○鈴江
政府委員 それではお手元に配付してありまする資料につきまして、御説明を申し上げたいと思います。
表題は「昭和三十二年度科学
技術振興予算概要」というものであります。ここにカッコして「未定稿」というふうに書いてございますが、この
意味につきまして申し上げます。と、この予算概算の説明の内容は、大蔵省が査定をいたしました結果について批評をしたわけでございますが、なお予算の詳細の点になりますと、これは各省庁がこの予算の範囲内において実行
計画を立てるのでございますが、その実行
計画を見ませんと、最終的な個々の研究テーマまで批判をすることができないような状況でございますので、一応「未定稿」ということにいたしまして、さらに将来近く各省で実行
計画を作りました場合に、それをまた
調査いたしまして、その内容を検討していきたいと思うわけでございます。
この資料は
二つに分れておりますが、
最初予算概要と申しますのが表紙にございます。中ほどに「昭和三十二年度科学
技術振興予算資料」というのがございます。これは資料がいろいろ載っておるものでございます。
最初資料についての説明をさせていただきたいと思うのでありますが、この予算資料の一ページに「表こというのがございます。「科学
技術振興費の推移」というのがございますが、これをごらん願いたいのでございます。科学
技術振興費としてここに計上されております数字は、大蔵当局が科学
技術振興費として定めました予算の数字をここに記したわけでございまして、科学
技術庁の予算調整の対象といたしますものと多少の食い違いがございます。科学
技術庁の対象といたしますのは、御
承知のように、各省の研究機関の予算と補助金、委託費等の予算、この
二つでございますが、大蔵当局のいっておりまする科学
技術振興費は、そのほかに、たとえば科学
技術庁の庁費、工業
技術院の庁費あるいは国会図書館におきまする
原子力図書の購入費といったようなものも入っておりますので、幾分違うのでございます。また科学
技術の補助金といいましても、内容によりまして、果して科学
技術振興だけのものか、あるいはその他の
事業のためのものか、非常にその間判定のむずかしい点もございますので、大蔵当局のと科学
技術庁のとり方とは多少違うのでございますが、
政府から出しまする予算書について申し上げた方がわかりいいかと思いまして、一応大蔵当局の考えております科学
技術振興費の数字をとったわけでございます。表の一をごらんになっていただきたいのでございまするが、
最初に「試験研究等経費」というのがございますが、これは各省庁の研究機関の予算でございまして、三十二年度は八十三億ということになっております。それから「
原子力関係費」を見ますと、これが六十億、その次に「科学
技術研究助成費」、これは補助金、委託費等でありますが、これが二十七億、その下に「特別研究
事業費」というのがございますが、これは国際地球観測年、いわゆる南極の観測も入っておりますが、そういったものが八億五千万円、合せまして百七十八億という数字になっておりまして、国家予算の一兆一千三百七十四億に対比いたしますると、パーセンテージといたしまして一・五七でございます。三十一年度の一・一五に比較いたしますると、
相当大幅にふえておるというのがわかるわけでございます。
それから表の二は、これは
原子力関係を除きましたものを書いたわけでございまして、六十億を除いたわけでございますが、そういたしますると、昭和三十一年度の〇・九五に対しまして一・〇四というふうに、これも
相当ふえておるということがわかるわけでございます。
それから表の三に至りましては、これは「広義の科学
技術振興費」と申しますか、大蔵当局のいっております振興費以外の科学
技術庁の予算の対象となっております科学
技術の予算を加えますと、三十一年度は百三十七億でございますが、三十二年度はこれが百九十四億にふえております。五十七億の増ということになっております。なお、備考欄に国庫債務負担行為といたしまして計上されておりますのが、
原子力、航空
技術研究所、防衛庁
技術研究所等いろいろございます。表の三は
原子力も含めた数字でございまして、かなり大幅な増加が認められたということがいえるのではないかと思うわけでございます。
それから、次のニページ以降でございますが、これは各省の科学
