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1956-12-03 第25回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月三日(月曜日)    午前十一時五十二分開会   —————————————   委員異動 十一月三十日委員横川正市君辞任につ き、その補欠として松本治一郎君を議 長において指名した。 本日委員松本治一郎辞任につき、そ の補欠として横川正市君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            鈴木  強君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            最上 英子君            横川 信夫君            三木 治朗君            光村 甚助君            森中 守義君            山田 節男君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 村上  勇君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政大臣官房人    事部長     大塚  茂君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (国際電信電話株式会社運営状況  に関する件)  (テレビ放送許可に関する件)  (電気通信施設拡充整備に関する  件)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動について御報告いたします。十一月三十日付横川正市君が辞任せられまして、松本治一郎君が選任せられました。十二月三日付で松本治一郎君が辞任せられまして、横川正市君が選任せられました。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本日は、郵政事業運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を議題といたします。  ただいま村上郵政大臣その他御出席されておりますので、前回に引き続き、質疑を行います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣に一、二お尋ねしたいんですが、一つは、前国会で問題にいたしましたが、国際電信電話株式会社料金に関する問題であります。この料金の非常に不適当な点がありますために、日本海外に拠点を持っておる商社あるいは交通関係会社等が、非常に外国よりも悪い状況のもとに営業しなければならなかったというような事実がありまして、特に私から郵政大臣に、余裕があればできるだけその料金を適当に是正をし、引き下げるべきものは引き下げて、外国商社なみの扱いをしなければ、国際競争に勝てないということを申しあげた次第であります。その後承わりますと、幾分料金引き下げをせられたようでありますが、その料金引き下げについて、大臣がどういう方針で、どの程度までおやりになったか。それから今後に対しましては、大臣はこの料金問題について、さらにどういう方向に向って努力せられまするか、その点をまず伺いたいと思います。
  5. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。前国会におきまして新谷委員初め各委員から、日本海外貿易発展のために、少しでも間接費を安価にしてやらなければ、国際市場においての貿易というものの競争に打も勝つことができない、こういうような御趣旨のもとにいろいろと御意見を拝聴いたしまして、私ども郵政当局におきましても、これが最も妥当な数字について慎重に検討いたしたのであります。その結果、大体当時の料金の約八、九分程度引き下げても、国際電信電話経営に大した支障を及ぼさないというようなことで、年間四億一千万円程度引き下げをいたした次第であります。このことは、必ずしもこれによって輸出貿易が大きな影響をこうむるというようなことにはならないかとも思いますが、しかし一方、国際電信電話のいわゆるサービスの面にも影響を与えない程度の最低の措置であったと思っております。  今後の方針につきましては、なお、国際電信電話がより以上の収益を上げ、そしてサービス面を傷つけないで、りっぱに剰余金が出て参ります場合には、なお検討を加えて参りたいと思っておる次第でございます。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 抽象論では、大臣のおっしゃる程度でやむを得ないことと思うのです。いずれ資料をいただきたいと思います。資料をいただいた上で、さらにもう少し検討した上で質問いたしますが、たとえば相手国から日本に打つ電報料金よりも、日本からその同じ相手国に打つ電報料金の方がはるかに高かったというような事実は、これは至るところにあったのです。そういった点は今度の改正料金表では是正せられておりますかどうですか。それから会社営業収支から申しまして、もちろんこれはまず第一にサービスの改善をしなければなりませんから、大需要家との間にいろいろテレタイプをこしらえるとか、いろんな設備もしなければならんと思いますけれども、そういう点を考慮いたしましても、四億程度料金引き下げということでは、まだ相当余裕があるのでははいかという気がするのですが、これは従来の営業成績を見ましてそういう感じがするのでありますが、大臣は四億程度を下げた、将来余裕があればというお話でありますが、余裕があればというのは、現在は余裕がないという意味でしょうか。そうではなくて、将来の営業状態を見てなお今後において考えるべきことだというような意味でしょうか、私は一割弱程度料金引き下げでは、まだこれは外国商社に比べまして、日本商社相当不利な状態にあるのではないかと思われますから、国際的な競争力をふやす意味からいうと、もう少し大臣が思い切って措置をせられた方がよかったのではないかと思うのです。その点いかがでございますか。
  7. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御意見のあるこころは、これは十分私も了承することができるのでありますが、一応第一回の引き下げについては、多少の会社経営不安等考えられましたので、数字としてはもう少し引き下げてもいいのじゃないかという数字が出たのでありますが、いろいろサービス面で、あるいは繰越金、社内保留金等も勘案いたしまして、一応四億一千万円程度引き下げをいたした次第であります。  なお、今後も利潤がより以上に出て参ります場合には、必ずしもこの第一回引き下げただけであとは関知しないということではないのでありまして、将来とも経営がりっぱに健全化していくと、その上でなお相当利潤が上って参りますれば、これは十分検討いたしまして、新谷委員のお説の通り日本輸出貿易発展のためにも大いに協力してもらいたいと、かように思っておる次第でございます。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点はいずれ資料をいただきたいと思います。営業収支から見まして、今度の引き下げによってどういう影響を受けたかという資料と、おもな相手国でいいですが、おもな相手国との間の通信料金——向うでとる料金とこちらから打つ場合の料金と、それを比較したもの、そういったものをいただきまして、また次の機会にお尋ねしたいと思います。  ついでに、もう一つ大臣に伺いたいことは、放送法に関する問題でございます。いずれこれは、大臣の手元で改正案を練っておられることでありまするから、次の国会にはお出しになることを期待しておるのでありますが、現行法のもとでも、ただいまわれわれの耳に人っているところでは、テレビジョンの局の設置の問題について非常に激しい競争があるということであります。これはどこかの業界新聞か何かで私は見たのですが、大臣テレビジョンの局を設置する一つ標準としてお考えになっていることとして、ラジオをやっている所に優先的に許すのだというような意味発言をどこかでせられておることを新聞で見たのですが、その通りでございますか、あるいはもう少しそれは違った意味でおっしゃったのか。  私の見解を多少申し上げますと、なるほどテレビジョンというものは非常に金のかかるものでありますから、開設の当初にはそういうラジオ技術なり施設なりというものをある程度利用し得るような所がテレビジョンを始めますと、割合に経済的にゆくだろう。従って、受像機が普及するまでの間にこうむる損害というものを最小限度に食いとめられるのじゃないかというようなことは、実は私どもこの委員会では当初主張しておったのであります。ところが、郵政省テレビジョンの局の設置につきましては、それと反対の御措置をせられたのです。これもやむを得ません。過去のことをどうこうと言うのじゃありませんが、しかしそういう結果になっておる。しかし今日のようにテレビジョン受像機が普及して参りました場合は、これはラジオを現にやっておる民間放送会社が優先的にテレビジョンというものは許可される資格があるのだということになりますと、私はこれは少し現在の状態では大臣としてはお考えにならなきゃならん点があるのじゃないかと思います。と申しますのは、技術とか設備とかを共用し得るという面は若干あると思いますが、しかしテレビジョン特色とするところとラジオ特色とするところは相当違ったものです。でありますから、私はテレビジョンにつきましては、電波の工合も見なきゃならない、それから地方の資本といいますか、そういったものをどういうふうにして集めて、どういう構成でやるかというようなことを考えなけりゃならないので、必ずしも現にラジオ免許を受けておる局を持っておる所が優先的にテレビジョンをやり得るんだという根本方針大臣がおきめになることは、いささか私は見当違いではないかという感じがするのですが、大臣はこの点いかがですか。
