運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-02 第26回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 臼井 莊一君 理事 關谷 勝利君    理事 坂本 泰良君 理事 吉田 賢一君       小金 義照君    床次 徳二君       林   博君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    片島  港君       山口丈太郎君    山田 長司君  出席国務大臣         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         議     員 奥村又十郎君         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      福田 久男君         会計検査院事務         総長      池田  直君         会計検査院事務         官         (第一局大蔵検         査課長)    宇ノ沢智雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月三十日  委員片島港君辞任につき、その補欠として岡良  一君が議長指名委員に選任された。 四月二日  委員岡良一君、神近市子君及び上林與市郎君辞  任につき、その補欠として片島港君、山口丈太  郎君及び山田長司君が議長指名委員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(都道府県会計経  理に関する問題)     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 これより決算委員会を開きます。  歳入歳出実況に関する件(都道府県会計経理に関する問題)につきまして調査を進めます。  本件につきましては、去る三月二十八日の委員会におきまして、田中自治庁長官ほか政府委員より一応の説明を聴取いたしたのでありますが、自治庁長官よりなお調査のための猶予を与えてもらいたいとの申し出がありましたので、本日まで待っていたのでありますが、その後判明した点等につきまして、前会に引き続き調査を進めることといたします。自治庁長官から御報告を願います。
  3. 田中伊三次

    田中国務大臣 二十八日に御質疑のありました福岡県庁に起った会計経理に関する事件でありますが、その後電話をもって事件概要を知ろうとしたのでありますが、どうも電話をもってしては完全に参りませんので、福岡東京事務所所長を呼びまして意見を聴取いたしましたが、これも事柄が明瞭となりません。よってその翌々日の三十日の朝の第一便の飛行機山本調査官を派遣いたしまして、慎重に調査をなさしめております。ところが大へん調査が困難でありまするのは、御承知通りすでに検察庁の手によって調査の対象となるべき文書の大部分が押収されておるという現状に置かれておりまして、調査は容易でないのであります。しかしながらいろいろ不眠不休調査を遂げまして得たる調査概要を昨日の夜の飛行便で、文書福岡より発送したということの電話が昨夜あったわけであります。本日はもう午後早々にはどんなにおそくともその文書が到着するものと見て、再三政府委員室から自治庁の本庁に問い合せをして待っておるという現状でございます。今のところまだ入手をいたしませんが、午後にはおそくとも入手ができる見通しでございます。なおその間において、文書文書といたしまして、口頭で電話をもって問い合せ調査をいたしましたのは、ここにおります小林財政部長でございますから、そのいきさつは財政部長からあらためて御報告をいたします。
  4. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今大臣からお話がありました通りでありますが、電話連絡によって私のところに入手しました状況を御報告申し上げたいと存じます。  私の方の立場といたしましては、福岡県における公金扱いの問題でございますので、福岡県における歳計現金がどういうふうに預託され、それからそれが特に問題になっております信用組合に対してどういうふうに扱われたか、信用組合というものはどういうものであるか、そういうような点を中心にして一部調べ、それからなおこういうものにつきまして監査委員監査一体どうなっておるかというお尋ねがこの前ございましたので、監査委員監査状況もはっきりさせよう、それからなお、こういうものは、当然決算によって現われ、決算の審査の場合に知事監査委員意見を付して県会に出しておるはずじゃないか、そういう関係の次第も明らかにしようというようなことを中心にとりあえず資料を集めたのであります。  第一番の福岡県における歳計現金扱いの問題でございますが、これは当然に原則として金庫銀行預託手続を全部とっておるのでございます。福岡県の金庫銀行は、福岡銀行、これは地元では一番有力な金融機関だと存じております。この金融機関預託する条件として、これは金庫契約で明らかにしておるわけでございますが、まず一つは、支払い準備金として五百万円は無利子で扱う、それから普通預金として二億は年利二分一厘九毛で扱う、この金額を越す金額金庫銀行の方に収納されました場合には、これは自動的に定期預金になる。その定期預金が一口一千万円の定期預金で、三カ月年利四分、そういう扱い定期預金に自動的になりまして、これは歳計現金ですから、常に金の出入りが必要で、必要な場合には当然この定期預金が解除になって使われる、こういう仕組み金庫契約が成り立っておるようでございます。そこでこの金庫銀行以外の金融機関にどういう場合に預託することがあるか、原則は、金庫銀行がある以上は、そこで扱うのが本筋でございますが、それ以外の金融機関にどういう場合にどういう手続預託するか、これが一つ問題点でございまして、そこを調べました結果、電話報告でございますが、この場合は、現在の自治法の建前では、現金出納保管出納長責任であり、権限に属しておるのでございますが、実際の扱いは、出納長自身金の管理上、ほかの金融機関に預けた方が適当だと認める場合も一つあります。もう一つは、知事の各部局から、いろいろ県政の円満なる遂行上、あの金を預託してくれという場合もあるそうでございます。たとえば中小商工業者融資の道を便利ならしめるために、商工中金預託してくれとか、あるいは年末の農業経営資金のためにどうしても要るから、一部農林中金預託してくれ、こういう農政の立場からの要求もあります。こういう場合には知事の各部局から出納長に対して預託を依頼する、こういう二つの筋道があるようであります。いずれにいたしましても出納長責任で最後はやるのでございますが、一応知事の各部局相談をしてほかの金融機関への預託を扱う。その預託の場合の条件も一定の条件をきめております。預託期間は三カ月、利率は一般金融機関の場合は年四分、信用組合の場合は四分一厘、こういう資金金庫銀行定期預金を解除してその資金預託するという扱いをきめておるようでございます。  一般的な金の扱いの例はそうでございますが、例の福岡職員信用組合というのはどういうものか。これはまだ定款が参っておりません。先ほど大臣からお話がありました通りけさ航空便で送っておるはずで、もうそろそろ着くはずだと思っております。定款はございませんが、電話入手しました情報によりますと、この信用組合中小企業等協同組合法による信用組合でございます。そして中小企業等協同組合法には、「この法律は、中小規模の商業、工業、鉱業、運送業サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織」とございます。この法律に基いて信用組合ができておるようでございます。この信用組合定款を見ますと、「この組合勤労者その他の者の協同組織により、これらの者に必要な金融事業を行うことを目的とする。」ということが第一条にございまして、この事業合理化のために「左の事業及びこれに付帯する事業を行う。組合員に対する資金貸付組合員預金及び定期積立受け入れ。国、地方公共団体、その他営利を目的としない法人預金受け入れ組合員と生計を一にする配偶者その他親族の預金または定期積立受け入れ。前号に掲げる者に対する預金または定期積立を担保とする資金貸付金融機関業務の代理。」こういうふうな仕事を業務にいたしておるようでございます。その組合活動地区福岡県一円とする、これは条例でそうなっております。それでございますからこの信用組合は当然その法律に基きまして、知事承認を受けて設立され、知事指揮監督のもとにあるはずでございます。組合員状況は、組合員は約二千五百人だそうでございまして、ここにこの前議論にはなりませんでしたが、新たな事実として承知しました福岡住宅協会というのがこの組合員になっておるのでございます。それがなったのは昭和三十年二月十四日。要するに個人だけではなしに、法人も加入ができるようになっておるようでございます。この福岡住宅協会についてはこれの詳細な定款が今手元にございません。御承知通りこの住宅政策を推進するためにはいろいろな方便がありまして、各市町村が国の補助を受けて自分公営住宅を作る場合が一つ、それから一般の住民が住宅金融公庫から資金の融通を受けて自分の持ち家を建設する、これは貸家の場合もあると思います。要するに一般個人建設をする資金住宅金融公庫から受ける場合には、御案内の通り住宅金融公庫から全額融資されるのじゃなしに、頭金二割五分見当ですか、これは自分が持つ必要がある。あとの七割五分を住宅金融公庫から借り入れを受けるのであります。ところが貧乏な一般勤労大衆では、この頭金の確保ということは事実上困難であります。やはり二、三十万円の金が要りますから、そこで住宅金融公庫融資住宅を建てる場合には、この頭金入手困難な一般大衆のためにどうして家を作るかということが非常に問題でございます。福岡県ではその点を非常に重要視いたしまして、その道を開くために何か考えないといけないのじゃないか、こういうので県の重要な住宅対策の一環として住宅協会というものを作ったようであります。そうしてその住宅協会に対して、県がちょうど頭金に相当する金額を、補助か出資かそこの関係は私のもとではわかりませんが、ともかくもその金を一部住宅協会に出しまして、あと住宅金融公庫から融資を受けて住宅建設する、これは住宅対策のやり方としては一つの意義を持った方策だと思います。住宅金融公庫はこの協会に対して従来も貸付をやって……。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中ですが、いろいろあなたの御意見を加えずに、やはり知った事実だけをなるべく要点だけ述べていただきたい。
  6. 青野武一

    青野委員長 吉田委員の御注意もありましたが、先ほどからの小林財政部長報告によると、たびたびあなたの御意見が出てくるようなおそれがありますから、御意見は抜きにして、御意見は各委員の質問のときに御答弁の中でやっていただいて、報告は単なる報告にしていただくよう一つ御注意願いたい思います。
  7. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そこで、住宅金融公庫の金が融通されるまでの間、この資金の流れに多少時間的なずれがあるので、その間のつなぎ資金が要るので、信用組合より貸付を受ける、こういう仕組みをとっておるようでございます。昭和三十年の十二月末現在によりますと、合計一億九千四百万円の貸付信用組合から受けておるようでございます。その一つは今申しました通り金融公庫よりの金が入るのがおそいので、そのつなぎ資金に必要とする。もう一つは、住宅建設土地買収資金として一部九千四百万円、こういうことで信用組合から貸付を受けることになっておるようでございます。そこでこの信用組合住宅協会貸付をするのに、さらにその資金が必要である。信用組合だけの資金では十分でありませんので、その資金を必要とするので県から預託を受けておるという事実があるのでございます。それで昭和三十年度において一億九千四百万円という金を県の方から預託を受けておるのでございます。これはその後大半返されまして、現状においては七千万円だけ残っておるそうであります。県からのただいまの預託金は七千万円でございます。一応一億二千四百万円は戻っておるということでございます。  そこで、今度は信用組合に対する県の預託関係でありますが、今申しました通り、一億九千四百万円が三十年十二月末にありまして、現在七千万円残っておりますが、その趣旨住宅協会事業資金として必要なつなぎ資金並びに土地入手の一時の資金としてやるのでありまして、その条件年利率が四分一厘でございます。そうしてこの手続は、県の建築部長知事の決裁を得て出納長に要請して、出納長施行部局相談をしてやったものと見られます。その間の書類上の処理は、今のところわれわれのところに入っておりません。事実はそういうことのようでございます。  なお、この信用組合に対する県の預託は、今の住宅協会に関連するものだけではないのでございまして、昭和三十年度以前においても、信用組合運営資金として二千万円程度預託が行われておる事実がございます。  信用組合と県との関係は、大体調査したところは以上のようでございますが、さらにこの信用組合以外の金融機関に県はどういう預託を行なっておるかという事実につきましては、まだ正確なことはわかっておりませんが、中小企業に対する融資等のために歳計現金預託が……。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中ですが、やはりこちらで要求した事実を、なるべく要点をお述べ願いたい。あなたの方では参考になるだろうと思っていろいろなことをお述べになろうとするんだろうと思うけれども、ほかのことはまた聞くことにしますから……。県のやっている財政事情を全部お述べになったら一日やっても足らぬのですから、そのつもりでやって下さい。
  9. 小林與三次

    小林(與)政府委員 承知しました。それでは、ほかの金融機関に対する預託の問題は申し上げません。商工中金農林中金などにやっております。  なお、これらの問題につきまして、決算並びに監査委員関係の問題でございますが、監査委員は毎年六月と九月に月例出納検査をやっておるようでございます。それで問題の十二月の関係のものは、三十年度にはもちろんやっておりません。三十一年度の六月と九月にやっておる事実がございます。これにつきましては、預託金につきましてはもちろん検査をいたしております。それから三十年度の、その扱われました決算は、現に開会中の県会に提出されておりまして、まだ議会の承認は得ておらぬそうでございます。私の方といたしましては、知事が提出した決算書の原本を入手するために要求しておりまして、これはもう、きょう航空便で来ておる資料の中に入っておるはずでございます。  大体以上がただいままで私のところでわかりました事実のあらましでございます。
  10. 青野武一

    青野委員長 発言の通告がありますので、これを許します。坂本泰良君。  その前にちょっと申し上げておきますが、自治庁から田中長官小林財政部長岡田調査課長、法務省から井本刑事局長、大蔵省から東条銀行局長福田検査部長、以上六名の方が御出席になっておりますので、そのつもりで御発言を願います。
  11. 坂本泰良

    坂本委員 三十年十二月末の一億九千四百万円貸し付けの点はわかりましたが、三十年十二月末に三回にわたって第一相互預託を一億円しておる、その点についてはわかっておりませんですか。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 信用組合と第一相互との関係につきましては、私のところは第二次的な調査にしておりますので、まだそこまで調査が及んでおりません。
  13. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、三十年十二月末に一億九千四百万円貸付になって現在は七千万円残っておる。それがどういうふうにして返済になっておるか。その経過はわかりませんですか。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この預託日時とか、逐次返済された日時などの詳細はまだ手元資料はございません。最終の結末だけを聞いておる次第でございます。
  15. 坂本泰良

    坂本委員 監査委員の三十一年六月の検査の際、本県の問題の一億円の預託についての点は、何ら載っておりませんか。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 六月の監査の際には、もう一部返済済みのようでございます。信用組合への預託についての調査が行われておりますが、その金額の内訳はちょとわかっとりませんけれども、預託期間が満了しておるのにかかわらず、更新手続がされていないのはおかしいから、当然三ヵ月ごとに更新手続をとること、こういう趣旨監査委員意見が出ておることがわかっております。
  17. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、三十一年六月の監査の際には、当然三十年十二月の一億円の預託については監査があったはずだと思うのですが、この東京にあります第一相互に対する預託については、六月の監査委員監査報告には載っていない、こういうふうになりますか。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは歳計現金でございますから、どうせ三十年度のものは三十年度中に県に一度返っておると思います。そうして三十一年度になれば、三十一年度の新しい預託としてその手続が済んでいるものと考えます。その六月の監査のときにどれだけの金額があったのかということは、ちょっと今私のところに資料がございません。これは第一相互とは直接関係がございませんで、県が直接預託をしておる信用組合だけしか、監査委員としては直接監査権限がさしあたってないわけでありますので、その関係監査したんだと思います。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 一億九千四百万の貸付は、先ほど御説明があったように、組合員のいろいろな住宅建設についてはもうすでに出ておるから、第一相互に三十年の十二月、三回にわたって一億円やったのは、どうも組合預託でなくて、組合名前にして県の金を預託した、こういうふうに見られるのですが、その点どうですか。
  20. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そういう点の問題は、自治庁といたしましてはまだはっきりしておりません。自治庁といたしましては、要するに県の公金がどういう経緯で信用組合預託されたか、預託されたものが現在どうなっておるか、どういう趣旨目的手続預託されたか、そういう点を調べておるのでございます。信用組合と第一相互との問題は、信用組合プロパーの問題としてまだ検討していくべき問題でございます。今までのところでは、以上申し上げました程度資料だけでございまして、それ以上の問題につきましては、まだ情報を得ておりません。
  21. 坂本泰良

    坂本委員 先ほどの御報告では、三十年十二月末の一億九千四百万円の県預託が、現在七千万円に減っておるということですが、これはやはりもう住宅に関してこれだけ預託したんだから、組合としては別に一億円の金を持っていないように考えられますが、その点いかがでしょう。
  22. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは組合自体監督運営の問題でございまして、自治庁が直ちにそこに踏み入るべき問題でないと思います。全般的な報告がどういうふうに来ますか、今までのところは、それ以上のことは私どもの方でもわかりかねます。
  23. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、この調査は県が組合預託した額だけで、その預託金は当然組合で適当に使っておると思いますから、やはり県は、一億円は組合名前で第一相互に入れたというよりほかに見れないのです。組合に対してそのほかに、一億円という別の預託みたようなものが現在のところはあるかないかわからぬわけですか。
  24. 小林與三次

    小林(與)政府委員 県の公金が、少くとも信用組合に動いたものにつきましては以上申し上げたのが全部で、それ以外はないのでございます。
  25. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと三十年度の決算は三十一年の三月三十一日で終るわけですが、その際決算はどうなっておるかということはまだおわかりになっておりませんですか。
  26. 小林與三次

