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1957-03-28 第26回国会 衆議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十八日(木曜日)     午前十一時四十分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 臼井 莊一君    理事 坂本 泰良君 理事 吉田 賢一君       小金 義照君    櫻内 義雄君       林  唯義君    松岡 松平君       淡谷 悠藏君    片島  港君       上林與市郎君    前田榮之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         自治政務次官  加藤 精三君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵事務官         (銀行局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局検査部         長)      福田 久男君         会計検査院事務         官         (第一局長)  大沢  実君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十八日  委員神近市子辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事本名武辞任につき、その補欠として臼井  莊一君理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事互選歳入歳出実況に関する件(都道府  県の会計経理に関する問題)     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。すなはち理事本名武君より理事辞任申し出がありましたが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に補欠選任を行わねばなりませんが、これは選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認めます。それでは理事臼井曲一君を指名いたします。     —————————————
  5. 青野武一

    青野委員長 次に、ただいま理事会で御協議願ったのでありますが、日程に先立ちまして、歳入歳出実況に関する件、都道府県会計経理に関する問題につきまして調査を進めます。発言の申し出がありますのでこれを許します。吉田賢一君。
  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず井本刑事局長にお伺いするのでありますが、莫大な国庫金を年々交付を受け、使用しておりまする都道府県財政監督は、まことに国家財政監督見地から見ましても重要な問題でなければなりません。しかるところ、当委員会におきましても東京の第一相互銀行財政経理の問題に関しまして、かつて質疑をしておったのでございますが、がぜん数日来紙上伝うるところによりますと、福岡県の副知事らがこの第一相互銀行に対して公金をやみ融資したとか、導入屋を通じて導入したとか伝えられ、また多額裏金利と申しますか、そういった不正不当な金利が収受せられたという疑いをもって逮捕状の執行をせられ、あるいは執行せられる前に取調べを受けておるということが伝わっております。果して紙上伝うるごときが事実といたしましたならば、これは国家財政監督見地から見ましても、まことにゆゆしい、近来最も重視すべき地方財政紊乱と申さねばなりません。こういう見地に立ちまして、刑事局長から、第一は、第一相互銀行刑事事件においてすでに起訴された者の氏名罪名、また可能な範囲におきまして被疑者氏名、職名、罪名など、並びに福岡県の副知事山本兼弘、同出納長岩佐秀盛福岡県庁信用組合理事長池田豊、これらの人に関する事件の概要を一つ御説明願いたい。
  7. 井本臺吉

    井本政府委員 第一相互銀行関係でございますが、昨年の夏ごろに、この銀行に二十数億円の不良な貸付があるということを捜査当局において探知いたしまして、その結果鋭意捜査を進めておるのでございますが、現在までの間では、この銀行職員であります渡部虎雄、前田彦、この両名、並びに不良貸付の相手方でありますスチール工業株式会社経理担当者直江秀次、この三名を昨年の十二月中にそれぞれ特別背任等罪名で起訴しております。この不良貸付の問題につきましては、なお容疑の点がいろいろありましたので、引き続き捜査を進めて参ったのでございますが、この銀行福岡県の公金預金されておるということが判明いたしまして、この預金をめぐりまして福岡県の県の関係職員とこの銀行職員との間に不正事犯が存在するのではないかという容疑を生じましたので、鋭意捜査を進めて参ったわけであります。その結果といたしまして、現在までの間にこの関係者五名をそれぞれ逮捕し、あるいは逮捕寸前状況取調べを進めております。その関係者を一応申し上げますと、福岡県の総務部長をやっておりました山本兼弘、福岡県の出納長をやっておりました岩佐秀盛、それから福岡県の信用組合組合長池田豊、それから金融ブローカー向井定利、それから第一相互銀行常務取締役でありました根橋武男、これらの方々につきまして容疑事実を今取調べ中であります。まだ逮捕直後の状況でありますので、詳細の点は判明いたさないのでありますが、要するに福岡県の公金一億円を昭和三十年の十二月上旬から中旬にかけまして第一相互銀行預金いたしまして、その預金に関連して銀行常務取締役から約一千万円の金を収受したというのがその容疑であります。その金の受け渡し状況その他につきましては、いろいろ銀行関係帳簿上の形を整えてありますので、それがいかようになっておるか、ただいま鋭意捜査中でありますので、詳細なことは申し上げかねますが、大体の構想といたしましては、さような事情になっております。従いましてこの一千万円の金が銀行関係者から福岡県の関係者の方に出ておる点につきまして、どのようにこれが使われておるか、鋭意捜査中であるというのが実情であります。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの山本知事はどこでお調べになるのですか、東京ですか福岡ですか。
  9. 井本臺吉

    井本政府委員 本人に東京地方検察庁に出頭を求めまして、ただいま連絡によりますと、本日午前ただいま出頭したということでございますから、これから調べ始めるという状況でございます。
  10. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 現職の副知事であり、また特に九州の行政、産業、経済あらゆる面で中心をなしておる大県の副知事並びに出納長というきわめて重要な行政上、社会上の地位を持っておる人らであります。で、相当確実な証拠によって調査が進められるものとわれわれも信じます。そこで事実関係はだんだんと判明していくかと思うのでありますが、一体このすでに多数の被疑者を出し、また幾たびか新聞等によって喧伝せられ、社会を騒がせました第一相互銀行不良貸付関係、その内容にこの大県の公金預金されておるというようなことは、奇怪なできごとであると思うのです。そこで一体この県は県金庫というものがあるのですかないのですか、その点はどういうふうになっておったのでしょうか。
  11. 井本臺吉

    井本政府委員 実はその点まだ詳細に報告を受けておりませんが、県の金が福岡県の県信用組合に一度入りまして、その信用組合から第一相互銀行預金されておるという形になっておるように聞いております。
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは直接捜査当局が十分な知識も持っておられるのであろうかと存じますけれども、私どもにはあまりにも想像のほかでありますので、実はあなたに伺うのであります。これがなお市中銀行であるというならわかりますが、市中銀行ではない。そうしてもう破産、倒産で預金者を大騒がせをして、日本中で相互銀行事件というたら第一相互銀行と言われるほどの銀行である。その銀行預金がきれておる、しかもそれは大県である、こういう事実でありますので、これが信用組合を通して、あるいは信用組合の金であるということにしてあって、表向きはわからぬというのかもしれませんけれども、いずれにしましても白昼実に人の耳をそばだて目を奪うほどの奇怪な、近来まれな事件であると私は考えるのです。いなか銀行に預けてあるというならしろうともちょっとあるいはそうかなと考えますが、県金庫があるということは、これはあるいは税の関係県議会関係で、一応県政治の常識を持っておる者は大ていみなうなずくので、小さい市においても市金庫を持っております。ところが相互銀行に預けておる。相互銀行はボロ銀行である、破産、清算で大騒ぎをやって、不良貸付で騒ぎ回っておる銀行である。こういうことでありますから、よしんばいかに巧妙に導入屋の手を通じてこれがなされたといたしましても、非常な紊乱背景をなしておるのじゃないかということを私どもは推定するわけでございます。そこでこれは一体出納長もあり、知事もあり、それからいずれ監査委員もあり、県議会もあるのですが、副知事というものは自分で直接県の公金出納に関与するという機会が実際あるのでしょうか。これはあなたに伺うのもどうかと思いますけれども、一般的な事件背景として、法務省ではどうお考えになっておりますか。この辺はあなたの御専門の畑でありませんから、都合で他の方にも聞きますけれども、その辺はどういうものでしょうか。
  13. 井本臺吉

    井本政府委員 ただいま取調べ中でございますので、詳細なことを申し上げかねるわけでございますけれども山本知事は、この問題の起きた当時は、福岡県の総務部長として県の財政一般の職務を担当しておったものというように私は考えておるのでございます。なお公金一億円の預金がわれわれといたしましてもはなはだ合点がいかないので、これが普通に公金銀行に預けただけのことであるのか、今少し進んだ関係者——たとえば池田豊組合理事長であるとか、あるいは岩佐出納長であるとか、こういう方々の共謀、共犯に基く一種の横領行為というものも、場合によっては成立するのではないかというような疑念を持ちまして、鋭意捜査を進めておるというのが実情でございます。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東条銀行局長に伺いますが、あなたの方では、いつぞやこの委員会において、第一相互銀行検査したというふうにおっしゃっておりましたが、最終検査はいつでありましたか。
  15. 東條猛猪

    東條政府委員 第一相互銀行最終検査は三十一年の六月から七月にかけて行いました。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その以前はいつですか。
  17. 東條猛猪

    東條政府委員 その以前は三十一年の二月であります。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは三十年一月ごろからの年月日を逐次言ってもらいたい。
  19. 東條猛猪

    東條政府委員 先ほども申しましたように三十一年の六月、三十一年の二月であります。その前は約二年半経過しております。正確な日取りは、その前回は二十八年七月であります。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、大蔵省銀行局は、第一相互銀行会計検査を二十八年の七月から三十一年の二月までの間は検査しなかった、こういうことに承わっていいのですか。
  21. 東條猛猪

    東條政府委員 仰せの通りであります。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは、検査をする責任とか義務は大蔵省にはあるのですか、ないのですか。
  23. 東條猛猪

    東條政府委員 検査実情について申しますと、大体相互銀行につきましては二年後を周期目標ということにおよその原則を立てまして、検査の必要があると認めました場合におきましては、随時その間におきましても検査をするのは当然でありますが、大体の周期目標を二年見当に置いておるわけであります。  そこで今のお尋ねよりはそれますけれども、二年半というこの三十一年の二月までの間の間隔が大き過ぎたのじゃないかという御趣旨お尋ねとも存じますので、ちょっとその点申し上げてみたいと思うのであります。三十年の八月に実は第一相互銀行とは別の常磐相互銀行に、これもはなはだ遺憾なことでありまするが、不祥事件が起りました。私どもといたしましては、常磐相互銀行の精密な検査及びこれの再建ということに当時努力をいたしたわけであります。当時この常磐相互銀行がそういうような事態でございましたので、この問題が他の相互銀行にどの程度の影響を及ぼすかということを慎重に見守りたい、こう考えますとともに、特に常磐相互銀行事態にかんがみまして、都内相互銀行につきましては、導入預金の問題、あるいは支払い準備金の問題、あるいは貸し出し態度の問題、そういうことにつきましては、検査は当時第一相互には行いませんでしたが、常磐事態にかんがみまして、それぞれ厳重な警告と申しますか、注意と申しますか、そういうことをいたしたわけであります。第一相互銀行の当時の責任者からは、そういう私ども警告に対しまして、自分の方の銀行は何ら心配は要らないというようなお話もございましたし、かたがた今申し上げましたような常磐相互事態影響をもう少し見定めてから、東京都内銀行につきましては検査したい。また、きわめて付随的な理由でありますが、当時第一相互銀行の本店が改築をいたしておりましたので、帳簿書類その他の提出の便宜、その他を考えまして、二年の周期は参っておりましたが、その期間を若干ずらした、かような実情に相なっております。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この検査をするのは、法律上及び法制上は、どういう根拠によってやるのですか。
  25. 東條猛猪

    東條政府委員 銀行法及び銀行法をそれぞれ準用しております法律根拠に基きまして……。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事務の方でやってもらってよろしいから、具体的に法律の明文全部を指摘して……。
  27. 福田久男

    福田説明員 相互銀行法第二十条の規定によりまして、銀行法が準用されておりますが、その準用されております銀行法第二十一条の規定に基いて検査をいたしております。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから二年の周期というのは、大体何に根拠されるのですか。
  29. 福田久男

    福田説明員 法律によりますと、何年に一回検査しなければならないという規定はございませんけれども検査人員並びに能力等を勘案いたしまして、各種金融機関検査いたしております関係上、なるべく周期は短縮いたしたいというふうに考えておりますけれども、それぞれの事情を勘案いたしまして、最近ではおおむね二年というのを目標にして、それぞれの金融機関によりまして具体的には若干差がございますが、検査いたしております。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どういう方法で、どれほどの人が行って検査するのですか。
  31. 福田久男

    福田説明員 対象金融機関の規模あるいは検査難易等によりまして、いろいろと格差はございますけれども通常の場合、五、六名ないし七、八名が参りまして、期間は実働二週間から二十日、長くなれば一カ月というのが実情でございます。
  32. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは第一相互についても六人ないし八人、が二週間ないし一月を要したと了解していいのですか。
  33. 福田久男

    福田説明員 第一相互銀行の最近の検査におきましては、最初第一回にやりました昭和三十一年二月の検査の場合には、人員ははっきり正確に記憶しておりませんが……。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 途中で失礼ですが、その前から言って下さい。二十八年七月には何名、何日くらい要したか、その次には何名、何人ぐらい要したか、それをおっしゃって下さい。
  35. 福田久男

    福田説明員 二十八年の分は記憶しておりませんので、調査してお答えしたいと思います。三十一年二月の場合は、六、七名だったと思いますが、期間は一カ月をこえておると思います。それから第二回の六月から七月にわたっての検査も、かれこれ一カ月を要したと思いますが、これは第一回検査においてはっきりしなかった点を、さらにはっきりさせたいということと、それからその後における状況の推移について補足的に検査をするということで、いわば二月検査の補充的な意味検査でございますが、それも人員は五、六名だったと思いますが、期間は一カ月以上を要したと思います。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十八年七月はどうですか。
  37. 福田久男

    福田説明員 二十八年七月の検査につきましては、先ほど申し上げたように、調査してお答えいたしたいと思います。私ただいま記憶いたしておりませんので……。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、大蔵省銀行局のきわめて練達な会計経理検査専門家が五人ないし八人、一カ月を要して第一相互銀行帳簿その他を検査なさった。そこで福岡県の預金関係について、これは三十年の十二月上旬に預金されております。お調べになったのは、検査は三十一年二月で、二、三カ月しかたっておりませんが、そのときには、どういうふうにこれは記載されてあったのですか。
  39. 福田久男

    福田説明員 お答えいたします。福岡県庁信用組合、これは県庁内にある、県庁職員で組織する信用組合のようでありますが、この信用組合から第一相互銀行に対しまして通知預金として受け入れておりまして、受け入れました日は十二月上旬から中旬にかけて三回にわたって受け入れております。合計金額は一億円でございます。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一体県庁職員組合が一億円の金をこの種の不健全な——あなたの方で三十一年のお調べ当時は、相当不健全な状態であったことは、お認めになっておったのでございましょうか。その点はいかがですか。
  41. 東條猛猪

    東條政府委員 三十一年二月の検査で第一相互銀行には相当問題があるということは、検査の結果、判明いたしております。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのような場合に、銀行状態が非常に不健全な、不良な状態になり、多数の問題があったときに、職員組合が一億円の金をこの種の銀行預金する、しかもごく短期間であるということになっておりますね。それは相当問題にすべきだと思うが、問題にする価値がないというふうにでもお認めになったのですか。
  43. 福田久男

    福田説明員 金融機関預金受け入れますこと、そのこと自身としては、特別、通常の場合、問題として考えるべきものではないのではなかろうかと考えております。特に当時の状況を翻って考えますと、第一相互銀行といたしましては資金繰り状況がかなり窮屈な状況であったという事情があるわけでございまして、そういう意味地域的に遠隔であるという点につきましては、いろいろ批判の余地もないではないかと思いますけれども預金として受け入れるという業務行為を行うわけでございますので、その面では通知預金受け入れたということ自身について、それに付随するいろいろな問題がありますれば、その面は大いに問題だと思いますが、預金受け入れること自身についてはそれほど問題ではなかろうかと思います。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしその第一相互営業地域範囲はどのくらいになっておりますか。どういうところになっておりますか。
  45. 福田久男

