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1957-04-30 第26回国会 衆議院 決算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月三十日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 奧村又十郎君 理事 床次 徳二君    理事 山本 猛夫君 理事 坂本 泰良君    理事 吉田 賢一君       生田 宏一君    林  唯義君       淡谷 悠藏君    神田 大作君       田中織之進君    細田 綱吉君       山田 長司君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      福田 久男君         会計検査院事務         官         (第一局長)  大沢  実君         証     人         (前第一相互銀         行常務取締役) 渡部 虎雄君         証     人         (前第一相互銀         行営業部貸付課         長)      前田  彦君         証     人         (第一相互銀行         常務取締役)  佐藤 寛一君         証     人         (スチール工業         株式会社経理担         当者)     直江 秀次君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 四月三十日  委員薄田美朝君及び神近市子君辞任につき、そ  の補欠として林唯義君及び坂本泰良君が議長の  指名で委員に選任された。 同日  坂本泰良君が理事に補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  歳入歳出実況に関する件(都道府県会計経  理に関する問題)     ―――――――――――――
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件(都道府県会計経理に関する問題)について調査を進めます。本日は右件につきまして前会に引き続き証人より証言を求めることといたします。  御出頭になりました証人の方々は、佐藤寛一君、渡部虎雄君、前田彦君直江秀次君ですね。――相違なきものと認めます。  あらかじめ文書で御通知いたしておきました通り、ただいまから歳入歳出実況に関する件(都道府県会計経理に関する問題)につきまして証言を求めたいと存じますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと机なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知願っておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  佐藤君、渡部君、前田君、直江君の順にそれぞれ宣誓書の御朗読を願います。     〔証人佐藤寛一朗読〕    宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。   昭和三十二年四月三十日           佐藤寛一     〔証人渡部虎雄朗読〕    宣誓書  良心に従って真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。   昭和三十二年四月三十日           渡部 虎雄     〔証人前田彦君朗読〕    宣誓言  良心に従って、真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない  ことを誓います。   昭和三十二年四月三十日          前田  彦     〔証人直江秀次朗読〕  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。   昭和三十二年四月三十日           直江 秀次
  3. 青野武一

    青野委員長 それでは宣弊害署名捺印して下さい。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 青野武一

    青野委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を超えないこと、また御発言の際には、そのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立の上御発言を願います。  証言を求める順序は、前田彦君佐藤寛一君、直江秀次君、渡部虎雄君、以上の順序でございます。前田君以外の方はもとの控室でしばらくお待ちを願います。  それでは、まず委員長より概括的に証言を求め、次いで各委員より順次証言を求めることになりますので、御了承下さい。  前田さんの現職並びに現在までの職務略歴、これが一、職務内容が一、二通りに分けて御説明を願います。
  5. 前田彦

    前田証人 現在は無職でございます。それから略歴と申しますと、初めからでございますか。
  6. 青野武一

    青野委員長 現職略歴――なお重要な点は現在までの職務略歴に少し入っていいです。
  7. 前田彦

    前田証人 昭和二十四年、第一相互銀行前身相互無尽株式会社に入りまして整理係長整理課長を経て二十八年の八月貸付課長、三十一年の四月六日管理第二課長になりました。十月十五日、今回の手入れがありましてそれを機会に退職いたしました。整理課長職務としては、字の通り債権取り立てでございます。貸付課長としての権限を先に申し上げます。貸付課長権限は、現金銀行に収納になりました預金または無尽の掛金の各証書を担保としました貸し付けで、その貸付額が預かり金の八割程度最高としたものであります。ただし八割程度でありましても、金額が三十万円を超えるものについては重役の決済が要ることになっております。それが貸付課長権限であります。そのほかは職務としては、窓口に申し込みのありましたものを役席に回しまして役席の指示により調査または断わり、それから貸し出し決済のあったものに対する貸し出し事務、そういうことになっております。それを四月六日の発令で管理課長にかわりまして債権取り立ての方を担当しておったのでございます。以上でございます。
  8. 青野武一

    青野委員長 委員長よりの尋問は以上をもって終りました。  それでは発言の通告かありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第一相互銀行相互無尽株式会社から業務を引き継いで名前を改めましたのはいつでございますか。
  10. 前田彦

    前田証人 二十六年の十一月、相互無尽法がしけたときであります。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その場合に看板が変ったように、内容等に変化がございましたかどうか。もしございましたら、その内容をお活願いたいと思います。
  12. 前田彦

    前田証人 格別に変ったようには記憶しておりません。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この銀行相互銀行であるので、最高二千万円以上の貸付はできないというふうに聞いておりましたが、実際はどうなんですか。表面は二千万円でも、それ以上の貸付はできたのですか。
  14. 前田彦

    前田証人 資本金によります制限は二千万、そのほかに準備金によります分と入れまして――大体その準備金はそのときによって違いますが、二千五、六百万が同一人に対する貸付最高と思います。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 スチール工業株式会社に対して非常に高額の貸付があったようでございますが、これは承わりますと、何か口数を大へんにこまかくくだいて表面をつくろっておったようですが、あなたはその事情は知っておりましたか。
  16. 前田彦

    前田証人 知っておりました。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実情をお話願いたいと存じます。
  18. 前田彦

    前田証人 私が貸付課長になりました二十八年のときは、スチール工業に対する貸し出し額は大体五、六百万だと記憶しております。それは二十八年の八月でございます。それから順次預金導入とかその裏とかでふえましたのですが、私が一番記憶に新しいのは、三十年の春を境にして大幅な資金の要求がありまして、それにスチール工業直江さんとして協力した。そのためにぐんぐんふえていったのでございますが、金額最高限一千万を越えてくれるなという銀行局長通達も二十九年の末たしかございました。私も三十年の春ごろその話は聞いております。いろいろな名前で出ておったことは事実でございますが、要約しますと、それがスチール工業、それから立川工業、それから前橋富士機械、その三社に分けられるのであります。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その総額はどれくらいでございましたか。同時にまた相互銀行が非常に不況になりまして、一時閉鎖状態に陥った最大の原因は、このスチール工業に対する貸付でなかったかどうか、お話を願いたい。
  20. 前田彦

    前田証人 先ほど申し上げました三社をまとめまして、スチール関係貸し出しという言葉銀行は使っております。それは三社で、立川工業なんかは社長も参りましたが、同時に直江さんが委任された格好で銀行に来ておりました。スチール関係貸し出し、そういう名前でやっております。私が第一課長におりましたときの貸付額の総計は、大体十億程度でございます。現在では十四億七、八千万円に上っているはずでございます。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この貸付によって第一相互が大べんに因ったような事情を聞いておりますが、その点はいかがでございますか。業務上どうにもならぬほど困ってしまったというふうに伺っておりますが、その点はどうですか。
  22. 前田彦

    前田証人 この貸付によって因ったと申しますより、三十年の四月を境にしまして、その当時入っておりました導入預金が一億五、六千万払い出されたことがあります。その払い出しするのに、相互銀行の悲しさで、現金でなければならなかったものでありますから、その手当ができないので、役員の方で協議して、スチール工業直江さんに現金預金してもらいたい、そういうことで預金をしてもらったことがございます。それに預金をしてもらって、預金だけを頼んでおいてあとのことはきかぬ、そういうわけにいかぬものですから――またその当時いろいろ偉い方も来ましたし、それからいろいろな話も聞いております。そうして立川工業の方のブラジルの土地の代金が入るとか、アメリカで特許を取っているP・G・Pですか、その薬品を正木で製造して大幅に回収できるとか、それから前橋富士機械を手に入れまして大幅に活用して入れられるとか、いろいろな話がありまして、次々にと金は出ていたのでございます。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その当時出入りをした偉い方というのは、具体的にどういう人々であったか、お話を願いたいと思います。
  24. 前田彦

    前田証人 私がさっき出入りをしたと申し上げましたが、実際においでになりまして、私が知っておりますのは、花村さんだけでございます。立川工業の顧問という前ぶれで直江さんから聞いておりましたが、花村さんがおいでになりまして、五、六分でございましたか、社長室社長渡部常務と話をされてお帰りになりました。帰られたあと、私が渡部常務に聞きましたらば、立川工業の件をよろしく頼むと言って帰られたということであります。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 花村さんというのは前法務大臣花村さんだろうと思いますが、その人の話し合いによって具体的にどのような貸し出しが行われたかお聞きします。
  26. 前田彦

    前田証人 具体的にどのようにかわかりませんですが、法務大臣現職中においでになったのです。それで私たちも現職法務大臣が来て頼まれるのだから――立川工業というのは終戦当時沖縄でずいぶん大きな仕事もし、えらくもうかっていい会社だということを聞いておりました。なるほどそういう方があれするのならいいのかなと私は思いました。三役の方も社長なんかもそういうふうに思ったのじゃないかと思います。特別にどれだけ出たかということはわからないのであります。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 具体的にどれだけ出たかはわかりませんが、このごろを契機としてまたスチール工業関係の融資が行われたことは事実なんですね。
  28. 前田彦

    前田証人 その通りであります。たしか三十年の四月――ちょっと忘れておりますが、三十年の四月ごろは大体三億四千万程度だったのであります。それがそのあといろいろなことでぐんぐんとふえていったのであります。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきあなたは、三十年の四月に導入預金を一億五、六千万円どうしても返さなければならないというお話がありましたが、これは一体どこから導入した預金だったのですか。
  30. 前田彦

    前田証人 それは京一ビルと申しますのが、八重州通りのブリヂストンの前にございます改造社の入った建物であります。それに対する貸し出しが、二十九年でしたか、ありまして、その回収のためというので、根橋常務が中に立ちまして、五千万円預金を入れて四千二、三百万貸し出しをしてしまったことはあります。それがちょうど三ヵ月目で四月ごろきましてそれと堀口社長の長男の雄造さんが社長をやっておられる赤坂関係貸し出し導入預金に大体二億近い金がその当時入っておったのでありますが、それが引き続いて出てきました。大体二億五、六千万円が一ヵ月近い周に全部現金で出て参りました。その手当ができなくて、第一回のピンチがきたわけであります。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 福岡県の県庁信用組合が一億円預金しましたのは、このごろと考えておりますが、大体どういうふうな経路で福岡県の信用組合の一億円という預金を扱ったか、できるだけ詳細にお話し願いたい。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと今の御答弁の前に非常に重大な発言がありましたので、関連して確かめておきたいと思います。  今あなたは花村四郎代議士が第一相互へ見えて立川工業の件よろしく頼むという御依頼があったということでありますが、それはいつのことですか、昭和三十年のことですか。
  33. 前田彦

    前田証人 私もとっさでありますので、はっきりした記憶はないのでありますが、たしか三十年の春ごろと思います。いずれにしましても、よけいなことかもしれませんが、花村さんは私のところの隣組といいますか、すぐそばの方で、町会議員おいでになるときから、私の子供のときから知っておりますので、ああ花村さんだなということがわかったのであります。当時法務大臣であったことは事実であります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、三十年の春ごろ、法務大臣であった花村四郎さんが一人見えたのか、直江さんと二人で見えたのか、それはどうなんです。
  35. 前田彦

    前田証人 前日、直江さんから花村法務大臣が来るという話を聞きまして、私が事務をとっているときに花村さんが見えたというので、私が役席――ちょっと申し上げておきますが、役席と申しましても、ちょうどその窓までいかないくらいの、このくらいのところに半分につい立を立てまして、片一方役席で、片一方貸付でございますから、ちょっとのぞくと中が見えるようになっております。そこへ直江さんが来まして、花村さんが見えたというので、私見ましたのです。そのときに若い方と思いましたが、もう一人連れてきておられました。それから私の記憶に間違いなければ、スチール工業社長の下谷さんがご一緒に来ておられたと思います。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、三十年の春ごろ、前日に直江さんからあした花村さんに来てもらうという話があって、そうしてその翌日この第一相互本社……。
  37. 前田彦

    前田証人 そうでございます。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本社花村さんと直江さんとそれからだれか一人連れてきてそれからもう一人はスチール工業社長も、あなたの記憶に間違いがなければ連れてきておると思います。というわけですね。――当時花村さんは法務大臣をしておられたということをあなたは御承知でしたか。
  39. 前田彦

    前田証人 知っておりました。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではあなたは若いときから、町会議員時代から近所で顔も知っておるということだから――顔も見られたのですね。
  41. 前田彦

    前田証人 お話はしませんですが、ここからそのくらいのところでちょうどこちらを向いておられますから、よくわかったのであります。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その花村法務大臣立川工業の件よろしく頼む、こういう趣旨のことをあなたも聞いたのですね。
  43. 前田彦

    前田証人 私は伺いませんです。先ほど申し上げたように、何のために何で来られたのかということを渡部常務あとで聞きましたら、立川工業のことよろしく頼むということで帰ったということを聞きました。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 渡部常務というのは渡部虎雄さんのことですね。
  45. 前田彦

    前田証人 そうでございます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 けっこうでございます。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではお尋ねしますが、さっきの福岡県の信用組合から一億円の預金があった事情についてお話願いたいと思います。
  48. 前田彦

    前田証人 福岡県の預金でございますが、御承知のように貸付分掌外のことでございます。それでございますから、私としては預金をするとかどうということは全然聞いておらなかったのです。ただ十一月の半ば過ぎと思いましたが、役席根橋常務に呼ばれまして、私が参りまして、そのときに根橋常務から、福岡県から一億円預金を入れたんだ、大体そういう意味の言葉でございます。それについて七百万円をあっせんした人に出さなければならないので、七百万円すぐ伝票現金を出してくれ、こう言われたのでございます。ところが私としては営業部でございますし、営業の担当は渡部常務でございますから、また所管外預金のことでございますので、どうしていいかわからないので、一体どのようにして出すのか、一体どうなっている金ですか、それを聞きました。そうしましたら、もう福岡から金が入っているんだから、今五階に――五階は会議室だったのでございますが、五階に組合の人が来ている。その人に七百万渡さなければならぬものだから、社長や何かと相談しているから出してくれ、こういうことでした。今申し上げたように、私としてはどんなふうにしていいか見当がつきませんので、一体どんなふうにして出すのか、こう言いましたら、渡部さんと相談してくれ、そうして狭いところでございますから、一歩下りまして、それは根橋常務渡部常務と相談していただかないと、私の方から今急に伺ったばかりで何にもわからないので、しかも貸付のことでないので、渡部常務に伺って伝票を切る、それよりも御相談して下さい、こういうふうに言いました。そうしたら根橋さんが渡部さんのところに立っていきまして、どうしようといろいろ話しておりました。渡部さんもはっきりしたことは言わなかったのです。そのうちに根橋さんが向井さんの名前で仮払い――とにかく七百万円伝票を切ってくれと言われました。そこで向井さんの名前で仮の伝票を起しまして、根橋さんのところへ、これでいいですかと持って行って置いてきてしまうつもりだったんです。ところが、伝票を持ってきて判を押して、すぐこれを出してくれ、僕は五階に行っているから、と言って行かれてしまった。それで渡部さんのところへ持って行きまして、渡部さんに、この問題は何も聞いていないのですが、今のお話のようですが、これでいいですか、私としては、渡部さんがはっきりしたことを根橋さんにも言っていないからわからないので、聞きました。そうしたら、うん、仕方がないのだ、と言って判を押しました。社長も当然聞いているわけです、社長のところへ持って行きまして、これは今のような話ですが、七百万円出すのですかと伺ったら、うんと言ってサインをされた。社長は判ではなくサインをされた。それを私、持って出納に行く途中、ちょうど一階に預金課がございます。預金係長竹内というのに、課長がおりませんから、預金課がよく知っていると思います竹内に、福岡の金入ったか、と言ったら、ええ、三回とかに分けて入った、幾ら入ったか、一億入った、七百万出せというから出せよ、そんなこと全然知りません。何か金が要るというが、聞いてないか、知らない、向うも入ったというだけで知らぬらしいのです。私出納課に行きまして、出納課長にそれを渡しまして、七百万円を届けてもらうように言って自分の席に戻りました。戻るときに竹内預金係長に金を上へ持って行くのだけれども、そのとき預金のことだから一緒に行けよ、と言っておきました。七百万円が来ましたので竹内預金係長を呼びまして、それをふろしきに包んで、貸付の隣の役席を通って、社長渡部常務がおられましたが根橋さんがおられない。上に行っている、それじゃ五階に持って行きますと言ってその金を竹内と二人で持って五階へ上りました。そこには根橋さんとあと三人ほどおられましたが、私は会ったことのない方ばかりです。その中に一人向井さんがおられたように思うのです。それははっきりした記憶じゃないのです、三人のうち一人向井さんだったように思う。それで根橋さんに、じゃ七百万円持って参りました、いいですか、と言ったら、うんと言いましてあけました。百万の束七つになっていました。じゃ七百万根橋さんにお渡ししますからと言って根橋さんにお渡ししました。そしてちょっと立っておりますと、もういいよと言いますから、それじゃというのでおりて来ました。私としては理由がはっきりわかりませんし、そして上に社長渡部常務が全部行っておられますといいのですが、根橋常務一人ですと、疑うというのではないのですけれども、どうだかはっきりわからないものですから、竹内を連れて行きまして、こういうふうにして確かに渡したということを確認してもらったのであります。そして戻ってきて、根橋常務に金を渡してきましたと、社長渡部常務に、まん中にいるものですから、そこでちょっと話をして席に戻った。それ以外のことは私は知らないのでございます。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあなたの御証言というよりは、大体うわさ程度でかまわないのですが、そのとき五階に来ておったお客さんはだれであったということを、あとからでも、あるいはうわさにでも耳にしたような記憶がございませんか。
  50. 前田彦

    前田証人 あの当時のことをだいぶあとで、もちろん検察庁、警視庁のお調べからいろいろ話に出ましたけれども、池田という名前山本という名前は出ましたが、どなただったかということははっきりわからなかったのでございます。
  51. 青野武一

    青野委員長 ちょっと各委員にお知らせしておきますが、大蔵省銀行局から福田検査部長自治庁は今交渉中ですが、会計検査院から大沢第一局長が御出席になっておりますことをあらかじめお知らせしておきます。
  52. 淡谷悠藏

    淡谷委員 向井さんという人と第一相互との関係はいつごろからできて、どういうことをしておられましたのか、御記憶にあるだけお話願いたいと思います。
  53. 前田彦

    前田証人 向井さんは根橋さんに呼ばれましたときにおられまして、友人だということは聞いておりました。それが大体三十年の夏ごろだと思いましたが、呼ばれて行きまして、そのときに友人だという話でした。それから二、三十万の金を二、三回にわけて貸し出しをしたことがございました。そのときに福岡の人だけれども、預金やなんかいろんな世話をしてもらおうと思うのだということは聞きました。それで二、三十万の金を貸し出したことがございます。それが一回じゃなく二回か三回だったと思います。
  54. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは貸付課長をしておられたのですが、向井という人には、二十万あるいは三十万の金を貸し付けるような事業とかあるいは確たる保証人とかあったのでしょうか、あるいは担保等でもございましたか。
  55. 前田彦

    前田証人 あとの方になりましてからは御承知かもしれませんが、無尽の契約べ入られまして、その無尽担保にいたしましたが、一番初めのときはそういうふうな世話をしてもらったり  いろんなことになるのだという話で、貸し出しの決裁がありましたので、貸し出しをしただけで、別にその当時は保証人もつけておられなかったと思います。
  56. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは回収になっておりますか。
  57. 前田彦

    前田証人 私は中途半端でやめてしまったのではっきりわかりませんが、おそらく回収になっていないと思います。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはいつからいつまで在任したのですか。
  59. 前田彦

    前田証人 貸付課長になったのは二十八年の八月でございます。三十一年の四月六日に管理課長になりましたので、それまで貸付課長をやっておりました。六日は第一相互本社に移った日でございます。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつやめたのですか。退社退職したのは……。
  61. 前田彦

    前田証人 いつ――ちょっと変な格好になっておるのですが、三十一年の十月十五日に家宅捜索を受けまして、私の家も家宅捜索を受けまして、そしてそのあと銀行から総務課長の手紙をもって、井上常務という方の命令で、すぐ辞職届を出してくれ、こういうので出しました。それですぐ私銀行に行きましたが、銀行はまだ手入れ中だった。社長にも話をしまして、辞職届は、出せと言ってきましたので一応出しました、こう言ってありますが、それからあとになりまして、二、三月の話では、井上さんは、自分はそんなことは言わないとか言っておるのですけれども、結局それで首という格好になってやめておるのです。
  62. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの課長在任中のことでしょうけれども、だいぶこの銀行貸付が焦げついて困ったような話も聞きましたが、おもなる貸付の焦げつきはどういうところですか。
  63. 前田彦

    前田証人 はっきり思い出せませんが、焦げつきといいますか、いまだに解決しておりませんのは毎日球団とか小川産業とか、焦げつきといいますと、スチール関係とか赤坂であるとか――赤坂なんかは近く解決がっくということでございまして、そんなところだろうと思います。それからまだ小さいのは幾つもあると思いますが、はっきりは覚えておりません。
  64. 淡谷悠藏

    淡谷委員 預金その他の関係で、払うべきものが払われないで困っておる問題はございませんか。貸付のとれないものもございましょうけれども、大口の預金とカあるいは導入預金で返済を迫られたとか、あるいは払い出しを迫られて困ったというような例はなかったですか。
  65. 前田彦

    前田証人 それはいつのことなんでございますか。
  66. 淡谷悠藏

    淡谷委員 三十年前後です。
  67. 前田彦

    前田証人 三十年前後としますと、預金の期日に、先ほど申し上げたように約手でなくて現金でございますから、その現金手当がつかないときには、渡部常務直江さんにお話ししまして、通知預金であろうが普通預金であろうが、どんどん預金をしてもらいまして、それを引き当てておりました。
  68. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この直江という人は、スチール工業の経理担当者となっておりますが、その他やはり銀行導入預金などを専門にやっておられた方ですか。
  69. 前田彦

    前田証人 直江さんは、私の聞いたところでは、社の人は専務々々と言っておりましたけれども、実際は専務でなかったようであります。経理担当の方だったらしいのです。そうして先ほどもお話ししましたように、三十年の春ごろ渡部常務が話しまして、資金の手当を一存でしたという格好になったのではないかと思います。
  70. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから小川産業に土屋銭雄という人が入っておるはずですが、この人は御承知ですか。
  71. 前田彦

    前田証人 承知しております。
  72. 青野武一

    青野委員長 委員長からちょっと質問しますが、まだケリがついておりませんが、あなたは、井上というよそから整理のためにおいでになった銀行の方から、三十一年十月十五日に早く辞表を出せと言われて辞表を出した、その辞表を出したというのがはっきりやめたことなのか、あるいは一ヵ月でも二ヵ月でも給料をおもらいになったのか、そのけじめがどうもはっきりついておりませんが、それを一つ……。
  73. 前田彦

    前田証人 先ほど申し上げましたように、そういう手入れがあったあと銀行から来まして、それがすぐ出せというので出しまして、そうして一応社長にも話しまして、それから手入れがあって、私たちの常識からいたしますれば、手入れがあれば召喚されるということがありますので、打ち切りの給料なり――それから退職届をとられれば首ということになるのじゃないか、そう思いまして、予告もなしでありますから、一ヵ月分の何もほしいと思いまして、いろいろと話しましたけれども、それは全然聞いてもらえなかった。それで失業保険のあれだけでももらいたいと言いましたのですが、それも言を左右にして延ばされて、月末になって再三話しまして、やっと打ち切りの十月十五日までの日割りの給料だけをもらいました。そのほか私たちの話した一ヵ月分の予告手当でありますか、それももらえませんし、失業保険のあれは急いでやっていただきましたが、十一月の五日に警視庁に入りまして、失業保険も間に合わなかったというようなことになっております。
  74. 青野武一

    青野委員長 もう一ぺん御質問いたしますが、そういうことは、いらいろな整理をしておる諸君の代表者に申し出ても今日まで相手にされなかったということに解釈してよいですか。
  75. 前田彦

    前田証人 相手にされなかったということです。
  76. 青野武一

    青野委員長 もう一ぺん聞きます。十月十五日までの、十月の月の十五日の日割りで給料をくれただけで、あとは何ももらえなかった。もちろん一ヵ月分の労働基準法による予告手当も、解職手当ももらえなかった。その井上という人が呼びつけて辞表を出せと言った、それはどこの銀行の人ですか。整理のために来ておったという……。
  77. 前田彦

    前田証人 十五日までの日割り計算だけで、あとはびた一文も出していただけなかった。井上さんという方は平和相互から来られた方で、前は知りませんが、大蔵省におられて、それから平和相互に参りまして、それから今度銀行に入ってこられた方であります。
  78. 青野武一

    青野委員長 淡谷委員、そういう前後の事情をも含めて御質問を願います。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この土屋という人が小川産業の顧問になるようになった動機について何か知っておりましたらお話し願いたい。
  80. 前田彦

    前田証人 小川産業は、私の当時貸し出しがありまして、三十年の二月までは、私の記憶では向うで好意的に預金したりあっせんしたりしてくれましたのが大体四、五千万あったと思います。そうして商手で銀行に信用紹介しましていいといったのを割り引きましたがやはり三千二、三百万いったと思います。そうしてやっておりましたのが三十年でございますが、私がたまたま三十年の二月の半ばに胃ガンだというので病院へ入りまして、三月の十日に出て参りましたときにがらっと格好が変っておりまして、何か根橋常務が好意的に向うの状態を調べるとかというので、当時の管理の者を二、三人連れてきまして、向うの帳簿類を全部調べた。そうしたところが、このままやっていても思わしくないというので、銀行から人を派遣するというような話になったらしくて、その当時渡辺孝士さんという人を嘱託の格好で小川産業に派遣したのでございます。そうして帳簿類や何かも全部向うで見て、また向うで小切手を切るのは社長印なんか渡辺さんが預っていてやっていたらしいのですが、どうもそれからの業態が思わしくないというので、大蔵省の第一回の検査か三十一年三月二十七日にありましたが、その当時一だいぶ小川産業のことで問題になりまして、根橋さんから当時の主任検査官だった石井さんに、渡辺孝士という人をやっているのだけれどもうまくいかぬ、それで土屋さんを向うにやりたいと思うというような話をしておりました。そんなような事情がありましたので、私の方はもう営業当者でない根橋さんが小川産業を見ているという格好なんで、貸付で見ないで管理で全部見ておったのです。ですからその間は貸付課長でありました私の方ではただきまったのを出すというだけで、全然何にもタッチしてなかった。四月六日に管理課長になりまして、その当時までの管理課が管理第一課となりましたが、管理一課の方で手形の保証とかいろいろなことをやっておりました。そのときに来たのが土屋さんという方で、左手首のない傷痍軍人の方でございます。その方は福岡の方です。それだけ知っておりました。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この人は福岡県知事の弟さんだという話ですが、そのことは知っておられましたか。
  82. 前田彦

    前田証人 それは先ほど申し上げましたように石井検査官に根橋さんがそういうような話もしておりましたし、それははっきりはその当時は気にもとめておらなかったのですが、それからあと管理に履歴書が根橋さんの方から回ってきました。その上に付せんがついておりまして、そこにちゃんと書いてありました。それから私も来たときにあの人が土屋さんで知事の弟さんだということを聞いておりました。その履歴書なんかは今度警視庁の方に全部行っちゃっているはずでございます。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここは警視庁とは別な方向でお聞きするのですが、この付せんのついた書類の回ってきましたのは何月何日ころであったか、付せんの内容はどういう内容であったか、御記憶のあるだけお話し願いたい。     〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕
  84. 前田彦

    前田証人 私の見ましたのはだいぶあとだったと思います。といいますのは、あれは根橋さんのやめられる当時整理か何かして回したのじゃないかと思います。ですから大体七、八月ごろだったと思います。それから付せんの字ははっきり覚えてないのですが、あの当時一課長をやっていた高橋さんの字で書いてあったと思いますが、福岡県知事の弟でどうのこうのということが書いてありました。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この土屋さんという人はほんとうの職業は何であったのですか。小川商店の方の顧問になられる前はですね。傷痍軍人でもあり、何か正当な仕事を持っておられたんですか。
  86. 前田彦

    前田証人 その点私何にもわからないのでございます。
  87. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最後に一点お伺いしますが、何かこの事件があってから非常にあわてて常務陣を取りかえたような傾向が見える。あなた方に対しても当然出すべき手当給与等も出さずに、あわてふためいて辞表を取りまとめた形態があるのですが、一体これはどこに原因があるのですか。そう急にあわてなくてもいいんですが、一たん手を入れられるとどうにもならぬような乱脈なことがあったのかどうか、一つ率直にお話を願いたい。
  88. 前田彦

