○
新倉参考人 昨年の十二月二十一日当
委員会の
皆様方の御
配慮で、
関係省である
通産、
運輸、それに
業者、
需給双方が参加をいたしまして
懇談の
機会をお与え下さいましたときに、スエズ問題を契機とする
再往の
値上げに対して、底止することを知らない
ガソリン価格の
値上げが、
輸送を
低額運賃で担当しておりまする
一般業者の
立場からまことに
負担にたえないというので、いろいろと
意見の
開陳を行いましたが、その
機会をお与え下さいましたときに、すでにこの問題はある程度
国会において処理をさるべき性格を持ってきたと信じておりますし、当時この催しをして下さいました当
委員会の
皆様方に厚くお礼を申し上げ、かつ引き続いて
ガソリン税の
問題等にも不断の御尽力を願いましたが、それは本日の議題から別といたしまして、続いて一月、二月、三月とこれは主として
ガソリンの税の問題に取り組んで参りました私
どもといたしましては、
ガソリン価格の問題と挾撃を受けまして苦労しておったわけであります。たまたま十二月二十一日の
懇談会の席上、すでに
日石は第何回目かの
値上げを発表いたしもまして、そうしてさらに高いのである、こういう
高値を叫んでおったわけであります。
なおその
懇談会の結論は、公正なる
皆様方の御
配慮で、
需給双方が
一つよく
話し合いをしてみたらどうか、こういうことで結ばれておったのであります。深く
委員会の
皆様方の御
配慮を体しまして、その後油の
値上げに対しましては、できるだけこれを送ってもらって、税の問題もあることではあるし、かたがたよく
需給双方が立ち行くような
価格の問題を検討しようじゃないかという意味で
話し合いを進めた。ところが
石油連盟に主としてこれを
申し入れなければならぬ形であったところが、
石油連盟といたしましては、
独占禁止に触れるきらいがある、こう信ずるから、
価格の問題で
お話はできません、またその後私
どもから
再往再四
申し入れをいたしました文書に答えて、
日石その他では売っている油屋と
価格の問題をきめたらいいではないか、おれ
たちの知ったことではないというふうな答えをしているわけでありまして、一月に再三再四の
値上げが行われまして、そうしていわゆる三月末の
価格というものを作っておるわけであります。三月末の
価格というものにつきましては、当時
日石の副
社長である栗田さんが朝日新聞の
経済面に
所見を発表いたしまして、
揮発油税はある程度かかることはやむを得ないと思う、しかしやむを得ない場合においては、その税額全部をこの際
消費者に
負担せしめることは、まことに当を得ていない、
自分たち石油業者もある程度
負担をしなければならぬと信じておる、こういう
所見を発表しておるわけであります。そこで私
どもは、四月から税がかかりましたので、直ちに
税込み幾らで
取引をいたしましょうと言って、
価格の折り合いをつけるためにあらゆる
方面と
折衝を始めたわけであります。そこで、それでは高いとか安いとかいうことは、これは商売ですから、いろいろと
交渉はありましたが、とりあえず今まで払ったものは全部内払いをいたしまして、
決定額がきまりましたら、さっそく残額を払うということを申し合せまして、
取引を進めていったわけであります。そこで四月、五月と、こうつながっておる間に、六月に入りますと、急に情勢が変って参りまして、
石油方面から強い
申し入れがございました。
以下、私は
意見を申し上げることを避けまして、事実を申し上げます。私
どもが直面いたしました事実を申し上げまして、そうして
委員各位の御
参考に供したいと存じます。六月に入りまして
価格の問題は、私
どもでかなり大きな
数量でありますので、連日
折衝が始まりました。とっておりましたのは、
シェル関係の
昭和石油と
日本石油関係の諸社、それから
出光興産等が
中心でございました。ほかにも少しございました。そこで多いときには約二千キロに近いものでありますから、約二千台の車が、
大和自動車を初め、私
ども関係者の車を動かすに足る油を扱っておったわけであります。それの
共同購入の形において、
大和自動車用品という
会社が油の受け入れをいたしておったわけであります。従ってそれぞれの
中小企業の
業者の
立場も考えまして、できるだけ安定した、しかも穏健な
価格ということにして、私
どもとしては、四月にはとりあえず三十三円で
一つ私が小さい
業者に一ぺん
取引をしてみましょう、あるいは三十三円をこすかもしれない、こした場合には私が
負担をいたします、もし三十三円以下にきまりましたらお戻しをいたします、こう言うて小さい
業者に対しては三十三円という
高値を私が露骨に出したために
——これは私の腹でありましたが、腹でそういう金額を出してみたので、問題を起したことは事実と思いますけれ
ども、それが
中心になって
価格の