    福田説明員 ただいま資料を持っておりませんので、営業地域を正確には申し上げかねますが、大体関東地方東京都と東京都近辺だったと思います。ただこの場合はインターバンクでございまして、いわゆる金融機関相互と申しますか、インターバンク取引でございますので、その営業地域は、たとえばコールローンを出すという場合に、北海道の相互銀行コールローンを出します場合には、それは地域を越えた他の金融機関貸付金という概念に入るわけであります。そういう意味におきまして、インターバンク取引であるというふうに解されるのであります。
  46. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して銀行局長にお伺いしますが、銀行で三十一年二月、三十一年六月と検査されたのですが、どういうふうな検査をされたのですか。ただ帳面を見ただけですか。少くとも大蔵省銀行検査する場合は、資金繰りが窮屈である、これに福岡県の県庁から一億円という金をわずか三回にわたって預金をしておる。これはどういうものであろうか。ことに私たちの考えでは、大蔵省はこういうような預金をしているなら、これは福岡県の方に注意でもしなければならぬ、そういうのが私は銀行局銀行に対する監査趣旨であるし、そうしなければならぬと思うのですが、銀行局検査されるのは、今私が言ったような意味はないのですか。ただ帳簿を見られるだけですか、その点を承わりたい。
  47. 東條猛猪

    東條政府委員 もちろん銀行検査の目的は、各種書類を吟味し、帳簿をあらためまして、銀行経営が軌道に乗っているかどうか、もし銀行経営に問題があるならば、それをどういうふうに是正するかということが銀行検査の眼目でございます。しかし今お尋ねになっておりますように、福岡県庁信用組合預金は、ただいま検査部長から申し上げましたように、インターバンク通知預金でございます。従ってこの預金ということ自体を取り上げて考えました場合に、私どもといたしましてはこれは福岡県庁の方に通知しなければならぬ、そういう問題であるとは考えません。むしろインターバンク通知預金である、こういうふうに検査のときには考えたのであります。
  48. 坂本泰良

    坂本委員 私は普通の商事会社その他が通知預金をするというなら何ら疑いはいたしません。しかしながら、職員組合というのは、この信用組合職員の金が集まっているわけです。しかし職員の金でも、一億円なんか集まるというのは不思議だと思う。これはおそらくその名前で福岡県庁から金を出しているのではないか。その金の中には、私は国の委託事務国家公金も入っているのではないかというふうにも考えられるのです。ですから銀行検査をされる際には、単に商事会社通知預金というように考えるわけにはいかぬと思うのです。ことに三十年の十二月の師走に押し迫った際に、一億円という莫大な預金福岡県庁からやるということについては、これはどういうわけでこういう預金をしておるのだろうか、ことに先ほどの御説明によると、資金繰りに相当窮屈のこの銀行である、どうしてこういうのをやっておるのだろうかという検査の結果が出てこなければならぬと私は思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  49. 東條猛猪

    東條政府委員 三十一年の二月に第一相互銀行検査いたしました結果、いわゆる導入預金が二十三億あったのであります。また不良貸し出しも十数億円あるという事実が二月の検査の結果判明いたしたのであります。その状況から考えました場合に、いわゆる導入預金受け入れ、それに伴う貸し付けということは、私から御説明するまでもなく雪だるま式銀行資金の回転を非常に困難ならしめる結果になるわけでありまして、検査に至るまでの間におきまして、この第一相互銀行は相当資金繰りが窮屈になっておったということは、検査の結果実は明瞭なことであります。そこで先ほど検査部長が御説明いたしましたように、私どもは、この第一相互銀行の当時の経営責任者といたしましては、その資金繰りの困難ということを打開いたしますがために、相当各方からの預金受け入れを熱心に勧奨して回ったという事実があることは考えたわけであります。しかしながら同時に、これは先ほど検査部長もちょっと申し上げなかったのでありますけれども、この預金インターバンクでありまして、日歩九厘というものであります。この九厘のほかに三厘二毛の別に特利を払うという別個の契約があるということも、私ども検査の結果わかっておったわけでありますが、あとの点につきましては金利調整法の違反でもありするし、厳重な警告を当時第一相互銀行に出したわけでありますが、そういう事実でもわかりますように、相当預金受け入れ銀行資金繰り上なすっておった、非常に熱心にそういう運動をしておったということでありますので、福岡県庁信用組合関係で、そういう資金難打開のための取引が行われたのであるというふうに判定はいたしたわけであります。
  50. 坂本泰良

    坂本委員 その御判定の際に、金融ブローカーがこれに介在をして、相当多額の報酬をもらうとか、あるいは福岡事件で起きておりますように、一千万円の貸し付けをしておる、担保もなし何にもないのに一千万円の貸し付けをしておる、こういう事実があるわけですが、今局長がおっしゃいますように、預金受け入れについて非常に広範囲に苦労しておると思われる、そういうところまであなた方専門家が気づかれたならば、二厘二毛だけでなくて、裏にそういう不正があり、そういう金融ブローカーの世話によってこの二十三億円という金が集まったのである、この点まではあなた方はわからなかったのですか。
  51. 東條猛猪

    東條政府委員 ちょっと、私が先ほど申し上げました二十三億円の問題と、福岡県庁の一億円の問題とは切り離してお考えいただきたいと思います。二十三億の問題につきましては、スチール工業というような会社が媒介をいたまして、典型的な形の導入預金ということに相なっておとるということは、二月の検査でもわかっておったわけであります。  それから福岡県庁信用組合の一億円の問題に関連いたしましては、後日の六月の検査の際でありますが、四月に某に対して一千万円の大口貸付の記帳が行われておるということは判明いたしたわけであります。
  52. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお聞きいたしたいのは、福岡県庁の一億円は別として、その二十三億円のうち、典型的な導入預金というものは大体大口は幾つくらいで、どういう金額であったか。
  53. 東條猛猪

    東條政府委員 口数は非常にたくさんにわかれております。従ってもし具体的な計数が必要でございますれば、取り調べて申し上げますが、口数は、相互銀行法規定あるいは各種の指導方針がございますので、その規定に違反しないように、表面的には各種の口数にわかれておるわけであります。しかしながら、その全体を私どもの方で集計してみますと、典型的な導入預金は約二十三億というふうに一応算定をいたしたわけであります。くどく申し上げますが、福岡県庁信用組合の一億円は、この二十三億円の導入預金とは関係がないということは、私どもとしては当時も考え、また今日も考えておるわけであります。
  54. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、二つにわけてお聞きしますが、福岡県庁の一億円というのは二十三億円の中には入っていない、こういう意味か。もう一つは二十三億という金ですから、典型的な導入預金はたくさんありましょう、千円札がトラック一台一億円とすれば、トラック二十三台あるわけだから。ですから、一番高額は幾らですか。これは検査報告書をいただけばその内容はわかると思いますが、銀行局として専門的に検査をすれば、このグループはここから出た金だ、これはこうだということが大体わかると思います。  そういう一億以上のものは幾つくらいありましたか。
  55. 福田久男

    福田説明員 ただいまの御質問の導入預金の口数は千数百口に及んでおります。従って二十三億を千数百で割りますと、一口の金額はそれほど大きくなりません。ただその中で大きいのはどうかという御質問でございますが、はっきり記憶いたしておりませんが、数千万円ではないかと思います。もちろん同じ人で何口も預金している場合もあろうと思います。たとえば定期預金証書にいたしますと、先ほど申しましたように何千万円とか、千万円単位ではなかったかと思いますが、詳細は帰って資料を見ませんと、はっきり記憶しておりません。
  56. 坂本泰良

    坂本委員 銀行に帰って資料を見るまでもなく、こういう不良状態になって典型的な導入預金が二十三億もある——それは一人で何枚も持っておりましょう。しかしそういう銀行検査する場合に、たとえば坂本という一千万円のが十枚あれば一億円ということになるでしょう。そういうふうに集約して二十三億の導入預金があるという結論になるはずだと思うのです。千数百口あるとおっしゃるのですから、同一人のもたくさんあると思います。二十三億のうちには福岡県みたように一億円、あるいは五千万円以上にまとめられる口数が相当あると思うのですが、そういう点は現在おわかりにならぬですか。
  57. 福田久男

    福田説明員 お言葉を返してはなはだ申しわけないのですが、いわゆる典型的な導入預金は、そのほとんど多くの部分が無記名預金でございまして、この無記名預金につきましては私ども検査では名寄せがなかなか困難なのでございます。その後導入預金について第一相互銀行の方で名寄せができておればそれによってわかると思いますが、検査自身によって無記名預金の名寄ということは事実上非常に困難でございます。むしろそれ以外の融資面あるいは業務の運営面における検査の方がより一そう重要でございましたので、各人ごとの名寄というところまで至っておらなかったことは非常に残念であります。
  58. 坂本泰良

    坂本委員 今の問題はもっと追及しなければならぬのですが、ほかに重要な点がありますから一、二点関連して伺いたいと思います。そういたしますと、福岡県庁の一億円はどういう典型的な導入預金に入るというふうに見られたかお聞きしたい。
  59. 福田久男

    福田説明員 まず典型的導入預金というのはどういうものであるかということから御説明した方がわかりいいかと思いますが、福岡県庁の一億円の預金は、導入預金の定義の仕方にもよりますけれども、普通の導入預金でありますと、たとえばスチール工業ならスチール工業という債務者が窓口になりまして、預金をあっせんして入れまして、その入れた資金の相当多くの部分を債務者に還元して貸しているわけです。そういった事実がこの場合にはないということが一つ。もう一つは、通常の場合は金利調整法……。
  60. 坂本泰良

    坂本委員 答弁中ですが、あなたは第一相互の弁護人ではないのだから、むしろ監督の地位にある大蔵省の役人ですから、その意味でお答え願いたい。いろいろの説明は聞かなくてもいいから、福岡県庁から一億円が三十年の十二月、三回にわたって通知預金で出ているでしょう。それをどういうふうに導入預金に見たか、それをお聞きしているのです。
  61. 福田久男

    福田説明員 私、決して弁護する意味で申し上げておりません。導入預金であるかどうかという御質問だと思いましたので、それでは導入預金とはどういうものであるかということから御説明申し上げようといたしたのですが、御質問の意味がよくわかりませんので……。
  62. 坂本泰良

    坂本委員 福岡県庁から十二月に三回にわたって一億円の通知預金があったが、これを導入預金と見たかどうか、それからこれに対して一千万円の利息が払われているが、その点は検査のときわかっていたかどうか、この二点について伺いたい。
  63. 青野武一

    青野委員長 福田検査部長注意しますが、午後一時から本会議がある予定になっておりますし、時間に非常に制約されておりますから、各委員の質問には重点だけお答え願いたい。
  64. 福田久男

    福田説明員 第一相互銀行における導入預金として、特別に処理の対象になった中には入っておりません。それからこれについては先ほど銀行局長から申し上げましたように、日歩九厘のインターバンクの公定レートをつけておりまして、そのほかに日歩二厘二毛の特利をつける約束をいたしております。これは臨時金利調整法の違反でありまして、十分向うに注意するように警告をいたしております。なおあっせんされたと称する、建築ブローカーと言っておりますが、その某建築ブローカーに対しまして一千万円の貸付金がございます。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでに起訴されておるスチール工業株式会社の専務直江秀次、今刑事局長も御説明になっておりますが、直江秀次のあっせんによるのでございますか、預金を導入された面についてなお少し伺っておきたいのですが、導入資金の出先、あるいは真実の名義人と違うかもしれませんが、あなたの方で二回、三回にわたって周密な検査をしたのであるから、わかっておると思うし、のみならずその後事件は起訴されて多数の重要な導入あっせん者が起訴されておりまするから、すでに監督銀行局としては明瞭になっておると思うのだが、その導入資金の出し主もしくは名義人、陰に隠れておる者でもよろしいが、これらのうちに、福岡県のごとき県庁公金、ないしは共済組合、ないしは職員組合、ないしはその他国家財政資金の投融資などによる特殊法人、そういうものがほかにあったかどうか、こういうことです。
  66. 福田久男

    福田説明員 一々記憶いたしておりませんが、先ほど申し上げたように無記名預金が相当多くの部分を占めておりまするので、あまり私記憶に残るほどのことはございませんでしたが、なお調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは多数の中で記憶はしておられないと思うけれども、すでに大蔵省、特に銀行局といたしましては、相互銀行監督の業務がどう行われたかということについて、この第一相互との関係はきわめて重視すべき事柄であります。ことにあなたは検査の部長として当面の責任を待っておられるので、こまかいことはお忘れであろうけれども、私が指摘しましたことは国家財政に直接もしくは間接に関係がある事柄でありますから、特にそういう面については今記憶はないとか、覚えておるほどの大きなことでないとかは言えぬと思う。その辺は相当重視しておれば、私は即座に御答弁ができると思うのです。それでもおわかりでないというのですか。
  68. 福田久男

    福田説明員 非常に残念でございますが、千数百人にのぼり、しかもその中の相当多くの部分が無記名の預金でございますので、はなはだ申しわけありませんが、調査の上お答えいたしたいと思います。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは局長に聞きますが、無記名預金というのは終局まで無記名預金できてしまったのか。さにあらずして犯罪性を帯びるような場合には無記名預金の正体は暴露していかねばならぬと思うのです。すでに数名の重要な人は起訴されておるのです。すでに全国で有数な大県の副知事逮捕されておるのです。こういう実情にあるときに、無記名預金でございますからというのでわからぬというのでは、これでは監督できないと思う。今のような私の指摘したような事柄は無記名であるからわからぬというのでは、それでは検査監督の能力がないと言わなくちゃならぬ。そんなものじゃないと私は思う。私はしろうとだからわかりませんけれども、それでは国民は納得しませんぞ。そんなことを言ったって、第一相互はずいぶんと社会に迷惑をかけ、ないしは第一相互関係した重要な幹部はすでに起訴されておる、こういうときにあなたの方で無記名預金であるから正体がわからぬというのでは、どうも私は納得できない。その点についてはどうなんです。無記名であってもなくても相当明らかにされてしかるべきだと思うのだが、今指摘したような事柄はこれはあなたの方で相当調査をなさって、元は無記名預金であったけれども、実際はだれそれが預金したことが判明した、調査の結果わかった、こういうことは、あなたの方の調査検査、あるいは監督の実績として当然出て来なければならぬ。無記名預金だから全く内容調査不可能である、こういうことは私は言い得ぬと思う。問題のないときならよろしい。すでに刑事事件になっておる、すでに重大な社会問題になっておる、多数の人々は迷惑しておる、政治問題になっておる、国会におきましても、他の委員会におきましてもだんだん質疑があったように私も聞いておる。こういうような過程を通ったら、無記名だから知りません、わかりませなんだというのは通りません。だから今私が福田部長にお尋ねしました点について、あなたはどうお考えになりますか。
  70. 東條猛猪

