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1957-08-09 第26回国会 衆議院 建設委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月九日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 薩摩 雄次君    理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君    理事 大高  康君 理事 荻野 豊平君    理事 前田榮之助君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       池田 清志君    堀川 恭平君       井谷 正吉君    木原津與志君       島上善五郎君    田中幾三郎君       中島  巖君    山下 榮二君       山田 長司君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         議     員 渡辺 惣蔵君         総理府事務官         (自治庁長官         官房調査官)  山本 晴男君         農 林 技 官         (農地局建設部         設計課長)   任田 新治君         建設政務次官  堀内 一雄君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     加納 久朗君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澁江 操一君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 八月一日  委員瀬戸山三男辞任につき、その補欠として  馬場元治君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員生田宏一君、阿部五郎君、小川豊明君及び  安平鹿一辞任につき、その補欠として小平久  雄君、木原津與志君山田長司君及び島上善五  郎君が議長指名委員に選任された。 同 日  理事瀬戸山三男君及び二階堂進委員辞任につ  き、その補欠として久野忠治君及び大高康君が  理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  豪雨災害に関する件  日本住宅公団住宅固定資産税の問題に関する  件     —————————————
  2. 薩摩雄次

    薩摩委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選挙を行います。理事二階堂進君が去る六月七日、及び瀬戸山三男君が去る一日委員辞任されましたので、理事二名欠員になっております。理事選挙はその手続を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 薩摩雄次

    薩摩委員長 御異議ないもとの認め、大高康君、久野忠治君、二名を理事指名いたします。     —————————————
  4. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それから大臣が来られますまでの間に、今回起きました中部地方東北地方梅雨前線による水害について、報告建設当局より聞きたいと思います。政務次官堀内一雄君。
  5. 堀内一雄

    堀内説明員 八月上旬における豪雨災害状況につきまして、八月八日の二十時現在について御報告申し上げます。  八月の五日から八日までの局地的豪雨によりまして、岩手栃木愛知及び岐阜の四県が被害を受けましたが、現在までに判明しております被害状況は次の通りでございます。  第一に岩手県について申し上げます。八月五日十七時から六日の一時までに、北上市において百九十一ミリ、花巻市において百三十八ミリの降雨があり、北上川水系河川がはんらんして、北上市及び花巻市の周辺において災害が発生いたしました。公共土木施設の県からの被害報告額は、現在のところ約二千七百万円に達しております。また一般被害は、警察庁調査によりますれば——これは八日の十七時現在でございますが、建物床上浸水が九十九戸、床下浸水が八百四十三戸、流失水田が三十町歩冠水田畑が一千二百二町歩に及んでおります。鉄道東北本線、大原−北上間であります。横黒線、江釣子−北上間であります。釜石線、花巻−似内間、及び小山田、土沢間でありますが、一時不通となりましたが、現在は開通いたしております。  第二、栃木県につきまして申し上げます。八月の六日二十一時から八日の六時まで、矢板町において三百十ミリの、宇都宮市において二百十九ミリの降雨がありました。那珂川は、芳賀郡茂木町で三メートル二十五、鬼怒川支川の田川は、宇都宮市で一メートル四十、渡良瀬川水系の姿川は宇都宮市で三メートル九十の水位に達し、矢板町及び宇都宮市の周辺において災害が発生しました。公共土木施設の県からの被害報告額は、現在のところ約一億五千二百万円に達しております。また警察庁調査によりますと、一般被害死者一名、負傷者二名、建物全壊二戸、床上浸水二百七十九戸、床下浸水三千七十六戸、冠水田畑二百七十七町歩罹災世帯は二百七十七戸に及び、鉄道東北本線矢板駅構内で一時不通となりましたが、現在は開通いたしております。  第三、愛知県につきまして申し上げます。八月七日十七時から八日の九時までに、名古屋市におきまして二百十四ミリ、春日井市において二百七十ミリ、瀬戸市において二百ミリの降雨がありました。庄内川と矢田川合流点付近において、庄内川は四メートル四十、矢田川は二メートル十二の出水がありました。守山市及びその周辺並びに名古屋東北部災害が発生いたしまして、公共土木施設の県からの被害報告額は約一億円に達しており、また警察庁調べによりますれば、一般被害死者四名、行方不明者五名、負傷者十名、建物全壊十九戸、流失十六戸、床上浸水三千五百四十七戸、床下浸水二万三千九百六十一戸、冠水田畑一千三十五町歩罹災世帯三千六百戸に及び、鉄道中央線が高蔵寺−瑞浪間で不通となりました。  第四、岐阜県について申し上げます。八月七日十七時から八日の十八時までに多治見市において四百七十三ミリの雨量があり、土岐川水位多治見市において四メートル七十になり、天端のすれすれに出水を見ました。この水系の各河川は増水いたし、特に土岐川支川笠原川は笠原町滝呂において堤防が破れ、多治見市及び笠原町並びにその周辺被害を受けました。公共土木施設の県からの被害報告額は約一億円に達しており、また警察庁調べによりますれば、一般被害死者七名、負傷者十九名、行方不明者六名、建物全壊三十八戸、床上浸水二千九百十五戸、床下浸水一万二千五百五十三戸、流失埋没田畑八十二町歩冠水田畑九十八町歩罹災世帯が三千戸に及んでおります。  以上公共土木施設被害報告額は現在のところ三億七千九百万円に達しておりますが、なお今後さらに増加する見込みであります。以上御報告申し上げます。
  6. 薩摩雄次

    薩摩委員長 五号台風以後の問題につきまして、山本河川局長より説明を承わります。
  7. 山本晴男

    山本説明員 この前の委員会におきまして、三十二年の発生災害、特に台風五号を伴う梅雨前線被害につきましての善後処置をどうとったかという資料をというお話がございましたので、その他の問題につきましてもあわせて御報告を申し上げることといたしまして、別冊に資料を差し上げてありますが、それによりまして御説明を申し上げたいと思います。  「昭和三十二年発生災害被害状況及び対策について」という資料がございますから、それにつきまして御説明を申し上げたいと思います。  第一番目は、昭和三十二年の発生災害の全貌をここに一表にまとめてあります。これはただいま政務次官から御説明申し上げました分は入っておりません。従って西九州等豪雨災害までの状況でございます。ごらんいただきます通り建設省の所管いたします公共土木施設被害額は総額百六十八億六千万円の報告に相なっております。内容といたしましては、直轄分が十六億五千万円、補助災害が百五十二億一千万円でございます。その内訳は、風浪による災害が二億七千万円、融雪出水災害が十七億九千万円、一月から梅雨災害までの豪雨による災害が八億八千万円、台風五号を伴う梅雨前線による豪雨災害、六月二十六日ないし二十八日の分でございますが、三十六億七千万円、それから七月上旬の梅雨前線による豪雨災害が三十六億一千万円、西九州等豪雨災害、七月二十五日から二十九日の分が六十六億四千万円と相なっております。  次は、七月上中旬、梅雨前線による豪雨災害より前に発生いたしました災害に対する措置を御報告申し上げます。  まず第一といたしまして、現地調査の問題でございますが、特に被害の激甚でありました災害につきましては、被災直後に現地係官を派遣いたしまして、状況調査及び応急復旧工法指導に当らせました。  次は、査定実施の問題でございますが、直轄災害分につきましては、八月八日現在におきまして全部査定完了しております。  次は、補助災害分でございますが、七月上中旬豪雨災害以前のものにつきまして、被害合計額が一億五千万円以上に及ぶ北海道外十六府県のうち、査定準備完了いたしましたものより緊急に復旧すべき個所につきまして査定実施中でありますけれども、現在までの状況は、別表5におきまして後ほど御説明申し上げます。  次は、予備費支出状況でございますが、直轄災害分につきまして、七月二十六日までに査定完了いたしました北海道及び雄物川外河川につきましては、すでに一億八千六百万円余り予備費支出決定いたしまして、災害復旧を急いでおります。またその後の北上川上流外河川につきましては、査定完了いたしましたので、早急に予備費支出するよう目下大蔵省折衝中でございまして、近く支出決定されるはずでございます。  次は、補助災害分でございますが、七月三十一日までに査定完了いたしました北海道外福島、新潟、長野、富山、岐阜の五県につきましては、早急に予備費支出するように目下大蔵省折衝中でありますが、残りの分につきましても、査定完了次第、逐次予備費支出をはかるよう措置する予定でございます。  次は、融資あっせんでございますが、七月上旬の豪雨によりまして著しい被害をこうむりました山形県に対しましては、県よりの申請に基いて大蔵省とも協議いたしまして、近く資金運用部資金から融資あっせんされる予定でございます。  なお、西九州被害の激甚な県につきましては、目下準備中でございます。  別表につきまして簡単に御説明申し上げますと、別表1は、ただいま御説明申し上げました昭和三十二年発生災害の、発生種類別災害につきまする個所数並びに金額の内訳に相なっております。  別表2は、先ほども御説明申し上げました直轄河川及び北海道直轄事業災害発生状況でございます。  別表3は、各補助災害の分につきましての北海道並びに各都府県別、さらに種類別発生災害報告額状況でございます。  次は別表4でございますが、これが先ほど御説明申し上げました各直轄河川につきましての被害報告額、それから申請額並び査定完了いたしました分の決定額、それにつきまして、摘要欄に書いてありますように、すでに北海道につきましては予備費決定支出されております。さらに内地におきましても雄物川、米代川、阿賀野川、最上川上流信濃川上流天龍川上流につきましては、すでに閣議の決定がされております。それから摘要欄予備費要求中というのがございますが、北上川上流北上川下流、安倍川以下につきましても、予備費要求中でにざいます。それから査定中と書いてありますのは、それ以後発生した災害の分でございます。  別表5は補助災害状況都道府県別被害報告額緊急査定実施状況であります。それから融資状況並びに予備費状況を書いてあります。たとえば北海道につきましては、被害額が五億一千二百七十六万円でありますが、緊急を要するものの申請をして参りましたのが二億一千九百九十一万一千円でございまして、これを査定いたしまして一億七千九百六十万二千円ということに決定いたしたのでありまして、これにつきましては融資要望がありませんが、予備費要求目下大蔵省に提出いたしまして交渉中でございます。これでごらんになりますように、現在まで融資要求のありましたのは山形県だけでございまして、申請額が八千六百十五万四千円で、審査したのが四千四百十九万円、これに基きまして近く融資決定されるはずでございます。それから長崎熊本につきましては融資あっせん要求準備中でございます。それから摘要のところに予備費要求中並びに査定状況が一表にしてございます。なお長野県等の緊急分につきます査定完了をいたしまして、予備費要求中でございますが、この査定完了と同時に、緊急を要するものにつきましては請負に出しまして、たとえば長野県は三億七千六百万円の緊急査定決定されましたが、すでに一億三千万円余りのものが入札になりまして、工事をどんどん進めております。  以上簡単でございますが御説明申し上げます。
  8. 薩摩雄次

    薩摩委員長 この際、根本建設大臣より発言を求められております。これを許します。根本国務大臣
  9. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般の岸内閣の改造に当りまして、不肖私がはからずも建設省を担当することになりました。建設行政につきましては全くのしろうとでございますので、皆さん方の格別なる御指導と御鞭撻によりまして、重大なる国土保全の問題あるいは民生安定の問題を推進いたしたいと思いますから、何分よろしく御援助のほどをお願い申し上げます。  申すまでもなく、戦時中あるいは戦後の数年間というものは、社会情勢並びに経済事情混乱のために、治山治水あるいは道路あるいは住宅都市計画等もなかなか軌道に乗っておらなかったのでありますが、国会並びに国民皆さんの御支援によりまして、やや今日その計画実施する緒についた段階でございます。わが国は大へん災害の多い状況でありますので、年々数千億に達する災害があるにもかかわらず、これを治め、かつ、改良し、そうして国民経済の基盤を確立するためには相当程度政府施策並びに予算措置が必要でございます。この点は今後とも大いに努力いたしまして、根本的な措置とともに、応急措置をもあわせて実施いたしたいと考えております。  なおこの際、先般の九州災害に当りまして、私が総理の代理として現地派遣を命じられましたので、その状況もあわせて、あいさつかたがた申し上げたいと思います。  岸総理が二、三の閣僚と各省事務次官を帯同いたしまして、空中から被害地全区域にわたりまして視察いたしたのでありますが、用務のためにその日のうちに帰られました。私はその日から熊本長崎佐賀福岡の四県について現地に当って親しく、最もひどいと思われる点を重点を置いて視察して参ったのでございます。  詳細についてはすでに事務当局から御説明があったと思いますが、総括して申し上げますと、今回の災害特殊性は、相当期間にわたる梅雨によりましてほとんど飽和状態になっておったところに、さらに豪雨がきたために山くずれ、山津波、これが非常に多かったようであります。そのために、従来大きな河川あるいは中小河川等において一応施工しておるところは、それほど大きな被害はなかったのでありますが、今まで手をつけておらないところが、これは範囲は狭いけれども、非常に深刻なようでございます。たとえば熊本県の天水村、これらの付近、あるいはさらには松尾付近のごときは非常な深刻な状況でございまして、私の参った当時はほとんど交通が遮断されて、現地の県においてもほとんど調査が不可能なような状況でございましたが、幸いにいたしまして自衛隊あるいは消防団等の努力によりまして、ようやく道が開かれまして、そこへ参ったのでございます。これらの地区におきましては、先ほど申したように土砂の崩壊による人命の損傷が非常に大きいのでございます。これらにつきまして現地におきましては、地すべりに対する特別立法をいたすべきだというような御意見が非常に強かったのでございます。けれどもこれにつきましては、現在の予算措置上なし得るものもございますので、これにつきましては、山林につきましては農林省林野庁関係農地関係については農地局関係、それから渓流方面については建設省所管におきまして緊急砂防予算措置がございますので、調査の結果、直ちに現地において各機関連絡いたしまして、これが応急措置をとることを指示いたしまして、その点は手配できたようであります。  ただ、この際現地において非常に困難を来たしておると言われる問題は、たとえば佐賀県の伊万里のごときは前から地すべりが起るという危険性が予知されまして、知事並びに市長が再三にわたって待避命令あるいは移転命令を出しているようでありますが、地元住民におきましては自分の農地に対する愛着心が非常に強く、その命令強制履行を伴わないために、ついにあのような災害を起しておる、そういう観点からいたしまして、何か法律的根拠に基いて待避命令を強制し得るような措置を講じてほしい、またそういうふうな強制命令を出すという場合におきましては、やはりこれに対する補償の問題がある、これも立法措置が必要である、こういう意見でございます。もっともな御意見でございます。しかしこれにつきましては県条例において、部分的でありますけれども、なし得る一つ根拠がありますので、佐賀県のごときは直ちに県会を臨時に招集いたしまして、これに対する県条例によって一時措置をする、国会においてはいずれこれに対する基本的な措置を講じてほしい、こういう要望でございます。  最も被害の多かった諫早市地区を見て参りますと、これは空中から見た場合とは全く様相を異にしまして、非常に深刻でございます。これにつきましては、私も現地についていろいろ見たのでございまするが、本明川を中心とするいろいろな河川が非常にありまして、これもやはり実質上山くずれあるいは山津波に原因することが非常多いようでございます。従いまして、砂防に関しましては従来とも一応やっておりまするけれども、ほんとうに抜本的にこれは検討していかなければならないではないかという感じを受けた次第でございます。  被害地に対する応急措置としては、災害救助法適用によって一応の措置はなされておりましたが、だんだん交通関係も整備され、かつ中央からのいろいろの施策現地においてなされたために、現在までのところ割合に順調に復旧工事はなされておると考えております。住宅の問題につきましても、現地に公庫の理事あるいは地元係官を動員して、いろいろの申し入れを受け入れる態勢を作りましたし、それからまた相談所を設けて一々罹災者の御要望にこたえて御指導いたしつつ、できるだけ簡便に措置するように方法を講じて参った次第であります。  それから、諫早市中心とする罹災者のうち、中小企業商業家の方が非常に多いようでございます。これらの方々は、私が行った当時はほとんど死体の収容、それから家の清掃のために忙殺されておりまして、非常に混乱をしておりましたが、それにもかかわらず非常に市当局指導あるいは県当局指導のもとにその作業がどんどん進められておりましたが、金融措置についてはぜひとも特別なる措置がほしいということであります。これについては、財務局あるいは金融機関と相はかりまして、できるだけの措置を講じました。特に中小企業方々はお盆前に品物を一ぱいに仕入れて、それが全面的に流されたということで、これは全く無一物状況になっておる。そのために従来のような災害救助法適用期間だけではとうてい間に合わない、それからまた災害救助を受ける対象についても、資産があっても現実においては、無一物状況であるから、災害救助法適用対象を拡大すべし、こういう御意見がございまして、これも東京と電話で連絡の上、その延長並びに拡大の措置をとった次第であります。  それから長崎県におきましては、保証協会活用をはかりまして、私が帰ってからでございますが、長崎県においては諫早市その他被害地について大体十五億程度金融措置の見通しができたということでありますので、今日までのところ、これの活用によって収拾ができる、こういう報告に接しておる次第でございます。  もう一つは、これは食糧問題でございますが、現地におきましては、災害救助法を受けているときには一応食糧が確保されるけれども、これが期間が切れますと、現金を持ってないところの罹災者現金で米を買わなければならない。そうするとその現金がない。そこで食糧対策としまして、卸売業者に対する食糧庁の延納措置を講じてほしい、そして延納期間については無利子にしてほしい、こういう要望がございました。これはもっともだと思いまして、直ちに農林大臣連絡をいたしまして、農林大臣においてはこれに対する善処をするということでありまして、現場の食糧事務所等においてこれは措置しておるはずでございます。  それからもう一つ農業関係では、御承知のように米の予約をいたしまして一石につき二千円の予約資金を受けておるのであります。ところが相当大きく被害を受けておりますために、これは今当面の問題ではないけれども、出来作の場合においては、ただいま申しました予約資金を返すということになりますと、非常に困難を来たす。そこで、これについても特別なる措置を講じてほしいということでございましたので、これも農林省連絡をいたしまして、出来作のときに、北海道災害等においても特別な措置を講じた例がありますので、それにならって検討して善処をいたす、こういうふうな報告に接しておる次第でございます。  以上のような状況で、災害地におきましては、各機関とも非常によく連係をとりまして、不幸な災害をできるだけすみやかに解決するために努力しておるという状況であった次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、あいさつを兼ねて、九州災害の視察の状況を御報告申し上げます。(拍手)
  10. 薩摩雄次

