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1957-04-02 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 有田 喜一君    理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君       大高  康君    小平 久雄君       須磨彌吉郎君    塚原 俊郎君       石野 久男君    岡本 隆一君       佐々木良作君    滝井 義高君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君         国 務 大 臣 小滝  彬君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (人事院事務総         局任用局長)  松村 清之君         人事院事務官         (人事院事務総         局給与局長)  瀧本 忠男君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     松木 豐馬君         科学技術政務次         官       秋田 大助君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         総理府事務官         (防衛庁経理局         施設課長)   大森 頼雄君         科学技術庁次長 篠原  登君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局アイソト         ープ課長)   鈴木 嘉一君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    高橋幸三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放射性同位元素等による放射線障害防止に関  する法律案内閣提出第一二八号)  科学技術振興対策に関する件     —————————————
  2. 有田喜一

    有田委員長代理 これより会議を開きます。  夢野委員長が都合により出席できませんので、その指名により私が委員長職務を行います。  放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。秋田政務次官
  3. 秋田大助

    秋田政府委員 ただいま議題となりました放射性同位元来等による放射線障害防止に関する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国における放射性同位元素につきましては、昭和二十五年初めてわが国に輸入されて以来、その研究利用は、急速な発展を遂げ、現在では官公立試験研究機関はもちろん、民間の事業所等においても広範に使用され、原子力平和利用の一環として産業、医療その他の面において多大の成果が期待されている次第であります。  しかしながら、これらの原子力平和利用は、反面ややもすれば放射線障害というマイナス面を伴うので、今後原子力の開発が進むに従い、放射線障害防止に万全を期することの必要性が痛感されるのであります。米英等の諸外国におきましても、すでに放射線障害防止関係法令を制定整備して厳重な放射線の管理を行い、放射線障害防止に多大の力を注いでおり、わが国でも原子力基本法において放射線障害防止のための規制は別に法律で定める旨規定いたしております。  従いまして、政府といたしましては、放射線障害対策として、まずその予防診断治療調査研究放射線医学面における積極的利用調査研究関係技術者養成訓練を行うため、科学技術庁付属機関として放射線医学総合研究所を設置することとし、さきに別途科学技術庁設置法の一部を改正する法律案として、今国会提案いたし、また、これに必要な予算を計上して、それぞれ御審議を願っておりますが、これとともに放射線障害防止についての立法措置を講ずるため、数年にわたって鋭意検討を重ねました結果、今般成案を得て、ここに本法案を今国会提案する運びとなった次第であります。  なお、原子炉等に基く放射線障害防止立法といたしましては、別途原子炉等に関する規制に関する法律案、(仮称)を立案中でありまして、近日中にこれまた今国会提案することとなっております。  以下、本法律案内容概要につきまして、重点的に御説明申し上げます。  第一に、この法律案目的についてでありますが、この法律案は、原子力基本法精神にのっとり、放射性同位元素使用販売その他の取扱い並びに放射性同位元素装備機器または放射線発生装置使用規制することによりまして、これらによる放射線障害防止し、公共の安全を確保することをその目的とするものであります。  第二に、規制の方法でありますが、その一は、放射性同位元素等使用販売について許可制をとったことであります。放射性同位元素放射性同位元素装備機器または放射線発生装置使用または放射性同位元素販売の業につきましては、これらの取扱いに伴う放射線障害発生危険性を強く認識いたしますとともに、多くの国々が許可制あるいは免可制を採用いたしております例にもかんがみまして、科学技術庁長官許可を必要とすることとし、使用施設等の構造、設備等一定基準に該当する場合にのみ許可を与えることといたしております。その二は、放射性同位元素等使用者及び放射性同位元素販売業者に対し、放射線障害防止上必要な義務を課したことであります。放射性同位元素使用、詰めかえ、保管、運搬及び廃案は、一定基準に適合してなされることを要し、また、使用施設等についての放射線量の測定、障害予防規定の作成、従業者等に対する放射線障害発生防止上必要な教育訓練実施放射線障害者の発見及び放射線障害者に対する措置等、保安及び保健上必要な措置を講ずること等がそれであります。その三は、放射性同位元素の所持並びに譲渡及び譲り受けの制限であります。放射性同位元素使用者等一定取扱者以外の者に流通することを禁止することによって、不測の事故発生することを未然に防止することが必要であると考え、これらの規定を設けた次第であります。その四は、放射線取扱主任者制度を設けたことであります。放射性同位元素等使用者及び放射性同位元素販売業者は、国が行う放射線取扱主任者試験に合格した者、その他これと同等以上の学識経験を有すると認められた者のうちから放射線取扱主任者を選任し、放射線障害発生防止について必要な監督を行わせなければならないことといたしました。  第三に、国の行政的監督についてでありますが、地震、火災その他の事故により放射線障害発生するおそれが生じた場合等に放射性同位元素等使用者放射性同位元素販売業者等一定の応急の措置をとらせるとともに、これらの者に対し、国が必要な命令を発することができる旨の規定を設けました。また、必要に応じ、立ち入り検査放射性同位元素によって汚染された物の収去等を行わせるため、特に専門的知識を有する放射線検査官制度を設けることといたしました。  第四に、科学技術庁長官の諮問に応じて放射線障害防止に関する重要事項について審議する機関として、放射線審議会を設けることといたしております。本審議会委員は、関係行政機関職員及び放射線障害防止に関し学識経験のある者のうちから任命することとなっております。本審議会を通じまして、関係方面と緊密なる連携をとるとともに、技術上の問題その他本法の運営に万全を期することといたしました。  以上が放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案提案理由並びに概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 有田喜一

    有田委員長代理 以上をもちまして、提案理由説明は終りました。  本案に対する質疑は、後日に譲りたいと思います。
  5. 岡良一

    岡委員 議事進行で。資料はこれだけですか。
  6. 鈴木嘉一

    鈴木説明員 御要求がございますれば——どういう資料を整えましょうか。いろいろ準備してはございますが。
  7. 岡良一

    岡委員 この法律案を見ましても、また法律案趣旨にかんがみましても、全部が、審議会にゆだねるとか、総理府令にゆだねる、政令にゆだねるとなっている。原子力平和利用の今後の発展のためには、やはり事、人命にかかわる問題であるから、もっと科学的水準における安全性とはどういうものであるかということについて、政府並びに国会が大きな責任を持つ画期的な立法でなければならない。資料がこの程度では、われわれは国民に責任のある審議結論を出すことができない。そういう意味で、それではあらためて私は資料要求をいたします。ただ、今思いついただけのことでありますので、今後逐次皆さんの方でも御努力を願いたいと思うのでありますが、まず、放射線障害予防ということで一応世界的な文献になっておるのは、アメリカのナショナル・ビューロー・オブ・スタンダードから出しておりますセーフ・ハンドリング・オブ・ラジオ・アクティヴ・アイソトープス、この必要部分について日本訳の抄訳を御提供願いたい。それからまた、昭和二十四年でしたか、日本に初めてスタックを通じてアイソトープが入りましたときに、日本医学会の、特に放射線学会の方で、放射線障害防止に関する勧告政府に出しているはずです。これもぜひ一つ提出を願いたいと思います。  それから、それに基いて、厚生省並び労働省においては、放射線取扱いに関する安全のための規則あるいは指示を通達しておるわけでありますから、これも一つお出しを願いたい。  なお、この放射線によって万一障害が起ったときにおけるもろもろの疾病というものは、現在の健康保険法による診療基準をはかるに上回るようなものであるわけです。不治の白血症のような場合には、的確な、積極的な治療は現在ありません。従って、安静を守るとか、ビタミンを注射するとか、白血球が減少するからというので抗生物質を注射するとか、こういうような健康保険診療基準からいえば、しばしば濃厚診療とかあるいは過剰診療というような部類に入ることを、白血症の場合にはしなければならないという事態が起ってくるわけです。そこで、ビキニ被爆患者において、国立病院なりあるいは東大病院がどういう診療をやったのか、結論として、その経験にかんがみて、どの程度診療がこれらの障害に対して万全を期し得られる診療であったかということについて、一つ御精査を願った上で、専門家の御意見をこの際資料としていただきたい。同時に、現行の健康保険法における診療基準、特に放射線等の傷害に基く疾病の場合における診療基準があるはずでありまするから、これをもあわせて御提示を願いたい。大体以上はとりあえずわれわれの審議資料として御提出願いたい。もちろんその後必要に応じて資料提出を求めることにいたしたいと思います。
  8. 前田正男

    前田(正)委員 私もちょっと資料の追加をお願いしたいと思うのですが、現在のアイソトープ使用量アイソトープをどういう方面に使っておるかという使用状態、それから、その中でどれだけが国産で、どれだけ輸入しておるか、そういったことについて大略的でけっこうでありますから、この法案審議参考資料として出していただきたいと思います。
  9. 鈴木嘉一

    鈴木説明員 岡委員の御要求になりましたNBSのセーフ・ハンドリングの日本訳、これはございます。それから第二の、学会の当時の政府への勧告、及びそれに伴いまして労働省がとりました通達、これもあります。ただし三番目の健康保険診療基準でありますとか、その後のビキニ患者診療内容というようなものは、ただいま科学技術庁の方には持ち合せがございませんので、これは厚生省の方に連絡いたしましてととのえますから、若干時日をかしていただきたいと思います。  それから、前田委員の御要求アイソトープ使用量使用状態、それの国産及び輸入の比率、こういうものは一応ございますから、提出いたしたいと思います。
  10. 有田喜一

    有田委員長代理 次に、科学技術振興対策に関する件につきまして、調査を進めます。  まず、研究技術公務員処遇に関しまして質疑の通告がありますので、これを許します。前田正男君。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 過日の当委員会におきまして、人事院総裁初め関係政府委員の諸君の御出席のもとにおきまして、当委員会全会一致をもっての決議をいたしましたことは、すでに政府側も御承知通りでありますが、委員会からも正式に政府通達をいたしたはずであります。そこで、この決議に暴きまして、この際、人事院総裁にお聞きしたいと思うのですが。われわれのこの決議に対しまして、特に研究公務員特例法を設けるとか、あるいは特別な職務に従事する職員の適正な給与制度考えるとか、こういったことにつきまして、あるいは技術者事務官区別を撤廃し、不均衡をなくすとか、こういうふうな決議趣旨に基きまして、人事院の方において御研究願えるかどうかということを、一つ答弁願いたいと思います。
  12. 淺井清

    ○淺井政府委員 研究公務員のいわば優遇という問題につきましては、かねてから人事院にも申し入れがあったので、かかる御決議を待たずとも、実はこれまでにやるべきことであったかもしれません。それがおそくなったのははなはだ恐縮でありますが、この御趣旨に従って人事院としては善処するつもりでおります。ただし、その御決議内容を拝見いたしますと、人事院権限以外の事項も含まれておりますから、これは一つ内閣の方におただしを願いたいと思います。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 人事院総裁の方で御研究願えるということは、われわれの決議に対しまして非常にありがたく思っておるのであります。今、総裁の御答弁通りに、人事院権限以外の問題があるのであります。それについて、当然科学技術関係振興の問題については、科学技術庁が各行政間の調整をすることになっております。従いまして、科学技術庁におきましては科学技術審議会というようなものもあるわけでありますから、当然そこで結論を出して、関係行政方面科学技術庁長官として勧告してもいいと思うのであります。科学技術庁においては、そういうふうなことを研究し、また審議会等に諮るという考えがあるかどうかということを、一つ科学技術庁の方から御答弁願いたいと思うのであります。
  14. 篠原登

    篠原説明員 お答え申し上げます。科学技術庁におきましては、付置機関といたしまして科学技術審議会がございます。この審議会におきましては、関係の各省各庁の方々が委員あるいは専門委員となっておやりになっておりまして、特に部会といたしまして研究公務員部会というものが設置されております。従来ともこの研究公務員部会におきまして、研究技術公務員処遇につきましてはいろいろ検討をいたしておりまして、関係方面にもお願い申し上げておる次第でございます。さらに一段とこの御決議趣旨を体しまして、研究公務員部会におきまして従来よりも一そう熱心に御検討いただくことによりまして、その結果につきましては関係方面と打ち合せをし、その実現に努力をいたしたいと思います。
  15. 前田正男

    前田(正)委員 今の御答弁のようなことで、当委員会決議に対しまして、人事院及び科学技術庁あるいは科学技術審議会におきまして、趣旨を尊重して御研究願えるようでありますけれども、なるべくこういうものを立法化し、あるいは予算化する機会までには、一つこの趣旨に沿うて十分御研究願って、研究者技術員等の待遇の改善のために御努力を願いたいということを切望いたします。  次に原子力の一般問題につきまして、大臣おいでになったら、佐々木委員その他から御質疑があるようでありますけれども、大臣おいでになるまでの間、私から局長にお伺いいたしたいと思います。  まず、局長に。聞きしたいと思うことは、原子力委員全行政とか行政とか、あるいはまた原子力局やり方とか、そういったようなものは、これは大体行政上の問題も相当ありますけれども、なるべくわれわれは原子力委員会等にまかして、立法関係職務はあまりこれに触れないようにしておったのであります。しかしながら、この問題は過般来いろいろと一般協定とか研究協定とかそういった問題から見ましても、原子力委員会あり方その他についてわれわれとしてはこの際研究をしなければならぬ、こう思っておるのでありますけれども、こういった問題について局長は、原子力委員会あり方とか構成とかいうようなことは行政上の問題であるか、立法上の問題であるか、どっちに考えておられるか、まずそれから御答弁願いたいと思います。
  16. 佐々木義武

    佐々木政府委員 原子力委員会性格と申しますか、これは基本法並びに原子力設置法規定されておりますので、法律上の権限あるいは性格等法律の定めた事項に明確であろうというふうに考えております。ただ、運用の面に関しましては、あの設置法にきめられました任務を遂行できますように、ちょうど原子力局原子力委員会というものほぼ同じような業務規定法案で作ってございまして、原子力局がやっていく上において、行政的な実施をする面において、特に重要な国策的な面に関しましては原子力委員会でこれを定めて、原子力局実施していくというふうな建前になっております。その趣旨を体しまして、ただいまのところ、できるだけ委員会意見を尊重し、重要事項をきめていただくように取り計らって参りたいと思っております。
  17. 前田正男

    前田(正)委員 原子力委員会構成とかその組織とかいうものは、立法上の問題であるということは、今、局長も御答弁になった通り、当然のことであると思います。従いまして、われわれ国会がその責任をとらなければならぬと思うのでありますが、今朝来の新聞を見ておりますと、原子力局意向におきまして、法律改正によらないで、委員会に対しまして付属事務員をうけるというようなことを原子力局できめたということを聞いておりますが、それが事実であるかどうか、一つ答弁願います。
  18. 佐々木義武

    佐々木政府委員 委員皆さんと御相談いたしまして、とりあえず、すぐにでも必要であるからというお話で調査官、名、それから技官あるいは庶務宮その他をそれぞれ委員に一人ずつアシスタントとして付して、さらにタイピストあるいは庶務要員をつけたいということと、調査官の特命に関しましては決裁書をただいま回覧中でございます。
  19. 前田正男

