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1957-07-09 第26回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月九日(火曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 薩摩 雄次君    理事 荻野 豊平君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 前田榮之助君    理事 三鍋 義三君       荒舩清十郎君    生田 宏一君       伊東 隆治君    大高  康君       久野 忠治君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    堀川 恭平君       中島 茂喜君    松澤 雄藏君       山口 好一君    小川 豊明君       島上善五郎君    田中幾三郎君       中島  巖君    原   茂君       山下 榮二君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政         部財政課長)  柴田  護君         総理府事務官         (自治庁税務部         市町村税課長) 鎌田 要人君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 櫻井 史郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         計画課長)   茅野 一男君         建設政務次官  小澤久太郎君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 關盛 吉雄君         建設事務官         (河川局水政課         長)      國宗 正義君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (道路局路政課         長)      三橋 信一君         建 設 技 官         (道路局国道課         長)      河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  植田 俊雄君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    鮎川 幸雄君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澁江 操一君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     吉田安三郎君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 五月十八日  委員大高康君、松原喜之次君及び西村榮一君辞  任につき、その補欠として石橋湛山君、安平鹿  一君及び田中幾三郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員石橋湛山辞任につき、その補欠として大  高康君が議長指名委員に選任された。 六月四日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として阿部  五郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員二階堂進辞任につき、その補欠として安  藤覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺辞任につき、その補欠として二階  堂進君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員中島巖辞任につき、その補欠として辻原  弘市君が議長指名委員に選任された。 七月九日  委員辻原弘市君、渡辺惣蔵君及び安平鹿一君辞  任につき、その補欠として中島巖君、島上善五  郎君及び原茂君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員原茂辞任につき、その補欠として安平鹿  一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  一、国土計画に関する件  二、都市計画に関する件  三、道路に関する件  四、河川に関する件  五、住宅に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託され た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  派遣委員よりの報告聴取  七月上旬及び台風第五号を伴う梅雨前線による  豪雨災害に関する件  日本住宅公団住宅固定資産税の問題について     —————————————
  2. 薩摩雄次

    薩摩委員長 これより会議を開きます。  まず、先般衆議院規則第五十五条に基き議長承認を得て都市計画道路及び河川実情調査のため、本委員会より派遣いたしました三班の委員より報告を聴取することにいたします。三鍋義三君。
  3. 三鍋義三

    三鍋委員 去る六月十二日より七日間にわたり衆議院規則第五十五条により議長承認を得まして福岡、大分、宮崎鹿児島の各県における建設省関係公共事業調査して参ったのでありますが、これをすべて御報告申し上げることは相当長時間を要しますので、所見の二・三を申し述べ、他は文書として提出いたしたものを速記録に掲載して、それによって報告にかえるよう委員長において適当な御処置を願いたいと存じます。
  4. 薩摩雄次

    薩摩委員長 承知いたしました。ただいま三鍋委員よりのお話通り、詳細は速記録にとどめることにいたしますから御了承をお願いいたします。
  5. 三鍋義三

    三鍋委員 それではお許しを得まして所見のみを申し上げます。  第一には、一号国道十号線中、宮崎高岡町去川−同県高城町四家間の改修案についてであります。同区間約六・五キロの間におきましては、道路屈曲勾配ともにはなはだしく、これが早急なる打開は宮崎県内一級国道十号線中の懸案一つであったのでありますが、これが改修に際し現道改修案新道建設案とが対峙いたしまして、昭和三十一年以来今日まで未解決のままに持ち越されているのであります。すなわち現道改修案は総工費約二億八百万円余をもって現道のカーブ、勾配を緩和し、幅員を若干広げようとするものでありますが、これに対しまして新道建設案は現道改修案工費約二億八百万円余に約三千万円余程度を増した総工費約二億四千万円余をもって高岡町去川より本八重、雀ケ野を経て高城町四家に達する新道を建設することにより同区間の隘路を抜本的に打開しようとするものであります。これら両案につきましてここにおいて直ちにその優劣を断ずることは一応避けることといたしますけれども、ただ地元一部の諸種事情によりまして難航をきわめているのでありまして、最近に至り本八重より雀ケ野北側に出る折衷案検討されるなど、建設省当局におかれましてもこれが解決にはいろいろと苦心をされていることと思うのであります。しかしながら道路計画、特に国道網整備に当っては、あくまで全国的な視野に立ってそれが推進されなければならないことは申すまでもないことでありまして、本問題につきましてもいずれの案を実行するにいたしましても利用度費用経済効果等、あらゆる部面について専門的に検討された最上の案については勇敢にこれを実施に移して国道網整備の上に、悔を後年に残すがごときことのないように努力されんことを望むものであります。  第二には、福岡御笠川下流及び博多駅前地域における不良建築物移転問題についてであります。福岡中央部を貫流する御笠川下流岸一帯、及び博多駅前一帯には朝鮮人家屋を中心といたしまして四百戸余の不良建築物が陸上並びに水上に雑然と集団部落を構成し、これが国道三号線及び博多港よりの福岡市玄関の要衝をふさぎ、都市計画事業遂行上の一大障害となっているのみならず、市の交通環境衛生、並びに密造等専売取締り、その他情操教育上、あるいは国際関係上からもまことに憂慮にたえない状態にあるのでありまして、これが解決は県並びに市における最大の懸案の事項となっています。事ここに至りました原因は、戦時防空法に基きまして、強制疎開をいたしました跡を戦後の特別都市計画街路用地として確保しておりましたところに、たまたま博多港在日朝鮮人の送還港に指定されたために多数の朝鮮人がこの地に集結して、船待ちのまま朝鮮国内情勢に関連して他に土地もないままに同地域に定着、その間引き揚げ日本人等も入り込んで今日の事態に立ち至ったものでありまして、全く戦時戦後の国内国外事情に基く偶発的社会現象と言えるのであります。しかしてこれらの地域内の不良建築物除却は市民の明朗なる生活環境建設のためにも、また同地域居住者自体の健全なる生業確立のためにも早急に敢行すべきところでありまして、関係者努力によりまして近時ようやく同地区の大多数の居住者自体も県、市に協力の態勢を示し、共同して移転地の購入を計画するなど移転への動きを示しているのでありますが、彼らの財政能力をもってしては移転地を購入した上にさらにこれらの土地住居を建築するという資金的余裕はなく、(対象のほとんどが第三国人であるため、住宅金融公庫の資金を利用する等の方途もないため)一方、県市におきましてもこれらの住居者協力的態度を示している機を逸せず一挙に問題解決にまで持っていくべく努力をいたしておるのでありますが、これまた地方財政窮乏の折からせっかくの機会を財政的にいかんともしがたい状態にあるのでありまして、国より資金面解決に援助を受けるか、あるいは別ワクとしての起債を認めてもらう以外に方途がないというのがその実情であります。  何分にも対象の大部分第三国人でありますために、現行法のもとでこれを円満解決するということはいろいろの困難があることとは思うのでありますけれども、先ほども申し述べましたように、事ここに立ち至りました責任というものは直ちに県市のみに負わすべきものではないのでありまして、むしろ戦時戦後における国内国外情勢による国の責任もまたその大部分を占めるものと思われるのでありまして、国においても早急なる解決策を講ずることが必要であると思うのであります。当局におかせられましてもこの問題についてはいろいろと検討を進められておることとは存じますけれども、具体的にはいかなる解決策を持っておられるのか、御見解を承わりたいのであります。  第三には肝属川についてでありますが、本川は幹線においては捷水路をすでに完成いたし、一応の洪水疎通能力確保いたしているのでありますが、低水護岸災害復旧を終った程度のものでありまして、河床変動とこれに伴う蛇行の成長とが再び河岸の欠壊を来たしつつある模様であり、災害防止洪水疎通能力維持の上から見ましても、これら低水護岸に対する保護が早急に講じられなければならないと思うのであります。また工事の進捗に伴い、橋梁、水門、樋管等付帯工事を逐次整備していく必要があるのは申すまでもないことでありますが、それとともに河口閉塞に対する対策として本格的な工事計画に備えまして、試験導流堤検討推進はこれまたゆるがせにすることのできない問題であろうと思うのであります。当局はいかなる準備を進めておられるや、御見解を承わりたいのであります。  第四には自衛隊道路の問題についてであります。御承知のごとく、最近における自衛隊関係自動車増加並びに大型化は著しきものがあるのでありまして、特に工作車戦車等による道路破損には自衛隊の駐留する地方市町村は全く困却しているのがその実情であります。今回視察いたしました鹿児島国分市におきましても、同市に駐留せる自衛隊戦車部隊による道路破損は著しく、特に同地帯はいわゆる特殊土壌地帯でありますため、道路は荒廃の一途をたどり、窮乏せる同市財政能力をもってはとうていこれに対処することはできざるため、同市を通過する県道国分停車場線を初め、福山−国分線、浜之市−東襲山線、小村−国分線中、同市並びにその周辺にコンクリート舗装を早急に実施してもらいたい旨の切々たる陳情を受けたのであります。  これら自衛隊車両による道路破損につきましては、建設省当局におきましてもこれに対処するため、昭和三十二年度予算編成に際して特別道路整備費として揮発油税収入以外に約十億円を要求されたにもかかわらず、思うにまかせなかったようでありますが、今後における自衛隊車両増加重量化を考慮しますとき、この問題はわが国道路整備計画の上に相当のウェートを占めるものとなってくるのではないかと思うのであります。  一方これが解決策として自衛隊工作部隊使用等が論ぜられているのでありますが、これとても将来その事業量増加して参りました際においては、当然民業圧迫の問題が起ってくるのみならず、道路行政一元化という点より見ましてもやはり建設省自体において解決いたさねばならない問題と思うのでありますが、建設省当局はこれに対しいかに対処されるおつもりか、御意見を承わりたいと思うのであります。  なお道路行政一元化という問題に関連してでありますが、最近自衛隊が独自で演習地あるいは宿舎に向う道路を建設し、一般住民もまたこれを利用して便宜をこうむることが多いのでありますが、何分にも構造が十分とはいえず、自衛隊自体においてもこれが維持費に困却いたし、町村当局町道村道への編入を頼んでくる例が往々にしてあるようであります。もちろんそれらの町村といたしましても、財政窮乏の際においてそのように維持費のかさむ道路を引き受けるようなこともないではありましょうが、同じく国の費用で建設する道路であります以上、その目的により多少の違いはありましてもある程度構造規格の統一、国の道路網計画との調整をはかるべく、連絡部会とでも申すようなものを設けて、より効率的な道路行政を行なっていく必要があろうと思うのであります。  最後に車両制限に関する政令について申し上げます。戦後における自動車道路とのバランスの推移を見まするに、自動車増加、特に道路との比較において重量に過ぎ、大型に過ぎ、定期バストラック等の急速なる増加によりまして、道路破損され、あまつさえ財政窮乏をきわめている地方公共団体といたしましては、これが維持修繕をも満足に行うことができず、道路破損一途をたどっておる状態であります。御承知のように、旧道路法におきましては、道路費用負担制度といたしまして、受益者負担及び損傷負担の両制度が設けられてあったのでありますが、現行道路法におきましては改正当時における種々の事情によりまして、第六十一条に受益者負担規定のみが設けられ、特に道路損傷する原因となる事業を行うものに対し、道路維持修繕費の一部を負掛させることができるものとする、いわゆる損傷負担制度が残されなかったことは、今にして思えばまことに遺憾なことであったと思うのであります。  しかしながら今直ちにこの制度を復活するということも、また慎重に検討いたさねばならぬものではありましょうが、いずれにいたしましても単に道路損傷という点からのみでなく、道路交通安全確保という意味からいたしましても、少くとも次善の策といたしまして現行道路法第四十七条第三項の規定のみにても早急に運用でき得るよう、同条第一項による車両制限に関する政令を急速に制定する必要があると思うのであります。同条第二項の規定にいたしましても、やはり本政令がその根本をなすものでありまして当局といたしましても諸般の事情より苦慮されておられることとは存ずるのでありますが、すでに現行道路法制定後足かけ六年を経ております今日、強力なる意思をもって本政令制定努力されるとともに、さらに一歩を進めて、損傷負担制度実現努力いたされるよう、強く要望いたすものであります。  以上、今回の調査による所見のおもなる点を申し上げたのでありますが、これに対する関係当局の明確なる御答弁を期待いたしまして、御報告にかえる次第であります。
  6. 薩摩雄次

    薩摩委員長 三鍋委員よりの報告にありまするうちの、関係当局の御答弁をお願いいたします。
  7. 富樫凱一

    富樫説明員 道路関係につきまして申し上げます。  第一が、一級国道十号線の宮崎県内にあります高岡町と高城町との間の国道改良の問題でございます。お話にありましたように二年越しの懸案になっておりまして、未解決でございます。現道改修案新道を設置する案と両案ございますが、これにつきまして先般道路局といたしまして折衷案と申しますか、一部は現道を利用し、一部は新道にする案を提示いたしましてただいま県と折衝いたしております。われわれといたしましてはこの案が最良と考えておるわけでございますが、なおこの折衷案につきましては一部調査しなければならぬところもございますので、その調査の結果を待ちまして決定いたしたいと考えております。お話通りこの区間は非常に屈曲が多く、また勾配も強いのでありますが、交通量もだんだんに増しておりますのでこの改良が急がれるわけでございますので、この解決を特に急いでおるわけでございまして、なお一そう努力いたしたいと考えております。  それから自衛隊関係においての道路の問題でございます。自衛隊演習などに使います車のために道路損傷することが非常に多くなってきております。お話にありましたように、三十二年度におきまして特別道路整備費用といたしまして十億円を要求いたしたのでありますが、これは実現するに至らなかったわけでありますけれども、自衛隊車両による道路損傷がますます多くなってきておりますので、さらに資料を整えまして、三十三年度におきましても、この費用はぜひ確保いたしたいと考えておるのでございます。  それから自衛隊用のために道路を作って、その道路維持が困難になるので、町村道等編入方を申し出ておるということでございますが、これにつきましては今までそう聞いたことはないのでございます。お話のようなことでございますと、自衛隊道路のために町村が非常に困ることになろうと思います。これらのことにつきましては自衛隊ともよく相談いたしまして自衛隊計画に基いてそれぞれの処置を講じ 市町村道にすべきものは市町村道として、初めからその規格に合う道路を築造するように折衝いたしたいと考えます。  それから道路との関係で行います車両制限の問題でございますが、これは先年お話の御趣旨に沿いましてこの政令を立案いたしたことがございます。しかし諸種事情実現に至らなかったのでございますが、道路が過重の車両を負担いたして損傷するという例が非常に多いし、また交通の安全にも支障を及ぼす場合が多いのでございます。われわれといたしましてはこの車両制限政令を早急に制定いたしまして、道路交通の安全と道路構造確保を期したいと考えているわけでございます。まだ具体的にこれをどう進めるかについてはきめておらぬのでありますが、私どもといたしましてはこの車両制限政令はどうしても必要である、しかもすみやかに実施する必要があると考えている次第でございます。そのように今後努力いたしたいと考えます。
  8. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの御報告の中にありました肝属川の問題でございます。本河川台風及びその他の豪雨地帯に属しまして、しかもその河川は非常に屈曲が多い河川でございます。しかも勾配がありませんので、従来非常に災害を起しておりました。従いまして、これを直轄河川改修として取り上げて現在やっているわけでございますが、御指摘通り、まだ河川の非常に屈曲のある部分をまっすぐにしたという仕事が一応終った程度でございまして、それに応ずる護岸であるとか、あるいは橋梁の問題であるとか、それからまた河口閉塞等が大きな問題として残っているわけでございます。そういう点につきまして御指摘のように川を掘ったばかりでは水が参りますと欠けるという心配がありますので、低水の護岸等を早くやりたいというように考えております。また河口の問題につきましても、せっかく改修しても河口が土砂で詰まるというようなことになりますと、非常に沿岸が低いものでございますから影響が大きいわけでございます。しかし河口の問題は非常にむずかしい問題でございまして、数年来その調査をしておりましたが、最近に至って大体の傾向がわかって参りまして、試験工事等の段階に入っております。従いましてそういう点を勘案いたしまして、今後できるだけ早く、今申されましたような点に重点を置きまして改修の完結をはかりたいというふうに考えております。
  9. 植田俊雄

    植田説明員 先ほど三鍋委員からお話がありました福岡市の不良住宅の問題でございますが、その問題につきましては県、市の当局が相当苦心していることかとも存じますけれども、まだ建設省に対しまして、それについてどういう措置を講じていいか、一つ力をかしてくれというような申し出はただいまのところ受け取っておらないわけでございます。至急県とも連絡いたしまして実情を聞きまして、どういう方策でやるのが一番いいかということを検討いたしますと同時に、最近の住宅建設におきましては、単に家を建てるというばかりでなく、都市計画的な配慮も十分講じなければならぬ。従って単に県市説得力にのみ期待するばかりでなく、中央といたしましても、これに対して応援する、場合によっては法律の改正もお願いしなければならぬような場合も多いだろうと思いますので、そういう問題の一つのテスト・ケースといたしまして、この問題を今後できるだけすみやかに検討をいたしたいと考えておるわけでございます。
  10. 薩摩雄次

  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今の報告に対する道路局長説明に関して、ちょっと質問いたしたいと思います。  先ほど所見を開陳されました国道十号線高岡高城間の改良の件でございますが、先ほど局長お話通りに、建設省が最初に調査計画を立てられたいわゆる新道を作るのと、知事県道改修するという意見が対立したままになっております。先ほど局長から御説明で、その間の一部の計画の変更をする折衷案という言葉がございましたが、これが技術的に最良のものである。しかしその点を一部調査しなければならない。その調査をするというお話でありましたが、調査はどこでされるか。実は内容を申し上げると、県の道路行政を担当しておる土木部においても、道路局長が示された今度の一部改訂案と申しますか、それには賛意を表しておる。賛意を表しておりますが、実情知事の出身町というところからああいう問題が起っておるのでありますが、土木部専門家たち知事との関係で、その調査知事が命じない以上はそれにさわることができないという実情にある。そういうことで私は日本幹線道路改修というものはできないと思いますが、局長調査をするというお話でありましたが、かりに県の土木部調査を委託するのか何するのか知りませんが、やられましても、今の状態では土木部調査に着手することができない事情にあると私は思います。それでありますから、局長は旧国道改良について、そういう場合にどういう態度をとられるか、この点を承わりたい。
  12. 富樫凱一

    富樫説明員 先般九州に出張いたしまして現地を見た際、九州地建にその調査を依頼いたしまして、九州地建がその折衷案と申しますか新たに引かれた線について調査することになっております。なお県の土木課長にも調査するように申して参りましたが、あれは直轄で実施する考えでございますので、地建調査が主体になるわけであります。
  13. 二階堂進

    二階堂委員 ちょっと一点。自衛隊道路の問題についてちょっと先ほど報告に関連して道路局長にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど道路局長は、来年度も自衛隊の使用する道路維持、管理あるいは補修、これに約十億の予算を要求するつもりだ、こういうことであったのでありますが、私はもともとこの自衛隊が一応使う、こわす、それを補修しなければいけない、あるいはまた一般交通に非常な支障を来たしておる、そういう道路につきましては、自衛隊自体で、相当演習計画もあるだろうと思いますし、それに従って使用する道路もあるだろうと思っております。でありまするから、私は自衛隊の方の関係予算をもってあなたの道路局に折衝するのが当然であって、従ってこの予算も私は一般ガソリン財源をもってそういうのに充てるということは当を得ていないと思う。これは自衛隊一般県道なりあるいは町村道なり、そういうものを使って、しかも道をこわしておる、また一般交通支障を来たしておる。そういうような道路であれば、自衛隊、防衛庁の予算をもってこれは修理するなり、あるいは一般交通支障を緩和するなり、そういうことをするのが当然だろうと思っています。建設省道路局の方から一般ガソリン財源をもってそういうめんどうを見てやるという考え方自体に私は間違いがあるのではなかろうかと思うのですが、これは予算折衝のときには私どもも特にその点には留意しまして折衝したいと思っておりますが、道路局自体としてそういう考えは間違っていると思うんですが、どうなんですか。
  14. 富樫凱一