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。私は必ずしも優先的にラジオ事業者テレビジョンを併用するということは考えられないのでありますが、絶対なものではありませんが、ただ、これはもう電波国民のものであり、またその地元聴取者のものだということでありますから、一番これは許可認可を与える際の大事な条件は、これはもうその地元民意のあるところというところに重点を置かなければならないと思います。たといラジオ事業でありましょうとも、その地元人たちが、どうもあのやり方はよくない、もう少し民意を尊重した方法で運用してくれるようなところにというような場合には、必ず私はそれを優先的に持っていきたいと思っております。ただ、いずれも同じ条件である場合には、やはり一応放送事業をやっておる所に持っていく方が妥当ではないかと、かように私は常識的に考えるので、絶対的なものではないと思っております。  と申しますことは、やはりラジオ事業が、ラジオテレビジョンというものは、ある程度密接不可分な関係にもあるのではないか。特に商業放送の場合には、一方テレビジョンの方が非常に経営がスムーズに参りますと、今度はスポンサーラジオの方にはつかなくなる。ラジオの方が非常にうまくいく場合には、テレビの方がどうも経営が非常に困難になってくる。そういうようなことがあるだろうと私は考えまして、民意のそこにある場合には、これはやはり不可分なものとして、これを考えていくことが常識的に必要ではないか、こう思っておることは、諸外国の例をいろいろと開いてみますと、他の国におきましても、そういうような経営でやらせるような認可方針をとっておるようにも聞いておりますので、私も民意さえあれば、そこへ結びつけていくこともあえて差しつかえないのじゃないか。しかし、これは必ずしも絶対なものではないということで考えて参っておる次第であります。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もう一つだけ。今の方針が絶対的なものでないということで、多少——きょうはこれでやめますけれども、私は民間放送の場合は非常に希望者がたくさんあるというような今の日本状況からいきますと、その許可を得るか得ないかということが、これは非常に実は特典なんですね。国民のものだといっておる電波を、そこに特別に認可をされて使えるようにしてやるのだから、非常な特典だと言えるのですね。今の大臣のような方針ですと、それは発達の初期においては非常に赤字を出すだろうから、技術なり、あるいは人なり設備なり、そういったものをある程度共用さした方が、経費が助かるだろう、赤字を少くするだろうということで、政策として考えなければならん点だったと私は思うのです。しかしラジオテレビジョンが発達しておる国におきましても、外国の例をごらんになりましても、必ずしもそうなっていないと思います。テレビテレビラジオラジオでやっている所がたくさんある。ですから、大臣はこれは絶対的なものではないとおっしゃるわけですが、どこまでもそれは絶対的なものではなくて、具体的なケースに応じてお考えになるようにしていただかないと、非常に、何といいますか、免許を与えられたものとそうでないものとの間には、いわば法律による特権を一つの所に初めからもう独占的にもらえるような形になって、非常に公平でないというような意見もたくさん出ておりますから、この点をお考え願いたいと思います。  それから同じような問題ですが、この点については私も絶対的なものではないと思うのですが、波長が、許すならば大消費地といいますか、京浜方面とか阪神方面北九州方面、あるいは中京方面というようなところでは、やはり波長が許すならば、商業放送は、もちろんテレビジョンについても同様なんですが、複数であってほしいと思うのです。ずっと日本テレビジョンの発達して参りました経過を見ますると、ここ数年のことでありますけれども、当初一つ民間放送しか、商業放送しか許されていなかったところは、ラジオの例をとりましても、どうもつい免許の上に眠ってしまう。それでスポンサーのことも、それを聞く聴取者のこともあまり考えないで、ただ特典の上に眠ったというようなきらいがあると私は思うのです。これは民間会社にとっては非常に酷な批評かもしれませんが、私は公平に考えてそう思うのです。それが競争相手ができまして、お互いに非常に勉強し出して、内容もよくなった、聴取者の言うこともよく聞くようになった、スポンサーの注文もよく聞くようになりたというような事例が、現実に現われてきております。これは私は、放送法改正されて、民間放送会社に対しましても公共上必要な監督が十分できるように、何かの権限をどこか大臣なりあるいは委員会なりが持てるような仕組みになっておりますと、そこまで心配しなくてもいいわけです。そういう権限のある官庁が監督をすればいい。しかし日本ではそうでない。ほとんど監督ができないような建前になっておりますから、そうすると、民間会社が自省をして内容をよくするように努力をしなければならないような仕組みにしなければならないと思う。それがアメリカ式の今日の日本放送業界の現状でもあると思う。でありますから、今後の免許に当っても、ラジオテレビジョンを通じまして、波長の許す限り大きな消費地帯需用地帯では複数制をとった方が、聴取者のためにも、あるいはスポンサーのためにもいい。十分に競争させて内容をよくし、そうして国民大衆希望にこたえるような措置をみずからするように考えていただきたいと思うのです。その点いかがですか。
  11. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。ただいまの新谷委員テレビジョンあるいはラジオについて複数制をとったらどうかという点につきましては、私も全く同感であります。少くとも電波国民のものである限り、その地方々々の資力とでも申しますか、その力に応じて、これが経営が可能であるという点を認めましたならば、少くもたとえ一波でも多く独占することなく、その複数制をとっていくということの方が、国民に最も忠実なあり方であろうと思っております。従って、電波の許す限り、郵政省としましては、その経営が果して健全に運営できるかという点を勘案した上で、複数制をとって参りたいと思っております。
  12. 山田節男

    山田節男君 大臣の、今の新谷君の質問に関する郵政大臣の答弁に関して、まず最初に伺いたい。ラジオテレビ兼営について、これは新谷君の言われたように、テレビジョンの開始が問題になったときに、本委員会としては、多年テレビジョンの研究も実験もやり、放送に関する経験をもっているNHK公共放送建前で、テレビジョン放送をやれというのが本委員会の一致した意見だった。公聴会も開いたし、電波監理委員会公聴会も、これはわれわれ新谷君と一緒にアメリカから帰ってきて、そんなに標準方式を簡単にしてはいけないということで、当時の富安電波監理委員長を叱咤して、あらためて同年一月から二週間にわたって膨大な公聴会をやりました。そのとき問題になったのは、今新谷君の言われたように、電波監理委員会がなぜNTV日本テレビジョン放送許可して、公共放送あと回しにしたか。電波監理委員会の唯一の理由は、膨大な資金が要る、資金可能性があるのは、これはNTVの綱領を見れば、これが一番優秀であるというような名目で、この委員会でもやはり、費用の点あるいは放送技術設備、それからプログラムの兼用、こういう点できわめて経済的にやるにはNHKからやらすべしということを、われわれが強く言ったにかかわらず、今言ったようないきさつでもって、吉田内閣で、その当時佐藤榮作君が電気通信大臣ですか、これはあえてほとんど民意に反してNTV許可した。これは吉田総理大臣に当時の予算委員会で私が質問をしたときに、私はテレビには反対です、民営のテレビには反対ですということを明らかに予算委員会で私の質問に対して答弁している。ところが、吉田内閣として、そういうように確言しているが、民間テレビジョン会社最初免許を与えた。当委員会としては、ラジオテレビ兼営をやるべきであるというようなことになった。ところが、今新谷君が言われたように、テレビジョンがすでに民間放送に許されて、公共放送NHKも開始してきて、相当主体条件が変ってきていると思う。  また、今度鳩山内閣になって、村上郵政大臣ラジオテレビ兼営根本方針にしようということを、私も新聞で見たのですが、これは今の主体条件も違ってきていると考える。これは大阪でのテレビジョン免許申請がたくさんあったうちで、大阪テレビ、OTVに許した場合の電波監理委員会の判定なんか見ても、地方との結びつき、経済力、あるいは文化的経済的に見て、最も関係の深いものとして、大阪テレビだけ許した、あと認可しなかったといういきさつがある。だから、このことは、あなたが大臣として、ラジオ兼営をさしていくということの主体性は、昔と非常に変っているということを考えなければならない。私は決して朝三暮四の考え方ではない。ただああいう民間放送がやたらにたくさんできてきた。この間も参考資料を見てわかったが、ほとんど九割五分というものは新聞社経営である。その新聞社のやっているラジオが、今度はテレビ方面においてもこれを兼営することに大臣がもしそういう方針を立てるとすれば、今行われている激甚な競争が収拾がつかなくなると思う。そういうことは言論の方面において一種の独占禁止法を発動すべきものである。過去四年間の民間放送の実際を見ていますと、こういうものまでテレビジョンを許すといわれると、独占禁止法に牴触すべきもので、ゆゆしき問題になるということを私はおそれている。従って、今後政府の提出するであろうことを予期する放送法改正に当っても、われわれはこの点非常に憂慮している。だから、今大臣軽々に、これはラジオテレビ兼営根本方針でありますということは、これははなはだ失礼ながらも、少し大臣はこの問題を軽々——重要性に対して私は御認識がないのじゃないか。遺憾にたえない。これはぜひ、少くとも大臣として、政治的な御発言になる場合には、こういう膨大な問題について、一つもう少し慎重に対処されんことを私は熱望します。  それからもう一つ、これは新谷君がこの民間放送地方都市における複数制をやるべし、大臣はこれはできるだけやりますと言われますけれども、少くとも限られた周波数割当ということで、もう今一ぱいになってきている。むしろ私は整理すべきだと思う。