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宇田国務大臣 三百万キロという問題は、結局長期の
エネルギー計画をどう立てるかという問題であって、そして
昭和三十五年末に送電を開始しなければならぬものが八百四十万キロ、その中で
火力が四百八十万キロということです。四百八十万キロの
発電を
昭和三十五年末に獲得しておかなければならないというためには、
火力発電の
設備を大体ただいまのところ
アメリカに発注しておるのが大
部分であって、そうして、それの
燃料計画を見てみると、どうしても
昭和三十五年末に
石炭に換算をして
所要炭千七百五十万トンが必要であるということになっております。それで、
船腹の
状況を見てみると、きょうの
新聞にもあるのでありますが、四百万トンを越しておりますね。
アメリカと四百万トンの
買炭契約をやっておりますが、それに対する
船腹はどうかということになると、御
承知のように、
マリーナ型の船を
アメリカで今作っております。
マリーナ型の船は一千万ドルといわれております。一千万ドルの中で五百四十万ドルは
政府が免担する。そうして三分五厘の金利で二十年間の年賦の船を
政府は
マリーナ型として奨励しておる。
スピードは
ニューヨーク・
横浜間が二十一日、
日本の現在持っている一番能率のいい船は十六、七ノットであって、それは
ニューヨーク・
横浜間は二十六日ということになっておる。そういうふうな
競争をして、しかも
運賃は向うが一割安い。
スピードの早い、
マリーナ型のような二十ノットの船を持ってきて、そうして
日本の
海運界に挑戦をして、しかも約一週間早く船が着く、そうして
運賃は一割安い、そういうものについて
日本の
海運界は非常な危機を前に控えておる
状況にある。そういうときに、わが国が
石炭を四百万トンも
アメリカから買わなければならぬ運命を持っておる。そういう
日本の船に積むと一割損のつくようなことになるなら、おそらく四百万トン以上の今年買い付けてある
石炭にしても、そういうような
スピード・アップされたような船によって運ばれてくるというのは当然だろうと私は
考えます。従って、そういうふうな
外国船で、
輸送のための必要な
コストの大
部分がかかるところの
石炭を
アメリカから買うというよりは、使う
エネルギーを
原子力に求めていくことが好ましいんじゃないかということは、当然のことだと思いますね。従って、今のような
火力の
発電設備を
アメリカに注文して
日本に持ってくるというなら、それよりは、
原子力発電の機械を
日本に持ってきて、同じように
アメリカから
石炭を買うなら、むしろ
濃縮ウランを
ハンドレッド・パーセントのやつを持ってきて、そうして、今年のアイゼンハワーの発表によると、二万四千キログラムは国際的に売り出すというから、それを買ってきて、そうして一トン持ってくれば三百三十万トンの
石炭に匹敵する
エネルギーがあるというのですから、そうすると四百万トンというなら一トン少しあれば足りるわけですね。そうすると、
マリーナ型との
競争に耐えないような
日本の船を犠牲にして、
アメリカの船に全部
石炭を積んでくるということでなしに、
飛行機一台で持ってくれば到着するという
環境にあるわけですね。従って、少々の危険があっても、少くともそういうようなことを
目標にして、われわれは、
燃料対策から
考え、
輸送対策から
考えてみると、どうしても三百万キロというものは、この四百八十万キロの中で
原子力発電によって
解決する
方法はないかというのは、当然のことだと思いますね。そういうふうな国際的な
——民族の経済をどうしても彼と同等の
程度に
解決をしたいという条件の中におって、しかもそれの
解決をわれわれは前に見て、
方法はないかというところに追い込まれてきておるということですね。
一昨日も、
アメリカから、新しい青写真について
——今の加圧水型というやつですが、それを
アメリカが今度一台
国内に据えるそうですね。十四万キロのやつを今注文を受けて、製造に取りかかっているといっておりましたが、それの話を聞いてみると、
コストは
日本の金に直して三円六十銭くらいのものだといっておりました。それで、私は、そういう口先のことではどうにもならぬでしょうから、向うへ行って直接それをわれわれはもう一ぺん
調査したい、できたら
日本でパーツは何ができるかということを調べたいといったら、
日本でできるものはあるが、一番手っとり早いものは、
冶金の
技術のごときものは
日本にない、これは来てもらったらごらんに入れましょうといっておりました。そういうようなわけで、今発注しているのはコンソリデーテッド・エジソン・カンパニーというのに発注しておるそうですけれ
ども、その発注しているものは何ヵ月すれば仕上るのだろうかといったところ、四十カ月といっていました。
アメリカでは四十カ月、
日本へ持ってきた場合には
——汽車輸送ができない、鉄道の
耐圧力がないからということですが、
日本ですと、発注以後四十五カ月。それでは一ぺんに何台できるかというと、それはほんとうにやるんだったらやりますよ、
アメリカの
生産技術でいけばやることはできますよ、こういっておったです。それで、現在八
種類くらいのものを
研究しています。ブラジル、ペルー、メキシコ、それぞれ一万キロのものを
アメリカの会社が作って、それを持っていって、そしてそれぞれの国で実際に
発電をして、それでテストをしてみたいと思っている、とにかくそれはやるのだというわけです。
そういうようなわけで、非常に夢を描いておるとは思いませんね。ただ、
日本で作って、
日本のもので仕上げていかなければならぬとということになると、容易なことではないと思いますね。そういうことです。