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1957-04-12 第26回国会 衆議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十二日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 井岡 大治君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       生田 宏一君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    永山 忠則君       濱野 清吾君  早稻田柳右エ門君       小山  亮君    下平 正一君       中居英太郎君    松原喜之次君       山口丈太郎君  出席政府委員         調達庁長官   今井  久君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 磯  淳爾君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  伊丹飛行場返還に関する件     —————————————
  2. 淵上房太郎

    ○淵上委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  空運に関して調査を進めます。質疑通告がありますので、これを許します。松原喜之次君。
  3. 松原喜之次

    松原委員 実は私は航空関係については全くのしろうとであるし、その上不勉強でありますので、はなはだ初歩的なお尋ねをするかと思いますが、二、三質問を申し上げたいと思うのであります。  去る四月の四日に大阪府下伊丹飛行場米軍から返還される予定であるというようなことが報通されました結果、参議院の内閣委員会で同日若干の質疑が行われたのでありますけれども、その記録がまだできておりませんので、あるいはその間重複のきらいがあるかもしれませんが、一つその点は御了承願いたいと思うのであります。まず調達庁の方にお伺いいたしますか、ただいま申し上げましたようにこの伊丹飛行場米軍から返還されるという新聞記事が載っておりましたが、これは果して事実であるかどうか、もしそれが事実であるとするならば、その間の経過及び返還さるべき時期の見通し等について一つお答えを願いたいのであります。
  4. 今井久

    今井政府委員 ただいまの御質問に対しまして私からお答え申し上げます。去る四月三日付をもちまして、日米合同委員会の下にあります施設委員会米側の代表より私に対しまして、近き将来において伊丹飛行場返還する用意がある、こういう通告があったのでございます。この三日付の通告はきわめて簡単でございまして、時期等につきましても、ただ単に近い将来において返還する用意があるということでございます。私の方といたしましては早速この時期等につきましても問い合せをいたしたのでございますけれども、その時期等につきましてはまだ私の方に明確な話はないのでございます。おそらく返還いたすことになりますと、現在の施設をば撤去いたしますとか、あるいは残務整理等いろいろ準備の都合があるのじゃないかと思いまして、いずれこれがめどがっきますれば、的確なる返還の時期等もこちらに通告して参ることであると存ずる次第でございます。
  5. 松原喜之次

    松原委員 時期の問題がまだわからないということでございまするが、公知のように伊丹飛行場はその余の飛行場とともに、米軍要請によって拡張するということになっておるのですが、その拡張との関係はどういうことになりましょうか。
  6. 今井久

    今井政府委員 御承知通りに立川、横田、小牧等五つ飛行場とそれから伊丹につきまして、米側から三年ぐらい前でございますが、拡張の要求があったのでございます。政府といたしましては伊丹飛行場につきましては、五つ飛行場拡張が済みました後におきまして取り上げるという態度で従来きておったのでございます。そういうようなことで五つ飛行場がまだ全部済んでおりませんので、伊丹飛行場につきましては、拡張等地元に対しまする手続等も今日までとっておらなかったのでございます。ところが御承知通りに一昨年ごろでございますか、この伊丹飛行場国際空港にしたいというような地元の御要望かございまして、私どもの方にもそのお話がありましたので、私どもといたしましてはその地元の御要望等につきましても十分検討いたしまして、今日に及んでおったような次第でございます。従いまして今回返還されるということに米側の意思が発表されましたる以上、従来の問題は全部なくなりまして、今後この返還された伊丹飛行場を、日本側においてどういうふうにするかということが残ってくる問題だと思う次第でございます。
  7. 松原喜之次

    松原委員 そういたしますると、伊方飛行場米軍側からの要請による拡張計画は、一応調達庁としてはもう問題外になったというふうにお考えかと思いまするが、大体そういうふうに了解していいのでございますか。
  8. 今井久

    今井政府委員 お話通りでございます。
  9. 松原喜之次

    松原委員 そういたしますると、今度はおそらく拡張問題を、国際空港という観点から各方面から要求してくるであろう、こういうふうに思うのであります。そこで非常に大事なことは、われわれといたしましても軍事基地としての拡張には実は反対をして参ったのでありまするけれども国際飛行場としての拡張ならばまた違う考え方がある、かように考えておるわけであります。しかし近き将来というのはいわば不定で、五年先でも近き将来なら十年先でも近き将来であり、あるいは一ヵ月先も近き将来、ほとんどつかみどころのない近き将来という言葉でありまするが、あなたのお感じといたしましてはやはりそこに一定のニュアンスがくみ取れると思うのでありますが、大体どの程度のものと考えられるか、一つお漏らし願いたいと思うのであります。
  10. 今井久

    今井政府委員 米側から私の方に申して参りました近き将来ということにつきましては、私どもとしてもなるべく早くこの時期等も確定いたしたいというふうに実は念じておりまして、先日もさっそく米側に対してその点を問い合せた次第でございます。ところが先ほど申し上げました通りに、今のところ何月ごろということを的確に申すことは困難であるという答えでございました。従来米軍側といたしましては、このような施設返還ということにつきましては、ただいまの伊丹の場合のように予告をして参ります場合もありますが大多数は直接直ちにくるという場合が多いのでございます。予告をして参ります場合には、多く近き将来という言葉を使っておるのでございます。その実績等も調べてみますると、お話のように一年も二年も先というようなことは従来なかったのでございますので、私どもといたしましても、先方がなるべく早く返還というここを知らしてやりたい、こういうことで言って参った好意的なものであると思います。われわれとしてはなるべく早く返還してもらいたいということも、今後折衝していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 松原喜之次

    松原委員 この際ついでにお伺いしておきたいのです。ちょっと地方的のことになってどうかと思うのですが、今大阪府下兵庫県下で米軍施設というものはどれくらい現存し、そしてそこにおる人員はどれくらいのものであるか、それらの処理は近き将来どう変化するかということがわかっておったら一つお答え願いたい。
  12. 今井久

