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1956-11-26 第25回国会 参議院 本会議 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年十一月二十六日(月曜 日) 午前十時四十九分
開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程
第六号
昭和
三十一年十一月二十六日 午前十時
開議
第一
性病予防法等
の一部を改正す る
法律案
(第二十四回
国会内閣提
出、同
衆議院送付
) (
委員長報告
) 第二
身体障害者福祉法等
の一部を 改正する
法律案
(第二十四回
国会
内閣提出
、同
衆議院送付
) (
委員長報告
) 第三
寄生虫病予防法
の一部を改正 する
法律案
(第二十四回
国会衆議
院提出
) (
委員長報告
) ━━━━━━━━━━━━━
松野鶴平
1
○
議長
(
松野鶴平
君) 諸般の
報告
は、朗読を省略いたします。
—————
・
—————
松野鶴平
2
○
議長
(
松野鶴平
君) これより本日の
会議
を開きます。 この際、お諮りいたします。
青柳秀夫
君、
鈴木一
君、
竹下豐次君
から
裁判官弾劾裁判所裁判員
を、
榊原亨
君、
市川房枝
君、
長谷部ひろ
君から同
予備員
を、
井上清一
君、
後藤文夫
君から
裁判官訴追委員
を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
3
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。
—————
・
—————
松野鶴平
4
○
議長
(
松野鶴平
君) つきましては、この際、
日程
に追加して、
裁判官弾劾裁判所裁判員
及び同
予備員
並びに
裁判官訴追委員
の
選挙
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
5
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。
小西英雄
6
○
小西英雄
君 ただいまの
選挙
は、その
手続
を省略いたしまして、いずれも
議長
において指名することとし、なお、
裁判官弾劾裁判所裁判員予備員
の職務を行う順序は、
議長
に一任することの
動議
を提出いたします。
椿繁夫
7
○
椿繁夫
君 ただいまの
小西
君の
動議
に賛成いたします。
松野鶴平
8
○
議長
(
松野鶴平
君)
小西
君の
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
9
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。よって
議長
は、
裁判官弾劾裁判所裁判員
に
土田國太郎
君、
苫米地英俊
君、
宮城タマヨ
君、同
予備員
に
近藤信一
君(第二
順位
)、
杉山昌作
君(第三
順位
)、
大竹平八郎
君(第四
順位
)、
裁判官訴追委員
に
木暮武太夫
君、
高良
とみ君を指名いたします。
—————
・
—————
松野鶴平
10
○
議長
(
松野鶴平
君) この際、御
報告
いたします。
国会法
第三十一条第二項の
規定
により、
河合義一
君は
皇室経済会議予備議員
を、
苫米地義三
君、
剱木亨弘
君は
鉄道建設審議会委員
をそれぞれ解かれましたので欠員を生じました。 また、
内閣総理大臣
から、
皇室会議予備議員豊田雅孝
君、
検察官適格審査会委員土田國太郎
君、
北海道開発審議会委員近藤信一
君、
北勝太郎
君、
積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員田畑金光
君、
国土総合開発審議会委員武藤
常介君、
吉田法晴
君、
日本ユネスコ国内委員会委員高瀬益太郎
君、
湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員海野三朗
君、
飼料需給安定審議会委員島村軍次
君、
海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員中田吉雄
君、
離島振興対策審議会委員安部キミ子
君、
中央青少年問題協議会委員宮城タマヨ
君、
畑地農業改良促進対策審議会委員羽生
三七君、
鈴木一
君、
首都圏整備審議会委員天田勝正
