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1957-02-26 第26回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十六日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 關谷 勝利君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 坂本 泰良君    理事 吉田 賢一君       櫻内 義雄君    野澤 清人君       林   博君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    神近 市子君       細田 綱吉君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁監         察部長)    岡松進次郎君  委員外出席者         行政管理庁次長 山中 徳二君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豐君         日本国有鉄道参         与         (監察局長)  堀口 大八君         参  考  人         (日本国有鉄道         部外団体等公正         委員会委員長) 工藤昭四郎君         参  考  人         (国民経済研究         協会理事長)  稻葉 秀三君         参  考  人         (ダイヤモンド         社会長)    石山 賢吉君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月二十六日  委員片島港君辞任につき、その補欠として細田  綱吉君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府関係機関収支日本国有鉄道経理)に  関する件について参考人より意見聴取     ―――――――――――――
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  政府関係機関収支日本国有鉄道経理)に関する件につきまして調査を進めます。  去る二十一日の理事会並びに委員会におきまして御決定を願いました通り、本日は右件につきまして参考人各位より意見を聴取することといたします。  参考人各位には御多用中のところ御出席下さいましてまことにありがとうございました。  なお決算委員会におきましては、昭和二十九年度決算並びに三十年度決算等につきまして審査をいたしておるのでありまして、日本国有鉄道関係につきましても会計検査院の指摘した批難事項はもとより、決算各般にわたりまして、国家財政の見地より鋭意審査を続けているのであります。この日本国有鉄道につきましては、ここ数年来世論のきびしい批判を受けておりまして、国鉄自身としましても経営合理化経理粛正等につきまして相当努力を払って参ったと思われるのでありますが、しかしなお不当、不正事項は毎年跡を断たず、当委員会において毎年同じことを同じように非難され、そして国鉄は同じように遺憾の意を表し、改善の声はあってもその効果は遅々として現われないという現状であります。そこで国有鉄道財政あり方あるいは経営改善問題等につきましてもっと考慮すべき点はないかということであります。それには財産管理の問題もありましょう。あるいは外郭団体の問題もありましょう。物件の調達についても問題はありましょう。以上の諸点について御意見を伺いたいのでありまして、当委員会としましては、国鉄経理粛正し、もって国政に寄与して国民の負託にこたえたいと存じておるのでありまして、各位におかれましても当委員会の意のあるところを十分におくみ取りいただきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を伺いたいと存ずるのであります。  それではお時間の関係がございまするので、稻葉秀三氏より順次御意見の開陳を願いたいと存じます。時間等の関係もありますので、お一人大体十五分程度で要点をお述べいただきたいと思います。具体的にはその後に質疑の形で御意見を伺いたいと存じておりますので、何とぞ御了解いただきまして、当委員会運営に御協力を願いたいと存じます。  それでは稻葉秀三君。
  3. 稻葉秀三

    稻葉参考人 私稻葉でございますけれどもあとから参りましたので、用事の方を片づけて参りましたから、あとでもけっこうでございますから。
  4. 青野武一

    青野委員長 委員長といたしましては、稻葉先生が非常に時間的にお急ぎだというお話がありましたので、実は寄り寄り委員方々と御相談いたしまして、一番先にやっていただきたいと存じておりましたが、すでに御用件の方は片づけておいでになったそうでありますから、順序はまことに不同ではありますが、それでは石山賢吉氏にお願いしたいと思います。
  5. 石山賢吉

    石山参考人 私は国有鉄道の現在の経営について不満を持っておるものであります。  その第一は、国鉄発表によりますと、現在営業線が二百二十七線あるそうでございます。そのうちに三十年度決算におきまして黒字となっておりますのは、わずかに十一線であります。差し引き二百十六線は赤字であります。さらに営業キロの方から申しますと、黒字になっておるのが二〇%で、赤字になっているのが八〇%であります。全営業キロ数は二万キロであるそうでありますが、そのうちの八〇%すなわち一万六千キロくらいの営業線路赤字計算であります。この赤字黒字かという計算は、国鉄発表数字によるものでありまして、国鉄から発表された統計君に、経費でもって収入を割りまして、そのパーセンテージを出してあるのでありますが、それによりますと、経費収入より少いもの、すなわち黒字ものが今申す通りわずかに十一線、営業キロ数から申しまして二〇%、他はことごとく赤字、こういう状態私企業においては見られないところでありまして、黒字になっておりますのは東海道の幹線並びに都会にある線路でありまして、本州にある営業線路で本線と名のつくものでも相当赤字が多いのであります。なお地域別に申しますと、九州はことごとく赤字でありまして、四国も赤字、北海道も室蘭線を除くのほか全部赤字であります。こういうことはただに運賃が安いということでなくて、運賃制度並びにその支線の設置の悪さ並びに運営等において根本的欠陥があることと考えられます。一番大きな原因運賃が適正でないためと考えるのであります。かかる基盤の上に立ちまして、そして運賃を引き上げられておるということは間違った方法だと考えるのであります。  第二の不満は、鉄道営業自動車並びに飛行機に圧迫されまして、以前のごとき勢いはありません。これを経営していきますには、新規特別の工夫を要するのでありますが、今回国鉄から発表されております長期計画等を見ますと、新しい計画がないとは言われませんけれども、それはただありきたりの新しい計画でありまして、たとえば鉄道電化であるとか、ディーゼル化であるとか、車を幾らか軽くするというような点くらいでありまして、私ども外国雑誌の文献によって見ておりますような非常な努力という点が欠けておるのであります。この点ははなはだ不満でありまして、これが第二点であります。  第三点は、企業会計から申しますと、運賃というもの収支から計算するものでありまして、金の出入りから計算すべきものではないと考えます。ところが国鉄発表によりますると、既設設備改善しなくちゃならない、輸送機関増強しなければならない、そのためにこれこれの金が要るから値上げをすると発表されております。こういうことは私企業においては見られないことでありまして、もし私企業において、工場建設費が要るから商品値上げをしなければならぬというようなことがありましたならば、商品価格というものは非常に高くなるのであります。国鉄におきましてはこれと同じようなゆえをもって運賃を引き上げされようとしておるのが不満なのであります。もっともこの点は突きつけてみますると、国鉄経営調査会答申では償却金不足である、それは普通償却不足であるし、なお過去の償却不足を補う特別償却を設定するというとこれこれの経費が要り用であって、その点から価上げをするというようなことを書いてありまするが、これらの点は運賃値上げの理由としてはまことに明確を欠いておりまして、またこの答申償却金の方から見ましても、その意を得ないところがあります。第一の方の普通償却を増額するということはわかっておりまするが、第二の方におきましては、過去の償却不足を補うために第二の償却金を設定するとありますが、これは一応理屈のあるところでありまするけれども、過去の償却不足を補いまするならば、それはある期間を限るべきものでありまして、私企業におきましても特別設備なりに対しましては特別償却という制度が設けられております。これらはみな年限を切るのであります。ところが国鉄の方の償却金計算は無期限でありまして、この第二償却をするために運賃を引き上げる、それは決してある期限になりましたら、この償却をし終ったらまた運賃をもとへ戻すのではなくて、上げた運賃をどこまでもそのままにするのであります。これらの計算も明瞭を欠いております。  その他文句を言いますればいろいろの点がありまするが、まず最もおもなる点は営業線の大部分が赤字である、それから今回の改善計画に対しまして新しみを欠いている、それから資本計算損益計算が不明確であって、いずれをもって値上げを要するかという点において欠けておるのであります。こういう点から私は今回の鉄道値上げについてははなはだしい不満を持っておるものでありまして、その不満を持っております根底は現状経営がだらしがないということであります。大規模経営というものは特別の工夫を要するものでありまして私ども乏しいながらアメリカの例を見ますると、大きな会社が大規模にもかかわらず好成績を上げておりまするが、それには特別の工夫がされておるのであります。それらの詳細はよく存じませんけれども国鉄のような大企業経営されるからには、外国の大会社経営方法をお調べになったらいかがですかと私が雑誌の上で書きましたならば、そんなことは国情が違うから参考にならぬというお返事でありました。いかに国鉄もの改良について不熱心であるかということは、これらのことによってもうかがわれるのでありまして、また私がアメリカにおいて新しい機関車並びに客車、貨車等改良されている実例を述べましたが、そんなことはまだ外国では試験時代であって、一向本ものにはなっていないというような回答がありましたが、これらもまことにうかつな話でありまして、われわれ局外者すらアメリカ鉄道改良について関心を持っているのに、国鉄当局が、なにあんなものはまだ試験時代だよというようなことを言って、軽く私の質問に答えて受け流されておりましたが、アメリカの新しい機関車、列車の改良は、試験時代などはとうに通り越しまして、実用時代に入っておることは明らかであります。これらの事実を御存じないということも、私は経営不熱心のしからしむるところと考えておるのであります。  申し上げたいことは、大要以上のごときものであります。
  6. 青野武一

    青野委員長 次に、日本国有鉄道部外団体等公正委員会委員長であります工藤昭四郎君にお願いしたいと思います。
  7. 工藤昭四郎

    工藤参考人 国鉄経営が、私どもが希望するような状態にまだなっていないということは事実だろうと思います。しかしこの点につきましては、さき経営調査会を設けまして、その調査会の申告に従いまして順次改善せられている跡を見受けるのことができます。またその点について国鉄当局相当の熱意を持っておられるということも事実であります。ただ非常に大きな企業体でありますから、改善に着手いたしましてもなかなか末端まで行き届かない、相当の時日をかけなければならないことを考えなければならないと思います。  今石山先生からお話になりました点につきまして、私と少し考えが違っておるところがございますから、つけ加えて申し上げますが、運賃の点でございます。国鉄運賃をきめましたのは終戦直後物価庁で扱ったのでありまして、そのとき私は責任者であったわけでございます。当時物価体系戦前基準年度の十倍にきめるということには相当な無理があったのであります。従ってそのワク内にはめますためには、電力料金あるいは国鉄のように比較的戦災をこうむっていないところに負担してもらうという考慮を払ったのでありまして、従って現状におきましても他の物価とは相当差異がある状況になっております。これが国鉄経営を困難にしておる一つ事情だろうと思います。もう一つ国鉄独立企業体とはなりましたが、今の国鉄が生まれ出ますときに、やはり司令部からのいろいろな指図がありまして、ほんとう独立企業体になっていないのであります。ああいう状態では経営者に全責任をとれといいましてもなかなかむずかしいのであります。これをすっきりした独立企業体に直す必要があると思います。それによって国鉄経営もだいぶ改善せられるだろうと思います。また運賃値上げにつきましては、さき経営調査会でも一割三分程度運賃値上げはやむを得ないという結論を出しております。この国鉄運賃値上げが各方面に及ぼす影響等を考えますと、なるべく値上げをしない方がいいという態度で私ども審議したのであります。しかし現状においてはどうしても無理がある。従ってその程度運賃値上げをしまして、それによって国鉄経常を合理的にやってもらいたい、こういう答申であったように記憶しておりますが、国鉄運賃値上げ経済方面に影響します。従って経済を安定せしめるという上から言えば、なるべくやらないのに越したことはないのでありますが、実情がどうしても無理だ、こういう結論によってきめたのでございます。  きょう私は部外団体等公正委員会委員長としてお呼び出しにあずかっておりますので、この方面のことを主として申し上げたいと思います。  公正委員会は、昨年の二月の十日を第一回といたしまして、今月の八日までの間に十八回会議を開いております。この会議は、委員方々も非常に熱心でありまして、出席率もよいのであります。また国鉄方面におきましても総裁、副総裁初め関係方々は、やむを得ない事情がない限り大ていの場合出席せられておりまして、真剣に討議されております。しかも委員方々も率直に意見を述べられておりまして、国鉄側の感情問題その他は考えないで意見を述べておるわけであります。そういうことでこの方面も完全ではありませんが、着々その実績を上げておるように思います。  まず第一に取り上げましたのは、共済会国鉄関係の各企業の株を持っておりまして、それに投資をしておるのでありますが、この投資の割合が相当大きいために、そこに何らかの因縁情実が生じてくるという疑惑があるわけでありますから、この株の処分を決議いたしまして、その決議に従ってもうすでに所有しておる株の五五%ぐらいは処分しておると思います。その後各外部団体一つ一つにつきまして審議を進めたわけでございますが、まあ月に大体二回ぐらい委員会を持ちまして、資料も大へん大きなものでございましたが、そのくらいが限度であったと思います。その結果印刷物ができておりますから、皆さんごらんになっていらっしゃると思いますが、たとえば鉄道弘済会につきましては、構内営業料金を他の一般のものと区別しまして千分の八しかとっていなかったのであります。これは国鉄側から言えばそれだけ収入が減るわけだ、他の営業者と同じように千分の十一に改めるべきだ、こういうことで千分の十一に改めたわけでありますが、まあそれだけでも三千七百六十万余りの収入増加になる、こういうことを順次行いまして、十二月一日に発表せられました計数によりますと、三十一年度におきまして約一億円の収支改善ということになっております。つまり収入の面では四千八百万円ふえております。経費の節減では五千百九十三万円ふえておる。合わして九千九百九十六万一千円、こういう金が国鉄経理面プラスになったわけであります。  さらに最近におきましては、国鉄が年間買い入れます資材その他は一千億円の多額に上っておりますが、これも買い入れ方のよしあしによりまして相当経費の節約ができるわけでございますから、その問題と取り組みまして、各種目別に購入しておるやり方その他について意見を戦わしまして、その改善をはかる、これによって国鉄経費をできるだけ少くして、経営合理化方面に導いていきたい、こういうことで委員会を継続しておるわけであります。さっき申し上げましたように、非常に膨大な企業体であり、また独立企業体そのものがすっきりした形になっていないというような点でなかなかやりにくい点もございます。しかし着々改善の跡は認めていただいていい、こういうふうに私は考えております。
  8. 青野武一

