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1956-11-26 第25回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十六日(月曜 日)    午前十時四十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第六号   昭和三十一年十一月二十六日    午前十時開議  第一 性病予防法等の一部を改正す   る法律案(第二十四回国会内閣提   出、同衆議院送付)           (委員長報告)  第二 身体障害者福祉法等の一部を   改正する法律案(第二十四回国会   内閣提出、同衆議院送付)           (委員長報告)  第三 寄生虫病予防法の一部を改正   する法律案(第二十四回国会衆議   院提出)    (委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。青柳秀夫君、鈴木一君、竹下豐次君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、榊原亨君、市川房枝君、長谷部ひろ君から同予備員を、井上清一君、後藤文夫君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      ——————————
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員並びに裁判官訴追委員選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
  7. 小西英雄

    小西英雄君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名することとし、なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、議長に一任することの動議を提出いたします。
  8. 椿繁夫

    椿繁夫君 ただいまの小西君の動議に賛成いたします。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 小西君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員土田國太郎君、苫米地英俊君、宮城タマヨ君、同予備員近藤信一君(第二順位)、杉山昌作君(第三順位)、大竹平八郎君(第四順位)、裁判官訴追委員木暮武太夫君、高良とみ君を指名いたします。      ——————————
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、御報告いたします。  国会法第三十一条第二項の規定により、河合義一君は皇室経済会議予備議員を、苫米地義三君、剱木亨弘君は鉄道建設審議会委員をそれぞれ解かれましたので欠員を生じました。  また、内閣総理大臣から、皇室会議予備議員豊田雅孝君、検察官適格審査会委員土田國太郎君、北海道開発審議会委員近藤信一君、北勝太郎君、積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員田畑金光君、国土総合開発審議会委員武藤常介君、吉田法晴君、日本ユネスコ国内委員会委員高瀬益太郎君、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員海野三朗君、飼料需給安定審議会委員島村軍次君、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員中田吉雄君、離島振興対策審議会委員安部キミ子君、中央青少年問題協議会委員宮城タマヨ君、畑地農業改良促進対策審議会委員羽生三七君、鈴木一君、首都圏整備審議会委員天田勝正君の辞任に伴う後任者を指名せられたいとの申し出がございました。  つきましては、この際、日程に追加して、ただいま報告いたしました皇室会議予備議員その他の各種委員等選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
  13. 小西英雄

    小西英雄君 ただいまの選挙は、その手続を省略いたしまして、いずれも議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  14. 椿繁夫

    椿繁夫君 ただいまの小西君の動議に賛成いたします。
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 小西君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松野鶴平

  17. 山下義信

    山下義信君 私は、この際、原爆障害者治療及び援護に対する米国側の意図並びに政府対策に陶する緊急質問動議を提出いたします。
  18. 小西英雄

    小西英雄君 ただいまの山下君の動議に賛成いたします。