    小林(與)政府委員 三十年の決算知事手元ではまとまりまして、現に開会中の県会に提案中のはずでございます。その決算書の写しを一部至急取り寄せておる最中でございます。
  27. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると三十一年六月と九月に検査した内容、それから知事が提出しておる決算、これはこの問題が起きたから、この決算が先般の県会でこれだけ留保されておる事項と聞いておるのですが、知事が提出した決算内容書類がくればわかるわけですね。
  28. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その通りでございます。
  29. 坂本泰良

    坂本委員 どうもこの一億円が全然組合に適法の預託でなくて、ただ組合名義でとにかく組合長出納長と副知事——こういう一億円もの預託知事が関与しなければできぬと思うのですが、こういうものの手によって、ただ組合の名において第一相互に三回にわたって一億円預金している、こういうふうにしか思えないのですが、なお監査委員決算報告を見た上でその点は究明していきたいと思います。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 自治庁電話福岡県と連絡せられて調査したそうだが、一体だれと連絡したのですか、相手はだれですか。
  31. 小林與三次

    小林(與)政府委員 向うへ派遣しましたこちらの調査官でございます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調査官はあなたの方の部下なんです。せっかく自治庁を代表して、この重大な問題で問い合せするときに、福岡県の責任者電話連絡をしなかったのですか。現に長官東京福岡出張所長を呼んで事情を聞いたけれども、要領を得ないという。それならば電話をかけるなら知事もおるわけです。どうして知事にこれを照会し、知事相手にいろいろと調査をしなかったのか、この点長官はどうなんですか。
  33. 田中伊三次

    田中国務大臣 知事には公の文書をもって報告をせよということは電話でよく申し伝えてあるはずでございます。くるはずでございます。それとはまた別個に事が重大であると考えましたので、お説等もございましたので、三十日に飛行機をもって出した。そこで向うに到着をいたしますや直ちに調査に着手をしておる事情でございますが、その後調査がおそいですから、電話をもって、どういうわけでおそいのか、今どういう段階にあるかということを調査いたしますのは、やはりこちらの出先をとらえて話をいたしますことが筋であり、そうむずかしく考えたわけでございませんが、こちらの出先に対して電話でもって報告をさしておる、こういう事情であります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東京の、県の出先連絡するほどに相手と直接連絡をするならば、わざわざ福岡県へ長距離電話をかけて問い合せをするのならば、どうして知事と話をしないのか。重大だから文書をもって報告せよというのはわかるけれども、何もあなたの方から出張した者と電話連絡するという、それだけに限るべき筋じゃなかろうと思う。相手とどうして話ができないのですか。現に東京出張所所長とはあなたの方はお話になっている。端的になぜ福岡知事お話にならないのか。一体福岡知事はおるのですか、おらぬのですか。その点あわせて御答弁願いたい。
  35. 田中伊三次

    田中国務大臣 そんなにむずかしく考えておらぬのです。知事文書をもって報告しろ、同時にこちらから人を派遣してやっておるけれども、文書がおそいから、何をしておるのだ、こういうことです。そこでそういう場合にはこちらから行きました者と話すのが手っとり早く話ができ、簡単明瞭だから……。無論知事直接に調べなければならぬことが文書報告の結果起るかと存じますが、今の段階はそういうふうにやった、こういうわけです。そう複雑に考えておりません。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官は前回当委員会におきまして、この問題の重大性にかんがみまして、相当決意を持って調査するということをここで御確約になっているが、事さほどに重大にお考えになっておらぬような今のお言葉であります。山本調査官と話をすれば簡単で明瞭であるから……。簡単明瞭ということよりも、現に小林財政部長の御報告は一億円問題については全然触れておらぬ。一体一億円問題を調査に行ったんじゃないのですか。弁解を聞きに行ったんですか。刑事局長は一億円の容疑をもって副知事が逮捕されているということを報告せられているのです。それならば一億円問題に触れるのが当然であろうと思うが、全然触れておらぬ。あなたの方はやはり委曲を尽して県当局からもっと直接に聞くべきだと思う。書面で報告、それもよろしいが、今日まで五日にもなるけれどもこない。飛行機でくるとか午後にくるとかおっしゃっているが、何もこない。組合定款を出してもらいたいといったところが、定款の要綱を部長は朗読して当委員会には出さぬ。一体そういうことでいいのだろうか。一体本気に端的に真相を知るべく、核心を突くべく、あなたの方はあなたの方の立場調査する熱意があるのだろうかと私は疑う。それはなるほど長官は、自分らが責められる理由はないのだ、福岡県がやったことだから、自治庁福岡県の様子を調べればいいじゃないかというのがあなたのこの間のお話であったけれども、長官を責めているのじゃないのです、しかしわれわれ国会の立場といたしましては、やはり自治庁自体が長官を先頭にしまして、一つすみやかに可能な範囲で国民に事の真相を伝える義務があると思う。検察庁は検察庁として、司法権は司法権として独自の立場でやっておられるが、自治庁自治庁として独自の立場で御調査になるということは、前回のここに対する確約なんです。にもかかわらず今日の今のお話では全然誠意がないと思う。今のあなたのお話によると、一億円に全然触れていないのです。一億円に触れずして、外郭のことばかり、いやどこの組合が幾ら預託したとか、そんなことばかりをとらえて、こまかい数字をここでお話しになるということはどうかと思う。ほんとうにこの問題の調査に協力するつもりならば、もっと積極的な態度で御調査になって、内容ももっと的確な御報告があってしかるべきだと思うのです。飛行機で急いでいるかどうか知らぬけれども、何も答弁になっておらぬじゃありませんか。報告になっておらぬじゃありませんか。今お聞きする事柄は事の真相にちっとも近寄っておらぬ。一億円問題は一言半句も触れない。そんなことでいいのですか。
  37. 田中伊三次

    田中国務大臣 今吉田先生の御質問を承わりますと、どうも私のやっておることがぴんとこない。それはよいかげんにやるなどという考えじゃないのです。ここでお言葉をいただきましたので、直ちに事務所の所長を呼んで先にアウト・ラインでも聞きたい、新聞に出ておること、ラジオで放送しておるそういう事柄が事実大体においてあるのかないのか、こういうことも先に知りたいということでやりましたのですが、なかなか事が明瞭になりません。そこで直ちに飛行機をもってやったり、その間に知事に対しては電話をもってすみやかに公文書をもって報告をしろ——これは報告を求める権限法律の上であるものですから、すみやかにやれ……。むろんそれが到着いたしましたら、ありのままにお目にかけまして、なおこちらの判断も加えて、それに対しては調査を進めることはびしびし調査を進めるということの熱意もあるということはどうかお疑いにならないように願いたい。何かほったらかしておるようにおしかりをいただくのでありますが、そういうことではないのです。一生懸命やっておるのです。それで、もうそう言っておる間に、今にも文書報告が届くものと思っております。きのう出したということですから、きょうはもう届くと思うのです。
  38. 青野武一

    青野委員長 会計検査院から池田事務総長、同じく第一局宇ノ沢大蔵検査課長が出席しておりますから、念のために御報告しておきます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら少しほかの面から伺ってみます。この間財政部長は、長官もおいでになるところで、県の公金信用組合等へ預託せられておるということは、これは別に法律上は違法ではない、それならば全国的にそういう事例があるのかと伺えば、そういう記憶はない、こういうことであった。私は非常に不思議な言葉を聞くものだと思って、少し人にも聞いてみました。ところが、やはり相当あるらしい。けれども、自治庁財政部長ともあるものが、そういう記憶がない、知らないというのは一体どういうわけだろう、それほどにこの問題について福岡県庁の財政的なあり方をかばう心でもお持ちになっておるのだろうか、そういう先入主を持ってこれを扱われたら大へんだと私は思ったのであります。そこであなたに重ねて伺うのですが、第一にこの一億円——ようございますか、一億円ですよ。この一億円の公金と称するものは、あなたの観察によれば、最終の結論は別といたしまして、どういう種類の現金だというふうな御判定でありましょうか。
  40. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私はもう事実と私の法律の解釈だけを述べておるわけで、それ以上に他意はございません。  そこで、今の一億の性質という意味はちょっとよくわからぬのですが、もう一度お伺いいたします。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出納長が保管しておったこの一億円というものは、県の財政の現金としてはどういう種類に属するのかという意味です。
  42. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは福岡県くらいの大県になりますと、歳計現金は常時十億やそこらはあろうと思います。税の収入でもあるときは、二十億くらいあるときもあろうと思います。この一億は、そのうちのどの金だと言うわけにもいきません。要するに、そういう県の手持ちの現金の一部ということでございます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 記録にとどめておきたいので聞くのですが、歳計現金とはどういう性質のものでしょうか。
  44. 小林與三次

    小林(與)政府委員 歳計現金は、歳入歳出予算を執行いたす場合に、歳入が入ってくる、それはそのまま歳出に充てるべきものですが、その際出入りする金が歳計現金であります。要するに予算執行上、出納で保管しておるのが歳計現金であります。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この一億円の金は、あなたの言う歳計現金に属しておるやいなやわからぬということですね。
  46. 小林與三次

    小林(與)政府委員 この一億円は当然歳計現金の一部でございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 歳計現金以外にはどういう種類の金があるのですか。
  48. 小林與三次

    小林(與)政府委員 歳計現金以外には、本来県の、これは現金は少いと思いますが、県有財産があるわけです。現金の形であったり、債券の形であったり、株の形であったり、いろいろするのですが、そういう県有財産としての金がほかにあります。予算執行上のものは全部歳計現金、こういう観念で律しておるわけでございます。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとわかりかねたのですが、県有財産の現金というのは具体的にいえばどういう例があるのですか。
  50. 小林與三次

    小林(與)政府委員 たとえば学校を作るための積立金を持っておるとか、あるいは災害救助のための基金、こういうふうな積立金などが考えられます。そういうものは別にあり得ると思います。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出納長が流用した一億円が当然歳計現金である、こういう御主張でありますが、地方自治法の二百十三条の中に「普通公共団体は、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、財産の取得、管理及び処分並びに営造物の設置及び管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」こうなっております。従って現金という財産の管理処分、ことに一億円の金を信用組合とか住宅協会をパイプにして第一相互に導入預金をしたのですから、明らかに処分です。この管理処分の場合には条例で定めなければならぬということが二百十三条に書いてある、それに該当すべきものと思うのだが、その点はいかがですか。
  52. 小林與三次

    小林(與)政府委員 歳計現金は二百十三条には該当いたしません。これは予算の歳入歳出に伴う金でございまして、もっぱら予算で拘束されるものでございます。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは大事な点であるのですが、該当しないというのはどういう理由ですか。
  54. 小林與三次

    小林(與)政府委員 先ほど申しました通り歳計現金は予算によって収入支出がきまって、その通り入ってきてその通り使う金でございます。これはそうではなしに、県の財産として県が持っておる不動産、動産、株券その他のものを規制する規定でございます。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この規定の文章からは今の歳計現金までは含めないという趣旨が出てこないと思うのですが、あなたのそういうふうに解釈なさるのはどういう理由に基くのでありましょうか。あなただけがそういうふうに解釈なさるというのか、それともそうでなしに、立法の際のそういう説明等があったのか、あるいは行政事件的な判断でもあったのか、それはどういうことなんですか。
  56. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは自治法の一貫した解釈でございます。この第九章財務の第一節財産及び営造物として二百十三条があるわけでありまして、これにつきましては「法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外」云々となっておるわけでございます。そして収入支出の規定は後段にありまして、収入支出、それから出納及び決算、こういう手続歳計現金が扱われておるわけでございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 自治庁の一貫した解釈とおっしゃるのだが、二百十三条の財産ということには歳計現金を除外するという文章はどこにも書いてない。そうすると、これを正面から文理解釈すれば当然含むと思うのですが、その点どうでしょう。
  58. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは法律またはこれに基く特別の定——そういう御疑問があれば、その特別の定の一つとして、収入支出の規定が全部ございまして、これは知事の支払い命令に基いて出納長が出納する、その手続方法が全部後段の方の条文に書いてあるわけでございます。この収入支出の手続によって歳計現金が処理されるわけでございます。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、あなたの御解釈によると、出納長はたとい百億の金といえども歳計現金であるから、つまり福岡県ならば三十年度決算は二百六十億円の歳出歳入の現金があったわけですが、これは条例を作ることなくして、任意に管理処分ができる、こういうことですか。
  60. 小林與三次

    小林(與)政府委員 出納長は管理処分権は全然ございません。出納保管権限だけでございます。金が県という団体から入ったり出たりする場合は、当然執行機関の支払い命令なり収納命令なりという命令事務に基いて行われるものでございます。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうではなしに、本件の例のごとく、これはあなたの言うところの歳計現金一億円を、信用組合をパイプにして、東京の第一相互へ導入預金をしておるのです。そういうことは出納長権限として可能だ、こういうふうになるわけなんですね。従ってどこの府県でこういうことをやっても、それはリベートをもらい、裏金利さえとらなければ、たとい百億円それが第一相互へ流れていっても法律上違法ではない、あなたはそういう見解なんですね。
  62. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私は第一相互との関係はよく存じません。要するに出納長権限として百七十条に、地方公共団体現金または物品の出納その他の会計事務をつかさどる、こういう出納長権限がございまして、出納長はこの物品の出納保管権限として公金を適切に管理すべき義務がある、こういうことを申し上げたのでございます。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 適切の管理ということだけはよくわかるのだが、そうすると信用組合預託することは法律上違法にあららず、可能である、それから相互銀行へ預金することも、別にそれは出納長が是と信ずればこれも法律上可能である、こういうことなんですね。もちろん前会もそういう趣旨の御答弁であったのですが……。
  64. 小林與三次

    小林(與)政府委員 出納長の仕事は、県の金を信用組合ですかほかの金融機関預託するまでは、これは出納長権限責任の問題です。それから信用組合信用組合の金をどうするかということは、これは信用組合自体の問題でございまして、出納長とは直接関係はございません。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。私の言うのは、信用組合というのは、この場合は一つのパイプなんです。よろしゅうございますね。それはそうではないという反証もあなたはないわけなんです。しかしそうであるという論証はまだするのは早いかもしれないけれども、少くとも副知事を逮捕しておる理由はそうであることなんです。だから信用組合預託することは当然なし得る権限である、信用組合がどう使うかということは、これはまた別個の問題だ、こういうふうにあなたは御解釈になっておる。信用組合預託すると称して、信用組合は単に通り抜けであって、そしてあなたは相互銀行に預金する、信用組合預託する、あるいは住宅協会へ貸し付ける、そういうことについての条例は要らぬというのですね、そうなんですね。
  66. 小林與三次

    小林(與)政府委員 現金出納保管一つの方法として、他の金融機関歳計現金を一時預託することにつきましては条例は要らないという解釈でございます。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますると、一時というのは一体どのくらいの期間を限定するのですか。
  68. 小林與三次

    小林(與)政府委員 歳計現金でございますから当然一会計年度内における、きわめて短期の問題でございます。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一会計年度といったら十二カ月で、十二ヵ月の間適当に区切って、歳計現金、すなわち福岡県の場合は二百六十億円を、出納長が保管の方法をこれでよろしいと思うならどう使ってもよい、こういうことは大へんだと私は思うのです。そういうふうにまで一体この条文を解釈するというのは——これが自治庁の一貫した二百十三条の解釈である。二百八条以下が財務規定になっておるが、そういうことでいいのだろうか、私は疑うのです。あなたの方は、自治庁は地方団体に対して財務監督権限があるということに御説明になっております。地方団体は自治の精神によって昔の内務省式な監督は受けない建前になっておることは、憲法も明らかにしております。明らかにしておるけれども、しかし国の財政上の莫大な資金が地方へ流れておることは、だんだん申し上げておる通りであります。その金が、福岡県の場合は三十年度は百三十五億円、これは補助金、交付税等であります。それを一年間の会計年度の期間適当に区切って、短期であるならば出納長権限で保管、管理、だれにそれを渡してもよい、交付してもよいというような、そういう広い解釈をして、それでいいんだろうか、そういうようなことでいいだんろうか、これは一つ私もしろうとだが、長官はかねてこの道には詳しい人であります。すでに長官になって相当日もたつのだが、これは根本的に一体どうお考えになるか。私はやはりこの問題をめぐって、自治の限界、それから財政自治、地方団体における財政自治というものと、少くとも国家財政の関連において、国の機関がどういう程度に介入ができるかという問題は、きわめて重大な私は根本問題だと思う。部長の話によりますと、九州から北海道までの全部の都道府県が、何百億円であろうと、十二ヵ月以内に適当な期間を自分の信ずる何らかの団体に交付していいということなのです。返ってくればいいですよ、返ってこない危険もある。裏利を取らねばいいですよ、裏利を取るやつもある。導入預金に使わねばよい、導入預金にするやつもある。そういうことをやってもそれが犯罪にならねばいいというあなたのお考えが根本になっておると私は思う。大へんなことだ、これは。長官どうです。
  70. 田中伊三次

