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1957-02-14 第26回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十四日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 山本 猛夫君 理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    櫻内 義雄君       床次 徳二君    林   博君       松岡 松平君    淡谷 悠藏君       小川 豊明君    上林與市郎君  出席政府委員         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (監察局長)  久保 威夫君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  加藤 桂一君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      成松  馨君  委員外出席者         大蔵事務官         (印刷局長)  大槻 義公君         大蔵事務官         (印刷局業務部         長)      潮   洸君         郵政事務官         (大臣官房資材         部長)     荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (監察局上席監         察参事官)   秋元 三郎君         郵政事務官         (貯金局次長) 牧  光雄君         郵政事務官         (経理局審議         官)      長田 裕二君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第五局長)  上村 照昌君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     小林 重国君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         日本国有鉄道参         事         (経理局会計課         長)      下島 留夫君         日本国有鉄道参         与         (資材局長)  石井 英一君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  今井 四郎君         日本国有鉄道参         与         (電気局長)  関  四郎君         日本国有鉄道参         与         (建設部長)  高原 芳夫君         日本国有鉄道参         与         (管財部長)  中路 誠三君         日本国有鉄道参         与         (監察局長)  堀口 大八君         日本国有鉄道参         事         (監察局監査課         長)      永室 史郎君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月十二日  昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その  2)  昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その  2)  昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使  用総調書  昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く  使用調書  昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和三十一年度特別会計予備使用調書(その  1)  (承諾を求めるの件)  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書  昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書 の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書     ―――――――――――――
  2. 青野武一

    青野委員長 それでは時間の関係もありますので、これより会議を開きます。  昭和二十九年度決算並びに昭和三十年決算を一括して議題といたします。本日は、午前中国鉄関係、午後は郵政省関係について審査を行う予定であります。  それでは、ただいまより日本国有鉄道関係について審査を進めることといたします。すなわち、昭和二十九年度決算検査報告三四四ページより三六六ページに至る、報告番号二二二ないし二二二三につきまして、一括してこれより質疑を行うのでありますが、審査の便宜上、昭和三十年度決算検査報告二九〇ページより三四三ページに至る、報告番号二一四二ないし二一七四につきましてもあわせて審議することとし、まずこの分につきまして会計検査院当局より説明を願い、そのあとで両年度を一括して質疑を行うようにいたします。それでは上村第五局長
  3. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 日本国有鉄道に関しまして検査報告に掲記してございますのは、昭和二十九年度では不当事項不正事項を合せまして十三件ございます。これにつきましては一応説明いたしておりますので、三十年度の方について説明いたしたいと思います。  三十年度に掲記しました事項は三十三件でございまして、工事に関しますものが十五件、物件に関しますものが十六件、役務に関しますものが一件、不正行為一件となっております。  まず工事について申し上げますと、工事経理が適正を欠いたもの二一四二号生二四三号の二件でございます。最初の方は、岐阜工事事務所で、直営工事におきまして、人夫賃として支払われました金を、実際には人夫賃以外のものにも使用されておる等でございます。  次の二一四三号は、静岡鉄道監理局請負工事についてでございますが、電車線路支線改修工事設計通り竣工したということで経理されておりますが、実際は施行個所と異なっておる個所施行したり、あるいは前年度施行済み個所となっておる個所施行したというような事態になっておりまして、工事実態の把握は困難なものでございます。従いまして直営工事におきましては、実際と合致する工事経理をすることが必要でありますとともに、請負工事におきましても工事個所検討、現場の確認を十分にする必要があると考えるのであります。  次は、予定価格積算が過大であったため、工事費が高価となっておるものが八件ございます。  まず最初は二一四四号の大阪工事事務所赤穂線工事でございますが、この工事らち隧道掘さく工事費予定価格積算が妥当でなかったというものでございます。掘さく工事は岩の性質が非常に工事に影響するものでございますが、すべて岩を硬岩として積算されておりますけれども、当時の状況等から考えまして全部硬岩とする必要はなかったというふうに考えられます。なお、掘さくに要します電力量が、全期間を通じて機械が大体フルに動くというふうに、一般では考えられない上らに多く積算せられておるような関係で、概算いたしまして七億二千万円の工事らち四千九百万円が荷価になっておると考えられる下愚であります。  次は、一二四五号の札幌工事事務所札幌用品庫改築その八工事でございますが、これは請負に付します場合に、材料であります鋼材価格につきまして市場調査等が十分でなかったため、工事費におきまして約四二十万円が高価となっておるのであります。  次は二一四六号でありますが、神田高架橋新設その他その十七第三鍛冶町橋新設その他工事外工事におきまして、材料でありますコンクリートくいの価格検討が十分でなかったものであります。コンクリートくいは当時業者価格表が出ておるのでありますが、大口の取引の場合にはその価格より値引きされ、しかも運賃業者持ち取引されておるのが実態でありますのに、これらの事情を十分調査せられないで、価格表基礎として契約せられたため、約七百九十万円が高価になっておる事態であります。  次は二一四七号でありますが、これは名古屋―枇杷島間ののり改良工事におきまして、これに使用しますコンクリートブロックの予定価格積算におきまして、砂、砂利等市場価格調査が十分でなかった等のために約三百九十万円が高価となっておるものであります。  次に二一四八号は、東京電気工事事務所特別高圧ケーブル新設その他工事を請け負わせたのでありますが、工事実態調査が十分でなかったため実情に即さない予定価格積算せられましたため、約四百二十万円が工事費におきまして高価になっておるものであります。  次の二一四九号は、上野田端間その二十八田端構内土工その他その二工事でありますが、その工事のうち捨土費の問題であります。当初契約におきまして、捨土費立米当り三百七十五円として積算されて契約されたものでありますが、途中におきまして工事設計変更の必要がありましたため、未施行部分を解除して、さらに同一業者契約されたものでありますが、その場合には捨土費を七百五十七円というふうに上げておられるわけであります。捨土につきましては大体当時立米当り二百六十円程度であると考えられますし、事情変更も特にありませんので、少くとも当初の三百七十五円で契約するのが至当であったと思われ、それによりますれば約三百十万円が節約できたというものでございます。二一五〇号は神田上野間その二十六高架橋駆体新設その他工事外・二十三件の工事でありまして、この工事使用しますなまコンクリートにつきまして、工事費積算するに当りまして諸経費といたしまして、一五%から二〇%を見込んでありますが、なまコンクリート取引実態等から見まして、諸経費は七%ぐらいが適当であると考えられまして、これによって積算いたしますれば約七百四十万円が節約できたものであります。なおなまコンクリートにつきましては業者持ちとしないで、国鉄支給扱いにする方法がとられればなお一そう有利であると考えられるのであります。  二一五一号は大宮変電区油入遮断器修繕工事外二件の工事でありますが、その工事の内容であります套管の価格を、一業者の見積りを基礎として予定価格積算せられましたために、他の業者その他について調査せられればなお相当有利に契約予定価格積算契約ができたと思われるものでありまして、これによりますれば約百六十万円は高価であると考えられるのであります。  次は工事施行当り契約処置が適切でなかったため不経済となっておるものが二件あります。まず最初は二一五二号の軌条用タイプレート改造工事でありますが、これを請負に出されました相手方はみずから改造工事を行う施設がなく、全部下請に出しておられる状況でございますが、これを直接下請業者契約する配意をとられたならば、約百三十万円が節約し得たものと考えるのであります。  次は二一五三号の電動車五十八両の更新修繕工事請負についてでありますが、この工事について主要部品業者持ちとして工事費積算しておられるようでありますが、この主要部品については部内工場において行われる同種の修繕工事あるいは車両新製工事につきましては、資材局で一括調達して支給、あるいは国鉄内の工場で使う扱いがとられておるのでありますから、これにつきましても資材購入して支給扱いとせられましたならば、約千百万円が節約し得たものと考えるのであります。  次は電車線路支持物基礎工事設計と相違しておるものでありまして、一二五四号でございます。これは大阪電気工事事務所における米原駅構内電車線路支持物新設その二王車外十八件の工事でありますが、この工事基礎コンクリートその他が設計と異なる形ででき上っておるものでありまして、約四百九十万円が設計に比べまして出来高不足となっておるのであります。  次は工事用交付残材回収不足になっておるものでありまして、二一五五、二二五六号の二件であります。岐阜工事事務所東京工事事務所において、工事用業者に交付された古軌条残材回収不足となっておる事態でありまして、このような事態が発生いたしましたのは、契約残材を回収することになっておりますのに、材料交付の際残量発生見込み数量をあらかじめ算定しなかったり、あるいは仕事が完成した際請負人が返納数量を持ってきた場合にそのまま受け入れておられるためであるのであります。  次は物件でありますが、予定価格積算が過大となったため購入価格が高価となっておるものでございます。  まず最初は二二五七号であります。これは貨車六百両を購入せられておるのでありますが、支給材料及び請負人持ち鉄鋼部品を除いた鋼材所要材料につきまして、大体製品歩どまりが六八%ということで予定価格積算されておるのでありますが、部内工場におきます歩どまりはそれより相当上回っておるのでありまして、歩どまりについてなお考慮が払われましたならば、二千万円程度積算を少くすることができたという事態であります。  二一五八号は車両用パッド購入でありますが、これに使用します牛毛価格積算上過大であったり、あるいは加工費が過大であったため約五百五十万円が高価になっておるものであります。  次は二一五九号でありますが、寝台用毛布カバー購入されておるのでありますが、毛布の寸法からいたしますと、布地は四十二インチ幅で十分でありますのに、五十四インチ幅として布地積算されましたため、約五百六十万円が不経済になっておるのであります。  二一六〇号は腕木購入でありますが、腕木購入当りまして原木価格を同価に見積ったりあるいは歩どまりを多く見積られたため、約三百十万円が高価になっておるものであります。  二一六一号は炭酸紙購入でありますが、これは業者の販売の状況その他の資材部購入状況を考慮して購入されたならば、約八十八万円が節約できたものであります。  次は購入処置が適切でなかったため不経済となっておるものでありまして、二一六二号はまくら木購入についてであります。三十年度中並まくら木一種、二種、三種、合計四百十三万余本を二十一億余万円で購入されておるのでありますが、まくら木購入につきましては二十九年度横布報告に驚いて購入方法等につきまして改善を促したところでありますが、その後検査院におきまして実態調査しました結果、納入業者のうちには契約だけをいたしまして同業者に代納させたり、契約全量下請させ中間手数料を得ている者などが少くなく、おもな納地もまた防腐工場及び用品庫等としておられるのでありますが、その他検収に伴い発生する三十万本ばかりの排却品に対する運賃、諸経費も要することとなっておるような状況であります。従いまして、まくら木購入につきましては、努めて生産業者と直接契約し、納地生産地主要発駅といたしますれば、経費の節減が相当できるのではないかというふうに考えるのであります。  次は、二一六三号であります。これは水石けんの一種でありますタマゴ園シャンプー銘柄指定と同様な方法購入しておられるのでありますが、他の地方資材部と同じように粉せっけん購入せられましたならば、価格の点におきましても約二百四十万円が節約できたものと考えるのであります。  次は、二二八四号の亜鉛メッキ鋼より線の購入でありますが、この購入せられました現品につきまして私の方で品質調査をいたしましたところ、実際入っておりますのは通常鉄線と称しておられるものでありまして、その価格相当安いものでありまして、現物から見ますれば、四百五十五万余円の購入価格に対しまして七十万円ぐらいが現物は安いものとなっておるのであります。このような結果になりましたのは、規格のきめ方が必ずしも適切でなかったために、かような事態になったものであります。  次は、二一六五号であります。毛布を千四百余枚購入されておりますが、その単価は千三百五十八円から千三百七十三円となっております。しかし、現品調査しますと、製品使用された紡毛糸はほとんど反毛だけで、相当品質が劣っておりまして、大体一枚当り千五十円程度のものでありまして現物から見ますと、総額において四十万円ぐらい安いものとなっております。これは購入せられる場合に、品物に影響のあります紡毛糸の質について指定をしないで、風合模様見本通りというようなあいまいなきめ方がしてあるために、かような事態になったと思うのであります、  次は二一六六号の冷蔵庫の製作当り交付材料が過大であったために不経済となったものであります。冷蔵車製作当りまして、交付材料としてステンレス鋼板支給しておられるのでありますが、鋼板板取り、溶接につきましては、特に指示されておられないのでありますから、その板取りにつきましては有利な方法板取りをする計算交付材料決定されるのが適当であると思うのでありますが、私の方でその板取り計算いたしました結果、ステンレス鋼相当少くて済むという結果になったわけであります。それによりますと、約五百四十万円の材料が節約できる計算になっております。  次は、利用可能な手小荷物切符を略冊処理したものでありまして、これが利用については、国鉄当局においても相当考えられたものでありますが、相当残っておったものをほとんど全部廃冊されたため、不経済になったものであります。  次は、構内営業料及び土地建物使用料決定の問題でありますが、東京外鉄道監理局で、三十年度の土地建物使用料及び構内営業料として、五億八千余万円を調定しておられますが、うち四百三十一件、一億四千五百余万円については、決定処置が適切でなかったため、約二千八百万円余りが低額となっております。この使用料につきましては、二十九年度料金改訂をいたしまして、その実施に当り、従来の料金に比べ一定額を越えるものにつきましては、三十一年度に適正料金になるように漸増することといたしまして、二十九年度料金を定めましたが、三十年度になりましてさらに前年度に比べ大幅の値上げとなるもの、負担の容易でないもの、局所長がやむを得ないと認めましたものにつきましては、一定の条件のもとに二十九年度の料金に据え置く措置をとられたためかような事態になっておるものでありまして、この据え置く措置をとられたものの中には、負担能力の十分あると認められる相手方もあるような状況でございます。なお、鉄道会館使用させた土地建物使用料の問題でありますが、これにつきましては、使用料基礎となります駅の特殊の収益力を含めた地価を六十万円と評定され、それから土地使用承認時から料金改訂時までの値上り分の半分を相手方に帰属させ、評価額から差し引くというような措置がとられておるのでありますが、六十万円の評価も必ずしも適正とも考えられませんし、また値上り部分相手方に帰属させるという措置も、必ずしも全般的にとられている措置ではないように思われるわけであります。なお、名店街の部分につきましては、一般高架下と同じように割引がしてありますが、実際の状況等から見て、必ずしも妥当とは考えられぬわけであります。それから現在六階で完成しておりますのを、将来十二階になるということで十二階を基礎として料金決定されておりますが、これも必ずしも妥当とは考えられませんので、鉄道会館使用させております土地建物使用料は、その他の民衆駅の使用料の基準となるものでありますから、十分の検討を望みたいのであります。  次は、土地売り渡し価格が低廉と認められるものであります。一二六九号は、広島鉄道監理局で、鉄道弘済会に払い下げられた土地の問題でありますが、借地権相当額として三割を控除して代金決定されておりますが、他の事例等から見て、必ずしも妥当な措置とは考えられません。  次は、二一七〇号の東京鉄道監理局で、鉄鋼ビルディングに払い下げられた土地の問題であります。この土地帯状凹地であるということで相当減額されておるのでありますが、この土地監理局の敷地と一体をなしておるものであります。また買受人はその土地購入して、買受人土地一体として利用するという目的でありますので、必ずしもかような減額をすることは適当ではないと考えられるのであります。凹地でありますので、その埋め立てに要する経理を認めて、一般評価によったといたしますれば、なお約四百六十万円は有利に売却し得たものと考えるのであります。  次は、二一七一号の大阪鉄道監理局京阪神急行電鉄株式会社に払い下げられた土地の問題でありますが、これも帯状の不整形地ということで、一般地価よりも二〇%減額して売却されておるのであり談ずが、この土地買受人買受人土地一体として劇場建設のために購入しておるものでありまして、特に減額する必要はなかったと考えられるものであります。減額せずに売却いたしましたならば、なお三百七十万円は右利に売却し得たものと考えます。  次は二一七二号の車両使用料が低廉と認められるものであります。各鉄道監理局で、三十年度中貨車使用料として一億七百余万円を徴収しておられますが、二十九年度以降財産の再調達見込み価額基礎として、所定の方式により使用料を徴収する扱いが定められ、建物等についてはこの方法によっておられるのでありますが、貨車についても、これによれば約二千八百万円が多く徴収し得たものと考えるのでございます。  次は電車清掃請負代金が高価と認められるものであります。東京鉄道監理局で、鉄道整備株式会社に、電車清掃作業代金として四千三百余万円を払っておられるのでありますが、この作業は独占的に前記業者請負わせておられるのでありますから、前年度の実績を勘案して、請負代金決定されるのが妥当と考えられ、これによって料金決定されたといたしますれば、約三百六十万円は低額となる計算になっております。  次は二一七四号の不正行為でございます。さらに個別事項につきましては、ただいま申し上げましたように相当数が多くなっておりますが、総括記述といたしまして、資産の再評価の点について記載してございます。洞爺士などのような沈船を、一般の正常なものと同様に再評価しておられるのでありますが、必ずしも適当な措置とは考えられません。また土地建物等の管理につきまして、鉄道用地の無断使用されているものが相当ございます。また使用料等の調停が相当おくれてお乙のでありますから、これらに対する対策を要望しておるわけであります。  なおその他いろいろ記載してございますが、御質問によりましてお答えしたいと思います。
  4. 青野武一

