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1957-03-28 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会商工委員会連合審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年三月二十八日(木曜日) 午前十時二十九分
開議
出席委員
科学技術振興対策特別委員会
委員長代理
有田
喜一君
理事
齋藤
憲三
君
理事
志村 茂治君
小笠
公韶君
小坂善太郎
君
小平
久雄
君 須磨彌吉郎君
保科善四郎
君 山口 好一君 石野 久男君 岡本 隆一君
佐々木良作
君
田中
武夫
君 滝井 義高君 原 茂君
商工委員会
理事
小笠
公韶君
理事
小平
久雄
君
理事
笹本 一雄君
理事
松平 忠久君 内田 常雄君 大倉 三郎君 菅
太郎
君
齋藤
憲三
君
佐々木秀世
君
椎名悦三郎
君 篠田
弘作
君 島村 一郎君
鈴木周次郎
君 横井
太郎
君
佐々木良作
君
田中
武夫
君 多
賀谷真稔
君
中崎
敏君
永井勝次郎
君 帆足 計君
出席国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
出席政府委員
科学技術政務次
官
秋田
大助君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
)
原田
久君
工業技術院長
黒川
眞武
君
委員外
の
出席者
科学技術庁次長
篠原 登君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房総務課
長) 水間 光次君
通商産業事務官
(
中小企業庁指
導部長
) 川瀬 健治君
—————————————
本日の会議に付した
案件
技術士法案
(
内閣提出
第一〇八号)
—————————————
〔
有田科学技術振興対策委員長代理委員長席
に着く〕
有田喜一
1
○
有田委員長代理
これより
科学技術振興対策特別委員会
、
商工委員会連合審査会
を開会いたします。 先例によりまして、
案件
を主管する
委員会
の
委員長
であります
菅野和太郎
君が本
連合審査会
の
委員父
の
職務
を行うべきところでありますが、本日、都合により
菅野委員長
が出席できませんので、私がその指名により
委員長
の
職務
を行います。何とぞ御了承をお願いいたします。
技術士法案
を
議願
とし、まず
政府
より
提案理由
の
説明
を求めます。
秋田政務次官
。
秋田大助
2
○
秋田政府委員
それでは、
技術士法案
の
提案理由
を御
説明
申し上げます。
科学技術
の
振興
を強力に推進するためには、
わが国
独自の
技術
の
創造発展
をはかる必要のあることは、あらためて申すまでもないところと存じます。従来
欧米
の
先進技術
の導入にきゅうきゅうとして参りました
状態
は、決して本来あるべき姿ではないのであります。しかしながら、またこれと同時に、
わが国
においてすでに
相当
の
水準
に達した
各般
の
技術
を、あまねく
産業
各
分野
に浸透せしめ、活用せしめることも、重要な課題でなければならないと考えるものであります。御存じの
通り
、
わが国
におきましては、進歩した
技術
は、ややもすれば一部
企業
に独占される傾向がありまして、その他大多数の
企業
は、
資金
その他の制約を受けて、進歩した高度の
技術
を十分に取り入れることもできず、
一般
的には、
技術
の
後進性
が著しい
状況
にあります。このような
現状
が
わが国産業
上の重大問題であるとともに、
わが国
の
輸出
、ひいては
国民生活水準
の
向上
に密接につながる緊要な問題であることは、言うまでもないことであります。このような
企業
においてこそ、
諸般
の
合理化
が強力に推進せらるべきものと考えます。 一がいに
合理化
と申しましても、大は
最新技術
を擁する新
工場
の
建設
から、小は
生産工税
中の一部
機械
の改良に至るまで、
各種各様
のものがありましょう。
わが国一般
の
企業
においては、このうち、それほどの
資金
を必要としない中規模以下の
合理化
についても、なお取り残されて旧態依然たる
部面
が少くないということであります。なぜそうたなのか、この点については、種々
理由
が考えられるのでありましょうが、ここでは次の重要な二点、すなわち各
企業
はみずからの
技術士
の
問題点
の
所在
について、ややもすると視野が狭いためにこれを看過しがちであること。また、
問題点
の
所在
を
認識
しても、これを最適の
方法
によって解決する
能力
を持った
技術経験
の十分な
技術者
を各
専門ごと
に配置整備しておくことは、
一般企業
としてはまず困難であることを指摘する必要があります。
企業
における
技術
上の
問題点
を的確に把握し、最善の
方法
によってこれを解決するという
技術能力
は、実地について
各種各様
の
経験
を重ね重ねして初めて真に身につくものであります。 これを換言いたしますと、
技術
を
産業
に適用しようとする場合に当面する
最大
の問題は、しょせん人の問題であり、十分な
技術経験
を持つ人を得るやいなやにかかっていると考えるのであります。このような
有能技術者
多数が、今かりにそれぞれの
専門別
に、各
企業
の
技術相談
に応じてその該博な
経験
を広く
企業
の実際に生かすとすると、
わが国
の
一般
の
企業
における
合理化
は一段と促進され、
わが国産業
における
技術水準
の
向上
に目ざましい成果をあげることが
期待
せられるでありましょう。
技術士
とは、このような社会的な
機能
を営む
経験
豊富な高度の
技術者
をいうものでありまして、
わが国
の現
段階
におきましては、
技術士
の活発な
活動
に
期待
するところきわめて大なるゆえんも、以上述べましたところからおおよそ御賢察願えると思うのであります。
欧米先進諸国
におきましては、
技術士
のことをコンサルティング・エンジニアなどと呼んでおりますが、数十年も前にこの
職業制度
が確立せられ、その
団体
は、多数の
会員
を擁して
技術
の各
分野
において輝かしい
業績
をあげており、その
技術能力
と
業績
に対する社会的な信頼は実に絶大なものがあるのであります。米国について見ましても、一九〇七年、ワイオミング州において初めてこれに類似の
制度
が設けられ、以来急速な
発展
を遂げて、今や
連邦各州
において
法律制定
を見るに至り、全国で
登録
されたもの実に二十万を算する盛観であります。 翻って
わが国
の
現状
を見まするに、最近ようやく
技術士
という独立した
職業分野
が一応明確な地歩を築くに至っておりますが、なお諸
先進諸国
の
状況
に比べますと、著しい立ちおくれの
実情
にあるのであります。現
在社団法人
の
日本技術士会
というものがありまして、広く
専門技術者
を糾合し、今日約四百五十人がその
会員
となっております。 先に述べましたように、
わが国産業
の全般にわたって
合理化
の
要請
きわめて切なるものがあります。その
合理化
をはかる上において、一
企業
の
技術能力
を越える問題もまたきわめて多きを数える
状況
にあります。この
合理化
の問題のほかにも、
工場
の新増設、電源の開発、橋梁、港湾の
建設
など、一
企業体
の固有の
技術スタッフ
をもって解決することの困難な問題は少しとしないのであります。その上、
わが国
としては、現在
東南アジア
や南米の
諸国
に対する
プラント輸出
あるいは
技術進出
を積極的に推進すべき
段階
にありますが、このような
部面
は、まさに
技術士
に対して格好の
ヒノキ舞台
を提供するものにほかならないのであります。しかも他方におきましては、
わが国
では幸いにしてこれら
諸般
の問題に対してそれぞれ
専門
的な見地からするところの適切な解決を与え得る
経験
十分な
有能技術士
たるべき人を多数擁しているのであります。このような
基本条件
のもとにあるにもかかわらず、
わが国
では、遺憾ながら、ただ
一つ技術士制度
の健全な
発達
を支持し、促進するところの
最大
の要素たる
技術士
に対する
社会的認識
という点において、きわめて不満足な
状態
にあるのであります。たとえて申しますと、多くの
産業
に共通する
工場
内の粉塵の
処理
、あるいは
金属メッキ
に関する第一流の
技術士
がいるとしても、
企業
の側ではまさにそこに
技術
問題を包蔵しているにもかかわらず、それらの人の
存在
を知らないとか、かりに知っていても、あえてその門をたたくことをしない場合がはなはだ多いのではないかと思うのであります。このことはひっきょう
わが国
において
技術士制度
というものがまだ十分に根を張っていないことに主たる原因があると考えられるのでございまして、まず第一に、
技術士
というものに対して社会的な
関心
を高め、
一般
の
認識
を深めるような
措置
をとる必要を痛切に感じさせられるのであります。もとより問題は、これにとどまるものではないと考えます。たとえば、いま
一つ
、
技術士
から法外の
報酬
を要求せられはすまいか、あるいは
技術士
に
工場
の
秘密
を探知せられはすまいかといった
企業
の側としてはしごく当然な懸念がそこに伏在することも十分あり得ることだと思うのであります。従って、第二として、このような
事態
に対しましても、また
企業
が安んじて
技術士
に
相談
を持ちかけられるような適当な
措置
が望ましいのであります。 先に述べました第一の
社会的認識
を深めるための
措置
としては、
技術士
になろうとする
希望者
のうちから、まさに
技術士たる
にふさわしい
有能
の士に
技術士
となる道を開き、これにのみその
名称
の
使用
を認めるよう
立法措置
を講ずることにしたのであります。このことはまた同時に、
技術士
が国情の全然異なる
東南アジア
などに進出する上において、大きな
効果
をもたらすものと存ずるのであります。 第二として述べた
企業側
における不安を解消するための
措置
としては、
技術士
となった以上、
技術士
としての
信用
を失墜したり、
業務
上知り得た
企業
の
秘密
を他に
漏洩
することなきよう
法律
の
権威
のもとに禁止する
規定
を設けることにしたのであります。 本
法案
は、この二つの
考え方
を眼目とするものでありまして、その根本には、第一に、
技術制度
の
発達
を自然の成り行きにまかせるには、
科学技術
及び
国民経済
上の
要請
はあまりにも大なるものがあるという
認識
があり、第二に、このような
立法措置
を講ずることによって、
目下成長
の
段階
にある
わが国
の
技術士制度
の健全な
発達
を著しく促進することができるという確信があります。この二点につきましては、今まで述べて参りましたところで大体御了解願えるのではないかと考えている次第であります。 なお、本
法案
と同じ
技術士法案
の
名称
で第十九国会に議員
提案
せられたことがございます。その場合には、
所管
とか
法文
の上で若干問題がありましたが、
法文
上の点につきましては、慎重な
検討
を加えて
相当
な修正を行い、面目を一新した形で今般ここに、
科学技術庁所管
の
法律案
として、
政府
より
提案
せられたものであります。 以上が
技術士法案
の
提案理由
であります。 以下、
法案
の内容につきまして、重点的に御
説明
申し上げます。 第一に、
法律
によって
権威
を与えられる
技術士
としては、
企業等
に対する
技術指導
に従事する以上は、高等の
技術能力
を持った者でなければならないのでありますが、この点については、
大学卒業程度
の基礎的な
学力
を持ち、しかも
専門
的な問題について実際に
設計
などの
実務
を行なった
期間
が通算して七年をこえる者でなければ本
試験
を受けることはできないとして、その
受験資格
を制限するとともに、さらに本
試験
によって、それぞれ
専門
の
技術部門ごと
に高度の
実務能力
を判定することとしているのであります。なお、基礎的な
学力
を判定するために、
予備試験
を行うことにしておりますが、
大学
、旧
専門学校等
の
卒業者
には、この
試験
を免除することにいたしております。 第二に、いやしくも
技術士たる
ものは、最初からその社会的な
信用
が疑われるような人であってはならず、また
技術士
として当然に課せられるべき
諸般
の
義務
は、これをして厳に順守せしめなければならないのでありますが、この点に関しましては、まず
法律違反
に問われて、禁錮の刑に処せられたり、特定の
行政処分
を受けた者は、
欠格条項
の
該当者
として
技術士
となることを拒否することにしております。 次に、
技術士
の
義務
につきましては、
信用失墜行為
や
秘密漏洩行為
などを行なってはならないという
義務規定
を置き、
技術士
の
登録
の取り消し、あるいは刑罰をもってその
義務違反
を追求する建前をとっているのであります。 第三に、高度の
技術能力
を持ち、かつ社会的に
信用
して差しつかえのない
技術士
としての適格性十分な人であるかどうかの判定は、以上述べて参りましたような
方法
で行うのでありますが、本法は、このような
適格者
のみを
技術士