君の辞任に伴う
後任者
を指名せられたいとの
申し出
がございました。 つきましては、この際、
日程
に追加して、ただいま
報告
いたしました
皇室会議予備議員
その他の
各種委員等
の
選挙
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
11
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。
小西英雄
12
○
小西英雄
君 ただいまの
選挙
は、その
手続
を省略いたしまして、いずれも
議長
において指名せられんことの
動議
を提出いたします。
椿繁夫
13
○
椿繁夫
君 ただいまの
小西
君の
動議
に賛成いたします。
松野鶴平
14
○
議長
(
松野鶴平
君)
小西
君の
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
15
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。 よって
議長
は、
皇室会議予備議員
に
加藤シヅエ
君。
皇室経済会議予備議員
に
安部キミ子
君。
検察官適格審査会委員
に棚橋小虎君。同君の
予備委員
に
赤松常子
君。
北海道開発審議会委員
に
青山正一
君、
東隆
君。
積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員
に
小笠原二三男
君。
鉄道建設審議会委員
に
谷口弥三郎
君、
堀木鎌
三君。
国土総合開発審議会委員
に
植竹春彦
君、
田中一
君。
日本ユネスコ国内委員会委員
に
松平勇雄
君。
湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員
に
清澤俊英
君。
飼料需給安定審議会委員
に
木島虎藏
君。
海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員
に
鈴木一
君。
離島振興対策審議会委員
に
矢嶋三義
君。
中央青少年問題協議会委員
に
荒木正三郎
君。
畑地農業改良促進対策審議会委員
に
田畑金光
君、
北條雋八君
。
首都圏整備審議会委員
に
重盛壽治
君を指名いたします。
—————
・
—————
山下義信
16
○
山下義信
君 私は、この際、
原爆障害者
の
治療
及び
援護
に対する
米国側
の意図並びに
政府
の
対策
に陶する
緊急質問
の
動議
を提出いたします。
小西英雄
17
○
小西英雄
君 ただいまの
山下
君の
動議
に賛成いたします。
松野鶴平
18
○
議長
(
松野鶴平
君)
山下
君の
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
19
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。よってこれより
発言
を許します。
山下義信
君。 〔
山下義信
君
登壇
、
拍手
〕
山下義信
20
○
山下義信
君 私は
日本社会党
を代表して、
原爆障害者援護
の問題、
米国側
の
申し出
の
内容
、これらに関する
政府
の
対策等
につきまして、緊急にお伺いいたしたいと存じます。
昭和
二十年八月、
広島
及び
長崎
に投下された
悪魔
の
兵器原子爆弾
が、
今世紀最大
の
悲惨事
でありましたことは、今さら申し
上ぐる
までもございません。運命の
市民
五〇%が即日死亡し、残りの三五%も百日以内にそのあとを追うたのでございます。
爆心地
から四キロ以内の者はもちろん、その後二週間以内に
焦土広島
に足を入れた者は、ことごとく第二次
放射能
の
影響
を免れ得なかったのでございます。実に二十五万の
市民
が、両市において
原爆
の
犠牲
に供せられたのでございます。 のろわしのその日から、早くも十一年の歳月が流れました。一方においては、すでに戦後にあらずなどと言われながら、一方においてこれら
原爆被爆者
のみは依然としてその
障害
の苦悩に呻吟し、最近に至るに従い、かえって
犠牲者
が続出いたし、
全国
にわたる二十八万の
生存者
は死の恐怖におびえ、不安の思いに襲われておるという
状況
でございます。これらの人々は不思議に生き残ったのでありまして、十万度の熱線でやけどを受けた者も、表面的には治癒したかのごとく見えたのでありました。また、ウラニウム、ストロンチウムの
放射能