技術振興費をそれぞれ省別に分ちましたものでございまして、人件費、
事業費、定員の区別によってここに記入してございます。
それから、三ページでございますが、三ページは、科学
技術振興費の中の試験研究機関の予算について各
研究所ごとの内訳でございます。これが三ページ、四ページ、五ページ、六ページというふうになっております。
七ページに至りまして、これは各省の研究補助金、委託費等の内訳でございます。これも以下ずっと書いてございますが、補助金の表でございます。
八ページに至りまして、これは大蔵当局の科学
技術振興費には入っておりませんけれ
ども、科学
技術庁の方で考えました科学
技術の予算という中に入っておるものでございまして、これはたとえば総理府の欄では消防
研究所とかあるいは大きなものでは防衛庁の
技術研究所、これは大蔵当局の科学
技術振興費には入っておりませんでした。なお同じように大蔵省としては三つの
研究所がありますが、これも科学
技術庁の調整の対象にはなっておりますが、大蔵省の方には入っておりません。運輸省の気象
研究所も同様でございます。
それから九ページに至りましてこれは大蔵当局の方には入っておりませんが、科学
技術庁の予算の対象といたしました、補助金委託費の表でございます。これらのものは大蔵省の方は抜けておるということを申し上げたいのです。特に通産省の中小企業の
関係の補助金は、中小企業の振興費の方に入っておりまして、科学
技術庁の対象には入っておりますが、大蔵省の方には入っていないということでございます。
それから、十ページ以降は、大蔵省の科学
技術振興費というものがどういうものであるかということの説明を御参考に書いたものでございまして、大蔵省主計局から出しておりまする「昭和三十二年度予算の説明」という図書の中にこれが入っておるわけでございますが、参考にこれを入れたわけであります。
それから、十二ページに行きまして、表の九というものがありますが、「昭和三十二年度特別調整額支給区分及び率の改訂一覧表」というのがございます。これは当庁から大蔵省に申し入れた
一つの項目でございますが、研究者の環境改善のために、いわゆる公務員の管理職についております手当の本省並みの増額を要求したわけでございますが、それに対して大蔵省の方で当庁の
意見を入れまして、改善した数字が出ております。これは当庁の主張
通りではございませんでしたけれ
ども、合計三百一名につきまして
相当程度の調整額の改善を見たわけでございます。たとえば所長につきましては、従来本省の局長あるいは課長には甲という区分の特別調整額、つまり本俸の二五%の手当がついておったのでございますが、所長はその分と、あるいは乙といいまして一八%のと
二つあったわけでございますが、当庁の主張
通り全部これを甲に改めたわけでございます。なお部長は、従来十三級職以上が乙であり、十二級職は丙、つまり、二一%の管理職手当でございましたのを、こちらの主張は部長は全部甲ということでございましたが、とりあえず大蔵省は乙の線まで改善するということで、ここに八十九名の人数が改善されたわけでございます。それから支所長も同様でございますが、課長につきましては、従来管理職手当はほとんどついていなかったのでございますが、これは大蔵当局といたしましては、こちらの要求
通りではございませんけれ
ども、全部丙の線で一応つけるということで、ここに改善の措置を見られたわけでございます。
その
あとの表につきましては、数枚ございますけれ
ども、これは管理職手当、超過勤務手当、普通庁費の予算の一覧表でございます。
こういった資料をもとにいたしまして判断いたしましたのが、
最初に戻りまして予算概要の説明でございます。これについて申し上げさせていただきたいのでございますが、
最初のページの次に目録がございます。目録の次にAとしまして、「昭和三十一年度科学
技術予算の概要」というのがございまして、その
最初に、一として「科学