    青野委員長 次に稻葉秀三君にお願いいたします。
  9. 稻葉秀三

    稻葉参考人 いろいろ申し上げたいこともございますが、時間も限られておりますので、私は二点について申し上げたいと思います。その一つは、従来の国鉄資金使い方が、国鉄輸送力確保あるいは再建というものに沿ったものであるかどうか。第二点は、外郭団体を含むところの経営方式というものが、経営調査会勧告以後合理的であるかどうか、この二点について申し上げたいと思います。  まず第一点について、実は私は昭和三十年の六月に設置をせられました経営調査会委員に就任をし、その後約七、八カ月ばかり国鉄経営内容というものを分析し、また選ばれて起草委員になりまして、国鉄経営調査会勧告案取りまとめに当ったのであります。これからあとは私の意見でございますけれども、一番経営調査会で私どもが問題にいたしましたのは、なぜに国鉄赤字を出すかということであります。これにつきましてはいろいろ申し上げたいこともございますが、簡単に申し上げますと、先ほど石山先生も申されたと思うのでありますけれども国鉄昭和三十年度決算におきまするところの運賃収入は、約二千五百億円ちょっとになります。そのほかに雑収入とかいろいろなものがございますけれども、これが大体国鉄収入の主体であります。ところで、支出の方を見ますると、これが問題の勘定項目で、果して国鉄経営勘定帳簿方式がいいのか、あるいは資本勘定方式がいいのか、私はこれはやはり思い切って合理的に公社らしい帳簿やり方というものを考えるべきだと思いますけれども、一応この二千五百五十六億円の内容を見ますると、大体人件費に千二百億円、物件費に千二十五億円、それから資本勘定への繰り入れといたしまして、約三百億円見当支出をされております。そしてなおかつ国鉄の当時の現状は、毎年々々借入金が増額をする。終戦昭和三十年度の末で、千七百億円ぐらい借金が出ておる。三十一年度になりますと、それが二千億円になる。こういうような実情になり、しかもこれだけのことをしながら、国鉄終戦後の輸送施設荒廃防止というものもできない。国鉄の報告によりますと、取りかえを要するところの施設が千八百億円ぐらいある、こういうようなことになっております。これでは非常に大へんなことだ。しかし、運賃値上げをしてこれを補てんをするのか、値上げをする前にやはりそういううみが出ないようなやり方をとってもらうのか、あるいは両者を併合するとしてどういうことをしなければならないか、こういうもの経営調査会の基本的な方針で、そして第一の項目におきましては、企業経営形態あり方、こういうものについて勧告を行い、第二に金の使い方あるいは荒廃防止を具体的にどうしたらいいか、またその他自動車あるいは外郭団体、こういったようなものについてはどの程度合理化が必要か、それでもどうしても足らぬというものはどうしたらいいか、こういったようなものも、石山先生のおっしゃるように、もっと基本的な対策が必要なのかもしれませんけれども、一応当面国鉄経営のディスインベストを防止する、そうして当面はやはり輸送力増強ということをしていかなければならないのでありますから、それをマイナスにならない程度においてどういうふうに埋めていくか、つまり合理化の点においてどの程度これを埋めるか、またそのほかの外部資金あるいはプラス収入においてどの程度埋めるか、こういったような勧告をしたのであります。その勧告案経営調査会答申案で、工藤先生がおっしゃいましたように、一応私どもが出しましたところのこの勧告案は、組織の形態の面において、あるいは具体的な実施の面において、百パーセントとは申しませんけれども、ある程度真剣な気持において着々と実行に移されつつある、こういったようなことは言えると思います。しかし、私個人で申し上げたい点は、それにもかかわらず、なおやはり国鉄はもっと合理化をする余地があるのではないか。またできるならば、やはり国民に対する抵抗というものをできるだけとどめるために、ある程度そうした現状に即した思い切った改善が必要なのではないかと思うのであります。  そこで、経営調査会で私どもがこれの取りまとめをいたしまするときと、その後の問題というものを考えまして、国鉄の基本的な金の使い方について考えまする点は、国鉄収入を目安に支出をいたしまするやり方が、どうも私どもから言わせますると合理的ではないのではないか。つまり国鉄は純然たる株式会社ではないので、やはり国民輸送力を全体としておんぶをするものでありますから、必ず不採算線だといってこれをやめてしまうということは、なかなかむずかしいのでありますけれども、大体国鉄資金投下の対象は、大きく分けると四つに区別ができると思うのであります。まず第一に必要なのは、老朽施設を取りかえて輸送安全性を期するということであります。それから第二の部面は、輸送力増強であります。これはやはり国民経済上の要請に従いまして、将来は石山先主と同じように、国鉄が担任すべきところの輸送分野は、全体の輸送から見れば、相対的に低下はいたしましょうけれども、当面は輸送要請が上ってくるということは事実でありまして、当面の輸送要請にどう応じていくか、それからさらに短期並びに長期で見ましたところの経営合理化、たとえば石炭の使用をどういうふうにして少くするか、あるいは物件費をいかに切り詰めていくか、あるいは外部相当金を出しますので、請負単価をどういうふうに粛正をしていくか、さらにはまたいわゆる電化ディーゼル化によって経営上のプラスをどういうふうに確保するか、こういったことに対する資金投下、第四には、国民の要求するサービスの改善、こういったようなことがあるのであります。  ところで私の申し上げたい点は、どうも国鉄やり方は、こういった四つを合理的にやっていくという力に乏しい。やはり少い金でございましても国鉄は今まで毎年五百億円ずつ工事費というものを使っております。昭和三十二年度からはこれを一千億円に上げる、こういうことになるわけであります。この五百億円の中でほんとうにまず行うべきは、施設老朽淘汰でありましょう。たとえば私どもも現実に見に行ったのでありますけれども、地方に参りますと、今にもこわれかかったトンネルがある。また富士川の鉄橋は三億円もかければ取りかえがきくのだけれども、それがなかなか取りかえられない。また新宿の操車場などはもっと取りかえ施設をやるべきだけれども、これらはあまり合理的に行われておらない、こういったようなことが必ずしも即事故発生の原因といことにはなっておりませんけれども、そういった施設をまず少い金の中で優先的にやっていくのが順序でありましょう。そういうことを意識しながら他方では何億円かけて東京で倉庫を作るとか、あるいは停車場をきれいに掃除をするとか、こういったようなことを行なっております。やはり問題は、私も西独に行って非常に感心をしたのでありますけれども、表面はきたなくても、まず第一に施設老朽淘汰をある一定の金額の幅で合理的に行なっていく。その次には輸送力増強をする、それと並行して短期並びに長期合理化をする。さらにサービスの改善をする、こういったふうに合理的に資金運営していただくということが必要ではないか。それがどうも経営調査会勧告前も勧告後もそういった点が無視されて、総花的に内部のチェック・アンド・バランスでお金が使われている。それが結局マイナスの効果を与えているのではないか、こういった点にやはり相当改善が必要ではないか、こういう点を私は申し上げたいのであります。  もう一つそれと関連をして申し上げたい点は、サービスの改善という点でございまして、なるほどやはり国鉄国民鉄道である以上、サービスの改善ということが必要だということは認めますけれども、私はいわゆる事故の発生をするような点を無視しても、あるいは輸送力増強を無視しても、一応国民に気に入られるような形で、きれいな車を作るとか、その停車場をきれいにするというようなやり方は、必ずしも合理的ではないと思います。そういうような点がなかったとはいえない。それと同時に、サービス改善ということは、私は国鉄だけを責めるわけにはいかない。むしろそういったような、経営上半ば麻痺したような状態になりながら、やはり新線建設ということを政治家はどうしてもプッシュをされる。また、やれ駅をきれいにしてくれ、新線を建設してくれ、自分の関係の線にディーゼル・カーを入れてくれ、こういったような要請が全国至ところから国鉄にやってくる。これが回り回っていわゆる建設勘定のプラスと、それから経営勘定におけるところの赤字、こういったものを造出している原因になっているということも、これまた私は否定できない現実だと思います。  私どもはそういったような観点から、まず国鉄現状を中心にしてどの程度資金が節約ができて、そしてその資金の節約ができた部分は工事投下量というものに増大をし、その工事投下量が事故防止と輸送力増強に応じられるか、こういうような点を算定してみたわけであります。若干腰だめではありますけれども、何とか資材の買い方を節約するとか、請負の単価を切り下げる、さらに合理的な物の調達の仕方をする、こういうようなことによりまして、物件費を五%あるいは一割程度減らすというようなことができないか、その程度の節約におきましても、経常勘定だけで百億円くらい節約ができるわけであります。  それから第二に、むしろ技術による改良、たとえば石炭の使用の合理化とか、あるいは電化とか、こういったようなことにおいて、長期で見てマイナス、赤字を少くする、こういったような方法がないか、しかしどうしてもいろいろ算定をいたしました結果は、人件費部門に思い切った手がつけ得ないといたしますと、やはり借金を累年重ねていく、またいわゆる輸送力増強をする、国鉄の中でそう大きな節約がないといたしますると、ある程度再生産を確保するためには、運賃値上げが必要ではないか、こういった結論に私どもは到達せざるを得なかったのであります。  今度の五カ年計画では、従来われわれが考えておりましたよりも経済が伸張いたしました結果、当面国鉄に対する輸送要請というものが増大いたしております。こういう点が加味せられることになりまして、工事費用が相当増大をしております。しかし他方においてそれに伴うところの輸送力の増勢からくるところの運賃収入の増加というものも、別に値上げをしなくても、よりプラスの条件というものが出てくるということは事実であります。この双方を勘案しなければならない。また私どもがこの三十一年度末で二千億円になるところのこの国鉄の借金をどういうふうにして消していくのか、こういうことに対しましてある程度これを何年間と区切って、元利を償還するといったような合理化を要望したのでありますけれども、これは今のところ考えられてはいない。それからこの荒廃施設の防止につきまして、五年たてば十分復旧ができますけれども、もっとこれを徹底的にやるということに対する計画がまだ十分行われていない、こういうふうに考えまして、必ずしも私個人はこの計画によるところの金の出し方というものに同意はいたしませんけれども、といって、私は国鉄経営さえ合理化すれば、運賃価上げをしなくても、独立採算でできるということにつきましては、今まで検討いたしました結果、いわゆる疑義を惑ぜざるを得ない、こういう点を率直に申し上げておきたいと思います。  次に工藤先生もおっしゃいましたけれども外郭団体に対する措置は進められておるかということであります。私の率直な感じを申し上げますと、初め私は委員になる前は、どうも国鉄は非常にだらしのないところで、非常に官僚的で、かってな金の使い方をしておるのではないか。そういう点がちらりほらりたくさん出ておるわけでありますから、そういったような感じで、むしろそういうことを公正化することにおいて、運賃値上げをしなくても、国鉄は十分やっていけるのではないか、こういうつもりで委員になったのでありますけれども、今申し上げました全体の収入で、支出の内訳を見ますと、やらねばならないところはたくさんあるけれども、この外郭団体や工事、こういったもの粛正だけで、今の長期に、終戦後できた借金と今後の再建のための工事費の増額の捻出をするということはできない。しかしいろいろ考え合せてみますと、どうもやはり国鉄はもっと思い切った、こういう部外に対する措置をとってもらいたい。そうしてもっと公共企業体らしく、また国民鉄道らしく、いわゆる非難をこうむらないようにしてもらいたい、こういう点がなお多々あるのではないかと感じたのであります。また今でも感じておるのであります。そういったような観点で、公正委員会では、先ほど工藤先生のおっしゃいましたように、鉄道弘済会以下いろいろな外郭団体に対しまして、百まではいきませんけれども、七十くらいの、いわゆる改善策というもの勧告し、それが実行に移されております。また三〇%くらいは直していただきたいと私は考えます。そしてどうも今までのあり方を考えますと、本体がオンボロなのに、外郭機関だけはちゃんとする。そこへ国鉄の出身者がひもをつけて入るというやり方は、私はあまり好ましいことではないと思います。それはだんだん改善をされつつありますけれども、やはり国民鉄道として、もっと思い切った措置をとっていただきたい。それからもう一つどもが――これは私は直接参加をいたしておりませんけれども、最近は鉄が値上りをする、あるいは石炭も上るという形で、なかなか物件費の切り詰めということはできないのであります。しかしいわゆるひもつきであるところのいろいろな会社や何かを整理する、そしてさらに工事についてはもっと節約し、これを公正にやるということにおきまして、あるパーセントはこういうものの値上りにもかかわらず、今までよりもいわゆる工事費が節約できた、物件費が節約できたという余地はあったわけであります。従ってこういうことに対しまして、もっと国鉄がやっていただく、また決算委員会がもっと内部を洗っていただく、こういう必要があるのではないかということを痛感いたします。  最後に私が一番申し上げたい点は、国会や政党で国鉄の問題がいろいろ審議をされますけれども、どうも私は新線建設というものを政党や国会が推進されると考えられることに非常に疑義があるわけであります。そして今後の国鉄の再建計画におきましても、おととしまでは一年間四十億円の新線建設しか認めていないのを七十億円に計上されております。またこれを増大しなければならないという形になっておる、そしてへんぴな地方に鉄道が敷かれるということは決して悪いことではありません。しかし結局先ほど申しましたように、今国鉄は非常にその財政上の危機になっている、またわれわれはできるだけ国鉄運賃値上げを避けて、低い料金で輸送を確保したいと考える。ところがこういったものに対するものが回り回って国鉄赤字を生んでいる。つまり建設費におきましても、そういうお金が使われ、またそれができ上ったあとにおきまして、経常費において赤字ができる、こういったようなことになつているわけであります。従いまして私はどうしてもこれを政治の必要上やらなければならないといたしますれば、むしろ税金から堂々とそういう支出をお出しになって、そして国民に信を問われるという必要があるのではないかと思うのであります。私ども国鉄をもっときれいなものにし、りっぱなものにしたいと思います。従いまして、国会もそういうことに対しましてもっとはっきりした責任をとっていただきたい、こういうふうに考える次第であります。
  10. 青野武一

