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1957-02-19 第26回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 山中 彰治君 理事 本名  武君    理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    臼井 莊一君       櫻内 義雄君    淡谷 悠藏君       片島  港君    神近 市子君       上林與市郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 光夫君         運輸事務官         (海運局長)  粟津 一男君         運輸技官         (港湾局長)  天埜 良吉君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳沢 英蔵君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    辻  章男君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         会計検査院事務         官         (第三局長)  石渡 達夫君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     小林 重国君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  今井 四郎君         日本国有鉄道参事         (管財部長)  中路 誠三君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書  昭和三十年度一般会計予備費  使用調書(その2)  昭和三十年度特別会計予備費  使用調書(その2)  昭和三十年度特別会計予算総  則第十条に基く使用調書  昭和三十年度特別会計予算総  則第十一条に基く使用調書  昭和三十一年度一般会計予備  費使用調書(その1)  昭和三十一年度特別会計予備 (承諾を求める  費使用調書(その1)   の件)  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書  昭和三十一年度一般会計国庫債務負  担行為調書     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  去る十二月内閣より提出され、同日付託されました昭和二十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用調書昭和三十一年度一般会計予備使用調書(その1)及び昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その1)、以上六件につき承諾を求めるの件並びに昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為調書、以上八件を一括して議題に供します。  まず大蔵大臣より以上の各件につきましてそれぞれ説明を求めます。
  3. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計予備費使用調書ほか五件の事後承諾を求める件について、御説明申し上げます。  昭和三十年度一般会計予備費予算額は八十億円でありまして、このうち財政法第三十五号の規定により、昭和三十年四月十五日から同年十二月二十七日までの間において、使用決定いたしました四十四億一千三百二十余万円につきましては、第二十四回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、すでに御承諾を得ましたが、その後昭和三十一年一月十七日から同年三月二十七日までの間におきまして三十五億七千七百九十余万円を使用決定いたしました。  そのおもな事事は、河川及び都市災害復旧事業に必要な経費租税還付加算金に必要な経費農業施設災害復旧事業に必要な経費裁判費不足を補うために必要な経費漁港施設災害復旧事業に必要な経費退官退職手当不足を補うために必要な経費等であります。  次に、昭和三十年度特別会計予備費予算総額は六百五十三億二千六百五十余万円でありまして、このうち昭和三十年九月十三日から同年十二月二十三日までの間において、使用決定いたしました三百四億八千八百余万円につきましては、第二十四回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、すでに御承諾を得ましたが、その後、昭和三十一年一月十七日から同年三月二十七日までの間におきまして六億一千九十余万円の使用決定いたしました。  その主な事項は、郵政事業特別会計における業務運営緊急措置に必要な経費厚生保険特別会計における日雇健康保険給付に必要な経費漁船保険特別会計における再保険金等支払いに必要な経費失業保険特別会計における業務量増加等に伴い必要な経費資金運用部特別会計における預金利子支払いに必要な経費等であります。  次に、昭和三十年度特別会計予算総則第十条及び第十一条の規定に基き、予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、交付税及び譲与税配付金厚生保険及び郵政事業の三特別会計でありまして、その内訳は、交付税及び譲与税配付金特別会計において支出しました地方道路譲与税譲与金に必要な経費四億二千八百万円、厚生保険特別会計において支出しました日雇健康保険給付に必要な経費一億三千万円、及び郵政事業特別会計において支出しました業務量増加に必要な経費十億四千五百七十方円余であります。  次に、昭和三十一年度一般会計予備費予算額は八十億円でありまして、このうち、財政法代三十五条の規定により、昭和三十一年四月十九日から同年十二月二十八日までの間において、使用決定いたしました金類は五千六億六千六百余万円であります。  そのおもな事項は、河川等災害復旧事業に必要な経費北海道冷害対策に必要な経費農業施設災害復旧事業に必要な経費冷霜害対策に必要な経費港湾災害復旧事業に必要な経費漁港施設災害復旧事業に必要な経費日ソ交渉全権団派遣に必要な経費等であります。  次に、昭和三十一年度特別会計予備費予算総額は七百十六億九千三十万円余でありまして、このうち昭和三十一年五月三十一日から同年十二月二十八日までの間において使用決定いたしました総額は二億六千四百六十余万円であります。そのおもな事項は、中小企業信用保険特別会計における保険金支払いに必要な経費漁船保険特別会計における給与再保険金支払いに必要な経費国有林野事業特別会計における営林署庁舎火災復旧等に必要な経費造幣局特別会計における退官退職手当不足を補うために必要な経費印刷局特別会計における西大寺工場汽罐室火災復旧事業等に必要な経費であります。  以上、昭和三十年度一般会計予備費使用調書外五件の事後承諾を求める件の説明をいたしました。何とぞ御審議の上御承諾下さるようお願いいたします。  次に昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為外一件に関する報告につきまして御説明申し上げます。  昭和三十年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基き、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち昭和三十年十二月二十七日閣議決定を経ました南極観測用船宗谷の改装四億六千七百十三万円につきましては第二十四回国会においてその報告をいたしましたが、その後、岐阜少年院寮舎火災復旧につきまして、昭和三十一年三月二日閣議決定を経て総額九百二十五万円の範囲内で国が債務を負担する行為をすることといたしました。  次に、昭和三十一年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基き、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は三十億円でありまして、このうち国立競技場建設につきまして、昭和三十一年十二月十四日閣議決定を経て、総額九億五千万円の範囲内で国が債務を負担する行為をすることといたしました次第であります。  以上をもちまして、昭和三十年度国庫債務負担行為外一件に関する報告といたします。
  4. 青野武一

    青野委員長 以上にて大蔵大臣説明は終りました。  資料要求等につきまして発言を求められておりますのでこれを許します。吉田賢一君。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 資料要求いたします。昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その2)、法務省関係検察費不足を補うために必要な経費運輸省関係において、東京国際空港敷地借料に必要な経費郵政省関係において、無線局検査に必要な経費、これに関する詳細な説明書昭和三十一年度一般会計予備費各省庁所管使用調書中、総理府関係のもので、南方同胞援護会補助に必要な経費、同じく総理府関係において、警察庁関係治安対策の強化に必要な経費外務省関係において、日ソ交渉全権団派遣等に必要な経費農業労務者派米に必要な経費大蔵省所管において、国連軍および在日米軍返還財産維持管理に必要な経費、以上の説明書資料として提出することをおはからい願います。その他は文書をもって請求することにいたします。
  6. 青野武一

    青野委員長 ただいま吉田委員より要求のありました資料は、大蔵大臣より説明のありました八件の審議について重要と思いますので、特に委員長から大蔵大臣に、正確な資料を早急に御提出いただくよう要望しておきます。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと追加しておきます。昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書、そのうち法務省所管岐阜少年院寮舎火災復旧に必要な経費、これについても同様説明書資料として提出することを要求いたします。
  8. 青野武一

    青野委員長 ただいま吉田委員より追加の資料請求のありました通り、大蔵大臣の責任において至急提出せられんことを希望しておきます。  それでは以上八件に関します質疑は次会に譲りたいと思います。     —————————————
  9. 青野武一

    青野委員長 次に昭和二十九年度決算並びに昭和三十年度決算を一括して議題に供します。本日は右件中運輸省所管につきまして審議を進めることといたします。  それでは昭和二十九年度決算検査報告二八〇ページより二九〇ページに至る報告番号一九九五ないし二〇二九につきまして、また同時に昭和三十年度決算検査報告二二四ページないし二三三ページに至る一九四七ないし一九六三につきまして一括してまず会計検査院当局より説明を聴取いたします。会計検査院石渡第三局長
  10. 石渡達夫

    石渡会計検査院説明員 二八一ページの「昭和二十八年度決算検査報告掲記事項事後処理状況について」これについて説明申し上げます、二十八年度に指摘されました検査報告のその後の処理がどうなっておるかということを検査したのでありますが、この補助返還または減額するということを運輸省が申しておりまする処置につきましては件数が二十六件ありますが、そのうち三十年九月末現在において十四件が処理済になっております。また手直しまたは補強をすることとしておりますもの五十三カ所につきまして、三十年二月から三月の間に現地検査したのでありますが、そのうち二十カ所が工事が完成しておりまして、残りの三十三カ所は工事中または未着工でありました。その後三十年九月末現在で、この三十三カ所の工事中または未着工の分の進行状況を調べましたところが、そのうち二十九カ所が完成しておるという報告になっております。  次に「離島航路補助金経理について」、この離島航路補助金は、二十七年一月の法律でありますが、離島航路整備法によりまして補助をしているのであります。この法律によりまして離島航路補助基準というものを運輸省がきめておりまして、この補助基準によりまして離島航路のうち、赤字のものにつきまして予算範囲内で、大体赤字に対して現状が三割から四割の補助を出しております、この金額が二十八年十二月から三十年四月までの間に七千六百万円になっておりますが、そのうち十三業者二十一線分、四千五百万円の分につきまして本院で調査しました結果、一般的に申しまして会社帳簿整備が非常にまずい。十分にできてない。従ってその帳簿から抜き出して申請書を作ったところの離島航路補助申請信用が置けない。それで検査院では会社にあります帳簿整備が不十分ではありますが、一応帳簿内容が正しいというふうに肯定しまして、運輸省がきめました離島航路補助基準基準を当てはめて計算してみますと、ここにあがっていますように四百二十万円ばかりが過大交付になっておる。しかしこの四百二十万円という金額が、客観的に見て行き過ぎたかどうかということとを踏み切るだけの十分な資料がありませんので、検査院としましては、まず第一段階としてこの会社帳簿整備について十分な指導監督をまずお願いしたい。そうして従来は会社申請をそのままうのみにしておられますが、今後においては、会社帳簿を実際に調査した上で、帳簿が事実と合っているかどうかということを十分に検討された上で補助金交付せられるように要望している次第であります。  次に「公共事業に対する国庫負担金等経理等を得ないもの」一九九五号から二〇二三号であります。これは二十八年度検査報告にもあがっておりますが、二十九年度におきましても全国の工事現場千五百五十一カ所のうち、九百九十八カ所を会計検査院実地検査しましたところ、五十二工事工事費におきまして千六百余万円が過大に交付されているということになっております。この種の不当事項につきましては、検査院からも毎年注意をし、また運輸省におきましても、監督を強化し、あるいは事業執行地方公共団体自覚をせられたことを相待ちまして、だんだんと成績はよくなっておりますが、なおこのように多数の不当工事がありますことはきわめて遺憾に存ずるのであります。ここに以下代表的な事例がずっとあげてあります。この中で市町村が施行した工事につきましては、表面上は実施設計額と同程度の額で請負わせたこととして、国庫負担金交付を受けておりますが、実際はこれより低額に請負わせて施行し、事業主体として法令上当然負担すべき額を負担しないで、あるいは国庫負担額以下で工事を施行して、むしろ国庫負担金におつりが生じておるというようなものもあります。このように実際は低い金額で請負わせておりますために、工事出来高不足しておりましたり、あるいは工事が粗漏になっておる状況でございます。また府県工事においては、監督の不十分あるいは検収の不十分なために出来高不足しているもの、あるいは工事費の精算の当を得ないものが若干見受けられております、このうち工事費を除外すべき額二十万円以上のものをあげますと、別表六のように、二十九件千三百万円になっておりまして、そのうち代表的なものを(1)から(5)まであげておりますが、内容につきましては、御質問によりまして御説明申し上げたいと思います。  次に二八六ページの二十九年発生災害復旧事業査定額を減額させたもの、工事着工された後の検査におきましては、なかなか手直しその他によりましても十分な是正が困難であるというようなケースがあります。また工事着工する前に運輸省査定が正しいかどうかということを検査したのでありますが、その結果、運輸省査定をしました工事数が全体で千百八十四ありますが、そのうち千十九工事につきまして検査院がその査定がいいか悪いかということを検査した次第でございます。その結果前年から見ましてだいぶよくはなっておりますが、なお同一個所工事を農林省または建設省と重複して決定しているもの、あるいは災害を受けていないのに改良工事を施行しようとしておるもの、港内に堆積した土砂の浚渫量、被災流失した防波堤の捨石量を過大に積算しているもの、こういうものが多数にありまして、件数におきまして百十二工事金額において五千万円、これだけが過大に査定されているということを運輸省に注意しまして、運輸省はそれによって査定を減額しております。次におもな例があがっております。
  11. 青野武一

    青野委員長 次に昭和二十九年度検査報告二〇二九号につきましては、所管上村会計検査院第五局長説明を求めます。
  12. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 二〇二九号は造船利子補給の問題でございます。この利子補給金は、外航船舶建造のために金融機関融資しましたもののうち、乗り出し費用または当初契約船価低減等があった場合、これを除いた金額に対しまして金融機関の通常の融資利率と年五分との差額の範囲内で支給するものでございます。会計検査院におきまして一部のものを除きまして検査いたしました結果、契約船価低減があったのにそのまま利子補給金を支給しておりますものが十四事項金額にいたしまして七千百余万円ございました。これらに対しましては、すでに支出済み利子補給額につきまして船価低減額に対応するものは減額する必要があるのでございまして、その金額は三百余万円になっております。なお金融機関から融資を受けました造船資金造船所に支払う場合に、相当おくれておるものがございまして、そのうち長期にわたるものについては利子補給金を減額するのが適当ではないかと思われるものもある状況でございます。以上申しました点につきましては、その後全部運輸省におきまして是正措置がとられておるのでございます。私の説明を終ります。
  13. 石渡達夫

