれども、さてそれに対しまして具体的にどういうふうな処置をしたかというような例も、今のところ私も記憶に残っておる例はございません。それはどういうことかと申しますと、たとえば金銭でお払いするというようなことにいたしましても、なかなか算定ができないというような点がございますし、また補償等のような問題だと、具体的な根拠がないと、国の金にいたしましても、あるいは公共団体が事業をやる場合にいたしましても、それをお払いするということがなかなかむずかしいのが実情だと思うのであります。さりとて具体的にどういう点で被害を及ぼしておるというような事実がございますれば、これは当然何とかしなければならぬという問題でございます。それからいろいろ道路等の交通上御迷惑をかけているというような点がございますならば、それについてはできるだけ迷惑をかけないような処置を今後において考えなければいけないと考えますが、ただ騒音等によりまして、評価のできないような被害の問題でございます。これは私どもといたしましても、具体的な問題につきましてよく研究はしなければならぬと考えますが、今直ちにどういう処置考えられるということは即答は申し上げられないような次第でございます。現地ともよく連絡いたしまして研究はしてみたいと思いますけれども、今直ちにこんな例があるとか、あるいはこうやったらいいだろうというような具体的なお答えが申し上げられないのはまことに遺憾でございますが、お話にもございますように、現地とも打ち合せまして、よく御迷惑をかけないようにすると同時に、何かそんな方法考えられるかどうかということを一つ研究してみたいと思っております。
  102. 井谷正吉

    ○井谷委員 御参考までに申し上げておきますが、この地方の学校の夏休みは七月二十五日から八月二十四日までです。橋梁の工事を始めたのが八月二十五日で、ちょうど夏休みが済んだあしたから始めたというようなズレができておるのであります。今御答弁の点も私はよくわかるのでありましてこれはなかなか基準のとりょうがないものだと思うのでありますが、ここに私診断書も預かってきておりまして、こういう具体的なのもあるわけです。現在入院しておる者もおりますし……。  それから、あとでそちらへ写真を回しますが、子供たちは丸太を四本くらいたばねた棧道をかよっているのです。これは非常に危険なんですが、幸い新しい校舎を今建ててもらっていて、これが、私も行ってみましたが、もう一カ月もすればでき上るから移転ができるだろうと思います。そうすると、今から道路をこしらえましても十日や十五日ではできないから、地元要求もありますが、それはしんぼうできると思っております。かたがたこれは出元の方にも御照会いただきまして、何とか工夫がつくならば、子供たちはそういう楽しみもなくなったんだし、何か慰めてやる道を、童心を傷つけないという意味においても考えてやりたいと思っているということをつけ加えまして、一つ御研究をお願いしたいと思います。
  103. 薩摩雄次

    薩摩委員長 中島君。
  104. 中島巖

    ○中島(巖)委員 午前中に引き続きまして、昭和三十三年度建設省関係の重要施策について質問いたしたいと思います。大臣に対する質問が非常に多いのでありますが、大臣がお見えになりませんので、政務次官並びに官房長の出席を要求いたしておりますから、お二人から大臣に対する質問についてはお話を願いたいと思うのであります。  非常に時間もおそくなって出席議員の方も少いのでありますけれども、ちょうど予算編成時期にきておりまするので、この際御質問したり、あわせて希望を申し上げるのが適当と考えるので、順次質問いたしたいと思います。  私の記憶するところでは、三、四年前までは河川関係予算が一番大きかった。一般予算の面に出たところでは、道路局並びに住宅関係予算もそう大きなものになってはおりませんけれども、実質予算におきましては、公団なんかの関連事業体がありまするので、道路予算におきましては千五百数十億になっており、また住宅関係においても千四百五十何億というような数字になっておりまして、河川関係予算が非常に少いように考えるわけであります。政府の重要施策についての説明には、治水事業の緊急五カ年計画に対して建設省の本年度予算要求額は五百九十二億というような数字が出ておりますけれども、昨年度治水の実行予算はたしか三百六億九千万円くらいだと思いましたが、これに該当するものである、こういうように了承してよろしいのですか。
  105. 山本三郎

    山本説明員 大体その通りでございますが、昨年度予算には三百六億何千万以外に、ダム特別会計の設定によりまして、そのほかに約十億の財政投融資がございました。従いまして、昨年度の従来の一般会計と比較した数字は、約三百十七億が本年度の実行予算であります。来年におきましてそれに該当するものが約五百九十何億。そのうちにはもちろん一般会計と財政投融資が含まれておりますけれども、比較すべき数字は、三十二年度は約三百十七億、来年度は三百九十何億というのが実情でございます。
  106. 中島巖