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 山下君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。山下義信君。   〔山下義信登壇拍手
  21. 山下義信

    山下義信君 私は日本社会党を代表して、原爆障害者援護の問題、米国側申し出内容、これらに関する政府対策等につきまして、緊急にお伺いいたしたいと存じます。  昭和二十年八月、広島及び長崎に投下された悪魔兵器原子爆弾が、今世紀最大悲惨事でありましたことは、今さら申し上ぐるまでもございません。運命の市民五〇%が即日死亡し、残りの三五%も百日以内にそのあとを追うたのでございます。爆心地から四キロ以内の者はもちろん、その後二週間以内に焦土広島に足を入れた者は、ことごとく第二次放射能影響を免れ得なかったのでございます。実に二十五万の市民が、両市において原爆犠牲に供せられたのでございます。  のろわしのその日から、早くも十一年の歳月が流れました。一方においては、すでに戦後にあらずなどと言われながら、一方においてこれら原爆被爆者のみは依然としてその障害の苦悩に呻吟し、最近に至るに従い、かえって犠牲者が続出いたし、全国にわたる二十八万の生存者は死の恐怖におびえ、不安の思いに襲われておるという状況でございます。これらの人々は不思議に生き残ったのでありまして、十万度の熱線でやけどを受けた者も、表面的には治癒したかのごとく見えたのでありました。また、ウラニウム、ストロンチウムの放射能によって、脱毛、出血、下痢等の症候群を呈しておった者も、小康を得て生命を取り戻したかのごとく見えておったのであります。奇跡的に助かったと思って神仏に感謝し、ようやく日常生活に復帰し得たと喜んだのもつかの間でありまして、やけどした傷あとは醜く隆起して、手術のかいなく、ケロイドの痛み、瘢痕収縮の痛み、暑さ寒さに激しい疼痛を覚えて、作業能力の減退はもちろん、当時女学生として動員された少女らは、今妙齢に達するに及びまして、醜い姿に泣きくずれ、絶望し、慟哭し、人生の裏すみに身をひそめているありさまは、議員諸氏の御推察を賜わりたいところでございます。  外部障害者とともに、まことに気の毒なのは放射能による血液疾患原爆症患者でございます。いかなる治療も効を奏せず、いな、治療方法もいまだ発見されず、今年に入っても広島市で二十二名、長崎市で十名の死亡者を出したのでありまして、十年後の今日、その被害の深刻さは一そう悲惨をきわめておるのでございます。信ずべき調査によりますと、これらの原爆障害者は約五万数千人を数え、そのうち少くとも一万一千人は至急治療を要する者であると言われております。しかるに、現在多少にても治療を受けた者は、わずかにその一割、一千名前後にすぎないのでございます。  一体今日までいかなる施策が行われてきたかと申しますと、昭和二十六年占領政策の終了までは、事原爆に関する限り、被害実情は言うに及ばず、医学的の見解すらこれを発表することを許さなかったのであります。米国側はしばしば公式見解として、原爆被爆者はすべて完全に治癒している、後遺症と認むべき影響は残っていないと発表しておったのであります。その後日本政府は、本問題に関して何らの対策を講ずることはなかったのであります。  たまたま、一昨年ビキニ実験による久保山氏らの水爆被害が発生いたしまして、これに関連して、ようやく広島長崎原爆被害者調査するということになったのであります。しかし、今年度におきましても、わずかに治療的調査費行政措置として支出されているにすぎないのでありまして、まことに消極的で、不徹底きわまる状態でございます。政府はすみやかにその対策を再検討し、国費をもって十分なる治療を行い、同時に、あくまで原爆症に対する医学的追及を試み、悪魔の残虐から被爆者を救済するとともに、世界人類福祉のためにも、あらゆる努力を傾注すべきであると考えるのであります。  原爆降雪者救援の問題は、もはや一地方の特殊問題ではないのでありまして、原水爆禁止運動とともに、国をあげて全国民の心から熱望しつつある問題でございます。  わが社会党は、平和を愛好するこのこの国民の要望にこたえ、すでに異常の熱意を注ぎ、用意するところあるものでございますが、政府また平和的、人道約の重要問題としてこれを取り上げ、その見解を明らかにされるよう、特に本会議発言を求めた次第でございます。以下、質問の要旨を申し上げます。  鳩山首相に対しましては、まず原爆障害者に対する首相措置について伺います。首相はしばしば原爆乙女被害者代表らに面会せられ、深い同情とあたたかい言葉をかけられたのであります。この際原爆障害表援護の問題につき、これが立法措置予算措置等を強力に推進するよう首相として指示を下されるお考えがありますかどうか。幸い側近に、事情に詳しい松本官房副長官もおられますので、ぜひとも鳩山内閣方針として閣議決定をしておいていただきたいと思いますが、この点いかがでありましょう。  第二に、関連して伺いたいのは、原爆実験禁止の問題であります。