運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-19 第26回国会 衆議院 決算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十九日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 本名  武君 理事 山本 猛夫君    理事 坂本 泰良君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    淡谷 悠藏君       片島  港君    神田 大作君       細田 長司君    山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         食糧庁長官   小倉 武一君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同  組合連合会に対する補助金等会計経理に関す  る問題)     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 これより第三十八回決算委員会を開きます。  歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)につきまして、前会に引き続き調査を進めます。発言の申し出がありますので順次これを許します。今質問通告は、淡谷君、神田君、片島君、吉田君、坂本君、山田君、細田君と七名の通告があります。農林大臣は、農林委員会関係社会労働委員会、六かけ持ちで、その委員会出席する予定だそうでありますので、願わくばこの七名の各質問者委員諸君は、一番最初には井出農林大臣質問をしていただきたい、こういうように委員長から希望しておきます。淡谷悠藏君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林大臣にこの際御決意をもって御答弁を願いたいのでありますが、あなたはこの間、当委員会で全購連及びこれに関連する農林省内部汚職事件につきまして、日本農政における一つの重大な問題である、一つのかたい決意をもってこれに臨むような態度を披瀝された。しかるにその後非常に事件進展いたしまして、今ではもうどこが底やらわからぬという工合に、全農民の憤激を買っておるのであります。しかもこの中には、農林省課長級人たちがかなり深入りをしまして、抜き差しならぬという段階に立っているようでもありますし、これがなお波及いたしましたらどの辺まで広がるものやら、ほとんど見当がつかない。この際、現在大臣が把握しておられますこの事件の実相を、一つ誠意決意をもって当委員会に御報告あらんことを私は求めます。
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 このほど来、本委員会からお呼び出しを受けておりましたが、ちょっと健康のすぐれない関係もございまして、失礼をしたことをまずおわびをいたします。  ただいま淡谷委員からの御質問でございますが、事は全購連に発したとは申しますものの、監督の衝にありまする農林省部内にもついに不祥なる逮捕者を出すというふうなことでございまして、まことに遺憾千万であります。ただいま事件全貌というものにつきましては、まだわれわれもこれをつまびらかにいたしかねるのでありますが、当面の問題といたしましては、肥料課の係員、課長補佐である海内が逮捕せられておりまするほかには、あるいはせんべつとして供与を受けたという問題もあり、あるいは食事の供応を受けたというような問題もございまするが、まだこれらに対してはその筋の取調べという段階には及んでおりません。従いましてまだこの席で全貌をつまびらかにするというところまでは参っておりませんが、現在は今申し上げましたような範囲でございまして、われわれといたしましても、鋭意部内を戒めまするとともに、一つ取調べ進展にもにらみ合せまして、善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はこの決算委員会で、これまでしばしばいろいろな問題をやって参りましたが、その際にいつでも逃げ口上は、目下捜査中であるとか、検察当局の手に渡っておるからというのであります。当委員会で検討し、いろいろに論議いたしますのは、これは検察庁の問題とはおのずからまた異なっておる。特に今回の事件の内容を見ますると、普通の商人の関係したものと違いまして、少くとも一国の農政に重大な関連性を持ち、いわば国の農政方向を目ざしております全購連農林省——全部とは申しませんが、農林省の一部と結託をして不当の利益を得たというところに重点があるように思われます。この問題の進展いかんによりましては、国の農政の根本に一つの衝激を与える。こういう意味で、検察庁捜査とは別に、農林大臣の適切、応急なる対策を私は必要とすると思います。昨日あなたの御出席のなかった委員会でいろいろ聞いてみますると、一年一回横谷をすべき農林省協同組合課、あるいは検査課が、二十八年、二十九年と二カ年間検査をしておりません。他の方に仕事があるとか、忙しいとか言っておりまするが、この二ヵ年間の検査を欠いた間にこの事件が起ったのだということを、一つ大臣に十分お考え願いたい。しかも今度検察庁の方から取調べを受けております農林省関係のナンバー・ワンともいうべき海内という人は、前農林大臣河野一郎君と一緒に東独にカリ買い入れ交渉に行った人であります。まとまらなかったそうでありまするが、一応行っておる。そのカリ買い入れに行った場合に、やはり全購連からせんべつを受けておる。しかも全購連経理というもの一が、長い間の赤字から黒字に転換しましたのは、再建整備法等による助成を受け、同時にそのカリを扱ったからで、そこに五億数千万円、あるいは最近は十一億と言われておりますような含み資産を作っておる。その含み資産がばれて、二十九年度の決算を修正いたしました場合に、含み資産処理方法について、農民に還元すべきものを、農林省指示を与えてさまざまな項目でこれを処理しております。そういたしますと、まるで事件農林省が誘発したようにも国民から誤解を受けまするが、この点に関する農林大臣のお考えをはっきりお聞きいたしたい。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 検査の問題でございますが、二十八年、九年、この間に検査を実施しておる事例がないということは、すでに事務当局からも申し上げたかと思いますが、連合会整備促進でございますとか、その他府県の信連、経済連、指導連、これらを重点的に点検をしなければならなかったというようなことがございました関係でありまして、人員が少いとか予算が乏しいとかいうことは弁解にはならないと思いますが、そういうような事情がございましたために、全購連に手が及ばなかったということは一つ了解を得たいと思うのであります。三十年の十二月に行いました検査において、いわゆる含み資産五億円余りというものを指摘をいたしたのでございますが、その際に全購連に対してそれぞれ指示をいたしました点のうち、三十一年度から改正されておる部分もあるようでありますが、なお完全に整理されておらない、あるいは不十分だというふうな点はあるかと思うのであります。そこでその際当局側指示いたしましたことが、ただいまおしかりをこうむっておるわけでありますが、農民団体であります以上、農民に還元をすべきことが本筋でございましょう。ただカリのごとき相当市況のフラクチュエーションというものもある点からいたしまして、その年はもうけが出たがあるいは次の年に損のいくというふうな場合もなくはないのでありまして、当時の状況からいたしますときに、価格変動準備金というようなものを持つことも、合法的でございますし、そういう処理の仕方を容認したということでございまして、今から考えますと、むしろ抜本的に還元律した方がよかったではないかという批判も生れますが、当時の事情としてはそういうふうな処理をいたした次第でございましてこの事自体は決して違法ではないというふうに考えておりますが、遺憾な点はなくはなかった、こういうふうに存じているわけであります。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 価格変動準備金とか欠損補てん金貸し倒れ引き当て次期繰り越し等に大体この五億二千四十万円という含み資産が使われております。ところがだんだん調べますと、単に肥料だけではなくて、農薬にせよその他の資材にせよ、なおたくさんの含み資産を作りまして、あるいは裏資金と称し、全購連職員酒食費に使ったり、あるいは一部議員の買収に用いたり、ほとんど罪悪の根源がこういう特別な裏資金含み資産処理から出ているように私には思われます。このようなすきを与えたために、ますますこの穴は大きくなっていっている。その当時はやむを得ないといたしましても、この際断固としてこのような処理は切って、直ちにこれらの含み資産を農村に還元する意味において、農協の正当な姿に返すだけの御決意を持っておられるかどうか、はっきり御言明願いたいと思うのであります。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 二十九年度につきましては今申し上げたような次第でございますが、三十年度はそれぞれ今淡谷委員がおっしゃいますような方法において指導をいたしてあるわけでありますし、三十一年度ももちろんその方法でなければならないと考えておりますが、これはちょうど検査に手をつけると同時に今回の問題が発生をしたというようなことで、帳簿なり資料なりただいま全購連の手元にないというようなことでありますために、停頓をしているのでございます。従いましてこの機会に今言われますような方法において処理する、これが本来の姿でなければならぬ、私どももさよう考えますので、この落着と同時にそういう方法をとりたい、かように考えております。
  9. 青野武一

    青野委員長 淡路委員、ちょっとお待ち願います。先ほど申しましたように井出農林大臣農林委員会社会労働委員会出席が残っておりますから、制限するわけではありませんが、大体今淡谷委員が十五分程度質疑になった。そこで質疑通告者が七名おりますので、七名が全部井出農林大臣質問があるのかどうかわかりませんからちょっと今調べます。次の発言の順序になっております神田大作君は井出農林大臣質問ありますか。
  10. 神田大作

    神田(大)委員 あります。
  11. 青野武一

    青野委員長 片島港君、坂本泰良君、山田長司君ありますか——それでは今までのはしようがないが、大体私が時間を計算しまして井出農林大臣に対する御質疑は一応一人十五分程度という含み一つ質疑を続けていただきたいと思います。淡谷君。
  12. 淡谷悠藏

    淡谷委員 聞くところによりますとカリ含み資産のほかに硫安、農薬農機具等において十六億円、それから運搬関係の諸費用を経理に乗せないでやはり六千五百万円程度購連裏資金として残して、これを架空名義銀行等に預金しておったというような事情が世上に流布されておりまするが、これは大臣お調べになっておりますか。
  13. 井出一太郎

    井出国務大臣 この点は農林省調査ではまだ明確でございません。
  14. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さまざまな理由はございましたろうが、なすべき検査をやっていないで、農林省の役人と全購連との結びつきが別な方面ではあまりに密接過ぎる、これは一体どこに原因があるのでしょうか。検査などは監督指導立場からどうしてもやらなければならない。これは人員不足等によって二年も抜いて、その間にさまざまな問題が起って、その問題の渦中に肥料課長補佐などが入っておる。いわばこの関係は表面の関係ではなくて全購連農林省裏口関係のように私には受け取れますが、一体こういう失態というものは、こういう欠陥というものは、現在の機構のどの点から生まれてくると大臣はお考えになっておるか。
  15. 井出一太郎