    田中国務大臣 本件問題の調査をいたしております結果は、今お言葉をいただきましたような根本問題に触れて解決をしなければ役に立たぬ、それに資するための調査である、こういう建前をとって、私の考えとしましては二十八日のお説も伺いまして、根本的な腹のきまった検討をやりたいという考えで文書の要求をまずしておるわけであります。  そこで今お尋ねをいただきました、一体中央政府は、今の場合は都道府でございますが、府県、市町村に対する財政の監督ができるのかどうか、どうもできるようなできないような、はっきりしない規定なのであります。まず第一できないように見えるのは——二百十条というものが、こういう事件が起ってみると、どうも妙な規定でございます。二百四十条はきわめて簡単な規定でございますが、出納の検査を毎月例日にやれ、毎月何日と日をきめてそれで検査をやれ、こういうことになって、その都道府県にそれぞれございます監査委員をして検査をなさしめておる。このほかに抜き打ち検査というものを一会計年度二回やれということが書いてあります。これは臨時検査という言葉を使っておりますが、例日でなしに、日をきめないで抜き打ちに、思ったときに臨時にやれ、ただしその場合注目すべき規定は、当該地方議会の選出された二人以上の議員を立ち会わしめよ、こういうふうに規定をくどく書いておるわけです。そういう検査をいたしました結果の報告はどうするのかというと、これは何らここに規定はない。さらに一歩進んで決算に関する規定を見ると、その決算については知事監査委員意見を付して決算報告をする。この場合においては議会に報告するだけでなしに、自治庁長官に対して事後報告をせよということが書いてある。ですから府県の出納に関連をする関係だけに局限をしてみますと、毎月々々やっておる検査も自主的にやれ、臨時検査も自主的にやれ、ただ議会の代表者二名を立ち会わせる。決算もその土地で決算をやれ、結果については事後——これは事後と書いてありませんが、事後でございますが、事後自治庁長官報告を行うべし。事後の報告決算について行えということ以外に、出納に関しては何も規定がないということが、これは考えようによっては一つの法の欠陥といいますか、どうも消極的である。自治庁には監督権なんかないぞという意味の規定にも見えるわけです。ところが二百四十六条という条文を読んでみると、地方自治庁長官は財務関係の事務について報告を求める権利がある、まさに今回起っておる事件でありまして、報告を命じたわけでございます。報告を求める権限があって報告で得心がいかなかったら帳簿を提出をせよということも言える。今回は帳簿は押えられているから、もし報告があってそれで得心がいかないと、実地を視察して出納の検閲ができる、ということが二百四十六条の末尾の規定であります。この二百四十六条の規定を見ますると「出納を検閲することができる。」、こういうのですから、これはいつ行かねばならぬというのでなくて、一年のうちいつ行ってもいいのです。そういう規定がございますから、どうもこの規定の体裁から見ますと、決算の事後報告などということは異なって、進行中の出納について検閲ができる、こういうことを規定しておるところから見ますと、どうも自治庁長官はこれに対して監督権があるやに一応の規定が見えるわけでございます。ただこの前に述べました二百四十条の規定は、やや理屈になりますが第九章の規定である。第九章とは地方自治体独自で行う制度について書いてある規定であります。それから二百四十六条の、後に述べました規定は、国と地方公共団体との関連の規定であります。どういう関係を持っているかという規定でございます。そういうような点から考えてみますと、私は国全体の組織、国全体の立場から見て、地方公共団体組織運営に関して必要がありと政府が認めますときにおいてはその技術的な面で助言、勧告ができる、という規定が二百四十五条の三の条文の規定でございます。そこで技術的な面ということをずいぶん遠慮をして書いておるわけでございますが、その技術的な助言、勧告を地方自治体の組織運営に関して行うことができる、それを全体としてやろうと思うとどうしても出納についても検閲をするようなことが起ってくる。そして出納の実態というものをよく知っておらなければ組織運営に関する全般的検討ができないからだというふうに解釈をしてみますと、何としてもこのたびの事件を徹底的に真相を究明いたしまして、同様の事柄が同じ府県の間において行われておるようなことがありはしないかということについても、全国的にこれを検査して、検閲を行う必要が起ってくるのではなかろうか。そうすることによりまして出納決算につきましては地方自治体の自治にまかしてあることであろうけれども、こういう事柄を一つの動機といたしまして、これをとらえて、この実態を明らかにいたしました上でこれを有力なる資料として二百四十五条に基くところの内閣総理大臣の助言、勧告を行なって、自後この種の事案の根絶を期することが必要である。そういう行き方は二百四十六条に基く出納検閲を行なったり、帳簿を提出せしめたり、事務の報告をなさしめたりすることによりまして、これを資料として二百四十五条の三に基く内閣総理大臣の助言、勧告が行える。これによって、その運用よろしきを得て、今後再びかような事態の起らないように処理をすることができるのではないか、こういうふうに考えますので、私は二百四十六条を基礎として、二百四十五条の三の規定に基くところの内閣総理大臣の助言、勧告、こういう具体的な行政措置によりまして、この事案は一つ災いを転じて福となし得るように根絶をしていくことに努力をしなければならない、こういう意味においてお説を傾聴した次第でございます。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら出納長歳計現金数百億円を自分が是と信ずるならば自由に保管し得るというようなことで、これで一体幾らあなたが法も不備だろうとおっしゃっても、やはり二百十三条の規定の趣旨も、あるいは地方財政法第八条の財産管理及び処分の規定の趣旨も、あるいは今お述べになりました二百四十五条の三、これらの規定の趣旨、こういうものから見まして、やはり監督権ないしは総理大臣の介入権、また指導権というようなものが当然あろうと思うのです。恣意にどうでもできるというような、そんなばかなことはありませんよ。幾ら考えても、一万円の物を買うにしても、支出するときにはずいぶんこまかい手続をして、規定に基くこまかい欄をこしらえて幾つも判を押してからでないと金は支出しないのです。その処分はずいぶん厳重にしておる。何百億円でも歳計現金であるから出納長が自由にできるのだという、そんなばかなことがありますか。やはりここは、これらの法律趣旨というものは、たとえば県議会の議決が要るとか、あるいは知事承認が要るとか、あるいは条例を作るとかなんとかのよるべき基準がなければならぬと私は思うのです。国家の財政であるならば、こんなばかなことは一回もありませんよ。今お述べになったような、そんななまぬるいことでは国家の財政だったらだれ一人として耳を傾けませんよ。私は地方自治体のあり方というものはそんなものではないと思う。やはり国民の全部、住民の負担じゃないですか。全国民の負担をそれぞれ地方で使っておるのだから、どうしてもやはりできるだけの根拠があってしかるべきだと思うのです。その根拠は条例あるいは議会の議決でなければならぬ。今それでもあなたは条例も要らぬし、議決も要らぬ、知事承認も要らぬということをなお強弁なさるだろうか、財政部長、もう一ぺん答弁して下さい。
  72. 田中伊三次

    田中国務大臣 ちょっと私から一言だけ申し上げます。お言葉まことにごもっともでございまして、小林君の申し上げましたのは、地方自治法に基く法律上の見解を申し上げますと、条例なしでやれるのか、こうおっしゃると条例なしにでもやれます、こういう答えになるのです。ところが法律小林の言う通り間違いないのでありますが、実際のやり方において、そんなことが自由自在にできるかというと、それはできようはずのものでない。それは適当でない、怪しげな方面に金を預託するという方法は絶対にできるものではない。できるものではないということは、どこから言えるのかというと、毎月、日をきめまして監査委員が出納検査を行う。それから当該会計年度には臨時に二回の抜き打ち的な検査を行う。それには、むずかしい顔をした議会の代表者も二名以上ついておらねばならぬという厳格な規定もある。ですから、これはとても自分の思うように勝手に預託をするなどということは、それは預金行為だって怪しげな方面にするということは絶対にできるものでない。それからもう一つは、一般的に申しましても、出納長の事務というものは、だれが一体監督しておるのか。出納長が最高責任者じゃないわけでございますから、知事が包括的な権限に基いて厳重な監督をしておる。知事が万一不在事故あるときは、副知事がこれに対して補佐をしていく。こういうことで、知事、副知事が厳格な監督をしておるということは、条文にあろうがなかろうが、出納ということに限らずに、一般にこの権限があるわけでございますから、これも二重三重の監督でございますから、必ずしも法律の欠陥であるとは言えないのでありまして、表向きは条例がなくてもやれるのかというお尋ねをいただくと、やれますという答は正しいのでありますが、実際においては、何らこの運用は差しつかえはない。こういうふうに法律制度の上から地方自治にまかしておきまして、おかしい点は出てこないのであります。にもかかわらず、こういう事態が起ったということをとらえまして、全国の府県に対しましてこれを根絶する道を考えるという段になりますと、二百四十五条の三に基いて助言、勧告を行う以外に道はない、こういうふうな意味でございますから、つけ加えて御答弁申し上げます。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、長官のお説によりますと、福岡県においても、それほど厳重な監督知事がし、あるいは監査委員がしばしば監査をしておる。こうであれば、知事信用組合、あるいは信用組合通り抜けて第一相互へ行ったのかどうか、それは別といたしまして、このことにつきましても、やはり相当監督をしておったと御推定になると了解していいのでしょうね。
  74. 田中伊三次

    田中国務大臣 監査委員監査をしておらなければならなかったはずだし、それから知事も当然に監督をしていなければならなかったはずであるということは間違いないと思います。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、議会はどうなんです。議会は何億円の金を通り抜けするような信用組合に預けるということは、少くとも調査不十分、そしてその金が東京へ来て東京のボロになったところの相互銀行へ導入預金せられて、それがまたその金は導入預金ですから、どこへ行っちゃったかわりません。そこで御承知通り裏利というものが千万円浮いてくるのであります。これが確実なところに行くのなら、そんなばかな利息を払う人はありはしません。そこでそういうようなところへ抜けていくような金の保管の仕方であるので、このような保管の仕方について、もっと調査あるいは確実性を確認するということを事前に、つまり監督をしておるこれらの機関がなすべきが当然である、あるいは議会にかけるのが筋であると私は思うのですが、その点についてはどうですか。
  76. 田中伊三次

    田中国務大臣 それはこういうことは言えると思います。知事は、先ほど申し上げましたように、監督を当然しておるべきものであった。それから議会も決算に対しては議に付されて、そして決算承認を与えるということでございますから、議会の立場においても、そういうふうに決算を通じておりますという意味において、議会にも責任があると思います。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言うのは、決算法律に基いて議決をしなければならぬ、そうではないのです。事前に何億円であろうと、何十億円、何百億円にかかわらず、財政部長は、法律上は勝手に預託してもいいと言うのです。しかし常識上はそうはいかぬというのが、あなたのお説なんです。かつ監督は厳重にできておったというのです。それならば、議会もこまかいことに至るまで、たとい一万円のものであろうと、十万円のものであろうと、財産の処分については議会の議決が要るということになっておる。しかし何億円の処分について、管理方法は議会の決議が要らぬということは、これまた常識上理解できない。しからば決算にいく以前に、予算として保管するところの金の保管処分について議会が議決するということは、当然だろうと思う。それもしないということは、やはり一つの法を曲げて解釈しておったのではないか。また、あなたが監督をするのは条理上当然だというふうにおっしゃっておるのですけれども、それも、厳重な監督をすべきものであるならば、あるほど、議会の議決ぐらいあるのが当然だろうと私は思うのです。信用組合というものは幾つもあります。庁内の信用組合もあろう、庁外のものもあろう、よその郡のもあろう、また相互銀行といえども、東京もあるし、大阪もあるし、北海道もありましょう、そんな遠隔な地へ大切な公金が持っていかれてはたまったものじゃない。だから議会の議決を経べきであるということも、あなたの条理論からいったら、当然だろうと思うのです。そこを言っているのです。
  78. 田中伊三次

    田中国務大臣 議会の権限でございますが、一任議会には、そのつどの出納に関する監督をするような権限があるとは思えないのです。それは、どういう事情かというと、この条文に列挙主義をとって、大へんまたかた苦しい話になりますが、九十六条に列挙をしておるのでございますから、列挙の中にありませんから、まあないと思わなければならぬ。しかし先ほどちょっと申し上げましたように、二百四十条の末尾のところに、抜き打ち検査会計年度に二回というのですから、一年に二回抜き打ち検査をするとき、すなわち臨時検査を行うという場合に、議会の議決をもって選ぶ代表者が、ところによっては五人選ぶところもありますが、福岡県あたりは二、三人と思いますが、議会の代表者を選んで、それが抜き打ち検査に立ち会っておる、こういうことだろうと思います。これは条文で明白になっておる。この意味において、やはり議会直接の監督責任とは言えませんが、議会が選んだ立会人というものに十分監督をする責任がそこに置かれておると思います。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官並びに部長の御説によりますと、全国的に数千億円——と言いませんが、数千億円にしておきましょう、数千億円の国家財政上の予算は、地方の都道府県等へ流れておるはずであります。そこで、そういうものが、議会の議決を経ぬでも、また根本的には条例を作らなくても、それぞれのいろいろな団体に流すことができる。そうしてそれは保管の一方法として許されておる。そうすると全国的にこういう例があるということを、やはりお認めになるのですか。この間は部長は、そういうことは記憶しておらぬというお話なんです。しかしそういう実例はずいぶんある。今日までやかましく言われておらぬというのが、どうも真相らしい。ずいぶんあるらしい。だからいろいろな組合などへ金が多額に預託されておるというのが全国的な例である、こういう事実はお認めになるのですか、その点どうですか。
  80. 田中伊三次

    田中国務大臣 手元において実態を明白にいたしておりませんが、相当こういう傾向が、裏日歩をとるとか何とかいうことを離れまして、こういう傾向があるのではないかという危惧の念をこの事件によって抱くわけであります。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかります。そこで部長に聞きますが、あなたは専門家でそればかりが仕事なのだから、知らぬとはきょうは言えません。全国の各都道府県などは、やはりあなたの法律上違法にあらずという見解であるところの、自由に出納長が保管、預託し得るという、これを全国的にどこの県でも何億円、何十億円、何百億円とやっておるのではないですか。実行しておるのではないですか。その点一つ言うて下さい。
  82. 小林與三次

    小林(與)政府委員 何十億、何百億とこう仰せられますが、歳計現金ですから、要するに金を使うために予算できまっておる金ですから、入って出る。入って出るという常時流れておる金であります。それでありますから、一年間寝かすということは、ありようがないのであります。必ず使うための、予算できまっておる金でございますから、そこでその金の保管方法は、今お話通り、基本原則は金庫に保管しておるというのが基本であります。大半はそうしておると思います。しかしながら金庫以外の金融機関にも預託することはある。率直に申しまして、それはすべての県において多かれ、少なかれあろうと思います。しかしその金額歳計現金のうちの大半をやる、そんなことはありようがないのでございまして、そうすれば毎月の支払いができません。そうでなしに、支払いに差しつかえのない範囲において、歳計現金にゆとりのある範囲内において、そういう形で使っておる、こういうことだろうと思うのでございます。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、歳計現金にゆとりのある範囲内においてそういうふうに流していく、そういたしますと、出納長の歓心を買い——出納長権限であるから、議会の議決も要らぬし、条例も要らぬ、出納長の歓心を買って、あるところへ流していくということも可能でのる、そういうことになる。一体そういう財政というものは、——これは財政ですよ、私の金じゃないのです。それで一体財政の秩序が保てるのでしょうか。そういうことについて、基準くらいはなければいかぬ、たとえば一定の資本以上のものでなければいかぬとか、あるいはある機関によって資産、信用等々の状態を調査するとか、あるいは何らかの保証があるとか、何らかの基準がなければならない。ところがあなたのお説によると、大小やっている。大小やっているということは、全国的にやっているということなのです。たとえ一つの県で十億二十億の金にいたしましても、全国的になると数百億円になります。これは大へんなことであります。しかもそれには基準がなし、法律には抜け穴がある、違法にあらず。たまたま裏金利をとったから福岡知事は引つぱられておるのである。裏金利をもしとらなんだら、そこは因縁よろしきを得て、よろしきを得るならば別にこれは法律違反にならぬ、こういうような御見解でおありになるのだろうかと私は心配するのであります。全国的にはこういう事例があるということを推定するとともに、何らの基準がない、基準なしに、そんなことで一体地方財政の秩序が保たれるという考え方が自治庁にあるのは、——どうして自治庁というのはこんなに甘いのだろう、自治庁というのは一体何するところだ。自治庁というのは昔のような内務省でないことは百も承知しておりますよ。けれども健全な地方財政の確立というのは憲法九十四条の規定の趣旨にかんがみてみましても、地方自治というものに大きな期待を持っておる。その期待の内容は、やはり財政の秩序は厳として維持するというところの信頼がなければならぬ。あなたのお話によるというと、たまたま知事が良識をもって適当にこれを監督していくなら別であります。しかしながら法律に違反にならぬ。ならぬからその保管の方法は出納長に一任であります。出納長自分の好いたところへ流すことは法律違反にならぬ。しかもそれは千円であろうと百億円であろうとかまわぬ。一年間の支払い支出に支障を来さなかったらよいという、そんなことで一体秩序が保たれますか。かりにも財政であります。繰り返して言います。財政ですよ。死金をじっと持っておるのじゃありませんよ。財政でありますから、少しでも非違がないようにすることが秩序を保つゆえんであります。そんなことを法律上違反にあらずとして安閑としておるような自治庁でしょうか。自治庁というのは一体そういうところなんだ。ずいぶんこまかいところまで今日はいろいろ地方財政に干渉しておると聞くのです。そういうときにこんな大きな抜け穴がそのまま見のがされておるとは一体何ということなんです。  検査院の総長に聞きますが、一体地方へ一年に支出されておるところの国家のたとえば補助金等、そういうものは年間どのくらいになっておるでありましょうか。三十年の決算でもよろしゅうございます。
  84. 池田直