    石渡会計検査院説明員 三十年度決算検査報告の部につきまして御説明申し上げます。三十年度決算検査報告の二二五ページに「昭和二十八、二十九両年度検査報告掲記事項事後処理状況について」とありますが、これについて御説明します。二十九年度補助が不当であるということを指摘しましたもののうち、国庫補助返還または減額するとしておりますのが十一件ございますが、これについては三十一年九月末現在十件が処理済みになっております。また二十八年度決算検査報告に掲記しましたもののうちで、国庫補助金返還または減額するとしておるもので、三十年九月末現在未処理となっておるものが十二件ございますが、その十二件は、三十一年九月末現在に至ってなお処理されておらないものが三件ございます。また二十九年度掲記事項のうちで手直しまたは補強するというもの十七カ所を実地に調査したのであります。調査は、三十一年二月から八月までの間に現地を調査したのでありますが、この十七カ所のうち十五カ所は工事が完成しておりまして、二カ所につきましては、一カ所が工事中、一カ所が未着工という状態でございました。なお二十八年度検査報告に指摘されました手直しまたは補強するとしておる事項四十八カ所についても同時に検査をしたのでありますが、この二十八年度分につきましては、四十八カ所が全部完成しておりまして、さっき申しました二十九年度分の工事中または未着工の二カ所につきましては、三十一年九月末現在工事を完了した旨の報告に接しております。事後処理はおおむね良好のように見受けられます。  次に一九四七号から一九五〇号、経理の紊乱しているもの、これについて御説明します。群馬陸運事務所ほか三カ所におきまして、表があがっておりますが、その表の期間にわたりまして車検用庁費あるいは旅費、こうした科目から架空にまたは実際の経費よりもよけいにつけ増しして支出しまして、それを現金で置いておきまして、下の欄の使用というような使途に使っております。旅費として配分したものあるいは接待費物品購入費臨時職員給料、こうした経費に充当しておるのであります。この使途につきましては、大部分の経費につきましては成規予算科目から成規予算要求して支出して差しつかえないような性質の経費でありまして、そうした成規の手続をとらないで、きわめて簡易な方法によってこうした架空経理をしておるということははなはだよろしくない。検査院としましては従来こうしたところまで手が伸びなかったのでありますが、本年度初めてこうしたところに検査の手を伸ばしていきましたら、こうしたおもしろくない経理が発見されたのであります。これは担当の者の予算に従って事務を執行するという観念が非常に薄いことがこうした結果になる一番大きな原因でありますが、一つは、さっきも申しますように、現地の事情に即応して適応した予算を流してやる、支出官資金交付する際の予算的配分についても十分に考慮する必要があると存ぜられます。  次の物件の一九五一号について御説明申し上げます。これは運輸省所管海技専門学院通信教育用として購入した本が多過ぎたという事例でございます。三十年九月及び十一月に三万九千三百五十冊のものを七十万六千九百円で購入しておりますが、このときの昭和二十九年度末の在庫から見て、二十九年度末の在庫が十八万八千九百七十九冊でありまして、これは大体この学院の年間の必要量の三倍から十倍に当っております。いろいろな種目がありますが、種目によれて多少の違いはありますけれども、いずれも非常に大きな在庫を擁している。従ってこうした在庫を考えれば、三十年度購入した三万九千冊のものは全然購入は必要がなかったものである。運輸省におきましては、同学院から四半期ごとにこの通信資料配付状況について報告を徴しておりますから、そうした報告からよく検討すれば、購入する必要はなかったということはすぐにわかるのでありますが、そうした検討を十分にしないで、同学院要求をそそのまま採用して購入したために、こういうよけいなものを購入するようになったのであります。  次に公共事業に対する国庫負担金等経理当を得ないもの、一九五二から一一九六について申します。これは二十九年度分と同じような検査をしたのでありますが、二十九年度は二十八年度よりもよくなっているということを申し上げましたが、三十年度はさらによくなっておりまして、ちょっと数字を申しますと、会計検査院検査をした個所個所に対する不当工事が発見された個所の数の比でありますが、二十八年度が一三%、それに対して二十九年度が五・二%、三十年度が一・三%ということになっております。また検査院検査した工事の総経費とそれから組まれている不当工事金額の比において、二十八年度が一・二%、二十九年度が〇・五%、三十年度は〇・一二というふうに顕著に改善されております。これはさっきも申しましたように、運輸省指導もさることながら、実施機関地方公共団体自覚に待つところが非常に多かったと存ぜられます。それでも、だいぶよくはなりましたけれども、なおここに掲記されておりますように、十二工事、五百十八万六千円という除外すべき金額がありましたことは、きわめて遺憾に存ずるのであります。次に二件ばかりその代表的な事例をあげてございます。  それから次に一九六二号から一九六三号の災害復旧事業査定額を残額したもの、これはさっきもちょっと申し上げましたが、二十八年、二十九年、三十年と三年間継続して同じような見方で査定がいいか悪いかという検査をしたのでありますが、これにつきましても、運輸省実地調査、現場を実際に見て査定をするということが非常に浸透しまして、三十年度災害の九六%は運輸省が自分で現場に行って見ておられるというような点もありまして、非常に改善されております。さっきと同じように比率を申し上げますと、検査院検査をした個所不当工事の組まれておる個所個所比におきまして、二十八年度が二〇%、二十九年度が一一%、三十年度が七・七%、金額比におきまして二十八年度が七・六%、二十九年度が二・五%、三十年度が一・六%、こういうように改善をされてきております。しかしながらなお十八工事工事費におきまして、五百五十八万円ほど国庫負担額におきまして四百二十三万円ほど査定を減額すべきものがありまして、運輸省に注意しましたところ、運輸省はこの額を実施に当りまして減額をするということになっております。以上であります。
  14. 青野武一

    青野委員長 運輸大臣はただいま参議院の運輸委員会において予算説明をしておりまして、大体二時半にはおいでになる予定でありますが、その間、五分間時間がございますので、休憩するのも何でありますから、会計検査院当局に御質疑があればこれを許します、古川賢一君。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十九年度決算検査報告のうち、運輸省所管報告番号二〇二九、二八九ページであります。外航船舶建造資金貸付利子補給金に関する経理不当事項であります。申し上げるまでもなく、この外航船舶の利子補給は、当時特に船舶界、あるいは造船界の不況と、外航船舶建造の重要性からできた法律でありまするが、しかし利子補給制度をめぐりまして、本委員会におきましても、その他国会のあらゆる委員会を通じまして、重大な問題点が続出しまして、幾多の紛糾事件を呼び起しまして、いわゆる造船疑獄というような問題の発展までありましたことは一般に承知するところであります。このように重大な関係を待つ法律案であり、またこのような関係に基いた利子補給であるのみならず、報告書によれば三十年度末までに二十八年度分としては五十億四百余万円、二十九年度分は三十二億七千六百余万円、三十年度分は十六億六千九百余万円、それぞれ不当支出しておる、こういうふうになっております。ところが遺憾にして数個の会社か不当に利子補給金を受領しておる事実が指摘されておるのであります。これは小さいようでありますけれども、金額にしては七千一百三十九万一千余円、十四事項金額にしては大きくないようでありまするけれども、その後の海運界の好況にかんがみまして、特に三十年十月末現在なお返還納付せられないという報告にもなっておるのであります。まことに重大視すべき案件のように思われまするので、少し御説明願いたいのです、一体こういうふうに不当を指摘せられた会社名、その会社の借りておる残存債務総額、元利金、ないしは船名、利子補給の不当金額、これはどういう内容をなすものでありますか、一応その点についての検査院の御説明を伺いたい。
  16. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 会社名といたしましては、新日本汽船、山本汽船、日農海運、松岡汽船、名村汽船、大同海運、東洋汽船、日産汽船、日本郵船、それから三光汽船というふうになっております。それから十四事項と申し上げますのは、結局船の数が十四でございますが、一々全部申し上げますか。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なんだったら金額等から見ておもなもの、もしくは重要な会社、何かあなたの方で適当に願います。
  18. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 七千万のうちで一千万程度になっておるものを申し上げますと、新日本汽船の阿蘇春丸、これが七千百万円のうち一千万ございますが、内容造船所から船価の割り戻しとして現金を受領したものでございます。それから武庫春丸、これが一千万円ございますが、これも新日本汽船の分で、同じ性質のものでございます。それから同じ会社の比叡春丸、これが千五百万、これも同じ性質の船価低減でございます。一千万以上のものは大体三つでございます。
  19. 青野武一

    青野委員長 宮澤運輸大臣が参りましたので、この際昭和二十九年度及び三十年度決算検査報告に関し発言を許します。宮澤運輸大臣。
  20. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 昭和三十九年度並びに昭和三十年度決算不当事項について、私から申し上げます。  当運輸省不当事項は、逐次減少しているとはいえ、いまだ相当数に上っていることは、誠に遺憾とするところであります。  地方公共団体が施行いたします港湾工事による不当事項の対策といたしては、災害工事についての机上査定を極力排除して、実地査定を行い、さらに中間検査を励行する等により、最近は相当に改善されてきたものと考えますが、今後も一層努力して、これが絶滅を期する所存であります。  また離島航路補助金経理につきましては、今後必要に応じ実地調査を行わせ、将来かかることのないよう十分注意いたします。  なお外航船舶建造資金貸付利子補給金に関する経費につきましては、それぞれ是正措置を講ずるとともに、今後かようなことのないよう適正を期しております。  次に陸運事務所によける不当事項につきましては、指導監督を強化して、再びかようなことのないように注意いたします。  また通信教育用教材の購入につきましては、今後綿密に調査の上、見通しについても誤りのないよう、十分に注意いたしたいと思います。
  21. 青野武一

    青野委員長 それではこれより質疑に入りますが、その前に御出席になっておる人のお名前を委員の方に申し上げておきます。宮澤運輸大臣、佐藤会計課長、粟澤海運局長、辻調整部長天埜港湾局長、以上五名が運輸省関係会計検査院石渡第三局長上村第五局長、以上であります。  それではこれより質疑に入ります。淡谷悠藏君。
  22. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 会計検査院に伺いたいのですが、今吉田委員から発言がありました外航船舶建造資金貸付利子補給金に関する経理当を得ないもの、この二八九ページのところに「飯野海運株式会社ほか五会社(利子補給対象船二一隻)の分については関係帳簿を押収されているものがあることなどのため現在なお調査中である。」これはその当時大へん大きな事件になりましたので、大体わかっておりますが、三十年度報告ではこのことが掲上されておりません。現在どうなっておりますか、詳しく御説明願いたいと思います。
  23. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま御指摘の飯野海運株式会社外五会社、全部で六会社の分については、二十九年度の分を調査するときには、これに書いてありますような状況で調査ができなかったというのでございますが、その後飯野海運と山下汽船、それから新日本海運の分を除きました分につきましては、検査は終了いたしました。その結果、この分も含めまして、三十年度利子補給金を減額しなければならないものが、全体で約二百万円くらいごさいましたが、私の方で調査する段階におきまして、運輸省におきまして全部是正措置をとられているわけでございまして、特に三十年度はさような関係上、検査報告には掲記してございません。  なおただいま申し上げました飯野海運、山下汽船、新日本海運の分につきましては、同じような状況ではございますが、運輸省におきまして、これらの会社に対しまするその後の利子補給につきまして、一応事件の解決するまで最終的の処理はおくれるわけでございますが、その途中におきまして利子補給を調整するというような方法をとられているわけでございます。それで内容の詳細は、三社につきましては、訴訟の進行確定によりまして処理されることになるわけであります。
  24. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 飯野海運、山下汽船等は、その当時非常に大きい問題になりまして、現在でもなお国民の疑惑は解けておりません。会計検査院がそのような態度で三十年に繰り越されたのであるならば、運輸省は一体これに対してどういう処置をされたか、大臣から御説明願います。
  25. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 お答え申し上げます。運輸省といたしましては、まだその判決確定を待っているという次第でありまして、海運政策諸般の立場から、判決を待っていろいろ処断いたしたい、こう考えております。
  26. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 二十九年から今年までこういう問題について何ら措置をとられてないというのは、問題の性格からいってあるいは長引くかもしれませんが、国民感情としては許しておけない問題である。一体運輸省は、現在この事件の進行をどう把握されているか、この際にはっきりとお答えを願いたいと思います。
  27. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 ごもっともなことでございますすが、まだ私その内容をよく知っておりませんので、政府委員から説明させます。
  28. 辻章男

    ○辻説明員 お答え申し上げます。今の御質問まことにごもっともなんでございますが、一面飯野海運、山下汽船等は、日本の海運業者といたしまして相当有力な会社でございますので、今後日本の海運を発展させます上におきまして、この会社の力に依存する部門も多いのでありまして、そういう意味合いにおいて、判決が下りますまでは、海運行政の扱い方としては、ただいま大臣から御説明がございましたような措置をして参った次第であります。
  29. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうも私には受け取れない御答弁であります。大きな会社であるし、日本の海運に影響があるから全然手をつけないと申しますけれども、幾ら大きな会社でも、不正があるならば、特に国家に対して損害を与えておるならば、これは断固として究明する必要がある。一体その事件の内容は相当進展しておりますかおりませんか。見通しはどうなんですか。事件がきまるまでは何年でも黙って見ておるのでございますか。
  30. 辻章男

    ○辻説明員 ただいま飯野海運等の事作は裁断の関係になっておりますので、この判決を待って、私どもとしては行政的な措置をとりたいと考えておる次第でございます。
  31. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私に、これくらい大きい問題がありますときに、漫然として見過しておるわけには参りませんので、あらためて法務大臣の御出席を願いまして、その席上でこの問題を追及したいと思います。  なお山下汽船等は、先ほどの御答弁にもありました通り、まだ負担金の未払いもあるようであります。そのほかの運輸省において減額等の措置をとられたということについて、詳しい御報告を願いたいと思います。
  32. 辻章男

    ○辻説明員 ただいまの御質問でございますが、昭和三十年の十二月末をもちましては返納すべき金はすべて返納を終了いたしております。
  33. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その返納しましたものの内訳など、もっと詳しくお知らせを願いたいと思います。
  34. 辻章男

    ○辻説明員 隻数十四隻、社数は十であります。総計が三百六万九千六百七十五円でございます。大同海運が約六十六万円、名村汽船が九千七百円、松岡汽船が約二万九千円、日産汽船が約二十八万円、新日本汽船が約百三十七万円、東洋汽船が三十一万五千円、山本汽船が十八万一千円、日本郵船が六万五千百、日豊海運が十四万三千円、三光汽船が三万五千円、以上ラウンド・ナンバーで申し上げましたが、合計して三百六万九千六百七十五円であります。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 先ほどの続きですけれども、契約船価低減によって利子補給金額の数字の異動が当然あって、この関係から不当事項が指摘せられているようでございますが、さきの上村説明員のお話もございましたが、新日本汽船だけで百三十七万円に上っている。非常に大きな金額のようでありますが、一面日本郵船のような大会社も入っているのでございます。この金額から見て、新日本汽船の多いこと、また日本郵船のような信用力ある大汽船会社不当事項、これはどうしてこういうことになったのでありましょうか、まず御説明を願いたいと思います。
  36. 辻章男

    ○辻説明員 ただいまの御質問は、船価低減が約七千百万円にもかかわらず利子補給返還が約三百万円になるのは、それはどういうことかという御質問に拝聴いたしましたが、さようでございましょうか。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言うのは、日本郵船のような有力もしくは有数な、経済力も豊かなような会社において不当事項が指摘せられた原因が知りたいのです。
  38. 辻章男

