運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-05-08 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月八日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 菅野和太郎君    理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君    理事 齋藤 憲三君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君 理事 志村 茂治君       須磨彌吉郎君    南  好雄君       石野 久男君    岡本 隆一君       田中 武夫君    松前 重義君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         科学技術政務次         官       秋田 大助君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         科学技術庁次長 篠原  登君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局管理課         長)      藤波 恒雄君     ————————————— 五月七日  地方自治法第百五十六大条第六項の規定に基き、  放射線医学総合研究所設置に関し承認を求め  るの件(内閣提出承認第四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  放射線医学総合研究所設置に関し承認を求め  るの件(内閣提出承認第四号)  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律案内閣提出第一四九号)     —————————————
  2. 菅野和太郎

    菅野委員長 これより会議を開きます。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、放射線医学総合研究所設置に関し承認を求めるの件を議題とし、まず政府より提案東山説明を聴取いたします。秋田政務次官
  3. 秋田大助

    秋田政府委員 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、放射線医学総合研究所設置に関し承認を求めるの件について、その趣旨を御説明いたします。  原子力平和利用に伴う放射線障害防止対策といたしまして、政府は、放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案を作成し、放射線障害防止について法的規制を講ずることとし、別途御審議を願っているのでありますが、他面放射線障害の予防、診断治療及び放射線医学的利用に関する調査研究並びに関係技術者養成訓練を行うため、科学技術庁付属機関として放射線医学総合研究所設置することとし、さきに科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を今国会に提案いたし、またこれに必要な予算を計上してそれぞれ御審議をお願いいたしました結果、御賛意を得まして、去る四月二十三日、同法律制定公布を見、本年七月一日から施行される運びとなったのであります。  同法律は、科学技術庁付属機関としての放射線医学総合研究所設置、その業務等規定しておりますが、その設置場所につきましては、用地取得手続等関係上、最終的結論を見ていなかったことから、内部組織とともに政令でこれを定めることとされたのであります。  その後さらに検討を重ねました結果、茨城県那珂郡東海村の国有地約六万一千坪を本研究所建設用地に充て、三カ年一両でその整備をはかることといたしました。本研究所業務、土地の立地条件その他から、同地は設置場所として適当と思われますので、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして、国会承認を仰ぎたいと存ずる次第であります。  以上が本件の趣旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 菅野和太郎

    菅野委員長 以上をもちまして、提案理由説明は終りました。  質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  5. 菅野和太郎

    菅野委員長 次に、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
  6. 岡良一

    岡委員 原子力委員長宇田国務大臣の御出席を得て、いろいろと政府としての責任ある御所信を承わりたいと思っておるのでありますが、有澤先生がお見えでございますので、この機会に有澤先生のお立場から、原子力委員としての率直な御所信を若干承わりたいと思います。私ども、この規制法を問題にしておりまするゆえんのものは、規制といえば、政府の権力で天下り的に押しつけがましく取締りをするというような、そういう消極的なものではなく、言うまでもなく、この第一条にもうたわれているように、原子力の今後の開発研究の大きな発展のいわば基盤として、規制法というものの意義がある、こう考えておりまするので、そういう観点から、若干先生の御所信を承わりたいと思います。  まず第一に、そういうわけでありますので、逐条的なことは省略いたしまして、原子力委員会としての基本的な御方針とでも言うような、あるいはまた御抱負というようなものを聞かしていただきたいのです。この法律案を見ますると、あるいは核原料物質なり、また核燃料物質なり、原子炉なりにつきまして、核原料物質核燃料物質についてはその精製加工処理、あるいは原子炉設置運転計画、こういうものについては、それぞれ所管の総理大臣を初め、通産大臣なり運輸大臣等許可権を持っておられますが、あらかじめ原子力委員会意見というものを尊重しなければならないという建前になっております。いわばこの法律運営においては、原子力委員会というものの持つ任務というものは、非常に大きなものでなければならないし、またあってほしい、私はこう思うわけです。そういう立場から、率直に申し上げまして、現在の原子力委員会の機構でもって、この規制法にうたわれているところの原子炉設置運転計画あるいは精製加工処理等について、十分行政府を動かし得るだけの力を持っているのかどうか、私はこの点について、原子力委員会強化とこの法律実施とは不可分な問題ではないかと思いますので、この点について、まず率直なところをお伺いいたしたいと思います。
  7. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力開発につきましては、私はこの問題が日本の将来にとりましてきわめて重大な問題であると考えますので、どうしてもこれを長期的に、計画的に開発方針を立てて、それで開発を進めていくという立場に立たなければならない、こう実は考えております。そういう観点からこの法律もできておると私は信じております。いろいろ原子力開発につきまして、この機運に便乗してめちゃくちゃな開発が行われるというようなことになりますと、日本経済にとりましても一大損失になります。また将来の開発にとりましても、それを妨げるような結果になるおそれがありますので、ここでどうしても長期的な見地から計画を立てて、開発をするという必要があるわけであります。そのためには、核燃料物質とかあるいは核原料物質及び原子炉につきましては、相当強い規制をこの際行わなければならない、こういうふうに考えております。それで、この法律によりましても、今、御指摘のありましたように、原子力委員会が、この規制に当りまして常に意見を徴されることになりました。主管大臣がいろいろな判定措置許可認可をするに当りまして、原子力委員会がその意見を徴され、かつその意見が尊重されるということになっておりますので、原子力委員会任務はますます重きを加えてくるわけであります。今、御質問では、この委員会がこういう大きな任務を担当していくだけの力があるかという御質問だと考えますが、この規制法に基いて原子力委員会意見を述べるということになりますと、これはなかなかいろいろ専門的なむずかしい、面が出てくると思います。それがためには、どうしても私は委員会のもとに専門委員とでも申しましょうか、各分野にわたってのエキスパートからなる専門委員会を設けまして、この専門委員会意見をわれわれが聞きまして、そうしてわれわれが考えております基本方針に照らして、この際この炉を入れるがよろしいとか、あるいは核燃料物質の精細を行うのがよろしいとか、これだけの能力を持たしめるのが適当であるとかいうふうな判断を下す必要に迫られるわけであります。そうでありますから、その判断は今申しました長期的、計画的な観点から下すと同時に、また平門技術的な知識に基いた判断がなされなければならないと思います。そういう専門技術的な知識は、とうてい今の五人の委員だけではきわめて不足でありましてまたこれが十人になったところで、なかなか十分な知識を集めることはできないと思います。やはり広く専門専門家を組織化しまして、その専門委員会というふうなもので十分な検討を経たその知識に基いて判断をする必要があると思います。それで、その意味におきましては原子力委員会をもう少し強化する必要があると思いますが、その強化の方向といたしましては、私の考えておりますところでは、専門委員会が今三十人にたしか限定されておると思いますが、三十人をうまくローテーションをして、運営していけばいいようにも思いますけれども、しかし、それでは非常に窮屈になるのでありますから、この専門委員はもっと拡充することが望ましい、こういうふうに考えております。それからもう一つの、これは委員会にとりましてもっと直接的な問題となるかと思いますが、今までのところでは、委員会原子力局事務局として使って資料を収集し、調査を進め、企画をせしめるというふうになっておりますが、しかし私たち委員の手元には、直接の調査官もなければ、事務官もいないというふうな形でありまして、私たちもやや不便を感じておりました。しかし、幸いにも今年度になりましてからは、調査官も二名ですか、つけていただくことになりましたし、また事務的な補佐官も四名ですか、つけていただくことになりました、これでだいぶ私たち仕事がはかどっていくというふうな態勢が整ってきたように思います。ですから私たちは今年の予算によって措置されました人員を手足にいたしまして、それから原子力局の方の方々の援助を十分に求めまして、先ほど申しました長期的な開発計画方針を作成するつもりであります。今までもそういう長期計画は一応できておりますけれども、まだ何分にもそれに時間的な系列と申しましょうか、タイミングが入っていないのであります。原子力開発ということがいよいよ具体的な形で問題になってきしました今日におきましては、この長期計画も、タイミングを入れた長期計画を作らなければ、あまり意味がない。別の言葉で申しますならば、われわれの前に現われてくるところの重大な問題につきまして、一々これに判断を下していくのには、不十分な方針であるということになって参りました。それですから、今年はさっそく始めておりますけれども、一昨日お話申し上げましたように、この長期計画タイミングを入れて、大体昭和四十年から四十五年の朝礼には、わが国の技術を土台にして、原子炉による発電が行われるような態勢に持っていく。その間の十年ないし十五年の間のタイミングをどういうふうに取り入れていくか、このことにつきまして、鋭意研究するつもりでおります。
  8. 岡良一

    岡委員 そこで、ただ私ども寡聞ではありますが、多少諸外国事例等を調べてみますと、アメリカ原子力委員会は、渉外的に国務長官権限も持っておる。国内的には行政権を一切掌握しておる。しかも予算編成権まで持っておる。非常に大きなものを持っております。もちろんこれは国家の防衛、国の安全保障という大きな建前を掲げておりますので、さもありなんと思いますが、しかし、原子力平和利用を掲げておる、たとばえインドのごときでも、先般のインドの組閣のときには、ネール首相がみずから原子力相を兼ねて、専任の原子力相総理みずからが買って出ている。あるいは英国の場合でも、それぞれノーベル賞級専門学者も動員しながら、しかも最終的な決定権はやはり枢機相が持つというふうな形で、非常に大きなウエートを置いて取扱いをしておるという事例を見ておるわけです。御指摘のように、私ども原子力というものが特に核融合反能ということになれば、いわば太陽のエネルギーを人間の手で創造できるという段階になったわけですから、これは蒸気機関の発明以上に大きな経済構造の変革を示唆しておるものではないかと思うのであります。世界観的に見たって、ほんとう実験物理学者自分たち研究室で、物質が生成発展するエネルギーだという認識に到達したということは、おそらく唯物的な世界観にも大きな修正を要求するというような、大きな歴史的意義を持っておると思うわけです。核実験等をめぐって、一九五四年のビキニ時代から見れば、一段と実用段階に入った水爆実験の競合というものが、常に戦争か平和かというよりも、繁栄か人類の絶滅かというような、やはり非常に深刻な様相を呈しておると思う。そういう原子力時代に対応する認識を、やはりこの際はっきりと持ってかかるということ、おそらくこれからの各国経済的な計画にしても、施策にしても、あるいはもちろん外交分野においても、原子力問題というものがだんだん中軸になっていくというような、非常に大きな歴史的な転換を示唆しておると思うわけです。そういうような大きな意義原子力問題に見出すという立場から考えますと、なるほど原子力委員会も、現在は、御指摘のように、二名の調査官、四名の補佐官程度のものがつかれました。そして委員会設置法によれば、原子力行政万般について調査し、企画し、決定するという権限が与えられておるのです。ところが、事実上それではこの決定行政府によって正しく尊重されておるかどうかということになると、先般も予算委員会大蔵大臣あたり意見を聞けば、実用動力炉なんてとほうもない話で、国の金でそんなものは出せつこない、実験炉程度のものしか出せないというようなことを言っておられる。従って、それでは民間に譲られるという結果に相なろうかと思うわけですが、そういうような形でいくと、この原子力というものの持つ大きな歴史的意義と申しましょうか、われわれの立場からは、やはりこういう人類の英知というものは、全国民、全人類の福祉、文明の発展に役立たしめるべきだという考え方からいうと、非常にゆがめられた形に持っていかれるのじゃないかという懸念を実は持つわけです。この法案だけを取り出すと、なるほど、どれもこれもごもっともなことなんですが、さてこれを実施面に移して運営するという段階になってくると、原子力委員会というものが、単に下だけ強化していいのかどうかという点に、私はかなり疑義を持つわけです。外国事例も今申し上げましたような形で、西ドイツにしたって、ああしてシェトラウスは閣内での大物でありますが、これが原子力相を兼任しておるというような形であるようです。やはり原子力委員会というものが企画し、調査するには、今、御指摘のように、この方面における専門的な主権も必要でしょうし、問題がきわめて渉外的な分野にわたっておりますので、そういう国際的な原子力問題の動きについての認識と、また原子力外交というふうなものに関する主権と、同時にまた先生のような、日本の国の今後の経済の上において原子力平和利用をどういうふうにあんばいしていくかという計画を立てるいろいろな仕事が、これからも錯綜してくるわけです。さてスタッフを作って、スタッフを中心に調査し、それを企画され、そこで委員会が十分に議を練って結論を出されるとしても、この決定された結論行政灯を動かし得るかどうかという、ここにまず一つの問題があるのじゃないかと私は思うのです。これは数年前先生と、私も末席に連なっておりました社会保障制度審議会勧告をしたことがあります。あの当時、年金の整理統合に関する勧告は、制度審議会としてまことに砕身粉骨の作なんですが、ところがこれが全然顧みられないどころか、かえって地方団体の職員の恩給制が別途に立法化されていくというような道コースさえ出てきた。こういう事例は当ってないかもしれませんが、えてして、こうした諮問機関的な委員会決定勧告行政府によって尊重されるという道義的な規定はあるが、事実これが行政府を動かし、施策に十分に反映するという慣例が、遺憾ながら私は日本に乏しいと思う。アメリカマッキ二一が勘吉をする。去年一月十一日にあのマッキ二一の勧告が出ると、二月二十二日にはアイゼンハワー大統領は四万キロの濃縮ウランの放出を声明する。同時に原子力委員会は、アメリカのビッグ・メーカーにどんどんこれまでの機密資料制限資料として接近を許すというのです。やはりあの七人委員会勧告行政の上に非常に反映される。ところがどうも日本勧告は、せっかく有能な方々にいろいろないい御意見を出していただいても、行政府としても、それを尊重してそれを実施させていこうという熱意がまだ十分ないといううらみが私はあると思う。ここに原子力委員会というものの強化一つの。ポイントがあるのではないか、こう思うのですが、こういう点、先生のお考えはいかがでしょうか。
  9. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原子力委員会設置されました法的な根拠に基きますと、原子力委員会決定したものは、総理大臣がこれを尊重しなければならない、こういうふうになっております。普通の審議会といいますか、諮問のための審議会の場合におきましても、政府が諮問いたしました場合に、その審議会答申が出されたならば、この答申が尊重をされることが望ましいことだと私も思います。特に原子力の問題になりましては、先ほども申しましたように、これが長期の見通しのもとに計画的に開発されなければならない。そういう観点から、原子力委員会ではいろいろな問題について決定を行うわけです。ですから、この決定総理大臣が尊重しなければならないというふうに法律に書かれてあります通りに、尊重していただきたい。これは衷心からこいねがうところでございます。ただ私の一つ疑問点としておりますのは、何分にも原子力委員会学識経験者が集まって委員会を構成しておりましてそれで物事が決定されるわけです、ですから、その決定は、いわばどんなインタレストにもとらわれないで、ほんとう日本の国の将来から見まして、原子力をこういう形で開発していくのが最もいい方法であるという見地でその決定が下されることになります。しかし、内閣がその原子力委員会決定通り内閣方針決定していくことができればまことに幸いでありますが、場合によりましては、これはまれな場合かと思いますけれども原子力委員会決定決定といたしましても、内閣立場から申しますと、たとえば、対外的な外交方針の点とか、産業開発の点とか、あるいは予算とかいうような点から考えてみますと、なるほど原子力委員会決定ももっともだけれども、今のところ、たとえば予算上そうはいかない。お金を十分つけて出した、いけれども、ほかとの関係もあって、要求通りには出せないのだ、こういうふうな場合も起ってくると思うのです。そういうふうに、内閣判断委員会判断たが食い違う場合が実は起ってくると思います。私は、これは適当に調整をしなければならないと思います。と申しますのは、内閣判断に上向るような委員会判断があるということでありましたならば、内閣国民に対して行政上の責任を持っておる、ところが、委員会は少くとも直接には責任を持っているとは言えないので、責任の衝に当る内閣が、国民に対して全面的な責任を帯びて行政をなさっているのでありますから、直接責任を持たない委員会決定が、常に内閣を拘束するということになりますと、そこに責任体制上の問題が出てくるのではなかろうかと思います。政党政治の今日におきましては、その内閣一つ政党立場から最善と信ずるところの行政をとり行っておるわけであります。これに対して、委員会の方は、今申しましたように、政党ではない、どんな政党意見をも代表しておるのではないし、またどんな社会の層のインタレストをも代表しておるものではなくて、純客観的に、純化学的に、そういう立場から長期計画的な判断を下しているわけです。ですから、その判断が食い違うことはまれだと思いますけれども、食い違うような場合も出てくるわけであります。で、政党政治立場、すなわち国民に対して、時の内閣に立っていられる政府国民に対して全責任を帯びた行政を執行去れるという建前におきましては、内閣判断委員会との判断がうまく合わない、つまり別言葉で申しますと、原子力委員会判断をもっともだとしても、その通りにげ行い得ないというふうな場合も出てくるかと思います。ですから、この場合には、おそらく先般そういう事例として起りましたのは、日本原子力研究所敷地場所をどうするかという問題について起ったように、あの場合には国防上の見地をわれわれは全然考えていなかったのですが、内閣といたしましてけ国防上の見地も考えなくちゃならぬというわけで、もう一ぺん敷地については原子力委員会で再考する余地がなかろうかというのが内閣からの申し出でありました。で、私たちもそこでもう一ぺん審議を重ねて、今度は東海村というふうに敷地決定のしかえと申しますか、決定をしかえたわけでありますが、そういうふうな問題が起ってくると思います。しかし、これは今日の政党政治立場から申しまして、当然遡る問題でなかろうかと思います。これも私は日本原子力開発が、まだ何と申しましても研究段階である、この研究がずっと進んで参りまして、広くそういう研究の結果が、民間といいますか、経済界でどんどん利用されるというふうな時期に臨みましたならば、むしろ内閣原子力省とか原子力大臣とかいうふうな、その方面原子力開発についての担当の責任者が設けられまして、その責任のもとにおいて開発するのがよろしい、こういうふうに思うのです。しかし、今のまだ研究を主とする段階におきましては、やはり何ものにもとらわれない客観的な立場から、長期計画的な方針を立てて開発研究を進めていくということが最もいいことだと思います。その結果として今、申しましたように、内閣判断委員会との判断に食い違いが起るというふうなこともまれには起り得るわけでありますが、そのときにはやはり内閣の方におきましても、また委員会の方におきましても、十分それぞれの立場を考えることによって調整をはかっていく、これがやはり民主的な運営だ、こういうふうに私は考えておる次第であります。お答えになるかどうかわかりませんが……。
  10. 岡良一