    富樫説明員 先ほど三十二年度におきまして十億を要求したと申し上げたのでございますが、この十億は五ヵ年計画以外の費用として要求いたしたわけであります。従ってガソリン税からこの費用を出すということではなしに、別の財源で要求いたしたわけであります。自衛隊費用でやったらということもあるのでございますが、道路管理者が道路の管理をした方がいいわけで、その方が筋であると考えますので、一般道路費用とは別に、自衛隊のために必要になった道路費用として、別の費用を要求する考えでございます。
  15. 二階堂進

    二階堂委員 そういうような考えで予算の要求をしていただきたいと思います。  それから博多市内の朝鮮人部落の解消の問題なんですが、これは福岡市あるいは県当局からある程度の建設費をあなたの方にお願いするという要求があったかどうかわかりませんが、あるだろうと思っています。これは私はやはりあのままほって置いてはお互いのためにならぬと思っています。あの問題を解決するのには相当困難な問題があると思っていますけれども、両方から積極的に解決策を持ち寄って解決するように努力しなければ、いつまでたっても私は解決できぬと思っております。しかも町のまん中に非常に衛生上から見ても思わしからざる集団部落があるわけなんです。これは都市計画の上から見ましても、衛生関係の上から見ましても、非常に福岡市にとりましても不幸なことだと思っておりますし、また朝鮮人の方々に対しましても非常に問題があろうと思っておりますが、早急に一つこれを解決するように、あなたの方としても積極的に協力態勢を作っていただきたい。私が行ったときの考えでは、別ワクで第二種の公営住宅とか、あるいは公営住宅でも何か別ワクで考えてやって、そして移転先は福岡市が見つけてやって、そういうものを積極的に国が作ってやるという協力態勢も積極的に考えてやらなければ解決はなかなかむずかしいと思うのです。これは相当思い切って腹を据えてこの解決策に乗り出していただくように特に私はお願いを申し上げたいのであります。
  16. 植田俊雄

    植田説明員 ただいまのお話の点はごもっともでございまして、住宅対策も他の各種の行政との関連におきまして、総合対策として実施しなければならぬ時期に来ておるかと思います。そういう意味におきまして、特に建設省内におきます計画局との関連はもちろんでございますが、他の行政との関連も十分つけまして、そしてこの問題は単に県、市のみの力では解決できないものもあろうかと思いますので、そういうものにつきましては、中央の行政機関も協力するようにいたしまして、解決するための万全の努力を尽していきたいと考えます。
  17. 薩摩雄次

    薩摩委員長 委員松澤雄藏君。
  18. 松澤雄藏

    ○松澤委員 去る六月十二日より七日間にわたる徳島、高知、愛媛、香川の四県における建設省関係公共事業を視察して参ったのでありますが、これをすべて御報告申し上げますことは相当長時間を要しますので、概要の報告は文書として提出いたしましたものを速記録に掲載いたし、それによって報告にかえるよう、なおまた地元の陳情書は建設省に直接送付し、善処を願うよう委員長において適当な御処置を願いたいと存じます。
  19. 薩摩雄次

    薩摩委員長 了承いたしました。
  20. 松澤雄藏

    ○松澤委員 それではお許しを得まして、まず簡単に所見を申し述べたいと思います。なおこれに対する政府の御意見がありますれば、後ほど承わりたいと存じます。  まず道路について申し上げます。現行の道路法によりますと、国道の管理はほとんど都道府県知事に依存しておるのでありますが、これはやはり国の責任において、国が管理すべきものと考えます。申すまでもなく、国道は一地方のために存するものではなく、国全体の発展に大きな役割を果さなければならないものでありまして、いまや国をあげて道路整備に力を注がなければならないときに当り、経済規模の弱小な地方公共団体にその管理を行わしめることは、一面においては道路整備を遅延させる原因となり、他面都道府県に過酷な荷重を負わせるものと考えます。幸いに政府自体が道路整備を重大政策としているときでありますので、早急に道路法改正を行い、少くとも国道に関しては国が直轄管理を行わなければならないものと強く感じた次第であります。  次に、道路改良でありますが、国道はもちろん、重要府県道くらいまでは各路線ごとに全体計画を樹立し、実施面でも計画的に行うべきであると感じて参った次第であります。現在の実施方法は道路十ヵ年計画といっても、これは単に予算的のみであり、ために現地の状況は同一路線上で年度において、場所において、時の計画設計者において、みな別々であり、幅員のきわめて広いところ、将来のことを考えるときわめて狭いところ、当然つけかえるべきところをそのままとしたり、全く一貫した計画があるのかと疑わざるを得ないところが相当あるように見受けられたのでありますが、政府として十分留意をして行う必要を痛感するとともに、この際公共のため土地収用法の再検討の必要性もまた強く感じて参った次第であります。  なお舗装についてでありますが、現在の道路舗装は道路が完全に破損するまで行われないのが実情であります。完全破損前に補修的舗装をすれば、道路の機能は維持され、かつまた比較的少額の補修費をもって足りることとなり、経済効果の面からいっても非常に有利であることは申すまでもないのであります。現在この点がおろそかにされておりますことは、かかる補修的な舗装に国費が使われておらないことに起因していると思いますが、今後はかかる点にも留意をしながら、道路維持を行うべきであると感ずるものであります。  次に、河川改修の基本的考え方をどこに置いてあるかということであります。これは全国的に見られるのでありますが、四国地方もその例に漏れず、例えば徳島県の吉野川もその顕著なものでありますが、河川改修の基本的構想は当然一本の河川全体の最大流量や洪水量等を十分調査の上、総合的計画を樹立し、その工事は下流より実施さるべきであるにかかわらず、現在の状況は河川の上、下流を問わず工事の可能なところより実施し、ために狭窄部地帯の解消工事を行うとすれば下流の護岸堤防の危険ということになり、いまだ至るところに遊水地帯なるものが現われ、局部住民に河川全体の負担をかけているのを見受けることはまことに遺憾にたえない、かかることは改策上の重大な過誤であり、遊水地帯住民より人為災害として補償措置の要求が起らざることがふしぎであるとすら考えられるものであります。今後は十分検討し、かかることのないよう留意すべきであると思うのであります。  なお河川維持修繕についてでありますが、各県とも平常時における維持管理をどの程度まで重要視しているかが疑問であると思われたのであります。たとえば渇水時において根固めの沈床が露出し、沈床の腐敗や積み石のくずれがそのまま放置され、次の洪水には何らの用をなさないため、堤防が破壊されることがしばしばあるのでありますが、これなども根固めの補修が行われておれば、かかる被害を未然に防ぐことができるのであります。かくのごとく道路並びに河川維持修繕を完全に行うことは資金の効率的な使い方であると考えますので、このような点にも重点を置いた施策を講ずべきであると考えるのであります。  また海岸の護岸の堤防でありますが、瀬戸沿岸や当地方はわが国の最も有数な観光地であることに思いをおき、同一金額にても観光にふさわしい設計計画のもとに実施すべきであると感じて参ったことをあわせて御報告しておきたいと存じます。  なおまた視察の途中でところどころ見かけたのでありますが、河川に塵芥を投げ捨てたり、道路上に材木を放置して交通を妨げたりしているところが依然としてあるのであります。ささいなことのようでありますが、私はそのつど注意をして参ったのであります。公共施設の愛護心の欠如は悲しいかな日本人の大きな欠点でありますが、このような道徳の指導も行政庁の一つの責務でなければなりません。建設省におかれてもこの点の指導を等閑に付することのないようお願いしておきたいと考えるものであります。  以上、雑感をまとめて御報告いたしたのでありますが、この際以上の基本的な見解について政府の御意見を承わっておきたいと存じます。  最後に、各地方におきまして地元より多くの要望を聞いて参りましたので、そのうちのおもなものについて御報告申し上げます。  まず道路局関係について申し上げます。  四国におきましては一級国道十一号線、三十二号線、三十三号線の三線が幹線となっておりますので、各地でこれらの改修促進の陳情を受けて参ったのであります。これらを一々申し上げることは避けたいと思いますが、この際この三線についての整備計画を承わっておきたいのであります。  次に、二級国道高知木頭徳島線の改良について申し上げます。本路線は、森林資源、地下資源の豊富な那賀川流域に沿う高知市と徳島市を連絡する路線でありますが、両県境十二・五キロの間は、国道でありながら自動車交通が不能で、これがため経済上に及ぼす支障はまことに大きく、両県民はこれが早期改良を強く要望しておるのでありますが、建設省改良計画を承わりたいのであります。  次に、県道須崎宇和島線について申し上げます。この路線は、高知県須崎市を起点として四国西南部の中間を縦断し、愛媛県宇和島市に至る百三十キロの路線でありまして、両県の物資の流通上、位置的にも非常に肝要な路線であるにもかかわらず、いまだ主要地方道にも指定されておらず、比較的軽視されてきておるのでありますが、これは四国西南の鉄道にかわるべき幹線でありまして、地元関係町村ではこれを国道編入し、改良を加えて、名実ともに四国の幹線となるよう強く要望しておるのであります。これに対して建設省としてはどのような御見解を持っておられるか、承わりたいのであります。  次に、河川関係について申し上げます。徳島県におきましては、前にも述べました通り、吉野川上流部の遊水地帯を視察して参ったのでありますが、吉野川は阿波郡阿波町岩津より下流部は大正十五年以来建設省直轄区域として改修してきたのでありますが、岩津より上流池田町に至る約四十キロはいまだ人工を加えないまま放置されておるのであります。しかも岩津地点が狭窄部となっているため、その上流地域は常に遊水地帯となり、多大の災害をこうむっておるのであります。この災害を防除するためには、遊水地帯に抜本的な検討を加え、何らかの対策の樹立とすみやかな着工とであります。本年度約五百万円の調査費がついたのでありますが、地元県としてはさらに大幅な調査費の増額を要望しているのであります。  次に、高知県の鏡川でありますが、本川は現在中小河川として改修が行われておりますが、総事業費六億六千万円に対して三十一年度までに五千万円が竣工したにすぎず、河川としての重要性も大きいので、高知県ではこの際これを直轄河川として採択し、特別会計による多目的ダムの建設を強く要望しておりますが、建設省としての御方針を承わりたいのであります。また愛媛県国領川におきましても、治水効果とあわせて県下唯一の工業都市である新居浜市の工業用水の需要に応ずるため、総合開発の計画を進めており、明年度より国の補助を受けて本格的調査を行いたいとの要望があったのであります。  以上、簡単ではありますが、これをもって御報告にかえたいと思います。
  21. 富樫凱一

    富樫説明員 ただいまお話にございました国道直轄管理の問題でございますが、国道直轄管理につきましては、一級国道だけでも直轄管理にいたしたいということで、三十二年度予算におきましても予算要求をいたしたのでございますが、これは実現に至らなかったのでございます。一級国道直轄管理は、申されましたような御趣旨によりぜひ必要と考えますので、これは十カ年計画においてもその趣旨のもとに三十三年度から実現いたしたいと考えて努力いたす所存でございます。  それから道路改良におきます計画的な施工でございますが、これはまことにごもっともであります。私どももその御趣旨に沿うて努力いたしておるわけでございますが、一級国道直轄で実施いたしておりますものにつきましては、ある程度計画的に実施いたしておるのでございますが、補助工事につきましては、必ずしもこの計画が十分とはいえないのでございます。この点につきましては計画がはっきり立ち、その計画によって実施するのでなければ補助しないとまでいっておるわけでございますが、従来調査費等の不足のために思うようにいっておらないのが実情でございます。今後調査費等も十分計上いたしまして計画的に道路改良が実施できるように努力いたしたいと思います。  それから舗装の補修の問題でございますが、言われます通りに、実情は舗装が完全にこわれなければその舗装をやり変えていないのが大部分でございます。それは予算の足らない点からでございますが、これはお話のように舗装がこわれる前に手当をすれば長持ちするわけでございます。これは舗装した翌年から手当をすべきものでありますが、従来この手当が不十分でございました。今後は舗装いたしましても、これで完全に済んだわけではございませんで、舗装も年々手を入れてやりませんと長持ちがしないわけでございますが、御趣旨に沿いまして今後補修の予算も十分にとりたいと考えております。  それから道路の占用と申しますか、占用に関する管理の問題でございます。これも仰せの通り狭い道路をなおさら狭く使っておるようなのが現在の道路の使い方でございます。これは使う者の公徳心によらなければならぬものが相当あるわけでございますが、今後この管理の方にも十分力をいたしていきたいと考えております。また道路愛護の運動などが各県に展開されておるようでありますけれども、その道路愛護の運動の一つに、この道路占用の問題なども取り上げて、狭い道路を、狭いながらも広く使うような考え方にいたしていきたいと考えております。  それから十一号、三十二号、三十三号の一級国道改良の問題でございますが、十一号線につきましては、ただいま直轄で数カ所から進めておるのでございます。お話通りこの十一号線は非常に一級国道として規格が落ちておりますので、今後もこの直轄改良は進めていきたいと考えております。三十二号、三十三号につきましては、それぞれ補助工事で進めておるのでございますが、まず四国におきましては十一号線を重点的に考えて改良を進めておるのでございますが、いずれも一級国道でございますので、十カ年計画におきましては十カ年において完成するようにいたしたいと考えておるのでございます。  それから木頭・徳島線でございますが、これも四国の開発の上から非常に重要な路線でございます。一部高知県の方から始めておるのでございますが、県境に相当高い山がございまして、この部分はトンネルで抜かなければなるまいと考えておるのでございますが、このトンネルを有料道路にしたらどうかという意見もございます。本年度におきましてこれが調査道路公団で実施いたすことになっております。  それから須崎・宇和島線でございますが、これも一部補助工事で進めておるのでございます。お話のように四国におきまして高知県におきましては重要な道路と考えておるのでございますが、国道にするかどうかにつきましては、なお今後検討いたしたいと考えます。
  22. 山本三郎

    山本説明員 お答えいたします。まず第一の河川改修の基本方針という問題に関連いたしまして、吉野川の問題でございますが、ただいま御指摘のありましたように、吉野川につきましては、岩津という点から下流の河川改修が現在まで相当進んで参っておりますけれども、最近の出水によりましてその堤防が非常に漏水いたしますし、また非常に今の規模によりますとちょっと耐えぬような水が参る危険がありますので、その方の改修に現在力を入れております。従いましてお説の通りその岩津から上流池田の部分につきましては、現在まで何の手も染められていないで、非常に地元に対してはお気の毒に存じておるわけでございますが、今申し上げましたように、この点をただ何もしないで改修いたしますると、下流部に非常に重圧がかかって参りますという心配がございますので、何とかしなければならぬけれども、現在のまま、ただそこを堤防をかたくしてしまうということには非常に問題があるわけでございまして、これは一つ吉野川を全体として総合的に考えなければいかぬということにいたして数年来調査をいたして参っておるわけでございますが、今年度から吉野川に特に調査事務所を設置いたしまして、吉野川全体を一つ上流の総合的なダムから下流の河川の問題も総くるめで、一つ建設省として案を作ろうということで調査を進めておりますので、その結果を待ちまして具体的な計画を作って、その線に沿いましてやっていきたいというふうに考えております。  それから第二番目の河川維持管理の不徹底のために災害が起きておるという問題でございますが、これはまことに御説ごもっともでございまして、この点につきましては、従来におきましてもできるだけ各県におきましても河川から上る財源とかいうようなもの、あるいは交付金等に算定されておるものはできるだけ河川維持修繕に使うように指導して参っております。それからまたこの維持管理につきましても、ぜひ補助金を出したいということで数年来努力はいたしておるわけでございますが、遺憾ながら、現在まで実現になっておりません。本年度から幸いにいたしまして水利使用料が若干値上りになりましたので、そういうような点で、県におきましても維持管理費にそういうものを充当していただくように、私どもの方からも指導いたしております。県におきましても考えておる点も相当あるように聞き及んでおります。この点につきましては私どもも全く同感でございますので、今後におきましてもあらゆる方面からこの施策を強力に推進していきたいというふうに考えております。  それから海岸の地盤沈下なり、あるいは海岸の施設をやる場合に、観光に支障があるようなことをやってはまずいということでございますが、これはごもっともな御要求でございまして、観光に適さぬようなごつい高速道を作るというようなことは非常に見た目に悪いわけでございますので、この点についても十分気をつけていきたいというふうに考えております。  それから高知県の鏡川の改修でございますが、お説のようにこの川の改修につきましては、従来から非常に要望されておったのでございますが、二、三年前に新規といたしまして中小河川編入された川でございまして、お説のように、またその進捗率は非常に低いのでございます。上流にダムを作ってやりたいという話を、このごろになりまして高知県で考えております。その点は私どもも、下流の土地をつぶすよりも、上流にそういう好適な地点があるならは非常にいいことじゃないかと思っておりますので、県の調査を待ちまして、またこもらからも、地建等からその点を見まして、計画の立案ができましたら一つ推進したいというふうに考えております。  また愛媛県の国領川の問題でありますが、この河川もまだ現在まで改修工事も行われておりません。また下流部におきましても灌漑用水、工業用水等につきまして非常に要望が強いのでございます。この点につきましても県が非常に力を入れまして計画をまとめつつあります。従いまして、この計画がまとまりまして、非常に有利なものということがわかりますれば、私どもといたしましては来年度でも補助工事に取り上げたいというふうなつもりでおります。
  23. 松澤雄藏

    ○松澤委員 私御報告申し上げました中で、補足説明をしながらもう一度河川局長にお伺いしたいと思うのですが、先ほど例をとって吉野川のことを申し上げましたが、今のお話を聞くと、検討するんだという意味で、事務所を作るという意味でございましたが、これは一吉野川にすぎないので、全国的に見まして、さっきも申し上げましたように、今までの河川改修の状況を見ますに、仕事のしやすいところからかかる。すなわち下流であろうが上流であろうが、しにくいところはあとに残す。しかも、その一番やりにくいところを将来改良なり改修した場合、下流にどういう影響を及ぼすということを果して考えて下流の築堤なり構造をやっておるか、これが非常に大きな問題で、だんだん進むに従って、上流の方を直してきまして、その狭窄部地帯を今度は開くとなりますと、下流の方に大きな影響を及ぼす。従って狭窄地帯は直すわけにいかないというふうなことになりつつあるように、私は国内全体的に見てそういうふうにも見えるし、特に吉野川においてその感を深くして参った、こういうわけであります。従って私の申し上げるのは、一つ河川を少くとも直轄改修をやらんとする場合は、下流から上流まで相当な調査をして、しかもはっきりした計画を立てて、将来ともかりにそれがあと回しになったといたしましても、どこを直しても下流や上流に影響がないというふうな、一貫したところの測量なり調査なりあるいはまた計画というものがなくちゃならぬ、こういうふうに私は思うのであります。そういうふうな例が吉野川であり、他にも数地区ございます。これを私は申し上げておるのでありまして、あとになってからその地区だけを犠牲にして残さなければならぬというふうなことがあっては、政策上私はまことに不均衡な政策である、こういうふうに考えるものであります。その点を間違いのないように十分に考えて、政府当局では——今後の予算面のいかんによって直し得る場合もあるし、直し得ない場合もある、たとい予算がついてもあるいは直せないというようなこともあるでしょうが、予算がついたならば、その部分を直しても他に影響がないというふうな計画的な面をはっきりしていただきたい、こういうことを私は申し上げるわけでありますから、どうかその意味をかような趣旨に解釈を願って、その線をはっきりさせるように今後努めていただきたい、こういうことであります。  なおささいなように聞えたでしょうけれども、海岸堤防の問題です。現在至るところを見ましても、ただかたくすればいいんだ、固めればいいんだというふうな方式だけであって、同一の金額でやるならば、その地域がどういう地域であるかということを十分に見きわめて、技術的にもいかなる方法でやったならば観光地的な方法でやっていけるか。この最も顕著な例は、日本でも有数な観光地域といわれている、あの熱海の海岸を見ればはっきりする。ああいうふうな作り方であって、なるほどがんじょうではありましょうけれども、あれで観光地として果して適当といい得るかどうか、四国でも同様に私は見て参ったし、また瀬戸内方面においても同様な点が非常に多かった。この点も特に河川方面と、あるいは海岸堤防の面をお預かりしている政府当局においては、ぜひ十分に調査をしていただきたいということをここで申し述べておきたい、かように思います。
  24. 山本三郎

