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1956-11-29 第25回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十九日(木曜 日)    午前十時三十六分開会     ―――――――――――――   委員の異動 十一月二十八日委員横川正市君辞任に つき、その補欠として松本治一郎君を 議長において指名した。 本日委員松本治一郎君及び山下義信辞任につき、その補欠として吉田法晴 君及び高田なほ子君を議長において指 名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     亀田 得治君    理事            井上 清一君            上原 正吉君            秋山 長造君            竹下 豐次君    委員            木村篤太郎君            苫米地義三君            西岡 ハル君            松村 秀逸君            荒木正三郎君            伊藤 顕道君            永岡 光治君            高田なほ子君            吉田 法晴君            八木 幸吉君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    労 働 大 臣 倉石 忠雄君    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     大山  正君    防衛政務次官  永山 忠則君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    大蔵政務次官  山手 滿男君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁経理局長 北島 武雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (昭和三十二年度防衛庁関係予算要  求に関する件) ○国家公務員共済組合法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付)(第二十四国会継続) ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (公務員の給与に関する件)     ―――――――――――――
  2. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、これより内閣委員会開会いたします。  委員の変更を御報告いたします。十一月二十八日付横川正市君が辞任され、松本治一郎君がその補欠に選任されました。また、本日付、松本治一郎君及び山下義信君が辞任され、吉田法晴君及び高田なほ子君がそれぞれその補欠として選任せられました。  以上御報告いたします。     ―――――――――――――
  3. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、国の防衛に関する調査を議題に供します。まず来年度防衛関係予算について、防衛庁当局から御説明を承わりたいと存じます。
  4. 船田中

    国務大臣船田中君) 委員長にまずお願いしますが、政府側もすわって答弁することをお許し願います。
  5. 亀田得治

    委員長亀田得治君) けつこうです。
  6. 船田中

    国務大臣船田中君) 昭和三十二年度の防衛関係予算要求につきましては、すでに大蔵省の方に概算要求を提出いたしておりますが、まだ、政府案としてきまったものではございません。しかし、ただいま御要望がございましたので、その概要につきまして、経理局長から説明いたさせますから、御了承を願いたいと思います。今すぐ経理局長参りますから、ちょっとお待ち下さい。
  7. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 暫時休憩いたします。    午前十時三十七分休憩      ―――――・―――――    午前十時三十八分開会
  8. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは再開します。
  9. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 手元に「昭和三十二年度防衛庁概算要求及び増強計画」という書類がお配りしてあると思います。これによりまして御説明を申し上げます。  まず、昭和三十二年度の概算要求基礎となりました増強計画につきまして、一応の御説明を申し上げたいと思います。まず、陸上自衛隊につきましては、定員を、自衛官現在十六万人を十七万人に要求いたしまして、自衛官一万の増強計画いたしております。このほか、部隊職員につきまして、現在一万二千二十人のところ八百二十四人の増加要求をいたしまして一万二千八百四十四名の要求をいたしております。この定員をもちまして、部隊といたしましては、主動部隊といたしまして、混成団一のほか、空挺同一特科大隊一を編成する予定でございますが、この主動部隊増強に応じまして、所要後方部隊機関、学校を強化いたしますほか、新たに地区作業隊十を新設する予定でございます。地区作業隊と申しますのは、特車、特科等の重車両部隊によりまして損傷されました道路の補修、その他自衛隊自体におきまして必要とするところの施設工事をいたしますほか、訓練のため目的にかないます場合におきましては、部外の工事の受託をいたしたいというふうに考えておるのであります。  次に、海上自衛隊につきましては、まず定員は、現在自衛官二万二千七百十六人でございますところを、新たに二千七百八十八人増加要求いたしまして、結局二万五千五百四人、部隊職員につきましては、現在千三百四十五人の定員のところを、九百十二人増加いたしまして、二千二百五十七人といたしたいという要求でございます。艦艇につきましては、新たに昭和三十二年度におきまして増強計画いたしておりますのは、五十七隻でございまして、トン数にいたしまして、五千八百四十五トンでございますが、この増強分内訳が下に書いてございまして、このうち日本側建造計画いたしておりますものは、警備艦甲型二隻、掃海艇中型三隻、掃海艇小型二隻、駆潜艇二隻、特務艇高速型二隻、その他難船三十四隻を予定いたしております。このほか米国から、これはごく難船でございますが、十二隻の供与予定いたしております。以上の増強によりまして、現在すでに建造計画中のものを含めまして、三十二年度末の一応保有計画艦艇は四百七十四隻、十万八千四百四十八トンになる予定でございます。海上自衛隊航空機増強でございますが、三十一年度末の海上自衛隊航空機保有機数は百二十七機でございますのを、三十二年度末におきましては、百八十八機にいたしたい計画でございまして、従いまして、増強分六十一機ということに相なるわけでございます。内訳といたしましては、対潜機十機、練習機五十一機と相なっております。  次に、航空自衛隊でございますが、航空自衛隊定員は、自衛官が現在定員一万四千四百三十四人でございますが、これを七千百五十一人を増加いたしまして、三万一千五百八十五人といたしたい計画でございます。なお、部隊職員につきましては、現在二千五百六十六人でございますのを、二千百四十九人増加いたしまして、四十七百十五人といたしたいのでございます。航空自衛隊航空機増強計画につきましては、三十一年度末の予定が五百八十二機でございますのを、三十二年度末におきましては八百八十三機の計画予定いたしております。従いまして、増強分が三百一機ということに相なるわけであります。この内訳実用機といたしまして、F86F百六十五機、C46八機、ヘリコプター四機、合せて百七十七機、練習機が、T34五機、T6二十機、T33九十七機、計百二十二機でございまして、なおこのほか、実験機といたしまして、目下試作にかかるジェット練習機二機を予定いたしておるわけでございます。航空自衛隊部隊等につきましては、新たに航空集団司令部を設けますほか、西部及び北部に航空訓練部各一。なおこのほか、航空団三のほか、第二航空教育隊を新設する予定でございます。以上のほか、これに伴いまして、所要後方部隊及び教育機関等につきまして、若干の増強予定されております。  以上のような増強計画に伴いまして、これを基礎といたしまして、三十二年度の概算要求金額、ただいま大蔵省要求いたしております金額は、次のページにございますが、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊その他合せまして千二百七十六億千三百万円でございます。昭和三十一年度が千二億でございましたので、要求といたしましては、二百七十四億千三百万円の増加と相なっております。この内訳は、陸上自衛隊におきまして六十二億四千五百万円の増加海上自衛隊におきまして二十五億七百万円の増加航空自衛隊におきまして百六十九億九千二百万円の増加、その他、すなわち技術研究所防衛大学その他の附属機関におきまして十六億六千八百万円の増加と相なっております。  この歳出予算のほか、なお、新たに国庫債務負担行為といたしまして、三十二年度に御承認をお願いいたしたいと思いまして、ただいま要求いたしております金額が百六十四億三百万円ございます。三十一年度におきまする国庫債務負担行為が百四十二億八千二百万円でございますので、差引いたしまして二十一億二百万円の増加と相なります。すなわち内訳は、陸上自衛隊におきましては四億三千八百万円の増加海上自衛隊におきましては逆に五億七千三百万円の減、航空自衛隊におきましては十七億九千二百万円の増加技術研究所におきまして四億六千三百万円の増加、合せて二十一億二千百万円の増加と相なります。  なお、継続費を別途要求いたしております。継続費につきましては、昭和三十一年度におきまして潜水艦の一隻の建造予算承認願いまして、既定計画にいたしまして総額二十七億千八百万円を承認せられました継続費がございますが、今回、その既定分継続費につきまして年限を一年延長いたしまして、三十二年度まで延ばしまして要求いたしますほか、新たに新規に建造いたします自衛艦警備艦その他につきまして、継続費として要求いたしまして、総額六十四億九千四百万円に相なっております。その年割額は、三十二年度が三十六億千二百万円、三十三年度が三十四億七千六百万円、三十四年度が四億六百万円と相なっておるわけであります。  簡単でございまするが、ただいままで概算要求いたしておりまする、目下大蔵省説明をいたしておりまするのは、ただいま申し上げた通りでございます。なお、御質問によりまして、お答え申し上げたいと思います。
  10. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは、本件に関し御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちょっとおそれ入りますが、三十二年度分の増だけを御説明になりましたが、累計をちょっと説明して下さい。
  12. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 何の累計でございましょうか。
  13. 吉田法晴

    吉田法晴君 たとえば、自衛官は全部で十何万と、こういうことになりますから、これはわかりますね。増が一万。艦艇航空機その他について、累計の書いてないところがある。
  14. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 艦艇につきましては、二ページに書いてございますが、以上の増強によりまして、建造中のものを含めまして、三十二年度末の保有艦船は四百七十四隻、十万八千四百四十八トンと、こう書いてあります。それから航空機につきましては、海上自衛隊航空機でございますが、三十二年度末の保有機数が百八十八機、これが累計になるわけでございます。これに対する三十一年度末が百二十七機でございましたから、差引六十一機の増と、こういうことになります。それから航空自衛隊航空機につきましては、三十二年度末の全体の保有機数が八百八十三機でございまして、これに対しまして、三十一年度末五百八十二機でございましたので、差引三百一機の増と、こういうことに相なります。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ついでに、アメリカの軍隊が駐もしておりますね。あれについての日米双方負担額、来年度の防衛費ですね。日米双方負担額。それについての説明をこの際してもらいたいと思います。
  16. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 御質問趣旨は、米国のいわゆるMDAP供与がどの程度になるか、こういうお尋ねかと思います。昭和三十一年度におきまして供与を期待しておりますのは……あるいは御質問の御趣旨を私取り違えておったかと思いますが、負担額と申しますのはMDAP供与金額のことをお尋ねになったのでございましょうか、あるいは防衛分担金……。
  17. 荒木正三郎

  18. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 防衛分担金につきましては、目下まだ交渉いたしておりません。と申しますのは、防衛分担金につきましては、三十一年度に一般方式が策定されまして、それによりますと、防衛庁予算額、それと施設提供等諸費、この中には軍事顧問団経費の入るわけでございます。それも含めました前年度に対する増加額の三分の一だけ前年度の防衛分担金から削減する。こういう方式ができておるのでございまして、従いまして、三十二年度の目下概算要求いたしております。これが国内的に防衛庁予算額施設提供等諸費がきまりますれば、これに伴いまして自動的に防衛分担金が計算されるわけでございます。まだ三十二年度の予算額がきまっておりませんので、防衛分担金折衝もいたしてないわけでございます。日本国側防衛庁費施設提供等諸費金額がきまりますれば、これに伴いまして、ただいまの方式によりまして分担金が計算されるわけであります。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題ですね。予算がきまるまでに、アメリカ折衝してきめなければならないんじゃないですか。
  20. 北島武雄

    説明員北島武雄君) その点につきましては、国内的におきまして、日本政府側としては、防衛庁費幾らにする、施設提供等諸費幾らにするということの内部決定がございますれば、同時に、それに並行いたしまして、アメリカ側と交渉し、ただいま申しましたような方式によりましてきまりましたものが、予算として国会の御承認をお願いすることになるわけでございます。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、これらの予算外経費については、アメリカと全然まだ折衝はしていないのですか。
  22. 北島武雄

    説明員北島武雄君) まだ全然折衝いたしておりません。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは、経理局長仕事というよりも、大臣のお仕事と思うのですが、従来からいって、防衛分担金削減と、それから日本防衛努力というものが、これはまあ見合って決定されてきた。一般方式がきまったとしても、それを日本防衛努力ということを今言われたけれども、来年度の概算要求、これがどの程度に実現するか。これと、それから防衛分担金とが関連があり、そしてきめられていく。そうすると、日本防衛費自身について、何らかの折衝がこれはあっているだろうと思うのですが、今、荒木君から尋ねました防衛予算、それから防衛分担金減額一般方式によるとはいえ、どういう工合になるだろうということは、大臣としてこれはおつもりもあるだろうし、何と申しますか、御所見もあるだろうと思います。この際一つ、固つてなくてもいいですから、方針だけ言っておいて下さい。
  24. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛分担金を最終的にどう決定するかということは、ただいま経理局長から御説明申し上げたような一般方式というものが、ことし一月末の日米共同声明によって明らかにされておりますので、その日本側における防衛関係経費予算としてきまりますれば、それに応じて防衛分担金削減してもらうということになるわけでありまして、わが方の予算額がきまらないというと、従って防衛分担金削減金額もきまらない、こういうことになるわけであります。しかし、わが国の防衛につきましては、日本アメリカ合衆国とが共同して日本防衛に当るという日米安保条約及びそれを実行すべき行政協定等の規定がございまするので、従って日本防衛のどういうことをやるか、いかに共同して防衛するかということについては、従来日米間において緊密な連絡をとりまして、そうして大体三十二年度においてこういう程度のことを日本としてはやるということによりまして、それをもとといたしまして、アメリカ側に対して、しばしば初度調弁に要する重火器等供与してもらいたいという折衝はいたしておるわけでございまして、従いまして、三十二年度の予算を編成するについて、米側から供与を期待する艦船兵器飛行機等については、すでにアメリカ側にその要求を出しておるようなわけであります。しかし、この日本側の三十二年度の予算そのものについて、直接アメリカ側折衝するということはいたしておりません。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 それはわかります。しかし、その前半の、あなたがお話しになった日本防衛努力をどういう工合に三十二年度においてする、そのことが防衛予算まあ増になりますね。それの――まあ施設提供費を含めますけれども――二分の一ということになると、三十二年度にどれだけ増をするか、その打ち合せというものがついて、施設提供費を含んで防衛分担金の減になるかならぬか、こういうことですから、事務的に大蔵省主計官が、これだけになったから、それで防衛分担金はこれだけ減るのだ、こういう仕事じゃないと思う。話はそろばんの話じゃないと思うのだ。従って防衛努力について三十二年度の増、それから施設提供費については、全然今お話ございませんでしたけれども、それについてどの程度の増を見込んでおるから、防衛分担金についてはその二分の一の程度減額があるだろう、こういう見通しはおありになるだろう。その辺を御説明いただきたい。
  26. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛庁といたしましては、ただいま経理局長説明したような、昭和三十二年度の概算要求大蔵省に提出いたしておりまして、それをぜひ実現するために、アメリカ側からの供与を期待する兵器艦船装備品等がございますので、それは、すでに七月末にアメリカ側要求いたしてございます。防衛庁としては、この概算にあげてありますものがそのまま実現するように努力しておるわけでございます。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、経理局長に伺いますが、二百七十四億ですか、増が。それに防衛施設提供費はどういうことになるのですか。
  28. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 施設提供等諸費は、調達庁におきまして見積りを立てまして、大蔵省要求をいたしております。どの程度金額要求いたしておりますか、多少聞いた点もございますが、最後の決定につきましては、防衛庁が関与いたしませんので、詳しくは存じません。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは、担当大臣でございますから、大臣からお願いいたします。しかも、米軍施設についてお尋ねをすると、日本防衛上の必要であるから、こういうお話でございます。担当大臣から御説明をお願いいたします。
  30. 船田中