    前田証人 手を入れられましたのは十月の十五日でございますが、九月二十七、八日ごろと思いましたが、臨時の株主総会で改選になったのです。どうしてそういうふうになりましたか、それは当時の、当時というのは前の社長ですが、大蔵省に行っていろいろ話したり何かしてなったのだろうと思いますけれども、私の方は全然そういうことを聞いてもおりませんし、わからないのでございます。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと関連して。あなたの会社第一相互には大蔵省の役人の出身者が当時、及び現在はおわかりであろうかどうか存じませんが、あなたの知る限りでは何人ほどどんな地位の人がおられるか。
  90. 前田彦

    前田証人 私が入りました当時鷲沢さんという常務の方がおられましたが、この方は交通事故でなくなりまして、そのあと入って来られましたのが根橋常務でございます。現在は今の社長さんの島崎さんもたしか前は大蔵省にいられた方でございます。それから今申し上げた、さっきも出ました井上さん、平和から来られた井上さん、その方も大蔵省におられた方です。あとは財務局におられた方が課長では今残っておりますけれども、その程度だと思います。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一般に各地の相互銀行はやはり大蔵省に職を奉じておったような人が割合に大事な職につくというのが一般の例であります。一般にそういうことになっていると言うと語弊があるわけですが、多くそういう実例があるわけですか。
  92. 前田彦

    前田証人 そういうことはよくわかりませんのですが……。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 またあらためて聞きましょう。
  94. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほどの大蔵省出身者の中で根橋さんの前におっしゃった人は何という人ですか。それはどういう役をしておられたか。
  95. 前田彦

    前田証人 常務では鷲沢さん。その方は経理面を見ておられました。の貸付も合議制になっておりましたので、貸付や常業方面も見ておられましたが、おもに経理方面を見ておられました。
  96. 奧村又十郎

    ○奧村委員 第一相互がただいまお話のように昭和二十六年十一月から相互銀行になってそれからわずか五、六年の間に非常に乱脈な、また悪い経営状態になったのですが、どういうわけでそういう乱脈なことになったか、その原因をお尋ねしたい。そういう趣旨ですから証人におかれても、そういう原因として私どもになるべく判断のできるような材料を聞かしていただきたい。それでもともと無尽業務だけであった第一相互に、銀行と同じように預金貸し出しをどんどんやらせるようになった。そこで無尽業務にはおなれになった人は多いけれども、簡単なようでも拠金、貸し出しという銀行業務におなれの人が少い。そのなれぬ人がこういうことをやられたために、非常ななれないことのために間違いも起った、こういうふうに思うのですが、つきましてはあなたは貸付課長をせられておったが、第一相互にはいつごろお入りになって、貸付課長になられるまでにはどういう御経験があったかということを一つお伺いしておきたい。
  97. 前田彦

    前田証人 私が入りましたのは二十四年の秋でございます。整理の係長及び整理課長をやりまして、二十八年までやっておりました。その当時は無尽及び小口の貸付で整理関係に回ってきましたものの取り立てもやっておりました。
  98. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ貸付については、その前に整理といえば、貸付と整理は不可分のものですから、かなり御経験があられて、そこで昭和三十一年の二月ごろの第一相互のバランス・シートを見ますと、貸し出し金の四十二億については、課長としてあなたが全部一応立場上携わっておられたわけですね。
  99. 前田彦

    前田証人 貸し出し事務は全部私が扱ったというわけじゃなく、二十八年以降の貸し出しについては私が扱っておりました。
  100. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それは期日がくれば貸し出し貸し出しと借りかえをしますね。だから証書の書きかえなどはするでしょうが、二十八年から三十一年まで三年もあるのですから、この四十二億の金は全部何回か一応新たに決裁し直すということになるわけですから、全部携わったということには間違いないと思うのですが、どうですか。
  101. 前田彦

    前田証人 そうおっしゃるとそのようにあれですが、私が行きました当時すでに貸し出しがありまして、それでそのまま焦げついているという数字もございますから、大かたは私のときに切りかえや何かでいったと思いますが、そうでない、つまり赤坂関係とかいうものは前からそのままでずっと押せ押せできているわけです。
  102. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ貸付課長におなりになった昭和二十八年の八月、その当時にすでに以前から貸してあった、そうしていまだに焦げついておる。それはおもなものはどれとどれですか。
  103. 前田彦

    前田証人 数がたくさんで覚えておりませんが、代表的なものは赤坂でございます。それが私が貸付課長になりましたときにすでに一億という数字がございました。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村委員 スチールはそのときなかったのですか。
  105. 前田彦

    前田証人 五、六百万でございます。
  106. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで一番お聞きしたいことは導入預金との関係です。導入預金が預けられて、そのひもつきになって貸し出しがされる、そこで導入預金貸し出しの期限と同じように、導入もずっと続いて預金されておればそう非常に困るということはないはずですが、導入預金は途中で引き出してしまう、貸付は焦げついてくるというと、これは貸付だけが雪だるま式にふえてくる、あとには貸付にはなお裏利までついていくからどうにもならぬ、こういうわけです。そういうことはしろうとでもわかるのですが、導入は三月ほど預けて途中でさっと出してしまう、貸付だけは焦げつく、これがあらかじめわかるなら、おそらく貸付課長のあなたにしてもそんな相談には乗れぬはずですがね。そこでだれでもわかる間違いをなぜやられたかということです。これはおそらく、われわれにおいても、全国のこれに多少関心のある人はみんな不思議に思う。そこで導入預金を受ける以上は、その預金の期限と貸付の期限とは少くとも同一にするとか、あるいは導入預金の期限をむしろもっと長くするというふうにすべきである。そこを確かめずになぜそういう貸付をなさったか、そこの事情をわれわれの納得のいくように一つ何とか説明してもらいたい。
  107. 前田彦

    前田証人 今おっしゃる通りに、その預金の期日内に商手か何かで落ちれば預金が引き出されてもいいわけでありますが、外務の方とか銀行の者が勧誘したりするために導入預金をしていこうといってやったのも、不動産の担保もありますけれども、大体無尽契約を担保というのが多いのでございまして、そして導入預金が大体そういう状態になってくるというのは、貸付だけが残るということは、初め少しやってすぐわかったのでございます。ところが当時の重役の考えでは、十に対して八の貸し出しをする、つまり二が歩どまりだ、その二の歩どまりというので資金に使いたい、こういうような見解できめられておいでになるようになったんじゃないかと思います。具体的にはおっしゃる通りなんです。私たちとしては、何もこれを入れてもらってこうだということをわれわれがきめるのじゃないのでございまして、ただきまったものの貸し出しだけでございますから、ですから実際問題として三十年の四月を境にして、あの二億幾ら出るあのときも、どんどん毎日、現金が、きょう朝千五百万見る、そうしますと取りに行くという通知が来たからあした三千万だと、現金でみんな高いものを入れるということになったわけであります。そのときも私ども親銀行が富士でございますから、渡部常務にこんなやり方をやっていたのではどうなるかわからないじゃないですか、何か親銀行に話をして金を安く入れてもらうとかなんとかという方法はありませんか。あの当時は先ほど申し上げましたようにスチールが三億五、六千万です。ですからあの当時もその数字を見て私たちは毎日驚いておりました。そしてそういう話もしたのですけれども、渡部常務は、いや大丈夫なんだ、とにかく社長はいざとなれば十億やそのくらいの金は持ってくるし、これは渡部がどこまでできるかということをためしているのだ、だからいいからそれでやっていけばいいのだというので、私たちは導入預金を切りたいという話は三十年の四月、その当時やったんですけれども全然取り合われなかった。それで先ほどお話をしましたようにだんだんスチールの方に預金が入ってきておる、そうするとそれの裏を出さなければならない、すると頼むだけ頼んで、向うへ金がこういうのに要るのだから貸してくれというのに貸さなければならないというのでだんだんふえてくる。そのうちにほかへ導入預金でやっていたのですが、たとえば先ほどお話をしました小川産業の債務みたいなものがどんどん残っておる。そういうものに資金を食われております。資金がないからというので、その分も必要な資金まではスチールに入れさせる、大体こういうような話し合いになっていたのだろうと思います。ですから、私たちは当時の役員の方針としてきめられたことをやむを得ずやっていた。と申しましても、預金や何かは預金課の方に入りますので、私の方はただ貸し出しで、スチールの貸し出しに、大体ほかの分の資金面をカバーするための、預金もスチールで入れたわけでございますから、そういうような分がどんどんふえていきます。それにしても、貸し出しというのは、スチール関係の場合は特に貸付課でもって現金で出し、小切手で出すという貸付は一つもないのです。みんな当座にどんどん回ってくるのであります。当座に回ってきて当座でそれを落さなければならない。落してしまう。そうすると、当座の方ではこれだけのものがあると渡部常務の方に持っていきます。それと同時に、スチールの方から貸付の申し込みがくる。私の方では、もう三億幾らにもなっているからと、ちゃんと数字を書いて、それもつけて持っていきます。ですけれども、それは見なければならぬ、今度は差し繰ってこうなるのだ、ああなるのだということで、渡部さんのところで逆に私たちが説明されるような立場になっております。今度は社長さんのところに持っていきますと、スチールのかというのですっとやってくれます。ですから、私たちは貸し出しの許可になっておるのを貸し出しをしないでほうっておくということもできませんし、実際問題としては、御承知のように当座で落ちてしまっているときにすでに現金は出ているような格好のものであります。だから、事後処理というような格好でいったのがずいぶん多いのでございます。的をはずれていますけれども……。私の預金とのあれはおっしゃる通りなんです。
  108. 奧村又十郎

    ○奧村委員 なかなか明確な御説明はありませんが、しかしここが一番大事な点だろうと思うのです。もしこの点がはっきりしますれば、あなたは大した刑事上の責任はないと思う。そうでしょう。何も告発される理由はない。だからそこらの辺が、第一相互の乱脈の一番のポイントです。私も、実はこんな非常識なことがどういうわけで起ったか、半年研究しておるがわからないので、あなたに聞けば一番いいかと思うのだが、今の御答弁では……。そうしますと三十一年の二月のバランス・シートによりますと、無尽業務の金約十億円が無尽の給付金じゃなしに、貸し出しの四十二億の方へつぎ込まれておる、こういうふうに見えるのですが、その通りですか。
  109. 前田彦

    前田証人 そういう数字は私はっきり見てもいないのでございますので……。
  110. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは、預金とにらみ合せて貸付を決定するのではなしに、貸付は一応そういうこととは関係なしに決定していく、しかしその貸付現金貸付のあなたの方から出すのではなしに、当座の方へ一たん振りかえて、当座で一切ごっちゃにして処理していく、こういうわけですか。金のやりくりということは当座の方で一切やるので、金のやりくりは考えずに貸付だけは別途に決定していった、こういう意味ですか。
  111. 前田彦

    前田証人 私の先ほど申しました当座の方というのはスチール関係でございます。そうして、スチール関係としての預金はあの当時でも貸出額を上回る預金が入っておったということははっきりしております。というのは、焦げつき分に対する見返りになる預金額でございますね、それもスチールで入れていたということでございます。
  112. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、導入預金というのは大体通知預金の形でおもに入っておるのですか。本来いえば貸付の方の期限以上の長い期限の定期預金でなければ導入預金がほんとうに銀行としては使えぬはずですが、その導入預金の形はどういう期限の形になっておるか。それとにらみ合せて貸付の期限というものをきめて、導入預金の期限よりも貸付の期限が短かいということを貸付の方で確認せずに貸したとすれば、やはりいっかはこういう乱脈になることはあなたにしてもおわかりのことと思うが、それを確かめずに貸したのか、その辺を明らかにしてもらいたい。
  113. 前田彦

    前田証人 導入預金は、その九割までが定期預金です。そうして期限は大体三ヵ月が多いのでございます。そうして、その見返りといいますか、何といいますか、そのために貸し出したのは必ず期日の四、五日前を期日にしておるのであります。預金期日の四、五日前にやっているのであります。私たち事務の方としましては、期日になると回すものはどんどん回して、取り立てるものは取り立てたいというのでずいぶん回してやったのでございますが、それが不渡りになるものもありますし、私の方で回そうとしても延期の申し込みが来る。そうすると、実際こういうわけでこうなんだから、それじゃ預金を――あとさきしますが、業者からの預金でございますが、それはずっとあとなんでございます。初めの方はそうじゃないのであります。私たちも話しておりましたし、またお客さんも言っているのは、これは業者からではなくて知っている人の預金ということだった。ですから、それじゃあなたの方で延ばしてくれというならば、その人に話してこの預金も延ばしてもらおう、こういう話です。それで、それじゃ期日は五日先の期日だけれども、それは先にでも切りかえもできるだろうし、それでなければ預けてくれというような話はするのですけれども、そういうようにして貸し出しする先というものは、大体にして前からの古い取引が多いのです。それで、私たちが事務的にお話するよりも、役席が近いものですから役席にさっと入ってしまう。この通りこうだけれども、期日になったら必ず三ヵ月延ばすからこうしてくれというような話になっても、それから延期の申し込みがきてこうだ、必ず延ばすというけれども、どんなふうにしましょうか、私たちの方は期日前でもそれを預かるとかなんとかしなければまずいと思いますがという、ですけれども、それを振り込んで不渡りになってもしようがないから必ずそうしてもらえということで、それじゃ延期しろ、こういうことになるのが多いのであります。そうすると私たちの方は、やむを得ないから向うにいろいろ話しまして、それじゃやむを得ませんからそうしますが、期日には必ずこうして下さいと言ってやるわけですが、そうした場合、十人のうちの一人くらいですが、やってくれます。あとはみな期日になるとさっと出つきりになってしまう。ですから、借りる方にも道義的なあれは少しもなかったように思います。
  114. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうもそこがおかしいですね。せっかく約束しながら、危険がくれば預金者の方はさっと出してしまう、十人のうち九人まで出してしまう、貸し出しの方はそういう話し合いでずるずる危険を延ばす。そうすれば銀行の方はますますあとが手詰まりになることは目の前にわかっているのです。だから、どうも困るというけれども、その困るのは銀行が困るので、その銀行の困ることをあなた方は御承知の上でずるずると引きずられていっているということが、目の前に見えるように私たちにはわかるのですが、それでは貸付課長の責任というものは逃げられぬと思うがどうです。
  115. 前田彦

    前田証人 一般の導入預金、そういう貸し出しというものは二十九年ごろでございますね。それでそんなにたくさんないのでございます。なくて、そういうような事態が盛んになってきまして、それで導入預金がだんだん出てくるので、資金が困ってくる前後に、私が渡部常務に、さっきも話したように何とかならぬかということを三十年の四月、春ごろ話をしたのですが、それができなかった。私たちとしては実際に導入預金貸し出しに対する欠陥、こういうふうになるということを痛切に感じたのが三十年の春でございます。それまでの分としたら数が少いのでございます。ところがそれがそういうふうな工合で延び延びになってしまう。そうしてそれが結局スチールの方に肩がわりしていってしまうというふうになってしまったのであります。のべたらに、ずっとどこの商社に対する貸し出しもやっていたわけではないのでございます。
  116. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすると初めはいわゆる導入の業者じゃなかった。三十年ごろから業者が入った。いわゆる導入ブローカーというのは三十年ごろから入ったというのですが、話に聞きますと、導入ブローカーというのは、金を銀行から銀行へ回してやる。だから三ヵ月第一相互べ預けて、三ヵ月の期限がくると今度はよその銀行へ持っていって、それを見せて金を貸し出させる。そうして三ヵ月たつと貸し出しの方はほったらかして、預金だけ引っぱり出してまたよその銀行へ持っていく、いわゆる金をたらい回しにするということを聞かされているのですが、どうもそういう手に乗ったんじゃないかという感じもするのです。そこで三十年四月には二億五千万の導入預金を入れた、これはブローカーじゃないのですか。特に赤坂の社長の弟さんが二億心配した、それからビル建設関係で五千万、これはどういうブローカーがあっせんしたのですか。     [坂本委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 前田彦

    前田証人 私が申しました三十年ごろ、あの当時を考えてみますと、いわゆるブローカーが大幅に暗躍していたということを申し上げたので、その前も全然ないんじゃないのでございます。おじだとか親戚の人がその人に頼んでくる。自分から君に金を貸してやると返さなくてもしようがない、だからクッションで、銀行預金をして、君がその銀行から金を借りろ、こういうことになったとかなんとかいう話や何かで、重役の方でもそれをまともにとった。中にそういうことを言ってブローカーの金を入れた人もずいぶんあるのであります。また今のお話の三十年の券のけ堀口さんの弟じゃない、長男でございます。そのときに入りましたのは、どこということは言えませんが、たしか私の聞いたときには輿水という人の金が多かっただろうと思います。あれは全部といっていいほど導入預金ブローカーでございます。そのほかにも一般の商社の正常な預金も入っておりました。それは出ましたけれども、数少いものでございました。赤坂関係でやったのは全部が導入ブローカーというわけではございませんが、二億幾ら出たのはいわゆる導入屋の金だったわけであります。
  118. 奧村又十郎

    ○奧村委員 赤坂関係の二億幾らというものは、輿水というブローカーがあっせんしたのですか。
  119. 前田彦

    前田証人 輿水さんという人のはほとんど八、九割あったと思います。
  120. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そのほかに松井というブローカーを御存じありませんか。ほかにやはりブローカーの暗躍のためにこういう問題が起ってきた――覚えておられるブローカーの名前を一つ聞かせてもらいたいと思います。
  121. 前田彦

    前田証人 松井ではなくて松江でございますね。松江さん、それからちょっと忘れましたが、現在では四人ぐらいの名前を聞いております。
  122. 奧村又十郎

    ○奧村委員 思い出せたら……。
  123. 前田彦

    前田証人 輿水さんというのは京浜自助車、それから松江さん、ちょっと……。
  124. 奧村又十郎

    ○奧村委員 導入ブローカーは何台も自家用車を乗り回して大へんな羽ぶりだそうであります。これが各銀行べいって金を回してはいろいろなことをやられるので、弱体な銀行はそれに非常に乗ぜられてしまうわけです。そこで直江さんのスチール工業の方はどういうブローカーと話をしてやっておりましたか。
  125. 前田彦

    前田証人 先ほど申し上げましたように、私の方は貸付なものでございますから、だれと話したかということははっきりわかりませんが、松江さん、輿水さん、そういう人ももちろん首を突っ込んでいたということだけははっきりしております。申し上げておきますが、預金はもちろん預金課にされまして、そうしてこれだけの預金をして預金のあっせんをすれば貸し出してよろしいという決裁があったものに対しましては、預金課の方からこれだけの金額をどういう定期で、いつまでの期日で入ったという連絡がきた場合に貸出しをしておった。ですから預金課の方の窓口にもブローカーは直接はほとんど来てなかったようでございます。みんないろいろな預金をする者は普通の人がやるわけでありますから、そうしてそれが預金してからブローカーに話をしてそこで金をもらった。ですから窓口に来るのはみんな普通のお客さんだったわけであります。それからおろしに来るのも普通のお客さんです。ただ第一に預金してくれ、こうやってくれというひもを引っぱっていたのがブローカー、こういう格好であります。
  126. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこでこれも特にお聞きしたいことですが、導入預金導入預金というが、お話のように預金する人は普通のお客さんだった。ただブローカーが裏から、どういう人が預けにいく、従ってその金を当てにして何がしに貸してやってくれ。そうすると現実に預金する人はその金をひもつきにだれに貸し出すということは知らぬ。ただブローカーから何がしかの裏利がいくだけ、貸付については知らなかった、実は私もそういう相談を受けて調べてみて、大多数そういうことになっていたので、そういうふうに感じたのですが、そのようですか。
  127. 前田彦

    前田証人 スチール関係や何かに、あと大幅に出ました三十年の春以降のものに対しましては、預金者はほとんど知らなかったと思います。ですが、その前のものに対しましては、借人がこういうふうにして入れますからこうしてくれという話があってそれでもっていつ入れますから、いつ連れてきまずから、入れましてこういうふうに預金しましたからといって、預金証書や何か持ってきて見せることがある。ですからその当時は知っておった。それから以後のもの、つまりスチールで預金を全部引き受けてしまうころは、おそらく預金者はどのための導入預金とか何とかということは知らなかった、また大体預金者としては導入預金とか何とかというより、ただそれ以外の謝礼をもらうということだけのために来ているのじゃないかと思います。
  128. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこで、そういう何も事情の知らぬ善意の預金者が、今度のあなた方の第一相互銀行事件で非常な迷惑を受けたわけです。御承知の二十数億の導入預金は、三分の一は支払うがあとの三分の二は十年間もたな上げにしてしまった。この何も知らぬ預金者は裏利はもらった、裏利をもらうことは法律違反じゃありません。ところがのっけに十年間たな上げということになれば、預金者は非常な迷惑を受ける。そこでこの金がひもつきで何の何がしに貸すといういわゆる導入預金と知って預けたのなら、これは悪いことと知って預けたのだからたな上げになっても仕方がない。しかし何も知らずに、いわゆるブローカーにだまされて、だまされてというと言葉は悪いですが、ブローカーに利用された。しかしそれは裏の話で、銀行との間は普通の預金者と同じように何月何日まで貸した、預けた、これは善意の預金者です。これに対して十年間のたな上げは法律違反です。そういうことをわれわれは特に憂えるのです。あなたとしては、それについてどのように感じますか。
  129. 前田彦

    前田証人 現在入っております者の大部分は、おそらくスチールの見返り――見返りというとおかしいですが、スチールに貸すための導入預金になっているということは知らなかったと思います。ですから私たちとしても実際お気の毒であると思っております。ですが先ほど申しますように、当時は前の役員がきめましたし、それからあとの分も預金者大会をやったりいろんなあれをして、現在の役員と話し合いでのんでいかれたので、お気の毒であるけれども万やむを得なかったのじゃないかと思っております。しかし道義的には、確かにお気の毒と思います。
  130. 奧村又十郎

    ○奧村委員 福田検査部長にちょっとこの際伺っておきますが、これはまた後日政府委員に十分お尋ねしたいと思うが、今の証人の答弁のように、導入預金というものを、預金者そのものは裏で貸し付けるとかというようなことはほとんど知らぬ、ただ多少の裏利はもらっておるかもしれぬが、しかし貸付のことは知らぬ者が多い、こうい汽答弁なんです。そうであるとすれば、十年間のたな上げをするということは預金者に対して非常に申しわけのたい、また法律違反だ。まあ法律違反のことはあとから議論するとして、今の証人証言は、あなたそのまま認めますか。
  131. 福田久男

    福田説明員 お答えいたします。導入預金、たとえばスチール工業を窓口として入りました導入預金につきましては、ただいま証人のお言葉にもありましたように、スチール工業から実質上の裏利は出されておる、従ってその実質上の裏利を直接預金者がもらったかあるいはブローカーを通じてもらったか、その辺の事情は個々の場合においてにそれぞれ異なるかもしれない。従って知っておる方もあったかもしれない、あるいははっきり知らなかったが、何かそういう事情があるのじゃないかということを知っていた方もあると思います。その辺のことは、個々の預金者の立場に立って預金者の立場についてでないとよくわからないというのが実情だろうと思います。ただとにかく相当の裏利をもらっておった、たとえて申しますと、私どもはっきりは確認いたしておりませんが、三ヵ月について大体四分から五分ぐらいの裏利はもらっておったようだというふうに言われております。そういう事情にありますので、それが先ほど来証人お話しのように、第一相互内容を著しく悪くした直接の原因にもなっておる点にかんがみまして、法律上は話し合いということで相手方の納得を得て導入の処理に賛成していただいた、まことにお気の毒な点はございますが、第一相互の再建のために御協力を願うという意味で話し合いで同意をいただいて処理したというのが実情でございます。
  132. 奧村又十郎

    ○奧村委員 最後には話し合いでとうまく逃げるつもりでありますが、そうはいきません。しかし今あなたとここで議論するつもりはありませんから、事実だけを確認しておきたい、こういうつもりでお尋ねしたので、議論はまたあとでいたしたいと思います。  それから証人にちょっとお尋ねいたしますが、大蔵省の役人の方の名刺の御紹介で貸付をした、金額などもいろいろありますが、どうもたてさんそういうのがわれわれの耳に入るのです。あなたは貸付の当の責任者でありますので、一つ覚えておられる限りそういう役所の方の名刺の紹介で貸付をしたというものをおっしゃっていただきたい。
  133. 前田彦

    前田証人 はっきり覚えておりませんですが、私があれをしているとき、大蔵省関係の方で三つ四つぐらいあったことは覚えておりますが、どなたかということはっきり……。
  134. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そんなことではいかぬ。ここへ来た以上はすなおに言いなさい。
  135. 前田彦

    前田証人 いや、それは一向にかまいませんですが、大体根橋さんが来られてから出ましたのが……(「遠慮要らぬ」と呼ぶ者あり)いや、遠慮じゃありません。名前をはっきり覚えておりませんですが、元検査部におられたと思いますが、飯島さんという方の御紹介の分があったと思います。それからこれも名前が違うかどうか、まあ部長さんがおいでですが、入江さんというお名前のもあったと思います。それともう一つは、何か印刷会社で女の社長さん、そこにやはり根橋さんの話で、なんとかさんの話というのがありました。それでもってやったのがありますが、大蔵省の方の分は、まあここに検査部長がおられるからじゃないのですけれども、実際に調査もしてそれから担保も入れて、貸し出しははっきりしてやっておりました。それは私がやっておりますときに検査も来られまして、検査官も名刺を見ております。これは私、名刺をみんなつけっばなしにしておきましたから、現在もそうなっておるはずでございまして、それが間違いないということは、もし何でしたら貸付官にお電話すればすぐおわかりになると思いますが……。
  136. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そういうふうにちゃんとしてやっているならおっしゃってもいいでしょう、別に隠さぬでも……。
  137. 前田彦

    前田証人 ですからちっとも隠してないのです。ただ名前や何かを、そんな大きな金額ではないものでございますから、ちょっと忘れております。
  138. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それは先ほども御証言通り大蔵省のかって役人をしておられた方があなたの銀行に入っており、ついいろいろそういう情実関係も自然と起るというふうなことで、まあ義理にからまれてということも、それはあなたのところだけではない、ほかにも例があるのですが、しかしやはりこういうことははっきりしておかぬといかぬ、また世間の疑惑を持たれておるということであれば、これをこの際ここではっきりさせられるということは、第一相互としても、もうここまで来た以上は何もかも明確にした方が世間の疑惑を解くことですから、お尋ねするのですが……。
  139. 前田彦

    前田証人 私隠しておるのではございません。実際に申し上げるように私の記憶では三つ四つはありました。ですが、小さいのは二十万くらいですし、それから一番大きなのでも七、八十万だと思いました、その女の社長さんの印刷会社ですね。それは大蔵省の検査関係じゃないです、それもやはり根橋さんのところに来られての話で出た。それから先ほど申し上げました入江さんとかいう方、その方から電話が来て、頼まれたからというので一時貸してくれといって出したのもあります。それはやはり担保を入れて出ております。それは私がいましたときまでは掛金をちゃんとやっておりましたし、別になにということはなかったです。それからもう一つたしか飯島さんと思いましたが、それは新宿の方から四谷見付の方に行きますと、四谷見付の交差点の手前左側十軒くらいにパチンコ屋があります。何といいましたかそこに、もう二十九年ごろですかやはり三十万円か、そのくらい出ました。私の記憶ではそんなものでございますね。実際に大蔵省からの中で、そういうのは割合少かったと思います。
  140. 奧村又十郎

    ○奧村委員 何もそれが必ず悪いというのじゃないのですよ。だから誤解のないようにお願いしたいのですが、四月六日から管理課長にかわられた――管理課長は、貸付の回収がおもな任務だと思うのですが、その方に当られたのですか。
  141. 前田彦

    前田証人 管理課長というのは元からございました。で管理課長は私の前の貸付課、長高橋君がやっておりました。それから四月六日から管理正課、二課、三課とできまして、管理課長をやりましたのですが、それは二月の第一回の検査にスチール関係とかいろいろなあれで大幅に指摘されました。そこで銀行としてもこれは早急に回収しなければいかぬということになりまして新たに二課、三課を作りました。三課は元の整理課でございます。それから管理、百というのを大きくしまして、回収をどんどんやろう、こういうことになっていきましたのですが、大体検査が終りましてからその報告だとか、いろいろな回収の計画とか、まあああいうふうに下を上げるまでにいろいろなことがございましたので、次々にいろいろな書類を作ったりなんかして、実際の私たちで回収しました額はそれほどの金額には上っておりませんが、私とか一課長の高橋とかほかの管理三課の方に割当されまして、それで回収したわけでございます。私たちもあの当時で大体一億幾らぐらいは私に割当てられたうちで回収しております。
  142. 奧村又十郎

    ○奧村委員 小川産業の顧問に上屋さんをお願いしたというのは、第一相互銀行から小川産業の管理者としてお願いしたというふうに受け取れるような先ほどのお話ですが、その通りであるとすればそれはだれが頼んだのですか。根橋さんが土屋さんに頼んだのか、あるいはだれが頼んだのか、またそれにきめたのはいつごろそういうふうにきめたのか、それをちょっと……。
  143. 前田彦