    山本説明員 ただいまのお話まことにもっともでございますので、今後におきましても十分そういう点に留意してやっていきたい、こういうふうに思います。
  25. 薩摩雄次

    薩摩委員長 前田榮之助君。
  26. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 去る六月十五日より十八日に至る四日間、兵庫、奈良、和歌山の三県にわたって建設状況の視察を行なった結果を御報告申し上げるのでありますが、これをすべて御報告申し上げますことは、相当長時間を要しますので、概要の報告は、文書として提出いたしましたものを速記録に掲載いたし、それによって報告にかえるよう委員長において適切な御処置を願いたいと存じます。
  27. 薩摩雄次

    薩摩委員長 承知いたしました。
  28. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 それではお許しを得まして、まず簡単に所見を申し述べたいと存じます。  まず兵庫県において視察いたしました第二阪神国道の建設及び尼崎市の海岸防潮堤について申し上げます。  第二阪神国道は、現在の阪神国道交通を緩和するため、これに並行した幅員五十メートルの新道を建設しようとするものであります。本路線のうち最も主要なる区間は、尼崎市、神戸市間約二十キロにわたる部分でありますが、このうち約三分の二の区間は、すでに戦災復興事業によって一応道路の形は整っているのでありますが、なお七キロ余の区間が未施行の状態にあるのであります。  この未施行の区間は数ヵ所にわたっており、その多くは非戦災地区であって、家屋密集の状態にあり、しかも現在幅員は自動車のすれ違いも困難な個所が少くないようなありさまで、これを五十メートルの幅員に拡幅するととは、区画整理事業によるとはいえ、きわめて困難を伴うものであることが予想されるのであります。しかしながらこれらの区間はすでに述べた通り数カ所に分散しているため、それらのすべてが完成するまでは国道としての効用は期待し得ず、本路線の重要性から見ても早急に事業を促進することが望まれる次第であります。  また、すでに貫通している部分について見ても歩車道区分、舗装等の完備している部分はきわめて小区間であり、大部分道路用地が確保されている程度で、雑草の生えるにまかせている現状でありました。これは途中に未施行区間が散在して、一貫して道路の効用を発揮し得ないためでありましょうが、現国道交通状況が極度に混乱している点から見て、全線開通を見る以前においても可能な限りにおいて区間的利用、あるいは現国道部分的バイパスとしての利用ができるよう、既開通部分についても早急な整備を要するものと思われるのであります。そしてこの場合においても地区全体の交通系統を勘案の上、最も有効な利用が可能となるよう配慮し、特に神崎川あるいは武庫川等の橋梁については早急な架橋、整備が必要と考えられるのであります。  次に尼崎市の海岸防潮堤について申し上げます。この防潮堤は総工費三十億円、五カ年の歳月を費して去る昭和三十一年三月完成したもので、これによって尼崎市南部の工業地帯は、高潮被害の恐怖から完全に解放されることとなり、その成果はまことに偉大なものがあるのであります。しかしながら同地区一帯は依然として地盤沈下の傾向が著しく、防潮堤自体も完成後一年にして相当量の沈下を見ているとのことでありました。同地区における工業の発展はなお活発なものがあり、特に防潮堤の完成により高潮被害がなくなったことは、工場の新増設に拍車をかけるものと予想されるのであり、この際地盤沈下に対する一般対策を強力に推進して、せっかく完成された防潮堤の効果が地盤沈下によって阻害されることを防ぐ必要があると考えられるのであります。なお、完成した防潮堤並びにこれに付属する閘門、水門、排水ポンプ等の維持管理並びに操作には、年間九百二十万円の経費を必要とし、現在その六割を市、四割を県が負担して、県当局が管理に当っているのでありますが、地方財政逼迫の折柄、この経費についてもその一部を国において補助されるよう、地元関係者の陳情を受けた次第であります。  次に、奈良県及び和歌山県下において視察いたしました河川総合開発等について申し上げます。まず十津川、紀ノ川総合開発でありますが、本計画の経緯の詳細については、別途概況報告書をごらんいただくことといたしますが、今回視察いたしました猿ケ谷ダムは、吉野郡大塔村猿ケ谷地点に、高さ七十四メートル、堤頂長さ百七十メートルのダムを築造し、これによって十津川の上流部をせきとめて貯水するとともに、十津川支流の川原樋川の水を延長約十キロの隧道をもって貯水池に導入し、これらの水を紀ノ川に落し、吉野川の水を大和平野の灌漑に利用する結果生ずる紀ノ川の減水を補おうとするとともに、その落差を利用して発電を行おうとするものであります。  このダムは、すでに予定の湛水を終え、二カ所の発電所もすでに発電を開始しているのでありますが、灌漑用水の配分、あるいはダム貯水による十津川下流の減水等については、なお問題があるようであります。これらの解決には、補償等の問題をも含めて慎重に考慮をする必要があると考えられます。  次に、熊野川の総合開発計画について申し上げます。熊野川の開発につきましては、電源開発については開発地点も決定、昭和三十一年度より工事着手の旨が公示されて、すでに一応工事着手の段階に入っているのでありますが、なお問題は残っているようであります。特に北山川筋における三重県側銚子川への分水計画については、発電地点あるいはその方式について、地元、特にその開発地点のいかんによって利害を異にする尾鷲地区と新宮地区とからは、それぞれ全く相反する内容の陳情を受けたような次第であります。すなわち、尾鷲市長を会長とする尾鷲発電所建設期成同盟会からは、北山川の分流案を支持し、同工事が最近に至って技術的調査を理由に一時着工を見送られていることに関連して、この分流案が廃止され、北山川本流筋に発電所を設置するよう計画変更されるのだといううわさがあるとして、既定方針通り進めるべきことを陳情されております。また一方、熊野川河口に位置する新宮市の市長からは、熊野川は、さきに十津川、紀ノ川総合開発による猿ケ谷ダム建設によって十津川の分水が行われた結果、水量が著しく減少し、舟航あるいは木材の搬出に支障を来たしている。そこにさらに北山川においても分水を行うことは一そうの減水を来たして、熊野川の水の利用を極度に阻害し、市の存立にもかかわる事態を引き起すことは疑いない、このような北山川の分水には絶対反対である、電源開発は本流において行うべきであるとの趣旨の陳情を受けております。  これを見まするに、尾鷲側の主張については、北山川分流案が、詳細な調査検討を経て電源開発調整審議会において決定、公示されたものであるという点からも、無理のないところであり、また一方、新宮側の主張も、猿ケ谷の分水による減水が予想以上にひどかったという事実は、ダムの湛水が昨年来の異状渇水の下に行われた関係上、湛水前に比較した減水量がそのまま分水の影響であると断定することは危険であると思われますが、いずれにしても、分水による減水はこれまた免かれがたいものがあり、その点から見て、その主張もまた無理もない点があります。  この間の調整につきましては、補償の問題ともからみ困難があるとは考えるのでありますが、あくまでも熊野川地域全体の総合開発計画という立場から、最も効果的な開発が、最小限の犠牲——それに対しては妥当なる補償が行われるべきことは当然でありますが、その最小限の犠牲と最大限の能率をもって行い得るようにするという見地から判定が下さるべきであって、単に一地方における政治的な取引によってこれが動かされるようなことがあってはならないと考えるものであります。  最後に、以上のことき吉野熊野特定地域総合開発の現状を見て感じた点の二、三を述べて、結びとすることといたします。  その第一は、総合開発が果して総合的に行われているかどうかという点であります。今回視察を行なった吉野熊野地域は、もとより十六の特定地域のうちの一つにすぎず、これをもって全体を言うことは当を得ないかと思われますが、どうも総合的な計画はあっても、その実施が総合的に行われているとは考えられぬ点もあるように思われるのであります。  すなわち、言ってみれば、電源開発が独走していて、他の部門が取り残されているといった状態が見られるのであります。道路についてみても、十津川に沿って、奈良県五条町と和歌山県新宮市を結ぶ二級国道第一六八号線は、大和平野と紀南地区を結ぶ唯一の路線といってもよいのでありますが、この道路は、五条町より猿ケ谷ダムに至る間は、ダム工事が行われた関係で、まずまず形を備えているのでありますが、それより先は道路とは名ばかりのもので、それも、折立−本宮間は道路自体が断絶していて、この道路は二級国道とはいうものの、いまだに全通していない有様であります。そして、猿ケ谷ダム以南の区間においては、現在かなりの改修工事が行われてはおりますが、それも、風屋ダムの建設に伴う工事機材の運搬用並びに水没補償としてのっけかえとして行われているものであります。  電源開発の重要性から、それが優先的に行われることの必要はともかくとして、ダムができ、発電所はできたが、そこで発生する電力は大消費地へ直送されてしまって、地元には単に補償金が出されただけというようなことでは、総合開発とは名ばかりであるといってよいものと考えられるのであります。この点について、総合開発が単に一計画面のみならず、事業の面においても真に総合的に行われて、その効果を現わし得るよう関係当局間の連係を密にする必要があると考えられるのであります。  第二には、水没に対する処置の問題であります。ダム建設に伴う水没に対しては当然補償がなされねばならぬのでありますが、これまでとかく金銭によって補償清算が行われ、それによって事終れりとしている例が多く、損害補償という点から見ればそれでよいわけでありますが、総合開発が行われるという見地から見るとき、これではあまりにも消極的に過ぎるのではないかと考えざるを得ないのであります。  二、三の例をあげるならば、十津川の場合木材のいかだ流しによる搬出についても、ダム設置による減水はいかだ流しを不可能にするかもしれませんが、いかだ師の失職に対する補償を一応別にして考えれば、道路整備してこれをトラック輸送に切りかえることによって従来以上に能率的な搬出が可能となることも考えられます。また観光面についても、ダムの湛水によってたとえば瀞八丁のごとき渓谷美が失われることは確かに惜しむべきではあり、一面ダムによって作られる人造湖が新しい観光価値を生ずることも考えられ、これに道路その他の施設を整備することによって、従来以上の観光客を誘致することも、佐久間ダム等の例を見るまでもなく、また可能となるでありましょう。また新たに開発された電力の一部を地元にさいて、木材加工等の工業を振興させるといった方式もとらるべきであると思うのであります。  要するに現況によって正当なる利益を得ていた人々に対する完全なる補償を前提としての話ではありますが、あまりにも現況に恋々とすることなく前進的態度計画を進めるとともに、地元民をも十分に説得させ、それによって水没地帯の住民はもちろん地域全体としての生活の向上がはかり得るような総合的計画がなされるべきであると思うのであります。  以上をもって奈良、和歌山両県下における総合開発計画の視察の所感を終ります。なお、奈良県におきましては、大和川の直轄改修工事のうち未改修部分三キロの早急な施行、吉野川を直轄工事施行河川区域に編入すること、大和川水系の飛鳥川、秋篠川の改良一級国道第二十四号線の早期改良、阪奈道路の国鉄との立体交叉工事促進等について、また新宮市においては二級国道のつけかえ、漁港改修等についてそれぞれ当事者からの陳情があったのでありますが、今回は時間の関係からそれらの現地を詳細に調査することもできませんでしたので、次の機会に譲ることとして、今回はそれらについては割愛させていただくことといたします。  以上をもって兵庫、奈良、和歌山三県の視察の結果の報告を終ることといたしますが、これにつきまして関係当局の御意見があれば承わりたく存ずる次第であります。
  29. 富樫凱一

    富樫説明員 御所見の中にございました第二阪神国道について申し上げます。お話にございましたように現在の阪神国道はもう飽和状態になっておるのでありまして、これに対しまして第二阪神国道を急速に改良すべく努力いたしておるのでございますが、この第二阪神国道につきましては区画整理事業につきまして二十六億円かかります。三十二年度約八億を出しておりますので、三十二年度から三年かかる勘定になるわけであります。この区画整理されましたあと国道にするのでありますが、本年度から直轄して工事を施行することにいたしております。とりあえず半分だけでも全通させたいわけでありますが、この国道改良事業として四十七億円要るわけであります。これも区画整理事業とマッチさせまして、区画整理事業が終りましたあと一年で道路を全通させたい計画でただいま進めておるわけでございます。お話にございました武庫川、神崎川にかかる橋梁につきましても本年度から補助事業で着工いたしておるわけでございますが、三十二年度から道路の片側だけやりましてもこれは相当な幅があるわけでありますので、現在の阪神国道の緩和には大いに役立つのでございますから、三十二年度から二年間くらいで全通させる計画でございます。
  30. 山本三郎

    山本説明員 ただいまの御報告の中におきまして私の関係の点についての御説明を申し上げます。  第一番目の尼崎の海岸堤防の問題でありますが、尼崎の前面の海に面する海岸堤防の問題は運輸省の所管でやっております。ただこれに接続いたします神崎川等の堤防につきましては建設省の所管で竣工させたのでございますが、それらの堤防ができ上って、現在におきましては重要な任務を果しておるわけでございますが、それが御説の通りでき上ってから最近までにおきまして相当の沈下をいたしております。従いまして県といたしましてもあるいは市といたしましても、その点につきまして重大な関心を持っておりまして、その調査も進めておるわけでございますが、まずこれの原因の除去ということが必要でございますので、できるだけ工業用水等を井戸からくみ上げないような方法を考えなければならぬということで、工業用水を河川等から引用いたしまして井戸水に代替していこうというような方法も考えております。そういうような方法を考えますならば、この地盤沈下に対する先の見通しも立てられるという点から研究いたしまして、最後の線がどのくらいに落ちつくかということを目下検討中でございますから、それに応じて諸施策を考えていきたい。堤防等を上げる方法も、どれくらい上げたらいいかという見きわめをつけまして今後におきまして施策をやっていきたいと考えております。  それから水面等の管理の問題につきましては、ただいま申し上げましたように運輸省の所管になっておりますので、その方面の問題になるわけでございます。  それから熊野川の開発の問題でございますが、この問題につきましてはお説の通りに北山川を尾鷲で分水いたす問題と、それから本流沿いに開発するという問題があるのでございますが、ただいまの状況におきましては尾鷲に北山川の水を分水するという計画のもとにおきまして、電発の申請に基きまして水利権の許可がされております。従いまして政府といたしましてはその方針で現在進んでおるわけでございます。お説のように各方面からの陳情は参っておりますけれども、現在におきましてはその方針を変えるというふうなことは考えておりません。先ほどお話がありましたように、熊野川の水系の開発を最も有効に役立たせるように、しかもそれによる犠牲等を最小限度に済ませなければならぬという大方針のもとに決定されておる大問題でございまして、今後もし変更するというような問題がありますならば、そういう点は十分検討いたしますし、しかも地元なり県なりの十分な了解のもとに行われないとできない問題であるというふうに考えておるのでございます。  それから水没の問題でございますが、熊野川の開発、十津川の開発にいたしましても、水没の問題あるいはいかだの問題等がございますが、お説の通り水没の問題についてもただ単に金銭だけ払いましてそれで片づけるというような方法だけでなくて、実物の賠償をするとか、あるいはいかだ流しのかわりに道路を作ってやるというふうな、将来非常に役立つような方向に変えて補償を行うというふうに指導しております。今後におきましてもできるだけそういうような方向に進みたいというふうに考えております。  それから奈良県の大和川の促進、あるいは吉野川の直轄区域編入の問題、それから大和川水系の中小河川編入並びに促進の問題につきましても、今後できるだけ早い機会に調査を進めましてそれぞれ行いたい。それからまた賠償の促進等につきましてもできるだけ努力したいというふうに考えております。
  31. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 大体御意見はわかったのでありますが、私のさきに述べた中にもありましたように、熊野川水系の総合開発を円満に、しかも能率的に推進するためには、できるだけ地方民に納得させるということが先決問題だと思う。そこで十津川水系の道路を電源開発会社が電源開発事業に必要な点においてやっておるような程度のやり方、そういうことでありますから、河川を利用する舟航の関係、いかだ流しの関係というようなものの方が先に打撃をこうむって、おれはどうするのかというふうに人心が動揺してくる。そういうことになるのだから、道路をこういうようにつけるのだといって道路を先につけて、もういかだ流しの必要のないようにし、また全国で独得な船だというあそこのプロペラ船、こういうものももう両岸に相当りっぱな道路ができて自動車がどんどん飛びおる、こういうようなことになれば、そういうことの神経をとがらせなくても済む状態になる。そうでなくて、総合開発といいながら、電源開発会社は必要だからやるので、そういうところに大体まかせたような格好で総合開発を進めていくというところに私はいろいろな問題が出てくると思う。たとえば尾鷲分流の問題でも、電源開発の効率的な利用からいいますならば尾鷲分流が当然合理的な方法である。だけれども、いろいろな問題が派生的に起るから反対論が出る。総合開発を円満にやっていくということになれば、まず交通機関の整備ということが先決で、その土地のいろいろな資源等の開発を有効にする点からも必要なことである。国費多端の折からでもあろうけれども、京都から奈良、五条と南北を通ずる一貫した道路をさっとつけておやりなったらどうかと思うのですが、どうですか。
  32. 富樫凱一

    富樫説明員 五条新線につきましては、だいぶ前から金を投じましてやっと折立まで行ったわけであります。そこで電源開発の問題が起きまして、折立から本宮までの間、これは電源開発からも道路が必要でありますので、その分に応ずる金を出しております。それに加えまして道路整備費を出しまして、計画通りの幅員でただいま改良を進めておるわけでありますが、この改良のピッチは電源開発に合せておるわけであります。ただ、先生も申されましたように、電源開発が起る前にそういう道路ができておれば確かに地元の方々も安心できたでありましようし、その方が効果が多かったろうとは考えるのでありますが、道路予算から参りまして、なかなかそのようにたくさんの金をあの道路に投ずることができなかったので現状のような工合でありますが、私どもの立場からいたしますと、できるだけ電源開発のピッチに合わして道路開発を促進するということで、これは通常よりも非常に多くの予算を本年度からつぎ込んでおるわけでございますので御了承願いたいと思います。
  33. 薩摩雄次

    薩摩委員長 次に、去る五月二十三日より視察を行いました天龍川水系ダム建設による災害問題につきまして、瀬戸山君より発言を求められておりますので、これを許します。瀬戸山三男君。
  34. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 本年五月七日、当委員会で天龍川水系ダム設置による災害問題が審議せられましたが、これが実情調査のため現地視察を行いました結果につき御報告いたします。  現地視察は本員のほか薩摩二階堂、前田、三鍋、小川の六委員によって、六月二十三日、二十四日両日にわたり泰阜ダム(門島ダムとも称する)、南向ダム(吉瀬ダムとも称する)及び大久保ダムの沿岸関係町村の現場について行なったのであります。これら三ダムの視察しました地点におきましては、いずれも河床上昇の事実を認めましたが、特に泰阜ダムの上流部分ははなはだしく、川路村、龍江村地先では四メートルないし五メートルに及ぶ実情でありました。この河床上昇は当然地下水位の上昇を伴い、堤防裏の耕地を湿地化し、また洪水時の異常の高水位を誘発し、長期間湛水せしめ、被害を与えていることは想像にかたからぬところでありまして、被害地の実地調査をも行なった次第であります。  これらの被害現象につきましては、一部天龍川に狭窄部のあることが指摘され、また沿岸の湿地化には流域山間部よりの悪水流出が指摘され、必ずしも全部をダム設置に原因するものと断定はいたしがたいのでありますが、ダム設置が上流支川の土砂汗止の不十分と相待って被害を発生せしめていることは否定できぬところであります。  この被害に対しましては、国、県、電力会社の三者が早急に対策を確立し、その防止に努めなければならないのは当然のことでありまして、昭和二十二年度より建設省が開始した天龍川上流直轄改修工事はその後十年近くを経過しているにもかかわらず予期の成果をあげておらない状況でありますから、これが促進をはかることがまず急務であると認めたのであります。  次に建設省は長野県が中心となって研究している総合対策につき県、電力会社を督励し、すみやかに結論を出し、着工せしむることが急務と認めたのであります。すなわちその対策は、一、応急対策、1川路、竜江地区の流心処置、2川路、竜江地区の耕地床上、3喬木地区排水路。二、恒久対策、1天龍川直轄改修工事の促進、2ダム構造の改善、3天龍峡の岩掘さく、4天龍峡のはけ口の流路整正、5上流地域の土砂汗止、6ゲイト操作の改善等を内容とするものであります。  なお将来水利権の特許に当っては土砂の仮定堆積量の算定につき遺憾なきことを期するとともに、支川の土砂汗止等についてもあらかじめ十分措置し、ダム設置後この種災害の発生を極力少なからしむることが必要であると認めた次第であります。  以上御報告申し上げます。
  35. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それでは暫時休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後零時十五分開議
  36. 薩摩雄次