    薩摩委員長 三鍋義三君より発言を求められております。この際これをお許しいたします。三鍋義三君。
  11. 三鍋義三

    三鍋委員 衆議院を代表しまして、去る八月一日から一週間、薩摩委員長を団長といたしまして、中村寅太君、中馬辰猪君、山田長司君及び私の五人をもちまして、佐賀長崎熊本鹿児島の各県の水害地慰問調査して参りました。この機会に、皆様のお許しを得て、ごく簡単にその概要を御報告申し上げたいと存じます。  九州地方水害調査慰問団は、八月一日午前東京を立ち、福岡を経て佐賀に至り、佐賀県庁において、今回の水害被害状況災害対策等説明を聴取した後、鹿島、北方、伊万里等県内災害現地を視察いたしました。続いて長崎県に入りまして、今回の水害の最もはなはだしかった諫早市、大村市一帯を初めとし、愛野町、千々石町、島原市等、水害中心地をくまなく慰問調査をいたしました。なお長崎県におきましては、交通通信途絶のため、被害現地へ行くことが不可能な場所が相当ありましたが、海上自衛隊の好意によりまして、飛行機にて上空よりすみずみまで視察することができたのであります。熊本県に入りましては、三角町、網田村より河内芳野村、天水村、宇土町、植木町、三名市、熊本市と、ほとんど水害地全部を視察調査いたしまして、鹿児島県、川内川流域被害地に向い、川内市、東郷町及び串木野周辺調査いたしまして、日程全部を終了いたしたのであります。  さて豪雨災害の実情について申し上げますが、このたびの豪雨の特徴はきわめて短かい時間に、集中して多量な雨が降ったことであり、しかも夜半不意をつかれたために、避難するいとまがなく、予想以上の大被害をこうむり、尊い人命を多く失いましたことは、まことに胸迫る思いで、団員一同心よりお悔み申し上げるとともに、復旧の一日も早からんことを熱望いたした次第であります。  まず長崎県におきましては、七月二十四日夜半より二十六日朝にかけて各地を襲った豪雨は、大村、諫早地区が特にひどく、十二時間に七百五十二ミリにも達し、実に一年間の雨量の三分の一に当ったのであります。一時間百四十ミリの雨量ということは世界の新記録であるとさえ言われているのであります。そのために電気はとまり、電話、電信は不通、バスは全線にわたってストップ、鉄道もまた各地で寸断され、全県下連絡の道が全く途絶されてしまったのであります。三十日午後までに判明した人的物的損害はおよそ次の通りでありました。死者六百二十六名、行方不明四百六十七名、重傷六百十二名、軽傷二千九百三十八名、住宅全壊流失が二千二百三十二戸、半壊が六百九十三戸、一部破損が四千六百七十九戸、床上浸水一万二千二十戸、床下浸水が二万八千五百八十戸、また物的損害は、土木建設関係百一億六千万円、耕地関係は三十一億円、農産関係十八億七千万円、商工関係二十七億六千万円、民生関係四十億円等、その総額は実に二百三十七億円にも達したのであります。  次に熊本県について申し上げますと、当県の雨量は熊本市五百三ミリ、三名市四百八十ミリ、山鹿市三百二十七ミリに達し、このために坪井川、井芹川、加勢川、菊池川のはんらんと金峯山周辺山津波による熊本市、三名市、及び飽託、宇土、鹿本、下益城の各郡など、主として県の西北部に多大の被害を及ぼし、その状況死者が百五十五名、行方不明二十四名、重軽傷二百九十七名、住宅全壊流失が二百七十七戸、半壊が三百三十三戸、床上浸水が一万一千八百七十九戸、床下浸水一万七千六百八十二戸、田畑冠水が二万九百四十五町歩でありまして、その被害の金額は土木関係が十六億三百万円、民生関係は三億五千三百万円、耕地及び開拓関係は八億一千万円、農水産関係は十七億九千万円、商工関係では八億四千万円等、総額は六十六億二千二百万円であります。なお当県における災害救助法適用市町村は次の二市二町七カ村であります。熊本市、三名市、宇土町、植木町、天水村、玉東村、岱明村、横島村、河内芳野村、北部村、網田村、以上であります。  次に佐賀県におきましては、七月二十五日の降雨は未曽有の時間降雨量を示し、わずか一、二時間に、二十八年六月に西日本一帯を襲った大水害に匹敵する惨禍を与え、長崎熊本の両県に次いで佐賀県もまた大きな被害を受けたのであります。  六月二十七日から七月二十六日まで一カ月の間に死者六名、行方不明六名、重傷五名、軽傷九名、住宅全壊十一戸、流失一戸、埋没十二戸、半壊二十九戸、床上浸水一千八百十九戸、床下浸水が一万百五十九戸、田畑流失埋没が百町歩、耕地冠水が一万一千百八十町歩河川被害は四百二十三カ所、道路三百八カ所、橋梁四カ所、以上の通りでありまして、被害金額は総計九億九千万円に達しております。なお佐賀県における特徴ともいうべきものに地すべりがあります。政府を初め各省、地すべり対策につきましてはほとんど皆無にひとしい状態でありまして、今回の人形石山地すべり等のごとく、多数の尊い人命を失う思わぬ災害を惹起している現状であり、これが対策の急務であることを痛感いたした次第であります。  最後に鹿児島県について申し上げます。当県は二十七日二十三時ごろより驟雨性の豪雨が降り、特に北部では二百ミリ以上四百ミリ程度降雨量を示し、各地に甚大な被害を引き起したのでありまして、その最もひどかったのは北薩、姶良地域で、中でも川内市、東郷町は、川内川の異常な出水ではんらんし、全市街地が水浸しとなって相当被害を引き起したのであります。死者六名、重軽傷十名、住宅浸水床下二千八百六十一戸、床上八千三百七十二戸、住宅全壊二十四戸、半壊二十七戸、流失四戸、田畑流失埋没百十四町歩、冠水千三百九十九町歩、その被害総額は五億四千四百万円余になっております。  以上被害の概略を申し上げましたが、ここで災害現地の人たちの要望事項につきまして二、三御報告いたしたいと存じます。  一、特別立法措置を講ずること。昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに九月の風水害による公共土木の施設等についての災害の復旧等に関する特別措置等の例にならない、至急特別立法措置を講じていただきたいというのでありまして、国家補助の対象にならない小災害は至るところにあり、これが対策は絶対に必要であることを痛感した次第であります。  二、遺族に対し見舞金を支給すること。このたびの災害は、人的被害が非常に多く、遺族の窮状は見るにたえないものがあるのであります。この際思い切った処置をぜひ講ぜられたいというのであります。  第三には、その他道路、橋梁等の恒久復旧工事の早期施行実施地すべり対策、地方分担金及び単独工事費にも起債を認められたい等、幾多の要望がなされたのでありますが、時間の関係もあり、報告書を見ていただくこととし、ここでは省略させていただきます。  最後に、派遣団員一行は、八月一日より一週間、九州地方水害各地を熱心に調査を行うとともに、衆議院の名においてそれぞれ罹災者を慰問、激励し、議員各位より醵出されました見舞金二十二万七千五百円は、被害各県に手交し、かつ慰問申し上げて参りましたことを申し添えまして、ここにつつしんで御報告いたす次第であります。  以上によりまして大体報告を終らせていただいたわけでありますが、私はこの与えられた機会を利用いたしまして若干新根本建設大臣に、その他所管の関係政府委員に御質問申し上げたいと思います。  このたびの災害が発生いたしますや、とるものもとりあえず、岸総理を初めといたしまして主管各関係大臣が急遽現地に行かれまして、つぶさに調査をなし、あるいは慰問をなされ、今後の対策を適切に講ぜられましたことは、その若さと情熱に私たち国民一同心から感謝申し上げている点であります。しかしこの情熱と御好意というものは、その最大の対策の裏づけがあって初めて実を結ぶものでありまして、この点につきましては相当迅速にその対処をなされていることは先ほども大臣より承わったのでありますが、私は地元民の要望を代表いたしまして、この際特別立法措置によりましてこの災害の復旧、そして民生の安定のための処置を当然講ぜられなければならないのではないかと考えるのであります。先ほど報告の中でも申し上げたのでありますけれども、今度の一番問題点となっておりますのは、小さい、ふだん顧みられない河川が異常の豪雨ではんらんしたのであります。これをまた力強く助勢したと申しますか、その災害を大きくなさしめた原因は山津波、山くずれにあるのであります。佐賀県の人形石山の問題にいたしましても、また熊本の松尾、あるいは天水村、これらについて考えましても、今度の災害の特徴は小さい河川がはんらんしたということ、それを助長したのが山くずれであるということ、この問題をしっかり私たちは見詰めて緊急対策を講ずる必要があると強く感ずるのであります。大臣は先ほど、現在の法律をできるだけ活用してこの対策を講じたいという御意見でありましたけれども、現在の法律でこの完璧を期することができるならば、あの二十八年の特別立法措置の必要もなかったのではないかと思うのであります。こういう点について国民要望であり、罹災者の切実なる願いであるところの特別立法処置をどのように考えていられるか。もしその必要を是認されるならば、すみやかに臨時国会を召集されるべきであると考えるのでありますが、これらにつきまして、大臣の明快な御所信を承わりたいのであります。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答え申し上げます。御指摘のように、今回の災害の特異性が、地すべり、山くずれに大きな原因があったということは、その通りであると私も認めて参りました。御指摘のように、従来山くずれ、これに対する予防措置については若干の措置は講じておりましたけれども、全面的な措置が非常におくれておるということは私も認めます。  ところで、御承知のように佐賀長崎熊本のあそこの地帯は、第三紀層の非常に脆弱な土質でありまして、これは従来ともいろいろ研究されたそうでありますが、根本的な地すべり対策というものが非常に膨大な金がかかる、今までやっておるのは、わずかに水を抜いて少し安定させるということが、当面なされておった措置のようであります。それからずっと山の上の方は、植林その他においてできるだけ山の保全をはかる、それから渓流については砂防工事をやっておる、こういうことでありまして、これが不徹底であったということが、今回の特に非常な豪雨によってそれがさらに立証された、こう認めることが当然だと思います。  そこで特別立法の問題につきましては、非常に大きな問題でございまして、これを根本的にやる場合に、今の所管の問題と、それからまた工法について一応の見通しがっかなければならないと思います。そこで現在農林省それから建設省の専門家を派遣しまして現地調査の上、応急措置は先ほど申したように一応の予算措置でなし得ると思いますので、これはやりますが、根本的にやるとなりますれば、何らかの立法措置が必要ではないかという感じも私はいたしておるのでございます。しかしこれは基本的な政策でございますので、通常国会までにはぜひ関係各省の意見をもまとめまして、立法の準備にとりかかりたい、かように私は考えておるのでありますが、応急措置のための立法措置は今すぐにもなされ得ないと思いますので、さように御了承願いたいと思っております。  それから御指摘のように、小さな河川それから小さな村の、公共施設のないところの災害でございますので、現地におきましては知事さんや市町村長の非常に心配したのは、これは災害復旧だから公共施設のないところは一切の補助金あるいは国家の助成がないということで、特別立法要求したようでございますが、これは現在の制度、予算措置でできるということで、その点は御安心なされたようであります。問題はそれよりも退避命令を出したり何かした場合において拘束力を持たせなければならぬということ、そうした命令を出した場合において、補償の措置は一応県条例でなし得るけれども、これではとうてい間に合わないから立法措置をしてほしいというのが、立法上の根拠のようでございます。これはまことにごもっともでございますので、その点は研究いたしたいと思っております。  それから小さな災害地区における工事のやり方につきましては、これは設計あるいは工事の能力からすれば、町村自体でやることは非常にむずかしいじゃないかと思いまして、できるだけ現地でやりまして、これに対する政府の補助、助成というふうに切りかえてやった方がいいじゃないかということで、そういうふうに現地においてお勧めするとともに、関係各省にはそれの研究をお願いしておる次第でございます。なおそのために必要なる資金につきましては、政府といたしまして、予備金支出のことはもとよりでございますが、その上に地方財政の各地の窮状から見まして、交付税の繰り上げ支給、さらにその中には災害の激甚な地方については特別なるワクを設けまして、実質上これは特別平衡交付金というような結果になると思いますが、そういうふうな措置も講じまして、現在の応急措置については一応立法措置なくしてやれると思いますので、今直ちに臨時国会を開いて立法措置をしなければならないと政府は考えてないので、従来の法律と予算措置を全面的に活用することによって現在の措置をはかりたい。恒久的な立法措置については十分研究した上、政府としても国会に御提出申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいま大臣より御答弁をお聞きしたわけでありますが、必ずしも私は満足できないのであります。たとえば今問題になっておりますところの地すべりの件であります。県条例で何とかこの処置をやるという便法は講じておるようでございますけれども、実際は農民の土地に対する愛着、自分のすみかに対する執着というものは想像以上のものがあります。もうくずれる家が傾いている。そこにあすの命もわからないおばあさんが、どうせ死ぬのだったら自分の家で死にたいといった感情を持っております。これを何とか早く強力なる処置によって適切なる方途を講じないと、また尊い人命を失う憂いが多分にあると私は思うのであります。こういう点からいたしましても、この特別立法措置を講ぜられるように、いろいろな御準備もありましょうけれども、人命尊重という立場から鋭意御努力をお願いしたいと思うのであります。  今度の災害の一番大きな特長は地すべり問題だということを大臣もおっしゃられましたけれども、私たちも視察してきたのでありますが、たとえば天水村のごときも、ミカンの段々畑のそのずっと上の方のがけくずれをしておるところの山の状態を見ますと、樹木の伐採したところがくずれております。これを現地で聞いてみますと、戦時中の乱伐は日本のやむなく追い込められた一つの運命でありましたから仕方ないといたしましても、終戦後も伐採しているということを聞いたのでありますが、これが事実といたしますならば、私は大きな一つの責任が当局にあるのではないかと思うのであります。もちろん終戦後といいましても、やはり三、四年間は戦時中に劣らないいろいろな問題があったことは了解できるのでありますけれども、ああしたことによって、あの伐採したところがくずれて、それがあの大きな天水村の被害の原因をなしていることが事実であるとするならば、国民に対して申し訳ない、このように考えるのであります。この点につきまして大臣の御答弁を願えればけっこうでありますけれども、大臣でなくてもよろしゅうございますから、実際はどうであったか、これを一つお聞きしたいと思います。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これについて的確な御答弁にはなり得ないと思いますが、国有林であるならば、これは林野庁として十分反省しなければならぬことだと思います。(「国有林です」と呼ぶ者あり)それじゃその点は十分農林省の方で調べた上で、どういういきさつでそういうふうな措置をしたのか、その後どういうふうな措置を講じておったかということを調べて、農林省からの御答弁を、私から連絡していたさせるようにいたしますが、私が参ったときには、まだそういうことを聞いて行かなかった。実は私が参ったときには、現場の熊本の営林局長も同伴して行っておるのであります。私も実は、あるいは戦時、戦後の山の管理が悪いためにこういうことが起ったのではないかと思いまして、もしそういう実情がわかり、それに対処する方策がなされなければならないというような予感もいたしましたので、私の所管ではありませんけれども、営林局長を連れて参ったのであります。そのときには、おそらく死体の収容とかその他応急道路開設のために忙殺されておったためでもありましょうか、村長からも地元民からもその点をお伺いすることができなかったために、これに対する究明をいたして参っていないのでございますが、ただいま御指摘がございましたので、さっそく農林省方面に連絡の上、どういう経緯であったか、それに対する措置をどうするかということも、いずれ機会を見て御答弁してもらうようにいたしたいと思います。
  15. 山田長司

