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1957-02-21 第26回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 田中 彰治君 理事 本名  武君    理事 坂本 泰良君 理事 吉田 賢一君       櫻内 義雄君    床次 徳二君       林   博君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    片島  港君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         中小企業庁長官 川上 為治君         運輸政務次官  福永 一臣君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         建設事務官         (住宅局長事務         取扱)     鬼丸 勝之君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局参事         官)      戸嶋 芳雄君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         会計検査院事務         官         (第五局出資検         査第一課長)  樺山 糾夫君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         農林漁業金融公         庫総裁     山添 利作君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         日本開発銀行総         裁       小林  中君         日本開発銀行理         事       竹俣 高敏君         日本開発銀行理         事       管野 義丸君         日本輸出入銀行         総裁      古澤 潤一君         商工組合中央金         庫理事長    村瀬 直養君         愛知用水公団総         裁       濱口 雄彦君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十一日  委員赤澤正道君辞任につき、その補欠として一  萬田尚登君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度決算及び昭和三十年度決算を一括して議題に供します。本日は前会に引き続き運輸省所管につきまして審査し、その後政府関係機関審査を行う予定であります。  それでは昭和二十九年度決算検査報告二八〇ページより二九〇ページに至る報告番号一九九五ないし二〇二九につきまして、同時に昭和三十年度決算検査報告二二四ページより二三三ページに至る報告番号一九四六ないし一九六三につきまして前会に引き続き質疑を続行いたします。発言の通告があります。淡谷悠藏君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣に対する質問の前に、ちょっと一、二点検査院にお伺いしたいのですが、二十九年度決算報告書の二八九ページ外航船舶建造資金貸付利子補給金に関する経理当を得ないもの、この中に、「三十年九月までに日本郵船株式会社ほか五二会社利子補給対象船一五二隻)について会計実地検査を施行したが、飯野海運株式会社ほか五会社利子補給対象船二一隻)の分については関係帳簿を押収されているものがあることなどのため現在なお調査中である。」ということがございますが、この飯野海運株式会社ほか五会社という、この五会社の名前をはっきり伺いたい。
  4. 上村照昌

  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣にお伺いいたしたいのでございますが、外航船舶建造資金貸付利子補給というのは、この問題をめぐりまして世間にうわさされた、例の造船疑獄に関連した一件がございます。これは、運輸省外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基きまして、日本郵船株式会社ほか五十三会社昭和二十五年十二月以降、油槽船は二十六年十二月以降、新造した外航船舶百五十三隻について、その建造資金融資している日本開発銀行及び株式会社日本興業銀行ほか六十八金融機関に対し、二十八年度以降八カ年度間に総額三十七億六千四百六十四万七千四百三十九円を限度として利子補給金を支給することとしたことに関連した事件であることは、御承知通りであります。そうして現在この利子補給金は四年を経過しまして、半額がすでに支払われておるのです、ただいま報告のありました飯野海運ほか五会社は、全部例の造船汚職関係ありと認められまして、目下取り調べ進行中と聞いておる問題の会社であります。この六つの会社に百三十七億という、この利子補給の大体二割近いものが、あるいは二割をこすものが——まだはっきり計算を出しておりませんが、非常に莫大な利子補給を受けておるのがこの六会社であります。この会社に対して検査院は、この事件により関係帳簿を押収されているから現在なお調査中であるといっておりますが、先回の委員会におきましても、やはりまだ調査進行しない、こういうふうな報告がなされました。しかも一方では、三十一年度もこの利子補給金は継続して払われておる。こういう点について、例の造船疑獄と称せられます事件が、贈賄、収賄の問題が現在どの程度調査進行し、いつごろこの帳簿等がお返し願えるようになっておるか、大臣の責任において詳しく御答弁願いたいと思います。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 事件の概要は、ただいま淡谷委員御指摘の通りでございますが、この事件贈賄及び背任等にからんでおる事件でございますので、事件内容が非常に微妙でございます。すでに公判は百回も開かれまして、検察側としては一応実証段階を終って、これから被告人本人の尋問その他、被告人側実証段階と、こういうことに審理過程はなっておるのでございますから、その間、その関係帳簿検察庁で押収をして持っておりますことは、なるほど会計検査院検査職務の遂行上、非常に支障を来たしておられることと思うのであります。そこで、その後いろいろ協議をいたしまして、検察庁記録閲覧室で、一応その記録を出しまして必要な調査をしていただくとい程度はやっていただいてけっこうだからということで、見ていただいたのでありますが、持ち出しということになりますと、事案事案でございまして、将来の公判を通していろいろ微妙な争いがあると思うのであります。でありますから、帳簿の記載に若干でも間違いあっがたり、直されたりするよりなことはないと思いますけれども、万一にもそういうことがあったら取り返しのつかない一大事でありますので、検察庁当局としては、持ち出しは待ってもらいたい、会計検査の上から一応の見当をつけていただくために、来てお調べをいただくならば、閲覧室閲覧をしていただきましょう、こういうことで、一応の閲覧はされたようでありますが、しかしながら、一定の狭い閲覧室へ来られまして検査員調べるとうことは、十分の調べをして検査報告に明確な結論を出すということが困難な事情にあるのではないかと考えております。ですから審理支障のない範囲においては、会計検査院検査に協力することはいたしておるのでございますが、事件進行状態といたしましては、ただいま申し上げましたように約百回ほどの公判開廷も行われまして、まだこれから相当重要な審理が続けられるという段階に置かれておる次第でございます。  なお、つけ加えておきますが、検察側といたしましては、この種の事件ができるだけ促進をされて、すみやかに審理の終結を見ることが望ましいのでありますから、検察側都合審理が延びるようなことが絶対にありませんように、担当官に対しましてもそういう手配はいたしてございます。ただかような問題になりますと、多くの証人、非常に大量の証拠ということになりますので、どうも審理が遅延がちになるようでありますが、これらは実はもう裁判所の手に移りました以上、御承知通り最高裁判所裁判所全部の管理権を持っておりまして、法務省としましては検察関係しか行政権がございませんので、少くとも検察側としては審理促進をできるだけ努める、検察側都合や準備の不十分のために審理が遅延するようなことが絶対にないように努力をいたしておるよりな次第でございます。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは中村大臣に私強く期待したいのでございますが、事件は御承知通り政治関係をめぐる複雑な問題でありまして、この事件審理中に非常に強い政治的な圧迫の干が伸びるのではないかということを早くからうわさされておったのであります。しかも事の真相がまだ一般にはっきりされてはおりません。しかもその原因としますのは、利子補給だけでも百三十七億という莫大な国費を使い、もう今では補助金にかえるという、融資が非常に大きなものを占めておる財政に関連した問題がこの事件であります。この進行いかんによりましては決算委員会としても重大な決意をしなければならぬような段階に立ち至るのは当然のことでございます。この問題は一つ徹底的に究明すると同時に、いささかも遅滞を許さないようにしてお進めを願いたいと思います。もし間違えますならば、会計検査院の手をのがれるためには、刑事問題を起して帳簿を取られてしまえばいいというような、とんでもないことまで考えるようなことが起らないとも限らない、これはまことに憂うべきことであります。その点は事の重大性にかんがみまして、大臣も決然たる態度をもって、この事件は早急に取り進めをお願いしたいと思うのであります。  お忙しいようでございますから、私はきょうはそれだけでやめておきます。
  8. 中村梅吉

    中村国務大臣 厳正に事を処すべきであるという御意見、まことにごもっともでございます。当然でございます。すでに検察当局といたしましては事態捜査を終りまして、事件起訴いたしまして、起訴事実にも検察側の把握いたしました具体的な事実を列挙し、陳述をいたしております。さらにそれを裏づけするための所要の諸般の証拠裁判所に提出してあるものでございますから、いかなる政治的の圧迫なり、どういう魔の手がかりに伸びるような事態があろうとも、この審理なり事件の成り行きというものがそのためにたわめられるということは絶対にあり得ないことでございますし、またあってはならないことでありますから、われわれといたしましてはその点は十分留意いたしまして、世間からさような疑いを絶対に受けないように十分注意をして事件進行をはかりたい、かように考えております。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでこの利子補給は、御承知通り八年間にわたるものでございますが、すでにもう四年は経過しております。このままで漫然とあとの四年間も間違った経理のまま、あるいは不当なる経理があったままに莫大な利子補給がなされたとしたならば、これは取り返しがつきません。これは事件審理中でありましても、必要があるならば、捜査支障の生ぜざる限り十分なる便宜を計らっていただきまして、莫大な国費を使っておりますこれら汚職疑獄会社が、いたずらに法網をのがれることがないように、十分検査のために御便宜をはかっていただきたい。以上要望しておきます。
  10. 中村梅吉

    中村国務大臣 その点は、検査院とよく協議をいたしまして、支障のない限りにおいて、記録といいますか、関係帳簿検査院検査にできるだけ便宜をはかるようにわれわれの方として努力をいたしたいと思います。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと関連してお伺いいたします。今お述べになりました飯野海運外五社、この五社が起訴されておる起訴事実としまして、何ほどのリベートを受け取ったか、これを一つ起訴事実によって数額を述べてもらいたい。大臣、おわかりですか。
  12. 中村梅吉

    中村国務大臣 その点、私十分に承知いたしておりませんから、政府委員からお答えいたさせます。あるいは政府委員もすぐに答弁できなければ、後刻明細に御報告いたします。
  13. 井本臺吉

    井本政府委員 関係書類を本日持って参らなかったのではっきりしたことはわからぬのでございますが、この関係事件の、たとえば俣野健輔という飯野海運株式会社の社長の関係では、一億三百万円ほどリベートとして受領したということが起訴事実に現われております。そのほかの関係につきましては、関係書類調べまして後刻申し上げたいと思います。
  14. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではその点は検査院の重要な調査対象になろうと思いますので、おわかりになりましたら、起訴事実を通しましてリベート総額を承わりたいと思います。
  15. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 詳細はよくわかりませんが、概略二億五千万というように承知しております。なお、ただいまお話の六会社のうち、その後私の方で調査をしたものがございまして、前回の当委員会において申し上げたかと思いますが、現在飯野海運山下汽船と新日本海運が残って、おります。そのほかのものにつきましては調査いたしまして——ほかの関係もございますが、一部利子補給金を返納したものがございます。残っておるのは三会社だけでございます。
  16. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この起訴は、概して言えば、背任、横領にしましても、リベートが問題になったとわれわれも了解しております。そこでリベートがかりに二億五千万円といたしますれば、これは当然国庫に返納すべき性質のものであろうと思うのであります。金額最終は、これは最終判決によって確定すると思いますけれども、とにかくリベートは国に返すべき性質のものであろうと思うのですが、この点検査院のお考えはどうでありますか。
  17. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 外航船舶建造資金貸付利子補給金につきまして、二十九年度検査報告にも記載してございますように、契約船価低減があったものについて——まあそのほかのものもございますが、本件に関係ありますものは、契約船価低減があった場合に、それに対応する利子補給はやらない、こういうことになっておるわけであります。従いまして金のやりとりがあった場合に、果して契約船価低減になるかどうかというような問題が非常な問題になってくるわけでございます。事実の認定が相当困難をきわめるわけであります。金のやりとりのあったのが、契約船価低減があったものと見られる場合におきましては、それに対応する利子補給金低減される、こういうことになるわけであります。
  18. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのはそういうのでなくして、リベートというものが不法的な性格を持っておるので、その不法的な性格を持っておる金が国家の意図以外のものに使われて、被告人もしくは被告会社に受け取られておるのでありますから、当然これは国家に返すべきものであろうと思うから、お伺いしたのであります。  そこで、ちょっと開発銀行総裁に伺いますが、開発銀行はこの金のある額をお貸しになったお立場なのであります。開発銀行としましても、やはり金の用途は相当厳重な規定のもとに定められた費途に限定してお貸しになっておるので、この場合まさかリベートというような不法性を持ったものに使うことを意図し、もしくは使うことを了解してお貸しになったことでないのはもちろんであります。そのような場合には、リベート目的外使用として、あなたの方のお貸しになった分は相当の金利を付して返還を要求するのが筋合いであろうと思いますが、御所見はいかがですか。——開発銀行総裁は見えておりませんか。
  19. 青野武一

    青野委員長 吉田委員に相談しますが、まだ小林開発銀行総裁は見えておりません。
  20. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは開発銀行総裁が見えましたら今の点について、開発銀行はやはり国家資金の特殊な金融機関でございますので、非常に重要な問題でありますから、一言これに対する所見を聞いておきたいと思いますので、お含み願います。
  21. 青野武一

    青野委員長 承知いたしました。日本開発銀行の方は小林総裁が出席したら答弁をさせることにいたします。
  22. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは刑事局長に伺いますが、この種のものはやはり国家資金をそういう目的外に使ったということで、当然国家に返納すべき性質のものと思うのですが、御所見はどうでございましょうか。
  23. 井本臺吉

    井本政府委員 お話のような用途の指定されておりまする資金を他の用途に使っておるということになれば、それは目的外用途に向けられておるということになりますので、国家に返納するのが妥当でないかと考えております。
  24. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の趣旨で検査院問題点を御了解下さったと思いますが、あなたの方のお立場としては、これをどういうふうにお考えになりましょうか。
  25. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 建造資金貸付につきましては、開銀の場合と市中金融機関の場合があると思いますが、開銀の場合につきましては、貸付目的に反する場合には引き揚げ、償還させるということになるのだと思います。ただ市中金融機関貸した金につきまして、そういう事態があった場合に償還させるか償還させないかということは、市中金融機関の問題でございまして、それに対するものは利子補給の問題だけが残る、かように考えております。
  26. 青野武一

    青野委員長 以上をもちまして、昭和二十九年度決算中、運輸省所管につきましては一応質疑を終了いたします。  昭和三十年度分につきましては、次の機会に譲ることといたします。     —————————————
  27. 青野武一