によって、脱毛、出血、
下痢等
の症候群を呈しておった者も、小康を得て生命を取り戻したかのごとく見えておったのであります。奇跡的に助かったと思って神仏に感謝し、
よう
やく
日常生活
に復帰し得たと喜んだのもつかの間でありまして、やけどした傷あとは醜く隆起して、手術のかいなく、ケロイドの痛み、
瘢痕収縮
の痛み、暑さ寒さに激しい疼痛を覚えて、
作業能力
の減退はもちろん、当時女学生として動員された少女らは、今妙齢に達するに及びまして、醜い姿に泣きくずれ、絶望し、慟哭し、人生の
裏すみ
に身をひそめているありさまは、
議員諸氏
の御推察を賜わりたいところでございます。
外部障害者
とともに、まことに気の毒なのは
放射能
による
血液疾患
の
原爆症患者
でございます。いかなる
治療
も効を奏せず、いな、
治療
の
方法
もいまだ発見されず、今年に入っても
広島
市で二十二名、
長崎
市で十名の
死亡者
を出したのでありまして、十年後の今日、その
被害
の深刻さは一そう悲惨をきわめておるのでございます。信ずべき
調査
によりますと、これらの
原爆障害者
は約五万数千人を数え、そのうち少くとも一万一千人は至急
治療
を要する者であると言われております。しかるに、現在多少にても
治療
を受けた者は、わずかにその一割、一千名前後にすぎないのでございます。 一体今日までいかなる
施策
が行われてきたかと申しますと、
昭和
二十六年
占領政策
の終了までは、
事原爆
に関する限り、
被害実情
は言うに及ばず、医学的の
見解
すらこれを発表することを許さなかったのであります。
米国側
はしばしば
公式見解
として、
原爆被爆者
はすべて完全に治癒している、後遺症と認むべき
影響
は残っていないと発表しておったのであります。その後
日本政府
は、本問題に関して何らの
対策
を講ずることはなかったのであります。 たまたま、一昨年
ビキニ実験
による
久保山
氏らの
水爆被害
が発生いたしまして、これに関連して、
よう
やく
広島
、
長崎
の
原爆被害者
を
調査
するということになったのであります。しかし、今年度におきましても、わずかに
治療的調査費
が
行政措置
として支出されているにすぎないのでありまして、まことに消極的で、不徹底きわまる状態でございます。
政府
はすみやかにその
対策
を再
検討
し、国費をもって十分なる
治療
を行い、同時に、あくまで
原爆症
に対する
医学的追及
を試み、
悪魔
の残虐から
被爆者
を救済するとともに、
世界人類福祉
のためにも、あらゆる
努力
を傾注すべきであると
考え
るのであります。
原爆降雪者救援
の問題は、もはや一地方の特殊問題ではないのでありまして、
原水爆禁止運動
とともに、国をあげて
全国
民の心から熱望しつつある問題でございます。 わが
社会党
は、平和を愛好するこのこの
国民
の要望にこたえ、すでに異常の熱意を注ぎ、用意するところあるものでございますが、
政府
また平和的、
人道
約の重要問題としてこれを取り上げ、その
見解
を明らかにされる
よう
、特に本
会議
の
発言
を求めた次第でございます。以下、
質問
の要旨を申し上げます。
鳩山首相
に対しましては、まず
原爆障害者
に対する
首相
の
措置
について伺います。
首相
はしばしば
原爆乙女
や
被害者代表
らに面会せられ、深い
同情
とあたたかい言葉をかけられたのであります。この際
原爆障害表援護
の問題につき、これが
立法措置
、
予算措置等
を強力に
推進
する
よう
、
首相
として指示を下されるお
考え
がありますかどうか。幸い側近に、事情に詳しい
松本官房
副長官もおられますので、ぜひとも
鳩山内閣
の
方針
として
閣議決定
をしておいていただきたいと思いますが、この点いかがでありましょう。 第二に、関連して伺いたいのは、
原爆実験禁止
の問題であります。今回の日
ソ共同宣言
の中にこれが挿入されてないことは、まことに遺憾にたえないのでありまして、しかも、せっかく
ソ連
の方から原案として提起されたにもかかわらず、
首相
、すなわちあなたの方から
削除
を
申し出
られたのは、まことに不可解千万でありまして、この一項を挿入することが、形としておかしいからという理由は、あまりにもおかしい
よう
に思われます。もっと詳しく向いたいのでありまして、
原水爆
にもまっ先に反対せらるべき
首相
として、おそらく
ソ連
と合意されたものを、何らかの形において残しておられるのではないかと思います。この点率直に御披瀝を願いたいと存じます。
