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1957-03-22 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 菅野和太郎君    理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君    理事 齋藤 憲三君 理事 前田 正男君    理事 岡  良一君       小笠 公韶君    小平 久雄君       南  好雄君    山口 好一君       石野 久男君    岡本 隆一君       佐々木良作君    滝井 義高君       原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       秋田 大助君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 福間  徹君         科学技術庁次長 篠原  登君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    高橋幸三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件     —————————————
  2. 菅野和太郎

    菅野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について、調査を進めます。  この際、お諮りいたします。すなわち、本日の議事に関しまして、原子燃料公社理事長高橋幸三郎君を参考人決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅野和太郎

    菅野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは、通告に従いまして質疑を許します。石野久男君。
  4. 石野久男

    石野委員 私はこの際、燃料公社のその後のいろいろな問題につきまして、事情政府並びに燃料公社関係の方からお聞きしたいと思います。その後、燃料公社の設立の問題については、特に敷地問題等でいろいろと問題があるように聞き及んでおります。現状はどのようになっておりますか、詳細御説明願いたいと思います。
  5. 高橋幸三郎

    高橋参考人 それでは、御説明申し上げます。いろいろ技術的のこまかい問題は、前会二回にわたってここで御説明申し上げまして、議事録に載っておることですから繰り返すことはやめまして、その後の変化といいますか、いろいろな変った情勢を御説明申し上げます。  御承知通り原子燃料公社仕事の内容につきましては、いろいろな面から御説明申し上げられるのですが、この敷地の問題と関連しましては、大体公社仕事二つに考えられると思います。それは、掘った鉱石処理して原子炉に入れるまでの段階、つまり燃料要素を地下から掘り出したものを、選鉱、製練、加工という順序を経まして金属ウランを作って、それを燃料の棒に加工して、適当な被覆をしたものを原子炉に入れて運転をする、こういうまず最初段階があります。それからさらに原子炉から出ましたもの、すなわち核分裂物質、いわゆるフィッション・プロダクト、これが非常に強烈な放射能、つまりプルトニウムのような非常に危険なもの、その他の燃焼残滓がそこにみな残るわけであります。同時に金属も未燃焼金属がそこに大半残っておるわけです。そういう危険なプトルニウムを分離し、またその他のフィッション・プロダクト処理しまして、つまり化学処理といい、残灰処理ともいいますが、その化学操作によってそういう不要な、あるいは危険なものを除去して、さらに燃料を、つまり天然ウランの場合には、ウラン二三八を燃料のもとの方に返していくわけです。そうしていわゆる燃料サイクルという形になって繰り返していく。こういう操作二つ、大体燃料公社が受け持っておる形でございます。ただいまのところは、まだ炉ができておりませんし、そういう技術もありませんので、今の段階政府の三ヵ年計画に基いて探査し、地質調査所が大体の調査をしたあとを引き受けて私の方が精査をして、御承知通り小鴨とか人形峠、あの県境に相当のものが発見されて、着々として今その探査が進められております。それで掘った鉱石を今度さらに選鉱し、製練し、金属にまで持っていく段階が、これからの三十二年度に相当大幅に予算が裏付けされておりますので、その段階をわれわれは年度明けとともに、次のスタートを切るわけでございます。従って、われわれの工場敷地というものは、この二つの目的に適当なものでなければならないものでございまして、できれば燃料公社一本の大きな敷地公社のセンターとなるようなものがあることをわれわれは当初希望しておりました。現在も同様に希望しております。それには、少くともわれわれの現在の構想からいって、約三十万坪の敷地がほしいのでございます。こういうまとまった敷地を、しかもいろいろな条件がございまして、たとえば将来の運搬の便、電気の便、水の便、その他障害廃棄物処理の便、そういういろいろな条件を加味した立地条件で探しておったわけでございます。これはわれわれとしましてもかなり慎重にやって参ったわけでございますが、日本原子力研究所というものが、御承知通り東海村に中心を置いて今着々として工事が進んでおります。できれば、われわれの公社事業場もその付近に持ちたいというのが、常識的に当然考えられることでございます。そこで、われわれが最初着眼したのは、米軍演習地の一部を使わせてもらえぬだろうかというので、全体の中心部をそれた南北の両端に候補地を選定しまして、一応これを検討したのでございます。その点でいろいろ関係官庁折衝しましたが、その結果、第三の候補地としてあげたものが、皆さん承知と思いますが、あの演習地の中間から少し北の方に寄っていると思います第三の候補地を、われわれはそれぞれのルートによって米軍折衝したわけでございます。かなり時間がかかって慎重に向うも検討して、非常に誠意をもってやっていただいたと思いますが、その結果は必ずしも私どもが期待したような結果にならないので、先般委員長からわれわれは、あれは一応取り下げて別の候補地を選定しろ、それにはあの付近で前に予定した米軍と直接関係のない地所もまだあるそうだから、それを一つ考えろ、こういう指令を受けました。実はそれは茨城県の県有地でございますが、久慈川河口で、ちょうど右岸になっております。その土地は私どもが前にもいろいろ調査してありますので。われわれの希望する条件に必ずしも一致しておるわけじゃございませんけれども、問題は、三十二年度すぐ、もうあと数日の後には工事に着手をしなければ、われわれの計画が実行できません。非常に切迫した状態にありますので、一応大臣から指示を受けました地所、十万坪ございますが、そこを現在調査中でございます。いろいろ調査しますと、必ずしもいい場所じゃありません。十万坪の面積に対し、実際われわれが使えるのはその約半分くらいじゃないか、こういうふうな今の予想でございます。従って、私先ほど申しましたように、一応三十万坪のわれわれの将来の事業所要面積に対して、現在のところ、わずか五万坪しかその地所有効面積がないということになれば、これはわれわれとして将来非常に困るわけでございます。しかし、それでは絶対にそこじゃできないかといいますと、先ほど申し上げました通り、われわれの仕事は二段階に分れておりまして、最初段階は必ずしも大面積を必要とする工場にまだいきませんので、これは時間的にそこの間にタイミングがございまして、さしあたっては粗製から精製への。パイロットプラント、あるいは試験的な意味工場がぜひ必要なので、現在のところはそこを予定しております。しかし、将来動力炉なり大きな原子炉ができた場合には、そのあと残灰処理の問題が当然起ってきますので、そうなりますと、これはかなり広大な面積といろいろな条件が必要となってきますので、あの地所ではとうていまかない切れないということははっきり申し上げられると思います。しからば今どういうところを予想しておるかといいますと、それについては、今のところまだはっきりした見通しはございません。もちろん原子炉の設置の時期もまだはっきりしておりませんので、それと並行してわれわれは考えるつもりで、原子炉の設置問題の推移について、われわれの総合計画に密接な関係のある点を今も絶えず注意しつつ、将来その地所をどういうふうにして探すかというようなことについて、われわれはこれから研究して、その総合的な計画にそごを来たさないようにと思って、せっかく努力しておる現状でございます。
  6. 石野久男

    石野委員 ただいま高橋参考人からの御意見を承わりますと、最初計画した地域については米軍の方からのオーケーをもらえなかったので、今やむなく、不満足な地域ではあるけれども茨城県の県有地の小さな面積地域パイロットプラントとしての設備をしたい、これが今の実情である、こういうふうな御事情だというお話です。そこで、米軍との折衝の間、なぜ第一、第二、第三候補地が断わられたかということについて、許せる範囲の事情お話願えれば承わりたい、こういうふうに思います。それについては、われわれの常識的な観点からいたしまして米軍爆撃演習上やむを得ないというような点も考えられる場所がございます。しかし、他面には、全然それの関係がないというようなことも考えられる地域があるわけです。しかもわれわれの予想では、米軍の引き揚げる時期もそう遠くはないと考えます。そういうことなどを考えましたときに、その米軍の断わってきた理由というものは、われわれにとって非常に関心を呼ぶものでございますので、できる限り詳細な御答弁をお聞かせ願いたいと思います。
  7. 秋田大助

    秋田政府委員 たしか防衛長官小瀧彬殿というアドレスで、こちらへ米軍から回答が来ておったように記憶しております。防衛長官というのは間違いで、要するに防衛庁長官小瀧国務大臣調達庁長官を兼ねておられるので、その調達庁あてのつもりであろうと思いますが、その回答によりますと、第一点は、日本原子力平和的利用必要性、それの援助にやぶさかでない点を明記されまして、しかしながら、爆撃地として今御所望の土地を取られると演習にどうも差しつかえがくる。残念ながら、地域が狭小になるので差しつかえるから、日本原子力平和利用研究のためにその重要性は認めるが、軍事的理由も考えて、遺憾ながら御同意いたしかねることをお許し願いたい。それから、この場所以外に米軍演習爆撃地としての適地を求めたいと考えたが、ほかにはどうも適地が見つからない。従って、まことに遺憾であるが貴意に沿い得ないという点であったと思います。
  8. 石野久男

    石野委員 米軍演習の機微に触れることは、われわれもいろいろな点からできないと思いますけれども、しかしあそこの地域は、約三百町歩からの広範な地域でございます。その米軍爆撃標的になっている地域と、それから公社が第一、第二、第三として一応希望をつないだ地域との間には、ずいぶんの間隔もあるわけでございます。しかも、第二、第三の候補地というような所には、現に百五戸にわたるところの農民耕作もしております。それのみならず、この候補地以外に、もっと爆撃標的になっている近くには、沢田地域ですが、四十町歩にわたるところの水田を農民耕作しておるのでございます。もちろん爆撃が行われるときにはその地域は避けるわけですが、それだけじゃない。なお、この演習場のまん中には、各所に農民耕作も行われたりしておるわけなんであります。予定地とされておる地域は、われわれの見るところでは、ほとんど米軍演習には差しつかえないように見受けられます。もちろん流れだま等によるところの危険はどこに出るか、不測の事態でございますが、われわれの今の何から言えば、第二、第三の地域などは、ほとんどその障害にならないだろうと思う。むしろ私たちの予測するところでは、米軍演習というよりも、日本の自衛隊の演習の方が影響がくるのじゃなかろうかというふうに考えられる。そういう観点から、その問題についてのお返事がおくれておるのでなかろうかというふうに予測されるのですが、そういう点について何かおわかりになっておる点はございませんでしょうか。
  9. 秋田大助