    青野委員長 次に国民金融公庫住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業公庫日本開発銀行日本輸出入銀行商工組合中央金庫及び愛知用水公団関係につきまして審査を進めます。  それでは昭和二十九年度決算検査報告三八九ぺージより四〇三ぺージに至る各団体につきまして、批難事項農林漁業金融公庫の二二四三から二二四五までの三件、これは昨年三月に検査院説明を聞いているそうです。日本開発銀行の二二四六、商工中央金庫の二二四七の五件で、その他のところは別にないようでありますが、検査報告につきまして会計検査院当局説明を聴取いたします。  なお審査都合上、同時に昭和三十年度決算検査報告三五六ページより三六七ページに至る各団体につきましても、批難事項農林漁業金融公庫の二一八三から二一八五に至る三件、その他はないようですが、これもあわせて説明を願います。会計検査院上村第五局長
  28. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 国民金融公庫でございますが、二十九年度と三十年度を一括して御説明いたします。二十九年度におきましては年度末における六カ月以上の元金延滞額が五十億三千余万円でありまして、年度貸付残高四百四億二千余万円に対しまして、一二・四%となっており、これが処理について留意すべきものであるという点を指摘しておりますが、三十年度末におきましてはその比率が一一・三%となり、やや低下の傾向を示しております。また二十九年度検査におきまして、東京ほか十六支所の検査を実施しました結果、大口貸付のうちには銀行その他一般金融機関との間に多額の取引を行なっていますもの、他の政府関係機関から貸付を受けておりますもの、多額の現金、預金等を保有するなど、資金繰りに余裕があると見られるものが相当見受けられましたが、国民金融公庫の本来の使命から見て、抑制すべきものではないかと考えます。  住宅金融公庫につきましては、二十九、三十年度を通じて御説明する点はございません。  農林漁業金融公庫でありますが、二十九年度と三十年度を一括して御説明いたします。二十九年度は二二四三号から二二四五号の三件、三十年度は二一八三号から二一八五号の三件でありますが、二十九年度検査におきましては二千二百八件、八十八億余万円の貸付金について調査いたしました結果、管理不十分と認めて指摘いたしましたのが五百十九件、十三億七千余万円となっております。三十年度におきましては三千二百三件、百三十八億千余万円の貸付金について調査いたしました結果、管理不十分と認めましたものが四百五件、四億千余万円であります。その内容は、貸付対象事業補助金の交付があった場合には、一定額を必ず繰り上げ償還することになっておりますのに、その処理がとられておらなかったもの、借受人が当初申請通り工事をしなかったり、あるいは実際の工事費申請額より少額で完成しましたため、公庫業務方法書に規定してあります貸付限度額をこえているもの、または資金貸付目的外使用されているもの等であります。これらについては順次繰り上げ償還処置がとられておりますが、現在判明しておりますところでは、二十九年度分につきましては四百六十余万円、三十年度分については五千五百余万円が繰り上げ償還未済となっております。  次は中小企業金融公庫でございます。二十九年度において百六十九件、七億三千余万円の貸付金につきまして調査いたしました結果、貸付金貸付  の目的外使用されたと認められますものが十六件、四千五百余万円ございまして、現在だいぶ是正の処置がとられておりますが、なお現在におきまして三件、千六百万円が償還未済となっております。  次に委託金融機関に対する業務委託手数料の問題でありますが、委託手数料として代理店が八割保証していますいわゆる甲方式につきましては、実収利息に対し四〇%から四五%を、また代理店が三割保証している乙方式につきましては、実収利息の二五%から三〇%となっておるものであります。しかし貸付一件当り平均金額が類似しております株式会社日本長期信用銀行業務委託手数料は、元利金の全額が代理店保証となっているのに、代理店長期信用債券引受資金使用するいわゆる還元代理貸付につきましては、実収利息に対し二六%を、また一般資金使用する単純代理貸付については実収利息の一三%となっておりまして、この両者を比べてみますと公庫の方が相当高くなっており、しかも委託手数料は年間十一億にも上っておる状況でありますので、検討をお願いいたしておる次第であります。  なおその後公庫におきまして、三十一年四月から手数の引き下げを行なっておられます。  三十年度におきましては、承継貸付金について委託金融機関に対する手数料の問題を記述しております。これは、承継貸付金年度残高五十一億余万円のうち延滞となっているものは約二十六億円で、大部分復金承継貸付金でありますが、長期間にわたり回収のない不良債権が多く、委託金融機関には回収の有無にかかわらず貸付残高に応ずる手数料が支払われておる状況でありますから、公庫の直接管理に切りかえるなど適切な処置をして経費の節減をはかることが望ましいと考える次第であります。  次は開発銀行であります。  二十九年度について申し上げます。電気事業に対する融資についてでありますが、翌年度にわたる工事融資については融資査定額会社支払い実績と異なるときは、翌年度におきまして調整する取扱いがなされておりますが、年度内に主要工事が完成し逆転を開始するものについては、使用実績調査しないこととしておられ、そのため会計検査院調査しましたところによりますと、実績査定額を下回っているものが見受けられました。これらは一般の場合と同様調整することが望ましいと考えられます。開銀におきましてその後改めることにいたされました。  次は外航船舶建造及び改造資金として融資された見返り承継債権について調査いたしました結果、乗り出し費用が当初の見込みより少くて済んだため、乗り出し費用について公募要領の融資基準をこえて融資された結果となったものが十三会社、十七隻について合計二千九百余万円ありましたので注意いたしましたところ、その後全部繰り上げ償還処置がとられました。  次は二二四六号の福岡支店の貸付の点であります。これは二十九年九月振興飛島鉱業株式会社に対して振興鉱業開発株式会社を連帯債務者としまして、振興飛島鉱開発資金として二千五百万円を既往貸付金の円滑化を考慮して貸し付けられたものであります。銀行に提出してあります資料によりますと、両会社は二十七、二十八年におきまして検査報吾に記載してあります通り、償却前の利益を上げながら、本件貸付申し込み当時まで、既往貸付約三千万円の元利償還をほとんど行なっていない状況でありますが、二十九年三月、本件貸付の申し込み当時から一部入金がありましたので、今後の入金を期待して貸し付けたものでありますが、貸付の翌月からは振興飛島鉱業の既往貸付分について二十一万余円の入金があっただけであり、新規貸付分については、十二月までは利息は入金となりましたが、三十年一月からは利息の一部として十万円の入金があっただけで延滞となっております。振興鉱業株式会社の既往貸付については全然入金がない状況でありまして、本件貸付は必ずしも妥当なものとは考えられないものであります。なおその後三十年十二月から三十一年八月までの間に振興飛島鉱業から百四十万円が入金となっております。三十年度分については特に申し上げることはございません。  次は商工中央金庫でございます、二十九年度の二二四七号でありますが、商工中央金庫札幌支所で昭和三十年三月末において延滞となっています大口貸付金といたしまして、北海道澱粉協同組合連合会の一億四千百余万円、北海道肝油工業協同組合員の一億二千六百万円がございます。この債権の過半は回収不能と認められるものでございます。このような事態になりましたのは、組合が財政の行き詰りから融通手形の操作による資金の調達をしようということで、商業手形として金庫に持ち込んだ融通手形の成因等を十分検討しないで受入れたことなどのためでありまして、ことに日栄株式会社振出手形の七千六百七十三万円や、あるいはローヤル水産振出手形一億千三百十五万円を割り引いて不渡りとなったものがありますが、両会社は資本金百万円のものでありますのに、このように多額の割引をすることはいかがであろうかと考えられ、貸付が放漫であったのではないかと考えます。  次は日本輸出入銀行でありますが、これは両年度とも特に申し上げることはございません。  以上であります。
  29. 青野武一

    青野委員長 愛知用水公団関係につきましては、会計検査院の中川第四局長より説明をいたします。
  30. 中川薫

    ○中川会計検査院説明員 愛知用水公団について御説明申し上げます。  愛知用水公団は昭和三十年の十月に設立されまして、その事業資金を余剰農産物資金融通特別会計からの借入金、それから国庫補助金及び国際復興開発銀行からの融資に仰ぐことといたしましたが、国際復興開発銀行との借款協定が意のごとく進捗いたしませんで、現在交渉の途上にありますために本工事には着手いたしておりません。公団といたしましては農林省の示しました基本計画に基きまして事業実施計画を作るために、堰堤並びに幹線水路の予定地の地質の調査その他用地の買収に関する調査並びに水没の補償対策等について事務を進めておりますが、以上のような状況でございまして、経費の使用の面を見ましても、余剰農産物資金融通特別会計から、三十一年の九月末までに十億八千万円を借り入れております。これに対して事務所とか宿舎の取得並びに先ほど申しましたような基礎調査に経費を使っておる程度でございまして、会計検査院といたしましても本体の検査に着手するに至らず、創業時の経理検査にとどまっております。この事業資金の運営について検査いたしましたところ、一部有価証券で保有しているものもございますが、そのうちの相当部分を東海銀行ほかの市中銀行に、これは無利子の当座預金として預入しておる事態につきまして、これは他の政府関係機関資金運用の状況から見ましても、必ずしもこういう方法によらなくても、普通預金とか通知預金等処理して若干の利子収入をも期待できるのではないかという注意を促した程度でございます。  以上をもって愛知用水公団の説明を終ります。
  31. 青野武一

    青野委員長 それでは次に各当局におきまして補足説明があればこれを許す予定ですが、その間に一昨日の決算委員会において吉田委員より資料の要求がありました点について、吉田委員の手元まで当局より資料が届いておりますが、あまり簡素で要求の通りになっておりませんので、別に書類で、あらためて委員長の手元まで、全委員に対して配布される資料を、今印刷中で、この委員会の終るまでに提出されるものがあるそうでありますから、一応今吉田委員の手元まで出ております要求の資料の概略の説明を求めたいと思います。運輸省の權田鉄道監督局長。
  32. 權田良彦

    ○權田政府委員 それでは東鉄の高架下の問題につきまして、ただいままで調査いたしまして判明いたしました概要を御説明申し上げます。  警視庁捜査二課に逮捕されました者は次の通りでございます。二月十二日に木藤と申しまする東鉄管財部の専業課の職員が逮捕せられました。同月の十四日に不二金属産業株式会社の阿部というものが逮捕されております。それから二月の十八日に大明運輸株式会社の志賀、菓子業を営みまする中野、飲料水の販売業を営みまする山本、これは逮捕されております。これらはいずれも貸付を受けました相手方でございます。  木藤の略歴でございますが、木藤は四十六才、東海商業の卒業で営業部の企画課からこの事業課へ移っております。現在用地係長でございます。  それから貸付の概要でございますが、先ほど申しました阿部に対しまするものは、使用場所は黒門町橋新十一号と申す場所でございまして二十二平方メートル、使用目的は事務所でございます。貸付を承認いたしました年月日は三十一年九月一日でございます。それがさらにその場所を十二月の二十六日に立ちのきまして、第二鍛冶町西三号、二十三平米に事務所といたしまして新しく振りかえて、貸付承認をいたしております。  次に大明運輸の志賀でございますが、これは第二上野町一号ないし二号でございまして、百十四平米、事務所と荷作り場所でございまして、貸付を承認いたしておりますのは三十年十二月十五日でございます。  次に中野は、第一上野町橋の橋脚の間でございまして、二十一平米、菓子店の店舗でございまして、三十年十二月十五日に国鉄が貸付承認をいたしております。  山本は、第一鍛冶町二十号の一でございまして、四十七平米、店舗でございまして三十一年十二月二十六日にこれも前同様国鉄が貸付承認をいたしております。  事件は贈収賄容疑であるようでございますが、ただいま警察当局において取調べておりまするので、私の方といたしましては、その詳細な内容は判明いたしませんでございます。田町−田端間の線路増設に伴いまして高架下が新設されましたので、新規の貸付を行うことになりましたその機会に起った事件であると思っております。  なおただいま委員長からおさしずのごさいました通り、これは図面を添えまして資料にいたしまして後刻御提出申し上げます。なお詳細についてはさらに調査を加えたいと存じております。  以上概要を御報告申し上げます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題につきましては後刻資料を得ました上、あらためて質問を継続したいと思います。
  34. 青野武一

    青野委員長 次に各当局におきまして補足説明があればこれを許します。なお発言に先だって申し上げますが、国民金融公庫住宅金融公庫中小企業金融公庫、この順に一つ御用意を願っておきます。国民金融公庫櫛田総裁
  35. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 ただいま会計検査院の力から御指摘のありました二十九年度並びに三十年度決算につきまして、補足的に御説明申し上げたいと存じます。  御指摘のありました事項の第一は、延滞関係のものでございます。この延滞関係は、公庫といたしましては、普通貸付、更生資金貸付、恩給担保貸付、その他約八種の貸付をいたしておりますが、全体といたしまして期限経過後六カ月以上の延滞額は、御指摘の通り二十九年度で一二・四%三十年度で一一・三%となっておりますが、その中の大部分は更生資金関係のものでございます。更生資金は御承知のように戦後引揚者に対しまして、庶民金庫時代から引き続きまして特別にいたしました貸付でございます。その貸付が現在約二十五億円ほどの残額がございますが、大体その半分程度が延滞状況になっております。その関係をもちまして延滞関係が全体として貸付のうち一二%ほど上っておるわけでございますが、普通貸付の方で申しますれば、現在延滞関係は大体三・九%ぐらいに相なっております。なおこの更生資金貸付の整理でございますが、その後いろいろな経済事情も好転いたしておりますかたがた八方手を尽しまして回収について努力を重ねております。最近多少なりともその成績が向上しつつあるような状況でございます。  それから御指摘の第二の点は大口貸付の問題でございますが、これは主として普通貸付に関する問題であります。現在業務方法書によりまして、私どもの公庫では最高二百万円までの貸付をいたしております。その中で普通の金融機関との取引関係が相当ある者、あるいは他の政府関係機関から借り入れをしておる者等について貸し付けたものがある、あるいは預金等が相当ある者に貸し付けたものがある、これは公庫の本来の趣旨からいって少しはずれていやしないかという御指摘でございますが、これはごもっともなことでございます。この点は私どももかねがね注意いたしまして抑制して参ったのでありますが、ただ二十九年度に御指摘を受けましたその当時におきましては、ちょうど御承知のように金融が非常に締まっておった次第でございまして、金融機関からある程度資金貸付を受けておる者でありましても、なおそこに若干の資金の供給ができますならば、さらにその業績が立ち直る、その他の関係がありまして、その緊要性、緊急性からいいまして、数多くの申し込みの中にはお断わり申し上げるのがかえってよろしくないのではないかというのがあった関係がありまして、ついそういうことになったのであります。現在はそういう点につきましても十分に意を用いまして、これを抑制いたしておるような現状であります。現状から申し上げますれば、普通貸付は現在では四百八十億、四十一万件の貸付をいたしております。残高平均では十一万円余に相なります。それから貸付の平均では十八万円見当でありまして、五十万円をこしております貸付は全体の一割に満たないような状況で、公庫の趣旨にのっとりましてできるだけたくさんの方のお役にたちたいということに今後も努力を重ねて参りますので、この点を御了承願いたいと思います。簡単でございますが、補足的にご説明申し上げました。
  36. 青野武一