    ○中島(巖)委員 この重要施策についての説明によりますと、昨年度多目的ダム建設に対する特別会計を設置したわけであります。これも非常に疑義があるのでありますけれども、やはり農地の灌漑用水であるとか、あるいは発電用水であるとかいうようなことが多目的ダム目的でありますから、将来財源がある、収入があるということが考えられるので、特別会計ということは、相当無理があるであろうが、いいではないかと思うのです。とこるが本年度の重要施策について見ますと、直轄河川改修工事、直轄砂防工事について新たに特別会計を設置する、これは資金のワクを拡大する、こういうような説明になっておるのですが、特別会計を設置するということは、資金を導入するとか、あるはそれによって入る収入でそれを償還するというのが建前ではないかと思っておるのです。ところが、これらの事業は収入の見込みは立たないのであるけれども、これを特別会計とするという理論的根拠はどこにあるか、それからこの特別会計を設置する必要はどこにあるか、この点を一つ御説明願いたい。
  107. 山本三郎

    山本説明員 特別会計目的といたしましては、ダム特別会計のときには、電気事業者の分が、従来は委託工事でやっておりましたのを、今度は特別会計で負担金を取りましてやるということ以外に、直轄工夢は地方に分担金をかけますけれども、その分を前もって財政資金から借り入れまして事業をふくらまかしてやりまして、あとで地方の分担金を国庫に入れてもらうという二つの制度をとりまして歳入にしておったわけであります。今度の治水事業及び砂防所業の特別会計におきましては、もちろん発電事業あるいは上水道の事業等はございませんから、一般会計の繰り入れと地方の分担する分を財政資金から繰り入れて約四分の一ふやしまして事業をやっておる。そうしてあとで地方分担金をその分として返してもらうということが一つ目的になっております。そうして事業を促進しよう。それからそのほかには、たとえば直轄河川の工事をやりますると、農業あたりと一緒にやるような仕事がございます。たとえば川の中を掘りますと相当の量の上砂が生まれてくる、それを耕地に客土として使うというような事業がありますが、それを一つの工事でやった方がいいということで、農林省あたりから委託工事を受けてやっております。それらを特別会計に、分担金といいますか、そういうような形で一緒に入れてもらいまして、今まで委託工事でやっておったものを特別会計で経理を一途にしてやろう、こういう二つの目的がございます。言いかえますと、地方分担金に相当する分だけの事業の拡大をはかろうというのが一つ目的、もう一つ目的は、委託工事の分を特別会計の自分の事業としてやれるようにしたい、委託工事でなくて自分の工事としてやろうということでございまして、その点におきまして経理を明確化していこうというのであります。
  108. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私もそういうことは賛成でありますけれども、これは非常に疑義のある特別会計じゃないかと思いますので、せっかく一つ御努力せられんことを希望いたしておきます。  それから国庫債務負担行為制度、どうもこの文句が了解しかねるのですが、こういう制度はどういう制度であるか、それから現在までに建設省関係でこの制度を十分活用しておったかどうか、その例を一つ……。
  109. 山本三郎

    山本説明員 国庫債務負担行為というのは財政法で規定されて、予算は当年度しか御決定をいただかないわけでございますけれども、事業の内容によりますと来年度にまたがって契約をした方が非常に都合がいい仕事がございます。たとえば用地をずっとまとめて買わなければならぬというものは、同じ単価で当年度に契約しておいた方が都合がいい、ただし予算は本年度は全部払う金がないというような場合があります。そういうような場合に金額を限りまして、この範囲ならば契約してもよろしいということを予算書で議決していただくわけでございます。そうしますと来年度の契約をしなくても、来年度予算が来れば今年度やった契約に従って金が払えるということになるわけでありまして、一括契約したりする場合に非常に都合がよろしいわけでございます。実際の例といたしましては、私ども関係といたしましてはダム関係、直轄ダムでありますから、特定多目的ダム法によりまして特別会計で本年からやらしていただいている分の中に、すでにその制度を認めていただきまして、ダムのコンクリートを打つような仕事を業者と契約いたします場合に、本年度内の予算だけでなくて、来年度にまたがるような契約ができるような制度になっております。従いまして契約を更改しなくても来年度の事業も引き続いてできるということで、非常に事業の施行上は都合がよろしいわけでございまして、これをもっと広くいたしますと継続費制度になるわけでございますが、これを継続費にするかわりに、その川の中の用地の問題であるとか構造物などは継続していく性格を帯びているので、契約年度にまたがってやることができるように国会で御承認いただければ、今申し上げますようなことができるのでありまして、工事の施工上非常に都合がよろしいわけであります。
  110. 中島巖