    秋田政府委員 政府あて回答は、ただいま私から概要申し上げた三つの要点であったと思うのでございますが、燃料公社理事長に伺いますと、高橋さんの方にも別途連絡があるようでございますから、一つ高橋さんから、この点を差しつかえない限り御報告も願い、また補足を願ったならば、あるいは御質問に沿い得るのではなかろうかと思いますので、さようさしていただきます。
  10. 高橋幸三郎

    高橋参考人 ゼネラル・ユナイテッド・ステーツ・エア・フォース・コマンダーのローレンス・S・キューターさんから、私あて断わり状が参っております。それによりますと、ただいまの政府の方と大同小異でございますが、御説の通り、現在爆撃演習地としてもしあそこをとられると、ほかに適当なところがないという点です。あそこは将来どうしても必要である。日本航空防御上あの土地は非常に重要なものであるし、そして日本軍としてもあそこは将来必要になるだろう、そういう意味のことを書いております。危険性の点については、練習方法なり、爆撃のひんぱんの度合い、そういういろいろ軍作戦練習上の問題でありますから、向うが危険だと言うものをわれわれが安全だと言うことはちょっと考えられないのでありますが、向う危険性ということを非常に強調しております。その点と、ただいま申し上げましたような、日本軍のためにも、将来日本航空防衛上必要な地所であるというふうに思うというような意味のことを申して参っております。
  11. 石野久男

    石野委員 米軍からの断わり状の中には、ただいまお聞きしますと、非常に重要な地域であるということと、それから将来日本の軍隊にとっても必要であろうということ、それからもう一つは、危険であるという意味が加わっておるそうでありますが、危険だということについては、われわれは十分それを論議することができないにいたしましても、現にその付近には、公社が要求した第二、第二位補地という近くには、相当人家の密集している地域がございます。もうその地域全体が危険だということの範疇に入ってくるわけであります。それのみならず、至近地には原子力研究所もできて参ります。そういうことになりますと、危険の度合いということは、どこまでをわれわれは肯定し、否定するかということの分解というものはできませんから、その点は触れないといたしましても、しかし常識論をもってすれば、私は第二、第三地域はそう危険ではなかろう、こういうふうに思います。そこで、問題になりますのは、日本軍で必要になるということの意味が、われわれにとっては非常に耳ざわりになってくる問題なんであります。そういう点からもしこれが、日本の軍が将来必要になるであろうという予測においてそのことがお断わりを食っている事由になるとしますならば、これはわれわれとしてもちょっと考えなくちゃならないと思うところがあります。それと関連いたしまして、現に長官から命を受けて皆さん調査しておると言われる所は、たしかあそこは豊岡という部落でありますが、その豊岡部落は、十万坪くらいの県有地地域でございますけれども、この地域先ほど参考人からお話がありましたように、われわれが見ても立地上あまりいい地域とは思われないのです。それから、あそこは将来久慈川河川の改修が相当に行われれば別として、従来の経験から見ますと、ちょっとした水が出ましたときには、非常に水害を受けるところでありますし、また河川の流れの関係などからいいましても、その危険は今の力ではなかなか排除し得られないような地域にあると思います。私どもはそういう地域燃料公社が作られるということを、ただそれがいい悪いということで論議するんじゃなくて、燃料公社自体が持つ日本原子力産業についての位置の問題、その重要性の問題を、ここで真剣に考えなくちゃいけないと思うのです。われわれ委員会は、すでに日本におけるところの原子力産業は、世界の各国に比較してもう十年も二十年もおくれているということを痛感しておりますし、またこれを急速に伸ばさなくちゃいけないというふうに考えております。そういう意味からいいますと、原子力研究所並びに燃料公社におきましては、日本原子力産業を育成発展させるために、どうしてもこれはわれわれの人知の及ぶ限りの努力をいたしまして蹉跌のないようにやらなければいけない。もちろんわれわれが計画する面においては、途中でできるだけ変更しないでもいいように持ち込んでいかなかった場合は、非常にロスが出ると思う。今の事情をお聞きいたしますと、敷地であるところの地域はあまり条件としてもよくないと見られておりますし、それになお三十万坪必要とするのに、十万坪の敷地はあるけれども、五万坪くらいしか使えないということになりますと、大規模の原子炉など入りましたときには、すでに残滓処理とか何とかいうことについては用役を果さないというような地域になってるということがあらかじめわかってる地域で、三十二年度の事業計画上やむを得ないからという一時的の便法のためにその地域を選ぶ、あと二、三年後にはまた地域がえをしなければならないということは、非常に大きなロスだと思うのです。またかりにその地域を利用するといたしましても、別に必要とする地域を非常に遠隔な地域に持つといたしますと、おそらく燃料公社としてはずいぶん不便を感ずるだろう。そういうところからくるところのやはり燃料公社に対するわれわれの期待度は、ずいぶん減殺されると思う。そういう意味から申しましても、皆さんが御予定になり、また調査されておる地域について、私が心配しておるような点からも、ロスはないであろうか、どうであろうかという点についてこれは一つ参考人からほんとうのところをお聞かせ願いたいと思う。
  12. 高橋幸三郎

    高橋参考人 ただいまの石野先生の御意見は、全く同感でございます。しかし、現況の姿としまして、現実に私ども責任をもって仕事をする上においては、非常にタイミングということが重要になって参りまして、三十二年度にはどうしてもやらなければ、それだけ日本原子力開発事業がおくれるということがはっきりしておりますので、仕事の性質上、先ほども御説明申し上げた通り精製還元つまり精練工程段階においては、一応これで早くやる必要があるとすれば、どうしてもあの地域より今のところは考えられないという段階に追い詰められておる格好でありまするが、さらに将来の大工場予想される残灰処理化学処理の問題は、これは原子炉位置に非常に重大な関係がありますので、原子炉が将来どこにできるか、これはおそらく全国方々にできることに将来はなると思いまするが、さしあたってわれわれの公社最初スタートを切るべき場所がどこに選定されるかという問題については、今までわれわれが聞いたところでは、原子力研究所一つ候補になっておるようですが、あの付近が一番適当でないだろうかという当初の考え方であります。その経過がどうなりますか、この問題はまだはっきり私は聞いておりませんが、その間には相当まだ期間がある、こう考えますので、その間に次の候補敷地を強力に調査決定したい、こう考えております。問題はタイミングの問題が非常に差し迫っておることを一つ御理解を願いたいと思います。
  13. 石野久男

    石野委員 それについて政府の……。
  14. 秋田大助

    秋田政府委員 実は先週の原子力委員会におきましてこの問題を取り上げまして、委員会でいろいろ論議がございました。私は陪席をいたしましたので、そのときの論議の模様を、差しつかえないと思いますので、概況をお知らせいたしますれば、おそらくこれに対する原子力委員会考え方、従いまして政府の、行政府としての考え方も明瞭になり、お答えにかえ得ると思いますが、そこではこういうことが論議されました。先ほど高橋理事長からお話のございましたように、粗製練から粗紙までの一貫製錬工場敷地としての適地が、資格あるだけの広さの土地に求めにくいかもしれない。そこでタイミングの問題もあるから、さしあたり試験的な場所あるいは将来それが試験的な設備をするに十分なる場所、あるいは粗製練のための工場敷地としては、原鉱石の出る現場付近に求めるというふうに、やむを得ず考えを変えて、二分して、将来製精のための工場に適するという点を考慮に入れて考えたらどうだろうということになりまして、今日本原子力研究所の建物を建てております東南側海岸寄り地帯がかわりのものとしては一番いいのではないかという話が出ました。しかし、これはいいだけに、日本原子力研究所としても将来非常に大事な場所になるであろう、従って、この土地を今、日本燃料公社に割愛しておくと、将来日本原子力研究所事業の遂行に障害を来たすかもしれないというので、遺憾ながらこれは日本原子力研究所のために留保しておく方が妥当ではないかと思われるという意見が出まして、それではやむを得ない、ただいまお話のあります久慈川河口約十万坪の茨城県有地研究所敷地から申しますと北部に当る地域を考えたらどうだろうかという話が出ました。しかし、この点につきましては、日本燃料公社の方からまだ十分なお話もないから、資料等の御提出を求めて、その上でいろいろ検討したらよかろう。まだそのほかにただいまお話のありました通り、あまり日本原子力研究所敷地から離れては不便であろうが、茨城県の中の東海岸沿い地帯で、ただいまの米軍爆撃地よりやや南の方の地帯相当広い土地もあるように思われる、そういうところに適当な土地はないものであろうかというような考慮委員会の中で払われました。いずれにせよ、この問題はタイミングの問題がありますので、急速に決定をしなければいかぬ、それがためには一つ燃料公社並びに原子力研究所責任者を招致して、原子力産業の発展のために、委員会もともども者協議をして、何とか急速に決定をしたいという方針を決定されておられました。
  15. 石野久男

    石野委員 いずれにいたしましても、あまり原子力研究所と遠く離れたところに最初原子炉を作るのは不便だという事情ははっきりしているようでございます。そういう意味から言いましても、燃料公社敷地の選定の問題もおのずからそういう制肘を受けるようにわれわれ考えてお聞きするのですが、大体そのように聞いてよろしいのですか。
  16. 高橋幸三郎

    高橋参考人 その通りでございます。
  17. 石野久男

    石野委員 そういうことになりますと、いずれにいたしましても、今米軍の使っております演習地中心とする地域付近適地になるのだろうと思います。しかし、その適地の中でも今長官からの命を受けて調査しておるという豊岡地域は、非常に狭小な地域でありまして、十万坪といっても五万坪しか使えないのだということがはっきりいたして参りますと、次善の策としてのものであって、最上のものではないということが言える。そこで、私自身はあの地域をよく存じておりますので、私どもが三十万坪という土地をあの地域適地として求めるということになれば、最初に直観的にきている第一、第二、第三候補地などがいろいろな点からいいまして一番よろしいのじゃなかろうか。東海村に作られている原子力研究所との関連からいってもそういうふうに思われます。そこで、私はここで率直にお聞きしたいのですが、米軍からの断わり状が絶対のものだということになれば、これはいたし方がありませんが、われわれの見るところでは、米軍との折衝の余地がなお残されているように思われるのです。またそのことが可能であるとするならば、政府並びに公社といたしまして、そういう点についてもう一度折衝する方がいいのじゃないかという考え方があるのですか、それともそれはすっかりあきらめちゃっているということですか、その点一つお聞かせ願いたいと思います。
  18. 高橋幸三郎

    高橋参考人 決して私どもとしては今考えているのが最善だ、これは満足しているわけじゃございません。さらにいい方法、手段があり、また適当な地所をわれわれが使用できるということであるならば、決して私は現在の土地を固執するものではございません。
  19. 石野久男