    山田委員 ただいまの問題について、関連して一つ伺いたい。山の問題については、地元天水村ではたびたびそういう事態が発生することをおもんぱかって、これが天水村に払い下げ方を申請していた。払い下げがもしなされておったならば、独自の見解に立って当然この管理を地元でできただろう。しかも大臣も行ってごらんになって、わかっていらっしゃるように、あの山の中腹までは人家ができておる。そういう状態で、あの人々もそういうことを予期して払い下げ方の申請をしたものと思われます。こういう点についても、いかなる理由で申請についての払い下げをしなかったのか。しかも山の反別は、下から見た範囲においては、さほど大きな山でないように見受けているのであります。地元の管理にさしても、あえて差しつかえないものと見てきたのですけれども、この点も重ねて一つ調べ願いたいと思います。
  16. 三鍋義三

    三鍋委員 今の問題は私、防災に関係した問題だと思うのであります。政府はいつもこういう災害が起ってから、やれ地質の調査だとか、やれどうだとかいったことを騒ぎ立てて、そうして大きな物的人的の損害を与えておるのでありますが、たとえば諫早の本明川のはんらんにつきましても、何かそこに私たちのすっきりしないものがあるやに聞いておるのであります。この問題につきましては、同僚の木原委員より御質問申し上げると思いますが、私はこの防災の問題に関連いたしまして、先ほど陳情のありましたところの福岡市の御笠川下流地域における不良建築物の移転対策、またこれに対するところの政府の所信をお聞きしたいのであります。  問題は、福岡市の東部を貫流して博多港に流入しておるところの県管の御笠川の下流一帯に、朝鮮人の家屋を中心とするところの四百戸の不良建物が陸地並びに水上にわたって雑然と集団部落を構成して、これがために国道三号線の建設その他都市計画事業遂行に一大障害をなしておるのであります。また博多港寄りの福岡市玄関の要衝を閉塞いたしまして、環境衛生上、教育上、都市美観上、絶対放置することのできない緊急の事態に直面しておるのであります。幸い今度の災害におきまして、この河川のはんらんはその難を免れたのでありますけれども、今後あの諫早市のような七百数十ミリの大豪雨が襲来して絶対に災害が起らないと、だれが保証できるでありましょう。こういうことを考えますときに、この不良住宅問題は、私はいろいろの都市計画上あるいは道路計画上、大きな支障を来たしておるとともに、これをこのまま放置しておいたならば、あすといわず、また諫早のごとき大きな問題が起き、そうしてたくさんの人命を損傷するという事態に立ち至るのではないか、このように考えます。  この内容につきましては、すでに政府当局は十分御承知でありますから、時間の関係上私は省略いたしますけれども、とにかくこの地区に集結を命ぜられたところの朝鮮人の方々が、朝鮮の内乱とともに引き揚げることが不可能になりまして、ここに永住しておるのであります。私は六月の建設委員会の行政視察でこの状況をまのあたりに見てきたのでありますが、実に何とも言えないところの様相を呈しておるのであります。あそこの、外から見た気持と同時に中に住んでいる人の気持、これらを考えましたときに、こういつた問題が、しかも福岡市のどまん中においていつまでもほってあるということは、これは私は政治の貧困でなくて何であろうかと考えるのであります。私はこの問題につきまして、第三国人という関係もありますけれども、すみやかに特別な処置を講ぜられまして、地方財政の逼迫のみぎり、県当局あるいは市当局に大きな負担をかけることなく、国の責任において——国の命令指示によって集結した人々であります。こういう点から考えますならば、当然国は責任を持ってその大半の処置を予算措置によって講ずるのがほんとうの政治ではないか、このように考えるのであります。  先日の委員会においてこの問題を、やはり報告がてら質問いたしましたについては、政府委員説明も非常に簡略でありまして、誠意が認められませんでした。それで、新しく御就任になられました情熱の根本建設大臣に、一つしっかりした腹をお聞かせ願いたいと思うのであります。地元方々が非常に切実な思いで、ここで大臣の答弁いかにと控えておりますから、どうか一つ明快な、安心して国へ帰れるような御答弁をお願いしたいと思います。
  17. 根本龍太郎

    根本国務大臣 この問題は私、あまり詳しく承知しておりませんので、事務当局から一応御答弁いたさせまして、しかる後検討いたしたいと存じます。まだ新任ほやほやでございまして、具体的のそうした問題を十分承知していないで自分が即断することも、これは重要な問題でありますので、慎重を期しまして政府委員からまず答弁いたさせます。
  18. 町田稔

    ○町田説明員 ただいま御質問のございました御笠川下流一帯の朝鮮人家屋を中心とする集団建築物の移築の問題でありますが、ただいまもお話のございましたように、この集団いたしております建築物が、ちょうど都市計画街路の路線に当る部分にございますので、本事業を実施して参りますためには、これらの建築物の移築をどうしても必要といたします。  かねて県、市におきましては、これらの立ちのきについて努力いたしておったのであります。この街路の築造の工事は市において単独で数年やっておりまして、三年前から国費を出して続けて実施いたして参っておるのでございますが、従来までは大体用地の買収に当っておりましたので、さしあたって建築物のありますことが直接の支障にはなっておりませんでしたが、ほとんど用地も買収ができまして、いよいよ工事にかかる段階になりましたので、工事の点から申しましても至急に立ちのきを要する事態になって参っております。  なお、ただいま御指摘のございましたように、防災等の見地から考えますならば、至急にこれを立ちのかせることが必要でございますので、県、市におきましてはいろいろと努力をいたしまして、先刻も地元の方から御報告がありましたように、幸いに居住者等とも話し合いがだんだんついて参りました。新しく移転先等も自分らの手によりまして用地を確保し、ただここに新たに家屋さえ作ってもらうならば自分たちは喜んでそちらに移るからというような情勢になっておるようであります。そこで、住宅局とも十分連絡をとりまして、住宅局の方におきましては、新しく公営住宅等の建設につきまして現在考慮いたしております。この点につきましては住宅局長から御答弁申し上げたいと思うのでございますが、以上のような状況でありまして、建設省といたしましても十分県、市に協力をして善処いたして参りたい、こう考えております。
  19. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま問題になっております地点は、国道の幹線のきわめて重要な個所でございまして、これを一日も早く開通いたさせますことは交通上もきわめて必要なことと存じます。そういう観点に立ちまして、住宅局といたしましても極力協力する態勢をとっております。先月の当委員会三鍋委員から御質問がございました直後に、私は福岡の建築部長を呼びまして実情を聴取いたしました。その際におきましても、住宅局としては、公営住宅のワクをそのために持っていく用意があるということをはっきり申し上げておったわけでございます。その後私どもは県、市に対しまして、この問題の都市計画上の解決、あるいは住宅対策上の解決の具体的な要望事項を述べて参りますことを期待しておるわけでございます。しかしながら先ほどもお話のございましたように、具体的な問題といたしましては、いろいろ困難な点もあっただろうと存じますが、具体的に何戸の公営住宅を何年度に建ててもらいたい、またその戸数につきまして県、市との分担割合をどうするか、こういったことについての具体的な御要望がございません。私どもはそういう御要望が出ます範囲におきまして、来年度の予算においては十分盛り込む用意もございますし、もしも今年度余裕がございますれば、今年度のうちに何とか県、市が手配されるだけの処置をとりたい、かように考えておるわけでございます。公営住宅を持って参りまして、従来やっておりました不良住宅地区の改造事業の一つとして実施いたしますことにつきましては、住宅局といたしましてもすでに方針をきめておりまして、具体的な内容につきまして県、市と至急に打ち合せたいと存じておるわけでございます。
  20. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいま御答弁願ったわけでありますが、私の期待しているものは得られなかったのであります。これは大臣、どうでしょうか。外務省あたりで何か特別の予算措置はできないものでしょうか。たとえば住宅公団なんか、あるいは公営住宅にいたしましても、これは日本人の住宅対策でございます。しかし住宅公団の住宅なんかで、東南アジアの留学生あたりの住宅は建てているのです。これは私どもけしからぬと思うのです。住宅に困っている留学生に対しての住宅対策は必要でありますから認めるのでありますけれども、それがためにほんとうに困っている日本人の住宅対策が、その戸数が減っていくという結果になるのでありまして、これは絶対にやっていただかないという了解を得まして、来年度からは外務省の予算でこの問題を検討、解決したいという御答弁を前大臣から得ておるのでありますが、朝鮮の方々は外人でありますから、何か公営住宅のワクをということになりますと、やはり日本人自体のワクがそれだけ少くなって参りますから、そういった外務省関係で何か特別な処置ができないものでございましょうか。
  21. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、政府はいろいろの所掌事務によって各省に分れておりますが、財政支出は国家全部でやることでございますので、従いまして住宅関係について起った問題でありますれば、結局今お示しのように、現実の問題として朝鮮人の方々をあそこに集結せしめたことも、これは建設省命令ではございません。それからこれは対外関係のために、あるいは法務省あるいは外務省関係でやったことではございましょう。しかしながら現実としてそこに住まわせなければならない、こういう問題だと思います。ところが今まで十分な施策がなかったから、やむを得ずに不良住宅で、そこで集団的な生活をしておる。それが周辺方々に御迷惑をかけるのみならず、あるいは河川管理上あるいは都市計画上障害を来たしておるから、その障害を除去するということが現在の問題ではなかろうかと存じます。そのためには、市並びに県当局が一応の計画を立ててやる場合、その自治体の力だけでは足らないから、これに対して政府が、あるいは公営住宅制度によって住宅問題を措置する、あるいはまた土地の入手についても御協力を申し上げる、こういうことで解決するより方法がなかろうかと思います。これを外務省に持っていきましても、外務省が家をあっせんするとか、あるいは都市計画に関連して外務省が現実に措置するということも、行政の体系からしても若干困難だと存じまするので、やはりこれは特別に来年度におきましては、ワクを大きくいたしまして措置することが適切ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  22. 三鍋義三

    三鍋委員 明年度において何とかこの問題を解決したいという大臣のしっかりした腹がまえをお聞かせいただきまして、一応私は了承いたします。どうか一つ言葉通りこの問題を早く解決できますように今後とも御尽力をお願いし、そうして、あってはならぬことでありますけれども、災害を未然に防いでいただきたい、このようにお願いする次第であります。なお詳細にわたって御質問申し上げたい事項もあるのでありますけれども、ほかに御質問をなさろうとしていられる委員各位も大ぜいおられますので、一応私の質問はこれで終ります。
  23. 薩摩雄次