として
登録
し、これに
技術士
の
名称
を用いることを認める反面、
技術士
でない者には、その
名称
の
使用
を厳に禁止しているのであります。この
措置
が
成長発展
の緒についたばかりの
技術士制度
に対する世の
関心
と
認識
を一段と高めようとするところにねらいを置いておりますことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。なお、本
法案
では、
登録
を受けた者でなければ、
技術士
という
名称
の
使用
を認めないという
名称独占
の
考え方
をとっておりますが、これとともに、
業務独占
の
考え方
、すなわち
登録
を受けた
技術士
でなければ、
技術士警務
を行うことができないという
考え方
をとるべきかどうかに関しましては、
諸般
の
実情
にかんがみ、現
段階
ではこれをとらないことにいたしております。 第四に、本
法案
におきましては、今後
運用
上の問題がきわめて重要であると考えられますので、
技術士審議会
及び
技術士試験委員
をおいて、
運用
に万遺憾なきを期している次第であります。 以上、
技術士法案
の要旨について御
説明
申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御質問あらんことをお願いいたします。
有田喜一
3
○
有田委員長代理
以上をもって
提案理由
の
説明
は終りました。
通告順
に従いまして、質疑を許します。
中崎敏
君。
中崎敏
4
○
中崎委員
本
法案
の
提案
は、私
たち
の目からするとすでに時期がおくれておるのではないかと思われるくらい
必要性
というものを痛切に
認識
するものでありますが、さて問題は、果してこうしてこの
法案
が通過して、これが実施された後においてのこの
制度
の実際的な
効果発展
というふうなものについて、どういうふうな
見通し
を持っておられるか、まず結論から先にお尋ねしておきたいのであります。
秋田大助
5
○
秋田政府委員
ただいま
提案理由
にも申し述べました
通り
、
わが国
の
産業企業
におきまして、
合理化
を促進させなければならない面がたくさんございますが、そういう点に、この
制度
が設けられますれば、非常に貢献するところが多い、ひいて
わが国
の
産業
の
発展
、
技術
の
向上
に資するという観点を持っております。
中崎敏
6
○
中崎委員
現
在社団法人
の
日本技術士会
というものがあるのでありますが、これは一体どの
程度
の
仕事
をこうした
法案
の趣旨に沿って今までやってきておるのか、その実際上の
実情
を
一つ
お聞きすると同時に、今後この
法案
ができた後において、この
技術士会
というものがどういう
役割
を果すことになるのか、そうしてまた
試験制度
などの結果を経て
技術士
になった人が、個々にあるいは集団的にどういうふうな形において
機能
を果していくかについて、その
見通し
を
一つ
お尋ねしたいのであります。
原田久
7
○
原田政府委員
お答え申し上げます。
日本技術士会
の実際の動きについて簡単に御
説明
申し上げますが、
日本技術士会
というものができましたのは
昭和
二十六年でございまして、
社団法人
として発足をいたしました。現在
会員
約四百五十名ほどになっておりますが、この
技術士会
ができますよりもはるか前から
技術士活動
に
相当
する
活動
というものが古くから行われておりまして、ずっと古くは
大正年間
から、最近に至りましては終戦後、諸
外国
の
技術士運動
に刺激されまして、
わが国
でもそういう問題について
関係者
の間から必要が叫ばれ、ただいま申しましたように
昭和
三十六年に
社団法人日本技術士会
というものが結成されまして、約四百五十名ほどの
技術士
の方が
技術士会
を形成しておるのであります。
技術士会
の
会員
とされましては、
内海清温先生
その他
建設界
、
機械工業界
その他
各般
の
産業界
におきまして、それぞれ
技術士
として
相当
の
活動
をしておられます方、それからなお
技術士会
の会長には
井上匡四郎先生
がなっておられまして、現在に至っておる次第でございます。今後この
技術士制度
がしかれました場合、
日本技術士会
というものはどういうふうになっていくかということでございますが、
技術士制度
が施行されますと、
技術士
の
名称
を
使用
して
仕事
をしていく者は、この
技術士試験
を通った者でなければできないということになっておりますので、現在
技術士会
の
会員
がそのまま
技術士会
という
名称
を使って
仕事
を継続していけるかどうかという問題につきましては、やはり
試験制度
を通った方によってそういう
技術士会
というものが形成されなければならないということが予想されますので、
技術士会
がそのまま継続されるとは考えておりません。しかし、
技術士会公認
の
技術士
になられた方が、そうした懇親的な
団体
を組織し、また
普及啓蒙
の
活動
をされるということは望ましいことで、ございますので、今後は、現在あります
日本技術士会
の御意向もそんたくしながら、そういった組織があらためて作られていく方向に参るのではないか、そういうふうに予想しております。
中崎敏
8
○
中崎委員
今後の
運用
の面については、
相当
困難性
が伴うということも考えられると思います。まず第一に、こうした
技術士
ができるのでありますが、これについてやはり経済的な
立場
から
自分
で生きていく、またその
団体
ができるとすれば、そういう自発的な
団体
というものがやっていけるだけの
経済的基盤
がなければうまくないのではないか、そのためにはやはりこれを利用するところのものが
相当
になくてはならぬし、将来の
発展性
がなければまた意義がないのでありますが、当分の間はそうした面において
相当
の困難が伴うのではないか、これに対して
政府
として何らか助長育成するような
考え方
があるのかどうなのか。ことにこうした
制度
というものが一日も早く健全な
発達
をして、これが
国民経済
、ことに私
たち
の
期待
するのは大
企業
よりもむしろ
中小企業
に、また今日まで比較的重要視されなかった
科学方面
に大きな
期待
を持つべきも一のではないかと思うのであります。ことに
有機合成化学
などは、
欧米
などでは日進月歩の非常な勢いで
発達
し、実際の
国民経済
の大きな
役割
を果しておるのでありますが、
日本
においてはまだこの点において
相当
おくれておる。そういう
意味
において、
外国
の情報をキャッチすると同時に、その
設計
並びに
実施等
についても、なかなか
中小企業
まで手が回らない。それでこういうふうな
制度
が
発達
して、そこへ行けばとにかく十分な知識も与えられ、
設計
もされ、
指導
も受けるというふうなことによって、
中小企業
というものが各
分野
において
発展
をすることが必要であり、これが最も高度の
技術
を要するところの
有機合成
、その他の
化学工業
において、その
必要度
が一そう増すのだというふうに考えられておるのでありまして、むしろこうした面において大きな
期待
をわれわれはかけておるのであります。そうしたようなものを含めて、一体この
制度
の今後の活用について、どういうふうに
助長政策
を考えておられるのかをお尋ねしたいのであります。
秋田大助
9
○
秋田政府委員
将来この
法案
が
通り
まして、実施して参りました過程におきまして、あるいは何らかの
助長政策
をとらなければならないというような
事態
に立ち至るかもしれませんが、今のところでは、そういう
事態
に立ち至るとは考えておりません。従って、特別に何か
助長施策
を講じなければならないというふうに考えてない次第でございます。
中崎敏
10
○
中崎委員
この
試験
を受けて
技術士
になった人は、
自分
で開業すると思うのでありますが、それが
一つ
の
団体
を作って、あるいは個人として、いろいろな形でやると思うのであります。それは自然のなりに放任してやっていくというふうな
考え方
でやるわけなんですか。
秋田大助
11
○
秋田政府委員
自然のままに全然放任しておくというふうにお答えしますと、いろいろ語弊もあろうと思います。
技術士
が取るべき
報酬
の
点等
につきましても、やはり実際面において適当なる
行政指導
を講じていかなければならないと考えております。その他
秘密
の
漏洩等
の
問題等
を考えてみましても、やはり同様なことが言えると思います。従いまして、
一般
にこの
技術士制度
なるものの健全なる
発達
のためには、当然
科学技術庁
の
主務官庁
としての適切なる
行政指導
がその裏面に予想せられるものとお考え願いたいのでございます。
中崎敏
12
○
中崎委員
たとえば、今の
秘密
の
漏洩
とか、あるいは料金の
適正化
というよなもの、あまり高い値段を取ったのでは、これはもちろん
相談
にどんどん行くというわけにもいかぬでしょうから、そうした面におけるところの適正な
指導
などが行われるのは、これは申すまでもないのであります。私
たち
が言うのは、逆にそういう類のものは、当分の間、一応開業してもなかなかその
収入等
の点においても必要なものが確保できないんじゃないか、またみんなも知らないという点もあるのでしょうし、また
制度そのもの
がまだ当分の間というものは必ずしも万全な手配ができるものとも考えられないのであります。それぞれの
技術士側
においても、
自分
がすでにそうした態勢を整えるのには
相当
の
経過期間
が必要であるのではないか、そうしたときにおいて、何らか国家的にある
程度
の
保護助長政策
が行われない場合においては、その
発展
もおくれるし、下手すれば何だか有名無実——有害無益とは言いませんが、大した
効果
が
期待
できないのではないかというふうにも考えられるのであります。たとえば、
建設省関係
などにおいても、
土木建築
の場合においても、大体
官庁
を中心にこうした大きな事業が行われるのでありますが、そうしたものがやはり
建設省関係
などにおいて今まで作られたところの
機構
がある。そういういろいろな
機構
が、正規の機関として、
設計等
についても、実際に依然としてその有力な
立場
をもってそれを利用するという惰性が今後続けられる限りにおいては、この
建築
、
土木方面
におけるところのこうした
技術士
の利用の面も非常に狭いのじゃないか。だからして、むしろ門戸を開いて、逆に今度は
技術士
にもそうした問題を十分に
相談
し、機会を与えるような、そういう
措置
を講ずるような用意があるのかどうなのか。これはただ
土木建築
に限らないので、あらゆる面においてそうしたような問題があるのでありますが、一体こうしたような問題をどういうふうに今後取り扱っていかれようとするのかをお伺いしたいのであります。
秋田大助
13
○
秋田政府委員
先ほども申し上げましたが、
政府
としては、この点、特別の
助長政策
を今とろうとは考えておりませんが、ただいまお尋ねのありましたような点、その他含めまして、
政府
の行なっております
広報活動等
を通じまして、この
技術士
の
制度
の
存在
を広く
産業界
に知っていただくようにいたしまして、こういう面を通じまして、適当な、
施策
ほどのものではございませんが、
広報活動
を通じて、そういう点を補っていきたい、こう考えております。
中崎敏
14
○
中崎委員
私は単なる
広報活動
だけでは、従前から主要な
国家業務等
に関係して、そのつながりを持っておる問題は、どうしても容易にこれは打開できないと思うのです。そうすると、やはり
技術士
の
存在
の
理由
というものもほとんど大して
期待
できないのじゃないかということも考えられる。もう少し強力に、こうしたような
法律
ができた暁においては、
内閣
においても十分な
検討
をされて、これは各省にもまたがっておる事項が非常に多いのでありますから、どの省においては大体どういう角度からこういうものの
制度
を健全に
一つ
すみやかに
発達
させる。それが
国民経済
の
発展
の上に大きな
役割
を果すということは、これはもうはっきりした事実なんでありますから、そうした
意味
において、ただ
広報活動
の面においても考慮を払うということでなしに、あらゆる
施策
の根本的な問題の
考え方
というところへさかのぼって、そうしてこの
処理
に当るのだというふうなこともできるものかどうかをお尋ねしたいのであります。
秋田大助
15
○
秋田政府委員
ただいまのお話はごもっともだと感じております。
広報活動
を一例に申し上げたのでございますが、実際の
行政指導面
その他におきまして、また
関係官庁
とも連絡を密にいたしまして、ことに
中小企業
等においてこの
制度
が適切に利用され、
効果
をあげますように、十分
所管
関係機関とも密接な連絡をとりまして、
行政指導
上におきまして、ただいまお話のような点について遺憾のないようにしたいと思っております。なお現在の任意
団体
で
社団法人日本技術士会
の
会員
の方々も、現在は
相当
の
活動
をされておられるようでございますが、それでは足らない。またそういう任意的なものでは足りないので、こういう法制化を企図したわけでございます。今後の、実際本
制度
採用の
発展
過程におきまして、どうしても多少の
行政指導