    岡委員 御趣旨は私もよくわかるのであります。将来この問題がいよいよ重人性を帯び、また具体化するにつれて、やはり各国のように原子力相あるいは原子力省を設けるとかいうふうなところまで行き得る可能性の十分あり得る問題だと思いますが、まあそこまで行かないにしても、たださっきも申し上げましたように、ともすればこの意見決定勧告というふうなものが行政組織によって重用されないといううらみがある。東海村、武山のことは差しおきましても、たとえば二月九日に原子力委員会アメリカとの間に、あるいはイギリスとの間にも、一般協定の交渉に入ろうというような御決定が漏れておる。そうすると、今度は研究協定細目員協定改訂で、現地で大わらわの諸君は非常なショックを受け、改訂そのものに非常な難航を生じたというような事例がある。そうかと思えば、また英、米、カナダあるいは共産圏との動力協定等の問題について考慮するという委員会を代表する委員長の言明がある。閣議の了解事項だという。ところがすぐしばらくしたら、閣議でそんなことはきめないということがある。あるいはまた大蔵大臣も、先ほど申しましたように、実験段階までならば政府としてはこれに支出をしてもよいだろうが、政府はそれ以上は現在の財政規模では許されない、そういうふうなことが次々と重なってくると、一体原子力委員会がそう無責任決定をされたのではということで、国民としてもやはり原子力委員会を批判してくるかもしれません。これは初めが大事でありますから、原子力委員会としては、責任の持てる決定をする。同時に政府もまた原子力委員会決定には責任を分つという誠意を持たなくてはならぬ。こういうふうな運営に持っていくには、今の原子力委員会は、たとえば外交上の問題であれば委員会の席しに外務大臣に来てもらう、担当者に来てもらって、どうだということで話をして、前に発表したことがあとで取り消されるとかいうことのないように、金のかかる問題であれば、相当巨額なものであれば、やはり財務当局者に来てもらって話をして、そこで話し合いの結果として、やはり計画といえども可能性いうことが大きな仕事でありますから、そういうふうに大蔵大臣なり外務大臣なり——国防会議なんか、ああして国務大臣がずらっと並んでおりますが、顔は並べないでも、委員会権限でもって、せめて委員会の席上へ呼んで話をする。そして、そういう外交的な面あるいは財務責任者等の意向等を十分くんで、それらを十分に重要な参考として委員会としての決定を下す、そういうようなところまで委員会としての権限が高められなければならないのではないかと私は思うのです。その点はいかがですか。
  11. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 今、御指摘にありましたように、むろん私たちが客観的に判断を下すと申しましても、その判断を下す前には、外交問題に関する問題につきましては外務当局の御意見も十分参酌する。また私たちの考え方もお話し申し上げる。大蔵省の関係につきましても同様だと思います。それは今までもやっていなかったわけではないのですが、その点において多少不十分であったということは言えるかと思います。たとえば、参与会なら参与会というふうなものにおきましても、現在の参与会には財界の方、学界の方はいらっしゃいますけれども、官庁の方は委員になっていらっしゃいませんので、そういう点から申しますと不十分な点があるということは言えると思います。また委員会といたしましても、個々の問題につきましては、大蔵省の局長の方に来ていただいて私たち意見も申し上げるし、また外務省の立場からの御意見も十分伺って、その上で私たちはどこにもとらわれないような判断を下してきたわけです。ですから、それが今まで連絡が不十分な点がなかったかと言われますと、むしろ私はあった、こう申し上げなければならないと思います。この点は今後十分私たちも意識しておりますから、そういう点に気を配って。今後運営をしていきたい、こういうふうに考えております。
  12. 岡良一

    岡委員 それから、さっき専門委員のお話が出ましたが、これは私から申し上げるまでもなく、先生よく御存じだと思います。資源調査会なんかでは、やはり専門委員というものを非常に活用されております。この専門委員についてはちゃんと施行令にあるわけですから、この専門委員をもう少し財政的にも考えて活用したらどうか。しかも日本の科学水準は相当に高いと思いますが、この専門委員の諸君を、この方面のこれから開拓しようとする新しい分野でフルに動いていただくように運用するという点が少し足りないのじゃないかと私は思うのですが、具体的にどうしたらよいかということです。これについて、佐々木さんから何か御意見はありませんか。
  13. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいままでの専門委員のやり方でありますが、現在は大体三つの部会に分れておりまして、動力関係放射線関係、材料関係偉いろいろに分れて審議されておりますが、もう一つ、特にコールダーホール型の原子炉研究がございまして、地震対策委員会というようなものにおいても地震の問題を研究いたしております。ただいまのところでは、あるいは緊急のものはそういう程度かと思いますが、しかし先ほど来有澤委員からお話がありましたように、今後この法案が通りまして委員意見を聞いた上で行政的に処分するということが非常に多くなってくるだろうと思われますので、できれば専門委員をふやしまして、そうして各界の人々の意見を十分に徴し得るような方法を考えていったらよいのじゃないかというふうに考えております。ただ政令で三十人ということに定まっておりますので、必要に応じては政令を改正いたしまして、そうしてもう少し拡大した意味専門委員会を作るというようなことについても研究中であります。
  14. 岡良一

    岡委員 それから、この二名の調査官、四名の補佐官という程度のスタッフでは足りないのじゃないかと思います。ほんとうならば、原子力局事務局になってもよいと思います。しかしそれは、原子力局を動かしてしまうと科学技術庁がもぬけのからになっても因るというようなところに悩みがあるのですが、それは相当強化すべきだと思いますが、具体的に先生の方で何か御方針がありましょうか。あるいは原子力局長からも運営の経験からどうすべきかということについて、お伺いいいたしたい。
  15. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 専門委員会につきましては、今、局長のお話にもありましたように、三十人の定員になっておりすして従って、問題が出たときには、十人なら十人の委員を選んで問題を検討してもらいまして一応それの結論が出ましたならば解任するということになっており、そうしていつも委員の席をあけておきまして、必要があればまた新しい委員を、任命して参るというように、ぐるぐる回して専門委員を使っておるわけであります。ところが今後この法案が通るということになりますと、原子炉なら原子炉について、常置的な専門委員があった方がよいというふうに考えます。常置的というのは、何も常勤というわけではないのですが、専門委員として、たとえば大学の何々教授をこの問題に関する専門委員として常にその方面研究をやってもらう、こういうふうに常任委員の制度を作っていただきたいということが、常任委員についての一つの私の意見です。ですから、核原料物質核燃料物質、それから原子炉についても、障害の問題とか施設の問題とかいろいろありますから、かなり分野が広くなるかと思いますが、かなり広い分野にわたって、それぞれ常任的な専門委員を置いて常に研究を進め、検討してもらう、こういう制度が望ましいと考えております。  それから、もう一つの、委員会に付属しております調査官でございますが、これは今年は二名になっておりますが、これももう少しふやしていただけるといい。そして、それぞれの調査官原子力開発の問題について一つ分野を担任できるような、せめてその程度の人数があることが望ましい。これは私は望ましいと思いますが、実はそういうふうに考えております。だんだん原子力委員会調査すべき分野も広がって参りますし、また深まって参りますので、なかなか調査にも手間がとりましょうし、また時間もかかると思いますので、これをあまり時間をかけていつまでも決定をおくらすということになりますと、開発に支障を来たすことだと思いますので、そういうのは常にその分野については自分が担当した調査をやっている、それで企画も考えておる、こういう専門調査官といいますか、専門にその分野を担当している調査官が数名いることが必要だと考えております。
  16. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 有澤委員の御答弁で別に付加する点もございませんが、私も同じ考えでございまして、できるだけそういう希望に沿えるように努力いたしたいと考えております。
  17. 岡良一

    岡委員 そこで、原子力局から出向するのですか、原子力委員会に一応事実上配置されておるというのではなく——もう少し、あるいは外務省なり大蔵省なりからも出向させて、そういう関係も常時連携をとって、そしてまたそれらの意見委員会で十分とり得るようなそういうパイプを作る必要があるのではないでしょうか。
  18. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 科学技術庁原子力局の方では、そういう点を考慮いたしまして、ほとんど各省から漏れなくと申してもいいほど来ております。もちろん外務省からも課長が参っておりますし、大蔵省からも一人事務官が来ております。これは帰って、後任を今、選定中でございますが、通産、運輸、農林、厚生、労働の各省から来ておりまして、その混成部隊のような格好で原子力局は構成されております。ただ岡委員のおっしゃる意思は、そういうことだけではなしに、もう少し専門委員とか参与とかいったところに各行政機関の相当の責任者を任命して、そうしてその参与会なり専門委員会である程度審議した場合には、各省の意見も十分織り込まれるというふうな態勢が望ましいのではなかろうかという御意思かと思いますが、私ども最近その点を反省いたしまして、そういう方向に今年度から向おうではないかとただいま考えております。
  19. 岡良一

    岡委員 くとくどしく原子力委員会の問題を、法案と関係がないようなことをお尋ねするのも、さっき申し上げたように、何としてもやはり原子力委員会に、この法の運営上われわれ一番期待しておるのですから、原子力委員会強化とこの法律は一体不可分なものだと私は思うので、原子力委員会強化という問題と、この法律案とを一体的に私どもは考えたいと思って申し上げたわけなんです。  それで、いずれあとでまた委員長がお見えになってからお尋ねいたしますが、この法律案の内容についてでありますが、第一条で目的がうたってあります。「これらの利用が計画的に行われることを確保し、」ここは非常に大事なところなんですが、具体的に一体どういうふうにして確保するというおつもりですか。
  20. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ここでいっております計画的と申す意味は、先ほど有澤委員からもお話がありましたように、長期かつ総合的にプランを盛っておりまして、この法案の意図する効率的な開発と申しますか、あるいは平和的な目的に合致する、あるいは安全を保障するといったような面を兼ね合せ、なかんずく特に核燃料物質等の需給関係から判断して、どういうふうにこの許認可事項を行うべきか、あるいは先ほど申し上げましたような原子力政策全般から見ましてどういうふうにむだなしに効率的に運営していくか、こういう点がここにいう計画的という意味の内容かと思います。  さてその確保の方法でございます。けれども、方法といたしましては、この法案の内容そのものが、一つの確保の方法といってもいいのじゃなかろうかと思いますけれども、たって申し上げますと、原子力委員会意見を聞いてということで、許認可に際して根本は原子力委員会意見を聞いて定めることになっております。そこで、原子力委員会は、御承知のように原子力政策そのものの基本を樹立するところでありますので、原子力委員会の方でそういう基本的な政策を十分勘案した上、個別的なケース、ケースを処理していただくというふうに考えられますから、この法案の趣旨を十分体して、そうして計画的にやっていけるのではないかろうかというふうに考えております。
  21. 岡良一

    岡委員 そうなりますと、また前の話に戻ってしまうのですけれども、そこで原子力委員会というものをよほど強化しなければならぬと思うわけなんです。そこで、具体的に、この法律案がいよいよ施行になるということになれば、こうして原子力発電、原子力発電という声がかまびすしい折柄ですから——しかも、この間も、電力会社の社長会議で、とにかく政府機関じゃない、われわれで共同出資をして実用動力炉を入れるのだと決定しているようですね。そこで、これがいよいよ効力を発生し、実施されるということになると、民間会社の方でもうこうして激しい売り込みの競争があるわけですから、前々から話し合いを進めてこの法律に基いてその手続を経る、そうしてまた、基準に合致したものを申請の内容としてうたって、そこで内閣総理大臣の許可を得る、こういうようなことがあり得るのじゃないですか。
  22. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この法案の内容では、たとえば、今例にあがりましたような企業形態をどうするといったようなことは、全然触れないのでありまして、日本原子力研究所並びに原子燃料公社に関しましては、もちろん立法でその任務権限等も規定してぐるのでありますから、それに従ってそのまま執行すればいいわけでありますけれども、その以外の企業形態等に関しましては、原則としては、ここに書いてありますように、製練、加工、再処理——再処理は燃料公社そのものでやっていくわけでございますけれども原子炉に関しましては、実験の段階におきましては、日本原子力研究所を中心にという建前でこの案ができておりまして、それ以外は指定または許可という態勢をとっております。その許可、指定に際しましては、ただいま申しました日本原子力研究所並びに燃料公社以外の社のものを許可する、あるいは指定するという段になるわけでありますけれども、その点は、先ほど申しましたように、行政府だけでそれをきめるのじゃなしに、あるいはこれに書いてあります指定の基準あるいは許可の基準そのものだけで許可するのでなしに、あくまでも計画的に問題を遂行するという意味から、特に原子力委員会会の意見を聞くという項を付しまして、そして指定あるいは許可をいたしたいというふうになってございますので、決して私企業であるからこれは自由だ、あるいは公社制度がよろしいからそれてやらすといったようなことは、この法案には何ら予言いたしてないのであります。企業のいかんを問わず、最もこういう計画的な遂行に適合するようなものでありますならば、委員会で十分御審議いただいて、許可あるいは指定をするというふうにいたしたいと考えております。
  23. 岡良一

    岡委員 だから僕はそこをお聞きしているのです。結局、公社形態にするか、自由に民間の資本にまかすかということは、これは党と党の立場ですからこの際申しませんけれども、しかし、いずれにしても、この法律案では、企業形態については何ら拘束がないわけです。この間もグッドマンが来る、ニコルズが来る、ヒントンが来る、今度また大挙してアメリカのお歴々が来るでしょう。そういう格好で接触が重なっていけば、この法案がやがて発効するというときに、僕は当然話し合いが起ってくると思うのです。そういう場合に、民間の社長会議決定のような形で話し合いが進められて、アメリカの炉なら炉で五つくらいのタイプがありますね、そのうちのどのタイプを選ぶかということは、原子力開発計画と不可分の問題です。ところが商社の方では、この原子力長期開発計画と無関係に、おそらく利益採算で選ぶでしょう。その場合、原子力委員会計画に合致するかどうかという判断を下すわけですが、合致しないと判断を下しても、許可しないということに実際なるかどうか、そこの力関係が私は非常に心配なんですが、そういう点どうでしょうか。
  24. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 岡さんの御心配は大へん重大な点をつかれておると思いますが、ただ、この法律案によりますと、たとえば原子炉設置につきましては、日本原子力研究所以外の者で原子炉設置しようとする者は、総理大臣の許可を受けなければならない、そして許可を受けようとす者は、申請書を出さなければならない、総理大臣がこの申請に基いて許可をしようとする場合には、許可の基準というものがありましてその基準の第一は平和利用ですか、第二には「その許可をすることによって原子力開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないことと。これが第二十四条の第一項第二号にあります。そしてこの第二項に、「前項各号に規出する基準の適用について」総理大臣は「あらかじめ原子力委員会意見をきき、これを尊重しなければならない。」こういうふうになっております。私の考えでは、岡さ、んの御心配は、むしろこの法律がもしないときには、電力業者が——これはたとえばですが、電力業者が外資を導入したり何かしまして、これこれの炉を入れたい、入れるのだ、こういうことを言われても、これを阻止する法律上の根拠が何もない。もしこの法律がありえすれば、総理大臣はその許可をするに当りまして、この基準から見てどうだろうかということを、この法律に従って原子力委員会意見を聞かなければならないことになります。われわれは、安全であるかどうかというふうなこともむろん検討しますし、またその炉を運営する人が十分に技術的な能力があるかどうかということも審査検討するのですが、そのほかにこういう型の炉をこの段階に入れるのが、日本原子力開発計画にとって適当であるかどうであろうかということを、十分吟味するわけです。その結果、どうも適当でないという判定を下せば、われわれはそういう意見を具申することになるわけであります。おそらくこの場合には、政治的な責任の問題はあまりからんでこない問題だと思いますので、これは確信といいますか、私は確信しておりますが、総理大臣はわれわれの意見を尊重していただける、こういうふうに思うのです。ですから、むしろこの規制法というのは、なるべく早く法律とならないと、ぐずぐずしているうちに、だれかがこういう炉を入れたいというふうな事業を興すということになりますと、これがかりに日本原子力開発という見地から見てそれは少し早過ぎるとか、まだそれはおもしろくないとかいうふうに考えましても、これを阻止することができない。少くとも阻止し得る法律上の根拠がない。それは為替管理法とか、そういうもので押えることは事実的にはできるかもしれませんけれども、少くとも堂々たる根拠に帳いて、それはまだ早いとか、それは適当でないとかいうふうな法律上の根拠に基いた判定に従って、これを阻止するということはかえってできないのじゃないか、こういうふうに考えております。ですから、私がこの規制法をなるべく早く法律化しなければならないと考えますのは、そういうふうな、もうだんだん原子力発電の情勢が何となく高まってきたので、この法律を早く作って、ちゃんと行くべき道を示して、その道に従った開発が秩序よく行われるように措置することが、この際最も必要だというふうに義は考えておるのです。ですから岡さんの御心配は、この法律ができれば、委員会が先ほど来の弱体であるか弱体でないかという根本問題はそこに一つ残りますけれども、私は委員の一人として、最善の努力を尽すことによって、比較的混乱のないように、原子炉なら原子炉設置開発を進めていくことがかえってできるのではないか、こういうふうに実は考えておるのです。
  25. 岡良一