    青野委員長 国民金融公庫櫛田総裁の補足説明が終りましたので、これより国民金融公庫関係につきまして御質疑を願います。発育の通告があります。田中彰治君。
  37. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 更生資金を借りてこれが非常に延滞しているとおっしゃるのですが、会計検査院の方から調べると、そういうようなこともありますが、しかしあの当時引き揚げてきた人たちがいろいろ困って、いろいろななれない事業をやったその結果、大ぜいで引き揚げた人たちがやった結果、今度職が見つかったり、その専業がよくいかなかったり、時勢に伴わないでやって非常につぶれた。私の選挙区なんかにも相当困っているのがあるが、よく調べてみると、財産もないし、建てたものは腐ってしまったというのがある。一つ言ってみますと、塩を製造するところなんか、今塩を製造しても燃料が高くて合わない。建物はみな腐っちゃった、土地は砂浜の海の方で困っている。あなたの方からもどんどんいじめられて非常に困っておる。とれないものをそうやっていじめておいでにならぬで、そういうものは引き揚げた人たちですから、打ち切られて欠損とされて私は差しつかえないと思う。これが大資本家になって、そうして住宅でも買ってりっぱな暮らしをしている人なら別ですが、困っているような者は、むしろそういう工合に帳面に残さぬ方がいい。会計検査院なんかが行ったって、調べるだけでそういう事情はわからないのですから、やはり調べられて打ち切れるものは打ち切られた方がいいと思う。そういうことをされても、それはお互いが助かるためにやったことで、国民が納めた税金の一部なんだから、私はそういうことは何も差しつかえないと思う。こういう点について一つお考えになって、会計検査院なんかにやはりあなたの方から説明されて、そういうことをやったらいい、あなたの方で考えられて、とれるものはとり、打ち切れるものは帳面に残さない方がいい。食う物にも困る者を責めて、娘さんを売ったり自殺したりいろいろしている非劇があるのです。先ほど聞いてみれば、造船汚職なんかでああいうようなリベートをとって、それがどこへどう行ったかわからないでまだ解決ついておらぬのがあるのですから、それから見れば私は何でもないと思う。こういう点を考えていただきたい。それから十万円以上の金を借りている人はあなたの方でもお調べになっても相当なものだと思うのです。また大きな五十万とか百万とかいうのは、会計検査院の話を聞いていると、銀行の方の取引があってはいかぬとかなんとか言いますが、銀行の取引はあるけれども、実は銀行から金が借りられない。銀行との取引はあるが、銀行から金を借りる資格のない者、こういう者は国民金融公庫から借りておる中小企業の中のまた小さいものですから、私は銀行取引のある人にお貸しになってもいいと思う。ただ預金を持っておって金融公庫の金を借りて預金に充てる、これはよくないことですが、こういう点はやはり会計検査院が行ったら、あなたの方からむしろ会計検査院——会計検査院は帳面さえ合えばいい、そろばんさえ合えばいい、貸したものがとれればいい事務屋なんです。こういうことはむしろ会計検査院をおおそれにならぬで、あなたの方からそういうわからぬやつを指導してやるくらいの考えを持つのが必要だと思う。十万円以下の金は——社会党の諸君もおいでになりますが、十万円とか五万円、三万円を借りるのはほとんど税金で取り立てられてうちじゅう押えられたとか、子供が学校へ行けないとかいうことで借りているのですから、これを会計検査院の方から指摘されたからといって、あまり責められて自害しなければならぬとか、食う物も食えなくて子供を売ってしまわなければならぬということろまでいかれないように、やはりあなたの方からそういう説明を加えられてお話しされた方がいい。十万円以下特に五万円以下はそういうものが多いらしい。  もう一つ国民金融公庫総裁としてお考えにならなければならぬのは、これは法律が不備なんですけれども、三万とか二万のような小さい金を借りるものは一応半分はとれないのだ、とれなくても、とれないからといってくれてやるわけにはいきませんから、やはり考えてみて、どうしても病気だとかなんとかで払えないものは、半分くらいとらないで、社会保障のつもりでやるくらいの、国民金融公庫というものは性格を持っていいと思う。そういうこともあなた方がただ個人ではできませんから、また現在の法律ではできませんから、そういうような法律を作ってくれ、あるいは改正してくれといって、あなた方が申し込まれるような性格のもとに国民金融公庫を生かしていかれる方がいいと思う。ただ会計検査院から責められたら、びっくりしてとれもしないものを内容証明をやったり、それを追いかけたり、それでうちの娘を売ったとか、どこかへ飛んでいってしまったとか、そんな考えはお持ちにならぬ方がいい。何もそう会計検査院をおそれられることはない。むしろ会計検査院に千五百名も人がおって、あそこから批難事項が出ておらぬというのがおかしい。あそこだって批難事項はあるけれども、それを調べないからないだけであって、どこにだって批難事項というものはあるのだから、特に国民金融公庫から三万とか二万とかの金を借りたやつが払わない、それをあなたの方から非常に追及される、追及される原因は何かというと、やはり会計検査院から指摘されたということで弱い者をいじめられる。それで法律も知らない、弁護士のところに相談にも行けない、仕方がないから娘を売ったり職を置いて逃げたとかいうことがこのごろだいぶ出てきている。そういう点はむしろあなたの方から、そういうものがたとい倒れても、倒れた原因がわかればかまわないのですから、あまり会計検査院調べをおそれないで、もう少し待ってれば払うとか、もう少し助けてやればいいとか、もう少し一年延ばしたらいいとかいうことをされることが必要だと思う。また利子でも、一年も延ばしたやつを今度はまた延滞利息とかそうういものをくっつけていくから元金も払えないのですから、むしろ払えるといって成功してきた五万以上の者は相当の調査してありましょうから、五万以下のものは延滞利息なんかおまけしてとらないでもいいじゃないかというくらいに考えていいと思う。それを今の機構ではできないから、やはりこういう機構の改革というものをされて申し込まれたらいいと思う。こういう工合に私は国民金融公庫に対して考えているし、またそこらから陳情も受けている。そういうものが非常にあるのです。そういう点はあまり会計検査院批難事項におそれをなさないで、堂々と決算委員会に来られて、これはこういうわけで倒れたのだ、これを取り立てたら食えないのだ、これはどうして倒れた、税金でとられた、こういうふうに打ちあけられたら、それをあなた方にとってこいとか、それを差し押えろとかいうものはないのです。別に決算委員会のわれわれの金でもなければ国会議員の金でもない、あなたの金でもない、国民が納めたのだから、ほんとうに国民がその金で生きたとか助かったとかいえばけっこうなことだと思う。大きなものはだめですよ。大きなものは相当調査されてやられた方がいいと思う。小さなものに対しては私はむしろそういう考えを持たれた方がいいのではないか、私はそう考えておりますから、私の考えだけを申し上げて、あなたがどういうお考えを持っておられるか、ちよっとお聞きしてみたいと思います。
  38. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 ただいまいろいろお教えにあずかりましてありがとうございました。更生資金関係の整備の問題でありますが、一昨年来調査を進めましたところが、御本人がなくなられた、あるいは行方不明になられた、あるいは生活保護を受けておられる、そういった方々が全体の二割ございます。こういう方々については、むしろこの際欠損処分をした方がよろしいのかと存じております。ただこの更生資金関係は、事の沿革から申しますと、都道府県経由でもって交付金の形で拝借しているような関係がありまして、その間の整理につきましていろいろな法律問題が重なっておりますので、現在最終処理方法をいろいろ研究中でございます。少くともただいま申し上げましたような分については、この際至急何か最終的な処理をやった方がよろしいのではないかと思いまして、進めておるわけであります。  それから小口の貸し出しの点でございますが、おっしゃる通りでありまして、私どもといたしましては、このとうといお金をお使い下さって、そのお客様方がお仕事なりその他の面が成り立って伸びていかれるならば、それが目的でございます。私どもはお客さんと一緒に生きていくとでも申しますか、そういうつもりでやっておるようなわけでございまして、従いまして、おっしゃる通り延滞と申しましても、できるだけお客さんの身になって期限を延長しますとか、そういうあらゆる手段を講じて、細く長くと申しますと語弊がございますが、一緒に生きていこう、こういう基本方針でやっております。今後もこんな気持でやっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総裁にお尋ねしますが、さきに会計検査院上村局長説明しておられました大口貸付のうち、銀行その他一般金融機関との間に多額の取引が行われておるもの、その他政府関係機関から貸付を受けておるもの、現金を多額に持っておるもの、預金を保有しておるもの、こういうようなものに東京支所外十六支所が多額貸付をしておったということを指摘しておられました。若干あなたは御説明になりましたが、これは実態を御調査になりましたか。
  40. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 一件ごとと申しますと、ここに記録を持って参りませんでしたが、そういう例が間々ありましたことは承知いたしております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう例が間々あったとおっしゃるけれども、あなたの方の指摘されておりますのは、大体これが中心なんです。ほかにございません。きょう国会においていろいろと御答弁になるのに、間々あったというのではどうもわれわれ納得しにくい。全然調査しなかったということですか。資料がないからとおっしゃるけれども、やはりこういう重要な点を指摘せられましたら、相当御調査になり、あなたも責任者として御記憶になり、手元に資料があるないにかかわらず、概要は知識として持っておられることが必要であろうと思う。
  42. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 言葉が足りませんでしたので、大へん相済みませんでしたが、御指摘になりました事項につきまして、先ほど申し上げましたように、他の一般金融機関との間に相当額の取引があったり、あるいは他の政府関係機関から——これは主として中小企業金融公庫との関係でございまして、そういう場合に、銀行とある程度取引がございましても、それ以上資金が要る場合に、銀行ではどうしても借りられない、そこでその事業におきまして何がしかの金が、たとえば五十万なら五十万の金がありますればさらにその事業が成り立つ、そういうような御相談を受けました場合でございまして、また中小企業……。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私がお尋ねする趣旨は、あなたはいろいろそういう御方針を持っておられるであろうけれども、検査院は本来ならばもっと詳しく書くべきだが、詳しく書いておりません。しかしながら、銀行とか政府関係機関とか多額の現金とか、いろいろな事項を指摘しておりますので、これはあなたの方としては重要な指摘を受けたとして、御調査あってしかるべきだと思う。調査されたかどうか、それを聞いているのです。
  44. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 調査いたしました結果、その総体的な結論としてのことを私は今申し上げようと思っておったのです。  そういう場合に、五十万要るというような御相談を受けました場合、その当時は御承知のように二十九年のことでありましたので、かなり金詰まりの状態にありましたような関係から、銀行からある程度借りておりましても、こちらの方から全然ごめんどうを見なければ、かえってその事業が左前になっていくだろうということを係の方で認めたことがありましたので、やむを得なかったのではないかと思っております。  それから中小企業金融公庫との関係でございましたが、中小企業金融公庫の方から二百万円ほど拝借しておる例がある。その場合に、中小企業金融公庫の方では、主として設備資金をお貸しになっておりましたので、運転資金についてどうしても調達ができない、その運転資金を何がしか国民金融公庫の方で御援助願えないだろうかという御相談を受けました場合、中小企業金融公庫の方からお貸し出ししておりますので、私の方からやりますとダブるような関係になりますが、資金用途関係からいきますと、むしろ私どもの方からそういった御援助を申し上げる方が、中小企業金融公庫の方からお貸しになった設備資金をかえって生かすことになるのではないか、こういうふうに思われた事項もございました。  それから預金がある場合の問題がございましたが、私の調べました例におきましては、その預金が拘束預金という形で両建になっておりますために、預金の名目は大へんに多かったのでありますが、その六割見当のものが拘束預金で使えないというような状態でありましたので、それを差し引いて考えてみますと、資金がこれだけあればやはりその事業として成り立つといったような例もございましたので、大体から申しますと、その当時におきましては、調査の担当員におきましてやむを得ないと認めまして貸し出ししたもの、かように存じた次第でございます。  ただ将来の問題といたしましては、御指摘もございますので、そういう点についてはやはりもっともっと小額の方に、なるべくたくさんの人に優先的に回すのが建前だろうと思います。厳にそれを戒めて参ったような次第でございまして、かたがた現状におきましては、先ほど申し上げましたような、全体の貸付平均が普通貸付にして一件当り十七、八万円程度を堅持しておる、かようにいたしておるのでございます。御了承願いたいと思います。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 非常に抽象的でありましたが、将来いろいろとお改めになり、国民金融公庫の本来の趣旨に従って一そう改普の実をあげていかれる、これは大へんけっこうなんです。それでなしに、やはりこういった問題が起りました場合には、これは深く掘り下げて、前後の事情も明らかにし、そうして国民金融公庫のあり方についてさらに再検討するくらいな慎重な態度が望ましいので、私はなお伺いたいのです。具体的に、どこの銀行からどの程度の金を借りておった大口貸付先があったのであろうか、その辺の具体的事例を一、二述べてもらいたいと思うのですが、もしあなたが御承知でないとするならば、あなたの部下の方どなたからでもいいのですが、伺いたい。それもできないとすればまた別の方法を講じますが、いかがでございますか。
  46. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 具体的な事例は手元に持って参りませんでしたので、申し上げることはできません。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは検査院第五局の出資検査第一課長、見えておりますね。あなたによって伺いますが、二十九年度の三八九ぺージに、今私が質疑いたしました趣旨の記載があるのでございますが、大口の貸付のうち、銀行その他一般金融機関との間に多額の取引があったもの、他の政府関係機関から貸付を受けておったもの、多額の現金を持っておったもの等々について、少し内容を具体的に御説明願いたい。
  48. 樺山糾夫

    ○樺山会計検査院説明員 お答えいたします。国民金融公庫融資対象の問題でありますが、具体的な事例といたしましては、たとえば大阪の事例でございますが、資本金一千万円の会社でございますけれども金融機関等から三千七百万円の金を借りております。それから月間の売り上げが約七千四百万円になっておりますが、いろいろ業態から見て中小企業には少し大き過ぎるのではないかというふうに感じております。それからこれは東京の例でございますが、資本金四百万円の会社でございます、百万円を貸し付けられたのでありますが、この会社は千六百万円の預金を持っております。それからなお他の例でございますが、相当の株券等を持っておりまして、これらを処分すればさして特に国民金融公庫から借りる必要はないのじゃないかというような事例があるわけでございます。もともと具体的な個別な事例につきましては、いろいろの御事情があると思うのでございますが、ただ先ほど総裁の仰せられておりましたように、相当資金の窮屈な国民金融公庫の現状から見まして、もっと必要な方へ回すべきではないかというのが、検査院報告に書かれました趣旨であると思います。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと私、あなたの声が小さかったのか、私の耳が悪かったのか聞き落したのですが、大阪の例は資本金一千万円、それから他の機関から融資を受けておるのが三千七百万円、月間の売り上げが七千四百万円、こういう会社があって、これが国民金融公庫から金を借りていた、こういう御趣旨なんですか。違っていれば訂正してもらいたいのですが、その通りですか。
  50. 樺山糾夫