と申しますのは、大体今日民間放送が三十九局もこの小さい島にあるということ自体が、もう一種の民間放送を無政府的な状態にさせている。のみならず、これは各国の例を見ればわかりますが、結局民間放送というものは、あのスポンサー料広告料というものは消費者に転嫁されます。これはカナダでも、ことにオーストラリアでも問題になっておる。こういう点は、やはり日本のような狭いところで多数のものがせり合ってきて、現在大きな民間放送は別問題として、地方の、ローカルの、各県単位くらいのを見ましても、広告収入を見ますと、実に零細きわまるものです。これはことごとく消費者に転嫁されている。これは単に放送事業だけでなく、消費経済から考えれば、果して今の三十九局の民間放送というものはこのままでいいかどうかという問題、むしろ整理すべきじゃないかという事態現実にきているのです。それよりも、むしろ、これは私はかねて申し上げておりますが、そうして北陸あたりでようやく実現しつつありますが、むしろずっと全国ネットワーク式にして、そうして地方民間放送プログラムを見ますと、大体東京における三大放送局プログラムを買って、テープレコードを買って、やっているような事態なんです。ですから、その実際を見ますと、これはやはりいわゆる重要な周波数割当政策からすれば、むしろ今後の民間放送周波数は整理すべきじゃないか、公共放送はまだ……。使用は、単に放送事業ばかりじゃなしに、膨大な需要が起きてくるものですから、こういう点から、一つ私は今の新谷君の御発言から、もっと国家的に考えたら、ただ周波数というものは、限られた消費周波というものは、ただラジオ放送テレビジョン放送だけのものじゃないのですから、他に航空通信その他あまたの方にこれを利用できる建前なんだ。私は民間放送をさらにこれを複数制にして競争する、これは理念の問題です。固定している周波数のスペクタクルの問題も限界があるのですから、これを国家から見たきわめて重要な方面に向けるという意味で、これは私は新谷君に言葉を返すようだが、周波数政策は根本問題として真剣に考えて、軽々大臣がそういうようなことを言われては困ると思います。これは電波監理局専門の局長も今おられますから、よく御相談していただきたいと思います。これは今大臣のおっしゃることは、むしろ逆に行くべきが政府の態度である。これは新谷君に言葉を返すようだけれども、重大問題だから、放送事業だけの周波数だけで考えちゃいかんということを、一言御注意申し上げておきます。
  13. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどのNTVの方が標準放送より先に開始されたということについては、私存じ上げておりませんから、これはお答えできませんが、私といたしましては、あくまでもNHK主体として、全国あまねくラジオテレビ、いずれもこれを普及していきたいという気持には、毛頭変りはないのであります。  ただ、ただいまの複数制についての御意見については、また別な角度からも検討する必要があろうと思います。それは電波国民のものである、国民はこの放送文化の恩恵を均等に受ける必要がある。ただ都市を中心として、都市に住んでいる者は二つも三つもその選択権がある。しかし、地方に住む者はただNHKだけの一波しか来ない。それでは私は国民に忠実でないと思います。でありますから、その経営が健全に経営される限りは、少くとも地方にも複数制によるテレビジョン設置するということは、ただ単に、それが商業放送——商業テレビスポンサー広告料というものが国民にはね返るじゃないかという点を御指摘されているようでありますけれども、これはテレビジョンによらなくても、何かによってその各産業、各事業は、私は広告をして参っているだろうと思っております。ただ、たとえて申しますと、老人はこういうものが好きだ、青年はこういうふうなテレビが見たいというのでありますから、少くともその選択権国民に自由にお与えしていくということが、忠実なあり方でないかと思っております。そういう意味で、私は、その地方の実情にもよりますが、地方のその経済力が許し、事業が健全に運営される程度のことは、これは最小限度複数制はやむを得ないことだと思っております。
  14. 山田節男

    山田節男君 大臣のお気持はわかるのですけれども、少くとも現実にこういう放送行政ということになってきた場合に、ただラジオテレビジョン兼営主義で行くのだというようなことは、これは日々いかにあなたのところへやかましく言ってくるか、この事態をごらんになっても、それはまるでラジオをやっている者にだけ許すのだというふうな、そういうような資格があるのだということになると、かえってあなたの立場として国家的な放送行政から見ても、混乱を来たすから、これはやはり行政の立場において何が正しいかということになれば、電波監理委員会もあるのですから、そこへ諮問しておやりになり、大臣からそういったような旗をはっきりさせられると、よけい今あなたのお困りになってくる事態が複雑になってくる。また国家的に考えましても、今申し上げたように、最近の——われわれは公共放送テレビジョンをやるべし。それを吉田内閣はひっくり返しちゃった。今度は鳩山内閣になればラジオ兼営主義で行く。しかし主体条件は変ってきているというところに——これはいわゆる政治は、もちろん、こういう主体条件が変れば変るのは当然です。あなたの気持もわかりますが、今日の事態でそういうことを軽々に、政府として兼営主義でいいということは、果して賢明であるかどうか、その点を私は、いわゆる新谷君もそういう御意味だろうと思いますが、私も過去の経験上から、その点をあなたにはっきりさしてもらいたいと思っております。  それからもう一つ複数制の問題ですが、これはもう少し、はなはだ失礼ですが、周波数とは何ぞや、民間放送公共放送はいかにあるべきか、これはあなたがおっしゃったように、テレビジョン大阪や広島、岡山のように複数テレビジョンがいいのじゃないか、これはただ現象的な問題だけであって、その将来を考え消費経済考え、また今日の民間放送の三十九局、むしろこれは乱立です。無統制です。ですから、そういう事態を調整するという根本的態度でなければならん。そこに今あなたのおっしゃるような御発言であると、またラジオ兼営主義と同じような混乱を生ずる。だから、軽々に、少くとも大臣として、そういうことは新聞なんかにそんなことをおっしゃるべきものではないのじゃないかということを申し上げているのであります。この点は私はあらためて大臣の御回答を要求しなくとも、御注意申し上げればいい。しかしこれは事重大ですから、軽々にこういうような発表をされない方が、かえって事態をスムーズに運ぶと思います。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私の質問内容を引用してのお話ですから、ちょっと申し上げたいのですが、私の言い方が悪かったのか、山田君の聞き方が悪かったのか知りませんが、私の申し上げておるのとだいぶ違った質問をしておられるようです。これは兼併主義、複数制がいいじゃないかということを言いましたのは、たとえば関東平野、ここで二千万なら二千万の人口を対象にして、そこで一つテレビ会社あるいは放送会社が独占的にやるということは、これは経営上からいいましても成り立たないというはずはないから、こういう場所では、法規上の監督が十分でないですから、聴取者の利益を守る、そしてまたスポンサーの利益を守ってやるという意味で、複数制をとるのが至当じゃないかということを申し上げた。ラジオが三十何局か免許されておりまして、これはだれが作ったか知りませんが、一県一社主義なんということを電波関係の官庁が言っておるのです。これに対して私はこの前の委員会でも、そういうことはいけない、だれがこういった基準を作ったのだ、電波は、何も県境でもって電波が切れるわけがないのですから、経済的にあるいは地理的に、一つになれるものはなるべく一つにした方がいいので、たとえば北陸におけるような、ああいうふうな共同の連盟といいますか、そういうことをおやりになって、なるべくこれを早く一本にしてしまうという方が、経営上も楽であり、また周波数の足りない時代にその方が実情に合うじゃないかということは、私も山田君と同様な主張をしてきたわけであります。しかし今申し上げておるのは、それとは別に矛盾したことではないのでありまして、たとえば北陸であるとか、四国だとか、中国とかの方面で、小さな業者がたくさんある。それも一つ一つが成り立つか、成り立たんかわからんというのに、そこに複数制をとれということを言っているのじゃない。京浜方面とか、阪神方面とか、北九州とか、数千万の人口を対象にしての商業放送であるというふうな場合には、なるべく複数制をおとりになる方が、全体の利益を守るのじゃないか。一方において、今申し上げたようなことが可能であれば、免許の更改時にそういう勧告をされて、郵政大臣としてはできるだけ、今まで行き過ぎた商業放送免許の仕方を改めてもらうという方向で、努力をしてもらいたい。それは当然の問題として私は言わなかったのですが、複数制の問題というのは、今申し上げたような大きな需要地における複数制を言っているわけです。私の質問がそういう意味であるということを、大臣もそのつもりでお答えになったと思いますが、多少山田君がその点を誤解しておられるように思いますから……。
  16. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、ただいまのお話の通り、決して資力のととのわないところに設置するということも考えておりませんし、たた経済的にもとうてい成り立たないのでありますから、幾ら波があってもその波を要求をしないと思っております。  それから先ほどの、これは御意見として拝聴いたしたのでありますが、山田さんの御意見のあるところは、テレビは必ずしも、ラジオ放送をやっている所へ許可をしなければならないということは、私も必ずしもそれを絶対的なものとして考えてはいないのでありまして、その現地の実情、それにまたその現地の民意の存するところ、こういう点を十分尊重いたしまして、許認可を与えたいと思っております、まあ同じことであれば。ただいまも、三十数局もラジオ放送局があるということはおもしろくない。私もそう思っております。従いまして、今度はテレビも、そうテレビはこま切れにはならないでありましょうが、もしもテレビも別な会社を三十幾つも作ったならば、あわせて商業放送会社というものが、そこに七十も八十もできるというようなことは、あまり経営上から申しましても健全なものになり得ないと思いますので、民意の許す限りはこれを一つ会社でやるということも、必ずしもこれは私は不合理ではない、こう思っておりまして、しかし決してラジオ放送事業のみに限るとか、あるいはそれを最優先的に取り上げていくのだということは私は考えておりません。でき得れば、もしも民意がそこにあるならば、これは最も好ましいことではある、こうは思っております。