    岡委員 一昨日も申し上げましたように、いろいろ学界方面意見、また電力業界の意見は、対立と申しましょうか、かなり食い違いがあるわけです。これをどう調整しながら日本エネルギー問題を解決しつつ、しかも原子力の将来を見通した開発計画的に進めていくかという、原子力委員会として非常にむずかしい立場におられるわけです。武山問題が先ほどお話に出ましたが、あれなんかも、水陸両用部隊の演習用の基地として必要であるというような示唆が相手国からあれば、国防上の理由ということで、原子炉敷地東海村に置きかえられる、これは私はかなりのウエートを持つと、思うのです、日本の九電力会社がタイアップして、これでやらなければ単価が何ミルだ、一方の方が高いからということで、それはやはり国民生活に至大な影響を持つものですから、そういうことになると、どちらに頭を振るかという政府の頭の振り方、先生のおっしゃるこの法律は私も読んではおるのすが、果して原子力委員会の所期せられる総合的な、計画的な開発の方向に政府が頭を振ってくれればいいのですけれども、振ってくれなければこれは大へんな危険があるわけです。そこのところを、先生はそうなったら原子力委員をやめるというような約束をしていただけますか。
  26. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 それはむろんのことでございまして、私も、原子力委員としては、原子力開発日本国の将来という問題を十分に考えて判断を下しておるつもりです。ですから、それの根本の点において、私なら私の意見が、あるいま委員会意見がれられないというふうな場合が起れば、それはそれ以上の責任はとれない、こう私は考えております。ですから、武山の問題のときには大きな実験動力炉でも入れるような場合には、どうしても東海村でなければならないというような工合に、敷地としては予定されておったわけです。ですから責任がとれないような大きな根本的な問題であるとはわれわれ為難しなかったのですから、ああいうような調整ができるような判断を下したわけです。しかし、むろんわれわれの信念からいって、そういったことをやるのでは、もう日本原子力開発はめちゃくちゃになるのだということで、かりにそういうふうなことになりますれば、それはもう私としては責任はとれない、こう申し上げるより仕方がないと思います。
  27. 岡良一

    岡委員 大臣が一時半からお見えのようでありますから、それまで保留したいと思います。
  28. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 法律の条項に基いて御質問を申し上げます。過日、御質問申し上げました選鉱と製練の関係に上る主務大臣共管の問題は、原子力局から答弁書が参りまして、それを拝読いたしました結果、共管またやむを得ずという結論に達しましたので、それ了承いたします。逐条的に私の了解しがたいところを御質問申し上げますから、簡潔に御寺弁をお願いいたします。  第三条で「製錬の事業を行おうとするもの」ということにたなっておりますが、「製錬の事業、というと、ある一つの形態をとらえて、採算的に検討を加えていくのが事業だと思いますが、製練を行う場合の中間工業試験的な場合ですね。これの収締りは一体どうでありますか。
  29. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまの段階では、この事業行うもの云々に関しまして、その内容を政令で定めることになっておりますが、これを事業の単位にするか、あるいは工場別にするか等の問題があろうかと思います。もう一つのただいまの中間試験等はどうするのだ、これもこの法の適用を受けるか受けないかという問題でありますが、ただいまの段階では、中間試験に関しましては、国の補助等をいたしまして、そうして中間試験までいく前期の段階、中間試験まではいかない試験の程度でございまして、今後、中間試験ということになりますと、やはりはっきりしたいわゆる小規模でも工場形態を備えるものでありますれば、この法の適用を受けるものというふうに解釈していきたいと考えております。
  30. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私の申し上げるのは、政令で定める場合に、他日事業を目的としておるものが、まだ事業の開始をする段階にまで一切の準備が整わない、試験研究をやらなければいかぬし、中間工業試験もやらなければいかぬしというものを、この政令の中に入れて取り締るかどうかということです。
  31. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 公社でただいま考えておりますああいう形態の何億というような金のかかるようないわゆる中間試験工場は、この対象になろうかと思いますが、ただいまお話のありましたような、そうでなくてもっと前の、いわばほんとうのその事業に伴う研究所というふうな程度で研究なさるのであれば、この法案の適用外というふうに考えてよろしいのじゃなかろうかとただいまのところでは考えております。
  32. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 もう一つ、第三条で「原子燃料公社以外」ということになっておりますが、もちろん、原子燃料公社は原子燃料公社に関する法律によって指定を受ける必要はないと思うのでありますが、この製錬の事業は、通産大臣との共管になっておる。そうすると、原子燃料公社と通産大臣関係は一体どうなるのですか。
  33. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいまのところは、原子燃料公社は内閣総理大臣の専管と申しますか、監督下にあるわけでございまして、直接因果関係はないわけでございます。
  34. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そうすると、原子燃料公社は内閣総理大臣の専管であるから、製練を行う場合も、通産大臣関係というものはないということになるのですか。
  35. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この第十一条、第十二条のこの前に問題になりました点だけは共管になりますけれども、それ以外の点に関しましては、先ほど申し上げた通りでございます。
  36. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第十一条、第十二条と申しますと、そうするとこれによりますと、やはり製練に関してだけは通産大臣の共管の範囲に入るということになるわけですか。
  37. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 策十一条、第十三条に共同省令で出す記録の問題あるいは保安規定の問題に関してのみ共管の思想が出て参りまして燃料公社そのもの自体に対する監督とか、それ以外は、全部総理大臣が直接監外をするという建前でございます。
  38. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 まあそれはそれとして承わっておきます。  それから、第四条でありますが、この第四条によりますと、通産大臣内閣総理大臣が共管にして一、二、三の各号に対するところの権限を持っておるわけであります。その事業を適確に遂行するに足る技術的能力及び経理的基礎がある、こういう問題に対しまして内閣総理大臣及び通産大臣との共管という場合に、内閣総理大臣も通商産業大臣もおのおの法的根拠を持ってこの資格を認めるということになると思うのですが、この点は一体どういうふうにしておやりになるのか。指定の重複を認めるのか。
  39. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 実際の運営に当りましては、ただいま私の考えておりますのでは、科学技術庁原子力局並びに通産省の鉱山局などで十分何方の資料を突き合せてそうしていろいろ的確な資料を整えまして、第二項にありますように原子力委員会にそれを持ち込んで、それでこういうことになっておりますが、いかが判断して下さいますかということでその意見を聞きまして、そうして両者で許可をするというふうなのが実際の運営上のやり方だ、こういうふうに考えております。
  40. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 たとえば、「その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。」それから「製錬施設の位置、構造及び設備が核原料物質又は核燃料物質による災害の防止上支障がないものであること。」こういうことになりますと、資格の判定というものを一体どこに置くか。たとえて申しますと、放射線障害防止法では、国家試験をもって、障害防止を取り締る者の資格を与えておるが、これは、技術的能力とか、それから災害の防止上支障がないものであるとかというようなものを制定するのに、一体どういう基準を与えて実行されるのであるか、これを一つ承わりたいと思います。
  41. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 いわゆる物自体を中心にいたしましたアイソトープの取締りのような取締り方法じゃなくてこれはもっと強い規制方法とつておるわけでございます。と申します意味は、事業そのものをひっくるめて、そしてこれを落するという立場に立っておりますから、当然その許可を与えます際には、この申請書に十分そういうものを織り込んだ申請をさせます。そして、この申請書でなお不十分な際には、さらにこの指定基準に照しまして、これは政令等で詳しく書くわけですが、資料の提出を求めまして、そして、さらに許可を与える際には、政府として許可に条件を付することができるようになっておりますので、いろいろな条件を付するつもりでございます。そういたしますので、いわゆる画一的な基準というよりは、もう少しケース、ケースによって判断のできるような深みを持った取締りの仕方をしたいというのが、この趣旨でございます。もちろんある程度の基準というものは、この三号の事項にそれぞれ包括的な基準事項はございますが、しかし、それのみをもっては不十分でございますので、ただいま申しましたように、ケース、ケースによって十分取締りの方法を考えようというふうに考えております。
  42. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 政令で定めるとおっしゃいますけれども、第四条には別段一、二、三の項目に対して、政令をもって定めるということはない。それでただ「事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎」とかいうもの、それから「災害の防止上支障がないもの」というものを、一体どうして判定をするかということなんです。政令でやるとか、あるい能力試験をやるとか、あるいはある一定の災害防止上の標準を規定するとか、そういうことであるならば、われわれもわかるわけですけれども、そうすると、単にこれは内閣総理大臣と通商産業大臣の任意判定に基いて、その能力、それから経理、あるいは災害防止の基準をそのとき、そのときに判定するということなんですか、どうでございましょうか。
  43. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは、たとえば技術的能力及び経理的基礎というようなものを、普通行政的に処分する場合には、必ずや技術的能力と申しますと、過去のその業者の経験とか、あるいは持っている技術的な水準、スタッフの内容とか、あるいは経理的基礎と申しますれば、資本金あるいはその経理内容といったようなのが、おもな事項になろうかと思います。それ以外にも、いろいろこれを審査する際の一般通念と申しますか、行政上必要な事項は多々あるわけでございますが、そういうものは当然、この基準に基いて審査する際には資料を整えまして、そうして委員会等でお考えになる場合の基礎資料は整えるつもりでございます。なお、この災害の防止云々の問題に関しましては、やはり災害が加重するような普通の保安規定のみでは、どうしても防げないということでありますれば、それに関しましてさらに条件を付しまして災害が発生しないように十分取り締って十分であるという通しがついた上で許可をいたしたいというふうに考えております。
  44. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 この問題は、加工の場合においても、それから原子炉を取り扱う場合においても、同じような場合が出てくる。能力を有するか、あるいは災害防止上に支障はないかということは、製練の場合は共管、それからその他のことは内閣総理大臣の専管において決定するということになっておる。しかもあらかじめ原子力委員意見を聞くということになっている。もしここで原子力委員の意向を加えた政令によって、大体の基準でもきめておくということであったならば、こういう場合においてあらかじめ原子力委員意見も聞くということができると思いますが、いろいろな場合が出てきた場合に、原子力委員が、こういう能力があるとか、あるいは災害防止上支障がないとかいうことに対して、あらかじめ意見を聞かれた場合に、一体意見を開陳せられるのにこの状態でよろしいかどうか。私は何かこういう一つの政令によっての基準がここで決定せられておる方がいいのではないか、こう思うのです。そういうことに対して、原子力委員としてどうお考えになりますか。御意見を承わりたいと思います。
  45. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私がこの条項を読みまして感じましたことは、これは一つ一つ個々的な審査になると思うのです。その事業の内容とか、規模とか場所とか、その方法、事業の方法といいますか、製練の方法とかは、こういう事業となって参りますと、非常に種々雑多な形になって出てくると思います。ですから、その個々について、ここにあげてある事項に関して審査しなければ、たとえば技術能力がどうかとか、経理的基礎があるのか、災害の防止上支障がないとかということは、なかなか一般的な標準では判断ができにくいのじゃないかと思います。ですから、その点からいいましては、やはり個々的に、個別的な審査をする。こういうことは、たとえば製鉄事業法なんかのときも、やはり個々一件々々について審査が行われて許可されたと思うのです。ですから、この製練事業の場合も、炉の場合も、やはり一般論的な基準をここで特に設けたならば、かえってそのために適当な処置が行いにくいような形になりはしないか、こういうふうな感じをもってこれを読んだものですから、これでいいように実は考えたのです。
  46. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 それから二の「技術的能力」とか「経理的基礎」とかいったようなものは、ほかの法令を見ましても、政令で基準を定めるというのは、なかなかむずかしい問題でありまして、たとえば技術的な能力と申しましても、創業以来何十年たったとかいうのは何ら基準にならぬわけでありまして、やはり古くても充実した会社であれば能力があると見なければならぬという場合もあるかと思います。また、経理的な基礎にいたしましても、資本金が何億円以上というふうにいってみましても、資本金がなくても内容の充実した会社もあるかと思います。ですから、こういうものを政令で基準を定めること自体が、認可の際に非常に苦しいという事態になるのじゃなかろうか。それから災害の防止の点に関しましては、これは技術的な面がただいまどんどん進歩している最中でございますので、そういう、而も加味し、そうして現状に一番合うような方策をとるのが至当ではなかろうかと思いましたので、これも政令であらかじめ定めておくよりは、時代の進運に応じて行政処分がとれるようにしておいた方が、かえって現実的ではなかろうかという趣旨でございます。
  47. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 今の御答弁ですが、放射性物質核燃料物質の製練という新しい問題ですから、従来のごとき企業体において大体の能力とか、災害防止というもののめどのついたものなら何も心配は要りはせぬ、私だって判定はできると思う。しかし、これは新しく行われるところの製練事業であり、災害防止ですから、たとえて申しますと、災害の防止上支障なしという問題を鉱山保安法に求めてみると、鉱山保安法ではちゃんと、保安技術職員を決定するのに、国家試験をやっているのです。従来の鉱山保安法ですら、保安のためにはその資格者に国家試験を行なって、その資格を与えているのに、新しくやるところの放射能物質の製練及び災害防止というものに対して、どうしてその資格を認定するかということになるのです。そういうことはできないと思うのです。だから、ある一定の試験をして資格を与えるとか何とかいう基準がなければ、いかに有能達識な原子力委員各位におかれても、あらかじめ相談されても、どうにもなりはせぬと思うのです。それではおれが一ぺんやる人間を試験してみるとか、そういうことであるならばできるかもしれぬけれども。だからこういうことにおいては、鉱山保安法にもすでに保安技術職員というものはちゃんと審査委員がおり、国家試験をやって資格を与えておる。そういうものが工場を経営するのだということであるならば私はいいと思うのだけれども、その点私は、あえて実際やれるなら一向支障はないけれども、これをやって、今、有澤委員のお話によると、これは読んだ当時にそうお考えになったというのですが、個々別々にやるとなると、果して能力があるといって申請した者が、一方では能力がないということにならないか、能力があるなしという判定はどこで決定していくのですか、最後には決定のしょうがなくて、結局何らかの資格決定の基準というものがなければ、能力者だとか無能力者だとかいうことの判定はつかなくなってしまうのではないか、私はそう思うのです。この点に対しては、いかがでございますか。
  48. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 第四条の三号は、主として施設の位置的な面、あるいはその製練所の設備、構造が災害防止上差しつか、えないかどうかという点が主でありまして、これはお話がありましたような実際の保安という面は十二条で規定いたしまして、総理府令、通産省令等でこれを定めて、また一般的な基準だけでなくてそれぞれの事業者がその省令に基いて保安規定を定めて、それの認可を得るというふうにしてございます。保安に関しましては、その前にも御議論がありましたように、鉱山保安法あるいは労働基準法等ございますが、さらにこういう製練事業、特にちりの吸収等から障害が起る率が多ければ、これに従って鉱山保安法その他の政令を変えまして、これに適応できるような監督をとっていきたいというふうに考えておりますので、この点は十分取り締れるのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
  49. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第十二条の総理府令及び通商産業省令で定めるところの保安規定というものは、十分に定められるしけなのです。しかし、私の言っておるのは、技術的能力というものは、いかに保安規定を政令で定めたって、やるところの能力者というものは一体どうしてきめるか。非常に私はたくさんの製練所なんかは日本にはできないと思いますけれども、実際製練所を設置をして、製錬を行わんとするものが、どういう人を雇ってきたならば一体指定を受けられるか。これは雲をつかむようなもので、何らの基準がないのだ。だから大学卒業生なら認めてくれるのか、試験を受けなければ認めてくれたいのか。いよいよ僕が製練所を作ろうと思ったら、一体どうしたら能力を認めてくれるのか。これではさっぱりよりどころがないので、何らかここによりどころを示すような、政令で定むろところによりとかなんとかいうもので、その資格というものを決定すれば、それによって何とか能力が判定できる、これは全部そういうことになっておるが、これはあとで質問しようと思うのですけれども加工の場合においても、原子炉を運転するところの人の能力を定める場合には試験するなどといったって、一体試験官が日本におるかどうかということも疑問でありますし、この法案に対しては、そういう点で非常に運行上において幾多の疑念があるのでありますが、しかし、そういうことにこだわっておると法案の通過がおくれますから、そういうところはあと回しにいたしまして、どんどん進めて参ります。今の十二条に「保安規定」とありますが、この保安規定は、一体総理府令と通産省令と一本にするのでありますか。二本にするのですか。
  50. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 一本で共同省令にいたしたいと考えます。
  51. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それでは一つそういうのは紛淆を来たさないようにお願いいたしたいと思うのであります。  それから、第十四条の一の場合の「その許可をすることによって加工の能力が著しく過大にならないこと。」というのは、一体どういう意味ですか。
  52. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは普通いわれております過剰設備にならないようにという意味でございまして、事業者がある程度限定され、しかも技術が刻々進歩していくという時代に、いたずらに許可のみをとって設備が過剰になり、あるいは技術の進運におくれるということでは意味がないのでありますから、国の経済の運行上あるいは先ほど申しました計画的な利用という面から、なるべくは需要にマッチした、しかも非常に新しい技術を取り入れるという点を考慮して、こういう条文を取り入れたわけであります。
  53. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それはどういう考身方か存じませんが、その許可をすることによって、加工の能力が著しく過大にならないことという、これはあってもいいし、なくてもいいと思うのです。反面的な考えからいきますと、能力があり自信のあるものは、あるいは行政庁から見ると、非常に過大であるがごとき施設をする人もあるかもしれない。しかし、そういうことがこの規制によって圧縮された場合に、日本原子力平和利用開発に対して、大きな支障を来たす場合が私はあると思う。それはこういう規制を加える場合には、十分その人の考えているところを参酌して——行政庁の考えているところの加工技術に対する認識というものは、非常に劣っている場合もある。こういうことを要求してくる人は、大きな力と技術をもって要求してくる場合もあり、過去の技術をもって、要求してきたところの技術を律したら、それはおかしなものができてしまうから、こんなものはよけいなものではないかと私は思うのだけれども、あなたの方で必要であるとすれば、これは認識の相違で、いたし方がないと思うのであります。  それからこの二の資格者ですね。これも先ほどと同じ問題でありますから、質問の重複は避けます。  それから、二十四条の三の資格者、これも先ほどと大同小異でありますが、造船事業者に対して「(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、その船舶を建造する造船事業者を含む。)」ということになっておりますが、この造船事業者の「原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。」というようなことの判定はどうするのですか。これはまあ原子炉に関することですが……。
  54. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この規定を設けましたのは、いわゆる船を注文するのは船主でありまして、それを受けて建造するのが造船業者でございますが、船主の方のみ取り締っても、また許可を与えてもしようがないわけでございますので、両方含めて許可いたしたいというのがこの趣旨でございます。今の御質問の、その際、造船業者がその技術的の能力ありゃいなやという問題に関しましては、やはり先ほど同じようなお答えをいたしましたように、その造船業者が原子炉の築造等に関して十分な技術的な能力をスタッフあるいは経験等からいたしまして持っているかどうかという点を検査いたしまして、そうして許可いたすという考えでございます。
  55. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第二十七条の「その変更が総理府令で定める軽微なものであるときは、」というのは、これは一体どういうことを考えてこういう字句を使われたのですか。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この二十七条は、工事の開始前に認可をする状況でございまして、この総理府令で定める内容は、設計及び工事方法の具体的な内容、あるいは申請の手続といったようなものが主たる内容かと思っております。二項のその変更は「軽微なものであるときは、」という場合には、認可を受けましたのを変更する際でございますので、ごく軽微なものはそのつど一々またこの認可を取り直さぬと実際の工事に入れぬということでは非常に支障も生じますので、工事方法の具体的な内容等で、むしろこれくらいのものであればその認可を受けぬでもよいという点は、総理府令を定める際に十分検討いたしまして、そうして範囲をはっきりきめたいというふうに考えております。
  57. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 二十八条と二十九条にありますが、「内閣総理大臣の検査を受けなければならない」ということになると、この検査員というものは、一体どういう資格を持った人が検査をやるのですか。
  58. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この検査に関しましては、別に検査官という制度を考えたわけではないのでありますが、実際こういう面に経験の深い、たとえば私どもの方で申しますと、管理課等には、こういうエキスパートをそろえておりますので、そういうところで施設検査あるいは性能検査、これは試運転検査をしてから実際の正常運転をしたいという意味で性能検査をやるわけでございますけれども、そういう検査を、技術的な面からやっていきたいというのが趣旨でございます。
  59. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それですから、「総理府令で定めるところにより、原子炉施設の工事について内閣総理大臣の検査を受けなければならない。」という、その総理府令できめるとき、どの程度の資格のある人がその検査をやるのか。これは原子炉設置に対する検査ですからね、大体資格を定めなければならぬと思うのですが、第四十一条の原子炉主任技術者免状を持っておるような者が当るのですか。
  60. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この二十八条による総理府令というのは、そういう検査官の資格をきめるという総理府令ではなくて、工事の段階に、どのくらいのところで何をどういうふうに検査するかという、材料あるいは溶接等、そういうものの検査が主かと考えております。従いまして、もし科学技術庁で持っております技術のみをもって不十分であるという際には、先ほど有澤委員から申されましたような専門委員その他の方々の御助力もいただきまして、そうして、この検査に誤まりないようにいたしたいと思います。
  61. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第二十九条のごときは、「原子炉施設の性能について内閣総理大臣の検査を受け」るというのですから、これは私は非常にむずかしい検査だと思うのです。そういうことに対してもう少し的確な、外部から考えても的確に浮び得るようなものであれげいいと思うのですが、総理府令の内容によってそれが決定するものとす必ば、あえて私も何も申し上げませんけれども、こういう点に対しても一つ十分想を練って、総理府令をもって万違算なきを期していただきたいと思うのであります。  それから四十一条の「科学技術庁長官の行う原子炉主任技術者試験に合格した者、こういう者の試験を行うことになっておるのでありますが、一体こういう者の試験を行い得る試験官が日本におるのですか。
  62. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは、齋藤先住の方がかえってお詳しいかと思いますが、やはりこれは現在日本で働いておりますその道の一番最南水準の方た以をこの試験官並びに試験問題等の委員等にいたしまして、そして十分その御援助のもとにこの試験を実施するというのが実際のやり方になろうと思います。従いまして、もちろん科学技術庁だけでこれをやるといたしましても、ただいまの段階ではその能力が必ずしもあるとはいえませんので、やはり日本でその道の、たとえば金属材料等に関してはこの人、あるいは制御問題に関してはこの人といったようないろいろなその道の大家がございますから、そういった方々委員になっていただきましてこの試験をやりたい。また、この試験は、必ずしも学術的な試験のみではなしに、実際の応用的の面もあわせてやりたいと思っておりますので、この試験を受ける人は当然ある程度原子力研究所等に行って、実地に勉強をやっていただくというふうなことに事実上相なろうかと思っております。
  63. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 それが非常に私は問題だと思うのです。たとえて申しますならば、原子炉を取り扱うところの資格者というものは、その障害防止にも資格を持っていなければならないし、またエレクトロニクスにも資格を持っていなければならない。それからフユエルのいわゆる炉心部に対しても資格を持っていなければならないと思うが、四十一条はどういう試験を行われるのですか。これはさっそくに実行に移されるような法案になっておりますが、こういうものはたくさん受験を希望する者も私はあると思うのですが、この試験科目とかそういうものは一体どういうふうにして発表されるのか。もう一つは、二の「原子炉に関し前号に掲げる者と同等以上の学識及び経験を有すると認める者」、これは外国人でも想定の中に入れて、こういう条文を書かれたのか。日本には試験でも受けてみなければ、原子炉の取扱いに対してどれだけの能力を持っているか、はっきりした者は、今の段階では一人もおりはせぬと思うのですですから、どういう人が試験官になるのか、どういう試験科目を与えるのか。これと同等以上の学識及び経験を有する者というのは一体どういうことを意味しているのか、お聞きしたい。
  64. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 試験科目に関しましては、四項で総理府令で定めることになっておりますので、文部省とも十分相談の上、一番の大家の人たちに具体的な内容をきめていただきたいと考えております。第四十一条の同等以上の資格を有する者というのは、政令の内容がどうなるのか、言いかえれば認定の基準をどこに置くかという問題になろうかと思いますが、これも非常にむずかしい問題であります。といって、たとえば原子力研究所理事であります——名前を申し上げては失礼かもしれませんが、杉本さんとか嵯峨根さんとかいう人に、もう一ぺん試験を受けろというわけにもいかぬと思いますので、そういうところはやはり基準を定める際に、十分今までの経験なり、海外で習得した技術等を考えましてやっていきたいと思っております。たとえば、ただいままで外国へ留学しております留学の卒業生は、一体この政令に定める者として、別に試験を受けないでも原子炉主任技術者として認めるかどうかといった問題も、すぐ起きてくることかと思います。
  65. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 こまかいことは飛ばしまして、第六十二条の「この法律規定する指定又は許可には、条件を附することができる。」、この条件というのはいつ付するのですか。その場合々々において行政庁として必要な条件をどんどん付していくのか、どういう意味で条件を付するのですか。
  66. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは許可の際に条件を付します。
  67. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 許可の際に条件を付するというのは、具体例を示すと、一体どういう場合ですか。
  68. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど申しましたように、特に保安等の事項に関しましては、申請あるいは保安規定等に不備な点がありますれば、さらに条件を付してやるとか、あるいは一つの例でありますけれども外国からインスぺクターが来た場合には、そのインスペククーに必ず見せるようにというふうな国際義務的な条件もあろうかと思います。そういう条件は、使用済み燃料の処分に関しましても、前田先生がしばしばおっしゃいましたように、それをどういうふうに処分するのだということに条件を付しまして使用済み燃料は自分で処分できないから、必ず工場の方に持ってくるというような条件にしたいと考えております。
  69. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第六十四条の「核燃料物質又は原子炉による災害が発生するおそれがあり、又は発生した場合においては、直ちに、命令で定めるところにより、応急の措置を講じなければならない。」、これは製練の場合には共管でありますが、命令の規定実施するという場合にはどうするのですか。加工及び原子炉設置の場合は専管であるからいいけれども、製練の場合は、不時の災害に対して応急措置として命令を発する場合、総理大臣通産大臣の共管になっているが、どういう形になって命令が出てくるのか。
  70. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは「命令で定めるところにより」ということでありまして、そういう非常事態が起きた場合にはどうすべきかということを、あらかじめ共同省令あるいは総理府令等で定めておきまして、その規定に従いまして、応急の措置を講じるという意味でございます。従いまして事前に、そういうようなことが起きた際にはどうするかという措置方法をこの命令で定めておくのでございます。
  71. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 第六十八条に「主務大臣」と書いてございますが、原子燃料公社に対して、この主務大臣は製練に関しては共管でありますから、二人になるわけですれ。そうすると、帳簿、書類その他必要な物件を検査させたりする場合には、通産省と総理府の二つから行くのですか。
  72. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 こういう場合には、第七十四条にありますように、製練事業に関しては内閣総理大臣通産大臣、その他は内閣総理大臣になっておりまして、製練のみが共管ということになったのでございますが、検査等に関しましては総理大臣がそれを行う際には、通産省の方は携わる程度というふうになろうかと思います。
  73. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 製練の問題に対しては共管ということになると、結局内閣総理大臣通産大臣はおのおのの責任においてダブって、帳簿とかすべての検査を職員をしてやらしめるわけですれ。ですから、製練に対して共管としてやる場合に、これは実際民間なんかでやっているときには、非常に大きな問題になってくると思う。製練事業をやっている工場に対して、総理府からやって来る職員の考え方と、通産省から来る職員の考え方と違った場合、共管であるから両方でやるのだといって、そういう問題に対するいろんな取締りの間の意見が食い違った場合に、受けるのは製練所を経営している者が受けるのでありますから——そういう職員の資格などを統一して決定されることになっておりますか。
  74. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 これは実際の行政運営する際に、むずかしい問題になりますけれども、実際の行政的な運用方法といたしましては、単独検査ではなしに、両方でいたしまして、両方で行くとか、あるいは先ほど申しましたように片方は携わる程度というふうに話し合いをきめておいて、天際の検査を受ける方が二重検査を受けるために非常に迷惑をこうむるといったようなことが発生しないように、行政上、運営したいと考えております。
  75. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 その点は十分注意をしていただきたいと思います。  それから七十条の「この法律規定によるに主務大臣の処分に対して不服のある者は、処分の日から三十日以内に、主務大臣に訴願することができる。」、これはその次の二項に「内閣総理大臣に訴願することができる」とありますが、法的形式においてけ、一項も総理大臣に訴願の方が私はいいように考えられるけれども、どうしてこれは主務大臣にするのですか。
  76. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ここで「主務大臣」とありますのは、先ほど申しましたように、七十四条で、製練に関してのみ内閣総理大臣及び通産大臣というふうになっておりますので、ここの主務大臣という場合には、一応製練に関しましては通産大臣がこの中に入っているというふうにお考えいただいたらいいのではないかと思います。
  77. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 そうしますと、この場合は、総理大臣に訴願してもいいし、通産大臣に訴願してもいいということですか。
  78. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 現実問題といたしましては、共管でございますから、通産大臣内閣総理大臣の両者に対して連名の訴願を提出するということになると思います。
  79. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 もう一問で終ります。七十一条の第二項に「当該原子炉設置者から必要な報告を徴し、又はその職員に、当該原子炉設置者の事務所若しくは工場若しくは事業所に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させることができる。」、こういう原子炉に関して、「通商産業大臣又は運輸大臣は、前項の同意を求められた事項に関し特に調査する必要があると認める場合においては、」と、こういうふうになりますと、これは通商産業大臣、運輸大臣がその手元に原子炉に関してのエキスパートを持っていなければならないということになるのでありますが、こういう職員の資格というものに対しては、何か関係各省庁の間に統一した資格を与えるということを考えておられるのですか。
  80. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 特別にそういう点は考えておりませんが、しかし同意を求められた場合に、通産大臣も運輸大臣もどう返事していいかわからないというのでは困りますので、当然、通産大臣、運輸大臣におきましてもそれぞれ実態を検査並びに調査等をいたしまして、そうして同意をするのが実情になろうかと思います。ただその際、その検査あるいは調査等が、十分原子炉に対して認識を持っておる人でなくて、いわゆるずぶのしろうとのような人が、その断に従って同意、不同意をきめられたのでは非常に困るのではなかろうかという御趣旨かと思いますが、こういう点は、ただいまの段階では、通産、運輸ともまだ原子炉に関してそれほどエキスパートを擁すというわけにいかぬかと思いますけれども、先ほどもお話し申し上げたように、原子炉に対しましては運輸、通産といわず、各省からそれぞれチャンピオンが出て参りまして、そうして留学をしたりあるいは原子力の勉強をしたりしておりますので、それらの人がいっかの機会にそれぞれ各省に帰って参りますと、当然こういうものの検査等も可能になるのではないかと考えられますので、今すぐの段階ではこういうふうに参りかねると思いますが、かすに時日をもっていたしますれば、それが可能になるのではないかと思っております。
  81. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 残余の質問は保留いたします。
  82. 菅野和太郎