技術予算の全貌について」というのがございます。これについて簡単に申し上げますと、ここにいろいろ書いてございまするが、この表にありますように、昭和三十一年度は約百十六億円であった、これに対しまして百七十九億円、すなわち五〇%の増加を見たということは、予算の拡大ということを当庁といたしましては主張いたしておったのでありますが、それに対するある程度の反応と申しますか、大蔵省が聞き入れたということも言えるのではなかろうか、すなわち五〇%の増加を見ておるわけでございます。国家予算に対する比率は、ここにございますように、昭和二十七年度が〇・五九%でありまして、これが漸次上って参りまして、三十一年度は一・一五%、三十二年度は一・五七%となったわけでありまして、従来の経験から申し上げますれば、画期的な増額と言えると思うのでございます。しかしながら、なお米英等に比較いたしますれば、もちろん絶対額、比率ともにまだ遜色のある点は、漸次改善する必要があるということを主張しておるのであります。たとえば、アメリカは三%程度、イギリスは二五%程度というのが全予算に対する科学
技術の予算の比率でございます。そういった点について、
日本としてはまだ改善の余地が
相当あるということを申し上げたいのであります。予算総額は拡大されましたけれ
ども、拡大の主要な原因は
原子力関係でございまして、これが約四十五億円増加いたしましたために、それを除外いたしましたものは、三十一年度の約百一億円に対しまして、三十二年度は約百十九億円、すなわち十八億円の増加であります。国家予算に対する比率は、二十七年度の〇・五九から漸次ふえまして、三十二年度は一・〇四になったということでございます。これは
先ほど申し上げましたように、当庁といたしましてまず科学
技術予算を拡大してもらいたいという要求でございますが、これに対してこういった結果を見ておるわけでございます。
次に第二番として、試験研究機関費と委託費、補助費序との増加傾向についてございますが、これは以下
原子力関係を除いておりますが、当庁から大蔵省に出しました心見といたしましては、昭和、三十二年度の予算においては、国立の研究機関の充実と申しますか、それを第一に考えてもらいたい。そうして、せっかく国立研究機関がありながら、それが中途半端な能率でおることが一番不経済である。それをまず改善することを第一義にして、そこで委託費、補助費というものは、これは効果はあるけれ
ども、第二義的なものとして考えてもらいたいという主張をしておったわけでございます。この結果は、大蔵省も大体同様な
意見になったと考えられるのでありますが、すなわち研究機関の予算は三十一年度約六十六億円に対しまして十七億円の増、すなわち二六%弱の増加でございます。それから委託費、補助費は三十一年度約二十五億円に対しまして約二億円の増加でございます。その他特別研究
事業費——
先ほど申し上げた国際地球観測費がございますが、これは三十一年度十億でございましたが、九億になって一億の減少、これは南極派遣の宗谷の改修が終了しましたために減ったわけでございます。従って、全般的に申しますと、試験研究機関費の増加の率は二六%であり、補助費、委託費が八%ということでございまして、その増加の傾向は、当庁の
意見とほぼ同調したと見ていいのじゃないかと思います。なお、これにつきましては、防衛庁、気象庁等の
関係は除かれておりますけれ
ども、防衛庁におきましても試験研究機関費の方は一億円の増、委託費の方は三億七千万円の減少を見ております。気象庁は研究機関費として三千万円の増加となっております。こういったように、いずれも研究機関の方はふえておるという傾向を示しております。
それから次に三番としまして、試験研究機関費の増加の内容でございますが、科学
技術庁の
意見といたしましては、三十二年度は人員増加を極力最小限度にとどめるようにという主張をしたわけでございます。と申しますのは、やはり国家予算がそれほど必ずしもふえないという
現状におきまして、いたずらに人をふやしまして能率が低下するということは非常に愚である。従いまして人員の増加というのは最小限度に押えまして、できるだけ今までの研究者の能率の発揮に主眼を置くことにしたわけでございます。従いまして、定員増加ということはあまり見られなかったのでありますが、しかし、新設の途上にあります航空
技術研究所あるいは
金属材料
技術研究所というようなもの、あるいは電子
技術関係等におきまする電気試験所、機械試験所、東京工業試験所、名古屋工業枝術試験所、それから新設の過程にあります労働少の労働衛生究研所等は人員増加が認められたわけでございまして、合計百三十一名でございます。それから防衛庁の