というような面では事足らぬというようなことが感ぜられますれば、お説等もよく考えまして、適切な
助長政策
もとり得ると考えております。
中崎敏
16
○
中崎委員
これは、
官庁
の今後における
指導
面の問題にもなるかと思うのでありますが、今、
社団法人
の
日本技術士会
という類のものが今度は改組されるか、あるいはこれはこのままの別の
存在
になるかは別として、新しい
技術士
を中心として結成される新しい公益法人的なものができて、そういう類のものが、やはり今の広報とかあるいは
官庁
に対する要望等の面について、強力な発言権を持って官民一体となって、この
制度
が
運用
されるということが望ましいと考えるのであります。この面については、一体どういうふうな
指導
方針をもって臨まれようとするかをお尋ねしたいのであります。
秋田大助
17
○
秋田政府委員
ただいまありますところの
社団法人日本技術士会
は、三十三年の八月に、この
法案
の何条でありましたか、その
規定
の関係上、名前を変えていただくことになります。従って、改組されるものと存ぜられますが、これを弁護士
制度
における
日本
弁護士会というような公益法人的な
団体
に改組せしめるかどうかというような点につきましては、今
政府
としてはその意思は持っておりません。しかし、この
制度
の将来の実施過程における実績上、そういうものが必要であるということが多少は考えられますので、もしその方が便利である、またその方がこの
技術士制度
の健全な
発達
、
日本
の
国民経済
に寄与する観点から必要だということが客観的に
認識
されるような
事態
になりますれば、あるいは弁護士界におけるように、
日本技術士会
なるものを認めるということになろうかとも思いますが、ただいまのところは、そういうものを公益法人的に改組せしめたいという考えは、
政府
としては持っておりません。
中崎敏
18
○
中崎委員
この
提案
の
理由
にもありまする
通り
に、「
わが国
におきましては、進歩した
技術
は、ややもすれば一部
企業
に独占される傾向がありまして、」云々ということがあるのであります。これは一応
実情
がこうであると私
たち
も認めておるものでありますが、さてそれでは一体どういうわけでこういうふうになるかと申しますと、ことに近代における飛躍的な進んだ
技術
というものは、まず第一に高度の
技術者
を多数抱えたところの
機構
でなければなかなか簡単にそれに対応するだけの力が備わっていかない。一面においてまた資本、
資金
等においても、それだけの大きな組織でなければ、近代的な
産業
としてこれが実現できないというふうな
問題等
が大きな原因だろうと思うのでありますが、その大きな一部
企業
においてさえも、近年においては
外国
からきわめて安易に
技術
を導入して、これをまねをしてやっておるというのが
実情
だと思うのであります。それほどこの
科学技術
というものは非常な進歩をしておるので、その大きな資本組織の力をもってさえもなおかつその進歩に追っつかない。それで、一面において、それだけ莫大な研究費などをかけるよりも、
外国
から
技術
を買ってくればそれが一番いいんだ、そういうような安易な
考え方
等も手伝って、そういうことになっておるのが
日本
の
実情
であるというふうに考えるのであります。この点はさらに今後においてもやはり続くのではないか。現在百億をオーダーとするところの石油化学を初めといたしまして、あるいはまた合成ゴムの工業も工業化されることにもなるのでありましょうが、そういう類の
化学工業
を初めとして、あるいは鉄工業においても、何百億何千億の金が使われておるのでありますが、それであってもすぐれたものは
外国
の
技術
を買ってくる。それが一番手取り早いのたという感じでやられておる。そうすると、いつまでたっても国の工業の
技術
の独立というものはあり得ないということをわれわれは心配するのでありますが、そうしたような
実情
下において、
中小企業
というものはとてもそれだけの
技術者
をもちろん養う力もないし、将来またそういう瀬のものを、かりに
技術者
を養って研究したとしても、なかなか
資金
等の点においても実現し得ないというような悩みがあるのであります。そこで、何といっても私
たち
は大工業によるところの
技術
というものを国産化する上においても、やはりコンサルティング・エンジニアの必要が痛感されるのであります。
中小企業
の場合においては、ことにそれが痛切に感じられるのであります。たとえば、現在のこの
有機合成化学
の場合においても、これは大工業ではやっていかないような中
程度
の事業である、こういう
仕事
をやればおもしろいのだなといっても、一向情報も得られない。それに、それをこなすだけの
技術者
は持っていない。それで、設備や何かは一体どうすればいいのかといったようなこともなかなかわからない。それをコンサルタントの
技術士
という類のものがあって、そこに
相談
に行けは、これはこうなんです、それは
外国
のこの会社においてこういうことをやっておるのだから、これと
相談
すればいいのです、あるいは設備はこうすればいいのですよというふうな、適正な
指導
がやられるということになれば、
中小企業
の場合においても比較的手をつけられるというふうな機会が与えられるというふうなことも考えられるのであります。そういう
意味
で、国内において、将来
技術士
は、私は
化学工業
においても非常に大きなる
意味
を持つものであり、ことに
中小企業
の対策としてもこれが必要だというふうに考えます。そこで、かりにそうしたような
技術士制度
が
発達
して、国内においても手軽にそういう
相談
ができるとしても、さて今度は
資金
などの点についてなかなか問題がある。そこで、一体
政府
としてはこういうふうなものについてどういう裏づけをして有終の美をなそうとするのか、そしてまた
技術士
に
相談
をして一応の
設計
ができても、設備ができても、さてこれを
運用
していくところの
技術者
がなかなか確保できないという問題もある。そういうふうな問題を一体どういうふうにして解決していこうとするのか、これらの問題が表裏一体化して実現して初めて最後の目的が達せられるものと思うのであります。一体こうしたことについてどういうふうな
科学技術庁
としての用意があるか、今後の対策は一体どうするのかということをお尋ねしたいのであります。
秋田大助
19
○
秋田政府委員
中崎委員
のお説ごもっともでございまして、
中小企業
の
振興
、ことに
資金
の供給につきましては、ただにこの
法案
だけではもちろんいけませんし、またこれが直接
資金
の供給に関係する
法案
でもございませんので、広範な
中小企業
対策の諸
施策
を待ちまして、その点に当るべきであることはもちろんでございますが、この
法案
と、ただいまお尋ねの
中小企業
の面、ことに
資金
の供給非との関連につきましては、こういうふうなことが考えられるのでございます。もちろん
中小企業
の
合理化
等のため、また
技術
の更新のためにこういう
制度
ができまして、またそれが広く世間に知られまして、また
技術士
の取りまする
報酬
等も
中小企業
者にとってそう負担でないというような
実情
になって参りますれば、活用をされましょうし、同時にまたこういう
技術士
等の
指導
によってでき上ったプランを
企業
化していくとなりますれば、一部先進国等においては、融資の際にこの
技術士
の署名が必要であるというような
制度
もあると聞いております。
日本
では今直ちにそこまでは至らないでございましょうが、たんたんとこの
制度
が
発達
をし、
技術士
に対する世間の
信用
も高まって参りまするならば、この
技術士
の目を通し、企画をしたその企画書によって
中小企業
者が商売を、
仕事
を始める。従って、金融機関もこれに金を貸そうというふうになることが望ましいと考えております。そういうふうに自然に
発達
することを望み、かつその方向に伺って
行政指導
をしていきたい、こう考えております。
中崎敏
20
○
中崎委員
今直ちに
法律
で
技術士
が裏づけした、また署名したところのものに金を貸すような、融資をするような、あるいはそのほかの便宜を与えるようなことを書くべきかどうかということは、これは問題があると思うのであります。少くとも
政府
の直接関係しておるところの金融機関、たとえば
中小企業
金融公庫とか、あるいは開発銀行とかの場合において、この
技術士
が
指導
しそして責任を持つところのものについては
一つ
の考慮をはらって、そうしてたた個人といいますか、そういうような裏づけのないものよりも、多少といいますか、ある
意味
においても尊重するというふうな
考え方
を持つ方がいいのではないかと思うのであります。そこまでもまだ考えておられないと思うのでありますが、そこらの点はどうですか。今後の気持を
一つ
お尋ねしておきたいと思います。
秋田大助
21
○
秋田政府委員
政府
及びこれを
提案
した者といたしましては、今、
中崎委員
がおっしゃったような気持を十分持って、これが施行に当るつもりでございます。少くとも一
企業
者だけの企画によるものよりは、
相当
の
信用
のある令名の高い
技術士
が関与したものであるとなりますれば、それが直ちに融資の積極的な条件ということには立ち至らなくても、十分尊重をされる。そして融資にも便利であろうことは、常識上十分想像にかたくないのであります。従って、こういう
技術士制度
というものがあることが、陰に陽に、
中小企業
に対する必要なる
資金
の供給に非常な便があろうと考える次第でございます。
中崎敏
22
○
中崎委員
先般この
委員会
を通過しました
科学技術
情報センターでありますが、一面において、
科学技術
に必要な資料、情報をそこで収集し、これを適正提供するという必要があると同時に、一面またこれとの関連性において、収集された情報等をうまく活用して、それから今度は
技術士
がこれを
設計
し、
指導
するというふうなものが有機的な関連性を持っていくことが一番いいのではないか。そうした点において、一体どういうふうにあの
科学技術
情報センターとのつながり、結びつきを、この
技術士
との関係において今後
指導
していったらいいと考えておられるのか、そういうことはまだ考えていないというところですか、その点を伺いたい。
秋田大助
23
○
秋田政府委員
科学技術
情報センターとこの
技術士
の
存在
というものは、まさに今、
中崎委員
のおっしゃいました
通り
、有機的な関連を持ちまして、
日本
の
産業
、
企業
、特に
中小企業
の
技術
の
振興
等に密接な関係を持って、表裏一体と申しますか、有機的な関係において、これらの
技術
の更新、及び
企業
の
発展
、ひいては
日本
の経済の
後進性
打破に貢献すべきものである、こう考えております。
小笠公韶
24
○
小笠
委員 ちょっと関連して伺いたい。今の
中崎委員
の質問に対する
政府
次官の答弁はそれでいいのですか。情報センターと
技術士法案
が有機的関係をもって、表裏一体をなす、結果的に見た場合に、
科学技術
のレベル・アップには役立つが、具体的に表裏一体をなすということはどこから言われるのか。
技術士
法については後ほど私はいろいろお教えを願いたいと思うのでありますが、これは
一つ
の資格
規定
であります。資格
規定
で、実体法ではないことは申し上げるまでもないのでありますが、その点はどういうふうな点で表裏一体をなし、有機的関係を持っておるのか、御
説明
を願いたいのであります。
秋田大助
25
○
秋田政府委員
厳密な
意味
においてはあるいはどうかと思われますけれども、センターの
機能
が能率的に有機的に活躍いたしますならば、各
企業
間のみならず、この
技術士
等における
科学技術
に関する情報が確実にかつ敏速に入手されるのでございますから、その点においては大いに関係があろうと存じております。
中崎敏
26
○
中崎委員
私、不敏にして、
外国
における
技術士
と情報の収集等についての関係がよくわからないのでありますが、
外国
においては、ここらの結びつきが一体どういうふうに
運用
されておるのか。たとえば、大
企業等
があって、これは年に
日本
の金で何十億というようなものを研究費なんかにかけておるということを聞いておるのでありますから、勢いそれらのものには情報の収集あるいはこの
技術士
などに匹敵するようなものをたくさん使われておると思うのでありますがそうでない
一般
的にその関連性が、結びつきがどういうふうに、どの範囲において
運用
されておるのかをお尋ねしたいのであります。
秋田大助
27
○
秋田政府委員
詳しいことは事務当局から答弁をしてもらうつもりでございますが、常識的に申しますれば、今日
科学技術
の進歩は、御承知の
通り
、日進月歩の早さで進歩いたしておるわけでございますから、今日の最新の
技術
を身につけた
技術士
といえども、いつまたおくれないとも限らないわけでございます。こういう点を考慮いたしましたときに、一方において
科学技術
情報センターなるものがあって、これが活躍をいたして、その
効果
を上げますならば、
技術士
が
自分
の知識を常に新しくするにも非常に役立つものではなかろうかと考えております。なお
欧米
等における実際上の両機関の結びつき等につきましては、もし御希望がございますれば事務当局からお答えをさせたいと思います。