    前田証人 はっきりしたことはわかりませんが、私が初め耳にしたのは、第一回の検査のときに石井主任に根橋さんが説明しておられるときでございます。検査官がおいでになって小川産業のことで根橋さんが説明なさった、そのときに銀行からこういう渡辺孝士というものをやっているのだけれども、どうもはっきりしない、何か金銭的にもへんちくりんなところがあるらしいので、向うからいろいろな話がある、それじゃ何にもならぬので、今度は福岡県の知事に弟がいるから、それをやろうと思っているということを話しておりました。案際に来ましたのはその後おそらく三月末か四月だと思います。
  144. 奧村又十郎

    ○奧村委員 今の福岡県の導入預金を受けたときに七百万円を持っていった。これは何も言わずに向井何がしの名前で出した。これはそのとき貸付なら貸付としての規定によっての手続を経なければならぬ、そのときどういう処置をつけて七百万を出したのか。
  145. 前田彦

    前田証人 先ほど申しましたように、私としては全然話も聞いてないので、ただ七百万出せというので、根橋さんに聞きました。それは渡部さんに聞いてくれというので、私としてはそれは常務同士できめてもらわなければ貸付のことに関係ないのですからと言いましたところが、根橋さんが渡部さんのところに行きましていろいろ話したところ、渡部さんもはっきり言わない、とどのつまり向井さんの名前でとりあえず金だけ持ってきてくれ、今人が待っているのだという話で金を出しました。
  146. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではあとから貸付に処理したというのですが、あなたは貸付課長ですから、貸付に処理したとすればいつごろ貸付に処理したのですか。そのときはどっちともきめずに出した、いつごろ貸付に処理したのか。
  147. 前田彦

    前田証人 実際に貸付にしましたのは四月に入ってからと記憶しておりますが、そのときは一千万の貸し出しでやった。
  148. 奧村又十郎

    ○奧村委員 最後にあなたの管理課長時代に小川産業に貸し付けた総額と、小川産業発行の手形の保証、つまり貸付の残、保証の残、その金額をちょっと聞かしていただきたい。
  149. 前田彦

    前田証人 先ほど申し上げましたように、貸付課にいたときから小川産業に関しては私の方から全然離れておりました。手形の保証やなんかも管理一課でやっておりましたので、私の方で触れておらないのです。
  150. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほどからの御答弁によりますと、貸付の決定は何か上の社長や常務の方で先にきめて、そして課長のあなたの方へ仕事をおろしてくるというようなことでしたが、そういうやり方でやってきたのですか。
  151. 前田彦

    前田証人 全般的のことでございますか。
  152. 奧村又十郎

    ○奧村委員 全般的に。
  153. 前田彦

    前田証人 大体前日に申し込みがありましたのを考査課というところに回しまして、各個人の取引内容、それから承り金とかいろいろなことを引いた稟議書類を作りまして課長下、ある私の方から渡部常務根橋党務、それから社長の順に回すのでございますが、大体その申込書の上には一目してわかるように、各人の預り金だとか、貸付だとか、数字的に全部載ってある。それで稟議には、たとえば百万なら戸万の預りがありますと、現在貸し出しているのが八十五万、それで申し込みが三十万ある、そういうのを一々稟議するのです。それを先にやって、スチール関係や何かをあとにします。そこに数字がちゃんと載っておりますから、これはいけない、これはよろしい、これは調査しろ、これは断われと指示をします。最後にこれはスチールの方ですがと言うと、これは今こういうふうになっているんだ、これはこういうのだから見てやらなければいけないのだ、こういうことを渡部常務から言われるのです。それで社長のところへ行ってそのまま通ってしまう。
  154. 奧村又十郎

    ○奧村委員 スチールの場合はおもに渡部常務がきめてあなたの方へ指図をした、こういうことですが、大昌の場合はだれがきめて指図したのですか。
  155. 前田彦

    前田証人 スチールに関しては渡部常務一辺倒です。それから大昌に関しましては、渡部常務がおらないときは社長に先に回しますけれども、どっちかといえば渡部常務はしょうがないなと、こう言いながらやっておりました。
  156. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これで私は終りました。
  157. 青野武一

    青野委員長 それでは前田証人に対しまする尋問は以上をもって一応終りました。前田証人にはお気の毒でありますが、もとの控室でお待ちを願います。再開は午後一時四十分ごろの予定であります。  暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  158. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りすることがあります。すなわち理事でありました坂本泰良君が去る二十七日委員を辞任されましたので、理事が一人欠員となっております。そこでこれが補欠選任を行わねばなりませんが、選挙の手続を省略して委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認めます。それでは理事坂本泰良君を指名いたします。      ――――◇―――――
  160. 青野武一

    青野委員長 それでは午前中に引き続き証人証言を求めることといたします。午後は佐藤証人より始める予定です。まず委員長より概括的に証言を求め、次いで各委員より順次証言を求めることとなりますので御了承下さい。  佐藤証人に申し上げます。あなたの第一は、現職並びに現在までの職務略歴、第二として職務内容のかなり詳細な御説明を委員長から求めます。
  161. 佐藤寛一

    佐藤証人 私は現在第一相互銀行常務取締役をいたしております。これは昨年九月二十八日の臨時株主総会において取締役に選任せられたものであります。  現在の担任事務業務関係業務課と申します内容は、経理、すなわちすべての統計書類の作成、あるいは予算決算の仕事でございます。それから業務企画、業務推進に関する企画。それから審査課関係、これは新規の給付、貸出しに関する審査事務でございます。それだけが担任になっております。
  162. 青野武一

    青野委員長 委員長よりの尋問は以上をもって終りました。  それでは発言の通告がありますので、順次これを許します。吉田賢一君。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 佐藤さんに伺いますが、あなたの前歴は大体どういうお仕事になっておりますか。
  164. 佐藤寛一

    佐藤証人 私の前歴は大正十年に上海東亜同文書院を卒業しまして直ちに朝鮮銀行に入行いたしました。それかろ昭和十二年に満州興業銀行が設立されまして、その方へ勤務がえをいたしたわけであります。と申しますのは、朝鮮銀行の在満鮮の業務が全部満州興業銀行に引き継がれたためであります。その間におきましてチチハル、ハルピン、新京、安東等におきます支店の支配人を歴任して参りました。終戦後昭和二十、年の十一月に内地に帰ったのであります。それからこの東京相互銀行の前身であります東京殖産株式会社に昭和二十四年の七月に入りました。それから東京殖産が無尽会社になり、相互銀行になって、第一相互に参ります前は取締役業務部長をしておりました。東京相互銀行におきましては、主として、審査業務関係であります。審査部長もだいぶ長くやりました本店営業部長、審査部長、最後は部長でありました。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 福岡県庁内にある信用組合、これは御承知ですか。
  166. 佐藤寛一

    佐藤証人 今問題になっております福岡県庁信用組合預金のありますことは知っております。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この福岡県庁の信用組合導入預金一億円が、ことしの一月から三月へかけて返還されたようでありますが、その日時はいつになりますか。
  168. 佐藤寛一

    佐藤証人 信用組合の方から払い出しの請求がありまして、二月一日に二千万円払い出しをいたしております。それは導入預金としての処理ではございませんで、銀行の資金繰りの関係上援助資金を求めたものであると思われるのであります。そこで第一相互の資金繰りの関係上、全額一時に払うということは、これから先々の業務運営において多少円滑を欠くといううらみがあると思われるのであります。それでなるべくならばこれを長期に分割払いにしていただきたいというようなことを懇請いたしたのであります。それで二月一日にとりあえず二千万円を払い出ししたのであります。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その次はいつ払いましたか。
  170. 佐藤寛一

    佐藤証人 その次は三月の二十三日に支払いをしております。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金額
  172. 佐藤寛一

    佐藤証人 金額は八千が門でございます。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 援助資金をこの福岡信用へ求めたとおっしゃるんだが、資金を求めたという事情は、あなたは御承知なんですか。
  174. 佐藤寛一

    佐藤証人 先に入れた場合の事情は私は知りませんですが、そういうふうな係その他から聞いておりましたので、私はそう申したのであります。
  175. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはいつ聞いたのですか。
  176. 佐藤寛一

    佐藤証人 それはこの問題か起りまして聞いたのであります。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題が起りましてからは、問題は、導入資金を求めたというような性格でないというのは、むしろ問題じゃないかと思われるのでありますが、それはともかくといたしましてあなたの方は、二千万円を返済した、なるべく長期に置いてもらいたいという趣旨でありましょうが、それを相手の方へ懇請した人だと言うのだが、これはどこへ懇請したのですか。
  178. 佐藤寛一

    佐藤証人 信用組合理事長が二月一日に来られまして、そのときにお願いしたのであります。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 信用組合理事長はだれでしたか。で、あなたは会ったのですか。
  180. 佐藤寛一

    佐藤証人 交渉は私はしなかったのでありまするが、そのときに一緒に――私も後に池田理事長に会いまして、そしてそういうふうな話し合いをしたことはあります。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 池田理事長はどう言うておりましたか。
  182. 佐藤寛一

    佐藤証人 決算も間近であるので、なるべく早く払ってもらいたいという希望でありました。われわれとしてもできるだけ早くお払いしたいのでありますが、何分にも金額が大きいので、できれば置いていただきたいということを懇請いたしました。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはその金は信用組合自身の金であるというふうに思いましたか。これはあなたの経歴から見、もしくは審査などやっておられた重要な前歴にもかんがみて、その点いかがでございましたか。特に二月頃はすでに内面操作が開始されておった当時でありまするが、その金は信用組合自身の金であると思いましたでしょうか、これはどうでございますか。
  184. 佐藤寛一

    佐藤証人 その当時は、私は表面に現われた福岡県庁信用組合の金であるということを信じておりました。その後新聞等でいろいろなことが出ておりますが、その内容については私は存じません。
  185. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 八千万円を三月二十三日にお返しになったと言うんだが、これはどこの金をお返しになったのですか。いきさつを言って下さい。
  186. 佐藤寛一

    佐藤証人 これはわれわれといたしましても一応懇請はいたしましたが、なるべく早くお払いしたい、しかしながらその資金がなかなか円滑にいかないということを考えまして、何とかしてこの資金を――預金を受け入れることが先決問題でございまするが、預金は現在の実情からしてなかなか一般の預金を受け入れることはできないというようなことからいたしまして、何とか他の金融機関からでもある期間預金でもしていただいたらということを考えて、そうしてまず相互銀行で最も有力なる――全国の相互銀行七十一行中の第二番目でありまする西日本相互銀行にお願いし、何とか援助資金をお願いしたらというようなことを考えたのであります。そこで島崎社長福岡の方へ出張してお願いするという段取りになったと思うのであります。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 島崎社長福岡に行って西日本相互銀行に大体いつ、どういう交渉をされたのか、ちょっとその概略の経過を……。
  188. 佐藤寛一

    佐藤証人 詳しいことは開いておりませんが、三月の六日ころに行ったと思います。そうして西日本相互銀行及び福岡で有力なる福岡相互銀行、これはいずれも相互銀行中非常に有力な銀行でございますが、その銀行に何とか援助願えないだろうかということを懇請した模様であります。しかしながらその場合に結論を得るに至らずして、大体可能な見通しであるということで帰ってきたように承わっております。
  189. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで福岡の西日本から直接信用組合へ渡したのですか、一応あなたの方へ来たのですか、この点どうなんですか。
  190. 佐藤寛一

    佐藤証人 福岡から電信送金で第一相互へ送って参りました。福岡相互銀行及び西日本相互銀行別々に送金して参りました。
  191. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはいつのことですか。区切り区切りでなくて、その経過をちょっとお話し下さった方がいいと思います。
  192. 佐藤寛一

    佐藤証人 三月の二十二日に参ったと思います。そうして金ができましたので、三月の二十三日に福岡に返しております。それも送金で返しております。送金で返しておりまするが、そのときには直接銀行が送金したのではなくして、向うからお見えになって送金されたように思っております。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三月の六日に島崎社長福岡へ行かれた。そうすると二月一日に二千万支払った後にさらに引き出しの支渉があったわけなんですか。
  194. 佐藤寛一

    佐藤証人 その後交渉はございません。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 交渉はないと言うのですか。
  196. 佐藤寛一

    佐藤証人 向うからの交渉はないのであります。われわれの方からなるべく早く払いたいという意向からやったのであります。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先方の交渉がないのなら、あなたの方はなるべく長期に借りておきたいのだから、先方から支払い方の交渉がないのなら、なおしばらく借りておいてもよろしかろう、九州まで社長が行かれたのは何かそこにもっと急いで返さなければならぬという事情でもあったのじゃないだろうか、こう思うのであります。当時はもうすでに福岡では問題が相当表面化しておったということは御承知ではないのでしょうか。島崎社長福岡へ行かれたと称する三月六日ごろですか、すでに福岡におきましては刑事事件としての捜査が表面化しておったということは御承知でないのでしょうか。あなたはかりに知らないとしても、銀行間におきましては相当鋭敏にそういう事情はキャッチするものだろうと思いますが、それはどうなんですか。
  198. 佐藤寛一

    佐藤証人 向うからは、われわれが二千万払いましたときには、まあどちらも了承づくで延ばしたのではなくして、われわれとしてもできるだけ早く考慮して何とかいたしたいということを話して懇請しておったのでありまして、われわれといたしましてもできるだけの手だてをいたしまして、そうして早く返したいという念願のもとにそういうふうな措置をとったのであります。その間におきましてすでに問題になっておったということでございまするが、その詳しい事情はわれわれはわからなかったのでありまするが、とにかく前にそういうふうにできるだけ早くわれわれの手で何とかして、全額を返せないにいたしましても、なるべくならば先方さんの御要求に応じたいというように考えておったのでありますが、たまたまそういうふうな西日本相互福岡相互の援助がありましたのでお返ししたような次第であります。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方は貸し先の調査もするだろうが、一億円も預金をしておる福岡信用組合というものの実態、特に資金を持っておるかどうか、そういうことについてはやはり相当知識は持っておいでになったのでしょうか。
  200. 佐藤寛一

    佐藤証人 福岡信用組合の方は私上かりませんです。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 池田理事長が見えて一億円返してもらいたいという交渉をあなたに対してしておるのですね。あなたも会っておる。なるべく貸しておいてもらいたいというような話をやっておるのですね。そうしますと、信用組合がどの程度の資力か、財政の状況がどうかということは一応くろうととして御判断にならねばなるまい。あり余っている金か、もしくはないのか、ほかから借りている金か、県の公金かどうか、そこらまで、詳しく知る知らぬはともかくといたしまして、大体の概況はつかめたと思うのですが、どういう状況だったか知りませんとおっしゃるのですか。
  202. 佐藤寛一

    佐藤証人 そこまでは調べておりませんが、県庁信用組合という名前である以上は県から預託金か何かあるかもわかりませんし、その資金の内容についてはわれわれは調べなかったのであります。
  203. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で県庁から資金の預託を受けた信用組合、そういう信用組合の金がまたあなたの方へ導入預金をしてくるというようなことは、そういう事例はかつてございますか。
  204. 佐藤寛一

    佐藤証人 あまりないと思います。
  205. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたが前に勤めておりました東京相互はどうなんです。
  206. 佐藤寛一

    佐藤証人 東京相互はそういうふうな例はございません。
  207. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これは稀有な例でございますね。そうすると、まれな例であるので、金額も一億円の大金であるし、ということになると、あなたの方も、これはどういう令であろうかということくらいは御調査にならぬと、またあなたのお立場として知らなければなるまいと思うのです。ことにあなた自身が受け入れたものでないにしても、現在は重要な業務上の常務取締役であるし、また相互眼行についてはくろうとであるし、ことに長い間の銀行業務の経験を持っておいでになるのだから、やはり相互銀行信用組合というのはどんなものであるということくらいは御承知でなければならん、それは県の吏員の信用組合というものが何億円という金を数百里隔てた遠方の相互銀行預金するというようなことは、われわれしろうとでは常識上ちょっと考えにくいのですが、あなたはどうお思いになりますか。
  208. 佐藤寛一

    佐藤証人 ちょっと異常な状態であると思います。しかしその当時は預金でありますので、そうせんさくしていなかったのであります。普通ではちょっと異常な、普通でない状態だと思います。
  209. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 共済組合とかあるいは信用組合とか、それも官庁の、大した規模でない地方の県庁の信用組合、県庁の吏員の需要に応ずるための信用組合、県庁の役人を組合員とした信用組合、そう銘打っております。定款もそうであります。そういうものか一億円もあなたの方へ――ともかく火の車の回っておるような状態でございますね、ことに財政状態は波瀾を経て今日にきておりますね、そういうようなときに、福岡県からそう持ってきたということは、異常どころではなしに、相当疑問をもって一応見なくちゃならぬというのがあなたのお立場でなければなるまいと実は思うのでございます。そうなると、やはり福岡信用組合というものの組織とか性格とか、その金の性質というものは第一相互の内部自身として、直接導入について責任のないあなた方の立場としては公平冷静に一応検討してみる、研究してみる、こういうことは、金を返すということを急ぐ問題もありますけれども、お考えになってしかるべきではないか。別に私はそう言ってあなたを糾問しておるわけではないのでありまして、第三者が見まして少し合点が行きにくいから聞くのであります。  そこでもう少し。この金を導入いたしましたのと引きかえに千万円の金が出ておりますね。しかもこれが向井という人に対する貸付のような形をとっておりますね。これもあなたのお立場としましては相当どうだろうかというふうな、一応疑問を付しておいてもいいだろうと思うのでありますが、この一千万円についても事情は御承知なのでございましょう。
  210. 佐藤寛一

    佐藤証人 確かに貸し出しがございます。向井それがしという人にありますが、われわれはそれは初め別に疑問を持っていなかったのであります。とにかくわれわれは前の事情はいかようにありましょうとも、現在はわれわれは表面に現われたる貸付金としてどこまでも処理するつもりでありますし、また請求もいたしております。
  211. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 表面に現われたことはそのようなことですけれども、あなたとしましては請求する前に、当初金を出すときには担保がなかったということは、御調査の結果明らかになっておりましょう。この点はすでに貸付課長前田証人がここで証言をしておりまして、最初出したときには担保がなかったということを言っております。ことに出した経過は相当怪しい経路をたどっておりますことも明確になっております。あなたは直接関与しなかったのだから、その辺は過去のことをいたずらに弁護する必要は私はないと思います。あなたは今日のお立場で最善を尽されて善良な管理者であったらいいと思うのです。過去のことは悪いものは悪い、あやまちはあやまちとしてはっきりしておいた方が事態の真相を明らかにする上において適当である、私はそう思うのです。  当時、一番最初に出したときには貸付けという名義になっておるけれども、何らの担保も取らすに千万円が交付されておる、こういうことあったことはあなたはお認めにならぬのですか。
  212. 佐藤寛一

    佐藤証人 担保はございせん。それでわれわれといたしましてはとにかく裏にいかようなことかありましても、現在われわれ役員としてとるべき道は一応その貸付金の回収をはかることであります。これはいたずらに青いわけをしてやるとか、あるいは好意をもってやるとかいうことでなしに、われわれのとるべき道としてはこれを回収するということがわれわれに与えられた任務であり、また義務である、こう考えております。それで請求をいたしております。
  213. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではもうちょっと伺います。あなたは昨年の大蔵省の検査がありました当時の事情は直接知らないのだが、現在の責任者の立場から、当時の実情は調査して確認をしておられると思いますが、いかがですか。
  214. 佐藤寛一

    佐藤証人 検査の詳しいことは、あらましのことは検査報告書を見るなりあるいは承っております。ただし個々の小さい貸し出し内容においては、いまだ検討する余裕を持たない。と申しまするのは、導入預金の処理あるいは再建に当りまして、非常に基盤を作るということの重要性を感じまして、現在までにやってきましたところの仕事は、機構改革とか、それから諸規程の制定とかあるいは人員の整理、給与の改訂とか、こういうふうなことをやって参りましたし……。
  215. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いや、去年の一月に大蔵省の検査官が来まして検査しましたね。そのときに二億円くらいの金が行方不明であったというような事実が明らかになったのではないでしょうか。
  216. 佐藤寛一

    佐藤証人 一億円というのは、どういうふうな金でございましょうか。
  217. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、二億円ほどの金が、行方が明らかでないというような、そういう種類の金があったのではないか。金があったというと語弊がありますけれども、行き先のわからないという金額が二億円ほどあった、こういう問題があったのではありませんか。
  218. 佐藤寛一

    佐藤証人 どうもよくわからないんですが、もう一ぺん……。
  219. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりませんか。そうですが。それでは大蔵省から聞くことにいたしましょう。そうすると同じく回収の問題の点でありますが、もしこのたびの福岡の事件が刑事事件として最終の犯罪が構成するような場合には、あなたの方といたしましては、やはり単純な貸付として、たとえば千万円を請求するといへのではなしに、当然これは何らかの、あらゆる方法で損害として取って、これを回収するという必要もあろうかと思いますが、そういうことは今のところお考えになっておりますかどうか。
  220. 佐藤寛一

    佐藤証人 公正証書にもしてありまするし、あらゆる手段をとりましても回収をいたしたいというように考えております。その裏にいろいろなことが派生的に出てくるかもわかりませんが、それは別個に考えたいと考えております。
  221. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一応よろしゅうございます。
  222. 山田長司

    ○山田委員 関連してございますが、あなだけ東京相互から入られた方ですね。
  223. 佐藤寛一

    佐藤証人 東京相互銀行の取締常務理事をしておりましたが、事件が発生いたしまして六月二十日に代行として参りまして、その後九月二十八日の臨時株主総会において、私は取締役になったのであります。
  224. 山田長司

    ○山田委員 東京相互から二名、日本相互一名、平和相互から一名、それから協会の方から一名という工合に入っておられて再建されておるわけですね。
  225. 佐藤寛一

    佐藤証人 全国相互銀行協会から一名、役員でございますが一名、それから日本相互銀行から一名、東京相互銀行から一名、平和相互銀行から一名、これだけの役員が入っております。
  226. 山田長司

    ○山田委員 この再建の衝に当られるということは、なかなか容易なことじゃないと思うのですが、小川産業の担保が三百万円で、小川産業に貸されておる金が一億二千二百万という金額のようですが、これらについて、取り立てばどんなふうに進められておりますか。
  227. 佐藤寛一

    佐藤証人 担保が非常に足りません。そこで担保を処分することはもちろんでありますが、これは私直接の担当でありませんので、まだ計画は何しておりませんが、われわれとして考えるべきことは、貸し増しということは絶対にいたしませんが、多少長期にわたりましても、できるだけ分割償還ということが、最も効果的じゃないかというように考えております。これは私個人で考えておるのでありますが、相当他にも負債もあるようでございますし、担保はどこまでも担保として、仕事をさせて、そして少しずつ取るという方が、効果的じゃないかというように考上えております。
  228. 山田長司

    ○山田委員 今でも、この小川産業に福岡県知事の弟が、やはり関係しておられるように私は承ってておりますが、会社の出入りとかあるいは福岡県知事の弟であるということに免じて、回収上の、何と申しますか、ゆるやかさとでも申しましょうか、そういうことをなさるというようなことはないですか。あなたは再建の衝に当っておりますから、そういうことは一番よく知っているのじゃないかと思うのですが、どうなんです。
  229. 佐藤寛一

    佐藤証人 そういうふうなことは絶対にありません。ただ情実関係とかなんとかいうことを考えてわれわれが処理するということは、最も拙劣なやり方である、どこまでもその債権取り立てる最良の方法を選んでやるということが一番大切である、こういうふうに考えております。ただ担保が非常に足りませんので、担保を処分することはもちろんでありますが、担保を処分いたしましても非常に足りないのであります。それで、これをぶつつぶしてしまうというよりも、少しずつ取った方が取りやすいのじゃないかというように考えているのであります。ただ、これをゆるくするとかなんとかいうことを考えているのじゃないのでありますから、その点御了承願いたいと思います。
  230. 山田長司

    ○山田委員 処理に当って、あなたが福岡の今回の事件の成り行きをお調べになられている範囲において、当時の銀行の人たちが、福岡の場合には裏日歩を取って貸付をやっておったというようなことがいわれているのですが、裏日歩の問題はどうです。
  231. 佐藤寛一

    佐藤証人 この福岡県庁信用組合預金は、通知預金として預かっております。通知預金は、インター・バンクの金利は九厘でありますが、そのほかに日歩二厘二毛の特利を払っているようであります。そうしますと一銭一厘二毛でありますが、実質的にはこれは九厘払えばいいわけでありますけれども、一銭一厘二毛払っております。まあ結果論からすれば、長期に預け入れたとすればまだ金利が高いはすでありますが、表面上はこれは特別な取扱いになっております。
  232. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。あなたは再建に当っておられるその角度から、導入屋の高くつく預金を預った結果、赤字ということ、これはわかるが、あなたのところで貸付の焦げつぎが二十五億円くらいある。その当時あなたのところの資金量が大体七十億、そこで二十五億の焦げつきを出すというのは、ちょっと狂気のさたです。普通、銀行経営の上から言って、これはあり得べからざる放漫といいますか、むちゃな貸付をやっておられたのですが、これについてどこかからか圧力があった――われわれの聞いた範囲内でも数件の、大蔵省の役人か何かの紹介状を持ってきて、貸したその先が焦げついてしまった、金額にしてはそう多い数千万というような金ではないけれども、そういう例があるのだが、何かどこかから導入預金で高利につくというだけでなくして、焦げつきの裏にはあなたが見て、こういうような何か圧迫があって、心ならずも銀行経営者が貸し付けたという点はいかがですか。
  233. 佐藤寛一

    佐藤証人 私なんかが今まで見ましたところによりますと、そういうふうなものは全然ないと思っております。
  234. 細田綱吉

    ○細田委員 二十五億というような焦げつきは、ばかでなくちゃ銀行経営の衝に当る者としては、ちょっとさっきも言ったように狂気のさたです。どうしてそういうような無責任な貸付が多額に上ったかということです。
  235. 佐藤寛一

    佐藤証人 前任者のやったことに対しては私はよくわかりませんが、われわれが今見たところでは、そういうふうなものは認られないのであります。
  236. 細田綱吉

    ○細田委員 ですから、あなたが再建で御苦心なさっている立場から、どういう営業方針がかくのごとき多額な焦げつきを来たすに至らしめたかということを阿っておる。
  237. 佐藤寛一

    佐藤証人 結果から見ますると、大きな焦げつぎを生じた原因というものは、特殊なる人に対して大口の貸し出しをしたということが原因であると思うのであります。  それからその焦げつきを来たした内容に立ち至ってみますると、非常に資金繰りに無理をしたがために、普通の正規に使用した金でなくして、裏日歩とかなんとかいうようなものが積り積って非常に大きな金額になった。大きな金額がことごとくそれが自分の営業資金に使われておるものと認めがたいものが相当加算されておる、こういうふうに見るのであります。
  238. 細田綱吉

    ○細田委員 その導入預金が意外に多額な利息に当たるということは、私もさっき十分想像ができるので申しあげたのだが、私の伺ったのは、焦げつきが非常に大きいということですが、それはあなたがお答えにならないからそれとしてたとえば銀座のレインボーに対する千葉銀行の古荘頭取、あるいは今の通産大臣、当時の自民党の政調会長の水田三喜男氏が保証しておったと前々の証人から伺っておるのだが、こういうのは決済になりましたか、そのままですか、ちょっと伺っておきます。
  239. 佐藤寛一

    佐藤証人 レインボーに対する貸し出しは、担保は十二分にございます。それで今7交渉段階にありまするので、あまり詳しいことは差し控えさしていただきたいとと思いまするが、近いうちにこの問題は解決がつき得る見通しを持っております。
  240. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところで閉鎖機関から五億の金を導入したというか預金を受け入れた、これはその後解決がつきましたか。
  241. 佐藤寛一

    佐藤証人 閉鎖機関は、ずいぶん昔からいろいろな閉鎖機関から預金を受け入れておった模様でございまするが、これもいわゆる導入預金としてでなくして、協力預金として、銀行から資金的の援助を仰ぐということで、いろいろな閉鎖機関から過去において相当長期間受け入れております。これも漸次払いまして、現在は閉鎖機関の預金としてあるものはございません。
  242. 細田綱吉

    ○細田委員 けっこうです。
  243. 青野武一

  244. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は佐藤証人に主として第一相互の再建工作についてお尋ねをしておきたいと思います。  佐藤証人は九月の臨時株主総会において現在の常務取締役に選任されたということですが、それ以前昭和三十一年の六月から九月まではやはり第一相互銀行へ入っておられたはずです。いわゆる職務代行委託者と申しますか、そういう性格でお入りになったと思いますが、それはどういう仕事をなさっておられたのですか。
  245. 佐藤寛一