    ○中島(巖)委員 次にお伺いすることは、本年度災害は総額でどのくらいになっておるか、それからその災害のうちの本年度の施行の量はどのくらいな金額になっておるか、時間がありませんので幾つも重ねて質問いたしますが、過年度災害の総額がどのくらいになっておるか、この三つの点をお伺いしたいと思います。
  111. 山本三郎

    山本説明員 ただいまはっきりした数字を持ち合せておりませんので、多少誤差があるかと思いますけれども、御了承いただいて御報告申し上げますと、本年の現在までの災害は、地方の公共団体の受け持つべき災害の報告額が約百九十四億くらいでございましてそれに直轄の災害が約十六、七億でありますから、合計いたしますと二百十億くらいが報告額になっております。そのうち現在までに緊急を要する分を査定いたしましたが、その分が全体の約三割弱だと思います。その分につきましては、約八〇%余りの査定率になっておりますが、査定の済んだ分につきましては、とりあえず査定した分の緊急を要するもの三割——すでに一部予備金を支出したものもありますし、近く支出するものもございますので、その分につきましては近く全部予備金が支出されるということに相なっております。それから残りの災害は、十二月の下旬までには全部査定を終る段取りで、すでに準備をしております。それが終りますれば、全体につきましてさらに予備金の追加支出をするというふうな段取りに相なっております。  過年度災害は、本年の災害を省きましても、国費にいたしまして、国庫補助災害の分がまだ約三百二十億くらい残っておると思います。それに対しまして来年度においては、すでに災害の発生後四カ年目になります三十年災害までは全部復旧を完了したい、それから三十一年度以降のものにつきましては、国庫負担法の趣旨にのっとりまして緊要のものは三年で完了する、その他のものにつきましても四年では完了するというふうな建前で目下予算折衝しておるわけでございます。
  112. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで、本年度災害復旧事業費は四百十六億を要する見込みであると報告されておりますが、ただいま河川局長からお話のあった過年度災害の工事施工予定などは、結局この四百十六億の予算要求実現した暁において、そういうことになるのであるか、昨年度は二百六十八億というような数字になっておりますが、こういうような数字になれば、また今の御説明に非常な狂いがくるのだろうと思うのですが、この点はどうであるかということが一点。それから、やはり時間の関係で重ねて質問いたしますが、災害復旧は原形復旧ということでありまして、従いまして現在の河川の大部分はおそらく関連事業あるいは助成事業が多分に含まれる性質のものだと思うのです。従いまして災害復旧のみではなくして災害関連事業並びに災害助成事業にどうしても大幅に重点を置いて実施しないと、せっかくの災害復旧費も死んでしまうような結果になるのでありますから、この点にはどうしても重点を置いていただかなければならぬというように考えておるのですが、局長のお考え並びに本年度及び来年度に対する河川局としての方針、この二つをお伺いいたしたいと思います。
  113. 山本三郎

    山本説明員 まず第一の災害復旧事業の進捗率は、四百十六億が出たときに、そういう復旧の率になるのだろうということでございますが、その通りでございまして、四百十六億そのものの数字は、本年の災害をある程度想定いたしましたので、多少は想定した数字と、実際にことし起った数字が変るかと思いますので、現在のところにおきましては、これより多少は少くても、先ほど申し上げました方針通り復旧できると思いますが、趣旨はそういうことでございます。それから関連事業におきましても、三十二年度が三十五億円でございますけれども、来年度におきましては、約倍額の六十七億円を要求いたしておるわけでございまして、御趣旨通り関連事業も災害と一緒に一つ積極的に推進していこうというのが趣旨であります。
  114. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それから、これは御質問と申しますよりは希望なのですが、実は本日年前の理事会におきまして、小川豊明委員から、ことしの七月天竜川の門島ダムその他のダム災害関係について、委員長初め各委員が御視察願ったのですが、これにつきましては当時瀬戸山委員が視察結果の報告をここでいたしておるわけであります。ところが視察のしっぱなしで、報告のしっぱなしではいけないから、その後政府並びに県、会社はいかなる具体的な対策を持っておるか、ここへ参考人として来てもらって聞こうじゃないかという意見が出たわけであります。そこで私は長野県の実情を申しますと、先月末県会がありまして、県会におきましてダム災害対策委員会というのを県条令で設置を決定いたしまして、そして学識経験者が四名ですか、県会議員が七名だか八名、その他県の役人なんか二十名で構成して、そして第一回の会合を十五日に持って、実際の調査にかかるというようなことを聞いておるのであります。従って当委員会といたしましては、先ほど理事会で委員長に話しまして、長野県及び電力会社に対しまして、これらの災害対策に対していかなる具体的な案ができておるか、もしできておらぬとすれば、いつごろまでにできるのか、それによって一つ国会に来て報告してもらいたいという通知を出すことにしていただいたのです。これはもちろん県が委任事務といたしまして河川管理者でありますけれども河川局として非常にこれは責任のある問題だと思います。従って河川局の方でも、県、会社の方へも督励し、また河川局自体といたしましても研究して、なるべく早急にこれが対策の案を作ることを希望するのでありますが、これに対しまして、局長のお考えはどうか、お伺いしたいと思います。
  115. 山本三郎