    東條政府委員 無記名預金という制度は、やはり預金の秘密性と申しますか、そういう観点から設けられておる制度でございますので、今吉田先生の仰せのように、通常の場合におきましては、やはり無記名預金は無記名預金という制度として尊重してそのままにしておくのが当然であると思います。そこで第一相互導入預金の問題になって参りまするが、導入預金の場合におきましても、預金行為自体を切り離して考えますると、一般的にはそれがけしからぬとか何とかいう問題でなくて、やはり預金者が、銀行から、その預金と関連をいたしまして貸付を受けまして、第三者からいわば裏利を取っておるということにおいて、この導入預金の問題はその角度から、私どもの観点からいたしますと取り上げられることになると思います。そこで今お話しのように、犯罪を構成をしておる、ないしはそのおそれがあるような場合において、銀行局としてもできるだけの取調べをすべきでないかということになりますれば、そういう例外的な場合におきましては、銀行局といたしましてもできるだけの事実の調査はすべきことではあると思います。しかしながら、私ども検査というのは、おのずからそこに——これはちょっと申し上げにくいのですが、銀行が対象でありまして、銀行以外のものを取り調べるというわけには、私ども検査としてはいきませんから、私ども調査なり検査には限度がありまするから、こういうのが問題だから、この無記名預金についてはどうかという真相をよく銀行局としても調べるべきでないかということになりますれば、私どももそういう問題の多い事案につきましては、できるだけ調べるのが当然であると思います。しかし限界があることは御了解いただきたいと思います。しかし一般的には、今検査部長から申し上げたように、無記名預金は多うございますので、必ずしも御要望に沿い得ない点があるというのが、遺憾でございますが事実でございます。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 裏利を取っておるとか取っておらぬとかいうことは、一つの注目すべき不当なことには違いない。しかし裏利だけじゃなしに、背任横領ということであればもっと大きなこと、ましてこれが国民の税金であればなおさらのことなのです。それを私は申し上げるのです。財政資金に多少でも関連が直接間接にある場合には、これは無記名預金でありますからとほっておけますか。ましてやそれが犯罪としてすでに起訴されて社会の耳目を聳動せしめて、国会で論議の的になって、それでも無記名預金でありますからという一般論でいくという、そんなばかな、そんなことで検査監督もあったものではない。私はそれを申し上げるのです。だからあなたが無記名預金者の立場を守る意味におきまして、銀行局検査には限界があるということはわかりますけれども、今次の第一相互銀行事件というものは特殊な問題であります。よって銀行検査の限界というものも、あるいは法律の悪用というものも、それぞれ再検討しなければならぬというほどの資料を出しておると思うのです。こういう重大なできごとがあって、なお行政上、立法上、その他の法律の解釈上何ら資料になさらぬ。あるいは庶民銀行的な任務を持った相互銀行の本質とかあるいは害悪とか、いろいろな問題を検討すべき貴重な資料が私は出ておると思う。しかるにその場合になお原則論に終始して、そのからを脱することができないようなことでは大へんです。そんなことをなさると、このたびの事件のような問題が私は暴露するだろうと思う。私をして言わしめるならば、もしあなたの方で、三十一年二月に九州から一億円も金が入ったときに、東京で商売をしておる相互銀行が、よしんばどういう事情にあるにかかわらず、しこうして幾多の問題を生んで不良貸付多額にしたといって、わんさ、わんさと大騒ぎをしておるようなこの銀行に、九州福岡職員組合ですよ、いいですか、職員組合というものは、こんなに遠方の不良相互銀行に何億円もの金を貸すということは奇怪千万です。私はそう思うのです。そんなものじゃ私はないと思う。それはくろうとの目から見ればぴんとこなければならぬと思うのです。どうしてそのときに発見しなかったかと私は思う。それはあなたの御答弁のように、若干の金利において違反している点があるというような、そんな中途半途の上すべりだけじゃ検査にならぬと思う。だから検査はほんとうにやったのかやらなかったのかということまで私は疑いたいくらいです。もしそのときにこれをすっかりめくっていくならば、通知するならば、別にあなたの方の銀行局関係ないだろうけれども、会計法の四十六条によれば、大蔵省としましてもいろいろな財政検査の権限を持っているはずなんです。だからそれぞれと横の御連絡もおとりになって、何らかの方法をもちまして注意を喚起する、これが組織のある官庁の仕事ですよ。お互いにセクトに立てこもってやるというようなことじゃだめです。だからそのとき一体何をしたのかと聞いているのです。六人も寄って一カ月もかかって、それぞれみな月給をもらっている人ですよ。専門家ですよ。われわれしろうとが帳面を見るのと違いますよ。そんなようなことで第一相互にだまされて、それで銀行局検査いたしましたとおめおめと国民に向って言えますか。そこなんですよ。今日天下の耳目を聳動して、実に最も悪質な府県財政紊乱が今暴露しておるのですよ。この暴露は三十一年二月の検査のときに当然発見されなければならぬ。それを発見しておらぬ。金利の末端を追っておる。そういうことじゃ検査をしたと言えませんよ。だからそういうことであっては第一相互銀行が何をやっておるかというようなことについても、ほんとうにお調べになるつもりがあったのか、なかったのではないかとまで考えたい。無記名預金だからわかりません、そういうようなことばかり考えておっしゃっておったならば、おそらくは日本中の銀行検査なんてできやしませんぞ。それは向うの方が銀行局より上手をいきますよ。刑事よりもどろぼうが上手をいくのと同じことです。そんなことではだめですよ。私はそう思うのです。  それなら伺いますが、これも無記名預金か記名預金か何か知らぬが、導入資金のうち、直江があっせんした中に旧朝鮮銀行の閉鎖機関の導入金があったかどうか、その点はどうです。
  72. 福田久男

    福田説明員 調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 銀行局長に伺いますが、旧朝鮮銀行の閉鎖機関は、これは国の財政には直接間接何ら関係がない法人なのかどうか、その点を伺います。
  74. 東條猛猪

    東條政府委員 朝鮮銀行がやはり発券銀行であったということでありますので、純然たる民間の金融機関とは違うという意味におきまして、国の財政と相当密接な関係のある銀行であるということは申し上げられると思います。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この銀行から三億円の導入預金があったということは、これは御承知だと思うのですが、ないですか。そういうことはないですか。世上伝わっております。
  76. 東條猛猪

    東條政府委員 具体的な名前をおあげになってのきわめて大事な質問でごさいますから、私といたしましてはよく事実を調査いたしまして御答弁申し上げたいと思います。
  77. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは導入預金でなしに普通預金であるということなのか、それもお調べの上御答弁願ったらけっこうであります。そこで、もし預金がありとすると、これはまさか無記名預金ではないと思う。金額はかりに三億円が三千万円であろうと三百万円であろうと、すでに起訴されている人を介入することもなかろうと思うのです。しかしながらまた考えようによりますと、国家財政関係を持った責任のある閉鎖機関、こういう特殊法人は、たとい百円の金といえども、こういうような紊乱をした相互銀行への預金というものはなすべきでなく、もっと堅実な金融機関預金することが私は適正な態度であろうと考えるのであります。従って、性質のいかんにかかわらず、もし若干でもこの種の銀行預金しておりましたならば、預金の動機、理由、目的、経緯等を詳細に調べることが、大蔵省責任であると私は思うのであります。やはり検査というものは何も名目だけにすべきでなしに、実質的に検査の実をあげることが法律の求めるところであろうと思います。  そこで伺うのでありますけれども福田部長は調べた上でとおっしゃるのだが、あなたの方では、千三百か千五百かそれは知りませんけれども、少くともおもな預金ないし導入預金、あるいはそうしたことに類似する融資を受けたもの、あるいは融資をした先、こういうものは一応表にしてでもお作りになっておりませんでしょうか。第一、検察庁が取り調べる、起訴をする、そういうようなときに、銀行局監督しているのだから、監督の立場から見ても、いつ何時でも、私ども監督の立場から見たらかくかくであったということは、国家機関として協力する義務があろうと思うのです。そういう立場から考えても、借り受けた先、預金者あるいは貸付先というものは、千あろうと一万あろうと、そんなものは人間の手さえ貸せばすぐ用ができるのでありますから、またもし検察庁が捜査上証拠として必要であるというならば、時期を見てすればいいのでありますし、それも大蔵省へ向って隠すということは、刑事訴訟法でもあり得ないのであります、また実際にもしておらぬはずでありますので、大蔵省行政の業務上必要とする限界におきましては、一切の証拠物は私は利用することができると思うのです。またできたと思うのです。それならあんたの方でこういうものは一切、債権債務関係も一覧表や精細な説明くらいはやはりお作りになっておかなければならないと思うのです。また作っておけば他の検査機関も非常に便利です。私どもがこういう質問をすれば、あなたの方は直ちに委員会に向ってさっと資料を出して、こういうふうになっているということをほんとうは御説明にかえて文書で示してもらいたいのです。一体なぜそれができないのですか。今ごろ、調査しますとか、あるいは何百とか何千とかいうけれども、このこと自体が私にはまことに奇怪なんです。それほどあなたの方は忙しいのですか。われわれが言うているのも、何も個人的な利害で言うているのじゃないのです。きわめて重大な財政監督の立場から、事態の真相を明らかにしたいという趣旨にほかならぬのです。あなたの方は何もかも握っておられるはずなんです。二度も検査したのだから、一覧表くらいはすぐにさっと出せるはずなんです。でありますから、ほかのいろいろな関係もありますが、特に多少でも国家財政に直接間接関係があるものは重視してもらわねばならぬと私は思うので、尋ねるのであります。  そこで、お調べになったというのならば、あなたの方で、私が言う公けの性質を持ったもの、つまり財政関係のあるものないしは金額において大きいもの——それは無名であろうと記名であろうと何でもよろしゅうございます。あるいはまた、性質上、たとえば北海道の釧路から何億円の導入があったというようなことがあれば、東京で商売をしておる相互銀行が北海道の北の端から何億円の導入をしてくるということも、常識上私どもは一応問題にしたいと思うのです。そういうようにいろいろの角度から問題にすべきようなものは、やはり一応この委員会で資料としてお見せ願いたいのであります。ただし、あなたの方で全然わからぬということであるなら、これはまた裁判所の方からでも検察庁、法務省へいって出してもらわなければしょうがないけれども、そんなことはあなたの方としても可能なことは自明の理であると思います。これは出してもらいたい。  それから貸付先につきましてもいろいろな名前が出ておりますが、たとえば旧中島飛行機でありました群馬県の富士機械、これは新聞にも載りましたので、相当著名なことになっております。ただし、真相は私の方にはわかりません。わかりませんが、富士機械を初めとしまして、大口はずいぶんたくさんあると思うのです。こういうものにつきましても、小口はよろしゅうございますから、少くとも導入関係については五千万円以上、また貸付についても五千万円ないしはもっと上ってもよろしいから、あなたの良識にまかせます。まかせますが、ともかくこの委員会財政監督の立場からこういうふうに究明しておるという趣旨に同意を願って、協力するという意味で、そういう関係を文書とか表にして出してもらいたい。これは約束してもらえますか、どうですか。
  78. 東條猛猪

    東條政府委員 御趣旨は私どももよくわかります。もちろん適当な資料を整えてごらんをいただきたいと思いますが、ただ申し上げたいと思いますことは、やはり第一相互銀行といたしましても、市中の金融機関でありまして、今後とも大資本が整っていくがためには、申すまでもなく、大口の貸付の相手方あるいは預金者等の信用ということが非常に大事でありますので、そういう今後銀行の再建に支障になるような内容のものを公開申し上げるのはいかがかと思いますので、具体的な資料の作成の方法等につきましては、よく御意見を伺いまして、そういう結果に基きましてできるだけ資料は御提出申し上げたいと思います。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 自治庁の長官は見えるのですか、見えぬのですか。あなたで不足だというのではないのですが、やはり責任上……。この問題は天下の耳目を聳動しておるのですから……。
  80. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 参議院の予算委員会や参議院の地方行政委員会その他に出席いたしますので、なかなか出席困難でございますので、政務次官がかわって参ったわけであります。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではあなたに伺いますが、福岡県庁の現職の副知事が検察庁へ引っぱられたという事件、これは空前のことだろうと思う。私は最近の世界のこういう自治体の歴史にはないであろうと思う。これは敗戦直後ならともかくも、今日になりましてこういうように検察庁に引っぱられた。検察庁にしましてもそこいらのルンペンを引っぱるようなわけにいきません。やはり県政に影響するところ、世道人心に与える影響、あるいはその他への影響も大きいので、よくよくのことであったろうと私は思うのであります。従ってあなたの方もこれはもうすでに調査済みであろうと思うのです。  そこでまず事の順序として、少し事実の関係を明らかにしていきたいと思うのです。福岡県では昭和三十年度——三十一年度はもう間もないことですが、三十年度では、国の財政上の資金は、福岡知事あてでよろしいが、集計どのくらいいったことになっておりますか。その辺のことはきようは御準備になってきておると思うのですが、それはどうですか。
  82. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 当委員会におかれまして、福岡県の出納に関する問題を重視せられまして、御調査になっておられます先ほどからの御論議を承わりまして、政府の方としましては、地方行政指導の上からいたしまして、今回の事件をまことに遺憾に存ずるものでございます。事件がきわめて最近に自治庁の方にも知れたのでございまして、まだ十分な調査をいたしておりませんので、当時国の資金福岡県庁にどれだけいっておるかという点についての集計等まだいたしておりません。調査いたしました上に御報告申し上げたいと思います。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院来ておられましょうから、昭和三十年度の福岡財政の歳入決算がおわかりになっておったら、概数でよろしゅうございますから、一つ御説明願いたいと思います。
  84. 大沢実

    ○大沢会計検査説明員 三十年度の福岡県の歳入は全部で二百六十二億でございます。そのうち国から出ておりますのは交付税二十六億、それから揮発油税とか譲与税八億、合せて三十五億、それから農林省、建設省、その他の補助金、これが九十五億、結局国から出ております分は三十五億と九十五億、それにまたわずか特別交付金もありまして、全部で百三十五億が国から出ておる金額であります。つまり県財政の約半分以上は国の補助金、交付金等からまかなう、こういうことになっております。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、自治庁といたしまして、福岡県へ三十年の決算で百三十五億円が国の財政として交付されておる。百三十五億円というものは三十年度だが、二十九年、二十八年になりますと、特に九州の大災害の結果にもかんがみまして、もっと大きな金額になるだろうと思う。かりに半額が国庫の金であったといたしまして、この百数十億円の金、このうちから福岡県の元の総務部長らによってこれを第一相互銀行へ導入貸し付けされたという容疑事件であります。このような事件が起っておるのでありまするが、一体自治庁の長官は交付税をやりっぱなしでいいのであるかどうか。なるほど府県自治体には自治尊重の精神があることはもちろんでありますけれども、しかしながら交付税の交付の権限は自治庁の長官にあると思う。それが二十六億円もいき、特別交付金等々で三十六、七億円もいっておるわけです。それほどいっておるのに、これは一体監督の権限があるのかないのか。あるとするならばその根拠はどうなのか。監督するというならば一体どんな方法で監督をしておるのか、それを一つ説明してもらいたい。
  86. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 大へん複雑な点に触れた御質問でございますが、最初に一般論から申し上げますと、大体地方団体は吉田委員のお説の通り、戦後は戦前と違った自治体活動の立場にあるのでございまして、戦前のような監督権は政府にはないことは御承知の通りでございます。ただ地方自治法第二百四十六条及び二百四十六条の二という規定がございまして、それに基いて自治庁は財務監査をいたしておるのでございますが、その財務監査にいたしましても、戦前のような強力な監督権を行使するというわけではないのでございまして、地方団体の自主性を重んじているわけでございます。まあ大体におきまして助言、勧告、監査、指導というような立場で行なっているわけでございます。そうした関係から、自治庁の中には具体的には調査課というものができまして、地方自治法第二百四十六条及び第二百四十六条の二という規定に基いて政府の持っております指導をいたしているわけでございます。  ただいまは地方交付金ないし地方交付税関係の一連の歳入についての特別な財政指導に言及されたのでございますが、一般にそれらを含めましての財務監査をいたしているわけでございます。具体的にはおおむねその団体の要請等に応じて実施することが多いのでございますが、財務監査を実施しますにつきましては、自治庁の課長または課長補佐が主任になりまして三、四人の調査職員を伴いまして、大体三日ないし四日、各府県におもむきまして財務監査をいたしているわけでございまして、当該府県庁出納につきまして、また全般的な財務事務につきまして助言、勧告、指導等をそのつどいたしているわけでございます。現在の財務監査等につきましては、私たちも十分な効果を上げ得るほど強力なものでないことを存じておりまするが、一面地方自治体の自主性というような観点とも調和しなければならぬわけでございまして、現在はその程度で実施いたしておるような次第でございます。
  87. 坂本泰良