    青野委員長 上村会計検査院第五局長報告が一応終了いたしましたので、次に国鉄当局において説明があれば、この際発言を許します。
  5. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま昭和三十年度の決算つきまして、会計検査院から三十数件にわたります批難事項を受けましたことは、国鉄といたしましてまことに潰憾に存ずる次第でございます。中にはいろいろ御説明申し上げる点もあるかと存じますが、私から全体の総折といたしまして、深く陳謝の意を表する次第でございます。実は国鉄はこの数年来非常に大方のきびしい御批判を受けておりまして、衝に当る者はまことに戒心、事務改善に当っておりましたつもりでございますが、かような批難事項を出しましたことについては、まことに遺憾の意を表する次第でございます。私どもは国鉄諸般の運営につきまして血のにじむような合理化を続けて参ったつもりでございますが、ただ国鉄部内だけの注意では行き届かないということを深く考えまして、いろいろの部外の有識者の方々に嘱託をお願いしまして、種々の委員会を設けて、諸般改善に努めて参ったのでございます。  その一、二を申し上げますと、部外団体、いわゆる外郭的団体の改善指導につきましては、部外団体等公正委員会を設けております。また工事関係につきましては積載基準委員会請負業者資格及び指名審議会というものを設けまして、官界、学界あるいは経験者の方々に卸嘱申し上げて、その御答申通り事務改善をはかって参りました。また組織といたしましては、日本国有鉄道が成立いたしまして、昨年運輸大臣の任命による監査委員会が設置せられましたし、また部内といたしましても監察局の機構を強化いたしまして、監察の遺憾なきを期したいと努力して参ったのでございます。まだ諸般事項につきまして行き渡らない点もございますが、今後はできるだけ推進いたしまして、物品の購入事務工事関係あるいは経理事務につきまして、改善の努力を続けて参りたいと存じております。なお三十二年度以降につきましては、工事関係、物品関係相当膨大になる見通しでございますので、ますます部内監査を必要といたす、このためにもできるだけ強力な手を打って、いやしくも今後おしかりをにらむることのないように努力を続けて参りたい、かような心組みでせっかく努力いたしておる次第でございます。  なおただいま御指摘の個々の案件につきましては、小林常務理事から説明いたさせます。
  6. 小林重国

    ○小林説明員 それでは私から、会計検査院から御指摘のございました事項につきまして御説明を申し上げます。  昭和三十年度の国鉄決算は、収入におきましては、一般経済界が非常に好転いたしましたので、約百二億円の増加を示しました。一方資産再評価を行いましたので、それに伴う適正な減価償却費を計上いたしまして、損益計算を行いました結果、百八十三億円の欠損を計上したことになっております。なお貯蔵品価格調整勘定残高の処理につきまして検査院からご指摘がございました。この点につきましては、御指摘の線に沿うように目下検討中であります。  次に資産再評価についてでありますが、沈没中の船舶の再評価につきましては、再評価実施当時は沈没中でございましたが、その損傷の程度が不明でございましたので、やむを得ず就航中の船舶と同様の再評価を行ってあります。その後引揚げを完了いたしましたので、それぞれ損傷の程度に応じまして処理し、また処理の手続を行っております。  また小湊水陸連絡設備、有川津壁でございますが、これは本州と北海道の輸送需要のいかんによりましては、また使用することも考えられますので、一般の固定資産と同様の再了価を行ったような次第でございます。  なお機器の旧原簿価額及び実態調査により判明いたしました土地建物等の時価相当額については、期間外収入または営業外収入に計上した次第でございます。  次に予算経理についてでございますが、受託工事に従事しました職員の給与、その他直接の経費は受託工事に振りかえております。この職員の本来の業務は、他の職員の超過勤務手当として処理いたしておりますので、この経費は給与総額内の支出として経理いたしております。  工事関係につきましては、説明書にもございますように、種々改善措置を講じておりますが、会計検査院の御指摘の点につきましては、それぞれ事後処理を講ずるよう努め、検討を要するものについては、速急に結論を得、御趣旨に沿うようにする所存でございます。  資材の調達管理、運用につきましては、つとにその適正化に努めて参っております。特に経済的な購入については一層努力いたしたいと存じます。また需給差額の運用につきましては、これを改善いたしたいと思っております。また事業用の貨車の積載効率につきましても、その効率を向上するように一層の努力をいたしたいと思います。  土地建物等固定財産の管理運用につきましては、土地建物等の部外使用料につきまして二十九年の料金は、相当大幅値上げであったわけでございます。さらに三十年度の料金を増額いたしますと、契約の締結を一層困難にするような状況でございましたので、やむを得ず据え置きの措置をとったものであります。この料金の大幅値上げに当りまして、相手方との折衝に非常に手間取りまして、調停がおくれましたのでございまして、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。今後は十分注意いたしたいと思います。  石炭荷役につきましては、逐次改善を行って参りましたが、さらに人員及び経費の節減をはかるよう研究いたしております。  不当事項の二一四二号でございますが……
  7. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと待って下さい。議事進行につきまして……。今御答弁がありましたけれども、批難事項全部につきまして御説明になると相当長時間になりますし、これはいずれも文書として出ておると思いますが、なお必要と思われる個所だけお述べ下さって、質問に応じて御答弁なすっていただいた方がわれわれも頭に入りやすいと思いますので、適当におはからいを願いたいと思います。
  8. 生田宏一

    ○生田委員 今の吉田さんのお話まことにけっこうですが、むしろそれより会計検査院の方から御説明があったのですから、それでわかっておるように思いますから、委員の方の質問によってお答えを願った方がよくはないかと思います。時間も省略されますから……。
  9. 青野武一

    青野委員長 小林常務理事に御相談致しますが、今各委員からの御意見もありまして、私も実はせっかく御説明中だから、途中で御注意をするのもどうかと、ちょっと差し控えておりましたが、会計検査院の方から不当行為について、各条項にまたがって簡単ではあるがその内容の説明があったのを、そうじゃない、こういうわけでした、やむを得ない、こういう事情があったと言われると、今吉田委員や亀田委員からのお話もありましたように、大体この内容というものはすでに数回委員、の諸君は、皆目を通しておられるし、会計検査院の方から詳細にわたって報告のあったあとでございますから、これは一つ各委員の質問に答えて、その折りに一つ御答弁していただく方が議事の運営上非常に時間的にも効果があると思うのですが、さよう一つ御了承願います。途中でやめさせるわけじゃないのですから……。  それではこれより日本国有鉄道関係質疑に入ります。なお御相談いたしますが、昭和二十九年度の決算と三十年度の決算について、並行して御質疑を願いたいと思いますが、できる限り二十九年度分の決算については、今日の委員会で一応終了したいと思いますので、この点一つ御協力を願っておきます。  それでは各委員から発言を求められておりますので順次これを許します。生田宏一君。
  10. 生田宏一

    ○生田委員 会計検査院の方にお尋ねしますが、三十年度国鉄関係で不正不当の国損を及ぼした金額の総高は幾らになりますか。
  11. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 必ずしも正確でないかもしれませんが、ここに書いてあるのが大体概算いたしまして四億余りになるのじゃないかと思います。
  12. 生田宏一

    ○生田委員 大体この会計検査院の指摘事項は、不当不正事項の全部じゃございませんので、そのうちの一部分が出ておるということでございます。これはわれわれもそう了解するわけですが、今の小倉副総裁のお話によりましても、国鉄はかなり経理の粛正といいますか、経営に当ってはよほど注意をされておるにもかかわらず、やはりこういうことが絶えないということは、われわれ決算委員会としましては、またかまたかということで、毎年同じことを言って、それで少しも改まらないのでははなはだ困るんじゃないかという気がするわけです。それで私の疑問は、経営の引き締めをやるということと同時に、たとえば、役所の中での金銭の間違い、これは処理しよいでしょうが、部外との売却、購入等について、過払いあるいは不当な安値で買ったとか、それが会計検査院から指摘せられると、その過払いあるいは不当安値の問題と業者との関係はどのように処理をされておるのか、ただ不正不当を指摘せられて、その事実を認めて、今後注意しますというだけで終っておるのか、たとえば地方公共団体に対する補助金でありますとか、そういうものはもちろん政府は戻入を命ずるのでありますけれども、一般業者との間は、従来の処置はどのようになっておるのか、売ったもの買ったものが安い高いについては、業者がそれを知らぬ顔、ほおかぶりで、役所に対してはもうけ得をしておるのか。業者の方に横着なところがあって役所がだまされておるとか、役所の方はまじめにやっているんだけれども、業者の方に欠点があってそういう事態が起きたということになれば、その業者に対しては役所としてはとるべき方法がある。あるいは仕事を今後やらせないとか、仕事に指名をしない、そういうことがあるはずなんですが、その点はどういうふうになっているでしょう。そういうことがもし行われるならば、業者の方も役所に対して協力をするのではないか、それをただうまいことをやったやつは、うまいことをやった得で知らぬ顔をしておる。役所はそれに何にも配慮しないということになれば、やり得、やられ損ということになって、そういうことは尽きないと思いますが一これは国鉄に限らず一般的な問題ですが、どういうようにされておりますか、その辺のところを一つお聞かせ願いたい。
  13. 小林重国

    ○小林説明員 会計検査院から御指摘のございました問題によりましていろいろ分れておりまして、たとえばこちらの方のほんとうのミステークで積算をあやまったというような場合、業者の方はその実情も知りませんし、悪意もなかったというような場合におきましては、必ずしも業者を追及はできないのでありますが、工事量が不足であるとか、あるいはいろいろな理由で業者にも多少責めがあるのではないかと思われます場合には、もちろん戻入もいたさせますし、何かその間に悪意でもあると思われます場合には、一応入札を遠慮させるというような処罰方法も講じて参っております。これは事件事件によりまして原因を究明しまして処罰しなければならぬことと思います。また積算なんかが間違っておりました際は、その次の機会には厳重な積算をしまして、いろいろこれを避けていくというような方法をとっております。
  14. 生田宏一

    ○生田委員 たとえば業者の方に多少責任があるのではないかと思われるケースで、昭和三十年度会計検査院から指摘されたもののうち、業者に対して戻入を命じ、もしくは入札を停止せしめた案件として、具体的事実をあげられますとどういうことになりますか。
  15. 関四郎

    ○関説明員 二一五四号、「電車線路支持物基礎工事設計と相違しているもの」これについては詳しい説明は省略しますが、これはこちらの指示、契約書とは違った工事をやった、これについての施工局不足というものについては、値引採用というような形で一部返納金をいたしております。
  16. 生田宏一

    ○生田委員 それだけでございますか。
  17. 今井四郎

    ○今井説明員 施設の方におきまして二一五五、六号でありますが、岐阜の工事事務所並びに東京工事事務所工事関係で、工事用交付材料残材の回収が不足になっておるという御指摘でございます。これにつきましては残材を回収いたしまして、最近までに回収がほぼ済んでおる事情でございます。なおそのほかにも施設関係事項がいろいろあがっておるのでありますが、御承知のように一件総額が相当莫大でありまして、そのうち積算の間違いで些少な不当なる利得を業者に与えたというようなものにつきましては、ほかの工事のいろいろな歩がかり等と勘案いたしまして、どうしてもそのまま放直することが妥当でないというものにつきましては、業者から返納金をとるというふうに精算させることにいたしております。
  18. 生田宏一