  17. 山田節男

    山田節男君 この問題は、電波監理局長も見えて、大臣のお言葉専門行政家である監理局長——帰ってから、この点はもう少しまだ確かめたい点がありますので、これは後日でよろしゅうございます。  ただ、もう一つ申し上げたいのは、本国会で、村上大臣が所管事項に関して御説明になった中で、大事なことが落ちているのじゃないか。そのことは、去る二十四国会の末期において、本委員会において解決をし、また同時に大臣にも各委員から、津島委員その他から強く要望があった事項に対しての報告がないのです。それは何かといえば、例の日本電電公社です、これの一部改正法律案。これは御承知のように、二十二国会に議員立法として出て、本委員会におきましては、これはもう継続審議で二十四国会まで持ち越してきた。この法律がどういう法律であったかということは、これはここにおられる前委員はもちろんのこと、あるいは新聞の論説といわず、私は第一国会以来おりますけれども、こういうまるで、国会に出して五度も変更するようなふしだらな議員立法をしたことはない。これはあなたも大体結果を御存じになっていると思う。  とにかく参議院としては、しかもこういう議員立法でやるいろいろな法律を見ますと、われわれとしても、参議院の良識として、こういうものはむしろ廃案にすべきである。しかし、裏面でいろいろな策動もあったのでしょう。ついに二割の株を持たすというのを一割ということで妥協して、とにかくこれがピリオドを打った。そうして一割の株の処分の問題を、本委員会で、あれはちょうど五月であったと思うが、その処分のありさまを見ると、あなたが会長をしておられる郵政省の共済組合ですか、そこで全部買っているというので、これはその当時各委員から質問が出まして、これはいかん。利回りから考えても、六分何厘しかとっていない。平均六百円の株である。これは善良の管理者として幾らでも七分以上の利回りができるのじゃないかということを、津島委員数字をあげてやかましく言われたことも覚えていらっしゃると思う。  そこで、この議員立法は、参議院で三国会を通じて問題になった法律案です。いろいろなことが論議されている中で、この株というものを、そういったような電電公社が持つならいざ知らず、郵政省のものが確か六十六万株の中で六十万株、九割以上の株を持っている。当時の人事部長、おられるかどうか知りませんが、ここに来ていただいて——大臣も、知らなかった、事後報告を受けたということはあるかもしれない。これはけしからん。であるから、これは次の国会までに大臣はこのことについて善処されたい。大臣もこれについて、私の責任をもってこの委員会の御意思については善処して次の国会に御報告申し上げますという、あなたは明確なる御答弁があったのですが、ところが、これについて何ら触れておられんのですね。これはどういうふうになっているのですか。
  18. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。この問題につきましては、当委員会においていろいろと御注意を受けたのでありますが、私もその後共済会の幹部に対して善処してもらいたいということを要望いたしておりますが、まだ具体的にどうだということは聞いておりません。ただ、組合側の幹部の話によりますれば、大臣の答弁にも、電電公社については十分それは、電電公社がこれを、委員会の要望によって、この電電公社の関係においては認めないということははっきりしておる。しかし郵政関係郵政省の共済組合のことについては、別に委員さんもまた大臣も触れていない。であるから、われわれとしてはまあ安定株主として差しつかえないと思った。利回り採算については大体まああの程度の利回りで妥当であると思った。その結果、まず差し値をきめて、そうして入れて入札をしてみたら、落札をした。自然にこういう結果になったのでありまして、一つ御了解を願いたいというようなことの幹部からの私に申し出がありますが、私としてはどうも、これは参議院の委員会の御意思には必ずしも沿わないと思うので、困ったことだなというところで、まだ結論に達しておりません。  なお、事務当局からはその方の関係、そのことに関係した人事部長から一つ補足御説明いたさせます。
  19. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) それでは国際の株を郵政省共済組合で持ちましたことにつきましてのその後の経過につきまして、大臣の答弁を補足して申し上げます。  前の国会におきまして当委員会におきまして、山田先生初めからいろいろ株式の落札の問題につきまして御意見が出ました。そのとき大臣とされまして、とにかく株主権というようなものを行使して圧力を加えるというような意図は全然ない、そういうことはない、絶対させないというたしかお答えをなさったように記憶しております。その後大臣からもそういうふうなわれわれに対する御注意がありまして、われわれとしましても、もともと採算的な面、利回りにも、共済組合の資金の運用の必要という点から落札をした問題でありますので、株主権の行使によって組合が圧力を加えるというようなことの絶対ないということで、大臣の意思を受けまして今日までやってきておる次第でございます。
  20. 山田節男

    山田節男君 これはもう、きわめてどうも、私からいうと不まじめな答弁だと思う。一体あのときに自民党の津島委員の言われたように、人事部長がそういう資金面を管理されるかどうか知らないけれども国会で問題になっている問題の株について、これに手をつけることすらおかしな話である。採算的に、少くともこれは共済会の組合の金を預かって、より安全な高い利益を獲得することは、これは当然な義務なんです。ところが、あの当時、額面五百円の株を平均六百円だったと思います。津島議員が言われたように六分ちょっとしか利回りがない。他のまだ社債や株を買えば、優に七分以上のこれは利益の獲得はできるのじゃないか。私が最近聞きますというと、この六百余円で、共済会の株が五百五十円前後だと聞いておる。そうすると、一体そういう株を買った管理者は、これは善良なほんとうに純経済的な投資を預かる者として、一体これをどう考えるのであるか。今の人事部長の答弁は少くともここで多数の議員の言われたことに対する誠意ある答弁とは私は考えられない。そんなことでごまかされはしませんよ。しかも大臣は何ら了解をせずに、国会でこれほど問題になっている問題について、会長である大臣に何らの事前の相談をしなかったということは事実である。そこが本委員会で問題になった、大臣も御承知のように。今の大臣の御説明では、何らこれに対する誠意ある私は答弁にならぬと思うのです。これは新谷委員もおられ、松平委員もおられますが、その当時の本委員会の審議において、それだけの答弁では、これは大臣の責任ある答弁とはならないのじゃないかと思うが、どうですか、もう少し詳しく具体的に御答弁願えませんか。
  21. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいまの採算についての御意見でありますが、これは官から半数と組合側から半数の委員によって構成されている、組合員の利益を擁護する組合でありますので、どの程度が妥当な線であるかどうかということについて、私は何ら相談を受けていなかったのであります。当時として、私もその点を組合幹部に追及したのでありますが、これは大体まあこういう程度のものでありましょうと、こういうことを申しておりましたが、私の察するところでは、まあ少くも八分配当か一割くらいにもなるのじゃないかというようなところも、やはり見通しをしておった点も幾らか手伝っておると思いますし、また郵政省とは不可分な昔関係であったというところに、一つのあこがれも持っておったのじゃないか、かように推察されるのでありますが、いずれにいたしましても、速記録等を調べて……。郵政省の共済組合が買ってはならないということで、買ったのだというようなことを、理論的にそういういわゆる反対論を唱える者もおりまして、私といたしましても今これを、ここの委員さん方のお説の通りにすぐどうしてしまうというほど、道義的な責任は痛感いたしておりますが、私がそういう命令的にこれを処分せいということも、私の立場としてどうかと思って、計らいかねている次第であります。そういう点で組合の幹部ともなおいま一応相談してみまして、しかるべくお答え申しあげたいと思っております。
  22. 山田節男

    山田節男君 この答弁をまた願うという意味ですか。
  23. 村上勇

    国務大臣村上勇君) はい、お答えいたします。
  24. 山田節男