    山本説明員 この問題につきましては、従来も当委員会におきまして、いろいろと御論議をいただきましたし、その結果もございまするし、しばしば県当局を呼びまして私の方からも現地に参りましていろいろと研究は自分の方でもいたしますし、県にもいろいろと案に対しまして意見は述べておるわけでございます。それからまた本年の災害に対するいろいろの問題もございますので、新しい問題も付加されて参ったのでございますので、それらもあわせて一つ対策を立てなければいかぬということに相なっておりますので、鋭意県におきまして、それらの調査をすると同時に、対策も立てつつあるし、また地元からも具体的な要望をとっておる。今まではダムを撤去しろというようなお話が主としたお話だったけれども、そのほかの考え方といたしまして、どういうふうな具体的な要望があるかというような点もとっておるというふうに聞いておりますので、それらをもとにいたしまして、私どもも県と一緒になりまして、一つ対策を早く立てようというつもりでおりますので、新しい問題も付加されて参りましたので、多少の時間はかかるかとも思いますけれども、できるだけ早く対策を樹立するようにというつもりでおります。
  116. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで、ただいまの問題は先ほどと重複するようでありますが、建設省といたしましても、会社及び県に対しまして早急に対策を立てていただくように御指示願い、それを待って、国会といたしましても参考人として御出席願って、その結果を聴取いたしたい、かような考えでおりますので、御努力願いたいと思います。まだいろいろ河川関係でお聞きしたいこともありますが、だいぶ時間もおそくなりましたので、本日は河川関係はこの程度にいたしておきます。  次に都市計画について質問いたしたいと思うのでありますが、これは全般的にわたると非常に広範にわたり、時間がかかりますので、特に下水道の問題に重点をしぼってお伺いしたいと思うのです。これはおそらく計画局だけの関係ではなかなか困難な問題であって、特に大臣に対しましていろいろ御説明もしたり、お考えを伺うべき問題だと思うのです。そこで本日は大臣代理として政務次官がお見えになりますので、この点は一つぜひ政務次官から大臣の方へお話し願いたいと思うのです。これがために官房長の御出席も要求したのだが、まだ見えないようであります。  そこで本日建設省から下水道十カ年計画という書類をいただいておるわけです。今私この中を調べてみますと、下水道の全然ないという県がある。市や村じゃなくて、県が相当この中にあるのです。それで、どういうわけで下水道の施設がかように遅れておるかということが一番問題だと思うのです。そこで上水道が比較的に、完備とまではいきませんけれども、普及されておって、下水道が現在のような状態にあるというその大きな原因は、やはり上水道に対しましては料金を徴収しておる、つまり公営企業になっておる。そこで、自治庁の方もおられますけれども、上水道関係におきましては、財源があるから全額起債を認めて、従ってその起債の償還も十五年とか二十年とかいう長いものになっておる。いわゆる上水道の料金でもってこの起債の償還ができて、しかも増設、新設は全額起債を認めるというような御方針であるように今承わっておるのですが、このことは後刻、自治庁から見えておる小野寺説明員の方へお尋ねいたします。そこで計画局としては下水道に対しましてどういうような考えを持っておられるか。ことに昨年度予算を見ますと、予算説明のときには、三十二年度の下水道予算というのはわずかに五億五千万円しか計上してない。そのうち四億五千万円というものは失業対策費で計上してあり、実際出ておるものはたった一億しかない。にもかかわらず、本年は総理府つまり経済企画庁に移管になったと思うのですが、東北興業なんかのセメント工場をこしらえる会社に——民間会社でもセメント工業なんかは希望があってできる、そういう会社に対して五億と二十億、つまり二十五億の融資をしておる。この全国的な大問題であるところの下水道に対してわずかに一億しか出さないで、あと四億五千万円は失業対策費で出しておる。従って全般的に見て政府重点の入れどころがおそろしく違っておりはせぬか、こういうように私考えるわけであります。そこで計画局長に、建設省は今後下水道に対してどういう方針を持っておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  117. 町田稔