    ○池田会計検査説明員 国が国庫補助金または国庫負担金法といたしまして昭和三十年中に地方公共団体組合等に交付しております金額は、地方交付税交付金及び地方譲与税譲与金を除きまして総額三千三百十四億円余に上っております。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 地方交付税の交付金、これは大体どのくらいになっておりますか。
  86. 池田直

    ○池田会計検査説明員 地方税の関係は土地によっても違っておりますが、大体千六百億円見当と御承知になってよろしいかと思います。
  87. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと関連して……。銀行局長にお伺いしたいのですが、銀行、相互銀行あるいは信用金庫等は大蔵省認可、それから信用組合都道府県知事の認可でできるようになっておる。こう記憶しておりますが、それは間違いありませんか。
  88. 東條猛猪

    ○東條政府委員 お話通りでありまして、相互銀行、信用金庫は大蔵大臣監督下にありますが、信用組合につきましては都道府県知事の認可並びに監督になっております。
  89. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると信用組合都道府県知事の認可であり、従って都道府県知事監督に属するということは、一つ金融機関であるから大蔵省が認可もし監督もすべきであると思うけれども、特に組合だけを大蔵省が除いたのは、どういう見解に立って除いておるのですか。
  90. 東條猛猪

    ○東條政府委員 申し上げるまでもなく信用組合に関する権限中小企業等協同組合法という法律に基いておるわけであります。はなはだ恐縮でありますが、私は立法当時の事情をつまびらかにいたしませんが、私なりに申し上げますれば、やはり信用組合と申しますのはいわゆる組合でありまして、各地方あるいは各地の具体的の実情に応じた組合組織金融機関というものが望ましい、これを中央にあります大蔵大臣といういわば一元的なところに集中するということは、そういう各地方の特色を持った組合金融というものの実情をかえって無視することになるのではなかろうかというような考え方であるまいかと、これは私の私見でございます。ただこの問題につきましては、やや脱線いたして恐縮でありまするが、最近御承知のようないわゆる信用組合監督のあり方がいいかどうか再検討すべきではないかという声も私ども耳にいたしておりますが、何分金融組織の根本に関する問題でありますので、慎重な検討が必要である、かように考えております。
  91. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点お聞きしておきたいのは、金庫までは大蔵省がやるけれども、これは組合であるがゆえに、大蔵省の方では関知しないというような事態が起って、組合も相当発展しているだろうが、そうすると金融秩序というものを保っていくためには、いずれにしても大蔵省が認めるか、さもなければこういうものをやめろということは言えないけれども、一つの国の経済計画の中に入れるべきじゃないか。そういう点が一つ考えられるわけです。そこで今お尋ねしたいのは、こういう形で大蔵省も認可権を持たない。従って指導監督権もない。こういうところに県が多額の金を預託するということ、あなたの方ではこういう行き方に対してどういう見解を持っていますか。銀行局として……。
  92. 東條猛猪

    ○東條政府委員 信用組合にいろいろ問題が生じました場合におきましては、広い意味の信用の問題、金融秩序の問題に影響いたしますことはお話通りでございます。ただ先ほども申し上げましたように、現行法におきましては、中小企業等協同組合法というもので、信用組合というものの監督権が定められておる。また先ほど来自治庁の方からお話がございましたように、現行法制下において、県の金というものの預託が、いろいろ制約と申しますか、指導方針と申しますか、そういう一定の条件のもとにともかく県の自由に認められておる、そういう現行法制の建前、さような事実をやはり前提といたしまして、私どもとしては考えて参らねばならないと思います。ただ信用組合のあり方について、今日の制度がいいかどうかということにつきましては、先ほども申し上げましたようにいろいろの説があるというのが事実でございまして、今後慎重に検討すべき問題である、かように存じております。
  93. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 現行の制度の中では、預託しようと何しようと、これは押えようもないということですけれども、銀行局として、こういう自分の方の手もとどかないところ、しかも微弱なところへ、県の多額な金が預託されるようなことを奨励しているのか、好ましいとあなたは思われるのか、これをお尋ねします。
  94. 東條猛猪

    ○東條政府委員 先ほどもちょっと御説明があったのでありますが、たとえば中小企業の金融を円滑ならしめるというような目的のために、地方団体から信用組合というような金融機関にそういう目的のために預託を行われるということは、現在も行われておるわけであります。従って私は今のお言葉は一がいに決定すべきものでなくて、やはりそういう制度の運用に行きすぎがあるかどうか、また本来の目的を達しておるかどうかという内容に応じて判断をすべき問題ではあるまいか、かように存じます。
  95. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから財政部長さんにお尋ねしますが、預金預託金と——こういうところへは預託しますね。それから銀行では預金するという。この預金預託金とはどういう性質の違いがあるのですか。
  96. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは法律上の問題で、私は率直に申しまして、正確なことを申し上げかねますが、預金は普通の銀行に預金をするだけでございますが、預託は預ける、委託すると申しますか、とりあえずやっておく、こういう形になっておるわけであります。いつだって取り戻せる——自分の金が一応向うに託してあるだけでありすから、いつだって取り戻せるという仕組みになるわけであります。それから公金歳計現金ですから、常にいつ要るかわからぬ、あした要るかわからぬというものでございますから、そこで一時預けておく、こういう形で預託という観念をとっておるはずでございます。法律上の精細な解釈はあとから研究して申し上げます。
  97. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはいいでしょう。  福岡の問題は調査の過程であって何もわかっておらぬということでありますから、この点についてはお聞きしませんが、ここでこういう問題が起った場合に、知事責任というものをやはりお尋ねしておきたいと思うのですが、出納長が金の支出をする場合には、知事の命令がなければなし得ないことになっておると思うのです。同時に知事の命令があっても、たとえば支出する予算がない、あるいは財務に関する規定がない、そういう場合には、命令があっても、出納長は出し得ない、また出すべきでない、それだけの権限を持っておるけれども、いずれにしても出納長は、支出する場合には知事の命令がなければできないと思うのですが、この点どうですか。
  98. 小林與三次

    小林(與)政府委員 地方団体の経費の支出につきましては、今おっしゃいました通りでございます。長の命令がなければ出納長は勝手に出せない、支出できない。しかし命令がかりにあっても、出納長にいわゆる検査権がございまして、予算がなければ、その他財務に関する規定によって可能でなければ支出できない、こういうことになっております。
  99. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、たとえば信用金庫へ預託するということも、当然出納長知事の命令があって預託したと考えるのが当然だと思うのですが、どうですか。
  100. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは先ほど申しました支出というのは、県という団体から離れちゃって、譲与したり補助金になったりする場合でございまして、今のは要するに県の公金を保管をしている段階なのでございまして、ただ銀行に預託するとかあるいは金庫にそのまま預けておくとか、こういう問題でございます。
  101. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それではもう一点お尋ねしますが、たしか昭和二十五年に自治法が改正されて、都道府県に対する現金の出納のために保管という点を取ったと私は記憶しているんですが、そういうことはありませんか。出納及び保管ということになっておったのを保管というのを取ったと記憶しているが、取ったならば、どういう意味で二十五年の一部改正のときにこれを取ったか。それから二十五年の八月四日だと思ったが、都道府県に対して自治庁から一つ通知が出ていますね。その内容を知らして下さい。
  102. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今ちょっと日は明らかにしておりませんが、お話通り自治法施行令百六十四条の一項というのが、改正になっているのでございます。最初は、先ほども申しましたが、現金の出納及び保管のためと、保管も当然金庫の業務で、金庫以外には保管できない、こういう仕組みになっておったのでございます。そこでそのとき改正をしまして、それは先ほど来いろいろ議論になりましたが、たとえば金庫だけへしか預け得ぬというよりも、もっと有利な条件で預け得る場合があるじゃないか、一つはそういう問題であります。金庫ならばきわめて低利率でしか預けようがございませんから、運用金の方法として、もっと有利に運用した方が公共団体のためになるじゃないか、そういう問題が一つ。それからもう一つは、先ほど中小企業の問題とかあるいは農業金融の問題とか、いろいろな問題で民間に資金を流すことが県の行政上必要である、こういう場合がありまして、そういう場合に他の金融機関にゆとりがあるなら、しかもそれが確実であるならば、預託し得るという道を開いた方が、県の行政上適当だろうということで、あまり動きのつかぬようにするよりも、可能の道を開くことがどうだというので、道を開いたのでございます。そこでその際に通牒がたしか出ているはずでございまして、ちょっと私も手元にございませんが、それは現行の建前では出納、保管で出納長権限である。出納長は——出納長などとおっしゃるかもしれませんけれども、これは県の三役の一人でございまして、議会の同意を得て任命する最高の機関の一人であります。ここで独立的な地位を与えられました出納長権限法律上はなっておりますが、出納長だけにまかしておいてはやはり適当でない場合があるじゃないか。そこで行政指導として、そういうほかの金融機関預託する場合は知事部局相談をしろ、ちょっとその字句は覚えておりませんけれども、そういう趣旨のことを指示しておるわけでございます。そこで実際の運用上は出納長は必ず知事部局相談をして、どの金融機関にどういう条件でやるかということを相談してやっておるはずでございます。福岡もそういう手続をとって、条件も先ほどちょっと御報告申し上げましたような範囲でやるという扱いをいたしておるのが実情でございます。
  103. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 二十五年の八月と記憶しているのですが、そのときに通知が出ておる。そして金額で限定したと思うのですが、一億かその辺の金額預託する等の場合に、知事、副知事等首脳部と協議の上必ずやれということをあなたの方から八月に通知を出していると記憶している。してみると、この一億からの金を信用金庫へ預託したということは、その当否がいずれであるにしても、これは出納長権限で、出納長の独断でやったのではなくして、知事も了承しておるし、副知事も了承しておる。従って知事にも副知事にもその責任は当然あるべきだと私は考えているのですが、見解はいかがですか。
  104. 小林與三次

    小林(與)政府委員 知事には先ほど大臣からもお話がありました通り会計監督する責任が当然ございます。それで自治庁といたしましても、そういう運用方針でやっておるので、福岡県におきましてもそういう手続をとっておるはずです。先ほど御報告申し上げました通り、今度の問題は住宅協会資金が必要だというので、何か建築部長の方から知事の決済を得て、出納長にその預託を申し入れておるようでございます。それに基いて出納長預託をした。そこらの詳細な書類がわかりませんけれども、話ではそういう手続をとって預託をいたしているようでございます。
  105. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは自治庁の通知によって、そうした場合には必ず知事、副知事は協議すべしということが書いてある。こういうことが通知されておるから、出納長は必ず協議しておる。協議しておるものならば、当然その責任知事にもあると思いますが、そのことは別として、今この一億の金はまだ刑事上の問題になって調査されておるわけですから、それがどうであるか、こうであるかという結論は私も出せないかと思います。少くとも出納長並びに現金の出納に携わる者が裏金利を取ったとか取らないとか、これはあなたの方でもここで明確に答弁はできないだろうと思うけれども、かりにそういう事態があった場合には、善良な管理者であったとはいえない、当然注意を怠ったものと思いますけれども、これはどうですか。
  106. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これはいろいろな条件と前提、があろうと思いますが、要するに県の金を信用組合預託をした。その預託条件なりそういうものがもし適正であって、そしてその金がまたそのまま県に戻っておる、県には何ら財産上の損失がないということになれば、公金管理の立場から直ちに責任云々ということはしにくいのじゃないか。ただ先の手続とかいうようなものは個人的な問題で、いろいろ議論はあろうと思いますけれども、公金の保管としては、そういうことが適切に行われておるならば、直ちに責任問題はできないのじゃないか。これは条件抜きでそういうふうに私は考えるわけでございます。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 預託をしてその金が返ってきたならば、これは善良な管理者です。そうではなくて、その預託された組合一つのトンネルである。出納長が、知事か副知事か知らぬけれども、それらの了解なり指示なりのもとにそれをトンネルにして、第一相互銀行に金を回して裏金利を取ったということが問題になっているわけでしょう。そうすると、それは果してどうであるかまだわかっていないけれども、そういう事実が明確になった場合には、これは善良な管理者とは言えない。注意を怠ったということははっきり言えるだろうと思うが、これは仮定になるけれどもあらかじめあなたの見解を聞いておきたい。
  108. 小林與三次

    小林(與)政府委員 仮定の問題で見解を申し上げてもしようがないと思いますが、かりにこういう事実があって、県の金が信用組合にいって、信用組合からどこかへいって、それでもう返りようがなくて穴があいたとすれば、これはもう当然管理方法としてきわめて不適切どころか、不都合な措置だといわざるを得ません。しかしかりに普通の形で戻っておって、公金としてちっとも支障がなかったとすれば、直ちに公金の管理として不都合だと言えるか言えぬかは、いろいろ見解の問題だろうしと思います。それともう一つは、先ほどもう一つ事実の問題がございまして、今の建設協会というものに資金を融通するために、住宅政策の一環として渡した、これが事実か事実でないか私は知りませんが、かりにそういう前提が成り立てば、これは私は十分に考えられる問題だと思うのでございます。
  109. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は住宅協会の問題を聞いているのじゃないのです。これはおかしいのですよ。住宅協会が頼まれて一億七千万か幾らか預託した。そしてその金は返っているのですよ。一億幾ら返って、七千万ばかり残っているわけです。しかし新聞等で報道されているのでは、一億の金が組合からまだいっているというが、これは別なんです。だからその問題に今ここで触れても仕方がないわけです。そういうことが仮定だというけれども、検挙までされて、本人も辞表を出しているのだ。おそらく根も葉もないことではないと思う。そうした場合においては、これは善良な管理者であったとは言えない。注意を怠ったことも当然である。そうなってくると、当然県がそれらの当事者に対して損害賠償をさせることができるわけだと私は考えるのですが、どうですか。
  110. 小林與三次

    小林(與)政府委員 県に対して財産上の損失を与えておれば、当然損害賠償はさせられる、むしろさせるべきだと言っていいと思います。
  111. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 議事進行について。先ほどの御答弁によると、午後はもう書類がつくはずだというわけですが、まだ書類は来ませんでしょうか。もう四時になるのですが、それは着いたら自治庁がすぐ持ってくるようになっているでしょうか。
  112. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それはさっそくこちらに飛行便で送ってくるはずでございますから、それからこちらに郵送するだけであります。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官に伺いますが、財政部長の御説明によりますと、たとえばこの一億円の金が、あるいは全国各都道府県に行われておるだろうという歳入歳出現金が、任意に出納長の手によっていろんな団体に交付され、預託される等々の保管方法がきめられておる、これが行われておるという大体の話なんです。ところが一方またこの内容はどういう経路から流れてきた資金であるかわからぬという。それはもっともであると思います。わかるまいと思う。地方の税金を徴収したものもある、中央から交付金のいったものもある、補助金のいったものもあると思うのであります。そこで府県出納長は、これは各省から会計法四十八条によりまして会計事務を委任されておる支出官でないか、支出官であるとするならば、たとえば何々省における補助金は、当然この使途、目的等々は厳格にひもがつけてあります。規定されておるわけです。ところがそれを出納長が、保管の方法と称して他の金融機関とか、あるいは他の組合等へ預託し、金利を得る、あるいはさっきのお話のように住宅協会とか、そういう方面のつなぎの資金に貸してやる、こういうことは一体国会が予算を審議しまして、補助金という特定した目的のために使用することを決定したのと相反する。これは長官、どうです。
  114. 田中伊三次