    青野委員長 以上をもって参考人各位の公述はそれぞれ一応終りました。  次に参考人各位に対する質疑の通告がありますので、これを許します。  ちょっと念のために申し上げておきますが、行政管理庁当局から山中次長、岡松監察部長、以上二名、日本国有鉄道当局から吾孫子務理事、堀口監察局長、以上二名、会計検査院から上村第五局長が出席をされております。  なお参考人として有澤廣巳氏をお呼びしたのでありますが、いろいろな御都合で御出席ができなかったのでございます。こちら側から石山賢吉氏、その次が工藤昭四郎氏、その次が稻葉秀三氏でありますから、一応申し上げておきます。  では吉田賢一君。
  11. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国会並びに当委員会におきましては、国鉄の主として決算財政審査をやって参りますうちに、はしなくも数年来いろいろと世の疑惑を、もしくはきつい批判を生むような問題が起って参りましたので、特に私ども国鉄財政の状況ないしはあり力、あるいはこれが粛正という面につきましては、最も重視してきておるのであります。特にただいまはいわゆる運賃値上げをめぐりまして国民の大きな関心の的になっております。のみならず国民の生活経済の上に与える影響も深刻であることは申し上げるまでもないと思います。そういうようないろいろな角度から私どもはこの委員会におきます任務としまして、できるだけ国鉄財政実情が特にいろいろ粛正を要する面、改善を要する面、こういつた面をできるだけ明らかにしたい、こう考えてきたのであります。  つきましてまず外郭団体の問題から入ってみたいと思います。これは工藤さんが特に外郭団体公正委員会委員長としていろいろと責任をもって御調査になったようでございまするから、お尋ね申し上げたいのであります。今御説明になりましたところによりますと、工藤さんのお話では、昨年成立いたしました公正委員会は十八回にわたって審議をしておられ、一応外郭団体一つ一つについて御審議があったようであります。ところでこの委員会に現われました外郭団体の存在というものを見ますときは、いわゆる外郭団体といわれるものはことごとく例外なしといってもいいほど国鉄の出身者が幹部を占めております。これは漸次なくするようにというお考えが現われておったように思いますけれども国鉄の幹部がいわゆる外郭団体の幹部を占めて、最も重要な調査対象になっておる外郭団体が毎年会計検査院の検査報告書によって国鉄に損害を与えておる事実は枚挙にいとまがないのであります。そこで一つ一つに御審査になったようでありますが、このいわゆる外郭団体には、一定の年月、一定の期間は国鉄の退職者は幹部になることはできない、こういったくらいの一つの強い線を引かなければ、外郭団体粛正はできないと思います。そういう点についての御調査があったかどうか、これに対する御所見をはっきりしておいていただきたい。
  12. 工藤昭四郎

    工藤参考人 ただいまお話のような点は委員会の過程においてちょいちょい出てきたのであります。しかし御承知のように外郭団体のやっております仕事は、大体において国鉄に関連のある仕事が多いものですから、国鉄に職を奉じておった人が幹部になるということが割合能率も上りますし、各方面とのあれもうまくいく、こういうような観点もありまして、今お話通り国鉄の職員であった者が退職後何年間はその外郭団体の幹部になってはいかぬ、そういうような強い意見は決定せられなかったのであります。
  13. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたらのお立場をお疑いするわけではありませんけれども、あたなも何かのときに御意見を述べておられると思いますが、やはりいやしくも国鉄財政改革ないしは企業合理化といったようなことを目的にした委員会とか、何々会、嘱託の会というものは、国鉄総裁が委託し、運輸大臣が委託するかどうか存じませんけれども、やはり個々の方の御意見じゃなしに、国民が何を求めておるかということによって御意見を出していただきたい。国民はこの委員会におきましてもしばしば問題になります外郭団体の幹部はことごとく旧国鉄の職員である。そういうことが強く批判をされるのは一体どういうわけなのであろうか。意見が出なかったことは、あるいは出なかったのが事実でありましょうけれども意見はあるのであります。少くともこの決算委員会で、鉄道会館以来国鉄問題を扱って参りましたときの速記録をごらん下さいましたならば、どの年におきましてもこの点は出ております。この間の委員会におきましても出たのであります。あなたは御調査になったと思うけれども、日本電設工業株式会社が、昭和三十年度の会計検査院の検査報告書によると、実にひどいことをあちらこちらでやっておるのであります。例を一つとって言えば、鉄道電化の工事において、米原の駅で、コンクリートの十分の土台をこしらえて、その上に電柱を立てなくちゃならぬのを、そんなものが何もないところに掘立小屋の柱のように立てているのを、検査院が掘っくり返して見つけているのですよ。ようございますか。このような、全く常識では想像もできぬようなひどいだまし工事をやっておることが発見されておるのであります。もし全国の工事を片っ端からこういう方式調査をいたしましたならば、どれだけの数が出るかわからぬのです。私どもはあ然として見たのでありますが、例をあげれば、たとえばその電設工業株式会社が三件にわたって、この三十年の検査報告に批難されております。その電設会社は九千万円の資本金で、そして年間何とこの種の国鉄の事業の八〇%も請負をやっております。二十八年度には四十六億円、三十年度には三十三億円余の工事をやっておるのであります。この幹部は、やはり元国鉄の幹部であります。ようございますか。もう一つの新生電業株式会社、これも毎年のごとくに批難事項として出てくるのであります。もう一つ少さいのがあります。これは年間五億円ほどですけれども、この新生電業は、三十年度は九億五千万円ですから、約十億円、こういうように、電設工業と新生電業の二つの会社で電気工事は大半やってしまっているのです。ほかにはほとんどないのです。これは元国鉄の幹部であった。こういうことでありますので、ともかくそういう議論があったかなかったかは知りませんけれども、あなたの方は外郭団体粛正するということがその主要な御任務でありまするならば、決算委員会の速記録くらいは一つ調査願いたいのであります。私どもは幾たびかこの点は、いやな話ですけれども、申し上げておるのです。繰り返して言うようですけれども、何も商売のじゃまをする意思はないのです。国鉄の不当な支出を少くしたいということ、経営合理化、会計、財政粛正ということは、こういうところをつかなければだめなんです。どうして一体こういう点は議論にならぬのだろう。なるほど鉄道弘済会の構内使用料が千分の八が十一に上って、一般のものと均霑した。そんなことは末の問題ですよ。われわれから言わすならば、そういうことにほんとうに力を入れなさるならば、鉄道会館の賃料等について、もっと厳格に直ちに取り上げてやってもらわなければいかぬのであります。これは、話は次になるのですけれども、どうして一体議論にならぬのでしょう。今まで議論にならなかったことはいいといたしまして、あなたはこの会長をしていらっしゃるのであります。多数の力をあなたの委員にメンバーとして持っておられるのであります。これを一切除いていただく、そして今後は一定期間はやはり関係しないようにしていただく。なるほど、それは旧幹部なりの人がこういうところに入ったならば、第一便利です。便利だろうけれども、また失礼なことを言うようですけれども、生活も安定しましょう。事業等々の関係においても便利だろうけれども、やはりその人の部下が指図をしたり工事をしたりするようなことになると、適正、公正を欠くということは人情です。そこにいろいろ問題が生ずるということを考えたいのです。国鉄一家がもし幹部がやめたら皆国鉄に食い下って、年間二千六百億円の収入を目当てにして事業会社を作ってそうして外郭団体になったら、一体どうなりますか。私ども心配するのはそこです。抜本的に外郭団体に対するメスを入れていただかなければならぬと思うのであります。工藤さん、御所見いかがでございますか。
  14. 工藤昭四郎