    佐藤証人 第一相互が自力でもって経営困難の状態に……(奧村委員「なるべく事案だけをお述べ願います」と呼ぶ)それでとにかく融資団が、再建できるものであったならば再建さしたいというようなことからいたしまして、その援助資金を出すに当りましては、一応銀行内容も知り、再建可能かどうかということをまず見きわめる必要がある、それからその間において前重役がまた今まで通りのようなことをやったならばいかぬから、その監督の意味も含めて、個々の相互銀行あるいは協会から人を派遣して、そして再建案を検討させよう、こういうふうなことから六月二十日に私ども四人の者が代行として行ったのであります。しかしこの代行というのは、いわゆる法律上の職務代行というようなものでありませんので、権限として独立に法律行為をやるということでなくして、どこまでも責任は前重役でありまするが、その相談相手を受けるという立場において行ったのであります。それから九月二十八日の臨時株主総会におきまして取締役に選任せられた次第であります。
  246. 奧村又十郎

    ○奧村委員 時間の関係もありますし、どうぞなるべく事実だけをすなおに述べていただきたいのです。さきに渡部常務取締役がこの関係について述べております。そこで、前常務取締役渡部証人とあなたのお述べになることと食い違っておるのです。そういうことになると、私どももやむを得ず時間をかけてお尋ねをせねばならぬということでありますから、どうぞ事実をお述べを願います。  そういたしますと、それじゃ導入預金に対しては三分の一払うてあとはたな上げ、こういう重大な決定をしておられるが、これは何月幾日におきめになったのか、またこれはだれがきめたのか、この点を一つお尋ねします。
  247. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれが代行委員でありまする当時は、旧重役といろいろ相談いたしまして、手続といたしましては、従来重役決裁のものは重役決裁をいたしまして、稟議に旧手役が判を押しまして、われわれがそれをさらに認めてやっておったのであります。そういうふうな形をとっておったのであります。それで三割の線を、もちろん再建案というものは、われわれがこの元の行員を使ってやったのでありますが、旧重役もそれは認めておると思います。これは全然知らないわけでもございません――そういうふうな案を作ったのでありますから全然知らないわけではないと思います。
  248. 奧村又十郎

    ○奧村委員 あなたはここへ人として来られて、先ほどから証言しておられる。私どもは事実をお聞きする。この三分の日払ってあとはたな上げするということは、重大な法律違反の疑いがある。行政上政府も監督しておるが、これが果していいかどうかということが委員会で問題になっておる。そういう大事なことをお尋ねするのでありますから、あなたもそれは率直に女夫だけをお述べにならぬといかぬ。そこで私のお尋ねするのは、その三分の一払ってあとはたな上げということは、何月幾日におきめになったか。そのときはあなたは代行委託者であります。一体だれがきめたか、そういう事実を一つありのままにおっしゃっていただきたい。
  249. 佐藤寛一

    佐藤証人 再建整備案というものを作りましたのは、七月の初めごろにできたと思っております。七月の初めごろにでき上ったと思っております。
  250. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それから預金者に発表してそういう処置をなさったのはいつですか。
  251. 佐藤寛一

    佐藤証人 その前に、それができましてからは融資団あるいは監督官庁にも一応相談をいたしまして、この再建ができるのであったならばこれでよろしいだろうということで、七月の二十七百から払い出しを開始したのであります
  252. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすると再建整備案は七月から実施し出した。そのときはだれが決定したのですか。私のお尋ねるのは、あなたの御答弁によると、代行委託者というても、ただ監督の立場で入ったんで、そうすれば法律上の権限も責任も――全重役の堀口及び渡部の再取締役その他の取締役会ですか、それがきめた、こういうことですか。それでは率直に一つ――三分の一払ってあとをたな上げということは、おそらくいまだかつてない重大な処置です。こういうことをあなた方だけでおさめになったのか、あるいは前重役がきめたのか、あるいは大蔵省の指図によってきめたのか、その事実をはっきり言って下さい。
  253. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれが入りましたのは、整理案を、一応見通しをつけるために作成するということの任務を帯びて入ったのでありますので、われわれがもとは作成いたしたのであります。しかしながらそれは、われわれは十分事情がわかりませんので、もちろん下の行員を使ってやったのでありまするが、再三再四検討いたした結果、これがいいだろうという成案を得まして、そのときには社長あたりとももちろん――三割払うかあるいは二割払うかあるいはどのくらいできるかというようなことは、再三重役、社長なんかとは話し合っております。その結果、それならこれでいこうということでやったのでありまして、われわれが単独でやったわけではないのであります。
  254. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ個々の預金昔に対しての、三割払うがあとは待ってくれ、十年間待ってくれということの交渉はどなたがなさったのですか。
  255. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは御説の通り預金を受け入れておいて、三割払ってあとは払わないとか、あるいは十年で払うとかいうことは、非常に重大な問題であります。しかしこの問題は、法的に解決をつけるためにはどうしても店を閉じなければならぬのではないか、これがもしもうまく円満に解決がつけば、この問題は一番円満にいくのではないかというようなことからして、これは個々に折衝をする以外に方法がないということで、たびたび預金者なんかに交渉いたしまして、その結果、大体の見通しがつきましたので、それでいよいよ払い出しを実行に移したのであります。
  256. 奧村又十郎

    ○奧村委員 いや私のお尋ねするのは、預金者にだれが交渉したかという事実だけをお尋ねしておるのです。
  257. 佐藤寛一

    佐藤証人 それは、決定案に届きまして、われわれもいたしましたし、旧重役も交渉した場合があると思います。
  258. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうしてもっとすっきりとおっしゃらぬのですか。前重役も交渉した場合もあるというのは――現にもう先ほど渡部常務からもよく事情を聞いてあるのだから、全然食い違うようなことを言われると私ども委員として時間がかかって困るのです。もっと率直にお話しになったらいかがですか。
  259. 佐藤寛一

    佐藤証人 預金者に交渉したのは、われわれが主として当ったのであります。しかし旧重役であるからということで、旧重役の方に預金者が行って交渉したのもあると思います。それで私はそう申したのでありまして、主として預金者に会ったのは、代行委員が会ったのであります。
  260. 奧村又十郎

    ○奧村委員 代行委員は一体どういう資格で預金者に当ったのですか。預金者は、第一相互銀行に、これは無記名定期であろうが記名定期であろうが預けて、期日が来た以上は当然銀行が払うべきだ。そこで銀行を代表する者と預金者が交渉しなければならぬ。あなた方は銀行を代表しておる資格があったのですか、そこの点をはっきり。
  261. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは社長から相互銀行協会にあてておる書類に基きまして、業務管理自体の権限はありませんが、交渉、何と申しましょうか……。
  262. 奧村又十郎

    ○奧村委員 もっとすなおに言えばいい。     〔「法作上の問題は、大蔵省が責任を負うかどうかということなんで、あなたに責任はないのだから、もっと事実をはっきり言えばいい」と呼ぶ者あり〕
  263. 佐藤寛一

    佐藤証人 大蔵省からは別に指示を受けておりません。その場合は、どうせこの処理にはわれわれが当らなければならぬ。われわれが整理案を作ったのでありまして、要するに実際は旧重役の委託を受けたというような形になっております。
  264. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ六月に、たといあなたの言われる代行委託者としてでも、第一相互に行ったのは、だれに頼まれて行ったのですか。また援助資金の関係があるというのは、一体その援助資金はだれに頼まれたのですか。あなたのお話だと、堀口社長なり渡部常務から頼まれたのか。だれに頼まれたか、そこをはっきりしてもらいたい。
  265. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれが参りましたのは、全国相互銀行協会の方から、一つ管理にやろうじゃないかというような話がありまして、それで私は、東京相互銀行の重役から、君行ってくれないかという委託を受けて、私は参りました。その間のもとの方の事情は私よくわかりませんが、大体融資するに当っては再建案を作らなければならぬし、見通しもつけなければならぬし、それから管理もやらなければならぬ、そういうふうなもとに、一つ行ってくれということで、東京相互銀行の重役から命令がありまして、私は参ったのであります。
  266. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、相互銀行協会から頼まれたと言われるが、相互銀行協会の島崎専務もあなたと一緒社長になって入っておられる、そうすると島崎君に頼まれたのですか、どなたに頼まれたのですか。
  267. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは援助銀行を代表して全国相互銀行協会が実務をとっておりましたので、援助銀行の意向を受けて、全国相互銀行協会が話したものだと思っております。
  268. 奧村又十郎

    ○奧村委員 では、佐藤さんに直接お前一つ第一相互へ行ってやってくれと言うたのはどなたですか。
  269. 佐藤寛一

    佐藤証人 東京相互銀行の重役であります。
  270. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃその再建整備案ですね。一体三分の一払ってあとは十年たな上げということは、よほど第一相互銀行の資産内容を十分検討して、ある程度の見通しをつけにゃきめられぬ。もちろんこれは大蔵省の了解がなければならぬ。その案はだれが立てたのですか。それから大蔵省の許可はとったのですか。そこらのいきさつを一つよく聞かして下さい。
  271. 佐藤寛一

    佐藤証人 再建整備案というものができまして、これで一つやっていこう、これならば再建の見通しもつく、それから預金者に対しても一時猶予は願うが、債権切り捨てでなくて、こういう御了解を得られたならば再建もできるし、一番いいのじゃないかということで、再建整備案というものを作りまして、そうして監督官庁の方にも御了解を得ますし、融資団の方にもそれを示しまして、その御了解を得て、それならば一つ融資してやろうじゃないかということに決定を見たのであります。
  272. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、六月の二十日ごろに、堀口社長とそれから渡部常務から、あなた方四人の方に代行委託書というものを調印してお渡ししてある、それはどういう意味を表わしておるのですか。代行委託というものは、どういう権利義務を委託したか。どういう意味で代行委託書というものを受け渡しをしたか。あなたはそれを受けとられたことと思うのですが、その事情をお聞きしておきます。
  273. 佐藤寛一

    佐藤証人 それは、われわれ役員並びに職員一同は、派遣された代行の意を受けてその監督に従います、こういうふうな文句だったと思います。
  274. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすれば、その社長渡部常務取締役の第一相互銀行における権利義務一切は、代行委託者におまかせします、こういう意味の委託書、こういうふうにこの間渡部証人からここで御答弁があった。その通りですか。その点食い違いが起ると、また渡部証人をお呼びしなければならぬ。そこの点をはっきり第一相互銀行における取締役としての権利義務を委託されたこういうふうに考えておられるのですか。
  275. 佐藤寛一

    佐藤証人 法的にはあくまでももとの重役がなっておるのでありまして、われわれは法的の権限はないのであります。われわれの名前をもって法律行為をすることはできないのであります。
  276. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それじゃ法的権限のない者が、預金者に対して、二分の一払うがあとは十年たな上げ、これを承知してくれ、そういう交渉を第一相互銀行を代表してあなたが交渉するということは、そういう大事なことは権限も義務もないじゃないですか。その法律関係をどう考えておられるか。
  277. 佐藤寛一

    佐藤証人 たとえば社長の意を受けて行員が交渉する場合もございましょうし、こういうふうななにで委託を受けて、この代表者の権限がある人の権限のもとにこれを代行するということはあり得ると思います。
  278. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこまで言われると、これは渡部証人をここへもう一ぺん呼んで、お一人の前でこれをお聞きしなければならぬ。全然話が食い違っておる。それじゃ渡部証人から権利義務は託されたのではないのだ、あくまでも渡部証人に責任があったのだ、こういうことですか。しかしその当時渡部証人はもうほんのただ第一相互へ行ったというだけで、何かものを聞かれれば答えた、しかし権利義務は一切なかった、判こはあなた方に預けたと言っておられる。その判こは預かっていましようか。
  279. 佐藤寛一

    佐藤証人 判こは預かっております。預かっておりまするが、稟議書に判を押した、それに基いてこちらの方で判を押したのでありまして、勝手に判こを押したのではないのでありまして、重役の決裁事項は今まで通り一応三役の禀議を経まして、それにはもとの重役の判を押して、それに基いてわれわれが判を押したのであります。その稟議を経ないでわれわれが判を押すわけではないのであります。これは事務的な問題ではないのでありまして、たとえば身分証明書を出すとかなんとかいう問題は簡単なことでありまして、今まで一々稟議を経ておりませんでそういうことについては判を押します。重要な事項につきましては、すべて稟議書に基いて判を押したのであります。
  280. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすると、三分の一を払うてあと十年間たな上げということは、堀口前社長渡部証人がきめたことで、あなた方には責任がない、こういう意味になりますな。その通りですか。
  281. 佐藤寛一

    佐藤証人 責任がないということは申しませんが、われわれは監督の位置にありましたので、われわれももちろん――主として作成したのはわれわれでありまするので、われわれも責任はもちろんありまするが、もとの重役もこれは承認した上でやったことであります。このもとの重役が全然関係がなくて、新重役のみに、代行員のみにあるということは申されないと思います。
  282. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して佐藤証人に。今お答えになりました第一相互銀行の場合に、いわゆる委託を受けたあなた方が監督の立場にあるということは、法律的にはどういうものを根拠にしてそう言われるのですか。実際に相互銀行の内部で破綻を来たしたというような場合に、協会に加盟しておる全国の相互銀行間で、相互に融資その他の方法で助け合うところの一種の相互援助協定というやつですか、そういうようなものがあることは私らも聞いておるのですが、それは現在の段階においては、もちろん相互銀行法に基いて設立を認められている銀行間のそういう協定が、相互銀行間を縛ることは有効かもしれませんけれども、一たび相互銀行対一般預金者というような関係にまで――相互銀行協会を中心にして非常の場合に発動するところの一種の団体協約的なものを、第三者である一般預金者に適用するということについては非常に問題だと実は私も考えておるわけです。私は実は相互銀行法が議員提案で提案されたときに、今から十年近く前になるわけですが、提案者の一人であった関係もありますので、この点を伺うのですが、その点についてはもちろん監督官庁としての大蔵省もその非常の場合に相互に助け合うという行為そのものについては承知していることと思いますけれども、それは奧村委員があなたにくどく質問されるように、第三者である一般の預金者に果してそれが法律的な効果を及ぼすかどうかという点に問題があるわですが、あなたがただいま奧村委員の質問に答えられました、前の堀口社長なりあるいは渡部常務などに対してあなたたちいわゆる代行委託者が監督の権限があるという法律の根拠はどこに求められておったのですか。
  283. 佐藤寛一

    佐藤証人 監督の権限があるということよりも、向うの委託に基いて監督をしたということであります。社長から、監督者を派遣してもらいたい、それについては自分なんかがそれに従う、こういうふうなことであります。それから預金の強制でございまするが、これはあくまでも話し合いでありまして、それを強制することはできないのでありまして、話し合いで処理しておるわけであります。この点御了承願います。
  284. 田中織之進

    ○田中(織)委員 相互銀行堀口社長から監督を頼まれたから監督したというのですが、堀百さんは株主総会で選ばれた社長である、その社長がまるきり関係はないことはありませんけれども、法律上には直接関連性を持たない同業相互銀行に、百分の銀行業務についての監督を委託するということ、頼むということは、これは私は現在の相互銀行法からいえば違法になると思うのです。その意味で、よく地方自治体等で、首長がきまらない、こういうような場合に行政権限を持っておる自治庁から管理者か派遣される、あるいは上級の関係になりますか、県から市町村の場合に事務代行者というものが派遣される場合と、銀行等の企業体の場合はやはりおのずから違うと思うのですが、その点については当時佐藤さんたちは、その点が問題だというふうにはお感じにならなかったのですか。その点はいかがですか。
  285. 佐藤寛一

    佐藤証人 法律的に解釈いたしますと、むずかしい問題になるかと思うのでありますが、われわれといたしましてはとにかく第一相互が再建できるかどうかということを確認した上で、まあできるならば一般相互銀行の意向でもあり、これを再建いたしたい。そうして再建可能となればそれにできるだけ協力したいというように考えておりましたので、法的のことについては実際問題としてはそうまで私どもは深くせんさくいたしておりません。
  286. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点確かに私が先ほど第一問の質問のときに申し上げたように、現在銀行相互援助の取りきめがあります。それに基いてあなたが東京相互銀行から第一相互に派遣されたという事情でありますから、その点は十分法律的にも検討されないで行っていることは事実だ、私はそういうように受け取りますが、この問題は大蔵省の検査部長も出てきておりますけれども、これは今度のような場合においても問題が残っておりますように、実は悪く口えばどこかの相互銀行を乗っ取ろうというときには、簡単にその当該の社長をいわばおどかして、一つ協会へ頼みます、こういうことを言わせればそういうことが行われるような形になるので、これは国会としては将来こういうものについてどういうように――これは預金者も保護しなければなりませんけれども、やはり正常な運営をやっておる機関は機関として法の保護のもとに置かなければならぬという立場から実は伺っておるのですが、その点は佐藤さんは東京相互銀行の重役から、お前は協会の指示に従って行けと言われたと言われるのですから、これはそののままでいいと思うのですが、実際は問題はあるし、またこのままの形でいけば第一相互銀行の今後の再建途上においても私は問題があろうかと思うので、もう一点伺いますが、預金者について、それは導入預金であるか一般預金であるかということの区別がつきにくいということも、他の証人から申されておるのでありますが、それが二割であとは十年間のたな上げだということを適用した預金はどういうように――一般の預金もそういうようにされたのですか。それとも何か特別のいわくがあるものだけをやられたのですか。それと、もう一点は話し合いでやったのですと、こういうことですが、どうしても預金青の方で話を聞かなかったものはお支払いになったのですか。いかがですか。
  287. 佐藤寛一

    佐藤証人 いわゆる導入預金として処理いたしておりますものは、関係者が三つあるわけであります。資金を借り入れせんとする者が、自分でまたは仲介者を介して、ある預金者から預金を受け入れ、その預金担保にすることなくして銀行預金をする、そうして銀行はその者に対して金を貸す、そしてその借入人は預金者に対して金銭的の利益を与えておる、こういうふうなものを一応マークして導入預金として処理しておるのであります。  それから第二問に、預金者が納得がいかないものはどうするかという問題でありますが、これが非常に事実上むずかしい問題であります。私はこれは麻酔をかけずに手術するようなものだということを言っておりますが、とにかく誠意を持ってお互いが――前は悪かったのでありまするが、現在これをいかに善処するかという最後の問題、利益共通の問題になってくると、私は一点に帰するのではないかというように解しております。それで、誠意と誠意を披瀝したならば、これはおのずから解決がつく問題だということで、解決をつけつつあります。それで、どうしても納得がいかないということで訴訟を起されたのも若干あります。しかし、これも最後まで戦うというような御意思もありませんし、また弁護士の方も、なるべく和解をして、事情をよく承知してというようなことで話は進んでおりすので、別に荒立って大きな問題が起るような憂いはないと思います。
  288. 奧村又十郎

    ○奧村委員 証人の今の御答弁、それは苦衰はよくわかります。だから、われわれは何も悪いとは言わぬが、一応事態を明らかにしようということなんです。そこで、政府が裏面で指導しておったということに、世間みんな知っておるのです。銀行局長らが相互銀行協会に行って、ずいぶんお頼みになって、相互銀行の中にもずいぶん反対があったけれども、これは金融機関全体としてやむを得ぬということでいったということはよく知っておるので、それが悪いとは言わぬ。ただしかし法律がある以上は、一応法律の上で明確にしておかなければいかぬ。だから、私どもが言うのは、やっぱりすなおに事実を明らかにしておいてもらいたいということだけで、無理にあなたを詰問してどうこうというのではないのです。しかし、あなたが今おっしゃる、三分の一払ってあとをたな上げということについては二、三訴訟も起ったけれども、中に弁護士が入って最後にはおさまりましたというけれども、そこに問題がある。実はわれわれもずいぶん相談を受けております。決して第一相互事情によって自発的にあきらめておる人はおりません。これは訴訟をやっても、二年も三年も裁判にかけておっても、裁判の経費に金がかかるから、どうも実際の効果はないからというので泣き寝入りです。決して納得してあきらめておるものではないと思う。現にそういうものはあります。そういう方々に対して、私ども国会議員としてどう説明してやるか、われわれの立場もあるのです。  そこで、それじゃなお突っ込んでお尋ねいたしますが、堀口、渡部両前重役あるいはその他の重役、これらの方々は第一相互銀行に対して経営上非常な紊乱を起して、銀行に損害を与えております。これに対して、今度重役になられたあなた方は損害賠償を訴える気持はないか、預金者に対してもそのくらいの法的措置はすべきであるが、いまだにそれはしておられないようですが、これはどうなさるおつもりですか。
  289. 佐藤寛一

    佐藤証人 損害賠償の問題になりまするが、われわれは現在その措置は考えておりませんが、あるいは事態の推移によってはそういうふうな問題が起るかもわかりませんが、これは非常に重大な問題でありまして、十分にその確証を得ないと、そういうような人の信用問題にも関する問題でありまするし、十分の確証がない限り、われわれとしてはなかなかこれは手出しができないのではないかというように、私一個人としては考えております。まだそういうような措置はとっておりません。
  290. 奧村又十郎

    ○奧村委員 現にしかし刑事事件にもなっておりますし、また実際は第一相互銀行にずいぶん損害を与えております。これは法律に明らかにしてあるごとく、当然問題にしなければならぬが、こういう問題をうやむやにしておるというところに非常な疑惑を持たれる。たとえば重役が私財を提供したといいながら、ある重役はほんとうの私財を隠しておるので、ごく一部のうわべだけを出しておるといううわさも出ておる。こういうことを聞かされますと、十年も預金をたな上げされた預金者としてはがまんのならない話です。  そこで話を変えまして、それじゃ七月から再建整備案によって預金者と折衝されて、折衝のできた者には三分の一払う。従って、九月までにはある程度の援助資金が出ておるわけです。そうすると、その援助資金は、あなた方の出身の銀行から出ておるのですね。東京相互からも出ておる、日本相互からも出ておる。そういう金は、銀行を代表してだれが借りたのですか。その点お尋ねします。
  291. 佐藤寛一

    佐藤証人 九月新重役になる前のは前の重役の名前でありますし、それから以後は新重役の名前であります。
  292. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そのとき判こは、あなた方が、堀口なり渡部常務の判こを預かっておる、その判こを押された。そうすると、堀口なり渡部常務が貸してくれと言ったのではない、あなた方か持って入った、こういうことではないですか。
  293. 佐藤寛一

    佐藤証人 それは判でございますか。
  294. 奧村又十郎

    ○奧村委員 いや、融資。
  295. 佐藤寛一

    佐藤証人 融資は、資金がなければ借り入れの稟議を起しまして、借り入れようということになります。
  296. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、相互保障協定の二十億の融資の協定は、九月の臨時株主総会までは堀口、渡部名前と判こで協定している、臨時株主総会が済んでからはあなた方の判こで相互保障協定を結んだ、こういうふうに解釈してよろしいか。
  297. 佐藤寛一

    佐藤証人 さようであります。九月二十八日以前の書類は全部旧重役の名前でございまして、新重役になってからは全部新重役の名前であります。
  298. 奧村又十郎

    ○奧村委員 現在その協定によってどのくらいの金が第一相互銀行に貸し出されておりますか。
  299. 佐藤寛一

    佐藤証人 お答えいたします。三月三十一日現在で実際に第一相互銀行が借りておる金は十五億九千四百四十万円、それ以外のものは金は借りておるのでありますが、実際に第一相互の手に渡らなくて、管理銀行である全国相互銀行の方に金が集まっておりまして、それで運用しておりまして、その方から要るだけずつわれわれの方は借りておるのであります。それは万一のことがあった場合をおもんばかりまして、われわれの手元になくして、全国相互銀行協会の方に管理運営していただいております。
  300. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうすると、二十億に対して四億一千万円はまだそういう管理銀行の手にある、こういう意味ですか。
  301. 佐藤寛一

    佐藤証人 富士銀行からまだ四億しか借りておりません。これはまだ一億余裕があります。それ以外の援助資金の分は、全国相互銀行協会の方で今運用していただいております。それで全国相互銀行援助資金十二億というもののうちで五百六十万円というものがまだ入ってきておりません。これはほかの方の相互銀行から出るようになるんじゃないかと思っておりますが、それだけ入ってきて、あとはまだ入ってきておりません。
  302. 奧村又十郎

    ○奧村委員 導入預金二十三億ほどですか、これを大体三分の一払うて、あとは十年たな上げという、政府なりあなた方の御答弁によると決して強制したんじゃない、円満な話し合いだと言われるのですが、その話し合いのついたものは導入預金二十三億のうちどれくらいついたのですか、また話し合いの全然ついておらぬのはどのくらいありますか。
  303. 佐藤寛一

    佐藤証人 二十三億円のうちで約二一十億、九〇%が契約済みでありまして、契約未済のものが三月末で二億二千五百万です。
  304. 奧村又十郎

    ○奧村委員 もう去年の七月ですかにその話し合いを始めたんですが、今日これほどの金詰まりですから、まさか七月からきょうまで引き出しもせずほっておくという手はないと思うのですが、この二億二千五百万というものはどんなわけでその話し合いができぬのか、一部にはこの中に第三国人の金もあるということを聞いておるのですが、その事情を承わりたい。
  305. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは引き続いて折衝中であります。人数からいったらそう多くはないのでありますが、大体妥協点に近づきつつありますが、まだ妥協点までいっておりません。これも今後波乱を呼ぶことなくして、時期の問題だと考えております。
  306. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、これはもう預金者の名前は全部わかっておるのですか。それから妥協点がつかぬという、その妥協というのはどんな妥協ですか。三分の一払うてあとはたな上げといいながら、残ったやつは別に何か融通つけるような話ではこれはおかしいのですが、どういう話し合いですか。
  307. 佐藤寛一

    佐藤証人 これはのむことはのむがあと貸し出ししてくれ、こういうことを言うのですが、金額が多いと資金的になかなかできませんので、その点がまだ折り合わないのです。もちろんその貸し出しがどれだけできるかということによってきまるわけでありますが、全額払うというようなことはもちろんできないので、こちらも一歩も譲らない。それで資金的にある程度どうしてもとにかく金が要るというようなものに対しては、これは払い出しでなくして、貸し出しはやむを得ない場合もあるだろうと思いますが、あまりにも大きい金額でありますと資金的にも相当圧迫を生じますので、その点がまだよく折り合っておりません。  それから残っておりますのは大部分が無記名でありまして、一々これをせんさくすることができないので、われわれといたしましてもなるべく早くこれを処理したいというふうに考えておりますが、向うから来て話をするのを待たないと、こちらから行ってもなかなかだれであるかわからないというようなことが相当あります。
  308. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私はまだほかに質問がありますが、時間の関係もありますので、先ほどの代行委任の権利義務の移転の問題、これはどうも不明確でありまして、渡部証人証言と全然食い連っておりますので、これは後刻――というのはきょう中です、ほかの証人に対する御質問が済んでから、渡部証人佐藤証人とお二人お立ち会いでその点を明確にしておいていただきます。これを留保して私の質問を終ります。
  309. 青野武一

  310. 淡谷悠藏

    淡谷委員 西日本相互福岡相互から預金があったそうでありますが、これは何か条件がついておりましたかどうか。全く条件なしの預金だったのですか。
  311. 佐藤寛一

    佐藤証人 西日本相互銀行及び福岡相互銀行預金は三ヵ月の定期預金でございますが、その払い出しについては一時に払うということがなかなか困難な事情がありまして、現在のところ三ヵ月ごとに千五百万ずつお払いして一年でお払いする、こういうふうな了承を得ております。
  312. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この二つの銀行からこれだけの頭金を受けた場合は、これは直ちに福岡県の県庁信用組合の方に払うのだという条件がついていたのではないですか。
  313. 佐藤寛一

    佐藤証人 これはわれわれの資金繰りの関係預金をしていただいたのでありますので、その資金が来ますれば、福岡県庁信用組合の方の預金は、条件ではありませんが、それは当然払うことになってそして払ったのであります。
  314. 淡谷悠藏

    淡谷委員 条件ではないが当然払うのだというので思い当りますが、島崎社長福岡へ出かけていってこの話を進めるについては、資金繰りのうちでも最も気をつけておる福岡県の信用組合の支払いに困っておるから出してくれ、といったように話を聞いたのではないですか。
  315. 佐藤寛一

    佐藤証人 私はそういうふうに聞いておりません。
  316. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ資金繰りというのは、このほかにどういうところがあったのですか。
  317. 佐藤寛一