    ○樺山会計検査院説明員 その通りであります。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それじゃ総裁に伺いますが、あなたの方は国民金融公庫法の業務規定の範囲内で業務をするので、その範囲を越えてはいけないというのが法律の命ずるところだと思うのですが、たとえば国民金融公庫法四章十八条に「業務の範囲」とあります。この範囲内であなたの方の貸付業務を行い得るので、逸脱してはいけないのではないかと思いますが、いかがですか。
  52. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 おっしゃる通りで、国民金融公庫法第十八条、またそれに基、きます業務方法書というのがございます。それに基いて仕事をいたしております。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで右の第十八条の規定によれば、第一項には、「公庫は、第一条に掲げる目的を達成するため、大蔵大臣が審議会の議を経て定める計画及び指示に従い、生業資金の小口貸付の業務を行う。」第二項には、この貸付を受ける人は、「独立して事業を遂行する意思を有し、且つ適切な事業計画を持つ者で、銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、小口の事業資金を供給すること」をいう、これがこの条文の生業資金小口貸付の趣旨である、こういう趣旨の規定なんですね。そういたしますと、これから見ると、今検査院御指摘の大阪のある借り主は千万円の資本金を持っていて、他の金融機関から三千七百万円を借りておる、月の売上金が七千四百万円ある、一体こういうものがこの条文に該当するということは、常識では考えられません。これはきわめて重大な違反であろうと思いますが、いかがですか。
  54. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 資本金一千万円の点でございますが、大体資本金一千万円以下の法人を含めまして中小企業の概念に入れておるものでありますから、内規におきまして、大体一千万円限度までの会社、それ以上の会社貸してはいけないというふうなことをきめておったわけでありますが、最近になりまして、それでは少し高過ぎるのではないかと思いまして、これは昨年でございましたが、大体五百万円くらいのところでこれを切るようにいたしました。それから銀行その他一般金融機関から借り入れすることを困難とするもの、この解釈でございましたが、おっしやる通りの事例においては、私普通に考えましても少し行き過ぎておったかと思います。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなた、御承知なんですか、この事実を。
  56. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 行き過ぎておったと思いますが、ただその当時の事情におきまして、ほかの金融機関から限度一ぱい借りてそれ以上借りられないような場合で、しかもなお資金を必要とするものにごめんどうを見るまでの拡張解釈をするのはある意味において一般的にはよいのではないか、かように存じておった時代があったわけであります。そういうようなことでやって参りました結果、こういう例外中の例外の事件が起きまして大へん恐縮いたしたわけでありますが、その後そういう点を改めまして、たとえば銀行その他の機関から借り入れをするのを全部合せまして、千万円なら千万円ということを限りまして、それを越しておるようなものは全体としていたさない、あるいは月の売上高と申しますか、そういうものも業態によって違いますが、あるいは千万なら千万というふうな限度を作りまして、それ以上のものについては一応お断わり申し上げる、そういうことに昨年でございましたが、全面的に改めまして、現在やっておるような次第でございます、そこのところを御了承願いたいと思います。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは今指摘された大阪の事件はお調べになっておられるであろうかと思いますが、月に七千四百万円の売り上げをするというこの会社が、三千七百万円の融資を受けておるというのは、ちょっとわれわれは普通以上の融資能力、信用、常業の規模を持ったものと思うのです、月に七千四百万円というと年間八億円よりも多いのでございます。これは相当な商売人のように思うのですが、一体こういうものに法律に命ぜられております生業資金の小口貸付を行うということは必要なんでしょうか。一方中小企業金融金庫法によれば、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通するというような第一条の目的を受けて、業務の範囲というものを中小企業者に対する貸付の業務というふうに規定しております。やはりここは、例外中の例外か知りませんけれども、こんなばかばかしい例外をやったら、国民金融公庫は一体何をしておるのだと言われますよ。月に七千四百万円売り上げているのは、何の商売か知りませんけれども、相当な商人でなければならぬ。一体こんなものに貸す必要はあるんでしょうか。これは大へんな失態でないかと思うのであります。その後改めましたとおっしゃいますことは今後の問題、将来の問題で、これは別個の問題であります。こういうようなことはあなたの力としましては、はなはだしい違法の貸付のようにお考えになって、これを処置するというふうにせられなかったのでしょうか。いかがです。
  58. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 行き過ぎたかと存じたのでありますが、その後それの整理を進めましておそらく今大体済んでおるのではないかと思います。そのときは二百万円貸し付けました。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんな整理をしたかとかそういうことを聞くのじゃないのでありまして、私どもはこれがあまりにもひどい顕著な実例でありますから、そのひどい実例について、国民金融公庫としましては相当な覚悟を持って粛正しなければなるまいと思うのであります。こういうことを整理するとか取り立てるとか、そんな問題じゃないと思うのです。一体どこからそういうことが起るのだろうか。こういうものに貸し付けることがこの業務規定に反しておるとするならば、それは何ゆえそうなったのだろうか、特殊なひもつきの関係でもあったのですか、個人的な利害関係でもあったのですか、情実関係でもあったのですか、こういう点にまで掘り下げて、あなたの方としてはこれを処置するのが当然だろうと思います。それをしたのかどうか、それを聞いておるのであります。一体あなたの方は正規の申し込みに対して、実額はどのくらいのパーセンテージ貸付を実行しておりますか。
  60. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 大体申し込みに対しまして、件数で五割五分くらい、金額で現在四割二、三分になっておるかと思います。ただいまの事件につきまして、個人関係とかそういったいろいろな問題は全然ございません。ただその業種が、詳しく覚えておりませんが、電気関係のものを販売しておる事業であったかと思います。その業態から見まして、二百万円貸したわけでございます。おっしゃる通り、大へん多額な商売をいたしておる方でありますので、こちらからお手伝いしなくてもおそらくできたのかもしれないと思うのであります。そんなような関係でございますが、正常な取引でない何かの関係があったのではなかろうかというようなお疑いになるようなことは、私は全然なかったと存じております。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はしいてあなたに、改善されたというなら、追及したくないのだけれども、こんなことをかばっちゃいけませんです。断固処置しなければいけません。こんなことをかばって疑わしいことはなかったからどうであるとか、きたないものはなかったとか、そういう御答弁はどうかと私は思います。どういうわけでこういうことをしたのかということは、ほんとうに調査しなければいかぬと思うのです。そしてあなたの方の全国の一切の従業員に対して、そういうことをしてはいかぬということをやはり指示せなけりゃいかぬと思うのです。これは最近の国民金融公庫における最大の一つのケースとしまして、私は十分にその原因、結果等々いろいろな角度から検討せられなければならぬ案件であったと思うのです。ただ私はここで一つ指摘したのに、すぎないけれども、検査院は東京の例を幾つかおあげになりました。十幾つのものは類似のものであるかもしれぬということでありますが、これはどこかの怠慢であったのか、あるいは知ってこういうことをなさったのか、あるいは調査が不行き届きであったのか、それは何かきわめて重大な、常識では判断しにくいような原因がなければならぬと思うのであります。これ以上追及しませんけれども、もっと率直にお述べにならなければいけません。こういう重大なことは、国会で指摘されてもいい加減になさって、資料があるのないのというふうになさるべき問題ではない。もっと重視すべき案件であろうと思います。現に国民金融公庫でも中小企業金融公庫でも、ひもつきのみにしか貸さぬというような声すらちまたにあるのであります。そういうことはうわさだけに、とどまってほしいのであります。ほんとうに必要な適格者に流してほしいのです。あなたの金じゃないのです。あなたの金でなく、財政資金であるということを思いましたならば、今困っておる人に、ほんとうに貸すベきところへ貸してほしい、流すべきところへ流してほしい、この声がちまたに満ちております。そこでたまたまこの案件を取り上げて申し上げておるのでありますので、やはりこれはあなたとしましてはきわめて重視して、こうこうこういうふうな措置をとった、原因はこうであった、こういうことをほんとうに明確にここでお述べになる筋の問題であろうと私は思うのです。御所感だけ聞いて終ります。所感いかがでございますか。
  62. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 詳細に資料をもちまして御説明申し上げれば大へんよろしかったのでありますが、その点は重々おわび申し上げます。ただ今後の問題といたしましては、先ほど申し上げた通りでありますので、おくみ取り願いまして柳了承をいただきたい、かように存じます。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはりこれは今後のこともありますので、当委員会に御出席になりまする方は、たといいわゆる批難事項と指摘されておりませんでも、一応は——なおあなた方のたとえば法律の一部改正案が出るときは、山ほどの資料を持って国会にお臨みになるわけでありますから、決算委員会におきましても、一切の収支関係のあらゆる資料を整えてお臨みになるというような態度で、一つ出ていただきたいのであります、これはあなたの方のみに申し上げるのではないが、とかく検査院の不当事項、批難事項に上っておらぬ方向はこういうことになりがちでありますので、これは委員長から相当強硬に申し入れをしていただきたいと思います。
  64. 青野武一

    青野委員長 ただいま吉田委員から希望されましたように、本日の決算委員会で本国会七回目の委員会を開催しておりますが、そのつど委員諸君の要求する資料を持ってきておらない。あるいは数字がはっきりしておらない、記憶していない、ちょっと十分ぐらい車でとってくれば資料が間に合うのに、あるのかないのか、とにかくそういうような御答弁をなさる。そこで会計検査院報告書に基くスキャンダルだけを取り扱っておるのではない。この委員会はそのことについて全然記載のないことでも、膨大な予算を一年間に費消するのでありますから、必ず公明正大にこれが使用されていなければならぬ。そこでもし不当な行為があれば、もちろん糾弾されることは当然のことでありますけれども、資料は予算のときだけでなしに、決算委員会にも必要な資料は、不要だと思っても、各政府機関の当局者は一切をそろえて、この決算委員会に臨まれる御用意あってしかるべきだということは、幾たびか私が御注意申し上げたのであります、単に国民金融公庫の櫛田総裁だけに注文するのではありません、各機関当局もそういうような考え方で将来も決算委員会に臨まれることを、私からも熱望しておきます。  それでは七名の決算委員会理事のうち、出席せられておりまする五名の理事の方々の御承認を今大体求めたのでありますが、国民金融公庫一つの説明を終ってその質問を続けますと、非常に時間的に長くなりますので、以下御了承を求めてありますから、国民金融公庫をのけて、住宅金融公庫農林漁業金融公庫その他一括して、愛知用水公団まで残っておる七件を趣旨説明を願っていきたいと思います。
  65. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと国民金融公庫のことで、ごく簡単に御質問いたします。国民金融公庫は、一般金融機関からは金の借り入れが困難な方面に金融する。従ってこれはきわめて零細金融なのであります。そこでこの貸し出しは金利が安いということと、申し込みがあったならば処理を敏速にしなければならないということが大きな要素だと思います。そこでお尋ねしたいのは、あなたの方で借り入れの書類が提出されてからこれが処理決定されるまで、平均期間はどのくらいになっておりますか。
  66. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 ただいまのところ三十三日くらいになっております。
  67. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこでこれは私どもはよく聞くところですが、国民金融公庫の場合、申し込みをしてからその決定が非常にひまがとれる、こういうことを聞いておる。そこでこのことは私が大蔵委員であったときにもあなた方に御注文申し上げたわけであります。三十三日というのは、これはあなたの方から各支店に対して敏速に処理せよ、こういうことを通知してあることも私は承知しています。そこで支店の方では提出を受けてから処理をするのでは、これは三十三日が五十日にもなってしまう。そこで決定することを大体きめてから書類を受理する。書類を受理して初めてあなたの方へは通知するというような形に聞いておりますが、そういうことは今はありませんか。
  68. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 決定をいたしましてから件類を受理するということはないと思いますが、ただ融資相談と申しまして御相談に参りますお客様方にいろいろ御相談に応ずることはございます。それからまたあらためて申し込みをお願いすることはございますが、決定をしてからということはないと存じます。
  69. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は決定してからではなく、あなたの方でこれは貸せるとかこれは貸せないとかいうことを内部できめてから初めて書類を受理するから、三十三日でも二十日でもできる。事実は申し込んでから五十日も六十日もかかっているという非難をよく私どもは聞かされるので、この点をお尋ねしているのです。  それからいま一点はあなたの方の窓口が今度広がっただろうと思いますけれども、各県に大体事務所、主たる営業所は一カ所でありますが、そうするとそこへ行くのには十里、二十里というところを汽車に乗っていかなければならない、一日つぶしてひまをかけて行くわけであります。そうするとそれが三回も四回もあなたのところへ足を運ばなければこれが決定しないということになると、これはきめられた金利は高くはないかもしれない、安いかもしれないけれども、わずか二十万か三十万の金を借りるために五日も六日もつぶして何回も通わなければならぬとすると、これはやはり資金のコストが非常に高くなるわけです。そういう点からこの決定ナ敏速にすると同時に、そう何回も足を運ばせないで済むよりな方途をあなたの方でとられておるとするならば、どういうふうにとられておりますか、この点をお尋ねしたい。
  70. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 第一の点でございますが、内部で貸すか貸さないかというふうなことを決定いたしましてから申し込みを受理するということはございません。そういうことはやっておりません。全部申し込みを受け付けましてから審査して決定をいたしまして、それからお貸し出しの手続をいたします。そんな関係からいたしまして、平均して三十三日ということに現在相なっております。ただこれは平均でございますので、遠隔の場合には大へん困っております。それで御承知のように何度も足を運ばせるということになりますと、普通なら最小限度三回であります。最初はお申し込みのとき、その次は、その場ですぐにいろいろ御説明を伺うことができればいいのでありますが、申し込みが大へん重なっておりますので、結局日をあらためましてまたお越しを願って御説明を聞く、それからお貸し出しをするときにまたお越しを願う、さようなことになりますのが適例でありますが、それでは大へんでございますので、大体現在とっておりますのは遠隔のものについては代理貸付を利用いたしますのは別といたしまして、直接貸付の場合には、できればそこの市町村の商工会議所等においてまず申し込みをまとめていただく、それから日にちをきめまして当方から出張いたしまして、そこでいろいろ御調査をさせていただく。できれはお貸し出しのときもこちらにお越しを願うよりは向うに出向きましてお貸し出しをする方がよろしいかと思いますが、その場合には現金を持っていかなければなりませんので、最後のときだけはこちらにお越し願う、なるべくそういうふうにしてというのでやっておるのでありますが、さようにいたしますとある地方になりますと、これはまた人間関係と重なりまして、たいへん恐縮なのでありますが、ある程度申し込みがまとまりますと能率がいいということになりますので、そうなりますと十件なら十件まとまりますまでの間に、最初に申し込まれた方が日にちが延びる、そういう痛しかゆしの点がございますが、できるだけ出張調査、出張貸付ということを進めてやっておりまして、なるべく御足労をかけないように意を用いてはおりますが、まだ十分にいかないのは残念に存じております。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは出張調査も、あなたの方の予算の関係から十万か二十万か、わざわざ遠くへ出張して調査するとやはり非常に高くつくから、まとめてけっこうだと思う、それもいいとおもいます。ただそこで実情を見ますと、今あなた方では件数では五割五分、金額では四割五分、こういうふうで、申し込みに対して大体半数程度は応じられていないわけです。そこでこういう資金需要者が三十件なり二十件なり集まって、あなたの方で出張するとすると、おそらくこれは商工会議所のようなところが主としてめんどうをみてやっておるわけです、あるいは町村がやっておるところがある、そうすると、あなたの方の趣旨はそれでわかるが、今度は逆にそこでその衝に当るそこの機関との連絡がつかない、そこの了解が得られない、お前のところはだめだというようなことで、そこで大体はねてしまうという事例を私は幾つか聞いておる、その是正をあなた方ではどういう形でなさろうとしておりますか、そこに弊害は認めませんか。
  72. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 市町村なり商工会議所等、窓口と申しますと語弊がありますが、そこでおまとめを願うようなことにいたしますと、間々行き過ぎまして、ただいま御指摘のようなことが間々ございます。これは私どもとしましては広くどなたにも門戸を開放すべきものでありますので、そういうことがあっては大へん困ります。そういうことのないように、厳重にそういうこをお願いします方々に対して常時お願いをいたしておりますと同時に、先ほど言い落しましたが、郵便による申し込みの受け付けをいたしておるのであります。どなたでも郵便でもって遠隔地の方は私どもの方にお申し込み下さいまして、それがある程度その地方で集まりますれば、そちらの方にこちらから出向く、両方合せまして何とかそういう弊害の起きないように考えてやっております。御了承願います。
  73. 青野武一

    青野委員長 質問ないですか。—それでは次に移ります。時間の関係等もありますので、この際各当局の説明を先に聴取し、そのあとで一括して質疑を行うことにいたします。もちろん一括して御質疑願う場合、ただいままで御質問の続きました国民金融公庫関係も含んで一括して質疑を行うことにいたします。
  74. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 御質問がありましたらお答え申し上げることにいたします。
  75. 青野武一

  76. 坂口芳久

    ○坂口説明員 検査院の方から御指摘を受けました事項は、一つは貸付の方の目的外使用検査院から御報告にもありましたように十六件ございましたうち、十一件は是正いたしまして、ただいま三件につきましてそれぞれ繰り上げ償還その他の方法をとるように督促中でございます。  それから第二に御指摘わ受けました業務委託手数料の検討でございます。これにつきましては検査院の御注意もありました。御指摘もありましたし、かねがね私どもも考えておりましたので、この昭和三十一年度から旧料率に比較いたしまして、次のような改正を行いました。甲方式につきましては、三百万円以下につきまして、旧料率は実収利息に対して四割五分の手数料を取っておりましたのを三割八分にいたしました。乙方式につきましては、旧料率が三割でございましたのを二割五分にいたしました。また一件三百万円を越えるものにつきましては、旧料率が四割のものを、甲方式につきましては三割四分に、乙方式につきましては二割五分でありましたものを二割一分にいたしました。  それから次は昭和三十年度検査の御要望事項でございますが、これは開発銀行から承継を受けました貸付金に対しまする委託手数料の支払い方につきましての御注意でございまして、期限が経過して元金の回収のない債権も多いので、その手数料のきめ方が残高方式によるものがございますので、それでは手数料を払って、それに残高方式の手数料を支払うべきかどうかというような御注意でございまして、むしろそういうものは代理手数料を支払うかわりに直接管理した方がよかろう、こういうような御要望でございました。これに対しましてそのうち僅少債権、債権の非常に少い、ほとんどないものにつきましては、主務官庁の御承認を得て逐次直接管理に切りかえることにいたし、また復金承継第二次口につきましては、三十二年度から全部直接貸しに振りかえるよう計画いたしております。  非常に簡単でございますが、以上をもって追加説明といたします。
  77. 青野武一

    青野委員長 次に日本開発銀行、補足説明ございますか。日本開発銀行小林総裁は、数時間前に、、三時半には必ずそちらに行って私が説明を申し上げますというお約束でしたが、大体財界の巨頭であり、多忙な身でありましょう。どちらかというと決算委員会を軽視しておるような傾きがありますが、きょうは管野理事がかわりに御説明を願うことになりましたが、総裁同様に熱心にやっていただきたいと思います。
  78. 坂本泰良