    前田(正)委員 私はまずその問題について、局長はそれが事実であるというような決裁を回しておられるということでありますから、この際質問したいのでありますが、原子力委員会というものは総理府に所属するところの決定機関であります。原子力局というのが科学技術庁に属する執行機関行政機関であります。法律においては、事務科学技術庁において行う、いういうことになっておる。それを法律構成というものを変えずに、また予算審議等において、原子力局人間として、行政局人間として配置され、また原子力委員会においてはそういう官吏は付属しないということになっておるものを、あなたの方が勝手にきめて、法律改正によらないでそういう決裁をしておる、そういうことが法律的にできるのかどうか、この点について一つ……。
  20. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいまも、たとえば原子力委員会に女専務員が二人、事務官が一人と運転手が三人おりますが、こればみな原子力局定員の中に入っております。これは原子力委員会専属庶務その他を入れるようにということで、そのまま原子力局庶務を強化するという理由をもって、原子力委員会仕事をやっております。
  21. 前田正男

    前田(正)委員 だから、原子力委員会事務原子力局が行うことになっておる。従って、その庶務的の仕事の中に専属的に割り振るということはできるでしょうけれども、原子力委員会調査官とかそういったものをくっつけてやるということは、私はできないと思う。これは、原子力局全体が原子力委員会事務局として働くのであって、その一部の人間をさいて勝手にやるということは、できないのじゃないか。原子力委員会というものと科学技術庁原子力局というものは、決定機関行政機関区別はやはり明瞭にあるのじゃないかと私は思うのです。
  22. 佐々木義武

    佐々木政府委員 局全体が委員会庶務を扱うのはもちろん当然であります。法規にのっとってそのまま運営しておるのでありますが、その際、局全体の中で、たとえば法律とかあるいは予算とか、そういう問題で忙しくて、なかなか委員皆さん調査立案上、不便をかけたりしてはいけませんというので、そういうアシスタントをこの際置いてもらいたいという話があるものですから、別にそれを職制を変えてどうというのではなくて、本旨はあくまでも原子力局庶務を扱っておるわけでありますけれども、そのうちの一部を専属にしようというだけであります。
  23. 前田正男

    前田(正)委員 それは私は立法精神と違うと思うのであります。原子力局というものがやっておるのであって、そういう一部の原子力局人間であるものを、また予算定員からいってもそうでなければならぬものを、原子力局全体がやるならいいのでありますし、庶務的な仕事をやるのは原子力局仕事でしょうけれども、調査官とかその他の重要な人間を勝手に持っていくということはできないのじゃないか。またさらに私が一番初めに申しました通り原子力委員会構成とかそういったものは立法事項であって、われわれ国会の方からも、非公式でありますけれど、こういうふうにこの際原子力委員会を強化するなら、専属事務局を設けたらどうかというような意見をわれわれは申し述べておるわけでありますが、そういった国会の方の立法事項である原子力委員会というものをどうすべきかということについて、われわれは研究をし研さんをしておるのに、原子力局の当局として、行政機関として、そういう国会意思というものと関係なしに、自分たちが勝手に仕事をやってもいい、そういうような考えでおられるかどうかというとをあわせてお聞きしたい。
  24. 佐々木義武

    佐々木政府委員 かりに法律によるといたしましても、実際にそういたしまにはなかなか時間がかかるでありましょうし、その間、四月、五月、六月という時期を、今のままでそれではやっていけるかと申しますと、委員皆さんはやはりそういうスタッフがあった方がベターであるという御意向なものですから、そういうふうに、専属と申しましてももちろん原子力局の中の現在あるものでございますが、機能をただ分けて、特に委員会の方の調査その他に当ってもらいたいというふうに実はいたしたわけであります。
  25. 前田正男

    前田(正)委員 原子力委員会が忙しい、専属だからどうだからということよりも、そういうような構成その他についてこの間からわれわれ非公式に話をしておるのですけれども、そういうようなやり方について、皆さんは勝手にどんどん自分たち意思通りやるという考え方なら、われわれもまた、われわれとしての考え方でやっていこうと思います。しかし、あなた、忙しい、忙しいといって、今、原子力委員は何をしているのですか、今、原子力委員は何人いるのですか、だれとだれが今、東京にいるか、それを説明して下さい。
  26. 佐々木義武

    佐々木政府委員 原子力委員会は御承知のように五名で構成されておりまして、その委員長国務大臣でございます。あと四名で、一人に御承知のように先般委員を辞職されまして、今は三人であります。三人のうちでただいま東京におられますのは石川委員一人でございまして、藤岡先生はランダース氏の案内をしまして関西に行っております。有沢先生は非常勤でございまして、ただいま高知の方に私用でお帰りになっておって、この四日に帰ってくることになっております。
  27. 前田正男

    前田(正)委員 この間からも、御承知通り、現在の研究協定の問題、一般協定の問題のやり方というものがいろいろ問題となっておりますときに、まず常勤委員である藤岡氏がどうしてランダース氏の案内をしなければならぬのか、これは何か行政的にそういうことがきめられておるのですか。どういう資格でこういう出張命令を受けて行っておられるのですか、その話を一つお聞かせ願いたい。
  28. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ランダース氏を招聘する件につきましては、これは委員会で正式に定めまして、民間の機関等の応援を得てお呼びしたわけでございます。そのランダース氏を案内して委員が出張なさるということ自体は、私どもの問題でなくて、委員自体が行きたいというのであれば、私どもはそれに旅費その他の庶務的な手続をとるというにすぎないのであります。
  29. 前田正男

    前田(正)委員 それは当然常勤委員でありますから、その出張については出張命令とかそういったものがあると思うのですが、そういった行政的な措置はないのですか。
  30. 佐々木義武

    佐々木政府委員 もちろん国費を使う問題でございますから、出張の成規の手続は全部とります。
  31. 前田正男

    前田(正)委員 それで、これだけ今問題が重大になっておっで、しかもこれは公式な話じゃないでしょうけれども、いろいろ協定の問題についても話をしなければならぬというときに、東京でいろいろランダース氏の講演の世話をするとか、そういったことはいいでしょうが、私は、出ておりますことをはなはだ意外に思ったことです。京都、大阪方面に行って講演するときに、その土地の人がやるならいいのですが、その他ずっといわゆる観光される、それまでこの忙しいときに常勤委員藤岡さんが案内しなければならぬほど、そんな重大な用件があるのですか。出張命令を検討されるときに、だれがこの旅行の日程の内容等を検討されるのですか。
  32. 佐々木義武

    佐々木政府委員 これは、日程を削ったりするような、何と申しますか、ぎしぎししたやり方は、庶務を担当しております私としてはできません。従って、委員皆さんが自分で必要上こうしたいとおっしゃれば、予算の許す範囲で判を押して便宜を供与するのが当然だと思います。
  33. 前田正男

    前田(正)委員 これは原子力委員長の了解を得てやっておるのですか、観光の案内をすることも、原子力委員長の了解を得ておるのですね。
  34. 佐々木義武

    佐々木政府委員 もちろん委員長にお話してやっております。
  35. 前田正男

    前田(正)委員 では、その問題につきましては私も委員長からまたお話を伺いたいと思いますけれども、実はこういう重要な問題のあるときに、しかも原子力委員が法規的にも一部人がいない、こういうようなときに、常勤委員が一人おるだけであとはいない、さらに原子力局で人を増さなければならぬ、そういうふうなやり方でいいかどうか。私がいつも原子力委員会の運営を見ておりますと、この前の予算の重大なときとか、予算成立の方針の大事なときにも出張しておる。石川さんが海外に視察に行かれて、結局こちらに残っている者はほとんどいない。それで予算審議とかそういう事務的な問題については、われわれ初めみんな各界の者が協力してやっておる。こういうふうにして原子力委員会というものの原子力行政、また原子力の政治のやり方につきましては、われわれもできるだけ超党派的に、協力的にやってきたつもりでおるのであります。とにかく今度こういう問題について申し入れたことに一向耳をかさないで、そうして、自分たち原子力局で勝手にやれるから、事務局を配置していくのだとかなんとか、そういった問題についてあなた方原子力局としては勝手にきめて、われわれ国会側の今までの協力に対しまして考えを別にしてやっていこう、そういうふうな考え方でおられるならば、われわれにしても考え方があるのです。今度の原子力局事務局を設けるという問題については、原子力局長には十分われわれから話をしてあると思いますが、そういう問題を具体化しなければならぬというので、一日か二日を争ってきめて、新聞に発表する前にわれわれと相談する必要はない、国会の申し入れを当てにする必要はない、こういうふうに局長考えておられるのですか。
  36. 佐々木義武

    佐々木政府委員 あの問題は、別に事務局とどうこうという関連の全然ない問題でありまして、委員皆さんからかねがね自分のアシスタントをほしいという申し出があったものですから、有沢先生、それから藤岡先生石川先生にお話しして、そうしてそういうアシスタントを一人ずつおつけしましょう、それから調査官のような本来特命事項調査する性格定員がありますので、その人たちもそれではお手伝いいたしましょう、そういうことで十分委員皆さんの御了解を得てやったことでございます。
  37. 前田正男

    前田(正)委員 私は、そういう問題については、その前からそういう希望があるということを聞いております。だからこの機会に一つもっと強化する案を作ったらどうか、こういう話をしておったわけなのです。しかし、今お話のように、十分に相談してというが、藤岡さんはいないじゃないですか、いなくてどうして相談したのですか。
  38. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この話は有沢先生藤岡先生もまだ出張なされる前にお話をいたしまして、そうして四月になったらということでやりましたので、今度の事務局の問題とは全然無関係の問題でありまして、そういう意向がもしはっきりすれば、それに従っていくのが当然だと思います。
  39. 前田正男

    前田(正)委員 この問題は、そういう御希望があるということは、今御答弁のように、前に話があるから、それならばこの機会にできるだけ強化する案を考えたらどうかというのでわれわれも一緒になって相談しておったのですが、そのわれわれの考えていることはそのままにしておいて、皆さん自分たちだけでやる。こういうことは、原子力委員会構成というものは私は立法事項であると思いますけれども、皆さん行政的に暫定的にやれるというのであるならばおやりになってもいいでしょうが、私はそういう考え方というのはおかしいじゃないかという意見があるから、だからこの機会に一つ行政的にだけでなしに、もっと立法的に強化するというふうにしたらどうか、こう思ってやっておったわけであります。そういう意見がわれわれから出てきてから藤岡さんと相談されて、それからまた石川さんとも相談されてから、そてれではこの際どうしても急いでやらなければならぬなら急いでやるとか、あるいは立法措置が間に合うまでは待てとか、そういうふうなことをきめられるべきではないかと私は思うのです。それを、藤岡さんは今おらぬのに相談のしょうはないと思うのですが、相談もしないで、とにかく前にきめた通りやってしまう、こういうことではないかと私は思うのですが……。
  40. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この件は、石川さんもお見えになりますので、聞いていただいたらいいのじゃないかと思いますが、だいぶ前の委員会のあとでございます、まだ国会側で事務局をどうという話の出る前でございますが、委員皆さんとこの話が出まし、そういうスタッフを強化する必要はなかろうかという話がありましたりで、この際少しさしあたっででもいいからスタッアを強化して、そして調査立案に当った方がいいだろうというとで、委員皆さんにも御相談して、それはけっこうだということでそのままやったのであります。さらに不十分であれば、官制に基く事務局にするなり、これは今後の検討の問題で、せっかく今お話があったのですから、私ども検討中でございます。だから、この問題と事務局設置の問題とは切り離してお考えいただくのが、事実に即するのではなかろうかというふうに考えております。
  41. 有田喜一

    有田委員長代理 ちょっと、前田君、佐々木良作君の質問が、前のが残っております。大臣が見えたので……。
  42. 前田正男

    前田(正)委員 それでは大臣に一点だけ、さっきのことに関連してあるのです。大臣のお見えになる前に、私はちょっと局長に話しておったのですが、藤岡委員はランダース氏の御案内をされて、その出張命令は原子力委員長が承認されておるということであるのですけれども、その出張命令の中に観光の案内までするということを、この原子力委員の多忙なときに、藤岡さんがそういう日程でずっと初めからしまいまでランダース氏について回るということを、原子力委員長としては承認されたのですか、その点について一つお聞かせ願いたいと思います。
  43. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 私は、そういうことを協議をいたしたわけではありません。ただ、藤岡先生がランダースさんを呼ぶことについてお世話しておるものだと思っておりますけれども、深くそういうふうに考えて、藤岡さんの西下を協議したわけではないのです。
  44. 前田正男

    前田(正)委員 どうも話がおかしいのですけれども、私は、日本の国としてランダースさんを呼んだということは、当然公式的な問題についてはお世話願うのもけっこうだと思いますけれども、この常勤委員が今二人しかいない、しかも協定問題とか忙しい最中に、常勤委員が全部ついて回らなければならぬほどそんなに大事であるかどうか、その点について非常に疑問を持っておるのであります。今忙しい問題がたくさんあるときに、その常勤委員が——もちろん公式の問題については原子力委員会がお世話するのは当然でありますけれども、私的の問題についても全部世話してやるというような、そんなに原子力委員の常勤の人はひまがあると私は考えられない。こういう問題について、今起っておることは仕方がないでしょうけれども、今重要な問題がたくさんあるときに、もう少し慎重に御研究をお願いしたいと私は思っておるのであります。一つその点については原子力委員長も、今後原子力委員会あり方について、御研究を願っておきたいと思います。  私の質問はこれだけにしておきます。
  45. 有田喜一