    ○辻説明員 これは大体船を当初契約いたしまして、完成までにはいろいろ綿密な計画なり設計をいたしまして着手するのでございますが、船の建造途上におきまして、いわゆる追加工専でございますとか、あるいは多少小規模な仕様変更というようなものがあるのが通例になっております。日本郵船の場合にはアンカー・ケーブル等を当初つける予定にしておきましたものを仕様変更をいたしまして、約百三十万円の船価が安くなっている。これをそのまま船価低減をにらみまして、そのままにしておったというのが事例でございます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次に、国鉄の問題について運輸大臣に伺いますが、運輸大臣としては国鉄に対してどういう内容、趣旨、根拠による監督権がおありなのですか。
  40. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 御承知の通り、国鉄の経営については独立企業でありまして、経営委員会を設けて、その趣旨で経営をさせておりますが、全体についての指導監督はすべて運輸大臣がやっております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、国鉄全体について、特に国鉄財政につきましては、時局柄でもあり、しさいに監督業務を行い、または注意もしていかれるものと思われるのですが、そう理解してよろしゅうございましょうか。
  42. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 今お話の経営から経理内容予算決算算すべてについて報告させて監督しております。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで伺いますが、第一点はこれはまず国鉄当局の御説明を必要とするのでありますが、前回の当委員会におきまして偶然現われました東京鉄道管理局管財部の一係長が収賄詐欺等の容疑で逮捕せられた案件でございます。これは御承知でしょうかどうでしょうか。どうかと思いますから一応国鉄当局から御説明を願いまして、あなたの方も重大な関心をお持ちになっておれば何かと御承知かと思いますので、続いて伺ってみたいと思います。国鉄当局来ておられましたら、この間も私が伺っておりました案件でありますが、一つ御説明を願いたいと思います。
  44. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいまの御質問についてお答えを申し上げます。ただいま被疑者となっておりまするのは東京鉄道管理局の用地係長の木藤武というものでございまして、現在三十九号俸をとっておりまして、四十六才でございます。前歴は大正十五年九月に国鉄に入りまして、その後華北交通株式会社に転出いたしたこともございましたが、二十一年再び国鉄に戻りまして業務部総務課勤務、営業部企画課勤務、営業部事業課主席という職務を歴任して、ただいまの用地係長になった人間でございます。相手方の業者は新聞に出ております通りでございまするが、あらためて申し上げますと、大明運輸株式会社代表取締役志賀吉松、これに対して国鉄の関係は第二上野町の一号及び二号、面積百四十平方米、これを事務所、保管庫として契約いたしておるのでございます。年の使用料は十二万七千余円を契約いたしております。次に中野仙治でございまして、台東区仲御徒町一の十六、この国鉄との貸借関係は第一上野町橋脚間でございまして、面積は二十一平方米、使用目的は店舗でございまして、使用料は年一万九千余円でございます。第三は山本清と申しまして、これに対しまする国鉄の貸借関係は第一鍛冶町二十号の一の面積四十七平方米を店舗の使用目的で貸借契約をいたしておりまして、年使用料は八万四千余円でございます。次は不二金属産業株式会社の代表取締役阿部藤雄でございまして、これに対する貸借関係は、使用の場所は第二鍛冶町西三号、面積は二十三平方米、事務使用の目的をもちまして契約をいたし、年使用料は三万余円でございます。それでこの容疑の内容につきましてはまだ依然取調べ中でございまして、新聞には収賄関係の容疑だということが書いてございますが、私どものところでもその程度しか判明いたしておりません。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 国鉄運賃値上げを政府は閣議決定いたしました今日でありまするので、国民は国鉄の動向存在、実情、あり方等に対しまして多大の関心を持っていることは大臣御承知の通りであります。申すまでもなく直接に監督責任のある運輸大臣は国鉄のあり方につきまして、人一倍深い関心と多大な努力をして監督をなさることは申すまでもありませんが、かりにも国鉄所有の固定資産の貸与等をめぐりまして、収賄の詐欺のという事件が起って、東鉄管内の係長が逮捕せられ、関係者が逮捕せられるというような案件は、これは私が申すまでもなく実に遺憾な問題でございます。あなたはわれわれが新聞で知る以上にこの事実は直ちに御調査にもなっただろうし、知れる範囲の手は尽して実情の調査もせられたものと思うのですが、この点についてのあなたの御所見を伺っておきたい。
  46. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 ただいまお話の通り国鉄といたしましても、また私、運輸省の立場におきましても、日本の輸送力を増強するという重大な使命にかんがみまして、運賃の値上げというようなことをしなければならぬことになりました。同時に国鉄部内も一つ経営の合理化をはかって、国民に払ってもらう犠牲にもこたえ、また国鉄の使命も十分に国民の信頼を得るようしていかなければならないということを痛感しております矢先に、このことの起りましたことはまことに遺憾に存じておるわけでございます。弁解をすれば、非常な大きな組織だからいろいろなことはありましょうと言えますけれども、そういう意味でなくて、今日の場合、特に国鉄全体またわれわれの関係官庁も一つ綱紀の粛正、こういうことを再びなからしめるように、一つ最善の努力を、あらためて払いたいと考えております。このことに関しましては、ただいま逮捕せられまして取調べ中で、その内容についてもそれぞれ係りにおいて調べてはおりますけれども、まだ十分申し上げるまでに立ち至っておりませんが、いずれ当局の取調べと相待って、一つ御趣旨に沿うよう適当な処置をとりたいと思います。また国鉄全体に対しましても、一つこの際、特にこういう点に関して、将来に十分な注意を払うよう要請しておるわけでございます。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この種の不祥事件が起りました以上は、事のいかんにかかわらず、さっきの外航船舶の利子等とは違って、裁判の結果を待つというのではなくして、私はやはり国民にこたえる措置が行われなければならぬことと思うのであります。われわれも、個人的に考えれば、どういう事情からそういう事件が起ったか存じませんので、一応お気の毒に思いますものの、やはり反面から見ると、今日国民が疑惑を持っておりますのは、国鉄の経営の実情と、それから国鉄の財政のあり方なんです。これはもうあなたもすでにいろいろな機会に十分御調査になったことと思いますけれども、国鉄の財政の実情がどうあるのであろうか、国鉄の経営の実情がどうあるのであろうかということが、たとえば国鉄の運賃値上げの問題にしろ、あらゆる国鉄問題が起ったときの少くともここに数年来の、私は最大の関心事だと思っておるのです。そこでやはり、もっとこういう問題が起れば、事務当局がどういう説明をするにかかわらず、運輸大臣は運輸大臣独自の立場で監督をしておられるのだから、国鉄の説明じゃなしに、運輸省監督上の責任者の説明がなくちゃならぬ。あなたの方は監督局長があって、法規には監督局長の職務規定もちゃんと載っておるのですから、監督局長は独自の立場でこの種の事件の事実一体警視庁の方が間違っておるのか、それとも国鉄の当事者が間違っておるのか、外部の人間が悪いのか、風潮が悪い結果なのか、制度の欠陥なのか、事実及び原因等々に至るまで、一つ克明に調査をして、初めて私は監督の業務が行い得るものと思うのです。国鉄の方がどんな説明をしようにかかわらず、それによって、今調査中というのじゃ私はいかがかと思う。一体監督局長は来ておられるのか。監督局長はこの問題について調査したのか調査しないのか——監督局長は見えておりませんか。監督局長が私は当然の責任の局長かと思うのですけれども、見えていなければ、大臣は適当な人に調査の事実を説明させてもらいたい。
  48. 青野武一

    青野委員長 細田国有鉄道部長が見えておりますので……。
  49. 細田吉蔵

    ○細田説明員 東京鉄道管理局の今回の事件につきましては、私どもの方で独自に調査いたしております。当然いたしておるわけでございますが、ただ警視庁で捜査継続中でございますので、私どもがはっきりいたさない内容についてとやかく申し上げるというまでにただいまの段階では至っておりません次第でございまして、判明次第、私どもといたしましては、それにさらに十分な調査をいたしまして、適当な措置をとりたい、かように考えておるわけであります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だがしかし、たとえば神田駅における借主の名前もはっきりしているし、それから扱った物件の台帳もあるし、金の授受もあるし、等々いろいろな文書もあるわけなのであって、一応それが押収されたにいたしましても、外から手さぐりするというようなそういうものじゃなしに、私はある程度の調査ができなければならぬと思います。それができないのなら、極端に申しましたら、火災等がありましたときはお先まつ暗で何にもわからぬということになりはしませんでしょうか。また逮捕事件が起ったら手をこまねいてその方の案件の片がつくまで、書類が全部送還されるまでじっと待っていなければ監督の業務が行えない、事実の調査ができないというのでは、これは私はどうかと思います。やはり国鉄を監督する以上は、もし調査不可能な面は不可能として、可能な面は可能で何を調査し、いつからいつまで調査した結果はこういうものであるというくらいは、この委員会は前回から継続しておるのでありますから、この点については相当御用意があってしかるべきだと思うのです。国民は大いに関心を持っておる、監督官庁は警視庁の仕事をじっと待っておるというようなことでは、一体何のために監督しておるのかといわねばならぬのであります。どの程度に調査したかどうかくらいの答弁ができないということは怠慢ですよ。どうですか。
  51. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 ごもっともでございます。実は今お話を承わるような趣旨でもってやらなければいけないと思いますが、そこまで至らなかったことははなはだ何ですが、今のお話もありますので、この問題のみならず、全般的にもさらに考えていかなければならぬと思っておりますから、このことにつきましても、さらに御質問の御趣旨を体し、一そう努力していきたいと思います。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しからば明後日までに一応のあなたの方の調査した状況を、中間でよろしいから当委員会に向けて文書で報告してもらいたいと思いますが、約束できますか。
  53. 細田吉蔵

    ○細田説明員 承知いたしました。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺います。あなたの方の固定資産の管理、国鉄みずからの固定資産の管理、従って国鉄の財政管理上の重要な対象としての固定資産の問題でありますが、一体都内における固定資産がどういう状況で貸付されているのであろうか、こういうようなことをあなたはお調べになったことでもありますか。一体この国鉄の運賃値上げの問題等の文書を拝見いたしましても、またあなたのいろいろ御説明になっておるようなことを聞いてみましても、どうも財政問題等についての深く突っ込んだ、われわれが聞きたいようなことがとんと出てこない。今の固定資産の管理というような問題も、これは東京駅前の八重洲口の鉄道会館を一つの中心点としまして、東京都内だけでも幾多の、無数の問題があるのです。その無数の問題を貰く問題点というものも、これまた国鉄の固定資産管理運用上重要な示唆を持った問題が幾多私はあると思うのです。こういうような重要な問題についてあなたは一体御調査になったことがあるのだろうか。それが抽象的な漠然とした質問であるとするなれば、もっと限定をいたしまして、一体国鉄が一般民間ないしは部外者に貸付し得る、もしくは貸付しつつあるところの固定資産というものがどのくらいの価額に上っておるものか、そういうことを運輸省としてお調べになっことがありますか。
  55. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 この国鉄の固定資産の運用に関しましては、重要な問題は運輸省の認可になっておりますが、そうでないものは国鉄自体で行なっておるわけであります。固定資産の問題について、全体としてはいろいろこのための減価償却その他国鉄の経営に関する問題として十分調査はしておりますが、今あなたのおっしゃるような都内の問題と切り離してどうこうと言われますと、まだそこまで、私も就任早々で十分やっておりません。けれども、お話の筋もありますので、やはりそういう問題については特に注意を払ってこれからやっていきたいと思います。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これからやっていかれるのはまことに殊勝のようでありますけれども、実を申しますと、おそいのですよ。やはり今日はこういう問題についても十分に論議を戦わせて、是は是、非は非として改むべきものは改める。あなたの方のこの文書によると、経営上の改善というようなことで長々といろいろなものをお出しになっておる。お出しになっておるんだけれども、具体的な財政のあり方というような問題になってくると、あまり出ておりません。これは二部もらっておりますけれども、二部どこを見てもそういう点にあまり触れておりません。そこでこの問題の重要性をわれわれは指摘して、あなたの注意を喚起しつつ、議論も上下する必要があると思うので、御多忙ですが、なおしばらくおっていただきたいと思うのです。  国鉄当局に伺いますが、今問題を限定して一応東京都内に限りました。都内の同定資産について、特に重要と思われる、たとえば上野新橋間と限定してみましょう。これはいつも問題が起るのです。数年来この委員会でも鉄道会館を初めとして新橋のあのあたりから、秋葉原のあそこらから、いろいろな問題が何回も取り上げられたのであります。そこで一応そういうことに限定してみたいと思いますが、一体国鉄の資産管理について国鉄当局——は私がそういう質問をすると、答弁なんかもわかりませんかしらんけれども、これは可能な範囲で答弁していただいたらよろしい。東京都内における重要な固定資産の管理、運用状態は、何らかの機会に御調査なにる必要も私はあったであろうと思うのです。たとえば、東京駅構内の使用料の問題をここで論議したときでも、鉄道会館の敷地の貸付料が高い、安いの問題を論議したときでも、当然重要なあの地域一帯の調査をしなければならぬ。それは当然したものと思いますけれども、それについて一つ報告的に説明をしていただきたいと思うのです。
  57. 石井昭正

    ○石井説明員 お答え申し上げます。東京都内の土地あるいは建物あるいは高架下、こういうものの貸付状況につきましては、昭和二十八年でございますか、鉄道会館問題等もあり、従ってその後私どもは財産管理の点について努力が足りなかった点を十分反省いたしまして、本社に管財部を、東京鉄道局においては事業課を設けて専念これに当っております。またその状況も調査をいたしまして、適正な料率に改めるために、東京鉄道局には土地建物評価委員会を設け、これは部外の方々、たとえば興銀の監査役というような方方をわずらわしまして委員になっていただきまして、適正な評価のもとにこの貸付を行う。同時にまたいろいろ転貸借等の事実もございまして、今日これをさっぱりするために非常な努力を重ねて参っておるわけでございます。今日ではほぼそういう点についての整理を一応完了いたした、かように考えておる次第でございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東京都内——都内と申しますと、少しばく然としますが、たとえば上野−新橋間でもよろしいが、ずいぶんと高架線下などたくさんの人が使用しておるのであります。倉庫のような状態になっておったと思えば、一カ月後にはりっぱな店舗ができる、店舗ができたと思うと、今度は幾多の区切りができて、多くの店舗ができるというように、目まぐるしいばかりにいろいろ変化して使用されている状況をわれわれは目のあたり見るのであります。  そこでお伺いしますが、都内で、たとえば上町−新橋間に限定しますと、この区域内でどのくらい高架線下の使用者があるのか、どのくらいの面積を貸しておるのであろうか、あるいはどのくらいの使用料が年間国鉄に入っておるのであろうか、そういうことはおわかりになりますか。
  59. 石井昭正