    薩摩委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  この際お諮りいたします。住宅に関する件につきまして日本住宅公団理事澁江操一君、吉田安三郎君の両君を参考人として当委員会に本日出頭を求め、意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 薩摩雄次

    薩摩委員長 御異議なしと認めます。  それでは河川道路及び住宅に関する件につきまして調査を進めます。質疑の通告がございます。順次これを許します。中島巖君。
  38. 中島巖

    中島(巖)委員 先般は委員各位が天龍川水系のダム災害を御視察いただきまして、地元民から、非常に感謝をいたしており、お礼を申し上げろということでありますので、この席をかりて厚くお礼を申し上げます。  今回、ただいま陳情がありましたように、長野県の南部におきまして非常な風水害があったわけであります。これはごく一小部分でありまして、一市十カ村程度のところに、三百ないし三百五十ミリというような降雨があって、災害が起きたわけであります。写真でお手元に差し上げてあるような状況でありますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、このわずかな地区に二十人の死者が出たのでありまして、全国で六十一人とか聞いておりますが、このわずかの地区で全国において三分の一の死者が出たというような状況からみましても、いかに災害が大きかったかということが御想像できると思うのであります。そこで、県並びに政府といたしましては、非常に敏速な処置をとっていただきまして、二十七日夜半から二十八日朝にかけての災害に対しまして、一日、二日には、建設省といたしましては、防災課から寺岡査定官、国道課から島崎技官などを派遣していただき、また林野庁の治山関係からは岩崎技官、農地関係からは須頭技官なども派遣していただいたというように、政府側といたしましても、県といたしましても、迅速な処置をとられたわけであります。この点については、地元民といたしましても、非常に満足いたしておるわけであります。なお県といたしましては、被害村であるところの阿智村、川路村、浪合村に対しまして、災害救助法を発動いたしておるのであります。そこで建設省といたしましても御視察を願い、先ほど町村会長より陳情がございましたけれども、国道百五十一号線、すなわち名古屋−塩尻線は、約四里にわたりましてほとんど決壊してしまい、その地域にある浪合村、阿智村、川路村では食糧がないために、松本自衛隊二百四十名が出動いたしまして、国道であった個所をフジづるに伝わってわずか一斗ずつの米をしょって食糧の補給をしておるというのが現状であります。  そこで私お聞きしたいのは、建設省の防災課並びに道路局関係に対しまして、御視察の結果どんな施策を考えておられるか、それから農林省関係からも農地局並びに林野庁から御視察になったわけでありますが、どういうような方途を考えておられるか、この二つにつきまして最初にお伺いいたしたいと思うのであります。
  39. 山本三郎

    山本説明員 お説の通り建設省河川局といたしましては、災害の全般的にひどいというお話をお伺いいたしまして、寺岡技官を現地に派遣いたしましてその報告を聞きまして、なるほどまず第一に交通線の確保が非常に重要であるということを認識して参ったわけでございます。そして今後におきましては、できるだけ早くそれを復旧いたさなければならぬわけでございますが、まず第一に金の問題と、それから工法の問題がございます。従いましてその町方に対する処置が必要なのでございますが、まず工法の問題につきましては、県が至急に案を作っております。従いまして、その案ができれば直ちにこちらから係員を派遣いたしまして、工法の協議をいたします。従いましてこれができますと、正式に補助の対象に組み入れられるということがはっきりいたしまして工事が進められるわけでございます。それから資金の問題につきましては、従来県において非常に資金繰りが苦しいというような場合におきましては、融資の方法をとるわけでございますが、その点につきましても、県に意向を聞きましたところ、現在のところ県に持ち金があるからそれで立てかえ施行ができるというふうなことを言っておりますので、その方面につきましてはそういう方法をとりたいというふうに考えております。
  40. 茅野一男

    ○茅野説明員 先般私どもから岩崎技官を派遣いたしまして、現地の事情を詳しく拝見いたしております。それで県と連絡をとりながら、林道に関しましては、ここ数日間に大蔵省の立会官とともに打ち合せをいたしまして査定に参ります。それから治山関係におきましては、すでに県の方で応急復旧施策を検討いたしておりますので、それの概略計画ができ次第にこちらから査定官を派遣いたしまして、予算措置を至急講じたい、こう考えております。なお林産物関係の木炭その他の災害につきましても、状況がわかり次第県と連絡をいたしまして、大蔵省に対しまして要求いたし、支出をお願いするという段取りをつけております。概要以上の通りであります。
  41. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 ただいま農地局といたしましては現地へ係官を派遣しておりまして、まだ帰っておらないのでございますが、帰りましたら至急に実情を聴取いたしましてその上で対策を立てたいと考えておるわけでございます。なお県当局に対しましては災害復旧計画の概要書を至急作っていただくということを督励し、そして査定が早く行えるように準備をしていただいてへその上でできるだけ即急に必要な経費を予備費で要求して、国の方の仕事としましては、地元の災害復旧支障がないようにしたいと考えておるわけでございます。なお融資の面につきましては、県の方からあるいは地元から要望が出ましたならば、その要望に従いまして至急処置をしたいというふうに考えております。
  42. 中島巖

    中島(巖)委員 河川局長に対して門島ダム関係についてお伺いしたいと思うのでございますが、けれどもこの問題はたびたびここで取り上げ、そして今回の洪水によりましても約二、三メートル上昇しておる、さらにこれに対するところの支流が、本流の上昇のために土砂が押し寄せて、一メートルか、二メートル全部が上昇しておるというのが今度の最も顕著なる状態であります。従いまして、早急に現状を視察されて、抜本的な根本対策を立てられんことを希望いたしまして、本日は門島ダム関係についての質問は控えることにいたします。  今回のこの災害の特徴といたしましては、わずかの地域に一時に大降雨があったために、奥地の農地であるとか、林道であるとか、ただいま申し上げました国道であるとか、市町村道であるとかいうものは非常に被害が大きいわけであります。これに対して政府並びに県といたしましても適切な処置をとっておられるというように私は認めておるわけであります。ことに、本日自治庁の小林財政部長もお見えになっておりますけれども、長野県は再建整備団体でありますので、自治庁の了解を得なければ、予算も計上できないのであります。当時ちょうど県会開催中でありまして、自治庁の了解を得て、二億数千万円の応急災害対策費を県会で議決できた、かような状態でおりますので、この点についても自治庁に対して感謝いたします。その後の問題につきましても自治庁にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、順序といたしまして、建設、農林両関係につきまして順次質問を行いたいと思うのであります。  そこで、この災害救助関係のうちの公共土木施設の災害関係でありますが、これは私あまり研究しておりませんのでよくわかりませんけれども、昭和二十六年三月三十一日に法律九十七号で成立しております公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によるものと、かように建設関係は考えるのでありますが、そういうお考えを政府としてもお持ちでありましょうか、どうでございましょう。
  43. 山本三郎

    山本説明員 公共土木施設につきましてはお説の通りでございます。
  44. 中島巖

    中島(巖)委員 それでこの法律の第四条におきまして、国庫負担の率を決定いたしておるのであり、それから第三条は、その国庫負担等の対象となるべきものを決定いたしておるわけであります。そこで第三条によりますと、「国は、法令により地方公共団体又はその機関の維持管理に属する左に掲げる施設のうち政令で定める公共土木施設に関する災害災害復旧事業で、当該地方公共団体又はその機関が施行するものについては、その事業費の一部を負担する。」ということになり、「一  河川、二 海岸、三 砂防設備、四林地荒廃防止施設、五 道路、六 港湾、七 漁港」と、こうなっておりますけれども、これは建設省関係の法律ではありますけれども、市町村が管理するものに林道、農道その他があるわけでありますが、これらもこの対象になっておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  45. 山本三郎

    山本説明員 林道と農道につきましては別でございまして、ここに一から七に上っておるものだけ含むわけであります。
  46. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま河川局長から林道などは別だというお話しですが、これは僕はそうじやないと思うのです。その機関の維持管理に属するということが基本的の問題であって、地方公共団体維持管理に当っているものは、林道であろうと、農道であろうと、この中に含めるべきものだというように法解釈をするものですが、河川局長は今おっしゃったことは間違いありませんか。
  47. 茅野一男

    ○茅野説明員 それは建設省ではお扱いになりませんけれども、農林省としては条文の通り扱っておるわけであります。林道の一部も施設災害として認められて、現在復旧工事をいたしております。
  48. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、その問題をなぜ私が念を押してお聞きするかというと、この法第四条におきまして「前条の規定により地方公共団体に対し国が費用の一部を負担する場合における当該災害復旧事業費に対する国の負担率は、当該地方公共団体について、その年の一月一日から十二月三十一日までに発生した災害につき、第七条の規定により決定された災害復旧事業費の総額を左の各号に定める額に区分して逓次に当該各号に定める率を乗じて算定した額の当該災害復旧事業費の総額に対する率による。この場合において、その率は、小数点以下三位まで算出するものとし、四位以下は、四捨五入するものとする。」こうなっておりまして、「一、当該地方公共団体の当該年度の標準税収入の二分の一に相当する額までの額については、三分の二、二、当該地方公共団体の当該年度の標準税収入の二分の一をこえ二倍に達するまでの額に相当する額については、四分の三、三、当該地方公共団体の当該年度の標準税収入の二倍をこえる額に相当する額については、四分の四」すなわち全額国庫負担、こういうことになっております。従いまして、ただいま質問した点、税収入と地方公共団体維持管理に当るところの公共施設という点をここで明確にしておいていただかぬと、非常に補助率の上に大きな狂いがくるわけであります。従って建設当局並びに農林当局は打ち合せをなさって、ここではっきりした御答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  49. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それでは暫時休憩いたしまして、一時半に再開いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  50. 薩摩雄次

    薩摩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。固定資産税の問題につきまして質問の通告がございます。島上善五郎君。
  51. 島上善五郎

    ○島上委員 私は実は単に固定資産税の問題のみでなしに、もっと政府の住宅政策等についても、あるいは財政投融資の繰り延べが影響する点等につきましても伺いたいのですが、近く新大臣もきまりそうなので、その直後に建設委員会を開催していただきまして、新大臣にこれらの点に対する措置あるいは抱負等について伺うことを留保いたしまして、本日は建設省住宅局並びに住宅公団の関係者に若干質問したいと思います。  私があえて申し上げるまでもなく、住宅公団は日本住宅公団法第一条に明らかにしておりまするように、住宅の不足しておる地域に、特に住宅難に苦しんでおる勤労者のために、比較的家賃の安い住宅を提供することをもって目的として発足したものであります。しかるに今日の住宅公団の住宅は、建築費その他の関係もあることは私もわからぬわけではありませんが、家賃は必ずしも住宅公団法の目的に沿うように低額のものではないということが言えると思うのです。同じように国の投融資等によって建てられておる他の公営住宅に比較して、著しく高額のものであることは事実であります。しかるにこの公団住宅において、家賃の値上げともいわるべき固定資産税の入居者に対する転嫁の問題が起っておる。仄聞するところによりますれば、この問題については公団側と入居者との間に一種の紛争ともいうべき事態が起っている。入居者は、固定資産税は当然家屋の所有者が納税義務者であるから、それをそのまま自分たちが転嫁される理由はない——これは当然ですが、ということで反対をして、きまっている家賃と、それからいわゆる共益費は納めるが、新たに増額と申しますか、固定資産税相当額を公団側から一方的に押しつけようとすることに対しては納入できないとして、今家賃の供託が相当部分において行われているということを承わっておりますが、この事情と現在の状況をまず住宅公団の関係者から伺って、それから順次質問いたしたいと思います。
  52. 澁江操一

    ○澁江参考人 お答え申し上げます。固定資産税の問題に関する現在の事情についてでございますが、御承知のように固定資産税につきましては、これは当初家賃の構成上これを取り上げるのが本筋であるというふうに考えられておったわけであります。ところが固定資産税の課税上の関係からいたしまして、家賃を決定する当時におきましては、固定資産税の額がどのくらいになるかということがはっきりいたしませんので、これを切り離しまして、一応固定資産税抜きの家賃というものを立てまして、これによって家賃をきめ、あわせて借家契約といいますか、賃貸借契約の条項に、固定資産税公租公課相当額については、別途これを入居者から負担していただくという条項をつけて契約することにいたしたのであります。なぜ当時きめられなかったかというこのこと自体につきましては、これはくどくどしく申し上げることもありませんが、公団住宅の建っております公共団体が全国各地にちらばっております関係からして、固定資産税の額は地元公共団体の裁量にゆだねられているということなのであります。一応法律上のワクというのは、十五坪未満の家屋について、三カ年間は、これは自治庁からの通牒でうたわれているわけでありますが、標準率千分の十四の五〇%に軽減できるという規定が通牒で出されておりますが、その範囲内で五〇%にするか全額にするか、それらの裁量は地元公共団体にまかせられておるような建前になっておりますので、そういったような関係を考慮いたしまして、これはむしろ当初にきめておくことは非常にあいまいでもあり、不当の負担額を家賃の中に織り込むというような関係にもなるという考え方からいたしまして、むしろこれを今言ったように切り離しまして、固定資産税抜きの家賃、それから固定資産税がきまった場合においてはその公租公課相当額、こういうものを負担していただくというような建前にいたしたわけでございます。そこでこの固定資産税の最終的にきまりましたと申しますか、大よそ見当がつく段階に至りましたのは、公団住宅の性格からいたしまして、われわれの希望といたしましてできるだけ安くということはもちろんであります。それからもう一つは、全国的に統一された税額でもって公租公課相当額というものをはじき出せるような建前にして政府がきめていただくことが、あるいはそれを受けて地元公共団体がきめていただくことが望ましいという観点からいたしまして、再三再四入居者の負担の関係も考慮いたしまして、自治庁側と協議をいたしまして、これのきまりましたのが六月の初めごろでございます。そういう関係に立ち至りましたので、ここで初めて明らかになりました固定資産税、これを受けました相当額というものを各入居者に負担していただくということを、あらためて契約条項に基きましてそれぞれ入居者に通知し、それによって負担していただくという手続をとったようなわけであります。その関係からいたしまして、ただいま島上委員からお話がございましたように、この固定資産税を入居者に転嫁ということを言っておられますが、転嫁するといいますか、その相当額を負担することは反対であるという立場を一部とっておられる入居者の方があることは事実であります。そういう状況からいたしまして、これについての収納は、固定資産税の問題が問題に出なかった以前に比べまして、必ずしも収納状況は全面的にいいということは申し上げられないような実情でございます。しかしただいま申し上げましたような経緯からいたしまして公団といたしましては、当初に見込み額として家賃額をきめる場合に公租公課相当額の見込額を加えた決定家賃額を出すということに出られなかった事情をるる御説明申し上げ、それからその後にその固定資産税相当額をどういうふうにして入居者の負担にできるだけ軽くして済ませるようなふうにするかということについての公団がとりました自治庁との折衝の経過なり努力の結果なりを一つ御理解いただいて、その上でぜひ固定資産税相当額を負担していただくという事情を訴えておるようなわけであります。ただいまの状況は、そういう関係もございまして、六月分から収納をお願いしておりますが、ただいままでのところ、おおむねこの趣旨を御了解願って完納していただいておる入居者も相当ございます。大体におきまして五〇%程度が従来の家賃額あるいは共益費というものを納め、それから固定資産税相当額を含めた家賃全額完納という両方合せまして五〇%程度の収納の状況に相なっております。残りの方につきましては、今お話のございましたような従来の家賃額を共託しようという立場をとられる人もあるやに聞いております。まだはっきりしたことはそこのところはわかっておりませんが、それからまた供託まで行かないが、一応団地内の従来の家賃額に相当する金をそれぞれ集めて銀行に預託するといったような方法で、固定資産税については必ずしも全面的にこれを払い込むという立場はとられないということでやっておられる方もあるようでございます。以上が現在までの状況であります。
  53. 島上善五郎

    ○島上委員 資料をお持ちにならないようで、お答えはきわめてばく然としておりますが、今の言葉の端をとらえるわけではありませんが、一部そういう考えを持っておる者もある、こういうのは間違いであって、相当多数——大部分と言ってもいいほど相当多数の者がこの公団の措置を不当なりとして納得していない。家賃と共益費を供託したところもありますし、銀行へ預けているところもあるし、供託の準備をしているところもあるしというわけで、今五割程度とおっしゃいましたが、これは五割程度にはとどまらないはずです。所によっては公団の職員が一割程度住んでいるところもある。その公団の職員諸君を督励して、職員を中心にしてそれらの諸君は納めておるが、そうでない者は大多数今回の公団側の措置を不当なりとして、今言ったように供託ないしは供託の準備あるいは銀行に預金をしておるというような措置をとっておる。ほんとうならば、これは国会の答弁ですから、資料があったら、どこの公団ではどれだけ、どの公団ではどれだけという答弁を伺いたいのですが、今ここに資料がなければあえて無理に望みませんけれども、一部とか五割とかいう程度ではないはずです。資料があったら一つ正確に御答弁いただきたい。
  54. 澁江操一

    ○澁江参考人 それでは私の方にございます資料で七月七日現在までの収納状況を申し上げさせていただきたいと思います。内容から申しまして、私の方の受領戸数を二通りに分けておりまして、全部受領という分と、それから一部受領という分と二通りに中身を分けておるのでございますが、全部受領というのは、固定資産税を含めた家賃額、これを納めていただいておる分でございます。これが戸数にいたしまして四千六百七十八戸七月七日現在であるわけです。それから一部受領の分というのは、固定資産税を抜きました従来の家賃と共益費、これは私どもは家賃の一部受領ということで取扱いをいたしておりますが、その一部受領に相当いたします戸数が二千百八十六戸七月七日現在でございます。合せまして六千八百六十八戸が受領戸数の中身になっておるわけでございます。それで現在入居していただいておる全体の戸数が一万五千八百三十六戸ございますので、これから割り出していただきますと、七月現在で四三・三%に相なっております。この家賃徴収日が始まれましたのが、団地によって違っておりますが、大体二十七日から二十八日が徴収の第一日でございましたので、それから逐次今申しましたようなパーセンテージで上ってきております。大体私どもの見込みとしては、今の受領戸数の内容は五〇%程度になるというふうに考えておるわけでございます。その中で一例をとりますと、全部受領の戸数が非常に多いところもございます。たとえて申しますと、名古屋の志賀団地というのがございます。ここでは千百九十七戸の団地になっておりますが、そのうちで全部受領になっておりますのが五百七十三戸、それから一部受領の部分が五百三十戸合せて千百三戸が受領戸数になっております。パーセンテージにいたしまして九二・一%というのが、今の全戸数に対する受領戸数の比というような形になっておりまして、そういう非常に成績のいいところもございますし、それからまた逆に今お話がございましたように、一部公団職員の入っておる者だけがその家賃を納めておるというような、成績の上からいうと必ずしもよくないという団地もございます。大体計数から申し上げますと、以上のようなふうになっております。
  55. 島上善五郎