  46. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 せんだっての委員会におきまして、原子力行政について質問の継続中であったのでありますが、大臣の都合によりまして時間がなくなりましたので、これを続けて質問をさせていただきたいと思います。その中心は動力炉の輸入の問題でありますが、動力炉輸入の問題に先だちまして、最近特に問題になり、今も前田委員からも御質問になっておりますところの原子力委員会の運営問題を中心に一、二確かめて、御意見を伺いましてから本論に入りたいと思いますから、御了承願いたいと思います。  原子力行政の根本的な方針は、当然に原子力委員会によって審議され、検討されるのが法の示すところであるわけでありますが、どうも一般に私どもが伝え聞くところによりますと、原子力委員会審議されるものは、たとえば予算の獲得に関する行為であるとか、その他庶務雑件のことが時間のうちの大部分を占めてしまって、本格的な電力行政がここで十分に討議、検討されておるかどうかということにつきましては、委員外におる者、関係者はもちろん、国民一般も相当な疑問を持っておるところであります。原子力行政については、そのような形で原子力委員会で十分に本質的な討議、検討がされないままに、委員会の外で、適当な団体あるいは適当な会合におきまして、委員会以外の場所で、そういう内容原子力行政の根本に触れるようなことが検討され、原子力委員外の人々が中心になって原子力行政の問題を検討しておって、何かその結論の出そうなところを委員会に持ってきて、それを委員会にオーソライズするというような形で運営されているのではないかという疑念が相当強く出ておりますことは、湯川さんの問題に関連する問題やら、最近新聞論調やその他でもたくさん見られるところであります。この点につきまして改訂すべきものは改訂すればいいのでありますから、宇田長官の就任以来、原子力委員会の運営を見ておられまして、ほんとうに大事な問題がほんとうにここで論議されつつあるかどうか、外から適当な結論が押しつけられつつあるのではないかという問題につきまして、率直な御見解を承わっておきたいと思います。これが第一点。  関連いたしまして、第二点といたしまして、最近そのような原子力委員会の運営の弱体化あるいは原子力委員会の自主的運営の欠如等について批判がありますために、これを強化するがごとくに、最近におきまして原子力懇談会なるものをお考えになりまして、宇田構想として伝えられております。何か聞くところによれば、原子力行政について、これが原子力委員会内容を事前に相談する機関になるようでもあり、あるいはまたこの委員会の事前の打ち合せ懇談会になるようにも伝えられ、いろいろに伝えられておるのであります。この原子力懇談会なるものの、宇田構想として伝えられておるものについて、長官の真意並びにその考え方内容を承わりたい。  それから第三点は、同じような関連でありますから一固めに伺いますが、今前田委員から聞いておられましたところの原子力委員会事務スタッフの問題であります。いつかこの委員会におきまして、同僚委員、多分中曽根委員だったと思いますけれども、それの必要性をるる述べられておったことを私は十分承知しておる。そういたしますと、どこに相談があったのかどうか知らぬけれども、数日来の新聞によると、きょときよとっと、そんならばという話で、原子力局の適当なスタッフを原子力委員会の適当なところに持っていけば、大体そういうことになりそうだという話が出ておる。どうもこの辺は不明朗なようでありますし、そして内容がどこにあるのか、私どもは事務処理及びその辺の処理につきまして、何だか非常に恣意的な感じで動かされておるような懸念なきを得ないのであります。この辺につきまして宇田長官の率直な考え方、方針等を伺いたいと思います。この三点をまず伺います。
  47. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会の運営につきましては、それぞれの委員が専門的な経験を持っておる方でありますから、その専門的な問題についてはそれぞれの立場でそれぞれの関係先と協議をし、そして委員会への運営の万全を期する、こういうことは当然でありまして、その面におきましては積極的にそれぞれの委員は活動をいたしております。従って、委員会の運営につきまして、委員そのものの発言が外部から圧力を受けて左右されるということはないと思っております。  それから第二の強化のための懇談会ということですが、これは要するに予算が三月末で大体承認をされ、両院を通過する、こういう見通しが立ちましたので、九十億円に上る予算の運営について万全を期さなければならないが、それにはあとなお数件の法律案件があります、あるいは条約交渉の問題もあります。そういう点で立法府と、われわれの関係の深いそれぞれの部門の責任者との意思の疎通をはかる必要がある、そういう意味で法律的なむずかしい条件というよりも、むしろ当面の情勢に合わすための思想統一をこういうふうな取り計らいではかったらいいんじゃないか、そういうわけで懇談会のメンバーにどういうふうな人を求めていくのがいいかということを、合同委員会理事の方々を中心として御意見を聞く、そういう会は持ちました。それで、その結論がどういうことであったかといいますと、自民党及び社会党の原子力関係に非常に経験の深い議員の諸君、それから原子力委員全員、産業会議の議長、副議長、研究所の理事長、副理事長、燃料公社の理事長、副理事長、学術会議の議長、副議長及び原子力問題に関する特別委員会委員長、そういう諸君に集まっていただいて、ただいま申し上げましたような問題について話し合いをしようじゃないか、こういうことであります。  それか、第三点の、原子力委員会事務局をつけるということでありますが、これも予算決定に伴って当然考えなければならぬことでありまして、予算の見通し三月末日で十分つくということにたりましたから、四月一日からは、われわれといたしましてば、新しい予算に伴うところの会の運営をはからなければならぬのですが、御承知のように、予算規模の拡大に伴いまして、事務は非常に複雑さを増してきております。また一名常任委員になっていただくこと、そして一日から有沢委員にその常任委員になっていただく、そういうほとんどみなが常任委員に就任せられる。そういたしますと、常任委員仕事の分野が、それぞれ予算規模の拡大に応じまして事務が増して参りますから、当然調査事務あるいは委員会運営の整理に当るべきもの、あるいは常任委員に対する秘書等が当然なければ運営上支障が起るおそれがありますから、そういうものを新たに作る。そして、委員調査をし、あるいは企画をする場合のスタッフを直接自分で持つということでありまして、その規模はただいまの予算において最も合理的な程度の規模でこれを考えて運営をはかろう、こういうことでございます。
  48. 有田喜一

    有田委員長代理 佐々木委員に申し上げますが、実は小滝長官に十一時五十分までの約束でここへ御出席願ったのです。従いまして、小滝長官に質問する人が相当多うございますので、宇田長官はもっとずっとあとまで残っていただきますから、まず小滝長官にこの際質問を集中したいと思いますので、お含み願います。今説明したような事情でありますので、きわめて短時間でありますが、質問は小滝長官に集中していただきたいと思います。齋藤憲三君。
  49. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 防衛庁長官がお忙しい中を御出店下さいましたので、この際簡単にお伺いをいたしたいと思うのであります。実は、過日私は茨城県の勝田市長及び市会議長から陳情書を受け取ったのでございますが、この陳情書の内容を見ますると、米軍の爆撃演習地として勝田市の海岸にあります三百五十万坪の敷地の中で、原子燃料公社の精練敷地として、原子燃料公社当局もそこに設置を要望しておる場所を勝田市の発展のためにぜひとも米軍から返してもらいたいという交渉を今までやっておったのであるが、それが拒否された、これではとうてい市の将来の繁栄計画も成り立たないから、何とかこれを精練所敷地として使用できるように全力を傾注して取り計らってもらいたい、こういう陳情書の意味であります。御承知通り、東海村には原子力研究所が設置せられまして、あの地帯を中心としてここに日本の最初の原子力センター建設ということが国家的にもまたいろいろな対外的にも大きく考えられておるのでございまして、われわれも、これに対しましては、非常に重大な意味があると考えておるのであります。しかも、その図面を見ますと、自衛隊の工兵爆破爆撃地があって、その近傍を第二候補地とし、それから離れたところを第三候補地とし、また第一候補地というのもあるようでございますが、とにかく三百五十万坪あるうちから三十万坪でございます。聞くところによりますと、十七万坪ともいわれておるのでございますが、これを割愛して原子燃料公社の精練敷地とするということは、これはいろいろな意味から非常に必要なことである、そう考えられるのであります。特に従来の原子力関係の敷地問題について、いろいろな問題が起きたのでございますが、この際この問題を解決いたしますには、ぜひとも国内の思想を統一して調達庁を通じ米軍にその返還を強力に要求するということが私は最も妥当な方法だ、そう考えておるのでありますが、防衛庁長官といたしましては、この三百五十万坪中の、防衛庁が原子力全体の発展のために支障がないと認められる個所をみずから進んで割愛して、この原子力発展のために寄与せられるというお考えがおありになりますかどうですか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  50. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 今自衛隊の方で爆破をやっておりますのは、この三百五十万坪のうち六十万坪の地区で、北の方の部分でございます。これはもちろん南の方へでも動かせばいいのですが、南の方は航空部隊が使っておりまして、いろいろ飛行機が発着するというような関係で、なかなか南の方へおろすこともできない。そこで、どこかよそにいいところがありますならば、もちろんそこへ移して、ここを撤去するということを考えなければならないのであります。しかし、御承知のように、基地の問題はなかなか容易でございませんので、今そういう見当がつかない。しかしながら、御指摘のように、燃料公社の敷地というものは非常に重大な問題であり、地元でも要望せられておりますので、私ずっと最近も、これは直接的にどこを指定するということは科学技術庁の方の問題でありますけれども、われわれが積極的に協力するという意味で、実は先方に派遣しております施設部隊などを通じまして、いろいろ検討させておるのであります。そこで、すベてに支障を来たさないように、お互いに多少の不便をしのんでも何とかこの地方に一カ所置きたい、われわれの方もいろいろなことをするが、同時に三十万坪というのでなしに、そこを縮小し得るあるいは減少し縛る余地があるならば、あるいは住宅地区の五万坪というのは市の方にも所有地があるようですし、そういうところを市の方にも考えていただくというようにいたしまして、実際的な解決をいたしたいという考え方で、現在もこの点についてせっかく検討を進めておる次第でございます。  なお、アメリカ側に対しましましては、私も、二月の末にキュー夕ー大将が初めて私の方にあいさつに参りました際にも、これは非常に重要問題であるから、あいさつの場合こういうことを申し出るのは、外交官を長い間しておった者として非常に礼儀作法も知らぬように思われるかもしらぬが、国会でも問題になっておるし、ぜひ最高の責任者として極東空軍の方でも考えてもらいたいということで、当時は第三候補地の方をしきりに主張しておられたので、その申し入れをし、その後も何べんも電話をいたしましてこれを催促いたしましたところ、向うでは実は過去においても六十何発も弾が落ちていることもあって、かえって譲歩することが将来、相馬ヶ原ではありませんが、いろいろ問題を起すことにもなるので、残念ながらこれに応じ得ないという意向を漏らして参りました。その点は燃料公社側にも同様に申し伝えたはずでございます。この第二候補地につきましても、これは現状では残念ながら、爆破作業なんかのために、東西へは割に幅が狭いので、技術的に見まして、これをどこか全然違ったところに移さない限りこれを認めるわけにはいかない、非常に危険があるというような状態でありますし、もう一つは、ただいま説明しましたような考え方を私どもとしては持っている。一応これは行政協定によって提供せられた区域であって、これは正式な共同使用の場所ではなく、ただ好意的に、自衛隊の方にへ演習地がないから使わせておるというような格好になっておりますので、われわれの方でいろいろ考えましても、なかなか向うとしては、今申しましたような危険を将来与えるというようなことが万が一にもあって問題を起せば、日米関係にもおもしろくない影響を及ばすというような考え方もありまして、そう容易にはこの話は、法律的に申せば向うの接収地でもありますので、片づき得ないというような事情もある次第でございます。でありますから、私は今朝も宇田長官にも、また佐々木局長にも申しましたが、われわれの方はだいぶ検討しているので、一つ主管庁である科学技術庁においても、燃料公社の問題ではあるが、しかし、中に立って大いに現実的な解決方法を見出そう、これには現地に人を出そうというようなことを話し合ったような次第でございまして、私たちとしては、できるだけのことをいたしたいと考えております。
  51. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 他に御質疑もあるようでございますから私の質問は終りますが、従来この原子力問題に関する敷地については、原子力研究所の敷地が大きく取り上げられました際に、原子力委員会としては武山を最適地として決定をいたしたのであります。しかるにこれは防衛庁の水陸両用の演習地として最適地であるから、ぜひとも防衛庁に割愛してもらいたいということで武山を断念いたしまして、東海村に原子力研究所を持ってきたのであります。原子力研究所が東海村に参りましたのも、やはり原子力問題も重要であるけれども、防衛というものも重大であるという妥当的な考えから処置をいたしたという経過もありますので、この際はぜひとも防衛庁におかれましても、この爆撃演習地を適当な地にお移しになって、原子力センターの完備をはかるように、防衛庁長官の特段の御配慮をお願いいたしたいと思うのでありますが、これに対しまして一つ御返事を賜わっておきたいと思います。
  52. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 先ほども申しましたように、代替地を認めるということは非常に困難でございます。しかし御趣旨の点はまことにごもっともでございますので、最善の努力をいたしたいと考えております。ちょうどここをよそに移す場所が見つかるか見つからないか、またそれに対して非常に時間がかかってはかえって御迷惑かと思いますので、その点については十分意を体して協力いたしたいと考えております。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 関連して。今、防衛庁長官のお話によりますと、人を派遣して両方で話し合いを進めたい、そういうふうに実は受け取れたのであります。そうしますと、この米軍の地域あるいは自衛隊が使っておるところの中で、両方で話し合って適地を探していただける、そういうふうに解釈してさしつかえないのでありますか。
  54. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 私の言葉が足りなかったかもしれませんが、実地に見まして、たとえば演習地のこの点はいくんじゃないか、いろいろあれば、もちろん指定区域内についても、私としてはキューターなりジュナル・スミスなりと喜んで交渉いたします。しかし、今までのところでは、残念ながらずいぶん押しましたけれども、こっちの原子力研究所のある場所と演習地の間のところに国有財産もあるようでありますし、松林もあるようです。それで、これは十分広さがないということです。それではその南の方はどれだけ伐採ができるか、またそうなれば、現地で一応調べていただければ、私の方でも米中側に交渉を——果して成功するかしないかその点は確約できませんけれども、最善の努力をいたすつもりであります。とにかく今までは第三候補地などをこっちではっきり推定しておるけれども、もう少し考え方の余裕を持つような取り計らいの方法はないだろうかということを調査したい、こういう気持ちであります。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 ぜひそういうお気持でこの問題が早く落着するように、御協力願いたいと思います。燃料公社の方でも自分の方の見解にとらわれることなく、防衛庁ともよく相談して、両方でまあこの辺だという点を早く決定してもらって、そうして今度は防衛庁と一緒になって、もし米軍の方に解除するところがあればするように努力をしていただきたい、このことをお願い申し上げておきます。
  56. 石野久男

    ○石野委員 ただいまの問題に関連して、今、小滝長官からは、一応人を出して現地の事情を見て、もう少しよりお互いが話し合いのできるような場を求めたいという御意見がありましたが、大体今、予想されておりまする地域というのは、長官はどういうところを考えておられますか。
  57. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 これは係の者から説明した方がいいかも、わかりませんが、私の最初地図で見ました気持では、この晴嵐荘——あれは放射線研究所がございます。——その北側に原子力研究所の拡張予定地もあるようでありますが、これは使えないにいたしましても、その境目の方で、この演習地の北に伸びて非常に狭くなっておりますあの辺を何かお互いに譲り合ってもう少し折れるならば、——今までの御指定になっております第二候補地は、陸幕の説明によると、爆破危険区域にその三十万坪が食い込もうとするということでありますけれども、実際問題としてなかなかむずかしいのではないか、そうなればもう少し北の方で何か方法があるのじゃないか、そして、あるいは勝山市にお願いいたしましたならば、住宅地の五万坪というのもあるいは考え得る余地があるのじゃないか、私はあくまで建設的な立場で何とか解決したいと誠意をもって進んでおるつもりでございます。
  58. 石野久男

    ○石野委員 現地の方としても、住宅地域の五万坪とか、その他切り離していいような場所についての敷地を提供することの心構えはあるようであります。それから、公社の方でもそのことは考えているようでございまするから、そういう点については問題はないと思います。ただ問題になるのは、原子力研究所の用地に大体接近した地域で、こういう公社の敷地を求め得られるかどうかという点にあろうかと思います。そのことは将来の日本原子力産業の観点に立ちまして、きわめて大事なことであると思っておるわけです。  そこで長官に承わりますが、ただいまのそういう用地を求めるに当って、現在の爆破演習場でございますが、この爆破演習場というものについて少しでも南の方にずらすとかなんとかいう考慮は、あなたの方では全然されていないのですか。
  59. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 その点はまさしく私非常に苦労いたしまして、空爆の方の演習の中心地とか、それとかち合う場所、たとえば一日置きに爆撃をやるのですから、そういう点で何か話し合いはつかないものかというので、十分検討いたしました。もう一つは、第三候補地のところの三十万坪というのは、接収はされておるけれども、あの西側は事実上耕作しているのですね。そうなると、法律上の議論はありましても、事実の問題として、あの第三候補地をさあ実行するという段になると、おそらく燃料公はありましてが出たに違いないと思うのです。だから、これを今後推すのがいいのかどうか、まず燃料公社なんかもはっきりした線を堆さなければ、その際あれをちょっとつついてみて、あれもどうもだめだ、アメリカの方もばかにしてかかるということになっても困りますので、私はそういう意味で誠意を持って取り意味で誠意を持って取り。ただ南を推すということは、さらに私は検討しますが、最近いろいろ爆破関係をやっているところ、それから陸上幕僚幹部の部長、これは旧軍人の人ですが、これとも私検討いたしましたが、非常に困難があるということです。しかし、今後幸いにして科学技術庁の方も協力してくれるということになれば、行ってみて、常識上ある場合において正しいものなら、これはこうできるのではないかという案があれば、さらにこれを推し進めていきたい、こういう気持です。
  60. 有田喜一