    田中国務大臣 歳計に必要な現金というものを全額一定の場所に納める、すなわち臨機支出を必要とする金額まで支出ができないように財源をどこかへ預けるというようなことになりますと不都合だという問題が起りましょう。しかしたとえば三十二年度でいえば、国の支出金というものは補助金、交付金を加えまして三千億にちょっと切れる程度でございます。相当大きな金額になります。それから交付税それ自体も二千億に近い千九百四十六億、こういう双方合せて五千億に近いような金がとにかく国から入る。そうすると県の会計の規模によるわけでございますが、一億ないし数億、ときによると十億、十五億というような大きな金額会計に、出納長の手にある。そのうち適当なる、予算執行上差しつかえがないと見られる限度の金を預けておく、こういう場合を想定いたしてみますと、必ずしもそれが不都合である、不都合でないということは言えないのじゃなかろうか。しかしながら何分にも条例に基かず、自由任意に出納長権限によって行い得ることになっておりますので、知事、副知事とは協議をしろ、こういうふうに行政指導をやっておるという事情になるわけでございます。実際問題としては、出納上歳出に充てる金を除いて、十分余裕を置いて預金預託をすること以外に実際はやっておらぬのではないが、いろいろその場合その場合による解釈でございましょうが、大体お尋ねの趣旨に答えますと、そういうふうに考えるわけであります。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし政府が予算を提出して、補助金という費目を限定して、国会は補助金に使うという条件付で、これは国会を通過した予算なんであります。従って補助金以外に勝手に使うということは許されないはずなんです。しかし保管の方法で金利が入るからほかへ貸し付けてやるというようなことは、極端に言うなら金利かせぎもできるということになるのだが、少くとも交付金には条件その他の制限がついておらぬけれども、補助金には厳格に条件がついておる。それをそのようにしていろいろに使うということは許さるべき筋ではないと思うのであります。これは、あなたの解釈は非常に常識論になるのだけれども、法律の解釈とそれから予算の適正な執行というものは、これは厳格に要求されております。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律があるということは御承知通りであります。こういう法律趣旨から見ましても、その点は私はなし得ないものであると思う。あなた方のお考えになるところによりますと、つじつまが合えばいいじゃないか、払うときにあればいいじゃないかという考え方は、これまた財政の混淆ですよ。そういうむちゃなことならば、補助金あるいは交付税の区別は必要がないことになってしまうということにもなる。補助金というものはそういう筋のものではないと私は思うのですが、重ねて伺います。簡単でよろしゅうございます。
  116. 田中伊三次

    田中国務大臣 それでは簡単にお答えいたします。補助金はほかに使い得ない、ひもつきである、これはお説の通りであります。そうすると、現金をちょうだいしてみるとそのお金にはひもがついていない、用途にひもがついておる、プールの中に入りました、会計の中に入ってきた金はどこから入ってきたかわからぬ、とにかく金額の数字が合っております。ですから先ほど申し上げたように、歳計上必要なものはむろん使い得ない。貸し付けるということは——そういうお言葉がありましたが、もちろん貸し付けるなんていうことは、これはお言葉の間違いでございましよう。預金預託という場合には何も支出しているんじゃない、それは予算の上からは支出にならない。でありますから、ひもつきの金をほかのものに使う、こんなことは、これはもう法律上、出納長といえども許さるべきことではない。預託しておくという関係においては歳計上差しつかえがない限りはやっていい。これは制度の建前でしょう。制度としては……。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは非常に甘い、または常識に過ぎた解釈でありまして、金利かせぎの預託もあります。あるいは救済の預託もある。また資金として何か援助してやるという趣旨もあります。そこは千差万別で、要するに保管の形態を整えておればいいというのであって、そして年度内に、支出に間に合えばいいというのが財政部長の考え方であります。でありますから、現実におきましてプールして、そこで交付税も補助金も一緒くたになっておる、だからその区別がわからぬのでということは、常識的には言えますけれども、少くとも考え方として、ここは整頓をしていかなければならぬというのが私の所見なのであります。でありますが、この点につきましては後日の問題として提案しておきましよう。  そこで刑事局長にお聞きしたいのですが、さっきからだんだんとお聞き及びの通りに、たとえば知事等も非常に厳重な監督をして、そうして歳計現金を保管、処理等をしておる、こういう御答弁なのであります。そして特に財政部長からは、一億円の金を出した問題については、知事の決裁を経て預託した、こういうような御答弁も得ておるわけであります。これは最終的な確認をされた御報告とも見えませんけれども、大体においてそういうふうに了承し得るような御発言をされている。厳重な監督をする知事、それからそういう預託について決裁までしたというような関係がある、これは私見のがしがたい重大なことであると思う。そこで当委員会におきましてももっとすみやかに真相を把握したいと思うのです。今長官は公文書として報告せよということを要求してある、こうおっしゃっておるけれども、書類全部検察庁に行っておるような段階において、おそらくは待てど暮せど報告は来ないと私は思います。私は、おそらく正確な資料が整いませんと言ったら言いのがれになるだろうと思います。  そこで第一に伺いたいことは、すみやかに事件の解明をさせていただかなければいけませんので、現在どういうふうになっておるかということを伺いたいことと、それから知事自治庁の方は何も連絡をやっていない、問い合せもやっていないという状況でありまして、これは私どもとしてもまことに歯がゆい感じがしますので、すみやかに核心に触れて追及していくという手段をそれぞれとってもらわねばならぬと思います。こういう意味合いにおいて、その後の状況も伺い、及び知事を検察庁でお調べになるのならば、できるだけ早くやっていただいて、そしてわれわれも国政審議の必要上、中心に向っていろいろと調査を進める必要があることは、大体委員諸君もみなそういう意向になっておりますので、一つあなたの方から適当なる御報告をお願いたしい。
  118. 井本臺吉

    井本政府委員 前会御報告申し上げました以後事情といたしましては、山本副知事が二十八日午前十一時に検察庁に出頭いたしまして、これを取り調べ、三月三十日に勾留請求をして勾留状が出て勾留をしております。そのほかの事情はただいまのところは身柄の関係は変っておりません。なお主任検事が昨日出張先から帰って参りまして、昨日あたりからも鋭意調べを進めていると思うのでありますが、まだどの程度に捜査が進展いたしましたか、私どもの方には報告が入っておりません。何にいたしましても世間の耳目を引いている事件でございますから、鋭意結論が出るように努力しているはずでございますし、また努力していると思いますが、ただいまのところは前回に一応御報告申し上げました以上にはあらためて報告申し上げる事情はあがっておりません。なお引き続き取調べを進めまして何らかの結論を出したいというように考えております。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 伝え聞くところによりますと、福岡知事は任地を離れてどこかに保養に旅行しているということであります。そういうこともなかろうと思いますけれども、その辺の消息はどういうものでありましょうか。もしそうであれば各方面の調査に重大な支障を生ずることでありますが、その辺はおわかりでございませんか。
  120. 井本臺吉

    井本政府委員 私ども、ただいまの段階では福岡知事を調べるというような段階にはなっておりません。ただいま私の方で身柄をとめております五名について鋭意調べを進めているというのが実情でございます。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 銀行局長に伺いますが、朝鮮銀行の閉鎖機関はすでに昨日ですか、不動産銀行として発足するとかいう広告が新聞に出ておりました。導入預金であったかどうかはよくわかりませんが、重要な政府出資もあることであります。こちらで調べたところによりますと、朝鮮銀行は資本金五千万、日本政府出資が百五十万、さらに宮内庁が持っておりました株の物納等によりまして、千八百九十万円の政府出資があるようでございます。こういうような関係にある朝鮮銀行の閉鎖機関がもし導入預金の片棒をかついだということになれば、これは大変なことだと思いますので、この点前回にもお尋ねしてよく調査の上答弁するということでありましたから、この機会に一つこの関係を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  122. 東條猛猪

    ○東條政府委員 前回旧朝鮮銀行の預金が第一相互銀行にありはしないかというお尋ねがございましたので、よく事実を調べて申し上げますということで留保させていただいております。実はただいま実地について詳細取り調べておりまして遠からず結果がわかると思いますので、できるだけすみやかに御報告申し上げたいと思いますが、いましばらく御猶予願いたいと思います。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 詳しいことは後刻でいいですが、朝鮮銀行ともあろうものが——閉鎖機関でありますから直接会計検査院の検査がないまでも、広い意味におき俵して大蔵省が監督をしているはずであります。数日たって何も御答弁できぬというのはちょっとおかしい。だからわかっている範囲でよろしゅうございますから御答弁しておいてもらいたいと思います。
  124. 東條猛猪

    ○東條政府委員 事柄が重大でございますので、非常に慎重を期しておるわけであります。わかっている範囲内において答弁をしろという仰せでございます、場合によりましてまた後日訂正をさしていただかなければならないかと思いますが、今日までわかっているところでは、朝鮮銀行から第一相互銀行には預金は一時ございました。しかし、これは私どもの調査では、いわゆる導入預金ではない、こういう考えを持っております。いずれ詳細取調べまして御報告いたします。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体この第一相互の経営が悪化したのはいつですか。
  126. 東條猛猪

    ○東條政府委員 前回にもちょっとお答え申し上げましたが、検査をいたしましたのが三十一年の二月でございました。その結果を総合いたして考えますと、いわゆる導入預金扱いということが原因になっております。またこれに伴う固定貸付ということが原因になっておりますので、いわば雪だるま式に状況が悪化しておるということでありまするが、その前年の三十年あたりから業績が逐次悪化してきたというのが実情であろうと思います。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、朝鮮銀行の預金があったというのはいつなんですか。
  128. 東條猛猪

    ○東條政府委員 実はただいま手元資料で取り調べた結果だけで御容赦いただきたいと思いますが、二月二十七日現在で私どもが検査をいたしましたときには預金があったわけであります。そしてそれが同四月に解約をいたされております。これが朝鮮銀行の預金でございます。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十一年の二月には金額は何ぼでありましたか。
  130. 東條猛猪

    ○東條政府委員 私どもの調査では二千五百万円ということになっております。
  131. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはあなたの方の所管かどうかわかりませんが、閉鎖機関が閉鎖機関として活動をしておる間に、こういうボロ銀行に預金するということはどっちにしてもちょっと想像ができぬのでありますが、一体閉鎖機関の現金の保管の方法は、さっきの府県と同じように、だれそれかが恣意にどこへでもよいと思ったら保管ができるということになっているのであろうか、それとも相手も見て、大蔵省へも相談してしなければならぬことになるのか、その辺の関係一体どうなんです。
  132. 東條猛猪

    ○東條政府委員 実は所管の関係を申し上げて大へん恐縮でありますが、私の方の、大蔵省の管財局が閉鎖機関の関係の事務を処理いたしております。私どもといたしましては実は今申し上げましたような預金関係があったと  いうことがわかりましたので、今吉田委員からお尋ねがございましたこの閉鎖機関の預金に関するいろいろな関係を私どもといたしましても検討いたしたいと思っているところであります。そういう所管になっておりますので、ただいまの御質問に対しまする答弁はいましばらく御猶予を願いたいと存じます。
  133. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一つお伺いしておかなければならぬのですが、一体国家が監督をすべき地方の歳入歳出の莫大な金、国家が監督すべき閉鎖機関のごときものの保有現金、そういうものをこういうボロの相互銀行に預金するというようなことは、政府の方針として何らか——これはどちらの側からでも、たとえば銀行を監督する立場から、そういうものを預ってはいかぬとか、あるいは一方政府が監督しておるそういう機関に対しては預けてはいかぬとか、何かそこに一つの方針が指示されてしかるべきだと私は思うのであります。今のお話だと朝鮮銀行だけならよろしいが、また何また何と、結局だんだんと政府の監督すべきあらゆる現金がこの種の銀行に流れていって、そしてその流れたものが裏金利になったものやら、あるいはその他犯罪の手段に使われたのやら、何かわからぬというようなことでは、私はまことに暗い感じがいたしますが、これは内閣として重大な問題ですから、相当厳重に考えてもらわなければならぬことであろうと思うのであります。もっとも今回国会に政府から、この種の裏金利かせぎの導入封じかもしれぬが、法律案が提案されております。どういう動機からか詳しくはよく存じませんが、いずれにしても導入屋のばっこ、裏金利の莫大な金が裏から裏に流れていく。正直な国民が国民金融公庫中小企業金融公庫から三十万や五十万借りるにも数ヵ月を要して、その上いろいろな経費が必要だというのです。国民はそれほどの目にあわされている。そうして、力のあるやつは裏でこういうことをする。国の金を預っておる出納長が違法でないからといって自由勝手に預託をする。預託したのがばれて今度のような事件が起る。しかして財政部長からも、おそらく全国的にそういうことがあるのだろうとうなずかすような発言があった。どこの県にもありますということになると、国民は正直者だけばかを見るということになるのでございます。こんなばかなことはありませんよ。少くとも内閣としてこの種の問題に対してもっと積極的な方針がなければならぬと思う。今銀行局長は、朝鮮銀行の問題だけでも一週間もたってまだ事実調査ができぬということですが、そんなばかなことはありません。国家の行政を代表する政府は、この種の問題がありましたら即刻厳密な調査を進めて、直ちに国会に報告するくらいな敏活な有機的な活動がなければいけません。一体政府にそういうことを取り締る熱意がないのか、あまり取り締ったらお差しつかえでもあるのかどうかというようなことさえ想像をたくましゅうしなければならぬのであります。だからこの点につきましては今後調査を進めていきますが、まことに心もとない感じがいたします。今の朝鮮銀行のお話を伺っても私はそう思うのです。国の財政を預かり行政を代表しておるところの内閣、その閣員に列しておられる田中長官は、こういう問題について一体どうお感じなさいますか。
  134. 田中伊三次

    田中国務大臣 御説はまことにごもっともと存じます。国家の公金であろうが、地方自治体の公金であろうが、これらの会計管理に関しましては、今回のできごとを一つの動機といたしまして、その実態を徹底的に調査する考えでおります。その徹底的な調査を遂げました上で、これを根絶せしめるために現行法上の建前に至らざるところがあればこれを補いまして、あくまでも行政指導を重視して参りたい、こういう考え方でございます。ただ従来までの現行法の建前を申し上げますと、その際にもお話し申し上げましたように、直接の監督の規定がありません。行政指導としてこれを行います意味の規定が存在する。そこで調査権に基いて調査をいたしまして、勧告を行い助言をするということが唯一の規定になっておりますので、こういう制度につきましても慎重に一つ考究して参りたいと思います。
  135. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはあなたどうお考えになっておるのか知らぬが、地方自治法二百四十六条の二の第一項には、総理大臣は、地方公共団体に対して、その不当支出もしくは不当財産処分等についてこれに介入し得るよう規定されております。第四項によれば、内閣総理大臣がみずから第一項の規定による処置を行う場合には主管大臣が請求すること、こういうことになっておるのです。直接介入する権限が明確になっておるのです。昨年これは改正したのであります。だから今日はその点については、これができる以前よりもよほどあなたの方には責任もあるし権限もあるし、やりやすくなっておる。私に言わしめるならば、今日の問題は当該主管大臣として、各省の自分の主管としておる予算が地方に交付されておる場合、たとえば補助金のような場合に、直ちに総理大臣にしかるべき措置に出ることの要請をするのがむしろ義務ではないかと思います。これから見るならば直接の介入権は明確になっておるのであります。今のお答えは全く違う。
  136. 田中伊三次