原田久
28
○
原田政府委員
諸
外国
の情報センターと
技術士
との関連についても御質問のようでございますので、 その間の関連について、わかっておる点を申し上げたいと存じます。もっとも想像のところも入っておりますので……。(「想像じゃだめですよ。」「と思われるというところでもいいでしょ、)。」と呼ぶ者あり)と思われるといりところで申し上げます。十分調査しておりませんから……。
技術士制度
の諸
外国
の例は米国が一番よく
発達
しておりまして、
技術士
の
会員
は約二十万名を数えております。アメリカの例でいきますと、これは
業務独占
になっておりまして、
技術士
でなければかくかくの
設計
計画をなしてはならないということになっております。従いまして、
わが国
の、
名称独占
によります
技術士
の
名称
を用いて
相談
に応ずるという
制度
とは若干違いますので、その
運用
についても相違があろうかと思います。アメリカにおいても、情報センターに
相当
するものは何ヵ所かございます。これはあらゆる
分野
に関する総合的な情報センターと、
専門
的な情報センターとにわかれて幾つかございます。そういうところでは、どういうことをするかと申しますと、かくかくの
技術
を知りたいという要望がありますと、それにこたえて、主として文獻上の調査をいたします。その調査報告を要求者に提供することになっております。そこで、アメリカの
技術士
が情報センターにどういう働きかけをしているかという点になりますと、先刻私が想像の域と申しましたように、具体的にわかっておりませんが、おそらく依願者の方では、どの情報センターに持っていって
自分
の調べてもらいたいことを頼んだらいいかというところまではわかっていないと思います。ところが、
技術士
の方では、そういう情報センターについて、どこの情報センターが一番的確な情報を出すか、またその依頼をするにはどういうような依頼をしたら最も有効な答えが得られるかということは、やはり
技術士
が一番よくわかっおると思います。従って、依頼者が
技術士
の方にかくかくの点を調べてもらいたいという
問題点
を出すと、今度は
技術士
の
立場
でそれをそしゃくして、適当な質問書に書いて情報センターに依頼する。そして、その依頼されたものを
技術士
が取って参りまして、それを依頼者にのみ込めるような形に直して、
設計
なり計画なりを作って提供する。そういう形が行われておるのではないかと想像しております。諸
外国
の例として、米国はそういうふうな
業務独占
の形で行われておりますが、イギリスその他の諸
外国
においては、
わが国
に類似しておりまして、
名称独占
というような形のものが多いようであります。アメリカが二十万の
会員
を擁するに至りましたのは、
業務独占
の形でございますので、それたけ大きく
発達
しておりますが、ヨーロッパ諸
外国
ではやはり
わが国
と同様、数百名
程度
の
団体
が形成されておるのが多いようでございます。
有田喜一
29
○
有田委員長代理
委員諸君に申し上げます。宇田国務大臣が出席されましたが、宇田大臣は、参議院の予算
委員会
の出席要求があるまでということでお見えになってありますので、右お含みの上、今から大臣に質疑を集中してお願いしたいと思います。
中崎敏
30
○
中崎委員
いわゆる神武景気と言われておる最近の
実情
において、新聞でもごらんの
通り
、東京手形交換所においても、
中小企業
の手形の不渡りが著しくふえてきたということは、言いかえますと、全体の景気にも
一つ
の動揺の風潮が来たのではないかということも考えられる。あるいは、最返
中小企業
者というものはあの神武景気の恩沢を受けることがいかにも少い。逆に、その面においては犠牲になっておるのじゃないかということも考えられる。各
分野
においてある税度のニュアンスの違いはあるとしても、大体そうしたようなことが要素になって、
中小企業
者がまたまた困難な
状況
に追い詰められておると考えるのでありますが、宇田長官はどういうふうにこれを見ておられるのか。そして経済五ヵ年計画も、
政府
の方では、たた絵に描いたもちではなしに、ある
程度
裏づけのある
施策
をもってこれを進めていくのだという考えであるようにも承知しておりますが、そうであるならば、経済五ヵ年計画と、こうした経済における
中小企業
者の困難の表面化の問題の関連性について、一体どういうふうにお考えになっているかを伺いたいのであります。
宇田耕一
31
○宇田国務大臣 御承知のように、非常な
資金
の揚超でありまして、年度末の金融が窮屈になっているということが最近あらゆる面で現われております。従って、貿易関係においても入超でありますから、貿易関係の手持ち
資金
も非常に窮屈になってきております。手形交換所の不渡りの悪化傾向を示していることは、御指摘のように最近の現象と思っております。従って、これに対する対策をどういうふうにするかということは、三十二年度の予算をなるべく早く上げていただいて、四月一日からこれを実行に移す。そういたしましたら、
政府
関係、公共事業関係その他の
政府
出資が、本年度の予算でも皆さんに御
審議
願った
通り
に、かなりに民間資本、特に
中小企業
に対するところの
資金
は潤沢に流れると考えておりますから、どうか
中小企業
のためにも予算を早く通すように御
審議
を進めていただきたい。これがわれわれの希望でございます。 それから、五ヵ年計画の中で、
中小企業
をどういうふうに取り上げて配嘱しなければならないかと申しますと、実は
わが国
の
産業
構造の九九%までは
中小企業
でありまして、ただいま御指摘のように、
中小企業
にしわ寄せの多くなるという危険がありますから、そういうことのないように、単純にものを考えずに、予算全般の中においてあらゆる角度からこれにてこを入れるように考えているのでございます。金融の面、あるいは税金の面、またわれわれの直接関係しております
科学技術
の面では、
科学技術
研究組合を作ってこれの補強をはかるとか、一連の国全体の
産業
政策の中にこれをあらゆる角度から総合的に織り込んでいくという対策をとって、どこかに穴のあかないように、欠陥のないようにという配慮をいたしております。そして、五ヵ年計画を立てます場合に、ただいま
中小企業
に関する関係
法案
を通産省で論議いたしておりますし、それから皆さんもこれに対しては御意見を十分に出しておられることも承知いたしておりますが、ただ、ねらいといたします点は、
中小企業
に対して官僚統制の弊に陥らないように、そして、
中小企業
者自身の創意工夫によって、団結した組織の強化をはからなければならない、こういうふうに考えるのであります。従って、五ヵ年計画を立てます場合にも、強力な、官僚的な、上からの押しつけを基本線とする計画は立てるべきではない。なるべく国民自身の力によって、国民自身の自立的な組織体制一の中において力が伸びるように、
政府
ので予算あるいは
施策
の配慮をいたさなければならぬ、経済五ヵ年計画を立てます場合の基本線は、物動的な、押しつけ的な計画方式をとらずに、むしろ民間の自立的、組織的な行政を助長する方針をもって五ヵ年計画の策定に当りたい、こう思っております。それから、新しい五カ年計画は今年の九月に作業を終るはずでありますけれども、ただいま申し上げましたような予算の内部におきましては、国民に対して、行政面で上から押えつけていくことはやらない、あくまでも自主的な
企業
心を発揚させるような
方法
に五カ年計画は策定をいたしたいと考えております。
中崎敏
32
○
中崎委員
私がお尋ねしたいのは、いわゆる神武景気といって、電力計画にしても、輸送計画にしても、鉄鋼計画にしても、
相当
大幅な拡大があるという
見通し
の上に立って五カ年計画も策定をせられるし、これについての対策も今すでに進めておられるのでありますが、最近における
実情
は、たとえば、
日本
においても、設備の過剰投資ということは、もう具体的な現実の問題としてどうも行き過ぎではないか、それで、民間
産業界
においても、そうしたところの反省というのか反動というのか知りませんが、もうそういう
状況
が見えている。金融界においても
相当
の行き詰りで、預金の
要請
などの問題も関係があって、金利の引き上げは日銀においてもすでに行なった。そうしてこの貸し出しの面においても
相当
規制が行われておる、いろいろの制限をしていこう、こういうこと等もあって、これは単なる財政の
資金
の流れ方の問題でもあるのでありますが、そういったような
問題等
もあって、
相当
に変調があるように思うのでありますが、それを一体どういうように見ておられるかをお尋ねしたい。
宇田耕一
33
○宇田国務大臣 設備の過剰投資という面が確かに、特に繊維関係等には現われて参っております。従って、金融の
一般
の情勢を見ておりましても、その方面に対するところの貸し出しは、それぞれの当該銀行はかなり引き締めておるということが最近よく出てきております。従って、そういう面におけるところの物価、それの関連しておりますところの商品は値下り傾向でありまして、特にこの一−二月におきましては、非常な物価の値下り傾向であります。経済月報を本日経済企画庁から出しますけれども、一−二月の傾向は、卸売物価は、そういう面の値下りが原因となりまして、昨年に比べましてむしろ下っております。またCPIも御承知のように下る傾向であります。そういうふうな非常な金融の窮屈になったことの反映もありまして、消費経済方面におけるところの消費
水準
の指数は、むしろ低下傾向が非常に顕著に現われて参っております。従って、われわれが経済全般を見ました場合に、この過剰の投資あるいはこれに対する放漫な金融ということは、自然にあり得ないだろう。むしろ反対の引き締め現象が強くなる傾向が顕著になってきている、こういうふうに思いますから、特に
政府
がこれに対してどうこう処置をとらなければならないということを考えるよりも、やはり早い予算通過を希望する、そういうところに
政府
は参って、むしろ緊急なそれぞれの対策は大蔵省ないし通産省でやっておりますけれども、根本の大きな流れは、その新しい
政府
財源が
国民経済
の中の調節弁になりますように、予算の通過を希望いたし、そうしてそれによってまず当面の混乱を避け得る、こういうふうに思っております。
有田喜一
34
○
有田委員長代理
中崎
君、ちょっと御注意申し上げますが、参議院の方から大臣の呼び出しがかかっておりますし、ほかにも、大臣に質疑の通告の人がありますので、この
技術士法案
に直接関係するものを簡潔に御質問願いたいのです。
中崎敏
35
○
中崎委員
技術士法案
に入る前提を質問しておるのです。さて、そうしたいわば
日本
の非常な好景気に酔うておる
状況
下において、
中小企業
というものが現在そういう
状態
にある。ところで、
日本
の経済の将来というものは、どうしても
中小企業
、ことに工業におけるところの中小工業のあり方をどういうようにしていくかということ、これはきわめて重要な問題だと思う。ことに経済企画庁の
立場
に立ってみたときに、この中小工業に対するあり方をどうする、あるいは単なるその系列
産業
の中にこれを持っていこうとするのか、あるいはある
相当
の独立したところの
分野
としての中小工業というものを育てていくのか、いずれにしてもこの中小工業というものにはあらゆる脆弱な面があるわけなんだけれども、
日本
においては、これの
相当
な隘路を打開して、これを重要視していかなければならぬということもまたはっきりした事実なんであります。そこで、それを解決するは何かといえば、工業においては何といっても
技術
だろうと思うのであります。その中小工業に対するところの
技術
の面において、ことに
科学技術庁
の側に立ってこの問題にどういう角度から取っ組んでおるか。従来、ややもすると大蔵省は、中小工業については非常に冷淡というのか
関心
が薄いというのか知らぬが、もっぱら大
産業
中心に——予算の出し方もそうなんだが、ものの
考え方
がそうであるということを私は痛切に感じておる。いわんや
技術
というような問題については、大蔵省はまるっきりだらしがない。
技術
というものは何にもわかっていない。従いまして、中小工業を中心とする
技術
の
指導
なんということについて、また必要なところに金を出すことについても、非常に臆病だというのか、できるだけ押えつけていこう、こういう傾向にあると思うのであります。そこで、「
中小企業
の
技術指導
の
現状
」というのが
中小企業
庁から出ておるのでありますが、これは長官、すでにごらんになったと思いますけれども、このどの点を見ても、予算折衝のあらゆる面において、大蔵省側の
認識
不足というか、もうずっと流れておるところの
一つ
の精神というか主義というか知りませんが、そういう
考え方
の上に立って、ほとんど
施策
というものが全滅しておるというような
状態
だといわなければならぬと思うのであります。こういうふうな
状態
においてこの
技術士法案
というものも出されておるのでありますが、
中小企業
を中心とするところの
技術
のあり方について、もう少し根本的な
考え方
を持って、そうして大蔵省に対しても大いに蒙を開いてやっていかなければ、
日本
の今後における工業、世界の
水準
の上に立って、さらに
輸出
を
振興
していかなければならぬという
日本
の工業