    ○島上委員 それは何月分の家賃のことですか。
  56. 澁江操一

    ○澁江参考人 これは六月分であります。
  57. 島上善五郎

    ○島上委員 四三・三%あるいは五〇%をこすかもしれませんが、かりに五〇%になりましても、五〇%こしましても、全部受領と一部受領合せてのことですが、そうすると、全然納めない者がさらに五〇%ないしそれ以上おる。現在は五六・七%おる。これは普通の状態でないことは明白です。私はこれについては単に今までの契約書をたてにとって——契約書の問題もありますから、あとから少し突っ込んで伺いたいと思いますが、入居するときの契約書をたてにとって、今までやっておるような説得でこの事態が解決するとはとうてい考えられない。公団では今までの方法でもって、契約書をたてにとっていろいろ宣伝活動をやっておるようですが、宣伝活動をやったり説得したりして、この事態が円満に解決するというふうにお考えですか、そういう御自信がおありですか。
  58. 澁江操一

    ○澁江参考人 これはやはり入居者との関係におきましては、私どもは契約第一主義と申しますか、公団としましては、契約上の義務はぜひ出していただきたい。ことに家賃負担等の関係におきましては、契約上の条項についてはぜひこれを出していただきたいということをるるお願いしていきたい、かように存じております。ただしかし無理な契約条項をお願いするというようなことであっては、これは入居者に対する公団側の十分な誠意を披瀝する道ではございませんので、その点につきましては先ほど来申し上げましたように、固定資産税を当初家賃の中に算入することができなかった事情を申し上げ、さらにその後にこの固定資産税を通常のまま放置いたした場合におきまして、入居者に負担していただくような額を想像いたしますと、おおむねどう見ましても六百円程度の負担額には、私どもの計算でもなるのではないかというふうに想像いたしたわけであります。しかもそれは自治庁通牒のいわゆる三年間標準率の二分の一という方式をフルに公共団体で取り入れてもらって、そういったような形になるのでありまして、そういったようなことから考えて、この六百円をさらにもう少し切り下げるということを何とかしなければいけないということからいたしまして、自治庁にもそういう点の御理解を願いまして、ただいまのところ入居者に負担していただく額として申し上げておる額が四百二十円見当になっております。これは各団地の建設費なり、家賃の額に応じまして、それぞれ——額は必ずしも一率ではございませんけれども、大体四百円見当の負担にまで切り下げていただくという配慮をとっていただいた。そういったようなことをいたしました事情もるる申し上げまして、ぜひこれだけの負担についてはやっていただかなければならぬのじゃないかということを御理解願って、協力をいただくという方法に出ておるようなわけであります。これは地元公共団体といたしますと、その固定資産税分というものを団地の周辺の道路なりあるいは下水なりそういったようなもののありますことによって、当然起るべき出費に対応する負担と申しますか、そういうことでこれを見ておるわけでありまして、さような点もるる申し上げまして、入居者の協力をいただく、こういうことに出ておるようなわけであります。
  59. 島上善五郎

    ○島上委員 そうしますと、今度の四百二十円ですか、それは家賃というふうに御解釈されておりますか、それとも家賃以外のものですか。
  60. 澁江操一

    ○澁江参考人 これは私どもの現在の契約上は家賃と公租公課相当額と二つに分けております。こういう方法にいたしております。
  61. 島上善五郎

    ○島上委員 金額の問題ももちろん問題はありますが、私どもとしても納得がいかないところがあると思うのです。大体この契約書によりますと、家賃のほかに賃貸住宅及びその敷地に賦課される固定資産税その他の公租公課相当額について、毎月甲の定める額を負担する、こうあります。われわれの常識によりますと、また従来の日本の慣例によりますと、家賃というものの中には家主の利潤、償却費や土地や建物に賦課される公租公課などというものも含んでおる。そういうものを勘案した上で家賃というものがきまっておるので、どこへ行ったって家主は千円は家賃で、あとからかかってくる税金はまた別に出して下さいというのは少くとも民間にはない。その中に建っておる建物に対しあるいは敷地に対してかかってくる税金は、本来所有権者である家主が負担すべき性質のものなんです。それを家主は当然家賃を算定する際に計算の中に含めて計算しておる。これがわれわれの常識であり、従来の日本の慣例だと思うのです。ですから家賃であるというこういう解釈をとるならこれはまた別ですけれども、家賃のほかにそういうものを入居者が負担すべきものであるという建前自体が間違っておりはしないか。こういうふうに固定資産税が新たにかかってきた、あるいは上った、だから家賃の値上げをする、こういうことなら、その値上げの額の当不当は別として、理屈の筋としては通っておると思う。しかるに家賃ではない、公租公課は別に負担しろ、家屋の所有者、土地の所有者が負担すべき公租公課を入居者に負担させるというその建前が理屈としては筋が通らぬし、納得いかぬと思う。今度の問題が紛糾しておる一つは、金額の問題もありますけれども、その建前がどうしても納得いかぬ、筋が通らぬというところに問題があると思う。これに対する考えをもう一ぺん重ねてお伺いいたします。
  62. 澁江操一

    ○澁江参考人 今お話の点は、もっぱら私どもの賃貸借契約書の第六条に出ている点を御指摘になっておることだと思いますけれども、もちろん民間でもそうでありますし、公団の場合においても、公租公課の相当額を含めたものを、家賃計算上当然入れるという建前は、今島上委員が御指摘になった通りであります。その間の事情はくどくどしいことになりますけれども、最初に申し上げましたように、当然当初から固定資産税相当額というものを家賃の計算の中に入れて四千二百円に、それから今の固定資産税相当額というものを含めまして、それでこれが家賃ですということで契約書にはっきりいたしますれば、これは疑問の余地もない、こういうことになるわけであったのでありますが、当時先ほど申し上げましたように、各市町村でどれだけの固定資産税額を公団にかけてくるかという事情が、必ずしもはっきりいたしておりません。そういったようなことからいたしまして、公団自身としては手前勝手のようでありますけれども、良心的にこれはその税額がはっきりしたところで入居者の負担額を明らかにする方が、むしろ入居者にとって十分考えた措置ではないがということから、切り離して計算をいたしたようなわけであります。  従ってもう一度裏を返しますれば、それじゃ現在公租公課相当額を抜いた家賃の中に、いわゆる固定資産税相当額が入っておるのか入っていないのかという疑問も出るでございましょうが、これは私どもの計算では明らかにいたしておりますが、建設上のコスト、これを七十年間、四分一厘計算ではじきまして出しました数字、額でありまして、従って公租公課相当額という要素は全然入れておりません。そういったような関係からいたしまして、むしろ現在の契約とにらみ合して申し上げれば、現在公団が狭義に解しております家賃のほかに、公租公課相当額を含めたものをあわせまして、これはいわゆる民間で通常言っております家賃に相当するものである、こういうふうに申し上げれば一等はっきりするのだと思うわけであります。  それから転嫁の問題に関連いたしまして、公団が納税義務者であるという点は、私どもも当然そう考えております。ただそういう租税に伴う出費というものを、家賃の中に含めて計算するかしないかという問題はあるわけでありまして、これは民間においても、土地所有者なり家屋所有者が納税義務者でありますけれども、税額に相当すべき出費を、土地の利用者あるいは借家人にそれぞれ負担していただくという方式を家賃計算の上でとっておる、こういうことでありまして、それと同様のことを公団もとっておる、こういうふうに御理解を願いたいのであります。
  63. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいまの御説明によりますと、結局最初の契約書に表明した文字等にこだわっておるようですが、性質は家賃である。そうして要するにその性質は家賃の値上げである、こういうふうに了解していいわけですね。
  64. 澁江操一

    ○澁江参考人 これも言葉の問題でありますけれども、私どもは家賃の値上げというふうには考えておらないのでありまして、当初家賃の中に明示すべき額が、今申し上げましたような事情の上ではっきりいたさなかったものをここではっきりさして、これをいわゆる民間の標準に合せた、家賃額の内容に相当すべきものをここにはっきり打ち出した、こういうふうに考えるべきものではないかというふうに思っております。
  65. 島上善五郎

    ○島上委員 あくまでも契約書の問題にとらわれておるようですが、これは何といっても実質的には家賃です。それから家賃の値上げです。もちろん契約書の文字によりますれば、あらかじめそのようなことを入居者も承知しておるわけですから、新しい固定資産税の賦課によって、家賃の値上げという事態が起ることを全然知らなかったということは入居者も言えないことでしょう。しかしこれは大阪での入居者の代表と公団の大阪支社代表の会見の記録を見ますと、いや家賃ではない、あくまでも家賃ではない、家賃はこれこれ、これは別だといって、そういう問答を重ねておって、しまいには公団側で詰まってしまった。答弁をしないでおる、こういうようなことがある。そういうふうにしてやはり筋が通らぬというところに入居者の納得がいかない点があるということを考えておいてほしいと思います。  それからこの問題に関連して、公団側の態度がどうも挑発的である、あるいはもっときつく言うならば挑戦的であるとさえいえるところがある。団地によってですが、そういうところがある。これでは問題の円満な解決ということは、公団側からぶちこわしておるようなものなんです。ほんの一、二の例をあげますけれども、きのうの読売新聞に大きく出ております。これは関係の記事だからお読みになったと思います。もっとも江東版ですからどうか知りませんが、きのうの江東版に「行き過ぎ管理人に非難、公団大島アパート、ガス、水道をとめる」とおどかしている。つまりこういうことです。固定資産税の今度の賦課に対して納得がいかぬといって入居者が大会を開いた、あるいはその他の会合を開いた、そこへ行こうとする者を監視しておって、お前あそこの大会に行ったらガス、水道をとめてしまうぞ、ためにならぬぞとか、会社の方へ連絡して不利にするぞとかいったようなことを言って、管理人がおどかしているのです。この新聞記事にはかなりその事実を詳しく書いてあります。これは単に大島ばかりではなく、他にもこれに類似の事実があるそうです。これだけでも私は非常に大きな問題だと思う。これは好意に解釈すれば、公団が指示したわけでもなく、管理人の行き過ぎかもしれない、感情的な行き違いで、言葉が少し激しくなり過ぎたというのかもしれない。しかしながら先ほど来御説明があったように、私が質問したような問題が起っている際ですから、特に管理人の言動というものは慎しむように公団側において注意しなければならぬと思うのです。そうしてせっかく話し中である。家賃を納める率が悪いにいたしましても、両方全くどうにもならぬという状態にあるのではなくて、私の想像するところ、聞いておるところによりますれば、そういう状態にありながらも、入居者の諸君も何とか円満に解決したい、こういう希望を持っておるようです。この大阪の諸君の問答の記録の中にも、自分たちは決していたずらに紛糾を大きくしようということを望んでいるわけではない、何とか話し合いでわれわれも納得し、公団側も納得するような方法を見出したい、円満に解決したい、こういうことがちやんと記録にも載っておる。そういう言葉を表明しておる。そういうときに今言ったような挑戦的な、挑発的な言動をする者がかりに一部にあったとしても、これは私は事態の解決をかえって停頓させ、あるいは紛糾させることになると思う。こういうことに対してはどのようにお考えになっておりますか。
  66. 澁江操一

    ○澁江参考人 全体といたしまして、私ども今回起きております固定資産税の紛争に対しましては、先ほども申し上げましたけれども、できるだけ意を尽して入居者に理解していただくということで参りたいというふうに考えております。従いましていたずらに感情的に入居者との間に事をかまえるようなことは、実はいたしたくないというふうに考えておりますし、公団の企業自体の性格からいたしましても、さようなことのないようにして参りたいというふうに、特にこの問題が起りましてからは、細心の注意はしておるつもりであります。今御指摘になりましたような事実につきましてはなお十分事実を調べまして、万一さようなことがありましたならば、そういうことについては十分さらに徹底しまして、管理人の末端に至るまでさようなことのないような注意を加えて参りたいと思っております。その点は私どもとしましては率直にこの際はあくまで説得の立場、できるだけ公団の意のあるところを入居者に了解していただくという立場をとりましてお願いして参りたいというふうに思っております。ぜひそういうふうなことでこの問題を冷静に誠実に処理していきたいというふうな立場をとっております。今後におきましてもさようなことがないようにもちろん努力いたすつもりでありますが、ぜひその点につきましての公団の現在とりつつある態度、それから今後とらんとする態度については御了解を願っておきたいと思います。御指摘があるまでもなくあらかじめそういうことで参りたいというふうに考えておりました。そういう点についてはぜひ御了解をいただきたい、かように思います。
  67. 島上善五郎

    ○島上委員 私は、公団が今までとってきた態度なり方針なりというものが絶対に正しい、これで承知してもらうのだといったようなおっかぶせるような態度ではこの問題はなかなか円満に解決しないと思うのです。そういう公団がとっている態度は契約書にも書いてあるし正しいのだといったようなこと、それをおっかぶせよう、押しつけようとするところにやはり問題があると思うのです。私は今のことは新聞に出ている事実なんで指摘しましたが、それ以外に新聞には出ていませんがこういうことがありました。埼玉県の大宮西本郷団地でのできごとですが、やはり今度の問題に関連して、ある人、名前はここでは申しませんが、ある人の勤務先の上役のところへ、名前は言わずに日本住宅公団の職員ですがといって電話がしばしばかかってくる。お宅の会社のこういう人の会社の日ごろの勤務状態はどんなふうですか、今公団住宅問題で一生懸命運動しておるけれども、会社はこれに対してどういうふうにお考えになっておりますか、こういうことをしばしばというのですから一回じゃない、二、三回日本住宅公団の職員ですがといって電話をかけている、こういう事実もある。これは非常に団地の諸君を刺激し感情的にしておる。まだほかにも類似なことがありますが、私は一々申しません。一方に住宅公団の措置は絶対に正しい、これを押しつけようというような態度で話をするのと、一方そういうような挑発的な挑戦的なことがしばしばあるということがいよいよ事態を紛糾さしておるような気がするのです。私はこういうことに対しては今後絶対にないように慎しんでもらうと同時に、公団も譲るべき点は譲ってお互いに話し合いで解決しよう、こういう気持で、公団は一歩もあとへは引けないのだ、お前たちは納得しようがしまいが公団の方針をのめ、こういつたようなことではなしに、それこそただいまの御答弁のように、誠実に誠意を披瀝し合って解決しようという気持にほんとうになっていただきたい、そうしなければこの解決はなかなか簡単にはいかないと思うのです。ぜひそういう気持になって、今後事態の解決努力していただきたいと思います。これに対してはどのようにお考えですか。
  68. 澁江操一

    ○澁江参考人 私の申し上げております点は、入居者の感情をいたずらに刺激するようなことはやるべきでないということを申し上げているつもりであります。しかし誠意の披瀝の仕方について、かりに入居者の今の一部の方の考えておられるように、固定資産税は納めなくてもいいんだという立場からの話し合いで、それに対して誠意を披瀝しろということで公団の誠意を求められるということになりますれば、私どもはそれはできないことを求められるということにひとしいのでありまして、これは私どもが考えておることが正しいとか正しくないとかいうことはもちろんでありますが、私どもも契約上御了解願っておることでありますから、これを履行していただくということについては、これはもう問題のないところであるというふうに考えているわけであります。ただそういう話し合いの過程におきまして、今御指摘になりましたようなことからいたしまして、いたずらに入居者の感情を刺激するような態度は慎しんで参りたい、かような考え方でいるということであります。その点は誤解のないようにお願いいたします。
  69. 島上善五郎

    ○島上委員 その管理人等の行動の問題は、それはもう言うまでもないことですが、しかし契約書にあるからもうそれは問題がないのだというふうに考えているのは少し私はどうかと思います。実態をあまりにも認識しない議論ではないかと思います。あなたの方としては、一応そういうふうにお考えになるのは契約書にあるから当然かもしれませんが、しかし私が目を通した入居者と公団側との折衝の資料等を見ますと、まず第一に、私がさっき言ったように、固定資産税その他の土地及び建物に課せられる公租公課は当然入居者が今後も負担すべきものだという考え方をなかなか入居者は承認しないと思います。公租公課は家賃として当然家賃の中に含まるべきものだという考えと、いや家賃はこれだけだ、四千七百円だ、しかし今後賦課される固定資産税その他公租公課は当然入居者が負担すべきものだといったようなことになると建前がまるで違う。そういう点に一つの大きな食い違いがある。それから額の問題ももちろんありましょうが、そういう点に対して、さっきのあなたの答弁によれば、公租公課というものは最初家賃を計算する際に当然入れるべきものであったが、最初当時固定資産税が明確になっていなかったという事情があってその分だけは残ったということですから、性質からいえばそれは家賃に含まるべきものですから、家賃とは別に今後も入居者の負担すべきものだという、そういう筋の通らぬ考え方を一歩も譲らぬということであれば、入居者との間の食い違いが大きく出てくる。それから額の問題についてもあなたは簡単に考えておりますけれども、もうすでにこういう事態が起ってから、公団でもそれじゃこの程度にしようといって若干の譲歩を示しているじゃないですか。ですから公団の経理上最大限の譲歩をするといったような誠意の披瀝のしようもあるのじゃないですか。もう契約書にあるからきまっているからといったようなことで押しつけようとすれば——私の今までの聞き及んでいる範囲ではその住宅公団側の考えを一方的に押しつけようとすることでは、とうてい簡単に事態の特に円満な解決ということは期することはできないと思うのです。私はその考えをまずもう少し考え直してほしいと思う。その点に対して再度お答え願いたい。
  70. 澁江操一

    ○澁江参考人 ただいまお話のございました公租公課分を一方的に入居者の方に押しつけるという考え方、これは私どもが今委員からお話がございましたように民間の通常の家賃の計算の上で公租公課相当額を家賃として負担してもらう方式、これは借家法にも税金が上ればその税金の増減に応じて家賃額の変更があり得るであろうという建前は法律上も認めることになっております。そういう意味合いからいたしまして、租税分が家賃の計算の中に入ってくる、こういう建前で入居者の負担をお願いするという考え方に立っておるのでありまして、その点は一般に行われている一つのルールをはずして公団だけに特に入居者に税金の負担額を押しつけるというような考え方に立っておるつもりではもちろんないのでありまして、その点は誤解のないようにお願いをしたいと思います。  それからもう一点の、従来も入居者が負担の問題について譲歩した点があったじゃないかというお話でございますが、これは固定資産税額がこの三十二年度の年度当初から課税される結果になって参りましたので、その点を指摘されまして六月分からの徴収、従って四月、五月の月割額というものを公団自体がもうすでに入居者の負担の線からはずす程度の譲歩をしたじゃないか、こういう点を御指摘になったのだろうと思いますが、その点は私どももいろいろと考えたのであります。本来ならばこれは先ほどの理屈から申しまして、やはり入居者の負担にお願いすべき性格のものであるというふうに私どもは考えておりました。しかし先ほども申しました通り自治庁との折衝に相当の時間を食いました。年度当初に自治庁との折衝が終り、従ってわれわれがこれならば入居者の負担に求めても差しつかえないという程度に了解し得る額になりましたならば、もちろんそのときから、四月分からこれは負担していただくという建前をとったのでありましょうけれども、このためにかなり時間を食いました関係もございまして——その時間を食いましたというのも、できるだけ固定資産税額を低い線に一つ自治庁との話し合いの上できめていただきたいという考えもございまして、そういう結果になりましたので、そういうことにつきましてはこれは入居者の責めに帰するということによって処理するのはいかがかということもありまして、これについてはもっぱら公団自体の経理の今後の措置におきまして、いわば赤字と申しますか損失に相当する部分になりますけれども、それの処理を対策として考えていかなければならないという別個の問題として立てておるわけであります。しかしさようなことを六月以降についてもずっと続けていくということになりますれば、公団の不測の損失というものはこれは償うべくして償い得ないという結果になりますので、公共団体としてはいわゆる公団の固定資産税額を当然とらなくては、これは公共団体の財政収入の立場から申しまして何としても公団の固定資産税の収納というものを求めておかなければなりませんし、そういったような関係からいたしまして入居者に立てかえて公団が処理するというようなことは、事実上これは損失の問題として処理し得ない結果にも相なります。さような非常に苦慮した結果といたしまして、どうしても四、五月分についての処理はこれは別個の処理といたしましてやったようなわけであります。本来ならばこの分についても四、五月分にさかのぼりましてお願いしたいという考えはあったわけでありますけれども、さような考え方から六月分からいただくというようなことにいたしたわけであります。
  71. 島上善五郎

