○田中(織)委員 昨年確かに
日本の防衛費の増額分の半額だけ防衛分担金を減少していくという、一応の防衛費と防衛分担金の負担とのフォームがきまったということは私も
承知をいたしておりますが、もちろんその取りきめ
自体が私非常な問題を含んでおると思うのであります。そもそも行政
協定に従って
日本側が負担する、いわゆる防衛分担金の額というものは、本来の取りきめから申しますと、
日本の防衛費の増加につれてそれを減少するというようなことは、行政
協定ができた当初の防衛分担金に対する負担額
決定に当って、実はそういうことは取りきめていないのでありまして、その後そういう形に変形して参ったというところにも私は大きな問題があると思うのであります。しかしその点はいずれ予算
委員会等においても
——私は一昨年の予算審議の総括
質問の際にもその点を
指摘したのでありますが、引き続きその点をおそらく予算
委員会でわが党の同僚委員から
指摘することになろうかと思いますから、その点を深く追及することを避けます。が、今
外務大臣がお述べになったような方式でいきますならば、
日本の防衛力、自衛隊が強化されない限り、米軍の撤退ということはあり得ない、こういう実は
結論になってくるのであります。われわれは安保条約の廃棄を主張いたしておるのでありますが、現
内閣といたしましても、岸さんがそれぞれの
委員会等で述べておられるように、究極に安保条約をなくする事態に持っていきたいということは
政府も認めておるのであります。それを
日本の防衛力を強化するという一点だけにかけていくようなやり方では、真の
日本の独立という
立場で、
外国軍隊の駐留を一日もすみやかになくすることはできないと思うのです。ですから
日本の独立を達成するという観点から、米軍撤退
交渉というものがそうしたわが方の防衛努力の強化とは別になされなければならないと思うのです。今
外務大臣が言われたように、防衛分担金の方式が算術的にきまるようなフォームができているのだということでありますれば、私が
大臣に伺いたいと思うアメリカ軍隊の撤退
——これは
向う側の必要から撤退する場合もあり得ると思うのです。ことに最近は、
国際情勢の緊張が一たん緩和されたものが、再びスエズ問題あるいは東欧における
問題等を通じて若干この緊張が加わったような感じを持てないではありませんが、この
国際緊張が世界的に緩和せられるという情勢がありますならば、アメリカ側の事態から見ても、アメリカ駐留軍の兵力を少くするという努力が当然起り得ると思うのです。そういうようなことが全く考慮に入れられないような形で、防衛分担金の問題は、こちらの防衛費の増加分の半分ずつを減らしてもらって、究極にはゼロにするのだ、こういうような気の長いことではいけないと私は思うのです。またそういう
意味から見て、国の独立のために
外国軍隊の駐留を一日もすみやかにやめてもらうことについての
外交的努力というものがそこには出てこないと思う。しかしごく最近はそういうことは出ないのでありますが、アメリカ
自体の軍の作戦あるいはそういうような這般の考慮から見ても、従来もアメリカ軍は逐次
日本駐留部隊の数を減らして参った実績があるのでありますが、今度の
内閣になりましてから
日本側の防衛努力の強化という一面と別な面における米軍の撤退を
交渉した事案があるかどうか、この点お答え願いたいと思います。