    工藤参考人 吉田先生の今のお話の中には、多少誤解もあったようですが、委員会にはそういう問題の話は出たのであります。しかしあなたが今お話しになりましたように、国鉄の職員であった人が退職後何年間か外郭団体の幹部になれないというような措置をとることが適当であるかどうかというようなことはきまらなかった、こういうことをさっき申し上げたのであります。今いろいろ具体的にお話が出たようでありますが、個々に探っていきますとそういう点もあるかもしれません。しかし問題は結局人の問題である、その人が国鉄の職員であったかどうかということは第二義的である、その人物さえしっかりしておれば、外郭団体の幹部としてりっぱな仕事をする、こういうふうに私は考えております。しかし各外郊団体におきまして今御指摘のようないろいろの具体的な問題があるようでございますから、そういう点につきましては、公正委員会におきましても十分これから検討していきたいと思います。
  15. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して――ちょっと工藤委員長に申し上げますが、今人の問題だと言われますけれども国鉄に長い間最高幹部をしておったり幹部をしておって、その人が外郭団体に行って、自分の使った部下が国鉄におって、人が幾らいいかといって、こういうものが公正にうまくいくとあなたがごらんになりますことは、私は非常に大きなあやまちだと思う。第一に、御承知のごとく日本の裁判権というものは非常に公正なものとして、これはだれも認めていることだが、しかし証人を呼び出した場合とか、それを裁判する検事とか判事というものが、そういう証人とあるいは親類関係にあったとか、その他いろいろな関係のあったときは、その者が裁判をしたり取調べをすることは遠慮して、法律もこれを禁止しているはずである。こういう点からごらんになれば、そういう、人というようなことでそれを信じられて、こういう因果関係をお切りにならないということは、私ども非常に大きなあやまちでないかと思っております。  いま一つ、私がこれは今材料を調べておりますし、資料を調べておりますから、まだここではっきりしたことを申し上げられないのですが、私が考えるには、先ほど稻葉さんの言われたように、本家の国鉄がだんだん古びていって、だんだんその内容経営面においてもすべてにおいて悪くなっていく、外郭団体はそれと反対に非常によくなっていく、そこで外郭団体が非常にあらゆる無理をして、外郭団体の中から国会議員を選出したり何かしていく傾向が非常に多くなってきている。その一つの例を見ると、先ほど吉田委員が言ったように、鉄道会館なんかの面でもそうですが、ああいうよいところの土地を借用で権利をとってしまったのですが、国家の力をもってやったって、なかなかあれを取り戻すわけにはいかない。ああいうような面が非常にある。また今度の刑事問題なんか起きておりますようなガード下とか、そういういろいろな点の外郭団体やり方を考えてみれば、将来この国鉄というもの内容を悪くして、そうして国民から、国鉄はだめなんだというような非難の的にするようにして、しまいには政府も何もどうもならないから、外郭団体国鉄をまかしてしまおうじゃないか、国鉄外郭団体にとられてしまうというような傾向にどうもなりつつあるように――私は今資料を調べておりますから、まだはっきり申されませんが、そういう傾向にどうも国鉄が要領よく持っていかれるように私は考えております。もしこれがそうなったとしたら、私は非常に重大な問題だと思う。この日本の交通網を、利益を追求する民間団体にとられてしまう、しかもそういう陰謀的なものによって取られて、そういうような会社がこれを自由にするということになりますと、日本の国家が何か非常事があったとか、いろいろなことが起きた場合に、交通面から国家が破壊されると思う。こういうようなことを、あなたが委員長をされておって御冷静にお考え下さると、私の申し上げていることが絶対そんな根拠はないとはあなたでも断言できないような傾向にいっているように私は考えておりますが、この二点をあなたはどういう工合に考えておるか。  一点は、あなたは人の問題だと言われるけれども、そういう問題は絶対に断ち切れないということ。もう一つ国鉄外郭団体によって、どうも国鉄が、本家がだんだん悪くなっていって、分家にぶんどられて、分家がそれを自由にする。政府もとてもやりきれないからまかしてしまおうじゃないかというように持っていく。また外郭団体から国会議員を出して、そういうような運動にしかけていっているというように私は思うのだが、これについてどうお考えになっていらっしゃいますか。
  16. 工藤昭四郎

    工藤参考人 最初の人の問題につきましては、委員会でも意見が出たということを申し上げておきましたように、やはり従来の関係からいろいろ因縁情実を生じてくる。そのために公正に運営できないようなことも起り得る、こういうことも私もよくわかっているわけでありまして、問題は人の問題も含めた全体において外郭団体が公正に運営せられ、そして国鉄そのものに損害を与えないような方向に考えていかなければならない。委員会の方向はそういうことで検討いたしております。  それから分家がだんだん大きくなって本家を乗っ取る傾向につきましては、そういうことにはならぬように公正委員会ができてチェックしておるわけでありまして、その点は今先生がお話になったような方向へどんどん行くとは思わないのです。これは国家という大きなバックがありますから、分家がこれを乗っ取ることは、今のところはあり得ないと思います。
  17. 稻葉秀三

    稻葉参考人 実は私も公正委員の一人なので、ついでに一つ補足的に申し上げてみたいと思います。私どもの行動が国鉄に、若干強くいえばぐるになっているとか、国民の利益を無視をしている、こういうふうに言われると――そこまでおっしゃらないのだと思いますが、やや心外にたえないので、今吉田先生、それから田中先生のおっしゃったことにつきまして、公正委員会で全然これが無視をされたというわけではございません。まず第一に人事の問題でございますけれども、大体私どもが扱いましたのは主要な外郭団体でございますけれども、一応この点だけははっきり国鉄や運輸省側に申し入れているということを御了解願いたいと思います。その一つは、今先生方のおっしゃったように、年度を限って理事もしくは執行幹部を国鉄から出してはいけないとはいいませんけれども、必ず外部の専門家、しかも中正な専門家を、各団体に必ず理事もしくは執行幹部としてできるだけ早い機会に入れていただきたい。それから第二点は、たとえは弘済会のように売り上げの収入と、それから鉄道職員のけがをなさったり、いろいろされておる方に対する厚生の経費とございますが、そういったものはできるだけ正確に毎年出す。しかも一般に広告するばかりではなくて、新聞その他にもあらゆる機会をつかまえて内容を出してくれ、こういったような点を申し上げております。  ただ一応公正委員会の立場から申しますると、工藤先生もそうだろうと思うのでありますけれども国鉄の職員に限って、何年間は外郭団体には関与してはいけないということは、ちょっと今の情勢のもとにおいては無理ではないか。それなら、やはり同様な公共企業体の職員に対しましても、全然同じことがないというわけではないのですから、そういったようなことも、やはりちゃんと法律もしくは行政措置でやっていただきたいし、それからまた現に官吏がやめて何年間は関係会社には就職してはいけないことになっているそうでございますけれども、現実に見ますると取締役に類するような措置でたくさん入っておられる方もいるわけです。そういったような方々に対しても、国会は国民から選ばれたものとして責任をとってやっていただきたい。そこまで本来は責めるべきかもしれませんけれども、われわれの公正委員会から申しますると、そこまではいけなかったのだという点を御了承願いたい。  それから第二点として申し上げたいことは、個々の外郭的な団体でなくて、会社国鉄との関係というものにつきましても、主要なものにつきましては、国鉄関係は当りました。それから大体国鉄は、中火段階において建設工事をする元請みたいな会社があるし、それぞれの地方の中心について、それぞれ親会社と目されるような、しかもその会社国鉄の出身者をもってやられて、八〇%、九〇%まで独占をしているといったようなところがあるわけです。その比率については、大体総額と普通の会社に出しているところの発注量というものを出していただいて、それをもっと公正な競争にするように、そういったようなことも国鉄にお願いをし、先ほど私がちょっと申し上げましたが、そういったようなことが軌道に乗って、ある程度物価値上りにもかかわらず、現実に出す費用は少くなった。これは国鉄の再建にそれだけでプラスになるとは思いませんけれども、ある程度国鉄プラスになり、国民プラスになるのではないか。不十分かもしれませんけれども、そういった意味で国民の選ばれたものとして私どもはやっているという点は、御了承願いたい。
  18. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 もう一点。会社などなら、社長であろうと専務であろうと、やはり株主の権限がございまして、相当の制肘を加えることができますが、国鉄外郭団体国鉄の間はちょっと違う結果になっております。こういう点において、あなた方公正委員会方々は、そういうことがいいんだというような観念でなく、こういう幹部連がやめて向うへいっているんだから、特にそういう点の公正を期するにはどうしたらいいか、御研究を今後してもらいたい。私の方も一つ資料を集めまして、国鉄外郭団体はここにこういう点がある、ここにこういう点があるという話をいたします。きょうはそういうものがまだそろっておりませんから、ちょっと関連質問をしたわけです。  もう一つ、あなたは今いろいろなことをおっしゃいますけれども鉄道会館なども、ああいういいところがほとんどただのようにして取られて、あんな大きなものを建ててしまって、もうけているものは大丸だけであって、お客が迷惑し、国鉄が迷惑し、それから周囲の人も迷惑して、問題を起しているようですが、ああいうものも、やはり国鉄をやめた人が国鉄の当時の幹部と組んでやったから、ああいうことができたのであって、あれは普通の会社がいろいろ願ったりしたのですが、なかなか有名な会社が願っておっても、会社の願ったものは許可にならぬ。それを国鉄の幹部と結託のある、国鉄と因縁のある人がやめて、ああいうものを作ったために、ああいうものができた。一部が取られてしまったとあなたは簡単にお考えになるけれども国鉄がもし必要であの建物を取り戻すとか、あの土地を取り戻すということは、日本の現在の民法上ではちょっと簡単にいきませんよ。そうすると東京駅の何分の一かが今取られてしまった、占有されてしまったという状態になっている。ああいうものがたくさん各所にできて、外郭団体が非常にばっこしていって、反対に国鉄経理が非常に悪くなり、国鉄が、国民からとてもあれじゃだめだ、政府もとても手をつけられないということになって、そこへ国鉄外郭団体及び国鉄の国会議員が相当発言力を強めて、国会の中に大きな勢力を占めるようになると、私の考えるような、国鉄外郭団体に取られてしまうということは、そう簡単にそんなことないんだといって無視することはできないと私は思う。これについては私の方も資料を集めて、あなた方からも十分資料を持ってきていただいて、一つこの次に資料の上で対決することにいたします。
  19. 神近市子

    ○神近委員 私は、この委員会を構成していらっしゃる皆様方がお扱いになるのは、一体どういう文書であるかということをちょっと伺いたいのです。さっき工藤さんが、国鉄発表による資料によって調査した こういうようにおっしゃったのですけれども国鉄が、たとえば値上げなら値上げの問題というようなときに、委員会にお目にかけるような資料というものは、国鉄が作ったもので御判断を願うというような結果になりはしないかと思うのです。それは特別に、また別途に御調査になるような機関なりあるいは方法なりをおきめになっているのかどうかということが一点。それから、これも工藤さんに伺いたいと思いますが、独立企業体になっていないから、そこに非常にまずいところが出てくるんだというようなことをおっしゃったのです。ところがこれは国鉄法によりましても、商法による営業団体とは違う。公共の利益を増すための企業体であるということがうたってあるので、その食い違いですね。私どもは営業上だけからは見ていないということ、公共の福祉あるいは利便というものはもっと大きなものである、その上をいくものであるというふうに理解して、私どもはこの問題を扱っているのですけれども独立企業体でないからこういう赤字が出るという。どこにその隘路があるのか、どこに困った点が出てくるのか、この二点を工藤さんから何ってみたいと思います。
  20. 工藤昭四郎