    ○町田説明員 ただいま下水道につきまして大へん御理解の深い御激励的な御質問を受けまして私たち下水の仕事をいたしております者としましては大へんありがたく思っておりますご御承知のように下水道は従来は厚生省の所管でございまして、三十二年度から建設省の所管に移ったわけでございますが、建設省の所管に移ります際には、もうすでに予算はきまっておりまして、今お示しのありましたように大体五億程度できまっておりました。それで、それを受け継いで三十二年度の事業をいたしたわけでございますが、三十三年度以降はもっぱら建設省の所管に属しておりますので、予算につきましても新たな構想でこれの確保に努めて参りたいと思っでおります。ただいまお話のございましたように、下水道は全く不思議に思われるぐらい立ちおくれた施設でございまして、この点についてはいろいろの理由があろうと思いますが、非常に一般的な言葉で申しますれば、一般の生活程度が下水道を非常に強く要求する程度にまだ至っておらなかったという点も一つ理由かと思います。しかるに最近は下水道に対しましても幸いにして非常に関心が深まって参っておりますし、この機会にぜひ一つこれを私たちも大規模に伸ばしたいと思っております。  それから今まで伸びておりません理由の一つといたしましては、ただいまお話のございました財源関係に非常に原因があると思うのでございます。それでこの下水道を伸ばして参りますためには、世論の喚起とともに財源の確保ということに力を入れなければならないわけでございまして、私たちといたしましては、この財源確保のためには、あまり実情に沿わないような大きな計画を立ててもいけないというので、十カ年計画を一応立てまして、地方の実情等ともにらみ合せまして、大体の実現可能な案を立てました。そのうちのおもなる財源はただいまお話のありました起債にこれを待つということにいたしております。それで水道につきましては、各地方で負担いたしますもののほとんど全部が国で起債として認めておりますが、下水につきましては従来この起債の認めるワクが非常に少うございまして、それでこの起債のワクをずっと伸ばすということが財源確保の上で非常に大きい意味を持ちますので、自治庁とも今この十カ年計画をもとといたしまして相談をして、幸いに自治庁及び大蔵省におきましても、下水を直さなければならないという現実的な必要性を大へんよく認めて下さっておりますので、従来に比べれば今後はこの方面も飛躍的に伸びるのではないかということを私たち期待をいたしております。ただ自治庁等で起債をつけるにいたしましても、これを償還する見込みがなければ、もちろんなかなか認めがたいのでございますので、償還財源といたしまして、私たちは使用料を今後かなり大幅に下水利用者から徴収をしていくということを考えておるのでございます。それによりまして大部分起債の償還財源を確保する。もっとも下水は御承知のように家庭の汚水ばかりでなく、雨水をはけますために施設をいたします部分がだいぶんございますので、その部分まで一般の利用者から徴収いたしますことはかなり無理がございますので、その部分は都市計画税等をもって償還財源にするということにいたしまして起債の大幅なワクの獲得に努力をいたしておる次第でございます。  十カ年計画につきましては、単に計画局ばかりでなく、建設省をあげまして努力をいたしておりますので、建設委員会皆様方にも大いに御指導御鞭撻をいただきたいと思っておる次第でございます。
  118. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこでお尋ねいたしますが、このほど下水道課長に来てもらいまして、今までの下水道の財源関係などについて私質問したのであります。そうしますと下水道課長の答弁は——私これは計画局長お尋ねして計画局長答弁をいただいてから順次質問していくのが建前だけれども、時間もありませんので下水道課長から聞いたことをお話しいたしまして、それが間違いないかどうかという答弁をいただきたいと思うのであります。そこで、下水道課長の答弁は、現在まで下水道に対しては三割の補助を行なっておる。この三割も、全体の予算が少いために非常に事業量を圧縮した三割であるから、実質においては一割五分になるか二割になるか、そんな程度じゃないかと思う。それから、これに対する起債は大体工事総額の二割程度自治庁に話して許してもらった。従って五割程度の補助と起債とがあって、五割程度地元の負担になる。この五割も非常に事業量を圧縮してあるから、あるいは三割ないし三割五分になっておるかもしれぬ、こういうふうな説明であったのですが、実際はそういうような状態でありますか、どうですか。
  119. 町田稔