    ○生田委員 今のお話を聞いてみましても、させることにいたしておるというので、まださしてはおられぬようですね。
  19. 今井四郎

    ○今井説明員 御指摘いただきました三十年度の具体的な件名ごとにまだ締めくくっておりません。
  20. 生田宏一

    ○生田委員 二一五四号についてもいかがですか、処分はされておりますか。
  21. 関四郎

    ○関説明員 これはどの程度にやるか、まだ十分精算が済んでおりません。
  22. 生田宏一

    ○生田委員 それはほんとうにおやりになりますか。今までそういうことで、たとえば二十九年度あるいは二十八年度でもしやったことがあったら、資料を出してくれませんか。ほんとうにやりましたか。こういうふうに会計検査院の指摘を受けて、業者の責任になるということがはっきりきまったもので、たとえば工事入札の停止処分をしたとか、あるいは損害金について戻入をさせたとかいうことがありますか。
  23. 関四郎

    ○関説明員 それの十分のお答えになるかどうかわかりませんですが、この二一五四号の件につきましては、これは業者の責任ということははっきり追及できない点がございます。これは値引き採用というような措置をとりたいと思います。これは出来高に対する値引き採用をやるつもりでございます。
  24. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると、その責任はどっちなんですか。
  25. 関四郎

    ○関説明員 お答え申し上げます。それはこちらの監督者にございます。
  26. 生田宏一

    ○生田委員 そうすると話が全然、聞いてみると右だとも言い左だとも言い、業者に対しては戻入させるんだと言っておるが、それじゃその責任を突き詰めてみるとどっちかわからぬ、もう一つ聞いてみると自分の方の責任だということになっておるのですが、今まで二十八年度、二十九年度で聞いておりますが、二十八年度あるいは二十七年度でもよろしゅうございます、何かそういうような業者の責任になることであって、そして会計検査院から指摘を受けて、その処置を金額の上で戻入さす、あるいは工事の指名その他について停止処分をする、そういうことをやったならば国鉄はお前たちを利用しないぞ、お前たちの商売は立っていかないぞということを、国鉄は実際に結末をつけて示したことがありますか。いろいろなことで国損を受けて、そして会計検査院から指摘を受けて、決算委員会に出たときにはそういうように説明をするけれども、しかし実際は、もう委員会が済んでこれを承認してしまえばあとのことはどうでもいいということでは、小倉君の言う通りに国鉄経理についていかに引き締めをやろうとしても、実際は実が上らぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。もしありましたら、それを一つ山していただきたい。
  27. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま生田先生から御指摘のありました点、ただいまの戻入したかどうかということは調査をさせまするが、私の心構えといたしましては、この批難事項につきまして誠意をもって解決していきたいと思っております。それで、最近の例といたしましては、車両設計通りにできておらぬものが事故を起しました案件がございまして、これにつきましては厳重に告戒すると同時に、その業者相当幹部の左遷を要求いたしまして、その通りにいたしております。それから今回の批難事項当ります相手方某会社につきましては、私から警告書を出して――これはもう立案しておりまするが、まだ相手方に示してはおりません。と申しまするのは、相手方の最高責任者を招致いたしまして厳重に警告をするということで、案文も作成いたしております。また今回の三十年度の御批難に対しましては、実情を調査して、部内職員に対しまして厳重戒告等三十二名の処分を実行いたしました。かようにでき得るだけ業務の適正化をはかっていきたい、またその善後処置につきましては万全を期して参りたい、私の心構えはそうでございまするが、ただいま生田先生の御指摘がございましたので、さらにこの不当事項につきまして、業者が不当利得をいたした案件につきましては戻入をいたさせるつもりでございます。
  28. 生田宏一

    ○生田委員 それではくどいようですが、私はもう一度お尋ねしておきますが、小倉副総裁はそういうことで一生懸命やる、そうおっしゃられますし、私もそう思います。けれども、たえばその会社の当面の責任者の左遷を要求してみても、会社自体はわれわれとは違って――役所の人とかわれわれね、理屈が立てば、筋が通れば、金銭の損益の方はむしろがまんをして通るのですが、しかし会社の方はうそを言っても、理屈が立たなくてももうかればいいというのが営利会社なんですから、その営利会社に対して引き締めを行うには、その営利会社の会計経理についてこたえる措置をとらなければ参らぬと思うのです。あなたが責任者の左遷を要求してみたってむしろそれは会社の中の人事に容琢することでおもしろくないことだし、実際に効果がないのではないか。それよりもむしろその国損を及ぼした原因がその会社にあるならば、断固その戻入を命ずる、もしそれを実行しないならば、もうその業者に対しては国鉄はこれを使わない、こういうような利害についてのはっきりした態度をとることの方が業者に対してはこたえるのではないか、私はそう思うのです。それで、あなたは三十年度の問題はなさるというのですから、国損を及ぼしたものについては業者に対してそういうことをされることはぜひしてもらいたいと思いますが、二十八年あるいは二十九年の問題でも、おそらくそういう事例はあなたの方でやっておるまいと思う。もしやっておれば、あとから必ず書類を出しますということを自信を持って言われるはずなのに、言われぬところをみると、あまりやっておらないのではないかと思う。これは国鉄のみならずどの官庁でも言われることです。それで、不正、不当の事項を指摘されて、そのことが事実である以上は、やはり理屈を言ってそれに対してあなたの方で恐縮するだけではいかぬので、少しでも国の損害を免れしめるような金銭上の措置をとらねば私はだめだと思う。毎年毎年同じことが同じように起きてきて、決算委員会というものは何をやっておるかということになりますし、会計検査院だって僕はそうだと思うのです。三十年度は小倉副総裁がやるというのですからやってもらいますが、二十九年度のものでももし未決済のものがあるならばやられたらいいと思う。ここで見ておりましたが、たとえば岩盤掘さくにしても、軟岩であるか硬岩であるかということは、これは業者もわかることだし、工事監督者もわかることで、硬岩である場合あるいは軟岩である場合の火薬を使う分量というものはさまっておるのですから、これはどっちに責任かあるかというと、業者の方にも責任があるし、役所の方にも責任がある。コンクリートの打った分乗が少いということなら、監督者の方の責任とともに業者の方もごまかしているわけで、これはむしろ両方だから、この実損害あるいは実利益ということになると、監督者の問題は別として、業者が知っておってごまかしたものならば、かりに監督の方に責任があっても、必ず業者の方からそういうものを戻入させる条件はそろっておると思う。あなたの方ではいざというとわれわれの方に責任があるとかないとか、そんなことを言わずに、ともかく業者に対しては、不当利得をとっておるものは取り返すという決意だけはしてもらわなければ、不当利得も跡を断ちませんよ。僕は前からそれを聞きたいと思っていたけれども、大体大きな事業をやっておるところといえば、国鉄が一番ですから、この機会にお聞きしたのですが、ぜひそういうようにしてもらいたい。これは私の始終考えておることですからお尋ねしたわけですので、どうぞそのようにしてもらいたいと思います。
  29. 青野武一

    青野委員長 小川豊明君。
  30. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今のことと関連することをお伺いしたいのですが、会計検査院の方にお尋ねします。今いろいろ指摘されておる不正とか不当とか、こういう事項を徹底的に合理化をはかられたとしたならば、そういう不正事項の国に及ぼす損害というものは、総額でどのくらいなくなるか。総額でけっこうですから、ちょっとお尋ねしたい。
  31. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 検査報告に出しましたものはこれでごらんになる通りでありますが、検査の実情からいいますと、もちろん国鉄の全部の経理を見ておるわけではございません。見ていないものについてそれを及ぼして考えてどうなろうかということも、もちろん考えられぬことはございませんけれども、すぐこれを及ぼしてどれだけということも、なかなか計算をとりがたいのでございまして、全経理でどれくらい不当のものがあろうかということは、ちょっとお答えが困難な状況でございます。
  32. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから次に、今お聞きしておると、ここにいう不正や不当の事項に対しては、担当者を厳重に処分した、こういうことでありましたが、それではどういうふうに処分をしたか、その件数は一体何件あるか、この点お尋ねします。
  33. 小林重国

    ○小林説明員 三十年度の決算に関しまして処分いたしました者は、減給五名、戒告七名、訓告二十名でございまして、総計三十二名でございます。最も不正事項を行いました者は、懲戒免職にいたしております。
  34. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それは何件ありますか。
  35. 小林重国

    ○小林説明員 二千百七十四でございます。
  36. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから工事請負の方にもかなり問題があるようにも見えますが、こうした論負人の方に不正やあるいは不当な問題があった場合、これは弁償させた、あるいは指定を取り消した、こういう処分がやはり当然なされておると思いますが、弁償せしめたものは何件、あるいは工事を取り消したものがあるならば、それは何件ありますか。この点お尋ねしたいと思います。
  37. 今井四郎

    ○今井説明員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、二一五五号の残材の回収はやっておりますが、今後のこの請負会社に対する指名の停止であるとか、そういう意味の処分は、内容をよく調べまして、その請負人の不当の度合いというようなものを見て実行いたしますが、すでにそれをやっておるというような事実は現在まではございません。
  38. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今の御答弁は三十年度のことに対する御答弁ですか。
  39. 今井四郎

    ○今井説明員 さようでございます。
  40. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それでは三十年度は今調査がつかないからそういうことをやっていないということでしょう。従って、調査がついておるはずである二十九年度なり二十八年度なりにおけるこういうことに対する処分の件数は何件ありますか。
  41. 今井四郎

    ○今井説明員 ただいま手元に二十九年度、二十八年度分の、指名停止とかいう件数の資料がございませんので、必要ならば調べましてお答えいたしたいと思います。
  42. 青野武一

    青野委員長 吉田賢一君。
  43. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄決算各般にわたりまして相当お尋ねする事項があるのでありまするが、本日は少しく将来の質問の資料の意味を含めまして、若干の質疑をいたしたいと思います。以下聞く第一点は、二十九年度、三十年度、おそらく三十一、三十二年度にわたりましても連続していく問題の一つであろうかと考えられますが、国鉄の現金管理の問題であります。これに関連しまして伺う点は――これはあとで資料で出していただくことにして、言葉では要旨だけを述べて下さい。現在国鉄が借り入れておりまする政府資金、長期及び短期その他の借入金の最近の現在高、それは幾らになっておりますか。
  44. 久保亀夫

    久保説明員 お答え申し上げます。詳細な資料は別途提出することにいたしまして、政府から借りておりまする借入金は、短期は今日現在ございません。長期は、国有鉄道が公社になりました際に、従来持っておりました公債を一般会計に肩がわりいたしまして、政府に対する借入金となりましたのが五百三十四億、それから運輸省所管でその後赤字借り入れ等で借りましたのが合計して概数五十億、合計五百八十億が政府に対する借り入れでございます。それから運用部資金、これが約八百億。これは最近返しておりますから、詳細な数字は別途申し上げますが、約八百億が政府なりそれに関連する借入金でございます。
  45. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから毎日の現金収入の年間を通じての管理方式でありますが、これは概していえばどういうところへ預金しておりますか。
  46. 久保亀夫

    久保説明員 国鉄の毎日収入いたしまする現金は、大原則は国庫預託金にするということでございますが、取扱いの便宜上七日間を限って一時市中銀行に預金することが認められておりますので、ごく一部の例外を除きましては、収入した金額をそれぞれ地元の市中銀行もしくは地方銀行の支店に預金いたしまして、それを七日以内に日銀代理店の預託金に繰り込むという手続にいたしております。
  47. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その現金収入預金の年間の総計は幾らになっておりますか。
  48. 久保亀夫

    久保説明員 年間の総計は、大体収入の大多数、いわゆる運輸収入はほとんどそういった経過をたどるわけでございますが、ちょっと総額を正確には申し上げられませんが、やはり二千四、五百億には上るものと思います。
  49. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これを預金する根拠法律、政令は何になっておりますか。
  50. 久保亀夫

    久保説明員 第一の根拠法規は、日本国有鉄道法第四十二条ただし書きに「但し、業務上必要があるときは、政令で定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」ということがございまして、それに基きまして……。
  51. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 政令の名前を指摘して下さい。
  52. 久保亀夫

    久保説明員 政令の方は日本国有鉄道施行令でございます。それの第十条が原則でございまして、第十一条の「業務に係る現金の銀行等に対する預託」というところに、「日本国有鉄道は、運輸大臣及び大蔵大臣の承認を受けた事由がある場合には、法律四十二条第一項但書の規定により業務に係る現金を郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」そしてその二項に、特殊の場合を除いて七日をこえてはならない。そうしてこの政令に基きまして、大蔵大臣及び運輸大臣の承認を受けて、先ほど申し上げたように現存やっておるわけでございます。ただいま大蔵大臣及び運輸大臣の承認書は持っておりませんが、これは別に資料として出したいと思います。
  53. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大蔵大臣及び運輸大臣の承認を受けた年月日は大体いつごろでありますか。
  54. 久保亀夫

    久保説明員 ちょっと記憶でありまして正確でございませんが、一番初めは昭和二十五年であったかと記憶いたしております。これも資料を出したいと思います。
  55. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 昭和二十五年に承認を受けたものが今日まで継続しておるという趣旨になるのですか、それともその後承認の手続を受けたのか、その点はいかがです。
  56. 久保亀夫

    久保説明員 これも記憶でございますから、あとで正確に申し上げますが、最初二十五年から始まりまして、その後内容、範囲の変更等がございまして、最近の承認は二十八年になっておるかと思います。
  57. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国庫に預託することは不便なのですか、それとも危険でもあるのですか、その点はいかがですか。
  58. 久保亀夫