    ○坂本委員 議事進行。ほかのをやって、総裁が来るまであと回しにして下さい。
  79. 青野武一

    青野委員長 日本輸出入銀行、補足説明ございますか。
  80. 古澤潤一

    ○古澤説明員 別に補足説明することはございませんが、御質問がございましたらお答えいたしたいと思います。
  81. 青野武一

    青野委員長 では次に農林漁業金融公庫総裁、来ておりますか。
  82. 山添利作

    ○山添説明員 農林漁業金融公庫の業務につきまして会計検査院から御指摘のありました事項につきまして、補足説明を申し上げます。  御指摘になりました事項の第一点は、補助金を受領したのにかかわらず、それに相当する金額の繰り上げ償還をしていないものというのでございます。これは主として災害復旧に関するものでございますが、公庫といたしましては緊急に必要なる金を貸しておる。しこうして国家から補助金をもらいました場合には、それを公庫の方に繰り上げ償還をしてもらう、こういうことになっておるのであります。ところがそれにつきましてなお繰り上げ償還をしていないものというのでございます。これは主として災害復旧に関するものでございますが、公庫といたしましては緊急に必要なる金を貸しておる。しこうして国家から補助金をもらいました場合には、それを公庫の方に繰り上げ償還をしてもらう、こういうことになっておるのであります。ところがそれにつきましてなお繰り上げ償還が行われていないものが相当数ある、こういう点でございます。この防止につきましては、補助金を交付します当局であります県庁と、それから私の方の受託金融機関との連絡を緊密にいたしまして、規定通り繰り上げ償還が行われるようにすることが必要なのでございまして、このことについて努力わいたしておりますが、最近農林省の方から特に県庁にも通知を出していただきまして、今後一そう県庁側の御協力を得て、このような事柄が少くなるように努めることにいたしておるのであります。なお会計検査院の御指摘になりました三十年度の件数につきましては、おおむね三割が現在までに是正済みでございます。  第二は農林漁業金融公庫業務方法書に規定する貸付限度を越えているものでございます。これは方法書によりまして、所要額の八割を限度として貸し付けることにいたしております。ところが実際事業をやってみました結果、事業計画よりも安くでき上った場合、あるいはまた途中で事業の計画変更がありました場合等におきまして、超過の貸付が起こるのでございます。この場合におきましては、超過分は公庫に繰り上げ償還をしてもらうことになっているのでございますが、それのできてないものが相当数指摘されているわけでございます。このことの防止につきましては、金の払い出しにおきまして——払い出しと申しますことは、一応貸付の契約をいたします、そうして現実に金を払い出しますのは、出来高証明でありますとか、あるいは工事担当者の請求書、受領書というような証書類をもちまして金を出すのでございますが、やはりそうしておりましても、間々こういうことが起り得るのでございます。一そう気をつけたいと考えおるのであります。  第三番目は、資金貸付の目的以外に使用されているものでございます。この防止につきましては、もとより審査について慎重を要しますと同時に、金の使途につきましては、先ほど申しますように出来高証明でありますとか、あるいは受領書でありますとか、あるいは請求書でありますとか、そういうものによりまして、資金の所要先、使途を確認して出すことにしているのでございますが、その間このような間違いを起すことがあるのでありまして、これは管理の粗漏というふうに指摘を受けましても当然でありまして、まことに申しわけがないのでございます。この点につきましても、今後一そう留意をいたして、このような御指摘がないように努めたいと考えております。
  83. 青野武一

    青野委員長 それでは次に商工組合中央金庫。御説明があればこれを許します。
  84. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 会計検査院から指摘をせられておりますものについて、補足説明を申し上げたいと存じます。  第一は、北海道澱粉協同組合連合会に対する問題でございますが、北海道澱粉協同組合連合会と申しますのは、道内の各地区に存在しております十一の協同組合の連合会でございまして、これら傘下の組合は、千数百名の組合員を擁しておるのでありますが、当金庫は毎年度、これら業者の原料買付等に要する資金貸し付けて参ったのでございます。会計検査院指摘の担保手形払出人日栄株式会社、これは御指摘の通り、資本金は百万円の会社ではございますが、小樽の商品取引所会員で、澱粉、水あめ等を取り扱って、年商五億円、地元一流の地位にあったために、連合会は澱粉、水あめ等の大口荷さばき機関としての立場から、日栄会社に大口売り込みを行う関係にあったのでございます。担保手形はこの両者の取引から生じたものでありまするが、手形を受け取るに当りましては、その主要取引銀行及び興信所によりまする調査の結果、信用状態が良好であり、連合会の資金繰りも十分検討を加えて貸付を行なったのでございます。連合会が日栄に対して大量取引をなす関係から、貸付が漸次大口化したことにつきましては、まことにやむを得ない次第であったのでございます。しかるにその後砂糖の輸入の増大等によりまする澱粉市況が悪くなりました関係からいたしまして、地元澱粉業界をあげて資金繰りに窮屈を感ずるようになりまして、融通手形によります資金操作を行うに至ったのでございまするが、結局日栄は、昭和二十八年五月に倒産に至って、連合会もまた資金の返済が著しく困難となりまして、延滞を生ずることになったのであります、これは当初いろいろ銀行等について十分に調査いたしました結果、信用状態が良好でありましたが、その後いろいろな関係から、市場の状況等からして困難になった、まことにむを得なかった事情があったようございます。  それから北海道の肝油工業協同組合に対する貸付金について御指摘がありましたが、この貸付金は、道内零細肝油粗製業者の精製肝油共同設備の建設資金として、国庫及び道の補助金のほか、当金庫よりの貸付を受けました。そのほかに、たとえば粗製肝油の買い取り資金として貸付をしたというようなものもございます、しこうして会計検査院の御指摘の担保手形振出人のローヤル水産株式会社と申しますのは、これまた資本金が百万円でございまするが、わが国の肝油の主要買付先でありまする米国五大肝油の取扱い業者の一つでありますノブコ・ケミカルと申しますものの代理店をしておりました。またそのはかインター・ナショナルフィッシャーの代理店をもかねておりまして、昭和二十六年度の取引の実績は、全国取引量の三割を占めておったのでありまして、肝油協同組合の大口売り込み先であったのでございます。当金庫の担保手形は、この両者の取引によって生じたものでございまするが、手形受け取りの際に当りましては、取引銀行等による信用調査の結果も良好であり、道内産業の維持育成並びに輸出振興に寄与することも少くないと考えまして貸付を行なったものでございます。しかるに輸出好況時におきます生産設備の乱設が原料の買いあさりを招きまして、原料町、製品安となり、これに加えて昭和二十七年度下半期に至りましては、豪州の合成ビタミンが米国に進出いたしまして、日本の輸出が急減いたしましたために、輸出、内需ともに悪化をいたしまして、業界は衰微の一途をたどり、昭和二十八年六月にはローヤルの手形が不渡りとなりまして、遂に倒産するに至ったのでございます。またこれがために組合の資金の返済が困難となり、延滞を生ずるに至ったものでございます。その間に組合が運転資金を設備に流用同定するというような事情もありましたことは、まことに遺憾と存じておるのでございます。ただいま問題になっております昭和二十九年当時におきまして、札幌支所につきましては多少問題がありましたが、何分にも北海道における貸付の対象が、原始産業に近いものが多く、かつ内地産業に比しまして、地理的経済的にいろいろ劣勢を免れないにもかかわりませず、地方の伸展のためになるべく貸付をはかったというような関係で、昭和二十七年、二十八年の両年度にわたって相当の資金の需要にこたえて、年間の件数が五千件ないし六千件、金額はおのおの百億円に及ぶ貸付を行なったのでございます。これは当時としては、わずかに商工組合中央金庫の支所としては、札幌の支所が一個所のみでありまして、これで対処しなければならず、また人員の充実も急速にはかることができない事情にありましたので、貸し出しに関する調査管理が多少不十分であったという点があったように思います。従ってこれらはその後できるだけ是正を加えて、良好なる結果を得るように努めて参ったのでございます。どうぞ御了承をお願いいたします。
  85. 青野武一

    青野委員長 次に日本開発銀行当局において補足説明があれば、これを許します。小林総裁
  86. 小林中

    小林説明員 それでは昭和二十九年度決算に関する会計検査院報告におきまして不当事項として掲げられました本行関係の事項につきまして、御説明を申し上げたいと思います。  振興飛鳥鉱業に対しまして、その親会社でありまするところの振興鉱業開発を連帯債務者に徴しました上、昭和二十九年九月に行いました開発資金貸付は、振興飛島鉱業がもと復興金融金庫から借り入れた復興資金、この債権は昭和二十七年一月本行が承継をいたしまして、自後管理回収に当っておりまするものであります。この取引ぶりが不良でありまして、そのまま放置いたしますれば、出炭も収益も当然先細りをして参りますので、償還がますます困難となるというふうに予想をされますので、飛鳥鉱業所の下部炭層開発並びに選炭設備合理化と、さらに離れ島の特性からいたしまして必要なる海底送電線の更新の工事によりまして、同社の出炭を維持し、採算点までこれを増強するとともに、操業を安定化して、出炭原価の引き下げを実現させ、従いまして既往復金債権の保全と回収の円滑化をはかる意味で行なった債権管理のための貸付でございます。従いまして、本件融資は決して不当な融資ではないと私どもは考えておるのであります。しかるに貸付後石炭の市況が、御承知通り未曾有ともいうべき市場悪化をたどりまして、当社とその連帯債務者でありますところの振興鉱業とのいずれもが、取引筋の商社の倒産というような事態が生じまして、多大の痛手をこうむったのであります。このために本行への元利支払いが延滞するに至ったことは、これまたまことに遺憾なことと考えておるのであります。しかしながら、昨三十一年春ごろから石炭鉱業界は従来の極端なる不況から次第に脱却して参りまして、一般に業況の立ち直りを見つつあるような模様でありますが、振興飛島鉱業におきましても、この市況の好転によって出炭、販売並びに収支ともに向上を見まして、昨年末における取引先商社の倒産等によりますところの財政上の痛手も、次第に回復して参ったのであります、この情勢を反映して参りまして、当社の本行に対します取引ぶりも、資金繁忙の中からも昨年三月以降毎月二十五万円程度の入金を続けて参っております。昨年中にその合計が百三十万円になっております。従いまして、特段の事態が生じません限りにおいては、このように逐次元利の償還が期待されるのではないかと、ただいまは考えておる次第であります。  以上が振興飛島鉱業に関するご説明の概略であります。御了承願います、
  87. 青野武一

    青野委員長 それでは、次に愛知用水公団の補足説明があればこれを許します。
  88. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 別に補足説明いたすことはございません。
  89. 青野武一

    青野委員長 それでは、最初に国民金融公庫に対する質疑が行われましたが、国民金融公庫に対する質問をも含めて、八件について総括的な質問を行います。発言の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 住宅金融公庫に伺いますが、二十九年度会計検査院の指摘によりますと、あなたの方は前年度におきまして貸付契約の計画が大幅に超過したということが記載されているのであります。これは計画を上回って計画通りに行われなかったものと思われますが、これはどういう内容をなすものでありますか。
  91. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 御指摘のように、前年度計画戸数を上回りまして契約いたした次第でありまして、これは私どもの方の貸付の例といたしまして、その当時の建設諸材料の高低あるいは供給の多少並びに近年は住宅に必要としまする宅地が御承知のごとく漸次入手難になりました関係もありまして、大体貸し付けてよろしいという見込みをつけまして、貸付決定をいたしました後において、その貸付承認を得た先がめいめい準備をして建築にとりかかりまして、御承知通り何回もの現場における実地出来形検査をいたしまして、その出来形に応じて予定の貸付全額を分割して貸し付けて参る。そうして実際に住宅が全部竣工いたしましたときに竣工検査をいたしまして、それまでの間に何回かに分割して貸し付けた金額を精算いたしまして、そこで初めて貸し付けた土地ないしは貸し付けた建物の登記をいたします、しかる後にこれらに対して抵当権設定をいたしまして、そこで初めて公正契約に乗りかえて、公正契約締結の翌月から償還に入るというような順序にいたしておりますが、その間建設して入居したいことを熱望しながらも、あるいは、予定の宅地が思うように手に入らない、または自己負担金が予期するごとく調達できなかった、あるいはまたごく少数ではありますが、建設業者との間の契約において円滑に住宅建設工事進行し、完了し得ないというような、諸種の隘路に乗り上げた場合において脱落する人もあるような次第でありまして、さような見地から、今までの経験にかんがみまして、予定の戸数、予定の全額を若干上回る貸付承認を当初は年々与えることにいたしておるのでありますが、ときにその見込みが実際に違いまして、貸付承認全体が公正契約に至らないというようなものも生ずる場合がありますので、そういうような原因をもちまして、前年度の計画を超過して公正契約まで至ったものもありますし、そういう関係で次年度は調整のために計画戸数を若干減じた結果にして、前後調整をはかった次第であります。御了承願っておきます。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度の分につきましては、住宅融資保険の制度があまり多く、行われなかったという状況でありますが、こういう保険制度が有利な便利なものであるならば、もっと十分に一般に利用されるべきであったろうと思う。これはどこか制度に欠陥でもあるのではないのですか、その点はどういうものでありましようか。
  93. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 お答え申します。三十年度から民間の金融機関が住宅建設のために貸し出す場合に、いわばこげついた結果に陥った金額を補償しよう、政府としては住宅金融公庫にこれを扱わしむるという特別法によりまして、業務を行なっておる次第であります。何分初めての年度でありましたので、法律成立実施後、われわれの方の宣伝普及も今から考えれば不行き届きな点が多々あったかと思いますが、また市中金融機関の方でもこれが御理解の足らぬ点があり、もっと言いますと一般貸付を得たい側も、そういう方法があることについてまだ周知を欠いておったということもあろうと思います。もう一つは一般市中金融機関としては住宅建設の資金融資のごとき、比較的年限が長いものには感情として今までなれておられない貸し出しであるせいもありますし、お貸し出しにくいという感情もあろうかと思います。いろいろなことで示された年度においてはまだ延びておりません。最近においては保険をつけた住宅建設資金の貸出額が十一億をこえたと思っております。係の者といたしましては懸命の努力をもってこの宣伝普及に努めている次第でございます。御承知願います。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは銀行があなたの方へ保険料を払うことになると思うのですが、保険料は金利がつくのですか、幾らなのですか。
  95. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 年利に直しまして二分ちょっと足らぬ程度に保険料としてはなります。それで、市中金融機関のお貸し出しの利息が七、八分というところでもありましょうか、合わせて約一割見当になるのが大多数の例ではないかと思います。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは構造としては銀行があなたの方へ保険料を払って、そしてあなたの方がその住宅のために保険する、こういうことになるのでございますか、そうでございますね。
  97. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 お答えいたします。あらかじめ各金融機関からお申し受けを受けまして、ないしは実はわれわれの方から宣伝もいたしまして、保険金額のワクをお互いに協定いたします。たとえば自分のところは五千万円、自分のところは一億までというごとく、金融機関住宅金融公庫とが保障金額の契約をいたすのであります。それでその金額の範囲内において市中金融機関が自己資金をもって住宅建設のために一般にお貸し出しになる、その報告公庫の支所に市中金融機関からお出しになれば、それでその金額、その件数において保険契約が金融機関公庫との間で成立したものとみる、こういう法律並びに付随の法令できめておりますので、さようなことに相なっております。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 金融機関公庫に向って保険金を支払うのですね。その支払う保険料につきましては、住宅融資を受けておる借主から銀行は金利を取っておるのでしょう、銀行から公庫へ保険料を支払って、その保険料の相当率の金利を借主から取る、こういうことに構造としてはなっているのではないですか。これは事実の関係でだいぶ失礼ですけれども……。
  99. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 自己資金貸し出すので、その貸付金利は金融機関としてはお取りになります。それに加えて公庫に納むる保険料を金融機関としては借り受け人に転嫁したいわけだと思いますが、これは大蔵省との話し行いにおきまして保険料の三分の二まで、それ以上越えては転嫁できない、こういうことになっております。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでその三分の二というのは、住宅公庫で家を建ててもらうといいますか、そういう立場の人としてはかなり負担が重いというような考え方ができやしないかと思うのですが、この点はどうしたものでしょうか、御所見だけ伺っておきます。もしそうであるとするならば、なるべくこういった公共の機関を利用して、またこういう一種の保険制度の運用の上におきまして、何重にも負担をこうむるというようなことはどうかと思いまするので、借主側の立場もできるだけ有利にしていくべきじゃないかと思います。こういう角度から、銀行手数料といいますか、保険料についての金利の率が少し多くはないかという感じもするのでありますけれども、この点もう少し事実の検討を要しますが、そういった感じを受けますので、あなたの御所見だけ伺っておきたい、こう思うのであります。
  101. 鈴木敬一