    佐藤証人 資金繰りと申しますのは第一相互銀行の資金繰りでございます。資金繰り上、一時にお払いするということは今後の資金繰りを不円滑ならしめるから、なるべくこれを預けて延期していただきたいというような申し出がありましたので、何とかして早くお払いしたいというようなことからして、同業者有力相互銀行にお願いしたような次第であります。
  318. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の聞いておるのはそうじゃなくて、さっきあなたは、福岡相互と西日本相互に融資を求めに行った場合に、非常に差し迫った支払いの口があるから融資を求めに行ったと言っておる。あなたは、特に請求は受けないけれども、福岡県の信用組合から一億円入っております金のうち、二千万円しか払っていないから、あとの八千万円をできるだけ早く支払いたい、こう思っておった。島崎社長福岡に行ったのは、やはりこれがあるからですね。できるだけ早くこの八千万円を払うという気持で、この二つの銀行に折衝したのではないですか、こう聞いておるのであります。
  319. 佐藤寛一

    佐藤証人 その通りであります。
  320. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この福岡相互と西日本相互が、あなたの方に融資を行うとともに、県庁の方からそれに見合うような金の預金あるいは預託を受けるような約束のあったことを、あなたはお聞きじゃないですか。実際にあったのですが、この話をあなたは知っておりますか。
  321. 佐藤寛一

    佐藤証人 全然知りません。そういうふうないかなる交渉があったかわかりませんですが、後に新聞でそういうふうな記事が出ておったので、預託があったのだなということを私は初めて知ったのでございます。もちろん私は全然知りません。
  322. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたがお知りにならぬでも、島崎社長が大体これを知っておって、あの新聞記事が出たあとで、実はこうだったというようなお話はなかったですか。
  323. 佐藤寛一

    佐藤証人 全然ございません。
  324. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでこの福岡相互銀行と西日本相互銀行は、三ヵ月の期限の預金を、あなたの今おっしゃったような一ヵ年に引き延ばすことに承諾をしておりますか。
  325. 佐藤寛一

    佐藤証人 三ヵ月で切りかえて、そして延ばすことを承認しております。
  326. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さらにもう一点お聞きしたいのは、今奧村委員から請求がございましたが、この三分の一を支払って、あとは十年年賦にする、あるいは十年たな上げにするということについて、承諾を与えていない人たちの中に第三国人がある。これは大体七千五百万円くらいの債権であると伺っておりますが、どうですか。
  327. 佐藤寛一

    佐藤証人 金額ははっきりわかりませんが、相当大口の第三国人のがございます。
  328. 淡谷悠藏

    淡谷委員 残っておる、まだ交渉がまとまらぬという二億二千万円のうちに、この第三国人のものも入っておりますか。
  329. 佐藤寛一

    佐藤証人 入っております。
  330. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この三国人のものに対して、だれか依託や代理をもって、請求に行った例はございませんか。
  331. 佐藤寛一

    佐藤証人 聞いておりません。
  332. 淡谷悠藏

    淡谷委員 直接こういう人たちとあなたが交渉されておると申しておりまするが、一番大口で交渉されているのは、名前を言うわけにいきませんか。
  333. 佐藤寛一

    佐藤証人 私は交渉に当っていないのでありまするが、整理課で処理しておるわけでございますので、結果について聞くぐらいなものでありまして、私直接交渉に当っておりませんので、よくわかりません。
  334. 淡谷悠藏

    淡谷委員 先般の委員会で、奧村委員から第三国人に対する、こういう債権のたな上げをするというのは、これは国としての体面にも関するので、はっきり始末をつけたらどうかという話があった。関係のない委員でさえも考えておるのですから、あなた方自体は十分にお考えになって、この折衝も整理などにまかせないで、あなた自身がそれに当るべきが至当じゃないですか。
  335. 佐藤寛一

    佐藤証人 もちろん必要に応じては、だれか重役が会っておりますが、私はまだ会っておりません。もちろん必要に応じては重役が会います。まかしておるわけではございません。ただ第三国人であるがために、これを除外するということは、全般的の統制を乱すものでありまして、これはちょっとむずかしいのじゃないかと思います。
  336. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは話が逆じゃないですか。さっきあなたは大体はきまったけれども、残ったのが二億二千万円、渡部理事からの話では、そのうち三国人の関係が七千五百万円といったら三分の一でしょう。あなたはこういう預金者との交渉は、私自身が当っておりますというさっきの御答弁なんです。それならば第三国人も特殊扱いをしないで、あなた自身がお会いになって交渉するのが当然の話である。他の預金者にはあなたがお会いになってこういう三国人のものに対してはあなたは会わない。これこそ、除外例を作るのじゃないですか、これはどうです。
  337. 佐藤寛一

    佐藤証人 私は中国人なるがゆえに会わないということもありません。大体私はその交渉の任に当っておるものでないのでありまして、大体話し合いは整理課の方で当っておるわけで、あとで重役が会う場合もございまするが、それは担当の重役が大体きまっております。それがいないときには、だれでも会う。初めの間はいろいろ会っておりましたが、大体今担当をきめておりますので、一々私は日本人であるがゆえに会う、中国人であるがゆえに会わないというようなことは、全然ございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  338. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この問題は第一相互の失敗の原因、あるいは今度のような事件に介在して、福岡県の公金流用を受けてそのために副知事が逮捕され、議長が逮捕されておる。こんなところまで追い込んだのは、第一相互の非常に紊乱をきわめたあの経理自体にあったと思う。しかも午前中から聞いておりますと、この銀行の融資については、政界方面の容喙が非常に大きい。あるいは官界も入っておるでしょう。現職法務大臣までが口入れをして、口を聞いて融資をさせておるような、そういう政界の圧迫によって運営された第一相互銀行が、今日のような事態をかもすというのは、これは今日われわれ黙って見ておれない。従ってこのたな上げになりました預金につきましても、公平に扱うのならばともかくも、そういう官界、政界方面からの圧力や働きかけやら、口きき等によって差別がついては、今後決して健全には立ち直らないと考える。あなたはそうおっしゃいますけれども、それではさっき奧村委員に向って、預金者との交渉は私が当っておりますと言った、これはうそなんですか。あなたは他に重役があると言った。奧村委員には私が当っておりますという答弁でした。した覚えはございませんか。私の思い違いだったら取り消しますが……。
  339. 佐藤寛一

    佐藤証人 私、記憶ございません。導入預金の交渉に私が当っておりますと申し上げた記憶はないのでありますが……。
  340. 奧村又十郎

    ○奧村委員 三分の一で、あとたな上げという交渉に個々には当ったのじゃないですか。先ほどそういう御答弁でした。預金者に三分の一払うて、あとはたな上げという交渉は、それは当った……。
  341. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは、代行時代はありましたか、そのときは全員で当ったわけです。それからその後は、大体人がいなければ、手のすいた人が当っておりますが、おのおの担任をきめて、そうして当っているわけです。全部私が当っておるわけではございません。その点御了承願いたいと思います。前に言葉が悪かったかもしれませんが、そういう意味でございます。
  342. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとで速記録を調べてから、また聞くべきときは聞きますけれども、一体この交渉というのは、一括してあなた方の方だけで決定されても、交渉がまとまったとは言えない。結局個々の預金者とあなた方とが折衝してきめるべきものなんです。そのうち、たとい一割にせよ、二億二千万円というものが現在残っておる。交渉をするのであるならば、やはり他のものをきめると同じように、全重役がこれに当って早急取りきめるのが常道ではないのですか。一割くらいはどうなってもいいというお考えなのですか。承知をしない者、しかも一番頑強に承知をしない者、第三国人までも入れたこの残りの分に対しては、一体だれが具体的に責任をもって交渉に当っているか、重役の名前はだれですか。
  343. 佐藤寛一

    佐藤証人 第三国人に対しては、もちろんそのときの担任はありますが、その人のいないとぎにはだれでも当ります。重役は全然当っていないわけではございません。なるべくならば円満に妥結したいということで、誠意をもって当っております。
  344. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その当っておる重役の名前はだれかということを私は聞いているのです。何という重役が当っているか。
  345. 佐藤寛一

    佐藤証人 担任としては館内常務でありますが、忙しいこともありますので、手がすかないときにはほかの方の重役も当っております。大体担任はそういうことになっております。
  346. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの方の大きな貸付先である小川という商店に、現福岡県知事の実弟が顧問として第一相互から入れてあるようでありますが、これは御承知でしような。
  347. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれは全然それを知らなかったのでありますが、最近そういうふうなことを伺ったのであります。これはきわめて最近のことであります。土屋というのが行っておったということは私は知っておりました。これは昨年の小川産業の整理に当って、昨年の暮れくらいから、土屋という者が常務でおるということは私は知っておりましたが、県知事との関係とか何とかということは、きわめて最近になって私は知ったのであります。
  348. 淡谷悠藏

    淡谷委員 貸付に対しての書類は、最終的には重役が決裁するのだと思いますが、さっき貸付課長の話を聞きますと、もうずっと以前から、これは知事の弟であるからという付せんを書類につけて決裁を仰いでおるらしい。そうしますと、一体重役の決裁というものはほとんど形式だけのものであって、あと貸付課長くらいで万事まかなっておったと、あなたはおっしゃるのですか。
  349. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれが就任する以前の取扱いだと思いまするが、その間の事情はわれわれよくわかりません。
  350. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは今のことを伺いますが、あなたが八千万円お返しになった当時、福岡の連中が非常に騒いでおりました。県庁の公金の流用の問題で非常に騒いでおって、どうしてもこの信用組合には一億円を返さなければならない羽目に立ち至っていたと思いますが、非常に騒いでいました。あなたが急いでこの八千万円を福岡の県信用組合に返そうという気持を持ちましたのは、この事件を知ったからでありますか、それとも知らなくてもそうであったのですか。
  351. 佐藤寛一

    佐藤証人 知らなくても当然早く返そうと思っておりましたが、こういうふうな事態になりまするというと、なお一そう早く返さないと非常に御迷惑をかけるというようなことは考えておりました。
  352. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたもそうおっしゃるくらいだったら、島崎社長も当然あの当時の事件のことは知っておって、この跡始末もかねて福岡に行ったようにわれわれには考えられますが、その点はどうですか。
  353. 佐藤寛一

    佐藤証人 われわれはそういうふうには考えておりません。ただ早く返さなければならぬということで行ったのであります。まあ資金を画策に行ったということであります。
  354. 淡谷悠藏

    淡谷委員 二十二日に電信為替で相互銀行からの送金があって、二十三日にはこれを送って、返しておる。そのときに銀行直接ではなくて、先方から来た人へ渡す、こういうふうにしてあります、あなたの御答弁は……。これは先方から来た人というのはだれです。
  355. 佐藤寛一

    佐藤証人 これは池田理事長が来られたと思っております。名分そうだと思っております。もう大体……。
  356. 青野武一

    青野委員長 もう少しはっきりしたことはわかりませんか。多分池田理事長であろうということでなしに……。重大問題ですから、御記憶にあるはずでございます。
  357. 佐藤寛一

    佐藤証人 私は会わなかったのでありまするが、信用組合の方が来られたということは聞いておりました。私は会わなかったので、はっきりわかりませんが……、そうお答え申し上げたいと思います。
  358. 淡谷悠藏

    淡谷委員 金高八千万円です。あなたの方の社長福岡まで出かけていって、二つの銀行を通じて、やっと調達した金を渡すのです。その金を渡すのに、わざわざ信用組合から人が来ておるというのは、前から催促についておったのでしょう。話がまとまるのをあなたの方で待っでおったのじゃないですか。漫然とあなた方は、他に返す金もあって資金に困っておるからこういう融資を受けたと言っておりまするが。本来池田理事長がこれを返さなければどうにもならないから早く返してくれと言って、居催促をしておったのでしょう。だから金が来たからすぐにその人に渡してやって、そうして返したのじゃないですか。この点はどうです、はっきり言ってもらいたい。
  359. 佐藤寛一

    佐藤証人 ……。
  360. 青野武一

    青野委員長 委員長から質問しますが、御答弁が大分ぐずついておられるから、淡谷君の質問に関連して……。福岡県の福岡市の地元の西日本相互銀行福岡相互銀行の二つに、それぞれ福岡県からどれだけずつの預託があったということは御存じありませんか。三月末現在の調査ですよ。自治庁から行った調査官の調べです。
  361. 佐藤寛一

    佐藤証人 承わっておりません。
  362. 青野武一

    青野委員長 それは五千万円ずつという調査の報告が委員長の手元に来ておりますが、西日本相互銀行福岡相互銀行にそれぞれ預けてある預託金が、四千万円と三千万円、第一相互に融資として送られた。それを待っておって、あなたたちはぐるになって話し合っておりながら、そういう経路をたどって回ってきた金を、いきなり池田理事長を通じて八千万円戻した。これが知らないでこういう細工がうまく仕組まれるなら、天一坊が八代将軍をけ落しておるはずなんです。そういうことは知りません、存じませんと言うと、証言に虚偽をすると、私は委員長権限で告発します。わからなければこういうことはできない。しかもこれは副知事が逮捕せられる三日前ですよ、金が戻ってきたのは。福岡県知事は、金は戻った、信用組合から先どの銀行に預託するか、そういうことはわれわれの知ったことではない、確かに一億円建築資金で福岡県庁の信用組合に預託したことは事実である、この三点を明確に、自治庁長官の命令を受けて現地に行った山本という調査官に報告しておる、文書による報告書も見ました。こういうことですから、第一相互銀行はあり余る金が八、千万円あって、福岡県庁の信用組合に戻したのじゃない。これはちょっとそこいらでかご抜け詐欺のような細工をしたのです。細工をしたのに、第一相互銀行の当時の幹部が知らないはずは断じてありません。私が検事なら五分間以内に白状さけてみせる、それだけの権限を持っておれば……。金は八千万円も戻ってきた。二月一日に二千万円戻ってきた。合計一億円。福岡県民には迷惑をかけておらないと言っておるけれども、実際は八千万円第一相互で焦げついて、福岡相互銀行、西日本相互銀行からそれぞれ融資を受けて、第一相互から金を八千万円福岡県庁信用組合は戻してもらっている。これも天下周知です。福岡は三百八十六万の人口ですが、子供に至るまでこの内容は知っている。それは第一相互の当時の幹部となれ合いでやった仕事だということは、だれでも知っている。検察庁の諸君でも言っている。それを重大なる整理の責任を持っておられるあなたが、知りませんでした、存じません、わかりませんでは、証言に虚偽を申し立てておると私はみなさざるを得ないのです。もう一ぺん一つ淡谷委員の質問の重点をとらえて、大切な点の答弁を明確にしていただきたいことを、委員長からも御注意をかねて要望しておきます。
  363. 佐藤寛一

    佐藤証人 私はそういうふうなたらい回しということは、初めから知っておりません。これは決して虚偽を申すのではありません。ただ、その預金を受け入れたという結果から見れば、そういうふうに思われるかもわかりませんが、当時からたらい回しであって向うから預けたものをこちらへ回すということの事情もわかりませんし、またそういうふうな意思も持っていなかったのであります。
  364. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのは答弁にはなっておりません。私はこの八千万円を受け取りに来たのに一体だれかと聞いているのです。あなたの答弁は食い違っている。それを今あなたはそういう事情は知りませんと言っておりますけれども、あなたの方に福岡県庁の公金が信用組合の手を通して預金されましたのは一億円、そうして西日本相互福岡相互からあなたの方に融資されたのが一億円、そのあとを追うようにしてこの二つの銀行べ預け入れたのは、また福岡県庁の一億円、しかもそれは今委員長の言われたように、副知事が逮捕される三日前のできごとなんです。あなたの方の社長がわざわざ縁故厚い福岡県の方へ出かけていって、この二つの銀行をくどいている。そして話がまとまって送金してきたのが二十二日、本来ならばこれはあなたの方からまっすぐに信用組合の方に返すのが本筋なのに、まるで判こを押したように、福岡にいるはずの信用組合の組合長が――あなたが不用意に池田だと漏らしている。おそらくほんとうでしょう。その池田組合長がちゃんと待ちかまえて、二十三日に持って行っている。これだけの要素が合致しているのに、あなたが紊乱した第一相互を立て直すために、東京相互からしかも大蔵省の推挙で入っておりながら、こういう事実さえつかみ得ないようでは、とうてい今後の第一相互の立て直しは至難だと思う。さっきあなたが漏らした福岡県庁信用組合長である池田が困ってしまって、あなたの銀行に座り込んでこの八千万円を持って帰った、そうお思いになりませんか。
  365. 佐藤寛一

    佐藤証人 福岡の金が来ると同時に、こちらの方の八千万円というものを返そうというような意向がございましたので、福岡銀行から金を送ってきた、そうするとその八千円の金が返されるものだということを予定して来たのじゃないかと私は考えるのでありますが、いつ池田さんが来られたか私は存じませんが、あとから聞いたところによると、たしか向うから来ておられてその方の手で送金されたということを承わっております。
  366. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大体これではっきりいたしましたが、それでは確認しておきますが、この金が着いたときは、池田組合長がおって池田組合長の手から送金したというのは、むろんあなたの方から池田組合長にお渡しになったのでしょう。
  367. 佐藤寛一

    佐藤証人 さようでございます。
  368. 淡谷悠藏

    淡谷委員 渡したのはだれですか。
  369. 佐藤寛一

    佐藤証人 預金の払い戻しの手続ができまして、そうしてその払い戻しの事務は下の方の営業部でやったと思います。
  370. 青野武一

    青野委員長 淡谷君の質問は、だれが払い出したかと名前を聞いておるのですが、わかりませんか。
  371. 佐藤寛一

    佐藤証人 それは営業部の方事務手続をとったので、私はわからないのであります。
  372. 青野武一

    青野委員長 あとで報告できますね。
  373. 佐藤寛一

    佐藤証人 それはできます。
  374. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではあとで御報告願いたい。八千万万円といえば大金ですから……。  もう一点、この待ちに待った資金が回ってきた場合に、これをもうほとんど猶予もなく信用組合に返しておる。これを他の方に回せといったような意見が重役の間で出なかったのですか。せっかく社長が苦労して持ってきた金なんだから、これを今信用組合に返すよりも、こっちの方に回した方がいいじゃないかというような話は少しも出ませんでしたか。
  375. 佐藤寛一

    佐藤証人 これはそのほかに営業に回すというようなことは出ませんでした。これをお願いした筋が、福岡県庁信用組合に返さなければならぬ、早く返そうと思ってそうして資金繰りを考えたのでありますから、ほかの方に回すというような意思はありませんでした。
  376. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではっきりした。そう言ってくれれば、格別私は質問しなかった。やはり初めから福岡信用組合に返すつもりで資金繰りをした。その金が来たから、待ちかまえておった池田組合長が、あなたの方から受け取って持って帰ったというだけの話ですね。それだけ確認しましたから、私は質問をやめます。
  377. 青野武一

    青野委員長 細田君。
  378. 細田綱吉

    ○細田委員 銀行法その他民事法規で、非常に無責任な貸付の結果、焦げついたような場合には、自分の資産を提供する。言いかえれば、損害賠償債務を負うわけです。そこで前重役はおのおの自分の資産をあなたの銀行にどれくらい提供しておりますか。
  379. 佐藤寛一

    佐藤証人 堀口社長は不動産を提供いたしました。これは三井不動産かどこかに鑑定をしてもらった結果が千八百何十万円になっておったと思います。それから各重役の株の提供がありました。これはあまり大きな全額ではございません。
  380. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると、堀口貫道社長だけが資産を提供したのですか。ほかの各重役は持ち株を出したというのですが、不動産はどうでございましょうか。その持ち株はあなたの方の各重役はどのくらい提供しておりますか。
  381. 佐藤寛一

    佐藤証人 お答えします。株は全部で三万二千八百株でありました。その内容は、今記憶いたしておりません。それから渡辺元常務の不動産が取り入れ交渉中でございまするが、これは他の金融機関かどこかの抵当に入っておりますので、大して期待はできないかと思っておりますが、それの方の交渉中でございます。
  382. 細田綱吉

    ○細田委員 巷間取りざたされているところは、非常に多額なリベートを受け取っていて、だいぶ前重役は資産を隠匿している、やむを得ざる一部だけを提供して、あとは隠匿している、こういう評判をあなたは聞きませんか。
  383. 佐藤寛一

    佐藤証人 そういうふうな風評はたまに聞いたことはあります。しかしその実体は私はわかりません。
  384. 細田綱吉

    ○細田委員 後任の常務取締役として銀行の再建に当っておられるあなたが、預金者に三分の二というような多額の金を十年間据え置くというような犠牲を強要しております。そしてそのほんとうの責任者である前重役が、今私が申し上げた、言いかえれば今巷間取りざたされているような事実があるとすると、その罪万死に値する。そこであなたは後任の再建責任者の一人として、これに対してどういうふうな調査を進めておられるか。
  385. 佐藤寛一

    佐藤証人 そういうふうな風評がないでもないのでありますが、これはいわゆる隠匿せられておるものでありまして、われわれもできる範囲においてはいろいろ調査はいたしておりまするが、われわれの手で徹底的に調べるということはなかなか困難な事情にありますので、できるだけの努力はいたしたい、こういうことに考えております。
  386. 細田綱吉

    ○細田委員 あなた方の手でその隠匿財産の調査は困難であることはよくわかります。しかし相当の調査機関に依頼するというようなことをすれば、これは相当量出る可能性がある、現状は何もまだいたしておられない、こういうわけですか。
  387. 佐藤寛一

    佐藤証人 調査機関に、調査を依頼しておりません。
  388. 細田綱吉

    ○細田委員 スチール工業の経理担当者と称せられる直江秀次君がずいぶんあなたのところの預金の、十四億というような大きな金の貸付に対して、重要な役割を演じておりまするが、この人は、これは道義的になるか何か知りませんが、私財の提供ということはどうなっておりますか。
  389. 佐藤寛一

    佐藤証人 もちろん担保に提供しておるものはもちろん……。
  390. 細田綱吉

    ○細田委員 担保は当然な話ですね。
  391. 佐藤寛一

    佐藤証人 当然な話であります。これは債権回収するまでは、どこまでも追求するつもりでおります。
  392. 神田大作

    ○神田(大)委員 一点だけお尋ねしますが、あなたは第一相互銀行の紊乱した銀行業務を立て直そうとして入ってきたのでございますけれども、非常に困難な仕事であって、普通の人ではとてもこれは承諾できないと思いますが、あなたは専門家であるから、第一相互銀行内容をつぶさに調査して、これを再建できるというような自信を持って乗り込んで来られたのだろうと思うのでありますけれども、この間あなたはどうお考えになって、この銀行り立て直しに入られたか、お聞かせ願いたいと思います。
  393. 佐藤寛一

    佐藤証人 お説の通りでございまして、これは非常に難事中の難事であると私は考えております。しかしながらこれを立て直すということは目下の段階におきましては、どうしてもこれを立て直す必要は痛感するのであります。そこで再建案を検討いたしてみましたところが、大体十年間に二十億の金を返す、そうして最後は立ち直るという自信を持ちましたので、これはどうしても自分の一生涯をかけて、そうしてこれをやりたい。ことにわれわれが入りましたときに従業員がわれわれの銀行を立て直してもらいたいという涙ながらの依頼がありまして、どうしてもこれはやらなければならぬというかたい決心をもって臨んできたのであります。現在でも再建は十分にできるという確信を持っております。現在のところ損益収支におきましてもむしろ再建案よりも若干上回っておりまして、資金量の減小は、いろいろな予想しないいわゆる警視庁の手入れとかなんとかいうようなものがございましたので、資金量の減小は予想以上に低下いたしましたが、収益面及び貸金の回収面におきましては予想以上の成績を得ております。今後人一倍、二倍、三倍の力をもちまして再建案を実行していきたい、こういうふうに考えております。
  394. 神田大作

    ○神田(大)委員 もちろん私がこういう質問をしますれば、あなたが今のような答弁をするのは、銀行業務をやっておるものとして当然だろうと思いますが、最初からあなたはこの相互銀行が立ち直るというような、そういう自信をもって乗り込まれたのじゃなしに、大蔵省からあなたたちが言いつかってこれを何とかしなければいろいろの方面に波及する、特に政界等へは大きな影響をするので、それで相互銀行同志の立場もあったし、こういう観点からあなたは乗り込んでこられたのだろうと思うが、あなたは私に答弁したように、最初からそういう気持でおいでになったのですか。どうです。正直に言って下さい、大事なことなんですから。
  395. 佐藤寛一

    佐藤証人 もちろん私が一番最初きましたのは、いわゆる代行として参りましたので、内容も何も知らずに参ったのであります。そうして内容を検討して、これが再建ができるかどうかということを検討いたしたのであります。それにはいろいろな方面から見たのでありますが、要するに結果的に見て、こういうふうな条件でやったならば、たとえば二十億円の資金を借りて、そうして十年間に返すが、返す期間をあとに返すというような援助機関の了解が得られれば、再建はできるという確信を持ったのであります。そこで一番初め私がきたときは、もちろん重役になるというような予想もあるいけ命令も何も受けておりません。再建のために資料を作るということで来たのでありますので、初めは白紙で来ましたが、再建案を作った結果そういうふうな信念を持ってきたのであります。
  396. 神田大作

    ○神田(大)委員 私きょうは資料を持ってこなかったから、あとで資料を持ってきて御質問したいと思うのですが、少くとも倒産に瀕しておるところの銀行なりあるいは会社なりを再建する場合には、まず第一に前任者の責任を追及する、そして前任者に十分なる弁償をさせろということが第一の任務だと思う。ところがあなたたちの努力したのは、預金者に対しまして十年間の年賦の払いをまず交渉して、一番根源である最高責任者であるところの前重役に対する債権の確保ということに対して何らの努力もしていないということは、前任者とあなたたちがぐるになって、預金者やその他の人たちに大きな迷惑をかけておると思うのでございますが、これは債務者としての責任上見のがすことのできないことだろうと思います。先ほど細田委員からも質問がありましたが、前任者の責任追及のことに対して、あなたたちは預金者やその他の人たちに対する責任を果すためにこれをどういうふうに遂行していくか。半年の余になるのにそういう手を打たぬことは、私から言わせればまことに言語道断な話でございますけれども、今後あなたたちはこの問題をどう処理して、預金者やその他の人たちの迷惑に対してどういうふうな形の責任を果すか、その点について御答弁願いたいと思います。
  397. 佐藤寛一

    佐藤証人 御一説ごもっとでございます。今後御趣旨を十分体しましてそういうふうなことも研究してみたいと思っております。
  398. 青野武一

    青野委員長 では最後に佐藤証人委員長が一言質問したいと思います。先ほど淡谷委員尋問に私も関連して一つ御質問申し上げましたように、三月末の調査によると、福岡県庁の信用組合から、あるいは県庁から預託されておる金が第一相互銀行に融資されたのは一億円とは聞いておりませんが、西日本相互福岡相互に五千万円ずつ預託せられておることは、自治庁山本調査官が現地調査の結果の報告書の中に書いてあります。この数字は事実であるか再三私が委員長として念を押したが、間違いはありません、その通りでありますという答弁であった。これは速記録にも載っております。そうすると福岡県の方から預託した福岡相互銀行の五千万円、西日本の方にも五千万円、そのうちのどちらか知りませんが、三千万円と四千万円というのが第一相互に融資された、その金を待っておって福岡県庁の信用組合の池田理事長が受け取って送金した。この金がなければ、――第一相互銀行というものは、一億円の通知預金福岡県の県庁信用組合からあったのですが、二千万円はなるほど二月一日に払い戻された。残りの八千万円はこのような細工をしなければ、第一相互の独力をもってしては支払いが不能であった、私は各委員尋問に対する証人証言を聞いておるうちにそのような考え方を持ったのですが、聞違いございませんか。この点についての御意見を最後にお尋ねしておきます。
  399. 佐藤寛一

    佐藤証人 払えないということではないのでございます。ただ最近非常に資金繰りに支障を来たし、できれば延ばしてもらいたいという意向でございます。それだけの資金がないから払えないということではないのであります。
  400. 青野武一

    青野委員長 もう一問ちょっとお尋ねしますが、その福岡相互と西日本相互が第一相互に融資をして、そして送ってこなければ信用組合に残金の八千万円が払えなかったというわけではないか。三日すれば副知事、出納長、信用組合理事長が召喚をされてついに逮捕せられた、そして御存じの通り起訴された人もあります。このように急迫して八千万円というものは払ったけれども、三日ぶりには現職の副知事以下の三役が逮捕せられた、こういうことを前後考察してみますと非常に急いでおった。そこでやはりこれはトンネル、たらい回し、こういうふうに現地に帰ってみましても四百万近い県民はいまだにそう信じておるのです。それでありますから、なるほど細工をすれば金はできたかもわからぬが、まゆ毛に火のついたように、副知事以下も逮捕されそうだ、東京地検の特捜部に引っぱられそうだ、こういうところから手段もかまわずに同僚銀行の方から融資を願って、その金が入るなりいきなりそれを福岡県庁信用組合の方に入れた、こういうように私は受け取っておるのですが、それは間違いありませんか。
  401. 佐藤寛一