    有田委員長代理 この際お諮りいたします。原子燃料公社理事長高橋幸三郎君を参考人と決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 有田喜一

    有田委員長代理 御異議がなければ、さよう決定いたします。
  62. 塚原俊郎

    ○塚原委員 ちょっと関連して、今、小滝長官のお話の中で、北部の方の敷地の問題に触れたようでありますが、私の知っている範囲では、これは敷地ではないようであります。十万坪でありますけれども、そのうち実際五万坪くらいしか使えない。しかも燃料公社としては、予算その他の関係で、さっそく敷地をきめなければならない、非常に目の前に迫った問題であると考えます。今、長官は、係官を派遣し、現地の調査を行なっておるというお話でありますが、これは相当に急を要する問題だと私は考えております。われわれも相当今日まで研究した末、第二候補地、御手元にあると思いますが、これが一番いいのではなかろうか、しかしこれについては今言った工兵隊の関係もあるというような話もありましたのですが、実は勝田市としましては、いろいろ問題はあったのでありますが、そのほかにも演習場を提供するというときに、市が一致協力の態勢で自衛隊に協力するというような、きわめてほほえましい空気もあるわけでありまして、今度の問題でちょっと気分的に妙なものになることをおそれているのですが、割愛できるものなら、早急に御研究願って結論を出していただきたい、この結論というのは、一体いつごろ出るでしょうかということをまず承わりたい。
  63. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 私の申し上げたことが誤解されていると思いますが、北と申しましたのは、原子力研究所の北側ではなしに、原子力研究所と演習場との間側を言ったわけです。向うは、地元でもあまり喜ばれないということも私聞き及んでおります。ただ、いつまでにやるかとおっしゃることは、この解決方法をどういうことに決定するかということにもよってきまります。私の今まで相当誠意を尽してアメリカ側と話しました経験から言えば、この中はかりに防衛庁が使わぬと言っても、まだ自分らの施設区域内で問題を起しては困るという気持が相当強いことをは看取しております。でありますから、たとえば第二候補地、これが一番いいのだ、これでやれということになれば、アメリカは、こっちが押せば、それではもう少し考えようといって返事をよこさない、一カ月もニカ月も、幾ら押しても引っぱっても返事をよこさないというおそれがあるのではないかと思いますので、さっきから遠回しには申しましたけれども、それも一部には考えなければならぬ。もう少しほかの方でも犠牲を払うという誠意を示さないと、アメリカは、いい悪いという問題を離れて、実際問題として、お急ぎのようだから、その点を向うと話す際にも、そういうように書類も出していろいろした方が都合がいいのではないかという考えで進んでおります。
  64. 塚原俊郎

    ○塚原委員 この前、アメリカから拒否された文書を拝見し、またその代案をも承わったのですが、ジョンソン基地の第一線部隊の方の、危険を与えるというお話もありましたけれども、そういう面からいいますと、この情勢から見て、第二候補地では米軍のそれだまが来るとは考えられない、これは一番いい場所に当ると考えております。高橋さんも今日お見えになっておるから、あとで質問したいと思うのですが、燃料公社としては、技術的な面から見て、海岸その他の技術関係から、この地点が一番よろしいということもわれわれ聞いているのですから、そういう気持も察せられた上で、防衛庁長官として、この折衝に当っていただきたい。これは希望を申し上げておきます。
  65. 石野久男

    ○石野委員 それでは、もう一つお聞きしておきたいのですが、この第三の候補地というのは、先ほど来言っておりますように、農民がこれを使っておるという実情などもございます。ところが、第二の場合は、今、塚原さんからもお話があったように、非常に北の方になっておって、工兵隊の爆破演習を除けば、米軍の爆撃演習にはさして影響はないというふうに見られる地域です。従ってこの際私、宇田大臣と両方に御意見を承りたいのですが、将来の原子力産業の立場からいたしまして、工兵隊の爆破演習という問題は、これは演習でございますから、原子力産業の将来性ということを考えますと、その比重の度合いがずいぶん違うと思うのです。この際一つ小瀧さんには百年の計をここでお考えいただいて、積極的に原子力産業の育成に御協力していただき、今日特に公社の方が切実に要求しており、また最も適地だといわれているこの地域について、積極的な御協力をしていただくことの御意思がありますかどうか、もう一度確かめておきたい。
  66. 小滝彬

    ○小滝国務大臣 先ほどから申し上げますように、私としてはできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  67. 石野久男

    ○石野委員 宇田大臣の御熱意は……。
  68. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 ただいま小滝長官からもお話がありましたように、この問題は防衛庁と共同でもって、先般来の御趣旨に沿って、第二候補地を中心として、現地について両方の役所からそれぞれ事務官を出しまして、今明日中に、現地について、希望の坪数あるいは技術的にどういう地点が好ましいか、あるいは地形の状況がどうなっておるか、それが演習との関係でどういうふうに考慮を払わなければならないか等、両方の専門的な技術的立場をよく理解しながら調査を進めておる、こういうことであります。この調査報告を待って、協議をして、アメリカ側に交渉を始めようじゃないか、そういうふうな打ち合せは先ほど決定いたしておりますから、直ちにそれにとりかかる、こういう考えでございます。
  69. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 途中に別な問題が入りましたので、何だか気が抜けて困るのだけども、もう一ぺん問題を元へ戻しまして、原子力政策の基本的態度をきめるのは、本来原子力委員会であるはずであるにもかかわらず、原子力委員会の運営について幾多の心配な事項並びに心配な症状が現われておるということを私どもが指摘いたしまして、そして三点の問題を伺って、一応の御返事を得たところで、ほかの問題が入ったと思います。その三点の御答弁でありまするが、私はどうも何だかあまりはっきりしないし、了解いたしかねるのでありまするが、第一の、原子力委員会がほんとうに自主的な運営を欠いておるのではないかという疑いに対する御答弁は、そんなことはないと言われるだけで、これは事実上の答弁にもならないし、おそらく水かげ論になるのではなかろうかというふうに思います。ただ、これから実は第二の質問で具体的にお伺いいたそうと思ってありまするが、この前、動力炉の輸入の問題を伺いましても、それは第二次石川ミッションが行ってからの結果に待つんだというようなことを言われる。一方におきまして、原子力委員会では、別にまだ石川ミッションの問題はそれほど具体的に話が出ていないようにも聞える。ところが、民間の原子力産業会議とか、あるいは石川さんを目の前に置いて恐縮でありまするけれども、石川さんの周囲からは、いろいろな話があるようにうわさされるわけであります。同時にまた、原子炉の輸入機構の問題につきましても、原子力委員会でまだそれほど検討されておるような意向も承わらないのにもかかわらず、石川さんの周囲と言ったらまた語弊があるかもしれませんが、原子力産業会議だとか何とか、その辺では、東西で民間会社を二つ作ってどうだとかこうだとか、そういういろいろな計画がもてはやされておるのであります。そして、適当なときにそれが原子力委員会ですうっと通ってきて、何か具体化しそうな気配を原子力関係部門に与えているような印象を受けるわけであります。これは一例でありますが、その他の基本方針の決定につきましても、ほんとうに相当な時間をかけ、相当な検討が深刻に委員会の中でされておるというのは、議事録なんか見ましてもあまり拝見できなくて、何か別なところで話がされて、そして原子力委員会自身は何か手打ちの場所とか、形式的に最後の結論のつじつまを合せる場所のような格好で運営されているように私どもは拝見せざるを得ない節がままあるわけであります。従いまして、私はこれらの問題につきましてもう一ぺんほんとうに——私は今いい、悪いを言っているのではない。変えようと思えば変えられるわけですから、率直な宇田長官の御意向を伺いたいと思います。これがこの問題の第一点であります。  それから第二番目の原子力懇談会の問題につきましては、何か今、長官のお話は、質問の途中が折られたような感じで、私ははっきりしなかったので承わり。承わりますと、国会議員のほかに、関係の——といいますか、産業界の人々だとか、そういう人々も入れて、立法行政との間の意思調整でありますとか、当面の問題の思想統一の問題でありますとか、何かその辺を懇談したい、そういうものだというふうに伺ったのであります。その辺、宇田構想として伝えられておるわけでありますから、構想をもう少しはっきりと、もう一ぺん述べてもらいたいと思います。そして、この原子力懇談会なるものを構想される理由についても、もっとはっきり承わりたい。現在の原子力委員会の中では相談できないことなのか、あるいはまたこの特別委員会で十分その辺の研究ができないのか、あるいはまた現在の原子力局なら原子力局というところの事務スタッフではできないのか、一体正式に設置されておる機関の中でできない問題を最もスムーズな原子力行政の方針決定の会議場所にしようということにつきましては、どうも疑念なきを得ないのであります。いかなる必要によって、いかなることをされようとしておるのであるか、つまりそのことは、そのまま原子力行政のいういろな意思統一なり、あるいは政策吟味なりに、現在の機構の中で、宇田長官はやはり少々不満と不安を感ぜられておるのではないか、その不満と不安があるから、何かもっと権威づけるものをほしいという感じがあるのではなかろうか。それでありますならば、第一の問題に戻ってきて、原子力委員長会のあり方という問題にならざるを得ないというふうに私は思うのであります。従いまして、もう一ぺんこの第二の原子力懇談会なるものの意味をはっきりとお伺いいたしたいと思うのであります。なお、これにつきましては、やはり国会議員が関係するということになりますと、政党と政党との問題にもなりますので、この辺を御承知の上で一つ答弁をお願いいたしたいと思います。  なお、さらにこの問題とうらはらになりますが先ほど委員長のお話の中にも、原子力合同委員会なるもののお話がありました。私はこのものの性格もどうもあまりはっきりわからないのでありますけれども、新聞の伝えるところによりますと、そういう合同委員会みたいなもの自身が、これは国会議員の原子力行政に関する行政干渉の一つのおそれがあるのではなかろうかというような批判もどこかから出ておるようにも承われる。と思いますと、先ほど言いましたように、原子力委員会自身には、産業会議等々の、行政機関でもなく、国会機関でもないところの別なものからの意向があまりに強く反映しそうだという疑いを持っている面もある。この辺を含めて、原子力懇談会なるものを構想された理由、構想の内容等につきまして、明確にお答えを願いたいと思います。  それから、最後の三番目の事務スタッフの問題でありますけれども、これもどうも私はすっきりしない。現在の委員会事務スタッフがどうしても必要だということでありますならば、なぜはっきりと法体制を整えられて、正々堂々の形で、どこから見ても疑いのない形で、きちんとした法体制を伴う事務機構を作られないのか。それをせずに、何か便宜的措置を講ぜられるということにつきましては、私はどうも疑念なきを得ない。そうして、それほど早急に現在委員会事務スタッフをそろえなければならぬという情勢が出たとすれば、それはいかなる理由によって、何をしようとして、唐突としてそのような事態が発生したのか、これを含めて、この三点をはっきりと、もう一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  70. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 この動力炉の輸入につきましては、御敵知のように石川報告がありまして、石川警告に基いて、新しい炉を購入する今後の基本方針について、条件付でいろいろの調査報告の内容が見られます。その中で特に重要な点は、御承知のように、日本の地震に対する考慮、そうしてコストを含む資金計画、この二つが重点であると田います。それで、地震に対する対策は、新しく地震に関するところの持別の委員会を作りまして、それぞれのエキスパートに頼んでただいま検討中でありますから、近日日本側の技術的な意見はまとまって、報告を受けることができると思っております。そのほかに、炉の購入については、御承知のように資金面でかなりのまとまった調達条件がありますから、そういう点については、われわれは先方側の事情もあろうと思います。そういうわけでそこに決定的にまだ話のつかない面がかなりあります。そういうこと考え合せますと、輸入機構をどうするか、だれにこれを官理せしむるか等につきましてては、われわれとしてはまだ前提条件が満たされぬ関係結論が出ない、こういうことでございます  第二の、ただいま話題になっております懇談会でありますが、懇談会は、要するに総理府の中における科学技術庁及び原子力委員会、これはわれわれの行政の組織の中にあります。一方国会立法府としては、今まで超党派的に合同委員会がありまして、事実この問題の取扱いがそこで、国会の公式な討論の以前に、超党派的な話し合いができてきておったわけでございます。そういう事実を前にして、われわれは、行政府としては、ただいま話題に出ました産業会議、燃料公社、研究所、学術会議原子力委員会、そういうものが集まって行政府考え方の取りまとめはいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、新しい九十億の予算がここに決定された、その中でも特徴としては、三十億ばかりの債務負担行為にまかすべき部門もあります。従って、この予算の中に盛られたところの計画はかなり広範囲にわたっておりまして、立法府と行政府とがよく調和をとって話し合いをすることについて万全を期せなければならない内容と、こういうふうに考えます。従って、長期に計画を立てるための事前のいろいろの条件もあります。そういうふうなことを考え合せて、この際立法府と行政府との調和をはかる意味においてわれわれは懇談会を持って、そうして、私がそういうことを皆さんにお願いをすることによって、われわれの行政の運び方の万全を期するのが適当ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。  それから、原子力委員会事務スタッフを作るについて、法律をもってこれを裏づけるべきではないか、こういうことでございますが、それは私は規模の大きさによりまして、今後これは当然法の裏づけのある事務局の編成が必要だと考えております。自分が委員の諸君と原子力委員会の運営に当ってみました経験に徴しますと、昨年までの予算の規模におきましては、科学技術庁原子力局の応援でもって、事務の整理が曲りなりにできたと思っておりますが、今年の予算におきましては非常に新たな企画も入って参りますから、できれば法の裏づけのあるスタッフを置くべきであると思っております。しかし、それにつきましては、予算の交渉の節にも、大蔵省あるいはその他の関係官庁とも交渉をいたしましたが、昭和三十二年度におけるわれわれのそういうふうな申し出につきましては、政府部内の事情があって、向うがまだ承認を与えてくれなかったのであります。従ってわれわれは、それに必要な裏づけの法律政府から提出するということには運びがたかったわけでございます。それで、とりあえずの応急措置といたしまして、従来、事実上、原子力委員会のスタッフとして置かしてあった原子力局の数名を、このことに専任して当らしむるという便宜の方法を講じて参りたい考えているわけでございます。
  71. 岡良一