  24. 木原津與志

    ○木原委員 私の質問せんとすることは、今次の九州災害の経過並びに災害予防というような点について、大臣に所信を聞きたいと思うのでございます。まず大臣は今次の未曽有の災害の復旧に当りまして、考え方として、この災害によってこうむった被害を原形復旧するという考え方でおられるのか、あるいはさらに原形復旧にとどまらず、将来の防災というような立場等をも考慮して、根本的な改良復旧というような形で復興に当りたいという考えを持っておられるか、まずその点を最初に大臣にお尋ねいたします。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今次の災害を見ますと、公共施設そのものを全然やっていないところが相当ありまするし、また河川の流路自身がすっかり変更したのもございます。そういうところの復旧をもと通りにやるということは、現実上かえって経費もかかるし、無意味なことが多いのであります。それでやはりこれは現地調査に基きまして改良を加うべきもの、あるいは原状復旧のままで上流の方に措置すればよいということもありましょうし、問題は実情に即しましてできるだけ効率的に、この災害の復旧を兼ねて、改良をも含めたところの措置を講じなければならない、かように考えている次第でございます。
  26. 木原津與志

    ○木原委員 お説はまことにけっこうなことだと思います。ぜひそうしていただかなければ、せっかくの復旧も何もならない。復旧した、また水害があった、風が吹いた、また堤防なりその他が決壊してこういった惨害を繰り返すということになるのでございますから、今度の機会に一つ徹底的な補強、改修、改良の工事をやっていただきたいと思うのであります。  そこで先ほど大臣は、そういうような考えを持っておられるにもかかわらず、現在の復旧については特別措置法も要らない、補正予算も組む必要はなかろう、現行制度、現行法令の適用によって完全にできるんだというような趣旨の御説明がありましたが、そういったような現行法令による行政措置だけでは、単なる応急施設というようなことしかできないと思うのです。かりに高率の補助をやるとか、あるいは改良工事を認めるとか、こういうようなことになりますれば、法令の改正か、あるいはさらに徹底的な災害防止のための特別立法というようなことが伴わなければならない。これなくしては復旧の万全を期すことはできないのでありまして、この点についてどういう対策をお持ち合せになっておるか、これをお伺いしたい。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 改良を含めたところの災害復旧ということについては、災害関連事業として現在でもやっておりますし、またやり得る状況でございます。従いまして、単なる原形復旧だけに今の法律上規定されておるとは解釈いたしていないわけでございます。従いまして、立法措置をあえてしなくとも、技術的に見てどうしてもこれは改良を加える、あるいはまた流路それ自身を変更するということも、これはなし得るという解釈をとっているわけでございまするので、従って今直ちにそのために特別立法をやらなければならぬということは考えていないのでございます。ただし、全体について今回皆さん方のいろいろ御研究もございますし、あるいはまた地元要望あるいはさらに地建等の意見も聞いて、その検討の結果、何らかの措置が必要であるとの結論を出せば別でございまするが、それは十分に参考といたしまするが、現在のところ立法措置を講じなくとも改良工事はやり得る、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 木原津與志

    ○木原委員 われわれが地元からの被害報告を受けたところによりますと、長崎県だけでも被害総額は二百五十億に上り、特にあなたの所管関係にある土木建設関係、この被害だけでも長崎県の場合百億をこしておるというような報告をわれわれは受けておるのであります。もちろんこれにつきましてはあなた方の方で、建設省の方で厳密な実地調査に基いた査定がやがて決定するだろうと思うのでございますが、あなた方の査定と、この県当局被害査定と、そう大した食い違いは私は今回の場合はないだろうと思うのです。そうしますと、特別立法あるいは予算の補正というようなことがどうしても、好むと好まざるとにかかわらず起ってくるだろう。今次の災害を改良復旧をするということにつきましては、現在のままの予算の姿では私はおざなりな——大臣の言は非常にりっぱな、理想的な考え方のようでございまするが、現在の予算の範囲内ではとうていそういうようなことはできないで、従来と同様な、おざなりの応急設備というようなことにしかならないじゃないかということをわれわれは非常におそれておるのです。この点についてどのような見解でおられるか、重ねて御答弁を願いたい。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 災害の実態につきましては一応の現地調査をいたしましたが、査定はこれから入るのでございます。従来はこの査定相当時間がかかりましたが、むしろ今回は査定を促進して、応急措置並びに今後の計画を立てて、なるべくすみやかに措置したいと思いますが、それには現地における府県の技術陣その他が十分間に合わないのであります。そのために、九州各県のうち被害を受けていない県から大体五十名、十班の応援隊を派遣しまして、査定をすみやかになし得る態勢を作るほか、地建の方からも技術員を派遣いたしまして、これも応援さしております。熊本県は大体今月の半ばから査定に入ります。それから長崎県もなるべく早くと申しておりまするが、これもまた二十日ごろから査定されるのでありまして、その査定の結果に基いて、今度は御承知のように、これは一年で全部を復旧することは困難でございまするので、若干の年次計画を立てなければなりません。そういうものを勘案して、しかる後措置すべきだと思いまするので、現在の段階では予備金支出で間に合うというふうに今考えていますので、従って補正予算についても、ただいまのところはまだその段階ではない、かように考えている次第でございます。
  30. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると、査定の結果が非常に莫大で、予備金の支出では間に合わぬというようなことにでもなれば、補正予算の手続に及ばれますか、その点いかがですか。
  31. 根本龍太郎

    根本国務大臣 本年度災害を本年度全部直ちに全面的にやるということは今までもやっておりませんので、大体三年ないし長いのは五年以上もかかっております。これは私の方としてはできるだけ一年でやりたいのでありますが、国家全体の財政上の関連からして考えなければならないと思います。それにもかかわらず、現実に補正予算が必要であるという事態になりますれば、これは補正予算を組まなければならないと思いますが、まだその段階に立ち至っておりませんので、これに対して申し上げることは、現在のところ、先ほど申し上げた通りでございます。
  32. 木原津與志

    ○木原委員 この復旧計画は大体何年の計画——災害復旧の量ですね、三・五・二とか、あるいは四・三・三とか、そういったような計画はございましょうか。今次の場合の復旧についてはあなたは何年間で、どういう復旧量でいかれる予定でございますか。
  33. 根本龍太郎

    根本国務大臣 国庫負担法によって、緊急なものは三カ年間にやるということになっておりまするので、その方式によって実施いたしたいと考えております。
  34. 木原津與志

    ○木原委員 そうすれば三・五・二、ことし三、来年五、明後年が二という形でいくものと承知してよろしゅうございますか。
  35. 根本龍太郎

    根本国務大臣 従来は三・五・二の割合であったのでありますが、しかしこれはしゃくし定木にそうもいかないところがあると思います。場合によっては、非常に緊急に措置しなければならないというときには、、三割以上初年度にやらなければならぬこともあると思います。
  36. 木原津與志

    ○木原委員 従来災害の復興の状態を見てみますと、三・五・二という形で御計画を推進するということになっているものが、戦後の災害の復興状態を見ましても、最初の初年度の計画においては大体三なり四なりの形で復興が施行されている、ところが年を経るに従ってこの比率がどうも少くなってくる、そういったような傾向が往々にして見られる。特に大臣も御承知のように、戦後二十一年からのあの災害の復興が今日まだ全体として五割か六割しか完成しておらないという事実にかんがみましても、政府の災害に対する熱意が、災害の当初には非常に大きな関心を示されるようであるが、これが日がたってしまう、あるいは次から次に災害が起るというようなことから忘れられるのかもしれませんが、どうか一つそういうことのないように、最初計画を立てられたならば最後までその計画によって、あるいは財政の余裕をここに認められて、三年のところは二年、あるいは一年半というように、短期に処理して、今次の復興を助成していただきたいと、地元の者として特にこの点を大臣要望いたしたいのであります。  次に、これは先ほど三鍋報告の中にもありましたように、今次の災害佐賀長崎熊本鹿児島、特に長崎では、六日現在で死者六百四十三名、行方不明百七十六、その他重軽傷合して三千何名というような、戦前戦後を通じての痛ましい悲劇を受けておるのでありますが、これに対して弔慰金あるいは葬儀料、こういったものを政府が支給する意思があるかどうか、これにつきましては、きのうの新聞でありましたか、自民党の災害対策委員会からも、この要望を政府に伝えるというようなことが載っておりましたが、まことに私はそうなければならないと思うのであります。何も世界一の雨が降ったから、あるいは堤防が切れたから、それで天災で死んだんだということばかりでなく、この天災の中にも防げば防ぎ得る災害も若干あったろうかと思われる。それを防ぐ措置を講じないで、こうした痛ましい犠性をしいるに至ったということは、何としてもこれは政治悪、政治の貧困に帰着し、国家の責任は私は免れないであろうと思うのであります。この弔慰金、葬儀料の点につきましては、私寡聞にして過去における災害にそうした例があったかどうかは存じませんけれども、今問題になっておる李承晩ラインに侵入して捕えられて、韓国に抑留されて、かの地でなくなった漁夫の家族に対して、国家が弔慰金あるいは葬儀料を支給した例もあるのでございます。これが果して支給の前例ということになるかどうかは私まだはっきりいたしませんが、要するに政府の責任においてこうした不幸を招いたという立場においては、私は韓国の抑留漁夫の場合と論理上選ぶところはないのではないかと思う。そうだとすれば、私は今次の災害について弔慰金あるいは葬儀料を政府に支給していただくのが妥当だと思うのでございますが、その点についての大臣の御所見をお伺いしたい。
  37. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私が現地に参った場合でも、現地においてそういう要望がありましたので、逐次その点は官房長官に対して要望の次第は連絡しておりました。ところが新聞によりますと、それに対しましてはいろいろ検討したけれども、従来その例もやっていなかったので、今回はその措置をしないというような官房長官談をされておるのでありまして、現在政府としては、今度の罹災者に対しては心から御同情申し上げますけれども、葬儀料もしくは見舞金を出すという議にはなっていないのでございます。自民党対策委員会におきましても、これについて非常に重大な関心を持たれているようでありまして、私の手元に参っている緊急のあれにつきましては、罹災者に対する見舞金制度の研究をこれからすべきである、こういうことでありますので、これはお示しの通り研究しなければならぬものだと思いますが、私現在建設大臣として、見舞金を出すべきだとかどうとかいうことを今申し上げることは適当じゃないと思いますので、本日の木原委員要望については機会を見まして、ことにこの問題になりますれば建設省所管よりもあるいは厚生省所管になるか、あるいは内閣の総務庁関係になるか、この点まだ検討の余地がありますので、そういう強い御要望のあることは関係筋によく伝えまして検討するように取り計らいたいと存じます。
  38. 木原津與志

    ○木原委員 次に今次の、特に諫早の水害の点についてお伺いしますが、もちろん諫早の水害は一日の降雨量七百二十ミリというような世界で有数の降雨量があった。そのためにこの諫早の市内を貫流している本明川の堤防が決壊して、そうしてああいった死者六百人を出すというような大災害を受けたのでございます。そこでこれは天災ということもいえるかと思うのでございますが、ただここにわれわれがそう割り切る上において、割り切り得ない点が一つあるのでございます。と申しますのは、本明川というのは御承知のように佐賀県と長崎県の境にある多良岳に源を発して有明海に流れ込んでいる、そうしてその途中で諫早の市内を貫流している川でございます。長さは三十キロといわれておりますし、川幅もほぼ三十メートルぐらいの中河川でございます。この河川のはんらんするおそれがあるというので、昭和二十四年から、この工事は国の半額補助を得まして、護岸あるいは掘さく、浚渫という工事を、二十四年からずっと継続して、金額にはいろいろ年度によって違いはございますが、大体において国が一千万円、県がそれに近いものを出して、そうしてこの堤防、護岸あるいは浚渫、掘さくという工事をやって参って、現在に至っておるのでございます。ところがこの工事を昨年度中に知事が打ち切りを申請いたしまして、当時の南條建設大臣に補助金の返上の申し入れをやったとかで、非常にごたごたしたことがありました。そういったようなトラブルがあったために、県の工事のサボタージュで、約一年近く工事を施行しなかったという事態が起りまして、本年三月の長崎県議会でこの問題を取り上げた一議員、名前は松尾という議員でございますが、この議員がこれを取り上げて知事に食ってかかっておるのでございます。何のためにそういう工事の中止をするのか、諫早の護岸あるいは浚渫というようなことは、もう刻下の急務じゃないか、これをやらなければ今年の梅雨時に大雨が降った場合は諌早は水浸しになるぞということを、この三月の県会で松尾議員によって指摘されて、そうして県は警告を受けている。その後その点について話が出たのかどうか、それは知りませんが、われわれが地元で聞くところによれば、知事が本明川の工事施行を中止した理由は、選挙にからむ諫早市長に対する感情に端を発して、この工事を停止したのだということが、当時県会でもやかましい問題として取り上げられたわけであります。こういうような事態にあったさなかに、たまたま七百二十ミリというような豪雨にあって今次の被害が発生するに至ったのであります。もちろんこの工事の停止がかりになかったといたしましても、七百二十ミリの豪雨を受ければ、あのちっぽけな川は決壊したかもしれませんが、少くともそういった知事の不当な処置がなくして、一応一年間の工事継続がされておって、浚渫工事がされておったということになりますれば、いささかなりとも今日のこの被害は、十のものは、八、八のものは六、六のものは四というふうに軽くて済んだのじゃないか、あとの祭でございますが、非常に残念に考えておりますし、また地元県会でもこの問題で議論沸騰して、県知事の責任を追及するといって、大きな問題になっておるのでございます。そういった工事の中止のいきさつについては、就任間もなくの大臣でございますから御承知でないかもしれませんが、知っておられれば、この工事の中止の状況をお答え願いたいと思います。
  39. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今その内容を私闘いたのでございます 私が就任してから全然聞いておりません。御承知のように政府が補助助成するのも、県が申請して参りまして、これに対してやっておるのでありまして、地元市と県と、どういういきさつにあったかについては、どの程度まで前の事務当局が知っているかよくは存じません。ただ私が参ったときには、それよりなお直轄河川にしてくれという強い要望地元の市長並びに知事から受けたのでございます。これは今のあなたの御質問には触れていませんけれども、やがて問題が出ると思いますから申し上げますが、これは直轄河川にすべきか、あるいは従来の準用河川として補助助成していくべきかについては、十分に技術上の検討、それから根本的に本明川がどういうふうな施工と、どういうふうな規模においてなさるべきか、その場合において直轄にする方が妥当かどうかという研究のもとに結論を出したい。従って現地において直ちに直轄河川にするという私の責任ある答えはできない、こういうことで別れてきたのでありまして、私が行ったときには責任問題には触れないで、むしろあれを早く直轄にしてくれ、こういう要望が強かったことだけを申し上げます。従来の経緯については、一つ河川についてどういうトラブルがあって、どういういきさつかについては、私はまだ承知いたしておりません。
  40. 木原津與志