    今井政府委員 御質疑の点につきましては、私今的確なる資料をここに持ってありませんので、明確にお答えできないことを残念に思う次第でございます。ただ大阪並び兵庫県につきましては、伊丹飛行場施設中心になりまして、それに伴う施設兵庫県下あるいは大阪府下に相当あるのではないかと思います。従いまして伊丹飛行場返還がされました場合におきましては、それに伴いましてそれらの施設返還ということも自然起ってくるものであるというふうに考えまして、私ども準備を進めていきたいという考えを持っておる次第でございます。ただ近畿地方といたしましては、大津に御承知陸軍部隊がおるのでございます。騎兵第一師団の配下にありますところの部隊が現在おりますので、従いましてその陸軍部隊関係演習場とかあるいはその部隊の兵舎、それからそれに伴いますところの住宅というようなものが、あの近畿地方にまだ相当あるのでございます。従いまして伊丹返還だけでは諸施設が全部なくなるというわけには参りませんけれども近畿地方におきましては近き将来におきましては、相当多数それらの点についての返還が行われていくものであるというような予想を立てておる次第でございます。
  13. 松原喜之次

    松原委員 そういたしますと、伊丹飛行場関係のただいま米軍が使っております施設というものは、もしこっちへ返還した場合にはどういうふうに処理されるのでありますか。
  14. 今井久

    今井政府委員 現在米側に提供いたしておりますところのいわゆる施設につきましては、私有に属しますものはもとの所有者返還いたすのでございます。それから国有に属します一般国有財産大蔵省の方で所管します。それから行政財産につきましてはそれぞれの諸官庁返還する、こういう手続になると思います。
  15. 松原喜之次

    松原委員 飛行場内にも相当大きな米軍施設があるのですが、これが取り払われるのですか、それともこれは大蔵省所管にはならないと思いますが、どこの所管に移る見込みですか。
  16. 今井久

    今井政府委員 伊丹飛行場施設につきまして数字を申し上げますと、土地の総面積が約六十六万坪余でございます。そのうちで民有が約七千坪弱でございますが、それ以外は全部国有でございます。それから提供の建物につきましては一万五千余坪というものでございまして、そのうち三千坪ばかりが民有になっております。従いましてこの民有に属しますものについては、返還が確定するということになりますれば、おのおの所有者に返るということになると存じます。
  17. 松原喜之次

    松原委員 次にこの際ついでにお伺いしておきたいのですが、その飛行場がもし返還されたときには、残務整理等は別として、それが済んだ後には、一体関係従業員についてはどういうふうなお考えがあるのか。それはそのときになってから考えるというようなお答えでなしに、それほど的確に、この通りするのだというものでなくとも、大体こういうふうな方針をとるのだというふうにお答えを願えばけっこうでありますから、一体どのくらいの従業員御用済みになってどうするのだというような点をお聞かせ願いたいと思います。
  18. 今井久

    今井政府委員 伊丹基地関係につきまして、いわゆる駐留軍労務者の数は三月一日現在におきまして一千二百名ばかりあるのでございます。私どもといたしましても、今御指摘になりました通りこの返還に伴いまして、これら施設に雇用されております多数の人々が職を失うおそれがあるということにつきましては、実は深刻に心配いたしておる次第でございます。従来の例によりましても、たとえば呉におります国連軍が全部いなくなるということで、呉におきましてもこの数字の何倍かの多数の人々が職を失うというようなことになった例もございます。また従来米軍の大きな部隊が急に他へ移るとかあるいは帰るというようなことで、多数こういう人たちの職を失うという場合が起きておるのでございます。この点につきましては、調達庁のみならず労働省その他政府関係方面にいろいろ深い関係があるのでございますので、政府におきましても特需対策協議会というものが内閣にあり、これらの人たち失業の防止その他につきまして関係官庁連絡して、適切なる方策を講じておる次第でございます。私どもといたしまして、現実におきましてこの伊丹基地に雇用されておる労務者につきましても、これらの関係機関と密接なる連絡をとりますとともに、でき得ることであればこのまま土地を変えないで何とか他に転用する道はないかということにつきまして、今後十分慎重に考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 松原喜之次

    松原委員 その問題については、おそらく社会労働委員会等でいろいろ問題になろうかと思いますので、あまり深くはここでは御質問せぬことにしたいと思うのでありますけれども、従来もそういうような大量解雇の場合にはうまくいっておりますか。
  20. 今井久

    今井政府委員 従来の例においては、その土地において解雇された人を吸収する余地があるところとないところとあるのでございます。吸収する余地の少いところについては、私どもとしても実は苦心をいたしておる次第でございます。その意味においては伊丹は幸いにして関西の中心地帯でございますので、十分努力して失業者の発生を防止いたしたいと考えておる次第でございます。
  21. 松原喜之次

    松原委員 次に運輸省の航空局に対して二、三御質問を申し上げたいと思うのであります。まずわが国航空事業のうち国際航空については、言うに足りないほどのわずか二線くらいしか持っていない。しかし漸次これはふやされる計画のようで、日航の方がその計画の主体であろうとは思いますが、指導者としての立場からそれらの計画も相当にやっておられることと思うのであります。それで大まかなものでよろしゅうございますから、国際航空事業について、どういうふうな順序でどれほどの拡張をしたいと思うておるか。できるかできないかは予算の問題もありますからともかくとして、国内については何かちょいちょいと資料を出しておるようでありますが、これもまとめて、国内航空事業のための飛行場なり、飛行場近くの都市との連絡交通に関することなりに、こういうふうな整備をやれば大体一段落つくと思うておる、少くとも一段落するにはこれくらいだというような御計画について、簡単に御説明を願いたいと思うのであります。
  22. 林坦