    佐藤証人 もちろん金のでき次第に私なんかはお払いしたいというつもりでおりましたので、金がきましたのですぐお払いしたような次第であります。
  402. 青野武一

    青野委員長 それじゃもう一問お尋ねしますが、この福岡相互銀行と西日本相互銀行が第一相互に融資をして、その金が福岡県庁信用組合に回ってこないと大へんなことになるといって、山本副知事が西日本相互福岡相互を走り回って運動して、そしてその話がついたので、そこにあなたの方の社長さんが連絡をとって向うに行ってその金を借りて、そしてたらい回しをやった、こういうことば御存じないのですか。副知事が中心になって金融のあっせん方を頼んで行った、これはもう公然の事実で東京地検では明瞭になっておるのですが、そういう事実は御存じないのですか。
  403. 佐藤寛一

    佐藤証人 私はそういふうな事実は存じませんでした。
  404. 青野武一

    青野委員長 個人的意見ではないのですが、この点についての大蔵省銀行局福田検査部長の御意見と、独立機関である非常に権威の高い会計検査院大沢第一局長の御意見を委員長として聞いておきます。
  405. 福田久男

    福田説明員 前回にもかつて御答弁したこともございますが、日にちから申し上げると三月六日に島崎社長福岡に行かれて、たしか三月十六日に西日本相互に五千万円、福岡相互にたしか四千万円と私は記憶しておりますが、合計九千万円の県からの預託金がありました。
  406. 青野武一

    青野委員長 ちょっと発言中ですが、自治庁山本晴男調査官は、五千万円、五千万円という数字の調査の資料が出ておるがこれはあやまちはないか、二度、三度数字上だめを押したときに、あやまちはございませんという答弁をしております。そこでそういう話は三千万円と言い四千万円と言い、四千万と五千万と言うから、実際に君が調査してきた数字はこの資料に基いて書いてある数字に間違いないか、私が二、三回だめを押したら、間違いはございません、こういう御証言であったのです。
  407. 福田久男

    福田説明員 委員長のお言葉を返してまことに申しわけありませんが、私の方の調査によりますと、三月十六日に受け入れました預金は西日本相互に五千万円、福岡相互に四千万円、あるいは三月末であればそのほかに一千万円が前からあったのかもしれません。その辺の事情はなお調べてみないとわかりませんが、三月十六日に入れました預金は五千万円と四千万円ということでございます。(奧村委員「それは第一相互に入った金ですか。」と呼ぶ)いやいや、福岡県庁から西日本相互福岡相互に入れました預金でございます。三月二十二日に西日本相互から四千万円、福岡相互から三千万円、三ヵ月のインター・バンクの定期を受け入れております。そうして三月二十三日に福岡県庁信用組合預金の払い戻しが行われておるわけであります。当事者と申しますか、関係相互銀行の説明によりますと、この県から受け入れた預金と、第一相互預金した預金とは直接の関連はない、西日本相互福岡相互はそれぞれ相当の余裕金を平素から支払い準備として持っておりますし、その分を第一相互銀行預金したんだ。なお第一相互銀行の方に預金した四千万円と三万円とは、先ほど佐藤証人証言にもありましたように、三ヵ月の定期の切りかえごとにたしか千五百万円ずつ減らしていき、大体一年でそれがゼロになるという約束になっておるそうであります。また県の方から受け入れております預金は、三ヵ月の期限がくれば払うことになっておるのであります。従って、期間から申しましても、直接の関連があると断定することは非常に困難ではないかと思います。ただ日にちその他から考えますと、ただいま、委員長の御指摘のような見方も成り立ち得ると思いますが、事柄そのものをはっきりと割り切るということになりますと、その断定することはむずかしいのではないか。そういうふうに見る見方もあるが、そうだと言い切るだけの自信はないように思います。
  408. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 会計検査院は、御承知通り国の会計を検査しておるのでありまして、県に対しましては、補助金の使用の方法あるいは流し方――補助金が国から出て市町村へいくのにどういう経路ですみやかにいっているかということは検査いたしますが、県自身の会計ということに対しては検査の権限もございませんので、ここで意見を申しあげることは着し控えたいと思います。ただ、もしもお話のような事件が国庫金の運用として起ったならば、これは当然国の会計の不当経理として、会計検査院としては徹底的に調査しなければならない事態であったろうと思います。
  409. 奧村又十郎

    ○奧村委員 委員長の質問に関連して……。私ども承わっていると、どうも三月の月中は非常に金のやり繰りに心配せられたようですが、今お尋ねした三月三十一日現在の導入預金の整理のついた残が二十億、話し合いのついたものが二十億、こう聞いたのですが、そうすると、三分の一は払うてなしにただ契約ができた、こういう意味ですか。
  410. 佐藤寛一

    佐藤証人 それは二十億、契約がそれだけできたのであって、そのうちの三割が支払われて、七割がまだ預金にして残っておるわけです。
  411. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、三月三十一日の預金の総額は幾らですか。
  412. 佐藤寛一

    佐藤証人 お答えいたします。三月三十一日の預金の総額が十九億五千四百万円であります。そのうち導入預金の残が十六億一千万円。
  413. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと、十九億から十六億、あとの三億余りというのは一般預金ですか。これはインター・バンクですか。
  414. 佐藤寛一

    佐藤証人 インター・バンクです。
  415. 奧村又十郎

    ○奧村委員 わかりました。
  416. 神田大作

    ○神田(大)委員 委員長の質問に対して稲田検査部長は、そういうふうに断定することはできないと言っている。断定するとかしないではなしに、今淡谷委員が質問された、あるいは委員長が言われた通り福岡の西日本相互銀行福岡相互銀行が、福岡県庁の信用組合へ返す一億円のためにそういう金を第一相互へ流したという事実は、日にちとか今までのいろいろないきさつから言いますと、こういうことは言いのがれのできない筋書きになっておる。こういうはっきりとした筋書きを証人が立場上いろいろ逃げているのはよい。証人としてはいろいろ立場があるから逃げるであろう。しかしながら、少くとも相互銀行の監督の責任者であるあなたがそういうような逃げ方をするからこういう不正事件が跡を絶たない。そういうあなたの態度はまことにけしからぬ話だと思う。あなたたちは、少くとも相互銀行の監督者として、そういうことに対しましてはっきりとした見解を持って臨むのでなくては、いつまでたっても相互銀行が粛正されません。再建されません。あなたは今度相互銀行がこのような問題を起こしたのについて、監督の責任がある。三十年の六月行政監察委員会に相互銀行の紊乱の問題を提起したとき、どういうわけかしらぬがこの相互銀行の問題が行政監察委員会にかかることを拒否して、そうしてこういう監察の報告書というようなものを出しておる。この報告書を見ても、いかにずさんな検査をしたかということがはっきりしている。この第一相互銀行と西日本相互銀行福岡相互銀行福岡信用組合との一連のやり口といいますか、トリックがはっきりしているにもかかわらず、あなた方は責任者の立場に立っておりながら今のような回答をするのはわれわれ許すことができないので、もう一回はっきりした見解を述べてもらいたい。
  417. 福田久男

    福田説明員 第一相互銀行がこのような事態に立ち至りましたことにつきましては、監督上いろいろと御批判のあるところでございまして、私どもといたしましてもまことに遺憾に思っておるわけでございます。ただ、先刻の御質問でございますが、端的に申しますと、第一相互銀行が八千万円の預金を払い戻しますためには、もしもこの西日本相互福岡相互からの預金の受け入れがなかったと仮定いたしますと、これは私の想像でございますが、現在協調融資の余裕が四億ばかりありますが、そのうちから資金を調達して払わなければならなかっただろう、このことは言えると思います。従って、それでなくて、西日相互福岡相互からの預金受け入れ七千万円と自分の一千万円を足して八千万円払った、これは資金繰り上そういうことがはっきり言えると思います。一方西日本相互福岡相互はかりに福岡県から五千万円あるいは四千万円の預金を受け入れなかったならば、第一相互に付してそれだけの預け金ができなかったか、これはそれぞれの西日本相互あるいは福岡相互の資金繰りを見て、判断される問題でもあると思います。しかし第一相互に四千万円あるいは三千万円の預金をする力がなかったかと申しますと、それは十分にある。金額は今宙に覚えていませんが、相当多くの余裕金を持っております。預け金あるいはコール・ローンその他を持っておりますので、なくてもやり得たという見方も一面において成り立つわけであります。従って県から西日本相互及び福岡相互が受け入れました預かり金と、両方から第一相互に対して、預けました預け金との関連いうものは、いろいろ見方があるので、私としてはそうだと断定することは困難であるというふうに申し上げたわけであります。ただしかしながら、公けの機関である相互銀行として、こういった誤解を招くようなことがあることはまことに私としても遺憾でございます。この事情の説明を聞いた際に両方の責任ある役員に対しまして、十分にその旨は戎告と申しますか、注意を促しております。その点だけお答えしておきます。
  418. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して。もちろんわれわれの金融機関に対する考え方は常識的かもしれませんが、常識が一番正しいことがあるのです。この問題なども常識から申しますと、さっき証人自身も答えているようにはっきりしない事情がある。ただあなたに特に申し上げたいことは、この事件の中心になった根橋という常務は前大蔵省の銀行検査官ですよ。人柄は違いましょうけれども、役はあなたみたいな人ですよ。それから今言われている第一相互の井上という人、この人も第一相互に入る前は大蔵省です。最近の事件というものにみんなうしろにこうした官僚のお古が糸を引いているのです。ガード下の敷地の問題がそうです。全購連の問題がそうです。そうすると、第一相互をこのような事態に追い落した責任は監督すべきあなた方にもあった。それが銀行屋さんが常識的に認めていることをあれこれと知恵をつけるようなまねはやってもらいたくない。端的に悪いことは悪い、いいことはいい、この常識が一番正しいと私は思う。もししいてこのことを強弁なさるならば、われわれの追及はおそらく今後第一相互の問題から大蔵省自体の内部にまで及ぶであろうということを一言申し上げて私は警告しておきます。
  419. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行について相互銀行に元大蔵省の特に銀行局の重要な職にあった者が多く転出しまして――転出といっては語弊があるが、各相互銀行の重役等を占めておる事実がある。これはやはり見のがしがたい最近の現象だと思います。そこでこれが因縁情実の元になったり、元来検査官等の職歴にある人は公正厳格にその方面の知識経験を活用すべきはずであるのに、このような事件が起っておる。また被疑者、被告にまでなっておる人がある。こういうことを考えますと大蔵省の旧官僚がこれらの金融機関に入るという問題と公的な金融機関の腐敗、紊乱、不当導入貸付等の問題、こういう一連の関係から見ましてやはり大蔵行政上のあり方にも非常に重大な関連を持っておると思いますので、これはやはり適当な機会に大蔵大臣の出席をぜひ求めて、これらの関係における所見なり責任なりを明確にしておく必要があろうと考えますので、ぜひそのように計らっていただきたい。  もう一つば大蔵省の旧職員であった人が全国の相互銀行に入って相当な地位を占めておる者の一覧表をこの際出していただく必要があると思いますので、資料として至急に委員長あてで提出方一つ御依頼しておきたいと思いますが、福田検査部長その点は御了承願います。これだけ一つ申し上げておきます。
  420. 青野武一

    青野委員長 ただいま吉田委員からも資料要求がありましたように福田検査部長において早急に正確な資料を委員長の手元まで御提出になるように希望しております。  佐藤証人に対する尋問はこれをもって一応本日のところ終りました。証人には御多忙中長時間御苦労でありました。何とぞ控室まで一応御退場お願い申し上げおきます。  次に直江証人より証言を求めることといたします。まず委員長より概括的に証言を求め、ついで各委員より順次証言を求めることとなりますので、御了承下さい。  直江証人委員長から申し上げます。一と二と二つに分けまして一、現職並びに現在までの職務略歴、二職務内容をかなり詳細に一つ御証言願いたいと思います。
  421. 直江秀次

    直江証人 私は昭和二十五年より現在までスチール工業関係しておりまして、経理の方をおもに担当させてもらっておりました。その後に至りまして富士機械という前橘の工場を経営することになりまして、専務の立場で参りました。現在富士機械の専務をやめておりまして、スチールの残務を整理しております。内容は大体資金経理、銀行関係の折衝とかそういうものやっております。
  422. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと重役の関係スチール工業についてそういう法律上正式な地位、職務があったかどうか、そこをはっきりしておいてもらいたいと思います。
  423. 直江秀次

    直江証人 スチール工業においてはそういう関係はございません。富士機械において専務取締役になっております。
  424. 青野武一

    青野委員長 委員長よりの尋問は以上をもって終りました。  各委員諸君の御発言を順次許しますが、その前に、念のために申し上げます。これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、そのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問しておるときはおかけになっていてけっこうですが、お答えの際は御起立の上御発言顧います。それがなかなか各証人実行されませんので、念のため申し添えておきます。それでは発言の通告がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  425. 淡谷悠藏

    淡谷委員 証人は、第一相互の業態が、スチール工業株式会社に対する非常に多額の貸し出しのために困難に陥っているという事実をどの程度まで知っておられるか、お答え願います。
  426. 直江秀次

    直江証人 私どものために経営が困難になったというような事実は聞いておりません。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  427. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは、現在スチール工業は第一相互に対して、どれだけの債務を持っておりますか。
  428. 直江秀次

    直江証人 スチール工業といたしまして実質的に借りております金は、一億七千万ぐらいでございますが、実際にスチールの名義になっております金は、大体の記憶でございますけれども、九億足らずだと思っております。
  429. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第一相互というのは零細な資金をもって資本構成をしておる銀行だということは、御承知通りである。従って、正規な形でいくならば、一千万円以上の貸し出しは禁止されておるはずなんです。それを、概略あなたの言うところを見ますと、十億円以上の金が動いておる。この十億以上の金を相互から引っぱり出すについては、主としてあなたが当られたという話を聞いておりますが、これには相違ございませんか。
  430. 直江秀次

    直江証人 間違いありません。
  431. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今日資金繰りというのになかなかむずかしい仕事だそうでございまして、あなたは富士機械の専務さんと呼ばれているそうですが、実際スチール工業の方でも専務さんと呼ばれておるくらいの腕のある方でございますから、これだけの金をお集めになるのも大へんな御苦労だと思いますが、一体どういう手品を使いますと、一千万円しか貸せないという銀行が、十億円以上も貸し出すのですか。その手品の種あかしを一つお願いしたい。
  432. 直江秀次

    直江証人 別に手品でもなければ、種などもございません。実際に私どもも必要のあった金と、銀行自体の苦しい状態とか、そういうもののために今日のような結果になりまして、ただそれは、私たちが微力でございますが、銀行のためにもなり、私たちの事業も育成できる、そうした念願のみでやって参りました。それが今日こういう結果になって今のような御質問になるわけでございますが、それ以上何ものでもないのでございます。
  433. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実際われわれも、さっきあなたが全然迷惑をかけないという話を聞いておりますから、心外に思ったのですが、今日のような状態に立ち至らして済まないけれども、それ以上何ものでもないというあなたの神経の太さには驚く。これでたくさんじゃございませんか。もうすでに福岡県の副知事あたりまで逮捕されておる。今度は県会の議長が逮捕される。知事の身辺が危ない。これ以上一体何を求めるか。あなたが、資金を受け取るについて、いわゆる導入資金の仲立ちをされておった。方々走り回って、あなたに言わせますと資金繰りの関係、率直に申しますと資金のブローカーをやっておられた。この十億という金は、資金導入によってあなたの方で求められた資金なんでしょう。そうじゃないですか。
  434. 直江秀次

    直江証人 そういう関係だけでございません。
  435. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ではどういう関係か、はっきり知らせていただきたい。あなたたちは種もしかけもないと言いますが、われわれ見ている者には実際不思議でたまらないのです。ですから、何にもしないと言われる導入の経過を率直に一つお示し願いたい。われわれも工業会社をやろうというのではありませんから、あなこの先を切って融資を受けようというわけではありませんから、安心してあなたの話を聞かせていただきたい。
  436. 直江秀次

    直江証人 ただいまのお話でありますが、昨年来検察庁、警視庁に参りまして、長い間にわたって、私のすべてを申し上げてございます。もし御必要があればそちらの方から事情を御聴取願いたいと思います。
  437. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ここは検察庁や警視庁とは違います。国会は国会として、国政審議のしから独自の見解に立ってものを言っておるのです。警視庁から聞いたこととわれわれが聞こうとしておることとは違う。直接あなたに聞くのです。そんなことは別にあなたの指図を受けなくても、必要があれば聞きます。あなたに直接聞く必要があるから聞いているのです。はっきりもう一ぺん言って下さい。
  438. 細田綱吉

    ○細田委員長代理 委員長から直江証人に御注意申し上げますが、ここは検察庁とは別個な法律上の権限に基いて、あなたに宣誓を命じて証言を求め、従って知っておることを隠したり、虚偽の陳述をしたりすると、さっきも委員長が言ったように、十年以下の懲役あるいは相当の罰金を受けるわけです。あなたが警視庁で、検察庁で聞いてくれということは、知っていることを供述しないことに該当する。こちらは別個の権限であなたを証人として喚問しておりますから、そのおつもりで御供述を願います。
  439. 直江秀次

    直江証人 今の御発言内容について、もう少し具体的に指示していただいて、それによってお答えしたいと思います。
  440. 淡谷悠藏

    淡谷委員 おそらくあなたの会社では、初めから十億以上の金を借りたわけじゃなかったでしょう。     [細田委員長代理退席、委員長着席] 初めはもっと小さな資金から出発して、今日の十億幾らも資金融通を受けた。普通の手段をもってすれば、これはおそらく一千万円でとまったでしょうけれども、そこに何らかあなたが資金繰りで奔走されて、他人の預金を持ってきて第一相互預金を豊かにしておいて、そうして裏へ回って借りた。これは銀行の方では資金導入と言っておるようです。そういうことがたび重なって今日のように莫大な融資を受けるようになったと私たちは考えているのです。そういうてんまつを一つ御説明願いたい。
  441. 青野武一

    青野委員長 直江証人委員長からちょっと御注意を申します。こういう決算委員会は、御承知通り一年間の予算がどのように公正妥当に使われたか、あるいは不当に処分されたかという点について、決算委委員会は各党の委員をもって構成しておりますけれども、実費は九千万国民の代表者が委員となって委員会を構成しておるのであって福岡県の一億円の導入預金というものは、九十五億が国の金で補助金をやっておる。三十五億円が交付税なんです。たばこ益金その他、合計五億円で、十五億円の国庫金が、福岡県にいっている。そういう関係で、検察庁とは異なる目的と具体的な内容を持って調査を進めておるのであって、これは東京地検の柳川検事正と当委員会の各党の理事の諸君とが一諸に会って話し合った結果、柳川検事正は東京地検を代表して、そういう角度と目的からの御調査であるならば、私どもが証人として喚問する以外に喚問なされて十分御調査なさってもかまいません、どうぞ御随意にして下さい、こういう了承まで、大体話し合って求めておるのであって検察庁に尋ねていくのだったら、文書一本で私のところへ検事正のところから書類が回るのです。目的と大体の具体的な質疑の内容あるいは国政審議の立場から、全然異なった立場から調査を進めていって、もし全国四十六都道府県のうちで、このような裏利が流れて、不正が行われて多数の犠牲者が出て、国民の前に汚職あるいは疑獄事件を露呈するようなことが将来あれば大へんなことになるから、一応氷山の一角であるかのごとき感じを抱かせないためにも、国民の代表機関である決算委員会が、これを一つ審議しようじゃないかというのが目的なんです。その点を一つ十分御了承願って、この決算委員会の審議に理解と御協力を求めたいことを委員長からも御注意を兼ねて要望しておきます。  淡谷委員の質問に御答えして下さい。
  442. 直江秀次

    直江証人 スチール工業といたしまして最初に借り出したものにつきましては、先ほど御発言通り非常に僅少なものでありました。それをあわせまして、せっかく銀行がめんどうを見て下さった事業というものを何とか伸ばしたいという意欲のもとに、今日冨士機械その他の関係に及んだわけでございます。たびたび銀行自体の資金繰りと申しますか、そういうような関係から、どうしても預金をあっせんしてもらいたいという話もありましたものですから、私たちの事業と一緒銀行自体もよくなってもらおうという意味から、今度預金を私が集めたわけでございます。それ以外今日裏利が重なりまして相当の数になりました。その点については預金者の皆さんとか、そういう方々のために一日も早くこの問題を解決したいと私は思っておるのでありますが、そうした過程からこういう順序になったわけでございます。
  443. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの奔走で導入した第一相互銀行の資金繰りの融資のおもなものをあげてもらいたい。どんなものがありますか。おもなものでけっこうです。
  444. 直江秀次

    直江証人 預金者のおもなるものというお話でございますが、私が集めましたのはすべて――今日こういう問題が起きまして導入屋という言葉が出ましたが、そういう人たちの手を経て入っておりますので、実際の預金者の名前あるいはどういうところから入っておるかということに、私として一つもわからなかったのですが……。
  445. 淡谷悠藏

    淡谷委員 また新しい言葉を一つ私は覚えましたか、導入屋というのとあなた方のように地位のある人が資金を導入するのとは違うのですね。あなたの下に導入屋と称する組織があってそれが動いているわけですか。
  446. 直江秀次

    直江証人 私の下に導入屋というものがいるのではなく、そうした人々が預金を持ってきてくれたわけでございます。
  447. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのところへ預金を運んだ導入屋というのは、どういう人たちがおりますか。
  448. 直江秀次

    直江証人 名前を申しますと、松江、山西、輿水、この三人の関係でございます。
  449. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一ぺん重ねて伺います。
  450. 直江秀次

    直江証人 松江、山西、輿水でございます。
  451. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この導入屋と称する人々は、あなた方に預金を見つけてくる。そうしてこの預金銀行へ入った場合に導入手数料というのは何分くらい取るのですか。
  452. 直江秀次

    直江証人 昭和二十九年当時から始まりましたこの問題でございますが、だんだん利回りが低くなりまして、最初始まった当時は一割三分くらい取られました。それが大蔵省の検査がくる当時には六分に下ったわけでございます。
  453. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのほかに、この担保には入っておりますまいけれども、引き当てに入ってきた預金者に対する裏利というものはどれくらいでございますか。
  454. 直江秀次

    直江証人 そのほかにと申しますと……。
  455. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この導入屋の手数料が一割三分あるいは六分というのでしょう。これを裏利というのですか。預金を持ってきたときに、手数料を別にやるのではないですか。
  456. 直江秀次

    直江証人 私の手元から渡した利率でございましてそれが預金者にどの程度いっておるかということは、私にはわかりません。
  457. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こうした導入屋を使って裏利を払うことは法律上許されておりますか。
  458. 直江秀次

    直江証人 許されているかいないかということは、私にもわかりません。
  459. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたにもわからないこの導入資金を現在の十億というものの中に、どれくらい入れておりますか。ほとんど全部がそうですが。
  460. 直江秀次

    直江証人 全部そうであります。
  461. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在第一相互が払うことができないで、三分の一を払い、あとの三分の二は十年たな上げという導入資金がおよそ二十三億あるのであります。この二十三億のうちあなたの方では大半これを使っておるのですね。
  462. 直江秀次

    直江証人 事実上そうなっております。
  463. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますとあなたの方の負債が十億で、第一相互の負債が二十三億というのですから、これは裏利が積り積ってこの額に達したと理解してよろしいのですか。
  464. 直江秀次

    直江証人 そういう解釈は今私がここではっきりと申し上げかねます。ということは、私自身がわからない面もございますから……。
  465. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大蔵省の方にちょっと伺っておきますが、今私の質問のような裏利というものは、第一相互のような銀行法律上許されておるかどうか、あなたの見解を聞きたい。
  466. 福田久男

    福田説明員 第一相互銀行そのものが、預金に対して臨時金利調整法による利子を越えて払うことは、臨時金利調整法違反として許されないということになります。銀行が払うのではなくて、債務者が導入屋あるいは導入預金者に払うということは、そのこと自体としては、現在のところそれを禁止する法律がございません。余談になりますが、従って御承知のように別に大蔵委員会に法案が提出されていて御審議願っているわけであります。
  467. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたがそういうふうな裏利を払ってこの資金を導入したことを第一相互は知っておるのですか。銀行は知っておりますか。
  468. 直江秀次

    直江証人 大体は知っておると思います。
  469. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは、銀行の常務をやっておりました根橋という人がおりますが、この人と数次会っておりますか。
  470. 直江秀次

    直江証人 入社された当時に一、二度お会いしたきりで、あとは別に会っておりません。
  471. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのところに出入りをしましたこの松江、山西、輿水という人たちが再々第一相互に入っていろいろ交渉しておる間に、根橋という人の話はしょっちゅう出ると思いますが、この根橋常務があなた方に関連を持たれたのは、この導入屋を通じてですか。それとも直接出入りしておりますか。
  472. 直江秀次

    直江証人 根橋常務との交渉ということは、一切ございません。
  473. 淡谷悠藏

    淡谷委員 主としてあなたの交渉を持たれた常務はだれですか。
  474. 直江秀次

    直江証人 渡部常務でございます。
  475. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは富士機械の専務として、立川工業というのがございますが、この立川工業との関係は一体どうなっておりますか。
  476. 直江秀次

    直江証人 立川工業との関係は私はございませんが、事実立川工業社長を第一相互銀行に紹介し、資金のあっせんをたのんだことはございます。
  477. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その場合に、花村法務大臣が間に立たれまして、第一相互から金を借り出す応援をした事実がありますが、これはおわかりになりますか。三十年の四月ごろです。あなたのさっき言われました導入屋の中で、こういうことに対して関係を持った人はありませんか。
  478. 直江秀次

    直江証人 今のお話でありますと、花村法務大江がこの資金の借り出しにどうこうというお話でございますが、そういうことは一切ございません。
  479. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは役員の協議の席上におったことはありませんか。さっきの証人はいたと言っている。あなたは、もしいないというならば、いずれあとで立ち会いの上、私は聞いてみたいのだけれども、さっき委員長から言った通り、ここではうそは言ってもらいたくないのです。役員協議の席上に直江さんもおって、えらい方――そのえらい方というのは花村法務大臣である。立川工業のPAPとかいう米国の特許のあるものを日本へ持ってくるという話で、このとき資金をだいぶ出したということを言っておるのですが、これは御記憶ありませんか。
  480. 直江秀次

    直江証人 今のお話でございますが、アメリカのPGPのお話だろうと思いますが、それとは関係が全然ありません。事実、お仕事のひまに来られてごあいさつをなさったという事実はございます。これは資金のあっせんとか、金を貸してやってくれとか、そうした言葉でなく、立川工業の顧問としての立場で、ただごあいさつなさっただけでございます。それは私も一緒におりました。
  481. 淡谷悠藏

    淡谷委員 立川工業の顧問である花村法務大臣が――現職法務大臣がわざわざ金融機関へ行ってごあいさつを申し上げるということは、あなたのような経済人から見たらはっきりわかるじゃないですか。その後、三十年四月以後に、あなたの方の会社が資金の融通を受けた実例はありませんか。
  482. 直江秀次

    直江証人 あくまでも立川工業としてのことでありまして、私自身、花村法務大臣と一言も口をきいたこともございません。ごあいさつしたこともございません。ですから、その後の資金の引き出しとか、そういうものがそれに関連性があるということは絶対にあり得ないと思います。
  483. 淡谷悠藏

    淡谷委員 立川工業スチール工業との関係はどうなんですか。
  484. 直江秀次

    直江証人 関係上いうことにつきまして、もう少し具体的に言ってほしいと思いますが……。
  485. 淡谷悠藏

    淡谷委員 たとえば資金の融通をし合うとか、重役がタブっておるとか、事業を一緒にするとか、そういうような関連です。
  486. 直江秀次

    直江証人 資金の融通ということはありました。重役の問題はありません。またその次のお尋ねのこともありません。
  487. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたはスチール工業の経理を担当し、主として資金繰りをやっておられる。そういう方が、資金の融通がある立川工業に全然関係がないというんですか。立川工業を別にしてあなたは資金繰りをやっているんですか。
  488. 直江秀次

    直江証人 事実そういう状態にありました。
  489. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは向井定利という導入屋を知っておりますか。
  490. 直江秀次

    直江証人 知りません。
  491. 淡谷悠藏

    淡谷委員 会ったこともございませんか。同時に福岡県の副知事と会ったことはありませんか。
  492. 直江秀次

    直江証人 ありません。
  493. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今回の福岡県の公金流用の事件でたくさんの人が今取調べを受けている。これを一体あなたはいつごろお知りになったのですか。
  494. 直江秀次

    直江証人 新聞を見て初めて知りました。
  495. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この事件は、第一相互の非常に紊乱した経理が、資金繰りに困ってあの公金を流用したのだというふうにいわれている。その場合に、この第一相互に多くの融資を仰いでいるあなた方として、何らかこれに対する処置を考えましたか。
  496. 直江秀次