    ○石井説明員 私の方でわかっておりまするが、ただいま御指摘の区間についての具体的な数字については、すぐ調べますから、時間を拝借さしていただきたいと思います。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしたとえば鉄道会館の敷地の貸付料の当否についても、名店街の貸付料の当否についても、もう少し広い範囲を調査の対象にして、あなたの方で御調査になる、そういうことを基礎資料にするということでなくして、これは一体できるんでしょうか。これをするしないということは、将来にとても大きな影響を持つと私は思うのです。東京だけではありません。大阪管内においてもいろいろと検査院から批難されている事項も起っております。そこで日時をかさなければわからぬということではきょうの話にならぬのでありますが、あなたの方は全国全体として雑収入の中に入れておると思いますが、収入については詳細な財務諸表が出ておるのでありますから、決算も出ておりましょうから、その内容をなすものについては当然資料があるはずであります。そこでかりに東鉄管内もしくは東京都内あるいは一定の区間でもよろしい、についてどのくらいの固定資産の貸付料もしくはそれに該当する収入があったか、そういうことを説明できませんか。
  61. 石井昭正

    ○石井説明員 御質問に対して大へん申しわけないお答えをいたしたのでありますが、実は本社といたしましては、全国を通じての件数使用料、これは今でもございます。ただお話のございました東鉄管内あるいは新橋−上野間ということでございますと、仕訳をしてとりまとめ御報告いたしますので、日時というつもりではございません、若干の時間を拝借させていただきたいということでございます。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 固定資産の問題はこの間から申し上げておるし、質疑を継続しておるのでありますから、もっとお調べ下さるべきが当然なんです、資料を持ってくるのが当然なんです。それならもっと具体的に聞いてみますと、もうすでに昭和二十八年なり三十年には調査済みじゃないのですか。
  63. 石井昭正

    ○石井説明員 具体的に調査は済んでおります。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その要点だけを言いなさい。
  65. 石井昭正

    ○石井説明員 でございますから、先ほど申し上げましたように、東京都内だけでございますと、ちょっと仕訳をしてそれだけ抽出するだけの時間を拝借させていただきたいということでございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私がお尋ねする以上は調べておりますが、私の方から資料を出すことは本末転倒でございますから、なるべく答弁なさって、問題を集約して、お互いに討議するという場にしてほしいのであります。何も私は頭からあなたが困ることを持ち出そうというつもりはありません。終局におきまして、どうかほんとうに健全な国鉄財政の建設をしていただきたいという以外に何もないのです。でありますので、あなたの方のお調べによりましたこともある程度まで私にはわかっておりますけれども、仮定してあなたの方の御説明を求めたにすぎないのです。だから、二十八年にお調べになった、三十年にお調べになった上野−新橋間の状況なんかは、そんなに仕訳をしなくても、言えるのじゃないですか。施設部員長なんかどうですか。言えるのじゃないのですか。
  67. 中路誠三

    ○中路説明員 御承知のように、国鉄の財産に対します使用料その他は、毎年認定いたしますので、それらに対しましても資料は十分ございます。台帳がございます。さらにまた、三十一年五月には、御指摘のように、特に高架線下の問題が集積しておりましたので、実地踏査もしておりまして、ただいま考えておりますのは六百六件ぐらいに分れておるはずでございます。そして使用面積は七万一千くらいだと思いますが、使用料としては三千二百万円ぐらい、こういう工合に考えておるのであります。なお御指摘のような、実地踏査によりまして発見されました点は、総数の約二割以内の一部転貸、一部第三者使用といようなものがございまして、それに対しましては、逐次規定整備、あるいは従来きまっております同定資産管理規程に基きまして整理するということで、実は昨年の一月十六日に管財部も発足したような次第でございます。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは上野−新橋間でありますか。
  69. 中路誠三

    ○中路説明員 高架下ということで、私どもの方は調べました。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 高架下といったら、どこからどこまでですか。
  71. 中路誠三

    ○中路説明員 やはり総武線とかそういうものも入っております。コンクリート構造物で囲まれている荷架線の下のことをいってるおわけであります。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは東京都内ですか。
  73. 中路誠三

    ○中路説明員 東京都内です。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三千二百万円は年間ですか。
  75. 中路誠三

    ○中路説明員 年間でございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣がお席ですから、あなた方への御質問はあと回しにして、大臣に伺うことにいたしましょうか。  私は、この間の機会にあなたがいらしておらなかったので、国鉄当局といろいろ御質疑しておったのでありますが、営業収入金の保管問題であります。この保管問題も、やはり私は法律が不備なら法律を改正なさって、筋を通して保管をするという体制を整えてほしいと、こう思うのであります。この間だんだん御説明を伺ってみますと、例外なしに、毎日の収入金——年間二千数百億円の国鉄の水揚げ金が、一般市中銀行に預けられておるのです。御承知の通り国鉄法の四十二条によりますと、やはり営業の必要の場合に、大蔵大臣、運輸大臣の承認を得て、そうして一般普通銀行に預けることができるということになつておる。ところが営業の必要というのじゃなしに、日銀もしくは国庫代理店はとりにきてくれない、ところが市中銀行はとりにくるので、その方が便利だから市中銀行に預けてある、こういう御説明であります。これは大蔵大臣並びに運輸大臣の承認を受けることになるわけです。これは日本国有鉄道法施行令第十一条の業務に係る現金の銀行等に対する預託であります。おわかりでありますね。ところが実際におきまして、金をとりにこないから、便宜上町の銀行に預けている、しかもそれが年間二千数百億円に上がる。金利は日歩幾らですか、そういう五日、一週間という短時日ではあるけれども、毎日の収入でありますから、ちょうど水が川を流れるがごとくに絶えることがない。一定の割合で毎日ある銀行に預けておる、こういうことになりますので、これはやはり筋を通して、法律に従って保管をするという態勢をとってもらうのが、私は当然だろうと思う。これは対しまして私はやはり疑問を持ちます。国鉄当局に説明を聞きますと、今申しましたように、どうも業務上の便宜と言う。私は便宜でそういうことをする権限はないと思うのです。この二千数百万億円の国鉄収入金の保管問題は非常に重視すべき問題と思いますが、あなたはどういうふうにお考えになりましょうか。
  77. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 実はそういう問題を私は今初めて伺っておるわけで、これは御質問の趣旨に沿って一つ調べてみて、お返事することにいたします。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なるほど大臣は非常に正直な方で大へんにいいと思います。お調べになっていただきたい。銀行も営業行為ですから、その市中銀行がせっかく預っておるのを、市中銀行にけちをつけるという意味じゃないのです。もしとりにくるからその銀行へ預けるというのであるならば、全国の多数の銀行に、どこがとりにくるかということを高入札でもなさいと言いたいのです。しかしそんな方法でこの金を保管することは、法律が許しておりません。やはり大蔵大臣にしろ運輸大臣にしろ、国鉄法四十二条の趣旨に従って承認を与えるとういことをせねばならぬ、こう思うのであります。これは非常に重要でありますから、そういう御答弁でありましたならば至急に御調査になりまして、そして国鉄のお考えのいかんにかかわらず、運輸大臣の立場において、当委員会で、至急に一つ御報告をお願いしたいと思います。よろしゅうございますね。
  79. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 承知しました。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さらに、ちょっと時間がありますからもう一つ伺っておきますが、これはあなたは御専門じゃないから伺うことは無理でありましたら、別の政府委員の方に伺うことにします。ただし非常に御調査、御研究になっておりますので、できましたら御答弁願いたいと思います。国鉄の持っておる固定資産の法律上の性格の問題なんです。これは国鉄法によりまして、たとえば契約解除あるいは処分に対する制限もできております。これは非常に重要な点でありますが、この固定資産をめぐりまして、あるいは貸し付ける、あるいは譲り渡す、いろいろやっておるのですが、この間国鉄当局に聞くと、これは民法によって処理されるべきものである、たとえば所有の関係、その他使用賃借り等の関係は民法によって処理される、こういうような御所見なんですね。ところが実際を見ると、そんな民法上の契約関係はないのです。鉄道会館の実例を見ても、私はきょうは資料は手元にはありませんけれども、これはやはり使用承認書なんです。使用承認書というものは、普通の契約自由の原則によってする契約文書の文字の使い方じゃないのであります。官庁といいますか、行政行為の現われのようなものであります。使用承認書というのは、互格、対等じゃなしに許しますという内容なんです。許すということは行政行為的な内容を持っているのです。これが実際なんですね。そういう実情でありまするので、この固定資産というものを民間人に貸すとか使わすとかいっておるけれども、使用承認であるということであれば、一体そもそもこれの法律的な準拠は何によっていくのだろうかということを私は疑問に思うのです。そこで法律家でおありにならぬあなたにこんなことをお伺いするのはいかがかと思いますが、どうしたものでしょう。こういうような固定資産の貸付等をめぐって国鉄の持っておる権利、この基くところの法律は何であるかということについては、相当研究を要するいろいろな案件もあったのですから、運輸省は一定の見解を持っておられるはずでありますが、その点について何か御所見がありましたら聞きたいのです。
  81. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 お尋ねの通り私そういう法律的の根拠についての何は持っておりませんけれども、ただしかし常識的に私考えますのに、国鉄の資産というものは国家の資産を公共企業体というあそこへ預けたようなものだろうと思います。国有財産の処理の方法の手続にはよらないで、国鉄が処理し得ることになっておるだろうと思うのですが、しかしその精神は、国家の資産ですから、これは扱い方はやはりどこまでも国有財産としての気持をもって扱っていかなければいかぬのだろうという程度以上のことは私申し上げられませんが、調べた当局者の見解を申し上げます。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは国鉄の方に伺いますが、先般久保さんから伺いまがした、国鉄の理事としてのお立場で伺います。高架下などを事実上たくさん貸し付けて使用料というものを取っておるのですが、これは一体普通賃貸借でいるつもりなのか、そうでないのか、契約の概念はどうなるのですか。
  83. 小林重国

    ○小林説明員 国鉄の固定財産につきましては、公共企業体といたしまして出発した当時には、国有財産に関する規定等が準用されておりまして、公法的の性格が非常に強いものであったと思います。その後規定も改正されまして、必ずしも国有財産法は準用されなくなりましたが、現在あります四十六条の規定でございますが、この規定から見ますと、必ずしも私法的な契約のものではないように私は感じております。なおこの点についてはいろいろ見解があると思いますが、この四十六条の規定の趣旨から見ますと、純然たる私法的な関係にもまたないのではないか。もっともこの文法を解釈しまして、少くとも実際の契約を運用なり解釈をいたす場合に、民法の規定というものは当然準用なり何なりして解釈して参らなければならぬとは思いますが、多分に公法的な性格を持っておるのではないか。ただ鉄道として不用になりました財産、こういったものはむしろ私法的な規定が適用されるのではないかというふうに解釈いたしております。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ここはやはり大事な問題でございます。それは何が不用であって何が有用だということは問題です。高架下は不用なのかというと、不用ではない。あれをのけてしまったらつぶれてしまうのですから不用ではない。しかし、路線が廃止になってそこらにあるというような例、それは不用かもわからぬ。こういうものは一般の民法の原則かもわからぬけれども、現に国鉄として営業のために使用しておる物件という場合には、その性質、権利の内容、契約の関係が明らかになっておらなければ、固定資産の管理はできない。固定資産の管理、運用について、東京でも大阪でもともかくめちゃくちゃに問題が多いのはなぜかというと、こういうところに胚胎するのではないかと思う。そこで大臣に聞いてもらいたいことは、あなたも一生懸命になって値上げをやろうとしておられる。国鉄の資産関係について法律上並びに実際上の関係を整理して、財政の状態をほんとうに正しく健全にするためには、もっとほんとうに筋の通った、統一した解釈をして、法律が不備ならこれを整備し、あるいは疑問があるならばこれを研究するようにしていくことが、一つは固定資産全体の管理運用の上において法律面からみる整備にもなると思う。これをしないと、幾多の問題も起るし、在来起っておる問題がいろいろと紛糾してくるのは、こういうところからもくるのではないかと思う。でありますので、あなたに対しては、これは研究の課題として、次の機会にまたいろいろと重要な結論的な御意見を伺いますから用意してもらいたいと思います。あなたの方には法律専門家もたくさんおられるのですし、また監督の対象である国鉄が持っておる膨大な固定資産のことでもあるし、一般民間人としても、使用しておる人といたしましても、この点は非常に重要な関係がありますので、そこは重要な課題として御用意願って、見解等も一定しておるとするならば、どうぞわれわれにも教えていただきたい。こういう意味におきまして次の機会まで問題を持っていきますから、その点よろしく御用意のほどお願いしておきます。  もう一点あなたに伺っておきたいことは、外郭団体の問題なのです。外郭団体というものは、それは俗称外郭団体だけれども、実はそうではないのだということになるかもわからぬ。調査会あるいは公聴会など、この間から運輸省、国鉄の諮問機関等でいろいろおやりになっておる議論の跡をけみしてみても、またわれわれが検査院報告によってみても、われわれの常識からみても、外郭団体というものは、ある意味において国鉄のガンです。国民が納得するように、これを粛正し、整理し、あるいはあり方を再検討して、有益なものは有益なものとして、そうでないものはそうでないものとして、関係を整理することは徹底的にやらなければいけません。なるほどこれは、改善の跡を読んでみたらちょっぴり出ておりますけれども、これは知らぬ人が読んだらそうかと思うだけのことです。われわれ若干知っておる者が見たら、こういうことでは国民を納得さすわけに参りません。国民を納得させなかったら、値上げ問題はつぶれますよ。そういうこともお覚悟の上、この外郭団体の問題は真剣に一つ考えてもらいたいと思う。われわれの質問することに対しては、納得のいくように監督の立場からも一つ説明してもらいたいと思います。具体的なことは別の機会にしますから、どうぞお帰り願いまして、この外郭団体の問題も今度尋ねますから、一つ十分御用意をして当委員会に御出席のほどお願い申し上げておきます。
  85. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 今のお話よく承わりました。それらに対して一ぺんに御期待に沿うような結論をすぱっと出すわけにいかないとしても、私は御趣旨を体して、できるだけのことをやろうと思っております。ことに私の考えが間違っておったかもしれませんが、予算でも済んで、国会でも済んでからゆっくりこれと取っ組もうなどと考えておりましたが、それも予算と関係がありますから、順を追うて——しかしそれをただ答弁だけしてなおざりにするということはしないつもりでございます。どうぞ一つ御了承願いたいと思います。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 外郭団体から入りたいと思います。三十年の検査報告の二九六ページ「石炭の荷役について」、これは日本海陸運輸株式会社の件であります。これによりますと三十年度においてこの会社が受け取った請負金は六億千九百万円に上っております。しこうして業務は荷役一本になっております。石炭荷役一本らしい、これは大へんな金額であります。きわめて重視すべき一つの例であろう、こう私は思うのであります。これもわれわれは外郭団体と見ております。国鉄当局も外郭団体にお入れになっておる。そこで伺いたいのだが、この会社はどういう内容であり、たとえば資本金あるいは役職員、重要な幹部、こういう重要な幹部が国鉄に関係があるかないか、それから、株式、株式に国鉄が関係があるかないか、ここ数年間の年間の支払い、これらについて一応の御説明を願いたい。
  87. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ただいま構成につきましての詳しい資料は持って参りませんでしたが、実はこの日本海陸運輸は、国鉄の使いまする用炭が山元から港まで出て参りまするが、港から各地の機関庫もよりの港まで海送いたしまして、それを陸揚げする関係でできたものでございます。もちろん陸送は鉄道でいたしまするが、海送の船舶を持っておりませんので昔は——汽船会社に委託いたしました。一番当初は多分中村汽船でございましたか、一社に請け負わせておりましたが、陸揚げの港の数も多いものでございますので、だんだん委託の会社がふえまして十一社ほどになりました。そういたしますると、いろいろ国鉄としまして交渉の相手方も多いし、また配船の計画の変更などにいろいろのトラブルが出て参ったので、そこでその十一社が共同出資いたしまして、日本海陸運輸をこしらえた次第でございます。いわば当時におきましてはおそらく鉄道用炭の海送の合理化——むしろ合理化を考えて一社にいたしたということを聞かされておるのでございます。それで国鉄の事業と密接な関係もございますので、国鉄からは出資はできませんですが、共済組合から出資をいたしまして、現在まで至ったのでございますが、この十一社の汽船会社は出資者でございまして、企業の経営といたしましてはどこの社からも社長を出すのがいろいろの点でうまくないということで、国鉄に依頼したと承知しておりまするが、その辺の事情は詳しくは存じません。ともかくも現実の面として国鉄から社長が出ておったのでございます。ところが昨年いろいろ外郭団体の自粛問題が出て参りましたので、共済組合の出資金は全部手離しまして、ただいまは国鉄あるいは共済組合とも出資関係は少しもありません、一株も持っておりません。それから社長は昨年病死いたしましたので、ただいまの社長は鉄道から出ておらないのでございます。授権資本は二億円でございます。設立は昭和十七年三月三十日でございます。大体そういうふうな関係で参っております。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 死亡された方は別といたしまして、国鉄の幹部であった人が当社の幹部になっておるわけですか。もしできたらどなたがそうしておられるか。それからここ数年間の国鉄がこの会社に支払った荷役その他の請負金、これをちょっと数字だけでよろしいから説明して下さい。
  89. 小林重国