    国務大臣船田中君) 調達庁関係概算要求がどの程度に行っているかということは、実は私、詳細知っておりません。しかし、大体本年度、百億ないし百五億という数字が出ておりますが、それと大体見合っていくくらいのものじゃないかと思っております。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 施設提供費についても、これはどういうことか知りませんけれども、年々相当程度ふえておりますね。その点は、本年程度云々ということなんでしょうか。  それからもう一つ、これは二十六日ごろの新聞ですけれども、経理局長説明によりますと、今のように大臣お話のように、防衛分担金が変らないということになると、二百七十四億増、その半分と、こういうことになりますが、ところが、大蔵省のあれでは、本年並みに押えたいということで、二百七十四億増云々という点は、まあ防衛庁は増を希望しておられますけれども、なかなか困難じゃないか、こういうことのようでありますが、その辺について、防衛庁と、それから大蔵省だけでなしに、従来のあれから言いますと、日本防衛努力について、アメリカと打ち合わせてこられた実績等もございますし、何と申しますか、防衛庁大蔵省だけでなしに、きまっているのじゃないかという疑いを持つわけであります。その点がどういうことになりますのか、一つお話をいただきたい。
  32. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛関係費につきまして、今、吉田委員から、施設等提供費が年々ふえておるじゃないかというお話でございましたが、これまでの経過を、これはすでに御承知のことと存じますが、概要申し上げますというと、昭和二十七年度が防衛庁費が五百九十二億円で、防衛支出金が六百五十億円、それから分担金が五百七億円、それから施設提供諸費が百四十三億円となっております。ところが、二十八年度になりますというと、分担金は五百五十八億円ですが、施設提供費が六十二億円に減っております。そのときの防衛庁費は六百十一億円、防衛支出金が六百二十億円になっております。それから昭和二十九年度は、防衛庁費が七百四十三億円、それに対しまして防衛支出金が五百八十四億円でありまして、そのうち分担金が五百三十二億円、施設提供諸費が五十二億円、このときが非常に減っております。それから三十年度になりますというと、防衛庁費が八百六十八億円、それから防衛支出金が四百三十九億円でございまして、そのうち分担金が三百八十億円、施設等提供費が七十九億円、そうして三十一年度におきまして、防衛庁費が一千二億円、防衛支出金が四百五億円、従って防御関係経費が一千四百七億円ということでございまして、このときは分担金が三百億円、施設等提供費が百五億円ということになっておりまして、三十二年度につきましては、先ほど経理局長の御説明申し上げましたように、二百数十億円増加するということで計画を立てております。そこで、施設等提供費が今年度並みと考えますというと、大体防衛分担金削減は百数十億円ということになろうかと考えます。しかしこれは、防衛庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、昭和三十五年度末におきましてたびたび御説明申し上げておりますような目標を持っておりますので、それを実現するために、三十二年度、三十三年度において陸上においては一万の増強をする、艦艇の方は昭和三十五年度末に十二万四千トンという目標を持っておりますが、これは、その後再検討を加え古い船をなるべくやめて、新しい船に置きかえてゆくというようなことで、多少トン数の上においては違いが出てくるかもしれませんが、大体三十五年度の目標を速成するように、少くともその目標を下回らないように計画を進めて行っておるわけであります。航空自衛隊の方につきましては、これまた練習機を含めて約一千三百機ということを御説明申し上げてございますが、それを達成するために、三十二年度においては、先ほど経理局長が御説明申し上げたように、三百機ほどの増強をはかる、こういういうような計画でございます。この大体の計画、これらは、その計画に基いて、アメリカ側にも、それに必要な装備品艦船飛行機供与を受けないということで、先方に要請をいたしております。防衛庁といたしましては、ぜひ三十二年度のこの概算要求大蔵省において認められ、また、政府案として確定することを希望して、努力をいたしたわけであります。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 防衛庁要請は合理的でない、あるいは再検討すべきでないかという議論の出てくるゆえんのものは、一つは年々二百億を越す繰り越しだと思うのですが、使い残りとも言えますが、またこれは、来年三月にあれする問題ですが、実績から言うと、やっぱり、二百億以上使い残りがあると思う。従って、二百億程度繰り越すようなものについては、削るべきではないかという議論が出てくるのが当然だと思うのです。金があまり余り過ぎて、アメリカ要請によって積み上るんじゃなくて、総額をない予算の中から取るから、不正使用も出てくる、こういう国民の世論が当然だと思うのですが、そういう世論なり、あるいは大蔵省等においても多少そういう意見があると思うのですが、それについては、どういう工合に考えられているのですか。やっぱりこれだけのものを作れということだから作ると、こういうことなんでしょうか。
  34. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛庁経費経理につきまして、いろいろ御批判のあることは、こちらも十分反省をいたしまして、改善を加えつつあります。今御指摘になりました、毎年多額の繰越金があるじゃないかという御批判についても、私どもは、まことにごもっともであると存じまして、十分検討は加え、改むべきものは改めておりますが、これは、予算委員会あるいは決算委員会等においてもたびたび問題になりまして、そのつど御説明を申し上げておることでございますが、何といっても防衛関係の生産というものは、船を一つ作るにいたしましても、戦前であれば十年、十五年という長期計画によってこれをやっておるのでありまして、しかも技術陣あるいは経験、そういう点において十分な用意があったわけでありますが、戦後全部そういうものがなくなってしまいまして、従いまして、船を一つ作るにつきましても、その設計をするというだけでも一年や一年半はかる。そうしてそれを実行に移して、いよいよ予算を取って、それから実施計画を立てるということになりますというと、また一年や一年半はかかるというようなことになります。さればといって、この予算を全然計上しないというわけには参りません。ことに継続費というものについては、もうすでに御承知の通り、戦後原則的にはこれをなるたけ継続費というものを使わないというようなことになっておったというようなこともございまして、戦前であれば、艦艇建造費というようなものは、もうほとんど全部継続費でありましたものが、戦後においては継続費として計上しないというようなことになっております。また、その他の新しい器材、機器というようなものの注文につきましても、これは非常に時間がかかるというようなことで、おくれておる次第でございます。また船を作りましても、大砲あるいはレーダー、ソーナーというような新鋭兵器につきましては、米側供与に待たなければならぬというようなことで、しかも、米側予算年度と日本側予算年度と食い違っておるというような、いろいろそういう技術的な面もございまして、供与がおくれる、こちらの期待した時期にうまくマッチしないという場合もございます。それから演習場の獲得というようなことについては、これはすでに御承知の通り、各地においていろいろ問題が起っておりますので、そのために非常におくれるということがございます。そういうようなことで、詳細なことは、いずれ経理局長からまた御説明申し上げることにいたしますが、大体そういうようなことで、繰越金が相当多いということは、これはどうも免れない事実であります。しかし、三十二年度の予算の編成につきましては、先ほども再三御説明申し上げましたように、継続費に回し得るものは継続費に回し、また、債務負担行為という制度の活用によりまして、毎年二百億円以上の繰り越しがあるというようなことを今後も続けることは、まことにこれは予算編成上、経理上においてよろしくないことでございますので、そういうことの起らぬように最善の努力をいたしまして、世間の疑惑を一掃することに努めていきたい、かように考えている次第でございます。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 その繰り越し問題は、これは残るのですが、時間がありませんから、これに固執することはやめたいと思うのです。しかし、継続費あるいは債務負担行為というものが別にあることは承知しております。実際問題として、毎年二百億近い残りがあって、だから、最初から削れというのは当然な主張だと思うのです。  なお、今の来年度の増強計画を聞いてみますと、相当従来の考え方と違っている点があるようです。一つは、たとえば陸上について一万ということですが、これは二十四国会の後ですか、新聞では、一万名の人員をふやすというようなことはやめて、むしろ人間は半分にしても、装備を充実すべきでないか、こういうようなことが自民党の防衛委員会ですか、自民党の事実上防衛計画について推進をされているといわれる防衛委員会等で、そういう意見が出ていたように思います。ところが、ここに出てきたものを見ますと、人間も一万名ふやす、それから空海の装備も、最初の、去年おととしくらいですかに立てられた五カ年計画なんかで出ておった数字よりも、これは試案だ、固まっておらないといわれましたけれども、去年、おととしあたり出ておりました数字よりもずっと大きい数字が出てきておる。あれもこれもという結果にこれはなっております。この増強計画は。従ってこれは、予算がふえていくのは当然だと思うのですけれども、防衛庁自身について、防衛庁費の二百七十四億というのが、これは、防衛庁長官の言われるように、かってないふえ方だと思うのですが、その辺は人員についても、あるいは装備についても、従来ありました意見、批判に対して、やはりそれ以外にないと、こういうことになりました事由、いきさつ等を御説明願いたいと思います。
  36. 船田中

    国務大臣船田中君) この問題は、結局国際情勢をどう見ていくか、また、それに対処して、日本の自衛力をどの程度増強するかという大きな問題から割り出されてくることと思うのですが、私ども防衛の責任者として考えてみますると、この国際情勢に対処いたしまして、しかも、この国際情勢がにわかに平和になるというふうにはどうしても考えられませんので、そこで、できるだけの国力、国情に相応する防衛態勢を整備していきたい。   〔委員長退席、理事秋山長造君着席〕 そうして整備することによりまして、外国駐留軍の撤退に備えるということに進めていきたいというふうに考えます。そこで、昭和三十五年度末を目標といたしまして、しばしば御説明申し上げておりますように、長期防衛計画というものを防衛庁としては、試案でありますけれども、持っておりまして、それをなるべくすみやかに達成するようにいたしたいと、もちろん財政、経済、民生の安定ということとも十分勘案して参らなければなりませんが、しかし、これもたびたび御説明申し上げておりますように、防衛関係の総経費を国民所得に比較いたしましても、わずかに二%強ということでありまして、列国の事情、前例等を見ますると、国民所得のどんなに少い国でも、国民所得の四ないし五%というのが、最低、アメリカのごときは一二、三%、イギリスでも、あるいはフランスでも、一〇%程度というものを防衛関係に支出いたしております。従いまして、わが国において、貿易もよくなってきており、経済も回復し、民生も安定をしておるという今日において 国民所得の増加もかなり多くなってきておりますので、国民所得の二%強を防衛関係に使うということは、私どもの見解としては不当ではなかろう、そこで、その程度の財政負担において、自衛力をできるだけ漸増するという方向に進めていきたい、かような計画をもって、昭和三十二年度の防衛計画を立て、また、それに伴う予算を計上して大蔵省要求しておると、こういう次第でございます。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、国際情勢の変化あるいは日本の国力の予想以上の向上があるから、そこで、五カ年計画のテンポを繰り上げて、早く自衛力を充実することにした、こういうことでございますか。たとえば艦艇にしても、去年、これは発表というか、正式に言われた数字ではございませんけれども、自衛隊で考えられた一つの数字の中に、三十二年度、トン数にして三千六百五十といったような数字がございましたけれども、それが、五千八百四十五トン、まあ倍にはなっておりませんけれども、非常な増強のテンポが、あるいは航空機にしましても、八百八十三というのは、去年あたり言われておった数字からすると八十機分で、やはり多い数字がここに出ておる。ですから、陸上にいたしましても、これは、陸上は去年と同じように言われておったといいますか、新聞で見ました数字と同じですが、しかし一万という数字については問題があると言われましたけれども、一万、それから海空ともに従来考えられておったテンポよりももっと早くなってきた、こういうことのようでありますが、どうですか。
  38. 船田中

    国務大臣船田中君) ことさらにテンポを早くしたということはないと存じます。昭和三十五年度末に達成すべき目標に従って、それを三十二年度、三十三年度というふうに、順次これを実現するようにして参りたい、かような考えでございますから、特に今日景気が幾らかよくなったからといって、テンポを早めたということはございません。しかし、国民所得に対する防衛費の割合というものは、これは大体従来御説明申し上げてあるように、二%強というところを標準として、そうしてこの計画を立ててあるわけでございます。
  39. 吉田法晴

    吉田法晴君 テンポが早くなっておることは、これは事実ですね、去年あたり考えられたあれに比べると。ですから、そのテンポの早くなった理由、艦艇なんかについては特に大きく目立ちます。  それで、その理由は何かということをお尋ねしているのですが、初めは、艦艇その他について、米側から供与をせられると、こういうことであったのですが、その後、初めは、日本自衛隊というのですか、予備隊を作るときにはそうでしたが、だんだん変ってきて、提供がおくれるから自国産に切りかえる、こういう大きな方針の変化もあるようでありますが、テンポが著しく早くなっていることは事実じゃありませんか。その理由を、どういうところにあるのか、お示しを願いたいと言うのです。
  40. 船田中

    国務大臣船田中君) これは、先ほど御説明申し上げたように、ことさらにテンポを早めたということは全くございません。これまで、当委員会において御説明申し上げております長期計画については、三十二年度三十三年度にどういうものを実現するかということについては、その詳細は御説明申し上げておりませんので、本日初めて三十二年度の大体の計画を申し上げたわけでございまするが、今、吉田委員のおあげになった数字は、私どもが三十二年度において、それだけしか実現しないといって御説明申し上げた数字ではございません。その点は何かの行き違いではないかと思います。ことさらにテンポを早めたということはございません。ただ、艦艇建造につきましては、先ほど私の説明のときに申し上げましたように、古い船をある程度やめて、そうしてその維持費を新造の方に向けた、こういうことはございます。そういうことによって、三十五年度末に速成すべき艦艇建造目標が、多少違うことはあるだろうと、こういうことを申し上げたのでありまして、その以外においてテンポが急に早くなったということはございません。
  41. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、五カ年計画ということで今まで言われました数字は、たとえば艦艇の分を除いては同じだというのですか。それとも海上については変る、あるいは航空についても変り得るというのですか。この三十五年度の最後の数字は……。
  42. 船田中

    国務大臣船田中君) 三十五年度の最終達成目標というものについては、大体変りはございません。
  43. 吉田法晴

    吉田法晴君 余り詳しいことはまたの機会にいたしますが、今の五カ年計画その他を付議しなければならぬからということで、国防会議等については、相当無理をして二十四国会で通過をはかられた。ところが、国防会議はその後一向開かれない。で、国防会議の構成に関する法律ほか一件、こういうものを二十二国会でありましたか、法案が成立をいたしませんでした場合には、前任者でありましたが、責任をとってやめられておる。そうい過去のあれから考えまして、あれだけ大騒ぎをして作られた国防会議が、その後半年以上も開かないということについては、これは重大な責任があると考えるのでありすが、船田大臣はどういう工合に考えておられますか、御説明願います。
  44. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防会議は、この前の第二十四国会において成立をいたしまして、そうしてその後、七月中に国防会議の事務局も構成せられました。ところがその後日ソ国交調整のための会議、日ソ交渉が開かれまして、外務大臣が旅行をされ、あるいはその後総理大臣がまた訪ソをされる。また、大蔵大臣アメリカに旅行されるというようなことがございましたので、実はまだ会議を開いておりません。しかし、近く、数日のうちに国防会議を開くことになっておりますので、大へん遅れてはおりますけれども、決してあれを等閑に付しておったというようなことはないわけでございます。
  45. 吉田法晴

    吉田法晴君 半年以上たって開かれぬ。まあのほほんとしておられるのですが、そんなものならば、国防会議を作らなくても、あるいはあれだけの騒ぎをしなくてもよかったと思う。責任を感じられるか、そうでなければ、国防会議の緊急性というものがなかったということで、国防会議その他についての、何と申しますか、制度そのものについて再検討を加えるか、いずれかと思うのでありますが、そのいずれをおとりになるか、お伺いしたい。
  46. 船田中

    国務大臣船田中君) 国防会議が設置されまして、ことに事務局の構成ができましたので、すでに事務局としては活動を開始いたしておるわけでありまして、会議そのものは開かれておりませんけれども、国防会議設置の目的が全然閑却されておるわけではなくて、実質的には十分調査研究は進められておるわけですから、近く国防会議を開くことになりますれば、それに対しまして、別に国防会議を軽視したとか、あるいは法案を無理に通して、あとかまわないでおく、その責任をとらなくちゃならないじゃないかというような問題は、まだそこまで考えるのは早いじゃないかと思います。
  47. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあ船田長官の何と申しますか、感覚がそういうことなんです。(笑声)別の機会に、また他の方から質問もございましょうし、時間がございませんから、次に移ります。  この間、日本自衛隊が米、韓国の軍隊と一緒に演習に参加したというニュースが伝わっておるのですが、その実態と、それから法的な根拠をお示し願いたいと思います。で、SEATOについては、これは外交問題でありますけれども、外務大臣あるいは総理大臣から否定をせられて参りました従来他の機会に、それに、自衛隊だけ、まあ自衛力と言われますが、事実上軍隊でありますけれども、陰の事実上の軍隊が米国の司令官と申しますかの下に使われる、あるいは使われておるのではないかという疑いが、これは私どもの消すことのできない感じでありますが、それを文字通り示したとしか考えられません。長官としてどういう工合に考えておられますか。
  48. 船田中

    国務大臣船田中君) 日本自衛隊、ことに航空自衛隊アメリカ軍の毎年やっておりまする空の演習に本年は参加したということは、これは事実でございます。ことにアメリカは、ことしの秋、防空演習をやりましたのは、ドラゴン・フライ、エクササイズというような名前で呼んでおります。これは、アメリカ人はああいう名前をつけることが好きですから、いろいろな名前をつけて呼んでおるのですが、今までわが方の航空自衛隊は、そこまで発達いたしておりませんために、一緒になって戦闘訓練をする、また、日本防衛のための空の訓練をするという場合におきましても参加ができなかったのでありますが、ことしになりますというと、幸いに日本航空自衛隊も、米軍と一緒になってそういう大きな演習に参加ができるというところまで成長して参りました。そこで、米軍側の方でも、これはもう毎年やる演習、秋季演習でございますが、それに参加をしないかという通知を受け、わが方としても、それは非常にいい機会であるから参加させてもらいたいということで、参加をさせたのであります。  これは、根拠はどこにあるかと言いますと、もちろん条約によって、SEATOとかNEATOとかいうような条約に基くものではございません。航空自衛隊日本の空を守るためにあるものであり、また、防衛庁長官は、訓練のために必要な命令は出し得るのでありますから、その私の権限において演習に参加させ、演習をやらした、こういうことでございます。
  49. 吉田法晴

    吉田法晴君 ところがあれですね。米軍日本及び日本の周辺と申しますか、極東と申しますか、アジアの平和に寄与する云々ということで、日本防衛だけではありません。で、演習はおそらくそういうことを想定し、あるいは範囲についてもそうだろうと思うのです。そうすると、日本航空自衛隊日本の領空だけにとどまるということも、これは制約も実際にされぬと思うのです。そういう場合に。もう少し法的根拠を御説明願わなければ、その演習というものが、あるいは実際に演習じゃなくて、動く場合等を考えれば、行政協定二十四条にもまあ関連をするのかもしらんと思うのですが、日本の空だけを飛んでいるということならば問題はございません。SEATOの演習は、これは去年でしたか、タイを中心にしてもございましたが、それじゃ今の長官の御説明によると、SEATOならSEATOの演習に参加しても何ら差しつかえはないじゃないか、私の命令でやるなら差しつかえないじゃないか、こういうことになると思う。そうなると、内閣全体の方針であるSEATOなりNEATOなり、そういう軍事同盟の拡大したものに参加する意思はない、そういう方針とこれは抵触する事実が起つて参るのであります。実際にどうであったのか、もう少し、かっての法制局長官おいでですから、もう少し合法的に説明を願いたい。
  50. 船田中

    国務大臣船田中君) このドラゴン・フライ・エクササイズに参加したということは、これは今、吉田委員の御指摘になったようなSEATOとかNEATOとかいうものを前提としたものでは絶対にございません。日本防衛のために必要な防空訓練、これはふだんでもアメリカの指導、教育を受ける、現地において受けるということはやっておるのです。ただそれを総合的な訓練演習をやったというだけのことでございまして、決してSEATOとかNEATOというものに参加をするとか、あるいはそれを前提として訓練をしたというものではないのでありまして、アメリカ日本地域以外においてどう訓練をしたかは、それは存じませんが、少くとも日本自衛隊は、日本の国土の防衛のために必要な米軍との協同訓練をやった、こういうことでありまして、もちろんその間におきまして、指揮系統はアメリカ側日本側とは全然別にやっておるわけであります。
  51. 吉田法晴

    吉田法晴君 その指揮系統云々という話ですが、それでは別々の演習ですか。そうじゃないでしょう。一緒の演習でしょう。一緒の演習なら、日本の飛行隊の司令官が極東空軍司令官のもとで、その作戦の一部に参加をしたと、こういうことじゃありませんか。  それからもう一つ日本アメリカとの、日本航空自衛隊と、それから日本を守るためにおる米空軍との演習、こういうお話ですけれども、それでは韓国その他のあれはどういう理由で参加をしたのですか。
  52. 船田中

    国務大臣船田中君) 日本自衛隊は、日本国土の防衛に必要なる空の守りをするわけでありまして、その範囲内において演習に参加をするというだけのことでありまして、米軍が韓国において韓国軍とどういう演習をしたかということは承知はいたしておりません。これは全然別のことであります。
  53. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、演習の総司令官は米軍、そして日本の範囲内においては日本自衛隊が参加をする、韓国の場合には韓国の空軍が参加をする、あるいは台湾の場合には台湾の空軍が参加をする、日本の参加する部分は日本の領空にとどまるかもしれませんけれども、まあそれもその範囲外に出ることを保しがたいと思うのですけれども、そういう統一した司令官のもとに動く、アジアにおける防衛なり、あるいは平和維持といわれるけれども、それが軍の配置の実態じゃないのですか。あるいは、いざという場合に、実際に使われる場合に、アジア全体の防衛アメリカが引き受ける。日本の部分だけ日本が指令を受けてやる、そういうアジア防衛と言われるけれども、アジアにある米極東軍の司令官のもとに日本が動いていく、日本自衛隊なりなんなりが動いていく、こういうのが日本自衛隊の実際の姿ですか。それを演習にそのまま表わしたというのが今度の空軍の演習じゃないのですか。そこの態勢を問題にしているわけです。
  54. 船田中