関係は九十二名増加しております。従いまして増加としましては一%でございますが、防衛庁を入れますならば一・七%程度の人員増加が見られたわけでございます。
それから次のページ、三ページに参りまして、予算を人件費と
事業費とに分けて考えました場合に、人件費の方は三十一年度三十四億に対しまして、三十二年度は三十八億円でございます。それから
事業費の方は、三十一年度三十二億に対しまして、三十二年度は四十五億というふうに大幅にふえております。それから人件費の方のふえましたおもな原因は、給与が今度御
承知のように改訂になりますので、その給与改訂に伴う調整費と昇給のための原資でありまして、それに若干の人員増加があったためでございます。そして、科学
技術庁といたしましては、人件費対
事業費の比率が三対七程度を希望しておったわけであります。これは海外の例あるいは戦前の例等を見まして、大体三対七程度でございますれば、研究者の能率が
相当発揮できるというような見解でございましたのですが、今回の予算におきましては、人件費対総額の割合が、三十一年度は五一・二%でありましたのが、三十二年度において四五・九%というように人件費が減って参ったわけでございます。すなわちこの点は、当庁の主張のように
事業費の増ということが見られたわけでございます。しかも三十二年度は、人件費が給与改訂等によって大幅にふくれておりますが、それにもかかわらずなお
事業費の方のふくれ方が多かったということは、
相当の改善が見られたのではないだろうか。しかしこれは理想よりはまだほど遠いということが言えると思います。
それから、なお、この中で最も増加の多いのはどういうものであるかと申しますると、これは科学
技術庁
関係でございますが、その
理由としましては、
二つの
研究所がいずれも建設途上にあるというためでございまして、それは合計九億円の増加でございますし、そのほか通産省四億、農林省三億程度の増加を見たわけでございます。
それからその次の項目には、科学
技術庁の
意見のうちで、各省庁の共通事項として第一に試験研究環境の改善を主張し、
先ほど申し上げましたように、管理職手当の改善ということをまず要求したわけでございます。これにつきましては、ここにありますように、
研究所長は全部甲、部長は従来十三級職以上でないと乙でなかったのを十二級職以上を全部乙にいたしまして、そして部長は全部乙の管理職手当を受けるととができるようになったわけでございますし、課長は全部丙の管理職手当をとることができるようになったわけであります。課長につきましては
先ほど申し上げましたように、従来はほとんど丙をもらっておりませんが、こういったようなことが考えられておるわけであります。さらに超過勤務手当についてはどうであろうかと申しますと、これにつきましては、実ははっきりわかっておりません。管理職手当は大蔵当局におきましても給与課が一本において扱う
関係上、これではっきりするのでございますが、超過勤務手当は普通の給与の中に入っておりまして、各省庁がまちまちに見ますと同時に、各省庁がそれに対してほかのものと流用いたします
関係上、はっきりつかむことができないのでございますが、しかし部分的に見ますると、たとえば気象研守所は従来一月当り六時間の超過勤務手当でございましたが、これが十二時間に改善されたということははっきりわかったわけでございます。その他の省につきましても多少の改善を見ておるようでございますけれ
ども、実行
計画を見ませんと、どうもはっきりしたことは申し上げかねる次第でございます。
それから、その次の試験研究費の中で、光熱水料を増額してもらいたいということをこちらから要求しておったわけでございます。これは従来一年間研究者一人当り二千四百円程度でございましたのを、少くとも一万円にしてもらいたいということを言っておったわけでございますが、大蔵当局としましては、
事業費の方を増加したので、その間において融通されることができるだろうということで、特に光熱水料の増額を見ていないわけであります。当庁といたしましては、こういった一般費用のために、せっかくの研究費がそちらの方に流用されることは不都合であろうということで、この点はさらに大蔵当局に、先に行きましても主張していくつもりであります。
それから、その次に科学
技術庁の
意見におきましては、新規研究着手についての