    工藤参考人 第一点の資料の点につきましては、たくさんの資料を検討しておるということを申し上げましたが、国鉄側から出ておるということは申し上げなかったつもりでございます。事実上においては、国鉄側の資料が一番多く出ておりますが、そのほかに私どもから国鉄に要求した資料もありますし、行政管理庁その他から資料を出してもらって、それとつけ合わせ検討したものもございますから、国鉄側から出ておるもののみを審議の対象にしたのではございません。誤解のないようにしていただきたいと思います。  第一の独立企業体の問題でございますが、御承知のように国鉄は政府機関でございますから、公共の福祉ということを主眼に運営されるものと考えます。しかしその成立当時のいきさつを私は若干知っておるのでございますが、いろいろの点で制約を受けておりまして、独立企業体としては動きにくい状態になっておるわけです。たとえば剰余金がありましても、一定の期間たちますと、それは日銀に預け入れて、その後の利子収入をはかることもできないというような実情になっております。そういういろいろの制約があるために、完全に責任のとれるような企業体になっていない。従ってそういうところで縛っておいて国鉄経営について非難をするのは気の毒ではないか、こういう感じを持っておるわけです。たとえば本年度は、非常にうまく石炭の契約ができました。非常に安い値で石炭を買っておるのです。現在の市価よりも非常に安く契約ができた。それだけ国鉄プラスになるわけです。ところが安い値で買っているだけに、今石炭の値上りがありまして、来年度の契約をするときには、ことしよりもかけ離れた高い値で契約しなければならぬ。こういうことになりますと、その高い値で契約したときだけが非難せられて、安い値で契約したものについては、一向おほめにあずからぬ。こういうような点からいっても、国鉄の立場に辛い点があります。そういう点の改善もできぬものだろうか、こういうことを申し上げたのであります。
  21. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は工藤先生稻葉先生どちらでもいいんですが、公正委員会委員長という非常に微妙な立場におられるので、尋ね方は抽象的になるわけですけれども国鉄出身の人が外郭団体に入るということに対して、これは人の問題であるというような御答弁がありましたが、私はその点を解せない。人の問題であって、優秀な、りっぱな人が入れば差しつかえない、こういうことだと、そうすれば今までの人はみなりっぱでない人ばかり入っていたのだということになる。私は人の問題でなく、むしろ制度の問題ではないかと思う。これを人の問題として扱っていくと、いつまでも解決できなくて、ますます深みに入っていく。従ってこの制度をどう解決するかということが最も大切じゃないか、こう考えるので、今の御答弁に対して疑問があったわけです。  それからもう一つは、外郭団体というものはたくさんあるわけですが、ほんとうにこれがみな国鉄のために必要なのかどうか。公正委員会で御調査になって、整理すべきような団体というものは認められなかったのかどうか、こういう点をお尋ねしたい。  それからもう一つは、この外郭団体国鉄の出身者が入る、たくさん入っておるということが問題になっているわけですけれども、これに対しては、国鉄の出身者はそれぞれ専門の道に通じておるから功績もあったと思うんですけれども、いろいろ問題を起すのもおもに国鉄出身者である。この功罪に対して一体どう考えておられるのか。それを先ほど稻葉先生がお答えになったと思うんですけれども、こうした国鉄出身の方を団体に入れることに対する規制の問題で、ほかの公共団体でやはりそういうことがやられておるのかどうか。国鉄だけにそれを規制するのは酷ではないか、こういうことであったのですけれども、こういうことが制度としてよくないこととすれば、ほかの団体にも規制すべきではないか。あなたのおっしゃる通りだと思う。そういう事態が明確に出てくるならば、ほかの団体にも規制すべきではないかと思いますが、そういう点についてお尋ねしたい。
  22. 工藤昭四郎

    工藤参考人 人の問題がだいぶ議論の対象になりましたが、さっき人の問題と申し上げましたのは、私自身の気持の問題でございまして、私自身としては、どういうところへ参りましても公私の区別をはっきりつけてやりたいという考えを持っておりますので、それを申し上げたのでありますが、しかしお話のように、制度問題として考えなければならぬ点もあると思います。ただ国鉄の幹部が部外団体に参りまして、大体においては、非難せられておる問題だけが表面化しておるわけです。今お話しになりました、非常にそのためにうまくいったんだ、あるいは功績があったんだという面は、割合に陰に隠れておるものですから、そこでこの問題が現在大きく取り上げられておるというふうに私は考えております。従って制度の問題としても、考えてみる必要はありますので、さっき稻葉君からもお話がありましたように、国鉄外の公正な人が幹部に入ってそれによって運営をうまくやってもらう、こういうような意見は強く出してあるわけであります。それから外郭団体のうちでも、必要なものばかりかどうかというお話がございましたが、これについては、必要でない外郭団体に対する補助金等はやめてもらうようにお話ししまして、そして完全にやめたのもございます。あるいは減額したのもございます。従って今お話のような方向に向って、外郭団体についても選別をやっておるわけであります。それからその他の国家機関あるいは団体の職員が退職後一定の期間関係方面に就職できないというお話でしたが、これは非常に大きな問題でございまして、また稻葉さんから御意見があると思いますけれども、この問題を解決しますためには、根本的にいろいろ改善を事前にやらなければならぬ問題があると思います。たとえば現在の官吏が退職せられる年令等を見ましても、四十代で大てい退職というようなことになっております。これでは社会制度として非常に問題でございまして、もっと官吏の在職年限を長くするというような問題が先に考えられなければならぬのではないか、こういうように考えております。
  23. 稻葉秀三

    稻葉参考人 最後の点についてお答え申し上げます。公共企業体を含めて政府関係の職員の退職後、一定年限を限って関係業務に従事できないという問題は、むしろ私どもの問題ではなくて、国会で御論議を願いたい重要な問題ではないかと思います。私個人は、やはり工藤先生のおっしゃいましたように、身分保障の問題、あるいは年限の問題と、もう一つは国会議員さんも同じように兼職を禁止する、こういったようなことになれば、当然論議をされてしかるべき問題ではないかと思います。
  24. 青野武一

  25. 細田綱吉

    細田委員 私は稻葉先生にちょっと伺いたいのですが、ただいま工藤さんから国鉄出身者を外郭団体の役員に入れるということは、なるほど欠点というか、欠陥もあるが、なお利便もあって、その利便の方が問題にならなくて、欠点だけが問題になるからというようなお話があった。言いかえれば工藤先生の御意見を聞いていると、国鉄の職員を外郭団体の役員にすることもまた可なりというように私には受け取れたのですが、利便になったというのは具体的にどんなことがあったのでしょうか。外郭団体はいずれも常利団体です。従ってこれは利益を追求するためにいろいろの仕事を見つけたり、権謀を策したりすることがあるでしょうが、これは当りまえのことで、特に外郭団体として、国鉄経営合理化に、あるいは経費の節約に、あるいは国鉄国民への奉仕のために、大体国鉄出身者が外郭団体の役員になってどんなことが工藤さんの言われるような利便になったか、そういうことを稻葉先生の御調査の結果ごらんになったり、あるいは御体験になったことがあるか、これを一つ伺いたいと思います。  なおこれは工藤先生でも稲葉先生でもけっこうですが、外郭団体は現在どの程度に整理したか、あるいはそのままなのか、整理したとすると何%くらい整理したか、しかも質においてどうか、小さい外郭団体は整理したけれども、大物の国鉄出身の関係しているところは整理できたか、あるいはその外郭団体に対して経営合理化を要求して実績が上っているか、その点を一つ伺いたいと思います。  なお国鉄から出ている外郭団体の補助金が現在どうなっているか、皆さんのお手によってどの程度に補助金の整備ができたか、これを一つ伺いたいと思います。  それから石山先生経営の方に御関係でございますか。
  26. 石山賢吉

    石山参考人 私は雑誌社のものです。
  27. 細田綱吉

    細田委員 国鉄委員については何か……。
  28. 石山賢吉

    石山参考人 いや、何もなっておりません。ただ外から見ただけです。
  29. 細田綱吉

    細田委員 石山先生はジャーナリストとしていろいろそういう方面のしさいなまた豊富な御知識があるのですが、石山先生の見られたところ、国鉄にはまずどういう整理をすることが必要か、あるいはまた鉄道弘済会なんというのは実にどんなホームの端にもある、また売っているものが高い、もちろん半分官僚のようで、サービスも悪いということで、常に問題になるけれども、これもまた鉄道の大物が大勢入っておって整理が少しもできていない、合理化もされていないということですが、外郭団体のうちの鉄道弘済会とかいうようなものはもう鉄道自身が経営してしまったらどうかという点について石山先生はどうお考えになっているか、伺いたいのでございます。  最後に、これは稻葉先生でも工藤先生でもけっこうですが、部外団体等公正委員会外郭団体あり方だけを現在制度の上からお調べになっているのか、具体的に外郭団体がどういうことをやって、どういうふうなことを現在もくろんでいるか、たとえて申しますならば、これは神近委員が一番よく知っていますけれども、池袋の駅の拡張なんてひどいものです。そして西武デパートをこしえらるために、やがては将来あの近所の民家を取り払うというような計画で、実質的にそういうふうに進んでいますよ。あるいは鉄道会館にしても、加賀山社長か会長か知らぬけれども、高給をはんで、そしてなおかつあれは十二階までふやして、前の方を取り払おうと計画している。あれだけ国会の問題になって、まだ断念してないですよ。こういうことについて、部外団体等公正委員会でただあり方だけを制度の上から御調査になっているか、具体的にその動きを調査して、皆さんのお手元においてこれをチェックされた例があるか、この点を一つ伺いたいと思います。
  30. 稻葉秀三

    稻葉参考人 いろいろ御質問がございましたが、まず簡単に私の方からお答えいたします。外郭団体について整理をしたかどうかということでございますが、私どもはずっと国鉄から外郭団体の名簿その他をもらって、そして一つ一つその事業の内容経費内容その他を聞きまして、これに対して勧告案を出す、こういう形で進んでおります。一番入りましたのは弘済会その他の大きな全国的な外郭団体でございますけれども、地方的なものにまではまだ手が及んでおりません。従って全部について、これは整理をする、これは残す、こういったようなところまでは話が進んでいない。しかしある程度団体については整理を勧告したということはございます。  次に補助金の問題でございますけれども、整理をしろという場合と補助金を打ち切れという場合と両方あるわけです。従って主として国鉄では、つながりをなくするという関係において、また財政的な支援、こういったようなことによりまして、補助金の問題に対しましてはある程度強い勧告をいたしております。  それからその次に外郭団体が営利団体かどうかということなんですけれども、実はこれは私個人の解釈ですが、外郭団体というのは必ずしも営利を目的としたものではない。むしろ外郭会社という方がその問題が多いのじゃないか。たとえば弘済会というのは確かに半分チェーン・ストアみたいなもので、営利機関であるといえば言えないことはございません。しかしこれが国鉄職員その他の福利関係あるいは厚生関係の仕事をやっておるということは事実です。しかしどうもずっと内容を見ますと、表面的には何か退職者ばかりでやっているような形にはなっておりますけれども、実際一万人近い人が、普通のデパートの女の人と同じように働いておられて、それで物を売って出てきた利益がある程度施設につぎ込まれていく、こういったような形になり、他方では、これは私個人の意見ですけれども、そういったような形で毎年ある程度実質的な資産がふえていく、こういったような形になっておる。これはやはり適当なお金を使用料として払ってもらって、それから利益については国鉄にある程度これを還元をする、こういったやり方が合理的じゃないか、個人としてはこう考えます。  それからその次にもう一つ、何でしたか、最後の御質問は……。
  31. 細田綱吉