今回の日ソ共同宣言の中にこれが挿入されてないことは、まことに遺憾にたえないのでありまして、しかも、せっかくソ連の方から原案として提起されたにもかかわらず、首相、すなわちあなたの方から削除申し出られたのは、まことに不可解千万でありまして、この一項を挿入することが、形としておかしいからという理由は、あまりにもおかしいように思われます。もっと詳しく向いたいのでありまして、原水爆にもまっ先に反対せらるべき首相として、おそらくソ連と合意されたものを、何らかの形において残しておられるのではないかと思います。この点率直に御披瀝を願いたいと存じます。  原水爆実験禁止の問題につきましては、この機会外務大臣の御所見を承わっておきたいと存じます。この問題について、外相はあらゆる機会努力を傾注されたと思いますが、果していかなる努力を試みられたか伺いたい。また、外相は最近の御演説の中で、世界情勢を判断されて、冷戦の雪解けは遠のいた、むしろおそるべき緊迫を感ずると言われましたが、去る十六日、米国大統領に対する実験禁止ブルガーニン親書がありましても、なおかつ実験禁止は不可能なりと考えておられますか、外相の御見解を伺います。  第二点は、日ソ宣言等批准の後に、いよいよ国連加盟が実現いたしました暁において、まずわが国が第一に主張すべきは、いかなる問題であるとお考えでありましょうか。国連における日本第一声は何でありましょう。われわれはこの原水爆禁止の問題こそ、第一声であるべきと考えますが、外相は、儀礼的あいさつは別として、何を第一に取り上げられるお考えであるか承わりたいと存じます。  次に、厚生大臣に対して質問中心点を申し上げます。  第一、まず原爆被害者実情、その障害状況原爆症症状等政府調査の結果並びに現在の施策につきまして、本議場において御報告が願いたいと存じます。  第二点、将来、政府はいかなる対策を樹立しよう考えておられますか。また、われわれの特に承わりたい点は、政府において原爆障害者治療等に関する何らかの立法措置を講じ、これを近く国会に提案する御意思があるかどうかという点であります。この点明確にお示し願いたい。また、ありとするならば、どのよう内容考えておられるか、その大綱をお示し願いたいのであります。  次に第三に、これまた重要な質問でありますが、最近米国側から原爆治療について申し入れてきたということであります。かつて原爆症を否定し、久保山氏の死因をも否定しておった米国が、何ゆえかその見解を改め、原子力委員会キャノン博士を派遣し、ABCCホームズ所長を通じて、広島長崎原爆症患者治療米国費用においてやらしてもらいたいと申し込んだとのことでありますが、果して事実でありますか、いなか。また、その真相はいかがでありまするか、詳細に御発表願いたいのであります。われわれの聞くところによりますと、費用米国が全部負担する。それは余剰農産物米側円資金から出す。広島長崎医科大学の中に治療病院を建設する。治療人員広島の場合、約一万八千人を予定する。これに対して日本側の意見を求めてきたということでありますが、果してさようでありますか。この問題についてわれわれは政府の慎重なる態度を望むものでありますが、要は、障害者の動揺や関係者混乱を来たさぬよう、また、いたずらに原爆被害者をして再び米国のモルモットに供しないよう、万全の留意が必要であると信じますが、政府方針とともに、本問題の真相を明らかにしていただきたいと思います。  次に、農林大臣に御出席願いましたのは、ただいま厚生大臣お尋ねいたしましたように、原爆障害者治療費余剰農産物米側円資金から出すということを申しておりまして、本国政府決定も済んでおると言っておりますので、この機会農相から、第一、余剰農産物受け入れについての基本的御方針を承わりたいと思います。  第二点、第三次受け入れについては、本月九日の閣議決定になったようでありますが、目下いかなる交渉を進められておられまするか、また、どのよう協定が結ばれるお見込みでありまするか、輸入量条件緩和等の点について農相のお見通しを伺います。  第三点、第一次、第二次を通じて米国側使用し得る円資金及びその使途の状況はどうなっておりますか、また、その使用について、日本政府との連絡はどのように行われておりますか、承わりたいと存じます。  最後に、大蔵大臣に対しましては、以上の次第でありますので、蔵相とされ壊して、原爆障害対策費用につきましては、人道的重要施策とされまして、特に深い御理解と御同情のもとに十分御考慮がいただけると信じて疑いませんが、特に蔵相の御所見を伺いたいと思うのでございます。  以上、お尋ね申し上げましたうち、原爆障害者対策に関する質問につきましては、自民党の広島長崎関係同僚議員におかせられましても、お尋ねになりたいところと思いますので、お含みの上、御懇切なる御答弁を期待して私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎登壇拍手