    ○小林説明員 役員を申し上げますが、これは現在取締役会長が俣野健輔氏であります。取締役社長は先ほど申し上げましたように河合好人氏、前東鉄の局長をやっておりましたが、この方は昨年なくなりまして現在社長は欠員でございます。それから専務取締役が湯本喜作氏でございますが、これは安田銀行の出身の方でございます。それからもう一人専務取締役として長井実行という方がおられますが、この方はたしか海運局長をおやりになった方かと存じます。それから常務取締役は三名おりますが、三名のうちの二人はかつて資材局に勤務しておりましたが、地位としてそう高い地位についた人でもございません。それから一人は経理局に勤務いたしたものでございます。そのほか取締役が数名おりますが、このうち一、二名国鉄出身の者がおります。  国鉄から支払いました金額としましては、ちょっとここに資料がございませんので、これは整理いたしましてお知らせいたしますが、現在の収入といたしましては大体荷役作業関係でございますが、その収入が三十年度の数字で見ますと四億五千九百万円、それから石炭の販売関係の収入でございますが、これが五億円、工場収入が七千二百万円ぐらいの姿になっております。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで国鉄の重要な役職にあられた方の入れられた会社がいろいろと批難の対象になり、また政府の粛正のやり玉になるというようなこと、これが実は遺憾なんであります。だからよいことをせられて、有益な存在で、ほめられる存在なら、これは総裁が何をせられようとかにしようと、われわれはどうもないのであります。しかしながらともするとやはり国鉄一家という言葉が使われ、そしてそれが利益を聾断するというふうにとられ、そうしていろいろとこういう批難案件というものを起すということになってくると、どうしてもわれわれはこれはもっと究明して全体のためにもはっきりしておかにゃならぬ、こういうことになってくるのであります。そこで第一、三十年度は全国の港における石炭の荷役は、この日本海陸運輸会社が独占の状態であったのですか、それはいかがなんですか。
  91. 小林重国

    ○小林説明員 三十年度におきましては、この日本海陸運輸が石炭の荷役作業を全部請け負っておりました。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただしこの会社は全国的に数十の下請業者を持って、その一下請業者が直接石炭の陸揚げをしておった。この会社は従って陸揚げの業務を事実しない。ある一定の口銭を下請業者から取るだけであった、こういうようにも伝えられるのですが、その点はいかがですか。
  93. 小林重国

    ○小林説明員 相当下請部分がございまして、私今申し上げます数字は記憶的なものでございますが、確か五十数%は直営でございまして、残りの四十数%が下請というような状態になっておったと思います。もっとも港湾作業等につきましては相当着炭に波動がございまして、その場合には荷役業者といたしましては下請の応援を求めるという実情が多分にあることではございますが、港によりましてはほとんど下請というような姿になっておるのが事実でございます。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そしてこの海陸運輸会社は相当な差額をトンネル口銭のように取っておったと言われるのですが、大体どのくらいの割合——下請業者の下請代金とあなたの方がこの会社へ支払う請負代金の差額は大体どのくらいになるのですか。平均でも総額でもパーセンテージでもよろしゅうございます。
  95. 小林重国

    ○小林説明員 今数字を持ち合しておりませんので……。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしあなたは持ち合しておらぬかもしれぬけれども、国会に提出された経営改普の経過、昭和三十二年二月日付のものにこれを改める趣旨が明確に打ち出されておるのであります。ここまで詳しいものの文書を出す以上は、そのくらいの御用意があろうと思うのですが、それはあなた以外の方でも持っておらぬのですか。外郭団体問題のうち重要な案件であります。検査院自身も三十年度に指摘しておるのでありますし、あなたの方も、この会社は鉄道弘済会、日本交通公社、その次が今のこの海陸運輸会社、こういうふうに外郭団体の改善粛正について代表的なものとしてあげておるじゃありませんか。そんな資料くらい御用意がないというのはちょっと不思議ですね。
  97. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 まことに相済みませんが手元に資料がございませんので、さっそくお届けいたします。ただ一言申し上げておきたいのは、実は港の水揚げ、はしけ取りその他の料金は大体港におきまして地方々々に公定の価格がございまして、港湾の監督方面からは不当競争をしないようにという公示料金がございます。ただ大口荷役の場合は大口取扱いとして一割だけは引いてもよろしいというふうな示達がございまするので、私ども国鉄は公共企業体でございまするので、その公定をみだりにたたいて違反行為をするということはでき得ませんですが、その一割の限度におきまして料金をまけてもらっております。海陸運輸に対しまして、大口需要者として公定料金から一割引かせて契約をいたしております。それ以下になりますと、これは港で港湾管理者がきめておりまする港湾の公定料金を乱すということで、それは私ども差し控えなければならないので、海陸運輸との港湾荷役料金は、私どもはただいまでき得るだけの厳正なものであった、決して不当ではなかったと、かように感じておりまするで、そのことだけ御説明申し上げておきます。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はやはり二つの面から問題を考えていかなければならぬと思うのです。なるほどそれは下請業者があって、大体において下請でしておる。直営ではない。その場合に、下請業者が安い値段で下請けて、さやをこの会社がピンはねしておるとした場合に、あるいは下請業者の価格が相当かもわかりません。あるいは下請業者をしぼり上げて、独占業であるし、その親請けの方が強いという場合もあり得るのですから、そういうような場合にどちらがどうか、それはわかりません、それはわかりませんけれども、一応は全国的な石炭の荷役の業務で下請業者が安い値段で下請けしておるような場合に、トン当り何十円もはねておるとすれば、やはり一応はこのことについて調査をして、そしてどちらが妥当であるかということをお考えになって、基準をどこかできめておるならば、そこらと折衝することの必要だくらい、やはり企業的な立場から見ても私は当然のことだと思うのです。もしこれが会社などだったら当然そうします、しかしそうすることが、今あなのたの立場として妥当な結論が得られるかどうか、それはわからない。わからないけれども、しかし現実に港の請負が全部下請なんかに回っておって、下請がすっと安い。さやをトンネル口銭で取っておるということがもしあれは、これはやはり御調査にならなければいくいと思う。  もう一つは、検査院も指摘いたしておりまするが、たとえば荷役におきましても非常に能率的な機械作業等が行われておるということも記載されております。こんなことはきわめて事務的なことだからしいて確認をいたしませんが、そういうような場合ならばあるいはその場面からも、一般のそれよりも価格はもっと低額にできるのではないだろうか。なぜならば、国鉄関係でない場合にそう安くはできないとしても、国鉄の場合は機械作業等が相当行い得る余地が大きいのだから、労務等の出費は少くて済む、管理業務は少くて済むのですから、下請価格も少くて済むわけです。そういうことは十分に考慮しなければならぬというふうに思うのです。しかも港のこの作業は、ほとんど独占である。しかも検査院の指摘によれば、三十年度においての請負の額は六億円に上っておる。そしてその幹部が国鉄の幹部であった。こういうことでは、それ自体はどうも格好が悪いです。だから、そういう点から見ましても、相当手を入れて、何とかこれは改めなければならぬと思う。ところが、三つの港だけ改めたというふうに、この報告書に出ておる。そこで進んで聞きますが、三井川崎というのは、横浜のあそこですか、これは相当な個所だと思いますが、三つの港というのは、全体の何%くらいになるであろうかと思うのです。全体から見た印象は、ほとんどこの状帳は改まっていない、ほんの一部が改まっているにすぎない、こういうふうにも考えさせられるのです。しかしあなたの方は、この請負代金が決して不当ではないという今の御見解ならば、独占がいいのか、中間利益をとっておるのがいいのかどうか、この程度の改革でいいのか、もっと考慮する余地はないのか、こういうふうに、各般の角度からこの海陸運輸の問題は検討しなければいけないと思います。どうでございますか。
  99. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 実は外郭団体の問題についていろいろ各方面の御意見もありましたので、経営改善にもあります通り、厚生委員会という委員会を部内に作りまして、各方面の権威者に御委嘱申し上げまして、外郭団体のあり方というものを検討していただき、それの是正につきまして御答申をいただいては、その線に沿うて参ったのでございます。  ただ、ちょっと言いわけがましいことを申し上げますと、私も港湾関係に深い知識も経験もございませんが、港湾の作業というのは非常に繁閑がございますために、労務その他につきましては、下請がほとんど通例だというふうに聞いております。もちろんその港港には大きな業者もございまするが、全部の荷役を自分の会社で全部やるというのももちろんございましょうが、労務供給その他につきましては、また別な機関がございまして、繁閑に応じて下請をするというのがほとんど通例のように聞いております。海陸運輸につきましては、その下請の度合いがいささか強かったと思いますが、やはり各港におきまして契約したものにつきましては、営業所のようなものを置き、人間も配置して、やはり鉄道との契約の責任遂行のために監督者を置いておったのでございます。しかしながら、まるまる下請に出すというようなところは、何とか直接にいたす方が妥当であろう、こう考えましたが、ただ一つここで考えなければなりませんことは、配船の点でございまして、鉄道は機関庫々々々によりまして、ある場合には甲の機関庫の貯炭が少くなる、あるときには乙の機関庫の貯炭が少くなるというふうなことで、石炭の回漕にその都度計画の変更がございまして、そういう場合に適当に配船の計画を変更いたさなければなりません。そういう場合には、やはり全国的な相当大きな組織で、大きな配炭計画を持っている会社に頼むのが一番業務上能率が上るということでございまして、これはあまりに分割いたしますると、配船の点で非常に作業に困難を来たすということがございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、一手独占ということはいかぬというふうなこともございましたので、その三港を限りまして、面接の契約にいたしたのでございます。ところが、やはりその三港にいたしましても、その下請業者は鉄道と直接契約することを必ずしも飛び上って喜ぶというようなことはございませんで、自分が面接に契約を受けますと、やはりそれだけの費用がかかりますから、自分のところは下請でけっこうだと申し出た業者もあるくらいでございます。しかしながら、ただいまは三港を試験的にいたしましたが、その結果を見まして逐次広げて参るのも一法ではないか、かように考えている次第でございます。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ私は、副総裁、あなたに申し上げますが、あなたの方は今度五カ年計画を公表せられて、いわば、画期的な、実に雄大な構想で日本の国鉄の新しい建設と経営を計画されておる、こういうときに、港におけるこの種の問題を十分に徹底的に究明して解決できないようなことでは、しょせんこれはいけません。私のようなしろうとが申し上げるのはいけませんけれども、最近起って表に出ました、たとえば兵庫県の神戸における手配師の問題、港におけるいろいろ複雑した二重三重の請負組織のあることはわかっております。けれども、そういうものに断固強く出ることができないようなことで、こんなちっぽけな、あるかないかわからないような西戸崎とか七尾とか、一つや二つ試験的にやってみるというような、そんな中途半端なお考えではいけません。少くともこの会社に対しては、三十年には六億千九百万円ものお金を国鉄は払っておるじゃありませんか。六億以上金を払っておるのですよ。それだけの金を払っておりますので、これがどういう方式にすればいいか、果して下請人がほんとうに欲しているかどうか、どこにどんな事情があるか、そんなことはあなたの方ではしさいな資料があるわけです。けれども断ち切ることができないという弱さがある、進んで強くやることができないという弱点もあるのです。いろいろのてんめんした情実因縁があるのです。ですから、なかなかうまくいかないということはよくわかります。私なりによくわかる、想像にかたくありません。かたくありませんけれども、このような問題を例にあげて、一つ模範的な解決をするというくらいの勇気なしには、とてもいけません。これは国鉄だけについてみましても、ここに一つ一つあげているのを漸次拾い上げていって、その原因とか、因縁情実をみんな拾ってきたら、まるで世の中の害悪のパノラマのようなものが出てくるのですよ。でございますので、私が申し上げたいのは、やはり海陸運輸の問題にいたしましても、改善は三つの港だけを直接契約にしたということだけで、今後これは試みとしていきたいというのが今のお説であります。これは要するに、材料は十分に持っておるけれども、決断ができないということではないかと私は思うのです。一体なぜ抜本塞源的に、この会社をめぐっての問題を合理的に筋を通して経済的に有効な運営ができるように、荷役が十分にできるような方法をお講じにならぬのかということを、実は疑うのであります。これは一つはやはり勇気の問題です。そういう問題を打ち切って進んでいくという勇気がなかったら、しょせんこんな問題は解決しません。とてもいけません。あるいは直接の契約をするということも、場合によっては直営にすることも、あるいは可能かもわかりません。けれども、その対案は、軽率に私自身の意見としてはお出し申しませんけれども、いずれにいたしましても、外郭団体の重要なものの一つとして、構成の人員から見ても、過去の株主の関係から見ても、共済組合が株主であるということであれば、国鉄が株主なんですから、そういうようなこともいろいろと考えてみたときに、やはりこれは今日の時局、今のあなたのいろいろな角度から、典型的な問題として一つ相当思い切った改革をするということが必要でないかと、こう思うのであります。今お述べになったようなことでは、どうもたよりないことおびただしい。ほかの外郭団体、みなそうじゃないかという気がするのです。一つあなたの勇気のほども示して、しゃんとした答弁をして下さい。
  101. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 外郭団体の全体に通じまして、先ほど申し上げましたように、私どもはできるだけ、極力改善の方策をとって参ったつもりでございます。これはしかしまだいろいろ残されたる点もございましょうから、先生の仰せに従いまして、今後とも一生懸命改善して参るつもりでございます。ただ私どもは、先ほど先生も御指摘になりました通り、運賃値上げというのがいろいろ各方面に御無理を申し上げて、もしこれを御容認していただくには、経営調査会の答申もございますように、ほんとうに血のにじむような合理化をいたさなければなりませんし、また私どもは誇張なくそういうことをいたして参ったつもりでございます。たとえて申しますれば、弘済会の株ということでなく、とにかく三分の一くらいの大きな株が移動するということは、会社にとりましては非常に大きな問題でありまして、場合によりましては存立にも響くような重大なことでございますが、それも強行いたしまして、ただいまのところ株式出資関係は全部断ち切ったというようなことも、これは会社にとりましては非常に苦しかったことだと存じまするが、思い切って断行した次第でございます。しかしながらまだいろいろな点におきまして、今後とも先生のおっしやる御指示の御方針も十分かみ分けまして、今後とも合理化に進んで参りたいと思います。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今、血のにじむような、血の出るような経営の合理化をはかるということ、これはもう当然のことであります。やはりそもそも国鉄が、大臣申しましたごとくに、国有財産を引き継いだというような観念が国民一般にあるのであります。従ってこれは今あなたもおっしゃいますけれども、国鉄に従事をしている人が何もかもみんな占めていくという、そんな考え方は少し大それたことです。国鉄に従事しておられない人が、むしろ国民の九割九分なんです。そして国民の財産なんですから、という考え方に立ってすれば、かえってよくいきます。国鉄の関係者でこれを占めておらなければならぬというような考え方は、まるで私有物的な考え方に発展するおそれがあるわけです。そういうことは根本的によくないことです。だからその点は断固、ほんとうに公正な立場に立って考えなければならぬことは当然であります。そんなことは一々釈迦の説法をあなたに申し上げるまでもございませんが、そこでたとえばここに例をあげます。三十年度のもので報告番号二一四八、これは三〇七ページであります。これは日本電設会社の問題でございます。それから二一五一、三一一ページ、ここでもまた日本電設会社の問題であります。それから二一五四、三一四ページ、ここにもまた日本電設工業株式会と社いうのがある。日本電設工業株式会社というのは毎年こういうように批難されて、国鉄に莫大な損をかけてめちゃくちゃな工事をやる、一体どういうわけでありますか。外郭団体についてあなたの方は相当いろいろと粛正をさし、改善をするということに御努力のお話も出ましたけれども、外郭団体について、電気関係の会社はこれには出ておらぬと思います。出ておりません。これは別のものですが、工事請負会社で一つですか、それ以外には出ておらぬ。なぜ一体こんな日本電設工業株式会社というのはやり玉に上ってこないのであろうか。私は何も利害関係はございません。この日本電設工業株式会社に恩も恨みもありません。どんな社長さんか、顔も何も知らぬ。前回ですか、二十八年度かのあなたの方の御答弁だったかと思いますが、この電設工業株式会社と、もう一つは新生電気株式会社、この二つか三つの会社があって、総合的にいろいろな設備をやってくれるので、ほかは請負わさせてはおらぬというお話があったが、果して今日まで、この種二つか三つの会社が独占的な状態にあるのではなかろうか。そしてこの独占会社がこういうふうに毎年何千万円の損を国鉄にかけるような案件を指摘されておる。こういうようなことは実にだらしがないと思うのです。  これは別の機会にちょっと詳しいことを聞いてみようと思うのだが、一体日本電設工業株式会社というのはどんな会社ですか。この種の総合的な電気設備工事というようなものは、この二つ三つの会社が全国的に独占状態にあるのではないか。一体年間どのくらいの金額がこの種の会社に払われておるのであろうか。今後電化も進めようという御計画がある際、われわれは心配にたえません。まずこの会社の、要旨だけでよろしいから内容の御説明をしていただきたい。
  103. 小林重国