    国務大臣船田中君) これはもう、吉田委員もよく御存じの通りに、もし日本の国土あるいは日本の地域、もちろんその地域は領水をも含むわけでしょうが、そういう所に侵略行為が行われたというような場合には、行政協定二十四条によりまして、その発動によって、日本政府とアメリカ合衆国政府とがいかなる協同動作をとるか、協同措置をとるかということについて直ちに協議をする、こういうことになります。従って、そのときには指揮官が、陸についてはどういうことをする、空についてはどういうことをするという、一々その指揮の問題についても協議が行われるということになると思います。しかし、この秋行われました自衛隊の参加した空の守りについての訓練というものは、これは日本防衛のために必要な訓練をしたのでありまして、たまたま米側の方の大きな訓練も行われたようでありまするが、しかし、先ほど来申し上げておるように、日本自衛隊の参加した訓練は、日本防衛のために必要なる、またその範囲内におけるところの訓練に参加をしたというにとどまるのであります。もちろん、その訓練中といえども、指揮官は日本航空自衛隊の源田空将が指揮をするということをやっておったわけでありまして、アメリカの指揮下に入ったものではございません。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとお尋ねをさしていただきますが、今防衛庁の権限で日本の独自の権限に基いてやったようにお話がありましたが、ちょっとこれは解せませんので、もう一歩伺わしていただきたいと思います。  防衛庁の権限は、防衛庁設置法の第五条に規定されておるようでありますが、この中のどの条項に基いてそれが行われたのでありましょうか。私が推察するところによると、第五条の十三項「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛し、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため行動すること。」、及び十八項に、「領空侵犯に対する措置を講ずること。」、こういう二項があなたの言われる権限に該当するように思われるわけであります。そういたしますとこれは、十三項及び十八順は、日本独自の自主的な行動であるかもしれませんけれども、しからば、何のために今日まで日本防衛のため、の共同措置が行政協定によって規定されたということがきわめて問題になってくるわけであります。まず、どういう権限に基いてこれが行われたものであるか、これと日本アメリカとの共同措置、そういうものとの関係でありますが、これは法的に言ってもらいたいです。事実でなく、事実を通して法的に明快に答えてもらいたい。
  56. 船田中

    国務大臣船田中君) ただいま御質問の点は、第五条第二十一に、「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行う」ということがございますが、これが防衛庁長官の権限に入っておりますので、この規定によりまして、ドラゴン・フライ・エキササイズへの参加を認め、そうしてこれに参加さしたわけでございます。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 なるほど、それは訓練でありますから、訓練に違いありませんが、訓練というのは一つ目標を持ったものであって、無計画なものであるはがずない。もちろん、訓練防衛庁の権限でもあり、また、そうした訓練に伴う行動についても、防衛庁としては一つの責任と権限を持っておるはずである。今次の訓練の目的は、あなたの言うような漠然としたものではないのであります。なぜならば、これは「週間新潮」にも、それからいろいろ新聞にもあるようですが、十一月四日の、米極東空軍司令官S・キューター大将が公式に発表しておりますが、「十一月初旬、日韓、沖縄にわたる地域にて、米陸海空及び海兵隊を中心として、これに日本、韓国の空軍をも参加させる大演習を展開し」云々、それからこの演習の主体になっておる直接の責任者、在日米第五空軍司令官F・スミス中将の談話としてと、次のように発表しております。「今回の共同演習は、日米韓三国の防衛能力を判定するためと言うよりも、むしろ極東地域に対するいかなる侵略に対しても、直ちに撃退出来る、共同能力を向上させるための訓練である、」こういうふうにですね、漠然として船に乗ったり飛行機に乗ったり、そういうような断続的な訓練ではなく、明確に訓練目標というものがはっきりしているはずであります。これに対して防衛庁長官の権限において許可を与えられたわけですから、ただ、その訓練というような御答弁ではなくして、責任のある、訓練目標について御答弁をわずらわしたい。
  58. 船田中

    国務大臣船田中君) 日本航空自衛隊がその演習に参加いたしましたのは、日本国の防衛のために必要なる限度において訓練をするという趣旨において、また、その範囲内においてのみ参加をいたしたのでありますから、この第五条第二十一号によって、私が私の権限において参加をさせたということは差しつかえないと存じます。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと御答弁がそれているわけです。私は、あなたの権限にそれているとかいないとかいうことを質問しているわけではない。訓練目標であります。特にこの訓練の性格、そういうものについてどういうふうに把握しているか。あなたは、その日本の独自の立場で参加したと、アメリカとは全く別個の訓練をしたの、だと、こういうふうにおっしゃっておりますから、権限とは別個にお尋ねしているわけです。私がなぜこういうことをお尋しているかと申しますと、これはまあ新聞の報道でありますからあれですけれども、日本のT33型のジエツト練習機が十数機参加したり、またF86もこれに参加しているようであります。相当にこの演習に、日本のレーダー基地がこれに対して積極的な活動を開始しているように報道等で承知しておるわけであります。個々ばらばらの単独の訓練ではなく、もっと目標のしっかりした訓練であったのである。これについてお尋ねしているのであります。
  60. 船田中

    国務大臣船田中君) 日本自衛隊が、ことに日本航空自衛隊がこの演習に参加いたしましたのは、日本防衛のために必要なる訓練をするために参加をいたしたものでございまして、目的ははつきりいたしておると思います。
  61. 吉田法晴

    吉田法晴君 議事進行。その今の点は、抽象的に日本防楯の範囲、限度で云々と言われたって、事実がわからなければ、これは論議のしようがない。抽象的に論議してもしょうがないのたから、さっき、源田空将が指揮されたというのですから、別の機会にもう少し詳しく、参加せられた事実等を源田空将その他について参考に聞かれるなり、事実をもう少し委員会で明らかにした上で、一つ論議をしていただくように、委員長、お取り計らいを願いたいと思います。  自衛隊がどういう活動をするか、これは演習だけでございません。実際の演習での活動といったものは、これはそういう実際の活動をする可能性が相当大きいわけです。防衛庁あるいは自衛隊の活動として重要な問題だと思われますので、事態を明らかにして審議を進められるようお願いをいたします。
  62. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ちょっと、今の吉田さんの御提案をおさばきになる前に、簡単に質問さしていただきたいと思います。いかがでしょうか、長くかかりませんから。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 それはかまいませんが、あまり、長なりそうだし、事実を、ここで抽象的に……。
  64. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ごく簡単ですから。今までのあなたの質問に関連いたしまして。
  65. 秋山長造

    ○理事(秋山長造君) よろしゅうございますか。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 ええどうぞ。
  67. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 長官の御説明によりますというと、秋の空軍の演習の場合に、指揮系統がまばらになっておるということでありましたが、結局日本の航空隊の指揮官は日本のその長官が指揮され、アメリカの方ではアメリカの指揮官がやっている。別々になっている。こう御説明でございました。それから目的は、日本の防空のために日本空軍は演習に参加したのだというふうにも承わったのであります。日本の航空部隊が演習に参加した目的は御説明通りであると、私どもそれを信じております。それからアメリカの方は、これは大きい目的がありましょうけれども、そのうちの一部分として、日本の防空ということを考えての演習であろうとも私は想像するのであります。その想像が当っておるとしますれば日本のための防空という点が、アメリカのその演習の目的の一部分と日本のすべての目的とが合致する部分があるわけであります。そう考えますというと、両方が指揮権が全く別々だということになりまするというと、両方の連絡というものはとれないはずでありゃしませんか。こういう疑問を起すのであります。目的ははっきりわかっておりますけれども、演習に参加するということであるならば、その演習の目的を達成するためには、一体になって演習しないというと、演習の目的が完全に達成されないのじゃないか。そう考えるというと、日本の航空の部隊日本の指揮官が指揮をする、アメリカの方はアメリカが指揮するということに一応分れておっても、その両方を連絡をもって、本来の目的を達成するために、その両指揮官のまた上にあると申しますか、連絡をとるための指揮官、総司令官とでも申しますか、そういうもがなくちやならないと思うのでありますが、そうしないでも演習というものは完全にできるものでありましょうか。参加の価値というものがあるわけでありましょうか。その点が、私、演習のことさっぱりわかりませんので、一応疑問になりますので、御答弁願いたいと思います。
  68. 船田中

    国務大臣船田中君) もちろん、今竹下委員の仰せのごとくに、全然ばらばらに演習をしておるというものじゃございません。大きな計画については、それはもちろん、いわゆるシナリオについてはこれは承知して、そうして日本防衛に必要な部分について日本航空自衛隊が参加をする、こういうことでありまして、直接その日本自衛隊を動かす指揮官は、先ほど申した源田空将がやっておるのでありまして、全然アメリカの指揮系統の中に日本航空自衛隊が入ってしまったということではないのであります。しかし、全体としての防衛訓練のシナリオについては十分承知をして、そうして日本航空自衛隊がそれに参加をした。しかもそれは、日本防衛のために必要なる限度と範囲において訓練に参加をしたと、こういうことであります。
  69. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますると、こういうふうに理解していいのでございますか。演習が始まったあとは、指揮系統は全く別々になっておるけれども、全くばらばらにならないように、演習の始まる前に日米両方の間で何らかの話し合いがあったんだと、そのときには、指揮とかそういうような問題は起らずに、両方で話し合って、ばらばらにならないような話し合いを済ませておって演習が始まったのだと、こういうふうに理解していいんでございましょうか。
  70. 船田中

    国務大臣船田中君) アメリカ軍の演習は、もちろん、日本防衛のために必要なる訓練日本の地域においてやっておるんであります。その点においては目的が一致しておるわけであります。先ほど来問題になっておりますように、日本地域外においてどういう演習をしたか、また、よその国とどういう連絡をとったかということは、日本側としては承知いたしておりません。しかし、日本防衛のために必要な範囲の、またその限度の訓練については、これは大体の計画米側ともよく話し合って、そして訓練日本航空自衛隊が参加をしておる、こういう次第であります。参加といいますけれども、参加というと、いかにも、米軍の指揮下に入ってしまったように見えますけれども、英語でいえばパーティシペイトでございますから、その部分の仕事にパーティシペイトするというだけのことでございます。
  71. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は、さっぱり実態がわかりませんから、立ち入った御質問もできないんでありますが、両方で一緒になって演習するというふうな場合には、話し合いの上で、あるときには日本の司令官が総指揮官になる、ある場合には向うの人が総指揮官となって、その輩下としてこっちもやるというような演習をなし得るものじゃないかというような気持も持っておるわけであります。条約の関係など、私詳細に存じておりませんので、はっきりしたことは申し上げられないのでありますが、要するに私、まだ演習の実態というものが把握されておりませんので、きょうの私の質問はこれで打ち切りまして、また後ほど研究いたして、さらに御質問申し上げることがあるかもしれません。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 吉田さんの発言について……。吉田さんの発言はごもっともですが、何も現地の源田さんがいなければ話がわからぬというなら、船田防衛庁長官なんかおらぬでもよろしいのです。今、権限によってこの演習に参加したということを言っておられるのでありますから、詳細は直接の責任者に資料を提供していただくことはけっこうでしょうけれども、長官は責任を負って、今回の演習がどういうふうに行われたのか、その実際の模様、これをあたう限りここで私は説明していただきたいと、当然そうあるべきだと思うのです。吉田さんのお言葉もありますけれども、私は、絶えずこういう問題が下の方にかぶされて、ついに指揮系統も明確でないままにたびたびこういう問題が起ったならば、これは非常に大きな問題です。私がきょう特別この委員会に出席したのは、最近あっちこっちの婦人会に呼ばれて参りますと、この問題はどうだ、これは大へんなことになったというふうな質問を非常に多く受けておる。それで私は、特にこの問題を十分にお伺いするために本日おじゃまをした次第でありますから、どうぞその全貌について御説明を願いたい。
  73. 船田中

    国務大臣船田中君) 先般行われましたドラゴン・フライ・エクササイズの詳細なことは、私もそうささいな点まで承知しておるわけではありませんが、大体日本の国土を防衛するために、日本の地域外から侵略軍が入ってきたと、そういう場合に、いかにこれを要撃するかということが大体この演習の構想でありまして、従って日本航空自衛隊のあるものが、いわゆる侵略軍として日本の上空に来る、また日本航空自衛隊の他のものは、それに対して要撃をするという、敵味方に分れて訓練をする、それをあるいはレーダーでもって早く察知をする、もしくはそのレーダーで察知したものを高射砲であるいは撃つというような、そういう要するに敵味方に分れて、侵略軍と防衛軍と分れて、そして日本防衛をいかにすべきかということについての訓練をやった、こういうことなんであります。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、侵略軍に対する要撃の構想で、実際レーダーも使用してやったと、こういうことになると、現実問題としたら、交戦状態を演習したということになるわけですね。そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  75. 船田中

    国務大臣船田中君) 侵略軍の飛行機日本の国土の上に飛んできたときに、これをいかに要撃するか、撃退するかというような訓練はもちろんやったことでございます。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 すると、それは交戦権の憲法の問題に触れますが、やはり交戦の状態に入るわけですね。いかがです。
  77. 船田中

    国務大臣船田中君) 憲法の九条には、御承知の通り、国策遂行のために武力を使い、あるいは武力的威嚇をしてはならないということはございます。しかし、自衛権を否定いたしておるものではございません。従いまして、日本国土にもし侵略が行われた場合においては、自衛隊は空に海にあるいは陸に侵略するものに対してこれを要撃し、これを撃退するという責任を持っておるわけでありまして、平素からそういう訓練はいたしておるのでございます。
  78. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、この場合の仮想敵国の侵略軍の想定と、それから侵略の経路、自国に対する侵略がどういうようなふうに行われるかという、どういう想定のもとにやられたのか、特に仮想敵国はどこであったのか、それをお伺いします。
  79. 船田中

    国務大臣船田中君) わが方といたしましては、仮想敵国というものを特定はいたしておりません。   〔理事秋山長造君退席、委員長着席〕 今回の演習につきましても、侵略軍と防衛軍、こういうふうに分れて、いわゆる青組、赤組と、あるいは小学校の子供がやっておる白、赤というふうに分れてやっておるのでありまして、特定の国が仮想敵国であるというようなことは考えておりません。
  80. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういうことはちょっとおもちゃの訓練であって、そういうことなら、何も国民の経済まで苦しめて、こういう莫大な予算説明なんかする必要はない。当然やはりどうい経路でもってこの敵が侵入してくるか、この際にどういうような方法でこれを防衛するか、こういう計画が立てられなければならないのでありますが、大へん船田さんは軽くお答えになっておられるようでありますので、はなはだ不満でありますが、ここでこれを論争しておる時間もありませんし、特に交戦権と憲法の問題等については、非常に重要な問題でもありますから、これはあとに譲りますが、そういう子供だましのような御答弁はお避けになった方がいいのではないでしょうか。私はそう思うのです。特に私は重ねてお尋ねをいたしますが、国土を防衛すると、単によそからのものに対してこれを守るという場合でしたら、それは、前の国会の速記録を私は昨晩読んでおったのでありますが、防衛庁の方針は、航空機はもっぱら防衛のものを使うのであって、爆撃機は使わないのだ、こういうようなふうにお答えになったのが速記録に出ておったのであります。ところが今度の場合には、単に戦闘機だけでなく、F86というような爆撃機やレーダーを使って、非常に総合的なりっぱな演習が行われておるようでありますけれども、単にその場だけの御答弁ではなくて、もう少し国民の心配にこたえるような私は御答弁をいただきたい。再度お願いします。
  81. 船田中

    国務大臣船田中君) 私は、特に答弁を回避したり、あるいは子供だましの答弁をするというような気持でお答えは申し上げておりません。実情を申し上げ、また私の信念を申し上げておるのでありまして、わが航空自衛隊は、ただいま御指摘がありましたけれども、爆撃機というようなものは一機も持っておりません。全く国土防衛のために必要なる最小限度の物を持っておるのでありまして、F86Fというものは、これは戦闘機でありまして、敵機が日本の地域を侵した場合に要撃をするという役割を勤めるものでございまして、これは遠くへ行って、よその国を爆撃するという性能を持った飛行機ではございません。
  82. 高田なほ子

    高田なほ子君 この際参考に聞いておきたいのですが、レーダーが使用されておるようでありますが、私もよくこの点については、専門家でないからわかりませんが、レーダーを使用する場合には、要撃の場合もあるでしょうし、最近のような、航空兵器の非常に進歩した場合には、短時間に敵方を威圧せしめるという場合に、レーダーというものが使われると思われるのであります。今回の訓練に使われたレーダー使用の目的、それからこの訓練の場合には、これは何条でしたでしょうか、除外例がありましたれ。電波使用の除外例があったように思いますが、電波法の適用除外、百条に郵政大臣の認可が必要、これは周波数の使用についての除外例が設けられてあるようですが、訓練の場合などについては、全然これとは無関係に行われるものであるか、この二つの点をお答え願いたいと思います。
  83. 船田中

    国務大臣船田中君) レーダーをどういうふうに御解釈になっておるのかわかりませんが、いわばレーダーというものは人間の目に当るものでありまして、飛行機が飛んできたという場合にこれを認める、それを発見する、どれくらいの距離にあるか、どれくらいの高さにあるかということを発見するのがレーダーの役目でありまして、敵を攻撃するためにレーダーが攻撃的兵器に使われるというようなことは、日本自衛隊に関する限りは、そういうようなものはございません。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 レーダーの使用については、防衛庁長官はそういう御見解でしょうが、私はまた、近代兵器の使用の場合には別の使用に当るということも若干ありますので、これは見解の相違と言えば言えるでしょうが、この点については触れません。  もう一つ、この際伺っておきたいことは、もし演習中にけがをしたというような場合、ときどきアメリカの空軍の練習の場合にも、なくなったりけがをしたりということが新聞で再々見えているようですが、こういうような大規模の演習の場合には、こういうような点についても相当に考えなければならない問題ではないか。特に法の定めるところによって身の危険をも顧みずにやらなければならないと、ちゃんと自衛隊員の使命が書いてあるわけですが、もし演習中に死傷が起った場合には、これは決して普通の公務員の公傷のような不作為の損傷でなく、法で規定した作為の損傷に当るわけでありますが、こういうような場合の損害というものについて、どういったような補償が法的に行われておるものか、この点を一つ伺いたいと思います。
  85. 船田中