技術
というものについて、われわれは心配を持っておるのであります。それについて一体どういうふうにお考えになっておるか、お尋ねしたいのであります。
宇田耕一
36
○宇田国務大臣
中小企業
は、何といいましても、国の経済の中で、大
企業
に比べて、九九%もそれ自身が
一つ
の国の力でありますから、これをどういうふうに育成していくかということは、おそらく全
分野
にわたって考慮されなければならぬほどの複雑な、そうして単純に一省だけで決定することができない内容を持っておる。それで通産省と連絡をして、われわれの責任
分野
といたしましては、計画をそういう
意味
で配慮して立てていく。また
技術
関係におきましては、特に
中小企業
の大
企業
と違う点は、
専門
の
技術士
を
自分
たち
で雇い得ない環境にある。従いまして、組織を作って、組織の中に
技術
員を持つということもあるでしょうけれども、それよりも進んで、ただいま
法案
に出ております
技術士制度
を確立をして、しかも国の保証のある、
信用
できる
技術
を
自分
の
企業
の中に簡単に取り入れることのできる
制度
というものは、これは早くやるべきである。アメリカはもちろんでありますけれども、その他の国におきまして、これをうまく活用することによって、
中小企業
以下の零細なものが、所要な
技術
をいつでも
自分
の
企業
の中に導入することができるという、これはもう
中小企業
対策として必要なことだと思います。また
中小企業
に対しましては、
技術
的な情報をすみやかに渡すということが必要でありますから、そういう
意味
ではただいま情報センターを御
審議
願っておりまして、それが決定いたしましたなれば、われわれといたしましては、国の全部の
中小企業
に対して、世界的な最新情報を早く分配をする、こういうことも考えなければならぬと思っております。私の
所管
外のことはまたそれぞれの大臣から申し上げることと思いますけれども、
所管
内のことですと、概要そういうふうなことを考えております。 なお、御
審議
の途中でお気づきの点がありましたならば、御指摘下されば、われわれとしてはできるだけの配慮をしていきたいと思います。
中崎敏
37
○
中崎委員
いろいろ質問はあるのでありますが、時間の関係がありますから差し控えますけれども、この
技術士法案
の趣旨には、むしろおそいくらいだということで、私としては賛成なんであります。しかし、これの
運用
について、私は非常に心配しておるわけであります。今みたいにまだ
日本
の経済の底が浅いところに加えて、ことに
中小企業
者は、せっかく
技術士
が名案を出してくれて、そういう
設計
をしてくれ、その実施の
方法
を教えてくれても、結局において、やはり近代的な設備の裏づけがなければならぬ。ところが、
中小企業
は非常に力がないから、そう思うようにいかない。そうすると、せっかくそういうものができて、いい
制度
が逆用されるということになれば、その裏づけとして、
資金
等の面についてその
技術士
の意見などを取り入れて、それに左右された裏づけのあるようなものには、国家的な金融機関として、
中小企業
金融公庫とか、あるいは国民金融公庫では小さ過ぎると思いますけれども、あるいは開発銀行とかいうふうな面、あるいは産投特別会計などの画からいっても、とにかく必要な範囲においての配慮が払われるというような
方法
も講じられなければ、絵に描いたもちになる心配があるんじゃないかと思うのであります。この点について、大臣としては一体どういうようにお考えになっておるか、承わりたいと思います。
宇田耕一
38
○宇田国務大臣 その点につきましては、特に金融機関が当該
企業
の査定に当るという場合には、当然
技術士
によるところの
技術
的な注意あるいは意見が尊重されることになろうと思います。従って、国といたしましては、そういうふうな
技術士
法に基いて、当然資格を持っておる者が企画、立案をするものについては、将来ともに
中小企業
の育成の
立場
から、それの保証によるところの金融等は特別に考えるような
方法
を講ずるときがくるだろうと思います。ただ、そういう具体的な処置につきましては、なおまたあらためて
検討
をして申し上げる機会があるかと思います。
小笠公韶
39
○
小笠
委員 私は、企画庁長官としてではなしに、国務大臣としてのあなたに伺いたいのであります。実は、
名称独占
、
職務
独占の二つがあって、本法は
名称独占
であることは御承知の
通り
であります。そうしますと、今後こういう種類の、たとえば経営士、診断士、写真士等々の
名称独占
の
法案
が出たときに、国の方針としてこれを認めていくつもりであるかどうか、この要望は各方面にあるのですが、国策として、
内閣
の統一した方針として、
職務
独占の場合はいろいろ議論があると思いしますが、
名称独占
のときには類似のものは広く認めていくという御方針であるかどうか、まずこれだけを伺っておきたい。
宇田耕一
40
○宇田国務大臣 その点につきましては、なかなか意見の分れるところでありまして、これは国全部の方針としてどうするかということについての話を今まとめておるわけではありません。私個人といたしましては、その問題に応じて、重要度を勘案して、ケース・バイ・ケースで決定するのが好ましいんじゃないか、国の基本方針としていつでも
名称独占
は歓迎すべきである、こういうふうに取りきめることはできないと思います。
田中武夫
41
○
田中
(武)委員 この際大臣に一音だけお伺いいたしたいと思います。先日、
科学技術
特別
委員会
で、参考人から意見を聞いたことに関連して、
政府
委員に質問したのですが、どうも私は納得がいかないので、大臣に一言だけお伺いいたします。と申しますのは、この
法案
の骨子は、
試験制度
によって
名称
を与えるという点にあるわけです。ところが、これと同じような従来の
試験制度
の中に、たとえば弁護士、計理士弁理士といったようなものがあります。それと同じように、これもいわゆる
予備試験
、それから、こうこういう学歴を持った人は本
試験
を免除する、そうして本
試験
を口述
試験
と筆記
試験
に分けてやる。この行き方は、かっての弁護士
試験
と同じ行き方であります。しかし、
技術
というものは特別なものがなくちゃならぬと思うのであります。この
試験制度
によって合格する
技術士
は、結局は理屈を知っておってよくしゃべる、これだけが
技術士
になり得ると思うのです。
技術
というものは、そんなものじゃないと思います。筆記
試験
と口述
試験
、こういうことなら、先ほど言ったように、よくしゃべって、理屈だけ知っておれば合格できるわけであります。たとえば、
自分
は文科系続でなく、理科系統を選ぶのだという人の中には、いろいろとその人の得失もあると思いますが、中にはおれは口下手だから、よくしゃべらぬから、理科系統に行ってこつこつ勉強するんだという人もあるかもしれない。そういう人が口述
試験
ということになると、ちょっと言いたいと思っても、口下手のために受からないのじゃないか、こういうことを考えます。そうすると、大臣はよくしゃべる
技術士
だけを作ろうと考えておるのかどうか。この点については、七年という経歴があるということでやるのですが、そうすると、七年という経歴が果して妥当であるかどうか、こういう点にも関連してくるわけです。ただ、これだけの
試験
でそういう
技術士
というものを作っていいのか。
技術
ならほかにたとえば実地とか何かの
方法
があると思うのですが、いかがでしょうか。
宇田耕一
42
○宇田国務大臣 七年というなかなか長い
期間
をこの中に含ますというふうな特に慎重を期したのは、
技術士
に対する国民の
期待
が大きいということから、七年というかなり長期な彼の履歴を要求しておることと思います。ただいまお話しになった
問題点
は、要するに
試験
の
方法
でありますが、
試験
をする場合に、特に
技術
に関する
試験
は何も演説が目的ではないのですから、お説の
通り
でなければならないと思います。そうでなかったならば、非常に大きな誤まったものである。
技術士
法の精神はそれに合致しないものと私は思います。
技術士
というものは無言であっても、極端に言えば、たとえばおしであったところで、
技術
というものは非常に優秀な者はあり得ると思うのです。従って、表現
方法
というものは、彼の
技術
の優劣をきめる最終のものではない、あくまでもその人の持っておる
技術
それ自身が光を持つものである、それがこの法の基本精神であると思います。(「じゃないのですよ」と呼ぶ者あり)それでなかったら、そういうふうであらねばならぬ
方法
に
法案
を十分御
審議
いただいたらけっこうだと思います。
有田喜一
43
○
有田委員長代理
大臣は参議院の予算
委員会
の方から呼び出しがありますから、どうぞ御退席下さい。
田中武夫
44
○
田中
(武)委員 この間も言ったのですが、これは画期的な
法律
です。
日本
で初めての
制度
です。ところが、これを見ておると、昔の明治何年かからある弁護士
試験
と同じ
制度
しか考えていない。
予備試験
、本
試験
、本
試験
は口述
試験
と筆記
試験
だ、こういうことでよいのですか。それでは何かよい案があるかといわれても、私は
技術
の
専門
家でないから、こうしたらよいということはよくわからぬのですが、どうもこれでは画期的な
法律
でなくて、形式的な
法律
にしかならないと思う。もっと研究してもらいたいと思います。
秋田大助
45
○
秋田政府委員
田中
委員から御心配の向きは、
法文
を読みますと、
法文
の表面からは十分看取されます。またそういうふうなものになってはいけないので、実際の
試験
の質問、ことに本
試験
の質問の出し方等に問題があろうと思います。また単にその受け答えだけでなく、全くこの
試験
に当る人は、その人の持っておる、今、大臣もお答えになりました口先の巧拙ではなくて、知識
経験
そのものを十分評定されるだろうと思います。そこで、ただ
技術
的な質問ばかりでなく、その人が七年以上の
経験
をしている過程において実際にどういうことをされたかというようなことも、当然その本
試験
の中で聞かれるだろうと思います。そういうことを通じてその人の人柄、その人の実際の
経験
等の内容を知ることができる。また質問も、ただ暗記しておれば、あるいは記憶しておればいい、それを出すだけで足りるというようなものでなしに、
経験
がなければ答えられないような質問の仕方ということは、十分工夫ができるんだろうと思います。私はその点について
技術
的な知識はもちろんでございませんが、ここに事務当局が想定をした問題みたいなものがございます。たとえば、こういうふうな聞き方をしたならば、単に口頭弁論の
技術
だけで合格するという結果になるものではないという考えのもとに問題を想定しているのでありますが、それには、小型自動車のボデイを二色塗りするに必要なる施設と所要経費について述べてもらいたいとか、あるいは直径二メートル、長さ四メートルの製紙用鋳鉄製ドライヤーに、硬質クロムメッキを施す場合における適切なるメッキ槽、電源その他の所要設備及び作業
方法
の概要を述べてもらいたい、それに対する意見を述べてもらいたいというような質問の出し方に対しまして、単なる口頭の、口先のわざでない、その人の
経験
、その人の知識そのものを知ることができると考えておるのであります。単に条文だけを見ますと、
予備試験
と本
試験
、まことに官吏の行政科の
試験
とか弁護士
試験
と体裁、形式は似ておりますが、本
試験
にやる
試験
は、そういうふうな筆記
試験
じゃなしに、また口述といっても主として暗記によるものでなく、
経験
がなければ答えられないようなものを出すことによって、
田中
先生の心配されている点は
相当
程度
除かれる、ほとんど除かれていく、こういうふうに考えております。
田中武夫
46
○
田中
(武)委員 今、設問で、こういうふうにすれば、口述
試験
においても、その人の持つ
技術
に関する
考え方
が十分出てくるんじゃないかということは、これは
考え方
にもよると思うのです。われわれも口述
試験
を受けた
経験
がありますが、たとえば、
法律
系統においてもやはり同じような応用問題を聞くのですけれども、しかし文科系統の理屈だけをこねる経済や
法律
などと
技術
とはどこか違うと思うのです。そこで、そういう
試験
では、この筆記と口述しかほかにないというなら、口述の問題についてどういうような聞き方をするかということは十分研究してもらいたいと思う。アメリカあたりでは、この
技術士
についてはやはりこういっただけの
試験制度
をやっておるのですか。それとも何かほかの
方法
をやっておりますか。それからもう
一つ
こういう
制度
ができまして、まずさしあたってどれくらいの人が受験せられるという
見通し
を持っておられるか。今の
日本
の
技術士会
には四百何名かの
会員
がおられるということでありますが、そういうところから割り出して出てくると思うのです。それから、たとえば法科あるいは経済を出た者の
一つ
の目標は、昔ではいわゆる高文だった。今日においても、法科においては弁護士
試験
だと思うのです。医師になるには医師の国家
試験
を受ける、こういうことになるのですが、理科系統ではこれを受けることが
一つ
の大きな登竜門というか、
一つ