原水爆実験禁止
の問題につきましては、この
機会
に
外務大臣
の御
所見
を承わっておきたいと存じます。この問題について、
外相
はあらゆる
機会
に
努力
を傾注されたと思いますが、果していかなる
努力
を試みられたか伺いたい。また、
外相
は最近の御演説の中で、
世界情勢
を判断されて、冷戦の雪解けは遠のいた、むしろおそるべき緊迫を感ずると言われましたが、去る十六日、
米国大統領
に対する
実験禁止
の
ブルガーニン親書
がありましても、なおかつ
実験禁止
は不可能なりと
考え
ておられますか、
外相
の御
見解
を伺います。 第二点は、
日ソ宣言等批准
の後に、いよいよ
国連加盟
が実現いたしました暁において、まずわが国が第一に
主張
すべきは、いかなる問題であるとお
考え
でありましょうか。
国連
における
日本
の
第一声
は何でありましょう。われわれはこの
原水爆禁止
の問題こそ、
第一声
であるべきと
考え
ますが、
外相
は、
儀礼的あいさつ
は別として、何を第一に取り上げられるお
考え
であるか承わりたいと存じます。 次に、
厚生大臣
に対して
質問
の
中心点
を申し上げます。 第一、まず
原爆被害者
の
実情
、その
障害
の
状況
、
原爆症
の
症状等
、
政府調査
の結果並びに現在の
施策
につきまして、本議場において御
報告
が願いたいと存じます。 第二点、将来、
政府
はいかなる
対策
を樹立し
よう
と
考え
ておられますか。また、われわれの特に承わりたい点は、
政府
において
原爆障害者
の
治療等
に関する何らかの
立法措置
を講じ、これを近く
国会
に提案する御意思があるかどうかという点であります。この点明確にお示し願いたい。また、ありとするならば、どの
よう
な
内容
を
考え
ておられるか、その大綱をお示し願いたいのであります。 次に第三に、これまた重要な
質問
でありますが、最近
米国側
から
原爆治療
について申し入れてきたということであります。かつて
原爆症
を否定し、
久保山
氏の死因をも否定しておった
米国
が、何ゆえかその
見解
を改め、
原子力委員会
の
キャノン博士
を派遣し、
ABCC
の
ホームズ所長
を通じて、
広島
、
長崎
の
原爆症患者
の
治療
を
米国
の
費用
においてやらしてもらいたいと申し込んだとのことでありますが、果して事実でありますか、いなか。また、その
真相
はいかがでありまするか、詳細に御発表願いたいのであります。われわれの聞くところによりますと、
費用
は
米国
が全部負担する。それは
余剰農産物
の
米側
の
円資金
から出す。
広島
、
長崎
の
医科大学
の中に
治療病院
を建設する。
治療人員
は
広島
の場合、約一万八千人を予定する。これに対して
日本側
の意見を求めてきたということでありますが、果してさ
よう
でありますか。この問題についてわれわれは
政府
の慎重なる
態度
を望むものでありますが、要は、
障害者
の動揺や
関係者
の
混乱
を来たさぬ
よう
、また、いたずらに
原爆被害者
をして再び
米国
のモルモットに供しない
よう
、万全の留意が必要であると信じますが、
政府
の
方針
とともに、本問題の
真相
を明らかにしていただきたいと思います。 次に、
農林大臣
に御出席願いましたのは、ただいま
厚生大臣
に
お尋ね
いたしました
よう
に、
原爆障害者
の
治療費
は
余剰農産物
の
米側円資金
から出すということを申しておりまして、
本国政府
の
決定
も済んでおると言っておりますので、この
機会
に
農相
から、第一、
余剰農産物受け入れ
についての基本的御
方針
を承わりたいと思います。 第二点、第三次
受け入れ
については、本月九日の
閣議
で
決定
になった
よう
でありますが、目下いかなる
交渉
を進められておられまするか、また、どの
よう
な
協定
が結ばれるお見込みでありまするか、
輸入量
、
条件緩和等
の点について
農相
のお見通しを伺います。 第三点、第一次、第二次を通じて
米国側
の
使用
し得る
円資金
及びその使途の
状況
はどうなっておりますか、また、その
使用
について、
日本政府
との
連絡
はどの
よう
に行われておりますか、承わりたいと存じます。 最後に、
大蔵大臣
に対しましては、以上の次第でありますので、
蔵相
とされ壊して、
原爆障害対策
の
費用
につきましては、
人道的重要施策
とされまして、特に深い御理解と御
同情
のもとに十分御考慮がいただけると信じて疑いませんが、特に