    坂本委員 ちょっと関連して。加藤政務次官にお尋ねいたしますが、ただいまの御説明でわかりましたけれども、そこでお聞きしたいのは、昭和三十年の十二月に一億円を貸しまして、そうして現在はすでに一年半になっておるわけで、一億円という福岡県の金が一年半こげついているわけです。このこげつきに対して福岡県はどういう措置をとったか。今おっしゃいました地方自治法二百四十六条、三百四十六条の二の財務監査、それから地方財政法上の関係から、自治庁は十分調査なさっておると思うのですが、この一億円の一年半のこげつき、昨年にしますると一年で、一年間こげついているわけですが、これに対しては県はどういう措置をとったか、この点についてはいかがでございますか。
  88. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 ただいまの地方自治法二百四十六条及び二百四十六条の二の規定は、自治庁と地方団体との間の関連の問題でございまして、福岡自身が自主監査をいたしますのは、福岡県の監査委員の組織を通じてやるわけでございます。その点よく誤解を受ける——何も私たちはそのために自治庁が書類帳簿を徴したり、それから実地調査をすることができないと申しているのではございませんで、そのために二百四十六条の規定があるのでございます。しかしながらそれらは先ほど申しました通り、現在の段階におきましては地方自治に対しては積極的な監督権がないのでございます。それでできるだけ指導を依頼する場合に指導をするとか助言、勧告等をやるというようなこと、現在の自治庁の組織がきわめて僅少なる人員をもって大きな仕事をしておるわけでありますから、そうなっておるわけでございまして、これはありのままに申し上げるのでございますからどうぞ御了解願います。
  89. 坂本泰良

    坂本委員 自治庁は、それはむろん法的の権限は戦争前の内務省なんかとは全然違う。しかしながら自治庁というのは、やはり都道府県に対する指導監督、これは必要なんです。従いまして、私も地方行政委員をしておりましたが、福岡県に対しては、わずかな教員の月給なんかについてはやみがあるとかないとかいうふうにして、去年でも調査官を派遣して調査をしているのです。そういうようなことをする自治庁が、一億円という金ですよ、これが一カ年間こげついているのです。運用できないわけです。これはほんとうは福岡県で運用しなければならぬ一億円の金でしょう。それが現在まで一年半もこげついて福岡県は運用ができないわけですね。こういう点について自治庁としては、県はどういう措置をとっておるか、あるいは新聞に出ておるように、副知事以下が一千万円の利息をとって、それを県庁帳簿には入れずに、あの土屋知事ですか、あれの選挙費用に五百万円払うとか、あるいは東京に来て遊興をしてそういうものに使ってしまうか、そうではなくて、正しく県に一千万円持ってきて、その一千万円の金を福岡県民のために正しく使っておるのかどうか、福岡県がどういう措置をしておるか、一年半にもなる現在において、指導監督の任に当る自治庁は、やはりこれはおわかりにならなければならないと思うのですが、その点次官いかがですか。
  90. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 率直に申し上げますと、自治庁が福岡県の財務監査を実施いたしましたのは、昭和二十七年の夏でございまして、自後一般財務監査といたしましてはいたしておりません。当時の財務監査の成績は、一般的にはおおむね良好なんです。そして徴税成績も、五大府県に比して良好なんです。わずかに人件費の単価が少し高過ぎるのではないかというような講評の監査結果が出ているのでございまして、その後は一般的な財務監査はいたしておりません。ただいま教員の給与に関する義務教育費国庫負担法の関係事務的なそごについて、何か調査をいたしたということを承わっておりますが、それは私ただいま赴任日が浅いのと、承わりますと、これは自治庁が主務期間ではないように思いますので、ほかの省が調査したのではないかと思います。
  91. 坂本泰良

    坂本委員 これは加藤政務次官にお聞きするのは無理かもわかりません。しかし、われわれが、察するところは、この一億円の金を第一相互に貸して焦げつかせまして、その運用をせずに——新聞に出ておるように一千万円の利息をとりまして、その利息を県の正当な帳簿に載せて、福岡県のために使っておるかどうか、これは自治庁で至急に調査していただきたい。これは私の想像ですが、その裏金一千万円は、そうせずに、副知事とか、新聞に出ておるようなふうの乱脈に使われておる、これがやはり先ほど吉田委員が言われました地方財政紊乱を起しておるもとだろうと思います。われわれはこれが非常に重要だから、この問題についていろいろと調査をしておるわけでございます。  この問題はまた自治庁長官にお聞きすることもあると思いますから、これで打ち切りまして、銀行局長にもう一応お聞きしたいのですが、三十一年の四月、貸付がわかった、某あっせん者の一千万円の貸金ですね。これは金額は一千万円であって、無担保で保証人なしだというふうに新聞に出ておるのですが、その通りかどうか。さらにこの借受人の名前をお聞きしたい。
  92. 東條猛猪

    東條政府委員 三十一年四月の貸付記帳整理になっております貸付金は、お話のように無担保、また保証人もございません。なお、この貸付の相手方の氏名でありまするが、実は個人的な関係でありますのでどうかと思いまするが、たっての御意向でありますので申し上げますると、向井定利という相手方であると思っております。
  93. 坂本泰良

    坂本委員 この方の職業は何かわかりませんでしょうか。
  94. 東條猛猪

    東條政府委員 私ども銀行から聞きましたところでは、建築関係のブローカー、こういう業者であるということであります。
  95. 坂本泰良

    坂本委員 もう一つお聞きしたいのは、先ほど来無記名預金ということで、手数百口あるとおっしゃった、典型的な導入預金といいますか、この導入預金というのはどういうものでございますか、お聞きしたい。
  96. 東條猛猪

    東條政府委員 またあまり下手な説明を申し上げましておしかりを受けてもと思いまするので、簡単に申し上げますが、私どもがこの第一相互銀行の場合に導入預金として処理をいたしましたものは、甲という預金者金融機関預金をする。その金融機関から乙に、その預金契約と密接不可分な、つまり不可離的に貸付が行われておる。そうして甲が、その銀行から貸付を受けました乙から金銭上の利益を受けておる。そういうことで、甲の預金の全部または相当部分が乙に対して貸し出しが行われている。しかもその預金は担保になっていないということで、甲の預金につきましては、たとえば期限が参りますれば、金融機関としては当然払い戻しをしなければなりません。しかし、金融機関から乙への貸付は、多くそういう場合に貸付が固定するという傾向がありがちでありまするので、いわばそういうひもつきの預金というのは金融機関経営上適当でない、かつまた甲という預金者は、正規の金利のほかに別に特定の金銭上の利益を受けているという意味におきまして、いわば預金契約ということにおきまして、定形化された預金契約というものに対して非常に弊害をなしておるという意味におきまして、適当なものとは考えられないということで、そういうものに該当いたしまする約二十三億につきましては、銀行預金者の間で特別な話し合いをさした、こういうことになっております。
  97. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお聞きしますが、先ほど甲の預金は無記名とおっしゃったわけですが、その通りですか。
  98. 福田久男

    福田説明員 導入預金の一般論についてのお話がございましたので、その二十三億の中には相当多くの部分が無記名預金であるということを申し上げだのでございまして、今の福岡県庁信用組合預金という意味ではございません。
  99. 坂本泰良

    坂本委員 それではもう一つお聞きしますが、先ほど吉田委員のお聞きになりました朝鮮銀行からの三億円の貸金ですね、これは覚えないですか。
  100. 東條猛猪

    東條政府委員 私が先ほど吉田委員から伺いましたのは、貸金と申すよりは、むしろ旧朝鮮銀行関係者の名義で第一相互銀行預金になっておるのではないかという御趣旨の質問と私は承わっております。そうして私といたしましては、大よそこういうことであろうというあれは実はございますけれども、事柄が特定の銀行、団体をさしておる重大問題でありますので、慎重を期しまして、私としては確認した上でお答え申し上げたい、こういうことでございます。
  101. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、先ほど来二十三億は無記名預金だ、大口も小品もわからないというようなお話でありますが、私は今の御説明を聞くと、朝鮮銀行は朝鮮銀行という名前で預金されずに、重役か取締役か、あるいはやはり導入預金にするために、だれかに金を貸すために、それに便利な人の名前で預金になっているんじゃないかと思いますが、そうですか。ただいまのところはこの朝鮮銀行関係の三億円はその関係者の記名預金だと思うのですが、やはりこれも無記名預金でしょうか、その点いかがでしょう。
  102. 東條猛猪

    東條政府委員 大へん恐縮でありまするが、私はその前提といたしまして、そもそも朝鮮銀行関係のいわゆる定形的な導入預金があるかどうかということ自体をよく調べたいと思います。それを調べるに当りましては、もしかりに、あるという意味で私は申し上げるのではありませんが、取調べの方法といたしましては、今お話のように形式的な名義人であるのか、あるいは団体に関係した特定の人の名義であるのか、そういう点まで調べないとはっきりしたお答えはいたしかねるかと思いますけれども、今お答え申し上げておりますのは、特定の名前をあれするのは大問題でありますから、よく事実関係調べてからすべてを御報告申し上げたい、こういう趣旨でございます。
  103. 坂本泰良

    坂本委員 もう一つだけ部長に念を押したいのですが、千数百口あって二十三億のほとんどが無記名預金である、こういうふうに承わっておるのですが、その通りかどうか。そういたしますると、今の朝鮮銀行関係者の名義で預金になっておる。これは名義だといえば記名にきまっているわけですね。それから福岡県庁のは通知預金ですから、記名だと思うのですが、こういうような預金は、二十三億のほかにまだ多数あるかどうか、その点をお聞きしたい。
  104. 福田久男

    福田説明員 導入預金の記名式、無記名式についての私の説明が、あるいはまずかったのかもしれませんが、私はその口数の中で相当部分が無記名でございます。記名のものももちろんございます。従って無記名のものについて、通常であれば銀行でも預金者がわかる場合が多いのですけれども、第一相互銀行の場合にはわからない場合が多くて、名寄せ等のことも事実上できなかったという事情をお話申し上げたつもりでございます。なお導入預金以外におきまして、本日問題になりましたような性質の預金が、相当あるかどうかというお話でございますが、普通の一般の取引者からの預金よりは、金額は相当大きいものというものは若干ございます。大体千万円どまり程度までのものについて、そういうものが若干ほかにもございますということだけ申し上げておきたいと思います。
  105. 坂本泰良

    坂本委員 今の御答弁の点は、私最初お聞きしましたとき、第一相互を二回にわたって検査をされておるのです。その検査報告書があると思うのです。その報告書を見れば、そういう点がはっきりわかるかどうか、ありましたらぜひ資料として出してもらいたい。その点を一つ委員長からはかってもらいたい。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと銀行局長に御依頼しておきますが、あなたの方で第一相互からの貸付先を資料としてお出しになりますときに、銀行あるいは相手方の営業等の経済的な悪影響等を顧慮されることは、もっともと思いますけれども、しかし同時に、もし政治的な事情が伴って、それで資料を作りにくいということであるならば、私どもはこれは反対するのであります。そこでもし世上伝うる、がごとく、政界の名士に相当な金額が貸し付けられておるということがもしあるのなら、これは何も借り貸しをしたからといって、直ちにそれが犯罪でもなければ、不道徳でもないはずであります。従ってそれはその人のためにも、やはり事柄を明らかにした方がいい思うのです。私はいろいろと聞きはしておりますけれども、聞いておるからといって、一々申し上げるということはよくないのでありますが、一応あなたの方で正確な原簿によって御調査願ったものを基礎にして、私どもの得ておる資料と対照してみたいと思いますので、その点は一つ顧慮なしにしていただきたい。これはぜひ希望しておきます。それから自治庁の長官は、午後に手があくようでありますから、自治庁の長官に十分伺わねばならぬと思います。そこであなたに、なおついでにちょっと聞いておきますが、地方自治法二百四十六条の財務に関係のある事務の報告、もしくは出納の検閲、この財務といい、出納というのは、自治庁の長官が交付しました交付税だけじゃなしに、その他一般の、たとえば農林省等の補助金の補助指令によって渡されておりますようなものも、すべて財務に含むのであろうと思いますので、やはり広範に報告を求め、あるいは検閲をし、事務の視察をする、それがこの規定趣旨であると思います。つまり対象は広範な府県財政の実態であろう、こう思うのですが、それは間違いないでしょうね。
  107. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 二百四十六条で地方団体を指導するに必要な場合は、そういう権限を行使してもいい、必要がある場合は、そういうことができることになっておることは、御説の通りでございます。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは指導という面も尊重すべきであることは、私は認めますし、またそうあらねばなりません。しかし同時に、やはり国家財政上の資金が特定の用途を明示して地方公共団体に交付されておるような場合に、単に指導ということ以上に、私は監督の義務と監督責任がなければならぬと思うのであります。交付税の用途について条件を付してはならぬ、制限をしてならぬということは、法文にも明示されております。けれども、今申しましたように、一般の財政実情を把握するということは、特に用途を特定して国家財政資金が交付されておるような場合は、当然さらに監督責任がなければならぬ、しかし自治庁はそんなことはできないのだということであるならば、法律趣旨解釈についてあらためてわれわれは検討しなければいけません。だから指導、助言というような範囲以外に、今のような場合は当然あると思うのであります。それで伺ったのでありますが、これは都合でまたあなたの方の専門家の方なり、長官に伺ってもよろしいのでありますが、そういう点まで指導だ、助言だということで逃げる必要はなかろうと思います。現に、ほかの、農林省の補助金、たとえば災害復旧等の補助金を持っていたものを、その補助金が全くそのまま他に流用されてしまっている、そうして予算もないというようなときには、やはり国家に向って返還しなければならぬ義務も私はあると思います。補助金等適正化法によってそういう趣旨が明らかであろうと思いますので、こういう点から考えましても、もしそういうようなだらしのない、乱脈をそのままほうっておいたならば、あなたの方で交付税を交付する根拠の計算は乱れてしまう。乱れたものをうのみにしちゃいかぬ、そういうことをしないために、この規定があるのだろうと私は推定するのであります。こういう趣旨におきましてその限界などを明確にしておかなくちゃならぬ。指導、助言ということもあろうけれども、そういうような分野におきましては監督責任があるのだろうと申し上げておるのであります。これは当然のことであると思うのだけれども、はっきりしておいてもらいたい。
  109. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 御答弁を要求されたわけではないのでございますけれども、私は地方自治法上の一般財務監査のことを御説明申し上げたのでございまして、何も補助金等の適正化に関する法律や、その他会計検査院に属する国の資金監督について申し上げたのではないのでございまして、そこまで逃げる必要はなかろうというお言葉をお使いになったようでありますけれども、そういう気持は毛頭ございませんので、その点だけは御答弁申し上げおきます。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が申し上げておるのは、自治庁長官が地方自治法二百四十六条によって、あるいは事務の報告を求め、あるいは帳簿に徴して事務を視察したり出納を検閲するということは、ただに助言とかあるいは指導の範囲じゃなしに、もっと広範なものがこり中にあるのではないか。会計検査院は会計検査院法によって特別な権限と方法によって検査を行なっております。大成省は大蔵省の立場でそれぞれの権限を行使しております。それとはまた全く別個な自治庁、長官としての立場がここに明記されておるのではないか。その明記の内容は、助言指導にとどまらず、さらに監督をしていかねばならぬ分野が相当あるのではないか、こう言っておるのです。
  111. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 その点は私もよく存じておりまして、吉田委員さんの御解釈とは若干違うのでございまして、地方団体の自治活動というものは、戦前とはすっかり法律的基礎が違うのでございまして、国の事務に関しましてはある程度裁判上の措置がとれますが、自治体活動全般につきましては、現在の地方制度では地方団体に自主性がある。どこまでも監督によって一般事務を措置することは現在はできないのでございます。そうしたような場合におきまして、一般財務監査に関連して自治庁がとれる範囲は、これはどこまでも指導助言的な権限であるということをお断わり申し上げます。
  112. 坂本泰良