の目標になると思うのです。そうするならば、現在の理科系統の学校の課程といいますか、こういうものとにらみ合わす必要もあろうと思うし、また一面複雑多岐にわたっている各
工場
部門との関係もあると思うのです。ここに大体十三の
技術
部門の考えられておる例があがっておるのですが、電気の点を見ると、十六から二十一までこれだけのものがあがっておるのです。たとえば、電気という科目で受ければ、電気通信あるいは電子
機械
器具、こういうことの全部に
相談
を受けられる資格ができる、こういうことになる。これでは、電気といっても広いものであって、ことに電波関係なら、いわゆる有線と無線とでは
相当
違ったものがあろうと思うのです。これも
一つ
にひっくるめて電気といっていいでしょうか。有線と無線というようなものは、電波関係の中におきましては、
相当
違うと思うのです。そういうものも
一つ
のいわゆる電気という部門の中へ入れてしまっていいものでしょうか。あるいはまた最後の公衆衛生のところを見たときに、それじゃお医者さんとの関係はどういうことにするのかというようにいろいろ疑問が出てくると思うのです、この部門の分け方についても、もう少し詳細に
考え方
を聞かせていただきたいと思います。
原田久
47
○
原田政府委員
諸
外国
の
試験
の仕方はいろいろございますが、アメリカではやはり第一次
試験
と第二次
試験
とに分けておるようでございます。第一次
試験
は、筆記
試験
で主として学術的素養について行われることになっております。それから第二次
試験
は、
経験
にたよらなければ完全な解答が得られないような
技術
的判断について行われると聞いております。その詳細なやり方については、わかっておりません。それから、これはアメリカはいわゆる
業務独占
の
考え方
のところですから、特にきびしい
試験
が行われるのではないかと思っております。ヨーロッパにおいては、
わが国
とほとんど同じような資格
試験
になっておりまして、
名称独占
になっておりますので、その
試験
のやり方もおのずと違っております。やはり諸
外国
ともそれぞれ国によって違いますが、フランスだけは昨年暮れに
法律
を出してやるということになっておりまして、その内容は現在まだわかっておりません。その他の国々では、
経験
を保証するために、そういう
経験
があったという証明書を発行さして、それをもとにするという補助手段も講じております。それからさらにエンジニアという
名称
をつけることが基本的に制限を受けておりまして、そのエンジニアという
名称
をつけた人であって、ある学会の保証があるような人については、
技術士
にするというような、経歴をそういう裏づけによってとるという
方法
もとっておるようでございます。詳細はまだわかっておりませんけれども、諸
外国
はそんなふうになっております。それから次の
試験
の
方法
でございますが、
試験
の科目につきましてただいまお話の、電気部門という
名称
の
技術
部門のうちにも、発送配電、電気
機械
、電気通信、それから電子機器、自動制御、計測機器というふうに幾つかの
専門
分野
が分れておる。その
技術士
は、この電気関係の
技術士
という
名称
をうたいながら、実はそのうちの電気通信関係の
試験
を通っている人が、そういう広い
名称
を用いることは看板と内容に偽わりがある、そういうようなことでいろいろ弊害を生じやしないかという御質問のように思いますが、これを需要者の
立場
から見ますと、この分類があまりにこまかくなりますと、適当な分類を見つけることが第一困難かと思います。
技術士
の
名称
を冠する場合には、まず大きな分類の十三分類を予定しておりますが、電気関係の
技術士
だということがわかってくれば、その範囲の名簿など用意しておきまして、さらにその名簿の中には、各
技術士
の最も得意とする部門を表示してもらうような名簿を作っておきます。たとえば、医学関係の学位を持っておられる方で医学博士という方がありますが、その
専門
はおのずと小児科関係か内科関係かというようなことがわかるようなこまかい分類をして、そういう補助手段によりまして利用者にわかるようにしておきたいと思います。それから、実際問題としまして、依頼者から見ますると、その
技術士
から得られる回答によって、その
技術士
の価値というものがおのずとわかるわけでございます。
技術士
といたしましては、電気通信の
専門
の
技術士
が発送配電の要求に対してかりに答えを提供して、
設計
計画その他の提供をいたしましても、それは利用されないししますので、
技術士
の良心から見まして、そういう部門を越えたようなところに職業を伸ばすということは、
技術士
の良心に訴えるならば起きないだろう、ただ、そういう場合に弊害が起きるのではないかという問題は、たとえば発送配電の部門の注文がきたときに、
自分
は電気通信の
専門
技術士
であるにもかかわらず、私がやれますということで、かりに料金を取って
技術
サービスをするというようなことがおきますと、それは注文者に対して望ましい回答をしないことになりますから、それは
信用失墜行為
といいますか、そういうようなことが起きてきます。従いまして、そういう面で法では規制をしておりますから、実際問題としてはそういう弊害は起きる可能性がありましても、超さないようにしていく
法律
的な規制は考えておりますし、
技術者
の良心として、知らない
分野
について
技術相談
に応ずることは、実際できないことだと思います。そういう
意味
で実際問題としては弊害は起きないのではないか、そんなふうに考えております。
田中武夫
48
○
田中
(武)委員 推定ではどのくらいの者が受けにくるのですか。
原田久
49
○
原田政府委員
そのことについてでございますが、現在
日本技術士会
の
会員
は四百五十名おります。初年度は一千名ぐらいは受けにくるのではないか、こう思います。この
制度
が施行されましたことを関係各方面に普及しなければなりませんが、そういう普及の
程度
によって、またこれに対する
期待
の
程度
によって受験者の数が違ってくると思いますが、一千名ぐらいそういう応募者があるんじゃないか、そんなふうに考えております。
小平久雄
50
○
小平
(久)委員 関連して。今の
説明
で何か
技術
部門の表示の仕方の点が問題になっているようですが、ここに示されている案でいくと、具体的にいって
技術
部門というのは
機械
とか船舶とか航空機とか分けている部門というか、そうでなくてナンバーが打ってあるのですね、一から五十八まで。これがいわゆる
技術
部門なんですか、どっちを
技術
部門と称しているのですか。
原田久
51
○
原田政府委員
技術
部門といたしましては、十三の大きな方でございます。それでやっております。
小平久雄
52
○
小平
(久)委員 その点は、党内のことを言うとおかしいが、党内でやったときと
説明
が違うのじゃないですか。あのときは非常にこまかく、五十幾つかに
技術
部門を分けるのだ、
技術
部門を通して
登録
を行うのだ、こういう
説明
だと思ったのですが、非常に違うのだ。誤解を招くことを防ぐことから具体的にやるのだ、こういうふうに党の特別
委員会
での
説明
であったといます。
原田久
53
○
原田政府委員
私は党の特別
委員会
のときは、ただいま申しましたように十三部門が
技術
部門になる予定だというふうに申し上げたと存じておりますが、
説明
が足りませんものですから、そういう誤解を招いたかと思います。ただお断わりしておきたいのは、ここに掲げました十三の
技術
部門は、これはまだ確定した案ではございませんで、かりに想定すればこういうふうな
技術
部門に分けるのがいいのじゃないかというふうに考えておりまして、その
技術
部門につきましては、政令できめることになっておりますので、その
段階
までに十分
検討
して、こまかく分ける第二の分類でありまする五十分類ぐらいに詳しく分けた方がいいか、あるいは大きな分類に分けた方が利用面からいっていいかどうかということは、その
段階
で
検討
したいと思います。
小平久雄
54
○
小平
(久)委員 そうなってくると、
試験
なども、本
試験
の方は
技術
部門をもとに受けるわけですね。そうすると、
機械
というばく然とした部門で
試験
を受けることになるのですが、
機械
なら
機械
のうちの工作
機械
の部門、これがいわゆるこの
法律
でいっておる
技術
部門じゃないですか。その
段階
では、
機械
というものは
技術
部門だという、
機械
というばく然としておるもので
試験
をやるのですか。これはおかしなことになるのじゃないですか。
秋田大助
55
○
秋田政府委員
お答えいたします。こまかな方の分類で
試験
をいたす予定でございます。従いまして、
技術士
の登保の際の
名称
に、こまかな分類で表わす方が的確に出て、対照にも便利であろうと考えております。なお、どちらにするかは十分
検討
もし、考慮もしてみたいと思いますが、大体はこまかい分類にいきたいという気持でおるわけでございます。なお、この点は十分研究をいたしまして、また分類
方法
並びにその種類、数も確定のものでございませんが、そういう考えであるということを参考に申し上げたわけであります。
小平久雄
56
○
小平
(久)委員 どうも今この
審議
の大切な時期に際会して、官房長と政務次官の意見がまるっきり違うことを言っておられることは、はなはだ迷惑しごくなんです、私は、政務次官の今の答弁の方が、われわれがこの
法案
を党内で
審議
した際に聞いたことと合致しておりますから、私はそれを
信用
していますが、これは官房長もそれでいいのですか。それだけはっきりしておかないと困るのです。官房長と政務次官とが違った答弁をされたのじゃ、われわれは困るわけです。
原田久
57
○
原田政府委員
政務次官と私と答弁が食い違って恐縮でありますけれども、もう一回補足して私が党の特別
委員会
で御
説明
した……。(「そんなことは要らないのだ、こまかくきめていくか、大きくきめていくか方針だけだ」と呼ぶ者あり)これは
技術
部門によりましては非常にこまかい
専門
の
技術士
もできますし、総合的な要求にこたえるような
技術士
、すなわち管理部門関係のような
技術士
もあるかと思います。従いまして、現
段階
でこのどちらをとるべきかという問題につきましては、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。この原案を出しましたときには、たとえば
名称
といたしましては
技術士
として
機械
技術士
という
名称
を使いますが、そのうちの八つほどありますこまかい細分類につきましては、選択によりまして最も得意とする冷暖房、冷凍機を
専門
とする部門はそこで受けていただく、そういうふうにして分けていった方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのです。と申しますのは、分類というものは、いろいろな立て方から細分類というものができますものですから、分類が網羅的にできない点もあるかと思います。そういう
意味
で五十ほどありますのは、選択的に選んで受けられる
試験
科目、それから
名称
として用いるのは
機械
技術士
と電気
技術士
というふうに使っていく、そういうふうに考えております。
田中武夫
58
○
田中
(武)委員 どうもこの点まだ明確でないようですが、たとえば、
法文
にいうところの一種または数種の云々というのは、これはいわゆる
機械
技術士
あるいは電気
技術士
と二つの
名称
をとり得るのか、あるいは電気のうちのたとえば配送電と電気
機械
ということを
意味
しておるのか。一種または数種ということが
法文
にあるのですが、それは大分類の方を
意味
しておるのか、小分類の方を
意味
しておるのか、この点がはっきりしない。
有田喜一
59
○
有田委員長代理
速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
有田喜一
60
○
有田委員長代理
速記を始めて下さい。
秋田大助
61
○
秋田政府委員
ただいま
説明
が二途に分れまして大へん御迷惑をかけ、申しわけなく存じます。今その点、内部で意見の調整をし、統一を見ましたのでお答えいたします。部門というのは、
機械
、船舶、航空機という大分けの方で考えておる、こういうふうにお含みを願います。
小笠公韶
62
○
小笠
委員 それでは、私は事務的なことを簡単に一言お伺いいたします。第一点は、先ほど来本法の
効果
として、
日本
の
中小企業
のレベル・アップ、
日本
の
産業界
のレベルというようなことを言っておられますが、特に
中小企業
問題に関連しまして重大なる問題は、第三十六条、「
業務
に対する
報酬
」のところで、「
報酬
は、公正かつ妥当なものでなければならない。」と書いてあります。公正かつ妥当とはいかなる
意味
を持っておるのか、まずこれから伺いたいと思います。
原田久
63
○
原田政府委員
お答えいたします。この三十六条は、
技術士
が過大の
報酬
を要求するようなことがありますと、
技術士制度
の成長を阻害することになりますので、その
報酬
が公正妥当であるべきものであると
規定
したのが、ただいまの三十六条でございます。その中で、公正妥当とはどういうことかという御質問だと思いますが、公正とはどういうことかという
意味