    細田委員 具体的に制度としてお調べになっているか。
  32. 稻葉秀三

    稻葉参考人 根本的というまでは参りませんけれども、大体やはり事業内容がどうで、こういう国鉄との関係になって、人がこういうふうに出ておる、そしてこれがどういうふうなことになっておるといったようなことについて、国鉄並びに外郭団体当事者、場合によっては第三者から意見を求めまして、それに対して勧告案を出しておるという形になっております。  ただ、もう一つ申し上げておきたい点は、これは工藤先生が御答弁になるのが普通かもしれませんけれども公正委員会というのは行政委員会ではなくて、ある程度国鉄の諮問にお答えするという形の委員会でございまして、必ずしも公正委員会がこうするからといって国鉄がそのままそれをやる必要があるとは思わぬのであります。しかしある程度公正委員会の方針は国鉄において忠実に守られておる、一〇〇%じゃないが大体七〇%だろうということを私個人としては考えております。これはいろいろ事情もございましょうから、私どもから言わせれば割合に委員会の立場というものも尊重されて国鉄がやっておる、しかしなおもっと改善していただきたい余地はたくさんある、こう思います。
  33. 石山賢吉

    石山参考人 お尋ねのような国鉄外郭団体との関係については、私はまだよく調査しておりませんので、御参考になるような話は持っておりません。ただ本筋から見まして、今の国鉄というものはまことに正しからざる経営でありまして、たとえば九州のごときは、ああいう富裕の地に建設されたる鉄道赤字になるというわけはないのであります。あれは全線ことごとく赤字ですから……。これは鉄道の今の遠距離割引制運賃が不適当の結果だと思うのでありまするが、これらの点については、現行運賃制度については経営調査会においても少しも研究されておりません。こういうことを正さずして、しかもこれからの改良には年々一千億円ずつを投じていくという改良計画が、ただ鉄道電化であり、鉄道ディーゼル化である、これは外国でやり尽した陳腐なことをやるだけでありまして、機関車をどうするとか車体をどうするとかいうことについては特別の考えが心しもないことをはなはだ遺憾とするのであります。私、自分の雑誌に書いたのを本日持って参りましたが、アメリカでは五つの変った形の列車ができておるのであります。それなどはなかなか、鉄道線路の曲ったところでスピードを出すことは在来のような列車の構造ではいけないから、これをX型と称します一列車のまん中だけに車両をつけまして、あとは列車と列車の連結によって持たせるのであります。そういうX型なんというわれわれにはちょっと考えも及ばないような列車が向うでは工夫されておるのであります。そのほかいろいろの型がありまして、私それを載せた雑誌を持って参りましたから御参考までに置いて参ります。そんなことについて何ら考えを及ぼすところがない改良ですから、かかる陳腐の改良はだめだというのが私の意見であります。国鉄総裁などはこの間欧米を回ってこられたのだから、必ずそういうものを見てこられたはずであります。私ども雑誌で見まして――そういうのは外国雑誌にちゃんと載っているのであります。それを私が質問書で出しますと、ああそんなものかといって鼻であしらったような回答をよこされたのが国鉄でありまして、国鉄の回答も私の雑誌に載っております。理論の末節に終始して、僕らの質問に対する回答という気持は了とされますけれども、回答文に至ってははなはだ誠意を欠いているものでありまして、これらも御参考になると思いますからここへ置いて参りますからよろしく一つ……。こういう土台の悪いところへ運賃値上げをしたところで、土台を直さずして泥沼のところへ家を建てるにひとしいのですから、かような運賃値上げは承諾できない。運賃値上げをいたしますれば、今十分引き合っているところの東海道とか都市周辺のところにまたその重荷がかかってくるのであります。これらのところはやはり人も多く乗れば、貨物も多く出るのでありますから、そうしたところによけいの負担をかけるのであります。これらの点をよく考うべきだというのが私の趣旨でありまして、外郭団体等にも直すべきことがありましょうが、私の雑誌に私の社で調査したものが若干書いてあります。それらを改良した、改良したということを書いておりますから、おそらくそれは改良されたのでありましょうが、あそこの改良というのはろくな改良ではありません。(笑声)名は改良ですが、内容を見るとろくな改良ではないのですから、それはあなた方が十分御調査をなさったら、よくわかることであります。先ほど田中代議士が言われた東京駅頭の大丸ですが、鉄道の言い分を聞きますと、橋が落ちる、もう少したつと列車もこわれるかもしれないから、乗客の安全を保障することができないので、今度ここを改良するといっていながら、ああいった大きな建物を建てまして、金がどこから出るのだか知りませんが、結局やはり国鉄の信用から出た金でありますから、あすでも橋の落ちる国鉄が、デパートなどあってもなくてもいいのです、あれくらい東京で建っているのですから、あれをまん中へ建てるというのは一体どこから割り出したのか私どもには了解できないのであります。どうぞ一つあなた方の方でも十分お考え下すって、運賃御判断のときも適当の御裁定を願いたい。これは置いて参ります。
  34. 青野武一

    青野委員長 細田委員に御相談しますが、あなたの御質問の内容を含んで、弘済会の方から当委員会に資料を出していただくことになっておりますので、一つ御了承願います。   淡谷悠藏君。
  35. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっと稲葉さんに確かめておきたいことがありますが、さっきの発言中、国鉄の退職者が外郭団体等に就職することに対しましての制限ですが、これに関連しまして、国会議員などの兼職も同様禁止されたらよろしいということを冗談に言われましたが、何かそういう事例がございましたら一つお知らせを願いたい。なおまた、国会議員の兼職禁止というのは、公共企業体に対する兼職禁止なのか、一般私企業に対する兼職禁止なのか、誤解を招きますので、お答え願いたいと思います。
  36. 稻葉秀三

    稻葉参考人 十分吟味をしてお答えを申し上げたのでございませんが、一応日ごろから私が考えておりますことから申し上げたいと思います。まず第一に、外郭団体並びに公共企業体に、政府職員を含めてある一定期間就職を禁止する。確かに禁止をしなければならない理由がたくさんあることは事実でございますけれども、これはやはり非常に大きな問題だと思います。従ってそういう大きな問題を論議していただくのは、私は国会であると思います。その大きな問題を国会が真撃に取り上げ法的な措置をやっていただくとするなれば、日ごろから私は、国会議員さんは朝から晩まで国務に努力していただきたい、そのかわりもっと報酬を上げる、こういうような形が必要だと思っておりますので、あわせてそういった問題も十分国会側としては論議をされて、おれの方はそのままで、そして役人だけはやれというのは片手落ちではないかというのが私の言い分であります。
  37. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 しかし現在国会議員は公共企業体その他のものには入っておらない。
  38. 稻葉秀三

    稻葉参考人 公共企業体ではなくて、一般の職業です。
  39. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたのおっしゃるのは、国会議員は国会議員を職業としている、そして他の私企業会社等にも兼務をしないようにという御意見なんですね。
  40. 稻葉秀三

    稻葉参考人 そうです。
  41. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 わかりました。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 せっかくの権威のある皆さんの御出席の日でありますから、少し多岐にわたって伺いたいと思いますので、私もできるだけ言葉を節約しますから、どうぞそのおつもりで簡潔にお願い申し上げます。  第二問は資材購入の問題でございますが、これは工藤委員長も、資材が年間千億円ほど購入されておる、各品目にわたってそれぞれ検討をしたと言われる。あるいは稻葉さんも、資材等の購入について年間百億円くらいの節約が可能である、こういうふうに言われました。この資材購入の問題は、やはり当委員会においても重視しておる一つの問題点であるのであります。そこで、具体的に例を上げて申し上げますが、まくら木の問題、これはお取り上げになったと思います。まくら木は国鉄において大半使っておるのでありますから、まくら木の購入の問題を調べてみますと、第一物産から三十年度には三千七百万円、三菱商事から千八百万円、岩崎産業から七千百万円、山陽木材防腐から一億六千万円、日綿実業から一千百万円、安宅産業から九百万円、日綿とか安宅などは全量を下請さしておる。それから一物とか三菱、岩崎などは一部直営で、大部分は下請なんです。もっともこれは国鉄の資料によるのであります。この問題については、百五十四社のうち、国鉄は確実にこの契約の関係を把握しておるかどうか、私ども疑問に思っておるのでありますけれども、一応国鉄の資料によって申し上げるのであります。こういうように中間業者を通じないで、年間二十八億円も買うところのまくら木を、直接山持ちから買う方式をとったならば、三億円以上は節約ができると言われるのであります。これは最も重視すべきことで、前の国会においてもわれわれは議論したところでありますが、これらの点についてはどういうふうにお考えになっておりましたですか、工藤さん、いかがでございましう。
  43. 工藤昭四郎

    工藤参考人 まくら木の問題も検討いたしました。ただまくら木等につきましては、国鉄相当まとまった数量の買い入れを必要といたしますので、比較的大きな業者を使っておる。個々の山元から別々に買うような場合には、数量的にいろいろ問題があって、従って大きな業者を対象にして契約をしておる。これは国鉄のような非常に膨大な企業経営する上においては、私はもっともではないかというふうに感じております。従って個別に見ていきますと、あるいは少い数量を直接に買うと安くなるかもしれませんけれども経営全体から見て、現在のようなやり方がいいのじゃないか、こういうふうに感じております。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 稲葉さん、どういふうにお感じになりますか。
  45. 稻葉秀三

    稻葉参考人 実は資材の問題は、今公正委員会で検討中で、最後の公正委員会勧告案はまだ出ておりません。従ってこれから申し上げますことは、私個人の意見で、私個人はそういう立場で公正委員会意見を申し上げているということを御了承願いたいと思います。  公正委員会では国鉄が購入しております主要資材、車両、まくら木、石炭、セメント等ほとんど全部につきまして現状がどうなっているとか、どういう理由でこうなっているとか、さらにこういう点で改善の余地があるかないかということを三、四回にわたりまして今討議中であります。ただまくら木に入る前に、私が全部について感じましたことは、国鉄はだんだん輸送力増強しなければならぬ、また適当な品種の物をちゃんと購入しなければならないといったような形で、競争入札的なやり方を、全部ではございませんけれども、漸次随意契約にしぼっているといった傾向がうかがわれることであります。その裏には工藤先生も先ほどおっしゃったように、やはりまとまって大量の物を、そして質のいい物をできるだけ買わねばならない。またいろいろ事例を聞いてみますると、競争入札だけでは必要な物が確保できなかった、質が不均一であったというような点において随意契約的なものに多くの購入が移っているわけであります。しかし私個人としては、それはそ請うかもしれないけれども、やはり国民に均等の機会を与えてやるといったこともあり、さらに国鉄がいい物を廉価で買うという点からいえば、全部ではないけれども、ある種類のものについてはもっと競争入札的なもの、あるいは指名競争入札的なものをやっていくという形の方が合理的ではないかというようなことを申し上げております。  たまたま、まくら木のお話になりますと、工藤先生が先ほどおっしゃいましたように、まくら木は青森県のまくら木の入るのが一番大きいのですけれども、競争的なものが集約的になりつつあるという形になっております。国鉄側の話を聞きますと、最近木材の価格が上ってきたというようなことで、個々の業者のおやりになる方で、請け負ったけれどもあとでちゃんとおやりにならないといったような者があるという傾向上、随意契約になってきたということであります。この点は、私個人としては、もっと機会均等、廉価購入、こういう主義で国鉄にやっていただきたいということを今お願いをしております。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  それから工藤さんにお伺いいたしますが、大企業によってまくら木を調達するということも、便利であり、あるいは信用が置け、確実に適期に規格品が納入されるという利益があろうと思いますけれども、もし今のようなあなたのお考えでずっと通していきましたならば、たとえば日綿実業なり、三菱商事に全部請け負ってもらったら一番確実であります。国鉄の物資購入をそういう方式でやりましたならば、日本の中小企業はつぶれてしまいます。また中小企業の立場から言うだけじゃなしに、こういうこと自体、私は国鉄の一種の外郭団体的な間違った要素がだんだんふえてくるんじゃないかと思われるのであります。でありますので、大企業から買うことが確実であり、安全であり的確性のものが購入されるという利便だけじゃなしに、別の要素からももっと安く、よいものを買うということに努力しなくちゃならぬと思う。そのためにも私は御調査になっていると思うのです。私は石炭のことも申し上げたい、いろいろあげたいのでありますが、時間の関係があるのでまくら木に限定したのであります。ですからそういう方面にもっと積極的にお考えをたくましゅうしてもらわぬといくまいと思いますが、その点簡単にお答え願いたい。
  47. 工藤昭四郎