    井出国務大臣 二十八年、九年と検査いたさなかったという点はまことに遺憾でございますが、今淡谷委員の言われますような、何か相結託をして好ましからざる方向を助長をしておった、結果的にそういう御批判も生まれましょうが、ことさらにそういうふうな関係にあるというものではないと思っておるわけであります。当局といたしましてはその機能と人員について不十分ではございますけれども、しかし与えられた条件のもとにおいては精密な検査をいたしておるはずと考えるのであります。ただこの事業の部門別にいろいろと分れておりまする関係から、ほんとうにぎりぎりに突き詰めての数字を明確化するということはできなかったかと思いますが、今回のように裏口で別途な積み立てをするというふうな意識的なものに対しましては、どうも農林省のやり方では目が届かなかった、この点はまことに遺憾でございますが、ことさらに結託をして監査をゆるめたとかなんとかいうことはなかろうかと思っておるのであります。
  16. 淡谷悠藏

    淡谷委員 全国にたくさんの農民を持っております全購連が扱う肥料農薬、機具というものは非常に膨大な量に達します。しかもこれを指導監督すべき農林省肥料課というものは、職員の職制の比重において下僚ではないと思う。その課長補佐が知らないというだけでは済まない状態になっておるのであります。夏日資金を使って芸者を身受けしたり、酒を飲み歩いたり、その接待に議員を便乗さしたりするといったことは、私はこれは明らかに結託と見る。しかもかなり以前からすでに農林大臣の耳にも入っていると思っておりますが、飼料肥料等関係その他におきまして、前閣僚か現閣僚かは知りませんが、政府閣僚までこの問題には関係があるのではないかという疑惑さえもう天下には流布されておる。私は前回大臣に対しまして泣いて馬謖を斬り、あるいはあなたの先輩にでも断固正義のやいばをふるうだけの決意をもってこの問題を処理されるように強く要望いたしました。飼料関係において、肥料関係において、あるいは水産関係においてすでに政界にもボスがいるということがいわれておる。この際党派を越えて、超党的にあなたがその若い勇気をもって断固こうした宿弊を一掃するだけの重大なる決意をされているかどうか。私は今までの御答弁を聞きますと、やはりあなたもぐらぐらにこの問題を解決してほおかぶりしていこうというような気配が見える。私は日本農政のためにこの際断じてそのような妥協は許さない。どうかあなたのはっきりした御決意を披瀝されるようにお願いいたします。
  17. 井出一太郎

    井出国務大臣 前回淡谷委員の御質問お答えをいたしてありまする通り不祥なる事態を生んだこの機会日本農政宿弊を正すという転機たらしめるべく努力いたす所存でおります。
  18. 青野武一

  19. 神田大作

    神田(大)委員 十五分という時間の制限がありますので要点だけを大臣にお尋ねいたします。  まず第一に、先ほど淡谷委員質問によりまして、農林省監査の非常に不備な点が指摘されたのでございますが、これに対して人員不足とか、あるいはその他のいろいろの理由があるというようなことを申して、その点を了解してもらいたいというような大臣言葉でございますが、あなたが言う言葉はちょっと私は納得できない。少くとも全国団体である重要な農業団体の最たる全購連あるいは全販連とか全中というような関係ですね、農林省重点を置いてこれを監査しなくちゃならぬのに、指導連監査とかほかの監査をやるから、あるいは再建整備のために手をとられたからといって、二年間の間これを監査しなかったというようなことに対しては、あなたは大臣立場に立って、事務当局がどうしてそのような監査をしなかったかをもっと突き詰めて検討を加え、それの原因を分析して、そしてこれが解決をはからなければならぬと思うのです。われわれに対してただ納得してくれというようなことでは、大臣言葉としては物足りないと思うのでありますが、この点に対して農林省監査の疎漏と申しますか、ずさんと申しますか、あるいは怠慢と申しますか、そういう点に対して大臣責任ある答弁をお願いしたいと思います。
  20. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほど淡谷委員お答えしました通り、決してそのことは弁解にはならないということは私もよく承知しておるわけであります。従いまして今回はこれを契機にいたしまして、省内の検査機構というふうなものにも根本的にメスを入れまして、これが拡充を期さなければならないと考えておるのであります。それから同時に農協連合会は、これは一つの自主的な団体でございますから、本来申しますならば、それ自体農民の負託にこたえて間然するところない経理をやらなければいけない性質のものでございます。役所監査というふうなものは、むしろこれは指導監査ということにあるのが理想的な形ではなかろうかと思うのでございます。しかしそれはあくまで理想の形であって、農協法は非常にりっぱな法律でありますものの、それがまだほんとうに根をおろしておらぬというのが実態でございましょう。さような次第で、役所役所として充実を期する。同時に農協中央会というふうな団体は、むしろ監査というふうなものを大きな使命として取り上げて、内部における自己監査が従来非常に欠陥があったというあたりもあわせ考えまして、今後両々相待って一つ完璧や期して参りたい、こう考えております。
  21. 神田大作

    神田(大)委員 私はこの監査問題等につきましては、後ほど農林省農協関係その他の人にお尋ね申しますが、このことについての大きな欠陥についてはあと指摘したいと思うのです。ただ今回の事件の最大の原因になったのは、監査をして含み資産を発見しながらそれを黙認したことです。ほかの適当な科目に含ませておったそれを発見したときに、農林省はなぜこの含み資産原因を徹底的に洗わなかったか。そのときに農林省人たちがしっかりとした考えを持ってやれば、今回の問題はもっと一年も二年も前に発見できた。あるいはまたいろいろな各方面への影響もそのときにちゃんとつかむことができた。全購連農林省肥料課との関係、あるいは一部政治家との関係とか、あるいは肥料業者との関係を、この含み資産を発見したときに徹底的な監査をやることによって、これを指摘できたにもかかわらず、これをやらなかったというところに重大な欠陥があると思う。私はこの点については前河野農林大臣に大きな責任があると思いますので、機会があれば一つ出席してもらって、そしてその点を究明していきたい、こう考えておるのでございますけれども、あなたはこの問題が起った当時農林委員でもあったと思うし、あるいはまた新聞紙上によりますと、現閣僚二名がこれに関係しているというようなこともいわれて、現在井出農林大臣であろうというようなこともいわれておりますが、このような当時の問題につきまして、あなたは農林大臣として疑惑を持たれておる。このことについて現在あなたはどのような心境になっておられるかお聞かせ願いたいと思う。
  22. 井出一太郎

    井出国務大臣 私の農林委員であったのは昭和二十八、九年のころでございました。当時肥料需給安定法等を手がけたのでございますが、その間において、今御指摘のようなことは断じてございませんし、また現在においても、私自身そのようなことは断じてないのであります。むしろこのことを遺憾として当面の問題処理に全力をあげて参りたい、こう考えております。
  23. 神田大作

    神田(大)委員 関係がないということであればまことに幸いであると私は思うのであります。もしこの問題が進展いたしまして、多くの政党人あるいは農林省内部等において関係者が出てきたような場合には、あるいはまた現在においても農林省から関係者が出ておりますが、そういう問題に対して大臣としてはどのような考えを持ってこの責任を果そうとしておられるか、お尋ね申し上げます。
  24. 井出一太郎

    井出国務大臣 現在農林省部内から御承知のような不始末が出ておるのでございます。これに対しては先ほども申しましたごとく、事件の推移もございますので、これを機会農林省機構のあり方でありますとか、職場規律の問題でありますとか、あるいは人事の停滞を一掃するとか、諸般の問題について思い切った措置を講じたい、こう考えております。
  25. 神田大作

    神田(大)委員 私かつて多久事件が起ったときに当時の河野農林大臣に対してこのような多久事件が起きたことに対する責任を追及いたしました。そのときにもあなたが今言われたと同じようなことを言われました。しかしその後また細田食糧庁調査課汚職の問題、あるいはまた今回のような問題というように、農林省関係事件が相次いで起っておる。そのたびごと大臣なりあるいはその責任者は、徹底的な機構改革をやるとか、あるいは抜本的な改正をするとか言いながら、汚職が跡を断たないでおるということは那辺にあるか。あなたがりっぱなことをきょう言っても、すぐあとでまたほかの事件が起らないとも保障できないと私は思いますが、その抜本的な改革について、一体このように続々として起るところの汚職に対して、あなたはどのような考えを持っておられるか。これをなくするためには、どのような具体的な方法をお持ちになっておるのであるか、お尋ね申し上げます。
  26. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいまるる御指摘のございましたように、このところ農林省にいろいろの問題が発生いたしまして、非常に国民の信頼を失いましたことは私としてもほんとうに痛心のきわみでございます。この原因が一体那辺にあるかという問題に対しましては、いろいろ見方もございましょうが、先ほどお答えを申し上げました通り、この機会にこれを十分に究明をいたしまして、抜本的な対策を立てる所存でおりますことを御了解を得たいと思います。
  27. 神田大作