    国務大臣船田中君) 米軍側が演習をして民衆に損害を与えたというような場合には、行政協定の定むるところにより、額して、その損害を補償するということになっておりますし、ことに今年の夏以来、その補償額を相当大幅に増額をいたしまして、損害を受けた方々に対する十分な補償を、するような措置を講じております。また、演習に参加した自衛隊員がみずから損傷を受けたという場合には、これは公務傷害としての、取扱いをいたすわけでございます。また、第三者に損害を与えたという場合には、先ほど申し上げた米軍側の第三者に与えた損害と何様な補償をすることになっており、また事実やっております。
  86. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじゃ、もう一点だけ伺わしていただきましょう。これは映画の問題なんですが、航空自衛隊日本人パイロットの姿を記録映画として描こうというような企画があったそうでありますが、この企画は防衛庁の方から持ち込んだように、これは週刊新潮ですか、には記録してあります。どういうわけで民間情報部と一緒になってこういう日本人パイロットの勇ましい姿を映画にするのか。また一説によれば、この映画を件成する途中に、日本側の方の某脚本家が脚本を書いた。ところがその筋書については、非常に愛国心が希薄であると言われて、とうとうこれが却下されてしまった、こういうようないきさつがあるようでありますが、この航空自衛隊の勇ましい姿を映画にするために、アメリカ側などでは二億円の援助費が出されている。こういうようなまことに驚くべき報道が行われているようでありますが、長官はこういう事実をよく御存じでありましたら、私どもの疑問を解くためにも、詳細にれを報告していただきたいと思います。
  87. 船田中

    国務大臣船田中君) 今、高田委員の御指摘になりました点は、私承知いたしておりません。十分調査をいたしまして、事実をよく調査した上でお答え申し上げたいと思います。
  88. 高田なほ子

    高田なほ子君 まだまだ質問も残っておりますので、先ほどの吉田委員の御発言のように、もっと詳細な現場の責任者からの資料をちょうだいいたしまして、保留さしていただきたいと思います。
  89. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと一言だけお尋ねしたいと思います。先ほどの高田委員に対する御答弁の中で、自衛隊は爆撃機は持たない、こういう御答弁があったのですが、これは過去、現在並びに将来において爆撃機は持なないという御方針であると受け取ったわけですが、その通りですか。
  90. 船田中

    国務大臣船田中君) 爆撃機は現在も持っておりませんし、また近い将来に持つという計画も持っておりません。
  91. 秋山長造

    ○秋山長造君 その今の、近いというのを小声で言われたわけですけれども、近い将来というのはどういう意味ですか。さっき高田委員に対する御答弁では、このわが国の自衛隊というものは、憲法の精神に照しても、あくまでこれは純然たる国土の自衛という限度にとどまるべきであるから、従って爆撃機は、その証拠には持っていないと、こういうふうに強く言われた。そうすると、将来においてもこれはやはりこの限界というものは守らるべきものである以上、爆撃機を持たないということはやっぱりはっきりしておるはずなんです。ところが、今お尋ねしたところ、今度は、さっきは、絶対に爆撃機は持たない、だからこの憲法にも違反しないし、あくまで国土の防御という限度をはみ出さないのだということを非常に強く言われた。ところが今度は、現在及び近い将来にと言われたと思うのですが、そうすると、今問題になっているこの防衛六カ年計画で、千三百機航空機を作るというような計画の中ではどうなんですか。爆撃機はやっぱりそれに入るのですか、入らないのですが。
  92. 船田中

    国務大臣船田中君) 近いと申しましたのは、私がそう長くやっているかどうかわかりませんので、遠慮して事実をそう申し上げたわけであります。ただいま御質問のございましたように、昭和三十五年度を最終目標とする長期防衛計画の中に、爆撃機を持つという計画はございません。
  93. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど、高田委員質問に関連をして、委員長でお取りまとめを願いたいと、こういうふうにお願いしたのですが、ドラゴン・フライ・エクササイズといわれる米空軍、日本航空自衛隊、あるいは韓国その他も参画しておるようでありますが、その演習に関する質問がございましたが、その実態がよくわかりませんので、その演習の実情、特に竹下さんからも御質問がありましたが、組織、指揮系統、それから演習の範囲、特に日本航空自衛隊が行動をした範囲、韓国、沖縄にもわたるという言葉が高田委員からございましたが、そういう点等を詳細に委員会に報告を求め、文書の報告で足りなければ、源田空将ですか、出られたそうですが、その源田空将を呼んで聞く必要があるかどうかを委員長の方で御判断を願いたいと思います。防衛庁側の詳報をとった上で、大臣に対する質問を次の機会にやると、こういうことでお取りまとめを願います。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、それにつけ加えまして、防衛庁では、PR映画のことを承わったら、知らないということですが、火のないところに煙は立たないのでありますから、これを十分お調べになって、疑問を解いていただくような資料の御提出を添えていただくことを希望いたします。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がありませんが、もう一、二点お尋ねして、あとは次の委員会の運営にお願いいたしたいと思うのですが、きのうの衆議院の内閣委員会で、機密保護法を次の通常国会には出したい、こういう御答弁がありました。前にも多少そういう意向が漏れているようですが、新政研究という雑誌によりますと、三州クラブという、これはどういうクラブかわかりませんが、定例午餐会に長官が出て演説しておられる。その話の中には、今の機密保持のために措置をしたいということと、それから言論統制をやりたい、ことに言論統制は何ら行われておらないで、野放図になっておる、このままでよいかということについては、これは諸先輩の皆さんに十分お考え願わなければならぬと、こういうことでありますが、とにかく言論統制について、今のままではいかぬ、こういう御発言、重大な御発言があって、それからもう一つは、防衛生産を育成をしなければならぬ、これはまあ二カ所に、国防会議も関連をしておりますが、防衛生産の長期計画及び他の産業との調整に関する大綱を国防会議で討議し、きめたいということと、それから日本防衛なり防衛生産はさし木だから、その根をはやし、育成をして、独立して防衛生産ができるように、防衛生産技術の向上を進めていかなければならぬ、こういうことを言っておる。それからもう一つは、相互武器開発援助計画アメリカが持っておるので、今までの技術協定なりMDAPなり、あるいはMSAでなくて、さらに防衛生産目的のために技術協定を締結をし、大臣の言葉で言うと相互武器開発援助計画を進めなければならぬ、こういうことが言われておりますが、機密保持について、それから言論統制について、防衛生産、それから対米関係になりますが、武器開発援助計画について考えておられます点で、次の通常国会等にお出しになろうという構想がございますならば、要綱とまではいかなくとも、一応考えを述べていただきたいと思います。
  96. 船田中

    国務大臣船田中君) 最初に、防空演習に参加して米軍と共同演習をやった、合同演習をやったということについて詳細に報告しろということでございますが、できるだけのことは次回にいたしたいと思います。ただ、私お願いを申し上げたいことは、制服の者をこの国会に呼ぶということは、これは一つおやめを願いたいということを私申し上げておきます。これはまあ衆議院でもたびたび問題になりましたが、制服の者を呼ばないでも、長官以下責任をもってできるだけ詳しく御説明を申し上げますから、制服の者を呼ぶということは、どうかおやめを願いたいと思います。  それから、今御指摘がありました機密保持に関する法制化の問題でございますが、これは現在は、御承知の通り米軍に関する機密の保持は、刑事特別法の規定があり、また、MSA援助によって米軍から供与される装備品等の機密の保持はできることになっておりますが、日本人の工夫によって改善をし、あるいは発明されたような新しい兵器、新鋭兵器等の機密の保持ということについては、ほとんど何らの規定がございませんので、そういう点について機密保持の必要があるように考える、こういうことを申しておるのでありまして、あとにおあげになったように、言論統制云々ということは私は考えておりません。それから相互武器開発援助計画、これはMSAの一環として、すでにヨーロッパにおいては行われておることでございますが、日本においてはまだ行われておりません。日本人の工夫によって新しい兵器の改善、工夫ができた場合において、それの試作費その他の費用の一部を米国が負担する、すなわち資金的援助を与えるということは、日本の新鋭兵器を作る上においてきわめて有効適切なことと考えますので、そのことは米国側と今交渉をいたしております。交渉がまとまれば一般協定を結び、また具体的の項目についての話し合いが行われることになろうと思いますが、今のところはまだ結論に逃しておりません。今考えておりますことは、大体以上のようなことです。
  97. 吉田法晴

    吉田法晴君 言論統制を考えておらぬということですが、それではこれを御否定、お取消しになるわけですか。共同宣言等についてもそうですが、秘密条項はたちまち新聞にすっぱ抜かれておるという状況でありまして、交渉の上に非常な支障になったというなまなましい事実があるくらいでありまして、今日は、放送にしても、新聞その他の言論にしましても、全く一切野放図でありまして、このままでいいとは考えられないから、言論統制をやりたいと、こういう御意向が出ておりますが、そういう意向はないと、こういうことですか。
  98. 船田中

    国務大臣船田中君) 今御指摘になりましたようなことは、これは、事実日ソ交渉の場合にも、ソ連側からずいぶんやかましく言われたことのようでございます。ですから、それは十分御研究を願いたいという意味で申しておるのでありまして、私が今そういう法制化を考えておるという趣旨ではございません。
  99. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間もございませんから、お尋ねをするだけにいたします。それから米軍の基地が返還をされた。それからそのまま返還をすると言いながら、そのまま自衛隊にずるずる転用をいたしております。米軍に基地を提供した法律関係と、それから自衛隊が使用するという関係は、これは違うと思うのです。これは、法制局長官をずっと前にやった船田さんでありますから、その点、私が申し上げるまでもありませんが、合同委員会で返還をすると決定をしたら、少くともそのときに返還がされた、あとの手続は別問題です。意思の決定はそのときにあったのだと思うのですが、そういう返還されると日米合同委員会で決定された。それが返還されないで、どろぼう猫のように、返還をされるという基地の中にそのまま自衛隊が入るということは、これはどうかと思うのでありますが、これについてどういう工合に考えておられるか、あるいは解釈しておられるか、伺いたい。  それからもう一つ、これは詳しい点は別の機会にいたしますが、この戦争中に軍で使っておられた施設、土地、そういうものがほとんど、まあ払い下げと申しますか、土地については特に、ほとんど税金から、食糧の増産ということで、開拓その他農業政策の費用を国から出して、そして今日までやっと十年近くかかって畑になっておる。あるいはたんぼになっておる。それを自衛隊の基地にしたいということで、相談ならばともかくでありますが、強制収用をし得るのだということで、強引にやっておられる。このかつての国費が投下された云々という、従来の実績から考えてみましても、それから十年の努力というものを、あるいはその上に立っております国民の生活というものについては十分考慮せられなきゃならぬと思うのでありますが、それが強制収用その他で脅かされながらやられるということになりますと、これは、前はどろぼう猫のようなやり方でありますが、あとは強盗みたいなやり方になると思うのであります。そういうことが自衛隊で許されると考えておられるか。その点だけはこの際伺っておきたいと思います。
  100. 船田中

    国務大臣船田中君) 米軍の使用に供されている基地を、自衛隊が無断で勝手に便乗的に使用するということはやっておりません。従って米軍が使用をしないようになりました場合においては、これは返還をされ、そしてしかも、改めてそれを自衛隊が使う場合においては、その関係省の間において、新たなる決定をして、それから使用するということになっております。ただ、実際問題として、米軍の使用している場合において、その使用を妨げざる限りにおいて訓練をする必要上、その基地を自衛隊が一時使用しているというものは、これはないとは言えません。そういう場合はあり得るのでありますけれども、それをただ、どろぼう猫がカツオぶしを引っぱっていくように、ただ自衛隊が黙って取ってしまうなんという、そんなことは事実やっておりません。その点は御安心を願いたいと思います。  それから第二の問題でございますが、旧軍用地を開拓したというような場合において、それを自衛隊がぜひほしいという場合におきましては、十分地元の方々、ことに開拓をしておられる方々と話し合いをいたしまして、そして納得ずくで白御隊がこれを使うというようなことはありますけれども、今お話のように、強制収用するからというようなことで、脅しているという事実も、これはございません。ただ、なかなか話が円満に参りませんで、また、せっかく自衛隊の方で話しに行っても、それを拒絶しているというようなことは一、二ございます。しかし、私はたびたびここでも申し上げておりますように、できるだけ地元の方々、利害関係者と折衝をいたしまして、納得ずくでその土地を自衛隊に使わせてもらうというように持っていきたい。そういうことでせっかく努力をいたしておる次第でございます。
  101. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  102. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記つけて。
  103. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほどの秘密保護の問題ですがね。今、長官のお答えになったところでは、大体一部の兵器に限られるようなお話なんですが、ところが、また巷間聞くところによると、そういう一部の兵器というようなものだけでなしに、たとえば建物その他施設、あるいはさらに進んで、昔の要塞地帯というものが昔ありましたね。昔の要塞地帯のような形で、一定の地域についての秘密保護というようなことが検討されているのではないか、考えられているのではないかというような説を耳にするのですが、それが事実であるかどうか、また今後の御方針、この点をちょっとお伺いしたい。
  104. 船田中

    国務大臣船田中君) 私の考えておりますのは、先ほど来申し上げたように、装備についての秘密保持ということを主に考えております。その他のことは、私は今のところは承知いたしておりません。
  105. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 長官に伺いますが、御承知の通り、今外務委員会で審議されておりまする日ソ共同宣言の問題で論議の中心になっておるのは、択捉、国後の問題であります。そこで長官に私お伺いいたしたいのは、わが国の漁業の基地その他産業経済の観点から、択捉、国後がわが国として国民感情以外に必要であるということはもちろんでありますけれども、防衛態勢の見地から、どの程度の重要度があるかということを伺ってみたいのであります。委員会等の論議にいたしましても、たとえば沖縄を日本に返還された場合には、国後、択捉が返還の可能性があるというふうな議論をされる方もあるし、政府の見解では、ソ連のこの両島に対する主張の強さというものが沖縄の返還と何ら関係がない、こういったような昨日の外務大臣お話もありますけれども、また、たとえば野村吉三郎委員の御主張を伺っていますと、択捉、国後をソ連が占領しておるということは、わが国の北海道のみならず、わが国全体に対して非常な脅威になっておる。ことに日本を対象とする一九五〇年に結ばれた中ソ軍事同盟の条約も、有効期限が三十年あって、現存しておるわけでありますから、相当この両島がわが国の防衛の見地から見て重要度があるのだろう、かように私は思うのであります。これに対する防衛長官としての御見解をこの機会に伺っておきたい、かように存じます。
  106. 船田中

    国務大臣船田中君) 防衛という見地から申しますれば、今、八木委員のおっしゃったように、南千島というものはきわめて重要なものでありまして、ああいうところに軍事基地が設けられるということは、これはよほど重大な関係を及ぼすというふうに私は思うわけであります。
  107. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 択捉、国後のみならず、歯舞、色丹にも相当ソ連としては軍事的な施設ができているということを巷間伝えられておるわけでありますが、むろん防衛庁当局としては、その概要はあらかじめいろいろな方法で察知しておられると思います。差しつかえない限り、どういう施設がこれに施されておるか、たとえば飛行墓地としてはどんなものがあるかといったようなことを、わかっておる範囲内で御発表願いたいと思うのですが……。
  108. 船田中

    国務大臣船田中君) ソ連の支配しておる地域内における施設というものはほとんどよくわかっておりません。飛行場とか、あるいは艦船の停泊地があり、また相当な軍が駐屯もしておるであろうということは、おぼろげに察知しておるだけでございます。ことに択捉には単冠湾というような、これはかって日本軍部も利用したようないい港がございますから、そういう所には相当な艦船がおるのではないかということが察知されるわけでございます。
  109. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 ついでながら伺いますが、南千島を除いた北千島の方は、戦略上と申しますか、防衛態勢上どの程度の必要度がありますか。
  110. 船田中

    国務大臣船田中君) 純粋の防御という見地から見れば、なるべく国境線の近くに、よその国の軍事施設というようなものが設けられるようなことのないことを欲しておるわけでございます。従ってそういう意味におきましては、北千島あるいは南樺太というものもきわめて重要な地域であるというふうに考えますけれども、この問題は、ただ防衛の見地だけからこれを解決する、あるいは処理するということのできない問題でございますから、それ以上のことは、私どもとしては発言を控えたいと思います。
  111. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一つ、北千島の方には大型爆撃機等が発着陸できると予想される島がございますか。
  112. 船田中

    国務大臣船田中君) 詳細なことはよくわかりません。
  113. 亀田得治

    委員長亀田得治君) では、これで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ―――――・―――――    午後二時五十四分開会
  114. 亀田得治

    委員長亀田得治君) それでは休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案を議題に供します。まず本案の提案の趣旨及び内容について御説明を願いたいと思います。
  115. 山手滿男

    政府委員(山手滿男君) ただいま議題となりました前国会から継続審査となっております国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その内容を御説明申し上げます。  この法律案は、主として次の四点につき、改正いたすことといたしました。  第一は、前国会に提案された健康保険法の改正に伴うもの、第二は、国家公務員共済組合審議会の設置に関するもの、第三は、共済組合の年金制度を合理化しようとするもの、第四は、船員保険と共済組合との給付を調整するためのものであります。  第一の健康保険法の改正に伴う措置は、前国会に提案された健康保険法等の一部を改正する法律案による健康保険法の改正を前提といたしたものであります。その内容は、まず療養の給付についての一部負担制の改正であります。御承知の通り、国家公務員共済組合の療養の給付は、健康保険事業を代行するものでありますので、健康保険法の改正にあわせて、組合員は、健康保険法の規定の例によって一部負担金を負担することといたしたものであります。ただし、共済組合におきましては、組合管掌健康保険と同様、一部負担金の払い戻し等の規定を設けることといたしました。このほかに、保険医療機関に関する規定、不正受給者に関する規定等につきましても、それぞれ健康保険法の改正に準じて整備いたしました。なお、以上の措置の前提となっております健康保険法等の一部を改正する法律案は、前国会におきまして審議未了となっております。  次に、国家公務員共済組合審議会の設置について申し上げます。審議会は、昨年十一月十一日の閣議決定に基いて、大蔵大臣の諮問機関として大蔵省に設けられたものでありますが、今回、これを法定しようとするものであります。審議会は、共済組合に関する基本的施策及び組合に関する重要事項、を調査審議するために、大蔵省の付属機関として設置するものでありまして、委員の数は十三人以内といたしました。  第三に、共済組合年金制度の合理化について申し上げます。現行法では、組合員であった期間が二十年未満で退職した者が再び組合員となった場合には、組合員であった前後の期間は合算されないこととなっておりますが、この前後の期間を合算すれば年金受給の資格を得られる場合には、これらの期間を合算することといたしました。また、廃疾年金を受けている者の廃疾の程度が軽減した場合には年金額を引き下げ、五年以内にその廃疾の程度が進行した場合は逆に年金額を引き上げる等の措置を行うことといたしました。その他、退職年金の若年停止を受けている者が廃疾者となったときは、これを解除して退職年金を支給するなど年金関係の規定を整備いたしました。  第四に、船員保険と共済組合との給付の調整について申し上げます。船員保険の被保険者であり同時に共済組合の組合員である者についての組合の行う給付につきましては、現在、共済組合法による給付と船員保険法による給付とのいずれか有利な給付を共済組合で支給することとしておりますが、客観的にいずれが有利であるかを判定するのが非常に困難でありますので、今後は、原則として共済組合法による給付を支給することとし、ただ本人が船員保険法による給付を選択した場合には、これを支給することといたしました。  以上、おもな改正点について申し上げましたが、このほかに、防衛庁調達庁等の組合代表者をそれぞれ防衛庁長官、調達庁長官等に改めるなど、必要な規定の整備をはかっております。  以上が前国会に提案されて継続審査となっております政府原案の内答でありますが、この原案は、前国会におきまして、衆議院で一部修正がなされております。その内容は、健康保険法等の一部を改正する法律案が衆議院で修正されたことに伴い、医療機関に対する検査の規定及び罰則に、これと同様の修正を加えたものであります。
  116. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始め  本案についての質疑はあらためていたしたいと存じます。  暫時休憩いたします。    午後三時一分休憩      ―――――・―――――    午後三時八分開会
  118. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  次に国家公務員制度及び恩給に関する調査のうち、公務員の給与に関する件を議題に供します。本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  119. 永岡光治