    ○林(坦)政府委員 日本民間航空、特に国際線の問題について最初に御説明申し上げますが、現在わが国国際航空については、今お話のございました通り東京サンフランシスコ間に、ダグラスDC6Bをもって本年度から週五回程度サービスをいたしております。また東京−香港−バンコック線についてはやはりDC6Bをもって週二回程度サービスをいたしております。またそれと別に福岡と沖繩の間をダグラスDC4をもちまして週二回程度運航をいたしております。またこれは三カ月に一度程度でございますが、東京から南米のブラジルに及びまする不定期航空をやっております。これらはまだ始めまして数年にしかならないのでありますが、幸いと申しますか、世界的な航空の活況によりまして、非常な勢いで状況がよくなって参りました。三十年度までは、この国際路線におきまして非常な赤字を見せておりました。国内の収支と合せまして、十四億程度の繰り越しの欠損を持っておりました。しかしながら三十一年度におきましては、国際路線だけでも二億円以上くらいの黒字を計上することができると思われます。それで非常に旅客の往来も多くなって参りますので、昨年計画を立てまして、国際路線に対する対策といたしましてダグラスDC7Cという新しい型の飛行機を四機注文してございます。これがことしの暮れに日航に入手する予定でありまして、これを入手いたしますれば太平洋路線は一週間に七回程度になる、すなわち毎日運航できるようにこれを持っていきたい、かように考えております。大体収入の増加はだんだん期待されるのでありますけれども事業規模がこういうわけでありまして拡大して参ります関係上、乗務員もこれに伴って養成を急がなければならぬし、また海外支店もこれに伴って増強しなければならぬというような経費の増加考えられます。また競争会社、たとえばアメリカあるいは欧州競争会社も、国際線におきましてはだんだん新鋭機を入手いたしまして、それで日本に参っております路線を拡充して参りますので、日航も正そう今後は努力を要するし、必ずしも楽観を許さないと考えてはおります、ただこの国際路線の将来の目標と申しますか、あるいはこれはまだ現在におきましては相当現実離れのしたことであるとお考えになるかもしれないのでありますが、すでにジェット時代目標にいたしまして、ダグラスDC8というジェット航空機を四機注文してございます。これが大体三十五年の末ないし三十六年には動き出すと申しますか、日本としてそれを使えるようになりはせぬかと考えております。大体三十六年度程度目標といたしまして、そのジェットダグラスDC8というのが四機入って参ります。今までに入手いたしておりまする飛行機と合せて、世界的にいろいろと大きく考えたいと今考えております。構想といたしましては、太平洋を、ハワイを通ってサンフランシスコあるいはロサンゼルスの方に行きます南回りの線を週六回程度、それから北回りといいますか、東京からシアトルの方に大圏コースを通っていく線を三回程度、それから南米の方に行きますのは、ただいまは三月に一度程度でございますが、少くとも週一回程度はやりたい。またこのときになりますと飛行機もそろって参りますので、西の方もすでに協定を結んでおります英国あるいはフランスあたりとの交通もできるように、週二回程度欧州に行けるような線を設けたい、その際には東アにおきましてバンコック、ジャカルタ、マニラ等も考慮のうちに入れております。またそういう事態になりますればいろいろと国交も正常化されるでありましょうし、大陸方面のこともいろいろと考えなければならないとは思っておりますが、まだこれにつきましては、具体的にどこということは申し上げられない状態であります。こういうふうに三十六年度程度になりますれば、東京は地の利を得ております関係上、あちこちに国際路線を開拓することができるのではないかと考えております。  国内線につきましての御質問でございましたが、国内線は、この前の国会におきまして空港整備法というのを通していただきまして、空港整備に取りかかったわけであります。公共事業費をもちまして、三十一年度ローカル空港整備に着手いたしました。本年度、三十一年度もこれを継続し、また新しいところを開いていくように手はずを立てております。ただいまの現状を申しますと、三十二年度の初頭におきまして若松、鹿児島は大体定期的運航が可能になる見込みでございます。大村、熊本の空港は、晴天には小型機離発着可能程度にまで本年度初頭にはなり得ると思っております。それから三十二年度の末は、稚内が大体晴天時離発着可能の程度になる。それから高知、松山、これは本年度手をつけるのでありますが、本年度の末には、不定期運航の可能な程度にはなり得ると思っております。それから釧路、函館、広島を手をつけることになっておりますが、これは整地に一部着手できる程度であろうかと思っております。  これが本年度の大体の計画でありますが、来年度以降の問題といたしましては北陸、裏日本方面におきまする新潟、小松、あるいは瀬戸内海の岡山でありますとか、あるいは北海道の網走とか、あるいは離島関係等に来年度以降はだんだん着手していかなければならないと思っております。そうして結局離島等は、何とかこれは特別に考慮して開拓し、また地方都市でありましても、ある程度航空の網になるように広げていくつもりではありますが、地方の比較的大きな町とそれから全国的な、中心的な都会とを結べるような線を作っていきたいと考えております。そのために、実は航空会社の方も統合等の措置を進めておりまして、ただいまローカル航空会社といわれるものが二社、日ペリ航空というのと極東航空というのがございますが、それがだんだん統合の機運が熟して参りまして、すでに協定を了し、あとの手続をただいまとりつつあるような状態でございます。以上簡単でございますがお答えいたします。
  23. 松原喜之次

    松原委員 大体承わったわけでありますが、国際路線における近い将来の機種等については御計画がわかりましたが、国内路線について、どうせ整備されるについては近い将来どういう機種になるか、従ってその滑走路の長さなんかは、どの程度に整理すべきかというようなことを考えておられる、こう思うのであります。そこで太平洋路線とか、あるいは南米路線とか、その他長距離国際路線に対しては新鋭機をお使いになると思うのでありますが、その次には、たとえば大阪等国際空港を望んでおるのは、おそらくヨーロッパやアメリカ行きの路線発着場としての国際空港論は、常識上これは不可能で、また不採算的であると思うのであります。従って比較的近距離の、たとえば東南アジアの一部というようなところ目当ての国際飛行場を目ざすことに自然なるかと思うのでありますが、その際において近い将来、国際路線における近距離のものについては、どれほどの性能の機種が使われるものか。さらには一般国内路線についてはどれほどの機種が使われるものであるのか。それらの見通しを簡単にお答え願いたいのであります。
  24. 林坦