    岡委員 関連して。ただいま前田委員及び佐々木委員からの御質問も、結局は原子力委員会をもっともっと強化してもらいたいという希望に発したものでありまして、これは私ども、おそらくは多くの国民も、ひとしく待望していることと思うのであります。もちろん強化いたすためには、原子力委員会設置法なるものを改訂しなければならないかもしれませんし、あるいは人事の根本的な刷新も必要でもありましょう。しかし、何と申しましても、当面は原子力委員長である宇田国務大臣が、委員長としての責任を全うせられるという高い責任感と熱意と辻営上、筋を通すということが、私は不可欠だと思うのです。そういう立場から最近の新聞紙上に伝えられているもろもろのことについて、若干あなたが筋を通しておられるのかどうかという点に疑義がありますのでお尋ねをいたしたいと存じます。  なるほど今、佐々木委員にお答えになりました。しかしながら、たとえば合同委員会の決定にしても——私どもは合同委員会そのものの現在のあり方、少くともこれまでの実績を決して低く評価しようとはいたしておりません。しかし、これは国会法には何ら根拠のない組織であることは当然です。このような組織が何らかの決定をする、こういう決定が直ちに原子力委員会を動かす、あるいは形はどういう形であろうとも、原子力局に対して、力の関係において、実質上強制的な力を加えることがあり得ると思う。こういう形で日本原子力行政が推進されることが、果して筋の通った話なのかどうかということ、私は原子力委員会は大いにあっていいと思うが、そういう場合には、法律に根拠を持つ組織として設置するのが当然ではないかと思う。この点について委員長のお考えはいかがですか。
  72. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 立法府のあり方の問題でありますが、立法府のあり方で、要するに合同委員会、ジョイント・コミッティといいますか、これはほかの国の例もありまして、この運営はその国の国情に応じて非常に合理的にいく場合もあり得ると思います。日本国会において超党派的に、こういうふうな原子力の将来に関する問題を立法府が特別な措置をもってこれを慎重に扱う機構を作ってくれることが必要じゃないかと私は思います。それで合同委員会性格については、理想といたしましてはやはり正式なもの、そして超党派的にものが考え得る国民の承認をする組織が好ましいものである、それは日本にとっても必要じゃないかと思います。ただ、そういうものと原子力委員会関係がどうなっているか、これは前提がはっきりまだいたしませんので、ただいまは申し上げる時期ではないと思います。  それから、国会法に基いて国会の承認を経た合同委員会以前の合同委員会につきましては、やはり原子力そのものの持つ一つの超党派的な非常に重要な案件の処理ということになりますから、自然にそういうふうな環境が合同委員会という法律の裏づけをする以前に生まれたものであるというふうに思っております。従って、立法府におけるそういう必要が生んでくる組織に対しては、こちらは十二分に連絡をとって、その性格に合う話し合いを行政府はいたすべきではないかと考えております。
  73. 岡良一

    岡委員 そういたしますと、たとえばこれは私どもも考えていることではありますけれども、合同委員会としては原子力委員会事務局を設けるということが、強い要求として新聞に伝えられておる。そうすると、今度は調査官二名と計八名のスタッフが原子力委員会に設けられることになる。ところが今委員長の言われたような形で合同委員会意見を尊重するという結果が、私はやはり行政の運用上幾つかの矛盾を生んでいると思うのです。その一つは、大体原子力局というものは総理府科学技術庁の内局にすぎない。ところが、一方においては原子力委員会室というようなスタッフの組織が設置されておる。これば法的には全く並立的な立場にあるわけです。原子力室を設けるというならば、当然法律を改正して設けるのが今、佐々木君の言われたように筋の通った話ではありませんか。ただこういう意見もあったし、運用上必要でもあろうからと事もなげに設けてしまう、中途半端なものを作ってしまう、こういうことが私は筋が通らないと思うのですが、いかがでしょう。
  74. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会の運営について、今の合同委員会の構想というのは、私、今のお話と少し食い違いがあるのじゃないかと思いますから、もう一ぺん念を押しておきたいと思います。合同委員会というのは、国会内における各党の関係における立法府間のコミッティと私は理解しております。従って、原子力委委会はそれと関係はないものであろと考えております。
  75. 岡良一

    岡委員 だから、私は新聞紙を通して見ているのですが、三月の二十九日にはあなたの部屋で合同委員会が催されているのです。そして、その席上にはあるいは篠原次長を呼び、佐々木原子力局長を呼び、島村課長を呼んでいる。この会合の席上で、たとえば事務室を設ける、スタッフを設ける、事務局を設けるというふうな話が決定をしておるということになれば、いよいよスタッフとして調査官を二人入れる、そのほか六名ばかりの者を入れるということになってくる。そうすると私は、そこに合同委員会のメンバーがおられるので恐縮ですが、私は何も合同委員会そのものを否定しようというのではない。法律的根拠のないそういう組織があって、原子力行政にかかわる重要なる決定をいたしました場合、行政府であるあなたの部下がそれに同調しようというような動きを示すということになれば、これは当然立法行政というような関係において行政権を干犯するということになるのじゃないでしょうか。だから合同委員会を設けるなら、あなた方の方で提案なさってもいいのだから、合同委員会設置法を設けられて、法律的根拠を与える。この手順をとられない限りにおいては、何と申しても私的なものが行政府に対して拘束を与えるということになれば、これは当然立法府あるいは立法府につながるメンバーの私的な組織が行政権を干犯するという事態が起り得ると私は思う。この点は筋を通すという点からいくと、私はこういう取扱いは穏当ではないと思う。その点の御見解を承わりたい。
  76. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 合同委員会性格がただいまのところ私的のものである、こうおっしゃるのは、私はその通りだと思いますから、法的裏づけのない合同委員会に対して、どういうふうに話を持ちかけるかという限界点をどこに置くかということは、なおよく検討しなければいかぬ点があるかもしれません。しかし、私の考えましたことは、別に科学技術庁のそれぞれの係員を呼んでどうこうというのは、全部私が指図してやっておるわけで、原子力委員会をうまく運営していくためには、少くとも新しい常任委員会もできて——また従来議事録の整理その他についても責任者が明確でありませんで、従って議事録の整理がほかの委員会に比べて人手が足りなくて整理がおくれるということもあります。またそれぞれの委員が常任せられて、そして問題点について、特に外国の情報等につきましてはすみやかな調査報告を求めたいにもかかわらず、なかなか自分の手足がないから、連絡その他が悪くて、原子力に関する肝心の重要な条約その他等につきましても、案文の翻訳がうまくいかない。そういうふうな事務的な、どうしても当面処理する問題だけに限って見てみても、何人かの直接スタッフがなければ、第一秘密それ自身だって、相手国に対して敬意を表する意味で保たなければならぬが、それもなかなか保ち得ないようなことが起るのではないか。いろいろな点について、私どもは実際の実務に当りますと、かなりの苦心を必要とする面が各委員にあります。それもよくわかります。そういう点についてどういうふうに考えたらいいのだろうか、あるいは立法措置を講じなければならないのであろうかということ等につきまして、合同委員の諸君に科学技術庁に来ていただいて、フリー・トーキングをして、問題点について意見を交換してもらう、そういうことは私の責任においてやりました。そうして、どういうふうなところに原子力局人間をさいて当面の欠陥を処置していかなければならぬ点があるのか、またそれには最小限度どのくらいの人間をさくのが適当であるか、まただれをそれに当らせるのが最も合理的であるかということ等につきまして、私一々こまかい点がわからない点もありましたので、局長その他をその場に呼んでその意見を聞き、そうして合理性のある点はどこにあるかということの話し合いもいたしました。しかし、決定を合同委員会の諸君にお願いしたいということは全然ありません。
  77. 岡良一

    岡委員 それでは佐々木君にお伺いいたしますが、調査官二名を入れるということが新聞に伝えられておるのは、これは原子力局職員から原子力委員会調査室の方に職員としての所属が変ったのですが。
  78. 佐々木義武

    佐々木政府委員 調査官は御承知のように特命事項調査するのが本来の任務でありまして、ただいまのところでは、局のメンバーで局の持命事損の調査をやっておるわけでありますが、それを委員会の御用命で直接お手伝いできるように、身分は、原子力局委員会庶務を扱うということになっておりますから、当然その令部が原子力委員会のスタッフでありますけれども、その中から特に分けまして、そうして委員の手伝い専門にやっていくということがよろしいのじゃないかということで、ただいまそういうことになっておったのでありますが、それをただ明確にしたというにすぎません。
  79. 岡良一

    岡委員 私はそういうところが筋が通らないと思います。原子力委員会設置法の第十五条では「委員会庶務は、科学技術庁原子力局において処理する。」ということになっておる。ところが今度調査官等が参りまして、調査仕事もする、あるいは企画もするかもしれない、あるいは渉外的な問題も取り扱うかもしれないということになれば、庶務どころではない。そういうようなものを、あいまいもこたる中に作ってしまうというような取扱いは、私は違法とまできびしく言いませんが、やはり委員長としては筋が通らないと私は思うのです。委員長答弁を求めます。
  80. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 従来、原子力委員会の運営のために必要な事務処理というものは、科学技術庁原子力局でやっております。そうして、実際上の運営から見ますと、原子力委員会が持つところの法律上の処理しなければならぬ事項がありますが、それは非常に広範囲にわたっております。あの法律を見ますとかなり過重な要求委員会責任の中にあります。従って、実際問題としてその法律要求しております通りの運営をいたしますと、むしろ立法措置をもってその目的に合うだけの人員をここにそろえるべきであると私は思っております。しかしそれが、関係省庁との交渉をいたしましても、なかなか容易にそういうふうな新しい人員増加ということは認められがたいのが現状でありまして、それで立法措置をとる以前の便宜手段として、昨年来原子力委員会にほとんど専属のように科学技術庁原子力局から、他の仕事を差しおいて何人かがかかり切りであります。そういうわけで、ここに新しく話題は提供せずしておりましても、事実上の運営はそうなっております。従って、事実に基くところの今までの習慣をどういうふうに表現をしていくことが適当であるか、またそういうふうなものに明確な任務を与えるのが適当であるかどうかという判断を与えるのは、これはわれわれは、いっかの時期にはそうしなければならぬものだとは考えておりましたけれども、なおこっちで独断をしない方がいい、よく従来の経緯を知っておる者、また立法措置をとったときの関係者にもそういうことについては十分協議をするのがよろしい、こう考えて相談したようなわけでございます。
  81. 岡良一

    岡委員 とにかくただ便宜的に必要であろうと思われる、また第三者の意思が入ってきたからというので、便宜的に、法律規定というものにはとんちゃくなく作ってくるというようなことは、私は原子力委員会の大きな権威そのものを引き下げるような結果になってくるのじゃないかと思うのです。佐々木さんの時間を取っていますから、最後にお尋ねしますが、委員長、やはり筋違いじゃないかと思うのですよ。そこで問題は、二月九日の議事録を拝見いたしましたが、原子力委員会では、アメリカ並びに英国とその草案を検討した上で、動力協定の交渉に入るという方針を決定をしておられます。ところが、これが外交上の事由もありまして、公けにされなかったということは、私はきわめて遺憾と思います。委員長はよく自由、民主、公開の原則なんということを言っておられますが、これは、この間の委員会まで、明確なところはわからなかった。それはそうといたしまして、この間の三月二十九日に、あなたは閣議で、原子力委員会の了承を何ら得るところなく、新聞の報道によれば、アメリカ、英国、加うるにカナダと可及的すみやかに一般協定の交渉に入る、さらにソ連圏を含む欧州各国、東南アジアとも一般協定締結の可能性について外務省を通じて打診をする、こういうような発表をしておられる。原子力委員会に対しては、しかもすぐ調べてみると、その日の午後になってから、石川藤岡委員を呼んで、事後に了承を求めておる。これは全く越権ざたではありませんか。こういう重大な決定事項というものは、当然原子力委員会の決定を得た上で閣議にも報告をし、了承を得らるべきであろうし、新聞にも公表されるべきであろうと思う。あなたは一人相撲をやっているじゃありませんか。そういうふうに委員長原子力委員会そのものの権威、権限というものをまっこうから踏みにじっていると私は言いたい。こういうようなやり方をされるから、原子力委員会というものの権威というものはますます失墜してくる。一体こういうような取扱いをあなたは妥当と思われるのかどうか。  関連してもう一つ、一方ソ連圏とも交渉しようという意思表示をしておられる。動力協定についてまだ米国とも正式に交渉に入ってもおらないときに、ソ連そのほか各国について、はやばやとその意思表示をする。一体その理由はどこにあるのかということ。現に国際原子力機関の規約も国会審議中なんです。これとの関連もありまするので、こういうような方針というものは、よほど慎重にかかってもらわなければ困ると思う。一体この場合ソ連に対してこのような意思表示をすることは、具体的にどういうおみやげがあるという見通しがあってあなたはされたのか。私は、日本原子力行政というものが東西両陣営の上にかかり、岸外務大臣の言うかけ橋になるというような立場で大きく進められることは希望する。希望はするが、しかし、少くとも原子力委員長としてここまではっきりした意思表示をされるならば、何らかの明確なおみやげが期待されるという見通しが立たなければなるまいと思う。この点どういうお見通しを持っておられるのかということ。  それから、第一こういうようなことをうかつにやりますると、あるいは英米等との動力協定の今後の進捗においても非常な障害を来たすことさえ常識上あり得ると思う。そういうことを一体考慮されたのかどうか。  この三点を一つ委員長として明確にお答えを願いたい。
  82. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 国連関係原子力技術について、新しい外務省からの決定に関する話し合いがありました。それは閣議にも提出され、そうして論議されるということになったわけであります。その点につきましては、国連の原子力機構ないしそれの準備に関する委員、あるいは国連の原子力機構の理事国と将来わが国がなるであろう、こういうふうな予想もあります。従って、その問題に関する一連の書類が閣議に提出されまして、これは外務委員会に付託されるということになったわけでありまして、それに関するところの所管関係の自分の意見を述べる機会がもちろんあったわけでございます。そのときに、原子力関係の将来については、自分たちとしてはいつの時期にこれをどういう方法でやるかということは、全然外務省その他と打ち合せをして、これにまかさなければならないですけれども、日本の燃料関係、あるいは新しい動力炉の実験方法等につきましては、必ず米英及びカナダと話し合いを進めなきゃならない。これは原子力委員会にも何回とたく申されたことでありまして、石川委員からも、そのことはわれわれは就任当初から話を受けております。その話につきましては、全委員が一致してそういう方法にいかなければならないだろうということは、何回と話はいたしております。ただその時期方法等をどういうふうにするかということにつきましては、まだ原案を持って外務省に話を持っていくという段階にはいっていない。しかしこれに対する下相談は、少くともアメリカあるいはイギリス、カナダ等につきましては、石川さんが行って、そしてかなりプライべートな話はしてきておられまして、そのことについてはわれわれ何回も報告を受けておりまして、そういう点について、原子力委員会の立場としても、そういうふうな昨年来の話し合いの結果、いつかの時期に——どういう時期がいいのか、それは出先官憲と外務省に判断を願わなければならないけれども、動力協定ぶべき時期はそう速くあるまいと思う、そういうことを閣議に報告いたしました。それは原子力委員会の従来の話の経過に徴して、私が閣議で、国連の機構の問題が出て、各国の名前がずつ、とそこに印刷されて出てきた場合に、その話をあわせて加えて報告いたしましたのは、原子力委員会考え方と連っていなかったと思っております。従って、国連の原子力機構に関する閣議における討議の席上において、日本原子力委員会考えている現在の段階においては、米英カと動力協定を結んで差しつかえないと思うが、その時期方法等につきましては、関係閣僚、特に外務省の判断を待つことにいたすべきであって、その時期等をただいまここで論議をする段階ではありません。こういうことは申しました。なお原則論として、その他の各国、特に国連の原子力機構の中に加盟をするであろうと書かれてある全部の国につきましては、基本原則としてこれは当然将来動力協定を結ぶ相手となるかもしれません。そういうことについては、的確な情報等は外務省を通じて接触を保っていただく方がよろしいと思う、原子力委員会としては外務省の報告を受けてそれぞれの判断を下したいと思います。そういうふうな話し合いをして閣議でその了承を得た、こういうことでございます。
  83. 岡良一

