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石渡会計検査院説明員 三十
年度決算検査報告の部につきまして御
説明申し上げます。三十
年度決算検査報告の二二五ページに「
昭和二十八、二十九両
年度の
検査報告掲記事項の
事後処理状況について」とありますが、これについて御
説明します。二十九
年度に
補助が不当であるということを指摘しましたもののうち、
国庫補助を
返還または減額するとしておりますのが十一件ございますが、これについては三十一年九月末現在十件が
処理済みになっております。また二十八
年度の
決算検査報告に掲記しましたもののうちで、
国庫補助金を
返還または減額するとしておるもので、三十年九月末現在未
処理となっておるものが十二件ございますが、その十二件は、三十一年九月末現在に至ってなお
処理されておらないものが三件ございます。また二十九
年度の
掲記事項のうちで
手直しまたは補強するというもの十七カ所を
実地に調査したのであります。調査は、三十一年二月から八月までの間に
現地を調査したのでありますが、この十七カ所のうち十五カ所は
工事が完成しておりまして、二カ所につきましては、一カ所が
工事中、一カ所が未
着工という状態でございました。なお二十八
年度検査報告に指摘されました
手直しまたは補強するとしておる
事項四十八カ所についても同時に
検査をしたのでありますが、この二十八
年度分につきましては、四十八カ所が全部完成しておりまして、さっき申しました二十九
年度分の
工事中または未
着工の二カ所につきましては、三十一年九月末現在
工事を完了した旨の
報告に接しております。
事後処理はおおむね良好のように見受けられます。
次に一九四七号から一九五〇号、
経理の紊乱しているもの、これについて御
説明します。
群馬陸運事務所ほか三カ所におきまして、表があがっておりますが、その表の期間にわたりまして
車検用の
庁費あるいは
旅費、こうした
科目から
架空にまたは実際の
経費よりもよけいにつけ増しして支出しまして、それを現金で置いておきまして、下の欄の
使用というような
使途に使っております。
旅費として配分したものあるいは
接待費、
物品購入費、
臨時職員給料、こうした
経費に充当しておるのであります。この
使途につきましては、大部分の
経費につきましては
成規の
予算科目から
成規の
予算を
要求して支出して差しつかえないような性質の
経費でありまして、そうした
成規の手続をとらないで、きわめて簡易な方法によってこうした
架空経理をしておるということははなはだよろしくない。
検査院としましては従来こうしたところまで手が伸びなかったのでありますが、本
年度初めてこうしたところに
検査の手を伸ばしていきましたら、こうしたおもしろくない
経理が発見されたのであります。これは担当の者の
予算に従って
事務を執行するという観念が非常に薄いことがこうした結果になる一番大きな原因でありますが、一つは、さっきも申しますように、
現地の事情に即応して適応した
予算を流してやる、
支出官が
資金を
交付する際の
予算的配分についても十分に考慮する必要があると存ぜられます。
次の物件の一九五一号について御
説明申し上げます。これは
運輸省所管の
海技専門学院で
通信教育用として
購入した本が多過ぎたという
事例でございます。三十年九月及び十一月に三万九千三百五十冊のものを七十万六千九百円で
購入しておりますが、このときの
昭和二十九
年度末の
在庫から見て、二十九
年度末の
在庫が十八万八千九百七十九冊でありまして、これは大体この
学院の年間の
必要量の三倍から十倍に当っております。いろいろな
種目がありますが、
種目によれて多少の違いはありますけれども、いずれも非常に大きな
在庫を擁している。従ってこうした
在庫を考えれば、三十
年度に
購入した三万九千冊のものは全然
購入は必要がなかったものである。
運輸省におきましては、同
学院から
四半期ごとにこの
通信資料の
配付状況について
報告を徴しておりますから、そうした
報告からよく検討すれば、
購入する必要はなかったということはすぐにわかるのでありますが、そうした検討を十分にしないで、同
学院の
要求をそそのまま採用して
購入したために、こういうよけいなものを
購入するようになったのであります。
次に
公共事業に対する
国庫負担金等の
経理当を得ないもの、一九五二から一一九六について申します。これは二十九
年度分と同じような
検査をしたのでありますが、二十九
年度は二十八
年度よりもよくなっているということを申し上げましたが、三十
年度はさらによくなっておりまして、ちょっと数字を申しますと、
会計検査院が
検査をした
個所と
個所に対する
不当工事が発見された
個所の数の比でありますが、二十八
年度が一三%、それに対して二十九
年度が五・二%、三十
年度が一・三%ということになっております。また
検査院が
検査した
工事の総
経費とそれから組まれている
不当工事の
金額の比において、二十八
年度が一・二%、二十九
年度が〇・五%、三十
年度は〇・一二というふうに顕著に改善されております。これはさっきも申しましたように、
運輸省の
指導もさることながら、
実施機関の
地方公共団体の
自覚に待つところが非常に多かったと存ぜられます。それでも、だいぶよくはなりましたけれども、なおここに掲記されておりますように、十二
工事、五百十八万六千円という除外すべき
金額がありましたことは、きわめて遺憾に存ずるのであります。次に二件ばかりその代表的な
事例をあげてございます。
それから次に一九六二号から一九六三号の
災害復旧事業の
査定額を残額したもの、これはさっきもちょっと申し上げましたが、二十八年、二十九年、三十年と三年間継続して同じような見方で
査定がいいか悪いかという
検査をしたのでありますが、これにつきましても、
運輸省の
実地調査、現場を実際に見て
査定をするということが非常に浸透しまして、三十
年度は
災害の九六%は
運輸省が自分で現場に行って見ておられるというような点もありまして、非常に改善されております。さっきと同じように比率を申し上げますと、
検査院が
検査をした
個所と
不当工事の組まれておる
個所の
個所比におきまして、二十八
年度が二〇%、二十九
年度が一一%、三十
年度が七・七%、
金額比におきまして二十八
年度が七・六%、二十九
年度が二・五%、三十
年度が一・六%、こういうように改善をされてきております。しかしながらなお十八
工事、
工事費におきまして、五百五十八万円ほど
国庫負担額におきまして四百二十三万円ほど
査定を減額すべきものがありまして、
運輸省に注意しましたところ、
運輸省はこの額を実施に当りまして減額をするということになっております。以上であります。