    田中国務大臣 先ほどから私自身がしばしば申し上げておりますように、違法のことがあるとか、非常に不当な行き過ぎがあるとかいう場合においては、むろん介入していくことができるのみならず、出納については検閲をする権限ものるわけでありますから、その権限に基いてただいま調査に着手しておる、こういう事情であります。その結果につきましてよく確かめた上で、これはあるいは普遍性のある事態でないとも言えませんので、こういう事態を一つの契機といたしまして、これが全国的な未然防止の措置として、行政指導の条項にのっとりまして勧告、助言をすることができるという事情でありますから、それに万全を期して参りたいと考えております。
  137. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して。この問題は非常に遺憾な問題でございますが、これは大蔵省の方にお伺いする問題かとも思うのですが、自治庁長官も御参考にお聞きいただけばよろしかろうと思います。  銀行局長にお伺いいたしますが、この問題の一つは県信用組合の問題です。聞くところによると県の職員の方の組合だという話ですが、信用組合というのは組合員相互の間で預金や貸し出しができる、こういう原則になっておるように承知いたしておるのですが、これはたしか知事だけの認可で許される。そうすると監督知事だけで、大蔵省としては直接の監督責任がないといいますか——これはやればできるのじゃないかと思うのですが、これが一体できるのであるかできないのであるか。大体私の承知しておるところでは、知事が認可し監督しておるこういう組合に、いわゆるその組合以外からは預金もできないような弱小というか、そういうような信用組合に、県の財政から預託をするというようなことに私は一つの大きな問題があると思う。この点は自治庁でも一つ今後の指導としてお考えいただく問題じゃないかというふうに考えております。従来の信用組合が信用金庫になって、この信用金庫はもちろん組合員以外から預金ができる、こういうことにはなった。貸付はもちろん組合員でなくちゃできないと思いますが、しかしそれは県知事監督している。ですから信用金庫がある程度大きくなって、信用組合というものはほんとうに組合員同士の、一口で言えば小さい金融機関である。でありますから、これは将来やはり大蔵省でこういう組合なども監督するということが必要じゃないかとも思うのですが、その点と、それからこれはほかの府県でもこういうような組合などへ、自分監督するようなところに預託するということは、やはり知事や県の主脳部が監督される立場にあれば、ある程度こういうような弊害が起るのじゃないか、こう思うので、その点を大臣でなくてもけっこうですが、御意見をあわせてお伺いしたい。
  138. 東條猛猪

    ○東條政府委員 前段に仰せのございました信用協同組合信用組合に対する監督権の関係でございますが、中小企業等協同組合法の百十一条の二号の規定がございまして、信用協同組合につきましては、その地区が都道府県の区域を越えないものにつきましては、その管轄都道府県知事監督をいたす、さような法律と相なっておるわけであります。従いまして、今回の信用組合につきましては、大蔵大臣といたしましては、監督権と申しますかそういうことはないわけであります。ただこれはむしろ自治庁の方からお答えをいただいた方がいいと思いまするけれども、政府と地方公共団体との間の関係につきまして、たとえば「主務大臣は、国の機関としての都道府県知事権限に属する国の事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは主務大臣の処分に違反するものがあると認めるとき、」云々という規定がございますけれども、今信用協同組合の事務に関することが、果して国の事務と考うべきものであるか、あるいは地方団体の事務と考うべきものであるか、この点私確信がございませんので、万一うまくいかない場合の監督関係はどうなるかということにつきましての見解はよう申し上げませんが、いずれにいたしましても、一般的に申し上げますならば、先ほど申し上げました中小企業等協同組合法の百十一条の規定によって、監督権は府県知事にあるということを申し上げたいのでございます。  それから第二に、将来の制度、立法論といたしまして、広く信用秩序の問題あるいは金融制度の問題として、信用協同組合監督あるいは権限というものの全部、または一部を中央の政府の方に移すというようなことはどうかという御意見でございますが、実はただいま私どもの方で、去年法律でできました金融制度調査会という調査会を大蔵省に持っておるわけでございます。そこでも現在の金融制度といたしまして、信用協同組合のあり方がいいかどうかという疑問は、相当たびたび提出をいただいております。過去におきましては、あの調査会といたしましてはほかの案件に実は忙殺されておりまして、信用協同組合の問題にまでは実は手が伸びておりませんが、いろいろ御意見もございますので、本年度におきましてどうもこの問題を金融制度調査会でお取り上げ願わなければならないのではないかと思っております。この件につきましては、私どもが承わる意見は全く違った二つの御意見がございます。一つはやはり広い意味の金融機関であるから、大蔵省が監督するのが適当であるという御意見が一方にございます。しかし同時にこれはもちろん仰せのごとく中小企業金融が非常に大事な使命である。しかも各地方の実情に応じた金融機関でなければならない。中央で監督をするということではかゆいところに手が届かない。地方の実情に即さない。従って従来通りの制度がよろしいんだという御意見も承わります。そういうふうにいろいろ御意見がございますので、今後金融制度調査会等で十分御検討願いたい問題である、かように存じております。
  139. 青野武一

    青野委員長 淡谷君。
  140. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 最初刑事局長に確認しておきたいと思うのでありますが、現在福岡県庁関係で、身柄を拘束されております被疑者というものはだれだれでございますか、名前を承わりたい。
  141. 井本臺吉

    井本政府委員 池田豊、岩佐秀盛、向井定利、根橋武男、山本兼弘この五人です。
  142. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 田中長官がおられるうちにはっきり私申し上げておきたいのですが、さっき小林財政部長のいろいろな答弁を聞いておりますと、法律的には福岡県庁出納長がやった行動は許されるべきであるといったような意味が大へん強く感じられました。しかし長官からそうではなくして、やはりこの問題の政治的な重大性、今後の財政管理等に対する非常に大きな問題をはらむというお話しもございました。財政部長があのような口吻で指導監督されたのでは、当然こんな事件が起ってくると思うのです。法律の上からではなくて、この事件の人的な関連を探って参りますと、おそらく指導監督の面でもっと早く手が打たれるべきではなかったかと私は思う。  長官にもお聞きしておきたいのでありますが、第一相互の常務の根橋武男という人が、元大蔵省の銀行検査官であったことは事実でありましょう。これはおわかりでございましょうか。
  143. 東條猛猪

    ○東條政府委員 根橋常務は元大蔵省の銀行検査官でございました。
  144. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 元大蔵省の銀行検査官であれば、大蔵省の内部には詳しいはずであります。これは国鉄の古い上級幹部が国鉄を出たあとに、国鉄関係のさまざまな外郭団体に入って、それで不祥事件を起しておるのと同じような危険性をはらんでおる。しかもこの根橋武男という男が、金融ブローカーの向井定利という男の仲介で、歳計現金預託をはかって、県に働きかけておるという事実があったということを御承知ですか。これは田中長官でもよろしい、あるいは小林財政部長でもよろしい。あなたはそういう事実を知っておりますか。
  145. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そういう事実は承知いたしておりません。
  146. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういう形では、とても指導管理はできないと思う。しかもそれが赤坂の料亭夕霧などを舞台といたしまして、副知事の山本兼弘、出納長の岩佐秀盛、それに県信用組合組合長である池田豊が入って相談しておる事実がある。こうしてみますと、出納長自分の判断で、この一億円の金の預け入れをしたのではなくて、はっきり計画的に、信用組合からこの第一相互にやるということの条件相談しておる事実がある。これは事実気がつかなかったのですか、一ぺんもそういう疑惑を持ったことはございませんか。
  147. 小林與三次

    小林(與)政府委員 そういう事実は全然今まで承知いたしておりません。
  148. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 各地方で行われているこういう問題を指遵監督すべきあなたが、こんな大きな問題を全然気がつかなかった。これは非常に残念に思う。残念以上に寒心にたえません。むしろ疑えばあなたも何らか相談を受けているのじゃないのですか。この福岡県の預託の問題、信用組合を通して金を貸すとまではいいませんけれども、信用組合等に大金を預けることが果していいのか悪いのか、あなたは一ぺんも相談を受けたことはありませんか。
  149. 小林與三次

    小林(與)政府委員 私はもちろんそういう相談を受けたことはありません。
  150. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 福岡県では債券、現金商工中金、あるいは農林中金等に預託する場合、はっきり県議会の議決を経ておる事実があるのです。これはおわかりになりませんか。
  151. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その事件承知いたしておりません。
  152. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 商工中金農林中金預託する場合でも県議会の議決を経ておるのに、この信用組合に一億円やった場合に、県議会の決議を経ておりますか。経ておりませんか、その点はどうなんです。
  153. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今の事実は私は受けていないと想像しております。先ほど申しました通り、つまりある程度長期にわたって寝かすものはむしろ予算の上においては預託金としてはっきりさせるというのが筋合いでございまして、おそらく農林中金商工中金などのように、ある程度経常的に中企業にに対する金融をバックアップするためにやっておるのは、県の予算ではっきりさせているのじゃないかと思います。
  154. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はどうもこの問題に対するあなたの調査の仕方が非常に緩慢だと思うのです。飛行機で飛んだというのは一体いつなんです。三十日ですか。三十日の一便で飛んだとおっしゃった、そうでしょう。
  155. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その通りです。
  156. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 三十日の一便で飛行機を飛ばして、三十日、三十一日、一日、二日きょうは二日じゃありませんか、四日もかかるなら飛行機の必要はない。国費の乱費です。帰りの飛行機は故障でも起きたのですか。午後には着くつもりだったといっているが着いていないじゃないですか、その辺どうですか。
  157. 小林與三次

    小林(與)政府委員 午後に着くというのは書類報告の問題でございます。これはこの調査は相当困難な、むずかしい調査だろうと思います。行った以上は責任を持って調査しなければならぬので、十分納得のいく調査をやっておるものだと心得ます。
  158. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 すでに地元の福岡県ではこの汚職問題につきまして、県政粛正対策委員会までできておるのですよ。報告かもしれない。報告ならば中間報告もあるでしょう。四日間何をやっておるのです。もみ消し運動ですか、あるいは策を授けているのですか。報告すべきものでしたらすでに当委員会から請求があったのであるから、わかった分だけどんどん報告したらいいじゃないですか。その報告書類は何でくるのですか。これは飛行機じゃないのですか。
  159. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは先ほど申し上げました通り、とりあえず電話であった事実を先ほど御報告申し上げた次第でございます。
  160. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたは、電話報告なんというものは全然一億円の問題に関連してはっきりした報告をしてない。しかも午後には飛行便で送ったという連絡があったから確かに着きますとおっしゃったはずだ。つい二時間か三時間か前に言ったことが当てにならないのですか。一体どうなんです。
  161. 小林與三次

    小林(與)政府委員 飛行便で送ったという連絡がありましたから、送っておるに違いないと思います。これは飛行便できて、それから郵便局を通じて配達されるものでございますから、実はわれわれはそれを待っておるのであります。
  162. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はあなたには真剣にこの問題については考えてもらいたい。まるでよその詰みたいな感じがしますよ。あなたの方は当然監督すべき問題なんです。これからまた実態に基いてやり方を変えなければならぬ。私たちここに黙っておりましても、ちゃんと信憑すべき筋からこの資料が入ってきておる。それさえあなたがつかまえておらないというなら、わざわざ調査に行ったかいがちっとも出てこない、これはあるいはあとであなたの方の事実の報告とは違うかもしれませんが、一体この信用組合が、三十一年の十二月までには一億円が第一相互から戻されたというようなことを言っておりますが、現在この信用組合には県の預託が幾らございますか。
  163. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これも先ほど御報告申し上げましたが、全体で最初一億九千四百万ほど預託しましたのが、現在残っておるのが七千万、こういう報告を受けております。
  164. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは県の方の県会議員等から来ておる資料は一億三千万円であります。しかもこの信用組合の池田という理事長は、前歴は何であったか、あなたはお調べになりましたか。これまで調べたことがありますか。
  165. 小林與三次

    小林(與)政府委員 まだ前歴につきましては報告を受けておりません。
  166. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 とんでもない話ですね。そんなことで一体監督ができますか。この信用組合の池田理事長は、昭和十九年に県の会計課長になっております。二十五年にこの県の信用組合に入っておる。二十七年には組合長になっております。前歴はちゃんとわかっておる。こういう事実をあなたは今まで一回も気がつかなかったですか。一体監督するというあなたの目はでくの坊ですか。節穴なんですか。どうなんです。
  167. 小林與三次

    小林(與)政府委員 お話しでございますが、自治庁信用組合の全部の人事をやっておるわけでも何でもございません。そういう事実につきまして、節穴同然としかられましてもわかりようがないわけであります。今度の問題の審議に関しましては、信用組合のそういう構成とか定款とか人事、そういう問題につきましては、報告をするようにというととは、調査官に申し伝えております。
  168. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたの答弁を聞いていますと、全く自治庁は地方の財政や経理については、監督指導する責任も義務もないような印象を受けますが、あなたはそう思っておるのですか。あなた自身の身分の問題ですよ。そんな部長なら私は要らぬと思う。一体自治庁の財政市長というものは、県が多額の金を預託する信用組合の人事や機構について知らぬ存せぬ一本で済むと思っていますか。まさにそれは国の祿をはんでおるだけで、何もなすことはないじゃありませんか。それはどうなんですか。
  169. 田中伊三次

    田中国務大臣 どうもいろいろお言葉が重なるようで、大事な話をなさっておると考えるから、私からお答えを申し上げます。この二十八日の当委員会以来、本日も私口を重ねて申しておりますように、自治庁というものがこういう府県の出納に対してどういう立場法律上おるのか、これはお気に入ろうが入るまいが、法律上の立場は御了承をいただかなくちゃならぬ点でございます。それは時間がかかりますから簡単に申し上げますが、地方自治に地方出納の検査というものはかたくゆだねてある。こういう建前は厳然とした法律上の建前で、まさに間違いのないことなのでありまして、どんな大きな声でおしかりをいただきましても、この建前を私が引き取るわけにいかぬのです。二百四十条に堂々とした規定があって、各地方には監査委員というものが置いてある。地方には手をつけちゃならぬのです。この監査委員の手によって月々例月会計監査がある。これはきめた何月何日ということなのです。そういう例月検査のほかに、当該会計年度中には一年間に二度以上は臨時検査をやらなくちゃならない。その臨時検査には、地方自治体の議会の選んだ代表軒二人以上を立ち会わす、こういう厳格な規定を設けて、あくまでもこの地方の出納については自主的な出納検査というものを行わしめております。同時にこれが材料になって決算が行われる。その決算も同時に中央が何らタッチするわけでない。その決算は、知事はおのれの責任において監査委員監査に付して、監査委員意見を徴して、その意見書を文書として添付して議会に提出をして、議会の議を経べし、議会の議を経たものを事後自治庁長官報告せよ。関連があるのはここだけなんです。この法律に欠陥があり、この法律に行き届かざる点があればこの法律を直していくより道がない。ただしかし、これが行き過ぎますと自治の干渉にもなる。干渉にはならぬように、しかし何とか指導ができますようにというためには、どういう規定を設けてあるかというと、ただいま吉田先生のお読みになった二百四十六条の二の規定なんです。違法があるとか、大へんな行き過ぎがあるとか、不当な価格で財産の処分をしたとか、そういう目立ったことがある場合において、初めてここで介在ができる、こういう規定なんでしょう。その規定に基いて、三十日以後一生懸命やっておるというわけなんです。ちょっと一口、要らぬことを申し上げて恐縮でありますが、こちらの方から電話をしてものを聞きただしておりますのは、三度五度の話じゃないのです。一万円をこえる電話料を使ったということを、今も話に聞きましたわけです。それは一生懸命やっておるのです。それを、おれの知っておることをお前が知らぬという、その言葉もお返ししなければならぬ。ラジオも聞いておる、全国の新聞も切り抜いて持っておる。あらゆることを調べておる。しかし、そういう材料に基いて、いやしくも皆様の前で私が答弁材料として答弁できるかどうか。これは慎重を期する必要がある。目下検察庁がお調べになっておるときであります。そういう事情でありますから、いろいろな材料は、参考資料としては持っておりますが、その材料で、自分意見なり何なりをさらけ出してここでお話を申し上げる段階ではないでしょう。ですから、役人をおしかりになるのも、どうぞその点はお含みをいただいてからにしていただきませんと——一生懸命やっておる、これ以上やりようはない。本来の自治庁という建前が、自治にまかせた結果こうなっておる。これは六法全書をお読みになるとわかる。これ以外に自治庁が介在をして何をする余地があるか、どういう条文で、第何条何項によってそれをやるのか、こう開き直らなければならぬ事情なんです。それはよくお考え下さい。━━━━━━━━━━━━━それは議論があればあくまで私はお答えをしたい。
  170. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ━━━━━━とは何だ。(「そんなばかなことがあるか」と呼び、その他発言する者多し)私がさっきから、ごく平易なことですよ、前歴は何であるか知らぬかと聞いたら、知らぬ存ぜぬ。あなたに言わせれば、新聞や何かで知っておって、ちゃんと材料は持っておるという。持っておってわかっておるならば、この委員会ではっきり答弁するのがなぜ悪い。それがあなたは聞いておれないのですか。私はあまりに何ですから言っている。さっきからの財政部長の答弁というものは、実にこれは不誠意なものです。私だけではない。みんな怒っておるのです。あなたは、聞いておれないという。この委員会のみんなの言っていることが、あなたにはわからないのですか。それは法律監督するのもいいでしょう。監督するのは監督しなさい。すべきものじゃなかったらすべきものでないでよろしい。あとのことはもう自治庁がはっきり権力を握って、何でもやっておる。こんな問題が起ったときばかりは知らぬ存ぜぬのほおかぶりをするというような自治庁ならない方がいい、私はそう思う。あなたのその━━━━━━━というのはどういう意味か、明らかにしてもらいたい。
  171. 田中伊三次