    神田(大)委員 農業協同組合は、終戦後十年たちまして、ようやく再建途上に立った。特に末端単位農協が、再建整備法によりまして着々と立ち直って、そうして農民利益を守ろうとして血みどろの努力をしておる。そのときに、それの指導的立場に立つところの全購連なり、あるいはその他の中央団体等においていまわしいことが起るということになりますと、末端農協に努力しておるところの人々が、非常に迷惑をこうむり、あるいは非常に落胆をいたし、農民はこの農業協同組合組織に対して失望を感じてくる。こういうように今度の問題が農民に及ぼす影響はまことに重大であると思うのです。ようやくにして経済的に農業協同組合一つのつえとして立ち上った農民が、今日このような全購連汚職によって、非常な打撃、非常な精神的な混乱を来たしております。また経済的にも、現在春肥需要期でありまして、肥料がどうしても必要なときに、このような全購連汚職によって末端機構は乱れてきておると私は思うのでございます。こういう問題に対しまして、私は農林省なり全購連の負うべき責任はまことに重大だと思うのでございますけれども、この混乱を、この農民失望を、いかなる形において、いかなる方法においてこれを立て直そうとするのか、大臣の見解をお尋ね申し上げます。
  28. 井出一太郎

    井出国務大臣 神田委員が憂えられるところは、私の気持と全く同一でございます。このことが、全国系統組織に非常に大きな影響を与え、戦後十年、ともかく農協というものが中心になって、農民利益を守る団体として成長をして参ったこの今日の段階におきまして、大きな失望落胆を与えるであろうということは、私も全く同感でございます。そこで役所役所として当然その責に帰するべきものはたださなければなりませんが、同時に農協それ自身に対しましても、やはり。ピラミッドの一番の頂点にある全国団体でこういう問題が起ったのでありますから、これを単に全購連の問題だけにとどめず、農協全体の問題として再建の方策を講じていただくことがしかるべきであるというような考え方から、このほど来、中央会の主脳の皆さんともお目にかかりまして、そういう私ども考えを申し述べて、この際一つ相ともに立て直しを策すべく、そうして全農民の期待にこたえるために、今まさにあらしの中に立っておるわけでございますけれども、この際を逸することなく、立て直りのよき機会といたしたい、こういう話し合いなどもいたしておるような次第でございまして、役所団体と相ともに一つあやまちをただして立ち上りたいと考えておるわけでございます。
  29. 青野武一

    青野委員長 神田委員に申し上げますが、大体の申し合せの時間ですから、簡潔に願います。
  30. 神田大作

    神田(大)委員 この農業協同組合の事業といいますか、組織といいますか、こういうものは私が申し上げるまでもなく、農民の、自主的組織といたしまして、長い間末端農民の努力によって作り上げられたものであります。     〔委員長退席、坂本委員長代理着席〕 特に昭和七、八年一のあの不況を境といたしまして、みずから守ろうとする農民が産業組合を作り、それが大きくなりまして、全国的な組織にまで発展いたし、いろいろの歴史を経まして今日の農業協同組合になったのでございますが、その間の何十年という長い間、この農業協同組合組織を守るために、この農業協同組合ほんとう農民のものとして役立たせるために、農民は血みどろの努力をしてきた。ところが今日のようなこういう全購連事件が起りますと、これが一挙にして農民の信頼を失い、せっかく長い間の見えざる農民の努力が無になるおそれがあると思う。そういう意味合いにおきまして、私はこの事件を悲しんでおる人たちが非常に多いのではなかろうかと思います。私もその一人です。そうしてどうしてもこの事件を徹底的に糾明すると同時に、この際この農業協同組合というものを再建してもらいたい、がっちりと再びこのような問題を起さないように再建してもらいたいと私は念願すると同時に、その大きな一つ原因として私がここに指摘したいことは、末端の機関は農民ほんとうに手を結び密接してやっておりますけれども、県の段階あるいは全国段階になりますと、農民とのつながりが薄まつて、そうして農民末端の気持というものが事業の上にくみとられなくなっておると思うのです。特に今回の全購連等の事件を見ますると、これが官僚的になっておりまして、しかもその重要な地位を占めるものは、府県から選ばれる代表者が握るのではなくして、官僚出身の人が握るとか、あるいはその他の農民と何らつながりのない人が実権を握っておるというような、こういう全国段階におけるところの組織問題についても、これは再考をしなければならぬと思う。ほんとう農民の気持を身近に感じて、そうしてその事業が直接農民に響くということをいつも念頭に置いて事業をやっておりますれば、今回のように、芸者を身受けしたり、あるいは何億というような含み資産を持って非農民的な行動をとれるものではないと私は思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、末端単協と全国組織とのつながりをもっと深めるような方法をとって、農民ほんとうの気持が事業に反映できるような組織にしなければ、今後このような問題が絶えないと思う。一つの例を申しますると、末端農協に働いておるところの職員の平均給料は六千円から八千円であるが、全国段階におる人たちはおそらく二万円近くの給料になっておるのじゃなかろうか、こう考える。こういうことは、いろいろの事情で多少はやむを得ないと思いますけれども、そのような末端農協と中央組織との問題をもっと徹底的に検討してもらいたいと私は念願いたしまして、時間もありませんから、この程度にとどめたいと思います。
  31. 井出一太郎

    井出国務大臣 神田委員のお述べになられましたこと、まことにごもっともでございまして、よく承わりました。
  32. 坂本泰良

    坂本委員長代理 片島港君。
  33. 片島港

    片島委員 簡単にお聞きしたいと思います。  農林省で今度の全購連のことが問題になりましてから、今逮捕をせられておる海内は別でありますが、そのほかに何人ぐらい取調べを受けたか御存じございませんか。
  34. 井出一太郎

    井出国務大臣 ほかにはございません。
  35. 片島港

    片島委員 農林省という役所は、私も前に役所におりまして非常に不思議な役所だと思うのですが、実は今度の事件でも、島田元常務が河野一郎、保利茂、周東英雄、こういう前に農林大臣をやった方と非常に墾意であったと新聞も伝えておるし、本人もそう言っておる。そうして今度の事件が起きましてから、全購連の方では島田常務、宮下、それから立岩経理部長、河原主計課長、課員、調査役という工合に上から下までずっと系統的に逮捕されておる。全購連というのはこれは官庁機構とほとんど同じでありますから、おそらく一番上できめればやはり下まで一つの系統ができておると思うのですが、農林大臣が全購連の常務あたりと非常に墾意にしておるのに、またそれが今度の全購連事件の非常に重大なる出発点になっておるのです。私は官庁におってよくわかっておるのでありますが、大臣がどういうことを考えようと文書を立案したり、あるいは予算の支出をしたりすることは、大臣としてはできないのであります。官庁機構におきまして大臣が何事かをやろうとする場合には、やはり次官なり局長、課長と、だんだんその系統によってから文書を立案してこなければ問題は処理できないはずだと私は思う。ところが、海内という人が一人だけ、特にこの人は河野さんとともに一技官の身でありながら肥料の問題で海外に出張までしているような人であります。まあ河野さんがどうだとかいうことは申し上げません。しかしこの人が大臣との間に非常にまだ開きのある官庁機構の中において、ただ一人だけでこういう重大なことができたとは私は思わぬ。というのは全購連においてさえ、上は常務理事から——その上の専務理事以上はロボットであったと自分で言っておるのですから、これは問題ありません。常務理事以下は系統的に全部が逮捕せられて調べられておるが、農林省だけは海内一人でこの問題が処理せられようとしておる。多久島の場合もそうであったのであります。今度の肥料に関する問題で一番大きな問題は、あるいは輸入量をどうするとか、肥料の需給計画をどうするか、あるいは輸入量の決定にしても、需給計画の立案なり変更にしても、肥料課の班長一人でできるわけではなくして、そこで立案をしたものは必ず駅長から部長、局長、次官、大臣までいくものと思うのでありますが、この関係農林大臣として、こういう大きな肥料の需給計画なり輸入量の決定などにからんでこういう問題が起きたということについて、農林省海内だけからこのような問題が全購連との間に取引されたとお考えになりましょうか、どうでございましょうか。     〔坂本委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 井出一太郎

    井出国務大臣 官庁の場合は今片島さん御指摘のように、起案をいたしまする者から順次上に持ち回りまして、それぞれ計画なら計画を承認するという形に相なっております。しからば海内なら海内という者と上との関連が断ち切られているのがおかしいではないかという御指摘だと思いますが、その海内個人についての不正と申しましょうか、そのことと、それから計画なら計画というものに対する上っていくいき方との間には、これは直接の関連性はないというように思っておるのでございますが、何といたしましてもそのことをもって責めを免れるわけではございませんけれども、計画というふうなことと、個人的な不正というものとは一応区別してお考えをいただきたいと考えます。
  37. 片島港