    ○島上委員 あまり長い時間とっては恐縮ですから、次会にまだある程度留保するとしまして、最後に一つ伺っておきます。この固定資産税の問題のほかに、もう一つ問題がぼつぼつ起りかかっておるようですが、将来の問題として考えてもらわなければならぬことがあると思うのです。それは賃貸契約書です。この契約書は実にひどい契約書です。昔から悪家主という言葉があるように、家主は悪のつく人間がとかく多いらしいのですが、この悪家主でさえもがあえてなし得ないようなひどい契約書を一方的に押しつけておるといっても決して過言ではない。これに印を押さなければ入れないような状態にしておいて有無を言わせず押さしておる。おそらくあなたの方では説明し納得したとおっしゃるかもしれませんが、説明し納得する状態ではない。この契約書の内容について法律上の問題もありますから、次会に少し詳しく質問しますから、一つよく研究してきてほしいと思う。しかし一、二例をあげますならば、こういうようなひどいことがある。第十八条の「次ノ各号ノ一二該当スルトキハ、甲ハ催告ニヨラナイデコノ契約ヲ解除スルコトガデキマス。」ということ。家賃等を三カ月以上滞納したときとか、それから一、二、三、四、五、六、七までありますが、六には「共同生活ノ秩序ヲ乱ス行為ガアッタトキ。」とあります。一体共同生活の秩序を乱す行為とは何ぞやと言いたくなる。だれがそれを認定するのかと言いたくなる。この契約書によればそういうことは公団側で認定して、極端にいえば今度の固定資産税の紛争についても中心になっている分子を共同生活の秩序を乱す者、こう認定して、催告なしで解除することもできる、こういうことになってしまう。実にばかばかしい契約です。悪家主でさえもこういうことはめつたにできるものじゃないと思うのです。敷金を三月分とっておいて三月分から一月でも滞納したら催告なしで解除することができる、こういうようなべらぼうな契約書を作っている、そのほかに問題点はたくさんありますが、さっき言ったようにこの次質問しますから、研究してきて下さい。この契約書の期限は一年ですから、当然一年に近づいたらこの契約書を改訂しようという申し出が入居者からあると思う。もうすでに大阪その他一部においては契約書の改訂を正式に申し出ているところもあるはずです。こういうことに対しては契約書ですから相互の意思によって改訂もできるはずだし、更新もできるはずだと思うのですが、入居者が改訂を申し出た場合には公団ではどういうふうにお考えになるか、これを伺っておきたい。
  72. 澁江操一

    ○澁江参考人 契約書の改訂につきましては、この契約についても今後ただいま御指摘のあったような問題点は十分研究しまして、これが入居者の意に反するということでありますればこれは研究しなければならぬというふうに考えておりますが、私どもがこの契約書を立てましたときには、やはり一戸建等の普通の家屋と違いまして、アパートの生活をしていただくような建前からいたしまして、共同生活の安寧といいますか、やはり共同生活の秩序とここに書いてありますようなことについては、入居者相互のために考えていただく方がいいんではないかというふうに考えておったのであります。私はむしろこれが入居者の希望されるところじゃないかとさえ考えておるのでありますが、私どもの考えておりますことを逆にとられまして、そういったような悪質な一つの契約条項であるというふうなお考え方があるという点は、私ども今まで不幸にして思いつかなかったわけでありますけれども、そういう御指摘のあったような点については、もう一度研究さしていただきたい、かように考えております。
  73. 島上善五郎

    ○島上委員 よく研究していただくとしまして、少くともこの契約書に判を押させるときは、判を押す方も契約書の一項々々について十分冷静に考えてこれがいい、これが疑問があるといって押した状態ではないわけです。これはちょっと変だと思っても判こを押さなければ入れないのですから、どうしてもこれは判を押さざるを得ない状態のもとに押したわけですから問題が非常にある。しかし入って半年なり一年たって冷静にこれをその後いろいろな事実とよく照し合せて、これはどうも困るという項目がほかにも多少あると思うのです。ですからこれはぜひよく研究して、改訂の申し出があったらその改訂の申し出に、少くとも協議には謙虚な気持で応じてもらう、こういう態度をとってもらいませんとまた問題が起きますよ。たとえば今あなたが言った共同生活の秩序を乱す行為があったときというようなことでも、この契約書だけの文章によれば、共同生活の秩序を乱す行為とは一体何ぞや、それはだれが認定するのか、だれが判断するのか、甲が、すなわち公団が判断するように解釈されるようにできておる。そういう誤解を解くためには、少くともこの共同生活の秩序を乱す行為の判断については、解釈については、双方において協議するとかいったような言葉が入らなければ、一方的にどんどんやられてしまう。そういう解釈に——少くともそういう誤解をされるおそれが多分にある。ですから私はこれで質問を打ち切ってこの次にこの内容についてさらにまた質問する機会を得たいと思っておりますが、必ずこの改訂の申し出がある。現にあります。相当広範に起っておりますから、そのときには十分研究の上謙虚な気持で、入居者も納得する線で改訂するように、少くともその話し合いに応ずるように強く希望しておきまして、きょうの質問はこれで打ち切ります。
  74. 薩摩雄次

  75. 三鍋義三

    三鍋委員 ただいま島上委員から固定資産税の問題についていろいろと御質疑があったのでありますが、要するにこの問題は家賃——公租公課も含めて考えていいと思いますが、あまりに高過ぎるからである、こういうことだと思うのであります。これがそう大きな負担でなければ公租公課が別で考えられようが、あるいは家賃に入れられようが、そんなことはとにかく問題にならない。あまりにも、この住宅公団というものが設立されましたその趣旨とかけ離れていっている、ここに入居者の、またこれから入居したい希望を持っておる人々の不安と問題点となって現われてきている、こう思うのであります。それで時間もだいぶ経過いたしましたから、私簡潔に一つお尋ねいたしますが、一体公団の家賃でありますが、これは全部合わせてどれくらいになりますか。これは団地によっても違うのでありますけれども、平均してでもいいですから、一つ計算してお知らせを願いたいと思います。
  76. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 坪数が階段その他を入れまして一戸当り十三坪となっておるものが非常に多いのでございますが、これにつきましては四千五十円程度が最も多いのでございます。これは先ほどお話のありました狭い意味の家賃と申しますか、公租公課を含んでいないものであります。それが大体四千五十円の平均であります。坪数の小さいもの、あるいはテラス等についてはそれより幾分か安くなるのであります。十五坪等になっておりますものはそれより高くなります。なお四千五十円程度のものにつきましても、固定資産税都市計画税等、これは土地も家屋も全部合わせてひっくるめたものの平均が三百九十円というのが大体の平均でございます。従いまして最も多いケースにつきましては四千四百四十円でドざいます。そういうことが平均——正しい意味の算術的平均ではございまけん。十三坪程度の場合の最も多い例であります。
  77. 三鍋義三

    三鍋委員 私のお尋ねする言葉が少し足りなかったと思いますが、とにかくその団地へ入居しようとした場合、どれだけ負担しなければならぬかということをお聞きしたのであります。今家賃と公租公課を承わりましたが、そのほかに共益費がございますね。そのほか修理義務費というものがございますね。これらは大体どれくらいでありますか。
  78. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 先ほど申し落しましたが、このほかに共益費が百五十円。共益費と申しますのは、世間で申します町会費的な費用と申しますか、共同の廊下、階段の電燈であるとかいうもので、金額が百五十円くらいであります。従いまして家賃が四千五十円が平均、公租公課が三百九十円が平均、共益費は百五十円が平均。計四千五百九十円です。
  79. 三鍋義三

    三鍋委員 修理義務費ですね、これはどれくらいになりますか。
  80. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 修理義務費としては、建具等は居住者の負担になっておりますが、約定にうたっていない事柄は、家賃の中に修繕費として計上してございますので、それは公団の方で修理をいたすことになっております。畳、建具、そういうものの修繕は居住者の御負担、かように相なっております。
  81. 三鍋義三

    三鍋委員 それでは敷金は。
  82. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 敷金は三カ月分いただくことになっております。
  83. 三鍋義三

    三鍋委員 こういう工合にいたしまして、とにかく四千五百円から四千六百円、これは平均してですが、そういうことになるのであります。この金額の問題が、いろいろの見方がありましょうけれども、私はこれは果して公団住宅設立の趣旨にかなっているところの、いわゆる庶民階級を対象としたところの金額であるか、その妥当性があるかどうかということに、やはり大きな疑問を持つのであります。月収一万六千円から三万二千円、この階層を対象にしておるのでありますが、これらの人がこれだけの家賃を負担するということは、実際問題として、その家賃のためにいろいろの面におけるところの生活費を切り詰めていかなければならない、こういう結果に追い込んでおるのです。そこで、こういう今度の固定資産税の問題も、大きく浮び上ってきて問題になっていると、こう思うのであります。きょうも大臣がここへ出てこられなければならないのだけれども、だいぶお忙しいようでありますが、とにかくひんぱんにかわる。だれ一人、一貫した住宅政策というものは考えられておらないと思うのです。たとえば、この住宅公団法ができましたときに、竹山建設大臣は、大体三千円台だ、こうおっしゃっておった。三千円台ということは、大体において四千円までの金額ということがいえるのでありますが、常識的には、三千三百円、せいぜいで五百円ということが三千円台じゃないかと思うのです。それがずっと四千円以上オーバーしておる。こういうことになるところに問題があると思うのです。先ほど島上委員も御指摘になりましたが、もう少し運営をしていかれる上におきまして、非常に綿密に科学的にいろいろの計算をして、そうしてこの契約書にいたしましても、ほんとうに水も漏らさないような配慮を払われなければならぬことはわかりますけれども、どうも、この契約書の内容を見ましても、先ほど指摘のあったように、もうこれは厳然として動かすことのできないものだという形をとってこれをずっと押しつけていくという姿が、あらゆる面において見られるのであります。そこで、この共益費の内容を見ましても、これはどうも納得がいかないのです。たとえば第五項の賃貸住宅がある団地内の道路、植樹、花壇、砂場及び芝生等の手入れに必要な費用、こういうものは、当然団地ができるときに、公団においてりっぱに設備されるべき問題でないかと、こう思うのです。そういうものもを入居者に負担させようという、こういう考え方が、僕はやはり一方的でないかと思うのです。この前も当委員会でずっと視察したのでありますが、大体団地へ行くまでの道路、それから団地内の道路は非常に不完備であります。こういうことをきちんとしてあげれば、こういった問題も、こまかく何でもかんでもとれるものだけみんなとってやろうといったことにならないのではないか、こう思うのであります。こういう点をいろいろやはりもう少しお考え願って、この共益費の内容にいたしましても、あるいは修理費の義務負担の内容にいたしましても、こうだときめてしまわないでもう一ぺん御検討願って、結論においてこの法律制定の目的にかなうようなそういう低額の家賃をどうしたら作ることができるか、こういうところでもう一ぺんこの際考え直していただいて、それからこの固定資産税の今起きている問題と取り組もうという考えにならないと、これはなかなか簡単に解決できないのではないかと思います。いろいろ公団側の立場も十分わかりますけれども、お互いに生活を豊かに安定していこう、またさせてあげなければならないという気持に立って、もう一ぺん検討される、そういうお心がまえをお願いいたしまして、私は補足の質問を兼ねて御希望を申し上げておく次第であります。これに対する御答弁は要りません。  そこで私はこの際におきまして一つお尋ねしたいのでありますが、これは同じく日本住宅公団の特定分譲住宅に対して、新潟市の柾谷工事耐火建築地帯、ここに起っている問題を取り上げまして、これはやはり全体の問題として御質問と御所見を承わりたいとこう思うのであります。御承知通りこの耐火建築帯は、日本住宅公団あるいは日本住宅金融公庫などの分譲及び融資を受けまして、そして防火帯の造成をなしとげたのでありますが、さていよいよこれに対する償還金あるいはその他の利子の払い込みという段取りになってきますと、非常に苦しい立場に追い込まれておるようであります。この公団によるところの特定分譲住宅については、民間資金が六五%も入っておる。ここにやはり問題がありまして、九カ年で年九分一厘四毛の高い利子で、しかも短期間に償還をしなければならない。こうなってきますと、店舗、住宅を合せまして大体二万五千円前後の支払いと、それにもう一つ借り入れた頭金の利子、こういうものの支払いにもうぐんぐんと追い詰められまして、非常に窮地に陥っているのであります。せっかく復興建築をしながら、また防火帯の造成に協力をさせられながら、この償還金のために倒産者も出てきておる。こういう実情を御存じなのかどうか、そんなことをいっても、これでちゃんといっているのだ、こういうように安易にお考えになっているのかどうか、これにつきまして実情をどのように把握しておられるか、御所見を承わりたいのであります。
  84. 吉田安三郎

    ○吉田参考人 ただいまお話のございました新潟、魚津両市におきます分譲住宅の償還につきましては、陳情書も私の方へ参っておりますし、県なり市なりあるいは御担当の方も親しくおいでになりまして、お困りの点は十分お聞きいたしておる次第でございます。つきましては当初、災害でございましたので多少分譲住宅として坪当り支出いたします額を特に普通の場合よりも引き上げ、あるいは償還期についてもわれわれの公団としてできる範囲の中で多少顧慮してまかなってきたわけであります。今回の二十年をさらに延長することについての陳情につきましては、私の方といたしましても十分研究した上でやっていきたいと思います。公団だけでもできかねる問題もございますので、そういう問題につきましては監督官庁その他とも連絡をいたしながら研究を進めておるような状況でございます。
  85. 三鍋義三

    三鍋委員 研究を進めておるという御答弁でございますが、何かそこに特別の減免措置を講ずることのできるめどをつかんでおられるのか、つかもうとしておられるのか、この点いかがですか。
  86. 植田俊雄

    植田説明員 ただいまの問題につきましては私の方も承知しております。またその特定分譲を受けられます方のいろいろ資金上の御苦心の点もなるほどと了解がつくのでございます。ただ私ども公庫、あるいは公団の資金を使います場合におきまして、これは政府関係資金であるから、それに対する償還は幾らおそくても差しつかえないのだ、あるいは民間銀行の借金は早く返すが、政府資金はおそくても差しつかえないのだというふうな風潮の出ますことは、これは十分警戒いたさねばならぬと思う次第でございます。しかしながら新潟市の例につきましては、当事者といたしましてはそういうお気持がないようでございます。また災害にあわれた方でございますので、災害の復旧、その他でいろいろ当座のうちは資金事情も苦しいこともわかるわけでございます。従いましてこれを個々の事案といたしまして、公団の方で善処をお願いいたしますか、あるいは災害復興に関連いたす場合のみ若干の特例措置を法令上に表わすとか、こういうような問題につきましてただいま研究中でございまして——研究中と申しましても、何とか解決策をはかるために工作を講じたいという意味で、ただいま努力いたしておる次第でございます。近いうちにこの結論は出るものと存じております。
  87. 三鍋義三

    三鍋委員 研究中という言葉はよく使われる言葉でございまして、非常に重宝な言葉でございますが、今のお言葉によりますと、できるだけ早く何とかこれに対する解決策を考えてみたい、このような御答弁と承わりました。そこで今もお話通り、全部烏有に帰しまして、立ち上りに非常に困難を来たしておりますことは、これは現地に行かなくてもよくわれわれは想像できることであります。どうでございましょうか、何か据置期間を三年か五年設けるとか、あるいはそれが具体的な問題としてできるまで払い込みの延期の処置、こういったことをあたたかい気持で考えてあげぬと、僕はやっぱりほんとうのいい政治だといわれないと思うのです。これにつきまして、政令か何かで処置できないでしょうか。何とかしてもらいたいと、こう私自体も思いますし、地元民の切実なる要望であります。また私の県のことを申し上げて大へん恐縮でありますけれども、魚津の大火の罹災者も当然この問題しぶち当ってくるのでありまして、この点につきましての御所見を伺いたいと思います。
  88. 植田俊雄

    植田説明員 金を貸します場合においては非常にいいわけでございますが、今度は金を回収する段階になりますと、貸した方が弱い立場になるわけでございまして、借りた方からのいろいろな注文が出ました場合に、それを初めの約束とは違った条件を認めるということは、これは金の回収をはかりますためにも、どうしても必要な場合もあろうかと存じますが、しかしそういうことが前例になりまして、それが他の地方にも波及するということになりますと、政府機関としての資金の回転もうまく参らぬわけでございます。従いまして、この運用をいたします場合に、よほど異例の措置としてものを考えて参らねばならぬかと思うのでございまして特にただいま御指摘になりました新潟、魚津等でございますと、災害の立ち上りの場合でございまして、考え方といたしましては、そういう場合に何らかの特例措置を講ずることができないであろうかと存じておるわけでございます。方法といたしましては、据置期間の問題であるとか、分割払いの年限を延ばすとか、いろいろ方法があろうかと存じます。金利を安くすることはできない相談かと思いますが、据置の問題と償還年限の延長、これもあまりはっきりと初めからきめてかかって参りますと、まずうございますが、あるいは個々の事例に沿いまして、公団として措置のできますような何らかの根拠法規を作り得るんじゃないだろうかというので、ただいまやっておるところでございます。ただ据置の点だけは、全般の問題にも関連しますので、比較的困難じゃないか、償還年限を延ばす方は比較的楽じゃないかと心得ておるわけであります。しかしこれもただいままだ省令の問題等で検討中の問題でございまして、ただいま私ども考えておりますような結論を建設省全体として、あるいは関係省ございましたら関係省と相談して結論をすっかりきめておるわけではございませんので、この点は御了承を願いたいと存じます。
  89. 三鍋義三

    三鍋委員 払込期間の延長……。
  90. 植田俊雄

    植田説明員 支払い方法につきましても、当事者によりましては当初の支払いが高くて、あとは少しがいい場合もございましょうが、災害の場合には平均した方がいいかと思いますので、平均化することについても私ども案を現在研究中でございます。
  91. 三鍋義三

    三鍋委員 とにかく罹災都市の罹災者の救助をとくと御配慮願いまして、この点十分御研究の上、何とかそれらの人がほんとうの希望を持って力強く立ち上れるように御配慮をこの上ともお願いしたいと思います。  次に自治庁市町村税課長の鎌田さんにお願いいたしたいと思うのでありますが、これも新潟市の問題でありまして、特定分譲住宅固定資産税の問題であります。大体におきまして建築費は五万五千円前後で建てておるようであります。中には鉄鋼材値上り等によりまして、六万円くらいまでかかったのも若干あるようでありますけれども、これらの例外を除きましては、大体国の基準費に準じて建築しておるのであります。ところが評価が、地域によって多少の差はあるけれども、大体におきまして建築費を大幅に上回った評価をしておるようであります。これにつきましては住宅課長に調査をお願いしておったのでありますが、その結論は私はまだ聞いておらないのでありますが、最低六万七千円、あるいは最高八万九千円、そういった評価をしておるのであります。この実情をどのように把握しておられるか、これは一体どういう観点からこういう数字が出てきたのか。結局立ち上らんとする人々の意欲を非常に阻喪させる結果になっておると思うのでありますが、これらにつきましてはよく一つ調査願いたい。御調査になっておるのだったらその御報告をお聞かせ願いたい。これに対するところの処置をどのように考えておるか、これを伺いたいと思います。
  92. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。率直に申し上げて、今の新潟市内の分譲住宅の評価の問題につきましては初耳でございます。ただこの公団住宅の評価の問題につきましては、賃貸住宅の評価につきまして、これは先ほどあるいは公団の方から御説明があったかとも思いますが、施工の程度が全国的に統一設計で行われておりますことと、それからたとえば鉄筋コンクリートの鉄筋の使用量でございますとか、あるいはセメントの使用量でありますとか、そういったものを現在私どもの方で固定資産評価基準といたしまして、関係町村に評価の目安を示しておるわけでございますが、それに用いております標準施工量とは著しく相違しておるというような例がございましたので、この賃貸住宅につきましては、私どもの方で一応新しい評価基準が来年度から適用になりますので、それに基きました評価の額を一応策定いたしまして、関係町村にこれを示しまして、それに基いて適切な評価をする、それによりまして市町村間の家屋の評価の著しい不均衡を避けたい、こういうので指導いたしております。ただ分譲住宅の分につきましてはただいまお話を承わりました六万七千円から八万円という坪当りの評価の額につきまして、私その施工の内容等よく存じませんが、一般的な感じといたしましてはちょっと高いんじゃないかという感じを率直に言って持つのでございますが、一つさっそく新潟市の方に連絡をいたしまして内容を検討いたしまして、適切な措置をとらしていただきたいと思います。
  93. 三鍋義三