    石野委員 豊岡地域に作ります最初の精練の工場でございますが、これは将来動力炉ができまして処理の部門を拡大していくようなときに、現在すでに作ろうとしている地域のものを、新しい大きな地域ができればまたそこへもう一ぺん持ち返って、みな一緒の地域の中でそういう作業をしようという考え方を持っておるのか、もし広大な地域が次に求められていても、その場所でやっていくというような考え方なのか、その点は公社としてどういうふうに考えているのですか。
  20. 高橋幸三郎

    高橋参考人 その点につきましては先ほどから御説明申し上げた通り、われわれの仕事は大体二つ段階がございまして、現在豊岡敷地に持って行こうというものは、そのままに将来は利用できるものだと思っております。それから、そのあとの後段のものは、あの場所ではできないということが考えられます。
  21. 石野久男

    石野委員 もしこの第二、第三の候補地が現在あきらめた通りに今後もできないような場合、そして後段の部門を作る地域がこの地域から非常に遠隔な地域になるときに、それはどこだってできないことではないでしょうけれども公社としてはやはりいろいろな経営上の問題なりからいたしまして不便がこないのですか、その点はどうですか。
  22. 高橋幸三郎

    高橋参考人 われわれとしては、できるだけ、原子動力炉が将来どこに設けられるにしても、それになるべく近いところにわれわれの化学的工場を持っていきたいという考えでおります。
  23. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 原子燃料公社の製錬敷地決定は、今、高橋参考人お話並びに政府当局のお話によると、非常にタイミングが迫っているのだということでございますが、どれほどタイミングが迫っておるのか、われわれから見ると、急速に敷地決定して、最適の地を得られないことになりますと、非常に大きな支障が将来に来るのではないかと考えられておるのであります。従来、東海村の原子燃料公社製練敷地の交渉は、米軍に対しまして、私の聞いているところでははなはだ不徹底だった。ほとんどこっちの意思が向うへ正確に通じられておらない。それで急迫したということを理由にして、早急にこの議を取りまとめようとしたために、一応向うから断わられてきた。しかもその断わられてきた理由の中には、他日日本の自衛隊がこれを使用する価値を云々ということまで含まれて断わられてきておる。ただいま石野委員からの御質問によっても明白になったのでございますが、私の考えからいたしますと、一体東海村というものは、原子力研究所があそこにできて、その関連した一角の地に原子燃料公社の製錬所敷地を持っていくということは、原子力センターとして日本の世界的水準を高める一つ中心地を作るという構想でありますから、どうしても窮迫した事情があるから、不適地でもそこに製練所を作るということよりは、私の記憶によりますと、武山の原子力研究所敷地問題が非常な波紋を呼びまして東海村に参りますときにもそれは相当に練って練って、うんと努力をして、結局一番の適地を選んだということになっておりますから、せっかくあそこに原子力研究所があるので、米軍爆撃地が三百五十万坪もなおかつそのわきにあいておるというのでありますから、科学技術庁当局としても、また原子燃料公社とせられましても、原子力委員会を通じて、もう少し米当局に日本事情をよくお話になって、将来悔いのない最も適地を選定されるように努力をされる方が、この際一ヵ月や二ヵ月おくれたってその方がいいのじゃないか。その一ヵ月二ヵ月おくれてもいいという考え方を満たすに足る適地であればいいのではないか。その一ヵ月か二ヵ月の間にどうしてもそのところが得られなかったときの第二次、第三次というものをさらに検討を加えていく。私は何も予算が通って、今、製錬所を作らなければならぬといったって、ここ十日や二十日あわ食ってそこへ持っていかなければならぬということはないと思う。しかも、この間の高橋理事長お話によると、イエロー・ケーキを持ってきて精練をやるというのでしょう。しかもそれは特許関係も調べなければならぬだろうし、そんなに簡単にちょこちょこといけるものでもないし、むしろ私はこの前もお話申し上げたように、日本の貧鉱処理に取り組むというような態勢から、これは遠大な計画を持ってやらなければならない製練事業なんでありますから、何もタイミングだ、タイミングだといって、どこに一体そんなに今あわ食って不適地を選ばなければならないという理由があるのか、これを一応伺っておきたいと思います。
  24. 高橋幸三郎

    高橋参考人 タイミングという言葉は実は数字で表わす言葉ではありませんで、考え方によってそういう見方も十分あると思います。ですから製練工程は急がなければならない最初段階であるから、とにかく予算が使える段階になればすぐにも着手したいのがわれわれの現在の心境であります。しかし、それが一ヵ月おくれたからできないとか、半月おくれたからどうだとかいうふうな意味じゃありませんで、これはほかにそういう見込みがあって、途中にいろいろそういうふうなやむを得ない時間がかかるとするならば、これは私どもとして十分調査して、現存の段階の最善の方法を選ぶことには決してやぶさかではございません。しかし、米軍に対する交渉の上手、下手とかあるいは熱のあるとかないとかいう問題については、それぞれ各官庁が今までいろいろ折衝してきた結果こういうことになったので、われわれ単独にどうというように今のところ道が開けておりませんので、しかしそれぞれの皆さんのお力によりまして、これがもしさらに再検討の道が開けるというならば、決して私どもとしてそれに反対することは少しもいたしません。協力していただける分に対しては、われわれとしては心からお願いして、そういうものが可能とすれば、これからでも一つぜひ大いにそういう方法を教えていただきたいと思います。
  25. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 私の申し上げるのは、武山問題が出ましたときも、あれは一応関係閣僚間の相談というものを何べんもやった、そうして閣議にもかけて、武山は不適当だ、他に適当な敷地を求むべしということで東海村になった。原子燃料公社製練敷地も、いわゆる日本原子力センターの一環として考えますときには、少くとも原子燃料公社それ自体の力においてその敷地決定するがごときことは、これは私は不適当だと思う。いわゆる原子力問題に関するところの認識の相違であって、そういうふうに原子力センターを作るのに非常に金をかけて、原子力関係予算は九十億、しかも来年度は二百億になるか三百億になるかわからない、大きな新しい国家建設の原動力である原子力という問題を取り扱うときに、その中核となる製錬所の敷地というものは、原子燃料公社が単独の力においてこれを選定するということは不適当である。原子燃料公社原子力委員会を動かし、政府当局を動かし、そして日本の意思として米軍折衝を開始して、そしてその最終の意思を確かめて、しかる後にどうしても国際間の問題からそれが不適当だと考える結論が出てきたならば、それはほかへ行くということもいたし方ないかもしれぬが、そういう段階にいっていないじゃないか。でありますから、あまりタイミングタイミングということで、タイミング仕事をおやりになることをお急きになるようでございますけれども、もっと真剣にこの問題に取り組んで、日本の実情はどうしてもここで製練するのが一番いいのだ、これは日本の将来のためになるのだからということで日本の意思を統一せられて、そうしてこの問題に取り組まれる方が私はいいのじゃないかと思うのです。こういうことに対しまして原子力局長は一体どういう考えを持っておられるか。
  26. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 原子燃料公社敷地の問題につきましては、お話通りでございますが、私どもこの問題を折衝する際には、十分調達庁にも参りあるいは大蔵省の方にも参りまして、向うから提示されました地点に関しまして、ぜひ一つ獲得できるようにということで、ずいぶんお願いしたのであります。それから上層部の方におきましても、宇田大臣等からそれぞれ交渉していただきまして、向うの方でも最初はその重要性を認めてくれまして、だいぶ可能性のあるような点も見られましたので、ぜひ一つお願いしたいというので、そこばかり実は押しておったわけであります。ところが、先ほど申し上げましたような次第で、事情やむを得ぬということで、第二、第三の候補地の選定に移ったわけであります。その際もう一ぺんそれでは話を戻して、再度この問題をお願いするかという点になりますと、これは要するに中間試験をいつまですればいいかという点とからんでくる問題でありまして、この際適当な土地に移した方がタイミングの問題から考えてよろしいのではないかというふうに判断したものですから、一応第二、第三の候補地をこの際選んだらどうかということを公社の方にお願いいたしまして、検討に入っているわけであります。この第二、第三の候補地がさらに不適当である、あるいは不十分であるという際には、もう少しほかの土地を調べるか、あるいは再度これをお願いするかといったような、そういう点にまで入っていこうかと思います。ただいまの段階では、一応公社の方では、原子力研究所予定しております土地の一部を、この際、中間試験所としてとりあえずお借りして、そこに建設すれば、中間試験の段階としては差しつかえないのじゃなかろうかというふうな考えも強いようでございます。そういう点もあわせて検討中でございます。
  27. 石野久男

    石野委員 この敷地の問題は、結局原子力産業それ自体に対する考え方の問題ときわめて密接な関係を持っておると思います。すでに米軍から断わりを受けておる演習場理由の中には、米軍演習にも関係があるけれども、将来の日本軍の設定の観点からもという点が入っておるようでございます。しかし、この問題は、原子力産業と、原子力センターとして東海村から勝田市の長砂の地域へ持とうとする考え方と、どちらが日本の将来にとって重要かという問題とも関連してくると思うのです。現にまた日本には軍隊というものがないわけです。そういう軍隊がないということを一方に考えながら、現実にこの日米行政協定の中で向うが使っておるところの米軍演習場というものは、図面の上で見ますると、これは一応は演習場はアメリカの演習場として使われておりますけれども、現実に使っておるのはごく小部分だけなんです。これは南部の方だけなんです。しかも第二候補地、第三候補地、特に第二候補地などというものは、米軍演習とはほとんど関係がないと言っていい地域なんです。そうなってきますと、米軍の断わってきた理由というものは、むしろ第二の、日本軍の云々という問題に関連する点が非常にあるように思われます。われわれにとっては、この問題についてはむしろ米軍との関係じゃなくして、日本の国内におけるところの、たとえば岸内閣が現に持っておるところの考え方の問題にも関係してくるのじゃなかろうかと思います。私はやはりこういう問題について現実に米軍折衝しておるところの調達庁の諸君にここに一つおいで願って、そういう問題について現実にどういうような折衝がされておるのか、そして、どういうことを理由として断わられておるのかということを一応お聞きした上で、この問題をやはりもう少し深めていかないと、われわれとしては原子力の将来に対する道を誤まるのじゃないか、こういうように思います。ただいままで高橋参考人からお聞きした点については、私は非常に不満足ではあるけれども、しかもまた十万坪というけれども、たった五万坪しか使えないような敷地を、タイミング関係でどうしても使うのだというような、実にこれは政策上からいえばなっていないやり方をしていると思うのです。こういうことで、ほんとうに日本の将来の原子力を育てていくことができるんだろうか、私は非常に不安に感じます。そういうような意味からも、一つ委員長にお願いしますが、調達庁関係の方を呼んでいただいて、この問題をもう少し深めてお聞きしたいと思います。
  28. 菅野和太郎