折衝が行われたことは事実であります。しかるに六月の十五日、
日本石油関係——これは
日石じかではございませんので、
日石の
代理店の
日加石油、
大丸石油、
日新石油、
同和石油が
取引の相手でありましたが、そこから口頭をもちまして、
大和自動車用品には
品物は渡すわけにはいかないというので、
配給停止の
通告を受けました。さような
態度は
日石が特に強いということを見ておりましたので、順次
数量を減らして、私は背水の陣をしいておりましたから、この
数量はそう大きな
数量ではなかったし、それほど脅威を感じませんでしたが、同日引き続いて行われました
シェル石油、いわゆる
昭和石油との引取は六百キロに達しておりました。六百キロの
取引でありましたが、それが非常に仲よしでして、談笑のうちに
販売課長が
会社に見えまして、私の
担当専務、常務と話をしておりましたところが、この問題に触れまして、
円満解決をはかりたいから、一応本社と話をした上でごあいさつを申し上げますと言うて帰ったとたんに、電話をもちまして、本日以後
日石と同調いたしまして
大和自動車用品には
出荷をいたしかねます、オーダーは切りませんというて
通告を受けたのは六月の十七日であります。従って私
どもは二千台近い車を擁し、
従業員諸君とともに盆を前にして
営業停止のいわゆる死活の
岐路に立ちましたので、大急ぎで手配をいたしまして、
出光興産にその
不足分のおおむねを
供給してもらうようにお願いいたしまして、
出光興産との契約をある程度進めました。そうしておりましたところが、六月二十七日に私
どもの
大和用品の
社長彦坂の名儀をもちまして、
通産大臣水田さんと
運輸大臣の御両所に向いまして、
出荷停止を
出光興産にもやらしめるということを言うておるから、さようなことのないように
一つ両
大臣において御
配慮を願いたいという
上申書を出しております。この写しをここに持っておりますから、後ほど何でしたら
委員長の手元にお届けをしてけっこうだと思います。
それは、
折衝過程におきまして
出光が
幾らで約束したかしらぬけれ
ども、
出光だけが納めるとは不都合である、七月一日の
政策委員会において断じて
出光の
出荷をも停止さしてみせると、
日石の
社長並びに
幹部が私
どもの
幹部に豪語したのであります。断じてとめてみせるということでありましたので、私
どもは
出光の分もまたとまってしまうということであれば、何をか言わんや、
東京の二割の
タクシーは全部この
出荷停止の
強行手段によって
営業停止を受けなければならぬという重大な
岐路に立たされる、こう存じまして
上申書を両
大臣にお願いしたわけであります。
そこで、私は病中でございました。ずっと五月以来入院並びに通院をいたしておりまして、今日でも実はこのみすばらしい姿で
出席しておる始末でございます。途中頭を押えますのは
神経痛でえらく悩まされているわけでありますからで、
会社に出ておりませんでしたが、事の重大にかんがみまして、さっそく
出光社長をたずねまして、あなたのところで
出荷をとめてもらっては困る、こう申し上げましたところが、正常な
取引をしているのを
出荷をとめるということは
自分としては考えない、ただ
政策委員会がいかなる
態度でわれわれに圧力をかけるかということについては、これは七月の一日になってみなければわからぬ、こういうことでありました。ただその
政策委員会と号するものがどんな正体のものか、
匿名トラストであるかないしは
政府の関与したところの、
強行手段を講ずるに足る組織であるか、そういう内容は全然私は存じておりません。ただ
政策委員会と号する
名前だけを聞きましたので、それが私のところの油を全部とめてしまうということであるわけでありますが、たまたまとまりませんで、今日は
出光興産を
中心とせる御同情がありまして
石油の
配給を受け、
営業を辛うじて続けているので、この点につきましては
委員の皆さんにも
一つ御安心を願っていただいてけっこうだと思います。
ただ私率直に申し上げまして、この問題でまことに遺憾なのは、私は三十幾年
問自動車界に臨みまして団体の
代表等をよく勤めました
関係上、言うべきは言い、
中小企業のためにあるいは
輸送力確保のために、
一般働く者の
大衆の
利益のために、値が上っても
運賃は上げないという
一つの大
理想を実現するために今日まできておるわけでありまして、
揮発油税が五千三百円上った、
石油はスエズ問題による
値上げで、
ダンピングの是正とともに八千五百円上った、それでもなおかつ四月以後
タクシー、
トラック等の
運賃は少しも上げておりません。また上げずに低
物価政策に協力できればと思って今日まで努力しております私の
立場は、
中小企業がこれに耐え得るかどうかということで小さい
業者を救って、そこで働く
一般の
労働者諸君の