    三鍋委員 同じ言葉を何べんも繰り返して恐縮でありますが、法律が出て、そうしてこれを運用するのはやはり人でありまして、これらの問題につきましてはやはり人間性を豊かに持って、ただ法律を忠実に守っていけばいいといった考えでなくして、十分いろいろの情勢を常に把握されまして善処されることを心からお願いいたしまして私の質問を終ります。
  94. 薩摩雄次

  95. 中島巖

    中島(巖)委員 それでは河川局長もしくは防災課長にお伺いいたしますが、先ほどの国庫負担率の法第四条に対する解釈についてどういう御解釈だか承わりたいと思います。
  96. 山本三郎

    山本説明員 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の第三条にはその対象となるものが掲げてございます。河川、海岸、砂防設備、林地荒廃防止施設、道路、港湾、漁港、こういうふうになっておりまして、この施設のうちで政令で定める公共土木施設に関する災害の復旧事業ということになっておりまして、その政令は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令というのが出ておりますが、その第一条におのおのの河川、海岸、砂防設備等についての規定が書いてあります。従いましてこれに該当するものを総計いたしまして第四条による計算をいたしまして、負担率を算定するということに相なっております。   〔委員長退席、荻野委員長代理着席〕
  97. 中島巖

    中島(巖)委員 それで僕ら大ざっぱな考えで地方公共団体維持管理するところの公共土木施設は全部この中に入れて計算する、こういうように解釈すべきだというふうに考えておるわけですが、そういう考え方ではいけないのですか、どうですか。
  98. 山本三郎

    山本説明員 その考え方につきまして、今政令が施行せられておりまして、この政令の第一条におのおのの解釈がつけてあるわけでございまして、それに該当する公共土木施設がこの国庫負担法の対象となるというふうに考えなければならぬものだと思います。
  99. 中島巖

    中島(巖)委員 それではあとで詳しく私の方でも調べてみましょう。言う時間がなくなるからその程度にしておきます。  それから国庫負担率をきめてある第四条の一、二、三とあって、これは読んで字のごとくきまっておるものですが、これ以外に何か特例があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  100. 山本三郎

    山本説明員 第四条の二に書いてあります連年災害における国庫負担率の特例というのがございまして、連年災害を受けた場合に負担率を上げて参りますという規定がございます。
  101. 中島巖

    中島(巖)委員 それから第六条に適用除外の関係を書いてありまして、これによりますと、指定市が十五万円、それから市町村が十万円以下のものはこの適用を除外するということになっておりますが、これに対して何かほかに特例が出ておるかどうか。現在この通りでやっておるのか、あるいは特例が出てそれによってやっておるのか。もし特例があるとすればその特例の内容をお示し願いたい。
  102. 山本三郎

    山本説明員 これにつきましては特例はありませんで、この通りにやっております。
  103. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでこの十万円以下のものは結局市町村の単独災害ということになるのですが、この法によりますと、第六条の二項に「一箇所」というような文字があるのですが、この「一箇所」ということは、その災害のあった所だけか、あるいは隣接にあったのが含まれても「一箇所」とみなしているのか、この点をお伺いしたい。
  104. 山本三郎

    山本説明員 二十メートル以内のところにありまして、連続したものとみなされる分はそれらを合せました工事費を計算いたしまして、その金額が先ほど申し上げました十五万円なり十万円以上になるものは国庫負担の対象にするということにしております。
  105. 中島巖

    中島(巖)委員 それからこれと同じような関係になるわけですが、農林省関係にお伺いをいたしますが、結局現在は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律によってこれらの災害の復旧の補助を行なっておるのですが、そう解釈してよろしいですか。
  106. 茅野一男

    ○茅野説明員 ええ。
  107. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでお伺いいたしますが、第三条に「国は、予算の範囲内で、都道府県に対し、左に掲げる経費を補助することができる。」こうなっておりますが、これは市町村にも適用できるのであるかどうか。もし市町村の分は適用除外としたならばいかなる方法に扱っておるか、この点をお伺いしたいと思います。
  108. 茅野一男

    ○茅野説明員 ただいまお尋ねのありました農林省関係災害補助の方は、治山の災害施設の方は先ほどの公共施設災害の方でやっておりますけれども、今度の方はすべて今のところ農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律で行われております。ただいま御質問のあった、都道府県で行う場合は、これはもちろんはっきり書いてございますが、市町村で行う場合につきましては、市町村は、県を通じまして補助金を出すということになっております。たとえば市町村営の場合でも、施行主体が市町村でありましても、県を通じまして補助金を出すということになっております。
  109. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで第三条の二項におきまして、「前項第一号の規定により国が行う補助の比率は、左の区分による。」農地にかかわるもの、当該災害復旧事業事業費の十分の五、農業用施設にかかわるもの、当該災害復旧事業事業費の十分の六・五、林業施設にかかわるもの、イとロに分れて、荒廃地関係は、当該災害復旧事業事業費の十分の六・五、林道にかかわるものの方で、奥地林道が十分の六・五、その他の林道が十分の五、こういうように規定されておるのですが、ただいま政府委員からの答弁によりますと、市町村関係のこれらのものも当然この法律に該当できる、こういうように解釈してよろしいかどうか。
  110. 茅野一男

    ○茅野説明員 市町村関係事業によりまして違うのでございまして、ただいま林道を例にとりますと、林道の場合は市町村が施行主体になりましてやる場合には、先ほど申し上げましたように県を通じて補助金を出しております。それから治山災害だとかそういうものにつきましても、これは市町村自体が実行するという場合はほとんどございません。県が施行してあげるというのが建前でございますので、そういうものにつきましてはもちろん別途補助金は出るわけでございます。ここにあります「イ 林地荒廃施設に係るもの」と書いてございますのは、私どもではこの十分の六・五に該当するものは非常に少うございまして、ほとんど今適用されておりませんで、林地災害防止施設は大半のものは森林法と他の法律によって助成されておりまして、長野県は指定県でございますから、財政再建整備指定県ということで九割ということになっております。これは前の本則の第二条第二項第一号にありますように「法令により地方公共団体又はその機関の維持管理に属するものを除く。」としてありますので、あまり該当はございません。
  111. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいまの御答弁によりますと長野県は再建整備団体に指定されておるから補助率が九〇%というようなお話がありますけれども、これは九〇%というのは全部に該当するものだか、あるいはこのうちのある項目に限って該当するのだか、たとえば農地の災害の復旧事業なんかは、再建整備団体であるとすればどういう率になるか、その点お伺いしたいと思います。
  112. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 農地の関係は、再建整備団体であっても今お話の九割の適用はございませんです。ただ農地関係としましては、先ほどお話に出ました農地に対しては普通五割です。それから農業用施設の災害については六割五分、それから市町村単位にしまして被害額が一戸当り八万円以上になりますと農地は八割、それから公共施設について農業用施設については九割の補助になる。それから農業用施設につきましては一戸当り被害額が十五万円以上になりますと、そのものについては全額、そういうふうな三段階に分れております。
  113. 中島巖

    中島(巖)委員 そういたしますと、大体ここの三条の二項の規定が普通の規定であって、その末尾に「その年の一月一日から十二月三十一日までに発生した災害により甚大な被害を受けた地域に限り、その被害を受けた農地、農業用施設、林道及び漁港施設の災害復旧事業事業費のうち政令で定める額に相当する部分につき、第一項第一号の規定により国が行う補助の比率は、前項の規定にかかわらず、左の区分による。」として農地にかかわるもの十分の八、農業用施設にかかわるもの十分の九、当該部分のうち政令で定める額に相当する部分については十分の十、林道関係においては、奥地幹線林道にかかわるもの、当該部分の十分の九、その他の林道にかかわるもの、当該部分の十分の七・五、こういうように法律で定めてあるのですが、そこで問題になるのは政令で定める額に相当する部分、これは今政府委員からお話のあったあとの項目に属するものだと思うのですが、この政令に定めるというのはこの法律の施行令の第四条、第五条の適用ではないかと思うのですが、そういうように解釈してよろしいですか。
  114. 茅野一男

    ○茅野説明員 私からかわってお答えいたします。ただいま御質疑のありました点は御質問の通りでございまして、高率補助の適用はただいまの第五条の規定でございます。
  115. 中島巖

    中島(巖)委員 それでこの第五条を見ると、法第三条第三項の「政令で定める額は、左の各号の通りとする。」として「一農地及び農業用施設に係るもの」こうなっておりまして、「市町村ごとに、その区域内にある農地又はその区域内にある農地が受益する農業用施設について、」こういうことになっているのですが、ここでちょっと問題になるのは、「市町村ごとに、その区域内にある」つまりその区域内にあるとはどういうところをさしたのであるか、こう考えるわけですが、その点を具体的に、先ほどから建設省並びに農林省に対して説明を求めておりますけれども、これは当然現在の災害に対してどういう法の適用があるかということの説明を求めるのでありますから、そういう目的に合うような、一つわかりやすい具体的な説明を願いたい、こう考えるわけであります。従いまして、この問題については区域というものはどこをさすかという点にあるわけで、さらにその後におきまして二、三項となっており、さらにこれは四項まであるわけで、これを読めば非常に長くなりますので省略いたしますけれども、どういうところが高率補助の適用になるかならぬかという点について御説明を願いたいと思います。
  116. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 市町村と申しますのは、区域は市町村を単位にしまして、たとえば川路村なら川路村で農業関係の被害額を暦年でとりまして、被害復旧の事業費が、被害農家の一戸当りの金額が八万円に満たない場合は農地が五割、公共施設は六割五分の補助でいくわけであります。それからそれよりオーバーした農地については、被害額が八万円以上のものについては八割の補助でいく、それから公共施設についても十五万円以下八万円以上の間にある被害額については九割の補助で、公共施設のみにつきましては農家二月当りの被害額が十五万円をこしたものについて全額というふうな計算になっておるわけであります。たとえば被害農家戸数が四十戸あればその四十戸に八万円なり十五万円をかけまして、そして金額を算定してそれぞれオーバーしたものについては今申し上げた補助率を適用していくわけでございます。
  117. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでわかりやすく申し上げますと、たとえば川路村なら川路村あるいは智里村なら智里村の戸数が一千戸あった、その中で五十戸が被害を受けた、五十戸の被害総額が四百万円になれば、この高率補助の適用は受ける、こういうように解釈してよろしゅうございましょうか。
  118. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 そうです。
  119. 中島巖

    中島(巖)委員 よくわかったわけであります。先ほど建設省へお尋ねしたのでありますが、第二条の六項におきまして「一箇所の工事費用が十万円以上のものをいう。」詳しく読めば時間が長くかかりますので、問題点だけを申し上げますが、こういうふうにこの法律はうたってあるわけです。従って一カ所の工事費用というその一カ所という限定はどういう限定を農林省としては持っておるかということと、それから十万円以下のものに対して他に特例があるかないか、この二つの点をお伺いしたい。
  120. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 まず一カ所の問題でございますが、たとえば水路などの災害におきまして五十メートル以内の間隔であるものが被害を受けておる場合には一カ所とみなして取り扱っております。建設省は二十メートルの間隔になっておりますが、農林省関係のうちの農地関係は五十メートル以内のものを一カ所と見ております。  それからもう一点の十万円以下の特例はございません。
  121. 中島巖

    中島(巖)委員 まだ建設省並びに農林省に対してお伺いいたしたいことはたくさんありますが、あとでお伺いしたいと思います。  そこで自治庁にお尋ねいたしますが、今建設省並びに農林省との質疑応答によって大体おわかりだと思うのでありますが、結局災害復旧関係において国庫補助の対象分と単独災害とに分れるわけでありますが、国庫補助の対象になって地元の負担になる部分に対しては起債その他の関係でどういう処置をとられるのか、あるいは単独災害に対しましてはどういう処置をとられるのか。すなわちこれらに対する起債並びに特別交付金の関係についてただいまの質疑応答の目的がどこにあるかということはほぼお察しがつくと思うので、それに適切なる御答弁一つお願いいたしたいと思います。
  122. 柴田達夫

    柴田説明員 災害復旧につきましては国庫補助事業と国庫補助を受けない単独事業があるわけです。国庫補助につきましては、地方負担分については在来から全額地方債で一応見る、全額地方債で見て参りますと結局後年度に元利償還金が出る、そこでその元利償還金についてはこれを公共災害分については地方交付税を算定いたします場合に基準財政需要額に入れて計算する、言いかえれば普通交付税の配分を通じてこれを計算しておるわけでございます。単独事業災害復旧につきましても、大体初年度におきましては起債で見るという建前になっております。ただ単独災害復旧事業というものを現地について見て参りますと、これが何やらわからぬものもあるわけでございます。つまり単独災害復旧事業というものにつきまして各地方団体間の適切なる均衡をはかる手段がない、それぞれ各地方団体の申請をある程度書面審査をして起債をつけておる、その起債のつけ方というものはほぼ全額に近いものがいっておる、こういうことでございます。それの元利償還金がやはり出て参るわけでございますが、これは事の性質上特別交付税で償還金を見る、こういう建前で従来からやってきておるのであります。現在でもそうでございますし、今後もその方式を変更するつもりはございません。
  123. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいまの御説明によると、国庫負担の対象になっておるものは地方で負担する、全額の起債を認める、そしてその全額の起債を認めたものはその償還の一つの方法としてそれを基準財政需要額に計上をする、こういうように解釈するとしますと、結局全額補助と起債とによりまして国庫負担というような形に結論的になると思うのですが、そう了解していいのかどうか、その点もう一つお伺いします。
  124. 柴田達夫

    柴田説明員 地方交付税というものの性格がやかましく言いますと議論になるわけでございまして、何も国から出す金じゃございません、国から出すのでございますけれども、性格上は地方団体全部の共有財源、共同の独立財源と私どもは考えておるわけでございますが、しかしいずれにいたしましてもそういう一つの財源のプールから片一方のものが埋められる、それから国が持っていく部分については国から国庫負担金が出てこれをカバーしてくれる。大体災害復旧事業につきましては公共事業費系統、つまり公共災害復旧事業につきましては百パーセントの措置ができておる、また措置をする建前で、従来からそういうしきたりになっておるわけでございます。単独災害復旧事業につきましては、先ほど来ちょっと申し上げましたように若干そこに問題がありまして、必ずしも百パーセントとは申しません、しかし非常に手厚い財政的措置が講ぜられておる、こういうことでございます。
  125. 中島巖

    中島(巖)委員 次に、これは建設省並びに農林省も同じ問題となるわけでありますが、結局災害の査定がおくれたり、国からの補助金がおくれたりする場合において緊急融資をせればならぬような関係について、建設省関係では昭和三十年六月十四日建河発第二百四十五号河川局長通知というものが出ておるのであります。これは短期融資の関係が書いてあるのでありますけれども、これにつきまして、ただいまの質疑応答を通じまして最も適切なる緊急融資の方法を御説明願いたいと思います。
  126. 山本三郎

    山本説明員 資金運用部からの災害つなぎ資金の融通につきまして、各都道府県知事河川局長から通牒を差し上げてありますが、この場合のやり方について従来いろいろ違った方式をとられておったのでございまして、今後におきましてはこういうふうなやり方でやろうということを通牒したわけでございます。そういたしまして、実際のやり方といたしましては、県で実際に緊急に施行しなければならぬ個所を取り調べまして持って参りまして、建設省も一緒になりましてそれを調査いたします。そうして大蔵省に対しまして両方からいってよく説明いたしまして、予備金の出るまでのつなぎといたしまして資金の融通を頼みまして、それのうちどうしても必要なものにつきまして融資を受けておるような次第であります。
  127. 中島巖

    中島(巖)委員 これについてやはり農林省関係にもそういう項目があったように思うのですが、農林省関係はその点いかがでございましょうか。
  128. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 農林省関係の融資につきましては、地方公共団体から資料を各都道府県へ出していただきまして、その資料に基いて農林省関係災害につきましては郵政省の郵便年金と簡易生命保険の金が政府のつなぎ資金として出るわけでございます。それは短期融資でございまして、大体補助金を対象として融資する関係がございますので、その年の三月の末に補助金が入ったら返していただくというようなことになっております。それからもう一つ、自己資金がどうしても足らないので金がほしいという場合が出てくるわけでございます。その場合には農林中金の金を大体翌年度の補助金を見返りとして貸し付けるわけでございますが、これは農林水産業の団体または組合員を対象として貸し付けることになっております。それからもう一つ先ほどお話のありました十万円以下の補助対象にならない小さな災害については、農林漁業金融公庫から金を貸し付けるというような措置も講ぜられております。
  129. 中島巖

    中島(巖)委員 もう一つ農林省にお伺いいたします。補助対象団体が第二条の四項にきめてあって、この法律で共同利用施設とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会または水産業協同組合の所有する倉庫、加工施設、共同作業場というようなことになっております。従って、地方公共団体でなくともこれらの団体は補助対象の団体である、かように考えるわけですが、そういうような解釈でよろしいですか。
  130. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 私の方は補助対象は限定しておりません。市町村でも土地改良区でも府県でもいいわけです。
  131. 中島巖

    中島(巖)委員 実際問題として、市町村の公共土木の施設に対する災害の査定は非常に困難ではないかと思うのですが、これにもどちらにも都道府県知事が行うように書いてあります。従って、それの期限とか査定の主体とかいうようなものに対して法律によって現在どういうような方法をとっておられるか。これは迅速にやってもらわねば困る問題でありますので、現在までとってこられた方法を建設省並びに農林省からお伺いしたいと思います。
  132. 山本三郎

    山本説明員 建設省関係災害につきましては、本省から査定官が参りまして市町村災害でも全部査定いたします。ただ緊急の分と緊急でない分を一緒にやりますと時間がかかりますので、緊急の必要ある分につきましては、ほかのものはあとにいたしましてもそのものを特に早目にやるような措置をいたしております。
  133. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 農林省も査定はやはり農林省から出かけて行ってやるわけでありますが、大体は出先の農地事務局が査定をいたすわけであります。しかし、その査定に出ます前に各府県から災害復旧事業計画の概要書というものを出していただくわけであります。それが出ませんと査定行為ができないわけでありますので、できるだけそれを早く出していただいて、それに基いて農地事務局から査定に出かけるというふうな取扱いをしておるわけであります。
  134. 中島巖

    中島(巖)委員 道路局の方へお伺いするのですが、午後中にもちょっと質問いたしたのですが、災害地方の幹線道路である名古屋−塩尻線、すなわち二級国道百五十一号線が約四里にわたって決壊をいたしておるわけであります。これは先ほど申し上げたように、自衛隊が二百四十名入ってその奥の村の食糧つまり米の運搬をしておる、非常に決壊したためにフジづるを伝わったり何かしなければなりませんので、一斗程度しか背負えないというような状態で食糧補給をしておるわけですが、他の部分より何より、この国道だけは当地方のほんとうの命の綱とも言うべき幹線道路であるので、早急に災害の完全復旧をやってもらいたい、こういうように考えておるわけであります。まだ本格的な査定も終らぬので、ただいま質問してもどうかと思うのですが、一応は寺岡査定官によって御報告をお聞きになっておると思いますけれども、これに対する大体の御方針、お考えがあれば承わりたい、かように考えております。
  135. 河北正治