    菅野委員長 本問題につきまして石野委員より、調達庁当局の出席を求められておりますが、福間連絡調査官が間もなく見えるはずであります。
  29. 菅野和太郎

    菅野委員長 それでは、同調査官が出席されるまで、昭和三十二年度科学技術振興予算につきまして政府当局の説明を聴取いたします。鈴江企画調整局長
  30. 鈴江康平

    ○鈴江政府委員 それではお手元に配付してありまする資料につきまして、御説明を申し上げたいと思います。  表題は「昭和三十二年度科学技術振興予算概要」というものであります。ここにカッコして「未定稿」というふうに書いてございますが、この意味につきまして申し上げます。と、この予算概算の説明の内容は、大蔵省が査定をいたしました結果について批評をしたわけでございますが、なお予算の詳細の点になりますと、これは各省庁がこの予算の範囲内において実行計画を立てるのでございますが、その実行計画を見ませんと、最終的な個々の研究テーマまで批判をすることができないような状況でございますので、一応「未定稿」ということにいたしまして、さらに将来近く各省で実行計画を作りました場合に、それをまた調査いたしまして、その内容を検討していきたいと思うわけでございます。  この資料は二つに分れておりますが、最初予算概要と申しますのが表紙にございます。中ほどに「昭和三十二年度科学技術振興予算資料」というのがございます。これは資料がいろいろ載っておるものでございます。  最初資料についての説明をさせていただきたいと思うのでありますが、この予算資料の一ページに「表こというのがございます。「科学技術振興費の推移」というのがございますが、これをごらん願いたいのでございます。科学技術振興費としてここに計上されております数字は、大蔵当局が科学技術振興費として定めました予算の数字をここに記したわけでございまして、科学技術庁の予算調整の対象といたしますものと多少の食い違いがございます。科学技術庁の対象といたしますのは、御承知のように、各省の研究機関の予算と補助金、委託費等の予算、この二つでございますが、大蔵当局のいっておりまする科学技術振興費は、そのほかに、たとえば科学技術庁の庁費、工業技術院の庁費あるいは国会図書館におきまする原子力図書の購入費といったようなものも入っておりますので、幾分違うのでございます。また科学技術の補助金といいましても、内容によりまして、果して科学技術振興だけのものか、あるいはその他の事業のためのものか、非常にその間判定のむずかしい点もございますので、大蔵当局のと科学技術庁のとり方とは多少違うのでございますが、政府から出しまする予算書について申し上げた方がわかりいいかと思いまして、一応大蔵当局の考えております科学技術振興費の数字をとったわけでございます。表の一をごらんになっていただきたいのでございまするが、最初に「試験研究等経費」というのがございますが、これは各省庁の研究機関の予算でございまして、三十二年度は八十三億ということになっております。それから「原子力関係費」を見ますと、これが六十億、その次に「科学技術研究助成費」、これは補助金、委託費等でありますが、これが二十七億、その下に「特別研究事業費」というのがございますが、これは国際地球観測年、いわゆる南極の観測も入っておりますが、そういったものが八億五千万円、合せまして百七十八億という数字になっておりまして、国家予算の一兆一千三百七十四億に対比いたしますると、パーセンテージといたしまして一・五七でございます。三十一年度の一・一五に比較いたしますると、相当大幅にふえておるというのがわかるわけでございます。  それから表の二は、これは原子力関係を除きましたものを書いたわけでございまして、六十億を除いたわけでございますが、そういたしますると、昭和三十一年度の〇・九五に対しまして一・〇四というふうに、これも相当ふえておるということがわかるわけでございます。  それから表の三に至りましては、これは「広義の科学技術振興費」と申しますか、大蔵当局のいっております振興費以外の科学技術庁の予算の対象となっております科学技術の予算を加えますと、三十一年度は百三十七億でございますが、三十二年度はこれが百九十四億にふえております。五十七億の増ということになっております。なお、備考欄に国庫債務負担行為といたしまして計上されておりますのが、原子力、航空技術研究所、防衛庁技術研究所等いろいろございます。表の三は原子力も含めた数字でございまして、かなり大幅な増加が認められたということがいえるのではないかと思うわけでございます。  それから、次のニページ以降でございますが、これは各省の科学技術振興費をそれぞれ省別に分ちましたものでございまして、人件費、事業費、定員の区別によってここに記入してございます。  それから、三ページでございますが、三ページは、科学技術振興費の中の試験研究機関の予算について各研究所ごとの内訳でございます。これが三ページ、四ページ、五ページ、六ページというふうになっております。  七ページに至りまして、これは各省の研究補助金、委託費等の内訳でございます。これも以下ずっと書いてございますが、補助金の表でございます。  八ページに至りまして、これは大蔵当局の科学技術振興費には入っておりませんけれども、科学技術庁の方で考えました科学技術の予算という中に入っておるものでございまして、これはたとえば総理府の欄では消防研究所とかあるいは大きなものでは防衛庁の技術研究所、これは大蔵当局の科学技術振興費には入っておりませんでした。なお同じように大蔵省としては三つの研究所がありますが、これも科学技術庁の調整の対象にはなっておりますが、大蔵省の方には入っておりません。運輸省の気象研究所も同様でございます。  それから九ページに至りましてこれは大蔵当局の方には入っておりませんが、科学技術庁の予算の対象といたしました、補助金委託費の表でございます。これらのものは大蔵省の方は抜けておるということを申し上げたいのです。特に通産省の中小企業の関係の補助金は、中小企業の振興費の方に入っておりまして、科学技術庁の対象には入っておりますが、大蔵省の方には入っていないということでございます。  それから、十ページ以降は、大蔵省の科学技術振興費というものがどういうものであるかということの説明を御参考に書いたものでございまして、大蔵省主計局から出しておりまする「昭和三十二年度予算の説明」という図書の中にこれが入っておるわけでございますが、参考にこれを入れたわけであります。  それから、十二ページに行きまして、表の九というものがありますが、「昭和三十二年度特別調整額支給区分及び率の改訂一覧表」というのがございます。これは当庁から大蔵省に申し入れた一つの項目でございますが、研究者の環境改善のために、いわゆる公務員の管理職についております手当の本省並みの増額を要求したわけでございますが、それに対して大蔵省の方で当庁の意見を入れまして、改善した数字が出ております。これは当庁の主張通りではございませんでしたけれども、合計三百一名につきまして相当程度の調整額の改善を見たわけでございます。たとえば所長につきましては、従来本省の局長あるいは課長には甲という区分の特別調整額、つまり本俸の二五%の手当がついておったのでございますが、所長はその分と、あるいは乙といいまして一八%のと二つあったわけでございますが、当庁の主張通り全部これを甲に改めたわけでございます。なお部長は、従来十三級職以上が乙であり、十二級職は丙、つまり、二一%の管理職手当でございましたのを、こちらの主張は部長は全部甲ということでございましたが、とりあえず大蔵省は乙の線まで改善するということで、ここに八十九名の人数が改善されたわけでございます。それから支所長も同様でございますが、課長につきましては、従来管理職手当はほとんどついていなかったのでございますが、これは大蔵当局といたしましては、こちらの要求通りではございませんけれども、全部丙の線で一応つけるということで、ここに改善の措置を見られたわけでございます。  そのあとの表につきましては、数枚ございますけれども、これは管理職手当、超過勤務手当、普通庁費の予算の一覧表でございます。  こういった資料をもとにいたしまして判断いたしましたのが、最初に戻りまして予算概要の説明でございます。これについて申し上げさせていただきたいのでございますが、最初のページの次に目録がございます。目録の次にAとしまして、「昭和三十一年度科学技術予算の概要」というのがございまして、その最初に、一として「科学技術予算の全貌について」というのがございます。これについて簡単に申し上げますと、ここにいろいろ書いてございまするが、この表にありますように、昭和三十一年度は約百十六億円であった、これに対しまして百七十九億円、すなわち五〇%の増加を見たということは、予算の拡大ということを当庁といたしましては主張いたしておったのでありますが、それに対するある程度の反応と申しますか、大蔵省が聞き入れたということも言えるのではなかろうか、すなわち五〇%の増加を見ておるわけでございます。国家予算に対する比率は、ここにございますように、昭和二十七年度が〇・五九%でありまして、これが漸次上って参りまして、三十一年度は一・一五%、三十二年度は一・五七%となったわけでありまして、従来の経験から申し上げますれば、画期的な増額と言えると思うのでございます。しかしながら、なお米英等に比較いたしますれば、もちろん絶対額、比率ともにまだ遜色のある点は、漸次改善する必要があるということを主張しておるのであります。たとえば、アメリカは三%程度、イギリスは二五%程度というのが全予算に対する科学技術の予算の比率でございます。そういった点について、日本としてはまだ改善の余地が相当あるということを申し上げたいのであります。予算総額は拡大されましたけれども、拡大の主要な原因は原子力関係でございまして、これが約四十五億円増加いたしましたために、それを除外いたしましたものは、三十一年度の約百一億円に対しまして、三十二年度は約百十九億円、すなわち十八億円の増加であります。国家予算に対する比率は、二十七年度の〇・五九から漸次ふえまして、三十二年度は一・〇四になったということでございます。これは先ほど申し上げましたように、当庁といたしましてまず科学技術予算を拡大してもらいたいという要求でございますが、これに対してこういった結果を見ておるわけでございます。  次に第二番として、試験研究機関費と委託費、補助費序との増加傾向についてございますが、これは以下原子力関係を除いておりますが、当庁から大蔵省に出しました心見といたしましては、昭和、三十二年度の予算においては、国立の研究機関の充実と申しますか、それを第一に考えてもらいたい。そうして、せっかく国立研究機関がありながら、それが中途半端な能率でおることが一番不経済である。それをまず改善することを第一義にして、そこで委託費、補助費というものは、これは効果はあるけれども、第二義的なものとして考えてもらいたいという主張をしておったわけでございます。この結果は、大蔵省も大体同様な意見になったと考えられるのでありますが、すなわち研究機関の予算は三十一年度約六十六億円に対しまして十七億円の増、すなわち二六%弱の増加でございます。それから委託費、補助費は三十一年度約二十五億円に対しまして約二億円の増加でございます。その他特別研究事業費——先ほど申し上げた国際地球観測費がございますが、これは三十一年度十億でございましたが、九億になって一億の減少、これは南極派遣の宗谷の改修が終了しましたために減ったわけでございます。従って、全般的に申しますと、試験研究機関費の増加の率は二六%であり、補助費、委託費が八%ということでございまして、その増加の傾向は、当庁の意見とほぼ同調したと見ていいのじゃないかと思います。なお、これにつきましては、防衛庁、気象庁等の関係は除かれておりますけれども、防衛庁におきましても試験研究機関費の方は一億円の増、委託費の方は三億七千万円の減少を見ております。気象庁は研究機関費として三千万円の増加となっております。こういったように、いずれも研究機関の方はふえておるという傾向を示しております。  それから次に三番としまして、試験研究機関費の増加の内容でございますが、科学技術庁の意見といたしましては、三十二年度は人員増加を極力最小限度にとどめるようにという主張をしたわけでございます。と申しますのは、やはり国家予算がそれほど必ずしもふえないという現状におきまして、いたずらに人をふやしまして能率が低下するということは非常に愚である。従いまして人員の増加というのは最小限度に押えまして、できるだけ今までの研究者の能率の発揮に主眼を置くことにしたわけでございます。従いまして、定員増加ということはあまり見られなかったのでありますが、しかし、新設の途上にあります航空技術研究所あるいは金属材料技術研究所というようなもの、あるいは電子技術関係等におきまする電気試験所、機械試験所、東京工業試験所、名古屋工業枝術試験所、それから新設の過程にあります労働少の労働衛生究研所等は人員増加が認められたわけでございまして、合計百三十一名でございます。それから防衛庁の関係は九十二名増加しております。従いまして増加としましては一%でございますが、防衛庁を入れますならば一・七%程度の人員増加が見られたわけでございます。  それから次のページ、三ページに参りまして、予算を人件費と事業費とに分けて考えました場合に、人件費の方は三十一年度三十四億に対しまして、三十二年度は三十八億円でございます。それから事業費の方は、三十一年度三十二億に対しまして、三十二年度は四十五億というふうに大幅にふえております。それから人件費の方のふえましたおもな原因は、給与が今度御承知のように改訂になりますので、その給与改訂に伴う調整費と昇給のための原資でありまして、それに若干の人員増加があったためでございます。そして、科学技術庁といたしましては、人件費対事業費の比率が三対七程度を希望しておったわけであります。これは海外の例あるいは戦前の例等を見まして、大体三対七程度でございますれば、研究者の能率が相当発揮できるというような見解でございましたのですが、今回の予算におきましては、人件費対総額の割合が、三十一年度は五一・二%でありましたのが、三十二年度において四五・九%というように人件費が減って参ったわけでございます。すなわちこの点は、当庁の主張のように事業費の増ということが見られたわけでございます。しかも三十二年度は、人件費が給与改訂等によって大幅にふくれておりますが、それにもかかわらずなお事業費の方のふくれ方が多かったということは、相当の改善が見られたのではないだろうか。しかしこれは理想よりはまだほど遠いということが言えると思います。  それから、なお、この中で最も増加の多いのはどういうものであるかと申しますると、これは科学技術関係でございますが、その理由としましては、二つ研究所がいずれも建設途上にあるというためでございまして、それは合計九億円の増加でございますし、そのほか通産省四億、農林省三億程度の増加を見たわけでございます。  