蔵相
の御
所見
を伺いたいと思うのでございます。 以上、
お尋ね
申し上げましたうち、
原爆障害者対策
に関する
質問
につきましては、自民党の
広島
、
長崎関係
の
同僚議員
におかせられましても、
お尋ね
になりたいところと思いますので、お含みの上、御懇切なる御
答弁
を期待して私の
質問
を終ります。(
拍手
) 〔
国務大臣鳩山一郎
君
登壇
、
拍手
〕
鳩山一郎
21
○
国務大臣
(
鳩山一郎
君) ただいまの御
質問
に対して
お答え
をいたします。 第一の御
質問
は、
被害者
の
措置
についてでございました。
広島
、
長崎
の
原爆障害者
につきましては、まことに御
同情
にたえません。
政府
としては、従来より
原爆被害対策
に関する
調査研究連絡協議会
というものを設けまして、その
対策
を進めているのでありますが、今後もさらにその
推進
をもむろんはかる所存でございます。 第二の御
質問
の、
共同宣言
中に
原水爆禁止
の条項が入っていたのを取り除いたというのは遺憾だという御
質問
でございました。
ソ連側
がわが方に提示いたしました
共同宣言案
には、お説の
通り
、
原水爆
の
製造
、
実験
及び
使用
の
禁止
に関する
規定
がありましたのです。本問題は、
ロンドン交渉
及び去る八月の
モスクワ交渉
において全然触れていなかった新しい問題でありまして、また、
日ソ
の復交を定める
共同宣言
中に挿入することは、
体裁
上必ずしも適当であるとは
考え
られなかったので、わが方からその
削除
を提言いたしまして、
ソ連側
もこれに同意した次第であります。もちろん
趣旨
に反対するということのわけはありません。ただ
ソ連
とだけ約束しても、
原水爆製造禁止
ということが直ちに
実行
に移されるかどうかということも、これも疑問があるのであります。これは
世界
的にアメリカその他の国を加えて、
共同宣言
という
よう
な
体裁
のものでなければ
実行力
がないと
考え
ましたので、それでこのたびの
共同宣言
からは
削除
した次第であります。(
拍手
) 〔
国務大臣小林英三
君
登壇
、
拍手
〕
小林英三
22
○
国務大臣
(
小林英三
君)
山下議員
の御
質問
に
お答え
いたしたいと思います。
広島
、
長崎
におきまする
原爆
の
被害
につきましては、まことにお気の毒にたえないと思っておるのでありまするが、御
質問
の、
被害者
の
実情
、現在の
施策
につきまして、まず御
答弁
申し上げたいと思います。
広島
、
長崎
におきまする
被爆者
の数は、約二十九万人でございまして、この二十九万人のうちで
広島
、
長崎
の
居住者
が二十三万人でありまして、そのほか
全国
の各地に散在しておられまするものが六万人でございます。三十一年度以降におきまして
精密検査
を要しまするものが、
広島
、
長崎
を通じまして三万七千六百六十一名、これは
地元
の資料によるものでございまして、それから
治療
を要しまするものが八千六百三十二名であります。 これが今日の
実情
でございまして、これらのものに対しまする
施策
といたしましては、二十九年度から
精密検査
を、また、三十年度からいたしまして
研究治療
を行なっておるのでありますが、これらの
精密検査
並びに
研究治療
といたしましては、
地元
の
原爆障害者治療対策
の
協議会
の経費と合わせまして、三十年度までに
実施済み
のものが、
精密検査
といたしましては二万六百五十二名、それから
研究治療
をやりましたものが二千百名でございました。三十一年度におきましては、
予算額
二千六百万円をもちまして、
精密検査
は一万五千百二十名、
研究治療
といたしましては九百五十六名を今日
実施
中でございまして、なお私どもといたしましては、来年度には、これらの一人当りの点数、それから
予算
も
相当量
を今日大蔵省に要求中でございまして、これらの問題につきましては、十分に
推進
をいたして参りたいと存じておるのであります。 それから
原爆被害者
に対する今後の
措置
はいかんという御
質問
でございまするが、今後は努めて
対象数
を拡大いたしまして、
広島
、
長崎
のみならず、
県外
に散在いたしておりまするものに対しましても、これが
対象者
を拡大して参りたい。また、ただいま御
質問
になりました、これらに対しまする
法的処置
といたしましても、今日
立法化
の方向を
考え
ておるのでありまして、
検討
中でございまして、その