    田中国務大臣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━。
  172. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 田中長官に申し上げますが、事の起りは、あなたの食言から来るのですよ。いいですか。前回の委員会の審議の際に、あたは、全力をあげて直ちに調査するとおっしゃった。そして、その調査の結果は、本日まだ出てないのですよ。その調査手続は、われわれが開いたところによっても、これはほんとうに全力をあげて、誠意を持ってやられたとは必ずしも思えぬ。航空便だとか、電話を一万円金を使ったとか、いろいろおっしゃるけれども、今日なお調査の結果は来ないのであります。信用組合定款も、これは資料として要求しておる。しかも財政部長は、要点の朗読をしながら、資料を出さない。そんなら、むしろ手元にお持ちのものを出してもらいたいというくらいなんです。そういうような点からいたしまして、むしろ事はあなたの方の食言から出発するのです。もしほんとうにきょうまでに相当な資料が出ておったのならば、今、ここまで紛糾はしないのです。  それからもう一つ財政部長にしましても、問題は、このような出納長自分の判断だけでいろいろな方面へ保管方法を講ずるということは、それはあちらこちら全国にあるのだろうと理解し得るようなきょうの答弁であった。この間のときは、そんな記憶はないとおっしゃる。試みに私は自治行政に通じた数人の人に聞いてみましたら、みんな即座に返事する。元を握っておられる自治庁財政部長が知らないで、しろうとの外の人が知っておるというのです。そんな人を食った答弁はありませんよ。ですから、そういう点からだんだん委員会の空気は、あなたらの答弁に対してほんとうに不誠意な答弁であるということになってきておるのですよ。だから、片言隻句だけで━━━━━━━いうような、そんなけんか腰の大臣の答弁は——大臣は閣僚か何か知りませんけれども、この委員会でけんか腰で答弁なさる筋はありません。━━━━━━━━━━━━━━━━━━それも穏当じゃありません。そういうことは委員長の良識におまかせなさい。一々、あなたのようなけんか腰で突っかかってくるということは、最善の行き方じゃありません。ことに今日は、国民監視のうちに福岡の問題がある。それに紙一枚の資料も出てこないのでは、何というだらしのないことなんです。全くそうなんですよ。そういう点はむしろ国会を侮辱する、国会の審議権を無視するものと申さねばなりません。もしほんとうに自治庁が、長官以下、積極的に地方自治法、地方財政法その他の法律の執行をしておられるとするならば、私はもっと積極的になってほしいと思う。不作為ということがある。協力をしないということがある。不作為で事の真相を明らかにしないということは、大きな罪悪ですよ。これは必ずしも不作為とは申しません。しかし積極的にしなければいけませんよ。何々の調査官をやっておるというようなことで、依然として今日は真相を明らかにする機会を与えないのですよ。これが委員の諸君にうっせきしておるのです。ほんとうですよ。だから、委員会の空気を一から十まで、裏も表も何もかも知っておられる練達な長官は、委員会の空気というものは大体察知しなければいけませんよ。あなた方らけんか腰になっているからこんなことになるのです。けんか腰になって委員会がうまく運営されるということはありませんよ。そういうやり方をなさったら、審議はうまく進みません。われわれは他意ありません。個人を陥れようという、そういう気持は毛頭ないのであります。やはり自治庁が十分な権力を持って、権限を行使して十分な監督をなし得なかったんだと思うのです。知事監督を厳重にしたとおっしゃる。なるほど厳重にしたか知らぬけれども、自分の下の副知事が今拘禁されちゃっているのであります。そして知事は顔出しはしておらぬ。自治庁も二百四十六条以下それぞれの規定によって監督しておるとおっしゃるけれども、今日の不始末になっておる。不始末じゃないとだれが言えますか。そういうようなことをあれこれ考えたら、やはりここはほんとうに謙虚な気持になって、ともに真相究明に進んでいってもらわなければいかぬ。知事監督しておったけれども、このようなぼろを出してしまった。また自治庁監督しておったけれどもぼろが出てしまった。国会がこれを追及せずしてだれがするのですか。年間三千三百億円も補助金が地方団体に流れておるじゃありませんか。みんな税金です。それを監督する責任があるんですよ。一億円の導入預金はあるいはそこらの不良貸付になっておったかもわからぬ。二十億円の不良貸付の一部になっておったかもわからぬ。三十年の十二月ということでありまするから、そういうことをあれこれ思い合せましたならば、たとい一億円のうちの百分の一でも不良貸付の中に入っておったら、これは申しわけないという気持にならなくてはならぬ。これが私は行政の首長の心構えだと思う。一々議員のあげ足をとって、議員の片言隻句をとって━━━━━━━の、けしからぬの、━━━━━━だという、そんなような態度はよくないですよ。そんなようなことであるから淡谷君のこういう発言になったんだろうと思う。決してわれわれは個人を功撃する意思はありません。どうかして地方財政のほんとうに明るい、健全な姿を実現したいと思うのですよ。そうしてこんなくさった銀行へ大事なわれわれの税金が勝手に流されていくような制度が放任されておるということになった。もってのほかです。こういう角度からわれわれはいろいろと追及しておるのであります。われわれが真相を追及することにほんとうにあなた方は協力しなければならぬのであります。協力することなく、けんか腰になるとは何ということでありますか。
  173. 田中伊三次

    田中国務大臣 今まで吉田先生のお話になりましたことは、これは全部その通りのことばかりです。何も私の方はお言葉に違うことは考えていないのです。ただ問題は、こういう問題の真実の究明ということには時間がかかることは当然なんです。二十八日にお言葉があって三十日に出発をせしめた。その三十日に出発をせしめた者が、書類でもって報告を送ったというのでありますから、その航空便の着くのを待っておる。そこでお呼び出しをいただいてまかり出ていろいろ答弁をしておるという事情なんです。だからその最中に、自治庁政府委員に、お前がその相談に参加したんだろうというようなお言葉は、これは速記録をお調べになるとわかりますから、速記録をよく調べてみて下さい。そんなことを国民の代表がここで仰せになるということは、これは傍聴人もおられることであるし、与党も野党もおられるのだから、━━━━━━、こう私が言うことは無理がない。しかし私が申し上げておりますのは、こういう調査が進むに従ってここがいけない、あそこがいけないというお言葉をいただいて、それによって私たちの方も調査に万全を期して、今、吉田さんが仰せになる通り真相が明らかになって、その真相が普遍性のあるものであるということになるならば、これは全国の制度自体を改めるところまで進めなければならない、これは大事なことなんです。ですから新聞を読んで知っておる、こう仰せになりますが、新聞も読んでおります。ラジオも聞いております。しかし新聞、ラジオの話は責任がなくて、ここでできない。そうでしょう。ですから責任あるものとしては責任がある公文書によるとか、直接の調査であるとか、そういうものでなければこれはお答えができないものなんです。それ以上時間的な無理を仰せになってもそれは御無理というものです。だから調査中は、すみやかに私の方から御報告を申し上げますから、私の方へ書類が入りますまでお待ちを願いたい、こういうわけなんです。これだけのことを申し上げておきます。
  174. 坂本泰良

    坂本委員 私、一番最初に質問しまして、小林財政部長山本調査官からの電話報告を受けたわけです。それに何も一億円についてのことがなかった。そうして知事を擁護するような、福岡県当局を擁護するような発言ばかりなんです。私は昼から書類が来るというから、書類を見た上でその点を追及しようと思って控えておった。しかしその書類がまだ来ないし、さっき催促もしました。しかしながらさっきの小林財政部長の御説明は、組合がどうの、預託がどうの、私は一億円の預託がどうなってこうなったという、核心の報告をまず受けなければならない。それをせずに、県の擁護をする弁解みたようなことをやるから、小林財政部長も県と同じようなあれではないかと、これは想像するのが当りまえですよ。その不親切な、また私たちが要求して飛行機調査なさった、それについてはわれわれは非常に敬意を表しております。しかしその報告が、この一億円の重大なる問題については一言も触れていない。私は電話で聞くなら、それはどうだ、一億円は預託になっておるか、いつ預正して、組合の名誉で三回にわたって第一相互銀行に送っておるが、その点はどうなっておるか、それくらいは聞いておくべきですよ。そうでなくて、ただ福岡県の組合の構成とか、預託の解釈とかいう、あたかも証拠隠滅のなれ合いのような報告をするから、だからなれ合いじゃないかという疑いをかけるのは、それは淡谷委員だけではなく、私だってそうですよ。そういうことですから、田中長官は先ほどの御発言を取り消してもらいたいと思う。
  175. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 田中長官は私の言葉に対して━━━━━━━と言いますけれども、私はさっきから財政部長の答弁は━━━━━━━━━━。全く誠意がない。ちっとも核心に触れていない。田中長官も新聞で知っておるなら新聞で知っておりますとか、うわさで用いておりますとかいうくらいの答弁はあってよろしい。全然知りません。そんな不誠意な答弁を黙って聞いておれますか。それをつかまえて、あなたは私どもが言うことを━━━━━━━━━━━━━━━━━われわれを非難するのならその委員会があります。私の言説がもし行き過ぎておるならば、われわれ同士の委員が、あるいは与党の委員が糾弾する。あなた方は政府委員ではありませんか。大臣ではありませんか。その大臣が、お前の言うことは━━━━━━━、こんな失敬な御発言はありません。私ははっきりここで田中長官のさっきの発言のお取り消しを要求します。
  176. 田中伊三次

    田中国務大臣 新聞で見てラジオを開いて私が知りましたということは、二十八日の劈頭に明白にお答えができておるのです。何も知らないのだ、あるかないかわからないなどといったような態度を私はとっていないのです。二十八日の委員会でも、こういうわけで新聞を見て知った、ラジオを聞いて知ったということは申し上げておる。そんなことは隠していないのです。  それから、私の発言を取り消せということでありますが、私の発言を取り消すか、取り消さないかということは、少し私は考えます。あなたの方も国民代表として政府委員に質問中に、お前がぐるになってやったのだろうというような意味に聞えるような行き過ぎたお言葉についてはお考えを願いたい。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 田中長官もここでけんか刷れにならずに、やはりお取り消しになった方が穏当だと思う。たとえば黙って円満に議事の運営の促進を一生懸命にはかっておる━━━━━━━━━━━━━━━━━、こういうような趣旨の御発言なんかは、そんなことはいかに与党が大多数で国会を自由にし得る力を持っておるといえども、そういうようなことは少し乱暴ですよ。そういうことは、委員長青野個人の問題じゃないのであります。お互いに議員であります。お互いに議員で、国会の委員会の審議権の尊重、委員長の職責に対する尊重、尊敬、こういうものがなければ委員会運営ができないことはあなたも百も承知なんです。だけれども、少し大きな行き過ぎがあります。でありますからここはそうけんか別れにならずに、率直にお取り消しになっておいた方がいいと思う。そうしないとあまりにもおとなげないと思います。これは固執なさらない方がいいと思います。固執なさるということであればやはり事の前後、経過、真相というものをもっと明らかにして、理非曲直——また淡谷君におきましてもその言動、議員として適当でないというなら適当でないようにしてもらえばいいのだししますから、そういうようなことは当初から委員会の審議の経過を考えましたときに、結論的にはやはりあなたのお取り消しが妥当だと思います。考える必要も何もなかろうと思う。与党の委員も何人か今御出席になっておるから、適当な御発言があってもいいかと思いますが、私はやはりこんな問題はスムーズに片づけて、もっと大切な質問をさらにする時間がほしいと思うのです。そういうふうにしてもらいたいと思いますが、どうです。
  178. 田中伊三次

    田中国務大臣 吉田委員の大へん貫録のあるいいお話で、私もそれは取り消すこと、がよいか悪いかということは考えてみようと思うのですが、私は国会運営という広い立場からもものを考えてみる必要があるのじゃないか。皆さんが国民を代表して政府にものをお尋ねいただく、そのお尋ねいただく場合に、いろいろものの表現ということはございましょうが、政府委員、お前らぐるになってやったのじゃないかというようなお言葉が重ねて速記録に出てくるということは私はいかがなものか、━━━━━━━━━━━━━━━━━。ですからあなたの方でも仰せになったことを考えてみて下さい。これは冷却期間を置いて考えることは人間には大事なことです。お年を召された吉田さんからのお言葉もあることだから、考えましょう。私は本日ここにおいて軽薄に取り消すという気持にはなれぬ。あなたの力でもお考えをいただき、私の方でも考えてみる。ここには運営に必要なる理事もおられることだから……。私はそう考えます。
  179. 青野武一

    青野委員長 ちょっと一言させていただきます。これは二十八日の決算委員会の最後に、私が散会の間ぎわにごあいさつをした一片でありますが、「ほかに御意見はありませんか。——それでは最後に委員長から御注文しておきますが、吉田委員並びに坂本委員から御注文になりました資料はできるだけすみやかに、しかも正確なものを一つ私の手元まで御提出願いたいと思います。」ここで実は散会をする予定でしたが、福岡県の現職の副知事出納長が、しかもそれらを含んで五名の諸君が逮捕命令を受けて身柄を拘束せられておるという重大な事件から、なお重ねて、「それから福岡県庁に関する限り、山本副知事と岩佐出納長が一緒に逮捕命令が出て、御承知通り拘束されておる、こういう状態で、すでに逮捕状の出た人が岩佐、山本、池田、向井、根橋と五名であることは、午前中刑事局長が御説明になった通りであります。こういう不当な背任横領事件などが全国の四十六都道府県に次から次に起ってきては重大問題であります。氷山の一角だというような感じを国民に持たしては大へんなことになります。これは司直の捜査上ある時期がくるまでは県庁側を擁護するとか、」これは小林財政部長があまりにも福岡県庁側を擁護するような答弁が多かったから、私は警告の意味でこういう言葉を使うたのです。それから今田中長官の御発言がもとになって、委員の諸君がいろいろお腹立ちになっておりますが、そういうこともあるいはあるかと思いまして「県庁側を擁護するとか、あるいは感情的な攻撃をするとかでなくて、こういう事件が再び起らないようにするという建前から、一つ正確な資料決算委員会運営上、必要な最も早い時期に提出をしていただきたいことを重ねて希望しておく次第であります。」これはこういう事態が起ることを予測して、私が散会の直前にごあいさつしておいたのです。そういうことでありますので、あるいは田中長官としての御意見もありましょうし、発言中の淡谷委員の考え方もありましょうが、こういう点につきましては誤解があってはならぬ。きょうも往々にして不穏当なお話があったようでもあるし、一応注意を申し上げようと思うたこともありました。重大な答弁をなさるうちに最後の結語、締めくくりが「というように推定しております」「想像しております」といったようなお言葉を使ってぼかされたことが、財政部長のお言葉の中にあったのです。そういう点から考えて、あまり角が立ったように——淡谷委員の御発言のうちに角の立ったような田中長官からの御発言がありますと……。いろいろ会議録を私は全部三べんけさになって熟読したのです。これはけさ配付されたんですが、県庁側を明らかに意識的に擁護しておるというような内容があそこにもここにも実はあるのです。そういうことと、きょうは午後には航空便で、現地に行った調査官からの——電話による資料は御説明いただきましたが、向うから航空便でくる資料というものがまだこの委員会には提出されない。今着きました、今自治庁の方から届きました、まだガリ版は切っておりませんが、読みにくいですから大体の要点を御説明しようという態度があるかと思って、今か今かと私は二時間ほど待っておったんです。それがやはり激高する一つの原因にもなっている。そういう点でございますので、一つ委員諸君並びに自治庁関係者の当局の方方が、良識によって適当な措置をとられんことを希望するのですが、委員の諸君、何か御発言がありましたら……。
  180. 山田長司

    山田委員 私は前回の決算委員会に出ていませんので、きょうの成り行きについては実はどういう結論が出るのかと思って、非常な期待を持って最初から議事の進行を見ておったのですが、小林部長の発言はどう考えてみても——淡谷委員の質問はまことに端的な質問の仕方であったと思うのです。それで最後の数回の応答の中で、最後に県職の信用組合の池田豊という者についての質問があったときも、この人のことについては知っておるか知らないかということを聞いたら、何も知らないと、一言ではねつけるようなものの言い方だったと思うのです。私はこの一言を聞いたときに、実にけしからぬあいさつの仕方であると憤激したのです。たまたまその憤激が終るか終らないうちに大臣の━━━━━━という発言で、これで私はさらに憤激を感じたのです。一体こんなに国民が関心を持っている重大な事件に対して、本日資料の一片すらも提出されずに、そして知らぬ、存ぜぬの小林さんの答弁については、これはおそらくここにいた委員全体が憤激を感じないわけにいかぬと思うのです。少くとも私は、政府の場合には、警察電話とか、あるいは鉄道の電請とか、いろいろ使える機関があると思うのです。なぜそういう点をもっとフルに使って本日の資料を出されなかったのでしょう。こういう点について、大臣の━━━━━━━という答弁どころじゃない、あなた方の答弁はこっちが━━━━━━━。一体どうして全然資料を出さなかったのか。大臣の━━━━━━━だの釈明なんかはいいから、もう一ぺん小林部長から資料の間に合わなかった理由というものを明確にしていただきたいと思うのです。
  181. 青野武一

