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小山(亮)
委員 これはしかしこの際
運輸大臣にもよく御了解を願いたいのですが、最近の、この一、二年間の
船舶界の変化というものは、想像のつかぬくらい急速な膨張を示しておるわけです。この間から問題になっているガソリンとか軽油の税金の問題がありますが、
日本が絶対に
外国から
輸入しなりればならないものは、御
承知のように、鉄、
鋼材、
石油、それから砂糖です。こういうものは絶対に
外国から
輸入しなければならない物資なんですが、そうしますと、私たちはどうしてそうした
基礎資料を安く
日本に持ってくるか。
外国に負けないように、安い材料を早く
日本に持ってくる
方法はどうしたらいいかということを
考えますと、やはりどうしても大きな船を作って、そうしてこれを
輸送してくる。それ以外に
方法はないのです。御
承知のように一万トンの船でありましても、
乗組員は約六十人、これが五万トンの船でありましても
乗組員は約七十人くらい、わずか十人かそこら増減するだけなんです。入れものが大きくなっても、それに比例して
乗組員はふえない。従って、
乗組員がふえないのですから、
トン数が大きくなったからといって、
費用というものも必ずしも大きくならないのです。そうしますと、どうしても大きな船で物を持ってくるということが一番安上りなんです。でありますから、
世界各国が最近非常に競って大きな船をどんどん作り始めた。その顕著な例が、一昨年呉の
造船所で作りました
アメリカから
注文しました
タンカーが八万トン、これは実に
世界でこれ以上大きいのはないのですが、しかしこの八万トンになりますと
パナマ、
スエズの
運河は通れませんが、
パナマ、
スエズの
運河を通って航程を短かくしなくても、
喜望峰をずっと回って八日なり九日の日程がよけいかかっても損しない、それだけもうかるという
計算から大きな船を作っておる。最近は三万五千トンから四万トンの
スーパー・
タンカーといって、われわれは驚いたが、その時代はもう過ぎている。ジャイアント型というのができている。さらにそれがまた飛躍して、六万トン、七万トン、八万トンという
マンモス型タンカーというのがどんどんできている。それと比例しまして、
鉄鋼の
輸送ということがまた
考えられている
鋼材というものが
アメリカにもどこにもなくなってきたのです。そこで今どこに
鋼材があるかというと、アフリカから
南アメリカで、これに向ってイギリスも
アメリカも
鉱石の
輸送に競っております。
日本も早晩フィリッピンであるとかあるいは海南島であるとかというようなところの
輸送よりも、もっと大きな船を持っていって、設備のあるところから早く大量の資材を運んでくるという
状態に、よそと比べればどうしてもならざるを得ない。そうしますと専用の
鉱石運搬船ということになりますと六万トンないし七万トンです。この六万トン、七万トンという船で持ってこなければ合わないのです。それを持ってこなければならないのに、
日本には港がなければ一体どうして
外国に対抗していけるか。これは実に重大な問題です。私はこの
港湾問題に対して特にこういうことを申すのは、
日本の将来の
海運政策というものを確立するには、この
港湾問題が解決されなければ絶対にだめです。小さな船で運べば運ぶほど負けるのです。大型のものでぐっぐっと運んでくるようにならなければ勝てない。ガソリンでもそうです。今のような
状態ですと船が入りません。かりに大きい三万トンの船で持ってきて横浜に揚げようとしても、本牧の沖までしかこない。そこで一応沖にとまって瀬取りというものでやるのです。普通の曳舟、バージというものを持っていって、それに油を積めるだけ入れて持ってきて、半分くらいにして、船が上って足が軽くなって、入れるようになったら引っぱって中に入れる。そうしますと一トンに対する揚げに金が三倍かかる。ところがちゃんと設備のあるところに横づけになれば、三万トンの
タンカーでも油を揚げるのに六、七時間でからになってしまう。入港してくると六、七時間たったらすぐ出ていかなければならぬという
状態です。一晩泊るということはない。荷役は夜中を通してやれますから、どんなに夜おそく来ましても、設備のあるところへ着いたら夜明けまでに船はからになっている。それは三万トンでも四万トンでも五万トンでも夜明けまでにからになってしまう。そうすると頻繁にピストン往復でどんどん