それからその次の項目には、科学技術庁の意見のうちで、各省庁の共通事項として第一に試験研究環境の改善を主張し、先ほど申し上げましたように、管理職手当の改善ということをまず要求したわけでございます。これにつきましては、ここにありますように、研究所長は全部甲、部長は従来十三級職以上でないと乙でなかったのを十二級職以上を全部乙にいたしまして、そして部長は全部乙の管理職手当を受けるととができるようになったわけでございますし、課長は全部丙の管理職手当をとることができるようになったわけであります。課長につきましては先ほど申し上げましたように、従来はほとんど丙をもらっておりませんが、こういったようなことが考えられておるわけであります。さらに超過勤務手当についてはどうであろうかと申しますと、これにつきましては、実ははっきりわかっておりません。管理職手当は大蔵当局におきましても給与課が一本において扱う関係上、これではっきりするのでございますが、超過勤務手当は普通の給与の中に入っておりまして、各省庁がまちまちに見ますと同時に、各省庁がそれに対してほかのものと流用いたします関係上、はっきりつかむことができないのでございますが、しかし部分的に見ますると、たとえば気象研守所は従来一月当り六時間の超過勤務手当でございましたが、これが十二時間に改善されたということははっきりわかったわけでございます。その他の省につきましても多少の改善を見ておるようでございますけれども、実行計画を見ませんと、どうもはっきりしたことは申し上げかねる次第でございます。  それから、その次の試験研究費の中で、光熱水料を増額してもらいたいということをこちらから要求しておったわけでございます。これは従来一年間研究者一人当り二千四百円程度でございましたのを、少くとも一万円にしてもらいたいということを言っておったわけでございますが、大蔵当局としましては、事業費の方を増加したので、その間において融通されることができるだろうということで、特に光熱水料の増額を見ていないわけであります。当庁といたしましては、こういった一般費用のために、せっかくの研究費がそちらの方に流用されることは不都合であろうということで、この点はさらに大蔵当局に、先に行きましても主張していくつもりであります。  それから、その次に科学技術庁の意見におきましては、新規研究着手についての意見を述べておったわけでございますが、われわれとしましては、新規研究の必要性を認めるのでございますが、しかし既存の研究をいいかげんにしておきまして、さらに新しいものに順次手をつけるということは、能率発揮上非常にまずいというので、漸進的に新規研究というものを開発していくということを要求したわけでございます。これに対しまして、科学技術庁として特に重点というふうに考えておりましたものについては、ほぼ予算がついたということができるのでございますが、たとえば電子技術関係、生産加工技術関係、それから中型航空輸送機の設計の費用の問題、あるいは電波科学系のミリ波の研究等におきましては、当庁の意見のように予算をつけたということが見られるわけでございます。  それから四番目に、試験研究委託費と補助費の増減の内容についてでございますが、最初に申し上げましたように、試験研究補助費とか委託費については、必ずしも第一義的に増額することを要求しなかったのでございます。なおその増加の内容につきましても、当局といたしましては、民間の研究機関というものが相当資金内容が御承知のようによくなって参りましたので、必ずしも国の予算にたよらなくてもいいだろうというようなこと、それからなお国立研究機関も漸次整備されて参りますので、研究を国が受け持つという分野も相当広がって参りますので、従いまして、補助費、委託費というものも必ずしもそうふやす必要はないということを言っておったのでございます。なお、その中におきまして、もし補助費、委託費を出すという場合にも、できるだけその対象といたしましては、企業的利益を得がたい部門、あるいは研究資金が乏しい面、そういうものについて重点的にふやすべきものであろうというような意見を当庁としては述べたわけでございます。この見解は、大蔵当局も同様な考えだというふうに見られるのでございます。それは四ページの初めの方に出ております。すなわち企業的利益を受けがたい研究方面と申しますれば、いわゆる基礎研究が第一でございますが、基礎研究方面に支出いたしまする補助費、文部省の科学振興費が一億五千万円増加しております。それから資金面の弱体な発明者を対象といたしまする発明実施補助金、あるいは中小企業輸出振興技術研究補助金等は、それぞれ若干増額されております。それから農林関係のように特定の企業者のみを対象としないような、つまり企業から直接利益を受けがたいものは、やはり増額されております。それに反しまして、企業的利益を直接に受けやすい方面、つまり通産省の鉱工業試験研究助成費は五千万円減少しておりますし、あるいは運輸省の科学研究補助金、厚生省の薬業合理化研究補助金というような、今申し上げたように、企業体が直接利益を受け得る部門、すなわち企業体の現在の資金状況において相当やり得るというふうに見られる部門におきましては、補助金の額が減少されたわけでございます。  それから、Bといたしまして、「昭和三十二年度予算見積方針調整意見書と昭和三十二年度予算との主要点について」という事項がございますが、最初にいろいろ書いてございますのは、つまり各省の研究予算と申しますものを大蔵当局に要求いたしますときには、相当詳細な研究テーマを書きまして、その積み立てで要求いたすわけでございますが、最終的にはいわゆるつかみで大蔵省が予算をつける。それに従って各省はその予算の範囲内において実行計画を立てるという操作をいたします関係上、現在の段階におきましては、最終的にどの研究に対してどれだけの金がついたということは、当庁としてもつかみ得ないのでございます。その点は各省とも現在作業中の段階でございますので、いずれそういったものが確定いたしました上におきまして、当庁の意見が各省においてどういうふうにとられたかということがはっきりするかと思うのでございます。現在はそういう点がわからないということを、いろいろ理由を付して説明しておるわけでございます。すなわち、たとえば四ページの右の上の方を見ますと、文部省の試験研究機関に計上した各項の間におきましてもその間の融通ができるということ、あるいは厚生省の試験研究機関に計上したものについても各項の間で融通ができるということで、かなり予算は弾力性がございますので、実行計画を見なければはっきりしたことを申し上げかねるということを申したいわけでございます。しかし、そのうち特に重点的なものについては、こちらではっきりした点もございますので、それについて申し上げたいのでございます。  四ページの右の下の方に、「(1)航空関係」というものがございます。最初に「a」として、「航空電子機器に関する試験検査設備の整備計画について」というものがございますが、これは当庁の意見としましては、航空技術審議会の要望もございまして、ぜひ日本としてこういうものを早く置かなければ、日本の航空電子機器の技術導入というものは進まない、それで現在航空関係技術提携は多いのでございますが、早く日本でも整備する必要がある、しかし当庁の意見としましては、防衛庁が相当設備を備えておりますので、大蔵当局がそう多くの金をつぎ込むことができなければ、防衛庁の既設の設備に若干の、二、三千万円の金を付加すれば一応の設備はできるだろう、しかしこれが一番手っとり早い方法ではあるけれども、できるならば民間のものが十分利用できるという意味におきましても、工業技術院に別個に置くことが必要であるという意見も出したわけでありますが、これに対しまして大蔵省は一億円の経費を工業技術院、これは電気試験所でございますが、これに計上しております。この点は、われわれの方の主張以上に予算をつけたということも言えるのじゃないかと思います。  それから、五ページでございますが、「b」としまして「中型輸送機の国産化計画について」、これはやはり航空技術審議会の意見としましても、航空技術研究所において研究をいたしますと同時に、具体的な問題をつかむために、とりあえず中型輸送機の国産化ということを考えてみよう、そのためには設計をいたしまして、設計上必要なものを技術研究所において研究するということで、タイアップすれば早くいくのじゃないかという意見で国産化計画を進めたいということを申し出たわけでございますが、これに対しましては約三千万円でございますけれども、工業技術院の鉱工業技術研究費の中にそれを入れてあるということを言ってありますし、通産省もこれに従いまして委員会を設置いたしまして、この中に科学技術庁及び航空技術研究所の者も入りまして、この研究を進める段階になるわけでございます。  「(2)」としまして「金属材料関係」でございますが、この金属材料関係の方は航空関係と違いまして割合に研究のテーマが少いのでありまして、特定したものがありませんので、現在のところ各省の研究計画を見なければはっきりした意見は申し上げかねるわけでございます。  「(3)」としまして「電子技術について」でございますが、これにつきましても、当庁といたしましては相当重点的にこの予算の推進をはかってきたわけでございますが、これに対しまして、工作機械のオートメーションに関しましては四千三百万円を機械試験所につけたわけでございます。なお、オートメーション方式の確立、電子機器部品生産方式、航空無線に関する研究につきまして一億七百万円を電気試験所につけたわけでございます。それから原子力発電所制御に関する研究に二百七十万円とか、あるいは鉱工業技術研究費補助金の中の電子技術関係として一億三千万円、これは工業技術院の方につけてございます。さらに電波研究所におきまして一ミリ波の研究に対しまして八百九十五万円を計上しております。こういったものは新しくつけられたものでございますが、さらに当庁といたしましては総合的に研究を推進するという意味におきまして、たとえばマイクロ波の問題がございます。これにつきましては標準確定の研究を電気試験所で行い、遠距離通信の方は電波研究所と両所にまたがったわけでございますが、予算を見ますると、電気試験所の方にはつきましたけれども、電波研究所の方は落ちておるわけでございます。これは両者相待ってやることでございますので、こういった点は、さらに立案に当りましてできるだけ改善をはかるように関係庁に申し入れたいと思っておる次第でございます。  それから「(4)」といたしまして、通産省の分析技術研究と科学技術庁の要求いたしました化学分析中央機関との関係でございますが、これらの関係につきまして、当庁といたしましては性格的には別個のものであり、分析中央機関と申しますのは、研究機関の内部におきましては十分な発展を見ないのだということで、どうしても独立したものが必要であるということを言っておったわけでございます。しかし、これに対しまして大蔵当局としましては、新しくそういう一つの機関を作ることは、財政的にも非常に困難であるという見解から、とりあえず三千万円の予算と人員八名を工業試験所につけたわけでございます。そうして、これによってできるだけ科学技術庁の要望しております化学分析の中央機関の機能を行わしめるようにしていきたいということであります。これにつきましては、工業技術院ができるだけその趣旨に従ってやりたいということでございますので、われわれといたしましても、その推移を見ました上で、さらに必要がありますれば、あらためて大蔵当局に予算を要求したいと思っておるわけでございます。なお、そのほかに工業技術院では、既設の部を一つ減らしまして、人数ももっとつけまして、できるだけこの機能を行なっていきたい、なお、この運営をいたしますのに、当庁の科学技術審議会の委員もそのうちの委員長といたしまして、なお企画調整局長もその委員でございますが、工業技術院の中でそういったものを一応作り上げるように努力してみようというような段階でございます。  それから、五番目は、「運輸技術研究所の大型旋回試験水漕について」でございますが、これは目黒の元の海軍の技研の池を防衛庁が使いたい、そうして同じような目的で運輸技術研究所でも三鷹に新しく池を作りたいという両方の意見があったわけでございますが、当庁といたしましては、両者の使用目的が同じでございますので、一ヵ所で、しかも既設の目黒の水漕を使うべきであろうという意見を述べたわけでございます。これに対しましては、大蔵省ももちろん同意見でありまして、できるだけ科学技術庁において両者の調整をはかって、同じような計画を進めるようにしてもらいたいということでございます。従いまして、運輸省の方には予算はついていない。それから防衛庁の方には若干予算がついておるわけでございますが、これはやはりつかみの金の中に入っておりますので、実行計画を見なければ、はっきりしたことはわかりません。しかし、当庁といたしましては、近く両者を呼びまして、その実行計画を見まして、防衛庁の予算においてできるだけそれが実行できるようにしたいと考えておる次第でございます。  その他「C」といたしまして、「各省庁の試験研究機関の共通事項に関する意見」というのがございますが、これは先ほど申し上げましたのと同じことでございます。  「(1)」といたしまして、特別調整額としては一千六百万円の予算の増加ができるわけでございます。これはいわゆる管理職手当の増額でございます。  「(2)」といたしまして、超過勤務手当につきましては、若干増額されたということはわかるのでありまして、その資料は、先ほど申し上げましたようにあとの方に多少出ておりますけれども、何時間になったかということは、もう少し実行計画を見なければはっきりいたしません。  それから「(3)」として普通庁費の増額要求については、先ほど申し上げたように、一般研究費の方がふえましたので、その人当庁費としては必ずしもその内容としてふくれてはおりませんけれども、実行上においてはかなりゆとりができたのではないかと思われるわけでございます。  「(4)」として試験研究機関の研究設備に必要な経費の増額でございますが、これに対しましては、実は研究調整といいますか、事業費と申しますか、半分程度のものは研究設備の改善に充てられるわけでございますが、しかし、それ以外に特に研究設備の整備という費目で要求いたしました予算のその結果は、ここにありますように、三十二年度は十三億九千三百万円、三十一年度は七億三千万円でありましたので、研究設備の整備費と銘打ってふえておるのは六億六千二百万円の増加になるということで、相当程度整備ができるのではないか。今申し上げましたように、一般の研究事業費の中で使います予算もその中で相当設備も買えるわけでございますから、実際上はもっと多くの設備の改善が見られるということになるわけでございます。  以上、概略を申し上げたわけでございますが、たびたび申し上げまするように、個々の研究テーマにつきましては、各省の責任において作ります実行計画を見てから、さらに詳細な検討を加えていきたいと思うわけでございます。とりあえず御報告を申し上げたいと思います。
  31. 菅野和太郎