    ○木原委員 要するに結論は、国の直轄で工事をやってくれという要望になるのでございます。この直轄工事にしてくれという地元要望があったということで、さらにその際大臣が、昨年中一度予算を返上した、工事を中止したというようないきさつのある川を、今さら政府の直轄でやってくれということは筋違いじゃないかということを言われたあなたの談話記事が地元の新聞に出ておるのを私読んだのです。そこで、あなたも大体このいきさつをよく知っておられるんじゃないかと思うのでございます。  そこで結論に入りますが、私は人身攻撃をしたくはありませんが、この知事は感情的に事を処理される、しかもその一例を申しますと、何か一つ工事をしてやるにしても、選挙のときに自分の票の少かった村にはあけすけに、お前はおれのところに協力しないじゃないかと言って工事を渋るというような人なんです。たまたまこの諫早の問題もそうなんです。諫早市長を、今の野村市長と西岡知事が推す早川という候補者と二人で争った。それで西岡さんが諫早に十五日も出かけていって、この野村を倒すために選挙をやられた。あけてみたところが三千何百票で野村現市長が勝ったわけです。その選挙の負けた恨みからこういったようなひどいことをするんだというので、地元はけんけんごうごう、そこに持ってきて今度の水害で人命をなにしたものですから、この六百何人は西岡が殺したんだ、知事のところに死骸を持っていけということさえ地元で言っておるような状態です。今ごろ直轄で工事をやってくれというのはいささか筋違いじゃないかという大臣の新聞談話を見ましたときに、これは大臣も事情をよく知っておられると私は考えたのであります。でございますから、いろいろないきさつはあるかもしれませんが、この本明川の工事も大体五割か六割はもうできておるそうであります。あと四割か五割の工事残でございます。これを今後また国の補助というようなことでやられておったのでは、いつまでたってもこの護岸提防の工事もできないだろうし、そのうちまた水害でもあれは今度の二の舞をするというような不幸な事態も起りかねないのであります。本明川の工事は今度の災害に照らして、地元の県にまかしておいたのでは完全なことができないだろうというおそれがあるので、何とか一つ直轄河川に指定せられて、あと残工事四割くらいの工事でございますから、国の直轄工事でこの提防その他の改修工事をやっていただくよう実はお願いしたいのでございますが、いかがでございましょうか。
  41. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今新聞の記事が出たから私申し上げますが、実は当日私が参ったときには西岡知事の奥さんも一緒です。それから藤野議員も一緒で、それから地建の局長全部が一緒でした。従って私が中止したとか、そういういきさつがあるからいけないとかいうようなことは全然言っておりません。にもかかわらず新聞に出たと見えまして、西岡知事から私に非常に抗議めいた手紙が参ったのです。それで私は、そういう事実があるかどうかは、あなたの奥さんが一緒におって知っている——それ以外に私は記者には話しておりません。ただそのときに新聞記者かだれか知らぬけれども、ここはなかなかいきさつがあるところで、そこでぜひこれは直轄河川にしてもらわなければ困る、こういうお話があったことは事実です。私はそれに対しまして、直轄河川でいいかどうか、今私この現場を見ただけでは答弁が困難である、従ってこれは地建において十分研究するように私は命じておきました。これが県の力で技術的にもその他もやれるなら従来のままでもよかろうが、今度の災害を見て、どうしてもこれは直轄でなければ技術的にもその他もできないならば、これはその方針で検討すべきである、その判定は地建の方でよく技術的に検討の上やってほしい、こういうふうに申しておりますので、今あなたのせっかくのお申し出もありますので、さらに検討いたしまして、直轄河川でなければこれは工事が困難であるということになりますれば、そのように十分考慮したいと考えておる次第でございます。
  42. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 関連して。この際建設大臣にお尋ね申しあげておきたいのですが、今三鍋君、木原君、両委員からの質問の中に、建設大臣は今の段階で、立法処置をするために国会を開会せなければならないと考えておられるか、こういう質問があったのであります。しかしながら、私は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の問題についてお尋ね申し上げるのですが、建設大臣は今回の西九州災害については、ただ単に従来の災害復旧工事を行うという観念を発展さして、改良をも加えなければ、実質的にやれないことでもあるし、またそうせなければ目的を達せないものだ、そうおっしゃっておるのであります。これはわれわれも最も同感とするところであります。ただ問題は、現在の法律のままではどういう関係になるかということが明確にならなければならぬということであります。公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の第四条一項の三に、「当該地方公共団体の当該年度の標準税収入の二倍をこえる額に相当する額については、四分の四」と書いてある。つまりそういう多大の災害復旧費を要する場合においては全額をやるということであります。この法律の建前からいうと、災害復旧とは何ぞやということがここでまた問題になると思うのです。災害復旧費とは何か、これは建設省の考え方で簡単に、改良を災害復旧と見なすわけにはいかないとこの法律が示しておる。やはり大蔵省との関係になると思う。従って改良費として、災害復旧全体の目的を達する公共土木事業を行う場合においては、全額国庫負担でやる。長崎県等の場合において、この法律を厳密に、災害復旧とは原形復旧だというような従来の感覚でやりますると、四分の四の全額国庫負担でやることが非常に困難になる。だからといってやらないわけにいかないから、たとえば預金部資金の融通やいろいろなことでやるにいたしましても、それでは災害府県は立っていかないということになる、一府県何百億という、かかる災害をかかえてやることになりますると、長崎県等の県財政ではとうていやっていけないことになる。問題はここなのでありまして、この点をどういうように考えるか。災害復旧に関連するところの改良工事も加えたものも、全部災害復旧でそれが堂々とやれるのか、やれるのなら、私はまた問題はおのずから解決の方法があると思う。しかし大蔵省が、この堰堤、あるいはこの河岸の堤防を何メートルまでは元の通り、それ以上は改良だから違うんだ、こういうこと等になりました場合においては、これは問題になる。この線は従来水が流れておったから、こうやるならよろしいが、今度の災害でぱっと水が出たから新しく川を作るんだ、それは改良工事になるじゃないか、こういうようなことになった場合においては、これが問題になると思うのです。今質疑の中で行われたようでありますが、この点はどうされるのですか。すべてを、今回の豪雨によるところの公共土木事業というものは、多少改良であろうが、災害復旧でこの国庫負担法に基いてやる、こういうお考えなのかどうか。
  43. 根本龍太郎

    根本国務大臣 国庫負担法は御解釈の通りと思います。それで、それではなかなかできないので、御承知のように現実に災害関連工事としてやっておるわけでございます。従いまして災害復旧並びに改良工事について、すべてを国庫負担法でやっておるというわけではありません。そういうふうにやりますと、にっちもさっちもいかない場合もありますので、予算的にも現実の技術面におきましても、災害関連工事として今までやっておるわけでございますから、その点が、私が申したところの厳密な意味における単なる原形復旧だけではない。これは現実の災害全体に対する施策でございます。今あなたの言われるのは、国庫負担法を全面的にやるならば、僕が言ったことが全然意味をなさないじゃないか、何かいわゆる法律解釈でありますが、法律解釈においては、災害復旧国庫負担法においては、その法律の前提で処置しますし、それから、それで間に合わない点については、やはり現実の措置として、必要な場合においては災害関連工事としてやっておりますので、それが解釈によっては改良が含められた、こう現実には解釈していいのじゃないか、こういうふうに思います。
  44. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 そこで問題は、われわれ社会党の者が、臨時国会を開いて今回の災害復旧について大いに建設的な処置を講ぜねばいかぬというのはそこなのでありまして、従ってこれは、私は何年何月にどうしたかという記憶はございませんが、三、四年前、やはり福岡中心とした長崎熊本福岡等の一大水害があった場合に、特別措置法という特別立法を、これは農業関係やその他のことでやった前例があると思います。そういうことが当然必要だということから、臨時国会を開いて、それで立法処置を講じなければならぬものが必ずこの中にはあるから、立法処置を講じてもらいたい、こういう希望なのでありまして、現在の災害の、従来の国庫負担法やその施行令などに基いて行われる範囲内における処置というものについては、十分建設省の方でやっていただければそれでよい。その点は、われわれはそれを拡大解釈して、そうまでやれと言うのではありません。その点を申し上げておるのであって、その点をもう少し御研究を願わなければ、そう簡単に、では特別立法処置はもう要らぬというようなことにはならないのじゃないか。  それからその次にお尋ね申し上げたいのは、同法第六条に「左に掲げる災害旧復事業については適用しない。」ということで、一、二、三、四、五、六、七、八、九までございますが、その四、五に「明らかに設計の不備又は工事施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの」「甚しく維持管理の義務を怠ったことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの」こういうようなところがあるのでありますが、これは現実の問題で、現実にいろいろ調査しなければ、果して本条に適当しておるかどうかということは即断しがたいのでありますが、今の諫早の本明川の問題であります。私は昨日、これは名前ははばかりますが、自由民主党のいわゆる領袖株の方と、いろいろほかの問題で話をしておったときに、たまたま出たのです。すなわち諫早の市長が市長をしておる間は工事をやってやらぬのだということを、西岡知事が言明した。そういうために、従来事業をやっておったものを削った。しかもその付近を現実に見てみますと、工事を施行した部面については、直ちに——つまり流れてきた水が、直接にどっと押し寄せてきておらないので、家屋等の被害は割合軽かったけれども、工事をしなかったところは直ちに堤防をつき破って、その付近の家屋は一瞬のもとに流れてしまった、こういうことであります。従って、今木原委員が言われたような、西岡知事のところへ死骸を持っていくというような、巷間いろいろな流説が行われておる実情であります。もしそうだといたしますならば、すなわちこれが今第六条の第五項によるところの、「甚しく維持管理の義務を怠った」というようなことに当るか当らぬかというような問題等がございまして、果してその工事災害復旧として国庫が取り扱っていいかどうかということ等も問題にすればなると思う。しかし私はそういうことで問題にしてはいかぬ、この法律はそういう意味で立法しておるのじゃないと思いますから、そういうようないわば政争の渦中に入るとか、あるいはまた法律というものを、そんな人間の感情の上に行われておるものに巻き添えを食わすなどということは、立法の本旨でないと思いますから、そういうものであってはならないと思いますけれども、問題はこういうことや、いろいろな、一カ所十円万以下であってはいけないとか、このほかに堤防の高さがなんぼあってはいかぬとかいうようなこと等についても、今回のような豪雨というものは、小さいところのものがたくさん集まりまして、その町村、その府県等においては、非常な負担になるおそれが十分にあるので、そこで私はどうしてもここに特別な立法措置が当然必要であり、それをやるべきではないか。それをただ復旧工事を、従来行われているような感覚で行うといたしますならば、何も今大臣がおっしゃったような、立法措置を行わないでも、まあやれるということについては、それはうなずけますけれども、今回の災害等のときにこそ、国会立法措置を行なって、そして適当な民生安定を行い、日本の国土保全を行なってこそ、国の政治のありがたさが、私は国民に徹底するのじゃないかと思う。そういうことについて即答ができなければ御研究を願いたいと思うのですが、所感でもいいですから、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  45. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいまの御説は、要するに昭和二十八年度のあのほとんど日本の半分を襲った災害に対する特別立法がやられたということは、私も承知しております。それと同様な問題として、本日直ちに臨時的な立法措置をやるべきかどうかという問題が一つと、もう一つは、むしろ前田先生の言われるのは、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法そのものを改正すべきだという問題と、二つ関連しておるように存じておるのであります。今回の災害は、皆さんがよく現地で御視察になった通り、私も一端を申し上げました通り、範囲は狭いけれども非常に深刻であることは事実でございます。しかし過ぐる二十八年の災害のように、日本の半分を襲ったような状況ではありませんので、そこで政府といたしましては現行の法律あるいは予算措置で最善の措置をするということで、これは措置できると思うのであります。従いまして、そのための臨時国会は政府としては今考えていない、こういうふうに今のところ総理も申しておりますので、さように御了承いただきたいと思います。公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法そのものについては、今までもいろいろ議論のあることでございましたから、通常国会において、おそらく皆さんの方においても、あるいは議員立法その他も出るかもしれませんし、これは十分に研究する必要があるとは思います。しかしこの法律を、今国庫負担法を改正するために今すぐに臨時国会を開くということは、政府としては考えていないということだけは申し上げてよいと思います。
  46. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 局長でよろしいのでありますが、今の第六条第五項に関する法律的な解釈は今の本明川事件等のごとき河川管理の妥当を欠いた場合にはどうなのか、これについて事務的な、法律的な解釈をお聞かせ願いたい。
  47. 山本晴男

    山本説明員 ただいまの点につきましては、たとえば作ってあった橋が、よく調査もしないで地質の悪いところに作ったとか、あるいは当然やるべきであった管理上のことをやらなかったというような点でございまして、本明川につきましては国の財政もありますし、県の財政もあるわけでございまして、各年度におきまして極力改修工事は早くやるのがよいわけでございますが、財政上の都合もありまして仕事がおくれておるわけでございます。こういうふうな場合はどこの川にもあるわけでございまして、これを一々こういうことに適用するというのも不穏当なように考えております。それからまた本明川の問題でございますが、これにつきまして三十二年度は工事をやっていなかったかというような問題がございますが、実はいろいろのいきさつはあったようには聞いておりますが、三月の終りに県から正式に補助をくれという申請がございまして、補助も出しております。しかもことしの仕事も、実施認可を建設省が出しまして、工事には着手しておったわけでございますから、県といたしましては、改修工事をやろうという意思は十分あったわけでございまして、実施にも移っておったわけでございます。従いまして、この条項で維持管理の義務を怠ったとか、設計の不備等の点につきましても、該当しないものであると私どもは考えます。
  48. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は建設大臣建設行政について質問がありますが、これはまた後に時間をいただくことにして、きょうはこれで終ります。
  49. 薩摩雄次

    薩摩委員長 中島巖君。
  50. 中島巖

    ○中島(巖)委員 だいぶ時間を経過したので、簡単にやります。  今回の災害、それから第五号台風による災害の特質と申しますのは、いわゆる梅雨前線によるところの災害でありまして、従って特定の限られた部分に豪雨が非常に多かった。こういうような関係で、今まで名も知られなかったような支流あるいは山間部に非常な災害があったのであります。  そこで、ただいま同僚三鍋委員その他より、この災害に対して立法措置を講ずるために臨時国会を開く意思はないかと質問いたしましたのに対しまして、建設大臣は、現在の法律によって十分処置できる、昭和二十八年のような全国的の災害でないから、立法措置を講ずるために現在の段階においては臨時国会を開く意思はない、こういうような御答弁をなさったのであります。しかしながら、質疑の過程におきまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法なんかについて改正をしなければならぬ点があるという御意思のような御発言があったわけであります。従いまして、率直に申し上げて、就任早々ではだいぶ御勉強したと思って私敬服しておるわけでありますが、どういうような点を御改正になられる意思があるのか、その点一つお伺いしたいと思います。
  51. 根本龍太郎