    ○町田説明員 下水道課長がお答えいたしました通り実情でございます。
  120. 中島巖

    ○中島(巖)委員 先ほどもらったこの十カ年計画にも使用料を設定するという項がありますが、これは大へんけっこうだと思う。私どもいなかの市なんですが、屎尿のくみ取りに非常に不便をしておる。結局このくみ取り料を使用料に振りかえればいいことでありますから、使用者に対しましては何ら負担が重くなるものじゃない。従って使用料を徴収するようになれば、それを見返りとして大蔵省並びに自治庁の方の起債もきくというようなことで、大幅の工事ができるのではないかと思うわけであります。そこで、自治庁の理財課から見えておりますのでお伺いいたしますが、ただいまの下水道に対する起債の率は大体どんな率で今まで行なっておったか、それから起債の償還に対しては、これは公営企業ではないから、結局公共事業と見るべきものである。従って、これは基準財政需要額に見積って、平衡交付金の対象になるかどうか。つまり率がどうであるか、その償還方法に対してはどういう方法をとるか、この二つの点についてお答えいただきたいと思います。
  121. 小野寺昇

    ○小野寺説明員 要するに、要望額に対する起債の充当率は幾らか、こういう御質問でございますが、正確な数字を持っておりませんし、今年度の実績は作業過程でございますので、明確なお答えにはならぬかと思いますが、まず下水道に対する充当の仕方は一体どういうことをやっておるかと申しますと、単独起債のワクの範囲内におきまして地方の要望がございますが、その要望の度合いは地方団体によって違うわけでありまして、いろいろの事業を持っておりますので、下水道もやりたいけれども、緊急度としては別の施設がほしい、こういう要望もございますが、考え方といたしましては、単独事業としてワクの限度内で見れるところは十分見ていこう。その場合に補助がつきますが、補助分は特定財源として除いた部分に対して考える。単独で見る場合は、事業に対する割合と実際の要望額を集計した表がございませんので、率についてはっきりしたお答えはできないのでございますが、ただ単独で見ない場合にはどうなるか、こういう場合には、今度は補助事業の起債がございますが、この補助事業の起債のワクの中から、下水道事業について補助事業の充当率というのが大体ございます。本年度市町村についてはおおむね二〇%前後でございますが、その限度までは補助事業の中から起債を充当していく、こういう考え方をとっています。  それから今度は、起債を認めた場合に、その償還財源が交付税の——これは特別交付税と普通交付税がございますが、特別交付税にはこれは入りません。そこで今度は普通交付税の中の基準財政需要、すなわち公債費の中で見るかどうか、こういう問題でございますが、これは見ておりません。通常の一般財源——税収あるいは交付金の中から償還する、こういうことになっております。
  122. 中島巖

    ○中島(巖)委員 これは下水道以外の問題になるが、ついでだから自治庁お尋ねしたいと思いますが、上水道の災害復旧に対しては、従来二分の一の国庫補助を出して、あとの二分の一は全額起債を認めておったようであります。この二分の一の全額起債に対しましては、特別交付税で見るのであるか、あるいは基準財政需要額に見積って平衡交付金の対象とするのであるか。つまり災害復旧費の二分の一の国庫補助以外の二分の一の地元負担に対しての起債は全額認めておるようであるが、そうであるか。それから、その起債の償還についてはどういう方法をとるか。もう一点は、上水道の新設増設に対しましては、現在まで一〇〇%起債を認めておる。この起債は、昨年度までは五年据え置きであって、あと十五カ年間の均等償却というような制度をとっておったけれども、今年度からは工事期間中の据え置きで、あと二十カ年間の均等償却というようなことを聞いておるのでありますが、この二つの点について御質問いたします。
  123. 小野寺昇