内容
といたしましては、
健康管理
と
治療
との問題を
中心
といたしまして
検討
中でございます。 なお、
お尋ね
になりました
ABCC
の問題でございまするが、
政府
といたしまして、
ABCC
の方からいたしまして、今までは
研究
ばかりいたしておったのでありますが、今後、
研究
にあわせて
治療
をいたしたいという
希望
がございます。まだ具体的にはきまっておりませんが、具体的にそういう問題が
実施
せられるということであります場合におきましては、これはもう当然こちらも
希望
するところでありますので、
地元
の意向も十分に尊重いたしまして、
実施
には
混乱
のない
よう
に、遺憾のない
よう
に期したいと思っておるわけであります。 以上、御
答弁
申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣重光葵
君
登壇
、
拍手
〕
重光葵
23
○
国務大臣
(
重光葵
君)
お答え
を申し上げます。
原爆
の問題につきましては、もとより
人道
上の見地から、わが
平和外交
の一環として、
原爆
の
使用
はむろんのこと、
実験
をも
禁止
することを実現することに
努力
をしなければならぬのは当然でございまして、両院の御決議もその
趣旨
に出ておると思っております。 それでは、御
質問
の点のいかなる
手段
をとったか。この
政府
のとりました
手段
については、従来とも御説明をいたしてきたのでございます。
原爆
を持っております各国に対して、個別的にわが方の
主張
をして、
原爆
の
使用
及び
実験
の
禁止
を実現する
よう
に、またそれに賛成する
よう
に
交渉
をして参ったのでございます。これは
趣旨
は異存はないのでございますけれども、その目的を十分にはまだ達しておりません。それがためには、
関係国
はむろんのこと、
国際機関
でありまする
国連
の
機関
において、十分にわが
主張
を徹底せしめることが必要であるのでございます。さ
よう
にして、
世界
的に
原爆
に対する
協定
を結ぶ
よう
にしたいと、こう
考え
て進んできておるわけでございます。今回
国連加盟
が実現しまするならば、わが方の
主張
を
推進
する
機会
が幾多あろうかと
考え
ます。そういう意味からも
国連加入
を急ぎたいと、今せいぜい
努力
をいたしておる次第でございます。
世界情勢
が非常に
緊張
をしてきた。そこで
原爆
の
使用禁止等
ができない
よう
に
考え
るかという御
質問
の
よう
でございましたが、私自身としては、実は反対に
考え
ております。
世界
の
情勢
が緊迫すればするほど、できるできないは別として、
原爆
の
使用
もしくは
実験
の
禁止
は十分に実現する
よう
にますます
努力
をしなければならぬ。それが
世界情勢
の
緊張
を緩和する
一つ
の実際的の
方法
にもなろうかとも
考え
ております。さ
よう
なわけでありますから、今後も決して
努力
を後退せしめることなく進めて行きたい、こう
考え
ておる次第でございます。 さらにまた、御
質問
の
一部分
に、
米国
に対し
日本原爆被害者
の
治療費
の提供を申し入れたことがあるかという御
質問
もございました。こういうことであろうかと思います。
広島
の
医科大学
の
施設拡張費
の
一部分
に、
米国
が現に
使用
のできる
円資金
がございますから、その
一部分
を
一つ米国
の方から出してもらいたいという
希望
を、わが方から
米国側
に話してみたのでございます。それについて、
米国側
としては、
趣旨
は自分らも非常によくわかるから、できるだけ好意的に
検討
し
よう
と言って、今話し合いをしておる次第でございます。このことじゃないかと存じます。以上。(
山下義信
君「
国連加盟
後の
第一声
についての御
答弁
がございません」と述ぶ)
国連加盟
につきましては、今御
答弁
申し上げた
通り
、
国連加入
後においては、いろいろ
日本側
の
主張
を
推進
する
機会
があると
考え
ております。これは十分に
努力
をいたしたい、こう
考え
ております。 〔
国務大臣河野一郎
君
登壇
、
拍手
〕
河野一郎
24
○
国務大臣
(
河野一郎
君)
お答え
をいたします。
余剰農産物
の
受け入れ
について、
政府
の
基本的態度
は、
ドル資金
の節約、
長期低利資金
、見返
資金
による
国内開発等
によって、これらを十分利用して参りたいというところに基本的な
態度