    岡委員 ソ同盟との関係においてはどういう見通しとどういう期待を持っておられますか。
  84. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 ソ連との関係を特に取りしげてどういう見通しを持つかということは、ただいま私たちは考えておりません。というのは、国連の原子力機構の中で、特に準備委員の中にソビエトも入っております。われわれといたしましては、米、英、カナダ等ととりあえず動力協定を結ぶことが最近のうちに起る可能性があると思いますが、ソビエトに関しましては、国連の原子力機構の準備委員に入っておりますから、われわれとしてはこれと接触を保たざるを得ないと思う。従って、ソビエトを含む米、英、カナダをのけたその他の各国につきましては、どういう時期にこれが接触をするのか、どういう時期に話が始まるか等につきましては、あげて外務省にその考えをわずらわさなければならないと思います。そういう報告をいたしたわけであります。
  85. 岡良一

    岡委員 今の御答弁を聞くと、問題があまりにも便宜的に、しかも事もなげに運ばれておられるのですよ。原子力委員会のお茶飲み話の席上で、国際原子力機構に加わっておる関係各国との間にいろいろな接触を持とうというお話が出たかもしれません。しかし、動力協定は、二月九日には、明らかにアメリカと英国と、その双方に対して交渉を開始するという決定なんです。これが原子力委員会の決定なんですよ。ここにはカナダというものは何もない、いわんやソ連圏もなければ、東南アジアの諸国もありません。それを勝手にあなたは閣議において報告し了承を求められ、そのあとで石川さんと藤岡さんに事後の了解を求めた。こういうことが独走というものなんですよ。こういうふうなことでやられた日には、原子力委員会の民主、自由、公開というもの、民主的な運営というものはないじゃありませんか。少くとも閣僚人事に準ずる、国会が承認を与えておる日本の権威ある諸君をもって構成されておる原子力委員会が、重大な問題について事後の承認を求められる。こういうことでは、原子力委員会の権威をあなたは無視するだけじゃない、原子力委員会の民主的な運営というものを全くじゅうりんしておるではありませんか。今あなたがこまごまとおっしゃられますが、それはあなたの心境だけのお話であって、心境としては承わりますけれども、少くとも委員長としての運営のルールから見れば、それだけでは決してわれわれは釈然とするわけにはいかないのですよ。しかも外電の伝えるところによると、あの後段の発言があったために、米国ではかなりのショックがあるとさえ伝えておる。APでも伝えておりますが、そういうことになったら、あなたは原子力委員長として政治的責任をどうされるのですが、その点はっきり言って下さい。
  86. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 カナダとの関係をどうするかということにつきましては、何回となく原子力委員会で話が出ておりまして、そうしてその線に沿って、全然かけ離れたものを報告をしたというわけではないのであります。従って、その直後において委員会皆さんに、従来の経緯にかんがみて、こういうことを運ぶということは、それは差しつかえない。非常に飛び離れた奇想天外なことであって、原子力委員会そのものの全体の空気と反対である、こういうふうなことではなかったから、そう運んで差しつかえないということの了承を得たわけでありまして、そういうふうに運ぶことは、私は自然であったと思っております。  それから、その他の諸国に対する態度の表現でありますけれども、そのうち参りましたAPの記者にもよく話しておきました。それは、国連の原子力の機構の中に日本が入って、その準備委員としてこれからいろいろなことで協議に参加しなければならないのだけれども、その場合に、各国との接触を保つことが始まるであろうと、そうしますと、われわれは出先の関係に対しても、そういうふうな環境の中において、相手国はどういうことを考えておるかということを十分に調査をしてもらうということは、自分たちとしては特に必要なことであるから、それを外務省を通じて希望しておるのだ、そういうことは申しておきました。ただし直ちに原子力協定を結ぶとか何とかいうことの下準備をしておるということでは全然ございません。言葉のニュアンスをどういうようにとられたか、悪く誤解されては困ると思いましたから、APの記者には特にそれを念を押して、この問題は非常にデリケートな問題であるから、現在自分たち行政措置をとるというのではなくて、特にプリンシプルとして、どの国とはそういう話をしてはいけない、どの国とは話をしてもよろしいというふうなことをやらないという原則をわれわれは持っておるのだ、従って、国連の原子力機構の中において各国と接触を保つのは、これは当然の前提でありますから、それに付随して起る問題につきましては、外務省の出先官憲を通じてわれわれは的確な情報をもらいたいと思う、こういうふうな意味でありますからということを、APの新聞記者にも話しておいたのであります。
  87. 前田正男

    前田(正)委員 関連質問ですから、一点だけに限って私は御質問したいと思います。先ほどの佐々木委員の第三の点でありますが、原子力委員会事務局を設ける問題であります。これは今、岡委員からありましたけれども、われわれ合同委員の諸君が決定して押しつけたということはありませんし、また合同委員会の方が希望しましたのは、現在政府でやろうとしておるようなあいまいなものではありません。われわれは、原子力委員会法律による設置から見まして、当然これは法律によって事務局を設けるべきであるのではないか、こういうようなもっと明確な権限とか趣旨を明らかにしたものをやるべきではないかということをわれわれ言うのであります。それを勝手に、われわれがそういうことを言ったことを利用してやったかどうか知りませんが、さっき佐々木局長答弁を聞いておると、われわれの申し入れに関係なしに、前から原子力委員会で話し合いをしておったから作ったのだということをさっき答弁しておりますけれども、とにかく原子力委員会事務局を設けたらどうかということは、希望として話が出てきたから、それに基いて事務室みたようなものを作ろうということになったのではない、これは事実であります。また原子力合同委員の希望を尊重していないことも事実であります。しかしながら、われわれは今度政府がやろうとしておる任意的にこの際事務人間原子力委員会に持って行くということは、間違っておるのではないかと思うのです。これは先ほど岡委員からも話が出ました通り、この委員会の処理というものは、原子力局において処理するということに原子力委員会設置法においてなっておる。従って、企画立案とか、そういった問題は、これは原子力委員としてはやれますけれども、原子力委員会が手足を使っては、今の法律ではやれない。科学技術庁原子力局としてはやれます。従って、原子力局で企画立案したものを次長、政務次官を通じ、大臣を通じて原子力委員会に諮る。今までは、行政府としてきめた企画立案の問題を、原子力委員会という決定機関に諮ってやっておるということが多いのであります。しかし、それでは行政の実務にわずらわされ、従来の企画立案という基本的な問題が、原子力委員会委員諸君が自分たち考えただけでは、十分にできていない。また行政官庁の科学技術庁原子力委員会に諮っただけでは欠けておるのではないか、そこでこの際、原子力委員の人たちがやるのに、原子力委員の任務としての企画審議というようなものに手足をつけた方がいいんじゃないか、われわれは庶務をつけると言うのではない、従ってこの際原子力委員諸君がみずから企画立案するのに人をつける、そうしてそれがために事務局を置く、また科学技術庁でも企画立案する、そして決定機関である原子力委員会行政機関との間に意見の相違することはあるでしょうが、それは委員長が中に入って両方調整する、こういうようになっている。そういうことのために、私たちはこの際原子力委員会設置法というものを改正して、堂々とつけたらいいじゃないか、そこで今は予算とかその他いろいろ問題があるということでありますから、合同委員会としては、こういう法律に基いてやるについては、この国会を開いている最中にそういうことについて検討されたらどうか、そうして今までの予算の例によりますならば、行政機構の変改によるところの予算のつけかえだとか人員の配分というようなことはできる、しかし増員することはできません、しかしながら、この原子力委員会が企画、審議、決定をするためにどうしても人をつけるということが今の原子力行政上大事なら、今の行政機関の人であるところの科学技術庁事務員をこの際決定機関である原子力委員会につけて、そうして次の増員する機会、次の予算を修正する機会に考えたらいいじゃないかということなんです。しかしそれまでに大事なら、それをはっきりこの際法律を改正してやるということは、今の予算、人員の範囲でできるわけですから、それをおやりになったらいいじゃないか。そういうあいまいな、庶務をやるために調査官を二人つけたり、人員をたくさんつける必要はない。それはさっき局長答弁した通り、タイピストを置いたりなんか、そのくらいの人は庶務として必要でしょう。しかしながら、今度は相当の調査官その他の事務員を派遣するという以上は、庶務をやるためのものじゃないと私は思うのです。それは当然原子力委員会の任務であるところの企画、審議、決定をするというための手助けをするために行くのじゃないですか。それならば、暫定的にも派遣する余地があり、また派遣しなければならぬなら、この際堂々と法律を改正して、当然そういうふうな原子力委員会の所掌事務に基くところの事務局を設けるようにされたらいいじゃないか。それは現在の予算定員の範囲でできる。それは事実できるから、暫定的にも人は持っていかれるわけじゃないですか。だからそういうことをやろうとするならば、この際堂々と法律に基いてやるべきだ。私はそういうことから、委員長が来られる前でありましたけれども、原子力局長に、原子力委員会構成とか権限とかいうものは、立法の問題か行政の問題かということを一番先に伺った。原子力委員会権限構成というものは立法の問題であって、当然政府から国会に諮って、立法によって堂々とやる、そうして国民の了解を得てこういうことをやるべきじゃないか。そういうごまかしのようなことをやってもらうということは、私ははなはだ残念だと思います。またそういうことは、われわれ合同委員の人たちが集まったときには、希望しておりません。われわれが希望したから、今度こそこそと事務室を作ったということを岡さんが言われたが、われわれはそんなことを希望していない。もっと筋を通した、きれいな線で行かれたらいいじゃないかと思います。今度事務的に一部の人を持っていくということは、われわれははなはだ不満でありまして、反対であります。これを堂々とこの国会中に法律によって提出されたらいいと思いますが、原子力委員長のお考えはどうかということをお聞かせ願いたいと思います。
  88. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会の運営についての実際のスタッフを、どういうふうに構想して、どういうふうに持つかということについて、なお研究したいと思っております。それで、各委員意見もよくまとめまして、あらためて必要な措置をとりたい、こう考えております。
  89. 前田正男

    前田(正)委員 委員長がそういうふうにまたこれから研究するという考えなら、この際私は委員長にお聞きしたいのです。先ほどの局長答弁では、私はけさも新聞で見たのでありますが、原子力委員会調査官二名その他何名かを持っていくということを今稟議を回しておるということのようであります。従ってまだ票講中であるということは、大臣としての、科学技術庁の長官としての決裁はまだ得ていないと思います。これは科学技術庁人間を持っていくわけでありますし、科学技術庁の長官としての決裁を得ておらない。従って科学技術庁の長官として、今御答弁になったように、この委員会やり方については法律でやるべきかどうかということについてこれから研究しようということであるなら、この決裁をしばらく待たれて御検討される意思があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  90. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会の運営のためのスタッフに、科学技術庁原子力局の中に持っておる、あるいは科学技術庁の長官室に持っておる者を、事務的にどういうふうに運ぼうとも、方法はあると思います。その問題は、原子力局を今までずっと運営してきた経験から見て、自分たちとしては、どうしても原子力局の中に原子力委員会の専門の責任をとる組織を持っておらないと、事務が非常に繁雑になって処理がつかない点が起るのではないか、こういうふうに心配をしまして、そういうふうなことについては委員会委員とも今までよく話し合いが出ております。しかし、原子力委員会のスタッフというのは本来はどういうものか、どういう規模が適当であろうかということにつきましては、なおよく研究をいたしたいと思っております。
  91. 前田正男

    前田(正)委員 そういう今の御答弁で見ると、それじゃ今新聞に出ている原子力委員会調査官を出す、事務官を出すとかいうことは、原子力委員会法律上当然私は出せないと思います。原子力委員会庶務をやるために科学技術庁人間を出すということを新聞に書いてありますが、これは法律改正によらないでやらせますという局長のさっきの話だったら、大臣が来たら私は突っ込んで伺いたいと思っておりましたが、当然そういうことは私はできないと思う。科学技術庁原子力局の中に委員会担当の人を置くということは、現在の法律でできると思います。これは科学技術庁原子力局仕事の全体をやるわけですから。しかし、その意見というものは、あくまで科学技術庁の長官を通じて原子力委員会に諮るべきであると私は思うのです。それでこの際、長官としては、その意見というものは混同しないようにしてもらいたい。あくまで科学技術庁の長官を通じて原子力委員会に諮るべきものであって、原子力委員会庶務をやるということに法律はなっている。原子力委員会の企画、審議、決定ということについてのスタッフではないわけです。だから、きょうの新聞に出ているように、原子力委員会に幾らかの人を出してやるということは、誤まりじゃないかと思います。そういうやり方をすべきじゃない。そういうことをするなら、これは当然法律の改正をしなければならぬと私は思う。だから、その点についての委員長大臣としてのお答えは、原子力局の中にそういう人を置いておく、科学技術庁の中に置いておくというならわかりますけれども、今、局長の方から稟議として回してきておられるという考え方と、どっちなんですか。科学技術庁の中にそういう人を置いておこうというのか、原子力委員会の方に持っていこうというのか、どっちかそれについてお答えを願いたい。
  92. 佐々木義武

    佐々木政府委員 先ほど来お話し申し上げましたように、あくまでも原子力局定員の中でございまして、従って原子力委員会の方に定員を移しかえるということは考えておりません。
  93. 有田喜一

    有田委員長代理 前田君、簡潔に願います。
  94. 前田正男

    前田(正)委員 そういうことになりますと、要するに原子力委員会事務室じゃなしに、科学技術庁の中に原子力委員会担当の人を置く、こういうことですね。
  95. 佐々木義武