    直江証人 実際にこの問題を知りましたのは、つい先だって新聞に出ましたときでありまして、それ以前、福岡から金が来ているとか、そういうようなことは一切私にはわかりませんでした。
  497. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたはこの十億以上の金を融資しておって、第一相互が二、三年前に非常に困って検察庁の手も入ったり、あなた自身が取調べを受けた、こういうことの結果、第一相互が資金繰りに苦しんで福岡県庁まで手を伸ばしたらしいのですが、その間一回も第一相互からその方面の融資について相談を受けたことはありませんか。
  498. 直江秀次

    直江証人 ありません。
  499. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういたしますと、あなたはただスチール工業に山立てこもっておってこの松江、山西、輿水という三人の導入屋の持ってくる資金をそのまま受け入れただけにすぎない、こうおっしゃるのですか。あなた自身はちっとも動いておりませんか。
  500. 直江秀次

    直江証人 動いておりません。
  501. 淡谷悠藏

    淡谷委員 松江、山西、輿水をどうしてあなたは知ったのですか。
  502. 直江秀次

    直江証人 銀行で知りました。
  503. 淡谷悠藏

    淡谷委員 銀行で知ったならば、あなた自身が動いたことになる。あなたはちっとも動かないとおっしゃいますが、資金繰りを担当するあなたでしょう。それが銀行へ行って融資を求めたから、こういう導入屋と一つのコネクトができた。銀行であなたが融資を求められたから、そこでこうした導入屋があなたのところに来たんじゃないですか。
  504. 直江秀次

    直江証人 そういうことは成り立たないと思いますが……。
  505. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どういうことが成り立つんです。あなたは銀行で知ったと言う。銀行で知ったならば、あなたが銀行でお茶を飲んでおったら、この三人が来て資金を借してくれ、こう、言ってきたのですか。
  506. 直江秀次

    直江証人 そのお言葉はちょっと大げさに聞えますが、実際に預金があるから、この預金が使えるかどうかということは先方から言って参りました。それによって事実受け入れられるものは受け入れたのでございます。
  507. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたはこの松江、山西、輿水の、三人の導入屋の持っている職業とか、あるいは環境とかいうものに対して一回でも注意を払ったことがありますか。
  508. 直江秀次

    直江証人 別に払っておりません。
  509. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ただあなたは持ってくるままに資金を使って、そのために銀行がどうなろうと、あるいは今度のような事件が起ろうと、ちっともあなた自身の責任は感じていないんですね。それでよかったと思っているんですね。
  510. 直江秀次

    直江証人 責任云々の問題でございますけれども、実際にこの問題は非常にむずかしい状態に置かれたということは皆さんも御存じと思いますが、私自身が責任を感じないという問題じゃなく、責任を感じたからこそ今日まで、こういう状態になってきたというふうな言い方もできると思います。この問題につきましては、具体的にご質問があればしたいと思っておりますが……。
  511. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきからその質問をしているのですが、どうもあなたの答弁を聞いていますと、責任を感じたからこうなった。こうなったとはどうなったのです。もっとざっくばらんにあなたの心境をお話し願いたいし、またこの問題に関連しまして第一相互からあなたの方へ、あるいは資金繰りの相談なり、またあなたの方からの申し入れなりがあったと私は思うから、あなたに動き方を聞いておるのです。あなたが、言いたいということをどうぞ率直に言ってもらいたい。
  512. 直江秀次

    直江証人 実際に銀行からの資金繰りの点については、いろいろ聞かされました。それと同時に私の方で使っております金の返済計画とかいろいろなものもその都度言われました。それに奔走すべく相当な努力を払いました。実際に銀行が、いわゆる今導入預金と言われております預金を対象としての貸付というものは、私ども以外に十億近くの金がございました。それに付帯した預金が、その借りた債務者自身が借入金の返済もできず、しかもその預金の補てんすらもできない状態が三十年に続いたわけでございます。そのために預金は下され、貸付は焦げつくという状態が銀行の内部にもあったわけでございます。私どもは結局その不足した預金を補てんするために努力して参りました。これは私が銀行世話になった一端としてしなければならない義務だと思ってやって参りました。そうしますと、この貸付を対象とした預金を引き下げて、いまだに貸付を焦げつかしておる人たちは、社会的にどうにも言われません。しかしこの預金を追っかけて最後まで尽した人間が、膨大な数字になったために、ここのおいていろいろと言われるわけでございますが、そうした問題も一つは私は銀行のために尽くしたという自分の信念でもってやっておりますから、その点について何ら疑義を持っておりません。しかしそうした問題が潜在していたということだけは申し上げておきます。
  513. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今初めて聞くのですが、預金は引き下げる、資金は焦げつかした、そういう事例はあなたは多分知っているのでしょうが、おもなものを一つ聞かしてもらいたいと思います。
  514. 直江秀次

    直江証人 個々の事例については、私としてわからないのですが、銀行内容のことでございますから、実際に検査が終ったときに十億の貸付が百数社に及んでおりました。その検査当日その人たちが残した預金が二億四千万円という数字でございました。約七億六千方という金を私が補てんしていたわけでございます。
  515. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なかなか詳しいようですが、名前だけはおわかりにならないのですか。レインボーはどうですか。毎日球団はどうです。このたぐいのものをあなたが知っておったら、お聞かせ願いたい。
  516. 直江秀次

    直江証人 そうしたたぐいの問題は私はわかりません。
  517. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは銀行に焦げつきを残して預金を引き下げた人を大へんに慣っておられるようでございますが、ただその事実を憤っておられて、話も聞いたことがない。それほどあなたたちは銀行と水くさい関係にあったのですか。
  518. 直江秀次

    直江証人 その焦げつかした人たちと私も同じ債務者でございます。銀行は同じように私を責めました。そうした立場から協力してどうこうということはできませんでした。それと同時に私たちが考えておりましたのとは逆に、こうしたことが大きくクローズ・アップされて参りました。私たちの問題はいいことですら悪く解釈されるような状態が続いてきたわけであります。その点につきましては、おわかりになっていただけると思います。
  519. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なかなかわからないのです。もっと、歯にきぬを着せないで、いいことが悪いことのように思われているという点を率直にわれわれがわかるように御解明を願いたい。あなたは何をいいと思っておるのか、われわれは何を悪いと考えておるか、あなた自身が何か考えておられて、それをぼかしておられるように聞こえますので、この際率直に、歯にきぬを着せずにお答えを願いたい。
  520. 直江秀次

    直江証人 ただいま申し上げました債務者が銀行貸付金をそのままにして預金を引き下げてしまったということは、事実金を借りるときはのどから手の出るように必要な金だったのであります。そのために、これだけの預金を持ってくるから金を貸してもらいたい、おそらくそうした意味で銀行から金を借りたと思います。しかしその期日の三ヵ月過ぎたときに、預金が引き出され、貸し出した金が焦げついたときに、その問題について預金を再び補てんするということはしなかった。これは社会生活を営んでいる以上、道義上許されるべきじゃないと思います。しかしこれは何も法律はありません。預金を入れなければ金は返してもらうというような強いものは何もないのであります。ただそうした人々が多かったということと、またそれを補てんしなければならなかったという、私も結局債務者の一部であります。ただそれだけの違いなんであります。
  521. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなた自身の会社のことをお聞きしますが、現在焦げついております債務は十億数千万円と聞きました。これに対するあなたが導入した預金の総額はどれくらいになりますか。
  522. 直江秀次

    直江証人 大体十七億九千万円程度と思っております。
  523. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その十七億九千万円の、あなたが間接なり直接なりに導入しました預金の預け主は支払いを受けてないでしょう。これに対してはあなたはどうお考えになっておりますか。銀行は一時助かったかもしれないけれども、あなたが導入した預金の預け主は、現在取れないで因っている。この事実もやはりあなたはいいと考えておりますか。
  524. 直江秀次

    直江証人 これは受け取ったのは銀行自体の問題でありますけれども、非常に申しわけない事態と思っております。この問題について銀行が十年の計画を立ててこうしたという話を聞いておりますが、私としましてはこの事件の一応の落着を見次第、私の入れました担保物件その他全部を処分しても預金者の一部に返済していただこうという気持しかただいま持っておりません。
  525. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの入れた担保物件というのはどれくらいで、何があるのですか。
  526. 直江秀次

    直江証人 全部で大体七億くらいの評価になっていると思います。
  527. 淡谷悠藏

    淡谷委員 内容はどういうものですか。
  528. 直江秀次

    直江証人 土地、工場、機械その他でございます。
  529. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあなたが入れたというのですが、あなたの属しております会社が入れたのでしょうね。
  530. 直江秀次

    直江証人 そうです。
  531. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはスチール工業かあるいは富士機械かどっちなんです。はっきり伺いたい。
  532. 直江秀次

    直江証人 スチール工業もあります。富士機械もあります。立川工業もございます。
  533. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この十七億の預金者の中であなたが非常に気の毒だと思われるような預金者は、特に言ったら、どういうところですか。
  534. 直江秀次

    直江証人 先ほども申し上げましたように、山西、輿水、松江と三人を通じて入っておりますので、その先は全然私にわかっておりません。
  535. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それならば福岡の県信用組合もこの山西、輿水、松江の三人が持ってきているか持ってきていないか、あなたはさっき決然と関係がないと言いましたが、わからないじゃないですか。この三人にまかせ切りならば、関係があるかないか、あなたにはわからないはずです。それをあなたはきっぱり関係がございませんと私に答弁した。どっちがほんとうです。
  536. 直江秀次

    直江証人 先ほども申し上げましたように、新聞で根橋常務関係した預金であるということを読みましたし、また渡部常務前田課長からもその点をあとになって聞いておりますので、私としては関係ないと申し上げたのであります。
  537. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この三人は、これまで向井という人の話をあなたにちょっとでもしたことがございませんか。あるいは福岡県庁の問題を、話のちょっとしたはずみにでも言ったことがございませんか。
  538. 直江秀次

    直江証人 先ほど申し上げましたように、一切ございません。
  539. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとでまた他の証人おいで願った上で、あらためて質問いたします。
  540. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと関連して。花村法務大臣が第一相互の本店に行かれたことは、あなた一緒に行ったんですね、そのときに一緒に行ったのはだれですか。
  541. 直江秀次

    直江証人 私御一緒に行ったわけではございません。私が銀行におりますときに、立川政光が連れてきたわけでございます。
  542. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 立川政光は、どういう地位、職の人ですか。
  543. 直江秀次

    直江証人 立川工業社長でございます
  544. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは三十年の春ごろのことではないのですか。
  545. 直江秀次

    直江証人 日にちをはっきり記憶しておりません。
  546. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年といったらおととしですね。日にちでなくとも、大体春ごろといったらわかるでしょう。
  547. 直江秀次

    直江証人 大体春ごろだったと記憶しております。
  548. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたが行っておられたときに、花村さんが立川社長と来た。立川とあなたとは特殊な関係もある。花村さんも心やすい。どういうあいさつがありましたか。
  549. 直江秀次

    直江証人 立川氏と私とは確かに関係がございます。しかし花村法務大臣と私とほ、一度も口をきいたこともございませんし、お話ししたこともないのであります。銀行へ参りましたときに申していたことは、ただよろしく頼むというだけのことで、ほかに何も申さないように記憶しております。
  550. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしく頼むといったら、一体どういうことなんでしょうか。さっき立川工業の顧問としてよろしく頼むと言ったというふうにあなたは言っておる。顧問であるか、弁護士であるか、法務大臣か、いろいろな地位、職にあるわけですね。特に顧問としてよろしく頼むと言っておったというのですか。別にそういう詳しい点は、顧問という言葉をあなたは記憶しておるわけではなかろうと思いますが、その点いかがですか。
  551. 直江秀次

    直江証人 その点は私もはっきり申し上げられないのでありますが、今申し上げた程度のことだけでございます。
  552. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 顧問として立川工業のために依頼に行かれたということ。は、あなたの御意見だろうと実は思うんです。あなたに、きょうは顧問として頼みに来たんだということをおっしゃったということもなさそうだし。その際にはスチールの社長はいなかったのですか。
  553. 直江秀次

    直江証人 スチールの社長はいた九もしれません。
  554. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこは、なかなかやり手のあなただし、頭脳明晰なあなただしするんだから、当日の事情をはっきりしていただくことが、やはり花村さんのためにも私はいいと思います。村さんにしろ、あるいはスチール工業にしろ、立川にしろ、それぞれと心やすい、もしくは他の関係のあるような人とともに、あなたはそこにおられた。あなたとしては立川にしても、スチールにしても関係があるのですから、立川のために頼んだにしろ、あなた、自身が知らぬ顔をしておるというのも、ちょっと人情としていかがかと思います。そこはやはりあなたも一緒に、あるいは別になと、花村さんに頼んでもらったことを何とかよろしくとか、そこの関連が少しはなければそう他人行儀、よそごとみたいに見ておるだけでは、まことに芸がなさ過ぎると思うんですが、そのときの、もっとあなたの卒直な記憶をたどってもらいまして、様子を少し述べてもらいたい。この点はいかがですか、花村さんが会ったとは、だれと会ったんですか。
  555. 直江秀次

    直江証人 堀口貫道社長だと思います。
  556. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 渡部常務とも会ってると言う証人がありますがね。
  557. 直江秀次

    直江証人 社長渡部常務と同じ部屋でございますから、もちろん会っております。
  558. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたがおられたのは――社長と常務とが一つ部屋におって、あなたはそのときどこにおったんですか。
  559. 直江秀次

    直江証人 私は貸付課の方におりました。
  560. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その貸付課の部屋は、社長、常務の部屋とどういう関係にあったのでしょうか。位置の関係は。
  561. 直江秀次

    直江証人 つい立一つの仕切りで、すぐ貸付課になっております。
  562. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、つい立一つの仕切りであなたがおったのならば、言葉もすべてわかってるわけですね。そうすると、あなたは社長室に入っては行かなんだのですね。あなたは貸付の方の部屋におったんですね。貸付の部屋にはあなたと、ほかにだれがおったですか。
  563. 直江秀次

    直江証人 前田課長並びに社員の人たちであります。
  564. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、やはりここは、あなたとそれから花村さんあるいは立川の社長、スチールの社長などがともに同伴して行かれたのが、どうも筋のように思うんですが、あなたが行っておる、そこに偶然に来合わしたというのは、なおさら、あなたも導入の関、係で大きな力になっておる、あるいは借り出しの関係で大きな役割をしておるその肝心の立川の社長、スチールの社長一緒に来てる、花村さんも立川の顧問であるというようなことから、中に割って入ってともに頼むとか、あるいはともに入ってきた同伴者である、これが筋のように思うんですが、わざわざ花村さんと会わして頼みに行くなら、あなたの耳に入りそうなものだし、耳に入れば一緒に行きそうなものが、偶然に来ておったというのは、偶然に過ぎると思うんですが、もっと自然には、あなたの耳に入る、一緒に頼む、けっこうというのが筋のように思います。それがほんとうじゃないですか。記憶をたどって言って下さい。
  565. 直江秀次

    直江証人 確かに、来られたのは立川社長と二人で来られたと思います。その前に私たちが行っておったわけでございます。一度あいさつに行っていただくとか何とかいう話は、立川の社長から出ておりました。それだけのことでございまして、法務大臣にお願いしてどうこうという深い魂胆は、何もなかったわけであります。
  566. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私たちが先に行っておった、その私たちというのは、あなた以外はだれなんです。スチールの社長ですか。
  567. 直江秀次

    直江証人 そうです。
  568. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 スチールの社長は下谷福太郎氏ですか。
  569. 直江秀次

    直江証人 そうでございます。
  570. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、こうなるのですね。あなたはスチールの社長下谷福太郎氏とともに行っておった。そこへ花村法務大臣立川工業のためにあいさつに立川の社長を伴ってきた。それであなたは貸付係の部屋におり、つい立一つ隔てて隣の社長室に、社長渡部常務がおってそこでスチールの社長立川工業社長花村法務大臣が話しておって、あなたは隣りの部屋におった。その話の内容立川工業のためによろしく頼む、そういうことなんですか。
  571. 直江秀次

    直江証人 今御発言のようなお話だったと思います。何分にもはっきりした記憶がないものですから、はっきりしたことは申し上げられないのでございます。
  572. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時立川工業は第一相互から借りが相当あったのですか。その金額はどのくらいでございます。
  573. 直江秀次

    直江証人 当時立川工業の借りた金というのは、大体七千万円か八千万円くらいじゃないかと思います。
  574. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その後立川がふえた借りの金額はどのくらいになっておりますか。
  575. 直江秀次

    直江証人 大体裏利関係とかそういったことから名前が重複しておりますものですから、はっきりした数字を申しあげられませんですが……。
  576. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体わかりますか。
  577. 直江秀次

    直江証人 大体二億七千万円くらいだと思っております。
  578. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二億七千万円になって、これはこげつき状態なのか、それとも漸次返還されておる状態なのか、それはどうなんです。
  579. 直江秀次

    直江証人 現在のところ返済計画を立てております。これに基いて担保物件の処分並びに立川社、長のやって参りましたブトキサイドの結果によって、この返済計画がはっきりすると思います。
  580. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 計画はともかくといたしまして、一応は常識的にこれはこげついた債権の部類に入るのですか、それはどうなんですか。
  581. 直江秀次

    直江証人 常識的に言いますと、こげついた部類に入ると思います。
  582. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると直ちに二億七千万円が償還せられるという状態ではないのですね。
  583. 直江秀次

    直江証人 これは差し入れた担保物件の処分とか、あるいは立川社長の考えいかんによっては、ある程度の解決はできると思っております。
  584. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先ほど花村法務大臣とあなたはあまり心やすくなかったというような趣旨の御説明だったのですが、そうすると花村さんとは全く未知の間柄であったのか。その後心やすくなったのか、その辺もう一ぺんはっまりしてもらいたい。
  585. 直江秀次

    直江証人 一度もごあいさつしたこともございませんし、面識したおぼえもございません。
  586. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 立川工業の借り入れについては、あなたは相当あっせんしたのですか。それはいかがですか。
  587. 直江秀次

    直江証人 あっせんをいたしました。
  588. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは、あっせんをして、二億七千万の負債を第一相互に背負っておるその立川工業の顧問であり、かつ当時法務大臣であったこのような人には、飛びついてお世話になりに行くべき筋のように常識上考えられますがね。ことにあなたのように導入について導入屋を手先に使い、あるいはまた十億の金を借り出しておる、こういうような手腕力量のある人だから、こういう、ことに名望夫力のある人をつかまえるということは、これはもうしなければうそですよ、そうわれわれは常識上考える。これを面識もなしに、ものを言うたこともない、しかも顧問という地位にある人で、しかも現職法務大臣であってわざわざ第一相互という不良銀行へ出向いていってものを頼むというほど熱心な法務大臣であるから、あなたはちょっとものくらい言う方がいいのじゃないですか、ものくらい言ったというのが、どうも常識のように思うのだがね。もっと深い交際があったというのがほんとうじゃないのですか。
  589. 直江秀次

    直江証人 先ほどから何回も申し上げておりますが、一切そういうことはございません。
  590. 青野武一

    青野委員長 神田委員に御相談しますが、時間も大分おそくなっておりますし、あとで四人の証人一緒に立っていただいて総合的な尋問をしたいと思いますから、なるべく簡略に、重点的に御尋問をお願いいたします。
  591. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは時聞の関係がありますから簡単にお尋ねしますが、十億円の借り入れをしておられるようでございますけれども、その場合の金利は幾らぐらいお払いになったのですか。
  592. 直江秀次

    直江証人 金利と申しますのは、銀行金利でございますか。
  593. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうです。
  594. 直江秀次

    直江証人 銀行金利といたしましては三銭五厘でございます。
  595. 神田大作

    ○神田(大)委員 三銭五厘だけですか。
  596. 直江秀次

    直江証人 相互銀行でございますから、そのほかに証書の手数料とかそういうもので、大体一銭くらいのものはとられていると思います。
  597. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたは大分金融のあっせんをして、金融事情にも明るいだろうと思うのでございますけれども、導入する場合には導入者の手数料あるいは裏金利をとる。借り入れの金に対しましては三銭五厘の正規の手数料しか払ってないというような、こういうことで金融事業がやっていけないことは明らかだと思うのです。貸付を得るためにいわゆる貸付のための裏場金利と申しますか、そういうものが払われておるというようなことは、相互銀行の場合にはある程度常識的にやられておるのですが、十億からの金を借りるについて正規の三銭五厘だけで借りられるとはわれわれちょっと思われないのですが、この点相互銀行を再建させるために非常に大事なことでございますので、事実を言っていただきたい。
  598. 直江秀次

    直江証人 私の場合においては、そういうことは一切ございませんでした。またそういうことはあり得べきことでないと私思いますが、事実三銭五厘、あと証書の手数料と、はっきり計算が出ております。これ以外のものは何も出ておりません。
  599. 神田大作

    ○神田(大)委員 導入預金の場合の裏金利とか、あるいは導入手数料というものは、どういうところからどういう形によって支払われておりますか。
  600. 直江秀次

    直江証人 それは私どもが借り入れました金のうちから私どもが払っておりました。
  601. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると銀行で払ったんじゃなしにあなたたちが直接払ったのですか。
  602. 直江秀次

    直江証人 全部そうであります。
  603. 神田大作

    ○神田(大)委員 銀行の窓口を通さないで払ったわけですか。
  604. 直江秀次

    直江証人 銀行の窓口を通さないという意味が私はちょっとわからないのでございますが、もう一度……。
  605. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは裏金利に相当する令を一たん銀行へ預け、銀行から直接導入した人たち、あるいはその他裏金利を払わなければならぬような人たちに銀行の手元から払ったのか、それともあなたたちが直接導入者にそれを支払ったのかということです。
  606. 直江秀次

    直江証人 銀行の窓口を通すなんということは一切ございません。全部私どもはじかに渡しておりました。
  607. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは経済部長にちょっとお尋ねしますが、こういう場合に金融業の類似行為みたいなことをやっているわけですが、この点に対して法的にはどうなんですか。
  608. 福田久男

    福田説明員 実は銀行が直接預り金に対して払う利息については、臨時金利調整法によって規定がございますが、債務者が別に銀行関係なく払うことにつきましては、ただいまのところそのこと自体についての規定がございません。従って余談になりますが、大蔵委員会にこういった場合についての取締りの法案をただいま提案して御審議願っているようなわけでございます。
  609. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのときの花村法務大臣は第一相互とはどういう関係にあったか御存じですか。
  610. 直江秀次

    直江証人 別にどういう関係もなかったと思います。
  611. 神田大作

    ○神田(大)委員 顧問とか何かそういうふうな立場にあったんじゃないのですか。
  612. 直江秀次

    直江証人 そういうことはございません。
  613. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと今の間違っておりますので確かめたいのですが、福田部長に聞きますが、今の貸し出しですね。スチール関係のうち立川工業が二億七千万円だというのが直江証人証言ですが、あなたの大体の判断はどういうふうになるんでございますか。
  614. 福田久男

    福田説明員 ちょっと資料を探しますが……。
  615. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの今の二億七千万円というのは実は六億円以上になるんじゃないんですか。こういうふうに聞いてみましょう。いわゆるスチール関係としてスチール工業の分とかあるいは立川工業の分とか、吉士機械の分、総計幾らになるのですか。
  616. 直江秀次

    直江証人 スチール、富士機械並びに立川合せまして全部で十四億幾らになると思います。約十五億足らずでございますが……。
  617. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのうちスチールは七億円余りというのではないのですか。
  618. 直江秀次

    直江証人 大体十四億九千万のうち三億二、三千万というものは銀行の金利並びに無尽掛金で引かれておりますから、実質的に入っておりますのは十一億でございます。そのうち裏金利の支払いが五億七、八千万でございましてその残りをスチールと立川とそれから富士機械ということで実質的に使ったわけでございます。
  619. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞いているのは実費的に使った金額が幾ら、裏金利が幾ら、そういう聞き方をしているのではないのです。表の借りとして、負債として約十五億、その内容を聞いておる。その区別……。そこでその内訳をするとスチール工業が七億をこえるのじゃないだろうか、それから立川工業は六億円余じゃないか、富士機械は一億五千万円余り、こういう計算になるのがほんとうじゃないかと思うのですが、それで確める。あなたは今二億七千万円と言ったから……。実質的に使った金を聞くのじゃない。
  620. 直江秀次

    直江証人 今のお言葉に間違いございません。
  621. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、さきに二億七千万円が立川の負債だとおっしゃったけれども、六億以上である。ただし裏利などが、今お述べになるところによると、全体の約十五億円のうち六億円ほどは裏利である、こういうのですね。
  622. 直江秀次

    直江証人 そうです。
  623. 青野武一

    青野委員長 この機会に発言を求めて、前の速記録を取り消しておいて下さい。吉田委員尋問に対する答弁の数字は前言は誤まりであって、今御説の通りであるということを一つ入れておいて下さい。
  624. 直江秀次

    直江証人 ただいまの御発言の捕り、私が先ほど申し上げましたことはここで取り消さしていただきます。
  625. 青野武一

  626. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの吉田委員からのお尋ね、ちょっと確かめておきます。約十五億足らずの借り入れのうち三億は表のつまり第一相互銀行に対する金利及び手数料、五億余りが夏金利、それから残りの七億ほどがスチール外二社が実際に借りた、この通りですか。
  627. 直江秀次

    直江証人 ただいまの数字をもっと厳密に申しますと幾らか違って参りますが、もう一度申し上げます。  十五億――十四億幾らになりますが十五億としまして大体三億二、一一千万が金利になります。それから五倍六千万が裏利になります。二億七千五が大体立川の使用した金になります。一億五千万が富士が使用しております。あと残余はスチールになっております。
  628. 奧村又十郎

    ○奧村委員 直江証人の先ごろからの証言によりますと、初めのうちその預金を引き出して債務だけが残るというふうなことがだんだんひどくなって第一相互の金繰りが非常に悪くなった。それでそのままほうっておけば第一相互もつぶれるというふうなことで、第一相互銀行に対して今までいろいろお世話になった義理合いもあって、銀行を一つお互いにもり立てよう、こういう気持で導入をかき集めた、そのお気持についてはこれはよく私どもも了解はできます。了解はできますが、しかしそれがためにやった手段が悪ければ、やはりその部分については悪ければ悪いということになるので、先ほどのお気持はよく了解しながら、なお手撃ついての悪い点についてはこれはやむを得ぬ、明らかにしていかなければならぬ、かように思うのであります。そこで裏利は大体ほとんど全部銀行とは関係なしに導入屋に払われた。これは法律違反じゃない。そこで私ども今問題にしておりますのは、そういうようなことで導入屋に金を預けたのならば、これは悪質ブローカーがおりますから、そういうのは迷惑をこうむってもやむを得ぬと思いますけれども、またその導入屋から頼まれて、事相を全然知らぬ普通の方が、ただわずかの裏利の利益に引きずられて漫然と預けた。それが足元から鳥の立つように三分の一を払って、あと十年間たな上げになった。こういう事情を知らずに、ただ預けてわずかな裏利をもらったためにたな上げになった。これは非常に気の毒です。その点についてはあなたの方も間接ではあるが責任があるわけです。この点を私ども今後どうするかということで苦慮しているわけです。そこで松江、山西、與水、こういう方が導入屋としてあっせんしているのですが、こういう方々の金でなしに、こういう方々が全然そういうブローカーでない人から第一相互に金を預けさせるあっせんをするのが導入ブローカーだと思います。しかし十七億六千万も普通の預金者を探してくるというのは、これはなかなか大へんな仕事ですが、これは一口大体どのくらいな金額になりましょうか。相当多数の人になりましょうが、三人のブローカーというのは、ほとんど継続的に商売としてやっておられるのでしょうか。どういう方法でこれだけの金を集めて預金させるのか、そこらの事情を開かしていただきたい。その事情によって、ほんとうに事情を知らずにただ漫然と令を預けたという人に対して、十年たな上げということはすべきものじゃないと思いますから、その事情を一つ聞かしていただきたい。
  629. 直江秀次

    直江証人 ただいまのお言葉は先ほどのお話と重複いたしますが、人の人たちから入れておりました。その先あるいはその件数、その金額ということについては、何ら私はわかりません。ここでお答えできないのが非常に残念でございますが、そういうことで継続して参りました。その中には、あるいは今いわれました非常に御迷惑をこうむっておる方もおられると思いますが、そうしたことは私の方で何ら関知する機会がなかったということだけ申し上げます。
  630. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しかしこの導入屋さんの持っておる金じゃないはずで、その導入屋さんがあっせんしてきたわけですね。そうすれば導入屋さんからあなたの方にもいつ幾日に預金者が何ぼくらい預金するのだ、それとひもつきでまた融資の話をする、そうなればこそあなたはそれを確認して、一判三分なり六分なり裏利を導入屋におやりになるのでしょう。そうすれば、大体いつ幾日に何口ということはわかる。だから、一口大体幾らくらいで、また導入屋は常業でやっておるのか、どのようにして集めてくるのか、大体の想像はあなたもついておられるのじゃないですか。
  631. 直江秀次