    ○小野寺説明員 上水道の災害を受けた場合の問題でございますが、これは九月の十日の委員会でございましたか、同様な質問を中島委員から受けたのでございます。その際に、私の説明が表現の仕方が非常に不明確であったためか、誤解もあったかと思っておりますので、速記録を見てみようかと思っておったのでありますが、速記録が手元にございませんのでまだ見ておりませんが、間違っておりますれば本席で訂正させていただきたい、かように存じます。  上水道の場合、災害を受けますと、二、三年前には半額の国庫補助がついておったのであります。先般の当委員会におきまして厚生省は、同様な処置を講じたい、こう答弁をなさっておりますが、かりに二分の一の補助がついた場合は、あとの二分の一は、これは上水道事業自体の負担になるわけであります。そこで復旧の財源といたしましては起債で一応考えるわけでございますが、ただ、上水道については企業の独立採算制をとっておりますし、また企業の中で内部留保を蓄積しておる場合があります。そこで内部留保で全然復旧できないという場合には、極力起債で財源を考えていく、こういう態度をとっております。それから、起債で財源を考えた場合には、今度は交付税の算定の基礎に入るか入らぬかという問題がございますが、普通交付税の中では、いわゆる公共土木災害国庫負担のような公共災害だけを考えておりまして、こういう企業に対する起債の公債費は考えておりません。そこで、今度は、残る問題は特別交付税考えておるかどうか、こういう問題でございますが、これは従来の取扱いがまちまちであったのでございます。起債を認める場合、起債計画の中には、災害のワクと、上水道のワクと二通りの分け方をしておりまして、単独災害のワクから見た場合には、従来は特別交付税の中で償還の段階においてある程度考える、こういう形式をとっておったのであります。それから上水道のワクから考えた場合には、それは特別交付税の方の償還の財源には入らない、こういうふうな格好になっておったわけでございます。そこで、この問題について今後はっきりした線を引くべきではないか、こういう内部の議論をいたしておりまして、どちらにするかまだ結論を得ておりませんが、ただ、そういう企業的なものについての災害復旧の財源を見る場合には、予備費的な考え方の一つのワクを考えようじゃないか、こういう議論の過程中でございます。従いまして、現在のところでは特別交付税に入らないというふうに御理解願いたい、かように考えます。  それから、普通の上水道事業の新増設の場合には、全額起債を認める。これは、上水道の要望というのは相当ございまして、新規の場合に採択するかしないかという審議が必要でございます。採択審議の結果、採択をするという場合には起債を見ていく。その場合にいろいろ工事の内容を分析してみるわけでございますが、その場合に一般財源でやることが適当であるが、配管の問題がございまして五十ミリとか七十五ミリとか、そういうものについては起債をなるべく見ない。これは企業の将来の採算に負担をかけないという考え方と、もう一つは水道料金の方にはね返らないということから、小さいものについては起債対象にしない、こういう考え方をとっております。ただ、当該団体がそれを負担できないようなものであれば、原則としては考えないけれども、ものによってはある程度考えていく場合もございます。そういうような取扱いをいたしております。  それから、償還年限の問題ですが、財政法にもございますように、償却年度まで見る起債償還の期限を考えていく、こういう考え方をとっております。  以上でございます。
  124. 中島巖

    ○中島(巖)委員 いろいろ特別の場合などの話が非常に大きく今クローズアップしてきて問題の核心がだいぶぼけておるのです。厚生省などの説明を聞いてみても、大体において新設、増設の場合は全額起債を認める。それから、その起債の償還は、過去においては五年据え置きの十五カ年均等償却である。それが本年度からは工事期間中は据え置きで、あと二十年間の均等償却、こういっているのですが、いろいろ御議論もあるだろうと思うけれども、大体大筋はそういうように了承してよろしいのかどうか、その点を承わりたい。
  125. 小野寺昇

    ○小野寺説明員 償還期限のはっきりした年度を、私資料を持っておりませんので、はっきり御答弁できませんが、今仰せのように、たしか二十五年と記憶しております。間違いないと思いますけれども、調べて間違いがあれば訂正いたします。
  126. 中島巖

    ○中島(巖)委員 全額起債の問題ですが……。
  127. 小野寺昇

    ○小野寺説明員 それから起債の全額はおおむね見るという建前をとっております。ただ先ほど申し上げましたように、五十ミリ以下のものについては、建設する場合には一般財源の投資が必要な場合がございますが、投資が必要だというのは、要するにせっかく上水道を作っても、飲めないような料金になるような場合がございます。そこでこういう計画を立てる際に一般財源に繰り入れてやることがございます。そういう場合には五十ミリとか七十五ミリ以下のような管については起債対象にしないで、できるだけ一般財源に繰り入れた中で処理をする、こういう考え方をとっております。原則として、おおむね一〇〇%見るような建前をとっております。
  128. 中島巖