    菅野委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分より、大臣の出席を求めて質疑を続行いたします。暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  83. 菅野和太郎

    菅野委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案につきまして、質疑を続行いたします。岡良一君。
  84. 岡良一

    岡委員 直接関係はありませんが、原子力差本法にかかわる重大な問題と存じますので、特にこの機会に原子力委員長の御所信を承わっておきたい点があるわけであります。それは、先般参議院の内閣委員会で核兵器の保有と憲法との関連について政府の統一見解なるものが発表されております。それによると、現存核兵器と言われるものは、多分に攻撃的性格を持つもののようであるから、この種の兵器を持つことは許されない、こういうふうな御見解が発表された。また同日小瀧防衛庁長官も、核兵器と言われるものの保有が全部憲法違反とは言いがたい、こういうふうな言明をしておられるわけです。昨日、参議院の内閣委員会における岸総理の核兵器に対する御見解は、憲法上は自衛権があるから、従って自衛の目的のためには原子兵器も差しつかえはない。ただ、政府として、核兵器の持ち込み、保有等を拒否しておるのは、国民感情などにかんがみて、政治的な立場からこれを拒否しておるのである、こういう御答弁があったわけです。これは政府の統一見解に歩み寄られた岸総理大臣の御答弁であるわけですが、宇田国務大臣としては、このような見解に御同感でございますか。
  85. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまの御質問の点につきましては、原子力基本法の第二条に「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、」こうなっておりますから、こう基本法に基いてわれわれはあらゆるものを判断し、処理すべきものと考ております。憲法九条の解釈を、この原子力基本法と相関連してどういうふうに解釈するかということにつきましては、昨日、院の予算総会へ私も列席いたしておりましたから、総理の見解は聞いております。しかし私の疑問とする点がまだ一、二点あなたと同じように残った点があります。その法理論について、特に憲法との関連につきまして、実は私は憲法は十分勉強していなかった点がありますから、お差しつかえなければ法制局長官にここに来てもらって、政府の法理論上の浮間点を私もあなたと一緒に検討する機会を与えていただきたいと思います。
  86. 岡良一

    岡委員 それでは私も非常に疑義を感じておりまするし、やはり事はきわめて重大な問題だと思いますので、法制局長官にぜひこの委員会に御出席を求めて、十分にただしたいと思います。ほかの質問に入りたいと思います。  午前中、有澤原子力委員に御出席を願いました席上で、私は原子炉等の規制法というこのたびの御提案は、原子力委員会運営権限と不可分なものがある、原子炉設置、運低計画あるいは製練、加工、所有、処理等について原子力委員会意見を聞かなければならぬということになり、かつまたそれらの諸計画はすべて国の総合的な原子力開発計画に即応したものであるということを原子力委員会は特に判断をせられるということで、この法が実施に移された場合に、原子力委員会は非常に重要な役割を帯びてくるのであります。そこでまず、このような任務に現在のような原子力委員会の表構で備え得るかどうかという、この点についての大臣の御一所を承わりたい。
  87. 宇田耕一

    宇田国務大臣 原子力委員会は、かねてから強化をする必要があるということは申されております。私も原子力委員会の各位の意見をまとめてみましたところ、具体案といたしましては、全員常勤の委員とすることが必要である、こういうことが第一点あります。第二点は、各委員法律に定められた自分の任務を遂行するために必要な調査員と申しますか、あるいはそれを補助する者が必要である。普通の言葉で言えば手足がほしい、こういうことであります。従ってその点につきましては、先般来、科学技術庁の中でできるだけの整備をしていわゆる法律できめられました庶務に関する問題の処理、それのワクの範囲内で処理すべきものと判断されるものについては、十二分の処置をとってあります。ただいままでの処置といたしましては、原子力委員会は二名の非常勤の中で常勤を一名にふやすこと、なお将来予算措置をなるべくすみやかにとってもう一名委員が補充された暁には、その委員も常勤にし得る予算を特に出してもらうような交渉をすべきである、こういうふうになっております。その場合におきましても、その委員任務の遂行に必要な事務的な処理あるいは調査的な庶務と申しますか、事務といいますか、それを処理するために必要なものは、現在持っておる予算の範囲内また新しく予備費等から予算の追加を求めて、とりあえず強化をする対策を請じようという申し合せをいたしておりますから、そういたしたいと思っております。なお、そのほかに、原子力委員会そのもののあり方について、今後どういう考えを持つべきであるかということにつきましては、ただいまのところ、どうしなければならぬという決定線は委員会で出しておりません。どうしても、ただいま申されましたような一連の法律が出てきまして——特に最近におきましては、放射能の影響調査等に関しましては、これは非常に重大な問題であって、ただいま三千三百万円程度の予算でありますけれども、そういうことではとうてい自分たちの考えておるような、委員会の考えておりますような放射能の影響に関する国論に沿う調査は非常に期待に沿いがたいものと思って、その点等については、あらためて私たち原子力委員を補強するのかあるいは原子力委員を増員するのか、あるいはそれのもとに特別な機構を持つのか、こういうこともあるだろうと予想いたしまして、委員会の中でなお対策を研究いたしたいと考えております。
  88. 岡良一