    ○林(坦)政府委員 国際路線につきましては、ただいまお話のございました通り、遠距離はDCジェット飛行機になる。従ってこれらは特に日本でさしあたり考えられることは、太平洋を渡って参ります長距離飛行機は大体ジェット機になるであろうと考えられます。それからさしあたり中間機と称しておりますDC7Cという飛行機太平洋に使っておりますけれども、これは将来ジェットが入って参りました後におきましては、たとえば欧州に行きますとか、あるいは比較的遠い場所につくようになると思いますが、しかしアジア関係と申しましても、外国の飛行機も大体この程度のものがすでに就航し始めておりますので、いつまでも古い型の飛行機をもって、かりにマニラでありますとか、あるいはバンコックでありますとかというところをやっておるわけにいかないであろう、結局DC7Cの程度のものがそういうところにも就航することが考えられます。将来DC6Bの問題も、そうなってきた場合には一部国内にも使わなければならない事態がくるのではないかと考えられます。DC4を今国内に使っておりますが、これはすでに相当年令をけみしておりますし、旅客機からだんだん貨物の方にでも落していかなければならないのではないかと考えております。  それから国内飛行機の問題でありますが、国内飛行機につきましては、さしあたりここ数年の間は今日航を別にいたしました日ペリ極東の両者を一つにしての一つ考え方といたしましては、さしあたり日本ローカルDC3と申しております飛行機程度に、大体機種を統一していくのが得策であるというふうに現在は考えられております。しかしこれは何といいましても年代がかった飛行機でもございますので、大体同じ程度の型の新しい機種に切りかえていくように、今研究ももちろん別途いたしております。そういう状況でございます。
  25. 松原喜之次

    松原委員 国内路線に新機種を使うという御希望ですが、その御希望が実現した暁における現在の整備計画との関係でありますが、現在の飛行場計画滑走路の長さ等で、それらの新機種を受け入れるだけの用意ができておるのでありますか。その点をちょっと。
  26. 林坦

    ○林(坦)政府委員 ただいま国内ローカル飛行場整備に当りましては、われわれの方の基準といたしまして、滑走路の長さを大体千二百メートルに標準をきめております。ということはDC程度のものを対象にして、地方中小都市飛行場整備する、こういう進め方をいたしております。ただ幹線になります場所は、必ずしもDC3をもって満足すべきではないと思いますから、もちろん将来のことを考えればDC6Bぐらいは着けるところでないと困る、こういうふうには考えております。
  27. 松原喜之次

    松原委員 そこで先ほどお聞きの通り米軍から具体的に伊丹飛行場が近い将来に返還されるということになりますと、大体これは航空局の管轄に入るのではないかと思いますが、その際に伊丹飛行場について航空局としてお考えのところは、これをたとえば国際空港としたいという希望があるから、少くとも東南アジア程度国際路線発着場としたい、従ってそれについてはそれにふさわしい設備に整備したい、たとえば滑走路が問題であって、それを拡張しなければならないのではないか、そういったような点について、さっそくいろいろお考えだろうと思うのでありますが、そのお考えがありましたら一つ承わりたいのであります。
  28. 林坦

    ○林(坦)政府委員 伊丹飛行場につきましては、現在国内飛行場としてのみ民間航空では使っておるわけであります。ただ現在もすでに英国あたりとの協定の中には、大阪という場所協定の中にも認めております関係もありまして、将来は国際空港として考えなければなるまいということは考えておるわけであります。それと今拡張する計画があるかどうかという点でありますが、現在伊丹空港滑走路は大体六千フィートでございますが、これは現在の長さ六千フィートと、それからあそこの滑走路が非常にいたんでおります関係もありまして、現在は今国内に使っておりますDC4ぐらいがせいぜいのところでございます。しかし六千フィートありますれば、DC6Bが国内で動きます場合には、滑走路の内容が整備されますれば大体間に合うかと思いますけれども、国際航路としてのDC6Bの場合は燃料その他重さの関係等がございまして、ちょっと五、六千フィートでは短かい、かように考えられます。ただ従って今後東南アジアその他の地域が相当開け、あるいは大陸が開けたりしたような場合に、国際線としてその程度以上の飛行機を使うということになりますれば、あそこは多少広げなければならないという事態が起ると思われます。私の方としてまだあそこについて将来どういうふうにするというところの確定した計画はまだできておりません。
  29. 淵上房太郎

    ○淵上委員長 山口丈太郎君。
  30. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はまず調達庁にお伺いをいたします。伊丹飛行場返還されるいう米軍司令官の声明がありまして以来、この返還がどういう形においていつ行われるかということは、地元では非常な関心事になっておるわけでございまして、御承知のように飛行場拡張に対しては非常な反対の声が上りまして、この飛行場の存在そのものが、軍事基地として使用されるだけではなく、国際空港としての存在も不適当である、こういうような強い反対の意見がございます。これは軍事基地あるいは国際空港のいかんにかかわらず、現在使用されている飛行場は一日も早く解除してほしい、こういう地元の意見が非常に強いところへあの声明となりました。現在使われております建物として私ども考えておりますのは、飛行場そのものはもちろんでありますけれども、駐留しておりまする軍人家族の居住地に供せられておる刀根山、私どもは昔から待兼山と言っておったのですが、その居住地、さらにまた大阪府下にありまする浜寺公園が占領せられて、そこに家族の居住地が設けられております。これらの居住地は、一つは公有地であり、一つ民有地が接収せられて、そして現に使用せられておるという状況でありますが、もし飛行場が解除せられるということになりますれば、勢いこれら付属の米軍居住地も返還されるのが当然であると思します。これについて米軍側から具体的な話し合いでも調達庁の方にあったのか、あるいは連絡でもあったのか、もし飛行場のみ返してこれらの施設は依然として米軍が使うということになれば、調達庁はこれが返還を迫られるつもりであるか、そのままに使用を許しておく考えであるか、これにつきましてお伺いをいたします。
  31. 今井久