    ○鈴木説明員 住宅金融公庫から貸し出して貸家、すなわち賃貸住宅を建設してもらう貸付方法もございますが、これは今までのところ主として都道府県が出資もしくは貸与をいたしまして、大体建設費の二割五分程度を補い、残余の七割五分程度を公庫からその財団法人に貸し出して、賃貸住宅を建ててもらう、そういう貸付方法がありまして、今までに公営住宅にかわる賃貸住宅として相当量を建設しておるわけでございますが、この方は家賃を非常に抑えておるのであります。押えておるというのは、そういう企業を試むことによって、企業団体が利得を得ないように、私どもの方の低利長年期の政府資金は、その低利長年期であることの利益を直接庶民にお届けしたい、そういうことに万事の制度が極力努力を向けられておるのでありますが、同じ貸家と申しましても、いわゆる民間の営む貸家では、われわれの方から契約上で家賃を制限する云々のことは不可能でありますし、いたしておりません。一般には庶民住宅と申すのは、これは申し上げるまでもありませんが、一応不生産的、少くも非生産的のものであると心得えております。ところが民間で貸家を作って、他人に家賃を払わせて入れてあげる、こういう貸家業ということを考えますと、これはある程度、あるいは権利金をとるとか、いろいろな方法もありますし、若干生産的に近いような場合も多々あるかと思いますので、われわれが民間市中金融機関から住宅建設資金貸し出さしてもらうということの多くは、そういう部面に貸し出してもらって差しつかえない、かように思うわけであります。将来保険料の額の低利、減少ということは、お説のようにでき得るものならばもう少し縮減したい。市中金融機関の自己資金をもって貸す貸し出し金利とある程度合わされるのでありますから、なるべく安い方が好ましいとは考えておりますが、公庫が直接お貸しして賃貸住宅を営んでいただく場合の庶民住宅と多少異なる性質の場合もあるのではなかろうか。公庫のようにいろいろな条件をこまかくつけておりませんので、住宅を建設すれば足る、こういったような考え方で市中金融機関から用立てていただく場合、こういうことを考えております。多少の差が残ると思いますけれども、お説は今後よく参考にいたしたいと思います。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次に中小企業金融公庫につきまして委託銀行手数料の件であります。これは甲方式が四〇%から四五%、この四五%を三八%に減額する措置に出られたということは、これは当然であろうかと思いますが、どっちにしましても大体中小企業金融公庫貸し出し資金の金利が高いという声もずいぶんあるのであります。これはコストの関係からこういうことになってくるんだといえばそれまででありますけれども、しかし長期資金におきまして農業なんかに使っております金利と比較しますと、どうも高くてなお検討の余地が十分にあるのではないか、こういうように思われます。この際に委託の手数料実収利息の四割五分、こんなにたくさんとる。やがてこれは借主に転嫁されるかもしくはこういうものがだんだん減るということは、また別の方法を講じるならば、借主の負担を少くし得ることにもなるわけでありますので、これはやはり非常に、重大な問題でないかと思うのであります。中小企業金融公庫においてあちらこちらの銀行への委託があると思いますが、試みに、商工組合中央金庫の方もおられますが、商工組合中央金庫におきまして、委託手数料は年間どれほどおとりになっておるだろうか、こういう数子があげられますかどうですか。こういう御質問に対しまして卒然として資料によって御答弁願うことは御無理かもわかりませんけれども、その点いかがなものでございましょうか。どちらからでもよろしゅうございます。
  103. 坂口芳久

    ○坂口説明員 手数料は御承知のように四割五分を三割八分に下げましたけれども、なお今後も下げたいと思いまして、三十二年度の予算につきましては、三十二年度からの新規貸付につきまして、さらに一割程度の手数料を下げて参りたいというつもりで予算に載せておるようなわけでございます。  それから商工中金に対してどれくらいの手数料をあげておりますか、ちょっと私わかりかねるのでございますが、大体貸付残高が十七、八億じゃないかと思います。私どもの貸付は今九分六厘でございます。それから計算してみますと多少出てくるのではないかと思いますが、それの大体三割四、五分というところが平均になるのじゃないかと思います。今すぐに計算いたしかねるのでございますが、御了承いただきたいと思います。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 村瀬さん何か御説明いただけませんか。
  105. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 ちょっと今資料を持ってきておりませんから……。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なしくずしにだんだんお下げになるということもけっこうでございますけれども、これに引き当てる減資がどういう性質の金であるかによりましてコストも変って参りますことは申し上げるまでもございませんけれども、やはり中小企業対策の一環といたしましても、金利を下げる、長期低利に貸し付けるという大きな国の方針から見ますと、これは小さいようだけれども、一つ一つについてなるべくやはり中小企業金融公庫の存立の趣旨に沿うように、それぞれ代理業務をやっていただきたい。従って単に商業銀行であるから商業的ないろいろな角度からものを見るというがごとき、そういう考え方はもう各方面で払拭していただきたいと思うのであります。地方におきまして代理店の業務の実情についてわれわれが見聞するところによってみましても、本来の法律の趣旨、さっきもお聞き及びでございましたが、これが中小企業の育成振興のために重要な金融機関としての役割を持っていることは申すまでもございませんが、一方そうでないにかかわらず、営利的な商業的な考え方でこの金融を取り扱うというものがあることはもってのほかのことだと私どもは考えておるのであります。従ってこれは貸付の方針、態度、従って回収等にも関連があるわけでございますけれども、営利追求一点張りのような考え方でこれを操作されましたならば、全く直接貸しでもやらなければ実効が上らぬという面さえ生ずるのではないだろうか、こうさえ思っております。もっともまあこれは少し余論になりますので、きょう御指摘申しておりますることは、少しでもあらゆる角度から利用者の負担を少くして法律の趣旨目的の達成に寄与し得るものをわれわれは指摘していきたい、こういう観点から今の実収利息の四割五分もとっておることについて強い非難をしておかなければならぬと思う。なるほど三割八分に切った、何ぼに切った切ったというふうになしくずしになさることもけっこうですけれども、もっと大胆率直にこういうものの性格を根本的に批判して、これを建て直すととが必要じゃないかと思います。こういうような考え方でいいかげんにしておりましたら、たとえばこれを取り扱う代理店におきましても、自己の銀行等の立場が主になって、利用者の立場は第二になり、中小企業の法律の立法の趣旨目的が第二になる、そうして自己の業務に損害をこうむらないようなことが主になる。こういうようなことになりますると、全くこの商業銀行などのやっておる商業的な考え方と同じように取り扱われまして、この公庫の目的が現場におきましては片っ端からゆがめられてくる、こういうことをわれわれは見せつけられておるのであります。こういう角度から見ましてこれは抜本的に、もっと大胆に御検討あってしかるべきだと思うのであります。あなたも公庫をおあずかりになっておる方であるけれども、しかしながら半面においては利用する人の味方に立っておやりになることが、ことに中小企業に対しまして各般の根本立法を今企画されておる折柄でもありますので、こういう運営の面についても格段の御努力を願いたい。基準をどこに置くべきか、抜本的などういう対策を講ずるべきか、こういうような角度からもう一度再検討してもらいたいと思います。今の問題につきまして、なお将来のあなた方のお考えでもあれば一つこの際伺っておいた方がいいと思います。
  107. 坂口芳久

    ○坂口説明員 先ほども申しました通り手数料は来年度約一割程度新規のものにつきまして少い予算を計上いたしておりますが、私ども手数料を出しますにつきましては、各代理金融機関貸付に要しまする費用、それから危険負担というものを考えながらやってきております。なお私ども一番初めに四割五分にきめましたときは、承継いたしました債権等もございますので、それらの前の手数料をも考えながら順次下げて参ったのでございますが、代理していただく金融機関の方が私どもの代理をやることにつきまして意欲を失いましても中小業者に対して済まないというような点も考えますので、一挙に下げまして代理金融機関の方が私どもの方の資金を扱わないというようなことになってはならない、こういう配慮も一面しながらやって参っている次第でございますが、お話の次第もございますので、十分に今後のやり方につきましては検討して参りたいと思います。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 お言葉をお返しするようでありますけれども、金融機関が中小企業の代理仲介的な業務を拒否するのじゃないかという心配は絶対に無用であります。そんな金融機関は今日はなかろうじゃありませんか。その点では別に深く申し上げません。  愛知公団の方に伺うのでありますが、私は愛知用水公団は最近の日本の一種の土地開発あるいは特別なる事業公団と申しますか、きわめて重視すべき画時代的な公団と考えております。そこで特に余剰農産物等の資金関係があり、国庫の補助ももちろんあり、あるいは国際復興開発銀行等の融資もあり、こういうような特殊なルートから資金を流してきて持っているのであります。そこで根本的にあなたの方に伺ってみますが、資金管理の面であります。一体資金管理について、これは法律によりますとどういう法律の根拠によって資金管理なさっているのか、その点はいかがでしょう。
  109. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 愛知用水公団の財務の管理は、愛知用水公団法第四章財務及び会計という規定がございます。それともう一つ、愛知用水公団の財務及び会計に関する省令、これは昭和三十年農林省令第四十一号でございます。この二つによって管理されております。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 具体的に余裕金その他の事業資金、これはしからばどの条文によって管理しているか。
  111. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 愛知用水公団法第四十条に規定がございます。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この公団は資金管理する場合に、この法律によれば四十条の第二号に「農林中央金庫及び農林大臣の指定するその他の金融機関への預金又は郵便貯金」とありますが、これは愛知用水公団の金を、金利のつく保管の方法がある場合に、金利のつかない保管を続けるということはできないのではないかと思うが、いかがですか。
  113. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 愛知用水公団が農林大臣の指定する金融機関、たとえば銀行に預けるときに、金利のつく金でなくちゃいけないということは規定になっておりません。一部分の当座の急に応ずるために、ごく少数なのは当座預金にしておくこともございます。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 消極的には金利がつかねばならぬという規定はない、ごく少額であれば当座のものは無利息の預金でもよい、こういう御見解らしいんだが、しかしあなたの方は数百億円の資金を使う公団だから、六千万円は少額かもわからぬけれども、一日平均六千三百万円の無利息の預金を常時置いておくというようなことは、少くとも法律が余裕資金の運用について規定しておる趣旨にかんがみ、すなわち法律が資金管理について規定を持っておるというようなときには、かなり厳正な精神がなければならぬと思うのであります。これはあなた方の先輩の公団である国鉄の資金管理の規定等によってもわかるのでありますし、その他の公団の資金管理の規定によっても大体推測ができるのであります。だから金利がつかなくても、一日平均六千万円くらいの金は、少額の金だからよろしいというような考え方は、私は公団の設立の趣旨、公団の使っておる資金性質、国民が公団に許しておる法律上の制限、そういう点から見ると、少くとも穏当でないと思うのです。あなたは六千万円ぐらいの金ははしたな金で、わずかなつまみ金のようにお思いになっているかもわからぬが、しかしそれはとんでもないことであります。たとい千万円といえども、百万円といえども、やはりこれは一種の公金でありますので、もし銀行に他の方法で預金をするならば幾らかの金利がつく、しかもそれは何ら不便ではない、こういうような条件のある場合に、何を好んでそういう放漫な、粗雑な資金管理をなさるのか、これは私はどうも納得しがたいのであります。愛知用水公団につきましてはもっといろいろ聞きたいこともあるんです。けれども、きょうはそうも触れたくもないのですが、こういったこともやはりもっと真剣にお考えになってしかるべきではないかと私は思うのです。規定がないから法律に書いてないからというようなお考え方は、これは公団を管理する人の精神的な構えとしては、私は少くとも穏当を欠くと思うのです。少しでも有利に、少しでも有益に、少しでも安全に、少しでも設立の趣旨にかなうようにその資金管理し、運用することが、公団をあずかる者の責任なんです。その点についてどうお考えになっておりますか。
  115. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 お説の通り、なるべく利子のつかないむだな金は最少限度にとどめるというのが私どもの方針でございまして、やむを得ない当座の金を除くのほかは、有利子の預金または短期国債に運用しております。それで昨日の預金残高でございますが、当座預金は三千六百八十三万円ございます。このうちの三千万円は、公団の東京事務所の部屋といたしまして、虎ノ門実業会館の建物を百五十七坪賃借いたしております。その権利金と申しますか、敷金に見合うものが三千万円でございまして、純然たる無利子の預金は六百万円でございます。この六百万円くらいは、これだけの仕事をやっておるので、急に必要が起るとか、そういうときには要るのではないかと思っております。もっともこれもできるだけ当座預金は縮小していきたいと存じております。
  116. 青野武一

    青野委員長 ちょっと申し上げます。今、愛知用水公団に対して御質問がされておりますが、国民金融公庫住宅金融公庫に対しては本日は御質問がないそうですからお引き取り願いたいと思います。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの御答弁ではどうもよくわかりません。そうすると聞かねばなりませんことは、会計検査院の指摘しました一日平均六千三百万円の無利息の預金があったという事実は、その後改善されたというふうにも受け取れます。やはりこういう事実が相当経過的に続いておったのではないかということが一点と、それからもう一つは、なるほどあなたの方で三千六百八十万円は資金繰りに必要であるというような現在のお話でございますが、敷金を現金といいますか、無利息の当座で持っておらねばならないという、そういうものでありましょうか。敷金といえば、これはほかの方法で調達し得るのではないかと思われるのであります。どうもこの点は少し私は納得しがたいのであります。いずれにしましても、過去におきまして六千数百万円が毎日利息を受けずして寝ておったという事実、しかし今日はこういうふうに改善されておるということをあなたは御説明になろうとしておるのでありますが、どうもその点についていま少しはっきりしないのですが、いかがでございますか。
  118. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 公団発足当時におきましては、いろいろな設営なんかをすることで当座、金が要りましたので、敷金に加えるに三千万円あまりがありましたが、その後落ちついて参りまして、この資金を極力詰めて、ただいま申しました三千六百万円になったのでございます。その三千万円の敷金——権利金でございますか、保証金といっておりますが、公団といたしましては、そういう保証金ないし敷金のようなものは出せませんので——出さないと、今のいろいろの貸室の条件では絶対に借りることができません。やむを得ず、ちょうど公団の東京事務所が借りております虎ノ門実業会館に東海銀行の虎ノ門支店がございます。それでその保証金にかえまして、保証金相当金額を、虎ノ門実業会館並びに愛知用水公団の双方の取引銀行であるところの東海銀行虎ノ門支店に預金いたしまして、これをもって今の保証金というようなことにかえておるわけでございます。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 少しこまかくなりますが、敷金は四十条のどの趣旨に該当するのでしょうか。
  120. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 先ほど申しましたように、保証金は規定上は出せないのでございます。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出せないけれども、出すつもりで持っておる、こういうことになるのですか。
  122. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 持っておるわけじゃありませんけれども、ただいま申しましたようなことで当座預金をしているわけでございます。それで敷金の見合いということになっております。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、公団がある銀行に無利息の当座預金をしておることがある不動産を借りる担保になっておる、それを敷金という、くだいて言えばこういう意味ですか。
  124. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 さようでございます。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると敷金である以上は、もし極端に申せば、債務不履行の場合には担保権を行使せられるということになり得るのであります。そういうようなことも、表向きできないのでやっておるのだが、事実上は担保権を行使せられてこれを押えられるなどする危険もある。法律の構成はまことにへんてこな筋の通らぬような感じがするのですが、こういう問題について、資金管理、運用上の法律問題として、公団では法律的な検討を十分になさったのでございますか。
  126. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 初めの御質問でございます債務不履行、たとえば家賃の滞納その他のことで債務が生じたときに、その保証金をとられるかという御心配のようでありますが、そのことは何も約束してございませんので、その心配はございません。銀行に対する当座預金でございますから、銀行はこちらが引き出せば返すということになるのでございます。
  127. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかし敷金というものは、貸主のために提供するのが敷金であることは、これは失礼ですが申すまでもないことです。あなたの言うように、当座預金だからいつでも引き出せるんだということになると、一体だれのためにしておるのか。貸主のためにしておるのなら、出すことはできないというのが趣旨でなければならぬ。自分のためにしているならば、敷金の性格はないし、要するに担保の趣旨はないということになる。まことにこれは御説明自体は説明にならぬと思う。言いかえると、いつでも取り出せるということになるなら敷金にはならぬ、敷金にしようと思えば取り出すことはできない、こういうことにならなければならぬはずでありますが、どうもあなたのお説では、いつでも取り出せるんだと言いながら、実は敷金なんだ。いつでも取り出せるような敷金を預金してもらうところの相手の貸主は、大へん迷惑なことであります。名前だけの敷金をもらっているということになりますと、噴飯ものだということになるのです。ちょっと子供じみたことですが、いかがですか。
  128. 濱口雄彦