    青野委員長 淡谷委員発言ありますか。
  182. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 田中長官は、頭を冷やして冷却期間を置くというようなことを言っておりますけれども、私はちっとも興奮しておりませんよ。さっきからあなたから一言も御返事を承わってないんです。あなたは知らぬと言った覚えはないと言っております、が、私は小林財政部長に聞いている。徹底的に私の質問に対しては知りませんと言っている。しかも私の言ったことは、あなたがどうおとりになったか知らぬけれども、そんなことを言われるならあなたも御相談を受けたんじゃありませんかと、私は笑いながら聞いたでしょう。小林財政部長も、さようなことはございませんと、笑いながら返事をしておる。それを何でまっこうから委員に向って━━━━━━━━━とか、━━━だとか、たしなみがないとか、どうかつするような態度に出られましたのでは、これは明らかに委員会の言論の封殺です。どうかつです。私は非常に落ちついていますから、田中長官だけ頭を冷静に持たれて、あなたの発言を御批判下さい。私が懲罰に触れる点があったら、はっきり懲罰されてもよい。われわれには懲罰権がある。委員長にもある。私は政府委員である小林財政部長からどうかつされてまで自分の質問をやめるようなことはしません。
  183. 坂本泰良

    坂本委員 私は前会から自治庁に対して、こういうのが自治庁かと思う。というのは、福岡県に対しては、財政支出その他についても、わざわざ調査官が行って調査をしているんです。そうして教職員の数が多いとか、これでは福岡県の財政は破壊するとかいう新聞発表までして、地方行政委員会で問題になりました。私はそういう調査をしておられるならば、どうしてこの浮き貸しの一億円のことが調査できなかったかと思うんです。だからそんなことはなかっただろうと言ったら、いろいろな答弁はあったわけです。そのときから私は、自治庁はこの不始末を起した福岡県の弁護人じゃないんだから、公平にやって、ことに氷山の一角としてのこういう問題がここに摘発されて、一罰百戒、全国の都道府県の財政紊乱が幾多あるだろう、ただ表面に出ないだけだ、われわれはこういう大きい気持でやっておるのに対して、自治庁の御答弁は不親切であり、ただ新聞で今初めて知ったんだ、その前は知らないのだ、知らないのは自治庁法律上当然のことだとしゃあしゃあとしている。私はそういうものじゃないと思っているのです。ところがやはり要望をいれて、飛行機調査に行かれたと聞いたから、やはりあれだけやったから行ってもらえたと言って、私はきょうはその調査報告を待っていた。ところが先ほど申しましたように、山本調査官電話連絡による報告は、一億円の問題にはちっとも触れておらずに、預託金とかいろいろな説明は、これはほんとうに福岡県の弁護、擁護にすぎぬ。だから私も非常にうっぷんを持っていたんです。しかしながら、要点だけを私は聞きまして、午後の書類の来るのを待って、その書類を見た上でやろうと待っていた。なかなか書類が来ないから、私は途中議事進行で書類はまだ来ないかと言ったところ、調査官は出て行って、まだ来られないわけなんですが、そういうようなわけで、これはいろいろ前会から今会にかけて、あまりにも福岡県の擁護をするし、責任のない発言を聞くと、やはり自治庁もぐるになっているんじゃないか、これじゃたまらぬ、ことに赤字財政なんかについては、各県の内容について強力にぴしぴしやっておりながら、福岡県だけは知らない、そんなのはないというのでは、これはぐるになっているんじゃないか。誤解かもしれぬけれども、そういうふうにわれわれが考えるような答弁が前会と今会とあわせてあるわけなんです。従って組合長の身分を聞かれたときも、わかりませんというわけだから、何かこれはぐるじゃないかと淡谷委員が疑問を持ったのは当然のことじゃないかと思う。それに大臣が立たれて、そうして━━━だとかいろいろ言われるのは、これは私はもってのほかだと思うのです。ですからこの点に対して長官一つお取り消しを願いたい。淡谷委員が冷静かどうかということは、先輩かなんかなら別ですけれども、ここは委員会発言ですから、私は委員として長官の御発言の取り消しを要望いたします。
  184. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 議事進行。当委員会終了後直ちに理事会の招集を願って、議事の今後の運営について適当に協議するようにしたいと思いますから、お諮りを願います。
  185. 青野武一

    青野委員長 今吉田委員からの御発言がございましたが、本決算委員会散会後直ちに理事会を開きたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。今二、三人委員諸君が続けて御発言になりまして、まだ答弁がありませんが、一応小林財政部長の答弁を聞いてみたらどうかと思います。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の点は理事会のことについてだけです。ちょっと長官に伺っておきますが、このたびの福岡県の現職の副知事出納長を逮捕した事件について、法律の解釈上自治権の侵害、こういうようなお考え方でも自治庁内部にあるのじゃないか。逮捕するのはけしからぬ、法律上許されてあることをしておるのに、逮捕することはけしからぬじゃないかというような感情及び考え方が、自治庁内部にあるのじゃないか、こういうふうなことを私はちょっと推測するのですが、この点はあなたはどう考えておられますか、それだけ聞いておきます。
  188. 田中伊三次

    田中国務大臣 そういう考えは毛頭ございません。毛頭ございませんのみならず、入念に慎重なる調査をいたしまして、これが全国に影響するものと考えます場合においては、内閣総理大臣の持っております勧告、助言の処置によりましても、また場合によりましては、法律制度の改正によりましても、慎重に事を未然に防止する道を考えていかなければなるまい、こういうふうにさえ考えまして、慎重に調査をしておるわけでございます。検察庁のやっておることはけしからぬなどということは、夢にも考えておりませんのみならず、二十八日の委員会でも詳しく申し上げました通り、何分にも事件が捜査中に属することであるために、大事なものは帳簿でございますが、その大事な帳簿のほとんど全部が押収されているような事情になっております。お前、検察庁に出ていってそれを見てくる意思はないかというお言葉もございましたが、検察庁に当ってこの際横合いからいろいろ手数をかける行動はやりたくない、こういう意味で申し上げたわけでありまして、検察庁のおじゃまにならないような程度において早急にやりたい。検察庁の方が終りましたら早急に調べる道を考えなければならないと思います。とりあえず委員会の御要望に沿うべく、その限度におきましては早急に調べたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、今お説のようなことは夢にも考えておりません。
  189. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私まだまだ質問したいことがありますけれども、大臣が━━━━━━━━━なんていう大きな侮辱を放った場合、これ以上きょうは続けません。この問題についてはっきりした善後策ができますまでは、私質問を保留いたします。
  190. 青野武一

    青野委員長 淡谷委員山田委員坂本委員の三人の御発言がありまして、まだ小林財政部長の御答弁がありません。こういう険悪な空気の中でありますから——われわれの推定ではおそくとも午後の二時か三時には当委員会にその資料が航空郵便で届くものと期待しておったのですが、そういうことが原因になっていろいろな摩擦が起りつつありますが、どういう理由で航空便による調査資料が届かなかったのか、一つその点を中心にして御発言を願いたいと思います。
  191. 小林與三次

    小林(與)政府委員 報告がおくれましたことにつきましていろいろおしかりを受けまして大へん恐縮に存じております。これはわれわれの方でも非常に気にいたしまして、すみやかに報告をもらいたい。そこでとりあえず委員会で御意見がありましたときに、東京事務所長を通じて、ともかくこういう事項とこういう事項について文書報告をよこすように、事柄が事柄だから口頭の報告でははいけない、はっきりさせなければいけないというので、文書でよこすようにということをまず申し伝えたのでございます。それから、それだけではとても十分な報告が早く得られないだろうというので、大臣の命令で調査官を派遣いたしたわけでございます。そしてわれわれといたしましては、少くとも月曜日中に航空便で最小限度の資料を送るようにということを再三電話連絡をいたしました。ところが報告書の内容につきまして、問題が問題であるからというので、知事の決裁もなかなか得がたいという連絡がありまして、そうならば、せめて委員会で御要求になりました信用組合定款なり決算書なり、そういうものを、火曜日にまた決算委員会があるというお話ですから、ぜひ火曜日中に間に合うように早く送れ、こういうことを実は重ねて申し送ったのでございます。そしてとりあえず一応電話でできる限りのことを知らせてもらいたいというので、先ほど報告いたしましたような報告を、ゆうべおそく九時ごろでしたか得まして、それを整理してきょう御報告申し上げたわけでございます。それで、航空便で送るという資料につきましては、私も実は心待ちに待っております。待っておりますが、まだ私のところへ連絡がないのでございます。私の方では全く他意なく、それがくれば、こんなおしかりを受けてまで隠す必要はないのでありまして、早く申し上げたいと実は存じておる次第でございます。
  192. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は、先ほどからの委員会運営についてじっと聞いておったのですけれども、非常に遺憾に思います長官の御答弁がありましたが、これはやはり小林財政部長の態度や発言が原因をしていると私は思います。少くとも私が残念に思いますことは、委員の質問等に対しまして、紛争の原因になるような発言長官をしてせしめるような態度に先ほどから出られていることそれ自体が、長官を補佐する部長としての態度ではないと私は思います。長官を補佐して、少くとも委員の質問に対し適切なる答弁をせしめられるように協力することが部長としての最も適切なる職責であると私は思うのです。ところが、本日私は初めて決算委員会出席をいたしまして、そうしてその態度を見ておりますと、遺憾ながら、各委員が激高いたしまするように、小林部長の答弁は適切ではございません。言葉で議事録にどう出ておりましょうとも、少くともその態度等におきましても、人間と人間との感情の交錯というものにつきましては、決して適切な態度であるとは考えられないのであります。そこに、長官をして━━━━━━━━というような差し迫った感情を抱かしめる原因をなしたことだと私は思うのであります。会議の運営は、いかなることがありましょうとも、少くともその人と人との和の交錯がなくては円滑なる運営をいたすことはできないと思います。こういう意味におきまして私がまず財政部長にくれぐれもお願いしたいことは、今までのような答弁内容というものは、今申し上げまするように、政府委員の答弁としての態度の適切性を欠いているということを一つ十分に反省をしていただきたい。そうして長官に対しても、十分に適切なる答弁ができ得るように協力をしてもらいたい。人間としてお互いに感情の激するところなしに、冷静に会議の運営を進めるためには、その会議の運び、審議というものが、あくまでも人間性の上に立って究明せられるように努めるべきであります。そういう点におきまして、今までの御答弁が、以上申し上げまするように適切でないということをよく御了承いただいて、今後におけるこの決算委員会はきわめて重要な問題を処理しなければなりませんので、私どもの質問の内容におきましても、腹に据えかねることもあるでありましょうけれども、そこはお互いに冷静に人間性をもって処理できるように、会議の運営をせられるように、御協力を賜わるようにお願いをいたしておきます。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、本日最後に聞いておきたいことは、刑事局長にきょういただきました資料趣旨でありますが、これはやはり大事なことを含んでいる書類でございます。特に昭和三十一年の一月から六月に至りまするまで、第一相互からスチール会社に十四億何がしか融資されている、こういうことになっておりますので、一応この容疑の関係だけはお述べ願っておきたいと思うのであります。私は、本日はそれだけで一つ御散会を願いたいと思います。
  194. 井本臺吉

    井本政府委員 お手元に差し上げました第一相互銀行関係商法違反の起訴についてと題する書面でございますが、これは、昨年の十二月二十六日までに起訴いたしました三名につきまして、かような事実について起訴してあるということの要領でございます。  この内容は、要するに、渡部、前田、それから直江、この三被告が共謀いたしまして、前二者はこの銀行側の役職員として、直江の方はその銀行側から金を借りた立場で、それぞれ任務にそむいて、銀行に損害を与えるという目的で不当な貸付を受け、あるいは貸付をした、その金額が合計十四億余りになっておって、これだけの損害を与えたという趣旨の起訴状でございます。この第一相互の不良貸付につきましては、このほか、なお約十億余りの金の分につきまして取調べができていないので、その分につきましては引き続き取調べをしておるわけでございますが、今回の福岡県の関係事件も、そのあとの取調べの経過に現われた分でありまして、引き続き不良貸付につきましては、犯罪になるものについては、われわれの方といたしましてもなお追及を続けていくという考えであります。
  195. 青野武一

    青野委員長 奥村又十郎君より委員外発言を求められております。これを許すことに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 青野武一

    青野委員長 異議なしと認めます。奥村君。
  197. 奧村又十郎

    ○奥村又十郎君 このたび、検察御当局で、福岡県の副知事初め、関係者を逮捕されたということを新聞紙上で承知しておるのでありますが、その逮捕の理由は何であるかということをお尋ねしたいと思うのであります。そういう立場の方は非常に重要な立場の方でありまして、逮捕されれば地方自治に非常な影響がある。従いまして逮捕される以上は、よほど明確な、何か動かしがたい理由と証拠があって逮捕されるのでしょうが、私どもの判断では、かりに裏利を受け取ったとかいうふうなことがありましても、法律上の犯罪を構成しておるかどうか、非常に疑問であります。だから、一体何をもって逮捕の理由としておるか、その点を一つ明確にしておいていただきたいと思います。
  198. 井本臺吉

    井本政府委員 前回の決算委員会でも一応御説明申し上げたのでありますが、要するに容疑事実といたしましては、福岡県の公金一億円が第一相互銀行に預金されたということは、これは刑法上いかなる犯罪が成立するか、ただいまのところ明確にしてはおりませんが、容疑といたしましては、この金を預けたこと自体が業務上横領になるのではないか、関係者はその共犯ではないかということが一応容疑になっておりまして、この事実につきましてはなおいろいろ調べる点がありますので、詳細はいま少しく時日を待ちませんとちょっと申し上げかねるのでございます。  なお、根橋氏の方は、これは山本副知事に対しまして一千万円を供与したというのが職務上の贈賄行為であって、山本副知事はこれを受け取ったという容疑が一応の容疑事実となっております。なおこの間の事情は、いろいろ帳簿上の関係もありますので、前会にも、調べの経過によっては多少変ってくるかもしれませんということは申し上げたのでありますが、一応の容疑事実はさようなことで取調べが進められております。
  199. 奧村又十郎

    ○奥村又十郎君 ただいまのはお尋ねに対しての明確な御答弁でないと思います。福岡信用組合から第一相互銀行に余裕金を預託するということは、これはおそらく合法的であろうと思う。一千万円の裏利を受け取ったということでありますが、その裏利というものは向井という者に貸してある、だからこれは表向き貸してあるということについては違法でない、ただその一千万円をどういう経路で、わいろとして渡したかどうかといういわゆる収賄、涜職の事実があれば、これは確かに犯罪でしょう。その収賄、涜職の事実をもうすでに確認して、逮捕状を出されたのですか、どうですか。この逮捕状というものは、犯罪事実を確認して、証拠をつかんで出してあるものですが、その逮捕状は何に根拠を置いておるのですか。
  200. 井本臺吉

    井本政府委員 とにかく裏利がある名義人の名前で貸し付けたというような形になっておるかもしれませんが、実質上副知事にいったものであるという容疑のために逮捕状を請求いたしまして、逮捕状が出て、そのまま勾留されておるというわけであります。
  201. 奧村又十郎

    ○奥村又十郎君 重ねて恐縮ですが、裏利は、これは犯罪ではありません。これはすでに大蔵委員会でも明確になっております。日歩五十銭以上の受け渡しは犯罪ですよ。しかし日歩五十銭以内は犯罪ではない。ただ収賄、涜職の事実があれば、これは犯罪です。これはその一千万円が収賄、涜職という事実として確かめられておるのかどうか、その点を伺いたい。
  202. 井本臺吉

    井本政府委員 とにかく取調べをしておる最中でありまして、一応この金が副知事の方にいっておるという想定のもとに調査をして、そのいっておるということにつきましては、われわれの方にある程度の材料がありますので、かような容疑事実について逮捕状の請求をいたしまして、裁判長の方からこの程度でよろしいという許可があって、逮捕いたしまして、引き続き調査をしておるというので、これは判決ではありませんから、先ほど申し上げました通り、調べの経過によってはあるいは多少変ってくるということもあらかじめ御了承願わなければならぬと思います。
  203. 青野武一

    青野委員長 それでは本日はこの程度をもって散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。    午後五時三十七分散会