    片島委員 計画と不正というのは、これはもちろん別の話でありまして、その文書に判を押しても、あたりまえの文書に、正当な文書に判を押した場合は私は問題ないと思う。しかしこれほどの大きな問題になってきます場合には、特に私は海内という男は知りませんが、新聞で読むと海内天皇と言われ、課長以上の権限を持っていたというし、また先ほども申し上げましたように、一技官の身で農林大臣と一緒に行って肥料問題で重要な国際的な活動までしてくるというのでありまするから、私はそういう人が今日までおって、二十年間肥料に関する実権を持っておったということを、官庁で長く仕事をしておる課長なり局長というような人あるいは上って事務次官となるような人が、特に農民と最もつながりの大きい肥料の問題について何らの注意も払わなかったということは、これは単に不注意で済むことであるか、そうでなくして、そこにわれわれは幾らか疑惑を差しはさまざるを得ないのであります。というのは全購連の場合には運託生、一番上のてっぺんから下までずっと系統的に逮捕せられておるというのでありますが、農林省の場合は一課長補佐の身でありながら、そういう大きな団体を手玉にとって、また国内の業者を手玉にとって、それだけのことがやれるという、こういう機構は私一は農林省以外の中央官庁には不幸にしてそういう機構を見ないのであります。おそらくこれだけの権限を持って手玉にとるくらいの人であり、農林大臣が注目して、自分の随行にして連れて行ったくらいでありまするから、おそらく農林省全体としてマークをされ出ておっただろうと思うのでありまするが、農林大臣の御見解はいかがでございましょう。
  38. 井出一太郎

    井出国務大臣 海内個人がその職に長く専念をしておって、いわば一種の、専門家になっておったということは事実のようでございます。従いまして仕事にも非常に明るい、ですからまあ自然に重宝がられると申しましょうか、そういうことは確かにあったと思うのであります。従いましてその辺に人事が渋滞をしておる、こういうことは指摘できると思うのでございまするが、官庁機構全部が全部そういうものではなくて、まあ海内の場合の一つの特殊なケースだというふうに見られるのではなかろうか、こう考えております。
  39. 片島港

    片島委員 肥料の価格を決定する場合に、どういうふうな手続で価格は決定せられておりましょうか、簡単にお教え願いたい。
  40. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 硫安につきましては、臨時肥料需給安走法に基きまして肥料審議会にかけて最高価格をきめております。それから石灰窒素、過燐酸、溶成燐肥につきましては、右に準じまして指示価格をとっております。カリにつきましては、昭和二十九年から昨年の七月までやはり指示価格をやっておりましたが、昨年の八月からそれをやめております。そういうふうな状況であります。
  41. 片島港

    片島委員 最終的な手続はそのようにきめられるのでありますが、肥料の価格を決定する要素となるものは、輸入肥料につきましては、その輸入量を調節することによって変動するでありましょうし、また国内産の肥料については、国内の生産量の操作によってこの需給計画が変ってくるようになりましょうから、最後になってどういう手続をするかということでなくして、輸入量をどうするか、あるいは国内の生産量をどうするか、そういうことを含んだ需給計画に基いて肥料の値段というものは変動してくると思うのでありますが、そうすればあとの手続よりも、この手続に入る以前の、私が申し上げたような、操作が一番重要であろうと思うのであります。そういう操作によって実質的に値段はきまるのでありますが、こういう重要な決定というものは課長以下のところで操作ができるようになっておるものでありますかどうですか、お伺いしたい。
  42. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 輸入肥料につきましては、まず外貨予算の編成で幾ら輸入するかということがきまるわけであります。従いましてそれは農林省からその年々の需要量を通産省に出しまして、通産省の外貨の総ワクとのバランスにおいてきまるにでありますから、これは農林省がやる場合には、経済局に経済課というのがありますが、そこへ取りまとめまして、そこで通産省と一本で交渉する、こういうことにしております。  それから価格の問題は、カリにつきましてはそれぞれの輸入先すなわち西独、フランス、東独、アメリカ、スペイン、イスラエル、そういうものとそれぞれ交渉いたしまして、従来はC—F価格幾ら、三十年の下期からFOB幾ら、運賃幾ら、こういうことできめまして大体半期ごとの建値を相談いたしまして、それをもとにしまして、あと入港後の諸経費を計算しまして……。(片島委員「簡単に操作ができるものなのかということだ」、呼ぶ)これはそう簡単にきまらないのでありまして、あらゆるデータを広げまして、関係品が寄ってごしごし練ってきまるのでありますから、ある特定の人が簡単にきめるということはあり得ないのであります。
  43. 片島港

    片島委員 こういうのをきめるのに、肥料審議会にかけるとかなんとか、いうことは、これは最後に出てきてからみんな説明をすればその通りになるのですから、その以前のことを私はよほど慎重にやっていかなければならぬと思うのであります。  時間がないので最後に、全購連では全利用共同計算方式という予約購買制度をとっておるということでありますが、そういたしますと、予約期間四ヵ月単位になっておる期間内において、需給計画の変動などを人工的に行えば、人工的に利益を作り出すということができるようになるのであります。また現実にそういうふうにやっておった。市中に肥料がだぶついて値段が下っても、予約制度で前から金を取っておりまするから、途中においてはだぶついて肥料が安くなっても、その価格の差額だけはそのままもうけてしまう、こういうことになっておるというのでありますが、こういう方式は、途中において人工的な操作によって人工的に利益を作り出すという弊害があるとはお考えになりませんか。
  44. 井出一太郎

    井出国務大臣 全購連の場合、非常に膨大な機構となり、全国的にその系統を通して農民に対する肥料の大半を供給するという形をとっておるのでございますから、そこに共同計算制というものが、農民の信頼にこたえてその承認のもとにでき上るという建前であるべきだと思うのであります。その限りにおいては、私は決して共同計算制というものは一がいに非難さるべものではないと思うのでございますが、それがマーケット・プライスに比べて非常に高いという場合には、当然系統部内批判が起きるわけでございますから、それは引き下げられる、全購連もそういうあたりは十分気を配って価格の設定をしておったと思うのであります。ただ、地域的にはあるいはその工場に非常に近い商人さんの方が品物が安いということはあったかと思いますが、全体的にこれを考察すれば、市価を著しく離れた高い値段につり上げるということは不可能であろうと思うのでございます。またそれによってもし高いもので売れれば当然利益が生まれるのでありますし、これは協同組合の本質に基きまして、いわゆる利用率に応じて還元をするという方式に相なるのでございますから、差し引いて安く提供されると同じ結果が生まれる、こういうのが協同組合の組織の実態であろうか、こういうふうに考えております。
  45. 片島港

    片島委員 それでは時間がきましたから、私はあと政府委員の方にお尋ねいたします。
  46. 青野武一

  47. 坂本泰良

    坂本委員 私は大きく二点について大臣にお聞きしたいと思います。  まず第一に、昭和二十九年第十九国会の際に臨時肥料需給安定法という法律案が出ましたのですが、その当時大臣農林委員長であったと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  48. 井出一太郎

    井出国務大臣 その通りであります。
  49. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお聞きいたしますが、新聞その他われわれが聞くところによりますと、この臨時肥料需給安定法案をめぐって国会議員約五十名に供応し現ナマをばらまいた、こういうことが伝えられておるのであります。火のないところに煙はないと申しますが、非常にこの点が、今回の全購連の問題から農林汚職に発展するという問題で大きな問題になっておると思います。  そこで、国会議員約五十名に供応、現ナマをばらまいたと言われることに対して大臣は、当時この法律案を審議した農林委員会委員長といたされましてどう考えておられるか。もちろんこれは自分のことを自分で言われることは困難だと思うのでありますが、これが今度の農林疑獄についての非常に大きな問題であると思いますので、この点について、大臣は当時の委員長であられましたから、大臣の御答弁をお聞きしておきたいと思います。
  50. 井出一太郎

    井出国務大臣 当時の記憶をたどって申し上げますと、たしか今言われますように、十六国会以来次の国会にわたってのこれは継続審議になった法律であると思うのであります。二十八年当時はまだ日本肥料の需給が十分でなかった関係からいたしまして、国内価格と輸出価格との間に落差が生じまして、メーカーがある程度の量産をしなければこれは生産費の方へ響いて参るわけでございましょうが、国内の農民に高い肥料を供給し、外国へ輸出いたす分は対外競争の関係から安く売っておったというような現象が生じておったのであります。さような次第で、農民諸君からもごうごうたる非難がございました。これをどういうふうに調節するかということが大きな問題でございました。それがためにその立法がなされた次第でございまして、メーカーの生産費を法律的な力をもって国が検査する、そして安い分からだんだん積み上げて、安いものを国内へ提供して、そのバルク・ラインから越えた高いものを輸出会社を通じて国外へ提供する、しかし高いものは外国との競争ができませんから、これは輸出会社で操作するというふうな形の法律であったと思うのであります。当時の事といたしまして、この法律が生まれたのは、私はタイムリーであり、必然性があった、こういうふうに考えておるのでございます。当時の農林委員会は非常な努力を払いまして、継続審議中にもおそらく何回となく休会中の審査をやったというふうなことで、この法案を仕上げた記憶があるわけであります。その際に全購連が働きかけて、今おっしゃるような問題があったとは私には考えられません。まあ当時の事情としましては、私の知る範囲においては、全購連は最初むしろこういう統制法規には反対であったというふうな感じに受け取られました。従いましてその法案の審議はずいぶん長い期間かかりましたが、その期間を通じて今言われまするような不祥な問題は私には考えられません。  それからこの際ちょっとつけ加えておきますが、この法律は十六国会に提出をされまして、昭和二十八年の七月でございますが、自来十九国会に至るまで継続審議になりまして、三十九年の五月に成立をいたしておる次第でございます。
  51. 坂本泰良

    坂本委員 この法律ができまして、その後大臣はこの法律に基き肥料審議会の委員になっておられますが、この肥料審議会の委員に対して、業者、メーカー、その他から運動と申しますか、働きかけが相当あったと思うのですが、一番働きかけたメーカーなんということについて御記憶がありますか、あったらばお知らせ願いたいと思います。
  52. 井出一太郎