意見を述べておったわけでございますが、われわれとしましては、新規研究の
必要性を認めるのでございますが、しかし既存の研究をいいかげんにしておきまして、さらに新しいものに順次手をつけるということは、能率発揮上非常にまずいというので、漸進的に新規研究というものを開発していくということを要求したわけでございます。これに対しまして、科学
技術庁として特に重点というふうに考えておりましたものについては、ほぼ予算がついたということができるのでございますが、たとえば電子
技術関係、生産加工
技術関係、それから中型航空輸送機の設計の費用の問題、あるいは電波科学系のミリ波の研究等におきましては、当庁の
意見のように予算をつけたということが見られるわけでございます。
それから四番目に、試験研究委託費と補助費の増減の内容についてでございますが、
最初に申し上げましたように、試験研究補助費とか委託費については、必ずしも第一義的に増額することを要求しなかったのでございます。なおその増加の内容につきましても、当局といたしましては、民間の研究機関というものが
相当資金内容が御
承知のようによくなって参りましたので、必ずしも国の予算にたよらなくてもいいだろうというようなこと、それからなお国立研究機関も漸次整備されて参りますので、研究を国が受け持つという分野も
相当広がって参りますので、従いまして、補助費、委託費というものも必ずしもそうふやす必要はないということを言っておったのでございます。なお、その中におきまして、もし補助費、委託費を出すという場合にも、できるだけその対象といたしましては、企業的利益を得がたい部門、あるいは研究資金が乏しい面、そういうものについて重点的にふやすべきものであろうというような
意見を当庁としては述べたわけでございます。この見解は、大蔵当局も同様な考えだというふうに見られるのでございます。それは四ページの初めの方に出ております。すなわち企業的利益を受けがたい研究方面と申しますれば、いわゆる基礎研究が第一でございますが、基礎研究方面に支出いたしまする補助費、文部省の科学振興費が一億五千万円増加しております。それから資金面の弱体な発明者を対象といたしまする発明実施補助金、あるいは中小企業輸出振興
技術研究補助金等は、それぞれ若干増額されております。それから農林
関係のように特定の企業者のみを対象としないような、つまり企業から直接利益を受けがたいものは、やはり増額されております。それに反しまして、企業的利益を直接に受けやすい方面、つまり通産省の鉱工業試験研究助成費は五千万円減少しておりますし、あるいは運輸省の科学研究補助金、厚生省の薬業合理化研究補助金というような、今申し上げたように、企業体が直接利益を受け得る部門、すなわち企業体の現在の資金状況において
相当やり得るというふうに見られる部門におきましては、補助金の額が減少されたわけでございます。
それから、Bといたしまして、「昭和三十二年度予算見積方針調整
意見書と昭和三十二年度予算との主要点について」という事項がございますが、
最初にいろいろ書いてございますのは、つまり各省の研究予算と申しますものを大蔵当局に要求いたしますときには、
相当詳細な研究テーマを書きまして、その積み立てで要求いたすわけでございますが、最終的にはいわゆるつかみで大蔵省が予算をつける。それに従って各省はその予算の範囲内において実行
計画を立てるという
操作をいたします
関係上、現在の
段階におきましては、最終的にどの研究に対してどれだけの金がついたということは、当庁としてもつかみ得ないのでございます。その点は各省とも現在作業中の
段階でございますので、いずれそういったものが確定いたしました上におきまして、当庁の
意見が各省においてどういうふうにとられたかということがはっきりするかと思うのでございます。現在はそういう点がわからないということを、いろいろ
理由を付して説明しておるわけでございます。すなわち、たとえば四ページの右の上の方を見ますと、文部省の試験研究機関に計上した各項の間におきましてもその間の融通ができるということ、あるいは厚生省の試験研究機関に計上したものについても各項の間で融通ができるということで、かなり予算は弾力性がございますので、実行
計画を見なければはっきりしたことを申し上げかねるということを申したいわけでございます。しかし、そのうち特に重点的なものについては、こちらではっきりした点もございますので、それについて申し上げたいのでございます。