    菅野委員長 以上をもって説明は終りました。     —————————————
  32. 菅野和太郎

    菅野委員長 調達庁福間連絡調査官が出席されましたので、石野君の質問を続けます。石野君。
  33. 石野久男

    石野委員 調達庁意見を承わりたいのですが、原子燃料公社敷地の問題に関しまして、前渡の飛行場が現在米軍によって使用されております。あの飛行場の中に燃料公社敷地候補地として、第一、第二、第三の候補地燃料公社は持っておったわけです。それが米軍からいろいろな理由で断わられたそうでございますが、その断わられた事情をできるだけこまかく一つ御説明願いたい。
  34. 福間徹

    ○福間説明員 水戸対地爆撃場の一部約三十万坪を、原子燃料公社敷地として返還してもらいたいという要望につきましては、昨年の暮れ極東空軍に対しまして、燃料公社敷地としての必要性を詳細に説明いたしました。速急に好意ある返還措置を講じてもらいたいという要望を出しております。その後も機会あるごとに空軍の施設委員会に出席いたします代表者等にも重ねて早期解決方を要望しておったのであります。それにつきまして、三月の八日付で極東空軍のポテンジャー准将から調達庁の今井長官に対しまして、正式の文書でもって、実は燃料公社敷地の問題について、実際使用しております名古屋の第五空軍及びジョンソン基地空軍部隊等でよく慎重に検討いたしました結果、遺憾ながら御要望に応ずることができないような結論になった。それの一つ理由といたしましては、実際の対地爆撃訓練の上から見て、あの全区域というものは、どちらかというと非常に少な過ぎるわけであるが、現実に対地爆撃をやってみまして、しかもその実際の目標に対する射撃の結果、約二千フィート以上の面積に落下するという事実も過去二ヵ月半の実績に徴してはっきりしてきて、原子燃料公社敷地として提供することについて、対地爆撃を実施する面との間におきまして、どうしても両立しにくい、そういう方面を割愛するということではやはり危険を完全に防止することができないという結論になったので、遺憾ながらその御要望に応じかねる、こういうふうな回答がきましたような次第であります。この点につきましては、当時燃料公社の方にも事情を詳しく申し述べまして軍側が断わってきたことにつきまして御了解を求めておったような次第でございます。
  35. 石野久男

    石野委員 福間さんにお尋ねしますが、ただいまのお話ですと、極東空軍の方では演習地域としては非常に狭いので、むしろ公社敷地になることは危険を伴うということが、やはり断わってきた理由のすべてだというお話ですが、それだけでございますか。
  36. 福間徹

    ○福間説明員 主としてはその一点にしぼられると思います。その他にいろいろ理由といたしましては、対地爆撃場の性質からして、大都会の近くである、また工場敷地と近接しておる等については非常に危険が伴うので、そういう方面とは両立しにくいというような事情もるる述べております。先ほど申しました敷地の狭いということと、それと危険が伴うということが向うの重要な断わった理由でございます。
  37. 石野久男

    石野委員 あなたは常に米軍との間の折衝をしておるわけですから、あなたの言うことが一番間違いがないだろうと思いますが、しかし、先ほど公社の方の御意見を聞いておりますと、公社へもやはり敷地を断わる理由の書面がきておるようです。その書面によりますと、必ずしもあなたの言っておることだけではなさそうです。ほかにもまだ理由が載っておるのです。そういうことについてはあなたは全然御存じないでしょうか。
  38. 福間徹

    ○福間説明員 ここに私どもに参りました文書を持って参っておるのですが、その他の理由は、この書面の上には書いてございません。
  39. 石野久男

    石野委員 書画は正式なものになるのですが、その間やはり折衝の過程の中にいろいろな理由が述べられておったと思うのです。公社の方に参っております書簡を先ほど高橋参考人はお持ちになってこられまして読んでおられます。その中には、やはりもちろん危険であるということも述べられておるようでございます。それから、米軍としてはやはり射撃演習のために非常に必要性のある地域であるということも指摘をされておるようでございます。それと同時に、いま一つは将来の日本のためにもこの地域は必要であるというふうに述べられておると聞いておりますが、そういうことはあなたの話の中にはなかったのですか。
  40. 福間徹