    ○濱口説明員 家主であると虎ノ門実業会館と東海銀行虎ノ門支店とにおきまして、もしそういう問題が起ったときには、当該銀行が全部めんどうを見ることになっております。公団はその点は全然無責任だ、こういう話し合いになっております。
  129. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう問題については、われわれみたいなしろうとがとやかく言う筋合いではないと思いますけれども、とかく大きな公団なんかになると、少々の金くらいというようなことが事務当局にはあり得ることでありますので、申し上げるのであります。愛知用水公団は今後に約束された幾多の事業を持っている公団でありますので、特に資金管理の問題については、もっと厳格な考え方で臨んでもらいたいと思います。検査院が指摘しました事実は、多く説明を聞くまでもなく、常識的に考えてふに落ちなかったのであります。それで検査院の詳しい説明を聞かずに、あなたへの質問にすぐに入ったわけでありまするが、やはりこういう特殊な金を使っている愛知用水公団は、資金管理と運用につきましては、こういう事実を指摘せられたならば、直ちにそれに対しては、いけなかったらいけなかった、もしそうでないならそうでないとしまして、もっと厳重な態度で積極的な答弁なり解明をされねばならぬ、こう思うのであります。これは一つ将来のために、設立の趣旨に十分に沿うように、厳重に資金管理と運営はやっていただきたいことを希望申し上げておきます。
  130. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 中小企業金融公庫の方にごく簡単に伺います。二十九年だと思いますが、私、当時大蔵委員をしておったとき、中小企業金融公庫資金源がきわめて薄いので、大口の貸し出しは控えて、大体全部を三百万円くらいに置いて、なるべく広汎に貸し出しをするようという要望事項が付帯決議されておると記憶しておるのです。今日その条件というものはすでに相当消滅されておると思いますが、その当時なぜそういうことができたかというと、かなり大口の貸し出しがなされて、事業者にあまねく行きわたらない状態が顕著に出てきておるということから、そういう決議がなされたと記憶しておるのです。そこで今日お尋ねしたいのは、たとえば相当大きな二千万なり三千万なりというものが貸されて、それが三年も四年も回収不能になっているというようなものが相当あるのじゃないか、こう私は考えたわけですが、そういうものがありましょうか。もしあったとしたら、二千万円以上あるいは三千万円以上のものが二年以上回収不能になっているものが何件くらいあるか、その点お尋ねします。
  131. 坂口芳久

    ○坂口説明員 私の方が設立いたしますときの国会で幾つかの附帯決議がありました。衆議院における附帯決議の一つに三百万円以下にという意味の附帯決議がございました。従いまして私どもの方といたしましては、三百万円以下とそれ以上との間に手数料につきまして差を設けておりまして、三百万円以下の方に手数料を厚くし、それをこえるものは先ほど説明申しましたように薄くしております。これなんかも国会におきます御要望、御決議を尊重したつもりでおりまして、今一件平均の資金貸付は大体二百十万か二十万見当になっております。
  132. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 いま一点お尋ねしますが、中小企業金融公庫貸し出しは、もちろん代理店舖を通じてなされておる。そこで代理店舖の運営について遺憾な点があるんじゃないかと思う。たとえば代理店舗が自分の債権を肩がわりするような形で行われている事例を聞くのですが、そういうことは今ございませんか。
  133. 坂口芳久

    ○坂口説明員 ただいま御指摘の点も、設立のときの国会の附帯決議の中にもございましたので、事業方法書の中に単なる肩がわりにつきましてはそれをやらないことにいたしております。しかしながら実際に私どもの方で監査いたしました際、また検査院の方で実地に調査をいただきました場合などに、たまたまそれを見つけることがございますので、その際はそれぞれ是正さしております。
  134. 青野武一

  135. 淡谷悠藏

    淡谷委員 開発銀行総裁にちょっとお伺いしたいのですが、二十九年度会計検査院から指摘されました中に、三九八ページですが、振興飛島鉱業開発株式会社関係貸付開発銀行としては珍しく大口に残っておる、このあとの処理が一体どうなっておりますか、また回収の見込み等について一つお話を願いたいと思います。
  136. 小林中

    小林説明員 先ほど振興飛島鉱業に対する貸付金に対しましては御説明を申し上げたのでありますが、開発銀行貸付金といたしましては珍しく大口ではないのでありまして、むしろ非常に小口に属するものではないかと考えております。その後の回収状況は、先ほど御説明を申し上げましたように、石炭業界が不況になりましたが、幸いに最近は順次立ち直って参っておりまして、昨年の三月以降毎月二十五万円程度の入金を続けて参っておりまして、ただいままでの合計が百三十万円入金をしているという状態になっております。
  137. 淡谷悠藏

    淡谷委員 珍しく小口でも大体一億近い金でございますが、このほかにもこういうケースはありますか。
  138. 小林中

    小林説明員 これは御承知通り債権管理のための管理融資でありまして、要するに従来復金当時におきまして貸し付けましたその資金回収難が起りまして、この炭鉱に新しい資金を入れて回復させて、そうして復金の債権の回収をはかろうという目的で融資をしたものでありました。その後におきまして、不幸にして石炭業界も非常に悪くなったというふうな事情が伴ったのでありますが、ただいま申し上げましたように、最近業界も順次上昇をしておりますのでさような入金になっておりますので、これは成績がよろしいわけでも何でもないとは考えておりますが、ただ銀行考えました目的は一応達している。今後の炭価の状況によりまして順次回収をしていくつもりで当時は貸したのであります。さように御了承をお願いいたします。
  139. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきの総裁の御説明はちょっと聞きましたが、総裁の御説明を聞きましても、この会計検査院の指摘事項に比べてみるとどうも説明がおかしい。第一は二千五百万円を貸し付けているが、多額の収益を計上しながら既往の貸付金に対して償還が著しく遅滞している。こんな成績の悪い会社にどうしてそういう非常に寛大な措置をされるのか、それが珍しく少額だと総裁は申されますが、これは一体どういう含みがあるのか、一つざっくばらんにお話を願いたい。
  140. 小林中

    小林説明員 会社自体に相当の利益があるにもかかわらず、開発銀行がその事業資金貸し付けたのではないかということが指摘事項の中にはあると思いますが、これは当時審査をしております竹俣理事から詳細にその内容は御説明申し上げたいと思いますが、銀行といたしましては炭鉱がかりにある程度の利益がありましても、その炭鉱経営のために経営としてそれが使われる。特にこういうふうな離れ島でありますと、送電線とかそういうものが腐朽しているということになりまして、これを回復しなければならないという資金が、この炭鉱を経営する上からどうしても必要であるというような観点から融資をいたしたのであります。
  141. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この炭鉱を珍しく小さな融資をしてまでもどうしても経営させなければならないという、何か特殊な国家的な観点がございましたか。
  142. 小林中

    小林説明員 この炭鉱をどこまでも維持していかなければならないという特別の理由は、私はないと思います。しかしながら事業という意味からいきますと、できるだけ炭鉱は維持し、出炭量を拡大していくことが、日本の国の基幹産業としては当然そう考えるべきものではないかと考えるのであります。と同時に、労務者等の問題を考えまして、見通しとして維持できる炭鉱である以上はこれを応援して維持し、特に復金当時の債券の回収もはかりたいというふうな考え方でさようにいたしたわけであります。
  143. 青野武一

    青野委員長 淡谷君、ちょっとお待ちを願います。  愛知公団の濱口総裁以下、御苦労でした。本日は質問がないそうですから、どうぞお引き取り願います。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一体この振興飛鳥鉱業株式会社並びに振興鉱業開発株式会社の社長は何という人なんですか、おもなる重役の名前とあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  145. 小林中

    小林説明員 竹俣理事から御説明申し上げます。
  146. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 一人は田中彰さんであります。
  147. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その人は女の方なんですね。
  148. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 いや、田中彰さんは男の方です。
  149. 淡谷悠藏

    淡谷委員 間違いありませんか。
  150. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 なお確かめましてから……。代表取締役田中隆博さん及び田中彰さん、このお二人が代表取締役であります。社長という名称はついておりません。
  151. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは、両方の会社ともに同じ重役、同じ社長あるいは代走ですか。
  152. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 いや違います。今申し上げましたのは振興飛島鉱業株式会社の方の代表取締役であります。続いて振興鉱業開発株式会社の代表取締役は鍛冶良作さんとおっしゃる方、田中隆博さんとおっしゃる方、このお二人が代表取締役になっておられます。
  153. 淡谷悠藏

    淡谷委員 総裁に最後に一つ見通しをお聞きしますが、この会計検査院の指摘によりますと、大体二十九年は大へん悪い成績、その以前も悪い成績、それから三十年もやはり悪い成績、三十一年の春からこの大体一億円に近い融資に対して二百万円入っておる。これが大体回収されるのは、お見通しは何年くらいかかりますか。
  154. 小林中

    小林説明員 貸し付けました当時におきましては、先ほど申しましたような理由によって貸し付けまして、炭況がその後われわれが想像いたしましたよりは悪かったために、私どもが考えましたような回収状況には参っていないのでありまして、ただいまにおきましては、利益によってこれを回収していくのに何年かかるかと申しますと、現在では何年かかるということはしかとは申し上げられぬのでありますが、あるいは近く解決がつくようになるかとも考えておるのであります。
  155. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは基幹産業ですから、また従業員の立場からも、つぶすことはむろん考えてはならぬと思う。しかし少くとも今年の例をもってすれば、三年措置で四十四ヵ年の年賦ですね。確か、二百万円というとそうなるでしょう。ですから、基幹産業をほんとうに助成されるような厚いおぼしめしがあるならば、ひとりこの両会社に限らず、私は会計検査院の指摘されないような方法をもって全炭鉱、基幹産業に対して、不況の場合は二年措置で四十ヵ年以上の年賦をもって償還されるような御措置をとるだけの大きな国策に対する御決意がおありかどうか、一点確かめて質問を打ち切ります。
  156. 小林中

    小林説明員 これは山自体の状態にもよりますし、そしてすでに御説明申し上げましたように、この融資自体が管理融資であります。最初から山の開発資金として貸したのではないのでありまして、管理融資で、古い債権を回収するという一つの目的をもちまして、融資をしたのでありますが、ただいまの成績から申しますると、お説の通り四十四ヵ年もかかるというふうな計算にならざるを得ないのでありますが、しかしながら石炭山というものは、不況のときには御承知通りの二、三年前の状態に落ち込むときもありますし、また好況のときには利益が予想以上に計上されるというふうなこともありますので、山自体の状況、またいわゆる管理融資であるかないかというふうな状況によりまして、おのずから期限はきめていくべきものだと考えております。
  157. 淡谷悠藏

    淡谷委員 資料を一つお出しを願いたいと思いますが、この両会社の代表と申しましょうか、おもな重役の住所、氏名、職業等を、代表的な人でかまいませんから次の機会にお出し願いたいと思います。少し私の聞いたのとは違っておる点もありますので、その上であらためてまたお尋ね申し上げます。
  158. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して。ちょっとお伺いしますが、この炭鉱の前の二千五百万円は開発銀行から借りたものであるが、三千万円はこの炭鉱が借りたものではなくて、これは石原産業の番頭をしておった万俵という人がこの炭鉱を経営しておって石炭が一かけらも出ておらないで、山に閉じこもって、電線は全部切ってしまう、電気がつかない、そこで村が困る。それから今言ったように、復金から三千万借りたが、住宅はほとんどいろいろな災害にあってこわれてしまった。その借金を引き受けてこの炭鉱が買ったのであって、その借金を払ったりその住宅を直したりやってきたものだから、そこで採算の都合がいろいろ悪くなったのでしょうが、開発銀行から借りたというのは、振興鉱業とそれから飛島で両方合せて二千五百万円を相当な担保でもって借りたのであって、三千万円はほかの人が借りて不能になった債務を引き継ぎしたものであるということをちょっと聞いておりますがどうですか。
  159. 竹俣高敏

    ○竹俣説明員 おっしゃられますように、復興金融金庫が貸し出しましたのは確か現在の振興飛島鉱業ではなく、その前身のものでございます。それが労働問題その他で行き悩みになっており、この炭鉱が借金付のまま引き受けられたということでありまして、お説の通りだと思います。
  160. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そこで、そういう三千万円の不能になったものを引き受けてそれを再興さすなら金を貸す。しかし担保も両方で相当入っているから、もしそういうものが不能であれば競売に付されて回収される、そうしてその金がもしそれでもってどうしても残ったものがあれば、それは保証人もあるだろうし何かされるものであって、そうここでこの問題を取り上げていってやる必要はないじゃないかと私は思う。それはあなた方の答弁も悪いのですよ。三千万円もこの炭鉱が借りておると言うから、それは五千万にも六千万にもなりますけれども、この炭鉱の借りたものは両方の炭鉱を保証にして二千五百万借りたのであって、三千万は前の不能なものであって、五年も六年もほうっておいたやつを利子まで引き受けて払うようにしたものだから、これは世の中によくあることなんで、お前があの借金を引き受けてくれたら更生資金を貸そうじゃないかという例もあるのだから、その当の炭鉱が全部借りたように思われるからちょっと大きなことになりますが、その点をはっきりしてもらいたいと思います。
  161. 小林中

    小林説明員 その点は再三申し上げましたように、この融資管理融資をしたのだ、要するに古い復金当時の債権を何とか生かして回収しようという目的のために、新しい資金を融通をしたということを申し上げております。
  162. 坂本泰良

    ○坂本委員 関連して、総裁にお聞きしたいのですが、先ほど造船疑獄リベートの問題が、総裁はおられなかったけれども、出まして、会計検査院の方では大体二億五千万円というわけですが、これに対して対策を立てておられるかどうか、その点をお聞きしたい。
  163. 小林中

    小林説明員 リベートの額は二億五千万円でありますかどうか、私今はっきり記憶はありませんが、しかしリベートとして現在裁判にかかっております問題は、リベートとして裁判所がこれを確定した場合におきましては、本行は海運融資の措置につきまして、いわゆるリベート性格とか意味につきましてはいろいろの議論もあると思いますが、本行といたしましては貸付のその率になった船価と申しましょうか、これは契約船価より低いのが一般となっておるのでありますが、これと実際の船価とを比較いたしまして、一般の船価逓減の場合と同様に、逓減額に本行の融資比率を乗じたものを算出いたしまして、そのできました金額につきましては即時償還を求めていくというふうな考え方であります。これを要約いたしますと、リベートであるということが裁判上確定いたしました場合には、その金額を即時に相手方に請求をして戻し入れをさせるというような方針に、当初からこれはきまっておるのでございます。
  164. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで一つ心配なのは相当この裁判は長くかかると思うのですが、民事上、商法上時効にかかるようなことはないかどうか、その点をお聞きしておきます。たとえば不法行為の問題で返還請求的な性質を帯びてくれば民法上では十年、商法上では五年になるわけですが、そういう点について懸念はないかどうかということです、
  165. 小林中