四ページの右の下の方に、「(1)航空
関係」というものがございます。
最初に「a」として、「航空電子機器に関する試験検査
設備の整備
計画について」というものがございますが、これは当庁の
意見としましては、航空
技術審議会の要望もございまして、ぜひ
日本としてこういうものを早く置かなければ、
日本の航空電子機器の
技術導入というものは進まない、それで現在航空
関係の
技術提携は多いのでございますが、早く
日本でも整備する必要がある、しかし当庁の
意見としましては、防衛庁が
相当設備を備えておりますので、大蔵当局がそう多くの金をつぎ込むことができなければ、防衛庁の既設の
設備に若干の、二、三千万円の金を付加すれば一応の
設備はできるだろう、しかしこれが一番手っとり早い方法ではあるけれ
ども、できるならば民間のものが十分利用できるという
意味におきましても、工業
技術院に別個に置くことが必要であるという
意見も出したわけでありますが、これに対しまして大蔵省は一億円の経費を工業
技術院、これは電気試験所でございますが、これに計上しております。この点は、われわれの方の主張以上に予算をつけたということも言えるのじゃないかと思います。
それから、五ページでございますが、「b」としまして「中型輸送機の国産化
計画について」、これはやはり航空
技術審議会の
意見としましても、航空
技術研究所において研究をいたしますと同時に、具体的な問題をつかむために、とりあえず中型輸送機の国産化ということを考えてみよう、そのためには設計をいたしまして、設計上必要なものを
技術研究所において研究するということで、タイアップすれば早くいくのじゃないかという
意見で国産化
計画を進めたいということを申し出たわけでございますが、これに対しましては約三千万円でございますけれ
ども、工業
技術院の鉱工業
技術研究費の中にそれを入れてあるということを言ってありますし、通産省もこれに従いまして
委員会を設置いたしまして、この中に科学
技術庁及び航空
技術研究所の者も入りまして、この研究を進める
段階になるわけでございます。
「(2)」としまして「
金属材料
関係」でございますが、この
金属材料
関係の方は航空
関係と違いまして割合に研究のテーマが少いのでありまして、特定したものがありませんので、現在のところ各省の研究
計画を見なければはっきりした
意見は申し上げかねるわけでございます。
「(3)」としまして「電子
技術について」でございますが、これにつきましても、当庁といたしましては
相当重点的にこの予算の推進をはかってきたわけでございますが、これに対しまして、工作機械のオートメーションに関しましては四千三百万円を機械試験所につけたわけでございます。なお、オートメーション方式の確立、電子機器部品生産方式、航空無線に関する研究につきまして一億七百万円を電気試験所につけたわけでございます。それから
原子力発電所制御に関する研究に二百七十万円とか、あるいは鉱工業
技術研究費補助金の中の電子
技術関係として一億三千万円、これは工業
技術院の方につけてございます。さらに電波
研究所におきまして一ミリ波の研究に対しまして八百九十五万円を計上しております。こういったものは新しくつけられたものでございますが、さらに当庁といたしましては総合的に研究を推進するという
意味におきまして、たとえばマイクロ波の問題がございます。これにつきましては標準確定の研究を電気試験所で行い、遠距離通信の方は電波
研究所と両所にまたがったわけでございますが、予算を見ますると、電気試験所の方にはつきましたけれ
ども、電波
研究所の方は落ちておるわけでございます。これは両者相待ってやることでございますので、こういった点は、さらに立案に当りましてできるだけ改善をはかるように
関係庁に申し入れたいと思っておる次第でございます。
それから「(4)」といたしまして、通産省の分析
技術研究と科学
技術庁の要求いたしました化学分析中央機関との
関係でございますが、これらの
関係につきまして、当庁といたしましては性格的には別個のものであり、分析中央機関と申しますのは、研究機関の内部におきましては十分な発展を見ないのだということで、どうしても独立したものが必要であるということを言っておったわけでございます。しかし、これに対しまして大蔵当局としましては、新しくそういう