労働条件等を緩和しまして、できるだけ
交通事故を少からしめるような
安定下に置きたいという一念に燃えておるために、かなりにお願いすることは強くお願いしておる、これが私の
自動車界における一生
——おそらく余生は短かいと思うのですが、その一生は、その
代表者であるがゆえに
関係会社を
石油会社が全部油をとめることによって
営業停止をするというふうなことは
——私は
死刑の
宣告は裁判所でも容易にはせないのだが、油によって
死刑の
宣告ができるとするならば、このくらい
わが国の
燃料政策の上において大きな反省をしなければならぬ問題はないと信じておるのであります。いまだかつて
交通運輸界及び
燃料需給双方の
関係において、かくのごとき姿というものを見たことがございません。いち早く
東京の
石油協会は、こちらの言う
価格を払わぬものに対しては五日より
出荷停止をする、五日を十五日まで延ばしてやるから言うことを聞けと言っておりますし、それにすべての音頭をとったものはまさに
日石であることに間違いはございません。
日石は
シェル石油と
相談をいたしまして、私から言うならばこの暴挙をもって私のところにまみえてきたのでありまして、私は
全国の
代表者なるがゆえにこの苦難は当然覚悟はいたしますけれ
ども、かような問題が
わが国の
輸送力安定確保の上において果して許されることであるかどうか。値の
交渉過程において一方的に、片方の言い分を聞かなければ直ちに油の
供給をとめてしまうという
わが国の
石油政策であるかないかということを、
国会において将来とも御検討を願いたいと思っておるのであります。この問題は
わが国自動車交通史上特筆大書すべき将来への重大な問題を残しておりますから、軽々にこれを扱う
気持はございませんので、
時日、相手方、その
折衝、こういうものを克明に今記録をさしております。その点につきましては、後日こまかく提示することをお約束いたしましてけっこうであります。
ただ一言私は
意見を申し上げますが、かような場合考えさせられるのは、
わが国民が特に重大なる
発言資格者として存立するゆえは、原水爆の
実験禁止等たくさんございましょうが、
石油問題をとらえて言うならば、
地上にわき出るところの
石油は
世界人類の幸福と平和のために、妥当な
価格をもって公平に配分され、公開されるべきものだと信じておる。
戦争を起すものは
石油の
供給をとめたり、あるいは
石油の一方的な
偏在等が
戦争事態というものを起しておるとも考えられるのでありますから、平和を憲法にきめ、そうしていわゆる平和の
国民として
世界人類に国連を通して呼びかける提唱をできる
資格者は、わが
日本政府であり、
日本国民であると信じます。
地上にわき出るところの
石油資源が、一方的な一
商社の
利益のために売られたりあるいは停止されたりすることはあり得ないのみならず、
日石、
シェルその他
外国資本がおおむね入っておりまして、その
支配下に属しておると思うのでありますが、その
政策のいい悪いは別としまして、それらの国の大もとの社のスタンダードの
社長さん、あるいは
カルテックスの
社長さん、そういう
人たちは、
岸総理がお帰りになりましての
お話のように、
東洋における
日本の
立場というものを重視し、その
国民の幸福を念願し、さらに
平和的友好関係を持続し、その
国民が平和の上に
産業の拡充をはかって栄えることに
十分協力をすることを惜しまないところの、高遠な
理想を持っておると思うのであります。
石油のごとき問題につきましては、
東洋の各国よりもぬきんでて、そのひいでておるところの
日本に対して、重要な使命を持つ
日本国民に対して、できるだけの利便をはかろう、
中小企業を育成してやろうという
気持が彼ら大
石油会社の
首脳部にはあると思います。これはあらゆる情報から間違いないことでありまして、われわれと
友情関係にありますところの
アメリカの
タクシー会社の
代表者等が、
石油会社の
首脳部はそう言っておりますよ、安心して
一つ日本の
自動車を発達させて下さいということを伝えてきておりますから、深くその
理想の正しさを信じておりますが、そうした
アメリカのいわゆる出先のどういう方々か知りませんが、それらの人が
日本の
商社の
首脳部と
相談をされまして、われわれ
国民に向って、われわれ
消費大衆に向って、お客に向って、値の
交渉中に
品物をとめ、もって
価格の一方
的決定をはかろうとするがごときことは、私
どもは
自由経済とはいえ、
石油の
重要性にかんがみていまだかつてないところの事実であり、
日本の
交通史上に
一大汚点を残すものだと信じて疑いません。この点につきまして一応事実を率直に申し上げまして、
あとは私がただ
意見を添えたのでありますから、その
意見についてはこれは
一つ御批判を願ってけっこうだと思います。以上公述を終ります。