    佐々木政府委員 その通りです。
  96. 前田正男

    前田(正)委員 それではこの際大臣に最後に質問をしてお願いしますが、委員長は、今、原子力委員会あり方について検討されるということでしたけれども、私はさっき要望しました通り原子力委員会の運営、それから委員構成とか事務局の問題とか、こういった問題については、この国会中に可及的すみやかに、原子力委員長としては、また科学技術庁長官としては検討される御予定であるか、その心組みをお伺いしたい。
  97. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 できるだけすみやかにそういう事務局構成については検討いたしたいと考えております。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 関連して。ただいま原子力問題に関しての質疑応答を承わっておりまして、私はちょっとお尋ねしたいことがありますので、お許し願いたいと思います。  一つは、石川さんにお尋ねしたいのですが、原子力委員会の強化という問題がありまして、非常勤委員というものは常勤委員にした方がいいのじゃないか、たまにぽかんと来て、据えぜんを食わされるような形がいつも展開されるのでは、これから膨大な予算をかかえてやる仕事について任務を果せられないのじゃないか、ほかの委員との間の。ペースが合わないのじゃないか、こういうことが一つ考えられると思うのです。この点、石川さんからお答え願いたいと思います。  もう一つは、宇田さんに、原子力政策の超党派性という問題についてお尋ねしたいと思うのです。原子力政策を強力に推進しなければ近代国家の列に入れないことは常識でありまして、世界の情勢を見て、それを推進しているのは何の力かということを見ますと、イギリスにおいても、アメリカにおいても、ロシヤにおいても、それは軍部の力であります。軍部が初めこれを推進してきて、最近平和利用に転換してきた。日本の場合は、これを推進するのは何であるかというと、軍部がありませんし、また軍部がやってはならぬ。そうすると、政府がやるということになる。しかし政府が一党一派に偏してやったら独走するということになるので、これもまたよくない。そういうわけで、結局これは国民代表である国会がその母体になり、推進力になって立法しなくてはならぬ。国会がやるということは、結局国会構成している政党が母体になって、国民の意思を代表して推進すべきである、これが一番民主的な方法である、こういう考えのもとにわれわれはいろいろな見本法を作るときに超党派性ということを確認し、また各党においてもこれを確認し、でき得べくんばアメリカにおけるような上下合同委員会を作ろうとして、実は法案の整備までやった。しかし合同委員会を作ることは、日本の憲法や国会法の関係もあって、もう少し検討を要するという各党のお話があって、これはできなかった。ところがその当時、各党の総務会並びに執行委員会決議によって、各党から代表を出して各党の政治協商会議を作って、それを代表して推進しよう、こういうわけで合同委員会ができたのであります。これはアメリカにおけるようなジョイント・コミッティをどうしても作る必要があると私は思います。それは日本のおくれた原子力政策を民主的に推進する方法として残されたただ一つの方法であると思います。しかし、今日の状態になってみると、いろいろ立法や何かも進んできまして、一応仕事は軌道に乗ったように見えるけれども、一つここに大きな問題が出てきた。それは何であるかというと、動力協定あるいは動力炉の輸入建設の問題であります。この問題こそ、将来の企業形態あるいは資本系列、技術系列等にも関係する問題であって、これこそまさに超党派的に推進しなければならぬ問題である。そういう点から今までわれわれは原子力委員長にいろいろ助言をして、原子力委員長があやまちなきを期して、超党派性を確保するために、われわれが手足となって各党と話し合いをし、おぜん立てをして、そうして話し合いがついたところで、委員長は独自の判断に基いて行動して、こられたと思う。私はその方針は決して間違っていたとは思わぬし、将来もこれは継続すべきであると思います。しかし、この膨大な問題をここにかかえて、日本原子力政策というものが胸突き八丁にかかってきた今日、今までのような合同委員会のままでやっていいかどうか、これはもう少し検討を要するところがありましょう。もう少し強化する必要があるし、あるいは立法する必要もあるでしょう。そういう点についてはわれわれもいろいろ考慮をめぐらさなければならぬけれども、その一つの思想の表われとしてできたのが懇談会という思想であったと思います。私はここで委員長に質問したのです。そして審議会という構想をお尋ねしたら、委員長はその構想には賛成された。しかし、法律的にやるのはまだ早いというので懇談会になったのであります。これは超党派的に推進する一つやり方であったろうと思う。その方法を委員長がお考えになったことは、決して間違ってないと思うのです。  そこで、今の懇談会につきましては、委員長の確信通りお進めになった方が国家のためになると私は思う。そうしないと、超党派性がくずれて、委員会が独走したり、電力会社が勝手なことをひとりでやり出したら、学術会議意思が無視されたり、そういう危険が出てくるのである。一たび転轍手が軌道を間違うと、下関に行かないで、青森に行ってしまう。そういうような点から、私は、超党派的な考え方で、日本の各界を網羅したものが情報を交換し、思想を調整する必要があろうと思いますので、懇談会はぜひ推進していただかなければならぬと思います。と同時に、超党派的に、これらの維持、強化について、あくまで法制化してやるか、あるいは法制化しないにせよ、何らかの方法でやるということについては必要であろうと思うのでありますが、委員長はこの点についていかにお考えになりますか。まず石川委員にお尋ねいたします。
  99. 石川一郎

    石川説明員 原子力委員会の強化につきまして、われわれはかねがねどうも手足が足りなくて困るので、少しふやしていただきたいということを申し上げておったのであります。予算が、三十一年度はなかったが、三十二年度からやりたいと思っておるわけでありまして、このやり方については、政府の方と立法府の方とよく御協力願ってやっていただきたいと思います。  それからなお、常勤委員の問題でございますが、常勤委員はできるだけふやしていただきたいと思います。そうよけいは要らないと私は思います。要するに、われわれは手足を少しふやしていただけばけっこうだと思うのであります。手足というのは調査であります。たとえば、外国からいろいろな書物が参ります。これを読むのが大へんであります。それでせめてそういう外国の報告等もだれかに読んでもらって、そのエッセンスだけをわれわれが読みたいというようなこともございますし、それからまた法律などの問題については、自分一人で判断のつかない点がございますので、そういうものは専門家ととっくり相談して判断したいと思います。要するに、調査官とかあるいは研究官というものがほしいのと、語学の達者な人が少しほしい、こういうことをお願いしたいと思うのです。
  100. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力関係の解決に当っては、超党派性をもって処理していかなければならぬと実は考えます。それがためにどういう機構が一番好ましいかということは、なお研究したいと思います。いずれ、立法措置をとるかとらぬか等につきましても、なお懇談会あるいはその他の機会によく検討を加えて、具体的な処置をするようにしたい、こう考えます。
  101. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 一体私はいつになったらどれくらいの時間で質問させてもらえますか、委員長に伺いたい。この委員会の運営というものは、数回私は委員長にも事務局にも話をした。出てきておって、関連のことでやれるならばやろうと思って、私は数回の委員会でしばらくの間ずっと待っておった。だけれども、勝手なときに原子力委員長が出てきて、いいかげんに適当に相手をして帰ってしまう。それだから、予定してあるが、そんなことでやらしてもらえない。この委員会の運営はどういうことになっておるのか、私は不満にたえない。きょうも明らかに時間がない。石川さんも先に来ておったので、委員長も御承知のように、私は原子炉の輸入を中心として聞こうと思っておったが、前段階でいえば、今のようなことになってしまった。この運営というのはどういう格好で運営されておるのか、委員長にちょっと伺いたいと思います。
  102. 有田喜一