    ○河北説明員 ただいまの御質問でございますが、私の方からも課員を調査にやりましたのですが、その報告によりますと橋梁関係はこの際災害復旧の査定が確定いたしますればそれに対しまして不足分は道路の方から道路整備費として出しまして本格的なものにいたしたいと考えております。  それから道路の方は、今後査定の結果、どのくらいの工費になるかわかりませんが、それによりまして、国道でございますが管理者は県でございますから、県とよく相談いたしまして災害復旧のみにとどめるか、あるいはこの際災害復旧と一緒に道路改善までやるかということは、今後長野県とよく打ち合せして善処さしていただきたい、そういう工合に考えております。
  136. 中島巖

    中島(巖)委員 大体御方針はわかったのですが、ただいま申し上げましたような非常に緊急度の高いものでありますから、早急にやっていただきたいのですが、大体御予定はどのくらいな月で——ただいま申し上げました国道百六十一号線だけでいいのですが、完全な国道の復旧ができるというお見通しか、それを承わりたいと思います。
  137. 河北正治

    ○河北説明員 私の方から調査にやりました者の報告では、交通開始は大体八月一ぱいになるのではないか、そういう工合に私は報告を受けております。これは一番ひどいところだけでございます。あとは大体七月十日くらいまでに通れるように処置されておるという工合に私は報告を受けております。
  138. 中島巖

    中島(巖)委員 大体お伺いすることはその他にもございますが、時間もだいぶおそくなりましたので以上をもって打ち切りたいと思うのであります。  そこで最初の質問と重複するようでありますけれども、一市十カ町村くらい非常に局部的なものではありますけれども、わずかそれだけの地域で二十人もの死者を出すというような非常な災害でありますので、政府においても特段の御留意を一つ払われたいというように希望するわけであります。  なお門島ダムの災害などにつきましては現在行政訴訟中でもあり、国の方についてもこれに対して非常な関心を持って御研究されておるということは聞いておりますけれども、今回の降雨によりまして土砂の堆積が二メートルくらい高くなっておる。従ってこの次に相当の降雨があれば人畜に相当被害のあるような状況が展開されるのじゃないか、かように考えますので、適切なる御処置を希望いたしまして、以上をもちまして私の質問を終ることにいたします。
  139. 荻野豊平

    ○荻野委員長代理 原茂君。
  140. 原茂

    ○原(茂)委員 中島委員から大半のことを聞いたようですから、補足的に基本的な問題を二、三お伺いしておきたいのですが、両省にお伺いしたい第一点は、この第五号台風、これに関連した全般の問題ですが、同時にその後も西日本その他東北地方にもありますが、大きな水害があった、これら全体を通じて救農土木事業、いわゆる同じ地域河川なり道路等を修復するにいたしましても、かつて二十八年の水害等に対処いたしました、あの救農土木事業という観念による措置、それから特に被害を受けました耕地を出している農民に対しては、営農資金というものを早期に考慮するというようなことを、基本的に建設省並びに農林省でどうお考えになっているか、まずその点を先にお伺いしておきたいと思います。
  141. 山本三郎

    山本説明員 第五号台風及びその後の七月上旬の水害によりまして、被害を方々の県に及ぼしております。特に長野、岐阜、それから関西の大阪付近、今回におきましても北陸、東北地方、それから中国の日本海岸等におきまして相当の災害を起しておるわけでありますが、私どもといたしましては、これらの災害が、またすぐ災害期を控えておりますので、これらを早期に復旧するということも必要でありますし、それから過年度災害の復旧を促進するということも、災害を未然に防止する上においても、それからまた今おっしゃられた救農と申しますか、そのために失業者が発生するというようなものを救済する方法も考えられると思います。そういうふうな点からできるだけこれらの事業を促進いたしまして、災害を未然に防止するとともに、またそういうふうな困窮者を救済するというような方向に向いたいというふうに考えております。
  142. 櫻井史郎

    ○櫻井説明員 営農資金お話がございましたが、私担当者でございませんので、後ほど書面で回答させていただくようにしたいと思います。
  143. 原茂

    ○原(茂)委員 農林省の関係でも、別に農林委員会を早急に開いていただく予定ですから、そのときに準備しておいていただきたいと思いますが、建設省にもう一点お伺いしておきたいのは、現在起きておる災害、特に道路の決壊とかがけくずれ、こういうものはすでに大きな災害を及ぼしておるのですが、今もうちょっと雨が降るとあと何カ所もすぐ崩落しそうだというところがたくさんあるわけです。がけくずれあるいは道路の決壊をしそうだというところがたくさんにあります。今日査定をしているというのですが、そういう面に対する査定が当然行われていると思うのですが、査定の行われたあと——現在くずれたところ、決壊したところに対しては査定をしこれに手当をする、これは当然考えるでしょうが、同時にほうっておくともうちょっと五十ミリくらいの雨があるとするならすぐ崩落決壊のありそうだというところが、しろうとが見てもわかるところがたくさんにある。そういうところはどういうふうに対処するのか、査定をしている方もこれをどういうふうに調査をしているのか、これを一つ伺わしていただきたいと思います。
  144. 山本三郎

    山本説明員 災害として採択いたします分につきましては、崩壊が起きまして現実にそれを復旧する必要があるという分だけがこの災害復旧としての対象になるわけでございます。欠けそうだという問題につきましてはそのほかの方法で考えなければならぬ。災害としてはちょっと採択できないわけでございますので、ほかの方法で考えなければならぬというふうに考えております。
  145. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも今まで災害対策をずっとやってきたのですが、いつでもそういうことが現実に行われている。要するに実際にくずれた場合にのみ対策を立てる。同じ調査なり査定をしながら、その隣がすぐに、あとちょっと何かするとくずれそうだというところが目に見えていても、それに対しては何ら考慮しないし報告がなされていない。それが災害を非常に大きくするし、あるいは年々災害が続いている原因になるわけです。   〔荻野委員長代理退席、委員長着席〕 だからこの点に関しては当局としては十分に考慮して、従来の考え方を少し改めて、こういうような調査あるいは査定をしようというときには、そういう個所に対しても、今からチェックをして——未然に防止するにはどうしたらいいかを災害対策とは別個に当然やるべきですけれども、考えていくようにどうしてもやっていただかないと私はいけないのじゃないかと思います。こういうようなことを実際にやっていただくようにできるかどうか、一つお伺いいたしたい。
  146. 河北正治

    ○河北説明員 私は国道課長でありますけれども、一応私から答弁させていただきます。これは国道だけではありませんで、道路全般の問題でありますが、今御質問にありましたことは御趣旨ごもっともであります。私どもといたしましては、崩壊が起きそうなところは全国的に一応調べを持っておりまして、災害等を受けた場合に、その復旧費が特にかさむものから順次未然に、防災工事と私どもは申しておりますが、やらしていただいております。予算関係で今直ちに全国全部にというわけにはとても参りませんが、御趣旨のように私どもといたしましては最善の努力をいたしておりますし、また今後においてもいたしたい、こういうような考えでおります。
  147. 原茂

    ○原(茂)委員 最善の努力をしておるんだと今言い切ったのですが、実際に今度災害の起きたのを見ても、毎年これは危険だというようなところがたくさん出ている。前の災害のときにも、すでにこういうところは危ないなと思ったところが、それがとにかく人命を損ずるような大きな危害を加えているわけです。では果してちゃんと調査をしてあります。手当をしてありますと言うなら、今日のこの災害の中で何カ所かこれが未然に防止できたはずなんです。ところが実際に本省で調査しても、ほんとうの調査は僕はできていないのだと思う。だからやっているんだとかできているんだとかいうのじゃなくて、もっと謙虚な気持でこれと真剣に取り組んでやっていかないと、大きな災害というもので防ぎ得べきものが防げないことになるだろう。こういう点で私は申し上げているのですから、調査はしてありますというのじゃなくて、これから詳細にやるんだというお気持になっていただきたい。それでその手段としては、やはり地方自治体にそういうことを一度申請さしておく必要がある。本省だけが、寺岡査定官が行ったのだれが行ったのといっても、しかも災害がちょっと起きたからといって一人や二人が一週間や二週間現地を回ったからといって、そんなところまでわかるわけがない。ですからこういうような機会に、次に最も危険だと思うところはABCくらいつけさせて、そして申請だけはさせておく、そしているいろ予算の面で砂防工事その他をやるときにも、そういうものはやはり参考にしていくということを今後やらないと、私は実際に未然に防ぎ得べきものが防げないからもったいないと思う。こういう点を考慮していただきたい。  それから現在の被害の状況ですが、先ほど申し上げたような全国的に起きている被害、その後も豪雨等による被害が起きておりますけれども、きょういただいたこの資料をよく見ておりませんが、非常に簡単なもので、この資料で十分つかみ得ているのかどうか、この点私はまだ非常に不十分じゃないかと思うのです。たとえば地元の長野県の場合だけを見ても、この建設省のお出しになったものでも、私の持っている数字からいってもまだ不十分と思われるものがたくさんある。こういうようなものが一体いつになったらもっと正確なもの、たとえば台風五号と限るなら、台風五号の分としてこれはもう確実なものというものを早期にお出し願って、その数字の上でいろいろと審議をしていきたいと思います。これではまだ不十分です。指摘しろと言えばできますが、この数字では非常に不十分です。ですからもっと正確なものを何らかの方法でもって、しかも早期に——この建設委員会も頻繁に開かれなければ救済ができないと思いますから、次の委員会は早期に開くとして、もっと正確なものを一つお出し願いたい。その場合にはやはり七月上旬の梅雨前線の降雨災害あるいは台風五号、こういうふうに区切って、きょう現在なら現在で、とにかくこれなら大丈夫ですというものをお出し願うようにして、それによって緊急に救援の手を伸ばしていただきたい、こういうように考えますので、資料を一つ建設、農林両省からお出し願うようにお願いしたい。これが第一点。  次にお伺いしたいのは、いろいろ災害を起した市町村ですが、これが県の場合でいいますと、災害の内容、量等によって災害救助法の適用を受ける。適用を受けますと、いろいろな面で受けない村、町、市とは違ってくる。ところが国の段階でもそういうことがいえるわけであります。こういう場合に、最近の町村合併促進法によって町村合併をやり大きな自治体になったために、その中の被害が五万なり八万になったが、人口あるいはその他の関連からいって被害が非常に少いから、これにはその適用あるいは補助の率が低くなるというように、実際の面で弊害が起きている。おれの村は非常に大きな災害だったが、先月合併してしまったものだから、とにかく合併したために被害というものが非常に小さく査定されるようになった、こういうようなことで非常に矛盾が起きているようにも聞いておりますが、こういう点は、農林、建設両当局どちらでもいいのですが、お聞きになっているかどうか、また実際にそういう差があるとするなら、これにどう対処されるかをお伺いしたい。
  148. 山内一郎

    ○山内説明員 お答えいたします。今御指摘のように、町村が合併したために、この国庫負担法による計算をやった場合に、従来よりも下ってしまうというような点につきましては、町村合併促進法に財政援助に関する特例というものがありまして、不利にならないように、有利な方法をとって国の負担率をきめるというふうになっております。
  149. 原茂

    ○原(茂)委員 有利な方法をとってという解釈は、すると合併以前の町村単位、そういう計算の仕方と解釈してよろしゅうございましょうか。
  150. 山内一郎

    ○山内説明員 ただいまおっしゃいました通り、合併前の各村々の計算をやりまして、その後の合併と比較いたしまして、有利な方をとっております。
  151. 原茂

    ○原(茂)委員 その点は私が不勉強で、そう解釈していなかったのです。非常に現地でも心配しておりましたが、それはどうもありがとうございました。  最後に、これは概括的な問題でお伺いしたいのですが、少くとも災害が起きたりあるいはいろいろな被災を受けるというようなこと全体を通じて、これは当然国が、災害である以上は手当をする義務があると私は思う。その義務の生じてくる前提としては、やはり公衆衛生上あるいは社会活動の維持の上に阻害になるような状態、これを一日も早く撤去してやる、これを修復してやることが義務ということになるだろうと思うのです。そういう点からいうと、こういう災害が起きたときでもいいのですが、起きただけでなくて起きる以前、あるいは今後に対処するほんとうの方法というのは、たとえば一つの一尺なら一尺の橋がある。ところがその橋のまん中の一寸だけがこわれた。これにちょっと手をかければ人は通れるが、しかしまん中の一寸がかけるほどもうその橋全体が老朽化しているのだということが、だれの目から見てもわかるような場合には、その橋梁全体をこの機会に直しておくということが、私はいわゆる社会活動の正常を維持するための当然の仕事だと思う。言葉をかえて言うと、これが災害の復旧であり救済だと、こういうふうに私は考えるのですが、どうも従来の災害の復旧は、ややもすると原形復旧ということにだけこだわる。そのために原形には復旧したけれども、その原形に復旧したところはそのまわり全体がちょっとした災害でだめになるような、橋で言うならば橋という状態は橋だけが悪いのじゃない、橋のまわりまでが全体的にちょっとしたことでだめになる状態になっているということが査定され、だれが見ても認識されるときは、原形復旧だけでなくて、やはり基本的にそのまわり全体から直していこうという立場をとるのが、私は当然だと思うのですが、こういう考え方は一体どうなんですか。その考え方だけを今お伺いしておけばよろしいのです。
  152. 山内一郎

    ○山内説明員 国庫負担法に災害復旧の限度というのが御承知のように規定されておりますが、原則は原形の通りに直すということでございますが、それが非常にできない場合、それからそうやることが不適当だというような場合には、その解釈を幾分拡張いたしまして、従前の効用まで復旧するというようにやっております。ただいま例をおあげになりましたが、ごくわずかこわれて、そこを復旧するのにもとの橋ではもたないというような場合は、当然それを直します。それから一応もつけれども、残ったところから再びやられそうだというような場合には、負担法ではとりにくいので、関連事業というのを別に作っておりまして、これはちょっと負担率は下りますが、それとあわせて施行するというように現在やっております。
  153. 原茂

    ○原(茂)委員 今のあとの関連事業でやるという答を出してきたのですが、そうしないで、もっと基本的に、この災害なら災害を契機に抜本的にやろうというためには、やはり一部法律を改正しなければできない、こういうことになりますか。
  154. 山内一郎

    ○山内説明員 御趣旨の通りであります。
  155. 原茂

    ○原(茂)委員 わかりました。それをもうちょっと拡大するわけですが、拡大しますと、南信地方、長野県の例でもいいのですが、こういう災害が起きるのは、ある時期このくらいの雨が降ればこうなるぞということは実はわかっていたのです。どの程度どこがやられるかわからないだけで、わかっていた。これをこのまま今とりあえず応急対策、緊急対策等をやって、原形復旧なりあるいはその他の手当を行う。するともうこれでこういう災害が起きないかというと、またぞろ同じような状態の雨が一日か二日降ると、また起きるのだということをその地方の人は知っておる。おそらく調査においでになった方も、ああこれが根本的な原因だということはちゃんとわかっておられる。そういう場合にはどうなるのでしょうか。そういう抜本的にこれがいけないのだというものがあったときには、それに対してはやはり建設省として思い切った考慮をし、手を加える、そういうふうになさるのかどうか。問題はそういうところにあるということがだれが見てもわかる。いけなければ学者を連れていって学者に調べさせてもちゃんとわかるんだという場合には一体どうなさるのですか。それを抜本的に直してやるということは、私は当然公衆衛生上からいっても、いわゆる正常な社会活動の維持の上からいっても、なすべき国の仕事だと思う。こういう点は当局者である建設省としてはそういう場合にはどう対処なさるのか、こういう点の基本的な態度をお伺いしたい。
  156. 山本三郎

    山本説明員 たとえば一つ河川がずたずたにやられまして、原形復旧したのではまたすぐやられるということがわかっておるという場合が多々あるわけでございまして、そういう際におきましては、どうしても災害復旧だけではいけない。それに改良工事なりあるいは砂防工事あるいはダム等を併設いたしまして、この川はこうしなければだめだというような場合が生じてくるわけであります。そういう際につきましては、現在までもいろいろやっておりましたけれども、先ほど説明がありましたように、災害関連事業の一部であります災害助成工事というものがあります。これは大体災害復旧工事と同額くらいの金を入れまして、改修と一緒にやるわけです。そういうふうに一定の計画に基きまして、災害復旧の金と改修工事とあわせて改修をやってしまうというような方法をとっております。それからまた山が荒れてどうしてもだめだというところにつきましては、砂防工事を一緒にやる。それからどうしても川の改修だけではだめだという場合におきましては、上流にダムを作りまして、それで洪水を調節しようというような方法を相当たくさんとっております。現在もそういうふうな方法で改修をやっておる河川が約百河川くらいありまして、今回の長野県の場合におきましても、そういうふうに考えなければならぬような河川がただいま考えられておるわけであります。
  157. 原茂

    ○原(茂)委員 そうするとやはり関連事業あるいは改修工事等あわせてやらなければいけないという場合においてはそういうふうに考慮する、抜本的な対策というものも考える、こういうことになるわけですね。  そこで違った例を一つ申し上げたいのですが、ダムを作って河川のはんらんを防ぐというのが、逆にダムがあるために大きく年々この災害というものはほとんど約束済みにされてしまった、ダムがあるからいけないのだというような河川のあった場合、こういうものに対してはどうなさるのでしょうか。ダムができたために今度の大きな災害原因になっているのだということがあり得るのです。そういう場合には今のと逆になるのですが、どういうふうに対処なさるのか。
  158. 山本三郎

    山本説明員 ただいま私が申し上げましたダムというのは治水の目的で作るダムでございまして、この運用も間違えばもちろん下流に対して支障があるわけでありますけれども、治水の目的で作ったダムは洪水に対処するように運用するわけでございまして、そういう点におきましては被害は起きないのでございますけれども、ただいまお話の例は、ダムを作ったために上流が埋まったとか、あるいはそのために水のかさが上ったというようなものでございまして、そのために起った分につきましては、それを原因者に除却させる方法をとる。それからその他の天然現象等がございますならば、それに対しましては治山治水事業を促進いたしましてその根源を除去するというふうな方法をとって、被害をなくなすように努力いたさなければならぬ、こういうふうに考えます。
  159. 原茂

    ○原(茂)委員 大体わかりましたが、補足的にもう一度申し上げておくと、発電目的のダムであろうと、あるいは治水の目的のダムであろうと、とにかくダムがあることがその河川をはんらんさせ、沿線の住民にとにかく災害を受けさせるということになれば、これは目的がどういうダムであろうとも、今局長のおっしゃったように、やはり除去させるとか、あるいは新たにダムを作るとか、河川のまわりにいる地域住民の福祉本位に考えていくことが当然だということになるわけですね。
  160. 山本三郎

    山本説明員 そういう工作物を作りまして、特にそのために被害を受けるというような方があってはいけないわけでございますし、またどうしてもそういうふうなことになる場合につきましては、正当な補償がなされなければならぬというふうに考えます。
  161. 中島巖

    中島(巖)委員 これは答弁は要求しないのですが、どうも本年度は何だか雨が多いような気がして、各地に災害が発生するのじゃないか、こういうように予想されるのです。従って現在は大臣も政務次官も見えませんけれども、そういうような場合においては二十八年の六月、七月、八月ですか、あのときの立法のような立法措置でもして災害復旧の救済をしないと、ゆゆしき問題になるかと思うんです。従ってこれには予算措置なんかも必要となるのじゃないかと思うんです。これはあらかじめ一つ政府委員の方から、大臣も最近かわるらしいのですが、新しい大臣ができたら一つ御進言願って、今から一つ立法措置に対して御準備を願いたいということを希望いたしまして終ることにいたします。
  162. 山本三郎

    山本説明員 その点につきまして、現在までの災害の起った状況を御参考までに申し上げておきますと、六月一ぱいにおきましては昨年が報告額が二十六億、三十年度が八十億でございまして、三十二年度の六月一ぱいの報告額は約五十億でございますので、大体三十一年度と三十年度の、現在までにおきましては中間くらいということでございまして、二十八年に比べますとまだ八分の一くらいの状況であります。
  163. 薩摩雄次

    薩摩委員長 それでは本日はこれにて散会することとし、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後四時四十一分散会