    ○永岡光治君 実は公務員の給与改訂について大蔵大臣お尋ねいたすわけでありますが、御承知の通り公務員の給与改訂は二十九年の一月に実施されましてから、三年間そのまま放置されているわけでありますが、その間民間における給与も逐次改善をされまして、ベース改訂等が行われているわけでありますが、そういう関係もあり、かたがた物価は横ばいだとは称しながらも、やはり実際の生計費から見ますと、公務員の生活というものは相当困窮を来たしておる。しかも近来は特に物価の上昇の傾向も相当予想される。たとえば運賃の値上げの問題にいたしましても、あるいは燃料等の問題にいたしましても、電灯料金の問題等にいたしましても、相当生活は窮屈になっておるのでありますが、そういう関係もありまして、人事院ではすでに今年の三月の資料で、三月における資料を比較いたしましても、これだけ開きがあるということで、それによりますと一一%の開きがあるような資料も出ておるわけでありますが、その結果人事院の七月に給与改訂の勧告が行われたのは大蔵大臣御承知の通りであります。しかもその勧告の中には、すみやかに実施しろ、こういうことも強くうたわれておるわけでありますが、もとより私たちはその給与の改訂の金額の問題やあるいは給与体系の問題につきましては相当の不満もあり、さらに修正、改正をしなければならないとは思っておりますけれども、いずれにいたしましても、現内閣において給与改訂の勧告は行われております。しかも臨時国会は開かれておるわけであります。政府においてはこれについて一向に何ら誠意ある態度を示されておりませんが、この勧告についてどのように考えておいでになるのか、この点をまず冒頭お尋ねをいたしたいと思うのであります。
  120. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。  人事院の勧告につきましては、政府としてもしばしば申し上げましたように、これを尊重することはむろんであります。ただなるべく早くと思っておるのでありますが、これについてはいろいろとやはり検討を要しまする問題点があります。また技術上の点においてもなお若干時間を要する点もあり、さらにまた財政上の見地からどういうふうにこれを考えていくかというような点についても、今後検討を加えて参らなければならないと思います。政府として結論に今達しておりません。なるべく早く検討を急いで、政府としての態度をはっきりいたしたいと、かように考えております。
  121. 永岡光治

    ○永岡光治君 私はまずその時期の問題についてでありますが、すでに七月勧告されて、いまだに結論が出ていないということについて、きわめてその不誠意を追及しなきゃならぬと思うのでありますが、承われば、内閣も近く臨時国会後においては、どういう形になりまするか存じませんが、一応かわるような動きもあるようでありますが、ということになりますれば、当然この内閣において責任ある措置を講じて、次にバトンを渡さなきゃならぬということも起って参ります。従いまして今まで七月に勧告されて、本年ももう十二月に入ろうかという時期でありますが、その間何をされておったのでありましょうか、それほどむずかしい問題でありましょうか、その点についてどういう検討をされたのか、その点を詳しく説明していただきたいと思うのであります。それでないと納得しかねると思うのであります。人事院の方では、政府に誠意がありさえすればいつでもこれは実施できる状態になっておりますと、こういう答弁が今日までの委員会の答弁で明確になったわけでありますが、政府の方では何か資料を検討しなければという話でありますが、そういうことはどういうことの理由によって出てきておるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  122. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点につきましては、これは実際上検討を加えておる主計局長から一つお答えいたさせます。
  123. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先般の人事院の勧告は、御承知の通り給与制度全般にわたる全面的な改正を勧告いたしておるわけでございまして、また八月ですか、七月ですか、七月に行われました勧告を実施するにつきましてのまた具体的な点についても、また七月の勧告でもいろいろな問題が残されておったわけでございまして、その具体的な問題につきましては、実はつい先日人事院からはっきりした案が示されたような経緯もございます。私どもこの間においてじんぜん日を送っておるわけではないのでございまして、この報告につきまして、ただいま申し上げましたように非常に広範な問題でございますので、いろいろ技術的にも検討すべき点がございます。それらの点につきましては、内閣の公務員制度調査室を中心といたしまして、私どもも参加いたしまして、ずっと引き続き検討を続けて参っておる。これは技術的な問題でございます。さらにはまた財源の問題、これにつきましては、これは本年度の問題であるだけでなく、将来ずっと引き続いて問題になるわけでございますので、やはり相当慎重な検討を必要とするわけでございます。来年度予算編成との関連におきましても慎重なる検討を必要とするわけでございまして、それらの点につきましても引き続き検討をいたしておる。さような実情でございまして、決してじんぜん日を送っておるわけではないことを御了承いただきたいと思います。
  124. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは、公務員から、これは大蔵大臣みずからもその要求を受けておると思うのでありますが、月額二千円の給与改訂をしてほしいと、こういう要求が出ておると思いますが、これについてどう見ておいでになるのか。大臣公務員の給与が今日これで満足だと思っておるのかどうか、その点は一つ基本的な態度でありますから、まず伺いたい。
  125. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 公務員の給与につきましては、特に人事院がその衝にお当りになる。従いまして人事院の勧告については十分私は尊重していきたいとかように考えております。
  126. 永岡光治

    ○永岡光治君 人事院の尊重は尊重として、この公務員の給与が今日これでいいのかどうか、基本的に財源をどういうふうに考えておるのかという点を。
  127. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 他の言葉で今の答弁を申し上げますれば、むろん公務員の給与が適正であるべきことは念願とするところでありますから、それについて人事院が特にある、従って人事院の勧告は十分検討を加えまして適当なりやいなやを判断いたしたいと、かように考えております。
  128. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題に関連して。  公務員のベース改訂の問題ですが、今永岡委員からいろいろお話がございましたが、ただいまの答弁では、人事院の勧告を尊重するというお話でありました。人事院の勧告の問題については私はさらに質問いたしますが、その前に、この公務員のベース改訂の問題、これは政府としても非常に大きな責任を持っておると思います。先ほども説明がありましたように、人事院の資料を見ましても、民間給与と比較してすでに一一%の開きができております。これは本年の三月現在の資料調査によるものでありますが、そういう大きな開きができておる。これに対して政府が公務員の給与を改訂してベース・アップを行うということはこれは、公務員を雇っておる政府としては、これは当然考えなければならない問題だというふうに思うのです。そういう点について人事院勧告が出ておりますが、この際公務員の給与を改訂すべきであるという理由は十分あるのですから、そういう点について大蔵大臣はどのようにお考えになるかということを、私は明らかにしていただきたいと思うのです。特に物価の問題ですが、これは私は二十九年一月にベース改訂をされて、その後全然されておらないわけですが、その間に相当重要な生活必需物資の値上りを来しておる。たとえば米の値段をとってみましても、あるいは燃料、電気とかガスとかそういうものを考えてみましても、あるいは交通費を考えてみましても、値上りを来しておる、こういう大事な物に相当な値上りを来たしておるという点もあります。しかしそれと先ほど申しました民間給与との開きが一一%に達しておる。これは政府として当然私は考えなければならない問題であると思うのです。これは人事院の勧告を待つまでもなく十分政府として考えるべき問題であると思う。そういう意味から、政府としてベース改訂をしようという考えを持っておられるのかどうか、そういう点を明らかにしていただきたい。
  129. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 政府として今この給与のベース・アップをやるという考えは持っておりません。今考えておりますことは、公務員の給与について特にその衝に当る人事院の勧告、これを十分検討をして実行していく、これが今の政府の立場であります。
  130. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府としてはベース改訂をする考えは持っていないということは私は非常に不可思議に考えておるのですが、そうすれば先ほども申しましたように、民間給与はここ三年間に相当改善されておる。そうして今日相当の開きがある、そういうものを無視して差しつかえないというお考えですか。
  131. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点が私はやはり議論もありましょうが、問題の点であるのでありまして、今日生活に関するいろいろな費用あるいはまたこの民間の引船率と公務員の昇給率の関係がどういうふうになるか、これはいいろろと私まだ論議の、あるいは検討の余地があるように思うのであります。従いましてそれらをやはり検訂していこうと、かように考えておるわけであります。
  132. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうもそのベース・アップを行わないんだということを言っておるのですが、これも大へん今荒木委員から質問がありましたように、不可思議きわまりない発言だと私は思うのですが、人事院がすでに一一%という開きがあるという資料を提出をいたしております。これを換算いたしますと約二千円近く――二千円越えると思うのですが、こういう開きがあるということを人事院みずから資料において明確にしている、民間との間に開きがとにかくそれだけあるという結論は出しておるのですから、当然それが改善されてしかるべきだと私は思うのです。しかもあなたは人事院の勧告を尊重したいということであれば、人事院はこれは財源として五十九億の基本給の改訂の財源として要るという、あなた方が尊重しているという最小限度の財源五十九億につきましても、これは給与の改訂でなければならぬと思うのですが、それはどうしてベース・アップだという表現を使うとまずいのでしょうか。
  133. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今度の人事院の勧告は私はベース・アップということは要請していないと考えておるのですが、この人事院が一一%でございましたか、この民間の給与を下回っておる、こういうふうに言われておる。むろんこれはこれとして私考えますが、しかし果してこの一一%が下回っておるか、あるいは一二%であるか、あるいはそうでないのか、これはやはり政府として当然検討を加えていかなければならない。すべて人事院の言う数字は絶対的のものであるとは私は考えておりません。こういうふうに考えておるわけでありまして、それらの点も検討を加えていこうというので、私が先ほどから御答弁を申し上げておるわけであります。
  134. 永岡光治