    山田節男君 もう一つ、これは時間がなにですから簡単に申し上げますが、これも第二十四国会の末期で、株の問題が、議員立法で、本委員会で一番危惧された。いわゆる官僚といいますか、なぜ会社反対し、本委員会でもいろいろ問題になったかといえば、やはりそういう、せっかく自主独立な、幅を持たし、機動性を持った経営をさせようということで、吉田内閣が無理やりに、われわれが反対したにもかかわらず通しておいて、今度はこういうものを議員立法で出す。当時われわれ国会におりまして、そういう議員立法を出すということになれば、いろいろなことがわれわれにわかるのです。これはもう明らかに一部の議員、官僚その他こういうものに関係した者の策謀的な議員立法であることは、これは当然わかっているのです。所管大臣の松田大臣がよく知らないような状態で、参議院では全くこれはあきれた議員立法で、また新聞界も目にあまる議員立法だということで攻撃している。なぜこういうことをわれわれが参議院の良識によって問題にしたかというと、いろいろな圧迫を加えやせんか——大臣はそんなことはございませんと言っておられるが、二十四国会の四月の末だったと思いますが、たしか国際電電の株主総会で人事を異動するそうだ、こういうことがまたわれわれの身辺にいろいろ聞えてくる。そこでいよいよ、末期だったと思いますが、五月だと思いますが、たしか臨時株主総会だったと思いますが、そういうことがあるのです。それでいろいろわれわれは大臣に確めたところが、ただいま臨時株主総会が終って重役の変更はございませんでしたということを、三十分前に終りましたということをこの委員会でおっしゃっている。しかるに、この法律が通って一割の株が処理された。その結果今度、何でも聞くところによると、八月ですか、臨時株主総会を開いて取締役二名、監査役一名をやめさせて、そしてかわるべき二名の者をそこに入れた。しかも国会休会中に臨時総会を開いてやらせています。これがわれわれが議員立法のきわめて動機が不明朗だ、そこに何かあるのじゃないかと思うから、その不安が次から次に実体化してくる、具体化してくるというようなことが私どもとしてはまことに遺憾にたえない。一体どういういきさつでそういう重役陣を三名もかえたか、そして澁澤敬三君は社長から会長に祭り上げられた。澁澤敬三君を私はよく知っております、学生時代からよく知っておるけれども、重役を三名も退陣せしめて澁澤君がてんとして会長に祭り上げられるということはないと思うのです。一体どういう工作があったのか、われわれ一番おそれておったことが次々と出てくるのです。これまたわれわれは参議院の当委員会における支配的な意見であり、むしろ大臣はこれに反した行動をとっているじゃないかということで、これは今までここに委員になっておった者がこの問題にぶつかって初めて知ったのですが、実に不可解きわまるのです。そのいきさつを簡単に一つ……。
  25. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。この点については私は、会社側が臨時株主総会を開いて、そして役員の任免についての総会を開くという申し出がありまして、三名の重役は辞任したいということであったのであります。会社側の申し出をそのまま私これを認めて、後任につきましては澁澤会長から、自分は各方面の仕事を持っているので、とうていこの繁雑な社長としての任務にたえないから、社長をやめたいと思うので、後任に町田辰次郎をお願いしたい。それからまた専務につきましても、郵政省の元関係であったから大野勝三君を——ここにも郵政省当局に何らか政治的な意図で大野君を入れているのじゃないかというような、これは世間にはお疑いもあるかと思いますが、この点は私は全く、大野勝三という人も町田という人も、全然、大野君のごときは一面識もありません。その名前すら聞いたことがないという人であります。それはみな国際電信電話会社の株主総会、あるいは重役会、あるいはまた当時の社長でありました澁澤敬三君よりの要請によって、それをその通りにただ私は承認したということだけでありまして、絶対にその間のいきさつに、私が、郵政当局が何らかの圧力を加えたのじゃないか、あるいは何かの考えがあったのではないかというような点については、これはもしもそういう点をお考えになる方がありましたら、それは誤解でありますので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  26. 山田節男

    山田節男君 これはもう長くなりますから。今の大臣の言われたことと、われわれの得ている情報と申しますか、株主総会にしても重役会にしても、これは大臣の公式にここで発言されるところの意見とは、事実に反している。これは私ははっきり申し上げられると思います。これは私の申し上げるのは、やめる方がいいとか、だれをやめさせたとか、だれを新任するという問題でなくて、こういう問題を議員立法をもって考えることで、悪いことが次々に実現するということに対して、それは大臣もそういう、そのとき責任をということをおっしゃっておられながら、その舌の根のかわかないうちに、そういうことが具体化するということについては、大臣の政治性を私は信頼しているにかかわらず、因ったことだと思う。ですから、これは大臣のここでの公式答弁と、実際の事実とは、大臣自体がよく御存じのことですから、あまり私はあえてそのことを申し上げませんが、問題は今言ったように、臨時総会を開かして、そして重役陣を三名やめさすということになれば、そうすれば、そういうことに絶対反対と言うている澁澤社長がなぜ便々として留任しているか。澁澤社長はそういう人ではありません。会長がないから会長に祭り上げられて、そしてしかも重役陣を三名も退陣させて、道義的責任を感じないような人間ではないと思う。そういう工作をするということを私は憂えておるのです。そこで私はこれ以上追及しません。しかし今の答弁で満足しません。なぜならば私は事実を知っているのだから、あなたがどうおっしゃろうとも、私はこの問題についてはよく知っているのだから、ですから、これ以上追及はいたしませんが、ただこういった非常な問題になった議員立法の処理の結果が、時間的にもきわめて短かい間にそういうことが次々とできるということは、今鳩山内閣にかわってどんな内閣ができるかしりませんが、現在重役に入れたものをまたかえるいうことになると、社会党が天下をとった場合にどうなるかということを考えると、その事由の一貫性というものがない。これは、日本の今ほんとうに保守政治の一番悪いところは人事で、何とかかんとかいっていじくり回し、電源開発とか、日航、日本航空株式会社のあの社長の問題、われわれ裏面を知れば知るほど、そういうことにタッチはし得ない。これはもう大臣が責任をもって一つ処理していただかなければならないということを、再三この委員会で申し上げているにかかわらず、きわめて遺憾な事態が次々と起ってくることに私は非常に不満足です。  そこで、いろいろこれはいきさつがあって、町田君を社長、大野君を専務に。これは私はその人については個人的にもよく知っております。ずい分りつばな人ですから、これがいいとか悪いとかいうものじゃないが、そういう人たちを外部がどうのこうのとか言わないで、もう現在きまっておるまま、これは公社の構成内容は安定してやらないと、これは国際競争の激しい重要な仕事をしておるのですから、議員がタッチしたりあるいは官僚が監督権限以外のことまでくどくど言うことは、これは私は、事業自体を政府が無理やりに株式会社にしておいて、こうした工合にやることは、まことに私は遺憾にたえない。ですから、今後重役に入った者は、当分自己の過失以外においては地位の保障を与えてやるというだけのことの私は何を持たないと、事業自体が私は健全な発達をしないのじゃないかと私は思うのですが、この点は重ねて郵政大臣に、今後こういうような問題に対して再び起らぬように巌正な処置をとるというお考えが、あるいは内閣がかわれば、もう変るかもしれんけれども大臣としての私は日も何日か、あるいは次に郵政大臣をおやりになるかもしれないが、一応鳩山内閣としての郵政大臣の任期は満了に近いのですから、一つ最後の言葉としてあなたの所信を私は承わっておきたい。
  27. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。私企業のうまみをどこまでも発揮して参りますためには、株主総会の総意によらない限り、その重役陣を左右すべきものでないと私も考えております。従いまして、今回の辞任あるいは新しく就任された重役も、これはみな株主総会の総意でありまして、郵政当局からこれをこうしろとかこうしてほしいというような注文をつけたものはないのであります。ただ、特殊会社とでも申しますか、国際電信電話会社の重役就任の際に、株主諸氏の総意の上に、もう一つ郵政大臣の承認を得なければならないという点がありますので、この点は私は、それの使い方によっては、ただいま山田委員の御心配の点が生じてくると思います。しかし今回のことにつきまして、私はこれは、澁澤社長が会長になったそのいきさつも御自身の一身上の都合でありまして、また社長、専務の澁澤も、これも当時の社長澁澤敬三君から推選して参った。株主の総意であるということでありましたので、私としてはこれに対する批判を郵政当局が受けることはないと思っております。  ただ、議員立法の取扱い、あるいはあの議員立法につきましては、私としてその善悪を批判する自由を持っておりませんが、この点、衆議院が全会一致でありましたにもかかわらず、参議院におきましてはこれがまことにあらゆる角度から批判されましたことについては、これはその取扱い方等が完全でなかったという点については、あなたと同じ考え方を持っておったこともあったのであります。