    工藤参考人 今吉田先生のお話、ごもっともなのでございますが、国鉄が年間一千億以上の購入をしておりますので、これを三%、五%節約しても三十億円、五十億円という金が浮いてくるわけであります。それを一体どうしたらいいかというのが現在私どもが頭を痛めているところであります。この点につきましては今稲葉さんがお話になりましたように、最終的な結論は出ておりません。ただ公入札にいたしますと、日本には御承知のように悪い習慣がありまして、例の談合というものが必ずついてくるのです。さればといって優秀なところにしぼりますと、今吉田先生の御心配になっているような点が出るわけでありまして、結局これは国民全体のモラルの問題ではないかと思いますが、なるべく国鉄に有利な購入ができるような方法を考えたいというので、今委員方にも御努力を願っておるような次第であります。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は国民の道徳的な問題でもあろうけれども、やはり制度がかっちりしておらなんだらだめなんであります。これは防衛庁あたりの予算の乱費の跡を見ましても、制度を厳重にしなくちゃだめだと思います。私もそう考えておりますので、御参考に資したいと思います。  第三問は現金の取扱いの問題であります。この点につきましては稻葉さんに伺うのが適当かと思いますが、国鉄の現金は申し上げるまでもなく莫大な年間取扱い量になっております。たとえば東鉄管内におきましても、この間の委員会における東鉄当局の説明によりますと、二十九年は九百六十億円、三十年は九百五十億円、これが年間の収入のようであります。そこでこの現金の取扱いにつきましては、これは一つしっかりした筋を通しておかないといかぬと私どもは思うのであります。これは工藤さんに伺った方がいいかもしれません。あなたは銀行の権威者ですから……。そこで国鉄法によりますと、四十二条によりまして、国鉄は「業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。」ただし書きがありまして、「但し、業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」これがただし書きであります。ところが国鉄実情を当局に聞いてみると、東鉄の管内は、例外なく全部民間の市中銀行に預けておるのであります。これはあなたとして御調査になったでしょうか、どうでしょうか。あなたは公正委員会はそんなところまでやるのが業務でないとおっしゃるかもわからぬが、お調べになりましたか。
  49. 工藤昭四郎

    工藤参考人 詳細にわたっては調べておりませんけれども、現在一応市中の金融機関を使いまして 一定の期間を経た場合はこれを国車に、預け入れるという方針をとっておることは事実であります。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題であなたと問答するのはいかがかと思いますので省いておきますけれども、私の見るところによれば、やはり的確な根拠がないと見ておるのであります。法律上はっきりした根拠はないと見ておるのであります。大蔵大臣、運輸大臣などの国鉄総裁に対する承認証の内容を見てみましても、承認の内容、承認条件等によりまして、一切の収入をすっかりと市中銀行へ預ける、年間千億円の東鉄の収入金を市中銀行へみな預けるという法律の根拠はどうも見つからない、政令の根拠は見つからない。大蔵大臣、運輸大臣の承認の内容にもはっきりした根拠は出てこない。どうしてこういうことをしているのであろうか。この結果はたとえばこういうことになりはしないかと思うのですが、いかがなものでございましょうね。たとえば、だたし書きの適格条件を欠いているがゆえに、原則に戻りまして国庫に預託するというような場合は、なるほど国鉄資金として使用できます。毎日の現金収入を即資金化して使うことはできません、一たん預証金として使うことはできるのです。これが日銀、その代理店に入ることになるならば、大蔵大臣が国庫余裕金としてこれを使うことができます。そうじゃなしに年間千億円が東鉄管内の市中銀行に入りましたら、市中銀行はその金を普通の資金として使うのではございますまいか、使うことができるのでしょう。それは毎日入るのです、年間千億円が一時に入ってくるのではありません、川の流れるごとく毎日入っているのです。年度末十七億の貸借対照表によって見てもわかるのであります。こういう状態で、万一銀行が資金として使うことになりますと、同じこの国鉄収入金が、大蔵大臣の特定した専権のような形において使い得る場合と、市中銀行が勝手にそれを民間の資金として流すことができるような場合と二途に出る結果になるのでありますが、これは非常に不合理だと思うのであります。これは稻葉さん、あなたは経済学者としてどうお考えになりますか。
  51. 稻葉秀三

    稻葉参考人 そこまではっきりわかりません。
  52. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは工藤さん並びに石山さんどうお考えになりましょうね。
  53. 工藤昭四郎

    工藤参考人 国鉄の現金収入を民間金融機関に預け入れます法的根拠につきましては、私、的確に存じておりませんが、さきに申し上げましたように政令によってそういう方法を取っておるのだろうと思うのです。実際に預け入れることは事実であります。それは国鉄の営業しております線路、駅の数等も非常にたくさんの数に上っておりまして、そこで毎日売り上げがあるわけですが、この売り上げがあった現金を一々日本銀行に運んで行くというのは危険もありまするし、非常に不便である、こういうことから付近の銀行に預託しまして、そして一定の期間後に国庫へ移す、こういう便利な方法をとっているのだろうと思います。その預託せられる期間におきましてはお話のように市中銀行がそれを一般資金と同様に運用していくと思います。また運用していかなければ利息をつけて預け入れるということは初めから損でありますから、それは銀行はやっていると思います。従ってその限りにおいてはあるいは今のお話しになりました予算できめているのと、それから市中銀行が運用するのと、その間の運用の面においてダブるようなことができてくるかもしれません。
  54. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 実は今の問題はなるほど便利であることは私もわかるのです。それからまた昔の沿革はそれも聞かせてもらいました。けれども法律は規定しているのですから……。もし便宜主義で行くのならば、厳格な国有鉄道第四十二条を設ける必要はないのであります。やはり公共企業体である国有鉄道の年間二千数百億円にわたる水揚げの、収入金の管理というものは資産管理上重要な問題でなければならぬと思うのであります。何も物の買い入れと、固定資産と、車と隧道、そうしたものだけが何も重要な財産ではないのであります。二千数百億円の現金というものはきわめて重要な財産なんだ。この財産管理の問題を十分検討せずして、一体国鉄財政状態なりあるいは経営合理化なり、そんなものを論議することができるのだろうか、これはまことに失礼な言い方ですけれども、きわめて重要な点だろうと私どもは考えておるのであります。けれどもこの問題は、とかく便宜だからというので、ここでこのまま見のがされております。これはもってのほかであります。便宜ならば業務上必要あるときはという法律の条文は要らないのであります。運輸大臣がこういったむずかしい承認をするような規定も不必要なのであります。また便宜であるならば、国庫代理店からでもどんな方法でもとれます。人間の手があれば計算もできますし、運んでもやってくれますから、わずかな手数でいいのであります。便宜だけで問題を解決するのは私はもってのほかだと根本的に考えております。  次に第四問として伺いますのは、一般資産管理の問題であります。この資産管理の問題は、特に今問題になっておりますのは、私ども東京で言うならば、高架下の問題なんです。何でもないようでありますけれども、これは大へんなんですよ。皆さんは私よりも詳しいと思うのだけれども、都内で一年に受け取る貸料は七千万円に上るのです。これはこの間の国鉄当局の御説明なんです。たとえば神田-新橋間を見ましても、国鉄が直接貸して、直接借りた人が使っているかと言えばそうでないのですよ。大部分は二重、三重、四重になっておるのです。中間において莫大な権利金を取っているのです。ここで私は議論する必要はないのですが、中には五百万円、六百万円もとっている。名前もちゃんと調べてあります。これは別の機会にまた皆さんのお耳に入ることもあろうと思います。そこでそういうふうに国鉄が部外に対して貸与し得る対象になる各種の不動産物件がかなりたくさんありますが、こういうものの管理が適切であるかないかによって、また収入の上に大きな違いが生じて参ります。雑収入ということが予算にも決算にも出ておりますが、あなた方は雑収入は大した問題でない、こうお思いになっておるか存じませんけれども、雑収入という穴をくぐって汚職もできるし、また財政の分断も生ずるのであります。木藤という人が目下つかまっております。これは神田駅のできごとであります。これもやはり高架下の固定資産の管理上の問題のできごとなんです。こういうことから考えまして、固定資産管理につきましては徹底的に筋を通して、一は財政の健全化をはかり、一は公共企業体の所有物を適正に国民に使用せしめるものは使用せしめる、賃料も相当額取るようにしなくてはならぬと思うのですが、こういう点は石山さんは去年の十二月の第二週のダイヤモンド誌におきまして、若干東京の問題なんかにお触れになっております。日本海陸運輸の問題とか、あるいはその他日本運輸倉庫株式会社の問題にお触れになっておりましたので、よく御承知だろうと思うのでありますが、この固定資産管理の問題は、もっと制度的にまた実際的に、あるいはまた経理的に会計財政の各般から徹底的に調査して、早く筋を通してしまわなければいかぬと思うのですが、これについてどうお考えになっておりますか、どなたからでも一つ御答弁願いたいと思います。
  55. 稻葉秀三

    稻葉参考人 その点は先生のおっしゃったことは全体的に同感であります。経営調査会勧告案におきましても、財産の目録をもっとはっきりする、それからその雑収入を適当な形において増加させる、それは民間のものとそのまま同じには入れないけれども、あまりにも低過ぎるというケースが多いので、それをちゃんとしていただく、さらにまた、また貸しその他に対しましては厳重な制裁をとる、こういうような形で進めていただきたいということは私どもからたびたびお願いしておるのであります。それが完全に行われておるとは思いませんが、趣旨といたしましては先生のおっしゃることとわれわれの立場は全体的に同じであります。
  56. 石山賢吉

    石山参考人 御趣旨まことに同感でありまして、私は今の国営よりも国鉄を分割して私営にする方がよいという議論を持っておりますので、今のうちに経営を是正して、そうして末端まで行き届くようにしたいというのが常々私どもの考えておるところであります。お話の御趣旨は全く同感であります。
  57. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄から経営改善の経過といたしまして三十二年二月付で相当こまごまと経営改善の経過が記載されておりますが、やはり固定資産の具体的の管理運営につきましては見るところほとんどないのであります。若干今の弘済会あたりをめぐりましての賃料等が出てくるのでございますけれども、なお、たとえばこの鉄道会館の賃料問題は解決されておりません。つまり検討中らしいのであります。鉄道会館の賃料問題は、これも論ずれば長くなりますので省略いたしますが、やはりこれは経営合理化の面に関する基本的な数字が出ることでありましょうが、あれはやはり全国注視の的になっております。東京はもちろんのことであります。でありますので、鉄道会館の土地、建物あるいは上屋その他の構内等の使用につきましてもっと厳密に直ちに調査を進めていかなければならぬと私は思うのであります。これは御希望申し上げておきます。いずれ外郭団体関係から公正委員会においても御調査になると思いますから、すみやかに結論を出して、いいかげんのことでなしに抜本的にいろいろ改めるべき点は改めていただきたい。  それから第五点といたしまして、運賃値上げの与える経済的な影響を少し聞いておかなければいけないと思います。たとえば政府原案においては一割三分上げることになっておる。与党は多数党である。従ってもうすでに上るという前提のもとにいろいろなことが計画されておると聞くのであります。ところがあにはからんや、国民の大部分はどういう影響を与えられるかということを知らないのであります。これは非常に重大なことであります。この点は私ども国会の責任であります。この問題を論議するときには国民経済、家計に与える影響ということを徹底的に検討することが国民の代表として必要なことでございますので、そこであなたに申し上げるのです。稻葉さんも工藤さんも経営調査会のメンバーであらせられますし、石山さんはずいぶん広範な範囲にわたって国鉄総裁に質問もしておられますので、一つどなたからでも御答弁願いたいのであります。まず一般的には国鉄運賃値上げは引き続いて私鉄、私バスが上ってくるということ、あるいは上らないものもあろうけれども、少くとも上げる方向に向って運賃が改訂されるということ、これは全国的に明らかだと思うのでありますが、この点はどうお考えになっておりますか。
  58. 石山賢吉