    ○永岡光治君 おかしいですね。どうもその趣旨がわからないのですが、そうするとあなたは最小限人事院の勧告している、五十九億というものは尊重しているという意向のようにも私は受け取ったのですが、しかも人事院の資料によれば一一%で、あなたがおっしゃるように計算いたしますと二千円を越えることになるわけですが、それの資料について検討するとおっしゃる、それは検討することはけっこうでありましょう。が、いやしくも人事院の勧告をあなたは政府の立場において尊重するという限りは、財源が要るのです。財源が要るならば一人当りの金額がふえることは間違いないのです。それがなぜアップにならないでしょうか。アップにならぬとすればそのままだということですか、改善をしないでこの勧告を無視するのですか、どうですか、それはおかしいじゃありませんか。どうでしょうか。
  135. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) いささか技術的な点にわたりますので(永岡光治君「いや技術的じゃない、基本的なことです」と述ぶ)私から大臣の御答弁を補足申し上げたいと思います。(荒木正三郎君「あまりかわって答弁しない方がいいのじゃないか」と述ぶ)一一%と言っておりますが、これは一般職についての開きでございまして、警察官とか税務署職員等、すでにベースの高い職員もおりますことでございますので、それらをあわせて考えますと、人事院の勧告でも約六%ぐらいになるように思います。なおまた民間との開きを考える場合には、職員構成、男女別、年令別等の構成の違いもやはり考慮に入れなければならぬわけでございまして、それらの点を考慮に入れると、官民の較差が、公務員の較差がどの程度が適正か、それにつきましてはいろいろ問題もあるわけでございます。かたがた昭和二十九年から今日までの民の給与の上昇率、それから公務員の給与の上昇率――これは公務員の場合には主として定期昇給によるわけでございますが――を比較してみますと、民でも一三・四%、公務員の場合には一三・九%というようなこともございますので、開きがあることは事実でございますが、どの程度の開きが適正か、適当であるか、それらの点につきましてはいろいろ検討する必要があるわけでございます。  なおベース・アップの問題でございますが、人事院勧告はいろいろの点を勘案しまして、従来言われておりましたような意味での公務員の給与のベースを何パーセント上げると、そういう勧告はいたしておらないことは永岡さんの御存じの通りでございます。俸給表を全面的に改正しまして、まあそれを適用する際にまあ頭打ちが是正されるとかあるいは号俸調整を行うとか、そんなようなことによって財源が要るというそういう勧告になっておるわけでございまして、従来一律にベースを何パーセント上げるということが先になっての俸給表ではなくて、むしろ俸給表の全面的改正が先に立っての結果としての財源が要る、そういうような勧告になっておるわけでございます。私どもがこの勧告を考えます場合におきましても、その点につきましてはこの勧告の線に沿うて考えるのが至当であると、そういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味でベース・アップの問題を先ほど大臣からお答えがあったことと存ずる次第でございます。
  136. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大臣は二言目には検討中とか考慮中という言葉をよく承わるわけですが、人事院の総裁が勧告したのは七月十六日です。で、総裁もできるだけすみやかにということは繰り返し言っておるわけです。そこで七月十六日を起点としてできるだけすみやかにということは、その後開かれる最初の国会、言いかえますと今度の臨時国会を意味しておるということははっきりしておると思うのです。しかもこの勧告は、今説明を待つまでもなく、俸給表の改訂であって、はなはだ私どもとしてはふんまんがある。しかも人事院の一一%民間より低いということを確認しておりながら三年間も放置した、そういう人事として非常につつましやかな勧告であろうと思うのです。だから私は非常にふんまんなんです。それすらもこの臨時国会でまだ何らのめどがついていない。これははなはだ政府として怠慢のそしりは免れないと思うのです。何か最終的にお答えいただくと、検討中、調査中。もう百三十日以上も経過しておるわけです。その間ほんとうに何をしておったかと言いたくなるわけです。いま少し誠意を持って公務員の立場も一つ考えていただいて、何とか先へ先へと延ばすという、そういう遷延策でなしに、明確にいつからそれでは実施したいのか、いつ実施するのか、その点をはっきりと伺いたいと思うのです。
  137. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いろいろと御不満の点、おしかりもあったのでありますが、決して怠慢にしておったわけではありません。私どもとしても公務員が適正な給与を受けることを昭むことは、決して人後に落ちるものではありません。何も困らせることはないのであります。ただ適正であるかどうかという、そういう検討をしなくてはならぬ。そのほか資料といいますか、いろいろな材料の集まりが、私の聞くところでは、相当おくれておって今日に及んでおると、かように聞いておるわけであります。それで、しからばいつ、言うところの検討が済むのか、そして実行に移すのかと、こういうお尋ねでございますが、これはまあ私いつという日にちを切って申し上げかねるのを遺憾といたしますが、先ほどから政府委員も答弁しておりましたように、どうしてもこれは予算の編成とも関係を大きく持っておるのでありまするので、総予算の編成というようなときには、むろん検討を終らなくてはなるまいと、かようにまあ私は考えております。
  138. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 無謀にもスト権を剥奪されてから、公務員のベース・アップは結局最終的には、政府の財政措置を待つ以外にないと思うのです。そういう点を一つあわせて考えていただいて、ここで何とか、具体的にはっきり言えないのなら、見通しについてはどうかということをお伺いしたいと思うのです。
  139. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今お尋ねの点は、要するにいつ予算に組むかと、こういうお尋ねでございますか。
  140. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうです。
  141. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今これはお答え申し上げましたように、検討を終らなくては予算という段階に入りません。それで、おそくとも、これは予算に大きく関係を持ちますから、予算の編成のときまでには、むろん検討を終りたいと、かように考えております。
  142. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 はっきり言えないまでも、大体大臣としては見通しはあろうと思うのです。それで大体いつごろというふうな見通しでいいと思うのですが、その点を伺いたいと思います。
  143. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは今日これも検討をいたしておりします。これはまあいろいろ、たとえば号俸ですか、俸給表の是正とか、いろいろ技術的な点を検討する点もあります。大体主計局等で見ております。そういう作業もあります。まあそういう作業から見て、ほぼどういうところに……。
  144. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の大蔵大臣の答弁を確かめておきたいと思うのですが、公務員の給与問題については現在検討中である。しかし、その検討がいつまで続くのかということに対しては、三十二年度予算を編成するまでには検討を終るつもりであると、そういうお話であります。それを確かめておきたいと思うのです。
  145. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はさように考えております。
  146. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、私はやはりもとへ返しまして、給与ベース改訂の問題に関してなお質問をいたします。先ほど大蔵大臣はベース改訂をする考えはない、ただし人事院の勧告は尊重する、こういうお話でありました。それから主計局長は、人事院の勧告はベース改訂ではないのだ、俸給表の根本的な改正なんだ、こういう説明がありました。しかし、そう簡単に人事院の勧告を見ることは私はできないというふうに考えておるわけなんです。人事院の勧告を見ましても、新しい俸給表への切りかえ、これに必要な経費約十九億円というふうに計上されております。それから次に号俸等の調整に要する経費、これが約四十億円、こういうふうに計算されておるわけであります。第三番目は特別手当を支給する、そういう経費に約十億円、合計いたしますと、これは六十九億円、約七十億円の経費が必要になってくるわけであります。その中でも一番多いのは、四十億円である号俸等の調整に関する経費ということになります。これはほとんど機械的に一号俸かぶせいくということですから、この点を見ると、実質的にはベース改訂しているのだ、そういうことに私はなっていくと思うのです。単なる新しい俸給への切りかえということだけでないと思うのです。機械的に一号俸はかぶせていくのだということがあるわけであります。ですから主計局長から先ほど説明があったように、これは俸給表の根本的な切りかえなんだ、ベース改訂の意味は全然ないのだというように言ってしまうことは、私はできないというふうに考えておるのです。そういう点、明らかに……。相当見解の相違がありますが。
  147. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御意見でございますが、私どもは人事院の今回の勧告は、一律にベース・アップを勧告するのではないということを明確にされておるわけであります。先ほど主計局長が答弁した通りのことを考えておる次第であります。
  148. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は抽象的にそういうことを言っておるのではなしに、人事院の勧告の内容からいって、ベース・アップの中身というものは相当ある、金額からいえばそれが一番大きいのだということを指摘しておるわけですから、単にベース・アップということは人事院は全然考えていないという答弁だけでは困る。これらの問題は主計局長でけっこうです。
  149. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 人事院の勧告には、ただいま大臣からお話がございましたように、「以上の諸事情を総合勘案するに、一律的なベース・アップを行うことは必ずしも適当とは考えられないが、」云々とございます。その意味で私どもは人事院の勧告はベース・アップであるというふうには考えていないわけでございます。内容を分析いたしますと、ただいまお話がございましたように、いろいろな内容が入っております。号俸調整のお話がございましたが、この号俸調整にいたしましても、人事院の考え方は、不均衡是正あるいは頭打ちの是正等に伴って、号俸の関係が、席次等が乱れる場合があるわけであります。そういう頭打ちの是正あるいは号俸調整等に関連して、あるものについては号俸の引き上げというようなことを勧告いたしておるわけでございまして、これはまあ考え方の違いかもしれませんですが、私どもはまあ通例、こういうものをベース・アップとはいっていないわけであります。また検討いたします場合に、そのような上げ方が果して公務員の給与改善の方法として一番適正なものかどうか、そういう点につきましてもいろいろ問題があるわけでございます。そういう点をあわせて目下検討をいたしておる、さような段階でございます。
  150. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、人事院の勧告を尊重すると、そうして三十二年度の予算編成までには政府としても検討を終了して、結論を出して、三十二年度予算案を国会に提出するときに当然その結果が入ってくるというふうに了解するわけなのですが、しかし今日ですね、政府はどのようにお考えになっているかを私はただしたいと思うのですが、公務員の諸君は人事院の勧告のような給与改訂でなしに、ベース改訂という形による給与改訂を希望しておるということは、私は大蔵大臣もよく御承知だろうと思うのです。今日公務員の諸君は二千円のベース・アップをしてもらいたいという要求を出しておる、これは明らかにベース改訂をしてもらいたいという要求であります。そのために非常に熱心に、政府に対してももちろんでありますが、われわれ国会におる者に対しても強い要求があるわけなのです。ですから、これは政府としても公務員要求しているベース改訂という形で給与改訂をする方が適切であるというふうに私は考えておるわけであります。これは政府としても検討をしてきたと、これはずいふん長い検討です。七月から勧告が出されてから政府が検討されたとしても、すでに相当な日子を経過しておるわけです。そういう点からみて、これらの問題について相当政府としてお考えになったのじゃないかと私は思うのです。そういう点、この際人事院のように俸給表を大幅にかえて、その間に実際上若干の――これは六%になると思うのです。この金額をそのまま実施すれば、ベースを引き上げるような形になって、ベース改訂というふうな形でやった方が、実際働く者がそれを希望しておるのですから、そういう方向で処理した方がいいじゃないか、こういうふうに考えるのですが、政府もいろいろ御検討はされたのですから、この見解を伺っておきたいと思います。
  151. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いつの政府でも、公務員のこの給与を含めて、生活状態に無関心なことはむろんありません。どの政府でもこれは非常な関心を払っておると思うのであります。しかし今私は、給与のベース・アップをするというもろもろの客観的な条件があると実は考えておりません。それでベース・アップをすることは、考えていないわけです。
  152. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ベース・アップということになると、大蔵大臣なかなかよろいをかぶっちゃって、それは困る困ると言う。これはしかし人事院の勧告というものは尊重すると、これをそのまま実施せられるかどうかわかりませんけれども、もう少しいいものを実施されるのではないかと私は期待しておるのですが、それにしても、やはり七十億くらいの金が要るわけです。実質的にはやはり給与がこれで若干改訂をされていくわけです。だからベース改訂という名前を使おうが私は同じだと思うのですがね、そうあまり固くならなくてもいいのじゃないか。これは民間の場合であると、使用者とそれから組合が折衝をして、そうして組合、いわゆる働いておる者からかりに二千円のベース・アップの要求があった場合に財政等の理由から千八百円にしたとか千七百円にしたとか、こういう形において妥結していく、この形は国家公務員であろうと地方公務員であろうと同じことであると思う。現に働いている公務員が二千円の、ベース・アップをしてくれ、で、政府はそこまではできない、これだけならできる、こういうふうにすなおに考えて私は何にも差しつかえない問題だというふうに考えるわけです。だからこの際ベース・アップというような形で公務員の給与改訂を行うということが、これは国家の能率からいってもその方がいいのじゃないかというふうに私は考えているのですが、このことについての見解ですね。公務員がそういう要求をしているのだから、額はかりに二千円の要求をそのまま実現することができないにしても、そういうベース・アップの要求をして、それに報いるのにはそういう形がいいのじゃないかと私考えるのですが、そのことが国家の行政事務を円滑にし、能率を上げる上からいって、いいのじゃないかというふうに、私は同じ金を使うなら、変な使い方をしないで、さっと要求をしておるような形において使う方が能率的だ。そうして当然そういう方がいいのだという見解を私は持っておる。
  153. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その点は、これは一つのその事柄自体としては一応ごもっともな御意見であると思います。しかし給与を改善する場合にどういう方法によるかということは、また一面そのときにおける実際のある姿をやはりまず把握しなければならぬだろう、その姿というものは、一体この公務員の給与がどういう状態にあるかが一つ、それと一方またむろん財政負担を伴いますから、財政力というものも考えなくてはならぬと私は思う。そうした場合に、お話のようにどうせ財政負担をするわけですから、一律にずっと給与を上げてやったらいいじゃないかというのも一つの考え方でしょうが、非常に号俸と言いますか、その俸給を是正する必要がまずある、そして財政力もそう大きくはない、こういうふうないろいろな状態を考える場合には、私はやはり人事院の勧告も、こういうふうな線でまずいくことが適当であろうと、かように考えております。
  154. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど局長はこれはベース・アップじゃないということをはっきり言っておるのですが、実は前回人事院の総裁は、大体今度の勧告は御承知のように俸給表の改正と特別手当、それはあわせて一本の勧告であると、これははっきり言っておる。これは人事院総裁はこのことについて、これはベース・アップと認めることができるとはっきり言っておる。で、局長はこれはベース・アップとしてはどうしても認められない、大臣はまだその点についてはっきりお答えがないと思うのですが、その点についての大臣の見解。それから特別手当は、このことについて人事院総裁は本年度、来年の一-三月末までにはぜひどうしても出したい、そういう経過をはっきり言っておるわけですが、大臣はこのことについて、この俸給表の改正とまた特別手当、これは当然、それをあわせて完全な勧告になるわけだから、当然これを一本にみなして考えておられると思いますが、これをどういうふうに考えておられるか、別々に考えておられるか、一本として考えておられるか、その三つの点について。
  155. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御質問のその一本というのは何でございますか、この俸給表の改正ということと同時にベース・アップを考えておるのかという、そういうことをおっしゃるのですか。
  156. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いや、俸給表の改正と、特別手当があるでしょう、特例手当、それが勧告案の内容ですね、二つの内容、それを一緒に考えておるかと……。
  157. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ええ、人事院の勧告に含まれておることは、すべて含めて検討を加えておるわけです。
  158. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 まだ一つ残っておるのです。今三つの点をお伺いしたのですが、局長はこれはベース・アップじゃないということをはっきり言っておられる、人事院の総裁はベース・アップと認めることができると、大臣には直接まだこの見解を伺っていないわけです。
  159. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。今度のこの人事院の勧告は、ベース・アップは考えていないということは、私先ほどからたびたび御答弁申し上げた通りであります。
  160. 永岡光治

    ○永岡光治君 今大臣はこの勧告は一連のものとして切り離して考えない、同じときに実施すると、こういう意味ですね、そういうように解釈していいのでしょうか。そうでなければ私はおかしいと思うので、当然これは一連の、たとえば給与改訂はこれは五十九億、基本給が一人当りにいたしまして千三百四十二円になるはずです。それから特別手当の方が十億、〇・一五ですからこれは二千幾らかになるでしょう、これを実施しろと、こういうことを人事院は勧告し、しかもそれはすみやかに実施しなさい、こういうことを言っているわけですが、これをこの時期にはこれだけやって、改訂はこの次のこの時期にやる、そういうことは考えない、人事院の勧告を行うということになれば同じような形でやる、こういうふうに解釈せざるを得ないのじゃないかと思うのですが、その点私は念を押して尋ねたいと思う。つまりそれは時期の問題と関連して参ります。
  161. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この人事院の勧告されておるこの全体について検討を加える、そして検討の結果、どういうふうなことになるか、これまた検討を加えた結果に待たないと、何とも私は申し上げられません。
  162. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはあなた、今の検討の結果、たとえばこの額で少いという結論が出ましょう。もうちょっと多くしなければならないという結論が多分出ると私は確信しておりますが、問題は、実施の時期です。なるべくすみやかにということを勧告されておるわけですが、そのなるべくすみやかにというのをいつ大蔵大臣は実現しようとしておるのか。その実施する際には一方の特別手当だけは施行する、しかし基本給の改訂の問題はその次に見送る、こういうようなことをしたのでは、人事院の勧告を尊重したということにならぬ。とりわけ人事院総裁がしばしば口にしているように、すみやかにやってもらいたいということを重ねて何回も何回も繰り返し、本委員会に要請しているようでありますが、この時期を切り離してやるのかやらないのか、その点です。
  163. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういうふうな点につきまして、これはひとり大蔵大臣だけがどうと言うわけにもいかないので、関係閣僚とも十分相談し、特に給与担当大臣の考えが中心になると思いますが、政府としてきめなくてはなりません。しかし、どういうふうにそれがなるかということは、やはり検討した結果になる、そういうことを含めて検討を加える、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  164. 永岡光治

    ○永岡光治君 ところで、あなたはそうおっしゃいますが、もう大蔵大臣としての現鳩山内閣において、この臨時国会で、今そのあり方について考え方を追及しているわけでございますから、そのあなたの、この鳩山内閣における一萬田大蔵大臣としての所見を私たちは問うておるわけです。そういう考えでお答えいただきたいと思うのでありますが、この勧告によりますと、来年の三月十五日に特別手当は支給しなさい、こう書いてあるわけです。それは〇・一五だと書いてありますが、まあこの金額については、私は不満とするところでありますが、いずれにいたしましても、時期は三月十五日ということを人事院は勧告しておるわけです。しかもなるべくすみやかにということでありますから、まさかこれは三十三年の三月でいいということにならないと思う。当然これは三十二年の三月十五日に支給しなければならぬと、こう思うのですが、その点は大蔵大臣はどう考えておられますか。
  165. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私としましては年度末にさらに新しい手当を法定することの可否については、慎重に検討を加える必要がある、これはやはり手当のあり方に。むろんそうだからといって、公務員の給与改善を否定するわけじゃありませんが、手当なら手当について、一体どういうふうにあるのがいいかということは、私は検討するに位すると、かように考えます。
  166. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうも答弁を聞いていましても、尊重すると言うてみたり、あるいは検討してみてその通りいかぬかもしれぬと言うてみたり、一体その人事院の勧告というものをどう考えているのか。また基本問題を追及しなければならぬと思うのでありますが、この特別手当を三月十五日に支給するというその時期を先に延ばそうと考えておるのですかどうですか、私はまずその時期の点にしぼってお答えを願いたいと思います。
  167. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私は率直に言って、時期ということよりも、その年度末に特別な手当を出す、これは私そういうふうな手当のあるのをほとんど聞きませんですから、そういうふうな時にそういうふうな手当があるのがいいのか悪いか、これはやはり同じ手当を出すにしても、検討を要する、かように考えております。
  168. 永岡光治

    ○永岡光治君 同じ手当を出すというのに検討するといっても、同じ手当ならいいのじゃないのですか。これは年度末に支給されないということはおかしいので、すでに三公社五現業においても支給されております。今年の調停が行われた際にも、一時金として支給されていることは大臣御承知の通りであります。名目は一時金であろうと何であろうとこれはかまいませんが、とにかく三月十五日にこれだけの金を支給しなさいということは、これは動がすべからざる事実である。時期的には三月期までにこれを支給しろということでありますから、すみやかに支給しなさいということですから、まさか一年延びていたということはない、これは人事院総裁が申しております。それで私は大蔵大臣がこの勧告を尊重すると言うなら、時期の点に限って尊重すると言うなら、三月十五日、年度末に支給しなければならぬと思いますが、それも尊重しないというのですか。
  169. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 少し率直に言いすぎたかもしれませんが、(笑声)そういうことを含めて私は検討を加える、制度的に年度末に手当を出すということがどうかということを私は申したので、ある時に年度末に幾らかの金を出すというような意味でなくて、制度的に、これはおそらく法律も要るのだろうと思いますが、そういう制度的に年度末に出すことについては考える必要があろう、かように私は申しているのでありますが、そこまで言わなくてもほんとうはいいのです。(笑声)そういうことも含めて一つ検討を加えて結論を出す、かように申し上げた方がいいかと思うのであります。
  170. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこまで言われればさらに追及したくもなるのでありますが、改訂の時期ですね、人事院はすみやかに実施しなさいと言われておりますが、そのすみやかにということはいつごろと目されているか、資料の関係でおくれるということであっても、資料がまとまらないからといって、これが七月に勧告されて三カ月も六カ月も延びていいということには私はならぬと思います。それは資料のまとまらないその責任は政府側にある、そのために生計費の苦しいというのが縮まるわけじゃなくて、三カ月、六カ月と生計の困窮というものは積み重なってきますから、これは当然人事院の今度の勧告でもすみやかに実施しなさいと、しかも資料は三十一年の三月の資料でありますから、これは三月に遡及してしかるべきだと思いますが、とにかく人事院の七月の勧告でも早急に実施しなさいと言っているのだから、その資料のあり方の検討が終らないで、そのために、そのすみやかにということが先に延びていいということにはならないが、その資料のまとまり次第遡及をしてやる考えがあるかどうか、その点はどういうお考えを持っておりますか。
  171. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 時期の点はできるだけ早くこれはいたしたいと思います。そうしてそれについてもおそくとも先ほど申しましたように、予算編成に重大な関係がありますから、予算編成の時期までには片づけたいと申しているわけでありまして、そう申し上げれば、大体いつごろということはほぼ御見当がつくと思うのであります。今のところ時期についてはそういうことであります。  それから遡及するということでありますが、これは私といたしましてはそういうことはできないと思っております。
  172. 永岡光治

    ○永岡光治君 予算の編成のときまでに結論を出さなければならない、その結論を得るというのは、それは時期も含めてだろうと私は思うのでありますが、大体常識で考えたらわかるじゃないかという今の御答弁でありますが、三十二年度の予算を編成するまでにこの結論が出るということでありますから、従って年度内に結論が出るということでありますから、年度内実施というふうに考えていいのかどうか、その点一つ御答弁いただきたい。その点を聞いた方がはっきりしていいだろうと思います。
  173. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 年度内にきまると、私はさように考えております。
  174. 永岡光治

    ○永岡光治君 年度内にきまるということは、年度内に実施することがきまる、こういうことですね。
  175. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) この検討がむろん終るのでありまして、どういう範囲でどういうふうにこれをかりに実施するにいたしましても、実施するかということは、その検討の結果でありまして、どういうふうなことになりますか、今申し上げられません。
  176. 亀田得治

    委員長亀田得治君) ちょっと速記  をとめて。   〔速記中止〕
  177. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をつけて。
  178. 永岡光治

    ○永岡光治君 公務員の方からは減税とそれから二カ月分の年末手当支給を要求いたしておりますが、この点についてお尋ねいたしますが、年末手当は二カ月分の要求に対してはあなたはどう考えておるか。ぜひ私たちも支給してもらいたいと思っておりますが、この点どうでございましょうか。
  179. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 年末手当につきましては昨年末〇・二五でございましたか、法律改正もしまして増額いたしました。それに引き続いてのことでもありますし、またこの種の手当としては現在のところ私も特に少いとも思っておりませんので、私としましては今のところ増額いたす考えは持っておりません。
  180. 永岡光治

    ○永岡光治君 きわめて遺憾な答弁でありまして、これは一カ月半が十分だと考えておるとすれば、これは大へんな問題になりますが、これは時間の関係できょうここで追及することは後日に譲って、さらにこれは論議をかわしたいと思っております。  それから減税の問題についてですが、過去二年間にわたりまして、私どもは最低限この期末手当、あるいはそれに類似するものについては五千円ずつの減税はしなければならぬのじゃないか。とにもかくにも税制調査会の方からの答申に基いても、今の給与所得者の税金は非常に高い、こういうことがいわれているのでありますから、この年末について特にこの減税の措置を考えていただきたいと思うわけでありますが、どう考えているか。たとえば従来からもやはり年内においてこれがまあ減税の措置を講じたことはしばしばあるわけでありますから、そういう点についてどういうふうに考えているか。こういう点を一応聞きたいと思います。
  181. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはただいま臨時税制調査会にかけて、特に三十二年度におきまして、もう間もありませんが、三十二年度において大幅な所得税の減税をいたしたいと私は考えておるわけでありまして、こういうふうな点とも関連をいたします。そういうふうなわけで、まあしかしその来年度の税制改革についてもまだ答申が参っておりませんので、今ここで私はどういうふうにそれをするかということについての御答弁は後日に譲りたいと思います。
  182. 永岡光治

    ○永岡光治君 それではいまの点についても後の委員会においていろいろお伺いしたいと思っております。きょうのところはこれで一応保留をいたしたいと思っております。
  183. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 暫時休憩いたします。    午後四時五分休憩      ―――――・―――――    午後四時十分開会
  184. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  公務員の給与に関する件を議題に供します。  本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  185. 永岡光治