    岡委員 法制局長官がお見えになりましたので、それでは前段の質問にもう一度返ります。実は、今ほど国務大臣の宇田さんにお尋ねをいたしましたところ、長官の御出席を願って若干の疑義をこの機会に明らかにいたしたいというようなことでありまして、ぜひ一つ責任のある明確な御見解を承わりたいと思います。問題は何かと申しますと、昨日、参議院の予算委員会で、われわれの同志が質問をいたしました核兵器についての憲法との関連における解釈の問題であります。昨日の質問の前に、たしか四月の下句、参議院の内閣委員会で小瀧防衛庁長官が、核兵器といえども、小規模なものであるならば、これは憲法上自衛のためのものであるから、憲法上違反ではないのだというような御見解を漏らされたということが当時の新聞に出ておりました。なお、その日に、政府の統一見解として核兵器も大規模なものは、攻撃的な目的に供されるものであるから、これはわが方としてはとらない。もちろん憲法上違反である。しかし小規模なものについては、自衛の目的の用に供されるものであるならば、憲法上違反とは考えるべきではない。こういうような統一見解なるものが公表されておったことは長官も御存じの通りでありますが、昨日あなたも御出席になった参議院の内閣委員会の席上で、名前が核兵器であればすべて憲法違反たとするのはおかしい。憲法の精神は云々ということで、現在世界の世論に衝撃を与えておるあの大規模な、原水爆のようなものは、自衛権の内容としては持つことは許されないが、しかし、憲法の精神は自衛に限られている。核兵器は今、発達の途上にあり、原水爆だけではなく、いろいろなものを予想しなければならない。核兵器という名がつくから一切だめだと窮屈に考えては、自衛を達成することもできない、こういう御発言があるわけです。大体同様な趣旨の御発言がありまして、結局憲法上からは、核兵器も自衛の目的のための小規模なものであるならば差しつか、えないのであるが、しかし、今日日本政府の方で、あるいは原子支援部隊の日本への駐留を拒否するとか、あるいはまた原子兵器そのものの保有を拒否するということは、国民感情を考えて、政治的な顧慮からいたしておるのである。こういうような御答弁があるわけです。これは憲法上自衛権が認められておるから、自衛の範囲内であるならば、核兵器も差しつかえがないということです。それでは、どの程度までが核兵器は自衛で、どの程度は攻撃だという見解が基礎になると私は思うのですが、法制局はそういう具体的な基準においてやはりこの問題は取り扱うべきだと思うのですが、どうお考えですか。
  89. 林修三

    ○林(修)政府委員 総理大臣から昨日御答弁をされた趣旨は、大体今、新聞を御引用になってお読み上げになった趣旨だと存じます。従って、憲法論として私たちまず考えますと、結局憲法のた条で自衛権を否定しておらない、従って、二項においても、自衛のため必要最小限の自衛力を持つことは、憲法第九条第二項の否定するところではない、こういう考え方が政府の考え方でございます。これは従来からの考え方でございます。従いまして実は憲法の九条二項の目から申しますと、個々の武器とか、個々の人員というものをとらえて、どういうものであるならば憲法違反だ、個々のものがどういうものであればいいというものでは私はなかろうと思います。全体的に考えまして、自衛のために必要最低限度の自衛力という目から見まして、その範囲を逸脱するものは憲法上持てない、その範囲に入るものであればよろしいということになると思うのであります。そこで、現在核兵器と申しますものが何をさすかということは、実は私たちもわかりません。あいまいでございます。これは世間でも私はあいまいじゃないかと思うわけでありましていやしくも原子力というもの、核分裂というものを利用するものはすべてそうだというのか、あるいは、原水爆等をさしていわれておるのか、そこいらが必ずしもはっきりしないわけでございます。ただ、現在御承知のように、これは発達の途上にございます。将来どういう原子力利用の武器というものが出てくるか、あるいは輸送手段というものが出てくるか、これはまだ現在わからないわけでございます。ただ、現在をとってみますれば、原水爆というようなものは、これはその性格から考えまして、他国から侵略を受けたときに自国の防衛に使うということは、考え得ない性質のものでございます。ああいう大量殺敏で、しかも非常に広範に被害を及ぼすものを自国の領土内においては、自国を防衛するために使うということは考え、得られない性質のものでございます。そういうことから原水爆を代表とする現在言われております原子兵器、核兵器と申しますか、そういうものは、自衛権を裏づけとして、自衛権という限度から見れば入らない。しかし、今後の発達を見れば、原子核分裂あるいは原子力を利用する兵器と申しますか、武器と申しますか、これはどういうものが出てくるかわかりませんが、そういうものを全部核兵器なるがゆえに頭からいけないと言うのはおかしいのじゃないか、これはおのおの性質を見、実態を見て判断しなければならぬ、先ほど申しました基準によって判断しなければならぬ、こういう考えでございます。どの範囲のものがいいか、どの範囲のものが悪いか、現実に私は兵器はよく存じませんが、また今後もどんなものが出てくるかわかりませんが、これは総理大臣からもお答えあった通りに、現在のような原水爆を代表とするようなああいうものは、これはどう考えても日本の憲法の許すところではないと考えます。しかし、それかといって、核兵器という名がつくからすべてがいけないということには、どうもこれはならないのじゃないか、こういう趣旨に解すべきものである、こう考えるのでございます。
  90. 岡良一

    岡委員 今の法制局長官の御見解、宇田国務大臣、いかがでしょう。
  91. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私は憲法は実は解釈と今の平和利用というものとの違う点が、実はよくわからぬ点がありますが、原子力基本法の第二条のところに「原子力研究開発及び利用は、平和の目的に限り、」と、こういうふうに掲げられてあります。従って、原子力基本法の第一条の、原子力研究、利力、要するに原子力の利用は、平和の目的に限るという一つの法の精神がありますが、これとただいまの九条の解釈とは、その点について実は法制局長官意見を聞いていただきたい、こう思います。
  92. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいま岡先生の御質問は、憲法九条の関係だけの御質問でございましたので、実はその方の点だけお答えしたわけでございます。きのうもこれは総理大臣もお答えしておるわけでございますが、原子力基本法との関係いかんということも御質問がございました。それについては、総理大臣もお答えしております。私どもの考え方と同じでございますが、結局憲法九条の土俵と申しますか、ワクというものが一つあるわけでございまして、その目で見て合憲か違憲かということはあると思います。しかし、そのワクの中で、あるいは憲法今全体のワクの中で、また具体的の立法としてどういうワクを作るかということは、これはまた別問題であります。現在、原子力基本法というものがございまして、原子力の利用は平和的なものに限る、あるいは研究は平和的のものに限る、こういう法律がございます以上は、この法律が国内法としてある以上は、原子力の利用を軍事的な、あるいは防衛的なものに考えるということについては、現在の法律から申すと、私はこれは認あられないものである、かように考えるわけであります。ただ、ここで少しよけいなことを申しますけれども、将来あらゆる輸送手段が原子力利用のものになった、あるいは自動車なんかも全部原子力のエンジンで走るということになった場合に、果して自衛隊の自動車は原子力のものを使っていけないかということは、これは私はいろいろ問題があると考えるわけであります。そういう問題まで考えますと、先ほど申したような憲法論が出てくる、かように考えるわけでございます。
  93. 岡良一

    岡委員 そうすると、政府としては、国会が議決をした原子力基本法第二条によって、特に利用は平和の目的に限る。——原子力は今、世界中、軍事的と平和的にと二つに利用されておる。そこで、はっきりこの平和の目的に限る、こう規定しておるわけですね。してみれば、原子力は平和の目的に限るという立場に立つ限り、政府がこの条章に忠実であらんとすれば、核兵器というものについては、憲法の問題は別としても、この基本法の立場から核兵器に対してはこれを拒否する、否定的な態度に立つべきだ、これは当然私言えると思うのですが、それでいいですか。
  94. 林修三

    ○林(修)政府委員 これはおっしゃる通りだと思います。
  95. 岡良一

    岡委員 そうすると、政府のこの統一見解では、小規模なものならば自衛の目的だから差しつかえがないんだという見解は、これは明らかにこの第二条の平和目的に限るという、この原子力基本法は全く無視されておるじゃありませんか。
  96. 林修三

    ○林(修)政府委員 そこで議論されておりますのは、いわゆる憲法のワクとしてどうかという点が議論されておりますので、憲法のワクとしての質疑応答が重ねられておるわけでございます。そこの憲法のワク内で出ておりまするいろいろな国内法との関係においては、実はここでは議論がされておらないわけでございます。従いまして、そういう答弁も出てきたわけであります。またもう一つ問題としては、この原子力基本法第二条の平和的利用の意味いかんという点につきましては、いろいろ先ほど申しましたような観念においての議論は、これは私はあり得ると思います。そこで、平和的利用とは何かという解釈の余地は私はあると思いますけれども、新聞等に出ておりますところでの議論は、憲法のワクとしての議論だけでございまして、そういうものの中でまた原子力基本法という一つの土俵がありまして、それにはまるかはまらないかということは、実は議論されておらないわけでございまして、その点でそういうことが出ておるわけでございます。
  97. 岡良一

    岡委員 それではもう一ぺんただしますが、憲法のワク内で自衛権云々という問題では、小規模な核兵器は、これが自衛のためのものであるならば、憲法九条の立場からすれば、別に憲法違反ではない。しかし憲法のワク内で、憲法から発足した、いわば基く原子力基本法第二条には、はっきりと軍事的な利用ということを除外して、平和の目的に限る、こううたわれておるわけですね。従って原子力基本法の立場に立てば、これは小規模であろうが自衛であろうが、あるいは攻撃であろうが大規模であろうが、とにかく核兵器というものは、これは政府としてはこれを否定するという態度に立たなければならぬ、こう言っていいのですか。
  98. 林修三

    ○林(修)政府委員 原子力基本法というものが憲法と同じワクでできておるかどうか、憲法よりまた多少狭いワクでできておるかどうか、これは議論があると思います。私どもとしては、憲法の土俵は割合広いものだ、またその中で原子力基本法というものは一つのワクを作っている、こう考えるわけであります、従いまして、現在の原子力基本法が、いかなる範囲の原子力利用の研究が許されるかということは、これは原子力基本法の解釈として問題になってくることだと私は思います。従いまして現実に今、自衛隊として、総理も申されておるように、現実に原子核的な武器を備えるつもりもないし、またそういう研究をする意図もないと言っておられますので、現在においてはこれは問題ないと思いますけれども、将来核分裂を利用するような武器と申しますか、どういうものが出てくるかわかりません。その場合のことについて、もしそれがやりたいということになれば、第二条との関係はどうしても関係をつけなければならぬ、かようになると思います。
  99. 岡良一

    岡委員 どうもはっきりしませんですな。それから、原子力は、将来どういうものが出てくるかと言われますが、これも基本法ではっきりしているのですよ。核兵器というものの概念もはっきりしているのですよ。「「原子力」とは、原子核変換の過程において原子核から放出されるすべての種類のエネルギーをいう。」と規定されているのです。このエネルギーが平和目的に使われないで軍事目的に使われたときには、これは核兵器なんです。だから日本法律用語では、概念上はっきり規定されている。あなたはどういうものが出てくるかわからぬ、今に原子力エンジンができて、自衛隊もそれに乗っかるかもしれないと言われたが、いずれにしても核兵器というものは概念はきっぱりしているんじゃないですか
  100. 林修三

    ○林(修)政府委員 そこで、私実は学者でもございませんし、専門家でもございませんからわかりませんけれども、たとえて申せば、これは将来の発達の途中において、たとえば、今は小銃のたまも大砲のたまも全部火薬を利用してやっておるわけでありますが、そういうものに原子力を利用することがあり得ないとは、私は考えられないのであります。そういうものまで憲法上いけないというべきものかどうかということについて、疑問を申し上げておるわけであります。これは、自然疑問が出るところだと思います。また自動車とか飛行機あるいは輸送手段、船とかそういうもののエンジンがすべて一般に原子力利用のものになった場合において、自衛隊のものはそういうものを使っちゃいけないのだということ——これは原子力利用そのものの解釈についても私は多少問題があると思いますが、そういうような考え方、これは原子力というものが将来いかなる発展をし、いかなるところまで利用されるかということと関連して考えるべき問題で、今直ちに核兵器なるがゆえに全部いけないというのは、憲法の解釈としては行き過ぎじゃないか、かように考えるわけであります。
  101. 岡良一

    岡委員 そうすれば、とにかくかりにあなたが想像されるように、そういう仮定のことを話をするのもこの機会にどうかと思うのですが、あなたがおっしゃったから言うのだが、たとえば自衛隊が機関砲を持つ、バズーカ砲を持つ、小銃を持つ、その弾丸が原子力基本法に規定されている原子核変換の過程において原子核から放出されるエネルギーによって人を殺傷するものである場合、これは原子力の軍事的利用ということになるでしょう。自衛であるか侵略であるか、軍事的利用です。それはいいのでしょうか。
  102. 林修三

    ○林(修)政府委員 その点は、先ほどから申しております通りに、憲法のワクとは別に原子力基本法のワクがあるわけでありますから、今おっしゃったようなことができるかできないかということについては、原子力基本法第二条の問題についての解釈と、あるいはそれが必要があれば必要があるかないか私は存じませんけれども、仮定の問題として、もしもそういう必要があれば、第二条についてそういう例外を作るとか、そういうことが必要になる、そういう意味を申し上げたわけであります。
  103. 岡良一

    岡委員 そうすれば、日本の軍需工場がかりにできたとして、そうして自衛隊の砲弾の弾頭に原子核変換の過程において放出するエネルギーをもって人を殺傷するような弾頭を作る。その場合には、第二条というものは変えなければ、作れないわけですね。そうでしょう。変えなければ。自衛であろうが侵略であろうが、そんなことは言わないのだから、平和の目的に限るといっておるのだから。いずれにしろ軍事的利用ということになれば、第二条を変えなければ、作れないのじゃないですか。
  104. 林修三

    ○林(修)政府委員 その点は、先ほどから申し上げております通りに、そういう問題になれば、もちろん原子力基本法について、必要に応じてあるいは改正を加えるという問題が起るかもしれません。そういうことは私は別問題だと思うわけでございます。
  105. 岡良一

    岡委員 かもしれないじゃなしに、これは国会が議決し、政府としては当然忠実であらねばならないと私は思うのです、この法律にはっきり平和の目的とこう限定しておるのだから。ところが、平和の目的でない事事的な目的のために用いられるということになれば、変えなければ使えないじゃありませんか。作れないじゃありませんか。
  106. 林修三

    ○林(修)政府委員 昨日来の質疑応答は、そういう問題として実は議論はしておらないわけでございまして、憲法九条の解釈としての議論をしておるわけでございます。現実にまた国内においてそういう研究をするとか、そういう装備をするということも、総理大臣も否定をしておられるわけです。従いまして、現実の問題として今そういう問題はないわけでございますが、将来の仮定の問題として御質問になれば、あるいはそういうことが必要があるかもしれません。現実の問題としては、総理大臣もそういうことは否定をしておられるし、現実には問題にならないと思うわけでございます。
  107. 岡良一

    岡委員 総理大臣にはまたあらためて聞きますが、法制局長官として、問題は簡単なことなんです。日本の自衛隊が原子弾頭を持つところの武器を持つ場合には、自衛であろうが侵略であろうがそういうことは問わない。少くとも原子力基本法の第二条を変えなければ、このような装備を持つこともできないし、そういうものはもちろん国内において生産することもできないじゃありませんか。だからそのときにならなければわからぬじゃなく、これは変えなければできないじゃないですか、それがあってもかまわないで作れますか。
  108. 林修三

    ○林(修)政府委員 先ほどから私の答弁はそういうことは決して申していないわけで、憲法はかりに認めても、国内法がさらにもっと小さいワクを作って、あることを禁止しておれば、それをやろうと思えば、その法律規定を変えなければできないということは、先ほどから申し上げておるわけであります。
  109. 岡良一

    岡委員 それではとにかく自衛の目的であろうが侵略の目的であろうが、この法律規定された原子力に基くところのエネルギーを軍事的に利用されるということについては、原子力基本法の第二条にこれの「利用は、平和の目的に限り、」と書いてある。軍事的利用はしないということを限定しておる。だから、これは変えなければできないというふうな御見解と私は承知いたします。  それからなおこの機会に申し上げておきますが、よくあなたは原水爆実験のような大規模な大量な殺傷はいけないというようなことを言われますが、しかしあれは実験ですよ、問題は実験じゃなくて、実際に使用される方がずっとこわいわけです。しかも、この実験がもはや実用段階に入ってきておるということに、この原水爆に対する大きな国際的世論の反対の高まりがあるわけです。だから、一九五四年にビキニでやったときには、引き続いてソビエトがシベリヤの南西部でやりました。これはみな実験なんです。ことしの四月になってからは、ソビエトでは三日おき四日おきにやっておる。英国だってクリスマス島のこれも実験から実用化の段階ですよ。先般発表しておる英国の国防白書をごらんになればわかるが、原子兵器を持つ婆備に大転換しよう。この間のNATOの理事会の共同コミユニケをごらんなさい。TNT二万トンの実用段階に入った原子兵器を持つ装備をしようということを決定しておるじゃありませんか。しかも彼らは何も侵略のためと言っておらないじゃありませんか。ソビエトから侵略をされる、これを阻止するものは防衛だと言っておる。だからそういうことになれば、自衛とか防衛とかということの概念論争になるから私はやめますが、問題は法律解釈であって、言葉のてにをはだけの問題じゃないと思うのですよ。やはりそういう大きな世界的な現実の情勢の流れの中から法律の解釈というものは立てていかなければならないじゃないですか。だから、自衛のためならいいと言ったって何も侵略のためだと言って原子弾頭を作ろうと言っている人はだれもありませんよ。みんな自由主義陣営を防衛するためだとか、あるいはロシヤの侵略を防衛するためだとか、英国のクリスマス島実験についての日本の抗議に対する答えはそうでしょう。自由主義陣営を防衛する、NATOの共同コミュニケだって、北大西洋軍隊をアメリカの支援を得て原子兵器でもって装備を転換しよう。それもやはりソビエトの侵略を防衛するためだと言っておる。だから特に原子兵器などというものは、そういう具体的な現実の流れから、自衛だとか、侵略だとか、——TNT二万トンのものが普通の装備となってきておる段階では、それが自衛だとか、侵略だとかの言葉の遊戯でごまかしちゃいけないので、やはり平和の利用に限る、こういっておる以上は、憲法は大きな方針をきめておる、具体的にこの原子力基本法の中で「平和の目的に限り、」と限定をしておる。やはりこの第二条の精神に立てば、私どもは、核兵器、原子力エネルギーというものを軍事的に利用するということは、何はともあれ、もうこれは否定的な態度に出るという立場に立たなければいかぬと思うのです。だから法制局長戸は、予算委員会等における答弁を聞いておっても、なかなか法律専門家だから、概念の解釈については非常に巧妙に御答弁をされるが、やはり原子力のこういう問題が実用化の段階でどういう動きになっておるかということについても、十分にこれからの御勉強をいただいて、そうして特に原子力基本法第二条の精神などという、憲法の方針の中でさらに具体化された大きな規定というものを、やはり政府としては当然順守すべきだというような方向で私は行っていただきたいと思うのです。まあこの問題はいずれ党としてもいろいろな角度から十分政府の御所信を承わりたいというようなことにもなっておるようでありますから、この程度で私はやめます。
  110. 前田正男

