○
委員外議員(千葉信君) 先ほどから
質疑応答を聞いておりますと、従来人事
委員会もしくは
内閣委員会等で明確になっていた問題が、少し混乱しているきらいが私はあると思う。ですからこれは従来の
質疑応答で明らかにされた点と関連をして、私はこの際二点について
総裁にお尋ねをしたい。
一つは、
人事院の行なった
勧告が一体いつから実施されることが正しいと
人事院が
考えているかという問題が一つ。それからもう一つは、
人事院総裁は
政府部内の行政官の一人であるという
立場だから、これ以上のことは言えるとか言えないとかいうことを
答弁されましたが、その点は
内容をつけ加えながらあらためて
総裁にお尋ねしたい。
第一の点ですが、過去の
人事院の
勧告の中でも、実施の時期を明確に示して
勧告が行われたことがあることは、これは淺井
総裁が今答えられた
通りです。それ以外の場合には、
人事院の行った
勧告の実施の時期については、
人事院としては明確にその時期は表示されておらないとしても、私は、時期を
明示した場合の
勧告の趣旨と同じような
考えの上に
人事院は立たなければならないし、当然また立つ義務があると思う。それは私は理屈の上からも出てくると思う。
人事院は
公務員の
給与改訂に関する
公務員法第二十八条の
勧告を行うに当って
基礎調査をやる。
基礎調査を行う時期が、たとえば三月とか四月とか、本年は三月を基準として行われたはずですが、その三月を基準として行なった
調査の結果、
民間賃金との間にこれこれの開きがある、物価との間にこういうハンデが生じてきている、従ってその条件の上に立って
公務員の
給与は幾らくらいに
改訂しなければならぬとか、何パーセント引き上げなければならぬという
結論に達して
人事院は
勧告されるわけです。そうだとすればその
調査をした基準のその月にそれだけの差異を生じているとして、その
改訂を
人事院は
政府並びに
国会に対して
勧告をされるのですから、従ってそういう
意味では
人事院の
勧告そのものは、
調査をしたその時期にさかのぼって
給与改訂が行われることが正しい。ただそれを
勧告に際して
人事院がその時期を
明示しなかったことについては、この際はここで追及する
気持はない。それは
人事院としてはいろいろな
立場から
考えて、そこまで踏み切れない
人事院の
立場もあったでしょうから、私はその時期を
明示しなかったことについて非難をする
気持はない。しかし
国会で議員の
立場から、一体その実施の時期について
人事院がどういう
考えを持っているかという質問に対しては、当然
人事院総裁として、その
勧告の趣旨なりその
勧告の
基礎となった条件を、
調査した時期なりそういう点がはっきりしているのですから、淺井
総裁がどういう
答弁をしようとしなかろうと
改訂はその三月なら三月からしなければならないということは、はっきりした事実から出てくると思う。それを一体どういうわけで
総裁はその時期についてここで
態度をはっきりしないのか、そういう
態度が非常に問題を混迷さしている。これこそ、淺井
総裁が
給与改訂の時期を故意にずらそうとしているから、
政府の
立場に立って協力しているかのような印象を与えて非難をされるもとだと思う。しかし実際上は淺井
総裁が
答弁をしているその
改訂の時期は、さかのぼって三月でなければならぬということは、
総裁としては言わなければならんでしょう。それがどういうふうにいつ
改訂されるか、いつ
国会で問題の最終
結論が出るか、そのときに実施の時期がさかのぼるかさかのぼらぬかということは、これは別問題です。私は、
国家公務員法に基く、この法の
明示するところによっても淺井
総裁は
公務員の利益を擁護しなければならぬという
立場から言えば、そんな時期の
明示くらいのことについて、あなたがそこで言を左右にして
答弁しようとしない
態度は非難さるべきだ。あなたはここではっきり、
勧告の含む
内容から言えば、
勧告の
結論からいけば、今年の三月なら三月から本来この
勧告をした
通りに、この
勧告の趣旨、また
調査の時期に従えば、今年三月から
改訂さるべきだ、ということを
考えているということを、なぜはっきり言わないのですか。
それから第二点。あなたはさっき荒木君の質問に対して、自分としては
政府の一員だからこの
臨時国会でこの問題がどうこうということは言えないと、非常に妙な
答弁をされた。私は淺井さんが行政官の一人であるということは認めます。しかし淺井さんの場合には他の行政官とは著しく異なった任務を持っているはずだ。あなたはその自覚の上に立って
人事院を担当しているはずだ。そのあなたが、この
臨時国会の最中には
政府の方では
予算を提出する
意思がないようだから、この
臨時国会で解決されるというようなことはこれは不可能だといって、あなたが全く冷静な第三者の
立場に立ってそういう
答弁をされてそれでいいかどうか。私は、あなたが国民
淺井清として、この
国会は期間も短かいし、補正
予算なんか出っこないから、ここで
給与改訂の問題なんか解決されない、それはとても見通しなんか出てこない、こう
考えることは私は一向差しつかえないと思う。しかしあなたは
国会に出て来て
人事院総裁という
立場で議員の質問に答えるときに、そういう冷静な客観的な全く無関心な
態度で
一般的な見通しをここでのうのうと
答弁されることは、私は間違いだと思う。あなたの
立場としては、
人事院としては
権威をもって
給与改訂の問題についてはこう処理すべきだということを
勧告されておるのだ、しかもこれは荒木君の言うように、
人事院としては
勧告を出せばそれでよろしいということではない、法の命ずるところによっても、
人事院としてはあくまでも
国家公務員の利益を擁護するために、そういう
勧告のあと始末といいますか、それを実現される努力をあなた方が裏付けして、初めて
人事院総裁の、
人事院としての任務が果されたことになる、そうだとすれば、見通しはたとえどうであろうとも、少くともあなたは
人事院の行なった
勧告のその実施の時期なるものが、理屈の上からいっても、さっき私が申し上げたような
結論に立っている
勧告だとすれば、あなたはああいう
答弁をするのじゃなく、少くとも
人事院としてはこの
臨時国会がもっと早く開かれて、そうしてもっと早く開かれた
国会の中でも本来は解決さるべき筋合いのものであるし、
改訂をしなければならぬ問題だから、この
臨時国会で、どうも見通しの問題は自分としては遺憾だというくらいの、はっきりした
態度をあなたはとるべきだ、どうですか、この二点について。