    今井政府委員 伊丹飛行場返還になりますに伴いましてのただいま御指摘になりましたような諸施設返還の問題でございますが、この点につきましては先ほど私お答え申し上げました通りに、伊丹飛行場関係しておるものにつきましては、伊丹飛行場返還になりますにつれて、将来におきまして返還を要求することができるものであるというふうに実は考えまして、伊丹飛行場返還に伴うこれら提供物の返還につきましては、私どもといたしましてすみやかに検討いたしまして、返還を要求すべきものにつきましてはすみやかに返還を要求いたしたいというふうに考えておる次第でございます。ただ近畿地方におきますところの諸施設につきましては、伊丹飛行場関係だけでなく、その他の部隊関係等もまだ残存しておりますので、これらの関係がどういうふうになっておるかということもよく検討いたしまして、伊丹飛行場関係につきましては、それらの施設のすみやかな返還につきましても、調達庁といたしまして努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  32. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 さらにお伺いいたしますが、この飛行場のみならず、現在使っておりまする米軍の各地の飛行場においてもしかりでありますが、その飛行場の維持もしくは拡張ないし付属建物及び付属倉庫、兵舎等の諸施設に要する経費は、終戦直後進駐して参りましたときに終戦処理費として、その終戦処理費の中からまかなわれた。また講和条約が発効いたしましてからは安全保障条約に基きまして、その安保条約の処理費の中から支弁せられておる。それからまた旧陸軍ないし海軍の使用しておりました財産をそのまま接収使用した、こういうように大別できると私は思いますが、伊丹飛行場につきましてはややそれとは趣きを異にいたしまして、その発足いたしましたのが、純然たる民間飛行場として財界人が共同出資をもちましてあすこに飛行場を建設し、これはその当時逓信省の所轄にありまして、国家も当然これについて出資いたしておることは間違いありません。けれども飛行場の成り立ちそのものが純然たる民間飛行場でありまして、従って今申し上げましたような事態は、この飛行場発足後いわば大東亜戦争が苛烈になりまして、ここが軍用機の発着飛行場として必要になる、こういうところから軍の使用が始まりまして以来、この飛行場の性格がやや変った。現に終戦処理費によって建てられました建物は、数にして二百二十九戸、坪数にいたしますると九百五十坪、安保条約処理費によってできたものは三むね、坪数にすれば九百四十六坪、旧陸軍が所管しておりました財産は二十六むねで二千二十坪、それからまた米軍が参りまして、米軍の兵舎並びに修理工場、倉庫等に充てられております建物は二百五十八むねに及んでおります。これについての詳細な坪数は明確でありません。それからまた日航あるいはその他の航空会社あるいは新聞社もしくは運輸省の航空局の使っておりますものが二十一むね、三千二百九坪、こういうように分類ができるようであります。こういたしますると、これを戦前の民間飛行場の姿に返すには非常な経費も必要でありまするし、その返還の仕方といいますか、返還の方法というものがよほど具体的に進められなければ、非常な混乱を生ずると思うのですが、もしこの飛行場返還されて、以上申し上げたような施設がはっきり返還されるとすれば、調達庁はどういうような処理をしてもとの方に返そうとされるか、その具体的な方法について長官にお伺いしたいと思います。
  33. 今井久

    今井政府委員 伊丹飛行場につきましては、ただいま御指摘がありました通りに、国有地、民有地いろいろあるのでございます。先ほども概略御説明申し上げましたが、土地につきましては、六十六万余坪のうちで民有地が約六千坪ばかりあるのであります。それから建物につきましては、一万五千坪余のうちで、民有建物といたしまして三千二百八坪あるのであります。民有建物の所有者といたしましては、ただいま御指摘がありました通りに、新聞社であるとかあるいは日本航空協会であるとか、国際興業というようなものが所有者になっておるのでございます。これらのものが返還になります際には、調達庁といたしましては、私有につきましては、それぞれその所有者返還いたします。国有地及び国有建物につきましては、一般の財産は大蔵省に引き渡しますし、行政財産につきましては、それぞれの所管庁に引き渡すという考えを持っておる次第でございます。
  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この飛行場だけではなくして、各軍事基地等に使用されている土地返還になると同じことでありますが、このようにして今まで各費目に基いて、日米共同で補修、修理あるいは拡張等に経費が支出されております。これが日本に返されるということになりますと、これらのうちあるいは米国が直接支出した経費についてはどういうことになりますか。弁償の点あるいはその経費の補償といいますか、そういうようないわゆる米国が直接施設に使用した分については、どういう形式をもってこれをまかなうことになりますか。具体的にお答え願いたい。
  35. 今井久

    今井政府委員 この提供しました施設のうちで、米側が費用を出しておるものにつきましては、返還の際に日米において話し合いをいたしまして、そうしてきめるということで従来やっておる次第でございます。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 従来そういうふうにしてきめられましたものは、いわゆる日本の国の負債の形になるのですか。それとも一応その費用は明確にするか、これはアメリカの援助もしくは贈与の形において処理せられるのですか。そのあり方はどちらですか。
  37. 磯淳爾

    ○磯説明員 米側の費用でこしらえております施設につきましては、解除時におきまして日米立ち会いの上で調査いたしました結果、この建物については日本側の方で使いたい、この建物あるいは中の施設については米側が他に移して使いたいというふうにして、その各個の場合に話し合いをいたします。伊丹の場合には今後どういうふうになるかわかりませんが、もしそういう場合に、お互いに利用し合い得るものがありましてきまりました場合、もし日本側でその施設について使いたいということを申し出まして、お互いに了解がつきますれば、日本側でこれを使うということになります。別にそれに対しましてあとで日本側が費用を負担しなくちゃならないというような問題はございません。
  38. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それではもう一度はっきりと伺っておきたいと思いますが、今まで拡充もしくは新設して施設ができている、これを日本返還する場合は、たといそれは米国が支出した経費によって建てられたものであっても、これはその費用弁償の要求はない、こういうことですか。
  39. 磯淳爾