    ○小林説明員 日本電設工業株式会社でございますが、これは授権資本が一億二千万円の会社でございます。設立されましたのは昭和十七年でございまして、やはり戦争中の電気工事の請負を確保するというような意味で設置された会社であります。現在幹部は、社長の岡中、この方は前に東鉄の電気部の電力課長をやっておられた方でございます。それから専務取締役が二人おりまして、一人は元鉄道におった者でございまして、一人はこういった電気工事の請負業者であった方でございます。それから常務取締役のうちの一人がやはり鉄道の出身でございます。そのほか取締役のうち相当数国鉄出身の者がおるという実情でございます。  それから国鉄との契約額でございますが、二十八年度におきまして四十六億でございましたが、三十年度におきましては三十三億に下っております。現在この会社の請負総額のうち国鉄関係の契約高は八二%でございます。そういう程度に下って参っております。これは国鉄部外団体等公正委員会にもお諮りいたしましたが、なお請負業者資格及び指名審議会というものを設けられまして、こういった部外団体に対する指名の回数がどうも多少回っているのではないかというような御批判もございましたので、そういう面も検討いたして参りまして、本年度におきましては、さらにこの割合も低減したのではないか思っています。今数字を持ち合せておりませんので、後ほど詳しく申し上げたいと思います。  新生電業につきましては授権資本四千八百万円の会社でございます。昭和二十二年に設立されたものでございます。この会社の主体となっておりますのは、外地におきましていろいろ活動しておりました連中が、終戦後内地に引き揚げて参りまして、この連中が団結してこういった電気工事の仕事を始めたのが設立の発足になっております。現在取締役社長は藤井栄三郎という方がやっておられます。これは一時国鉄にたしかおられましたが、その後外地でたしか活躍されておったかと思います。それから専務取締役の加藤為五郎さん、これはちょっと履歴がはっ一きりいたしません。それから常務取締役平井環という方がおられますが、これはたしか満鉄か何かで活躍しておられた方じゃないかと思います。それから常務取締役の東京の電気工事事務所長をやっておりました木村輝生という方が現在おられます。それからもう一人坂省三さんという方がおられます。この人の経歴も私は詳しく存じておりません。工事内容といたしましては、大体電設と同じような工事につきまして請負を行なっておるところでございます。国鉄との契約高でございますが、二十八年度九億六千万円程度でございます。それから昭和三十年度におきましても九億五千万円程度でございまして、ほとんど増減がないというような実情でございます。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全国の国鉄のこの種の電気設備工事はほかにはないのですか、大口の請負は。
  105. 小林重国

    ○小林説明員 会社の名前等を私ははっきり記憶しておりませんが、数社あるのじゃないかと思います。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 名前を記憶しないほどの存在というのですね。それでは大体わかりました。そこでここに出て参りまするのも、たとえば二一五四、三一四ページのごときは、米原の駅の構内で電車線路支持物新設その他、二工事工事総額八千六百余万円で請負わしておいたところが、出来高不足ということになっておりますけれども、内容は、あるいは電柱を、下に底盤もなく基礎ぐり石を施行してないもの、根入れの深さやコンクリートの容積が不足しているものというようなことで、実に乱暴な感じさえするのであります。施行方法も地中に垂直に掘りをし、地盤不良の場合は松矢板などで上土の土どめをして、コンクリートを打み込みながら矢板を引き抜く簡易な工法によったために、形状が整わないことになっておるというようなことで、指摘されております。年間において四十六億円でありますか、三十年度は三十三億円に上りまする国鉄の電気工事を請負っておりまする電設工業会社、その社長であった人は東鉄の元の重要な係であった方、もう一つの新生電業ははるかに請負金額が少い。その他二、三社は存在を認められないほどのものということになれば、ほとんど日本じゅうの重要な電設工事はこの会社一手でやっておるというふうに説明しても過当でないような感じさえいたします。この会社がこんなめちゃくちゃな工事をするということで、これは私は担当の出先の者だけの責任じゃないと思うのです。どこかにやはり非常に悪い要素があるのじゃないだろうか。国鉄の経営なるものが何年来、資産の食いつぶしという批評さえしておられることにかんがみまして、この重要な外郭団体が、元国鉄の役職員であった方を幹部とするところのこういう重要な請負会社が、こんなに国鉄に迷惑をかけるというようなこととは危なくてしょうがない。どんなところに手抜きがあるるかわからぬとさえわれわれは想像するのであります。こういうようなものは、今御説明になっておりました国鉄の部外団体等公正委員会でありますか、それができたのでありましょうが、一体こういうようなところで指名を剥奪するというくらいの強い態度に出られないものであろうか、少くとも爼上に上して、原因を検討し、そうしてその会社説明も求めて、もう根本的、抜本的に一切を改むるという見込があるかないか。いずれにしましてもこれに対して重大な関心を寄せて、国鉄としましては、対処せられた事実があるのだろうかどうか、これを一つ聞いてみたいのであります。
  107. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 電設工業は、私決してかばう意味ではございませんが、実は非常に優秀な技術と大きな工事能力を持っておりまして、ことに鉄道の電気工事と申しますものは、非常に特殊な電気工事でございまして、電化にいたしましても、いろいろな機能の組合せを電化していくということに相なりまするし、また既設の線路の電気関係の工事は、列車の合間を見ていたすというふなごく特殊な工事でございまして、日本電設がそういう方面におきまして非常に高度技術と工事力を持っておりますので、ついそちらに偏しておるというのが実情だと思います。工事の量も多いのでございますので、中に今回会計検査院から御指摘になりましたような事象も出て参ったのでございまするが、何から何までけしからぬ、何から何までごまかすというふうな会社ではないのでございまして、その点は一つよく御了承願いたいと考えるのでございます。しかし今回御指摘になりましたような工事は全く国鉄としましても相済みません。しかしこれらにつきましては国鉄側に相当手抜かりがあった、あるいは過失があったということも明白になっておりますので、それらにつきましては前の本委員会におきまして御報告申し上げました通りに、責任者を処罰してございます。それからまたこれに相応しまして、岡中日本電設社長と役員を一名私の部屋に呼びまして、とにかく会計検査院の批難事項におきまして、四十も日本電設の関係があるということは、これははなはだ相済まないことではないか、今後はきつく自粛し、かつ業務の末端にまで業務の改善をはかるようにときつく戒告いたしました。なお社長はその夜その返答としまして、自分のところにおきましても十分何らかの考慮をいたすというふうな返答があったのでございます。なおこれは契約上の返還請求権は非常に法律上無理のようでございまするが、とにかく指摘された事項につきまして不当と思われるものについては返還を数百万円とありましたが、それの返還をいたさせてござい ます。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう終りますが、今のこの会社の案件は、これは国鉄部外団体等公正委員会の議題にいたしましたか。
  109. 小林重国