    久保説明員 土地事情によりまして、いろいろ異なって参るわけでございますが、もちろんいなかの方におきましては、日本銀行の代理店がないといったような非常に強い理由もございます。それから都市地域におきましては、もちろん市中に日銀代理店がないわけでもございませんが、事実上毎日の収入金の計算あるいは銀行への搬入等非常な手数と、それから危険、両方ございますので、市中銀行を利用いたしまして、市中銀行が全部とりに参りまして、立ち会いで計算いたしますとか、その他事務上の便宜、それから危険の防止といったような点からいたしまして、都市地域でもこの政令に従って利用しておるわけでございます。
  59. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 副総裁に伺いますが、この国庫に預託するという原則を市中銀行に預けるということは、そうではなしに、何か金利でも目的にしておるのではないか、その点はいかがですか。
  60. 小倉俊夫

    小倉説明員 私は詳細のことは存じませんが、金利を目当てに市中銀行に預けるということはないように承知しております。
  61. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 金利はつくのですか、つかないのですか。
  62. 久保亀夫

    久保説明員 私からお答え申し上げます。今の市中銀行に参りますのは、七日ということでございますけど、実際そこへとどまるのは三日ないし四日でございまして、とどまっておる間は原則として日歩七厘の利子をもらっております。大体通知預金と同じ率でございます。預託になりますと、御承知かと思いますが、現在の建前は四十億の台を置きまして、これは無利子、あと四十億を越えた分には八厘の利子を国庫からもらっております。ですから年間平均でありますと、四十億の台は特殊の資金不足の場合以外は持っておりますから、利子は八厘についておる。そういう結果をごらんになりましても、決して利子が目的でないということはおわかりだと思います。
  63. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 副総裁に伺いますが、一体国鉄の扱う現金を国庫に預託するというのは、どういうところから来るのでございますか、根本の理由を伺いたい。
  64. 小倉俊夫

    小倉説明員 詳細なことは承知しておりませんから、経理局長から……。
  65. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとお待ち下い。これはやはり二千数百億の金を国庫に預託するか、商業銀行に預金するかということは、やはり金の性質から考えましても、相当重要な根本問題を持っておる。それで伺うのであります。一局長の責任においてどうするという事項でないのであります。やはり財産管理の重要な対象になっておる現金の保管の法律というものがあるのでありますから、何ゆえに国庫に預託することが原則になっておるかという趣旨は、当然国鉄の代表者は明らかにしておられなければならぬはずであります。詳しく知らないからといって逃げるべき、そんな小さな問題ではなかろうと思います。
  66. 小倉俊夫

    小倉説明員 国鉄の収入が国庫預託金になるということは、ずっと以前からのことでございまして、実はこれは大蔵省の所管事項かと存じますが、国鉄が従前国家の企業でございまして、国鉄の収入はすべて国庫金であるということで、国庫に入ったものと考えますが、実は国庫金で日銀の支店でないと預け入れられないということが不便でございまして、国鉄のように山間僻地におきましても収入が入ってくるというようなところでは、実は現金輸送をしておるところも一部にはございます。そういうこともございましたので、国市預託金から一部は市中銀行にも入れてもらえるような道をあとから開いた、こう承知しております。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の聞くのは国鉄の収入金を国庫に預託するというのはどういう理由に基くのですか、こう根本を聞いておるのです。山間僻地の扱いが国庫代理店がないから云々というのは、それはそれから派生する別の問題です。どういう理由によるのですか。
  68. 小倉俊夫

    小倉説明員 これは先ほども申しましたように、政府資金として扱うのが適当だというふうな指示を受けておりますので、これはやはり国鉄の膨大な資金は国家資金として運用するのが妥当であるというふうな政府の御見解だと、こう承知いたします。
  69. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 政府の指示があるとか政府の御見解とかそんなものを聞くのではないので、あなたの方の見解を聞くのですよ。これはやはり政府との間には人格的にも違っておるのでありますから、金を借りている政府に向って何かの要求をする、政府に交渉をする、承認を受ける、それぞれ人格も違うのでありますから、国鉄の所有の金を国庫に預託するという根本の理由はどこにあるのかを聞いておるのです。これは書面でもよろしいから出して下さい。こんな問題はそうつべこべと末梢的な面から御答弁される筋じゃないと思うのです。  それなら聞きますが、そもそも国鉄の不動産その他の財産はどういう法律に基いてこれを所有し、管理し、処分するのでしょうか。この点については国鉄法にも貸付の制限、処分の制限の法律のあることはこれは存じております。しかしこれは制限なんですよ。根本的にはこれは何の法律を根拠にこれを供用し、あるいは管理し、処分することになるのですか、その点はいかがですか。
  70. 小林重国

    ○小林説明員 日本国有鉄道法の第一条で、国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、国有鉄道が設立されておりますので、この規定にこの根拠があると思います。
  71. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国有鉄道法の第一条は、明らかにしてあるごとくに国鉄の目的が書いてあるのであります。私の伺うのは国鉄の財産は、たとえば一般民法によってこれを管理し、処分しているものであるのかどうか。もちろんこれは国有財産法、物品管理法等によるのではないと思いまするが、そういう趣旨において御質疑しておるのであります。今のあなたの指摘なさったのは、これは国鉄の設立の目的であります。そうじゃないのです。それはいかがですか。
  72. 久保亀夫

    久保説明員 先生の御質問に正確にお答えできるかどうかわかりませんが、私の考え方を申し上げますと、国有鉄道法の第一条に目的がございまして、第三条に、こうこういう国鉄の経営の業務を行うということで、それに対して具体的には日本国有鉄道施行法の第四条に、国有鉄道及びこれに関連する附帯事業に関して、日本国有鉄道施行の際現に国が有する権利義務は日本国有鉄道が継承する、つまり線路車両はすべて継承する、その継承した財産でこの基本法にいう業務を運営していくということでございまして、それが法律上特別の制限のない限り、この目的のために承継した財産を運用するということができる、こういうふうに考えております。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、動産、不動産、債券その他の無体財産について管理、利用、保存、処分等、一切そういう権利、権能の内容をなすものの準拠するものは、これはやはり基本法は民法、こういうことになるのですか。
  74. 久保亀夫

    久保説明員 特別の法令のない場合はさように考えております。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄は商法上の社団法人、民法上の社団法人ないしは商事会社でないというのは国鉄法第二条で明らかになっておりますが、そういたしますと財産の処分等の制限あるいは解除権の特例等を除きまして、あるいは今さきに問題になりました現金という所有財産を管理処分する方法が法律で規定してありますので、こういう消極的な規定以外は、やはり民法等の基本法規によって今いった権利の内容は規定される、こういうふうに理解すべきものですか。
  76. 久保亀夫

    久保説明員 その点は国有鉄道法弟六十三条に、特定の法律を掲げて、これの適用については特別の場合のほかは日本国有鉄道を国とみなす、こういうことを逆にいっているわけであります。特別の定めがある場合のほかは民法の一般原則による、かように考えております。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきの現金の問題に戻りますが、二千数百億円の現金を、かりに一週間以内と限定しておりましても、毎日継続して次へ次へと預金をされていくのでありますから、これは受け入れ側、頭金をされる側におきましてもかなり大きな金額になると思うのであります。山間僻地の場合ならば一応わかるのでありますけれども、たとえば東京駅あるいは八重洲口、あるいは新橋駅等の東京都の交通至便のところで、日銀の本店もそばにあるというようなところで、他の市中銀行に預けるということは、これはやはり原則を逸脱したことになるのではないかと思うのでありますが、そういうことは十分に御検討になっておるのでありますか。たとえば大蔵大臣等の承認は、そういうような辺についても何らかの了解をしておるのですか、どうなのですか。これは一つ国鉄を代表して御答弁願っておきたいと思います。
  78. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま仰せのように国鉄の現金は園庭預託金として日銀の支店に預けるというのが原則になっております。しかしそれの不便な場合を予想してか、市中銀行に預けることの許しを国鉄が受けております。それで国鉄の現金は非常に零細なものでございまして、それの計算、取扱いは非常に不便でございます。それでおそらく日銀からは出張して金の計算その他はしてくれないと承知しておりますので、それに便利な市中銀行をその許可を得た範囲内で利用しておるもの、かように考えます。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると市中銀行は日銀の代理店という資格において扱うというものはないのですか。
  80. 久保亀夫

    久保説明員 現在市中銀行に一応預金しておりますのは、ほとんど全部が市中銀行を利用しておりますので、ほとんど預託金としてではございません。
  81. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ほとんどというのじゃわからぬ。もっとはっきり言って下さい。――それなら東京に限定してもよろしいが、東京都内の市中銀行で日銀代理店の資格において預金を受けているのがないのか、こういう意味なのです。
  82. 久保亀夫

    久保説明員 東京にはないと思っております。
  83. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 副総裁に聞きますが、いかに零細な金といえども、たとえば裁判所の法務局に対する一般民衆の供託というものがあります。これはごく零細な金でも日銀代理店の資格において扱っているのです。国庫に収納しておるのであります。こういうことは簡単にできるのであります。日銀が出張してきて云々とおっしゃいますけれども、何も日銀が特に人を派遣したくても、便宜日銀代理店は幾らでもあるわけなんです。国庫代理店としては幾らでもあるし、どんな方法でも簡単にできるのが常識として明らかなんです。そういう方法も全然とっておらぬということは、やはり年間二千数百倍円の現金の管理の上において、最善の注意がない一つの現われでないかと思うのであります。この金は今あなたがおっしゃるごとく政府資金のごとき価格を持つほどに政府の直接の事業であった、円の直接の事業であった。それを国鉄がいろんな法律による権利義務を承継しているということはわかるのだけれども、本質的な原則としまては、国の金のような意味合いにおいて非常に大切になさる御趣旨があるのでありますから、これを代理店でない市中銀行に預けていくといえ、ようなことは、年間二千数百円を一つの例外もなく市中商業銀行に預けるということは、現金管理の上において私は一つの重大な問題だと思う。しかも昭和二十五年といえばこの法律ができたときです。国鉄が発足したときだろうと思うのです。このいきさつについて若干私も存じております。前の長崎総裁のときにも問題になったのだけれども、その後どうも十分な改善ができておらぬと思う。あなたは当時の委員会の様子は御承知と思います。でありますのでやはりこの重要な金の管理の方法につきまして、どうも今の御答弁だけでは私ども納得しにくい。やはり国鉄が財産管理の上において、もっと慎重に最善の注意を払っていく上において欠くるところがあるのではないかと思うのです。あるいは金利が七厘、八厘というような計算でとんとんだという久保さんの御説明がありますけれども、そんな点から見るのじゃないのです。やはりこういう重要な財産の管理はあくまでも原則に沿って、やむを得ざるときに例外をする。なお不便があれば法律を作る等々の諸般の手続をやることが、私は国鉄の企業会社の上において最も重要な一つの原則的精神でなければならぬと思う。だから伺うのです。今日はこの程度にしておきますけれども、今申した資料も出てくることですから、なお質問を展開しなければならぬと思います。  第二に伺いますが、固定資産の管理の問題、これも検査院が年々指摘しておるのであります。年々問題が起っておる重大なことである。固定資産は総計どのくらいになりますか。つまり他人に貸付し得るような固定資産が総計どのくらいになるかということ、特に部外者に貸付し得るようなもの等に関連するものは資料としてぜひ出してもらいたい。この管理のいかんは国鉄経理に影響するきわめて重大な問題であります。何となれば、おそらくは数千億円に三する国鉄の固定資産、そのうちのどのくらいの。パーセンテージになりますか存じませんけれども、とにもかくにも検査院も少数で、手が回りかねまして、とても指摘するにいとまのないほどにたくさん出てくるのであります。  そこで便宜上、この質問に入ります前にぜひ明らかにしてもらわなければならぬことは、きょうの朝日新聞の記事によりますと、東鉄の管財部事業課用地係長の木藤武という方を詐欺の容疑で調べておったが、結局警視庁に逮捕されたというのであります。要するに国鉄の固定資産を、いわゆるガード下の使用権等をめぐりまして汚職の容疑らしいのであります。非常に重要なことでありまするし、すでにあなたの方の現職の人が身柄を捕えられておるのでありますから、全然知らぬとは言えません。ことに東朝がこんなに大きく出した以上は、あなたの方は人ごとであるとは申せますまいから、この機会にこの問題について一つ何か弁明をしてもらいたい。そこから入っていきますから。
  84. 小倉俊夫

    小倉説明員 実は一昨日捜索を受けたという情報が私の耳に入りまして、まことにかく然とした次第でございます。それで本人は拘引されておりますので、さっそくこちらからどういう案件であるかということを聞きに参りましたら、取調べ中であるから一切知らせるわけにはいかぬという話でございまして、その内容は承知いたしておりません。関係帳簿等も持っていかれましたので、どういう案件であるかは存じません。しかし不祥なことでありますことは疑いなく、はっきりいたしておりますので、私どもまことに相済まなく考えておる次第でございます。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄の所有の用地を他人に貸付いたしまして収入金をあげておるというのは、やや改善しておるということで経営改善の経過等についても御説明があったように思うのでありますし、またさっきの御説明の際にもそれに触れておったように思います。けれどもこれはやはり土地だけではなしに、大きな国鉄の財政経理の内容を健全化する建前から見てきわめて重大な一つの問題点だろうと思うのです。これは率直に申し上げておきますけれども、あなたの方は運賃一割三分の位上げをすでに閣議決定を受けていろいろと御説明になっておりますけれども、やはり国鉄の財産管理の内容を国民に十分に納得さすような状態にしませなんだら、かなりこの問題は難航しますよ。国会において多数派がこれを押し切るようなことがありましても、国民は納得しません。そしてこの委員会がある限りは、年々こういうふうな追及を受けざるを得ませんよ。そういうこともやはり覚悟しておいていただかなければいけません。この中にも工事をめぐる問題、固定資産のわからぬような管理の問題が随所に出てきておりますので、私はこの問題を伺っておるのです。今の問題は、わかる範囲で調べて下さい。そして当委員会報告して下さい。  それからもう一つ、あなたの方で固定資産を他人に貸付して受ける金額が、年間何ほどになっておるのか。それからその貸付物の価格等、関連した事項を資料として一つ出して下さい。  なお、これも一つの典型的なものだから、これから入っていくと非常に入りやすいので申しますが、この三十年度決算検査報告の三三七ページ、二一七〇であります。これは東鉄の問題であります。三十年の五月に随意契約で株式会社鉄鋼ビルへ、これは八重洲口付近の土地でありますが、不当な安い価格で売却したという事実であります。この点につきましては、一つ詳細に御説明を願わなければならぬ。これは一応あなたの方から資料として、この経緯全部を出してもらいたい。その次の二一七一、これは大阪であります。大阪駅前の一等地を京阪神急行電車に対して、これも特に安い価格をもって売り渡しておる。こういう二つの案件があるのであります。これは財産処分、固定資産の処分の案件としまして、二つの典型的なものとわれわれは見ておるのでありますが、これにつきましては、資料を得ました上で質疑をすることにしましょう。しかし、もうすでに報告書になっておるのでありますから、詳細をお調べになっておることは間違いないと思うのですが、調べは済んでおりましょうね。
  86. 今井四郎