    坂本委員 時間もありませんから、簡単に聞いて、御答弁を願います。根橋武男という方はもと大蔵省銀行検査官であった、こういうふうに新聞なんかに出ております。その点はいかがでございますか。
  113. 東條猛猪

    東條政府委員 経歴を簡単に申し上げてみますと、昭和五年から昭和十三年まで北海道庁におりまして、昭和十三年から途中応召等をいたしておりますが、二十八年まで大蔵省におります。この間もっぱら銀行局勤務であります。二十八年に大蔵省を退職いたしまして、当初神奈川相互銀行に入り、後神奈川相互銀行を退任いたしまして、第一相互銀行に入った。簡単な略歴はさようになっております。
  114. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお伺いしたいのは、第一相互銀行常務取締役導入預金担当の重役である、こういうふうに出ておるのですが、あなた方検査をされたのですが、導入預金についても十分の検査をされておると思うのですが、その点はいかがですか。
  115. 福田久男

    福田説明員 導入預金担当という立場では必ずしもなかったのではないかと思いますが、端的に申しますと、常務としていろいろな面の仕事を、お互いに分担というよりも協議しながら、それぞれそのときどきに応じて受け持っておった。その当時の常務といたしましては、渡部常務がずっと前から役員としてやっておられたわけでございますが、それに根橋常務、常務が二人で、中心は渡部常務、途中で入った根橋常務がそれを応援し、補佐するという立場でやっておったようで、導入預金の仕事を根橋常務が担当しておったというわけではないようでございます。
  116. 坂本泰良

    坂本委員 もう一点お伺いします。この根橋さんは大蔵省銀行検査官もしておられたような関係もありまして、この第一相互導入預金を集めるについては、二十三億なんかにも関係しておられたし、相当そのあっせん等もしておられたのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  117. 福田久男

    福田説明員 ただいま御指摘の点につきまして、どの分がどうだということは必ずしも私はっきり申し上げる自信がないのでございます。導入預金の二十三億は、大体において先ほど例示になりましたたとえばスチール工業という会社が窓口になりまして、その先に何人かのいわゆる導入ブローカーというものがありまして、そっちの方から、だんだん集まってきて、そうしてスチール工業を通じて入ってくるというような形でありまして、その間に会社の関係の役員がどういうふうに介入したかというふうな点につきましては、私ども検査では残念でございますが、はっきりしたことはよくわかりません。
  118. 坂本泰良

    坂本委員 井本刑事局長にお伺いしたいのですが、この福岡県庁事件に対して逮捕状はどれくらい出しておられ、だれだれに出されたか、できたらお伺いしたい。
  119. 井本臺吉

    井本政府委員 詳細な報告は受けておりませんが、先ほど申し上げました五名につきして逮捕状が出ておるというように聞いております。
  120. 坂本泰良

    坂本委員 この根橋武男という人物に対しては、いろいろ今まで大蔵省銀行当局の答弁を聞いても、相当導入預金関係しておられるようですが、この人は福岡の一億円の預金については関係ない人ですか。
  121. 井本臺吉

    井本政府委員 先ほど申し上げましたように、根橋さんは本件の問題の関係者の一人であるというように聞いております。
  122. 青野武一

    青野委員長 この際暫時休憩して、本会議散会後引き続き調査を進めることにいたします。なおその際は田中自治庁長官の出席を求め、最高責任者としての答弁を聞くことにいたします。  では暫時休憩いたします。    午後一時三十八分休憩      ————◇—————    午後四時七分開議
  123. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  発言の通告がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  124. 坂本泰良

    坂本委員 自治庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、もちろんきょうの新聞その他でなお調査されて御存じと思いますが、第一相互銀行福岡県から、三十年の十二月に三回にわたって通知預金で一億円の預金がなされておりまして、そうしてそれがこげつきまして現在に至っておるわけですが、その一億円に対する一千万円の利息について、福岡財政紊乱を来たしておる。これは福岡県の県費の約半分と国家から受けておる福岡財政紊乱の点でありまして、これは単に福岡県だけでなく、地方財政紊乱のもとでもあると考えますから、この問題についてお伺いいたしたいと思います。従いまして今申し上げました点を長官は調査になられて御存じかどうか、御存じならばその点を承わりたいと思います。
  125. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 私もうかつでありますが、昨日の午後でありましたか、今朝の新聞を見たかということで、昨日の午後とにかくあらゆる新聞を集めまして事件をながめてみたのであります。また今朝、衆参両院におけるこの事件の取扱い方についても新聞の記事を拝見した、こういうこと以外に、実は事実は知らないのでございます。しかしながらお説の通りいやしくも県の経理に関する重大な問題である、こう考えますので、この点はさっそく調査をすることにいたしております。遠からずして調査の実態が明瞭になろうかと存じます。その程度でございます。
  126. 坂本泰良

    坂本委員 長官の責任ある言葉としては、まことに遺憾にたえない次第です。と申しますのは、三十年の十二月の預託であって、三十一年中はそのままにしておった。そうして三十二年の三月に何か刑事問題がくさくなったから返した、こういうような関係になっておるわけです。それではお伺いいたしますが、一億円の一カ年以上の焦げつきについて、地方財政上、地方自治法上この点を調査されなかったかどうか、この点について小林部長も来ておられますから、お伺いいたしたいのであります。なお加えて一千万円の利息がどう使われておるか、その点について調査されたか、調査されたならばその結果はどうなっておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  127. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 お尋ねの問題につきましては、私自身も新聞によって承知しただけでございまして、それ以上の事実は全然承知いたしておりません。県においてそういう金を預託しておったのを調査したことがあるかというお話でございますが、そういう調査はいたしておりません。これは県の独自の活動でございまして、今まではそういう方面についての資料が全然ございません。
  128. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、地方自治法二百四十六条の二による財務監査ですね、この点に基く調査昭和三十一年度は一つもやられなかったかどうか。
  129. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 福岡県につきましてはその財務の調査をいたしておりません。
  130. 坂本泰良

    坂本委員 福岡県においては、昨年福岡県の財政その他の問題について教員の数を調査して、その支出がどうか——私も地方行政委員会におりまして、小林部長も御存じと思いますが、調査課長が福岡県に出かけまして、いろいろ財政上の見地から教員並びに職員その他について調査をして、今度の知事になってからですが、福岡県の財政についてはそういう調査をしておるわけですが、その際にこういう一億円も焦げつかせておる点について何ら調査をされなかったか、ほかのことばかり調査して、こういう重要なことは調査されなかったか、その点をお伺いしたい。
  131. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 向うの教員数の問題についていろいろ議論のあったことは承知いたしておりますが、これは県と教育委員会との間における調査の問題でございまして、自治庁が直接調査したわけでございません。なお調査課長が行って調査をしたじゃないかというお話でございましたが、何かそういうことは私もあったと思います。実はよく覚えておりませんが、しかしその場合に今の問題について調査したという報告は私受けておりません。
  132. 坂本泰良

    坂本委員 それじゃお伺いしますが、福岡県について財政監査による調査をいつされたか、その点をお伺いしたい。
  133. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今記憶ございませんので、事実を調べて御報告申し上げたいと思います。
  134. 坂本泰良

    坂本委員 小林行政部長は、財政部長を長い間やっておられたでしょう、だから地方財政については全国のことがわかっておられると思うのですよ。その賢明な小林財政部長が数年間財政部長でおられて、一回も調査をしたことがあるかないかぐらいも御記憶にならないというのは私遺憾ですが、少しそのいい頭で思い出してもらいたいのですが、その点どうです。
  135. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 実は私は今財政部長でございまして、長くやっておったのは行政部の仕事をやっておったのです。調査課の仕事はそのとき所管でございませんので、事実の取調べの時間だけをお与えいただきたいと思います。
  136. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお聞きしたいのは、すでに福岡県の副知事出納長並びに組合長その他五名ばかりの嫌疑者に対しては逮捕状が出て逮捕されて調べもいたしておるわけなんですが、自治庁当局におかれては、きのう聞かれても電報その他でなぜすみやかに調査をされないか。けさの新聞でも相当出ておるのです。これは当然、国会の開会中でもあり、いろいろの角度からこの点についての審査はあると思うのですが、長官は新聞だけでは私は相済まぬと思うのですけれども、ほんとうに調査をされなかったかどうか、もししていなければ調査はいつできるか、きょうのうちできるか、あしたまでかかるか、その点承わりたい。
  137. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたように、昨日初めて知ったという内容の事件でございます。そこでこれはすみやかに調査をするということになりますが、どんな権限でどんな方向を調査をする権限が自治庁にあるのか、こういうことも実は昨日午後以来私の方で調べさしておるわけであります。それは今お言葉にありましたように、財政上の監査をするということよりほかに方法はないのです。それ以外に直接にこれを監督する道というものがない。すべてその収支の経理はこれを自主的に行わしめるということが地方自治の本義となっておりますので、不都合な点があればこれに監査を加える、そうして監査の事実をあげて御報告をする、こういうことよりほかに道はございません。そこで福岡県には県の事務所と申しますか、県の出張所というものもこちらにございますが、どうもこの案件は出張所、事務所程度の者を呼びましては、なかなか事がめんどうでございます。なかなか明確でございませんので、さっそくこちらから人をやるか、あるいは当局からこちらへよこすか、これによって緊急調査をいたしたいと存じますが、もう一つ複雑であります事柄は、これもありのままに申し上げておきますと、検察庁が手を入れて逮捕状を出した、これは事実が明らかでございませんが、どうもラジオ、新聞の報ずるところによると、そういう傾向に見えるのでございます。そういうふうに刑事事犯としてこれにすでに着手をしておるということになりますし、刑事事犯についての検察当局の着手中に一切の書類を私の方の手に入れてその監査を行うことが果して可能なりやいなやということで、場合によりましては当局の意向でも確かめてみて、捜査のじゃまにならない程度においてこれをやる必要があろう、こう存じますと、勢い何と申しますか、役人に大物、小物はないわけでございますけれども、あまり経験の浅い者を派遣をいたしましては意味をなさぬことになります。相当なる者を派遣しようということになりますと、御承和の通りに私のほかに次長が一人で、部長が四名しかおらないというような次第でございますので、そこで呼んで調べるか、行って調べるか、調べる方法はどの限度において調べるか、それには適当なる者はだれをやるかということにつきましても早急に決定をいたしまして、これは地方財政に関する経理問題でございますから、慎重なる態度で一つ調査をいたしまして、このことを国会の御質問の各位に御報告を申し上げたい、こういうふうに考えております。新聞を読んで、それを読んだだけでぼうっとしておるのかというと決してそういうわけではないのであります。重大なことと考えまして、真剣に手を打って調査をする、こういう考え方を持っております。で、この調査のできます時間的余裕はどうかお与えをいただきたい、こういうふうに思っております。
  138. 坂本泰良

    坂本委員 これは単に財政上の問題だけではないと思うのです。新聞によりますと、この一億円に対する一千万円の利息のうちの五百万円は、土屋というのですか、現在の知事の選挙費用に使われていたんじゃなかろうか、そのほかのものは遊興費に使われていたんじゃなかろうか、こういうような新聞の報道もあるわけであります。知事の身分にも関しておる問題なんでしょう。こういう場合に自治庁長官はなぜ知事に対して電話でもかけて、その点を確かめられなかったか、この点を承わりたい。
  139. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 これは、知事を電話で呼び出して調べるなどという問い合せ程度の事柄ではいくまいと私は思う。いやしくも一方において刑事事件として逮捕状が出ておる事件じゃないか。そういう事件を自治庁が調べようとするには、検察当局の捜査のおじゃまにならないということもまず考え、一方において派遣するとすればいかなる君を派遣することが適当かということも考え、同時にこれに随行する者についてもよく頭を働かしまして、十分に手落ちのないように考えて皆様に御報告申し上げるのでなければ、権威を持った御報告はできるものではない。それは電話で話を聞きましても、ラジオ、新聞を見ましても、大体のことはわかっておるわけでありますが、一体お前は何を根拠にして国会にそういう報告をするのか、こう逆にお問いをいただいた場合に、新聞とラジオで間違いないと思います。こういう報告は無責任でできぬじゃないか。ですから、これはお言葉を返すようで恐縮に存じますが、どうか私の言うことをよくお聞き取りいただいて、時間の余裕を与えていただきたい。何も自治庁に関することじゃない。厳格に調べるところは調べて、至らざるところがあれば、この点は間違い、これは私の手落ちだとはっきり申すことが筋だろう。それにはちょっと時間がありませんと、そう火のつくように、なぜ電話をかけて調べぬのかと仰せをいただきましても、これは困るのであります。その点は御理解いただいて、しばらく調査の時間をお与えいただきますようにお願い申し上げます。
  140. 坂本泰良

    坂本委員 要望ばかりしたってだめですよ。しからばお聞きしますが、これは東京地方検察庁事件です。しかも東京地方検察庁が検事を派遣して、県の枢要な地位にある副知事その他を逮捕するにおいては、これは相当の証拠しあり、単なる地方検察庁の検事正だけの権限ではいかないと思う。これはやはり検事総長までいく。その内容に法務大臣並びに事務次官くらいまでは通じておると思うのですよ。そこでお聞きしますが、長官は責任ある答弁、責任ある調査をするというのならば、なぜけさ法務大臣並びに検事総長あるいは地方検察庁の検事正をとうて、その真相を確かめて、自治庁は自治庁として、地方自治の政治をいかに善処し、これを把握するかという点について調査されなかったか、その点を承わりたい。
  141. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 検事正を訪問したり、法務大臣を訪問して事態を究明し、真相を調査するということも一つの方法でありましょう。しかし不覊独立の立場で検察当局が捜査をやっておる様子でありますから、私が検事総長を訪問してものを聞いたりするようなことをしなくても、自治法に規定された権限に基いて調査をする道があるわけでございますから、おのれに与えられた権限に基いて慎重に調査をすることに着手をいたしておる、こういうわけでございますから、一つお待ちをいだきたい。
  142. 坂本泰良