輸送できますから、ますます
輸送賃というものは下ってきます。下ると消費者も安い油が手に入るということになる。ところが今のような瀬取りというものをやりますと三倍も高くなりますから、運賃が上って
外国ととても競争ができない。そこで港の設備は重大な問題で、
石油会社のようなもうけ専門に
考えているところまでが、今度の
政府案にありますように、自分の方で受益者として相当の金を出資してもいいから、船がちゃんと荷役のできる場所まで入ってくるようにしてくれということを要求している。これは
石油会社も大もうけです。もうかるからやってもらいたい。これは
日本の
政府としてはおそ過ぎたのです。最近のように船の大きさが急激に大きくなったのと比例していなくて、これに
日本の今の施設ではつり合わないのです。間に合わないのです。でありますからこれに抜本塞源的な思い切ったことをやらなければならない。この問題は、
運輸大臣が閣内においても大きな声で
港湾設備の必要なことを説いていただくとともに、国会もまたほんとうに
日本の主要
港湾の設備を急速にやれという決議をして、
政府を鞭撻してもいいくらいの大きな問題です。だれもこれに対してそう注意を払っていないのですが、ほかのことを幾らやっても肝心の
港湾設備がなかったら何にもならない。どんなに大きな、設備のいい船を作ったところで、港自体がだめなら何にもならない。今日、
日本が三万トンの油送船なんというのは、すでに小さくなりかかってきている。
日本の船会社ですら四万トン、五万トンのジャイアント型の
タンカーを作ろうとしている時代です。もう
計画しております。それにもかかわらず
日本の港で入る港が和歌山県の下津一港だけとしたらあ
まりに情ないじゃないか。大きな
石油精製所が四日市であるとか横浜であるとか徳山であるとか、至るところにできております。にもかかわらず大きな船が横づけにならない。原油を持ってきたって船が着かないという港だったら、海運国
日本だなんて大きなことは言えないのです。この点については特に御留意を願いたいと思います。これはあなたが反対されるわけがないので、必ず賛成されると思うから御答弁を願わなくてもいいくらいの話でありますから、私は、
浚渫その他の
港湾設備に対しては、
港湾局長がいやになるほど質問しておるのはそこにある。
日本にとって、これは重大な問題です。死命を制する問題ですよ。港にどんな大きい船が
外国から来ようとしても来られない。第一御
承知のように大西洋には、宮澤さんもあっちの方へおいでになったでしょうが、大西洋には七万トン、八万トンの大きな客船があります。クイーン・エリザベスであるとか、ああいった大きいのがありますが、太平洋にはない。太平洋は浅いわけではない、
世界で一番深い海なんだ。その太平洋に七万トン、八万トンの船がどうしてないか、
日本の港にそういうものを持ってきたとて、入る港がないから、ないのです。戦争前には大連があっただけだ。これは戦争後にとられてしまいましたけれ
ども、大連は、二万トン以上の船が五十一隻横づけできた。これは実にりっぱな港でしたが、
日本では港に金なんかかけたことはほとんどない。港で何かしておると思うと、埋め立てばかりしておる。ごみを持っていっては埋め立てをしておる。そうしてもって港を狭くして、金もうけしておるやつはたくさんありますよ。しかしながら
政府がほんとうに思い切って
港湾の設備をしたことはない。だからまだ太平洋海岸においては、多少防波堤なんかできておりますけれ
ども、北陸の方へ行ってごらんない。裏
日本の方へ行ってごらんなさい。
港湾局長もごらんになったでしょう。情ないじゃありませんか。何にもしてありませんよ。これをこのままに放置できない。日ソの関係も、貿易も回復してくるし、中共との関係も立ち直ってくるのですから、この際、思い切った
港湾施設をやらなければ、
日本が立ちおくれて、
世界と伍していかれないのですがね。この点一つ特に御考慮願いたいと思います。
それからもう一つ、今大臣がここでお聞きの通り、
日本の港で三万トンの船が入る港は下津しかない。今私がだんだん
局長に伺いましたから、よく御記憶願いたいが、神戸は一体何トンまで入りますか、
局長に伺いたい。神戸、大阪、横浜、東京というのは……。