    直江証人 ただいまのお言葉でございますが、大体のところ一応報告があります。百万ないし二百万、大きくて五百万くらいの無記名の額面でございます。ただそれがどこからどう集まってくるかということについては、御当人自体が名前を出したがらないというくらいでございますから、私たちにはとても想像がつかないのです。ただ額の問題だけはその程度はっきりしております。
  632. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではこういうことは言えると思うのです。あなたから導入屋に手数料を払う。従って松江、山西、輿水の導入屋は預金した金とひもつきに融資が行われるということはわかります。しかし導入屋からあっせんしたところの、直接第一相互銀行へ金を持っていく預金者の方は、裏でひもつきで金が貸されていくということは知らずに第一相互銀行へ預ける、こういうことだけははっきり言えるのではないですか。
  633. 直江秀次

    直江証人 その点についても私としてははっきりは申し上げられないのでございますけれども、実際に自分の金を保存する方たちだとすれば、わざわざ第一相互まで金を持ち込まなくても、普通の銀行なり何なりに預金できるものもあると思います。そうした貸付の対象とか何とかいうことでなしに、裏利の問題とか、そういうことが含まれて初めてそういうことが実現されるのではないかと思います。また中には全然知らずにされていった方もあると想像はされるのでございますが、確かなことは何もわかっておりません。
  634. 奧村又十郎

    ○奧村委員 結果として十四億にもなったのですが、それについて七十口近くにも口を分けましたね、実際は三者で借りたのですが、それを幾口にも分けたということは、やはり事実を隠蔽したことになる。しかしこれは登記所に登記して、法律上は正式な法人として、手続を済まして借りたのですか。ただ判こだけで形式をとったのですか。その事情を承わりたい。
  635. 直江秀次

    直江証人 全部登記を済ませまして、きちんとしてございます。しかもこの問題につきしましては、それによって借りたのではなく、実際に借りた金を分ける。今言われた隠蔽という言葉ですが、そういう悪い意味でなく、検査があった場合に困るからという向うの依頼によって、私どもはやったことでございます。
  636. 奧村又十郎

    ○奧村委員 根橋常務取締役が三十一年の五月ですか、やめた理由として株式会社幸楽から発行した手形三億円が詐欺師にかかった、こういうことでありますが、この株式会社幸楽の発行した三億円の手形について、直江さんがあっせんしたというような話が昨日あったのですが、どういういきさつでこれをあっせんなさったのですか。
  637. 直江秀次

    直江証人 それは何かの間違いだと思います。私はその問題については関係ございません。
  638. 奧村又十郎

    ○奧村委員 もう済みました。
  639. 青野武一

    青野委員長 直江証人に対する尋問は一応以上をもって終ります。  お気の毒ですが、ちょっとお待ちを願います。  それではこの際佐藤渡部前田直江の各証人を同席させた上で、各証人より総括的証言を求めることといたします。発言の申し出がありますので順次これを許します。淡谷悠藏君。
  640. 淡谷悠藏

    淡谷委員 渡部証人に伺いますが、あなたの方に出入りをしておった導入屋の中に松江、山西、輿水という男があったことを御承知でしょう。
  641. 渡部虎雄

    渡部証人 初めのうちは知りませんでしたが、三十一年の、銀行のあの事件になるまぎわに知った次第でございます。
  642. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この導入屋が持ってざました融資の大部分は一体どこへ行ったのです。
  643. 渡部虎雄

    渡部証人 どこべ貸すということでなく、そのころになって銀行の資金繰りが苦しくなったために、その金をどこへ貸したということはございません。
  644. 淡谷悠藏

    淡谷委員 スチール工業直江証人の話では、この三人の導入屋を使って大半あなたの方から融資を受けたという証言がありましたが、これはその通りですか。
  645. 渡部虎雄

    渡部証人 その通りであります。
  646. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この三人の持ってきました資金の現在残っておりますおもなものは一体どんなところですか。
  647. 渡部虎雄

    渡部証人 御質問の内容がはっきりしませんけれども、預金した先でございますか。
  648. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この三人の持ってきた導入資金の行先はわかったのですが、持ってきた先がわからない。大きな持ってきた先はどこなんですか。
  649. 渡部虎雄

    渡部証人 その持ってきた先は一一、私当時の常務として何も聞いておりませんから、持ってきた先は知りません。
  650. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この中の直江さんがわからない、それを受け入れたあなたがわからない、これはどういう話なんですか。このことは一体だれが知っているのですか。
  651. 渡部虎雄

    渡部証人 それはもちろん無記名でありますし、その預金をどこから持ってきたというようなことは、一々私としては聞いておりませんでしたから、わかっておりません。
  652. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それはスチール工業へ行った、元金は十億でも大体裏金利二十億になっているらしいのですが、この大金の大半は松江、山西、輿水という三人の名義で入っておるのですか。
  653. 渡部虎雄

    渡部証人 名義はほとんど無記名でございますので、松江、山西というような名前預金はされておりませんでした。
  654. 淡谷悠藏

    淡谷委員 無記名はわかっておりますが、それじゃその預け入れた者はだれなんです。ただひょこっと預金がわいてくるわけですか。無記名預金でもいいのですが、十億という預金がひょこっと無記名でだれからともなしに銀行へ入ってくるのですか、それとも裏金利はどこへ払うのです。
  655. 渡部虎雄

    渡部証人 それは個々にこまかく入ってくるものでなく、合計して大きくなったものでありまして山西、松江といった人たちのお世話スチール工業を通して入ってきたものでございますから、一々その預金先まで、私どもが番地もありませんし、わからないわけでございます。
  656. 淡谷悠藏

    淡谷委員 直江証人に伺いますが、今お聞きの通りスチール工業を通してきたから銀行がわからない、それからあなたに言わせるとこの三人だれも知らないという、一体十億円はだれが知っておるのですか。
  657. 直江秀次

    直江証人 実際に銀行側で無記名で受け入れておる以上、その銀行自体がどういう人から受け入れたかわからないということになりますと、私にはなおさらわからないことなんです。
  658. 淡谷悠藏

    淡谷委員 わからない話ですね。いいです。やめましょう、こんなところで……。
  659. 青野武一

  660. 奧村又十郎

    ○奧村委員 証人の皆様には大へんおそくまでお気の毒ですが、私ども、今国会で審議中の金融三法、この法律審議に実は非常に重大な関係がありますので、まことにお気の毒ですが、そういう事情からも一つ……。  どうも、こうずっといろいろな資料を調べ、また関係の方に対する検察庁の公訴などを見ましても、実態がつかまれていないような感じがするのです。渡部常務さんも、また前田さんも、それから直江さんも、ほうっておけば第一相互銀行が破局になる。従ってこれはやむを得ず導入もせぬけりゃならぬ、その銀行の苦衷を察して直江さんも努力したというふうなことで、あまり悪意があってやられたとはどうも受け取れぬ。しかしこれはいわゆる自転車操業で、破局を避けんがためにやむを得ずやったが、その手段が誤っておったということがいろいろ出てくる、こういうことです。従って問題はやはりそこに至るまでに監督すべき大蔵省の監督指導の問題が起ってくるし、また銀行内部にそういう業務に対してのふなれ、あるいは幹部の監督の不行き届き、こういうようなことがあると思うのです。特に第一相互銀行は、お話のように昭和二十六年の十一月に初めて相互銀行の看板を掲げた。それまでは無尽業務だけをやっておった。従って普通の銀行業務というものはそれから以後始めたので、いわゆる普通の銀行業務におなれになれないお方々がやられた、それで自転車操業がだんだんひどくなってこうなったというその事情はよくわかります。しかし事ここに至って手段が悪かった、また法律違反があったということであれば、やはりその事実については一応われわれ国会の方でも確かめていかなければならぬ、こういう意味合いからお尋ね申し上げているわけで、まことにおそくまで恐縮ですが、そこで一応お尋ねいたしましたけれども、残念ながら佐藤証人渡部証人の御証言に非常に重大な食い違いがありますので、その点を最後に確かめておきたいと思うのであります。  それではこっちのお尋ねしたいことを申し上げますと、渡部常務取締役は、第一相互銀行の株主総会によって常務取締役というものを委任された、それをおやめになるについては、これはやはり株主総会というものに対しての責任がある。またそれに続いて頭金者にもあなたは責任がある。従ってあなたは六月にこういう破局に面して重大な責任がありながらどういうわけでおやめになったか、こう言ってお尋ねしたところが、最初は大蔵省の指図もあった、こういう話です。それは社長の堀口さんが大蔵省に資金のあっせんを申し込んだところが、資金あっせんの条件として全重役の辞表をまとめてこい、それから株式の過半数をまとめてこい、こういう話があって、それを堀口さんに聞いてあなたも辞職書に判こを押した、こういうことであります。それからあと銀行には出ておるけれども、あなたの銀行常務取締役としての判こは代行委託者にお渡しした。従ってそれ以後あなたは常務取締役としての権限義務はなかった、大体このような証言があったが、その通りですか。
  661. 渡部虎雄

    渡部証人 その通りでございます。少しも間違いございません。
  662. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そうしますと佐藤さんはどうなりますかね。渡部さんのは、大蔵省のさしずもあって六月に常務取締役の辞表を判こを押して出した、判こも差し上げた、従って六月に一応常務取締役としての権利義務はなくなったのだ、こういう御答弁です。これは法律上はどうなるかわかりません。しかしお気持としては、大蔵省の話もあるし、またそういう破局に面したのだから責任もあって、もう自分は事実上の仕事には携わらぬ。銀行には出ておられたけれども、これは禁治産者と申しますか、権利も責任もなく、ただ問われるままに知っておることを言うたけれども、仕事の権限義務はなかった、こういうふうなお気持であったように受け取れる。そうするならば佐藤常務としては、そのとき六月に代行委託者として第一相互銀行へお入りになった。そうするとそのときに常務取締役としての権限責任を堀口さんなり渡部さんから受け取られた、こういうふうにどうしても考えざるを得ないのですが、その点はどうですか。
  663. 佐藤寛一

    佐藤証人 重役の退任というものは、辞表を出したからそれで直ちに退任になるというものではないと私は考えます。これは株主総会にかけてそうして新重役ができないことには自今が辞表を提出したから直ちにもう責任がないということは、法的にも私は誓えないと思います。われわれが参りましたときに一般の行員にも申しましたのは、従来の取扱い方法によって重件の稟議を経るものは稟議を経る。そうして課長権限に属するものは課長権限でやってよろしい。ただし重要な問題は課長権限であっても、なるべくわれわれに一応話してくれ。そうして稟議は一応旧重役の稟議をとってそれに捲いてわれわれが、これはやってよよろしいか悪いかといういわゆる監督の任として認め印は押すが、どこまでも責任は、法的の責任も元の重役に執りまするし、われわれがただ実際代行しておるというても何ら権限はないものでありますから、われわれとして法的に外に対してわれわれの名前でもって法的行為をすることはできないのであります。事実上県議は当りまえに切っておりまして、そうしてそれにわれわれが認め印を押しておったというのが実情でございます。
  664. 奧村又十郎

    ○奧村委員 佐藤証人の御証言によりますと、稟議はあくまでも前重役に画議して、佐藤証人らは六月から九月言での間はただ介添役としてついておった、かような意味であります。そうしますと、渡部証人にお尋ねしますが、六月に辞表をお出しになって、臨時株主総会で正式にかわるまでの三力目周、その間は前重役がときどき重役会を開かれて、やはり重役としての責任を果しておられたか。特に七月以後には先ほど来一番問題になっておるこの導入預金に対して三割は払うがあとは十年間たな上げにする。これは事実上払い戻し停止です。こういう重大なことをおやりになるについてはその責任、権限というものは法律上明確にしておかなければならぬ。それはやはり堀口さんと渡部さん、あなたがそういう重大なことをおきめになったのなら、これは責任上、しかも法律上の重大な点ですから、これを一つ明確にしていただきたい。
  665. 渡部虎雄

    渡部証人 重役としての責任は法的には株主総会にあるということは、昨日も証言したつもりでございます。事実においては印鑑一切おまかせして、そうして法律的な処置の必要なものは稟議として回したということはございますけれども、事実上仕事の面ではほとんど代行の方にやっていただいたということでございます。確かに九月二十八日の株主総会までは、もちろん法律的の責任があることは作品も申し上げた通りであります。
  666. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それでは導入預金約二十三億ほどの預金者に対して三分の一は直ちに払うが、あとは十年間のたな上げにしてくれというこの交渉は、銀行を代表して堀口さんなりあなたが法律上せねばならぬ。あなたはそういうふうに預金者と直接交渉をなさったんですか。
  667. 渡部虎雄

    渡部証人 その三割支払いの案は、結局私と社長だけによってきまるものではございませんので、社長から各代行にも話し、役所の方にも了解を得て話をして、そうして実行した。社長から案が出てやった。ですから結局……。
  668. 奧村又十郎

    ○奧村委員 どうもそこを……。先ほど来話があるのですが、導入預金といいますけれども、それはブローカ1が中に入っているから、そういう名前はつきますけれども、直接銀行の窓口に来ている預金者は、そんな裏でひもつきで金が貸されるの何のということは知らぬ人が多い。ただわずかに裏利の楽しみがあって知らずに窓口に来て預けた。これは多少の裏利をもらったって違反でない。従ってこの導入預金といえども、預金者に対して期日が来て払わぬということは、銀行として絶対言うべきことではない。また銀行として無記名定期であろうが定期であろうが、期日が来たら払うということは銀行の一番大きな責任である。それを三分の一払って、あとは十年間たな上げというような重大な、これほど重大なことはない。その重大なことをやったんです。従ってこれは預金者が騒ぐ。法律上の責任があるとするならば、あなたや堀口さんが預金者に対して、これが納得のいくように、あるいは納得のいくように話ができねばあやまらにゃいかぬ。あなたが当らなければならぬ。堀口さんが当らなければならぬ。当ったのですか。
  669. 渡部虎雄

    渡部証人 それは私も社長も代行の方々も当った次第でございます。
  670. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それではあなたは判こだけはなぜ社長の判こもあなたの判こも人さまに渡したのですか。稟議で相談を受けてやるんなら、あなたが判こをもって、あなたが判こをつくべきだ。どうして判こを渡したのですか。
  671. 渡部虎雄

    渡部証人 それは役所と援助側銀行と、そして社長との間で話がまとまって、結局代行に業務を代行していただくという意味から、これを渡すべきだということで渡したのであります。
  672. 奧村又十郎

    ○奧村委員 佐藤証人の言われる通りであるならば、社長渡部証人の判こまでも取り上げるということは、これは違法でないのですか。どうして判こまで取り上げたのですか。あなたの覆われるように、一々稟議して表面上は社長渡部常務の決定の後に、あなた方は介添えでそれをきめたというなら、判こまで取り上げる必要はないと思う。どういうわけでそういうことをなさったのですか。
  673. 佐藤寛一

    佐藤証人 理論的に申し上げますれば、今奧村さんのおっしゃった通りでございますが、この間におきまして不正事実が起るということが必ずしもなきにあらず、その保証はできないというようなことから、監督の立場からいたしまして一応預かって、そしてその票議を経たものに対しては判を押す、こういうような建前にしておったのであります。判こを押すというのは非常に重大な問題でありまして、対外的にも責任がある。それを監督する上においては、それが必要であると認めたからいたしたのであります。
  674. 奧村又十郎

    ○奧村委員 そこまではわかりますが、それじゃ判こを取り上げて、代行者で勝手に判こを押して銀行としての取引をやる。そうすると堀口前社長なり渡部証人としては、判は君ら勝手に取っておいてついておるのだから、わしらそんなことの責任は持たぬ、こうなりますがね、その関係はどうなりますか。
  675. 佐藤寛一

    佐藤証人 もちろん稟議を経ないで勝手に押したものに対しては、われわれ個人としては責任があるわけでありますが、そこはいわゆる監督の任といたしまして、一応頑かっておったわけであります。
  676. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この間のいきさつ――私は非常にしつこいお尋ねでまことに恐縮でありますがね、これは政府が法律に従って役員の解任命令を出すとか、払い戻し停止をするとか、いろいろ法律上の手続規定があるわけです。それをなさずに、しかも実際はその法律で規定したことをやっていこうという非常に回りくどい、その間に責任の不明確な点が現われてきておるから、私どもしつこくお尋ねするわけです。というのは、何も事情を知らぬ預金者が、わずかの裏利にまどわされて、第一相互銀行へうっかり預けた、三月もたたぬうちにたな上げになった、こういう立場になって、その預金者が一体どなたに不平を言うか、どなたに対して裁判を起すかという問題です。今のお話のように六月から九月までは、どうもここまでは、くどくお尋ねしても、堀口さんや渡部さんに十分の責任、権限があったとも思えず、といって、代行者の佐藤さん方も、稟議を経ておる、わしらは監督の立場で、こう言う。そうかと思うと、預金者に対しては、代行者がみな当っておる。政府に尋ねると、それは銀行の方でやったんで、わしら知らぬ。それじゃ、われわれ国会は何を審議していいかということで、ここまでお尋ねをしたんです。まあいろいろの事情もおありで、これ以上しつこくお尋ねしても、これ以上のお答えを得られぬと思いますから、これはまたいずれ監督指導の責任のある大蔵省に、別の機会によく承わってみたいと思います。  最後に佐藤証人にお尋ねしますが、この導入預金に対して三分の一払って、あとはたな上げということは、これは法律違反です。これは前からこの国会でずいぶん議論があった。そこで、法律違反ではあるが、あなた方の御答弁によると、何もそれを預金者に強制した覚えはない。話し合いなんだ、向うから自発的に十年たな上げを承知してくれれば文句ないじゃないか、こういう御答弁だ。しかし、そこもまた非常に微妙なもので、今日、命よりも大切だと思われるほどの金を十年もたな上げされて、そう物好きに、第一相互銀行のために黙っちゃおられぬ。ただしかし、今のように、法律上なかなか厄介であるし、責任者がどっちかわからぬというので泣き寝入りをしておる、こういうことだ。そこまではやむを得ぬとしても、それから先です。三分の一払ってあとをたな上げですが、そのあと七割に対して担保貸付はしておる。またこれからも事情が許せばするんでしょう、その点をお尋ねします。
  677. 佐藤寛一

    佐藤証人 中には少額の資金で非常に苦しいというような事情も十分に了承せられる向きもあるのであります。それで貸付の方面といたしましては、これは銀行営業でございますので、資金の許す範囲において、しかも事情が十分了とせられるものに対しては、できるだけ御迷惑をかけないような処置をとっております。今後もそういうような面ではできるだけやりたいと思います。しかしあまり金額が多くなりますと、資金の上にも何いたしますので、その点も十分考慮いたしまして、再建の案とにらみ合せまして善処いたしたい、こういうふうに考えておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  678. 奧村又十郎

    ○奧村委員 先ほどちょっとお尋ねしました、昨年の六月、堀口社長が大蔵省へ資金のあっせんについて行ったときに、第一相互銀行の株式の過半数を集めてこい、こう言われて、集めたはずです。そのときは堀口社長の借入金としてその金を処分したようですが、現在はそれがどなたかの持株になっておるはずです。そういう過半数集めた株式が、現在どういう分布でだれに持たれておるか、それをちょっとお聞きします。
  679. 佐藤寛一

    佐藤証人 株式は大体二口八十万株くらいだと思っております。それは再建の協力という意味におきまして、相互銀行中の理事銀行十六行にお願いいたしまして株を持っていただいておるわけであります。
  680. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これで私は終ります。
  681. 田中織之進

    ○田中(織)委員 佐藤証人に簡単に伺います。相互銀行協会加盟の銀行から、この問題で資金的な援助を受けて融資を受けておるのですか、その関係は、金利は幾らになっておるか。それからもう一点、先ほどの御証言だと、約二十億の相互の協定融資の中で、五億ばかりがなお相互銀行協会の管理で、第一相互銀行として現在受け入れていない、こういうお話であったと思うのですけれども、その点は将来の法律改正に際しても十分に問題になるのです。たとえば協会はあくまで信用金庫連合会のような形で、相互銀行の系統銀行というわけにはいかないと思うのですけれども、そういう意味で、やはり相互協定で協会には融資をする銀行がそれぞれ加盟していると思うのですけれども、第一相互銀行の責任で借り入れを受けるということになっておる残り五億円の金というものは、これはやはり急速に第一相互銀行の方へ回して上げて、あなたたちの立場から言えば回してもらってそうして預金者等の関係の先ほどの貸付の問題だとかそういうような問題で、銀行としての正常な資金運用に積極的に使っていくべきではないかと思うのですが、その点は協会で残り五億円を現在管理しておるという意味合いは、どういう意味なんですか、金利の点と二点伺います。
  682. 佐藤寛一

    佐藤証人 金利は日歩二銭でございます。  それから協会が一応集めておりまする関係は、当初第一相互銀行が直ちにこの金をもって他に預金をするというような場合に、万が一にも他から差し押えを食うというような場合には、融資銀行としては直ちに損失をこうむるということにもなりますので、一応相互銀行協会で管理しておいて、必要に応じてこちらに出すという方がよろしいんじゃないかということで、そういうふうな処置をとりましたのですが、もう大体そういうふうな懸念もないと思いますので、ある適当な時期においてはこちらの方で運用いたしたい、こういうふうに考えております。
  683. 田中織之進

    ○田中(織)委員 第二点の二十億円のうちの五億円を協会で管理しているという関係で、今佐藤証人の言われるようなことになると、これは銀行だからいいようなものだということになるかもしれませんけれども、ある意味から見れば、第一相互銀行債権者に対する詐害行為をあなたたちは意識的にやっていることになると思う。いつ差し押えがあるかもわからないというような形、その点でこれは私将来やはりどういう事情でどこかの銀行の経営が非常に困難な状態になるというような場合に、やはり同種の銀行間で救済処置をとることは私は必要だと思うのです。またその点については法律上やはりそういう相互援助の権限を与えるような立法的な処置も講じなければならぬと思うのです。現在の段階ではもちろん佐藤証人も、今度の場合東京相互銀行から出資をされた形になっているのですけれども、現在の法制のままでは、これに強力な法律的な権限を与えるということについては私は問題があると思う。その点ちょっと最後に検査部長に伺っておきたいのですが、大蔵当局としてはその点に何らの矛盾を感じないのでしょうか。現実にやはり信用金庫についても、そういう相互の救済というか援助をきめることは、これは全体の相互銀行の信用保持という見地から私は適切な制度だと思うのですけれども、現在のままでは今言うようにいろいろな矛盾が出てきておると思うのです。そこに特に奧村委員が指摘せられ、一般預金者に対する保護という点から見れば問題が残るようにも思うのですが、その点大蔵当局の御見解を伺っておきたいと思います。
  684. 福田久男

    福田説明員 奧村委員からもいろいろとむずかしい法律問題についての御質疑があり、またただいまも田中委員から御質問がありましたが、現在の機構、制度というものが、事実上いろいろと不便と申しますか多少無理をしなければならぬような場合がございますので、ただいま御指摘になったような点、それぞれいろいろとむずかしい法律問題を含んでいると思います。それらを何とか改善いたしますために、実は大蔵委員会の方に法案を提案して御審議を、願っておるわけでありますが、その一つは奧村委員の御指摘になりました業務管理の問題であります。業務管理は、これはいわば事実上の管理をやったわけです。法律関係は今までの役員が対外的にはあるいは株主にも法律行為を行うことになって、代行は事実上それを何と申しますか、意図せざる方向に業務の運営が行かないようにということを、内部的に見ていくという制度になっておるわけであります。今度金融機関の経営保全に関する法律案におきまして、はっきり法律上明確にいたしまして管理人の地位、管理人の法律関係というものを法律で明らかに規定することになっております。そうなりますと、その法的な法律上の管理になりまして管理人が管理人の名においていろいろな行為ができることになるわけであります。それからなおただいまの協調融資の問題でありますが、これは預金保証基金に閲する法律が何時に提案になっておるわけであります。その制度によりますと、今までの、払うな協会でこういった処置をやるという理由は、基金そのものがそういった仕事を受け持つ基金という明らかな法人格を持ったものがありましてその業務としてこれを行うということになるわけであります。大蔵委員会の方でまだ審議の途中の段階だと思いますが、私どもはぜひとも皆様方の御協力によりましてそれができますことを希望いたしておるわけであります。
  685. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つ渡部証人に確かめたいんだが、三十年の十二月に福岡から一億円の預金がありましたね。そのころにあなたも関与して現金をふろしきに包んで七百万円向井に渡したという事実、これは覚えておりましょうか。
  686. 渡部虎雄

    渡部証人 三十年の十二月十何日か、日にちはちょっと覚えておりませんが、向井根橋常務が渡したことは知っております。
  687. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでその渡すに至ったいきさつが、根橋とあなたが協議をし、また社長がこれにサインをし、などなどして、結局渡すに至った、こういう経緯、なお向井に渡すに当っては仮り払いの伝票まで発行しているというような事実、こういうことも御承知なんでしょう。
  688. 渡部虎雄

    渡部証人 知っております。
  689. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局あっせん者に金を出さなければならぬという趣旨をあなたが知っておったんじゃないですか。
  690. 渡部虎雄

    渡部証人 それは根橋常務とも話し合いまして、その出す方法としてどういう貸付をするかということを、根橋常務が考えておったものですから、一応仮り払いをいたした次第でございます。
  691. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ここはほかの証人によっても明確になっておるんですから、私はなるべくあなたらが問題を起さぬようにと思って好意的に聞いておるのですから、やはりそういったことは今この場におきましては、なるべく一つ記憶のままに述べておいてもらいたいのです。そのようにあなた、根橋などの協議もあって、現金を包んでふろしきに入れて向井に渡す経緯は、当時の貸付課長前田証人は事こまかく述べておるのであります。こまかく述べております。よろしゅうございますね。そこでそのような経緯から見ると、私があなたに聞きたい一点は、福岡の県庁の信用組合から出されてきた一億円、そういう一億円が出されたものに対して普通の無記名もしくは、特にいろいろな事情が伴っておるような場合はもちろんだが、正規に県庁の職員の組合から一億円も出すというようなこと、これはちょっと想像しかねるので、ことに例外中の例外であったような事情にもかんがみまして、あなた自身としては、この一億円は信用組合があなたの銀行預金したとほんとに思ったのだろうかどうか。そのとき何かそれはそうでないというような趣旨が、あなたには感づかれるべき筋じゃないだろうか。ことに今あれこれといきさつがあって七、八百万円の金が現実に手渡されるというような妙な事態もあるのですから、この一億円の性質についても、あなたの方では、あなた自身も代表取締役としてやはり何かここに普通じゃないというくらいはお考えになっただろうと思う。それをあなたに最後に聞いておきたい。ところがあなたの証言とほかの証言とは食い違っておりますので、それを聞いておるのであります。どちらか偽証ということにもなりますので、そういうことも思いますので、私はあなたに確かめます。
  692. 渡部虎雄

    渡部証人 最初に根橋常務から、福岡県庁から金が入るという話がありまして、その際に私は、今まで官庁の金の預金されたことは一度もありませんので、それは官庁は銀行は指定されておるということは知っております。おそらく県庁の金が入るわけはないと自分では思っておりました。そして話がだんだん進んで、金が入って版金証害ができるころには、福岡県庁信用組合という名前だったので、これは県庁の信用組合の金だから入ったものだ、私はそういうふうに考えました。その通りでございます。
  693. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと直江証人、あなたに確かめておきます。三十年の春に花村大臣が相互銀行に尋ねていきましたね。その前日にあなたは前田課長に、あくる日花村さんが行くということを話したんじゃないですか。その点をお聞きします。
  694. 直江秀次

    直江証人 先ほども御回答申し上げましたように、花村法務大臣があそこべ来られるということについては、いつかこられるという話をしておったことでございます。先ほど私も申し上げました。ごあいさつにくるというような話が、たしか社長からあったということは、先ほど申し上げました。
  695. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしゅうございます。
  696. 青野武一

    青野委員長 それでは以上をもちまして佐藤渡部前田直江の四証人に対する尋問は一応終りました。証人の諸君には四月二十七日から引き続き、本日も午前中より御多忙中を長時間、決算委員会に対し御協力下さって、まことに御苦労さまでした。御自由に御退席されてけっこうであります。  本件に関しまする本日の調査はこの程度にとどめます。次会は公報をもって御通知することといたしますが、理事会の申し合せにより、一応五月六日午後一時より全購連の審議をすることに予定いたしております。  なお証人以外の、各委員並びに関係者諸君の長時間の御協力を賜わりましたことを、最後に委員長として衷心より感謝いたします。  本日はこの程度をもって散会いたします。     午後六時五十六分散会