    坂本委員 慎重に調査をすると言われるが、自治庁ではまだ具体的の方策が立っていない。身近な隣りに検察庁があるし、検事総長もいるでしょう。なぜ真相をもっと把握して善処されないか。自治庁長官は地方自治体の指導育成に当る重要な地位にあられる方でしょう。昔の内務省のように命令とかいろいろな権限はないでしょう。しかし権限がないほどこういう間違いが起らぬようにしなければならぬ。もし起った場合にはこれを刑事問題の捜査にして、懲役に二、三年やるだけの問題ではない。問題は福岡県の自治体の自治行政にあると思うのです。従って犯罪人の捜査は検察庁がやるでしょうあるいは裁判になるでしょう、しかしながらそれを待って福岡県の自治体の行政をやるわけには参らぬと思うのです。それをどういうふうにして善処するかということが、サービス機関としての地方自治庁の唯一の任務ではないかと思うのです。それを二、三人検挙されればそれに一任したようなふうをして、そして自治体の本旨に基く調査をやるつもりならば、どういう具体的な方法をやられるか、その点を承わりたい。
  143. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 検察の捜査にまかせておいて、結果を見て私どもが動くなどということは一言も申していない。私どもの与えられているものは法律にないことはできぬのですが、法律関係を申しますと、二百四十六条に自治庁長官の権限というものが書いてある。この権限によって、大体の法律の精神からいくと、まず書類を提出せしめる、得心がいかなければ帳簿のなまの原本の提出を命ずる。それでまだ得心がいなければ、こちらで人を派遣して現地を踏む。これがこの法律の筋です。この筋を越えて私がにわかにあわてるわけにはいかぬ。きのう起ったかいつ起ったか知らぬが、われわれの耳に入ったのは昨日なんです。そういうわけですから、少くとも今明日中に調査の方針をきめて、捜査のおじゃまにならない程度でできるだけ調査を進めよう、こういうように調査の方針というものはきめるわけでございます。それで一生懸命に急いでやりますから、そう仰せになって私をおしかりにならないように、この調査をすみやかにやりますから、それができるまでお待ちを願いたい。どこにも遠慮はいたしません。事実については、検察当局が結果について発表いたします以前に、私どもはまことをもってちゃんと御報告申し上げます。
  144. 坂本泰良

    坂本委員 この二百四十六条は一定の基準をきめたものでしょう。いやしくも自治庁長官は国務大臣として国の政治に参与し、しかして地方行政の任に当る方だと思う。だからこういう県の副知事出納長なるものが逮捕状で検挙されたというような場合に、今あなたのおっしゃったような二百四十六条の正面解釈からいって、書類を提出せしめる、帳簿の提出を命ずる、あるいは人を派遣するというような緩慢なことで済むと思うのですか。あなたは自治庁長官で命令権限はないとしても、やはりサービス機関を育成する枢要な地位にあるのですが、その任務が勤まると思うのですか。これは一つの基準であって、こういう重要な副知事以下が検挙されたというような場合には、今あなたのおしゃったような事務的な調査だけでは、私は全国の地方行政の指導育成はできないと思うのですよ。そういうような観点に立って、副知事以下出納長も検挙されているというこの問題に対して、あなたは熱意と具体的方法はないものですか。
  145. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 あなたは何か誤解されておるのじゃないかと、私は今の御質問を伺って思うのです。自治庁長官は国務大臣である、これは間違いない。その国務大臣という権限とこのことは関係のないことだし、もし私自身関係があるとするならば、自治庁長官という立場において、こういう事案の起ったときにどういうふうに調査をし、どういう態度をとるかということで、やっぱり法律できめられておる権限にのっとって行動をとる以外に道はない。それ以外の道をとれと言われても、それはとりようがないのです。そこでどうしてやるのかというと、きのう知ったことを、きょう中にもその方針をきめたい、しかし万一きょう中にきめられぬといけないというので、今明日という言葉で慎重に答えておるのです。きめた方針に基いて、この条項に基いて財務の監査をやっていく、そうして御報告を申し上げる、これよりほかに、あなたが自治庁長官であらせられても、行動の道はないのじゃないか。どうしてそれを力んで私がおしかりを受けるのか、何のことかどうも私は理解に苦しむ。しかしおしかりを受けるようなことがあるとすれば私も反省する。こういう根拠に基いてこういうことをしろ、なぜやらぬかと仰せられれば私も反省する。どうも今の自治庁長官が与えられております権限からいいますと——昔の内務大臣ならそうはいかぬ、それは中央集権が徹底しております。しかし中央集権がいけないと仰せになって、こういう法律になっておるので、公選の知事が、公選されたことを根拠として独立独歩、自由自在に法律できめられました権限において、自主独往の地方行政自治をすることになったのは新憲法の命ずることで、当然なことです。そういうもとにおいて相互事件があった、これも国務大臣だから、自治庁長官だからといってあわてますと、逆にあなたの方から何を根拠としてあわてるかと言われると、私はものの言いようがないわけであります。ですから昔の内務大臣と違いまして——昔の内務大臣の権限と同様な権限を一部において私が掌握しておるということは事実ではございますけれども、こういう財政収支、ことに経理面の監督というようなものにつきましては、私のやるべき方法としては、どうもなまぬるようですが、この条項以外にないのではないかと思います。  それからもう一つお尋ねがあろうかと存じますからお答えをいたします。と、この条項に基いて今言うたように、ものの順序としては報告をなさしめ、場合によっては原本を提出せしめ、得心がいかなければ現地を踏む、そういう順序になります。しかしその順序でやろうというのじゃないのです。場合によってはすみやかに一ぺんにやってもいい、明日でも明後日でも——しかし国会の方の御了解を得なければならぬ部面があるのです。何しろ財政関係においても法律が出ておる、税法関係においても法律が出ておる。割合に手がすいておるのは選挙関係がと思います。選挙部長をやってみてはどうかというのでゆうべからやっておるわけです。そこは手配をいたしまして、国会方面、ことに野党の皆様方の御了解をいただいて、課長なり説明員で事をやるとか、私が委員会にみずから出馬するということに努力いたしまして、適当なる人物を選んでこの方面にやって調べてくる、こういう決意でございますから、私はこれ以上おしかりを受けましても、どうもこれは申し上げる道がない、ほんのしばらく往復いたします間だけ一つお待ちいただきたい。どうぞお願い申し上げます。
  146. 坂本泰良

    坂本委員 今あなたから国務大臣の場権限とか、自治庁長官の権限とかを聞かなくても私も知っております。ただしかし同じようなことをやるにしても、東京から京都まで道を歩いて行くこともあろうし、汽車で行くこともあろうし、飛行機で行くこともあるでしょう。こういう事件は飛行機で行くように、なぜもっと早くやらないか。政治力を発揮して、同じことをやるにしてももっと敏速果敢にどうしてやれないか、そういうことを私は言っておるわけなんです。そういう見地からすれば、すでに副知事が検挙されておるから、もうすぐ隣の捜査機関だから、捜査機関に参考意見も何も——捜査機関を妨害しろというわけじゃないのですが、やはりそれを一つの参考にして真相を究明して、そしてこれはやるべきものである。少くとも福岡県の知事の次の副知事、それから財政の地位にある出納長でしょう。これが逮捕されるということになったならば、県の自治はそこで麻痺するだろうと思う。しかも病気とか何とかならばいいが、不正行為をやり、県費一億円のこげつきを起し、それによって得るところの利息一千万円の行方さえもわからぬというこういう問題については、国民がそれだけ疑惑を持っておるわけですから、その方の究明をやはり行政措置の面から迅速にできないものであろうか。単に二百四十六条の文理解釈みたいなあれで順序立てようというのではない。順序立ててやるにしても、飛行機でやる場合もあるだろう、歩いてのろのろやる場合もあるだろう。失礼だがあなたの御説明は歩いて行くようにのろのろだから、もっと迅速にやれないか、こういうことをお聞きしておるわけです。従いまして財政調査もやられなかったとおっしやるが、ほんとうに一億円のこげつきについては、全然自治庁の方では、昨年一カ年間については何ら手がかりもなかった、こういうふうに承わっていいのですか。
  147. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 最後のお尋ねのこげつきという事実、それもあるかないかわかりませんが、どうもある様子に見えますが、そういう事実を知っておったかどうかということは、全く知らなかったということはありのままであります。偽りないわけであります。  それから急速にやれというお言葉、まことに適切な御意見であると存じますので、これはのろのろ行かないでかけ足というよりは、一つ飛行機でも派遣をいたしまして、早急にこれを調査して御報告ができるように努力をします。
  148. 坂本泰良

    坂本委員 これがもしも裁判になれば、有罪、無罪がきまるのはずっと先のことでしょう。いやしくも副知事とか出納長逮捕されるという情勢になったら、これは命令権はないにしても、相当の指導的の余地はあなたの方に私はあると思うのです。それはないのですか。ただ調査をしてあれするというだけだ、そういうふうにあなたはお考えですか。
  149. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 これは調査の結果当を得ないものが出てくることでしょうが、当を得ないという結論が出ました場合は、やはり自治法の規定によりまして、助言という言葉が使っておりますが、助言、勧告を行うということになっておりますから、この助言、勧告もすみやかに行なっていきたい、こう考えます。
  150. 青野武一

