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山口(丈)
委員 時間がだいぶたちましたから簡単にいたしますが、私はこの自動車従業員のいわゆる
違法行為に対する
指導行政を適切化してもらうように強く要望いたします。
それから第二にその根本をなすものはずっと探ってみますと、やはり
労働者の就業条件というものに大きく響いておるわけでありますから、従ってこの就業条件の適正化のためには
基準局は格段の
努力を払っていただきたい。
それから次に私は自動車局にお願いをしたいのは、
ハイヤー、
タクシーの
免許と
業態それからまたバス等の
業態とは全く異なった
状態である。従って今日のバスというものは公益性と
ハイヤー、
タクシーというものの公益性、これを同一度には私は考えられないというふうに思います。少くとも私は
ハイヤー、
タクシーの
免許等に当りましては、従来聞くところによりますと、
ハイヤー、
タクシーの
業界がこういうことを言っている。少くともうちの
会社では交通
違反を起さぬような
運転手は役に立たない、こういう乱暴なことを言います。スピード
違反の罰金を取られぬような
運転手は私
どもの
会社では役に立たぬ、こういうべらぼうなことを言っている。そうして水揚げの苛酷をしいる。そういうことによって自動車の
運転手にすればやむを得ず
違反をすれば、行政官からやられる、司法官から
処分せられる。
違反を犯すような働きをしなければ水揚げが上らないから、今度は
業者からやられる。腹背から張り倒されて仕事をしているような実情です。こんなことではかわいそうなのが自動車の
運転手です。ですから私は先ほどからるる御
説明しつつ御
質問申し上げたように、今後における自動車の
ハイヤー、
タクシーに限っては、少くとも
増車するに当っては、
労働者の
雇用条件が
基準法に合った明確な条件を有するもの、及び交通
違反件数の累増している
会社には
免許しない、このくらいの決意を持ってもらいたい。同時に、聞くところによれば
ハイヤー、
タクシーの台数の
増車等に当っては、今
広島の
タクシーの例をあげましたが、ともかくも背後に有力なものがあるとかなんとかいうことになりますと、
営業を今申し上げたように良心的な条件でやっておろうとやっておるまいと、そんなことをやはりおかまいなしに一方的に
増車している。良心的に正直にやっている者はおとなしいものですから、従って何も言わないで
増車もどんどん大きな方に大きな方にと持っていかれてしまう、だからますます苦しくなるというような
状態にあることが一点、それから今の新免の問題ですけれ
ども、
ハイヤー、
タクシーの新免の問題にしても、経験がなければだめだとかなんとかいうようなことで、それに非常にウエートを多く置かれているようであります。それなら
ハイヤー、
タクシー営業を始めるのに、初めから経験を持った者はないはずです。それではほんとうに良心的にやって
業界を改革してやろうという意気を持って新免を出しても許可されない。そうして非良心的な者がどんどん
増車されて、一方的に利益を得るというようなことでは私はならないと思うので、少くともこの新免の許可に当っては、むしろそれを重点的に置いてやられる方がいいのじゃないか。そうしてただ権利取りであるかどうか、こういうような点について十分に
調査をされて、ほんとうに良心的なものであれば少くともこれに許していく、あるいはまた新免をやる場合にも、経験がありとすれば、従来からの経験の経歴を見て、こういうようないわゆる諸
法規に合致した
営業をやった経験があるかどうか、こういうことを精細に調べられて、そうしてしかるべき
処置をとられることが私は望ましいと思うのですけれ
ども、これについて
一つ所見を承わっておきたいことが
一つ、それからバス
会社などにおきましては、御承知のように今日の
地方鉄道におきましても、あるいは国鉄においても、鉄道もバスも同じことでありますが、必ずしも黒字で採算のとれるところばかりはないのであります。けれ
ども、公益性を有するために、たといそれが不採算性でありましても、少くともその
地方開発のためにバスを通して、非常な貢献をいたしておるのであります。これは黒字路線の収入を赤字路線に回して、
企業全体としてのバランスの上に
経営をいたしております。そしてそのバランスの上に、
労働者の
労働条件等を維持するために懸命の
努力を払っているというのが今日の事態であります。中には高額な配当をいたしておるものもありましょうけれ
ども、少くとも今日のバス
会社は、一方においては派手に見えますけれ
ども、ほとんどが大きな配当を行なっているところはないのであります。こういうところへいたずらに黒字路線のみを目当てに一いかなる名目でありましてもいたずらに競願を許すということになりますと、これはそのために
企業の安定性を欠き、
企業の安定性を欠くということになりますと勢い、それは
車両の更新あるいは保守、償却等に対して非常な支障を来たす。そうなりますと、これは鉄道ではない、無軌道のところを走るのですから、このような危険な
車両に貴重な人命財産を預けるわけには参らない。ただ一回通るよりも二回、二回通るよりも三回通る方が便利であるということだけをもって、貴重な人命財産をその
交通機関に託すということはできないと思うのであります。こういう意味において、私はこの種の
営業路線のうちの黒字路線だけを目当てに過当な競願をされるような、こういうようなものに対しては、断固排撃せらるべきだと思う。それでなければバス従業員として、車の保守、修繕も十分にやられないようなところでハンドルを持たされて、そして多数の人命財産を預かって仕事をするわけに参りません。もしあやまちがあれば現場の
運転手だけが罰せられて、そしてそういうような不合理性について何らの検討も加えられないというに至っては、これはまことにもって心外千万な話です。ですから、こういう点は十分にお考えになって、だれが何と言おうと、こういう実態をよく把握せられておるのでありますから、その
通り不動の
指導精神をもって、過当な競争にわたらざるように適切な
措置を講じてもらいたい。もし沿線の住民が不便を感じ
増車を望みまするならば、そこは
行政指導によって
業務の
改善命令を発するなり、適切なる
措置を講じていかれることが私は望ましいと思う。従って、全然
免許をするなと言うのじゃありませんけれ
ども、少くともそれらの点を考えた上で、適切なる
処置を講ぜられるように望みたい。これは希望と同時に、
一つ所見を承わっておきたいと考えるわけです。