    ○磯説明員 最近の例では八戸のキャンプがやはり解除になりまして、あの場合にも八戸のキャンプは防衛庁の方であとで使いたいということになりまして、その場合に米側の方で必要なる施設だけは、他に部隊の移駐に伴いまして全部これをはずして持って参りました。しかし日本側の方で、自衛隊の方で使いたいというものにつきましては申し出まして、それをその後自衛隊の方で使っております。その場合におきまして米側としては、別にこれに対する補償の要求は出しておりません。
  40. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この点は、しからば返してもらっても、待兼山のごときあるいは浜寺等のごときも、原形に返すということはとうてい不可能な問題です。そうなりますと、今度は民間の所有物件を民間に返還されるという場合に、国としてはやはり国の責任においてこの弁償をするということにもちろんなるのではないか。これは原形に返すというための費用の負担を原所有者から要求せられる、こういうようなことが起り得ると思うのです。現に各所のホテルの返還においてもそれが行われておると思いますが、これは従って飛行場返還等が行われる場合にも、やはり同様に、民間においてその原形に復旧するための諸経費等の要求がある場合には、これは政府によって補償する、こういうことになるのですかどうですか。
  41. 今井久

    今井政府委員 返還になりまして、その返還の際の状況が、接収いたしましたときと違っておるというときにおきましては、政府におきましてその補償をするということに相なっておる次第でございます。
  42. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 その費用は結局分担金その他の経費からまかなわれるものでありますか、それとも純然たる日本政府の単独責任において出される経費でまかなわれるものなのですか。
  43. 今井久

    今井政府委員 その費用は、防衛支出金の中から支出しておる次第でございます。
  44. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 この返還するという声明は四月四日に出されておりますし、調達庁にももちろん通知があったのではないかと思います。しかし突然の返還ということになりますと、ここに従事しております駐留軍労務者——現在では警備員のみでも二百三十名の者がこれに従事しておるということでありますが、これら労務者はたちまち路頭に迷うことになるわけであります。これは一つのジレンマだと思いますが、米軍は早く帰ってほしい、そして同じ仕事をするにしても日本政府の直接の雇用で、政府要員として働きたいと考えて、実際はそうはいかない。帰れば直ちに失職するという結果に相なるわけであります。そこで適切なる配置転換、あるいはまた相当の予備期間を置いても、これらの人々の転換先をあわせ考えてやる必要がある。そのためには返還の期日をなるたけ早い機会に、的確に向うから明示してもらう必要があると思うのです。少くとも私はそういうことは機密に属することではない、軍機に関係にあるものではないと思います。われわれはその時期が調達庁の方には明確に知らされているのではないかと思いますけれども、はっきり何月何日ということでなくても、大まかに本年じゅうあるいは本年の何月ごろにということはこの際お漏らし願いたい。そうしてこれらの人々に転換の余裕を与えることが絶対的に必要であると思いますが、いかがでしょう。
  45. 今井久

    今井政府委員 その点につきましてはお説の通りでございます。四月三日付で調達庁に対しまして米軍側から通告がございました際には、単に近き将来において返還用意があるということを予告して参ったのでございます。私どもといたしましても、返還の時期をすみやかに明確に知りたいと存じまして、さっそく米側とも打ち合せをいたしたのでございますが、米側といたしましては、返還の意思があることをとりあえず日本側に知らせておこうということで知らせて参ったのでございます。私どもといたしましては、労務者関係もございますし、返還その他の準備もございますので、一日もすみやかに大体の時期を知りたいということは深く希望しておる次第でございます。今後この点について米側と折衝いたしまして、その時期をなるべく早く知るように努力いたしたいと存じます。
  46. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 調達庁に私の質問しようとするところは大体終りました。  次に運輸省にお尋ねいたします。今お聞きの通りで、この飛行場は他の飛行場とは違いまして、発足当時から純然たる民間飛行場として、逓信省の所管のもとに財界の共同出資によって建設せられたものであることは御承知通りであります。ここが返還されますと、羽田が長距離国際空港として発展するといたしますならば、これは東南アジアもしくは中共、ソ聯等々、比較的近距離の国際のローカル線ということになると思います。すでに東京空港長距離国際線として使用の限度もあることだと思いますので、現在の経済事情から見ましても、この飛行場は純然たる国際ローカル空港としての絶対的要件を備えておるというふうに考えるわけでありますから、返還後の計画についてお持ち合せがあればお知らせを願いたい。
  47. 林坦

    ○林(坦)政府委員 伊丹空港につきましてはただいま御指摘のございましたように、その設立されました過程の点もございますので、もしこれが解除になりますれば、将来は民航を目的として運営していく方針で私どもとしては考えております。ただこれを国際空港とすべきかどうかという問題につきましては、もちろん近距離国際空港とする場合でも、現在のままで果して適当であるかどうかといった点について、まだ検討が十分ではございません。また国際空港にしたいという希望は、現地の方でもかなり熱烈に起っております。これらの主張は大いに尊重して考えなければならないではないかと思っております。
  48. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今言われますように、国際空港としてこの空港が現状のままで適応するかどうかも危惧される状態にあり、さらにこの空港を繁雑化せしめるものに自衛隊の輸送飛行基地に使用する計画があるというので、一そう現地の人の感情を混迷化さしており、将来この空港に非常な障害を与えるのではないかと憂慮されるのでありますが、自衛隊は現在巷間伝えられるような計画をお持ちでありますかどうか伺いたい。
  49. 林一夫