  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 法律趣旨解釈について、事務当局の方にまず伺っておきます。地方自治法の二百四十六条によりまして、今長官からもだんだん御説明になっておりましたから、この場合具体的に言うならば、福岡——各府県財政について、この規定に基きまして監督という言葉が悪ければ、財政実情を的確に把握する、こういうことはこの法律の条文から見ましても必要でもあるし、また自治庁としてもそういう御責任もあるのじゃないか、こう考えますがその点はいかがですか。
  152. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 自治庁といたしましては、二百四十六条に基きまして自治庁長官が財務についての検査をできる権限がございます。権限はまた必要な場合にすべき責任が伴っておるということもこれは申し上げてよろしいと思います。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで具体的には、毎年何らかの機会において、あるいは現地に臨むというような、比較的直接な方法でこれを検査する、実情を把握する、視察する、そういうことをおやりになっておるのでございますか。
  154. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 毎年と申しますか、全地方団体につきましては、これは事実上不可能でございます。しかし自治庁におきましては調査課というのがございまして、この規定に基きまして財政調査をやる。これは抜き取りで、府県なり市町村なりの団体を選びまして調査をやる。そして自治庁としての財政運営のいろいろな資料を集める、あるいは個々の団体の財政の指導についての基礎資料を集める、こういうことはいたしております。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この二百四十六条の末尾に出納の検閲をするということになっておりますね。検閲をするということは、やはり過不足、適否そういうものを検閲するというのがわれわれ法律常識のように思うのですが、そういうふうに理解してよいのですか。
  156. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 この規定の「出納を検閲」はもちろんそういうふうに御理解願ってよろしいと思います。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで刑事局長の午前の答弁によりますると、福岡県におきましては、現在の副知事総務部長時代、昭和三十年の十二月に、上旬中旬にわたって合計一億円の公金、という趣旨はまだ詳しくはないようでありますが、ともかく公金であります。私金でないということ。これを第一相互銀行導入預金をいたしまして、常務取締役から千万円の裏金利を収受しておる。こういうことが容疑の概要らしいのであります。そして副知事と現在の出納長の岩佐というのが、逮捕状執行直前の任意出頭で、本日午前東京の地検に出頭したそうであります。こういう実情になっておるのであります。容疑はそういうことになっております。そういたしますると、昭和三十年の十二月当時一億円の公金、つまり知事が保管しておる、知事の管理に属する公金が第一相互銀行預金されたということが容疑になっておりますが、一億円という金額は、これはあるいは小額というかもわかりませんけれども、まあかなり大きな金額になります。一体こういう金を相互銀行預金するということはあり得ることだろうかどうだろうか、こういう点なんですが、この点について事務的にまず聞きたいのです。長官にはあとで伺いますからしばらくお待ち願いたい。順序はその方がいいと思います。そういうことは公金管理及び運用、使用、出納関係上あり得ないと私ども考えております。一体府県の財政が、それは何百億円になるかは別といたしまして、一億円に上る巨額のものが、こともあろうに東京で数万人の被害者を出し、破産倒産の大騒動をやり、多数の首脳部が収容せられて、多数の首脳部が起訴せられておる。銀行局長の御説明によりますと、二十三億円の導入預金があったようでございます。二十億円以上に上る不良貸付がある。こういうような相互銀行の、しかも福岡相互銀行ならわかるのです。営業の区域はどうかというと、大体東京なんです。東京の庶民銀行である第一相互銀行は、破産倒産で大騒ぎした銀行で、不良貸付、導入騒ぎをやった。この相互銀行に、公金が幹部によって一億円も東京まで預金されるというのは一体どういうわけか、こういうようなことは、一体どこにすきがあるんだろうか。そのすき間がどこかということをあなたに聞こうとしておるのです。あなたの方は出納の検閲をやる。これは条文だけじゃないでしょう。こういう条文は死んだ条文で、実際は手不足で、今おっしゃったように自治庁は人が少い、予算も少い、機構も小さいので、とてもそこまで手が回りませんとおっしゃるかもしれませんけれども、そいつは言うことはできません。やはり法律を執行する責任もありますし、自治法二百四十六条はだてや酔狂で置いた規定ではなかろうと思う。やはり監督は、厳格な昔の内務省的な思想観念は別といたしまして、この規定は、何もみえや飾りに置いてあるんじゃないかと思う。やったかやらぬかわからぬような、そんなたよりないことでは自治庁でございとは言えぬはずです。私はそう思うのです。そういう意味で伺うのです。そこで一億円もの金が東京の第一相互まで通知預金されるということは、一体あり得るだろうか、こういう点についてあなたは具体的に何か説明的な答弁をしてもらいたい。
  158. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは先ほども申しましたが、われわれまだ詳細な事実を承知いたしておりません。新聞で見たところでは、信用組合の方から第一相互導入預金があった、こういうふうに一応見ておるわけでございます。信用組合はどういうもので、だれがどう監督して、その金の扱いはどうするかということまで、ちょっと私の方は承知いたしておりません。そこらの実情調べてみなければ、私の方で信用組合は直接自治法二百四十六条の対象になっておるわけじゃございませんので、そこらの関係は、やはり実情調査さしていただいて報告さしていただきたいと思います。
  159. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官は長官としてのお仕事があろうと思うが、失礼だがあなたは財政部長として府県の財政の現状を把握しておられる現場の責任者でございますね。そうですね。
  160. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私は財政部長としての責任は持っておりますが、地方公共団体の全体の出納を全部把握しておる、それほどの能力も地位も権能も持っておりません。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは冗談に言うんじゃないのですから、一つ聞いてもらいたいのです。あなたの方では府県財政の決算は毎年報告を受けておるでしょう。
  162. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 決算の報告はとっております。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事柄の起ったのは昭和三十年。そこで今長官は、新同等できのう知ったとおっしゃる。それはきのう知ってもきょう知ってもよろしい。けれども地方財政の決算をあなたの手元に把握しておられる。よろしゅうございますね。そういうような方でありますので、この福岡県の財政につきまして、一億円の収支については、どこか疑わしい出入りの個所があるかないかというようなことについては、まず一応書面上の検討でもする余地はないものでしょうか。これは私自身がしろうとだから、あるいはあなたのいろいろの御説明でごまかされてしまうかもわからないけれども、ともかく導入資金として一億円が動いたということを、ある証拠をもって逮捕状の執行をやっているのですよ。これは坂本委員も述べましたごとく、かりにも副知事逮捕ですよ。副知事逮捕ということは、これは地方にとっては大へんなことなんですよ。その大へんなことを東京の地検があえて敢行したのですよ。よほどの確実な証拠がそろっておらなければ——普通のどろぼうを捕えるときのような逮捕じゃないのですよ。念のために聞きますが、一体終戦後、副知事が背任横領等の容疑によって逮捕状を執行せられたような事件があったことがありますか。
  164. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 そういう記憶は全然ございません。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 記憶のことを聞くのじゃなくして、記憶のあるなしよりか、客観的な厳正な事実として、あなたはそのくらいのことをつかんでおいでにならなければいけないと思うのです。地方自治体の全体を指導監督しなさるあなた方のお立場なんだから……。記憶がないということなら、あるいはほかにあったかもわからぬというようなかりの意見も出るのだが、おそらく絶無でしょう。空前のことだろうと思う。大変なことだ。一体こんなことがあったら、自治庁は大騒ぎしなければならぬと思うのです。そこで私はもう少し事実関係をはっきりしておきたいのだが、あなたの方が決算の報告を受けますのは、その決算が行われました根拠、証拠、議決するに至りました経緯、それから金の収入支出の関係等は相当しさいなものが報告されると私思うのですが、それはそれに間違いないのでしょうね。
  166. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 自治庁が集めております決算の報告は、これはきわめて大ざっぱなものでございます。歳入と歳出の大きな款項とか、費目別における入支出の実況を明らかにするために資料をとっておりまして、これは主として自治庁が地方に対する財政の総合的な計画を作るための資料となり、並びに全般的な運営の実情を知る、こういう意味の資料でございます。それでございますから、それぞれの収支につきましての諸表とか書類とか、そういうようなものまではとっておりません。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大ざっぱな数字だけをつかむということで、一体財政状態の把握ができるのでしょうかね。これは厳格な監督でなくても、出納の検閲もできるというくらいにまで法は明記しておるので、ことに自治庁長官に決算議決の結果を報告しなければならぬことが、これは法二百四十二条の四項で規定してあるようでありますが、これは義務規定だろうと私は思う。そういたしますと、これは重要な報告でなければならぬ。大ざっぱな数字の報告を受けるということだけでは、それでは一体財政監督——監督という言葉が、次官は少しきついようにお考えのような見解があったのであります。けれども、自治法二百四十六条の後段の出納の検閲の時期から推定いたしますと、やはり法の精神は、出納の検閲、出入りの適否等はもうつかみ得ることになるのであるから、これはやはり財政監督の一つの態様だろうと私は思う。そういうような規定もあり、また決算の議決されたものは長官に報告せられなければならぬということになり、また財政の実態を把握しなければならぬということにもなっておるようであります。地方交付税法の第四条の第一項八号によりまして、常に地方財政の活況を把握し、そして交付税制度の運用について改善をはかることが自治庁長官の権限でもあるし責任でもある、こういう規定がある。こういうような規定を彼此総合いたしますと、自治庁の長官の立場というものは、地方財政の把握については相当重大な責任があると私は思う。そういうことがなければ、法律なり税制運営のにつきまして適切を欠くことがあり得るのでありますから、こういう点から見まして、今のように、報告はくるけれども、大ざっぱな数字をつかんでおるだけである。それから出納検閲の規定もあるけれども、どうも実態も把握しておらぬというようなことでは、自治庁自体が、財政実情について常に精密な知識を持っておらず、またこれを把握しておらぬというのが実情でないかと思う。そういうことがやはりこの種の事件を生むに至った一つの原因でないかと思います。この種の事件の実態が何かということは、お互いに真相は知りません。けれども、きょうは法務大臣にかわって刑事局長が、ある輪郭を示しておるのであります。そうして私どもも、副知事逮捕というような近来まれな事件にかんがみまして、よほどの根拠がなければならぬというような一つの推定に立って申し上げるのでありますが、そういうように、地方財政の実態を精密に、的確に把握しておるところがなかったならば、公金と私金がすりかえられてしまったり、いやしくも一億円の金を東京のボロ相互銀行に浮き貨ししたり、千万円の金をふところに入れたといって、日本中の新聞に喧伝せられたりする事件が起ってくるのであります。私は直ちに、あなたの方が福岡県の財政実情を把握しておらなかったと、即断はいたしません。けれども、今の財政部長の御答弁によってみると、どうも心もとない。それは事務繁忙で、福岡が何ぼ金を使っているか、そんなことを一々覚えておらぬとおっしゃる。そうおっしゃるのも無理ないかもしれない。けれども、そうはいきませんよ。それでは財政把握は一体だれがするのです。長官は、それこそ失礼だが、しろうとです。あなたはエキスパートなんです。その道のくろうとなんです。財政の技術屋さんなんです。だから、そんなことは勘でもわからなくちゃいかぬ。勘でもわかるぐらいにまでなるのがほんとうの専門家でおありなんですから。かくしてほんとうに財政の実態の把握ができるのです。財政の実態の把握ができてこそ、交付税制度の運用も適切にいくということは、法も要求しているのですから、そういう点から考えましても、どうも心もとない。これがどういう事件かということについて伺うのじゃありません。こういうような地方財政の実態の把握が、法の要求に基いての限界においてさえ十分になされておらぬような概況では、やはり地方財政紊乱のもとになり、こういうことでは、私はやはり地方財政と自治庁との関連を法律制度の上から再検討しなくちゃならぬとさえ考える。長官、どういうふうにお考えになりますか。
  168. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 条理を尽くしての御質問をいただいて、恐縮に存じますが、地方財政の実態を現在の制度のもとにおいて、自治庁という立場でこれをどの程度まで把握をすることが適当であるというその問題でございますが、これはどの程度もこの程度もない、徹底的にその実態を把握することは当然のことであると考えますが、何にいたしましても、三十年十月、今お読み聞けによりますれば、一億円という大金がどこかに預けられた。それは何でも新聞によりますと、庁内にある信用組合に預けられたというのであります。そうするとこの信用組合にそういう金が預けられておることが適当であるかいなかという監査ができておりませんと、この監督ができないことになります。またこの信用組合という組合に従来金を預けた事実があるのかないのか、どの程度の金額まで預けた事実があるか、どういう条件の預け方をしておるかというようなことに至りますると、経理の収支というものの面に至りますまで、これを自治庁が一都二府四十二県にわたって日本全国のこの状況、ことに市町村を合せますと数千に上るわけでございますが、それをことごとく自治庁の立場で知っておることが当然である、こういう考え方に立って監督を徹底的にやるということが妥当であるかどうかという問題が一つあるのではないかと思うわけであります。これは行政組織の上からも考え直さなければならぬ点があろうと存じますが、今の自治庁の組織から申しますと、何しろ調査課というものは課長以下十数名しかいない。これがこういう広範にわたる、地域的に見ても、内容的に見ましても、縦からも横からも、相当広い範囲のものにつきまして、十全の調査、今お言葉のような調査に至りますかどうか、これができるかどうかということは、なかなかここに再検討をあらためてしてみなければならぬ問題ではなかろうかと思うのでございますが、何にいたしましてもこの問題は、先ほどお約束を申し上げましたように、人を派遣するなり、人を呼ぶなりして、慎重な調査を検察庁とは別個の立場で、この与えられた権限によってできるわけでありますから、その調査をしてみて、その調査をしてみました結果、この監査行政の運営のやり方というものにつきましても、幾多お言葉のごとく反省する材料がここから出てくるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。しかしながら、この規定に基く監査を、厳格に一々の金の収支、金の預け先に至るまで行うということになりますと、あるいは地方自治という建前に立って、独自不覊独立の経理をいたしておりますこの立場を、あるいは阻害するようなことになるおそれはないかということも、一面において地方自治を尊重する立場からは考えてみなければならぬのではないかと思うのであります。新憲法ができまして、新しい自治の制度というものが許されるようになりまして以来、かつて先例を見ざる初めてのできごとが起っておるという、こういう事態でもございますので、一つ先ほどから申し上げておりますように、急速に、慎重に、手落ちのないように、与えられた権限の中において極力取調べをいたしまして、調べました内容についてこれを御報告申し上げ、ここから出てくる幾多の反省資料は、ありのままに反省すべきは反省いたしまして、制度の上でも改革する必要があると認めるものにつきましては、国会に提出をして御相談を申し上げるというふうに、誠意をもってこの処置をして参りたいと存じます。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今伺っておりますと、あなたの方では、地方財政の把握というものを、財政部長の頭の中に入れておくのが把握のようにお考えになっているがこれはとんでもない間違いだと私ども考える。一体決算を議決して長官に報告するということは、文書できておるんです。よろしゅうございますか、そんなものを一々頭に記憶しておく、そんなことは法律でも言っておりません。あなたの方では、地方から報告がくるならば、適当に整理しておられるのでしょう。だからたとえ五十府県あろうと、千県あろうと、一万県あろうと、庁内において適当に整理されておるはずです。だから何県の財政というものは、その整理のあるとこころを開いて、あるところを調べなさったら、一ぺんに出てくるわけだ。どんな記憶のいい人であろうとも、頭の中で記憶しておく、そんなことはだれも求めていはいませんよ。けれども事実は文書になっておる。数字になっておる。そうして適当に証明ができておる。そうなんでしょう。でありますから、証拠物まで自治庁にきたかどうか、それは申しません。けれども、そういうような添付してくるものはなくても、きちっと整理された数字は文書にまとめられて、それぞれの性格が数字の上で説明せられて、それがきておるはずなんです。把握というのはそれを私は言うておるのです。あなたがどんないい頭であろうと、あなたの頭の中で覚えておきなさいなんていうことは、法律も求めておらなければ、常識も求めていはしません。ところが今のお説によると、何かしらぬが、人間が把握するのがとてもできないかのようなことが一つの前提になっているようだ。地方財政の把握というのはそういう意味じゃないのであります。だからそこはくどく申しませんけれども、見解の相違というよりも、地方財政の把握をそんなふうにお考えになっておるならば、人間ばかりたくさんにふやして、それを一々頭に入れておかなくちゃならぬ。そんなことを考えては大へんであります。そういう意味ではないです。そんなことを考えておりましたら、地方財政の把握は絶対にできません。それはばらばらです。ハチの巣みたいに幾つもたくさんにそれぞれのセクトを作って、自分のことしか知らぬ、よその関係は何にも知らぬという旧官僚制度の悪い弊がまた出てくるのであります。総合的に把握するのが自治庁の責任ですよ。そうでなければならぬ。私はしろうとだから、そんなことを言うと失礼ですが、しろうとにしましても、やはり全体が整理されておって、それぞれそういう把握のシステムがあなたの方にできておるはずなんです。  そこで地方自治法施行令の百七十一条二項によりますると、監査委員の制度が明確にされ、法二百四十条においてもこの点が明らかになっておる。自治法の二百四十二条一項によりますると、証書類とあわせて出納長または収入役からこれを地方公共団体の長に提出しなければならないということになっておるわけです。そうするとその決算には、それぞれこの証拠書類を添付して知事に提出されておると思うのであります。これによりますとそうでございますね。そういう関係を見て参りますると、一体出納についての監査委員というものは、地方自治体における財政監査監督の一つの新しい制度であろうと思いまするが、これは決算を議会に提出する前提の手続としてこのような規定がされておる。そういたしますると、たとえば三十年度における福岡県の決算につきましては、それぞれと詳しい適切な証拠書類が添付せられて、そうして知事に出されておるものと思うのであります。これは間違いないでしょうね。
  170. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは福岡県におきましても、当然自治法の定める手続によって処置しておると存じます。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで府県が公金を、たとえば税金の歳入、あるいは国庫金の歳入にいたしましても、これを県金庫以外に預けるという余地は手続上あるのですか。たとえば県庁内に県庁職員が作った信用組合公金一億円を預金する、そういうような余地、方法、すきはあるのでございますか。
  172. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今のお話のことは自治法上可能でございます。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 自治法の何条にどういうふうに規定してあるのですか、御指摘願いたい。
  174. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 ただいまお尋ねの点は、県金庫との関係上のお尋ねであろうと思いますが、自治法施行令百六十四条に金庫設置の規定がございます。「都道府県は、議会の議決を経て、都道府県に属する現金の出納のため、金庫を置かなければならない。」つまりこの金庫は出納のため置かなくちゃならぬのでありますが、現金の管理につきましては金庫でなくちゃならないという制限がございません。
  175. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、全国の府県で、金庫以外に、庁内の職員信用組合なるものに、このような多額のもしくは少額でも預金するような事実がかつてありましたか。
  176. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 県庁内にある職員信用組合に預けておるという事実のことにつきましては、率直に申しまして、私のところで正確な資料が今のところございません。どれだけ預けておるか、どの程度やっておるかということは、私の方で正確な資料はございません。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはこの法律によってその道があるとおっしゃる。その道があるということは、具体的に、客観的にそういう事実もあるだろうということも次には推定されるのであります。あなたは日本全国の府県の財政を把握なさる首長なんです。資料がないとおっしゃるが、全然そういうことがないというのであるならば、これは全く希有なことと申さねばならぬ。それほど金庫以外に、そういう庁内の信用組合に金を預けるということが希有のことであるとするならば、これは相当な根拠がなければならぬ。例外の例外の例外なんですから、相当な根拠がなければならぬ。そういうことについて、あなたは、それは可能でございますというような簡単な答弁でいいのですか。可能であるというならば、可能である、実行した実例があるということを少し前提にでもしなければならない。それは実際論になるのです。私はあなたに大学の講義を聞いているのじゃないのです。大学の講義のように、富士山の上で甲と乙とが何らかの契約をする、そんなことを聞いておるのではないのです、つまり現実の話を聞いておるのではないのです、法律を生きて解釈するのですよ、この委員会をいいかげんにするものではない。
  178. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 先ほどは金庫以外に預けることができるかというお尋ねでしたから、法律上できると申し上げたのであります。これは信用金庫だけではなしに、すべての金融機関について預け入れをする、あるいは預託をするということはできるのでありまして、これはいろいろの金融機関に預け入れておると存じます。ただいまの信用金庫がそれぞれ県庁内にあるかないかという問題もあります。そこにどれだけ預け入れているかというそこまでの調査は私どもの方にない、こういうことを申し上げたのでありまして、県の職員の信用金庫ならば、その信用金庫の円滑な運用を期するために、ある程度の資金を預け入れておるということは私は十分想像できることだと思います。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、信用金庫の円滑な運用を期するために、県の財政資金を預けるということはあり得るのですね。三十年の福岡県の決算は歳入において二百六十二億円、そのうち国庫金は交付税あるいは補助金などを合計いたしまして、総計百三十五億円、こういう午前の会計検査院の御説明なんです。百三十五億円の財政上の資金福岡県へ交付されておるのですよ、その中の九十五億円は補助金なんです。補助金は申すまでもなく、それぞれその用途は限定されておるはずなんです。だから何に使ってもよいというわけにはいきません。そこで地方財政が必要と思うて、財政上苦しかろうが、資金繰りに使ってもよかろうといって、こういった金を、あなたのお説によりますと、職員の作っておる信用組合へ融資してもいいというお考えなんですか、一体そういう指導をやっておるのですか、これは長官に答弁してもらいたい。
  180. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 何かいろいろお言葉が進むようですが、そういう指導をやっておるかというお尋ねが突然あったわけですが、そういう指導はしておりません。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう指導をするということであるならば、財政の末端は混乱するものと私は思う。もしそれが補助金でも食われたらどうするのですか。交付税については条件をつけず、制限をしないというような規定もありますけれども、そういうところに財政紊乱があるものと思うのです。長官は、そういう、指導をしていないというそういう指導をしていなければ、特定の場合に何らかの特殊な事情に基いてあるいはこれは可能なのかもわからぬ。しかし少くとも原則としては、すべきではないと思う。非常にルーズな考え方のように思うのですが、部長のお考え方はどうなんですか。
  182. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 先ほど国庫支出金とか補助金とかいろいろございました。これはもちろん支出金は支出の目的に従って使わなければならないのは当然な話で、福岡県ももちろんそうしておることだろうと思います。しかし県には今資金がございますけれども、その資金の保管管理上確実だと認められた信用金庫がありまして、そこに保管をし、預け入れをするということはあり得るということを私は申し上げたのでありまして、長官のおっしゃいます通り、そういう信用金庫に預け入れろというふうな指導はもちろんしておるはずはありません。県の行政上必要な方法で安全確実に保管、管理すべきものだと考えております。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 福岡県の歳入金は福岡県の議決して設定しておる県金庫に預けることを原則にする、もしくは例外なくそうする、こういう点については事実はどういうふうになっておりますか。
  184. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 福岡県の現金の出納、保管の実情は私ちょっと今ここに資料はございませんから、調査の結果御報告申し上げたいと思います。
  185. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当委員会に来ていただいたのは何の問題でここへ御出席願ったかということはあなたの方に御通知なかったのですか。これはどうなんですか。政府委員の連絡機関が国会内にあるはずなんであります。
  186. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 私ちよっとほかの委員会におりまして、大臣のお供をして行きまして、詳細は全然承知しておりません。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金庫事務の取扱いにつきまして地方自治法施行令の百六十六条に事務的な規定があるようであります。そこでこれらの規定及び財政の公正を期する上から考え、県といたしましてかりに信用組合公金を預けるのがほんとうといたしましても、金額は一億円に上ります、これは大へんであります。もしそれが容疑のごとくに信用組合を通し、もしくは信用組合の名によって第一相互導入預金として送ったといたしましたならば、これはなおさらもってのほかであります。  長官は参議院の予算委員会に行かれるそうでありますから、この問題につきましては、私はこれは長官に申し上げておきますが、福岡県の例をとってみても、一年に百数十億円の国庫金が流れたのであります。そこでそういった金が今度は導入屋の手を通じて何億も流されておるということになりましたならば、これは大へんなことだと認めます。もう希代の不祥事だと思う、地方財政の大不祥事です。地方財政だけではありません。国民の税金が導入屋の手を通じて何億円と流されていく、そしてまた何千万円とふところに入る、その金がどうなるかわからぬ、そんなこと、だったら日本の財政は中央地方を通じてめちゃくちゃです、というほどにこれは憂いを持っておりますので、そういう角度から、私は今いろいろと事実関係を究明していきおるのであります。それであなたの方で至急取り調べるとおっしゃっておりますので、その至急取り調べることについて、これはあなたの方の予算とかあるいはその他の法関係もありましょうが、少くとも数点の概要だけは一つ——行ってすることが適当かどうか私もわかりませんが、ともかくこの点だけは文書で、明日でも明後日でもいいから、一両日中に報告してほしいと思うのであります。もしあちらに人をやって、何か事実関係をつかんでこられるので日がおくれるようでありましたならば、第一に、この一億円の金が庁内の職員でできておった信用組合に預けられたというので、そういう庁内の職員信用組合というものに預ける関係があったのかなかったのか、部長はそういうことも法律上は可能だというのですが、そんなことをやっておったのかどうか、金庫に預けておくのがほんとうじゃないのかどうか、その一億円を中心にいたしまして三十年度の決算を詳細な証拠書類を添付して知事監査委員の方から出しておる、そしてそれが議決されておるのです。そこで知事監査委員から出したときに、一体監査委員はどんなものを出したのか、監査委員が何人かおって、毎日財政監査をしておるはずですが、この点について監査委員監査しておったのかどうか。その監査委員の証拠書類、それから議会が議決した書類、そういうものを全部一まとめにして、持ってくるかどうか、ここでわかるようにしてもらいたい。われわれはさようなものを通じまして、この際運用を一つ明らかにいたしてみたいと思いますので、可能な方法でここ二、三日のうちに、こういう希望に沿うようなある範囲のものは、一つ概略でもよろしゅうございますから、この委員会に報告書を出してもらいたい。これは的確な、詳細なものはもっと後でもよろしゅうございますけれども、今申しましたような点は、今後私どもがいろいろと調べる上におきまして非常に重要な点だろうと思いますので、ぜひお願いを申し上げたいのであります。それをちょっと約束しておいてもらいたい、これだけでよろしゅうございます。
  188. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 ただいままでの両先生からの御質問の内容は大へん重要なことであると存じます。そこで今吉田先生からの御注文の資料と申しますか、実情調査の結果につきましては、何日後と言わずできる限り早急に委員長まで御連絡を申し上げまして、とにかく委員会をお開きになっていなければ委員長に提出するとか、何かの方法によってできる限り迅速に、そのアウト・ラインをまず御報告申し上げます。しかる後に手落ちのない内容につきまして詳細なる御報告を申し上げる、確かにお約束を申します。
  189. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと部長に伺いますが、監査委員というのがあるのでしょう、監査委員というのは財政監査を毎日やるかあるいは毎週締めるか、毎月報告するか、何か具体的に知事に文書で報告するのじゃないですか。
  190. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 監査委員には毎月報告ということは必ずしもございませんが、出納につきましては自治法の二百四十条に、団体の出納は毎月例日を定めて検査する、つまり例日検査というのが一つございます。それから毎会計年度少くとも二回臨時検査をする、これは監査委員が行うわけでございます。監査委員はもちろん随時必要があると思えば監査ができるわけであります。なお決算の審査の問題で、これは先ほどお読み上げになりました二百四十二条で、決算が出納収入役から提出された場合に、監査委員の審査に付して、それから議会の認定に付する、こういう手続だけは法律上きまっておりますから、監査委員といたしましてこれに乗っかっておる仕事は当然にやっていると存じます。
  191. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると自治法の二百四十二条の決算を出納長もしくは収入役、この場合は出納長ですから、出納長から証拠書類を添えて知事に出すことになっておりますが、県の方でわからぬといえぼ、知事はめくら判を押したことになっておるんでしょう。知事はやはり監査委員監査したものを一応目を通して、そうして三十年度の決算の内容を知事は証拠に基いて検討して議会に提出するという順序になると思うのですが、そういう順序じゃないのですか。
  192. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今お話の通りでございます。この決算書類は技術的に相当広範なものですから、そこで専門監査委員に審査させまして、その審査の意見を付して知事が議会の認定に付する、こういう手続きをとっております。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もし容疑のごとく、公金を庁内の信用組合をパイプにして第一相互通知預金したということであるならば、一体これは出納長だけでできる仕事なのか、それとも出納長あるいは総務部長とか知事とかがそれぞれ組まぬとできないことなのか、あるいはまた監査委員もまた組まぬとできないことなのか、そこは一体どうなるでしょうね。
  194. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは法律の手続だけを申しますと、現金の出納保管の全責任出納長にあるわけです。それでございますから出納長がどういう方法で出納保管するかということは、もっぱら出納長の権限になっております。必ずしも知事あるいは総務部長あるいは副知事というものが関与しない法律上の建前になっております。監査委員はもちろん審査を横からするわけでございますから、実際どうするかということについては一々相談にあずかるわけじゃありません。横から監査をしてその適否とか当否を判断をするという建前になっております。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし小切手を調べたりあるいは収入支出の原簿その他の伝票を調べたり、あるいは領収書を調べたり、あるいは使途について実際に当ったり、そういうことをしなければ監査できぬと思うのだが、そういうことをしていけば、出納長が現金の保管の責任者であるのだから、法律の建前からするならば出納長がどうでもできるというようなものでないと思うのだが、それは帳簿あるいは伝票あるいは小切手、証拠書類等々をそれぞれつかんでいけば、出納長だけでたとえ数カ月でも一億円の金が導入預金でよそへ流れて、そうして返ってくるということはちょっと想像しにくいのですが、それはどうなんですか。
  196. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 今申しました通り、これは法律上は出納長の全責任になっております。しかし現実は金庫以外の他の金融機関出納保管の便宜と申しますか、確実と申しますか、有利というような関係で預け入れるということはあり得ると思います。そういうときには自治庁といたしましては、やはり知事、市町村長にあらかじめ相談した方がよかろうという指導はいたしております。それから監査委員の方は、その個々の出納につきましては出納監査責任がございますから、その監査責任に基いて具体的に個々の出納事務について監査をしているのに違いない。しかし監査委員もなかなか手が回らぬということがありますから、あるいはその出納監査の方法が、すべての一切の出納につきまして念入りにやっているか、あるいは重点的にやっているか、そこら辺、出納監査の方法というものはおのずからいろいろ厚薄があるんじゃないかと思っております。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、実際問題として法律上の責任出納長にあるといたしましても、実際問題といたしまして、金の出し入れをしたら、それぞれの証拠書類が一々発行されるのでしょう。他人に渡した受け取りはとるのでしょう。内容は記載するのでしょう。ものに変ったらものは文書に現われるのでしょう。そういうふうであるならば、おかみさんがおやじさんから受け取った月給を自分の手帳に控えておく、そういうものじゃなかろうと思う。それならば監査委員がごまかされる余地がないはずじゃないか。そうすると監査委員もぐるになるか、もう一人だれかがぐるになって、見たことにして判を押すということになるのではないか、こういうふうに伺っているのです。だからあなたが今お認めになるごとくに、金を出せば受け取りをとるし、それぞれ適当に文書を発行するし、また小切手も切ろうし、内容も書くし、ものの記載も文書になるというふうになっておれば、監査委員監査するときには、それがないというふうな組織ができておるんじゃないですか。それともおかみさんがおやじにもらった月給を手帳に書いておく、そんなものを見るくらいに終るのであろうか。言いかえると、出納長が独断で悪いことをしようともできるような仕組みになっておるのかどうか。
  198. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 出納長出納しますときには、今吉田委員おっしゃいました通り、もちろん確実なきまった様式で書類その他は整備していると思います。それでございますから、監査委員出納監査する場合には、それらの証拠書類に基いて監査しておることは間違いないだろうと思います。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 監査委員が証拠書類監査した場合、証拠書類をごまかしてくれば、ごまかし得るように会計経理がなっているのですか。
  200. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 まあ出納長かだれかかりに虚偽の書類を作ったということはこれは想像としてもあり得ると思いますが、その証拠書類監査委員が見て、その虚偽を発見するか発見しないかという問題があろうと思います。それと現金の帳じりをどうせ調べるに違いないですから、帳じりと書類上の数字というものは当然にこれは照合して監査しておるのだろうと思います。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで私はきょうのところは一応この程度にしておきますが、私があなたに聞いたのは、監査委員監査するし、それから出納長が決算を知事のところに証拠書類をつけて持っていくし、知事がそれを見るし、というふうにすると、知事出納長監査委員というようなあたりが、やはり会計経理の実態を、証拠書類帳簿等々によって実態が把握し得るようにできているのではないだろうか。だから一人がごまかしたらほかはめくらになる、そういう組織じゃないと実は思いますので、一つごまかしたら向うからわかるというふうになっているのではないだろうか。それとも官庁の会計であるから、そういう辺がまだ企業会計のようになっておらぬし、またその必要がないんだというような議論があるならまた議論があるし、また実情がそうあるならこれはまた別問題です。けれども、やはり財政監督なり、実情の把握というようなことが法律上の責任にもなっておる限りは、あなたの方の地方財政の指導のあり方におきましても、そういう辺は、一人ごまかしたらほかはめくらでというような組織では財政指導はできないので、やはりどこかが悪いことをする可能性があるのじゃないかと思うので、その辺の実態がどうあるのかと思ってあなたに聞いておるのであります。そこでこれはやはり知事がだまされましたというのか、あるいはまたそれとも監査委員がごまかしたというのか、監査委員が怠っておったというのか、組織自体がわからぬようになってごまかし得るようになっておったというのか、一体どこに原因があるのかということを知りたいので、場合によればやはりこれは監査委員の方にでもここへ来てもらって、十分に説明を聞くか、あるいは気の毒だが、知事の御足労も願って、そうしてその辺のともかく容疑が事実とするなら、これは議会もだましておるのだし、また自治庁の長官をもだました報告ということになるのですから、だましたのか、過失であるのか、それはいずれになるかわかりませんけれども容疑が真実であるとするならば、長官としては、私はどこかにおいてやはり相当な弁解をしなければならぬ関係にあると思います。財政運用の責任者でありますから、出納長といったところが、出納長自分の部下なんですから、長官に対して交付されるものであろうと思いますから、そういうふうに思いまするので、その点は一応委員長こちらでも考慮して、一ぺんもう少し実態把握のためにはどういう人に来てもらえばいいかということになりますけれども、これはまた同時にいま少しく自治庁から大体のアウト・ラインだけでも——自治庁みずからの見地で何かの報告があるようでありますから、長官は約束したから、それとにらみ合せて扱ったらいいかと思います。そういうことを私はあなたに聞こうとしたのでありますから、これに対する答弁を承わっておきます。一応きょうはこの程度にしておきます。
  202. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 これは吉田委員がおっしゃいました通り、この出納事務の適正を期するために権限を配分して、それで出納長だけにまかせずして、それをさらに監査委員監査をする。知事が見て議会の認定に付する、いろいろな目で、いろいろな方法で審査をして、全体として間違いのないように、一人があやまちをやったって次の点においてわかるように、そういう仕組みで今の出納制度ができておるわけでございます。ただ今の問題は事件の実態がわからぬと私もよくわかりませんが、つまり信用組合預金をしておった、預金をしておったという事実が当か不当かという問題と、預金をしておった事実をごまかしたかどうかという問題があろうかと思います。信用組合預金をしておったという事実関係などは、当然私は証憑書類その他でこれはわかっておるに違いない、こういうふうに存じております。
  203. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一ぺんついでにあなたに希望しておきますが、県庁信用組合県庁内部の職員信用組合なるものの定款を一つ出して下さい。それからその信用組合なるものは、今日まで県庁公金預金を受けた事実があるのかないのか、その事実関係の経過、あればいつ何ほどどういう条件で、そうしていつ返還したかどうか。それからこのたび一億円前後、伝えられるがごとき金額を昭和三十年の途中に預金を受けた事実があるのかどうか。その辺について、これはあなたの方で問い合せてもわかりますから、県庁の出張所を通じてでも、そんなことはすぐわかることですから、それはあしたでも資料として委員長あとで出していただけませんか。そのくらいのことはできるでしょう。
  204. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 それはさっそく手配をいたします。あしたわかるかわからぬかわかりませんが、さっそく手配をいたします。
  205. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだけぜひお願いしておきます。
  206. 坂本泰良