一つの機関を作ることは、財政的にも非常に困難であるという見解から、とりあえず三千万円の予算と人員八名を工業試験所につけたわけでございます。そうして、これによってできるだけ科学
技術庁の要望しております化学分析の中央機関の機能を行わしめるようにしていきたいということであります。これにつきましては、工業
技術院ができるだけその趣旨に従ってやりたいということでございますので、われわれといたしましても、その推移を見ました上で、さらに必要がありますれば、あらためて大蔵当局に予算を要求したいと思っておるわけでございます。なお、そのほかに工業
技術院では、既設の部を
一つ減らしまして、人数ももっとつけまして、できるだけこの機能を行なっていきたい、なお、この運営をいたしますのに、当庁の科学
技術審議会の委員もそのうちの
委員長といたしまして、なお企
画調整局長もその委員でございますが、工業
技術院の中でそういったものを一応作り上げるように努力してみようというような
段階でございます。
それから、五番目は、「運輸
技術研究所の大型旋回試験水漕について」でございますが、これは目黒の元の海軍の技研の池を防衛庁が使いたい、そうして同じような目的で運輸
技術研究所でも三鷹に新しく池を作りたいという両方の
意見があったわけでございますが、当庁といたしましては、両者の使用目的が同じでございますので、一ヵ所で、しかも既設の目黒の水漕を使うべきであろうという
意見を述べたわけでございます。これに対しましては、大蔵省ももちろん同
意見でありまして、できるだけ科学
技術庁において両者の調整をはかって、同じような
計画を進めるようにしてもらいたいということでございます。従いまして、運輸省の方には予算はついていない。それから防衛庁の方には若干予算がついておるわけでございますが、これはやはりつかみの金の中に入っておりますので、実行
計画を見なければ、はっきりしたことはわかりません。しかし、当庁といたしましては、近く両者を呼びまして、その実行
計画を見まして、防衛庁の予算においてできるだけそれが実行できるようにしたいと考えておる次第でございます。
その他「C」といたしまして、「各省庁の試験研究機関の共通事項に関する
意見」というのがございますが、これは
先ほど申し上げましたのと同じことでございます。
「(1)」といたしまして、特別調整額としては一千六百万円の予算の増加ができるわけでございます。これはいわゆる管理職手当の増額でございます。
「(2)」といたしまして、超過勤務手当につきましては、若干増額されたということはわかるのでありまして、その資料は、
先ほど申し上げましたように
あとの方に多少出ておりますけれ
ども、何時間になったかということは、もう少し実行
計画を見なければはっきりいたしません。
それから「(3)」として普通庁費の増額要求については、
先ほど申し上げたように、一般研究費の方がふえましたので、その人当庁費としては必ずしもその内容としてふくれてはおりませんけれ
ども、実行上においてはかなりゆとりができたのではないかと思われるわけでございます。
「(4)」として試験研究機関の研究
設備に必要な経費の増額でございますが、これに対しましては、実は研究調整といいますか、
事業費と申しますか、半分程度のものは研究
設備の改善に充てられるわけでございますが、しかし、それ以外に特に研究
設備の整備という費目で要求いたしました予算のその結果は、ここにありますように、三十二年度は十三億九千三百万円、三十一年度は七億三千万円でありましたので、研究
設備の整備費と銘打ってふえておるのは六億六千二百万円の増加になるということで、
相当程度整備ができるのではないか。今申し上げましたように、一般の研究
事業費の中で使います予算もその中で
相当の
設備も買えるわけでございますから、実際上はもっと多くの
設備の改善が見られるということになるわけでございます。
以上、概略を申し上げたわけでございますが、たびたび申し上げまするように、個々の研究テーマにつきましては、各省の
責任において作ります実行
計画を見てから、さらに詳細な検討を加えていきたいと思うわけでございます。とりあえず御報告を申し上げたいと思います。