    ○前田(正)委員 ちょっと関連して、法制局長官にお話をさせていただきたいと思うのです。法制局長官に、法文によってお話をしたいのですけれども、先ほどからの岡委員のお話で、法文でだいぶ違うところがあるのじゃないか、「平和の利用に限り」という言葉と「平和の目的に限り」ということの、「目的」という字が入っておるということは、意味が違うのじゃないか、こう思うのです。これは法律上の解釈によって私は違うと思うのです。そこで、平和の利用に限りということなら、岡委委員質問されたことにたってくると私どもは思うのでありますが、平和の目的ということなら、自衛の場合におきまして、相手が暴力をふるってきて、自分たちの自衛を守るためにこちらから武力を使うということは、あるいは暴力に訴えて対抗するということは武力だから、あるいは暴力だから、一切いかぬのだということでは、平和の目的というものは守れないのじゃないか。従って、このやはめ「平和の目的に限り、」と書いてある以上は、平和の目的というものを達成することの手段であれば、私は原子力平和利用というものはできるのじゃないか、こう思うのです。その点の解釈というものを、やはりもう少しく明確にしていただかないと——平和の利用に限りと書いてあるならば私はもっともだと思うのですが、「目的」という字がある以上、法文の解釈上、意味が違うのじゃないかと思うのですが、御答弁を願いたい。
  111. 林修三

    ○林(修)政府委員 その点は、私は先ほどもある程度意識して御答弁しておったつもりでございますが、おっしゃる通りに、平和の目的に限りということと、平和の利用に限りという意味は多少違う余地があると思います。従いまして、現実の問題にその範囲のことが入るとか入らないとかいう問題が起った場合には、この文章に照らして考えてみなければいけない、かように考えるわけであります。
  112. 前田正男

    ○前田(正)委員 これは現実にまだ政府はそういうことを考えていないと昨日も総理から答弁があったわけであります。われわれの知っておる範囲でも、そういうような問題がないようでありますから、現実の問題としては差しつかえないと思いますが、先ほどからの岡委員の御質問も、将来のことに備えて、法律的な解釈というものを明瞭にしたいので、法制局長官質問しておられるようでありますから、法律上の解釈というものについては、平和の利用に限りということと、利用は平和の目的に限りという範囲とは、多少違うと私は思うのです。その点について、今の長官の御答弁では、大体違うという御答弁でしたけれども、平和の利用に限りということと、平和の目的に限りということとは、意味が違う、法律的な解釈の範囲が違うという点は大体間違いがない、こういうことですか。
  113. 林修三

    ○林(修)政府委員 これは現実の問題に当りまして、いつも具体的な場合に当てはめて考えなければいけないと思いますが、書き方が違う意味において、また多少その趣旨、ニュアンスが違う意味において、私は現実に解釈の上においては違ってくる場合があるだろう、かように考えております。
  114. 岡良一

    岡委員 それはおかしいな。そうすると第二条を変えなくても、日本において原子弾頭を作ることもできるし、日本の自衛隊は原子力の装備を持ってもいいのですか。
  115. 林修三

    ○林(修)政府委員 それは具体的な場合で、私どももよくわかりません具体的な場合に当てはめてみなければ、わからないということを先ほどから申し上げたわけでありまして、原子核の利用というものはどういう方面に利用されているかということを、あわせて考えてみなければいけないと思います。
  116. 岡良一

    岡委員 それはあなたのおっしゃったことについて聞けば、かりに自衛隊を乗せて走る自動車が原子エンジンを使うというならばいい、しかしバズーカ砲や機関銃に原子核エネルギーを利用することはいけない、そういうふうに限定して、自動車の方はいいが、たまの方はいけない、こうおっしゃるの  ですか。
  117. 林修三

    ○林(修)政府委員 必ずしもそうはっきりも——現実の問題として、そういうものを使用される目的、要するに「目的に限り」と書いてあるのでありますから、目的とか趣旨とかいうものをあわせて考えなければいけないと思うわけでございます。今おっしゃったような理由で一がいに言えるかどうか、これは現実の事態に即応して考えてみなければいけないと思います。
  118. 岡良一

    岡委員 それは、たまを持つことはいけないのですか。
  119. 林修三

    ○林(修)政府委員 私は現在の日本の憲法九条の解釈が、平和という目的を逸脱しておるとは思いません。これは外国からの直接侵略あるいは間接侵略があった場合、それを排除するという限度においてのみ自衛権の行使ができるという非常に厳重なる制約を付して、われわれは解釈しておるわけであります。そういう範囲におけるものが平和の目的という言葉と相反するかどうかという問題については、その場合場合の現実の事態に即応して考えてみる必要が私はあるんじゃないかと思います。ただし、先ほどから申し上げました通りに、そういう点でいろいろ解釈の疑義が生ずるならば、私は法律を改正するという手段をとった方がいいんじゃないか、かように考えております。
  120. 岡良一

    岡委員 日清戦争だって日露戦争だって今度の太平洋戦争だって、みんな宣戦布告を見れば、極東恒久の平和と言っておりますよ。そうして戦争をおっぱじめたじゃありませんか。問題は戦争を直視して——こう言っては悪いが、曲学阿世的なことでは困るんですよ。言葉の遊戯で変えなければいけないということじゃなしに、たまを作るときには、この法律がある以上、変えなければいけなくなるじゃありませんか。日本人は一人だって軍事的目的のためにそういう原子核を使ってはいけないのではないですか、変えなくても、そういうたまを作ったり、持ったりできるのですか。
  121. 林修三

    ○林(修)政府委員 それはやはり現実の事態に即応して、どういう目的のために、どういう趣旨でそういうものが使われるかということを、その場合々々で解釈してみなければ、私は実はわからないと思うのでありまして、結局現在の日本の憲法九条の解釈といたしまして、決して日本からアクティブに出るということは、私は全然許されないと思います。それは昔、日清戦争あるいは日露戦争はそういう言葉を使ったかもわかりませんけれども、少くとも今の日本の憲法においては、パッシブに、外国から侵略を受けた、あるいは間接的な侵略を受けたという場合に、それを排除する限度においてのみ私は認められる、かように考えるのでありまして、その範囲内のものとしてしか私は認められないと思っております。そういう範囲内のものとして、ある研究をする、ある利用方法を考えるということが、平和の目的に当るか当らないかということについては、私は具体的な場合に応じて考えてみなければならない、かように考えるわけでございます。
  122. 岡良一

    岡委員 僕の頭が悪いのか、どうもわからぬ。問題はその場合に当ってとあなたは言われますが、私はその場合を具体的に言っているのですよ。だから、憲法九条の、吉田総理時代の防衛論争を私はあなたとしようとは思いません。  そこで、あなたが言われるように、直接あるいは間接の侵略に対して日本の国を守るというための自衛権があるとすれば、自衛権を裏づける自衛力というものが必要である、かりにこの解釈が成立するとしても、今度はこの憲法の精神からもろもろの法律が出ているでしょう、この法律では明らかに原子力の利用というものは平和の目的に限るというようになっている以上は、日本の自衛隊といえども、自衛権のワク内においても原子力の核エネルギーを軍事的に用いられないじゃありませんか。それも含むならば、なぜ第二条に平和の目的なんという限定をするのでしょう。
  123. 林修三

    ○林(修)政府委員 そこで、結局この言葉の解釈の問題になると思います。従いまして、軍事的利用ということで直ちには言えないと思います。自衛隊が使うからといって、すべてのものが平和の目的に反するとは言えないのじゃないか、しかし、平和の目的に反するという場合も相当出てくるの、ではないかという気がいたします。そういうことにつきましては、やはり具体的な事例に当って、果してどうなるかということを考えてみなければいけないのではないか、私はかように考えるわけであります。しかし、これは何といっても法律でございますから、法律についてはそういう無用の論議を重ねるよりも、必要とあれば改正するという手続をとった方が、私はほんとうだと思うわけでございます。
  124. 岡良一

    岡委員 それでは、御提出の法案の内容に入ってお尋ねいたしたいのですが、今、原子力委員会強化するその方途としては、全部常勤にする、事務局強化するというような御報告があった。それに所要なる予算等についても、できるだけすみやかなる機会に措置するとおっしゃったわけです。そこで、全部常勤制にするという点は私どももいろいろ調べてみたのですが、常勤にするということになりますと、大学の教授だとか、社会的に公的な地位についている方もありますが、これは原子力委員に加われない、何かチェックするような事態が起りませんか。
  125. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それはわれわれ、国務大臣に任命される場合に、総理承認を求めました場合には、自分たちでも民同会社の代表取締役になれるはずであります。私はなっておりませんけれども、われわれの同僚の国務大臣の中にも、そういうふうな兼務をしておる方もあります。従って、常勤で非常に大きな支障がごないと思われる範囲内におきましては、私は大学教授のような方が重要な関連をする仕事に入ることは、場合によってあり得る、差しつかえないのではないかとも考えております。従って、そういうことの承認を求められました場合には、それについて調査をいたしまして、差しつかえないという場合には、国務大臣と同様な取扱いをして差しつかえないものじゃないか、こう解釈しております。
  126. 岡良一

    岡委員 それから事務局は、これも手薄なので、一つ適当な機構にぜひやっていただきたいと思うのです。  それから、大蔵当局とかあるいは外務当局とか、いろいろ今後原子力について具体的に計画をお立てになり、これを推進されようとすると、そういうところに関連性を非常に大きく持ってくるわけですね。ところがその場合、これらの方面との打ち合せが十分とれないということになってくると、せっかくの決定が、また実現が不可能になってきたりするということが起り得るわけです。そういうことが繰り返されてくると、原子力委員会決定の権威というものが何となく薄らいでくるという印象を与えるわけです。そこで、政府関係機関との連絡を密に保つには、一体どうしたらいいか、具体的に参与会の中に国係行政機関で次官級の人たちでも入れるとか、何か方便を考えなければいかぬと私は思いますが、こういう具体的なことを、そういう問題について何かお考えでしょうか。
  127. 宇田耕一

    宇田国務大臣 政府の中で、それに似たような問題を処理するのに、たとえば、輸入外貨の年間割当をやるという場合には、総理大臣を中心として、大蔵大臣、外務大臣、通産大臣経済企画庁長官、こういうふうな直接関係の深い閣僚会議が特別に組織されております。それの幹事として、各省の所管事務次官はもちろん、局長が一緒になって連絡の緊密化をはかって、そして一定の時期にそれの招集責任者をきめて、特別閣僚会議をやります。それは相当権威があるもので、いろいろの問題があります。また法制の裏づけのあるものといたしましては、国防会議等もあります。しかし、国防会議の場合にはまた特別の法制の裏づけがありますが、そのほかの経済問題の処理といたしましては、外貨の割当等の処理の仕方を見ていると、非常に緊密に、そして各省連絡の上に整理が非常によくできております。れからまた、賠償問題を中心とする経済協力のための特別の閣僚会議があります。それも外務省、大蔵省、通産省、経済企画庁、農林省も入っております。それから幣事は局長ないし次官がやるわけでありますが、かなりひんぱんに、それも正式の議に上す場合に、内輪の会議を開きます。そういうものの運営の仕方を見てみると、効果はあると思っております。問題は、政府部内の横の連絡の敏速化をはかる、あるいは適正化をはかるというために、そういうものを拙つ必要があると考えております。原子力委員会は生まれて一年くらいでありますから、各省の局長とか次官とかも、これの運営の仕方の合理的なポイント、がどうもよくわからない点があります。従って、歴史の浅い関係で、われわれがかなり積極的に注意をしておきませんと、ともすれば向うり理解が浅い場合は、思わね欠陥が生まれることがありますから、そういうふうな方針をとって、とにかく政府の内部におけるところの少くとも幹部級は、いつでも連絡のとれる基本の組織を持っておらなければならない、こういうふうに考えております。
  128. 岡良一

    岡委員 そこで、原子力委員会決定をされる。その決定のうち、特に重要な事項については、あるいは渉外的に、あるいは財政的負担を伴うような事項については、決定をされて閣議へ持ってきた。閣議へ持ってきたところが、閣議ではその決定が大きく修正をされ、否定をされるというようなことになったのでは、困るわけなので、内閣の中に受け入れ態勢はもちろん私は必要だと思うんです。それ以前に決定をされたものについては、やはり政府もその実施責任が持てるような顧慮が払われねばならぬものと思うんです。それを具体的にどうしたらいいか。私の思いつきですが、たとえば参考会のようなところに関係省庁の人を入れるとか、何かそういうような格好で、あれは公聴会的なものじゃないかと私は思うんですが、一応決定されたものを諮って、そしてその上でさらに腰だめをして本ぎまりのものをやる。関係各省庁のものが集まって、たたき台を運営上持たなければならぬと思うんです。そういう点はこれまでやっておられるようでありますが、しかし各省庁から聞くと、かなり文句を実際問題として聞くのです。そういう点も願慮が足らないのじゃないか。何とかここを打開すべきじゃないかと乱は思うのですが、その点はどうですか。
  129. 宇田耕一

    宇田国務大臣 その点は私は全く同感でございます。今までは原子力局長を中心としてずい、ぶんいろいろ手を打っておりますが、今、参与会というお話がありましたが、いずれにしても、原子力委員会の下における直接的な事務の処理調査だけではなくて、われわれの意思決定をするための参考、あるいは意思決定が十分に各省にすみやかに事務的な連絡がついてそうして政府の意思決定の前に十分こっちの内容が理解されるような連絡をとる方法は、必要と考えます。その方法は、原子力局等とも打ち合せまして、具体案をさっそく委員百会べ諮りたいと思っております。
  130. 岡良一

    岡委員 それから専門委員も、けさほどもお話し申し上げておったのですが、日本にも相当すぐれた専門的な権威もおられるわけですから、こういう方々のアビリティを動員して、原子力委員会決定、企画、調査について、十分協力を得られるような御工夫も一段とお願いしたいと思います。この定員も三十名でいいのかどうか。現在運営を聞いてみると、籍だけを置いて、原子炉の問題が起ればその席へ適当の人を埋めている。こういうような非常に変転きわまりないことになってくると、委員も落ちつかないから、専門委員としての十分なお仕事もできないかもしれない。あるいは処遇の問題もあるかもしれない。そういう点もこの際研究して、遺憾のないような御措置をおとりいただかぬと、規制法実施されると、原子力仕事は非常に重要にたってきますから、ぜひお願いしたいと思います。   それから、ここで総理大臣許可権を持っておられることになっておりますが、これは総理府の主管者としての総理大臣ということでございますか。
  131. 宇田耕一

    宇田国務大臣 そうでございます。
  132. 岡良一

    岡委員 実は、総理府の欄を見ますと、六法合書には、原子力委員会の次には売春対質審議会というのがあり、五つ、六つ先には離島振興対策審議会があって、売春対策審議会と離島振興対策審議会原子力委員会と同列なんです。こういうことでいいんですか。
  133. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それはそんなことを言ったら大へんなことでありまして、離島の現状というものは非常に悲惨な状況にありまして、日本社会問題としてこれはどうしても取り上げて、少くとも予算に計上して、上げた予算が離島へ行かずに本土にみな食われてしまうというような、悲惨な島出身の議員の実情に対する陳情を一ぺん聞いていただかなければならない。離島問題は第二として、売春問題は特別の社会問題ですから、そういう社会的な、要請による委員会は第二としましても、原子力委員会運営につきましては、自分たちとしてはもっともっと本格的に考えなければならぬ。また、今のようなことでいいか悪いかというと、決して満足すべきものじゃない。それについては、この国会で上げるものは上げますけれども、引き続いてもっと本質的な調査をしていかなければならぬと思っております。特に最近外国から来る人で、だれもが日本に注意してくれることは、インシュアランスはどうするかということです。それに対して国はどういう責任を負うか、要するに放射能被害に対する基本調査と一緒に、今度は被害を受けた場合に国家が補償責任をどの程度まで負うか、こういうものに対して国がどういう責任を感ずるだろうか、それに対する政府ほんとうの腹の底は誠意があるものかどうか、誠意があるなら、それをどういうように立法措置を今後とっていくというのか、三つの法律を見せても、そういう程度では、大体新しい原子力平和利用せんとする国々の態度に比して、非常におくれているということです。従って、われわれも直接海外べ出て行って、国々の原子力国民に対する利用面はいいですが、被害が及んだ場合の国の責任あるいは社会責任は、どういう組織あるいは形式、どういう立法措置をもって国民の不安を除くか、あるいは被害に対する予防措置あるいはアフター・ケアをどうするかということは、もっと研究しなければならぬと思います。従って、委員会のあり方等についても、ただいま御指摘になった例、あげられた問題は別として原子力委員会としては、もっともっと深く広く考えなければならぬと思っております。
  134. 岡良一