    ○林(一)政府委員 伊丹は、ただいま山口委員仰せの通り、戦前から民間航空基地として発達してきたところであります。また今後は国際空港としたいという地元要望もありますので、もしこれが解除になった場合、主体は民間航空が使用する建前になると思われます。ただそれに支障のない範囲で、一部を航空自衛隊の輸送隊として使用したいという希望を持っておるのでございます。まだ具体的にそれを計画しているというところまでは行っておりません。
  50. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこが非常に問題になるところです。現在でも私が申しておりますように、地元では純然たる民間飛行場として、国際線ローカル線とでも申しましょうか、西南方面及び中東、アジア方面への民間飛行基地にして、そうして経済的発展を試みたい、こういう地方要望は相当財界方面に強いのであります。ところが一方その飛行場の周辺にいたしますと、この飛行場は現在御承知のように尼崎、伊丹、川西、池田、豊中というように、全く境もわからないような、いわば一つの大都市になった、その都市中心地に存在いたしておるわけであります。従ってこの周辺の住民の人々は、実際にはこの飛行場は立地的に不適当だ、従ってどうあっても、たといこれが国際飛行場であっても、変更してほしい、こういう強い反対の意見があるわけであります。そこへもってきて自衛隊がこの飛行場を輸送隊の基地として使用したい、こういうことになりますと、地元におきましてはなおさらこの飛行場に強い反対をいたして参ることは明らかであります。こうなりますと、せっかく返還されました飛行場が半身不随に陥らざるを得ない。はなはだもって自衛隊の使用というものは、迷惑千万な結果に陥るということになるわけでありますが、これについては運輸省はどういうふうに考えられるか、一つ承わりたいと思います。
  51. 林坦

    ○林(坦)政府委員 今申し上げました通りに、この飛行場の成り立ちその他から申しまして、民航を目的としてできた飛行場でございますので、私どもとしては民航を第一として運営していくつもりでございます。従ってただいま自衛隊の方からお話のありました通り、これは決して民航をじゃまするつもりはないのだということでございます。もちろん民航に支障があり、かつ将来あるべきような自衛隊の使用ということは、われわれとしては困ると思っております。
  52. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは裏を返せば、民航に支障を与えない範囲においてならば、一応自衛隊の輸送基地というふうなものも認めていいのではないかというふうな意味にとれると思います。けれども使用状況そのものが、民間の飛行に差しつかえがないということではおさまらない深刻な問題をはらんでおるわけであります。自衛隊がこの飛行場を使うということ自体、これは地元の感情としては、またここが軍使用の基地になる、いわゆる軍の独断使用にまかせてしまって、いわば民間で建設したものを——それは金銭等による弁償をやればそれで済むというふうにお考えになっているかもわかりませんけれども、そうではないのでありまして、これがまた将来民間をして今日のように自由に使わせない原因をそこに作り上げる、従って自衛隊がここを使用するということは絶対困る、こういうのが地元民の偽わらざる感情であるわけです。そうだといたしますると、これは将来もしそういうような自衛隊がこれを使用するということになりまするならば、そのこと自体が、この飛−行場の運営上はなはだ迷惑なことになる。のみならず、それはひいてはこの運用あるいは民航の事業等に対しても非常に大きな支障となるわけでありますから、それについてはよほど慎重な態度——というよりもそういうようなことは不適当である。従って軍用飛行場は軍用飛行場として、はっきり区分をして他に飛行場を持つべきであって、このような性格を持った飛行場を軍用に供すべきではないと私は考えるわけでありますが、これについてどういうふうにお考えになりますか。
  53. 林坦

    ○林(坦)政府委員 地元にも今御指摘になりましたような意見があることは承知いたしております。まだ具体的に返還の日取りあるいは返還についての具体的内容等もはっきりわかっておりません。まだ私どもの方としてはこれらの点につきまして十分なる検討ができておりませんが、われわれとしては慎重にそういう点も考えて処置いたしたいと思っております。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 自衛隊の方にお尋ねいたしますが、ただいまあなたの方で使いたい希望であるという話であります。しかしこの周辺の地方人々考えというものは、私が今代表して申し上げたことと同じことです。こういう場合に、たといそれが希望であっても、その希望を実現するためには地方のこのような強い反対があり、ひいては将来この飛行場の運営に大きな支障を来たす、こういうことをあえて無視し、乗り切ってでもその希望を達成しようという強いお考えなんですかどうですか、伺いたい。
  55. 林一夫