    根本国務大臣 国庫負担法の問題については、前田さんの御質問の内容が、国庫負担法の改正を必要とするというような問題に触れておるから、その点はその場合に検討すべきである、こう申し上げたのでございます。なおまた与党の方におきましても、この問題については研究を進めておるとのお話でありますので、これは通常国会になりますれば、社会党からもありましょうし、政府としても今言われたいろいろの問題を検討したいと考えております。
  52. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、災害復旧関係に対する現在の法律といたしましては、建設省関係でただいま申しました法律があり、また農林省関係におきまして農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律なる法律があります。それから学校関係におきまして公共学校施設費国庫負担法、その他におきましては地方財政法第十六条による予算措置がある、こういうような状況なのであります。そこで、この公共土木関係の法律におきましても、たしか第四条だったと思いましたが、地方公共団体の標準税収入に対して、災害があった場合には、順次これが高率になる、こういうようなことになっておるわけであります。そこで今度のように梅雨前線によって一個所に大いに豪雨が降ったというような場合におきましては、農林省関係を問わず、あるいは建設省関係の公共土木施設を問わず、その他を問わず、一斉に災害が起るものである。ところが地方財政の負担を軽減するために、建設省関係は建設省関係で、災害の種別によりまして順次高率補助の適用がなされるというような関係になっている。従って、建設省関係の公共土木施設におきましても、あるいは農林省関係の農業施設などの災害におきましても、あるいは学校なんかの施設の災害に関しましても、すなわち地方公共団体の維持管理にかかるものは地方公共団体で負担せねばならぬものであるから、これらを一連として取り扱う立法措置を講ずべきである、こういうように基本的な問題として私は考えるのでありますが、大臣の御所見はどうであるかお伺いしたいと思います。
  53. 根本龍太郎

    根本国務大臣 農業関係は、御承知のように団体営とかあるいはそうしたものがありますので、必ずしも建設省関係の公共土木とは一緒にならないと思います。なお、こういう法律の性質上やはり一本にまとめて特別立法をするということは、今のところ政府は考えておりません。その間の調整はとらなければならぬと思いますけれども、学校施設あるいは農業関係、これらを含めての一本の法律を作るということは技術的にも非常に困難ではなかろうかと思います。
  54. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま大臣の御答弁は、その間の調整ははからなければならぬと思うけれども、これらの法律を改正する措置は困難ではないか、こういう御答弁だったと思います。これらの法律を一本化するということは、あるいは技術的に困難であるかもしれないけれども、この補助規定の精神、高率補助適用の精神というものは、地方公共団体の財政力に応じて災害を見てやるところにウエートを置いてある、こういうように考えるのです。そこで、法律問題は別といたしまして、地方公共団体が維持管理しているものを一括いたしまして、地方団体の財政力に応じてその補助率をたとえば公共施設関係の第四条のような趣旨を全体として生かすべきだ、こういうように考えるのですが、これに対して大臣のお考えはどうであるか。
  55. 根本龍太郎

    根本国務大臣 今の農林省関係は団体営とか個人のものが非常に多いので、その補助率とこちらの方との問題は、一括してやるということは困難ではなかろうかと思います。十分に研究いたしたいと思いますが、それは研究課題として今後の研究に譲らしていただきたいと思います。
  56. 中島巖

    ○中島(巖)委員 研究課題ならそれでけっこうですが、農業施設に関する法律は地方公共団体だけが対象ではなくて、その他個人もあり、農業協同組合もある。こういうことになっておりますからそういうお説も出ると思います。しかし私の質問の要点は、地方公共団体の維持管理にかかる農業施設であるとか学校施設は、もちろんそういうことであります。それから今の建設省関係の公共土木施設はもちろん。従って地方公共団体の維持管理にかかるものは、やはり全部一括して地方公共団体の財政力に応じて措置するようなふうに、今の役所ごとのセクショナリズムにならぬように、先ほど大臣の言われた調整という点を研究すべきであるというように考えるわけであります。私の質問の趣旨も大臣おわかりになったと思いますから、あえて答弁を要求いたしませんけれども、この点、自治庁なんかともお話になって御研究願いたいと思います。  大臣に対する質問は以上で打ち切りまして、起債の関係について自治庁にお尋ねいたしますが、大臣、そこにおって聞いておいていただきたい、非常に関連のあることでありますから。  自治庁にお伺いいたしますが、これは長野県の総務部長名でもって通達が出ております。これは「昭和三十二年度地方債許可方針等について」という題名でありまして、昭和三十二年五月二日で各部課長、地方事務所長、市町村長にあててあります。そして別紙といたしまして、地方債許可方針といたしまして「昭和三十二年四月二十四日自乙理発第一六三号自治庁次長通達」かようになっております。この通達に「事業別起債許可予定総額は、別に定める地方債計画による」として、そして三に、一般的許可方針といたしましてその(5)に「一件金額が次の標準未満のものについては、原則として起債許可を行わないものとする。」となっております。そして都道府県及び五大市は一千万円、人口三十万以上の市は五百万円、人口十万以上の市は三百万円、人口五万以上の市は二百万円、その他の市及び町村は百万円、つまり五万以下の市町村においては一件の額が百万円に満たないものは起債の許可をしない、こういう通達を出しておりまして、四に、事業別許可方針といたしまして、その(2)に災害復旧事業分というものが出ておりまして、従ってこれらを総括してみますと、一件の一種別のものが百万円に満たないものは起債の許可をしない、こういうふうに解釈ができるわけであります。従いまして一つの町村でありましても、ただいま質疑応答いたしました建設省関係の公共土木施設災害復旧事業費の国庫負担法によるところの地元負担が百万円に満たない場合は許可しない、それから農林省関係におきましても百万円に満たぬ場合あるいは学校施設においても百万円に満たない場合、こういうように業種別に百万円に満たない場合は許可しないというようにこれは解釈できるのです。  そこで村並びに市におけるところの——長野県の今度被害をこうむった地方の標準税収入はどのくらいになっているかというと、たとえば例の川路村なんかが三百七万円、清内路村が百四十五万円、三ヵ村合併した阿智村ですら千二百四十九万円、浪合村で百二十五万円、平谷村ではわずかに七十三万円、生田村において七百六十四万円、こういう、はなはだしいところは、小さい村なんかは一カ年の標準税収入が七十三万円しかない。百万円程度の村が非常にある。この場合において一種別ごとに百万円に満たないものは起債の許可をしない、こういう方針では、これらの災害村が現在の災害をそのままに捨てておくというほか方法がないのであるが、この通達の精神、並びに現在どういう処理をとっておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  57. 山本晴男

    山本説明員 お答えいたします。起債を許可いたします場合に、一件の金額が非常に過小な場合におきまして、それを起債にいたしまして将来に負担を累増いたしますのは適当でありませんので、事業が相当大規模でありますれば、起債を行いましてこれを後年度の負担に残しましても建前上差しつかえないというような観点からいたしまして、特に一件の金額が過小なものにつきましては起債の対象にいたしておらない、一般の財政力の範囲で措置するという建前をとっておるわけでございます。そのうちの一件の金額という、一件の意味でございますが、これは事業個所が多数でありましても事業内容が同種のものでございますれば、それを一括して取り扱うことになっております。特に災害復旧費につきましては、人口十万以下の市町村につきましては、特に各種の災害を一括いたしまして一件の金額として取り扱う、かような取り計らいにいたしております。
  58. 中島巖

    ○中島(巖)委員 これは今日起きた問題ではなくして、昭和三十一年十月三十日に二十四国会の当委員会において、廣瀬委員災害の視察をした結果において、こういうことを質問いたしております。「第三には被災町村に対する起債のワクの問題についてであります。すなわち災害復旧に対する町村起債につきましては、本年度は一町村当り起債額百万円以上のものでなければならないこととなっており、しかもこれは建設関係、農林関係というように別々に計算されることになっておりまして、弱小被災町村としては非常に困却いたしているのであります。ことに旱魃あるいは冷害等による災害の場合はともかく、今回のごとき台風あるいは豪雨等による災害につきましては、農林関係災害、建設関係災害という工合に別々に起るものではなく、これらは常に相関連して発生するものであります。ことに災害をこうむった町村側にとってみますと、それが農林関係災害にしろ、建設関係災害にしろ、とにかく災害をこうむり、これを復旧せねばならないということには何ら変りはないのであります。従いまして町村単位の災害の実情あるいは弱小町村の財政事情等より見まして、百万円とはあまりに高額に過ぎる。また建設関係、農林関係などと別々に計算して、おのおの百万円以しなければならないというのもおかしいと思うのであります。これは自治庁の御出席を願っておりますので、自治庁の問題であろうかと思いますが、当局の御見解を承わりたいのであります。われわれは、災害の場合は一町村五十万円程度に下げることが必要であるかと思っているのであります。」これに対してあなた方の及川説明員がこういう答弁をいたしております。「起債の問題についてお答え申し上げます。御指摘の通り町村分の起債につきましては、本年度からその一件の限度額を百万円に引き上げてあるのでありますけれども、これは原則の問題であります。それからもう一つは、百万円というのは土木施設の災害復旧事業、農林関係の災害復旧、文部省関係の災災復旧、こういうふうにおのおのに分れておったのであります。これは御指摘のように非常に問題がございまして、そのいずれもが百万円になりませんと、災害復旧の起債として取り上げられないという非常に不合理があります。そこで私の方といたしましては、本年からこの公共災害復旧事業につきましては、そのすべてを合せまして限度額百万円ということになればそれで一本の災害復旧事業として起債をする、こういうふうにいたしております。これは近く正式に通牒を出すことに決定いたしております。御了承願います。」この会議録によりますと、あなたの方の及川説明員がこれらを一切合せて百万円になれば災害復旧事業として起債をする、こういうことを言明して、これは近く通牒を出すということをはっきりと会議録にうたってあるのでありますが、そう後この処置はどういう処置をとられておるか、お伺いしたいと思います。
  59. 山本晴男

    山本説明員 先ほど申しましたように、一般の仕事につきましては同種の仕事をまとめて一括にいたしますが、災害復旧費につきましては、各種の災害復旧事業をまとめて一括にするという措置を昨年より実行いたしておるわけでございます。
  60. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そういたしますと、今の会議録の答弁、またあなたの答弁からみまして災害復旧事業は公共土木施設にかかわらず、あるいは文部省関係の学校にかかわらず、あるいは村で管理しておるところの林道、農道にかかわらず、村の災害全部の関係が百万円になれば起債を認める、こういうように了解してよろしいですか。
  61. 山本晴男

    山本説明員 公共土木事業の災害復旧につきましては、そういう取扱いをいたしております。  それからなお通達の文章に、一件金額としてこまかい説明をいたしておりませんが、これは実際の運用上、そういう取扱いをいたしておるわけであります。
  62. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこでこの災害復旧事業が、先ほどからもいろいろ御答弁がありましたように、災害総額においては、あるいは数百億、数千億となっておりましても、その年度に施行する分は二、五、三とか三、五、二というようなわけで、いわゆる緊急査定をしたものだけに手をつける。こういう関係が一つと、もう一つは単独災害といたしまして、すなわち適用除外になっておるところの十万円以下の公共施設であるとか、あるいはその他の施設であるとかいうものがあるわけであります。これらも合計いたしまして、その年度に着手するものが百万円になれば起債を認める、こういうように了解してよろしいですか。
  63. 山本晴男

    山本説明員 災害の復旧の起債につきましては、公共事業については各省で本年度事業として認証されました地方負担分につきましては、全額起債で処置いたしております。それから単独災害復旧で非常に緊要なものにつきましては、やはり二カ年くらいに分けまして、その事業費につきましては全額起債を許可するという建前にいたしております。
  64. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そういたしますと、公共事業は、国庫負担のある、補助のある分については、これは別に全額起債を認める、それからただいまのこの適用にかかわる部分は、わかりやすく言えば十万円以下の単独災害がそのワクに入る、こういうように了承してよろしいですか。
  65. 山本晴男

    山本説明員 本年度の災害復旧費の地方債計画におきましては、百二十億円起債のワクがございますので、そのうち過年度災害が、公共、単独合せまして七十五億、それから国の予備費として残されております五十億に対応する地方負担分に対する起債、それからそれに関連いたします単独の災害復旧の起債、合せまして三十五億円、計画の中に計上されておりますので、その中から本年度行います公共事業、単独事業の地方負担分の起債を許可する、こういうことになっております。
  66. 中島巖

    ○中島(巖)委員 どうも私の質問がおわかりにならなかったか、ちょっと答弁がポイントをはずれておるのですが、ただいま私の質問いたしましたのは、公共事業の国庫負担のついておる、もしくは補助のついておる分は文句なしに一〇〇%起債ができる。そしてただいまの通達にあるところの百万円以下というのは、そのワク以外のいわゆる補助の適用除外になっている十万円以下の分をさすのであるか、あるいは国庫負担、補助のついておるものも合算して百万円になれば起債を許すのか、この点をお伺いしたわけなのであります。
  67. 山本晴男

    山本説明員 百万円以下と申しますのは、公共災害復旧は一まとめにいたしまして、それが百万円以下であったら認めない、それ以上は認める、こういうことなんです。それから単独事業につきましては、仕事の規模が非常に過小になりますとか、その他の事由がございまして、これは一般の事業債と同様に種類別に一定金額を算定いたしまして、それが百万円以下になりますと起債を許可しない、こういう建前になっております。
  68. 中島巖

    ○中島(巖)委員 どうもその辺がはっきりしないのです。結局国の補助あるいは国庫負担のついた分で、いわゆる地元負担の額は全部を、三十万でも五十何万でも、起債を認めるのであるか、あるいはそれらも合算して百万円にならなければ起債を認めぬのであるか、こういうことをお伺いしたい。
  69. 山本晴男