    井出国務大臣 特に働きかけというふうなものはございませんでした。時にメーカーの諸君と懇談をするというふうなことはあったかと思いますが、大体肥料審議会においては、政府の原案が私の関係いたしました期間においては無修正で通過したのが例でございまして、肥料審議会はきわめてスムーズに推移しておった、こういうふうに考えます。
  53. 坂本泰良

    坂本委員 最後にもう一点ですが、先ほど片島委員も聞かれたわけですが農林省肥料課肥料行政を一手に握って、そうして肥料の価格、輸入量、——もちろん審議会にかけて価格なんかの決定もきまるわけですが、この肥料行政を一手に握っておる肥料課に、わずか海内ですか、これ一人が犠牲者と申しましょうか、検挙されて調べられた。どうもそれが不思議である。全購連の方は常務理事以下ずっと逮捕されて調べられておるが、農林省の方は前の多久島の際も多久島一人である。今度も海内だけである。その点が不思議だと疑問を持たれておる。われわれもこれに疑問を持っております。それと対照いたしまして、全購連の肥糧部関係の帳簿によると、慰労宴会費等が年間数百万円出ておる。これはやはり農林省肥料課と密接な関係があるのではなかろうか、こういう疑いが起るわけであります。従いまして大臣にお聞きしたいのは、この問題が検察庁から摘発されて、その他新聞紙上等で大きい問題になりました後において、大臣は、二年間も監査をやらなかったということ、さらにこの肥糧部関係からこういう数百万円という年間の金が出ておる、これについて、大臣大臣責任においてその部下のいろいろのことについて調査をされたかどうか、調査をされましたならばどういうことを発見されたか、私はこれは当然責任者としてやはり調査すべきである、こう思うわけですが、その点をお開きしたいと思います。
  54. 井出一太郎

    井出国務大臣 肥料課の面と検査の面とは直接関連はない、別々な機構で動いておるのでございまして、その点はあらかじめ御了承おきをいただきたいと思うのであります。そこでこの事件が発生いたしまして以来、関係局部長それぞれを督励いたしまして、このような不祥な事態を招いたことはまことに遺憾であるし、これに関連をしてやはり部内部内でただすべきをたださなければ相ならぬ、この点を厳に戒めました次第でございます。そこで現在までに判明しておりまする点は、当該海内のほかにはせんべつをもらったという件も明らかでございまするし、それから肥料課関係者の中で、二、三の者が饗応を受けておるという事実も判明をしておるのであります。これらは取調べの進行とにらみ合せまして、適切な処置をいたすつもりでおります。
  55. 坂本泰良

    坂本委員 河野農林大臣海内業務班長を連れて肥料の問題で西独その他に行っておられた。さらに昨日の農林当局の御説明によると、それは失敗に終った。その後檜垣課長が行って交渉に当った。この二度の外遊交渉の際にメーカーその他からせんべつその他をもらっておるかどうか、その点を調査され、もらっておるならば——われわれは相当もらっておると見ておるのですが、その点について調査をし、明らかにされたかどうか、その点を最後にお聞きしたいと思います。
  56. 井出一太郎

    井出国務大臣 メーカーからせんべつを受け取っておるという事実はございません。
  57. 坂本泰良

    坂本委員 それじゃメーカー以外からあったわけですか。
  58. 井出一太郎

    井出国務大臣 今の全購連から出ておるという事実はございます。
  59. 坂本泰良

    坂本委員 全購連からどれくらい出ておるか、その点は今御発表できませんですか。
  60. 井出一太郎

    井出国務大臣 今取り調べておるさなかでございます。
  61. 坂本泰良

    坂本委員 取り調べられておられるのはいいですが、今まででわかった点があったら発表してもらいたいと思うのですが、それも言えないとおっしゃるのですか。
  62. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは捜査の方とも関連がございますので、この機会には差し控えさせていただきたいと思います。
  63. 坂本泰良

    坂本委員 名前その他はいいですが、金額は幾らくらいになっておるのですか。それくらいは発表できるでしょう。それは捜査段階関係ないと思うのです。
  64. 井出一太郎

    井出国務大臣 その点も同様にお扱いをいただきたいと思います。
  65. 坂本泰良

    坂本委員 われわれは捜査関係はなくて、やはり国会の、この農林汚職、全購連の不正の問題について国民の代表としてここに調査を進めておるわけなんです。全購連からせんべつをもらっておるということはここに明らかになった。だから河野農林大臣に幾ら、海内に幾ら、檜垣に幾らというそこまでは聞かなくてもよろしゅうございます。しかし大体今までに大臣調査されてその総額が幾らくらいになる、それくらいは発表されてしかるべきである、かように考えますが、いかがですか。
  66. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは世上にも伝わり方がまちまちになっておりまするし、この機会においてはしばらく差し控えさせていただきたいと思います。
  67. 坂本泰良

    坂本委員 世上まちまちになって、いろいろ牽強附会な点が出てくるから、私は国民の代表である最高のこの決算委員会に額くらいは発表してやられた方が、ほんとう農林省がこの風紀の悪い点を改めて今後こういうあやまちがないようにしようという決意がここに現われると思うのです。またここに発表されることこそがやはり私は国会の権威でもあるし、また農林大臣としては発表すべきが当然だ、かように考えるのですが、いかがでございますか。
  68. 井出一太郎

    井出国務大臣 この点は私どもとしてもまだ内部の究明を十分にしなければならない点もございまするので、もうしばらくの御猶予をちょうだいいたしたいと思います。
  69. 坂本泰良

    坂本委員 総括的なことは大臣からお聞きいたしましたから、なおその総括的なことに基くいろいろの点については事務当局からお聞きしたいと思います。これで私は終ります。
  70. 青野武一

    青野委員長 渡部局長に御注意申し上げます。坂本委員の重大なる質問に対してたびたび私語をしておりますが、将来私語を禁じます。
  71. 山田長司

    山田委員 関連して。ただいまの坂本委員質問中とかく理解のできない個所があるわけです。それは肥料の交渉に前の農林大臣海内課長補佐がドイツヘ二回ほど行っておられる。どうもそれと前後して、今まで日本の東独から買っておった肥料の経過というものは、全購連に渡るまでの間に、日本の国内においては国際鉱石から日綿を経て全購連に渡っておった。しかも東独政府から日本に持ってくるまでの過程においては、インターナショナル、フィテライザーという会社があるそうですが、その会社を経て、スイスを経て、それから国際鉱石、日綿、全購連と、こういう経路を経てカリ農民に渡る手順になっておったのが、それが河野と及び課長補佐がドイツへ行ったのと前後して、東独政府からロンドン日綿を経て、じかに国内に入っておるというような経過になってきた。こういうことについてやはり何かしら——河野及び海内課長補佐が行ってそういう経路に、肥料の入ってくるコースが変化しておる。しかもこれを国際鉱石会社がよく了解して、東独から国際鉱石が買わないようになった、こういう状態が生まれておるわけです。ですから、この間において河野前農林大臣肥料を買う交渉が、コースをそうきめる役割をしたとしか一般の人の間では言われておらないわけです。そういう点で、やはり全購連から河野前農相にせんべつが送られた以外に、業界の中から河野前農林大臣に多額の金が回っていなければならぬという風説があるわけです。その点について今の坂本委員質問に対しての大臣答弁は理解できない点があるわけです。一体こういうコースを経て日本カリが入るようになった経過の変更について、何か知っておるところがありましたら話していただきたい。
  72. 井出一太郎

    井出国務大臣 私その間の事情をあまりつまびらかではございませんので、局長からお答えいたさせます。
  73. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 東独のカリの輸入は昭和二十五年から始まっておるのであります。その間昨日申し上げました五社のほかに片倉肥料あるいは光興業、あるいは日東物産というようなものも参加しておったのであります。このあとの三社は海外に支店を持たないのでありまして、ただいま御指摘がありましたスイスの商社を通じて買っておった、ほかのものもスイスの商社を通じて従来買っておったのでありますが、スイスの商社を通じないで直接東独から買った方がより有利であるということが、従来各商社間の熱望するところであったわけであります。そこで東独それからスイスの商社との相談で、最初に日綿の方が権利を受けたように私は承知しております。そこで従来買っておったほかの数社との間を東独カリ輸入協議会というものの設立によって調整した、こういうのが実態であると私どもの方では承知しております。その間にお話のようなことがあったかどうかということはつまびらかにいたしません。これは商社の間でありますから、どこが権利を取るかという争いが商社間にあったことは当然想像できます。しかし農林省としましては、その間の調整を輸入カリ協議会の結成ということで日綿、岩井、伊藤忠、東京食品、相互の五社が話し合いをつけた、こういうふうに承知しております。
  74. 山田長司

    山田委員 スイスを経て国際鉱石、それから国際鉱石から日本の国内の商社、日綿、伊藤忠、岩井、相互貿易、それから光興業等の会社に製品が渡っておる。そうすると私は、日綿に全部の権利を渡すという場合に、今まで国際鉱石と取引のあった商社というものが黙ってよく全部日綿に渡したと思うんですよ。これはしろうとで考えてみても、営業権益が狭められたのでありますから、当然何らかの補償を要求してなければならぬはずだと思うんです。こういう点について農林省は関知する範囲でないといえばそれはそうかもしれない。しかしそれだけの経路を経てきたものが今度はじかに東独から日綿に入ったとするならば、その間におけるリベートが少くなっているはずですから、当然カリの値段というものは安くなっていなければならぬはずだと思うんですよ。どういうふうに今までの過程において安くなってきておりますか。どうしてそれが全購連に渡ることにおいて安くならずにおるんですか。私にはそれがどうも理解できないのですが、これは大臣一つ答弁していただきたいと思います。
  75. 井出一太郎