  28. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連すると思いますけれども、ちょっと。山田さんの言われておることについて私も同感の点もあるし、またちょっと考え方の違っておる点もあるのですけれども、この際明確にしておく必要があると思うのです。というのは、私二十九日の本委員会でこの問題について質問をいたしましたが、電電公社に移行する経緯、さらに国際に移行する経緯は、私は院外から、労働組合の委員長をしておったものですから、十分に経緯は知っておる一人だと自負しておりますが、今でも、そのとき申し上げたように、国際電信電話株式会社というのは、すみやかにこれは電電公社と一本の経営の中でやるべきだということを、私は今でも確信しておるのです。ところが、依然として……。三年たって、国際会社運営しておる中でいろいろな悪い点もあったでしょう。ですから、私は料金値下げの問題について一つ政策的な問題があるのじゃないかということを、このとき申し上げたはずなんです。ですから、先般の国会で電電公社法の一部改正法律が出たときに私は組合の立場からいっても、当然五分の一程度、いわゆる二割程度の株を公社が持つことに対してなぜ問題があるかということを、私は率直に考えておりました。衆議院で満場一致できまって、参議院に送られてきた中で、十分の一、一割ということに修正された。このことについても私は疑問を持っております。それは澁澤会長以下国際電電の労使が一体になって、絶対反対ということで臨まれたということも私は知っております。こういったことが、私は、山田さんのおっしゃるように、一部の官僚かあるいはだれかが策動してやったのだというふうに、私とっておらない。率直にいって、資産を分割した以後の公社と会社の間の経営いきさつ、そういったものをおぼろげながら私勉強しているのですけれども、当時五分の一程度の株を持つことが正しいという判断を持っておったわけです。ただ、その後十分の一に修正されて、郵政の共済組合がこれが株を持った、私幾らか知りませんが、話を聞きました。しかしこのことはもちろん危惧はありますけれども、筋としては、共済組合というものは、これは経営者と組合と運営委員会を開いて、そこで安全有利確実に資金をどう操作するかということを決定するわけですから、その決定に従って国際の株を持つことになったと思うのです。これがきまった以上は十分の一以下のものをだれが持とうと私はいいと思うのです。ですから、こういうことについては問題ない。  ただ山田さんの言われた点は、株主総会の問題とからんで、そのこと自体が今後国際電信株式会社の内部の運営等についてもいろいろと大きな株主総会を通じて圧力が加わってくるのじゃないか、こういう点は私も同じように心配しているのです。ですから、そのことのないように今後運営していただくならば、私は郵政共済会が持ったこと自体がどうこうということにならぬと思うし、もしそういうことならば、五分の一を公社に持たして、なるべく民間の株を持たせるということになった方がいいような気もするのですけれども、まあ十分の一になったのですから、そのほかのものがだれかが買うわけでしょうね。そのことは私はいいと思う。  それから人事の問題についても、私たちはいろいろ聞いております。ですけれども国会のこの中で会社の人事についてとやかく言うことはいけないことだと思うのです。山田さんももちろんそういう点はそういうふうに理解されていると思いますけれども、われわれが今でも心配しているのですけれども、当時国際の組合の諸君にもいろいろ話を聞いてみましたけれども、結局公社の株を持つことは、今日の国際の労働問題に対して、相当干渉が公社から加わってくるのじゃないか、こういうようなことを言っておりました。私は、そういうことはない、もしそういう意図があるとすれば、全電通当時の労働組合、カが弱いといえども、労働条件をそのことによって切り下げるということになれば、私たちは実力行使をかけても国際諸君の労働条件の切り、下げは守ってやるということを、私たちは話したこともあるのです。そういうような経緯ですから、今日の運営によっては山田さんの御心配になるような点があるのじゃないかということを、私はその点を同じように危惧しておりますので、どうか人事問題等についても、とかく世間では、共済会が株を買って、総会の中に力をたくわえて、しかも郵政官僚の行き場がなかなかないのじゃないか。昔のように外郭団体を作って、局長になった人たち、そういう人たちがある程度自分の生命をつなぐために、いろいろな外郭団体を作って、入った。ところが、それも、だんだん世の中が変ってくる。電通でいえば共済会とか、郵政なら互助会とか、こういう大きなガラス張りの箱の中でやることになってきたので、なかなかはけ場がなくなってきた。だから、国際あたりに郵政官僚のはけ場を求めるのじゃないかというような一般的な考えであることも事実だと思うのです。そういうことであってはいけないということを、山田さんは言っていると思うのです。だから、そういう点については私も非常に心配しておりますから、どうか今後の運営の中でそういうことのないように、株を持っても、また監督ということは確かに最終的には大臣認可を得ることになっていますが、そのことによって今言ったような危惧が少くともないようにしなければいけないと思いますから、そのことだけは一つ明確にしておかなければいかんと思います。私はそういう意味でちょっと自分の意見を含めて申し上げておきたいと思うのです。
  29. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。全くありがたい御忠告を承わりまして、ただその御忠告の中に郵政官僚が云々というお言葉がありましたが、決して郵政官僚がどこかかき回しに行こうというようなことは考えておりません。同時にまた、郵政省内の共済組合が大きな株主になっておるからといって、その株主権を行使していこうということも考えておりませんし、私は厳にその点については、当委員会の御意見もありましたので、十分その点の注意も喚起いたしております。ただ今後郵政官僚についてまたそこいらへ追い込んでいくのじゃないかという御懸念は、これは私は株主総会の総意をあくまでも私ども尊重しておりまして、決して株主総会の総意はこれは無視してはならないと思っております。将来といえども、郵政官僚に特にあの種類の事業にたんのうな者がおって、それが直ちに現職から現職へというようなことは、これは私は道義的にも差し控えなければならないと思っておりますが、すでに郵政省を何年か前にやめて一民間人として働いておる者が、どこへ就職しようとも、その点について郵政省から押しつけていくというようなことがない限り、株主総会の総意である限りは、この点については私は自由に一つお取り計い願いたいと思っております。私としては決して、郵政省をすでに幾年も前にやめられて一民間人として働いておる人に対するいろいろな行動を拘束するとか、その自由を云々するということはできない立場でありますし、この点はあくまでも株主総会の結論を、それを尊重して参りたい、かように思っております。
  30. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣は非常にきれいな御答弁なさるのですけれども、私はそういうことだけでは納得できないのですよ。というのは、山田さんも御指摘されておったように、私は人事に関与しているとは言っていませんよ。三年間国際が民間経営の中でやってきた。いろいろな非難もあったでしょう、また前進もあったでしょう。がしかし、その最高の責任監督者であったのは大臣であったし、またその衝に当ったのは澁澤社長だと思うのです。その人たちが今までやってきた。先般の株主総会の総意によったというものの、それはなぜ澁澤さんが会長になって運営した——まああれは定款上は置くことができるようになっています。役員の数も変えなければならない。澁澤さんが会長になって、あとに町田さんが来て、大野さんが専務になったというところにも問題があるのですよ。ですから、株主総会の総意です、私は全然タッチしません、こういうようなことを言われても、さっき山田さんの言われた、いろいろの実情も知っているということを、私もまた知っているのです。だが、そんなことをここで体裁よく大臣が言っても、われわれ信用できないのです。だから、もっと率直に、なるほどそうでないのだということを出してもらわなければいけないのですよ。かりに当時の福田さんと、だれですかやめられた方が責任をとったのかとらないのか、私はそこのところは知りませんけれども、役員をかえるということになると、その過去のいろいろやっていらっしゃった事柄についても検討をお加えになったと思うのです。そうであるならば、澁澤さんが当時の社長であるし、私がまあもしそうだとすれば、部下二名やめていく段階に、社長がのこのこ会長になって残るということは、道義的に考えてもそういうことはできぬと思うのですが、そこらは私も未熟ですから、私の考え通りにはいかないと思いますけれども、いずれにしても、一般的に見ると、何かしら郵政官僚がたくさん入って来たのではないか。たくさんというと語弊があるかもしれないが、そういうふうなことが、前回の審議の過程の中から、やはり一般的に見られるというそのことが、非常に今後の運営について私はマイナスだと思うのです。ですから、事実そうでないならばそうでないというような、人事の問題についてもやっていただかなければいけなかったのですけれども、現に大臣の就任の中に、あなたの承認を得てやる人事がそういうふうな形で行われている以上、やはり私たち、株主総会の総意だと言われても、一つの弁解のような気もするわけです。ですから、その点も、さっきもお話があったように、おかえになるとかならないとかということは別にして、もう少し明確な考え方に立って、今後一つ疑惑のないようにやってもらいたいということ、そういうことを重ねて私は申し上げておきたいのです。
  31. 前田佳都男

    前田佳都男君 大臣とそれから電電公社の方に、ちょっと簡単にお伺いしたいと思うのです。時間も一時十五分を過ぎましたので、ごく簡単にお伺いしたいと思うのですが、ごぐ最近東京で全国町村長大会が開催されて、これらの新しい町村長は、新しく合併になりまして大きくなりました町あるいは村で選挙が行われまして、当選したばかりの方でございます。いずれも新しい村作り、町村りということを提唱して当選いたしました方々でありますが、これらの市町村で何がないかといえば、われわれのところへ参りまして異口同音に、この大きくなった町あるいは大きくなった村をまとめていくということにはどうしても通信が必要だ。一つの町、一つの村ならば村たるの実体をあげるためには、どうしても電話の連絡が必要だということであります。ところが、その電話の連絡が、同じ町の中で、同じ村の中でかけるより、自転車で行った方が早い。あるいは同じ町であり、同じ村の中であるにもかかわらず、市外通話です。また地域が拡大いたしましたがために、その村の端の方、その町の端の方と連絡するために電話が必要であるということであります。ところが、現在の実態ははかばかしくない。  町村合併には、もちろん電電公社の御意見も一々尊重して合併したわけではございません。しかしながら、電電公社といえども全然これに無関心であっては私はいけないと思います。新市町村建設促進法とか、あるいは町村合併促進法には電電公社も協力しなければならんという規定が、私はたしかあったと思うのであります。ところが、現在まで電電公社のやり方を見ますと、率直に見ましても、あまり胸のすくような対策がこれに対してとられていないように思うのであります。ところが、先般大臣の御説明で、この町村合併のために建設官庁で約三十億程度の金を予定しているというそういう御説明を聞いたのであります。おそらく、私もその内容も聞かなければわからないのですが、あるいは五カ年計画、あるいは六カ年計画、あるいは話を聞いてみますと、十カ年ぐらいかかるのではないかということを聞くのであります。しかしながら、私は町村合併はこれは至上命令である。どうしてもやらなければならない。これに対して電電公社も一つ協力してもらわなければいかんと思うのです。これを五年とかあるいは十年とか、いつまでも引っ張っておくべきものではないと思います。幸いに電電公社の予算案が今郵政大臣の手元において検討されているように私聞いておりますので、電電公社が電信電話拡充五カ年計画というものを作っておられる。その五カ年計画を多少改訂してでも、町村合併に即応するところの電気通信施設をするべきではないかと思うのです。この点につきましてまず最初、第一に大臣の御意見を拝聴いたしたい。電信電話五カ年計画の拡充計画を改訂でもして、ぜひ町村合併に即応する電気通信施設を整備すべきではないか、この点につきまして大臣の御意見をさきに拝聴いたしたいと思います。