はあるわけでございます。ただ、次に
お尋ね
になりました第三次の
余剰農産物
の
受け入れ
について、どういうふうなことを
考え
ておるかということでございますが、これは昨年に引き続き今年の
国内
の
豊作
もございますので、そこで私といたしましては、御
承知
の
通り
、
通常輸入量
を、
国内
の供給が増加いたしましたから、この方を十分減少いたしまして、
余剰農産物
の
対象
として輸入すべき分につきましては、御
承知
の
通り
、人口の増加、もしくは
粉食奨励
によるところの
使用増
という
よう
なものを、
余剰農産物
の
受け入れ態勢
の
対象
にいたしておるのでございますから、
国内
の
豊作
は、今申しました
よう
に、
通常輸入量
の減少にこれを引き当てまして、従って、
余剰農産物
の
受入量
については、先方の
条件
次第によりまして、これを
受け入れ
ることに
交渉
を進めて行きたいということに
考え
まして、先般
米国側
に向って、第一次、第二次等の経過に徴しまして、さらにわが方の
使用
すべき
円資金
のいろいろ比率、その他これが用途等について先方に意見の提示をいたしております。その意見を先方が同意して参れば、
余剰農産物受け入れ
の
交渉
をしてもよろしいという
よう
な気持を持っておりますところで、まだ具体的に
交渉
の段階には入っていないのでございます。 第三の
お尋ね
がございました見返
円資金
のうち、
米側
の使途につきましては、一は米軍人軍属の住宅建設、二は第三国向け域外買い付け、三は市場開拓、四が学生交換費、五が
米国
債務支払いの五項目でございますが、
米国側
は、第一次
協定
に基く農産物市場開発に約一億四千万円の支出を九月三十日現在でいたしておるのでございます。 右、
お答え
いたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
一萬田尚登君
登壇
、拍 手〕
一萬田尚登
25
○
国務大臣
(一萬田尚登君)
原爆障害者
の健康診断及び
治療
に関しましては、三十一年度には二千六百万円を計上してあるのでありますが、三十二年度におきましては、先ほど
厚生大臣
から話がありました
よう
に、厚生省において、別途健康診断及び
治療
を
内容
といたしまする
立法措置
を講ずる
よう
検討
中であると聞いております。大蔵省といたしましても、この問題につきましては、他の戦争災害者との関連もありますので、慎重に
検討
をしなくてはならぬと思いますが、しかし、特別なことでもありますので、できるだけのことはいたしたい、か
よう
に
考え
ておる次第であります。(
拍手
)
—————
・
—————
松野鶴平
26
○
議長
(
松野鶴平
君)
日程
第一、
性病予防法等
の一部を改正する
法律案
日程
第二、
身体障害者福祉法等
の一部を改正する
法律案
(いずれも第二十四回
国会内閣提
出、同
衆議院送付
)
日程
第三、
寄生虫病予防法
の一部を改正する
法律案
(第二十四回
国会衆議
院提出
) 以上、三案を一括して議題とすることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松野鶴平
27
○
議長
(
松野鶴平
君) 御
異議
ないと認めます。まず、委員長の
報告
を求めます。社会労働委員長千葉信君。 ———
—————
—————
〔審査
報告
書は都合により追録に掲載〕 〔千葉信君
登壇
、
拍手
〕
千葉信
28
○千葉信君 ただいま議題となりました
性病予防法等
の一部を改正する
法律案
、
身体障害者福祉法等
の一部を改正する
法律案
及び
寄生虫病予防法
の一部を改正する
法律案
の三
法律案
につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を御
報告
申し上げます。 右、三法案は、いずれも第二十四回
国会
に提出されたのでありますが、十分に審議を尽すいとまがなかったため、継続審議に付せられた
法律案
でございます。 まず、
性病予防法等
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 性病予防法は、第二回
国会
において制定され、性病診療所費に対する国庫負担率は二分の一となっておりますが、第十九回
国会
において補助金等の臨時特例等に関する法律の制定によりまして、
昭和
二十九年度来四分の一に低減されておるのであります。しかし、性病予防行政の円滑な運営をはかるためには、この特別