    ○今井説明員 一応の調べは済んでおりますが、先生の御質問のような、基本的なことを考えまして、なお資料を整備いたしたいと思います。
  87. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方は資産再評価をなさって、減価償却等につきましても、ずいぶんといろんな機会にいろんな検討をされ、議論をされ、いろんな資料を整備せられて、今運賃値上げの問題をめぐりましても、ずいぶん詳細な資料を整備しておられるのであります。このように会計検査院という国家の独立機関が指摘いたしました、こういう注目すべき案件につきまして、一応の調べということぐらいでは、あまりに熱意がなさ過ぎると私は思うのです。あるいはあなたの方は、こんなものは九牛の一毛、氷山の一角で、幾らでもあるのだというお考え方なら、なおもってのほかであります。私がずっと見たところによりましても、相手も相手です。よろしゅうございますか。相手は八重洲口の鉄鋼ビルであります。鉄鋼ビルということを考えるだけでも、われわれには相当関係が連想される。次の案件は、これは大阪の阪急であります。阪急は大阪切っての私鉄です。このような大きな財閥的な相手に対しまして検査院が指摘しておるような事実があったならば、私どもの方は阪急の代表、鉄鋼ビルの代表に当委員会に来てもらって聞かねばならぬのであります。そういうような重要性がある。これがそこいらの市井の普通の人であるならば、あるいはいろいろな間違いということもあろうけれども、検査院が、このような大きな相手に対してはあまりに低きに過ぎる値段で売っておるというような指摘をしましたならば、こういう問題は重大案件として調査されて、その当否を御判定になることが当然だろうと思う。一応の調査はしておるんだで済ましておるということは、あなた方が財産管理の上で、もしくは経営合理化、財政の健全化の観点に立ちまして、何を一体ねらっておられるのかということを私どもは疑う。こういう重大な案件は、金額が何億円に上らなくても、やはりその重大性を認めねばならぬのであります。次のときに詳しく伺いますから、十分に資料を用意しておいて下さい。  それから第三番目は物件の調達であります。まくら木の調達がまた出てきております。私はまくら木についてはかつて質問したことがある。その後改善のあとが見られぬ様子であります。三十年にまた指摘されておる。一体中間搾取的な存在をなくすることはできないのですか。そういうようなものは断固処置する方法をとって、あなた方がおっしゃるように国家の財産的な考え方を持って経営していかれる以上は――商事会社じゃないのですから、少しで毛よい物を安く、正確に調達することをお考えになるのが当然だろうと思う。毎年々々指摘せられて、しかもそれが中間摂取的な存在があるというようなことは、もってのほかなんです。こういうことは一体改善することをしないんですか、どうなんです。
  88. 石井昭正

    石井説明員 まくら木につきましては、二十九年度、三十年度に中間商人の問題がございましたが、御承知だと思いますが、まくら木は一年に五百万丁というものを全国から調達いたしております。従って相手も百五十四社ぐらいになっております。その中で、全部自分が生産しているものと、大部分生産して、一部下請けに出しておるものを除きまして、主として下請から集めて、一部直営して、いるものと、全部下請のものと、それから代納だけをやっておるものとを合せまして、大体三〇%ぐらいであります。それで商社にいたりしまして二十四社ぐらいになっております。この正確なあれはお届けいたすことにいたしますが、その中でいわゆる代納、自分で山も持っておりませんし、資金も持たず、ただ手数料だけとっている業者が二社ございましたが、これは二十九年度の御指摘もございましたので、現在はやめました。あとに残っておりますのは、全部、大部分下請けで一部直営、これも第一物産とか三菱商事とか非常に大きなところでございます。そのうち二、三の業者につきましての経営内容も後刻御報告いたします。まくら木が多いために、非常に零細な業者は、まとめて集荷いたしますためには、どうしてもこういう大きな商社を利用いたさないと集荷が十分できませんので、いたしております。中間業者と言いますが、いろいろ集荷の責任も持っておりますし、前渡しの金融上の措置も準じておりますし、また原木を支給する、その他まくら木相当大量に、しかもある時期までに責任を持って集めるためにはやむを得ないと思っておりますが、いわゆる手数料かせぎの中間業者はで、きるだけ排除していくことにしてきております。     〔委員長退席、關谷委員長代理着席〕
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、これはまだまだ改善の余地があるままに放置されておる一つの問題だろうと思いますので、やはりもっとちゃんとしておく必要があると思いますから当時者並びに金額あるいはその関係、そういうものを資料として詳細に出して下さい。これはあなたの方としては資材調達のうちの重要部門を占めておるものと私は思う。その重要な部門において十分にこれを改革することがなかったならば、ほかのものは推して知るべしであります。ゆえにこの問題は相当明らかにしておかなければならぬと思うので、ぜひとも資料として出してください。委員長、私は質疑を次にしたいと思いますから……。
  90. 關谷勝利

    ○關谷委員長代理 それでは以上をもちまして昭和二十九年度決算日本国有鉄道関係につきましては、一応この程度質疑を終了いたします。午後は本会議終了後再開して、郵政省所管につきまして審査をいたします。  この際暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十三分開議
  91. 青野武一

    青野委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。  午後は、昭和二十九年度決算並びに昭和三十年度決算中、郵政省所管について審査を進ある予定であります。すなわち昭和二十九年度決算検査報告二九〇ページより三〇四ページに至る報告番号二〇三〇ないし二〇五四につきまして、また同時に昭和三十年度決算検査報告二三三ページより二四七ページに至る報告番号一九六四ないし一九九二につきまして、あわせてまず会計検査院当局説明を聴取いたしたいと思います。保岡第二局長
  92. 保岡豊

    ○保岡会計検査院説明員 二九〇ページの郵政事業特別会計から申し上げます。郵政事業特別会計事業損益につきまして、収益、損失と約九百億でありまして、前年度十四億の利益に引き続き、当年度も六億の利益を計上しております。この利益金は繰り越し欠損金五十二億の減額に充てることとなっております。なお収入のうち切手、はがきの売り上げのほか、他会計から受け入れておりますものが前年度より増収になっており、経費のち人件費が前年度より増加しております。  次に特別会計予算総則に定める給与総額につきまして、前年度予算総額を超過するものとして取り上げました特殊勤務手当は、本年度も翌年度の支出としております。このほかに本年度また新しく、今まで年度中の経費として支出していました三月の上期の超過勤務手当てなど、七千万円の支払いを年度中に行わず、翌年度の支払いとしておりまして、給与総額からはずしていますが、実質的には給与総額に入るものでありまして、従って今年度も七千万円その限度を超越するもの認められる事態が起こっています。  次に物品の経理でありますが、繰り越し貯蔵品残高が前年度より激少しております。しかし退蔵品の活用につきまして一段と考慮の余地が、あり調達数量について十分実績に基いて決定していないなど、たとえば生地、機械などありまして、改善留意すべき事項が見受けられるのでございます。  次に不当事項ニ〇三〇号を申し上げます。式紙の購入ついてでありますが、振替貯金払い込み用紙の切りかえ方につきまして、切り替えの理由といたしまして紙の質が粗悪であることなど、多少の不便があるといたしましても、いままで使用していたものを使ってしまってから新用紙に切りかえ、経費節減をはかるべきであるというものであります。  次のページの二〇三一号でありますが、これは郵便専用自動車の配車が不経済と認められるものでありまして、二つあります。一つは広島駅前―岩国飛行場間の郵便物運送を、専用自動車に請け負わせていましたが、鉄道便と乗合自動車便を利用すれば経費が節減されたというもの、これが一つ。もう一つは松江―人間局間の運送に二両を配車しておりましたが、これは一両で間に合う、そうすれば経費が節減されたというものであります。  次に二〇三二号は、所得税の源泉徴収を正規に行なっていなかったもの、すなわち超過勤務手当、奨励手当て、管理職手当てを支給したときに、同時に差し引かなければならない源泉徴収所得税を徴収していなかったものであります。  次に郵便貯金会計について申し上げますが、この会計は毎年欠損を重ねておりまして、当年度の欠損五十二億、繰り越しを加えまして百四十三億となります。資金コストは前年度より好転していますが、なお一・三三%の逆ざやとなっております。外地郵便貯金の二十年十月一日以降に現地で預け入れられましたものに対する利子七千万円を、本会計から支出していますが、その現金の払い戻しを軍事郵便貯金等特別処理で資金措置をしているのと同様に、この利子の方も別に措置を講ずべきで、本会計の負担としているのは筋が違うというわけであります。   次に簡易生命保険及び郵便年金特別会計について申しますが、保険金額制限が八万円から十五万円に改正されまして、前年度末契約保険金額が八千億でありましたものが、当年度末  一兆円をこえております。付加率を見ますと平均一九・四%であるのに対しまして、事業費率は二八・六%で、差引九・二%の付加損となっております。この付加損が十四億、また剰余金分配損が八億などがあります。半面死差益の方で十一億、利差益で十二億等がありますために、純剰余金といたしましては十四億で、前年度に比べ三億増加しております。  次に不当事項のうち不正行為でありますが、毎年郵政省の不当事項は多いのでありますが、二十九年度も五万円以上が五十一件あります。態容といたしましては毎年同じようにここに区別いたしまして、(ア)は外務員の犯罪、(イ)が内務員の犯罪、(ウ)が特定郵便局長の犯罪、(ア)(イ)(ウ)と三つに分けてございます。この(ア)に属するものが五十万円以上で八件、(イ)が九件、(ウ)が五件で、二十二件でありまして、この五十万円以上のものについて三〇〇ページ以下に列挙してございます。  次に続いて三十年度を申し上げます。三十年度の郵政事業特別会計の事業損益、これは今申しましたように、二十九年度六億の利益金に次ぎまして、本年度も九億の利益金を計上しております。これで当期利益金九億も既往年度からの繰越欠損金四十五億ありますので、この欠損金の減額に充てることとしております。  次に他会計からの受け入れをここで申しておりますが、郵政事業特別会計は、他会計の業務を行なっておりますので、その経費の回収は、成立予算そのままを受け入れております。これが事業収入の半分以上を占めておりますが、使用した経費と受け入れの間には過不足がありまして、郵便貯金からは受け入れ不足で、保険年金からは受け入れが多過ぎるというような状態になっております。  次に不当事項の一九六四号でありますが、これはお年玉年賀はがきの半数ばかりを印刷局に注文いたしましたが、印刷月ではその一部を民間に下請に出しております。下請に出すくらいなら、郵政省が直接民間に出した方が安くできたという批難であります。これは二十九年度でも同様の事態が起っておりましたのに、三十年度、三十一年度引き続いて同じことを繰り返しているわけでありまして、印刷局と打ち合せ、十分に善処すべきであると認められるものであります。  次に二十九年度でも申しました、郵便専用自動車の配車計画の件でありまして、三十年度全体で十四件、四百五十万円が節減されました。そのうちおもなものは、ここに一九六五号と一九六六号の二件でありまして、一九六五号は広島郵政局管内のもので、二トン車を一トン車にかえることができるのでこれで九十七万円、一九六六号は熊本郵政局管内で、乗合自動車託送にできますので、託送にすれば約五十九万円節減できたというものであります。  次に一九六七号は、大分、宮崎両県内から大阪、兵庫、奈良、和歌山にあてた小包郵便物を、大阪―別府間の船便によっておりました。しかし、大分、門司、大阪へ国鉄の上り便の郵便車に余積が十分ありますので、船便で運送する必要がない。その余積を利用すれば節減できたという件であります。  次の一九六八号は、大阪の製造業者から封鉛を東京の倉庫に納入させまして、それを別の運送業者に、大阪に荷作り運送させたもので、大阪郵政局の分は何も東京まで持ってこなくてもよかったではないか、それで少くとも五十六万円損をしておるというものであります。  次に、郵便貯金特別会計を三十年度で申し上げます。三十年度八百億の純増をあげておりますが、依然として五十一億の欠損となりまして、欠損金総額は百九十四億に達しております。ここにちょっと催告によって没入できる睡眠口座のことが書いてありますが、これは十億ばかりであります。割増金つき定額郵便貯金の目標額は当初百億であったものを六十億に減額しておりますのに、割増金だけはそのまま郵政事業に繰り入れられております。規程によってそうしたのでありますが割増金は元来貯金の利子に相当するものでありますから、繰り入れるのはおかしいように思われるということを書いてございます。本会計は前年度より利益率が減じておりまして、逆ざやながら前年度より好転しております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計について申し上げます。簡易生命保険につきまして、保険料を引き下げをいたしました。それで新契約保険金額一件当りは、前年度七万二千四百四十八円から七万四千六百七円と逆に二・九%増加しております。事業費率は前年度に比べまして一・二%減少、付加損も一・五%減少していますが、本年度は契約準備金編入額をふやしましたので、五億の欠損を計上しております。  次に不正行為でありますが、ただいま申し上げました二十九年度と同じ態容でございます。五万円以上、二十九年度は五十一件、三千四百万円、五十万円以上が二十二件、二千八百万円ありましたものが、三十年度は、五万円以上五十六件、五千二百万円、そのうち五十万円以上は二十四件、四千五百万円、こういうふうにふえていく傾向にあります。  大体以上の説明で一応終ります。
  93. 青野武一