    石山参考人 国鉄に関連して私鉄も値上げしようとしておるようなことを二、三聞いております。おそらく値上げすると思います。
  59. 稻葉秀三

    稻葉参考人 私も同感であります。経営調査会では、都市の郊外の私鉄なんかで、相当値上げをしなくてもやっていけるところがあるわけです。そういったところはできるだけ自粛をしていただきたいというようなことを勧告はいたしておりますけれども国鉄運賃が上りますそのほかに、ガソリン税も値上げがあるということにいたしますると、全体的に交通費は上る、こういうふうに考えるのが経済的には合理的であろうと思います。
  60. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ごく最近の運輸省の調査によりますと、私バスつまり民営バスは、約二百社が運賃改訂、値上げ希望の原価計算を出しております。稻葉さん、これは御存じでございましょうね。
  61. 稻葉秀三

    稻葉参考人 知っております。
  62. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでこれは二、三にとどまらず、大阪南海電車をトップといたしまして、ずいぶんあちらこちらにも運賃改訂が許可になりつつあります。また日本経済新聞の十二月七日付の記事によりますと、お百姓の肥料代が約十億円、もっともこれは一割八分の計算にしております。それから去年の十二月四、五、六の運輸審議会の公聴会の速記録を読んで見ますと、魚も鉄も石炭も、それから石灰石、その他等々、運賃値上げというものは、これらの売値に軒並み波及していくようなどうも印象を受けるのであります。そういたしますると、これは集約するところは、国民の家計費に重大な圧迫になりはしないかと思いますが、その点はどうお考えになっておりますか。つまり第一点は、特に長距離輸送のようなもの相当物価にかぶさってくるということ、それからもう一つは、それが集約されて家計費に影響をされてくるということ、この二点をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  63. 稻葉秀三

    稻葉参考人 国鉄が今度四月一日から一割三分の値上げをいたしますと、三百六十五億の増収になるわけであります。大体その半分とちょっとは人でしょうね。それからあとの半分の方は、貨物による値上りだと思います。この両方が直接並びに間接に家計費に影響を与える、これは事実でしょうし、また個々の物価について申し上げますと、コストに占める輸送量の高いものが値上りをする、こういう傾向は免れないだろうと思います。
  64. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで個々の貨物の運賃の値上りになる。そうしたら、小包で済むなら安いといって小包に託すと、小包のしわ寄せは勢い郵便料の値上げになってこなければならない。家計費に影響してくると、生活費に影響してきますから、賃金がほしいということになって、賃上げの問題になってくるというふうに、ぐるぐる循環していくことは、大体経営調査会方面におきましても、これは相当結論は持っておられたように思うのですが、その点はどんなものでございますか。
  65. 稻葉秀三

    稻葉参考人 今の吉田先生の御質問は、つまり運賃値上げ物価や賃金に悪循環を及ぼすか、そういうことですね。
  66. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あるいはそういうふうにおとり下さってもよろしゅうございます。ある種目について……。
  67. 稻葉秀三

    稻葉参考人 この点につきましては、経営調査会勧告案を出す場合において、本委員会並びに起草委員会において相当検討をいたしました。できれば国鉄の公共性、また家計や産業に対するはね返り、こういうことを考慮して値上げしないということに越したことはないわけであります。しかし他方において累積する赤字をほおっておいて、結局これが処理できないということになりますれば、またこれを税金で取っていくとかあるいは何らかの形において借金を増額する、そして後日において修正をしなければならない。どうも現在の国鉄の内部の中で合理化ができないという限りにおいて、貨物と国鉄の利用者から最小限の運賃値上げをするという点はやむを得ない。しかしある程度そういうことによりまして、悪循環が起らないとは申しませんけれども、他方経済が好転をしつつある、こういったようなことを考えますと、それが物価や賃金に悪循環ができて生活が非常に苦しくなる。労働者の方は当然なるだろうと思います。またそれで経済がだめになる、そういったようなことにはならないだろう、やむを得ない、こういう結論で私ども勧告を出した次第であります。
  68. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この間の運輸審議会の公聴会の棟記録を読んでみましても、家計へどの程度に響くかというような切実な具体的な問題をどうもあまり取り上げておられないようであります。家計にどういうふうに響いてくるかということを十分御調査になったことはございますか。この点はだいぶ前の答申案の説明書というのにもあまりそこは触れておられなかったようでありますが、その点はどうなんですか。
  69. 稻葉秀三

    稻葉参考人 運賃が家計費の中で毎月どのくらいになっておるか、それが一割三分値上りになるからそれだけ負担増になるということは出てくるわけです。しかし先生のおっしゃるようにバスヘの波及、ほかへの波及、さらに貨物運賃からくる波及、しかもその波及したのが必ず販売価格の値上りになって出てくるものであるか、出てこないものであるかということがはっきりわからない、こういったような形になりますので、一応オーソライズされました先生の要請される数字は出ていない、こういうふうに私どもは考えます。しかし言われておるよりは、直接、間接に受ける影響はよりプラスであると考えるのが合理的だと思います。
  70. 工藤昭四郎

    工藤参考人 今稻葉先生からお話しがありましたように、波及する面となるとなかなかつかみにくいのです。これは吉田先生もお困りになっておるだろうと思います。今肥料のお話しがありまして、一割八分の運賃値上りがあれば十億円程度の負担になって、家計がそれだけ支出が多くなるということが出ておりますけれども、しかし肥料については肥料審議会がありまして、肥料が毎年増産になっており、合理化されておりますので、肥料の方で値段を下げるような傾向になっております。私は肥料審議会に関係しておりますから……。従ってその面でカバーされますと、必ずしも肥料の値段は上ってこなくて済む、こういうこともありますので、今お話しのように波及した点までもひっくるめて国民生活にどのくらいの影響があるかという計算はおそらく不可能じゃないでしょうか。そういう点がありますから一つ参考までに……。
  71. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国民からすればそれが一番重大なことなんです。国民の家計にどう響いてくるかということを論外にして、運賃値上げを論ずるというようなことはしてもらいたくないのであります。やはり家計にどう響くかということは、切実にして最も具体的な問題でありますので、それがつかみにくいとか、困難であるとかいうことは許されるべきでないと思うのです。やはりあらゆる統計に基きまして企画庁等の資料も出されたでございましょうから……。だから私はこの点につきまして、十分に掘り下げておられないことを実のところ少し物たりなく思って会議録を読ましてもらったので、稲葉さんに聞き、あなたの御所見も伺ったのであります。これはあらゆる立場から大いに論じなければならないことであることだけ申し上げておきます。  それで時間の関係もあるので、なお資産再評価の問題、工事問題も聞きたいのです。  次に学者の方もおそろいでありますのでこの点を聞いておきましょう。一体国鉄の性格をもっとはっきりするということがあらゆる問題の基本になるのじゃないかと思われるのであります。これは工藤さんはさっき独立の企業体として性格を明らかにせよというようなお考えのようでありましたが、そういうお考え方もある。しかしまた独立企業体は何ぞやということになるわけであります。すでに国鉄におきましては、独立採算制ということも言い、しておるわけでありまするが、そもそも国鉄というものの性質の点、経過等を考えてみましても、日本の国鉄というものの公共企業体的性格、特に公共性、企業性、また法制的な性格、こういうものはどうなるのだろうか。といいますのは、こういうことを明らかにしておかぬので、一つ国鉄財産の管理につきまして法律上いろいろな問題が起ってくるのであります。どういう法律上の根拠になるのだろうということすら問題になって参るのでありますが、一体公共性があり、また企業性も持っておりまする国鉄というものは、まず法制的に見るとどういう性格を持っておるというふうにお考えになるでしょうか。これはまた稻葉さんが適当かと思うので一つ述べてもらいたいのです。
  72. 稻葉秀三

    稻葉参考人 僕はあまり法律の専門家ではございませんので、先生のような法律家に十分御満足のいくようなお答えができかねますが、実は経営調査会国鉄あり方を考えました場合において、一応三つのやり方がある。一つは、もう一ぺん昔のような、つまり国営、国有鉄道に直してしまうというやり方がある。もう一つは、石山先生もおっしゃいましたけれども、私鉄的なものに直してしまうというやり方もある。それから現在の国鉄あり方は公共企業体ということにはなっているけれども、必ずしも公共企業体とは考えられない。むしろ公共企業体国有鉄道とのまん中みたいなものです。そういったような形になっておる。一応そういうことを前提として、むしろ公共企業体として国鉄経営上確立すべきではないか、こういう形に経営調査会答申案がなった、こういうふうに私どもは了解をいたしております。じゃ公共企業体というのはどういうものであるかということになるわけでありますけれども、これは政府機関であるということに言えないことはございませんけれども、ある程度その独立的な経営権また自主性も持っておる、そういうふうなものだと考えます。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それなら公共性、国家の機関的な性格、公共性とそれから企業性とどちらに重点があるのでしょうか。どっちともつかずあいのこでまん中を歩いておるものであるというのでは、どうもはっきりわからぬ。もし公共性に重点を置くということになるならば、やはりもっとサービスとかその他国家との関係を緊密に考えていきたいと思いますし、企業性に重点を置くということであるならば、もっと企業会計とかあるいはその他資金の導入等の関係におきましても、その面から考えていかなくちゃなりません。第一石山さんもお述べになっておりましたように、九州線の赤字、四国線の赤字、北海道の函館線を除いた全部赤字、この赤字も、これは政党も悪いのでしょう。無理やりに引っぱっていくということも悪いのでしょうけれども、ともかくそういう面は一体どうなるんであろうか。そういう資金はどうなるか。こういうことは公共性の観点からすると相当厳密に反省もまたされるんじゃないかと思うのですが、一体公共性と企業性というのが観念論に終っちゃ困りますが、日本の現実の国有鉄道制度の沿革並びに法律そのもの、及び現実の運営の事実、こういうような点から帰納いたしまして、公共性を主にすべきものか、企業性を主にするべきものか、あるいはそれは二足す二は四になり、四になるからそれを二で割ったら公共性と企業性になるというような、そんな算術にでもなるんであろうか、一体これはどういうことになるのでしょうか。これは稻葉さんどうお考えですか。
  74. 稻葉秀三

    稻葉参考人 それははっきり言うことはできないですね。私はやはり公共性と企業性を両方兼ね備えたものでなければならない、こういうふうに考えます。ただちょっとお聞きしてみたいのですが、公共性というものを十分にするということは、企業的なことは考えなくてもよろしい。だから国家的に税金でそういう赤字は補わしてよろしいということでありとしまするならば、私どもはもう少し国鉄企業的なあり方というものを考えていただきたい、こういう立場に立っております。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この程度で質問を終ることにいたします。
  76. 青野武一

    青野委員長 以上にて参考人各位に対する質問は終ります。  参考人各位には御多用中を長時間当委員会調査に御協力いただきましてまことにありがとうございました。なお今後ともよろしくお願い申し上げます。本日はまことに御苦労さまでございました。どうぞ御退場願います。  なお本日は大麻前国務大臣の葬儀もありますので、本件に関しまする調査は、本日のところは一応この程度といたします。  次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時十七分散会