    ○小林説明員 電設工業自体といたしまして部外公正委員会にはかけてございませんが、たしか請負業者資格指名審議会がございます。ここでいろいろ資格の基準、それから指名の基準等検討いたしまして、その基準に従いまして特殊の業者に受注が偏在しないよう措置をいたしました。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 受注の偏在を防ぐとうこと、これは大事なことでありますけれども、なるほど今副総裁お述べのごとくにずいぶんたくさんのうちの一部というふうにして、これはある程度まで見のがしてはというお考え方もさることながら、しかしながら私の根本的な考え方は、今日はそんな段階ではないということです。あなたも今血のにじみ出るような経営の合理化をはかることが必要であるということを経営調査会でありますか、答申の中に書いておったようでありますが、ともかく今そういうような重大な段階であるという角度から御検討にならなければいけますまい、こういうのであります。平素ならもう言いませんよ。ありきたりのたくさんの中でありますから言いませんけれども、今日はもう見のがすことのできない重要な段階ではあるまいか、どこから考えても、年間数十億の仕事をさせておる一つか二つしかない独占企業である。むずかしい技術が要るか何が要るか知りませんけれども、どんなにむずかしいといったところが、電気工事をするくらいのものでありますから、全国に技術者もおるし、資本もありましょうし、国鉄が一手で請け負わすということになったらそんな会社の設立くらい至難ではございません。というような角度から考えてみましても、やはりこれを重視しなければいけません。かつまた、たくさんの中であっても、非常に性質上おもしろくないというようなこういう案件が出たら、やはり一応はその問題のみならず、会社自体についてもどこかに大きな病源があるのではないだろうか、こういうふうに検討するということが、これが部外団体等公正委員会の任務ではないだろうか。一体何を監査するのですか。八カ月にわたって審議した、乗務代行団体、各種協会、研究団体のおもなものについて審議したということが報告されておる。しかもその中には技術者はあまりおいでにならぬらしい。岸道三氏は技術者かどうか存じませんけれども、いずれにしましてもこういう重要な不始末をいたしましたことが明らかであります以上は、抜本的にみずからの自粛をさすということも私は必要ではないかと思う、これが国鉄の利益を守り、国鉄の経営の合理化のほんとうの血のにじむところのあり方であろうと思う。そういう点から私は申し上げるのです。この委員という人々は、これは委員長が工藤昭四郎ですか。稲葉秀三、加藤威夫、佐伯勇、永野重雄、そうそうたる人がみなこれに入っておる。こういうような人はあなたの方のあなたまかせの資料だけでやるのですか。それとも外郭団体出しなさいというような調子で出させて、自分たちの委員会で検討してみようというような自主的な運営でもやっておるかどうか、こういうところからも私はわかれてくるのじゃないかとさえ思わざるを得ないのであります、ここの問題にどうしてしないのであるか、する価値がないということは根本的に今の段階のあなたらのお考え方が少し甘過ぎる、こういうふうに思うのであります。もっと辛くもっと強く、やはりこの際はほんとうに厳とした態度で外郭団体に臨まねばなりません。外郭団体がかわいいのか、国鉄がかわいいのか、国民のために奉仕する任務が重大なのか、はっきりと態度をきめてかからなければいけません。われわれもこんないやなことを言いたくありません。人様の仕事をじゃまするようなことは言いたくありませんけれども、ほんとうに国鉄を守ろうとすれば、ちっとは苦い薬も要るのですよ。甘いことばかり言っておったら、批難事項は跡を断ちませんよ。何しろ年間二千数百億円の利益を上げている国鉄ですから、この二千数百億円を利権の対象のように考えるやからもないではない、そのことを思いますと安閑としておれません。だからこの問題につきましてもきわめて重視すべき例として私はおあげしておるのであります。この問題のごときを部外団体等公正委員会が取り上げて縦横に検討しまして、そうしてこのくらいの程度のものである、こういうような判定をするというくらいの運営をやらなければ、こんな委員会を作ったことは屋上屋です、要らぬことです、人間の浪費です、そう思うのであります。もっとしっかりした運営をやってもらわなければいかぬのです。いたずらに何とか委員会何とか審議会をこしらえて、弁解の道具に使うことになったら大へんでありますので、まさかそういうようなお考えではなからうと思いますけれども、何も成果を上げないのだったら、そう言われてもしようがないのであります。この問題はもっと私は大事にお考えにならなければいけません。二つか三つしかない会社で数億円の工事をやっておる、もし人命にかかわる失敗をやって知らなかったらどうしますか。そういうことを思います。あなたの方の仕事にしてもそうです。千百に一回運転を過失するわけにいきません。人命にかかわりますから、機関東の技術は一万べんに一回過ちを犯すわけに参りません。唯一ともいうべき請負会社は千回に一ぺんこのような事態を起すわけにいきません。したならば直ちに一切の責任者を処分してしまう、不正があれば告発するくらいの勇気をもって公正に業務を行いますということを国鉄に誓わなければいけません。あなたに呼ばれてのろのろしておるようなことはもってのほかだと思う、何かそこにたるんだ、間の抜けたところがあるのじゃないか、こう思うのであります。いかがでございましょうか。この部外団体の公正委員会の活動に関連して私は伺いたいのです。こんなことでは安心してまかせられませんのです。
  111. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 公正委員会におきましては、外郭団体の指導監督の方針を高所から御判断願って、それに基きまして処置をいたすことに相なっております。それで公正委員会としましては、末端の一つ一つのできごとについて御調査せられる性格ではないのでございますが、実はこの日本電設につきましても、いろいろ各角度から御検査付下さいまして、とにかく工事費の切り下げ、あるいは集中の排除、あるいは株式投資の引き上げというようなことをきめていただいたのでございまして、この電設につきましても、日本海陸と同じく、国有鉄道共済組合の持ち株は全部手放してございます。ただいまは出資関係は一文もございません。  それから、いろいろ公正委員会につきましてのお話もございましたが、公正委員会は、資料の提出を命ぜられて、独自の立場から御検討下さいまして、適切な御指示をいただくのでございまして、ときには私どもほんとうに少しつらいと思うような御命令もございます。それから、先ほど私の言い方が悪くて先生のおしかりをこうむったのでございまするが、日本電設がたくさんの工事を持っておるから、二、三の過失は仕方がないと申し上げたのではございませんで、幾らたくさんの工事があっても、かような批難事項になるということは、はなはだもってけしからぬというので、社長、役員を呼びつけまして、警告文を手交いたして、今後をいましめたのでございます。先ほどから再々御指摘がございまするが、運賃の値上げをお願いしておりますさなかに、先ほどの東鉄の収賄容疑事件だとか、あるいは批難事項だとかいうのが出ますと、一番つらいのは私どもでございまして、全く身の置き場もないように感じている、全く非常につらく感じておる次第でございまして、今後とも十分注意いたして運営をいたして参りたいと思っております。
  112. 青野武一

    青野委員長 神近市子君。
  113. 神近市子

    ○神近委員 私は、国鉄の施設の面でちょっとお伺いしたいと思います。  今、今井施設局長がおいでになっておりますけれども、これの監督業務はどなたでいらっしゃいますか。
  114. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 私どもでございます。
  115. 神近市子

    ○神近委員 私は具体的にいえば、今建設中の池袋の駅のことをちょっと伺いたいと思います。私も一、二度拝見いたしましたけれども、あれは今どの程度工事ができたところでございますか。
  116. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 正確な数字を申し上げたいのでございまして、今井施設局長が見えておりますから、施設局長説明していただきます。
  117. 今井四郎

    ○今井説明員 本日は三十年度のいろいろ批難年頃の問題でございましたので、池袋関係の資料を持っておりませんが、記憶に残っております数字で御答弁申し上げます。御承知の通りああいう民衆駅は管財部の所管でございますが、いろいろ百貨店法の施行に関連がございまして、関係の当局の方から申請に対する許可というふうないきさつが別途ございますことは、御承知の通りでございます。一方池袋のそういう民衆駅の構想を織り込んだ建築物の工事の進捗状況でございますが、最近調べました数字では、四〇%前後の出来高というふうな状況でございます。
  118. 神近市子

    ○神近委員 それで四〇%でき上っていて、今停頓しているのでございますか。
  119. 今井四郎

    ○今井説明員 はっきりした申請の関係は、私の所管でございませんので申し上げかねますが、百貨店としての売場面積は、約半減というふうなことでございますが、会社といたしましては、そういう百貨店法に関係ない営業の形式におきまして、いろいろとフロアを収益のために使うというふうな計画がございますので、ともかくも上部に向って既定通り建設を続行いたしておりまして、これはそううい会社側の事業計画が確定次第細部の協定を別途いたさなければならない、かように考えておりますが、工事は続行いたしております。
  120. 神近市子

    ○神近委員 あの工事は大林組だったかと思いますけれども、それは百貨店が直接に依頼したのか、それとも国鉄がそれに御協力になっているのですか。
  121. 今井四郎

    ○今井説明員 これにつきましては、二階までは将来鉄道の財産になるというふうな特別な関係にございますので、これは会社側から鉄道が予納金を取りまして、鉄道の責任において施行いたしております。
  122. 神近市子

    ○神近委員 その予納金はどのくらいお受け取りになっているわけですか。
  123. 今井四郎

    ○今井説明員 きょうはこまかい資料を持って参りませんでしたが、一件工事の発注ごとに必ずその前に予納金を取っておりまして、記憶で大ざっぱに申し上げますが、概略三億から四億の間ぐらいではないかと記憶いたしております。
  124. 神近市子

    ○神近委員 百貨店法ができて、民衆駅というものが成功であったかどうか、私ども今日疑ってみていいと思うんです。どこからあの構想が出たのか知りませんが、私どもが普通の住民として考えると、民衆駅というものができたために、鉄旭の混雑、駅頭の混雑は必常なものになってきた、これは鉄道あるいは電車からおりてすぐに百貨店に入れるというような便利があることがうたわれたのだと思うんですが、今日乗客にとっては決してありがたい混雑じゃないのです。昔ならいなかから東京に出て来た人でも、ちょっと頭がある人なら、東京駅あるいは新宿駅あるいは池袋駅に行って、荷物を出して、簡単に都電に乗車ができたと思うのですが、今日ではいなかから出て来た人は、東京駅にでも連れていこうものなら、二人か三人が手伝わなければなかなか支度ができないような混雑になっているんです。それで私は何でも新しい言葉でごまかせばついていくというのも、私たちが悪いんじゃないかと思うんです。しかしこの考え方はもう一ぺんやってみたのですから、ちょっとあと返りして、よかったか悪かったかということを考えてみなくてはならぬのではないかということを私は考えているんです。特に百貨店法ができまして、地元では大へん反対していることは御存じの通りでございます。それで池袋のデパートを半減するようにという通産省の裁決が出たはずでございます、この点で私は国鉄が少し考え直していただけないかということを考えるのです。西武は私鉄でございまして、所有主も同じですから、これはどうにもならないでしょう。けれども国鉄の駅の方は、今が元の構想に返すことができるチャンスじゃないかと思うんです。今四階までできておりますね。それで今あそこで非常に非難されていることは、車寄せがないことと緑地を取り上げてしまったことです。あそこの人たちは三百七十坪というものを供出しているわけなんです。それであの人たちは車寄せもないじゃないかということをしきりに言って、私どもも何度も引っぱり出され、車寄せがなくてどんなに困るかということを見せてもらったわけなんです。この点では私は国鉄が何か考え違いをしていらしたのではないかと思うのです。  今二階までを国鉄が使うということをおっしゃいましたね。そして予納金を三億から四億取ってデパートに協力してやっているとおっしゃいましたね。私があそこへ伺ったときに承知したことは、デパートがお金を出して、国鉄が駅舎を建設するのを手伝って、そして一階と二階の大部分を国鉄がお使いになる、こういうことでしたね。そしてそれを国鉄はデパートから寄付をしてもらうのだ、こうおっしゃったですよ。それから私、おかしなことを伺うものだと思いまして、どこに国鉄がそういう民間からの贈与を受けることのできる規定があるのかと思って、ちょっと国鉄法を研究してみたのですけれども、どこにもないのです。国の投資あるいは予算のやりとりまたは流用の規定は幾らもあるようでしたけれども、個人あるいは法人から国鉄がこれをもらって自分たちの財産にしてよいというような規定はなかったのです。一体そういうことはどこでだれが考えて、だれが何のためにそういう契約をしたのか、どこに準拠しておきめになったのか、ちょっとその点をどなたかに伺いたいと思います。
  125. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 最初に民衆駅のあり方について御質問がございましたが、民衆駅は、当初戦災で荒廃いたしました駅を旅客公衆のためにできるだけ急速に整備いたさなければならぬ、しかしながら国鉄にそれだけの財力がございませんので、民間に一部の負担をお願いするという趣旨が一つと、もう一つは、都会地の非常に高い土地を鉄道の駅だけで専有するのは非常にもったいない、またその土地の繁栄から見てももっと利用の道があるのではないかというふうな趣旨から、民衆駅という構想ができたのでございまして、これにつきましては国鉄部内に民衆駅等運営委員会を作りまして、これまた朝野の権威者に御委嘱いたしまして、民衆駅のあり方あるいは構造等につきましてはいろいろ御審議願って遺漏なきを期して参ったつもりでございます、民衆駅の契約の相手方ばかりでなく、委員会におきましては詳細な設計図まで提示いたしまして、委員会の御承認を得ているという次第でございます。しかしながら行き過ぎではないかというふうな御指摘がございましたが、先般百貨店法が成立いたしまして、民衆駅に限らずデパートの新設拡張については、主務大臣として通産大臣が許認可するという法律ができましたばかりでなく、衆参両院の商工委員会で附帯決議として、鉄道等のターミナルにおける百貨店の設立については、原則として置けないというふうな趣旨の附帯決議ができたのでございます。私どもは今後この方針に基いて善処して参りたいと存じておりますが、池袋につきましては数年前からの懸案でございまして、国鉄としましてももう契約をいたした後のことでございます。しかしながら私どもは主務官庁の御指示の通りにいた所存でごさいましたところ、先般通産省から元の契約を半減して許可を受けたのでございまして、やはり国鉄としましてはその線に沿うて善処していくというよりほか道がないと考えております。  また駅の混雑の問題でございますが、仰せの通りに通勤通学が非常に急速にふえて参りましたので、各駅で予想以上の混雑を来たしつつございますが、これにつきましては、駅の設備についても通路を非常に広くとるとか、あるいは何本も作るとか、設計をしさいに検討し、旅客公衆に御迷惑のかからぬような設計で参りたいと考えます。
  126. 神近市子

    ○神近委員 その贈与を受けるという点は、どこの規定によっておきめになったか、それを明らかにしていただきたい。
  127. 石井昭正

    ○石井説明員 国鉄がいろいろの施設その他の贈与を受ける点について、贈与を受けてよろしいという明文はございません。しかしながら、国有鉄道法によって法人ということになっておりますので、営業活動をいたします際に寄付を受けることもあれば、また私どもの方で御付をする場合もあるというふうに考えております。また現に過去において諸設備、用地等の寄付を受けておる事例は多々ございまして、この点について法律上の問題となったことはございません。ただお尋ねの民衆駅というような場合において、これはどうしても同時に私どもの方の用地の貸付も伴う場合が多いのでございまして、その内容については、国有鉄道法の第五十三条で、運輸省令できめる重要な工事は運輸大臣の認可を得ることになっております、また貸付、譲渡、交換等につきましては、これも四十五条で財産処分の認可を得ることになっております。その詳しい内容については、国有鉄道法旅行規則でもって第二条の第六号で、七百平方米以上のものは運輸大臣の認可を得ることになっております。従って、その内容を御検討願って、運輸大臣の認可を経てから着手することにいたしております。
  128. 神近市子

    ○神近委員 土地なり川なりを、鉄道を設線するために譲り受ける、あるいは寄贈を受けるということ、これはわかります。しかし池袋の問題に関しては、こういうことがからんでいることはよく御存じでしょう。あの土地のうちの二百七十坪というものは、あの近所の零細な商人から善意の贈与を受けた。あそこへ信越線を引き込むということでみんな喜々としてそれを贈呈したのであった。それを受け取っていて、今度その人たちの生活を圧迫するようなデパートをその上に建造なさる。そこに私は何とも割り切れないものがある。もらったからいいじゃないかというようなこと、私は国民は国鉄の財産がふえたということでちっとも喜びはしないと思うのです。それが一つ。  それから、デパート法の成立以前でございましたというお話でありますけれども、そのときの契約は池ビルといって、事務所だの、ホテル、集会所というような構想であったのですね。それを途中ですりかえた契約変更に応じておいでになる。そこに私どもも非常におかしなものが感じられてしょうがないのです。もしほんとうに国鉄のためをお考えになるならば、今の一階の土地を二階くらい使う構想で、ゆっくり車寄せも空地も作ってできたはずなんです。上をデパートにしてやろうと思うものだから、下を広くとっておかなくちゃならなくなって、しかもエレベーターとか、エスカレーターというものをつけなくちやならないから、駐車場を作ることができなかったという今のていたらくですが、先ほど副総裁がおっしゃったように、高価な土地をこれに専用するということは大へん申しわけない。これはりっぱなお考えだと思うのです。しかしそれだからといって、デパートにしなくてはならぬということはないでしょう。もう少し人の出入りの少いオフィスにするとか、ホテルにするということを考えなくてはいけない。民衆駅というと、デパートを——デパートにとってはこんな有利な土地はないわけなんです。たとえば東京駅でも、大事な国家の土地だとお考えになったというところまでは大へんありがたいと思います。そうあってほしいと思います。しかしそれがああいう雑踏化したということになれば、先ほどの善意はマイナスになると思うのです。これは私の選挙地だからいきり立つのではございません。目の前にそういうようなやり方が現われてきたから、ちょっと調べてみたいと考えただけでございまして、私はそういうけちな考えからこの問題に介入しているのではございません。この際三億か四億の予納金にこだわって、デパート法が出てくるということは百も知りながら解約がおできにならなかったのでしょう。そして今日承われば二千八百億というような水揚げがある御事業で、しかもこれは公共の利益のための事業なので、決して営業的の立場からお考えになってはならないと思うのです。それなのに、三億か四億の金にこだわって、あそこに国鉄が先になって民衆の批判を受けながら工事をやっていらっしゃるということは、国鉄として悲しむべきことだと思うのです。その当時の通産大臣は石橋さんで、石橋さんもその点ではよくおわかりになったようで、私どもは許可をしていただきたくなかったのですけれども、五割という線が出た。デパートとしては五割では営業にならないはずです。十割の計画を立ててあそこに建築を始め、そして国鉄は一階と二階の一部に小さく追い込もうと思っていたところが、五割しか許可が出なかった。それではデパートとしての規模が小さくなって合わないということが出ているはずなんです、私はそういうこともうわさに聞いております、国鉄は最初からの約束だったのです。そしてかつてに契約変更をやった。その内容なんか、とても私はおかしいと思うのです。その売場というのも、売店があったから、デパートは売店だから、こんな通らないところの論理を展開して、自分たちの非をおおおうとしていらっしゃる。あれは契約を変更して、今の四階建てのままであの全部を使う必要がなければ、国鉄でお使いになるということに変更するわけにはいかないか、お考えを聞きたいと思います。
  129. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先ほども申し上げました通り、百貨店の関係につきましては、百貨店法が国会を通過いたして、それの施行の行政上の責任者として通産大臣が、その法律に準拠してもろもろの百貨店に関する施策をせられることと私承知いたしておりますが、百貨店法ができまするずっと前から、池袋につきましてはいろいろな問題がございまして、各方面から再検討せられて参ったのでございます。そういういろいろな条件あるいは情勢を、主務官庁でとくと御調査の上、五割という線が出まして決定されました以上は、国鉄といたしましては、国鉄限りで契約を解除することはなかなか容易ならぬことでございまして、私どももいろいろ考えました結果、やはりこれは許可条項に従って善処するよりいたし方がないと考えております。それでその許可につきましては、五割という制限以外に池袋のあの駅の上に設置ということで許可をされておるのでございまして、私どもとしてはその線に沿うていたさなければならぬ。そうでなければ非常に大きな契約違反になるというふうに考えております。
  130. 神近市子