    有田委員長代理 言うまでもなく、委員会の運営は、理事会によって相談するのです。本日の運営方法は、まず放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律案提案理由説明を聞き、次いで公務員給与の決定について人事院総裁に、その後原子力行政とそれから原子力燃料公社の敷地について質疑を伺うということになっておった。ところが国務大臣の都合もあって、燃料公社の敷地、原子力行政は、出席大臣の顔を見た上でやろう、そのことについては佐々木委員とも相談したことば御承知通りです。そういう運びによりまして本日は佐々木委員の質問に重点を置いて、宇田国務大臣に今まで待ってもらってやっておるわけです。関連質問については、それぞれ佐々木委員の了承のもとにやったのですが、事実上関連質問が相当大ぜいになったわけです。しばらく大臣にもしんぼうしてもらいますから、佐々木委員質疑を続けていただきたいと思います。
  103. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 質問するといっても、これはあほうらしくて質問できぬが、そこで、今の話を聞いておっても、大体あなたに対する感じは不信任です。たよれるようでたよれぬというのが現在の感じです。今、原子力委員会の運営に対してもあっちこっちから意見がありましたけれども、どう惑ぜられましたか。率直に御所見を承わりたいと思います。
  104. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会の運営についての批判は、それぞれの角度からいろいろあります。しかし原子力委員会の運ばせ方について、これが非常に誤まったものである、あるいは非常に時宜に即さないものである、そうは思っておりません。
  105. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 先ほど来、私は委員会の運営につきまして三つの問題を掲げましたけれども、その三つの問題に対する答弁がまだはっきりしたことがなかった。第一、懇談会につきましての私の意見と、それから先ほど来、中曽根さんが意見を言われましたけれども、中曽根さんの意見に対する御答弁はあったようななかったような感じでしたが、原子力懇談会というものを作られるつもりですか、作られないつもりですか。同時にまたこれに対する社会党側の批判があったということも聞いておられると思いますけれども、それをどうされるのか、御所見を承わりたい。
  106. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 懇談会は作りたいと思っております。社会党の方ともよくそれについて話し合いを進めたい、こう考えております。
  107. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 事務スタッフの問題につきましては、長官は、他官庁あるいは他の国務大臣との話し合いがつかなかったから、つまり予算指置ができなかったから、事務スタッフは思うようにできなかった。従って、便宜的の措置を講ぜざるを得ないというようなお話があったと思います。大体国務大臣として、その政府内において意見が合わなかったことを、適当な便宜措置をするというようなことが本来の筋であるかどうか。国の方針でありますから、事務スタッフを適当につけられなかったということは、まだそうあせっていろんなことをせぬでもいいということと違いますか。岸内閣としては、この問題につきましては、まだ事務スタッフに相当なものをつけたり、予算をつけてやらなくてもいいという決定がされたということじゃないのですか。
  108. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 この人事をどうするかということにつきましては、それぞれの役所の関係もあって、そうして予算措置は、予算のワクの中におけるところの人員の増加というのは非常にむずかしい申し合せ等が従来ありますから、そういう意味で、原子力委員会のスタッフをどういうふうにつけるかということについては、必ずしもわれわれの希望通りにはいっておりません。しかし、従来事実処理をしております実情に即してわれわれは便宜の措置をとっていくのが適当、こう考えております。
  109. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 だから、岸内閣としては、これに対してどういう方針をとられるのかを聞いておるわけです。
  110. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会事務局構成につきましては、法律上の裏づけのないものにつきましては、現在の科学技術庁原子力局をもってこれに当らしむる、こういうことに決定いたしております。
  111. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると、事務スタッフをたくさんつけて、今の原子力委員会の希望に沿うような、そういう事務局をつけるということは、現在の段階ではつけないというふうに岸内閣としては決定されたというふうに了解していいのですか。
  112. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会に法制の裏づけをもってスタッフをつけるということは、決定はいたしておりません。従って、法律の裏づけのないものにつきましては、その事務スタッフをつけるということはありません。ただ、原子力行政原子力局でまかなっておりまして、原子力局といたしましては、原子力委員会事務処理あるいは企画処理をしていく、こういうことになっております。
  113. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そうすると、宇田長官は、そういう強力な事務スタッフをつけたいと希望されたけれども、岸内閣の現段階ではそれの目的が達せられなかったから、今のところ便宜的な措置に甘んずる、こういうことですか。
  114. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 ただいま石川委員からも報告がありましたように、原子力委員会としてはなおたくさんのスタッフを希望いたしております。しかし、それはただいまの段階では希望通りにはいっておりません。従って、この経過措置といたしましては、原子力局をもってその事務を処理する方針をとっております。
  115. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 現在の原子力行政のいろいろな方針をきめる上に、相当な事務スタッフが必要だ。それがなければスムーズにいかないということであるならば、行政長官であると同時に国務大臣でありますから、原子力行政を担当しておられる宇田大臣として、強硬にその方針を閣内に反映させて、その方針を推進せらるべきだと思う。そうして、他の原因によってその事務スタッフ等がまだうまく配置されないような閣内の情勢でありますならば、原子力行政が、あるいは原子力のいろいろな仕事が、これから一生懸命先行きしようとすることが、現在の閣内においてはまだ早急過ぎるから足踏みをせよという決定というふうにお感じになりましたら、そこで足踏みをされればいいと思う。やろうと思っても、個人でできないこと、それから情勢の熟さざることとがありますから、その辺はすっきりさせたらいい。同時に原子力行政は今こんとんとしておる。ある意味においては強引に一つの力で推進されることもあるかもしれませんが、目下のようなこんとんたる状態をもう少し熱をさまして、冷静に判断することが、あるいは後世のために正しいかもしれない。現在の国内における諸情勢、特に閣内における今のような諸情勢が、ある意味においてはそのようなこんとんたる社会的情勢を反映しておるのかもしれないと思うならば、個人的な意見にかかわらず、その方針に従われたらいいと思う。従いまして、中途半端みたいな方針によって、強力な原子力行政を進めるために事務スタッフをつけなければならぬけれども、うまくつかないから暫定的な格好でそれはいいかげんにとどめておいて、そうして原子力行政自身は推進させなければならぬということは、長官としてあるいは原子力委員長としてとるべき態度でないと思いますが、御意見いかがでしょうか。私はどっちかにきめるべきだと思います。
  116. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 この原子力委員会の持つスタッフにつきましては、法律上の裏づけがありません。立法措置をしなければならぬ面もありますが、立法措置がとられておりません。従って、立法措置のとられていない以前におきましては、現在の行政措置といたしましては、原子力局をもってその事務の処理に当らしめる以外にけたいはずでありますから、そういたしております。しかし、将来、立法措置をとって原子力委員会が直接のスタッフを持つ時期が来ると思われます。そういうときには、それに必要な立法措置をどういうように勘案するかということについて、あらためて検討いたしたい、こう考えております。
  117. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 この問題はもうこれでやめておきますけれども、本論ではなかった、本論でないときにけつまずいてしまったものですから。しかし繰り返して申しますが、こんな事務員を二人か三人今のままで使うか使わぬかという問題をめぐって、この国会が、この委員会が重大な時間をさかなければならないほど原子力行政は混迷しておると思う。この内容がいい悪いではない。その辺にすっきりとした態度がないから、何らか誤解を生むような生まないような、この委員会がやっておるのか、原子力委員会がやっておるのか、岸内閣がやっておるのか、合同委員会がやっておるのか、産業界がやつておるのか、何が原子力行政を推進しておるかわからぬような状態であるから、私どもはいろいろな疑いも生ずるし、こんなつまらないようなものでさえもここで議論せざるを得ないような状態になると思う。従いまして、先ほど来、中曽根さんからも、一つの曲り角に来ておる、原子力行政日本の重大な段階に来ておるということを指摘されましたが、その意味において私は同感であります。しかしながら、重大な時期に来ておればおるほど、あせってはならない場合もあり得ると思う。幾らやろうと思っても、主体自身がぐらぐらしておるときには、ほんとうはやらぬ方が間違いがないということにもなるわけであります。今どこが原子力行政の本格的な担当者であり、だれが国民に対して全責任を持って原子力行政を推進しておるかわからないような情勢にありますこの状態を見るときに、ほんとうならばもっともっと足踏みをされた方がいいと思う。そうして、もっと推進をされた方がいいと思われますならば、推進される態勢を現実に作って、強引に推進できて実効が上るような方針をとられなければならないと思います。私の意見といたしましては、現在の原子力行政のこんとんたる情勢がまだ現在の岸内閣では統かざるを得ないような情勢でありますならば、原子力行政の推進をしばらく足踏みされる。そうしてまた国際情熱なりあるいは国内のエネルギー行政の立場から、もっと強くこれを推進されなければならないという前価徒をとられるならば、あなたはあくまでも岸内閣の閣僚でありますから、岸内閣を動かして、岸内閣の責任において国民の前に原子力行政をだれがどういう方向でやろうとしておるかということが明らかになるような格好で推進されることを私は心から希望いたします。ほかの質問をしたいと思っておりましたけれども、この玄関口だけでこれだけの話でありますならば、さっぱり質問する元気も何もなくなってしまったわけであります。従いまして、この辺でもう質問を打ち切りますけれども、一言だけ聞いておきたいと思います。  動力炉の輸入について、この前もはっきりと私は申し上げたけれども、三十一年度の基本計画では、動力用原子炉については、本年度は基本的調査及びこれが具体化のための研究を行うものとするという方針がその中にたった一項目うたわれておるだけでありまして、この四月一日から新しく三十二年度になったわけでありますが、従来のこのような原子力開発利用基本計画というものが原子力行政の根幹でありますならば、現実に動力炉を入れるとか入れないとか、あるいは石川ミッションを出すとか出さぬということ自身も新たな基本計画にちゃんと日程に入れて、石川ミッションを出すまでにこれこれこういうことを、どこでどういうふうに検討さして、その結果をどこへ集合をして、そしてその内容を持って向うに行って、こういうふうに検討してくる、そして向うで検討してくることはこれとこれ、戻ってきてはどういうふうにする、そういう日程を含めたところの原子炉の研究計画がはっきりと打ち立てられて、それを一般の国民の了承を得た上でやられるべきだと思うわけであります。御承知のように、動力用原子炉となりますと、現在の国内におきましては相当問題であります。宇田さんが十分御承知のように、学校の研究炉であるところのあの宇治の原子炉でさえも、あれほどの問題を起したではありませんか。そしていまだに解決していないではありませんか。そして、学者の意見を云々と言われますけれども、あの学者の意見自身が川下と川上であれほど分れておる。それが今の現状ではありませんか。従って私は、今の日本の学界の意見に対しましても、信憑性の問題を含めて、相当疑問を感ぜざるを得ない。あるいはまた間違いない、はっきりした意見であったとしても、それが国内で客観化され、国民にそれが信用されておるかどうかということに対しましては、疑いなきを得ないのでありまして、まあ大体国際的に見て間違いない意見が学界で出され、しかもそれが国内で大きな心配なしに国民の中へ受け入れられるような情勢を作ってこそ、初めて本格的な動力用原子炉を入れ、そしてそれがまた実用化され得る段階にもなるわけであります。従いまして、そこが政治の一番中心でありまして、学校でもなければあるいはその他の企業でもないのであります。あくまでもわれわれは政治を行うのでありますから、国民の十分なる了承と安心感を持った上で、この問題が取り扱われなければならないと思う。にもかかわらず、基本計画について私は確たる方針を聞くことができない。そしてまた私どもが伺いましても、何だかあまり内容をはっきりさせぬままに、もう一ぺん石川さんに行ってきてもらいさえすればいいのだというような感じで、もうむちゃくちゃに動力用原子炉を輸入だ、輸入だということで、事業者間で持ち回られて、わんわんと大騒ぎになっておるのが現状ではなかろうかと思う。先ほど言いましたように、事務員を一名か二名こっちからこっちに移すとか、名義書きかえするとかということさえもはっきりしないような情勢にもってきて、この今の大きな動力用原子炉を入れるという問題も似たような感じでありますがゆえに、私どもは不安なきを得ないのであります。動力炉の輸入をめぐりましては、事業者がいろんな格好でこの周囲をうろうろしておりますことは御承知通りでありますから、われわれはどこにも権威を求めることができず、どこにも安全性を求めることができない上に、あくまでも一つのスペキュレーションのような感じで、さあ動力炉だ、動力炉だ、御承知のように、電気が足らないところを見計らって、もう入れなかったら今にも総合エネルギー対策がくずれるような感覚でこの問題を取り上げられる。私は原子力行政における政治のもとが、どこか大きく欠けておるような気がして仕方がないのであります。もう時間がありませんから、質問は五、六分でやめておきますけれども、原子炉の輸入につきまして今お話を聞きますと、何か石川さんにもう一ぺん行ってもらって、地震の問題とコストの資金計画の問題を検討するというお話でありました。私が聞くところによると、この二つだけでもそう簡単に国内で結論が得られるとは思わないし、そうしてその結論をイギリスなりアメリカなりに持っていって話しても、そう簡単にその内容がわかるとは思わないのでありますけれども、その辺の事情並びは動力用原子炉を入れるについての条件、それから計画を一応明らかにされんことを望みます。
  118. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 動力用の炉をどういうふうなものを入れるかということについては、先ほども申し上げましたように、実際は非常に慎重を要することでありますから、その意味では技術的にまだ石川報告の報告せられているようなコストその他の面について、関係各省ともに材料あるいは資料について今検討いたしております。そういうわけで、原子力行政の中で新しい発電用の動力炉をどういうふうに入れるかということについての決定は、ただいまのところ何もありません。ただコールターホール・タイプを入れるのが好ましいということは聞いております。そういうわけで、どういうふうに申されても、われわれのところで的確な結論が出ない以前に、われわれが自分たちの効力炉輸入に関するところの最後的な案ができるはずはありませんから、あくまでも調査を待って、どの炉を入れるか、あるいはその入れるについての企画及び管理方式等はあらためて日程に上せるべきである、こういうふうに思っております。
  119. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 どうも私は問題の提示の仕方がさかさまじゃなかろうかと思う。石川ミッションが行かなくても、ある程度わかることは今の国内でもわかっておる。従って、わかる範囲内において国内の方針を立てて、その方針にのっとって次のテーマを出されればいいと思う。早い話が、受け入れの形態にいたしましても、今、東西で民間会社を二つ作るとか、あるいは電源会社がやるとか、公社を作るとか等々のいろいろな意見があります。この点は別に石川ミッションが行ってみなければわからないという問題でも何でもありません。ほんとうに近く動力炉を輸入しようと思われるならば、この辺ではっきりした確固たる方針を政府は整備されるべきである。少くとも原子力委員会におきまして、この問題が十分に討論をされて、大体の方針が打ち出されてから初めて原子炉輸入の問題をもっと具体的に爼上に上せなければならないと思う。これらの問題についても、何らの意見もない。それからまた同時に、先ほどコストを含めた資金の問題と言われましたけれども、そうしてまた宇田大臣の就任の抱負を述べられた際にも、原子力発電というものは現在の発電と比べてそう高くないんだとコストの問題を出されておったようでありますが、私はあの意見を聞きまして、ああ、どこから聞かれたか知らぬけれども、これはまた危ない意見を言われるわいというふうに、私は正直なところ思っておった。火力発電所でさえも、尼崎に最初の火力発電所を作ったときにどうか。大体あの火力発電所は七万五、十キロからのものを設置したときに、最初の予定と違って、五年間はほとんど現実に実用の運転ができなかったのです。いろいろなところに故障が起きたり、いろいろ研究をしなければならぬ問題が起きたりして、最初これを据え付けてから安全運転に入るまで五年間の年月がかかった。あなたのお話を聞いていると、五年間の国内におけるそういう措置はすっとんでしまっているかのごとき状態で、コスト自身も出される。従って、今のコストの問題が出る場合には、当然に七、八〇%の稼働率が予定されていなければならない。しかしながら現実に七、八〇%の稼働をしておるところの原子力発電所が世界のどこにあるか、どこにもありません。そうして、おそらくこうなるだろうというふうな、そろばんではじかれているというのが現状であります。従って今、石川ミッションがどこを探してみましても、私はこういう関係で、少くとも稼働率をはっきり含めてのコストなんか出はせぬというふうに思うわけであります。従って、これだから私はやめるとかやめないという意味じゃありませんよ、このコストの問題は、今の技術程度では、私は宇田長官が言われるような状態に簡単にははじき出されない状態にあるということを申し上げるわけであります。同時にまた、地震の問題にいたしましても、今何かその研究が依頼されておりまして、研究されておるようでありますが、私はそこからどういう結論が出てくるか非常に心配しております。おそらくまたその中で一、二の学者の強い意見が反映して、こういう意見でもう収拾させなければならないということで、ほんとうに学者の中で相当の不安を持っておる者がありましても、むしろその不安を持っておるところの学者の意見を封殺するような形で、強引に地震に対する結論も出されるのではなかろうかという不安を、私どもは持たざるを得ないのであります。この辺の問題を長いこと言うつもりはありません。委員会もざわついておりますし、打ち切りますけれども、あなた自身もおそらく聞いておられると思いますが、イギリスの動力炉を、政府からなりあるいは原子力委員会関係からなり、土木建築の関係者なり、あるいは実際の業者なりを、ほんとうに視察にやられたことはまだないでしょう。何かどういう格好で行ったか知らないけれども、大林とか清水とかそういう連中は、あんなものはとても危なくてやれはせぬと言っておるそうです。あれはしろうとだからと言えば言えるかもしれませんけれども、現実に日本の土建を実施する中心はこの辺の連中でありますから、この辺がふらふらしておるのに、幾ら大丈夫だといっても、私たち国民は危なくてしょうがないという感じがするのであります。御承知のように、四角いブロックみたいなものが、三段も四段も重なって十一段になるということでありますから、それを聞いただけでも、私どものような地震国では心配でしょうがないのです。かつてイギリスを中心に、れんが作りの建築が日本にはやってきた。日本は御承知のようにすぐハイカラものに飛びついて、れんが作りの建築を堂々と官庁街でやったのです。ところが地震でみなひっくり返ったでしょう。あれと同じことを繰り返してはならない。れんがの家はひっくり返ってもいいけれども、原子炉がひっくり返ったらどうなるだろうか、心配でならない。私どもは決して専門家ではありませんが、国民の率直なる心配を、ぶちまけざるを得ないという感じがするわけであります。燃料の問題にいたしましても、同様な心配を私どもは聞いております。従いまして、この燃料の問題につきましても、内容はやめておきますが、それらにつきましても、決して今、長官が考えられておるほどこの問題は技術的に安全段階に入っておるとか、技術的にそのコストがはじける段階に入っておるというふうな結論は、私はまだ早い感じを持っておるわけであります。それが一たび原子力委員会なり産業会議なりの問題になりますと、見たってわかるじゃありませんか。石川さん自身が具体的に何がわかる、あるいは電力界の管さん自身が何がわかる、あるいはまた関西電力の社長さんが何がわかる、具体的にわかりっこない。また向うへ行って調べているのは、技術屋の親方である副社長とかそういうロートル組であります。ただ、ほかが大丈夫だと言っているから大丈夫だろうというような話だけであります。現実に電力会社の従業員は、非常な不安を持ってこのことを見ていることを、私は率直にあなたに申し上げる。おそらく何か電気会社の、電源会社の親方どもは、これまたもちろんこの問題に一生懸命に飛び込もうとしておる。こんなものをうっかりやられたら、とんでもないことになる。自分たちの仲間の若手の連中が、これについてほんとうに入れるか入れないか、あるいはこれにどれくらい関係するかということを吟味するところの余地はほとんどなくて、企業家の中でこの問題が扱われつつあることに非常に大きな不安と不満を持って、あるいはこの建設の業務に関係させられるかもしれないところの労働者なり、あるいは会社員なりが不安を持って見ておることをはっきりと私は長官に申し上げておきたいと思います。動力協定の問題自身にしましても、先ほど来、私の一番言いたい。ポイントは、岡さんが言われましたから私は言いませんが、もっと端的に言えば、何を好んでそんなに急いで動力協定を結ぼうとしておるのか、私は了解に苦しむのであります。動力協定を結ぼうとする限りにおいては、当然にいつごろにこれくらいな原子炉、動力炉を入れるということが前提になって、初めてこの問題が生きてくるはずでしょう。でなければ、それを作るための情報がほしいとかなんとかいうことじゃなかろうかと思う。しかし、情報がほしいのであればあるほど、こちらの具体的な計画を持たない限り、ぼうっとしたような情報で、へみたいなものではナンセンスなはずであります。おそらくどのくらいの大きさの何型ということくらいがわかって、初めてわが国に設置される方針が明らかになった上で、その技術に対する情報を入れるのに便利であるということになるのじゃなかろうか。私は動力協定を急がれるのは、先ほど来何だか知らないけれども、むちゃくちゃに、よその国でもやるから早くやらなければ困る、むしろそれよりも企業者が新しく原子力の時代が来る場合、イニシアチブをみずからの陣営にとろうとするところの動きが妙な格好に産業会議を動かし、原子力委員会を動かし、宇田長官を動かし、岸内閣を動かしながら、この動力炉の輸入云々を早くという問題になり、それがそのまま動力協定を早く早くという問題になっておるように私どもは心配をして見ておるわけであります。これらの一々につきまして、私は具体的な例をあげまして、そうして委員長の所見を一つ一つただそうと思いましたけれども、時間の余裕がありませんし、私自身も別な仕事を持っておりますので、この辺で打ち切りたいと思いまするが、繰り返して申し上げますけれども、動力炉の輸入と動力協定の締結につきまして、少くとも宇治の原子炉が設置されるということだけでさえもあれほどの問題が起ったのでありまするから、一般の国民は非常な不安と不満を持ってながめておることを御承知願いたいと思います。  それから最後にもう一点、宇田さんの原子炉輸入についての非常に強い要望は、あくまでも日本に総合エネルギー対策の観点から原子炉を設置しなければ、電気を中心としたエネルギーがほとんど足りなくなってくる、そうして五年後には非常に大きなエネルギーの穴があくのじゃないかということを心配されてのことのようであります。まさにその通りであります。その通りであるがゆえに、私どもは原子力の本格的な安全な輸入をこいねがっておる。しかしながら、そこに向けられる力と同等な力が、残された、まだ安全にして、またやり方の十分あるところの他のエネルギーの有効利用についてとられておるかどうかということについては、疑いなきを得ないのであります。宇田長官は経済企画庁長官でしょう。経済企画庁長官として、この原子力のエネルギーを現実に日本の産業界なり、あるいは国民生活なりに現実に使うようにならせる前に、他のエネルギー資源を十分に活用し、そして補わなければならぬ方策について、足りないところがありはしないかということを、十分に私は反省をしてみていただきたいと思います。五年後に、あなたの言われるように三十万キロとか、百万キロとか、そんなものはとてもできはしません。私は断言しておくけれども、もし何だったらかけをしていいと思う。かりに作っても、それが安全運転、安定運転には、これまでの経験から見て絶対に入りませんよ。むしろそれを入れるならば、逆に、ちっぽけな炉を入れるよりも、今の若い学校出の技術者なりをどんどんアメリカなり、ソ連なり、イギリスへ出しなさい。向うへ行って、向うを実験用として研究してもらって、そうして向うは二、三年後に、ひょっとすると百万キロくらいのをやるかもしれない。そのときに安全なものを持ってきた方が、より早くて安全だろうという感じさえするくらいであります。私は、今の意見は飛躍し過ぎておりますけれども、現在の原子炉の輸入の問題に対しましては不満と不安を持つと同時に、エネルギー全体の総合エネルギー政策の立て方について、私は希望的な妙な原子力のところに力を入れ過ぎて、今やらなければならないところの、この二、三年間にいずれにしたって間に合いほせぬのだから、あなたの大臣の間には動きはせぬ。その間の企画庁の総合エネルギー対策をはっきり立てた上で、その問題に対する信頼の仕方なり、力の入れ方なりを考えてもらった方がいい。時間がありませんから、言いっぱなしにしておきますけれども、私の勝手なことを言いましたことに対する御批判だけを承わって、質疑を終ります。
  120. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 いずれにしてもわからないことは、お互いに目の前に原子炉も、リアクターも何も持ち合せない国の国会の討論はこういうものであると思いますから、われわれは何も持たないのですから、お互いに、あなたのおっしゃる通り心配と、そうして検討を必要とするということでありまして、それをこれからどういうふうに具体的にわれわれの国土に持ってくるかということにつきましては、いろいろの角度から十分これは御意見を伺いまして、万全を期したいと思います。
  121. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 そういう感じでやられるのならば、国民の前にあまりわからないようなところで、少数の人々の話だけであっちへ行ったり、こっちへ行ったりするような形で原子力行政をやられずに、あまりあせり過ぎて国民の前に了解が得られないような状態でかけ足されないように、民主と自由と公開の原則のもとに、原子力行政を、政府行政部内におきましても、立法府内におきましても、堂々とそういう立場から推進されんことをこいねがいまして終ります。
  122. 有田喜一

    有田委員長代理 本日はこの程度といたし、次会は明三日、午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。     午後一時四十一分散会