    ○林(一)政府委員 防衛庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、民間航空の使用に支障のない範囲でその一部を使わしてもらいたいという希望でおります。もし解除になって使用するという場合には、もちろん地元の御意見を十分に尊重し、御了解を得てこれを決定したいと思います。
  56. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 地元の了解を得て使いたい、それは裏を返せば地元の了解を得られなければ使えない、こういうことを意味するのではないかと思いますけれども、今までのやり方というものは決してそういうやり方でありません。とにかくお持ち合せの意思が原案であります。この原案というものはどんなことがあっても押し通す、こういうことはもう常でありまして、そういう点では日本はちっとも民主的になっていないのです。今支障を及ぼさない限りということでありますけれでも、支障を及ぼさない限りではないのです。もうすでに、これが返還されるというとたんに、またそこへ旧陸軍のように自衛隊が入り込んできてこの飛行場を占領してしまうのではないか、たとい一部であっても、それを使用するということによって将来これを軍用に供してしまう基礎をここに作られては困る、これがほうはいとして起っておる声なのです。そういたしますと、もうすでにそういう御意思を今発表されておること自体がはなはだ迷惑になっておるし、この飛行場の将来の運営について非常な支障になっておる。あるいはこれを近代的にするには不可能な状態に陥るそういうような態度では困る。ですから自衛隊としては大いに自衛隊の名の通りに自粛をしてもらいたい。そうしてそういう使用の意思はこの際放棄してもらいたいと考えるのです。あなたは地元の反対があればこれはやむを得ないと言われるが、それでは納得が得られなければその意思は断念されるつもりなのかどうか、一つ承わりたい。
  57. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほども申しましたように、使用するという場合においてはもちろん十分航空局と御相談をし、また地元の方々の御意思を尊重し、御了解を得まして決定したい、こういうふうに考えます。
  58. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 なかなかうまく急所を逃げられるので、これ以上やってものれんに腕押しということになると思いますから追及はしません。けれども、今申し上げましたように、これが返還される、自衛隊がまた入り込むということでは ますますこの飛行場運営を混迷化するだけの話であって、自衛隊は地元に対してあるいはこの飛行場の運用そのものに対して、大へんな迷惑を及ぼすことになる。これを十分御銘記願って対処してほしいということをお願いしておきたいと思うのであります。  さらにもう一点だけお伺いします。先ほども調達庁に伺ったように、現在この飛行場に従事しておりまする従業員は、警備に使用しておる者だけでも二百三十名、その他の者を含めますと相当数に上ると思うのであります。返還されて直ちに飛行場はなくなるわけではありませんし、民間飛行場として大いに使用することも計画されておる純然たる民間飛行場ということでも一部には反対はあるといたしましても、やはり純然たる飛行場としての姿に返るということであるならば、地元においてもたとい反対はあるにしても、了承を得るような努力の効果というものは得られるのじゃないかというふうに考えるわけであります。そこでこれに従事をしておりまする従業員も、もちろんこの飛行場運営のために必要なのであって、これを解雇いたしましても、当然またまた新規に雇い入れをして人員を補充しなければ飛行場の運営ができません。現に羽田の飛行場におきましても、二百数十名の警備員、従業員がいるわけであります。従ってこれをともに引き継ぐような措置をして、なるたけ既存の労働者を失職せしめないように措置することが最も望ましいことであると思いますが、私は返還が表明せられた以上、それらについても今からその計画を進めておくことが、絶対に必要要件であると思うのでありますが、運輸省はどうお考えになりますか。
  59. 林坦

    ○林(坦)政府委員 御趣旨ごもっともだと存じます。ただ政府の場合におきましては、御承知のように予算の問題があり、また定員の問題もあり、いろいろむずかしい問題があると思います。調達庁においていろいろ考えておられることとも存じますけれども、また地元にもいろいろ航究に関連した仕事が起ることも予想されます。それらの点については、十分関係庁と協議いたしまして、できるだけのことはわれわれとしても考えたいと思っております。
  60. 淵上房太郎

    ○淵上委員長 井岡君。
  61. 井岡大治

    ○井岡委員 今のお話で防衛庁の方にお尋ねするのですが、地元の方々が国際空港にしたいという希望は、一つは京都、大阪、兵庫、この三つを結んで、三つの特殊な産業、こういうものから貿易の振興をはかる。すなわち東京だけに国際空港があって、大阪に再び飛行機でやってくるとか、あるいはまた汽車に乗ってやってくるというようなことでは発展しないじゃないか、そういう立場から国際空港希望を持っている。お話を聞きますと、現在の滑走路は十分でないから、国際空港には現在のところ不適当だ、しかしながら今は英国との協定があるので、この点は考慮したいという航空局長お話なんです。そこで自衛隊が再びこれを使うということになると、こういう地元の産業開発の立場からくる意見と大きく食い違いがくるわけであります。そういうことになってくると地元国際空港整備しようという熱意を失ってしまう、そして新たに国際空港としてどこかの地を求めなければならない、こういうことなんです。戦前は御承知のようにそういう点を考えて、木津川に国際空港の設置を計画いたしたわけですが、大阪という土地が毎年毎年十センチから沈下をいたしますから、そういうような状態で木津川に国際空港はできない、従ってあそこ以外にないということですね。そういう点を考慮すると、この際自衛隊はあそこを民間のじゃまにならないように使用させてもらいたいというお考えのようですが、その考えを放棄することが国の産業開発の立場から必要じゃないかというように考えるのです。その点どういうようにお考えになるか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  62. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御意見のように産業開発その他もいろいろ考えて、支障のないように考えていかなければならぬ問題だと思います。現在のところ、私どもは支障のない範囲においてその一部を使わしてもらいたいという考えを持っておるわけであります。今後そういう点も十分調査し、地元の方々の御了解も得まして使いたいという考えを現在持っております。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 私は今申し上げるように希望をお持ちになってもそれはだめだ、こういうことなんです。希望をお持ちになれば、地元の財界を中心とした国際空港整備に対する熱意というものが失われてしまうということなんです。ということは、地元の人はこれ以上土地をとられることは反対だという態度を明らかにしている。国際空港として産業開発に役立つものであればまた考え方もあるけれども、これが軍事使用に供されるということであれば、そのこと自体については応じかねる、こういっている。そうなると地元の財界を中心とした国際空港論者としても、その地元説得にはとうてい熱意を持たないということになる。ですからそういう考え方はこの際放棄されることの方がいいのじゃないか。と同時にあの土地で自衛隊がやろうとしたって、大阪を控え神戸を控え京都を控え、産業都市を背景にいかにあそこで自衛隊が訓練をしようとしても、訓練なんか実際問題としてできっこないのですそういう点を考慮して、この際私はやはり日本の産業開発、経済開発の立場を堅持することが——私自身自衛隊そのものについての意見は持っておりますよ、意見は持っておりますが、かりにその意見を放棄して、百歩譲って自衛隊というものを認めたとしても、自衛隊というものはそうあるべきでない、むしろ日本の経済開発のために自衛隊が一著の力をかすということが、自衛隊としての責任じゃなかろうか、こう思うのです。ですからそういう点はこの際放棄されることの方が得策だ、こういうふうに申し上げて、私は山口委員から強く要望されておりますので、これ以上重複を避けたいと思います。
  64. 淵上房太郎

    ○淵上委員長 本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十三分散会