    山本説明員 各種の公共事業を合せまして地方負担分が百万円以下になれば許可しない、こういうことになります。
  70. 中島巖

    ○中島(巖)委員 きょうは大臣がお見えになっているので、特にお願いしておくのでありますけれども、ただいま言うような実情でありまして、それに加えて適用除外の十万円以下の災害というものが今度の梅雨前線による災害において非常に多いのでありまして、従って小さな村なんかはどうにもやりようのないというような情勢に追い込められておるわけであります。従って、これは公共土木施設災害復旧の国庫負担法、これらの事業以外の、いわゆる十万円以下の、適用外の災害復旧ということが非常に大きな問題でありまして、これらはどうしても自治庁において起債をするよりほかに現在の法律としてはやる方法がない、こういう状態でありますので、これらも勘案されて、自治庁の方へも特にお話し願って、すみやかに災害復旧に立ち上るように特段の御配慮をお願いいたしたい。  次に建設省の、これは防災課長と、それから農林省の方のその関係でけっこうでありますけれども、現在防災費によって復旧事業に着手いたしておるわけでありますが、一番問題になっておりますのは、ただいま私が質問した点と、もう一つは、各中小河川の堤防が破壊された、そこに農業の共同施設すなわち用水の透水坑と申しますか、井水路があって、ここがやられたわけであります。各村、多いところは四カ所もあるという状態でありますが、これは建設省災害復旧事業でいきますと、全額大体県と国で見てくれるわけであります。あるいは準用河川でないにいたしましても、国と町村とで負担するわけであります。ところがその用水路があったために、これは河川災害とはみなさなくて、農業用水の、農業共同施設の災害とみなして、その間二十五メートルだかを上下農業用水で施設せなければならぬ、こういうような関係になるわけであります。そうなりますと、その井水を使っておる農家が、三人か五人か、あるいは十軒あるとしても、結局それらが六割五分は補助がありますけれども、あとの三割五分は個人負担になる。こういうような関係で、この負担はとうていし切れないというわけで、災害があったために、災害にかからなかったところの農地まで放棄せねばならぬこいう、ちょっと想像も及ばないような事態が、現在各所に起ってきておるわけであります。現在建設省としてはどういう建前でありますか、農林省としてはどういう建前であるかということをお聞きしたいのであります。
  71. 山内一郎

    ○山内説明員 現在建設省災害復旧を受け持っておりますのは、今までたびたびお話の出ました国庫負担法、これによって建設省災害を取り扱っております。これで参りますと、取り扱う工種といたしましては、河川、海岸、砂防設備、それから道路、これが建設省所管であります。今お話のございましたのは、河川の中に護岸がありまして、護岸の一部から用水をとっているところの災害のお話だと思うのですが、その点につきましては、その用水と河川護岸の境界をどういうふうにするか、一々災害ごとにきめておきますと、たびたび問題になりましたように建設、農林の両省で二重に採択するというような問題がありますので、あらかじめ農林省とお打ち合せをいたしております。それはただいまお話がございましたように、用水関係の施設の上流下流の何メートルは農林省の方でやっていただく、それは用水路の取り入れの付属施設というような考え方で農林省でやっていただく、それ以外の河川の方は建設省でやっていく、そういう建前で進んでおります。
  72. 任田新治

    任田説明員 ただいま建設省の防災課長から御説明がありました通り農林省建設省と、そうした競合するような問題につきましては先年協定をしておりまして、両者それぞれの分野において実施することにしております。
  73. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、今災害のたびにいろいろ問題が起るといけないから、大体農林省と打ち合せしてその境界をきめておかなければいけない、それが約二十五メートルというような話を聞きましたが、そういうことになっておりますか。
  74. 山内一郎

    ○山内説明員 今の二重採択防止に関する農林省との取りきめにつきましては、用水取り入れと河川護岸、今申し上げましたその関係でございますが、用水関係としましては、井せきの上流から十メートル、それから下流側につきましては、その井せきの水たたきから十五メートルまで、そういうことになっております。
  75. 中島巖

    ○中島(巖)委員 御説明はよくわかりました。そこで農林省並びに建設省の防災課へ要望しておくことは、たとえばその用水路を使う面積が何千町歩とか、何百町歩とか、何十町歩あるものも、あるいはわずか五反、八反のものも、そういう一律の法令と申しますか、打ち合せ事項に基いて処置している、そういうことでございますね。
  76. 山内一郎

    ○山内説明員 そうです。
  77. 中島巖

    ○中島(巖)委員 数十町歩とか、あるいは数百町歩の耕地を持っているものは、今言われたようなことで農家がたくさんだから負担ができる。しかしながら、わずか二町歩とか三町歩とか、五反とかいう堤防から用水しておったものは、とうていその負担ができない、こういうような関係で、たとえば一町歩のうち三反が被害をこうむった、あとの七反のものが土地を放棄して、そしてその用水の施設をしない、こういうふうな状況が現実の問題として起きているわけであります。従ってこれらに対しましては、何とか農林省建設省との間の話し合いの上で適切な処置をとっていただかぬと、たとえば一町歩の耕地がある、そのうち三反歩が災害を受けた、あとの七反が満足しているのだけれども、その七反の田も用水路の堤防の二十五メートルの工事のために金がかかるから捨ててしまわなければならぬ、こういうような状況が現にできておりますので、何らかこれに対しては適切なお考えがあるんじゃないかと思いますから、一つ両省で適切なお話し合いをしていただきたい、かように考えるわけであります。  それから先ほどの起債の問題も、地方の財政力、たとえば標準税収入が先ほど申しましたように、一カ村で七十何万しか入らぬところがある。あるいは二千数百万入るところもある。にもかかわらず災害の起債の合計を百万円以下は切るというような処置は、あまりしゃくし定木であって、そこに地方公共団体の税収入なんかとにらみ合せて幾つかの段階を付すべきものではないか、こういうように考えるわけであります。これらの点も、いずれあらためて質問いたしたいと思いますけれども、御研究願いたいと思います。  以上をもって質問を終ります。     —————————————
  78. 薩摩雄次

    薩摩委員長 この際お諮りいたします。日本住宅公団住宅固定資産税の問題につきまして、日本住宅公団加納総裁、澁江理事の両君を参考人として一当委員会に本日出頭を求め、意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 薩摩雄次

    薩摩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  質疑の通告がございます。島上善五郎君。
  80. 島上善五郎

    ○島上委員 二時から御用事があるそうで、私も二時までには終らぬと思いますが、残った分について次会に質問することを前提として、大臣及び総裁については二時までに私の質問を切り上げるようにいたします。  住宅公団の問題については、問題はいろいろあります。特に、これは申し上げるまでもなく政府の政策の重要なものであって、この取扱いが一歩誤まりますと、政府の住宅政策全体に影響を及ぼすということにもなりますので、この際大臣の御見解をぜひ承わっておきたいと思うのです。問題点は——簡単に問題点だけを大きく取り上げて申しますと、現在固定資産税を入居者が負担するという問題に関連して一種の紛争が起っておる問題、これをどのように解決するかということが一つ、第二には家賃の値上げ問題が起っておる。これは日本住宅公団法の第一条に規定する、住宅に困窮する勤労者に住宅を提供するという精神に反しておる、こういう問題が一つある。さらにもう一つは、入居者との契約書の内容にはなはだしく不法不当であると思われる点がある、これはすでに入居者との間に契約書の改訂問題が起っている、こういう問題がありますが、さっき申しましたように、二時までに全部について質問を終了するわけに参りませんので、大臣と総裁について、特に中心的な二、三の問題を伺っておきたいと思います。  先月の九日でしたか、私がこの問題について伺いました際に、家賃の納入状況がかんばしくないという数字が上っておった。おそらく六月、七月についても必ずしも良好でないと想像されます。そこで私質問に入る都合上、六月及び七月分の家賃の納入状況を数学的に御説明願いたいと思います。
  81. 加納久朗

    ○加納参考人 最初は納入状況がすこぶる悪かったのでございますが、日に日に改善して参っております。今日では、六月分が全部納入されました分は五五%二でございます。それから七月分が四七%六という数字になっております。これは七月のうちに大いに努力いたしまして説得するものは十分説得いたしますし、それから悪質な入居者に対しましては法律上の手続をとりまして、八月分にはもっとよけいに取り立てて、そうしてこの問題を解決したいと存じております。
  82. 島上善五郎

    ○島上委員 六月分五五%二、七月分四七%六というのは、正常な状態でないことは事実です。この悪い状態がどこから起ったということは、私が繰り返す必要はない。これは先刻御承知のはずです。これは固定資産税を家賃のほかに新たに入居者に負担させようとしたところから起っている。その納めない人たち、あるいは一部納めた人たち——一部納めたというのは、おそらく家賃に該当する分は納めて、固定資産税該当分は納得できないから納めないということだろうと思います。これはお答えを聞かなくてもわかっている。今総裁が悪質な者という言葉を使いましたが、この一部納入者もしくは全額納入しない者、つまり固定資産税分を新たに負担するということに対して納得できぬという人たちを称してあなたは悪質な者と呼んでいるのですか。もしそうだとすれば、これは非常に問題があるのです。これは公団側にも反省しなければならぬ責任がある。何となれば昭和三十年八月二十五日の建設省令第二十三号、日本住宅公団法施行規則第三章の第九条に家賃の決定という項がある。そこに「公団が賃貸する住宅の家賃は、賃貸住宅の建設に要する費用を償却期間中利率年五分以下で毎年元利均等に償却するものとして算出した額に修繕費、管理事務費、地代相当額、損害保険料、貸倒れ及び空家による損失を補てんするための引当金並びに公租公課を加えたものの月割額を基準として、公団が定める。」こうなっておる。しかるにその後三十一年十一月ごろ、一年以したった後の入居者との契約書の中には、家賃のほかに、賃貸住宅及びその敷地に賦課される固定資産税その他公租公課相当額について、毎月甲の定める額を負担します。これは明らかに矛盾しておる。固定資産税も公租公課ですか。この家賃決定の基準の中にこういうものを加えるということは、ちゃんと今読み上げた通り三十年八月二十五日にきまっておる。これを当初から算定の基準に加えておれば何ら問題が起らなかったはずなんです。それをこの施行規則に反した契約書をとり、施行規則に反した行いをすることによって、こういう紛争が起り、拡大しておる。その結果、今言ったような家賃の納入状態がきわめて異常な状態となっておる。これについて住宅公団はどのように反省しておるか、どのように責任を感じておるか、まずそれを私は伺いたい。
  83. 加納久朗

    ○加納参考人 お答えいたします。ただいま御朗読になりました通りに、家賃の算定の中には公租公課を含まなければなりません。そこで初めに契約をするときに公租公課を含めたものをもって家賃とすべきでありますけれども、御承知のように、固定資産税は各市町村がそれを算定いたしますのに相当手間をとるわけでございます。それから住宅公団といたしましては、できるだけ入居者の負担を少くするために、市町村にお願いしてこれを安くしてもらいたいということを交渉いたしておりましたし、自治庁の方にもお願いして、各市町村にそういうことを通達していただくようにお願いしている最中でございます。よって契約をいたします当初におきましては、固定資産税の分はまだきまらないのですから、これがきまったときにはそれを加えますということを特にお約束を申し上げて、その了解のもとに入居されたわけであります。
  84. 島上善五郎

    ○島上委員 そのいきさつはわからぬことはありませんけれども、施行規則か昭和三十年八月二十五日から施行されております以上は、入居者の中には家賃の中に含まれているものと解釈する者があっても、そういう解釈をしたから入居者がけしからぬということにはならぬと思います。今あなたがおっしゃった悪質な者に対しては法律的云々ということが、納めない者に対して悪質という、そういう考えをもってこの事態を解決しようとすれば、私は事態はますます紛糾すると思う。私は入居者の諸君が公団の理事者と会った記録等も持っておりますが、入居者の人々は、住宅の所有者が納税義務者なのでありますから、納税義務者にあらざる自分たちが負担することは納得できぬというのは理屈があると思う。そういうことから起っております事態に対して、自分たちが何ら反省しないで、悪質な者は法律的に追い出してしまうというような考えを持っておるとすれば、事態の解決にならぬと思う。円満な話し合いによって解決しようとしている入居者諸君のこの謙虚な態度に対して、公団自体も、そういういきさつがあったにしても、手落ちがあるのですから——手落ちがないというならば私はまだ幾つも事例をあげますが、そういう公団自体が反省して、お互いに歩み寄って話し合いをしよう、こういう気持にならなければ、この事態の円満な解決にならぬと思う。いかがですか。
  85. 加納久朗

    ○加納参考人 ただいま御注意の通りに、できるだけ円満に解決したいと思ったればこそ、今日まで隠忍して話し合いをしておるわけでございます。それから悪質の者と申しましたのは、全体を相手取って悪質と申しておるのではございません。その中に、方々の団地に一、二そういうような悪質な者かございます。そういうような者は世の中に当然あるのです。そういうような者が扇動したり何かして、ほんとうにおとなしい人たちの行動を妨げておるのです。そういうような者は断固として追い出さなければ、私が国家のためにこの財産を作り、国家のために財産を管理しております以上は、私の当然の義務として、そういう手段もとらざるを得ませんのです。
  86. 島上善五郎

    ○島上委員 それならば伺いますが、私は先月の委員会で新聞に出た記事を参考にして——「行き過ぎ管理人に非難」という新聞が出ておりましたが、これを参考にして、管理人の中で挑発的な、あるいは挑戦的な言動をとって入居者を憤慨させて、ことさらに事態を紛糾させておる事実があるということを二、三あげて質問しました。その事実については、それではよくこちらも調べて、そういうことのないように注意しましょう、こういう御返答でした。私もそれを信じて、期待しておりました。ところがその後驚くべき事件が起った。私をして言わむしれば、それこそ悪質な管理人です。事実を少し具体的に申しましょう。記録があります。名古屋の管理人です。あなたのところにも、たしか書面でいっているはずです。入居者の代表と名古屋の支所長がこの問題について会いまして、こう言っておるのです。固定資産税を払えない者はさっさと出ていってもらいたい、固定資産税一万円払っても入れてもらいたいという人がたくさんいるから、さっさと出て行ってもらいたい、こういうことを言っておる。そうして非常に怒った主婦たちが、それは貧乏人は麦を食えということと同じ意味ですねと言ったら、そうですと言っておるのです。そうしてこの会見の際、佐治という支所長が、先頭に立っている者は大やけどをするぞ、これはあなたが今言う悪質な者は法的手段でもって追い出してしまうということと私は通じていると思うのです。この運動に——私は運動と言いますが、この運動に先頭に立っている者は、あなたは悪質な者と解釈しておりますが、こういうことを言っています。先頭に立っている者は大やけどをしますぞ、それから、君たちはボスだ、こういう問題は政治問題だから、こういう問題を論ずるなら君たちは早く県会議員になるか国会議員になりなさい、こういうことを言っておる。それからさらにこういうことも言っておる。固定資産税を払えないお前たち貧乏人は——貧乏人という言葉を使っている、お前たち貧乏人はボロ屋に移りなさい、ボロ屋は幾らでもあるからボロ屋に移りなさい、こういうことを言っておる。それから私は先月もこういう事実を指摘しましたが、その入居者の勤務先に電話をかけているのです。この電話をかけていることは支所長みずから言っているのです。君の勤務先の責任者に電話をかけたら驚いておったぞ、そしてその電話をかけた事実に対して抗議を申し込んだら、勤務先に電話をかけて何が悪い、こういうことを言って逆襲しておる。これは一、二の、ほんとうの引き合いに出したにすぎませんが、こういう態度をもって接しておる。私はあなたが今言ったように、隠忍自重して話し合いをしようという態度とは全然受け取れないと思います。こういうことに対しては、あなたは一体どうお考えになりますか。
  87. 加納久朗

    ○加納参考人 この神聖なる国会におきまして、無責任なる新聞記事を単に取り上げて証拠として私をお責めになっても、私はそれを答弁する義務がありません。——もう時間がございませんから失礼をいたします。
  88. 島上善五郎