    青野委員長 次に、郵政大臣が今朝来病気のために出席できがたいとの申し出がありましたので、郵政政務次官に御出席を求めております。政務次官に発言を許します。伊東郵政政務次官。  ちょっと御発言の前に御注意申し上げますが、大体会計検査院と郵政当局には、重点的な御説明を願って、あとは質問にお答えを願うという方針で参っておりますから、その点一つお含みを願います。
  94. 伊東岩男

    ○伊東政府委員 郵政大臣が病気でございまするので、私かわって御説明申し上げたいと存じます。  郵政事業特別会計、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計の昭和二十九、三十年度決算の概要と会計検査院から御指摘ありました事項について申し上げます。  郵政事業特別会計の二十九年度の事業損益についてみますと、収益総額は九百二十八億千余万円でありまして、損失総額九百二十一億三千百余万円との差引六億七千八百余万円が当期利益金となっております。この利益金は、既往年度からの繰り越し欠損金五十二億六千七百余万円を減額いたしました。  三十年度におきましては、収益総額が九百九十億二百余万円でありまして、損失総額九百八十億三千二百余万円との差引九億七千余万円が当期利益金となっております。この利益金は、前年度と同様、既往年度からの繰り越し欠損金四十五億八千八百余万円を減額いたしました。  なお、三十年度におきまして、郵便貯金特別会計等他会計からの繰り入れについて御指摘がありましたか、これら繰入額につきましては、なお一層慎重に検討したい所存であります。  郵便貯金特別会計の二十九年度の歳入歳出額は三百二億四千七百余万円の同額となっておりますが、これを損益計算上からみますと、歳入額不足補てんのため資金運用部特別会計及び一般会計からの受け入れ五十二億九千三百余万円が含まれておりますので、この受入額は損失の繰り越しとして整理いたしました。  また、三十年度の歳入歳出額は三百五十億四千五百余万円でありまして、これを損益計算上から見ますと、歳入額不足補てんのため資金運用部特別会計からの受け入れ五十一億六千余万円が含まれておりますので、前年度と同様損失の繰り越しとして整理いたしました。  なお、三十年度末における損失額の累計は百九十四億八千六百余万円であります。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計の二十九年度歳入額八百三十五億二千七百余万円に対し歳出額は三百二十二億六千六百余万円でありまして差引歳入超過額は五百十二億六千百余万円となっております。三十年度におきましては、歳入額九百三十七億六千四百余万円に対し歳出額は三百四十五億三千五百余万円でありまして、差引歳入超過額は五百九十二億二千九百余万円となっております。この歳入超過額はそれぞれ積立金に組み入れましたが、三十年度末の積立金累計額は二千六百六十八億二千余万円であります。  以上が決算の概要でありますが、次に会計検査院から御指摘の事項について申し上げます。  不当及び不正事項として二十九年度は二十五件、三十年度は二十八件となっておりますことはまことに遺憾に存じます。  まず、二十九年度不当事項のうち、二〇三〇の「式紙の購入当を得ないもの」につきましては、旧振替貯金払込書用紙は規格も小さく、記載事項も非現行であったことなどのため、サービスの向上と事務能率の増進をも考慮しまして、旧用紙は他に転用を目途に一斉切りかえを実施したものであります。  二〇三一の「郵便専用自動車の配車が不経済と認められるもの」につきましては、御指摘の次第もありましたので、昭和三十年九月または十一月から改正実施済みであります。  二〇三二の「所得税の源泉徴収を正規に行わなかったもの」につきましては、まことに遺憾に存じますので、今後は十分注意いたします。  なお、本件につきましては、昭和三十年三月または六月までに全額徴収済みであります。  次に三十年度不当事項のうち、一九六四の「契約処置当を得なかったため不経済購入となっているもの」につきましては、大蔵省印刷局の印刷製造能力及び実績等をも考慮しまして二億三千余万枚と決定契約したものでありますが、御指摘のような事実がありましたので、今後は受注能力等を十分検討の上発注するように努力いたします。  一九六五から一九六六の「郵便専用自動車の配車計画が当を得ないもの」につきましては、御指摘の通りでありますので、それぞれ三十一年六月から十二月までに改定実施し、請負料の節減をはかりました。  一九六七の「船舶による郵便物の運送が適当でないもの」につきましては、目下改正方取り運び中であります。  一九六八の「封鉛の納入場所の指定か適当でなかったため不経済となっているもの」につきましては、御指摘の通りでありますので、今後納入場所の指定につきましては、不経済にならないよう努力いたします。  さらに「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」としましては、二十九年度の二〇三三から二〇五四までの二十二件、三十年度の一九六九から一九九二までの二十四件となっておりますが、この種犯罪が跡を断たないことはまことに遺憾に存じます。今後は引き続き業務監察及び会計監査を強力に実施するほか、三十二年度からは新規施策として全国主要郵便局に一四三名の監察事務官を常駐させ、極力この種犯罪の事前防止に努力する所存であります。  以上、決算の概要と検査報告事項に対する当省の見解の大要を申し上げましたが、さらに綱紀の粛正、経理事務の適正化につきまして一層努力したいと存じます。
  95. 青野武一

    青野委員長 それでは保岡会計検査院第二局長並びに伊東郵政政務次官報告及び説明が一応終りましたので、これより質疑に入ります。発言の通告があります。これを許します。吉田賢一君。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは郵政大臣は出られないのですか。
  97. 青野武一

    青野委員長 郵政大臣は今朝来病気で出席不能だという通告がありました。そこで予算分科会の関係で非常に多忙ではあるが、かなり無理をして次官に出席してもらったのですが、その予算分科会の関係がまだ切れておりませんので、できるだけそちらへ行かせていただきたいという申し出がありました。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その辺の事情は考慮しまして、できるだけ簡潔にしたいと思います。  第一に伺いたいのは、郵政会計特別事業は、申し上げるまでもなく多量の資材等の購入がありますので、物件資材購入会計というものは、非常に重視すべきウエートがあろうと思います。二十九年、三十年と引き続きまして、二十九年には式紙の関係、三十年におきましてはお年玉はがきの関係などが指摘せられております。おそらくこれは多数の中の一部であろうかと思いますので、一応代表的に三十年分二三五ページ一九六四、いわゆるさきに御説明になりました問題であります。これは検査院報告によりますると、大体三十年の八月、三十一年用の寄付金付のお年玉はがき、これを当初五億十七万枚を作ることになっておった。そのうちの一部を大蔵省の印刷局に注文して、一部を民間の凸版印刷会社外一会社に注文をした様子であります。そこで印刷局は受注した二億三千余万枚のうち、六千五百万枚を大日本印刷なるものに下請をさしておる。こういうような経緯をたどっておるようでありますが、印刷局の請負値段に比べて凸版並びに他の一会社に対する請負代金の方がずっと安い。ここに問題点があるようであります。そこで、まず弔実の関係を整理したいのですが、印刷局はいつ何ほどの数量を、単価何ほどで、どういう条件で受注したのでありますか。まず印刷局の方から御説明を願いたい。
  99. 大槻義公

    ○大槻政府委員 御質問にお答えいたします。三十年度におきまして、印刷局が年賀はがき二億四千五百十七万枚を郵政省から注文を受けたわけであります。これを契約として結んだ日は、同年の八月四日になっております。納期は十一月三十日、こういうことになっておりまして、そのうち印刷局が大日本印刷に四千万枚、共同印刷に二千五百万枚を下請さした、こういうことになっております。なお納期は、契約上は十一月三十日になっておりますが、郵政省の強い希望もありまして、全国各地の郵便局に年賀はがきの需要時期までに十分行き渡るためには早く納めてほしい、そういう要望がありまして、結果として十一月十九日に全部納入済になっております。三十年度につきましてはこういうような実情であります。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 単価はわかりませんか。
  101. 大槻義公

    ○大槻政府委員 郵政省と印刷局の関係におきまして、単価は一万枚千百四十四円でございます。印刷局が二つの印刷会社に下請させました単価は、一万枚につきまして九百二十九円九十銭、こういうことになっております。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとあとの下請の単価をもう一ぺん言うて下さい。
  103. 大槻義公

    ○大槻政府委員 下請に出しました単価は、一万枚九百二十九円九十銭であります。これは下請に出す条件が、いろいろ技術的にこまかい条件がございますが、単価はそういうことになっております。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとこれは事実がはっきりしないのですが、そうするとあなたの方は郵政省から一万枚を三千百四十四円でやる、それで大日本印刷、共同印刷で計六千五万枚を半価一万枚九百二十九円九十銭ですか、そうしますと、たとえばこれはあなたの方は紙を自分が持つとか、あるいは紙の原価が幾らとか、何かなければ、ちょっと表面の数字ではつじつまが合いにくいのですが。
  105. 大槻義公

    ○大槻政府委員 お話の通りでありまして、印刷局と郵政省との契約単価はこれは製品となって、その中に紙の原料費あるいは印刷気、そういうものがすべて包含された最終の値段であります。大日本印刷、共同印刷に対して発注した一万枚九百二十九円九十銭というのは、紙その他の資材現物支給するという条件になっておりますので、そうした開きが出ておるのであります。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 紙の値段は幾らですか。
  107. 大槻義公

    ○大槻政府委員 詳細な数字につきましては、業務部長がおりますので、かわって申し上げます。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 単価だけでいいのです。
  109. 潮洸

    ○潮説明員 私の方の郵政省に納入いたします価格の見積りの基礎といたしましては、一応作業に要する賞用としまして九百一円、それから材料用紙代といたしまして二千百九円ぐらい、その他の材料費若干、それに印刷局の庁費と申しますか、それを加えまして、若干の益金を見込みまして、先ほど御説明申し上げました三千百四十四円という価格で実施いたしております。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、郵政省に伺いますが、あなたの方は凸版並びにほかの一社に請負させました請負代金並びにその単価等、それから用紙代など、そういうものはどういう内容をなしておりますか、契約内容は。
  111. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 凸版等の請負に対しましては、郵政省で購入いたしました紙を引き渡しまして、これを材料にして加工生産せしめておりますが、一万枚につきまして、紙代といたしまして二千百三十九円五十六銭九厘、工賃といたしまして七百三十九円、合計一万枚につきまして二千八百七十八円五十六銭九厘ということになっております。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、これを全体として監察しましたときに、問題点の一つは、大蔵省の印刷局が郵政省から請け負いました単価は、郵政省が凸版印刷会社等へ請け負わしましたものに比較して、これは相当額が高くなっておるという点であります。もう一つは、郵政省が凸版へ出した単価のうち、工賃は七百三十九円ということであれば、それは印刷局が大日本印刷等へ請け負わせた単価のうちの工賃に該当する九百二十九円余りに比較して、これは安い。いずれにしても大蔵省の方の引受代金等が、民間の会社への請負金よりも高くついておるというところに、どうもはっきりしない点があるのでありますが、それは他の経済条件からくるかもしれませんけれども、いずれにしましても、出すものは国で、負担するものは国民でありまするから、より安い価格で、正確に規格品が納入されることが全体として望ましいことは申し上げるまでもございませんで、この間は、やはり検査院の指摘しておる一面かと思うのでありますが、これは大蔵省においても、印刷局においても、民間のこういう請負代金の内容等がわからなかったのであろうかどうか、印刷局において、もっとこれを民間の請負代金にレベルを下げて請け負うことが不可能なものであるかどうか、もっと両者の間に、お互い、時価その他の条件等いろいろな面について、お互いが共同の立場において検討する余地がなかったものであろうかどうか、こういうことを私は疑問に思うのであります。ここにやはり問題点があると思うのです。やはりどういう事情があるにいたしましても、印刷局は、印刷局の設備能力等を郵政省に提供するという場合には、最も経済的にこれを利用せしむる必要があろうと思う。また郵政省においても、印刷局の設備を利用する場合においては、やはり市価はこれこれ、印刷局ならこれこれと比較して、もっと折衝をどうしてしないのであろうか。あとから見るというと、凸版その他への印刷代の方がずっと安くついておる。また、印刷局が、大日本印刷等へ下請させておるのが高くなっておる。こういうようなことは、まことに全体として不経済であり、不統一であり、内部の両者の調整というものがもっと努力されなければならぬということを感じる案件だと思うのです。金額から見れば、非常に重大な問題でないであろうけれども、同じく官庁の施設、及び特別会計という国の事業の執行の途上における物資購入の案件としましては、これは全く不経済だといわれても仕方がないと思うのです。両者の調整が十分に行われておったならば、話し合いが十分に行われ、検討を十分にしておったら、私は、こういう問題は起らず済んだだろうと思うが、これらの点について両方から一つ御意見を聞いておきたい。やはり物資の購入について、他の官庁を利用する場合には、やはり郵政省においても相当そういう立場を考慮をしてもらわにゃならぬと思うのであります。この問題は他のことでありますけれども、通産省におけるアルコール特別会計において、農林省からアルコールの原材料を買う場合に、やはり中間のトンネル会社があって、問題が起ったのであります。官庁と官庁とがある企業ないしは物資の購入等で、しばしば折衝する場合に、そういう問題を起すようなことがあるときには、必ず両者の問題点に対する検討が足りないということに原因しておることをわれわれは痛感するのでありまするので、今の案件は、やはり大蔵省側と郵政省側において十分に市価を勘案し、相手の設備のことも考え、あるいはまたいろんな角度からできるだけ安くするということが必要であるんじゃないか。凸版その他の会社、それから大日本印刷、共同印刷、この両者の比較を見ただけでも、両者の請負代金が違ってきておりまするので、こういう違いを、同じお年玉はがきの生産原価がこういうふうに違ってくるということは、全く官庁企業といたしまして、私は不経済な典型的なものであろうと思うのです。両者からやはりこの問題についてこれはいいといたしましても、将来のことがありますし、物件購入については毎年ここに出てくるんですから、この種の問題の解決の基本的な態度、この問題についての反省すべき点、今後なすべき措置のあり方、こういうふうなものについては、はっきりと一つ所見を承わっておかねばならぬと思うのです。両方から一つ御説明願いたい。
  113. 伊東岩男