    ○神近委員 その契約はさっき申し上げるように、二十四年でしたか、池袋ビルというのでなさった契約でしょう。それを今度デパートにするというので契約をすりかえていらっしゃる。売店を含んでいたからデパートは売店だというような無理な解釈をして、そして今のデパートになったわけです。ところがデパートはさっきも申し上げたように五割しか許可がおりなかった、そのために規模が非常に小さくなる。あそこも幾つも大きなデパートができておりますから、競争にならないというので、二の足を踏んでいるということがもっぱらのうわさなんです。それでこれはいい時期でありますから、契約変更に垂らないとも限らない。その努力をしていらっしゃるのかどうか。国鉄があべこべに通産省をくどいて、五割の嘆願をして、もらいたいというようなことで運動をさせられておいでになるのではないか、私どもはその点を非常に不安に思うのです。今いろいろの事情があってということではっきりおっしゃられなかったけれども、そのいろいろの事情がくさいということは土地の者はよく知っているのです。その陰で目に見えないところで、どういう取引があったのだろうというようなことを、十地の者は始終気にしているのです。私は最初の契約に返って、そして許可はするけれども、どうせデパートにしても小さな仕方がないような経営の採算のとれないようなものにするよりは、最初の構想に返して、事務室なりホテルなり集会所なり、あるいはちょっとした食堂なりに変える御意思はないかということを伺っておるわけなんです。
  131. 石井昭正

    ○石井説明員 神近先生は初めの契約内容を途中ですりかえたというふうにおっしゃっていらっしゃいますが、私どもは決してそうでないのです。当初からデパートが主たる営業内容ということで契約をして参り、折衝して参ったわけでございます。ただ当時は今のようにデパート法というようなもの、あるいはデパート問題というようなものがございませんで、そのために字句その他について多少表現が的確を欠いていたかもしれませんが、われわれの考えは毛頭そういうことではございません。現にそれ以外の各種の民衆駅につきましてもみなデパート——実は私ども民衆駅の営業の内容としては、デパートなどが最適だとは申しませんが、比較的無難なものではなかろうか、これはいわゆる中小企業の問題がやかましくならない時代の考えでありますが、そういうふうに考えて、かえって収益率の高いその他の企業でありますと、駅の品位あるいはその他の点から見ておもしろくない点が多いのじゃないかというくらいにさえ考えておったのであります。しかし最近、何か通産省に五割の認可についての国鉄の方で運動したとか、いろいろなお話がございましたが、そういうようなことは毛頭ございません。私どもの方は通省産独自の、通産行政の立場からの御判定をお待ちしただけであります。  なお土地の問題につきまして、先生のお話によると何か誤解があるようでありますので、施設局長から説明いたします。
  132. 今井四郎

    ○今井説明員 契約のことについては、ただいま申し上げた通りでございますが、私からは神近先生の触れられました土地並びに広場の問題についてお答えしたいと思います。  あの広場の計画は、終戦直後から関係官庁協議いたしまして——ただいま資料がないので細部は的確に申し上げかねますが、大綱を申し上げますと、都市計画事業としてそれぞれの筋を通して告示によって決定した広場であります、またその広さが狭いとおっしゃいますが、これは結果的に見れば、今から見ればあるいは多少狭い感があるかもしれませんが、当時といたしましては、将来の交通量の増加その他を見まして、法律に基いて建設省の告示によって決定した広場でありまして、私どもが勝手にあれでよいというふうにきめたものではございません。  それから用地取得の経過につきましては、これは第十地区といたしまして、都市計画事業に伴います土地区画整理事業に対し、国鉄はいわゆる元地を出しまして、国鉄は個人ではございませんが、それぞれ減歩を受けられました方々と同じような立場で元地を出して、減歩率の適用を受けまして、それであそこの駅舎敷というものを指定していただいた立場になっております。大体この元地というものは、あの東側の田端寄りに数十坪ありますものと、それから西口の教習所用地としてありましたものと、それから一部国鉄の宿舎用地というものが雑然とありましたものを、それぞれ第十地区の土地区画整理事業に元地として出しまして、大体私の記憶によりますれば、二〇数%の減歩率で、これが東口の駅舎敷並びに西口の駅舎敷、それから一部あの地区に関係のない滝野川その他のところに換地いたしておりますが、大体そういう経過で二〇数%の減歩を受けまして、東西の駅舎敷を指定してもらった、かような順序になっております。はなはだ妙な言い方ですが、地元の方ももちろん減歩を受けられて、あの周辺の造成には非常な犠牲を払われたかもしれませんが、すでに御承知のように終戦後二、三年であの辺にそういう都市計画なり区画整理事業というもののスタートを切った当初の状態というものは、現在あの広場になっておりますところは、いわゆる不法占拠のやみ市がばっこしておりました。それでそこに用地を持っておられる地主さんもどうにも手がつかなかったのでございます。これを敢然と関係の役所が相談して、そういう計画を立てて、それで立ちのきをさせまして、それぞれ必要なる換地指定をやったのでございまして、今から考えますと、いろいろと大きな犠牲を払い過ぎたとか何とかいうこともございましょうが、当時はそういういきさつのように私は思う次第でございます。
  133. 神近市子

    ○神近委員 この換地の問題も、私ども見て知っております。減歩率も説明を受けております。けれども土地を提供した人たち、——これは夜店ややみマーケットがあったということは別です。これは時が過ぎればどうしても整理しなければならなかったものですから、大へんお手柄のようにお考えになっては間違いだと思います。この人たちは、あの土地の繁栄によって自分たちが恩恵を受けようと思って出した土地だったのです、それでこの間三人ほど、中には七坪か、六坪の家で一坪取られているのです。六坪のうちの一坪というと二百五十坪の十坪に比べると非常に大きいのです。こういう人たちが、自分たちは土地をそういうようにして提供したのに、その提供したことによって自分たちの商売が上ったりじゃないかということが疑いのもとです。私はこの点はよくわかると思うのです。なけなしのものを提供させられて、逆にそれで自分たちの首を絞められるのじゃないかというのがあの人たちの言い分なんです。これは今までの幾ら過去を申し上げてももうああやって形のできつつあるもの、これは取り消すことはできないだろうと思うのです。ただあそこに十二本かのバスが来ます。あのバスのために、あそこは非常に混雑している、将来あそこは地下か何かにあのバスを入れて、そして広場を作る。非常に危険でもあるだろうというようなことが考えられるので、この十二本のバスの発着所を地下にでも入れたらどうしたものだろうというようなことは想像されると思う。そういうようなことを、せめて罪滅ぼしに将来の計画としてお考えになっていいかと思うのです。それから通産省の決定で、国鉄は別にデパートがさぞお困りだろうということから協力しておるのでない、断然していないということをおっしゃるが、その実を示していただきたい。絶対に五制以上の営業を許さない、そして民衆に不便をかけないという決心で事に当っていただきたい。私はその要望を申し上げて私の質問を終ります。
  134. 今井四郎

    ○今井説明員 ただいま御発言の前段につきまして、私からお答え申し上げます。  ただいま十二系統のバスの発着で非常に混雑しておるというお話でありますが、国鉄といたしましても、従来からあの駅前広場の下にまずあの道路を横断いたします地下の通路を早急に作ろうではないか、それからただいまお話がありましたようなバスの駐車場、それも作ろうではないかというような相談をいたしております。しかしながら、御存じのようにとかくそういうものを安易に計画いたしますると、また要らざる売店その他がたくさんこれに取りつくというようなことになりまして、また一そうあの辺が混雑する。何とかそういう人の通路なり発着所というものを地下に設けたい、こういうふうな趣旨でせっかく東京都その他関係の方と協議は進めておるわけでございます。
  135. 石井昭正

    ○石井説明員 デパートについて通産省決定の五割の線を絶対こえないように確固たる決心でやれという御趣旨は、十分そのつもりであります。御了承願います。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 関連しまして。私は神近さんの質疑になっておる趣旨は、こういう点に重視すべき点があると思うのです。それはやはり国鉄というものはあくまでも国鉄本位でやってほしい。従って輸送本位でやってほしい。もし国鉄の介入が社会を混乱さし、あるいは何か紛争の種になるというようなことがあったならば、それこそ避けねばならぬ。私はそういう角度から見まして、ちよっとここに持ち合わしておった雑誌で今のことで思いつくのですが、ダイヤモンドの石山賢古さんのあなたの方の総裁に対する一つの公開的な文書ですが、これの一節によりますとこういうことがある。示唆に富んでおると思います。ドイツの連邦鉄道の駅は破れ、ホームはこわれて見るかげもなくなっておるにかかわらず、機関車は最新式、車両もりっぱ、レールはピカピカ光っておるということである。そこで飛んで、最近行われておるいろろな実情によりますと、不急不用の建築に多額の経費が費されるとしていろいろとその例をあげております。そしてなお東京駅頭の国鉄ビル等にも論及いたしまして、要するにこの国鉄ビルは、国鉄の必要量をはるかに越えてこれをデパートに賃貸しをしておる、いわば国鉄の間接出資になっておるのではないであろうか。根源は国鉄の信用を利用したもので、内容は国鉄の出資と同一でないであろうか、こういう観察の仕方ですね。私はこれは一つの見方だと思うのです。今の池袋の問題につきましても、そういう角度からも、もしなお検討再考の努力の余地があるならば、やはりしていかねばならぬと思うのです。あそこに百貨店ができると、実情はほかに三カ所ほど既設の百貨店ができておって、あれで四カ所になるはずであります。一方百貨店がたくさんできるので、中小商工業者が四千名も結束してわんさわんさ反対しておる。それによってビルを作る、ビルにはたくさんの資材が要る。人間も要る。国鉄自身はどうかというと狭くなってしまっておる。人間の出入りにも、事を欠きはしないだろうけれども、将来広げていくことには非常に窮屈な思いもしなければならぬ。一体駅が主であるのか、ビルが主であるのか、百貨店が主であるのか、何が主であるのか。国鉄自身は、国鉄を主にしてお考えになって、第一人間の出入りあるいは駅のあらゆるサービスの機関の設置、そういうことを主にしてやっていことが一番大事な眼目ではないであろうか。ただしそれはある種の契約ができておる、過去において既定事実がもうできておるのでどうにもならぬと言うならばまた別の問題ですけれども、しかしながら今日紛争が現に続いておる最中である、また絶対的なものでもない、こういうようなことを考えますると、やはり駅は駅として最善の——百貨店は三カ所すでに既設のものがある。それで消費者の階級も一応は事足れりというふうであるならば、国鉄は国鉄本位で、もっと余裕しゃくしゃくとした駅の建設をして、将来の多数の客の呑吐に事欠かないということを主眼にした考え方になって進んでほしいというのが、私は神近さんの質疑の立場だと思うのです。そこでもし何らかの努力の余地があるならば、それはあの計画を変更して、そうして国鉄本来の立場を守るために計画の変更をするということにも努力をされてはいかがか、こういうのが私は神近さんの持っておられる立場だと思いますので、やはりこの点は共鳴せざるを得ません。でありまするので、きょうこれで済んでしまう質疑応答ではございませんので、そういう角度からも国鉄は一つぐらいは大所高所からそういった、なるほど国鉄本位にやっておる、こう人も絶讃するような駅をお作り願いたいと思います。駅本位やらビル本位やら百貨店本位やらわからないような存在ばかりになってしまうのはちょっと残念であります。そういことを思いまするので、私もしごく同感であります。一つそういう点はなお十分に御検討していただきたいものだと思います。
  137. 青野武一

    青野委員長 それでは本日予定いたしておりました運輸省所管につきましては淡谷委員の法務大臣出席要求等もありますので、その質疑を次会に譲りますが、次会は明後日を予定いたしておりますので、運輸省及び国鉄の当局は御苦労さまですが開会当初に御出下さい。ただし短時間で終る予定であります。それから特に各委員の質問に対する運輸当局、国鉄当局の方々の御答弁を開いておりますと、資料が非常にお手元にないために、書類その他で言いわけをなさっていると思いますが、こういう点は二十九年度、三十年度決算検査報告のスキャンダルだけが問題になるわけではありません。決算委員会はどんな質問が飛び出すかわかりませんので、関連しております関係上、法務大臣に質問して質問者が納得がいきますれば、運輸省関係二十九年度に関する限り質問を打ち切る予定でおったのですが、残ったので、それで運輸省と国鉄当局の方々に開会の当初二、三十分御出席を願って、そこで一つ切りをつけたいと考えますので御協力を願います。本日はまことに長時間御出席して、決算委員会の運営に御協力していただいたことを私からも感謝いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。    午後五時三十四分散会