  32. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。新しい市町村の電話の拡充整備につきましては、私ども電電公社と一体となってこれが一刻もすみやかに完成するようにということをやっておる次第であります。五カ年計画につきましても、実情の御指摘のことにつきましては、靱副総裁お見えになっておられますから、その方からお答えいただきますが、私といたしましてはその予算の許す限り、すみやかにこの市町村の各種の通信については万全を期したいと思っております。
  33. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えいたします。ただいま電電公社は町村合併に伴う通信施設の整備にあまり協力していないという御質疑のようでありましたが、これは本年度並びに前年度、町村合併に伴う通信施設の促進整備につきまして、私ども五カ年計画におきまして、もちろんこれは大都市だけをやっておるわけではないのでありまして、局が一ぱいになった、あるいは市外通話の悪いというところにつきましては、全面的に整備拡充をやって参っておりますが、新たに行政区画が変更になったその同一市町村内に電話局が幾つもあるというようなものを、これを統合してもらいたい、こういう要求になったのでありまして、町村自体あるいは村等の電話のサービスの悪いという点につきましては、これは五カ年計画においてもちろんそれを対象としてやって参るのであります。ただ、御案内のように、非常に需要が多く、また施設も一ぱいになっておりまして、この四年間にかなりの局を建設して参っておりますけれども、今なお一個も電話がつかなくなるように一ばいになった局が二百数十局に上っております。大都市のみならず、中都市、小都市等にそういう局が非常に数が多いのであります。私どもとしましては、まず何といたしましても、電話が全然つかぬということでは因りますので、そこに重点を置く。行政区域が合併になった結果、局が三つ、四つあっては困る、一本にしてもらいたいという御要望、これもごもっともな御要望でございますが、そこで自体、電話施設がないということになりますと、これは問題ですが、ともかく通話ができる、通信ができるという状況であれば、全然できないところをやはり優先的に考慮しなければならん。しかし一方、法律によりまして、この施設整備につきましては公社も協力態勢になっておりますので、私どもとしましては、別のワクを作りまして、そういうのをむしろ改善するという意味におきまして、前年度におきましても特にその予算を認められましたし、本年度におきましても、町村合併としまして十億程度認められておりましたが、実行上さらに十四億というふうにいたしたような次第であります。  そこで私どもこれにつきましては、もちろん計画を持っておるのでございまして、現在、この三十一年九月三十日現在におきましては、二以上の電話局のある市町村というものは全国に二千あまりございます。その中にある電話局数というものは六千六百十三万あるのでございましてこの中におきまする加入者数は十八万ということになっております。これは私はやはり需要者の御希望としましては、全く一つの電話局にして、それを市内サービスにしてもらいたい、こういう御要望だと思いますが、これだけの数がございますので、ともかくこの同一行政区域におきましては、市内通話と同じような早いサービスは、どうしてもこれは早く実現しなければならん。しかしながら、これをほんとうの一個の電話局としましていくためには、どうしても電話局を相当置かなければならん。それには相当の経費を要します。そこで公社といたしましては、その局の距離が六キロ以内にあるものは、これは一本にしたい、それ以上のものは当分の間、市外回線を増設いたしまして、通話サービスといたしましては迅速なサービスができる、これを計画することが至当であると考えたわけでございますが、ここでただいま前田委員の御指摘の五カ年では非常におそいということにつきましては、私ども急速に整備いたしまして、迅速な通話ができるように、これは何も三年、四年と待たなくてもできるような情勢にいたしたいと、こういう計画を持っておるわけであります。  ところが、電話局の合併問題は、現在たとえば磁石方式でやっておるのが主でございますが、このまま合併できる局と合併できない局と、すなわち新たに局を作り、方式も変えていかなければならんという局と、二つに分れるのでありまして、現在の方式のままで合併できるのが、三千三百六十一局電話局が合併を要するものがあるうちに、二千六百七十ございます。方式を変更しなければならんのが六百九十一あります。この電話方式のままで合併できるのは割合に経費が少くて済みます。これは七十四億程度で何とかできると思われますが、方式変更を要するもの、新たに局を設置し、さらにそこに自動方式を採用していくということになりますと、六百億以上の経費を要する。こういう形になっておりますので、私どもとしましては、割合に容易に合併できるものから先ほどの基準で急速に合併して参る。しかし方式の変更を要するものは、これはやはり全国的均衡をもちまして、年度を追って解決していかなければならん、こういうふうに考えておりまして、ただ私ども、そういう非常に強い要望を持っておりますが、本年度におきましても予算としましては三十億程度をお願いしたいのでございますが、結論におきまして十億程度のものになった。三十二年度の計画におきましては、やはり三十億程度を現在お願いしておるような次第であります。  そこで、五カ年計画におきまして含んでやって参りますのは、かりに簡単な例を申し上げますれば、たとえば和歌山の局を自動にするという場合に、附近の町村合併によりまして、局のあるものをできるだけこれを統合する。和歌浦とか紀三井寺を統合していく。こういう方式で五カ年計画の幅においてやっていくものが、ただいま申しました中にも相当あるわけであります。私どもこれをできるだけ短期間に解決いたして地方の御要望に応じなければならんと考えておりますが、何分にも総経費を計算して参りますと、七、八百億の金になりますので、五カ年計画の幅でやって参りまする以外に、政府の方から国の資金を応援願いたいというのが大体三百億程度、その他、公社でできるだけ解決していきたい、こういうような計画のもとに毎年政府の方にお願いにあがっておるような次第でございます。  なおこれ以外に、先ほど前田委員から御指摘になりました通話が非常におそい、あるいは電話がない、こういう問題につきましては、単に町村合併によって一個の電話局にするという方式だけではなくして、むしろ農村、漁村等に電話施設をもっと普及していく、こういうことが必要だと存じまして、本年度末、またこれも別ワクといたしまして、政府機関に御要望いたしておるのであります。本年度の予算としてはわずか二億しか認められませんでした。しかしながら、これを先ほど申しました実行上弾力条項によりまして、倍にしまして現在やっておるのでありますが、さらに明年度としましては、これを相当急速に農村、漁村等に電話の足りない分を充足していきたい、こういう計画を立っておるのであります。現在百戸以上の部落と百戸以下の部落に分けまして、電話の全然ない部落というものが、全国に一万二千余りございます。さらに、あることはあるが非常に少いというのが一万三千余りございまして、これをどうしても、どんなへんぴな所におきましても、少くとも公衆電話を一個つけたい。あるいは距離が長遠なところは交換設備をしまして、その附近の電話がつけられるようにする。要するに経費の負担を少くしまして、できるだけ公衆電話なり共同電話の便益が得られるようにいたしたいということで、明年度としましては、そのために二十五億の資金を現在お願いしておる、こういうような状況でありまして、前田委員御指摘のごとく、地方におきまする御不満というものが非常に強いことは、私どももよく承知いたしております。従いまして、今後におきまして、一そうこの方面施設充実につきましては、公社としましては積極的にやっていきたい、こういう考えに立っております。
  34. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま靱副総裁から大へん詳細な御説明を承わりまして、よくわかったのでありますが、二、三私お伺いしたい点があるのであります。  町村合併に即応しまする電話施設、すなわち一つの村、一つの町の電話がいずれも市内通話になるという、大体日本全国の合併された町村で、全部合併された町村の電話がいずれも市内通話ができるようになるのは、大体何年計画くらいで全部解消するのか、およその目途といいますか、それを一つ聞かしていただきたい。
  35. 靱勉