    井出国務大臣 ちょっと私わかりかねるもんですから……。
  76. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 今のお話は鳩山内閣ができまして肥料価格を下げるのにはカリについて——その前から朝鮮事変その他の関係、世界的な情勢の緊迫から運賃が上ってきて、きのう御説明しましたように、毎年々々日本の到着価格が上ってきているわけです。それを下げるのには、一つの大きい方法としましては現地でFOBで買いまして、そうして運賃の関係をできるだけ整備することが一つの大きなファクターになっておる、それからFOBの価格をできるだけ下げる、この二点がカリ価格を下げる二つの要点になっているわけです。そのためには、FOBで買うのでありますから、現地に商社がない商社では工合が悪いというので、先ほど指摘しました片倉、光興業、日東物産というのは現地に商社がありませんから落したのであります。それからなぜ日綿がスイスの商社から権利を得たかということは、これは日本の国内の問題でありませんで、日綿と東独カリとそれからスイスの商社との関係になっております。この東独のカリ会社は戦争前はいわゆるヨーロッパ・カリ・シンジケートの一つのメンバーでありまして、それが西独、東独に外れた関係で、私どもの方で見ますと、今でも西独なりフランスとそれぞれ相当密接な関係があるようであります。その西独とフランスは日本日本カリ会社という向うの資本で作っている会社を持っているわけであります。それとの関係がありますので、おそらくこれは私の想像になりますけれども、向うで最初に取りつけた日綿が権利を取ったのではないかと思います。そうするとほかの方はおさまりませんから、従来上実績のあったほかの商社があったわけでありますから、おさまりませんから、そこで農林省でFOBで買った方がいいという向うに商社のある連中の話し合いで、東独カリの輸入協議会を作ったんだろう、こういうふうに思います。それからカリの価格が上ってきたのは、嘆ずるに世界的な経済の変革から運賃が上ってきたファクターが一番大きな理由であります。
  77. 山田長司

    山田委員 どうも私にはカリの価格が上ったについて理解できない点は、少くとも東独の場合は社会主義の国家です。社会主義の国家にそんなに価格の変動が起ってくるのは理解できない。一体社会主義の国家にそんなに経済的な変動がありますか、どうなんです。
  78. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 でありますから、私は従来のカリ・シンジケートの話を出しているわけであります。いつでも同じ建値を出してくるわけなんです。ちょっと安いくらいの建値を出してくるわけです。そこで私の方では東独に突っ込んで、お話のように相当政策的な価格が出せるのじゃないかということで、東独の価格を下げることによってほかの地域の価格を牽制しようということが東独カリについて農林省が努力した一つのポイントになるわけであります。
  79. 山田長司

    山田委員 東独との取引については農林省は東独グループの奨励でやっている。要するにほかの商社が入っていく余地がない。なぜそんなに今の東独グループに、取引している商社にだけ力を入れているか。通産省なんかではどんどんほかの商社も入っていって、農民に安い肥料を出せるように、取引したらいいじゃないかという意向を持っているそうだ。どうして農林省では東独グループだけに限られて取引をさせようとしているんですか。
  80. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ……。
  81. 山田長司

    山田委員 あなたでない、大臣に聞こう。
  82. 青野武一

    青野委員長 渡部局長答弁農林大臣が御退席になったあとでもできるのですから、できるだけ農林大臣の御答弁を願いたい。
  83. 井出一太郎

    井出国務大臣 東独の商社を特に限定してということではなくして、これはほかの商社といえども加入できる仕組みに相なっているというふうに承知をしております。これはやはり相手方があるのですから、なかなかこちらだけの思うようにもいかないのでございます。それからさらに植上りの一番大きな原因は、先ほども申し上げましたように、大体スエズ問題以来のフレートの関係ということが大きな原因であろう、こう考えております。
  84. 山田長司

    山田委員 スエズ問題があっても一応今まで東独政府から来る経過において、日本農民の手に渡るまでには大きな四段階を、経ていると思うのですよ。四段階を経ている期間中に、みんなどこでも一応もうけているわけです。それがじかに日綿の手に入るようになってきたのですから、幾らスエズからほかを回るなり、運賃が高くなったとしても、カリは安くならなければならぬですよ。そのカリが安くならないところに問題があるのです。だから疑惑が起るのです。為替の関係もあるでしょうが、幾らスエズを経由してこないといっても、国内の全購連に入るまでの過程において、今までのように四段階も経てきていないのですから、これは、どう考えても安くならなければならないですよ。私はそういう点であとで資料を要求しますけれども、じかに入るようになって、今まで途中で幾つも利益を上げていたものが上げられなくなったのですから、どんなことを、したって安くならなければならぬのです。それが安くならない根拠は運賃だけですか。
  85. 井出一太郎

    井出国務大臣 これはまたいずれ資料で差し上げたいと、思っておりますが、私の手元にあるのを見ましても、たとえば塩化カリについて申し上げますならば、昭和二十九年には運賃は十ドルでございました。それが三十年の下期には十六ドル二十五セント、それから続いて、三十一年の上期には十九ドル五十セント、下期には二十一ドル五十二セントという工合に——これはスエズの問題があって以来特にひどいのですが、さもなくても、国際緊迫と申しましょうか、こういうような事情から、大体ここ一両年は運賃が倍以上に高騰をしておる、こういう事実が値上りの一番大きな原因であろう、こう御理解がいただけるのではないかと思います。
  86. 山田長司

    山田委員 どうも私には理解できないです。そんなに運賃が急に上るということは理解できません。時間の制約があってずけずけ言われるので、開きたいこともあるのですけれども、この点についてはいずれ資料を出してもらうということで、私の質問を終ります。
  87. 青野武一

    青野委員長 井出農林大臣に御相談いたしますが、非常にお急ぎになっていることはわかりますが、午後一時かっきりから本会議、上程法律案三件、所要時間二十分という報告がきておりますので、あと一人ですから、おそれ入りますが、一時まで何とかして……。吉田賢一君。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣の御出席を実は二、三日来待っておったのでありますが、きょうはこまかい個々の問題はまた事務当局から詳しく伺うことにいたしまして、あなたに対しましては、相当の決意をもってこの事件に対処していただきたい、こういう点を特に要望しておきます。  全購連事件というものは、近来の農林行政における汚職、疑獄の事件といたしまして、ともかく全国民の環視の的になっております。幾多の事件がしばしば起ってはおりますけれども、たとえば前の多久事件など、あれと比べまして、その質におきまして、与える影響におきまして、はるかに大きいものだと私は考えております。あなたの部下から、すでに課長補佐というきわめて重要な地位にある職員が今日犯罪の容疑者になっておる、さらに数名の者が容疑者になるかもしれない、どこまで発展するかだれもわからぬ、こういうように全く疑惑の中に包まれておるのであります。私どもは、これは農林省における空前の疑獄であり、またまれに見る綱紀の紊乱である、こういうふうに考えるのですが、その点大臣の御所見はいかがですか。
  89. 井出一太郎

    井出国務大臣 御指摘のように、この問題は相次ぐ農林省不祥事の中で影響するところきわめて甚大なものがあろう、かように存じております。従いまして前会もお答え申し上げたごとく、この機会に抜本的な処置を購じなければならぬ、またその根元を断ち切るのでなければならぬという決意をもって臨んでおるわけであります。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事務当局の御答弁によれば、全購連に対する監督検査等におきまして幾多の怠慢があったことはお認めになっております。これは農業団体に対する官僚の監督のともすれば陥るところの重大な欠陥であると思います。そこであなたは、いろいろな角度から抜本対策をお考えになろうとしておることも、新聞記者会見等によっても一応考えられるのでありますけれども、今いろいろな構想を発表するということの前に、もっと本質的に深く掘り下げて考えてもらわなければならぬ問題が数個あると思うのです。  それで第一にはっきりしておいてもらいたいことは、今回の事件につきまして、だれが当の事務上の責任者であるかは別といたしまして、ともかく農協法による監督権の行使、行政権の行使の上におきまして相当なる手落ちがあった、怠慢があった、間違いがあった、こういうこことはお認めになるのでございましょうか。
  91. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほども申し上げましたように、検査において二十八年、二十九年、これを行なっておらぬというふうな点を初めといたしまして、幾多の遺漏があったことは私も十分に認めております。これに対する責任の究明をしなければならない、かように考えております。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでそのような検査等を通じてする監督権の行使が十分に行われなかった、これもきわめて重大な事件原因をなしておるものと私は思います。しかしさらにまたさかのぼってみると、検査することが唯一の行政行為ではないのでありますから、これは農林省組織法によってみましても、あるいはまたいわゆる肥料安定法の趣旨等によってみましても、あるいはその他の法規の解釈等によってみましても、農林省の行政の運営におきましては、もっと行政上における指導あるいは管理あるいは指示、そういったきわめて助長的な内容を持った面が多分にあることをわれわれは監視しなければなりません。この方面におきまして、遠くさかのぼって、今問題になりました東独等からのカリ輸入に対する各般の交渉等におきましても、いろいろなやみドル問題が伝えられておる、あるいはまた商社とともに行ったかもわからぬ。この点はまだ当委員会で明らかになっておらぬけれども、もし商社と、利害関係ある民間の者とともに行ったということであるならば、これはそもそも官紀の大きな紊乱でなければならぬと思う。言いかえますと、相手の全購連の計数の検査ということの前に、あなたの方の指導あるいは指示あるいはいろいろな行政から助長すべきそういった面に対する大きな手落ちが遠因をなしておる。言いかえますならば、むしろ海内という人は通称天皇とかいわれておりまするが、これは絶対権者という意味であることは申すまでもありません。この人の一言一句によりましてあらゆる活殺の事実が現われてくるというような恐怖の念を持って、一切の利害関係者がこれに対処しておる。そういうような立場にある者が中心となりまして指導行政的な面が適切でないということになりましたなら、これは大へんであります。従ってその前の段階における農林省当局の甚大な失態というものがこの事件のあるいは遠因をなし、あるいは背景密なし、あるいは基礎をなしておるというふうに考えるのですが、その点いかがでしょう。
  93. 井出一太郎