    ○永岡光治君 まことに待つこと久しでありまして、きょうで三回委員会を開きまして、給与担当大臣の倉石さんにおいで願ったのでありますが、なかなか出席されませんで、その間に公務員の給与問題が低迷をいたして参っておりまして、いよいよ争議は相当混乱に陥るような情勢でありまして、きわめて憂慮すべき事態に立ち至っているわけでありますが、御承知の通り、現在の公務員給与は昭和二十九年の一月に改訂をされましてから、三年間というものをそのまま放置されております。この間におきまして、民間の給与は順次改訂をされました。人事院の資料にもありまするように、ことしの三月において、つまり改訂されてから二年になるわけでありますが、その二年の間に一一%の開きがある。金額にいたしまして二千円をこえることになろうと思うのでありますが、そういう開きがある。そこで公務員は二千円のベース・アップをしてくれ、こういう要求を各省の大臣に提出をいたしまして、ぜひこれを実現いたしたいということで、給与担当大臣も御承知の通り国会の前には、何とかしてこれを実現してほしいという団体の運動すら長期にわたって行われておるような次第であります。  そこでお尋ねするわけでありますが、こういうこともありまして、人事院もついにしびれを切らしましたのでありましょうが、七月の中ごろに至りまして、七月の十六日に政府と国会に給与改訂の勧告を行われております。すなわち給与の改訂について五十九億、三月十五日に支給さるべき特別手当として十億、これをぜひすみやかに実施をしなさい。こういう勧告がなされているわけでありますが、これについて、いまだ政府において何ら結論を得ていないということは、きわめて国民の代表としても遺憾であります。年末になれば相当に仕事も繁忙にもなりましょうし、こういう問題を早急に解決して国民の期待に沿うように、公務員も円滑に事業が運営できるようにお願いをいたしたいと思うのでありますが、今日まで依然としてその明確なる態度を政府は示しておりませんが、担当大臣として、どういう措置をとられようとしているのか、そして今までどういう措置を講じてきたのか、とりわけ人事院から改訂をしろという、こういうことについてどういうふうに考えておるのか、さらには給与の問題について、現在の公務員の給与で満足しているのかどうか、その点についてお尋ねいたしたいと思うのであります。
  186. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ことしの七月、人事院から勧告がございまして、その資料に基いて私ども検討いたしましたが、人事院の勧告は、御承知のように一般公務員、国家公務員は三公社五現業及び地方公務に比して低い、こういうふうに言っております。そこでそういうことも加味いたしまして研究をいたさなければなりませんが、そのほかに、これは御承知かもしれませんが、今ちょっとお話に出ました五十九億という数字についてでありますが、果してその五十九億であるかどうかということについて、われわれの方でも検討させてみましたが、なお詳細なデータというものはその時分に出てきておりませんでした。勧告は一応七月でありますが、この勧告を実施することになれば、こういうふうにするんだということの詳細なデータというものが最近人事院から回付されて参りました。そこでその完備されたるものによって調査検討をいたしておるというのが現在の実情であります。なるべく早く成案を得たいと、こういうふうに思っておりますが、これは永岡さんの御存じのように、三公社五現業は高いんだというふうなことをおっしゃっても、三公社五現業の方にも異議のあるところもあるようです。政府部内でも、やはり自治庁長官の立場では、なるほど地方の公務員というものは、東京のようなところを例にとれば、これは国家公務員より高いだろう。しかし地方によっては非常にでこぼこが多い、こういう所見もまた無視することのできない見解であります。そういうように、さまざまなことを今調整いたしまして、そうしてなるべく早く結論を得たいと、こういうふうに検討をいたしておるわけでございます。
  187. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の御答弁の中でちょっと気になることがあるわけですが、答弁の中で少しまあ解明されて、やや理解もできることもありますが、地方公務員の給与が高いとか、あるいはまた三公社五現業が高いとかという問題について、まだそれぞれの側に異議があるようだということを担当大臣として認めておりますので、それは一応私もそれで大臣の御答弁について理解できるわけですが、特にその点を私から念を押しておきますが、自治庁長官の答弁によりますと決して高くない、人事院の資料に使っているのは昭和三十年、去年になりますが、昭和三十年の資料によるものであって、その後、御承知の通りな地方財政の状況でもありますし、決して給与はよくないのだということを強くはっきりと言っておりまする関係を見ましても、あるいは地方公務員と開きが多いとか、つまり地方公務員が高いとか、あるいはまた三公社五現業が高いとかというようなことは、どうぞ一つそういう疑点ははっきりと払拭していたださまして、給与改訂に結論を出していただきたいと思うのでありますが、そういう意味で考えますならば、五十九億に果してなるかどうかということを大臣は心、配されていると思うのでありますが、まあ、おそらく足りないだろうというので心配されているのじゃないかと思うのでありますが、開きが高いものとしてこれだけあるというわけですからね。私は五十九億そこそこじゃ足りないだろう、まあそういうことも考えられますし、従いまして、金額の問題もさることながら、私のきょう一番給与担当大臣お尋ねしたい主点は、何しろ臨時国会も会期はあと幾らもございません。その間におきまして、給与担当大臣としてこの勧告を中心にいたしまして、公務員の給与についての改訂を行い、善処しなければならぬという段階に私きていると思うのでありますが、人事院総裁を国会に呼びまして、いろいろ追及いたしましたところが、今、給与担当大臣のおっしゃるような、資料が整わないから、これを実施できないという筋合いのものじゃないのだ。七月十六日に出ておる勧告だけで十分でございますと、こういう答弁をはっきりしておるわけであります。やらないのは政府が誠意がないのだ、こういう趣旨にとれる答弁をいたしておるだけに、私たちは政府の今日までの怠慢を責めざるを得ないわけです。とりわけこれはすみやかに実施しろということを言うておる。従いまして、特にきょうはお尋ねしたいわけですが、公務員の給与が現在のような状況で満足でないというのであれば、これは当然給与担当大臣としては改訂をしなきゃならない。そこへちょうど勧告が出ているのですが、その勧告についてもすみやかにやれという、こういう勧告の内容になっておりますが、これをいつごろ実施をされるというお考えであるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  188. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 人間というのは妙なものでありまして、給与担当国務大臣なんと言われますというと、何となくほかの人よりは国家公務員が自分の身内のような気がするものでしてね。従って私どもは国家公務員というものについては身びいきになりがちなんです。そこででき得べくんば、なるべく給与のよろしい方がいいし、そういうことについてはいろいろやっておりますが、一方やっぱり政府全体としては人事院の勧告を尊重して、これを実施に移すということになりますというと、相当の予算的支出を考えなければならない。そういう面から考えますというと、やはり国民一般に対する負担の増ということも念頭に浮んで参ります。従って、大蔵大臣はきょうおいでになるかどうか知りませんが、大蔵省の立場としても、やはり給与担当大臣の話とともに、今度は財政的な見地から考えなければなりません。そこでそういうことについて、それからまた今お話がありました自治庁長官の立場もあります。そういうことで今調整を鋭意努力しておる最中でありますが、国家公務員の俸給が低いというこの数字も出ておりますが、これは永岡さん御承知のように、この比較のやり方については、いろいろ意見のあるところであります。私どもは必ずしもこの比較の方法が正しいか正しくないかということは別として、とにかく一般の民間産業の好景気に恵まれまして、民間産業の方が給与が、だんだんこの年末の話し合いなどの様子を見ておりましても変化を生じております。しかし一方物価の状態はどうであるか。これも調査資料によってはいろいろ違うでありましょうが、私は総括的に言って国家公務員の給与がいいとは思っておりません。そこで人事院の勧告というものは、建前はもちろんのこと、政府としては人事院の勧告を尊重すべきものであります。これは同時にまた給与の状況を見ましても、私はだきる限りこの人事院勧告を尊重する建前で給与をきめて行くべきである、こういうふうに考えております。
  189. 永岡光治

    ○永岡光治君 今のお話で尊重する建前はわかりましたし、民間の好況の情勢もあるし、物価はやはり何とおっしゃっても私は上昇の傾向をたどらざるを得ないと思うのです。ことに最近の家庭における石油の状況を見ましても、燃料の状況を見ましても、やはり上昇の傾向にあるのですから、逼迫するのは当然であると思うのです。ことに国民所得が一一%以上ふえておるわけですから、当然国家公務員としてそのくらいのものは、一割以上のものをほしいというのは当然であると私は思うのでありますが、それはそれとして、今後審議して行かなければならぬと思っておりますが、問題は、尊重するというその建前に立っての実施の時期をいつを考えておるのか。人事院勧告ですみやかにやれ、七月十五日現在においてすみやかにやれ、こういう勧告をなされておるのだが、その時期をどう考えておるのかという点でございます。
  190. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) なるべく早く成案を得たいと思いまして、それぞれ督励をして調整を進めておる最中でありますが、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな角度からなかなか部内にも意見のあることでありまして、今いつごろそれを実施に移せるかということについては、あまり明確に申し上げ得る段階ではないと思うのです。
  191. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはですね。それがきわめて私は公務員にとって尊重するという答弁の裏から、すぐ尊重していないじゃないかということに受け取れる答弁だと思うのです。特にこの三月期の手当、三月十五日に支給しろということが書かれております。これは私は三十三年の三月十五日でいいという結論ではないと思うのです。そうしますと、どうしてもこれは年度内実施ということは当然であると思うのです。大臣、そうでしょう。年内実施は当然たと思うのですよ。三十二年三月十五日に支給しろというのは、いや、それは困ったからというので、三十三年の三月十五日というわけに参らぬと思うのです。そうしますと、年度内にこれを実施するということは当然だと思うのですが、またそれをその方向に向って努力することは、これは政府の責任であろうと思うのですが、どうでしょう。
  192. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 人事院勧告の中にはそういうことと、それからまだ何と言いますか、俸給の表の差しかえなども入っておりますが、全般的にいって私はそういうことを研究しておる、こう申し上げておったのですが、その三月十五日に支給すべき手当、これを今のあなたのお話の、繰り上げて年末に支給せよ、こういうお話でございますか。
  193. 永岡光治

    ○永岡光治君 その年末に支給するというかも、もちろんこれはできれば法制化もしてもらわなければなりませんが、三月十九日ということは最後のしりです。大臣、この勧告は一本の勧告と見なきゃならぬわけですね。特別手当、それから給与改訂、それに対するところのこれはまあ俸給の改正と言っておりますが、これについては問題があろうかと思いますが、とにもかくにも実施時期は最後はきまっておる、三月十五日ということはきまっているわけですから、やはり年度内にこれを実施するというのが当然じゃないですかということを申し上げておるわけです。
  194. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そういうこともひっくるめて今検討中なんであります。
  195. 永岡光治

    ○永岡光治君 年度内実施をひっくるめて検討ったって、気持はあなたはどういう気持か、しりはきまっているのですから、三月十五日なんですから、年度内当然じゃないか。それは当然そういうことで努力するという御発言が私はあってしかるべきと思うのですがね。
  196. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) さっき申し上げておりますように、われわれとして人事院の勧告を尊重する建前でございますから、その辺で一つ御了承を願っておきたいと思います。
  197. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は当然年度内に実施されるべきものと、こう解釈をいたしたいと思いますが、もう一回やはり念を押しておきたいと思いますが、よろしいでしょうね。そういうことで、おしりが三月十五日ときまっているのですからね。
  198. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 人事院の勧告を尊重するのが政府の建前だと、こういうことを申しておるわけであります。
  199. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連して。実施時期について永岡委員から質問がありまして、労働大臣はできるだけ早くしたい、こういうお話しなんです。私は現内閣はあまり長くないように聞いておるのですがね。それで現内閣の手でおやりになるのかどうか、その点やはりはっきりしてもらいたいと思うのですが。
  200. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私どもはまだ鳩山さんからいつやめるという話を聞いておりませんから、(笑声)まだまだやめるつもりではおりませんものですから、そこで年度末と言いましても、来年の三月まででありますから、無責任なことを申し上げるわけにはいかないので、人事院の建前を尊重して、そうしてそれを実施することの努力はしなくちゃいかぬ。ただ、いつ実施できるのだということについては、先ほど来申し上げておりますような関係で、調整をいたしておる、こういう段階であります。
  201. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のお尋ねしておるのは、現内閣の手で責任を持ってやる、そういうお考えかどうかというのです。
  202. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) まだほんとうのところは聞いておりませんが、党大会を自民党では二十日ごろやるという話で、そういう場合には鳩山さんの引退ということが伝えられておりますが、その通りならば総裁がかわると思います。総裁がかわった場合には、当然われわれは総理大臣もかえるべきだと思っておりますので、やはり従ってそういう関係のことについては、今秋から、今の内閣の手でやれるかどうかということについては確約はいたしかねると……。
  203. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はどうも早期に実施したいと言われても、あまり抽象的でいつになるのかはっきりわからぬのです。しかも労働大臣も御承知の通り、また永岡委員もおっしゃった通り、このベース・アップの要求というのは非常に強いものがあります。これは一日も早く解決するということは、これは政府にとっても非常に私は大事な問題だと思う。それでこれは検討中であるというふうなことで時間を延ばして行くということは、私は大きな損失だというふうに考えておるわけです。ですから、この際いつごろ実施するのだ、一日も早くきめる必要があるじゃないかと私は考えているのですがね。こういう点、どうですか。
  204. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 荒木さんの御心配下さるように、一日も早くということを私どもも申しておりますが、それはいつのことなのか、こういうことについては今調整をいたしておる最中でありますから、一日も早く結論を得たいと申しておるわけでありますが、かりに政府が変りましても、やはり同じ政党所属の者が出てくるでありましょうから、従って、それにつきましては、私が今ここで申しております趣旨は、この次の内閣も継承をいたして、そして人事院勧告の実施については十分尊重をしていたさせるように努力をする、こういうことでございます。
  205. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 実は私は早期に実施したいということは、現内閣の手で、責任をもって実施するのだと、こういうふうに今まで受け取っておったのです。そうすると、場合によっては次期内閣によってやってもらうということも考えておられるのですか。これは今国家公務員諸君はほとんど命かけて要求しておると思うのです。それに答える道でないと私は思うのですが、少くとも大体の決定は現内閣でせられてしかるべきだと私は思うのですが、どうですか。
  206. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 荒木さんも、永岡さんも、皆さんその実情を知っておられて、そうして、こういう公式のところでは、いろいろあらためてお話し合いが始まるのですけれども、私は官公労の方にも、総評の諸君にもしばしば会いまして、そうしてお互いの考え方を話しておりますことは御存じだと思いますが、そこで、実際のところ先ほど申しましたように、自治庁関係、大蔵関係と担当大臣の責任者である私とが話し合いまして、なるべく早期に一つこの人事院勧告というものが実施されるように私が推進をして行きたいこういう段階でございますので、御了解を願いたいと思います。それで現内閣でやれということでありますが、現内閣がずっと続けられるように御協力願えればありがたいと思います。(笑声)
  207. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 政府の考え方は、どなたに伺っても、できるだけすみやかにとか、目下検討中とか、そういうことで、一連の関連をしておる。みんなそういう言葉で尽きておるのです。そこで、口では尊重々々ということを言っておりますけれども、大体七月十六日ですから、先ほども言ったのですが、もう百三十日をこえているのです。その間一体何をしておったのかということを言いたいのです。人事院総裁もできるだけすみやかにということを繰り返して言っておるわけです。七月十六日に勧告したということは、その後開かれる最初の国会、すなわち今回の臨時国会を意味しておるということは、はっきりしておるわけです。ところが、この臨時国会も残り少なになったわけですが、何らその気配さえ私どもにはうかがわれない。一体あなたは大臣として、しかも責任ある給与担当大臣としてどういうふうに、ほんとうにこれはやるつもりなのか、ほんとうに勧告通り実施したいと、そういうふうに思っておるのか、どうか、そういう熱意があったら、大体の見当を、およそいつごろから実施したい、そういうことが言えると思うのです。そういう点で一ついま一歩進めて熱意を持っていただいて、具体的に大よその見当を一つはっきりと言っていただきたいと思うのです。
  208. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど私が申し上げましたように、国家公務員というのは私が身近に感じておる人たちで、その担当大臣でございますから、一日も早くきめたいとは思っておりますが、関係方面とのいろいろな折衝もしなければなりませんので、そういうことについて鋭意努力を続けておる最中でございます。従ってメルボルンのマラソン競争みたいに、千五百メートル走れば終点ということがきまっていれば、これはもう終点があるのでありますが、いつがそれでは終点だと、こう言われても、今ここで、すぐにもきまるかも知れませんが、今一生懸命で調整中である。ことに先ほどちょっとお話いたしました三公社五現業は高いのだと、人事院勧告が言われても、やはりそっちの方の側からは、また違う反対意見も出てくる。それからまた地方公務員についてもその通りであります。従って、そういうふうなことをいろいろにらみ合せて、それからまた財政上の事由も考慮に入れまして、それらの調整をいたしませんというと、なかなか決定いたしかねる、そういう調整に今努力をしておる、こういうわけでございます。
  209. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いろいろ各省とのお話し合いがありましょうけれども、大体先ほども言ったように、四カ月以上たっているわけです。大体話し合いが進んでおるのじゃないですか。そこで大体労働大臣としては、大よそいつごろとあなたは考えておられるか。各省はどうあろうと、労働大臣としてはいつごろという……。
  210. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、いわゆるスト規制法というのが、今、国会にかかっていまして、それに一同は忙殺されておるような立場でありますが、そろばんは私が当るわけじゃありませんからして、それぞれの担当の省に命じまして、関係各省の意見の調整をはかっておるわけであります。刻々にその情勢は聞いて、こちらでも指図をいたしておりますから、なるべく早く一つ調整をいたしたいと思います。
  211. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 スト規制法のことも非常に重要な問題であるということは言うまでもないのですが、この給与問題は死活問題である、公務員にとっては。しかも先ほどもお話があったように、三年間人事院の怠慢から全然、民間とのいわゆる給与差が一一%あるということを確信しながらも、なかなかそれが実施されなかった。今回初めて人事院がほんとうにつつましやかなふんまんだらけな勧告をしたわけです。そういう折柄、ぜひ一歩進めて、公務員のことも一つ考えていただきたいと思います。この年末をどうして送るかということを、各省の関係もございましょうけれども、労働大臣として、この際公務員の立場にもなっていただいて、一つ誠意ある回答をいただきたいと思います。そうして労働大臣としては、大よそいつごろを目途としているか、そういう点でしたらはっきり言えるのじゃないですか。
  212. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) しばしば申、し上げておりますように、公務員の立場に立って私も努力をいたしておるわけでありますが、人事院勧告を中心にしていろいろな関係が生じますし、実際閣議なんかでも持ち出しますと、この人事院の勧告については、ある面については同感なところもあるが、地方公務員が低いなんと言っていることについては、断固反対するなんといったような御意見もあったわけであります。しようがないと思います。そこでそういう点について財政当局とも話し合い、地方自治庁関係とも話し合ってもなかなかこれはむずかしいので、私はあえて人事院勧告を批評するわけではございませんが、むずかしい勧告を出していただいたものだと、こう実は思っておるわけなんです。そういうことについての調整をいたしておるわけでありますから、担当大臣である私としては一日も早くケリをつけたい、こう思っております。
  213. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは実施の時期の問題じゃないですかね。人事院の勧告を実施するかどうかということが質疑の中心のように思いますが、しかし公務員要求はベース・アップだと思うのですがね。人事院の勧告の実施じゃなくて、二千円のベース・アップ。そこで私はやはり給与改訂をするということになれば、政府としてはベース改訂をするというふうな考え方に立つことがいいのじゃないかという私は考えを持っているのです。この人心院の勧告を実施するにしても、総計で六十九億というふうに書いてあります。これは非常に私も見てややっこしい、こういう方法をとらないで、やはりベース改訂というふうな形でやれば、そうややこしい問題もないというふうに考えられるので、こういう点、労働大臣として考えてみるというお考えはありませんか。
  214. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) どうもきょうは国家公務員の給与についてのお話のようですから。一般給与制度なんという話が出てきますと、議論に花が咲いて、専門家もおそろいでありますから、そういうことは私は避けますけれども、ベース・アップということについては私は異議を持っております。そのことについては議論は別として。しかしながら、今回なされました人事院勧告そのものについては、政府は人事院勧告を尊重すべき建前に立っておるわけでありますから、これを基準にして今意見の調整をはかっておる、こういう状態であります。
  215. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ベース・アップについて異議を持っておるというのはどういう事情によるのでしょうか。私は今言っておるように、人事院の勧告を実施しても事実上は若干のベースが上るわけです。これは。だからベース・アップの形をとっても何ら差しつかえがないと私は思うのですが、こういう形をとるから、今言ったように地方公務員が高いとか安いとか、三公社万現業が高いとか安いとかいって、それを調べなければならぬ、これを調べなければならぬということになって、いつまでたってもらちがあかぬ、こういうことがある。ベース・アップという形をとれば、現状を認めて上げて行くのですから、そうむずかしい問題は起ってこないと私は思う。しかもこれが公務員要求なんですから、そういう点はやはり私は考慮をしてしかるべきだというふうに考えているのですが、なぜベース・アップという形が悪いでしょうか。
  216. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 荒木さんも御存じのように、公務員の身分関係、待遇関係のことについては特別に人事院というものがありまして、政府に勧告をする制度になっておりますから、政府はこの人事院の勧告というものを尊重して、公務員の待遇のことについては決定をいたしたい、こういう建前でありますから、人事院の勧告を土台にして今検討中だと、こういうわけであります。
  217. 永岡光治