  22. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  第一の御質問は、被害者措置についてでございました。広島長崎原爆障害者につきましては、まことに御同情にたえません。政府としては、従来より原爆被害対策に関する調査研究連絡協議会というものを設けまして、その対策を進めているのでありますが、今後もさらにその推進をもむろんはかる所存でございます。  第二の御質問の、共同宣言中に原水爆禁止の条項が入っていたのを取り除いたというのは遺憾だという御質問でございました。ソ連側がわが方に提示いたしました共同宣言案には、お説の通り原水爆製造実験及び使用禁止に関する規定がありましたのです。本問題は、ロンドン交渉及び去る八月のモスクワ交渉において全然触れていなかった新しい問題でありまして、また、日ソの復交を定める共同宣言中に挿入することは、体裁上必ずしも適当であるとは考えられなかったので、わが方からその削除を提言いたしまして、ソ連側もこれに同意した次第であります。もちろん趣旨に反対するということのわけはありません。ただソ連とだけ約束しても、原水爆製造禁止ということが直ちに実行に移されるかどうかということも、これも疑問があるのであります。これは世界的にアメリカその他の国を加えて、共同宣言というよう体裁のものでなければ実行力がないと考えましたので、それでこのたびの共同宣言からは削除した次第であります。(拍手)   〔国務大臣小林英三登壇拍手
  23. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 山下議員の御質問お答えいたしたいと思います。  広島長崎におきまする原爆被害につきましては、まことにお気の毒にたえないと思っておるのでありまするが、御質問の、被害者実情、現在の施策につきまして、まず御答弁申し上げたいと思います。広島長崎におきまする被爆者の数は、約二十九万人でございまして、この二十九万人のうちで広島長崎居住者が二十三万人でありまして、そのほか全国の各地に散在しておられまするものが六万人でございます。三十一年度以降におきまして精密検査を要しまするものが、広島長崎を通じまして三万七千六百六十一名、これは地元の資料によるものでございまして、それから治療を要しまするものが八千六百三十二名であります。  これが今日の実情でございまして、これらのものに対しまする施策といたしましては、二十九年度から精密検査を、また、三十年度からいたしまして研究治療を行なっておるのでありますが、これらの精密検査並びに研究治療といたしましては、地元原爆障害者治療対策協議会の経費と合わせまして、三十年度までに実施済みのものが、精密検査といたしましては二万六百五十二名、それから研究治療をやりましたものが二千百名でございました。三十一年度におきましては、予算額二千六百万円をもちまして、精密検査は一万五千百二十名、研究治療といたしましては九百五十六名を今日実施中でございまして、なお私どもといたしましては、来年度には、これらの一人当りの点数、それから予算相当量を今日大蔵省に要求中でございまして、これらの問題につきましては、十分に推進をいたして参りたいと存じておるのであります。  それから原爆被害者に対する今後の措置はいかんという御質問でございまするが、今後は努めて対象数を拡大いたしまして、広島長崎のみならず、県外に散在いたしておりまするものに対しましても、これが対象者を拡大して参りたい。また、ただいま御質問になりました、これらに対しまする法的処置といたしましても、今日立法化の方向を考えておるのでありまして、検討中でございまして、その内容といたしましては、健康管理治療との問題を中心といたしまして検討中でございます。  なお、お尋ねになりましたABCCの問題でございまするが、政府といたしまして、ABCCの方からいたしまして、今までは研究ばかりいたしておったのでありますが、今後、研究にあわせて治療をいたしたいという希望がございます。まだ具体的にはきまっておりませんが、具体的にそういう問題が実施せられるということであります場合におきましては、これはもう当然こちらも希望するところでありますので、地元の意向も十分に尊重いたしまして、実施には混乱のないように、遺憾のないように期したいと思っておるわけであります。  以上、御答弁申し上げます。(拍手)   〔国務大臣重光葵登壇拍手
  24. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えを申し上げます。  原爆の問題につきましては、もとより人道上の見地から、わが平和外交の一環として、原爆使用はむろんのこと、実験をも禁止することを実現することに努力をしなければならぬのは当然でございまして、両院の御決議もその趣旨に出ておると思っております。  それでは、御質問の点のいかなる手段をとったか。この政府のとりました手段については、従来とも御説明をいたしてきたのでございます。原爆を持っております各国に対して、個別的にわが方の主張をして、原爆使用及び実験禁止を実現するように、またそれに賛成するよう交渉をして参ったのでございます。これは趣旨は異存はないのでございますけれども、その目的を十分にはまだ達しておりません。それがためには、関係国はむろんのこと、国際機関でありまする国連機関において、十分にわが主張を徹底せしめることが必要であるのでございます。