    小林説明員 この問題が起りました当時におきまして、銀行といたしましては債務者に通達をしておりまして、そのリベートが確定次第即時返還をすべきものだという通達も出してあります。と同時にこの債権自体が御承知の船舶建造資金でありますので、期限が十五年間くらいあるわけです。従って一応そういう懸念はただいまのところないではないかというふうに考えております。
  166. 坂本泰良

    ○坂本委員 正しい取引上の債務ならその契約に従うわけですよ。しかしこれが違法な、不法なものだとして、あるいは不当利得とかあるいは不法の行為とかいうふうに変って参りますと、性質貸付金でないものになってしまうのですね、そうすると今おっしゃったような十五年とか何とかいうことはできないのじゃないか、性質が変ればですね。不法行為による債務に変ってしまえば、そうすると別な時効の進行があるわけです。銀行の預金として十五年間の期限があるならば、その間は時効は進行しません。しかしリベートという金が別な、貸付金の中になくて不法なものであるというようなことに変ってくれば、時効が別に進行すると思うのです。そういう点まで検討して、今御答弁になったような確たる信念を持ってやっておられるかどうか、そこをお聞きしておきます。
  167. 管野義丸

    ○管野説明員 私からお答え申し上げます。今総裁からお答え申し上げましたリベートというものが確定した場合には、その額だけ船価が安くなったと見なしまして、それに開発銀行融資比率を乗じた額が直ちに期限の利益を失ってすぐに返還させる、こういうことは新しい債権を別の原因でもって開発銀行が得たということではございませんでして、すでに貸付した金額に対して期限前の償還をさせるという形をとって参りたいと思うのでございます。これは先ほど会計検査院の方から御報告がありました中にもありましたように、乗り出し費用などがあとの調査でもって実際に向うで言っておった額より少い場合には、やはり同じような問題が起りまして、その分だけは返させるということにいたしておりますので、御心配のようなことはまず起ることはないと思います。
  168. 坂本泰良

    ○坂本委員 今説明通りなら、これは契約上の期限がありますから、それが発見されたときに期限の利益を失って返還する、それはそれでいいと思うのです。ただしかしそれ一本にしておくとリベートが訴訟問題になりまして、たとえばその貸付の一部の金が貸しつけてはならないような金であって、貸付を否認して不法行為とかあるいは不当利得とかいう債権の性質が変ってくれば、その時効が進行するという心配があるわけであるが、そういう点まで十分検討されており、そうして今御答弁されたようなことで間違いないという確信を持ってやっておられるかどうか、まず一つは検討されたかどうかですね。そしてその結果によって間違いないかどうか、その点をお伺いしたい。
  169. 管野義丸

    ○管野説明員 先ほど申し上げましたように、乗り出し費用がこちらに申請した額よりは少かった場合ということがこちらの実際調査でもってわかった場合には、そういうふうな期限前返還を要求しておりますが、原因は違いますが、結果におきましてリベートというものが確定した場合には、それだけ船主の手取りが多くなって、船主が払う金が少くなって船価が安くなったということになるものですから、大体乗り出し費用などの少くなった場合と同じに見て期限前償還をさせるという方針をとっておるのでございます。別の債権債務の関係が発生して、それが時効にかかるおそれがあるという点につきましては検討をいたしておらないのでございますが、お言葉によりましてなお専門家の意見も聞きまして、さっそく検討いたしたいと思います。
  170. 小林中

    小林説明員 ただいまの御注意はまことにありがたい御注意だと思います。これは私ども銀行内におきまして十分法律的に検討をいたしたいと思います。
  171. 青野武一

    青野委員長 先ほど来炭鉱融資の問題について日本開発銀行小林総裁その他に御質疑がありましたが、この問題は円満解決のために双方非常に努力をしておりまして、まだ内部の問題が解決をしておらないように聞いておりますので、この問題は他の機会に御質疑を願うことといたしまして、一応この問題外の御質問を願いたいと思います。吉田賢一君。  吉田委員にちょっとお願いしますが、会計検査院報告の直後に、日本開発銀行小林総裁に御質問がありましたが、そのときはまだ御出席になっておりませんので、一応便宜上そのときに御質問なさったことをもう一度御質疑を願って小林総裁の御答弁をいただくように……。
  172. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 実は今坂本委員が御質問になりましたリベートの返還を求めるべき権利についての質疑であったわけでありますが、それは大体あれで尽きたと思います。やはり最終的にはこの問題は利子補給に関する一般債権とは性格が違うという点を十分に研究もされるそうでありますから、私はそれでいいと思います。  なおついでですから申し上げておきますけれども、この種の問題は訴訟に巻き込まれまして日時が経過することをうっかりとするのが、これは法律家もよくあることであります。顧みてみるとどうにもならぬということが実際あるのです。そういうこともありまするし、公判すでに開くこと百回、いつ済むやらわからぬというのがどうも法務当局の御説明でありますから、そういう点も十分に御考慮になるべき性質のものだろうと思います。今の点はそれでいいのです。  そこで商工組合中央金庫の件です、これを伺っておきます。これは商工組合中央金庫の北海道の不当貸付の件でありますが、これは北海道という特殊な経済的、社会的ないろいろな条件のもとにあるこの種の連合合とか協同組合などの立場のこともさることでありますけれども、検査院報告書並びに本日お出しになりました金庫からの是正措置の要旨等からも帰納いたしまして、ずいぶんとひどい放漫な貸付であったといわざるを得ないのです。これはどういう事情、原因があったにかかわりませずに、私はこれを読むだけでも少しまれな大きなミスを支所長はやっておるように思うのであります。ところが最後に是正措置の具体的内容としておあげになっておりますところは、所長は厳重に訓戒をせられて、そうして新潟に配置がえをせられておる、こういうことであります。今この人の処分をどうしなさいと私は申し上げるのではないのであります。やはりかような大きな失態は根絶するというような対策を講じなければなるまいと思いまするし、当時の事情やむを得なかったということは少しく寛大にすぎるのではないであろうか。事情もさることでありますけれども、このような者に対しまして、金庫といたしましてはもっと厳重に回収確保の可能性を検討をしなければならなかったことはもう私は論議の余地がないように思われます。この説明を一読しまして、また御説明を拝聴いたしておりますると、何かやむを得ざる原因に出たよな御説明もちょっと伺ったのでありますけれども、どうもその点が非常に緩慢にすぎはしないか、こう思うのであります。もしそういうことでございますると、再びこういうことがあったときはこれは収拾しがたいものが内部に温醸されておる危険も将来考えなければいけませんので、私どもは、この指摘をされたのは二十九年度の案件でありまするので、これはやはり抜本的に、一切こういうことの大小にかかわらずなくするというくらいなあらゆる措置がとられなければならなかったのではないであろうかと思うと、どうも非常に原因をしんしゃくすることが相当なされ、そうして措置が厳格ではなかったという感じがしてならぬのであります。理事長、これについてどういうふうにお考えになっておるか。
  173. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 ただいま御指摘の通り、多少管理の点等について問題はあると存じます。しかし他方においてやはり今お話もございましたように、北海道のいろいろの特殊の事情もございまして、それからまた一方において関係者の責任に帰し得ないような経済上の変動もありましたので、全然そういうものだけとは申しませんが、そういう点もありまして、十分そういう点もしんしゃくしなければならぬ、かように考えたのでございます。しかしお話のようになお考うべき点もありまするので、将来こういう事件が再び起らないように十分に注意をすることについていろいろの措置を講じております。先ほど申しましたように、北海道は非常に広いのですが、従来そこに札幌の支所だけしかなかったのでございます。その後やはり管理上もう少し店をふやさなければいけないというので、札幌以外に函館とか、あるいは帯広等に事務所を設けまして、そうして管理の遺憾なきを期しておる、それからまた人員もすぐには増加ができませんでしたが、だんだんに増強して参ってきておる。それから本所においてもやはりそれに関係がありまする調査部を設置するとか、検査部の人員を拡張するとか、いろいろの措置を講じておりました。それからまた支所の当面の責任者、一番衝に当った人は死んでおりまするが、支所長をやはり従来札幌の支所長から新潟、これはずいぶん格が下っておりまするが、そちらの方の支所長に転任させて、また昇給する場合にも普通の昇給でなくて、相当考慮した点がございます。そういう点で将来こういうことが再びないようにしたいといろいろ努めております。しかし繰り返して申しまするように、なるほど管理その他において非常に考うべき点がありまするが、他面においてやはり経済上の変転、また北海道の土地の状況等いろいろございまして、そういう点もあわせて考えなければなりませんから、あまりに厳格だけで参りますると、また将来の貸し出しのいろいろの点について萎縮してもいけませんから、いろいろの点を考慮して、この程度の措置が適当ではなかろうか、かように考えて措置をいたしたのでございます。
  174. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局澱粉協同組合連合会並びに肝油工業協同組合の関係につきましては、金庫としましてはどのくらいの損失が生ずるという見通しでございますか。
  175. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 債権の回収につきまして最近の状況をちょっと申し上げまするが、まず北海道——要するにその担保物件の換価処分とか担保手形の取り立て、それから所属組合に対する債務引受け、こういうような方法で、大体最近までに約三百万円の入金をしております。  それから債務引受は四千二百万円の債務の引受を見ております。なお担保物件の競売によりまして近く百八十万円程度の入金を予定しておる。これが澱粉の方の問題でございます。それから肝油の方の点については、やはり担保物件の換価処分、それから割引手形振出人に対する追及に努めました結果、最近までに約七百二十万円の入金を見ております。なお今後担保物件の処分とか、担保手形の振出人に対する追及とか、保証人に対する追及等によって回収努力したいと存じまするが、なお多少損失を生じたという点についてはまことに遺憾に存じておりますので、全体の問題としては、先ほど申しましたように、いろいろな方法を講じて、今後こういう事件のないように努めたい、かように考えております。
  176. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これはまだ要するに最終の損失に落すという段階には至らずに、回収努力をしておるというふうに解していいのですか。
  177. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 はあ、さように努力をしております。
  178. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもこの問題は少し弁護に過ぎるあなたの御答弁のような感じがしてなりませんのですが、私はこの種の金融機関をお預かりになっておる方といたしまして、緩厳よろしきを得て、それぞれの職員の指導をなさねばならぬ、これもよくわかります。よくわかりますが、同時に何千万円の損害をかける、何億円の被害をかけるというようなことが、今日の無数の国民の上に与える心理的影響のこともお考え願わなければならぬ、こう思います。わずか一万円くらいの損失等によって会社を首になったという最近のある会社の社員の実例も私は知っておるのでありまして、そういう人から見ると、格下げか何か知りませんけれども、なおそれぞれ地方の重要の任務についておるということでありますると、少し寛大に過ぎるのじゃないかと思います。しかしこれは一応将来のことにしたいと思いますが、いずれにしてもそういう国民に与える心理的影響というものも意外に重大な要素であるということもお考え願って、この種の金庫の運営にお当りになることが私は当然であろう、こう思うのでありまして、これは少し議論にわたりますからあえてこれ以上は申しませんけれども、しかしいずれにいたしましても相当な損害が現に生じ、また将来回収することが困難な相当額があることは、これは間違いないとわれわれは判断せざるを得ないのであります。一つ今後の善処を要望しておきます。
  179. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 お話しの点は十分承知いたしました。
  180. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 理事長にお伺いしますが、あなた方の考えと、この決算委員会のわれわれの考え方と考えを変えている。これは商売が失敗してそれがとれなくなって破産しようと、そういうものは一向決算委員会関係ないのです。ただ相当な担保をおとりになっておって倒れた場合においては、少くとも担保を競売すれば最低六割なり七割は取れたはずです。担保が取ってあるかないかが問題であって、商売の倒れるとか倒れないとか、その人が金を払うとか払わないとかは決算委員会の以外のことなんです。その担保というのは一体どの程度お取りになったのですか。
  181. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 その担保の見積りですね。たとえば肝油について申しますと、その以後に豪州で合成ビタミンというものができまして、従来の肝油が非常に悪くなってしまった、輸出が以前ほどきかなくなってしまった、そんなふうな事情がありますから、担保もそれに応じて価格が非常に上下する。ですからとる分には十分考えてとっておりますが、そういうような経済上の変動もありまして、それで思ったようにいかなかったという点が相当にありますので、この点どうぞ御了承を願いたいと思います。
  182. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 機械設備はそうなのですが、炭鉱なんかでも社宅とかそういうものは、つぶれてしまうと二束三文になるのですが、土地とか家屋とか、そういうようなものは——二億からのものですから、相当おとりになったのでしょう。
  183. 村瀬直養

    ○村瀬説明員 もちろんとっております。しかし全体の工場なんかが当初の予定通りいかなかったという事情も非常にあるのであります。
  184. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 土地とか家屋なんていうのはそう値段が下るものではないのですから、処分されれば相当なものが入ると思う。お宅の方でも、もしそういうような、回収が不能となったら、やはり競売でも何でもされて回収されるということは必要だと思うのです。相当な担保があるのだから、競売されればいい。競売されないでほっておけば、機械はさびる、住宅はあき家にしておけば悪くなる、下ることはわかっておるのだから、やはり競売されて、とるものはおとりになって、あと残ったものに対する処置考えるというようなことに出られれば、そう私は被害はないと思う。貸付の場合に政治力で圧力をかけられて貸したとか、あるいは担保がとれないとか、十分な担保がないとかいうような場合には問題にもならないが、担保をほんとうにとられたならば——あなたの方がそれを処分しないでおいて家屋がだめになっちゃう、土地は荒れ地になってしまったというときにはあなたの方の責任でしょうけれども、私は始終言っておるのだが、いかぬと思ったら担保の処分を早くされるという慣行を金融界が持ったらいいと思う。信用して貸したりあるいは政治力で貸したり、情実で貸したりした場合は担保が不足している。十分な担保があるはずがない。けれども、担保の処分をされれば少くとも七割程度の金がとれるとかなにするということは私はあると思う。担保をとるということを十分にやられるならば——われわれが聞いておるところでは、とっておられるのだけれども、北海道は担保を機械設備でとられたとかあるいは家屋でとられたとか、あるいは売れないような商品でとられておるように見ておるのですが、やはり回収不能のときには、思い切って、どんな関係があろうとも担保を処分する。貸すときは担保を十分とって貸す。やはり十分やるだけのことはやって、そうしてだめならだめということをあからさまに発表してやられた方がいいと思う。とる担保に注意し、担保処分を手早くやるというようなことに出られた方が、私はこの債権ばかりではない、どの債権についてもそうされた方がいいと思います。その点を申し上げておきます。
  185. 青野武一

    青野委員長 田中委員にお尋ねします。村瀬理事長の御答弁は要りませんか。
  186. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 要りません。
  187. 青野武一

    青野委員長 他に御発言ありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 青野武一

    青野委員長 それでは関係者の方にお引取り願います、御苦労さまで  した。     —————————————
  189. 青野武一

    青野委員長 次にお諮りいたします。先ほどの理事会で御協議願ったのでありますが、昭和二十九年度決算も一応一通り審査をいたしましたので、政府関係機関の収支(日本国有鉄道経理)に関する件につきまして調査を進めたいと存じますが、つきましては、本件に関し来たる二十六日火曜日に、参考人として国鉄部外団体等公正委員会委員長工藤昭四郎君、運輸審議会で本問題について公述した石山賢吉君、国鉄経営調査会会長有沢広己君、同じく委員稲葉修三君、以上四名の諸君の出席を求め実情を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者〕
  190. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  他に御質疑はありませんか。——質疑はないものと認めます。  それでは愛知用水公団外政府金融機関七件についての質疑は、本日に限りこの程度で一応終ります。  次会は明日午後一時より会議を開く予定にしておりましたが、都合によって取りやめることにいたします。  明日午前十時より衆議院表玄関に集合して、理事及び委員の希望者は率先して防衛庁当局との対談、調査及び視察することに打ち合せが完了しておりますので、御参加方を希望しておきます。  次会は公報をもって御通知することとし、本日はこの程度をもって散会いたします。    午後五時四十三分散会