    坂本委員 私の質問に対して、今長官も調査する、一、二日のうちに調査する、飛行機で調査するということでございましたから、この調査に当って私要望しておきたいのは、これはいろいろな見方もありますけれども、一番悪意に見ると、県の金を組合を通じて第一相互に預託した、そして一千万円の裏利をもらって、そして新聞によれば、知事、副知事が使ったのじゃなかろうか、こういうような疑念もあるわけです、ともかく一億円という金が遠く東京の第一相互に預託されたということは事実のようですから、一片の表面上の帳簿調査その他でなくて、帳面上にあるいはないかもわからです。しかしなくても一億円の金が第一相互に預託されたことはもう動かせない事実と思いますから、その点について、なかったならば、やっぱりそれはどういうふうにして出ておるか、あるいは私が申しましたように、信用組合をパイプにしてやっておるのじゃないか、あるいはそのほかのいろいろな、財政上の出納長がとにかく関係しておりますから、いろいろ財政上のあや、欠点その他を利用してやっておるかもわかりませんから、そういう点について十分注意をして御調査を願いたいと思います。
  207. 青野武一

    青野委員長 ほかに御意見はありませんか。——それでは最後に委員長から御注文しておきますが、吉田委員並びに坂本委員から御注文になりました資料はできるだけすみやかに、しかも正確なものを一つ私の手元まで御提出願いたいと思います。  それから福岡県庁に関する限り、山本知事岩佐出納長が一緒に逮捕命令が出て、御承知の通り拘束されておる、こういう状態で、すでに逮捕状の出た人が岩佐、山本、池田、向井、根橋と五名であることは、午前中刑事局長が御説明になった通りであります。こういう不当な背任横領事件などが全国の四十六都道府県に次から次に起ってきては重大問題であります。氷山の一角だというような感じを国民に持たしては大へんなことになります。これは司直の捜査上ある時期がくるまでは県庁側を擁護するとか、あるいは感情的な攻撃をするとかでなくて、こういう事件が再び起らないようにするという建前から、一つ正確な資料を決算委員会の運営上、必要な最も早い時期に提出をしていただきたいことを重ねて希望しておく次第であります。  本件に関しまする調査は、本日のところは一応この程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこの程度にて散会いたします。    午後五時四十四分散会