    ○福間説明員 これは御承知通り、施設の提供というものが安全保障条約によりまして日本の防衛のためでございますので、そういうふうな意味は、すべての施設に一応含まれておるものと了解しております。ただし、今申されましたようなことにつきましては、直接的な文字では、私のところに参りました文書の上ではうたってございません。
  41. 石野久男

    石野委員 これは米軍から出した書類でございますから、あなたに直接の責任があるということは私は言いませんけれども、しかし、高橋理事長の方に参っております書面の中には、将来の日本のためにも必要な地域であるということが明記されておるように聞いております。そういうことは、あなた方が折衝する過程の中には全然なかったのですか。
  42. 福間徹

    ○福間説明員 ただいま申し上げましたように、提供施設というものは、日本の防衛のために必要であるという観点においてしぼって提供しておる次第でございまして対地爆撃場そのものも同様にやはり日本の国防のために必要であるということは、この問題に限らず、かねてからアメリカ側ではその点を強く主張しておる次第でございます。
  43. 石野久男

    石野委員 私はくどく言うのではありませんけれども、ずるく答弁を逃げないようにして下さい。高橋さんの方に来ておる書面によると、将来の日本軍のためにも必要だということをうたっておるようでございます。日本の国を守るために云々ということであるならば、これは現在の問題としてはすでにそういうことは言われておると思うのです。しかし、将来ということになりますると、そういう点はやはり重要でございますので、これは一応高橋さんの方の書面をもう一ぺんどういうふうになっておるかを読み合せの上で御答弁願いたい。
  44. 福間徹

    ○福間説明員 交渉の段階におきましては、そういうふうなアメリカ側の見解等も率直に述べられておりますが、ただいまわれわれの方にいただきました今井長官あての文書には、そういうことが明確にはしるされておりません。
  45. 石野久男

    石野委員 今井長官あてには明確にはしるされておらないけれども高橋さんあてにきておるのにはしるされておるわけですね。
  46. 福間徹

    ○福間説明員 さようでございます。
  47. 石野久男

    石野委員 政府にお尋ねいたしますが、この問題はやはり私ども原子燃料公社敷地を設定するということ、それから原子力産業の将来という問題にわれわれが集中的に努力しておることと関連いたしまして、日本の国の将来のためにきわめて重大だと思うのでございます。先ほど来、同僚議員からも言われておりますように、原子燃料公社の設立の問題は、一時の便宜的なことのために、当事者が非常に不便だ、あるいは非常に不十分だと言われるような地域を、ただタイミングのためだというようなことだけで設定するということはよくない。これは私どもが常に考えておるところなんです。そういう点から、国家百年の計をこの原子燃料公社というものに寄せるならば、私たちはここであまり早々の間に、すぐそれは改めなければならないとか、あるいはこれはしまったと思うようなことをしてはいけないと思うのです。そういう意味から、私は敷地の問題はきわめて重大だと思っている。われわれとしては、今お読みになりましたように、米軍からきておる書面の中には、調達庁の方にはそういうことは書いてないけれども燃料公社理由の中にはまだ付加されたものもある。それと同時に、福間さんからお話がありましたところでは、文書には明確には書いてないけれども、交渉の過程にはそういうことの話もあったということを言われておるわけです。そういうことになりますと、ここに私たちは二つの点から米軍回答についてのわれわれの考え方をはっきりしなくちゃならぬ点があると思うのです。一つは、やはり米軍演習地として使うその危険度の問題があります。それからもう一つは、やはり将来の日本軍というものに対してのこの地の要請という点があると思うのです。日本は現在、憲法上の問題からいって、軍を持てないということになっておるわけでありますから、将来はどんな形になるとしても、将来のことは将来のこととして一つ考えるべきだ、今の段階でそういう問題を云々するということは少し行き過ぎであろうと思うのであります。そういう観点についての政府の見解をまず承わりたい。  それからもう一つは、爆撃標的地になるところの地域は今どういう状態にあるかということを、これはわれわれの側から見なくちゃならないのですが、この問題についての政府の見解を一つはっきり聞かしてもらいたい。
  48. 秋田大助

    秋田政府委員 私が、米軍からの回答として、原子力委員会の席上、参考資料の中で拝見をいたしました文書には、私手元に持ち合せがございませんが、先ほど申し上げました通り日本原子力平和的利用の研究推進の必要性を認め、それがために燃料公社敷地重要性も十分認めるけれども、これを割愛しては爆撃演習場の用地として狭くなる、従って危険が伴う、並びに代替地がほかに適当なものがないという点が回答の主要な三点であったと記憶をいたします。なお、その中に、先ほどもちょっと私申し述べたと思いますが、防衛的にも必要なことが考えられるということはあったように思います。しかしそれが将来の日本のために必要だ、日本の軍のためにも必要だという文章が付加されておったか、私の記憶にはどうもその点はないのでございます。ただ軍事的防衛的に必要だと思うということはあったかに記憶をいたします。そこで、将来この点が日本の軍事上あくまでも必要だということになると、原子燃料公社あるいは原子力研究所との関係いかんということになりますが、その土地の軍事上の重要性等に関しましては、一応米軍の観測は観測といたしまして、将来のことについては、わが方としてはわが国独自の見地からもまた考うべきことであろうと存じます。その点は御指摘の通り日本原子力平和利用の研究の土地としまして、ロケーションの問題とただいまの問題とは重要な関係があります。それで、慎重に考慮しなければなりませんが、われわれといたしましては、一応それがためにどうしてもこの土地のほかに研究所位置としては現在不適当である、そういう点から考えてもございませんし、その問題につきましては慎重な考慮を要しますけれども、今までの方針を変えなければならぬというふうには考えておりません。ただ先ほどからしばしば申し上げております通りタイミングの問題がございますから、一応理想的な案としては今の演習地を割愛してもらうことが理想案でございますけれども、その付近に一応求めればパッサブルな案であろう、タイミング問題等考慮いたしまして、パッサブルな案が得られそうに思うから、そのパッサブルな案に従う、こういう見解と方針を持っておる次第でございます。
  49. 石野久男

    石野委員 日本の将来のためということになれば、日本の軍という問題と日本の産業という問題との比重でいろいろ考え方が出てくると思うのです。私はこれは政府にとっても非常に重要だと思います。しかし、ここには今、大臣もおりませんし、そこで当面米軍折衝しております調達庁一つお尋ねしたいのですが、あなた方は、この米軍との折衝の過程の中で、燃料公社から要求されておりまする敷地の分割譲渡といいますか、米軍からの解除の折衝をなされましたときに、その考え方と心がまえの中に私たちはやはりいろいろお尋ねをしたり、また要請しなくてはならぬものがあるように思います。その一つとして、まずアメリカ軍が使っておりまする演習地の危険度の問題を考えるに当りまして、もちろん危険だということになれば、この演習地域だけでは十分だとはいえないと思うのです。流れだまなんかはこの演習地の外にも流れてきておることがすでに何回かあるのです。これは前渡だけではありません。ほかの演習地でもずいぶん被害が出ています。しかし、実際に爆撃演習をしておるのは、この演習場の中の東海岸の方で、前浜という、元三研の地域だったところです。ああいう地域のところにずっと近寄っておりまして、海岸べりで第二候補地、第三候補地といわれておりますような長砂の地域の方には、率直に申しましてずいぶん遠い地域の方なんです。そうして、われわれから申しますると、いろいろ理屈をつければそれは幾らでも理屈はつきますけれども、実際に研究所を作ったり、あるいは将来の発展というようなことを考えますると、この地域はアメリカの軍さえ承知してくれればそんなに危険度のあるところだというふうに、われわれは思っていないところなんです。皆さんが今の考え方米軍ともし折衝してもらっておったならば、もう少しアメリカの方の理解が得られるんじゃないだろうか、私はこういうふうに思うのです。ことに私たちから見ますると、米軍日本にまだ五年も十年も駐留するというようには思われない。もうおそらく長くても一、二年のうちには駐留を解除することになるんだろうと期待するわけである。そういうことと日本原子力産業のセンターとしてこの地域を十二分に活用しようという観点からいたしますならば、この第二、第三地域の要求というものは、ただ今日のアメリカ軍との折衝ということだけでなしに、日本の国の将来ということから考えて、きわめて重大な問題を含んでいると思う。そういう観点から従来の折衝で、もうだめだという返事が来ているから、これ以上はだめなんだという考え方によって、とことんまでいっているのか、あるいは現実にはこういう要請を持っているし、あるいはわれわれそういう要求を強く皆さんにいたしますから、あなた方としてはそういう点をもう一度、米軍との間に折衝するとか話し合いをしてもらえないだろうか、そしてまたそういう問題とタイミングの問題とが関連するわけでございます。われわれはもちろんやはり時期を急がなければならぬことはよく知っておる。よく知っておりますけれども、非常に不便な地域で、将来の活用度が非常に減殺されるであろうと思われるようなところへ、一月、二月を争ってそこへ無理に敷地を選定し、いろいろな施設をしていくということは、必ずしも国の将来のためにいいこととは思いません。私はここで皆さんを難責しようとは思っていない。むしろ調達庁皆さんに、アメリカからこういう返事は来ているけれども、この敷地の問題についての重要度ということを考えますると、もう一度これはやはりアメリカの軍との間に話し合いをしてもらいたいわけなんです。そういう点についてあなたの見通しや率直な考え方を、一つここでお聞かせ願いたいと思います。
  50. 福間徹

    ○福間説明員 三月の八日付で返事が参りましたいきさつ等につきましては、軍側で非常に慎重にこれを検討したという実績が多々あるわけなんであります。実は十二月にこちらから出しました要請文に対しまして、その後いろいろ折衝いたしたのでありますが、燃料公社の必要度というものが、早く決定しなければいかないというような事情もございまして、実は返事を急いでもらったんでございます。一時、一月でありましたと記憶しておりますが、極東空軍の参謀部会では、大体返還というものには応じにくいという結論が一応出たわけでございます。これは実は私の方にも口頭で一応説明があったわけであります。それでも、燃料公社の方で、ただいま御指摘になりましたように、敷地の獲得が非常に重要な問題であることを再度指摘いたしまして、さらに一つ十分な検討を加えてもらいたいということを要請しました結果、軍側におきましても、二ヵ月以上経まして各実施部隊等に細部の検討を命じた事実があるわけでございます。その間におきましても、時間が非常に長引きますので、何回か好意ある考慮を求めてもらいたいということで、燃料公社重要性というものを詳しく申し述べまして、善処方を要請したような次第でございます。その結果が、ただいま申しましたような三月八日付の文書でもって正式に断わりの手紙となって現われてきたような次第でございましてこの回答の文書が、三ヵ月にわたっての精細な調査と検討の結果だと私たちの方は了承したわけであります。そういうような事情もございますので、この問題を再度取り上げまして、軍側の再考を求めるということにつきましての将来の見通しということになりますと、非常に困難ではなかろうかというふうな気持がしております。
  51. 石野久男