    ○伊東政府委員 ただいま御指摘の問題は、やはり重大でございます。そこで、こういうことはお話のように印刷局ばかりでなくて、至るところにあることでございますので、よほど考えなければならないのであります。そこで双方とも、どうすればこれを改善できるかという具体的な問題について、すでに両方とも構想があると思うのでございます。私は就任早々でございますから、それらのことについて詳しいことはわかりませんので、郵政省の立場からは資材部長をして説明させます。
  114. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 年賀はがきの発注につきましては、その年度の初めに当りまして、来たるべきお年玉はがきの需要状況というものを十分勘案いたしまして、総体数字を検討いたしまして、これに基きまして、全国への十一月十五日までの相当量の配給完了ということを目途にいたしまして、全国を三地域に分けまして、調達計画を立てて参っております。印刷局に対しましては、そのつど印刷局側においての受注能力というものをお聞きいたし、また郵政省側におきましての配給計画というものも考えまして、値段等につきましてもおのおのの立場を十分検討しつつ協定をし、今日に至っておるのでございますが、御指摘の民間との相違の点につきましては、印刷局におかれても御承知のことでありまするが、ただその年度の契約において民間に対して幾らになるかということは、そのときの問題としては印刷局ではあるいは御承知ないかと思います。年々の実績といたしましては、さような実績になっておるというような次第でございます。また民間におきましての機械の内容が若干違っておりまして、こういう点で能率上の差異もありまして、工賃その他の諸掛が違ってくるというような、枝術上の相違もあるやに見受けられます。従いましてお尋ねのことにつきましては、そのつどよく協議をして参っておるのでございまするけれども、かような数字が出ておるということは、今後なお村立によく検討を要する問題が残るというふうに存じておるわけでございます。
  115. 大槻義公

    ○大槻説明員 このように、印刷局の下請に出しました単価と郵政省側の単価が違うという理由につきましては、ただいま郵政省からの御説明のありましたほか、契約数量の違いというものも能率に影響する問題であろうかと思います。その他下請条件というもののこまかい点についても、あるいは検査のやり方の違い、そういうような点も検討さるべき点かと思いまするが、しかしいずれにせよ十分その違いが明らかにされない限り、何か食い違いがあるのはおかしい、国が等しく発注している仕事、同じ年賀葉書について二百円も違うのはおかしいというお感じは、まことにごもっともでありまして、郵政省側におかれて、来たる年度においても同じような発注方式をおとりになるとすれば、今後それらの点についての十分な御連絡をお願いしたいし、またわれわれも連絡すべきだろう、このように考えております。  さらに、いささか意見にわたって恐縮かと存じますが、印刷局といたしましては、政府の発行する有価証券類は、これは責任を持ってお説の通りできるだけ能率をあげて、低廉に印刷するという職責を持っております。この意味におきましては、私は印刷局の能力の問題はございますが、郵政省側におかれて一括印刷局に発注される、そのときの能力の事情に応じて、一元的に印刷局が下請機関を活用するというようなことにすれば、こういう問題も起きないだろう。もちろんその場合における価格が合理的でなければならぬという問題は、当然かと存じますが、私としてはそのような希望意見を持っております。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は少しもやもやしたものがありますね。これは政務次官に申し上げておきますが、やはりこれは省と省との間の横の連絡の調整の問題になります。短時間の問答だから詳しくはわかりません。けれども、今の表面的なお話し合いだけでは、また問題が繰り返されはしないかと存じます。表面から考えてみると、郵政省にしても、相手の印刷局の受注能力、設備の内容もよくわかっておる、そこで注文した。ところがはみ出て、六千五百万枚は民間会社にまた下請させておる。その下請させた代金が、単価九百二十九円になっておる。郵政省が直接民間の方に請け負わしたのが七百三十九円、明らかなんです。はみ出るなら、最初から民間の方に一括して――大日本印刷、共同印刷の分も凸版その他へ一括して発注したらどうか、こういうように考えられるのです。そこは今ちょっとあとで何か御意見のようなものが出ました。これはどうも他の物件についての受注にも関係があるらしいが、これは問題を両者の利害が別のものであるという角度からじゃなしに、やはり両者の調整をとってもらわなければいかぬと思います。絶対的な第三の角度から見るならば、国民の負担でありますから、少しでも安いものが適正に納入され、規格の適合したものが調達せられなければならぬという議論が成り立つのですけれども、そこはやはり設備とかあるいは技術とかその他いろいろとたとえば印刷局においては資材がどうもあるらしい。このような関係もいろいろありますので、それやこれやいろいろ必要なる契約上のないしは経済上の要素を勘案せられて、これはやはり省間において適当な調整をおとりになるということで、私は一そう官庁のこの種の企業会計が、一つは経済的に、一つは広い意味におきましてお互いの施設を有効適切に利用するという面、いろいろな角度から検討してもらわなければいかぬと思います。たまたまそういったいろいろなものの食い違いがこういった問題に現われたかと私は思いますので、これはやはりそういう趣旨におきまして、今後再び問題が起らないようにという消極的な意味じゃなしに、他1の官庁の施設を利用して企業的なこういう物資の調達をやる場合にどうすることが一番適当であるか、こういう点は十分に御検討になって、そうして高い国家的な見地から調整していくというふうにぜひ一つしてもらいたいと思います。これはあなたに、ぜひとも食い違った問題あるいは今後の残されておる問題等々は高い見地から再検討せられんことを一つ御希望申し上げておきます。別にこれに対して答弁は要りませんけれども、一つ政府としてこの委員会に今後の方針といいますか、政府の腹だけは明らかにしておいてもらいたい。私どもはそれによってどういうふうに処置されるかを待ってみたい、こういうふうにしたいと思いますが、いかがでございますか。
  117. 伊東岩男

    ○伊東政府委員 ただいまの御意見しごくごもっともでございます。私も深くは知りませんけれども、お話をこう聞いておる間でも、どうも疑問点がやはりあるように、率直に申し上げればその通りでございます。両者の統一は当然なことでございまするが、いずれにしても郵政省の立場からいえば、安いものが手に入るならば安いものを買うことがこれは当然であるかもしれぬ。しかし大蔵省でも印刷局を持っておる以上は、やはり印刷局に相当考えていただいて、やはり民間が安いならば、印刷局でも同様程度のコストでできない理屈はないように思いますので、この点については十分検討をいたし、今述べられた御意見等をよく参考にいたして、遺憾なきを期したい、こう考えております。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと今の問題につきまして、印刷局長に伺いたいのですが、あなたの方におきましても、やはり内部的に他の資材の受注があるならば、利益をそれだけ補てんし得る、あるいは施設能力を利用し得る、そういうような意味において、受注量が片寄るような、そういう事情からいささか高くなったというようなことにも御答弁の趣旨がちょっと推定されるのでありますけれども、どちらにしましても、一つのものを他の役所から受注して、またその受注したものを民間に再発注して、その再発注したものが、郵政省が直接請け負わしておるものよりも高くついておるという事実は、やはり反省してもらわなければいけないと思います。そして他のものをさらに一括して大蔵省が郵政省から発注を受けるなら、それだけ施設の利用度が高くなるから、生産費原価が安くなるというような問題は、これはこれで別に考えてもらわなければいけないと思います。どちらにしましても、こんなむだなことをされては困る。あなたの方は、もし自分で能力がなかったら、返してしまったらどうか、断わったらどうか。大日本印刷や共同印刷の方に六千五百万枚下請させなければならないものがあるならば、私の方は受けられません、お断わりしますとはっきり線を引いたらどうかと言いたいところです。しかし、ここは何か別の要素も加わっておるかもしれませんから、深くは追及しません。けれども、これは格好としては実にみっともない、実に不経済でありますから、こんな回りくどいことをして国に損をかけるようなことはしてもらいたくないというのが私の希望であります。あなたの方として百に損をさせたくないということはわかっておりますから、郵政省に損がいかないようにもしてもらいたい。その辺はありったけの話し合いを遂げて、最終調整を最も経済的にするようにしてもらいたいと思います。これは御希望だけ申し上げておきます。何かおっ上やりたいことがありますか。
  119. 大槻義公

    ○大槻説明員 まことにごもっともな御意見でございまして、私も全然同感でございます。今後新しい見地に立ち、高い角度から十分御趣旨に沿いたい、こういうふうに思っておるのであります。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからここに問題がありますのは、郵便専用自動車請負料の問題、これは毎年出てくる問題で、二十九年にも出て参っておりますし、三十年にも出ております。これはやはり根本の問題でありまして郵政省の運送事業といいますか、運送業務のうちの相当重要性を持った根本問題が横たわっておると私は考えます。一体これは問題がどこにあるだろうかということは、私ははっきりわかりません。わかりませんが、私をしてあえて言わしめるならば、たとえば三十年度の二三六ページの一九六五ないし六六、それから二十九年度は、同じく二九四ページの二〇三一、これは同種の案件であります。いずれも郵便専用自動車の配給計画が適当でなかったり、あるいは車の選定を誤まったりというような案件でありまするが、これはこの郵便専用自動車をもっと全国的に一定の企画、方針を定めて、そうして他の輸送機関を利用することの利害得失というようなものを各郵政局区内において年々十分に検討して、翌年の計画を一々立てるというふうに計画性を持たしたなら、こういう問題は起らぬと思う。たとえば郵便専用自動車会社についても、日本郵便逓送株式会社でありますとか  これはいつもよく問題になる会社でありまするが、これのみならず、小さい会社にいたしましても、また船会社が自動車を持ってやっておるというような、この一九六六の熊本郵政局管内の種子島と国上局間のような問題にいたしましても、やはり国鉄とかあるいは飛行機とか、その他の輸送機関とも比較検討をしながら、翌年度の計画を各郵政局ごとに県体的に立てるというふうにしていくことがあったならば、私はこういう問題一は起らないんじゃないかと思うのです。この点について欠けるところが根本的にあるのではないかと思いますので、これは政務次お急ぎでしたら、一言だけ答えておいて一行って下さい。
  121. 青野武一

    青野委員長 ちょっと古田、委員に申しますが、予算分科会の関係でどうしても次官が出ていかなければならぬから、それで、今専門家である松井郵務局長がおいでなりましたので、査問を続けて下さい。
  122. 伊東岩男

    ○伊東政府委員 それではまことに相済みませんがお許しを願って、他の政府委員から答弁させます。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは行きしなにちょっと一言だけ私申し上げておきますが、郵便専用自動車の問題は、私が今ちょっと意見を付して申しましたように、各郵政局管内ごとに当該もしくは過去の年度の実績に徴しまして、この種案件を十分資料にしていただいて、これを根本的に再検討するということを郵政省自身が立てなければいけません。このことを申し上げておきますから、これは一つ告議にかけて今後の問題にして下さい。これだけ御希望を申し上げておきます。  続けますが、右に述べましたように私は感ぜられるのであります。そこで問題の資料として伺いますが、郵政省が郵便専用、自動車の各会社に向って、年間支払っておりまする請負料は、総計どのくらいになっておるのでありますか、及び会社の数。
  124. 松井一郎

    ○松井政府委員 お答えいたします。大体三十一年度で一応見込まれておりますのが十六億一千九百余万円ばかりございます。それから請負会社の数でございますが、これは六十七社ということになっております。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは、郵政省が自己の自動車をもって、この郵便専用自動車会社に請け負わせておると同種の業務があるのですか、ありとすればその収納料金はどのくらいになるか。もしくはありとすればその割合は、他人に請け負わさしているものとの比率は大体どうなるのでありましょうか。
  126. 松井一郎

    ○松井政府委員 現在私どもは四輪車以上の自動車を使っての局と局との間の郵便物の運送、あるいは非常に物量の多い場合の集配といったものには、これはあげてこうした委託によっております。ただスクーターあるいは三輪車というようなものをもって集配事務というものを自営しております。これはこういう機動的な機械ができ上って参りましたのは最近のことでありまして、毎年々々それをふやして参っておるという現状であります。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで問題は進んで、さっきの私の意見へ戻りますが、各郵政月において前年もしくは従来の実績ないしはこういう事項検査院の批難問題等々を勘案いたしまして、翌年度の計画を十分に検討しながら立てていく。特にそれには競争運送機関があるのかないのか、あるいは併用する方法があるのかないのか、あるいは契約上そういうことが可能なのか不可能なのか、不可能であれば契約改訂する手段があるのではないかどうか。そういうふうにするのならば第一根本的にこの種の非常に不経済――不経済というよりも、私をして言わせるならば大体この郵政事業というものは、個人の私企業でないことはもちろんでありまするので、やはりサービスを十分にするという見地から見ましても、日に日に進んでいきまするこの交通機関、そういうものと十分に比較、勘案、検討して、そしてより十分にサービスの目的を達せねばならぬことは申すまでもございませんので、こういうような根本的見地から考えてみましても、やはり競争運送機関があるのかないのか、あれば相手はどういう状況であるのか、これを利用することは来年は可能であるのかどうか。こういうような点についてはやはり徹底的に研究をして翌年の計画を各郵政局管内において立てるということにしたならば、この種の案件は跡を断つのではないかと思うのですが、これは私の考え方が誤まっておるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  128. 松井一郎