    岡委員 とにかく別に、離島振興や売春対策を私は軽視しろというわけではありませんけれども、しかし、原子力問題というのは、離島振興あるいは売春対策というようなものとは質的に違った問題です。質的に違っておるのです。だから、これが同列になっているというようなことでは、政府原子力行政というものに対する熱意のほどが、非常に低調ではないかと言いたくなるわけです。そこで、この法律案がいよいよ衆参両院を通過して成立をして実施に移されるということになりますと、この法律案に、よれば、かりに民間の電力会社が共同出資をして、アメリカから動力炉を入れる、その場合、この法律規定された事項を申請し、かつまたその基準に合致するものであれば、当然内閣総理大臣としてはその動力炉の設置の認可をする、こういうことになるわけですね。
  135. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 私から御答弁申し上げます。先ほど午前中に御質疑がございましたように、この法律では、日本原子力研究所あるいは燃料公社以外で製練あるいは原子がの設置等を希望する向きは、この法律の手続あるいは内合によりまして申請をいたしまして、それを行政府といたしましては、一応原子力許可基準というものを参照しながら、原子力委員会に持ち上げまして、原子力委員会の意思決定に従いまして、許可あるいは指定をするという建前になっております。   [菅野委員長退席、前田(正)委員長代理着席〕  たまたまただいまお話しのように、総理大臣がこれを決定すると申しましても、その前段階として、必ず原子力委員会意見を徴する、むしろ尊重するという建前になっております。
  136. 岡良一

    岡委員 その場合、これは委員長の御決意をお聞きしたいのです。午前中も実は有澤さんに念を入れたところなのですが、今アメリカの方に五通りばかりの炉がこれからできかかりつつあるようです。そうすると、どの炉を入れるかということは、原子力委員会の御決定になる計画的の開発と不可分です。ところかまず民間会社か入れようということになれば、何と申しても、これはやむを得ないと思うのですが、やはり利益採算ということが本位になると思うのです。もちろん、これは電力の問題でありますから、国民経済にも、国の産業にも重大な影響がありますから、単価が一体一キロワットに対して、幾ミルで済むのかということは、重大な問題になりましょう。しかし一方、日本の将来の原子力開発計画的な推進という立場と食い違いが起ってくる可能性があり得ると思うのですよ。そういうような場合、やはり原子力委員会としては、田の原子力開発計画的な推進という立場をあくまでも堅持して、単に利益のみから民間の会社がこの動力炉をという選択に対しては、やはり国の総合的な原子力開発という観点から、委員会判断というものを、許可権者の総理大臣に強く推さなければいかぬと私は思うのです。こういう事態が起らなければいいのですが、起り得ると思うのです。そういう場合、委員長としてどういう立場に立っていかれるかということですね。
  137. 宇田耕一

    宇田国務大臣 これは原子力委員会意見を聞き、これを尊重しなければならないという基本の方針がありますから、それを内閣が尊重するということについての具体的な処置はどうかということでありますから、その場合々々によって今から想像してどうこうということを申し上げかねると思います。尊重という点につきましては、単に商業べースの採算が有利である、短期間の利益が有利であるという観点で、ものは決定すべきではないということはお説の通りと思います。実際そういうような問題は、原子力の場合におきましては、いろいろの障害予防とか特別の条件がありますし、また原子力平和利用に対する国の基本の対策ということもありましょう。また燃料等の問題等もありまして、民間だけの判断では、これは決定しがたい条件が当然ここに生まれてくるわけであります。そういう点も、あらゆる角度から原子力委員会判断を求めて、内閣決定ということになるのが当然と考えております。これは別な問題かもしれませんけれども、ただいませ源開発調整審議会で、新鋭火力の問題で、民間の考え方と政府の考え方とが少しばかり食い違っておる点が現われてきておって、われわれは電源開発調整審議会の問題として、決定を少し延してある問題があります。その問題点は、国産を使うか外国の新鋭のものを使うかということでありますが、外国のものは、わが国で想像のできぬような、能率の占い大きな二十六万キロワットというようなものが、日本のでは十万そこそこ、まず十六、七万キロワットが最高限で、それ以上のものは日本のものを使用する場合に、必ずしも採算はよくないというような問題があります。そういう場合に、われわれはどっちを行政措置として許可するのが適当かということになると、非常な複雑な条件が入って参ります。原子力の問題の場合と必ずしも例は同一ではないと考えられますけれども、そういうふうな政府行政判断を求める以前に、民間意見が必ずしも一致しない場合が非常に多い。こういう例がたくさんありますから、第二四条等に掲げてある条項につきましては、われわれは今後とも委員会を通じて、あらゆる角度から政府判断が誤まりのないようにしていかなければならぬ。それを、委員長としては、政府に十分な働きかけをしなければならぬと考えております。
  138. 岡良一

    岡委員 動力炉のことについて言いますと、ここに二月に原子力局から私どもに渡された原子力開発利用についてというリーフレットの中で、現子炉の建設計画に関する基本的な考え方というものがあるのです。これはなるほどごもっともなことばかり書いてあるのですが、この点、原子力委員会がもっと明確に、具体的に計画を持っておられるのかどうかという点に私多少疑義がありますのでお聞きしますが、これを読めば、「基礎的研究より始めて、国産による動力炉を建設するため必要な各段階原子炉を国内技術をもって建設し、これらの成果を利用して動力炉を国産することを究極的な目標とする。まことにごもっともなことなんです。「このため、海外の技術を吸収することを目的として各種の実験炉、動力試験炉、動力炉等を輸入し、すみやかに技術水準の向上を図ることとする。これは全くその通りなんです。しかし、これは全く抽象的なことなんです。何ら具体性がない。具体的にこういう方針をどう進めていくかということが、これには何も書いてない。原子力委員会は、この項目員に該当する何か具体的な計画を持っておられるのですか。
  139. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その点に関しましては、原子力委員会自体でもいろいろ研究を進めておりますが、それと並行いたしまして、各界の意見をこの際十分聞いてみたいということで、先ほどお話のありました参与会を開きまして参与会にたしか四つの事項について諮問をいたしました。一つは、輸入、原子炉の目的あるいは規模、時期等の問題、第二点は、動力炉を輸入する際の技術提携をどうするか、第三点は、受け入れの形態をどう考えておるか、第四点は、所要資金等をどう考えておるか、調達方針まであわせてどうすべきかといったような問題を中心にいたしまして、まず参与会の意見を聞き、次いで財界の皆さんにお集まり願って、同じ問題を、メーカーの首脳部あるいは特に輸入に関連の深い皆さんにお集まりいただいて、意見を徴しました、次いで、この原子力問題に特に関連の深い政治家の皆さん——岡先生もお使いを差し上げておったのですが、不幸御出席を願えなかったのでありますが、皆さんにお集まり願って、それぞれ意見を伺いました。それから最後に、先週の土曜日でございますか、学界の方にお集まりいただきましてやはりその問題を中心にいたしましてお話をいただいたのであります。そういうふうに、一応各界の意見を伺いました。それぞれの立場々々で意見の相違の点もございますけれども、しかし大体、ある程度最大公約数と申しますか、あまり大きい差のない問題もございます。根本的に違う点も若干ございますが、しかし、輸入動力炉というものは早期に論人すべきじやなかろうかというような点に対しましては、学界方面も必ずしも不賛成ではないのでありまして、そのやり方等につきましてはいろいろ問題もありますけれども、そういうことで、各界の意見を徴すると同時に、冒頭に申し上げましたように、委員会といたしましても、局並びに先ほどお話のありました調査官あるいは補佐官と申しますか、そういう方たちを十分指示いたしまして、原子力研究所研究のタイアップをいたしましてそして企業形態の優劣、あるいは輸入炉の性格にもよりましょうけれども、それの採算、あるいは所要資金等の問題等をただいま委員会自体としても検討中であります。まだ結論を得るまでには至っておりません。
  140. 岡良一

    岡委員 この問の予算委員会では、大蔵大臣は、実用動力炉を輸入するというには、日本の財政事情よりしても、ちゅうちょの意向を強く示しておられるのです。そこで、これを見ると、動力試験炉と動力炉を二つ入れるというのはぜいたくな話だと思うのだが、入れるというふうに書いてある。新聞を見ると、参与会あたりの意向として、大方の流れが例のコールダーホールの改良型を実用炉として入れる一というような意向が伝えられている。この間、二十二日でしたか、九電力の社長会議では、政府機関にまかさない、共同出資で、自分たちの手で実用動力炉を輸入する、年内にでも発注したいというふうな記事が新聞に出ている。この間、ここで参考人の意見を聞くと、原子力研究所理事長の安川さんは、何が何でも動力炉、特に実験動力がについては、わしは自分の地位をかけても原子力研究所でやる、こう言われた。意見がいろいろあるわけですね。これらのいろいろある意見をどういう方向に持っていこうとせられるのであるか。原子力委員長としての御抱負をこの際一つ聞かせ願いたい。
  141. 宇田耕一

    宇田国務大臣 実験に関する限りは、日本原子力研究所においてこれを行うという基本方針でありますから、その方針をただいま変えようということにはなっておりません。ただ、実験を行う場合に、新しい年度の予算をどれくらいわれわれは期待できるかということになりますと、昭和三十三年の全部の予算規模をどれだけにするかという方針がきまりません限り、軽々には年し上げにくいのですが、相当大型の炉を入れることができるような決定を求め得るかどうかということについては、今のところ自信がありません。従って、大型炉を入れるという場合に、どういう炉の形態が好ましいかということにつきましては、おそらく財政金八手伯によってかなり規制を受けるものと覚悟しなければならないじゃないかと思われます。従ってこの間学界の皆さんとざっくばらんに話し合いをした場合には、そんな大きな炉を、莫大な燃料、経費を必要とする、年間償却だけでも、ときによってはその炉だけで八十億ないし九十億ぐらいの予算を組まなければならないような経費をかけて実験をしていくというふうなことよりも、もう少し小型でもって、実験のために自由に使える、そして食掛がそうひどくなく、効果の上り得るものを考えたらどうかというような意見が、かなり強く出ておりました。従って、実験に対する予算規模等から見てみて、どういう炉が好ましいかということについては、なおもう少し検討しなければならぬだろう。とりあえずウォーター・ボイラーないしCP5を稼働するということが、当面一応軌道に乗っている。そうして次に国産第一サ炉の動力炉は、大型の炉を持っていって考えるということと組み合せなくとも、もっと効果的な方法があると思われる、こういうことが大体の意見のようでありますから、われわれもそういう意見は尊重しなければならぬと思っております。そして発電用のリアククーにつきましては、各方面から、メーカーあるいは学問的ないろいろな報告が参っておりますが、それも、最近の大体の傾向は、出力の大きいものに進んでいくような傾向が見受けられる。そういうわけで、たとえばコールダーホール・タイプにいたしまして、もペアのワン・セットというようなことをしきりに主張されるものですから、そういたしますと、かなりな金額、四百億というものを燃料を含めて考えなければならぬということになりまして、そうすれば、これはむしろ民間ベースで受け入れたいという考えで、民間のベースで国際借款も可能なら、やってみたらどうか、そういうふうにしてできるだけ民間の採算ベースの範囲でこれを設置すること、そうしてこれによって受ける送電上のいろいろな技術的な問題を民間ベースで解決していいじゃないか、それに、売屯によるところの収支の計算は、民間のアカウントでやっていったらどうか、それの十分の計算が立たぬ場合には、そういうふうな炉を無理に求めて、そうしてその大型の、何百億というような、アフター・ケアに非常な金をさくことによって、日本平和利用のいろいろな積極面、消極血の予算をもらわなければならないと思っておる場合に、それが非常に影響を受けるようなことのないようにしたらどうか、そういうようなことが、この間相当強く主張があったわけです。従って、そういう点につきましては、われわれももちろん政府の内部として、原子力平和利用についての、予算の配分計画から見ると、実験のための大型炉の輸入ということは、これが発電用でありましても、受け入れ方については、簡単には申し上げにくいということが結論であります。もちろん民間ベースにこれをまかすということ、そして民間ベースの受け入れ方の管理方式あるいは経営規模をどういうふうにするかということ等につきましては、これは新しい別の問題としてなお研究すべきものじゃないか、こういうふうに思っております。
  142. 岡良一

    岡委員 そうすると、端的にいって、これは委員会としてもまだ御決定にならないで、いろいろ各界の御意見を聴取しておられる、それが一応まとまつたので、委員会の方でも本格的な御検討に入ろうという段階であろうと思います。結局大蔵大臣の財政的な制約がかなり強い、かと思えば、原子力研究所理事長安川さんの、何でもかでも動力炉の試験炉は原子力研究所でやりたい、民間会社の方では共同出資して、一つ採算のベースに乗る実用動力炉をぺアのワン・セットでやりたいという意向が出ておる、だから、委員長としては、端的には、東海村の原子力研究所には動力試験炉をぜひ入れたい、一方またエネルギーの需給の関係もあり、電力会社の方で共同出資でやってくれるというなら、とにかく電力会社の方は、ぺアのワン・セットの実用動力炉を入れて運転させる、こういう御方針ですか。現在のあなたの端的な御心境を承わりたい。
  143. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま政府で一番考えておりますことは、それだけの予算責任あるいは導入に伴う経営費等に対する責任をいかに負うかということでありまして、そういう面から見てみると、大型炉の輸入責任を全部政府が負うということは適当でない、ただいまのところはそういうところまで話は進み得ない、少くとも大蔵大臣のところではそういうふうな考えが強いように見受けられます。しかし、それは決定的なものではありません。  もう一つは、われわれのところにはいろいろな報告が参りますが、プルトニウムのリサイクリングの技術が非常に発達してきたので、プルトニウム等をそのまま最後まで熱のエネルギーとして利用し尽し得ると、いうような技術的な進み方が、各方面において自信を持たれてき始めたから、その面からいうと、非常に小さいものでなくて、もっと大きいものがいいのだ、従って、急いで大型の実験炉をどういうふうにして入れるかということに無理をしない方がいいのだぞ、こういうような注意がかなりあるように思っております。従ってイギリスからくる情報を見てみても、イギリスにおいても最近はやはり三十万キロ単位ぐらいのものが非党に熱効率がいいのだということも言うてきておる点もあります。そうなりますと、金は相当まとまった金が要るでしょうから、それをどういうふうにするか。実験といいましても、原子力研究所の実験がどれくらいの限度まで実験をされる知りませんけれども、出力が大きくなりますと、それに伴う燃料の経費が当然年間でかなり負担が多くなるでしょうから、そういう面の計算を見てみましても、とりあえずここで政府責任においてあらゆるものをやっていくということを申すことは、ほとんどできないのではないかと思われます。それで、あらゆる実験に関する限り、あるいは研究に関するものも含めて実験炉を日本原子力研究所に持ちたいというのは念願でありますけれども、果してそういき得るかどうかということにつきましては、ただいまのところ、はっきり申し上げかねる制約条件がかなり多くなってきておると思っております。
  144. 岡良一

    岡委員 動力試験炉の経費は大体どれくらいかかるのですか。
  145. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 動力試験炉なりや商業炉なりやということは非常にむずかしい問題でありまして、ただいまの段階では、英国の炉のタイプで申し上げますと、三十万キロ、これはペアでございますから、十四万キロくらいのものが二つくらいありますと、初期の段階ではいろいろ実験をいたす関係上、おそらく採算にはならぬかもしらぬけれども、それを出力運転するようになりますと、採算に完全に乗るのじゃなかろうかというお話のようでございます。そこで、その、しばらくの間実験する段階を実験と名づけ、そのままその炉が商業炉に同じものでもなっていくという性格のもの称し実験炉と称するか、あるいは規模の小さい、たとえば五万キロとか四万キロとかいったものをかりに入れるにいたしましても、どうしても採算が二割くらいは高くなるのじゃないかということでありますので、これは完全に商業ベースに乗るということは、今の段階では見通しはつかぬようであります。従って、そういうものは完全な意味で実験炉といえるのではなかろうかと思います。たとえば、アメリカからブラジル等が買っております小さい炉、ドイツなども最近英米とジョイント・、ヴェンチェアで契約を結んだようでありますけれども、これなども一万キロくらいの小さいものでありましてそういうものを称しましてもちろん採算に合わないのでありますが、実験炉と称するのか、さっき冒頭に申しましたように、大きいものであっても、初めは実験であるが、これがしばらくたつと商業炉になるという、混合した性格のものを初めの段階において実験炉と名づけるのか、この辺が非常にむずかしいところでございまして、そういう概念をどういうふうに割り切っていくのがいいか、その経過的な措置あるいはそれを完全に割り切って措置するというような行き方がいいのか、そういう点は、大臣も先ほど申し上げましたように、今、委員会で非常に中心問題になって論議しているところであります。
  146. 岡良一

    岡委員 とにかく、私ども専門的なことは知りませんけれども委員会としては、総合的な開発のために計画的な推進をはかるという見地から、動力炉のタイプというものがどういうものがいいのか、あるいはわが国の技術的な水準とのマッチがすでにどういう段階にあるのか、規模その他いろいろの点、財政的な状況ともにらみ合せまして、十分慎重に御検討願いたいと思います。そこで、結局これは委員長の個人としての御所信なんですが、民間会社がこの法律にうたわれている所要の手続を経て、大規模な実用動力炉設置し、運転するということについての許可を申請してきた場合には、当然これは許すべきであるとお考えになりますか。
  147. 宇田耕一

    宇田国務大臣 管理方式については、私は、まだ簡単にきめることはできないと思っております。それはインシュアランスの問題等、社会的な影響のある条項が、まだ未検討のものがかなりありますから、従って、単純に民間にこれを許すべきであるという結論は早いと思っております。
  148. 岡良一

    岡委員 だから、そういう管理方式その他について御検討の上、十分な保障の措置がとられるならば、民間にこれを認めるという御方針ですか。
  149. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それはあり得ると思います。
  150. 岡良一