をまずお答えいたします。公正とは、相手がたとえば
中小企業
であるとか大
企業
であるとかいったような違いによって、
報酬
上に差別を設けるというようなことがあっては公正を欠くという
意味
で、その相手によって対価のとり方を変えるというようなことはしない。妥当という
意味
はどういう
意味
かと申しますと、類似の職業でありますたとえば弁理士などが、いろいろな特許出願その他の代理行為をいたしますが、そういったような類似職業が要求いたします
報酬
と、
技術士
が同様な
業務
を行なったときにとります
報酬
とが、はなはだしく差異を生ずるようなことでは不つり合いになるかと思いますので、そういう
意味
で他との均衡を考えて、つり合いのとれた
報酬
をとるようにすべきであるという
意味
で、妥当をこういうふうに一応解釈しております。
小笠公韶
64
○
小笠
委員 これは非常にむずかしい問題でありますが、まず第一に、公正の
意味
はよさにその
通り
、均一的な
考え方
で、定価表的な
考え方
たと思います。この問題は、
提案
の
説明
等から、高度の
技術
というものを中心に考えておる、しかも新しい
技術
というものを中心的に頭に置いておる場合は、当然に高からざるを得ないと思うのです。そういうふうな場合に、
日本
の
中小企業
にこの値段のいかんによって、どの
程度
アッピールするかということは、実を申しますと非常に問題であると思う。少くとも従来のわれわれの常識的に理解するところによれば、コンサルタント・エンジニアというのは、中規模以上の
企業
、
日本
ではどちらかといえば大
企業
に行われておる能率診断
制度
に見合う
制度
として、これが
法文
化されたものと見るのが常識的であります。これは、御承知の
通り
、
日本
能率協会等のやっておるのは、
相当
高額をとっております。これらと見合った妥当性を言うならば、
中小企業
に煙出して、
中小企業
のレベル・アップに役立たせようというのはうそであります。私はうそと言わざるを得ない。
日本
の
中小企業
の実態はそういうものではありません。そこらの
考え方
の基本に私は問題があると思うのでありまして、
日本
の中規模以上の
企業
に対しての
技術指導
という率直なる答弁をするならば私は受け入れますが、故意に
中小企業
のための
技術士法案
なるがごとくいうところに問題が隠されておる。少くとも
中小企業
の実態に対する無知を表明するものだといわざるを得ません。その点から考えまして、公正妥当という
考え方
につきましてはもし
政府
側の
説明
するごとくならば、標準
報酬
表というものを作る意思があるかどうか、まずそれを承わりたい。
原田久
65
○
原田政府委員
お答え申し上げます。標準の
報酬
表というようなものを作る意思があるかどうかという御質問のようでございますが、実例としまして、
日本技術士会
では
報酬
規程というものを作っております。その中に、工事金額幾ら幾らに対しては、その
技術相談
の
程度
に応じて、第一
段階
、第二
段階
、第三
段階
、第四
段階
というふうに分れておりまして、それぞれ工事金額に対して一%とか三%とか九%とか一一%というような比率で、だんだん
技術指導
の
程度
が上るとこれを高くしていくというような標準を作っております。それから、そのほかに、旅費その他を要するものについては一日幾らというようなことも
規定
しております。それから、
技術士会
では、その
技術士
が
相談
に応じていろいろな
設計
、計画をするのに実際要した時間数から算出して
報酬
を求めるというようなことも考えて、やって参ったように聞いております。こういうふうにして
報酬
を求める基準というものの大体の標準は、今後も作っていくのが妥当であろうかと思います。が元来この
技術士
の活用というものは、依頼者と受託する
技術士
との相互の契約において成立するわけでございますので、必ずしも標準に全部マッチするように行われるべきであるということもまた言えないかと思いますが、大体そういうような標準はきめていくべきではないか、その点は
行政指導
で
指導
して参りたいというふうに考えております。
小笠公韶
66
○
小笠
委員 この
技術士
みたいなものは双務契約をする、双務契約を基本にするなら、そういう標準を作るのはおかしいと思う。逆に先ほど
中崎委員
から御質問があったように、そういう方向へ狩っていくなら、この
制度
施行後に
技術士
協会とかなんとかいう共同の動作をとるべきものを作らなければなかなかできぬのであります。それが先ほど来申し上げておるように、この
制度
を広く
日本
の中小の
企業
に活用するゆえんだと思う。先ほど
技術士
協会というようなものは考えていない、こういうようなお話がありましたが、この標準
報酬
との関連において、もう一度伺いたい。全然考えておらないかどうか。
秋田大助
67
○
秋田政府委員
ただいまのところは考えておりませんが、先ほども申し上げましたように、この
法律
が、施行されまして、
技術士制度
なるものが、実施された暁はいろいろただいま御指摘のような必要が起るかもしれぬということは予想をいたしております。従って、
中小企業
に対する診断と申しますか、
相談
に応じて
技術士
が
活動
する場合の
報酬
は、「公正」なる文字にとらわれて、全く均一でなければならぬという
機械
的なものでもなかろうと思います。著しくそこにえこひいき、相違があってはいかぬという趣旨であろうと思いまするから、
中小企業
のためにこういう高度の
技術
を身につけられた
技術士
が
活動
していただく場合には、比較的安い
報酬
で、しかし妥当な
報酬
で行かれるということは、まさにやらなければならぬことであろうと思います。そういうふうに弾力性を持たしてこの条項を活用して、
行政指導
の面において
一つ
御趣旨の
中小企業
の
振興
に役立たせるようにいたしたい。しかし、これは非常にむずかしいことでございまして、その方面に該博な知識と多年の
経験
を持たれておりまする
小笠
委員から、ただいまのような御診断がありました以上、われわれは傾聴いたしておりますが、
一つ
なるべくそういう弊害をなくしたいと考えております。 なお、この
制度
ができますれば、
中小企業
診断員との関連性を持たせまして、こういう
技術士たる
ところの資格を与えられた方々が、
関係官庁
機関との連絡によりまして、
中小企業
診断員になられるということになりますと、その問題のところが、
報酬
の隘路を解決いたす一助にもなろうと思われますので、そういう点も考慮いたしておる次第でございます。
小笠公韶
68
○
小笠
委員 これは非常につまらない問題でありますが、立法論として、第三十四条の不正行為の禁止の問題です。
試験
委員が厳正を保持して不正行為のないようにしなければならぬ。これについての違反には罰則をかけておるようでありますが、これは一種の公務に従事するものと考えて、いわゆるその処罰については公務員の例によるというふりにする必要があるのじゃないか。最上の
試験
、いろいろな入学
試験
その他を考えますと、そういう感じがするのであります。単純なる罰則は不適当である、不十分である、こういうふうにいわざるを得ないのじゃないかと思いますが、その点はどういう御見解ですか、承わっておきたい。
水間光次
69
○水間
説明
員 これは仰せの
通り
でございまして、
試験
委員は非常勤の委員になりますから、公務員法の適用を受けるわけでございます。従って、
試験
問題を
漏洩
したような場合には、当然公務員法の適用を受けることになります。しかし、不正の行為ということは、公務員法による
漏洩
の行為と区別いたしまして、特に不正の行為だけを特記いたしまして、この三十四条において
規定
するというふうにいたしたのであります。
小笠公韶
70
○
小笠
委員 二十八条についてお伺いしますが、二十八条は
審議
会のいわゆる任務として「
技術士
に関する重要事項」と書いてあるのですが、重要なる事項とはどういうことを考えておられるのでありますか。私は率直に申し上げますと、こういう
制度
には
審議
会を必要としないと実は考えるのであります。現在の
建築
士法におきましても
審議
会はないはずであります。これはいわゆる資格法規でありますので、特に
技術士法案
において
審議
会で
審議
すべきものというものは何があるのか、承わっておきたい。
水間光次
71
○水間
説明
員
審議
会に付議いたします重要事項としましては、第二十八条に
規定
いたしますように、広く
技術士
の
登録
の取り消し、その
名称
の
使用
の停止の処分に関する事項、それから
技術士
に関する重要事項としましては、本
法律
の
規定
に即して申し上げれば、
予備試験
及び本
試験
の
受験資格
たる
実務
経験
の審査基準に関すること、それから本法に基いて制定さるべき政令、総理府令に関することなど多数考えております。それからあえて
審議
会を設けましたもう
一つ
の
理由
は、この
技術士
法というものが実は第十九国会において議員
提案
をなされましたときに非常に大きな問題になりましたのは、各省庁の権限の問題が非常に大きくなりまして、
科学技術庁
が設置された暁においてその調整ができまして、
科学技術庁
の
所管
の
法律
として
提案
いたしたわけでございますが、さりとてこの
法律
につきましては経済各省庁が非常な深い関連がございまして、その方面からのいろいろな要望もございますし、そういう
意味
合いをもちまして、この
審議
会の委員に関係各省庁の委員を入れまして、関係各省庁と十分緊密なる連絡を保持しながら、本
制度
の円滑な運営をやっていこうという趣旨が
一つ
でございます。
小笠公韶
72
○
小笠
委員 私はしいてこの問題を強く申しませんが、各
官庁
の職員の連合体なら次官会議その他でやればいいので、こういう
審議
会
制度
が少しはやり過ぎているのではないか。無用な
審議
会が非常にたくさんできかかっているということは、
一つ
の傾向だと思う。そういうような
意味
において、これは資格
試験
だけなんだ。
試験
さえ厳正にやられれば、あとの取り消しの問題については行政官がおるのですから、なるべくこういうものはやらないような立法をやってもらった方が適当ではないか、改正していただきたいという希望じゃございませんが、意見として申し上げておきます。
中崎敏
73
○
中崎委員
この
秘密
性の問題でありますが、
業務
上知り得た事項の
秘密
を漏らすことが処罰の対象となっておるのであります。これはきわめて重要な事項だと思う。ところが、実際の面においては、その
工場
から
相談
を受けて、そうして
自分
の持っておる知識、資料等を集めて
一つ
のアドバイスをし、いろいろな案も作る。これが実施されるということになれば、その
工場
にとってはそういうことは漏らしてもらっちゃ困る、またその
工場
主、頼む側の意見も取り入れてこれは作り上げておるわけですから、
工場
の
建設
、さらにその設備をしていって、製品を作るまでの過程を総括していうのですが、その
工場
にとってはこれは祕密かもしれぬ。しかし、これを漏らすと処罰されるということになると、
技術士
の
仕事
というものも、十分に
能力
を発揮できないということになるわけです。そこらの関係は一体どういうふうなけじめで考えられておるのか、お尋ねしたい。
原田久
74
○
原田政府委員
ただいまのは、祕密、
漏洩
を守ることがうまくいくかどうか、こういう御質問のようでございます。まことにおっしゃる
通り
で、
技術士
は各
企業
の中心に入っていきまして、いろいろ
問題点
をもらう。そうして、そのもらってきた問題をいかに解決するかということについて、
自分
の
経験
を生かして答えを作るわけでございまして、そういうことを繰り返しておりますと、いろいろな
工場
内の機密が知識として入ってくる。それが他に自動的に流れていくおそれがないかという御心配でございます。これに似たような
仕事
をやっておりますのに、特許の弁理士というのがございます。発明した人が発明の出願をする場合、発明の実態について十分そしゃくするまで発明者からよく聞きます。そうしてこれを特許の出願書類に焼き直しまして出願をするということをやっております。その場合にも、やはり機密を知り得る機会をたくさん持つております。そういった現在あります弁理士などは、そういう機密を知っておりますが、それを漏らしますと、
秘密
を守る
義務
という条項がございまして、罰せられることになっておりますので、そういうことはできないことになっております。現実にはそういうことによる弊害があったためしはあまりないようでございますが、この
技術士制度
で果してそういう祕密を他に漏らすようなことは起きないだろうかという御心配でございます。この点は
技術士
の
信用失墜行為
の禁止とか、祕密を守る
義務
及び
秘密
を守る
義務
に対する罰則の適用によりまして、
法律
上は取り締ることにしております。実質上どういう運営をするかということになりますと、おそらくその人が
経験
を他に流すというような
技術士
であれば、依頼者の方はこれは
信用
が置けない
技術士
である、
自分
の依頼したものをまたほかに盗用されるということの心配を関知するようになりますから、やはり
技術士
の方でもそういうことをすれば、
たち
まち
自分