    ○島上委員 これがもし事実だったらどうする。
  89. 薩摩雄次

    薩摩委員長 二時までちょっと待って下さい。
  90. 加納久朗

    ○加納参考人 二時に呼ばれていますから……。
  91. 島上善五郎

    ○島上委員 無責任な新聞とは何です。無責任な新聞記事であるか責任ある記事であるか、一体何を根拠としてそれを言っておるのか、これはもし事実だったらどうする。
  92. 加納久朗

    ○加納参考人 あなたは事実でなかったらどうなさいますか。
  93. 島上善五郎

    ○島上委員 僕は一定の根拠のある書類を参考にして言っておるのです。
  94. 加納久朗

    ○加納参考人 根拠はありません。
  95. 島上善五郎

    ○島上委員 根拠はありませんと言う根拠は一体どこにあるのですか。
  96. 加納久朗

    ○加納参考人 新聞が書いておるから、そういうことです。
  97. 島上善五郎

    ○島上委員 新聞は一体いつでもそういううそを書いておるとあなたは断定しているのですか。
  98. 薩摩雄次

    薩摩委員長 発言は一々委員長の許可を得てやって下さい。さっき言いましたように、二時ということになっておりますから、二時になったら総裁に先に行っていただきます。
  99. 島上善五郎

    ○島上委員 総裁に対してはこれ一問でおしまいにしますが、これは根拠のない無責任な新聞記事であると言うことは、これは言い過ぎだと思う。少くともあなたは総裁として、そういうことがあるならば調べ善処しましょう、こう答弁されるのがしかるべきものだと思う。あなたはここで即座にそういう事実はない、無責任な新聞記事であると断定的なことをおっしゃいましたが、一体あなたはそういう答弁でよろしいと思いますか。よろしいと思うならば、私はこの次の委員会で徹底的に追及します。
  100. 加納久朗

    ○加納参考人 ただいま教えていただきましたように、ただいまの事実をよく調べまして、そうして私も反省するものは反省いたしたいと思います。
  101. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それから大臣も二時に用があるそうですから、大臣一つまとめて……。
  102. 島上善五郎

    ○島上委員 それでは大臣も時間のようですから伺いますが、今のような紛争は、入居者の方でも話し会いによって円満に解決したいという気持になっておるのですから、悪質な者を法律的に追い出してしまうなどという態度ではなしに、よく両者で話し合いをして解決しようという気持になってほしいと思う。これに対する大臣の考え方が一つ。  それからまとめて質問しますが、もう一つは家賃の値上げをやっておる。新しい木月という団地ですが、これは今月から入ります。それは入居基準の引き上げをやっておる。今までは二万五千円の収入のある者は入居できた。今度は三万二千円の収入がなければ入居ができないということと、それからもう一つは、公団自体でも認めておりますように、家賃を一千円近く値上げしておる。これは都市計画税と固定資産税を今度は家賃の中に含めておる。これでは住宅に困窮する勤労者に住宅を提供するという精神に反するのじゃないかと思う。このことは当然建設大臣は承認を与えたことだと思いますが、承認を与えたとすれば与えた理由を伺いたい。  それから、これは大臣に伺うことでないかもしれませんが、もう一つだけ伺っておきます。この契約書ですが、この契約書は、私は法律の専門家じゃありませんので、専門家に見てもらいましたら驚いておりました。普通の家主——私は先月も言いましたが、少し露骨な言葉を使いましたけれども、よく悪家主という言葉がありますが、その悪家主でさえもがとうていなし得ないであろうと思われるような極端な一方的な契約書です。これは地方税法にも抵触するおそれがあるし、借家法にも抵触すると思われる部分があります。これの改正問題——入るときはいや応なしにこれは判こを押さなければ入れませんから、要するにめくら判以上、あるいはめくら判以下です。判を押して、ともかく入れてもらう。しかし一年たって改正の時期が来たから、今入居者はこれを改正しよう、こういう声が起っております。これは入居者全体の意見と言っても差しつかえないと思う。こういう問題に対してやはり住宅公団は、今の総裁のような態度じゃなしに、謙虚な態度でもって、どことどこが問題である、どういうふうにしようということについて話し合いをして、円満にこの契約書の改正問題も解決すべきものだと思う。この三点について大臣の所見を伺います。
  103. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほどの御質問に対する加納総裁の答弁によっても明らかなように、固定資産税を家賃の中に含めることの合理性については、あなた自身がその規定を御朗読なさったことで証明されておると思います。ただ、しかし、公団の方が少し念を入れ過ぎて、御説明のあった通り自治庁並びに地方自治体との間において、でき得るだけ固定資産税を少くするためにとった措置が誤解を生じ、紛争を来たしておる、こういうふうに私は解釈をいたしております。従いましてその点がおわかりになりますれば、契約においても明確に承認なさっておることでありますから、これは解決できるものと考えております。  それから管理者の処理についてはよく存じませんから、これは先ほども加納総裁が言われたごとくに、実情を調べまして、管理者の行き過ぎや、そういう点は是正なさると思います。同時にまた入居者におかれましても、よく事情を御納得の上、円満なる交渉によって誤解を解いて、当然入居者として支払うべきものは支払っていくために、今相当の時間をかけて折衝をしておるようでございますから、それに期待しております。  それから値上げの問題につきましては、これは私の前におそらく認可したと思いますけれども、これも御承知のように、現在公団の仕事は国民の税金の負担において、全部の国民要求されるままにやる事業ではございません。いわば非常に住宅に困っておるたくさんの人々のうちから、特に政府施策として、一般の民間よりも有利な状況において入っていただくということになると思います。従いまして、今入っておる人の要望ももちろんでありますが、さらに入っていない人が相当たくさん要求されておるという事実を考えてみますならば、これはやはり社会正義の立場から見て、総合的に判断すべきものだと思います。そこで家賃の問題も、これは原価計算あるいは公租公課、維持管理費、そういうものから合理的に計算されて、新しくできたものはやはりそれだけの負担をしてもらわなければ公団の運営ができないということでありますれば、これはやむを得ないではないかと思います。そこで、もし新しい家賃のために、それでは入らない。これから新たに入る人でございますから、これは公団と入居者との間の合意においてなされることでございますから、この点は両者の了解ができますれば問題点はなくなろうと存じます。ただ一般的に申しまして、島上先生が言われているような問題は、おそらくこの公団住宅の家賃がだんだんに高くなるということは好ましくないのじゃないか、そういう点から、これは今の公団の原資の問題に触れてくるのではないかと思います。従いまして政府出資、いわゆる利息のつかない資金相当潤沢に入ることによって、できるだけ家賃の高騰を防ぐということは、政策として考えなければならないと思いますが、これまた政府財政の問題と政府資金、民間資金とのバランスの問題でありますので、この点は総合的に十分検討して、でき得るだけ安く多量の公団住宅が提供できるように研究いたしたい、かように考えておる次第であります。
  104. 島上善五郎

    ○島上委員 時間がきましたから、大臣にもう一点だけ希望し、かつ伺っておきます。今あなたも答弁の中で触れられたように、これは原資の問題が当然関係してくる。一般の家賃より比較的安い家賃といいますが、もちろん一般の家賃は、所によってはとてつもなく高いところもあり、一畳千円とか二千円とか、そういうところに比較すれば安い。しかし今までの住宅公団の家賃でもこの公団法一条に規定する勤労者のという解釈を一般的にするならば、勤労者の負担にしては高過ぎると思うのです。二万五千円を入居資格としておりますが、今度は三万二千円にしました。今の公務員のベースを考えてごらんなさい。三万二千円で、公務員の中で入居資格のある者が一体どれだけおりますか。これは勤労者の中のほんの一部です。勤労者の中の上のほんの一部といわざるを得ない。法律を改正するか、法律の解釈を直すかしなければならぬということになってしまう。そこで私はこの次の機会に、家賃を値上げした基準についても、これは公団の当局に妥当であるか、不当であるかということをもっと聞きたいと思いますが、今までの家賃でさえ高かったのに、また千円近くも上げる。もちろん入るときは住宅に困っておるから、それは入ります。しかし入った後の生活設計も十分に立たないで入ってしまえば、入った後にやはり苦労するということになると思う。現に入るときは住宅難で困っているから入って、入ってから出ていくといったような事態が起ったり、家賃が納め切れないというような事態が起ったりしております。従って私は政府の住宅政策の見地から見ても、また住宅公団法の第一条の精神から見ましても、家賃は上げないようにすべきである。むしろ現在の家賃を検討して、下げられたら下げるようにすべきであるとさえ考えております。そのためには利子のかからない、あるいは利子の安い原資を求めるという点に対して、もっと十分に検討を加える必要がある。今までのような調子で、二万五千円を三万二千円に基準を上げた、今度三万五千円から四万円に上げたということになれば、今度は勤労者に用のないものになってしまう。そういう点に対して政府は検討を加えて家賃は極力上げないようにするという方針を貫いてほしい。これに対する大臣の御所見を伺っておきます。
  105. 根本龍太郎

    根本国務大臣 住宅政策は、御承知のように公団ばかりではなくて、公庫の処置でもやっておりますし、あるいは公営住宅等、これは相当広範にわたってやっておるのでございます。現在また需要者におかれましても、実質上国民の所得の関係では相当幅の広い状況でありますので、そこでやはりそれぞれに対応したところの措置を講じていくべきだと思います。しかし一般論として、でき得るだけ安い家賃で快適な住宅を提供するということは、だれひとも望ましいことでありますので、ただいまお示しになりました点は十分検討いたしますが、また一方において公団が独立採算制の一つの公団でございますので、やはり経理上の関係から高くなるようなものもあるかもしれませんが、これも建築様式なり、あるいは工法その他材料、それから原資等、総合的な研究によりまして、でき得るだけ御趣旨に沿うように勉強するように、私の方でも御指導申し上げたいと思います。
  106. 島上善五郎

    ○島上委員 理事の方にお尋ねいたします。今言った家賃の値上げ、入居基準の引き上げと関連する例の川崎の木月の第二団地の住宅のことですが、今度は家賃を月額五千七百円に値上げしたわけですが、この五千七百円に値上げした中には、固定資産税と都市計画税分が入っておる。ところが私の承知しているところでは、この木月の第二団地の固定資産税は、本年度はかからぬはずではないか。もしかからぬとすれば、かからぬ分をこれから来年の三月まで取る。七カ月分二千六百六十円は入居者から、かからぬ税金を取る、こういうことになる。矛盾があるように思いますが、どうですか。
  107. 澁江操一

    ○澁江参考人 御指摘のような疑問が一応起ると思います。私どもの考えております点を申し上げますと、固定資産税、都市計画税、これがどのくらいになるか、かからないかもしれないといったような非常に不確定な状態の際に、固定資産税をある程度の見込み額として立てまして家賃計算の中に入れるということはいかがかということで今までの契約は出発したのであります。ただいま木月の第二団地の募集時期でございますが、ただいまは事情が変っておりまして、固定資産税ないしは都市計画税の見込み額ということは、ある程度確定いたしました。この事情は、前からの事情と変って参りました。そこでこれを実際に徴税時期と合せまして、すなわち来年の四月以降、この徴税時期にかかりましてから、その見込額相当額を実際に課税される額とにらみ合せまして家賃の中に算入する方式とそれから、今もうすでに見込み額は立っておりますので、この際にその見込み額を加えたものを家賃として計算いたしまして、以後その家賃でもって、ただいま御指摘がありましたように、入居者の負担が値上げの形で変ることは非常ないろいろの問題を起しますので、そういう形でなしに、この際、当初から家賃条件というものは公租公課を含めまして計算いたす、両方あるわけでありまして、ただいま木月第二団地でとりました方法は、その後者の、見込み額を当初からきめまして取る、こういう形にしたわけであります。これについては、実際に課税のかからないものを先取りするのではないかという問題が一つ起ります。私どもはそう考えておりませんで、課税技術上、やはり一月一日現在の家屋に対して翌年の四月一日から税金を取るのは、これは課税技術上の問題として、どうしてもそうならざるを得ない。しかし入居者の負担関係はどうなるかと申しますと、畳の青い、入りたての時期の入居者には、そういう公租公課相当額分はかからないで、半年先に入った人から初めてかかるというのでは、これは同じ利用条件、むしろ当初の利用条件の方がいい。公団の家屋の利用条件からいたしまして、入居者に負担してもらう方法は、徴税技術上の時期なり手続なり、そういうものとは一応切り離しまして、当初から入る人に家賃上計算に入れて、いわゆる納税引当金的な取扱いといたしまして、これを家賃計算の中に入れる、こういうことで、むしろその方が合理的ではないかという考え方に立ったわけでございます。この点は民間の家賃その他の決定においても、おそらく同じルールをとっておるのではないかと思いますが、そういう形を公団の場合にもとらしていただく、こういう考え方に立っておるようなわけでございます。
  108. 薩摩雄次

    薩摩委員長 島上君、簡単に願います。
  109. 島上善五郎

    ○島上委員 もう一つだけ聞いておく。さっき建設大臣に質問したが答えられなかったのです。もう一つだけ契約書の問題で、この契約書は私は冷静に他の法律との関係等も今検討したら、公団自体でも問題があることをお認めになっており、ならざるを得ないのではないかと思うのです。そろそろこの契約書の改訂の時期が来ましたので、入居者から改訂の申し出が公団に対してあるか、その意思表示をなされておるはずだと思うのです。私はこれに対しては、ほんとうに入居者の希望が、問題点がどこにあるかということを謙虚な気持で検討して、今のうちに解決するという態度をぜひとってほしいと思う。これはさっき大臣に聞きましたが、大臣は御存じにならないので答弁されなかったと思いますが、公団としてはどういうお考えでおるか。
  110. 澁江操一

    ○澁江参考人 簡単に申し上げます。問題点になっておる点は入居者側からも出していただきまして、それについて必ずしも御要望に応ずるということは私どもとしては申しかねますが、しかし問題点については十分検討さしていただきたい、こういう考え方でおります。これにつきましては参議院に先月委員会がございまして、そのときも入居者の代表者で参考人として出られた方から、この契約条項について自分たちが不審に思う点、疑問に思う点、こういう点を委員会の公開の席上で出されたわけです。それらのことはやはり私どもも十分問題点として研究していきたい、こういうふうに考えております。まあ大体そういう考え方で、よりいい契約書ができれば、それはもちろんけっこうだと思います。ただ家賃の値下げその他を含めた契約の改正を一つ取り上げてくれ、たとえば固定資産税のかかっておる今の契約書の第六条のごときは不当であるから、これを抹消してくれ、こういう御要望にはちょっと応じかねる、このいうことを私ども考えております。これははっきり申し上げておいた方がいいと思います。そういう考え方であります。
  111. 薩摩雄次

    薩摩委員長 本日はこれにて散会することとし、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後二時十七分散会