    井出国務大臣 農林省の行政が単に検査というふうなことだけでなく、指導助長という面に配慮を用いなければならぬという御指摘は、私も全く同感でございます。この具体的な事実においてしからばどうかという点になりますると、これはいろいろございましょうが、総括的に申しまして、今御指摘のような点は十分に改めなければならぬ、こう考えておるのであります。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで転じまして、この指導監督を受ける、たとえば今の農業団体あるいは指導せられ、協議の対象となるところの輸入商社あるいはメーカー、その他の取扱い業者、こういったものとの間にワクを越え、らち外に走りまして金品の授受をする、こういうようなことが農林省の官紀腐敗でないということは一体いえましょうか。私はこの点につきまして、あなたが抜本的に対策を講ずるという前に、こういう事実につきまして全農林省の役人が、この農林官僚の機構内部における腐敗と紊乱につきましては、ほんとうの大きな自覚と反省をしてもらわなければならぬと思うのですが、あなたはいかがですか。
  95. 井出一太郎

    井出国務大臣 行政の立場にあります者が、その対象でありまする団体とかあるいはメーカーとかいうものとの間にらちを越えたところのやりとりというふうなものがあっては相ならぬということは全く同感でございます。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 らちを越えた者があってはならぬということは同感である、そういった程度のことは、これは一様に申されるのであります。しかしながら今回起りました事件あと、あるいはまた今日まで至りました肥料行政を通じまして、これを中心といたしましての紊乱ぶり、あるいは被監督団体、被協議の対象である商社、そういったものとの間に行われましたところの無数のきわめて不道徳な、あるいは法律の違反、行政官としてあるまじき幾多の背徳的な行為というものの累積がこの事件を生んでおる。しかもそれが莫大な国家の予算を使うところの立場にある、こういったことになっておりますので、この点につきましては、単にそう思うとかいう以上に、やはり全農林省の官僚はあなたを頂点といたしまして、一切すべてがこの重大な背徳の事実に対しまして最も深い反省にまず出発いたしまして、それからいろいろなさきの話は出なくちやならぬと思う。あなたのいろいろな言動を見てみますると、何か人ごとのようにお思いになっておる、あるいは数名の自己の幕僚幹部がつかまるというようなこと、そういったことを客観的にお考えになるようなお立場のように私ども考える。この事態はそうじゃないのであります。やはりあなたらのお立場は法律によってのみ行動し得るのだし、国の予算を行使するということも農林省なるがゆえになし得るのである。この中で今回のようなこういうような事件を起しておるのです。この収賄といえども直ちに農林省の予算に関係ないとはこれは必ずしもいえません。国の予算に関係ないとはいえません。回り回ってわれわれ国民の税金がその背徳漢の役人のふところへ入ったかもわからぬ。飲食代になったかもわからぬ。めかけを赤坂に囲い、めかけを神楽坂に囲うところの経費になったかもわからぬ。数百万円のしゃれた自動車を乗り回す経費になったかもわからぬ。こういったように考えると、これはあなた以下全部ほんとうにその事実を自分のこととして考えてもらわねばいかぬと思うのです。人ごとのように思っちゃ対策は立ちません。抜本的な対策なんて口頭禅に終ってしまいますよ。それはどうでございます。
  97. 井出一太郎

    井出国務大臣 決して問題を客観的に論ずるというふうなことではなくして、まさしくこれこそが出発点である。この深い反省の上に立たなければ一切の施策も意味をなさない、こう考えております。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは他の委員質問に対しまして、農林省官僚必ずしも腐敗していないというお考えを述べられたのです。しかしながら数名の役人がこのどろ沼に入って、そうして他の者はきれいな正常な正しい姿であったというようなことは、これは連帯の機構の運営の上から見まして国民は納得できないのであります。そういう点から考えましても、これは数名の問題というふうな考え方は根本的に誤まりであるということを重ねて御指摘申し上げたいのです。  そこであなたに伺いたいのでありまするが、たとえば、これは必ずしもいろいろな資料をもって申し上げるのじゃありませんけれども、私はみずからの立場というものは、たとえば大臣立場というようなものは、全農林省の役人の一切の名誉をひっさげて立っておらなければならぬ、こう考えるのです。そこであなたは閣僚の一人であります。内閣は申すまでもなく内閣法によって連帯の責任を持っておる。そうしてすべての省の首長としてそれぞれ臨んでおられる、こういうようなお立場になっておるのだが、たとえば新聞に伝うるところの、現閣僚二名がやはり何らかの疑惑があるようなことが伝えられておる。もし最も高い道徳的な立場あるいは正しいことに対し最も峻厳に進んでいこうとする、いやしくも不正は許さぬというようなそういう峻烈な態度をもっていくのならば、あなたも閣僚の一人といたしまして、こういうような事実が、事実という意味はそれは報道の事実であります。こういうような事実がありましたならば、一つとって事の真偽を明らかにするというくらいな果敢な態度がなければ、今日のこのふんぷんたる今の汚職のにおいを消してしまうわけには参りません。根本的に綱紀の粛正はできません。この混乱の中でほんとうに農林行政を突き詰めていくわけには参りません。あなたはこの点について何らかの措置に出るところの勇気と意思を持っておいでになるか、この点を一つついでに伺っておきます。
  99. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、この問題は農林省部内のきびしい自己反省から出発をしなければならないわけでございまして、その頂点にございます私として、これはみずから身を挺してこの問題の処理に当らなければならぬわけでございます。従いまして今御指摘のような問題はまことに遺憾でありまして、私としましてもこれを明らかにしなければならぬ、こう考えております。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたらは当該疑惑を受けた人間に責任があるので、そこに責任の中心を求めようとするのであるか、あるいはそれとも行政は上下一連の関係にもあるし、一つ機構の中で動いておるのであるから、その責任者がそれぞれ責任をとらねばならぬというお考えにあるのか、あるいはあなたはその一切の首長たるにおいて適当に責任を明らかにするというようなお考えであるのか、あるいは事の責任の形は別といたしまして、一々そんなことに行政上、政治上の責任を感じておるようなことであったなら、幾ら大臣の命があっても足りないというようなお考えもあるいはあるかもわからぬ。一体その辺について、責任というものどういうふうにお考えになり、責任の所在を明らかにするということはどういうふうにすることが正しいのであるというお考え方なんですか。
  101. 井出一太郎

    井出国務大臣 決してこれを客観視して、当該者だけの問題で処理して事が済むというふうなことには考えておりません。これはやはり全体的な立場において責任を明確にしなければならぬ、こう存じております。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはしごく明確になってきております。それならば、たとえば昭和二十九年ないしは三十年前後から今日に至るまで、いつの年月、どの場所におきましてどのようなことが行われましたかは、まだ最終的には明らかになっておりませんけれども責任の所在を明確にするという以上は、たとえば今その地位にある、その職にあるいかんにかかわらず、役人として、行政官吏として、公務員といたしまして、それぞれの責めを負うべきであるというふうに私は考えます。その点はいかがでございますか。
  103. 井出一太郎

    井出国務大臣 具体的には、それぞれのケースによって問題は異なりましょうけれども、原則はおっしゃる通りでございます。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もしこの事件が、今あなたがお述べになっておる海内某外数名ということにとどまらず、さらに疑惑の範囲が拡大されていくというようなことになったならば、言いかえますると、現在世上で一応明確にならんとしておる範囲がさらに拡大していくということになりましたときに、あなた御自身としては、どういう責任を明らかにする道に進もうとされますか。
  105. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは事件の推移もございましょうし、現在の段階と時間的な経過によって局面が変って参るということもございましょうけれども、私としは先ほど申しあげる態度のもとに終始したいと考えております。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 行政上の責任につきましては、それぞれと道が講ぜられております。あるいは国家公務員法等によりまして、大臣責任ということになりましたならば、これはやはり政治責任をもって一応考えなければなりません。そこであなたといたしましては、事のいかんによっては、あなたが御就任の以後に発生した事件というようなものが相当ありとするならば、その範囲、分量・性質のいかんによりましては、あなた御自身もみずからの責任を負うて、大臣の職を辞してでもこの責任を明らかにして、全体の役人に対し、またすべての行政の綱紀の振粛のために、辞職してでも責任の道を明確にしていきたい、こういうような御決意を持っておいでになりませんか。
  107. 井出一太郎