さようにして、世界的に原爆に対する協定を結ぶようにしたいと、こう考えて進んできておるわけでございます。今回国連加盟が実現しまするならば、わが方の主張推進する機会が幾多あろうかと考えます。そういう意味からも国連加入を急ぎたいと、今せいぜい努力をいたしておる次第でございます。  世界情勢が非常に緊張をしてきた。そこで原爆使用禁止等ができないよう考えるかという御質問ようでございましたが、私自身としては、実は反対に考えております。世界情勢が緊迫すればするほど、できるできないは別として、原爆使用もしくは実験禁止は十分に実現するようにますます努力をしなければならぬ。それが世界情勢緊張を緩和する一つの実際的の方法にもなろうかとも考えております。さようなわけでありますから、今後も決して努力を後退せしめることなく進めて行きたい、こう考えておる次第でございます。  さらにまた、御質問一部分に、米国に対し日本原爆被害者治療費の提供を申し入れたことがあるかという御質問もございました。こういうことであろうかと思います。広島医科大学施設拡張費一部分に、米国が現に使用のできる円資金がございますから、その一部分一つ米国の方から出してもらいたいという希望を、わが方から米国側に話してみたのでございます。それについて、米国側としては、趣旨は自分らも非常によくわかるから、できるだけ好意的に検討ようと言って、今話し合いをしておる次第でございます。このことじゃないかと存じます。以上。(山下義信君「国連加盟後の第一声についての御答弁がございません」と述ぶ)  国連加盟につきましては、今御答弁申し上げた通り国連加入後においては、いろいろ日本側主張推進する機会があると考えております。これは十分に努力をいたしたい、こう考えております。   〔国務大臣河野一郎登壇拍手
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。  余剰農産物受け入れについて、政府基本的態度は、ドル資金の節約、長期低利資金、見返資金による国内開発等によって、これらを十分利用して参りたいというところに基本的な態度はあるわけでございます。ただ、次にお尋ねになりました第三次の余剰農産物受け入れについて、どういうふうなことを考えておるかということでございますが、これは昨年に引き続き今年の国内豊作もございますので、そこで私といたしましては、御承知通り通常輸入量を、国内の供給が増加いたしましたから、この方を十分減少いたしまして、余剰農産物対象として輸入すべき分につきましては、御承知通り、人口の増加、もしくは粉食奨励によるところの使用増というようなものを、余剰農産物受け入れ態勢対象にいたしておるのでございますから、国内豊作は、今申しましたように、通常輸入量の減少にこれを引き当てまして、従って、余剰農産物受入量については、先方の条件次第によりまして、これを受け入れることに交渉を進めて行きたいということに考えまして、先般米国側に向って、第一次、第二次等の経過に徴しまして、さらにわが方の使用すべき円資金のいろいろ比率、その他これが用途等について先方に意見の提示をいたしております。その意見を先方が同意して参れば、余剰農産物受け入れ交渉をしてもよろしいというような気持を持っておりますところで、まだ具体的に交渉の段階には入っていないのでございます。  第三のお尋ねがございました見返円資金のうち、米側の使途につきましては、一は米軍人軍属の住宅建設、二は第三国向け域外買い付け、三は市場開拓、四が学生交換費、五が米国債務支払いの五項目でございますが、米国側は、第一次協定に基く農産物市場開発に約一億四千万円の支出を九月三十日現在でいたしておるのでございます。  右、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍   手〕
  26. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 原爆障害者の健康診断及び治療に関しましては、三十一年度には二千六百万円を計上してあるのでありますが、三十二年度におきましては、先ほど厚生大臣から話がありましたように、厚生省において、別途健康診断及び治療内容といたしまする立法措置を講ずるよう検討中であると聞いております。大蔵省といたしましても、この問題につきましては、他の戦争災害者との関連もありますので、慎重に検討をしなくてはならぬと思いますが、しかし、特別なことでもありますので、できるだけのことはいたしたい、かよう考えておる次第であります。(拍手)      ——————————
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、性病予防法等の一部を改正する法律案  日程第二、身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(いずれも第二十四回国会内閣提出、同衆議院送付)  日程第三、寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(第二十四回国会衆議院提出)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長千葉信君。     —————————————   〔審査報告書は都合により追録に掲載〕   〔千葉信君登壇拍手