の商売に将来及んで影響があるということを察知して、そういうことはされないようになっていくのじゃないか、こういうふうに
期待
をしております。けれども、果して守れるかどうかという点は、
法律
で規制していく
段階
でわれわれは取り締っていくより
方法
がない、そういうように考えております。非常にむずかしい問題でございます。
中崎敏
75
○
中崎委員
今、弁理士の例が出ましたが、多少感じが違うのじゃないかと思います。弁理士の場合は、先願主義でありますから、先に行っておけば、あと同じ内容の知識を他の者にやっても、これは書類として公表するまでは
秘密
ですけれども、しかしもう
法律
的な
効果
というものは、先に出している者が原則的にはそれ自体において
法律
的な利益を受けるのですから、あとでそれを漏らしたって、それはよくないことかもしれませんが、それほど大きな実害はないとも言えるのですが、この場合はそうでないと思う。終始いかなる時期においても、
秘密
を他に示されることが問題ですから、だいぶ感じが違うと思われる。それかといって、全然
自分
の知識を持ち、さらに
工場
のそういう
実情
等をも取り入れて、その知識をまた他へ全然活用しないというのも、この
技術士
の趣旨を失うものだと思う。よそのものを全然そういう場合に使ってはならぬということも、これまた問題だと思う。どの
工場
ではどういうことをやった、そういうことまで漏らして、そしてやるということになれば、僕は
程度
を越えるものだと思うのですが、そうでない範囲において、しかもほんとうに、これは特許前における、公表前における
秘密
みたいなような、そういう重大なものであるというような場合、その場合においては良識をもって
技術士
が他へはその点においては漏らさないというか、
指導
しないというふうな
一つ
の道義的な
分野
も含めての問題だと思う。少くともどこの
工場
ではこういうことをやっておりますということを明らかにするということは、
秘密
漏洩
になるようなおそれがあるのではないかと思うので、限界としてはその点あたりが
問題点
じゃないかと思うのですが、どういうようにお考えになっておりますか。
原田久
76
○
原田政府委員
ただいまのお話の
通り
だと思います。結局いろいろな
相談
に応じておる間に、共通的な
技術
の概念として、
技術士
は
経験
を経ていくわけであります。その概念をもとにして
指導
するということは、共通概念として
指導
する場合はいいのですが、会社の個々の問題を他の方に移すということをすれば、これは明らかに
秘密
の
漏洩
ということになってくるかと思います。その間の限界の引き方は、御説の
通り
全くむずかしい点でございますが、そういうふうな運営をされることをわれわれは
期待
しておる次第でございます。
中崎敏
77
○
中崎委員
最後に聞きたいのですが、
建築
士とか測量士とかいうものが現実にあるのでありますが、それと
技術士
とはどういう関係になるのですか。やはり
建築
士というある限られた範囲における
技術士
の資格に準ずるような、また類するような資格を持ったものだと思いますが、その競合の範囲、関連性というもはどういうことになるのかお尋ねしたい。
原田久
78
○
原田政府委員
建築
士、測量士などは
業務独占
と申しまして、これこれの家を建てるのには
建築
士の
設計
によらなければならないということになっております。ところが、
技術士
の方は、
技術士
でなければこれこれのことをしてはならないということはございません。ただ
名称
を用いて
技術
上の
相談
に応ずるということを、
技術士
でないものがやることを禁じておるだけでありまして、そういうわけで本質的には
業務独占
と
名称独占
の差によって区分できるかと思います。そこで
建築
士の人でなければならない
仕事
を
技術士
がやれるかどうかという問題でございますが、これはただいまのように
業務独占
でありますので、
建築
士でなければできないことを
技術士
がやるということはできないのであります。しかし、
技術士
の人が、
建築
の問題について
相談
に応ずるというような
分野
の範囲であれば、これは
技術士
でできるという限界があろうかと思います。
中崎敏
79
○
中崎委員
そうすると、たとえば
建築
に関する
相談
をするような場合において、いわば私生子的な非公式な
存在
として意見を言うのか、公式な手続等については、また
実施等
については、
建築
士がやるんだというように解釈していいのでありますか。
原田久
80
○
原田政府委員
その
通り
でございます。私生子というのはどうも誤弊があるかと思いますが、この
法律
の第二条に「(他の
法律
においてその
業務
を行うことが制限されている
業務
を除く。)」となっております。従いまして、
建築
士でなければできないことをやるということはできません。それ以外のことならばできる、こういう
意味
でございます。
小平久雄
81
○
小平
(久)委員 最初に伺いますが、
建築
士の場合、一級
建築
士、二級
建築
士と二種願かの
段階
を区別して、建物の種類等によって担当し得る範囲をきめておるようですが、この場合は一本にただ
技術士
、こういうことになっておると思うのです。そういうことは考えなさったことはありませんか。つまり
技術
の
程度
によるわけ方はむずかしいかと思いますが、一級
技術士
とか二級
技術士
とか、先ほど来、
中小企業
との問題に関連して論じられましたが、中小、特に小
企業
においては、そう最高度の
技術
は要求してなかろう、むしろ最高以下の
技術
でもよかろう、従ってそういう
段階
をつけておくことによって、極端に言えば料金なども安いもの、よりポピュラーな、
中小企業
のほんとうに要求するところのものを割合安く供給を受けられる、こういう道もおのずから開けるんじゃないかと思いますが、この立案に当って、そういうことを考えなさいませんでしたか。
水間光次
82
○水間
説明
員 立案の途中、仰せのようなことを考えてみました。しかし、よく考えてみますと、
技術
は、ことに最近のようなレベルを考えてみますと、本質的に、相手が
中小企業
だからこれくらいの
技術
でよろしい、大
企業
だから非常に高級な
技術
を要するというような性質のものではないと思います。
中小企業
であれ大
企業
であれ、最高
水準
の
技術
に対するには最高のレベルをもって対処しなければならない、そういうことにこそ
中小企業
のレベル・アップということが必要でございます。従って、そういう際に、一級
技術士
、二級
技術士
というような区分けをしてやることは、
技術
を推進する本質から言いますと、かえって
技術
のレベル・アップを阻害する面も多分にありますので、この際
制度
としては一本に割り切って、先刻来話がありましたように、
運用
面で、公正ということは、これ以上ぼることはいかぬが、安くするのは幾ら安くしてもけっこうでございまして、現に江東方面に非常に篤志家の
技術者
がいらっしゃいますが、そういうふうに熱心に
中小企業
の
技術
を
指導
していくという方があれば、そういう面の逆用によってやりまして、先刻来話がありましたような
中小企業
の金融というような面を、その
技術
の裏づけで——今の
中小企業
の
段階
というものは、その日に追われて、
資金
の量をかせげばいいという
段階
でございますが、今となってはそうではない、せっかく国の金融機関というものを質的に
向上
するような金融の形と結びつけていかなければならぬと思いますので、やはり一級の
技術士
は
中小企業
に対してサービスとしてはできるだけ穏当な、可能なサービスをしていく。そうしてせっかく国の金融機関と結びつけるときには、
中小企業
の体質改善ができるような金融と結びつけていくというのがわれわれの考えでございます。
小平久雄
83
○
小平
(久)委員
技術
の本質から言ったら理屈はまさにその
通り
だと思うのですが、概して言えば高級の
技術
というものは、それを実際に実施するためには
相当
の
資金
が要るし、また実際問題としては、したいのはしたいけれども、なかなか
中小企業
は手が届かないというのが
実情
だろうと思うのです。その点承わっておくだけにしますが、逆に、
中小企業
庁の方で、今回できる
技術士
なるものを
中小企業
の
振興
という
立場
からどんなふうに活用するとか、したらいいと思っているとか、何かお考えがありますか。
川瀬健治
84
○川瀬
説明
員 私どもといたしましては、ただいま
企業
診断というような面におきまして、
技術
の診断等をやっておりまして、そのほかに民間の方のお力も借りまして、
技術指導
の講習会その他いろいろやっております。そういう面におきまして、やはり
技術士
の
制度
が確立いたしまして、保証された、しっかりした高度の
技術
を身につけた
技術士
というようなものが出現して参りますれば、できるだけそういう方にわれわれの方の
中小企業
の診断あるいは
指導
面においても御援助願い、また純然たる民間のベースにおける診断
技術指導
という面にも活用して参りたいと考えております。
小平久雄
85
○
小平
(久)委員 それともう一点、先ほどの御
説明
からしても、
技術
というものは常に最高レベルのものを大
企業
といわず、
中小企業
といわず取り入れさせていきたいという仰せのようですが、これはとにかく一度資格を得れば、一生
技術士
という資格を持つわけですね。ところが、だれも言うように、
科学技術
というものは日進月歩だと言われておる。一たん資格をとった者が一生
技術士
でありますといって、それを看板としてやるということになって参りますと、必ずしも
技術士
の免許の資格を受けた者がアップ・レベルの
技術
を身に体しておるとは限らないと思うのです。それはそういう新知識、最高の
技術
を持たない
技術士
は名前だけであって、お客さんがない、こういうことで、要するに自然淘汰にまかせるのだと言えばそれまでですが、いかに
技術士
の資格を得た者の
技術
を、この日進月歩の
技術
のレベルに合わせていくかという問題が
一つ
あると思うのです。それはそれぞれの人の努力いかんだと言えばそれまでですが、何かそういう点について考えておられますか。
水間光次
86
○水間
説明
員 その点はしごくもっともでありまして、たとえば三ヵ年くらいを限って
登録
の更新をやるということも試案として考えてみました。しかし、これは法制的にも非常にむずかしい点がございますし、かたがたこの種の
制度
についてそういう例があるかどうか調べてみたけれども、ほとんど見当りません。しかし、自動車の運転手などは、場合が違いますけれども、あれは三年で書きかえをいたします。書きかえのときに、条件に適合しなければ没になるということになっております。自動車の運転手ほどの簡単なものでもございませんが、とにかくそれは実際上の問題として、
登録
を更新しなくても、あるいは先刻来問題になりました
技術士会
というようなものがこの方面に必要になってくると思います。そういう墾親
団体
がございまして、そこで大いに
技術士
として
技術士会
のメンバーが切磋琢磨していくということは、ぜひ必要たと思います。その場合に、日進月歩の
技術
の中に飛び込んで自由職業として立とうとする人は、その
技術
におくれをとるということがあれば、実際上お客がついて来ない、商売があがったりになることは事実でございます。そういう点から、みずから励まされ、あるいは懇親
団体
が作られた場合に、お互いに切瑳琢磨するという行き方でいくことがベターではないかと思います。そういうことで
登録
の更新
問題等
は断念いたした次第であります。
小平久雄
87
○
小平
(久)委員 そういう点でちょっと考えられるのは、
技術士
からどういう
相談
を受けたかといったような報告をさせるとか、何かそういうことをさせたら、その
技術士
の
能力
が役所の方でも大体のことはわかるということはわかるということにもなると思うのです。 最後にちょっと先ほどのこの表のことですが、これだけを問題にするわけではないのですけれども、この中に管理部門として、そのうち工業経営というのがあります。工業経営ということになると、これは単に工科とか理科とかの出身の者にだけ
予備試験
を免除するといったような特典を与えることはちょっとおかしいのではないかと思うのです。これは法科にしろ経済科にしろ商科にしろを出た者でも、工業全般となれば大いにやり得るのであって、ちょっとおかしくはないかと思います。これも試案だそうでありますから、この
通り
になるとは限らないかもしれませんが、その辺はいかがでしょう。
原田久
88
○
原田政府委員
お答えします。先刻問題になりました
技術
部門の分類でございますが、先刻も申し上げましたように、まだ十分
検討
しておりませんし、この
検討
は
技術士審議会
あたりでも
検討
していただく予定でございますので、御指摘の点は十分考慮いたしまして、
検討
を加えたいと思っております。 なお、参考に申し上げますと、まだこのほかにも溶接関係の問題だとか、地質調査の問題だとか、あるいは原子力関係の問題というような問題があるのでございますので、そういうものも十分勘案いたしまして、この表につきましては、さらに
検討
を加えたいと思います。
有田喜一
89
○
有田委員長代理
他に御質疑はありませんか——なければ、本
連合審査会
はこれにて散会いたします。 午後零時五十一分散会