    ○永岡光治君 労働大臣、人事院の勧告を尊重するという建前にかりに立っても、財源がこれだけ要ることは間違いないですね。だとするならば、これにも非常に不満です。人事院の資料を見ますと一一%の開きがあるというのですから、これは二千円くらいになる。官公労の要求をしている二千円というのは私は当然だと思う。その通りぜひ実施しなければならぬのですが、同じ改訂をするならば、公務員の喜ばないような改訂をしてもほんとうの士気高揚にはならないわけですよ。だからこれは公務員の望むような方法でやるべきではないか。どうも大臣がベース・アップにこだわっているところを見ると、何かほかに私はあるのではないかと思うのですが、そういうあれはないのですか。なければ私はすなおに改訂を行うべきだと思うのですが。
  218. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) それは今、荒木さんにお答え申し上げましたように、政府としては人事院の勧告を待っていろいろ処置すべきものでありますからして、そこで私は人事院の勧告について今鋭意検討しておる。あなたのお話のように、人事院の勧告の形でやろうが、ベース・アップの形でやろうが同じではないか、従ってベース・アップを考えたらいいじゃないかということですが、それは一つ逆に今度はこちらから申し上げて、同じものなら政府の建前を通して、人事院の勧告を尊重するといっているのですから、それでいいではないか。何も人事院勧告で出す札とほかのベース・アップで出す札と、札の種類は別じゃないのですから、その方がいいじゃないか。
  219. 永岡光治

    ○永岡光治君 同じ金を使うとすれば……。金額の問題を私たち言っているのではありませんが、同じ金をあなたがお使いになろうとするならば、喜ばないものをやるより喜ぶものをやる方がいいじゃないか。あなたは勧告を尊重されるというけれども、その尊重の中の実施時期についてはちっとも尊重してないじゃないですか、今日においては。しかも一方では相手が喜ばないようなところだけを尊重して、喜ぶところをちっとも尊重してないというところが問題だと思うのです。どうでしょうか、この点は。
  220. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) まあ公務員というのは政府の役人でありますから、政府がどういう立場に立っているかということは十分御承知の人たちなんです。この間も会見してみると、私たちよりふところ工合あたりもよく知っておる人たちだから、官公労代表でおいでになるのですから。十分によくわかっておいでになるものですから、まあ人事院の勧告を尊重するということについては、どなたも異議はないようです。従って政府としては、できるだけ早く結論をつけるように、今努力をいたしております。
  221. 永岡光治

    ○永岡光治君 その結論は大体いつごろを目途にされているのでしょうか。
  222. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) それはもう一生懸命で、一日も早くということで……。
  223. 永岡光治

    ○永岡光治君 もう臨時国会もあとそう長くはないのですが、その際に、一日もすみやかにということでなく、もうここで大よその見通しが私つけられる段階ではないか、またそうでなくてはならぬと思うのです。公務員の味方で非常に努力しているのだという、こういう好意ある大臣の態度でありますから、もうここらあたりで、大よそこの辺については大体自信が持てるとかということがあってしかるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  224. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) なるべく早く結論を出すように一生懸命でやります。
  225. 吉田法晴

    吉田法晴君 なるべく早くというなら、いつごろになったら……、それではとにかく見通しがつくということもないのですか。ただなるべく早く、なるべく早くで、なるべくというとあしたもそうだし、一年先もそうだ。やめて、だれが大臣になるかどうかわからぬ先もなるべく早くというのですか、誠意があるならもう少しいつごろになったら見通しがつくとか、あるいは大体の目途というものも全然ないのですか、あるなら一つ具体的に。
  226. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 吉田さんがお見えになる前にその話も出まして、私どもとしてはなるべく早く結論を出して、本来ならば……。
  227. 吉田法晴

    吉田法晴君 同じ問答を聞いておるから、念を押すのですよ。
  228. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そこで今、内閣がかわってからというお話がありましたけれども、同一の政党の内閣でありますから、かりにそれはかわるといたしましても、私が今申しているような、私どもの言っているように、人事院の勧告を尊重する建前で早くきめるということには間違いありません。
  229. 吉田法晴

    吉田法晴君 倉石労働大臣が給与担当大臣としての責任において、いつになったらはっきり言明ができるか、あるいはいつになったら実現できると、こういう点を言いなさいというわけですよ。
  230. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そのことは、お互いが国会の屋根の下で同じように毎日暮しているのですから、お互いに信用し合っていると思うのですよ。私は先ほどから申しておるように、鋭意早く調整の終るようにということで努力を続けておると、こういうのでありますから、あしたやめるわけじゃないのですから、一つもうしばらく御猶予願って……。
  231. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじゃ臨時国会なら臨時国会の終りまでには大体の見通しは得ることができるのだと、こういうことですか。
  232. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私どもはなるべくそういう目途のもとに進んでいるわけです。
  233. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは大体臨時国会中には結論が出ると、こういうふうに解釈されるわけですね。
  234. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そういうことを目途に今一生懸命でやっておる。何しろ先ほどもちょっと申し上げましたように、片一方にあの法律案を抱いているものですから、これを早く片づけていただいて、そうしてこの方ももちろん努力をいたさなければなりませんが、私が片方の方に行っておる、おらないにかかわらず、その努力は続けておりますから、できるだけ一つ早く結論を得たいと、こういうふうに考えております。
  235. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで結論を大体臨時国会中には出したい、こういうお話でございますが、この結論が出た場合、これをいつごろから実施するかということであります。これについてはわれわれ相当譲歩した考えからいっても、勧告の出た七月にさかのぼって実施すべきであるというふうな見解を持っておる、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  236. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 結論が出ましたものを実施するということについて、私どもとしては俸給を遡及して支払うということは今考えておりません。
  237. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで私は先ほど永岡委員が大蔵大臣質問をしておられた中に、年末手当の増額の問題をどう考えているか、あるいは年末手当の減税の問題をどう考えているかという質問があったのです。その質問と私は関連するのですが、これは筋合いから言えば、労働大臣にやはり勧告が出たときから実施するのが一番好ましいということは私は異議がないと思うのです。しかし政府が検討々々と称してだんだん延びてきているわけです。その間にやはり公務員としては相当不適正な待遇を受けてきておったわけなんです。もう一つ問題は、最近非常に大きな問題になっている給与者の所得税が高いという問題ですね。これは政府の方でも相当真剣に考えておられると思うのです。また近くその具体的なものをおきめになるように私は考えているわけです。いずれにしても、この給与所得者が非常に税金が高かったし、それから公務員にとってみれば、さらに勧告されてから相当の間、時日もたっているので、この埋め合せ、これを年末手当でするか、さらに年末手当の減税の問題で措置するか、これは私は当然なことだというふうに考えているのですが、そういう点、やはり親心のある労働大臣ですから、十分お考えになっていると私は思うのですけれども、そういう点の御所見を聞かしておいていただきたいと思います。
  238. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、そういう臨時の手当のほかに、たとえば北海道へ参りますと石炭手当に対する課税をやめてもらいたい、今度また東北、北海道、北信地区に薪炭手当を出すことにしましたが、それも課税しない方がいいではないかというふうな御意見が出ております。私どもといたしましても、せっかく出す手当が、やはり課税の対象になるということは、それはない方がけっこうでありますが、そういう点についても財政当局ともいろいろ話しをいたしてみているわけでありますが、現在の段階においては、財政当局は、そういうことについては考えられないという立場をとっているわけであります。  それから年末手当のことのお話しがございましたが、これはただいまのところ、昨年増額いたしまして、一・五カ月出ることになっておりますが、あれ以外のことは今考えておりません。
  239. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の減税の話が出ましたが、財政当局というお話しですが、御承知の通り、ことしも非常に予定された税の収入よりはたくさんな収入があって、臨時税制調査会では、これを一千億の減税でもしたがいいじゃないか、とりわけ主体となっております給与所得者が非常に過酷だ、こういうふうなことも特に強調されていることから考えまして、当然私は期末手当に対する、あるいはこれに類似するものについて減税するというのは当然だろうと思います。これは法律の問題ももちろんあります。ありますが、これらは来年の税法の改正のときにできるわけですから、それまでの措置としてでも、行政措置によってそういうことは当然私はやってしかるべきだと思うのですが、財政当局にはちっとも影響はない問題ですから、ぜひこの点は考慮に入れてしかるべきだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  240. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私どもは一般論として、給与所得、われわれお互いの給与所得税の低減をはかるということについては、政府もそういうつもりでおりますし、与党も税制調査会でそういう意見を出しております。世の中の好景気につれて、自然増収というものも考えられることでありますから、やはり給与所得税の低減ということはいいことだと思いますが、今ここで話題になっておりますような特別手当についての減税というようなことについては、なお今日一致いたしておらないわけであります。
  241. 永岡光治

    ○永岡光治君 それはどういう意味でしょうか。検討していないというのは、お話しによれば一応税は過酷だという解釈はとれるわけですが、だけれども、やらないというのが、何かほかの理由があってできないというのか、その点はどういうことなんでしょうか。
  242. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その点は一つ間違ったことを言って誤解を生ずるといけませんから、財政当局にお聞きを願いたいと思います。
  243. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは大臣も御承知でありましょうが、ビキニの被害者に対する支給金の問題にいたしましても、行政措置によって救済されておりまするし、過去また十二月手当の税の徴収については見合わした例もあるわけです。当然私はこれはできると思っているわけですから、問題は公務員の味方だとおっしゃっている労働大臣の誠意いかんにかかっていると私は思うのですが、どうでしょうか、やる意思はあるのでしょうか、ないんでしょうか、そういうことをかけ合ってもらえる熱意をお持ちになっているんでしょうか。
  244. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) この委員会で永岡さんからそういう御意見のありましたことも伝えまして、相談いたしてみます。
  245. 永岡光治

    ○永岡光治君 その減税の問題は特に一つ大臣にお願いしておきたいのですが、御承知の通り、年末手当をもらいましても、大半税金で取られて行くのです。非常にお気の毒な状況です。これは家庭では相当期待を持っている、期待を持っているが、さて俸給袋を家内に渡すと、何だこれくらいかということで、大へんな悲劇が起るわけでありますが、どうか年末手当の減税という問題については、年末手当の支給の願いかんにかかわらず、それとは別個の問題として特に私は考慮してもらいたいと思う。このことを強く要望しておきたいと思います。これは大蔵大臣の方で一応そういう行政措置でとれないことがなくもないわけです。一応過去にとられているわけです。立法も必要でしょうが立法は間に合わないといたしましても、できるわけですから、特にその点を一つ強調していただきたいと思います。  それから年末手当の問題ですが、二カ月分を要求しているのは当然だと思うが、御承知の通り、もうすでに新聞紙上を通じますと、やれ七万円もらうことになったとか、平均五万円になったとかいうことが非常に報道されておりますが、一・五カ月分でいいということには私はならぬと思うのですが、その点は大臣、もう努力してくれるお考えはないでしょうか。
  246. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) そのことにつきましては、そういうお話もちらほら出たものでありますから、検討いたしてみましたが、政府としては、昨年増額したもの以外に今年に特別なものを支給する意思はありません。
  247. 永岡光治

    ○永岡光治君 今ちょっと大臣お話の中で触れられておりましたが、特別手当を法制化する、たとえば臨時国会に法制化するというようなことは考えていないでしょうか。
  248. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお尋ねのは、やはり他のものと一緒にして、給与関係を取りきめたいと思っております。
  249. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは補正予算の関係もあろうかと思いますので、私はお尋ねするわけですが、昨年も〇・二五増額されまして、その時点においては補正は組まれなかったわけです。これは補正予算が支障になって、これをこの臨時国会中に特別手当の問題であるとか、あるいはまた給与改訂の問題というものが実施できないという理由はないのでありますから、この点は、そういう点では支障にならないということだけは言明できるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか、その点は。
  250. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、昨年増額いたしまして一・五になりましたものは当初予算に計上してありますから、これは予算の問題は起きませんですが、他のことをやるという場合には当然なそういうことも考えなきゃならぬと思いますが、政府は臨時国会中に補正予算を出さないことに決定いたしております。
  251. 永岡光治

    ○永岡光治君 昨年一・二五だったのです。予算は一・二五しか組んでなかった、御承知の通り。しかし一・五を法律化したのです。その法律を提出されたときは、その時点においては補正予算を組まなかったわけです。これはもうだれに聞いてもはっきりしているわけですが、あとでこれは補正したわけです。通常国会における予算において。ですから補正予算が今組めない、大臣は臨時国会では補正予算は出さない、だからこれは支給できないのだという理由にはならないと思うが、この点はどうですか。
  252. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 補正予算云云のことは別といたしまして、年末に一・五以外に出すか、こういうことをお尋ねのようでございますが、その意思はただいま政府は持っておりません。
  253. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは大へん困るので、何とかしなさいということを今しきりに言っておるわけですから、これはそういう木で鼻をくくったような答弁でなしに、もうちょっと誠意ある答弁ができそうなものですが、どうでしょうか、善処して下さい。
  254. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私は別に木で鼻をくくったように申しておるわけじゃありませんが、はっきりした政府の態度を申し上げたのでありまして、政府としては、年末に一・五以外のものを支出する考えを持っておりません。
  255. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういうことじゃ大へん困りますので、御承知の通り公務員の給与改訂については、いろいろ真剣な要求を掲げておるし、各省に対する、たとえば陳情団のすわり込み等については、警官を動員してまで排除しておる。そういう弾圧の方にきわめて熱心であるけれども、改訂の方には木で鼻をくくったようなそういう措置、これでは年末の業務もなかなかうまく推進しないと私は思うのですが、どうでしょうか。そういう態度を改めて、何とか一つ努力してみようという考えを持っておいでになりませんか。
  256. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その点につきましては、先ほど申しましたように、いろいろこの前から検討を続けているわけでありますが、ただいまのところは、政府としてはそういう意思がないということであります。
  257. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連。特別手当を含む人事院の勧告は実施するように努力をしたい。その線に従って検討中であるし、調整中だ、それの態度は臨時国会の終るころまでには明らかになるだろう、こういうお話ですが、その特別手当を実施するということになれば、その特別手当の繰り上げ等もこの年末にできないこともないのですが、それらの点について、今のような木で鼻をくくったような話でなく、こういうものを含んで再検討するということになりませんか。それからもう一つ、税金問題についてはあなたも認められているように、給与者の所得税は高いから、そこで年末にはもらうけれども、もらった年末手当の大半が税金に取られる、こういう事態が起っている。税はこれは今のあれから言っても新年度に入ったら変るでしょう、税率なりあるいは課税のあれが変ると思う。階層によっては半分になるでしょう。それでその分も含んで再検討するということはここで言えませんか。
  258. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) しばしば検討いたしましたけれども、政府は、年末においては昨年増額いたしたもの、つまり一・五は当初予算に計上してあって支給する方針でありますが、それ以外のものについては支給は考えておりません。
  259. 吉田法晴

    吉田法晴君 従来考えられておった年末手当というものについては、これを増額するということはないと、こういう閣議決定と言いますか、閣議了解か知りませんが、そういう方針であるかもしれませんけれども、しかし特別手当あるいは減税云々と、具体的な方法をここにあげているのですから、そういうものを含んで再検討するという道が残っておれば、それをも再検討する道がないのですか。それとも公務員の立場もわかり、あるいは給与所得者の税金が高いということもわかっているという大臣ならば、もう少し検討しよう、そういうものを含んで臨時国会までに何とか案を立てたい、こういうことで具体的に関連性を持ちながら、大臣はわかっていることだと思いますけれども、努力を続けていただけませんか。一つ給与担当大臣のあたたかい年末の思いやりを御答弁願いたい。
  260. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 政府のきめました方針については、先ほどしばしば申している通りであります。
  261. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  262. 亀田得治

    委員長亀田得治君) 速記を始めて。  きょうはこの程度にいたします。    午後五時十一分散会