措置
を廃止することが妥当と認められるに至ったので、今回これが廃止の
措置
を講じ
よう
とするものであります。ただ、保険所の併設されております性病診療所については、保健所と一体的に運営されております特殊性に基いて、現在のところ保健所の経営費に対する国庫負担率が三分の一となっておる関係上、これと同一にするのが妥当と
考え
、国庫負担率は三分の一となっておるのであります。 以上がこの
法律案
提出の理由並びに法案の大要であります。 本委員会におきましては、十一月二十二日、
厚生大臣
より提出理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、本法案は全会一致をもって原案
通り
可決すべきものと議決した次第であります。 次に、
身体障害者福祉法等
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 現在、身体
障害者
福祉法、生活保護法、未帰還者留守家族等
援護
法及び結核予防法におきましては、これらの法律に基く医療に関する給付の担当
機関
を病院及び診療所に限定しておりますが、これらの給付
措置
の一環として、薬局において薬剤を交付する場合が
考え
られますので、関係法律を改正して、今回これらの法律の医療に関する給付を担当する
機関
として、
厚生大臣
または都道府県知事が薬局を指定できることにすることが本
法律案
のおもな
内容
であります。 なお、このほか、右の薬局における薬剤の交付と関連して、
国民
健康保険法につきまして、
国民
健康保険法の
規定
による
国民
健康保険運営
協議会
の委員を、薬剤師を代表する者からも委嘱できる道を開く等、若干の法文整理を行うことといたしてあるのであります。 委員会におきましては、
政府
当局より提案理由並びに法案の
内容
について詳細な説明を聴取した後、慎重に審議いたしましたところ、各委員とも今回の改正
措置
は妥当と認めて、格別質疑もなく、討論を省略して採決いたしました結果、全会一致をもって原案
通り
可決すべきものと
決定
した次第であります。 次に、
寄生虫病予防法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 この
法律案
は、衆議
院提出
の
法律案
でございまして、その
趣旨
とするところは、現行
寄生虫病予防法
におきまして、法定寄生虫病として指定されておる住血吸虫病のうち、地方的に最もしょうけつをきわめ、かつ重篤な症状を呈する
日本
住血吸虫病につきまして、これの計画的な根絶をはかろうとするものであります。 今日におきましても、現行法の
規定
を適用して、病原虫生息地帯の公共団体は、国費の補助によりまして、生息地帯における溝渠のコンクリート化を行なって、病原虫の中間宿主である宮人貝の根絶に
努力
しておるのでありますが、この病害が特定の地方に限られ、また財政支出の問題などに災いされまして、
施策
の徹底を期し得ない現状であります。 今回の改正によりまして、法律上明確に本寄生虫病の撲滅
対策
を取り上げ、
昭和
三十二年度以降、おおむね十年を目標として、この病原虫の生息地帯において施設するコンクリート作りの溝渠新設の基本計画及び各年の
実施
計画を国において定めるとともに、これがため公共団体の支出する
費用
に対する国庫負担金の割合を、政令をもって引き上げることができる
よう
にしたのであります。 本案につきましては、十一月二十二日の委員会におきまして質疑を行い、討論を省略し、採決に入りましたところ、全会一致をもって
衆議院送付
案の
通り
可決すべきものと
決定
いたしました。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
松野鶴平
29
○
議長
(
松野鶴平
君) 別に御
発言
もなければ、これより三案の採決をいたします。 三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
松野鶴平
30
○
議長
(
松野鶴平
君) 総員起立と諦めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。 本日の
議事日程
は、これにて終了いたしました。 次会の
議事日程
は、
決定
次第公報をもって御通知いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十三分散会