    説明員(靱勉君) 市内電話としてということになりますと、要するに現在のまあ加入区域が異ならないものにすると、こういうことになるのでありますが、今回の町村合併によってできました町村におきまして、非常に大きな所もあります。まあ極端な例を申し上げますと、北海道の稚内市というのは四国の香川県の面積でございますが、そのくらいあるというふうに私ども承知しておるのであります。それを全部市内電話とするということは、私ども将来においても問題があるのではないかと思います。しかしながら、非常に距離が近く、あるいは連関しておるところは、なるべく同一加入地域にするということで、私ども第一次五カ年計画が明年度終りますので、第二次五カ年計画を立てております。  その際におきまして、加入区域をいかにすべきか、その加入区域内の料金制度をいかにすべきかということを今検討いたしておるのであります。たとえば東京くらいになりますと、全体の端から端まで十里以上もある。しかもそれを全部単一の度数料金であるということは、ほかの世界の国の大都市に比較して、これはどうしても帯域制をとらなければいけない。地方に行きますと、その点がすぐ市外通話になる。そういうような不均衡をこの際全面的に検討しなければならない。また現在合併します場合に、地方におきましては、御案内のように、均一制度でございます。ところが、同じ行政区域になって、市内通話におきまして基本料が上るのはけしからんという加入者の御不満もある。これらを検討いたしまして、最も公平で、利用者の方に御満足できるような制度というものは、第二次五カ年計画で根本的に検討しなければならないということで、ただ前田委員の御質問の市内電話と同じようなサービス料金制度は別としまして、そういうようなサービスは私ども、先ほど申したように、数年におきまして、通話のスピードにおきましてはそういう形にいたしたい。  ただ、合併ということはなかなか困難でございまして、先ほどの案でいきますと、やはり三十一年度から十年くらいたたぬと、全部の解決は困難である、こういうふうに考えております。
  36. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの靱副総裁の御説明で、サービスはできるだけ早く、市内通話と同じようなサービスを提供しましょうという、非常にいいお話を聞いたのでありますが、ただ料金が、同じ村で同じ町でありながら、これをかけた場合にやはり市外料金をとられるということ自体が、非常に感情的にもおもしろくないという意見が非常に強いわけであります。一般の民衆はそれほど市内であるとか、市外であるとか、そんなむずかしいことはわかりません。いずれも一つの町、一つの村である以上、その一つの町の端から端までかけるのに市外料金をとられるということが非常に解せない、わからない、そう言うのであります。この間の町村の総会でも、参りました代表の連中がそういうことを盛んに言っておる。サービスはある程度回線の増加等によりまして便利になるかもしれませんが、しかしながら料金を市外通話の料金をとられることはおもしろくないということを言っておるのであります。  同時に、今お話を承わりますと、現在のところでは、六キロメートル以内のものはいずれも合併することによって市内通話になってしまう、六キロをこえますると、同一行政区域内でもやはり市外通話になるというように私は承わったのでありまするが、どうも市町村建設促進法であるとか、あるいは市町村合併促進法であるとか、これらの趣旨に照らしましても、こういうことはできるだけ一刻も早く、サービスはもちろん市内通話と同じようなサービスになりましても、料金の面、あるいは名称の面におきましても、一刻も早くこれは一つ修正していただきたい。ただ、ただいまのお話によりますと、将来料金制度を考える場合には、東京あたりでも考え直す、あるいは大きい町村については考え直すということは非常にけっこうであります。料金の単一制といいますか、いずれも同じ市内通話であるけれども料金が異なるというものは、われわれが、あるいは一般り公衆がわかりやすいような制度にしてもらいたいと思うのであります。  それから私これに関連してもう一つお伺いしたいと思うのでありますが、この電信電話拡充五カ年計画で非常な成果があったということはよく私は聞いておるのであります。現に東京、大阪では積滞数が少くなった。同時に、相互間の通話が便利になって大都市と衛星都市との通話が非常に楽になつた。これは非常に進歩だと思います。ところが、私率直に申しまして、電信電話五カ年計画の内容というものは知らない。知らないでこういうことを言うのは、非常に失礼なことと思うのであります。どうも電信電話拡充五カ年計画によって、大体大都市、あるいは大都市と中都市の相互間のサービス、あるいは大都市にしましても繁華街、非常ににぎやかな所、もうかる所には非常に金をかけてやる。しかしながら、あまりもうからない地方を犠牲にしておる。農山漁村といいますか、あるいはそのほか小さいいなかの村であるとか町を犠牲にして現に私の知っておるところによりますと、一つの府県でも交換機の増備というものが年に一台ぐらいしかない、そういうふうな状況。私えらい皮肉なような聞き方をするのでありますが、この五カ年計画によって、この五カ年計画の間に現在までにいわゆる地方の電話というものがどの程度によくなったかという、そういうような資料といいますか、数字といいますか、それも一つこの次でけっこうでありますが、お示しを願えれば、非常に仕合せだと思うのであります。問題は今後でありますけれども、今後は一つぜひこの地方の電話拡充ということにつきましても、しっかりと一つ力を入れていただきたいということを、特に私はお願いをしたい。
  37. 靱勉

    説明員(靱勉君) 私ども基本的な考え方としましては、同一行政地域内におきましては一加入区域というのが理想だと思っております。従いまして、その方向で今後整備拡充を進めて参る次第でありますが、これには相当やはり、現在の拡張整備の幅をもってしますと、年月を要するのではないか。しかしながら、前田委員のおっしゃるように、そういう方向にできるだけ早く実現をしていくという努力はもちろんやって参るつもりでおりますが、これをここ数年で全部そういう市内サービスを提供するということは困難かと思います。なおその点につきましては、私ども第二次五カ年計画におきまして十分検討いたしたいと思います。  次にまあ非常にもうかる所ばかりやって農村等は犠牲になっているのじゃないかという御質問でございますが、この点は要するに、加入の需要と申しますか、それに対する充足率から見れば、必ずしもそういうことにはなっておりません。しかしながら、第一次五カ年計画におきまする当初としましては、やはり戦災を受けた、しかも非常に電話の需要が高い所を重点に解決していくという方針をとったことは事実であります。しかしながら、先ほど申しましたように、本年度以来要するに農山漁村の電話につきまして一そう整備拡充しなければならん、重点をその方向に動かしていくという方向になっておりますが、明年度以降さらに第二次五カ年計画におきまして、今前田委員の御指摘の点は解消できるように、全国均等なる普及をみるような方向をもって、現在計画を立てておる次第でございます。
  38. 前田佳都男

    前田佳都男君 この町村合併に伴いまする電話の拡充の経費といたしまして、確かにただいまの御説明で三十億円程度のものを要求しておるというお話であったのでありますが、またこれは本年と同じように十億に削られてしまうと、またやはり依然としてできないというような、私は心配があると思うのでありますが、その場合には、五カ年計画で都会の方をけってでもいいから、これは町村計画の方をやってやろうというような御熱意はございませんか。
  39. 靱勉

    説明員(靱勉君) 計画といたしましては、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、五カ年計画におきまして、農村、漁村等の電話施設の整備を全然無視しておるわけではないのです。その基準といたしましては、局が一ぱいになり、非常に通話数が多いというところにおきましては、加入数の増加もはかりますし、また同線の増設もやって参る。それらの経費というものは、ただいま御説明申し上げました来年度予算三十億、無電話部落二十五億、これ以外に第一次五カ年計画の幅において実行しておりますものは、かなりの、あるいはそれの倍以上になっておるかと存じますが、そういう形になっておりますので、五カ年計画とこの農村、漁村の方と分けておりますのは、先ほど御説明したように、ともかくあるいは中都市、小都市の、要するにいわゆる行き詰まったところを、できるだけそれを統合していくというような方向で出ているわけです。  私ども純粋にお願いしておりますのは、三十億というのは、先ほど申した全体の七、八百億のうちで、一応三百億程度を計画的に別ワクでちょうだいいたしたい、こういうお願いを出しておるような次第でありますから、もちろん実行上いろいろ、あるいは予算でございますから、計画実施上費用の点、あるいはその地況等も考えまして、相互の融通というものはもちろんあるはずでございます。
  40. 前田佳都男

    前田佳都男君 時間も相当過ぎましたので、まだ私、実は町村合併と農村電話の問題につきまして、もう少し具体的にお伺いいたしたい点があるのでありますが、この辺で一つ私の質問を打ち切りたいと思いまするが、ただ電信電話事業が公社になりまして、その経営がどうも、商売という点に重点が置かれますのはけっこうなことと思う。これは非常に独立化、能率化、あるいは合理というような点から見て、非常に進歩しておるように私は思うのでありますが、どうもわれわれのようないなか者は、現在の公社のやり方が大都市偏重主義で、東京ばかり即時通話をやる、そういうことが軒並みにされて、いなかの貧者の一燈が無視されておるというような気がしてならないのでありますが、ただいま副総裁の御説明を聞きますと、そうじゃない、今後はでき得る限り農村、漁村地方の電話拡充に力を入れたい、特に五カ年計画のうちでもそういうことを考えよう、三十億の中でも考えようと。私は非常に心強い御答弁を拝聴いたしまして非常にうれしく思っておるのでございますが、これは必ず実行していくように、特にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  41. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記を止めて。    〔速記中止〕
  42. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十四分散会