    ○松井政府委員 郵便のいろいろな運送業者の選択の問題についてお尋ねがありましたが、私どもといたしましては、郵便物の運送というものが、一般の貨物の運送のようなものとはまた若干模様が違いまして、これは非常に貴重なものを運んでおりますし、そり上に郵便の生命としてある一定のきまったダイヤに基づいてこれを正確に連行していただかなければならぬ、そういう点が郵便運送に当る人たちにとって最も大事でございます。昭和二十四年最初に郵便物運送委託法というものができ上った当時は、まだ一般競争言というものが、つまり価格というものが必ずしもきまっておらないというので、私どもは一般の会計法上の原則に基きまして、競争入札ということによって業者を選んだのであります。その後御承知のように道路運送法というものがでままして、これに基づきまして現在のところは運賃というものについては車種、その使う時間といったようなものできちっときまっておる、一本になっておるというのが現状でございます。そこで競争で運賃契約をやるというふうな競争入札は、この制度には適当でないということになっておりますので、私どもは先ほど申し上げましたような点に重点を注いで、いやしくも郵便物の扱いについてどうも乱暴である、あるいはどうもきめられたスケジュールを責任を持って踏まないというような事態がありましたときには、もちろんこれは解約いたしまして、他の別な業者を選びたいと思っておりますが、ただいまのところは契約関係がそのようになっております。従って私どもは始終郵便物輸送のルートというものをできるだけ完成いたしまして、いやしくもそういう不届きな業者の出ないようにという点に中心を置いてやって参りたいと思っております。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の御説明を聞いておりますと、確実に郵便物が輸送できるということに重点を置かれておるらしい。しかし荷物もさることながら、一般貨物とは区別すべきであろうけれども、人間を輸送するのがむしろ一般国鉄とかあるいはその他航空便とかあるいは乗合自動車の実情でございますので、そこで反面におきまして、そういう経済的ない面も正視し並行して郵便物輸送の迅速と正確を期する、そしてかつ経済の目的を達するようにするのがほんとうだろうと思う。とかく官庁企業というものが経済を軽視するという非難もないではないのでありますが、経済軽視というよりも、損得が私企業のごとく株主に帰するというのでなしに、あまり文句を言わない国民に帰するというので、そういう点がおろそかになっておる。ことし幾ら赤字になった、来年は幾ら黒字になったというだけで相済む。赤字になった場合、会社なら株主総会で社長はつるし上げになるけれども、公共企業体が赤字になったからといって、赤字になったというだけで国会はその責任を追及してはおりません。こういう面から見まして公共企業というものの反面が郵便手業が公共企業でなく、あるいは行政に重点を置いた  一つの行為であるかも存じませんけれども、いずれにしても、特別会計が赤字になるか黒字になるかという点も、そのよって来たるところを十分に検討する代任があると思う。ただ確実に輸送されるという点に重点を置いておく、これも大切な要素でありますけれども、同時に一九六七に、船舶による郵便物の運送が適当でなかったものが指摘されておる。このようなものでも、金額は二百数十万円にすぎないけれども、この不経済は是正する方法がないだろうか、業務費はこれだけ節約せられるのだから是正する方法はないだろうか、こういうように経済的な面から新しい監察をすることも私は当然してもらわなければいかぬと思うのです。だから普通の貨物と違うということは百も承知しております。けれども、経済的にするということは一切の今の官庁行政に要請されておる大きな課題なんです。経済を無視し、会計を無視してしょっちゅうこの種の案件がたくさん出るということは、今の公共企業の共通の弊害、欠点でもありますので、その点はそういう角度からもっと検討してもらわなければなるまいと思う。  それから、今の御説明では私は納得できません。郵便専用車の相手の選定の問題だと一口におっしゃいますけれども、輸送機関が日進月歩しつつある時代において、相手の選定以外に各般の状況を御検討になって、翌年の新しい構想で計画を進歩させる必要があるのじゃないかというのです。毎年郵便専用車の案件が会計検査院で批難されておるのですけれども、一向に絶滅しないのです。何か知らぬけれども、これはひっかかっておる。今もちょっと政務次官にも言っておきましたが、やはりこの郵便専用自動車というものを根本的に再検討する段階が到来したのではないかと思うのであります。これはせいぜい国家のために、郵政事業のためにほんとうに検討しなさい。過去の一切の行きがかりなんかを一応白紙にして、そういう角度から検討しなさい。そうしませんと、郵便専用自動車というものを私ども自身が根本的に考えなければいかぬというふうになって参りますよ。ですから、あなたの方において、配車計画その他のいろいろな案件について、何かこびりついた問題があるのではないかということにも一応は疑念を持っていただいて、一つ根本的に検討してもらいたいと思います。確実に運搬ができるということだけが唯一の問題でないことは申すまでもありません。これは一つ省でお取り上げになりまして、私の申すことが間違っておれば何とも言いませんけれども、いささかでも示唆があるとするならば、これはあなたの省で一ぺん相談なさる必要があろうと思います。ぜひそうして下さい、よろしゅうございますか。
  130. 松井一郎

    ○松井政府委員 ただいま仰せの御意見、私どももしごくごもっともに思う点が多いのでございます。われわれはただこれを安全、確実に運行するというだけではなくして、しばしば会計検査院からも御指摘を受けておりましたような車種の適正を欠いたというようなものは、これは業者の責任というよりも、むしろそういう車種の選定をする役は私ども自身の責任でございまして、部数が非常に少いにもかかわらず、大型の車種を出しておったとか、あるいは二両で済むところを二両配車しておったというような点については、今後よく検討いたしまして、そういう御指摘を受けることがないように心がけたいと思っております。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからこの機会にちょっと伺っておきますが、今内閣においては国鉄運賃一割三分値上げを閣議決定していることは御承知の通りであります。つきましては、これはわれわれの推定のみならず、現実にこの動きの余波というよりも、これに便乗する全国の輸送業者があるわけであります。その適否は一応別といたしまして、ともかく事実として値上げは、もうあちらこちらからひんぴんと申請があることは御承知と思います。そこで郵政事業の一環をなしている物を運ぶということ、国鉄車両で郵便のしるしをつけた列車がありますが、こういうものにも響いてくるのではないか、またあなたの方がみずからしないで、専用自動車を雇って請負をさせている。これらは国鉄運賃が値上げになると、必然的にそれぞれ値上げになってくるのではないかと想像するのです。これは今日最終的にきまったことではないので、現実に私ども見るわけにはいきませんけれども、しかし他の予算を見ると、すでに政府は運賃の上ることを想定いたしまして、予算の一部に見込んでいるという事例も実はあるのであります。そういうことを考えるときに、やはり郵政事業の中の輸送部門をなすものが軒並みに上ってくるのではないかということも考えるのですが、これについての現実の具体的な動き、ないしはそういう用意、申し出、交渉というような点について率直に情勢を述べておいてもらいたい。述べたからといって、何も業者が損するのでもなし、またあなたの方が迷惑するわけでもないのです。すでに内閣はみずからの責任において国鉄運賃の値上げを閣議決定しているのです。これが最終的に成立するかどうかは今後の問題ですけれども、そういうときですから、今申した点は、郵政事業のうち相当重要な問題として今後起ってくるのではないかと思われますので、その辺の情勢の動きについてあなたの御承知の限りで述べておいてもらいたいと思うのです。
  132. 松井一郎

    ○松井政府委員 私どももおっしゃる通り、郵便中業経営としまして、国鉄あるいは自動車、バス、飛行機その他に相当多額の費用を使っているわけでありまして、これが全般的に値上りになるということになりますると、事業の運営上もそれ相当の出費増がありますが、現在三十二年度予算として私どもが組んでいる予算面におきましては、そうした値上げの要素というものは組んでおりません。ことにその支払い額から申しましても、一番金額のかさむ国鉄の郵便下使用の問題がございます。これは郵便物運送委託法におきまして国鉄に払うものは輸送の原価をもって払うのだ、つまり一般の民営の場合においては原価に若干の適正利潤というものを加えるべきであるが、国鉄に対しては利潤という観念がない。原価をもって払うという形になっているわけでございます。そこで運賃一般が値上りになるという場合に、それと目を同じくして同率でもって国鉄との間のわれわれの使用料を増額するということは従来やっておりません。いずれそういうことがきまりました後において、いろいろな資料をもちましてお互いにその後の原価の値上り状況というものを話し合った上で必要な増額をしておる現状でございます。そこで一般常識から申し上げますれば、こうした趨勢になれば当然国鉄の方からもそういう問題がくるであろうということは、一応予期されるのでございますが、ただいまは、まだこれが国会で正式にきまっておる現状でもございませんので、国鉄との間でどうするかというような問題についての話し合いはいたしておりません。かような段階であります。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの力は、今国鉄に支払っているのは年間どのくらいになります。
  134. 松井一郎

    ○松井政府委員 私どもが国鉄に郵便車としてつないでもらって走らしておる、それに対する予算は、三十一年度においては十八億二千四百万円であるわけであります。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 過去の、二十八年でありましたか、国鉄運賃値上げをしましたときは、どのくらいの率で上ったのです。
  136. 松井一郎

    ○松井政府委員 過去の契約改定のときの数字を今ちょっと持ち合せませんので、また別の機会にお届けいたしたいと思います。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国鉄運賃値上げをしたら、当然幾らかでも値上げをしなければならぬということを、もしあなたの方でお考えになるならば、そういったことの準備として、当初予算に盛れない場合には、やはり補正予算でも組むとかなんとか、そういうことでもするのですか。これはあなたに伺うのは少し無理かもわからぬけれども、またそこまで行き過ぎて伺うこともどうかと思いますが、私どもは何も国鉄運賃値上げに賛成しているのじゃないのです。むしろ反対しておるのです。反対の角度から、午前中はいろいろと国鉄に向って質問もやってきておるのです。そういうのでありますけれども、一応国鉄運賃値上げとなれば、全国的にどの部門にどれほどの経済的影響があるのか、国民負担がどういうふうになるのかということは、深甚な関心を持っておりますので、こういうような見地からも、郵政事業の今後のあり方との関連において、把握しておかなければならぬ問題が相当あると思うのです。それで参考に聞くのですが、これは何らかお述べ願えればけっこうです。
  138. 松井一郎

    ○松井政府委員 先ほど申し上げましたように、こうした情勢においては、いずれ国鉄側からも原価の値上りその他についての資料の提供を受けることだろうと思います。そういう際に、私どもといろいろ検討いたしまして、その結果、どうしてもわれわれとして認めざるを得ないというようなものがありますれば、それに対する措置は当然やらなければなりません。そのときに、その支払い金額が私どもの現在の予算のワク内の流用と申しますか、そういうことの許されている限度において支払いが可能であれば、もちろんその範囲内で支払うわけでございますが、どうしてもそれがワクをはみ出すというようなことになりますれば、これは当然予算補正というようなことをお願いしなければならぬかと思っております。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたらのお考え方がちょっと甘いと思うのです。もし言われたら幾らか上げなくちゃならぬというような甘いお考え方でありますと、今度はあなたの方の会計は、たとえば三十年におきましては、当期利益差引九億七千万円、こういうことになっておりますが、過去において必ずしも損益計算は良好な状態ではなかったのでありますので、そうすると収益増をはからなくちゃならない。収益増をはかろうとすれば、はがき、郵券等をまた値上げしなければならぬというような問題等も起ってくるかと思います。そんなことも、もし値し上げを国鉄から言ってくる、当然何ぼか応じなくちゃならぬ。応じなくちゃならぬと簡単に言ってしまうと、すぐあとで収益増をはからなくちゃならぬ。収益増はどこからはかるかというと、国民のふところからもらうほかはないのですから、そうすると、たちまちあなたの方は、またはがきとか切手とか、郵便料値上げというところへしわ寄せを持っていくのじゃないかと思うのですが、そういうことになりますか。そういうような用意でもしておりますか。あるいは伝えるところによれば、郵政省は国鉄値上げと同じように郵便料金を値上げするのだというようなことも、新聞なんかではうたっておるのを私は見たことがあるのです。新聞の言うておるところですから、何も責任のある筋ではありませんけれども、結局論理は国鉄の値上げに応じて値上げする。しからば収入増の計画としては、やはり国民へのしわ寄せ、郵便料の値上げは必然のことですね、どうですか。
  140. 松井一郎

    ○松井政府委員 おっしゃるように、国鉄運賃がわれわれにかぶってくる金額が非常に大きなものであれば――適正運賃で支払わなければならぬ、支払えない、仕方がないから他の部門で、料金へ手をつけるということは、筋としてはあり得るわけでございます。ただいま申し上げましたように、現在支払っております国鉄に関するものだけをとりますれば、年間十八億というようなものでございます。これに若干の補正をいたしまして、かりにどの程度の数字になるかまだわかりませんが、その程度の数字のためにわれわれが現在の料金を値上げするなどということは、これはとてももう実際問題としてできない問題でございまして、われわれは現在年間四百何億という郵便収入を持っておるわけでございます。もとよりそれに、内部の事業の合理化をしたり、あるいは大いに増収をはかったりして、そういうふうに支払わなければならぬものはなるべくそういうことでやるべきであろうというふうにわれわれとしては考えております。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこは私に言わせれば、運賃の値上げというものはそんな簡単なものじゃないのであります。たとえば今あなたは十八億とおっしゃった。これは国鉄に払うだけですよ。ところが郵便専用自動車に払っておるのが十六億円。それを合せましたならば、これだけでも三十四億あるわけであります。のみならず、小包等については、国鉄よりも安くつく、それじゃ郵便局に託そうということになって、国鉄に行くのが郵便局に殺到してくるということになり、事務繁忙しますよ。事務量が増大すれば、それだけ経費はふえますよ。収入もふえましょうけれども。そういうように次から次と連鎖反応するということは、経済の理屈上・常識上明らかなんであります。よって、今検討すべき資料はそういうものじゃなしに、いろいろな素材をここに取り上げてこなくちゃなりませんので、たまたま例を国鉄の支払いにとっただけで、国鉄と専用自動車だけでも三十四億もあり、その他の増についても計算に入れなければなりませんので、それを言っておるので、そう甘くお考えになってはいかぬと思います。これは郵務局長と問答するのは少し無理ですから申しません。ほんとうに国民生活の角度からしたら、郵政省自体の根本的な考え方をはっきりとしておかぬと、あなたの方としてはだんだんと自縄自縛にになってきます。よほど腹をきめておきませんと、国鉄などの別個の公共企業体が値上げをするならこっちも上げたらいいじゃないかと、漫然とそんなことをお考えになったら大へんでございます。やはりあなたの方は郵政事業というものを守ってもらわなくちゃなりません。この独立した郵政事業を守るためには、そのいろいろな波紋がくるのを防いでもらわなくちゃなりません。こういう角度からも、万全の注意を払って対策も講じてもらわなくちゃならぬからあなたに伺ってみたので、あなたの問題はこの程度にしておきましょう。郵政省自身の根本的な問題を聞く機会は別に持ちましょう。まだ聞きたいこともありますけれども、きょうは一応この程度にしておきます。
  142. 青野武一

    青野委員長 他に御発言はございませんか。――それでは本日予定いたしておりました昭和二十九年度、昭和三十年度決算中郵政省所管につきましては、本日の質疑はこの程度といたします。  次会は公報をもって御通知することとし、本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時一分散会