    ○中島(巖)委員 もう一つ自治庁お尋ねいたします。結局、これは地方財政法でしたか、あるいは地方自治法の施行規則か何かにあったと思うのですが、運輸事業であるとか、電車であるとか、あるいは上水道であるとか、四項目ほど並べて、つまり公営企業としてあるわけです。公営企業にはおのおの特別会計を設置することになっている。この特別会計が不足した場合は議会の議決を経て一般会計から繰り入れることもできるという規定があるけれども、その公営企業の特別会計をその年度内において他には流用してはいけない、ただし決算の結果、剰余金が出た場合においては、議会の議決を経れば他に流用することができる、こういうふうに規定されておるのですが、そういうふうに了承していいかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
  129. 小野寺昇

    ○小野寺説明員 その通りでございます。
  130. 中島巖

    ○中島(巖)委員 だいぶ一人で時間をとりましたので、簡単に最後の締めくくりをいたしますが、今の下水道の問題です。これは実は建設行政の盲点というか、欠陥だと思う。堀内政務次官もお忙しくて、先ほどからお帰りになりたいようでありますけれども、実は予算編成期でもあるし、これは建設大臣に十分認識してもらって、来年の予算措置を講じてもらわなければならぬ。こういうような関係で政務次官にしいてここにおっていただいて、そうしてこれは計画局だけでなしに、大臣なんかに力を入れてもらいたい問題だと思うのです。しかも他の住宅であるとかあるいは河川であるとか、道路であるとかいうように、数千億とかいう金の要る問題ではない、わずか百億ぐらいの金で下水道が全国的に普及できるわけであります。そこで一括して局長並びに政務次官に質問いたしますが、先ほど局長から使用料をとるというようなお話がありましたけれども、これは私非常に大賛成で、使用料をとって、まあ上水道というようなわけにいかぬにいたしましても、その財源を見返りで起債を認めるようなことにして普及すべきだと思うのです。もしそれができぬといたしましても、相当予算を増額して、さらに自治庁大蔵省なんかとも交渉して、起債のワクも広げるべきだと考えるわけです。これに対して一つ局長のお考えを伺いたい、局長答弁あとで政務次官から、政務次官としてのお考え、御方針を承わりたい、かように思うわけです。
  131. 町田稔

    ○町田説明員 ただいまお話のございました御趣旨に沿いまして、お話のありました通りの方向で努力をいたして参りたいと考えております。ことに使用料の点等につきましては、従来も多少とっておりましたけれども、とり方が非常に少かったので、建設省といたしましては基準を作りまして、各都市にこういう計算でこういうようにとるべきではないかということを通知をいたしております。それによって使用料の額をきめて参りたいと思っております。
  132. 堀内一雄

    ○堀内説明員 中島委員から下水道の問題につきまして非常に御理解のあるお話をお伺いするのは、私どもまことに力強く感じておるのでありますが、御承知のように、まさに下水道の問題はわが国における都市計画の盲点でございまして、それがどうしておくれたかということにつきましてはいろいろの理由がありましょうが、現実の事実といたしまして、五百一の市街の中で現在下水道を使っておりますのは百二十二しかない、今建設中のものを入れましても百四十一でございまして、ちょうど二四%ぐらいに当っておる状態でございます。しかるにアメリカ、イギリス、フランス、オランダというような国におきましては、ほとんど一〇〇%これを設備しておるという状態のことは、皆さんにおかれましても十分御承知通りでございます。ところが現在日本の状態では、水洗便所にいたしましても人口の四%しかないといったようなことで、かたがたもってこの問題は至急に整備しなければならないことでございますが、先ほど計画局長から申し上げましたように、建設省といたしましては、最近にこれが担任になったわけでございます。現在いろいろ企画をいたしておるのでございますが、都市計画という見地からいたしますれば、これは道路の下部の埋設物ということになりまする関係から、道路の整備といった事柄も関連しまして、急速にこれをやる必要があるということで、先ほどお話のありました十カ年計画を作りまして現在促進いたしておる次第でございます。なおこの財源等につきましては、ただいまいろいろ御指示をいただいたのでございますが、私どもが今考えておる一端を申し上げますれば、とにかく飲んだものが出ていくのだというようなこともありまするので、水道料金と一緒にという関係において徴収するのもあながち不合理ではなかろうというようなことも考えておりまするが、こうした問題につきましては今後自治庁並びに大蔵省と十分連絡いたしまして、御期待に沿うようにいたす所存でございますので、今後とも一つ御鞭撻並びに御指導をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
  133. 薩摩雄次

    薩摩委員長 次回の委員会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会