  29. 千葉信

    ○千葉信君 ただいま議題となりました性病予防法等の一部を改正する法律案身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案及び寄生虫病予防法の一部を改正する法律案の三法律案につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  右、三法案は、いずれも第二十四回国会に提出されたのでありますが、十分に審議を尽すいとまがなかったため、継続審議に付せられた法律案でございます。  まず、性病予防法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  性病予防法は、第二回国会において制定され、性病診療所費に対する国庫負担率は二分の一となっておりますが、第十九回国会において補助金等の臨時特例等に関する法律の制定によりまして、昭和二十九年度来四分の一に低減されておるのであります。しかし、性病予防行政の円滑な運営をはかるためには、この特別措置を廃止することが妥当と認められるに至ったので、今回これが廃止の措置を講じようとするものであります。ただ、保険所の併設されております性病診療所については、保健所と一体的に運営されております特殊性に基いて、現在のところ保健所の経営費に対する国庫負担率が三分の一となっておる関係上、これと同一にするのが妥当と考え、国庫負担率は三分の一となっておるのであります。  以上がこの法律案提出の理由並びに法案の大要であります。  本委員会におきましては、十一月二十二日、厚生大臣より提出理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  次に、身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  現在、身体障害者福祉法、生活保護法、未帰還者留守家族等援護法及び結核予防法におきましては、これらの法律に基く医療に関する給付の担当機関を病院及び診療所に限定しておりますが、これらの給付措置の一環として、薬局において薬剤を交付する場合が考えられますので、関係法律を改正して、今回これらの法律の医療に関する給付を担当する機関として、厚生大臣または都道府県知事が薬局を指定できることにすることが本法律案のおもな内容であります。  なお、このほか、右の薬局における薬剤の交付と関連して、国民健康保険法につきまして、国民健康保険法の規定による国民健康保険運営協議会の委員を、薬剤師を代表する者からも委嘱できる道を開く等、若干の法文整理を行うことといたしてあるのであります。  委員会におきましては、政府当局より提案理由並びに法案の内容について詳細な説明を聴取した後、慎重に審議いたしましたところ、各委員とも今回の改正措置は妥当と認めて、格別質疑もなく、討論を省略して採決いたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、寄生虫病予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、衆議院提出法律案でございまして、その趣旨とするところは、現行寄生虫病予防法におきまして、法定寄生虫病として指定されておる住血吸虫病のうち、地方的に最もしょうけつをきわめ、かつ重篤な症状を呈する日本住血吸虫病につきまして、これの計画的な根絶をはかろうとするものであります。  今日におきましても、現行法の規定を適用して、病原虫生息地帯の公共団体は、国費の補助によりまして、生息地帯における溝渠のコンクリート化を行なって、病原虫の中間宿主である宮人貝の根絶に努力しておるのでありますが、この病害が特定の地方に限られ、また財政支出の問題などに災いされまして、施策の徹底を期し得ない現状であります。  今回の改正によりまして、法律上明確に本寄生虫病の撲滅対策を取り上げ、昭和三十二年度以降、おおむね十年を目標として、この病原虫の生息地帯において施設するコンクリート作りの溝渠新設の基本計画及び各年の実施計画を国において定めるとともに、これがため公共団体の支出する費用に対する国庫負担金の割合を、政令をもって引き上げることができるようにしたのであります。  本案につきましては、十一月二十二日の委員会におきまして質疑を行い、討論を省略し、採決に入りましたところ、全会一致をもって衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と諦めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。  次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時四十三分散会