    井出国務大臣 このことにつきましては、私自身非常にきびしくみずから々むちうっておるわけでございまして、具体的にただいまどうということは申し上げませんが、吉田委員がいわれますところのものは十分私の胸を打つものがある、かように申し上げてお答えにいたしたいと思います。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はあなたが近来まれに見る善意の人であると思いますし、またあなた御自身は清潔の人であると信じております。かるがゆえに、一そうやはり国家の公務員ないしは他人のために、ほんとうにこの業務をやる者の責任関係というものは、最も高い道徳的な標準によって律してもらわねばなりませんので、この機会を逸しては、農林省の、もしくは農林行政上におけるこの紊乱を根絶することはできません。あるいはあなたは機構改革を目ざしておられるかもわからぬ、あるいは人事の刷新ということを目ざしておられるかもわからぬ、あるいは法規的な方面にまで手を触れていきたいということをお考えになっておるかもわからぬ、あるいは衆知を集める委員会というものを設置して、衆知を集めることによって農業団体の今後のあり方をお考えになっているかもわからぬ、しかしながらそういうことの前に、もしくはそれよりももっと根本的な問題は、やはり責任を明確にするということであります。あなたも石橋首相のもとに農林大臣として就任せられた。石橋首相の日比谷公会堂における演説の一節にも、第二番目でありましたかに、綱紀の粛正を掲げられておるのであります。私はこれがやはり口頭禅に終らねばよいがと実は思っておりました。それをあなたはこの際この腐敗し切ったところの官僚の機構、官僚の農林行政の場面に直面しておられるのであります。そこでもし今私が申し上げましたように、あなたの責任を明確にしなければならぬというような問題にまでぶつかりましたときには、最高の標準によってあなたこそこの責任立場を明確にしてもらいたいのです。ほかの人であるなら私はこんなことは申しません。またこういうことを申しましても、そのときだけの答弁に終るかもわからぬ。しかし、石橋総理は自己の病気に省みて、総理としての責任を果せないというこの言葉を残して去っていきました。一回も総理として登院しなかった。これが世の賞賛を博しておったのであります。与野党あげましてこの態度には敬意を表したのであります。そのようにみずからむさぼることのなくして、責任を痛感するということがほんとうに今日求められている政治の道だと私は思うのです。これをあなたによって明らかにすることができましたならば、これは百の機構改革よりも、どんな人事の刷新よりも、ほんとうにそれ自身が一切を改める原動力になると思う。それがあなたが五年、十年大臣を勤めておりまするよりも、日本の国会ないしは歴史の上におきましては意義をもたらすものであろうと思います。それであるからあなたに伺うのであります。重ねて聞いておきますが、これらの点につきましては、深い反省に立って進んでいくとおっしゃいましたが、必ずこれらの点につきましては、身をもって責任の所在を明確にしてもらいたい。そうしてまた自己の部下といえども、何ら公私混淆することなく、整然とした秩序ある責任の所在の明確さを部下の一切に対してしてもらわなければならぬ、こう思うのです。その点について重ねてあなたの決意を聞いておきたい。
  109. 井出一太郎

    井出国務大臣 まことにごもっともでございまして、私自身その気持で事に当る所存でございます。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 去った人をとやかくいうことはまことに心苦しいのでありますけれども、やはりこの事件は、あなたの御就任になりました去年の十二月以降というよりも、以前が大部分の問題が起ったときでございます。そこで、やはり閣僚責任問題というものは、政治的責任は一応内閣を去ることによって明らかにされるものであろうと私どもは憲法的な考え方いたしております。しかしながら、そういうことの理由以外の理由によって辞職した元の閣僚であるならば、これはやはり何らかの形によって、もし同じように相当な前農林大臣としての責任を負うべきたとえば河野さんが、河野さんの立場から見まして、とかくいろいろな点から考えて相当責任があった、こういうふうに判断せられるのであるならば、これは何らかの形においてその責めをとってもらう。これは今日大臣を辞職するという立場ではないから求めることはできませんけれども、何らかの形におきまして、国民を理解せしめ、納得せしむるということが必要であると私は思う。言いかえますと、一体省の首長の責任関係というものは、時間的に考えましていつ一切が解消するのであろうか。ほかの理由によりましても、辞職することによって責任はすべて解除せられるというのであろうか。もしこれが刑事責任でありましたら、時効にかからない限りは責任は追及せられるのであります。けれども行政上の責任ないしは政治上の責任、あるいはその他の責任ということになりましたら、またおのずから別個の限界と方法考えられなければなりませんが、この場合に数年間在職しました前河野農相の立場というものは、私は責任関係において非常に微妙なものが生じておると思うのであります。その事実の真偽は別といたしまして、ちらほら質疑に現われますいろいろな案件を通しましても、今の海内との関係におきましても、海内を同伴して外遊しました事実におきましても、いろいろな角度から見まして、私は前の農林大臣のお立場というものは、相当重要な関係において責任の対象として考慮しなければならぬものと考えるのであります。  そこであなたに伺いたいことは、そういうふうに考えて参りますと、閣僚であった人が一たび去って平議員になっておられますけれども、しかしこの責任というものがもしありとするならば、辞職しておることによって一切が解除せられたということではいかぬのではないだろうか。何らかの形におきまして責めを負っていただかねばならぬのじゃないだろうか。しなければ国民は理解と納得ができないと思うのでありますが、この点に対する責任論の性格、責任関係大臣責任というものの限界、そういうものに対するあなたのお考え方を伺いたい。
  111. 井出一太郎

    井出国務大臣 責任と申しまする場合、ただいま言われますように、あるいは行政的な、政治的な、法律的な、あるいは道徳的な、いろいろなことに相わたると思います。ただいま吉田さん特に具体的な例をお引きになりましたけれども、これに対する私の答えは、あるいは少し酷に失するというようにも思われますので、御容赦いただくとしまして、私自身としては、やはり単に行政的なものばかりでなく、もっと深いものとしてみずからむちうって参りたい、こう考えております。
  112. 青野武一

    青野委員長 吉田君に申し上げます。今議長の方から、本会議を開かずに待っているという使いが参っておりますから、どうぞ簡単に願います。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。もちろん、これは世上たとえば国会関係までとかく疑惑の目が向けられておりますので、国会の末席におる私自身といたしましても、やはり一種の連帯の責任立場におきまして、まことに責任の軽からざることも実は考えるのであります。ゆえに農林省当局に向ってのみ声を大にして責め立てるということには、この案件につきましては、気持においても相当複雑なものが実はあるわけなんであります。ゆえにこれらにつきましては、私はいやしくも憲法上の行政の監督としましての国会の立場から、この国会の立場にある者が、この事件についてとかく言われたり、伝えられたりすることは、私はこれほど重大な罪はないと考えておるのでございます。でありますので、この綱紀の紊乱を粛正するということは、あらゆる角度からあらゆる方面にわたりまして、最も大規模にこれに向っていろいろ手を尽していかねばならぬということは、実は考えているのであります。でありますから半面的にあなたの方だけを責めるという気持ではありませんが、それはそれといたしまして、今日この問題の解決の一つのかぎは、どこまで考えましても私はやはり紊乱をしました綱紀を正すという一点にほんとう立場を置いて、そこから一切の方策を考え出していくということに立ち戻るのでないと、どうにもならぬほどの根の深いものである、こう考えておりますので、あえてあなたの責任の問題まで論じた次第であります。しかしながらこれはどうかあなたと私との論議のやりとりに終ることなく、お互いもし政治生活を長く続けていくということであるならば、こういう一つのきっかけをもちまして国会も粛正される、行政界も粛正される、行政界と被監督団体とのくされ縁も粛正されていく、団体団体としての、一切の農民のための奉仕団体の実を上げていく、商社にしましても、利益を稼ぐだけが商社の使命でないはずであります。輸入商社とのくされ縁にいたしましても同様であります。商社が外を取り巻いて、かよわい農林官僚を陥れているという事実も私ども知らぬではない、というようなことを考えますと、それはいろいろな角度に問題を取り上げていかねばなりませんけれども、どうかこういったことを一つのきっかけといたしまして、非常に明朗な道が開けていくという大きな一役を、あなたらの責任を明確にするということによって達成していただきたい、こういう念願をしておりますのであえて御質問申し上げた次第であります。あなたの最終の御所見を伺いまして私の本日の質問を終ります。
  114. 井出一太郎

    井出国務大臣 いろいろ御鞭撻をいただきましたことにつきまして、私は吉田委員の全く高い立場——何か私も単におしかりをいただくというのでなくて、非常に打たれるものを覚えた次第でございまして、この御趣旨を体してやって参る所存でございます。
  115. 青野武一

    青野委員長 他に御発言委員もありましょうが、本日は本会議のあることでありまするから、本件に関しまする調査は本日のところは一応この程度といたします。全購連汚職に関し、国会議員の中にも多数疑惑の中に包まれておりますことでありますから、独自の立場から決算委員会全国民に、特に農民諸君に対してこの真相を究明してこれを天下に公表していく、こういう態度を終始一貫持って各委員の御努力と御協力をお願いいたします。  次会は公報をもってお知らすることといたします。本会議もありますので、本日はこの一程度で散会をいたします。     午後一時十九分散会