    岡委員 そのことはいずれまた伺うことにしまして、論争になりますから、きょうはよします。  そこで、ただこの際、私どもが希望したいことは、原子力そのものの持つ歴史的な重要性から見て、この第一条あたりにも私どもがはっきりうたってほしいのは、アメリカ原子力法でも、国際原子力機関憲章でもはっきりうたっておるのですから、国民の福祉に貢献する平和と繁栄と保健ということです。ただ平和な目的ということでは、これはきわめて事務的なうたい方でしかない。だから、そういう点をもう少しお考えになって、あるいは発電する事業体のあり方なり、また今後の進め方なりも、原子力委員会としては十分御検討願いたい。原子力委員会の中にも、やはりそういう観点から、その経営のあり方等についてもいろいろ変った考えの方もおられるようですから、そういう点は十分に御検討願いたいと思います。  それから有澤先生に来ていただいて聞きたいことがあったのですが、これはやめます。この法律案を見ますと、原料物質の製練、加工処理などが規制されるごとになっているのですが、これは諸外国では全部機密資料あるいは制限資料になっておるのじゃありませんか。こういうものは日本でどの程度まで製練できるのか、加工できるのか、処理できるのか、そういう技術的な水準——そういう機密資料を受けるわけでもないのでしょうが、どの程度まで日本技術水準は来ていますか。ます製錬について、加工について、処理についてお答え願いたい。
  151. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 製練に関しましては、国立試験所あるいは民間企業等に補助金等を過去三カ年聞出しまして、そして、各段階別あるいは原料別に相当程度研究、実験を進めておるのでございます。一部工業化実験の試験の段階に入っているようなものもございまして、おそらく原子燃料公社が今まで出しました政府の援護のもとにやりました成果をそのまま吸収いたしまして、その成果を土台にして製練所の中間試験所を作ることになっておりますので、その点は今まで援助しました国立研究所あるいは民間企業と十分連結をとるような組織を作っておりまして、そして常に検討しながら製練試験所の設計その他をはかっておりますので、私は大体この問題はやっていけるのじゃなかろうかというふうに考えております。  それから、加工につきましても、やはり民間企業にいろいろ助成をいたしましてやっております。また原子力研究所におきましても、研究の準備中でございます。御承知のように、こういう加工は、必ずしも金属会社、金属製練会社のみに限ったのではございません。むしろ化学工業に属する分野も非常に多々ございます。そういう関係で、相当広くこの問題を助成しておれますが、御承知のように、日本の金属加工という点に関しましては、技術水準は世界的に見ましても相当高い段階になっておりますので、外国機密資料をいただかなければ、この問題は解決できないというふうにはただいまの段階では考えておりません。  最後の再処理の問題でございますが、これに関しましても、実際まだ扱っておりませんから何とも申し上げられない段階でございますけれども、しかし専門家意見を聞きますと、それほどむずかしいものじゃないという御意見が強うございまして、一方英国などでも協定文を見ますと、日本が要望するのであれば、再処理工場をいつでも作ってやってよろしい、提供してもよろしいというような好意的な条項等が見えております。これに関しましてもあまり心配せぬでもよろしいのじゃないかというふうに考えておるのであります。
  152. 岡良一

    岡委員 それでは具体的に。私ども専門的なことはわからないので、この機会に承わっておきたいのです。たとえば、日本の燃料公社の方で発掘していただくウラニウム原鉱を、いわゆるウラニウム二三五が〇・七%含まれておる天然ウランに精製する技術は、日本では完全に可能なのか、あるいは濃縮ウランを作るために気体にしておる六弗化ウランを作る技術、施設は日本においてあるのか、技術水準としては、少くとも日本はすでにそこまで行っておるのかということはいかがでしよう。
  153. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 濃縮のウランの問題を第二段にお答えいたしたいと思いますが、抽出から粗製練、製練、あるいは最後の金属に還元するこの段階は、大体今までの実験の成果からいたしまして、大丈夫やっていけると思います。ただ、それが初めての一種の中間的の段階に入るわけでありますから、始めたすぐそばから完全というわけには、技術的には可能であっても、採算的な面等もいろいるありましょうし、むだなしにということになりますと、あるいは問題が残るかと思いますが、まずまずいけるのではなかろうかと思います。濃縮ウランの方に関しましては、ここにおられます齋藤委員が当時次官をやったころに、濃縮ウランの研だをすぐやるべきじゃなかろうかということで、去年の補助金を出す際に、初めて去年からこの問題を取り上げまして、そして工業大学にこの研究を依頼いたしまして、実際は弗素を使っている会社は日本には大阪に一カ所しかございませんので、その会社とタイアップいたしまして、濃紺ウランに対する初期的な研究に着手させたわけでございます。今年度も引き続きましてその研究をさらに進めたいというつもりで、ただいま準備中です。ですから、この方はまだまだ自信があるかと申しますと、これは全くこれからの問題でありまして、何とも申し上げられません。
  154. 岡良一

    岡委員 それから、必要な暖連材の重水とかあるいけ石墨とか鉛、こういうものは、やはり原子炉の材料として耐え得る純度の高いものは日本でできますか。
  155. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 まず黒鉛でございますが、これは昭和電工の大町工場で三年ばかりもやっております。大へん優秀なのができまして、昨年度フランスからゲロン代表が参った際に、これに依頼いたしまして、フランスで分析をしてもらったのでございますが、少くとも分析の結果は、欧州ではああいう精度のものはない、アメリカの最優秀のものに四摘するいうことで、非常に優秀なのを作っております。ですから、反射材に使う黒鉛といたしましては、大体自信を持っていいのではなかろうか、ただ、モデレーターに使う分に関しましては、もっと性能のいいのを要求されますので、それに関しましては十分かと申しますと、何しろ分析そのものも日本ではまだ炉がないわけですから、実際使ってみないと最終的な結論が出ませんので、確実に最終段階に達したとはまだ言えないのではなかろうかという感じがいたします。重水に関しましては、御承知のように日本といたしましては非常に力を入れまして、昭和電工あるいは加化成等が中心になりまして、この試験をし、あるいは京都大学等で今まで研究を進めたのでありますが、製品はもうできております。それでは国産第一号を目ざして必要な量を令部日本でまかない得るかといいますと、量的には必ずしも満足にはいかぬのでございますが、しかし、技術といたしましては、ただいまの段階では、方式はいろいろありますけれども、最も普通の方式でやって参りますと、まずよろしいのではなかろうかという感じがいたすのであります。
  156. 岡良一

    岡委員 それからコールダーホールの改良型、僕はよく委員会で申しあげますか。
  157. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 コールダーホール改良型の燃料につきましては、燃料が約三千メガワット・デーということをギァランティーすると申しております。それによりまして取りかえます量は、ただいまおっしゃられたように、一炉当れ年間約五十万トンくらいと思っております。それから出ます。プルトニウムの生産量がどのくらいであるかという点につきましては、実ははっきり確かめて参ってございません。向うでも申しませんでした。またあとでわかりました節には、御報告申し上げたいと思います。
  158. 岡良一

    岡委員 私がいつも申し上げておることは、先ほど法制局長官も出てこられたときに話しておったのだが、日本で使わないにしても、日本平和利用の旗を掲げて運転して電力を生産しておる。ところが、出てきた灰がプルトニウムであって、これが相当出てくる。御存じの通り、灰の再処理の費用というものは、莫大なものらしいのです。ですから、技術があっても、相当巨額の経費をもって英国が施設を提供してくれるとしても、莫大な費用でもってこれを廃棄していくということは、なかなか至難ではないかと思うのです。その点でまた明日でも委員会がありましたら、どの程度出てくるのか伺いたい。英国の協定の草案を新聞で見ますと、なるほどそういう施設の建設につきましては援助をしようと申しておりますけれども、実際問題として予算に制約されるとか、また話し合いの結末としては、事実上この援助を受け入れるところの条件というものは、なかなか困難な事態が起りはしないかということを考えます。そういう点、英国政府との協力、向うが示した協定草案のその部分についてのいろいろ予算的な制約とか技術的な問題とか、プルトニウムがどの程度まで出てくるのかというような点を、委員会で一ぺん御報告願えばけっこうと思います。  それから、その次の問題、これは一昨日も申し上げておったのですが、私ども規制法を見て思うことは、何だか政府の権力で押えよう押えようというような感じを受けるわけなんです。もちろん原子力はこういう非常に巨大なエネルギーを持ち、どういう事故を起すかもしれませんから、周到のしにも周到に政府責任を明らかにされるということは当然だと思うのですが、しかし同時に、やはり伸ばすものは伸ばしていこうという、そういう何か発展性のある意図というものがこの法律案の中にあってもいいのじゃないかと思うが、それがあまりないのです。そこで、たとえば他の国の立法例なんか見ますと、規制法の中に人っているわけでもありませんが、情報とか資料というふうなものの取扱い、これは機密は含まない、排除すると基本法でうたっているのだから、これ場はあらゆる場合に、あらゆる機会に、あらゆる人に、あらゆる国に公開をするという原則でいくならいくとしてやはりそういうような抱負を法律の土にうたうべきではないかと私は思うのですが、委員長のお考えはどうでしょう。
  159. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この法律では、別に資料、情報等の公開という点はうたってございませんが、しかし、目的にございますように、原子力基本法にのっとるということで、基本法の精神をあくまでも順奉していく、そのための法律でございますから、ただいまお話のような資料等の公開あるいは原子炉等の公開と申しますか、こういうことに関しましては、商業上の機密事項はいたし方ないのでありますけれども、そういうものでない範囲におきましては、十分お話のような措置が現実の上にとれると思います。
  160. 岡良一

    岡委員 それから、今後主として外国からいろいろな資料、情報等の提供を、受けるわけですが、私が最近外務省の方からいただいた資料によると、アメリカ側が日本に示した一般協定草案の解釈上からいくと、アメリカが提供した情報等は、アメリカの好ましくない第三国等には、日本はこれを通報してはならないというような制限が事実上あるのだということがここに書いてあるのですが、そうなってくると、この情報の公開ということが、ここで大きくチェックされるというような状態になるわけです。日本方針とすれば、どこから何をもらおうと、どこへでも遠慮なく公開をするのだ、こういう腹がまえで行くべきだ、そういう方向に行くべきだと私は思いますが、委員長の御抱負はいかがでしょう。
  161. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それは同感と思います。ただ向うが特に、要求をしておる場合に、こっちがそれをどういうふうに守るかということは、ケース・バイ・ケースによって判断しなければならぬでしょうけれども、原則は、岡委員の言われる通りと思います。
  162. 岡良一

    岡委員 原則ではなく、事実上にそうあるべきだと私は思います。  それから、日本の方でそうして第三円から提供を受けた情報、資料、資材等に基いて日本研究を進めていくその過程において、やはり外国では相当軍事的な機密に準ずるような新しい発明、発見等がなされ得ると思うのです。こういうものについても、この法律案でその取扱いをはっきりとしてれかなければならぬの、ではないかと私は思うのです基本法では一応うたっ、てありまするが、具体的な取扱いをこういう法律の中にうたった方がいいのではないかと私は思うのですが、これはいかがでしょうか。
  163. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その点に関しましては、報告の聴取あるいはその工場に実際検査その他ができるようになっておりまして、帳簿等の整理もこの法案にうたってございますが、なお、さらにそういう条文以外の義務事項を付帯する場合には、雑則の六十二条にありますように、指定あるいは許可のための条件を付することができることになっておりますので、その条件の中にそういう条件を付しまして、そうして国際的な義務等が十分果せる、ようにいたしたいというふうに考えております。
  164. 岡良一

    岡委員 それから、こうしていよいよ内閣総理大臣なり通産大臣が許可をして原子炉設置され、運転され、あるいは加工、製精練、処理等の工場ができ、施設ができるということになりますと、日本のように地震が非常に多い国、もろもろな事情で大きな災害が起った場合、災害の保安の措置については、一応形式的な条項はあります。これはそこに従事しておる従事者だけではなく、一般に広くその地域に被害そ及ぼすこともあり得ると思うのです。ドイツの原子力法なんか見ると、そういう際、相当の条文、十ヵ条ばかりにわたってかなり国の賠償の責任というものを明確にしておるわけです。人に対する、あるいは物の損害に対する補償、こういう点をこの法律の中でやはりうたうべきではないかと私は思うのですが、どこか他の法律か何かにあるのですか。
  165. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 この法案は、先ほど岡先生お話のように、非常に厳格にできておりまして、いやしくも災害というものは、ほぼ絶対に起り得ないというところまで詰めておるつもりでございます。と申しますのは、原子炉設置運転に関しての許可あるいは設計、工事方法、事前の認可をとらせまして、さらに施設そのものの検査をやっていく、あるいは性能検査、これはフルに正常運転する前に、もう一ぺん検査をして、制御棒あるいは漏洩等のありゃなしやという点を十分検査いたしまして、その結果大丈夫とあれば、初めて正常運転に人らせるというふうに、非常に念を入れまして、さらにそれでもまだ不安だというので、事業主体にはみずから保安規定を作らせまして、そして、ただいま申し上げましたような各個の事項を十分その企業体が守り得るというのも、認可事項の一つにしております。言いかえますと、二重三重に、この保安に関しては、安全のための措置を講じておるつもりでございます。従いましてこれほど厳格な検衣というものは、ほとんどほかにはないくらい厳格にしておりますので、これほどたんれんにしておけば、おそらくは事故というものは起り得ないであろうといふうに考えております。しかし、もし万一こういうものが起きた際には、補償の規定は別段置いてございませんが、民法その他によ損害の補償等は当然これにも適用されますので、万が一の場合には、そういう条項を引用いたしまして、措置いたしたいというふうに考えております。
  166. 岡良一

    岡委員 それから、最後に国際原子力機関憲章が今、外務委員会にかかって、本委員会も連合審査を要求しておるわけですが、この国際原子力機関憲章とこの法案との関連性というか、この章をいよいよ日本が批准した場合、この法律案だけでいけるのでしょうか。
  167. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 本案を法制局で審議いたしました際には、常に国際原子力憲章との関連を考えつつ、この法案で国際的な義務を国として十分果し得るかどうか、果すための国内法規的なものが抜けてやしないかという点は、ずいぶん吟味してやつたつもりでございます。従いまして、憲章で一番問題にしております平和利用の問題、あるいは安全、保健上の措置、あるいはインスペクター等が参りました際に、それを受け入れるための措置等に関しまして、十分規定を設けまして、国連出章等から義務づけられます国家的な義務は、この法の典拠によって果したいというふうに考えてございます。従いまして、余談でございますが、せっかく憲章等も、できた際でございますので、何とかしてこの際この法案を早く通していただきまして、一日も早く、だれが来ても国家義務といえ、ものをこういうふうにして完全に果しているのだという等分が、十分国としてできるようにいたしたいというのが、私どもの念願でございます、
  168. 岡良一

    岡委員 いろいろ長いこと詳しく教えていただいて感謝いたしますが、国際原子力機関憲章とのもっと具体的な関連性——私もちらっと見て、たとえば憲章から査察を受けるというような場合、やはりその査察を受けることによって生じ得る事態が、国民の権利なり義務なりというものを拘束するようなこともあり得るのではないかと思うのです。そうすれば、やはりそういう事態がもしあり得るならば、そういうことを法文の上に明らかにしておく必要があるのではないかとも思います。そういう点、私どもまだ十分に勉強しておりませんが、これは明日でけっこうですが以ら、憲章の中で特にこういう点を願慮してあるのだという関連性を、具体的に一つお話を願いたいと思います。
  169. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 たとえば、今の立ち入り検査の問題ございますけれども、やはりこの法律で国際義務を受けます際に、先ほど申しましたように、附帯条件等には当然うたうつもりではございますが、日本の国内法といたしましては、あからさまに、インスヘクーをどうのということを書くわけには参りませんので、この六十八条にありますように、わが国が主体性を持って立ち入り検査に行く、その際その随行者といたしましてインスペクターが参りすれば、事実上目的を達するのではなかろうかというふうに、国際的には義務を負っておりますけれども、国内的にはあくまでもこちらの行政権限として立ち入りをいたしまして、向うの方はこれに随伴していくというふうにいたしたいというのがこの法の建前になっております。これはあくまでも岡先生のただいま申されました国の主権というものがございますので、やはりその主権はそれによって侵されないのだという建前をはっきりと堅持いたしたいという法の精神にしてございます。ただ、その際に、さっき申しましたように、許可の条件等を付しておきますれば、実際的には何ら差しつかえないようにはなっておりますけれども、いかなる権限でやるかと申しますと、国の主権に基いてこうしたいのだということで、実際、国際義務も果し、また国内的な任務も達するというように考えております。
  170. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 先ほど御質問のありましたプルトニウムの生産量につきまして、推算した数字を一応ここで申し上げておきたいと思います。年間取りかえ量五十五トンといたしまして、燃焼率三千メガワット・デーということになりますと、大体〇・七%のウラニウム二三五のうち、約〇・三%くらいは燃焼する、こういうことになりますので、転換率六〇%といたしますと、約七十キログラムくらいのプルトニウムができるという勘定になります。これを分離精製して抽出して、正確にどのくらいのプルトニウムの金属ができるかはわからないが、大体その程度であります。また、なおさらに正確なものがもしわかりますれば、御報告いたしたいと思います。
  171. 岡良一

    岡委員 白書にもうたっておりますし、ぜひそうすべきだと思いますが、これは相当の経費がかかるということは、英国の原子力公社の白書に書いてあるわけです。どのくらいかかるのか、そういう点も、やはり把握すべきだという建前から関心を持っておるのですが、そういったような点も調査して、御報告願いたいと思うのです。  なお、きょういろいろ御答弁をいただきました点について、ほんの十分ばかり、また明日質疑をいたしますから、委員長の方で、ぜひお取りなしを願いたいと思います。
  172. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 その点は差しつか、えないと思いますが、大臣に対する質問は、あしたまたほかの方に委員会があるようでありますから、きょう一つなるべく終了していただきたいと思います。
  173. 岡良一

    岡委員 これでけっこうです。
  174. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 それでは、本日の質疑はこの程度にとどめ、明九日、午前十時より開会し、質疑を続行いたします。     —————————————
  175. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 この際、参考人決定につきましてお諮りいたします。すなわち、放射線障害防止に関する問題について、立教大学総長松下正壽君、日本赤十字社中央病院長都築正男君、原水爆実験禁止日本協議会理事長安井郁君、以上の方々を参考人と決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     「異議なし「と呼ぶ者あり〕
  176. 前田正男

    ○前田(正)委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会