    石野委員 私は今の御答弁を聞いておりまして、米軍側が断わってきた理由の中に、どういうことが一番断わる理由になっておるかというと、とかく雲の上のことですから、われわれとしてもこれは推測になりますが、われわれは日米合同委員会の中へは入っておりませんからわからないのですが、しかし、米軍が実際に演習地として使っておるところの地域や範囲の点から申しますと、必ずしもこれは断わらなければならぬ理由が出てこないようにわれわれは常識的に考えるわけです。しかし、むしろ米軍が断わってくる理由の中には、皆さんのところへの御回答の中には書かれておりませんけれども公社の方にあてられた回答の中に書かれておる、やはり日本の将来のためということが関係しているんじゃないか、こういうふうに私は思います。現実に、その問題について、この第二の候補地として出されておる地域は、これは現在の陸上自衛隊が使っておる爆撃地というか、爆破演習場の近くなんです。その爆破演習地帯というものは、必ずしも予定しておる地域にはそう影響のあるところじゃございません。けれども、実際問題を言いますと、私もあそこの自衛隊の諸君とも会いましていろいろ話をしましたときに、やはり自衛隊の方で強く反対しているのが実情じゃないかというふうにわれわれには憶測されたわけです。これは私ども憶測の範囲を出ませんが、しかし、自衛隊自体としては、ここを爆破演習場に使っておりますので、どうも第二敷地というものに対してはうんと言わないというのが実情です。この第二演習場というものは、爆撃標点から見れば一番遠距離にある地域なんです。ほとんどその爆撃演習の標的の地域の被害を受けるところじゃございません。私はこれから先、アメリカ軍がもっと大きな爆撃演習のために全地域を長年にわたって使うという見通しがあって、そのために断わるなら、これはわれわれは行政協定や安保条約を持っておる以上は、文句は言えませんけれども、しかし、行政協定とか安保条約はやがてなくなるだろう、そうしてまた駐留軍も近々のうちに引き揚げるだろうという見通しが出てきた場合に、百年の計をここに置こうとしておる燃料公社の問題が、それとの比較の中で拒否されてしまうということは、非常に残念なんです。その拒否される理由の中に、いわゆる陸上自衛隊の爆破演習場というものとの関係があるということになりますと、これはアメリカとの関係じゃなしに、むしろ日本の国内におけるところのもっと高次の立場からの検討を加える必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのです。そういう点も私はあなた方のもっと問題を割った話を聞きたいわけなんです。率直に言って、アメリカがどうしても今の演習をやるためにこの地域はどんなにしても被害があるということだったら、この爆撃演習場のすぐそばには、無数の民家があり小学校もあるのです。そういうことだったら、まずここを撤去させなければならぬということなんです。それよりも五倍も十倍も隔たったところの地域に被害があって危険があるといって、それからものの二百メートルも離れないところに人家があるのです。そういうことでは、とても危険があるからこれを断わるという理由は成り立たないと私は思う。あなた方が実際調達庁として向う折衝し、現地を見ておってこういう重大な問題を検討するのに、なぜここの前浜の阿字ケ浦のこの地域の問題を論議しないのですか。これの方がもっともっと至近な地域なのです。あなたは実際のところはわかっているでしょう。そうすると、その危険だという理由はつけたりの理由にしかならないのです。だから、ほんとうの問題はどこにあるかということを私は先ほど聞いておる。公社の方に来ている断わり書には、将来の日本軍のためにも必要なのだということが書かれておるわけなんです。そういうことになると、結局現実にはやはり陸上自衛隊の爆破演習場というものが問題になるのです。こういうことがあなたには全然関係がないとお思いになるのですか、どうですか、その点一つあなたの率直な御意見を聞きたい。
  52. 福間徹

    ○福間説明員 ただいま危険の定義の問題でございますが、その点につきまして、向う側の文書の上では、もう少し詳細に書いてあるものがございます。これによりますと、大体過去二ヵ月半の経験によりますと、実際の射撃目標から二千フィート以上の地点に爆弾が落ちることが間々あるわけなのであって、しかも記録によると、六十一の爆弾が、燃料公社の方から要求されております敷地の四分の一の地区に落ちたことが示されておる、こういうふうな点等をあげまして、その地区が危険であるということを強調しているような次第でございます。
  53. 石野久男

    石野委員 そういう記録が出ておるのかどうか知りませんが、しかし私はここに図面を持っております。この図面は、アメリカの航空隊で写真によって作られた図面です。これは勝田市の図面ですが、この図面の中で米軍が使っているところの標的というのは、この丸のところです。この地域で、ここは人家が密集している地域です。小学校もすぐそばにあるのです。そうして今公社が要求している地域の第一はここだった。これはもうだめになっている。これはあきらめておるわけだけれども、現在、この点線のあるのは飛行機の標的に対する進路です。第二の候補地はここで、第三の候補地はここです。この地図だけで見ても、実際問題としてその距離の状態がわかるでしょう。標的はここなのです。アメリカの空軍がこういう地域へどんどんたまを落してここへは落さないのですか。率直に言ってそういうばかなことはないのです。しかもこの地域はここに陸上自衛隊の爆破演習場があるのです。この問題こそは重要なのです。実際問題として、今度断わられている理由になっていると思う。これは米軍の使用の問題じゃないのです。日本の陸上自衛隊の使用の問題になってきていると思う。そういう問題のために、陸上自衛隊の爆破演習場をどこかほかへかえれば、この問題は解消するんだ。その問題と、原子燃料公社敷地の問題というのは、全国あちらこちら探して、なかなか敷地が定まらない重要な条件を持っている土地なのです。そういうことを考えましたときに、私はこの米軍から断わられてきている理由は、米軍爆撃演習というその問題だけじゃないということなのです。そしてそれは然料公社に対する回答の中に書かれている将来の日本軍という問題、今日の陸上自衛隊の爆破演習場という問題と関連があると思うのです。そういう点から、私は調達庁よりむしろ大臣にお聞きしたい。これはきわめて重大な問題です。われわれはやはり原子力産業というものの発展を期するために、非常な英知をしぼって原子力研究所を作り、三十二年度予算には膨大な予算をこれにかけて、とにかく進んだ各国に対して追いつき、追い越そうという努力をしておる。だから、ここではもうわれわれの及ぶ限りの努力をして、一分一厘たりともミスのないように、ロスのないように、こういう計画を立てていかなければならぬと思います。しかもこの原子燃料公社敷地の問題は、先ほど来いろいろな問題のお聞きの通り理由のために、最適の地が捨てられて、むしろ非常に条件の悪い地域、これは大臣が現地へ行ってごらんになればおそらくわかりますが、あれを安全に使うとしたならば、まず久慈川河川改修を完全にしなければ、水害のときは十分でないような地域、しかも十万坪の土地のうち使える土地高橋さんの言葉を借りていえば五万坪しか使えないという土地、こういう土地になぜ無理をして設定をしなければならぬのだろうかという問題、しかも片方では、最適の地は、今申しましたように米軍の断わっておるような危険があるとかなんとかいいますが、実は米軍爆撃演習のための危険ではなくして、日本の自衛隊の爆破演習からもたらされておるところのいろいろの問題がそこに含んでおるのだということになりますれば、これは日本政府としてもっと真剣に考うべきことだと思うのです。私はこういう問題について大臣の所見を承りたい。
  54. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 陸上自衛隊の爆破演習場の地としてこれが使われておるということは、私としてはよく知りません。今お示しになった図面から見ても、その土地があなたの誓われるような状況に使われておるというのでしたら、われわれとしては話を思い切るのはまだ早いのじゃないかとも思います。従って、そういうふうな実際の現地の取り扱い状況ということ、関係官庁との連絡等はもう一ぺん考えてみたいと思っております。いずれにしても、あなたもおっしゃるように、燃料公社敷地というものは、将来影響のある大事なものであるから、その点につきましては万全を期すべきだと思っております。従来の問題は私よく知らない点もあります。しかし、あなた方のように長年その土地に住まわれて知っておる方の言われることは、私はなおもう一ぺん余裕をもって話を進めるだけのことはいたしたいということを申し上げておきます。
  55. 石野久男

    石野委員 私は今大臣の言われるような線で、敷地の問題を——もちろん人間として長きに及べとは言わないが、できるだけ早く関係官庁の連携をとって、やはり将来に悔いを残さないような観点からこの問題を考えていただきたいと思います。実際は防衛庁長官にここに来てもらって、こういう問題について意見をお聞きするのがいいのだろうと思いますけれども、しかしすでに大臣から関係各省との間に話し合いをして、なおその上でまた米軍との接触の場を求めていくというような考え方をお聞きしましたので、私はその点で一つ善処していただきたい。そのあとでまたその結果をわれわれにお聞かせ願いたい。くれぐれも申し上げたいのですが、われわれは行政協定や日米安全保障条約の中で米軍が使っておる地域についての米軍の発言をあれこれ言うということについては、それぞれの機関を通じて言わなければなりませんけれども、しかし、この米軍というものは、やがてこの国を去っていくものであるとわれわれは思っておる。それは長きにわたらないと思っておる。原子力の問題は日本の国の生きるか死ぬかの問題をここに集めておる重要な問題だと思います。そういうときに、われわれはやはり原子力研究所の問題と燃料公社というものは、両足としてこの産業育成のために重要な問題だと考えておるときに、すでにその発足の前に不十分であり、不満足であるというようなところから発足するということは、国の将来のためによくないと考えますので、こういう悔いを残さないように、原子燃料公社敷地の問題は十全の策を政府がとってもらうように要望して、私のきょうの質問を終ります。     —————————————
  56. 菅野和太郎

    菅野委員長 この際、参考人決定についてお諮りいたします。すなわち、技術士法案につきまして、日本技術士会会長井上匡四郎君、PSコンクリート株式会社社長平山復二郎君、以上の二名を参考人決定し、その意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 菅野和太郎

    菅野委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十六日、火曜日に開会し、ただいま決定いたしました参考人より意見聴取を行います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会